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政府委員(
菅野義丸君) お答えいたします。先般
人事院から
政府並びに
国会に対して
一般職の
給與に関する
勧告が、ございまして、それを受けましてこのたび先の
臨時国会に
一般職員の
給與に関する
法律の一部を改正する
法律案を
提出したわけでございますが、
提案理由の
説明にもございますように、今般の
政府案は、でき得る限り
人事院の
勧告の趣旨を尊重いたしまして、大
部分の点につきましては
人事院の
勧告通りでございますが、主なる点、三、四の点が違
つておるわけでございます。その先ず第一点は
俸給表の
作成方でございます。その次にはいわゆる
調整号俸、或いは
特別俸給表と
一般俸給表との格差、違いを縮めたという点であります。それから第三の問題は
検察官等の
俸給表を、
勧告ではこの
一般職の
絵與に関する
法律の中に入れろという
勧告でございましたけれ
ども、その点は特に別にいたしまして、先般の
臨時国会に
提出いたしたようなわけでございます。それから第四の点は年末
手当を一カ月、十二月に出すようにと、これをこの
給與法の中に
盛つて、月給を十三回
拂いにしたほうがいいという
勧告でございましたが、これは
一般職ばかりではございませんし、又
特別職が入
つておりますので、便宜年末
手当の分だけは別の
法律案にいたしまして、先般
国会に
提出したようなわけでございます。
で初めの第一、第二点が大きな違いでございますので、この点について詳しく御
説明申上げます。第一の
俸給表の
作成方でございますが、これは
人事院の
勧告通りの
数字にはできなか
つたのでございますが、
政府といたしましては、
人事院の
資料をそのまま用い、
やり方も
人事院の
やり方をそのまま踏襲いたしまして、
一つの案を
作つたのでございます。どこが違うかと申しますると、
成年男子の
標準生計費が三千三百四十円という
数字が
勧告に載
つておりますが、この
数字はそのまま
人事院の
数字を取りまして、ただ
人事院の
俸給表はそれを二級の一号に置いたのでございますが、
政府はこれを二級の四号に置いたのでございます。どうしてそういう
変化をさしたかと申しますると、二級職というのは
年齢構成を見ますると、十六歳から十九歳までの人を含んでおりまして、
平均が十八歳でございます。で
成年男子の
標準生計費は、満十八歳の
男子の独身の
標準生計費と
なつておりますので
政府は二級職の
丁度まん中に
なつておりまするところの、二級の四号に三千三百四十円という
数字を置いてございます。勿論
数字の整理の
関係上、三千三百五十円と十円増しておりまするが、その
数字を二級の四号に置いたのでございます。
従つて数字は同じでありますが、その
標準になる
号俸が違うということだけが違うのでございます。それが一応
基準になりまして、上のほうはいわゆる七十
号俸、通し番号で参りますと、七十号という
号俸がございますが、この七十
号俸をどうきめるかということになるわけでございます。
人事院ではこれを二万三千円ときめております。これは
人事院が
参考に出しました
資料を見ましても、実際は七十
号相当の
民間の
給與の
平均ではございませんで、実は六十六号に対する
給與でございます。どういうわけで大十六号の二万三千円を七十号にいたしたかということは、先般
人事院総裁からも御
答弁がございましたが、これは成るべく上に薄くしようというつもりで以て七十号に大十六号の
数字を持
つて行
つたんだと、こういうような
お話でございました。然るに
政府は七十号に相当する
数字、これは
人事院の
資料に出ておりますが、二万五千数百円に
なつておりますが、それを百円以下を切り捨てまして、二万五千円といたしまして、七十号の
俸給額を決めたのでございます。そうして三千三百五十円と二万五千円の線を繋ぎまして、これを
人事院と同じ方式で以て
等比級数に分けましたものが、この
号俸に
なつておるわけでございます。
こういうふうにいたしました結果、どういうことに
なつたかと申しますると、
人事院のほうでは
上下の差が……
上下と申しますると、
最高は七十号を
標準といたすのでございますが、つまり七十号と一級の一号との差が、七・三倍に
人事院の
勧告は
なつておるのでございますが、
政府案はこれが八・三倍に
なつておると、こういうことでございます。この点については、作為的にそうしたわけではございませんが、今のような方針で作りましたところ、そうな
つたのでございますが、この点について、
政府もいろいろ
考えましたが、
終戦前の
最低と
最高の差が二十五倍というような点は、これは
参考にならないといたしましても、
終戦後の
俸給表の実際は、おおむね十倍ぐらいに
なつておるわけでございます、併しながら六三
ベースは七・七倍ぐらいでございますが、その他のべーズにおきましては十倍ぐらいに
なつておりますので、これと比較いたしましても八・三倍というのは、不当に
上下の差を強くしたというふうには
考えられませんので、八・三倍に
なつたこの
数字をと
つたのでございます。それで、諸外国の
例等を見ましても、この差は相当開いておりまして、最近
経済界も安定の緒につきましたので、多少能率的な
考えを入れても差支えないという
考えから、
人事院と一倍違いますが、八・三倍の
数字をと
つておる次第でございます。
政府の財源が
平均千円の
平均給を上げるというものしかない。
従つてその千円の
範囲内で以てこういう
俸給表を作
つたかのごとく見られる向きがあるのでございますが、
政府はそういう
考えは絶対にございませんので、今
言つたように、極く理論的に作りました結果、
公務員の
平均月額がどのくらいになるかということを計算いたしましたところ、おおむね現在の千円増しの八千円になるという
数字にな
つたのでございます。一方
財政その他の
方面からどのくらいの
一体負担の能力があるかということを検討いたしましたところが、
公務員一人
当りの千円の
平均給を上げるということは、
国家財政の上から見ても丁度いい
数字であるというふうに合致いたしましたので、この案に
自信を得まして
提出いたしたようなわけでございます。それが第一点の
俸給表の作り方の
人事院と違うところでございます。
それから第二点の
特別俸給表、或いはいわゆる
調整号俸と申しておりますが、こういう特殊の
職域にある
職員の
給與と
一般の
公務員との差との点でございますが、御
承知の
通りこの差は
法律の別表にもございますように、特別の
俸給表を作
つておるものと、
人事院規則によ
つて調整号俸をつけておるものと、それから
法律の委任によりまして
政令で以てこの差をつけておるものと大体三種類あるのでございますが、いずれにいたしましても、これは
一般の
公務員に対しまして、特に長時間の
勤務に服する者とか、或いはその
仕事が
一般公務員に比べまして特にむずかしいものとか、或いは危険が多いとかいうような特別な
職域の人について、
一般公務員に対して或る
号俸を加算いたしまして
俸給をきめる制度でございます。そこでこの
特別俸給表なり、
調整号俸の生い立ちを
考えて見ますると、これはおおむね一、二の例外はございますが、おおむね二千九百二十円
ベースに切替えるときに作られたものでございまして、そのときの
勤務時間の実態を申しますと、
一般公務員は実働が三十六時間半でございます。それで
現業の
職員は四十四時間ということに
なつておりまして、その差が相当ございます。
勤務時間がそういうふうに違いますので、どうしても
現業方面に特別に
俸給を増してやるべきであるというような意見から、この
調整号俸が作られておるわけでございます。勿論
勤務時間の長短ばかりではなく、そのほかに
仕事のむずかしさ、或いは危険というようなことも
考えられるのでございまするが、二千九百二十円
ベースに切替えましたのは、要するに二・一スト当時の状態でございま、て、その当時と比べますと現在におきまして
交通難の緩和、
治安状況、或いは食糧難、その他の点におきまして
社会一般の
客観情勢が相当変
つておりまして、
仕事をするむずかしさというものは多分に緩和されておるわけでございます。そこで
政府はこの際
ベース・アツプの
機会を利用いたしまして、この
一般俸給表との差をおおむね半分にいたしたのでございます。なぜ半分にいたしましたかというと、
勤務時間がおおむね半分に
なつておりますので、それを
標準といたしまして半分にいたしたのでございますが、勿論
仕事の点において、さつき申上げましたように、
社会情勢によ
つて変化のない、例えば大
療養所の
医者、
看護婦、或いは
結核病棟の
看護婦、
医者、その他の
職員、こういう
人たちは
勤務時間こそ差が少くなりましたが、業務の危険の
程度等は同じでございますので、これらの
職員につきましては半分にいたしませんで、三分の一を減じまして、三分の二と
なつておるような次第でございます。そういうふうにいたしまして、
一般職と
一般の
公務員と特別な
職域にある
公務員との
俸給の差を調整いたしましたのが
政府の案が
勧告と違う第二の点でございます。
それから第三の点は
検察官の問題でございますが、これは別に大した問題ではございません第四の点は年末年当の問題でございますが、これは先ほど御
説明申上げました
通り、
特別職が入
つておりますので、これを一々各
法律に書きますと、
裁判官、
検察官、或いはその他の
特別職、そういう
法律に一々年末
手当のことを書かなきやなりませんので、特に年末
手当は
一つの一括した別の
法律といたしまして、
一般に
提出したようなわけでございます。
以上四点が
勧告と違う主なる点でございますが、そのほかにもう
一つの
地域給の点が
勧告通りには
なつておらないのでございます。勿論
法律の
本文におきましては、
勧告通りの
最高二五%、五
区分の案を採用いたしておりますが、この実際の五
区分に対する
地域の区別の
勧告がまだございませんので、これを
政府が一方的に五
区分の
地域をきめることができないのでございます。聞くところによりますると、
人事院におきましては今鋭意これが検討をいたしておりまして、近く
国会並びに
内閣に
勧告されるそうでございますが、その
勧告を以ちまして別に
法律案を出しまして、この五
区分の
地域区分を作りまして、そうして
本文に書いてありますような、
最高二五%、
最低五%の
地域給を
給與することにいたしたのでありますが、その
法律化するまでの暫定的な
措置といたしまして、
附則にございますように、
最高二五%、
最低五%の三
区分、現在の三
区分をそのまま踏襲いたしたのでございます。現在の
最高三〇%、その次が二〇%、その次が一〇%という割合を、何が故に二五%、一五%、五%としたかという御疑問が起ると思いますが、これは
人事院の
勧告にもございました
通り、最近の
特別CPSの調査による
物価差の実情を見ますると、全然
地域給をもら
つておらないところと、
最高の
地域給をもら
つておるところの
地域の
物価差一
生活費の違いは二五%と
なつておりますが、で
勧告もその
通り二五%に
なつておりますが、そこで三〇%を
給與するということは必要以上に
地域給を
給與することになりまして、全然もらわないところとの均衡がとれませんので、
最高二五%にいたしまして、それから
特別CPSの
数字によりますと、その次のところは一五%、それから一番下のところが四%くらいになりますので、これを整理いたしまして一五%、五%といたしまして、三
区分は従来
通りのところを暫定的に踏襲する、こういうことにいたした次第でございます。
その他の点につきましては、細かい点でございますが、殆んど
勧告通りを実施いたしまして、このたびの
法律案を出したのでございます。その結果
公務員の
平均給與の
月額を計算いたしますると、現在の七千円に対しまして丁度千円ばかり上げまして、千円前後上げまして、八千円の
平均給が
給與できる、こういう結果に
なつた次第でございます。