運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-05-15 第10回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十五日(火曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○引揚同胞対策審議会設置法の一部を  改正する法律案衆議院提出) ○引揚促進に関する件  (外地戦犯内地服役に関する件) ○戦争による遺族及び傷い者に関する  件  (遺児等教育費国庫負担に関する  法律案に関する件)  (戦傷病者等対策審議会設置法案に  関する件)   —————————————
  2. 千田正

    委員長千田正君) それでは只今から委員会を開会いたします。  公報皆様のお手許に配つてあると思いますが、今日の会議に付する件は、引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案、この法律案は延期に関する法律案でありますが、衆議院より送付されて参つておりますので、只今提案理由の御説明衆議院受田議員からお願いすることにいたします。
  3. 受田新吉

    衆議院議員受田新吉君) 只今委員会で上程頂きましたこの引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案につきまして、衆議院提案者代表いたしまして、私よりその改正趣旨を申上げたいと思います。  この法律案につきましては、衆議院においては議員提出案といたしまして、これが多数を以て可決せられて、参議院のほうへ回付されたわけでありまするが、この改正案を提出するに至つた大きな理由は、この引揚同胞対策審議会は、この八月三十一日を以て任務が完了して、この法律の適用を受ける審議会というものがなくなるわけになるのであります。ところが現実にこの審議会任務完了という立場からなくしてよいかどうかという事態皆様がたに特に御研究を頂いて、この改正案を出すに至つた理由を御了解頂きたいと思うのであります。それはこの引揚同胞対策審議会設置法が誕生いたしましたその時期は、第二国会衆参両院において引揚同胞対策に関する決議がなされまして、その決議に基いて総理府のうちに引揚同胞対策審議会を置くということになりまして、それが法文化されたのがこの審議会なのでございます。そしてこの審議会で取扱つておりまする主なる事柄は、引揚促進、それから遺家族留守家族援護、次に帰還者更生対策としての就労、就職及びその他の企業等に関する事柄、次に帰還者在外資産に関する問題、これらを一括してこの審議会審議をするということになつておるのであります。ところが当初この審議会は一年くらいで引揚の問題は解決するという見通しの下に作られたのでありまするが、ソ連地区その他からの帰還促進が意のごとく捗らず、一年、一年と改正をされまして、すでに昨年の改正を以て、三回に亘るこの法律改正がなされ、そうして而も再びここになおこの引揚同胞対策審議会のなすべき任務が完了しないという意味から、四度の改正案をここへ提出するようになつた次第であります。  何となれば、ソ連地区その他の引揚がこのように荏苒として解決をしない。而もなお今日三十有余万の未引揚者があの海の彼方で苦労をしておられるという現実は、容易ならん事態であり、人道的にもこれは到底忍びがたい重大問題であるのであります。そこで皆様も御承知通り衆参両院を通じて、我々国会議員といたしまして、国民運動を展開して、昨年及び今年にかけてこの帰還促進に当つたのでありまするが、今なおその解決を見ないということは誠に痛恨事であります。すでに抑留六年に亘る在外同胞の身の上を思うときに、我々国民代表が誠に胸を抉られるような悲痛な気持に打たれるのでありまして、この待たるる留守家族立場などを考えても、誠に何とお慰めしてよいやらわからない実情なのであります。そうして問題は、引揚促進がかかる状態に解決を見ないという立場から、昨年御承知衆参両院決議を以て国連にこれを提訴し、そうして昨年十月には我々の代表を三名国連総合にオブザーバーとして派遣するというような結果になり、国連においては我々の願いを容れてもらいまして、直ちに国連の中に特別委員会を設けまして、抑留の日本人、ドイツ人の送還問題の解決に当るというような、誠に嬉しい結果まで招かれたのでありまして、近く我が国にも調査団が来て下さるといういう見通しになつたのであります  ところがこの引揚促進と共に問題になることは、引揚げて後の人たち在外資産の問題及び遺家族留守家族援護の問題、こういうものは、これに関連してなお未解決のままになつておるのであります。従つてこれらを総括的に審議しておるところの引揚同胞対策審議会が八月三十一日を以て立消えとなるということになつたときに、この問題はどこで中心になつて骨折すかということになるのでありまして、折角総理府に設置されておりまするこの引揚同胞対策審議会が、今漸く最終段階に達して、最もカを入れなければならないときになつておるが、この機構をなくするということになると、中心を失うということになりまして、前途に非常な暗影を投ずると思うのであります。速かに解決さるべきこの引揚問題が荏苒として今日に至つたというこの悲しい事態を私たちは直視しまて、更にこれをいま一年間延長をいしまして、最終段階における引揚問題、即ち帰還促進と同時に引湯者の援護その他在外資産問題等を一括して、最もカを入れてこの仕事解決して頂くように、この審議会に努力してもらいたい、これが私たち衆議院側提案の最も大きな理由なのであります。特に国際的に非常な重大な段階に達し、講和目前迫つたような感もする今日、この問題が取残されたままで講知に突入するということは、我々としては誠に忍びがたいところであつて引揚同胞対策審議会最後の活力を得て、この問題の処理に当つて全力を傾倒するというその一役を買つてもらうためにも、更に一年間の延長お願いたい。然るが故にこの法律改正案につきましては、この改正案文を朗読いたしまするならば、  引揚同胞対策審議会設置法昭和二十三年法律第二百十二号)の一部を次のように改正する。  第七衆中「施行の後三年」を施行の後四年」に改める。 こういう案文を以て改正案を提出する次第であります。どうぞこの重大な引揚問題に対して、人道的立場からも、又我々国民代表としての国民の輿論を代表する責任者立場からも、参議院皆様がたが従来非常な御協力を頂いて、衆参両院一致して協力して来たこの重大な問題の解決に挙げて御賛同頂くようお願いをしてやまないのであります  簡単でございまするが、これを以ちまして提案趣旨の弁明といたす次第であります。どうぞ御協賛のほどをお願いいたします。
  4. 千田正

    委員長千田正君) 只今の御説明に対しまして委員各位の御質疑がございまするならば……。
  5. 木村守江

    木村守江君 引揚同胞対策審議会任務重要性については、只今説明通りだろうと思います。併しながらこの法案改正の点なんですが、三年を四年にすると、一年延ばすということに、一年延ばしたことによつてこの問題が解決できるというような見通しがおありなんでしようか。
  6. 受田新吉

    衆議院議員受田新吉君) これは講和を真近に控えて引揚問題最終段階に達したという感じもしておりまするが、お説のように一年の後にはすべての問題が解決するという断定的な予想はできないのであります。併しこの一年間の間にこの処理をする、解決をするために全力を傾倒するという立場から目標を定めて一年を限つて、この問題の解決にその重点的な手を打つという立場から、これを一年としたのでありまして、無制限に二年も三年もというような漠然とした目標を持つたのでは、これに対する力の入れどころが違うという立場から、一年の間に解決のために総力を注ぐという、その意味から一年として年限を切つたわけです。
  7. 木村守江

    木村守江君 恐らくは只今答弁通りでしようが、今まで二回ですか、二側に亘つて一年、一年と延ばして参つたのもやはりそういう関係からであつたかと存じます。特に今年、今回一年を延ばすということは、講和条約目前にしてというようなお話でありまするが、講和条約目前にいたしますことは御説の通りでありまするが、この講和条約には恐らくはソ連は参加しないだろうというようなことになつているようでありまして、そういう点から申しましても、これは却つて今まで一年、一年と延ばしたことよりも、あとの一年でこれを全部完了するということは相当むつかしさがあるのじやないかと思うのですが、その御見解は……。
  8. 受田新吉

    衆議院議員受田新吉君) これは今まで一年、一年と延長をして参つたのは、この審議会の最も重要な任務がその第一項にありまする引揚促進に関する事項でありまするので、ソ連その他まだ未帰還の地域の国家において、これは、ポツダム宣言の受諾をした我々に対して協力をして頂いたならば、もうとつくに解決しているものであります。それがこのように延長されたという事態は、国際間のそうした微妙な関係がそうさしたのでありまして、我々としてはこれを早急に解決したいという国民的念願なんでありまして、これが何年もまだ未解決のまま処理されないとしたならばこれは由々しい人道問題であり、この留守家族立場なんかを考えても、帰らぬ人を何年も何年も目標がないままに待つということは、これは情において忍びないところでありまして、我々といたしましては、この一年を限つて総力を傾注して最終段階引揚問題処理をしたいという国民的念願をこの法律の上に現わすという立場で、今年こそ最後だという強い強い念願をこの法文の上に現わしたのでありますから、一つ左様御了承を頂きたいと思います。
  9. 木村守江

    木村守江君 只今の御趣旨はよく私わかるのですが、ところがこれは一年で以てどうしてもやらなければならないという気持はわかるのですが、これは相手があることであつて、自分のほうでは躍起になつても、実際問題として、今年講和条約に参加しないというような殆んど確定的な見通しのある場合において、一年でできるとお考えになるのでしようか。それは勿論やりたいという感じはわかりますが……。
  10. 受田新吉

    衆議院議員受田新吉君) これは法律というものは一つ目標を以て実施されるのでありまするから、見通しが……解決ができるまでというような漠然とした立場でなくて、特にこの問題については、これは解決しなければならない問題が今日なお解決しないという立場にあるのでありますから、普通の法律と違いまして恒久性を持たない暫定的な審議会であつて、長く国民の幸福のためにこれを置いておく立場のものでない。特にこれを最初第二国会決議に基いて作られた当時の情勢から見たならば、一年間後にはもうあの当時解決するという立場でやられたのでありますから、これ以上、私たちはこの一年を延長した案文を出した今日、これ以上更に延びるというようなことは、これは絶対になしたくないという強い念願を持つてこの最後処理に当つて頂きたい。これは審議会一つの大きなその責任を持つてつて頂くように要望したわけなんでありまして、これが来年になつて解決しないときには更にその情勢においてやればいいのであつて、この一応目標として法律改正する趣旨は、ここに一年という年限を区切ることが現実の場合においては最も妥当な要望であると、国民的要望でもあると思いまして、衆議院側においてはこれを一年と区切つたのでありまして、来年のことはそのときになつて見なければわからないのであつてソ連その他から還える人たちが何年先になつたら解決するかわからない現実ではないかというお言葉に対しては、これはこの法律改正に当つては、その問題を考えて見たくない我々としては国民代表立場から漠然とした見通しでなくして、一年という迫つた立場での解決念願するんだという、こうしたはつきりした線でやるほうが、国会お互い立場としては国民に対する気持からも適当ではないかと思つて、この年限を切つたんです
  11. 木村守江

    木村守江君 どうも理窟を言うようになりますが、気持はよくわかるのですが、私は今法律論が出ましたが、法律というものはもつと権威あるものでなくてはならないと思うが、これは少くとも立法府にいる我々はこれはもつと権威ある法律を作らなければならないと思う。  毎年心々、一年、一年と何遍も延ばす、延ばさなくちやならないような法律は、私は法に権威がなくなるんじやないかというような感じがするのでありますが、こういう点からちよつとどうもそれは勿論一年でやらなくちやいけないという気持はよくわかりますが、恐らくこういう法律は今までは余りたくさんないんじやないかと思う。一年、一年と、毎年々々一年ずつ延ばして行くという法律は、どうもやはり法の権威が、余りにも見通しがつかない法律、これは勿論見通しはつかないのはこの問題が特別の問題であるからでしようが、どうも立法府にいる我々とてしはもつと法に権威を持たしたいという考えを持つておるために、こういう理窟がましいことを申上げるのですが、この点如何でしようか。
  12. 受田新吉

    衆議院議員受田新吉君) もう一度私申上げたいのは、この法律は極めて暫定措置法律によつて設けられた審議会でありまして、そういうふうに審議会を置くようになつ理由が、最初目的が早急に引揚問題解決するために審議会を置いたわけなんであります。従つてこれは当然もう解消していなければならない問題です。解決終つてこの委員会はもうなくなつてもよいはずだつたのですが、今年ももうこれで終えてはどうかという声もあつて、八月三十一日を以て終えてはどうか、そうして厚生省内引揚援護庁関係で一部局を設けて、引揚援護庁がこれを一括して事務をとるというのでいいんじやないかという声もあつたわけであります。従つてこの審議会というものが長く置かれることは、これはそう予定されないと私は思いまして、これが当然厚生省内における一部局の担当するところとなることは想像できることでありまして、とにかくこの一年の間にこの引揚審議会最後の努力をして有終の美を発揮してもらいたい、こういうような意向で衆議院側としては一年という年限を置いたのでありまして、旅行の後解決するまでこれを置くというような形のものではなくて、暫定措置法律でありまして、恒久性を持たないという点において特殊な法律でありますから、そのときの情勢で、来年又この問題を蒸返されてもう一年というような事態が起きるかも知れません。併しそれは今日予想しないで、法の権威を持たしめるという意味からも、一年の間に解決せしめるということが、特殊の立場における法律ですから、そのほうが権威があるのではないかと思つております。
  13. 木村守江

    木村守江君 どうも理窟を言うようになりますが、私が考えるのに、昭和二十三年の法律第二百十二号引揚同胞対策審議会設置法というものが上程された場合に、一年ときめたのは、法に権威があつたならば一年でできたろうと思うのでありますが、見通しの過ちで一年、一年と延ばされて来たのです。そうして三回目の改正であつて、今度例えば国際連合の強力なる援助によつて、今度こそは一年できまるのだというような画期的な見通しがあるのでしたらこれはいいと思うのですが、ただ一年、一年というのでは、これは一年でやるつもりなんだというのだが、実際は一年でできないのじやないか、又できないじやあないかということになつて来ると考えてもそういう点からこれはどうしても今度一年延長するというのは、「施行の後四年」とするというようにするのは、国際連合が強力にこれに協力して、そうして今度こそは第一の引揚促進ということを完了するのだという見通しがなければ、一年ということが今までと同じようなことになるのじやないかと考えるのですが、お話の点はよくわかりますが、その点今までもそれは勿論一生懸命やつて来て下すつたのでありましようが、今度は国際連合協力と共に、政府においても、立案者においても、又我々国会議員協力してこの法律に背かないように一生懸命やつて行けるようにお願いをしまして賛成します。
  14. 千田正

    委員長千田正君) 他に御質疑はございませんか…。委員長からちよつとお伺いしますが、この第一条の第一項第一号に「遺家族留守家族援護に関する事項」というものがありますが、実は御承知通り、この三月三十日参議院並び衆議院全会一致を以て通過しましたところの、遺族並びに傷痍者等戦争犠牲者に対する国家補償政府は一日も速かに実施をすべきであるというあの決議案に基きまして、当委員会としましては政府を鞭撻しておるのでありますが、政府内部においてもいろいろこの問題については研究はしておるようでありまするけれども、実際は総合的な研究はなされておらない。こういう立場から参議院といたしましては新たにこの問題に関する審議会を内閣内に持とうかという議論が起きておるわけであります。そうした場合ににおいてこの引揚同胞対策審議会というものが現在設置されてあるのでありますが、この内部においてこの問題を引揚促進ばかりでなく、遺家族等戦争犠牲者に対する国家補償というような両院決議に基く政府の施策に対して、この審議会が何か特別に考えておられるようでありましようか、どうでしようか。
  15. 受田新吉

    衆議院議員受田新吉君) この第二号に遺家族留守家族援護に関する事項があるのでありまして、この中では当然戦死者遺族、それから未婚還者の留守家族援護問題が審議されておるので、ただそれを特別に取上げてやつてはいないようです。だから適当に会を開き、国家予算八十万円を以て審議会をしばしば開催しておるのでありますが、特にそれを取上げるという域に達していないと思いますので、今の特別のこういう戦争犠牲者のための審議会作つてはどうかという御意見に対しては、この引揚同胞対策審議会にその仕事を強くさせるようにするか、或いは別個に更にその問題を審議する戦争犠牲者のための審議会をつくるか、これは御検討を頂いていいことだと思いますので、この点私たちとしては、さよう御検討、御研究を頂くようお願いしておく次第であります。
  16. 千田正

    委員長千田正君) 質疑はこれで打切りたいと思います。討論に入りたいと思いますが、別に討論についての御発言はありませんようでございますから、採決に入りたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 千田正

    委員長千田正君) この引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案に対しまして賛成のかたの御挙手を願います。    〔総員挙手
  18. 千田正

    委員長千田正君) 全会一致と認めまして採択いたします。    多数意見者署名    大谷 瑩潤   木村 守江    成瀬 幡治   小酒井義男    木内キヤウ   鈴木 直人    石川 榮一   内村 清次    草葉 隆圓
  19. 千田正

    委員長千田正君) 只今香港戦犯関係者内地服役の件につきまして入電がありましたので、田島事務官から説明をして頂きます。
  20. 田島俊康

    説明員田島俊康君) かねてからいろいろ御尽力を下すつておりました二千有余名に上ります在外戦犯者のことに関しまして、昨日これはまだ内報の程度でありますが、電報が入りましたので、取りあえず御報告申上げておきたいと思います。  それは香港におりまする七十名の戦犯者でございますが、これが全員明後日横浜に入港しますところのノルウエー船ハイロ号という汽船で帰つて来ることになつたのであります。これはまだ連合軍のほうから公報は入らないのでありますが、船からの連絡によりまして、神戸に寄港いたしました際に、取りあえず連絡をいたしました結果そういうことがわかりまして、今援護庁といたしましてもそれを迎える準備をいたしております。  なおこのことにつきましては、内報程度ではございますが、私どもの局長が参りまして御報告申上げ、お礼も申上げたいと申しておりましたが、実は今朝丁度連合軍司令部のほうから遺族の問題について出頭せよというお話がありまして、局長はそちらのほうに出ましたものですから、私代りまして御報告とお礼を申上げたいと思います。
  21. 千田正

    委員長千田正君) 引続きまして先般来当委員会で熱心に皆様の御研究になつておられましたところの戦争犠牲者に対する国家補償に関する法律案草案が一応でき上りましたので、皆様のお手許に配付しておりますが、御検討願いたいと思います。  なおそのうちで取りあえずの問題といたしましては、この戦没者遺児等教育費国庫負担に関する法律案要綱、この草案を一応読み上げます。    遺児等教育費国庫負担に関する法律案要綱(案)  一、法の目的    この法律は、戦没及び戦傷病者の子の教育費の一部を国庫負担として、これらの教育特別扶助をなすを目的とすること。  二、定義    この法律において「戦没者の子」は戦争にかかる軍務及び公務並びに外国における抑留に際し、自己の責に帰することのできない理由によつて、死亡し、又は受けた身体の障害によつて死亡した者(以下戦没者という)の子で戦没者の死亡時同一戸籍内にあり、且つ、十八才未満のものをいうこと。    この法律において「戦傷病者の子」とは、戦争にかかる軍務及び公務並びに外国における抑留に際し自己の責に帰することのできない事由によつて傷痍を受け又は疾病にかかり療養中の者及びその傷疾又疾病による不具廃疾程度恩給法別表第一号表ノ四に掲げる特別項症第一項症及び第二項症に当る者(以下戦傷病者という。)の子で戦傷病者と同二戸籍内にあり、且つ十八才未満の者をいうこと、  三、教育手当    戦没者又は戦傷病者の子の教育を扶助するため、これらの子で小学校に在学する者に対しては、月額   円を、中学校に在学する者に対しては、月額   円を、高等学校に在学する者に対しては、月額   円をそれらの在学間支給することができること。  四、身心障害を有する者に対する障害手当    戦没者又は戦傷病者の子で、身心障害のため、盲学校ろう学校又は養護学校に在学する者に対しては、前条の教育手当の他、障害手当月額   円を支給することができること。  五、授業料の免除    戦没者又は戦傷病者の子で、第三条の教育手当を受ける者が、官立又は公立の学校に在学するときは、授業料を免除すること。  六、所要経費    この法律施行に必要な経費全額国庫負担とすること。  七、請求及び支給    教育手当及び障害手当請求厚生大臣に対する申請によること、支給の開始は厚生大臣の認定により、申請の日からとし、支払は三ヶ月毎とする。    育英資金とは併給し得るものとすること。  八、譲渡、抵当及び差押えの禁止    この権利は譲り渡し、担保に供し、又は差押えることができないものとすること。     附 則  1、施行期日  2、厚生省設置法の一部改正  3、地方自治法の一部改正 以上でありまするが、これは案でありまして、殊に金額を抜いておりますのは、お手許に文部省からその資料が届いておりまして、この一級、二級、三級種の費用並びに遺児の人数を総計したものが皆様のお手許に届いておりまするから、御参考に供されまして、この案について御検討お願いしたいと思います。勿論これはまだ厚生委員会とも合同審査はしておりません。皆様の御意見伺つてからにいたしたいと思つております。
  22. 木村守江

    木村守江君 この遺児等教育費国庫負担に関する法律案要綱ですが、只今のお説のように皆さん家帰つていろいろこの案件を検討したいと思います。それからこの金額等についてもいろいろ研究した後に質疑応答したほうがいいと思いますので、どうぞそのように御取計らい願います。
  23. 千田正

    委員長千田正君) 只今木村委員の御発議がありましたが、さよう取計らつてよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この出し方は合同提案にするわけですか。
  25. 千田正

    委員長千田正君) 勿論そういうことになりますが、この問題につきましては、先般来厚生委員会からのいろいろの御希望がありまして厚生委員会のほうでもこれに対する小委員会を設置しまして、厚生委員長が小委員長を兼ねておられます。そうしていよいよこれを発議する場合は、厚生委員会と当特別委員会合同発議にしたい、こういう要請がありますので、お互いに十分法案研究をしてそのよろしい点を採択して、然るのちにこれを上程したいというような両委員会の希望なのであります。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  26. 千田正

    委員長千田正君) 速記を始めて下さい。只今木村委員並びに成瀬委員からの御提案もありましたので、一応この法案皆様に御検討願いまして、次の機会において十分に御意見を伺うことにしたいと思います。  それでもう一つは、若しもこれを関係方面との間に十分に直ちに了解を得ない場合においては、先ほども衆議院受田議員が言つておられました案がありますが、戦傷病者等の対策審議会設置法という案を別にお手許に置いてあります。これは先般各省に私が折衝しましたところが、やはり政府の部内におきましても、大蔵省は大蔵省でそれぞれの裏付けに対する案を考えておる、厚生省厚生省考えておる、或いは外務省その他はその他で考えておる、恩給局は恩給局で考えておる、非常にそういう点があつて、でき得れば政府部内に審議会というようなものを置いて、各省の次官、局長級或いは学術識見のある公平な立場の人々を入れて、至急に審議会作つて頂いたほうが、各省としては都合がいいから、そうお願いできないだろうかという案もあつたわけであります。御参考までにこれも一つの案としまして、現実に予算処置を伴う問題が至急に本国会のうちにこれが通過する見込がないというような場合は、この法案をこの国会に提出して、これだけは通過して、一日も速かに態勢を整えたいというのが私の希望なのであります。これも一つ並行しまして御研究願いたいと思います。
  27. 木村守江

    木村守江君 戦傷病者等対策審議会設置法案というのは、これは遺児等教育費国庫負担に関する法律案というのが上程できない場合に作るというのですか。
  28. 千田正

    委員長千田正君) はあ。両方やつてもいいわけです。それを御研究願いたいと思います。むしろ両方持つて行ついて片つ方は大して予算の処置は要りませんから、すぐできると思いますが、その点についても皆さんの御意見を承わりたいと思います。飽くまでこれは草案でございますから、どうぞお手を入れて頂きまして、皆さん御研究願いたいと思います。  それでは、これで散会いたします。    午前十一時三十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     千田  正君    理事      大谷 瑩潤君    委員            石川 榮一君            木村 守江君            草葉 隆圓君            内村 清次君            小酒井義男君            成瀬 幡治君            鈴木 直人君            木内キヤウ君   衆議院議員    受田 新吉君   説明員    引揚援護庁復員    局勤務     田島 俊康君