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1951-02-26 第10回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十六日(月曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○傷痍者及び遺族に関する件   —————————————
  2. 千田正

    委員長千田正君) それでは只今から委員会を開きます。  この前の委員会におきまして、遺族傷痍者等に対しまするところの政府の施策に対して、各議員から活溌なる御審議がありまして、結論としましては戰争犠牲者の中で一番今まで恵まれなかつたといいますか、或いは日本政府対策がなかつたところの遺族に対して、更に傷痍者人たちに対しての法的な何ものもなかつたので、この際当委員会としましては、できるだけ速かに各関係官庁或いは国会におきましても、厚生委員会或いは内閣委員会その他大蔵委員会等と折衝しまして、遺族に対する法案を作り上げたいといういう結論に到達したわけであります。  幸いに先般世界連盟の発足に際しまして日本から代表として行かれました衆議院早川崇議員が、ドイツアメリカ等を廻つて来られまして、最近西ドイツにおけるところの戰後における遺族若しくは戦争犠牲者に対する、西ドイツ政府が施策しておるところのいろいろな参考になる御意見がありましたので、この際当委員会に御出席願つて実情お話願うことにいたしたのでございます。御意見がなければ直ちにこれから早川衆議院議員の、西ドイツ並びにその他の外国における戦争犠牲者に対する各政府対策について、一応お話をして頂くことにいたします。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 千田正

    委員長千田正君) それでは早川さん一つお願いいたします。
  4. 早川崇

    衆議院議員早川崇君) 私は衆議院早川でございます。一昨日でありましたか、新聞参議院の本委員長の談といたしまして、戰争犠牲者並びに傷痍者に対する優遇策について何らかの成案を得るべく御努力中と、こういう記事を見まして早速委員長のところに参り、ドイツ実情お話したところ、是非出席しろということで参たわけでございます。主として戦争犠牲者に対する救済で奏者になるのは西ドイツでございますので、西ドイツの私の聞いた実情を御参考までにお話したいと思います。  私は西ドイツに四、五日よりおりませんでしたので詳しいことは御報告できませんが、主務大臣労働大臣シユトルヒ氏に直接お会いいたしまして、この問題に対する西ドイツ政府実情をお聞きしたその通りを御説明いたしたいと思います。西ドイツにおきましては、日本と非常に私はこの問題に対して違つた実情を発見したのであります。どういうように違うかと申しますと、最近西ドイツの議会におきまして、戰傷者並びに遺家族に対する新らしい法律が通過したのでございます。その法律によりますと、大体連邦政府の総予算の三%を、第二次大戦において遺家族なつたり、或いは又不具者なつたりした人たちに対する救済に当てられることになつておる。その総額は向うマークにいたしまして大体三十億マークという額を、日本円に換算いたしますと大体一マークが百円足らず九十何円ということでございますから概略二千七百億円以上の予算が、この戦争犠牲者に対して與えられるということになつておると、シユトルヒ労働大臣説明されました。でシユトルヒ氏は、こういう予算で徹底して救済するのであるから、例えば妻と三人の子供を持つている中農以下の農民が第二次大戦において夫が餓死したという場合は、餓死しないときよりもむしろ収入が多いという結果になると言つておりました。要するにドイツの場合には勿論英米仏占領治下にありますから、この法律を通すに対しては無論いろいろ障害があつたということをいつておりましたが、ドイツの各政党が一致してドイツ人世論押切つたということを非常な誇を持つてシユトルヒ労働大臣が我々に物語つてつたということは、非常に我々として参考になることであつたと思います。そういう実情でございまして、これに対して無論共産党は反対したけれども、併し共産党の反対する理由は、もつとこういつた戦争遺家族に対する救済予算を計上しろという意味において反対をしたというのであるから、西ドイツ四千八百万国民全部が戰争犠牲者を助け合つて、これを救つて行こうという根強い一つ世論があるということをはつきり言えると思います。私はそこで労働大臣に対してこれだけの金額をこういうものに與え、一体国民税負担が高くなるが国民一般世論はどうかということを突込んで聞いて見たのです。それに対して労働大臣は先ほど申上げましたように、これに対する限りは共産党すら反対しない、国民一人として反対するものがないということを申しておりましたが、日本実情と比較いたしまして、非常に大きいこの問題に対する考え方の相違があるのではないかということを痛感したものであります。又ドイツの汽車なんかに乗りまして感じたことは、戦争不具者なんかには特別のスクエアがリザーブしてありまして、非常に混雑しておる時でもゆうゆう坐れるように優遇しておるということなど、我々日本人として非常に教えられるところが多かつたというふうに痛感した次第であります。  そこでこういうような三千億近い予算日本生活保護法つてとてもこれたけは出ておらなく、せいぜい国家予算の一%に充たない実情で、これは戰争遺家族以外を含めてそれほど余分に出ない実情でありますが、然らばこういつた援護費を出し得る経済的背景はどうかということを、我が国と比較する場合にやはり考えなければならないと思いますのでこの点をかいつまんで申上げたいと思います。我が日本経済復興と非常に違う点は、御承知のように住宅の問題においては徹底的に破壊されております。今なおケルンという大きい都市を見たのですが約半数の家屋が米だに残骸をさらしておるという実情で、住宅復興ちよつと見た目には遅れておる。停車場の屋根もふきとばされたまま残つておるという実情であります。併しこれは最初ドイツに入りました第一印象でございまして、中に人つて経済復興実情数字的に聞きますと、日本より遥かに経済力復興しておるということがわかります。どういうことかと申しますと、ドイツにおいては給料生活者手取給料が大体平均三万五千円であるといいます。それから食糧も全部統制が撤廃せられておりまして、非常にそういう点では日本より生活程度が早く復興しておる。我々は非常に不思議に思つたのであります。これほど爆撃されてなぜこれだけ経済カ復興しておるかという秘密を私はドイツ貿易において発見したのであります。ドイツ貿易は大体輸出において三十億ドルをすでに突破しております。輸入においてはそれの一割増でありますから三十三億ドルに上つております。日本の場合にはこれに比較いたしまして輸出においては僅か七億乃至八億でございます。輸入においては十二、三億という線が昨年度の実績でございまして、従つて輸出においては西ドイツ日本の四倍、輸入においては日本の三倍という程度まで復興しでおる。而も西ドイツは四千八百万の人口でございます。これに対して日本は八千五百万の人口を持つておるのでありまするがら、輸出入貿易の一人当り貿易量を算出してみますと大体八倍という程度なつておるという、この経済的背景を頭において頂きまして、この遺族救済の問題に対する問題を考えなければならないということを私は痛感したのであります。従つて二千七百億円にも上る徹底したこの救済ということは無論我が国経済実力から比べると少し天文学的数字でございますけれども、私は兄弟二人をこの戦争失つたやはり遺家族であります。そういう遺家族の苦しさを知つておりまするので、もう少し何らか、生活保護法による救済費においてすら予算の一%にも及ばない、いわんや遺家族戰傷者に対しては殆んど特別の優遇がされておらないという実情は、何としてもこれは我々国民として何らか対策を講じなければならないと、かように痛感して帰つたのであります。  そこでドイツを見まして帰りにアメリカの国務省を私は訪問いたしました。丁度極東局長のジヨンソン氏がお留守でありましたので、局長代理といたしましてオーバートン氏に会いまして、日本のこの戦争遺家族並びに傷病者に対する優遇救済が非常に不徹底である実情ドイツ実情と比較いたしまして、私は一時間ほどこのオーバートン氏に日本の国情に合わない、無論私は再軍備という問題とからめて話したわけではありませんけれども、少くともヒューマニズムからいつても、一般国民感情からいつてもこれではいかんということを縷々一時間に亘つてオーバートン氏とこの問題について話しましたところ、オーバートン氏もこの遺家族並びに戰傷者に対して十分援護するということは、全面的に賛意を表されまして非常に意を強くした次第でございます。  そういつた実情でございまするから、新らしいドイツ占領軍意向にかかわらずと申しますか、占領軍を納得させて通した法案外務省に来ておるそうであります。そういつた問題も御参考にして頂きまして、特に参議院同胞救援特別委員会が真先きかけて旗を上げられたのでありますから、我々も驥尾に附して是非ともこの問題の解決を早急にやりたい、こう思つておるのでございます。  短時日でありましたので詳しいところまではわかりませんが、大体大つかみのところを申上げさして頂きまして何らかの審議の御参考になれば幸いと存じます。
  5. 千田正

    委員長千田正君) ありがとうございました。
  6. 長島銀藏

    長島銀藏君 只今早川さんの外遊のついでにお調べ下すつたという西ドイツの問題は、実に御報告願いまして我々として有難く感ずる次第でございますが、在外胞引揚委員会の中にも遺族関係の深い人が相当おられますので、只今早川さんの御意見は非常に何と申しますか、感謝の念を以てお聞き下さつたと思う次第でございますが、私はここで一言、当時厚生委員であられたり、或いは同胞引揚委員会にも御関係のありました千田先生にお伺いしたいのですが、以前この同胞引揚委員会シベリア引揚者が目的を達成するというのも間近であるので、これが終つたならば同胞引揚委員会そのものはもう要らなくなるわけである、従つてこれを遺族問題に関する委員会ということに改組して、戦争遺族や何かの問題を取扱うというような御意見も数人のかたから私は承わつたことがあるのでありますがへそこでまだシベリアその他関係諸国引揚者が残つておる関係上この委員会も継続されると思うのであります。従いまして遺族の問題はなかなかこれは大きな問題でございますので、厚生委員会かたがた厚生委員会で扱うべき問題じやなかろうかというような御意見を持つておるかたも多いようであります。なおこの間二十三日に開かれました同胞引揚委員会には、私全国遺族大会を神田の共立講堂で開きましてその主催しておつた関係上出席することができませんでしたが、現在遺族の叫びというものは相当深刻なものがございまして、何とかこれを早く国会で取上げたいという考えはもうお互いに強く抱いておると思うのであります。ただこれが例の政令AG二六〇号というものに関連性がありますので、関係筋のOKをとるという必要も無論あろうかと考えますが、そこらの点はどの程度まで進んでおられますか、拜聴したいと実は考えるわけであります。  なお参議院の直接御遺族さんが現在私の手許調査いたしますと二十三名ございます。その二十三名さんの中で発起人を作りまして、参議院遺族連盟というものを作ろうというわけで発起人会を開きましたところが、やはりこれは衆議院一緒なつたほうがいいだろうから、名前国会遺族議員連盟というようなことにでもしてスタートを切るように、それから衆議院のほうの御意見も承わりましたところが非常にそれはいいということで、現在逢澤寛先生のところに交渉中でございます。近くこれは出来上ると思います衆議院のほうは参議院の二十三名に対して四十七、八名になると思います、そうするとかなり大きな連盟ができると思うのでありますが、何分にも法的措置を講ずる準備といたしましても、関係筋の御了解を得ないといかんと思いまするので、本委員会でも折角遺族問題に手を触れて頂いたのでございますから関係筋の御意向を早いところ一つお調べを願いたいと考える次第でございます。どうぞよろしく。
  7. 千田正

    委員長千田正君) 只今長島君からのお話御尤もでございます、在外胞引揚に関する特別委員会は、第一回国会以来連続しておるのでありますか、ソ連、中共地区或いは南方その他あらゆる方面からこの戰争後におけるところの抑留されておる人たちが一日も速かに帰ること、ということとも一つは、国内におけるところの戰争犠牲者に対して、政府と兵に国会立場からこれは政府を鞭韃して戰争犠牲者の一日も早く起ち上るようにというのが特別委員会の趣旨でありまして、在外胞引揚特別委員会という名前は打つてありまするが、実際の問題は外に向つて引揚げておる人たち国内においては戦争犠牲者に対する対策問題ということを今までやつて来たわけであります。そこで今申されました厚生委員会の問題、これは又第一回国会以来厚生委員会も非常に活動されておりましたが、何分にも厚生委員会は非常に法案その他山積しておられ、重点的にこういう問題を取扱つて来たのが大体この委員会であります。この特別委員会が、まあそういうわけで勿論厚生委員会或いは大蔵委員会、或いはその他の委員会お互い協力してやつておりますので、この前の委員会におきましても、厚生委員会のほうからやはり御同様の御意見がございましたが、一応我々の特別委員会で重点的に一つ研究してみたらどうか、そうして案ができ上つたならばこれをみんなで審議しようじやないか、そうしてそれは国民一つのこうした戦争犠牲者に対する総意をまとめて立法しよう、こういうことに結論なつたわけであります。でありまするから、それがどこで最終的に取上げるかということは別問題といたしまして、幸いにこの委員会におられるかたがたが、特に留守家族であるとか、或いは遺家族傷痍者引揚者という問題に対して特に御熱心なかたがたが揃つておりまするので、この際この問題を一応手がけて案を作つて見る、なお関係方面に対しましては我々委員としましても法案内容が一応草案としてできましたならば当然これは折衝するというので、只今方面参考資料を集めましていろいろ法案準備に取りかかつておるわけであります。そういうわけでありまして、厚生委員会とこちらのどちらがとるかというようなことじやなく、両方とも十分にこういう問題を研究して頂きたい、かように考える次第であります。  それで関係筋に対しましては、先般も援護庁或いは外務省その他のかたがたとも相談いたして、一つこれは草案ができたら取りまとめて、草案を以て一つ交渉しよう、講和会議ができる前にでも我々は速かにこの法案国会を通るように、皆さんの御熱意を以てどうか戦争犠牲者人たちを一日も速かに起ち下がれるような方策を講じたいという念願でスタートしたわけであります。その点は十分全国遺族代表として長島君は連盟に御努力なすつておりますので、特にこの委員会又は厚生委員会にもお書しのことでありますから、一つ特段の御協力をお願いいたします。
  8. 内村清次

    内村清次君 先ほど本委員会が今後いろいろと取上げて行こうと考えておりまする、遺族救済の問題につきましての重要なる参考意見でありまする、使節団を御派遣頂きましたことにつきましては感謝申上げますが、その中で二、三御質問をお願いしたいと思いますが、西ドイツのほうで総予算の三%、即ち三十億マークで、日本の円に換算してみれば二千七百億円に該当するというようなことでございますが、このいわゆる遺族に対しまする救済をやつておられまするのは、勿論これは法律を以てこういうような救済が成立つておることだと思いますが、具体的にどういうような、即ちこの法律内容でこういうような予算の三%をとるようなことになつておるか、この法律の具体的な構成あたりについてお尋ねがあつておりますならばこの点を一つ御披露をお願いしたいと思つておることと、それから西ドイツ遺族の数ですれ、これかどういうような数字形態なつておりますか。  それから今一つは、内地におきましても現在生活保護法や或いは又未帰還者及び特別未帰還者給與法と、それから一面におきましては身体障害者福祉法というようなもので、その中の何パーセントかに対しましてはやはり援護という意味を十分含ませての法律が出ているようでありますが、これはもともと遺族の最善的な法案とは申されないのであります。この点についてこの委員会でも取上げて行こうという考えかたでありまするが、そういうような法律西ドイツにおきましても施行されているかどうかですね。生活保護法あたりでどのくらい救済されているか、或いは又未帰還者給與法とかいうような問題とか、或いは身体障害者福祉法というようなものも向うのほうには制定されているかどうかですね。その点につきまして御説明を頂ければ結構と思います。
  9. 早川崇

    衆議院議員早川崇君) 先ほど申上げましたように、私は特にそのために視察に行つたわけではなく、たまたま労働大臣と会いまして、失業者或いは又先ほど申しました生活困窮者を含めまして二百万以上に上るドイツの、未帰還者もかなり多いようであります詳しい数字はわかりませんが、そういつたかたに対する救済はどうかということに対してシユトルヒ労働大臣の答えたままを実はお話したのでありまして、法律案をその場で見せて頂くようにあれしましたが、あとからすぐ送るからということで、すでに外務省に出ておるらしいのです。従つて詳しい專門的な今の御質問に対しては事務局のほうで要求しておるように聞いております。いずれその飜訳でもできましてその上で一つ御検討願えれば非常に結構だと思うのであります。日本のように一般的な生活保護法というものはあるかどうかも私は存じません。ただ大体一人当り二百マルクといいますと大体幾らになりますか、やはり二万くらいになろうと思うのであります。そういつたペースにおいて戦争遺族救済法という法案が通つたわけであります。その予算的な措置は先ほど申しましたような額に上る、こういうように我々はシユトルヒの言葉を理解しておるわけであります。詳しいことは今御質問に答える資料を持つておりませんので、その法案が飜訳できてその上で御検討願えれば幸いと思います。答弁にはなりませんけれどもそういう次第でございます。
  10. 長島銀藏

    長島銀藏君 私の手許調査しております何をお話いたしますと、社会福祉関係しておる例えば日本の現在我々が研究しておるような各種の福祉法ですが、それとは全然別個なものであるようであります。それで戰死者一人について百六十マルクです。それから家族に対しましては一人につきまして奥さんに十五マルク、子供一人あたりに十五マルク、三人あれば四十五マルク子供だけの分がある、両方合算するというと二百二十マルクくらいが一軒の平均になるようでございます。それが今の九十何円のレートで換算するから約一カ月二万円というような収入になるという程度であります。これは西ドイツだけで東ドイツのほうはこれよりも安いのでございまして戰死者一人に対して四十マルク、これも正確な資料ではございませんと思います。それからなお外務省もいろいろ調査いたしまして、本特別委員の中におられる草葉さんが次官をしておりますので、この手からも調査してもらいましたがまだレポートが来ておらないので、せいぜい新聞に出たくらいのものでございます。それを現在飜訳したりなんかしていろいろ集めております。それから参議院渉外部のほうで調べてもらつたんですが、これもさつぱりやはりございません。外務省調査四課でございますが、そこで多分資料が得られるのじやないかというので今そのほうを御面倒をかけておりますが、この間仕方がないからエヤメールか何かに手紙を出して、ここから直接送つてもらうようにしようじやないかという案も出たような工合でございます。我々としましてはやはり資料が欲しいものですからいろいろの手で調査を進めておるような次第でございます。なおわかり次第本委員会へ御報告申上げたいと思つております。
  11. 千田正

    委員長千田正君) 有難うございました。今早川衆議院議員予算委員会に出席しなければならんので、若し御質問がありますならば簡單に願いたいと思います。
  12. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ちよつとお伺いしたいと思います。アメリカのほうはおわかりになつておりましたら、若しおわかりになつていなければ結構ですが。
  13. 早川崇

    衆議院議長早川崇君) 実はオーバートン氏に会つたときに、極東局の人に会つたときにこの問題を随分議論したのです。アメリカでは戦争遺族とかそういつたものと在郷軍人に対する特別の待遇優遇すぎて今は困つておるのだ、だから若し君が何か日本国会がこの問題を取上げるときには傷痍軍人遺族とか、又一切の被害を受けた以外の者まで将来再軍備とかいう問題が起つたときに行き過ぎないように、援護し過ぎないように一つ注意する必要があるのじやないかというようことを言つておりまして曲論遺族とか傷痍者に対しては行き過ぎるほどの待遇が與えられておるということだけは言えると思います。
  14. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 もう一つは今共産党の問題に関連する御発言がありましたから早川君がおられるときに一言だけ申上げておきます。  日本共産党におきましても、戦争被害者生活を徹底的に従前と同様或いはそれ以上に補償しなければならない立場におきましては、ドイツ共産党と全く党の方針が一致いたしております。従つてどもはその点に関してはどこまでも皆さん一緒に行けると思います。  なお一つ戰争犯罪者の徹底的な処罰というスローガンを堅持しておるが、この場合戦争犯罪人とは職業軍人の中尉であるとか少尉という意味ではなく軍閥の幹部とか財閥、高級官僚などで幹部として意識的に戦争を起したという意味でありまして、戰争犯罪人の徹底的な処罰戦争犠牲者の徹底的な補償を提唱しておるので、この際関連がありましたので、ちよと述べさせて頂きます。
  15. 千田正

    委員長千田正君) ほかに御質問はございませんでしようか、お忙ぎのようですから。又是非いろいろの資料整つたときに御協力をお願いしたいと思います。なお外務当局と折衝しておりますから、資料を差上げるにつきましても委員会から決議をしてお申込み下さればなお一層徹底して調べますからという、こういうようなお話でありますので、外教育に向いまして、西ドイツにおける遺族或いは未亡人、遺兒等に関する法律案があれば、なければ至急とりよせるような方法をとつてもらいたいという申込をしたいと思いますので、皆さんにお諮りいたしましてこれを請求することにしたいと思いますが。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 千田正

    委員長千田正君) 賛成を得ましたので西ドイツにおける遺族、殊に未亡人、遺児並びに傷痍者に関する法律案、これを外務当局に対して資料提供を請求することにいたします。  次にこの問題に関しまして勿論この間漸く話がきまつたばかりでありますが、関係官庁であるところの復員局井上業務課長援護庁官房総務課長畠中事務官が見えておられますので、今までのとつてきた方策或いは何か当該官庁としてとろうとしておる点等につきまして、質疑がありましたならば一つ幸いここにおられますから各委員から御質問頂きたいと思います。  では委員長から質問しますが、あなたのほうのお手許にこうした問題に対する各国の資料が多少でもお集りになつておりましようか。
  17. 井上義弘

    説明員井上義弘君) 現在全然他国のものはやつておりません。
  18. 紅露みつ

    紅露みつ君 大変課長さんがはつきりしていますが、外務省と今までこの問題についてその資料のことでお話合いになつたことはありませんか。
  19. 井上義弘

    説明員井上義弘君) 私どもの仕事の関係上そこまで手を伸し得ないのでございます。私どもといたしましては持たんのであります。
  20. 千田正

    委員長千田正君) 援護庁畠中課長さんのほうにもございませんか。
  21. 畠中順一

    説明員(畠中順一君) 遺族の問題は私ども引揚援護庁の所管でございませんで厚生省の問題でございますので、ただ我々のほうとしては留守家族の問題が関係して来ますけれども、かような意味でその辺は所管をしておりませんので、そういつた資料は持ち合せておりません。
  22. 紅露みつ

    紅露みつ君 それでは留守家族でも結構なんですが、これは関連した対策で行かなければならないのですが、留守家族のことがやはり外国でどういうふうに設置されているかということが少しはおわかりございませんか。
  23. 畠中順一

    説明員(畠中順一君) 留守家族の問題につきましても、現在未復員者給與法でやつている程度でありまして諸外国の例はまだ存じておりません。
  24. 紅露みつ

    紅露みつ君 西ドイツのほうは大変に似よつているのかもしれませんけれども、その状態は御存じございませんか。
  25. 畠中順一

    説明員(畠中順一君) 詳しく存じません。
  26. 千田正

    委員長千田正君) ほかに何か。
  27. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 西ドイツ日本の置かれている状態と似ているので、それから其先に調査しようとする皆さんの御決定には私も賛成いたしておりますが、同時に陸軍国として第二次大戰においてドイツとほぼ同様の損害を受けました七百万からめ戰死を出しておりますソヴィエトのやり方も、合せてこの調査の爼上にお載せになれば非常に結構だと存じます。
  28. 内村清次

    内村清次君 ソヴィエトの調査ですね。これは実際できさえすれば兼岩君が責任を持つて資料を出してくれさえすれば私どもも是非聞きたいのですから。
  29. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 できると私は確信いたしておりますので、皆さんの御希望があれば私はお骨折りいたしたいと思います。なお西ドイツを其先に坂上げられたことに対しては私は賛成をいたしております。
  30. 長島銀藏

    長島銀藏君 ドイツは御承知の通り西と東と分れておりまして、東はソヴイエトです。ところがソヴイエトのほうの関係と申すと語弊があるかもしれませんが、そこは戰死者只今申上げました通り六、七十マーク西ドイツは百二十マークということになるわけです。それで西ドイツにおられるところの共産党の連中がこの法案を通すときに反対をした、その反対をした理由とするところはもつとたくさん援護しなければならないじやないかという反対をなすつたそうでありますが、その東ドイツは六、七十マークということになつておりますので、私はこの辺はちよつとおかしいと思うのでございますが、併しドイツでなく、今度はソヴィエトのほうの資料が若し集まつて我我が見ることができれば私は非常に仕合せだと思います。
  31. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君  あなたの今おつしやつたのは正確な資料に基いての御発言だろうと思いますので、念のために伺いますが、東ドイツ資料はどこから来ていたんですか。西ドイツを通しで御調査なつたのですか。
  32. 長島銀藏

    長島銀藏君 そうです。
  33. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕は西ドイツの正確な資料が入手できたら、その正確な資料に基いて御検討あられることを希望いたします。
  34. 千田正

    委員長千田正君) 当委員会といたしましては、勿論日本以外の国のこの第二次世界大戰に参加した、或いは参加しなくても犠牲をこうむつた各国のおのおのの制度を研究して、そのうちの長をとりまして、現在の経済力並びに日本人のヒユーマニテイというものに根抵を置いて、然らばどこに尺度を置いてやるべきか、或いは最初の段階としてこの程度は止むを得ないじやないか、いずれにしても未だ戦争犠牲者の中で遺族に対しては一遍も対策法案が出ておらんのでありますから、どうかこの際皆さんの真剣なる御研究の上この問題の解決の曙光を我々委員会で附けて頂きたい。かように思いますから、資料がありましたらばどしどし一つ御提示願いたいと思います。
  35. 高良とみ

    ○高良とみ君 最近在外事務所が大分海外にできております。殊にスエーデンに有方なものもありますから、それとパリー、ロンドン、ロンドンにはまだ大きなものはありませんが、パリーからロンドン、フランス、イタリアの調査もできると思います。その点で只今決議いたしましたものをただ西ドイツだけに限らずに、在外中務所のある所へそういう公文書を通して調査方を依頼して、それがこちらの国会の進行工合もありますから、或る期間を限つていつまでに資料を取つてもらいたいということを添えて頂いたら大変いいと思うのであります。アメリカも勿論これに加えてアメリカ、インドなどにも在外事務所がありますから、そういう所も加えて頂けば非常に参考になると思います
  36. 千田正

    委員長千田正君) 只今高良委員のおつしやられた点は御尤もと思います。それで先ほど皆さんの御賛成を得ました西ドイツにおける遺族或いはその他の戦争犠牲者に関する法律の請求に更に附加しまして、各国における戰争犠牲者の施策に対する法律が手に入るように外務省の格関係機関を通じて人手方を懇請したいと思いますが、皆さんの御賛成を得ましたらその手続をいたしたいと思いますが。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 千田正

    委員長千田正君) それではさよう取計らいいたします。
  38. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私個人でもソヴイエト或いは東ドイツ関係はそれは骨を折りますけれども外務省の場合にも資本主義側だけでなくて、社会主義連合国というふうにお考え願いたいと思います。
  39. 千田正

    委員長千田正君) 只今兼岩委員のおつしやられた通り、勿論連合国に対しまして恐らく未だ日本は独立国でありませんから、或いは直接の申込は外務省としてできないとしても、如何なる手を通じましてもそういう参考資料の収集には全力を挙げて傾倒して行きたいと思いますからどうぞ御協力を願います。
  40. 高良とみ

    ○高良とみ君 更に追加して、最近日本にあります外国公館と日本外務省との正式な交渉が許可されたのでありますから、案外遠くまで尋ねてやるよりも、これに相当のアタッシエーなどもついておるようでありますから、日本におります外国公館を早速に調べてもらつて、更にない部分はその本国及び日本在外事務所を使うように、そんな点を委員長から外務省のほうの係りによく御指示願えば非常に進むかと思います。
  41. 千田正

    委員長千田正君) 勿論高良委員のおつしやる通りでありますので、外務省に当然それは申込みますが、更に参議院としましても渉外課若しくは法制局を通じましてそういう面の連絡をとつて頂けるものはどんどん頂いて研究をして行きたいと思います。
  42. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 只今までのお話は大体資料の収集の問題なんですが、これがなかなか外国の資料を集めてそれをよく精査してということは相当時間がかかると思うのです。でそれと並行して、何といいますか、資料が来なくても日本日本人の、又いろいろ今までの資料関係の集積等もあるのですから、それで一つ遺家族関係の或いは傷痍軍人関係のまとまつた法案草案というそういうものから、やはりどしどし事務的に心がけて作られて行くほうがいいと思いますので、このほうは大体この前の会合のときに委員長に御一任申上げたことになつておりますが、まだあれから日もたつておりませんので、別に御腹案もないかと思いますが、そんな点は何か御腹案でもおありになりますか。
  43. 千田正

    委員長千田正君) 只今法制局のほうで、今まで出しましたところのいわゆる未復員者給與法並びに生活保護法或いは児童福祉法というような法律とどういう関係を持つか、どの程度でこれを境をきめるかというような問題と、もう一つは今おつしやられたように万全を期したいのではありまするけれども、私個人の考えでは、これは皆さんとは別かも知れませんが、拙速でもとにかく一條でもいいから早くこの問題の足がかりを得るような法案を作りたい、かように考えております。そうしてなおこれに肉をつけ或いは皮をつける、こういう点におきましては厚生委員会或いはその他の委員会も当然お考えなつておられると思いますから、十分にお互いに研究して、万全を期すべき法案はいずれは今後の国会或いは講和会議後において相当立派なものができるかも知れませんが、取りあえず一條でもいいから遺族傷痍者に対する法案をこの際作りたい。草案只今の研究と同時に並行しまして関係筋とは草案ができ次第折衝して一つ一つ片付けて行きたいと思いますので、皆さんの御異存がなければ一つ協力を願いたいと思う次第であります。
  44. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 私はそれは非常に結構なことだと思います。やはり非常に待つている遺族なり傷痍者から見ますれば、多少不足でも早いほうがいいというのが本当じやないかと思いますので、今の御方針で一つお進め願います。
  45. 高良とみ

    ○高良とみ君 その点で勿論おぬかりはないと思うのでありますが、特に傷痍者の問題が最近非常に社会問題になつて来ておるので、多分厚生委員でも考えておられると思いますが、仰せの通り手広いのですが傷痍者の数、その実情、病院にいる数、或いはどういう治療というようなそういう調査一つ頂ければ大変仕合せでございますが、どこから頂けるのでしようか。
  46. 千田正

    委員長千田正君) これは厚生省ですね。早速事務局から申入れまして皆さんに配付できるよう資料を集めざせてお手許に差上げたいと思います。
  47. 高良とみ

    ○高良とみ君 そうして戰争犠牲者の第位に相当する傷痍者と、それから遺家族を別な枠にして、そうして早く何か立法的な目安がつくように一つ法制局とも御盡力願うと共に、委員の頭もはつきりどういう枠でどういうふうに行くのかということを皆さんの御意見を進めて頂けば、それぞれ又調査のしようもあるし、又考え方が明らかになつて来るのじやないか、こう思うのです
  48. 千田正

    委員長千田正君) それでこの前までの委員会におきましては、この問題は二つの点があつたわけであります。一つは従来の引揚げて来られた人たち或いはこの戦争犠牲者に対してなされておるところの社会保障制度の法律の一部を拡大して、なかなかそのポツダム指令で頑として関係筋が応ぜられない場合は、その内部の法律の中にゆるやかな方向に向けてもらうような準備をしたいという案と、いやそれはそれとして、別個に遺族というものが全然今まで何らの法律にも盛られておらないのだから、これを強く正面に出して、先ず遺族の問題と傷痍者の問題を取上げて別個にこれに当るべきだという論のほうが皆さんの御賛成を得まして、或いは相当これは至難だろうと思います、併しながら現段階においては皆さんの御熱意で是非一つこの難関を突破したい。初めから遺族に対する法案ということを正面に立てて進んで行きたいというのが、この前までの委員会における皆さんのれつきとした御意向でありましたので、その方向に進んで行きたいと思う次第であります。  それではここに復員局の井上課長及び援護庁の畠中総務課長が見えておられますが、最近における、或いは密航といつては語弊がありますが、ひそかに日本へ帰られておる人たちがあるかも知れませんし、或いはその後の引揚というものが全然閉されて一人も帰つて来ていないのかどうかという点において、若しもお手許にそういう情報がおありになるか、若しくは帰りたいのだが今までのところ帰れないでおる、例えば朝鮮籍の婦人の問題若しくは大連というような所にすでに何名かが来て日本に帰りたいという希望をよく留守家族には手紙がたくさん来ておりますが、そういう点で何か集まつているものがあつて、この委員会に御報告願つても差支えない点がありますれば御報告願いたいと思います。
  49. 畠中順一

    説明員(畠中順一君) 引揚げの問題につやましては、最近御承知のような国際情勢でもございますし、まとまつた引揚というものにつきましては現在ございませんし、又何らの情報も入つておらないような現状でございます。ただ朝鮮籍の日本婦人が日本に帰りたい、こちらに入国したいという問題は情報としてはございますが、それもいつこちらに入るのか、そこらのはつきりした情報もないというような状況でございます。
  50. 千田正

    委員長千田正君) 何か御質疑はございませんでしようか。
  51. 高良とみ

    ○高良とみ君 中共地区といいますか、支那方面から帰つて来た人はないのでございますか。
  52. 畠中順一

    説明員(畠中順一君) 中共方面からは現在のところ帰つて来たかたはないのでございます。
  53. 高良とみ

    ○高良とみ君 手紙はどうですか。
  54. 畠中順一

    説明員(畠中順一君) 手紙は留守家族に対しては参つております。ひと頃帰るのじやないかというような情報もありましたが、その後の国際情勢によつて最近は帰つて来るような情報もないのであります。
  55. 高良とみ

    ○高良とみ君 手紙の数は全部でどのくらいですか。
  56. 畠中順一

    説明員(畠中順一君) 現在資料を持つておりません。
  57. 千田正

    委員長千田正君) 御質疑もなければこれで散会したいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 千田正

    委員長千田正君) それでは本日はこれをもつて散会いたします。    午後二時五十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     千田  正君    理事            森崎  隆君            高良 とみ君            紅露 みつ君    委員            木村 守江君            長島 銀藏君            内村 清次君            曾祢  益君            杉山 昌作君            兼岩 傳一君   衆議院議員            早川  崇君   説明員    引揚援護庁長官    官房総務課長  畠中 順一君    引揚援護庁復員    局業務課長   井上 義弘君