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説明員(井上義弘君) 未
復員者給与法のうち在外給与に
関係いたしまして、これが大
部分の者が本年十二月二十九日を以ちまして
法律に規定されておる
ところの猶予期間満三年を経過する、満三年を終りますと療養中でございましてもこの未
復員者給与法によ
つてみてくれないということになるものでございますから、現在療養をしておる患者は真剣になりまして、これが
法律の
改正をしてもつと療養をできる
ように期間を延長してくれという切実な叫びが
上つておるのであります。
現在どれだけの者がこの療養をしておるかと申しますと、現況を御
説明いたしまして、現在の
状態を御了解願いたいと思うのでありますが、去る五月三十一日現在の患者数は、未
復員者給与法の適用を受けて療養しておるものが六千六百三十名でございます。このうち期間的に申しますと、半数以上の三千五百六十五名というものが二年間以上この未
復員者給与法の適用を受けて療養しておるものでございまして、総数六千六百三十名のうち本年末を以て三年の期間が来る者が五千九百二十名ございます。%で申しますと、八九%の者が本年末で以て打切られますので、皆療養ができなくなるという
状態であります。この患者の内訳はどういう
ような
病気が多いか、病類別に申上げますと、肺結核が一番多うございまして六千六百三十名のうち四千四百九十九名が肺結核であります。%は六七・八%にな
つております。それから同じ結核性の疾患、肺結核以外の或いは関節の結核であるとか或いは腸結核、そういう
ような種類のものがその次を占めておりまして、九百六十六名、約一四・五%であります。この結核性疾患と肺結核の両方合せまして、八二%ぐらいの者が結核による
病気であります。現在
復員者給与法として取扱
つておりまする復員患者の大
部分のものは結核であるということがわかるのであります。その次の数を占めておりますのは精神病でありまして、これは四百三十八名、六・六%であります。従いまして復員患者の約九〇%という者は結核及び精神病でありまして、
病気の性質から見ますと、すべてこれは長引いて、二年や三年で治療が終るという種類のものでないのであります。その他の疾病でありますと、復員当時に非常に多か
つたところの栄養失調、ああいう
ような種類の
病気は現在十七名しかおりません。〇・二%。これらのものは比較的早く治るほうでありまして、療養の期間等から見ますと、半年ぐらいで大体治
つて行くものであります。マラリヤ、これも二十五名でありまして、これなどは逐次発作が少くなりまして、年が経つに従
つて非常に治りやすくな
つているという
状態であります。こういう
ような有様でございまして、この大
部分の患者は三年間の期限が切れますので、これが延長を
要望しておるという
状態であります。このための各種の運動等も盛んにしておりますが、他の
法律等と比較いたしまして、三年間で
打切つてしま
つてはかなり冷酷な感じがするというので、病床にある者は非常に歎いておる有様であります。
これは一体公務に起因しておるかどうかという点でありますが、復員患者として願い出て来る者は、一々私どもにおいてその原因が如何なる原因であ
つたかということを調べております。かなり冷静に調べるものでありまするから、そんなにむずかしいことを言うては困るという非難もあるくらいでありますが、一旦復員患者となりますものは、すべて公務に起因したもの即ち軍隊勤務と密接な
関係がある、又
病気になることは自分の
責任と思えない、やはり
国家の
責任であると考えられる。そういうものばかりを見ておりまする
関係上、この六千六百三十名という患者は、私どもで思いますと、すべて国のために働いた軍人軍属であり、国に対しての
犠牲にな
つたものだという見方もされるのではないかという感じを持
つております。
これの期間延長の件でございますが、でき得るならば年末において打切られるものもすべてこのまま当分みてやる
ようにして頂きたいのでございまして、従来の減少率と申しますか、治癒及び死亡の割合等を見ますと、二十五
年度一年間の
状態を見て参りまするに、死亡及び治癒の率を見て参りますると、大体年間に二五%の減少を示しております。更に細かい数を調べて見ますと、これは
宮城、群馬、静岡、石川、京都、岡山、鹿児島、埼玉という八県について
調査いたしました結果では、一年間に約三〇%の減少を示して、治癒が一八%弱、死亡が八%弱、そのほか途中で廃止する者等がございますが、そういう
ような割合で治癒率を示しておりまするので、恐らく現在まで三年間経過いたしましたのでありまするから、今後余り遠くない時期において治癒が何かの転帰をと
つて行くものでないかと考えまするので、特に期間を延長するということについてさまで財政的その他に影響はない
ように我々は観察しておる
状態であります。
なお、これらの者の現在の支払の
状態を見ますと、指定の医療機関即ち国立病院、国立療養所等に入
つておりますもの、これが一八当り平均大体六千六百五十八円という支払をしております。それからその他の医療機関、つまり国立病院等でなくて、自宅にお
つて療養しておるもの、或いは自宅から町の開業しておるお医者さんの所に入院しておるもの、これらの平均の入院患者でありますと、一人一カ月に八千七円、通院患者でありますと、二千百九十四円という
ような費用を支払
つておりまして、大体これは保険等における金額と、そう差はない
ように観察しております。若干最近に至りましていろいろの
内容即ち薬とが治療の
方法がよくなりましたもので、医療費は少し殖えておる
ような
状態が見られまするけれども、かなりこの
程度の支払でよき療養
内容を行な
つておる
ように観察しております。大体現在未
復員者給与法で特に
改正して頂きたいと言
つておりますることはこの療養期間の延長の件でございまして、その他におきましてはなおいろいろのことも考ええられておりますが、具体的にまだ申上げ得ない点もございまするのでこの
程度で一応終ります。