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1951-07-24 第10回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年七月二十四日(火曜日)    午前十時四十七分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○引揚者定着援護に関する件 ○未復員者給与法の一部改正に関する  件   ―――――――――――――
  2. 千田正

    委員長千田正君) 只今から委員会を開会いたします。  本日の案件は、引揚者定着援護に関する件と未復員者給与法の一部改正についての岩動大蔵省主計官からこれに対する予算化問題等について政府側所信を質してみたいと思つております。  なお、昨日全国留守家族大会が神田の共立講堂で行われまして、その席上、講和に関するところ留守家族決議といたしまして、講和が結ばるるにもかかわらず、今なお中共ソ連地区等に三十数万の同胞が戦時そのまま捕虜状態において残留しておるということは誠に遺憾の極みであつてポツダム宣言の一方的受諾のみが履行されておるけれども、これを決定したところ戦勝国のほうにおいては、第九条におけるところの、捕虜は一日も速かに母国に帰還さして平和なるところ生活をなさしむべきであるという、ポツダム宣言第九条は実行せられておらない。これをこのたびの講和会議に飽くまで日本政府立場から当時の関係国であつた英米その他の、このたびの条約国に対して特にお願いして未帰還の同胞を還してもらうよう方法をとれという決議を、昨日共立講堂に開かれました全国日本留守家族大会において決定されたのであります。それにつきまして各この留守家族大会委員諸君衆参両院の議長並びに委員会に対しまして、この点を強く国会立場から政府要望するようにという決議がなされたようであります。いずれ後刻皆様に、この点につきましてお願いに上ると思いますので、あらかじめ昨日の会議の模様を御報告申上げて置きます。  それでは最初に引揚者定着援護に関する件につきまして、引揚援護庁田邉援護局長からその後の状況について一応の説明を求めようと思います。
  3. 内村清次

    内村清次君 ちよつと……。只今委員長の御報告を頂きました昨日の引揚促進に関する全国国民大会中心点でありますが、この問題は当委員会といたしましても、一番重要な問題として第一国会から連続的に非常な熱意を以て、促進の問題については政府及び又総司令部を通じて関係各国に対しまする反響を促進して来たものでありまするが、問題はこの講和条約締結目前に迫つておりまする今日におきまして今回の条約草案に対して何らこの引揚問題に対しこの条約要項が挿入されておらないということに対する留守家族かたがた及び又日本国民としての一応の希望がここに鮮明せられて、一日も早いところのこの諸関係整備して実行に移してもらいたい。いわゆる促進を可能にしてもらいたいという情熱の起つて来ることは当然なことであろうと思うのでありまするが、問題はこの草案自体の各条項の内容に触れて参りますると、ポツダム宣言の第九条の問題というものが、一体現在の残留者がおる関係国というものは、今回の草案に対する態度においてはどういう態度を示しておるかということ、又その関係国に対するところのアメリカの今回の草案の調整という、草案の即ち斡旋ということがどのような感覚を以てなされておるかということをも、深くそのよつて来るところをつきとめなくてはならない本質的な問題が残されておるのではないかと私は考えるわけです。そこでこれはどうしても委員会といたしましては、やはり条約締結の前におきまして、いわゆる九月上旬の前におきまして、委員会といたしましても政府責任者一つ是非この委員会に招致してもらいまして、ここにおいてこの条約草案からするところのこういう問題の関係、勿論今一つ戦争犠牲者に対するところの今後の即ち政府の考え方及び又それに対しまして関係する多くの引揚者在外資産の問題、この重要な三つの問題だけはやはり一応講和条約締結以前におきまして、日本の今日まで残されましたところの、この国民的要望を同一にしまして講和態勢にそれを復帰したい。いわゆる自主独立国家として成立ちたいというようなその点を強く委員会として取上げなければならないと存ずるのでありますが、そういうよう運用の面に急速に委員長におきまして、手続をおとり頂きまして、せめてそういう大会空気、或いは又国民全体の空気の感情に副うような働きかけを我々は委員会といたしましても進めて行かなければならないのではないか、かように存じておりまするからして、どうかそのよう手続をおとり頂きまするように、特に希望いたして置きます。
  4. 千田正

    委員長千田正君) 只今内村委員からお話がありました講和会議目前に控えまして、この重大なるところ引揚問題、特にこのたびの講和会議に際しまして恐らく相手国にはならないであろうところソ連及び中共という国国に対するところの問題は、これは外交的な関係からも相当慎重に考えなくちやならない問題であろうと思うのであります。そういう点につきまして、皆さんから御忌憚のない御意見を伺うと同時に、政府所信を質して置きたいということと、もう一つは、当然この戦争犠牲において失われましたところ在外資産の問題、或いは海外においてこの戦争によつてどさくさによるところ生命失つた人たち、いわゆる生命財産というよう国民のいわゆる個人的な問題を如何に処理されるかというような問題につきましても、講和会議においては当然起る問題でございまするから、この点につきましては皆さまの御賛同を得ますれば、非常に重要な問題でありますので、早急に会議を開きまして、政府当局責任のある一つ所信を質したいと思つております。さように取計うことにお差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 千田正

    委員長千田正君) では本日の案件でありますところの、引揚者定着援護に関する件につきまして、田辺援護局長から一応の重点的な御説明をお願いいたしたいと思います。
  6. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 引揚者定着援護につきましては、引揚者の大部分引揚げましてから相当年月を経過しておるのでございますので、最も重点的に、引揚者が今日最も困つておる問題に重点を集中いたしまして、施策を進めて参つておる次第でございます。  即ち、その第一は、住宅問題であります。引揚者住宅問題と申しますると、一つは今後帰つて来る引揚者の応急的な援護としての住宅対策と、もう一つはすでに引揚げておるかたがた定着援護としての住宅対策と、二つに分かれて参ります。今後帰つて来る受入れ態勢整備という面においての応急援護は、これは本年度におきましても、安本当局と話合いを進めまして、若し引揚があつた場合においては、所要住宅費厚生省に計上するという約束になつております。併し引揚見通しが今後はつきりいたさない現状におきましては、一応それを予備的なものに取つて置きまして、別に引揚見通しが確実となつたときに厚生省予算に計上する、こういう約束になつておるわけであります。この点が昨年度とは多少そのやり方を異にするわけであります。定着援護としての住宅対策につきましては、案は率直に申しますと、過去におきまして正式に引揚者定着援護としての住宅整備費というものは政府予算には計上されておらなかつたのであります。応急援護として取つた住宅の金を、現実帰つて来る引揚者がないとか、或いは極めて少いというためにそれをたまたま過去の引揚者定着援護に廻しておつたというやり方をとつてつたわけでありますが、二十六年度におきましては、いつまでもそう便宜的な方法は許されませんので、一方応急援護としての住宅対策は、現実帰つて来るときに計上する、過去の引揚者定着援護対策といたしましては別途に考えて行こうということに相成つたわけであります。この点につきましては引揚同胞対策審議会におきまして関係各省及び引揚者団体等代表者といろいろ協議いたしました結果、結論に到達いたしまして、引揚者住宅といわず、いわゆる低額所得者のための低家賃公営住宅というものを建設したらどうかということに結論がなつたのであります。勿論その重点引揚者でありまするが、引揚者と同様の実情にある低家賃の小規模の庶民住宅というものを大量に建設するようにしたいということを政府に勧告せられたわけであります。その答申に基きまして、厚生省建設省とではそれぞれ連絡いたしまして、いわゆる厚生住宅予算安本当局に要求いたしました結果、その対策は必要であるということを安本において確認せられまして、所要予算を計上することになつたわけでありますが、その際に建設省厚生省といずれにおいてこの行政所管するかという問題になりまして、それは現在の各省設置法の建前から建設省所管であるということになつたわけであります。但し、この仕事厚生行政に極めて密接な関係があるので、厚生省と密接な関連を保ちながらこの仕事を進めて行くということに申合せができたわけであります。而してその後公営住宅法という法律が審議制定せられまする際に、従来の庶民住宅二つに分けまして、従来の庶民住宅のほかにいわゆる厚生住宅というものを正式に法律の上で制定せられまして、その設置運営につきましては厚生大臣に協議をするということにきめられたわけであります。従いまして、今後はこの厚生住宅建設運用によつて過去の引揚者定着援護としての住宅対策を進めて参りたい、かように考えておるわけであります。  それからもう一点、これは住宅問題のうちでも後始末の仕事になると思うのでありますが、併し現実には一番大事な問題でありますが、昭和二十年から二十二年頃までの間に大量に海外から引揚げて来たかたがたこういうかたがたには、当時の情勢から新らしい住宅を建ててお入れするということができませんでしたために、取りあえず当時空いておりましたキヤンプ、つまり学校とか、工場とか、公会堂とか、そういう建物に全部入れたわけであります。その後だんだんとそれを整備いたしまして、或いは明け渡すなり、或いは買取るなりいたしまして敷備して参りましたが、未だに相当多数の住宅が不備でありまして、相当修繕を要するもの乃至は住宅として使用に耐えないものが相当あるわけであります。昨年度におきましては、その住宅のうちで、使用に耐えるものにつきましては、補修費を出しまして相当整備をいたしました。補修をしても到底使い途のならんというものにつきましては、補正予算を取りましてこれを疎開いたしまして、新らしい住宅を建ててそれに移し替えするという対策を実施したわけであります。併し昨年度におきましては、予算関係からそれを全部完了することができなかつたのでありまして、今年度におきましてもなお補修及び疎開を要するものが相当多数ある現状であります。そこで本年度におきましても昨年度同様補正予算機会集団住宅整備費というものをもらいまして、できるだけ過去のそういつた不衛生であり又住宅として不適当な施設補修整備に当てたい、こう考えて、目下折角準備中であります。  なお、住宅問題のほかに引揚者の一番要望しております事業資金の問題がございますが、これは昭和二十一年度以降ずつと国民金融公庫を利用いたしまして生業資金貸付を実施いたしております。尤もこれは引揚者だけに限定されておるわけではございませんで、引揚者その他生活困窮者でありますが、今日大部分は半数以上引揚者貸付が行われておるよう現状でございます。なお厚生省から金を流します生業資金のほかに、国民金融公庫法によつて国民金融公庫法プロパー生業資金というものがございますが、これも引揚者のための生業資金貸付のために相当役立つておると思つております。なお厚生省から出しました生業資金は、本年度におきまして三十数億に達しております。その償還期限の到来しておるものも相当ございまして、今日までの償還状況は約五〇%の償還を見ております。国家財政もいろいろ苦しい折から、今後はこのすでに貸付けた金の回収をもつとしつかりやりまして、それを回転運用することによりまして引揚者要望にできるだけ応じて行くようにしたいということで、先般来回収対策要綱を設定し、引揚者団体等の協力を得まして、目下しきりと回収促進中央地方を通じて努力いたしておるよう状況であります。
  7. 千田正

    委員長千田正君) 只今田邊援護局長から引揚者定着援護に関する一応重点的な御説明がございましたが、これに対しまして各委員かたがたの御質疑がございましたらどうぞ。
  8. 内村清次

    内村清次君 住宅問題であります、が、先般私と小酒井委員宮城県、福島県、新潟県と、この委員会調査関係で出張したわけでありまするが、現在宮城県におきまして特に私たちが目を惹いた問題は、集団住宅状態でありまして、特に寮といたしましては、まだ政府のほうでこれはよく御存じであるかどうか知りませんが、狭い施設の中に数家族がおられるというようなことは、これは大体お気付きだろうと思いますが、荒巻寮のごときは、一室に三家族乃至四家族が雑居しておるというよう状態を見せつけられまして、県当局のほうには注意も促して置いたわけでありまするが、問題はその施設自体大蔵省所管のいわゆる国有財産建物使用しておる、而も県が集団住宅用として交渉した場合のときにおいてもなかなか便宜の供与についてしぶるというよう関係もあるというようなことで、果して中央におけるところ援護庁及び大蔵省、そういうようところの完全な了解がなされておるものであるかということについて私たちは疑問を感じたわけでありますが、ともかくあの一室に三、四世帯の而も夫婦家族が雑居しておるというようなことは、これはなんと申しましても我々といたしましては忍びがたい問題でありまするが、こういうよう状態がただ三県を見ましたうちでも宮城県にも存在しておるというようなことであるとすれば、他の県あたりにこういう状態の所がまだほかにたくさんありはしないかこういうふうに考えておりまするが政府のほうではどういうこの集団住宅に対するところ対策を立てておられるのであるか、これが第一点。  それから第二点は、これは前々回であつたと思いますが、局長は大体集団住宅というものは一応御破算にして、今後は疎開住宅のほうにおいて、一世帯或いは又壁を区切つたところの二世帯住宅を建築して、そうしてそのほうで現在の住宅問題を解決して行くというふうな政府方針が確立したやのごときお話もされておつたわけでありますが、そういうようなことがなお今後推進せられて行くものであるかどうか。願くばこの今の住宅の不足の数だとか、或いは今後政府が特に又近い二十七年度において、どういう要求をなされておるかというようなことにつきまして御説明を願いたいと思います。
  9. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 只今指摘になりました宮城県の集団住宅につきまして、一室に二、三世帯雑居しておるこういうお話でございますが、これは宮城県に過般起りました集団住宅火災によりまして、そこに住んでおつた人たちが一時避難をするためにそこに行つて雑居するという状態になつたのではないかと思います。私ども集団住宅について承知しておりますところでは、全国的に一室にそうたくさん世帯が入つておる例は余り聞かないのであります。多分そういつた一時的な現象の結果ではないかと思います。この対策は今年の補正予算の中で、整備費を要求しておる中に含めてあるわけでございます。  それから集団住宅の問題につきましては、理窟から申しますれば、ああいう集団住宅は一挙に解決いたしまして新らしい戸別の住宅に移し替えるということがこれが理想でございますけれども、今日の国家財政から見ますると、それも全部新設の庶民住宅にすることでございます。それで使えるものはできるだけ使つて行きたい。そこで使うという場合におきましても或る程度補修をいたしまして、住宅らしい恰好に直す必要があるということで、その程度補修につきまして今までずつと努力して参つておるのであります。ただ幾ら修繕してもすぐ壊れてしまう、修繕してもきりがない、使用に堪えないというものも相当あるわけであります。これは逐次疎開をいたしまして新らしい住宅に建直す、こういう対策で実施しておるわけであります。昨年度も二度に亘りまして補正予算機会に一遍と、それからその後においてもう一遍と、住宅整備費大蔵省からもらいまして、相当多数整備をいたしたのであります。本年度におきましてはその残りの分をやつて行きたい。で今年は予算の都合でどうしてもできないということも想像されますので、来年度は当初予算に計上して頂きまして、講和締結になるというときでございますので、そういつた過去の戦争の残務処理的なものはこれはすつかりきれいにして行きたい、かように考えておるわけであります。
  10. 内村清次

    内村清次君 この三県の中で大体新潟集団住宅状況を見てみますと、県の熱意もこれは加わつておることと存じますが、この面につきましては大体において水準が三県に比べて上つてつたようでありますが、而も終戦後引揚者かたがたが内地においでになつて、あの混乱の状態からやや冷静な状態帰つて、今日年月にしましても四年を経過しておるのでありますが、現在の住宅状態を見て見ましても、これはどうしてもまだ政府のほうにおきまして、たとえそれが補修費の点の一斑を考えて見ましても十分な手が届いておる問題であるとは考えられない。どこでもそうですが、全くそこに住んでおるかたがたが一番大事に鉄則的に守つておられることは、なんとしてもあすこで伝染病を発生しない、火災が起らないこと、この二つ条件だけは非常に各人がお守りになつておられるのでありますが、これは私たち視察をやつて見ましても、この療にお住いになつて病気を起さないというようなことは、これは非常に奇蹟的だというよう住宅状態にある。採光工合も惡く、兵舎を直したので暗い内廊下の中に一ぱい荷物を積重ねておるというようなことで、又炊事場、便所というよう注意を怠ると病気になるようところにおきましても、まだ施設が不十分であるように感じました。勿論採光状態もその通りでありまするが、ああいうようなことでは、他の困窮者状態と比べて見ましても、非常に集団的でお気の毒のような感じがするわけです。どうしてもこれはまだ補修費の額においても、政府のこれに対する熱心が私たちは十分であるとは考えられない。福島県でございましたか、疎開住宅に住んでおられるかたは月四百円かの家賃を払つておられるようですが、そこと集団住宅との間に格段の差がある。だからせめてそれくらいの住宅是非一つ早く実現するようにして頂きたいことが第一点であります。  集団住宅に対しましてももう少し補修費を出して頂きまして、採光工合とか、ガラスを入れてやつたりして、それから炊事場煙出しも、一つ早く政府のほうで指導して立派な煙出しを作つてやられるというような親心を早く示して頂きたいと思うのでありますが、二十七年度においてはそういうような御計画の予算が十分に取れる可能性があるかどうかということについての局長のお考えを承わりたい。
  11. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 只今内村委員から御指摘がありましたように、我々としても集団住宅整備ということについては非常に責任を感じておりまして、何とか早くきれいにしたいということで実は今日まで不十分ではありますが、努力いたして参つております。何分にも補正予算という機会に織込まれる関係上、財源の関係から十分な経費をもらうことができなかつたわけでございます。幸い昨年度疎開ということを始めまして、災害関係等を入れますと相当の数に上る疎開をいたしたわけであります。一応予算の面には四千戸となつておりますが、その他に疎開をやつたものがありますので、六千戸ぐらいになると思います。今年もそれを是非継続して行きたいと思つております。  なお、来年度は当初予算に計上するわけでありますが、これは一番予算計上の困難な理由は、厚生省引揚住宅だけを認めてよそにもたくさんこういうことがある。これだけを認めて他を認めないわけにはいかないので、まあ当初予算で我慢してくれ、補正予算機会ですと、まあ引揚援護庁の実は予算が余るのでございますから、余つたものをそういうふうにお使いになるということで各方面の納得を得る、こういうことで補正予算に計上されておるわけであります。併し講和条約ということになりまして、引揚者のいろいろの問題が、在外資産の問題、その他ずつと出て参つておる状況であります。せめて援護のほうで住宅整備だけは来年度の当初予算に計上して頂いてすつきりして行きたい。こういうふうに念題しておるわけでございます。できるだけ我々も努力して見たいと思いますが、従来この方面に熱心に我々を鞭撻しておる関係もありますので、この問題の推進に格別の御援助を頂きたいと思つておる次第でございます。
  12. 内村清次

    内村清次君 あと一つ、こういう集団住宅に対する補修費の使い方ですが、これに対しては、あなたのほうでは一定の計界を立てて今年度一つ窓を、それから又非常口を作る。来年度は主に畳の入れ替えを一つつてもらいたいというような、計界的に希望をつけて県のほうに落してやるというような、こういう操作はやつておられませんかどうですか。
  13. 山本淺太郎

    説明員山本淺太郎君) 補修につきましては、今お話よう年次別方針といいますか、それは勿論持つておるのであります。そのときの予算の範囲内におきまして重点的にやるということでありますが、居住について基本的な険路になる点から手をかけて行きたい。即ち屋根の補修をしなければ雨漏りが酷い、或いは世帯別の間切りができていない、或いは床上げしなくて非常に湿気が多くて困るとかいうような、或いは寒冷地におきまして天井がないというようなことで非常に寒さを覚えるもの、それから採光通風が非常に惡くて晝間でも電燈をともさなければならない状態が酷いもの、こういうような、その他たくさんございますが、そのような基本的な点から手がけて行つてのち、畳だとかそういうようなものにまで及んでおるわけでございます。勿論都道府県から申請の参ります場合は、その補修内容を私のほうで検討いたしまして、こういう内容は見てやらなければならないという判断をいたしまして、各施設別の金額を決定いたすのでございますが、一応そういう基本的な補修の狙いというようなものは都道府県に連絡いたしますが、最後に着手する場合におきましては、都道府県の自主的な判断も加わりましてそれぞれ補修の行われておる現状でございます。
  14. 小酒井義男

    小酒井義男君 大体集団住宅につきましては内村委員からも言われているのですが、この予算を要求せられる場合などに、私は御注意を願いたいと思うのですが、一口に集団住宅といつておりますが、内容は非常に違うのです。或る程度そこで人間らしい生活が出来得るよう条件を整えておるところもありますし、非常に衛生的にも或いは火災などにも危険な状態ところもあるので、非常にその内容というものが違うのであります。集団住宅も全部これを一挙になくするということはなかなか予算上むずかしいと思うのですが、少くとも衛生上或いは火災などの点で非常に危険だと、惡いという条件に置かれておるところをこれをやはり調査願つて、そうしてそうした問題をそれを早急に解決するよう予算化一つ政府のほうでも御尽力願いたい。
  15. 山本淺太郎

    説明員山本淺太郎君) 今御意見頂きました通り御尤もな次第でございまして、私のほうとしても集団住宅のまあ五戸或いは六戸というような小さいものもありまして、そういうところまで調査が行届いておりませんが、相当世帯集団住宅につきましては全部調査を済ましております。従いまして今お話ような点を十分留意いたしまして最も緊急重点かと思われろ施設につきましてやつて行くということで従来もやつて参つたのでありますが、今後につきましても只今の御意見の線に沿いまして善処して行きたいと考えております。
  16. 千田正

    委員長千田正君) ほかに御意見ございませんか、住宅問題はこれで一応打切つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 千田正

    委員長千田正君) それでは未復員者給与法の一部改正につきまして岩動大蔵省主計官が来てその予算説明するはずでございましたが、今日は休んでおるというので復員局の田邊事務官から未復員者の給与法の問題についての復員局側の観点を一応説明して頂きたいと思います。  なお、高良委員にお願いしたいのですが、長い間アメリカのほうへ御旅行下さいまして、なおこの引揚委員会のために特に留守家族の多くの人たちのために御健闘願つて参つたのであります。のちほどちよつとアメリカに行きましたその後の情勢を一つ御報告できる点だけお願いしたいと思います。
  18. 内村清次

    内村清次君 先ほどの住宅問題につきましても予算編成の時期でありますので、成るべく大蔵省委員会一つ呼んで頂きまして、大蔵省の認識も改めさせんと……。
  19. 千田正

    委員長千田正君) 今の大蔵省の問題は又この次の機会にしつかりした……。
  20. 内村清次

    内村清次君 必ず一つ出席さして下さい。
  21. 千田正

    委員長千田正君) そうさせましよう。それでは未復員者の給与法の一部改正につきまして先ほど申上げましたが、復員局の井上業務課長からお伺いしたいと思います。
  22. 井上義弘

    説明員(井上義弘君) 未復員者給与法のうち在外給与に関係いたしまして、これが大部分の者が本年十二月二十九日を以ちまして法律に規定されておるところの猶予期間満三年を経過する、満三年を終りますと療養中でございましてもこの未復員者給与法によつてみてくれないということになるものでございますから、現在療養をしておる患者は真剣になりまして、これが法律改正をしてもつと療養をできるように期間を延長してくれという切実な叫びが上つておるのであります。  現在どれだけの者がこの療養をしておるかと申しますと、現況を御説明いたしまして、現在の状態を御了解願いたいと思うのでありますが、去る五月三十一日現在の患者数は、未復員者給与法の適用を受けて療養しておるものが六千六百三十名でございます。このうち期間的に申しますと、半数以上の三千五百六十五名というものが二年間以上この未復員者給与法の適用を受けて療養しておるものでございまして、総数六千六百三十名のうち本年末を以て三年の期間が来る者が五千九百二十名ございます。%で申しますと、八九%の者が本年末で以て打切られますので、皆療養ができなくなるという状態であります。この患者の内訳はどういうよう病気が多いか、病類別に申上げますと、肺結核が一番多うございまして六千六百三十名のうち四千四百九十九名が肺結核であります。%は六七・八%になつております。それから同じ結核性の疾患、肺結核以外の或いは関節の結核であるとか或いは腸結核、そういうような種類のものがその次を占めておりまして、九百六十六名、約一四・五%であります。この結核性疾患と肺結核の両方合せまして、八二%ぐらいの者が結核による病気であります。現在復員者給与法として取扱つておりまする復員患者の大部分のものは結核であるということがわかるのであります。その次の数を占めておりますのは精神病でありまして、これは四百三十八名、六・六%であります。従いまして復員患者の約九〇%という者は結核及び精神病でありまして、病気の性質から見ますと、すべてこれは長引いて、二年や三年で治療が終るという種類のものでないのであります。その他の疾病でありますと、復員当時に非常に多かつたところの栄養失調、ああいうような種類の病気は現在十七名しかおりません。〇・二%。これらのものは比較的早く治るほうでありまして、療養の期間等から見ますと、半年ぐらいで大体治つて行くものであります。マラリヤ、これも二十五名でありまして、これなどは逐次発作が少くなりまして、年が経つに従つて非常に治りやすくなつているという状態であります。こういうような有様でございまして、この大部分の患者は三年間の期限が切れますので、これが延長を要望しておるという状態であります。このための各種の運動等も盛んにしておりますが、他の法律等と比較いたしまして、三年間で打切つてしまつてはかなり冷酷な感じがするというので、病床にある者は非常に歎いておる有様であります。  これは一体公務に起因しておるかどうかという点でありますが、復員患者として願い出て来る者は、一々私どもにおいてその原因が如何なる原因であつたかということを調べております。かなり冷静に調べるものでありまするから、そんなにむずかしいことを言うては困るという非難もあるくらいでありますが、一旦復員患者となりますものは、すべて公務に起因したもの即ち軍隊勤務と密接な関係がある、又病気になることは自分の責任と思えない、やはり国家責任であると考えられる。そういうものばかりを見ておりまする関係上、この六千六百三十名という患者は、私どもで思いますと、すべて国のために働いた軍人軍属であり、国に対しての犠牲になつたものだという見方もされるのではないかという感じを持つております。  これの期間延長の件でございますが、でき得るならば年末において打切られるものもすべてこのまま当分みてやるようにして頂きたいのでございまして、従来の減少率と申しますか、治癒及び死亡の割合等を見ますと、二十五年度一年間の状態を見て参りまするに、死亡及び治癒の率を見て参りますると、大体年間に二五%の減少を示しております。更に細かい数を調べて見ますと、これは宮城、群馬、静岡、石川、京都、岡山、鹿児島、埼玉という八県について調査いたしました結果では、一年間に約三〇%の減少を示して、治癒が一八%弱、死亡が八%弱、そのほか途中で廃止する者等がございますが、そういうような割合で治癒率を示しておりまするので、恐らく現在まで三年間経過いたしましたのでありまするから、今後余り遠くない時期において治癒が何かの転帰をとつて行くものでないかと考えまするので、特に期間を延長するということについてさまで財政的その他に影響はないように我々は観察しておる状態であります。  なお、これらの者の現在の支払の状態を見ますと、指定の医療機関即ち国立病院、国立療養所等に入つておりますもの、これが一八当り平均大体六千六百五十八円という支払をしております。それからその他の医療機関、つまり国立病院等でなくて、自宅におつて療養しておるもの、或いは自宅から町の開業しておるお医者さんの所に入院しておるもの、これらの平均の入院患者でありますと、一人一カ月に八千七円、通院患者でありますと、二千百九十四円というような費用を支払つておりまして、大体これは保険等における金額と、そう差はないように観察しております。若干最近に至りましていろいろの内容即ち薬とが治療の方法がよくなりましたもので、医療費は少し殖えておるよう状態が見られまするけれども、かなりこの程度の支払でよき療養内容を行なつておるように観察しております。大体現在未復員者給与法で特に改正して頂きたいと言つておりますることはこの療養期間の延長の件でございまして、その他におきましてはなおいろいろのことも考ええられておりますが、具体的にまだ申上げ得ない点もございまするのでこの程度で一応終ります。
  23. 千田正

    委員長千田正君) 委員長からも伺つて置きますが、他にどなたか……。
  24. 内村清次

    内村清次君 この問題は私たちも先ほど御報告いたしましたように三県の調査に参りましたときにでも実際さような国立療養所あたりに収容されている患者が飛び出して来て陳情歎願をするというよう状態も現れまして、これは一日も早く一つ皆様がた各委員かたがたにお願いしつつ給与法を改正せなくてはならないというような気持を持つて御報告したわけでありますが、先ほどの御説明ではこの費用の点におきましても大した大きな額がここで予算化さるるというようなことでもないとおつしやつておりますが、大体数字の点が明らかになりますならば総額幾らぐらいと、まあどういうようなやり繰りをすれば、大体今回の補正予算或いは又経営予算といたしましてもどれくらいの数字でこの延長が可能になるのだというよう政府の今までの見通しですね、経験からしての見通しがありますならば一つ発表して頂きたいと思います。
  25. 井上義弘

    説明員(井上義弘君) 十二月以降における療養をこのまま継続いたしますると考えましたときに、約一億二千万円程度予算があればこの療養は本年度においては……。
  26. 千田正

    委員長千田正君) 本年度末ですか。
  27. 井上義弘

    説明員(井上義弘君) はあ、本年度末まで完全に行い得ると考えております。なおこの打切られるもの以外のものを全部合せまして来年度におきましては約五億の金が必要だと思つております。
  28. 内村清次

    内村清次君 この一億二千万円は予算収支をやり繰りしまして、なお且つこれだけ不足だと、こういうことですね。
  29. 井上義弘

    説明員(井上義弘君) さようでございます。それから本年度予算といたしましては、十二月二十九日で打切られるということを考えておりまするので上げておりませんでしたが、今後延長するといたしますれば、その分だけ、延長分一億二千万円の増額とこういうことになつておるわけです。
  30. 千田正

    委員長千田正君) ほかに御質問ございませんか。それじや私からお伺いしますが、これは国立病院に入院しておるところの患者に対するいわゆる法の不備の点から本年の十二月末を以て打切になるから延長しなければならないという改正の骨子であります。更に昨日全国留守家族大会に私が出席いたしましたときに、この大会決議として上げられた一つとしまして、留守家族に対するところ政府の施策に対して一応の要求があつた。というのはいろいろその後物価の上昇その他について未復員者或いは特別未帰還者の家族に対する手当は今のよう状況では十分やつて行けない。何とかしてこれを改正して上げてもらいたいという要請のように私は伺つて来たのですが、この未復員給与法の法案の一部を改正するこの機会にその点についての標準を上げるという点については政府としてはどういうふうに考えておられるかという点をお話し願いたいと思います。あなたが若しここで率直に述べて頂けるならば……。
  31. 井上義弘

    説明員(井上義弘君) この法の件に関しまして、現在のような給与では極めて僅少であつて適当でないということでそれぞれ研究されておりますが、私からはちよつとお答えできかねるのですが……。
  32. 内村清次

    内村清次君 附加えて、この問題は私たち二人が調査したときにも、宮城県からは面接書類として要望されておりまして、額面にしては千円の現在の俸給を五千円程度にしてもらいたい。福島県はこれは三千円程度というような増額希望の数字でありますが……。  それから第八条の遺骨引取並びに埋葬経費の増額が、宮城県としては、現在の二千二百円から三千円に、埋葬経費は三千円を七千円にしてもらいたい。特にこの又最近やはりこの遺骨がだんだんと各県の世話課を通じて戻つて来ておるようでありますが、そういう場合のときに、やはり遺骨を迎えに来られるかたがたに対しては、旅費、その他どうしても現在のこの引取経費においては、これは最も不足する。こういうような実情で、やはり四、五人のかたがたはどうしてもお出でになるからして、そういう点も勘案して見ると、二千二百円の引取の経費では到底これはできない。こういうようなこと。  それから又埋葬費にしましても、これは三千円では葬式も、簡單なお葬式さえもできないと、こういうよう希望が、これは各県共通で要望されておるわけであります。  そこで私どもといたしましては、そのときにこの引上の問題はやはり年に一回くらいチャンスがあると思う。で、このチャンスというやつも実は未復員者のかたがたが……、政府が組んでおるところのこの予算の余りと、余りというと、これは実際語弊がありますが、我々はもう一様に未帰還者の一日も早き帰還を要望するために、政府をしてこの引揚経費を計上させておるのでありますが、こういう未帰還者のかたがたがお帰りにならないと、その計上した経費だけはかつ留守家族かたがた一つ使つてもらいたい。或いは一般戦争犠牲者かたがた一つ使つてもらいたいというのが私たちのその本旨でありますが、そういうチヤンスがないと、なかなか簡單に引上ということも実を結ばない状態にあるのでありますからして、そういう機会には一つ政府のほうでも熱意を示して、他のほうにこの経費を大蔵省のほうで取られるのではなくして、是非こちらの委員会とも連絡をとつてこういう給与の増額あたりにして欲しいというのが私たち希望であります。各県ともに現在の未復員者の給与法によるところの給与額については、これは一面非常に生活問題についての補助にはなつておるけれども、これでは現在の荒波は乗切れないというのが一応の要望ようでございます。こういう点を一つ政府のほうでも強く一つ考えて頂きたい、チャンスを早めて頂きたいということを、私から希望申して置きます。
  33. 千田正

    委員長千田正君) 只今内村委員からのお話がありました通り、この未復員者給与法並びに特別未帰還者給与法の問題は、当時の大蔵省司令部と交渉してもなかなか結果が出て来ないというので責任を逃れたのに対して、当委員会として、そういう馬鹿なことがあるかとこれは実に苦心惨胆してとにもかくにも少額ながらこの未復員者給与法並びに特別未帰還者給与法というのを一昨年の十一月三十日を以て施行したのであります。その後すでに二年を経過しておるのでありまして、必ずしもその当時の実情はそのまま今日にも適用するということは我々は考えておらない。政府にそういう未復員者の立場、未帰還者の立場に対して真剣に考えて頂ければ、当然これは法文を或る程度改正され得べきものであるというふうに我々は考えておりますが、今日に至つてもなお且つ現在のところ講和が終了しておらないから、どこまでも占領国側の意図によつてこれが決定するものであるという観点からこれは延ばされるのか。それとも講和会議が済めば日本は自由な独立国としての立場から、その財政の許す範囲においてこの問題が処置できるという観点を持つておるのか、その二つの点を政府に質したいと思うのですが、井上課長で御返事できるかどうかわかりませんけれども、その点はどうなんですか。例えば講和会議以前だとすれば、どうしても占領国側の或る程度の指導によつてでなければこれが出ない。講和会議後においてであれば、日本は自由な立場から十分にこの点を考慮することができるということを断言できるかどうかという点ですね、この二点の相違についてはどういうふうにお考えになつておられますか。
  34. 井上義弘

    説明員(井上義弘君) これは局長から……。
  35. 千田正

    委員長千田正君) これは非常に重大な問題でありまして、そういうことで荏苒日を延ばすということを我々は潔しとしないので、先般も当委員会としましては、一日も速かにこの戦争犠牲者のために特別審議会を設けて、そうして講和会議が済んだならば、或いは済まない前においても、十分にその対象となるべきところ戦争犠牲者のための立案を急ぐようにというので、審議会法を参議院といたしましては皆さんの御協力を得て全会一致を以て可決したのにかかわらず、衆議院としましては、講和会議ができれば勿論幾らでも諸君が要望するようなものは出せるのだ、そういう屋上屋を重ねる必要はないというので、荏苒今日に至つておる。而も又それに便乗しておるかのごとき感があるのでありますが、果して講和会議が済んだ後において遺族、或いは留守家族、或いは傷病兵の諸君や、或いはその他の戦争犠牲者が要望しておるようないわゆる処置が果してできるかどうか、私はその点に非常に疑問を持つのであります。特に当委員会といたしましては、そういう疑義が生じてあつたからこそ、前以てその態勢を整えるための審議会法というものを我々が熱心に審議して通過してあつた。併しなお今日に至つてその曙光さえも見えないということは、我我参議院の委員会としましては誠に政府に対しまして、衆議院の諸君の態度に対しまして、一応反省を促がして止まないと思うのでありますが、この点につきましては、政府側としましてはどういうふうにお考えになるのですか。何か戦争犠牲者に対して遺族、留守家族、或いは引揚者、そういう人たちに対して万遺漏ないだけのいわゆる準備を整えているのですかどうか。或いはそういう予算措置が講和会議の後において、臨時国会においてできるとこの間断言されたのですが、衆議院の厚生委員会の小委員長が果してそういう態勢があるかどうか、その態勢の見通しについてはどういうふうにお考えになりますか。
  36. 井上義弘

    説明員(井上義弘君) 本問題に関しまして、厚生省といたしましては従前からいろいろと研究を進めておりまして、或いは近いうちにその研究の成果によつて国会へお願いするというような段階に至るのではないか、そう考えております。その内容につきましてはそれぞれ非常に勉強し、又連絡をしているようであります。私から申上げるということもできないのですが、大臣その他非常に熱心にやつておられますが、何とか……。
  37. 千田正

    委員長千田正君) 井上業務課長にお願いするのは、そういう段階であればあるほど、我々が六年間というものは熱心にこの問題について討議して来ておりますので、その経過について一応あなたが省にお帰りになられましたならば、当面の責任者であるところ厚生大臣若しくは援護庁長官とか、若しくは局長でもよろしいのですが、現在どういうような運びの下にこの問題に対処しているかという経過の報告を一応さして頂きたい。この点だけは特に当委員会としては特別の注意を以て我々は今後の推移を見つめているのでありまして、その点について特に当委員会に対しての御報告をお願いしたいことをお伝え願いたいと思います。
  38. 内村清次

    内村清次君 只今委員長の発言は、全く私たちも同感でありまして、大体先国会の終末におきまして参議院の各委員かたがた、当委員会委員かたがたの御熱意で、あの戦争犠牲者に対するところ国家補償の問題を含めたいろいろな審議をするための審議会で、政府も議員も又関係者も、挙つて委員構成としての審議会を早く作り上げて、そうしてこの条約締結までにおいて、或いは又その後にも、近い機会においていわゆる独立後の近い機会において、こういう一切の戦争犠牲者かたがたの身分上においても、或いは又いろいろ精神的にも物質的にも、これを慰さめるところ国民全体の気持を、この法案として織り込んで実施したいというのが、あの法律の狙いであつたわけでありまするが、これが衆議院のほうにおいて審議をされなかつたというようなことは、参議院といたしましても誠にこれは衆議院のこの態度について、実は私たちは、この国会が始まりましたならば早速一つこういう点は政府を通じても或いは又衆議院関係に対しても一つの働きかけをやつてみたいというような決意でいるわけでありまするが、問題は、これは政府自体といたしましてもこれを等閑に附する……いわゆる参議院でこういう法律の審議をしたのでありまするが、可決をしたことに対するところ国民的要望に対して、等閑に附することのできない点があると存じます。而も又岡崎官房長官をこの委員会に呼びましてのあの審議過程におきましても、西ドイツにはすでにこれはもう実施されているのだ、どうして実施されているか。なぜ日本において、同じ敗戦の憂き目を見ているところの同じ即ち資格の日本においてこれが実施できないかということを判じて見ると、どうもアメリカと西ドイツの、即ちアメリカの方面に対する西ドイツの働きかけが、何かそういう誘掖的な働きかけであつたために向うはできたのだ、こういうような答弁があつたのでありまするが、これは私たちの考え方といたしましては、相当つた考え方でありまして、国民全般が即ちすでに六年間ポツダム宣言を忠実に実行した国民といたしまして、まだ帰らないところ国民に対しての均しい要望であつて、而もこの要望というものは決して過大な要望でなくして、本当に何と申しまするか貧しい要望である、貧しい要望でありまするが、これは人権として当然強いところ要望になつて来ておる問題が、国柄の故を以て日本にはそれが講和条約までに回復できないというようなことを、公然とこの委員会で御答弁なさるというようなことにつきましては、私たちとしてはどうしても腑に落ちんものであります。こういう推移から考えて見ますると、参議院で可決した問題が衆議院でこれが可決されない。政府はその後においてどういう熱意を以てこの問題ととつ組んでおるかという問題につきましても、まだ実際その衝に当つておる課長あたりには、何らそういう答弁もできないというようなことでは、私たちは今国民の熱望もどの辺までこれが実現されるかということに対してさえも、非常に危惧の念を持つておる一人でありまするが、どうか一つこれは先ほども私は委員長にもお尋ねいたしましたように、是非この委員会におきまして、休会中といえども、これはもう非常に急を要する問題でありまするからして、政府責任者一つこの委員会に呼んで頂いて、早急に一つ政府態度を明確にさせることが、これはもう国民といたしましても一日も早く熱望しておるところでありまするからして、是非一つ政府の要路者を呼んで頂きまして、こういう機会一つつて頂きたい。これは私はもう先ほどから要望しておりますので、是非一つ実現させてもらいたいと思います。
  39. 千田正

    委員長千田正君) 只今内村委員の仰せになつた通りだと私も考えておるのであります。ややもすればとかくこの戦争犠牲者に対する対処方針は、生活困窮であるからして、食つて行けないからと、或いは子供を育てて行けないからというような、一つの同情というような意味の面にのみ重点を置かれておるような感が深いのであります。ところが遺族若しくは留守家族の人たち要望しておるのは、單にそういう食えないからどうかしてくれという問題じやないのであります。日本国民が、或いは政府が、この戦争という過去の誤つた大きなこうした問題に対して、どういうふうな態度によつてこの戦争犠牲者に対して日本国民が報ゆるのか或いは応えるのかというところ重点があるのであつて、食えないから、單に死んだから飯を食つて行けないということだけのことに、生活貧困者と同じよう態度で以て政府が考えるとするならば、それはその根柢において誤つた考え方であるということを、我々は飽くまで追及しなければならないと思うのであります。ややもすればそういう方面に施策を持つて行かれそうな気配がしておる。現実において……。であるから、そういう点につきましては、只今内村委員の仰せのあつた通りに、最も近い最近の二、三日中のうちに、皆さんの在京のうちに、一度委員会を開きまして当局の責任者であるところの大臣若しくはこの外交問題に関しては吉田首相なり或いは首相が出て来ないとするならば、その代理の大臣をしてはつきりと政府所信を述べさして、我々としましてもそれに対して一応の国民要望を十分にデレスカツスしたいと思います。その点は二、三日中に開きたいと思いますからどうぞ……。    ―――――・―――――
  40. 千田正

    委員長千田正君) ほかに御質疑もございませんければ、一昨日米国から帰られました高良委員が従来国連の委員会或いは実際働いておられるところの山村の婦人、こういうようかたがたと長い間接触を保つておられまして、このたびアメリカのほかの大会に出席するために渡米されたのでありますが、この機会を狙つていろいろ御折衝願つて来て下すつたことと思います。一昨日帰られたばかりでありまするが、なかなかお疲れも癒えないと思いますけれども、その間の御消息を簡單に且つ重点的に一つお話を伺えれば有難いと思いますが、時間を一つ頂戴して、お伺いしたいと思います。
  41. 高良とみ

    ○高良とみ君 これは一つオフ・レコードにして頂いて記録なしにして頂きたいと思います。
  42. 千田正

    委員長千田正君) 速記をとめて下さい。    午後零時七分速記中止    ―――――・―――――    午後零時二十四分速記開始
  43. 千田正

    委員長千田正君) 速記を始めて下さい。  先ほどから各委員から、講和会議を前にいたしましてこの戦争犠牲者に対する政府の施策は余り明示されておらない。特に講和会議において相当論議さるべきところ日本立場におけるところの国内における戦争犠牲者、特に未帰還者の問題、或いは在外資産問題等については政府は何ら国民に示すところがないというので、一度講和会議の前に最も近い将来にこの委員会政府責任あるところのこれに対する答弁を聞こうという会を持とうというのであります。只今の高良委員のアメリカにおける状況分析につきましても非常なる参考になりますし、我々日本国民といたしましても本当にこの際はむしろ国を挙げての講和会議の前の第一段階であるが故に、特に戦争犠牲者に対する処置の問題は大きな一つの国策として当然取上ぐべき問題だと思いますから、この点は各委員におかせられましても、酷暑の中を誠にお忙がしいことでありますが、どうか国民要望熱烈なるものがありますので、十分この点を御検討下さいまして、次の委員会におきましては政府に対しまして活発なる質疑応答をやつて頂きたい、そうして結論を出して頂きたいと思います。
  44. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕はあえて講和問題を問題にしなくても、こういう問題は当然もつとこの委員会ははつきり政府責任をとらせるのが我々議員としての義務だし、委員長としての責任だろうと僕は思うのです。先ほどから拝聴しておると、一課長一局長ような事務屋を相手にして問題を追及する必要は豪もないと思う。彼らからは事務的な処理の状態を聞けばいいので、問題は大臣、少くも次官を呼んで政府を督励すればいいので、僕は始めからこういうように旗色鮮明にしてこの委員会を進められることを先ず第一に望みたい。  第二に、講和々々と言われるけれども、單独講和のごときものを実行するならば、日本は先ほどのお話にもあつたごとくフイリピンのように固定化されたものになり、そうして戦争に捲込まれる。そういうとんでもない講和を前提にするがごとき委員長が口吻を洩らしておることは非常に遺憾であると思う。それは政治的に、議論は各会派によつて一人々々政治的の立場は違うであろうが、講和があろうともなかろうとも、戦争犠牲者に対してなすべきことを国家にしろという要求は当然しなければいかん。だからもつと委員長はこの委員会の進行について毅然たる態度を以て僕は委員会を今後やつて頂くことを希望します。
  45. 千田正

    委員長千田正君) 只今の兼岩委員の御意見御尤もであります。当委員会の運営につきましては、ずつとあなたのおつしやる通りあらゆる角度において検討を加えて来ております。休会中といえどもやつておるのでありまして兼岩委員がたまたま御出席にならないときに或いは重要な問題を討論した場合があるかと思いますが、十分御趣旨を尊重いたしまして只今ような点ははつきりやつて行きます。
  46. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 重ねてそれでは委員会の進行方法について申上げます。他の委員会では休会中大体一月くらい前に各委員の都合を聞いて問題をきめて、私の所属しておる他の委員会ではすべて委員長から委員に大体どういう問題でいつ頃取り上げる、いつ頃委員会を開く、そういつた相談がある。ところがこの委員会に限つてそれがない。突然公報を見て今日委員会がある、内容を見ても引揚問題に関してというので明確に問題がわからない。そういう状態である。僕は現に今日庶務小委員会に出た。これは一月前からちやんと日程がきめてある問題で、それに出席してここに来たのである。だからもう少し、そういう点は一方においてもう奴隷根情はやめて堂々と政府に対しても、必要ならばGHQに対しても要求することはどんどんするという決意を以て政治的に堂々とやると共に、もう少し事務的に我々委員が問題のあり箇所を知つて、こういう問題についてこういう討議をするということを、少くとも一週間か十日前に知らせるというように事務的な手続をして委員会をやつて頂きたいと思います。
  47. 千田正

    委員長千田正君) それは当委員会としては事務当局に命じまして特に共産党にだけは行かないというわけでなく、一応御通知申上げておるはずでありますので、そのデスカツシヨンの重点においては或いは十分に徹底しておらなかつた点もあると思いますが、これはこちらのほうの運営のまずかつた点ですから、それは特に御容赦願いまして今後とも委員会の運営、並びに講和の問題ばかりを基礎にしておるように言われますけれども、そうじやないのでありまして、戦争犠牲者のためには当委員会としましては、先般の国会の最後においては全会一致を以てあれほど政府に向つて或いは強靱な力を以て一応この段階を乗り切ろうというので、対策審議会の設置法案まで通過させたのでありますから、決して衆議院には劣らないより以上の活発な論議を尽してなお且つ実施を迫ろうと思つておりますから、特に今後とも一つ御出席願いたい。
  48. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕の言うのは、あなたがこの吉田内閣のやろうとする、この奴隷的な植民地的な、国を売るような、売国的な單独講和を、断固として承認していないのです。そういう間違つた売国的な講和を前提としてこの委員会運用されることに僕は絶対反対であります。講和があろうとなかろうと、戦争のために赤紙一枚で酷い目にあつている国民大衆の生活の問題をまじめに取上げ、戦争犠牲者の問題を取上げて、まじめに審議することが、講和の如何にかかわらず国会責任じやありませんか。だからそういう講和の問題と関連させないでどんどんやつて頂きたい。
  49. 内村清次

    内村清次君 兼岩君の御意見は御意見といたしまして、問題はこの講和問題に対するお互いの態度というものはこれは又党の関係からもどうせ国民全体にしても、党に所属しておる我々といたしましても鮮明にしなくちやならない。又国民の一人々々といたしましてもやはり態度を鮮明にしなければならないところの時期というものが近まつて来ておる。お互いがその態度の鮮明如何にかかかわらず、やはり一応調印の期日というものは切迫して来ておる問題であるからして、而も現政府というものがその調印に対しては、やはり積極的にみずから協定をやつてそうして、その調印式にも臨もうとしておるそのときでありますから、我々はただ講和の問題に対する態度表明ということ、これも又国民として重要であり、政党として重要でありますが、やはりこの点はあなたのおつしやる通りこの残されたところの大きな戦争犠牲の問題、その問題の処理につきましてはやはり一貫してこの委員会というものはその実利を取るように、政治的ゼスチユアでなくしてその実利を取るように、前々国会からはお互いが皆さまがたと話合つて、そういう実質的な動きに重きを置いて来たはずであります。そういう委員会の運行であるといたしましたならば、政府が一方的にこの調印式に臨もうとしておる段階におきましては、やはりその条約草案そのものにつきましても我々としてはやはり要望があるわけです。この要望を如何にして、即ち最後の段階におきましてでも、国民の気持をこれに鮮明にさせる方策をこの委員会でとるかどうかということも、やはり委員会が取扱うところの重要な問題ではなかろうかと、こう思うわけであります。こういう点を考えまして、政治的に動くということは一つお互いがやめて、実質的に急速にとつて行かなくてはならない、要望を果して行かなくてはならない問題と取組んで行こう。そのためには或いは兼岩委員が言われるように一カ月前から予定してこの委員会というものが予定された計画の上に立つて委員会の運営は、或いはこれは必要でもありますが、又ときと場合におきましては時々刻々に起るところの情勢によつてでも委員会の開催もやはりしなくてはならないことではなかろうか。と同時に又委員といたしましてもやはり地方に散在しておられるかたがたもおるというよう状況も勘案いたしまして、できれば在京の委員かたがた或いは重要な委員会に対しましては委員長として事務的に地方に散在しておられるところ委員かたがたにも召集をお願いいたしまして、一つこういう重要な問題と取つ組んで委員会というものは、政治的ではなくて、この独立せんと欲するところのこういう一方的な、即ち気運に対して対処して行くような重要な委員会の働きをして国民要望に応えてはどうかということに話を一つまとめて協力一致して行つてはどうですか。
  50. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕はあなたの揚げ足をとるわけじやないが、実利を取る、政治的でなく実利を取るという馬鹿なことはできませんよ。そんな馬鹿なことは……。一体そういう態度でこの引揚げの問題を百年やられたつて僕は収穫がないと思うのです。吉田内閣はどういう内閣ですか、戦争にもう一遍日本を捲込んで行こうという内閣ですよ。そんなものが本当に戦争犠牲者を、戦争の過去の犠牲者をよう片付けることはないでしよう。そうして講和をやつて外国の軍隊と秘密協定を結んで、アメリカと軍事協定を結んで、そうして又次の戦争に持つて行く。そういう馬鹿な政府、馬鹿な單独講和をやつておる者を何も攻撃しないで置いて、そうして過去の戦争でひどい目にあつた者を何とか政治的でなく実利で行こう。私は誠に結構な希望だけれども空想だと思うので、そうでなくて、この政府やり方惡いところを徹底的に攻撃して、過去の悲惨なる戦争犠牲者をどうして解決するかということを政府に対して攻撃して行くのが社会党の、あなたの重大なる責任だと思う。そんな政治的でなく実利を取ろう、先ほど高良とみ君が言われておつたようなそんな奴隷的な根性でどうしてこの問題が解決するものですか、この戦争の後仕末という重大なる問題……が。戦争に捲込もうとしている吉田内閣じやないですか、それを單独講和でやろうとしておるんじやないか。それが何か工合のいいもので、前提に置くというようなことで委員長はこの委員会をやられても、私はだからそれはおのおの政治的な立場があるのだからそれでよろしい、そういうふうにやろうというかたがあつても、僕は反対です。僕は或いはこういう少くともそんな單独講和、こんなものは反対しなければいかんのに、できるのにきまつておるという態度で論議するのに反対だという意味です。
  51. 千田正

    委員長千田正君) それはよくわかりましたが……。
  52. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 第二に事務的にこういう重要なる問題を論議するなら、我々は電話も家にあるのだから三日、四日前に、こういう問題でいつ頃委員会をやろうと思うがどうかという事務的な手段をとるなり、或いはこういう委員会が済んだら速記を帰してでもこの次はこういつた問題について政府より誰誰を呼ぶから何人出られるかという、委員会の運営を僕はそういうように事務的に取上げることを……。
  53. 千田正

    委員長千田正君) 委員会の運営の問題は又改めて論議したいと思います。特に今あなたの言う、委員長講和会議を前提としておると言いますけれども、国民の好むと好まざるとにかかわらず、共産党のあなたにしてもやはり国民の代表としてこれに反対するかどうか、一票をやはり投じなければならない。その前に当然いろいろな問題が起きて来ますよ。引揚げの問題にしろ、戦争犠牲者の問題にしろ、我々は好むと好まざるとにかかわらず講和会議というものは現内閣の下に進められて来つつある、その前において当委員会としても我々もそのままにしているというわけにいきません。講和会議というものは、我々が賛成するしないにかかわらず目前に迫つて来て、單独講和であると全面講和であるとその前に論議を尽すということに対しては、何らその点に対してかれこれ言われることはないと思います。共産党は共産党として大いにやつて下さい。講和会議というものは現在吉田内閣の手で進められて来ている。全面講和にあらずとも單独講和にしても、国民のイエス、ノーにかかわらずやつて一来ている。ここに戦争犠牲者の問題があるために当委員会として取上げて論議しようというのでありますから、それは前から予定している問題じやなくして突如として問題が起つて来るのでありまして、その点については十分なる御連絡がとれなかつたという点については、委員長さつきからお詫び申上げておりますが、委員長の考え方は、私は政党の如何にかかわらず、国民の如何なるところにおるということにかかわらず講和会議は現政府の下に進められつつあるこの段階において、戦争犠牲者をこのまま放置されていいかどうか。この問題を討議しようということは当委員会の使命であると思うからやつているのであつて、私は何も吉田内閣に迎合してやつているわけではありません。
  54. 内村清次

    内村清次君 今の兼岩君の御発言のうちに重大な問題が含れている。これは第五国会以来の特別委員会の実相を、そのときはあなたは委員でなかつたかも知れませんが、委員を通じてよくこの委員会の動きを注視しておられたことだろうと思う。それは恐らく私たちは余りに政治的に委員会そのものが動き過ぎている。而も又その政治的な坩堝の中で一番迷惑されたのはこの留守家族かたがた戦争犠牲者かたがたこういうかたがたであつたということは私は率直に認めている。ただ自由党と共産党の喧嘩ばかりでしよう。そういうような攻撃の中にこの委員会が包まれておつた。私たちはそれを何とかして実利を取つて行くためには、一つ引上げて来られたかたがたの問題、即ち定着援護の問題については、事務当局も責任者も打つて一丸となつて、そうして一つ一つ問題を解決して行こう。又未復員者のかたに対してはその引揚促進についてあらゆる手を打つて行こうということでここであなたも加つて委員会運用その他をお話しして、そうしてこの委員会は何か取つて行く、何か一つプラスをして行こうじやないかということで熱意を以て来たはずであります。それを今からすべて政治的に吉田内閣を叩いて行く、それ自体が本当に取残されたところのいわゆる留守家族かたがた、或いは戦争犠牲者かたがたに対する即ち問題である。こういうふうに一方的にお考えになるかも知れませんが、私たちも正は正として、正しいことは正しいとして吉田内閣の不熱心なるところに対しましては、それは我々国民の一人として叩いて行きます。叩いて行きますけれども、やはり問題はこれは大きな、即ち日本の国の、即ち国民としての大きな問題であるし、国際親善に復帰しようとするところの残されたところの大きな傷跡でありまするからして、この傷跡を一つ早く正道に返して、水準に返して、そうして国際に復帰しようという国民熱意に応えて、やはり委員会というものは動いて行かなければならない。そういうために事務的な問題につきましてはそれは当然委員として委員長を通じて御要望なさることは私はそれに対して決して何も意見は発しませんが、ただあなたの言われた政治的に一つ問題をかき廻して行こうじやないかというようなことに対しては、どうも私たちは今までの過去の問題を考えまして納得行かない、この点だけははつきりして置きます。
  55. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 政治には国際政治と国内政治とあります。私の言つたのは、国際的な政治を、米ソの二大対立を激化するような形において、この引揚委員会を利用しようなどということは、天に向つて唾することである。我々は平和を望むのだ、そういう意味で国際的に二大国に摩擦を起すようなことに問題を持つて行つてこういうことを片付けようというようやり方、いわんや、選挙運動に使おうというようやり方には反対だということはあなたと意見が一致する。併しながら国内政治として国内政治とは何でしよう。人民生活を守ることでしよう。人民の生活の中で戦争犠牲者生活を守ることは、政治そのものに、その動きを離れて、厚生省の一課長とかそんなもので取引しようということでは、この問題は根深い問題で、片付かない。だから問題のあり方をはつきりさせて、場合によれば、GHQにどんどんぶつかつて行く。いわんや政府は、総理大臣でもどんどん呼びつけてやつて行かなければ解決しませんぞということを言つているのです。
  56. 内村清次

    内村清次君 それは私たちも先ほどから言つているでしよう。それには同感です。
  57. 小酒井義男

    小酒井義男君 兼岩さんの言われることと委員長の言つていることは私は同じだと思います。委員長はこういうことでは問題の解決はつかんから責任者を呼んで早急に委員会を開こう。こういう御発言があるわけですから、できる限り内容について打合せをなさつた上で早急にそうした委員会を開くということで議事を進めて行つて頂きたいと思います。
  58. 千田正

    委員長千田正君) 今日は大分いろいろな問題が起きて活発に御論議頂いたことを誠に有難く感謝いたしますが、休会中といえども今皆さんが御論議になられたような重大な問題でありますので、劈頭に申上げた通り関係各大臣吉田首相、外務大臣としての吉田首相、その他についての責任ある当局の持つ所信を質したい、こういう会議を最近のうちに持ちたいと思いますので、それにつきましては皆さんの十分なる御協力と、資料についても打合せを願いたいと思います。本日はこれを以て閉会したいと思いますが如何でしようか……。それではこれを以て会を閉じます。    午後零時四十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     千田  正君    理事            高良 とみ君    委員            石川 榮一君            木村 守江君            長島 銀藏君            内村 清次君            小酒井義男君            鈴木 直人君            杉山 昌作君            兼岩 傳一君   説明員    厚生省引揚援護    局長      田邊 繁雄君    厚生省引揚援護    庁指導課長   山本淺太郎君    厚生省引揚援護    庁復員局業務課    長       井上 義弘君