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1951-02-02 第10回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二日(金曜日)    午後一時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○未復員者給與法改正に関する件 ○引揚促進に関する件 ○在外公館借上金に関する件 ○在外資産に関する件 ○遺族及び傷い者に関する件   —————————————
  2. 千田正

    委員長千田正君) それでは只今より委員会を開会いたします。本日は先般公報におきましてお知らせ申上げておりますところの議題は、在外公館借上金に関する件、遺族及び傷い者に関する件、在外資産に関する件、引揚促進に関する件、こう出しておりますが、順序から言いますと在外公館借上金に関する問題を討議したいと思いますけれども、まだ関係当局が見えておりませんので、取りあえずここに未復員者給與法改正に関する件につきまして、只今大蔵省から主計局磯田給與課長が見えておられますので、一応未復員者給與法改正に関する問題についてお話を伺いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 千田正

    委員長千田正君) それでは磯田課長よりおいいたします。
  4. 磯田好祐

    政府委員磯田好祐君) 只今委員長からお話がありました未復員者給與法施行規則改正する問題でございますが、この問題につきましては、御承知通り去る第九回の臨時国会におきまして未復員者給與法改正いたしまして、その給與を従来の三百円から千円に引上げることにいたしましたことは御承知通りでございます。その問題に関連いたしまして引揚同胞対策審議会等におきまして、この給與支給する対象を拡げて欲しい、即ち現在の法律建前で申しますると、御承知ようにこの未復員者給與本人渡しにするということが原則に相成つておるのであります。即ち未復員かたがたがお帰りになつたときに、その本人にお渡しするという建前になつておるわけでございますが、ただ現在の法律におきましても例外がございまして、未復員者が死亡いたしました場合、又は未復員者扶養親族があります場合には、その親族又は扶養親族に対してこの給與を渡してよろしいという規定が、現在の未復員者給與法施行規則を以て規定されているわけでございます。これに対しまして、更に引揚同胞対策審議会におきましては、未復員者給與をただ單に扶養家族のみならず、その直系尊族がある場合においては、又その直系尊属におきまして非常に生活に苦しんでおられるかたがたもあるから、かかるかたがたは非常にお気の毒であるから、その未復員者直系尊属かたがたにも支給したらどうかという御意見が出たわけでございます。これに対しまして政府のほうといたしましても、いろいろと検討いたしました結果、現在まで大むねこの施行規則改正案につきまして大体の結論を得る段階に至つているわけでございますが、現在考えておりまするのは、この未復員者と従来その生計を一にいたしておりまして、主としてその収入によつて生計維持いたしておりましたところの一親等内の直系尊属に対しましては、その人が著しく現在生計に困難を来たしているというよう事情の認められます場合に限りまして、その直系尊属に対して未復員者給與を前渡しできるようにしよう、さよう考えているわけでございます。即ち従来は飽くまでも本人に渡すべき給與というのが建前になつておりますので、本人に渡す原則であつたのでございますが、これを更に一般扶養親族のほかに、即ちこれを言葉を換えて申しますと、扶養親族と申しますのは、一般建前で申しますれば、満六十歳以上ということになるのでございますが、満六十歳に達しない直系尊属がある場合、即ち六十歳未満直系尊族の分に対しては、その生計が特に困難だと認められる場合におきましては、この給與支給し得るようにしよう、かよう考えておるわけでございます。この改正は近く実行いたしまして、直ちに一親等の直系尊属において支給を受けるようにできるだけ早い機会にこれを実施したい、さよう考えておるわけであります。  なおこの改正に伴いまして必要な手続規定改正が二、三あるのでございますが、その説明につきましては、ここでは省略させて頂きまして、大体の考え方についてお話を申上げたのであります。
  5. 千田正

    委員長千田正君) 只今の未復員者給與法の一部を改正する問題につきまして、御質疑がございましたらどうぞ……。
  6. 紅露みつ

    紅露みつ君 磯田課長からのお話でございますと、直系尊属というか、親だけでございますね。
  7. 磯田好祐

    政府委員磯田好祐君) さようでございます。
  8. 紅露みつ

    紅露みつ君 そうすると家庭によりましては、お爺さんとかお婆さんとかいうような、そういうかたが残つてつて、お父さんやお母さんに代つて育てたというよう家庭も私少くないと思うのですが、これをそういうふうに限定しないで、やはり一緒に同じ生計の下にある家族というふうには考えておられないのでしようか。
  9. 磯田好祐

    政府委員磯田好祐君) 誠に御尤もな御質問でございますが、現在の未復員者給與法施行規則の第一條の二号の規定に、扶養親族につきましては現にすでに支給し得るという規定があるわけであります。只今指摘お爺さんお婆さんというような場合は、現に復員されていないかたがたお爺さんお婆さんともなれば、これは悉くが先ず六十歳を越えるものと見て差支えないと思うのでございます。従つて今度救済しようとするのは、六十歳に満たない直系尊属かたがたで、生計にお困りになつているかたがたを救済しようという趣旨に基くものでございます。この規定によりまして、現在の扶養親族規定と併せて適用いたしまするならば、殆んどその目的を達成できるのじやないか、かよう考えておるわけであります。
  10. 紅露みつ

    紅露みつ君 この未復員者給與法はもう磯田課長ずつと手掛けていらつしやるのですが、私どもも今ここで疑義が起きるというのはおかしいのでございますけれども、何でございますか、今のお話では、六十歳未満の人というわけですね、そのかたたち留守家族の援護といいますか、そのかたがたに対してのことですが、生計が困らなければ、未復員者給與は渡さないわけになるのですか。こういう疑義が今起るのは本当にお恥しいのですけれども、六十歳未満尊属で、そうして働く能力のないというような人があるのですね、そういうかたたちへの留守家族手当というものは、どういうふうになつていましたか。
  11. 磯田好祐

    政府委員磯田好祐君) 誠に御尤もな御質問かと思うのでございますが、先ほど御説明いたしましたよう直系尊属が、その生計が著しく困難でなければ支給しないという考え方は、そのかたがた生計が豊かであるという場合におきましては、できるだけ本法は、その本人が帰つて来た場合に本人渡しにするということが最も好まいしのじやないか、そういう趣旨に基いておるわけであります。従いまして今お話の六十歳未満直系尊属であつても、いわゆる生計能力のないかたは、当然只今御説明いたしました、その俸給の支拂いを受けなければ、生計維持が著しく困難である場合にこれは該当すると思うのであります。生活能力がなくても、著しく豊かなかたでありまして、ほかに収入の途が非常にあるというかたがたの場合におきましては、むしろこの給與を留保してやつて置くというほうが、本人のためになるのじやないか、かよう考え方であります。
  12. 紅露みつ

    紅露みつ君 その意味はよくわかりましたが、私伺つたことが、ちよつと不徹底だつたと思うのですけれども、私の伺いたいことは、留守家族つまり支給手当、そのことが伺いたかつたのです。六十歳未満で、而も弱いというようなかたに対する留守家族手当なんです。あれは何だか私、今ちよつとこんがらがつてはつきりしませんので……。
  13. 磯田好祐

    政府委員磯田好祐君) 留守家族というお言葉になりますと、範囲が著しく広くなるかと思うのでございますが、即ち現在政府考えております場合は、直系尊属という形になつております。留守家族となりますと、兄弟姉妹を含むというようなことになるのじやないか、その場合にまでその支給を今直ちに拡げることがいいか悪いかという問題、実は政府部内におきましてもいろいろと検討して見たのでございますが、御指摘ように兄や妹で、何と申しますか、不具廃疾であつて生計が困難であるというような場合におきまして、これは支給しなければお気の毒であるという事情も、極めて例外的な場合としてはあり得るだろうと思うのでございます。併しながら一応建前として、本人支給すべき給與でございまするので、できるだけ本人のために取つて置いてやりたい、本人のために留保して置いてやりたい、それは積立てて置いて、帰つて来たときに本人に一括して渡すということが、本人のために一番役に立つのじやないか、これが直系尊属の場合におきましては、当然その子供が親を、扶養義務はなくても、扶養するのが日本の生活慣習として当然のことでございますので、その直系尊属に対しまして渡すということに対しましては、これは問題はないかと思うのです。兄弟まで渡すということは果してどうであろうかということで、まあ現在の段階におきましては、政府としてはまだ結論を得てない、そういう事情でございます。
  14. 千田正

    委員長千田正君) ほかに御質問はございませんか。
  15. 紅露みつ

    紅露みつ君 そういう構想の下に進めていらつしやるその成案、いつ頃までにというお見通しでございますか。
  16. 磯田好祐

    政府委員磯田好祐君) すでに殆んど成案を得ておるわけでございまして、これを関係省といたしまして厚生省あたりとも具体的に相談いたしまして、でき得るならば、この給與を本年の一月以降引上げておるのでございますから、或いは早急適用いたしまして、一月から施行するようにするかどうか、そういう点も考えて見たいと思つております。即ちできるならば、現在すでに二月になつておりますけれども、一月分も本人に高いところで引渡し得るように場合によつてはしたい。併しこれはなおよく今後検討いたして実施したい、さよう考えております。
  17. 紅露みつ

    紅露みつ君 ではいずれにしても、今国会には提出になりますね。
  18. 磯田好祐

    政府委員磯田好祐君) 只今の点は、施行規則改正でできます。即ち大蔵省令実施できる問題でございまして、法律案としてこの国会に提案するということは、まだ考えておりません。なおこの問題につきまして、関係方面に行くものかどうか等の問題も残つておるかと思います。現在のところ、省令委任につきましては関係方面の事前の了解を得ないでよろしいということになつておりまするが、いろいろこれは非常にむずかしい問題でもありまするので、その間の事情もよく検討いたしまして、善処いたしたいと思つております。
  19. 内村清次

    内村清次君 この未復員者給與関係につきましては、先般引上げ国会で、議員提出といたしまして可決してまだ間もないことでありますが、地方に廻つて、これは世話課あたりにずつと廻つて、その状況につきまして聞いて見ますると、七百円の増額だけでも非常に喜んでおるよう状態ですが、併しやはり本質的には今少しの増額が欲しいのだ、それほどまでに一般留守宅生活困窮しておりますし、問題は、主として本人が帰つたときの本人更生資金として積立て置くべきものではありますが、とにかくもう少し引上げて欲しいというよう気持が横溢しておるよう状態ですが、この点について政府のほうにおきましても、これは何か給與の財源が見付からなくてはこの問題の解決は困難だ、而も又例年によつて見ると、或いはこの引揚対策費として残つた金の、残額の度合によつてだんだんこの問題が起つて来るというような傾向があるのですが、思い切つて政府のほうでは、もうこういう状況から今日やつて置くとかいうお考えはあるかどうか、その点を先ず第一に伺いたいと思います。
  20. 磯田好祐

    政府委員磯田好祐君) 一応未復員者留守家族かたがた、或いは未復員者立場に立つての御質問としては誠に御尤もであろうと思うのであります。併しこの未復員者給與につきましては、只今お話ように、先国会におきまして、これを引上げるということにつきましても、非常にむずかしい問題がいろいろあつたわけでございまして、その実施後間もない現在の段階におきまして、又々それを引上げるということは、果して現在の段階において実行できるや否やは、相当疑問があると思います。従いましてこの問題につきましては、政府部内におきまして、勿論御意見として十分拝聽いたしまして、研究はして見たいと思うのでございますが、近い機会においてこの額を更に改訂するということは、極めて困難なことではないか、かよう考えておるのであります。
  21. 内村清次

    内村清次君 先般熊本の世話課に参りましたときに、未復員者留守宅渡し、これが現在、十二月末ですが、受給者が千八十五名の中で、未復員者の総数の約四八%だけが留守宅渡しになつておるというよう状態ですが、これは即ち全国的な統計といたしますと、どういうパーセンテージに上つておるか、この点お調べになつておりますか、どうか。
  22. 磯田好祐

    政府委員磯田好祐君) この未復員者給與法は、大蔵省所管法律になつておるのでございますが、この実施の権限は復員局においておやりになつておられるのでございます、只今の件につきまして、私どもといたしましても、法律所管省立場において当然これを調査して置くべきでありますが、只今手許資料を持ち合わせておりません。従いまして厚生省のほうによく話しまして、或いは厚生省のかたに御答弁いたさせますか、或いは厚生省から資料提出を頂きまして、私どものほうから答弁いたしますか、然るべく処置いたします。
  23. 内村清次

    内村清次君 まあその資料一つ欲しいのが一点ですが、それから特別未帰還者給與も、今回の給與改正と同時にまあ準ぜられたわけですが、これ又その留任宅渡しが、現在九十四名の者に対しまして僅か七%に過ぎないという状態ですね。この七%の状態が、これをこう総括的に観察して見ますると、先ほどから問題になつておりまするように、一般邦人のこのいわゆる未帰還者に対しましての給與の適用に対しまして、非常に制限を受けて、この問題が今後は一番痛切に考えておられるようですが、私も、世話課のほうにおいては、法の精神を成るだけ一つ広く拡大して適用してもらいたいということを希望しては置きましたのですが、こういうよう一般邦人に対する考え方、この考え方がもう先ほど施行規則改正に当りましても、特に困窮をしておる家族だというような点を、その一つの特例として認めるというような、そういうことでなくして、直接その受給対象になつている家族に対しては、これは親であれば皆適用するのだというような、敷衍的な考え方であなたのほうで改正に当つてもらわないと、これが末端に行つて見ますと、この問題が一番大きな問題なんです。この点に対しましては私は希望もしたいのですが、あなたがたの考えをもう一度披瀝しておいて頂きたいと思います。
  24. 紅露みつ

    紅露みつ君 関連して、今内村委員からお話がありましたように、私も今それを考えておるところなんでございますが、御承知よう困窮者と制定するためには、相当のこれはむずかしい條件であるわけですね。そうして折角留守宅渡しをしてくれるということになりましても、これはもう留守になつている人は、いずれにしても働き盛りの人であつて、そうしてその留守家庭というものはおおむね豊かでない。これはもう断定してもいいくらい、豊かな人は僅かなんじやないかと思うんですね。困窮者としての判定ということは、これはなかなか容易なことでないんですから、この限定は一つつて頂きたいと考えているところなんです。それについて磯田課長は、どうお考えでございますか。そこまで拡げて、今あすこで言われるよう一つ法精神をしつかりつかむ、こういう考え方で是非そうして頂きたいと思うの  でございます。
  25. 磯田好祐

    政府委員磯田好祐君) 只今指摘になりました点につきましては、政府部内におきましてもいろいろと意見のあるところでございまして、生計維持が著しく困難であるという判定基準をどこに置くかというような点が、実施上におきまして直ちに問題になることは、これは明らかな問題でございます。その場合におきまして、政府としてその認定の基準を如何に定めるかという問題を、勿論十分愼重にこの点につきましては研究いたしまして設定するつもりでいたのでございますが、只今お話ように、この生計が著して困難である場合というのを除いて、これを直系尊属の場合には皆拡げたらいいんじやないかという意見が、政府部内にもあるのでございます。ただ先ほども話しましたように、まあ豊かな家庭におきまして、生計の実際に困難を来さないというようなお宅におきましては、法の本来の建前から申しますると、飽くまでも本人渡しにするという建前になつておる、本人渡しにするということは、その本人が帰還した場合におきまして、その更生資金なり何なりに当て得るように、飽くまでも本人のためにこの金は使うというのが、法の本来の趣旨になつておりますので、生計がさして支障を来たさないというような場合におきまして、本人に渡すべき金を留守宅に渡す、そうしてそれを費消してしまうということが、果して本人の意図に合致するものなりや否や。まあそういう点につきましていろいろ検討いたしました結果、先ほど話しましたように、生計に困難を来たす場合というふうに一応限定して見ておるわけであります。まあこの点につきましては、これは政府部内におきましても、先ほども話しましたよう意見があるところなんで、いろいろと問題があるだろうと思うのでございますが、今の考え方では、政府といたしましては、本人のためにできるだけの措置をいたしたい。これを本人が帰るまでに使つてしまうと、或いは本人が帰つて来て文句を言うことがあるのじやないか。そういうことも恐れているわけでございます。そういうわけで現在のところにおきまして、生計維持が困難であるというよう基準を設けておりますが、その基準を設定いたします場合に、或いは生活保護費基準以上に甘くする、そういう点においてまだまだ余地はあると思うのであります。でこれを勿論、非常に豊かな人に渡す必要は私はないのじやないかと思つております。政府としては、ないのではないか、かよう考えておるわけでございます。そういう点につきまして、なお勿論政府部内におきましても、検討いたして見たいと思うのでございますが、まあ何らかの形において生計維持が困難だというよう基準を設けておつたほうが、本人のためにいいのではないかと、かように思つておる次第でございます。
  26. 紅露みつ

    紅露みつ君 一応その御心配を頂いていることは、まあ私どももよくそこまでお気を付けて頂いていると思つて感謝はいたしますけれどもちよつと腑に落ちないことは、豊かな家庭留守宅渡しをして、或いは使つてしまうというようなことがあつては、折角帰つて来たのに何もないということは困るというような御心配は、それはないのじやないでしようか。豊かな家庭でございますなら、その留守になつている子供のために、或いは主人のために、来たものを使い果して、引揚げたときにどうすることもできないなんという、そんなむごいことは私はせんと思う。それを貯めて置くだろうと思う。それからそういうよう家庭が、まあ繰返してですけれども、そういうような豊かな家庭は、殆んどないのじやないでしようか。そういう状態はどのくらいの割になつておるか、勿論まだ調査は進んでいらつしやらないのだと思うのですが、仮に豊かというほどでなくて、而も困窮者という判定を受けない、その途中にある家庭だとして、御心配通り使つてしまつたといたしますね、使つてしまつたといたしましても、私は親子の間でまあ親を殺す、子を殺すというようなそういう非常に稀有な例もないではございませんけれども、こういうものは特に取り立てて考えることはないのだと思いまするので、むしろ子としても、長い間そのために親がそれを使つて生活がどうにかできてたということには、その帰還者も引揚者も満足するのではないでしようか。私はそんなにその家族を、そういうふうな目で御覧になる必要はないのじやないかと思いますが、それはもう少しそうしたその局限を取つてしまつて頂いたほうがいいと思うのでございますがね、そこまで行かないと。……それからこれは、どこに基準を置いて困窮者と認定するかということになると、別に考えて見ると、生活困窮者生活保護法困窮者と二通りになつて来るのではないでしようか。困窮者というのは、生活保護法困窮者ということになると思いますが、あれは御承知通り随分面倒で、この頃は民生委員のほかに、町村役場がタツチするとか、なかなか面倒な手続がありますので、そうして見ると、どうしても留守宅渡しをするというよう気持を、もう少しおおらかに拡げて頂いて差支えないではないかと思います。是非これは進めて頂きたいと思います。そういう気持はあられますでしよう。(「答弁々々」と呼ぶ者あり、〕
  27. 磯田好祐

    政府委員磯田好祐君) 只今紅露委員から御意見の御開陳があつたのでございますが、この委員会において出ました意見をも十分参酌いたしまして、只今の点につきましては、よく検討をいたして見たいと思います。
  28. 千田正

    委員長千田正君) ほかに御質疑はございませんか。なければ次の議題に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 千田正

    委員長千田正君) それじや磯田課長には私からもお願いして置きますが、当委員会希望はそういうわけでありまして、できるだけ法の精神を活かして、むしろ直系尊属に全部渡されるような方法をとつてもらいたいという意向が強いのでございます。こういう点を十分に考慮して頂きたいと思います。
  30. 磯田好祐

    政府委員磯田好祐君) 承知いたしました。
  31. 森崎隆

    森崎隆君 ちよつと一つだけ……、丁度磯田さんがおられますからちよつとお聞きして置きます。くどい質問はいたしませんけれども磯田さんを中心といたしまして、まあ給與関係では、政府案はいつも上に厚く下に薄いのですが、この困窮者の、未帰還者の問題につきましては、今豊かな者はどうだとかこうだとか、それはあるといたしましても、五%か一〇%あるかないかと思うのですね。結局こういうことを規定しておるというのはおかしいのですね。こういうときには、一つ一般職給與の改訂に強引に出されました上に厚く下に薄いという、ああいう精神の角を取られまして、全部おしなべて一つ善処かたを願いたい。ちよつとその精神がこれは逆になつております。そういう点は言い逃れのための何か屁理窟ような気がしまして、私にはわからないのですが、一つ引揚の問題につきましてはもう少し肚を据えて、本当に未帰還者又はその遺家族かたがたの、悲しいとも何とも言いようのない実態に即応されまして御善処かたを願いたいと思います。これは私の希望でございます。
  32. 千田正

    委員長千田正君) では次の議題で、引揚促進に関する……。
  33. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 まだありますよ、今の未復員給與に関して。
  34. 千田正

    委員長千田正君) 大蔵省磯田給與課長に対してですね。只今議題となつておりますのは、未復員者給與法施行規則一部改正に関する問題であります。
  35. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それに関連して来るのですが、私はちつと出席が遅れたから、どなたに御返事が願えるか、三つお尋ねしたいのですが、一つは、この前私が聞いたときには、三十七万を基礎にしておられるように聞いたと思いますが、未復員者給與該当の数は、何を根拠にしておられるかということが一つ。それから最近の給與状況ですね、どのくらい実際出しておられるか、何人おられるか。それから第三としては、やられる、つまりこれから帰られなくても、出される場合には、どういう、どのくらいの人数のお見込かという点ですね。
  36. 磯田好祐

    政府委員磯田好祐君) 只今質問の点につきましては、これはこの法律実施は、厚生省のほうにおいて実施いたしておりまして、その実施状況は、厚生省当局から御答弁させたほうがいいと思います。本日は資料を持ち合せておりませんので、その御意向を御伝達いたして置きます。
  37. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 今の三つの質問に答弁のできる人は来ておられないのですか。
  38. 千田正

    委員長千田正君) 出席しておりません。改めて委員長からその意を通告して置きます。   —————————————
  39. 千田正

    委員長千田正君) それでは次の議題でありますところの、現在外地においてその当該国から戦犯者として抑留されておるところの邦人について、その留守家族から数回となく、日本内地に送還して頂いて、日本内地において服役さしてもらいたいという、誠に切切たる留任家族からの陳情、請願がたくさんありましたので、引揚促進に関する問題の一つとしまして、この外地服役中の戰犯者に対する日本内地送還かたを当該国に対してお願いするような問題を、当委員会としても取上げて、慎重に討議したいと思うのであります。つきましては外務省の連絡局吉村調査課長から、諸般の事情の御報告をお願いしたいと思います。
  40. 吉村又三郎

    ○説明員(吉村又三郎君) 今委員長の申されました、外地に抑留されております我がほうの戰犯者の内地服役の問題に関しましては、政府としましては過去五年間、極めて愼重にねばり強く、根気よく努力して参りまして、その結果、中国関係の戰犯者は、当時の蒋介石国民政府首班のイニシアテイブによりまして、先ず第一番に内地服役が実現したのであります。続きましてオランダ政府が、インドネシア地域にある戦犯者を内地へ送還しまして、巣鴨に抑留せられ服役することになりました。その次に実現したしましたのは、仏印地域における戰犯者が又内地服役を命ぜられまして、今日に至つたのであります。現在残つておりますのは、外地にはフイリピン、イギリスのシンガポール、マレー、それからビルマのラングーンにいる者と、それから濠洲のマヌス島というアドミラリテイ諸島の中の一つの小さな島にいるのとで、現在外地に戰犯者として抑留せられ、服役しております者は概数七百八十名前後であります。ソ連関係は、我々のほうと全然連絡も接触も持つておりませんので、私どものほうの事務の連絡外になつております。そこで戰犯者を内地に送還して、巣鴨拘置所でその刑期を服役するようにするということに関しまして、これは外地にある人々が内地へ帰れるという意味では、一つの引揚ではありますが、通常引揚委員会が本来の建前、本来の任務として考えられた引揚と、概念が異つている点をちよつと申上げて置きたいと思うのであります。と申しますのは、一般の在外邦人は、戰争終結と共に内地へ帰つて、平和的に暮すということを約束せられ、一つの権利として持つていたのでありますが、これら戰犯者は、英国なり濠洲なり、フイリピン政府の司法権の下に裁判せられ、有罪と宣告せられ、その刑務所に繋がれておるのでありまして、内地へ帰るという希望は、我々も全く同感であり同情するのみならず、過去五年間、足掛け六年間鋭意努力して実現した国もあるのですが、まだ実現しない国としてフイリピン関係、英国関係、濠洲関係が残つておるのであります。この関係におきます連合国総司令部の立場というのは、マツカーサー元帥の権限は、外地の戦犯者に及ばないのであります。これらフイリピン、イギリス、濠洲の諸国が、その主権に基いて国家権力として行いました戦犯裁判及びその結果生じた戦犯者の身分に関しましては、連合国総司令部は管轄権を持つていないのであります。従つて総司令部の立場は、これら戰犯の関係者及び日本政府希望を伝達して、関係国にその意のあるところをよく伝えて頂くという点にありまして、この陳情及び嘆願等は、逐一関係各国の主管者に伝達されておるのであります。第二の点は、連合国総司令部としましては、それでは関係各国のほうが日本側の希望を容れて、巣鴨へ移したいから、巣鴨を管理しておられるアメリカで引取つてくれるかという要求に対しましては、総司令部のほうは、いつでも引取つてよろしい、あなたのほうが異存がなければいつでも引取つてよろしい、こういう態度でありまして、総司令部といたしましては、それ以上突き進むことは、むしろ越権になる危険があるようであります。そこで我がほうの希望が、それではフイリピン政府、英国政府、濠洲政府におきまして、どういうふうに受取られておりますかと申しますと、大体イギリスもフイリピン政府も、日本側の希望を容れて内地へ帰して、家族にも会えるようにして、而も裁判によつて下された刑期を服役するという日本側の希望に応じてやろうということにおおむね内定しておるのであります。ただその時期の点は、機を見てやろう、こういうのであります。申すまでもなくこの戰犯関係の問題としましては、日本政府としては單純に希望を連絡し、伝達し得るのみでありまして、権利として要求し得る性質のものは何もないのであります。ここに本件の非常なむずかしさがあることを申上げたいと思うのであります。私の説明はこのくらいにしまして、御質問のあるかたに質問を頂きますなり、或いはよいサゼツシヨンがありましたらお教え願いたいと思います。
  41. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 もう一遍済みませんが繰返して、アドミラルテイというのを、約七百八十名……、それのちよつと場所をもう一遍繰返して……。
  42. 吉村又三郎

    ○説明員(吉村又三郎君) フイリピンはマニラであります。マニラに百二十八名おります。この百二十八名のうち、八名は近く帰つて参ります。これは帰つて参りますというのは、不起訴の人が五名と、戦犯ではないのでありますが、今まで逃げておりましたのが、投降して来た者が三名おりまして、それでその人がいわば捕虜でありますが、捕虜なんでしようね、投降して……、それが三名、で、このフイリピンの数字百二十八名は、すぐに百二十名に変ります。イギリス関係は、各地に刑務所がありますが、シンガポールのチヤンギーに十五名、オートラム刑務所に百三十九名、それからマレーのジヨホールバルに十名、クアラルンプールに三十四名、タイピンに十八名、ぺナンが十一名、北ボルネオのゼツセルトンに十三名、ビルマのラングーンに三十七名、ラングーンの刑務所は、御承知通りビルマですけれども、入つているのは、イギリスの裁判にかかつて刑を受けました戰犯者三十七名であります。それから香港の刑務所には、濠洲関係の戰犯者と英国関係の戰犯者と二つありまして、併せて七十五名おります。濠洲のマンストに二百九十七名、それから先ほど申しましたのは、内地向けに関連して申しましたのは、フランスで帰つて参りましたと、先ほど申しましたが、これは原則的に申したのでありまして、四名サイゴンに残つております。この四名は、死刑の判決を受けた人で、向うとしましては死刑判決を確認して死刑を執行するか、刑一等を減じて、それでほかに、仏印関係であるから帰すということになるのか、今そこのところは未定の状態であります。そうしますと、統計七百八十一名でございます。
  43. 千田正

    委員長千田正君) 只今の吉村調査課長に対しまして御質疑がございませんか。
  44. 紅露みつ

    紅露みつ君 只今御説明がありました各地共に、内諾は得られるようになつておるのでございますか、全部。
  45. 吉村又三郎

    ○説明員(吉村又三郎君) そうであります。
  46. 千田正

    委員長千田正君) 御質疑がなければ委員長から質問いたします。現在服役しておる外地の人たちに対して、例えばおのおのその国情によつてその取扱いかたは一定してないのじやないかと思いますので、その待遇に対する改善と申しますか、或いは寛容な態度を以て扱つてもらいたいというような面につきましては、日本政府当局としては、何かの形を通じて申込んでおりますか。
  47. 吉村又三郎

    ○説明員(吉村又三郎君) 待遇改善の問題は、非常にむずかしい問題でありまして、委員長の言われるように、確かに客観的に申しまして、地域によつて待遇が違うのであります。それは国柄が違うということもありましようけれども、同時にその刑務所を運営している人の考え方、思想、世界観、つまり個人差が相当に現われて来るのではないかと思うのであります。これに対しまして、できるだけ待遇をよくしてもらいたいということは、十分逆作用を起さないように気を付けながら申入れておるのでありまするが、これを成る程度以上に強くやりますると、不測の逆効果が生じやしないかということが、絶えず私たちの行動を制限するのであります。丁度高文の試験を受けるときに、試験委員の学説の反駁を書いて痛快がつても、試験が通らないようなものでありまして、甚だこれはむずかしい問題でありますけれども、国際赤十字委員会、或いは英国関係の思慮ある人々等、個人的なかたがた、民間の団体等との接触を保ちまして努力しております。
  48. 内村清次

    内村清次君 待遇問題はわかりましたが、先ほどお話では、このフイリピンのマニラから百二十人名が近く帰つて来るというようお話であつたのですが、話の中では、これは各国共に国家主権を以てやつて、マツカーサー元帥の、総司令部関係との即ち権限とは全然違つておるのだと、こういうようお話も承わつて見ますと、結局向うのほうからのこういう通信、或いは動靜の通知、こういう点を政府のほうでは、ただ承わつておるという、そうして向うの動靜を知るというようなことだけですか。或いは待遇問題については、先ほど非常に困難だというようなことで、こちらから余りやつていないというようお話を聞いて見ますと、向うから知らせて来るのだというようなことだけでこの問題が置かれておるか、どうかですね。
  49. 吉村又三郎

    ○説明員(吉村又三郎君) この問題に関しましても、先ほど抽象的に申上げましたので、或は御了解を得て頂けないかも知れませんけれども、種々の方法で、勿論総司令部を含んで連絡し、努力しておりますが、秘密会なら……、この席ではちよつと徴妙な段階でありまするから、この程度にお許しを願いたいと思います。
  50. 内村清次

    内村清次君 更にマニラからの帰還ですね、これははつきり近く帰つて来ると、その時期は余りはつきりしたところは言われないが、とにかく近く帰つて来るのだという確報だけはあるわけですね。
  51. 吉村又三郎

    ○説明員(吉村又三郎君) 先ほど申しましたのは、これらの諸国が、只今日本側の希望もよくわかるから、実現してやろうというところにおおむね固まつたと申上げました。ただマニラの関係で、初め帰つて来ると言いましたのは、それは不起訴になつた五名と、逃げておつた者が投降した三名、これは帰る権利があるわけですから、今すぐ一週間か二週間以内にマニラに寄るアメリカの船で帰つて参ります。その費用は、日本政府が今ドルで拂うように交渉して、大体それは技術的な問題ですから解決します。大筋の問題としましては、おおむね向うが了承して、今まで反対していたのが、そういう反対がなくなつて来た、こういう程度であります。
  52. 千田正

    委員長千田正君) 別に御質疑もなければ、次の議題に進みたいと思いますが、如何でございますか、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 千田正

    委員長千田正君) では改めて又伺う機会があれば伺いたいと思います。   —————————————
  54. 千田正

    委員長千田正君) では引続きまして在外公館借上金の問題に関しまして、今大蔵省理財局の酒井次長が見えております。この在外公館借上金の問題は、前国会におきましても、当委員会におきまして各位から非常に熱心なる御討議があり、又皆様の御推輓によつて私が緊急質問したのでありますが、その後の進捗状況並びに今後の政府のこれを実施する意図の如何という問題は、非常に全国民の、この引揚関係の人々が待望しておることでありますので、ここに当局の酒井理財局次長並びに吉田課長のお二人から十分に一つ御報告をお願いして、皆さんの忌憚ない御質問を願いたいと思います。
  55. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 只今委員長からお話がありました通りに、前の国会のこの委員会におきまして、いろいろ御意見がございまして、又本会議におきまして千田委員長から御発言がございまして、それらの点を十分我々参酌いたしまして、その後政府といたしまして在外公館等の借上金法律に基きまして、国の債務として外務大臣がすでに今日までに確認いたしましたもの及び今後確認いたします借上金は、是非昭和二十六年度中に返済を開始したいと、こういう考えの下に準備に着手いたしております。それで二十六年度中に借上金を返済するということにつきましては、近くいろいろ準備の関係で法律案国会提出いたしたいと思いますが、その法律案の中で、政府は二十六年度中にこの支拂を開始するようにいたしたいと考えております。ただ二十六年度中に返済を開始するのでありますが、この返済の問題につきましては、従来しばしば御意見もございましたし、私からもこの委員会で申上げましたように、詳価の問題、支拂の問題、或いは一般の財政負担の問題といつたような点になお若干の準備を要しますので、今直ちにこれが支拂を開始するという段階には参らないのででありますが、少くとも二十六年度中には必ず返済を開始するということにいたしまして、それらの返済いたしまするのに必要な準備をいたしますための法律案を、近いうちに国会提出いたしたいという段階に参つておりますことを、ここに簡單に御報告申上げて置きます。
  56. 千田正

    委員長千田正君) 只今酒井理財局次長からの御報告のある通りでありますが、各位から十分に御忌憚のない御質問を願つて、近く法案が出るとするならば、それに対しての委員会としての意向も十分に申入れて置きたいと思いますので、御忌憚のない意見を拝聴したいと思います。
  57. 内村清次

    内村清次君 只今政府委員お話で、この問題も一つの進展が見えたように感じたわけですが、ただ二十六年度中にこの一部の返済を開始するということになつておりますると、これは予算関係もありましよう、勿論先ほど言われたように準備の関係が必要でありましようが、問題は予算ですね。これをどれくらい獲得されておるか、この点一つ明らかにして頂きたいと思います。  それから第二は、準備、これも勿論必要でしようが、大筋といたしまして、委員会ようなものを設けて、対レート問題を解決して行くということも必要と思いますが、政府の構想されておるようなこと、これを一応御説明を願いたい。
  58. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 只今質問のございました予算の点でございますが、先ほど申しましたように、評価の問題、支拂方法等の問題が固まりませんと、はつきりしないところがございますが、なお現在確認を実行中でございまして、或る程度確認事務が進みまして、大体の推定ができるところへ参りませんと、なかなか予算の総額がどれだけという推定を下すことがむつかしいのでございますが、少くとも只今申上げました準備に関しまして、これは第二の御質問に関連するわけでありますが、評価の問題等を扱います何か委員会ようなものを作りまして、その委員会等の結論を参酌いたしまして、所要の額を二十六年度中に確保する、こういうことに相成ると思うのでありまして、今のところどのくらい予算がかかるか、又出せるかというような見当までは付いておりません。
  59. 内村清次

    内村清次君 先ほどちよつと喜ばせて置いて、それをすぐ引込ませたような感じがいたしますが、問題は確認も、これは御承知のごとく二万七千件くらいですかね。こういうふうで、先ず前提となるのはこの確認の問題でしよう。これがまあ二十万件の中に僅かに二万件くらいしかないとういうようなことで、一体確認の即ち促進をどういうふうにこれは処理されているか。この点は強くこの前の予算委員会でも私は吉田総理にも質問申上げまして、一つ予算の増額の問題も痛切に要求いたしておつたわけですが、その点が一体どれくらいの予算増額になつてつて、そうしてどういうふうな促進の見込みがあるかということが先ず一つお聞きしたいのと、それから予算費目の中で、これは二十六年度予算は出ておるのでありますからして、勿論あなたのおつしやるように大体換算をやつて、総額がどれくらい要るんだと、而も又確定をされておるところの件数に対しての額でさえもこれくらいだから、これだけは今年中に支拂つて行こうというような、確認されただけの問題を、何か予算をどの項目から出してやつて行かれるのか知りませんが、どういう予算の即ち枠の中から考えておられるかどうか。併しもう本年中から予算を出して行こうというような御説明もあつておりますならば、一体本年はどれくらいの予算が大体省内においても了解を得ておるのだというような、額ぐらいはわかつておると思いますが、その点一つ。三つの点を説明して頂きたい。
  60. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 第一の御質問のございました、委員会でどうして促進をして行くかという問題につきましては、これは主として外務省のほうの主管でございますので、私からちよつとお答えを差し控えさせて頂きたいと存じます。できるだけ促進するということを、外務省の係官のかたから伺つております。  それから第二に、予算のことでございますが、これは大体借上金返済のためにどのくらい必要だというめどが付きましたときに、改めてこれに関する経費予算を、まあこれは流用になりますか、或いは補正ということになりますか、ともかく必要な経費予算を二十六年度中に国会提出いたしまして、御承認を得て支拂いをして参りたいというつもりでおります。従いまして現在大体どれくらいならよかろうかというようなことは、まだ我々も持つておりませんので、何か今後法律案を御承認願いまして、委員会ようなものを設けて、そこで評価その他のことがきまりましてから、大体どのくらいかかるんだろうという見当を付けて、経費予算を組んで国会の御承認を得たい、こういうふうな考えでおります。
  61. 内村清次

    内村清次君 答弁にまだ聞かなかつたところは、この委員会の、いわゆる支拂方法の法律、この要綱ですね。こういう点について政府考えておられることがあつたならば発表して頂きたいということを、私さつき申上げたのですが。
  62. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 支拂方法等につきましては、これは評価の問題その他一連の問題と関連いたしまして種種検討を要しますので、今後委員会におけるレートの問題その他がはつきりし、そうして又確認が済みまして、大体全貌が推定できるような時期に至りました場合に、支拂方法も同時にそれと並行して進めたいと、その結論も参酌しながら進めたいと考えておりまして、現在はまだ支拂方法をどうするかという具体的な案まではまとまつておりません。ただそういう準備をいたしますための法案を近く出したいという段階でございます。
  63. 紅露みつ

    紅露みつ君 これは今更取り立てて言うまでもないのですが、本委員会は、全くこれは特に超党派的な意味からでありまして、酒井次長にもこれまでたびたび御出席願つて、そうしてこれは御協議申上げるというようなつもりで、いろいろこれは御心配頂いておることなんです。でそういうよう建前からこの前の国会、第九国会でございましようね。今おつしやるその成案ができましたら、一応私どもこの委員会に御提示を願いたいということを御約束申上げたように思つておりますので、無論お忘れなくやつて下さることとは存じますが、この際一つ確認をして置いて頂きまして、そうしてよく御相談申上げて、と申しますのは、ほかの委員会に廻るというようなことになりますと全く私ども気持と離れた、本当に数字の上の扱いというようなことにもなりかねないと思いますので、これはよく次長もお含み置き頂いておると思いますが、どうぞそういうことにこの際確認をして頂きます。成案ができましたら、この委員会で発言さして頂いて、御相談を申上げて、正式に国会提出して頂く、どうぞそういうことに御確認を願つて置きます。
  64. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 只今御要求のありました通り法律案ができましたならば、一応こちらへお諮りすると申しますが、御相談に伺うことにいたします。
  65. 紅露みつ

    紅露みつ君 もう一つ念を押してお願いして置きたいと思いますことは、成案が全くできてしまいまして、国会に今提出しますというような間際に拝見したのでは、それは何ともいたしかたございませんので、そこはお含み置き頂きまして、十分弾力のあるような行きかたに、時間的にもそこのところを余裕を持つてお示しを頂くようにお願いして置きます。
  66. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 どうして遅れるのですか、確認が非常にむずかしいのですか。
  67. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 御承知ように確認自体もまだ進んでおりません。それから支拂自体が、これは前々から申上げております通りいろいろ評価の問題でございますとか、或いは財政上の問題でございますとか、関連するところが非常に多うございまして、むずかしい問題を含んでおります。とにかく公平に事を処理するということと同時に、これはやはり国民の税金を以て、国民の負担を以てお返しして行くということに相成りまするので、そこで十分愼重な研究を要するということで、準備段階一つつてから、支拂に関する法律案提出するようにいたしたい、こういう次第でございます。
  68. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私のお尋ねしておるのは、つまり実際技術的に確認がむずかしいために停滞しておるのか、もうすでに確認されておるものがこれこれある、ところがその支拂の予算措置が困難であるのが、それを量的に御説明願いたい。
  69. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 先ほど申上げましたように確認自体も相当技術的に困難はあると思つております。
  70. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 数字的に何件……。
  71. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) お話のありましたように、私もはつきりした数字は記憶しておりませんが、それは全体で約二十万九千件でございまして、そのうち確認がつきましたのが二万四千件でございます。この二十万件というものを、これは各地の借入主体別に調べておりますが、実際に確認書は一件一件申請書を調べて、確かかどうかというようなことを調査の上で、確認書を渡しますので、非常な手数がかかるということを伺つております。
  72. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 二万四千件は直ちに支拂われる業務があるのじやないか。確認済みだつたら直ちに拂われるのがもう当然のことじやないですか。
  73. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 確認に関する法律におきまして、この確認というのは将来法律で定めるところに従い、且つ予算の範囲内で支拂いをする債務として確認をするというふうにございまして、予算と支拂の法律を伴わなければ直ちに支拂ということになつておりません。
  74. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 その根拠は法律ですか。
  75. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 法律でございます。
  76. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 いつの頃制定された法律ですか。
  77. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) これは昭和二十四年の六月一日に法律第百七十三号として制定されております。在外公館等借入整理準備審査会法という法律の第一條第二項にそのことが規定してございます。
  78. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 法律の何号とおつしやいましたか。
  79. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 昭和二十四年六月一日の法律第百七十三号です。
  80. 曾禰益

    ○曾祢益君 この前からもうしばしば本員も政府希望しておつたのですが、一つ確認事務を非常にスピード・アツプしてもらいたい。これがためには当然の予算措置を講じ人員も増員し、これはまあ直接には外務省所管でしようが……。それから今一つは換算率の問題は私しばしば言いましたようにむずかしいむずかしいと言つて延ばしておることはできないので、結局は合理的な、拂う問題である。その点でいつまでもただ遷延に遷延をすることは適当でない。それから第三の理由は少くとも吉田総理の御見解によれば今年中には講和條約ができる。これはまあいろいろの方面からそういうふうな見方があると思います。然るに講和集約ができて、在外資産の補償の問題というようなことも当然起るとして、それとは切離して講和前にこの問題を処理すべきである。若し講和の準備ということから言えば、当然在外資産の補償の換算のレート等についてもそろそろ政府としては心がまえができていなければならん。而もそれに先行すべき借入金の問題をいつまでもきめかねる。きめるに当つて委員会をお作りになつても結構ですが、委員会をどういうふうに作り、それで今国会に速かにさよう委員会の構想、換算レートに関する肚がまえに関する法案を速かに出す。出す前に当つては、当然にこれは果して議員提出になるかどうか分らないのであるから、事務当局で案ができたら一つこの委員会に、今紅露委員が言われたように、先ず御相談になる。問題はそこに来ているのです。でありまするから、質問の形で申上げれば、委員会の構成ならびに換算レートに関する法案の骨子をいつ頃お出しになるか。希望としては本国会といいましても、御存じのように恐らく四月には休会になるのじやないかと思うのです。そういたしますれば、この重要性のある問題だから、例えば今月の半ばまでに出すとか、明確な肚をきめて頂かなければならないことを申上げる。
  81. 吉田信邦

    ○説明員(吉田信邦君) 只今曾祢委員から話がありましたが、私どもも全く同感でございます。目下委員のお話よう気持で努力いたしております。で、只今お話がございましたように、償還の問題を考えますればきりのない問題でございます。併しながらこの支拂いの問題も迅速に処理したい。又この処理等に当つてはやはり万人が納得するということは大袈裟かも知れませんが、まあこの程度で我慢するよりしようがないと申しますか、何しろ外地のことでございますので、正確なことは我々には容易にわかりませんが、それでもまあまあこれならばという、そういう意味におきまして、結局我々役人だけ幾ら智慧をしぼつてもできるものではなく、むしろ現実に外地においでになつたそれらのかたがたで、そういつた通貨の問題、或いは貨幣価値の問題というようなことについて御造詣の深いかたがたにお集り頂きまして、それでそれはまあむしろ政治的な委員会という種類のものよりも、技術的な性質のエキスパートの集られた委員会というようなものを、できれば包括的な地域別に分科会的に作りまして、そうして全体的にどういうふうに評価するかということを最後にきめるというような形の委員会ができることが望ましい。こういうふうに考えておりまして、そういつたラインで今案を考えております。先ほど次長からお話がございましたように、支拂いの方法というような点につきましては、これは何といたしましても、評価がきまつて、総額で單純にはじき出したら何億円になるかという数字が出て見ませんと、判断が極めて困難ですが、例えば現在の通貨で何億元見当という評価になつておりましても、これは向う自身で物価の変動が激しい、貨幣の価値の下落も激しいのですから、円に評価して見たら何百万なり、考えようによれば何十万に、何万円に過ぎないということもあり得るのでございます。そういつた数字が確定いたしませんと、判断が変つて参ります。即ち何百万円とかいうようなことであつたならば、直ちに全額を拂うのがいいのかどうかということは相当考慮の余地がある問題でございますから、又極めて零細な金額であるとすればできだけ速かに支拂うべきではないかというような判断も下すことができる。従つてできれば今国会にそういつた詳細なものをお出しすべきであるかと思うのでありますが、今申したように評価の問題がきまりませんと、そういつた具体的な支拂い方法の問題についても判断がつかないし、予算も編成できないという点もございますので、今国会にはそういつた評価の委員会を如何なる形で構成するかという具体的な問題とか、同時に又政府としては二十六年度中に支拂いを開始するその場合に、具体的にはいろいろ予算の捻出とか、いろいろな問題がございましようが、何とかして支拂いを開始するという段取り、又そういつた支拂いに際して如何なる精神を以て当るかというような事項を規定する法律案を作りたいと考えております。で大体私どもとしましては、内容はそう複雑なものではありません。最近御承知ように、次長がお話なつような事項が一月の下旬に閣議で決定いたしておりまして、それに基きまして私どもも立案を開始いたしておる次第でございますので、できれば今月中に提案ができるような措置を講じたいというふうに努力いたしておりますので、それよりも早期に御相談にお待ちすることができると考えております。
  82. 曾禰益

    ○曾祢益君 大体の構想はよくわかりました。そこで希望としては、評価に関する委員会の法案は今月中に出す、恐らくできればその次というのですけれども、本国会の末期の、五月の初めくらいには評価委員会結論において到達して、支拂いに関する法案を出すようにしないと、万一講和條約が先にできちやつたら、これは実に政府としても国会としても申訳ない。そのくらいのスピードで考えてもらいたい。
  83. 千田正

    委員長千田正君) 他に御質問はございませんか……。委員長から一つお尋ねしますが、さつき外債課長のお話によるというと、レートその他を慎重に考えなければならない。ところが我我、私も外地にいた人間であります。現在の総理大臣である吉田さんの訓令によつて外地はすでにその当時のレートをきめた。引揚者の側からいえば、引揚げて来た当時政府が実行してくれれば、何も文句はない。ところが今日五年、六年経つてレートを今更云々されるということは、引揚者の側からみれば、非常な忿懣を持たざるを得ない。ということはどれだけの当時のいわゆる動乱に際して、終戰のどさくさに対する当時の物価、或いは予算の状況によつて今度はいわゆるレートを定めるというのですが、然らば引揚げて来た連中は今までの五カ年の間のこのインフレに対する、或いはその間にあらゆる苦難を経て、なお返さないという問題に対して引揚者側のことについてはちつとも考えておらない、政府考え方は……。例えば引揚げて来た当時一万円返さるべきものは、その当時の一万円であつたならばバラツクの或いは四坪か三坪くらい建てただろう。今日一万円もらつても一カ月の生活費にも足らない。そういう引揚者の立場に立つた側から考えますというと、非常に政府のやり方というものは緩慢にして一方的である。こういう忿懣がある。委員長の手許にも毎日のようにこうやつて請願が出ております。でありまするから一日も早くこの問題を解決して上げないというと、政府の不信ばかりでなく国会立場からしましても我々議員は何をしているかという声が非常に強くなつておりますので、早急にこの問題は解決して頂きたい。同時に只今の曾祢委員からの御要望のように、レートをきめるならきめる委員会を一日も早く作つて、そうしてこの支拂を開始するように、少くとも講和会議の予備会議が始まる前に、この問題は解決するよう委員長政府に対して要望いたします。
  84. 千田正

    委員長千田正君) 別に御質疑もなければ次の議題に移りたいと思います。次に遺族及び傷い者に関する問題でありまするが、只今厚生省の社会局長が厚生委員会に出席して、今答弁中でありますので、暫時お待ちを願います。その間在外資産に関する問題で只今来朝されておるところのダレス特使に対して衆議院並びに参議院の特別委員会からこの講和会議が開始されるに際して、在外資産の善処方を要請したらどうか、すべきであるかどうかという問題が過般委員長、理事打合せの会の議題なつたのであります。この点を如何にやつたほうがよろしいか、皆さんにお諮りいたしますが、若しも皆さんの御意向がそうすべきであるというならば、衆議院の委員長と協議の上で、然るべき方法をもつてお願いする段取りを作りたいと思います。そういうことを行き過ぎたことである。或いは今やるべき段階でないとするならば、これは又これで別個に将来愼重に考えなければならない。この点をダレス特使の来朝に関しまして当委員会としては何か懇請する問題があるとすれば、その点についてお諮りするわけであります。
  85. 紅露みつ

    紅露みつ君 衆議院のほうではこれについて何らかの御計画があるように聞いておりましたけれども委員長にはまだ何の御連絡もございませんか。そして又お聞き及びになつていることもございませんでしようか。
  86. 千田正

    委員長千田正君) 委員長のところには衆議院の若林委員長から、できればこの問題を取上げてダレス特使に対して面会を申入れて懇請したい。衆参両方の引揚に関する特別委員会から、国民の意向を汲んで、講和会議に際してはこの問題を善処してもらいたいということを申入れたいという意向がありました。その点についてお諮りをするわけでございます。これが又外務省に長くおられました曾祢委員のように、外交関係について御造詣の深いかたにも、こういうことがいいかどうか、いろいろデリケートな状況にある現在でありまするから、こういう点もできるだけ我々は動くとするならば、プラスになる動き方をしたい。そういう点について、皆様の御腹蔵のない御意見を伺つて置きたい。
  87. 曾禰益

    ○曾祢益君 私は皆さんの御意見が合致すれば、善処というか、好意的考慮を促すということは決して惡いことではない、かように思つております。ただアメリカのほうは大体伝えられた七原則という中にも、賠償のほうは大体打切り、在外資産のほうは、まあその一部として、これは前からの連合国側の話合いによつて賠償に繰入れるという方針であろうということはこれはわかつている。そこで好意的考慮といいますが、善処ということの意味みたいになるのですが、まあそれをそれ以上詳しく言われるのか、日本人に返還してくれと言つたら恐らくこれは日本政府から補償するというふうに考えておるのがまあ多くの連合国の考え方だろう。そこら辺になりますると、なかなか機微な点がある。極めてまるい言葉で、非常に関心を持つているから、好意的考慮を願いたい。民間財産なんだからということなら、これはどなたも大体御異存ないことじやないか。そういう意味において私一個といたしましては異存がない。ダレス氏がいいのか、或いは従来引揚委員会としては、主としてシーボルト氏にお願いしておつた関係もありますが、そこら辺については両委員長が、仮にそういうことをされるという場合には、外務当局とお打合せの上に、然るべくお取計らい願いたい、かような程度に考えております。
  88. 紅露みつ

    紅露みつ君 暫く速記を……。
  89. 千田正

    委員長千田正君) それでは速記をちよつと休んで下さい。    〔速記中止〕
  90. 千田正

    委員長千田正君) それじや速記をつけて下さい。
  91. 紅露みつ

    紅露みつ君 今のダレス特使に要望するというその外地資産の問題につきましては、衆議院のほうの進め方をも参考にする必要もありますし、それでこれは委員長が連絡をとつて、そして適当に進める。勿論又御相談を頂くことでしようが、そういうことに、委員長一任という形に只今したら如何かと存じますので、動議を提出します。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  92. 千田正

    委員長千田正君) 只今紅露委員からダレス特使に対する要望、懇請ですか、こういう問題については、衆議院と十分に打合せて愼重に行動するようにというお話でありますから、十分その点を含みまして善処したいと存じます。
  93. 千田正

    委員長千田正君) 続いて実はこの前の委員会におきまして、未帰還同胞の引揚促進並びに実体調査に関し、国際連合に謝意を表明することに関する決議案、この問題が取上げられて、共産党の兼岩委員からは留保、その他の委員からは賛成という意見がありまして、案文を一応作りまして只今お手許に差上げてあります。でこの案文を一応読上げますから、若し御訂正の点その他がありましたら、御遠慮なく御意見を拜聴したいと思います。且つ又この問題を即急にというわけには行きそうもありません。というのは来週の七日あたりまでは本会議は或いは都合上開かれないかも知れませんので、慎重にこの問題を運営委員会にかけるにしても、後になるので、この決議案に関しましてはできるだけ衆議院と同調しまして、同一の日にやりたいという皆さんの御意向もあります。一応決議案の草案を読みます。    未帰還同胞の引揚促進並びに実体調査に関し国際連合に謝意を表明することに関する決議(草案)   未帰還同胞の引揚に関する諸問題の解決に対し、連合国から終始変らざる好意が示されていることは全国民ひとしく感謝しているところである。   さきに第七回国会において「未帰還同胞の引揚促進並びに実体調査等を国際連合を通じて行うことを懇請する決議」が議決されるや連合国軍総司令部は直ちにその趣を国際連合に伝達せられ、又わが国民代表三名が国際連合における審議に、オブザーバーとして出席を許されたことについては特に深く感銘したところである。   然るところ、国際連合第五総会において、未帰還者処理に関する特別委員会の設置が決議され、人道上の見地から問題を広く国際的に解決しようとする努力を示され、日本国民は国際連合の好意に対し衷心より感謝すると共にこの特別委員会の活動に絶大の期待をかけている。   本院は国民を代表し、国際連合の従来の努力に対し深甚の感謝を捧げ、更に未帰還同胞及び抑留中死亡した者についての今後の調査並びに残留者の帰還が一日も速やかに完了することを念願して止まない。   ここに院議を以つて国際連合総会に対し深甚なる謝意を表明する。  右決議する。  これは以上草案でございます。皆さんから又適当なる御意見或いは御修正がありますれば伺つて置きまして、機会を見て運営委員会にかけていたしたいと思います。
  94. 内村清次

    内村清次君 どうですか。この草案は又一応各委員におきましても、これを検討いたしまして、そうしてまあ次の委員会におきまして修正するところがあれば、或いは又附け加えたいというところを持寄りまして決定するということにいたしたら如何でございますかね。そういきませんか。
  95. 千田正

    委員長千田正君) そういうわけではありません。今内村委員からこの草案を一応次の会までに検討して、或いは修正追加する個所があればお互いに意見を交換して修正をしたいという、こういう御要望がございますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 曾禰益

    ○曾祢益君 勿論それに異議はありませんが、大体衆議院と一緒にするわけですね。これはまあ大体こういう趣旨のものを委員長にお任せして両院の委員長で協請して頂いて案を作るというふうでは内村さんの御意向とどうですか。もう一遍諮つて頂くと結構です。大体進め方としては両院のほうに協議して頂いたらどうですか。この動議をいたします。
  97. 千田正

    委員長千田正君) 只今内村さんの御意向と曾祢さんの御意向もありますので、この草案と衆議院のほうの草案を十分に案を練りまして、又皆さんの御意見がありましたならば、織り込んで頂いて、委員長若しくは青木調査員の手許まで申込んで下されば、なお衆議院のほうと折衝して見たいと思います。一応この案だけを皆さんに差上げて置きます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 これは問題が非常に国際的な関係で愼重を要するので私どもの態度を留保したままになつておりますが、それにつきまして委員長にお尋ねしたいのは、オブザーバーのかたがたがどんなものを持つて行かれたかということを知つて、それとの関連性においてこの決議の内容を見ないといけないと思うのですが、資料はオブザーバーのほうから出されておりますかどうか。或いは御存じならばどういう点を具体的な内容として……。
  99. 千田正

    委員長千田正君) 委員長の手許には資料提出されてはおりません。先般中山マサ氏から御報告になつ通りであります。そこで先般兼岩委員から中山マサ氏の数字の問題についていろいろ御質疑があつたようであります。そこで数字の問題は、私自身は数字の問題とは別個に、この国際連合は一応とにかく各国の、世界如何なる国においてもこの抑留者という問題を十分に調査しようということに感謝をするということでありまして、私はその点でこの感謝決議には賛成したわけであります。今のあなたの御質問の詳細なる、いわゆる当時三人が行つたときの書類とか或いは資料というものは出ておりませんし、又向うでもオブザーヴアーとして何ら発言をしておらないのであります。問題は発言を許されておらなかつたと同時に、ただ要は帰らざるところの抑留者を世界如何なる所におる抑留者であつても還して欲しいこと。それから死亡した人の氏名を発表して欲しいことに終始したようでありまして、詳しい資料というものは当委員会においても、又委員長或いはその他の委員も恐らくそんなことはお知りにならないだろうと思います。ただ問題は人道と正義の上に立脚して、世界如何なる国にあつても、日本の同胞を一人でも多く生き残つておるならば還してもらいたい、死んでおるならば氏名を発表してもらいたいということに盡きておると思うのでありますので、私はこれに賛意を表したのであります。
  100. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それは一つだけのことを全体の運動から切り離して、言葉だけで言うとあなたのおつしやるようなことになるのですが、ものは全体として観察しなければならんので、私どもはやはりずつと考え続けて、この運動の今までの経過並びに今後の発展という観点に立たなければならんと思いまして、それでこの間衆議院からおいでになりましたけれども、どうも明らかでなかつたんです。何も出さないものを取上げてくれるわけはないのですから、だから一応形は未帰還同胞の、第七回国会の懇請の決議が一つの基礎になつておると思います。これはもう当然のことです。その抽象的な懇請の決議に対する具体的なものを公式にその委員会に出されないにしても、何かオブザーバーとして出されておると思います。子供の使いではないと思う。その点は一つ委員長において明らかにして御呈示願わないと私どもの態度を……。これはこの問題を愼重に考えたいからお願いをして、そうして態度を決定いたしたいと思うのです。
  101. 千田正

    委員長千田正君) 兼岩委員の御希望はわかりました。委員長からも当時代表として行かれた三人に対しましてもその点を明らかにするように申込みます。御返事を頂ければ最速又御報告申上げます。それで御了承願いたいと思います。
  102. 千田正

    委員長千田正君) では次の遺族及び傷い者に関する問題、時間も大分進みましたので、この点を承わりたいと思います。厚生省の木村社会局長が見えておりますが、その遺族並びに傷い者に関する政府が持つておる対策について一応簡單でよろしうございますから、いずれ委員から御質疑があることと思いますが、御説明願いたいと思います。
  103. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 遺族及び傷い者に対しまする対策といたしましては、現在では生活保護法及び身体障害者福祉法、この二つの法律が存在いたしておるだけでございまして、これ以上の措置は特別に講ぜられておらないわけでございます。御承知通りに各般の事情によりまして、戦争によりまするところの遺族並びに戦争によりまするところの傷い者というものに対しまして、一般遺族、傷い者というものと特別に異つた措置をすることができない。かよう状況下にございまするので、厚生省におきまして一般生活困窮者並びに身体障害者というものに対しまする援護の措置というものをこれに適用いたすようにいたしておるわけであります。ただ取扱いまする気持といたしましては、我々は特に温かい気持を以てこれに対処しなければならんというよう考えておるような次第であります。従いまして一番問題になりまする遺族の中におきまして老齢者及び未亡人で子供を抱えておりまするかたというものにつきましては、これに対しまして生活保護法の適用の面におきまして万遺憾のないように措置いたしたいと考えておるような次第でございます。  又身体障害者につきましてもできるだけ身体障害者の持つておりまする能力の活きまするように援助いたすようにいたしたいというよう考えまして、昭和二十三年からこれに対しまする施設を全国にこれを設置いたしまして、身体障害者が更生できまする各種の施策を講じて参つたのでございまするが、現在までこれの好い成績というものがまだ現われておらないという誠に遺憾な状態でございます。私どもといたしましては、今後現在作つておりまする中央の身体障害者の更生指導所というものをできるだけ拡充いたしますると共に、その内容を整備いたして参りたいと存じておりまするし、又失明者に対しましても国立光明寮を増設するという方向に参りたいと存じまして、実は明年度から従来の光明寮のほかに神戸に新たに国立療養所を作るという措置を考えております。なお身体障害者の福祉に関する各種の施設を逐次増設するという方向に持つてつております。ただこれらの実際の内容につきましては暫らくの間これに対する措置が中絶されておりました関係から、これを適正にやる、何と申しまするか、これに当りまする従業者というものが適当なものがなかなか得られないというよう状況でありまして、逐次そういう仕事をいたしまする専門の職員というものも養成して参らなければならないというふうに考えておるのでございます。それから我々自身の気持といたしましては身体障害者並びに遺族につきましてはやはりできれば恩給なり、年金なりという方法を以ちまして、これに対する保障をするということが必要なのではないかというふうに考えておるのでございまして、これらにつきましては現在我々のほうの所管になりますか、或いは他のほうの部局の所管になりますか存じませんけれども、これに必要なる調査等はいたしております。ただ現在の各種の規定からいたしますと、これは我々のほうの所管になつておらないものでございます。併しこれにつきましてはできるだけそのほうを促進するようにいたしたいというふうに考えまして、側面的に働きかけております。  なお身体障害者並びに子供を抱えております未亡人に対しましては、税の問題におきましても、又或いは身体障害者につきましての旅客運賃の割引の問題につきましても、それぞれ関係の方面と連絡いたしまして、その方面で恩典的な措置が講ぜられるように努力いたしまして、この方面につきましてもいろいろと話が進んで参つておりまして、そのうち遠からずいい結果が出て来るものであるというふうに期待いたしておりますようなわけであります。  簡単に申上げましたが、大体以上のような点であります。
  104. 千田正

    委員長千田正君) 只今の局長の説明に対しまして御質疑がございましたら……。
  105. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 一般生活困窮者と、身体障害者とに対して、幾らお出しになつておりますか、その数字を聞かして下さい。
  106. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 特にこれを区別いたしましていたしておりません。従いまして現在の統計からその割合がどうなつておるかということははつきり出ないのでありますが、生活保護法の従来の統計からいたしまして、身体障害者に幾ら出て、その他のものに幾ら出るということはわからないというのが実情でございます。
  107. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 わからなくちや困りますね。それを一つはつきり……、今即答できないという意味ですか。
  108. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) これは従来の統計ではそれは出て参りません。人数の割合は出まするけれども、金額が幾らになつておるかということは出て参りません。
  109. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それは困りますね。我我の知りたいのはそういう抽象論でなくて、具体的に幾ら出しておられるかということを知りたいのであつて、今日でなくてもよろしいですが、それがわからなくては何を監督しておられるのですか。
  110. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 御承知通り生活保護法考えかた、立てかた、すべてそういう原因によりましてどうこうするというような処置を講ずるようになつておりません。従いまして従来からの統計上そういうようなことはやつておらないのであります。その原因がどこにあるかということから見ますると、身体障害者の数が何人いるか、生活保護を受けているものが何人あるか、身体障害がどのくらいあるか、身体障害が原因になつておるもので生活保護を受けているものがどのくらいあつたかということはわかつております。併し身体障害者に幾ら出して、それからほかのものに幾ら出しておるかということは、金額といたしましてはこれを出しますことは非常に複雑な手続が要るのでございまして、統計上それをいたしますだけの能力が現れないわけであります。
  111. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 あなたでなくて係のものでもよろしいから、何人あつて、幾ら金を出しておられるという、そのむずかしい途中のプロセスは要りませんから、何人あつて、どういうふうにして、つまりあなたのむずかしいと言われるのは一般的な、社会的な原因によるものと、戰争による原因と、原因別に分けるということは非常にむずかしいとおつしやるのでしよう
  112. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 金額につきましては、原因別のみならず、ただ総体で幾ら出しておる、生活保護に幾ら出しておる、或いは医療扶助に幾ら出しておる、生業扶助に幾ら出しておる、住宅扶助に幾ら出しておるというような区別は出て参りますけれども、扶助の対象がどういう対象に出した、その中で身体障害者に何ぼ出した、その家族に幾ら出したというようなことは出て参りません。
  113. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 その具体的なことがわからなくては……。まだ問題をいろいろ発展させて行きたいのですがね。私は問題をすべて事実を基礎にして行きたいのです。定義論を避けて、現実を基礎にしてやつて行きたいと思いますが、委員長それでは困るのです。委員長通訳して頂けませんか。何もわからなくて何ができますか。
  114. 千田正

    委員長千田正君) どうも委員長の通訳も困りますがね。只今のところ局長では今のあなたの御質問に対して御返答できないようでありますし、我々に委員の知りたいことは、現在私どもがこうやつて議題にのせた理由のものは、遺族のことは先ほどの説明にもありましたが、傷い者或いは戰争の犠牲者が非常に現在まだ救われておらない。そういうところにどういう一体施策が必要なのか。実態的にはどういう今後施策をやろうというのか。そういう過去、現在及び将来に対する案を一体政府は何を持つておるのか。それに対する具体的なデーターをあなたが必要なのだと思いますから、私は厚生省に向つて過去においてどれだけの傷い者、或いは未亡人、或いは孤児、そういうものに対してはどれだけの予算を組んでどれだけの実施をしたか、現在どういうふうにやらうというのかという点についての資料があつたら、この委員会の各委員に提出して頂きたいと思います。厚生省にこれはお願いいたします。
  115. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 只今質問がございました点につきましての資料ともいうのは、恐らく私の今考えますところじや現在ではできないと思います。将来の問題は別といたしまして、現在ではできないだろうと思います。但しそうじやなしに身体傷害者に対しまして特別にどれだけの金が出ているかというような点につきましての金額でございましたならば、その数字は出ておるのであります。これにつきましては出せます。併し生活保護の金がどういう割合で出ているかということは、そういう統計を従来とつておりません。又そういうことをとるということにつきましては、統計の技術上からいたしまして、現在の組織を以てはこれをとることが相当困難ではなかろうかと考えております。併しこれにつきましてはよく検討いたしまして、若しとる方法ができますればいたしたいというよう考えますので、これにつきましては研究さして頂きたいと思います。
  116. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 どうも変だね。それはこういうことじやないですか……、
  117. 千田正

    委員長千田正君) 待つて下さい、私が代つて説明と同時に木村局長にお伺いをするのは、今あなたが言われるようであつた厚生省は予算を作る材料もなくて特別支出しているというよう結論にしかならない。併し終戰後における厚生省の今までやつてつた戰争犠牲者に対する施策は、あなたも厚生省においでになつて、はつきり知つておるのでありますが、各県の厚生課長或いは民生部長はあなたの省においてはいつでも招集しておる。そうして各県或いは都道府県下におけるところのこういうふうな厚生省の施策の対象になるよう家族は何人おるか、浮浪兒は何人おるか、未亡人は何人おるか、傷い者は何人おるか、遺族は何人おるか、そういうものを一々調べてそうして各県の対象方針を樹立するということは以前の局長が命令しておるわけですから、各県は必らず答申しております。その資料を土台として厚生省は社会政策なり、或いは社会保護政策なりというものを立てて実施しておるはずであります。でありますから過去のそうした資料提出してもらいたいというのは、兼岩委員の希望であり委員長としての要望なのでありますが、その統計が出ないということ、或いはそれがないということであつたならば、何らの施策も実態もつかまずにそのほうの予算を組んでおるということに窮極的になるのでありまして、今までのそういつた資料があつたならば総括したものを提出して頂きたい。
  118. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 私のほうで今御質問の御趣意に合いまするよう資料はできるだけこさえて提出いたします。ただ先ほどの御質問につきましては、それは私のほうじや今のところできる見込はないということを申上げたのでありまして、今お話があつたような身体傷害者の中で、どのくらい生活保護を受けておるかという人数、或いは子供を持つております未亡人、或いは老人を抱えております未亡人といつたような女子家庭の数、そこに構成される人員の数というようなものは、これは調査ができておりますので、それについてはお答えができるはずであります。従いまして私どもでできるだけの資料はこさえまして差上げたいと思つております。それから先ほども申しましたように金額は幾らになつておるかというような推定はできますけれども、しつかりした正確なものは差上げるということは只今できない。これは事実でございますので、これだけは御了承願いたいと思います。
  119. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 私が今社会局長に質問申上げたいと思うことは、厚生委員会の問題ではなかろうかと思いますけれども、この在外同胞引揚問題に関する特別委員会の「遺族及び傷い者に関する件」と載つておりますので、ついでにお尋ねいたしたいと思うのでございますが、只今ダレスさんがお見えになつておるこの際に、多分一九四五年のスキヤツプのAGの二十六号によつて、この遺族の問題が解決されないのではないかと考えております。これはキャンセルして頂くなり、或いはAG二十六という條項の一部分を御訂正願うようにダレスさんに社会局からお願いして頂きたいと思うのでございますが、そうでないというと、折角道義国家を作つて行きたい、愛国心を大いに培養して行きたいという将来の点に関しまして、非常に道義的に私どもは心苦しいのでございます。その理由とすることは、もうすでに御承知通りでありますが、好んで戰争に出て戰死したのではないので、本当に強い法規のために赤紙一枚で出かけて行つているのであります。そういう関係のかたが非常に多いわけでありますからして、これを何とか弔慰金なり年金なりという方法によつて救済して行きたいと私ども考える次第でございます。その点につきまして一つ局長さんの御意見を承わりたいと思います。
  120. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 只今長島議員のお話になりました通りでござまして、私どもといたしましても、是非ともそうありたいものだというふうに考える次第であります。この問題につきましては、普通の、何と申しまするか、生活保護といつたようなものでは、これは如何に手厚くなりましても解決しない問題であるというふうに考えておるのであります。我々といたしましては現在ほかの手段がなかつたものでございまするからして、できるだけ生活保護法の適用につきまして、温い気持を以てやりたいというふうに考えておるのでありますが、それよりもむしろこの問題並びに傷い軍人の問題につきましては、これに対しまする保障と申しまするか、そういうような意味を以て別途考慮せられるべきものではなかろうか、生活保護というよう一般の扶助の問題として考えますると、どうしてもやはり無差別平等ということがかかつて来るわけであります。我々としましては、そういうような制約のない、国家のほうで保障しなければならんというよう立場から、この問題については考えなければならんのではなかろうかと考えております。従いまして、我々としましてはできるだけ国内におきましても、誰がこれを担当するかという点が問題なのでございまして、我々にこの問題が担当させられておるというふうにきまつておりますれば、我々としてできるだけの努力をしたい。ただ現在我々に負わされております仕事というものは、そこまで負わされていないというような形になつておりますので、これにつきましては恐らくそれを所管しておつたろうと思われるところの部局に対しまして、その点をできるだけ強調して参りたい。特に私のほうとしましては、傷い者の中で傷い軍人の問題が一番大きなものでございますので、この点につきましては必要なる方面につきましては、相当強硬に交渉をいたしておりますが、現在まだそれに対する反応を得ない状態であります。これは我々の力が足りないからであると思いますが、今後できるだけ努力したいと思いますけれれども、我々のみならず、上局に対しましても、その方面に力を入れるように上申いたしたいというよう考えておる次第であります。
  121. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 只今の社会局長の御説明で非常に心強いと考えます。そこでダレスさんも二週間の御滞在の予定であられたようですが、新聞の報ずるところですから、某して信を買いていいかどうかわかりませんが、非常に短かい御期間のようにも聞いておりますので、できるだけ早急に、できれば今言つたように局長さんにお願いたしまして質問を終りたいと思います。
  122. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 白衣の勇士のかたはどういう……あなたのほうの所管ではございませんか。御承知つたら実態が聞かして頂きたい。白衣の勇士ですね、入院しておられる……。
  123. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 医療の問題につきましては一応国立病院なり、国立療養所でもつて医療いたしております。従いまして医療いたします方面或いは入院いたしておりまする人の取扱い問題につきましては、これは厚生省の医務局で所管いたしております。私のほうといたしましては、病院から出ました人々に対しまする職業といいますか、一般生活に馴れるようにいたしまする各種の訓練でありますとか、指導でありますとかというような点は、私のほうで所管いたしておるような次第であります。ただ入院いたしておりまするものの治療費の問題につきましては、これは他で拂う方法がないというものにつきましては、当然生活保護法の扶助をしなければならないというような点から、それらの医療費の負担をいたしておるというような関係になつております。
  124. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 幾らですか。
  125. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 医療費ですか、一般の医療費と同じでございます。
  126. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 幾らですか。
  127. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 健康保険の医療費と同じであります。
  128. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 幾らですか。
  129. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 場所によつて違いますけれども、大体二百二十円前後ということになつております。一日二百二十円前後……、そのほかに特別な措置が必要となつております場合には、その措置費というものが別に出ることになつております。
  130. 紅露みつ

    紅露みつ君 今問題になつております遺族、それから傷い者の問題ですが、これは長島委員からもお話のあるように、厚生委員会でも大きな問題として取上げておられると思うのですが、本委員会でもこれは、今日でも議題になつております。今後これは何かの手を打たなければならない。遺族に関しては終戰以来全く何の手も打つてない、それはこの委員会としましては計画したこともあつたのです。あるのでございますけれども、いろいろな関係で遂に実現しなかつた、何にも実現されておりませんので、これはどうしても何どかしなければならない。今お話の出ました白衣の傷い者ですね、それらのかたがたのことも考えなければならない。併しこれは厚生委員会とも関連がありますので、今後厚生委員会ともよく一つ連絡をとりまして、これは解決に当らなければならないと存じまするので、社会局長は、ここへはあまりこれまでは御縁のなかつたかたでございますけれども、こういう段階になりますと非常に密接になると存じますので、どうかこれは要望、もう質問申上げたつて気持は十分おありになると思いまするので、どうか一つ、そちらも政府として積極的にこの問題の解決に努力して頂きたいと思います。で委員長はどうかこれは厚生委員会とも連絡を成るべく早くおとり下さつて、そうしてこの問題の解決に一つ全力を皆さんで挙げたいと、かよう希望します。
  131. 千田正

    委員長千田正君) わかりました。当引揚特別委員会は、いわゆるこのたびの戰争における犠牲者のために特に設けられた委員会でありますので、必ずしも引揚というものに限つてのみ論じているのじやありません。第一回国  会以来遺族の問題或いは傷い者の問題、その他留守家族の問題を取上げて来ております。今紅露委員のおつしやられた通り、十分に厚生委員長とも相談しまして諸般の問題を解決して行きたいと思いますが、私から木村局長にお尋ねいたしますのは、先般来新聞にもいろいろありましたが、この頃汽車に乗りますというと、列車の中に白衣を着て傷い者が寄附金を募つて歩いている。これは如何にも日本の政府がこうした傷い者には何らの手を染めていないのだという感じを深くさせるのであります。或いはそれが本当の現実であるかも知れないけれども、ああした多数の旅客の前を白衣の人たちが、不具者の人たちが、とにかく寄附金を募集して歩いている。この姿は実際場合によつては同情を考えられるが、場合によつては日本の政策に対して忿懣を感ずるものがいろいろあります。更に農村、漁村に行きますというと、厚生大臣の認定したと称する財団法人何々会というものが、いわゆる個人で、或いはその他の人たちが、やはりこれ又寄附金の箱を持つて押し売りに歩いている。こういう点について、これ又農村、漁村の非常に顰蹙するところであり、世の同情を買わなければならない立場にあるもの、それ自体が政策の批判をしなければならないのでありますが、現実の姿は実際この国民の非常に、同情よりも非難の的になつているということに、我々深くその点を政策の貧弱というか、顧みれば政治の貧困であり、我々国会議員のいわゆる責任というものを痛感いたすものでありますので、この点についてどういうふうに社会局長はお考えになつておられますか、一言この際お話を承わつて置きたいと思います。
  132. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 白衣で募金をいたしております実情、これは我我としましても、非常に残念に思つております。この募金をいたしておりまするかたがたの言い分からいたしますると、現在の生活保護法の金では食べられない。従つて募金をしなければならないというお話でございますが、私現在の生活保護法の金が満足であるということは申しかねますので、これに対しまして何とも申上げようがない次第であります。ただこれにつきまして現在二百十万の人々が生活保護法の金で以て、生活をいたしておりまする実情でもございますので、できるだけ我々としましては、この枠については努力いたしたいと考えておりますが、これにつきまして現在まだ十分に至つていない。辛うじて命だけはつないでおるというよう状況であるということを誠に遺憾といたすものであります。なお身体傷害者のかたがたによりましては、自立更生の途を開くために、どうしても資金が必要であるというお話でございました。これにつきましても国民金融公庫の資金の融通、或いは生活保護法によりますところの生業資金の融通、或いはこれの貸與、給與というようなものを活用いたしまして、適切なるものにつきましては、できるだけ資金の融通をいたしたいと考えておりますが、これとて総額の枠が限定されておりますし、それにつきまして十分なる措置が講ぜられないという状況にあるわけであります。募金をやつておりますことは極めて不体裁でありますし、国の政策の貧困を現わすものでありまするので、甚だ遺憾であるとは存ずるのでありますが、これに対しまして厚生省といたしましては、誠に申訳ないという以外にはどうも如何ともいたし方ないのであります。これを取締るといつたような点は、厚生省としましては考うべきことではないと考えますし、むしろ他人のために寄附金を集めてやるというものについては、これはその通り使われておるかどうか十分なる干渉をしなければならんというふうに考えておりますが、現在の範囲の募金につきまして、これを我々としましてどうするということはできないのであります。できるだけ施策を十分にするということにいたしまして、この必要がなくなるということにいたさなければならないのじやないかというふうに考えておるような次第であります。
  133. 紅露みつ

    紅露みつ君 白衣の傷い者に対する問題、これはもう私ども本当に実際を見まして、いつも胸を打たれるのですが、音楽などやつておるのもありますし、そういうのを身を切られる気持でいつも見ておるのでございますけれども、この遺族、それから傷い者ですね、この問題に関する前にも計画されたことがあるのですが、一つこの際ですね、引揚の促進も大部分が国連に提訴というような形で行つておりまするし、手が空いておるわけではございませんが、そうした機会一つ遺族、それから傷い者、これに対する立法を、議員提出立法で一つつたらという気がありますのですが、これはどうしても厚生委員会と連絡をとつて、いずれが提案者になるかは別といたしましても、そうしてどうかこの際單独な立法を作るということが一番これはいいのだと思いますのですが、まあこの問題について今局長さんにどうですかと申上げても、即答はむずかしいと存じますので、私どもそういうふうに考えるのでありますが、若しお心持ちをおつしやつて頂いて差支えないのでございましたらばお話願いたいと存じますが、併し責任上今ここで即答ということはお困りならば、今ここで頂かなくとも結構でございますので、こういうようなことを考えておりますので、これが実現するということになりましたら、いきおい力を借りなければならないので、どうぞ一つその点御承知置き願いたいと存じます。それから委員長も幸いそうしたお気持であられるように御推察しておるのですが、是非そういう方向に向けて行つて欲しいと切に私は希望いたします。
  134. 千田正

    委員長千田正君) 只今の紅露委員の御要望よくわかりました。私はむしろ木村局長にお尋ねし、厚生省の主脳部にお願いしたいのは、ああいう人たちのために職業を補導するような予算を十分盛ることである。そうして一日も早くあの人たちの不幸な立場から起上がるような予算を盛るべきである。予算がないとこうおつしやるけれども、私から言えば三十七万のいわゆる同胞が還るのだというて、引揚のために予算を取つたが、還つて来ないというので予算を他の方面に繰入れてしまう、そういうことがあるならば、今年は還らないのだが、来年は還るかも知れないので、その一年間のうち何分の一でもいいからそうした不幸な人のために設備をするなり、職業補導の予算なんというものに、これを厚生省で繰入れて然るべきである。そういうような施策を一つもとつておらないというところに私は改めたいし、甚だ失礼な話であるが、厚生省の予算の取り方はなつちよらん、こう言わざるを得ないのであります。希くば私が言わなくとも、そういうことは十分おわかりのことと思いますから、こういうような不幸な人たちのために、職業補導なり、就職指導の施設をするだけの十分の予算を獲得するための十分案を持つて我々も議員として十分にこの委員会厚生省予算獲得のためには、飽くまで大蔵省なり、安本なりに要求しますから御遠慮なくそういう点については我々に対しても御相談願いたいと希望を申上げて置きます。
  135. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 只今委員長お話誠に御尤もでございます。我々としましても予算につきましていろいろ努力いたしまして、ただこれは予算の面におきましてなかなか取りにくいというだけでございませんでございまして、例えば傷い者の職業の問題につきましては、これは労働省が所管いたしておるのでございまして、傷い者の問題について、我々といたしましては本当に徹底した施策をやるというためには、どこかで、私は厚生省とは申しませんが、どこでもよいから傷い者の問題は一貫してこれに対する措置ができるというような、何といいますか、組織になつておらないとうまく行かないのじやないかというふうに考えております。私たちが現に身体障害者のために相模原に国立の厚生相談所を設置いたしております。ここに労働省が職業補導所を施設しております。この二つの施設が片つ方が厚生省、片つ方が労働省ということになつておりまして、これを運営する上において二省がこれを所管して行くというために、この運営がうまく行かない。非常にまずい状況に相成つておるのであります。私といたしましては、どちらの所管でもいいのでございまして、どこか身体傷害者のためには、一元的な或いは一貫して、これは措置するというような組織を作らなければならない。予算を取る上におきましても、極  めて不徹底なものになりますし、又実際の措置をやる上におきましても不徹底になるのではないかと思います。我我としましてはこれにつきまして努力はいたしておりますけれども、我々が努力いたしますれば、勢い繩張り争いということになるのでありまして、我我としましては繩張り争いということでなしに、そういうような一貫した施策ができるような組織ができるということをこの際特に御考慮願いたいというふうに考えております。
  136. 紅露みつ

    紅露みつ君 今の社会局長のお話私も御尤もだと思ふ点があるのでございます。先ほどから大変に攻められておいでになるので、実は御同情申上げていたのです。(笑声)これは本当なんです。それでその点は随分これはお互いに今後はつきりと所管をきめて行くということが大切だと思うのですが、委員長がおつしやられたような補導所を作るとか、いろいろな計画もこれは委員会としてもかねがね主張していることですし、厚生省も随分これには骨を折つておられるようですが、やつぱり何ですね、立法してはつきりとそうしたものをきめるということが一番私ははつきりしていいと思うのですが、ちよつと速記を……。
  137. 千田正

    委員長千田正君) 速記をちよつととめて下さい。    〔速記中止〕
  138. 千田正

    委員長千田正君) 速記を始めて下さい。
  139. 紅露みつ

    紅露みつ君 近く講和も結ばれようとするこの段階において、まだ前の戰争に傷ついた人が街頭にさまよい、或いはその遺族生活保護法で足りなくて、自殺をして行くとか、いろいろな悲惨な出来事を残して、そして講和をするというようなことは、これは全く矛盾ですね。やはりそれまでには国内のこうした戰争の遺物、この悲惨な遺物を然るべく処分をして、そして講和に向うべきであると思うのです。これは外地資産で、さつき出た御意見なんですけれども、ここにもはつきり当てはまると思うのです。ですからそうしたお心持も厚生省としては十分持つて頂きたい、かように思います。
  140. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕は今紅露委員との関連しての発言ですが、私非常に賛成ですが、そしてそれは根本的解決の一つだと思うのですが、問題は先ほど具体的な数字を頂いて又改めて問題にしなければいかんと思いますが、抽象的に言えば、つまり戰争による遺族のかたと障害者のかたがた一般的な生活困窮者一般的な身体障害者と同様な扱いしか受けていないということ、つまり戰争犠牲者としての保護には何ら恵まれていなくて、社会的一般的な困窮者として扱われているということ、つまり戰争犠牲者に対して歴代の政府が何らの特別措置をとつていなかつたということが、私は抽象的にいえば問題だと思うのですね。そこで紅露委員の提案は当然その点を明らかにして、普通一般困窮者の救済これは非常にたくさんの問題を含んでいますが、この特別委員会としてはいわばこれは厚生省の問題として、この特別委員会としては一般困窮者でなくて、戰争のための遺族と障害者を原因としておるところの困窮者を歴代の政府が何らの手を加えていなかつたということなんですがね。そこで立法措置によつて議員提出立法、各派が全部賛成ならば議員提出立法でも行けるのですから、それは私非常に賛成なんですが、その賛成であることを進めるために私は局長からちよつと聞いて置きたいのは、あなたが知つておられる範囲、あなたは何年間そういう関係にお携りになつておるかは存じませんが、その範囲内において、これは若し必要ならば速記をとめてお答え願つていいですが、つまり犯罪人を処罰することのとばつちりを受けて、一般的な、先ほど長島委員も言われたように、一般的な軍人、その遺族が同じように処罰を受けているというふうの気持で関係筋の了解が得られなかつたのか。それとも歴代の政府が一回たりともさような交渉をしなかつたのか。その点を御存じの範囲において答えて頂きたいのです。
  141. 千田正

    委員長千田正君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  142. 千田正

    委員長千田正君) 速記を始めて……。別に御質疑もなければ、これで今日は散会したいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 千田正

    委員長千田正君) では本日はこれを以て散会いたします。    午後四時二十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     千田  正君    理事            大谷 瑩潤君            森崎  隆君            紅露 みつ君    委員            長島 銀藏君            内村 清次君            曾祢  益君            成瀬 幡治君            木内キヤウ君            兼岩 傳一君   政府委員    大蔵省主計局給    與課長     磯田 好祐君    大蔵省理財局次    長       酒井 俊彦君    厚生省社会局長 木村忠二郎君   説明員    外務省連絡局調    査課長     吉村又三郎君    大蔵省理財局外    債課長     吉田 信邦君