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1951-06-01 第10回国会 参議院 厚生委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年六月一日(金曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○児童福祉法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○医師法歯科医師法及び薬事法の一  部を改正する法律案内閣提出) ○継続審査要求の取扱いに関する件 ○理容師法の一部を改正する法律案  (衆議院提出)   —————————————
  2. 山下義信

    委員長山下義信君) これより厚生委員会を開会いたします。  児童福祉法の一部を改正する法律案を議題に供します。御審議をお願いいたします。
  3. 松原一彦

    松原一彦君 あとに法案がたくさんありませんことでございますしなかなかむづかしい点もあるようでございますから、一つ政府当局から大体逐條読みながら御説明を聞いてそうして案を確めて行きたいと思うのですが如何でしようか。
  4. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは松原委員に伺いますが、大体逐條的ような御審議を願うとこういう御趣旨でよろしうございますか。
  5. 松原一彦

    松原一彦君 その通りでございます。簡易な條項は抜いて行つて結構でございますから、重大な点について御指摘願つてそうして説明を頂けば審議は早く進むと思いますから。
  6. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは大体松原委員の御趣旨ようにその線に副いまして、議事の進行を図ることにいたします。  それでは第一章総則からかかるわけでございますが、第一章中の第一節、定義におきまして、第六條に一個所、改正点がございます。第六條に「親権を行う者」ということが入つておりますがこの改正趣旨を簡単に御説明願います。
  7. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 従来の用語を改めまして「親権を行う者、後見人」に改める。これは最近の立法例にならいまして親権者というのを親権を行う者ということに言葉を変えたわけでございます。
  8. 山下義信

    委員長山下義信君) 親権を行う者というものの中には、親権者とそれから親権を行い得る資格を付與せられた者を含めるのですか、親権者親権を行う者というこの用語変つた理由ですね。
  9. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 親権を行う者という方が広いのでございます。一例を上げますると親が未成年の場合にはおじいさんが親権を行うというふうな場合、さようなものも全部含めまして親権を行う者ということにいたしております。
  10. 山下義信

    委員長山下義信君) この親権を行う者というものの中に親権者と、それから親権の代理をすることを裁判所で許可を受けて親権を行い得る者になつたものというのとでは、非常に親権を行う者というのが以後に出て来ますが、大変に違うのですが、親権者もこの中に含まれておるのですね。
  11. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) さようでございます。
  12. 山下義信

    委員長山下義信君) 御質疑はございませんか……それでは私はこの席におりまして質疑させて貰つて恐縮なんですが、便宜私も伺わせて頂きますが、この改正はしておいでになりませんが、この第二節の児童福祉審議会のところで伺うのでございますが、この児童福祉審議会は今市町村に置くことができるとなつておりますが、市町村児童福祉審議会が置かれてありまする実況は今どういうふうな状況でございましようか。
  13. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 最近の統計を持つておらないのでございますが、ちよつと一年ばかり前で甚だ遺憾でございますが、市町村全体の約二割になつております。併しながら市には大抵置かれてあるようでございます。町村には比較的少い、従つて全体の割合は二割くらい、こういう状態でございます。
  14. 山下義信

    委員長山下義信君) それから児童福祉審議会いろいろ児童文化について推薦をしたりいろいろ児童文化財について勧告をされておりまするが、この実際の効果というものはどんなような模様でございましようか。この児童福祉審議会これは児童のためにいい文化財だといつて推薦されたものが、非常に理解を受けて行われておるとか、或いはこれは不良であるから兒童のために惡いといつて勧告したようなものは、その後廃されておるとかいつたような実際の効果がどういうふうに上つておりましようか。又本省ではそれを取上げてどういうふうな対策をしておられるかという実績を承わりたい。
  15. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) この條文の運用はうつかりいたしますと文化統制になるのじやないかというようなこともありまするので、非常に実は慎重を期しておりまして、殊に中央児童福祉審議会は非常に慎重な態度をとつております。現実に推薦を始めましたのはまだそう古くございません。併しすでに相当数の書籍その他のものを推薦をいたしております。なお勧告はまだやつておりません。中央児童福祉審議会、それから地方都道府県児童福祉審議会も大体推薦をいたしておりますよう承知をいたしております。  それでは効果如何という御質問でございますが、これは推薦をいたしましたものの周知方を図りまして児童福祉施設その他ではさようなものを読むように、或いは購入するよう努力をいたし、又一般にもその周知方努力をいたしているわけでございます。併しながらそれがその推薦のために非常にまあこれだけの効果一般的に上つた一般の読者にこれだけの効果上つたという的確なものさしは持つておりません。従いましてどの程度効果上つたかということを数字的に申上げることはちよつと只今のところ不可能でございます。
  16. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 その問題で委員長の御質問がおしまいになりましたら次にちよつと発言さして頂きたいと思います。
  17. 山下義信

    委員長山下義信君) どうぞ。
  18. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 只今児童文化財お話でございますが、実は私過去三カ月アメリカ子供のことをいろいろ見せて頂きましたあと感想をきかれましたのでございますが、その専門的なことは別といたしまして一般的な感想といたしまして、アメリカでは子供は一体ふだんどこにしまつてあるのか、子供を町で見ないじやないかと私が申しました。そういたしますと、勿論日本の国とアメリカの国の土地の広さは比べることはできないのであるからして、大体児童保護の仕方が本当に全般的に違うのじやないだろうかというような話でございました。そうしてそれはどういうところが違うのかといいますと、大体子供児童福祉法にもございますように、両親の下で育てられるのが原則でございまして、普通の子供家庭教育されているのでございます、そのため子供学校へ行かないときは児童遊園地へ行くとか、それでなければ児童図書館へ行くとかいうようなこと々聞きましたのでございます。でありますから従つてつて町にうろうろするよう浮浪者よう子供も少くなつて参りまして、全般的に非常に大きな成績が上つていることを聞いて来たのでありますけれども文化財勧告中央審議会委員勧告が別に対した効果を挙げていないということを承わりまして、非常にこれはさびしい思いがいたしますのでございますが児童局としましてそうした方面にどの程度の、何と申しますか将来計画をお立てになるおつもりでございますか、これについてちよつと承わりたい。
  19. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 只今申上げましたのは、勧告中央児童福祉審議会としましては、実は今日までまだ一件もやつておらないということでございます。その事情勧告をやります前に業者と話合いまして、そういうふうなよくないものは作らない、例えばおもちやで惡いものがあるといたしますれば、業者団体等に働きかけまして、勧告に行かない前にむしろ懇談的に話を進めた方がいいのじやないかということでございますし、なお勧告をいたしましてもこれは罰則規定がございません。結局勧告をいたしたというだけでありまして、この勧告をやるということが果してどれだけの効果が上がるかどうかということにつきしましても、さような点からも若干の疑義もございます。それで今日までのところいろいろ論議がございまして、推薦の方は相当多数やつておりますけれども勧告はいたしておりません。なお只今井上委員からアメリカ子供が余りそこらにうろうろしていないというお話でございましたが、私どもも確かにさようなことを見て参りました。聞きますると何と申しますか、教会でありますとか或いは日曜学校ようなもの、それから子供クラブようなもの、いわゆる子供の何と申しまするかコミユニテイにおける子供のさようなクラブ的なものが非常にたくさんあつて子供は皆それらのどこか一つ二つに属している。そうして余暇をさようなところで遊んでいる、或いはいろいろ遊戯をしたり何かしているということを私聞いたのでございます。而もそれらの活動が、向うではプライヴエート・エイジエンシーというものが非常に発達しているというようなことも聞いたのでございます。私ども子供クラブとかいろいろさよう子供の何と申しますか、余暇を正しく活用せしめる組織の普及に努力を実は重ねております。この点は文部省の社会教育局でも相当力を入れてやつておられます。併しながら日本家庭社会生活実情と申しますか、そういうふうなものから今日まで余り大した効果を上げておらない。甚だ遺憾でありまするが、本来ならばかようなことはプライヴエート・エイジエンシーがもう少し活動をして行くべき筋合のものではないか。併しながら日本教育団体というものが余り財政的にも弱うございますし、さような点からなかなかそこはうまく参らないのじやないかというふうに私も考えております。私どもといたしましてもさような点に今後もう少し力を入れまして、子供余暇をうまく活用して行き、変な方に行かないことを一つ考えたいと思います。かように考えております。
  20. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 只今児童局長お話を承わりまして大変私も有難いと思うのでございますけれどもアメリカの人がよく申しますが、子供は各人の両親子供ではございますけれども、お国全体としても非常に子供の成長と申しましようか、次の時代の子供を作るということに大きな皆さんの責任があるという観念から、そうした個人的なプライペートな子供指導者ができて来ると思うのです。児童憲章のときにもよくその話が出ておりましたが、児童福祉事業では異常的な子供施設ばかりでなしに本当にこうした健全な子供のためにも全体的に及ぼすべきであるというようお話を、あちらの児童憲章あとの総会のときにも承わつたのでありますが、何とか児童局でも、そうしたことが民間の方でもみなさんたちがちよつとひまがありましたら、成人の両親のかたが結局子供さんがたのための指導をすることに時間を分けて頂くように、児童局の方でも少し骨を折つてお願い頂ければだんだんそういう問題が解決して行くのじやないかと思いますがよろしくその点御努力を願いたいと思います。
  21. 山下義信

    委員長山下義信君) 他に御質問ございませんか。
  22. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は質疑というより、この法律をすつと見まして、なかなかゆつくり読めばよくわかるのでしようが、ちよつとわかりにくいような非常にごたごたしているような総体的に感じがするのでありまして、我々がこうちよつと見てもわからんよう法律はなかなか一般の人が見てもわかりにくいのじやないか、殊に児童福祉法よう一般大衆によく理解し読んでもらわなけりやならん法律でありまするから、もう少し何かこうすつきりした一目瞭然とするよう法律にならんものかどうかというようなことについて、先ず第一に児童局長感想を伺つておきたいと思います。
  23. 山下義信

    委員長山下義信君) 石原委員に申上げますが、実は松原委員から御提案がございまして、審議を促進するために逐條的にずつとやつておりまして……今の御質問結構でございますから、児童局長から答弁させます。
  24. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 石原委員の御指摘、私もさように思わないこともないのでございます。ただ御承知ように、この児童福祉法というものが横に切つて十八歳未満の子供についていろいろなことをきめようという建前でございますので、縱割の一つ事柄をずつとこう例えば生活保護法というようなもので一つ事柄でずつときめるというのでなく、いろいろな要素がこの中に入つているわけであります。その点非常に法律建前自体が若干わかりにくくなる要素をそのうちに包容しているとは思うのでございます。併しながら書きようによりましてはまだもう少しわかりよく書けるのじやないかということを考えまして、実は全面改正のことも事務的には準備をいたした面もあるのでございますけれども、いろいろな事情でそれができませんので一部改正をやりましたので余計御指摘ようにおわかりにくい点があると思うのでございます。将来適当な機会にできますれば全体を書き直して行く方がもう少しわかりよくなるのじやないかと思います。
  25. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 もう一、二点よろしうございますか。
  26. 山下義信

    委員長山下義信君) ちよつとお待ち下さい。速記をとめて下さい。    〔速記中止
  27. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは速記を始めて下さい。平衡交付金の問題で大蔵省主計局長に出席を求めたのでありますが、御質疑のあります方は御質疑々お願いしたいと存じます。主計局長に私から伺いたいと思うのでありますが、御承知よう社会福祉事業法を作りまして福祉事務所を置くことにいたしましたが、その関係生活保護法児童福祉法身体障害者福祉法社会福祉事業三法の改正案が出まして審議をいたしているのであります。最近都道府県知事会議等におきまして、この社会福祉事業法による社会福祉事務所設置につきまして非常に反対の声が高いということでありまして、当委員会等にもその反対声明書等が我々委員手許にも来ておりますよう状況であります。その理由といたしますところは、社会福祉事業法において福祉事務所設置を義務付けたけれども一向その予算が伴つていない、平衡交付金の中にもそれらしい予算が入つてない、従つて予算の裏付けのないよう福祉事務所設置地方においても困るのだ、こういう決議文ようなものが我々委員手許に参つておるのであります。厚生省の当局に尋ねますとそれらの費用十分平衡交付金の中にこめられて配付されているという答弁であります。この際大蔵省におかれましては、この社会福祉主事設置に要しまする費用、並びにこれらの活動に要しまする経費等が、果して平衡交付金の中に含まれてありまするかどうかということの内容について、大蔵当局の御説明を承わりたいと思います。
  28. 河野一之

    政府委員河野一之君) 平衡交付金の額を算定いたします場合におきまして、前年度よりどういう事務が殖え、従つてどういう負担が殖えるであろうと、或いは減ずる事務があり、減ずる負担がどの程度であろうということを差引計算いたしまして平衡交付金の額を算定しているのであります。従いましてこの社会福祉主事関係経費につきましては、一応私どもの見るところの額に従いまして計算をいたしたわけでありまして、平衡交付金算定基礎には入つておるわけであります。ただこれもこの前の地方行政委員会におきまして、例の平衡交付金の額の問題につきましていろいろ議論がありました。我々の考えている人員で足りるとか足りないとかいう議論があつたことは確かでございます。地方団体のほうといたしましては、この平衡交付金なるものが福祉事務所経費として特に特定されて配付されるわけではないのでありまして、児童の数でありますとか或いはその他の要素福祉施設の数でありますとか或いはそういつたよう要素によつて配付されますので、全般的な財源として行つているということでありまして、平衡交付金総額が足りるか足りないかというような問題とからんでそういうことをおつしやつているのではないかと私は考えるのであります。我々の考えといたしましては、まあ総体の額の多少は別といたしまして、算定基礎としては平衡交付金に入つております。
  29. 山下義信

    委員長山下義信君) 只今の御答弁当局は大体算定基礎には計算をして入れてあるつもりだと、こういうようなお言葉でありましたが、なお明確でありませんので伺いますが、社会福祉事業法政府が提案されまするにつきましては、言うまでもなく今年の六月一日からの実施でありますので、昭和二十六年度の予算の上に法律によりまして義務付ける経費でございまするから、当然増加費目として計上に相成つていることであろうと思います。従いまして平衡交付金の中におきましても新たに実施せらるべき義務付けられた経費等計算に相成つているのではないかと思うのであります。その増加されまする必要なこの決定経費等関係上、平衡交付金の中にはつきり入つておりますかどうかという点を一つ、なおお聞きして確かめておきたいと思うのであります。
  30. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは今年度の平衡交付金算定基礎といたしまして千百億円をきめまする内容の問題として、たしか地方行政委員会で詳細に御説明申上げている次第でございます。関係の資料を出しまして福祉主事経費が幾らに相成るか、たしか五千人くらいではなかつたかと思うのでありますが、これは地財の方でもつと入れる計算でありまして、この点についてはいろいろ御議論はございましたが、一応その関係経費増加経費として算定はしてある。ただ全体の額の問題について御承知ようにいろいろ御議論がありましたのでまあ問題はあつたのでありまするが、私どもの方としては考え方は申上げた通りであります。
  31. 山下義信

    委員長山下義信君) ですから額の多い少いについての批評は別といたしまして、社会福祉主事設置に伴う、並びにそれの活動に適当と認められる大蔵省の査定されました必要経費というものは、本年度に要するところ当然の法令に基く増加経費というものの中には、すでに算定されてあるということに了承してよろしうございますね。
  32. 河野一之

    政府委員河野一之君) さようでございます。
  33. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 大変いい機会でございますから一つ私伺いたいのでありますが、この問題はアメリカ社会保障省で伺いましたのですが、どうも日本平衡交付金と、アメリカ平衡交付金と違うのかも知れないが、非常に日本平衡交付金負担が下の方に行きにくいと思う。アメリカはどんなことになつておりますか伺いたい。アメリカではマツチン・グラウントといいますか何といいますかそういうほかないというのでございますが、同じよう制度の下で大蔵省でやつておるのでございますか、どつか違うのでございましようか。説明して頂きたい。
  34. 河野一之

    政府委員河野一之君) おつしやることは平衡交付金制度でございましようか、社会保障制度でございましようか。
  35. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 平衡交付金制度でございます。
  36. 河野一之

    政府委員河野一之君) 平衡交付金制度アメリカにはございません。これは地方団体といいますか大概の行政は州でやつておるわけでございまして、こういつた福祉行政経費は殆んど州でございます。中央の連邦といたしましては、これはもうアメリカの憲法の建前でありまして、おのおのの州に対して干渉しないという建前のものであります。まあこういう関係で殆んど国防、それから外交、或いは裁判、こういうような基本的な経費のみで、それで中央政府としてこういうものを出しておりますのは復員者教育ぐらいの経費でございます。中央政府としてはあまりやつておりません。それから平衡交付金制度というものは、団体財政力というものが非常に違うという場合に起つて来るわけでございます。同じよう事務をやらせる、併しこれに対して財源がマツチしないのでありまして、仕事の方はどの団体でも、例えば山梨県でも東京都であつても同じようにしている、併し税源の方は都会地に集中して且つ又税制というものが中央集権的に勢い行かざるを得ない、つまり税源自体を総合的に把握する、国民経済活動というものは、大きい地域に亘るものでありますから、そういう制度において税制中央集中的になる、従つて両方の面から事務経費負担とその負担力とがマツチしない、従つてそれを何らかの形でマツチさせようという制度でありまして、この制度イギリスにございます、それから元のドイツにもございました。アメリカにはそういう制度はないわけでありまして、ただやり方といたしまして、まあ日本としては昭和十五年からこれは始まつたわけでありますが、イギリスように特定の経費に対して補助金を出す、或いは失業でありますとか、或いは道路でありますとか教育、そういうものに出して行くという行き方もある。日本ように細かく経費を積み上げてそうして標準財政需要標準財政収入とを出してこの差額に逆比例して按分して行く、こういう制度と両方あるわけであります。併し日本ように精微を極めた、これはシヤウプ勧告によつたわけでありますが、制度はございません。ただ余り精微過ぎて実情に即しておるかどうかということについては相当議論の余地があるわけであります。    〔井上なつゑ君発言の許可を求む〕
  37. 山下義信

    委員長山下義信君) アメリカの話でございますか、成るべくアメリカの話は御省略願いたいと思います。
  38. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 只今主計局長の話を伺いますと、この制度はないというお話でございましたが、私どもあちらで伺つたの社会保障省にもこの制度があるように聞いたのでございますけれども、なおよく私問題を検討してみたいと思いますから、大蔵省においても御検討を願いたいのでございます。
  39. 山下義信

    委員長山下義信君) 主計局長に御質疑はございませんでしようか、それでは主計局長御苦労様でした。石原委員
  40. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 逐條でやつておられるということを聞きましたので、私途中から入つたものですから、……若し何でしたらそれで御進行願つて……。
  41. 山下義信

    委員長山下義信君) いやよろしうございます。どうぞ御質疑願います。
  42. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 先ほどの兒童局長の御答弁で天体わかつたのでありまするが、私の希望としては国民一般大衆に親しんで貰わなければならん法律と思いまするのでもう少し適当な機会にすつきりしたものに、誰が見でもすつとわかるような、それから読み易いような親しみ易い法律にして貰いたい。殊に児童福祉を預かる法律でありまするからなお感じをよくして貰いたい。それから児童相談所福祉事務所保健所がそれぞれ並んでいろいろの問題について相談或いは指導に当ることになつておるのでありますが、法律を読みますると相談所は各般の問題について、それから福祉事務所福祉に関する事項について、保健所は健康に関する問題について相談指導に預かるといういうことになつております。これはそれぞれこう重複する面もたくさんあると思うのでありまするが、重複した面をそれぞれの役所がそれぞれの立場からやるということは一向差支えないように思うのでありますが、法律建前はどういうふうになつているでしようか。相談所或いは福祉事務所のやる仕事の面は区分されてそれぞれの立場でやるということになつているのであるか、或いは重複する面は各役所が重複しつつそれぞれやつて行くという建前でありまするか、そこらの御見解を。
  43. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは只今石原委員から御質疑が出ましたので、便宜第三節児童福祉司及び児童委員、並びに第四節児童相談所福祉事務所及び保健所右両節の改正点につきまして御質疑を願うことにいたします。
  44. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 児童相談所福祉事務所それから保健所これらはいずれも建前といたしましては重複はいたさないのであります。保健所の点はこれは主として母子衛生関係でありまして衛生面でございますのでこれは問題はないかと思いますが、一番御質問の要点は相談所社会福祉事務所が問題じやないかと思うのであります。それでこの二つのものを一口に申上げてみまするならば、児童相談所の方は新設の條文の第二号「児童及びその家庭につき、必要な調査並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神衛生上の判定を行い、」と、診断という言葉を使いたいのでありますが、この仕事が一番中核になるわけであります。専門家の手によりまして子供に対して科学的な判定を行いまして、この子供はこういうふうに指導したらいいとか、こういうふう々措置をとつたらいいということを判定をするというのが児童相談所の中心の仕事に相成つているわけでございます。社会福祉事務所の方はこれは広く生活保護法身体障害者福祉法等の事務児童福祉と一緒に扱つて参りまするので、もう少し一般的な問題を取扱うということに相成つて参るわけでございます。但し一般国民の方々が問題の児童がありまするときに、こういう児童があるぞという通告をいたしましたり、その通告の規定は二十五條であつたかと思いますが、ここでは通告をいたしましたり、通告をいたします場合には社会福祉事務所でも児童相談所でもどちらでもよろしい、窓口は国民の方々の便利の方にしてよろしい。それからお母さんが子供を連れてこの子供はどういうふうにしたらよかろうかという相談を持ちかけて参ります場合でも、社会福祉事務所でも児童相談所でもいい、窓口は御自由と、併しながらそれぞれ自分の何と申しまするか職務分野に属さないものであるならば互いに移送し合うということにいたしているわけであります。その規定は二十五條の二のうちの一号に、「児童相談所に送致する」という規定がございます。それから児童相談所のほうから福祉事務所に送致する規定は、二十六條の三号にそういう規定を設けたわけでございます。大体さような心組で法律を書いているわけであります。
  45. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 只今説明の窓口は広く自由で互いに所管が違つておれば移送し合う、この考え方は私は非常にいいと思うのでありまして、この法律を見ただけではどこへ相談に行つていいのかどうかいろいろわからん場合もあると思いまするから、そういう取扱になつているのであればこれはいいと思います。それを私はむしろ逆に考えておつたのであります。相談所の方は局長が只今説明されました二十五條の二の一号を見ると、児童に関する各般の問題について家庭どの他からの相談に応ずる、ここで各般のことがありまするから相談所の窓口が一番広いのかと思つたのでありまするが、今の説明でむしろ福祉事務所の窓口が広いような御説明でありましたが、併し所管が違えば所管ごとに御送致になつてやるという、こういうことになつているのでその点は了解いたします。願わくばそういう点を一つ親切に迅速に取扱うようにそれぞれの末端の機関によく御通知を願いたい  それから今局長が説明されるに当つても、二十五條の何号或いは二十六條の何というように一々法律をひつくり返して専門家でもひつくり返すほかないようになつているようでありますが、これは立法技術上なかなか面倒かと思いまするが、我々も実は読みかけて読み切る勇気がなくたつたのであります、面倒くさくつて。くどいようでありまするが読み易いように、親しめるように、特に児童福祉法律でありまするから、そういうふうに適当の機会にこれを全面的に改正してもらうことを私は希望いたします。よろしうございます。
  46. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 児童相談所についてちよつと伺いますが、二十五條の二の一号に、「医学的心理学的、教育学的社会学的及び精神衛生上の判定を要すると認める者は、これを児童相談所に送致すること」ということでございますが、心理学的にと医学的にとでは何か児童相談所保健所と連絡をおとりになるのですか。こうした心理学的、教育学的の児童検査は特別な嘱託の先生たちでもお雇いになりますか、各学校からかどこからでもお雇いになるのですか、常駐の職員をお置きになるのですか、ちよつと承わりたい。
  47. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 十六條の二に新設の法文を設けましてそこに相談所の所長及び所員の資格を定めておりますが、精神衛生関係の人と心理学の関係の人と必ず児童相談所に専任の者を置きたいと考えております。併しながらいろいろな実際上の問題で専任の者が置けないという事情でありまするならば、只今指摘ように大学の先生等を県でお願いするとかというふうなことになるかと思うのであります。今日でも精神衛生のかたは専任の人が比較的少うございますけれども心理学等のかたは殆ど全部の児童相談所か専任者を持つております。本年度におきましては若干の増員の経費もこれに取上げるのでございますけれども、要するに求められておりまするのでできるだけ專任者を多く獲得いたすつもりでおります。
  48. 山下義信

    委員長山下義信君) 先ほど石原委員の御意見は御質疑中ではありましたか私も同感でありまして、非常に難解な法律になつて来ますが、これは適当な時分に再検討を私どもお願いしたいと思います。これはいずれ本案の御審議が終了しましたときに委員の各位と相談申上げまして当局に要望したいと思うのでありますが、まあ私も一応同感である意見を申して置きます。  第三節の児童福祉司及び児童委員の節におきまして私も伺つておきたいのですが、児童福祉司が「専門的技術に基いて必要な指導を行う」というふうに改められたようでありますが、この意味をわかり易く一つ説明願いたいのです。
  49. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 社会福祉主事というものができましてこれが一般的なケース・ワーカーとして指導の問題もケース・ワークしてもらうわけです。児童福祉司との関係はまあ譬話で非常に恐縮でございますが、内科、小児科というふうに何でもみるお医者さんもありまするし小児科の専門医もありまする丁度それと同じよう関係で、児童福祉司の場合は児童問題についてはより高い、より專門家である職員ということにいたして行くつもりをここに書き現わしてある。具体的なケースの問題で申しますると例を挙げることは非常に困難ではありまするが、一例を挙げてみますれば、子供さんが問題を持つている、併しながらその問題は家庭が貧困なるが故にその子供さんの問題が発生している、その子供さんの家庭生活保護法その他の方法によつてあれすれば子供の問題も片が付くというふうなケースでありますれば、これは社会福祉主事がやつた方が適当である。併しながら子供の性格自体に一つの問題を包蔵しているというふうな問題につきましては、児童福祉司が担当をして行くというふうなことで大体あれになるかと思うのであります。
  50. 山下義信

    委員長山下義信君) そういたしますと、あの保護、保健というようなああいう特別の技術と申しまするような問題については、「專門的技術に基いて必要な指導を行う」ということが了承されるのでありますが、児童福祉ということで申しますと、今仰せになりましたような特殊児童だけを児童福祉司は扱う、一般の通常児童というようなものは社会福祉主事が担当してよろしいのでございましようか、或いは児童福祉について特殊の福祉措置については福祉司が扱う、併しながら一般的な、なんといいますか常識的な福祉の問題については社会福祉主事が扱うという、その福祉の総体の内容について仕事の区分をしようというのでしようか、或いは児童の対象によつて扱い方を分けようというお考えでしようか、その辺はどういうお考えでございましようか。
  51. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 特殊な児童については児童福祉司がやり、普通の子供さんについては社会福祉主事がやるというふうなことは考えておりません。いずれもケース・ワークでございまするのでいずれも問題を持つた子供を扱うわけでございます。ただ社会福祉事務所のほうは御承知ようにグループ・ワークの問題も取上げまするので、一般の普通の子供さんを対象にいたしまする場合にはグループ・ワークの問題が多くなるのではないかと私は考えるわけであります。ケース・ワーカーとしての仕事といたしましてはいずれも問題を持つた子供を扱うということに相成ると思います。従いましてその子供さんの持つておりまする問題の性格によりましてそのケース、ケースの性格によりまして社会福祉主事が扱う、児童福祉司が扱うという区別が出てくると思うのでございます。
  52. 山下義信

    委員長山下義信君) もう一度確めておきたいと思うのですが、問題を持つた児童ということはその通りでありますが、問題を持たない児童は本法の対象にはならんのでありまして、児童の問題が起きて、逆説すれば問題を持つ児童について本法が動くわけであります。その問題というのが特殊の問題が一般的な福祉の問題というようなことでお分けになるのかどうかということを伺つたのでありますが、それをケース・ワーク、とグループ・ワークとお分けになつたのでありますが、ですから普通の福祉の措置でもいわゆるケース・ワーカーで進む場合は、児童福祉司がそれじや扱うのでありましようか。それから特殊の問題を持つ児童についてもグループ・ワーカーでなければ解決のできないようなものは社会福祉主事が扱うのでございましようか。ですからこういうことは小さいことをせせるようでありますが、立法の際にはつきりいたしておきませんと、いずれ省令等で詳細おきめになるのでございましようけれども、私ども承わつておきたいと思うので、児童福祉主事と社会福祉司の職務権限の分界点というものをもう一つはつきりと承わつておきたいと思います。
  53. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 私の言葉の足りませんために或いは誤解を招いたかと思うのでありますが、概論的に言いますと、社会福祉主事児童一般的なケースについて取扱をする、児童福祉司はより困難は專門的な技術を要するケースについて取扱う。それは最初申上げましたよう一般医、専門医の、たとえ話をいたしますれば区分のようなものであろうかと思います。従いまして児童福祉司相談所の今度新たにそういう規定を挿入して頂くことにお願いをしているわけでありまするが、身分はこれは府県の職員でありまするが、職務上におきましては専門的な判定の機能を持つて相談所長の指揮命令に服するということにまあ相成るわけであります。従いまして児童福祉司としましては背後に相談所の専門的なスタツプを持ちまして困難な、より高い専門的な技術を要するようなケースに当つて参る、こういうふうに申上げたらば或いは御了承頂けるかと思います。
  54. 山下義信

    委員長山下義信君) 後で児童相談所の機能というところに参りましたときに彼此対応させて研究させて頂きましよう。  第十一條の四項に、児童福祉司児童相談所長の指揮監督を受けるということは今回の御改正でございまして、この児童相談所というのはこれは迂遠なことを聞きますが、市立の相談所がありますか。
  55. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) ここで指しておりまする児童相談所はいずれも都道府県立でございます。市立の児童相談所は本法にいう児童相談所ではございません。
  56. 山下義信

    委員長山下義信君) 併しこれは第四項の「児童福祉司は、第二項の職務に関し、児童相談所長の指揮監督を受ける」というのでありますから、この児童相談所長というのが都道府県児童用談所長に限るというのはどうしてそう言えますか。
  57. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 第十五條に都道府県児童相談所設置しなければならないというふうな規定がございまして、市立の児童相談所というのはないのでございます。
  58. 山下義信

    委員長山下義信君) ないのですか。今伺つたのですとあつたようですが。
  59. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) ないと申上げたつもりでございます。
  60. 山下義信

    委員長山下義信君) よろしうございます。
  61. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 その問題をもう少し明瞭にしておきたいのでございますが、それじや児童相談所福祉事務所保健所関係をもう少しはつきり説明して頂きたいのです。児童相談所都道府県にあつてどういう機構になつておりますか、それと社会福祉法と関係があるでしようか。児童相談所一つの所に保健所は幾つぐらいの割合になつておるか、児童相談所一に対し福祉事務所はどのくらいになりますか、その割合をちよつと示して頂きたい。
  62. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 児童相談所にこれは県によつて若干違いまするけれども中央相談所というのは県に一カ所持つております。大体県庁の所在地でございます。そうして小さい、なんと申しますか、枝葉のような小さい相談所を県内の他の児童の問題の多い都市等に置いている所がございます。全部で中央とその地方相談所を入れまして約百ヵ所ぐらいと心得えております。  それから社会福祉事務所社会福祉事業法で御承知通りに大体端的に申上げますれば、郡に一ヵ所ぐらいということでございます。それと市と、それから保健所も大体それと同数でございます。従いまして児童相談所というのは非常に数が少く、従つて社会福祉事務所保健所というのは非常に数が多く、そうしてその擁しまする職員の数も福祉事務所保健所の方がずつと多い、こういう恰好になつているわけであります。
  63. 山下義信

    委員長山下義信君) 児童福祉司の資格ですが、十一條の二に規定されてありますが、その三号に医師というものを持つて来られましたのはどういう理由ですか。
  64. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 児童福祉司はその職務のところに十一條の二号にございますように妊産婦の保護、保健というような問題も含むわけでありますので、医師で適当な者がおりますれば児童福祉司の資格を與えてもよかろう、かようなつもりで設けたわけであります。
  65. 山下義信

    委員長山下義信君) 医師の中の適当な人というのは、医師でさえあれば眼科であろうとなんであろうと皆無條件に児童福祉司に適任と考えられますか。医師なれば無條件の採用資格にされました理由は何かあるのでしようか。
  66. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 私どもの方で期待しておりますのは精神衛生の医者でありますとか或いは小児科の医者でありますとか或いは整形の関係の人であります。そういうような人を期待いたしておりますけれども、併し実際さように限定いたしませんでもたとい眼科の医者でありましても基礎医学を修めておるわけであります、従いましてそのかたのなんと申しますか熱心さの程度によりましては十分そのかたの医師としての全般的な知識というものが福祉司として活用されることを期待できると思うのです。従いまして広く医師と書いたわけでございます。
  67. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 この一号に、「厚生大臣の指定する児童福祉司又は児童福祉施設の職員を養成する学校」、これは今どことどこにございますか。それからその次の「その他の施設」も御説明願いたいのです。それから「厚生大臣の指定する講習会」、これにどの程度の講習会ですか、ちよつと御説明願いたいのです。
  68. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 今日までのところまだ指定をいたしておりませんけれども、かようなものを指定したいというふうに考えておりまするのは、例えば学校でありますれば御承知の東京と大阪に社会事業学校がございまするが、かようなものでありますとか、それから施設といいまするのは国立武蔵野学院に附設されておりまする教護院の教母を養成する養生所がございます、やはり国立でございますがかようなものを頭のうちには考えておるわけでございます。それから講習会というのは一体どういうものだかという御質問でございまするが、これは将来どういう講習会が誰によつて開催されるかわかりませんけれども、一列を挙げますれば府県等で相当長期の講習会を開催いたしまして、そうして而もその受講者の資格を相当しぼつた講習会でありまするとか、さようなものを頭の中に考えておるわけでございます。
  69. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それでは重ねてお伺いしますが、若しもそういう講習会をなさいますについては別に省令でもお決めになるつもりでございましようか承わりたいのでございますが。その講習会の内容は別に細則でも出されるつもりでございましようか。
  70. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 講習会はいろいろなものが持たれると思いまするので、只今のところ省令で一定の規格を定めてしまいまするか、或いは通牒程度で一応の標準を示して具体的にその個々の講習会を検討して指定をするかどうかを決定いたしまするか、その辺のところはもう少し私どもに研究をさして頂きたいと存じます。
  71. 山下義信

    委員長山下義信君) 社会福祉主事児童福祉司との何といいますか、地位といいますか、資格といいますか、若干差異がございますか。
  72. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) まあ一口に申上げますれば児童福祉司の方が任用資格が高いわけでございまして十一條の二で申しますれば、四号の「社会福祉主事として、二年以上児童福祉事業に従事した者」でありますとか、それから二号の学歴の関係におきましても、児童福祉司におきましては旧制の高等学校、専門学校の卒業者は含んでおりませんけれども社会福祉主事の方では専門学校、高等学校の卒業生でも資格があるということになつております。こちらは大学だけでございます。それから三号の「医師」が任用資格に入つているというようなこともそうであります。
  73. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 もう一つ、この條中に五番目のところ、「前各号に準ずる者であつて児童福祉司として必要な学識経験を有する者」、これはどういう人を意味しておられましようか。民生委員ような方でも意味しておられるのでしようか、この点承わりたいと思います。
  74. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) これは具体的の問題として検討いたしませんとちよつと抽象的には申上げられないような気がいたすのでありますけれども、まあ例えばというような意味でお聞きおき頂ければ、例えば相当長年学校の校長など或いは教員などをやつて教育学とか心理学とか児童心理学という方面には相当の素養を持つている、併しながら学歴は必ずしも大学を出ておられないというふうな人なんかがこれでいけるのじやないかとまあ考えております。民生委員さんの中にも或いは適当の人がおありになるかも知れません。
  75. 山下義信

    委員長山下義信君) 丁度今民生委員とか児童委員とかいうことが出ましたが、この節にもありますが、児童局長の高田さんからこの際承わりたいと思います。
  76. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 只今制度では民生委員は即児童委員ということに相成つておりまして、それで民生委員を選ぶには児童委員としての適当な資格、何といいますか、人柄の人を選ばなければならんという建前に相成つております。これは私個人の考え方でまだ厚生省の考え方ということには申上げかねるかと思うのでありまするが、私の気持といたしましては、民生委員児童委員というものは制度といたしては将来分けて行くべき方向が正しいのじやないかというふうに一応考えております。民生委員児童委員を一本にいたしました最大の理由は、一つ家庭に今日は生活保護法の問題で或る人が来た、今日は子供の問題で或る人が来たというふうなことよりは一人の人が扱つた方がよかろう、こういうことがその一本にした非常に大きな理由になつているように思うのであります。その問題は社会福祉事務所ができて社会福祉主事という職員ができまして解消をいたすわけであります。社会福祉主事子供の問題も保護法の問題も一緒に取扱うということになりまするので、両委員を一本にいたしました最大の理由は今日すでに解消いたすことに相成るわけでございます。併しながら将来は民生委員なり児童委員なりというものは、従来の法律上の強い権限を持たないでいわゆるヴオランテイアーとして活動をして行くということに相成りまするので、ヴオランテイアーとして活動をするということになりますれば、自分はお年寄の面倒がみたいというヴオランテイアーもあるだろうし、自分は子供の面倒をみたいというヴオランテイアーもあるだろうし、或いは子供の問題でも私は特に不良少年の面倒がみたいのだというヴオランテイアーもあるだろうし、さようなことになりまして一定の地区を担当して、その地区内に起るあらゆる問題を一人の人か取扱わたければならんというヴオランテイアーの制度必ずしも必要はないと思うのであります。さような観点から私はこの両制度は分れて行くべき筋合のものだと考えております。ただ皆様よく御承知ように、民生委員制度というものがどういうふうに今後なつて参りますか、それがまだはつきりと確定をいたしておりませんので、民生委員制度の成行きと睨み合せまして私の今考えておりますることを児童委員についてまあ実現をしまして、その模様と睨み合せて実現いたして行きたい、今日のところは従来の制度のままで行く、こういうつもりでやつているのであります。
  77. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それについてでありまするが、それではこの法律改正なつた暁に児童福祉司を何人か増さなくちやならないと思いますけれども、現在の人員と、それから将来の増員の何といいましようか、計画をちよつとお話頂きたいのであります。どれだけ殖やして行くかというような問題であります。
  78. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 只今申上げましたのは、将来の児童委員制度に対する今日の考えを申上げましたので、この法律の今回の改正案におきましては、児童委員の問題につきましては何ら改正を加えておらないわけでございます。従いまして只今指摘の問題はこの法律改正からは起つて参りませんのでございますが、併しながら児童福祉司は二十五年度と比べますると、二十六年度におきましては約八割がたの増長ということに予算措置はなつております。それから只今主計局長のおお話にもありましたように、社会福祉主事は人数を忘れましたが、四五千人でございましたか増員されることに相成つておるわけでございます。従いましてこれらの専門家の増員によりまして、子供さんの面倒も従来よりはより以上に見られるということに相成るかと思います。
  79. 有馬英二

    ○有馬英二君 この第十一條の二の三の「医師」と書いてあることに対して先ほど委員長からも御質疑かあつたようでありますが、私も重ねてちよつとお伺いいたしたいのですが、医師をこういうよう児童福祉司として御採用になるということは、医師に対する一つの新らしい進む途を開かれたと申しても差支えないかと私は思うのでありまして、今度この方面に医師が続々と進んで行くことかあるかも知れないということを予想するのであります。従いまして大学を卒業した医師としての資格のある者が採用されるということは非常に望ましいのでありますが、ここの第二に「学校教育法に基く大学又は旧大学令に基く大学において、心理学、教育学又は社会学を専修する科目」とこういうことにして、この児童福祉司の採用について非常にこう重きをなしている心理学、教育学又は社会学というものを専修しなければならん。専修した者を採用するということに何か主眼をおいておられるように私は思うのでありますが、ところが医師の教育の中には教育学、社会学を専修さしておらない、心理学は研究をさしているのです、科目の中にあるが、併し教育学と社会学は専修科目の中に入つておらない。そういう点において多少食い違いがありはしないかと思うのでありますが、別に児童福祉司御採用の際に試験はなさるのではないと思うのでありますが、そういう点についてどういうふうにお考えになつておりますか。
  80. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 子供の問題を取扱いまする専門的な知識といたしましては、私ども考えますのは教育学、児童心理学というふうな、或いは社会学というふうな面と、それから医学的な面とこの両方がありまして初めて完全な取扱ができると思うのであります。それは相談所の職員にさような両面の専門家を置くということを定めておりますことによりましても現われているわけでございまするが、それでできますればその両方の知識経験を備えた人を福祉司として採用するのが一番これは理想であります。併し現実の問題といたしましてはさような両方をやつた人というのは非常に少うございますので、むしろ非常に例外的なかたでありますので、そのいずれかの知識を持つた人を採用いたしたい、かような意味合でございます。
  81. 山下義信

    委員長山下義信君) この児童委員の問題の児童局長の所見は了承いたしましたが、これは先ほど石原委員の御意見の中で私も同感した一部分ですが、本法が難解になる一つの原因でもある、こういう問題をそのままにされて置かれることは誠に遺憾に思うのです。今回の改正はこの児童福祉に関する機構の結局大改正であつて、こういう点を置き忘れておかれるということは甚だ私は遺憾に思うので、例えば児童福祉審議会のごとく、先刻もありましたが福祉事務所との関係を結び付ける、こういう本法の改正市町村にも置くようになつている審議会というものが必要か不必要か、これは当然再検討されておかなければならん。又児童委員のごときも市町村長との関係が非常に密接な現行法のままをここに存置する。今回の市町村長と児童福祉との間の問題が大整理、大改正される、そうして児童委員だけは現行法のごとく市町村長と密着している建前のものが置かれているというように法の体系を整理されるなら、すかつと一応きれいに整理されると、こういう機構なんぞでもただ書き方だけじやなくてわかりいいようにできるんじやないかと思うのです。福祉の機構がこういうふうに変つて来れば児童委員などの又あり方なども当然再検討されなければならんと思う。これは是非一つ次回には、こういう機構の福祉事務所との間の関係等、或いは市町村長との関係等がずつと後に出て来ますが、そういう大改正をされるに際して市町村長と依然と、して密着されてあるような部分が残つているというようなことは、これは当然御検討なさる必要があるのじやないかと私は思う、児童局長の御所見を承わつて置きたいと思います。
  82. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 御指摘ような何と申しますか遺憾な点があることは私も認めます。事情を申上げますると、最初は全文改正のつもりでさような点を整理をした案を準備をいたしで参つたのでありまするが、御承知ように各省との関係が非常に多い法律でございますので、各省となかなか話がまとまらないという問題でありますとか、或いはいろいろ事務的に時日が切迫をいたしてうまく参らないというようなことからかような本当に集約された関係の面だけの小さい改正案になつて参りましたわけでございます。只今指摘児童委員の問題はこれは別に他の省との関係があるわけではございませんけれども、皆様よく御承知ように民生委員制度というものが非常にデリケートな段階にあるのでございます。従いましてこれと一体でありまする児童委員條文に含めますることは、その民生委員制度についても非常な影響を及ぼすということにも相成りまするし、なお先ほど私が申上げました私見というようなものにつきましても十分練る必要もございまするので、今回は何ら手を触れないでまあそつと来たとこういうことが実情でございます。
  83. 山下義信

    委員長山下義信君) 了承いたしました。例えば妊産婦の処置その他の処置につきましても、今回の改正によつていわゆる町村長は、あれは何條でありましたか、先の二十二條、三條、四條でありましたか、あの辺で変つて来ている。然るに児童委員は、現行法でございますと依然として市町村長に報告いたしましたり、市町村長を経由しなければできないような項目などがあつたりいたしまして、一方では市町村長の関係切つておいて、一方ではやはり児童委員立場に立つてみると、児童問題を扱う場合には、市町村長に密着して行かなければならんというようなことが存置されておりますと、ひどく不明瞭になる点があると存じまして、問題は一つ後日にお預けして是非御研究を願いたいと考えております。これはわかりませんから伺うのでございますが、この第十五條の二の二号でありますが、児童指導につきまして社会学的の指導をするということはどういうことを意味するのでございましようか。
  84. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) これは判定にかかるのでございまして、この子供はどういうふうに取扱つたらいいかということを判定いたしまする際には、その子供の社会歴というものを調べなくちやならん、そこに社会学的な考察というものが必要になつて来るのじやないかと思います。それでかようないろいろな観点からの考察に従つて、この子供はこういうふうな子供であるからこういうふうに取扱わなければならんということが判定いたされましたならば、それに附随いたしまして必ず必要な指導というものが出て来るわけでございます。さようなつもりで書いたわけでございます。
  85. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 第三番目の「児童の一時保護を行うこと」、この保護の方法でございますがどういう保護が行われておりますか。
  86. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 相談所はこの一号、二号、三号、私特に二号が非常に大事な仕事であるということを強調して申上げましたが、この三つの機能から成立つておるわけでございます。それで一つの機能は今申上げましたこの判定をいたす機能でございまして、まあクリニツクと申しますか診断と申しますか、さような機能でございます。それから一つの機能は、いろいろこの一号に書いてありまするよう家庭からの相談に応ずるという機能でございます。それから三番目の機能は、これは御承知ようにそこに例えば連れて来られました子供さんの判定をいたします期間中そこに置いておく、寝泊りをさせまして食事を給しまして、或いは浮浪児等でありまするならば風呂に入れて新らしい衣服を與えて、そうしてそこに寝泊りをさしておく、こういう機能を今日でも持つております。あの仕事を三号でさしたのでございます。
  87. 山下義信

    委員長山下義信君) 巡回児童相談所の計画は、我々満腹の賛意を表するものでありますが、これは大体どういう構想でどういう御計画ですか、大要を承わつてみたいと思います。
  88. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) これは巡回いたす主たるスタツフと申しますか、それはこの二号の診断指導部と申しますか、さよう専門家の巡回を私どもは考えておるわけでございます。たとえて申しますれば、社会福祉事務所等に参りまして、社会福祉事務所社会福祉主事がケース・ワークを続けておりまする問題の児童について、専門的な判定を行うとか、そうして相談に応ずるとかいうようなことをまあ考えておるわけでございます。
  89. 山下義信

    委員長山下義信君) お仕事内容はわかるのですが、私の質問ちよつと不明瞭でありました。児童相談所は当然本法の改正された方向から行けば、福祉事務所に恐らく相並んで福祉事務所のある所、児童相談所あり、殆んど私はこの福祉事務所にタイアツプして児童相談所が置かれると思うのです。従つて必要に応じて巡回する地方というのは、児童相談所の置かれていない地方をお廻りになる、児童相談所の置かれてある地区を廻るというはずはないのですから、この児童相談所が巡回されるという。このおよそ計画の構想というものはどういう狙いを以ておやりになるかという、この巡回されてなさる仕事の内谷じやないのです、仕事内容は当然この相談所のお仕事……
  90. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 先ほど御説明申上げましたように、社会福祉事務所の数は相談所よりはずつと多いのでございまして、只今申上げましたのは、児童相談所の所在地以外の社会福祉事務所等に根拠を置いて巡回相談をいたしましたり、或いは余力がありますれば学校とか役場等にも出かけて巡回相談をいたすということが考えられております。
  91. 山下義信

    委員長山下義信君) わかりました。他に御質疑はございませんですか……。午前中はこの程度にいたしまして暫時休憩いたしたいと存じますが御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼び者あり〕
  92. 山下義信

    委員長山下義信君) 暫時休憩いたします。    午後零時十四分休憩    —————・—————    午後三時十八分開会
  93. 山下義信

    委員長山下義信君) 休憩前に引続いてこれより会議を続行いたします。児童福祉法の一部を改正する法律案の御審議の続行を願います。午前に御出席なさいませんでした委員の方に申し上げますが、大体逐條的に御審議を願うというのでお進め願つておりますのでございますが、総体的な御質問でありましてももとよりよろしうございます。大体第一章総則の中で第四章の「児童相談所福祉事務所及び保健所」の、この節前後を只今審議中でございます。  児童局長に伺いますが、児童相談所社会福祉事務所とのあり方について、もう数回質疑が行われたのでありますが何遍も承わつてはつきりしておきたいと思います。保健所との間はよくわかりますが、ただ保健所との関係では、例えば身体障害児童というものの扱い方について、保健所で扱うのと児童相談所で扱うのと区別等をおつしやつて頂きたいと思います。  それから児童相談所とそれから福祉事務所とのあり方についてのはつきりした一つ区別といいますか先ず区別と、それから連絡の方法というような点を、政府に対しては何遍も伺つて済みませんがこれが結局改正案の山の一つであろうと思いますが、その点を一つ明確にしておいて頂きたいと思うのであります。御説明に従いまして逐次御質問も出るのじやないかと思いますから。
  94. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 児童相談所社会福祉事務所との関係でございますが、先ほどもお答えで申し上げましたが、先ず児童相談所というものは数が非常に少うございます。大体大きな中央相談所というものは一県に一つ、ただ若干の一、二持つておるもの、持つておらないところもありまするけれども、支所的な小さい相談所を持つております。社会福祉事務所は大体保健所と同数ぐらいで、各部に一カ所ぐらいの配置状況にあります。  それから性格の問題でございますが、児童相談所は三つの機能を持つておりまして、一つ相談に応じ或いは措置をいたすという、都道府県知事から権限を委任された場合に措置をいたすという部といいますか部門と、それから問題の児童につきまして専門的に、科学的にその児童を如何に取扱つたらいいかという判定をいたす機能と、それから一時保護をいたす機能と三つの機能を持ちました児童福祉についての専門的な中心機関、かように申すことができるかと思うのであります。それから社会福祉事務所の方は児童の問題だけでなしに、御承知ように他の生活保護法とか或いは身体障害者福祉法とか、それらの問題も総合的に扱いまするケース・ワーカーのセンターというふうにいえるかと思うのであります。  次に権限のあれでございまするが、児童の措置をいたしまするいわゆる措置権と称しておりまするが、その権限はこれは都道府県知事が持つているわけでありまするけれども、それを委任いたす場合には、大体今までの二十七條の措置権は児童相談所長に委任され、ただ助産施設と母子寮に入所をいたす措置を社会福祉事務所長に委任をいたすことに相成つております。措置権におきましてはさような違いがあるわけでございます。  大体さような点か違うのでございまするが、なおこれらの連絡の問題といたしましては、先ほど申上げましたように、問題の児童がこういう際にその通告を受けたり、或いは相談にどちらに参るかというようなことは、もよりの相談所であつて社会福祉事務所であつても、いずれに参つてもそれは国民便宜ということに相成つております。そうして相談所、並びに社会福祉事務所はそれぞれ通告なり相談なりを受けました場合に、専門的な判定を必要とするようなケースにつきましては、社会福祉事務所児童相談所に移送し、それから児童相談所は社会福祉事跡所の社会福祉主事指導をさせるというふうなことが適当であると認定いたしますケースにつきましては、相談所から社会福祉事務所に移送をいたす、かような連絡の方法によりまして双方の仕事の調整と役所の内部的な調整を図つて参る、かようなことに相成る次第であります、大体。
  95. 山下義信

    委員長山下義信君) もう一点、今の身体障害のある児童についてという場合に、本法の條文の範囲から見ると、児童相談所の業務の中の二号に「医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神衛生上の判定を行い、並びにこれらに附随して必要な指導を行うこと。」こうあるわけですね。身体障害の児童は、児童相談所の二号につきましては、具体的に言えばどういうよう関係になりましようか。それから保健所の方の第十八條の三を見ますと、その一項の第三号に「身体に障害のある児童の療育について、指導を行う」、こういうことになつておりますのですね。一例として個々の区分をどこまでが児童相談所がやり、どこから保健所が受取るのか。或いは身体障害のある児童について当初から保健所が扱うのか、途中までを相談所がやるのか、療育の部分を保健所がやるのか、一例でありますがその限界、これはどういうふうに相成りますか。
  96. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 身体障害者の場合は原則としてこれは医学的な問題が主になりますので、原則として保健所が審査、相談指導等をいたし、又補裝具を付ける場合にはその補裝具を付ける指導をいたすということに相成ります。ただ肢体不自由児施設に入所せられる場合におきましてはこれは一つの措置をいたすことに相成ります。その措置権は児童相談所長にその権限を委任いたすことができまするので、措置をいたす場合には児童相談所一がこれをいたす、かようなことに相成るのでございます。
  97. 山下義信

    委員長山下義信君) そうすると、大分わかつて来ましたが、児童の療育についての指導というものはその施設に入つてからは相談所が措置をして施設に入所をしますが、保健所が第三号によりまする療育についての指導ということはこれはどういう範囲を指しているのでございましようか。
  98. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 一例を肢体不自由児にとつて見ますれば、相談に参りました肢体不自由児につきまして保健所の医師が一応の診断をいたしまして、そうして、この人は例えばこういうふうな補裝具を付けたらいいとか、或いはどこそこの整形外科の病院においでになつたらいいとか、或いは又治療と一緒にいろいろ何と申しますか職業補導とか何とかもやつて行くという肢体不自由児施設という施設にお入りになつたらいいであろうとか、或いはそういうよう施設に入る必要がないのでただ病院にお通いになつてここを治してもらつたらいいというようなことを保健所の方でやることになります。
  99. 山下義信

    委員長山下義信君) そういう指導児童相談所ではやらないのですね。
  100. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 児童相談所ではさよう指導はやりません。
  101. 山下義信

    委員長山下義信君) 何か御質疑ございませんか。
  102. 藤原道子

    ○藤原道子君 この法律は誠にこんがらがつていてちよつとわかりにくいのです。そこでまあ今の御説明を聴いてややわかつて来たのです。そこで私、児童相談所の行う権限でございますね、それを一つもう一遍伺いたいのでございます。それはときどきいろいろな問題が起つておりますが、過ぐる五月二十七日の毎日新聞に長野県長野中央児童相談所の首席が思春期の少女百数十名を全裸にして猥褻行為をしていたということが明らかになつているという記事が載つておるのですね。そうしてそれの中には、同相談所は貧困家庭や父母のない不幸な少女たち(十八歳まで)が県下の養護施設や教護施設に収谷される前に、ここで一応知能、性格体力等のテストをするが、その際同所の首席知能鑑別係三澤某が十三、四歳から十五、六歳の少女を六畳の部屋に入れて中から鍵をかけて立会人も置かずに全裸になることを強制し弄んでいたものである、こういう記事が載つております。私はどうもこういう全裸にしてやるということは児童相談所の権限を超えているのじやないかと思うのでございますが、従いまして私がお伺いするのは児童相談所で行う権限についてお伺いしたい。それからこういう新聞が出たのでありますからさぞ御調査に相成つたとは存じまするけれども、この新聞によりますとその三澤某はここへ来る少女は中には妊娠や或いは病気を持つている者もあるので裸にして約百人くらいの少女を調べたことはあるがいずれも本人の承諾を得てやつた、猥褻行為をしていないこういつておるのです。けれどもたとえ病気があるという危険がありましようとも、或いは妊娠しておる者があつたといたしましても一鑑別係が立会人もおかないでその部屋の中に監禁をして中かから錠をかける、そういうことを行い得る権限があるかどうか。
  103. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) その新聞記事につきましてはそれが事実といたしますれば非常に遺憾なことでありまして、只今どもの方でもそれにつきまして長野県々庁に調査をいたさせまして児童課長が調査の結果を携えてやつて来ることになつておりますので、それが事実であるかどうかということを確めぬとわかりませんが、その新聞記事のごときことでありますればこれは勿論行過ぎであります、許されないことであると思います。児童相談所のやるべきことといたしましては、この子供を如何に取扱つたらいいかということを専門的に科学的にこれを判定をするので、その常識を逸してさようなことをいたしますような権限はこれは明らかにないと私は存じます。
  104. 藤原道子

    ○藤原道子君 それからこの点は私強く要望いたして置きますから、再びこういうことがあるとそれこそ大きな人道問題だと存じますので徹底的に御調査を願いたい。そういうことはありませんというようなうやむやでお済ませにならないようにここにはつきり本人の談としてやつたということが出ておるのでございますから、この点は明確にして御調査の結果の御回答を頂きたいかように存じます。それから「児童相談所は、必要に応じ、巡回して、前項第一号及び第二号の業務を行うことができる。」ということに相成つておるのでございますが、私はここでお伺いしたいことは児童福祉法におきまして、「すべての国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ育成されるよう努めなければならない。すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。」「国及び地方公共団体は、児童保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」ということに相成つております。そうして又児童相談所は巡回して補導を行うという條文に相成つているのでございまするが、私どもが見受けるところによりますると、いわゆる料飲店と申しますか特殊喫茶店等、ああしたところにおきまして未成年の子供たちが働いている、そうしてそういう所へ夜の夜中に花を売りに来るとか、或いは靴を磨いているというようなことは局長のお目にとまらないことはないと思うのでございます。そうした場合に保護すべき少年、少女等を見出した場合にどういう対策をされるか。
  105. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) これは基準法の問題が主のようでございまして、十五歳未満でありますればいけないということになり、十五歳以上でございまするとその関係ではよろしいということに相成るわけであります。
  106. 藤原道子

    ○藤原道子君 それだけですか、私は、十五歳以下の子供が多数おりますそういう所を見出した場合にどういう手続を取つておられるかということを伺つております。
  107. 山下義信

    委員長山下義信君) 委員長からも補足いたしますが、正当な職業に従事する関係の労働基準法関係だけでなくいたしまして、本法にいうところの児童の虐待関係に関連するような御質疑ではないかと思うのでありますが、條文になかつたにしましても、附随してそういう場合におけるところの当局の対策を私もこの機会に伺つておきたいと思います。
  108. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) さよう子供を見出しました場合におきましては相談所に連れて参りまして、そうしてその子供のいろいろな家庭状況とかいろいろな環境を調べまして、若しそれが家庭状況によつて生活保護法にかけなければならんということになりますれば生活保護法の措置をとるように連絡をいたし、或いは親の性格によりましては親を呼出して訓戒をいたしたり、二十七條の措置がございまするが、訓戒をしたり或いは児童福祉司指導に服するとか或いはどうしても親から引離さなければならないというふうな場合には施設に収容いたすとか、さよう努力をいたしておるわけであります。併しながらそれは今日必ずしも十分に全部に参つておるということは私も言い切れない。その現状を遺憾に存じまするけれども今後大いに努力をいたしたい、かように考える次第でございます。
  109. 藤原道子

    ○藤原道子君 今後努力をするというお言葉でございますが、私どもが見ますると殆んど放置されているように見受けられるのでございまして、今までに然らばどの程度の数がそういう所で発見されて保護されたか、そうしてその保護された子供たちの中には親が、親権者がそういうことをさせていた数がどのくらいあるか、或いは家出の者がどのくらいあるか、そしてその保護したのがどういう方法で保護されたか、その件数並びに解決方法がわかりましたら、是非とも御提出願いたいと思います。
  110. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 現在まあ五、六百件程度わかつておるものがございまするけれども、この五、六百件を内訳どういうふうに処置をいたしたかということは、只今手許に資料を持ちませんので、後ほど何らかの方法でお答え申上げたいと思います。
  111. 山下義信

    委員長山下義信君) 私の質疑にもお答えを願いたいと思うのですが、私が便乗して伺つたのは、本法で言うと三十四條に該当しますか、この児童の虐待防止……藤原委員の御質問に関連いたしまして、三十四條の児童のいろいろな虐待、そういうようなことに対しての防止の條文があるわけです。そういうふうな幼小な児童をいろいろ酷使したり、又いかがわしい所へ突き落したり、非常な悲惨な状態に置いてある、そういう者に対する対策はただ警察取締当局というようなものに委してあるのでしようか。厚生省としてはこういう可憐な児童の問題に対して、福祉の上でどういう対策を立てて、関係行政官庁等々と連絡して何か筋の通つた対策を持つておられるかという意味の質問をしたのです。で、これは最近もう至る所に目に余ることは自他共に認めておるのであります。或いは非常な不幸な事態を招いたりしておるのであります。これは当然児童福祉法違反として取締当局はやりましようけれども児童福祉の本部でありまする児童局で何か筋の通つた永続的な平素それに力をお注ぎになるような対策を持つておいでになるかという意味のことを私は伺つたのであります。
  112. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 委員長の御質問に御答弁を申上げるのを忘れまして申訳ないと思います。今御指摘ように、これが犯罪というようなことになりますれば、勿論そちらのほうがやるわけでありますが、それらの警察その他と共同の御承知の青少年問題協議会というのがございますが、これが厚生省、国警、法務、労働と、この今提起されておりまする問題についての関係の官庁が集りまして、さよう審議会を作つておるわけでございますが、これがここにおきましてお互いに連絡をいたしまして、仕事を取り進めておるわけでございます。児童人権擁護運動というふうに私どもは称しておりますけれども、この要綱を作りまして……要綱は目下作つておりませんけれども、必携というようなものを作りまして、その線に沿つて組織的に努力をいたしておるわけでございまして、厚生省も勿論その中の重要なる一員として、関係の機関を督励いたして活動いたしておるわけでございます。
  113. 藤原道子

    ○藤原道子君 「児童相談所には必要に応じ児童を一時保護する施設を設けなければならない」という條文に相成つておるのでございますが、私ども全国を視察いたしまして、児童相談所が主体であるか、施設が主体であるか、判断に苦しむような所があるのでございます。私は少くとも児童相談所はすべての児童相談に応ずる所でなければならない。この子供は今後どういう方向に進めるかというようなことの母のよりよき相談相手にならなければならない。その他いろいろあらゆる子供の問題すべてを相談所に持つて行くという使命のものではなかろうかと理解しております。ところが一時収容施設のほうが大きく現われまして、結局児童相談所に行くことは何か問題の子供でなければ行かれないような、児童相談所に行くことは何やら世間に対して肩身が狭いような思いであちらを振向きこちらを振向いて、そこに人のいないようなときにこそつと入るというようなあり方の相談所が多いのでありますけれども、これは問題の子供を重点として相談所をお作りになつておるのか、「すべての児童は」というこのすべての児童のよりよき相談所としてお作りになつておられるかということを一つお伺いいたしたい。
  114. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 相談所設置いたされましたのは、如何なる児童につきましても相談に応ずるという使命を持つておるわけでありまするが、遺憾ながら今までは御承知ように、浮浪児だとか、不良少年だとか、そういうふうな問題が非常に多うございまして、これを当面措置いたさなければならないので、御承知の一斉保護等をやりましたり、或いは警察官なり児童福祉司なり何なりが、さよう児童を見つけた場合にはそれらを連れて参りまして、今の判定をいたす期間中一時保護所に置いて置くということが非常に大きな仕事になつておりますために、一般家庭のお母さんがたが、お子供さんをお連れになつて相談においでになるということが御指摘通り少い現状であることを私も認めざるを得ません。併しながら例えば最近はそういう傾向に相成つておるのでありますが、そういう子供の出入りをいたしまする入口と、それから一般のお母さんがたが子供さんを連れて御相談においでになる入口とを区別いたしますとか、さような方法を現実になつておる所がございます。それから一時保護所を少し離すとか、さような方向にだんだんと向つておりまして、一般子供さんの相談にも応ずるように、もう少したくさん応ずるような態勢に持つて行きたいと存ずるわけでございます。今回の改正十五條の二でございまするが、この改正によりまして、今の点をはつきりと明確にいたしたつもりなのでございます。
  115. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、児童福祉の問題でございますが、問題が起らなければ、相談所であるとか、或いは厚生省はこれを取上げない傾向があるのじやないかと思うのでございます。私は今現に非常に心配いたしまして、当委員会へも持ち出そうかと考えておる問題にいたしましても、今立川市に競輪場ができるという問題が起つております。局長も新聞等で御承知だろうと思うのでございますが、立川市に今競輪場が予定され、建築されて、すでに無許可であるにもかかわらず建築にかかつておる、ところがその立川市の競輪場のその建築地に、その周囲に学校が六校もある、小学校、或いは中学校、専門学校、而も百二十メートルから二百メートルくらいの区域内に学校が確か六つだと記憶いたしますし、それから保育所もある、而もそこは住宅地なんです。ところがそこへ強引に競輪場が作られる。そうしてその学校の教室から競輪場のレースが丸見えになる、こういう所です。それで今反対運動が起つている。けれども反対運動が起つても強引にこれを押切ろうとして、反対しているお母さんがたに対しては赤い火を這わせるぞというような脅迫を以て反対運動を押えつけようとしている事件が新聞にも取上げられましたし、あるのでございますが、そういう場合には児童のよりよき環境を作るということも児童福祉法の精神だと存じますが、それは所管外だと言つて放置しておかれるのでございましようか。そういうことがあるならば児童福祉審議会等もできているはずでございますから、そういうところをも動かして何とか子供によりよき環境を作るための御努力を払われるべき性質のものではないでございましようか。
  116. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 非常にむずかしい問題の御質問でございます。私ども立場といたしましては、勿論御指摘ようにさようなものが子供の環境を……いい環境をこわしますることを排除いたしたい、かように考えますることは勿論でございます。ただそれを如何に取扱うかということでございまするが、児童福祉審議会が適当でありまするか、或いはその他の方法がありまするか、私は直ちに申上げかねるのでありまするけれども、ともかくさようなことにつきまして私どもが何と申しますか、直接に手を下す方法はないにいたしましても、少しでも私ども関係の機関を通じまして一般の世論の喚起と申しまするか、さようなものの強くなりまするために寄與いたしたい、かように考えている次第でございます。
  117. 山下義信

    委員長山下義信君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  118. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を始めて……御審議をお続け下さい。
  119. 有馬英二

    ○有馬英二君 十八條の三の三号に「身体に障害のある児童の療育について、指導を行うこと。」と書いてありますが、この療育ということはどういうことを意味するのですか。ちよつと些細なことを聞くようでございますが、これまでこの法案の中を見ましても療育という字はここだけしか出てないかと思います。養育、保育、成育というような字はこの法案の中には出ておりますが、療育という字はここだけしか使つてありませんが、これはどう解釈したらよろしうございますか。
  120. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 治療教育と申しますか、治療育成と申しますか、さような意味合のことなんでございますが、児童福祉施設の中に身体不自由児の療育施設というものがございます。これはその施設の中で行いまする仕事を申上げますと、その意味を御了解頂く一助になるかと思いますが、治療を先ず行いまするし、それから職業補導のようなことも行います。その中で生活の指導も行いますし、教育も行ないまするし、さよう施設でございます。
  121. 山下義信

    委員長山下義信君) 関連して伺いますが、療育施設ということはそれでよいですが、同じ言葉でも保健所指導するということは教育のことまでやりますか、成育という言葉を使つておりますが、ここでは主として療養という面じやないかと思うのですが、教育、養育という言葉でも……保健所が療育施設に入つておる児童のその中の教育という部門までも保健所指導するというのじや少しどうかと思うのですが、そうしますか、御答弁通りに……。
  122. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 治療、養育という意味でございます。ですからこのお子さんは勿論例えば身体不自由児でございますれば、このお子さんはこういう身体上のあれがあるから、こういうふうに治療を受けてこういうふうにお育てになつたほうがよかろう、こういう意味でございます。
  123. 有馬英二

    ○有馬英二君 とにかく法案ですから、もう少し読んですぐわかるような字を使つたほうがよいのじやないかと思います。こういう新らしい字をお用いになるということはよほど考えておやりにならんと、本当にこれは治療というと身体障害のある児童のことを主に取扱つておりますから、そうしたらば今委員長からもお話があつたようにこれは主として治療ということに私は重きを置いておるのじやないかと思う。治療をしながら従つて養育にも当るのでありましようし、若しそういう意味であれば治療及び養育とはつきりと書いたほうがよいのじやないか、これはただ字句の問題でございますが、療育施設というものがあるということだけで、このあいまいな字をこういうところに使うということには私は賛成いたしかねるのですが、如何でしようか。
  124. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 御意見御尤もでございますが、治療と子供でございますのでそこに育てるという要素が非常に入つております。従来私どもの分野におきましても療育という言葉を使つてつておるわけであります。
  125. 山下義信

    委員長山下義信君) 併し趣旨は大体有馬委員の言われたよう趣旨が重点ですね。
  126. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) さようでございます。
  127. 山下義信

    委員長山下義信君) ほかに御質疑はございませんか。この席から伺つて済まんのでありますが、この章を終るについて児童局長に伺つておきたいのですが、社会福祉事務所児童相談所との関係は現在におきましては、児童相談所の数が少くて、社会福祉事務所の数が多いのでありますから、最前の局長の御答弁ようなあり方としては一応肯けますけれども、元来児童相談所仕事福祉事務所のほうにさいてしまつて、その間が分離せられるような形になることは、よほど注意せなくちやならんのじやないかと思う。一応は主たる任務を分けましても、これは密接不可分の関係にある仕事でありますから、我々といたしましては、児童相談所の数と福祉事務所の数とが同数である、福祉事務所のある所必ず児童相談所ありという形になりますと、言い換えれば福祉事務所の中において児童相談部があるというまあ何と申しますか、そのあり方を児童福祉は非常に重大であり、且つすでに児童相談所という別の機関もすでにあることであるから、それで別格な扱いがされてあるのだ、本来ならば社会福祉事務所の中に児童福祉関係仕事も生活保護仕事もあるべきであるけれども児童相談所だけは特に重大であるから現在の機構のように別格に置いてある、併しながらこの児童福祉仕事社会福祉事務所のある所必ずそういう機関があるべきであるけれども、一応一般的な福祉の問題は社会福祉事務所のほうに扱わせるという立場をとるのであつて、これはそういうことを扱わせても、社会福祉事務所児童福祉関係はあたかも児童福祉部といつたような考え方を以て社会福祉事務所でやらなければならぬものであるように我々は考えられるような気がするのでありますが、こういうふうに機構が分れてしまつて、職務の範囲内に多少の差をつけて来ましても、この児童相談所社会福祉事務所のあり方というものは、児童相談所福祉事務所の在る所に常にあるという姿が本来望ましいのではないかという気持がするのでありますが、児童相談所の将来の増設ということについて政府のお考えがありますかどうかということを承わつておきたいと思います。
  128. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 委員長の御意見御尤もに拝聴いたします。ただ問題は技術者、専門家の数が非常に限定いたされますので、今日はかような形をとつているわけでございます。将来それが非常にたくさん得られるということになりますれば、又相談所福祉事務所と考え方を変えて行かなければならん時期が来るかも知れんと存じます。それで児童相談所の増設についてのお尋ねでございますが、児童相談所は本年度におきましても、今の中央児童相談所のみならず、小さい相談所の増設を若干いたすつもりでその予算も取つておりますけれども、当面の問題といたしましては、児童相談所を専門的、技術的に充実いたしまして、児童相談所をより立派なものにして頂いて、本当の専門機関の名にふさわしいものにして行くということに当面は主たる力を注ぎたい、私はかように存じております。
  129. 山下義信

    委員長山下義信君) わかりました。なお念のためにもう一度駄目押しをしておきますか、児童福祉に関しまするセンターは社会福祉事務所の中でどの事務所がセンターということになりますか。その地区においては社会福祉事務所がセンターでありますが、社会福祉事務所というのは一つの県の中にたくさんある。そこで今専門的な児童相談所が数が少いから、そういう技術的な特殊専門のセンターということはこれははつきりして来ますが、一般児童福祉問題のセンターとなる福祉事務所というものはそれらの都道府県の県でどういうあり方になつて来ると考えられましようか。福祉事務所ごとに、地区ごとに福祉事務所のセンターがありますが、その都道府県全般の児童福祉のセンターということになりますと、どういうことになりますか、伺つておきたいと思います。
  130. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 現状におきましては、或いは又近い将来におきましても、一県の児童福祉のセンターは中央児童相談所ということに相成ると存じます。
  131. 山下義信

    委員長山下義信君) でもそれは主として特殊問題を扱う児童相談所でありますね。私のお尋ねしますのは、一般児童福祉の問題のセンターはこの改正案で行きますと、社会福祉事務所に移るかのごとく取られますが、児童相談所は特殊な技術的な性格を帯びて来る、一般福祉的な問題は社会福祉事務所で扱わせるのだということになると、一体一般的な児童福祉のセンターは社会福祉事務所にその地区では移るのであるが、地区ではそれでよろしいけれども都道府県という一行政区域のセンターというものがありますか、ありませんか、こういうことになつて来ると思うのです。
  132. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 質問の御趣旨を或いは取り違えておるかと思いますが、一県のセンターということになりますれば、今委員長が御指摘ようなセンターは県ということに相なるのではないかと思います。それは児童相談所がセンターと申しましたのは、専門的に高い意味におけるセンター、さようなものと存じます。
  133. 山下義信

    委員長山下義信君) そうすると、専門的な高い立場児童相談所、殊に児童福祉事務所というものが中央にありますからこれでいいのですが、その児童福祉の問題の中で一般的なものは社会福祉事務所のほうに移るのでしよう都道府県にその面における中央社会福祉事務所というものはないのですから、その一般的な児童福祉のセンターは都道府県においてはどういうふうなあり方になつて来ましようかということを伺つておるのです。
  134. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 委員長のお尋ねになつておるよう児童福祉のセンターは、県庁の児童課と私は心得ますが。
  135. 山下義信

    委員長山下義信君) 児童課というものは、児童福祉法の中の機構の中にはないと思うのですが。
  136. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 勿論さようでございます。福祉法の中では知事ということになつております、原則としては……。知事の補助機関である児童課がさような全般的な意味合における全国的なセンターに相成つておるのではないかと存じます。
  137. 山下義信

    委員長山下義信君) そうすると、知事の権限は社会福祉事務所長にも扱わさせ、この社会福祉法に規定してあるところのすべての福祉に関するところの業務は児童課長にも扱わさせる、こういうことになりますか。
  138. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 知事の権限を委任いたしますのは児童相談所長或いは社会福祉事務所長でございまして、児童課長といたしましては、知事の補助をいたすだけでございます。
  139. 山下義信

    委員長山下義信君) これは一つ児童局長でもよほどお考えを頂きたい、これは新らしい運営をやつて行くのですから、私は無理な質問をするのではないのでありまして、児童相談所の性格は変つて来る、そうして福祉事務所児童福祉事務を扱わせる、こういうことになります。児童相談所というものは県に数カ所ありましても、中央中央児童相談所というものを持つておりまして、児童相談所に関する中心があります。ところが社会福祉事務所というものは別に社会福祉事務所中央社会福祉事務所というものはないのでありますから、その地区における児童福祉のセンターにはその地区の社会福祉事務所がなりますが、県全体の社会福祉事務所中央社会福祉事務所というものはないのでありますから、本法におけるところの措置をとります上においては、それは知事でありますけれども、機関といたしましては中央児童相談所のごときものはないのでありますから、将来この社会福祉事務所に移される一般的な児童福祉の、いわゆる先刻御答弁になりましたグループ・ワークを主といたしまする社会福祉事務所の取扱いまする児童福祉関係仕事都道府県におきまする中心をどういうふうに運営して行くかということは、本法の上におきましてはお考え願わなければならん、それはもとより県知事ということにもなりまするけれども、実際の運営というものの上におきましては、社会福祉事務所のあり方というものにつきましては、よほど一つその辺を御考究を願いませんと、児童福祉の問題のセンターがどこにあるのかということが不明瞭に相成りますることを本員は憂えて伺つておるのでありますから、政府のほうにおかれまして、十分御研究を願いたいと存ずるのであります。
  140. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 今の第四節の「児童相談所、社会福祉事勘所及び保健所」というこの項目は、これだけ見ておると、この児童福祉法に又新たに社会福祉事務所を置き、保健所を置くという解釈になつて来る。だから社会福祉事業法にある福祉事務所なり、保健所法にある保健所とは別個なものをここに児童福祉法において作る、こういう解釈をしないといかんことになると思います。
  141. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 第十二條の改正を御覧頂きますと、「又は社会福祉事業法に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)」そういうふうに書いてあるのであります。全部さようなことに相成つております。
  142. 藤原道子

    ○藤原道子君 ちよつとここで一つだけお伺いしておきたいのでございますが、児童福祉司の資格の問題でございますが、「厚生大臣の指定する児童福祉司又は児童福祉施設の職員を養成する学校その他の施設」とございますが、その他の施設というのはどういう施設でございますか。それから今一つ資格の中の五に「前各号に準ずる者であつて児童福祉司として必要な学識経験を有するもの」この解釈でございます。
  143. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 先ほどもお答え申上げましたのでございますが、施設と申しまするのは、例えば国立教護院に設置いたしてありまする教護院の教護を養成いたしまする養成施設でありまするとか、或いは保母養成所というもの、さようなものを指しておるわけでございます。それから「前各号に準ずる者であつて」云々と申しまするのは、これは抽象的にはちよつと申上げられないと思うのでありますが、具体的の場合にそれぞれ具体的に検討いたして行かなければならんと思います。一例を挙げますれば、多年教育等に従事いたしまして児童心理学等に相当深い教養を持つておる、実務の経験もある、併しながら大学は出ておらないというような人であつて適当な人があれば、これに当るのではないか、かように考えておるわけであります。
  144. 藤原道子

    ○藤原道子君 これは重ねての質問だそうで恐れ入りますが、私はいつぞや社会保障制度の調査のために出張いたしましたときに、各地の児童相談所を見たのでございますが、学校の校長さんというのも幾人もございましたけれども、どうも如何かと思うような、児童相談所の所長は教育者だからいいというわけももないと思うのでございます。必ずしもそうでない。実際の面に働いておる人の中でそういうよう感じを強く受けておるのでございますが、そういう場合に、やはり一定のそういうふうな教育と言つては如何ですが、必要な講習と言いますか、そういうことをしておるのですけれども学校の校長であつたら、その人をすぐ採用して所長として……。
  145. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 従来さよう教育者の出身のかたで、非常に適任であるというふうには言えないかたがたがある、中には若干あるということは私も認めます。併しながら教育の出身のかたで非常にいいかたもおありになるということも同時にお認めを願いたいと存じます。この十一條の二の規定は、かような資格を持つておる者の中から任用しなければならないというのでありまして、この資格を持つておれば必ずすぐ右から左に任用していいというわけでもございませんので、かような資格を持つておる人の中からよるわけでございます。適当な人を選定をいたしたい、かように考えます。
  146. 藤原道子

    ○藤原道子君 今一つだけ……。こういう資格の中で適当な人をおよりになつた中から、適当ならざる者を我々は見出すわけでございますから、今後は十分大切な使命を持つ児童相談所の所長でございますから、慎重の上にも慎重を期して、よりよき所長を得て頂かなければならない。相談所によりましては、非常に心から嬉しい相談所がたくさんこの頃できておりまして、その点は私ども非常に有難いと思つております。ですが入つた瞬間にこれはいかんと思うのがある。すぐそういう点はよく御調査になればわかると存じますので、子供福祉の上から温かい親心を要望いたしまして、この点に関する私の質問を終ります。
  147. 山下義信

    委員長山下義信君) 先に進みます。第二章福祉の措置及び保障関係につきまして御審議を願います。  私から伺いますが、第二十二條の改正、第二十三條の改正でありますが、これは二十二條は助産施設についての町村長の関係、二十三條は母子寮についての改正ようでありますが、これは折角市町村長の関係にしておかれました二十二條、二十三條を、こうして上のほうへ引上げられたということになりますと、この但書をのけて頂くと非常にいいのじやないか、又但書をのけるべきではないかというような気もするのです。町村ならば、これは助産施設を義務付ける、或いは母子寮施設を義務付けることは少し無理だということが言い得られる。従つてその附近にその施設がないときはということもいいけれども、県がやり、又社会福祉事跡所で以てそれを引上げてやるといろ強いところでやるのに、但しその附近にないときはというような申訳的なものを残しておくというのはどうも腰のないような話のように思う。この但書があるのも当時問題にしたのですが、何分町村に義務付けるということは無理だということで、まあこういうふうな申訳的な但書があつた。それを上級の地位にある行政機関が引上げて強力にやろうというのに、町村の場合に但し書きしたのをそのまま置いたということは少し私は物足りないような気がするのですが、どういうわけで但書を置かれたのでありましようか。その辺を伺つておきます。
  148. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 私どももこれを取りたいと思うのでございますけれども、現状の助産施設の数を押えて見ますと、必ずしも福祉事務所長にその措置権を移しましても、この但書をとつていいということにはちよつとまだほど遠いと思うのであります。現在の状況から止むを得ずこの規定を設けているのでございます。
  149. 山下義信

    委員長山下義信君) それは現状がこうなつているから仕方がないというてはこれは議論になりませんけれども法律というものはこういうふうにやらせる。例えば現状には社会福祉事務所はないのですけれども、併しやろうとすれば社会福祉事務所を置く法律を作るわけでありますから、ですからこれは取つたほうがいいのだというふうにお考えになれば取らなければならない。取りますというと、助産施設も作り母子寮も増設しなければならんことになる。(「異議なし」と呼ぶ者あり)ですから現状が足らないのだから足らないままで行こうという考えなら但書は要るので、助産施設も殖やさなければならん、母子寮も殖やさなければならんというお考えがあれば取るということになつて殖えて行く。こういうふうに理窟を言えばなるわけですね。これは一つ将来御努力願わなければならん。それで……。
  150. 藤原道子

    ○藤原道子君 その点について……。私も只今委員長の御意見に絶対に賛成です。これは児童福祉法を最初作るときにも私この問題を問題にいたしたのでございますが、再びここへ持つて来ておりますので、今日私はそれを質問ようと思つていたところでございまして、是非これは取るべきだと思います。これについて参考資料の中を見ますと、助産施設は公立のものは全国に二十二しかない、私立のものが十八しかない、第一種のものは……。当局は助産施設を作る意思があるならこれはできると思うのでございまして、これは取らなければいつまで経つても永遠にこの問題は付いて廻り、助産施設はいつまでも現状のままに置かれる結果になるのでございまして、これは当然取つて必ず作るというくらいの熱意を以て一つつて頂かなければならないと思います。結局法律は私は作文ではないと思うのでございまして、これだけ立派な法律を作つておきながら、運用の面において熱意がないからこういうことになる、かように存じますので、この際絶対に取ることを主張いたします。
  151. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 御意見誠に御尤もでございますが、現在ありますのは助産施設は約二千、それから母子寮が約三百弱でございます。義務付けて勿論母子寮なり助産施設なりを今後どしどし増設いたしたいということは、私ども十分熱意を持つて年々増設をいたして参つているわけでございます。法律で義務付けまして、それの容れ物がないということになりますと、これは作文だということにもなりますので、現在財政的に制約をされており、年々努力はいたしておりまするけれども、その但書を取るだけの域に達しておらない。従つてこれを義務付けますことは、義務付ければそれが増設の一助になるだろうという御節も誠に御尤もでございますけれども、義務付けていい時期になりませんと法律上の、法律違反の状態がたくさん出て参るということになりましても、立法といたしましてどうかと存じますので、遺憾ながらこの但書を現状を認識して置いているわけでございます。併しながらこれらのものを増設をするという熱意におきましては、私どもも大いに熱意を持つているわけでございます。なお御参考までにこの條文福祉事務所を管理する町村長というものも入つておりますので、ここでこの但書を取れば社会福祉事務所を管理する町村長も義務付けられるということになりますので、その辺も法律の問題として若干地域性が残つて参るということが言えるかと存ずるのであります。
  152. 藤原道子

    ○藤原道子君 それならば今年度に助産施設はどのくらい予定しておいでになりますか、熱意のほどを見せて頂きたい。
  153. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 今個所数を記憶いたしておりませんが、全般的に申しますると、助産施設、母子寮も含んで私どものほうの児童福祉施設に対する補助費は昨年よりは一億二千万円ほど増額になつております。その中で助産施設何カ所、母子寮何カ所という個所数を私今記憶しておりません。
  154. 山下義信

    委員長山下義信君) あとで調査してお答えになりますか。
  155. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 調査してお答え申上げます。
  156. 山下義信

    委員長山下義信君) ついでにお聞きしますが、但書に附近々々とありますね。附近にその施設がないときはという、この附近というのは対象者の居住のその人間の附近を言うのですか。その地区の附近を言うのですか。今度はどう解釈するのですか。
  157. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) その人間の住所の附近というのであります。
  158. 山下義信

    委員長山下義信君) そうするとその対象者が居住を変更して助産施設の附近に移住しましたときには、附近に施設がないとは言えぬわけですね。
  159. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) その通りであります。
  160. 山下義信

    委員長山下義信君) 先に進みましてよろしうございますか……。それでは一つ伺いますが、児童文はその保護者を児童福祉司指導いたします場合と、それから社会福祉主事指導いたします場合と、それから児童委員指導いたします場合と、こう三様に本法の改正で分れているように思うのでありますが、その区別はどういうふうに心得たらよろしうございますか。先ほどは児童相談所福祉事務所等について職務権限で伺つたのですが、今度は逆に職員の側のほうで伺つておけばはつきりとわかると思います。
  161. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 児童福祉司指導いたしまするのは非常に何と申しますか、専門的なむずかしいケース、而も期間もどちらかというと長く要するというふうなものを児童福祉司指導をいたし、社会福祉主事のほうの指導は先ほど申上げましたよう一般的で、その家庭の環境等の調整によつて比較的短期に問題の処理ができるというふうなものを社会福祉主事指導にいたしたいと思つております。児童委員はこの両者に御協力を願うわけであります。
  162. 山下義信

    委員長山下義信君) よくわかりました。それでまあ抽象的に申しますが、児童福祉司指導いたしまする対象とそれから社会福祉主事指導いたします対象とこうあります。この両者の間に行つたり来たりする場合が起きると思うのでありまするが、対象の上に変更がありますと行つたり来たりいたしまするが、こういう指導のいろいろの記録というようなものは、例えば児童福祉司指導いたしておりました、その扱つておりまする児童、これを社会福祉主事に渡す、或いは更に社会福祉主事児童福祉司相談する、これを役所のほうからいうと、社会福祉事務所のほうから児童相談所のほうに渡す、或いは児童相談所のほうから社会福祉事務所のほうに渡す、そういうよう仕事をやつたり取つたりする場合のすべての記録簿はどちらの役所にそれが保存され、一体そういう状況はどちらの役所が常にキヤツチして持つておるのでありましようか。その辺の事務の大体はどういうふうになつて行くのでございましようか。そのやつたり取つたりがかなりあるようでありますが、それをお伺いいたします。
  163. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) ケースの、福祉司から主事へ、主事から福祉司へとまあ何と言いますか、移しますということはできるだけは避けたほうがいいと思いますが、併しおのずからこれはとても主事の手に負えないから福祉司の手に廻そうということが出て来るということは、これは御指摘通りだと思うのであります。主事が扱いますケースの記録というものは社会福祉事務所でありまして、福祉司が扱いますケースの記録というものは児童相談所で保管いたしたいと思つております。
  164. 山下義信

    委員長山下義信君) よくわかりました。そういたしますと、社会福祉事務所で取扱われますこのお仕事は何と申しますか主としてそのグループ・ワークのような場合に児童福祉司がその仕事に参加する場合があろうかと思われる、つまり言換えますと、今度は逆に言えば、児童福祉司が扱うような特殊な專門的な場合におきましても、やはり社会福祉司が取扱わなければならん部面がそれについておる、かように考える。例えばその特殊児童の特殊の專門的な指導をしなくちやならないというような特殊児童保護者の問題であるとか、或いは特殊児童の專門的な指導以外の生活を扶助して行くよう福祉の部分でありますとか、本法によつて一応区別したような問題がまあ児童相談所で扱う児童にも相当くつ付いて廻る、それはまあ児童福祉司が皆やつてしまうものであるか、その部分だけ社会福祉主事一般的な部分については同じ児童についても取扱わせるのか、例えば児童相談所で扱う児童保護者のほうはそれはどういうふうに扱いますか。
  165. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 児童福祉司が取扱います子供のケースにおきまして、保護者にも併せてケース・ワークしなければならん場合は非常に多いと思います。それは勿論福祉司がやります。それに対して生活保護法をかけなければならないというふうな状態を発見いたしましたときには、これは保護法の適用ということは社会福祉主事がやるわけでございます。児童福祉司から移牒を受けて、若し社会福祉主事のほうで仮にそれを承知いたしませんでした場合には移牒を受けて社会福祉主事がそれを発動いたす、かようになつております。
  166. 山下義信

    委員長山下義信君) これは皆さんの御質疑があり我々もくどく質疑を重ねて来たのでありますが、非常に事務は複雑して来る、分量は増加して来る、その間が非常に複雑して来て結局対象者が真ん中で宙ぶらりんのような形になつてはならんのでありますが、これは非常に一つはつきりと行くように、十分本法の運用につきましてはもうすでにお考えがちやんとできておろうと思いますが、非常に児童問題が系統が複雑化して来まして、一般にわかりにくいということをさつきからも言つておられるのでありますが、これはもうはつきりとわかり易くして頂けるように御工夫があり、そういうよう努力をして頂いているのであると思いますが、そうでございましような。
  167. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) さよう努力只今重ねております。明日もブロツクの会長会議を開きまして、このお互いの関係についての明快なる指示をいたしたいと、かように考えております。なお先ほどの御質問の母子寮、助産施設が本年度でどのくらい殖える予定かと、こういう御質問でございますが、母子寮は大体百カ所の予定でございます。それから助産施設は大体二十カ所の予定でございます。二十カ所六百床であります。実施の場合にはこれより減ることはございませんが、個所数は若干殖えることはあるかと存じます。
  168. 藤原道子

    ○藤原道子君 私午前中或いは御質疑があつたかと思いますけれども、この児童は、二十七條ですか、二号にも、「児童又はその保護者を児童福祉司社会福祉主事又は児童委員指導させること。」という條文がある。随所に児童委員という言葉が出ているのでございますが、七月一日から御承知ように民生委員の改選期に当りますわけでございますが、そうするとそれらに対する法律はできていないのでございますが、児童委員従つて解消するのではないかと思いますが、それに対してはどういうふうな……。
  169. 山下義信

    委員長山下義信君) その点午前質疑が出たのでございますが、なお児童局長お答えになりますれば……。
  170. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 午前中にもお答え申上げたのでございまするが、児童委員の規定は全般的に児童委員制度というものを再検討いたしまして新らしい児童委員制度というものを考えたいと私は考えているのでございます。併しながら皆さまよく御承知ように、児童委員と一体になつておりまする民生委員制度というものが今日非常にデリケートな関係にございますので、この際児童委員につきまして規定をいぢくりますると、民生委員のほうにも波及をいたすというようなことにも相成らんとも限りませんので、この際はこのままの規定で参りまして、将来民生委員制度のなり行きをよく見極めまして、それと一緒に次の機会児童委員制度というものに根本的な改正を加えたいと私どもは考えているわけでございます。
  171. 藤原道子

    ○藤原道子君 然らばその間はどういうふうにしてやつて行くのでありますか。
  172. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 民生委員が七月に改選になるわけでございます。任期が来ているわけでございます。これは社会局のほうの所管でございまするが、社会局のほうの考えといたしましては、このいろいろな費用予算から落ちているそうでございまするので、地方でそれぞれ然るべく改選をやつてもらいたい、かようなお気持のように承わつております。従つて改選になりますれば、それは同時に又児童委員になつて行くという現在の制度でございます。非常に宙ぶらりんな形になつているわけでございます。
  173. 山下義信

    委員長山下義信君) 御進行を願います。
  174. 藤原道子

    ○藤原道子君 今児童福祉審議会あたりでも非常に頭痛の種になつておりますのは、警察で一斉検挙をする、そうして施設へ送られるわけでございますね。そうするといやおうなしに施設理由がなければ拒絶するわけには行きませんから入れられますけれども、受入れるところがこれに対して平衡交付金に紐がついておりませんので、施設に対して金が来ない場合がたくさんある。そういう場合に非常に困難しているのは施設側でございますが、これに対してやはりそうなると施設が泣寝入りということになつているようでございますが、これら今年度の平衡交付金に対しては特別なお考えを以て施設を泣かせないような方法が講じ得るのでございますか、昨年通りのやり方で行くのでございましようか、その点一点お伺いしたいと思います。
  175. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 平衡交付金算定の基磯になりまする基準財政需要額等につきましては、私ども関係当局と十分折衝をいたしまして遺憾のないよう努力をいたしております。併しながら平衡交付金制度そのものは今御指摘ように紐が付かないということは当然なことでございまするので、その平衡交付金制度そのものによる、何と申しまするか、児童の措置費を円滑に払われないという根本的な事情につきましては、昨年度と同様ということが一応言えるかと思うのであります。併しながら私どもといたしましては、児童福祉法條文の中に監督の規定を確か前々回の国会であつたかと存じまするが、平衡交付金制度ができましたときの改正で入れて頂いております。この規定をより一層活用いたしまして、監督は十分にやつて参りたい、かように考えております。
  176. 藤原道子

    ○藤原道子君 監督制度ができておりながら、実際においては泣いている施設が多いから、是非そういう制度でやるというお答えでございましたら、もつと十分監督機関が働いて頂けるように十分な御指示を願いたいことを要望いたします。それから今度新らしく保護受託者という制度がございますね、義務教育を終つたもの、そうしてそこに通う制度と受入れるのと両方になつているようでございますが、そういう場合に保護受託と申しますが、労働の搾取にならないものでございましようか、そこにおける仕事はどの程度を考えておいでになるのでございましようか。そうした場合の賃金と申しますか、というようなものを考えている性格のものでございましようか。
  177. 山下義信

    委員長山下義信君) 私も関連して伺います。藤原委員質問と同じであります。言葉を代えるだけであります。この改正案の中に独立自活に必要な指導と、こうありますが、その限界如何。私は同じことでございますが、その意味でお答え願いたいと思います。
  178. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) これは今の労働搾取にならないかという御心配でございまするが、その点につきましては十分なる注意を加えて参りたいと思うのであります。従いまして先般もお答え申上げましたように、現在東京の施設を持つている届出は六万ほど届出をしているのでありますから、これらの中で保護受託者になりまするものは十分厳選をいたして参りたい、かように考えているわけであります。なおこの保護受託者の関係と労働契約の関係とは別個な問題でございます。場合によりますれば、保護受託の関係と同時に労働契約の関係が存在することもあり得ると、私はかように考えております。その場合には労働基準法が適用に相成るわけでございます。なおこの保護受託者の経費は支払わないことにいたしております。
  179. 藤原道子

    ○藤原道子君 今委員長がお聞きになりました……。
  180. 山下義信

    委員長山下義信君) 独立自活に必要な指導の限界です。
  181. 藤原道子

    ○藤原道子君 それを私もお伺いしているわけです。
  182. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 独立自活に必要な指導の限界という御質問でございまするが、それは独立して自分がその職業で身を立てる程度の技術と申しますか、それを教えてもらうというふうにお答えをいたすよりほかしないかと存じます。ただその指導のやり方と申しまするか、指導の仕方によりましては、或いはそこに労働契約が存在するというふうな場合もあり得ると思うのでございます。若しそこに労働関係が存在するということでありますれば、本人は若干の賃金をもらう場合もあるかと存じます。
  183. 山下義信

    委員長山下義信君) それじや私伺いますが、独立自活に必要な指導ということは、これは独立自活に必要な力といいますか、技能といいますか、習性といいますか、そういうものが入るだろうと思いますが、従いまして職業を教える、仕込むということもありましよう、又社会生活の訓練、指導するということもありましよう、いろいろあると思うのでありますが、その限界がつまり今質疑応答がありましたように、労働搾取とならないようなというおのずと私は限界があると思う。それが限界でなかつたらば保護受託制度というものは意味をなさんと思う。この限界が不明瞭であつて、どこまでが独立自活に必要な指導である、どこからは一人前の賃金を払うてやらなければならんという限界がなかつたら、そういうあいまいな制度ならば、これは保護受託、保護受託と言つてチープレーバーの搾取はむしろできる恰好な口実を與えることになりまするから、当然それは困難ではありましようが、ここまでは拭掃除させてやつて指導、ここまでは助手に使つてもやはり指導である、けれどももう一人前の賃金を払つてもどこへ行つても通るという者をいつまでも独立自活に必要な指導といつて使つてつたのでは、保護受託の制度に背くのであつて、藤原委員質疑はおのずとそこに独立自活に必要な指導というものについても内容の或る程度の線というものは私は見通しがあろうと思う。それがなくてただ「独立自活に必要な指導」とは独立して自活のできるようになる必要なる指導をするのだというこの文字の解釈では私はいかんと思う。立法者の意思はどの程度までは独立自活に必要な指導と認めるか、どの程度以上はもうそれは労働基準法によるところの労働契約によつて適当に労働賃金を払つてやらなければならんという線というものが私はおのずとなくちやならんとこう思う、その点を伺つているのであります。
  184. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) この何項になりましようか、二十七條の改正條文のずつとあとのほうに、一応この期間を一年以内ということに限つております。若しそれでいけないという場合には、更に改めて期間をやり直すと、一応は原則は一年であるということに押えておりまするので、これも一つの今の御質問の期間的な限界の目安になるかと存じます。なおこの働かせ方の限界というふうな問題になりますると非常にむずかしい問題には相成りますけれども、まあ私の考えといたしましては、その預つて指導をいたしてくれる保護受託者が自分の子供を使う程度、使用人を使うのじやなくしで、自分の子供を技術なり何なりを仕込みたいという意思で使う程度というようなものが一つの目安になるかと存ずるわけでございます。
  185. 山下義信

    委員長山下義信君) 児童局長只今の御説明了承いたしました。全く同感であります。これは貴局においてかねて児童の人身売買がありました当時から、御研究に相成つてここに御苦心の結果が出たものであろうと、私どもも同じように自分の子供を使うと同じという程度に走り使いや、拭き掃除や、雑役や、仕事の手伝いに使つておる、その程度ならば私は指導の範囲内であろうと、全く同感であります。この点は十分に詳しい一つ指導を願いまして、この制度が完璧を期するように是非御盡力を願いたいと存じます。この措置の場合にですね、何故児童福祉施設の長の意見を聞くことを除外されましたか、つまり第二十七條の第三項において、この今の保護受託制度の措置をしますときに、児童福祉施設の長には相談しなくてもいいということに第三項になつておるように思いますが、私の質疑が間違つておりましたら取消しますが、どういうわけで施設の長の意見を聞くことを省略されましたか。
  186. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) これは必ずしも施設子供だけでなしに、相談所から直ちに保護受託者に委託するというような場合もございまするので、さようなことにいたしたわけであります。
  187. 山下義信

    委員長山下義信君) それは納得ができません。それは児童福祉施設から行かない場合はよろしうありますが、児童福祉施設から行く場合は、この本法三項によりますと、私は福祉施設の長の意見を聞かなくともいいようになりますが、そういうように解釈ができますが、児童福祉施設から行くときには親権を行う施設の長の意見は聞きますか。
  188. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 施設から子供を出す場合におきましても、その措置の解除とは、何とかということに相成りまして、規則の第二十七條にその規定がございまするので、そちらのほうでいたして参りたいと存じておるわけでございます。
  189. 山下義信

    委員長山下義信君) どこの二十七條です。
  190. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 規則でございます。児童福祉法施行規則の二十七條でございます。現行の施行規則でございます。
  191. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記をとめて下さい。    午後四時五十七分速記中止    —————・—————    午後五時十七分速記開始、
  192. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を起して……。この際議事の日程を変更いたしまして児童福祉法の一部を改正する法律案審議あと廻しといたしまして、医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案を議題に供したいと存じますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないと認めます。御審議の続行を願います。
  194. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案審議方法につきましては、去る五月二十六日の本委員会におきまして、閉会中といえどもこの法案の審議を継続するという意味において継続審査を行うことを議長宛に要求書を提出することに決定いたしたのでございますが、その後会期も五日間延長され、その間におきまして、本法案の取扱方について全員献身的に努力いたされました結果、大体意見の一致を見るような見通しに至りましたので、この際に継続審査の要求を取消して、更に審査を続けることをお進め頂きたいという動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  195. 山下義信

    委員長山下義信君) 只今草葉君から継続審査の要求の取消しの動議が提出せられました。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないものと認めます。なお五月二十六日本委員会における継続審査要求書は議長宛に提出してありますが、まだ本会議における決定を見ておりませんので、適当の方法によつて委員長が善処いたしまして御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないと認めます。つきましては本案の御質疑を御続行願います。
  198. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 質疑をすればまだ質疑の点があるかもわかりませんが、相当質疑も盡しましたので、もう大体この辺で質疑は盡きたんじやないかという感じもいたしますので、私は質疑打切りの動議を提出いたします。
  199. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 只今の動議に賛成いたします。
  200. 山下義信

    委員長山下義信君) 藤森君の質疑打切りの動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 山下義信

    委員長山下義信君) それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願いたいと存じます。
  202. 常岡一郎

    ○常岡一郎君 本案に対する修正の動議を提出いたします。その案文はあらかじめ委員長宛に提出いたしておりますのでございます。
  203. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは常岡委員に修正案の御朗読を願います。
  204. 常岡一郎

    ○常岡一郎君 朗読いたします。    医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案に対する修正案医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案を次のように修正する。   第一條中第二十二條の改正規定を次のように改める。    第二十二條を次のように改める。   第二十二條 医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投與する必要があると認める場合には、患者又は現にその看護に当つている者に対して処方せんを交付しなければならない。但し、省令の定めるところにより処方せんを交付することが患者の治療上特に支障があるとされる場合は、この限りでない。   2 厚生大臣は、前項但書に規定する省令を制定し、又は改正ようとするときは、別に定める審議会の意見をきかなければならない。第三十三條中「第二十二條」を「第二十二條第一項」に改める。   第二條中第二十一條の改正規定を次のように改める。    第二十一條を次のように改める。    第二十一條歯科医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投與する必要があると認める場合には、患者又は現にその看護に当つている者に対して処方せんを交付しなければならない。但し、省令の定めるところにより処方せんを交付することが患者の治療上特に支障があるとされる場合は、この限りでない。   2 厚生大臣は、前項但書に規定する省令を制定し、又は改正ようとするときは、別に定める審議会の意見をきかなければならない。    第三十一條中「第二十一條」を「第二十一條第一項」に改める。   第三條中第二十二條第一項第一号を第二号とし、同項第二号を第三号とし、同項に第一号として次の一号を加え、第二十二條第二項中「前項各号」を「前項第二号及び第三号」に改める。    一 患者又は現にその看護に当つている者が特にその医師又は歯科医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出た場合   附則を次のように改める。     附則  1 この法律は、昭和三十年一月一日から施行する。  2 厚生大臣は、この法律施行前においても、その施行の準備のため、医師法第二十二條第二項、歯科医師法第二十一條第二項及び薬事法第二十二條第二項に規定する審議会の意見をきいて、医師法第二十二條第一項但書、歯科医師法第二十一條第一項但書並びに薬事法第二十二條第一項第二号及び第三号に規定する省令を制定することができる。以上であります。
  205. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 只今常岡委員から修正案提出の動議が提出せられたのでありますが、私はこの動議に賛成いたします。お諮り下さい。
  206. 山下義信

    委員長山下義信君) 常岡委員の修正動議は成立いたしました。つきましては、提案者の常岡委員から修正案についての御説明を願います。
  207. 常岡一郎

    ○常岡一郎君 御説明申上げます。先ず内容から申上げます。医師法第二十二條でありますが、医師が患者に対して治療上、薬剤を調剤して投與する必要がある場合には、必ず処方箋を発行しなければならないことを原則とする、この建前をとつております。併し医師の治療責任上、例外の場合を考慮いたしました。それは処方箋を交付することにより、特に治療上支障がある場合には処方箋を交付しないのであります。この例外の場合は医師の判断のみによることなく省令でその基準を定めることにいたしました。そうして、省令を制定し又は改正ようとするときは審議会の意見を聞かなければならんことといたしたのであります。即ち原案に例外を設けましてその不備を改めた次第であります。次に歯科医師法第二十一條は前と同様の理由で同様に修正いたしたのであります。  次に薬事法第二十二條でありますが、国民の長い習慣から来る医師に対する信頼感又は緊急止むなき事情によりまして、薬剤の交付を希望する場合もあることと思いますので、自由な国民の選択権を国民に與えるために、患者又は現にその看護に当つている者が特に医師又は歯科医師から投薬を希望する場合には医師、歯科医師が調剤し得ることといたした点であります。次に附則におきまして、本法案の施行を昭和三十年一月一日といたした点でありますが、これに諸般の社会情勢の上から本法案の実施には今後大体四年間の準備期間を置くことが適当と認められたからであります。そのほかは医師法第二十二條、歯科医師法第二十一條、薬事法第二十二條の修正に伴う條文の整理であります。以上が修正案を提案した理由でございます。最後に御賛同願いたいと思いますが故に、本法案が提出されました、提出いたしますにつきましてのもう一つ理由を附加えておきたいと存じます。この改正法案が上程されますや、賛成反対の非常な運動が行われまして、  一例を申しますと、非常な長文の電報などが幾百通と参りまして、安眠を破られることすらあつたのでございますが、請願、陳情署名運動などの書類は非常に山と積まれるほどで、運動はやや常軌を逸すると思われるほどまであつたように思われます。このままこの審議が続けられました場合には、この運動が更に激烈なものとなる廃れがあるように考えた次第であります。殊に論議としては、公聴会なり委員会において非常に盡されました。殊に本委員会における各委員の熱烈なるその討議と、その折衝に当ります非常な御苦心と、その渦きの中におりまして幾たびか涙の浮かぶ思いをいたしたのであります。これまで論議が盡されまして、もうすでに結論に到達せねばならんときであると思いましたが故に、各種の情報を総合いたしましてこの修正案を出すに至つた次第であります。殊に一つのものが生まれます場合には、必ずその母体がなければならないと思います。この母体としてアメリカような非常に交通も進み、薬局の設備もよく行届いた所でさえなお且つ任意分業の姿でやれることが多々ありますのは、その母体として社会教育が非常に進んでおるということが根柢にあると考えます。日本においてはこの点が遥かに遅れておるのではないかと考えます場合に、ここに一つの花咲くためにも暖かさが環境として必要でありますように、実に国民の重大な生命に関係があります正しき医療制度の確立せられますことを痛切に希望しますがために、その面に特に重大な責任を持つておられます医師、薬剤師の両面において、丁度夫婦一体のような姿で正しき医療の確立される生みの親となつて頂きたいというこういう切実なる希望を持ちますが故に、徒らに争いのごとき姿で運動が続けられますことを、将来の国民保険の上にも重大な悪影響を持つものであると信じまするが故に、この本修正案を提議する次第であります。
  208. 山下義信

    委員長山下義信君) この際常岡君の修正案も含めまして、本案全部の御討論を願います。
  209. 谷口弥三郎

    ○谷口弥三郎君 私は本法案、特に修正案に対しまして賛成をいたすものでございます。併しこれに二三の希望條件を附けておきたいと存じます。先ず第一の條項は、この修正案の第二十二條の但書の場合であります。この場合におきましては、こういうような八カ條の條項が備わりますように希望をしたいと存じます。その第一は、処方箋の内容を患者が知ることから来るところの支障のある場合、例えば医者の十分な指導にもかかわらず半可通の内容批判によりまして恐怖、不安、誤つた断定などを下しまして、治療上に障害を来たす虞れのある場合、或いは暗示療法を要する場合、又は不良なる予後を患者が察知する虞れがある場合、又は薬名を知りましてその濫用による習慣性を来すような場合、第二の條件は診断未確定の場合、第三は病状の変化が激しい場合であります。第四は重篤なる症状のある場合、第五は救急の場合であります。第六は診断的投薬をなす場合、第七は疾病特に伝染病の早期発見を要する場合、第八には市場に販売されておらんところの薬品の調剤の場合です。例えば最近できておりますリウマチスに対する特効薬のごときは、アメリカにありますのが或る医者の下に来ておるような場合には市販はされておりませんから、そういう場合にはそれを使うことができるように、又は最近ヒロポンのような、あの場合におきましても市販はいたしませんから、それでそれが使えるようにということが一つの希望でございます。第二の希望は、この修正案の医師法並びに薬剤師法のところに出ております厚生大臣が審議会の意見を聞く場合、この審議会の構成は以前ありまし衣いろいろな審議会のように片寄つた構成をなさんように、少くとも半数以上のその委員は医療関係者の方面からこれを任命して頂きたいというのが第二の希望でございます。第三の希望は、過日できましたところの医薬制度調査会並びに診療報酬調査会のあの答申案を見てみますというと、あの中には例えば適正なる医療費を案出しますためには、審議会を作らなければならん、又は中央社会保険診療協議会或いは医療の審議会というようなものを速かにお作りになつて、そうして適正なる医療費を見出すことなどに十分なる御注意をお願いいたしたいという希望を述べて賛成する次第でございます。
  210. 中山壽彦

    ○中山壽君 私もこの修正案に賛成をいたすものであります。即ち今回の修正案によりまして、専門分野がはつきりいたしたことが第一点であります。又医師は診療上支障のあります場合には束縛を受けないということが第二点であります。又患者は特にその医師より薬剤をもらいたいという場合にはこれを認める、国民即ち患者の要望を認めるということに相成つておりますることが第三点でありまして、更に又この法案に最も関係の深い医師及び薬剤師の人々が不十分ながらもこの修正案を納得されるようなことを承わつているのでありまして、即ちこれによつて今日まで尖鋭化したこの両会の闘争が解消いたしまするという点、これらの諸点を総合いたしまして、私はこの修正案に賛意を表するものであります。但しこの場合政府当局に二、三の要望を申上げておきたいと存じます。第一点は、只今谷口委員よりお述べになりました通り、この省令の内容というものは慎重に取扱つて頂きたいというのが第一点であります。次に適正なる診療費、これを定めますることは非常に困難であるとは存じますけれども、どうしてもこの適正の診療費というものはこれをきめなければならん現段階であるのでありまするから、この際には個人差、或いは地域差等も考慮に入れて成るべく速かにこれを決定して頂きたいと存じます。なお、第三点は先刻常岡委員よりも申されたことでありますが、この修正案の実行にあたりましては、無論医師も薬剤師もこれらの内容をよく理解してその運用を過ちなくしなければならないということは当然でありまするが、私ども最近仙台及び名古屋の両市におきまして、本案に関する懇談会を開催いたしましたときに、一般国民諸君の理解というものが非常に低いように私は直覚いたしたのであります。この実施しまするにはなお相当な期間もありまするのでありますから、医療に関し、或いはこういう修正案に対する内容をよく国民諸君に徹底させるよう政府当局が啓蒙に力を盡されることをこの機会に強く要望いたしまして、この修正案に賛成をいたします。
  211. 松原一彦

    松原一彦君 この法案の画期的な收獲は、医師は適正妥当な技術に対する診療費を取り、調剤は原則として薬剤師の手にゆだねるということであります。但し医師の診療に対しましては必ず処方箋を出すということが原則になつたのであります。この処方箋を出すということが、今日までは患者の要求によつてのみ出すことになつてつたのでありますが、今回は診療に伴なつて処方箋は投薬の必要がある場合には必ず出すということになつたのでありまして、この点は私は非常に大きな牧獲だと思うのであります。これは一面において医師の権益を擁護するものであり、同時に義務を規定するものであります。ただそこで例外といたしまして、診療者に処方箋を交付するということが支障のある場合には極めて稀れな例外を省令において定めようというのであります。これは極めて局限された例外でなくてはなりません。只今谷口委員から八カ條の例外を例示せられて参考にせられたいということでありましたが、これは参考と思います。私は専門家でありませんからしてよくわかりませんけれどもが、この例外をルーズにいたしますというと、この処方箋を出すということは無意味になつてしまいます。従つてこの例外を規定せられる場合におきましては、政府におきましても審議会を設けまして御決定になるのでありますが、その省令において決定せられる場合におきましては、どうか第一條の主要目的が断じて阻害されないように、正しく行われますように十分御念をお入れ下さいまして、私は只今の八カ條は一つの引例としておとり頂きましても、厳重にこの点につきましての規定を設け下さるように希望いたすものであります。又一面調剤は薬剤師のみが行い得る原則はこれは従来からもあつたのでありますが、今回いよいよはつきりいたしたのであります。その例外といたしましては、医師が自己の処方箋によつて調剤することが例外のうちの制限せられた例外として認められております。この点につきましては薬剤師には例外はないのであります。薬剤師の調剤には、薬剤師そのものには例外が設けられておりません。従つて薬剤師の調剤の例外として医師が自己の処方箋によつて調剤することができると規定したのでございますから、医師以外のものの調剤というような行為に対しましては、私は厳重に取締つて頂きたい、そうでなければ片手落であります。又一面私どもがここに医師の調剤権とも申すべき医師の調剤能力を各種の証人によつて確かめまして、医師といえども調剤能力あるものと一応我々は心得たのであります。併しながら薬剤師の調剤は最も専門的なよりよきものであることは当然でございますので、よりよいものへの移行はこの医療の進展、文化の進むに従つて当然行われるものと思います。さような意味におきまして、私はこの現在の日本文化程度及び国民の信頼感等を考慮いたしまして、たとえ医師の調剤が薬剤師の調剤に比べては或いは低いものであろうとも、国民多年の習慣はその信頼度においてなお医師に多くのものを持つておると信じますが故に、又交通機関その他の不完全な今日におきましては、重症患者等を背中に負つて参ります場合もございますので、ここに一つの新らしい観点から、患者即ち国民の選択、信頼度に応ずる選択を許して、国民の、即ち患者の求める方向を医師にしようとも薬剤師にしようともよろしいという條件が容れられたのでございます。これは今後国民教育が進み、自覚が高まるに連れまして、その信頼感の高いほうに移行いたして行くのでございますから、医師の方面に向つて調剤を求めるものもございましよう。或いは最も信頼感が高まりますれば、薬剤師のほうへも移行いたすことと思います。これは私ども国民そのものの病気をした場合における選択権、信頼感によるところの選択の自由を認めることが現段階に応ずるものであると信じたからでございます。かような意味におきまして、薬剤師の側におきましても、どうか薬剤師以外の者に調剤せしめるとか、無診調剤とか、或いは恐らく今後は初診料等の関係から医師の門を叩くことが億劫になる者も生ずるかと思うのであります。さようなことが医家の門を叩くよりも先ず薬剤師の所に行つて家庭薬を求め、或いは注射薬を求める、素人療治を行う者が増加するというようなことがあつてはならないのであつて、それが嵩じますというと、伝染病の早期発見もできませんのみならず、医家の門を叩くことが極めて容易であり、自然に先ず医者にかかるということを習慣付けるように、又今後の病人が先ず医者に走るというこの考え方を減退せしめないだけの用意が非常に肝腎だと思うのであります。でありまするからして、薬剤師の側におきましても、どうかこの趣旨をよく呑み込まれて、無診投薬とか或いは店頭において注射等が濫用せられないように、厚生省においても厳にお取締を願いたいと思うのであります。かような意味におきまして、申すまでもございませんが、別に省令を設けらるる際における審議機関等を入念にお選び下さいまして、双方共に不公平のないようにいたしたいと思うものでございます。この法案を審議するに当りまして、私の最も憂えますことは、さつき常岡委員が提案の理由として述べられましたように、医療行為は医師と薬剤師との協力によつてのみ完成すると思います。これが対立、抗争というような形をとることは極めて国民の憂いとするところであるのであります。願わくは医師の側においても十二分にこの法案成立の上に誠意を示され、薬剤師の側においてもこれに協力を與えてこの法案を一応完成し、それが同時に国民、即ち患者としての国民の満足すべきものであるようにいたしたいという念願を持つて実は審議して参つたつもりでおるのであります。どうかこの協力の下にこの法案が完全に施行せられまするように、当局においても十二分の御用意をお願い申上げたい。社会に法律のみが先行することは許されません。なおあと七年もあるのでありますから、この間に適正妥当な診療報酬をお定めになりまして、そうして医師の権益を擁護し、同時に薬剤師の側における無診投薬等のことのないように十二分に御監督下さいました上で、国民の納得の行きます新らしい医療制度効果ある実践が行われまするように切望しまして、私はこの修正案に賛成いたすものであります。
  212. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 私は日本社会党を代表いたしまして、この修正案に賛成をいたしたいと思うものでございます。それはその大きな理由は、国民の医療生活、それに対する政治の責任におきまして非常な重大なことでございますから、一歩でも医療生活につきましての政治的な責任を進めて行くということは非常に大事なことと思つておりまして、社会党は実にそのことを念願いたしておるものでございまして、この法案はその意味におきまして一歩進めたということにおきまして賛成をいたすものでございます。併しながらこれでもう安心していいというわけではございませんでして、つきましては二、三の希望を申述べたいと思うものでございます。  先ほどから皆様もお述べになりましたですが、先ずこれを正しく実行いたしますことを医師会側のかたがた及び薬剤を扱つていらつしやいます側のかたがた、その両方の側のかたがたに、それぞれ責任を持ちまして自分たちの分野を良心的に御実行下さいますことを希望申上げますと一緒に、先ほど中山委員もお述べになりましたし、又谷口委員もお述べになりました通りに、この間からの公聽会でも実際わかりましたように、国民はこの医療につきましてまだしつかりよくわかつていない面があるというお言葉、あれは非常に大事にしなければならんことでございまして、三年前からこの医薬分業、任意分業のことは実はきめられておりますにもかかわりませず、今日こういうふうな、率直に申しますれば抗争というような波の中で、私たちもあちらに押されこちらに押されて参りましたものでございますが、これは私たちは幾ら押されておりましてもよろしうございますけれども国民の仕合せがなかなか得られないという結果にありますことは、一つは三年前からの任意分業が実際は国民に知らされておらず、それが国民の生活に実践されていないという結果が、中山委員の御報告の通り公聽会においての国民のお言葉で知るわけでございまして、これは一つ法律ができましても実践の上におきまして、医師側のかたがた及び薬剤師の側のかたがたがその自分たちの職域の分野を通しまして、正しく国民に理解させることに実践の上でお進め下さいますことを是非お願い申上げたいと思うものでございます。と共にこれは又中山委員から政府に対しましてのこれが正しい啓蒙教育を考えるようにというお言葉もございましたが、それは政府のかたも、無論政府側においても考えて頂かなければならないことでありますと共に、薬剤師のかたがた医師のかたがたの正しい実践に関係いたしますことで、なお更に次への段階の問題といたしましての、政府におきましての仕事といたしましての適正なる診療費の判定と、それがはつきりいたしますれば、又適正なる調剤費というこの問題がはつきりして参りまして、これらが適正に政府におきまして、次の段階といたしまして御準備下さり、そして医師、薬剤師の両側のかたがたがそれに御協力下さつて正しく国民の医療生活の上にお活かし下さるということにおきましての三者の御協力は、是非次の段階としてお考え願わなければならんと御希望いたす次第でございます。  なお且つもう一つの希望は、先ほど松原委員もお触れになりましたのでございますが、この医療生活におきますところの医療費の問題と申しますのは、国民生活に重大なものでございますが、これが正しくされておりませんならば、この法律の実践に当りまして、松原委員の御言葉では医師側、或いは薬剤師側におきましてのどちらかに一つ穴があいておるほうに流れ易い、これは私の言葉でございますが、そういうふうな意味のお話がございましたけれども、それと共に医療費が適正にされていないということは又国民生活の負担の上におきまして、医師側にも薬剤師側にもそういう方面でないところに逃げて行く。即ち今日まだまだ日本にたくさん残つておりますところの迷信的な生活の上におきまして、それが又今日のいろんな宗教がその迷信的な面を取扱いまして、そして大きく国民の医療生活がそれで以てまあ行われがちである。こういう問題はこれはどうしたつて国民の医療生活のこの次の問題として考えて行かなければならんのでございまして、それらをひつくるめまして国民の医療生活のことにつきましては、社会保障制度の一環といたしましてのこの医療の社会化と申しますか、医療の国営化と申しますか、そういう方向への政治的責任、政治的方向、政治的示唆、そういうほうへの一歩をこの次の、この道の行く手にやはりございますことを、そこまでの見渡しを、政府は勿論医師薬剤師の両医療担当者としての側のかたがたもそこまでの見渡しをお持ち下さい、そうして御努力下さつて、そうして本当に国民の医療生活を安心して解決付けて行きますためへの三者の側のかたがたの御協力、御努力をお願い申上げたい。この希望を附けましてこの案に社会党は賛成いたすものでございます。
  213. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 私は只今の常岡委員の修正動議を含めた本法案に賛成するものでございます。医薬分業の問題が長い鬪争の歴史を持つてつておりましたが、私どもはこの国民医療を前提として医師、薬剤師がおのずから国民の幸福のために考えた場合には、法律を以て解決しなくとも、国民の意思の上に当然解決されるものだということをかねてから考えておりました。たまたまサムス准将もそういう線から、日本に対しての勧告が最初になされたようであります。この意味におきまして、ここに法律を以て解決をしなければならんということに立至りましたことについては、いささか遺憾の感じがするのであります。併し日本の現在のいろいろの社会情勢は、やはり法律を以てしなければならないということに相成りましたことは、これは社会情勢の然らしむるところとしてこれは我々も諦めなければならん点であると思う。殊にこの法案におきましては、医師の側も薬剤師の側もおそらく双方とも御不満であろう、或いは十分でない点もあろうと存じますが、すべて双方がうまく行くということはない。こういう点から双方がよく御了解できたということは、非常にその点においては私は喜びに堪えないものであるのであります。希わくば今後におきましては、これを契機として医師、薬剤師双方ともに国民医療の上に立つて、これまでのようなこういうふうな鬪争と申しますか、抗争と申しますか、こういうふうなことの再びないようにということを私は希うものであります。  なおそれにつきましてのこの法案の一、二の点について希望を申述べたいと存じまするが、この法案によりますると、審議会が設けられることになつております。現在の法律の上におきましては、各種の審議会がむしろ整理をされる段階にあると私は考えております。而もここに審議会が設けふれるということも、これも若干遺憾の点があるのであります。併しながらこの新らしくできました、殊に省令を作るための審議会ができるというような筋もこれは止むを得ない。併しこの審議会によつてできまする省令というものにつきましては、これは非常にむずかしい專門的の技術も要するし、又学問的の解釈の要る点が多々あると存じまするので、單なる通り一遍の審議会を作らないで、十分政府当局においては審議会の構成について御考慮相成りたい。なおそれについての省令は勿論、申すまでもなく十分学問的の基礎に立ち、又国民医療の本質の上に立つた省令が作られることを希うものであります。できることなれば省令ができまするときに、本委員会の意向も十分お聞きになることを希望いたしまして、本案に賛成するものでございます。
  214. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私も常岡委員提出の修正案に賛成するものでありまするが、次の二点を政府当局に要望いたしておきたいと思います。  本制度実施に当りまして、将来適正なる診療報酬を設定されることと思うのでありまするが、そのときには、国民の医療費の急激なる増嵩を来さないように適当なる御配慮を願いたいと思うのであります。本法案の審議に当りまして、我々も最も関心を持ち、又国民の大部分も関心を持つておりまする問題は、この制度実施によつて果して国民の医療費負担が高くなるであろうか、或いは安くなるであろうかというようなことに最も大きな関心を持つていると思うのであります。この点に関しまして、政府当局の御調査なり御答弁というものは、我々にまだ十分なる満足を與えなかつたのでありまするが、これは国民が最も重大なる関心を持つているところと思いまするので、適正なる診療報酬を定められなければなりませんが、医療費の急激なる増嵩を来たさないように十分なる御配慮を願いたいと思うのであります。  次の一点は、この制度実施によりまして、社会保険経済に、健康保險経済に如何なる影響を及ぼすかということについても、まだ十分なる研究ができていなかつたように思うのであります。この制度実施によりまして、保險経済に非常に異常なる影響を與えるということになりましたならば、これ又大きな問題を起すこととなると考えられまするので、社会保險経済に対して異常なる影響を来たさないようにこれ又十分なる御工夫と御配意を願いたいということを要望いたしまして、私も本修正案に賛成いたすものであります。
  215. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 私も只今提案されております常岡委員の修正案に賛成いたすものでございます。  御承知ようにこの法案がこの国会に出て参りましてから、私どもは実際に国民の多くのかたの意見を徴したのでございますが、そのときに感じましたことは、如何に国民がこの問題に関して無関心であるかということ、これを強く感じさせられたのでございます。殊に保健衛生問題につきまして余り関心を持つていないということが、地方に参りましてもよくわかつたのでございます。幸い今日幾多の日数の審議を了えましてこの修正案が提出せられたのでございまして、若しこの修正案が可決せられまして法律となりました曉には、政府におかれましては……医師側におかれましては政府原案に反対しておられますし、薬剤師側におかれましては賛成しておられましたが、両方とも結局要するところは国民の衞生知識が低うございますから、医師側はこれに疑念を持たれ、又薬剤師側におかれましては国民の衞生知識が低いがためにこれを分離すればいいのではないかという意見が出たのだと思います。それで当時政府におかれましては、薬剤師側の言われたように、政府も薬剤師の意見をとり入れて薬局の整備拡充に力を入れて頂きたいと存じます。又一方医療機関の整備拡充に力を入れて頂いて、又お客さんの方面も力を入れて頂いて、ますます医療の專門化を図つて頂きたいのでございます。そうすることは引きも直さず国民の保健衞生上にも大きな影響になりますし、今後国民の健康への確信ということに大きな貢献をいたすことと思います。幸いに本法案によりまして、今後ますます増加すると言われております結核問題もだんだんと解消いたしまして、国民が健康になりますれば、この上なく幸いだと存じますので、そうした点に今後この上とも法律の運用の面に政府の格段の御努力あらんことを希望いたしまして、この案に賛成いたします。
  216. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 私も只今の常岡委員の修正案に賛成をいたします。  殊にこの問題はアメリカ勧告というものも大変な問題になつて参りまして、政府の提案になつて参り、それに対して一種の社会問題たるごとく問題が沸騰いたして参りまして、只今の常岡修正案によりましてこれが採択されますると、従来の医療関係立法の大変な躍進となりまして、このためにいわゆる日本の医療制度或いは国民の受けます福祉も大きいものがあろうと存じます。殊に医師法の第二十二條におきまして、処方箋を交付しなければならないという前提の下に進められ、患者の便利のためには、薬事法におきます特別な希望の場合において、患者が希望する医師から投薬を受けることができるという、こういう條項が入りまして、その関係者並びに国民が納得した医師法歯科医師法並びに薬剤師法の改正が実施されますることは、誠に私ども衷心より御同慶に存ずるのであります。但し私どもがこの修正案に賛成いたしまするのは、医師法第二十二條にあります但し書は、やつぱり十分医学上において治療上特に支障があるという場合、これは嚴格な意味において解釈すべきものでありまするから、従つて省令の定められる場合において、或いは審議会の設置される場合におきまして、先ほどもお話がありましたが、これが構成及びその委員等の任命、数、内容等におきましても十分国民の納得するような構成がなされることを特に希望する次第であります。又薬事法の一項に、修正によつて附加えられました患者が希望します場合におきましても、十分患者の意思が、みずからの意思によつて希望することがなし得るように進んで行かなければならないと思います。従つて先ほど石原委員も発言されましたが、この修正及び改正によりましてこの本法の施行に当りましては、医療費の増大というのは極力、あらゆる点からこれを阻止するようにしながら医療の向上を来すように、この本法の実施に当つて政府は格段の努力をいたされ、従つて医療行政がこの画期的な法案によりまして、法律の実施によりまして、一層十分充実いたしまするように取計らつてもらいたいと存じますると同時に、この修正案の持つておりまする精神が、医師、薬剤師並びに国民に十分理解され、只今の常岡案の修正の精神が十分徹底いたしまするように、そして本法の施行上誤りのないようにいたされまするよう、この点は特に希望をいたす次第でございます。これによりまして国民の医療が向上し、又患者に一層福祉を来たすよう努力の進んで来ることを衷心から思いまするときに、修正案に賛成をいたす次第でございます。
  217. 有馬英二

    ○有馬英二君 各位から常岡修正案に対する賛成並びにそれについての希望條件が述べられまして、先ほどから拜聽いたしておりまして、一々私はこれに賛意を表する次第であります。  もはや多く附加えることもないかと存ずるのでありますが、この際私は一言だけ申し添えておきたいと思うことは、先般サムス准将が帰米の際に、私ども数名が呼ばれまして希望を述べられた、そのお言葉の中に、この法案が実施せられるかせられないかということは、日本が民主化されたかされないかという一つのテストにもなるというよう言葉があつたように私は解釈したのであります。この法案の審議に当りまして、私ども委員会におきましては徹頭徹尾誠意を以ちまして、この我が国の民主化達成のために私ども苦心して参りました。然るところ、今回常岡案が提出されまして、私どもこの政府案に対する修正案は誠に適切である。この修正案こそ恐らくサムス准将の意中にあつたものと同一なものということは言われんかも知れませんが、大体において私は一致するものではないかと存ずるのであります。なお我々は審議中にいろいろの外国の例なども参考にいたしたのでありまして、この新らしい修正案こそは、恐らく最も我が国の国情に適したものではなかろうか。又これを各国の医師法に照しましても決して遜色のないものであるということを私は信じて、ここに賛意を表するものでありまするが、但し如何なる立派な立法といえどもこれが実施に当つてその真髄を実行できないようなことがありまするというと、これは誠に遺憾なことになるのであります。特に私はこういうことを政府に要望したいと思うのであります。即ち我が国の医療がこの改正案薬事法の中に、省令によつて定められるところによつてということが書いてある。特に地域的にこれが実施について考慮を払うべきであるということが書いてあります。この点は誠にまだ我が国の各地方々々におけるところの文化程度が甚だ平衡を欠いておる、進んでおらないところがあるということを意味しておるのでありまするからして、政府におかれましては一日も早くかくのごとき除外例はないような状態に我が国の文化の促進に努力せられなければならんと考えておる。特に私ども諸般の事情を考えまするときに、医師の数と、薬剤師の数とを比べて見まするというと、我が国の現状におきましては薬剤師の数が遙かに少い。特に辺鄙なところにおきましては、正しい調剤をするような薬局の数が非常に少いのであります。この点は政府におかれては直ちに適正なる促進をされ、先ほどもどなたかお述べになりましたが薬局の整備強化を図り、一日も早く如何なる辺鄙な所へ行きましても、この法案が正しく実行されて、国民福祉が増進されるということが本当に実現されるようにお運びを願いたいのであります。  この点一言私も政府に希望を述べまして、私の賛意を表する次第であります。
  218. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 大分御意見も出盡したようでありますから、討論は御終了願いまして、直ちに採決に入られんことの動議を提出いたします。
  219. 山下義信

    委員長山下義信君) 討論は終結したものと認めまして差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案について採決をいたします。先ず討論中にありました常岡君の修正案を議題に供します。常岡君提出の修正案に賛成のかたの御起立を願います。    〔総員起立〕
  221. 山下義信

    委員長山下義信君) 全会一致でございます。よつて常岡君提出の修正案は可決されました。  次に只今採決いたしました常岡君の修正にかかる部分を除いて法案全部を議題に供します。修正の部分を除いて他は原案通り御賛成のかたは御起立を願います。    〔総員起立〕
  222. 山下義信

    委員長山下義信君) 全会一致でございます。よつて医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案は、全会一致を以て修正可決すべきものと確定いたしました。(拍手)  この際保利厚生大臣代理の発言を求めます。
  223. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 多年の懸案となつておりました医薬分業の問題に関しまして法案を具しましたところ、当委員会におきましては委員長初め全委員各位は終始非常な御熱意を以て且つ又非常に御愼重に御審議を頂きまして、只今御議決のような結論に到達せられましたことにつきまして、衷心敬意を表する次第であります。政府といたしましては、今後の国会審議の過程におきまして、只今の御議決の趣意に基きまして十分これを尊重して参るつもりでございます。
  224. 山下義信

    委員長山下義信君) なお委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とせられたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名    有馬 英二   小杉 繁安    井上なつゑ   中山 壽彦    長島 銀藏   石原幹市郎    草葉 隆圓   河崎 ナツ    藤原 道子   藤森 眞治    常岡 一郎   谷口弥三郎    松原 一彦   永井純一郎
  225. 山下義信

    委員長山下義信君) 御署名漏れはございませんか。……署名漏れはないものと認めます。  それから本会議における委員長の口頭報告につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないものと認めます。  それでは暫時休憩いたします。    午後六時二十一分休憩    —————・—————    午後六時三十五分開会
  227. 山下義信

    委員長山下義信君) 休憩前に引続きまして会議を開きます。  議事の都合によりまして、この際理容師法の一部を改正する法律案を議題といたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  228. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないものと認めます。衆議院議員高橋等君。
  229. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) 提案の理由につきましては昨日御説明を申上げたのでありまするが、なお念のために一、二カ所追加をさして頂きたいと思います。  先ず第一の点は、お手許へ出ております、配付された書類の十四條の二という組織に関する項目でございまするが、この第三項に「二以上の理容師会又は美容師会は、連合会を組織することができる。」というのが成文でございます。印刷物の中には、「二以上の理容師会若しくは美容師会又は理容師会及び美容師会は、連合会を組織することができる。」と書いてありますが、これはミス・プリントでございます。訂正が出ておりまするから念のために説明申上げておきます。即ち理容師会又は美容師会は、連合会を組織する場合は、理容師会の連合会、或いは又美容師会の連合会を作ることができるという趣旨でございます。  なお十四條の三の審議会に関する規定は、昨日衆議院におきまして、全部修正削除されまして通過を見ております。一応その点を御報告申上げて御審議をお願いいたしたいと思いますが、何とぞ御審議を賜わりまして御賛成を賜らんことをお願いいたします。
  230. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 これは全部削るんですか。
  231. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) ええ審議会の事項は全部削除でございます。
  232. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 ちよつと先ほどの御説明で、はつきり伺いませんでしたのでもう一度伺いたいと存じますが、十四條の三の審議会を置くこれは削除するのでございますか。
  233. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) 十四條の三は全部削除でございます。
  234. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 これは十四條の三全部削除とおつしやいますけれども十四條の三という文字まで全部、こういう意味でございますか。
  235. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) さようでございます。
  236. 藤原道子

    ○藤原道子君 私もうつかり聞き漏らしたのでございますけれども、十四條の二の三でございますね、そこの「二以上の理容師会若しくは美容師会又は」とあるのを削るんですか。或いはこの、「又は理容師会及び美容師会は、」というのを削るんですか。
  237. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) もう一度それでは十四條の二の第三項の成文を読みます。「二以上の理容師会又は美容師会は、連合会を組織することができる。」、ですから削りましたのは、「若しくは美容師会」と「又は」の下の「理容師会及び」という所々を削つて頂きたい。よろしゆうございますか。
  238. 藤原道子

    ○藤原道子君 わかりました。
  239. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) これはミス・プリントであります。
  240. 藤原道子

    ○藤原道子君 第三條中の「更に一年以上の実地習練を経た者は、」を「一年以上の実地習練を経た者であつて更に都道府県知事が行う美容師試験に合格したものは、」と改めるということに相成つておりますが、この美容師法、理容師法は結局髪型だけを試験するのでなくて、衞生上の問題に重点を置くというふうに、まあ私たちは解釈していたのでございますが、この都道府県知事の試験いたす内容は、どういうことを予定しておいでになるのでございますか。
  241. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) この試験の内容は、省令で大体定めますのですが、公衆衞生の試験並びに公衆衞生上の技術に関する試験を行う予定になつております。なおここで今一つ附加えて御説明させておいて頂きたいことは、従来は一年以上、学校を出ました人で、あとの一年間を実地習練をいたします。この実地習練は厚生大臣が指定した所でなければやれないことになつております。ところかそうすると、その設備は大体理髪屋さんあたりで見ますると、機械を四台以上持つておるところというような制限があります。田舎の自分の家が理髪屋でありましても、その設備がないと、そこの息子さんは学校を出てから、又よその家に行つて実地習練をしなければならないというような不便がありますので、今度は省令を、施行法と同時にこの事項を実は直しまして、実地習練はどこへ行つてつてもよろしいということにいたしまして、機会均等を得るような方法を講じております。その点御了承願います。
  242. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 第六條の二という所で、「理容師又は美容師は、理容所又は美容所以外において、その業をしてはならない。」とありますが、私の例を申上げて甚だ恐縮でありますが、私は山に住んでおる、そこで従来、床屋さんに山まで来てもらつておるのでございますが、これはこれから禁止事項になるのでございましようか。
  243. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) 但し、省令で定めるところにより、特別の事情がある場合はよろしいことになつております。どうぞ特別の理由がある場合には……。
  244. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 只今の高橋先生の御説明は、その省令の中にそういうことを含まれるかどうか、それをちよつと伺つておきたいと思います。
  245. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) 省令で定めまする点は、或いは結婚の場合の着付であるとか、或いは又病気であるとかいうような例示をいたす予定になつております。そのときに止むを得ない事情で理容所におもむかれない特別の事情がある場合ですね、そういう広い意味に御了承願いたいと思います。
  246. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 第三條中の訂正でございますね、今まではその養成所を出まして、一年以上の実地習練を経た者でありましたのでありますが、それを更に都道府県知事が行う理容師試験に合格したものということにここで今度改めるということにつきまして、もう少し詳しいことを伺いたいと思うのでございますが、その理由を……。
  247. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) 本来ですと、成るべくこうした理容師、美容師の職につく人が、楽に職につけまするように、試験というよう制度は余り好まないのでありますが、併し現在の状況は、この養成施設というものがまだ不完全でございまして、この不完全な養成施設を出て、一年実地習練をいたしましても、理容師なり美容師なりのいわゆる知識、技能と申しますか、そうしたものがまだ完全とは言えない。そこで一応実地習練の場所は拡げて機会均等の精神に則つてやらすが、一応当分の間試験をして行こう、併しこの養成施設は年々歳々向上をいたし、又厚生省をして督励さして、これらの施設を向上させ、充実させ、そうしてこの試験制度は一日も早く廃止の方向に行きたい、これが提案者の意思でございます。
  248. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 今の提案者の御意見を伺いまして、やや安心いたしましたのでございますが、この美容師試験のほうですね、美容師試験のほうは若いまあ女の人、若い男のかたと違いまして、若い女の人のほうは結婚の先もつまつておりますし、試験を受けて、また来年も受ける、その間もう一度試験が通らなかつたならば、そこに行つて練習して来る、いろいろそうしておられませんし、又こういう婦人の職業の技術をつけますにしましても、男のかたと違つて女の人の、日本の女の人の現状から申しますると、まあ職をつけるというような人はどちらかといつたら、経済生活におきましていろいろそう余裕がございませんですから、まあ或る意味から申しますれば、理容師の場合と多少そこのところは、現段階におきましては多少どころではなく、なかなか女の場合には考えて上げなければならないのではないですか。一面この養成所のほうは、あれでまあ試験をするということからせめて行つて、養成所もよくなるだろう、よくさすという厚生省の何か努力もございますが、試験するほうでせめて行つて、養成するほうをもつと実力あるようにせしめて、そうしてまあ職をつけたものと認めるというふうに行こうとしないで、試験をするほうで以つて受ける女の人の、そのいろいろな途を狹ばめられるということにおきまして、そこに行くということに、少し私たち若い婦人の職業を身につけるということにつきまして非常に責任を持つて考え、又好意を持つて考え、又日本の現段階においては非常に考慮して上げなければならないということから申しますと、少し納得が行かないのでございますが、その辺につきましての手心につきまして、何かほかに考えでもございましようか。又厚生省といたしましては、そういう方法につきましてどういうふうにお考えでございましようか、おいでになつていらつしやいますか……、それでは提案者のお心配りをお伺いしたいと思います。
  249. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) 一応先ず現在学校へ行つておられるかた、或いは又修業中のかた、このかたにつきましては、試験を受けないでも昭和二十八年六月三十日までは資格を與える。これから学校にお入りになるかたは、それを卒業して、習練をやりますと試験がある、こういうことで一応現在学校に行つておられるかたの身分に大きな変更のない措置を附則において規定いたします。これはこの法律の附則の第二項に規定いたしております。なお只今お話の、御指摘の試験をすることによつて学校施設を向上さすということは、これは試験の目的では勿論ないのでありまして、そういうこともあり得るだろうというだけのことで、これは軽いことでお考えを願いたいと思うのです。なお先程申上げましたように、二十八年のこの試験を施行するまでの問に厚生省に十分に努力をして頂きまして、その間施設が完備いたしまするならば直ちに法律改正し、試験をしないでいいことにしてもいい、できるだけ早く試験をやる方向に行きたいというのが提案者の意思でございます。
  250. 藤原道子

    ○藤原道子君 提案者にお伺いいたしますが、従来では試験をしなかつた者に支障があつた事実があるのでしようか。
  251. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) 甚だむずかしい御質問でございますが、理容師法の適用はまだ実は日が淺いのでございます。そうして学校を卒業してインターンを出て資格を持つている人は割合少いわけであります。なお現在におきましても試験を受けてなる人と、学校を出てインターンを受けてなる人とこの二通りの人があるのであります。大体におきまして最初法律を制定いたしましたときは、大体養成施設をやりまして一年で十分だと考えておりましたが、これは養成施設その他を御覽になると非常にいい所も勿論あるのでございます。併し大体においてまで不完全である。どうしても一年間養成所におつて一年やつたのではこれは不十分だということを一般に認定をいたしまして、特にそのために不都合が起つたとか何とかということを具体的に例を挙げて、それじやこの点が不都合だろうという点は特に指摘できませんが、それでは役に立つ人は殆んどできないというのが実情ように調査をいたしましてこういうことを出したのであります。なおこの点は各団体の人々、理容師会、或いは美容師会、或いは深い関係のある会につきましてはそれぞれ御意見を携わりまして、大多数のかたはこれに賛成でございます。ただ特に学校を経営せられておる特殊のかたは、この試験制度に非常に反対の運動をなさいました。それは御無理からんことで、学校を経営して御自分の学校を出た者がもう一回試験をしなければ資格をもらえないというのでは学校の権威にもかかわるということもあるかと思います。その学校経営方面のかたは相当御反対がありましたが、大部分の美容師並びに理容師のかたの組合にこれを伺いましたところ、大部分のかたは現在では止むを得ないという結論になつております。これを参考のために申上げておきます。
  252. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 今の御説明の中で、学校経営者が反対しておる、大部分の人は賛成しておる、いろいろ立場がございましよう。私は若い娘さんが職業を身につけて、そうして職業婦人として立つ、而も若い娘さんは男のかたと違つて結婚という問題があつて、その間が短い。日本の生活状態は結婚して職業婦人として、又家庭婦人としての生活の上では二つのものは活かしにくい。こんな面からできるだけ職を身につけさせてやりたいという実際問題を、いろいろと未亡人問題から痛感いたしておる者といたしまして、やはりそんな面から職業を身につける日本の若い娘さんの立場を十分考慮して頂きたいということを実は附加えましたものでございまして、これは是非お考えを願つて、適当なときに又この問題につきまして、先ほどおつしやいましたようにお考え願いたいと思います。  あとちよつと、先ほどそういう仕事をしますのに理容所又は美容所以外の場所でしてはいかん、それはどんな所か、省令の定むるところ及び病気のときとか結婚の場合とかございますが、そのほかに何か理容所、美容所以外の所でして非常に害のあるような実例でもございますか。若しもそれがあつて害があるんだつたら、それに対して反省を促すような箇條がなくてはならんものと思いますが……。
  253. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) 実は簡單な道具を持ちまして街頭その他で理髪行為をやつたりなどする例が往々見受けられる。そういうものほど実は公衆衞生上伝染病等の媒介をなす本当に不潔なものなんです。そういうことを公衆衞生上の見地から防ぎたいというのが第六條の二の規定でございます。そういう不都合は往々見受けられます。なお「特別の事情がある場合」というのはいろいろな場合がございます。先ほど御説明しましたが、なお例えば船が入つたが出帆まで間に合わなくて、こちらから行つてやらなければ間に合わないというようなときに集団的に出掛けて行つて理髪するとか、いろいろな例があります。例えば浮浪者を一カ所へ集めてやるとかいろいろのことも考えられますが、大体において公衆衞生的な見地からこの條文をきめたわけでございます。なおこれに違反した場合は罰則の規定を加えてあります。
  254. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 この頃理容師のかたで美容師の資格がなく、男の若いかたがパーマネントを少ししておりますが、そういう理容師のかたがパーマネントを資格なくしてするというよう実情が大分あるように聞いておりますのですが、そういうことにつきましては、ここではどういうふうな取扱をするお考えでありましようか。
  255. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) 免許を受けなければやれないことになつてつて、罰則の規定があります。なお理容師と美容師との間の各営業内容といいますか、それは法律においてはつきり区別いたしております。
  256. 山下義信

    委員長山下義信君) ちよつと一つ伺いますが、第十四條の二ですね、理容師会又は美容師会のことですね、今度こういうふうに第十四條の二で規定してありますが、理容師会又は美容師会、現行のそういう会の扱い方は何も経過規定にありませんが、新規に皆こういうふうな会の設立手続をとらなければなりませんか。
  257. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) これはやはり現行の会も届出を要することになつております。
  258. 山下義信

    委員長山下義信君) この届出は成規のこの手続をやる、こういうことになりますか。
  259. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) そうです。
  260. 山下義信

    委員長山下義信君) それから現行法は、手許にありませんからよくわかりませんが、理容所とか美容所とかというものの、そこの営業の表示というようなものは現行法の中に何か規定がありますか。
  261. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) 現行法には別にありません。
  262. 山下義信

    委員長山下義信君) 名称の変更に伴います措置は何も必要はないですね、現行法において……。
  263. 高橋等

    ○衆議院議員(高橋等君) はあ。
  264. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 以上を以つて質疑を終了し、討論を省略して、直ちに採決に入られたいという動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  265. 山下義信

    委員長山下義信君) 只今の草葉委員の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  266. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないと認めます。それではこれより質疑を打切り、討論を省略いたしまして、理容師法の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案を原案通り可決することに賛成のおかたの御起立を願います。    〔総員起立〕
  267. 山下義信

    委員長山下義信君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     石原幹市郎  中山 壽彦     長島 銀藏  草葉 隆圓     藤原 道子  河崎 ナツ     藤森 眞治  谷口弥三郎     松原 一彦
  268. 山下義信

    委員長山下義信君) 御署名漏れはございませんか。……御署名漏れはないと認めます。本会議における委員長の口頭報告につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  269. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないものと認めます。   —————————————
  270. 山下義信

    委員長山下義信君) この際、兒童福祉法の一部を改正する法律案審議を続行いたします。速記中止。    〔速記中止
  271. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を始めて。  伺いますが、四十八條第三項、教護院の長は、文部大臣の勧告に従わなければならぬということになつておるのでありますが、これは現行法と文部大臣との関係は、教護院に関する限りどういうふうに改まつたのでありましようか、御説明を願いたいと思います。
  272. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 従来はそこの対照條文で御覽頂きますと、下の段にございまするように、教護院の教科につきましては、学校教育法第二十條又は三十八條の監督庁の承認を受けなければならないということで、教護院の系統と、それから学校の系統の二本建でございました。それを教護の特殊性を認めまして、教護院の一本建で教育もその中で行う。但しそのやり方については、文部大臣の全般的な勧告従つて行うということに相成つたわけでございます。それでまあ従来の二本建が避けられまして、一本に相成るということになるかと思います。
  273. 山下義信

    委員長山下義信君) 教護院の最近の事業状況等はどういうふうな状況でございますか。非常に拡大、拡張されましたが、收容兒童も又非常に多数になりましたでしようが、運営等について何か変つたよう状況がございましたら、この際承わりたいと思います。
  274. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 少年の不良化問題が相当、御承知よう状況でございますので、教護院の收容兒童もその数が殖えて参りました。私どものほうでは教護院の拡充を逐次やつて参りまして、今日大体五千人程度の收容兒童を見ております。
  275. 山下義信

    委員長山下義信君) 第四章に移ります。御質疑を願います。……この費用の点で著しく改正になりました点を指摘されまして簡單に御説明を願います。
  276. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 五十條の五号の二というのが加わりましたのですが、これは先ほど御説明申上げました身体障害兒童に補裝具交付等の費用の支弁を明らかにいたしたわけでございます。それから六号の二の改正は、これに助産施設、母子寮の措置費の支弁、これを従来市町村長が措置権を持つておりましたので、市町村の支弁ということになつておりましたのでございますが、それを措置権者の属する団体の支弁ということに改正いたしたわけでございます。
  277. 山下義信

    委員長山下義信君) それはどういう意味ですか。
  278. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 地方公共団体という意味でございます。例を挙げて御説明申上げますと、社会福祉事務所設置しない町村におきましては、都道府県知事が社会福祉事務所の助産施設、母子寮の措置をやつておりますので、その場合には都道府県負担をいたす、かように相成るわけであります。社会福祉事務所設置する町村におきましては、その町村長が措置をいたしまするので、その町村、市におきましては、市に社会福祉事務所設置されますので従来通り市の支弁、かように相成る次第でございます。  それから七号では、里親の委託費を、従来の規定ではございませんでしたのを、それを新たに明らかにいたしまして、保護委託費を含まないということを明らかにいたしたわけであります。あとはずつと條文整理でございまして、五十六條の二が先般御説明を申上げました兒童福祉施設に対する臨時費の補助の途を開いた規定でございます。並びにそれについての監督の規定をあとのほうに置いております。従来兒童福祉法では、公共団体設置する施設に対してのみ臨時費の補助をいたすことになつてつたのでございますが、現在の我が国の兒童福祉事業の実情に基きまして、そこに書いてありますような一定の條件の下におきましては、社会福祉法人並びに公益法人の設置するものに対しましても補助ができるという途を開いたわけでございます。  以上が大体主な内容であります。
  279. 山下義信

    委員長山下義信君) 五十六條の二の改正といいますか、新らしい條文の問題は非常に御努力を願いまして、大変に結構なことが開かれたのでありますが、大体実際問題としてどういう程度予算といいますか、実質的の御計画のお見通しというものは大体どういうことになつておりますか。
  280. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 本年度の予算の折衝をいたしました際には、実はかような途を開けておりませんでしたので、本年度の施設費の補助はすべて公の団体に対する補助金ということを予定いたしまして、折衝をいたして、只今の金額がきまつておるわけでございますが、この途が開けましたならば、私どもの見込では、そのうちの一部をここに廻すつもりでございます。併しながらこれには都道府県の補助を伴いますので、都道府県の補助というものができませんと、国のほうの補助もやることができませんので、地方費の関係も、本年は本年度中途におきましてかような途を開きまして、そうたくさんは都道府県費用を出すということはむずかしかろうと存じます。従いましてこの規定が本当に活きまするのは、二十七年度からではないであろうかと、私はかように考えております。
  281. 山下義信

    委員長山下義信君) 前々から問題になつておりました今度の厚生施設への国の強力なる補助政策というような問題は、このたびは実現を見なかつたよでありますが、何かそういう問題に対しまして御意見がございましようか。
  282. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 厚生施設に対する国費の補助は私どもかねがね念願いたしておるところでございます。今般の改正におきましても、若干さようなことも考えたのでございますけれども、何しろ財政上の問題を伴いますので、厚生施設以外の兒童福祉施設につきましてもなお不十分であるということでございますので、遺憾ながら実現を見なかつた次第であります。将来努力をいたしたいと思います。
  283. 山下義信

    委員長山下義信君) 本法における兒童の厚生施設の現状に基くいろいろな問題については、御調査願つておると存じますが、実体等のいろいろなことを若し御調査になつておるようなことがありましたら資料等を一つ拜見したいと思いますからお願いいたします。  附則、施行期日等について御審議お願いいたします。なお総体的な御質疑でも結構でございます……。この際兒童局長お伺つておきますが、これはすでに御質疑が出たかも知れませんが、若し重複をいたしておりましたら省略して結構でございます。先般兒童憲章を御制定になつて、厚生省は御盡力に相成りまして、我々も非常に多いといたすのであります。兒童憲章の御制定に関連いたしまして、兒童局におかれては将来どういうような御覚悟を持つておいでになりましようか、この際明らかにしておきたいと存ずるのであります。先般当委員会に総理大臣の出席を求めて、その他の問題も併せて政府の所見を伺いたいという委員の御意見があつたのでございますが、今日なお実現ができません。他日その機会を得まして明らかにしたいとは存じますので、この際当面の責任者でありまする兒童局長の御所見を承わつておきたいと思います。
  284. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 先般兒童憲章が制定会議で制定され、宣言をされたわけでございますが、内容はいろいろと権威のかたがお集りになりましての結果でありまするので、非常に結構なことだと私どもも考えております。あの中に盛られております事柄の実現ということに相成りますると、一兒童局、一厚生省というようなことではございませんので、政府といたしましては全般的に関連をいたすことであり、又政府だけでなく、国民も親の立場であり、或いは社会人の立場であり、すべての立場において国民全体のかたがたの御関係になるところでございまするので、私どもがただ一部局において力みましても、その内容はなかなか実現ができないのでございまするが、私どもは私ども立場といたしまして、あの内容の実現ということに格段の努力をいたす覚悟でおる次第でございます。なお内容の実現に先行をいたす問題でありまするが、あの普及徹底の問題であります。遺憾ながら国費の予算におきましては、普及徹底費というものは特別には計上いたされておりません。従いまして従来いろいろ持つておりまする印刷費でありまするとか、いろいろな啓発運動の費用等を使いまして、これの普及徹底に努力いたしたいと、かように考えております。地方におきましては、中央よりより以上に特別の経費を若干計上いたしておる所もあるよう承知をいたしております。なおこれの普及徹底につきましては、今のように特別な予算を計上して云々するというようなことも大事でございまするけれども、ただそればかりでは到底その実は挙りませんので、あれを紙に刷りまして各戸に廻しましたところが何らの意味もないのでありまして、兒童福祉に従事をいたす者、或いは学校教育に従事をいたすかたがた、或いはPTAの幹部のかたがた、さようなかたがたが自分の仕事を通じまして、あらゆる機会にこれの普及徹底に御盡力を頂くという方法が一番効果が挙るのじやないかと存じまするので、そのほうのことに私どもといたしましても大いに御努力を願うように盡力をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  285. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 この法案は、私甚だ杜撰な意見を申上げるようでありますけれども、例えば三十九條に「乳兒又は幼兒」とあるのを「保育に欠けるその乳兒又は幼兒に、」或いは四十五條の「里親の行う養育」という面がありますが、「里親の行う養育並びに保護受託者の行う保護」という工合に、兒童福祉に対しまして国の費用も相当これに増加せしめるといつたような、いろいろ今まで欠点のあるところを補うというよう法律ように解釈されます。それからなおこの附則を見ますると、十月一日から行うというようなことになつておりまするし、臨時国会があるなしは別といたしまして、もう明日が最終日でございます。従いまして、先ほど松原委員お話に相成つたような工合に、取りあえずこの法律を本国全中に通して頂きまして、あとからいろいろな方面の御説明を聞くという形でもあながち悪くはないように私は解釈されまするので、甚だ恐縮でございますが、この福祉の問題が早く間に合いまするように特別の御配慮を願いまして、この法案を一刻も早くお通し下さいまするように、委員長において御配慮願いたいと思います。
  286. 山下義信

    委員長山下義信君) 私は兒童憲章の制定を契機といたしまして、兒童行政が非常に強化されなければいかんと思う。これはただに政府当局只今兒童局長の言われました厚生省の一部局を責めるばかりでもいけないのでありまして、国会みずから立つて、この際十分兒童福祉関係行政の強化を内閣に迫らざるを得ないと私は考える。殊に臨時国会等において補正予算の時期があり、或いは通常予算の編成期に際会いたしましては、厚生委員会といたしましては十分留意せなければならんと考えておるのでありまするが、皆さんの御意見如何でありますか。兒童憲章の制定を契機としまして、兒童福祉行政の強化ということについて厚生委員会というものは盡力しなければならんと私は考える。これはただ兒童局長を責めておるのではないのです。こういう問題の審議の際に政府の意向も確かめ、あれだけの仰々しい兒童憲章を制定しておいて裏付けが何もないということはあるべきではないので、これは当然やるということを兒童局長も言つておられますが、ただ一兒童局の問題ではなくして、大問題でありますから、国会といたしましても皆さまがたの十分な御盡力を仰がなければならんと私は考えておりますので、皆さんの御意見を承わりたいと思うのです。
  287. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は委員長の言われます通りに、我々は作文を作るものではないと思う。あれだけの立派な兒童憲章ができ、殊に何と申しますか、この兒童福祉法の精神すら行われていない、そうして兒童憲章ができた、併しそれに対しての裏付けがないし、今度の審議に対しても大臣は一回も来ておらない。そういう点から申しましても、私はどうも熱がないように思いまして、非常に遺憾に思つておるわけでございます。殊に私は、この法案に対してもつと熱情のある御答弁を伺いたかつたということを考えておる。委員会でももつともつと兒童福祉に真劍になり、兒童の幸福を本当に守つて行くという熱意を持つて行かなければならんと私は思います。
  288. 山下義信

    委員長山下義信君) 厚生省当局者は、兒童福祉行政の強化について、国会の厚生委員会等の協力を求められる御意思はありませんか。
  289. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 私どもは、厚生委員会の御協力を十分に仰ぎたいと存じております。
  290. 松原一彦

    松原一彦君 質問ではございませんが、今の委員長の御所見の通りに、私は何を申しても法律は繪に画いた餅であつてはならんのでありますし、先般兒童福祉のための大会を開いた際においても、陳情、請願等が次々と出ておりますのは、費用の裏付けであります。昨日主計局長も言われた通りに、平衡交付金の中に計算基礎としては項目は挙つておりますけれども、その分配は府県に任かしてあるのでございますからして、かような社会事業等の弱い面には費用が廻つて来ないという現実がある。これは嚴とした事実であつて、所によつては給料すらも払われておらんというような悲しい事実があるのであります。法律を如何に整備しましても、財政上の裏付けのないものは全く意味をなさんと思うのであります。これはたびたび言われておることでありますが、何とかこの際かような重大な社会福祉事業、特に兒童憲章に伴つての法案のごときに対する費用の裏付けについて、根本的に考え直す御意思はないかどうか。これでは到底実施は覚束ないのであります。この方面に関係しておる人々は特殊な人であつて、荒い大きな声も出しません。動作もいたしませんからいいようなものの、それだけ地方におけるところの費用はいつまでたつてももらわないのであります。もらい得ないという状態が祝いておるのであります。この点につきまして厚生省の当局は何かもつと根本的に予算的の処置について強硬なお考えをお持ちになつておるかどうか、ついでに伺つておきます。
  291. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 私どもは根本的な措置といたしましては兒童福祉に要する経費、特にこの措置費につきまして平衡交付金から外して補助金といたしたいと、かような希望を持つております。平衡交付金が初めてできました昭和二十五年度の予算のときにおきましても、特に参議院の厚生委員会におかれましては、この問題について非常に御関心を払われまして、地方財政委員会のほうの関係の政務次官等の御出席も要求されましていろいろと御検討を頂いたわけでございます。本年度、衆議院のほうの厚生委員会におかれましても、この問題につきまして非常な御関心を払われまして、大蔵、地財当局の出席を求めていろいろと御質疑、御希望の御開陳等があつたわけでございます。私ども厚生省の当局といたしましては、昭和二十六年度の予算の編成に際しましては、実は大臣以下最後までこの問題につきまして御盡力を願つたのでございます。一番最後まで予算の折衝といたしましては残りました政府部内におきましては、厚生省といたしましては、一番最後まで残りました案件でございます。併しながら諸般の事情からそれが実現いたしませんで、私どもといたしましては甚だ遺憾と思つております。将来の努力をお約束申上げたいと存ずる次第であります。
  292. 松原一彦

    松原一彦君 委員長に伺いますが、員長も御体験のあるこの問題でありますが、今日地方のかような事業に従事しておる者を通じて骨身にこたえておる、悩んでおる問題はこの費用の裏付けであります。そうしてこれが地方に総括的に平衡交付金として交付せられてから後は全くこれは弱い方面として、この方面には金が廻つて来ない、分け前が極めて少いという嚴然たる事実があるのであります。これに対して私はこの厚生委員の方面におきましても、兒童憲章のできました上から見ましても、一つ是非努力して新らしい費用を確保する途を開きたいと思うのでありますが、委員長、それに対して何か御腹案はありませんか、あなたは堪えずお考えになつておることと思うのでありますが、一応私から伺うのでありますが。
  293. 山下義信

    委員長山下義信君) 御尤もであります。松原委員の御意見通りでございます。先国会に御承知のごとく兒童福祉行政の強化に関する決議案を、本院におきまして御決議を願つたのでございます。それらにつきましては重要事項の不備があるのでございます。なおこの決議案について、政府が如何なる施策をしたかということは、次期国会にこれを報告すべしということに相成つておるのでございます。併しながら次期国会が二国会経過いたしましたけれども、今日何ら内閣からはこの決議に対しまするところの措置につきましての報告がないのでございます。従いまして兒童福祉行政の全般的な強化につきましては、十分厚生委員会といたしまして特にこれを取上げまして政府を鞭撻いたし、或いは予算の折衝等適当なる方法をとる必要が私どもあるのではないかということを痛感いたしますのでございます。殊に最近母子心中等のごとき事例が頻々と起きまして、本日も関係委員のかたがたから御質疑もあつたのでございます。この母子保護の問題につきましては、殊に重大な問題であると私どもは考えておりますのでございます。是非当委員会におきまして、特にお取上げを願いまして十分な御協力、御推進を願わしい段階ではないかと考えております。従いまして政府事務当局におかれましても、責任の閣僚は閣僚といたしまして、又事務当局といたしまして、十分国会と緊密なる連絡をおとりになりまして、而も俊秀なるスタツフのお揃いと思うのでございますから、我々老骨等とも十分緊密なる連絡をおとり下さいまして、これは政府、国会相協力いたしまして我が国の不幸な兒童の、而もその不幸なる母子の福祉の問題に、まだまだ強力に推進して行かなければならん段階ではないかという感じを多分に持つておりますのでございます。これは改めまして当委員会の問題としてお取上げ下さるよう委員長としては切にお願い申上げておく次第でございます。
  294. 松原一彦

    松原一彦君 委員長の熱意を承わつて非常に心強ういたします。実は法律日本の経済事情その他に先行して、そうしてその條章その他を非常に華麗に並べます。殊に兒童憲章発動以来兒童問題というものが非常に重く取扱うものという期待を抱かしたことは、一面において非常にいいのでありますが、その期待がいつも裏切られておるということになりますと、期待を抱かせるものに非常に罪があるのであります。あらゆるところにこういうことが常にあつて、もう法律ができたんだから必ず救われると思うのに救われないという事実が頻々と起ります。私はむしろ欧米先進国のような整備した法律をあわてて作るところに却つて無理があるのだと思う。日本の経済事情に副わないのであります。むしろ徐々にこの経済事情に適応するように、私は法律制度をも進めて行かなければならんとかねて思つておるものでありますが、併し一応この方針でこれの裏付けができるようになりましたならば誠に仕合せなことであります。そこで初めて日本の憲法も活きて参るのでございます。でありますから一カ條一カ條については私はよくわかりませんけれども厚生委員会も十二分に協力いたしますからして、どうか厚生当局におきましても今委員長の熱意に応えられて至急に施策を講ぜられて、本年度の予算のできますのもすでに目睫に迫つておるのでございますけれども、陣容を整え用意を十分にしまして、地方の人たちに空の期待を持たせないように御努力を願いたい、私は以上を強く要望いたします。
  295. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 今の言葉に添えまして私は一言厚生当局にお伺いいたしたいと思うのでございますが、この兒童憲章というものをどう活かして行くか、あの発動のありましたことは、非常に子供というものの観方に対しまして、一つの母親及び世間の人たちに非常に大きな示唆を與え啓蒙の大きな役割を果したことは事実で、これからも果さなければなりませんが、又一方それを実現して行きすることにおきまして、余りに現実と矛盾いたしておりまして、と言いますことは、そういうところが、私たち昨年から実際兒童の福祉の憲章の方針に副つて実際の場合にいたしております諸施設におきまして、殊に政治の貧困さが、昨年来のあの兒童の福祉施設におきましての平衡交付金から来る経済の裏付けが行つておりませんでたくさんの人たちが困つてつた、ああいう問題がなかなか解決せられない、あの現実と並びまして非常に残念に思つておりました。従つてこの福祉施設は、この福祉法の改正法律案を見ておりましても、いろいろだんだんよくなつて行きそうに思いますけれども、実際はなかなかこの政治面におきましての弱さが、実施されていないという心暗さが、ついこれを審議いたしますのに力も細るわけでございまして、ついためらいがちなんでありますが、今の二十六年度の予算にも、福祉施設に関します措置費の問題につきまして、私どもも随分政府にも交渉いたしましたのでございますが、今兒童局長さんのお話ように二十六年度もうまく行かなかつた。けれども子供は生きていて、働いている人たちもそれぞれ生活いたしておりますのですから、うまく行かなかつただけでは済まないので、調べて見ますと、随分又借金してやりくりしたり、一カ月分の生活費で二カ月分をほそぼそと生活したり、やりくりいたして今日まで来ているのでありますが、ここで私伺つておきますことは、二十六年度もはやきまつてもう歩み出して参りましたのですが、どうしても次の予算まで待てませんですが、今度の補正予算のときに是非このことは解決して頂きますように、私ども努力しなければならんし、又政府当局と協力して、厚生当局と協力して、大きな力で厚生当局は又そちらの面から生きている人たちの生活のために大きな努力をしてもらわなければならないと思うのでございますが、それらのことにつきましての準側と、それから見通しは今日どんな工合でございましようか。そこまで一言伺つておきたいと思うのでございます。
  296. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 補正予算におきまして、この問題を平衡交付金から補助金に引戻すということにつきましては、私ども十分に努力をいたしたいと存じております。なお私ども努力は非常に微力でございまするので、厚生委員会の十分なる御指導、御援助をお願い申上げたいと存ずるわけであります。併しながら私の率直な感じを申上げますると、補正予算におきまして、それを実現することは、諸般の情勢から相当困難性が多いのじやないかと、甚だ残念でありますけれども、さようなまあ私の個人的な気持、見通しがいたすのでございます。二十七年度の予算の編成も近く始まることでございますから、この機会におきましては、是非ともこれを実現させたいという熱意を私は持つております。只今委員長初め委員の皆様がたの非常な兒童福祉に対する御熱意を拜承いたしまして、私ども感射に堪えない、有難いと存じておるわけでございますが、どうぞ皆様がたにおかれましても、力の足りない私どもを大いに鞭撻をして頂きまして、そのことが実現いたすように、従来も御盡力を頂いておりましたけれども、より以上の御援助を願いたいと存じます。
  297. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 二十七年度の予算まで待たなければならないと、この平衡交付金の問題を解決いたしますのにはそれまで……、現実の諸施設におきましての子供と、そこに預つている人たちのほうに流れて行かない。あの予算の裏付けが活きておらないという問題を、今年度はどういうふうなほかの方法で……、生きているのですから、その人たちは……、そこへ何か手を打つ方法をお考えなんでございましようか。そのことを一言伺つておきたいと思います。
  298. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 措置費が非常にうまく行つていない部面は、よく御承知ように主として保育でございます。保育所が非常にうまく行つておりませんでございますが、その他の施設におきましては、不十分ではありますが、そこで生活いたしておりますので、なんとかかんとかそれは放つて置けないということで、それぞれ何とか措置費の支払が行われているわけであります。一番の問題は保育所でございまして、これが非常に不円滑になつておる、かよう状況でございます。まあ保育所の問題、これが非常に大きな、数も多うございますし、大問題でございますけれども、仮にそういたしますれば、保育所は御承知ような形態の施設でございますので、その経営者が非常にお困りになることが、経営者なり乃至は従事者が非常にお困りになるということに相成るわけでございます。この点につきましては、只今平衡交付金制度におきまして、残されておる手といたしましては、先ほどもちよつと申上げましたように、現在の兒童福祉法の監督規定を、これは二十五年度に平衡交付金制度ができました際に入れて頂いた規定でございますが、この規定を従来より以上に発揚いたしまして、私どもといたしましては十分なる監査をいたしまして、地方当局に働きかけて、さようなことが少しでもなくなるよう努力いたしたいと考えております。平衡交付金制度の本質から申しまして、甚だ残念なことでありますが、私どもに與えられておる手段はそれ以外に残念でございますがないのででございます。遺憾でございますけれども、その方法で以て私ども努力をいたしたいとかように考えております。
  299. 藤原道子

    ○藤原道子君 実は私はこの兒童福祉法の改正法案につきましては、とかく今の社会では権力が横行いたしまして、弱者の声が余り取上げられていない。為政者は声なき声を取上げて本当に温い涙ある政治をしなければならぬ、かように存じておりますので、この機会に、私は折角兒童福祉法が施行されておりながら、この頃どれだけ多くの子供が犠牲者になつておるかというような点を真劍に当局質疑応答の過程において、いま一応お互いがこの子供の問題を取上げることの熱意を固めて行きたい、かように存じております。従いまして新聞の切拔きとか或いは警視庁へ参りまして、親子心中の実態、これらにどれだけの幼い命が失われているかというような点を一つ一つ検討して行きたい。條文と合わせてこれをやつて行きたい。そうして不幸な子供たち或いは又悪い社会環境の下に放置されている子供たち、これらの問題を十分に検討して行きたいと思つて質疑を今日始めたわけでございます。私の質疑は半分も済んでおりませんけれども、今皆様がたの強い御要望もございますので、私の質疑はこれ以上はいたしませんけれども、とにかく声なきところの声を取上げて行かなければならんということをよくお考え頂きまして、折角ございますこの兒童福祉法を空文に終らせないように、もつと一段の御努力をお願いしたいと思います。殊に本日の新聞にもございましたけれども子供が不良化して行く原因は、環境の悪さ、こういうことが非常に重大な影響をしている。結局子供の不良化を嘆く前に、問題の起つた兒童の措置を講ずる前に、その子供がその道へ落ちて行かないように護つて行くという方向へ一つお考を進めて頂きたいように思うのでございます。或いは日雇労務者の子供たちの保育所の問題等に、私は前々からお尋ねしている件でもございまして、これらの点或いは不就学兒童のこと等につきましても、幾多お伺いしたい点がございますが、時間の関係もございますので、私は今日の質疑はこれ以上はいたしませんが、どうぞ私の意のあるところも十分お含み下さいまして、子供の仕合せがますます増進されますように御努力下さることを私は当局に要望いたしまして、私の質疑は打切ります。
  300. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 以上を以ちまして質疑を終了し、討論を省略して採決に入られたいことの動議を提出いたします。
  301. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記をとめて。    午後七時四十九分速記中止    —————・—————    午後八時五分速記開始
  302. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を起して下さい。只今の草葉委員の御動議に御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  303. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないものと認めます。それでは質疑を打切り、討論を省略いたしまして直ちに本案の採決に移ります。本案を原案の通り可決することに賛成のかたの御起立を願います。    〔総員起立〕
  304. 山下義信

    委員長山下義信君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  委員長が議院に提出する報告書には、多数意見者の署名を附することになつております。本案を可とされたかたは順次御署名願います。   多数意見者署名     石原幹市郎  中山 壽彦     長島 銀藏  草葉 隆圓     藤原 道子  河崎 ナツ     藤森 眞治  谷口弥三郎     松原 一彦
  305. 山下義信

    委員長山下義信君) 御署名漏れはありませんか。……御署名漏れはないと認めます。  なお本会議における委員長の口頭報告については、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  306. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないものと認めます。  本日はこれを以て散会いたします。    午後八時七分散会  出席者は左の通り。    委員長     山下 義信君    理事            小杉 繁安君            井上なつゑ君            有馬 英二君    委員            石原幹市郎君            草葉 隆圓君            中山 壽彦君            長島 銀藏君            河崎 ナツ君            永井純一郎君            藤原 道子君            常岡 一郎君            藤森 眞治君            谷口弥三郎君            松原 一彦君   衆議院議員            高橋  等君   国務大臣    労 働 大 臣    厚 生 大 臣    臨 時 代 理 保利  茂君   政府委員    大蔵省主計局長 河野 一之君    厚生政務次官  平澤 長吉君    厚生省医務局次    長       久下 勝次君    厚生省薬務局長 慶松 一郎君    厚生省兒童局長 高田 正巳君   事務局側    常任委員会專門    員       草間 弘司君    常任委員会專門    員       多田 仁己君