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1951-05-23 第10回国会 参議院 厚生委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十三日(水曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————   委員の異動 五月十八日委員上條愛一君辞任につ き、その補欠として堂森芳夫君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○連合委員会開会の件 ○本委員会運営に関する件 ○医師法歯科医師法及び薬事法の一  部を改正する法律案内閣提出)  (右法案に関し証人証言あり) ○派遣議員報告サムス准将の功績に対する感謝決議  案に関する件 ○看護婦法改正案の実施に関する件 ○覚せい剤取締法案中山壽彦君外四  名発議) ○検疫法案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 山下義信

    委員長山下義信君) これより本日の厚生委員会開会いたします。  日程に入ります前に御報告を申上げることがございます。本委員会運営につきまして、先般十八日委員長理事の打合会をいたしました結果を御報告申上げます。かねて厚生住宅問題に関連いたしまして、厚生住宅に関する小委員長におかれまして、大変御心配を願つてつたのでありますが、公営住宅法案が本院に廻つて参りましたので、建設委員会に当厚生委員会との連合委員会を申入れて置きました。この連合委員会は二十五日の午後一時に開会されることに相成つております。  次は遺族援護の問題に関しまして、千円引揚特別委員長と両三回打合せをいたしました。特に昨二十二日は両委員会委員長理事合同打合会を持ちまして、戦傷病者等対策審議会設置要綱を決定いたしました。この審議会設置は是非今国会中にこれを期するということに申合せをいたしました次第でございます。この審議会設置要綱は後ほどお手許に差上げたいと存じております。なお遺族援護の問題に関しまして、かねて御承知通り関係方面から出ておりまする、牴触いたしまする指令等に関しまして、両委員長外交局を訪問いたしまして、カーペンター氏を訪ねまして、かねて遺族援護に関しまする極東委員会等指令等に関しまする再検討の申入方をいたした次第でございます。なお近く本問題に関しまして、官房長官に会見をいたしたいということを両委員長申合せをいたして目下交渉中でございます。なお遺族援護に関しまする件につきまして、衆議院遺族援護の小委員長からも、参議院と是非連絡をいたして、本問題を推進いたしたいとの申出がございました。昨日も連絡がございましたのでありますが、なお本日正午頃連絡があるはずになつております。  次は医薬分業法案審議につきまして、委員長理事の打合会をいたしたのでございますが、この結果、今明日本案審議の御続行を願うことにいたしましたのでございます。  次は覚せい剤取締法案でございますが、これは小委員長として、本案に対しまする主任として御盡力を頂きました中山委員が御旅行中でございましたが、かねて中山委員のお考えでありましたその線に沿いまして、一応各派の代表者提案者といたしまして、上程の手続をいたしましたのでございます。本案に関しましては、本日の日程に出して置きましたので御了承を願います。以上御報告を申上げて置きます。   —————————————
  3. 山下義信

    委員長山下義信君) 本日は前回証人として御出席お願いをいたしました藤林敬三君がたまたまお差支えがありまして、御欠席でございましたので、本日御出席を願いました次第でございます。従いまして、これより医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案日程上程をいたします。本案に関しましての証人といたしまして、藤林敬三君が出席をせられております。これより証人宣誓を求めることにいたします。御起立を願います。    (総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕 宣誓書良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。       証人 藤林 敬三
  4. 山下義信

    委員長山下義信君) 御着席を願います。  証人のかたへ証人としての御注意を申上げますることは、藤林証人はよく御了承と存じまするので、省略をいたします。これより証人証言を求めることにいたします。  証言を求めたいと存じまする点は、藤林証人医薬制度調査会委員として御関係に相成つておられたように思うのであります。なお臨時医薬制度調審会の副会長にも当つておられたように存ずるのでありますが、該調査会とどういう関係をお持ちになつておられましたかという点でございます。従いまして、該調査会審議にどれだけの関係をお持ちになりましたかという点でございます。なお右調査会審議内容等につきまして、委員若しくは副会長としての御所感を承わりたい、即ち該調査会審議は、十分審議は盡されたかどうか、又該調査会答申案は果して十分なる審議が盡された答申案であるかどうか、又答申案の出まするまでの経過等につきまして、委員若しくは副会長として御関与に相成りました範囲内の御証言を求めたいと存じます。最後証人医薬分業問題につきましての、証人自身のお持ちになつておりまする御見解を承わりたいと存ずるのでございます。以上でございます。どうかよろしくお願いをいたします。
  5. 藤林敬三

    証人藤林敬三君) 坐つていてよろしうございますか。
  6. 山下義信

    委員長山下義信君) どうぞ。
  7. 藤林敬三

    証人藤林敬三君) 委員長最初の幾つかのお言葉は、実は私がここでお答えをする資格が実はないのでございまして、その点は非常に皆さんにも申訳ないと思つております。ただ最後医薬分業に対して、私がどういう考えを持つておるかという点に関しましてだけは、恐らく何がしかのお答えはできると思います。  何故私が最初のお問いにお答えができないかと申しますと、御承知通り、この臨時医薬制度調査会は、その医薬制度調査会だけではなくて、これと重大な関連を持つものと言つていい臨時診療報酬調査会というのと二つが同時にまあ成立せしめられたわけでございまして、私はその両方の委員でございました。最初委員に両方任命されて、そうして医薬制度調査会のほうの副会長に選任されたのでございます。ところがこの両調査会は、診療報酬調査会のほうが先に仕事を始めて、一応これが終つた後に医薬制度調査会審議を始めるという建前で、両審議会がまあ運営をされることになつたわけでございますが、私は臨時診療報酬調査会のほうの普通の一委員であります。又特に附加えられて、この特別委員の一人でもございます。そこでこのほうの調査会審議には参画ができたわけでございますが、御承知通りいろいろ私は学校の講義もございますほかに、いろいろな公職もございまして、そういう都度この調査会にも出られない。折角特別委員会委員に選ばれたにもかかわらず、毎回出席不可能であるという状況で、まあ二度に一度、三度に一度程度欠席せざるを得なかつたようなのが実情でございます。そこでこの調査会終つたあと医薬制度調査会が始まり、それに対しては今度私は副会長という地位にあるので、副会長が二度に一回、三度に一回休まざるを得ないという状況では、この重大な問題の審議責任を以て果すことができないというのが私の第一の理由でございまして、その多忙の故を以てこのほうの調査会御免をこうむりたいということを厚生次官にも申上げて、実はそう言わないで来てくれというお話でございましけれども、実情が今申上げましたような実情でございますので、そう休みながらこの調査会参画するのはけしからんという私自身考えでございますから、あえて辞退を申上げたのでございます。従つてこの医薬制度調査会のほうの審議がどのように行われたか等、今委員長のお言葉に対しては一切私は知らないのでございまして、従つてこれはお答えができない、こういうふうに申上げる以外ないと思います。
  8. 山下義信

    委員長山下義信君) ちよつと伺いますが、証人答申案の採決にはお加わりになりましたのでございましようか。
  9. 藤林敬三

    証人藤林敬三君) 加わりません。私は臨時医薬制度調査会には一回も実は出席をしてないと申上げたのでございますが、経過を申しますと、こういうことでございます。最初にこの両調査会が発足いたしました最初の日に私は実は欠席をいたしまして、欠席のまま副会長に選任されて、あとでその話を伺いました。それから医薬制度調査会仕事を本格的に始める以前に、臨時診療報酬調査会のほうと合同調査会が開かれたことが一度あつたと記憶しておりますが、その際にも不幸にして出席ができなかつた、これは出席するつもりでおりましたけれども、出席をすることができなかつたのでございまして、そのような状態でありますので、先ほど申しましたように、これは非常に無責任になつては申訳ないという理由から、私は御辞退を申上げて、初めから終りまで本格的な審議の行われたその調査会のほうは一度も出席したことがないのであります。
  10. 山下義信

    委員長山下義信君) 副会長はおやめになつたんでございましようか。
  11. 藤林敬三

    証人藤林敬三君) 副会長は、私は勿論副会長もやめれば、委員もやめさしてもらうということで、やめさして頂きましたのでございます。
  12. 山下義信

    委員長山下義信君) 正式に御辞任書をお出しになりましたのですか。
  13. 藤林敬三

    証人藤林敬三君) 正式な辞任はいたしませんが、辞任書というようなものは出しませんが、私はこの診療報酬調査会のほうの特別委員会で、しばしば厚生当局次官初め各局長がいられる前でも、御覧通り私は二回に一回、三回に一回欠席せざるを得ないような状況で、副会長にも選ばれておるんですが、到底こういことでは責任を果しようもないのだから、御覧通りだから、私は御免をこうむりたいということを口頭でしばしば申上げていたので、私は別段辞任書を出したわけではございませんが、それで十分であると私は考えまして、そのうち一度、そう言わないで出て来るようにという勧告はございましたが、その勧告も私はどうも応じかねるというので、お断わりをした次第でございます。
  14. 山下義信

    委員長山下義信君) わかりました。それでは最後お願いいたしました分の、医薬分業制度に関しまする証人の御所見を承わりたいと存じます。
  15. 藤林敬三

    証人藤林敬三君) これは如何でございましよう。何か御質問でもございましたら、お答えしたほうが私のほうとしては非常に楽なような気持がいたしますが……。これこれしかじかの点でどう考えるかというような御質問でも頂ければ……。そうでないと余りにも大きな問題で一般的でございますので、私も実は証人というから、一般素人考え意見を述べるのじやなくて、いろいろそちらで調査会運営についてどうであつたかという御事情を聞かれるものと思つておりましたので、意見を述べるならば、もう少し準備もして来たのですけれども、意見を述べるというような考えは持つて参りませんでございましたので、むしろ御質問を頂いたほうが、私としては非常に楽だと思いますが。如何でございましようか。
  16. 山下義信

    委員長山下義信君) 各委員かたがたに御質疑はございませんが、証人に……。それでは藤林証人には臨時診療報酬調査会のほうの審議経過につきまして、御所見を承わることができましようか。
  17. 藤林敬三

    証人藤林敬三君) いや勿論私の意見といたしましては、その医薬分業に関しての意見、何がしの意見は持つておりますから、これは若し御質問がなければ不十分ながらお述べをいたします。  今臨時診療報酬調査会のほうの進行はどうであつたかというお言葉までございますが、これに対しましては、これはかなり多人数の調査会でございますので、当初は医師会歯科医師会薬剤師会からいろのいろの資料、なかんずく医師会から多量の資料を頂戴をし、その資料の御説明などを伺つておりましたが、いよいよ審議に入る段階になりましてから、特別委員会なるものを設けられて、そして私もまあその特別委員会に選ばれたのでございましたが、これは比較的少人数でございまして、これは非常に熱心に論議が行われて、一応結論に到達したというような次第でございます。いろいろ医師会歯科医師会の御意見の対立もこの間にはあつたのでございますが、まあどうにか結論に達したと、私は考えておるのでございます。
  18. 山下義信

    委員長山下義信君) 臨時診療報酬調査会使命は、医薬分業関係のありまする御調査をなさる御使命であつたのでございましようか。医薬分業とは関係なしの御調査でございましたでしようか。
  19. 藤林敬三

    証人藤林敬三君) これはまあその最初に私が欠席をいたしましたときにも、いろいろ御議論があつたようだし、その後もときどきそういう御議論がございました。これが医薬分業に直接関係があるのかないのか、或いは医薬分業の明確な前提として、こういう問題を取上げているのかどうかという議論が、いろいろあつたようでございますが、私は勿論これは当然医薬分業の問題とも関係のあるものと、いろいろな意見があるにもかかわらず、私自身も大体そういうつもりで調査会の一員としては参画をしたわけであります。
  20. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは伺いますが、臨時診療報酬報調査会答申案医薬制度調査会のいわゆる分業制度の御調査になりまする非常な有益な、且つ又有力なる資料なつたとお考えでございましようか、如何でしようか。
  21. 藤林敬三

    証人藤林敬三君) これは有益な資料なつたかならないかは、私のお答えを申上げる限りでないと思いますが、これは調査会のほうでどのように御利用になるか、若し医薬分業をやるならば、当然こういう方式、併しそういう結論診療報酬調査会で出たからといつて、その結論が直ちに医薬分業結論付けるわけるわけではない。医薬分業が行われる場合には、こういうようなことが当然考えられなければならないということは言えますが、併しその結論が出たから医薬分業が必ずしも結論として結論付けられて来るとは私も考えていない、その限りにおいては、先ほど申しましたように、医薬分業と重大な関係はございまするが、別な調査会でございますし、議論がおのずから別に分れるものと、又分れて然るべきものと私は了承しております。
  22. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは他の委員のかたから、御質疑が別にないようでございますから、先ほど私が申上げました医薬分業問題につきましての証人の賛否の御所見を承わりたいと思うのであります。
  23. 藤林敬三

    証人藤林敬三君) それでは先ほど申しましたように、こういうつもりで実は参りませんので、私が若しもう少しよく準備したならば申上げられたと思うような意見も、或いは落すような結果になるかも知れませんが、従つて又話の順序が狂つたり何かして甚だお聞き苦しい点もあろうかと思いますが、委員長のお言葉でございまするので、私から何がしか意見を述べさして頂きたいと思います。結論的に申しますと、私は今日我が国で医薬分業を実施することには反対でございます。反対である一つの大きな理由、勿論いろいろな理由が私にございますが、一つの大きな理由は、国民の一人として考えてみますと、どうも今医薬分業部分的にも或いは全般的には勿論行われがたいのでございまするが、部分的に行われましても、これは国民医療負担増加になる慮れがあるということを特に考えたのであります。なぜそれじや国民医療負担増加になるかと申しますと、一つのまあ具体的なことを申しますと、これは私が臨時診療報酬調査会の一メンバーとして、つくづくそう考えざるを得なかつた事実でございますが、医薬分業が行われて、お医者さんが処方箋をお書きになる。そうしてそれが薬剤師さんの手に渡つて薬剤師さんが患者調剤をする。その際に薬剤師調剤料の何がしをおとりになるということでございます。勿論今日の社会保健制度の中におきましても、私は余り細かい技術的なことを存じ上げんのでございますが、やはり調剤料がどれこれかということは多少きめられておるようでもあるのでございます。従つて別段そうなつたからといつて、この事実は薬剤師調剤料をおとりになることは別に新らしいことでもないように伺つたのでございますが、併し私はこういう工合にわけてしまうということは、今日の開業医状態から見ると、別段開業医のことについては、我々が薬を受取つて参ります場合には、処方箋をこうだとか、調剤料がこうだとかいうような工合に、お医者さんの診療報酬の中では明確にこれまで分けられていないのが実情でございます。勿論こういう状態を先ずなくさなければ、もつとはつきりさせなければ、医薬分業ができないというので、診療報酬合理化するいろいろな方式を私たち考えたわけでございます。考えたわけでございますが、併し事実はそう合理的な方式では、一応分析もし、議論の結果一応みんなの意見が一致したような形になりましたけれども、併し実際の開業医かたがた実情はそうではない。そこでこういう実情に対して、こういう合理的な方式を、診療報酬を、これこれしかじかだという項目に分けて、これを当てはめて行くという段になりますと、これは単にお医者さんのほうばかりではなくして、とにかくいろいろな場合がそうでございますが、私のごときもしばしば労働組合の賃金の問題に関与しておりまして、そこでも全く同様であります。まあお医者さんのほうをこういう例に比較することは甚だ不穏当かも知れませんが全く事態は同様でございまして、と申しますのは、こういうふうに臨時診療報酬調査会でいろいろな診療報酬合理的方式、その分析というようなものが行われましたが、併しこれで分けて見て、医薬分業が行われたから調剤手数料部分はお医者さんの収入から減つて、そうしてこれが薬剤師収入に肩替りして行くのだというふうに考えることが、合理的に考えることができればいいのですが、私はこれは不可能なことだと思う。何となれば、従来こういう二分割の状態で、お医者さんの診療報酬というものはお医者さんの手許に入つていたものを、これを今更減らすということは、極端に減らすことは、その分だけお医者さんの収入が減るということは、およそいろいろな事態変革に際して、その変革を通して、或る一部分の人の収入が減るということはなかなかなしがたいものであります。そこでまあ実際の社会的な問題といたしますと、我々第三者から、乃至国民として事態をこういうふうにやるためには、お医者さんの反対があるなしを問わず、一応やはり従来通りのお医者さんの収入を、これを確保しなければならないというような措置をとらざるを得ないのであります。そうすると、今度薬剤師のほうに廻つた調剤料国民が余計に負担せざるを得ないという結果が、私は当然出て来るものと考えざるを得ない、そこでそういうものに対してはこの際医薬分業に対しては反対だ、但し私は根本的に医薬分業反対ではございません。医薬分業理想を説かれて今日これは反対する人は恐らくないと私は思います。ただ問題は、だからこういう医薬分業理想をいつどのような形にして、どのように実現するかが問題である。医薬分業そのものについて恐らく多くの人たち反対しない。今日は先ほど申しましたような意味において、私はだから医薬分業ということは反対だというわけなのです。それではどういう形にすれば医薬分業ができるかと言えば、今申しましたようなお医者さんの報酬実情でございまするので、これももう少し医薬分業が行われるような工合に、これを変化せしめて行かなければならんだろうし、又他方から申しますと、こういうことにもなると思う。薬剤師かたがた収入でございますが、これは丁度診療調査会のほうでいろいろ資料を三つの関係団体から、又厚生省当局から我々委員はもらつてつたのでございますが、その中に一つ厚生省でお調べになつ資料に、こういうのがあるのでございます。同じ薬をほうぼうの薬局でどういう価格で売つたかというような資料を頂いたわけでございますが、その資料を頂いたことがございましたが、私のような全くの素人から見て非常に驚いたことは、同じ薬でありながら、或る所では十円とつておるかと思えば、或る所では四十円で売つておるというような事実があります。いわば薬の販売価格はこのように、悪く言えばべら棒に大小高低がある。こういう事実がまあわかつたわけでございます。この点に関しましては、薬剤師かたがたが、まあその調査も不十分であつて、そんな不十分な調査で以てここへ出すとはけしからんというような御反対がございましたけれども、まあともかくこの調査は多少信頼ができない、いろいろな意味において調査不十分な点があるにいたしましても、実際に薬の価格がこのように大小しておるということは、いわば薬剤師が薬を売る場合の販売者としていろいろな価格で以て一般国民乃至は患者に薬を売つておるということでございます。薬の値段がすでにこのような状態であるのに、これに片一方では非常に理窟を付けた調剤料というようなものをこれにおつけるということは、何か木に竹を継いだという感じもしないわけではございません。およそ物の価格というものが問題にされます場合は、やはり木に竹を継いだというようなことじやなくて、もう少し全体としても合理なような方向におのずから向くようにしなければならないじやないかと思う。もつと極論を申せば、私がこのように売薬値段というものがいろいろ違つているんだから、僅かばかりの調剤料というものをここに附加えることは意味がないというようにも、私らとしては考えざるを得ない。私はだから診療調査会委員の一人としては、薬剤師調剤料をとるということには必ずしも賛成はいたしません。調剤料なしでやられる。これは薬の販売者としてはやはり調剤料なしで、いろいろなものをいろいろの価格で売つておる。これはすでに統制価格じやないから、これは統制が外されておるのであるから、それに何をか調剤料をくつけるという必要があるというのが私の議論でありまして、こういうようなことをする医薬分業をする必要はない。若しも薬剤師かたがた調剤料をとらなくてもいいと言うならば、私も医薬分業に賛成したかも知れませんが、そうおつしやらん限りにおいて、先ほども申しましたように、ここで医薬分業をやる限りにおいて、その部分だけ国民負担が殖えざるを得ないという危険に到達せざるを得ないのであります。これも一つ理由でございます。  それからこれは極く一般的な議論で甚だ恐縮でございますが、およそ物事は、こういう医薬分業というものは、その理想従つて行く限りにおいては医療制度のいわば合理化でございます。医療制度合理化でございますので、こういう医療制度合理化が行われるためには、これに関係する一切の事柄が、やはりこういう合理的な制度を実現して行くにふさわしいように準備されなければならない。ただその末端の部分だけが合理化されて見ましても、その背後にある諸事実がまだ旧態依然たるものがあつて合理化されていないというようなことでは、これでは折角花を咲かせようと思つて花ばかりに気をとられておりましても、本がしつかりしなければ立派な花が咲かんというのと同じで、これをもつと具体的に言えば、例えばこれは私たちそういうことを噂に聞きましたが、ここでこういう診療調査会が昨年の夏以来発足した。やがて近く日本でも部分的にも医薬分業が実現するのではなかろうかというような声が世の中に伝わりますと、例えば医科大学学生諸君の中には、学校を卒業してお医者さんになるのに、内科や小兒科のお医者さんになつたのでは食えないから、今のうちに眼科や外科のお医者らんに変つたほうがいいので、本来内科志望学生外科志望学生に転向するものが多いということをそれとなく伺つたのであります。私どもの大学にも医学部がございまして、一、二の学生をつかまえてそういう噂があるのは本当かと言うと、学生の中にはそういうことを言つておるのがありますというようなことも聞いたのであります。で、医薬分業が行われるということになると、こういうところにもこのように響いて参ります。それがいいか悪いかは別問題といたしまして、よきにつけ、悪しきにつけ、このような大きな影響がこういうところにも行くのですから、又医薬分業が行われる場合には、お医者さんとしてどういう教養をお持ちになり、薬剤師としてどういう教養を持ち、どのように対処して行かなければならぬかというようなことについては、やはり教育の問題等からもう少し考え直して行かなければならんということもございます。国民一般にもそれの心構えも必要でございましようし、又いずれにいたしましても、これは国民のほうから言いましても、医療負担の問題であり、経済的な、生活的な問題であり、更にこれは又直接の関係が社会保険、健康保険の問題に関連して参りますが、健康保険法の点数の問題のごときも、やはりもう少しこの薬師会、歯科医師会並びに一般国民の納得の行くような合理化を逐次もう少しやつてつた上で、そうしてそういうことが一切これは準備された上で、適当なる時期を測つて適当なる方法で医薬分業考えるということのほうが私は筋じやないか。今日のところではそういうところに考慮が払われないで、結論の先だけを早急に実現するというような意味のように受取れるのでありまして、私は医薬分業には、先ほど申しましたように根本的には反対ではございません。私もこれは二十数年前にドイツに留学しておりました当時、やはりドイツの間にはそういう制度がございまして、私も医者にたまたまかかつて医薬分業制度のお医者さんが、どういう開業医がどういうところで診療するかという経験の持主であるが、かかつていた患者の態度から見ると、医薬分業が行われたから、さほど不便だとは感じません。だから今日大都会で医薬分業が行われても、そういう意味の不便はない。それはまあお医者さんから薬屋へ行くとすると不便だという、そういう反対があると思いますが、そういう議論は殆んど問題にならない。要するにそういうことは瑣末なことであつて、それでもう少し社会的な事実としては、いろいろな各方面の事態医薬分業のためにもう少し整えるというようなことを、我々国民としても努力を払うべきじやないかというように私は考えておるのでございます。  準備をしていませんので、もう少し考えると、申上げたいというような点も出て来るかと思いますが、無準備でありますので、これくらいで私の話は終りたいと思います。
  24. 山下義信

    委員長山下義信君) 証人のかたに対しての御質疑はございませんですか。
  25. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 ちよつとお伺いいたしますが、只今医薬分業についての反対の第一は、このお医者さんの生活程度を下げることに対して反対だというように承わりましてのでございますが、お医者さんは病人からいろいろと信頼されなければなりませんので、一般の人よりも生活程度を高くしなければならんということの意味でございますか。それが一つでございます。それからもう一つ承わりたいのですが、薬剤師のかたは現在においては調剤には反対で、売薬業者として十分に生活ができるとお考えになつていらつしやるのでございましようか。この二つを承わりたいと思います。
  26. 藤林敬三

    証人藤林敬三君) 先のほうの御質問でございますが、私は決してお医者さんは余計収入がなくてはならん、そのために云々という議論には必ずしも賛成はいたしません。私が申しましたのは、お医者さんが現に受けておられる報酬が高いか低いかということも勿論議論の余地がございます。これはもう少しお医者さんの収入が減るならば国民医療負担も減りはしないかということも勿論考える余地があると思います。あると思いますが、私が先ほど申上げましたのは、そういう議論ではなくして、今日の大体お医者さんの収入が高いか低いかはそれはともかくとして、一応これこれの収入を持つておられる、その持つておられる収入を減らすというような場合には、必ずそれはお医者さんが反対されるのは当り前でございまして、現状維持を主張されるのはこれは当り前でありまして、私はだから、而もそれをやる場合には、我々世の中で問題を取扱う常識的な態度から言えば、まあ事態の、制度変革の場合には、その従来の報酬だけは確保して上げようというのが、これが当り前の考えであります。こういう私の議論であります。    〔委員長退席、理事小杉繁安君委員長席に着く〕  それから次に薬剤師は今の状態で以て売薬業者として食えるか食えないかという御質問でございますが、これは不幸にして、どうも私はお医者さんの資料は幾つかもらいましたが、そのほうの資料は余りもらわなかつたと記憶しておりますが、もらつたかも知れませんが、余りこの点は詮索しておりませんので、明確にお答えするだけの私の準備がございませんから、この点はまあいずれとも申上げ兼ねると思います。
  27. 小杉繁安

    理事(小杉繁安君) 証人に対する御質問はございませんか。    〔「ない」と呼ぶ者あり〕
  28. 小杉繁安

    理事(小杉繁安君) それじや証人にはお忙しいところを御出席お願いいたしまして、貴重なる御意見をお述べ下さいまして誠に有難く存じます。   —————————————
  29. 小杉繁安

    理事(小杉繁安君) 引続きまして、次に派遣議員報告お願いいたします。第一班の井上理事からお願いいたします。
  30. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 院議に基きまして、只今上程されております医師法歯科医師法及び薬剤師法の一部改正に関しまして、地方におきまする各界のかたがた意見を聞く会が仙台と名古屋に開催いたされましたのでございますが、私どもは仙台に参りましたので、その状況を御報告申上げます。   五月二十日宮城県と山形県と福島県よりの代表者出席を求めまして、仙台におきまして医薬分業についての意見を聞くの会を催した次第でございますが、この会を催します前に、参議院から宮城県に対しまして、会の準備方を依頼いたしましたのが五月十五日でございまして、この間準備の時間が非常に短こうございましたので、宮城県といたしましては、非常に心配をなさいまして、特にこの宮城県下におさましてのこれまでの状況が、医師、薬剤師の間に何らの問題も起つておりませんので、却つてこういうような公聴会のようなものが催されたということで、私は聞くの会というのでございますが、先方では公聴会とおとりになりまして、公聴会を催されることによつていいろいろな紛争を来たしはしないかということと、その時日に余裕がないということで、参議院にお断わりの電報があつたりなんかいたしまして、その間ごたごたいたしましたが、とにかく厚生省の三浦事務官と専門調査員室の今藤調査主事が先発いたしまして、先方のほうとよく話合をいたされました結果、とにかく聞くの会を催すことができたのでございますが、それにいたしましても聞くの会に出席して頂きます人選に相当県が因られたということは事実でございますが、結局その聞くの会は余り時間を要すまいということで、県では当日の午後二時から五時まで用意して頂きました。それから当方からの出席議員は有馬、小杉、中山藤森、藤原各議員と私でございました。県のかたに座長をお願いいたしましたところ、そうした前に挙げました事情の下に県ですることは困難の様子をお示しになりました結果、とにかく一応座長を私にしろということでございましたので、僭越ながら私が座長をさせて頂きました次第でございます。  当日の出席者は総計二十九名、一般受療者側八名、うち県市から県の民生委員、県の地方労働委員、農林省からは県の農協農政部長その他主婦連合会の人々、小学校の先生、家庭の主婦のかたがたが見えておられました。それから病院、診療所のお医者さん、薬剤師かたがた、それから一般代表として塩釜市長、白石の町長、社会保障関係として健保被保険者、言論界といたしまして新聞社のかた、新明さんというかたが見えておられました。それから宮城県、福島県の医師会薬剤師会代表者が出ておられました。そして出席者の意見を総合いたして見ますと、一般にこの地方では分業については割合に関心が少いということが認識されたのでございます。若しこの分業を進めて行くにいたしましても、相当の準備期間がいるのではないかというような空気が感ぜられました。そして結局これは皆さんの御意見ではお医者さんと薬剤師が対立して行くことになつては困るので、結局お医者さんと薬剤師かたがたが相協力をして行かないと、この問題を進めて行けないのではないかというような意見が出ましたのでございます。  大体これらの御意見を分類いたして見まして、ちよつと御報告したいのでございますが、賛成と反対と時期尚早と賛否不明の四つに分けて見たいと思う次第であります。賛成の主なる御意見といたしまして、小学校の先生、御婦人の先生でございまして、これはお医者さん、薬剤師の問題ではない、国民の保健という点から患者の立場を考えてもらいたい。それから処方箋が発行されることになりますと、自分の病気の名前につきまして、大変国民が認識いたしますので、非常に治療上にもよいから、医薬分業には絶対に賛成いたしますと表明されました。それから医療費は高くなるように見えるが、長期の病気の場合には決して高くならないという御意見、そうして農村におきましては、一日も早く無医村、無薬局をなくされたいということでございました。次に婦人会の代表のかた、これは農業のかたでございますが、医薬分業になれば、よい診療、よい治療をして頂きまして、早く病気を治して頂けるからこれに賛成する。そうしてお医者さんと薬剤師のおのおのの専門分野において、責任を持つて頂くことができるので、そうして医者薬剤師がそれぞれの責任において協力して頂いてほしいという條件付で賛成されました。それから私立病院に勤務する薬剤師のかたでございますが、これは医薬分業にすれば、誤診ということがなくなりますので、これに賛成する、それと今度は的確なるお薬と的確なる調剤をなすことができるので、病気を短縮して経済的にも非常に負担が少くなる。それと先進国は医薬分業であり、国際保健機関にもこれに参加した今日、絶対に医薬分業にすべきであるという御意見であります。それから町長さんの御意見といたしまして、医薬分業の法案は医療がよくなると政府は確信があつて出しておるのでありましようが、そういう確信があるならば一日も早く断行して欲しい。そうしてそれによつての今度の医薬分業によつて国民のために不便になつたり、医療費の高くなつたりしないようにして欲しい。そうして医療内容は向上し、病気をしても早く治し、とにかく社会保障制度を立てて早くこの法案のように進んでもらいたいということでございました。言論界の代表者からは、先進国が分業をやつておるのであるから、いずれ分業になると思うけれども、強制分業にしなくても何とか分業になつて行くのではないかと思う。それにしても社会保障制度を早く確立して行けば、この問題は非常に早く片付くのではないかというような御意見でございました。それから、法案を出した以上は政府は責任を持つてもらいたい。それから医師と薬剤師の論争が多いので一般国民は非常にこの問題についてわかつていないのじやないか、それについて啓蒙が要るのではないかということでございました。そうしてもつと国民考えてもらう余裕を与えてもらいたい。それから分業について国民が納得しているから、これをしたらどうかというような御意見が出ておりました。それからお医者さんにも話をしてよく考えて頂けば、お医者さんもこれについて反対しなくなつて下さるだろうというようなことでございました。それから現在でも処方箋を発行されているのだから、お医者さんに思い切つて処方箋を発行して頂いてはどうか。併し強制分業によりまして、実施後かなり不安なことは見逃せないことである。それから医療費は高くなるか安くなるか判断ではわからない、とにかくお医者さんと薬剤師のやりかた如何によつて定められたい。国民にとつては不便であるけれども、利益である。医療内容は変りがなければ分業は必要ないが、医療内容はよくならなければならないというような御意見でございました。  それから反対の主なる御意見としまして、民生委員のかたが、強制分業は妥当でないので、国民の納得の行くようにされたい、それがために反対。薬価は安くなるが、医療費は相対的に高くなつて国民にとつては不便である。分業になれは医療内容が悪くなるとは考えられない。科学的には当然分離すべきであるけれども、精神的に考える余地があるというようなことでございました。それから農漁村の代表のかたもやはり反対でございましたが、反対でも処方箋は出してもらいたい。農村漁村には医療費を安くされたい。それで農村漁村には医薬分業は不便である。病院勤務のお医者さんでございますが、現在任意分業でございますので社会的に支障はないので、強制分業に反対である。分業になれば医療費は高くなる。医療内容は変らないけれども、国民にとつては不便である。自然の成り行きで分業になつて行くことが望ましい。その次は東北大学附属病院の歯科医師のかたでございましたが、これも法律で強制は反対である。文化が進むにつれて分業になるので、そういうようにすればいいではないか。それから釜石市長のかたは、法律を以ての強制分業は反対。薬価は安くなるけれども医療費は高くなる、国民生活の現状から見て高くなることは困る。文化が進歩すれば自然に分業になるのであるから、そういうふうにやつてはどうかということでございました。それから、法律を作るときには法律を作る目的をよく考えてもらいたい。医師、薬剤師のための法律でなくて国民保健のための法律で、そういうふうにしてもらいたい。  その次は時期尚早というグループであります。農漁村の代表者は、分業には賛成であるが、今直ちに強制分業には賛成できず、準備期間をおいて指導啓蒙して頂きたい。それからお医者さんが患者処方箋を発行することは望ましい。それから、分業することによつて診療内容がはつきりしますので、医療費は高くならないと思う。それから結局医師、薬剤師増加して薬局が農村に分布すれば、独立採算がとれることになつて国民の利益は高くなると思う。やはり時期尚早のことで主婦連合会の代表でございましたが、処方箋の登録は賛成であるが、強制分業をすることは考えさせられる。却つて医療費は考え方によつて安くなるのではないか。分業になつたら医師、薬局が近くにあればよいが、今のところでは不安である。民情と民意に副つて考えてもらいたい。県地方労働委員のかたは、現在のままの状態処方箋の発行ができるのであるから、強制分業は国民の感情に反する問題である。医師の調剤ができんということは不安を持つ。任意分業ということが現在の国民に知られてないのであるから、このことについて啓蒙をしてもらいたい。社会保障制度を確立されたい。それからその次は被保険者の一人でございますが、いわゆる医薬分業については七十年間も医師と薬剤師が論争されているが、一般国民が何らこのことを知らない、それで病気になつたときは何もかも医師任せでこれまで来たということが感ぜられる、このことも是正しなくちやならん。医薬分業をすれば不便になる。それから現在でも任意分業で医師が処方箋を書いてくれることになつておりますが、患者は要求することができないという現状にある。それから処方箋を発行することは、患者が病気になつたとき治す上に望ましい。それが被保険者の一人の御意見でございます。  それからその次は賛否不明のグループでございます。仙台市の教育委員、主婦連合会会長の婦人のかた、医師、薬剤師のおのおのの意見を聞けば成るほどと思う。医師、薬剤師の間には何か割切れないものがある。国民が一番幸いになるような法律を作つてもらいたい。選挙立候補者の公報のそれと同様に、医薬分業について何か公報を出して国民に知らせてもらいたいというような御意見が出ております。これは賛否不明のグループでございます。それから健康保険組合のかたがたより、賛否は余り明かにされませんで、医師が良心的に診療するならば適正診療という言葉は出なかつたろうと思う。薬剤師の場合においても、分業になつて適正調剤という言葉が出て来ると非常に困る。それから専門分野に医師、薬剤師の分野を専念してもらいたい。それから保険経済の豊かでない現状から医療費の高くなるのは困る。医療の内容についてはおのおのの分野で熱心にやつて行けばよいと思うというのが健康保険組合の一人の御意見でございます。そのほかにございますが、省略いたします。  それからその次は医師会薬剤師会意見でございましたが、これは大体参議院におきましてすでに伺つております意見と大同小異でございましたので、これを省略させて頂さます。  大体以上が仙台におきましての会の概略でございます。
  31. 小杉繁安

    理事(小杉繁安君) 次に第二班の松原委員お願いいたします。
  32. 松原一彦

    ○松原一彦君 先般院議によりまして、医薬分業の問題に関する多数国民意見を徴するために、本員ほか三名が中部地方に派遣を命ぜられたのでございます。五月二十一日、愛知県庁におきまして、医薬分業について意見を聞く会を開催いたしましたのであります。年長の故を以ちまして、私が座長に推されました関係上、私からその概要を御報告申上げます。  先ず本会の目的は、只今審議中の医薬分業問題について国民意見を聽取することが主眼でありまして、厚生委員会からは本員のほかに有馬君、堂森君、川崎君、中山君、藤森君、藤原君と、事務局側からは多田専門員ほか三名がこれに参加いたしたのでありました。当日公述人は愛知、岐阜、三重各県より医師会代表四名、歯科医師会代表三名、薬剤師会代表四名、社会保険団体代表六名、愛知県より言論界代表一名、市町村長各一名、社会保険被保険者四名、病院勤務医師、薬剤師、歯科医師各一名、労働団体二名、一般受療者三名、主婦二名、合計三十五名の出席を得まして、医薬分業について強制分業がいいかどうか。医薬分業によつて医療費が高くなるか安くなるか。又国民は便利か不便か。医療内容はよくなるかどうかについて、各階層の国民意見を聴取したのであります。又一般傍聴人は二百二名に及びましたのでありますが、この諸君からもあとで書面によつて意見の提出を求めたのでございます。先ず参加者の公述に入る前に、本員より医薬分業に関する今回の改正法案の経過並びに法案の内容についての概略、要点の説明をいたしました。午前中は愛知県医師会代表絹川常二君の意見開陳に次ぎまして、薬剤師会歯科医師会の各県代表及び社会保険団体、言論界の代表の意見並びに個人の意見が申述べられたのであります。その結果は、改正法案を否とする者九名、可とする者九名、同数でございます。午後は一般といたしまして、市町村長、社会保険被保険者、一般受療者、労働者、主婦等の意見が述べられたのでございます。その結果は、改正法案を否とする者七名、可とする者十名でありまして、賛否不明の者が一人ございまして、午前午後を通じて否とする者十五名、可とする者十九名、不明が一名という結果と相成つたのでございます。今少しくその内容について申上げます。午前中の各界代表の意見中、否とする者九名の内訳は医師四名、歯科医師三名、国民健康保険一名、言論界一名であります。可とする者の九名の内訳は薬剤師四名、健康保険三名、国民健康保険二名であります。可否それぞれの主張は、今までに中央でたびたび申述べられて来たことと同様でありますので省略いたします。次に、午後の一般意見中、否とする者六名の内訳は、村長一名、医師一名、歯科医師一名、一般受療者一名、労働者一名、主婦一名であります。可とする者十名の内訳は、市長一、町長一、健康被保険者二、国保被保険者二、薬剤師一、一般受療者一、労働者二であつて、賛否不明の一人は主婦でございました。  次に、反対理由の主なるものは、不便を主張する者七、時期尚早を主張する者二、その他となつております。又賛成理由の主なるものは、治療、処方の公開により国民が納得する、不安がなくなるとする者五名、職業専門化により医療内容が向上する者四名、健保、国保において差別待遇が除かれて明朗になるとする者二名、その他となつております。    〔知事小杉繁安君退席、度員長著席〕次に、発言の機会を与えられない一般傍聴者には、広く公平な国民の声を聞く意味を以ちまして、記入用紙を配付いたしまして、職業、年齢、氏名、賛否の別及びその理由調査いたしましたところ、七十四名の回答がありました。その内容を申上げますと、七十四名中賛成六十三名、うち女性二名、反対十一名、うち女性一名でありまして、これを職業別に見ますと、賛成は薬剤師が二十三名、商業十二名、官公吏四名、労組関係者二名、自治団体職員三名、団体役員及び各種委員五名、会社員九名、農業一名、新聞関係一名、無職三名となつております。又反対十一名の内訳は、医師五名、商業二名、官公吏二名、会社経営一名、無職一名となつております。  次にこれを理由別に分けて見ますると、賛成の場合におきましては、公開治療、公開処方が二十二名、職業専門明確化が十九名、医療合理化が十四名、医療内容が向上するとする者十一名、医療費が安くなるとする者十一名、便利になると認める者が三名、その他となつております。又反対の場合におきましては、医療費が高くなるとする者六名、国民の自由を束縛するという者二名、患者にとつて不便不安であるとする者が四名、医療が低下するものとする者二名、その他となつておるのでございます。  これを通覧しまして、国民医療の進歩のためにそれぞれ専門化するということについての反対は殆んど私はないと認めるのであります。ただそのために今日の経済状態から医療費総体の上に高くなるということは、どこまでも困る、高くならない範囲において医療そのものの向上を望むという、これは虫のいい考え方のようでありますが、国民の実際の声のように思われたのでございます。一人言論界代表としての高島佐一郎という方が出席されましたが、このかたは長く欧米におられたかたで、この方面のことに相当詳しい意見を持つておられまして、このかたは日本の現状としての医薬分業は、これは業者の声であつて国民の真の声ではない、真の輿論に問うて国会は愼重にこれを審議せられたい。どうも最近にはその準備の整わないうちに、社会的コンデイシヨンのできない前に法律を急ぐ弊がある、併し法律はすぐにこの事態と食違つて、これを修正しなければならないという事例が少くない、特に多いのであるからして、この点について十分に念を入れて欲しいという意見が附加えられたのでございまして、これにつきましては、各国の事例を引かれましたが、省略いたします。  以上が私の今回の中部地方における国民の輿論を聞く会の概要でございます。   —————————————
  33. 山下義信

    委員長山下義信君) 次に、医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案質疑に入ります。御質問はございませんか。
  34. 松原一彦

    ○松原一彦君 政府委員に伺います。私は日本の医療制度の進歩のために、この法案の目的とするものに対しましては賛成するものであります。一日も早くこの法案の求めるところのものが実現するように法律をいたしたいと思うものでございます。その前提としまして、これには二つに分れておりますが、前提條件は昭和二十八年一月一日より実行するものであり、その前提條件によつて、次に昭和三十三年一月一日から実行する、二つの面に分れておるのでありますが、第一のこの法案を実施いたします前提條件としての医療報酬の適正という問題でありますが、これは非常に大事な問題でございますから、特別に調査会まで設けられておやりになつたのではありますが、実は私どもにはまだ確実なる資料が得られないのでございます。で、私はこう考えますが、これは間違いではないのでございましようか。この前提をなすものは、医者は医療そのもの、無形の技術によつて適正なる報酬を受けるものであり、薬は原価にこの調剤の技術料を加えたるものによつて受療者は安価に薬を受けることができる、こう私は思うのでありますが、そうなりますというと、この法律を施行しました後には、つまり昭和二十八年一月一日以降は、どういう田舎の薬剤師のいないところの医師からもらう薬の代金も、どこの薬剤師からもらうところの薬の代金も等価となる、等しいものとなると、こう思つて差支えありますまいか、この点を伺います。
  35. 慶松一郎

    ○政府委員(慶松一郎君) その点に関しましては、大体仰せになりました御意見は誠にその通りでございまして、ただ薬価がどうなるかという問題につきましては、これは先般の臨時診療報酬調査会、或いは臨時医療制度調査会委員長並びに特別委員長の証言にもございました通り、実際問題といたしましては、具体的な数字は健康保険或いは国立病院等におきましては、政府がこの数字をはつきりきめることができます。併しながら自由診療に関しましては、これを政府がきめるわけに参りませんが、大体健康保険その他等におきまして、只今仰せになりましたようなふうに行われるようになりますならば、自由診療におきましても、その点に漸次従つて行くものと、そういうふうに私どもは解釈いたしておる次第でございます。
  36. 松原一彦

    ○松原一彦君 了承いたしました。つまり今回の法律におきましても、医師の投薬する地域が生じ、又その場合が生ずるのでございますが、その場合において医師の投薬も薬剤師から処方箋によつてもらうものも等しい値になるということは、これは大変大事な條件だと思うのであります。それができまするというと、ここにこの法案を進める上において非常に心強いものが出るのでございますが、次にそうなりました場合の医師の診療報酬というものが問題でございますが、この診療報酬が、基準となつて医師の生活をも支えなければならないことになります。その診療報酬は今日までの御調査でどういうふうになつておりますか、どういう山間僻地の医師の診療報酬も、或いは名医と称するかたがた診療報酬もこれが等価となりますか、この点伺いたい。
  37. 久下勝次

    ○政府委員(久下勝次君) 医師の診療報酬につきましてのお尋ねでございますので、私からお答えを申上げます。お話の通り診療報酬調査会の答申に基きまして、具体的な診療報酬をきめて参りますことは非常にむずかしい問題でございます。この点につきましては、私どもといたしましても、来年一杯くらいはかかるのじやないかという見通しを付けておるのであります。併しながらこれによつてきまりますことは、現在社会保険で定めておりまするように、いわゆる医師の個人差というものは一応は別の問題となつておるのでございます。臨時診療報酬調査会の答申にもございますように、医師の個人差というものを十分考慮し、診療報酬の上にこれを現わすべきであるというような答申もございますが、私どもといたしましても、この点はなお一般的な基準をきめますときに検討をして行きたいと思つております。ただ過去の状況から申しますると、医師の個人差というものを付けることの必要は各方面から強く叫ばれておりますし、私どもも又その必要を痛感いたしまして、いろいろと検討いたして見たのでございまするが、工合のいい結論を得るに至つていないのが実情でございます。従いまして名医と然らざるものの差というようなものを現わす必要のあることは私ども痛感をいたしておりますが、どの程度に現わし得ますか、これは若干医師制度の根本にも觸れる点がございますので、関係の方面と十分御相談を申上げまして、合理的な結論を得ますように努力をいたしたいと思つております。
  38. 松原一彦

    ○松原一彦君 それはお示しの通りに大変むずかしい問題であろうと思います。技術者というものの技術の高下によつて評価するということは大変むずかしいものでございまするが、併し自由主義経済の国におけるかような報酬面は一律にはなかなか断定しにくいので、この問題を実現するためには、そこに医師側にも、又受療者側にも、薬剤師側にも納得の行く線が具現化されなければならないのでございます。むずかしい問題であるだけに準備には骨がお折れであろうと思います。私はどうかしてそれが実現することを望むのでございますが、果して昭和二十八年一月一日までにこれが政府において的確な御準備ができるお見込みがございましようか、その点をお尋ねします。
  39. 久下勝次

    ○政府委員(久下勝次君) 先ほども申上げましたように、個人差の問題を合理的に解決いたしますために、医師制度の根本に触れる問題があると申上げたのであります。この点は別の意味からも、医師につきまして専門医制度を設けたらどうかという意見があるのでございます。こういうものが実現をいたしますれば、そうしたはつきりした基準に基いて医師の個人差を見て行くということが医療報酬の面でできるようになると思うのです。この問題につきましては、只今のところ主として日本医師会関係学会等と御連絡の上検討をしておるように伺つておりまするし、又その検討が或る程度進捗をしておるようにも伺つておるのでございます。具体的には私どもはさようなものができ上りますれば、それに伴つて医師の個人差に基く診療報酬というようなものも、又合理的にきめ得るのじやないかというふうに考えておる次第でございます。従いまして、これは二十八年一杯でできるかというお尋ねでございましたが、只今の段階におきましては、明白にできるとも、できないとも申上げられないのであります。今申したような関係の団体等における検討もかなり進んでおりまするので、私どもも二十八年までには、そういうことができるであろうという相当な期待を持つておるのであります。なおこの点につきましては、関係の団体、医師会歯科医師会薬剤師協会或いは関係学会等とも、私どもの立場におきましても、十分御相談申上げて見たいと思つております。
  40. 松原一彦

    ○松原一彦君 併しその適正なる医療報酬というものをきめることが、この前提條件となりますので、その責任医師会に転嫁せらるることは非常に不安であります。医師会その他の民間に諮問せらるることは、それはもう御自由であります。念を入れて頂かなければなりませんが、責任は政府にある。政府がこの法案を提出した以上は、責任を持つて昭和二十八年の一月一日からできるものということを、ここに確信を持つておかかり下さらなければ、この問題を取急いで審議することに支障を生ずるのであります。私が見るところによりますというと、やはりそこに非常な大きな不安があるのじやないかと思う。勿論名医の下にはおのずから診療者が市をなし、又藪医者の下には雀羅が張られるのでありましよう。でありますから、同じ診療報酬とすれば、名医の下に走り、自然淘汰が行われますから、世間がこれを解決するようなものの、ここには政府としては責任を持つての準備行為がなされなければならんのであります。この法案に明確に昭和二十八年一月一日よりこれを行うと、すべての医師は処方箋を出さねばならんと、それによつて実質上の医薬の分業が行われるということが確定しなければ、この法案はやはり繪に画いた餅になるのであります。責任はどこまでも政府にあるのであります。でありますから、政府はその点についても、できようと思うがと言うて、責任を日本医師会に転嫁せらるるということになりますというと、これは日本医師会というものはなかなかむずかしい団体で、まあはつきり申せば相当厄介な団体であります。すでに政府は手を燒ききつておられる現在の状態に徴しましても、この団体はなかなか挺子でも動かないのであります、相当我がままな団体であるということを私は見ております。この点におきまして、政府側ははつきりした所信をお持ちにならなければ困るのでありますが、重ねて伺います。
  41. 久下勝次

    ○政府委員(久下勝次君) お話の内容を伺つておりまするというと、新らしい考え方に基く医療報酬も、一般的な基準もきめて行く、具体的な金額を一般的にきめて行くという問題と、更に個人差をその上に考えて行くという問題を、何かはつきり区別されていないようなふうにも受取れたのでありますが、私が申上げましたのは、後年の個人差のことについて申上げたのでございます。全般の一般的な医療報酬、例えば具体的に申上げますれば、盲膓炎の手術については、これだけの報酬を医師に与えるべきであるというような意味合におきましては、私どもは確信を持つて来年末までには結論を出し得るという信念を持つておるものでございます。と申しまするのは、すでに臨時診療報酬調査会に対しまして、日本医師会歯科医師会薬剤師協会等から、それぞれ極めて有益なこの問題を解決いたしますための資料が提出されておりまするし、又厚生省におきましても若干の調査もいたしておりまするので、これらを総合勘案することによりまして、一般的な診療報酬というものはきめて行けるという確信を持つておる次第でございます。個人差の問題につきましては、同時にこれに触れて行かなければならないことは、先ほど申上げた通りでございますが、と同時に、又私ども決してこれを責任逃れを申す意味で申上げたのではないのでございまして、いろいろと従業からの関係もございまして、例として専門医制度というもので日本医師会で取上げられて、専門の委員会を設けられて検討をされておりますので、そういうものができ上りますれば、個人差というものも、それに基いて適正にきめられるのではないかという意味で申上げたのであります。それを取上げてきめますことは勿論政府の責任でございます。ただこういう種類の問題でありまするので、熱心に御検討を願つております日本医師会に、又それに十分関係の学会等の専門家の意見も入つておるように承知いたしておりますので、十分これらの意見を尊重いたしまして、私ども政府の責任におきまして決定をして行きたいというつもりでございます。くどいようでございまするが、そういうふうに二つの問題は区別して考えなければならない問題でありますると同時に、後のほうの個人差の問題が仮にきめられないといたしましても、医療報酬の面におきましては、従来に比較いたしまして、革新的な進歩をいたすものではないかというようなことも考えておる次第でございます。
  42. 松原一彦

    ○松原一彦君 それは私は個人差を付けろというのでございます。希くば付けないでほしいのでございます。付けないで、国民はどこに行つても初診は幾ら、再診は幾らというようなことになれば安心ができるのであります。どうかそういうふうにあつてほしいと思うのでありまするが、この技術というものの面にはなかなかその点で納得の行かないものがありますから、これから明年末までに、これを政府がお取扱いになりますときに、たとえ日本医師会反対しても、これを押し切つておやりになる御決意があるかということを承わりたい。
  43. 久下勝次

    ○政府委員(久下勝次君) 全般の一般的な医療報酬を新らしい標準に基きましてきめて参りますことは、医師会も全面的に賛成をしておるのであります、従いまして仮定的に、反対をするであろうというその場合のことを私どもは考える必要はないと思つております。その他の関係団体も全部新らしい診療報酬体系を作るということにつきましては、皆さん御賛成でございますので、十分御協力を得られるものと信じておる次第でございます。
  44. 松原一彦

    ○松原一彦君 了承いたしました。それほどの御賛成を得られるところの自信がおありになることを私は多といたします。どうか一つその方針で十二分に決意を持つてお進みを願いたいと思います。次に私がお尋ねいたしたいことは、この第三條の薬事法の点でありますが、第二十二條の一項のうちの一「省令の定めるところにより診療上必要があるとされる場合」の内容でございます。若しこの内容が医師側の納得の行くものであるとするならば、そうしてこの前段が医師会も納得し、国民も納得するという條件が備われば、私はこの問題はすらすらと解決する、ここの「省令の定めるところにより診療上必要があるとされる場合」という漠たる文字だけでは不安があるのではないかと思うのであります。これが今度の法案は、世間では絶対分業のように考えておる者がございますけれども、これは対立的な絶対分業ではなくして、部分的な協力分業であるのであります。でありますから、「省令の定めるところにより診療上必要があるとされる場合」の條件が具備すれば、私は非常にこの法案の審議がすらすらと進むと考えておるのでございますが、この内容に対してどういうものであるか、どういう点をお考えになつておるかをお聞かせ願いたい。
  45. 慶松一郎

    ○政府委員(慶松一郎君) 仰せの通り、この省令で定めようといたしておりまする事項は非常に重要な事項でございまして、この事項を正しく定めることができるかどうかによりまして、この法案の企図するところが実際に円滑に運営されるか、どうかが定まつて行くと申しましても過言ではございません。即ち医師、歯科医師が原則としまして調剤ができないと定めるにいたしましても、どうしても診療上の必要から、自分から調剤しなければ間に合わない場合もございましようし、又薬局が殆んど普及しておらないような地域におきましては、当然医師、歯科医師の調剤を禁止してしまうということは不可能なことは申すまでもありませんこのような場合の例外規定を具体的に省令で定めようとするのでございますが、併しこれを定めますのにいろいろ技術的にも検討する必要があるのでございます。又十分研究をいたしまして、愼重を期さなければなりません。その意味におきまして、これをきめますために、専門家或いは学識経験者の審議を経まして、そうしてこれをきめたいというために審議会を作りまして、審議会の議を経て省令で定める、こういうふうにいたして思つておる次第でございます。
  46. 松原一彦

    ○松原一彦君 審議会の議を経て、愼重にこの特例事項をば具現されることについての御用意はよくわかります。但しこの診療上必要があるという條件の中に、特に患者が是非薬をあなたのほうからもらつて行きたいという場合に、その患者の要求を法律上できないと言うて拒否しなければならないかどうかという点であります。私は自然分業となることに対しては賛成であります。併し先般来問題となつております医師というものの責任範囲において、又その権限において、患者から是非薬をもらいたいという場合が生じようと思う。又医師が単独で以て開業を許されている以上は、そういう場合ができようと思うのであります。そのときに如何に患者が要求しても、医師は、いや法律上医師の調剤は禁止されておりますから差上げられませんと拒否するということになりますと、ここに法律上疑義が生ずる。いろいろ疑義が生ずる。そうして世界的にも医師というもの権限が新らくし考え直さなければならないことになると思うのであります。でありますからして、診療上必要があるというその文字の内容の中に、特に患者が求めた場合というものまでも入るかどうかということが、私は大きな今後の分れ目になると思いますので、お尋ねしたのでありますが、この文字だけで見るというと、医師の主観的なものでなくてはならんのであります。診療上必要というのは、医者そのものの診療上から来る必要條件でありますが、これが患者の求めるという場合、私は無制限に医者が今のような状態処方箋も出し拒み、又調剤を專らやるということを決して好むものではないのでありますけれども、その限界があります。如何に国民が、受療者が求めても、これは医師は法令でやることができないということになりますというと、限界を起える点がありはしないかと思いますので、これを明らかにいたして置きたいのであります。医師の主観で医師の責任上必要があるとされる場合のみであるか、患者がこれを求める場合もこの中に入るかどうか、この点であります。これは国民の声であります。又法律的にきめる場合の重要なる基本條件であります。この点を明らかにして頂きたい。
  47. 慶松一郎

    ○政府委員(慶松一郎君) 只今仰せになりました患者が薬をどうしてもお医者さんから欲しいということは、診療上必要な條件に私は入らないと思つております。
  48. 松原一彦

    ○松原一彦君 そこで私が先般来政府に要求いたしております世界の立法令を一つお示しされたいというのであります。患者が要求した場合に医師が調剤、投薬すれば、非医師である薬剤師調剤、診療したのと同じ條項を以てここに処分せられることが明らかにせられているのであります。「第五十六條第一項中「第二十二條」を「第二十二條第一項に改める。」というのは、これは更に明確にいたしたものであるのであります。それ故、この医師の職分に関する問題、権限に関する問題、調剤能力に関する問題というのが、根本問題としてここに出て参つておるのであります。で、私の知つている限りにおきまして、日本の医学並びに医政はドイツ語によつております。七十年来ドイツ語によつて一貫して参つておりますために、医薬は分業であります。原則として医薬は分業、薬剤師かたがたがおじいさんの代から孫の代に至るまで、医薬は法律を以て分業となるものであると信じ切つておいでになるのでありますから、今日薬剤師かたがたが真剣にこれを求めておられる態度には私は誠に同情すべきものがあると思うのです。併しドイツ立法と違つて、最近における民主主義の国の立法はそうではないか。欧米の例が、よく薬剤師からよこされますところのたくさんの陳情の中に出ておつて、欧米では全く分業になつておるのだからと言われますが、併しこれはなつたのであつて、したものではない。法律を以てしたものではなくて、経済、社会の施設、それから教育の程度等の進化によつて、おのずからこうならぎるを得ない、私はならざるを得ないかと思う。日本の現況を以て欧米立法に倣つたとしたときに、ここにドイツ立法と同じものを作つていいかどうか、そうして医師が患者の求めによつて良心的にも、私が旅行するから是非あなたの薬を今もらつて行きたいというときに、いやそんなことは相成らんというように、これを峻嚴に拒否する。それを犯した場合において五十六條の処分を受けなければならない。こういう立法が世界のどこかに先例があるかと、そういうことを伺つているのであります。まだ立法令のお示しがないのでありますが、この点につきまして、一つ是非政府の責任あるお答えを承わりたい。
  49. 慶松一郎

    ○政府委員(慶松一郎君) 立法令につきましては、只今これを印刷いたしておりますので、本日の午後にでもお示しすることができると存じますが、併しながら、その点に関しましても、すでに先般のこの委員会におきましても、私が極く簡単に申上げましたし、又その他の機会におきまして、薬剤師協会その他の証人からも話があつた通りでございます。医師の調剤或いは調剤に基きますところの薬の販売を禁止しておりますのは、ドイツにおきましては、はつきりいたしておりますし、なおイタリア、ベルギ一等におきましても、その点はつきりいたしておりまして、ドイツにおきましては、ドイツ刑法の中にこれが禁止と、且つその刑罰につきましても、規定がございますし、又イタリアにおきましても、そういう規定がございますが、この薬剤師以外の者の調剤を禁止いたしますことは、これは一般人に対しましても禁止いたしておるのでございまして、従いましてそれらの点、並びに医師に対しましては、従来も或る條件の下に調剤を認めておるのでございまして、そういう点からいたしまして、よりよき医療の向上という点を考えまして、この法案が提出された次第でございます。その意味におきまして、かかる立法が私どもといたしましては、正しいと信じておる次第でございます。
  50. 松原一彦

    ○松原一彦君 くどいようでございますけれども、よりよきものに移るということについて私は少しも異存はございません。医師と薬剤師がそこに併立しておる場合に、医師は診療だけを行なつて、投薬、調剤薬剤師に求めることが医療の進歩の上に非常な大きな貢献をするものであることについては、私は少しも疑いを持たないのであります。併しこれはよりよきものであります。で、医師の側が、薬剤師は医師の一部を代行するものであるといつたようなふうに考えられることは、私は非常に不満であります。薬剤師は立派に医師と対等の位置にあるのであります。それは薬剤学をやつており、薬学をやつてつて製薬を行い、分析を行い、その保存をやる。こういう点については医師と全く対等をなすところの一つの独立の職業であります。むしろ薬のほうが先であつて欲しいくらいに、私はいい薬を今後どしどし作つてもらわなければならんと思うのでありますが、併し薬剤師には薬剤師の権限の範囲があり、医師には医師の権限の又範囲がある。互いに侵してはなりません。その交錯しておる点が今の調剤であります。その調剤が医師として法律上禁止せられてはならない。そういう部面を生じてよろしいかというのであります。これは薬剤師が診療行為をするというのは、これは不能なのであります。できないのであります。許されないのであります。併し医師には地域的には許されるのであります。又特定の場合においても許されるのであります。許されるという特定の要件が付く以上は、医師の養成の上からも、調剤というものの能力が認められなければならない。若し認められないならば、医師と薬剤師とが並立しなければ開業を許されないのであります。医師として独立開業はできないわけなのであります。そこに疑点があるのであります。この交錯しておる場合において、その処罰が非医師である薬剤師の診療行為と同様に、医師の調剤行為が三年以下の懲役、三年以下の罰金に処せられるという同罪をこの法律は求めているのでありますが、それが極限を超えてはおりますまいかと私はお尋ねしておるのです。能力のないものではない。よりよきものに移行するということは結構であります。そうありたいのであります。その点に私はこの立法上よほど愼重に念を入れなけりやならんものがあるということを、私は爾来繰返して申しておりますので、ここに列席しておられます堂森氏は、先日ヨーロッパから帰つて来られたばかりでありますが、スイスの一部では医師ももう今日厄介がつて調剤はせん、法律できめて欲しいとまで医師の一部では言つておる。併しこれを国民投票に求めるというと、それじや困るということで拒否が出て来ておる、こういうお話も聞いておるのでありますが、私は欧米のごとき体制にまで進むことを心から望む者でありますけれどもが、法律で以てこれをきめる場合に、この一点に非常な私は根本的疑義を持つのです。立法者の良心として、これは今後医師を養成する上からも、医師の権限の上からも、薬剤師の権限を守ると同様に医師の権限も国民としてはつきりさせて置かなくちやならない。大変くどいことを申すようでありますけれどもが、私はさような点から、世界にかような立法例がドイツを除いてありますかと申したのでありますが、今イタリアとどこでございますか。
  51. 慶松一郎

    ○政府委員(慶松一郎君) ベルギーと申しました。
  52. 松原一彦

    ○松原一彦君 イタリアとベルギーには医師の調剤の処分の法律があるわけなんでございますね。で、イギリスとアメリカはどうなんでございますか。
  53. 慶松一郎

    ○政府委員(慶松一郎君) 只今仰せになりましたことにつきまして、お答え申上げますが、例えば従来の国民医療法におきましては、医師は或る一定の條件の下に歯科医師たることを許されておつたのでございます。併しながら今日の……。というその意味は、結局医学におきましては、その一部において歯科医学的な点も教育しておるということから、この点が行われておつたと存じますが、その点新らしい医師法におきましては、これがすでに禁止されておるということがございます。私は只今仰せになりました医師の調剤の問題に関しましては、これに非常によく似たものがあると存ずるのでございます。なお第二のお尋ねになりました英国及び米国におきます立法例でございますが、英国におきましては、一般的に申しますと、一般には医師が自分の患者に対しましては調剤をすることは許されております。併しながら一九一一年に健康保険に関しまする法が施行されまして、その際に健康保険におきましては、薬の交付はこれは薬剤師のみと契約を結ぶことができるということに定められましたし、更に一九四六年におきましては、社会保障制度が確立されまして、その点完全にはつきりいたしたのでございます。同様のことが定められたのでございます。御存じの通り今日英国におきましては、英国民の殆んど九割以上はこの社会保障制度の下におきまして治療を受けておるのでございまするからして、従いまして、その意味におきまして薬の投与、調剤というものは、これは薬剤師から受けるということになつております。但しその場合におきましても、非常に薬局が遠隔の地にあるというような場合には、医師の調剤が認められておる次第でございますが、これにつきましては罰則の規定はないようでございますが、ただお医者さんが薬を渡しましても、その特に例外的に認められました以外の場合におきましては、お金は一切要らないということになつておる次第でございます。米国におきましては、これは連邦の法律におきましては分業に関する規定は何らございません。併しながら、これにつきましては、各州々の法律におきまして、調剤薬剤師に制限しております。併しながら大体医師が自己の患者調剤することにつきましては、例外例として認めておる次第でございます。大体御質問の点につきましては以上の通りでございます。
  54. 松原一彦

    ○松原一彦君 私は念を入れてこの点をもつと納得の行くようにいたしたいと思いますが、今日は時間もないようでございますから、改めてお尋ねすることにします。なおその上に調剤という問題に対しまして、将来ここにいろいろ大きな論争を起さなければいいがと素人考えに心配するのでありまして、この機会に質問しておつたのでございますが、村山薬学大学長のお話のように、少し妥協することになる虚れがあるならば、これはこの点に非常に大きな問題が起ると思う。それでいろいろ疑問がございますが、改めての機会に伺うことにいたします。私の質問は終ります。
  55. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 関連して……。この前医薬制度調査会の斎藤証人にも私はお尋ねし、参考資料も要求したのでありますが、只今松原委員からお話がありました薬事法第二十二條の改正の中にありまする省令の定めるところにより云々という、薬局の普及と診療の必要がある場合、この二点について医薬制度審議会においていろいろ議論されたときに、こういう場合は果してどういう場合を予想しておるのだとか、そういう問題についていろいろ掘下げた研究があつたかどうかということについて、齋藤証人にも質問したのでありますが、そのとき余り大して深い研究はしなかつたというような総括的なお答えであり、同時に幹事のほうから、何かこれについて資料と言いまするか、こういう場合を考えておるというような参考案のようなものが出ておつたかも知れないというお話があつたのでありまするが、私はこの分業法案を審議する上におきまして、これはどういう場合を大体予想して御説明しておるとか、こういう場合もあるというような、何かこの点について相当私は研究して見なければ、如何なる形で実際上の分業が行われるかということについて、少し掘下げて研究して見たいと思うのでありまして、これについて何か医薬制度調査会の幹事側において考えられているものがあるかどうか伺いまして、若しあれば参考的にそういう資料を出してもらいたいと考えます。
  56. 慶松一郎

    ○政府委員(慶松一郎君) 私の記憶いたします範囲では、特に医薬制度調査会におきまして、幹事側からその点の意見を出したことはなかつたと存じます。但し当時一番問題になりましたことは、緊急治療の場合でございまして、緊急治療の場合には当然そういうことである。併しそのほかの具体的な問題につきましては、これについは審議会を設ける。そこで審議をしようではないかということになつたと私は記憶いたしております。なお地域に関しましては、これはいろいろ意見が出まして、薬局の距離或いは人口、その他いろいろ意見が出たのでございますが、大体はつきり申上げ得ることと存じますことは、郡部等の人口まばらにして、且つ薬局の分布が十分でないところにおきましては、当然医師の調剤を認める、こういうことになつたと記憶いたしております。
  57. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 もう一つ医薬制度調査会審議において、ここらの問題にどういう意見が出たかとか、それに対してどういう当局側の答えがあつたかとかいうことについて、何かそれを要約する、要録するようなことはございませんか。只今薬務局長から答えられたような、緊急治療とか或いは薬局がまばらとか、それくらいの論議であつたのかどうか、その点を重ねてお伺いいたします。例えば私は医者が試みに投薬をする、患者の病気がはつきりわからん場合に、いろいろこの薬をちよつと入れて見るとか、これを入れて見るという場合も非常にあるのじやないか、そういうような果して処方箋で何回もそれを書いて一々薬局に行く、こういうことがどうかという私自身考えを持つておりますので、こういう問題について伺つておるわけです。
  58. 慶松一郎

    ○政府委員(慶松一郎君) 只今石原委員がおつしやいましたようなことも確かに問題になつたと存じます。その際いろいろな議論が出まして、そういう問題につきましても議論が出ましたが、それらの点は余り考慮に入れるべきではなかろうというふうなお話合になつたかと、私は記憶いたしております。
  59. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 私はまあいろいろ各委員によつて意見はあると思いますが、私はこの診療所の必要がある場合とか、薬局の普及がどの程度とか、ここをもう少し当局側から別な場合でも結構でありますが、説明なり或いは一応の現在の厚生当局として持つておられる考え方等がありましたならば、それを一応示してもらいたいと、こういうふうに私は希望したいのであります。別の機会でよろしうございます。
  60. 山下義信

    委員長山下義信君) 承知いたしました。政府に伝えます。
  61. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 この法案は非常に重要な法案でありまして、黒川厚生大臣も外遊中であり、医務局長もいない。保利労働大臣が厚生大臣を兼ねておられますから、今日のこの重要な審議委員会にも厚生大臣が出て来ないと、こういうことは我々非常に委員会としても大きな不満があると思いますので、こういう意味で我々厚生委員会はなぜ大臣が出て来ないかということも、もつと強く我々は当局に注意を喚起すべきではないかと思います。
  62. 山下義信

    委員長山下義信君) 承知いたしました。本日は政務次官出席せられております。
  63. 平澤長吉

    ○政府委員(平澤長吉君) 只今保利大臣は衆議院の予算委員会に出ておりますので、出席いたしかねるということを伝えて置きます。
  64. 山下義信

    委員長山下義信君) 今後法律案審議につきましては、営林委員の御希望のごとく、是非厚生大臣の出席を要求することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 山下義信

    委員長山下義信君) さように措置することにいたします。   —————————————
  66. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 私はこの際緊急動議を提出いたします。サムス准将の功績に対する感謝の決議を本委員会において決定されまして、その案文は委員長に一任いたしたいと思います。委員会にお諮りを願いたいのでございます。
  67. 山下義信

    委員長山下義信君) 医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案審議は、本日はこの程度にとどめることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないものと認めます。  つきましては、只今井上委員から、サムス准将の功績に対する感謝の決議をいたしたいとの動議の御提出がございましたが、その案文につきましては、委員長に御一任との御動議でございますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないものと認めます。つきましてはその案文を朗読いたします。    サムス准将の功績に対する感謝決議(案)   クロフオード・エフ・サムス准将閣下におかれては、終戦以来五ヶ年有余にわたり、連合国軍総司令部公衆衛生福祉局長として、よくわが国構を理解し、常に好意ある助言と指導を以て、厚生文化の向上と発展に絶大の努力を傾注されたことは、国民のひとしく感謝するところである。  今日幾多の厚生関係の法令は整備せられ、その施策の改善措置が講ぜられて、わが厚生行政が近代福祉国家としての文化水準にまで引き上げられたことは、一に閣下の卓越した見識と偉大な業績の賜物であると確信する。  ここに参議院厚生委員会は、閣下のわが国に残された不滅の功績に対し、満腔の敬意を表し、衷心より感謝すると共に、閣下の御健在を所念するものである。   右委員会の総意に基いて感謝の意を表明する。  御賛成のおかたは御起立を願います。    〔総員起立
  70. 山下義信

    委員長山下義信君) 満場一致可決せられました。  つきましては、この感謝決議案の贈呈に関しましては、委員長理事に御一任することに御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  72. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は厚生省にお伺いしたいのでございますが、看護婦法の改正は三月の三十一日に通過いたしたのでございますが、その後私は全国の国立病院とか、或いは私立病院或いは日赤等へ参りまして、実に容易ならざることを聞いたのでございまするが、厚生省は我々国会において改正いたしました法案を実施する意図なきやに私は聞くのでございまするが、私はその点の厚生省のお考えを聞きたいのでございます。たとえ国会が通しても、厚生省がこれを実施する意思がない。或いは又厚生大臣の定める講習というようなものはとてもむずかしくつて、到底そんなものは実施されるものではない。たとえ国会は通つても実施が不可能なものであるから、国家試験を受けなければ駄目なんだということを各会合において関係者が公言しておいでになる。聞き捨てにならないことだと存じまするので、責任ある御答弁を伺いたいと思います。
  73. 平澤長吉

    ○政府委員(平澤長吉君) 只今のお尋ねでございますが、政府ではさようには考えておりません。できました法律は必らず実行いたすのは当然でありまして、さようなことは考えておりません。
  74. 藤原道子

    ○藤原道子君 それではそういうことを公言した人がありといたしましたならば、それに対してどう処置されますか。
  75. 平澤長吉

    ○政府委員(平澤長吉君) 只今私の知つておる限りにおいては、さような公言したものはないと私は心得ております。
  76. 藤原道子

    ○藤原道子君 いや、政務次官はないと言われる。私はありと言う。若しあつた場合にはどうされるか。
  77. 平澤長吉

    ○政府委員(平澤長吉君) そのときには今藤原委員からお話がありましたが、調査をいたしまして、そのことが真実であるとすれば、その場合において処置をいたすようにいたします。
  78. 藤原道子

    ○藤原道子君 それから今一つお伺いいたしたい。いつも我々が作つた法律は省令であるとか、施行細則において非常に精神が歪められて因る。だから今回のこの省令であるとか、施行細則は至急に作るが、その作つたものは我々と連絡を以て決定するということが固く委員会では決定になつておりますが、その後相当に日時を経過いたしておりまするが、この看護婦法は日本の医療行政の上に非常に重大な影響があるという立場から、私たちは真剣に、それこそ職を賭するまでの決意を以て、あの法案の通過を図つたのでございます。ところが相当の日時を経過いたしましたが、その後厚生省はどのように進められておられるか。
  79. 久下勝次

    ○政府委員(久下勝次君) その後の経過につきまして、私からお答えを申上げます。主として新法律の施行につきまして、問題になります点は認定講習の実施の点でございます。これにつきましては、一方におきましては、私どもといたしましては、国会におきましていろいろ御要望のあつた点を十分尊重いたしまして、具体的な実施の案を作りたいと思つておるのであります。同時に又このことは、これを実施いたしますために予算の執行関係がございます。財務当局との打合せをいたさなければなりません点がございまして、只今まで若干日時が延びましたのは、主としてこのあとのほうの財政上の点を財務当局と打合わせ、了解を得ますため日時を要したのでございます。これも大体目鼻はつきましたのでございまして、今週の後半、もう一両日のうちに、皆さんに私どもの具体的な案を御相談申上げ得る段階になると考えております。
  80. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は金子課長にお伺いいたしたいと思います。聞くところによりますと、先日行われました三婦協会の総会におきまして、あなたの課の人、そして又看護婦審議会の人、又三婦協会の幹部の人、これらの人が私たちを非常に侮辱する言辞を弄されておる。先ず第一に、私たち労働組合の人々におだてられて、婦人議員が労働組合員におだてられて、ああした下らない法律の改正をやつたのだというようなことを言われておる。私たちは少くとも国会議員でございます。殊に私は看護婦法の改正については、衆議院当時から非常な熱意を以て審議し、関心を以て今日までに至つております。それからもう一つは、看護婦法改正研究会などを以て、そうして参議院会館に事務所を置いて、そうして労働組合におだてられてやつているんだと、はつきり言つておいでになる。而もその席上には金子課長もおいでになつておる。私たちが一部の人たちにおだてられて法の改正をしたというようなことを言われますことは、実に容易ならざる言葉だと存じますが、これに対して金子さんは一言の弁解もしておいでにならないということに対しまして、私たちが本当におだてられてやつたというような気持で金子さんはおいでになるのかどうか、その点私は伺いたいと思う。
  81. 山下義信

    委員長山下義信君) 藤原委員にお諮りいたしますが、久下次長がその件について調査しておるそうでありますが、一応説明をお聞きになりますか。
  82. 藤原道子

    ○藤原道子君 久下さんからも伺いましよう。金子さんからも伺いましよう。
  83. 久下勝次

    ○政府委員(久下勝次君) お話のような内容、大体似通つておりまする事柄につきまして、先週の土曜日の午後、衆議院厚生委員会におきましてもお話がございました。私どもにも調査し、報告しろという御要望がございました。その後調査をいたして見たのでございます。本日まだ最後的なものを手許に持つてつておりません。本日中に衆議院のほうに提出する段取になつておるのでありまする。只今までに私どもが調査をいたしました資料によりますると、御引例になりました保健婦、助産婦、看護婦協会の会合におきまする私どもの関係者の発言は速記録に残つております。後ほどこれは整理ができましたならば、お目にかけ得ると思つておりますが、私どもがそれの内容を読み、同時に又これに臨みました関係者の、何と申しますか、口述書と申しますか、こういうものをとりましたところでは、決してお話のような言葉は言うてもおりませんし、又申しません。結論も気持もさようなところにはなかつたと、こう承知いたすのであります。勿論言葉の使い方が不適当でありましたために、申しました本人の気持と違つた即象を第三者に与えるような結果になつたという点はないとは申せないのですが、この点は本人自身も非常に恐縮いたした陳述もいたしておりますし、私どもも速記の内容と本人の陳述とを見まして、その真実なことを信ずるものであります。繰返して申上げまするならば、お話のように国会の権威を傷つけ、或いはこれを誹誇するというような意思もなければ、さような言辞も言うておりませんことを申上げて、御了解を得たいと思います。
  84. 藤原道子

    ○藤原道子君 私も速記録を手に入れたいと思いましたが、速記録というものは改竄される危険性もあります。又私たちにはなかなかこれを見せようとしないので、非常に残念に思つているのであります。もう一つお伺いしたいのは、その後かの、金子さんの次においでになるかたでございますが、看護婦も厚生大臣の定める講習というものは容易ならざるむずかしいものである、だから国家試験は受けなければ駄目だというようなことを随所で示唆しておいでになる、このことによつて、看護婦さんたちは忙がしいし、いろいろの関係で、もう国家試験はやめようと思つて、そうして今度の講習を受ける心構えで勉強しておつた者も、あわてて国家試験を受ける準備をして、病院では非常にその準備の都合も狂つて迷惑したということが随分私たちのところに陳情が来ております。報告が来ております。あの法案が通過いたしまする日に、金子課長と医務局長は、大体講習は一カ月ぐらいの講習にしたい、むしろできるならば、この際どうぞ講習なしに無條件に切換えて頂きたい、それらを私たちお願いしたいということを金子さんもはつきりおつしやつたし、医務局長も仰せになつた。ところが法案が通過いたしましたならば、それと裏腹なことを言つて、たださえ不安になつておる看護婦さんたちに、そういうことを呼びかけるようなことは、どうお考えでございましようか。金子さん自身が言われた言葉ではございませんが、あなたの部下でございます。あなたのすぐ下にお出でになるかたでございますので、一応金子さんがあのときの私たちにおつしやつた言葉と、現在講習に対しての御構想は非常に変化されたのかどうかということをお伺いしたいのであります。
  85. 金子光

    ○説明員(金子光君) お答えいたします。只今藤原さんが仰せになりました通りに、三月三十一日の日にこの法案が通ります場合には、この認定講習につきましては、前々から御相談を受けておりましたときに、事務的に非常にむずかしいということを申上げておりましたものでございますけれども、いよいよそういうことにはつきりなりましたし、私どももその気持になつたわけであります。併し今おしやいましたように、できればそういうふうになつたほうが皆のために、時間的に忙しいのだし、費用も余分にかかるのだし、そうして実際に講習もむずかしいことだから、そういうふうになつたほうがいいという気持は持つておりましたので、局長もそういう考えでいらつしやいましたし、私自身もさように思つておりましたので、そういうふうに申上げたことは事実であります。その後その気持は一向変つておりません。私自身は変つていないのでありますが、一旦法律がきまりました以上は、認定講習をしなければならないのが私たち責任でございますし、義務でございますので、そのことができるように今後は計らいたいと思つて努力をいたしております。未だに先ほど次長が申上げましたように、はつきりと財務当局からよろしいという返事を頂いておりませんので、大変長引きまして、申訳ないと考えておりますが、今私どもの頭の中に考えておりますのは、やはり同じような考えでございます。ただ私どもの課員が、こういうことも申しましたということをお聞き下さいましたようでございますので、大変恐縮いたしておりますが、これは私の気持が皆に徹底していなかつたための不都合だと思いまして、これから気を付けるようにいたしますので、御了承願いたいと思います。
  86. 山下義信

    委員長山下義信君) 暫時休憩いたします。本問題は午後続行いたします。午後は一時半より再開いたします。    午後零時四十五分休憩    —————・—————    午後一時四十八分開会
  87. 山下義信

    委員長山下義信君) 午前に引続いてこれより開会いたします。  午前中藤原委員より緊急質疑がでございまして、政府より答弁があつたのでございますが、議事の都合上休憩いたしたのでございます。引続きまして藤原委員の発言を許可いたします。
  88. 藤原道子

    ○藤原道子君 重要な法案の審議もございますときに、くどいようではございますが、なお私は二、三お伺いして置きたいと思います。私は法案の審議の過程におきましても、非常に厚生省の看護課或いは看護婦審議会、三婦協会等との意見が食い違つて、対立的な空気になつたこともあるのであります。そういうときに、私は厚生省の着護課は日本の看護課だろうか、アメリカの看護課だろうかとさえ疑義を持つたくらいであつたのでございます。ところがそういうときに、どういうふうなあれだつたか知りませんけれども、厚生委員会に至急にオルトさんが会いたいというようなことで私たちが向うに呼ばれた、そうしたらば、何のことはない、審議会人たち意見そのままを向うから強制されて、オルトさんの意思によつてたちを抑え付けられようとするような手が打たれたのではないかというようなことさえ感じられたこともあつたのでございます。そうしたようないきさつがあつただけに、今回各所で言われておりまする看護課の人たち言葉審議会人たち言葉は、私たちに対する敵対行為というふうにすら私は考えるのです。先ほど久下さんは、それほどひどいことではなかつたと言われておりますけれども、私のところへ来ておりまするいろいろな書類などを見ましても、ここにも二、三ございまするが、某国立病院、ここでも厚生省へ行つて聞いたところが、若し国家試験を受けなければ準看護婦に落されるのだ、だから国家試験を受けたほうがいいと言われた。某日赤のかたが、やはりこれも厚生省へ行つて看護課で聞いたところが、講習は非常にむずかしいのだ、而も費用は個人負担になるのだから国家試験を受けたほうがいい、一つ一つ看護課では国家試験を受けることを強要しておられるということになりますと、私は行政官庁がそういう考えでいられるならば、立法府とはつきり意見が対立するのです。大事な看護婦の問題、日本の医療の問題等々を考えまするときに、そういう考え方でどこまでも推し進められて行かれるならば、私たちも重大なる決意をしなければならない。そういうことも言つた覚えがないと否定されるのでございますが、若し否定  されるならば、又それだけのことをしなければならない。久下さんにもう一回くどいようですが、お伺いいたします。
  89. 久下勝次

    ○政府委員(久下勝次君) 法案の御審議を頂いております時期に私は出席いたしておりませんでしたのでありますが、帰りまして、その間の事情につきましては、関係者から逐一報告を受けまして、かなり詳細にいきさつを熟知いたしたつもりでございます。併しながらその結果に徴しまするのに、関係方面に手を廻して、お話のようなことをいたしたいという事実は全然なかつたということを御了承頂きたいと思います。ただこういう事実はあつたのでございます。看護婦制度審議会というものが、御承知通り昨年の九月から審議をいたしておりましたけれども、この審議会には関係方面の看護人制度関係者が常に出席をいたしておりまして、そうして折に触れ意見を述べたりいたしておつたことは事実でありますので、審議経過等につきましては、十分そうした関係者が承知しておられたようでありまして、従つてこの問題につきまして、非常な関心を持つてつたということは事実でございます。そういう意味合におきまして、国会の御審議がどうなつておるかということを、恐らく自発的に聞きたいという意味でさような事柄があつたのではないかと想像いたすのでございまして、私どものほうから、自分たちの案を通さんがために、かような措置を講じたということは絶対なかつたということを御了承頂きたいと思います。その後におきましてのこの制度の実施につきまして、御引倒になりましたような発言が私どものほうの職員によつてなされましたというお話でございますが、結論的に申上げますれば、さようなことを申すはずはないと思いまするし、又このことは午前中にも申上げました通り衆議院厚生委員会におきましても問題になりました点であり、調査を命ぜられておりますいきさつもありまするので、全般的に私どもとしては責任上取調べをいたしたのでありまするが、それによりますると、お話のようなことを申しておる事実は認められないのでございます。ただいろいろすでに御承知のようないきさつもございまするし、確かに厚生省といたしましては、国会の御審議の際にいろいろと強い意見を申上げましたような事情もあることは事実でありますが、これらの経過の説明を求められましたような際に、不注意に只今おつしやいましたよな誤解を招くような言辞のありましたことは、大変申訳なく思つておるのであります。併しながら、これも今申上げました取調べに際しまして、本人の意思を質しましても、決してさような気持は持つておりません。ただ言葉の使い方等に不適当なところがあり、そのためにいろいろ外部のかたがたに誤解を生じましたことにつきまして、関係しておりまする本人も、それぞれ非常に恐縮をいたしておるわけでございます。なお講習が非常にむずかしいということを申上げましたのは、これは講習をするために予算の獲得をすることが非常に困難であるという意味で申上げたのでございます。予算を獲得することが非常に困難でありまするので、従つて一時に多数のかたがたの認定講習をするということに非常なむずかしさがあるというよな意味では申しておることは事実であります。それ以外の意図を以つて何ごとも申しておりませんのであります。これなどもさような意味で申したことは窺われるのでありますけれども、お聞きになるかたがたが、或いはお聞きようによりましては、誤解を生じたのではないかと懸念をいたしまして、そういうことがお耳に入りましたことにつきましては、大変恐縮をいたしておるような次第であります。
  90. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は不満でございます。私は決して看護課長をいじめるとか、何とかいう意図では毛頭ないのでございます。私たちが看護法改正を審議いたしましたのは、全くのところ、日本の医療行政と職業戦線に立つ人々の待遇といようなことから、本当に真剣に考えたのでございます。でございますから、今私たちの耳に入つておりますることは、私だけなら我慢しますけれども、参議院の厚生委員会を侮辱した言葉になるから、私が今日取上げたわけなのでございます。で、私はなお私自身のこととまぎらわしい言葉の中にも、こういうことを言われております。婦人議員の考えなんというものは大したものじやない、これからの選挙にはよほど気を付けて選ばなければ駄目だ、婦人議員の頭の程度はよくわかつた、こういうことさえ放言されておる。併しこれは婦人議員ですから、持に私でございましようから、私がばかだから言われたのだと思つて締めれば済むけれども、殊に参議院の厚生委員会、小委員会の中には中山博士もおいでになる、有馬さんもおいでになる、こうした非常に人格の高い国会議員を指して、労働者に踊らされたのであるとか、作つた法案が下らないとか、各種のことが言われておることは私聞捨てならないのでございます。けれども、あなたが飽くまでもそんなことは言わないとおつしやる、一方的なことだけお聞きになつて、言わないと断定されるあなたのお言葉に私は不満なのであります。このことに対して、私は厚生省に対して不満な点も多々ございますので、今日は大事な法案審議の前に、たつて私が余り時間をとりますることも如何かと存じますので、今度ははつきりした証拠を以て私は質問を申上げたいと思います。委員長、その点におきまして、私の今日の質問は、久下さんはどうしても言わない、聞き違いだというふうにおつしやるのでございますが、聞き違いであつたならば、私は謝罪いたしますけれども、私にはそうは思えない、部下を守りますのが、上司として当り前でございましよう。けれども、失敗があつた場合には率直に認めて、今後そういうことがないようになさいまするのが、私は本当の道じやないかと思います。私はこの点について非常に今日の御答弁は不満でございます。
  91. 山下義信

    委員長山下義信君) 次長に委員長として申上げて置きますが、只今藤原委員の御議論はお聞の通りでございます。それで若しこの問題について十分御調査になりまして、なお明確に御説明になりまするというようなことがありましたら、速かに御説明を願いたいと思います。立法府と行政府との間の好ましからぬような状態として発展いたしますると、事重大になつてはいかんと思いますから、そういうことになりません前に、明確に事実を御調査に相成りまして、いずれ適当な機会に御説明になりますように委員長として希望いたします。   —————————————
  92. 山下義信

    委員長山下義信君) 日程に従いまして、覚せい剤取締法案上程いたします。先ず発議者といたしまして、中山議員から提案の理由の御説を願います。
  93. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 只今提案されました覚せい剤取締法案の提案理由を御説明申上げます。ヒロポン、プロパン、アゴチン等の商品名によつて代表されております覚せい剤は、その薬理作用として中枢神経興奮作用、血圧上昇作用を有する点から、本来はナルコレフシー(睡眠発作)、麻すい剤、催眠剤の急性中毒、抑うつ症、一部の低血圧症等の治療用として、又健康者の能率増進、疲労回復の目的に使用さるべきことを意図して製造されたものであります。然るに覚せい剤は、習慣性となる性質を持つており、その過度の造用を続けますと、いわゆる覚せい剤中毒症状を呈して、全般的に刺戟性衰弱というような疲労状態から幻覚を伴う精神もうろう状態に発展し、遂には覚せい剤中毒による精神病へと移行する反面の弊害を伴つておるものであります。我が国における覚せい剤の普及は、不幸にして前者の正しい使用の道を選ばずに、防止すべかりし後者の弊害への道を歩み、折角製造者が目指した医療界への貢献の努力は、逆に社会を毒するの結果となる思わざる方向へと進みつつあるのであります。今日覚せい剤の使用は、医療目的より、むしろ覚せい剤耽でき者が自己の快感を満足させるための使用、又青少年が好奇心を満たすための使用、或は麻薬中毒者が麻薬の代用に当てるための使用がその大部分を占めておる状態であります。その結果ただに運用者個人の健康状態が破壊されて行くばかりでなく、それらの中毒者は覚せい剤の獲得費用を得んがために、又覚せい剤中毒による幻覚、妄想に駆られて、犯罪行為に出ずる例が次第にその数を増して社会的問題を惹起して参つたのであります。專門家の調査によりますと、覚せい剤中毒者の七五%は中毒性精神病へ移行すると言われ、又統計によりますと、東京警視庁管内のみで青少年の覚せい剤に関連する犯罪は昨年度三千件を数え、中毒者は青少年三万人、成人を加えると六万人と推定されておるのであります。その弊害が且に見えているにかかわらず、あえてそれを運用せざるをえないのは、性格的に弱点を持つ人々の責任であつて、薬品自体の責任ではないのでありますが、その濫用が社会悪の根源ともなるに至りますと、医薬品本来の存在目的も、より強い青少年の教育目的、犯罪予防の目的にその席の一部を譲らざるを得なくなるのであります。これらの弊害を防止せんとして、主管省においては現行の薬事法規の許す範囲において、できるだけの努力を払つて来たのであります。即ちその製造面におきましては、先ず一般の使用に便利な錠剤、散剤の製造を禁止して注射液のみを許可し、更に製造割当制をとり、進んで一昨年の十月二十七日からは製造の全面中止の勧告を行なつて製造業者の協力を求め、又販売面におきましては、劇薬及び薬事法第四十一條七号の医薬品に指定することによつて医師の処方せん、指示書によらない譲渡を禁止し、薬品の表示書に習慣性となる旨、医師の指導によつて使用すべき旨を記載せしめることによつて使用者の注意を喚起することに努めて来たのであります。併しながら、これらの措置の根拠となつている薬事法は、もともと医薬品が使用者の責任において正しく使用さるべきことを前提として、不良医薬品の取締を内容としているのでありますので、今回の覚せい剤の場合のように、使用者の誤まつた使用によつて混乱を来たす場合のことまでは予定もせず、又規定もしいてないのであります。従つて二年に亘る行政官庁、製造業者、販売業者の折角の協力にもかかわらず、密造、横流し、不当使用はその跡を絶たず、中毒者を子にもつ親たち、教育者その他青少年の補導に当る人たちを中心として、覚せい剤の根本的取締を要望する世論はいよいよ高くなつてつて来たのであります。この世論に答えようと、昨年秋から本年に亘つて漸く参議院厚生委員会で得ました成案が、この覚ぜい剤取締法案であります。覚せい剤は、その医療上の効用を有しながら、その習慣性の故に弊害をもたらす点において麻薬と似ておりますので、大きな流れを麻薬取締の方法に準ずることとし、覚せい剤の特異性と、麻薬取締法運用上の経験から生れる手続上の改善とを織り込んで、この法案を構成いたしました。次に、法案の内容の骨子を申上げます。第一に、覚せい剤の用途を医療用と学術研究用のみに限定することといたしました。従つてその製造もこの二つの用途に必要な数量に制限することとし、輸入は禁止することといたしました。製造された覚せい剤を政府発行の証紙によつて封入することと相待つて、必要以外の覚せい剤がはんらんすることとなるのであります。第二に、覚せい剤を取扱い得るものについては指定制をとり製造業者、医療機関、研究者について、それぞれその施設ごとに資格のあるものを指定することといたしました。そしてこの指定を受けた者の間においてのみしか覚せい剤を譲り渡し、譲り受けることができないことといたしました。使用数量の僅少なことと横流れの防止のために販売業者の段階を認めず、製造業者から直接医療機関又は研究者の手許へ流すことといたしました。このことは次に述べます所持禁止の原則と相待つて、不正覚せい剤の摘発を容易に可能ならしめることとなるわけであります。第三に、一般的な所持禁止の原則をとり、右に述べました取扱者とその業務上の補助者、郵便又は運送の業務に従事する者、医師から施用を受ける病人の看護に当る者だけが覚せい剤を所持できることといたしました。これによつて現在取締細りの盲点となつております不正所持が、直接規律の対象となるわけであります。第四に、譲渡、譲受に当つては都道府県発行の譲渡証、譲受証の記入、交付を要件とし、又医師が施用のために交付する場合には一定事項を記入の上医師の署名のある証明書を交付することを要件として合法的に動いた覚せい剤の証明手続を規定しております。第五に、経過措置としまして、公布と施行との間に一カ月の余裕を置き、その間に製造業者、医療機関、研究者の指定を行うこととし、又施行後一カ月を限つて法施行当時に所有している覚せい剤を指定を受けた製造業者、医療機関、研究者に対して譲渡ができることといたしました。即ち公布の後二カ月の間にそれぞれ処置されることを予定しておりますので、この法律による全面的な取締りは公布後二カ月を経過してから行われることになるわれることになるわけであります。以上がこの法案の提案理由及び内容の骨子でありますが、何とぜ御審議の上御賛成を賜わりますようお願い申上げます。
  94. 山下義信

    委員長山下義信君) なお法制局中原課長から、要点につきまして補足的御説明をお願いいたします。
  95. 中原武夫

    ○法制局参事(中原武夫君) 法案に即して御説明をいたします。この法案の実体的な規定は、殆んど第三章の禁止及び制限、十三條から二十條に亘る條文の中に含まれておりますので、それを中心といたしまして、それに関連のあるその他の條文を拾いながら御説明申上げます。第一章におきましては、第二條が関連がございます。第二條では用語の定義がしてございますが、ここに掲げられております二号から四号までの覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関、覚せい剤研究者、これだけが覚せい剤を正当に取扱い得るものになるわけでございます。麻薬の場合には十一段階の取扱者が規定されておりますが、この法案におきましては、覚せい剤製造数量が非常に少くなりますのと、麻薬と違いまして、現在氾濫をして濫用の弊に悩まされております関係から、特に横流しを嚴重に取締る必要が、あると考えまして、販売業者の段階を認めないことにいたしたのであります。従いまして覚せい剤製造業者は一般の薬事関係の製造業者と違いまして、製造と譲り渡すことと両方を業とすることになるわけでございます。第三條には指定の要件が規定されております。この法案におきましては、取扱者の指定を麻薬の場合のように一身専属的な免許という構成にいたしませんでした。主として施設を対象とした指定ということにいたしたのでございます。従いまして、製造業者、施用機関、研究者の指定はいずれも施設ごとに行う、こういうことにいたしたのであります。特に麻薬と違います点は、二番目の覚せい剤施用機関の指定でございます。麻薬におきましては、施用する医師個人を対象にいたしまして、それぞれの医師を全部指定いたしております。覚せい剤を取締る要点は、覚せい剤が予期しないところに流れないことと、濫用の虞れのある場所に行かない、それだけでございますので、覚せい剤の流れ方と、覚せい剤が所在する場所をしつかり掴むということだけが要点になるかと考えまして、病院なり、診療所の施設を抑えたのでございます。その病院、診療所において診療に従事しておる医者は誰でも使つてよろしいという建前をとつたのでございます。このことは病院、診療所で医者がしよつ中交替をいたしますが、その都度指定手続の煩を繰返さなくてよいという便益がございます。それから四條、五條は単なる手続でございますので、説明を省略いたします。六條は指定の有効期間、これは麻薬は一年でございますが、これは二年ということにいたしました。七條から十二條に亘ります二章のその他の條項は、特に御説明を申上げるような事項はございません。  第三章の禁止及び制限は先ほど申上げましたように、この法案の実体的な、主要な部分でございます。十三條は輸入の禁止でございます。輸出について事実上輸出の段階にまで持つて行くルートが封鎖されておりますから、特に規定を置かなくても事実上できないことになります。又覚せい剤は麻薬と違いまして、外国においてはむしろ誰でも使つてもよいということになつてあるようであります。日本のみがこういう特殊な立法をしなければならないということは、国民の薬品に対する常識が非常に低いという証左にもなりますので、国際的な関連のある輸出というようなことはここに掲げないことにしたのでございます。ただ輸入につきましては、取扱いを正当に認められておるものが、例えば指定を受けた研究者が外国で買つて来て、それを国内に持込むことは法律上可能でございます。そういうことをとどめる意味で輸入の禁止の規定を十三條に置いたのでございます。十四條は所持の禁止でございます。現在最も取締官庁が困つておりますことは所持禁止の規定がないために、現実に上野のような所で覚せい剤を売るために持つておるものを起訴することができないというのでございます。それは現在の薬事法では製造を業とし、或いは販売を業としなければ、これは法律に引つかけることができません、売るために持つておることが明らかだと認められましても、それが販売をしている現場をつかまえなければ取締ることができませんし、現に誰に売つたかという証拠を固めて行かなければ起訴ができないわけであります。そのために違反者が目の前にありながら、これを徹底的に処分することができないという盲点がございます。その盲点を塞ぐ規定が十四條の所持禁止の規定でございます。この十四條によりまして、覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の開設者と管理者、覚せい剤施用機関において診療に従事する医師、その医師から施用のために交付を受けた者以外の者が覚せい剤を所持している場合には、すべて十四條違反ということで直ちに取締ることができるということになるわけでございます。二項は、正当に所持のできる人が所持をする場合、使用せざるを得ない補助者について所持を許す緩和規定を設けたのでございます。例えば一号の製造業者の使用人とか、覚せい剤施用機関の管理者又は医師が看護婦に命ずる場合とか、研究者が業務上の使用人を使う場合とか、そういうような業務上の補助者がその業務のために覚せい剤を所持する場合はいい。それから最初に申上げましたように、覚せい剤の取扱いについては販売業者の段階がございませんので、どうしても輸送なり運送をしなければならないことになるのでありますから、郵便又は物の運送の業務に従事するものが、その業務を行う必要上覚せい剤を所持する場合はよろしい。又病人の看護に当つておるものにつきまして所持を禁止いたしますと、事実上寝ている病人にその覚せい剤を飲ますこともできなくなるわけでございます。そのために看護に当つておる者が病人本人のために覚せい剤を所持する場合はいいということにいたしたのでございます。更に法令に基いてする行為、取締官が覚せい剤を所持する場合、違法覚せい剤の処分の場合にその処分に当るものが所持する場合、或いは覚せい剤であるかどうかの鑑定を命ぜられた鑑定人が所持する場合、こういう場合は外す必要がございましたので、四号の規定が設けてあるわけでございます。この十四條の所持禁止が最も大きな強い規定でございます。第十五條は装造の禁止及び制限で、四半期ごとに厚生大臣が各覚せい剤製造業者の製造数量を割当てる根拠を置きました。的確な予想はできませんが、医療用、研究用に必要な数量だけを割当てて行くということになりますと、大体過去における生産実績の二百分の一ぐらいになるはずであります十六條は覚せい剤施用機関の管理者の責任を書いたのでございます。麻薬の場合は、二人以上の麻薬施用者がある場合には管理者を置かなければならないということになつておるのでありますが、この法案では一人しかおらない場合でも、その病院、診療所の医療法上の管理者になつた者が覚せい剤取扱の責任者になるということに規定いたしました。これは医療法十七條にあります管理者の医薬品管理の責任と歩調を合せたわけでございます。十七條は譲渡及び譲受の制限及び禁止でございますが、これは製造業者から施用機関又は研究者に流れる線以外は、医者が施用のため交付する場合のほかは一切譲渡、譲受を禁止することになつております。ただ法令による職務の執行でおとり捜査をやるような場合に取締官が譲受ける行為は外す必要がございますので、四項で除外してございます。十八條は正当な、合法的な譲渡、譲受を証明するための手続規定でございます。この譲渡証、譲受証は都道府県が発行をして交付する場合には、貰い受ける者の氏名を書いて渡すことによつて不正使用を防止する予定でございます。十九條は使用の禁止でありますが、ここに掲げられております五つの場合以外はすべて使用を禁止する。二十條はその施用の一形態である人体に対して施用する場合の制限條項を掲げて置きました。これは覚せい剤施用機関において診療に従事する医師は、誰でも施用ができるのでありますが、その覚せい剤は必ず施用機関の管理者が管理する覚せ剤に限るということが一項でございます。二項は自由に施用ができる医者が自分の体に施用することは、人の健康を預つておる医者として誠に困つた結果になりますので、自己使用を禁止したのでございます。三項は中毒患者に対するいわゆる漸減療法を禁止したのでございます。四項は患者に交付する場合には正当に交付された覚せい剤であるということを証明する一種の証明書を必ず医師がサインをして交付しなければならないということにいたしました。これは先ほどの所持の禁止の規定に関連をいたしまして、一般のものが持つておる場合に、それが正当に施用のために交付されたものであることを証明させる必要があるという関係から四項を置いたわけであります。なお、医者患者に施用のため交付してもよろしいが、処方箋による交付、処方箋を出して薬局から買えというような交付の仕方は認めないのであります。医師が直接手渡しする、直接注射をする、そういう場合だけが合法的に許されるわけでございます。五項は研究者は研究のため覚せい剤を施用することは認められますが、ただ他人の健康の犠牲における研究だけは禁止するということで、研究のためといえども他人に対して覚せい剤を施用したらいけない。他人に覚せい剤を施用する場合は診療の目的に限るということにいたしたのであります。  四章で関連がございますのは二十一條でございます。二十一條は覚せい剤製造業者が割当の範囲内で製造した覚せい剤は政府発行の証紙で封入をする、事実上この封入証紙の発行、交付数量によつて製造業者がむやみに量を越えて作ることは防止されるかと思います。証紙による封入のない覚せい剤が動いておる場合は、それは不正な覚せい剤であるということがわかることになるわけであります。二十二條、二十三條は麻薬の場合と大体同様であります。それから二十四條、二十五條は指定の効力がなくなつた場合に必ず覚せい剤は横流れをしないように、それから公衆衛生上危険な状態で処分がなされないように、指定の失効後における覚せい剤の処置方法を規定した規定でございます。  二十六條、二十七條から第五章全部、それから第六章につきましては、別に御説明を申上げることはございません。  第七章は、この法案におきます義務規定はいずれも罰則を伴つておりますから、国又は地方公共団体が開設しております覚せい剤施用機関における義務違反につきましては、罰則が国又は地方公共団体へかかることになるわけであります。その罰則を管理者へ転移させる必要がございますために義務者の変更を規定いたしたのであります。  三十八條、三十九條、四十條及び第八章罰則の全部、これについては特に御説明を申上げることはございません。
  96. 山下義信

    委員長山下義信君) この際御質疑お願いいたします。
  97. 藤原道子

    ○藤原道子君 この覚せい剤の問題につきましては、当委員会でもその弊害の重大性に鑑みまして、いろいろと愼重に研究して来たのでございますが、私たちはむしろ全面的に禁止したいという意向でございましたが、皆様がたが御苦心の結果、これだけの法案をおまとめ頂きまして、その点御苦労のほどは感謝いたすのでございますが、ただこの際一、二点お伺いいたして置きたいと存じますのは、従来でも医師の処方がなければ交付はできないということになつておりましたけれども、そのことが守られないで随分問題を起して来たわけでございます。社会不安、社会悪を助長して参りました問題でございますが故に、愼重を期したいと存ずるのでございますが、この第二十一條に「覚せい剤製造業者は、その製造した覚せい剤を厚生省令の定めるところにより、容器に納め、且つ、政府発行の証紙で封を施さなければならない。」と相成つておりますが、この証紙にはナンバーでもお打ちになるようなお考えでございましようか、ただ厚生省で定めた証紙、厚生省の検定証紙であるということになさるお考えでございましようか、その点をちよつとお伺いいたします。
  98. 中原武夫

    ○法制局参事(中原武夫君) 別にナンバーを打つ予定はございません。証紙だけで封入をさせることで十分だという打合の下に、この條文は書かれたのであります。
  99. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は心配し過ぎるかと存じますけれども、ナンバーを打つぐらいに嚴重にしなければ、この法案でもまだ裏をくぐる盲点があると思うのでございます。従いまして、この点は私その点を希望したいと思うのでございます。それからこの十四條でございますけれども、覚せい剤は医師でなければ処方箋は出せないで、医師が直接に施用するというふうに伺つていたのでございますが、「施用のため交付を受けた者の外は、何人も、覚せい剤を所持してはならない。」となつておりますけれども、施用のために交付を受けるというような病状はどういう場合に必要なんでございましようか。先だつての公聴会その他でも医薬の上には必要はない、むしろ社会悪を考えるならは禁止してもいい薬であるということさえ私は聞いていたのでございますが、医者が直接打つというような場合は、精神病その他でわかるのでございますけれども、医師から交付を受けるというような病状はどういう病状でございましようか。
  100. 慶松一郎

    ○政府委員(慶松一郎君) 私提案者でございませんけれども、説明のためにちよつと申上げて置きますが、ちよつと先ほどのことを申上げます。先ほどの問題でございます。例の封緘ですが、封緘に番号を打つか打たないかという問題、これは実は只今非常に嚴重に取扱つております麻薬におきましても、番号というものは打つてないのでございます。併しその中には、あれはレッテルでございますね、レッテル自身に製造番号というものを打つのでございます。大体これにつきましても製造番号を打たせる考えでございます。と申しますわけは、次の御質問と関連するのでございますけれども、これは大体先ほど中山委員の提案理由の説明にもございましたが、今日我々は錠剤とか、或いは紛失とか、飲むものでございますね、これは一切造らしておりませんし、又今後も造らすつもりはないのでございます。で、大体におきまして、この取締の対象になりますのは結局注射薬になつております。注射薬はどういう場合に使うかと申しますと、これも提案理由の中に説明がございましたように、何か特にお医者さんが見て、これは必要なときに刺すわけでございます。従いまして、この交付というのもどういうことになるかと申しますれば、まあお医者さんが見て看護婦に預けて置くとか、或いは次の日に来るまでに置いておくとか、或いは自分がおらん間に附添の看護婦に注射せいというような程度だと、私は了解いたしておるのでございます。
  101. 藤原道子

    ○藤原道子君 そういうことになりますと、この医療の上に相当量必要とお考えになるのでございますね。どうしてもこれは残して置かなければ、研究用ということに、この間いろいろと私も納得いつたのでございますけれども、専門家を公述人としてお出で願いました際にも、医療の上から必要なものは極く極く微々たるものであるというふうに……、だからむしろ私たちは社会悪等を考えるならば、ないほうがいいと思います。お医者さん自身言つておいでになつたぐらいでございますが、この法案を見ると非常に医療医療という言葉が出て参りまして、本当にしなくちやならないように思えるのでございますが、相当数必要なのでございましようかということを、私くどくも伺いますのは、お医者さんを信用しないわけではございませんけれども、今まででも随分いろいろないかがわしいことがあつたのでございますから、非常に心配なのでございます。私昨日も京都へ行つたのでございますが、京都の昨晩の夕刊にも覚せい剤患者を強制収容された、その数が実に莫大なのでございます。こういう中毒患者というものはあらゆる手立てをして手に入れることに努力されるだろうというようなことを考えますと、念には念を入れたいのでございまして、その点ちよつと申上げて置きます。
  102. 慶松一郎

    ○政府委員(慶松一郎君) 勿論私どもが聞いております範囲におきましても、医療上に実際に必要とする量は極めて微々たるものであると存じます。併しながらこれも提案理由の説明の中にございました通り、このもの自身が決して悪いのではなく、このもの自身は世界的に申しましても薬としてどこにでも通用しておるのでございます。例えばアメリカにいたしましても、イギリスにいたしましても、薬として最も認められておりますところの薬局方というのがござまいすが、これにちやんと載つておるのでございます。その意味におきまして、薬としての存在理由はやはりあると、こう考えております。併しながら実際において医療面に使用される量は極めて少い、少いのでありますけれども、或る程度のものはやはり必要であるとすれば、この程度の取締り、即ち只今仰せになりましたような中毒患者が非常に多いというような点は、結局密造とか或いは密売とか、そういつた点が一番大きいのでございまして、而もそれを取締ることは現在の薬事法におきましては、只今中原課長からも説明がありましたように非常に困難なのでございます。その意味におきまして、こういう法案が出ることによりまして、恐らく只今仰せになりましたような不安並びに心配というものは解決できると、私はこう感じておるのであります。
  103. 藤原道子

    ○藤原道子君 只今薬務局長からお伺いするまでもなく、外国にある薬局方の中にあることは私も承知いたしておりますけれども、外国にあるからいいということは、結局そんなことならば医薬分業が今問題になる必要はない、マッカーサー元帥が先だつてあちらでの演説の中に、日本人の精神年齢は十二才の少年だと言われておる。そこに私たちの心配するゆえんがあるのでございまして、それで私はくどいようだけれども、お伺いしたのでございます。私あなたに伺わなくても薬局方にあることくらいは知つております。知つておるけれども、その使用の面におきまして、幾多網をくぐる日本人の悪い癖がございますので、それを防ぐにはどうしたらいいかと思つて心配しております。それならば私はこういう、何というのですか、交付を受けたものの外とか、看護に従事するものとかいうような言葉はむしろ拔いて頂いて、直接医者がやる場合のほかは認めないということにして頂いたほうがいいのじやないかと思うのですけれども…。
  104. 草間弘司

    ○専門員(草間弘司君) 先ほど藤原委員の医療上に必要があるかどうか、こういうお話でございます。先般は専門家等につきまして、いろいろ調べましたところ、一方に麻薬があるのであるから、やはりその反対の覚せい剤というものもある必要があるのだ。併しそれじやどのくらい医療用に必要であるかと言いますと、これはそんなにたくさん必要な場合はないだろうが、麻薬が一方において必要なように、その反面の作用する覚せい剤が必要ではないか、精神の昂奮を必要とするような疾患がございます、そういうものに対しましては、やはりこれはきく場合がある、それであるから、これを全然なくすということはどうか、こういうお話でございます。
  105. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 先ほど中原課長のお話がありましたが、この法律では薬剤師処方箋による交付を禁止されておるのですが、その理由はどういうところにございますのでしようか。
  106. 中原武夫

    ○法制局参事(中原武夫君) それはどの條文でということですか。
  107. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 処方箋調剤して患者にやるということは指定してある、薬剤師のところで交付することは禁止せられておるという理由について……。
  108. 中原武夫

    ○法制局参事(中原武夫君) わかりました。これは販売業者の段階を認めなかつたことに即応するわけでございますが、薬局には覚せい剤は全然ないということになるわけでございます。ですから病院、診療所における薬局以外にはどこにもないことになるわけです。従つて医師が処方箋を書いて、それを薬局へ行つてもらえという、一般的にほかへ行つてもらえという意味処方箋による交付はないわけでございます。
  109. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 そういたしますると、覚せい剤については、若しこれを投薬しなければならん場合には、医師みずからの調剤によつてやるよりほかには途がない、こういうことに相成るわけでございますね。(「そこに医薬分業意味がある。」と呼ぶ者あり)
  110. 慶松一郎

    ○政府委員(慶松一郎君) 私提案者ではないのですが、ちよつとこの関係について御説明申上げます。それは只今私が申上げましたように、今日のところでは覚せい剤につきましては、粉末とか、錠剤とかは一切禁止、作らしておりません。又今後とも私どもといたしましては、作らす所存がないのでございます。それでこの法案が参議院の当局から私どものほうに御連絡がございましたときにも、その点につきましては論議いたしたのでございますが、結局私どもの考えでは、今日のごとく注射剤以外のものは一切作らせない、こういう点から考えまして、処方箋による投薬というものはない、こういう見通しを持つておる次第でございます。
  111. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 実はその点薬務局長にお尋ねしようと思つてつたのでありますが、この第二條によつて覚せい剤の定義がせられておるので、これには注射剤だけという規定も何もございません。又先だつていろいろ学者を証人に呼んで聞いた場合にも、覚せい剤の中毒は注射に多い。併しながら粉末或いは錠剤等においては中毒の現象も非常に少いのだ、殊に今後医療上に必ず注射だけにしか使えないということは医療上に差支えがある、若し医療上に又研究上に粉末のものが要求される折にはどうされるつもりでしようか、又この法律で何もその粉末を作つては悪いという規定も何もございますようですが、この点はどういうふうにされるのでございましようか。
  112. 中原武夫

    ○法制局参事(中原武夫君) 先ほど薬務局長が覚せい剤は注射薬だけだとおつしやいましたのは、現在そういうふうになつておることを申されたのだろうと思います。この覚せい剤取締法案で予定しておりますのは、只今藤森委員から御質問がありましたように、粉末も錠剤もできるということを前提にして、この法案は作られておるのであります。施用のために交付するということが書いてありますのは、これは精神科の専門家のかたが、注射薬は精神病の治療をする場合に困るから、錠剤なり粉末なりの形において今後覚せい剤を作つてもらつて、それを定時にのませる場合を規定してもらいたいという要求によつて施用のための交付の規定を置いたわけであります。同時に関通いたしまして、先ほどの医薬分業調剤問題でございますが、この法案は医薬分業のことまで解決しようとする意図はございませんでした。従つて質問がございましたような点に的確な回答をどの文句にも与えておらないのでありますが、若しそういうような場合が参りました時には、外部における一般の薬局で調剤をしてもらうことは、たとえ医薬分業なつたといたしましても、覚ぜい剤についてはできないということになるわけでございます。従つて病院、診療所にある薬局、その中にある薬局で調剤をする以外には方法はないということになるわけでございます。
  113. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 薬務局長にお願いしたいのですが、そうすると、今あなたの御答弁と、それから中原課長との何は食い違いがあるのですが、あなたのほうでは注射薬だけだけれども、この立法の精神はむしろ粉末を要求しておるというようなふうにもとれるのですが、そこは如何でございますか。
  114. 中原武夫

    ○法制局参事(中原武夫君) 最初にこの原案を作りましたときに、厚生省側の意見といたしましては、只今薬務局長がお話になりましたように、注射薬だけを作つて行くのであるから、施用のための交付ということはやめよう、こういうことでありましたのが、先ほど私が申上げましたような経験によりまして、施用のための交付ということが入つて来たわけであります。従いまして薬務局長は、最初の厚生省の意見として出されました点を今日まで持つておられるつもりで、そのままその法案の中にあるのだろうというお考えで御答弁があつたのだろうと、私は推察いたします。
  115. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 それでは薬務局におきましては、今後この医療上必要があり、又研究上必要があるということで粉末を要求されても、これは製造しない、こういうお考えでしようか。
  116. 慶松一郎

    ○政府委員(慶松一郎君) この法案の提案理由にございます通り、従来のような取締におきましては、錠剤とか、粉末は非常に素人が使いやすいということで、私たちはこれを一切使わせないことにいたしたのでございますけれども、併しながらこういう嚴重な取締ができまして、そうしてこの通り施行されますならば、必要に応じましては錠剤なり或いは粉末を作らせるということは、若しも要求がありましたならば、当然考慮さるべきことだと私は存じます。但し大体この法案におきましても考えられますことは、その製造量というようなものは極めて僅少なものである。恐らくこれをわざわざ企業の対象として作るというようなものは、この法案に従つては、わざわざ希望して作るようなものがなかなかないのではないかというふうにすら考えられる次第でありまして、その程度の少量なものが恐らく全体としての要求量となるのではなかろうかと、私どもは考えておる次第でございます。
  117. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 それでは先ほどの注射薬だけで、ほかはやらないのだということは一応お取消しになつて、今後研究或いは医療上必要があれば粉末も作つて差支えない、こういうふうに解釈しましてよろしうございますな。
  118. 慶松一郎

    ○政府委員(慶松一郎君) さようでございます。
  119. 山下義信

    委員長山下義信君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  120. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を始めて……。御質疑がありましたらどうぞ。
  121. 谷口弥三郎

    ○谷口弥三郎君 只今問題になつております診療上特別の場合ということにつきまして、今後こういうふうなことにしたらどうかということが、先日も医薬制度調査会特別委員会の場合にあつたのであります。その場合の條項と言いますのは、処方箋の内容を患者に知らせたために支障のある場合、それから診断未確定の場合、第三には、症状の変化が激しい場合、第四には重篤なる症状のある場合、第五には救急の場合、第六には診断的投薬の場合、それから第七には疾病の早期発見を要する場合、それから第八には市販されておらん薬品の調剤の場合というような場合だけが、そのときの問題に出ておりますので、丁度こういうようなふうの覚せい剤というものは、その場合の診療上特に必要な場合という中に入つておらなかつたのであります。併し今のように話が進めば、又大いに考慮しなければならん問題と思います。
  122. 中原武夫

    ○法制局参事(中原武夫君) 今の一番あとの條項に該当するのです。
  123. 谷口弥三郎

    ○谷口弥三郎君 市販せざる薬品の場合ですね。そういう場合が出たということだけ申上げて置きます。
  124. 山下義信

    委員長山下義信君) 本案審議は他日に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  126. 山下義信

    委員長山下義信君) 次は検疫法案上程いたします。政府の提案理由の説明を求めます。
  127. 平澤長吉

    ○政府委員(平澤長吉君) 只今議題となりました検疫法案につきまして提案の理由を説明いたします。  従来検疫は、海港検疫法及び航空法に基く航空検疫規則によつて実施されていたのでありますが、終戦後は、これらの法令の施行は事実上停止せしめられ、これに代りまして総司令部より回章が出され、この回章に基いて総司令部によつて実施されて来たのであります。  併しながら、昨年の二月、この検疫業務の実施責任は、わが国に委譲せられ、わが国の検疫官の手によつて行われるようになりましたが、現行の海港検疫法及び航空検疫規則の規定には、最近の諸外国の検疫制度と比較して改める点が多く、又国際間の自由交通場裡に復帰する日も近くに予想されますので、政府といたしましては、その改正に鋭意研究を進めましてここにこの法案を提出いたした次第であります。  次に、この法案の内容といたしましては、第一に、外国より来航した船舶又は航空機は、先ず検疫港又は検疫飛行場に来て検疫を受けた後でなければ、国内の港又は飛行場において、他と交通し又は物を搬出することができないということを規定いたしております。これは従来のように、検疫を受けた場合のほか、特殊の手続をふめば、どこの港又は飛行場においても、他と交通し又は物を搬出することができるという制度では、外国から検疫伝染病が国内に侵入することを防遇するために万全を期せられないからであります。  第二に、検疫を受けて、検疫済証の交付を受けた船舶等は、爾後特別の事情のない限り、国内のどこの港又は飛行場にも自由に出入することができることを規定いたしております。これは、一港検疫主義と申しまして、今回の改正に当り、諸外国の例を範にとり、従来の制度を改めました主眼点であります。即ち従来は多港検疫主義と申しまして、港が変る度ごとに新らしく検疫を受けなければならなかつたのでありますが、防疫技術の進歩した今日におきましては、これほどまで嚴重にする必要はないと認められるのでありまして、船舶又は航空機の運航経済上も、従来のごとき制度は不必要な損失をこうむらせることにもなりますので、今回改正することにいたしたのであります。  第三に、仮検疫済証の交付という制度を新らしく設定いたしたのでありますが、これは一応検疫をいたしまして、発航地の衛生状態から勘案して、恐らく検疫伝染病の侵入の盧れがないであらうと認められる場合には、船舶等の運航経済の点を考慮に入れまして、一定の條件の下に仮検疫済証を交付し、一応他との交通及び物の搬出を許可し、若し検疫伝染病が発生する等の事故があるならば、直ちにその効力を失わせるという制度であります。  この法案は、以上の諸点を骨子といたしまして、その他に検疫港又は検疫飛行場の指定、検疫の開始から検疫済証を交付するまでの種々の手続、緊急避難を行なつたときの措置、検疫官等に関する規定を設けております。この法律の施行につきまして要する費用は、検疫が国家事務であります関係上、全額国庫で負担することになつております。  以上が本法律案の提案理由でありますが、何とぞ愼重御審議の上、速かに可決されますよう希望いたします。
  128. 山下義信

    委員長山下義信君) 公衆衛生局長の補足説明を願います。
  129. 山口正義

    ○政府委員(山口正義君) 只今提案理由を御説明申上げました検疫法案につきまして、お手許に差上げてございます法案につきまして、逐條簡単に御説明申上げたいと存じます。  本法案は四章に分れておりまして、第一章が総則、第二章が検疫、第三章は検疫所長の行うその他の衛生措置、第四章が雑則となつております。  第一條は、本法案の目的を謳つてございます。第二條は、本法案の対象となります検疫伝染病を、国際衛生條約に従いまして、コレラ、ペスト、発しんチフス、痘そう及び黄熱の五種類にするということでございます。第三條は、検疫を実施いたします検疫港及び検疫飛行場を政令で定めるという規定でございます。  第四條は、入港等の禁止の規定でございまして、これは外国から参りました船舶及び外国から参りましたものでなくても、途中で汚染したという慮れのあります船舶につきましては、検疫済証を受けたあとでなければ、国内の港に入つてはいけないということでございます。第四條の第二項は航空機についての同様の規定でございます。第五條は交通等の制限でございまして、検疫の根本的規定でございますが、これは外国から来航いたしました船舶又は航空機につきましては、その長が第四條にございます検疫済証或いは仮検疫済証の交付を受けた後でなければ、何人もその乗つておる船或いは航空機から国内に入つてはいけない。或いはものを陸揚げをしてはいけないという規定でございます。第六條は検疫前の通報でございます。これは検疫所において準備体制を整わせますために、検疫港或いは検疫飛行場に近付きました場合には、無電信号その他の方法であらかじめ通報するという規定でございます。第七條は航空機についてだけの規定でございまして、国内に入ります前に、検疫飛行場に着きます前に、航空機内の虫類の駆除を実施しなければいけないという規定でございます。第八條は検疫区域に関する規定でございまして、これは検疫能率を上げまするため港内或いは飛行場内の汚染を防止いたしますために、港或いは飛行場に着きまして、それぞれ一定の区域を指定するということでございます。第九條は検疫信号でございまして、これは検疫をしてくれという要求のしるしと、それから汚染に対する注意のために一定の信号を掲げさせるという規定でございます。第十條は検疫開始に関する規定でございまして、これは非常に天気が悪いという特別な場合を除いては、到着したならばすぐ検疫を開始してやらなければいけないという規定でございます。但し夜分は船舶につきましては危険でございますので、夜間検疫は特別な場合を除いては行わないという規定でございます。第十一條以下が検疫の具体的な措置が規定されているのでございまして、第十一條は名簿、目録、書類、船のいろいろな事項につきまして記載いたしました書類を検疫所長に提出するという規定でございます。第十二條は検疫所長が船に乗つておる者或いは航空機に乗つておる者についていろいろ質問をすることができるという規定でございます。第十三條はそういう者に対しまして診察、検査をすることができる。又は船の衛生状態を検査することができるという規定でございます。第十四條は伝染病に汚染しておるか、或いは汚染した疑いのある船舶等につきまして、いろいろ措置を講ずることができるということでございます。第一号は患者を隔離すること。第二号は接触者を停留すること。第三号は病毒に汚染したものを消毒したり、廃棄したりすることができる。第四号は死体火葬に関する規定でございます。第五号は汚染したものの使用禁止、制限移動禁止の規定でございます。六号はねずみ族及び虫類を駆除するという規定でございます。第七号は必要と認める者に対して予防接種を実施するという規定でございます。第十五條は只今申上げました患者隔離についての細部に亘つての規定でございます。第十六條は先ほど申上げました十四條の一項の二号の接触者を停留するということについての細部の規定でございます。第十七條は検疫済証の交付に関する規定でございまして、外国から参りました船舶などを検疫いたしまして、伝染病がこつちへ媒介される心配がないということが明らかになりました場合には検疫済証を渡すという規定でございます。一旦この検疫済証をもらいましたならば、国内のどこの港に行つてもいいということでございます。第十八條は仮検疫済証の交付に関する規定でございまして、これは先ほど提案理由の説明のときにもございましたように、新らしい規定でございまして、出航地の状態などから考えまして、大体十中八、九伝染病毒が入る虚れがないというようなときには仮の検疫済証を渡しまして、一応船の運航を続けさせる。そして万一患者が出た、或いは検査の結果黒と出たというような場合には、その検疫済証を失効させて、又元の検疫に戻すということでございます。第十九條は仮検疫済証の失効に関する規定でございます。第二十條はねずみ族の駆除などをいたしました場合にその証明書を交付する規定でございます。第一項がねずみ族の駆除をいたしまたときの証明書の交付。第二項が予防接種を実施いたしましたときの証明書の交付の規定でございます。第二十一條は緊急止むを得ない場合に指定された港以外にも入り得るという規定でございます。第二十二條は軍用艦船、軍用航空機に関する規定でございまして、これは別に法律で定めて頂きたい。そういうふうに考えております。第二十三條は海上保安庁の艦船などに関する規定でございまして、これは密入国者に対する措置などをいたします場合に特例の規定を設けられているわけでございます。  以上で第二章を終りまして、第三章の第二十四條は検疫伝染病以外の普通の法定伝染病患が発生いたしました場合の応急措置を検疫所長にやらせるという規定でございます。二十五條はねずみ族の駆除が十分行われていないというようなときに、そのねずみ族の駆除を行うという規定でございます。第二十六條はこれは船側或いは飛空機のほうの側から申請をされまして、検査をしてくれとか、或いは予防接種をしてくれとかいうことを申請をされました場合に、本来の業務に差支えのない範囲内において検疫所で交付してやることができるという規定でございます。第二十七條は検疫を実施いたします港などのねずみ族の駆除或いは清掃、消毒というようなことを応急的に検疫所長が行うことができるという規定でございます。  第四章は雑則でございまして、二十八條は検疫官という職名に関しましての規定、二十九條は立入り権限に関する規定、三十條は権限の解釈に関する規定でございます。第三十一條は検疫職員の着用いたします制服或いは証票に関する規定でございます。第三十二條は実費の徴収に関する規定でございます。まだこの額は細かくは只今検討中でございまして、決定はいたしておりません。第三十三條は費用の支弁及び負担に関する規定でございます。第三十四條は検疫伝染病以外の伝染病につきまして、例えばインフルエンザ、回帰熱というような伝染病が外国に流行いたしましたという場合に、それが国内に持ち来たされることを防ぎますために、政令で一年間の期間を限つてこの法律を準用するという規定でございます。第三十五條から第四十條までは、只今までに御説明申上げましたそれぞれの諸規定に違反をいたしました場合、又質問等を拒否いたしました場合、或いは虚偽の答弁をいたしたというときに、それぞれの罰則がございますので、それを一まとめにしてあるのでございます。第四十一條は省令委任に関する規定でございます。  最後の附則でございますが、これは本法と他の法律との関係或いは経過規定等に関する規定でございます。なお本法の施行期日は本法を世界に周知させる必要がございますので、一定の猶予期間を置きまして、若し御可決になりましたならば、昭和二十七年一月一日から実施したい、こういうふうに考えておるわけでございます。  以上甚だ簡単でございますが、逐條的に御説明申上げた次第でございます。
  130. 山下義信

    委員長山下義信君) 本案審議は他日に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 山下義信

    委員長山下義信君) 本日はこれを以て散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。    午後三時二十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     山下 義信君    理事            小杉 繁安君            井上なつゑ君            有馬 英二君    委員            石原幹市郎君            中山 壽彦君            長島 銀藏君            河崎 ナツ君            堂森 芳夫君            藤原 道子君            藤森 眞治君            谷口弥三郎君            松原 一彦君   政府委員    厚生政務次官  平澤 長吉君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省医務局次    長       久下 勝次君    厚生省薬務局長 慶松 一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   法制局側    参     事    (第一部第一課    長)      中原 武夫君   説明員    厚生省医務局看    護課長     金子  光君   証人    臨時医薬制度調    査会副会長   藤林 敬三