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1951-03-29 第10回国会 参議院 厚生委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十九日(木曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○診療エツクス線技師法案谷口弥三  郎君外六名発議) ○船員保險法の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○国民健康保險法の一部を改正する法  律案衆議院提出) ○予防接種法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○結核予防法案内閣提出衆議院送  付) ○小委員長報告   —————————————
  2. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 只今から厚生委員会を開きます。先ず議員提案になつております診療エツクス線技師法案議題といたします。提案者の御説明を求めます。提案者谷口委員の御説明を求めます。
  3. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 実は診療エツクス線技師法案を私ども一同において作つたのでございますが、これは中山委員から御説明して頂こうと思つておりましたけれども、私から説明せよという前前からの約束がございましたので、私から申上げます。  只今提案になりました診療エツクス線技師法案提案理由について御説明申上げます。  現在の医学界におけるエツクス線の利用は極めて広く、疾病診断に、又その治療に欠くべからざるものとなつておりますることは、皆様のすでに御承知の通りであります。医療法におきまして、病院に対してエツクス線装置と、これが操作に当るべき技術者の設置を命じておりますことはエツクス線疾病診断治療との密接な結びつきを法的に規定したものということができるのであります。エツクス線は、このように医療面に必要不可欠なものとして人の健康保持のために多大の貢献をいたしておるのでありますが、その反面におきまして、使用法を誤まると逆に直すことのできないような障害人体に与えるものであります。エツクス線の誤まつた照射によつてこうむつた障害、又過度のエツクス線吸収による白血球の減耗は、その程度が大になると、今のところこれを救済する方法がないとさえされているのであります。  エツクス線は、その性質を十分に理解し、その使用を誤まらない優秀な技術者の手によるときは、顯著な治療効果を発揮し、素養の不十分な又は技術の拙劣な人の手にかかるときは、却つて人体を破壊する力を現わす両面の作用を持つ点においては、恰も劇薬毒薬の施用と軌を一にするものがあるのであります。人の生命保健を預る医療従事者につきましては、医師歯科医師を初めといたしまして、保健婦、助産婦、看護婦歯科衛生士、更にあんま師はり師、きゆう師に至るまで、その資格が法的に定められて、素養のない素人の関与は許されんことになつているのであります。  然るに、診療と極めて密接な関係にあり、且つ使用の如何によつては恐るべき障害をさえ伴うエツクス線の取扱いに当る者についてだけは、同じく医療従事者でありながら、今日まで放任されて来ているのであります。このために現在約四千名のエツクス線技術者の中には、基礎的な教育を経た極めて優秀な技術者もいると同時に、又極く短期間の見習だけによつてその操作に従事している好ましからざる技術者も介在しておるのであります。  我が国における国民保健の癌としての結核撲滅対策が今日特に強調されておりますが、結核適確診断エツクス線照射による撮影を待たなければならないことは、今更申上げるまでもありません。  目下本委員会において審議中の結核予防法全面改正におきましては、エツクス線照射を伴う多数人の健康診断が実施されることを予定しているようでありますが、このような制度を生かすためにも、すべてのエツクス線技術者を信用のおける技術者たらしめて、これを活用することが必須の条件となるわけであります。  以上申上げましたような趣旨によりまして、一般的には医療関係者としてのエツクス線技術者素質向上図つて医療制度に間隙なからしめんことを期しますると共に、当面の差追つた結核対策一環としての機能を十分に果させる焦眉の必要から、本法案提案いたすことといたしました次第でございます。  次に、本法案内容骨子を申上げて見たいと存じます。この法案の狙いは二つございまして、一は診療エツクス線技師資格を決定することであり、他はその業務のありかたにつきまして、医師との関係を明確にすることを目的としているのであります。  先ず第一の点でありますが、この点については、只今申しましたように、エツクス線照射は、これに関する十分な知識と熟達した技術とを有する者によつて行われなければ人体に重大な障害を起させる危險の大きいものでありますので、かような危害を防止いたしますために、エツクス線人体照射する業務は、免許を受けた者でなければ行うことができないようにいたしますと共に、その免許一定国家試験に合格した者に対してでなければ与えないこととし、なおその受験資格といたしまして、高等学校卒業の後、更に二年間エツクス線に関する知識技能の修習を終えたことを必要とすることに規定いたしたのであります。これに関連して現在業務に従事している者及び過去において三年間の業務経歴を有する者に対しましては、届出制をとつた上、暫定的に五年間を限つてその業務の継続を認め、その間に届出者に対する試験を行うことによつて制度へ移行させるよう考慮いたしました。  次に、その業務のありかたにつきましては、医師の行う診療行為と極めて密接な関連を持つている点から、医師のみが行い得る診断の分野にまで入ることがないよう、「診療補助者」としての性格を明確にすることといたしました。即ちエツクス線照射を行うには、必ず医師又は歯科医師の具体的な指示を待たなければならないこととし、又その業務に従事する場所を原則として病院又は診療所内に限ることとして、その業務が常に医師監督下に行われるように配慮いたしました。又エツクス線照射を行いましたときには、照射記録を作成させ、これにエツクス線照射に関する指示を与えた医師又は歯科医師署名を受けさせることにして、右の方針をエツクス線技師の側からも裏付けるようにいたしているのであります。  なおこの法律の施行上の事務担当につきましては、試験に関する事項だけは全国的に統一する必要がありますので、厚生大臣の所管といたし、他の免許登録等事務は知事に委ねることといたしました。その他免許証に関する事項届出に関する事項監督に関する事項等につきましては、他の医療補助者と大体同様の規定を設けておるのでございます。  以上が本法案提案理由及びその内容骨子でございますか、エツクス線技師者医療従事者としての素質向上、特に結核対策一環として担う責任の重要性に鑑みまして、何とぞ御賛成を賜わりますようお願い申上げる次第でございます。
  4. 山下義信

    山下義信君 本案同僚谷口委員中山委員等専門家議員諸君が非常に熱心に、且つ又御苦心を下さつた法案でありまして、且つ我々厚生委員といたしましても、かねがね本案の御研究については仄聞をいたしておりますし、且つ又成案を拝見いたしまして、賛成の上、提案者の側にも関係がございますので、速かに本案の議了をお願いしたいと考えまして、直ちに質疑を打切りまして、討論を省略し、採決せられたいとの動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  5. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 山下委員動議に御異議、ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御異議ないと認めまして、討論を終結し、直ちに採決に入ることにいたします。それでは診療エツクス線技師法案議題といたしまして、この法案につきまして採決をいたします。  診療エツクス線技師法案原案の通り可決することに賛成かたの御起立を願います。   (総員起立
  7. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 全会一致でございます。よつて本案原案通り可決すべきものと決定いたしました。  それから委員長議院に提出する報告書に多数意見者署名を付することになつておりますから、本案を可とせられたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     小杉 繁安  有馬 英二     山下 義信  長島 銀藏     石原幹市郎  藤原 道子     上條 愛一  谷口弥三郎     中山 壽彦  常岡 一郎
  8. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御署名洩れはありませんか……御署名洩れはないと認めます。  なお本会議における委員長口頭報告については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  10. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 次に、船員保險法の一部を改正する法律案議題といたします。前に提案理由を伺いましたので、今日は御質問を願います。
  11. 山下義信

    山下義信君 速記をとめて頂いて、懇談に移つて頂きたいと思います。
  12. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 速記をとめて……。    午前十時五十四分速記中止    ——————————    午前十一時十六分速記開始
  13. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 速記を始めて……。船員保險法の一部を改正する法律案についての審議を進めます。
  14. 山下義信

    山下義信君 本案につきましては、質疑は盡きたものと認めて、質疑打切つて、直ちに討論に入られんことの動議を提出いたします。
  15. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 山下委員の動機に対して御賛成でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御異議ないと認めます。それでは質疑を打切りまして、討論に入ることにいたします。御意見おありのかたは、それぞれ賛否を明らかにいたしまして、御意見をお述べ願いたいと存じます。
  17. 上條愛一

    上條愛一君 船員保險法の一部を改正する法律案につきまして私から意見を申述べたいと思います。この問題については、すでに厚生大臣から昨年社会保險審議会に諮問をいたしておるのでありまして、社会保險審議会といたしましては、愼重に昨年来討議を重ねまして、これに対する意見が決定されておるのであります。それで、その決定されました意見二つでありまして、一つ養老年金の額の計算基礎となる平均標準報酬月額は、昭和二十二年十二月一日以後の被保險者であつた期間平均標準報酬月額とするということが一つであります。殊に社会保險審議会におきまして、保險料の料率も先般の議会において可決されまして、本年一月一日から実施されることになつておるわけであります。然るに本改正案を見まするというと、計算基礎となる平均標準報酬月額は、昭和二十一年の四月一日以後となつておりまする点と、今一つは、養老年金の額を最高二万四千円に制限いたしておるのであります。この二点につきまして、私は社会保險審議会において決定されました案が妥当と考えるのでありまして、若し第二点でありまする最高額を二万四千円までに制限するというふうなことになりますると、これは他の厚生年金におきましても、給付というものは、つまり収入の四カ月分ということになつておりまするのに、船員保險におきまして、被保險者で十五年経つたものが僅かに二万四千円というようなことで切られるということになりますれば、これは現在の平均におきましても、二万七千円程度でありまするので、約一カ月分に相当する額になるのであります。こういう少額をもつて船員保險が今出発せんとするときにおいて制限を加えるということになりますれば、今日多大の希望を抱いておりまする船員船員保險に対する希望が失われてしまうと考えざるを得ないのであります。船員のごとき非常な危險を冒して、一国の産業のために重責を果しておりまする船員の老後の生活の保障でありまするこの船員保險が、かかる二万四千円程度において制限せられるということになることは、船員の将来の勤労意欲を抑えることになるのであつて船員保險として妥当を欠くと考えるのであります。従つて私はこの際に二つの点についての希望意見を述べたいと考えるのでありまして、左記のごとき要望をいたしたいと思います。   本法案成立の適当な時期に次の趣旨により本法を改正することを要望する。   一、養老年金の額の計算基礎となる平均標準報酬月額は、昭和二十二年十二月一日以後の被保險者であつた期間平均標準報酬月額とすること。   二、養老年金の額を最高二万四千円に制限しないこと。  この要望を附しまして、本改正案賛成いたしたいと考えます。
  18. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) ほかに御意見ございますか……。別に御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて差支えございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。  船員保險法の一部を改正する法律案について採決をいたします。船員保險法の一部を改正する法律案原案通り可決することに御賛成かたの御起立を願います。
  20. 山下義信

    山下義信君 只今上條委員から、要望事項を附するということの討論中に意見が出ましたのでございますから、要望事項を附して了承するということについて御採決を願いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) それでは先ほどのは取消しまして、船員保險法の一部を改正する法律案、それに対しまして要望を附することといたしまして、原案に御賛成かたの御起立を願います。   (総員起立
  22. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 全会一致と認めます。よつて本案原案通り可決すべきものと決定いたしました。  それから委員長議院に提出する報告書には多数意見者署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     小杉 繁安  有馬 英二     山下 義信  長島 銀藏     石原幹市郎  藤原 道子     上條 愛一  谷口弥三郎     中山 壽彦  常岡 一郎
  23. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 署名洩れはございませんか……。  署名洩れはないものと認めます。  なお本会議における委員長口頭報告につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議、ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御異議ないものと認めます。  それでは暫時休憩いたします。    午前十一時二十五令休憩    ——————————    午後零時十八分開会
  25. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 引続き厚生委員会を開くことにいたします。  国民健康保險法の一部を改正する法律案議題といたします。この前提案理由を伺いましたのですが、なお再考を要するところがございまして、その後の御報告を願いたいと思います。青柳衆議院議員
  26. 青柳一郎

    衆議院議員青柳一郎君) 先回この国民健康保險法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由提案者に代りまして、私から申述べた次第でございまするが、その後に至りまして、この原案に対する修正案を提出いたしました。その修正案衆議院におきましては可決いたしましたので修正案につきましての趣旨を申述べさして頂きたいと存じます。  原案にもございまするように、今回の改正におきましては、国民健康保險診療報酬審査機構といたしまして、従前は厚生省の通牒で以つて各府県に置かれました診療報酬調整委員会を今回法制化いたしまして、それを診療報酬審査委員会といたし、そのほかに診療報酬支払機関、この二つ機関を以てして国民健康保險診療報酬審査に当らせるというのが原案でございました。ところが現実の面を考えて見ますのに、これは当然かも知れませんが、保險者自身審査を行なつておりますが、又そのほかに都道府県を単位とする国民健康保險連合会審査を行なつておるのでございます。これら法律にない両者を法制化してやる、これら二つのものも審査することができるということを規定いたしたく、その点を修正いたした次第でございます。その修正案はお手許にございまするが、   第四十七条の二第二項を第三項とし、同項中「前項」を「前二項」に改め、同条に第二項として次の一項を加える。    前項規定ハ保險者が自ラ審査ヲ為シ又ハ都道府県区域トセル連合会二対シ審査ノ委託ヲ為スコトヲ妨ゲズ  結局この条文只今申しましたように、原案に法制化されておりまする二つ機関審査する以外に、保險者がみずから審査をなし、又は都道府県を單位とせる連合会に対して保險者審査を委託することを妨げないということを明文化したのでございます。次に   第四十七条ノ三中「前条」の下に「第一項」を加える。   第四十七条ノ七の次に次の一条を加える。   第四十七条ノ八保險者ハ第四十七条ノニ第二項ノ審査ヲ為スニ当りテハ療養担当者代表スル者及公益代表スル者各七人以上ノ同数ヲ之二参加セシムベシ。   都道府県区域トセル連合会ハ第四十七条ノニ第二項ノ審査行フ療養担当者代表スル者保險者代表スル者及公益代表スル者各七人以下ノ同数以テ組織スル機関置クモノトス  この条文保險者自身審査をする際にも、保險者だけみだりに審査をしてはいけない。やはり療養担当者を代表する者を入れろ、公益を代表する者を入れろ、そのおのおのは七人以下何人でもよろしいのでありまするが、七人以下の同数を参加させろ、これには保險者が行うものでございまするから、保險者を代表する者は入つていないのでございます。  第二項のほうの都道府県区域とする連合会が行う審査のためには、療養担当者保險者並びに公益代表者の三者からおのおの代表者を七人以下同数を出して、それを以て組織する機関で以て審査をしろ、そういう趣旨でございます。  以上御説明を申上げます。
  27. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御質問かたがたございますか。
  28. 中山壽彦

    中山壽彦君 審査機構の問題でありますが、私は診療報酬に対して一定審査をするということは、これはいいこととは存じまするけれども、とかく審査をいたしまするということは、請求点数を査定をするということになりやすい傾向が多分にあるのであります。現在の点数計算規定は、給与ベースが三千七百円ベースのときにできた規定かと存じておりますが現在はすでに七千三百円ペースに給与ベースが上つておるのでありますから、これは青柳議員よりもむしろ保險局長お尋ねしたほうが妥当かと存じますが、こういう機構と相関連して、政府点数計算規定改正せられる意思を持つておられるかどうか、現在の経済情勢に即応するように改正される意思を持つておられるかどうかということを一応お尋ねして置きたいと思います。
  29. 安田巖

    政府委員安田巖君) お答えいたします。診療報酬単価を引上げる意思はないかということでございますが、従来単価を出しました計算方法はなかなかむずかしい計算方法でありますが、いろいろ私どもその後勉強いたして見ましたが、どうも確信の持てる数字が出ませんので、調べかたもいろいろございまして、例えば開業されておるかたがたから集めた資料から、そういう単価をとるという方法もございますし、公的の診療機関から集めた数字でそういう単価を出して見るという方法も、ございまして、折角今そういう点を研究いたしております。先般社会保險医療協議会を開きまして、医師会の側からもそのような意見が出たのでございますが、この次の医療協議会におきまして、そういう問題につきまして、総括的に検討しようじやないかということで分れておる次第でございます。なお御承知と思いますけれども、先般臨時診療報酬調査会の出されました答申の中にも、医者の報酬につきまして、技術料等につきましては、別途調査会を設置いたしまして、これをもつと科学的に研究しろということでございますので、厚生省といたしましても、そういう点につきまして新らしく調査会を設けまして、勧告の趣旨に副つた基本的な調査をいたして見たいと、こういうふうに考えております。
  30. 中山壽彦

    中山壽彦君 私が今お尋ねいたしましたのは、単価の数の問題ではなくて、この点数計算規定というものを改正される意思はあるかどうかということをお尋ねしておるのであります。
  31. 安田巖

    政府委員安田巖君) ちよつと中山委員お尋ねしますが、点数計算規定を変えますということは、点数がきめてありますものを変えるということでございましようか、それとも今の点数計算規定診療報酬支払方法を何らか手を入れるという意味でありましようか。
  32. 中山壽彦

    中山壽彦君 私ども最近国立病院以外の医療機関の各病院の人々の意向を聞いて見ますると、例えば盲腸炎の手術のごときは二百五十点になつておるが、現在の経営状態では、この二百五十点の単価ではどうしても問題にならん。殊に自由診療が二割乃至三割ぐらいの程度に限局された現在において、こういうような点数ではとても経営ができないということを聞いておるのでありまして、この点について私ども非常に同情の感が強いのであります。この点をお尋ねしたい。
  33. 安田巖

    政府委員安田巖君) 今のお尋ねは、現在きめてありますところの個々の医療の措置につきまして点数を上げ、不均衡なものを直す意思があるかどうかというお尋ねのように承わつたのでありますが、そういう点につきましては具体的な例につきまして、一一社会保險医療協議会のほうにかけまして是正をいたしておりまして、できるだけそういつた点で全体としてのバランスがとれるような方向に進めて参りたいと思つております。
  34. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) ほかに御質疑はございませんでしようか。
  35. 山下義信

    山下義信君 衆議院のほうで御修正がありましたのでありますが、それについて提案者からの衆議院修正に対する何と申しますか、御説明があつたのでありますが、こういうふうに修正をいたしました長所というものは、原案より優れたということ、即ち言換えれば、こういう別の審査機関を置くことにすることによつて得るところの利益というものが、健康保險制度と言いますか、その制度の上にどういう利益があるか、こういうことでありましようか。これは修正をなさつた人に聞くべきでありますが、一応まあ提案者がお立会いでございましようから、どういう利益があつてこういう修正が行われたかということをお示し願いたいと思います。
  36. 青柳一郎

    衆議院議員青柳一郎君) 原案によりますると、診療報酬審査委員会診療報酬支払機関のみが審査に当る権能を持つということが明定せられておるのであります。ところが現実には保險者審査を行い、又連合体も審査を行なつておるのであります。それから末端に参りますと、法律規定にのみ忠実なるために現実に行われておることを無視せられて、折角自主的に集まつたものが自主的に審査をしておりまする機能を停止させることを慮れまして、それを明定する、そういうことでございます。
  37. 山下義信

    山下義信君 そうするとですね、私まだ修正案がしつかり腹に入らんのですが、つまり自主的な審査機関のほうがいいんだと、保險者みずからが関係の深い目前の審査機関を持つほうがいいんだと、こういう御説明ですね。そうすると、四十七条の三を、この審査機関に代つて四十七条の二の第二項のこの修正をそれに変えられたということのほうが、なお一層御趣旨が徹底するんではないでしようか。若し本員が誤解しておるならば、この修正二つ審査委員会を認めて、どちちでもいいという建前にされたのですか。審査委員会一つに、優れたほうの、便利のいい利益のある審査委員会に改める、こういうのでありましようか。只今修正案をお手許にお配り願いましたが、まだ読みかたが足りませんので、伺いたいと思います。
  38. 青柳一郎

    衆議院議員青柳一郎君) 原案によりまする二つ機関のほかに、二つ方法を新たに附加えて明らかに決めた次第でございます。保險者みずからが、この四つのもののうちどれによつて審査を行うかということは、保險者みずからに決定させようと、こう存じておる次第でございます。それが現状でもございまするし、そういうことを明らかにきめた次第でございます。
  39. 山下義信

    山下義信君 御説明がわからんでもないのでありますが、この種の機関を数たくさん置いて、そして保險者の自由な選択に任すという制度にしたほうが非常に制度としていいとおつしやるのですか。或いは又府県知事の置く審査機関でなくて、保險者みずからの関係のある自主的な審査機関のほうが機能として優れておると仰せになるのでありますか。この辺がはつきり本員にはわかりませんので、若しこの原案によりますような、第四十七条の三にありますような審査機関よりは、御修正になりましたような審査機関が優れたというならば、それに変更せなければ筋が立ちませんし、又審査機関というものは、いつも審査機関でなくして、いろいろ以上多数の審査機関があつて保險者にどの審査機関に請求するかということの選択の自由を任したほうが制度としていいというならば、その考えかたで行かなければなりませんので、提案者はその辺はどういうふうにお考えになつておりますか、承わりたいと思います。
  40. 青柳一郎

    衆議院議員青柳一郎君) 如何にも御尤もな御意見であるし、御尤もな御質問であると存ずるのでございます。ただ御存じのように、国民健康保險は成立いたしまして相当な年数は経つておりますものの、やはりなかなか事務的にも整備されておらない点があるし、未発達のところも相当あるのでございます。これらの現状を睨みまして、私どもといたしましては、いろいろな説を唱える人があり、第三者的の公の機関を以て審査すべきであるという意見もございます。又自主的な民主的な機関を以て審査を行うべしという意見もあります。この修正を行うのに当りましては、修正提案をした人の気持は、できるだけ民主的、自主的にやりたいという気持があるによつて修正案が出て来た次第でございます。併しながらそれだけの力を持たなかつたところもあります。従いまして、遺憾なことではございまするが、趣旨一貫しないような点がございますが、現状そのまま、四者のうちいずれを保險者がとつてもよろしいと、こういうことにいたしました次第でございます。
  41. 山下義信

    山下義信君 本員はこの審査委員会というがごとき機関は、極めて嚴粛な運営が行われなければならんと考えるものでありまして、従いまして連合会等が審査に当ることが必しもルーズであるということを杞憂するというのではございませんけれども、かくのごとく二重のものを置くということに相成りますると、これは制度として一つの混乱を来たしはしないかということを心配をいたすのでありますが、私はこの機会に、政府にこういう制度で少しも欠点はないと政府は考えるかどうかという点を聞いて置きたいと思います。且つこの国民健康保險事務費に対しましては、言うまでもなく全額国庫の負担である。かような機関を置くことによつて経費の上にどういう関係を来たすか、都道府県の設置する審査委員会で事足りれば、経費も大いに節約に相成るのではないかと思う。この連合会を設置するという修正案のような審査機関のそれらの費用というものは、政府の補助には何にも関係はないのかどうか、そういう点が本員は不明でありますので、政府から説明を聞きたいと思います。
  42. 安田巖

    政府委員安田巖君) 第一のお尋ねは、審査機構が複数であります場合に、それによつて混乱が起きないだろうかという御趣意だと思いますが、私どもが初め考えておりましたのは、基金と、それから都道府県に置かれまするところの診療報酬審査委員会、この二つを考えておる。勿論この国民健康保險保險者として、市町村も範囲は若干制限されますけれども、同様にまあ審査する機能をみずから持つておるわけでありますし、又それの連合体でありますところの国民健康保險連合会も同様に、そういうような機能、権限を持つておると理解しており、現に国民健康保險におきましては、連合会で六、十府県は自分でやつておるような実情でございます。そこで審査の一元化というような意味から申しますというと、確かに一つのものでやることが理想でございますけれども国民健康保險の実情は、御承知のように各市町村長が保險の主体でありますために非常に数が多うございます。基金だけでやりますにつきましても、或る府県におきましては、基金では量が多くてこなせないという所もございますし、まあ基金だけで立派にやつて行けるという所もございます。又都道府県委員会で全部やつてもいいのでありますけれども、今提案者から申されましたように、健康保險連合会自体も現に行なつておりまして、今述べられたような利点もあるようでございますので、まあ三つがお互いに実情によりまして、どうやつて行くかというふうなことをきめて行つても弊害はないのではないかというふうに考えております。それから第二点の国民健康保險連合会審査をやります場合の事務費と申しますか、或いはそれに対する国庫負担の関係でございますが、国民健康保險連合会がやりますために、それに現在国庫から補助を出すという途は講ぜられておりません現在におきましては、法律には規定はございませんけれども、今度設けられます都道府県国民健康保險診療報酬審査委員会に当るものといたしまして、通牒で診療報酬調整協議会というのがございます。それに対しましては、大体一府県当り十万円ばかりの金が平衡交付金のほうへ入つている。そこで連合会がやります場合には、やはり若干のこれは手数料はとらなければ財源としてやつていけないのじやないかと思いますが、併しこれはまあやりかたによりまして、極めて経済的にやれんでもないだろうと、こういうふうに思つております。
  43. 山下義信

    山下義信君 いま一つ提案者に伺うのでありますが、この第八条の九の第一項の改正がありまして、一部負担金の窓口払いをお認めになつたようでありますが、これはどういう理由でこういう措置をおとりになりましたのでありましようか。私の伺いたいと思いますのは、このあとで計算等の相違が出て参りましたとき等には、どういうふうにこれは事後の処置がなるでございましようか。その辺の取扱いかたを承わりたいと思います。
  44. 青柳一郎

    衆議院議員青柳一郎君) 一部負担金の窓口徴収につきましては、いろいろな利点もあるし、欠点もあると存ずるのでございます。ここにそれを踏み切つて国民健康保險につきましても、一部負担金の窓口徴収を定めようとしますゆえんは、実は健康保險のほうにおきまして、すでに窓口徴収の規定がございます、現実には国民健康保險におきましても、窓口徴収が行われておるところがあるようにも聞いておるのでございます。窓口徴収をしようと思えばできるという意味の規定を設けた次第でございます。その後の計算につきましては、一つ事務当局からお答えをさせることにいたしまして、お許しを願いたいと思います。
  45. 山口正義

    説明員(山口正義君) 窓口徴収の問題は、只今提案者から御説明がありました通りでありまして、実際にこの医療費につきましては、いろいろの論議がございまするが、実際問題といたしましては、窓口徴収をやつておりまする保險者が相当たくさんございます。それで最後の計算上の問題になりまするが、即ちお医者さんの下で医療を受けた本人が、この場合に一部負担金を払うということに相成るわけでございまして、御質問趣旨は、その場合に本人が払わなかつた場合にどうなるかというような問題になるのじやないかと思います。これにつきましては、保險者療養担当者との契約内容如何によつて差が出て来るわけでございまして、この療養の契約におきまして、一部負担金を本人が直接窓口に払う場合においては、保險者である市町村は、もうそのままあとは見ないというような契約内容になつておりますれば、被保險者本人の未払いがありましても、市町村は義務は負わないことに相成るわけでございます。但しこういうような契約内容になつておりません場合におきましては、被保險者の未払いがありました場合には、やはり保險者としての市町村にその負担がかかつて来る、こういうふうに解釈しなければならないと存じます。と申しますのは、国民健康保險におきましては、療養の給付を行うということになつておりまして、それは療養の給付そのもの一〇〇%を予定しておるわけでございまして、この場合窓口徴収の場合には、そのうちの費用の一部を本人をして支払わしめるということに相成るわけでありますから、今申しましたような解釈になるのでございます。
  46. 山下義信

    山下義信君 よくわかりましたが、国保の一部負担金は、これは言うまでもなく健保とは率に雲泥の差がありまして、いろいろこの取扱いのことにつきましては、相当考究を要するのではないかと思いますが、いま一つ、その一部負担金を支払いまする被保險者が窓口で払うと仮にいたしまして、払います時期はいつ払うのでございましようか。これは何も法規の上ではないかもわかりませんが、まあ現在の国保のうちで、或いはその他の健保でもよろしい、どういうときに払うでしようか。大よそその療養が終熄に近付いた場合にとつておるでしようか、途中でとつておるでしようか。これはですね、もつと質問者の腹を申上げると、その診療費というものの算定がどの程度付いたときに一部負担金を窓口払いをさせるのが至当であるか。若しこれが医師が仮に五割、一部負担と言うか、被保險者の負担率によつて、これはあなた千五百円払つてくれ、こう言つた、併し後に診療報酬の請求をして審査会で査定を受けた、その一部負担を被保險者に払わして置く、そのときの見込額と違つたというようなときには、果して被保險者にそのことが的確にわかるかどうか、一部負担金を支払つた者にわかるかどうか。その中間において、若しそれらが不明になるということがあれば、相当私は国保の現状、一部負担金を強いておる現状としては、そこに好ましからんような不明瞭な計算方式が出たのでは困る。そういうふうなものはどういうふうな扱いになつておりましようか。
  47. 安田巖

    政府委員安田巖君) 一部負担の窓口払いをいつやつたらいいかということでありますが、これはお医者さんが通常患者を見ておりまして、窓口で、例えば初診料半分なら半分払うというときには先に払うようになるだろうと思いますし、又村や町のことでありますと、一応あとで払うというような慣習であれば、それはそれが済みましてから払うというようなことになるかも知れません。丁度健康保險の一部負担が扶養家族のほうは五割でございますが、それと国民健康保險のほうは全部が五割でございますから、大体まあ同じような取扱いをするようになつて来やせんかと思います。それから支払をいたしまして、あとで審査等によりまして、この点数が減点した、従いまして医師のほうに払つたのは過払いになつているような状況もありやせんか、これは誠に御尤もな御意見でございまして、これは過払になつております分につきましては、被保險者に返還すべきだと思います。併し現実にもうすでに窓口払というのがたくさん行われておりますけれども現実問題といたしましても、或いは将来の問題といたしましても、そういつた点に若干困難な問題が起きるということは予想されますので、なおこの窓口払にいたしますことが、いいか悪いかという問題といたしましては、これはこの社会保險の本来の趣旨から申しますならば、勿論窓口払でないほうがいいことははつきりしていると思うのです。併し現実には実はいろいろ保險料の徴収がうまく行かないということの中には、お医者さんにかかりましてから、あとに一部負担を又保險料として払わなければならないのでありますが、それが病気が治つてしまうと、なかなか集まらんというようなことがたくさんあるのであります。そのためにいろいろまじめな被保險者一般にも迷惑をかけて、保險経済が潰れるというようなことがありまして、まあ現実と妥協して、そういうような、事実がたくさん出て来ておる。そういう事実が出ているということは、今の法律から申しますというと、実は法律に違反しているわけでありますが、そういう今度その違反している事実に法律を妥協させたというようなことになるのだろうと思いますが、そういうふうに一つ……。
  48. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) ほかに御質疑ございましようか……。別に御発言もございませんようですから、質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんでしようか。    「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  50. 中山壽彦

    中山壽彦君 討論を省略して、直ちに採決に入られる動議を提出いたします。
  51. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 中山委員の御提案に御賛成でございましようか。
  52. 長島銀藏

    長島銀藏君 只今中山委員動議賛成いたします。
  53. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) それでは動議は成立したものと認めます。  それではこれより採決に入ります。国民健康保險法の一部を改正する法律案について採決をいたします。国民健康保險法の一部を改正する法律案原案の通り可決することに賛成かたの御起立を願います。    〔総員起立
  54. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 全会一致でございます。よつて本案原案通り可決すべきものと決定いたしました。  それから委員長議院に提出する報告書には多数意見者署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     小杉 繁安  有馬 英二     山下 義信  長島 銀藏     石原幹市郎  藤原 道子     上條 愛一  谷口弥三郎     中山 壽彦  常岡 一郎
  55. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御署名洩れはございませんか……。御署名洩れはないと認めます。  なお本会議における委員長口頭報告につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御異議ないものと認めます。   —————————————
  57. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 次に、予防接種法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑をお願いいたします。別に御発言もないようですから、質疑はないものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 長島銀藏

    長島銀藏君 討論を省略いたしまして、直ちに採決に入るの動議を提出いたします。
  60. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 長島委員の動議に御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。予防接種法の一部を改正する法律案について採決をいたします。  予防接種法の一部を改正する法律案原案の通り可決することに御賛成かたの御起立を願います。    〔総員起立
  62. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 全会一致と認めます。よつて法案原案通り可決すべきものと決定いたしました。  それから委員長議院に提出する報告書には多数意見者署名を附することになつておりますので本案を可とされたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     小杉 繁安  有馬 英二     山下 義信  長島 銀藏     石原幹市郎  藤原 道子     上條 愛一  谷口弥三郎     中山 壽彦  常岡 一郎
  63. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御署名洩れはございませんか……。御署名洩れはないものと認めます。  なお本会議における委員長口頭報告につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御異議ないものと認めます。  ちよつと速記を止めて下さい。   (速記中止
  65. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 速記を始めて下さい。  次に、結核予防法案議題に供します。本法案に対します結核予防法に関する小委員長報告を求めます。
  66. 有馬英二

    有馬英二君 小委員長が差支えがありまして休んでおりますので、小委員長に代りまして、結核予防に関する小委員会の経過並びに結果を御報告申上げます。  本小委員会は、第九国会に引続き、今国会におきまして、昨年十二月十日、五名の小委員が選ばれまして藤森委員が小委員長に就任いたしました。本年二月以来六回に亘りまして小委員会を開催いたしまして、かねてから懸案となつております結核予防法改正政府案につきまして、政府当局より内容説明を聴取いたしました。一方現地について実情を把握するため、院議に諮り、中国並びに九州地方に議員を派遣いたしまして、視察を行うなど、愼重に調査審議をいたして参つたのでありますが、今国会に提出されました結核予防法案につきましては、昨日本小委員会に付託されまして、即日愼重審議を行なつて参りましたところ、一応次のような結論を得た次第でございます。  先ず本法案を通観いたしますに、その内容が比較的広汎であり、且つ本法による責任の所在も国及び地方公共団体は勿論、保健所、学校、工場事業場に分れており、なお民間医療機関その他あらゆる方面との関係も生じ、又相互関連いたしまする法律も労働基準法、学校教育法、国家公務員法、生活保護法、地方自治法を初め、保健所法その他衛生諸法及び社会保險諸法その他など各般に亘つております。その故に相互間の緊密な連絡と調整の円滑を欠くときは、本法案の実施面における結核予防の実効が期待しがたくなるのでありますが、運用のよろしきを得るならば、国民の福祉は期して待つべきものがあると信ずる次第であります。政府は左の点に深く意を用いられて、本法案の実施に当つて関係機関並びに工場、事業場、医師会等、民間諸団体との密接な連絡一体化、具体的な協力関係を確立すると共に、国及び地方衛生当局の衛生教育普及活動に加えて、学校教育、社会教育を通じ、或いは一般開業医の結核予防活動などの協力を得て、国民の末端にまで本法案趣旨の徹底を期し、正しい結核医療の普及を強く政府に対して要望するものであります。  次に、結核予防事業の第一線機関である保健所は、本法が実施せられる曉には、健康診断、予防接種の実施、結核患者の登録、家庭訪問指導、結核診査協議会、他の行政庁との協議その他予想せられる質問調査、従業禁止、入所命令、消毒等の都道府県知事の委任事務など急激な事務量の増加の結果、現在の保健所の能力について杞憂に堪えないものがあるのであります。一例を挙げますと、結核患者百五十万人のうち、届出により登録された在宅患者を九十万と推定いたしますと、これに年四回の指導をするものとすれば、延三百六十万人となり、現在保健所の結核関係保健婦数約三千名を以てすると、相当困難を予想されるのであります。又これに要する旅費その他の経費、自転車その他の装備についても、二十六年度予算を以てしては相当困難視されるのであります。これは家庭訪問指導実施の一例で、他の健康診断その他についても同様のことが言えるのであります。政府に対しまして、今後保健婦の増加は勿論医師その他職員の確保並びに従事職員に対しまして、結核対策に即応するように技術の再教育訓練に努め、保健所機能の強化を図り、本法案実施の万全を期するよう要望するものであります。  次に、第六十一条において健康診断及び予防接種に要する実費は本人又は保護者の負担となつておりますが、国民に受診義務及び予防接種義務を課し、ておるので、その費用は当然国において負担すべきものと考えられますが、政府説明によれば、国家財政の見地から無料で実施するのは困難であるので、できるだけ減免の枠を拡げたいとのことでありますが、限られた二十六年度予算内で制限なく枠を拡げ得るとは考えられないので、政府に対しまして、近い将来にすべての国民に無料で実施し得るよう今後の努力を要望するものであります。  次に一般結核患者に対する医療については、政府説明によれば、国家財政の見地から早期の結核患者に対してのみ適正なる医療として、人工気胸術、胸部外科手術、ストレプトマイシン、パラアミノ・サルチル酸療法を認め、その費用の二分の一を負担するとのことでありますが、社会保障制度審議会においても、社会保險においてすべての結核症の患者に対して医療の給付をなし、国庫補助を行うべきことを勧告していることでもあり、政府は今後すべての結核癖患者に対して、右の療法を行い得るよう努力せられんことをなお又在宅患者に対しては人工気胸術による療法以外のものは、原則として入院患者に認める方針とのことでありますが、我が国結核患者推定一五〇万人のうち、現有結核病床の現状から、入院可能の者は僅かに六・六%、約一〇万人に満たないのでありまして、大多数の在宅患者が適正なる治療を受けられないことになるのであります、かくては本法所期の実効は望みがたいのであります。要すれば在宅患者の診療に当る一般開業医に対しても結核専修の方途を講じ、不幸な在宅患者に近代医学の恵みを与え、適正な治療を受けさせ得る方策を講ずるよう、政府に対しまして今後の措置を強く要望するものであります。  次に、都道府県知事は結核を伝染させる慮れのある者に対しては、従業禁止或いは結核療養所に入所命令をなし得ることになつており、当該患者が受ける医療について、その費用の全部又は一部を負担することができることとなつておりますが、本人及びその家族についての生活保障には何らふれていないのであります。この場合当然国及び都道府県が保障すべきものと考えられるものであります。政府に対しまして、これらの者に対しては生活保護法の適用なり、その他の措置を講ずるなどを明確にして、法施行に支障のないよう努力せられるよう特に要望するものであります。  次に、健康診断、予防接種の費用については三分の一の国庫補助、結核療養所の設置に要する費用並びに第三十四条の医療費に対しましては二分の一の国庫補助をすることになつておりますが、残余については都道府県又は市町村の負担といたしておるのであります。従つて本法の完全なる実施を期待するときは、地方費の負担も必然的に増大されるものと考えられます。故に政府は今後常に地方の実態を把握して、補助率を引上げて、国庫負担額を増加するとか、全額を国庫で負担するとか、又療養所設置に対しては国庫補助率の増加或いは起債を可能ならしむる等、適切なる措置をとられんことを切望するものであります。  最後に、結核予防対策としての健康診断、予防接種、治療対策としての適正なる医療、療養施設については、本法の実施により一応効果を期待し得られましようが、予防措置後の対策即ち要注意者の結核発病防止のための保養所、養護施設の設置或いは結核恢復者の後医療、後保護施設については何ら規定を見ないのは、結核対策上欠くことのできない重要なる問題でありまして、甚だ遺憾とするところであります。政府に対しまして、今後において積極的な研究考慮、適切なる措置を要望するものであります。なお小委員会におきましては、結核予防法案に対しまして、別紙要望事項を付して原案通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。以上御報告申上げます。  なお結核予防法案に対する要望事項が付してありますので、申上げます。   結核予防法案に対する要望事項一、健康診断、予防接種の実施を徹底させるためには、医師その他医療関係者の全幅的協力を得られるよう考慮すること。二、健康診断、予防接種に要する医薬品その他資材の確保に遺憾のないようにすること。三、健康診断、予防接種に要する費用は全額国庫負担とするよう予算措置を講ずること。四、ツベルクリン反応検査、X線検査、予防接種等実施技術者に対して専門的再教育訓練の徹底を図ること。五、従業禁止、命令入所を命ぜられた患者に対する医療の保護は十分でなければならぬと共に、その家族の生活の保障についても万全を期するよう考慮すること。六、結核患者が適正なる医療を受ける費用に対して公費負担の枠を拡大すると共に、国庫の補助率を高くすること。特に在宅患者も適正なる医療を受けられるよう考慮すること。七、在宅患者、同居家族に対しては医師保健婦の訪問指導を徹底せしめること。八、保健所、療養所の医師保健婦看護婦の待遇を改善し、定員の確保に努めると共に、専門技術の研修を徹底し、それぞれの機能を十分発揮せしめるよう考慮すること。九、後医療、後保護施設について根本方策を考慮すること。一〇、結核発病防止のため保養所、養護学校、養護学級について根本的方策を考慮すること。一一、結核の感染予防のため乳児院、託児所、保育所について考慮すること。一二、結核の予防治療に関する国の研究を振興すると共に民間における研究に対しても積極的に助成を行うこと。
  67. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御報告書は以上の通りでございます。なお法案に対しまして、質疑の御通告がございます。藤原委員の質疑を許します。
  68. 藤原道子

    藤原道子君 私は先ず第一にお伺いいたしたいと思いますのは、この結核予防法案を、後保護を加えて結核対策法又は結核法とすべきであると存ずるのでございますが、従来我が国における結核予防対策という概念は、結核撲滅という意味であると思います。この法案にも結核の予防と医療とが含まれております。併し結核撲滅対策としての予防と医療、後保護が有機的に行われなければ、決して効果は挙るものではないと存じまするので、従つてこの法案に欠けておる後保護を加えて、結核対策法又は結核法とすべきであると思いますが、これに対する大臣のお考えを伺いたいと思います
  69. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 御説御尤もでございます。国の財政が許しますれば、早速にも後保護のことについて対策を講ずべきであると存じておりますが、只今の段階におきましては、この程度法案を以てやむなきものと考えております。
  70. 藤原道子

    藤原道子君 予算がないからということで、いつも中途半端なものを作りまして、そのために却つて無駄な金が使われておるということが多々あるのでありまして、後保護の施設があつたならば、退院後に再発をしなくても社会へ復帰することができるものを、これがないために再発をする。再発のときには却つて従来よりも悪い転帰をとつておることは明らかなことでございまして、予算がないということは熱意がないということにも通ずると存じますので、断じて私はこの方法を要求したいと思います。後保護施設をするについて、予算がないと言われますが、どの程度の予算があつたらできるのですか。
  71. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 後保護施設、後保護の問題は予防医療と共に、結核対策として一連の形をなして行かなければならないことは、山崎委員のお説の通りでございまして、私どもとしても後保護の問題を取上げて行かなければならないと考えておるのでございますが、今回御審査議願いました法案のうちでは、後医療、狭い意味の後保護に分けまして、後医療のほうは、この本法におきます医療の面で取扱いまして、後保護のほうは一応社会局の社会施設のほうで取扱つて頂くというような取扱をして行くのでございます。今後の後保護問題につきまして、如何に結核対策上やつて行かなければならないかということにつきましては、本案の中にも盛られてございます結核対策審議会において取上げて頂いて、いろいろ今後の行きかたをきめて頂きたいと、そういうふうに考えているのでございます。後保護施設として完全なもの、完全と申しますか、予算をどれくらい要するかという点につきまして、只今申訳ないことでございますが、ここに細かい資料を持合せておりません。後刻御報告申上げることにいたしたいと思います。
  72. 藤原道子

    藤原道子君 次に、健康診断についてお伺いしたいと存じますが、昭和二十六年度中に健康診断を行うその対象人員の数はどれだけであるか、そしてその推定根拠は如何なるものであるかということについてお伺いいたしたいと思います。
  73. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 昭和二十六年度において実施いたします健康診断の予定人員は、お手許に差上げました、資料の結核予防法案逐条説明参考資料という横書きの第一にございまして、定期並びに定期外を加えまして、総計約四千万人になつておりまして、これを被用者、学生生徒或いは施設に収容されているもの、或いはそれ以外の一般の住民、そういうものの定期の内訳を作つたのでございます。定期外の内訳といたしましては、患者家族、帰郷者、業態者、そういうものの内訳を含んでおります。
  74. 藤原道子

    藤原道子君 健康診断に際して行う検査の基準について伺いたい。それから健康診断を実施するに要する人員、即ち医者の数、レントゲン技師或いは細菌技術者看護婦、又は保健婦事務員の数、保健所、官公立病院、開業医の受持つべきパーセンテージ、これらについて伺いたいと思います。
  75. 小川朝吉

    説明員(小川朝吉君) 只今実際の所要人数というのは、甚だ申訳ないのでございますが、算出いたしておらんのでございますが、大体ツベルクリン反応、BCG等の接種につきましては、全面的に各施設或いは学校、開業医等の御協力を受けまして、一応できるという考えかたでございます。なおX線等につきましては、大多数を保健所の活動によりまして、なし得る考えかたでございます。これは本年度の実績におきましても一千万人、並びに府県のレントゲン照射等による活動は五百万人くらいになつております。それに今後国立療養所、国立病院、日赤病院その他の公的診料機関の御協力を得まして実施いたしますならば、大体予定の一千八百万人くらいのレントゲン撮影はできるのじやないか、なお先ほど局長から四千万人と申上げましたのは、対象人数でござ、いまして、実際上レントゲン撮影をいたしますのは、その中の部でございまして、それも只今の資料の中に入つております。
  76. 藤原道子

    藤原道子君 それは何人ですか。
  77. 小川朝吉

    説明員(小川朝吉君) 今申上げました千八百万人でございます。
  78. 藤原道子

    藤原道子君 レントゲンの問題だけじやなくて、聽打診とか、血沈、レントゲン検査、喀痰検査なども併せ行い得るという自信がおありになるわけですか。
  79. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 先ほどお尋ね健康診断方法、基準はこれは省令で定めさせて頂くことになつておりまして、只今御指摘のようにツベルクリン反応検査、X線検査、赤沈の検査、喀痰検査、これらを必要によつて実施するということになつておりまして、二十五年度に実施いたしました実績から考えまして、大体私どもの計画いたしております健康診断を実施し得るという見通しを持つております。
  80. 藤原道子

    藤原道子君 実施できるという見通しだということでございますけれども、私は誠に不安に思うのでございます。一昨年私は北海道を視察いたしましたらば、北海道の保健所の約三分の一に医者がいない、医者のいない保健所ということを皆さんお考えになつておいでになるでしようか。北海道の三分の一に亘つて、而も旭川であるとか、夕張であるとかいうような大都市において、その保健所に医者がいない、而もそのままに放置されておる。保健所さえ作れば保健所の活動ができるというような考えかたは、徹底的にこの際改めて頂かなければなりません。従つて従来の経験からいつてと言われるけれども、従来がそうであるからこそ、私は絶対に信じられないのでございます。それといま一つその点についてお伺いしたいと思いますが、健康診断を実施するに要する設備資材が本当に十分であると思つておいでになるかどうか、その例といたしまして、一つ東京都内の健康診断実施可能人員というものを私は直ちにお調べになつて御提出を願いたい。東京都の実施計画の提出を私はお願いいたしたいと思います。それから定期外健康診断につきまして、街頭診断をするのは誰がなさるのか、それから定期健康診断との関係、それから定期外健康診断を要求する者があつたときは実施せねばならないというようなことは考えていられるかどうか、或いは府県別に相当な差が出て来る腐れがあると思うのでございます。これに対する処置はどうされるか、例えていえば、国が都道府県に命じてやらせる手段など、或いはこの際に全額国庫負担等が考えられなければ、富有な県であるとか、或いは非常に貧乏な県であるとかいうような、県で非常に差ができて来るという虞れがあると思いますが、それに対してはどういうふうにお考えになつておられるか。
  81. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 保健所の整備状況が不十分であるために、私どもの企図しております只今お答え申上げました健康診断が円滑に実施されないのじやないかという御指摘がございました。保健所の設備、施設が十分に整備されていないという点は御指摘の通りでございまして、私ども今後大いに努力して行かなければならないと思うのでございまして、先ほど御指摘のありました北海道に医者のいない保健所が相当多数にあるというお話でございますが、先般も御指摘がございましたので、その後調査いたしました。私ここに正確な数字を持つておりませんが、それが大分改善されて参つております。併し決して完全とまではまだ行つておりませんことは私ども誠に申訳なく思つております。現在全国の保健所で医師保健婦の充足状況は約四分の三程度でございますので、今後私どもといたしましては、その充足に非常な努力を払つて行かなければならないと存じているのでございまして、その一助ともなりますという意味で、先般御可決頂きました予算の中から、来年度保健所に対する研究費を出すとか、或いは保健婦に対する旅費の増額を行うというようなことを企図しているのでございます。今後この結核予防法、特に健康診断、予防接種を実施して行きまするのに、保健所の活動が非常に重要な役割を占めておりますので、御指摘の状況十分反省いたしまして、できるだけ努力して行かなければならないと存じております。なお東京都内の健康診断の実施計画、これはあとで調査いたしましてお手許に差上げたいと存じております。それから定期外の健康診断の実施は、一応対象となります範疇に属する、範疇は一応法律の中にも示されております。結核予防上必要があると認める特別な人たちに対して都道府県知事がその対象を指示して、健康診断を実施するということになつております。それからお尋ねの定期以外の健康診断の要求があつたという場合でございますが、普通この法律の中には、そこまで考えてはおりませんが、そういう場合には都道府県知事が必要と認めて、この法律に基いて定期外の健康診断を実施するという措置をとつて行きたい、そういうふうに考えております。又県の財政状態によつて健康診断の実施のアンバランスがあるのではないかという御心配、御指摘でございますが、従つて全額国庫負担にしない限り、そういうことが起るのではないかという御指摘でございますが、全額国庫負担につきましては、私ども今後できるだけ努力して行くつもりでおります。今までもそういう要求をして参つたのでございますが、現在の国家財政上それが許されませんので、この法にございますような状態になつたのでございますが、府県によるアンバランスの点につきましては私ども十分指導いたしまして、そういうことの起らない、又本法施行に要します地方財政の問題につきましては、地方自治庁のほうとも、本法を起案いたしますのにつきまして、再三打合せをいたしておりまして、地方財政の点を十分考慮してもらうということになつておりますので、アンバランスの起らないように指導して行きたい、そういうふうに考えております。
  82. 藤原道子

    藤原道子君 私はこの点を強く心配いたしますのは、先だつて福岡県に起つた天然痘ですね、あれもやはり予防接種を受けなかつた人に起つておるという例が出ております。それは極く僅なものでございますから、この点はがあるのでございますから、そういうことがあるのでございますから、この点はよほどお考えにならなければ、地方財政に左右されて十分な効果が挙がらないようなことがあり得ると思いますので、この点は強く要望いたします。次にお尋ねいたしたいのは、予防接種についてでございますが、対象人員と、それから算出基礎はどういうふうにしておやりになつたか、資材の生産は昨日も参考人のお話で、十分間に合うというお話でございましたが、なお昨日のお話の中に、非常に乾燥になつてからは危険率が、死んでいるのが多くて、今ここに出山されておる数では目的は上らないというようなお話でございましたが、それらに対して、どういうふうな措置をとられるつもりか、それからこれが実施に対する人員が確保できるかどうかということを一つお伺いしたいのでございます。
  83. 小川朝吉

    説明員(小川朝吉君) 予防接種の対象総数は各年齢層或いは職階におきます実際の陽性率予想から算出いたしました員数でございます。なお昨日の乾燥ワクチンに対する新らしい知見の問題につきましては、現在専門家の間で研究の進められてあるのをお漏らしになつたものと考えられておりますが、私どもの仄聞いたしますところでは、来月開かれます日本医学会の総会のときに、各地から専門家がお集まりになつて、そこで更に材料を出し合つて十分な検討をした上、何かと政府に御進言があるのではないかと思つております。その結果によりまして、どういうふうに変えるのか適当であるかというようなことで、恐らく薬務局におきまして基準の変更が出ることがあるかと思われます。昨日お話された限りにおきましては、或いは一CCなら一CCの原料増加ということが、生産のことは私どうかと思いますが、大体生産の隘路は乾燥というような段階以後のことでございまして、原料の問題については私心配がないのではないかというふうに予想いたしております。
  84. 藤原道子

    藤原道子君 昨日参考人としておいでになりました、三人のかたが、表現の方法は違つておりましても、やはりBCGの予防接種が結核に対してのきめ手ではないということは異口同音に言われたことだと存じます。そこでそれなら結核対策のきめ手でございますね。これをどういうふうにお考えになつておられるか、厚生省では結核対策のきめ手は何であるかということをお答え願いたい。
  85. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 結核対策のきめ手は何であるかという御質問でございます。私ども決してBCGだけで、昨日のお話にもございましたように、BCGだけで結核が解決できるものとは考えていないのでございます。結核を減少させます対策は、これはいろいろな施策を総合的に実施して行かなければならない、そういうふうに考えておるのでございます。先ほど藤原委員から御指摘がございましたように、予防、医療、これらの方法一環性を持たせまして、社会的疾患に対する総合的な対策を立てて行かなければ、一つの事柄だけで解決するということはなかなか困難なことではないか、さように考えておりす。
  86. 藤原道子

    藤原道子君 法案中にあります種々な方法も全く手探りのようなものだと思われるのでございます。昨日熊谷博士も、これが効果を挙げるには一人一人の場合を考慮してやらなければ効果は挙らないということを指摘しておいでになりました。この注意に対しては、どのような考慮によつて厚生省ではおやりになる御意思であるかということでございます。それが一点伺いたい。そこで発病防止の措置でございますが、ツベルクリン反応陽転者の取扱い、職場における業務の緩和等の措置についてはどう考えておられるか、管理についてはどう考えておいでになるか、職場における保護、保障についてはどういうふうに考えておいでになるか。それから医学的な管理計画についてはどう考えられておるか。二年間はこの医者の管理が必要であると思いますが、それらについての問題、それから病染源の探索についてはどう措置をされるのか。ツベルクリン反応の陽転者の周囲には必ず伝染源がある。この探索が結核予防の大きな課題であろうと存じますが、これらに対する措置はどうお考えになつておるか。
  87. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 只今の御質問の第一の一人々々に対する考慮をどういうふうにしてやつて行くかという問題でございますが、これは本法案の中にもございますように、医師にその個々の場合の療養の指導或いは完全防止に対する指導等を実施して頂きまして、その個々のケースに対して、療養の指導なり或いは予防の方法というようなことを指導して行つてもらいたい、そういうふうに考えているのでございます。職場における保護の問題でございますが、これは本法におきましては、主として他への感染防止ということに重点を置いて立案されております。職場における本人の保護ということにつきましては、労働基準法にも謳われておりますので、労働基準法と密接な連絡を保ちつつ、働く人たちの保護をやつて行きたい、そういうふうに考えております。在宅患者の保護としましては、本法にございますように、保健所の指導等によつて、その療養指導或いは予防指導を実施して行きたい、そういうふうに考えております。感染源の検出ということは、御指摘の通り非常に重要な点でございますが、これも先ほど申しました定期的な健康、診断或いは定期外に実施いたします特定の対象に対する健康診断によつて、感染源の検出に努めて行きたい、そういうふうに考えております。
  88. 藤原道子

    藤原道子君 労働基準法にも関係があることはもうわかつておりますが、この法案作成に当つて、労働基準局と十分な打合せ等はできているのですか。
  89. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 本法案作成に関しましては、労働省の労働基準局或いは文部省当局と十分打合せをいたしまして、立案いたした次第でございます。
  90. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 水産委員会法案を上げますのを、速記の都合で待つているのだそうでございます。取りあえず休憩いたしまして、速記を水産委員会のほうへ廻すことにいたします。それでは暫時休憩いたします。    午後一時四十四分休憩    ——————————    午後三時十七分開会
  91. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 休憩前に引続き再開いたします。結核予防法案議題といたします。速記を止めて下さい。    午後三時十八分速記中止    ——————————    午後三時三十四分速記開始
  92. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 速記を始めて……。それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     河崎 ナツ君    理事            小杉 繁安君            有馬 英二君    委員            石原幹市郎君            中山 壽彦君            長島 銀藏君            上條 愛一君            藤原 道子君            山下 義信君            常岡 一郎君            谷口弥三郎君            松原 一彦君   衆議院議員            丸山 直友君            青柳 一郎君   国務大臣    厚 生 大 臣 黒川 武雄君   政府委員    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省医務局長 東 龍太郎君    厚生省保險局長 安田  巖君   事務局側    常任委員会專門    員       草間 弘司君    常任委員会專門    員       多田 仁已君   説明員    厚生省公衆衛生   局結核予防課長  小川 朝吉君    厚生省保險局国   民健康保險課長  山本 正淑君