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1951-03-26 第10回国会 参議院 厚生委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十六日(月曜日)    午後一時五十二分開会   —————————————   委員の異動 三月二十三日委員川村松助君辞任につ き、その補欠として草葉隆圓君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○結核予防法案内閣提出・衆議院送  付)   —————————————
  2. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 只今より厚生委員会を開くことにいたします。  本日は結核予防法案につきまして、それの詳細な説明厚生省から聴取いたすことにいたします。厚生省公衆衛生局長山口正義さん。
  3. 山口正義

    政府委員山口正義君) 結核予防法案につきましては、先般大臣から提案理由を御説明申上げたのでございますが、私から補足的にお手許に差上げました法案につきまして逐條御説明を申上げたいと存じます。お手許に差上げました法案の第一章は第一條から第三條まででございまして、これはこの法の目的並びに国及び地方公共団体義務医師その他の医療関係者義務、これを規定しているのでございます。第二章は健康診断に関する規定でございまして第四條から第十二條まででございます。先ず定期健康診断についてでございますが、第四條の第一項は、事業場或いは学校その他の施設というような集団生活者に対する定期健康診断規定でございまして、その義務者事業使用者或いは学校施設等の長ということでございます。第四條の第二項は、これは保健所長はその管内結核予防行政について責任を持つべき立場にございます。且つ健康診断のための器材の活用についても調整を図る必要がございますので、保健所長がその管内のいろいろの事業、それから学校施設におきまして実施されます健康診断につきまして期間或いは期日を指定することができるという規定でございます。第四條の第三項は、これは厚生大臣が指定いたします区域と申しますのは、一般的に見まして統計の上から結核が比較的蔓延しておるという地区、つまり年間死亡率が高いというようないわゆる殷賑地区の住民に対しまして、定期健康診断をするという規定でございます。この際の義務者市町村長になつているのでございます。第四項は、本法と他の法令、例えば労働基準法或いは学校教育法というような他の法令に基きます健康診断との調整を謳つているのでございます。これらの定期健康診断に要します費用は、事業の場合は全部事業主負担いたします。それ以外の場合は受診者から実費を徴収することができるという規定になつておりますが、実費の徴収できないものにつきましては、実施者が三分の一、都道府県が三分の一、国が三分の一負担するということになつております。第五條定期外健康診断でございまして、これはその第五條の一、二、三、四に書いてございますように、結核予防上特に必要と認められるような、集団或いは個人に対して定期外健康診断を実施するという規定でございます。第六條は健康診断の方法に関する規定でございます。第七條は、第四條、第五條において実施者のほうの義務を課してあるわけでありますが、第七條は第四條、第五條に対応いたしまして受診者義務を謳つているのであります。定期健康診断につきましては罰則はございませんが、定期外健康診断につきましては罰則規定がございます。第八條は他で受けた健康診断、例えば医師について自発的に健康診断を受けた場合、或いは転職、転校の場合で、定期健康診断を受けるときにすでにほかで健康診断を受けておるような場合にはその定期の前の三カ月以内に受けた者については、その定期健康診断或いは定期外健康診断とみなすというふうな規定でございます。それから第九條は定期健康診断を受けなかつた者、何かの事故のために、或いは疾病のために受けなかつた者につきましては、その事故が消滅いたしましてから二カ月、事故が二カ月以内に消滅いたしましたときは、その事故の消滅後一月以内に健康診断を受けなければならないという規定でございます。第十條は健康診断に関する記録でございます。記録に関する規定でございます。第十一條健康診断の結果の通報又は報告に関する規定でございます。  第十二條健康診断に関しましての省令委任規定でございます。  第三章は予防接種に関する章でございまして、これは第十三條から二十一條までございます。現行予防接種法規定されております結核に関する予防接種を抜き出しまして、健康診断予防接種というものを直結さして結核対策を立てて行くというためにこちらに抜き出したわけであります。定期予防接種規定、或いは定期外予防接種規定、大体健康診断に関する規定と同様に取扱つているのでございます。この場合の費用実費徴収ができる建前になつておりまして、実費徴収不能者につきましては実施者が三分の一、県が三分の一、国が三分の一負担することになつております。この予防接種につきましては事業主負担を認めておりません。第十四條は定期外のもの、第十三條が定期予防接種でございますが、十四條が定期外予防接種、それから十五條予防接種ツベルクリン反応を判定した日から直ちに行うのが建前でございますが、直ちに行えない止むを得ない事情があるというような場合には、二週間以内にすれば差支えない。それを二週間を越した場合にはもう一遍ツベルクリン反応を繰返してやらなければならないという規定でございます。十六條は先ほどの健康診断受診者義務と同様に、予防接種を受ける者の義務規定でございまして、これも定期定期外に分けてございまして、定期のほうは罰則はございませんが、定期外のほうは罰則がございます。それから第十七條は他で受けたツベルクリン反応検査及び予防接種規定でございまして、これも先ほどの他で受けた健康診断の場合と同様な取扱をすることになつております。第十八條定期予防接種を受けなかつた者、これも健康診断の場合と同様の取扱でございます。十九條はツベルクリン反応検査及び予防接種に関する記録についての規定でございます。二十條は予防接種に関する通報又は報告規定、二十一條予防接種に関しての省令委任規定でございます。以上が第三章の予防接種に関する章でございます。  第四章は患者届出登録、及び患に対する医師指示に関する規定でご者ざいまして、二十二條から二十七條までございます。二十二條医師の行う届出に関する規定でございまして、現行法にもございますし、又先般提案理由説明にもございましたように、伝染病届出規則にもございます。それをまとめましてここで新らしく條文を設けたわけでございます。二十三條は病院に入院或いは療養所に入所しておつた者が退院いたしました場合における病院管理者の行う届出に関する義務でございます。第二十四條は保健所長の行う登録に関する規定でございまして、医師からの届出、或いは二十三條によつて届出られました患者について保健所長登録を行いまして、必要に応じて家庭訪問指導を行わせるというふうにするわけでございます。二十五條はその家庭訪問指導に関する規定でございます。二十六條、二十七條結核患者並びに死亡者に対する死亡診断書死亡診断等における医師指示に関する規定でございまして、医師はその職務の性質上、患者療養については当然指示いたします。が、この結核疾病特殊性に鑑みまして、他への伝染防止についての指示をしなければならないという規定でございます。本章におきましては第二十二條医師届出に関しましての罰則がございます。それから二十六條、二十七條医師指示につきましての罰則がございます。  第五章は伝染防止に関する規定でございまして、二十八條から三十二條までございますが、二十八條従業禁止に関する規定でございまして、職場の関係上他に結核を伝染させる虞れが著しいと認められるような患者がありました場合には、期間を定めまして、従業禁止都道府県知事が命ずるという規定でございます。それに従わない場合の罰則規定がございます。第二十九條は、従業関係から他に結核を伝染させる慮れがあるというような者に対しましては、やはり都道府県一定期間を定めまして、療養所に入所することを命ずるという規定でございます。二十九條の二項のほうは、国又は地方公共団体の開設する療養所或いは国から補助を受けておる療養所は、こういう入所命令を受けた患者を受け容れる際に正当な理由がない場合にはそれを拒否してはならないという規定でございます。第三十條は結核菌に汚染されました家屋消毒に関する規定でございます。三十一條結核菌に汚染されました物件消毒或いは廃棄に関する規定でございまして、なお三十一條にはその損失の補償に関する規定が二項以下に謳つてございます。三十二條家屋消毒或いは物件消毒廃棄等を行います場合に、必要に応じて都道府県知事当該官吏に立入をさせ或いは質問をさせ、調査をさせるという規定でございまして、それらを拒んだ場合には或いは虚偽の答弁をした場合には罰則規定がございます。  第六章は医療に関する規定でございまして、三十三條から四十三條までございますが、三十三條は地方公共団体に対して厚生大臣結核療養所設置及び拡張勧告を行うことができるという規定でございます。この勧告を行いました場合には国がその設置及び拡張に関する費用の二分の一を負担するという規定になつております。三十四條は一般患者に対する医療でございまして、これは結核の適正な医療の普及をいたしますために、一定條件にかなつたもの、例えば医療が本條に基く省令で定めた内容のものであるという場合、それから次に出て参ります指定医療機関でその医療が行われるというような場合に限りまして、患者からの申請によりまして都道府県医療に関する費用の二分の一を負担することができるという規定でございます。都道府県負担いたしましたその二分の一に対しまして、国が更に二分の一を補助いたしますので、結局本人が二分の一、国が四分の一、都道府県が四分の一ということになります、一定医療といたしましては、人工気胸による療法、或いは外科手術による治療、ストレプトマイシンの注射、パスの投與というようなことを一応考えております。三十四條の二項は申請手続でございまして、三項は都道府県知事がそういう申請を受けまして、それを許可するというときには保健所設置されました結核診査協議会意見を聞いて行わなければならないという規定でございます。四項は、そういうふうにして医療費負担をいたします場合に、六カ月たちました場合には、更にもう一遍改めて診査するという規定でございます。三十五條は、先ほどの伝染防止の所の規定にございました従業禁止、或いは命令入所をさせられました患者が、医療されました場合に、経済的の理由によつて医療費負担ができないというようなときには、国が二分の一、府県が二分の一負担をしてやるという規定でございます。三十六條は指定医療機関でございまして、三十四條、三十五條規定いたしました医療を担当してもらうために医療機関を指定する規定でございますが、これが国が開設した病院又は診療所につきましては、厚生大臣がその主務大臣同意を得て指定いたします。その他の病院につきましては都道府県知事開設者同意を得て指定するということになつております。二項、三項はその指定医療機関の行うべき義務規定でございます。四項は指定医療機関の辞退に関する規定、五項は取消規定でございます。六項はその取消を受けた場合に弁明機会を與える、弁明に関する規定でございます。第三十七條はこの医療費負担につきまして、社会保険生活保護法本法との関係でございます。一般患者、即ち第三十四條の患者につきましての医療につきましては、本法社会保険各法或いは生活保護法に優先いたします。即ち本法に基いて医療費の半分を負担いたします。あとの半分を社会保険或いは生活保護法でやつてもらうということになるのでありますが、あとの半分を社会保険でどういうふうに給付されるかということは、社会保険法規定に従うということにしてございます。それから第三十五條、即ち従業禁止とか、或いは命令入所患者につきましての医療費負担につきましては、社会保険各法が本法に優先いたしまして、本法生活保護法関係では本法生活保護法に優先いたします。と申しますのは、社会保険給付を受けられるということに経済能力一つというふうに考えまして、社会保険本法より優先させております。生活保護法補足性に従いまして、本法生活保護法に優先するということになつております。第三十八條診療報酬請求に関する規定でございます。三十九條は診療報酬基準に関する規定でございます。四十條は被保險者の行う申請でございまして、社会保険によつて医療の全額について給付を受けるものは本法申請をしない場合が考えられますので、この場合には保険者が代つて申請を行うことができるという規定でございます。四十一條は一々成規手続をとつているといういとまのないという急迫の事態の場合でございます。四十二條報告請求及び検査に関する規定でございます。四十三條は省令委任に関する規定でございます。  第七章は結核予防審議会及び結核診査協議会に関する規定でございます。これは四十四條から五十條までございます。四十四條は結核予防審議会に関する規定でございまして、厚生大臣諮問機関として、結核予防及び結核患者医療に関する重要事項を調査審議してもらうために、結核予防審議会を設けるという規定でございます。四十五條はその結核予防審議会委員に関する規定でございます。四十六條は、結核予防審議会の庶務は、厚生省公衆衛生局で行うという規定でございます。四十七條結核予防審議会の運営に関する規定でございます。四十八條は先ほど医療費負担の所について申上げました保健所、ことに置かれる結核診査協議会に関する規定でございます。四十九條はその結核診査協議会委員に関する規定でございます。五十條は協議会に関しての政令委任についての規定でございます。  第八章は先ほど来申上げました費用に関するものを一まとめにした章で、ございまして、都道府県の実質的に支弁すべき費用市町村の支弁すべき費用、それぞれを一まとめにしてございます。ただここで療養所に関する補助は五十七條、五十九條、六十條にございますが、五十七條は先ほどの厚生大臣地方公共団体に対して設置或いは拡張勧告をした場合は、国が二分の一を補助するという規定でございまして、五十九條は勧告をしなかつた場合、これらの地方公共団体に対して予算の範囲内で二分の一を補助するという規定でございます。六十條は営利目的としない法人、これは従来公益法人だけだつたのでございますが、今度は幅を拡げまして営利目的としない法人、例えば医療法人とか学校法人、そういうものに対しては政令で二分の一以内の費用補助するという規定でございます。六十一條実費徴収に関する規定でございます。  第九章は罰則に関する規定でございます。これは先ほど来申上げましたのを一まとめにしているのでございまして、六十二條、六十三條でございます。  第十章は雑則でございまして、六十四條は保護者義務、六十五條は代執行に関する規定、それから六十六條は労働基準監督署とか或いは教育委員会というような、他の行政庁との協議に関する規定でございまして、六十七條は先ほど申しました伝染防止に関する処置に不足がある場合に訴願をすることができるという訴願規定でございます。六十八條保健所設置する市に対しまして、都道府県と同じような権利義務を與えているのでございまして、これは定期外健康診断或いは予防接種或いは伝染防止に関する措置、但しこの場合は、従来禁止とか入所命令は含んでおりません。伝染防止に関する措置一般医療に関する規定、或いは代執行に関する規定、これはいわゆる政令措置の市長、都道府県知事と同じように措置ができるという規定でございます。  以上が結核予防法案につきましての逐條ではございますが、極めて概略の御説明でございます。
  4. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 只今概略の御説明を頂きましたのですが、これから質疑に入ることにいたしますが、御質問ございましたら逐次おつしやつて下さいませ。
  5. 有馬英二

    有馬英二君 政府結核予防重大性に鑑みて今回結核予防法案なる一つ法案を出されたことは、私ども多年結核予防に腐心して来た者としまして非常に満足を表しておる次第であります。つきましてはこの法案は誠に重大な法案であると考え、これに対して十分の審議期間を與えられなければならんと考えるのであります。然るに政府は、今月もう数日しかないような、勿論四月はありますけれども、四月は御承知のように休会になるそうであつて審議期間が誠に切迫しておる、こういう際に、かような重大なる法案を出された。そして只今説明なつたような件について、十分審議機会を與えられないということは甚だ私どもの遺憾とするところでありまして、この点に関して十分本委員会においても愼重な審議を盡されんことを私は希望するものであります。  逐條審議質問に入る前に、私はなお一つのことを政府にお尋ねしたいのであります。それは御承知のようにこの結核予防ということにつきまして、世間ややもすると、この法案内容について、或いは政府が折角しておるような結核予防対策について、疑義を抱くというような人があるやに思われる。御承知のように大衆雑誌ということは言えないかも知れませんが、最も現今多く読まれておるところの普通雑誌文芸春秋でありますが、四月号に、社会保障制度審議会の一員が、特に結核撲滅策撲滅というような題で以て、結核予防法全般に対して疑義を抱いておる。或いはそれに対する非常な攻撃の矢を放つておるようにも考えられる。こういうようなことが、これはただこの法案内容を少しも知らないような人たちが言うのなら、私どもは気にかけないのでありますが、少くとも社会保障制度審議会の会員であるというような人が、この法案に対して、或いは少くとも私どもが今考えておるような結核撲滅策に対して疑義を抱いておる。而も甚だ穏かならんことを言うておるということは、どういう工合に政府は考えられるか。それに対する説明を聞かんことには、この法案審議に入ることは私は差控えて頂きたい。この点一つ私は政府から十分私どもの納得の行くような説明をして頂きたい、この点をお伺いする次第であります。
  6. 山下義信

    山下義信君 議事進行について発言したいと思います。結核予防法案として出ました本案は、非常な重大法案であること言うまでもなく、又国費も従つて多額になる予算只今計上されてあるわけです。こういう重要法案審議に際しましては成るべく厚生大臣が出席しまして、或いは少くとも政務次官も出席いたしまして、そうして真剣にまじめに審議いたさなければならないと私は思います。殊に何でも聞くところによると最近こういう方面関係国際会議にも出席するやに聞いておりますが、なお更、大臣はこの方面の玄人であるかも知れませんけれども、十分ここで本案審議等をも勉強しておいでになれば、一層使命を果す上においてもいいんじやないかとも考えます。とかく重要法案審議に際しまして、我々しばしば厚生大臣等が出席すべきであるということを申しておるのでありますが、本日もその出席がないのであります。自分の所管の重大法案以外に何が忙がしいことがあるのかと言わざるを得ないと思うのですが、委員長から然るべく大臣若しくは政務次官等の、政府の政策の責任者が出席するように御督促あらんことを希望いたします。
  7. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 只今山下委員のおつしやいましたことは全く御尤もの次第でございまして、これは改めて全幅的に私からも政府に要望いたす次第でございます。是非そういうふうにお帰りになつたらおつしやつて頂きたい。それから有馬委員から御提案になつております問題につきまして、この審議に入る前に有馬委員の御質問のあの問題につきまして、政府態度を、当局態度を聞きたいという有馬委員の御提案でございましたですね、その問題に入ることに皆さん御賛成でございますか。
  8. 松原一彦

    松原一彦君 私は同感でございます。今有馬委員から指摘されましたこの文芸春秋の「結核撲滅策撲滅」という武見太郎氏の提案は大きな話題を投げかけておつて私は方々で、もう毎日のようにこれを取上げたるいろいろの意見を聞かされるのであります。厚生省当局は一体これに対してどういう考えを持つておるのであるか。現に今朝も訪問せられたる医師関係のかたはこの意見同感であると、こう言つておる。そうしてその対策をここに持つて来ておられます。これは相当手嚴しい論断であつて、最後の所に、日本フアツシヨ再現の危機ありとすれば、それはヒューマニズムと科学性とを欠如する官僚行政の復活を以て、その第一歩を踏出すであろう。その走りが今回の結核対策である。新結核予防法の名の下に社会保険の網とも一般医療の網とも別に新らしい網を作つて疾病社会性を無視し、国民生活と遊離したものを法律の力を以て強制する。そんなことで結核は決して撲滅されるものではない。この法案は、新フアツシヨ官僚医療行政の華々しい首途としてのみ意味のあるものである。結核撲滅は先ずかくのごとき策謀の撲滅を以て、第一歩とすべきである。ただ国民的自覚に待つのみである。といつたような随分嚴しいことがここに論断せられておるのであります。私は厚生当局としましては二百七十億の大予算をここにとつて、画期的な結核撲滅を図られるということに心からの敬意を表し、有馬委員の言われた通りに、私どもはこれで日本国民病とも言う厄介な結核治療第一歩を進め、そして国民健康の上に大きな貢献をせられることだと楽しんでおつたのでありますが、専門家のほうからかような論断が出るというと、これは私ども素人ですからよくわかりませんが、考えさせられるばかりでない、国民が非常に惑うと思うのです。従つてこの審議のごときも、なかなか容易に進められないと思う。専門家がすでにこういうような意見を持つてつておる。これには賛成だと言つておる。かようなふうな問題が取上げられて見ますというと厚生当局においても十二分に御考慮にならなくちやならんと思うのでありますが、先日はおことづけを申しておいたのですが、至急一つ意見を聞かして欲しい。又これに対しては啓蒙の意味におきましても、同じ頁数を、文芸春秋社に要求して、実績の上から見た厚生当局の自信を堂々と一つ発表して、これに対抗して欲しいと私は希望をも申述べておいたのであります。そういうふうな御用意があるか合うか、私どもおぼろげながら、極く新らしい最近の委員でありますけれどもが、各地の結核療養所等を廻り、又その実績を見て、私は実績は相当上つておると思う。まあ死亡率減つただけが実績とは思われませんけれども、それは薬の進歩もありましようけれども、いずれにしましても結核の峠は相当私は越しておるのじやないかと思つて、今日まで楽しみにして参つておるのであります。どうぞ国民がこうして大きな期待をかけておりますものを、かように手嚴しい非難をせられるということにつきましては、私はひとり厚生省の面目ばかりでないと思います。厚生行政そのものが、延いては立法の府のこのやり方までが非難を受けると思つて寒心に堪えないのであります。私どものほうでも考えなくちやなりませんが、先ず厚生当局はかような非難に対するどういうような対策的御用意があるかどうかを承わりたい。
  9. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) ちよつとお諮りいたしますが、山下委員のおつしやつたことも非常に重大なことでございます。殊に今有馬委員松原委員の御質問に対しましては、厚生当局から、あの非難に対する具体的な先ず御意見を承わらなければならないのじやないかと思うのでございますが、従つてここに一つ御相談申上げたいと思いますのは、今日只今ここでこのおいでなつたかたから御意見を伺いますか。山下委員、何か御意見ございますか。
  10. 山下義信

    山下義信君 議事進行につきまして発言を求めます。有馬委員の御質疑並びに松原委員からも同様の問題が提供されたのでありますが、ここにおいでになりまする練達堪能な事務当局から拜聽いたしますことも結構と思いますが、私申上げました趣旨に則りまして、厚生大臣が御出席の上で、大臣から本問題に対しましての明解なる政府の所信を承わつて本案審議にお入り願いたいと私は思います。要すれば本問題の提供者でありまする武見太郎君も或いは証人としてこの委員会に御喚問に相成り、同時に大臣の、政府当局のそれに対する所信を承わりますることが、進行上非常に適切ではないかと本員は考える次第であります。
  11. 有馬英二

    有馬英二君 只今山下委員からの御発言、誠に御尤もな次第と存じます。つきましてはこの法案重大性に鑑みまして、又更にかような疑義を社会が持つておるということからいたしまして、武見太郎君を証人として喚問するばかりでなく、更に知識階級、或いは予防について従来多年経験を持つておられるというような学識経験の当事者を参考人として呼びまして、果してこの法案が我々の現在望んでおるところの法案として考えるべきであるか、これについてもつとよく検討して見たいと私は思う。公聴会なり或いは然るべき機会一つつて頂きたいと私は要望いたします。
  12. 谷口弥三郎

    ○谷口弥三郎君 只今山下委員有馬委員松原委員からの申されたことは実に適切な言葉でございますし、実際にこれを審議する上において、そういう方面を十分検討することが必要であると思いますので、私賛成いたします。
  13. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 様の御提案で大体御賛成でございますから、それではこれはそういうふうな取扱方をいたすことにいたしまして、今日この質疑に入りますことは、これは実は、今大臣がお見えになる連絡をとつていらつしやるようです。ただ大臣がお見えになつただけでは解決つかないと思いますから、改めて次回に大臣おいでを頂き、且つ又その御指定のかたがたもおいで頂き、当局も一応論文をお読み下さつて論難に対する正しい御説明を願うというふうな御準備を願うことにいたしまして、それでは結核予防法はこれで一先ず打ち切ることにいたします。  実は準備いたしておりました予防接種法の一部を改正する法律案がございますが。これは簡単なものでございますのですが、なお詳細な御意見を今日は聞くことにいたしましようか。それとも結核予防法案のこの問題がここまで参りましてこれで今日は打切ることにいたしましようか。いずれにいたしましようか。
  14. 山下義信

    山下義信君 予防接種法本案に対して密接不可分の法案であると私は考えますので、同様のお扱いを願いたいと思います。
  15. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 山下委員の御提案がございますが……。    〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  16. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) では皆様の御意見がそういうふうでございますから、本日はこれで散会をいたすことにいたします。    午後二時三十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     河崎 ナツ君    理事            有馬 英二君    委員            草葉 隆圓君            長島 銀藏君            上條 愛一君            藤原 道子君            山下 義信君            谷口弥三郎君            松原 一彦君   政府委員    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君   事務局側    常任委員会專門    員       草間 弘司君    常任委員会專門    員       多田 正己君