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1951-03-26 第10回国会 参議院 厚生委員会 第18号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十六年三月二十六日(月曜日) 午後一時五十二分開会
—————————————
委員
の異動 三月二十三日
委員川村松助
君辞任につ き、その補欠として
草葉隆圓
君を議長 において指名した。
—————————————
本日の
会議
に付した事件 ○
結核予防法案
(
内閣提出
・衆議院送 付)
—————————————
河崎ナツ
1
○
委員長
(
河崎ナツ
君)
只今
より
厚生委員会
を開くことにいたします。 本日は
結核予防法案
につきまして、それの詳細な
説明
を
厚生省
から聴取いたすことにいたします。
厚生省公衆衛生局長山口正義
さん。
山口正義
2
○
政府委員
(
山口正義
君)
結核予防法案
につきましては、先般
大臣
から
提案理由
を御
説明
申上げたのでございますが、私から補足的にお
手許
に差上げました
法案
につきまして
逐條御説明
を申上げたいと存じます。お
手許
に差上げました
法案
の第一章は第
一條
から第三條まででございまして、これはこの法の
目的
並びに国及び
地方公共団体
の
義務
、
医師
その他の
医療関係者
の
義務
、これを
規定
しているのでございます。第二章は
健康診断
に関する
規定
でございまして第四條から第十
二條
まででございます。先ず
定期
の
健康診断
についてでございますが、第四條の第一項は、
事業場
或いは
学校
その他の
施設
というような
集団生活者
に対する
定期健康診断
の
規定
でございまして、その
義務者
は
事業
の
使用者
或いは
学校
、
施設等
の長ということでございます。第四條の第二項は、これは
保健所長
はその
管内
の
結核予防行政
について
責任
を持つべき立場にございます。且つ
健康診断
のための器材の活用についても
調整
を図る必要がございますので、
保健所長
がその
管内
のいろいろの
事業
、それから
学校
、
施設
におきまして実施されます
健康診断
につきまして
期間
或いは期日を指定することができるという
規定
でございます。第四條の第三項は、これは
厚生大臣
が指定いたします区域と申しますのは、一般的に見まして統計の上から
結核
が比較的蔓延しておるという
地区
、つまり
年間死亡率
が高いというようないわゆる
殷賑地区
の住民に対しまして、
定期
の
健康診断
をするという
規定
でございます。この際の
義務者
は
市町村長
にな
つて
いるのでございます。第四項は、
本法
と他の
法令
、例えば
労働基準法
或いは
学校教育法
というような他の
法令
に基きます
健康診断
との
調整
を謳
つて
いるのでございます。これらの
定期健康診断
に要します
費用
は、
事業
の場合は全部
事業主
が
負担
いたします。それ以外の場合は
受診者
から
実費
を徴収することができるという
規定
にな
つて
おりますが、
実費
の徴収できないものにつきましては、
実施者
が三分の一、
都道府県
が三分の一、国が三分の一
負担
するということにな
つて
おります。第
五條
は
定期外
の
健康診断
でございまして、これはその第
五條
の一、二、三、四に書いてございますように、
結核予防
上特に必要と認められるような、
集団
或いは個人に対して
定期外
に
健康診断
を実施するという
規定
でございます。第六條は
健康診断
の方法に関する
規定
でございます。第
七條
は、第四條、第
五條
において
実施者
のほうの
義務
を課してあるわけでありますが、第
七條
は第四條、第
五條
に対応いたしまして
受診者
の
義務
を謳
つて
いるのであります。
定期
の
健康診断
につきましては
罰則
はございませんが、
定期外
の
健康診断
につきましては
罰則
の
規定
がございます。第
八條
は他で受けた
健康診断
、例えば
医師
について自発的に
健康診断
を受けた場合、或いは転職、転校の場合で、
定期
の
健康診断
を受けるときにすでにほかで
健康診断
を受けておるような場合にはその
定期
の前の三カ月以内に受けた者については、その
定期健康診断
或いは
定期外健康診断
とみなすというふうな
規定
でございます。それから第九條は
定期
の
健康診断
を受けなか
つた者
、何かの
事故
のために、或いは
疾病
のために受けなか
つた者
につきましては、その
事故
が消滅いたしましてから二カ月、
事故
が二カ月以内に消滅いたしましたときは、その
事故
の消滅後一月以内に
健康診断
を受けなければならないという
規定
でございます。第十條は
健康診断
に関する
記録
でございます。
記録
に関する
規定
でございます。第十
一條
は
健康診断
の結果の
通報
又は
報告
に関する
規定
でございます。 第十
二條
は
健康診断
に関しましての
省令委任
の
規定
でございます。 第三章は
予防接種
に関する章でございまして、これは第十三條から二十
一條
までございます。
現行
の
予防接種法
に
規定
されております
結核
に関する
予防接種
を抜き出しまして、
健康診断
と
予防接種
というものを直結さして
結核対策
を立てて行くというためにこちらに抜き出したわけであります。
定期
の
予防接種
の
規定
、或いは
定期外
の
予防接種
の
規定
、大体
健康診断
に関する
規定
と同様に
取扱
つて
いるのでございます。この場合の
費用
も
実費徴収
ができる
建前
にな
つて
おりまして、
実費徴収不能者
につきましては
実施者
が三分の一、県が三分の一、国が三分の一
負担
することにな
つて
おります。この
予防接種
につきましては
事業主
の
負担
を認めておりません。第十四條は
定期外
のもの、第十三條が
定期
の
予防接種
でございますが、十四條が
定期外
の
予防接種
、それから十
五條
は
予防接種
は
ツベルクリン反応
を判定した日から直ちに行うのが
建前
でございますが、直ちに行えない止むを得ない事情があるというような場合には、二週間以内にすれば差支えない。それを二週間を越した場合にはもう一遍
ツベルクリン反応
を繰返してやらなければならないという
規定
でございます。十六條は先ほどの
健康診断
の
受診者
の
義務
と同様に、
予防接種
を受ける者の
義務
の
規定
でございまして、これも
定期
と
定期外
に分けてございまして、
定期
のほうは
罰則
はございませんが、
定期外
のほうは
罰則
がございます。それから第十
七條
は他で受けた
ツベルクリン反応検査
及び
予防接種
の
規定
でございまして、これも先ほどの他で受けた
健康診断
の場合と同様な
取扱
をすることにな
つて
おります。第十
八條
の
定期
の
予防接種
を受けなか
つた者
、これも
健康診断
の場合と同様の
取扱
でございます。十九條は
ツベルクリン反応検査
及び
予防接種
に関する
記録
についての
規定
でございます。二十條は
予防接種
に関する
通報
又は
報告
の
規定
、二十
一條
は
予防接種
に関しての
省令委任
の
規定
でございます。以上が第三章の
予防接種
に関する章でございます。 第四章は
患者
の
届出
、
登録
、及び患に対する
医師
の
指示
に関する
規定
でご
者ざいまして
、二十
二條
から二十
七條
までございます。二十
二條
は
医師
の行う
届出
に関する
規定
でございまして、
現行法
にもございますし、又先般
提案理由
の
説明
にもございましたように、
伝染病届出規則
にもございます。それを
まとめ
ましてここで新らしく
條文
を設けたわけでございます。二十三條は
病院
に入院或いは
療養所
に入所してお
つた者
が退院いたしました場合における
病院管理者
の行う
届出
に関する
義務
でございます。第二十四條は
保健所長
の行う
登録
に関する
規定
でございまして、
医師
からの
届出
、或いは二十三條によ
つて
届出
られました
患者
について
保健所長
が
登録
を行いまして、必要に応じて
家庭訪問指導
を行わせるというふうにするわけでございます。二十
五條
はその
家庭訪問指導
に関する
規定
でございます。二十六條、二十
七條
は
結核患者
並びに
死亡者
に対する
死亡診断書
、
死亡診断等
における
医師
の
指示
に関する
規定
でございまして、
医師
はその職務の性質上、
患者
の
療養
については当然
指示
いたします。が、この
結核
の
疾病
の
特殊性
に鑑みまして、他への
伝染防止
についての
指示
をしなければならないという
規定
でございます。本章におきましては第二十
二條
に
医師
の
届出
に関しましての
罰則
がございます。それから二十六條、二十
七條
の
医師
の
指示
につきましての
罰則
がございます。 第五章は
伝染防止
に関する
規定
でございまして、二十
八條
から三十
二條
までございますが、二十
八條
は
従業禁止
に関する
規定
でございまして、職場の
関係
上他に
結核
を伝染させる虞れが著しいと認められるような
患者
がありました場合には、
期間
を定めまして、
従業
の
禁止
を
都道府県知事
が命ずるという
規定
でございます。それに従わない場合の
罰則
の
規定
がございます。第二十九條は、
従業
の
関係
から他に
結核
を伝染させる慮れがあるというような者に対しましては、やはり
都道府県
が
一定
の
期間
を定めまして、
療養所
に入所することを命ずるという
規定
でございます。二十九條の二項のほうは、国又は
地方公共団体
の開設する
療養所
或いは国から
補助
を受けておる
療養所
は、こういう
入所命令
を受けた
患者
を受け容れる際に正当な
理由
がない場合にはそれを拒否してはならないという
規定
でございます。第三十條は
結核菌
に汚染されました
家屋
の
消毒
に関する
規定
でございます。三十
一條
は
結核菌
に汚染されました
物件
の
消毒
或いは
廃棄
に関する
規定
でございまして、なお三十
一條
にはその損失の補償に関する
規定
が二項以下に謳
つて
ございます。三十
二條
は
家屋
の
消毒
或いは
物件
の
消毒廃棄等
を行います場合に、必要に応じて
都道府県知事
が
当該官吏
に立入をさせ或いは
質問
をさせ、調査をさせるという
規定
でございまして、それらを拒んだ場合には或いは虚偽の答弁をした場合には
罰則
の
規定
がございます。 第六章は
医療
に関する
規定
でございまして、三十三條から四十三條までございますが、三十三條は
地方公共団体
に対して
厚生大臣
が
結核療養所
の
設置
及び
拡張
の
勧告
を行うことができるという
規定
でございます。この
勧告
を行いました場合には国がその
設置
及び
拡張
に関する
費用
の二分の一を
負担
するという
規定
にな
つて
おります。三十四條は
一般患者
に対する
医療
でございまして、これは
結核
の適正な
医療
の普及をいたしますために、
一定
の
條件
にか
なつ
たもの、例えば
医療
が本條に基く
省令
で定めた
内容
のものであるという場合、それから次に出て参ります
指定医療機関
でその
医療
が行われるというような場合に限りまして、
患者
からの
申請
によりまして
都道府県
が
医療
に関する
費用
の二分の一を
負担
することができるという
規定
でございます。
都道府県
が
負担
いたしましたその二分の一に対しまして、国が更に二分の一を
補助
いたしますので、結局本人が二分の一、国が四分の一、
都道府県
が四分の一ということになります、
一定
の
医療
といたしましては、
人工気胸
による療法、或いは
外科手術
による
治療
、ストレプトマイシンの注射、パスの
投與
というようなことを一応考えております。三十四條の二項は
申請
の
手続
でございまして、三項は
都道府県知事
がそういう
申請
を受けまして、それを許可するというときには
保健所
に
設置
されました
結核診査協議会
の
意見
を聞いて行わなければならないという
規定
でございます。四項は、そういうふうにして
医療費
の
負担
をいたします場合に、六カ月たちました場合には、更にもう一遍改めて診査するという
規定
でございます。三十
五條
は、先ほどの
伝染防止
の所の
規定
にございました
従業禁止
、或いは
命令入所
をさせられました
患者
が、
医療
されました場合に、経済的の
理由
によ
つて医療費
の
負担
ができないというようなときには、国が二分の一、府県が二分の一
負担
をしてやるという
規定
でございます。三十六條は
指定医療機関
でございまして、三十四條、三十
五條
に
規定
いたしました
医療
を担当してもらうために
医療機関
を指定する
規定
でございますが、これが国が開設した
病院
又は
診療所
につきましては、
厚生大臣
がその
主務大臣
の
同意
を得て指定いたします。その他の
病院
につきましては
都道府県知事
が
開設者
の
同意
を得て指定するということにな
つて
おります。二項、三項はその
指定医療機関
の行うべき
義務
の
規定
でございます。四項は
指定医療機関
の辞退に関する
規定
、五項は
取消
の
規定
でございます。六項はその
取消
を受けた場合に
弁明
の
機会
を與える、
弁明
に関する
規定
でございます。第三十
七條
はこの
医療費
の
負担
につきまして、
社会保険
、
生活保護法
と
本法
との
関係
でございます。
一般患者
、即ち第三十四條の
患者
につきましての
医療
につきましては、
本法
が
社会保険
各法或いは
生活保護法
に優先いたします。即ち
本法
に基いて
医療費
の半分を
負担
いたします。
あと
の半分を
社会保険
或いは
生活保護法
でや
つて
もらうということになるのでありますが、
あと
の半分を
社会保険
でどういうふうに
給付
されるかということは、
社会保険法
の
規定
に従うということにしてございます。それから第三十
五條
、即ち
従業禁止
とか、或いは
命令入所
の
患者
につきましての
医療費
の
負担
につきましては、
社会保険
各法が
本法
に優先いたしまして、
本法
と
生活保護法
の
関係
では
本法
が
生活保護法
に優先いたします。と申しますのは、
社会保険
の
給付
を受けられるということに
経済能力
の
一つ
というふうに考えまして、
社会保険
を
本法
より優先させております。
生活保護法
の
補足性
に従いまして、
本法
が
生活保護法
に優先するということにな
つて
おります。第三十
八條
は
診療報酬
の
請求
に関する
規定
でございます。三十九條は
診療報酬
の
基準
に関する
規定
でございます。四十條は被
保險者
の行う
申請
でございまして、
社会保険
によ
つて医療
の全額について
給付
を受けるものは
本法
で
申請
をしない場合が考えられますので、この場合には
保険者
が代
つて申請
を行うことができるという
規定
でございます。四十
一條
は一々
成規
の
手続
をと
つて
いるといういとまのないという急迫の事態の場合でございます。四十
二條
は
報告
の
請求
及び
検査
に関する
規定
でございます。四十三條は
省令委任
に関する
規定
でございます。 第七章は
結核予防審議会
及び
結核診査協議会
に関する
規定
でございます。これは四十四條から五十條までございます。四十四條は
結核予防審議会
に関する
規定
でございまして、
厚生大臣
の
諮問機関
として、
結核
の
予防
及び
結核患者
の
医療
に関する
重要事項
を調査
審議
してもらうために、
結核予防審議会
を設けるという
規定
でございます。四十
五條
はその
結核予防審議会
の
委員
に関する
規定
でございます。四十六條は、
結核予防審議会
の庶務は、
厚生省
の
公衆衛生局
で行うという
規定
でございます。四十
七條
は
結核予防審議会
の運営に関する
規定
でございます。四十
八條
は先ほど
医療費
の
負担
の所について申上げました
保健所
、ことに置かれる
結核診査協議会
に関する
規定
でございます。四十九條はその
結核診査協議会
の
委員
に関する
規定
でございます。五十條は
協議会
に関しての
政令委任
についての
規定
でございます。 第八章は先ほど来申上げました
費用
に関するものを一
まとめ
にした章で、ございまして、
都道府県
の実質的に支弁すべき
費用
、
市町村
の支弁すべき
費用
、それぞれを一
まとめ
にしてございます。ただここで
療養所
に関する
補助
は五十
七條
、五十九條、六十條にございますが、五十
七條
は先ほどの
厚生大臣
が
地方公共団体
に対して
設置
或いは
拡張
の
勧告
をした場合は、国が二分の一を
補助
するという
規定
でございまして、五十九條は
勧告
をしなかつた場合、これらの
地方公共団体
に対して
予算
の範囲内で二分の一を
補助
するという
規定
でございます。六十條は
営利
を
目的
としない
法人
、これは従来
公益法人
だけだ
つたの
でございますが、今度は幅を拡げまして
営利
を
目的
としない
法人
、例えば
医療法人
とか
学校法人
、そういうものに対しては
政令
で二分の一以内の
費用
を
補助
するという
規定
でございます。六十
一條
は
実費徴収
に関する
規定
でございます。 第九章は
罰則
に関する
規定
でございます。これは先ほど来申上げましたのを一
まとめ
にしているのでございまして、六十
二條
、六十三條でございます。 第十章は雑則でございまして、六十四條は
保護者
の
義務
、六十
五條
は代
執行
に関する
規定
、それから六十六條は
労働基準監督署
とか或いは
教育委員会
というような、他の
行政庁
との
協議
に関する
規定
でございまして、六十
七條
は先ほど申しました
伝染防止
に関する処置に不足がある場合に
訴願
をすることができるという
訴願規定
でございます。六十
八條
は
保健所
を
設置
する市に対しまして、
都道府県
と同じような
権利義務
を與えているのでございまして、これは
定期外
の
健康診断
或いは
予防接種
或いは
伝染防止
に関する
措置
、但しこの場合は、従来
禁止
とか
入所命令
は含んでおりません。
伝染防止
に関する
措置
、
一般医療
に関する
規定
、或いは代
執行
に関する
規定
、これはいわゆる
政令措置
の市長、
都道府県知事
と同じように
措置
ができるという
規定
でございます。 以上が
結核予防法案
につきましての
逐條
ではございますが、極めて
概略
の御
説明
でございます。
河崎ナツ
3
○
委員長
(
河崎ナツ
君)
只今概略
の御
説明
を頂きましたのですが、これから質疑に入ることにいたしますが、御
質問
ございましたら逐次おつしや
つて
下さいませ。
有馬英二
4
○
有馬英二
君
政府
が
結核予防
の
重大性
に鑑みて今回
結核予防法案
なる
一つ
の
法案
を出されたことは、私
ども
多年
結核予防
に腐心して来た者としまして非常に満足を表しておる次第であります。つきましてはこの
法案
は誠に重大な
法案
であると考え、これに対して十分の
審議期間
を與えられなければならんと考えるのであります。然るに
政府
は、今月もう数日しかないような、勿論四月はありますけれ
ども
、四月は御
承知
のように休会になるそうであ
つて
、
審議
の
期間
が誠に切迫しておる、こういう際に、かような重大なる
法案
を出された。そして
只今
御
説明
に
なつ
たような件について、
十分審議
の
機会
を與えられないということは甚だ私
ども
の遺憾とするところでありまして、この点に関して十分本
委員会
においても愼重な
審議
を盡されんことを私は希望するものであります。
逐條
の
審議質問
に入る前に、私はなお
一つ
のことを
政府
にお尋ねしたいのであります。それは御
承知
のようにこの
結核予防
ということにつきまして、
世間やや
もすると、この
法案
の
内容
について、或いは
政府
が折角しておるような
結核予防
の
対策
について、
疑義
を抱くというような人があるやに思われる。御
承知
のように
大衆雑誌
ということは言えないかも知れませんが、最も現今多く読まれておるところの
普通雑誌
の
文芸春秋
でありますが、四月号に、
社会保障制度審議会
の一員が、特に
結核撲滅策
の
撲滅
というような題で以て、
結核予防法全般
に対して
疑義
を抱いておる。或いはそれに対する非常な攻撃の矢を放
つて
おるようにも考えられる。こういうようなことが、これはただこの
法案
の
内容
を少しも知らないような
人たち
が言うのなら、私
ども
は気にかけないのでありますが、少くとも
社会保障制度審議会
の会員であるというような人が、この
法案
に対して、或いは少くとも私
ども
が今考えておるような
結核撲滅策
に対して
疑義
を抱いておる。而も甚だ穏かならんことを言うておるということは、どういう工合に
政府
は考えられるか。それに対する
説明
を聞かんことには、この
法案
の
審議
に入ることは私は差控えて頂きたい。この点
一つ
私は
政府
から十分私
ども
の納得の行くような
説明
をして頂きたい、この点をお伺いする次第であります。
山下義信
5
○
山下義信
君
議事進行
について発言したいと思います。
結核予防法案
として出ました
本案
は、非常な
重大法案
であること言うまでもなく、又国費も
従つて多額
になる
予算
が
只今
計上されてあるわけです。こういう
重要法案
の
審議
に際しましては成るべく
厚生大臣
が出席しまして、或いは少くとも
政務次官
も出席いたしまして、そうして真剣にまじめに
審議
いたさなければならないと私は思います。殊に何でも聞くところによると最近こういう
方面
の
関係
の
国際会議
にも出席するやに聞いておりますが、なお更、
大臣
はこの
方面
の玄人であるかも知れませんけれ
ども
、十分ここで
本案
の
審議等
をも勉強して
おいで
になれば、一層使命を果す上においてもいいんじやないかとも考えます。とかく
重要法案
の
審議
に際しまして、我々しばしば
厚生大臣等
が出席すべきであるということを申しておるのでありますが、本日もその出席がないのであります。自分の所管の
重大法案
以外に何が忙がしいことがあるのかと言わざるを得ないと思うのですが、
委員長
から然るべく
大臣
若しくは
政務次官等
の、
政府
の政策の
責任者
が出席するように御督促あらんことを希望いたします。
河崎ナツ
6
○
委員長
(
河崎ナツ
君)
只今山下委員
のおつしやいましたことは全く御尤もの次第でございまして、これは改めて全幅的に私からも
政府
に要望いたす次第でございます。是非そういうふうにお帰りに
なつ
たらおつしや
つて
頂きたい。それから
有馬委員
から御
提案
にな
つて
おります問題につきまして、この
審議
に入る前に
有馬委員
の御
質問
のあの問題につきまして、
政府
の
態度
を、
当局
の
態度
を聞きたいという
有馬委員
の御
提案
でございましたですね、その問題に入ることに皆さん御
賛成
でございますか。
松原一彦
7
○
松原一彦
君 私は
同感
でございます。今
有馬委員
から指摘されましたこの
文芸春秋
の「
結核撲滅策
の
撲滅
」という
武見太郎
氏の
提案
は大きな話題を投げかけてお
つて
私は方々で、もう毎日のようにこれを取上げたるいろいろの
意見
を聞かされるのであります。
厚生省当局
は一体これに対してどういう考えを持
つて
おるのであるか。現に今朝も訪問せられたる
医師関係
のかたはこの
意見
に
同感
であると、こう言
つて
おる。そうしてその
対策
をここに持
つて
来ておられます。これは相当手嚴しい
論断
であ
つて
、最後の所に、
日本
に
フアツシヨ再現
の危機ありとすれば、それはヒューマニズムと
科学性
とを欠如する
官僚行政
の復活を以て、その
第一歩
を踏出すであろう。その走りが今回の
結核対策
である。新
結核予防法
の名の下に
社会保険
の網とも
一般医療
の網とも別に新らしい網を
作つて疾病
の
社会性
を無視し、
国民生活
と遊離したものを法律の力を以て強制する。そんなことで
結核
は決して
撲滅
されるものではない。この
法案
は、新
フアツシヨ官僚医療行政
の華々しい首途としてのみ
意味
のあるものである。
結核
の
撲滅
は先ずかくのごとき策謀の
撲滅
を以て、
第一歩
とすべきである。ただ
国民的自覚
に待つのみである。といつたような随分嚴しいことがここに
論断
せられておるのであります。私は
厚生当局
としましては二百七十億の大
予算
をここにと
つて
、画期的な
結核
の
撲滅
を図られるということに心からの敬意を表し、
有馬委員
の言われた通りに、私
ども
はこれで
日本
の
国民病
とも言う厄介な
結核
に
治療
の
第一歩
を進め、そして
国民
健康の上に大きな貢献をせられることだと楽しんでお
つたの
でありますが、
専門家
のほうからかような
論断
が出るというと、これは私
ども素人
ですからよくわかりませんが、考えさせられるばかりでない、
国民
が非常に惑うと思うのです。
従つて
この
審議
のごときも、なかなか容易に進められないと思う。
専門家
がすでにこういうような
意見
を持
つて
参
つて
おる。これには
賛成
だと言
つて
おる。かようなふうな問題が取上げられて見ますというと
厚生当局
においても十二分に御考慮にならなくちやならんと思うのでありますが、先日はおことづけを申しておいたのですが、至急
一つ意見
を聞かして欲しい。又これに対しては啓蒙の
意味
におきましても、同じ
頁数
を、
文芸春秋社
に要求して、
実績
の上から見た
厚生当局
の自信を堂々と
一つ
発表して、これに対抗して欲しいと私は希望をも申述べておいたのであります。そういうふうな御
用意
があるか合うか、私
ども
は
おぼろげ
ながら、極く新らしい最近の
委員
でありますけれ
ども
が、各地の
結核療養所等
を廻り、又その
実績
を見て、私は
実績
は相当上
つて
おると思う。まあ
死亡率
の
減つた
だけが
実績
とは思われませんけれ
ども
、それは薬の進歩もありましようけれ
ども
、いずれにしましても
結核
の峠は相当私は越しておるのじやないかと
思つて
、今日まで楽しみにして参
つて
おるのであります。どうぞ
国民
がこうして大きな期待をかけておりますものを、かように手嚴しい
非難
をせられるということにつきましては、私は
ひとり厚生省
の面目ばかりでないと思います。
厚生行政そのもの
が、延いては立法の府のこのやり方までが
非難
を受けると
思つて寒心
に堪えないのであります。私
ども
のほうでも考えなくちやなりませんが、先ず
厚生当局
はかような
非難
に対するどういうような
対策
的御
用意
があるかどうかを承わりたい。
河崎ナツ
8
○
委員長
(
河崎ナツ
君) ちよつとお諮りいたしますが、
山下委員
のおつしやつたことも非常に重大なことでございます。殊に今
有馬委員
、
松原委員
の御
質問
に対しましては、
厚生当局
から、あの
非難
に対する具体的な先ず御
意見
を承わらなければならないのじやないかと思うのでございますが、
従つて
ここに
一つ
御相談申上げたいと思いますのは、今日
只今
ここでこの
おいで
に
なつ
たかたから御
意見
を伺いますか。
山下委員
、何か御
意見
ございますか。
山下義信
9
○
山下義信
君
議事進行
につきまして発言を求めます。
有馬委員
の御質疑並びに
松原委員
からも同様の問題が提供されたのでありますが、ここに
おいで
になりまする練達堪能な事務
当局
から拜聽いたしますことも結構と思いますが、私申上げました趣旨に則りまして、
厚生大臣
が御出席の上で、
大臣
から本問題に対しましての明解なる
政府
の所信を承わ
つて
、
本案
の
審議
にお入り願いたいと私は思います。要すれば本問題の提供者でありまする
武見太郎
君も或いは証人としてこの
委員会
に御喚問に相成り、同時に
大臣
の、
政府
当局
のそれに対する所信を承わりますることが、進行上非常に適切ではないかと本員は考える次第であります。
有馬英二
10
○
有馬英二
君
只今山下委員
からの御発言、誠に御尤もな次第と存じます。つきましてはこの
法案
の
重大性
に鑑みまして、又更にかような
疑義
を社会が持
つて
おるということからいたしまして、
武見太郎
君を証人として喚問するばかりでなく、更に知識階級、或いは
予防
について従来多年経験を持
つて
おられるというような学識経験の当事者を参考人として呼びまして、果してこの
法案
が我々の現在望んでおるところの
法案
として考えるべきであるか、これについてもつとよく検討して見たいと私は思う。公聴会なり或いは然るべき
機会
を
一つ
作
つて
頂きたいと私は要望いたします。
谷口弥三郎
11
○谷口弥三郎君
只今山下委員
、
有馬委員
又
松原委員
からの申されたことは実に適切な言葉でございますし、実際にこれを
審議
する上において、そういう
方面
を十分検討することが必要であると思いますので、私
賛成
いたします。
河崎ナツ
12
○
委員長
(
河崎ナツ
君) 様の御
提案
で大体御
賛成
でございますから、それではこれはそういうふうな
取扱
方をいたすことにいたしまして、今日この質疑に入りますことは、これは実は、今
大臣
がお見えになる連絡をと
つて
いらつしやるようです。ただ
大臣
がお見えに
なつ
ただけでは解決つかないと思いますから、改めて次回に
大臣
の
おいで
を頂き、且つ又その御指定のかたがたも
おいで
頂き、
当局
も一応論文をお読み下さ
つて
論難に対する正しい御
説明
を願うというふうな御準備を願うことにいたしまして、それでは
結核予防法
はこれで一先ず打ち切ることにいたします。 実は準備いたしておりました
予防接種法
の一部を改正する法律案がございますが。これは簡単なものでございますのですが、なお詳細な御
意見
を今日は聞くことにいたしましようか。それとも
結核予防法案
のこの問題がここまで参りましてこれで今日は打切ることにいたしましようか。いずれにいたしましようか。
山下義信
13
○
山下義信
君
予防接種法
は
本案
に対して密接不可分の
法案
であると私は考えますので、同様のお扱いを願いたいと思います。
河崎ナツ
14
○
委員長
(
河崎ナツ
君)
山下委員
の御
提案
がございますが……。 〔「異議なし」「
賛成
」と呼ぶ者あり〕
河崎ナツ
15
○
委員長
(
河崎ナツ
君) では皆様の御
意見
がそういうふうでございますから、本日はこれで散会をいたすことにいたします。 午後二時三十九分散会 出席者は左の通り。
委員長
河崎 ナツ君 理事 有馬 英二君
委員
草葉 隆圓君 長島 銀藏君 上條 愛一君 藤原 道子君 山下 義信君 谷口弥三郎君 松原 一彦君
政府委員
厚生省
公衆衛生 局長 山口 正義君 事務局側 常任
委員会
專門 員 草間 弘司君 常任
委員会
專門 員 多田 正己君