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1951-03-07 第10回国会 参議院 厚生委員会 第9号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年三月七日(水曜日) 午前十時四十九分開会 ————————————— 本日の会議に付した事件 ○
社会保障制度
に関する
調査
の件(医
薬制度改正
に関する件) —————————————
河崎ナツ
1
○
委員長
(
河崎ナツ
君)
只今
から
厚生委員会
を開きます。
谷口弥三郎
2
○
谷口弥三郎
君 私から
一つ
御
希望
を申上げたいと思います。御
承知
のようにこれはもう
説明
する必要がないと思いますが、
日本
は未だに癩の非常に多い国で、東洋におきましても、最も多いし、世界中で最も多い国でありますので、これを何とかするためにこの
厚生委員会
において、癩の
研究
に関する小
委員会
を
一つ
作つて
頂きたいと思いますから、一応その
希望
を申上げて置きます。
河崎ナツ
3
○
委員長
(
河崎ナツ
君) 承わ
つて
置きます。それでは今日の予定につきまして本日は
社会保障制度
に関する
調査
の一環といたしまして、
医薬制度改正
に関する
厚生当局
の
意見
と現在までの状況につきまして
説明
を聴取いたします。先ず
葛西厚生次官
の
説明
を承わります。
葛西嘉資
4
○
説明員
(
葛西嘉資
君)
只今委員長
から
医薬制度
の問題……多分問題にな
つて
おりまする
医薬分業
のことではないかと存じますので、主として
医薬分業
のことについて今日までの
経過
を申上げさして頂きます。 この問題は御
承知
のように、先年アメリカの
薬剤師調査団
が
日本
へ参りまして、その勧告の中に
医薬分業
の問題が取上げられておりまして、まあ最近問題になりましたのはこれに端を発しておるというふうん考えております。この問題はまあ御
承知
のように非常に長い問題でございましたが、ここで何とかせねばならんというふうなことになりまして、丁度昨年の今よりちよつと前でございますが、この問題が
医師会
、
歯科医師会
、
日本薬剤師協会
で相談をされるというふうなことがありましても、それがまとまらないというふうなことでありまして、この問題をやるために
政府
の
厚生省
の中にこれを
調査
する
委員会
を
作つて
、そうして三
志会
は勿論のこと、そのほか権威の人に
集まつ
てもら
つて
、適当に
解決
を得るようにというふうな示唆が
関係方面
からもありまして、丁度四月四日に当時の
林厚生大臣
が呼ばれまして、そうして
調査会
を作るということに着手いたしたのでございます。いろいろ
いきさつ
がありましたが、結局この
調査会
は、
臨時診療報酬調査会
というものと、それから
臨時医薬制度調査会
という
二つ
のものを作ることに相成つたわけでございます。と申しますのは、
医薬分業
を
研究
するようになりまするというと、どうしても
医療費
の問題を
医師
、
歯科医師
、
薬剤師
の
技術料
とそれから
薬価
というものに分けなければならん。どうしてそれを分けるかというふうなことが
一つ
問題にな
つて
参りますので、この点について
研究
するのが
臨時診療報酬
の
調査会
であり、それからその基礎の上に
医薬分業
をやつたほうがいいか悪いか、或はいいとすればどういうふうな
具体的方法
があるか、
地域
、或いはその時期等について適当に
解決
がせられなければならんというふうなわけで、この問題と取組みましたのが
臨時医薬制度調査会
でございます。いろいろ
いきさつ
がございまして、この両
委員会
がスタートいたしましたのが昨年の八月の七日でございます。第一回の
二つ
の
調査会
が行われることにな
つたの
でございます。で、お
手許
に差上げました一番上の
資料
に、一九五〇年八月七日
厚生省設置
の二
調査会
における……二枚目でございますが……医、歯、薬、
分業
問題に関する
サムス准将
の
説明概要
というのがありますが、これは当時
二つ
の
委員会
がスタートするに当りまして、こうあるべきものだというふうなことを
サムス准将
から述べられたものの要旨でございます。この問題の、何と言いますか、狙いと言いますか、そういうものが割合に……これをお読み頂きますとよくわかるのじやないかと、こういうふうに、大変失礼でございますが思いまして、
資料
として差上げたわけでございます。第一回はこの
二つ
の
委員会
の合同の
委員会
でございましたが、爾来八月から今年の一月の二十四日に至りますまで、
特別委員会
或いは
総会等
をお
手許
にあります
資料
のように開催をいたしまして、そうしてこの
研究
ができたわけでございます。真中頃の
資料
でございますが、
大臣
からは、
臨時診療報酬調査会
には、「
医療
の向上と
国民
の
経済的負担力
とを勘案したる
医師
、
歯科医師
、及び
薬剤師
の適正なる
技術料
及び
薬価
の
基準
につき会の
意見
を問う。追
つて右基準
は、
医薬分業実施
の
可否
を判定するに必要なものにつき取急ぎこれを
答申
されたい。」という
諮問
が出まして、そうして一月の二十四日に、この
横書
にな
つて
おる、一番大きな……、
ざあつと横書
にな
つて
おる
資料
でございますが、一番最後にあります。これが一月二十四日に
調査会
のほうから
厚生大臣
に
答申
に
なつ
たわけでございます。こういうふうにしたらよかろうというようなことでございまして、この
答申
につきましては
医師会
、
歯科医師会
、
薬剤師会
は勿論のこと、
学識経験者
の
人たち
も
全会一致
で御
答申
に相成つたわけでございます。なおこれにつきましては、ここにありますように
五つ
の附帯の
決議案
が附けられまして……その丁度前にばらばらつとあるのですが、「
決議目次
」と書いてございますか、こういうふうな
五つ
の
決議
を附けまして
厚生大臣
に
答申
に相成つたわけでございます。そうして今度は第二の
委員会
、即ち
臨時医薬制度調査会
のほうに
移つたの
でございますが、
臨時医薬制度調査会
には一番初めにあります「
医薬分業実施
の
可否
及び可なりとする場合においては
実施
の
具体的方法
、
地域
及び時期等につき、会の
意見
を問う。」という
諮問
が出されまして、そうしてこの
委員会
も一月の三十日から、一回、二回は予備的なものでありますが、主として一月の三十日からこの
答申
が行われました二月の二十八日まで、ここにありますように非常に御熱心に御協議を頂きましてそうして遂に
結論
が出たわけでございます。それはこの会が済みました
あと
の
サムス准将
の話の次に「
昭和
二十六年二月二十八日
附臨時医薬制度調査会答申
」いうことにな
つて大臣
に
答申
に
なつ
たわけでございます。このときは
全会一致
というわけに参りませんで、
谷口
さんおいででよく
御存じ
でありますが、十九対十一という多数で
決議
になりまして、そうして
政府
に
答申
に相成つたわけでございます。この内容はここにあ
つて
お読み頂くと御了解できると思いますが、要するに第一は
処方箋
の
強制発行
の問題を坂上げたのでございます。
医師法
第二十二条を左の
趣旨
のごとく改正することといたしまして「
医師
は
診療
上投薬を必要と認める場合には
患者
に対し
処方せん
を交付しなければならない」ということを第一にいたしまして、これとそれから
薬剤師
は第二にありますように、「
調剤
する場合には、
医師
、
歯科医師
又は
獣医師
の
処方せん
によらなければならない。」というようなことで、この問題は
昭和
二十八年から実行する。これはこういうふうにやりまするにつきまして、いろいろ
準備
が必要でありまするので、先ず
医師会
、
歯科医師会
、
薬剤師会等
の御
協力
を得ますれば、大体の
準備
、即ち前申上げました
臨時診療報酬調査会
でやつたような大体の
結論
というものが、御
協力
によ
つて
二十八年くらいまでには何とかなるだろうというようなことで、
とつちの
ほうは二十八年から実行をする。 それから第三にありまするのが、これが世間で言われておる、
言葉
に非常に語弊があると思いますが、いわゆる
強制分業
と言いますか、とれに関する
規定
でありまするが、「
薬剤師
でない者は販売又は授与の目的で
調剤
してはならない。
前項
の
規定
に拘らず
医師
、
歯科医師
、
獣医師
は左に掲げる場合に於て
自己
の
処方せん
に上り自ら
調剤
することが出来る。」それは
二つ
の場合があ
つて
、
一つ
は「
審議会
の
審査
を経て
厚生省令
の定めるととろにより
診療
上必要があると認められる場合」。第二が「
審議会
の
審査
を経て
厚生省令
の定めるところにより
薬局
の
分布
が充分でない
地域
で行う場合」これは
診療
上必要があるというふうな場合は、
医師会等
でもいろいろ御
研究
を頂きまして、
委員会等
には相当詳細な
資料
が出されたのでありますが、こういう問題は非常に面倒な問題でありまするので、
関係
の
人たち
の
集まつ
た
審議会
を作りまして、そこでその
審議会
の
審査
を経て
厚生省令
でどういう場合が
診療
上必要があるというわけで
医師
みずから
調剤
ができるかということを先ずきめる。
例外
をきめる。第二もやはり、或いは
行政区域
或いは又その
距離制限
というようなもの、
薬局
の
分布
が完全であるかないかというようなことも必要でありますので、これらも相当権威ある
審議会
の
審査
を経て、そうして
厚生省
でそれをきめる。そうしてや
つて
行くというようなことが適当であろういうようなと御
結論
でございました。これは
昭和
二十八年から五年経ちました
あと
の
昭和
三十三年から
実施
して行く。
言葉
を換えて申しますれば、との
答申
の
趣旨
は
処方箋
の
発行
のほうは二十八年から、それから
分業
のほうは
昭和
三十三年から実行して行くというようなことに
答申
は相成
つて
おります。そうしてこの
答申
には附記がついておりまして、「本案の
実施
については
国民生活
に重大な影響があるから、
国民生活
の実情を勘案し、円滑に行われるよう充分配慮すべきこと。」というようなことを言われておるわけであります。これは申すまでもないことでありまするが、
委員会
としてはそういうふうな御注意も頂いたわけであります。それでこれも
谷口先生
よく
御存じ
でございまするが、こういうふうになりまするにつきましては実は経緯がございまして、
臨時医薬制度調査会
の
総会
にかかります前に
特別委員会
が実は八回も開かれました。これは夜遅くまでかかるような非常に熱心な
委員会
でございましたが、この
委員会
では、この
答申
になりました案のほかに
二つ
の案が
委員会
で審議されたのでございます。御参考までに
二つ
の
委員会
の案を
一つとこ
で御
説明
申上げたほうがよかろうかと思いますので申上げますが、これは、その次の二枚からできておりまするが、この
別紙
第一、第二というのがとの
二つ
の案でございます。
別紙
第一と申しますのはどういう案かと申しますと、
昭和
二十八年から
処方箋
を
医者
が出す、
医師
の
人たち
が出すという点はこれは同じでありますが、その違います点は、今までのお
医者
さんはこれはずつと自分で
調剤
をしようと思えば、
患者
のほうもいいということであれば、
一つ
今まで
通り
にする、ただとれから新らしく開業するものについては、これは
分業
で行く。勿論
薬局
の
分布
が十分でないような
地域
についてはこれは
例外
はありますが、とにかくお
医者
さんの、今まで開業しているものと新らしく開業するものとの間に区別をつけてやるという案が
別紙
第一の案でございます。
別紙
の第二のほうにありますのは、
処方箋
を出すという点は、これは一案と同じでありまするが、どの点が違うかと申しますと、これは
医師会
のほうでもいろいろ御
協力
を願いまして、そうして成るべく
処方箋
によ
つて
や
つて
、
調剤
のほうは
薬剤師
にやらすというふうに御
協力
を願いまして、そうして強制的な
規定
というものをなくする。
処方箋
を出す
といつた
、第一のところに書いてございますが、
医者
は
処方箋
を交付しなければならん。「
前項
の
処方せん
による
調剤
は
薬剤師
によ
つて
行われるととを
原則
とする。」ここで
法律
で
原則
をきめる。そうしてこれは罰則も何もないわけでありまするが、
薬剤師
において行われるのが
原則
なんだ、こういうことできめます。それからその次は、
薬事法
の二十二条の但書を削りまして、附則に「
医師
、
歯科医師
、
獣医師
は当分の間第二十二条の
規定
にかかわらず
自己
の
処方せん
により自ら
調剤
することができる。」とれは今のままでございます。その次に裏のほうの頁にありますように、「
前項
の場合においても
調剤
は
薬剤師
によ
つて
行われるよう
医師
、
歯科医師
、
獣医師
は
協力
しなければならない。」
原則
だと言
つて
置いて、そうして
協力
しなければならんというようなことで行くというのは何と申しますか、
処方箋
は出すということにいたしますが、
あと
は訓示的と言いますか、大体
協力態勢
によ
つて
やろう、
原則
とすると言い、或いは
協力
してや
つて
行く、そうして将来自然に
分業
の形に持
つて
行くというようなことにするというのが二案でございます。これはいずれもいろいろ御議論がございまして、そうして結局は小
委員会
におきましても五対四というような多数で今
答申
になりました案を
決議
され、それから
総会
におきましても
答申
になりました案を十九対十一というようなことで
答申
に相成
つて
おるわけでございます。そこで、
答申
を受理いたしますれば、御
承知
のようにこの
二つ
の
委員会
というものは、こめ長年の問題でありまする
医薬分業
の問題をどうするかということで
委員会
を作り、そうして
委員会
で御
決議
を頂いて
答申
を頂きましたものでありまするから、
厚生省
といたしましては、この
答申
に基きまして
只今医師法
、
歯科医師法
及び
薬事法
の
改正案
を
国会
に提案をすべく
只今用意
をいたしておるようなわけでございます。まだ本日
只今
のととろにおきましては、
政府
といたしまして、どういう案が
決定
になるということは、まだ閣議の
決定
も経ておりません際でありまするので申上げるわけにはちよつと参りませんのでありますけれども、大体のところはとの会ができました
いきさつ等
にも鑑みまして、この
答申
の
趣旨
を
法律改正
に盛込んで
国会
の御議決を得べく提出を
準備
中でございます。大変複雑ないろいろ取組んだ問題を
ぱつと用意
もなく申上げましたのでありますから、非常に不十分でございますが、
谷口
さんは終始もう
総会
の
特別委員会
に御
出席
でありますので、若し
間違
つて
おりましたら御
訂正
を頂きたいと思います。なお又御
質問等
がございますれば、お答えを申上げたいと存じます。大体今日までのこの問題に対しまする
経過
は右申上げましたような次第でございます。
河崎ナツ
5
○
委員長
(
河崎ナツ
君) 今
葛西次官
が何か
質問
があつたら聞くようにということでございますが、何か重ねてお伺いすることがございましたら、どうぞおつしや
つて
下さい。
谷口
さんから若し御
訂正
がございましたらおつしや
つて
頂きたいと思います。
谷口弥三郎
6
○
谷口弥三郎
君 別にありません。
河崎ナツ
7
○
委員長
(
河崎ナツ
君) それでは、今日はこれを以ちまして一応
委員会
を閉じたいと存じます。 午前十一時十二分散会
出席者
は左の
通り
委員長
河崎
ナツ
君 理事 有馬 英二君
委員
石原幹市郎
君 大谷 瑩潤君 中山
壽彦君
長島
銀藏
君 藤原 道子君 常岡 一郎君 藤森
眞治
君
谷口弥三郎
君 松原 一彦君
事務局側
常任委員会専門
員 草間 弘司君
常任委員会専門
員 多田 仁己君
説明員
厚生事務次官
葛西
嘉資
君