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1951-02-22 第10回国会 参議院 厚生委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十二日(木曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○あん摩、はり、きゆう柔道整復等  営業法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○社会保障制度に関する調査の件  (覚醒剤に関する件)   —————————————
  2. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 只今から厚生委員会を開会いたします。  あん摩、はり、きゆう柔道整復等営業法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、前回に引続き質問を続行いたします。御質問ございますかたはどうぞなさつて下さい。
  3. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 この前審議しました際に、教育施設関係のことについて文部当局からも来て頂いて一応お話を聞きたいと思つておりましたが、今日お見えになつておりますか。
  4. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) おいでになつておりますから、どうかお聞き下さいませ。
  5. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 文部当局のほうから一応現在の制度についてちよつとお話を願いたいと思います。
  6. 大島文義

    説明員大島文義君) 現在文部省でやつておりますこの関係のことを簡単に申上げますが、盲学校におきまして、現在のところ小学部中学部高等部専攻部と置いております。その高等部普通教育における新制高等学校に相当する三年間でございます。子の上に更に専攻部二年を置いております。それで盲学校におきましては、只今のところ職業範囲割合に狭いのでございまして、あん摩、はり、きゆう柔道整復をやつておる所が主でございまして、その他、ほかの職業課程を持つている所もあるわけであります。その高等部三年間におきます教育課程は、普通の高等学校と同じものを施行しておるわけであります。つまり単位制度でございまして、八十五單位取れば高等学校卒業資格を取れる。その中の三十八単位必修教科になつております。これが基礎的な教科でありまして、残りの四十七というものが選択教科になつておりまして、この中で職業課程生徒希望によりまして選択して修得するということになつておるわけであります。それでその四十七単位の中に盲学校高等部で、あん摩、はり、きゆう課程を置いている所は、それに関する科目を置いているわけでありますが、厚生省のほうとも十分御連絡した上で、そういう教育課程を構成して、高等部で三年間修める。三年間ではなお足りません分がございますので、それに続き専攻部二年間におきまして、その続きと申しますか、そういう課程をとらせることにしております。専攻部におきましては、普通課程割合に少いのでございまして、主として職業課程を修得さしておるわけでございます。高等学校と申しますと、普通の高等学校におきましても、大学へ進学するというような普通の課程もございますし、それから昔の中等実業学校、即ち工業学校商業学校課程を持つておる職業課程を主体とする高等学校もたくさんあるわけでございます。盲学校高等部は、そういうような職業課程を多く持つ高等学校と同じ性格を持つているという意味で、あん摩、はり、きゆう柔道整復等を主として指導しておるわけでございます。今日厚生省のほうの試験を受けます資格と申しますか、それを獲得するために、只今申しました盲学校高等部三年プラス専攻部二年、五年の課程を修めまして、文部大臣認定したそういう養成学校卒業した者はそのほうの受験資格を得るという仕組になつております。大変簡單でございますが、以上でございます。
  7. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これは厚生当局でも文部当局でもどちらでもよいのですが、この前、六三三の高等学校を出ておる者は後二年間だけの実地の修業で受験資格を得るようにできないだろうか、できれば今回の法令改正の際に認めてもらいたいというような希望を申入れていたわけですが、その点について文部当局のほうでも御研究願つておるのでしようか。
  8. 大島文義

    説明員大島文義君) 高等学校のほうにも、只今説明申上げましたように、高等部の三年間八十五単位の中の四十七単位は大体職業課程のほうへ振向けておるわけでございまして、その三年間においてそのほうの課程普通教科と連絡を保ちながら進行しておるわけであります。で、その後更に二年間やつておる。若しこれを高等部の三年間は普通教科だけを行なつて、その後の二年間に職業課程を全部集めてやるということになりますと、只今教科課程を再編成しなければならないという問題がございますし、又再編成した結果、恐らく時間等で相当無理なことが出て来やしないかという感じもするのでございます。あん摩、はり、きゆう等専門の課員のほかに、例えば生理学とか解剖学とかいうようなこともやつておりまして、それも基本的な教科の理科の面にも関係を持つてつて来ておるわけであります。一応高等部の三年で普通科をやつてあと二年に職業科を移すということも考えられますけれども、元来現在の高等学校職業科というものも必修で入つておりますし、ほかの高等学校職業科ということは非常に重視してやつておるわけでございますから、学校組織といたしましては、その三年間を最も有効に働かせるためには、やはりあん摩、はり、きゆうを志望する生徒に対しては、その三年間でも何ほどかの教養を与えたほうがいいのじやないかということを感じてやつております。
  9. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 何か私考えまするのは、普通の高等学校を出て来た者は、あとの二年の専修科というか専門部のほうでみつちり、基礎教養もあるのですから技術だけをやらすようにする。そういう途を開いたらどうかと思うのですが、この点について一つ文部当局も将来研究しておつて、やつて行くという御希望を持つておられるかどうか。
  10. 大島文義

    説明員大島文義君) これはなお一応今日の教科課程をよく研究いたしました上で、組織替えをしなければならんという問題になつて来るわけであります。只今お話のように、三年間は基礎的なものをみつちりやり、その基礎の上にあとの二年間で職業課程というものをやれば非常に有効にやれるという考えも確かにあると思います。その点はなお高等学校教科課程を十分再検討いたしまして、そういうことが可能であるかどうかという時間数の関係もございますから、必要があれば再検討をいたしたいと思つております。
  11. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は、だから二本建でもいいのだと思う。ずつと下から来る者は現行制度でもいいが、よそから高等学校を終えて、あとその資格を取りたいという者は二年間の間にみつちりやれるような部別を設けておいてもいいのじやないか、こういうことを研究しておいて貰いたい。
  12. 大島文義

    説明員大島文義君) それは大変結構な話だと思うのでありまして、つまり高等学校では、特にあん摩、はり、きゆう課程を修めずに普通の高等学校課程を修めまして、そうして専攻科に入つて二年間で、そういうことを習得するということで……。
  13. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そういうものは師範の二部のような、そういう組織でやつて頂きたい。
  14. 大島文義

    説明員大島文義君) それは十分研究いたしたいと思います。
  15. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そうしますと、逆に盲聾唖学校のほうで最初の三年ですね、これを出た者は高等学校卒業資格を十分持つておる。現行法で…。
  16. 大島文義

    説明員大島文義君) 持つておるわけです。
  17. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 医務局長にもう一回、この前も大体お答えがあつたのでありますが、今の学制改革というか、そういう教育機関の点は近い将来においてそれぞれの機関に諮つて検討して、できれば改正したいという意向を持つておられるかどうか、もう一遍。
  18. 東龍太郎

    政府委員東龍太郎君) 学校の点につきましては、只今文部省のほうからもお話がありました教育課程の点は、文部省のほうの十分な御研究に俟ちたいと思いますが、今石原委員お話のように、いわゆる二本建というような形になりますことは、私厚生省としてもこれは可能でもあり、或いは望ましいものではないかと思つております。ただ併しながら私のほうにはお説の通りの中央審議会なるものがございまして、このような制度の、殊に教育課程のまあ重大な改正ということでありますので、この審議会大臣の諮問を附して提出して頂きまして、そうして各方面の意向等も十分研究いたしまして、その結果に基いて所定の改正の案を作つて、成るべく早い機会にこれを国会にも提出したいと、さように私は考えております。
  19. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 外に御質疑はございませんでしようか。
  20. 藤森眞治

    藤森眞治君 この認定された養成施設は、先だつてつて、極く数が少いらしいのですが、認定されない養成施設というものも相当あるのではございませんか。殊に府県の経営の中に相当あるのではないかと思うのでありますが、状況は如何でございますか。
  21. 東龍太郎

    政府委員東龍太郎君) 実は数は全部詳しくは持つておりませんが、最近認定の申請がありまして、そうしてこちらで調べました結果、不備な点があつて、まあ認定を却下になつておるというのが二三あるという程度でございます。
  22. 藤森眞治

    藤森眞治君 それから手続をされておらない、又認定段階に至らない養成施設、こういうふうなものは相当あるのでございましようか。それからもう一つは、どうせ卒業期が三月末あたりと見て、現在の申請しておるものは、それらの手続を終つて認定されるようになるお見込ですか。
  23. 東龍太郎

    政府委員東龍太郎君) 只今のお尋ねの最初のいわゆるもぐりがあるのじやないかというお話、これは私どものほうでは、もぐりはないと承知いたしております。それから三月末に卒業ということで、認定されていない学校、或いは施設、まあその中には文部省関係のあれも含まれるかと思いますが、これは三月の卒業に不便にならないようにでき得る見込でおります。それから今却下いたしました部分は、先程申しました却下いたしましたものにつきましては、まだこの三月に卒業生が出るという段階になつておりませんそうです。恐らくそれも相当数のものでありますれば、卒業生の出るまでには不便のないように処理できると考えております。
  24. 藤森眞治

    藤森眞治君 これはこの今度の改正に直接関係はないのですが、第五条のいわゆる柔道整復師医師に相談をして脱臼或いは骨折の施術をしなければならんという規定になつているのですが、実際現状を見ますと、もう殆ど医師に相談するとか或いはそういうことなくして、全部が応急処置と同じような姿で行つているというふうに我々には見えるのですが、厚生省のほうで御調査が若しできておりまして、実情をどんなふうに御覧になつておりましようか。
  25. 東龍太郎

    政府委員東龍太郎君) 最近の調査ではございませんが、このあん摩、はり、きゆう柔道整復師等に関する現在の法律ができましたあの前後におきまして、今の柔道整復師脱臼骨折治療医師に相談せずにやるということが頻繁であるというお話もありまして、その当時整形外科専門家を通じましていろいろと実情調査いたしました。その結果確かにそれは相当数ございまして、それはつまり医者に相談せずにやつて、その結果治療成績が悪くなつて、そうして今度は止むを得ず整形外科専門家を訪れたというようなケース、実例を幾つか提出してもらつたのがございます。従つて専門家の所へ出て来たのがそれだけの数でありますから、そうでなくて、うやむやになり或いは又専門家ならざるお医者さんの手を通じて何とか処理がされたものも相当あると想像しなければなりませんので、これはお説の通りそういうふうな好ましからざる処置が行われているということは私も十分想像はいたしております。併し果してどのくらいの件数でありますかということにつきましては最近の調査は持つておりません。
  26. 藤森眞治

    藤森眞治君 これにつきましては、これは健康保険のほうにおきましてもこの柔道整復が認められておるということになつておりますが、そうすると、これは一つ治療として正当化されておるものと見た場合に、この取締から逸脱した方向に行つているということがあるのは、私はよほど嚴重にこの法律を守るようにしなければならぬということが考えられるのですが、実際においては今申上げたような医師の手をくぐつておらんということは非常に多いので、今後若し教育問題等にからみ合して法律改正をされる際には、もう少し嚴重にやられる必要があるのじやないかと思いますが、どうでございませうか。
  27. 東龍太郎

    政府委員東龍太郎君) 保険のほうで契約等をやつていることはお話通りでありますが、その場合も医師同意書を付けるということにいたしておりますけれども、それも間々行われていないことがあるということも聞いております。只今の第五条についてもう少し嚴重取締をするようにこれを変える考えはないかというお話でありますが、これにつきましては実害が今までのように非常に眼に余るという状態でありますならば、医師会等の御意見を十分伺いまして、必要に応じては改正いたすのもよろしいかと考えております。
  28. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) ほかに御質問ございませんでしようか。  ほかに御発言もございませんようでございますから、質疑は尽きたものと認めまして御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) それでは御異議ないものと認めます。  これより討論に入ることにいたします。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願いとうございます。  ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  30. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 速記を始めて下さい。  あん摩、はり、きゆう柔道整復等営業法の一部を改正する法律案、これにつきまして討論に入りたいと存じますが、御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  31. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は三つの点について希望なり当局に善処を要望して、本案に賛成したいと思います。その第一は、先般からいろいろ当局に質した点でありますが、中央地方審議会委員範囲でありますが、これは政令できめるなり或いは適当な行政指導をしてもらつて、それぞれの利害関係者が従前通り入りまするように指導をしてもらいたい。第二は、試験制度が今度は全然地方審議会に任されるのでありますが、これ又各都道府県において余り区々まちまちにならんように、適当に善処してもらいたい。第三点は、教育養成施設について近い将来に再検討を加え、現行高等学校卒業者が更に五年間も修業せねばならんような、矛盾と言いますか、欠陷を近い機会に除去せられたい。この希望を申入れまして本案に一応賛成しておきます。
  32. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) ほかに御意見ございますか。  別に御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて差支えございませんでしようか。    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  33. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入りますが、石原委員のおつしやつた要望を付けて……。
  34. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それは私の要望で、別に附帯決議というような意味ではございません。
  35. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) それでは、そういうわけでございますから、これより採決に入ります。あん摩、はり、きゆう柔道整復等営業法の一部を改正する法律案について採決いたします。あん摩、はり、きゆう柔道整復等営業法の一部を改正する法律案を原案の通り可決することに賛成のかたの御起立を願います。    〔総員起立
  36. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。それから本院規則第七十二条によりまして委員長が議院に提出する報告書には多数意見者署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     小杉 繁安  有馬 英二     大谷 瑩潤  中山 壽彦     石原幹市郎  藤原 道子     上條 愛一  藤森 眞治     松原 一彦
  37. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御署名漏れはございませんか。署名漏れはないと認めます。  尚本会議における委員長口頭報告内容は、本院規則第百四条によつて、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において、本案内容説明、並びに本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告することといたしまして、御承知願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御異議なきものと認めます。有難うございました。   —————————————
  39. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) それでは、なお、この際お諮りを願いたいことがございます。社会保障制度についての調査の一環といたしまして、覚醒剤に関する説明を聴取することに御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) それでは法制関係のことにつきまして、これまでの経過参議院法制局第一課長中原氏より伺うことにいたします。
  41. 中原武夫

    法制局参事中原武夫君) 私から覚醒剤に関する立法措置をどういうふうにして行くかという問題に関しまする今日までの経過を御説明申上げます。  第九国会、前の国会終り頃になりまして、覚醒剤取締措置を、薬事法を一部改正することによつて行いたいという議論がございました。そのときの内容は、薬事法に一カ条を附加えまして、製造業者に対する生産制限、それから輸入業者に対する輸入制限、それから販売業者に対する販売制限のみならず、全般的な禁止もできるという規定であつたのであります。その際に、全般的な禁止をするということまで行くと、損失補償の問題が起きて来るけれども、予算措置ができるかどうかということが懸案になりまして、一応御破算になつたのであります。それで厚生省のほうでは、若しそういう損失補償の問題が理論的には起きたとしても、実際上は損失補償をしなくてもいいような段階にまで持つて行く措置を講じよう、そのためには、法規上の根拠はありませんが、生産中止の勧告に対して、許可を受けておる製造業者に全部協力をしてもらつて製造中止をやつて来ました、その措置をずつと続けて行くとすれば、いつかは製造業者なり、販売業者手許にあるストツクが極めて僅少になる時期が来るであろう、そのときに製造禁止の命令を出すという法的な根拠を付けるならば、損失補償の問題は実質的に片付いて行くということで今日まで参つたのであります。十二月末現在におきます製造業者ストツク数量を調べてもらいましたところが、金額にいたしまして三百七十六万円余りでございます。  現在は三つ考え方があるのであります。  その第一は、前の国会から引続きまして考えられております薬事法改正によつて製造業者を抑え、販売業者を抑えて行くという考え方であります。  今一つは、全面的にヒロポンその他の覚醒剤を日本の国内からなくしてしまう、絶対的な禁止方針を強行して行こうという考え方であります。  今一つは、この前の公聴会で証人の方がお述べになりましたように、麻薬取締法に準じて取締を行なつて行くことによつてヒロポン規制覚醒剤規制はできるのではないかという考え方でございます。  第一の薬事法改正によつて行く考え方を取りますと、製造の面と販売の面と配給の面は一応抑えられます。併し製造業者ではない者が行う……、製造を業としておらない、自分製造をして自分で使う製造の面、それから販売業者と断定できないような譲り渡しの面、それから譲り受けた者の規定の面、そういう面が一点脱落いたします。それから中毒者自体を処罰する規定がありませんので、中毒者措置が困難であります。  又最後に薬事法による薬事監視員は摘発の権限を持つておりませんので、取締に非常に困難を来しております。この三つの面が一応脱落いたしますので、薬事法改正だけでは完璧を期することができないのではないかという欠点があります。  それから第二の、全面的に禁止して国内から覚醒剤を一掃するという案につきましては、前の国会終りに問題になりましたような損失補償の面が少し残るのであります。と申しますのは、一般的に財産権制限をする場合には、たまたま或る者が損失を蒙つても、これは補償しなくてもいいという従来の解釈であり、立法例であります。ところが現在許可貰つて製造をしておる製造業者は、一応薬事法によつていわば或る種の特権みたいなものを持つておるわけであります。従いまして一般的に禁止されて、一般の人は製造禁止されておるが、許可を受けた製造業者製造ができるという特典を持つております。で、規制の仕方は一般的に禁止するとしましても、受ける側からみますと、薬事法による許可を受けておつた者についてだけは特別な侵害が加えられるわけであります。そうなつて来ますと、特定の者の財産権をゼロにしてしまうという措置は、従来も損失補償を必らず伴つて来ております。そういう理論なり、立法例なりからいたしまして、全面的な禁止をするということになると、損失補償の問題が残つて、これは予算措置との関連で考えて行かなければならないのではないかということになります。  それから第二の麻薬取締法に準ずる措置で参りますと、一応考え方としましては、麻薬取締法そのままを準用するわけには参りません。と申しますのは、麻薬取締法には輸入から消費の段階に至る十一の段階が設けられておつて、その十一の径路を麻薬が通過しているようになつております。ヒロポンでは、覚醒剤ではそういうことまでする必要はないのであつて製造業者から直接お医者さんの手許に流れる線だけを考えるというのが、厚生省薬事課のほうでとつておられる方針でありますから、そういう線だけで行くといたしますならば、製造業者を抑え、それから覚醒剤を使用する医師を限定し、それからそれ以外の所持、譲渡は一切禁止するという措置を講じて行けばいいわけであります。で、そういたしますと、一応装造業者手許にあるストツクも流れる途が付くわけです。それから経過的な措置を講じて、販売業者手許にあるストツクも、指定された、限定された医者手許へ流れて行くという途を講じて置きますならば、損失補償の問題にからまずに、一応の麻薬と同じように巌根な規制ができるのではないかということになるのであります。只今のところは、今の三案につきまして、どれを採るかという決定には至つておりませんが、大体の経過はそういうことでございます。
  42. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) なお御質問のことがございましたら、どうかお聞き下さいませ。  なお他の一面におきましての直接に覚醒剤そのものにつきまして取締に当つております厚生省製薬課課長おいでになつておりますから、その御報告を伺うことにいたします。椙山製薬課長
  43. 藤森眞治

    藤森眞治君 委員長ちよつとその前に厚生省のかたに伺いたいのですけれども、先だつて参考人で来て貰つたかたの、殊に大日本製薬ですか、あそこのかたから聞くと、もうあそこには手持が全然ない、こういうことを言つておられましたが、大体製造許可をしてある所にまだ相当その覚醒剤手持がございましようか。もう殆んどなくなつておるのが現状でしようか。
  44. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) 現在の在庫量でございますが、全額にいたしまして今法制局第一課長から御説明がありましたが、三百万円ばかりのものでございますが、数量にいたしまして約三十三万アンプルの、結晶が六十六キロ七百三十。
  45. 藤森眞治

    藤森眞治君 それはメーカー手許にあるのがそれだけでしようか。販売業者の方には、これはちよつとお分りにくいかも知れませんが、若し分つておりましたら……。
  46. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) 只今申上げました数字はメーカー手許残つておりますところの在庫品であります。販売業者の方は全国の販売業者をいろいろ調査をしたのもありますが、これはちよつと在庫量を掴むことは不可能ということでございます。
  47. 藤森眞治

    藤森眞治君 最近の医院、病院その他の医療関係者の方の在庫は各都道府県で調べておられますようですが、これと同列で販売業者のほうも調べておられますか。
  48. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) 販売業者のほうは調べておりまして、その集つて来たものは集計して薬事課のほうでこちらへ回答した、所管が薬事課になつておりますものですから。
  49. 草間弘司

    専門員(草間弘司君) 調査員のほうから覚醒剤在庫数、薬局と、それから医薬品販売業者在庫数、これを見まするというと、錠剤これが三百六十八万八千六百二十タブレツト、注射剤六十二万九千八百アンプル、粉末が六千八百六十五グラム、それから、その他に散剤になつたもの、これは百倍に薄めてありまするから、それで四万一千六百五十一グラム、百倍になつております。十倍に薄めてある散剤これが五百七十五グラム、これだけでございます。その他にまだ未報告の県が三つ四つございますから、まだこれ以上ということになります。
  50. 松原一彦

    ○松原一彦君 それは価格は幾らですか。
  51. 草間弘司

    専門員(草間弘司君) 価格は今直ぐ出ませんけれども、直ぐ分りますが。
  52. 松原一彦

    ○松原一彦君 専門員の今言われたのは、これは販売業者が持つておるものですか。
  53. 草間弘司

    専門員(草間弘司君) そうです。
  54. 松原一彦

    ○松原一彦君 説明員の言われたのは、製造業者、この二口ですね、それを価格にしたものは出ませんか。それは何処から集められた材料ですか。
  55. 草間弘司

    専門員(草間弘司君) これは厚生省薬事課でございます。
  56. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 今でも覚醒剤の錠剤というものは製造許可になつていますか。
  57. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) 只今では製造許可はしておらないのでございます。
  58. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 いつから禁止になつたのですか。
  59. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) それは昭和二十五年……昭和二十四年の……。
  60. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 粉末はどうなんですか。
  61. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) 粉末も錠剤と同じくなつております。昭和二十四年の初めに、これが公定書の一つでございまするところの国民医薬品集に收載されておつたのでございますが、昭和二十四年の五月三十一日に国民医薬品集の改訂を行いまして、そのときにプロパミン及びメチール・プロパミンの結晶及び錠剤、散、そういつたものは公定書からこれを削除いたしまして、その結果、経過措置を経まして昭和二十四年の九月以降は許可を持つてないものということになつたのでございます。公定書外の医薬品の製造許可として申請がございましたけれども、これは全部許可せずにそのまましたわけであります。原末の純粋の結晶と錠と、それから十倍散と、そういつたものを、国民医薬品集に收載されておりますものを昭和二十四年の五月三十一日にこれを削除いたしまして、経過措置を経て昭和二十四年九月以降は許可のないものとなつております。許可申請も出たわけでございますが、それは全部許可をせずに今日に至つておるわけでございます。
  62. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 そういたしますと、今ここに御報告なつた量というものは二十四年の九月までに製造した残の分ですか。
  63. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) その通りでございます。製造業者のほうの錠剤の在庫量は二社ございますが、その中の一社のプロパミンの錠の一ミリのものが二百十四万八千錠、プロパミンの二ミリの錠剤二十五万八千百錠という在庫があつたのでございますが、今日の報告によりまして大阪府の薬務課員が立会いまして、向うは会社が自発的意思で全部廃棄したそうでございます。
  64. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 そうしますと、錠剤、粉末等は販売してないわけですか。
  65. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) そうでございます。錠剤につきましては販売は現在はいたしておりません。ただその販売につきましては、製造と違いまして、いろいろ薬事法上の販売が不可能であるかどうかについては、いろいろ法的な疑問はあるわけでございますけれども、現実には販売いたしておりません。
  66. 有馬英二

    ○有馬英二君 では課長に伺いますが、そうすると、それは製造禁止だけであつて販売禁止してないということですか。そういうわけじやないのですか、錠剤と散剤のほうは。
  67. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) 製造と共にその製造業者からの販売は当然これは禁止されておるわけでございます。ただ以前からございます各販業者にある品物につきましては、現在では表示の問題がございまして、公定書の医薬品でございましたところのメチール・プロパリン錠は、公定書から落ちますと共に、公定書の名前を使うことはこれは当然薬事法の違反になるわけでございます。それと共に、新しい許可がございませんから、新しい公定書医薬品としての名称もないわけでございます。その経過措置はもう過ぎておりまするので、それにつきまして現在のところそういつた角度からこれは販売できないものという考え方を持つております。ただ現在の薬事法につきましては、そういつたものについての経過措置中の明確な規定がないのでございますけれども、従前の例によりまして一定の経過期間を過ぎた以後におきましては、そういつた現在すでに表示の上において違反と認められるという点からこれは売れないということになつておるのであります。
  68. 有馬英二

    ○有馬英二君 そうすると先ほどの何で、こちらの調査員からの御報告なつた錠剤、それから注射液は別として、粉末、剤散剤百倍と十倍というものが、これだけ未だに薬局並びに販売業者手許残つておるのですから、ただ製造禁止したということだけでは、これは細々と販売せられておるものと解釈できるわけですね。又それを差しとめる方法はないというあなたの御説明のように伺つたのですが、若し我々が只今問題になつておるところの覚醒剤製造ということをここでどういう工合にしなければならんか、即ち禁止をするかどうかということになりますと、ただこれから禁止しただけでは、この手許残つておるところのものの処分について何らかここで又特別なことを考えなければならんのであります。例えばこれをすべて廃棄するようにするとかというようなことにしなければ、実際においてやはりこの覚醒剤の害毒というものを全般的になくするということはできないというように思われますが、如何でありますか、御説明願います。
  69. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) 販売業者在庫量につきましては、これは調査いたしますのに非常に長い期間を要するのでございまして、これを調査いたしました時期等から見ますと、数字のまとまつた現在といたしましては、これは経過期間中も含めてのものと考えまして、その数字よりは遥かに少くなつておると考えられるのでございます。そこで現在製造制限或いは禁止というようなことがございましたならば、又或いは現在の自粛生産中止の状況が続くという場合には、これは密造とかそういうことは別といたしまして、正当に造られたもののほうは、生産数量というものは非常に小さなものしか残つておらないということは言えると思うのであります。錠剤は相当あるようでございますが、錠剤についても只今申上げましたような理由で現在はそれだけのストツクはないものと考えられますと同時に、錠剤のほうは貯蔵管理等についても非常に大量使用しないとこれは駄目だろうと考えられるのでございまして、現在販売業者手許にあるストツクの量というものは、大局から考えまして、中毒に対する非常に大きな材料ということにはなり得ないだろうと考えられる次第でございます。
  70. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 先だつて精神病の専門家など参考としてここでいろいろ聽取したのですが、この人々の話によりますというと、医学上には極めて少量でいい、これを禁止しても差支えない、これはそういう御意見であつたのですが、政府当局としては制限というほうに重点を置かれて、禁止ということについてはそういうお考えは現在はないのでございますか。これを一つ伺いたいと思います。
  71. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) ちよつとそれに関連いたしまして、取敢えず只今までいろいろとこの法政化を担当いたしております薬事課を中心に考えて参つておりますのは、製造販売輸入等の制限という線で、これは先程中原課長からも御説明がございましたように、補償ということを考えずにこれを行い得るという線で研究いたして参つたのでございます。それと同時に昨年の十一月二十九日の次官名によりますところの嚴重製造中止勧告以後は製造を現在いたしておりません。その後我々のほうで十分な調査を行いました結果、当時許可を持つておりましたものは二十一社ございますが、昨年の十一月二十九日に現に生産を行なつておりましたのは八社ございまして、そのうち、その後調査いたしましたところが、三社が輸出品の契約のありましたものを幾分製造したのと、仕掛品の仕上げということをやつた所が三社ございまして、他は全然製造をいたしておりませんし、更に現在までその八社のうち自発的に製造廃止届を出して参りましたものが三社ございまして、一方、製造制限販売制限輸入制限ということの法制化によりまして、現実の問題といたしましてこれの生産は全部なくなるであろう、本当に必要な医療上の部分だけが若し仮りに或る程度生産されるといたしましても、そういつた制限の法制化がございましたならば、それを越えて若し生産が行われた場合には直ちに取消すということをし得るという角度から、そういう線で只今まで考えて参つたような次第でございます。
  72. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 生産の制限ということが実際問題としてでき得るでしようか。従来もやはり或る枠の中で生産をするというようなことになつておつたものが、枠以上に多量に生産されたというような実情にあるらしいのですが、制限ということが実際問題として、たやすくできましようか。それを一つ伺いたいと思います。
  73. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) 勿論、禁止ということであれば一番それは完全であろうとは考えられるのでありますが、実際問題といたしまして今までこの生産割当を行いましたのは、これは單に行政的な措置だけで罰則を伴わない、昨年七月以降はただ報告について薬事法を適用いたしまして虚僞の報告を防ぐということのみでございまして、只今までの生産割当の措置は、單に行政的な指導という角度で参つたのでございますが、そういつた生産の制限についての明確なる法規ができました場合には、それについて、それを実施して行く上につきまして、生産、販売輸入制限の完全な遵守ということをやつて行きます上においての種々な扱い方ということも、従つて法的に規定し得ると考られますので、そういう場合には全然今までの生産割当というようなものとは全く角度の異なつたしつかりとした角度を行い得ることができると考えられる次第でございます、
  74. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 この間、参考人のときに警察予備隊の医務総監を呼んであつたのですが、丁度あの天候で来られなかつたのですが、警察予備隊で覚醒剤を多量に要望するというような話もちよつと聞いているのでありますが、若しそういうような要望があつた場合に、政府当局としてはこれを製造されるという御意思があるかどうか、若し製造されるとすればどういうことでこれを製造するかということを一つお尋ねいたしたいと思います。
  75. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) 仮りにそういつた要望がございましたならば、果してその要望が止むを得さるものかどうかという点について十分にこれは慎重に研究する必要があると考えられるのでございます。その点につきまして只今現実にその問題が我々のほうに起つておりませんので……ただ果してそういつた医学上絶対にそういうものがいいかどうかというようなことにつきましては、只今私といたしましてはここで結論的なものを持合せはございませんのですが、従いましてその際どういう形でこれを製造させるかについても決定的なことを申上げる段階にないというような状態でございます。ただこの前の質問におきましてお伺いして、そういつた生産制限等を現在の自粛状況或いは現在の輿論の動きという点から、医学上の若し必要がありとすればそういうものを特に生産さす以外に、この生産は今までとは非常に異なつた状態で、殆んどこの生産が自然にストツプし得る状態になるというような点は先ず大丈夫であると考えておる次第であります。
  76. 松原一彦

    ○松原一彦君 政府の行政的な話合い、懇談の上から、製造業者が自粛して漸次その製造を縮小し、若しくは廃止しておるということは想像もつきます。私ども大日本製薬を見たときにも、殆んど良心的に今ではそういうものをやめておるということであつたのであります。それはわかりますが、併しそういうことをする一方に使用者に対するところの取締がなかなかつかないという事実から、悪質な闇製品が一層多く市場に流れて、その害毒は公認のよいものの薬品より以上に悪い影響を及ぼすというような事実があるんじやないでしようか。この点については厚生省の薬事方面から、又製薬方面から御覧になつたところではどうでしようか。卒直に御意見をお聞きしたい。
  77. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) 密造のものにつきまして我々の現在聞いておりますところでは、或いは滅菌もしないで、單に注射薬を台所の片隅で溶かして、滅菌もしないで出しておるというものもある一方、一方に立派な品質を持つて間違いのないといつたもの、衛生上からは何らそこに薬品として支障のないというものもございます。両方ございます。
  78. 松原一彦

    ○松原一彦君 闇に……。
  79. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) はあ。
  80. 藤原道子

    ○藤原道子君 私どもも先ほどから伺つていて納得が行かないわけでございます。私たちがこのヒロポン問題をこれほど重要視いたしますのは、非常に社会的な害毒が大き過ぎるということです。而もその中毒者が心身共に未熟な青少年において最もこれが多いということなのでございます。そのヒロポンを使用することによつて疲れが治るのではなくて、これはごまかしなのでございますから、そのために精神病者さえ出て来ておる。それが年中殖えて来ておるというような意味からして、私は断じて禁止すべきであるという私の持論を持つております。そこで禁止したに越したことはございませんが、それには何といいますか、補償が伴う。だから制限で行つたほうがいいのだ、こういうようなことのように私はとれるのですが、ところがこれを補償するといつたつて、僅か三百七十六万円ということなのです。三百七十六万円と今の社会的に流している害毒と併せ考えますときに、どつちに比重を置くかということになるのですが、三百七十六万円というのは安い金額である。殊に製造業者が自発的に廃止しているとか、自粛しているという段階におきましては、製造禁止しても補償の問題はそう多数は起つて来ないと思います。社会道徳の上から見ましても、それならば私は害あつて益なしという薬は禁止すべきである。禁止ということになれば闇に流れるというものも取締れることと思います。製造制限という言葉を使われる陰に、一つ私は卒直にお伺いしたいと思うのですが、何やら大きな力が動いているのではないか、禁止することができない理由が何かあるのではないか。
  81. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) 只今の、なぜ禁止せずに、生産、販売とも制限で行くかということでございますが、それは当然禁止の線も考えて、現在の状況から参りますと、製造業者においても自発的に廃止しようとしております。現在は生産は中止いたしておりますので、実際問題としては結局近いうちに生産はなくなるというところでございますが、取りあえず現在までの線は、勿論補償の問題もございますが、現実に生産がとまることによつて製造販売制限という線で、これは当然、自然にとまるということになるという角度で現在まで来たわけですから、決して禁止を否定しているということは全然ないのでございます。一刻も早くそういつた措置をとるということが一番早道であるという角度をとつておるのでございます。御心配になりますような線というものは全然ないのでございます。ただ純学問的なことは、例えばこの覚醒剤がアメリカの薬局方には今度逆に收載されるというわけでございまして、純学問的には、日本ではそれを禁止するというような純学問的な問題はありますけれども、それは單に学問的な一つ考え方でありまして、他のほうからのそういつた力というものは只今のところは別にないのでございます。その点、誤解のないように申上げておきます。
  82. 藤原道子

    ○藤原道子君 その点はあなたの言葉で安心したのですが、併しここで製造制限ということになりますと、今私たちが恐れておりますのは、現実におきまして労働強化の場合にこれが使われておる傾向がございます。それから先程中山先生もお話がございましたように、予備隊あたりからこれを求められたときにどうするかということもあるわけでございます。それからいろいろ私たち調査中でございますけれども、そういう点を考えまするときに、これはもう害のあるものだということで製造禁止しておきますならば、そういう憂いがなくなるのではないかと思うのでございます。ですから再び青年たちの……害毒が多いということがわかつておるという薬でございますから、もう禁止してもいい、禁止したんだということに私たちはここで持つて行きたい。この間、脳病院の院長初めいろいろなかたに来て頂きましたけれども、こういう先生がたの意見を聞いても、私は製造禁止のほうがいいように思つておりますので、一部の学問的な研究的の点はあるかもわからないけれども、これがなまぬるい点で終りましたならば、何らかの抜け道が起きて来る、製造制限して、而も一方から求められればそこに何らか秘密的な製造もできるかもわからないと考えますので、これを国の法律で以て禁止するという線に持つて行くのがとるべき途だと考えるのでございますが、その点は如何でございましようか。
  83. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) その禁止の線につきましては、只今申上げましたように、そのもの自体が害毒があるが故にこれを禁止するという線については、私から只今ちよつとその問題についてはお答えすることができないと思います。我々が只今までとつて参りましたところの線は、このものが一刻も早く現実に造られないような措置をとつて来ておるわけでございますから、害があつたからという点についての措置につきましては、只今の学問的な問題は別といたしまして、そういつた点もございますので、その措置として有害で価値なしという角度からそれを禁止するという線には、只今私どもとしてはそこまで十分まとまつていないのであります。現実の問題としてこれはなくなるということで、当然禁止といつたことは結果においてそういうことになると思います。只今言われておる、薬として価値なしという角度からの禁止については、只今のところ私どもとしてはお答えできないと思います。
  84. 藤原道子

    ○藤原道子君 社会的な害毒という今の情勢から行きまして、害なしとは言えないでしよう。社会的な大きな問題になつておりますことは、害ないということでその薬を使うことによつて精神病者も多くなつて来ておるし、或いは又青少年が心身共に蝕まれて行く或いは犯罪の要素になるという点から考えまして、私たちは禁止したほうがいい、或いは医者の立場から言つてもそう必要性はないように私ども聞いているのですが、結局害があるから禁止するというところまでは行つていないという今のお答えなんですね。
  85. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) 害がないからという点ではなく、社会的なこういつたいろいろな害が出てきておりますから、これに対しまして制限なり禁止なりという線を我々考えて来ておるのでございまして、その薬の、本質的な薬としての利用上の意味はない、或いは薬物作用はただ害のみであるというような角度からはまだ取上げていないのであります。只今これは現在アメリカでは本来の薬局方に載せるという点は、少くともそれが一つの医薬としての意味があるという点を考えておるわけでございまして、只今我々のほうでは正当に医療上の目的に使われずに、こういつた非常に予想されざる方向に使われたための害、それをはつきり認めておればこそ、それに対するいわゆる行政的な措置或いは又今般こういつたような法律的な措置をとろうという角度に進んでいるのでございますから、今の製造制限とか禁止というような線につきましての只今までのところとつて参りました措置は、一刻も早く、こういつた補償の問題で以てそのまま遷延するよりも、一刻も早くこれが措置できるような角度に今行つておるということを御説明申上げた次第であります。
  86. 藤森眞治

    藤森眞治君 今椙山さんからのお話でよくわかつて来たのですが、ところで先程お話の中に、もう三社が入つておるというお話がありました。どうしても一方には害毒があるということは、事実も出ておることであるから、これは一つ行政的にあなたがたのほうから製造業者と話合つて、自発的に廃止届を出すというような気運が作られるように是非運ばれて、そういうふうな全部が廃止届を出すということになるようなお見込はございませんか。
  87. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) 藤森委員お話のような角度へ我々としては持つて行くように努力いたしたいと思います。その見通しにつきましては只今ここで正しく申上げることはできませんけれども、ことごとくという点につきましては……まだ三社以上に殖えるものとは当然考えられるもので、自発的な廃止しか考えられません。それが直ちに今自発的に廃止だけで、或いは行政的な措置で印刻全部が全部ということはまだここでは私ちよつと何は申上げられないと思いますけれども、その方向に、少くとも三社だけでなくして殖えて行つて、できればその線に行きたいということは、私どもも考えておる次第でございます。
  88. 藤森眞治

    藤森眞治君 自発的に製造中止するか或いは禁止するかというところまでの線に行つていないのですから、そういうところも十分あなたがたから道義的にお話下さつたら、恐らく全部の人がこれに賛成するだろうと思うが、又そうでなければならんわけでありますが、そうしたら余程解決が早いと思います。至急あなたがたのほうで十分このほうに努力されるようにして貰いたいと思いますね。
  89. 松原一彦

    ○松原一彦君 専門家のかたがたの御意見を私尊重しますけれども、現実の問題としては、私の知つておる文士とか、芸能家、深夜の仕事などをする人人は、もうどうしても打たなくては仕事ができないと言つておる。あの少年たちが或いは売笑婦などが中毒にかかつてつて、日に五十本、百本打つておるものとは違つた、いや打つてはならんと、成るべく打たないようにしたいという立派な意思を持つてつても、どうしても書き上げなくちやならん原稿とか、或いは高座を勤める芸能者とかいつたような者は、何としても打たなければ仕事ができないということを述懐しておる。そこまでもう参つておるのだから、余程これは強い法律的な禁止事項かなんかを用いて、それを密売した者などに対しての取締嚴重でなければ、もうちようど何といいますか、煙草が入つて来て後にはどうしても煙草がやめられないと同じように、やめられないのじやないのでしようかね。それ程需要があるということです。需要があるところへただ品物を禁止するということは、さつき私が申上げましたように、良いものが形をひそめてしまつて、極めて悪い闇のものが多く蔓ることによつて、値段も高くなれば質も悪くなつて、需要者に及ぼす影響は一層今よりも悪くなるという事実を現わすのではないでしようか、その辺の御見解は如何でしようか。
  90. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 その点はあなたのおつしやる通り心配しておる。正当な薬品が姿を消して悪い薬品が闇で高く売られて、市場に流れて行く。これは現在そういう傾向が非常にあるように聞いております。製薬会社の社長なんかを呼んで聞いてみましても、又強いのを闇で売つておる。そうすると、正当な製薬会社で作つたものよりもよく効くといつて、素人の人がそれを愛用する。従つて値段も高くなるというように現在はなつておる。
  91. 藤森眞治

    藤森眞治君 まだ結論はなかなか出て来ないと思いますが、これはまあ製薬課長にお聞きしたつてどうなる問題でもないから、さような需要者、悪いと知りつもなお且つ需要者がある。そうしてこれを求めるのは酒以上に、食物以上に熾烈なんです。食物と両方並べると、食物は要らん、ヒロポンがほしいというところまで来ているマニアがあるのですから、その方面も一体社会問題としてどう取締るかということですね。何とかやめたいのだけれども、やめられない。あとにひけないというところまで来ているのが現在の事実だと思うのです。なお、もう少し一つ御研究を願つてこの審議を続けて頂きましようか。今日はこれで一つお打切り下つて、なお御審議を御継続願いたいと思うのですが、如何ですか。
  92. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 只今の御意見のほかにまだ製薬課長にお聞きになる方ございますか。
  93. 有馬英二

    ○有馬英二君 若し製造禁止されて日本の国内では、闇物は別といたしまして、表向きは正しいことができない場合には、若し外国からどんどん入つて来るというようなことがあつたらどういう工合に取締りますか。
  94. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) 若し禁止或いは製造制限或いは自発的の廃止届で、正当な生産というものがなくなりました場合は、これは全然許可を持たない無許可の者が密造いたしました場合には、これは当然薬事法によつて販売或いは製造については、これを業とする者は尽くこれは薬事法によつてこれを告発することができるわけであります。直接薬事監視員が司法権を持つておらなくても、各方面と協力し、或いはこれを見付けた場合は告発するという措置がとれるわけであります。輸入のものにつきましては、これは只今でも一、二そういつた輸入の申請があつて、それに関しますところの覚醒剤を含んでいるところの製剤の輸入申請があつたのですが、これは今保留ということで一応とめて許可をまだ出しておらないという状況でございます。と言いますのは、輸入販売業については、医薬品製造業と同様に政府は扱うという線がございますので、輸入品につきましてもこれを只今のところ許可せずに、とめたという状況であります。
  95. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 製造制限ですね、自然に自発的に制限廃止するというのは、業者の自発のほうですね、けれども一方今制限はしているのですね。今製造制限はしていないのですか。
  96. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) 今までのところでは、事実行政的な措置だけでありまして、法規はないのでありまして、その法規によりまして、それをするか禁止するか、今いろいろ考えつつあるところであります。
  97. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 皆さんの心配しているのは、かく制限をするとともに、それの取扱について、非常にこれは行政的措置ですから、これまでは製造制限だけですけれども、いろいろ監督したり、又そういう届をむやみにほかへ、渡すべき所へ渡さなければならんのに勝手に売つたり、そういう適当でない所に売つたりいたしまして、非常に監督をきびしく医薬なんかしていますね、ああいうふうな取締という方面は、今の制限だけでそこまでは行かないのですか。その面のことをもう少し伺つておきたいと思います。
  98. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) 禁止或いは制限でございますが、そういつた措置がとられましたならば、これは現在我々のほうで禁止いたしましても、果して補償を出すべきかどうかという点も考えておるわけでありまして、制限するならば多少の補償はしていいだろうと思います。そういつた法規ができました場合、いずれの角度の法規ができましても、例えば販売制限製造制限、或いは輸入制限という角度でございましても、こちらが指示してきめた方法以外にこれが販売されるということがございましたら、これは取締ることは可能でございます。ただその点について一応問題になりますのは、個人が所持しておる所持の禁止ということが及ばないと考えております。それ以外のことは……。
  99. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) それには触れないのですが……。
  100. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) そういうことには、薬事法の款項では所持のことについては載つておりません。
  101. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 所持の制限ということは載つているのだから……。
  102. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) 載つていないのだから、正当に医療上投与されたものはいいのです。それ以外のものは……。
  103. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) それがなければこれは制限できますね。問題は製造禁止製造制限かという……。
  104. 椙山庸吉

    説明員椙山庸吉君) ということでございますが、先程藤森委員からも御発言がございましたような角度も、十分自発的の意思がどんどんと湧いて来るような方向に指導したいと考えておる次第でございます。
  105. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 今日はそれだけ伺つて置きます。それでは御意見もございませんようでございますから、一応今日はこれで閉じることにいたします。御苦労様でございます。    午後零時二十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     河崎 ナツ君    理事            小杉 繁安君            有馬 英二君    委員            石原幹市郎君            大谷 瑩潤君            中山 壽彦君            上條 愛一君            藤原 道子君            藤森 眞治君            松原 一彦君   政府委員    厚生省医務局長 東 龍太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   法制局側    参     事    (第一部第一課    長)      中原 武夫君   説明員    文部省初等中等    教育局初等教育    課長      大島 文義君    厚生省薬務局製    薬課長     椙山 庸吉君