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説明員(尾村偉人君) 前回の
長寿園につきましての御
質問以後の状況を御説明申上げます。
前に当
委員会で
長寿園の
事件に関して、その後本省として
調査をするようにということと、それから特に
医療面について欠陥が一事でもないようにと、その他もございましたが、一番大事なことでありましたので、早速その方面に出かけまして、
調査面につきましては六月七日から六月九日の三日間、特に課長補佐の事務官佐藤、それから技官でありますところの高橋、その二名を派遣いたして
調査並びに指導をいたし、なお
医療面につきましては丁度この
事件の
調査中には、
只今のように私のほうからも技官が
行つておりましたので、いろいろ折衝中でありましたので、直接に応援はいたさなか
つたのでありますが、七月に入りましてやはり菊池医師一人では非常に弱力であるという
調査の結果に基きまして、最寄りの六日向荘、やはり
国立療養所でございますが、そこから最初は所長が一名の技官を引連れて参りまして、所長がいろいろ必要な管理上のアドバイスをすると同時に、一週間交代で六日向荘の医官を派遣することにいたしまして、これを実施いたしました。最初は相当の幹部を出したのでありますが、大日向荘それ自身がそれぞれ大事な
患者を四、五十名持
つております医官でありますので、これを長期に亘
つて放置いたしますと、六日向荘の今まで預か
つておりました
患者のかたに非常な文句が出ますので、大体一週間ずつ交代で行くと、こういう形で派遣を継続いたしました。これは現在まで続いておるのでありますが、ただ途中で七月十二日から二十四日までの間、交代の医師が一時行かなかつたことが、その後にな
つて私のほうで判明いたしました。これは私のほうから六日向荘に業務命令として命じまして派遣いたしたのに、私のほうで知らんうちにこういうことができました。これは或いは交代予定者が病気等で急に行けなか
つたのかと心配いたしまして
調べましたところ、現在おります
長寿園の園長並びに一、二医官の
仕事の様子を見まして、当時行きました医官が、どうも診療上いろいろな診断の対立等が起るように
患者に
感じさせて、却
つて不安を与えるようだ。それで一時見合せたほうがいいではないかというので、行きました医者と、現在向うにおります医官との話合いで、勝手に一時見合せたそうであります。私のほうでこれを聞きまして、直ちに再び派遣して、なおそういうような簡単な判断で多数の
患者を抱える医官の数を減らしたということで、いろいろ叱
つたのでありますが、むしろ当時はそのほうが却
つて患者の安心する者が多いのではないかという、現地の現状に基いてやつたと言いますので、一応その後、こういう簡単なことをや
つてはいかんということで現在継続しております。併しその例にも見ます
通り、一週間交代の医者というものは、如何に堪能な人でも、非常に工合が悪いのでありまして、極力専任の医師をもう一人入れるほうのことを努力いたしました結果、すでにこの春以来就任を予定されておりました行定という現在おる菊池医官より一級先輩の医師が、この八月八日に着任いたしまして診療を開始するという連絡が参りました。要するにこの人はすでに今年の四月頃から行くことにな
つておりましたので、この人が
行つておれば、この
事件の進行の仕方も大変違
つておつたと思うのでありますが、実父が死亡いたしまして、その後始末にこの三カ月間かかりまして、漸く解決して来たようなわけであります。この人が八月八日に行きますれば六日向荘の応援医師を引いても二人で八十名、我我のほうの定員の標準でございますので、それに当
つて行けば
医療面ではさしたる差支えはなかろうかと、こう思
つております。なお一方、この
事件そのものの
調査に基きますと、いろいろな
患者からの要求事項につきましては尤もなものもありまして、これは
厚生省から派遣した者、並びに職員とも話合いまして、改善できますことは逐次改善をいたしまして、特に
患者の一番現実に不便を
感じておりました風呂場、或いは給食関係、売店の関係というものは改善されまして、現在の
報告ではほぼそういうような具体的な事項ではそれほど不満がない、こういうことになります。残る点はやはり所長、並びに
看護婦長に対する従来のやり方に対して非常に感情的なまだ不信任を持
つており、これの退職を飽くまで要求するという線が、
事件の最後の大詰として残
つておるわけでございます。この点につきましては所長、
婦長を私のところに呼びまして、二人の今までのやり方については、具体的に、積極的に
患者の不利になるような
医療を行
なつた、或いは懲罰的に
医療を行
なつたというようなことは万々ないと信じておりましたが、現実にこの点を詳しい現地
調査に基きまして、再び問い質し、いろいろその当時の意向を聞いたのでありますが、この二人ともそういうようなことにこの
医療看護を利用したことは絶対にないということは確言しております。ただこれを客観的に見まして、人工気胸を外出後にやつた問題につきましては、本人は飽くまでこれは外出後の悪化を阻止するために、予防的な必要な措置であると
言つておりますが、この点が客観的に見て果してそこまで必要であつたかどうか。普通の簡単な注射と或いは安静だけでよか
つたのじやないかということは、これは簡単には批評ができないわけでありまして、我々のほうの療養所の大家に聞いてみますと、必要であるという人もありますし、まあそこまでしなくても大体安静でいいというような人もありますので、ただそのやりました企図については決して懲罰的などということは毛頭
感じないでや
つておるということを確言しておるわけであります。ただそれ以外の今まで言動その他が非常に軍隊的であ
つて患者に冷たくて、それから恐い医者であるということに発して、すべてのことが疑心暗鬼で、やることがすべていじめるためにやられておるのじやないか、この不信任が現在はあるわけであります。この点については両名とも非常に反省をいたしまして、やはりああいう極端に不便な僻陬地にあ
つては、やはりこの
患者と非常に温がい
感じで接するということが必要であるということは、現在我々の勧告に基いて相当反省して気付いておりました。まあ
是非そういうふうにしたいと
言つておりますが、併しながらこういうふうな騒動が起きまして対立したときに、急にそういうことをやるつもりに
なつたからと
言つて、
患者と接触しても、そう簡単には
患者のほうでは納得はしないと思われるので、先ず私のほうで本
人たちに勧めましたことは、
患者のほうに対しては諸君が改めるという反省の事績を暫らく見てもらうように、私としてはこの差当りの解決を勧告したい。で諸君のほうは二人とも差当り
自分が直接
患者との摩擦を起さんように、必要以上にこれは感情問題があるから、如何に改めるとい
つてもそう簡単には行かないから、暫らく所の菊池医官初め五各の幹部職員にすべての運営を直接担任さしたらどうか、所長は当分の間その相談役という立場で、この幹部職員の
意見に基いて
自分の経験を生かして、責任だけを負
つて行く。こういうように暫らくやるならば、
患者は逐次今まで全然
自分と直接ぶつか
つて冷酷だと思われたような点がだんだんそうでなかつたというふうに気付くだろうというので、現在のところ直接診療をやらしておりません。大体今の管理者の責任だけを負うようにする。それから
看護婦長につきましても全く同様の立場におりますので
看護婦長につきましては、
患者のみならず、
看護婦の相当数とやはり感情的の齟齬がありますので、当分
看護婦の幹部にいろいろな企画をさせて、それの相談役として、注意すべきことは注意して、直接
患者に当らしたらどうか、これもよく反省いたしまして、そういうふうにするということでや
つておるようであります。併し依然として
患者側で決議いたしました両人の退職勧告ということはまだ引込んでおりませんので、本当の解決には至
つておりません。ただ私
どもとしてやはりこの
公務員が若干感情的な非常な対立があつた場合に、直ちにそれを以て替えるということも一法でありますが、ああいう非常に辺鄙な中で特殊な事例、特殊な
環境の中で
自分で理想とすることを実行して、それがまあ必ずしも
患者に幸福でなかつたというのを以て直ちにこれを転任させますとか、或いは免職というような措置で、この問題を解決いたしますと、他の療養所の職員にも非常に士気に
影響いたしますのと殊にそういうかたの
あとに、果して後任者が
行つてくれるか。これはもう現在私
どもとして内々退職等を前提といたさずに、ああいう所に
行つてくれるかどうかを、各医科大学の教室、並びにそちらの療養所関係でいろいろ当
つておるのでありますが、大体今のところ行くという希望者が全然いる見込みが、今のところまだ回答をもら
つておらないのであります。そういう関係もありますので、できるだけ一回だけは反省してや
つて見るのをお互いに見守る、これが又元へ逆戻りするというようなことを懸念する点もあると思いますが、これはこういう
事件が起
つたのでありますから、
厚生省といたしましてもこれは十分監視と、並びに将来その点の責任はと
つて行きたいという点で、今一度だけこういうふうなお互いに改めて仲よくするという線で解決案にしてもらいたい、こういう線で今進んでおります。従いましてこの行定医師という新らしい医師が来てから、この
医療上の面のそういうことは好転いたしますので、我々は来ましたら更に
調査官を派遣し、指導して両者の斡旋に努め、
医療上のそういうふうな不足がなく
なつた上で、更にどういうことになるかという点をもう少し見て頂きたい。我々も責任を持
つて今後好転させるようにいたしたい、こう思
つておる状況でございます。