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1951-08-06 第10回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年八月六日(月曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件社会保障制度に関する調査の件  (看護婦助産婦保健婦制度及  び待遇問題に関する件)  (遺族援護に関する件)  (国立療養所長寿園調査に関する  件)  (鯖江国立病院入院患者死亡事鮮に  関する件)   —————————————
  2. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ではこれから委員会を開きます。  前に御通知を差上げておきました通り、本日の議題社会保障制度に関する調査の一部分として、遺族援護についての問題と、看護婦助産婦保健婦制度及待遇についての問題、それからこの前から問題になつておりました長寿園事件について、主なる議題はその三件でございますが、阿部医務局長その他政府の説明員が来られておりますので、遺族援護の問題を後に譲つて、最初に看護婦助産婦保健婦制度及待遇に関する問題を議題といたします。御質問ございましたら……。
  3. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 ちよつとお伺い申上げますが、これは助産婦保健婦看護婦仲間からたびたび出おりますことで、すでに当局においても御審議済みのことかと思いますが、実は助産婦の今年行います国家試験のことにつきまして御質問申上げますが、法律にもございますように、昭和二十六年九月一日以降に助産婦国家試験を一回行うということでございますので、その法律通りに参りますと、本年行われるのが当り前でございますが、御承知のようにまだ助産婦の新らしい学科もできておりませんのでございますけれども、御当局のほうではそれで法律通りに今年国家試験を実施なさる御予定でございますかどうか。法律によりますと、学校を卒業した者に国家試験を課する、受けることができる、五十二条でございますが、助産婦既得権者が受けることができるということが終りの項にございます。受けることができるという者を対象として本年国家試験をお行いになるつもりでありますか、どうでございますか。一面、考えようによりましては、既得権者は非常に恩恵をこうむつておるようでもございますが、一面、考えようによりましては添えものが主になるように考えられておりますのでございますが、これに対して御意見をお伺いしたいのでございます。
  4. 阿部敏雄

    説明員阿部敏雄君) ちよつと御挨拶申上げます。私、前の東医務局長あとを承けまして、先月医務局長を拝命いたしました阿部でございます。どうぞよろしくお願いします。  只今の御質問に対してお答え申上げます。お話のように、今回九月から行います国家試験につきましては、助産婦学校卒業生はありませんが、併し国家試験を受ける該当者はあるわけでございますからして、規則通り九月から国家試験を行うということにいたしたいと、かように考えております。併し先の問題につきましては、よく検討いたしまして考えてみたい、かように考えております。
  5. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それではこの際、一つ附加えてお願いをいたして置きたいのでございますが、助産婦仲間国家試験を行うことについて大変希望しておる者がございますかも知れませんが、過般この三月看護婦既得権者が御承知のように、ああした認定講習で以て、国家試験を何と言いますか、受けずに資格を得られるということになりましたら、若しでき得べくんば助産婦認定講習で以て、国家試験を免除して欲しいというような声も出ているのでございますが、御研究になりますときに、このことも附加えて御研究になつて頂きたいと、希望しておきたいのでございます。
  6. 阿部敏雄

    説明員阿部敏雄君) 只今お話の点は、十分に私ども考慮に入れまして、この先の問題は検討いたしたいと思つております。
  7. 藤原道子

    藤原道子君 井上さんから言われましたように、助産婦学校ができていないし、看護婦法ですでにああいうふうな改正ができておりますのに、この際どうも法律があるからというので、行わなければならないというような考え方でなくて、学校を卒業した者がいないのでございますが、暫定的に、受ける対象がいないことはないから、まあ行うというお言葉でございますけれども、恐らくこの次にはこれは廃止になる、又そうしたいと私たちも思つているわけでございますから、ここで受ける人は本当の何というのでしようか、別に今まで産婆講習も始まつているとも聞いておりません際でございますので、この際思い切つて延期等処置には出られないものでございましようか。私はむしろそうすべきが正しいと思うのでございますけれども産婆学校がなくて……。
  8. 阿部敏雄

    説明員阿部敏雄君) お答え申上げます。只今、規定による学校卒業生もないし、今度受けるのは非常に少いと思われるし、先に行けばこれは廃止になるかも知れん、それならいつそのこと延期して、待つたらどうか、こういう御意見でございますが、その点につきまして、私まだ拝命いたしたばかりで、詳しいことはよくわかりませんか、一応は先ほど申上げましたように、この九月にやるということになつているんでございますが、今のような御意見もありますれば、その点もなおよく検討いたして見たい、かように考えております。今すぐ延期するとかしないということは、ちよつとお答え申上げかねますから、どうぞよろしく。
  9. 藤原道子

    藤原道子君 重ねて要望いたしておきますが、この点については、産婆さんたち非常に心配いたしております。殊に看護婦と又性質が異なりまして、産婆さんで国家試験を受けるということになれば、その結果は非常に考えさせられるものが出て来るのではないか、かように考えますので、私は是非ともその点は金子課長にもよくお考えを頂きまして、是非とも延期等処置がとられることを強く要望いたしておきます。
  10. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それに関連してでございますが、近頃巷間に伝えられるところによりますと、こういう助産婦国家試験がございますが、一面又新らしい改正された法律によりますと、助産婦教育期間が六カ月になつたということは、結局大変助産婦素質を上げるように考え、一面大変助産婦素質を下げることにもなるのじやないか、むしろこれは助産婦だけ別個に教育したほうがいいんじやないか、看護婦の間に助産婦のことについての指導教育をするよりも、助産婦だけ別個に教育したらどうだろうというような噂が出ているということを伺いますが、当局におかれましてそういうことをお聞き及びになつておりましようか、どうでございましようか、承わりたいと思います。
  11. 阿部敏雄

    説明員阿部敏雄君) 今度の改正で、助産婦学校教育期間を六カ月に切下げた、非常に不徹底だからむしろ助産婦だけは別に教育したらどうかという声があるというお話でございますが、その点につきましては私がまだ就任間もないのだから、そういう声があつても、実際私の耳に入つて来ないのかも知れませんが、一応の考えといたしましては、助産婦教育は成るほど六カ月に切下げられましたけれども、その代り三カ年の看護婦教育の中に基本的の教育は施しておく、従つて正味のところだけで行けば、六カ月だけでも従来と変りないのだ、こういうような考え方だろうと思います。併し今のような声がありとすれば、よく調べまして、その理由が果していいものかどうかということはよく検討いたしたい、かように存じております。
  12. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 只今局長さんの御答弁でよくわかりましたが、この問題を十分御調査頂きたいのであります。二年間の助産婦教育は長いようでありますが、果して二年間で助産婦だけの教育をいたしますことが、保健看護、助産の上にいいか、国民に対してどういう影響があるかということをよくお調べの上に立派な何と申しましようか、助産婦を将来作りますことに御努力願いたいと思います。  それからこの際承わつて置きたいのでありますが、保健婦についても同様だと存じますのでありますが、保健婦のことをどういうようにお考えになつておりましようか、助産婦と同じようにお考えになつておりましようかどうでしようか。国家試験についてでございます。
  13. 阿部敏雄

    説明員阿部敏雄君) 保健婦の問題につきましてもやはり助産婦と同じような考え方で、今のところは行つておるそうであります。
  14. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 国家試験に関連してございますが、保健婦とそれから助産婦の中に、現在看護婦免状を持つておる人が幾らぐらいございますか、統計局で御調査なつたことがございましようか承わりたいのであります。
  15. 阿部敏雄

    説明員阿部敏雄君) 調べたことはあるんだそうでございます。併しここに数字を持つて来ておりませんので、ここではつきりしたことを申上げられませんが、若し御必要であれば調べたものを、後ほどお届けしてよいと思います。
  16. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 その問題も非常にこれはいろいろの方面に関連しておるのであります。助産婦看護婦免状を持つておる人、助産婦看護婦免状を持つていない人と、非常に大きなあらゆる面に影響がございまして、国家試験の問題、法律の、こうした独立法を作るとか、そういう面に大きな関連を持つておりますので、これは厚生省におきましてはつきりとこの線をお出しになつて頂きたいのであります。助産婦だけではありません、保健婦の中にも看護婦免状を持たない者もございます。新らしい看護教育による看護を基礎にいたしましたものとは、ほど遠い状態になつて参りましようと存じますので、恐らく一応御調査の上これをやる。十分御調査願いたいと思います。続けてもう一つお伺い申上げたいのでありますが、事実金子課長もよく御承知のことでございまして、私ども実際問題にもなつております。すでに厚生委員会にも陳情がございました派出看護の点でございます。御承知のように日本派出看護と申しますのは、随分戦争前に数十年の歴史を持つて来ておりますが、終戦までの派出看護婦形態と申しますのは、結局中間搾取というか、ボス的の存在だと言われ、職業安定法によりまして大勢看護婦を抱えております制度は、一応廃止なつたが、終戦後新らしい職業安定法によりまして、職業安定所でやつて御覧になつたけれども、いろいろと差支えがございますので、近来有料の、昔のような有料派出婦制度として、職業安定所で実際形式的にしてやつておられるのでございますけれども職業安定所仕事を、本当に委託された委託料で実質の仕事をしておるような形態でございます。派出看護婦もでございますが、その間そうした両者の業者がお互いに相争つて、そうして衆議院、参議院の合同委員会に労働問題としてこれを持ち出したり、なかなか大きな問題になつております。過般こちらに、有料看護婦の組合の人たち陳情もございまして、有料業者の言い分は、私どもやはり法律によつてつておるにかかわらず、中間搾取だと言われることに憤慨しておるようであります。よく聞いて見ますと、業者間にはやはり営利目的としたものが多うございますが、結局困るのは現在仕事をしております派出看護婦でございます。派出看護婦の人はそういう営利目的としております業者の争いの間に入つて非常に困つておるのでございますが、その人たち生活状態業務状態、或いは勤務状態を見ますと、これは労働問題としてこれはほうつて置くべき問題ではないと存じます。大きな国民医療の面に関係して参ります。派出看護婦の人の生活状態如何によりましては、これは患者看護にも影響して参ります。又紹介の仕方如何によりましては非常に国民が困るのでございます。厚生省におきましても先般来この問題を取上げて御調査願つていると思うのでございますけれども、どのような点まで御調査下さつておりますか、そのことを先ずお伺い申上げたいのでございます。
  17. 阿部敏雄

    説明員阿部敏雄君) この点私まだ詳しい報告を聞いておりませんので看護課長から申上げたいと思います。
  18. 金子光

    説明員金子光君) お答え申上げます。派出看護婦の問題は、今井上先生がおつしやいましたように、非常にいろいろな問題を起しております。それがただ単に形式的な調査をしただけではわからない、非常に内幕のほうが問題を大きくしているような感を……私どもは最近の調査の結果ではわかつたわけでございますが、更にその問題を徹底的に調べなければどうにもならないと思いまして、先般都道府県に全部調査方を依頼いたしまして、調査を寄せております。まだ全部集まつておりませんが、それによつてどれくらいのものが集まるかわかりませんが、私ども労働省婦人少年局一緒に参りまして、この問題を調査することをお願いしてございまして、非常に詳しい調査資料を作つて頂いております。何と申しますか、それが出て参りますと、いささかはつきりしたものが出るかとも存じます。なおそういつた調査資料のほうに現われて来ないいわゆる感情的な問題とか、或いはその他の職業仕事の問題につきましては調査資料では出て参りませんので、直接そういう業者のかたたち或いは派出看護婦人たちお話合いをして、もう少し深く調査した上で検討したいと考えております。
  19. 中山壽彦

    中山壽彦君 今の派出看護婦有料とか無料とかいう問題は、私どもほうぼうから聞かされて実際何が何だかわけがわからんのです。私どもは、要は派出看護婦収入をできるだけ多くして、同時に患者負担もできるだけ軽くしてやるという二つの線に沿うてこういう問題を解決したい、こう思うのです。それで有料というのにも、有料人々の話によると何か特権があるように、無料人々の話を聞くと、無料のほうにも理窟があるように私聞いておるのですが、私どもも双方の話を聞いてどうも一利一害あるのじやなかろうかというような感じが現在起つております。この問題は医療費の問題に非常にからまつて来、又同時に派出看護婦の身分を安定してやらなければならない。今日の世相では相当収入を多くしてやらなければならないという二つの面から、これは解決すべき問題ではなかろうかと私は思うのであります。どうか一つ十分に資料をお取りになつて、そうしてその是非はつきりと一つされて、この厚生委員会に御報告を願いたいと思います。
  20. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それに附加えてちよつとお願いしておきたいのでございますが、実は派出看護婦をやつております人の話では、現在有料でも、依託料でも只今中山先生がおつしやいましたが、看護婦の話を聞いて見ますと実にひどい状態と存じます。勿論この頃国立病院或いは国立療養所におきましても、宿舎が不足でございまして、病院整備費に多額の予算を計上されて、看護婦宿舎整備、即ち保健環境ということに関して考えて頂いておりますが、派出看護婦の人は八畳二間、即ち十六畳に五十人ぐらいの登録をして住むことになつているのだそうでございます。一人の畳は何と申しましようか、住居の畳は半畳あればいいということに、労働基準と申しましようか、職業安定所できまつているのだそうでございます。実際のところ、この頃日本派出看護婦患者に付きましたら、その家庭或いは病院においても患者はベットに寝ている、自分は板の間に寝るということは、結局取りも直さず自分たちの住いが十分でないからだと思うのでございます。患者勤務時間二十四時間制を要求する、二十四時間を要求するということも一つ理由かも知れませんが、そればかりが理由にはならないと思うのでございます。看護婦生活環境と申しましようか、そういうものが実にどこに行つてもこんなひどいところはないと思うほどひどい環境でございます。派出看護婦は寮に帰つて参りますと、実際に人の寝ている枕をけつ飛ばしても自分が先に寝ればいいというような、実に何と申しますか、その環境はああいつたようなひどい姿になつて参ります。大よそ気の毒な病人の看護をいたします者が、暖い心持を持たなくちやならないものが、そういつた生活環境におりますので、自然に気持がひがんで参りまして、結局派出看護婦派出看護婦と言われてしまうのでございます。この環境影響ということは実に大事なことと存じますが、こうした生活ということが実際に住居の問題になります。この問題についても厚生省でお考えを頂きたいと存じます。ついてはこの頃あちこちに公務員住宅というものが、公務員のかたがたのためにできましたが、看護婦のためにも何とかできる方法をとつて、この人たちの先ず住居の解決から叩いたしませんことには、只今依託料にしても、有料にしてもこれはどうにもならないと思うのでございます。そういうところに縛られておりますから、ついいろいろなことも問題になつて出て来ると思いますが、その点十分お調べになつて、そうして御考慮頂くように願いたいと思います。家を建てること個人ではなかなかできないことでございますので、大きく取上げて頂きたいと存じます。  それからもう一つ調べ頂きたいと思うことは、この頃そうした派出看護婦の人が大分出て参つてはおりますけれども、非常に派出看護婦免状を持たない派出婦人たち負担になつております臨床看護の大きな部面があるということが大きな事実なのでございます。国民の、例えば中山先生からおつしやいましたように、患者側には安い看護料で以て看護して頂くことは尤もでございますが、そうした安いということの名目で、派出看護婦でなしに普通の附添婦がたくさんおり、実際に派出看護婦の数よりも附添婦の数のほうが現在多いのでございます。そうした附添婦こそ本当に準看護婦仕事をしておりますが、無免許でございます。そういう人の看護ということについても一度調査を願いたいと存じます。それはどういうことかと申しますと、国立病院にいたしましても、国立療養所にいたしましても、その他の病院にいたしましても、附添婦がいわゆる軽症だからということで病院に多分に入つて重症でございましたら看護はいけない、軽症だからというわけで患者に付いております。その看護料の制定というもの、国民健康保険にいたしましても、生活保護医療にいたしましても看護料金というものは莫大に上つておると思います。この派出看護婦看護料よりも附添婦料金のほうが大きいと思います。一面国民の側から言えばよいかも知れないのでございますけれども、これはいい看護ができないということになつて免許状を持つた人の、看護婦業務圧迫ということも考えて行かなければなりませんので、よろしくお願いいたしておきます。附け加えて希望いたしておきます。
  21. 藤原道子

    藤原道子君 今の問題でございますが、私は是非真剣に御調査を願いたいということだけ附け加えておきます。先ほどの産婆の問題でございますが、井上さんから産婆が半年の教育期間なつたことは軽きに失するではないかというようなお話でございましたが、これは若しそういうふうな法規がありといたしますならば、今度の改正法律が徹底してないのだと思うのでございます。金子課長にお願いしておきたいことは滲透教育ということに相成つていることと、今までの改正法規では看護婦学校を卒業してから、更に一年ということで助産婦学校が規定されているのだと思うのでございます。甲種学校を卒業してから一年としてございますから、それを今度は三年間の教育の中に滲透教育をする、そうして実地教育が半年ということに相成つているのでございますから、それを是非十分にわからしめる御努力を私は煩わしたいということを切に希望いたしておきます。
  22. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 ちよつと只今藤原さんにあとお話し申上げたいと思いますけれども、これは只今藤原委員お話になつた通りに私も考えているのでございますが、この私どもの間と言つては何でございますが、助産婦の間でそういう声が出ておりますのでございます。これも噂でございますからわかりませんが、ああいう教育をするよりも、助産婦だけに二年の教育をしたほうがいいじやないか、特別法を作つたほうがいいじやないかという声が出ておりますという声を聞きました。私も非常に憂えておりますものの一人でございますので、御当局の御調査を願つたわけでございますから、私がそう言つたのでないということを御了解頂きたい、そういう噂さも専らございます。
  23. 藤原道子

    藤原道子君 それは噂さがございましたならば、井上さんは助産婦協会の会長をしていらつしやいますのですから、あなたのほうからもそれを納得をさせて頂くようにするのが正しいのじやないかと思います。
  24. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 わかりました。それは努めております。
  25. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 看護婦助産婦保健婦制度及待遇に関しての問題は、この程度で結構ですか。
  26. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それからもう一つ付け加えて要望いたしておきますことは、昔からの古い習慣と申しますか、何と申しましようか、どうも病院で一定の何と言いますか、勤務場所を持つておる病院看護婦長病院看護婦という人たちがややともいたしますと、これまで患者各人に付いておる派出看護婦人たちを下限に見るという傾向があつたのでございます。只今にいたしましても、病院によりましては重症の人、特に必要な患者看護をいたしまして……。特に必要な人たち派出看護を付けますので、非常に臨床看護は大事にもかかわりませず、どうもややともいたしますと、病院婦長との間がうまく行かないということがございますので、病院婦長補習教育をなさいまするような場合には、派出看護婦の問題が如何に重要かというようなことについての一つの項目をお入れになつて病院管理と申しましようか、病室管理の面にもこうした問題を取上げて、そうして看護婦相互の間を円滑にして行くようにして頂きたいのであります。そうなりませんことには派出看護婦自身も困りますし、患者にも非常に大きな影響があるのじやないかと思いますので、その点も一つ要望いたしておきます。どこで働きましようとも、看護婦には違いないのでありますから、病院でどういう地位を持つておりましようとも、一人の患者に付いておりましようとも、ちつとも看護婦には変りはないのでございますので、そうした感じのないように手を厚生省においてなさつて頂くように希望いたします。
  27. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 井上君の今の御発言中特に私も同感に思うところは、やはり病院附看護婦がその病院内の実権を持つておるという点から派出看護婦に対して便宜を与えない。最大の便宜を与えないということのないように、特に反省をするように文書か何かて通達をして欲しいということを私も希望意見として申上げておきます。   —————————————
  28. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それでは本日は第二の議題である長寿園事件都合上後に廻しまして、遺族援護について外務省の監理局長さんと、厚生省援護局長さんが見えられておりますので、このほうを先に第二番目の議題にしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御異議ないと認めます。それではそうした関係から外務、厚生両面に問題がある遺族援護  について議事を進めたいと思います。御質問がなければ一応……。
  30. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 お伺いいたしたいのでございますが、この度の何と申しましようか、ハンガーストライキをしておられました留守家族代表者の人人が、このハンガーストライキを解除になりまして、そうしてもうお帰りになつたということを承わつたのでございますが、その後の事情をお知らせ頂きますれば非常に有難いと存じます。実は一昨日も御婦人のかたが先般山崎議員だの、それから衆議院近藤議員その他のかたたちと御一緒婦人代表者のかたたちにお目にかかりました。そういたしましたらその人々が一昨日の午後でございましたか、そのときの話では吉田総理大臣国民代表者を会わしてやるということであつたのでありますが、いつ会わしてくれるかということを私のほうに申込まれましたのであります。私どものほうといたしましては、何と申しましようか、ああした断食をしておられることがやんだものでございますから、もう済んだことと思つておりましたのでございますが、まだ済んでおらないようにも見受けられますので、その後の事情を少しお話し頂きますれば、私そうしたかたにお目にかかるのに非常に都合がよろしいのでございますが……。
  31. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) お諮りいたします。井上さんの今の御発言と関連して、この一筋のハンガーストライキに対する初めから終りまでの一般的な御説明を頂いて、その後に御質問に入つたほうが便宜かと思いますが、如何でございますか。
  32. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 結構でございます。
  33. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それでは先日来問題になつております引揚問題に対するハンガーストライキの経過につきましてお話し願いたいと思います。
  34. 田辺繁雄

    説明員(田辺繁雄君) 非常に御心配頂きました留守家族の断食につきまして概要の御説明を申上げておきたいと思います。実は先月の二十三、四、五の三日間に亘りまして、全国留守家族の講和に訴えるという名義で大会が開かれたということでございますが、第一日目は神田の共立講堂で開かれまして、そうしていろいろ決議をいたしまして、その中で最も大きなことは講和条約の草案の中に捕虜の送還に関する事項を挿入して欲しいということが最も大きな要望であつたように見受けたのであります。翌日はその問題につきまして関係各方面にいろいろ陳情をなさつたようであります。第三日目は鶴見の総持寺において約千人ぐらい集りまして外務省当局と、それから厚生省から私が参りまして、いろいろ懇談いたしたのであります。なおその際衆参両院の委員のかたがたが同時においでになりまして、いろいろ懇談いたしたのでありますが、その際にやはり最も大きな問題は先ほど申上げました講和条約と捕虜の送還に関する関係であつたのであります。どうも政府の答弁では納得かできないということから、直接吉田総理大臣、外務大臣に対していろいろ努力をされたようでありますが、いろいろの関係でできないという事情にあつたときに、その次の日、二十七日から留守家族の有志のかたがたが断食を決議せられまして、英国大使館前の千鳥ケ淵公園で確か七十六名だつたと思いますが、あそこで断食を始めたわけであります。幹部は極力人員を抑えたそうでありますが、全部を抑え切ることができす、七十六名だつたと思いますが、あそこで断食をされました。あとのかたは全部郷里にお帰りになりまして、必要な附添のかただけ残られまして、合計百名程度だつたと思いますが、百名程度のかたがたが残つてあとは全部帰つたのであります。政府側といたしましては、殊に厚生省といたしましては、場所が場所であり、又事項が事項でありまするので、万が一のことがあつてはいけないと思いまして、特に衛生方面に注意をいたして、いろいろ手配をいたしたのであります。主として日本赤十字のほうでいろいろ手配をして頂いたわけであります。ただ私ども一番心配をいたしましたのは、若し大雨があつたときには何ともしようがないので断食につきましてはいろいろ早く切上げて頂くようにお願いをしましたけれども、これはなかなか強硬な決意でやつおりますので、とめるわけには参らなかつたのでありますが、場所につきましてはいろいろと今後長引くにつれ、又気候の変化につれていろいろと支障があることも考えられましたので、適当な場所に移るようにいろいろお勧めをしたのであります。幸い天気もよかつたせいもありまするが、どうしてもあそこを移るということを肯んじなかつたわけであります。その間テントであるとか、毛布であるとか或いは便所であるとか、医者或いは看護婦の手当であるとかということにつきましては、できるだけの処置をいたしたのであります。一方いつまでもああいう状況にして置くわけには行かないということから、三十一日の晩に厚生大臣が代表と面会せられまして、これは草葉外務政務次官も御同席の上でありますが、総理大臣からのメッセージを伝えて、総理大臣のお気持を厚生大臣から縷々御説明申上げまして、速かに政府の誠意を諒とせられて、断食を解くようにお願いをいたしたわけであります。同時にその前の日、三十日には留守家族の代表であるかたがたから、外務省に対しまして講和条約とポツダム宣言の捕虜条項との関係について、いろいろと質問書をお出しになつて頂いておるわけであります。それに対して外務省から、厚生大臣が総理のメッセージを伝えて頂いたと同時に、詳細なる御回答をお渡ししたわけであります。ところが当日夜遅かつたので、その回答文を十分検討するひまがありませんので、ゆつくり帰つて検討した上で御返事したいということで、その晩はそれでお引取り願いまして、翌日徹夜して我々の回答文を研究いたしたようであります。その結果、翌日の午後九時からもう一遍会談を開きまして、留守家族の代表側から最小限度の要求として断食に入つた当時の要望事項、つまり講和条約の二十六条の修正と、それから何らかの形においての米英側の捕虜送還に関する責任の再確認ということについて強い要望があつたわけであります。この点については厚生大臣は、その旨は承わつたということにいたしまして、重ねて速かに留守家族の代表側から断食隊に対して政府の誠意を諒とせられて、断食を解くようにお願いしたわけであります。その結果、留守家族の代表側もそのまま帰りまして、千鳥ケ淵において断食隊に、いろいろ説得はいたしたのでありますが、直ちに効果を現わさすに、その日はそのまま過ぎてしまつたわけであります。翌日になりまして、つまり二日でございますが、留守家族の代表のかたもいろいろ考えるし、政府のほうでもいろいろ考えました結果、だんだんと意思が疏通して参りまして、翌日のたしか午後の六時半か七時頃と思いますが、留守家族の代表と厚生大臣と会いまして、留守家族のほうの代表から総理のメッセージなり外務省の回答文なり、或いはその後において留守家族の代表の得られたいろいろの情報等を総合いたしまして、政府の誠意を認めるという言明がございました。なお、厚生大臣から、今後とも政府は留守家族の気持を気持として、皆さんの御要望の線に沿うよう努力もし、又現に誠意を以て努力しつつありということを確言せられまして、一応留守家族の代表側は了承せられたわけであります。それから断食隊に帰りまして説得いたしました。なかなか時間がかかりまして結局翌日の、三日の午前二時頃になりまして漸く全部のかたがそれを了承して下さいまして、二時半から三時くらいまでの間と思いますが、解散式をいたしまして、断食は終了をいたしたわけであります。それで当日赤十字のほうからいろいろお粥その他の準備もいたして参つたので、それで断食を解くと同時にお粥を差上げ、又自動車等も用意してございましたので、そのまま日赤にお運びいたしまして、講堂なりその他に全部収容いたしまして、お手当をいたしました。昨日僅かの病人を残しまして、全部日赤を出ましてそれぞれ郷里にお帰りになつた。こういう状況になつております。
  35. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 先ほどお伺い申上げましたが、では全部のかたが御納得になつて帰られたのでございましようか。一昨日、土曜日の午後でございました。私ほかの会合を持つておりましたので、参議院の会館においでになりまして、是非総理大臣にお目にかからせて頂きたいと言つて来られました。私も予定いたしておりませんし、他に会合を持つておりますので、非常に困つております。どうしていいかと思いまして、少し時間が遅れて参りましたら、ほかへ廻られたということで帰られました。それつきりになつておるのでございますが、納得してお帰りになつたとすればよろしゆうございますけれども、一昨日、又そうしたことでおいでになつたので、少し私は不審を抱いたものでございますから、お伺い申上げたのでございます。
  36. 田辺繁雄

    説明員(田辺繁雄君) 断食のほうは一応納得されまして解散せられた。
  37. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 断食のほうは一応納得されて解散されたとおつしやるのでございますが、まだ政府に対して何か強い要望でもしておられるのでございましようか、それはどういうことでございましようか、政府に対しての要望は、そつくり政府の回答で満足して帰られたのでございましようか。それを伺いたい。
  38. 田辺繁雄

    説明員(田辺繁雄君) 政府の誠意ある努力を期待し、又大いに努力するということを聞かれて一応了解せられまして解散しました。
  39. 藤原道子

    藤原道子君 政府の努力に安心して帰られたというお言葉でございますが、私は外務省にお伺いしたいのでございますが、留守家族の命を懸けての断食までして起ち上りましたあの悲願に対して、外務省としては今後どういうふうなお見通しを持つてお世話なされるのでございましようか。一つそのほうの経過を外務省から私伺わして頂きたい。
  40. 倭島英二

    説明員(倭島英二君) この前集まられた留守宅家族のかたがたの御要望の一番大きなものは、要するに一日も早く帰して欲しい、これが達すれば一番いいというのが第一点、それから第二点は今度講和ということになるが、一体その関係でその講和の態様も従来の講和の態様とは違つて、その講和に入る国もあるかも知れん、入らない国もあるかも知れんということになると、殊に捕虜がまだ残つておると思われる国が大体入らんのじやないかという心配がある。そういう講和との関係上今後引揚問題はどう取扱われるであろうかという大体二つの御心配が大きかつたと思います。第一の、この一日も早く帰すようにしてもらいたいという御要望につきましては、従来とも我々引揚の関係を世話している者においては、何とかこれを一つ早く我々の目的を達したいということで努力をしております。御存じの通り引揚げの促進の問題は国内であらゆる手を通じ、特に司令部を通じて、直接の関係国へいろいろお申入れをしておる、或いは中立、例えば中共なんかにつきましては中共を認めておるインドやイギリスなんかを通じて又お願いをしておるという恰好で、国内ではできるだけの手を尽しております。併しながらそれでもなかなか思わしくないということで、御承知通り昨年国連に訴えて来た状況であります。而もその国連の関係から申しますと、昨年の十二月の総会で引揚げについての決議が通りまして、その結果いわゆる引揚げについての特別委員会、三人から成つておる特別委員会というものができて、それが先般来新聞で御承知通りに活動を開始しておる。その活動の大きな点は二つございまして、一つは、四月三十日までに関係国から出た報告をいろいろ調査をして、それに基いて何らかこの問題解決のために努力をする、研究をするというのが一つ。それからその研究、努力の結果を今年の秋の総会に報告するということになつております。それでまあ政府といたしましては、大きく国連で昨年来取上げられて、更に今年の秋に再び問題が取上げられるということになる。ついてはこれに対して政府としてはできるだけの協力をして、この問題の解決、或いは世界の輿論に訴えるという方法に最も有効なようにしたいということから、二つのことを今やつております。一つは、引揚問題が再び今年の秋に取上げられるというような際に、参考になるあらゆる資料を提供したいということで、資料整備をやつております。それからもう一つはこの三人委員会が秋に総会に報告をされるという前に、何とか日本に来てもらつて日本の国内で引揚問題ということが如何に重大な問題を惹起しているかというような点、或いは日本政府が持つている諸般の資料というようなものを見てもらつてはつきり引揚問題についての自信をつけて、措置をし、報告をしてもらいたいということで、是非日本にこの引揚委員会に来てもらいたいというような手を打つております。先ほどお手許に配られたと思いますが、引揚問題に関する外務省発表並びに国連総会議長宛外務大臣書簡というパンフレットを差上げておりますが、これも国連に対する政府の努力を、まあこういうふうに努力をしておりますということを御了解願うために発表したものであります。従つて引揚の促進ということにつきましては今後も国内でできるだけのことを……、国内でと申しますのは、大体総司令部を通じなければならん建前になつておりますので、総司令部といろいろ相談をしながら、できるだけのことは今後もやつて行きたいと思つておりますし、更に今申上げたような国際連合を通じての国際的な取扱い方ということについても、あらゆるできるだけの努力をしたい、こう思つております。その後のソ連或いは中共等の関係国からの意思表示というものは、正式な意思表示は何らございません。なお第二点の、講和条約がだんだん近付いて来るに従つて、引揚問題はどうなるのだということが、又この度の特に断食をされたかたがたの殊に強く要望された点であつたわけであります。先ほど田辺局長から御説明がありましたように、政府といたしましては、これに対してできるだけのことをいたしますということを申上げたわけで、それについて現在努力をしているという状況であります。殊にこの前、大会で問題になりましたのは、今度の講和条約がいよいよできるということになると、ポツダム宣言の中に俘虜を帰すといつてある関係はどうなるのだという一つの強い疑問がございました。この疑問につきましては、御承知通り現在だんだん進んでおります平和の態勢と申しますか、形式は、できるならばソ連も中共も入るという建前になつておりますし、恐らく或いはそういうことになるのではないかとも思われるのでありますが、或いは他の関係国からすれば、それは覚束ない、結局ソ連、中共は入らないのじやないかというような観測もございます。併し建前はできるだけ日本と従来戦争関係にあつた国全部と講和をするという建前に現在もなつております。ところが、それが不幸にしてまあ一部加わらないというような国がある、而も加わらないというようなことは、従来の平和条約の結び方から言えば異例に属するわけででございまして、従つて従来連合国間にございました約束のポツダム宣言というようなものの効力について、一体どうなるのだというようなことにつきましては、これははつきり申上げると、いろいろな解釈があり得るわけなんです。従来例のないことでございまして、それは今後も続くのだという説も立ちますし、いや、そうでないのだということにもなりましようし、その問題についてはこれはいずれ又連合国の間ではつきりした公式な意思表示があるだろうと我々は思つておりますが、我々の関する限りにおいてはとにかく俘虜を帰してもらうということが、はつきりしなければならんということでございますから、そのポツダム宣言の効力如何というようなことに触れなくても、連合国は今後もポツダム宣言というものに書かれておつた俘虜の送還ということについて、はつきりその重要性を認め、又できる範囲の責任をとつて、何とかこの解決のために協力をするということさえはつきりすればいいのじやないか、その点が我々としては一番望み得るところでありますから、その点をはつきりしてもらいたいということで、現在連合国側のほうへ交渉中であります。何らかの連合国の意思表示があるだろうと心待ちにしております。  それから条約文の中に、一つも俘虜の送還のことが書いてないのじやないか。これではやはり心許ないという意見がございました。俘虜の送還という問題は、現在の国際上の通念から申しますと、戦争が済み、戦闘行為が終りますと、当然これは俘虜を帰えすことになつておる国際法の原則であります。従つてこの条約の中に書いてあろうとあるまいと、俘虜を帰えすということは国際法の原則、或いは国際慣習の通念ということによつて、政府は今後も交渉して行けるわけでございますが、その中へ書いてないということについての御心配がある。政府といたしましては、若しも現在、皆様御承知通り間もなく調印せられるだろうという平和条約の草案は、いろいろな経緯を経てここまで来ているわけでございまして、殊に連合国の間でいろいろ話が進んでここまで来た、我が国といたしましては、これに対して、併しながらこういうふうな点は如何であろうかということで、希望は述べられるわけでありまして、何とか講和条約と共に引揚問題ということが消えてしまう、或いは疎縁になつて、疎略になつてしまうことのないような、そういう心配のないような何らかの措置が講ぜられるならば、我々の心配がなくなるだろう、目的も達するわけだということで、政府といたしましては、従来からすでにそういうことを話をしております。現に四月にも七月にもそういう話をされているわけでありますが、更にこのたび極く最近、日本側で特にそういうような心配もあるので、何とかこれについて心配をなくするような方法を講じてもらえぬだろうかということは申入れております。大体それが現在の経緯のあらましでございます。
  41. 藤原道子

    藤原道子君 いろいろ努力をしておいでであるということは只今わかりましたけれども、その努力に対しての見通しというものもお持ちでございましようか、今までさえ努力していて、それで今日まで……終戦後七年目でございます。なお、こういう状態が続いて、留守家族人たちがああいう決意をなさいました気持は、私たちには痛いほどわかるわけなのであります。いつも努力している、努力しているで今日まで来ているわけであります。殊に最近発表されました外務省の数字でございます。これなどにつきましても、私たちには納得の行かないものもあるわけであります。そういう点につきまして、家族の人たちがあそこまで最後の胆をきめて、どうせこのままでうやむやで行くならば自分たちは死んでもいいくらいに大分激昂されたのも、私はよくわかるわけでございますが、今までさえできなかつた、ポツダム宣言がどうあろうとも誠意さえ届けばいいじやないかというようなことで、それに対する見通しがあるのかないのか。何らかの方法で実現可能であるのかどうかというような点についてのお見通しはございましようか。
  42. 倭島英二

    説明員(倭島英二君) 只今の御質問の点は、引揚げということについての見通しでございますか、或いはそれとも今政府が二点ぐらい、主として米国を通じて連合国のほうに申入れていることについての見通しですか。
  43. 藤原道子

    藤原道子君 それは、申入れているということは、帰してくれということの申入れでしよう。
  44. 倭島英二

    説明員(倭島英二君) それがちよつと二つこんがらがつていると思いますが、一つは先ほど申上げましたように一番帰してもらうことができさえすればほかの措置はいらないので、ともかく一日も早く一人でも帰して欲しいということについては、どこまでも努力をしておる、従来もしておりましたが、今後もいたします。これについての見通しということは、私は元来楽観的な気持を持つておるのですが、この問題についても将来もう帰つて来ないのだというようなことは考えておりません。むしろ私は、引揚げはあるものだと思つておりますが、ただどういう見通しなのかということを言われても、昨年以来引揚げは完了したということを、少くともソ連についてはソ連が言つておりますからして、これは余ほどまだ今後いろいろな交渉をしないと実現しないかも知れません。だからこの見通しについてはそう簡単にもう間もなく引揚げはありますとかいうようなことを申上げるような材料は現在ございません。それから現在政府が申入れておる件につきましては、これもやはり戦勝国と戦敗国というものの間の関係の条約は今後できる、而もその条約は戦勝国の間で大体きめられて、日本のほうもその或る段階において、或る程度の打合せと申しますか、そういうことは聞いておりますが、これも日本側が希望する通りになりますということを確言するのには、まだ時期が早いと思います。なぜかと言いますと、向うのほうでも、例えば米国はどういうふうに考えても、英国なりほかの国との相談がございましようし、それから先ほども申上げましたように、条約そのものがいろいろな経緯を経て、ここまで或る草案がまとまつて来たわけでございますから、それについても我々の希望通りになるかどうかということは、ここで確言する何ら根拠を持つておりませんけれども、少くとも政府としては誠意を以て、我々の希望が達成するように、どこまでも努力いたしますということを申上げて、この前も断食をせられた人たちの代表も、そこまで政府がいろいろ考えておるならわかつた、その誠意はよくわかつたから、それでは一つ断食を解いて、政府はしつかりやつてくれということで帰られたわけであります。
  45. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 局長にお尋ねいたします。昨年の十一月だと思いますが、国際赤十字社のルーガ委員長がモスコーへ行つて日本並びにドイツのソ連におる捕虜の問題について交渉に行つておるはずであります。何とかその結末についての情報は外務省に入つていないですかどうですか、お尋ねいたします。
  46. 倭島英二

    説明員(倭島英二君) 何ら聞いておりません。昨年モスコーに行かれたかどうか知りませんが、北京にはその代表が行かれて、北京の関係では引揚げを何とかして欲しい、少なくとも情報をもらいたいというような話をされたので、お聞きしておこうということで、その後の返事がないように私承知しております。それからモスコーとの関係は、私もはつきり今記憶しておりませんが、欧洲のどこかで赤十字の会合がありました際に、向うから代表が出て来て、そのときに頼んでおいた。これも御希望の点はよくわかつたということで帰つたきりで、私の承知しておる範囲においては、何らまだ結果が出ておらんのではないかと思つております。
  47. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 今年の一月、私はスイスへ行つたときに、ルーガさんに会つた。万国赤十字社では国連の三人委員会、余り希望は持てないんだ、万国赤十字社では相当悲観的に見ておつたのですが、あなたがおつしやるように、これは本当に希望が持てますかどうですか。あなたのお考えは……日本の外務省の考え方は、予想ですね。
  48. 倭島英二

    説明員(倭島英二君) 御存じだとは思いますが、この三人委員会は国際赤十字の関係で最初任命をしてもらいたいという希望の決議になつてつたのでありますが、結局関係国全部は賛成しない、つまりソ連が昨年の決議のときに反対をしたということで、やはり多数決で成り立つた決議案については我々はやはり参加し得ないと言つて、体よく国際赤十字関係を逃げてしまつたわけです。従つて赤十字のほうの見方から言いますと、余り楽観的なことは赤十字のほうでも持つていなかつたかも知れませんし、それで又一つ体よく外してしまつたんじやないかと思いますが、勿論この問題につきましても見通しはわかりません。併しながら昨年の国連での討議のときの空気から申しましても、問題の重要性というもの、例えばその数字が何万残つておるにしろ、ただ一人の人間が不当なる取扱を受けておるということがあるならば、国連としてはその一人の人の取扱にしろ問題を取上げざるを得ない。又取上げなければ国際連合の面目はどこにあるのかというような議論が行われまして、結局そういう正義観というものが一堂を圧して去年のような決議になつたわけであります。従つて我々の希望しておりますところは、一体そういう正義観と申しますか、或る人道主義上の問題ということがどの程度までソ連なり現在の中共等の関係に速かに効力を及ぼすかという点については、簡単な楽観をし得ない点もあるかも知れませんが、併しながらどこまでも正しいこととして言わなければならんこと、人道問題として大いに努力をしなければならんことについては一生懸命でやるという気持でございます。その見通しという点は、これは簡単に申上げにくいと存じます。
  49. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 中国におる俘虜ですね、その人たちから、私の親戚にもあるのですが、帰りたくても金がないんだ、旅費がない。手紙は何らかの方法でときたま来るわけです。そうして金がなくて来られない、旅費がないというので、何らかの方法で金が入つたならば帰れる、こういうような手紙が来ております親戚の者があるのです。そういうふうに中国地区におる人たちには相当そういう人がある。それで国際赤十字社あたりを通じて日本の費用で船を持つて行つて配船をして引揚げさせる。山東省あたりにも相当おるということがわかつておる。そういうような方法を外務省で何か考えられてあるかどうか。
  50. 倭島英二

    説明員(倭島英二君) 中共地区、特に満州方面でございますが、御承知通り同方面に現在残つておられるかたがたには三種類といいますか、四種類といいますか、現在残つておられる者の境遇がいろいろあります。一つは相当多くのかたがたはこの前、この前と言いますか、引揚げを行いました際に自分は帰らない、こつちにおつて職もあるし、こつちにおろうという決断をされたかたがたが相当ある。それから第二番目の種類の人たちは、自分は帰りたいと思われたけれども、向うが特別の技術だとか或いは仕事の関係上是非つて欲しいというような関係上いわゆる何と申しますか、留用せられておられまして、その仕事が済めばいいけれども、済むまでおつてくれと言つて相当まあ無理に引留められたかたがたがある。それから又別のかたがたとしては、引揚げが行われました際に、相当奥地のほうにおいでになりましたので、急速に行われた引揚げの際に間に合われなかつたので残念ながら奥地にとどまつておられて、何と申しますか、極く困難な状況にあるというかたがたで、この三種類のかたがたの中で第一の、仕事を持ち或いはまあ向うにおろうというかたがたも現在も相当あると思います。それから第二の、向うが引留めたということで、これは軍に属しておる人もございますし、それから軍の工場なんかで働いておられたかたがたもありますし、炭鉱で働いておられたかたがたもございます。この関係のかたがたでまだ現在残つておられるかたがたの大部分は、向うがどうしても引留めて、やはりおつてもらわんと困るというのでなかなか帰さないかたがたがあるようです。それからその中で、もう大体用事が済んだという際には、向うが相当金を出して帰して来ております。旅費その他の工面をして帰してくれる、大体そういう恰好で毎年二百名近くのかたがたが帰つて来ておられます。昨年も一昨年もですね。だからそういうかたがたについては比較的いいのじやないか。ところが一番お気の毒で何とかしたいと思いますのは、奥地に引揚げのときおられて、現在も奥地におられる、或いは都会のほうに出て来られても甚だ気の毒な状況にある。まあ難民というような状況におられるかたもまだ相当あるのじやないか。これにつきましては、結局向うの中共のほうにしても、こういう人を世話をするのは厄介でございますし、こちらでは一人でも多く帰つてもらいたいということなので、この点については何とかしたいということで、従来も先ほど御意見にありましたように集団引揚をしたい。それで問題は集団引揚の際に適当な港までは向うが何とかして許可するなり、運んでもらうということはできないか。そうすれば日本のほうからはいつでもその指定の所に船を持つて行つて取りに行くという恰好で、話を数回しております。現に昨年も赤十字社の代表のかたが北京に行かれた時に、その集団引揚の問題を取上げて欲しいということで、我々の意向を酌んでお伝え願つたわけでありますが、残念ながら現在まで実現するに至つておりません。金があれば帰れるのだがと言われる中には、今申上げましたようなふうにいろいろ種類がございまして、何とかしたいと思つておるのですが、まだそこまで具体化するに至らないような状態でございます。
  51. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 ソ連軍のほうにおつた捕虜で、樺太へ廻つたという数字をいろいろ我々聞くのですが、あなたがたのほうでおつかみになつておる数字はどれくらいでございますか。
  52. 倭島英二

    説明員(倭島英二君) その数字はわかりません。ときにいろいろなことが伝わりますけれども、ソ連の現在勢力下にある地域の中で、いわゆる抑留されておる同胞のかたがたが、或る地域から或る地域へときどき移動させられておるということは、従来も情報がありましたし、まあ想像にかたくないところでありますが、現在樺太にどれくらいおられるか、或いは秤動させられて来ておるかという点については、現在のところ何ら情報がございません。
  53. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 先ほどの断食について関係してですが、この間アメリカの新聞ワシントン・ポストにこの断食のことが報ぜられたということをニュースで言つておられましたが、あの問題に対してどういうような諸外国の反響がございましたか、若し御承知でございましたら……。
  54. 倭島英二

    説明員(倭島英二君) あれは上島さんからの投書を載せたということで、極く短い通信を我々も見ただけで、その後の反響は一切わかりません。
  55. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 私も医者なんですが、私の仲間の子弟が中国のほうに応召して行つたのですが、この子弟で帰つてない人が相当あるのです。向うに行つてその後帰らない軍医の動静或いは数とか、そういうものは何もわかりませんですか。
  56. 倭島英二

    説明員(倭島英二君) 部分的には多少わかつております。ところが全体の統計を取るまでには至つておりません。やはりその同僚と一緒に暮らしておられたかたがたとか、同じような地域から帰られるということで、部分的な数字はわかつておりますが、その部分的な数字も現在まだ発表する段階にないと申上げざるを得ないのでございます。
  57. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 話は戻るのですが、私は初めてルーガ委員長と会つたわけですが、そのときにルーガさんと一緒に行つた人で名前は忘れましたが、モスクワに行つた当時のことをはつきりこう言うのです。最初非常にソ連の当局が誠意がなくて相手にしてくれない。レッド・クロスだとかいうものは、西欧側のスパイだというような口実でどうしても明らかにしない。それでいろいろ努力折衝した結果、話には乗つている。併しその話の内容についてはどうしても言えない。それはおわかりになるように、日本の議員なんかにしやべつたのでは、すぐそれが伝わつてしまう。それじや今後の交渉に非常に工合が悪い。併し余り期待が持てるような結論じやなかつたということでしたが、それで何か外務省のほうに情報が入らないものかお尋ねしたい。
  58. 倭島英二

    説明員(倭島英二君) 残念ながら何も承知しておりません。
  59. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 中国に、さつきの軍医の諸君が向うにいるのは、向うで無理やりに留用されているのが多いのか、自分の意思でとどまつている人が多いのか、そういうことはわかりませんか。
  60. 倭島英二

    説明員(倭島英二君) 軍医のかたがたのは大体引き留められておられるようです。軍医と同時に看護婦教育を受けられた正規の看護婦のかたもありますし、それからそうでなくて、二十前後の娘さんが看護のために残れというので、残された人もやはり看護婦としておられるようですが、大体お医者さんと看護婦さんのかたは向うからいわゆる留用されておられるという状況にあるのじやないかと思います。但し従来病気なんかで帰つて来られたかたがたの話を聞きますと、向うの待遇は相当いいようです。待遇については相当向うも考えている。ですが、とにかく引き留めているという状況のようです。
  61. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 赤十字社のほうで強く要望してやつたあの日本から送る情報というのは、あいまいだそうですね、記載が……。どうしてもつと詳しく間違わないように書いてもらえないだろうか、カードを作つている連中は口を揃えて言つております。例えば名前だけが書いてある。姓だけが書いてある。職業がない。福井県なら福井県、富山県なら富山県、県だけが書いてある。カードに十分間に合うような詳しい資料が非常に少かつた。杜撰な資料がかなり多いということを盛んに言つておりました。そういうことがあつたそうですが……。
  62. 倭島英二

    説明員(倭島英二君) それは赤十字のほうでやられた関係だろうと思います。赤十字のほうと、或いはソ連のほうとの話合いがあつたのかどうかはつきり私も知つておりませんが、とにかく安否調査をしようということを赤十字のほうで始められて、そうして我々とは全然関係なく赤十字のほうで集められた資料を送られたようです。従つて我々のほうの資料には、軍隊関係のかたがたも一般邦人のかたがたもそうあいまいになつておりません。はつきり、もう終戦後五、六年間一生懸命に調査して、国内でわかる限りのことはわかつております。従つてそうあいまいな関係はございません。ただ赤十字のほうはどういう恰好で集められたか、それはよく存じませんが、そういう不備があつたかも知れません。我々はそれについて直接の相談を受けておりません。
  63. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 ちよつと最後に伺いたいのですが、対外的でなしに、国内的にこれから留守家族の人の援護をどういうふうに強化してなさるおつもりでございますか、ちよつと援護局長にお伺いします。
  64. 田辺繁雄

    説明員(田辺繁雄君) 留守家族の援護の方法は、実を申しますと非常にむずかしい問題でございます。今のところ未復員者給与法及び特別未帰還者給与法の運用によつてつて行くほかないのじやないかというふうに考えます。
  65. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御質問がないようでございましたら、時間の都合もございますので、次の議題に移りたいと思いますが……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) では有難うございました。   —————————————
  67. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 次の議題は、長寿園のこの前の件でございますが、関係当局からその後の情勢をお聞きした後に、質問に入りたいと思いますが、御異議ないですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それでは一つ、その後の経過をお話し願いたいと思います。
  69. 尾村偉人

    説明員(尾村偉人君) 前回の長寿園につきましての御質問以後の状況を御説明申上げます。  前に当委員会長寿園事件に関して、その後本省として調査をするようにということと、それから特に医療面について欠陥が一事でもないようにと、その他もございましたが、一番大事なことでありましたので、早速その方面に出かけまして、調査面につきましては六月七日から六月九日の三日間、特に課長補佐の事務官佐藤、それから技官でありますところの高橋、その二名を派遣いたして調査並びに指導をいたし、なお医療面につきましては丁度この事件調査中には、只今のように私のほうからも技官が行つておりましたので、いろいろ折衝中でありましたので、直接に応援はいたさなかつたのでありますが、七月に入りましてやはり菊池医師一人では非常に弱力であるという調査の結果に基きまして、最寄りの六日向荘、やはり国立療養所でございますが、そこから最初は所長が一名の技官を引連れて参りまして、所長がいろいろ必要な管理上のアドバイスをすると同時に、一週間交代で六日向荘の医官を派遣することにいたしまして、これを実施いたしました。最初は相当の幹部を出したのでありますが、大日向荘それ自身がそれぞれ大事な患者を四、五十名持つております医官でありますので、これを長期に亘つて放置いたしますと、六日向荘の今まで預かつておりました患者のかたに非常な文句が出ますので、大体一週間ずつ交代で行くと、こういう形で派遣を継続いたしました。これは現在まで続いておるのでありますが、ただ途中で七月十二日から二十四日までの間、交代の医師が一時行かなかつたことが、その後になつて私のほうで判明いたしました。これは私のほうから六日向荘に業務命令として命じまして派遣いたしたのに、私のほうで知らんうちにこういうことができました。これは或いは交代予定者が病気等で急に行けなかつたのかと心配いたしまして調べましたところ、現在おります長寿園の園長並びに一、二医官の仕事の様子を見まして、当時行きました医官が、どうも診療上いろいろな診断の対立等が起るように患者感じさせて、却つて不安を与えるようだ。それで一時見合せたほうがいいではないかというので、行きました医者と、現在向うにおります医官との話合いで、勝手に一時見合せたそうであります。私のほうでこれを聞きまして、直ちに再び派遣して、なおそういうような簡単な判断で多数の患者を抱える医官の数を減らしたということで、いろいろ叱つたのでありますが、むしろ当時はそのほうが却つて患者の安心する者が多いのではないかという、現地の現状に基いてやつたと言いますので、一応その後、こういう簡単なことをやつてはいかんということで現在継続しております。併しその例にも見ます通り、一週間交代の医者というものは、如何に堪能な人でも、非常に工合が悪いのでありまして、極力専任の医師をもう一人入れるほうのことを努力いたしました結果、すでにこの春以来就任を予定されておりました行定という現在おる菊池医官より一級先輩の医師が、この八月八日に着任いたしまして診療を開始するという連絡が参りました。要するにこの人はすでに今年の四月頃から行くことになつておりましたので、この人が行つておれば、この事件の進行の仕方も大変違つておつたと思うのでありますが、実父が死亡いたしまして、その後始末にこの三カ月間かかりまして、漸く解決して来たようなわけであります。この人が八月八日に行きますれば六日向荘の応援医師を引いても二人で八十名、我我のほうの定員の標準でございますので、それに当つて行けば医療面ではさしたる差支えはなかろうかと、こう思つております。なお一方、この事件そのものの調査に基きますと、いろいろな患者からの要求事項につきましては尤もなものもありまして、これは厚生省から派遣した者、並びに職員とも話合いまして、改善できますことは逐次改善をいたしまして、特に患者の一番現実に不便を感じておりました風呂場、或いは給食関係、売店の関係というものは改善されまして、現在の報告ではほぼそういうような具体的な事項ではそれほど不満がない、こういうことになります。残る点はやはり所長、並びに看護婦長に対する従来のやり方に対して非常に感情的なまだ不信任を持つており、これの退職を飽くまで要求するという線が、事件の最後の大詰として残つておるわけでございます。この点につきましては所長、婦長を私のところに呼びまして、二人の今までのやり方については、具体的に、積極的に患者の不利になるような医療を行なつた、或いは懲罰的に医療を行なつたというようなことは万々ないと信じておりましたが、現実にこの点を詳しい現地調査に基きまして、再び問い質し、いろいろその当時の意向を聞いたのでありますが、この二人ともそういうようなことにこの医療看護を利用したことは絶対にないということは確言しております。ただこれを客観的に見まして、人工気胸を外出後にやつた問題につきましては、本人は飽くまでこれは外出後の悪化を阻止するために、予防的な必要な措置であると言つておりますが、この点が客観的に見て果してそこまで必要であつたかどうか。普通の簡単な注射と或いは安静だけでよかつたのじやないかということは、これは簡単には批評ができないわけでありまして、我々のほうの療養所の大家に聞いてみますと、必要であるという人もありますし、まあそこまでしなくても大体安静でいいというような人もありますので、ただそのやりました企図については決して懲罰的などということは毛頭感じないでやつておるということを確言しておるわけであります。ただそれ以外の今まで言動その他が非常に軍隊的であつて患者に冷たくて、それから恐い医者であるということに発して、すべてのことが疑心暗鬼で、やることがすべていじめるためにやられておるのじやないか、この不信任が現在はあるわけであります。この点については両名とも非常に反省をいたしまして、やはりああいう極端に不便な僻陬地にあつては、やはりこの患者と非常に温がい感じで接するということが必要であるということは、現在我々の勧告に基いて相当反省して気付いておりました。まあ是非そういうふうにしたいと言つておりますが、併しながらこういうふうな騒動が起きまして対立したときに、急にそういうことをやるつもりになつたからと言つて患者と接触しても、そう簡単には患者のほうでは納得はしないと思われるので、先ず私のほうで本人たちに勧めましたことは、患者のほうに対しては諸君が改めるという反省の事績を暫らく見てもらうように、私としてはこの差当りの解決を勧告したい。で諸君のほうは二人とも差当り自分が直接患者との摩擦を起さんように、必要以上にこれは感情問題があるから、如何に改めるといつてもそう簡単には行かないから、暫らく所の菊池医官初め五各の幹部職員にすべての運営を直接担任さしたらどうか、所長は当分の間その相談役という立場で、この幹部職員の意見に基いて自分の経験を生かして、責任だけを負つて行く。こういうように暫らくやるならば、患者は逐次今まで全然自分と直接ぶつかつて冷酷だと思われたような点がだんだんそうでなかつたというふうに気付くだろうというので、現在のところ直接診療をやらしておりません。大体今の管理者の責任だけを負うようにする。それから看護婦長につきましても全く同様の立場におりますので看護婦長につきましては、患者のみならず、看護婦の相当数とやはり感情的の齟齬がありますので、当分看護婦の幹部にいろいろな企画をさせて、それの相談役として、注意すべきことは注意して、直接患者に当らしたらどうか、これもよく反省いたしまして、そういうふうにするということでやつておるようであります。併し依然として患者側で決議いたしました両人の退職勧告ということはまだ引込んでおりませんので、本当の解決には至つておりません。ただ私どもとしてやはりこの公務員が若干感情的な非常な対立があつた場合に、直ちにそれを以て替えるということも一法でありますが、ああいう非常に辺鄙な中で特殊な事例、特殊な環境の中で自分で理想とすることを実行して、それがまあ必ずしも患者に幸福でなかつたというのを以て直ちにこれを転任させますとか、或いは免職というような措置で、この問題を解決いたしますと、他の療養所の職員にも非常に士気に影響いたしますのと殊にそういうかたのあとに、果して後任者が行つてくれるか。これはもう現在私どもとして内々退職等を前提といたさずに、ああいう所に行つてくれるかどうかを、各医科大学の教室、並びにそちらの療養所関係でいろいろ当つておるのでありますが、大体今のところ行くという希望者が全然いる見込みが、今のところまだ回答をもらつておらないのであります。そういう関係もありますので、できるだけ一回だけは反省してやつて見るのをお互いに見守る、これが又元へ逆戻りするというようなことを懸念する点もあると思いますが、これはこういう事件が起つたのでありますから、厚生省といたしましてもこれは十分監視と、並びに将来その点の責任はとつて行きたいという点で、今一度だけこういうふうなお互いに改めて仲よくするという線で解決案にしてもらいたい、こういう線で今進んでおります。従いましてこの行定医師という新らしい医師が来てから、この医療上の面のそういうことは好転いたしますので、我々は来ましたら更に調査官を派遣し、指導して両者の斡旋に努め、医療上のそういうふうな不足がなくなつた上で、更にどういうことになるかという点をもう少し見て頂きたい。我々も責任を持つて今後好転させるようにいたしたい、こう思つておる状況でございます。
  70. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御質問ございましたら……。
  71. 藤原道子

    藤原道子君 この問題については、どうも今の御説明まだ納得の行きかねることもございますが、又向うからもいろいろな情報が入つておりますので、私、機会がございましたならば一度調査して見たいと思つておるのでございます。私もあなたの言われるように、問題があつたから直ちに医者を解任するというようなことは、いろいろな意味においてまあ問題が起ろうと思いますので、そのことはあえて要求するものではないのでございますけれども、まだまだ何やらもやまやが解決していない。もう葉書なんぞ陳情書がこんなに来ておりまして、実に困つておるのでございますが、との問題は今日は私は御質問はいたさないことにいたします。私は今日は御質問取りやめます。自分で見なければわからんですから……。
  72. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ではこの程度で長寿園の件、議題を終りたいと思いますが、どうも御苦労様でした。   —————————————
  73. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) あとは堂森さんから緊急な質問をしたいとこういうわけで、いつか二、三日前の新聞だつたと思いますが、看護婦が注射して二名が急死したというあの内容を知りたいと、こういうわけですが、暫らくお待ち願いたいと思います。暫時、来られるまで速記中止にいたします。    〔速記中止〕
  74. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 速記を始めて。  先般新聞で私ちらつと見たのですが、堂森委員のほうから看護婦の注射による死亡の件に対して緊急質問ということになつておりますが、一応説明を聞いた後にして……、では御説明を願いたいと思います。
  75. 小沢滝

    説明員(小沢滝君) 実は本件に対しまして、三日に現地病院から簡単な文面ではございましたが、注射液を取違えて患者二名を死亡さした、後に又詳しく報告する、こういう電報報告を受取りまして、非常な衝撃を感じました。これが事実といたしますれば、国立病院始まつて以来の不祥事でありまして、誠に申訳ないと思つております。私どもといたしましては直ちに現地の監督機関でありますところの近畿出張所長に対しまして、速かに現地に行つて善処すると共に、詳細な報告を寄越すように電報で命令を出しました。それから更に私どものほうの医師たる技官が近畿地方に出張しておりますので、直ちに出張所と連絡の上、現地に行つて出張所長を助けて善処する、なお報告するようにと電報で命令を達してございます。私どもに対する報告につきましては先に申上げました三日に病院から寄せられましたものと、それから本日近畿の出張所長から新聞の切抜を集録いたしまして、こういう事件が起きた、詳細は追報いたしますという報告参つておるだけでございまして、中身につきましては新聞報道以上のことは全然存じておりません。至急これを取調べまして且つ善処しなければならんと考えております。
  76. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 私、今朝郷里から来たのですが、私が調べたのでは、あの病院についていろいろ調査して見た。今度の事件は、薬局からアンプレをもらつて、そのアンプレが葡萄糖、スペルカイン、いろんなものが殆んど同じだというのです。レッテルは多分違うと思いますが、ちよつと常識で考えられない、薬局からもらつて来て、それを看護婦が入れて注射したら二人が即死したということなんですが、全部あの病院看護婦が注射をする、静脈注射……、そしてアンプレも間違えた。間違えたということはちよつと想像できないのですが、麻酔薬を静脈に注射した。そして二人も即死したというのです。
  77. 藤原道子

    藤原道子君 どこの病院ですか。
  78. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 鯖江の国立病院です。あの病院について今までもいろいろと聞いているのでありますが、根本はやはり国立病院というのは……、私が思うには軍病院国立病院には非常に無理がある。而も人事関係からいつて十分つ医員が揃わない。設備がまずいというような、無理やり国立病院の名前を与えるというのが多い。いろいろな意味で、私はあれは診療機関としては殆んど不適当なものが多い。そういうふうな今までいろいろな弱点がたまたまああいうふうな不祥事件として起つた、こういうふうに考えられるのです。看護婦が薬局から薬をもらつて、そのまま注射した事実は非常に簡単だが、非常に国立病院としては信用をなくし、文意者は大変なものです。あなたのほうでどういうふうに処置されるかお尋ねしたいと思います。
  79. 小沢滝

    説明員(小沢滝君) 薬品の取違えのためにかような事故を起すということは、極めて稀には世間にあることでありますので、私どもといたしましてはかような事故のないようにしばしば全国の国立病院に対して注意いたしております。最近の出張所長の会議におきましても、夏の対策といたしまして、伝染性疾患を集団生活体であるところの国立病院に持ち込まないようにしてくれ、余りに薬の取違え事件があるから、そういうようなことのないように、薬品に対してそのような注意をしてもらいたいということから、恐らく、出張所長から病院長のほうに、さような趣旨が伝達されたと思うのであります。薬事法によりますと、毒薬並びに劇薬は特殊の扱いをしなければならない。即ち保存をする場所を区分しておく。それから毒薬並びに劇薬であるところの標識をしてもらいたい。劇薬の場合ですと、赤で劇と印刷した標識を貼つておかなければならん、従いまして合法的にやるならば鯖江病院におきましてはヌペルカインと葡萄糖と区分して貯蔵し、且つヌペルカインであるということがレッテルの上に明らかにされ、且つその上に赤で劇という字が貼つてなければならないと思うのであります。事情はわかりませんけれども、恐らくそういう薬品措置に欠くるところがあつたのではなかろうか、こんなふうに考えております。返す返すも甲訳ないことと存じて、深くお詫び申上げる次第でございます。なお、このようなことが二度と起きませんように、更に薬品管理につきましては詳細な指示をし、且つてれを実施せしめるような措置を講じて参わたいと考えております。
  80. 松原一彦

    ○松原一彦君 ちよつと私は委員長を通して参議院の事務当局に御警告を願いたいことがあるのです。それは現行薬事法におきましても、医師以外の者が調剤することができないと、これは先般医薬分業問題のときに随分やかましく論じた問題でありますが、にもかかわらずその立法の府である国会、殊に参議院の医務室の中には薬剤師がいないのであります。看護婦がすべて全部調剤いたしておる、これは皆さん御承知通りであります。私もあそこに行つてそれはいけない、いずれにしても立法の府がみずから法律を守らないことはいけないのだから、少くともここに女の子でもよろしいから薬剤師を一人入れて、看護婦の定員を一人減しても薬剤師を置いて、小さい薬室を作つてこれにやらせなければいかん。それができないならば医師みずから調剤しろと、看護婦諸君がみずから調剤してはいかんと私は警告しておるが、私どもはお医者さんから命令を受けて、その処方通りに調剤しておるのですから間違いはありませんと、こういいますけれども、間違いのあるなしではない。それは違法なんだ、断われと私は看護婦にこう申しておりますけれども、慣例上そう行きませんと、かねてあのときも問題になりましたように薬剤師のいないところの医局で医者が調剤するなんということは私は殆んどないと思う。そこに医者の側の今日まで医薬分業に対しても非常な不用意があると思うのです。薬剤師の言い分にも相当尤もな点がある。現に今回のごとき、それでもこれは薬事法から申しましても、薬局から出たものであるからして薬剤師が扱つたものではありましようが、医者が責任を取らないで、看護婦にすぐ注射させるというところに非常な間違いがあるのであります。これは医薬分業を論じてまだその舌の根の乾かない今日に、こういうことがすでに起つておる。私はそれはまあ別としましても、少くとも国会内部におけるところの医務室では、あれだけの人数かいるのでありますから、予算を取つて何ら差支えがないことであり、いや差支えないじやない、取らねばならん。範を示すべきものでありますから、この委員会の名を以て事務総長のほうに小さい薬室を設け、そうして専門の薬剤師を入れる。そうでなければ医師がみずから調剤しろ、こういう警告を発せられるように、全員の御同意の下に一つの措置をとつて頂きたいと思うのでありますが、如伺でしようか。お諮り願いたい。
  81. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 今関連しまして、国会内の問題ですが、そういう動議が出ましたが、そのようにお計りすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それではさよう決定いたしました。速記をとめて。    〔速記中止〕
  83. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 速記を始めて下さい。
  84. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 あの新聞で見ると、何だかこの間今の事件で二名死んだというような記事になつておりますが、注射して即死をしたというお話で、二名相次いでやつたということはどういうことでしようか。その間の事情を……。
  85. 小沢滝

    説明員(小沢滝君) 実は私自身、このヌぺルカインを注射した場合に、どういう症状でどれくらいで死ぬかということを存じておりません。恐らく静脈に入れまして、それが血液によつて運ばれてすぐ神経の中枢に達して、相当それまでには或る程度の時間があつたのではないかと思います。つまり甲の人間に注射して、それからそれが死に至る間、時間があつたので知らないで第二回目を注射して、取返しがつかないことになつたのじやないか、こう想像しておりますが、そのことは報告を受けておりませんから知りませんが、ただ先ほどだんだん御指摘がありましたが、確かに医師法の建前から申しましても、看護婦の業務の建前から申しても、看護婦をして静脈注射をせしむるということは適当でないと考えております。是非ともやめさせたいと思つております。さようなことを指導しております。遺憾ながら今の日本の現状におきましてそういう悪い慣習が残つておりまて、なかなかこれを根絶せしむることは困難であるが、併しこういう機会に是非こういう悪い慣習は全廃いたさなければならないと思つております。
  86. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 先達つてから私鳥取の国立病院を見たときに、病室の周りにもう汚水が溜つて、下水がまあ詰つたというのか、非常にひどいのですね、鳥取の国立病院を御覧になつておるかどうか、恐らく御覧になつたかと思いますが、先ほどからも、国立病院の入院室の周りに汚水が溜つて氾濫しているというようなことは、これは国立病院という看板に対して私は恥ずかしいと思います。まあ予算の都合とか、そういうことですぐ言われると思うのでありますが、これは予算があろうが、なかろうが、下水の整備くらいは一つして、外来者に対しても、誰に対しても恥ずかしい極みだと思いますので、どうぞお願いいたします。
  87. 小沢滝

    説明員(小沢滝君) 御指摘を受けまして誠に恐縮の至りでございます。御承知通りに、国立病院は陸海軍の病院を引継いだものでありますから、戰争の進行と共に、たくさんな兵隊を入れなければならん。従つてたくさんの傷病者を入れなければならんので、土台工事もしないで、いわゆる臨時構築物として下水も何もしないで、三年持てばよい、四年持てばよいというので、臨時構築物を作つたという建前が多いのであります。現在におきましては患者を収容するのに甚だ不適当でございますので、できるだけ御指摘の点を直して参るように努めているのであります。先ほど御注意がありましたが、この予算がないので非常に苦しんでおります。併し鳥取病院につきましてはなお検討いたしまして御趣旨に副うようにしたいと思います。
  88. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 鯖江国立病院事件、劇薬と普通薬の管理が全然薬局においてされていなかつた点が根本です。ヌぺルカインの注射薬と葡萄糖と間違えて看護婦に渡すところに非常な問題があるのですから、厳重に国立病院に対して劇薬というものを……、開業医に対しては非常にやかましく言われているので、この点は非常にうまく行つております。ああいう大きい病院ですと、どうしても何かがある、こう思いますから責任が薬局長にありながら非常にもやもやしたものがあるに違いないと思います。いろいろ前にもそういう事件があつたということを聞いておりましたが、死んだということはない。間違えたということがあつたそうです。これは私聞いた話ですが……、それからあの病院は非常に設備が悪いので、前から地方に、組合病院に拂下げをしてくれ、完全にきれいなものにして見せると町村長がみんな言つているのです。それを国立関係病院であるためにできないわけなんですね。だから今後も国立病院をあんな無理をして持つていずに、地方の組合病院になり得るところはどんどんやらして行く。あれは豚小屋です。ひどい病院です。御覧になつたらわかります。やはり容れ物が悪いと人心も紊乱すると思います。きちんとすれば物事もきちんとすると思います。この機会を転機として改善をお願いしたいと思います。
  89. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 只今先生の御説明で大体了承したのでございますけれども、私初めの説明でございますと、看護婦が薬局から薬を持つて来たと伺いまして、非常に私疑義を持つたのであります。恐らく看護婦患者の処方録を持つて行くと思いますが、この点もお調べ頂きたい。若し薬剤師が、処方録に薬剤師の判を捺してあれば、薬剤師の責任じやないかと思います。看護婦の責任にはならない、但し注射をしたことは、これは医療法に関して大きな疑問がございますようでございますから、それを新聞に看護婦が注射をしたから、何もかも看護婦の責任に取り立てられることは心外だと思います。どうぞよろしくそういう病院管理のほうを研究して頂きたいと思います。病児管理に欠けるところがあると思います。そうして特に看護婦の領域ということについても研究して頂きたいと思います。これまでの看護婦は、とにかく注射をしたりするものが看護婦で一番偉らいと思つておつたことが大間違いであります。これはお医者さんの業務を圧迫しておりますし、こうしたことから非常にその患者が迷惑をこうむるのでありまして、完全看護ができないのであります。完全看護ができないところに、附添婦がいるというように廻り廻つて悪循環を来たすということになりますので、病院管理研究して頂きたいと思います。看護婦業務の基準というものを復活するように、看護婦業務基準というものができているはずでございます。国立病院の療養所もそうした点に重きを置いて頂きたい。看護婦をもつともつと再教育をして頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
  90. 松原一彦

    ○松原一彦君 関連して一つ私も希望を申上げます。先般国立病院を県に移管するということについてどなたかから橋本厚生大臣に質問がありましてそれは絶対反対だという御意見であつたのであります。私はこれに対しては一つの疑問を持つておるのでありまして、私どもが地方を見て廻りましたときに、県によりましてはこの県の地方的な医療の面から、国立病院を県に移管して欲しいという希望が出ております。一体国立病院は、国で以てどうしてもやらなければならない特殊の伝染病、或いは癩病といつたようなもので、国全体を単位として考えた場合の施設であつて、地方的な総合病院は県に黒字も出ておることでありますから、従来の費用は国で負担してもこれは私は県に移管して、そうして県の衛生部の一貫したる運営の下に監督もさせ、又医療もさせるということのほうが、地域的においてもよいのではないかというような意見を私持つておる。どうしても赤字が出てやりきれないというようなものがあれば、とにかくとして、地方の端々の国立病院とはいえ、堂森委員等から希望意見も述べられたように、何も国の病院として国立で管理しなければいけないとなると、そのために要する中央の費用も非常に大きいし、管理が届くかと言えば必ずしも届きやしないのであります。地方の医療衛生の面はやはり地方に責任を持たせる。そうして一貫した管理をする。国立どなりますと地方は遠慮してなかなか踏み込みもしませんし、又ベットの回転からいたしましても非常に不自由すると思います。どうぞこの点につきましては、私はまだ結論を得たわけではありません。資料も持ち合せませんからわかりませんが、大きな問題として一つ行政整理等もあることでございますから、厚生省も力瘤を入れないでよいところは一つお抜きになつて、力瘤を入れなければならない結核の療養とか、癩の療養というところに全力を注ぐという重点主義をおとりになつたほうがよいじやないか。何も総合病院としての国立病院を鯖江の端から鳥取の端までお持ちになる必要がないじやないかと思うのであります。これは一つ十分御研究になつておられると思いますから、希望として申上げて置きます。
  91. 阿部敏雄

    説明員阿部敏雄君) 鯖江の国立病院の不祥事件につきましては、まだ本省といたしましては十分な資料が集つておりませんために、この席で詳しく御説明申上げ得ないことは甚だ遺憾に存ずる次第でございます。いずれにいたしましても今度の問題は、或いは薬局にあるか、看護婦にあるか、或いは監督しておる医者にあるか、どちらにあるかの点は調べなければかりませんが、国立病院に責任があることは明瞭でございまして、この点につきましては何とも言いようがない次第でございます。元来各診療機関の模範であるべき国立病院が、かような醜態を出しましたということにつきましては、何とお詫び申上げても十分でないとかように考えております。つきましてはこれは徹底的に調べまして、その責任の所在に応じましてそれぞれ適当な処分をいたすと同時に、今後絶対かような不祥事の起らんように心掛けたいと、かように考えております。  それから先ほどの国立病院の改廃の問題につきましては、いろいろ意見がございまして、従来までは終戰直後は軍病院を引受けてやわましたのでございまからして、いろいろの病院によりまして、いろいろの見方ができるわけでございます。今お話になりましたような県移管というような問題も出て来ております。或いは全く廃止してしまえという意見もございます。病院によりましては療養所に変えたらどうかという意見もございました。国立病院を、これを一概にどうしてしまおうというようなことの結論にはならんと思いますが、とにかく十分に研究いたしまして、一層その病院国民のために有意義に使われるような方法を採りたい、かように考えております。
  92. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 以上で質問のほうも終つたと思いますが、後にまだ渡米議員の件に対して御懇談申上げることになつておりますので、本日はこの程度で委員会を閉じたいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それでは委員会をこれにて散会いたします。    零時五十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     梅津 錦一君    理事            小杉 繁安君            井上なつゑ君    委員            石原幹市郎君            大谷 瑩潤君            中山 壽彦君            長島 銀藏君            堂森 芳夫君            藤原 道子君            松原 一彦君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君    外務省管理局長 倭島 英二君    厚生省医務局長 阿部 敏雄君    厚生省医務局看    護課長     金子  光君    厚生省医務局国    立病院課長   小沢  滝君    厚生省医務局国    立療養所課長  尾村 偉人君    引揚援護庁援護    局長      田辺 繁雄君