運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-05-26 第10回国会 参議院 建設委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十六日(日曜日)    午前十一時十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○軽井沢国際親善文化観光都市建設法  案(衆議院提出) ○公営住宅法案衆議院提出) ○土地収用法案岩沢忠恭君外六名発  議) ○土地収用法施行法案岩沢忠恭君外  六名発議)   —————————————
  2. 小川久義

    理事小川久義君) 只今から建設委員会開会いたします。速記をとめて下さい。    午前十一時十九分速記中止    ——————————    午後零時十一分速記開始
  3. 小川久義

    理事小川久義君) それでは速記を始めて下さい。軽井沢国際親善文化観光都市建設法案につきまして発議者より御説明を承わることにいたします。
  4. 黒澤富次郎

    衆議院議員黒澤富次郎君) 只今議題となりました軽井沢国際親善文化観光都市建設法案につきまして、提案者を代表いたしまして簡単に提案理由説明申上げたいと存じます。軽井沢の町の光に満ちた独特の高原美とその清澄無比な空気とは、稀に見る健康地としてその真価が認められ、国際避暑地として戦前ここに別荘を求められた大公使の数は三十六カ国に及び、宛然東亜のジユネーヴにもたとえられる国際親善檜舞台なつたことは、皆様のすでに御承知のごとくであります。古くは柱、大隈を初め、加藤、尾崎、鳩山、東郷等政治家は相携えてここに居を設け、日本発展の想を練ると共に、列国公使との親善交歓を続け日本国際的地位の向上に努められたのであります。更に又日本内地は勿論、東亜各地に布教のために派遣された諸外国のキリスト教宣教師は、毎夏必ず軽井沢に集まり、世界の平和と人類の繁栄とを願う合同大祈祷会を催したのでありまして、軽井沢人類最高理想をかかげ、且つこれを実現せんとする神の使徒の祈りによつて清められた町であつたのであります。軽井沢に集まつた内外人が、やがてみずから自治行政を布き、国際的に著名なるいわゆる軽井沢憲法なるものを作り、国際親善の町としてその清浄を守つたことは余りにも有名なる事実であります。曾て日本が誤れる指導の下に戦争にかり立てられつあつた際においても、永世中立を続けたスイスの大使エ氏はここに留まり、連合国日本との国交回復努力せられたのでありますが、敗戦日本が徹底的に壊滅し去ることなしに、今日再建の機会に恵まれつある素因の一つは、軽井沢の町における同大使努力に負うものではないかと思うのであります。かくのごとく事例を列挙いたしますならば、軽井沢日本列国との親善を続け、平和の維持に寄与し得た歴史的事実を誇らかに想起することができるのであります。けだし全人類の祈念する世界の恒久平和の実現は、国際文化交流による民族相互の敬愛によつて達し得られるのであります。ダレス特使の来訪により、講和の締結と日本国際場裡への復帰を目前に控え、国際親善の町として軽井沢を復旧せんとする世論は、遠く海を隔てた各国よりも澎湃として高まりつつあるこの際、軽井沢が優れた健康地であり、国際親善に貢献した歴史的実績に鑑み、国際親善国際文化交流を盛んにして世界恒久平和の理想の達成に資すると共に、文化観光施設を整備充実して、外客の誘致を図り、併せていささかでも我が国の経済復興に寄与せんとするのが、本法案提出する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、御協賛を賜わらんことをお願いいたす次第でございます。
  5. 小川久義

    理事小川久義君) 只今提案理由を伺いましたが審議は午後に移したいと思います。これで休憩いたします。    午後零時十五分休憩    ——————————    午後一時五十五分開会
  6. 小林英三

    委員長小林英三君) 只今から午前中に引続きまして建設委員会開会いたします。軽井沢国際親善文化観光都市建設法案議題に供します。
  7. 小川久義

    小川久義君 只今上程されました法案については、先ほど懇談会におきまして大綱については是非審議を十分遂げておりますことと、かく各地法案と大体同様であると思いますので、内容について提案者から簡単に御説明を伺いたいと思います。
  8. 井出一太郎

    衆議院議員井出一太郎君) それでは極めて簡単に軽井沢国際親善文化観光都市建設法案内容を御説明申上げたいと思います。法案は全体で七条から成りまする極めて簡単なものでございまするし、すでに先例等もありまするので、極く簡潔に申上げたいと思います。先ず第一に本法案目的でございますが、これは先ほど提案者から詳しく御説明を申上げたのに尽きていると考えます。続いて計画及び事業でございますが、これは一般的な都市計画に基くほか軽井沢に特殊な文化観光都市としてふさわしいような諸施設計画を含むものでございます。そうしてこの事業軽井沢町長執行者となりまして、地方自治精神則つてこの完成に努力をするはずに相成つております。又この事業に対しましては国、或いは地方公共団体等関係機関が積極的に援助をすると、こういう規定がございまして、特に軽井沢附近には国有財産としては一万数千町歩余り国有林がございまするが、こういうふうなものもこの法律執行の上においては特別なる考慮を払つて頂いて利用し得るものはさせて頂きたいと、こういう内容を持つております。なお又報告という点に関しまして第六条に建設大臣に対して進行状況報告する義務を課しておりまするし、又総理大臣はこの状況を毎年一回国会報告をする、こういう規定に相成つております。まあ大体主なる内容はその程度でございまして、附則に公布の期日であるとか或いは現在執行中の都市計画は、本法の発効の後は本法に基く建設事業とみなす、こういう点、並びに住民投票の点を規定しております。大体大ざつぱに申上げるとそういう内容法案でございます。
  9. 小川久義

    小川久義君 先ほど申上げ正した通り、さしたる質疑もないと思いますので、直ちに採決の……
  10. 赤木正雄

    赤木正雄君 私はまだ質疑いたしておりませんから簡単にお伺いします。この法案が通過いたしました場合に軽井沢町の住民投票に付するとなつておりますが、住民投票に付する場合にその費用はどこから出るのでしようか。
  11. 井出一太郎

    衆議院議員井出一太郎君) これは提案者といたしまして大蔵省とも折衝をいたしたのでございまするが、極めて僅かなものでありまするし町当局で負担してはどうか、こういうことであります。そこで町当局とも相談いたしました結果その程度のものは町で負担しても差支えない、こういう回答を得ております。
  12. 赤木正雄

    赤木正雄君 これは憲法に基きまして、こういう住民投票をやる国費は一部を出すように思いますがどうでしようか。
  13. 井出一太郎

    衆議院議員井出一太郎君) 只今赤木委員国費というのは、住民投票に関する費用国費で出せ、こういうようなお話ですね。それは大蔵省の方でも予備費の中でその程度のものは考えてもいいと、こういうふうな回答を得ておりまするが、今私の御答弁で申上げたことは、若し予算が窮屈で万が一という場合がありましたならばという、こういうことを慮つて申上げたような次第でございます。
  14. 赤木正雄

    赤木正雄君 先ほどから申しておる通りに、憲法建前から言うならば、やはりその一部の費用国費から出せるのであります。併しこういう法案ができるたびごとにまあ軽井沢は比較的住民投票に必要な経費は少しで済むかも知れませんが、方々でこういう法案ができました場合に、その都度その土地のために憲法に基いて国費を出すということは非常に疑点があるんです。幸いと申しますか、不仕合せと申しますか軽井沢としては町費を以て出す、それならば別に追求いたしません。こういう点に非常に異議があるということを御了承願います。それから一万数千町歩国有林普通財産として常置されると、私はこの前にこういうふうな法案の出るたびごとにこの法律条文によつて国有財産を無償でその土地が貰えるということは、これは大蔵省といたしましても又無論国有林を管理しているほうからいたしましても相当大きな問題になる。こういうことを今まで質問したのでありますが、これに対して大蔵省当局は今日は見えていませんが何か御相談あつたんでしようか。
  15. 井出一太郎

    衆議院議員井出一太郎君) この点は赤木委員の御懸念は御尤もだと思います。勿論只今申上げた一万数千町歩国有林全体をどうこうというのではなくして特にあそこは火山灰地帯でございまして、国土保安の面からも乱伐は防がなければなりませんし、且つ文国立会園地帯でございまするので風致上からも考慮をしなければならんと思います。従いましてこの法案目的といたしまする国有財産等から供与を受ける便宜というものは、例えば間伐材でありまするとか極く限定されたもので結構ではないかと、この程度に考えております。
  16. 赤木正雄

    赤木正雄君 別府市を初めといたしまして何々国際文化都市とかそういう法案審議して随分法案は通過いたしました。そういうことからいたしますと軽井沢のごときは最も早くお出しになるべき町だつたかも知れません。そういう点におきましては私は或いは松山とか或いは伊東、熱海、そういう都市よりもむしろ国際都市としては第一位にお考えになる都市と私は思いますが、併し根本観念といたしまして私は多少疑問を持つていますがそれ以上質問いたしません。
  17. 小川久義

    小川久義君 先ほど申上げました通り何度も何度も審議を重ねておる法案でありまするので、質疑を打切りまして討論省略をいたし、直ちに採決して貰うことの動議提出いたします。
  18. 小林英三

    委員長小林英三君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  19. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて下さい。只今小川委員からいたしまして、軽井沢国際親善文化観光都市建設法案につきましては、質疑を終了したようであるからして討論を省略して直ちに採決したいという動議がございましたが御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは只今から軽井沢国際親善文化観光都市建設法案につきまして採決をいたします。本法案賛成の方の起立を願います。    〔起立者多数〕
  21. 小林英三

    委員長小林英三君) 多数であります。よつて法案は可決せられました。なお本会議におきまする委員長口頭報告内容先例に基きまして報告することにいたしたいと思いますが御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議ないものと認めます。それから成規手続きに基きまして本案を可とせられた方は順次御署名をお願い申上げます。   多数意見者署名     田中  一  東   隆     小川 久義  平井 太郎
  23. 小林英三

    委員長小林英三君) 御署名漏れはないものと認めます。   —————————————
  24. 小林英三

    委員長小林英三君) 次は公営住宅法案議題に供します。本法案は昨日の委員会におきましてすでに質疑を打切つてございますから、只今から討論に入りたいと思います。御意見がある方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  25. 田中一

    田中一君 私はこの法案修正案提出をしたいと思います。それはこの条文によりまして、公営住宅法案の一部を次のように修正する。目次中(「第二十四条—第二十九条」)を(「第二十四条—第三十条に改める。  第二十九条の次に次の一条を加える。(協議)  第三十条 建設大臣は、第二種公営住宅(第八条の規定によるものを除く。)について、左の各号に掲げる事項に関する処分をする場合においては、あらかじめ、厚生大臣協議しなければならない。   一 第六条第二項の規定による公営住宅建設三箇年計画案の作成、同条第四項の規定による都道府県区域ごと公営住宅建設三箇年計画決定及び同条第五項の規定による承認   二 第九条第二項の規定による国の補助金の交付の決定   三 第十三条第一項の規定による承認   四 第二十条の規定による家賃又は入居者選考方法変更命令   五 第二十四条第一項の規定による譲渡の承認又は同条第三項の規定による用途廃止承認附則第五項を第六項とし、第四項の次に次の一項を加える。  5 海外からの引揚者に対する応急援護のため設置した住宅及びこの法律施行の後同様の目的のため設置する住宅については当分の間この法律規定を適用しない。以上であります。  この理由は第三十条を加えましたのは、本法案規定する第二種公営住宅は第一種公営住宅家賃を支払うことができない低額所得者に提供するものでありまして、この階層の人々に対する住宅対策厚生大臣の所管する国民生活保護と密接な関係を持つものでありますから、厚生大臣の協力を得て適切な運営を期することが適当と思われます。そこで第二種公営住宅につきましては、公営住宅建設三箇年計画に関する事項、国の補助金決定家賃及び入居者選考の問題、住宅処分に関する事項等について建設大臣厚生大臣協議の上でその事務を処理することといたしたのであります。次に附則引揚者住宅を除外いたしましたのは、引揚者に関する対策は国の政策引揚援護庁を設置して特別な対策を講じているのであり、住宅問題も一般住宅政策とは別個の取扱をすることを必要とするのでありまして、すでにこれまでにも厚生省は引揚者のために引揚者住宅を設置しておりますし、今後も当分の間は公営住宅の枠外に必要に応じて設置する必要があります。従いまして、附則中に、引揚者生宅については当分の間、この法律規定を適用しない旨の一項を等加えることが適当と考えられます。以上が公営住宅法案修正案提案理由であります。
  26. 小林英三

    委員長小林英三君) ほかに御意見がごございませんか……。ほかに御意見はないようでございます。討論は終結したものと認めたいと思います。討論は終結したものと認めて御異議ありませんか    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議はないようであります。それではこれより公営住宅法案につきまして採決を行います。先ず討論中にありました田中委員修正案議題に供します。田中委員提出修正案に御賛成諸君起立を願います。    〔総員起立
  28. 小林英三

    委員長小林英三君) 全員であります。よつて田中委員修正案は可決されました。次に只今採決をされました田中委員修正案にかかる部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案全部について御賛成諸君起立を願います。    〔総員起立
  29. 小林英三

    委員長小林英三君) 全員であります。よつて公営住宅法案修正議決決定いたしました。なお本会議におきまする委員長口頭報告内容等につきましてはすべて先例従つて行いたいと思いますが御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議はないようであります。なお又成規によりまして本案を可とされた方は順次多数意見の御署名をお願いいたします。多数意見者署名     小川 久義  平井 太郎     赤木 正雄  深水 六郎     東   隆  田中  一     岩崎正三郎   —————————————
  31. 小林英三

    委員長小林英三君) 只今より土地収用法案並びに同法施行法案議題に供します。先ず土地収用法施行法案提案理由説明を願います。
  32. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) 土地収用法施行法案提案理由を御説明申上げます。新土地収用法施行するために、土地等収用には、収用又は使用に関する経過措置を定めて関係方面を開発する必要が生ずる次第であります。従つて、これがこの法律案提出する理由であります。その内容の主な点は次の四点であります。第一点は旧法規定によつて処分したもの、手続その他の行為は新旧の相当する規定によつてしたものとみなすといたした点であります。第二点は新法施行法は成るべく新法によらしむるのが適当でありますので、手続の継続中のものでまだ結論の出ていない問題は新法手続によることといたしたのであります。第三点は旧法によつてすでに成立している既得権はできる限りこれを保護する建前をとつて買収権につきましては、新法施行法旧法規定に従いまして、二十年以内は買受けることができることといたした点であります。第四点は土地収用法を引用いたしております関連法律を技術的に改廃した点であります。なお本法案につきましては、政府部内では関係各省間に十分検討いたしまして事務的には完全に意見の一致を見ている次第でございます。以上簡単でありますが、提案理由を御説明申上げまして慎重審議の上御賛成あらんことをお願いする次第であります。
  33. 小林英三

    委員長小林英三君) 皆様にお諮りいたしますが、土地収用法審議につきまして、各章ごと質疑を続行して行きたいと思いますが御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは各章ごと審議をいたします。各章ごとに簡単に説明をしてもらつて質疑をお願いしましようか。それでは岡田法制局第三部長。
  35. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 第一章総則でございます。これは各章に共通した規定をこの総則に謳つてあります。第一条は新らしい規定でございますが、これは民主的に私権の保護、公用の長所と両方につきまして考えておるという立法精神を謳つてあるわけであります。第二条もやや似ておりまするが、要するに土地利用上適正且つ合理的であるときということを前提といたしましてこういう場合に収用又は使用することができるということになつておるわけであります。次に第三条でございます。これも新しい規定でございまして、現行法では不明瞭な点をこの第三条におきましては三十三号に亘りましてその根拠法律を掲げてありまして、その法律に基きましてこれこれの施設を行うとき、そういうときに使用又は収用ができる、そういう規定になつております。
  36. 赤木正雄

    赤木正雄君 第三条のことは証人の話によりますと相当大きな問題でありますが、これをもう少し各号ごと一つ説明を。
  37. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 第一号、これは道路法によります道路若しくは道路附属物道路運送法はこの国会に今出ておりますからそれを置いたのでありまして、一般自動車道若しくは一般自動車運送事業の用に供する専用自動車道又一般公共の用に供する駐車場、この駐車場などというのは割合に新らしい施設であるかと思います。第三号の河川法が適用され、若しくは準用される河川その他公共の利害に関係のある河川又はこれらの河川に治水若しくは利水の目的を以て設置する堤防護岸ダム水路、貯水池その他の施設、これにつきましても、これは従来もありました点でございます。次に三号は、砂防法に関する同種の施設、それから第四号は運河法による運河の用に供する施設。第五号は、これにございますように主体を限定いたしまして、国、地方公共団体又は土地改良区が設置する農業用道路、用水路排水路海岸堤防、灌漑用若しくは農作物の災害防止用のため池又は防風林その他こういうふうな施設をやる場合、これは事業企業者主体をこういうふうに国、地方公共団体又は土地改良区というふうに限定したという点でございます。第六号、これも主体を限定いたしまして、国、都道府県又は土地改良区が土地改良法によつて行う客土事業又は土地改良事業施行に伴い設置する用排水機若しくは地下水源利用に関する設備でございます。第七号は、いわゆる国鉄が国有鉄道法によりましていろいろな業務の用に供します施設、それから日本専売公社がその法律によりましていろいろな業務の用に供します施設でございます。第八号でございます。これは地方鉄道法によりまする地方鉄道、それから索道一般の需要に応じまして旅客若しくは物品を運送するもの又は軌道法によりまして軌道若しくはこの軌道法が準用されまする無軌道電車の用に供する施設と、こういうわけでございます。第九号は、道路運送法による一般乗合旅客自動車運送事業又は一般路線貨物自動車運送事業の用に供する施設。第十号は、港湾法によりまする港湾施設漁港法によりまする漁港施設でございます。第十一号は、航路標識法によりまする航路標識、若しくは水路業務法によりまする水路測量標でございます。第十二号は、これは国が特に決定いたしまして設置いたします航空保安施設、飛行場も含めておるわけであります。第十二号は、気象、海象、地象又は洪水その他これに類する現象の観測又は通報の用に供する施設でございます第十四号は、国が電波監視のために設置する無線方位又は電波の質の測定装置。第十五号は、国又は地方公共団体が設置する電波通信設備。第十六号これが新らしい規定でありまして、放送法による放送事業の用に供する放送設備。第十七号は、最近出ましたところの電気事業に関しまする公共事業令によりまする電気工作又はガラス工作物。第十八号は、水道条例によりまする水道若くは下水道法による下水道の用に供する施設。第十九号は、市町村が消防法によつて設置いたしまする消防の用に供する施設。第二十号は、都道府県又は水防法による水防管理団体水防の用に供する施設。第二十一号は、学校教育法規定いたしまする学校又はこれに準ずるその他の教育若しくは学術研究のための施設でございます。第二十二号は、社会教育法によりまする公民館若しくは博物館又は図書館法によりまするころの図書館規定しておるわけであります。第二十三号は、社会福祉事業法によりまする社会福祉事業の用に供する施設、又は職業安定法によりまする公共職業補導所でございます。第三十四号は、国、地方公共団体若しくはその組合健康保險組合若しくは同連合会国民健康保健組合、若しくは同連合会、若しくは国家公務員共済組合若しくは共済組合連合会、これが設置いたしまするところの病院、療養所診療所、若しくは助産所、それから保健所法によりますところの保健所、若しくは医療法によりまする公的な医療機関又は検疫所でございます。第二十五号は、墓地埋葬に関する法律によりますところの火葬場。第二十六号は、屠場法によりまする屠場又は斃獣処理場等に関する法律によりまする斃獣処理場。第二十七号は、汚物掃除法よりまする公共溝渠公共便所塵芥焼却場その他の汚物掃除に関する施設。第二十八号は、中央卸売市場法によりまする中央卸売市場。第二十九号は、国立公園法によりまする国立公園事業。第三十号も比較的これは新らしい規定でありまして、国又は地方公共団体建築基準法によりまして住宅地域というものを指定しますので、その住宅地域内におきましてみずから居住するため住宅を必要とする者に対しまして賃貸したり又は譲渡する目的で行うところの五十戸以上の一団地住宅経営というので、あとの方で五十戸以上の一団地住宅経営ということで制限いたしているわけであります。第三十一号は、国又は地方公共団体が設置する庁舎、工場、研究所、試験所その他直接その事務又は事業の用に供する施設であります。第三十二号は、国又は地方公共団体が設置いたしまする公園、緑地、広場、運動場墓地市場その他公共の用に供する施設であります。第三十三号は今までございますところの各号に掲げるものにございまする事業のために欠くことのできない通路、橋、鉄道軌道索道電線路水路、池井その他土石の捨場とか材料の置場とか職務上常駐を必要とする職員の詰所又は宿舎その他の施設でございます。こういうふうな大体規定を網羅しているわけでありますけれども、なおあとから申しますけれども、事業認定機関をこしらえる必要がある場合に、建物に多少の土地を要する場合がありますためにこの第三条に掲げてない法律があるであります。例えて申しますると、先般公布せられました鉱業法、それから都市計画法不良住宅地改良法というふうなものは、その法律にいろいろな手続、特別の定めを定めまして、その他はこの土地収用法によるということになつておるのであります。第四条、これは土地収用法によりまして、収用し又は使用することができる事業の用に供している土地等につきまして、更にこれを収用するというようなことは特別の必要がなければできないという規定、この収用をすべき土地収用又は使用することができないという規定でございます。第五条、これは本法の立て方は先ず土地というものを収用し又は使用するという建前をとつておるわけでありますけれども、この五条におきまして、土地以外の権利の収用又は使用につきまして、この第五条の一項、二項、三項にございまするように、地上権その他ずつとございまするが、権利とか二号にございます鉱業権若しくは温泉を利用するというふうな権利につきましても、必要な場合には収用又は使用ができるという規定、これは第五条でございます。第三項は、土地の上にありまする立木、建物その他土地に定着する物件、これにつきましては、土地と共に必要があります場合には収用使用ができるという規定でございます。第三項は現行法に簡単な規定はございますけれどもこれを明確にいたしまして、土地河川の敷地又は流水、海水その他の水を第三条各号の一に規定する事業又はこれらの用に供する、これらの関係ある漁業権又は入漁権その他河川の敷地又は海水、その他の水を利用する権利を制限することが必要であるかどうか、相当であるかどうかにおきましては、この法律の定めるところによりやはりこれらの収用又は使用ができるという規定でございます次に第六条でございまするが、これは土地の上にありまする立木、建物、土地に定着する物件、これはやはりその土地と共に先ほど掲げましたところの各種の事業の用に供することが相当である場合におきましては、これらのものを収用又は使用することができる。第七条は土石、砂れき、こういうふうなものにつきましては、やはり土地に属するものといたしまして、この法律の定めるところによりまして収用することができる、これは性質上使用はありませんので収用だけになつておるわけでございます。次に第八条につきましては、この章以下にございまするいろいろな字句につきまして定義を下しているわけでございまして、第八条の一項におきましては、起業者というものはこういうものである、それから土地所有者というものはこういうものである、関係人とはこういうものである、というふうに各条文に通用する字句の解釈を下しておるわけでございます。次に第九条でございますが、これは起業者の権利義務の承継、つまり起業者が合併等によつて相続したというような場合におきましても、あとの起業者は従前の起業者が所有しておりますところの権利義務を承継するという規定でございます。第十条は手続の承継でございます。これはこの法律によりまして、いろいろ事業の認定とか協議とか収用関係に対する所要の申請とか、一連の手続があるわけでございますが、その途中におきましてもやはりあとの人がこの手続を承継して行くという、その効力を有して行くという規定でございます。
  38. 小林英三

    委員長小林英三君) 以上で説明が終りました。第一章につきまして御質疑をお願いいたします。
  39. 田中一

    田中一君 第三条三十号のこの建築基準法というのは今度できた公営住宅法がこの実体でございますね。
  40. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) そうでございます。
  41. 田中一

    田中一君 今の御説明によりますと、都市計画法は、これは除外されるということでございますけれども、先般も、この都市計画法の運用が非常にまずいのでありまして、いろいろ問題があるのでありますが、できるならば都市計画法にもこの収用法を適用してやるようなことにならんものでしようか。又法律的にどつちが強いとか。これには都市計画法を適用しないという条文はあるのですか。
  42. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 私ちよつとさつき申上げましたが、この三条には変りはないという意味で都市計画法を見まして申上げたのでありますが、都市計画法を見ますというといろいろ特別の定めがありますが、あと特別に定める以外はこの土地収用法を適用するという規定がございます。特別の規定がない場合この法が適用されるわけでございます。
  43. 田中一

    田中一君 若し資料をお持ちでしたら、この都市計画法はどういう場合に生きておるのですか、御説明願いたいと思います。
  44. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) お手許に配つてあります土地収用法施行法参照条文というのがございます。土地収用法施行法の参照でございます。この一頁から二頁にかけましたところに都市計画法が抜萃してございます。これによりますと、第十九条に出ておりますように「第十六条又ハ第十七条ノ規定二依ル収用又ハ使用二付テハ第三条ノ規定二依ル都市計画ノ認可ヲ以テ土地収用法二依ル事業ノ認定ト君倣ス」それから第二十条に「土地収用法第二十二条第一項ノ協議調ハサル場合又ハ共ノ協議ヲ為スコト能ハサル場合ニ於テハ事業執行者ハ主務大臣ノ裁定ヲ求ムルコトヲ得」とございまして、この土地収用法施行法におきまして、この都市計画法新法に合いますように改正を加えております。
  45. 赤木正雄

    赤木正雄君 第三条の一の道路法の中に専用自動車道というのがありますが、これは今までもやはり専用自動車道等は公用として土地収用で行けたのでしようか。
  46. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) 只今お尋ねの道路法、自動車専用道路についてつは現在の土地収用法にも掲げてあります。これは実は昭和二年の一部改正のときに収用するということになつております。
  47. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 箱根の山で観光的な専用道路をやつておりますがああいうのはこの中に入るのですか。箱根の十国峠あたりにあるのもそういたしますとかなりこれは一部のそういう営業者に非常な権利を与えることになりますね、そうなりませんか。そこでもここでも山の中に引つ張つておいておれは道を作るのだから土地収用してくれと言つたら私はこれは大きな問題になると思いますが、勿論合理且つ適正だというけれども、観光という上からここは景色がいいから、ここは景色がいいからといつてこれは判定にもよりましようけれども。
  48. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) 今岩崎さんのお話の通りに専用自動車道というのは、一般私企業には属しておりますけれども、大体今までの取扱というものは、交通の一助とそれからもう一つ目的は、この道路というものは公共団体が支出するのが普通のものであるけれども、特殊の箇所につきましてはこういつたような代行的に道路を作つてそれの上を自動車だけを通行させる、従つて一般の荷車とか何とかいうものは全然使わせないというようなことで一種の公共団体の作る代行の道路、而もそれが交通機関としては主として自動車に限定いたしておる、こういうような意味で代行ということについて重点的に考えて土地収用のうちに入れたのだと思います。
  49. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 先ほどの例で申しました箱根の十国峠あたりの道路は、特に専用道路で普通の車が通るときにはみな料金をとられるのですね。私は料金をとつてまで通す道路にこういう特権を与えるということはどうも撞着すると思うので、若しこういう特権を与えるくらいならば、そういう料金をとらなければ通さんというような道路は許可されないように私は希望するのですがどうでございましようか。
  50. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) これは特定の需要の専用車道において、特定の需要に応ずる専用自動車を含んでいるので、あたかも地方鉄道のレールみたような形のものなので、今岩崎さんのお話のようにそういうような道路に対しては金をとらないことが一番望ましいことではありますけれども、併し或る特定の人がそれに或る投資をして、その投資をペイすれば当然その条件として今後は無料でやるべきものだというような条件をつけた場合もあるのでありますが、併し投資してそれがペイできるまでは一種の電車のレールを敷いてその上を通すというような意味合で、賃金を或る期間だけはとるのはやむを得んのじやないか、こういうふうに考えております。
  51. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 ではあの軌道はそこを人が歩くことは自由なんで、併しこれは道路なので、その道路を普通の自動車が通ると料金をとられる、それは勿論商売でそういうふうにやつておるのだから、投資した資本の幾らかをペイしなければならんということは理窟でありましようけれども、併しそのために土地を無理やりに収用して、無理やりといつては語弊がありますけれどもともとかく収用して、そこへ道路をつくつてほかの自動車が通るときに金を取る、そうすると金を取らせるために私の権利を阻害させる、抑えつけるということになると、権利を抑えられるほうは誠にこれは悪い目に会うので、若しそういうことをするならばこれは国でやるか県でやるか公共企業体でやつた方がいいと思う、やるべきじやないかと思うのです。若しそういう収用してまでそういう金を取つて自動車を通さなければならんという道路をつくるのならば、それほど必要なものなら……必要じやないからそういう企業団体はやらない、それで起業家がやる、私企業がやるのにつきましては、自分でできないからそういう土地収用でやる、私どもはそこが納得行かないのですが。
  52. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) それは結局こういうふうにお考え願えれば御納得が行くのじやないかと思うのです。例えばそういう特定の箇所に電車を敷く、この電車の軌道につきましては、常に土地収用の中に収用し得るようなものに規定しているのでありますが、電車を敷くほどでなくても電車を使わずに自動車を使う、電車の代りに自動車を使う、従つてこの道路は電車の軌道施設部分だ、こういうようにお考えになれば、これは当然公共的な性格を持つておる、こういうことになりはしないか、こう私は考えておるのです。
  53. 赤木正雄

    赤木正雄君 今の岩崎委員の質問に関連いたしまして岩崎さんのお話もその通りだと思います。併し一面から見ると土地収用で容易に仕事でがきる、仕事ができまするが、それによつてその会社が利益を挙げるのだ、そういうほうのいわゆる土地収用法によつて仕事をさせ得るものについて多少保護し過ぎている、そういう関係がないでしようか。事実そこにないとはいえんかも知れませんけれども。
  54. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) そういう今の御意見によりますれば、結局軌道とか或いは地方鉄道とかいうようなものに対しては、やはり多少そういう議論が生じて来るのじやないかと思うのですけれども、というてやはり一般公共の福祉というようなことを広く解釈すれば、余りにその公共的な効用だけにとどめるというのも余り窮屈じやないか、こういうように私は考えておるのですが。
  55. 赤木正雄

    赤木正雄君 それからここには林道は一向謳つてないのですがどこかに林道があるでしようか。若しも道路法による道路が許されるのならば、当然国のためにする林道もやはりこの土地収用法にこれは適用していいと思いますが、どこに林道はあるでしよう。
  56. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) 林道につきましては森林法によつてこれを規定いたしておりますから、これはただ一般公共でなくて殆んど木材を出し得る専用的な性格を持つておるのですからこれは除外いたしたのです。
  57. 赤木正雄

    赤木正雄君 昔は随分そういう林道があつたか知りませんが、最近は一般道路か林道かわからん、むしろ町の中まで林道を引つ張つて来た、こういうのも随分あるんですね。単に木材を運搬する以外に一般の交通の用に供している。でありますからそういうものについてやはり、……森林法のことは一向に謳つていませんがどこかあるでしようか、私はよく読んでいませんが。
  58. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 今の御質問の点でございますが極く技術的な問題でございまして、実は森林法は国会審議をいたしておりまして、これは通るか通らんかまだわかりませんが、土地収用法は仮に通りましても相当長い期間たちませんと施行になりませんので、現行の土地収用法を運用して行くよりほかはない、現在の土地収用におきましては現行の土地収用法を運用いたしております。いずれあとになりましてその整理があると思います。現在森林法案は同じ国会審議中なんです。それだものでございますからこの新法を運用するわけに行きませんものですから。
  59. 赤木正雄

    赤木正雄君 それは国会を通るまでの現在の森林法に対してはどういうような処置をおとりになつているのですか。
  60. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) ちよつと御質問の意味がはつきりしませんですが、森林法全面改正ですか。
  61. 赤木正雄

    赤木正雄君 森林法を全面改正するまで、全面改正がまだ国会を通過していませんから、現在の森林法はあるでしよう、現行森林法です。
  62. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 現行の森林法に収用し得る規定はございます。
  63. 赤木正雄

    赤木正雄君 この十三の中の気象、海象、この気象というのはどういうことか、ちよつと私わかりかねますからはつきり解釈願います。
  64. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) 只今のお尋ねの点は私どもでは地震観測を主として考えているわけであります。
  65. 赤木正雄

    赤木正雄君 地熱を利用するというふうな観点から、温泉地帯におきましては、今政府委員のお尋ね以外に、この温泉地帯の地熱観測をいたしますが、そういうものはどういうふうになるのですか。それは気象に入るのですか。今の地震とは違いますがどうなりますか。
  66. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) お尋ねの趣意が、十三号に掲げてある趣旨は、一般公共のために一つの手段として、気象観測、或いは海象の観測をやるという建前でございますから、私の考えでは、これが一般公共用に利用される観測であればやはり同様に取扱うというふうに考えます。
  67. 赤木正雄

    赤木正雄君 先のお話は気象とは地震に関するものとこういうお話でした。私の申しますのは、無論一般公衆のために大学は特に地熱の研究をするとか、そういう関係でその地温を研究する、それがためにそういうものに対しては、いわゆる気象を地震となすならば、やはり地熱も何とか又熟語がありましようが、そういうものを当然お考えになるべきだと思いますがどうでしようか。
  68. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) 差支えないと思います。
  69. 赤木正雄

    赤木正雄君 それではどういうふうに訂正なさるのです。
  70. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) 御質問の趣意は、そういう研究施設はこの十三号の適用を受けるのではないかというふうに考えられるのでありますが、私はその通りだと存ずるのであります。
  71. 赤木正雄

    赤木正雄君 するとこの気象と言われるのは先ほどの単に地震だけじやないのですね。
  72. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) その通りであります。
  73. 赤木正雄

    赤木正雄君 で気象は何々を含みますか。では私から申します。この気象には先ほど私が申した地熱、これを当然含んでいいのですな。
  74. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) 差支えないと思つております。
  75. 赤木正雄

    赤木正雄君 もう一つ、この気象は何を意味するんですか。
  76. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) これは一般のこの気象台で取扱つておりますような観測を考えておるのであります。
  77. 赤木正雄

    赤木正雄君 最近は降雪に対する研究が非常に進んでいますが、そういうことも無論公共事業のためです。その降雪の現象に関するものはどういうふうに入りますか。
  78. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) やはり気象の一部と考えて差支えないと思います。なお気象の專門的な用語の上からいつて無理であれば、これに類する現象の観測ということで適用しても差支えないと思います。
  79. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 三十号のところですが、賃貸する住宅ですね、この問題で五十戸以上の集団地の住宅というような場合には収用を許すというようなわけですが、どうして五十戸という規定を限つたのか、私は小さな町を考えると五十戸というのは少しあれだと思つて二十戸か二十戸でよかろう、こう思うのですが、どうして五十戸というところへ標準を置いたのですか。
  80. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) まあ結局科学的に何戸ということは言えませんのでございますが、大体五十戸以上の場合には相当の地積を要しますので、当然その土地の地主も数が殖えますでしようし協議が調わない場合が多いのではないかというのでこの場合には収用し得る。それが例えば十戸以下ぐらいになりますれば、これは建てる地所も少いのでございますからどこか見つけられるのではないか、こういう場合に協議できるのではないか、従つて相当数を一区画に建てる場合にのみ限定したわけでございます。
  81. 赤木正雄

    赤木正雄君 何かその問題について甚だ済みませんが、建築基準法の第四十八条第一項に規定する住居地域内、これはどういうことでありましたか。ちよつと御参考までに承わりたい。
  82. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) お手許に配つてあると存じますが、今度土地収用法の方の参照条文でございますが、それの三十九頁をおあけになりますと四十八条が抜萃されております。「建設大臣は、都市計画区域内において、都市計画法の定める手続によつて都市計画施設として住居地域、商業地域」その他いろいろな地域を指定することができる、こういうこの住居地域の指定を考えております。
  83. 赤木正雄

    赤木正雄君 その点はわかりました。そういたしますと、建築基準法によりまして住居地域内にきめられたならば、五十戸以上の集団地は住宅経営地としてこれを土地収用にかけると、こういうわけですね。
  84. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) さようでございます。
  85. 赤木正雄

    赤木正雄君 こういう場合に仮に同じような土地が二つ、或いは二つ以上ある場合にどういう土地をこれに適用なさるか。簡単に申しますと、一方の方から運動して自分の方の土地はそういうことはされては困る、又一方の方は何も知らん、運動したい、それがためにこれを適用された、こういうふうなこともあり得ると思います。そういうことには規定か何かあるのですか。
  86. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) これは先ほど私が申上げましたこの第二条の精神によりまして、全体的に見ましてその土地を当該事業の用に供することが土地利用上適正且つ合理的であるという限定がありますので、この精神に照しまして具体的にはきまつて参ることと思います。
  87. 赤木正雄

    赤木正雄君 これは後に或いは審議会となるか知りませんが、仮にこれが同じような土地であると見た場合に、どういうふうに決定するのですか。
  88. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) 問題は非常にむずかしくなつて参ると思いますけれども、同じ条件で同じ価格でということになれば、これは起業者の判断によつて一応甲の土地を取りたいということでありますれば、その起業者の意見を或る程度参考にするということは考えられます。土地そのものの条件が非常に違つて来るといつたような関係になりますれば、これはやはり只今岡田部長から申上げましたような、その条件の差異を勘案いたしまして、第二条によつて合理的な土地利用であるかどうかといつうことが判定の内容になりましてきまつてくる、これは土地収用委員会の重要な採決事項一つであると、こういうふうに考えます。
  89. 赤木正雄

    赤木正雄君 この五十戸以上とありますが、この五十戸の一戸の坪数といいますか建坪、これによつて五十戸全体の大きさが非常に変つて来るわけですが、この一戸の建坪を大体どういう基準にしておられるのですか。或いは現在の建築基準法、そういうものがありましようが、それと変つて来て非常に小さい建坪ということになりますと、五十戸そのものが総計して小さくなる、又大きなものになると変つて来ますが、そこに何かの基準はないのですか。それをおきめにならんと、ただ五十戸では非常に変なものになる。
  90. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) 御質問の正趣旨は、或る程度の坪数で一つの基準をきめる方がむしろ適当でないかと……。
  91. 赤木正雄

    赤木正雄君 いや私の質問は、一戸の坪数を大体十坪とか、或いは十五坪とか仮に二十坪とすれば千坪になりますが、仮に十坪とすれば五百坪とこういうことになりますから、或いは一戸建の大きさは将来つまり百坪の大きさがよいとこうなりますと厖大な土地が要ります。その点非常に変つて来るのです。
  92. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) 立案者の趣意といたして考えておりますことは、要するに五十戸というものを考えたのは、只今第三部長から申上げましたように、地域の確保上非常にむずかしいという問題が一つと、それからもう一つ五十戸という問題を考えておることは、利用者の数が多いということが一つ公共性を裏付ける有力な原因になる、こういう二つの建前で考えております。
  93. 赤木正雄

    赤木正雄君 その点はよくわかりました。併し今申す通りに、今のお説その通りと思いますが、併しそれによつて五十戸全体の面積が或いは小さくもなり大きくもなり得るのですが、そうすると、土地収用される人の立場になると非常に変つて来る場合があるのです。年によつて、或いは経過によつて、今年では収用される、併し家の大きさがだんだん変つて来て、百坪以上の大きなのでないと困るという時代になりますと、今度は変つて来る、そういうところに何か附則的な御研究をなさいましたか。
  94. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) 今のお言葉は、この対象は結局公共団体がやる庶民住宅のものを対象にしている。従つて、坪数は現在の基準では十二坪の建坪が平均です。従つて今度の基準法によれば、大体敷地の三割を基準にする、こういう建坪に従つて一戸あたりの建築用地としては四十坪乃至五十坪ぐらい要るのじやないか、従つて五十戸ということになれば四十坪になれば二千坪、こういうような計算に相成るものと思います。
  95. 赤木正雄

    赤木正雄君 今の通りなんです。併し将来或いは一戸建の建坪が変つて来る、或いは三十坪要る、八十坪要る、そういうことを見通さずに現在の状況だけでこの規定は考えておるのですね。
  96. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) そうです。従つて今お説の通り、将来建築の家屋が十二坪でなくて二十坪を最小限度にするという場合においては、やはり五十戸というものを変えなければならんと思います。
  97. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは第二章に移ります。
  98. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 第二章、事業の準備でございますが、これは起業者が、あとで申します事業の認定をいたす前に、いろいろと調査をいたさなければなりませんので、その場合の立入権等につきまして規定を置いているわけでございます。第十一条は、実地測量等のために起業者が土地に立ち入る権利を規定しているわけでございます。これにつきましては、当該区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないことになつておるわけでございます。次に第十二条でございますが、第十一条によりまして許可を受けまして他人の占有する土地に立ち入ろうとするときは、立ち入ろうとする日の五日前までに、その日時及び場所をその管轄している市町村長に通知しなくてはならないという義務を起業者に課しているわけでございます。これも私権保護の見地から出ているわけでございます。第十二条の二項にもございますように、宅地又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入ろうとする場合においては、その土地に立ち入ろうとする者は、立入の際あらかじめその旨を占有者に告げなければならない。又四項にありますように、夜は宅地又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入つてはならないという私権保護の見地から規定を置いたわけでございます。それに相応じまして、第十三条は、そういう保護を受けておりますに応じまして、土地の占有者は、正当な理由がない限りは、その立入を拒み、又は妨げてはならないという規定でございます。次に第十四条、これは、そういう土地に立入りまして、測量等をやる場合におきまして、植物その他障害となるものがあります場合、こういう場合に、所有者及び占有者の同意者を得られなかつたとき、そのときにはその障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けましてこれを伐ることができるという規定でございます。これにも第一項の後段にもございますように、この場合に、市町村長は許可を当える前に、あらかじめ障害物の所有者及び占有者に意見を述べる機会を与えなければならないというふうに、十分私権保護を考えているわけでございます。それから第十四条三項でございますが、障害物が山の奥にありまして、あらかじめ所有者及び占有者の同意を得ることが困難であり、且つ障害物の現状を著しく損傷しないという場合におきましては、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けましてすぐその障害物を伐ることができるという規定を置いたわけでございます。第十五条、これは立ち入ろうとする者は、身分を示す証票及び都道府県知事の許可証を携帯しなければならないというふうに、身分を明らかにする規定を置いているわけでございます。
  99. 田中一

    田中一君 第二十条の四、第十三条、この二つ点ですが、日本土地は御承知のように南から北に延びているために、作業を日没前又は日没後にやらなければならない場合もあるのです。そうしてこういう収用される土地というものは時間的に非常に急ぐ場合が多いものですから、或いは夜業をしなければならん場合がある。こういう場合に勿論降雪期が来るとどうにもならんから先にやる所があるという場合に、この規定の日没前文は日没後になつた場合はどうするか、なつた場合はどうなるか。その場合には占有者はその人間を丸太棒を持つて追いかけて追出すということも可能かどうか、これは正しいのでしようか、その点どうですか。若しもその占有者が、正当な理由で起業者が入つて来た、占有者は作業をやつている、そのために自分の作業を非常に邪魔される、そういう場合に、それに対する補償の方法とりか或いは何とか、何かそういう規定がなければ無論これは占有違反です、収用されたものではないし、まだ占有者のものなんですから、これから受ける損害とか、何とかというものはどういうふうに措置するか、この二点をお伺いしたい。
  100. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) 只今田中さんの御質問ですが、仕事をしている間に日が暮れるというような場合には、やはりこの土地の占有者の許可を得ればやつてよかろうと思います。それからそのときたまたまこの土地の占有者が何か作業をしていると、それを排除して準備のためにやるというようなことは、やはりその占有者がこれは困るというような場合には、立入つてこの十三条は適用はできないと、こういうように考えております。
  101. 田中一

    田中一君 話合でもつていいとこれはよくわかります、併しながら例えばボーリングをするというような場合に、そこにやぐらを組んでどうするという場合に、人間は立去るか知らんけれどもそこにはやぐらは残つている、機械工具が残つている、こういう場合はどうなりますか。
  102. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) やはりそのボーリングなんかをする場合においても、そこに所有者が何かの仕事をしている場合に非常に障害になるというような場合にも、やはり所有者の承諾を得てやらなければいけないと思うのです。それを無理やりに第十三条があるが故に準備行為として強行するということは、殆んど現在においてはそれはできないような状態になつております。
  103. 田中一

    田中一君 そうしますと、ボーリングの機械は簡単にはやれませんから、やぐらを組んでやらなければならない。そのやぐらを占有者が断わつた場合には、そのやぐらを毎日々々持つてつて又組立てて仕事をするということがあり得るのです。結局この法律は占有者の利益を守り、権利を守り、又起業者が工事の公共性のためにスムースにその事業が行われることが主眼だと考えるのです。その場合にそのような事態が起るということを残しておくということは法律の欠陷じやないかと思うのです。これは何かの形でそういうことがなし得るという、さもなければ損害補償の問題とかでやつてつもいいが、おれの方の損害をどうしてくれるというような場合にはどうしますか。その点を明記にしなければならんと考えますが如何ですか。
  104. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) そういつたようなことは若し、私どもの見通しとしては、そういつたボーリングなんかの機械が、やぐらを作つてボーリングを利用してその日の作業が終れば又そのやぐらを持つてつて又翌日やるというような反復するようなことは殆んど現在においては行われないのでありますけれども、併し意地悪くそういう場合が起ることを想定しての御議論でありますが、そういう場合には当事者同士の円満なる了解の下にすべてのことをやらなければならないと思います。従つてそういつたようなことをこの法文に規定するというようなことは非常に稀なことと思いまして、却つてそれを明記していない次第でございます。
  105. 田中一

    田中一君 あとの項までずつと読んでみますと、和解なんという言葉を使つたりなかなかよくできている。併しこの場合にそれがないということは大きな欠点があるように思うわけです。これは収用令を発動する前に、和解という条文もありまして話合をすることができるということになつておりますが、この項目だけでは収用のものもこれはそこまでの単に準備期間ですから、占有者は権利を持つている、その権利は、立入することができるという条文になつておりますが、妨害された場合にどうするかという規定がなければ、その場合はこの一つ、つかまえまして自分の土地を取られるのは御免こうむる、ボーリングされては困ると、そのために争いとなつては困ると思うのです。そういうことではこの法の施行目的が達せられないと思う。これは何かの形で明記しなければならんと考えますが如何ですか。そういうことが今までなかつたからといつてやむべきものじやない、あつた場合にどうするということを考えなければならない。双方の利益のために考える、これが妥当だと考えますが。
  106. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) 只今田中委員のお話の点は、一つ考えておりますことはやはり常識を以て問題が解決されるということによりまして、今まで事例がないということをあえて取上げて規定するということは、立法の建前からどうかというように考えておりますのと、若しそういう場合が将来頻々として起ればこれはやはり法の不備として改正なり何なりをお願いするということを考えてもよい。それからそれと関連しまして、やはりこれは受けるほうの即ち損害賠償、これもやはり正当の補償がつくということであればこれはやはり問題は円満にその面から解決される。こういうことが考えられるわけでございまして、その点は九十一条にも謳つてございますように、この準備行為のために占有者と土地所有者が損害を受けるという場合には、補償の途を考えているわけです。彼此関連いたしまして私どもとしましてはそういつたような場合の解決は円満にでき得るものというふうに考えているのであります。
  107. 田中一

    田中一君 お返事は満足しません。満足しませんが例えばこの法の実施に当つてもう十二分に収用される側の人間が満足する事例があつちにもこつちにもあればそういう事態が起らんと思うのですが、この法の本当の精神が八分目、七分目で以て施行された場合には必ず起きます。ましてや市街稠密な商業地においても、或いは父祖伝来の土地収用される場合においてもこの問題が起きるのであり、今提案者も局長もそういうことはないというけれども、先だつてここに参つた公述人ですか、これが小貝川の換地がないために、このような大きな問題が起つているということは建設省自身がよく御存じだと思うのです。こういう点の明記がないということは甚だ法の欠陷じやないかと考えるのですが、今ここで取上げて御返事を求める必要はございませんが、将来施行令なり何なり何らかのものをやらないと、そうしたそれこそ八千何百万人のうちのたつた一人がそういう事態を起す場合があり得るということを御銘記願います。
  108. 赤木正雄

    赤木正雄君 今田中委員の質問に関しまして、この第十四条に、障害となる植物又はかき、さく等を伐除する云云とありますが、これは無論測量又調査する場合に必要のことと思います。そういう場合にこれはあとの条項にあるか知りませんが、仮に山に入つて木を伐るという場合に、木の根元から木を伐つてくれればその伐つた木も利用できる。併し測量する場合には根元から伐る必要がない。もういい加減のところまですつぽすつぽ伐つてしまえば伐つた木の価値もなくなる。又土地の所有者としては残された木をもう一遍伐り直さなければどうにもできん、こういう場合がたくさんありますが、何かそういうことに対して規定がありますか。単に障害となるからといつてその測量する場合にいい加減な高さに伐つてしまつてあとをうつちやつておく、こういうことでは仕事をするほうからはいいかも知れませんが、何かそういう条項があるでしようか。
  109. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) 問題の一つはそういう伐り方、伐除する方法、これについてはここには規定はいたしておりませんが、伐除する条件としまして市町村長の許可を必要としているわけです。そうしてそれに対しましては障害物の所有者が意見を述べる機会を与えられている。で、若し御懸念のような場合においては、害物を伐除するについてはこういう方法をとつてもらいたいということは、許可の前提として意見を申述べ、それを条件としてやつてもらいたい、こういうことは途としてこの規定の運用として許され得ると思います。それからその結果としましてそれが或る程度やはり障害物の所有者の非常な負担として残るということであるならば、これは損失補償の問題として考え得る、こういうことになります。
  110. 赤木正雄

    赤木正雄君 市町村長に無論同意を得て許可するという場合に、伐るほうが、又伐られるほうが市町村長にこういう条件で伐つてくれといつて、果してその通りに伐る場合が多いか少いかどいえば、先ず条件通りに伐つてくれる場合が少いのであります。又註文を出すほうも多少無理かも知れませんがそういう場合が多いのです。ただそういうときに、それでは損害賠償ということにそれがなり得ましようか、それは伐り方たが悪いということが。それをはつきりしてもらわないとこれはこの法案を実際運用なさるときに土地所有者に対して非常に大きな問題が起りはせんかと思う。
  111. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) これはやはり九十一条の問題でございまして、九十一条に謳つてございますように、十四条によつて障害物を伐除する、このことによつて損失を生じたときには補償しなければならないという原則は規定いたしておるわけであります。
  112. 赤木正雄

    赤木正雄君 速記がありますから念のために言つておきますが、そうするとこれは無論そういう伐り方が悪い、そういうこともやはり損失の対象になりますか。これを念のためにはつきりしておきたい。
  113. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) この法律において考えておりますことは、十四条の運用上そういつたような条件を附した方法によつて伐りましてもなお且つ損害が起るという、これが立証し得るということであれば、それは損失補償の対象となります。それから許す条件に反しまして、伐つてもらう側の注文に反してやつたということであれば、これは一つの違法行為として損害賠償を請求し得るという建前だ、こういうふうに考えております。
  114. 赤木正雄

    赤木正雄君 それは無論そう思いますが、そのことをはつきりしておきませんと、先ほど申す通りこの法を適用なさる場合に、実際この法を適用する人とされるほうとのいろいろな文句が起りますからはつきり念を押したのです。
  115. 田中一

    田中一君 今の主計局長のお話の障害物の伐除の場合に、土や石の場合物件の一つ一つについて許可を受けるのですか。或いはこの敷地内とか、この部分とかといつて受けるのですか。或いは地下に埋没された石を取るにも、ああいうところを堀つたところがこの石が出て来た、一個出て来た、すぐにその石を取り除けろ、又出て来たら又取り除けろ、何かこういう煩雑なことでなくてどういう方法でその許可を受けるのですか。
  116. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) 実はそこまで十分考えておりませんが、私が常識的に判断し得ることは、そういう場合においてやはり注目すべき障害物、これについては或る程度その区域内に注目すべき物件を挙げまして明示しておく、その以外のものにつきましてはその土地のあれに附帯する、これは当然そこまで一々明示をしなくてもそれは常識、測量するなり何なりの作業上の当然のこととして考えていいんじやないか……。
  117. 田中一

    田中一君 どうも満足しないのですが、結局こういう土地収容法に該当するような事業というのは、わからんから測量したり、わからんから掘つてみるのですがその場合にいろいろなものが出て来る。その場合にどんなものが出るかわからんでしよう。測量して掘つてみてわかるのです。けれども掘らなければわからんのです。その場合に本人が御免こうむるというのに市町村長の許可を受けてやるのだといつてつて来る。一つ一ついろいろなものが出て来る、いろいろなものが出るたびにそれを飛んで行つて許可を受けなければならんということよりは、何かもう少しこれは施行令でやるのかどうか知りませんが、何かそういうところを明確に無駄がないようにする方法があつたら結構と思いますが。
  118. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) まあ概括的には私ども予見し得るものはその同意なり許可を求める際に明らかにしておく、予見し得ないものについては事後において更に同意を求めても差支えないと思いますし、又そのために損害が起ればそれについては損失補償を講じて差支えない。
  119. 小林英三

    委員長小林英三君) 次は第三章に進みます。
  120. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 第三章、事業の認定でございます。これには事業認定の手続きを書いてあるのでございまして、先ず第十六条におきましては、起業者は、この章の定めるところに従いまして、事業の認定を受けなければならないという規定を置いております。次に第十七条は事業の認定を行う機関を分けまして、第一項におきましては国又は都道府県が起業者である事業、それと事業施行する土地が二以上の都道府県の区域にまたがつておる場合、これにつきましては建設大臣事業の認定を行う。そのほか即ち一都道府県内にあります事業につきましては、その起業地を管轄する都道府県知事が認定を行うようになつております。次に第十八条は事業の認定申請書の様式等を規定しているわけでございます。これは様式の詳細は建設省令で定めることになつておりますが、この法律におきましては、第一項にございますように、起業者の名称、事業の種類、起業地、事業の認定を申請する理由、こういうものを言きました事業認定申請書を提出することになつております。なお第二項におきましては、添付書類を詳細に、ここにございますように事業計画書、起業地及び事業計画を表示する図面とか、起業地内に第四条に規定する土地があるとき、即ち土地収用し得る事業にすでに供している場合、そういう土地があります場合につきましては、その土地に関する調書、図面及び当該土地の管理者の意見を附けるわけでございます。第四号におきましては土地利用につきまして法令の規定による制限があるとき、例えば農地調整法等によりますといろいろと制限がございますが、こういう場合におきましては、当該の法令の施行について権限を有する行政機関意見、農地調整法で例えて申しまするならば農地委員会意見を附けることになるわけでございます。第五号は事業施行に関して行政機関の免許、許可又は認可等の処分を必要とする場合におきましては、これらの処分があつたことを証明する書類、若しくは当該行政機関が今後免許するかしないかという意見を附けるわけでございます。第十九条は手続的の規定でございまして、この申請書に欠陷がありました場合にこれを補正する、若しくは一定の期間内に補正をいたしません場合におきましてはこれを却下するという純粋な手続上の規定でございます。次に第二十条は事業の認定に関する要件でございまして、ここに掲げておりますような各号に該当します場合においては、事業の認定ができるという規定でございまして、事業は第三条各号の一に掲げるものに関するものであること、起業者が当該事業を遂行する充分なる意思と能力を有する者であること、事業計画土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること、即ち先ほどの第三条の精神を謳つているものでございます。四号に土地収用し、又は公益上の必要があるものであること、こういう条件が該当しなければならんということを規定しているわけでございます。第二十一条は、これも私権の保護、二十一条、二十二条、二十三条はこれは私権の保護を十分にしようというための規定でございまして、第二十一条は、建設大臣又は都道府県知事がその事業の認定をいたします場合におきまして必要があると認めるときにおきましては、当該事業施行関係のある行政機関意見を求めなければならないという規定。  それから第二十二条は、必要があります場合におきまして、專門的な学識経験者の意見を求めることができるという規定。  第二十三条は、場合によりましては公聴会を開きまして一般意見を求めなければならないという規定でございます。  第二十四条も、やはり先ほど申上げましたが、私権の保護規定でございまして、これは現行法にございません規定でございます。建設大臣又は都道府県知事、これが事業の認定に関する処分を行おうとしますときにおきましては、起業地の所在します市町村長に対しましてこの事業申請書のうちで当該市町村に関係のある部分の写を送付するのでございます。そうしてそれを受取りました市町村長は、直ちに、起業者の名称、事業の種類及び起業地を公告いたしまして、公告の日から二週間その書類を公衆の縦覧に供しなければならないのでございます。  次に第二十五条、利害関係人が意見書を提出し得ることができるという規定でございまして、こういう前条第二項の規定による公告がありました場合には、事業の認定について利害関係を有します者は、この二週間の従覧期間内に都道府県知事に意見書を提出することができる、そしてこれを認めました都道府県知事は、直ちにこれを建設大臣に送付するわけでございます。  次に第二十六条は、事業の認定の告示に関する規定でございまして、第二十条の規定によりまして事業の認定をいたしましたときには、建設大臣又は都道府県知事はこの旨を起業者に文書で通知すると共に、起業者の名称等を建設大臣にありましては官報で、都道府県知事にありましては都道府県知事が定める方法、県のつまり公報で告示することになるわけであります。これは現行法に類似する規定がございます。  次に第二十七条、これは新しい規定でございまして、事業の認定に関する処分を行う機関についての特例を設けておるのでございます。先ず第一項には、起業者はこういう場合におきましては建設大臣に対して事業の認定を申請することができる。どういう場合かと申しますと、一つ都道府県知事が事業の認定を拒んだとき、もう一つは、都道府県知事が第十八条の規定によりまする事業認定申請書を受理しました日から三カ月たちましても、事業の認定に関する可否の処分をしなかつたとき、こういう場合におきましては大臣に向つて事業の申請ができることになつております。この場合におきまして、第二項にありますが、建設大臣は第一号都道府県知事が事業の認定を拒否した場合に、申請を受けました場合におきましてはあらかじめ土地調整委員会意見を聞いた上で、事業の認定に関する処分を行わなければならないのでございます。それから第三項にありますが、第二項の場合、つまり可否をいずれともきめなかつた場合、この場合におきましてはあらかじめ都道府県知事の意見を聞いた上で都道府県知事に対しまして相当な期間を定めて、事業の認定に関し更にその処分を行うことを命ずることができるのでございます。そうして第四項におきまして、都道府県知事がその命ぜられた期間内に処分を行わないときに、若しくはこの命令、処分を更に行えということを命ずることが適当でないと建設大臣が認めましたときは、都道府県知事及び起業者にあらかじめみずからが事業の認定に関する処分を行うということを通知した上で以て、自分で事業の認定に関する処分を行うことができるのでございます。そうしてこういうその通知を受けました場合におきましては、都道府県知事は、以後当該事件につき事業の認定に関する処分を行うことができないのでございます。以下手続的の規定は省略いたします。  第二十八条、事業の認定の拒否及び再審査に関する規定でございます。建設大臣又は都道府県知事が事業の認定を拒否しましたときには、遅滞なく、その旨を起業者に文書で通知しなければならないのでございます。そうして、その場合拒否された起業者は、その通知を受けた日から二週間以内に、建設省令の定める様式に従いまして、事業の認定の再審査を大臣に申請することができるのでございます。この場合におきましても、前条にございましたように、建設大臣はあらかじめ土地調整委員会意見を聞いた上で、再審査の申請が理由がないと認めますときには事業の認定を拒否しますし、理由かあると認めますときには事業の認定をしなければならないのでございます。なお申し落しましたが、土地調整委員会と申しますのは、鉱業法施行に伴いまして土地調整委員会設置法によりましてでき上りました委員会でございまして、元来の趣旨は鉱業と他の農業その他の産業との調整に関する事項を掌つておる委員会でございます。  次に第二十九条は、事業の認定の失効に関する規定でございます。二十六条の規定によりまして事業の認定の告示がありました日から、この起業者が三年以内に、あとに申しまするところの土地細目の公告の申請をいたしませんというと、事業の認定はその効力を失うのでございます。これは現行法に大体同様の規定がございます。  次に第三条でございますが、これは事業の廃止又は変更に関する規定でございます。今までの規定によりまして事業認定の告示があつた後におきまして、何かの理由によりまして起業者が事業の全部又は一部を廃止したとか、又は変更したために土地収用し、若しくは使用の必要がなくなつた場合におきましては、起業者は遅滞なく起業地を管轄する都道府県知事にその旨を届け出なければならない。それでその廃止若しくは変更したときがあとに申します土地細目の公告の後でございますときは、土地所有者、関係人がわかつておりますと、この土地所有者、関係人にもその旨を通知しなければならないのでございます。この場合都道府県知事はこの届出を受取りましたときにおきましては、その事業の廃止、変更があつたことを告示いたします。そしてこの旨を建設大臣報告しなければならないのでございます。こういう届出がない場合におきましても、都道府県知事がこういう廃止、変更がわかつた場合におきましては、あらかじめ起業者の事情を聴取した上で以て先ほど申しましたような告示並びに大臣に対する報告をしなければならないのでございます。こういう告示が出ますというと、事業の認定はその効力を失うのでございます。
  121. 田中一

    田中一君 二十八条と二十七条で、二十八条にはその起業のだめになつた、中止になつた場合には本人に通知をするというのですが、事業認定申請もそうですか、これは取るぞという警告なんですね。警告というよりは公告なんですね。それに対して二週間という期限がありますが、これはいずれその公告をするのは新聞広告するのか、役場の前に公告するのか、その公告するという定義ですね、これを伺いたいのが一つと、それから発電工事や何かの場合、河川工事もその通りですが、非常なる僻地にあるという場合に新聞も遅れて来るということがある。又新聞を見ない人もあるという場合に役場へ二週間も行かない場合にはその公告を知らなかつたというようなこともあり、非常に親切な所と不親切な所が二つあるのです。何か法律的な根拠があつてこういう条文が別々に出たのかどうか、私はよく詳しく存じませんけれども、少くともとの場所を取るぞというならば、取る場所の地目、所有者がわかるはずでありますから、わかつたのに対してはやはり文書で以て或いは写しを送付するというような親切さがあつて欲しいと思うのですが、こういう点はどういう御見解でこういうことをしたのか伺いたいと思います。
  122. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) お尋ねのようにこの事業認定は警告的な意味の認定でございます。そこで先ず二十六条におきまして大臣が認定しました場合においては官報で、又は都道府県知事がいたしました場合においては都道府県知事の定める方法、恐らく各県に出ております公報に載つけるのではないか、各県が発行しております県公報に載つけることになるのじやないかと思つております。それから先ほどの二週間の点でございますが、この市町村長に大臣なり知事から申請書中の当該調書に関係のある部分、つまり土地の位置を書きました部分の写しを送付いたしまして、市町村長がその書類を受取りますというと、恐らく役場と思いますが、起業者の名称と事業の種類と起業地を公告いたしましてそれをみんなに知らせる、こういうことによつて大体私権の保護はできるのじやないかと思います。なお具体的にあとから申しますが、土地細目の公告が出ましたときにはあとで申しますが、三十三条ぐらいになりますと、土地細目の場合になりますと具体的にわかりますが、土地所有者、関係人にこれを一々通知するということに相成つておりますので、十分私権の保護はできるのじやないかと思つております。
  123. 田中一

    田中一君 これは必ず公告を建設大臣か又は都道府県知事が事業の認定をした場合には必ず通知をするということなんですか。本人にも通知をするということなんですか。
  124. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 今申しました三十三条はあと規定でございまして、いよいよ土地細目の公告並びに決定がありました場合の規定でございます。事業認定の場合は個々に通知はありません。
  125. 田中一

    田中一君 私はこれが一番大事じやないかと思うのです。これは警告ということはただそうすると、あらゆる含みを見ますと忘れてくれたほうがいい、気が付かんほうがいいというような含みがあるのじやないかと考えるのですよ。そういうことはこれは非常にいい法律ですが、立法の不親切さを現わしておるのです。どつちみち決定したのは通知する、取るぞ、もらわなければならないのだ、こういうのだぞという通知をするのが一番親切だと思うのですが、こういう点が今ここで又再三申しましてもここで修正はできないでしようが、ただこのことを御記憶願つて何らかの機会に直して頂きたいのです。それで法律上はそういう義務がないのだ、そういうことをしてはいけないのだという別の法規があればこれは又何をか言わんやであります。
  126. 小川久義

    小川久義君 この辺で明後日午前十時からやるとしてどうですか。
  127. 田中一

    田中一君 これは非常に群民や一般大衆に関係がある法規ですから、一つ皆さんお忙しいところですが、私希望するところは六時でも七時でもこれはやつて頂きたいと思うのです。
  128. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 事業の認定の利害関係申請書の送付及び縦覧の点についてでございますが、事業の認定という手続は御承知の通り現行法ではこういう送付、縦覧をしないことになつております。と申しますのは、事業認定という段階では大きな図面計画だけは出ておるのでございますが、収用手続に入りまして土地細目の公告をやりましてからあとで初めてどの土地を取るかということが制度の上では規定しておるのであります。で、個々の場合におきましてはたまたま偶然の場合に特定しておるという場合もございますが、事業認定の制度といたしましては、土地所有者又は関係人というものはこれは手続の段階といたしましては、そこまで一度に飛躍いたしまして、すぐにその所有者又は関係人の所ころまで事を運ぶことが手続上非常に工合が悪うございます。で大枠から大体定めて、まあその次だんだん土地細目の公告をやりまして、そのあとの段階で今度は確実に公告、縦覧は勿論のこと、わかつておる所有者及び関係人に確実にこれを通知をする、こういう幾つもの段階を経まして慎重な手続をとつておるわけでございます。御承知の通り現行法ではかような送付、申請書の公告の手続さえないくらいでございまして、ただ一応建設大臣が申請書を見まして、その申請書の内容を検討するということで終つておるわけでございます。手続の段階といたしまして、幾つもの段階を次第々々にだんだん経て行きまして、慎重な手続を運ぶということでございまして、初めから事業認定の際にそういう複雑な手続をやりますというと、非常に手続が混乱するわけでありますから、さような立法方針で進んで来ておるわけでございます。
  129. 田中一

    田中一君 第二十七条と第二十八条に出て来ます土地調整委員会ですね、これを見ますと、結局これは鉱区に限つたようにこの法律はなつておるのでございますが、鉱業権と採石権、この二つの問題に限定されて来るのですが、そうすると一応そこに鉱区の申請があるかないか、採石権の申請があるかどうかということを調べるための諮問ですか、それともそういうことなら大体都道府県知事がわかつておるはずですが、どういうわけで土地調整委員会というものが顔を出したのか、その根拠ですね、御説明を願いたいと思います。
  130. 高田賢造

    説明員(高田賢造君) 土地調整委員会につきまして一言簡単に御説明申上げます。事業の認定の際にあとで更に丁寧に再審をするとか、或いは訴願を受付けるというような場合に、訴願又は再審の際には慎重にすでに行われた事業の認定に関する処分の当否を判断するということを考えておるわけでございますが、さような慎重に、一応行政権としては最後的にその内容を審査をいたしますところの訴願又は再審査の際には、これを更に丁重にいろいろの人の意見を聞くという意味から、これをたまたま土地調整委員会が中立公平な委員会でございます。その制定の趣旨は、土地調整委員会の制定の趣旨は鉱業と農業の調整のことから出発いたしておるのでございますが、中立公正な機関意見を更にこれを聞いて置くという慎重な手続をとりまして、過ちのないように期した次第でございます。
  131. 田中一

    田中一君 どうも満足しませんが、一応了承しまして、どうも不思議に思うのですが、どうしてこんなものが出るんですかね。それならばもつと別のこの土地収用というものは基本法で大きな問題です。所掌事務にですね、鉱業並びに採石権ですか、この二つのものと農業、林業というものの調整を図るということになつておるのですが、土地収用、例えばダムでございますね、これは林業でも農業でもないですね、そういう点においてどうも明確を欠いておるのですが、なぜお出しになつたか、ちよつとまあ結構でございます、時間が長くなりますから……。では一言お願いします。
  132. 高田賢造

    説明員(高田賢造君) 今国会審議されております森林法におきましても、同様の趣旨におきまして土地調整委員会意見を聞くという条文を置いておるのでございます。同趣旨でございます。
  133. 小林英三

    委員長小林英三君) そうすると第四章。
  134. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 第四章収用又は使用手続に関する点を御説明申上げます。これは節に分けてございます。第一節が土地細目の公告及び協議でございます。  第三十一条は、現行法にもございます規定でございまして、具体的に細目につきまして都道府県知事に申請をするわけでございます。これは現行法と変つてございません。  第三十二条でございますが、これも申請する場合の申請書の内容規定しておる規定でございます。  次に第三十三条、これも現行法にございますのですが、都道府県知事が他の方法で公告いたしますと同時に、土地所有者及び関係人にこれを通知する規定でございます。  第三十四条、これも現行法にございますが、土地細目の公告がありました後におきましては、何人も都道府県知事の許可を受けなければ、公告があつた土地につきまして明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更をしてはならないという規定でございます。  第三十五条、これも現行法にございますが、こういう細目の公告がありました後におきましては、起業者又はその命を受けた者若しくは委任を受けた者は、その土地又はその土地にある工作物に立ち入つて、その土地若しくは工作物にありまする物件を調査することができるという規定でございまして、これにつきまして先ほどございました十二条、十三条等の立入りの場合の規定を準用いたしておるわけでございます。  第三十六条でございますが、これも現行法にございますが、土地調書及び物件調書を作成いたしまして、その場合におきましては起業者は土地所有者及び関係人を立ち合わした上で土地所有者及び関係人に署名押印をさせるわけでございます。この場合に異議のあります者は、異議のある旨を記して署名押印ができることになつております。以下現行法にございますので省略いたします。  それから第三十七条でございます。これは現行法にはございません。これはここに各号にございますように、土地調書に何を書くべきかということを詳細規定し、又第二項におきましては、物件調書には何を書くべきかということを詳細に規定しておるのでございます。なお詳細な様式につきましては建設省令に譲つておるわけでございます。  卸三十八条、これも現行法にございます。以下よろしうございましたならば、第三十九条、四十条、四十一条まで現行法にございますので省略させて頂きます。  それから第二節収用委員会の裁決でございます。  第四十二条は裁決の申請書についての規定でございます。これも現行法にございますが、そのいろんな裁決上の内容の打合せを規定しておるわけでございます。  第四十三条、これは現行法にございませんので、手続を丁寧にするために、申請書に欠陷があつた場合におきまして十九条の補正を命ずるとかいうふうな規定を準用いたしておるわけでございます。  それから第四十四条、これも現行法にございまして、裁決申請書を市町村長に送付する。そして市町村長はそれを公衆の縦覧に供するという規定でございます。  第四十五条はこれも現行法にございまして、この書類の縦覧がありますというと、土地所有者及び関係人は収用委員会意見書を提出することができるという規定でございます。  第四十六条、これは審理手続の開始に関する規定でございまして、これも現行法と同じでありまして、文書の縦覧期間を経過した後に、収用委員会は審理を開始しなければならないという規定でございます。  第四十七条、これも現行法にございまして、申請書を却下した場合の事由を規定しておるのでございます。  それから第四十八条もやはり現行法にございまして、つまり裁決すべき事項をここにございますように、「収用する土地の区域又は使用する土地の区域並びに使用の方法及び期間」「損失の補償」「収用又は使用の時期」「その他この法律規定する事項」について必ず裁決をしなければならないという規定を置いております。それからあと二項、三項とございますが、収用委員会は「起業者が申立てた範囲内で、且つ、事業に必要な限度において裁決しなければならない。」というふうな規定が掲げられておるのでございます。  それから第四十九条、これは新らしい規定でございまして、収用委員会が四十八条に掲げておる事項について一括裁定しなければならんということにいたしますと、到底長くかかつて審理が遅れるという場合におきましては、四十八条の一項各号に掲げる即ち損失補償とか、土地の区域とか、使用の方法というふうなことにつきまして決定をやつたほうがいいと思われますときにおきましては、そのほうだけを先決処理ができるというこれは新らしい規定でございまして、審理の進行を図る意味の規定でございます。  次に第五十条でございますが、これも新らしい規定でございまして、和解という制度を新らしく取入れたのでございます。強権的な収用使用というのは結局最後の場合でございまして、飽くまでも当事者同志の協力を求める必要がありますので、収用委員会におきましてはその審理の途中におきまして、いつでも起業者、土地所有者及び関係人に和解を勧めることができる。そしてここにありますようないろいろな各項の規定によりまして和解が成立いたしますと、和解調書を念のために作ります。この和解調書が作成されますときにおきましては、この法律の適用につきましては、収用又は使用の裁決があつたものとみなす。こういう効力を持たしておるわけでございます。そうしてこの場合におきましては、「企業者、土地所有者及び関係人は、和解の成立及び内容を争うことができない。」ということになつております。
  135. 田中一

    田中一君 二点だけお伺いしたいのですが、三十九条の「公告があつた日から一年以内に第四十一条の規定による裁決の申請をしないときは、土地細目の公告は、期間満了の日の翌日から将来に向つて、その効力を失う。」これは申請しているうちにこういうことがあつたときはどういう判定をするのですか。申請中に期間満了したら……。
  136. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 御質問の趣旨は申請しておる間に期間が満了したという場合ですね。
  137. 田中一

    田中一君 そうです。
  138. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) これは起業者が申請を出しますれば、もうそれでよろしいのでございます。裁決があつたと否とにかかわらず効力を発生するのです。
  139. 田中一

    田中一君 そうすると、申請をしておれば効力は続いて行くということでございますか。
  140. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) さようでございます。
  141. 田中一

    田中一君 もう一つ、五十条の和解のことについてですが、和解と収用関係で、和解した場合と収用を受けた場合の被収用者の損得利害の問題、和解したほうが利益であるのか或いは収用を受けたほうが利益があるのか、無論和解というのは話合いが付いたときですが、この点について伺つておきたいのですが……。
  142. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 和解できました場合と裁決できまりました場合とは、法律上の効力が全く同一でございます。あとは事実判断の実際の問題でございますと、これは具体的にいろいろな場合はあろうと思います。互譲の精神で以て起業者が思い切つて補償をたくさん出すという場合もございましようし、この辺は個々の場合によつて違いますので、一概に言えないように存じております。法律上の効果は全く同様でございます。
  143. 田中一

    田中一君 和解したほうがその被収用者がうまいんだぞというような扱い方をすれば、これはどうも処分しないで和解で以て物は進んで行く。そうすればこの土地収用法を生かすためにもそういうふうにしたいと、こういうつもりで伺つておるのですが……それはもう結構です。
  144. 小林英三

    委員長小林英三君) では第五章に移ります。
  145. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 第五章収用委員会規定でございますが、これは節を二つに分けまして、組織及び権限と会議手続規定がございます。  第五十一条は、都道府県知事の所轄の下に、収用委員会を設置するという規定でございます。  五十二条におきまして、組織が規定してございますが、委員は七人を以て組織する。予備のために予備委員を置かなければならないという規定がございます。これは民間のいわゆる学識経験者につきまして、都道府県の議会の同意を得まして、都道府県知事が任命する、極めて民主的な方法によつてするのでございまして、又この途中におきまして委員の任期が満了したとか事故など生じた場合におきまして、都道府県の議会の閉会中であるとか、解散のため同意を得ることができない場合につきましては、知事は承認を受けませんで任命することができるのでございます。その代り任命後最初の議会でその承認を得なければならないようになつております。  第五十三条、委員の任期に関する規定でございまして、委員、予備委員の任期は三年ということになつております。あとは省略いたします。  第五十四条、委員の欠格条項を規定しております。ここに掲げておりますように、禁治産者、それから禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終るまで、又はその執行を受けることがなくなるまでの者、というふうな者は委員になれないという欠格条項を規定いたしております。  第五十五条は、委員の身分保障に関する規定、罷免される場合につきまして限定いたしまして、ここに掲げております心身の故障のため職務の執行ができないと認められたときとか、職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認められたとき以外においては、その意に反して罷免されることはないという身分保障に関する規定でございます。  次に第五十六条、会長に関する規定、会長は委員のうちから委員が互選するのでございます。  第五十七条は、委員の給与に関する規定でございまして、都道府県条例に譲つております。  第五十八条は、収用委員会の庶務に関する規定でございます。  第五十九条は、収用委員会の運営に関することにつきまして、収用委員会が定めるという規定でございます。  次に第二節、会議及び審理に関する規定でございます。  第六十条は会議及び議決に関する規定収用委員会会議は、会長が招集するのでございます。議決につきましては、会長及び三人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、審理を行い、又は議決をすることができないようになつております。議決は出席者の過半数を以て決するのでございます。  第六十一条は委員の除斥に関する規定でございまして、つまり或る事件につきまして、一、二、三、四とございまするような縁故関係を持つている者は、この会議の議決に加わることはできないという規定でございます。  第六十二条は審理の公開に関する規定、これはこの収用委員会の中におきましては新らしい規定でございます。これは公開することになつております。但し、ここにありますような事由、公益上必要があると認められるときは公開しないことができるということになつております。  第六十三条は利害関係人の意見を述べる権利につきまして規定を置いているわけでございまして、これによりまして相当民主的な議事が進行されるように相成つているのでございます。  第六十四条は会長の審理指揮権に関する規定、審理の手続は会長が指揮をするのでございます。そして場合によつては指揮権につきまして制限を置くことができるようになつております。  第六十五条、審理又は調査のための権限に関する規定でございます。収用委員会は、申立が相当と認めた場合につきましては、委員会から進んで積極的にその起業者、土地所有者若しくは関係人、参考人に出頭を命じて審問するとか、意見書の提出を求めることができる。又鑑定人に出頭を命じて鑑定させるというふうな規定を設けているのでございます。  次に第六十六条でございますが、裁決及び決定会議等、これはつまり最後の裁決をいたします場合になりますというと公開しないのでありまして、最後の決定会議は公開しないことになつております。そうして裁決及び決定は文書によつて行われます。この会議に加わつた委員は署名押印をするのであります。  第六十七条は審理及び裁決の合同、これは問題になつております土地が二以上の都道府県に跨がつております場合におきまして、関係収用委員会がそれぞれの収用委員会において裁決することが適当でないと認めましたとき、若しくは起業者の申立がありまして、且つその関係しております収用委員会がその申立を適当と、相当と認めましたときにおきましては、合同して審理して裁決を行うことができるという規定でございます。合同会議につきましては、二項に規定がございます。そうしてこの合同した裁決は、との法律の適用についてはそれぞれの収用委員会が、その裁決の申請に係りますところの土地の全部についてした裁決とみなすということに相成つておるのでございます。  以上であります。
  146. 田中一

    田中一君 そうすると、二点だけ伺いますが、五十七条の委員及び予備委員は、都道府県の条例で定めるところにより、給与を受けることができるという規定でございますが、給与というのは月給の意味ですか。月給ならこれは税金がかかるのです。これが若し実費支弁、実費支弁と思うのですが、遠い所からどこに呼ばれるか知らんが、そこに行つてやる場合には非常に汽車賃でも何でもかかるのです。汽車賃とか日当とか含まれるのですか。給与というのはどういう形で給与するのか、成るべくならば所得税のかからないようにしてやつたら……、我々もそういう意味の給料を受けておるのです。この点を明確にして頂きたい。
  147. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 五十七条に給与とございまして、特に実費という言葉を避けたのでございます。と申しますのは、府県の実情によりまして実費主義がいいという県もございますし、又その県の財政力によりましては、相当委員のかたがたを優遇するということも考えられるのでございまして、その辺は地方自治建前から申しまして条例に譲つたわけでございます。実際の支弁方法は只今御質問のことにつきましては、地方自治建前都道府県が条例で当然自主的にきめることでございますが、なおいろいろ都道府県から御相談がありましたときには、又いろいろ都道府県のほうも意見を聞きたいと思つております。
  148. 田中一

    田中一君 五十二条に、「収用委員会は、委員七人をもつて組織する。」とありますが、七人というのは何かよるところあつて七人としたのですか。
  149. 高田賢造

    説明員(高田賢造君) 収用委員会現行法収用審査会の規定を民主化することが今度の改正の狙いでございまして、すでに現行法収用審査会は人員は七名でございます。できるだけ広くたくさんの人を得て、併しながらなお余計に人数が殖えますというと、行政機関といたしましては、十人、二十人という行政機関はないのでありまして、民主的な意味におきまして広く七人で、現行法より減らすことは民主化の精神からいたしましても好ましくないので、現行法の七人をそのままこの法律におきましては踏襲をしたわけであります。
  150. 田中一

    田中一君 現行法の七人はどういうふうに……、ここにあります学識経験者というのはやはりどういうような人が実際問題において選ばれておりますか。
  151. 高田賢造

    説明員(高田賢造君) 現在の収用法の施行法の実際におきましては、会長は法律にきまりまして知事でございます。高等文官云々とございますが、これは都道府県の土木部長、経済部長それから税務署長、又参事会員とございますが、これは県会議員、都道府県議会のかたを議会の互選で選んでおるのが実情でございます。
  152. 田中一

    田中一君 六十三条のおしまいのほう、「収用委員会の審理において新たに意見書を提出し、又は口頭で意見を述べることができる。」二のほうにも、「口頭で意見を述べることができる。」ということが書いてありますが、口頭で意見を述べて、それが行動に移る場合、若しも相手方が、おれはそういうことを聞かんぞと言つた場合には、何でそれを立証するか。口頭で述べてもいいということは事務の簡素化で結構だと思うのですが、今までの習慣ですと、おれはそんなことを聞いた覚えはないぞと言つた場合には、何で口頭で述べたことを立証するか、何か録音機を置いて録音するのかどうか。
  153. 高田賢造

    説明員(高田賢造君) 改正法の収用手続の問題でございますが、全体といたしまして、訴訟裁判のように厳格な規定を置かない趣旨でございます。併しながら現行法のように余りにも簡単過ぎて、官権的にきめるということも避けたい、いわばその中間を参りまして、これをやや理論的に申しますと、一種の調停でございます。而もそれは強制調停の結果について委員会がきめたもの、こういう意味におきまして、一種の強制調停というようなことを念頭に置きまして案が作られております。そういたしますと、大体口頭でというのが理想でございます。併しながら重要なことにつきましては、必らず書面で提出されることに一々この重要なところにおきましては規定をいたしております。併しながら、あとは成るべく口頭で十分意見の発表を、書面だけではその真意がわからん場合がございますので、口頭の陳述の機会を十分与えたつもりでございます。
  154. 田中一

    田中一君 そこで口頭で今まで慣習に従うところは少いですね、これは一応結構です。私はこの章は質問ございません。
  155. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 「収用委員会の審理は、公開しなければならない。」非常に結構なことなんで喜んでおるのでありますが、ところが六十六条になるというと、「収用委員会の裁決及び決定会議は、公開しない。」ところで先ず承わりたいのですが、この六十六条の二項には、「裁決及び決定は、文書によつて行う。」、これは持廻り会議というようなわけで、何か会議は開かないでただ文書だけでやりますか、どうです。
  156. 高田賢造

    説明員(高田賢造君) 六十二条では審理とございまして、裁決を含まない趣旨でございます。併しながら審理の方法は公開が原則でございますが、裁判の判決に当りますところの裁決及び決定でございます、これは非公開にいたしております。趣旨は訴訟の場合とその意味においては同じでございます。なおその第六十六条の第二項に「文書によつて行う」とございますのは、文書が裁決及び決定の成立要件といたした次第でございます。このような効力を持つ一つの行政処分でございますから、明確に文書によることにいたしたのでございます。
  157. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 裁判と余り一緒にしないほうがいいだろうという意見であつたけれども、それならば私もそういう意見なんです。これは裁判と一緒にやるならば、これは誠に余り面白くないので、そうでないのが結構だと思う。ところがこれは裁判のようにやるのだと言つてつて、六十二条には、審理の公正が阻害される虞れがあるときには公開しない、そういう項目があるのだから、努めてそれを活用すれば、これは六十六条でいいのではないかと思うのです。それから審理の公正が阻害される虞れがあるときというのはどういうふうにお考えになつておるか、この点も聞いて置きたい。
  158. 高田賢造

    説明員(高田賢造君) 第一点は六十六条の裁決及び決定の意味でございますが、手続全体の進め方でございますが、これはやはり裁判ほど厳格なものにしないほうがいいという趣旨で先ほど申上げましたのでございますが、併しながら裁決及び決定ということは判決とは同一ではございませんが、その効力において重要な効力を持つものでございます。その意味においてはやはり成立要件を不明確なものにしないほうがいい、こういう意味で申上げたわけでございます。なお六十二条の但書の規定でございますが、これも一言簡単に申上げたいと思いますが、先ほど申上げます通り委員会収用手続の審理は裁判と違いまして、訴訟と違いまして、一種の強制調停でございます。その意味で調停の一種でございます。調停は調停法のいろいろな例を見ましても御承知でございますように、建前は調停の場合は、むしろ完全なる調停というような場合には原則が逆でございまして、調停の場合には公開しないのが原則でございます。例外として公開するというのが調停法としての一般の例になつておるのでございます。そこで収用委員会の審査は先ほど申します通り、これを先ほど来各条文について御覧を頂きましたように、一極の強制調停といたしております。そこでやはり今申します通り、或る意味において裁判とは違いまして、調停と類似の、むしろ非公開でやつたほうがまとまりがいい場合が多いのでございます。その趣旨からいたしまして、広く公益上必要ありと認めるときは公用しない、そういうふうな趣旨で但書の条文が挙つておるのでございます。そこで公益上必要があると認めるときはどういう場合かと申しますと、今申しました通りに、当事者互譲の精神で、一般の公開の場合でないほうがいろいろ審理するというのがいいという場合もありましようし、又一つの例としましては、ここに一つの例として挙げましたように、審理の公正が害されるというような場合も一つの例であると考えたのでございますが、これはむしろこの条文の意味は公益上必要ありと認めるときはというところに主眼があるのでございます。非常にこの点は裁判の場合と違つて考えた次第でございます。
  159. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 折角公開にしなければならないという立派なことを言つておきながら、さつぱり実質においてはそうでないように思うのですが、勿論裁判官のようにちやんと所定の法律によつてきちつとした者が裁判するならば、場合によつてはそういうことも結構だけれども、こういうふうに単に県知事が県会の承認を得て法律、経済、行政に優れたかたを委員にして、それでいろいろな複雑な権利を処分するということになつて、而も殆んどこれではいつでも審理の公正を害されるということがあつて、而も最後の決定の場合には殆んど絶対公開でないということでは、誠に本当は民主的であるような恰好をしておいて実際はいつでも非民主的にこれはやられると私は思われる、そこを心配するのでかような質問をしておるのでありますが、何とかこれはもう少し本当に公開主義を徹底されるようにするお考えはないか。
  160. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) 只今の岩崎さんの質問御尤なんですが、この改正の本旨は六十二条の前段にありますところの公開ということを重要視しておるので後段のこの法律上支障があると認めるというような場合はよほどの厳格さを以つてやりたい、こういうように考えております。今の高田君の説明だと、如何にも公益上の必要あるからというので、そのほうへ重点を置くような説明をいたしましたけれども、この改正の趣旨としては飽くまでも公開を原則とする、こういうようなことで進めて行きたい、こう思つております。それから六十六条の決定の際における非公開ということは、多少矛盾はしておりますけれども、併し関係者のうち相当利害関係者が提出して、それを直ちに七人の委員が裁決するというようなことはもう最後の段階であるから、これは非公開でいいじやないか、こういうような結論に相成つた次第です。
  161. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 それでは私どもはこれは飽くまで公開主義を原則としてこれを中心としておるので、かような公開をしないことができるということはほんの補助的なものであると了解してよろしうございますね。
  162. 高田賢造

    説明員(高田賢造君) ほんの一言説明を附加えさして頂きますが、現行法におきましては、審理の際に当事者の出席権を認めておりません。今度の改正法におきましては、今申上げましたように、六十二条の規定は原則として建前として公開でございます。のみならず新法におきましては当事者の出席権を認めておるのでございます。この点が現行法新法との場合に実質的にも非常に大きな違いなのでございます。
  163. 小林英三

    委員長小林英三君) 次は六章。
  164. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 第六章、損失の補償の御説明を申上げます。第一節の収用又は使用に因る損失の補償の規定でございます。第六十八条は損失を補償すべき者の規定でございまして、当然これは起業者が補償しなければならない規定でございます。  第六十九条におきましては、損失の補償というものは個別に、各人別にしなければならんという規定でございます。これは現行法通りでございます。  第七十条、これが違つておりまして新らしい規定でございまして、損失の補償は現行法では金銭が原則でございましたけれども、この節におきましては、替地の提供その他補償の方法について規定が載つておるわけであります。それはあとから八十二条以下について御説明申上げます。  第七十一条、これは補償額算定の時期でございまして、これは新らしい規定でございます。これが現行法上いろいろ学説が違つておりますので、法律的にこの規定によりまして、裁決のときの価格によつて算定して補償しなければならないという解釈的の規定を設けたのであります。  第七十二条、土地収用の損失補償、これにつきましては、土地につきましては、近傍類地の取引価格等を考慮して、相当な価格をもつて補償しなければならないというふうな規定であります。  第七十三条は土地使用の損失補償、これも大体似た形でありまして、使用する土地に対しては、その土地及び近傍類地の地代、借賃等を考慮して相当な価格をもつて補償しなければならない、という規定でございます。  第七十四条は残地補償、これは同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用し、又は使用することに因つて残地の価格が減じ、その他残地に関して損失が生ずるときは、その損失を補償しなければならない。これは現行法通りであります。  第七十五条、工事の費用の補償、これも現行法通りでございまして、収用による工事についての費用の補償であります。  第七十六条、残地収用を請求する権利に関する規定、これも現行法通りでありまして、残地を従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、全部の収用を請求することができるという規定であります。  第七十七条、これも現行法と同じ規則でありまして、移転料の補償に関する規定であります。  第七十八、これは現行法にありまして、これも移転困難な場合の収用請求権でありまして、その物件を移転することによつて従来利用しておつた目的に供することが著るしく困難となるときには、その所有者はその物件の収用を請求することができるという規定であります。  第七十九条、移転料多額の場合の収用請求権、これも現行法にございまして、移転料を払うよりも収用してしまつたほうが早いというときは起業者はその物件の収用を請求することができるという規定でございます。  第八十条は物件の補償、前二条の規定によりまして、物件を収用する場合におきまして、それに対する価格についての基準を設けたわけでございます。  第八十一条、これも現行法にございまして、土地使用に代りますところの収用の請求、これは条件がついてなければ現行法通りでございますが、土地使用する場合において土地使用が三年以上に亘りますとき、土地使用によつて土地の形質を変更するとき、又は使用しようとする土地土地所有者の所有する建物があるときという条件が付いておりまして、そのときには土地所有者はその土地収用を請求することができるという規定でございます。以下説明を省略いたします。  その次から七つこれが眼目の点でございまして、八十二条から八十六条までがいわゆる現物給与と申しますか、現物補償に関する規定でございます。  第八十二条は土地所有者が替地を要求できる、場合によりましては例えば地上権者が別の地上権を要求できるという規定でございまして、これを収用委員会に要求することができるのでございまして、この場合において場合を分けて、第二項においては土地所有者又は関係人が相手方の起業者の所有する特定の土地を指定して要求して来た場合においては、その要求が相当であり且つ替地の譲渡が起業者の事業又は業務執行に支障を及ぼさないと認めるときは、替地による損失の補償の裁決をすることができるのであります。それから第三項は土地所有者又は関係人が土地を指定しないで、又は起業者の所有に属しない土地を指定して要求して来た場合において、収用委員会はその要求が相当であると認めるときは起業者に対して替地の提供を勧告することができるのであります。そうしてこの勧告に基いて起業者が提供しようとする替地につきまして、土地所有者又は関係人が同意したときは、委員会は替地による損失の補償の裁決をすることができるのであります。で特に末項第七項にございますように、起業者が提供すべき替地につきましては、土地の権利の内容等を総合的に勘案して、従前の土地又は土地に関する権利に照応するものでなければならないというふうにこれを制限しておるのであります。  第八十三条は、耕地の造成でありまして、その収用される土地が耕地であります場合におきましては、その替地が耕地になつておらない場合においては、耕地に直してもらうということを要求することができることになつております。この場合にはやはり委員会がその要求が相当なりと認めるときにおきましては、耕地の造成による損失の補償を替地による損失の補償に併せて裁決することができます。その場合に耕地の造成を確保するために、第三項にございますが、起業者が耕地の造成のための担保を提供しなければならない旨の裁決をすることができるという規定もございまして、その被収用者の権利を保護しておるわけでございます。  それから第八十四条でございますが、これは工事の代行による補償でございまして、これもやはり土地所有者又は関係人は、これを金銭に代えまして、その工事を起業者に行なつてもらいたいということを要求することができるのでございます。この場合におきましては、起業者側からいたしましてもこの要求ができるようになつております。  それから八十五条は、移転の代行による補償でございまして、これは移転料に代えまして、起業者が当該物件を移転してもらうということを要求する、これにつきましてもやはり起業者側も要求することができるようになつております。  それから八十六条でございますが、これは宅地の造成でございまして、これはやはり移転先の土地が宅地以外の土地であるときにおきまして、土地所有者又は関係人は宅地の造成を要求することができるのでございます。これにつきまして、裁決を行い得ることになつております。この八十六条までが新らしい現物補償の制度を謳つたわけでございます。  八十七条は、これに伴う手続的な規定に相成つております。  それから八十八条、これも現行法に不明瞭でございますけれどもあるのでございますが、特に詳細に通常受ける損失の補償の内容規定しておるのでありまして、特にここにございますように離作料、営業上の損失、建物の移転による賃貸料の損失という例示をいたしまして、詳細に規定をいたしておるのでございます。  八十九条、これは損失補償の制限の規定でございまして、これは現行法と同様の規定に相成つております。  それから九十条、これは新らしい規定でございまして、起業利益との相殺の禁止に関する規定でございまして、被収用者の残地がこの起業を行なつたために値上りになりましても、補償金についてそれとの相殺をしてはいけないという規定に相成つております。  第二節、測量、事業の廃止等による損失の補償を規定しております。九十一条測量、調査等による損失の補償、これは先ほど説明いたしました立入り等によりまして損失を受けたものに対して補償しなければならないという規定でございます。  それから九十三条は、事業の廃止又は変更等によりまして損失を生ぜしめました場合におきまして、やはり土地所有者又は関係人に補償しなければならないという規定でございます。  九十三条、これは新らしい規定でございまして、土地収用若しくは使用したことによりまして、この問題になつておる土地若しくはその残地以外の土地につきまして道路を造るとか、溝を作るとか、その他の工作物を新築し、改築し、増築する必要があると認められるときにおきましては、起業者はやはりその工事に要する費用の全部又はその一部を補償しなければならないのであります。この場合におきまして、起業者のほうからも、又損失を受けたほうからも、金銭に代えまして起業者が当該工事を行うことを要求することができるようになつております。この要求は、事業に係る工事の完了の日から一年を経過した後においては請求することができないというふうになつておりまして、これは原因関係が一年以上たちますとはつきりいたしませんので、この程度に打切つて置こうという趣旨でございます。  第九十四条、これはこの前の三条にあります損失補償につきまして、両当事者におきまして協議が整わない場合におきまして、やはり収用委員会の裁決を申請することができるという規定でございまして、これにつきましては、いろいろとあとのほうに裁決に関する手続規定してございまして、先ほど説明いたしました収用委員会会議及び審理に関する規定、即ち第五章第二節の大部分をこの場合に引用いたしておるのでございます。これが第六項でございます。あと説明を省略さして頂きます。
  165. 赤木正雄

    赤木正雄君 概念的に申しまして、これは結構ですが、仮に洪水調査その他大きな堰堤を造るような場合、その地方にたくさん耕地がある場合に、この法律によりますと、その耕地をどこか替地を要求することができるのですか。
  166. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) 若しその附近に適当な土地がある場合には、替地を請求することができるようにしてあります。但し従来からの例によつて、大きなダムを造るとその上流における町村、一部落が離村しなければならんと、こういうことで、今の電源開発が非常にトラブルが起つておる。将来も相当起るのではないかと思うのですが、そこで問題は、まあ大体その部落の人は長い間そこに住んでおつたのだから、できるだけその近在にいたいというのが人情であろうと思いますが、併しそういう山間部においてはそういう適当な所がない。従つてその一部落がどこか適当な所に集団移転をしなければならんというようなことが往往にして起るだろうと思うのです。その場合において、ただ金銭だけの補償にして行けば、結局生活の根拠を失うのだから、そこで適当な所があり農地があれば、それを又農地調整委員会承認を得て県知事の認可をとつて、これに収容するか、若しそういうことができないとすれば、適当な造地計画、開墾地なんかがあるとすれば、一応それを代行して、そのほうに行くようにするというような方法を今現在実際やつておるやつを、この際法文化するというのが今度の土地収用法の趣旨ということになるわけであります。
  167. 赤木正雄

    赤木正雄君 仮に群馬県沼田の下にできると、その場合にあの耕地は全部湖底になつてしまう、あの附近にはこれという耕地はないかも知れませんね。併し土地の所有者はどこか自分たちが生活するために適当な場所を探してくれと、そういう場合にやはり起業者は適当な場所を探して、適当な耕地を造つてやらなければならんということになるのですか。
  168. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) そうです。
  169. 赤木正雄

    赤木正雄君 そうすると、その仕事ができるまではその土地を移転しなくてもよいと、こういうことなんですか。
  170. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) どういうことですか。
  171. 赤木正雄

    赤木正雄君 耕地ができてしまうまで、自分らがそこに移転して生活ができ得るようになるまでは、土地収用されてもその土地におつてよいことになるのか、どうなんですか。
  172. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) それはまあその仕事の進捗の程度によつてそれに並行的にやらないと、こちらのほうの造地ができるまでは工事を休まなければならんというようなことに相成るかと思うのですが、それは適当にそういうふうなことを承諾すれば、先ず基礎工事などを徐々にやり、かたわら又造地計画を進めて行くというようなことになるのではないかと思うのです。
  173. 田中一

    田中一君 二、三点質問しますが、第一に六十八条の起業者の補償という言葉ですね、これには利益が含まれていないと考えますから、無論事業税はかからないものと思います。併しながら所得には違いないのですが、税関係はどうなるのですか、免税とかいうような措置がとられるのですか、その点を伺いたいと思います。
  174. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) この問題は、実はこの立法の際に非常に問題になつたのでありまして、御承知のようにこの収用される側の補償を完全にやるという建前からいたしますれば、それによつて補償された金銭補償、それに対しての税は免税すべきである、こういう理論が生れて来るのでございます。そうして現在においても或る程度運用でそれが行われておるというのが実際であります。併しながら今回大蔵省関係提出いたしました法案の中に、こうした土地収用法によつて損失補償を受けたものに対して一つの再評価税を課する、大体再評価によつて従前の価格との差額に相当する部分に対して六%というものがかかる、こういうことになつております。これは今の完全なる補償の建前から参りますと、非常に矛盾しておるという問題が出て来るわけでございまして、結論的に申してそれを如何に解決するかということが問題になる、私どもの考えとしましては、完全補償の理論をとるならば、これは起業者が負担してやらなければならん、こういうことで結論を求められたのであります。併しながら一面、税法の将来の改正その他のことを考えまして、これが免税措置が講ぜられるということが明らかになりますれば、それで筋は通る、こういう関係になつて来ると思います。
  175. 田中一

    田中一君 今の解釈で若しもこれに六%課税されるとするならば、これは起業者が負担する、こういうことで了解していいわけですね。
  176. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) そうです。ですから例えば完全保償というようなことで六%の、百万円なら百万円補償して、それの六%やれば六万円税に取られる、だからして従つて今度は起業者は百六万円なり百十万円くらいやつて、手取り百万円になるようにやらなければ完全補償の実績は挙らない、こういうことになるわけであります。
  177. 田中一

    田中一君 ここに非常に私が一番心配するというのは、替地補償の問題ですが、金銭補償では到底収用法が円満なる収用ができないのです。ここにいろいろ測量、調査等による損失の補償とか、事業の廃止又は変更等による損失の補償の問題とか、非常に親切に書いてあつて結構だと思いますが、慰藉料的なものはこれに含まれる場合があるのでしようか、ないのでしようか。慰藉料、精神的な補償です。精神的な、金銭或いは何かに代えての補償、そういうものは含まれる場合があるのでしようか、ないのでしようか。
  178. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) 精神的な慰藉料ということは、ちよつと解釈なり限界がわからないから、それは何かはかの面においてそういつたものは加味して補償料を出すのじやないか、従来も大体そういうような方向に行つておるのですから、この法文ではそういうような運用によつて適当に行けるだろうと私は思つております。
  179. 田中一

    田中一君 もう一点ですが、この九十三条です。この間接的な、収用し又は使用する土地以外の土地に関する損失の補償、これは一年を経過した後においては請求権がなくなつてしまうということについて、こういう場合を想定されるのです。例えばダムを作ります、或いは河川改修をやりまして、土地の蒿上げをした、これは当然今まで二十年、三十年、五十年の過程においては、その程度の蒿上げなら心配ない、水は必ず入つて来る、こういうようなことであります。ところがそれが渇水期に入つて、非常な渇水の時期に逢着して、そのために水が困難である、併し一年半目にそれが来た、決定した後一年半目にそれが来て、一年を経過した後にそういう事象があつて、その原因というものは蒿上げをしたために起つた、御承知の通り向うのほうからやつて来て、一里も二里も先にそういう現象が起る、これはこういう場合には天災地変といいますか、そういうことが一つの原因であります。もう一つ直接の原因というものは、土地の蒿上げをしなければ、或いは土地の土盛をしなければ、水が来たのだ、併しながらそういうことのために駄目になつたという原因がそこにあつたけれども、一年以内に発見できない場合はどういう形でそれを請求するか、それがいろいろの収用委員会ばかりでなくて、あらゆる観点から調査した結果、この土地の蒿上げをしなければ水が来たのだ、こういうこと、もう一つ逆の場合は、水が来過ぎて困るという場合、却つて、水が少いときでなくて、雨量が、一年を経過した後に雨がうんと降つた場合、災害と見るべきものでなく、もう少し技術的な注意があれば、水がとまるという場合がありますね。それもそのやつた一年間はそういうことがなくて、一年後にそういう事象が起きたという場合に、判定するのはどういうふうにやるか。
  180. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) その一年ということはなかなか議論のあるところでありますけれども、この収用法のこの収用以外の土地の損害補償という点に対しましては、結局その工事によつての直接原因によつて生ずるものについての補償ということを当然考えておる。今田中さんのお話のような、その範囲は予見し得る程度のものは当然そこに補償しなければなりませんが、一年半後にそういうような現象が起るとか、或いは二年後に起り得るというようなことは予見し得ないような状態に相成ると思うのであります。併しながらこの工事をやる前に、これらの水がたくさん来過ぎる、勾配がきつくなるからたくさん来ると非常に困る、或いは又この工事をやるために土地が沈下するという、地盤の関係上当然地盤が沈下するというようなことがはつきりわかれば、それに対する代行工事をするとか、或いはそれに対する補償は当然してもいいと思います。予見し得る範囲内においては……。そういうような意味においては余り長い期間、予見し得る期間を二年なり三年なりということはどうかというので、せいぜいそういつたような現象は一年以内において現われるのじやないかという意味から、一年ということを限定したわけであります。
  181. 田中一

    田中一君 雨はそんなに簡単にこちらの予見し得るような降り方はしません。又日照りは我々が予見し得るような日照りはありません。この問題は大きな問題です、一年に限定されることは……。一年が妥当か、二年が妥当か、日照りも予見できないし、雨も予見できない。それを一年に限定することは、無論技術的な欠陷というか、人間の力では及ばないものがあるかも知れませんけれども、もう少しそれを緩和する方途を何らかの形でとらなければいけないじやないかと思うのです。それはそういうことを監理局長は技術屋でないからおわかりにならないと思いますが、提案者はそんなことはもう数十年来やつて来て、当然そういう問題にぶつかつておると思います。これは赤木先生などはそういうことばかりで苦労なすつておるのですから、私より痛切に考えられておると思うのです。これはただ活字で一年と書いたから、一年できめようということはこれは甚だ不親切です。だからこれを実際に技術士の欠陷がある場合もあります。それから天災地変によるというものもあるかも知れません。それから自然現象によるところの災害が三百六十六日目に起きた場合というようなことも考えられます。二年後も考えられる。二年、三年とあなたはおつしやいますけれども、三百六十六日目に起きた場合にどうするか、それは成るほどこれはおれのほうが悪かつたという場合、どうするか、これはやはりこの法律は非常にいい法律だから、もう少し画龍点睛の気持でそれを御考慮願いたい。若しこの際修正ができなければ、何らかの形でその考え方を織り込んで頂きたいことを希望いたします。それは提案者がどこまでもお前の言うことは正しくないから、これはもうこれでいいのだとおつしやればいたし方ありませんが、一つ意見を伺いたい。
  182. 澁江操一

    ○政府委員(澁江操一君) 今の田中委員の御発言は非常に重要な問題でありまして、実は私ども非常にその点は慎重に考えておるわけでございます。  ただ一言申上げておきたいと思いますことは、すでに御研究願つたと思いますけれども、この起業損失補償の制度はこのただの法規に初めて織込んだものでございます。従つてやや我田引水でありますが、従来の規定に放置しておけば、これは法律上工事による損害補償という問題も成立しない、即ち結局泣き寝入りに法律上はならなければならないどういうことでこの規定を特に加えたわけです。田中委員のおつしやるようにこれが一年でよいか、二年でよいか、工事の性質によつてそういつたような統計その他が整備いたしましたならば、恐らくこの一年間の期間はもう少し科学的に合理的にできる場合が或いは考えられるかも知れません。併しながら現在あります外国の立法例その他を参酌いたしまして、一応一年ということを考えました。それで、その間に大体予見し得るものが出て来るのではないかというふうな配慮で以て一応規定いたしました。ただ立案過程をちよつと申上げたのでございます。
  183. 田中一

    田中一君 赤木先生の智慧をちよつと借りたいのですが、この一年ということは妥当でしようか。
  184. 赤木正雄

    赤木正雄君 この次やりましよう。
  185. 田中一

    田中一君 見逃されると困ります。
  186. 赤木正雄

    赤木正雄君 この次に……私よく考えておりますから、どうせ今日済みはしないのですから、明後日どうせやるのですからそのときまで……。
  187. 田中一

    田中一君 まだ了解いたしませんから次に……。
  188. 赤木正雄

    赤木正雄君 仮りに農調法ですね。土地の所有者が一反歩七、八十円で買つたが、土地を……その場合に道路法の問題が出て来ますが、一部土地をどうしても収用しなければならん、土地の所有者は今日では僅か七、八十円で買つた土地を十万円ぐらいになら離さん、こういう場合があるのです。その点どうなんですか。
  189. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) 実際の例から申しますと、農地調整法によつて非常に安い値段で買収せられる、ところが現実に工事を施行する場合においては、やはりそのときの時価によつて大体買収をしている、国の仕事においてもそれをやつておるので、必ずしも八十円で買収すると、八十円を強制するのではない。又それを不当に時価以上の十万円で売るということになると結局争いの因になつて収用委員会というものに転げこんで来ると考えております。
  190. 赤木正雄

    赤木正雄君 この問題は提案者の御説明通りと思います。今日土地収用するものは実際困つているものが多いのです。そのために非常に厖大な価格をかけて収用するため実際に仕事はできない、非常に全国にそういうことが多いのです。そうすると大体その府県の現在の価値を標準として買収するのですね、
  191. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) そうです。
  192. 赤木正雄

    赤木正雄君 今の買収は非常に結構ですが、現在としては大体これはなんですか、現在の所有者が土地を替えてもらつて、或いは農地をなくしたためにほかに農地を作つてもらう、従来と今度といつた場合損得はないということを大体標準としてやつているのですか、どんなですか。
  193. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) お説の通り大体そういうものを基準にしてやらなければならん、ただここで申上げておきたいことは、買付け、そういう農地の場合、今のような農地調整法で大体所有者はきまつておる、それで或る一人が農地を取られて、それであそこの替地をもらいたいという場合において、この法文には替地を云々と書いてありますが、実際問題としてそういうことが果してでき得るかどうか非常に疑問に思つておる、併し従来のような実際の例から申しますと、やはり起業者はそういう斡旋をして仕事を進めるということはしておるのですが、これは何ら法的根拠なしにやつているので、これを今度明確に法文の上で謳つておる、従つて両方とも改正云々については、意見を吐露して、そうして事業主に対して協力してもらうという方法になつたことは非常に結構なことだと考えておるのです。
  194. 赤木正雄

    赤木正雄君 それは私どもも同感で、御承知の通りにTVAが非常にうまく進んだということも、今までの所有者が従来の土地よりも却つて替地に行つて、従来以上に土地を用いておる、できるならばそこまで行つてもらうと非常に結構です。少なくともプラス、マイナスのないところまで行けばこれは非常にいいと思います。それだけです。
  195. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 今のお話のように折角替地の結構な立法ができたということは結構だが、実際替地をしようということができても、替地がなかつたらなんにもならないことなんで、最近いろいろ大きな電源開発に関するダムとか、或いは方々の開発工事ですか、利根川関係のものが出ておるんですが、そういうところも今後考えて行かなければならんものですが、そういうものに対して責任者はそういうこともお考えになつたのですか。新たに幾ら条文で替地と語つても替地がないことが私は多いと思うんです、現状においては。だからそれを替地させるような適当な土地をお考えになつておるのかどうか。
  196. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) その問題はやはり電源開発の問題についてダムを作る場合において、できればその附近に替地があつて移転をするということは最も被害者に対しては望ましいことだと思います。併し実際問題としてそういうことができないことがまあ大部分だろうと思います。そうするとそういう人に対して替地を考えなければならんというようなことに対しては、やはり従来の自分の村よりも離れた個所に替地があれば、これはやはり起業者がそれに対して代行して耕地を造成して、ここに移転を慫慂するというようなことをしなければならんと思うんです。
  197. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 今後相当の電源開発の問題がございます。例えば小貝川の問題もいろいろな問題が起きて来ると思います。折角こういう替地の問題ということをかように御親切にやつている以上は、それに対して、これはどなたに質問していいか、或いは安本長官にするのかも知れませんが、そういう実際替地をするんだ、してやりたいと言いながら、そういうものに対して実際的に手を打つているかどうかということを聞きたいのです。
  198. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) 今の岩崎さんの御心配は実に私どもも心配しておるんです。だからそういつたような場合、例えば小貝川の付け変えによつて、或る一部分の犠牲によつて部分の人が利益を受けるというような場合においては、やはりこれは法文に云々することができませんけれども、利益を受ける人が多少犠牲者を救済する意味において、或いは適当な農地を分割提供するという互譲の精神によつてこの問題は解決する、解決せざるを得ないのじやないかと思います。実際問題として取られ放しにして、おれの所は全然替地なんか出さないのだというようなことは当然起り得る可能性が多分にあると思いますが、そういうような場合においてはやはり利益を受ける人が多少でも被害者に対して同情の念を持つて何とか救済するというような方法で解決せざるを得ないと思います。併しこれは法文にはそういうことは全体的に響くものですから、どうにもできない問題であります。
  199. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 今小貝川の話が出ましたが、受益者が幾らか分けてやつたというようなお話ですが、このこともあのシヨート・カツトによつて二、三百万町歩の地所がなくなる。そうするとそのために利益を受ける面で一体一人の農家ではどのくらい分ければいいのかというようなお話を聞いて見るというと、まあ一段か二段です。これは今日の零細な農家においてはなかなか一段歩なんという地所は分けられないです、実際において……。そういうことを考えて行くと、私は本気になつて新らしい地所を、農地を開拓するというような、電源開発或いはそのダムの工事と同時に私は真剣になつて総合的な開発をしなければならんということを考えなければならん。こういう立法をいたす以上は、一体そういうものに対してこれは岩沢さんに聞いても仕方がありませんが、併しお聞きしますが、立法者その他一つ本気になつてどういうふうに考えておりますか。私どもが今利根川問題で大分苦労しましたけれども、これもそういう意味で全体的にものを見て解決したいというつもりでやつておるのでしようが、こういう問題に対して岩沢さんは言われましたが、一つそういうことについて私はこれは政府に実際聞きたいのです。こういう立派な立法を出して頂いて有難い、又やるべきである。そのためには本気になつてそういうことを考えておかなければ、結局喜ばせるだけでちつとも意味をなさんし、これでは又日本の本当の意味の総合的な開発もできなくなつて来る。そこで私は切に希望し、又提案者のほうも、勿論これは政府に言いたいのですが、本気になつて考えて、至急こういう方面に対して実際の協力を、手を打つてもらいたいという希望を申述べて置くわけです。
  200. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) 今岩崎さんのお話の、結局法文にこの替地云々ということを明確に規定をいたしておるのでありますから、従来のようにただ任意的に替地言々というよりも、よほど力強く起業者側もこの替地について強く動いて、そうしてやるということは非常に今度の新法の特徴ではないかと思うのです。従つて御心配になることは御尤もだと思いますが、例えば小貝川におきましても、あの附近一帯を総合計画的にやりますと、今湿地帯で殆んど農地としては効用をなさないというものを取上げ、或いは又小貝川が決壊したために随所にあの附近において大きな池が生じておるのですが、こういうものを埋め通して、そうして農地に造成するということも替地の一つの方法ではないかというふうにも考えるのでありますが、要するに起業者としてはこの法文に照して、被害地から替地するのだという強い要望があれば、それに対して真剣にこれを解決し得るように持つて行くようになると私は考えるのであります。
  201. 田中一

    田中一君 この九十四条の六ですね。これはちよつと部長からでもざつとでいいですから、説明してもらえませんか。
  202. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 第六項でございますね。
  203. 田中一

    田中一君 私はちよつとはつきりしないものだから……。
  204. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 準用する規定を掲げているのでございますが、第六項におきまして第五十条を引用いたしております。第五十条というのは和解の規定でございますね。この場合におきましても和解の勧告ができるという規定でございます。  それからその次第五章の第二節でございます。第五章第二節と申しますのは、収用委員会会議手続に関する規定でございまして、これもやはり収用委員会がこの場合におきましもてこういう規定従つて審議をするのである、そうしてただこの場合において条文をいろいろ掲げてありますが、準用する場合において読替えませんと意味が通じない場合がありますので、例えば一例をとつて申しますと、六項の二行目に、この場合において、第五十条、第六十一条一項といろいろとございますが、この五十条の場合におきまして、五十条の第一項をお開き下さいますと、五十条の第一項に起業者、土地所有者及び関係人という字句を使つてございます。これを裁決申請者及び相手方と読替えるのでございます。
  205. 田中一

    田中一君 実はこの条のこの項が一年以下の懲役又は三万円以下の罰金になつているのです。これはこのように非常に重大な刑罰を適用すべきものですか。このような苛酷な刑罰を科さなければならないのですか。百三十八条第一項、第百三十四条第三項、それから九十八条といろいろありますが、これがこのような苛酷な罰則を……、第九十四条の六項に挙げたものだけを言つても、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金を科さなければならない性質のものであるかどうか、これはどういう……、或いは立法上の慣例からこういうことが起るのかも知れませんが、成るべくそうしたような精神はもう少し緩和された方向で行くべきじやないかと考えるのです。罰則をかけるまで追込んで行くということはいいのではないのですから、その点については何か根拠があるのか、立法上の慣習によつたのか、御説明願います。
  206. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 今御質問のございました、例として百四十一条でございますが、この一号に書いてありますのがいろいろ条文を引張つてございまするが、結局は罰せられますものは、収用委員会に出頭を命ぜられた鑑定人が虚偽の鑑定をしたとき、この場合に一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処するわけでありまして、つまり土地使用者だけじやございませんで、たまたま呼ばれまして鑑定人が虚偽の鑑定をしたときに科した罰則でありまして、これは大体法務府とも十分打合せまして立案したものでございます。
  207. 小川久義

    小川久義君 約束通り進行したいと思いますので本日はこれで散会を願います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  208. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは明日は委員会は休みまして、明後日は土地収用法案及びその施行法案、北上川開発法案議題にいたします。  本日はこれで散会いたします。    午後五時十九分散会  出席委員は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            島津 忠彦君            平井 太郎君            深水 六郎君            田中  一君            小林 亦治君            徳川 宗敬君            東   隆君   委員外議員            岩沢 忠恭君   衆議院議員            黒澤富次郎君            井出一太郎君   政府委員    建設省管理局長 澁江 操一君    建設省都市局長 八嶋 三郎君   事務局側    常任委員会專門    員       武井  篤君    常任委員会專門    員       菊地 璋三君   法制局側    参     事    (第三部長)  岡田 武彦君   説明員    建設省管理局総    務課長     高田 賢造君