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衆議院議員(
田中角榮君) 御質問にお答えします。そういう場合に対して懲罰
規定を設けるということはちよつと
考え得るのでありますが、事実
規定をすることはちよつとむずかしいと思いますのは、
地方民が大体において
公営住宅を造らなければならない、こういうことは相当熾烈に
考えておるわけであります。その燃え上る熱意に対して国が
補助をし、
公営住宅の
建設に拍車をかけたい、こういうのでありますので、実際においてできなかつたから処罰をするということは、ちよつと
補助という面から
考えて少し行き過ぎではないかと
考えます。併し実際の制裁は行な
つております。これはなぜかと申しますと、今
年度返還をしたものに対しては来
年度国庫補助を減しております。東京都から六百戸の返還があつた場合、国のほうでは、どうせこれだけ
要求をして、これだけ
補助をしても、昨
年度の実績が悪くてできないだろうから、今
年度は二割減しかやらない、こういうことを
建設省はと
つておりますし、
建設委員会も現実的にそういうことを
要求しております。なおこの制裁を行わなくても、監督官庁が適切なる措置をとれば十分これはてきるのであります。私たちの
立場からいいますと、
地方庁の
工事が行えなかつたというのは、
地方庁だけが悪いのではなく、
建設省の監督も一部において悪いことを認めなければならないということと、もう
一つは
国会が
予算を早く出さなかつたということもこれは認めなければならんというのは、大体その
年度におけるところの
計画とか、
実施予算を組んで
工事の
施行に着手するのが十月か十一月にな
つてしまうのです。これは日本の官庁は皆そうなんです。どういうことかと申しますと、
地方庁に
補助をしてやる場合には、その
補助の額を決定して
地方議会がその
予算を組む、こういうのでありますから時間的に物凄いずれがある。こういうことをや
つておりますので、
国庫補助の
工事というものは全面的に遅れております。これはその
意味において私たちは三月
年度をとらないで暦
年度、いわゆる一月から十二月でない場合……、雪の多い東北、北海道
地方では雪が降
つてから
年度の
工事をやらなければならんということがありましてこれは三月三十一日までにその
年度の
予算を組んで、
実施計画を五月三十一日までに本省に提示して、本省はこれを許可しなければならない。そして
工事は六月の一日にはかからなければならない。こうすればはつきりするのです。ところが
予算をやり放しにしておきまして、実際そういう措置はと
つておらんのです。だから三月三十一日にな
つてもまだできない。東京都におきましては
昭和二十五
年度の
公営住宅が現在まだ六割しかできておりません。実際かかるのは今年の九月くらいになります。そのために返還をいたしますと、去年のようなことを又繰返すと、来
年度予算は
建設省からもらえない。東京都では八千万円か一億円の見舞金を企図いたしまして、
国庫補助の
工事に対しては
幾らか見舞を出すから、請負人は損を覚悟でや
つてくれと、各
工事を促して進めておるのでありまして、これは
建設省の処置当を得ればかかることはないと思うのであります。