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1951-05-23 第10回国会 参議院 建設委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十三日(水曜日)    午後一時五十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○官庁営繕法案衆議院提出) ○建築士法の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○北上川開発法案川村松助君外八名  発議) ○特別都市計画法の一部を改正する法  律案内閣送付)   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは只今から建設委員会を開会いたします。  議案の審議をいたす前にちよつと御相談申上げたいことがあります。今日の日程といたしましては、官庁営繕法案建築士法の一部を改正する法律案、それから特別都市計画法の一部を改正する法律案、こういうことになつておるのでありますが、このうちで特別都市のほうは、今日多分間もなく衆議院を通過してこちらへ回付されることと思います。今実は北上川開発法案というのが、又この委員会に付託されておりますのですが、皆さんのほうで御同意を得れば、これも今日提案理由だけでも説明さして置きたいと思いますが、御異議ありませんか。
  3. 赤木正雄

    赤木正雄君 議事進行につきまして……。それより先に、昨日委員会で決定した農林との連合委員会はいつできるのですか。
  4. 小林英三

    委員長小林英三君) それは先ほど委員長のところに申込みがございまして、これはまだ正式に文書ではないのですが、実は農林委員会のほうでも、非常にいろいろな法案で日限がないので、是非一つこれを連会委員会でなしに、委員外質問としてやつて頂きたい。こういうことを言つて来ております。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  5. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて……。今日は議題の第一といたしまして、官庁営繕法案、それから建築士法の一部を改正する法律案、それから北上川提案理由説明を聞きます。それから四番目に、特別都市計画法の一部を改正する法律案、こういうふうにいたします。先ず官庁営繕法案議題に供します。御質疑の継続をお願いいたします。
  6. 田中一

    田中一君 第十条の三項「審議会は、国家機関建築物位置規模構造及び建築設備並びに合同庁舎について基準を定め、その実施に関し関係国家機関に対して、勧告することができる。」、こうなつておりますけれども建築建物様式というものはどのくらいなウエイトを持つているのですか。これは提案者に伺うよりも、当事者の営繕部長に伺いたいのですが、様式というものはこれではきめないことになつておりますが、様式というものは……。この審議会様式勧告することができないのですか。
  7. 大村巳代治

    説明員大村巳代治君) 一応この法案では書いてございませんのですが、まあそういう範囲まで相談し得ると思うのでありますけれども……。
  8. 田中一

    田中一君 法律できめられたもの以外のものもできるということはあり得んと思うのですが、法律に定められたもので言うのじやなくて、内々やれるということだと思うのですが、官庁建物に対しては様式が非常に大きな役目を果すと思うのです。昨日も提案者が再々我々に御説明あつた第四条、「国民公共施設として、親しみやすく、便利で、且つ、安全なもの」というのは、これにはまあ美しくとか、或いは感じよくという言葉はありませんけれども、それを織り込んであると思う。官庁営繕に対しては様式というものが非常に大きな役目を果すのじやないか、できれば一項目入れるべきだと、こう考えますが、如何でしようか。
  9. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。御承知の通り第九条には、第四条、五条を受けまして、そのために営繕計画書を提出しなければならない、なおその営繕計画書の中には、位置規模構造建築設備工期及び工事費を記載するものとするというふうに規定しておりますので、営繕計画書建設大臣に提出する、建設大臣営繕審議会といろいろな事項に対して十分なる打合せを行うということが原則でありますので、審議会におきましては、当然国家建造物に対する一定の理想的な型というものは研究せられるのであります。この線に沿つたものを勧告をいたすことになつておるわけであります。その意味におきまして、営繕計画書建設大臣が受取りまして、これを送致し、而も実施に移すまでには、各建築物を建設せんとする国家機関に対しましては、十分なる連絡ができるのでありまして、田中さんが言われる理想的なものができる、こういうように考えておるわけであります。
  10. 田中一

    田中一君 私は今御説明がございましたけれども建物に対する様式、殊に官庁営繕に対しては殊に重大だと思うのであります。各省がおのおの勝手に自分の好む様式をどんどん建てられては、この官庁営繕法を制定する意味がなくなつて来るのです。割拠主義でもせめてあれは役所建物だというよろなものがあり得るのじやないかと思います。無論反論は、違つた様式のものがあつたほうがいいじやないか、そのほうがきれいじやないかという議論もあるかも知れませんが、大体その審議会が、これは今のお説のように各省各庁の長の手許にあるところの審議会ではなくて、それをまとめる建設大臣諮問に応ずる委員会ですから、尚更のこと、様式というものをはつきりと明記する必要があるのじやないかと思うのです。
  11. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。勿論本法律案の企図いたします一つ目的は、国費の一大節減であります。もう一つは、四条、五条規定いたしておりまするように、公共施設として完全なる条件を備えるためにやらなければならない、その二つの条件を理想的に実現するためには、でき得るならば合同庁舎にしたいというふうに考えておりますので、実際的な問題からいたしますと、各省各庁ばらばらな計画によつて作られることを、一つの枠の中に統一するために本法規定しておるわけであります。勿論九条の二項に規定いたしておりますように、「前項の営繕計画書には、当該建築物位置規模構造建築設備工期及び工事費を記載するものとする。」、こうなつておるのですが、私たち原案では、構造の次に形体というような、今あなたが言われた形体というものを考えまして、形体の問題に対しても一つ統制を行うという意思を表明したいと思つたのでありますが、建築形体構造の中に入る、構造の中に当然形体を含むという意見がありましたので、形体といろ字句をとつたのであります。
  12. 田中一

    田中一君 これは建築家として、そういつた考え方で十分でございましようか。これは大村さんから御返事願いたいのですが、私はそうは考えておりません。これは日本ばかりでなくて、そういう考え方は間違いだと思うのですが、どうでしようか。これは建築家としての営繕部長に伺いたい。
  13. 大村巳代治

    説明員大村巳代治君) 誠に御尤もな御意見で、私ども当初いろいろ字句表現で、意匠とか、形体とか、苦労したのでありますが、どうも法律用語として適切でないような気がいたしましたので、構造の中に入るということにいたしまして、この立案の過程で削つたわけだつたのを失念しておりまして、私先ほどの答弁にはいたさなかつたのであります。只今の御意見誠に御尤もだと思うので、今後こういう点は気を付けます。
  14. 田中一

    田中一君 今の答弁では私よく了承できないのです。せめても審議会が、これは諮問機関ですから、審議会がせめてもそうした様式の問題ですね、これは答申で勧告ができるというものでなくては、この法案は何もならないのです。現在のまま、そのままを一つ法律にまとめたというに過ぎなくて、せめてもこの精神はそこぐらいなくちやならないと思うのです。あとは合理的に便宜とか、何とかというのですが、合理的な経費の節減とか、何とかということは、これは当然でございます。併しながら審議会の欲しいと思つているのは様式の問題であります。これは先ほども申上げましたように、我々は見ることを強要されるのであります。独善的にこの様式を以て、例えば警察だからと言つて階段を十段上つてしなければならないというのが、これが警察だ、或いは裁判所というものは威風堂々としなくちやならないのが裁判所だということは、そういうものでなくて、これはこの法の精神というものがそこにあるのならば、様式こそ一番大事なポイントだと思うのであります。これを勧告する権限がこの審議会になければならないと思います。これは審議会規模とか、構造なり、位置なりをきめるのに、位置は一番便利な所を選ぶでしようし、それから規模構造もその通り、この審議会にかけて、而も委員のかたは日夜官庁建築使つてつて痛切に感ずるはずなのであります。せめても欲しいのは様式の問題なんであります。これが国民に訴える建物の姿なのでありますから、これを入れない限りはこの法案本当審議会役目はございません。こういう点で間に合えばすつきりと御修正を願いたいと思うのであります。
  15. 大村巳代治

    説明員大村巳代治君) 誠に御尤もな御意見でございますが、只今階段などの問題はこの中でやれるが、ただ外観の問題につきましては、文句に現わしようのないむずかしい面がございまして、実は困つて省いたような形とも言い得るわけなのですが、この委員会文句できめて、基準をきめるというのは、例えば法律の第一条にあるような現わし方程度のものしかきめられないのじやないかと思うのです。或いは建築方針、第四条の建築方針、正面のポーチをやめてしまうとか、具体的な基準がなかなかむずかしい問題じやないかと思いまして、まあ多少入れにくかつたのであります。
  16. 田中一

    田中一君 提案者に伺いたいのですが、実際今構造のうちに様式が入るというようなことはあり得ないのです。いろいろのものを根本的な計画を、プランをきめまして、一番問題になるのは様式の問題なんです。もう十枚でも二十枚でも絵を書いて、これがいい、あれがいいということでやりまして、殊に最近の例を申しますと、最高裁判所などでは一事務官がいろいろな絵を見て、これがいいのだ、これをきめると言つて独善的にやつておるのです。これは住むものは一番便利で且つ能率的なものがいいでしようが、あれを見ることを強要される国民は……。そういう表現をするのは様式の問題なんです。例えばあの大きなコンクリートの車寄せのあるようなものが最高裁判所を権威付けるものかも知れませんが、これは我々甚だ異議がございます。民主国家日本にああいうものの是非は、これはいろいろ議論があると思うのです。そういうことが一番大事なものじやないかと思うのであります。この官庁営繕法を制定するときにおいて、これは提案者として原案を固守されずに、尤もだということをお気付きになれば、これは私あえて提案するわけですが、同調なさることに何ら躊躇ないと思うのですが、昨日のように根本的なものをきめるのじやなくして……。
  17. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 全く田中さんの言う通りであります。私たち技術的に考えますと、たしかにデザインをやる人はデザイナーと申します。構造屋構造屋と区別しておりますが、この法律字句には確かに表現がむずかしいというように考えておつたのでありますが、あなたの言われましたその様式というような表現で現わせば現わし得ないことはない、こう思うのです。様式と言いますか、形体と言いますか、様式表現して形体を括弧の中に入れて現わすか、いずれかにすればできないことはないと思いますが、私たち原案には形体ということを入れておりましたのを、いわゆる構造の中に……、勿論この法律案をずつと初めから読んで行くと、必然的に制約をしなければならないというものは、各条項に引つかかつて来るのだから、だから私ども規模構造建築設備工期及び」というふうに表現すれば足りるのじやないか、こういうふうに考えたのですが、あなたに言われれば成るほどそれを明確にして置くということはよりいいかも知れません。
  18. 田中一

    田中一君 重ねて申しますが、提案者意図がそこにあるのじやないかと思います。ほかにはもう何もないと思います。せめてそこに官庁営繕法を出す意図が織込まれてあると思います。それがなければもう同じなんです。これもそこに決定権があるわけじやない、一つ勧告をするにとどまるのですから、それだけは是非御修正願いたいと考えるのであります。これは国民の一人として見ることを強要される我我として、いや応なしに見なければならんのです。ましてや合同庁舎の点については尚更のことだと思います。
  19. 東隆

    東隆君 私は今、田中さんと少し角度が違うと思うのですが、これは結局官庁営繕の場合に庁舎というようなものを取上げた場合に、私は田中さんのような意見が出ると思います。併し各省が独自の見地で適応した建物を作らんならん場合には、これはおのずから違つたものができて来る。それから見ようによつてはその時代を画するような、やはりいろいろな方面官庁用では独自の形体のものを作り出さなければならないと思います。画一的なものをそんなにこしらえる必要はない。そんなような意味から、私はこの法案の中で第九条のごとき場合においても、庁舎というようなものを特に取上げて今規定をするとするならば、田中さんのようなことを規定をする、それからそれ以外の特質を十分に持たせなければならないようなものについては、審議会で以て実際に審議をする場合には、その方面考えを持つているものが反映をいたしませんから、それで審議会にかける原案だけでも、十分にその各省の独自の考え方を持つたものを出して、そうして十分に説明をせられるようなことをやらんければ、これは本当のものはできんと思います。そういうような意味で私は各省が今自分のところで営繕をやりたいと、こういうふうな気持が出て来るのはそこにあると思います。その点を或る程度やはり汲み入れて行かなければならないので、若し考えるならば庁舎を分離して考えて行くとか、或いは審議会の改正の場合における審議のやり方についての專門委員というものを選ぶ場合にどういうふうにするかとか、そんなことを考えて行かなければ、これは適当したものができんと、こう考えますが、如何でしようか。
  20. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 勿論この条文をずつとお読みになつて頂くとわかるのですが、庁舎国家機関建築物といろ中になお特別な条文が適用せられるようになつております。第四条、第五条庁舎にのみ適用せられるというのであります。只今言いましたところの、田中さんが言われたところの、最高裁判所は非常に旧憲法式ないかめしいものを作る。警察も特に長いことどこへ作つて大衆に親しまれない建物を作る。いわゆる警察警察式なものを作るということが言われるのでありますが、それは勿論現在の各省各個ばらばらにやつておるところの営繕計画では、そういう観念が抜けないようでありますが、これは実地にやつておりますところの技術屋がそういう感覚の持主であり、そういう伝統をずつと守つて来た人がやつておりますので、こういうのではいけないので、画一的な一つ国家機関としての統制を行いたい。こういうのでありますから、勿論庁舎に対しては只今言う形体という問題は、第四条の中ほどに規定しておりますように、「公共施設として、親しみやすく、」というふうに規定する以外になかなかむずかしいのであります。勿論第九条は、只今申上げました庁舎をも含む一般建造物を第九条において営繕計画として規定しておるわけでありますから、その中には形体様式等庁舎以外でも特に規制をしなければならないものもあります。これは市内にありますところの糞尿の処理場とか、それから公衆便所とか、こういうものも一つの型に囚われておりまして、全く形体様式上抜本的な一つの改革をしなければならないということも考えられるのでありますが、私は審議会としては、本法案規定いたしますように、各個ばらばらなものを而も独善的な色彩の濃厚なもの等を排除して、勿論その最終の目的としては、大衆に親しまれやすく、なお且つ低廉に工費が上るようなものを規定しておりますので、実際問題としては様式統一も、構造統一も同時に行われるということは考えられるわけであります。申すまでもなく営繕管財局統一しておりましたときには、警視庁、内務省、大蔵省、文部省と本当に同じ様式建物ができましたように、実際問題として審議会統一審議をする場合には、田中さんが希望しておられるように、様式統一も当然行われるのだと考えておるのでありますが、ただここに第九条と第十条に特別に入れられたらどうかという問題に対しては、私どもとしては現在入れないほうがいいというような考えもありませんし、特に入れなければならないということもちよつと自信がないのであります。
  21. 田中一

    田中一君 私今東君に対する御説明のうち、統一をするということだけを主眼に申上げたのではないのであります。無論緑樹地帯庁舎を建てる場合には、その緑樹地帯にマツチしたような、ふさわしい我々の親しみやすい、ここにある通り、親しみやすいものにしてほしいということであります。例えば海岸地帯に作るならば海岸にふさわしいもの、こういうものは常識的にめいめいが考えておるのだとおつしやるけれども、併しこれをせめて審議会がそれに対する勧告を行うぐらいの余地がなくては何にもならんのですが、それじやもう何にもならん、皆さんのほうが各役所営繕部のほうが、自分のところの住む建物自分で作るのだから、一番便利な一番いいものを作るのだと言われるとおしまいなのです。それはこの法の制定の精神でなかろうと思う。而も統一するとか、何とか言うことは第二としても、せめてそうしたものを、国民の、我々の側から出る審議会委員なんです。委員に入つておるわけですから、この人たち勧告する権限を与えることは、これはもう当然のことだと思う。それがこの際そのことがどつちへ行くんだか、できないならできないで結構です。できないから次の機会御返事ということならば結構ですけれども、それを否定するような提案者の御説明であり、大村営繕部長御返事はつきり御返事がないようですが、それができないのだというのなら止むを得ません。
  22. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答え申上げます。第九条の二項、「当該建築物位置、」その次に、「様式形体」の四字を加えて「規模構造、」第十条第三項の「建築物位置、」その次に「様式形体」の四字を加えて「規模」ということとすることは適当だと思います。思いますが、会期切迫の今日でありますので、なお本条は昨日も御質問がありました通り、第一の出発でありますし、なおこれから研究の余地も十分あるのでありますし、なおこの四字を付けないことによつて、本法案の使命が全然達成できないというのではありませんので、でき得るならば一つ次機会に御修正願えば結構だと、こう考えております。
  23. 田中一

    田中一君 この点これで了解いたしました。次にお伺いしたいことは、第二条の二の規定、昨日もこの点について申上げたのですが、庁舎定義、例えば庁舎というのは、一定敷地内において、或いは塀を廻らすとか、或いは用地が庁舎なりという定義を持つておるものか、建物それ自身庁舎という定義か、その御見解を承わりたい。
  24. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 申上げるまでもなく、社会通念による庁舎でありまして、建物全部を庁舎と指すわけであります
  25. 田中一

    田中一君 建物全部と言いましても、例えば警視庁は、あの三角型の建物だけは庁舎言つて、あの敷地の中全部を庁舎と言わないでしようか。
  26. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これは建物登記を御覧になるとおわかりになる通り、一筆々々全部登記をやつております。一棟、俗に言う一棟の建物を指すのであります。現在の警視庁の中に、一つ敷地の中に建つておりますものでも、主体のあの建物は全部庁舎でありますが、中に附属するところの自動車ポンプの置場とか、倉庫とかというものは庁舎から除かれるものであります。勿論この中に小さな便所等があれば庁舎ではありません。
  27. 田中一

    田中一君 私は法律に暗くてはつきりそれはわからないのですが、我々の社会通念から行けば、警視庁はあの敷地内におけるところのもの全部庁舎考えられるのです。若しも強いてむずかしく言えば、本庁に附属する建物、こう見るのが通念じやないかと思うのです。例えばあそこに予備隊庁舎庁舎ですけれどもね、予備隊庁舎があります。裏にあるのですね、これは本屋警視庁本屋に附随するところの庁舎、こういう見方をするのが正しいじやないかと思うのですが、その御見解如何です。
  28. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) それは非常に、個々に分けなければ庁舎であるか、宿舎であるかということは言えないと思いますが、大体の社会通念でこれが庁舎というのは、国会の庁舎は現在私たちがおります、これが庁舎であります。この敷地内のうしろ建物庁舎であるかというと、これは宿舎などに使用せられておるものは庁舎ではありませんし、うしろにある議員会館というがごとき、議員が常時執務を行うという条件の下に建てられたものは庁舎である、こういうふうに考えるのであります。これは個々に分けて見ないと、なかなか表現のしにくいものである。ただ一つの、警視庁敷地の中で以て、本屋庁舎であつて、その繋がる予備隊の小さな建物庁舎でないかと言うよりも、これを逆に申しまして、一万坪というような大きな敷地の中にあるものは、実際常時事務をとるところが庁舎でありまして、そのほかに車庫とか、工場とか、宿舎とか、いろいろなものがあるのでありますが、これは庁舎定義から抜いてあるわけであります。
  29. 田中一

    田中一君 大村部長に伺いますが、今提案者の御説明で、ちよつと私も疑義がありますが、大村さんの御見解はどうです。
  30. 大村巳代治

    説明員大村巳代治君) 全く同一です。
  31. 赤木正雄

    赤木正雄君 昨日質問をいたしましたが、第二条の二項の「国家機関がその事務を処理するために」、これは常時事務を処理する、こういうふうな御答弁がありましたが、やはりこれは法文においても常時と、そういうふうに訂正したほうがはつきりしないでしようか。
  32. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) これもですな、常時、私も昨日の御質問によつてあとから考えて見たのでありますが、成るほど常時事務を処理するところを庁舎というのでありますが、赤木先生のお考えになるものは、ただ事務を処理するところというと、一週間に一遍ずつ会議を開いて事務を処理する、そういうふうなものが、とんでもない費用か何かで以て邸宅等を購入しても庁舎と言うかというような虞れで以て言われたと思うのですが、やはりその事務を処理するというのは、社会一般的通念から考えまして、事務室ということを申上げておるのでありまして、その定義として常時事務を処理するというところまで明確にしなくてもいいのではないか、今までの、在来の法文の現わし方も私たち字句として現わす場合、大体こういう平易な現わし方で現わしておりますので、常時という言葉を入れなくてもその虞れはなくなるのではないかというふうに考えております。
  33. 赤木正雄

    赤木正雄君 もう一つお伺いしたいのは、仮にこの法案が通過いたしました場合に、現在各地方に建つている庁舎、これは或いは第四条に該当しない、つまり親しみやすく、便利且つ安全なものでなければならない、こういうような観点からして、又新らしい位置にこれを建て替える、そういうところがたくさん出て来るかも知らんと思いますが、それに対して、どういうふうなお考えを持つていらつしやいますか。
  34. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 勿論そういうものがたくさんあります。これから建てる建物に対しまして、その轍を履ましたくないということが目標でありまして、だんだん財政が許す範囲内において、こういうものは改善して行かなければならない、こう考えておるのでありますが、現在非常に遠い所に建てられて、全然庁舎としての本旨に反したような建て方をせられたものでありましても、これが老朽もせず、腐朽もしておらない、而も財政がこれを許さないという場合には、実際的にはこの法律によつて、直ちにこれを新らしく建直すというようなことは不可能であろうと思いますが、本法精神は少くともこれから建てられるものに対しては、合同庁舎なり、まさに大衆施設として国民に親しまれるような、而も便利で安全なものを作つて行かなければならない、こういうふうに規定しているわけであります。
  35. 赤木正雄

    赤木正雄君 これは多少関連しますが、これは営繕部長にお伺いしたいのですが、実際問題として参議院の副議長の公舎、これが三つあるとか、建つたとか、二、三日前の新聞の夕刊に出て、今日問題になつています。これはどうなつているのですか。
  36. 大村巳代治

    説明員大村巳代治君) この予算は、公務員住宅の予算の中から参議院事務局がおとりになつて、公舎の買入費としておとりになつたように記憶しております。私のほうは関係いたしておりません。
  37. 田中一

    田中一君 地方における出先機関、これと地方自治体とが、非常にそのほうが便利だと言つて合同庁舎を作る場合も考えられると思うのです。その場合にはどういう、この法律には規制しておりませんけれども考えられるわけなんですが、この場合には、どういう何と言いますか、ものを適用してそれを許可するのですか、実行するのですか
  38. 大村巳代治

    説明員大村巳代治君) 従来も、県にあります警察庁舎というのは公共団体のものと一緒に建つてあるものがございます。費用の区分さえはつきり付けばやり得ると思います。
  39. 田中一

    田中一君 それは維持費の区分はどういう形でやるのですか、昨日お話のような按分、使用面積の按分でやるというわけですか。
  40. 大村巳代治

    説明員大村巳代治君) 今申しましたのは建設費の問題でございます。結局面積の比率で行くよりいたし方ないと思います。
  41. 田中一

    田中一君 維持費も従つてそれと同じでありますね。割出し方は……。
  42. 大村巳代治

    説明員大村巳代治君) そうでございます。
  43. 田中一

    田中一君 もう一点伺いたいのです。審議会に昨日お話では、その委員の中に都市局長を置かれる、そういうような御説明がございましたが、都市の美観と言いますか、都市問題について役人だけがこれに参画するということは当を得ないと思います。やはりいろいろ都市計画局で指定しておりますね、緑樹地帯を指定したり、何かする、それはその是非は別としまして、実際にそこに庁舎を持つということになりますと、やはりそういう面の民間の権威者と言いますかを入れなければならんと思うのです。これが非常に民主的なものだと考えられるのです。これについて委員の構成の上にそういうことをお考えになつておるかどうか、或いは考えていなければ、考えるおつもりか、どうか伺いたい。
  44. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。勿論地域の問題、構造の問題、意匠の問題等、全面的に亘つて審議をいたすのでありますから、これが都市計画の面に対する問題を処理するために都市局長だけを入れるというのではなく、早大、日大等のその道の先生にお入り頂くというのでありますので、十分御意見を達成できる、こういうふうに考えております。
  45. 赤木正雄

    赤木正雄君 先に田中さんの質問様式ということが随分出ましたが、昨日のお話によりますと、元海軍省の跡にあるのが、やはりあれは合同庁舎なんであります。それはどういう様式になつておるか、そこにお持ちになつておるなら見せてほしい。
  46. 大村巳代治

    説明員大村巳代治君) 今とりに行つております。
  47. 東隆

    東隆君 この問題に先ほど田中さんがちよつとお触れになつたようですが、私は官庁営繕の場合に中央中心に考える場合、日本の国は非常に不自然だと思う、それは東西に長い国でなくて南北に長い国、そういうような関係で、私は北方の場合において特に耐寒設備ですね、そういうようなものをこれは大きく取上げて行かなければならんと思うのですが、そういう面が出て来るとによつて公務の能率の増進に大きな問題が出て来る、これを何ですね、そつちの方面に理解のないものが査定をするとか、いろいろの問題が入つて来れば、これは非常にむずかしい問題になるわけです。殊に予算の面なんかに重大な関係がある問題ですから、これをどういうような形で以てアジヤストして行きますか。
  48. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。東さんが言われる通り、誠に沖縄と北海道はもう全然違うのでありまして、これが単価、規模構造、意匠等まで全然変つて来るわけであります。北海道等の問題につきましては、窓を二重にするとか、保温設備をどうするとか、いろいろ当然起きて来るわけでございまして、その意味におきましては、審議会におきまして、專門家を委員に委嘱しておりますのと、それから今までのずつと長い過去のデータがありますので、こういうものや、新らしいデータによつて十分なる検討は審議会において加えられ、そうして今まででも各地域別によつて単価の差は全部あつたのでありますけれども、こういう問題に対しても審議会は十分検討せられ、そうしてその地域に適合するように立案もせられ、計画も立てられ、又実施もせられるのでありますが、要求する官庁そのもの自体もこういう特殊性のものを今までも作つておりましたので、これが経験も生かして実施上において過ちのないような計画が作られ、決定せられる、こういうふうに考えておるわけであります。
  49. 小林英三

    委員長小林英三君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止
  50. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて……。
  51. 赤木正雄

    赤木正雄君 第四条の「庁舎は、国民公共施設として、親しみやすく、便利で、且つ、安全なものでなければならない。」、これはわかつております。併しこれには中に住む人のことは少しも書いてない。実際私どもは元内務省、現在の人事院、あのビルで立派な建物ができたと喜んでいたんです。ところがこれは営繕管財局で作つたんですが、あの北側の室を見てごらんなさい、室を北側にせず、南側にすれば日光がよく当るのに、室はみんな北側にしてある。日光は廊下ばかり、中に入つておる人は皆困つておる、何故これを入れない。
  52. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) いやもう誠にその通りであります。第四条は外から使う人のために規定をいたしておりますし、第五条に「庁舎は、それぞれの用途に応じて、公衆の利便と公務の能率上適当な場所に建築しなければならない。」、なおずつと後段にもあります通り、公務の能率を向上するためには、提案理由説明のときにも申上げた通り、電気設備、衛生設備その他能率向上のために、もう一つは公務員の衛生保持のために万全の措置を講ずるために本法を制定した、こういうふうになつておりますので、御了承願いたいと思います。
  53. 赤木正雄

    赤木正雄君 それはどこにありますかね、衛生の問題は……。
  54. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 第九条におきまして、構造建築設備工期、いわゆる建築設備も今までのように簡単なものであつてはならない。私が本法の制定の主要なる目的を御説明申上げた後において、赤木さん、田中さんの御質問に対しても答えました通り、できるならば面積の問題もアメリカ式に一人当り三坪くらいにならなければならない。而も衛生設備の完全も期さなければならないし、現在のように一坪幾らというふうな物指しで以てやるべきでなく、電気もアメリカのように螢光燈の設備にするとか、十分に調整をして向上を図らなければならないために本法を制定願うのだということは、御説明申上げた通りであります。
  55. 赤木正雄

    赤木正雄君 これほど立派な官庁営繕ができるのでありますから、やはり私が先に申しました通り、単に外からの人のみ考えずに、殊に中には大きな公共施設というものがあり、職員は或いは万を数えるかも知れない、或いは建設省でも、あの人事院のビルに数千の人がいるのであるから、やはり住む人のことを、第四条に住みやすくということを当然入れるべきものだと私は思う。これは私は修正したほうがいいと思う。
  56. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 赤木先生の言われる通り、もう赤木先生は長いこと、曾つて二十年前に官庁施設としては最高のものであるといわれる旧内務省の建物の中にお住みになつてさえも、而も相当高い地位のお方としてお住みになつても、なお且つそういうことでありますので、これは当然でありますが、勿論末端的な官吏が狭いところに詰め込まれて一生を勤めているのでありますから、これはもう当然のこととして考えなければならない問題でありますが、第五条に、赤木さんの言われるような趣旨は当然書かなくても、本法目的とするところはそれでありますので、できるならば修正をしてきめたほうがよろしいという御意見に対しては賛成であります。賛成でありますが、先ほども申しました通りの事情によりまして、近く又いろいろ御審議を願うのでありますから、このたびは一つまあ、理由の説明にも諄々と申上げました通り、内容は別にウエイトを軽く見たのではないという私の説明によりまして、何とか一つお通し願いたいと、こう考えます。
  57. 赤木正雄

    赤木正雄君 これは今修正しても、恐らくこの国会中には十分発議者の心配のないように通ると思います。でありますから、殊に庁舎の中には多くの公務員がいるのだ、それを考えて、公務員に十分安心をさせる、その意味からも修正をしてきめたほうがいい。恐らく発議者の御心配のないように通過すると思いますから……、この国会中にですね。
  58. 田中一

    田中一君 議事運行。私もそういう修正の提議をなしたのですが、これもこの際は撤回いたしますから、もうこれで審議を打切つて、討論を省略し、採決に入つて頂きたいと思いますが、如何でしようか。
  59. 小林英三

    委員長小林英三君) 只今田中君から、質疑を打切つて討論を省略し、直ちに採決に入りたいという動議がございましたが、御異議ございませんか。
  60. 赤木正雄

    赤木正雄君 多数で審議を打切りなさるというのはいいですが、併し今私が申しました多くの公務員、各官庁に住んでいる人の意思がはつきり反映していない。それはこの委員会で反映されなかつたということは残念だと思います。それを委員長が勝手に処理なさるなら勝手に願います。
  61. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは本案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を願います。    〔総員起立〕
  62. 小林英三

    委員長小林英三君) 全員であります。よつて本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議におきまする委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によりまして、予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を御報告することとして、御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議ないものと認めます。  それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の署名を附することに相成つております。どうか本案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     岩崎正三郎  赤木 正雄     小川 久義  平井 太郎     島津 忠彦  深水 六郎     三輪 貞治  田中  一     徳三 宗敬  東   隆
  64. 小林英三

    委員長小林英三君) 御署名漏れはございませんか……御署名漏れはないものと認めます。   —————————————
  65. 小林英三

    委員長小林英三君) 次は建築士法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては別に御質疑はないようでございますから、御質疑はないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正御意見のあるかたは討論中にお述べを願います。
  66. 田中一

    田中一君 私は衆議院から回付されました法案に対しては異議はないと思います。異議はございません。併しながらこれに一つ当然加えられなければならないものが抜けたので、その理由を御説明して一部修正をお願いしたいと考えるものであります。  第一には第三条の改正規定中「左の各号に掲げる建築物建築基準法第八十五条第一項又は第二項に規定する応急仮設建築物を除く。以下同様とする。)」の「以下同様とする。」というのを「以下この草中同様とする」と修正いたしたいのです。これはこの改正案を全部お読みになれば当然のことであることはおわかりになることと思います。次にこの法案の中の附則に次の一項を加えて頂きたい。それは了といたしまして、  土地家屋調査士法(昭和二十五年法律第二百二十八号)の一部を次のように改正する。  第三条第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。  三 建築士となる資格を有する者  第四条第五号の次に次の一号を加える。  六 建築士法、昭和二十五年法律第二百二号)(第十条の規定により免許の取消の処分を受け、その処分の日から二年を経過しない者  第八条第四号中「又は第五号」を「、第五号又は第六号」に改める。  以上のように修正を提案いたします。理由は今までの審議の過程において十分御説明してありますから省略いたします。
  67. 小林英三

    委員長小林英三君) 他に御意見はございませんか……。御意見はないようでございます。討論はこれにて終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議ないものと認めます。それではこれより建築士法の一部を改正する法律案について採決を行います。先ず討論中にありました田中委員の修正案を議題に供します。田中委員提出の修正案に賛成のかたは起立を願います。    〔総員起立〕
  69. 小林英三

    委員長小林英三君) 全員であります。全会一致でございます。よつて田中委員の修正案は可決されました。  次に只今採決されました田中委員の修正案にかかる部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成のかたの起立を願います。    〔総員起立〕
  70. 小林英三

    委員長小林英三君) 全員でございます。よつて建築士法の一部を改正する法律案は修正議決と決定いたしました。  なお本会議におきまする委員長の口頭報告の内容につきましては、すべて先例に従つて行いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議ないものと認めます。  なお先例によりまして、本案を可とされたかたは順次多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     岩崎正三郎  赤木 正雄     小川 久義  平井 太郎     島津 忠彦  深水 六郎     三輪 貞治  田中  一     徳川 宗敬  東   隆
  72. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは暫時休憩いたします。    午後三時一分休憩    —————・—————    午後三時五十五分開会
  73. 小林英三

    委員長小林英三君) 休憩前に引続いて委員会を開きます。それでは次に北上川開発法案について、発議者高橋進太郎君より提案理由説明を聞くことにいたしたいと思います。高橋君お願いいたします。
  74. 高橋進太郎

    委員議員(高橋進太郎君) 只今議題となりました北上川開発法案につきまして、提案者を代表いたしまして、提案の趣旨を御説明申上げます。  北上川は御承知の通り岩手、宮城両県に跨がり延長二百四十三キロ、その流域面積百二十万町歩に及ぶ本邦第三位の大河であります。而して宮城、岩手両県は我が国の重要なる食糧生産県であり、昭和十八年より二十二年の七カ年平均によると、年二百八十四万石の生産を上げているのでありますが、その中心穀倉地帯はこの北上川流域であり、人口百五十万がこの地帯にその生業を託しているのであります。  然るにこの地帯は、古来水害地として有名であり、明治初年より今日まで重要なものだけで九十回の水害に見舞われ、昭和二十二年より二十四年に至る三カ年間における災害復旧費のみで二百億円を超える状態であり、農業を主とするこれら住民の生活は困窮し、地方財政も破綻に頻しつつある実情であります。  かかる災害頻度の多いのは、気象的条件にもよるのでありますが、流域全体に亘る水源の荒廃と水害防除施設の放置がその大きな原因であることは明らかであります。よつて岩手、宮城両県の当局者並びに県民が、二十二年以来、各方面の権威者の意見を聞き、地元民の体験と希望を容れて抜本的災害防除の施策を立てるべく考究して参りましたその結論が、お手許に配付してあります北上川流域綜合治水事業計画書であります。即ち本地域に対し、治山、治水、利水事業を水系別に総合一貫した事業を施行し、国土の保全を図ると共に積極的に土地生産力の増強を図ろうとするものでありますが、特に二毛作田の造成と耕種の改善により、食糧八十万石の飛躍的増産も可能であり、米一本にたよる不安定な東北型農業経営の改善を期することのほか、我が国において残された最も有望な本地帯の未開発資源を開発して、我が国経済自立体制の確立に資し、併せて多年後進地帯として取残された東北の振興に新らしい光明を与えることが国家的緊要事と考えるものであります。  これがため本法案を提出いたした次第でありますが、その法案の内容については、中央に開発審議会を設けて総合計画の策定をなし、これを十カ年計画として実施することとし、その推進を図るため、北上川開発庁を設けようとすることを趣旨とするものでありますが、その内容の詳細は先に審議可決されました利根川開発法案と同様でありますので、説明を省略いたします。何とぞ御審議の上、満場の御賛成を賜わりますようお願い申上げる次第であります。
  75. 小林英三

    委員長小林英三君) 只今提案理由説明を聞きましたが、本法案に対する質疑は次回に行いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  77. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは次に特別都市計画法の一部を改正する法律案について質疑を行います。速記をとめて下さい。    〔速記中止
  78. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて下さい。
  79. 八嶋三郎

    ○政府委員(八嶋三郎君) 土地を余計もらつたからということは、これは今申上げたように、過小宅地あたりで、実は非常な貧乏なところだろうと私は思うのですが、そういうような人にはやはり住みよいだけの土地というものをくれてやらなければならない、余計やらなければならない、そういう人から一時に全部金を納めろというのも酷ではなかろうかという工合に考えられます。従つてたくさんの土地を持つておる者は、多少金をもらうときには遅くても少し我慢してくれないか、その代り土地の少い人にはやつて、そうしてそういう人から一時に金をとるのも少し無理じやなかろうか、こういう考え方もあるわけです。
  80. 田中一

    田中一君 当然余分な土地をもらつた人は間口も一間のものが二間になつたと言えば、商売すれば商いの面もあるでしよう、そういう者から一遍に金がとれないから、二間間口が一間になつてしまつて、そのために……。或いは二軒が同じ商売とする、片一方は一間のものが二間になる、片一方は二間のものが一間になつておる、こつちからもらえんから、お前には分割払いするのだぞということは(これは民主立法じやないと思うのです。私は先般来土地収用法についていろいろ特別都市計画法との関連があるものですから、その線で以て勉強し、文献を調べても来たのですが、あの法律は大体非常にいいと思うのは、今のこうしたようなものを除去するのです。今度の改正案というのはこういう困つているもの、少くとも営業が衰頽に陥つた、間口一間のものが二間、三間というふうになる、それが商人の希望なんですよ。店がだんだん盛んになるという仮定をして、盛んになるというものにも分納を認める、その代り店が衰頽するという店構えを持つているというものにも、あいつからもらえんから、お前には分割払するのだということは、確かに今日の民主立法じやないと思うのです。
  81. 島津忠彦

    ○島津忠彦君 今田中さんの言われるのも御尤もだろうと思うのですが、この操作を何か政府でやられるような方法はないものでしようか。
  82. 八嶋三郎

    ○政府委員(八嶋三郎君) 今のお話の点はよくわかりました、御趣旨は……。併しやはり分割交付の制度を認めて置かなければ、却つて事業施行者のほうは金をくれてやる時期を遅らしてしまう、入つて来る金がなくなつてしまうものですから……。
  83. 島津忠彦

    ○島津忠彦君 ですから、その期間の間政府で以て何か操作される方法はないものですか、例えば起債を認めるとか何とかして、その間の金が入つて来るまでの操作ですね、政府でできないものですか。そうすれば田中さんの言われることが実現するのではないかと思います。
  84. 八嶋三郎

    ○政府委員(八嶋三郎君) 現在のところ起債の枠というものが抑えられてしまつておるものですから、どうしても自分のほうで公共事業でやろう、殊に補助金でもやるというものの起債の裏付ですね、例えば私のほうで言つて見れば、公共事業につきましては、半額国庫補助することになつておるのですけれどもあとの半額につきましても、全額起債を認めてくれたというのは一つもないのであります。それのうちの貧弱な町村において大体七、八割、中以上の都市だと二割乃至三割という形なのでございます。従つて地方財政の立場としては非常につらいという形なんです。ただ御承知の通り区画整理によりまして家屋の移転をするという場合に、解体して壊しちやつて、そうして別個の所に新らしい家を作るという場合におきましては、これは家屋の数が殖えて行くのではありませんけれども、この点につきましては、住宅金融公庫から低利資金を融通させまして、そうして家屋の新築をやらせる、これは国全体から考えて見ますれば、プラスにならないのですが、併しこれは一つ考えてもいいだろうということでやつておるわけです。
  85. 田中一

    田中一君 ちよつと私聞きますが、まだ質問が相当ございますから、ほかに……。
  86. 赤木正雄

    赤木正雄君 どうも田中さんの言われるのも理窟があるように思うのです。清算金を徴収する場合に分納制度を認めるべきだと、清算金を交付する場合に分割交付の方法を認めていなかつたのを……、今までいわゆるこの法案を制定する場合にはそれのほらがよかつたんでしようか、どうか。もともとこの法律を作つた場合には、どうも田中さんの言われるほうが理窟があるような気もする。
  87. 八嶋三郎

    ○政府委員(八嶋三郎君) 立法当時の事情は私どもその当時おらなかつたので、よくわかりませんけれども、又その点も記録には残つておりませんけれども、その当時は国にいたしましても、地方にいたしましても、この戦災復興事業というものを速かに大々的にやつてしまおうと、数年のうちにやつてしまおう、こういう気持のあつたことは事実なのでございます。従つてくれるときには一時にやろうという気持であつたのだろうと思いますけれども、だんだん今日のように地方財政も国の財政も非常に逼迫して来ておると、而もくれるときには早くくれてやらなければいかんじやないか、一分でも成るべく早くくれてやろうじやないか、そのためには分納制度を認めた以上は、金の入つて来る、それによつてやらなければならんですから、多少公共団体もやれということになるでしようけれども、併しその場合に全部それをやつちまえといわれたときに非常に困るだろうというので、今日実際の点、実情に立ち至つて見まして、こういう制度を認めなければ却つて御不便を与えるのではないか、前の事情と今日の事情とは実際問題に当つてつておるということが、今回まあ改正したいという趣旨なのであります。
  88. 小林英三

    委員長小林英三君) それからなお皆さんにお諮りいたしますが、二十五日の農林委員との連合委員会につきまして、農林委員会のほうでは、林野庁長官と、それから林政局経済課長を呼んでおるそうです。建設委員会側としては、そのほかに何か御希望はありませんか。
  89. 赤木正雄

    赤木正雄君 それじややはりついでに建設省の河川局長、河川局長がいなければ、河川次長を呼んで頂いたらよくはありませんか。
  90. 小林英三

    委員長小林英三君) 承知しました。
  91. 赤木正雄

    赤木正雄君 交付するのに、分割交付というのはどうですかね。
  92. 八嶋三郎

    ○政府委員(八嶋三郎君) どうも分納という制度を廃止するなら、これは分割交付ということもまあやめなければならんと思いますけれども、分納を認めておつて、その金を一応基本にしてやるということになりますれば、どうしてもこの分割交付という制度を認めなければ、却つてその人たちに対して交付の途というものを遅らしてしまうのじやないかということに、どうしても実際問題としてはなるのでございます。
  93. 小川久義

    ○小川久義君 田中さんどうですか。
  94. 田中一

    田中一君 いやまだあります。じや二十四条、次のやつを一つ説明願います。
  95. 八嶋三郎

    ○政府委員(八嶋三郎君) この二十四条は、いわゆる清算金の概算の徴収、概算の交付という実は規定なんでございます。これは御承知の通りに、精算ということは換地処分が全部終つた後でなければできないということに実はなつておるのでございます。ところがこの特別都市計画法によつて換地予定地というものを指定してやるのでございます。そうなりますと、換地予定地を使用収益することが、自分の行くべき土地というものを指定されますと、そうすると、従前の土地については使用収益の権利を失つて、そうして新たなる土地について使用収益の権利を取得するという形になるのでございます。その際において全部換地処分が正式に終つてしまつて、工事も全部終つちやつてでなければ清算金ももらえん。清算金の交付もせんということでは、これも又非常に不均衡にもなりますし、気の毒である。従つてまあ清算金の概算で、とにかく換地予定地の指定が終つたら、予定地の指定だけ終つたら一応清算金の概算徴収、いわゆる仮清算を一つして置こうということです。いわゆる精算の時期を一部繰上げて早くして、そうしてやつてやろう、ころいう実は規定なんでございます。趣旨としましては……。そこで但しこの場合においては第二項は「前項の規定による清算金の概算徴収については、第二十六条において準用する都市計画法第二十四条第一項の規定により国税滞納処分の例により滞納処分を行う場合においても、国税徴収法第二十四条の規定による公売は、これをすることができない。」と、こう書いたのは、いわゆる仮精算でございますから、仮精算の金もその場合においては国税滞納の例によつて強制徴収ができる形になつているのでございます。これは法律上今までなつておりますが、只その場合においては、国税徴収のうちのいわゆる督促、差押、公売という三つの段階があるのでございますが、そのうちの公売だけはこれはやめて置かなければならん。最後の精算に至つて初めて行うべきものであつて、途中においてそういう公売というところまでは行かない。併し督促並びに差押という程度は、これは仮精算という段階においてもやつて、そうしてとるものはとつて、早くくれてやるということにしたほうがいいのじやないかというのが、いわゆる改正の二十四条の第二項の規定なんでございます。それからあとは精算に関するいろいろな手続とか、いろいろな細いことが書いてございますが、それを準用しておるという規定なんでございます。それから第四項というのは仮精算でございますから、いよいよ換地処分の認可の告示があつたというときには、これは直ちに本精算に移つて精算してしまえという規定なんです。それから第二十七条中という五項に書いてあるのは、抵当権に関する金銭供託の規定だけでございます。これは別に大した大きな意味のあるものじやございません。大体そいうような趣旨なんで、これは概算徴収、概算交付ができるという途を開いておるのでございます。こういう趣旨でございます。
  96. 田中一

    田中一君 私この法律案の問題、明日まで採決を待つて頂きたいと思うのでございます。もう少し自分で調べて見たいと思うのであります。
  97. 小林英三

    委員長小林英三君) そのほか御質問は……。
  98. 小川久義

    ○小川久義君 今田中委員の要求もありますし、採決は明日まで延ばすことに異議ありません。本日はこの程度で散会して頂きたいと思います。
  99. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは本日はこれにて散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 小林英三

    委員長小林英三君) 明日は公営住宅法案、土地収用法案、それから只今特別都市計画法の一部を改正する法律案議題といたします。本日はこれにて散会いたします。    午後四時十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            島津 忠彦君            平井 太郎君            深水 六郎君            田中  一君            三輪 貞治君            徳川 宗敬君            東   隆君   委員委員    高橋進太郎君   衆議院議員    田中 角榮君   政府委員    建設省都市局長 八嶋 三郎君   事務局側    常任委員会專門    員       武井  篤君    常任委員会專門    員       菊地 璋三君   説明員    建設省管理局営    繕部長     大村巳代治