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1951-05-21 第10回国会 参議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十一日(月曜日)    午後二時十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建築士法の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○土地收用法案岩沢忠恭君外六名発  議) ○証人喚問に関する件 ○連合委員会開会の件   —————————————
  2. 小川久義

    理事小川久義君) 本日は、委員長が所用のため欠席されましたので代つて委員長を務めます。  これより委員会を開きます。先ず建設士法の一部を改正する法律案を問題に供します。先ず提案者の御説明をお願いします。
  3. 淺利三朗

    衆議院議員淺利三朗君) 建築士法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして提案理由を御説明申上げます。  さきの第七国会において成立いたしました建築士法第三條の規定によりまして、建築物用途規模構造等により特に建築物としての質を確保する必要のあるものについては、建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならないこととなつてつたのであります。その建築物種類及び範囲は、別に法律で定めることとなつております。この趣旨によりまして、建築士法の第三條を改正し、且つ第三條の二を加えまして、建築士でなければ、設計又は工事監理できない建築物種類規定いたしました。  これが今次改正案の要点でありまして、これに伴つて用語意義報告義務、その他若干の附随的改正條文の整理を行うと共に、附則によつて建築基準法の一部に必要な改正を加えたのであります。以下逐條的に御説明いたします。  先ず第二條は、用語意義でありまして、「設計」と「工事監理」の定義に、それぞれ「その者の責任において」と加えたのであります。これは、單なる補助的な立場でこれらの業務に携る者は含まないということを明かにしたのであります。これと共に新たに今次の改正案において用いられました「大規模修繕」、「大規模模様替」、「延べ面積」、「高さ」、「軒の高さ」及び「階数」の六つの用語意義を、それぞれ建築基準法定義を引用して規定いたしました。  次に第三條を改正いたしまして第一項において一級建築士でなければ、設計工事監理できない建築物につきまして、第一号は学校、病院、劇場、映画館等用途の上から、第二号は鉄筋コンクリート、鉄骨造等構造の上から、第三号は規模基準として規定いたしました。これは用途上、構造上、又は規模の上から見て、その建築には相当高度の技術的能力を必要とするものでありまして、一級建築士設計工事監理を要すると認められるものであります。  第二項は、第一項各号の建築物増築改築、大規模修繕規模模様替等をする場合におきましては、その工事部分についてのみ、第一項の規定を適用することを明らかにしてあります。  第三條の一は、第三條と同様な規定方法によりまして、一級又は二級建築士でなければ設計工事監理できない建築物規定いたしましたものでありますが、特に第三項におきまして、都道府県土地の状況により必要と認める場合には、一定の区域又は建築物用途を限り、條例でこの條の面積に関する規定を増減できるように委任いたしております。これは二級建築士知事の免許を受けるものであることと、更に地方の特殊事情によつて特例を設ける必要がある場合のことを認め、特にこの規定を設けたのであります。  次に第十條に一項を加えてありますが、これは建設大臣又は知事が出頭を求めた参考人に対して、その日当旅費等を支給するという規定でありまして、現在の建築士法にこの規定がありませんために、日当旅費等の支給に疑義を生じますので明確にいたしたのであります。  第二十六條は、建築士事務所に対する知事監督権に関する規定でありますが、この改正に伴い新たに第三條、又は第三條の二の規定に違反した場合の監督権を加えたものであります。第四号は、建築士事務所を管理する二級建築士、第五号は、建築士事務所に属する二級建築士、第六号は建築士事務所に属する建築士でない者が違反した場合であります。  第二十六條の一は、同様に知事建築士事務所に対しまして、この法律施行について必要な報告を求めることができる規定であります。これは建築士事務所に対する都道府県知事の行う監督上必要な規定であります。  第三十五條は、罰則の規定でありまして、この改正に伴いまして、第三條又は第三條の二の規定に違反して建築物設計又は工事監理をした者の場合を新たに第三号に追加規定したのであります。  次は附則について申上げます。施行期日を特に明年四月一日といたしましたのは、建築士その他一般の建築主に対しまして、この改正による新らしい規定を周知せしめると共に、これに対して十分の準備期間を持ち得るようにいたしたいと考えたためであります。  附則の第二項は、建築士法改正に伴いまして建築基準法の一部を改正いたしましたものであります。先ず建築基準法五條のうちに第五條の二を加えたものでありますが、この第五條の二第一項は、さきに御説明いたしました第三條及び第三條の二に規定する用途構造規模建築物工事は、それぞれ第三條又は第三條の二に規定する建築士設計によらなければすることができない旨を、又第二項は、建築主は、これらの工事をする場合においては、建築士である工事監理者を定めなければならない旨を規定したものであります。これは第三候及び第三條の二の規定建築士その他の設計者工事監理者規定するものでありますが、これと関連して、第三條及び第三條の二に規定した種類建築物の質の最低基準を確保するために、これを建築物規則の面から建築主工事施工者に対して規定したものであります。その他はこの改正に附随したものであります。これを以て簡單ではありますが提案理由説明を終ります。  なお、本案の成立の経過につきましては衆議院におきましては建築士法の一部改正に関する小委員を設けまして相当審議を重ねて成案を得た次第であります。何とぞ愼重御審議上速かに御賛成を賜わりたく、ひとえにお願い申上げます次第であります。
  4. 小川久義

    理事小川久義君) それでは直ちに質疑に入りたいと思います。御質問のかたは順次御質問を願います。提案者がおいでですから質問がありましたらお願いします。
  5. 田中一

    田中一君 指導課長がお見えになつておるから、指導課長ちよつと伺いたいと思うのですが、建築士がその仕事を、設計を始める前に敷地測量、又は高低などを調査いたしますね、この場合には、これは建築士がしておつたものか、或いは他にそうした者を求めて他の業者にやらしたものかどうか伺いたいと思つておるのですが、建築士設計にかかる前に、その敷地測量とか高低測量とかそうしたものをやりますね、設計前提として、地質調査とか、そういつたものは、一体建築士がそういうことをやつておるものですか、やつていないものですか。
  6. 内藤亮一

    説明員内藤亮一君) 只今の御質問建築士建築設計をいたします場合に、敷地測量高低測量だとか、或いは平板測量を、その建築士自身或いはその建築士補助者が実際測量するのか或いは他に依頼しておるのか、通常の場合はどうかというような御質問と存じましたが、通常の場合、例えば東京都内で申しますと、三十坪、五十坪の木造の建物住宅は勿論のこと、銀座辺事務所なんか普通の建物を建てます場合は、大体官庁方面への、東京都への建築の出願にいたしましても、設計者のほうで土地測量をいたすわけであります。これは建築基準法規定になりまして、一定空地割合が要るわけでありますから、一定空地割合に合つておるかどうかということを調べますためにも測量いたします。自己において或いはその補助者測量いたします。非常に特殊な場合となりまして大きな敷地になりますと、他に専門家に依頼するという場合もないでもないのでありますが、通例の場合は、みずからが、或いはその建築士補助者であるものが建築士責任においてやる、測量を実施するというのが通例だと思います。
  7. 田中一

    田中一君 そうしますと、自分が設計をする建築物に対する今のような敷地の測定或いは測量などというものは、建築士業務の一部になつておるものですか。それともそうでなくですね、業務範囲に入らないものであるのかどうか。
  8. 内藤亮一

    説明員内藤亮一君) 建築士として主たる業務ではないと思いますけれども、やはり附随した業務の一部であります。そこで現在の建築士試験する場合の科目の中に、簡単な測量に関すること、敷地測量に関すること、まあ一筆測量でございますが、そういうことも書いてございます。例えば二級建築士都道府県知事が行うところの試験に合格することが要件になつておりますが、試験科目というような基準が、建築士法施行規則の何條ですか、建築士法施行規則科目だとか試験すべき事項が掲げてございますが、やはりそこの中に測量の……、建築士法施行規則の第十三條に掲げてございます敷地測量に関すること、というのが書いてございます。それを見ましても広い意味建築士業務一つということができると思います。
  9. 田中一

    田中一君 この改正法案は、実際に、いわゆる今後建築士法を布いて行く士に光を與えたようなもので、業務範囲はつきりとここで規定されたわけですが、これに欠けておるものといいますと、そうした例えば建築物に附随するところの土地測量設計、そうしたものが抜けておると思うのです。これも従来の通念から言つても、或いは慣習から言つても、殊に建築士資格を定める試験においても、実地測量その他の技術を銘々持つておるものと考えられます。今の御説明によつて……。然らばそれをですね、この建築士法の中へ織込むことが必要ではないか。こう考えられますが、これは提案者の御意見如何でございますか。
  10. 淺利三朗

    衆議院議員淺利三朗君) 土地測量その他のことは建築基準法の第十九條に大体「敷地の衛生及び安全」というような規定がありまして、或いは又住宅地であれば敷地の何分の一というような規定がありますので、自然これは建築するものに対しては測量ということは附随して当然調査せねばならんのであります。でありまするから、今回の建築士試験に対しても、測量に関する試験科目があるのでありまして、ただこの資格の問題ということでありまするが、建築士といたしまして、主としてこれは建築が主でありまするから、土地測量その他は建築をするところの前提となる要件であります。でありまするから、建築士としては、それらのことも自然やり得るところの能力を持たねばならんということは、これは試験の際においてそれを考慮する、又学校においても、建築をする者に対しては、簡易な測量を教えておるというような関係からいたしまして、特にこの建築士としてそういう点に重点を置かんでも、この試験に合格した者はそれらのことはやり得る能力があると、こういうふうに見たのです。ただ今お話の点において建築士資格という問題につきましては、実は、目下土地家屋調査士法というものができておりまして、そのうちには測量士である者は当然土地家屋調査士になれる。併し建築士は今それが抜けておるのであります。それで実はそういうことについても建築士資格を與えるというような、附則において土地家屋調査士法改正もいろいろ研究されたのでありますが、併しこれは建築士法の当然の規定でないのであつて、むしろ土地家屋調査士というものは別個観念ですべきものであるから、むしろこの建築士法を以て、そういう広汎なものに亘つて附則において改正することは妥当でないということで、これは衆議院におきましては、目下法務委員会において土地家屋調査士法審議をしておりますので、そのほうにおいて研究して、立案としてこれを提出すると、こういうふうに進んでおるのであります。そういう関係で、この建築士法自体に対しては、その点は特に規定の必要はないということで、今回はその條項は挿入いたさなかつたのであります。
  11. 田中一

    田中一君 然らばお説の通りとするならば、測量士家屋調査とかいうものの試験科目を受け、又それを合格して、そうした技術面に合格して、測量士としての資格を與えられたものだと思います。測量士技術は、例えばこの議事堂のような建物までも調査し、又は鑑定するだけの能力を得るような試験科目を経て来たかどうかということを伺いたいのですが。
  12. 淺利三朗

    衆議院議員淺利三朗君) 測量士法には、直接建築のことはないのであります。測量士高級測量をする意味において一定資格を與えたものでありますが、実はこの土地家屋調査士法成立沿革は、私も当時多少タツチいたしておりますが、従来測量士という名を以て、或いは簡易なる測量なり或いは又この土地の売買その他について官庁に対していろいろ手続等を行なつてつた業者がたくさんあつたのであります。然るにこの測量士法立法いたしました際には、この測量士というものは高級測量をするというために一定技術技能を要するという点でこれに一線を劃しましたために、当時、現在測量士を名乗つておる者は全部これを暫定的に認めてくれという意見もあつたのでありますが、それはこの立法の目的に反するということで、試験によつてこれをきめるということにいたしたのであります。従つて今まで測量士を名乗つておりました者で測量士になれなかつた者をどうするかという問題から、実は土地家屋調査士法なるものが成立したのであります、そういう沿革でありまして、実に従来は測量のことも、或いは家屋の登録のことも一緒扱つてつたという業者が多くこの土地家庭調査士となつたのであります。併し実際問題といたしましては、側量士資格を持つております人は、むしろそれ以上の高級な測量のほうに従事いたしまして、こういう方面はむしろ余技に属することでありまして、主たる仕事じやないのであります。そういう関係で実は技能としては持つておりましようけれども、直接には余り従事する者は少いと思うのでありますが、併し従来いわゆる測量士と称して法定されなかつた時代の人に與えるならば、測量士試験に合格した者は無論当然資格ある者、こういうふうに見たと思うのであります。この土地家屋調査士は、土地に関することと家屋に関することでありますから、実は建前から申しますれば、土地に関するものは測量士が主となり、家屋に関するものは建築士が主となるべきものであつて、これは二本建で同等に置いて、おのおのその分野において専門に重きを置いて仕事をすべきじやないか、こういうふうに私は考えております。
  13. 田中一

    田中一君 今提案者の御説明を伺いましたか、私の考えておるのと同じでございます。無論この土地調査士が、主として土地測量するというようなかたがたの、測量士としての資格を持たない人たちが、この土地調査士資格を持つた、こういうことを伺つたのですが、さすれば土地家屋調査士というものは、側量士だけの面ですと、土地調査士ということになるわけですね。御承知のように建物の場合には、建築士が当然すべきものだ、こういう提案者の御説明伺つて十分承知いたしました。で、この際私これと一緒提案者の御意図のあることをこの法案に盛り込んで、建物の場合には建築士が当然すべきものだという修正をいたしたいと提案する次第であります。
  14. 淺利三朗

    衆議院議員淺利三朗君) 今の御意見も御尤もの御意見でありますが、ただ本法案建築士に関する規定が主でありまして、土地家屋調査士となるかならんかというものは、おのずから別個法律規定になりますので、この建築士法改正のうちにこれを入れるということは、法案観念上の混淆を来すということで、これを分離いたしたのでありまして、私どもの考え方といたしましては、むしろ土地家屋調査士法改正という別個の案で進んだほうが順序じやないか、こういうふうに考えておるのであります。なお、先刻測量士の問題で申上げましたが、家屋設計とかその他については、測量士は必ずしも裏門家ではありませんけれども、ただこの家屋の坪数とか何とかということは測量士でもできるので、普通の程度手続のことは、測量士がやつておるものはできる、こう思うのでありますが、併し構造とか何とかそういうことについて規定がやかましくいう場合には、建築士のほうか適当でありますが、併しこの土地家屋調査士仕事というものは、主として登記事務関係するのでありますから、そう高度の技術は要さないという程度のことであると私は考えております。
  15. 田中一

    田中一君 併し実際において、土地家屋調査士建物調査並びに手続ができないという場合には、ここに欠陥があるわけですね。その建物に対する調査、そうしたものができんことになるのです。そうしますと、それは法の欠陥であつて、当然専門建物調査をしておる業務法律によつて定められ、殊にその業務分野はつきりと規定された上からは、そう直すのは当然だと思うのです。現在土地家屋調査士が例えばこの議事堂のような、こういう建物調査し或いは登記するということが不可能なわけなんです。実際においてできないわけなんです。そうするとそこに穴があるわけなんですね。それを建築士の身分がはつきりした上は、それを法文化するのは当然だと考えております。私はこの修正提案するものなんです。大体提案者の御意図も私の考えておるものも同じと思いますが、若し法律上、法制上私の修正案が……、修正することが若しもそうした面において不可能なものならばこれは止むを得ません。可能なるものであるならば、そうした修正をすることを希望するわけであります。そういう点については内藤さん可能でごさいましようか、不可能でございましようか、法制上……。この建築士法に、その修正をすることが……。
  16. 淺利三朗

    衆議院議員淺利三朗君) それは議員立法でありますから、立法はどういう形であつても差支えはないのであります。併しながらただ法案といたしましては、建築士法の一部改正と申しますれば、やはり建築士に関する規定内容改正を主とすべきであつて土地調査士に関する資格の問題になりますと、これは土地調査士法改正というほうで進むほうが何かこうすつきりするというふうに考えられるのであります。従つてそういうことになりますと、自然これは、参議院でも御同様と思いますが、法務委員会との合同審議というような形にまでもなるのじやないか。こういうふうに思われますので、若し出すならば別個の案として、土地家屋調査士法の一部改正ということで行くほうがよいじやないか。こういう見地からいたしまして、衆議院といたしましてはこれを切離して法務委員会審議に待つという建前目下準備を進めておる次第であります。
  17. 田中一

    田中一君 指導課長に伺いたいのですが、この今の提案者の御説明建築士法をその土地調査士資格を持たすことによつて建築士法が完璧となるものと考えるのです。いろいろ提案方法は私詳しく存じませんから、どうぞ法制局のかたに伺いまして、私が今提案しておる問題が若しも法制上、許されないものならば、この際完全なる建築士法にして頂きたいと思うのですが、内藤さんの御見解はどうでしようか。
  18. 内藤亮一

    説明員内藤亮一君) 私は單なる説明員として本日ここに参つております。立法関係につきましては、国会のほうで最も是なりというところで御審議頂きまして、ただ何か意見を述べろというようなお話でございますが、これは本日政府委員住宅局長が参つておりませんが、住宅局長意見を私が代弁いたしますと、住宅局長建築士調査士となる資格が附與される、法律上附與されることが望ましい。それは方法はいろいろ只今提案者淺利委員からお話がございましたように、別の土地調査士法の一部改正という方法と、建築士法附則で一部改正すると、いろいろな方法があると思うのです。その方法につきましては、別に意見を申述べたくないのでありまして、ただそういうことが何らかの方法で実現するということは、政府委員である住宅局長は望ましいことであるということを申しておつたということだけ、ここに説明さして頂きたいと思います。
  19. 小川久義

    理事小川久義君) どうでしようか、田中さん、この問題は或る程度疑義もあるらしいし、田中さんも法制局で御研究なさつて明日の問題に一つ讓ることにして……。
  20. 田中一

    田中一君 結構です。
  21. 小川久義

    理事小川久義君) それではそういうことにいたします。
  22. 赤木正雄

    赤木正雄君 実は私今まで連合委員会におりましたから、この提案理由を詳しく聞く機会を失しました。又内容も十分検討していません。今田中委員から、いろいろ質問ありましたが、まあ大体これを持ち帰つて今日よく審議して頂きたい。できれば明日でも何とか片を付けたい、こういう考え方を持つております。併しいろいろとせいておる法案がありますからして、せいておる法案があるならば、まだ時間がありますから、その提案質疑に行く、そういうふうにして一時間でも有効にして欲しい、こういうこの法案に関してと、並びに議事進行と両方合せて申上げます。
  23. 小川久義

    理事小川久義君) 只今赤木委員から御発言がありましたこの建築士法の一部改正法律案は明日に讓りまして、これで一応これを打切りまして、十地收用法案説明を……。実は委員長不在でありますし、懇談のような形で伺つたらと思いますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 赤木正雄

    赤木正雄君 委員長不在でありますけれども、あなたが委員長をしておられるのですから、何らの遠慮なさる必要はない、もう立派に土地收用法案説明を聞きたい。
  25. 小川久義

    理事小川久義君) 実は赤木さんから重ねて御請求がありまして、これは日程に入つていたいのですが、変更することの皆さんの御賛同があれば差支えないと思いますが、御賛同頂きますれば伺いたいと思います。
  26. 赤木正雄

    赤木正雄君 ちよつと懇談にしたら……。
  27. 小川久義

    理事小川久義君) 速記をとめて。    〔速記中止
  28. 小川久義

    理事小川久義君) 速記を始めて。それでは御異議ないと認めまして、土地收用法案提案理由説明を伺います。……  ちよつと休憩します。    午後三時一分休憩    ——————————    午後三時四分開会
  29. 小川久義

    理事小川久義君) それでは再開いたします。提案者の御説明を願います。
  30. 岩沢忠恭

    委員外議員岩沢忠恭君) 現行土地收用法は明治三十三年に制定せられまして、現在に至るまで約五十年間、何ら根本的な改正がなされずに続いて来たものでありまして、その結果、終戰後の新らしい法律形態としては不適当な幾多の点が明らかと相成りましたので、今回改正に迫られた次第でありまして、その主な点は次の通りであります。  時代の変化に伴いまして、公共の利益となる事業種類を整理する必要があり、又各事業根拠法規を挙げて、法文において明確にし、私権の保護を図る必要があるのであります。  第二点といたしまして、電源開発等の要請に鑑みまして、公共事業施行のために土地以外に水利権漁業権、その他水の使用に関する権利の收用等に関して明確に規定する必要が生じて来たのであります。  第三点といたしまして、土地收用できる事業の認定の方法、及び手続におつて現行法愼重を欠き不適当と認められる点が多々ありますので、これに要する手続規定を整備する必要が生じて来たのであります。  第四点といたしまして、收用手続きに入る前に、先ず收用者、被收用者相互間は、成るべく互讓の精神で調停の申立や和解を勧める途を開く必要があるのであります。  第五点といたしまして、收用手続につきましては、現行法におきましては、審査機関組織構成が非民主的であり、且つその審査手続きも官憲的、一方的で愼重を欠くものがありますので、これらの点を改め、審査機関公正中立、且つ民主的な機関に改め、審査手続におきましてもこれを公開し、口頭による陳述の途を開き、当事者双方意見を十分に提出せしめることとする必要があるのであります。  第六点といたしまして、損失の補償につきましては、現行法が金銭による補償だけに限られておるのでありますが、耕作者及び農民等を保護するために、替地その他による現物補償の途を開くほか、被收用者に対して補償の完全を期し、その保護を図る必要があるのであります。  以上申上げましたこの六点が大体今回の土地收用法の主な改正の点でありまして、大体は根本理念は、前土地收用法を準用いたしておるのでありますから、どうか愼重審議の上、速かに御賛同下さることをお願いする次第であります。
  31. 小川久義

    理事小川久義君) では引続いて監理局長から補足的な御説明を伺うことにいたします。
  32. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) 只今提案者であられます岩沢議員から改正の主要点をお話し申上げた次第でございますが、実はこの法案の立案に関與いたしました建設省といたしまして、一言只今申上げました主要改正点を逐次逐いまして補足的な説明をお聞き取り願いたいと、かように存ずる次第でございます。  改正の第一点が、提案者から御説明しましたように、事業種類を整理した点にあるのでございますが、この点はこの法律案の第三條を御覽願つて頂くと、よくわかる次第でございますが、従来の土地收用法におきましては、「國防其ノ他軍事ニ關スル事業」が一つ、それから「皇室陵墓の營建又ハ官公署ノ建設ニ關スル事業」こういつたような新憲法下におきましては非常に妥当を欠いております公益事業が掲げてある次第でございますので、これらを廃止、削除することにいたしたのでございます。更にその他の公益事業につきましては、従来の扶規の上におきましては、極めて抽象的な公益事業の項目が掲げてあるのは御承知の通りでございまして、これを今回の改正案におきましては具体的に根拠法規を明示いたしまして、而も事業内容になつております各種の施設等につきましては明文を掲げましてその範囲を明らかにするように努めた次第でございます。例えて申上げますれば、従来の規定におきましては、公益事業一つとして社会事業、乃至は教育といつたような字句を謳つておるのでございますが、今回の改正案におきましては、ここにございますように、第三條の二十一号乃至二十四号に亘りまして、社会事業、或いは教育施設の内容を、法律の根拠を逐いまして、一面もその範囲を明らかにするように努めた次第でございます。これによりまして公益事業内容が何であるか、その運用が適正に行くというふうなことを狙つた次第でございます。  更に第三点としまして、追加した事業は何であるかということを申上げてみたいと思います。実質的に追加いたしました公益事業といたしましては、第一号に掲げてございますこの駐車場という問題を掲げてございます。更に八号に無軌道電車、十六号に民間放送事業、三十号に参りまして公営庶民住宅、これらの事業はそれぞれ新らしい時代の要請に応じまして、公益事業として取上げられ、乃至は公共団体がこうした事業を盛んに行われるような状況になつてつておりますので、これに関しまする土地の取得、乃至は権利の收用、こういつたようなことを可能ならしめるような方法を講ずることが緊要とまあ考えまして、追加いたした次第でございます。これによりまして第三條の一号から三十三号に亘りまして、只今申上げましたような根本方針に従いまして、できるだけその範囲を明らかにして行く、適用を公正に行い得るようにして行く、従つてそれによりまして被收用者の私権の保護にも事欠くことのないようにする、こういう建前で立案をいたしたような次第でございます。  次に提案者が申上げましたこの土地以外の水利権漁業権、その他水の使用に関する権利の收用に関する改正規定でございますが、これは第五條を御覧願つて頂きますと、ここに大体の範囲をおわかり願えると存ずるのでございます。御承知のように電源開発、その他の建設事業をいたしますに伴いまして、立木権、或いは漁業権、更には水の使用に関する各種の権利が、こうした建設事業に伴いまして、当然消滅、乃至は制限しなければならない事態に立至つて来るわけでございますが、これにつきましては現行法におきましては、第七條で極めて抽象的な規定があるにとどまるのでございまして、これをはつきり明示するようにいたしまして、従いましてこれによりまして收用し得る権利として一応確認すると同時に、補償問題の対象としても取上げて行く建前を取り得るようにする、こういうことを立案いたした次第でございます。  それから第三点といたしまして、事業の認定手続について改正いたしました点でございますが、従来この土地收用の対象となります公益事業の認定につきましては、これは主務大臣、即ち現在の機構で申しますれば、建設大臣がこれを認定するという建前になつておるわけでございますが、今回の改正案におきましては、これを一部地方長官に委讓いたしまして、大臣の認定権限にするもの、それから地方長官の認定権限に属するものと分けた次第でございます。これは第十七條を御覽願つて頂きますと、出ておるわけでございますが、即ち大臣の認定権限に属します部分は、国又は都道府県が起業者である場合、或いは事業施行する土地が二府県以上に跨る場合、これらにつきましては建設大臣の認定権限にいたしまして、それ以外の部分は、これは地方長官の認定権限に属する事業というふうに改正をいたしたわけでございます。  それから十八條を御覽願いますとおわかり願えると思いますが、認定の申請に関する各種の書類の範囲につきまして整理をいたし、これを明確にすることに努めた次第でございます。更には認定をするための要件を明らかにいたしました。これは第二十條に規定いたしてございます。これらにつきましては、従来の現行法は極めて抽象的不備でございますので、これらの点を明らかにするようにいたしました。  それから認定につきまして、最も御注意を願つて頂きたいと思いますことは、従来只今提案者から申上げましたように、官憲主義、一方的こういう建前を改めまして、この事業の認定につきましても、各方面意見を聽取し得る建前にいたしました。これは二十一條から二十四條に亘つております。即ち第一に関係行政機関意見を聽取し得ることが第二十一條に出てございます。更に専門的な学識経験を有する中正的な意見を持つておらるる専門家意見を聽取し得る規定を第二十二條に、更に一般の利害関係者乃至はこの関係人の意見を聞くという建前で公聽会の開催も必要においてはなし得るという規定を二十三條に、それぞれ入れたわけでございます。利害関係人につきましては、更に認定処分をいたす事前におきまして、この内容を所要手続によりまして、公示いたしまして、関係人の意見の提出をなし得る機会を與えることにいたしております。これは二十四條にその点を規定いたしました。  それからこの二十七條、二十八條におきまして、只今申上げましたように、地方長官の認定権限に一部委讓しております関係上、これがために地方長官が事業の認定を拒否した場合、或いは三カ月を経過いたしましても、認定をしなかつたというような場合、こういつたような場合においてはこれを建設大臣に起業者から申請することにいたしまして、認定の促進を図るということを規定いたしてございます。更に二十八條におきましては事業認定の拒否をした場合に、これの再審査をなし得る規定を織込みました。これらによりまして手続の促進を図りますと同時に、事業認定の、即ち公益性の統一を図るという建前も努めてとり得るようにいたした次第でございます。  次に第四点としまして提案者から申上げました調停の申立て、乃至は和解を開き得る途を開いた点でございますが、これは條文から申しますと、百八條以下を御覧願いたいと存じますが、御承知のように現行法におきましてはこの当事者の協議が整わない場合には、直ちにこれを收用審査会の裁決に持つて来るという建前になつております。併しながら現在土地收用の行われております実際の動きを見て参りますと、これは協議の過程におきまして、或いは協議が整わないで、裁決の申請の途中におきましても、当事者の合意の結果、收用審査会に調停の申立てをなし得る途を開くことは、これは当事者の合意の上でありますれば、これ又この土地收用を円滑ならしめる一つ方法でありますので、これらについての必要な規定を整備することにいたした次第でございます。百八條から百十五條がこの関係規定でございます。  更にもう一点、協議の確認という制度を百十六條から百二十一條に亘つて規定してございます。当事者の協議の過程におきまして、或いは土地の全部、乃至は一部の場合におきましても、協議が整いますれば、この結果を直ちに收用委員会で公式にこれを取上げまして、これを確認いたしまして法律的な効果を與えますことは、これ又協議の結果をまとめ、そうして土地收用手続を促進する上におきまして、貴重だと考えますので、この点を規定いたした次第でございます。  第五点は、收用の裁決機関土地收用審査会の機構を民主的に尊重いたし、並びに審査手続を民主化した点でございまして、この法案が最も重要視いたした点でございます。收用審査会といたしましては、七人の構成委員を以ちまして、専門的な学識経験者の中から地方議会の同意の上で知事が任命する建前にいたしてございます。これは第五十二條を御覧願いたいと思います。更に会長は委員の互選とする、委員の身分を保障いたしまして、中立性を保持する建前にする。これは五十五條規定してございます。  收用審査会の手続を民主化いたしました点は大体二点ございます。一つは審理の公開主議をとることにいたしました。これは六十二條に規定してございます。更に先ほど提案者から申上げましたように口頭による陳述の途を広く認めるようにいたしました。現行法におきましては、大体書面審理の建前にいたしておりましたのでございますが、改正案におきましては、口頭による陳述の途を開くようにいたしたのでございます。これにつきまして利害関係人当事者それぞれ利害の主張の徹底を図りまして、審査の公正を期し、妥当な合理的な結論を得るように、得る建前にいたしたのでございます。  次は損失補償に関する改正点でございますが、これは只今提案者から御説明になりましたように、一つは替地による補償、八十二條に規定してございますが、御承知のように、従来の現行法におきましては、金銭補償主義一本槍でございましたけれども、土地收用の実際から申しますれば、土地を以て生計を維持しております農家等におきましては、むしろ土地は金銭によつても代えがたいような貴重な財産でございますので、これらの場合におきましては、替地による補償の途を開くことがむしろ実情に合う次第でございますので、この補償制度を新たに設けることにいたしました。  それから現物補償の問題でございますが、これは八十三條から大体八十六條に亘つて規定してございます。即ちその一つは耕地の造成、これも起業者が申請に基きまして耕地を作り、只今申上げました替地による補償と合せまして、補償一つの途とする、或いは必要な工事を代行いたしまして、金銭補償に代えまして、工事の代行、即ち役務の提供によつて損失補償に代えまして、被收用者乃至は利害関係人の損失を補償して行く、或いは移転の代行、更に宅地の造成、これらにつきましても同様の考えを以ちまして、この改正案規定を織込むことにいたしました次第でございます。  更に收用地以外の土地に対する損失補償、これは九十三條に規定いたしたのでございますが、従来この点については、現行法は明確を欠いておりましたので、これらの收用地以外の土地についてもその所有権者乃至は利害関係人に損失を與えた場合はその損失が明確なものである限り、その損失を補償して行く建前にいたしまして、そうして九十三條に規定することにいたした次第でございます。  なお、そのほかに附加えまして申上げますれば、緊急の必要に応ずるための收用手続、これを百二十三條に規定してございます。この今回の改正の結果、手続を民主化いたしましたし、又一面手続の促進を図つてはおりますけれども、実際こうした公益事業をやつて行く際におきまして時間的に相当がかる場合において、一面公共の利益を害する虞れがあるような場合が生じないとも限りませんので、こうした場合における万全の途といたしまして、緊急の施行を必要とする事業施行するための土地收用に関する規定を百二十三條に規定したのでございます。  なお、これらの收用手続事業の認定はそれぞれ或る部分は地方長官の権限に委されておるわけでございまして、そのために相当地方公共団体の負担になることも考慮いたしまして、今回の改正案におきましては或る程度の手数料を取り得る建前にいたしました。これは百二十五條規定されてありますが、これらによりまして、地方の財政的負担をできるだけ少くするようにも努めていた次第でございます。  簡單でございますが、提案者理由説明につきまして若干補足いたしました。
  33. 小川久義

    理事小川久義君) 只今お聞きの通り本案は事が重大でございます。で学識経験者、利害関係人を証人として招致いたし、証言を求める必要があると存じますが、如何取計いましようか。お諮りをいたします。
  34. 赤木正雄

    赤木正雄君 いま委員長の申される通りに、この法案は相当重要な法案でありますから、証人喚問といいますか、その意見を聞くということは最も大事と思います。併しもうこの調査するに当りましても、仮に休会中に継続審議する場合に、休会中にその証人を喚問されましても実際問題として我々委員会がその休会中に来るか来んかが実際問題なんであります。でありますから証人を喚問するならば、この国会中に喚問して欲しいと私は思います。
  35. 小川久義

    理事小川久義君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  36. 小川久義

    理事小川久義君) 速記を始めて下さい。  只今お諮りいたしました証人を招致して証言を求めるということに御異議がないようでありますから決定いたします。  なお、招致いたすべき証人の人員、氏名その他につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 小川久義

    理事小川久義君) 御異議ないと認めます。    ——————————
  38. 小川久義

    理事小川久義君) それからもう一つお諮りしたいのは、この公営住宅法案の連合審査を厚生委員会から求められているので、先ほどお配りしました、二十五日の午後やるということについて御賛成願いたいと思います。……御異議ないと認めて決定いたします。  それでは本日はこの程度で散会いたしたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 小川久義

    理事小川久義君) 御異議ないと認め散会いたします。    午後三時五十四分散会  出席者は左の通り    理事            岩崎正三部君            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            平井 太郎君            島津 忠彦君            田中  一君            徳川 宗敬君            東   隆君   委員外議員            岩沢 忠恭君   衆議院議員            淺利 三朗君   政府委員    建設省管理局長 澁江 操一君   事務局側    常任委員会專門    員       武井  篤君    常任委員会專門    員       菊地 璋三君   説明員    建設省住宅局建    築指導課長   内藤 亮一君