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1951-05-11 第10回国会 参議院 建設委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十一日(金曜日)    午後一時五十分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○利根川開発法案石川榮一君外百十  二名発議)   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは只今から建設委員会を開会いたします。日程によりまして利根川開発法案を御審議を願いますが、審議はつい逐條的にいたすことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
  3. 小林英三

    委員長小林英三君) それじや、逐條的審議をいたすことにいたします。専門員に朗読して頂きます。逐條的に……。
  4. 菊地璋三

    専門員菊地璋三君) それじや第一條から読みます。  第一條 この法律は、利根川流域における資源を総合的に開発し、利用し、及び保全し、もつて災害の防除と産業の振興に資することを目的とする。
  5. 小林英三

    委員長小林英三君) これにつきまして御質疑がありましたら……、なお本日は法制局の岡田第三部長と杉田第二課長も来ております。建設省から小林文書課長も見えております。別に御質疑がなければ第二條に移りたいと思います。
  6. 赤木正雄

    赤木正雄君 今すぐ聞いて置きますが、私はまだ帰つてもう一遍よく整理しますから、或いは次の委員会に御質問するかも知れませんが、それは保留します。御了承願います。    〔菊地専門員朗読〕  第二條 この法律において「利根川流域」とは、利根川水系を含む地域で、政令で定めるものをいう。
  7. 小林英三

    委員長小林英三君) 第二條につきまして、御質疑がございましたら……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
  8. 小林英三

    委員長小林英三君) 第三條に移ります。    〔菊地専門員朗読〕  第三條、国は、第一條目的を達成するため、利根川総合開発計画(以下、「開発計画」という。)を樹立し、これに基く事業当該事業に関する法律(これに基く命令を含む。)の規定に従い、実施するものとする。  2 開発計画は、利根川開発基本計画(以下「基本計画」という。)及び利根川開発年次計画(以下「年次計画」という。)とする。
  9. 小林英三

    委員長小林英三君) 第三條につきまして御質疑がございましたならば、どうか……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは第四條に移ります。    〔菊地専門員朗読〕  第四條 基本計画は、利根川流域において施行される重要な施設及び事業の総合的且つ基本的な計画とし、第一條目的を達成するため必要な施設計画及び事業の基準で、左の各号に掲げるものに関するものとする。   一 河川に関する施誕及び事業   二 砂防に関する施設及び事業   三 公有水面埋立に関する施設及び事業   四 運河に関する施設及び事業   五 海岸保全に関する施設及び事業   六 造林営林及び治山に関する施設及び事業   七 かんがい排水及び干拓に関する施設及び事業   八 水道及び下水道並びに、工業用水に関する施設及び事業   九 水力発電に関する施佼及び事業   十  気象施設   十一 こう水予報に関する施設   十二 前各号に掲げるものに関連する施設又は事業  2 利根川開発庁長官は、基本計画を立案し、閣議の決定を求めなければならない。
  11. 小林英三

    委員長小林英三君) 第四條につきまして、御質疑がございませんか。
  12. 赤木正雄

    赤木正雄君 第一條においては、利根川流域における資源を総合的に開発し、利用す、とありますが、そうするには、当然道路という考えになるが、道路が第四條にないのはどういうわけですか。
  13. 石川榮一

    石川榮一君 提案者考え方を申上げます。  これは水資源中心とする総合開発計画目途としておりますので、只今質問道路等につきましては、水資源関係を持つておりませんので、この基本計画のうちから除いておりますわけです。大きく考えますれば、御承知ように、道路も立派な資源の一部をなすものと考えられます。その利根川開発という名前に示してありますように、利根川それ自体の水に関連する水資源関連を持つあらゆる施設に対するもの、事業に対するものの総合計画を立てて行きたいという基本的な観念から出発していますので、道路等に関しましては、直接関係がありませんものですから除いておるわけです。御了承願います。
  14. 赤木正雄

    赤木正雄君 それでは第一條のこの法律における利根川流域における資源というものは水資源とは違うのですか。
  15. 石川榮一

    石川榮一君 利根川流域における資源ということになつておりますと、御説のように、あらゆる資源ということになると解釈されますが、私どものこの第一條に規定いたしましたものは利根川開発法案、その開発目的利根川流域における利根川開発であるという考え方からこの資源というものはおのずから利根川流域という言葉を使つてある。利根川開発という見出しか考えまして、特に水資源ということを言いませんでも、水資源関連を持ちますので、要するに林野の問題、要するに放水路問題等も包含いたしますので、特に水という字を使いませんで、利根川流域関係をする、開発に関する直接的なものを指して資源と、こういう言葉を使つておるわけです。これは大体は水に関連を持つ資源、かよう考えまして、法律の……利根川開発法案でなければ特に水資源としなければなりませんので、利根川開発法案という名前でありますだけに、こういうだけに、この資源というものはおのずから水に関連を持つという考え方から、特に水という言葉を使われたわけであります。
  16. 田中一

    田中一君 今の赤木委員の御質問は、第二條の定義で以て説明されたんじやないでしようか。利根川流域とは、利根川水系を含む地域と……。これでは物足りないわけですか。
  17. 赤木正雄

    赤木正雄君 この問題で灌漑排水及び干拓に対する施設及び事業とありますが、農地改良なんかは考えないのですか。
  18. 石川榮一

    石川榮一君 御説のように、全般農地に関しましても、いろいろ研究をいたしたのでありますが、この農地耕地整理、或いは土地交換分合とかいうようなものも、勿論これは間接的には関係しておりますが、これは食糧増産の面から農林省が主宰して主食の増産食糧確保という大きな行政農林省にありますので、そこまでタッチしなくても、利根川総合開発といたしましても、灌漑排水、要するに線用排水幹線事業、或いは干拓事業というような直接に水に関連を持つものだけを、この法律のうちに加えまして、全般の、農林行政一般に及ぼすようなものはこの線から除いております。従いまして農林省の主要なる食糧増産に関する権限につきましては、こちらのほうではそれにタッチしないという建前をとつておるわけであります。でありますから農地改良も見方によりますれば用排水農地改良であり、干拓もそうでありますが、これは直接水に関係を大きく持ちますから、灌漑排水という言葉を使いましたが、全般的な農地改良耕地整理或いは交換分合というものは、この法律ではその範囲外に置いて、それには手を着けたくない。要するに農林省重要政策一つとして推進されるものに対しましては、水に関係の薄いものでありますから、これから除外をしてあるわけでございます。御了承を願います。
  19. 赤木正雄

    赤木正雄君 今まで問題になつておりますのはその治水だけであります。治水と同時に利水考えなくもやいけないというのは、この委員会におけるしよつちゆう水に関する考えなのです。そういう観点から見ますと、やはり農地敗良というのがこれは当然大きな利水方画についても考えるべきことなんですが、これはどうですか。
  20. 石川榮一

    石川榮一君 提案者考えを申上げますと、御説御尤もでありますが、この土地改良というものは非常に広汎でありまして、先ほど申上げました耕地整理或いは土地交換分合等農地改良のうちに大きな役割を演じておるわけです。そういうことになりますと非常に広汎になりまして、利根川総合開発というよりも食糧増産中心とする法律ような形のようにとられる嫌いがありまして、農林省主要政策の或るものにこれがタツチせられるということは水に関する限りそれに手を着けることは穏やかでない、むしろ目標利根川治水治水利水中心とする範囲にとどめたい、それによる水資源総合開発ということをやりたいので、今のお話のよう全般的に土地改良をこれに加えるということは我々の目標と遠ざかつておりますわけで、これを除外しております。これは私どもそのほうがよろしいと考えましていろいろ論議があつたのでありますが、土地改良の広汎なる部面といたしましては、その基本計画に手を着けないことにいたしたのであります。水に関する用排水事業幹線事業或いは干拓事業或いは浚渫の埋立事業等につきましては、これはどうしてもこの基本計画に入れませんと事業は総合的になりませんですからさよういたしたのでありまして、それから史に進んでの土地改良事業耕地整理というものにつきましては、むしろ農林省権限に入れたほうがよろしい。かよう考えましていたしたわけであります。御了承願います。
  21. 赤木正雄

    赤木正雄君 それでは第一に灌漑排水、この灌漑排水土地改良に非常に関係がある。これはどういうふうに区別なさるのですか。
  22. 石川榮一

    石川榮一君 灌漑排水は大体農林省基本政策であると思いますが、この灌漑排水はややもいたしますと今までは本川改修とタツチしないで、農林省農林省としての灌漑排水事業をやるそうしてその灌漑排水進行状況利根本川排水にタツチいたしませんで、失礼ですがややもいたしますると灌漑排水事業のみに堕しまして、却つて利根本川の水に悪影響を及ぼし、手も着いておらない。本川河床の上昇或いは護岸の決壊等があるにもかかわらず、農林省農林省としての独自の見解で用排水事業を実行してそうしてどんどん本川に水を落すということが各所にありますので、そういうようないわゆる連絡、総合的な工事施行がややもいたしますると欠けておりますので、従いまして国費が徒らに各省別に分れまして、おのおの自己の立場からのみその工事施行を急ぐ、又一方はそれにマツチしないよう計画を進めておるということになつておりまして、水がスムースに流るべきものを各省に分かれておりますために、その事業目標が違いますために予算の取り方等につきましても何らの連繋なしに取りますものですから、農林省農林省としての灌漑事業を促進して行く、一方は利根本川におきましては下流の橋梁の補強或いは大決壊等に工費を投ずるということで、上流における灌漑排水がたとえできましてもその機能を発揮し得ないよう状況にあるということが各地にありますので、こういうようなことも総合開発の点から考えまして基本計画のうちに入れて、そして本当に水に関するものは利根本川用排水事業に総合的にマツチいたしました予算の使い方で工事進行を順調ならしめたい、それが予算を合理的に使うゆえんである。かよう考えまして、用排水事業、要するに潅漑排水事業をこれに加えましたのであります。その他更に進んで土地改良或いは耕地整理或いは土地交換分合というこれら一連のいずれも農業政策でありますが、これらに介入いたしますことは、利根川総合開発のあまりにも広汎に考えまして、むしろその目標を逸することがあるので、かよう考えまして重点的に急いでこの開発法案実効を挙げたいということから、そういう広汎に亘りますことは所管省に任かして行きたい、かよう考えまして灌漑排水事業だけを最上げたのであります。御了承願います。
  23. 赤木正雄

    赤木正雄君 今の御説明ではここに掲げられてあります灌漑排水は、要するに治水観点からの灌漑排水と、こういうふうな御説明ように聞きましたが、その通りですか。
  24. 石川榮一

    石川榮一君 さようにはつきり御質問を受けますと困るのですが、勿論食糧増産或いは農村振興ということに最後目標を置くのでありますから、治水観点からのみ考え灌漑排水であるかということになりますと、さようでないと申上げるよりほかないのでありますが、それは灌漑排水をスムースにいたしたいための治水事業であります。治水事業自体目標でないのでありまして、灌漑排水事業によつて農村の生産を増強したい、食糧増産したいというのが目標でありますものですからして、治水のみに囚われているというのじやありませんで、灌漑排水を如何にして有効適切にさせるかということを狙いにいたしまして、それと治水事業を完璧ならしめようという狙いとマツチいたしまして、総合的に進めて行くことが最も正しいのであるというよう考え方でやつておりますので、治水観点からのみ灌漑排水考えることになりますと、灌漑排水治水の従属であるというよう考えられましても困りますものですから、目標灌漑排水を有効的に画も合理的にその事業目標を達成させるためには治水の面から十分に検討を加えまして総合的な案を立てなくちやならん。今までのようにややもしますとあらゆる本川がそのままになつておるにもかかわらず、各所用排水事業が起りまして、そうして、水の変化を本川に与えておる、それがために大きなはね返りを受け、それで却つて大きな損害をこうむるというような、要するに水のはね返しのような傾向が各所に見られておるのであります。こういうよう関係を断ち切るために、特にこの総合開発狙つたのでありまして、目標灌漑排水の有効なる施策をするために総合開発をやりたい、それには勿論治水が根幹でなくちやなりませんから、治水の面と用排水の面と本当にタイアツプしたところの工事施行を望むために、その組織のややもしますると、トラブルの起りつつあります現状を打破しますために、実はこの法案を出したゆえんであります。目的治水のみでなく、治水目的利水に通ずるものでありますから、利水治水とタイアツプするところに総合性がある、一方的に考えるところに総合性がないのでありまして、そういう点を勘案しまして、かよう灌漑排水を取入れて、そうして利水とタイアツプした基本計画を取り入れたいというところから入れてあるわけであります。
  25. 赤木正雄

    赤木正雄君 そういたしますと、やはりその利水のほうに関係しますが、利水関係する灌漑排水には当然土地改良も入る、土地改良灌漑排水とは不可分なものであります。どういうふうにしてその不可分のものを可分になさるのですか、不可分のものを……。
  26. 石川榮一

    石川榮一君 土地改良と申しましても広汎なものでありますから、用排水事業土地改良であり、耕地整理土地改良であり、客土も土地改良であり、交換分合土地改良でありましよう。さようにいたしますと、どこで利根川総合開発性をきめるかということになりますが、私どもはそこはおのおのの常識で考えまして、用排水幹線事業、要するに今国、県等がやつております用排水幹線事業をこのうちに入れまして、あとの小水路或いは耕地整理による溝というものにつきましてはその計画には入れないで、それはおのずからその地方々々における公共団体或いは地方々々に任せるべきである、基本的な国費の主なる補助により、或いは国庫の負担においてやるよう用排水幹線事業だけをこの中に入れたい、あと改良事業につきましては、地方自治体或いは公共団体或いは用排水組合というようなものの自主的な改良に持つという考えであります。その線の引き万がありませんから用排水灌漑排水事業ということだけで打切つておるわけでありまして、要は前述の用排水事業或いは特に大きな水利組合でありましても大きなものに対しましては治水関係を持ちますものですからこのうちに入れることができると思いますが、一般の概念的に考えます土地改良全般に及ぼさずにその程度で線を引こうというつもりでおるわけあでります。
  27. 赤木正雄

    赤木正雄君 この点についてはまだ不明な点がありますが、そんな調子で参りますとなおここに治水のことを非常におつしやつておりますが、治水にそれほど重点を置いておいでになるならば、最も肝腎な開墾はどういうふうになつておるのですか。
  28. 石川榮一

    石川榮一君 実は赤木先生もおつしやる通り、私ども開墾に非常に、にの問題を考えて見たのでありますが、開墾を入れなくてはどうも総合開発の場合、特に治山の面から非常に困ると考えましていろいろ考案したのでありますが、この開墾事業治水の面から考えますればこれはその砂防、或いは土砂の崩壊を起すというような面から、主としてこれを考え、又水のいわゆる保水を考えた場合の治山政策の面から考え開墾の問題について検討を加えたい、かよう考え開墾を入れようとしたのでありますが、その開墾農林省のいわゆる事業でありますので、これまでタツチすることはどうかと考えまして、要は治山治水の面から開墾に関する成る程度の自割を得さす程度に止めまして、あまり開墾にタツチしないほうがいいだろうというよう考え方開墾は実は入れないことにしておるのであります。これは入れたほうがいいかどうかということはこれは議論の余地がありまして、徹底的にやりますのにはやはり開墾を入れたほうが非常にいいのではないかと思いますが、そうなりますと、非常に農林省の主要なる政策にこれが飛込んで行くというような形になりますので、利根の水に関する問題をあまりに広汎に考え過ぎてむしろその目標に広漠たるものにする憂いがあるというよう考え方からその開墾というものを除いておるわけであります。これにはいろいろ論議を加えて見たのでありますが、初めのうちは入れることにしてやつて見たのですが、どうも非常に広い範囲でありますので、開墾に対しては治山治水の面から考えて、制圧を加えるという程度に止めまして開墾そのものにタツチしないで行くほうが重点的にこの法案目的に達し得るというよう考え方で、実は除いておるわけであります。御了承を願います。
  29. 赤木正雄

    赤木正雄君 治山治水の点から重点的とおつしやいますが、開墾も非常に重点的に考えていいものと思うのです。殊に農林省関係するから、何だか農林省関係するのは省くと言わんばかりの御説明らしいのですが、どうもそうするとわからない。建設省のものは遠慮しないが、農林省のものは遠慮する。どういうふうに、さつきもおつしやつた通りに、利根川治水総合開発ならば農林省に対しては遠慮して、虐殺省に対しては遠慮しない。何かそこに非常に蟠りがあるように思われるのですが、どうなんでしようか。
  30. 石川榮一

    石川榮一君 別にそういう蟠りとか、遠慮はしておりませんが、目標利根川総合開発でありまして、水資源の法的な総合計画の実施でありますので、この目標を達成すること自体も相当困難を予想し、而も予算的にも非常な長期を要する現状から考えましてあまりに広汎に亘りますことは、むしろ非常な長期的な、いわゆる目標が遠くなる憂いがある。まあ利根川上流考えて、利根川湛水地、或いは濕地田等現状から考えまして、その際そういう広汎な理想的のものに行かんで、その根本に遡つて利根川治山治水と、これに関連を持つ水資源をだけを取上げて行きたいというので、おのずから開墾、広汎なる開墾、或いは広汎なる農地改革というものには手を着けないわけであります。そういたしませんと、これですら容易ならざる大きな予算を要するものでありますから、理想に過ぎて、実効を挙げることができないというよう憂いがありますので、除いたわけでありまして、決して農林省だから遠慮したとか、建設省だから取上げたとかというつもりは毛頭ないわけであります。要は我々は建設委員会におけるだけに建設省のものを大部分取上げておるよう考えますけれども、要するにこれは建設省中心にして、水の資源建設省中心とする水政策を、各省のものをここえ集めて、そうして素直な利根川の流れにしよう、そうして永久に利根の水を使いたい。こういう念願に過ぎないのであります。決して農林省遠慮をしたというよう考え方でありませんことを御了承願います。
  31. 赤木正雄

    赤木正雄君 治水の点は非常に重点的にお考えになるならば、海岸保全よりも開墾のほうがどんなに治水重点があるかわからない。これは誰でもわかるはずなんです。なぜ海岸保全を入れながら開墾を入れないのか。まだわからないのですか。
  32. 石川榮一

    石川榮一君 実はこの海洋の問題も入れようか、入れまいかいろいろ迷つてつたのでありますが、これは御承知よう川口銚子があります。又利根川改修改善計画は御案内のごとく取手附近から千葉海岸に三千立米の放水路をおとしております。従いまして、千葉海洋には或る程度港湾ができておりますので、又この銚子港湾ですが、その港湾自体には灌漑を及ぼすわけではないのでありますが、治水に関する計画、或る程度まで港湾保全についてのこの事業をいたしますには、関連を持たねばならん最後のはけ口であります。そういう点から銚子港の治水を完璧ならしめるような、権限を持ちませんと、上流ばかり排水いたしましても、川口制圧を受けますとその影響がありますので、そこで海岸保全という形をとりまして治水の面から銚子港に対する施設には相当の権限を持つ必要がある。それから放水路のできた場合における港湾、これも重大な放水路でありますので、その放水が、排水既存機能を発揮させるためには、海岸を徒らに他の省に渡しまして、そうして、その面から制圧を受けるようことがありますると、折角できました放水路というものが非常に何と言いますか、機能を発揮し得ないというよう憂いがありまして、この点等考えまして、海岸保全ということを入れたのでありまして、別に広く海岸を、この法案によつて、広く資源開発ようというよう目途があるんじやないのでありまして、治山の面、治水の画から必要とする海岸施設等につきましては、相当な発言権を持つ必要があると考えまして、そしてこの海洋保全ということを入れたわけであります。
  33. 赤木正雄

    赤木正雄君 海岸問題をほかの省においてやることは非常に、混雑する、そういうような御意見でしたが、先ほど若しも開墾ですね、これは治水が最も重要なものである。これはこの委員会でも昔から言つたことなんです。これをここに取上げないことは、これ私どもも非常に了解し得ない。あれほどこの発議者開墾問題は治水上に重大影響があるということを御承知でありながら、それをお入れになつていない。それがわからない。それからもう一つ造林営林がありますが、最も治水関係のある林道はどうなるのです。
  34. 石川榮一

    石川榮一君 林道はこの中に、造林営林なつておりますが、林道は勿論これに入れる構想でやつておるわけでありますが、只今利根奥地には奥地林と称すべきものが約一償八千万石以上ある、これらが林道開発がされませんで殆んど朽ちて大きな巨木が倒れて腐蝕しておる状況であります。浅い柔かいところは、御承知よう人絹が最近非常に勃興して参りまして、十年乃至二十年程度針葉樹がみんな切り減らされておる、伐採されておる、そういうようなことで、浅いところのいわゆる林道のあるところは殆んど切り盡しております。その奥のほうは手を着けない。それでは林道開発ができない。そこで実は狙いといたしましては、この浅い、山の伐採、要するに針葉樹林のまだ二十年たたないものまでも片端から切つて行くことは、又治水の面から恐ろしいものがある、これらを制圧すると共に、多くの奥地林開発をしてその奥地林木材を出しまして、そうして戦災都市の復興、或いは人絹原料等に購入して、そうして一方にはそういう若い、若齢の木材につきましては、強力な統制を加えまして、そしてある樹齢に達するまでは、伐採は許さぬという態度をとらなければ治山は全うし得ない、かよう考え林道は是非ともこの法案のうちでやりたい、かよう考えておるわけであります。特に林野庁当局内容等を数回申上げたのでありますが、林野庁当局におかれましてはどうも治山の面から農林省、或いは建設省林野庁等関係は必ずしも連絡は密でないようでありまして、非常に困難を来たしておるよう状況も聞いておりますので、今度は奥地林は水源の培養林として治山の面から、又奥地林開発の面からこの水資源とは少しかけ離れておりますが、そういう面から奥地林開発を目指しまして、林道開発を相当強く織込みたい。かよう考えて特に林道とは書いてありませんが、造林営林の面でその線を進めて行きたい。かよう考えておるわけであります。
  35. 赤木正雄

    赤木正雄君 造林営林林道とは少し離れておるのですが、現在農林省ではどういうことをやつておりますか、一般常識から考えても造林営林林道とは多少違つてはいやしないでしようか。
  36. 石川榮一

    石川榮一君 林道という字を落しておりますが、造林をする、営林をするという、そこに事業をやる場合にはおのずからそれに必要とする道路開発等は考えられるのではないか。ただ営林をする、造林をする出いうことではないのでありまして、その目標を達するために造林営林をやるということにいたします以上、これに関連してこれに対する交通路、或いはいわゆる林道というものはおのずから進んで行けるのではないか、かよう考え林道というものを特に入れずに造林営林という文字の中に、この事業のうちに入るのです。かよう考えてそこに林道を入れませんでしたのであります。但し御注意でありますので、林道を入れるほうがよろしいとおぼしめしでありますならば、皆さんの御高見に従いまして、その目標に何ら関係のない……むしろいいことであります。よく御協議を願いまして皆さんの御意見に従つて……。
  37. 赤木正雄

    赤木正雄君 先ほど開壁に関する問題ははつきりしないのですが、これは治水観点から開墾は重大問題です。それをお入れにならないのか、もう一度はつきり承わりたい。
  38. 石川榮一

    石川榮一君 開墾は御承知ように、食糧増産の面から開墾をするという余儀ない立場にあるのでありまして、それが成功するかどうかはわかりませんが、私どもはむしろこの際は開墾はあまりさせたくないというよう考え方を持つておるのでありまして、この際これから先開墾するということにつきましては、特に治山治水の面から制圧を加えることができるようにすべきだ、ただ今までのよう農林省が勝手に食糧増高のために治山治水の面をあまり考えませんで、開墾のための開墾をする、それが二年か三年で又元の原野に還るというよう状況に置かれておるものですから、令すぐ開墾の問題をここで取上げる必要はないのじやないか、開墾事業なるものは末期でありまして、殊に関東のごときはあまり開墾するところがもうないんだ、今までの開墾に対する考え方はこれは別ですが、新規に開墾することに対して、特にこの法律が、開墾を成る程度事業として進めようというようなことを考える必要はないのです。もう時代は関東の熟地におきましては開墾の余地がない、むしろ開墾したものを造林しなくちやならないというようにさえ考えておるような客観的な情勢でありますので、特に開墾をこれから盛んにするというのでありますれば止むを得せまんが、もう殆んど関東の開墾事業は要するに終つたと、こういうよう考え方からすでに開墾というものをこの中に入れなかつたわけであります。今埼玉群馬の状況を事務当局から聞きまして、もう開墾する余地がない、もう今までは行過ぎておるというような情勢になつておりまして、更に新らしく開墾をするというような場所もあまりありませんので、従いまして開墾を入れなかつた。むしろ開墾したものを如何にしてその山に還すかということのほうに重点を置いて行くというよう考え方開墾事業に対しては触れておりませんので、御了承を願いたいと思います。
  39. 赤木正雄

    赤木正雄君 私の申しようが悪かつたかも知れませんが、全然逆に解釈されておるのです。私も今提案者と同じよう開墾は悪い。開墾をしてもらそちや困るのです。そういう意見を持つておるのです。だからして開墾というものを挙げて置いて今までのやり方が悪いから開墾をやる場合にはこういうふうな施策をやるな、そういうようなことで聞いておるのです。開墾を奨励するどころか開墾は悪いと、それで私は開墾のことを言つておるのですが、その意味で開墾を挙げたほうがよかないかと言つておるのです。農林省で一方的にどんな開墾をやつてもかまわんというような御意見なら別ですが、開墾は悪いのですからしてそれに対する取締も何もないじやありませんか。それをどうなさるのですか。
  40. 石川榮一

    石川榮一君 赤木先生の御意見に私ども同じなのでありまして、開墾の趣旨を徹底したい、むしろ新規開墾は絶対に私は阻止すべきものだと、こういうよう観点に立つております。今の御説のように、それは農林省がやろうとすれば農林省の手によつて開墾をすることもできますが、それを防ぐために何らの……折角作る法律にやらせないのはあまりよろしくないというようなお話がありますものですから、この点につきましては御意見のありますところを更に検討を加えまして、いずれこの次の機会にでも先生のお考えに対する御挨拶を申上げたいと思いますが、これは研究をさして頂きたいと思います。御趣旨はよくわかるのであります。同じ同感であります。
  41. 赤木正雄

    赤木正雄君 これに対して足尾のような非常にその鉱毒のために山が崩壊しておると、こういう大きな問題が利根川流域にあるのですが、これに対して鉱害に対する施設、或いは事業に対して何ら規定がないのはどういうわけですか。
  42. 石川榮一

    石川榮一君 御説のように足尾を中心とする鉱害による崩壊原野でありますが、これはすでに数十年来製鋼所ができておりますので、今できておるものがあります以上これを途中でやめさせるわけにも行きませんし、といつて現在の状況から考えてますます鉱害の害が激しくて山を赤肌にするというような顕著な進展率も見られないようでありますから、これに手を着けなかつたのでありますが、これも折角の御注意でもありますしいたしますからよく研究いたしまして、その上で先生の御意見並びに委員のかたがたの御意見を伺いまして、そうして適当に考えたいと思います。私ども考え方はすでに製鋼所ができておりまして、長い間の歴史を持つておる会社でありますから、治山治水の面からこれを害があるとして抑止するということは不可能の……現実に考えるならば、更にこれがその害がますます拡大するということでありますれば勿論これに強力な規制を加えたいと思つていますが、現実には応あの鉱山も峠を越しましてその被害等も生産量の澁滞からさまでこれ以上荒廃になるというようなことも考えられませんので、その中に入れなかつたのでありますが、更に一応調査をいたしまして、そうして折角の御注意でありますから、万全を期したいのでありまするが、御趣旨のあるところを伺いまして、又よくお調べをいたしまして、先生にも御報告を申上げ、皆様に御相談をいたしまして、この法案を最善に導くようにお願いしたい、さよう考にえております。
  43. 赤木正雄

    赤木正雄君 今までのところを全体を通じて考えて見ますと、まあこの中には灌漑排水、或いは、干拓もありますが、水道もありますが、こういう、要するに利根川治水という、こういうふうなことが主点のように解釈されますか、そういうふうに解釈して差支えありません。
  44. 石川榮一

    石川榮一君 最後目標は、災害防除と永久の災害防除と水資源の高度の利用であります。要するに、水資源を災害なくして最も高度な、経済的資源たらしめようというのが狙いであります。従つてその一環の治水は、その根幹をなすのであります。併し治水ばかりに没頭するという意味でないのでありまして、目標治水利水共に仕上げようという狙いでありますから、大体治水利水中心でありますが、最後目標利水にある、そういう面から行きますと。治水一本槍かというようなお話にも聞えるのでありますが、治水は勿論差当りの根幹であります。災害の防除と、永久災害防除それ即ち治水であります。防除すると同時に、その水を如何に利水するかということに重点を置いておりまして、治水は消極面、利水は積極面、かよう考えます。結局両面から水資源を効率的に使いたいという狙いであります。お説のように、治山治水中心でありまして、これを中心とする利水を拡大強化するという建前になつておるのであります。
  45. 赤木正雄

    赤木正雄君 災害防除とおつしやいましたが、治水さえできれば、水害防除になるのだから、水害防除が即ち治水そのものと解釈して何ら差支えないと……。今おつしやつた治水ということの最後目的と申しますと、灌漑排水干拓関連して、先ほど申しましたように、土地改良は当然入つて来るのであります。でありますから、ここに謳つていらつしやる主なるものは、治水、こういうふうに解釈し得るのですが、それで差支えありませんかというのです。
  46. 石川榮一

    石川榮一君 大体先生のお説のようであります。治水中心といたしまして、水に関する事業をやるのでありますから、排水灌漑一つ治水になりましようし、利水治水、その限界はなかなかはつきりいたしませんが、治水の徹するところは利水であり、利水の求めるところ治水であると考えられますが、その限界ははつきり申上げられませんが、御説のように、水を治めるということが勿論中心になります。これは御説の通りであります。
  47. 赤木正雄

    赤木正雄君 あとは又研究して質問します。
  48. 小林英三

    委員長小林英三君) ほかに御発言がなければ第五條に移ります。    〔菊地専門員朗読〕  第五條 年次計画は、基本計画に基く事業(災害復旧事業を含む。)を実施するための毎年度の計画とする。  2 利根川開発庁長官は、毎年、基本計画に基いて年次計画を立案し、閣議の決定を求めなければならない。
  49. 小林英三

    委員長小林英三君) 第五條につきまして別に御質問はございませんですか。なければ第六條に移ります。    〔菊地専門員朗読〕  第六條 開発計画を樹立する場合においては、あらかじめ、利根川開発審議会の議を純なければならない。
  50. 小林英三

    委員長小林英三君) 第六條について御質疑がなければ第七條に移りますが。
  51. 赤木正雄

    赤木正雄君 私は一々考えて言つておるのですから、そう早く言つても困るのです。
  52. 小林英三

    委員長小林英三君) どうかごゆつくり……第六條にお質疑がございましたならば、(「異議なし」と呼ぶ者あり)よろしうございますか。では第七條に移ります。    〔菊地専門員朗読〕  第七條 開発計画と国土総合開発法(昭和二十五年法律第二百五号)に規定する国土総合開発計画との調整は、内閣総理大臣が利根川開発庁長官及び国土総合開発審議会の意見を聞いて行うものとする。
  53. 赤木正雄

    赤木正雄君 開発計画と国土総合開発法による国土総合開発計画とはどこが違いますか。
  54. 石川榮一

    石川榮一君 利根川開発計画と国土総合開発法が規定しておりまするいわゆる国土総合開発計画との調整問題であります。御案内のように、国土総合開発法なるものは法文化してすでに実施に入つておりますので、特別立法のこの利根川開発法の開発計画との関係は、国土総合開発法なるものは実施されておるのでありますが、今国土総合開発法の事業実体を見ますと、各府県から各府県の県内における国土総合開発計画なるものの提出をさしておるようであります。それからその後様子を見ますとあまり進んでおならい今の状況から考えますると、各府県から参りますところの国土開発計画なるものを開発審議会が検討を加えましで、そうして総理大臣に報告をするという機関になつております。で、この調整は、重複するよう考えられるのですが、私どもはこの利根川総合開発が特殊地域であるという考え方から、而も、もうすでに非常な危機にあります利根川中心とする治水並びに灌漑排水等の行詰り状況等から考えまして、日をあまりおくことはできない非常な危急の状態に陥つておるという考え方から、東京都を防衛するための治水計画等も考えの中に入れまして、特にこの地域は全国におきましても日本第一の大河川であり、最も災害を多く呼ぶところの川でもあり、又年々歳々災害を呼んでおるところの現実から考えて、又ここに密集しておるところの関東に住んでおります利根川沿岸の一部五県の住民は千五百万人、又沿岸直接の住民は約六百万人おります。関東の約六割は皆農民であります。そういうわけでありますから、この利根川は特別の地域であることを認めてこの法案をお願いするのでありますから、この法案ができますれば、おのずから特別立法としてできました法案であり、前の国土総合開発審議会がありましても重複することなくして、むしろ国土総合開発計画の推進にこそなれ、邪魔になるようなことはない。かよう観点に立つておるのでありまして、若し法文上何かの支障があるということであれば、これはどちらも総理府の外局にあるのでありますから、総理大臣がこれに対する調整をすべきである。私どもはその調整をするようなことはあまり起らないじやないか。利根総合開発計画の樹立ができますれば、これは国土総合開発計画の一環として推進せられ、実現性のあるところをむしろ喜ばれこそいたしましても、国土総合開発審議会の権限を云々するのでなく、その実行におきましてもむしろ推進せられるところであつて、決して国土総合開発審議会の事業の進展を妨げるようなものではなく、むしろこれに拍車をかける立場にある。かよう考えておるわけでありまして、若し法文上面倒があります場合には、更に法律の改正を要することもありましようが、そういうことでなしに行けるのではないか。若し調整を必要とするならば総理大臣がなさるべきであるというので、こういう規定を置きましてその調整を明文化したわけであります。
  55. 赤木正雄

    赤木正雄君 利根川の水に関する総合開発と、国土総合開発、これは単に水のみでなく、もつと広汎の総合開発計画しておるのだと思いますが、その部分的の水に関する総合開発と何ら違うとは私思わない、同じだと思うのです。違つたらおかしいので、同じ国としての総合開発ですから、それで国吉総合開発のあなたのおつしやることと同じものである。進んでいなければ早めればいいので、何ら……同じものだ。今おつしやるのは、国土総合開発のほうが非常にやり方が遅いから、これにもつとブレーキをかけて、早くこういうことをやればいいので、どうも同じことのように思いますが、どうなんですか。
  56. 石川榮一

    石川榮一君 それは一応御尤もでありまして、私どももその点は非常に考究いたしまして、この法案を作るにつきましても、最も頭を脳ました点であります。国土総合開発法があれば、これは全国的の総合開発はできる。これはすわれはできるのでありまして、全国的に総合開発をやるということ、全国的にやらないということと変らない。実際計画を伴わないところの計画はプランに過ぎない。現に私ども考え方から行けで、又開発法でやつておりますことは、各府県から取寄せますところの一つのプランである。実施計画を伴わないところには、真の開発計画はあり得ない、実現性のないところのものに対しては、熟意を持つ人は少いのであります。多く各省総合開発はプランに過ぎません。実施が伴わない、三千年後か、五十年先かわからない計画を立てられることは私は非常に迷惑である。従つてそのプランはおのずから責任を持つたプランが立て得る勇気がなくなるというような形になつておりまして、現在私ども国土総合開発審議会に参りましても、利根川に対して、何か調べたことがありますかと言うと、まだありません。君たちが努力すればこれからやります。こういう話であります。あなたがたがそういうことをやれば、我々もこれからやりますということでありまして、そこに積極性もないのであります。それは無理のないことでありまして、国土開発審議会は事務局でなく事務室に過ぎない。全国の国土開発をやろうという抱負を持つならば、もう少し拡大強化した堂々たる国土総合開発庁というものができなければならない。それが僅か事務室の、幾人もおらない。こういうようなところで、国土総合開発法があるのだから、全国的にそれに任して置けばそれはできるのだということは私どもは政治の実体から考えまして、これは希望するに過ぎなくして、むしろできないのではないか。プランを立てるだけであつて、全国の構想を各県に命ずるだけで、それではどこからやるかということになると、まだ全国的のものは、大部分集まつておらない、それですでに二年になります。こういうような形であります。これはどこの総合開発をやるにいたしましても、ああいう権威のない法律では、国土総合開発法なるものは実現性のないものと見るのであります。これが本当に相当の予算を持ちまして、国費をこれに投入いたしまして、全国の国土総合開発を十年後に必ず実現する、三十年後に実現するというような大きなプランを持ちました総合開発法であれば、私どもはこんなことは考えなかつたかもわからない。今の現実では失礼でありますが、プランに過ぎない。実施計画は伴いません。漸くプランを集めるに汲々たる程度であります。府県におきましても、あまりこれに期待をかけておらない。議員諸君もかけておらない。ただプランを作るだけの形でありまして、こういうことでは、私ども現在地元民から朝に晩にその苦衷を訴えられております立場から考えますと、放つて置けず止むに止まれずこの法案を御審議願いまして、そうして一つこれで国土総合開発法の弱点、足りないところを補つて、それは若干法文上トラブルがあつてもそれは止むを得ない、現実の面において躍如たるものを現わしたいという建前から、こういう法案を立案しておる。こういうことを御検討願いまして、この法文の末節に囚われることなく、どうか一般の水に悩まされております農村民の気の毒なる姿を考えて頂きまして、法文に対する摩擦等は皆様方の御良識に応えまして、適当な匡正が頂けるように御高配を願いたい、かようにいたしましてこれは総理大臣にお任せをするということにしてあるわけであります。
  57. 赤木正雄

    赤木正雄君 そういたしますと、国土開発法はできても、或いは実際の問題としてはまだ計画も全国的にやつていない、だからしていつになつたらできるかわからん、それでこれは待つていることはできんからこの法案を出したと、こういう御趣旨ですね。
  58. 石川榮一

    石川榮一君 それは国土総合開発審議会の動きが悪いからと言つてつたのではないのでありまして、利根沿岸の一部五県の関係人の結集いたします利根治水のためのいわゆる組織体である治水同盟、これらは末端の農村人が繁つております、これらが、年々歳々災害に悩まされておりましてむしろ田植をしますときに。今年の天候がどうであるか、或いは肥料をたくさん入れてとりたいということよりも、暑い思いをしながら手を入れます水田が又今年も水に全滅するようなことはないか、常に水に戦きつつ農村の人たちは気の毒な境遇で農村の仕事に携わつている現状です。こういうことが全般的にあるのでありまして、放つて置けない、と言つて予算はなけなしの予算であります、ごましお予算でありますからどの河川もどの河川もやるわけに行かない。年々歳々の災害復旧に追い廻されている。原状回復をすることができない。勿論根本改修にも手が着かないというのが今のあり方であります。そういうことでありましては堪えられませんから、一つ大きく総合的な計画を立てましてそうして而もそれに対して相当強い実践方を持たせたものを伴いまして、そうして各河川ともそうでありましようが、全国における最も大きな河川は災害の最も大きなものであり、又東京の政治文化を守る水防施設でもありますものですから今の線に沿つてこの法案を出したのでありまして、勿論国土総合開発審議会の活動が私どもの期待するような信頼できるような実現性を持ちますならば、計画がどんどん進んであるならば或いはこういう法案は出さなかつたかも知れませんが、併し現実の状況は年々歳々の水害に担い廻されているような現実から見まして、止むに止まれずこの関東平野を救うために立てたのでありまして、この国土総合開発計画の進みが悪いからそれに憤然としてやつたのではありませんで、考えて見ると国土総合開発法というものがあるけれども、今の姿の国土総合開発法の実体では期待が持てないというのがこの法案を出さざるを得ない状況になつたのです。それが全部ではありませんが勿論それも考えまして、これがあるにもかかわらずなぜやつたかと言いますと、今申しましたようなわけで誠に実現性の薄い、推進力のないプランに過ぎない、失礼な言い方ですがプランを作るに過ぎす、或いはプランの連絡所でしかないというような小さな事務室しか持たないような基盤では、とても日本の国土総合開発計画名前は立派でありますが、その実は挙らない、それは放つては置けないというのでこの案を出したわけであります。
  59. 赤木正雄

    赤木正雄君 利根川が如何にも水書を受けて、その沿岸の人が止むに止まれぬそういう立場から、国土総合開発がうまく行かない、それでこうしたとおつしやいますが、そういう観点ならば北上川の沿岸の人も利根川以上に苦しんでおる、最上川の人も局部的には利根以上に苦しんでいる、そういうものは全国にたくさんある。そういうものをお考えの上でこういうものを出されたか。
  60. 石川榮一

    石川榮一君 それは深刻な被害は各所にあります。これは私どもも存じ上げております。それはそうだからどこも手を着けないで行くということはどうかと思う。それは皆そうなんだから苦むのは当り前だといつて、それじややらないといつて諦めれば諦めがつくのでありますが、それは政治の本筋ではないのではないか。先ずできる限り大きな被害を持つものから手を着るということも、これは政治の行き方として少しも非難があるベきものでない。深刻な被害はこれは同じでありましようが、その量或いは経済的の効果というものから判断いたしまして、若しやるとしますれば、どの水系を総合計画をやるかとすれば、先ず北上を先にやり、利根最後にするか、或いは利根を一番先にやつて見るかということにつきましては、これはいろいろの資料から判断いたしまして考えてやらなければならんのですが、利根の置かれております現実は一部五県の亘り、御承知ように大災害があり、これを改修すれば大きな経済効果があるのでありますから、こういう点から考えまして、先ず利根川総合開発計画を実施に移しまして、そしてそれが軌道に乗りつつあると同時に、国の予算と睨み合せまして大きな水路を漸次片付けて行くという方針をとつて行くのがいいのではないか。かよう考えておるのでありまして、ただ利根川治水を急ぎたいというばかりでなく、御承知ように本当に真剣に考えますと、日本の国土のあり方はどうしたら救われるだろうかということは、水に関心を持ちます政治家は皆御心配だと思います。このままで行つていいのか、このままでは悪いとすればどうしたらいいか、これはいろいろ考えなければなりませんが、特に予算の面におきまして制約を受けておりますので、私どもは今のあり方ではまずい。できるだけ国費も投入すべし、民間資金も投入すべし、でき得れば民間資金のうちに外資も投入し得るような方途も考えなければ、とても日本のこの国土を保全することは困難である。それはあまりに貧困な財政でありますので、さよう考えられるのであります。こういうよう観点から国を救う政策は国土の保全にある。それは水を中心とする総合計画の実施であり、これは勿論政治、経済再建の基盤であると考えておりますので、こういう面から考えました場合に、先ず総合開発をやる場合にその利益はどこにあるかということを調べて見ますと、利根川は御承知ようにダムを十五カ所ばかり作る予定になつておりますから、このダムによりまして三千町歩の水力を治め、この水を利用いたしまして六十三万五千二百キロワツト時の電力が出る計算になつております。現在四十三万程度しか出ませんが、このダムの建設による水の量だけで更に一倍半の電力量ができると、これを大きな電源開発をやりますと、利根の本流だけで今調べて見ますと約百三万キロワツチ時の電源ができるのであります。さように経済の中心地東京に近く、最もコストが効率に済み、消耗率の少い電源開発は、利根奥地林中心とするダムの建設によつてできるのであります。これが第一に考えねばならんことであろうと思います。幸いに建設省計画によりましても二十四年二月の利根改修計画のダムの建設のうちにそれも含んでおるようであります。先ずそういうようなわけで電力の大きな生産ができます。それからよく言いますが、北海道は未開地であるが、ここは熟田である。開発の必要はないじやないかということがちよつと考えられますが、この東山京に近い関東平野は御承知ように水に荒らされ、そして冠水に悩んでおります。埼玉におきましては中川の改修ができませんので六万から七万町歩の立派な水田が腐つております。又栃木県の渡良瀬の三千町歩の用水地の外にあります一連の四万町歩は、年々湛水のために参つておる。洪水よりも湛水の恐しさに泣いておるような現実になつております。千葉県におきましても、茨城県におきましても、濕地田は随所におきまして殆んど濕地田の機能を半減されておるというようなわけであります。熟田と称しておるものが、殆んど熟田としての効率を示しておらない。そういうようなところがたくさんあるのであるのでありますから、こういう点等考えまして、一部五県、特に各県会がこれには非常な熱望を持つておりますので、これらの人の和を得ました今非常に念願しておりまする一部五県民の協力振りを政治に活かすことも、これは非常によい時を得ておるという考え方もりありまして、この際この法案をお願いいたした次第であります。他地方に先んじてやるということは甚だ不都合のよう考えられますが、とにかく一番大きい川である。勿論深刻の度におきましてはもつとひどいところもありましようが、とにかく局部的に直しても意味のない大きな川でありますから、総合開発としては最もふさわしいものではないか。他の河川を軽んずるわけではありませんが、先ず一番大きい特殊的な性格を持つ利根総合開発をすることは、これを国家的に考えて非常に意味があるというよう考え方をいたしておりますので、決して予算をたくさん取つて早くというようなことを考えておるわけではないのであります。要は大体の総合開発計画を立てる場合には、水資源中心とすれば先ず利根川に第一指を染めても差支えないのではないか、それが第一の順位であるべきものではないかというのでこれを出したわけであります。勿論あとの希望する川等もおのずからいろいろな御意見があろうと思うのであります。今予算が非常に少いので、どの川も捨てられて、農民は泣寝入であります。この状態で続きますならば、随所にこういう法案が出るのは当然であります。それは誠に予算治水治山農林行政に対して少な過ぎるのであります。こういう点から起つて参る止むに止まれん声ありまするならば、これは国元の声といたしましてこれを議会に反映して差支えない、これによつて政治は急転回をすることもできるのではないかと、かよう考えて、これは少し余談に亘りましたが、要は利根川が一番大きい川であり、勿論他の深刻な被害を受けておるところから考えれば、その激甚の度においては差があるかも知れませんが、広汎な利害関係を持ちます経済基盤のあるところでありますので、さような意味でこれを出したわけであります。決して他の川を軽んじているというようなつもりは毛頭ないのでありまして、要するに一歩政治を前進させるためにはこういう法案を御心配願いまして、そうして第二、第三、第四の永源に関する国の政策が十分に行われるようになることを念願するわけであります。
  61. 赤木正雄

    赤木正雄君 提案者利根川のことをよく御承知で、成るほどと思う点があります。併しこれは地元々々で考えが違うので、北上川地方をとれば、北上川は北上川としての相当の被害があるし、而も利根川に要する費用よりも北上川改修に要する費用のほうが少くて効果が多いということもあると思う。或いは最上川にしても、水害は随分ひどい。仮に利根川法案が出れば、最上川も出すでしよう。北上川も出すでしよう、或いは木曽川も淀川も出すと思う。そういうように出す場合に、いわゆる全体の国土の開発の上からどれを一番先にやるかというと、今思案者は利根川を一番先にやると言われましたが、これは御尤もだと思います。併しこれを全体の各河川について出しまして、幾ら出しても、莫大な費用を要するものと、少い費用で効果のあるものと何方あると思う。そういうところを検討することが、私は国土総合開発の実施になると思うのです。そういうことについては多少お考えなつておるのですか。
  62. 石川榮一

    石川榮一君 私はお答えもしますが、各地から出るであろうと考えられますが、出ないものを出ると考えて躊躇しておるということはできないのであります。私どもは先ほど来申上げましたようなわけで、利根川が一番災害も大きく、経済価値も大きく、人心に及ぼす影響も従つて甚大であるというよう観点から提案いたしまして、ほかの地区のかたがたから何かこれに似通つた案が出ますれば、出ましたときにいろいろ御論議を願うべき問題でありて、将来出るであろうことを想像して、それでは引込めるほうがよいだろうというよう関係には参りませんので、必要性がありますれば、勿論出るでありましようし、出た場合には、出たときに川の実体をよく考究いたしまして、そうして本当に必要であるならばこれを採用いたしたい、さもなければ予算関係等で或いは各地に我慢をしてもらうということもあるかも知れませんが、要は止むに止まれないで出しておりますので、こういうものを出したらほかの川がたくさん出るだろうというお話がありますが、出るか出ないかはまだわかりませんしいたしまするので、それまで深く考えおりませんのですが、まああまり競合いたしまして折角やろうとするものが共倒れになるようなことでは非常に遺憾でありますが、こういう点は将来における関係でありますので、意見を申上げることは差控えたいと思いますが、利根川に関する限り是非ともこれは皆様のお袖にすがりまして、この法案の成立に格段の御心配を願いたいという提案者の希望を申上げて置きたいと思います。
  63. 赤木正雄

    赤木正雄君 そういう観点から国土総合開発が若しも今おつしやつた通り進んでおらないというならば、これは鞭撻して成るべく早く総合開発計画を作られまして、各河川について、水なら水だけでもいいですよ、その総合開発計画を作らせて、どの河川から先ず第一に着手するかと、これを国土総合開発観点からやるのが、国民全般が公平に判断もし、無理からんと思うと、私は思うのです。それでこの利根川は止むに止まれんからこれを出したのだと、成るほどほかの河川は出していないので、利根川はこういうものをお出しになつたのは無理からんことと思いますが、そこに私非常に疑点があるのです。国全体としての総合開発を各河川について出しまして、そのうちについて順位をきめると、こうしたならば非常に私は疑義がなかろうかと思うのです。そこに疑点があると思うのです。併しこれは結局見解の相違でありますから、私はこれ以上その点については触れないで、又時期を見て申上げますが、次に申上げたいのは、仮にほかの河川からこういう法案を出した場合に、発案者はやはり今ここに自分の体験からして、そういう法案にも喜んで賛成なさることと思いますが、どうですか。
  64. 石川榮一

    石川榮一君 それは内部的に御検討をさして頂きまして、私どもといたしましても、その法案の内容並びにその実効等を御検討さして頂きまして、そうしてそのときに態度をきめたいと思います。頭から反対するとか賛成するとかいうことは絶対やりません。でき得る限り協力は申上げたいが、要するにものには順序ありますから、お互いに共倒れになるようなことばかり考えてもどうかと考えますので、どつちも成功し得るように行けるような御協議が好ましい、かよう考えております
  65. 赤木正雄

    赤木正雄君 それは理想はそうでありますが、この例は十分経験があるので、この前国際文化都市というようなものが、一つ別府を出しましたために、次から次へと出しまして、これは衆議院から廻つて来ると私はいつも反対していましたが、参議院でもあの妙な法案、これは新聞紙でも決して喜んでいない、妙な法案だと、むしろ変な法案で、あの法案を通すことはむしろ国会の不名誉だとさえ思つているのです。こういうふうな関係で、法案の是非曲直、つまりこの法案を悪いだと、それをおつしやつたかたも相当ありましたけれども、まあ通して來たことは事実なんですが、そういうふうな関係があるのであります。でありますからして、もう一度申しますが、恐らくほかの河川からも、この法案が通るならば、一つ出るか或いは幾十出るか知りませんが、先ず常識から考えて出るものと見て差支えないものと私は思うのです。そういうときに、むしろこの国土総合開発計画に基いて利根川が第一だと、こうきめるならば、ほかからかれこれ言つたつて利根川から先にやつてしまうと、こう思うのですが、それに対してどうお考えになりますか。
  66. 石川榮一

    石川榮一君 そういう場合が仮にありました場合に対する私ども考え方ですが、私どもは実は全国的にそういうものを調べてもらつて、それを比較検討する会を作るなどということは、まあ当分これはできないことだと思います。現に利根川水系にいたしましても、どこの水系にいたしましても、まとまつた庁舎はできておりませんので、庁舎を使用するプランが立つておらん。県ごとにその県自体が立てる計画だけはどこでもぼつぼつやつておるようでありますが、十河川或いは二十河川が徹底的な計画を立てるということの実現を見ますことはほど遠いのではないかと、かよう考えておるのであります。私どもはそういうゆつくりした態度でおることを許しません。どうして皆さんの御協賛を得まして、まあ誰が考えましても、利根川は全国における一番大きな河川であるということは御承知なのでありまして、利根川が取上げられたのは大間違いだと、あんなちつぽけな川をというようなことは申されないと思います。若しそういうことがありましても、総合的な利益のある川から手を着けるということになれば、無論有力な川筋じやないかと思います。そういう点から考えまして、そういうプランができますれば、恐らく利根川ようなものは有力なる総合開発計画の中に入るべき資格ありと、これは常識的にも考えられる。こう思うのでありまして、利根川が通つたからというので、たくさんの川が出た場合、温泉都市法や何かと同じよう考えで何院がばたばた通すというようなことは無論あり得ないと思います。これには勿論大きな予算を伴います。にれは大した予算を伴いませんで、金儲けの事業であります。これは全く金儲けの事業ではありませんで、一地方の人だけのために利益をしようというのじやなくて、国の食料基地、経済の基盤をなす総合開発事業であるという大きな狙いがあるのであります。おのずから温泉都市法などとはその線を異にする。こう私ども考えております。決して温泉都市や何かと、利根川や北上川或いは木曾川と同じレベルのものでは断じてないと考えておるのであります。
  67. 小林亦治

    ○小林亦治君 如何でしよう。本日は、どうせ明日やらないとしまするならば、この程度にして……。
  68. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君    委員            石川 榮一君            島津 忠彦君            田中  一君            小林 亦治君            徳川 宗敬君            東   隆君   事務局側    常任委員会專門    員       武井  篤君    常任委員会專門    員       菊地 璋三君   法制局側    参     事    (第三部長)  岡田 武彦君