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1951-02-22 第10回国会 参議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十二日(木曜日)    午後一時三十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設省その他の建設事業に関する調  査の件  (特別調達庁所管予算に関する件)  (公共事業費及び国土開発計画に関  する件)  (調査報告書に関する件)   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは只今から委員会開会いたします。  先般の委員会におきまして、調査題名につきまして委員長に御一任を願つておりましたが、この題名につきましては、建設省その他の建設事業に関する調査第二次というのを、河川、道路都市及び建築等各種事業並びに国土その他諸計画に関する調査ということに変更いたすことにいたしたいと思いますから、御報告申上げます。  本日は公共事業費全般に亘りまして、経済安定本部建設省特別調達庁等につきまして、調査を進めることになつておりますが、まず特別調達庁長官はじめ皆さんがお揃いになつているようでありますから、この方から調査を始めて頂きたいと思います。
  3. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 昭和二十六年度の特別調達庁関係予算を極く概略御説明申上げたいと思います。  昭和二十六年度予算として計上いたしました終戰処理費総額約千二十七億円でありまして、前年度の総額約千九十三億円に比較いたしまして、約六十五億千九百万円の減と相成つております。この二つの一般会計予算総額に対する割合は約六分の一であります。即ち一五・六%になる次第であります。以上のうちで主なる部分を占めまする調達関係の直接費でありまするところの事業費予算は、昭和二十六年度九百九十九億八千万円でありまして、前年度の千六十四億円に比較いたしまして、六十五億円の減となつております。目下のところ総司令部よりは系統部隊別経費内示を受けておりませんので、昨年度御説明申上げましたごとく、部隊別予算を御説明できない次第でありますが、近く何らかの内示があることと期待しておるわけであります。  特別調達庁におきましては、前述の事業費予算のほかに、終戰処理業務費、同附帯事務費及び総理府所管なつておりまする同事務費予算を所掌いたしておりますが、その事務費は十三億四千百万円でありまして、前年度予算の十二億八千四百千円に比しまして五千六百万円の増となつておりまするが、これは主として給與改訂によるものであります。なおそのほかに終戰処理費約一億七千九百万円がありますが、これは他省所管なつております。このほかに連合国軍人等住宅公社予算も当庁において所管いたすのでありますが、昭和二十六年度はすでに所要の建設を殆んど終了いたしましたので、建設費新規計上はございません。ただ連合国軍人等住宅公社経費といたしましては、收支約五億四十万円を計上しておりまするが、これはすでに建設されましたところの二千三戸の住宅に対する家賃收入收入、及びこの收入を以ていたしまする建設費元利償還経費であります。これが大体特別調達庁関係予算概要でございますが、各経費内容につきましては、本日ここに各関係担任部長一緒に連れて参つておりますので、そのほうより御質問に応じまして説明させて頂きたいと存じます。
  4. 小林英三

    委員長小林英三君) 御質問がありましたら……。
  5. 石川榮一

    石川榮一君 予算の大綱はわかりましたが、この終戰処理費というものは、この内容的な各費目に亘つて問い質するというこうは許されませんか。どうですか。
  6. 小林英三

    委員長小林英三君) 差支えないと思います。
  7. 石川榮一

    石川榮一君 差支えないですか。私ども終戰処理費予算につきましては初めて伺うわけなんですが、できますようでしたらば差支えない限り総司令部以下各費目に亘りました内容を御説明願いたい。
  8. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは財務部長から説明さすことにいたします。
  9. 川田三郎

    政府委員川田三郎君) 終戰処理費内容につきまして御説明できる限り御説明いたしたいと存じます。  先ず事業費についての分でございますが、これは本年の分といたしましては、まだこの部隊別の、部隊そのものの分け方も内示を受けておりませんので、一応御参考に供する意味合いにおきまして、昨年度の部隊別につきまして申上げようと存じます。恐らく本年の部隊別も昨年と同じ分類になるのであろうと想像しております。お手許の資料に別表が付いてございます。その別表の第一頁の中ほどのところに、二十五年度予算におきましては数字が分けて書いてございまして、三十六年度予算については九百九十九億八千万円という数字だけ載つておるのがございます。これが近くこの部隊別の形で日本政府側内示されると存じております。今年は国会に提案をいたしますまでにそれがなされなかつたものでありますから、こうした一本の数字なつて甚だ御不便をおかけしておる次第でございます。総司令部費以下それぞれの部費につきましても、大体この名称でおわかりになるのではございますが、重ねて一応御説明申上げますと、総司令部費と申しますのは、各部隊に所属せしめない費用、まあ総括的の軍の費用でございまして、丁度これが日本国内の各省に当てますれば、兵器部費というのがその兵器のほうの省に、運輸部費というものは運輸省関係経費という性質になつておりまして、総司令部費と申しますのは、いわばそれらを総括する、政府で申せば総理府とか内閣とかそういう方面費用になります。具体的にどれということが私どもにははつきりわからないのでございます。そういつた包括的な費用と御了承願いたいと思います。  副官部費もやはりそうした軍の一つ統帥系統費用でございまして、これも昨年の実績等について見ましても、私どものほうも今ここで詳しく申上げる材料が丁度あいにくございませんので、やはり総司令部の補助的な方面費用、なおこの点につきましては、本日大変恐縮ではございますが、細かく調査いたしますれば申上げることができると存じております。兵器部費はいわゆる兵器と申されますもの、それから運輸器具軍自体が使いますところの自動車、これも兵器部費修理をいたしております。その他彈薬等の器材、弾薬を包装いたします器材、そういうものもこれは新調する場合に兵器部費から出ております。技術部費と申しますのは、建設工事維持修理工事、そうした方面経費でございます。それから医療部費、これは薬品の購入であります。医療施設国内における維持経営、そういう方面経費でございます。補給部費、これは貨物廠的のものでございまして、例えば油を外国から持つて参りましたものを日本で整理して国内部隊に配給する、その施設を運営する費用でありますとか、その他軍方面部隊そのもの補給関係に使います経費でございます。これが酒保のほうの経費とは別になるのでありまして、酒保のほうは総司令部のほうでも出ておりますが、私の推定いたしますところでは補給部費からも出ておる、別になると申すのは或いはいけないかもわかりません。補給部費のほうからも出る。酒保費用と申しましても、日本において物を購入して、各部隊の今度は軍事的な面でなく、部隊所属員の生活の必要物資を供給する。このほうは余り終戰処理費からは出ておりません。余りと申しますのは、若干止むを得ざる生鮮食料品などについて稀に購入されることがあるわけであります。通信部費と申しますのは常にお目に止まつておると存じますが、夜高い建物、塔などに明るい電気がついております。全国の航空事故を防ぎますために、航空信号の使命をいたしております、そういう費用。その他国内郵便物の委託をいたしております費用、これが通信部費であります。運輸部費は海陸の運輸に対する費用で、国有鉄道関係へ支拂いますもの、曾つて船舶運営会、現在の船舶管理委員会、これに支拂います費用でございます。情報部費はこの名前の通りでございまして、軍の情報機関に必要とする経費であります。特殊役務部費というのがございます。これは一般役務もございますが、それがそれぞれその役務目的によりまして、前に申上げました各部隊費用のほうにも役務が入りますが、特殊役務部費でありますと、それぞれの部隊とは又別個の観点から供給されますところの役務芸能関係の提供もこの特殊役務部費であると存じます。訓練費一般訓練に要する費用でございまして、これも各部隊それぞれに訓練ため費用というものが配当いたされます。これらは本来部隊で考えますならば、兵器部隊というものがあれば、その中に全部入れてしまつてもいいわけでございますが、訓練という軍としては共通の問題でございますので、別に取り上げられまして、訓練費というのができております。雑労務費、これは現在特別調達庁長官都道府県知事業務を委託いたしまして、軍の要求せらるる労務調達をいたしております。その給與並び施設福利厚生、そうした面の経費でございます。一言にして言えば、いわゆる労務者の費用でございます。諸費というのがございます。これは二十六年度において設定せられる課目になるかどうかは今のところ予測をいたすことができませんですが、こうして各部隊別に分けて置きました予算兵団司令部におきましては、各部隊に、一応日本国内官庁に大蔵省が配当するようなやり方配当をされます。その場合予備費的なものをあらかじめ持つて置く、これは結局部隊別配付計画的に内輪になされておるということでございまして、軍全体といたしましては、本年予算計上いたしました程度事業量というものを予想しております。ただ予備金的に置くのではなく、一応軍内部におきましては、いわば第二次の配付計画として部隊別に持つております。それを我々に示さないだけでございまして、この諸費を除きました各費目ごとについて一応の予算配当をいたしますと同時に、第二次配付財源といたしまして、この諸費を取つたわけでございます。これが昨年のやり方でございます。本年はそれをどういたされますか、初めから第一次即全部というふうに総司令部費以下雑労務費までの予算配当されますか、或いは昨年同様に諸費の項を設けまして、第二次的の計画変更に順応するようにいたされますか、これも近く内示を受けることと存じております。  以上で事業費の甚だ粗笨な説明でございましたがお話を終つたわけでございます。他の項目につきましても……。
  10. 小林英三

    委員長小林英三君) 石川委員にお伺いたしますが、大体そんなことでよろしうございますか。
  11. 石川榮一

    石川榮一君 はあ。
  12. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは経済安定本部長官に対する御質疑をお願いします。
  13. 田中一

    田中一君 今日は私のほうは江田君がおらないので、いずれの機会にか又質問があると思いますが、国土総合開発に対する大臣根本的方針をですね、国土総合開発に対する根本的な実施に対する方針をお示し願いたいと思うのです。
  14. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 国土総合開発につきましては、まあ政府方針といたしまして、とにかく終戰後における狭まつた日本経済土地の中には相当開発資源もたくさんあるし、日本自立経済達成ためにも大きく国内資源開発することが必要である。それに対しては片寄つた、片ちんばになつたような開発では困るのであつて、できるだけ総合して、そうして国土利用開発ということを図りたいということで、国土総合開発法という法律を出したことは御承知の通りであります。今日各府県等に先ず地方別に残されたる国土利用開発等に関する計画を今樹立されつつあります。で一部の府県ではすでに政府のほうに一つの案をまとめて出されておる向もあるようです。これらのものは国土総合開発審議会におきまして、慎重に審議されて、そうして適当なりと認めれば、開発審議会から政府のほうに答弁があると思いますが、この答申がありましたものにつきましては、全般を考え、財政を考えて、できるだけ早くこれを軌道に乗せるように持つて行きたい、かように考えております。併しそれらが全部出揃つてしまつてからでは遅れる部分がありますので、すでに地方的にわかつているものの一部は当然予算の中に取入れつ一部を実行に移して行くという形も考えておるのであります。何しろ相当大きくやるために金が要りますので、全体的には計画も進んでおりませんが、何とか将来に向つてはできるだけ早く開発するものは開発するという形に財政の許す限りは方針を推し進めて行きたいと考えております。
  15. 田中一

    田中一君 その際に民間からですね、その開発に対する地方庁を通じて民間から開発計画が出された場合には、どういう工合に処理されるのですか。各府県実施をするのか、或いは民業としてやるのか。
  16. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 計画総合的に出ましたならば、その中の実施については直接国がやる場合、或いは国が援助して県にやらせる場合もありましようし、物によつて民間が主体になるものもあるかと思います。全部国なり県だけがやるというふうには考えておりません。
  17. 田中一

    田中一君 審議会委員は全部おきまりになつたのですか。若しきまつていないとするならば、この実施の点については国会からも委員を出さして頂きたい、こういうように考えているのですが、お考えどうですか。
  18. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 国会議員委員に入れるということについては多少まだ議論がありますが、ともかくも今保留されたる部分は、国会議員と思う者が予定されて、保留されておるそうです。いろいろこれについては議論があるので、あのときに一応考えたのですが、保留されておるような形です。
  19. 赤木正雄

    赤木正雄君 特に安定本部長官に対するものをお伺いいたします。  今国土総合開発の話がありましたが、これは建設省のほうでも九百二十万円の予算計上されております。恐らくこれは特定地域調査と思いますが、これと関連いたしまして、安定本部土地調査費一億六千八百三十四万七万円、こういう費用計上されてありますが、この間安定本部のこういう御意見を承わつておりますが、いわゆるこの土地調整費というのが国土総合開会の一環のようにどうも思われるのであります。それならばこれは国土開発審議会、何かそういうほうに属せらるべき費用のようにも思われますが、これは特に国土総合開発とどこが違つておるのでしようか。
  20. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 予算計上の方式についてのお話ですが、これは別に私どもはどこに計上してなければならんとも思わんですが、国土調査というものは赤木さん知つておられると思つたので私は御遠慮申上げたのでありますが、一体日本の挾くなつた土地において国土の実体、面積というものがその地目別にわかつていないということは大きな問題なんであります。一体日本土地調査というものは聖徳太子が一遍おやりになり、それからその次には太閤秀吉がやり、その次は明治十七年に土地條例ができて調べただけで、今日は土地が、畠地が何反歩あり、水田が何反歩あり、工場地帯がどれだけということがはつきり調査されていない、こういう状態において、挾くなつた日本において如何に土地利用し、土地開発し、例えば食糧政策を立てたところで、どれだけ開発しなければ農地として多いとか少いとかということは立ちますまいし、面積調査だけでなくして、ランド・ユーテイリゼーシヨンの立場から言えばもつと土地質からやつた調査が必要なんであります。そういう意味合いにおいてこの際土地調査ということが大きく取上げられたことは非常に結構だと思いますが、それがどこにあるというようなことで余り議論はしたくない、若しも必要であるならば一つにまとめるのもよろしうございます。その中の大きな調査の結果というのも一つ国土開発に使われましようし、又工場の分布、日本産業を一体どう持つて行くかということについても使われましようし、これは一億七千万円、それはそれとして、一つ計画として進められ、総合開発してやる必要があればまとめるのも方法かも知れませんが、私どもはそういうふうに考えております。
  21. 赤木正雄

    赤木正雄君 建設省所管中国地建のほうで非常に精密な調査のできておることを私先日図面及び書類で知りました。恐らく安定本部でもあの調査がこの土地調査に非常に役立つ、或いはあれ以上の調査をなさるのか、その上はどういうふうになりますか。
  22. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 今聞きますと、お話の点は土地調査というこちらの目的にしておるところは入つていないようであります。これはもう一遍よく調べて見ますが、そういう話であります。私は或る部分においてはそういう目的に沿うたものがあれば利用すればいい、その分が省かれでいる、土地調査利用が考えられればいいが、全面的にはこの調査は不完全なものであります。これはランド・ユーテイリゼーシヨンをやらなければ今後はつきりした産業計画が立てられない。そういう意味から、これは金の面から言えば貧弱でありますが、今年は先ず面積ぐらいはできるという恰好であります。ダブるという点は修正もし、合わすこともできると思いますが、これは無用のものとは考えておりません。
  23. 赤木正雄

    赤木正雄君 ちよつと違つた問題でありますが、一つ工事を施してそれが同時に他のものに利用できる、たとえて申しますと、一つの橋を架けてその橋に少し加工するならば同時に軌道を敷設することができる、そういう場合に勿論軌道を敷設する費用軌道経営者がやるべきだと思いますが、とにかく一つ事業を起してそれをあらゆる方面利用し得るならば、利用するのはこれは経済上尤ものことと思います。又そういうふうに安定本部は以前にはやつておられたように思いますが、やはり今後もそういう方針でなさるのですか、どうでしようか
  24. 小沢久太郎

    政府委員小沢久太郎君) 只今赤木委員から御質問がありましたように、公共事業費或いは国費を最も有効的に使う。それがため只今御例示のありましたようなことがありますれば、そういうふうになるというふうに考えております。
  25. 赤木正雄

    赤木正雄君 それは前からやつた方針でそうあるべきだと思いますが、仮に又堰堤事業にいたしましても、その堰堤利用して同時に水力発電にも利用し、或いは場合によつて水道取入れ利用するとか、或いは灌漑用水取入れ利用するとか、無論その際に本当り目的以上の行為はその受益者から出すのが当然と思いますが、そういう方針であるべきだと思いますが、これはどうですか。
  26. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) そのことが総合計画でありまして、それが堰堤一つは洪水の予防に使われ、同時にそれが水力発電に使われれ、或いは灌漑用水に使われるようにする、そこに総合一つ計画を持つて行きたいというのであります。当然の話であります。
  27. 赤木正雄

    赤木正雄君 これはどういう間違いがあつてそうなつたかは、いろいろな感情の問題もあるでしよう。見返資金で或る堰堤を作る場合、その堰堤利用してやはり水の取り入れに利用しよう、こういう計画があつた際に、安定本部の或る係官は自分が在戦中に断じてそれはしないと言つて拒否された事実もあります。その間にはいろいろの感情関係もあつたと思いますが、これが非常に今までの長官考え方と又実際その係の人の考え方とは違うような点もあります。これがために多少迷惑するのがほうぼうにありますから、これは今後一つ十分にお考え願いたい。これを一つ局長から……。
  28. 小沢久太郎

    政府委員小沢久太郎君) 只今赤木委員の御質問のありました多分六甲じやないかと思うのですが、あの問題の砂防堰堤を作り、それを水道に使うという場合に砂防堰堤をやりますと、その水道取入れをやりましても埋つてしまう、結局水道取入れとしては役に立たないというような問題でいろいろ疑義がございましたので、一応まあ考え直したのでありまして、我々といたしましては多目的一つのものを使う、そうしてそのコストを安くする。或いは開発に資するということはもう根本方針としてやつているのであります。
  29. 小林英三

    委員長小林英三君) ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、今衆議院の建設委員会と連絡を取りました。向うでは建設大臣が今まさに終了しようとしておりますので、安定本部長官ちよつと一緒に貸して頂ければ今度一緒に繋いで差上げると、こういうことを向う委員長が言つておりますから、そういうことにいたして、その間特別調達庁の方をやりましよう。……それでは特別調達庁所管に移りますから……。
  30. 石川榮一

    石川榮一君 只今終戦処理費事業費に関する概要の御説明を伺ひまして、私見当がわかりました。要するにもう一度伺いたいことは、現在進駐軍の設備は総括的に考えますと、常識で考えましてどの部面はいわゆる総司令部側の負担であり、どの部面日本終戦処理費から出しておるかということの、いわゆるその費目の大綱的な説明をもう一度願いたいと思います。たとえて申しますれば、終戦処理費のうちから進駐軍の兵営に対する給與をしておるかどうか、食糧賄費はどうなつておるか、その他訓練費用も出ておりまするのですが、どの程度まで訓練費日本政府は背負つておるのかというような大綱的な面で結構なんですが、その或る程度の分割ができるならば、性格的にでも一応その使い分けをお示し願いたい。
  31. 川田三郎

    政府委員川田三郎君) 只今事業費の使い方についてその区分はどういうところでやつておるかという御質問でございます。これは一応の基準は軍から出ますところの調達要求書一つ基準なつております。  その内容につきましては、実は日本政府側においてこれを検討するというわけには行かないのでございますが、只今お尋ねはむしろそういうことよりもう一歩入りまして、実況はどうなつているかというふうに拝承いたします。それで軍の訓練について終戦処理費で負担する部分とそうでない部分との分け方はどうなつておるか、この点は私ども現在まで受けました調達要求書内容から判断いたしましても、全部国内におけるいわゆる演習の範囲に出でないものと信じております。又食糧につきましては、尤も元になつておりまするスキヤツピン、総司令部覚書がございまして、その中に注意事項といたしまして、日本の国民の食糧に影響をもたらす故食糧調達はするなということがございます。特に何か緊急の場合に総司令官許可を得ればできるのだと、許可なしには食糧調達はしてならんと、この原則からいたしまして、区分の限界といたしましては原則として食糧調達はない、こう考えております。その他は結局軍内部においても強い規制がございます。現在は在日兵站司令部と申しております昔の第八軍でございます。これが一つ調達要求書を出そうといたします場合に、当然配付予算の枠で伝られることが一つであります。又その内容につきましても或いは委任により、或いは個々の部内の承認により内容軍内部において審査しました上、初めて日本政府宛調達要求書になるのでございまして、私どもはそれを信頼してすべて国内需要の面のみが調達要求書なつて出て来ると考えて、現在軍の調達に従事しておる次第でございます。
  32. 石川榮一

    石川榮一君 食糧の面につきましては、日本食糧事情圧迫状況から考えましてさようになさつていることよくわかりました。朝鮮動乱の発生後におきまして、相当量日本の、特に大麦類でありますが、精麦類等朝鮮人罹災民に対する支給になつておりますか何かわかりませんが、相当量出ておるように私ども聞いておりますのですが、そういうような食糧が仮にあの動乱を通しまして相当数量日本から出ておるとすれば、その食糧費に対する費用はやはり終戦処理費で賄つていらつしやるのか、或いは占領軍朝鮮軍支弁費として処理されておりますかを承わりたい。
  33. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今お尋ねのような費目終戦処理費中からは支拂われておりません。
  34. 田中一

    田中一君 長官に伺いますが、朝鮮動乱以来昨年の秋、並びに本年この調達物資相当値上りなつておるものがあり、又その値上りなつておるのがもつと上るというような傾向があるように考えられるのですが、この予算面においてはそういう点の考慮が拂われておるんでしようか、若しあるとするならば、昨年の調達状況と本年度の調達状況が二割なり、三割なり四割なり、数の上において減額されておるというような考え方を持つていいものかどうか。
  35. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今の御質問のように物が相当値上りなつております。従いまして單価経費が非常に多くなつておるのでありますが、現実には二十五年度の予算内を以て賄つております。適例を申上げますならば、これは物ではございませんが、労賃の値上り等におきましては相当額が予備費の中から支出されておりますし、又その他地代、家賃等の関係についても予備費の内より十分に賄い得ることに予算を立てて、そうして実施に移つておるわけでございます。又いろいろの物の値上りによりますところの結果につきましては、軍自体において配付されました予算とよく睨み合せて予定計画を立ててやつておるのでありまして、従いましてその枠を超えての発註というものが現在殆んど行われておらんように承知しております。従いまして現実には仰せになりましたごとく、調達の実質が少し物の量の面から行きますると、下つておるということも言えるかと存じます。
  36. 田中一

    田中一君 この雑労務といいますか、調達庁が供給する労力についてこの賃金等は全部軍のほうからの指示によつてきめられておるものですか、或いは調達庁自身が各産業各労働賃金のベースをお考えになつてきめるんでしようか。又それがですね、過酷な賃金となつて圧制なれておるような傾きがあるかないか、お伺いいたします。
  37. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 労賃につきましては、大体事務系統の関係と技能工系統の関係と二つに分れております。技能系統はいわゆる職穂別賃金、これに則つてつております。又事務系統のものにつきましても、一般官公庁関係のその方面の事務の種類に応じまして、大体権衡をとつてつております。現実には多少進駐軍関係労務者のほうが実際の面においては上廻つておつた。こういうような関係でありまして、従つて不当に労賃等を少く出しておるというような関係はないと存じます。  なおどういうふうにしてきめるかといいますと、従来は政府を代表いたします特別調達庁と労働組合との間に協約を持つておりまして、それによつて大体において円満に協議の上で細かい点を定めております。併しながら特別調達庁といたしましては勝手に余分の金を抑うということにも勿論行きませんし、いろいろ実際上の協議をしつ世間の状況に応じまして、例えば一般官公職員のべース上げがあればそれに相比例して進駐軍関係の労働務者もこれも同じく特別職でありますが、政府の雇用人という立場にありますので、同じように考慮されております。この場合更に詳しく申上げますれば、拂われる財源は終戦処理費でございますので、これは一々総司令部関係のほうに相談いたしまして、又労務表側にもできるだきるだけ納得してもらい出して、そうして処理して行くという事情でございます。
  38. 赤木正雄

    赤木正雄君 今まで随分接収されている家がありますが、あの家に対する家賃といいますか、それは二十六年度におきましても大体今までと同じような接収の家賃といいますか。同じ額なんですか、或いは單価が上るのですか、どうなんですか。
  39. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 接収家屋等につきましては、昨年の八月に遡りまして値上をいたしまして、関係方面の了承を得て、そのときから今年度の支拂につきましても年度内完了するように手配を進めさおります。その割合は八月以降十二月までは、全体の平均でございますが、二・四三倍でございまして、一月以降につきましては三倍と、特調の関係といたしましては全体三倍ということをお願いしたのでありましたが、いろいろな関係から今のようなことに相成つたわけでございます。従いまして二十六年度以降につきましては、今年の一月以降の三倍のその割合を以てそれを基準といたしまして、支拂をするというふうに決定いたしております。
  40. 赤木正雄

    赤木正雄君 現在接収されておる家屋は二十六年度には多少でも返還されるような状態なんでございましようか、どうでしようか。
  41. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 正直なところ只今のところでは何とも申上げかねる次第でございます。これは私想像だけで申上げまするならば、若し仮に講和が到来いたしまして、例えば日本政府に対する監督面の人が減つて来るということになりますれば、当然その分は減つて来る望みがあろうかと考えておりますし、又部隊の数、それが縮小するというようなことが仮にありまするならば、それに要するところの関係のいろいろな接收物が減つて来る。ころいうようなことは一応想像ができますのですが、これ以上は私どもとしても今考えられません。
  42. 赤木正雄

    赤木正雄君 今まで接収された家は大分返されたものがありましようか。
  43. 曾田忠

    説明員(曾田忠君) 今まで接収解除になりました件数だけ今わかつておりますのを申上げます。二十三年度ですが、これが八百六十四件、それから二十四年度ですが、これが大体五百三十五件になつております。それから二十五年度は今までわかつておりますのは百十数件返つおてります。
  44. 赤木正雄

    赤木正雄君 接収されている間に、向うの人とすべての習慣その他は違いますからして、接收された家が再び返つて来ても、元の所有者に対しては殆んど役に立たないようにひどい形で返されたということもある、それに対しては特に元の形になるような、補償とか何とかそういう途はあるのでしようか、どうでしうか。
  45. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 接収されましたかたがたにとりましては非常にお気の毒な場合も多々ございます。我々といたしましては十分このことを考えまして、補償の場合におきましても、筋の合いまするものはできるだけ親切にこれを取扱はななければならんと考えております。現にそういうふうに扱つております。
  46. 田中一

    田中一君 今の接収家屋に関連するのですが、現在接收せられているものを返還して、進駐軍住宅公庫ですか、金融公庫ですか、ああいう形の、あそこの予算をとりまして、どんどん返すために建築をする、建設をするという方向に向い得ないのでしようか。又いつまでも進駐するか、将来のことは知らんですが、無論返還される場合には新築に対する採算のとれた料金・家賃をとれるわけですね。今の赤木委員質問のように、接収されたために不幸な目に合つている所有者のために、あの進駐軍住宅金融公庫ですか、あの規模を大きくするというような考え方はないでしようか。それは可能か不可能か。
  47. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 接収されております家屋と、それから連合国軍人の住宅公社が建てまして管理いたしております建物とは性質が違います。又連合国軍人の住宅公社のほうは、建てました家に入つた連合国軍人等より家賃を徴収して財源の償還に充てている。片方の接収家屋につきましては、これは終戦処理費から日本政府が接収されれた者に家賃地代等を拂つているという関係になりまするので、管理の方式としては将来そういうものが続いて残つて行く場合は一緒にするということは考えられまするが、今のところ財源の関係やら何やら、今後の情勢の変化を待たなければどういうふうになるか、予測しかねる状態でございます。
  48. 田中一

    田中一君 朝鮮の動乱後、朝鮮に向けてたくさんドル拂いの調達が行われておるように聞いておりますが、これがために非常に建設資材の値上りを来たしている。無論入札制度、入札方式によつてやるに違いはないと思いますが、そういうドル拂い調達ため相当値段の相場の上に変化を来しているのではないかと思う。そういう点お調べになつておられるかどうか。お調べになつておられるならば、どのくらいの率で以て上つているか、御説明願いたいと思うのです。
  49. 池口凌

    政府委員(池口凌君) 今の全般につきまして統計的にまだ調査をいたしておりません。併し私どもは予定価格を作ります際には、必ず非常に細かい点から積り上げまして積算をいたしておるわけであります。おのおの元になりますところの資材については詳細に調べております。物によりましてはもう二倍近くになつておる物もございますし、おのおの市価調査をやりまして、製造過程の賃金の上りますもの、物の上りますもの、そういうものを全部集計いたしまして積算いたしております。今例えば工事費なら工事費が幾ら要るかということはちよつと申上げかねますが、おのおの元になりますものは正確に調べて出しております。それによりましても、どうしても先高とか思惑というものがありまして、現在では私ども先高の見込の予定価格というものはなかなか作れませんから、入札等におきましても値段の折合わないということはたまにはあるような状態であります。それから物によりますと、例えば最近ありました石炭のようなものになりますと、ストライキとか、ああいう冬場のときになるというと、非常に普通の物よりも特別の事情のために変化するというときは、たまには入札が不調に終るということもありますけれども、こういうものは特別の状態でありまして、平常の場合におき幸しては、大体無理なく契約が進んでおるような状態であります。
  50. 田中一

    田中一君 この終戦処理費調達したものの廃物というものは、例えば石炭殻とか食残しのものの処理はどういう形でやつているのですか。
  51. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) そういう種類のものは、大体役務としてこれを処理するための手数その他のものがありますが、運搬費或いは労賃等を主体として例えば石炭殻、そういうものを処理するため役務としてPDを出す場合がございます。
  52. 田中一

    田中一君 そうしますと、それに対する拂下の收入というものは何もないわけですね。
  53. 長岡伊八

    政府委員(長岡伊八君) 軍に調達して出しまして、不用になつて参りますものは、実は解除物件といたしまして調達庁に渡されましてこれはそれぞれ手続をとりまして、入札をいたしまして売却いたしております。それから只今お話の石炭殻といつたような不用品につきましては、只今長官から申上げました通りその仕事を、どこの石炭殻をどういうふうに処分しろという命令が一々出ますので、それを終戦処理費によつて向うの要求通りに処理いたしておるような状態であります。
  54. 田中一

    ○田中君 昨年度はそういう程度のものがどのくらい拂下になつて、又本年度の予算の上にどのくらい見込んでおつて、その収益、收入金ですか、入金、そういうものはどういう形で以て使われておるか、伺いたいと思いますが。
  55. 川田三郎

    政府委員川田三郎君) 只今の御質問のお答えを二つに分けます。  一つのほうは、前の廃物で、むしろその処理に費用を要するほうの石炭殻のほうは、これにつきましては経費がかかるだけでございまして、これがPDによる作業としてやりまして、その品物を処理します。  第二の解除物件でございますが、解除物件のほうは昨年度大体当初からの通算で二十四億円の拂下をいたして去り幸して、これが契約金、現在それのまだ契約手続中の、契約手続と申しますよへ歳入を取ります手続の過程にありますものは、契約金額に対する未収額は二千万円前後、あと現在大体月一億円程度收入を見込んでおります。ほぼその線になつて解除物件が軍のほうから引継に沿つておりますし、又その売拂いも大体解除されましたあと二月間の程度で売拂いが行われております。收入の状況も全く事務的の収入のズレが二十四億に対して二千万円といいう程度のズレで残つております。
  56. 田中一

    田中一君 その收入の使用方法はどういう形で使つておるか、それは予算面に現れておるのですか。
  57. 川田三郎

    政府委員川田三郎君) 予算面では終戦処理費特別収入の中の解除物件収入というものがございます。それに歳入予算を立てまして、それに対する収入実績が上つておる。それから金の問題でございますが、本年これは軍の要求は現在の結論と違つておりまして、軍のほうは自分が終戦処理費を運用いたしまして、やつた物を解除したのであるから、それを売つた金は当年度の軍の予算、いわば部隊で使う資金に戻せという御要求がございます。これを強く懇請いたしまして、それだけは日本政府側一般歳人、言換れば国民の租税を軽減する財源にして頂きたいということで、現在は一般歳入に入るようになつております。
  58. 田中一

    田中一君 浮游機雷などの処理は、これは特調ではなくて運輸省関係にたるのですか。
  59. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 今のお尋ねのような種類のものは、特調の所管下はございません。
  60. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記をとどめて、    〔速記中止〕
  61. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を初めて……。
  62. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 進駐軍家族の住宅を作つてますね、特別会計か何かでね。あれを、講和が恐らく今年中にできるだろうといろ評判だけれども、そうなると進駐軍はいなくなるというふうになるわけで、何かの形で進駐軍じやなくて……條約ができるかどうかわからんけれども、一応そういう進駐軍の家族という形式で入るために作つた家屋であるから、講和ができれば返してもらえるのですか、どういう見当なんですか。
  63. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を止めて……。    〔速記中止〕
  64. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を初めて。  只今周東安本長官並びに増田建設大臣がお見えになりましたので、建設省並びに安定本部一般公共別業費の内容につきまして質疑をお願いいたします。
  65. 赤木正雄

    赤木正雄君 経済安定本部といたしましては、国費によつて行われる一切の公共事業計画及び一般的の監督の責に任せられているのでありますが、又建設省におきましても、やはりこれと同じように所管の公共事業に対しては、その計画なり或いは監督の責におられることは同じことです。そういたしますと、この両者の間にどういうふうの区別をしておられますか、関係と言いますか、その点を先ずお伺いしたい。
  66. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 今のお話ですが、建設省関係の公共土木事業については、大体建設省関係の固有の立場から必要な計画を立てて、私どものほうとも相談をいたし、私どものほうではその他の省関係の公共土木事業との関係と睨み合せ、財政事情を見、そうして適切なものを調整しつつ予算計画して行くということになつております。
  67. 赤木正雄

    赤木正雄君 今のお話で大体わかりました。併し建設省には御承知の通りにそれ専門の調査機関なり、あらゆる方面安定本部に比べて遥に完備しているということは、これはもう十指の指差すところであります。従つて或いは経済面からしまして各省の公共事業もよくお考えになつて又その他の事業をお考えになりまして、安定本部でそれを適当に按分なさるのはよくわかりますが、詳細のことに亘りましては、先ほど申したように建設省のほうがすべての点において優れているといいますか、或いは調査機関が優れていると申しますか、その観点からしてむしろ建設省のほうで計画を主管なさるのが私は本当によいのではないかと思いますが、御意見如何でしよう。
  68. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 大体はその計画を元にして、全体の総合調整から予算面上最後の断案を下すわけであります。御承知のように経済安定本部には建設省に育てられた方が多数におられる。又その他の農林省、運輸省等からの出身のかたがたもそれぞれ部員としておられます。最後における調整、断案を下すほうがむしろ適当で片寄らざる意見が皆の前にさらけ出されるりでありますから、そのほうが適当である。而もこちらのほうから直すとか直さんというのでなしに、基本のものは建設省から出された案を元にしてやつている。その点は今日のような場合殊に総合調整で行く立場から最も必要な行き方であると考えております。
  69. 赤木正雄

    赤木正雄君 北海道の開発庁の関係公共事業費でありますが、これもやはり一般公共事業費の一部でありますから、今長官お話の点のすべての公共事業費、少くとも建設省公共事業費をよく勘案して、内地と申しますか、北海道とその他のほうの事業費が一定の計画の下にこれは按分されたものと思いますが、さように考えて差支えありませんか。
  70. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) さようでございます。殊にこの点に対しては建設省という立場を離れて、北海道開発長官としての立場においての増田君もこれに参画しております。一応のそういう計画の不において按分しております。が更に私はこの際一言申して置きたいのは、按分按分とおつしやいますが、北海道の未開発地帯はこの狭められた日本国土のなかにおいて、非常に未開発の多い北海道を如何にして日本の国家全体として開発するかということに対しては、もう少し大きな立場に立つて考えて行くことが必要である、かように思います。そういう面から北海道開発長官としての意見も聞き、そうしてこれが分配してあることを御了承願います。
  71. 赤木正雄

    赤木正雄君 二十六年度の北海道の開発関係公共事業費は七十億四千万円余、これを二十五年度の四十七億五千万円余に比べますと、実に二十二億八千六百二十三万八千円の増となつております。一般公共事業費が二十五年度と比べて二十六年度は三十六億八千九百万円ぐらい増しておまりすが、その中の増した分の六二%が実は北海道のほうに行つてしまつておる。一方内地には御承知の通りにほうぼうに災害その他緊急の仕事がたくさんありながら、特に北海道に六二%もこの増した公共事業費を持つて行つた。これは先ほど長官の言つた通りに、北海道は今後の人口等の問題におきまして、非常にあすこに開拓する余地がある。又これが日本の大きな希望の一つである、こういう観点から多額の費用を北海道に用いられたのは、その意はわかりますが、併し何かの基準と申しますか、或いは北海道を開拓するには今後どれほどの費用がどういう方面に要るんだと、一定の計画つてこういうふりになされておるのですか。北海道に特にこういうように持つて行かれたその基礎観念を、基礎の数字といいますか、それを承わりたい。
  72. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 細かいことはあとで小沢君から申上げますが、今あなたの御指摘の通り、又私からさつき旧しました通り、北海道は相当にこれからの日本経済の復興自立に役立つところが多い、私は去年の割合から同じように按分して北海道をきめれば、もう少し少いかも知れません。そういう行き方はとらずに、むしろ石狩川の或る特殊な地域ですか、ダム建設なり或いは農業の開発等につきましても、やはり北海道に残されたるところが相当ある、そういう面を睨めまして、少いながらも本年の北海道における公共専業費をあそこへ少し増額して、そうして今日本の必要な経済自立の少しでも力を北海道に求めたいというところに行つたんです。私はその点で常にこの按分とか、前年度に比してという考え方、これは一つの大きな参考にはなりましようけれども、やつぱりその点は事態に即応して考えて行くということが妥当ではないかとかように考えております。細かいことは事務官から説明させて頂きます。
  73. 赤木正雄

    赤木正雄君 先ほど申上げた通りに、又長官の言われた通りに、北海道は今後の開拓の大きな部面日本全体に役立たせる、これは了承いたしました。併しあの北海道の開発法案の審議会の席上におきましも、北海道の今後の開拓というのは非常に重大なものだということを言われました。併しこの多額の費用を北海道に向けられていますが、この費用の中でも河川に増したものは三五%土地改良二三%、而も今長官の言われた最も重大な開拓に対しては僅かの八%しか増していない。これは今長官お話と多少齟齬する、又あの審議会の席上の今後の北海道の重大な使命は開拓である、こういう点とも多少違いはせんか。尤も開拓にはたくさんの費用はありますが、この増し方がほかの費用に比べまして非常に多い、これはどういうわけでしようか。
  74. 小沢久太郎

    政府委員小沢久太郎君) 北海道の開拓の問題でございますけれども、これは北海道の事業を一々拾いまして、それによつて経済効果を見ながら付けたというものでございます。でございまして、例えば泥炭地の排水をする。そしてその泥炭地の増収を図るというようなこと、それがためにその泥炭地の排水を図るために、まあ河川改修をするというような、つまり経済効果を見まして付けたということでございます。  それから先ほど北海道の全体計画があるかというお話でございますが、これは北海道庁で一応作つたものがございます。ございますけれども、我々といたしましては、もつと総合的に作るということをアドバイスいたしまして、今その作業中でございます。
  75. 赤木正雄

    赤木正雄君 それではやはり北海道の開発事業は何ら計画がないと言つては少し言い過ぎか知りませんが、今までと同じように行き当りばつたりだ、こういうふうにちよつと聞えますが、何ら計画なしにしておられるのでしようかどうでしようか。
  76. 増田甲子七

    国務大臣(増田甲子七君) 開発長官として御答弁申上げます。  北海道の開発につきましては、只今周東安本長官からもお答え申上げました通り、終戦後におきましては、北海道に特に我々は重点的に力を入れて、そうして北海道と内地を含む日本の宝庫たる実を挙げしめたい、こういう念願で本年度開発庁が発足いたしました。この点と予算とを睨合せますと、赤木さん御指摘の通り額においては画期的と申すと語弊があるかも知れませんが、相当額内地の諸府県に対する公共専業費よりも殖えておることは、私はつきりと承認いたす承認いたす次第でございます。二十数億殖えたというのも、これだけ重点的に北海道の開発ため予算的に力を入れまして、そうして結局北海道と内地を開発したい、こういろ意味合から内地及び北海道八千万の国民のために二十数億殖えたことと御了承願いたいと思います。そこで特色がないではないか、ただ辞令的に殖やしたではないかという御質問がございましたが、一応そういう御質問も御尤もの点がございますが、併し開発長官といたしましては、主として土地改良と河川改修と、それから道路の建設へ力を入れたつもりでございます。土地改良は御承知のごとく酸性土壌、それから泥炭地の改良、それから沙漠地の改良、これに特に力を入れました。併しこれもまだ折角重点的に力を入れたと言いながら金額は少いではないかという御質問も御尤もの点がございまして、こ点には特に土地改良に北海道の開発は重点を置いて参りたい。こう将来とも考えております。それから道路を改修するというのも開発は道路から始まる。結局折角道路を作りましても、農業を目的とするその農業の土台である土地が改良されてないといけないのでありますから、やはり土地改良へ最後には重点が行くべきである。その前提としての開発道路でございます。  それから河川改修にいたしましても、結局もう少し北海道の土地、或いは農地の生産力を画期的に発展させたい。そういう意味合から農地を守る必要がある。それには河川を改修する必要がある。こういう見地から河川改修費を相当増額いたしております。併し一面水力電気の開発も図つて、いわゆる総合開発の実を挙げたい、幾春別のダムを五億ばかり金で明年度は作りたい、幾春別はもとより五億では完成いたしません。二十数億かかりまするが、併し継続費としては明年度の支出の金額は相当大きな額であるということをこの際御報告申上げる次第でございます。
  77. 赤木正雄

    赤木正雄君 大体わかりましたが、併し私の希望としては、これは尤もすぐ予算ができて、予算ができるまでにでき得るならば根本の調査をなして、それによつて事業をなさるのが本当かと思いますが、その時期もなかつたことですから、又それには相当調査の期間も要りますからこれは止むを得ないと思います。併し私この際に考えますのは、仮に今開発法案ができたために北海道にたくさん金を出した。これはわかつております。この際仮に今世間で言われておるような利根川の特殊な開発とか、そういうものが出た場合に、一つの法案ができると、その裏付としてそこに予算を持つて行く、殊に治水はこれはまあ内地では非常に重大なものである。利根川もあれば、信濃川もあれば或いは淀川もあれば、木曽川もある。こういう関係がありますから、一つのそれに対する法案ができて、而も十分な調査国土開発審議会でもできない前に、その裏付のような予算がそれに伴つて行く、これは国全体として非常に大きなものであります。それでありますからして、まさかそういうことはなかろうと思いますけれども、これに対する定本長官の御意見如何でしようか。
  78. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 赤木さんには一番最初私はそういう点に殊更に触れて答えておいたつもりでございます。というのは国土総合開発審議会によつて府県から一つ総合開発計画を出して、これを待つことが一番必要でしよう。これが早ければそれに基いてやることが一番至当だと思います。それを待つているには時間的にいかん場合がある。それで少しもそういう総合的な面に金を出さんということにもいかんから、むしろ当然そういう問題が出て来ると思われる。ところが今あなたのお話になりました治水のような問題から言うと、まあ北海道で言えば只今の石狩の流域、これは何とかして電源開発ためにも治水のためにも、泥炭地における排水のためにもこれを中心としてやろうという計画が進んでおつたのであるから、その一部として些少ながらやつて行こう。又利根川水系の特別の法案が出るか出ないか、これは私はよく知りませんが、これも国土総合開発法の一部としてまとまつた……利根川水系というものはこれは従来随分荒れ廻つた川ですから、これをまとめて無駄のないように効率的に予算を使つて効果を收めるということが必要ですが、そういうもののほかにも或いは利根川の水系におけるダム関係ためにも、それに対する河川関係予算については別の範囲で考え、又西のほうの河川についてもそれぞれ計画が出るのを待ちたいが、出て来ん間にも当然わかつておる部門については一番重点的に治水なり河川なり、或いは砂防、山林の植樹というようなものを中心的に考えて予算の遂行には努めておるわけで、それは先ほど私案は特にそれに意を用いてお答えをしていたつもりであります。
  79. 赤木正雄

    赤木正雄君 よくわかりました。大体長官の御意見に賛成です。  次に、今砂防の話が出ましたから砂防についてお伺いしたいと思います。これは安本長官なり建設大臣の特別の御盡力によりまして、とにかく二十六年度の予算といたしまして三十三億ですか、この砂防費の予算のできたことは私ども特に治水に関係をもつ者が本当に心からお礼を申上げる次第であります。併しこれについて少し申上げたいと思います。一体予算を各省から請求いたします場合に、それは申すまでもなく必要な事業を成るベくたくさんするようにするが、それに対して砂防は百五十七億要求しておる。又一方農林関係の治山事業といいますか、これは七十八億要求しておられるのであります。そうして農林関係の治山事業は二十七億四千二百九十四万九千円認めております。これも誠に結構でございます。ここに私一つお伺いしたい点があるのです。それは災害復旧の問題なんです。御承知の通り建設省の砂防工事は大正十五年までは災害復旧の対象物として全然採用されなかつたのであります。それが大正十五年の愛知県の大水害の結果渓流工事に限つてその復旧を認める、こういう情勢なんです。従つてあの頃は大臣長官も御承知の通りに、建設省の砂防工事は決して渓流だけに限つておりません。山腹工事に随分やつておるのです。むしろ山腹工事のほうが多かつたんです。その多い山腹工事は荒廃しても災害の復旧の対象にとり上げない、これは今でもそうなんです。建設省が折角やつた仕事です。山腹工事をやつておる。これを災害復旧の対象に出しても査定官は全然取上げない、これは実は私がその衝に当つていましたからよく存じておりますが、大正十五年にやつたときも渓流工事だけ復旧を認められたのです。その後山腹工事も施行後懐われたのに、なせこれを復旧しないか、そう言つても、そういうことをするならば、崩壊した個所がたくさんあるからして、これは無論工作物です、それを一々復旧すれば莫大な金が要るからそれを採用しない、これに反して一方農林省は長官よく御存じの通り、工作物はなくても山が崩壊したらこれを災害の対象として災害復旧をされております。そういう点に非常に両省の間に矛盾があるのであります。それで今農林関係でこういうふうに自然に山が崩壊して、それが災害復旧として採用されたものが十二億六千七百五十七万四千円、これは大部分そういう個所と思います。従いましてこれを治山関係を合計しますと、四十億以上になります。そういたしますと、これも長官の御承知の通りに両省の間にはこの事業について随分昔から問題がありましたので、成べくうまく相連繋してやつて行かなければならんと思いますが、その際に一体林地復旧工事、そういう費用建設省が主としてやる砂防工事、この費用との割合は我々は長年現地で仕事に当つておつた者といたしましても、先ず山腹の一に対して渓流工事は二・五ぐらいに過ぎない、そういう割合でありますからして、治山事業として四十億認められた場合には少くともこの二・五倍なら約百億、これを計上されたならば、先ず先ず両方の仕事が関係をよく保つて仕事ができる、こういろ情勢なんでございます。併し今申上げた通りに一方は三十三億であります。一方は四十億でございます。そこに非常に不均一ができております。これに対して、この不均一を補うために、何か適宜な措置を今後おとりなさるお考えはあるかどうでしようか。
  80. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 今のお話建設関係は工作物のない山腹の崩れは復旧しないが、農林省関係のほうは工作物がなくても山腹が崩れれば災害復旧を認めておるというこういう御質問ですね。そういうことは初めて聞くわけですが、よく知らんのですが、私どもはまあ農林とか建設省予算が均衡を失しておるとか失しておらんというのではなくて、今赤木さんも御心配の治山治水は川を治める立場において必要ならば今お話のようなことが事実とすれば、今後においてはよく研究をして、その工作物でなくも山腹の砂防を建設省がそのまま捨てておけばこの災害が頻発する、災害を誘発することになるというならば、これは治めることが必要なので、よくその点につきましては調査をいたしまして、具体的の場合に措置いたしたいとかように考えます。
  81. 赤木正雄

    赤木正雄君 この問題は安本のほうの政府委員にも聞いたのですが、その答弁は研究の結果ということで実はこの答弁はされていないのです。今長官が申されたような同じような理窟になるのです。非常に両者の間に不均一があるならばうまくやればいいじやないかという、これは誠に結構であります。併し工事費が不均一であつてはうまくやれるはずがないのでありますからして、その点をよほど調整してもらわないと今後の治山に十分な施策はできない、これは事実なんですから、これを特に考えて頂きたい。今長官は何か考えがあるようでありますから、これを特にお願いいたします。
  82. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 私は不均衡とか何とかということでなくて、実質的にしたいということを申上げたので、若しもあなたの言われるようにそのままに放棄しておいて、そのために災害を誘発するということになれば、やらんほうが悪いので、だからそういう問題についてはそういう立場から一つよく研究をいたして行きたいと思います。
  83. 赤木正雄

    赤木正雄君 次の問題はこれは安本の小さい問題でございますから、長官でなくてよろしうございますので、又のちほど……。
  84. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 今総合開発のことが出ましたから大臣諸公の御意見を聞きたいと思います。  今赤木さんから総合開発の問題が出まして、北海道総合開発に今度二十億の予算計上、成るほど北海道は日本の国のホープで、残された資源として大いに政府の金を出して頂いて有難いのでありますけれども、又私ども考えるのに当然豊富な資源を持ち、交通、文化、産業に影響の強いそういう地域が十二分に開発されればそれだけ早く国力は増強される。特に最近のような世界の情勢が急迫したような場合においては、山の中の遠くのほうの資源ために金を注ぎこむよりは、そういつた文化の中心に近いところの資源総合的に開発するほうが私どもは国家の利益上いいと思うのです。北海道もさような意味で一つのホープでありましようけれども、又こういう本当の文化の中心地において当然の資源がいろいろの災害のために眠らされておる。これは私どもは非常に残念であるので、そういう問題に対して総合開発をするということは、何と申しましても今日の行政機構その他の点で、今日の場合ではなかなか農林省、建設省一生懸命やつておるけれども不十分のところがある。やはり総合的な意味でやらなきやならんということは一般の輿論だと思うのですが、北海道も大切だが、さような文化の中心、確かに資源のある実力のあるところを早く総合的にその資源を十二分に使うということも私は大事だと思うのですが、その点について安本長官はどういうふうにお考えになつておりますか。或いは建設大臣でも……。
  85. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 決して文化の程度の高くなつている地方で未開発のものを放つて置いていいということは考えません。従つて手つとり早いところに相当金を注ぎこめば、手つとり早く行くということがあれば、これは勿論考えなければなりませんが、内地の……内地と言うとおかしいが、北海道以外の適当な地域についてはできるだけ早く金を注ぎ込んでやりたいという希望は持つておるわけです。私どももそういう意味合におきまして、今年の予算に必ずしも満足しているわけではないのですが、財政上の都合でああいうふうに切りつめられて来ましたので、今後とも私どもはもう少し早く一つ政府における重要政策の確立ということに努力いたしまして、今のような開発計画についてはもう少し予算を増加して、今後は各方面の要求に応ずるようにいたしたいと考えております。
  86. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 先々月でございましたか、総合開発審議会の諸君のお話を聞きましたところが、誠審議の情勢が遅々としておるようなんであるが、実際総合開発その他の問題もそうですが、特に総合開発というようなことは十二分の調査がなければ、あとになつていろいろ問題が起きるということで、これは特別に急いでやらなければならんと思つておりますが、併しそれもこういう差迫つた情勢において万遍なく、日本全体の隅から隅までも皆並べて調べているということは、これこそ時間と労力を空費する問題であるから、当然使わるべきものが使われないで損害を受けておるものを重点をどこに置くかということを考えて、そうして調査を進めさせるように、当然予算のほうも出すようにして開発をやらすというお考えはあるかないか、聞きたいと思います。
  87. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) お話のように国土総合開発は急がなければならんことであつて、なかなか進んでおらんのは事実でありまして、先月でしたか総会が開かれたときに、国土総合開発法のできる以前から建設省で御心配になつて指定された地区が十三地区あるようであります。そういう地区の案は今出かけておりますが、これは急いで一つ審議会で御調査を願つて、答申を受ければ、それに基いて適当であるものは取上げて予算のほうに移すことに努力したいと思つております。只今非常に卓見のお話を伺つて私も同感でありますが、又今度は皆出すということになつたらどこの県も県別に一応出て来るのであります。これは恐らく各県とも皆悪い案ではなくよい案でありましようけれども、これは取上げるときには出て来た中からできるだけ重複を避け、重点的に総合的な立場に立つていい案を取上げてこれを実行に移すように努力をいたしたい。ばらばらに各県別にどれもこれも同じように持つて来るようでは、又金も足らんし、総合という名前に少し合わんような場合も出て来るのではないかと思います。皆かようによりよりお話をしているわけで、今のお話の御趣旨は御尤もであります。出来上つたものの中で最もよろしい、産業的な影響に最も大きい力を持つた適切なものから重点的にやつで行くということは賛成であります。そらいろ点で努力いたしたいと思つております。
  88. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 安本なら安本、内閣なら内閣からして、どれが重点的に取上げるべきかというようなことを、まだそういう総合開発審議会なんかにあつて重点的にやるべきだという、今の時勢においてはそこを重点的にやるべきだというようなことを指示するまでの段階に至つていないわけですな。
  89. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 今どこをどうということには場所的にはまだきまつておりません。関係省ともよく相談したいと思います。案自体がまだ出揃つておりません。ただおのずから帰一するところは、地域的な問題でなく、抽象的に言えば、何としても今日本経済再建の上から言えば資本の蓄積が必要だ、そういう場合は蓄積された資本が一朝の水で流ざれるということはよく考えなければならん、そういう点から言えば治山治水に重点を置きつこの予防的施設に重点を置くことに努力をいたしたい。それからお話がありましたように、治水のためになる灌漑用水ができ、そして電源開発ができるということになるのは非常にいいことであります。従つてそれに関連して電源開発、治山治水ということからおのずから抽象的な案が出し来る。もう一面は日本の立場から、食糧等の自給度の向上という点もありましようし、そういう面から事業的にはおのずからそういう面が表に出て来るのではなかろうかという、これは私見でありますが……。
  90. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 安本長官のお説を拝聴いたしまして、非常に出鳴を感ずるのであります。大きくこの予算の大綱を見ますときに、農民、殊に水利に関係を持つ者から言いますと、我が党内閣ではありますが、非常に予算の立て方につきまして不満があるのであります。その不満は何かと申しますると、只今全国の河川がもう荒廃しきつている。国土の荒廃は今日よりひどいときはないのであります。特に第三次戦争のまさに捲超らんとするような時代にあり、そしてそこには八千四百万の人間が小さな島にうごめいているというのが現状であります。万一一旦緩急がある場合、日本の自衛は何によつてやられるかと申しますれば、先ず私は食糧の自給度の飛躍的な増産、これ以外にはない。食糧の自給度のないところに自衛の基盤はない、かように考えるのでありまして、只今行われております輸出入の問題等も、これは火急のものがありますが、将来二年三年のうち万一大戦争が起つた場合輸出入のようなものは必ず杜絶します。我々八千四百万の人間がこの島に生きなければならない運命に数年或いは十年さらされる状況にあると思います。こういう点から考えまして、安本長官は永い間農林行政を担当せられる最も権威のあるかたであり、又この度国の経済の安定の司をなすつておる企画の本部であります。とういう観点から私ども本年の予算を見ますと、治水の問題のごときは僅かに河川事業費並びに砂防事業費、山林事業費等を加えまして二百三十億円であります。六千五百億円に対するそのパーセンテージは僅かに三・七%、百分の三・七であります。農林の予算も僅かに百十億であります。これは一・六%、その他公共事業費の道路、橋梁、或いは港湾、都市計画その他を加えましても、これ又百七十億円でありまして二・六%、どれもこれも一%乃至二%・三%が今国民が泣き抜いているところへ投入する国家の投資であります。僅五%か六%によりてこの国民の将来をトするような現在さらされておる状況を克服するようなことができようとは思えません。現に利根川の例をとりましても、本年の予算はよほど御心配をなすつておるようでありますが、今の計算から見ますると、あの改修計画には百年を要します。恐らくどの河川も六十年、七十年或いは百年を要するような状況になつておる。こういうような予算を立てておりますときに、一朝事があつたならばどうなるであろうかということを私どもは非常に必配するのであります。そういう観点から只今予算公共事業費に対する配分が非常に少い。特に公共事業費の中から河川事業或いは農村行政に対する割当等が非常に寡小である。これくらいで若しもの戦争に当るということができるだろうか、それで自衛が全うできるだろうか、かように心配するのであります。こういう観点から只今組まれております予算は、これは私どもにはわかりませんが、我々といたしましては、余り治山治水並びに農林行政等につきましての配分が十分でないということを考えておるわけであります。なけなしの予算の中から終戦処理費も過分に出さなければなりません、物価の騰貴による給與の増額も止むを得ないといたしましても、何とか輸出入方面の金のみ重点を與えないで、これは今火急に儲るでありましよう、火急に輸入物資を取るのに便利でありましようが、それは長いことではないのであります。どうかそういう点もお考え願いまして、補正予算、或いは明年度の予算等につきましては、何とか我々の意のあるとこをお汲取り願うような予算の立て方をしてもらえるかどうか、これに対する長官の御意見を伺いたいのであります。  それからもう一つは、先ほど来総合開発の問題につきましてはいろいろ御意見を伺いまして、誠に私ども御意見に賛成するものでありますが、北海道の開発法、これは結構であります。私どもが利根川の関係筋の議員約十人ばかりがいろいろ研究しております利根川開発法案、どれも今検討中でありますが、この開発法案をどうして出すのかと申上げますと、年々の災害であの千五百万の沿岸民はもう出水期を前に控えまして戦々競々としているのが現実であります。二十二年は栗橋附近の決壊で五百億の土木事業を中心とする被害を受け、昨年七月に起つた小貝川の決壊はあのような惨害を蒙つております。又利根川の上流であります群馬県、栃木県方面方面の水源地帯は荒れに荒れ狂つております。これは帝都を脅す大きな水魔であります。私どもはこの公共事業費の使い方につきまして、どの県もそうでありましようが、災害度の強いもの、その災害によつて経済的に損害を受ける額の大きいものを先ずやる。それからその河川を改修いたしまして、その効果が最も経済的に大きなものを狙つてもらいたい。それから政治、経済、文化、あらゆるものを水のために洗い流されることがあり得るのでありますから、東京都を中心とする利根川があります。この利根川を克服することが日本の政治の中心を守るのじやないか。経済、文化の中心を護持する唯一の手段である、かようにも考えます。  もう一つは、事業は人の和、人の和のないところに事業は成功いたしません、去年利根川をめぐります東京都を中心に一部五県の知事を中心とするあらゆる地方自治体の団体、並びに農民団体は挙げて利根川の治山治水につきまして、これが協力に必死の努力を続けております。人の和は絶頂であります。協力態勢は十分に整つておるのであります。国の政策と同時に地方の被害地の一般民がお互いに手を繋ぎまして、これに協力しようという態勢を整えておりますところに大きな政治の効能があると思いますので、こういう点から勘案して参りまして、只今折角利根川総合開発法の立案を急いでおるのですが、これに対しまする安本長官の御見解をお伺いいたします。
  91. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 公共土木事業費の殊に治水関係、農業関係予算が全体の予算から比べて非常に少いという御意見で、これを増額する意思があるか、こういうことであります。誠に恐縮千万でありまして、実はここにおられます増田君と公共土木事業は大いに奮闘したのですが、財政上止むなくここに落着いたのでありますが、まだ私どもは十分とは考えておりません。現在の財政上止むないものとして一応これで臨んでおります。併し二十六年度予算編成の時期におきまして、我々が主張したことはいろいろな事情で少し手遅れであります。今後の予算の編成に関しましては、早くからこれは相当大きく重要政策をどう持つて行くかということを内閣においてきわめて、そうして実施に移すよう努力をいたしたいと存じます。  第二点でありますが、利根川水系の総合開発ということについてのお尋ねであります。これは坂東太郎を治めることが政治の要諦であると徳川幕府も言つておつたそうでありますが、三百年来どうしてもあれが人工で治め得られなかつた。併し今日の科学を以てこれが征服できないはずはないのでありまして、同時にそれをなすことが共に農業その他の産業における現在の資産を維持し、積極的に生産を挙げることになり、更に並行的に国の文化の中心である政治経済を脅さないようになり、鉱工業関係も安んじて仕事をすることができるという立場から、ここに総合的な施策を進めて行くということについては私ども決して異議はないのであります。先ほど来申上げました国土総合開発計画に関する案があちらこちらにできておりますが、おのずからまとまつて一つの地方的なブロツク別の総合開発というものは、今の利根川水郷地域を中心とした開発計異というものは一つ考えられるものだと私ども考えておりますが、まだ具体的に案を拝見しておりませんから何とも申上げられませんが、これは併し当然取上げられて考えられて行くべき一つの案であろうと私ども考えております。
  92. 田中一

    田中一君 二十六年度の予算面住宅の問題が非常にいじめられておるわけでありますが。
  93. 小林英三

    委員長小林英三君) 如何ですか、ちよつと御発言中ですが、安本長官に対する質問はいいですか。
  94. 田中一

    田中一君 ちよつと私伺いたいのです。どうも住宅問題でいいますと一票にもならないものですから等閑にされるのではないかと遺憾に思つておるのです。端的に申しますがこういう点について長官並びに建設大臣のお考えを伺いたいと思うのですが、国営住宅案が出ておりましたが、これも予算化されておりません。では住宅問題に対してどうすればいいかという点について、六畳の部屋に八人住んでおつて子供が圧死したというような現状が現に新聞紙上に出ておるのです。併しどうも政府でも安本でも住宅問題に対して熱がないのじやないか思うのです。この際この解決策として長期の金融的な措置をとつて、合理的な借家政策をとるような意図があるかないか、こういう点を一つお伺いしたいのです。これは今日今のような現状のままでは住宅は年々減る一方です。現に先般来住宅局長は言つておりましたけれども、府関朽住宅、人口の増加、あらゆる面において今のようなことでおつたならば減るばかりです。こういう点について今申上げましたような合理的借家政策こういうものを立て得ないか、予算化されない面においては投資物件として、不燃住宅ですと非常に、償還期間さえ考えれば方法はあると思います。例えば住宅債券の発行とか何とかそうした面についてお考えを伺いたいと思います。
  95. 増田甲子七

    国務大臣(増田甲子七君) 田中さんにお答え申上げます。住宅政策につきましては政府は特に力をかけております。というのはこのたびのこの戦争くらい歴史上災害を住宅に及ぼした事件はないのでございまして、終戦後においては特に住宅政策には力を入れるべきものであると我々は考えておるのでありまして、もとより田中さんがよく御存じのごとく、平素におきましても低額所得者に対する住宅の緩和ということは、これは平和国家においても、何ら戦争の災害のない国家においてもいつも存在する大きな問題でございます。それに加えるに戦争による災害があつたのでございますから、終戦後の内閣は歴代内閣いずれも力を入れておるわけでございますけれども、第三次吉田内閣においても、この日本の第二次世界大戦後における住宅政策は従来の歴史にないところであるから、特段なる力を入れる必要がある、こういう見地から臨んでおる次第でございます。もとより御指摘のごとく非常なまだ住宅難でございます。従つて先般私が本会議において御答弁申上げました通り、戦争による面接の住宅対策は、災害、戰災による罹災住宅二百十万戸、それから戦争中でございますと主として強制疎開を命せられたものが五十万戸ございます。これは荒つぽい数字であることを御了承願いたいと思いますけれどもこの合計が二百六十万戸でございます。これに対して更に人口が七千二百万から先ほど皆さんが御指携のごとく八千四百万人になつておりまから一千二百万人の人口が殖えております。この一千二百万人に対する住宅の供給という問題があるわけでございますが、結局二百六十万戸を復旧することと、それから一千二百万人、終戦後殖えた人口に対する住宅供給という問題が住宅政策の対象になるわけでございます。  そこで昭和二十年の九月から一体どういうふうに住宅ができ上つて来たかと申しますと、去年の暮までに二百六十万戸よりちよつと上廻つた住宅建設されております。でありまするから人口が殖えて、或いは引揚同胞がないといたしますと戦争による住宅難は一応解消した。ところが千二百万の人口が殖えておりまして、要するに千二百万人の者がまだ住宅がない。これは少し直截的な見方、或いは荒つぽい見方でありますが、そういうことになります。約三百万戸ばかり不足である。二百六十万戸も復旧したのにもかかわらず三百万戸ばかり不足であるということになつております。そこで第三次吉田内閣、特に昭和二十五会計年度から御承知のごとく公共団体による公共住宅のほかに住宅金融公庫を設けまして、年々九万戸ばかり政府が直接間接力を入れて住宅を造つて行く、もとより国営住宅ではございませんが四分の三は国で出しておりまするから、間接的に見ればやはり国営住宅である、こう申しても差支ないと存ずる次第であります。この百五十億に対して相当需要者がございます。現在百三十億くらいの需要者がございまして一応打切りましたが、明会計年度は預金部資金と一般予算とから五十億ずつ出しまして、百億にいたします。そういたしますと需要量におきましては本会計年度と同じくらい明会計年度においても十分その供給ができるわけであります。それから低額所得者に対する公共住宅というものが必要なことは御指摘の通りでありまして、これは引揚者住宅は明年度はないわけであります。ソヴイエトで返してくれればこれは有難いわけでありますが、一応返しそうもありませんので引揚者寮は明年はないといたしますと、本年度の三十五億のうちから四億の引揚住宅を一応控除いたしますと三十一億でありまして、本年度の公共団体経営にかかる低額所得者に対する住宅の三十一億は、明年度は然らばどういうことになるかと申しますと、四十四億でありまして十三億、却ちパーヤンテージから申しますと四割以上の予算としては増額をいたした次第であります。こういうようにいたしまして年々約十万戸ばかりを木会計年度からは政府が直接間接作るわけであります。それから従来この五カ年間に平均五十万戸ずつできております。これは政府の力を入れた住宅はどつちかと申すと二万日前後だと思いまするが、四十七、八万戸は民間一般の大衆が御自分の力乃至金融の力で造つているわけであります。それに加うるに五十万戸プラス十万戸でありまするから、本年度及び明年度からは年々六十万戸ずつ家ができる。そういたしますと三百万戸の住宅難を緩和するのに五年以内にでき得るはずのであるというのが私の、国務大臣としての非常に荒つぽい計算であります。併し三百万戸の住宅難を緩和しても或いはイギリス、或いはドイツ、或いはアメリカ等においても恐らくございましようが、私二十数年前に行きましたがやはり住宅難というものがあります。平和国家、平和状態における国家といえども住宅難がございます。この住宅難に対する住宅政策というものはもとより必要でありますが、そういう住宅難はございます。併しながら日本の歴史上曾つてなかつた戦災による特殊の住宅難緩和は五年を出でずしてできるし、又皆さんの御協力を得て必ず緩和しなければならん。こういう方面で我々邁進いたしております。
  96. 田中一

    ○田中君 大臣は各部局から数字だけをお集めになつて、数字的なテーブルの上の計算だまははつきりしておるのですが、家というものも戦災等で応急に作られたものは二、三年で駄目になるのです。殊に先だつて伊東局長も言つておられましたけれども現在の形で行けば減る一方です。私が伺つた要点は、抜本的に解決するには今言う東京銀行或いは勧業銀行において債権の発行をし、又しようとしておるところもあるようでありますから、住宅債券的なものを出して長期の民間資金を集めて、そうして政府自身でそれを税金でカバーするというごとき借家政策ですね。曾つて日本の家というものがことごとくが借家難てであつたと思うのです。自分で自分の家を持つということは容易なことではないのです。従つて合理的な低家賃主義の計算を立てまして、住宅債券的なものをやる考えがあるかどうなんですが、それは実は伺いたいと思うのです。
  97. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 今の御意見は誠に卓見な御意見だと拝聴いたします。お話通り住宅難緩和、のためには、やはり借家政策がいいと思うのであります。その一つの現われとしてやりましたりは、例の不動産の取得に対する税金免除といつたことは、一つは細かな問題でありますけれどもそういう点を緩和しておる、今日一旦人に家を貸したら損ばかりしておる、家主はやりきれません、家を貸せば厖大な所得税を取られ固定資産税と取られる、こういうのでは家を建てることは馬鹿らしいという気分が多い。それでどうしても大衆には家を建てて貸すという人が出て来なければならん、その貸主として国がやるということは一つでありましようが、国はなかなか予算上困難であろうと思うので、相当な金持が家を建てるとか、公共団体が家を建てるとかいう方向に持つて行くということは考えて行きたいと思いまするし、同時に又今日の住宅政策としては、日本の木材資源というものと睨み合して、余談でございますがともかくも今日薪炭材として使われる木材は一年一億石を下らない、その他パルプ、建築用材、各方面の用材は生産量から見ても過伐、伐採量を超えることすでに二千五百万石であります。これをどういうふうに方向転換するかというと、どうしても一つは建築用材の制限や薪炭林の方向転換が要すると思うのであります。その際先ほどお話があつたのを傾聽していましたけれどもやはり不燃焼というものを作らなければならん。今日こそちよつと事態が悪くなりましたが、電源というものが開発されてセメントの値段が安くできる、今のように木材建築を建てても悪いのでも坪当り二万五千円もかかるということを考えてみるとおつかつになる。それがもつと電源が開発されてセメント・ブロツクによる、アツシユ・ブロツクによる建築を奬励することから、それがどうしてもアパート式になり、それが大都会、銀座あたりでは、実例を挙げればあすこは大体三階建、四階建でずつと高層建築をして、そうして曾つてのドイツのベルリンのように、立体的な住宅政策が考えられて行くべきたと思うのです。そういうことをすることと相並んで、薪炭燃料政策が確立すると思うのであります。のどもと過ぎれば熱さを忘れると言われましたが、戰時中あれほど騒がれた亜炭、煉炭、豆炭というようなものを使うことによつて、建築用材なり薪炭用材を節約して行くことが一つの問題である。そこに又住宅政策の大きな残された問題があると考えております。なかなか予算その他の面で急速に参りませんが、御趣旨の点はそこにあると考えてこういう点をよく研究してみたいと思います。
  98. 田中一

    田中一君 非常に長官の御理解あるお話を伺つて非常に幸いと思います。これに関連する問題ですが、これはもう安本のほうも関係があると思います。昭和二十六年度の予算に盛上げましたところの三十数億の営繕工事に関して、大部分のものが安本長官の御意思に反して木材建築でやるような傾向にあるのです。そのうちの極く少しが耐火法の建築をやつておりません。こういう点について無論これは金がないから止むを得ないのだとおつしやるかも知れませんが、金融的な措置をとれば相当国が建てた財産でそれがそのまま残るという方法があるのではないかと思います。この方法について例えば曾つて庁舎がない時分にはよその家のビルを借家しましてやつたようなことがあるのです。これもいわゆるさつきの借家政策と関連しまして、金融的な裏付けがあれば、国が金がないから家は建てられないが併しながら民間企業としてビルを建築して、役所を入れるという処置も考えられると思います。現に東京の中央においてもたくさんビルが建つておりますがそれでよく庁舎が火事で燃えております。これを考えますと、そういうような措置もお取りにならなくちやならんではないかと考えます。今長官お話と反対な行き方を現在の日本の官庁建築に対して行なつております。これのお考えは如何でございますか。
  99. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 先ほどお話申しました通りに、予算等の関係その他セメントの供給力の関係等がありまして、急速には参りませんが今度も住宅に対する予算の中で三〇%というものは今言つたような不燃燒建築物でやらせるということにいたしております。おいおいと行かなければどうしても坪の建設費が今のところは高いのです。従つて今三〇%としておりますが将来はやはりそういう方面の資材関係と睨み合せて考慮を向けて行きたいと思います。
  100. 田中一

    田中一君 もう御承知と思うのですが、銀座並びに日本橋辺にたくさん何千坪とビルが立つております。これは民間の資本で建つておるのです。曾つて役所も政府も借家しておつたのです。それならば民間事業を起す意味において借家すればいいと思います。それを超えるいわゆる木材資源というものを枯渇させる木造建築又は予算云々とおつしやるけれども、そういう点の私のお伺いするポイントは、そうした建築に対する金融措置をお考えにならないかということを伺つておるので、これはいろいろの取扱があると思いますが、もう少し真面目に、單に数字や観念でなく、現実に即して対策をお考え願いたいと思います。それには何かというと結局金融の問題です。こういう点について先ほど建設大臣に伺つたのは、住宅債券を出すような意思がないかということで、長官に伺つたのは借家でもできるではないかということで、そうして官庁がよく出火するような貧しい木造建築をやめてもらいたいと、こういうわけです。その二点をお伺いしたいと思うのです。
  101. 小林英三

    委員長小林英三君) なお田中委員に申上げますが、田中委員の御要求によりまして只今建築研究所長が参つておりますから、後刻又……。
  102. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 金融の問題については、今すぐに住宅債雰を考えるという今直ちにお答えをしかねますが、十分におつしやる点は研究したいと思います。今の焼けビルがたくさん残つておるというのでこれを住宅にという、転換したらというのは一つの案であります。これはすでに歴代の内閣が終戰後にあれは考えた一つの案ですが、住宅にしては坪当りの家賃と関係するのでなかなか高いものになるそうです。そうして個人の住宅に使うには或る種の特別な装置、例えば殆んど床から何から板にして贅沢にするにはすつかり前の物を取拂つてしまつて、なかなか困難である、その上に暖房の設備を完全にすれば別でしようが、そういう関係で、なかなかやかましく私どもは一番最初に、あれを住宅に使えるかということを言つたのですが、かなり研究のほうからいつて不向のようです。併し商店、商売或いは事務所という比較的そういう面に措置がとられ、金が拂えるような向きでないといかんのですが、併し少くともそういう面に使えるならば事務所ができ、やはり一つ利用にはなりますから研究はすべきだと思いますが、恐らく個人住宅にはどうも向かんように今まで聞いております。これも或いは処置如何によるかと思いますが、御趣旨の点はよく研究したいと思います。
  103. 田中一

    田中一君 速記のほうで困るから訂正するのですが、私は焼けビルを住宅にせいということを申上げたのではない。御承知のように不適当です。そういう点ではないのです。ただ例えば呉服橋に鉄鋼ビルというのが建つております、八千坪の……あれは民間の金で建つている。どうするかというと使用する人に家を賃貸しするのです。政府が何億という金を木造に使うのならば、ああしたところにお申込になつ民間で借家ができるんですから、申込んでああしたところに住んだらどうかというのです。数十億の木造の営繕費を使うよりも、却つて民間事業も起きるのじやないか、こういう考え方です。  次に、私は住宅のことばかり申上げてお聞きずらい点もあるかと存じますが、最近資材の値上りために非常に住宅問題も困難な面にぶつかつております。殊に東京都は数百戸分の政府の補助金を断わつて、二十五年度中止したという現状にもあるのです。この資材の値上りために、私なんか日頃主張しております不燃化住宅というものが、減つて来る傾向にあります。然らばこれに対して如何なる対策を以て材料その他用材に対して研究なさつているかどうか、これは大臣のいる前で藤田研究所長に伺いたいと思います。
  104. 藤田金一郎

    説明員(藤田金一郎君) 只今お話は、如何にして住宅なり官庁事務所を安く消耗しないものを作つて、国民の経済負担を軽くするかということについてのお尋ねだと思います。このことにつきまして私から御説明申上げまするのは、主として現段階におきまするその方面の技術士の見通しということを申上げたいと思います。御承知のように曽つて日本にも煉瓦造とか石造とかはあつたのではありまするが、大正震火災の後ではこれらは殆んど禁止的になつたのであります。これは当時構造が発達しなかつたために、煉瓦造はすべていかん、それから木筋コンクリートもいかん、ブロツク造もいかんがいうことではあつたのでありまするが、終戦後に何とか安くて庶民の負担に耐えられるもので少しでも安くできないものだろうかということから、建設省の建築研究所におきましてもそうでありますし、又一般もこういう点に特別の関心を持つて来ました結果、今日ではかなり安く、いわゆる鉄筋コンクリート造やがつちりした煉瓦造よりは相当安く、木造よりは、ものによりましてはこれは時の物価又はいろいろな競争入札関係がら必ずしもこれが適正な価格であるかどうかは別としまして、五割乃至八割、まあ七割前後、木造の現在立つてつております企画、設計の庶民住宅に比べまして、或る程度單価は高いけれども、併し相当耐久力もあり、地震には鉄筋コンクリートには及ばないけれども、平家、二階建であれば先ず現在の法規に照して最小限の耐力は持つという程度のものを、可能ならしむるだけの技術の発達はいたして来たのであります。  従つてこれを如何にして国民の間に普及させるかということについては、建設省住宅局のほうでもそれぞれ先ほどから御説明のありましたように、相当の割合をそちらのほうに織込むようにいたしておりますことは御承知の通りであります。なお先ほど出ましたアツシユ・コンクリート造とかブロツク造とかにつきましては、なお一層経済的ならしめるという目的を以て目下研究を続行中でありますので、そのうちにはもつとこれを改良するということにも向いつあります。従つてその成果を得ますれば、單価の切下げというような面には望みをなお持つております。大体現状はその通りであります。
  105. 田中一

    田中一君 研究所で研究なさつておる現状はよくわかりました。今アツシユ・コンクリートということが出ましたので申上げたいのですが、これは一個人の持つておる特許なのであるというので普及化されないという難点があると思います。この際政府は特許法によるところの権利を收用する、接收するというようなことも可能なのですか。そうしたものを政府として坂上げるというような措置はお考えなのか、或いはなつておるか、大臣に伺いたいと思いますが、そうしたことは戦争中には出されましたが今日住宅問題は非常時なのです。これに対してそういうお考えを、特許を取る、何といいますか収用というか言葉はわからないのですが、そういう考え方があるのですか。
  106. 増田甲子七

    国務大臣(増田甲子七君) 私案はよく存じませんが、アツシユ・コンクリートその他については特許が現在私的に独占されておる、今日は非常時であるからして、家屋の普及、建築物の増加という見地から、かかる特許も国家に収用することが必要であるように思うが、政府はこのことを考慮しておるかどうか、こういう御質問と拝承してお答え申上げます。  私どもといたしましては実はパテントというものは、一つのやはり一般民衆発明者に許された経済上の特権である、やはり経済上の流通の自由という見地から見て、よくよくでないとこれが国家的収用というようなことはすべきものではないというふうに考えております。併し将来事態の状況に応じまして、折角立派な発明でありましても、パテントを取つておるために普及することができにくい、建築物を増加させることや、住宅難の緩和に資することができないという事態がだんだん出て参りましたならば、これは別でございますが、只今のところはお説は一応御尤もでございますが、考えていないわけでございます。
  107. 田中一

    田中一君 このアツシユ・コンクリートの場合に、政府が担当の係官の名によつて特許に対する抗議をした事実があるのです。抗告と言いますか、した事実があるのです。これは即ち収用するというような意図がないにしても、その特許に対しても一応抗告する、争うという見地に立つておつたものと考えられます。私希望するならば、こういうものはその特許権者によく話合いをしまして、国家的見地から利害得失を説いて、国の利害得失を説けば、その特許権者は承認すると思うのです。その点についてもう少し單なる争いや感情でなくて、具体的に大きな問題、住宅の非常時の場合にこれを収容するというような決意をお示しになることは必要じやないかと思うのです。これは私の希望です。  それからもう一点伺いたいのですが、曾つて前々国会でしたか、首都建設法が施行されまして審議会ができているはずなんです。併しながら参議院から未だその委員が選出されてないというように前国会赤木委員から発言がありましたが、先般新聞紙上で見ますと参議院からも議員の一人が委員として選任される。これは都長官並びに建設大臣がこれを任命するという形に法案はなつておりますが、これには名前を申しますと安井謙君も委員として任命するというように新聞に報道されておつたのです。これが事実大臣のほうから任命したのかどうか。若しもしたとするならば、かかる重大なる審議会に衆議院からは自由党の党員であるところの議員、参議院から自由党の党員であるところの議員、殊に都議会議員団の中からやはり自由党の党員であるところの議長を指名されたというような点につきまして、非常に公平な大臣のお考えが、若しも自由党系の人間でことごとく委員を独占する形において行われますと、地方選挙にもいろいろ関連しまして誤解を招く虞れがあるのじやないかと思う。こうしたものが資本主義的な自由党の意見も、又社会民主的な我々社会党の意見も、中庸を行つている緑風会の意見も、或いは民主党の意見もおくみとりになつて構成されるのが正しい行き方ではないか。殊に非常に公平な建設大臣としてはこういう点についてどういうお考えを持ているか伺いたいと思います。
  108. 増田甲子七

    国務大臣(増田甲子七君) 主都建設委員は今まだ選考中でございまして任命いたしておりません。お説は十分選考の際承わつて善処いたしたいと思います。
  109. 田中一

    田中一君 二十六年度の予算に広島、長崎に対する建設補助金が支出されております。特別都市に対する補給金が支出されております。その後において数カ所の都市が特別都市として指定されておりますが、昨年京都がこの委員会で特別都市として單行法が出ました。その際に大蔵大臣は京都駅頭で京都市には一切補助金を出さんぞということを言明したということを新聞で拝見しております。建設大臣としては、他の都市にも広島及び長崎市と同じようにそらした申請があれば補助をする御意向があるかないか伺いたいと思います。
  110. 増田甲子七

    国務大臣(増田甲子七君) 特別都市建設法というようなものができたことにつきましては、もとより法律の精神を尊重いたして善処して参りたい、併しながら予算の範囲内であることは御承知の通りであります。
  111. 田中一

    田中一君 これは小さな問題ですが、我々両院の議員の意思もありまして、新宿御苑の片隅に国民プールを建設したいというような案がございまして、その点より運動をしているし、又陳情もしている現状なんですが、未だに新宿御苑が開放されないという点について建設省のほうに難点があるように聞いておるのです。これは大臣のお耳に入つているかどうかわかりませんが、大臣としては、こうした国に寄附をする、これをあの記念公園といいますか、新宿御苑を開放する御意思があるかどうか、これも一つ伺いたいと思います。
  112. 増田甲子七

    国務大臣(増田甲子七君) この点はむしろ私は、都市建設その他一般土木行政について高度の学識経験を持つていらつしやる建設委員の皆様の御理解と御協力を得たい。そこで私が建設大臣としての意見も開陳いたしますから、私の意見を御検討下さいまして皆様のほうからお教えを賜わりたい、こう考える次第でございます。私は公園一般について考えまするが、どうも日本の公園というものはただ遊ばして置くともつたいない、何か建築物を作らなければもつたいない、ここを空けて置いてはもつたいない。どうも米をこぼして置いてはもつたいないという思想がアビユーズされまして、何でも遊ばして置いてはもつたいない、こういうことを私はつくづく感ずるのであります。やはり公園というものは気分を転換するための存在であり、又散歩なんかをしてそうして気分を爽快にし、明日の労働の再生産に資すべき所である、こういうふろに私は考えます。元来日比谷公園なんか私の子供の時に見たのは相当空地がありましたが、あそこを遊ばして置いてはもつたいないから図書館を作る、ここを遊ばして置いてはもつたいないから拳闘場を作る、向うを遊ばして置いてはもつたいないから集会所を作る、やれ料理屋を作れというようなわけで、殆んで散歩する場所も半減をしたのではないか。日比谷原頭、昔練兵場時代は五万坪と言われましたが今幾らあるか殆んどわからなくなつた。それから明治神宮外苑は代々木の練兵場なんで、放つて置いても散歩をして非常に気持がよかつたのではないかと思う。それがやたらに建物を作つて来る、併しこれ以上作るか疑問ですが、新宿御苑は、お説はちよつと私の合点の行かん点が一つあるのであります。というのは、あれはもう公開されておる。ただ管理の費用として幾分の入場料を取つております。一般に公開されておる。ただ併しながら私どもはあそこへ行つて非常に気持がよい。本当にリクレエーシヨンになつたという気分で帰つて来るようにいたしたい、一般民衆が。そういうふうに私は考えております。それであの中に空げて置いてはもつたいないというならば、極端なことを言うならば、泉水だけ空けて置いて市街地を作ればよい。これは極端に過ぎたら御容赦を願いたいのですが、要はプールを作るの何を作るのと言つて、放つて置けば、芝公園なんというものは、これは地図の上では面積でいえば一番大きいと思うが、私の郷里の松本市の深志公園よりはもつと小さい。藤棚の近所がちよつと散歩できるだけであとは公園らしいものはない。廻りに建物があつて今は料理屋なんかができております。要するに散歩する区域は一町歩くらいしかない、一町歩もないのではないか。併しながらこれは日比谷公園よりももつと地図で見ると大きい所で、そういうことになることは誠に私は情ない。やはりコモンとかヒースとか、共有地でも或いは荒れ地でもかまいません。芝化さえあればよい、その芝生を歩いてよい気持になつて帰つて来ればよい。首都の真ん中にそういうものがある。それは黄塵をおさめるだけの作用があつても私はよいと思う。ところが公園の中に家を建てるとあべこべに黄塵万丈のときに余計それを加勢するようなことになる。私はプールを作ろうとするかたは社会事業としてやられるのだろうと期待いたしておるのであります。他心あつてやるのではない。国民体位の向上、その他に本当に努めていらつしやるのでしようが、新宿御苑というものが折角開放されたあの世界的に有名な御苑でありますから、国民一般のかたがたがそこへ行つてさわやかな気分になつて帰つて来るような場所にいたしたい。建築物その他の発達はほかに戦災を受けておる場所がありますから、そちらへ作つて頂きたい、こういうふうに考えております。もつたいないという思想をあまり方々へ乱用いたしますと、今度は公園自身がもつたいなくそれで潰れてしまいますから、そういうふうに無限でございますから、この点は勿論田中さんなり或いは首都建設なり、或いは都市建設なり、或いは一般国土建設なりについての練達堪能な委員各位の御叱正を待ちたいというので、一応意見を申上げる次第であります。
  113. 赤木正雄

    赤木正雄君 今のプールの問題はこの委員会ではなんら問題はありません。併しこの委員会の人があの場所を見に行つたことがあります。実は私は大臣と同じ意見なんです、あれをプールにすることは私は反対なんです。やはりあの公園は由緒のある庭園ですからして、むしろこのプールを作ろうという場所をもう少し庭園らしい庭園に、昔風といつたらおかしいですがそういう庭園にして残した方がより多く都民の人に喜ばれるのであります。こういうことです。私は今プール反対を初めて言いますが、その点を私は大臣に言いたいのです。
  114. 田中一

    田中一君 大臣並びに赤木委員のお説御尤もですが、これは一応見解の相違でありあえて申上げませんが、では大臣は一体新宿御苑に行かれたかどうか、御存じなくてそういうことを言うのは甚だ概念だけで、何ともお教えするのがいやになるくらいです。というのはあすこは営利的な非常にみつともない施設がたくさんあるのです。例えば木馬館とかスクーターの練習場とか、ペンキ塗りの小屋とか、これは全部建設省の或る部分のかたが経営しておるか、或いは建設省建設したか、すべてを大臣は御存じになつてそういうことを言うのですか。私はあすこから先ずそうしたものを第一に撤去しようというのです。でその考えが本当ならばそういうことを先ず撤去することです。それから荒れておる温室なども修復する。それから都市における公園というものの考え方が、私行つたことがございませんがパリーにはコソピエーニユ公園の森林地帯があるのです。ああいうところをお望みのように感じ坂られましたけれども、都心における公園というものは、そういうもののみが公園じやないのです、やはりあらゆるものを総合した、簡單に、散歩する時間よりも、簡単に遊ばしてやるという、テニスコートも実際必要でしようし、そういうものが公園の一つの構成要素にもなり得るということを私自身の考え方として申上げます。私どもは、一ぺん大臣は新宿御苑を御覧になつて、そうしてちやんと探索なすつて、與えられたところの広さをこのままで保存するのだというお考えでなしに、非常に公園そのものを利用するということじやなくて、事実を御覽になつて頂きたいと思うのです。  それからもう一つその考えからするならば、料金を取ることも廃止して頂きたいと思うのです。やはり二十円の料金を出して入つておりますが、こうしたものも誰でも入れるという公園にすることを希望したいと思います。これは自分の希望ですが、これをお伺いします。それ以外何も申しません。  もう一点。これは先般昨年できました建設業法というものが基本法で、あとは行政面でその他の運用が乱れているという現状のように、法律のように解釈しておりますけれども、中に中央審議会、或いは地方審議会という審議会がありまして、これが運用の諮問機関となつているように聞いております。で私たちこの建設委員としまして、建設業法に定められた法律が如何ようにして運営されたかということを実は知らないのです。この専門員のほうにも審議会のプリントを送つてくれということを申入れしていますが、一回もらつたことがございますほかには貰つた経験はないのです。それで常任委員会の権限上、せめて地方審議会、との関連性を何か持たすように措置しで、頂きたい、こう考えておるわけなんです。これに対して大臣一つ御考慮願いたいものです。
  115. 増田甲子七

    国務大臣(増田甲子七君) 新宿御苑は実はこれは富内省からおよばれした頃は大分行きましたが、最近は一昨年参つただけでありましてドツジさんを歓迎するときにあすこでやりました。開放直後でありましてその後そういうメリーゴーランドだとか、射的場とかいろいろなものができたということは、私本当に田中さんに教えられて初耳でございまして誠に申訳ないと思つております。結局遊ばしておいてはもつたいないという心でこせこせした心を持つた人が管理者になつておる。建設省であつてもどこであつても同じだと思います。若し建設省ならば私は責任がありますから重々この点はお詫をつけたい。そこでメリーゴーランドとかそう他の或いは射的場でも何でも作りたければ田園調布あたりにも多摩川園あたりにありますが、いやししもニユーヨークの中央公園とか或いはロドソのハイド・パークのような都市にあつて、而もまあ率直な表現をしますと、全部が芝生がある、そうして木が立つておる、そして歩いて成るほどといういい気分になつて帰つて来る。新宿御苑は私は日本の誇りの一つだと思つております。そこで遊ばしておいてはもつたいないからメリーゴランドを作る、射的場を作る、テニスコート作るでは、あの芝公園みたいに藤棚の池の近所附近だけが公園らしいというのでは、人口五万の市の又十分の一に過ぎないといつたようなことにならざらんことを私は恐れる。建設省が管理しているかどうかその点が私はつきりいたしませんが、十二分に気をつけて参りたいと思つおります。れから建設業法に基く建設委員会とここの国会における常任委員会との連絡につきましてはお説に従いまして研究いたします。
  116. 赤木正雄

    赤木正雄君 少しお伺いしたいと思います。官紀粛清のことについてお伺いしたいのです。委員長、速記を一つとめて下さい。
  117. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記をとめて下さい。    午後四時三十八分速記中止    —————・—————    午後四時五十一分速記開始
  118. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて下さい。
  119. 増田甲子七

    国務大臣(増田甲子七君) 非常に赤木先輩がよく前々から御事情を御存じの上になほ御努力を拂つて勉強されまして、地方の土木出張所における、現業所における書類作成、而もその書類の名前までずつと羅列されまして、今お読みになるのにも六分以上、而も表題を読むだけでそれだけかかつたぐらいで、おつしやる通り現業所の定員を似てしては到底かかる書類を定期的に作成して報告する、而もこれは機械的に作成するばかりではございません、相当調査もしないことには報告書は作成できないと思います。非常に煩雑な、事務官庁の見地から見れば面白くない事象が行われておる。この書類につきましても、私建設省の事務当局といたしましても、今お読みになつた表題はよく存じておるということを只今会計課長が申しましたら、よく検討いたしまして事務簡素化を図りたいと思つております。併し現状での定員を以てしては到底書類の作成すらできないということはお説の通りでございましようから、根本的の対策を講じたいと思つております。それから例えば臨時雇なり或いは人夫というようなことも何か結局直轄事業費のほうから出るだろう、恐らくいろいろな工夫をしておると思いまするが、直轄事業費の中には事務費もあるわけでありますから、その事務費を食つて、その残りの分が今度は本当の事業費を食うということになれば、厳密に申せば例えば人夫賃といえどもそういうことのないよう工夫して参りたいと思つております。  それからからあらゆる官庁が土木現業所なり出張所に検査に参る、その応接に暇がない、赤木先輩が月に一回とか二月に一回必ず来ておるとおつしやいましたが、全く毎日来ておるような所もあります。大体専門の係官がいる、而も所長が中央その他地方の例えば東海地方とか或いは近畿地方というところの役所から来るのに、これに応接しないで事業を專らにするということはできず、結局事業のほらを放つておいて応接の方面に專ら力を注ぐ、これは能率からいつても非常に不経済なことだと思つております。それから接待費に金がかかる、その接待費というものは予算面からすれば殆んど名目的な接待費しかないからして、結局何とかするであろう、過去の弊害は恐らく空人足を雇うだけで、或いは変な受取を書いて行つてそれを実際は接待費に充てたんだというようなこともなきにしもあらずだと思つております。常識的に社会通念から見まして中央官庁から来た、或いは地方のそれぞれのブロツクの中心の役所から検査に参る、そういう検査に参つた人の接待費などに事務費を適当に調節して金を出すぐらいなことは、まあ常識上許されるかも知れません。頭が大分建設大臣はルーズすぎるといつて赤木先輩に叱られるかも知れませんが、その範囲ぐらいは許されるかもわかりませんが、そういうことをしているうちにだんだん悪いことをほかのこと京でやつて実際上年末手当の追加になるというようなことになつたらこれは大変でありまするから、結局そういうことなしを期するためには、実際要る接待費ならこれを計上する、雑費も計上する、そうして偽善的な行動をとらない。しまいには本当の悪が行われてしまうことになりますから、そういう方向へ建設本省のみならずず山先一般に及ぼして参りたい。財政当局に明年度予算を要求する場合には、実際要る費用ならば出張等を最小限度に見積つてみまして、それに対する接待費、雑費等を組んで参りたい。こう思つておりますからどうか最も事情をよく知つていらつしやる赤木先輩も御協力を願いたいと、こう思う次第でございます。もとより我々は、不正な公共事業をするということは一番悪いことであることは、建設大臣なつて以来一般民衆の尊い税金を乱用するという結果になることは、一番これは民衆に対して申訳ないことである、若し災害等が、不公正な公共事業の原因として起きるというようなことがあれば、その申訳なさということは、これは言葉では盡せないという態度で臨んでいる次第でございまするが、私が建設大臣なつて後にも不正公共事業というようなことがしばしば検察庁等の問題になつておることを私非常に恐縮に存じております。私といたしましては今申しましたような方針で現に臨んでおりますが、内閣に今度設置されましたいわゆる五人委員会の審査報告を見ましても、不公正な公共事業の剔抉ということはどうも辛いからいやだ、辛いという言葉を使うと少し悪いかも知れませんが、積極的に将来のこうやつたらよかろう、ああやつたらよかろうという勧告の面については我々働くけれども、現在存在している公共専業が計画書等から見て不公正であるか公正であるか、それを調べることはやめておこうというような態度であるということを私は拝見しました。こういうことは非常に面白くないので、たとい憎まれても何でも私は不公正なる公共事業があるならこれを把羅剔抉して頂きたい、そのために専門委員をお願いしたつもりでございますが、私官房長官のときに選考いたしましたかたがたがほかの方向に活動せられておるということは、私としては不本意に思つております。併しながら皆様はこの方面における最も高度の学識経験者でございますから、私は衆参両院における建設常任委員会のかたがたが国政調査をどしどし展開して頂きまして、そうして不正、不適正なる土木事業というものがないように、是非ともどうか強力な鞭撻、御協力を賜わらんことをひとえにお願い申上げる次第でございます。
  120. 赤木正雄

    赤木正雄君 もう五分間ばかり。今大臣のおつしやつた通りに、この委員会はどうか知りませんが、少くとも私ども今のやうな予算の作りかたではこれは不正事実が起り得るのは止むを得んと思つております。でありますから大蔵当局に対して我々はどこまでも、要るものは要るので、これを計上しなければどうしても正しい事業ができない、これはもう申すまでもありません。恐らくこの委員会のかたも皆さん御協力願えると私は存じております。  なお先ほどの公共事業の監査は、もうよほど人によりけりで自分が憎まれ者になつてやらなければできるものではないのです、実際。いい顔をしてやつてできることはないと私は初めからそう思つておりました。これはもうよほどしつかりしませんと、却つて今申上げる通りに方々へ行つて歓待されるためにいろいろな醜態な変なことが、却つて悪いことができるといけ便せんからして、この点も十分お考え願いまして、私の質問はこれで終ります。
  121. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは建設大臣に対しまする質疑は本日はこの辺で終りたいと思います。   —————————————
  122. 小林英三

    委員長小林英三君) なおこの際皆さんにお願い申上げたいことがございます。前回の委員会におきまして、建設事業に関する調査の報告書を提出することに決定いたしましたが本院規則第七十二條によりまして多数意見者の署名を附さなければならないことになつておりますので、御賛成の諸君の御署名をこれからお願いいたします。   多数意見者署名     岩崎正三郎  小川 久義     赤木 正雄  石川 榮一     島津 忠彦  田中  一     徳川 宗敬  深水 六郎   —————————————
  123. 小林英三

    委員長小林英三君) 本日は委員会ほこれで散会いたしまして、明後日の調査の問題それからこの次の会議等について御相談申上げたいと思います。    午後五時一分散会  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            島津 忠彦君            深水 六郎君            田中  一君            徳川 宗敬君   国務大臣    建 設 大 臣 増田甲子七君    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    特別調達庁長官 根道 廣吉君    特別調達庁長官    官房長     辻村 義知君    特別調達庁長官    官房会計課長  大石 孝章君    特別調達庁財務    部長      川田 三郎君    特別調達庁契約    部長      長岡 伊八君    特別調達庁技術    監督部長    池口  凌君    建設大臣官房会    計課長     植田 俊雄君    経済安定本部建    設交通局長   小沢久太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       菊地 璋三君   説明員    特別調達庁労務    管財部次長   曾田  忠君    建設省住宅局建    設研究所長   藤田金一郎君