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1951-02-16 第10回国会 参議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十六日(金曜日)    午後一時三十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設省その他の建設事業に関する調  査の件  (国土総合開発資源調査に関する  件)  (河川局道路局関係公共事業費に  関する件)   —————————————
  2. 小林英三

    ○委員長(小林英三君) 只今から建設委員会を開会いたします。  本日は政府側より安本建設交通局次長資源調査会事務局長及び次長が見えております。前回に引続き御質疑のあるかたは御発言願います。
  3. 江田三郎

    江田三郎君 総合開発というものをいろいろ法案も見ましたし、或いは予算を見ましても、いろいろな角度から取上げられておるのですが、一体今の総合開発に当つて政府考えておられる基本的な力点の置きどころはどこかという問題なのです。恐らくまあこの総合開発に対する考え方というものは、先だつて政府のほうから発表されました経済自立三カ年計画というものと相呼応して行つておられると思うのですが、あの三カ年計画重点は、食糧自給度を高めること、それから電源開発すること、いま一つ船舶を殖やすということ、この三つにあると我々は見受けたのですが、船舶の問題はこの委員会でかれこれすべき問題でありませんので別問題にして、食糧自給度を向上するという点、それから電源開発ということになると、これは個々ばらばらにできることでなしに、やはり本当に流域別一つの総合的な計画が立てられ、例えば河川事業土地改良、開拓、山林事業我い電源開発、こういうものが流域別総合計画としてなされなければならんと思うのですが、そういう点についてどういうお考えを持つておられるのか。我々がこの予算案を見ますというと、そういうことに関連のある予算が誠にほうぼうに孤立したような形で出ておるのですが、これをどういうふうに調整して行かれるのかということ、更にあの自立経済三カ年計画を見ますというと、例えば失業者の数については最終年度昭和二十八年においても今日と同じ完全失業者四十三万というような数字を出しておられる。或いは農村人口については現状のままで行くというような答えを出しておられる。農村人口が今日非常に過剰になつて、潜在失業状態に階つており、将来次男坊三男坊をどこに持つて行くかということついては誠に暗い見通ししかないと同時に、それを現状のまま持つて行く、これでは自立計画食糧自給とか何とかいう題目を挙げられておるけれども、実際にそういうことが、人口問題まで考え総合計画なつておるのかどうか、非常に我々疑問を持つのでして、そういう点について総合開発政府側の根本的な考え方を承わりたい。こういう問題なんです。
  4. 山崎小五郎

    政府委員山崎小五郎君) 私経済安定本部建設交通局次長とそれから国土計画のほうの事務所仕事をやつておりますので、今の御質問に対しまして今までわかつております点だけを御説明申上げたいと思います。  先ず今後の国土開発重点はどういうふうに考えておるか。誠に御尤もな御質問でございますが、これは国土総合開発審議会におきましても最初に問題になりました点でございまして、国土開発総合審議会といたしましての基本方針をきめておるわけでございます。その考え方といたしまして、先ず国内資源高度利用開発とその合理的利用による経済自立基盤の育成、治山治水恒久対策による経済安定の基礎確立ということを言つておるのでございまして、これをもう少し具体的に申しますならば、先ず国土総合開発におきましても、今御指摘になりましたような食糧増産電力開発ということ、それから災害対策をやりますための治山治水計画というのが、日本の現在の国土開発計画の三本柱になつ考えられて来ておるというふうにきめておるのでございます。従つて今後国土総合開発計画をやります場合におきましても、いろいろ府県計画、或いは地方計画特定地域総合開発計画考えられると存じまするが、いろいろその地域が持つておりますところのものの特性を発揮いたしまして開発計画は立てられると存じますけれども、最切に開発計画として取り上げなくちやならん、実施に移して行くものは、そういうもので最も効果の多いものを取上げて行くというふうに考えられております。従つて特定地域につきましても、そういう趣旨から現在考えられておりますのは、資源開発中心にいたしました特定地域、或いは国土保全中心といたしましたる特定地域、或いはもう一つは、都市周辺地域の整備を中心といたしましたる特定地域開発計画考えられております。勿論これらの開発計画といたしましても、そこにありまするいろいろの施設を総合的に開発して行くということになりますが、その開発の根幹になるものを考えて、以上三つ種類考えておるわけでございます。そうしてこういう特定地域性格種類になりますが、これが特定地域としての條件を具備しなくちやならんというふうなことにつきましては、只今指摘のように動力につきましては電力石炭、薪炭、食糧につきましては米麦とか、雑穀、或いは畜産、水産、それから原材料につきましては硫化鉱とか、鉄鉱とか、銅、鉛、亜鉛、それから木材、それから災害につきましては風水害とか、土讓侵蝕、或いは地盤沈下、或いは高潮というようなふうな被害の多い地域でございまして、それをそのまま放置して置きますると、非常に不測な災害によりまして経済的な、或いはその他いろいろ被害が甚大になりますので、日本経済全体に及ぼす影響の大きいものが取上げられるようになつておるわけでございます。国土計画でございますので、これはそう短期にその目的を達成することが非常に困難でございますので、審議会といたしましても、一応開発計画は十年計画ということを立てております。但し治山治水のごとき計画になりますと、十年を以てしてもなかなかそう簡單に或る程度目的を達し得られませんので、治山治水計画につきましては、更に長期の計画考えるということに方針がきまつております。併しながら十年計画をただ十年だけを目途といたしまして計画化をやります、或いは実施をやりますと、すべての開発効果が発揮しますのが十年先でなければ皆効果が出て来ないというふうなことになりましてこのことが現実に間に合わないことになりますので、一応開発計画としては十年計画を立てるが、その中で第一期計画と第二期計画とに考えまして、二つにプランを分けて考えて行こう。で結局第一期計画につきましては、いろいろ議論もございましたが、昭和二十八年を目途といたしまして、自立経済のほうの構想が、生産計画が出ておりまするので、やはりこの第一期計画もそれと歩調を共にするということになりまして、一応二十八年度までを目途とした三カ年を第一期計画考え、あと第二期計画考えて行くということになつております。  で第一期計画につきましては、只今お話になりましたように、経済自立審議会におきまして最近一応の見通しが付きまして、特にその中で動力、鋼材、硫安、農業につきましては米麦、それから人口見通しというふうなものも、大体二十八年の見通しができておりますので、この中で特に総合開発計画のうちにおいて国内生産を充たして行くというものにつきましては、開発計画に取上げて行くことになるのでありまして、これは只今国土開発審議会の中に開発目標分科会というものができておりまして、その中で大体この数字を、目標を達成するためにどういう地域開発計画を取上げたらいいかというふうなことを研究をいたしておるわけでございます。勿論これが最後にきまりますのは、地方の具体的な開発計画が出て参りまして、それを審査いたしまして、あらゆる角度からそういう立場研究いたしまして、その目標に向つて建設事業計画が進められて行くということになつております。大体今開発計画の基本的な考え方を申上げました。  次に公共事業費各種事業調整の問題でございますが、これも全くその通りでございまして、いろいろ我々が今まで公共事業費編成にも当つて参りましたが、公共事業費調整という問題は二つ問題があると思うのでございます。これは一つは基本的な施設計画というふうなものを先ず調整をすることが第一の必要性でありまして、第二は、計画を取上げられましたものを具体的に実施に移します場合に、又その施設調節を図つて行くという調節の二段階があるのでございます。今まで公共事業費におきましても、各河川等につきまして、或いは森林等につきましては、毎年の公共事業費予算を付けますときに、河川ごとに或る程度各省の意見を聞きまして、計画を聞きまして調整をやつておるのでございますが、我々から考えまして一番大きな問題は、限られましたる資金の中で、日本現状からどこの河川を取上げるべきであるか、どこの山を先ず取上げなくちやならんかという、こういう計画自体調整ということが非常な実は根本的な問題でございまするが、これは今までまだ国土計画というふうなものができておりませず、或いはいろいろ開発目標というふうなことも、各地域的にはおのおの相当研究もできておりましたが、日本全体の立場から見たような、今度の経済自立審議会みたようなものができていませんので、調整が非常に困難でございましたが、幸い国土計画法もできますし、自立経済審議会におきましても、一つ日本生産目標というふうなものができて参りましたので、そういう趣旨調整をして行くことを考えております。このために必要がございましたので、この前の参議院のこの委員会、これは前の十二月の五日だつたと思いまするが、一応説明いたしましたが、いわゆる国土計画の必要なる基本調査というものをすでに各省を通じて提出しておるのでございます。これは各府県が持つておりまするところの人口農業、林業、水産、鉱工業、電力交通、或いはその他の地方地方財政等、今までいろいろやつております施設事業状況というふうなものを全部一様に洗い出しまして、大体その地域がどういうふうな開発というものに適合性を持つているかというふうなことを、各開発、相互間の調整に必要なる資料の提出を求めておるのでございまして、これはもう厖大なる調書が出ておるのでありまして、大体二月一ぱいに各省から安定本部のほうに出て参るような段取りになつております。これは大体一月ばかりかかりましてこの数字を整理いたしまして、その地域が持つておりまするいろいろの特性を洗い出し、その地域はどういう開発計画性格を持つておるかというふうなことを考える材料にいたしたいと存じております。それから公共事業費のいろいろの調査費の問題でございますが、これは私ども安本へ参りまして、公共事業というものを計画的にやつて行くためには、やはり調査というものに計画性を持たして行くということが必要になつて参ると痛感したのでございます。大体調査というものを大きく分けまして、プランニングのための調査と、それからプランニング実施するための調査と、二つ要るわけでございますが、プランニング自体を立てまするところの調査というものは、一種の基礎的な調査でございましてこれは今まで大体行政部費で取つて予算が計上されておるわけでございます。それからプランニング実施いたします、それが特に公共事業費と直接の関係のあるものにつきましては、公共事業費調査費というものでやつて行くという建前になつておるわけでございます。今まで調査費という観念が、余り政府におきましてもはつきりこの検討ができてないのでございまして、各事業別には相当の調査費があつたり、成るものにつきましては全然調査費がなかつたり、そこに調査費計画性がなかつたのでございますので、今度安本におきましては、少くとも公共事業費だけの調査費だけは計画性を持たして行こうということになりまして、今安本公共事業費関係いたしまする調査費につきましては、各省から調査計画を出させまして、その調査計画收集計画作つておるわけでございます。これは各省今具体的な計画を持つて来ることになりますので、それによつて最後の決定をいたすのでございますが、一応総額といたしましては四億五千五百万円の調査費が計上せられておるわけでございます。こういう趣旨で、調査費全体の計画化ということを考えておりますが、今まで特に調査におきまして総合的に考えておりましたのは、いわゆる河川総合開発関係調査費、或いは地盤沈下調査費というふうなものは、相当今までそういう趣旨調査の総合的な使いかたをやつているわけでございますが、これはただそういう問題だけに限るのではなくして、公共事業費全体の事業計画調査というものをもう少し科学的にやる必要がある。これはまあ農林省のほうの土地改良いろいろ開墾、干拓の調査につきましては、相当調査事業計画というものは総合的にやつておりますので、これは非常に進歩したやりかたなつておりますが、今後その他のものにつきましても、ああいう趣旨計画性を持たして而も各省ばらばら調査をすることなくして、各省動員いたしまして、安本調査する。勿論調査の内容につきましては、特に総合的な計画性を持たせなくても、その省だけでやれる調査というものもございますので、勿論こういうものはその省の調査に委せますが、そういう調査につきましても、安本で全部報告をまとめてできるだけ調査の重複を避け、或いは摘み食い的な調査を避けまして、総合的な調査をして、その調査各省のいろいろの事業計画或いは行政の運営に利用して、活用して行くという方向で努力いたしているりような次第でございます。
  5. 江田三郎

    江田三郎君 今のお話を聞いておりまして、少くとも食糧自給度を高めるという点、電源開発、それから災害、こういうような問題については大体将来流域別総合計画を立てられるように了解したわけですが、併し若し本当にそういうことを考えておられるなら、二十六年度予算のようなやりかたでいいのかどうかということでして、調査費使いかたにしても、今いろいろお話がありましたが我々どうも腑に落ちないのは、余りにもこれがばらばらなつていることで、例えばこの電源開発調査費というようなものは、電源開発調査費一億円であるとか、発電水力調査に対する必要な経費が千百万円とか、その他いろいろたくさんありますが、こういうものが公益委員会のほうへ持たされておるのですが、従来の公益委員会がどういう事業をなされたかわかりませんが、我々の今までの経過から見て行くと、公益委員会なんというのは、どうしても電源開発というものは、余りにもそれだけに捉われるというような考え方をして行かれるように思われるのでして今日までのダム建設なんかが上流の植林であるとか、或いは砂防というようなことを考えられないでやつて、その平均の使用年限というものは極めて短いということになつておりますが、依然として私はそういうような方向へ又公益委員会のほうも行くのじやないか。そういう点を本当に流域別総合計画を立てるということになりますと、これは今上流のことを申しましたが、上流だけでなくして、ダムから下流の土地改良の問題、その他農業関係の問題についても調査をして行かなければなりませんが、そういう点が恐らく理想的に行かないと思うのです。それを本当に理想的に活かすためには、もつと総合的な立場に立つた審議会なり或いは適当な機関がこれを担当して行かなければならんと思うのですが、大体予算全体を眺めて、国土総合開発審議会事務所に必要な経費というものは僅かなものでして、建設省なり公益委員会なり、その他のほうへ余りにもばらばらなつておるのですが、これで果して一体今申されました計画性を持つた総合的な計画のための調査が今の機構でできるのかどうか、できるとすれば一体どこが中心なつてやられようとするのか、その点をもう少しはつきりとして頂きたいと思うわけです。
  6. 山崎小五郎

    政府委員山崎小五郎君) これは国土計画法ができましていよいよ実施に移りますときから、その機構問題を研究いたしましたときから非常な問題になつた点でございます。一つ考えかたといたしましては、国土計画法ができました以上、相当そこに強力なと申しますか、非常に大きな開発庁と申しますか、何かそういうものを作つて国土開発関係あるそういう重要な仕事を全部そこで見て行くという一つの行きかたと、もう一つは、国土総合開発計画は非常に各省に直接、間接に皆関係をいたしておりまして、それを全部一ところでまとめてやるということになりますと、仕事が非常に重複するということから、国土計画各省が全部動員して国土計画をやるのだ、その各省動員事務調整事務事務局がやるのだという考え方と二つあるわけなんでございます。ところがいろいろ予算関係仕事関係等もございまして考え方といたしまして後者の考えに立ちまして、飽くまで事務局総合調整をやりますが、総合調整をやるからといつて、何もかも自分のところでやるということでなくして、各省協力機関事務局なつて行くという考え方で、仕事の実体は、やはり各省政府できまりました線に従つて調査なり計画をやつて行くということで進めております。そういう趣旨でいろいろのそれに関連いたしまする予算各省に附いておりましても、その予算というものは、一応そういう趣旨で総合された上で考えられた予算を今度は附けるときに、安本と申しますか、審議会事務局に附けると申しますか、一ところに附ける考えかたと、やはり予算には予算立場がありまして、一つ所管がございますので、その所管に応じて附けて行くという考え方とございまするが、今のところは一応やはり各省予算を附けるということで進んでおります。勿論二十六年度の各省のその調査費が全部そういう趣旨で、一応体系的に考えられて附けられたものかどうかということにつきましては、国土開発庁が発足いたしましたのが議会が済みましてからでございまして、いろいろ事情がございまして、本質に、実際に発足いたしましたのはたしか八月くらいからでございまして、二十六年度の予算編成期にいろいろそういうものを調節する具体案が樹立されるまでに至つておりませんでしたので、二十六年度の予算につきましては非常に憾み多い姿になつておるのでございますが、これは調節するためには、飽くまで一つの国全体として実施するという計を持ちませんとて結局調整するということが非常にできかねますので、やはり調整する以上は、その調整目標になりまする計画を持たなくてはなりませんので、これは二十七年度の予算までにはどうしても調査費その他公共事業費全体の考え方を、国土計画的に考えて見て調整されたものにして行く、それに必要なる具体的な計画を早く作り上げるということに今努力をいたしておるような次第でございます。
  7. 江田三郎

    江田三郎君 どうも二十七年度からよくなるのかも知れませんが、一体もう一つ根本的に言うと、こういう総合開発というようなことが、自由主義的な経済政策で以て果してどこまで行けるかという問題にぶつかつて来るのでして、それを本当に強力に実施しようと思えば、私はどうしても中央の機関が非常に強力になつており、これはまあ行政面なんかの問題もありますけれども、強力になつており、或いは又そうでなければ各地方ごと特定地域を選んでやられる場合に、その特定地域計画を推進するための或る程度強制権まで持つた機関がなければ、強力な総合計画というような総合開発というものはできないで、ただ作文に終つてしまうのじやないかということを心配するわけでして、建設省監理局あたりでも、特定地域開発計画というものを何か厖大な印刷物を配つておられますけれども、それと一体予算とどういう関係があるのかというと、殆ど関係はないように見受けられましてそういう点が我々としましては非常に不安に思うわけなんですが、それはそれといたしまして、二、三ちよつとお尋ねして置きたいのは、安本のほうで土地調査に必要な経費というものを一億六千八百万円組んでおられますが、この土地調査というものは何をせられるのか、この点なんです。土地調査というものがいろいろなやりかたがあると思うのですが、我々は全体的な、例えば土地利用調査、或いは土地保全に対する調査、或いは地積に対する調査、そういういろいろな必要な問題がありましようが、そういう問題を全部今やるというようなことは、とても不可能なことであつて、やはり今の世界情勢一つ緊迫性帶びており、我々がこれに適応するために重点的に経済政策をとらなければならんというようなことになれば、土地調査についてもやはり同じことでなければならんと思うのですが、この土地調査というものは、一体何をどうせられようとするのですか。
  8. 安藝皎一

    説明員(安藝皎一君) 私資源調査会の安藝でございますが、只今質問土地調査に関連いたしまして、現存私ども考えでおりますことから申上げたほうが、御説明申上げるのに都合がいいと思いますので、一応資源調査会考えておりますことから申上げようと思います。  只今総合開発の問題につきましては、山崎次長から御説明申上げた通りでありますが、私ども資源調査会と申しますものは、これは政府に対しまして資源有効利用ということにつきまして勧告をするという機関でございまして、私どもが発足いたしまして丁度三年間近く作業を進めて来ておるわけでございますが、この場合私どもといたしましては、やはり将来日本人口がどういうふうに変つて来るだろうか、その場合に人口が殖えて参りますにいたしましても、時間的に考え見ますると、就業年齢とでも申しますか、稼働年齢に入つて来る者はどんなふうに変つて来るだろうかということ、それに応じまして仕事はどういうふうな形で与えなければならないだろうふ、先ほど御指摘がございましたように、日本農業人口が現在約四千万以上ということに殖えておりますが、この上にこれが入り得るかどうかというようなことも当然考えなければならんと思いますが、その面から日本の持つております資源を、更に人口がそういうふうに出て参りましても、どういう面で吸收すべきかということは、結局日本経済自体が非常に外国に依存しております点も勿論考えまして、国内資源をどういうふうに最も有効に使つて行くべきだろうかということ、又将来の日本が、結局こういうことは生活水準がどうかということに関連して来るのでありまして、恐らくずるずるにして行けば、結局生活水準が低いままにかなりの程度まで行くのではないかと思いますが、その点で我々どの程度まで維持して行くにはどの程度まで国内資源開発しなければならないかということを考えて行つておるわけです。そうしてその作業を進めて行きますのに先ず感ぜられましたのは、やはり何とかしてエネルギー源の補給を考えなければならない。これは水力電気とか石炭というものがあるとは思いますれども日本石炭性格から申しましてやはり水力電気に依存しなければならないということです。それともう一つ食糧生産の問題です。これも食糧増産自給度を上げて行くということは非常に好ましい。是非やらなければならないと思うのでありますが、併し今まで食糧がどんな形で生産されたか。結局土地生産力はどういうふうになつていたかということまで考えて見ますと、むしろ執る地域では土地生産力というものは全体としてずつと減退の状態を示していた。将来の日本人口の過半を占めております農村生活というような問題を考えましても、如何にして土地生産力をむしろ安定させ、更にそれを伸ばして行くかということが一番大きな課題ではないかということを考えて行きますと、現在の日本土地を利用しております状況というものは、最もよく行つているかどうかということになりますと、非常に疑問があるのです。これはとにかく食糧が現在生産されておりますが、これは長期的に、今までの経過から見ておりましても、或る部分ではすでにずつと減産の傾向を辿つてございます。これは肥料の供給度との関係もございましようが、併し單にそれだけではないという分野が非常に多いのでございます。例えば水田のみについて考えましても、或る一つの推計についてその水田の反当收量の変化、更にその土地生産力の季節的な変化というものを調べて見ますと、或る地域はまあ非常に不安定、成る地域は比較的安定し、或る地域は非常に不安定ということがあるのでございまして、そういうことを安定させて行くということが、近い将来を考えましても最も重要ではないかというような結論に達しまして、その一部といたしまして土地調査を行い、現在土地のその持つております生産力というようなもの、それと同時にこれが拡がりというようなものと現在の比較を現わしたもの、そういうようなものを考えないと、将来土地の安定した計画というものは立てられないのではないかということから、資源調査会といたしまして、この土地調査に関して政府に申出をいたしたわけでございます。それが政府で採用となりまして、土地調査ということがまあ具体化して来たわけですが、これも要するに、先ず土地が現在どういうふうに利用されているかということ、それを調べるということは、結局現在の土地使用方法というものが最も土地生産力を安定させた使用方法であるかどうかということを知る最も必要なことではないかと思います。でございますから土地の実体というものを先ず調査いたしまして、それによつて土地の最も安定した使用いかたというものをその中から出して、実際に移して行きたいというようなこと、更にそれによつて土地の現在の使用方法、例えばこれは山林になつておりますとか、或いは草地、或いは畑、いろいろなものがあると思いますが、そういうような問題、土地の最も使いいい、最も合理的な使いかたをするのはどういうふうにしたらいいだろうか。まあそういうふうな土地の使用方法、現在でも土地改良法とかによりまして排水計画というようなものをやつている所もございましようし、或いは交換分合というような形で土地の利用法の改正を図つておる所もございましようが、更にそういうものを全般的に同じ水準で、同じ様式で進めて行くということが非常に必要じやないかということから、土地の先ず実態、利用方法を調査し、そのためには計画を立て、それから更に進んで利用する計画を立てて行くというためには、土地の拡がりと申しますか、土地の位置、更に拡がりというものを確実にする必要がある。更に水なら水が十分そういう所にかかるかかからないか、更に水の利用というところから排水という問題が関連して来るだろう、そういうことで、主として土地の現況、更にそれを具体的に早く合理的な使用方法に導けるように資料をこの際收集しようというのが土地調査目的でございます。
  9. 江田三郎

    江田三郎君 いろいろの調査をなさるようですけれども土地の拡がりというようなこと、ちよつと言葉がはつきりしないのですが、土地の拡がりというものは地積というような意味ですか。
  10. 安藝皎一

    説明員(安藝皎一君) それには地積もございますし、全体の只今日本土地の面積から申しましても、その他というような項目が相当ございますし、それは別問題どいたしましても、全体の日本土地生産というような問題、更に個々の土地の何と言いますか、利用計画というものを考えて参ります場合には、或る分野では地積という問題も勿論入つて来るだろうと思います。例えば、或る区域の土地整理と言いますか、排水計画というようなものを考える場合、更に土地の合理的使用の場合の交換分合というようなことを考える場合には、勿論地積という問題に入るだろうと思いまして、そういうような面が地域で非常に要求されているような気がしますが、そういうような方式の土地改良という問題、或いは耕作方法の改善ということが要求されております所では地積の調査までやりたい、やるべきじやないかと思つております。
  11. 江田三郎

    江田三郎君 土地調査というものは、まあ時間と金があれば非常に綿密な調査を自由にやればいいのですけれども、金がなくて而も調査そのものが目的でなしに、その目的土地利用の安定性ということにあるとすれば、食糧自給度を高めるということから或る程度の時間的制約もあるわけです。そういう点について本当に土地利用の安定性ということから考えて行くなら、私は地積とか何とかいうことは大して問題じやないと思います。これは概数だけ出ればそれでいいのであつて、問題は今ある土地の利用を安定せしめるために、例えば用排水をどうして行くのか、或いは又今草地になつているものを、これを耕地にするためにどういうことをして行つたらいいのかというような、今直接農業に使われていないものを、どれだけのものが直接農業に使われて行くか。今直接農業に使われているものは、これを改良し安定さすためにどういうふうなことをなされればいいのか、そういうようなことが主になつて来なければならんと思うのですが、そういうことになつて来ると、どうしてもこれは河川というものと切り離して考えるわけに行かんと思うのでして、新らしい耕地を作るということになれば、すぐに治山治水の問題と競合関係が出て来る。例えば土地改良をしたところで、傍を流れているところの河川が不安定なら、やつた排水事業が無駄になる、新らしく作つた耕地が絶えず災害に脅かされるということになるので、こういうことは重点的に河川を選んで、河川別な土地調査というものが、只今私が言つたような面を中心にして、地積なんかは第二義、第三義にして行われるべきだと思うのですが、そういうようなお使いかたになるのでございますか。
  12. 安藝皎一

    説明員(安藝皎一君) お答え申上げますが大体そうなるのでございます。只今地積のことを申上げましたが、これを全国的に、全国の地積を一遍に一期間に全部調べてしまおうというようなことは考えておりませんので、そういうような関係から開発計画とでも申しますか、総合計画の一環としてそれが出て来るわけであります。そういうことの必要な所、要求されている地点についてやつて行きたい、そういう考えでございます。
  13. 江田三郎

    江田三郎君 どうもそういうお気持ならいいのですが、なかなかそのお気持通りにならんのじやないかと思います。政府のやつておる総合開発というのは、最初に山崎さんがおつしやいましたが、なかなかこう何もかも大事なようなことになつて来て、結局金をばらばらに撒かれてしまうということになつてしまうのじやないかと思う。調査費の問題では、これが本当にもう少しきつぱりと統合されなければならんものが、調査費自身においてすでにそうであるということならば、二十七年からむしろ変更されると言つたところで、まあ余り我々は将来のことばかりに繰り延ばすわけに行かないので、調査費自身でさえもこういう状態であつて、果して本当の総合開発そのものが重点的に強力なものができるかどうか非常に心配するわけなんです。特に調査費の、今の土地調査経費にいたしましたところで、いざとなるというと各府県おのおのが、俺の所が重点のようなことを言つて、何かわけのわからん、これまでの失業救済的なものに使われはせんかということを心配するのであつて、そういう点を十分お考えつてつて頂きたいと思う。いろいろ総合開発の問題についではもつと根本的なお尋ねをしたいのですが、今日はこれでやめて置きまして、他の委員のかたがおられますから改めて……、私は委員長にこの総合開発の問題について安定本部のほうの委員会と本委員会との連合調査をされる機会を与えて頂きたいということをお願いして置きます。
  14. 石川榮一

    ○石川榮一君 只今江田委員から御発言になりましたことに関連して総合開発の問題ですが、只今の江田委員の御質問趣旨に非常に同感するのであります。先ほど資源調査会事務局長さんの御説明によりますと、今日本の現在の財政状態の非常に窮迫しておりますことは御承知の通りであります。その窮迫しておる時期に災害は各河川共に踵を接して年々再々起る。これに対する差当りの災害復旧費さえも事を欠いております。先般説明を聞きますと、一千二百億程度災害復旧費を要するにかかわらず、僅か三百二十億程度しか出ていないということは、要するに三分の二以上のものは残されたまま本年度に突入するという状況にあつてこういう大きな観点から考えますと、今の局長さんのお話では、非常に構想として立派であります。又そういうような計画を持ちまして、その線に沿うて国の予算重点的に入ることを非常に欲するのでありますが、今行われておる状況は、先ほど来申上げました通りに原状回復さえ覚つかない、見通しがつかないということから、もう少し拙速的に、今困つておるものを救おうとする方面に安本では重点を置いてもらいたい。例えて申しますと、講和の問題を考えて見ましても、自衛権の問題或いは再軍備の問題が起つておりますが、それは再軍備も必要だという説もありますし、いかんという説もありますが、とにもかくにも理想は理想として結構でありますが、差当り日本国土を守るということ。荒廃のままに委しておる現実から考えますと、これはいわゆる講和における自衛権の確立ど同じでありまして、国土保全を先ずする、そうしてその保全を通して開発するという線に安本のほうでは一つ重点を置いて頂けまいか、又例を取りまして利根川にいたしましても、或いは信濃川にいたしましても、その他の重要河川にいたしましても、その水系に関する総合開発調査ができておりますかどうか、伺いたいのであります。私はまだできておるとは聞いておりません。一つの流域を中心とする総合開発計画なるものが生れて来なければならない。それもできておりませんのに、全国的な土地調査をして、国民の分布の状況、或いは土地の利用方法等を御研究なさるということはずつと先のことでありまして、今現実に起つている問題を救わなくちやならん、守らなければならんという時期に入つておりますから、できるならばそういうような調査は、日本の現在の予算状況から考えますれば理想であつて、その実現は非常に困難であります。むしろこの際足下に迫つております年々の荒れ果てた河の災害を復旧するため、又土地災害を根本的に芟除するための仕事が先にあるのではないか。又国民は皆それを要望しているのではないかと思うのでありまして、こういう点から今お調べなさる土地調査等も、私どもも決して無駄とは申しません。それは立派な案でありますが、それよりも大きな各河川ごとにその流域を中心とする総合開発画計を至急に樹立を願い、そうしてこれを如何にして予算化したらいいか、これを予算化するために全力を挙げて頂きまして、安本中心なつてやつて頂くということになりますれば、非常に私は国土保全も急速に実現できますと同時に、それを通して総合開発が行なわれるのじやないか。そのやりかたにつきましてはいろいろ説がありましようが、先ほど江田委員からも御指摘があつたように、国土総合開発法ができておりまして、各県ごとに各地方地方から調査は出ておりますが、それも必要でありますが、これはおのおのの県の利己的な観点に立つたそういう調査が全国から何百、何十という数が出るでありましよう。こういうものの総合、又それの総合的な検討をしなくちやならんということで厖大なものになりますので、現在日本の財政状態から考えまして、そういう大きな計画をして、僅かばかりの予算を分散することに拍車をかけることはよくない。現在災害に曝されております各河川状況をお調べ願いまして、そうしてそれの根本的な改修と、それを中心とする総合開発計画、発電、或いは利水、開拓、干拓、その他工業用水の問題、或いは灌漑の問題というものを坂上げて頂くことが最も必要ではないか。又それを国民も要望しているのではないか、かように考えるのですが、局長さんの御意見を伺い、又山崎次長さんの御意見も伺いたいと思います。
  15. 安藝皎一

    説明員(安藝皎一君) 只今指摘の点は私ども同感でございまして、私どものほうの調査会におきましても、例えば水害とかいうものが実際にどのような、生産なら生産にどのような被害を与えているか、それに対する日本の現在の経済状態、これをどういうふうに取扱つて行つたら最も少ない費用で大きな効果が得られるであろうかというようなこと、更にそれは当然その流域内の例えば用排水の問題、更に又その河の水の利用によつてどの程度までこれの経費の節減ができるだろうかということを研究いたしております。そういたしまして水害復旧費が非常に多額に、この現在の財政上大きな分野を占めているということも私ども考えまして、最も少ない費用で大きな効果を得るにはどうやつたらいいかというよな観点から考えてまして、すべての問題が具体化されるように私どもとしては適宜総合開発審議会、そつちのほうとも連絡いたしまして、私どもの意見を申述べ、更に具体的な案が出たら、それを安本長官に勧告するというような形で進めておりますので、是非御期待に副うよう進めたいと思つております。
  16. 山崎小五郎

    政府委員山崎小五郎君) 今のことにつきまして私のほうの立場から申上げたいと思います。私のほうも局長さんのほうに対しましても、御指摘になりましたように実際の実地にやられます箇所というものは、二十六年度、二十七年度と申しますか、二十六年度は何と言いますか、実際に計画を取上げて実施に移すという地域から始めて頂きたい、重点的にやつて頂きますようにお願いするわけです。これは審議会でいろいろ特定地の開発計画を見まして勧告して、政府で言うことを取り上げてきめてもらつた地域についてやるというふうにしてやつて頂けますれば、金の使いかたも全国的にばら撒くというようなことでなくして、目前の、間に合うような、非常に役に立つ調査ができて来ると思つております。  これは余談でありますが、司令部のジヨンソンという博士に呼ばれまして、いろいろ御忠告を受けたのでありますが、ジヨンソンさんもそう日本に長くおられることでございませんから、ジヨンソンさんの言われることが何もかも正しいとは思つておりませんけれども、いろいろ地方開発計画を聞いて見ると、どうも総合開発計画と言つておるが、各部門の開発改良計画は、何と言いますか、寄せ木細工だ、ただそれだけを集めただけが総合開発計画だと言つておりますので、本当の意味の総合開発計画なつていないというような、これは現想論かも知れませんが、そういうふうな点がございます。今までのような建設事業計画から、とにかく寄せ木細工であろうが何であろうが、一応全体的な計画を立てて事業実施して行くという段階に進んで来たことは、確かに一つの進歩でございますが、そういう段階になりましても、各地の総合開発計画は、ただ各部門の寄せ木細工的な開発計画でございますれば、非常に意味が少いのでございまして、折角総合開発計画をやりますならば、その地域の持つております自然條件というものを冷靜に十分研究いたしまして、例えば災害の対策をやるにしましても、そこを堰堤でやるのがいいのか、砂防でやるのがいいのか、或いはその外いろいろな方法があるかどうかというふうなことを、やはり十分その自然條件を認識した上に立つてやらないと、折角総合開発をやつて見ても期待する効が少くなつて行くというふうなことをおつしやつたわけでございますが、そういう意味で、私どもといたしましては、この土地調査というふうなことにつきましては、これをやつてもらいますることは、実施計画を今後やります上に非常に重要な資料になると思う次第でございます。
  17. 石川榮一

    ○石川榮一君 大体わかりましたが、現在のこの公共事業費の割り振りを見ておりますと、どうも各費目ごとに、前年度に比較して若干殖やすという程度に出しておりまして、殆ど根本的にどこへ重点を置いてこの分配をしたかということがわかりかねるというふうにしか我々に見えない。例えて申しますれば、公共事業費のようなものにいたしましても、前年度の予算よりも若干は殖えておりまするが、パーセンテージにいたしますれば、二十六年度の仮に建設省予算公共事業費を見ましても、直轄河川が本年度は九十一億二千二百万円、昨年度は六十一億と、こういうふうに計上しておりますが、そうしますと一四九%余に殖えたと、こう解しておりますが、私どもは六十一億のほかには見返資金二十五億というものが加算されておるはずだと、こう考えております。昨年は直轄河川に対して見返資金は二十五億を支出しておるようであります。そうしますと八十六億、本年が九十一億、この比率を考えますと、一四九でなくて一一〇で、僅か一〇%程度殖えておるというふうにしか見えない。一〇%殖えているということは、昨年から見ますと本年は物価指数が、品物によつていろいろ高低はありましようが、大体におきまして二五%程度は物価が上昇しておる、こう思う。一二五%と言いましても、昨年と同量のものでなくちやならないのですが、僅か一一〇%程度しか殖えておらない、こういうように考えまして、非常に遺憾であります。国の予算が六千五百億余を計上してありますが、全部算えても僅か百三十九億しかもらえない、その比率は僅かに二%です。百分の二でございます。百分の二程度の国費で以て日本のこの荒れ果てた河川が素直な河川になり得るかどうか、まあ昔利根川の改修当時のことを考えますれば、国費の四分の一程度は支出したものであります。二五%程度は支出した。それを僅かに二%、こういうようなことであつては、いつまで経つても私ども治山治水なんてことは夢である、こうとしか考えられないのですが、こういう点に対しまして安本では、長官を通しまして、極力この治山治水中心とする公共事業費の飛躍的な予算の要求をするために、それに要する調査を十分になし遂げて行きまして、年々これだけ災害を受ける、十年間にこれだけ受ける。又将来このままで行けば、五年後にはどのくらいに災害が大きくなるということを数字の上ででも十分に一つお調べ願いまして、私どもその資料を頂戴しても結構でありますから、そういうものを一つお調べ願いまして、そうして治山治水が現在放擲されていることに御同感であるならば、そういう資料を一つ御作成願いまして、そうして閣議の上で十分に力説して頂いて、その主張が貫徹ができますようなことにお願いしたいと思うのであります。局長さんの御意見並びに次長さんの御意見を伺わして頂きたいと思います。若しその資料が、できましたならば二十六年度の災害費、それから本年から、将来はわかりませんが、本年がどうなるかわかりませんが、昨年からで結構でありますが、既往十年間の災害並びにその災害を防止するために使つた予算、それから現在持つておりまする災害予算等をお調べ願いまして、私どもに御配付を願いたいと思います。それは要するに非常に大きな災害の量になると思うのですが、その災害と、それから今後十年後に現在のような予算の取りかたでありますと、それに拍車を掛けまして、非常に水増しが殖えて、災害が多くなると思うのであります。これが結局日本国土を本当に荒廃にしてしまうものである。救うことのできないようなものになつてしまうのではないか、かように心配しておりますから、その資料を一つ御提供願いたいと思います。
  18. 安藝皎一

    説明員(安藝皎一君) 只今お話でございますが、私ども調査会といたしましては、なかなかその全般的な問題はちよつと取上げかねておりますが、ただ私どもとしてはそういう事態があるということを私どもの認識といたしまして、只今どもとしては利根川でございますが、この水系を現在やつております。そこにおきまして過去二十五、六年でございますが、その間、一体それに対して治水費がどんなふうに投下されて来て、更にそれが災害というものがどんな形を持つて来ているかということを只今取まとめておりますので、恐らくそう長く掛らないうちに御報告申上げられるだろうと思います。それで今までどういうふうに、年次的にどんなふうに工事されておるか、これが河川改修費として、災害復旧費として投下され、而も更にこれは本川のほかに交流にずつと亙りまして非常に小さい、例えば村單位くらいの程度に亘りましてどんなふうに行われて来たか、更に災害はどんなふううに起きて来たかということを調べておりますので、御参考になると思います。でき次第、御参考に御覧頂けるようにしたいと思います。
  19. 小林英三

    ○委員長(小林英三君) 今河川局長が見えておりますから……。
  20. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 電源開発調査調査費は如何ほど計上しておられますか。
  21. 山崎小五郎

    政府委員山崎小五郎君) これは私のほうでございますが、私のほうで調べさしたのでございますが、通産省の発電水力調査費に千五百万円と、それから大規模電源開発に関する経費として一億だけになつておるようなわけであります。
  22. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 以前に電源その他の関係からいたしまして、発電関係調査は逓信省でやつておられ、そして利水方面としては農林省でやつておられた。治水方面としては内務省でやつておられた。同じ河川について三つの省がやつておつた。而もそれは簡略してやるならば一つにまとめ得た。併し行政関係三つに跨がつているからやはり三省でやつた。そのために同じ費用が三省に跨つている。これは誠に不経済でありまして、何とか一つにまとめて欲しいというのが大蔵省の長年の考え方です。今のお話によりますと、やはり通産省関係、元の逓信省の水力発電と同じような関係にあるように思いますが、これを先ず第一にお伺いしたいのは、これを公益委員会に属せしめて、公益委員会はどういう方面でこれを調査するのでしようか、どういう機関を通じて。急に御回答を求めても御無理だと思いますが、私の二、三聞いたところでは、あれは民間事業の者に調査させるとか、いろんなことを聞いておりますが、やはり河川関係は各県の河川関係の者に調査さしている。同じようなことを調査する場合には一つ機関調査したほうが、経費の上からいつてもいいと思うのですがね、この点をこの次の委員会までに一つお調べ願いたいと思います。どの機関を通じてこれを調査するが、これは厖大なものですからして、調査するならどういう観点を調査するか、それをお聞きしたい。それをお願いして置きます。調査機関調査事項です。  なおそれと関連いたしまして、仮にこれが事業者で調査する場合には、どういうことで以て事業者で調査させるのか。その次にお伺いしたいのは、資源調査方面のことでありますが、先ほどの御説明では、土地改良とかその他土地に関することは随分お話にありましたが、それから農林省の調査している部分とどの点が違うのでしようか。それを先ずお伺いしたい。
  23. 安藝皎一

    説明員(安藝皎一君) 国土調査についてお話申上げましたのですが、いろいろな調査内容もございますが、これは私ども自身は調査機関も何も持つておりませんので、実際はその中には一部農林省、或いは建設省各省が担当して調査していたことになるわけでございまして、中には例えば土地調査の中でも、現在これに類似しているものを農林省でおやりになつているものもございますが、更にこれを一つ目的に合わしまして、各省調査というものを歩調を合わせて、同じような方法で出てきた資料は全部一本で使えるような形にして行くのでございます。
  24. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 国土総合開発審議の根本問題といたしまして、先ほどの御説明によりますと、やはり現在の段階では各省調査費を計上して各省ごとに調査さしている。この結果を統合する、こういうふうな御意見のように弄聽いたしました。そういたしますと、今お話資源関係も、私はこれはやはり国土開発審議会の当然一部分に属していい。むしろこの資源開発調査こそ国土総合開発に利用なさるなり、或いはその中に統合されて一部面となさるべきである、こういうような観点を持つております。これはむしろ長官にお尋ねすることでありまして、あなたがたに申上げては済みませんが、そういう考え方を持つておりますから、いずれ長官に来てもらいますから、そのときまでに私の今の考えに対する御答弁を願いたいと思います。  もう一つ先ほど現存では各省調査をさして、それを基本として根本のものを出するというふうなお話で、私は昨年申しましたように、この調査は成るべく今までとは変つて、徹底的にして欲しい、立派な調査がない結果、今日余りいい成績が各事業に現われていない。併し例えて申しますと、土地の問題につきましても、あんな戰争中にたくさんの農地を工場に持つてつてしまつたり、或いは軍用基地に多くの耕地が転換されたのですが、あれでいいか悪いか。これなんかも直接すぐ農地の部面からも考えるべき問題なので、日本の都市が現在のような都市でいいか。一体都市としての性格を帯びているものが幾つあるか。港湾都市としても港湾都市らしいものもありませんが、商業都市としても大阪なんかそうかも知れませんが、果してこれを外国の商業都市に比して遜色ありや否やということになれば非常に疑問がある。そういうような関係で或いはこういう方面の都市にしても、今後のありかたとしては、都市は都市らしいものを作つて行くべきである。それに関連して今後の道路の開発なり、或いは今までこそ道路はなかつたが、道路さえ相当に開発すれば、そこに立派な都市もでき、初めて本当の文化国家ができる。そういう重大なものがすぐ眼前にある。それをお考えにならないでやたらに都市計画予算を組んでも、十が十までとは言いませんが、無駄に帰するものが多いと思います。戰災都市又然り、今まで戰災を受けたものをあのまま復旧していいか。むしろ廃止してしまつても、むしろ新らしい都市を作つたほうがいいぢやないか、こういう問題がたくさん起ると思います。そういうことについて多少でも御関心を持つて研究をしておられるかどうか。
  25. 山崎小五郎

    政府委員山崎小五郎君) この問題は都市局長あたりから御答弁願つたほうが結構かと思いますが、我々の立場で今考えております点を御説明申上げます。只今赤木委員から御指摘を頂いておるのでありますが、私どもも全くその通り実は同感でございまして、結構まあこういうふうに建設事業計画的にやつて行くという趣旨が実はそこにあるわけでございます。これはまあ日本が貧乏という立場から成る程度止むを得ない点もあるかと思いますが、又貧乏なるが故に特に愼重でなくちやならんということは、どうもいろいろ今までそういうふうな開発計画、又その開発計画、都市計画、そういうふうなものが成る程度計画的に考えられておりませんので、そのときどきの圧力と申しますか、空気と申しますか、そういうもので公共事業費予算が附いて行つて、結局まあ非常に摘み食い的な建設事業計画になるのでありましてそれを最後まで通せればいいのでありますが、いよいよ最後になりますと、折角作つてある家を除けて道路を拡げてみたり、或いは港湾の施設計画を拡張してみたり、いろいろそのために非常に大きな金をかけて、而も実際の効果は非常に悪いということになりますので、今後都市計画というふうなものも、どうしても成る程度見通しを付けましてそれに必要なる道路とか港湾というふうなものを先に考える。そこに理想的な都市を作つて行くというふふうに考えなければ本当の都市計画ではない、こう実は考えているのでございます。恐らく今後各地方総合開発計画が出て参りましたときに、一番大切な問題の一つとしてこの工業地帯、或いは都市というふうなものをどこに持つて行くかということが非常に問題になるのぢやないかと思います。各府県とも皆やはり自分の所の総合開発計画の中に、できるだけそういう地域を設けたいという希望がございますが、恐らくそういう問題は各府県だけの観点だけでなくて、その地域、国全体の立場からのいろいろの政策から、或いは経済政策、或いは産業政策、自然の立地條件というふうなものから、最も合理的な地点を考えまして、そこに都市の機能を果すに必要なる施設を集中してやつて行くというふうにならなければ、理想的なものはできないというふうに考えております。まあ今度の審議会におきましても、そういうふうな工業地帯の改善によりまして、非常な産業の力を、生産力を増すとか、或いは輸送が非常によくなるというふうなものにつきましては、一応当局として考えてやろうではないかというふうな考え方をしておるようであります。そういう点は非常に大きな問題の一つとして考えてやつておるのであります。
  26. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今都市についてのお話がありましたが、農村についてもやはり同じことがある。農村経営についても、これは小さい例のようでありますが、一つの例を私はお話して御参考に供したい。京都府の天田郡の雲原村、これが昭和九年の水害で耕地は流れ、さんざんな目に会つちやつた。それから昭和十年から第二予備金を取つて仕事をしたのを端緒といたしましてずつと治水工事をやりまして、併し私ども治水工事をやつてそれで万事終れりとしない。この治水工事が完了して、それに相待つて真の農村経営をやるという観点から土地の交換分合をやつております。最近こそ土地の交換分合と言つておりますが、これは戰争中に交換分合はできてしまつた。治水工事と同時に交換分合もできてしまつた。そのために新らしい家を二十七戸作る。今どの家に行ても、その自分の家の周囲の耕地は全部その農家に属しておる。恐らく日本であれほど土地の改良を完全にやつた所はありません。これは決して過言ではありません。これは現地に行つて見ればわかります。昨年も一昨年も進駐軍のほうの人が行つて、今後の農村の経営は、結局これによるよりほかにない、非常に褒めて、実態調査をして帰つたという実例もありますからして、これ小さな問題でありますけれども農村経営をどうするかという、これは将来大きな国土開発の問題なんです。そういうすでに事業のできた所を御覧になれば、今後の参考に非常にいいと思いますから、これを是非なおあなたがた実地に御調査になることをお願いいたします。
  27. 山崎小五郎

    政府委員山崎小五郎君) 京都のどこでございますか。
  28. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 京都府の天田郡雲原、これは山陰線の福知山駅からして六里、一時間で十分に行けますから遠い所ではありません。
  29. 山崎小五郎

    政府委員山崎小五郎君) 有難うございました。
  30. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 国土総合開発に関しては、本日は江田さんと同じようにこれで終ります。
  31. 小林英三

    ○委員長(小林英三君) 如何ですか、安本関係国土総合開発問題で、今日まだほかに御質問ございますか。御質問ないようでございましたならば、今河川局長、道路局長が見えておりますから、一つそのほうの御質問願います。
  32. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 河川、道路、この利用についてどういふうに按配なさるかどうか承わりたいと思いますが、今まだとてもそこまで私は行つていないと推測いたしますから、これは今日はいたしません。まだなかなか忙しくてそこまで恐らく進んでいないと思いますから質問いたしません。ただ私この際に、むしろいずれ又大臣でも来られたときに質問しようと思いますが、安定本部建設省のこういう公共事業費関係なんです。どうも公共事業のいわゆる項目が全部安定本部予算なつてしまつておる。一体建設省は、あれほど安定本部が全部公共事業費を持つておるとすれば、建設省の存在価値ありや否や、そういうふうな気がするのです。実際私は非常に……。安定本部に対することですから、これは安定本部長官が見えたときに伺おうと思つたのですが、建設当局として実際いろいろな経費を計上なさつても、あなたがたのお考え通り安定本部で公正に査定し得るのかどうか、非常に疑問に思つているのです。併しこのことは私今申しましても御答弁にもなかなか厄介と思いますから、ただ私はそういう考えを持つておりまして、これは大臣及び長官の来られたときに公共事業のありかたについてよく、建設省或いは農林省に関係しますが、安定本部に何しようと思つております。その点は今日は私は保留をして質問いたしません。
  33. 目黒清雄

    政府委員(目黒清雄君) 本年度の予算の、河川予算のうちで特徴と言いますか、砂防ですが、そのうちの主なるもの、もうすでに予算の内訳は安本あたりで御聞きになつたと思いますが、第一番目に我々として考えられますのは、河の最近の状態災害の発生状態から鑑みまして、災害発生の場所は下流の一応堤防のできておる部面よりも、だんだん上流のほうに上つてつて、比較的中流河川に多くなつて参つたというが事実であります。勿論本年度のように海岸の堤防の破壊による災害も特殊な事情でありますが、大体そういう傾向になつて参つたのであります。これは山地から出て来まする土砂の堆積が上流の地に多くなつて参りまして、そのために至るところ出水するという状態なつて参つたのであります。そこで第一番目に挙げなければならないのは、どうしても上流からの土砂を下流に流さん方法を講じなければならん、こういうことで昨年も多少増加いたしましたが、本年は更に砂防費の増額をお願いしたのです。それが十八億が三十三億というような極端な、例のないほど公共事業費で増額しております。これが本年度の河の一つの見逃せない特徴と思つております。更に河はだんだん改修がされて参りますると、曾て氾濫しておつた上流地方地域が、どうしても氾濫から免れるような行きかたになりますので、下流の流量が相当増加して参つたのであります。そのほかにもいろいろ干拓、開墾等というような農地増加の原因もありまして、どうしても現在の河では現在の洪水を呑み切れないような状態になりつつあるのであります。それで我々は下流においてこれらの水を調節するような地点を捜そうと思いましても、到底農地を今更潰してまでこれをやることができない状態でありますので、だんだん上流地方に堰堤を設けなければならんということになつて参つたのであります。その費用が特に目立つて参つたのであります。本年度は過去の計画中の河水統制事業という名の下にやりました府県補助事業を、極端にこれを増加しまして、早く完成を図り、その効果を挙げようというのが一つと、更に新らしい地点、或いは見返資金で着手しました堰堤の工事を継続するというような費用を計上したのが第二の特徴であります。更に昨年以来海岸堤防の脆弱のために起つて来る災害が多くなつて参りましたので、これらに対しましても何らかの方策を講じなくちやならんということから、海岸保全法を今議会に提出して、協賛をお願いするということと、海岸堤防の費用を本年度から相当増額をしなくちやならんということをお願いしたのであります。これが第三の特徴であります。  次に先ほどお話のありました国土総合開発或いは資源調査委員会というようなものでいろいろの調査を行なつております。併しながらこれは帰するところ、先ほどお話の出ました通り河川流域による調査を根幹としなければならんというわけで、その大半を作るのが我々の任務であるというふうに考えまして、今までの治水一本槍から、河川流域の上流から下流まで一貫した総合治水利水計画を立てて見たいと、勿論この問題は各省に亘りますので、我々としてこれを全部やることができませんが、少くとも天然の水はかくして利用できるという姿を先ずやつて見たいというわけで、来年度の調査費の大きな部面を、この重要なる数本の河川に、或いは数十本になりますかわかりませんが、十数本になりますかもわかりませんが、少くともその重点的な河川総合計画を立てて見たいという考え方を持つておるわけであります。幸い本年度予算には行政部費で、河川の根本的な調査、水利調査費というのがありますが、行政部費のほうで千九百万円を今後新たに認めてもらつたというようなこともありますので、これに合わせまして、着々その方面の骨を作つて参りたいと、こういうふうな考え方が第四の年度の目標であります。  大体そのようなのが今年度の河川費の一応の特徴となつております。
  34. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 海岸堤防の修築費は増したようにおつしやいましたが、これは誤りか知りませんが、前年度より減つているようにここにありますが、これは何かの間違いでしようか。
  35. 目黒清雄

    政府委員(目黒清雄君) 前年度は御承知の通りに暮になりましてから阪神間の高潮の防潮のために補正予算を取つたのです。それが前年度予算の中に表としては組入れたので、実は海岸堤防費というのは前年度は一億五千万円で、それに大阪が入つて七億ということになつた。こういうわけでございます。
  36. 石川榮一

    ○石川榮一君 只今河川局長さんの御説明のこの予算編成方針に対する重点お話がありましてよくわかりました。特に水系別の総合開発調査をこの際実施をするという構想のために千九百万円ばかりの新規経費を獲得することができたそうでありますが、明年度の予算に間に合いますように、余り調査に暇取りまして一年も一年半もかかりますようでありますと、現在の河の改修に影響がありますので、大綱を成るべく新らしい予算編成する、そうして一カ年までくらいのうちに御完結を願いたい、それから今度災害復旧費もそうでありますが、河川改修費もそうでありますが、この計上しました予算は非常に貧弱でありますが、そのためにこれが府県に廻りまして二分の一或いは三分の一の県負担を要求することになりますので、現存の各県の予算編成状況を私ども聞いておりますと、どこの府県におきましても昨年程度の支出をいたしますのにも、少くも四、五億程度の赤字は止むを得ないというような状況で、編成難に陥つておるような府県が大部分であります。本年平衡交付金等も若干増加されましたけれども、あの程度ではとても各府県の県財政を賄い切れない、そこに持つて来て今度は災害復旧費の全額国庫負担が廃止され、三分の一これを府県が負担するということになりますと、その予算の実行がさような場合にスムースに行くかどうかを伺いたい。若し行かない、それが不安だということであれば、何か建設省のほうからこの工事の実行が府県に堪えられるような方途を研究してやるようなお考えがありますかどうかをお伺いいたします。
  37. 目黒清雄

    政府委員(目黒清雄君) 地方負担の問題でありますが、これは私から申上げるよりは、地方財政委員会その他の方面にお聞きになつたほうが適当と思いますが、結局起債の枠の問題、四百億の問題、それから平衡交付金の問題というようなことから、果してこの事業費が全部償還できるかどうかというお尋ねと思いますが、その点で現在我々として努力中でありますのは、災害の三分の一の地方負担を成るべく軽減しなければならんということから、大体七割五分程度の国庫の負担にしまして、百億負担する、それで四分の一程度の負担ということになりますが、平均その程度にするというようなことが閣議できまつたようでありますので、その点は多少地方負担を軽減できるのではないかと思いまするが、それにいたしましても全体から見れば或る程度窮屈であるということは我々も考えております。そこで私自身の仕事から言えば、結局起債の枠の分取りというようなことになりますので、こういうことはいいかどうかわかりませんが、地財委のほうに渡りをつけて置く。殊に私どもの今骨を折つておりますのは、大きな事業ダム事業というのは相当地方負担がありますので、これらに対してはそういう事前工作をやつて置くように努力しております。併しながら最後に行きましてどこかその線から漏れ、こぼれるというような、非常に苦しい工事が出て来るものがあると思いますが、これは知事が与えられた事業重点考えて、先ず以てそのほうの起債から始まつて行く行きかたをとるのじやないか、そうすると重点でない仕事、知事の考え方重点でない仕事は相当むずかしくなつて来るのじやないかというような予想を持つております。
  38. 石川榮一

    ○石川榮一君 只今お話で、若しそういうような困難な状況がある府県があれば、それに対して自然起債の枠等について御心配下さるというお答えを頂きまして非常に結構であります。今のお話から伺いますと、大体においてこなせる、償還できるだろうというように伺えるわけであります。昨年までの府県負担に対する各府県の納入の実績は、各県において府県負担は国庫に納入済になつておりますかどうか。若しなつておらないとすればどんな実態でありますかどうかを伺いたい。
  39. 目黒清雄

    政府委員(目黒清雄君) 昨年度、二十四年度の国事業に対する納入ですが、これは多少遅れておりますが、これは大部分よくなつて参りましたが、私の心配しておりますのは、二十五年度の国事業に対して本年度納入する府県負担の分がどうなるかというのが心配なのであります。勿論これは実績が現われて参りますのは来年度の四、五月頃でないとわかりませんので、その後ぽつぽつ納めて来るというような状態でございますので、これも目下督励中でありまするが、これはなかなか困難ではないかと考えております。
  40. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 河川災害復旧事業費として初めの要求額は八百二十億ほど要求されておりますが、それに対して三百七十億、これだけ認めているのでありますが、これで何ですか、二十五年度の災害復旧費はどれほどこの中に入つていましようか。
  41. 目黒清雄

    政府委員(目黒清雄君) 大体我々のほうの予算要求はこういうふうな方針で行つているのであります。初年度に、発生したときに三割、それから次年度五割、後二割というふうに四カ年で災害はやるべきものであるというふうに予算を要求するのでありまして、ところが御承知の通りに、もうすでに三年も経過していてもまだできていないという災害が多分にありますので、その要求のときは三年以上経つたものも全額出すべしということ、それから二十五年度に発生した災害は、本年度には一割二、三分切りありませんから、三割やりたいところは一割二、三分ですからその残りの一割七、八分、更に来年度五割やりたいというのを又六割程度、それからそういうふうにして、そういうふうな方針予算を要求するのでありまして、現在残つております災害というものは九百四十億とかそこらでありますので、恐らくそういうふうな意味の予算要求をいたしまして八百億になると思います。更にそれに加えるに来年度予想される事業、大体年間私のほうでは五百億程度起きますので、この五百億程度の三割、百五十億というようなものを推定いたしまして、それを加えて要求するというのが、一応の理想的な姿の要求なんであります。非常に大きな金に相成ると思つております。
  42. 石川榮一

    ○石川榮一君 この災害予算の支出方法につきましてこの前も御注意を申上げたことがあつたのでありますが、二十二年の災害、二十三年の災害、二十四年の災害と、こう災害が続きまして、そうしてその災害が古いほうの災害を全部カバーするというような形の予算使いかた、これが真に現在傷んでおります災害を救う予算的な処置として、非常に私どもは遺憾に思いますのは、二十五年度の災害に、非常に危険を呼ぶような災害であつたならば、二十二年に残された災害よりももつと危険の率が多かつたらば、そのほうにその予算を投入するような方法ができないのであるか、例えて申しますれば、年々災害復旧費というものは古いやつを構わんで、毎年々々調べたその結果、一番重点的に国費を投入するということはできないものであるか。例えば二十二年のやつは大したことでなくても、そこに残つておりますれば、それは全部そつくり今年使う予算にというように……、ところが本年壊れた、昨年壊れた、最も新らしい所が最も危険であるというような場合に使い得ないというようなこともあり得る、これを直して頂きまして、年々災害というものは、現実に、現在見たところで一番危険なやつに予算を入れる、それが年次を問わないでやれるというようにして頂いたほうが、私は効果的に予算が使えるのではないか、こういうように思うのですが、御所見を承わりたいと思います。
  43. 目黒清雄

    政府委員(目黒清雄君) 一応災害予算は一括しまして受けまして、これを各府県に配当するのでありまするが、配当の基礎を作りますときには、やはり過去のものを成るべく早くやつて行くというような行き方をとりまするが、さてこれを地方の知事が実施いたしますときには、知事の考え方でこれらの年度割りというものを、はつきりこちらから指定いたしませんので、知事の重点と思う所にその金を割り振つてもらう、そうしてそれをこちらが承認して行くという形をとつておるのであります。勿論年度初めに現地を、過年度全部の災害を見て、重点を付ければ非常に結構なんでありまするが、非常に大きな箇所、たくさんの箇所をそういうふうなことをした後に割り振るというようなことは事実上できないので、我々は知事の意見を尊重する、何年度の事業をするというようなことは、知事の意向を尊重するという形をとつておるのであります。
  44. 石川榮一

    ○石川榮一君 それは大変結構なことです。建設省自体におきましてはどういうふうにしておりますかを伺いたい。
  45. 目黒清雄

    政府委員(目黒清雄君) 府県に対する割り振りのときには、やはり過年度のほうは幾らか早く仕事を進めて行く、これは事務的の考え方から申しましても、成るべく過去のものは仕事を終らせたいということから、早い年度のものは幾らか重点的に配当して参ります。併しながらその場合に地方の希望によつて、もうこの事業などは廃工して差支えない。或いはこちらから見てもこういう事業はもうやめても差支えないと思われるような工事も中にはあるのであります。そういうものを廃工したり、或いは次の災害の起きましたときに新らしい問題として災害を振替えるというようなことをいたしまして、過年度の災害を片付けて行く、先の年度のものを片付けて行くというような方法をとつておりますので、必ずしも新らしい重点的な箇所よりも、古い余り経済効果が少いほうが先廻しになるというようなことは恐らくないと思うのであります。
  46. 石川榮一

    ○石川榮一君 建設省の直轄工事といたしまして、現実にそういうようなことを私ども見ておるんですが、例えば利根川にいたしましても二十五年度の災害、或は二十四年度の災害に最も危険を呼ぶようなものについての予算の要求をいたしましても、それが参りませんので、古いほうの二十二年、二十三年のほうへ予算が参りまして、それを振り替えて危険な所へ使うことができない。これは会計法規上止むを得ない、特に会計検査院等がうるさくて実質的にはできないというようなことを見ておるんですが、それがために危険なものが残されて、比較的経済効果のないものを現場の事務当局、技術当局はやりたいものがやれないで、止を得ず経済効果の比較的少い、危険率の少い所をやらざるを得ないようなことが往々見受けられるのですが、建設省自体とすると、今の会計検査院等の検査に煩わされまして、思わざる工事をせざるを得ないような使いかたをしているように見えるのですが、そういうことを局長さんはお認めになりませんかどうか。
  47. 目黒清雄

    政府委員(目黒清雄君) そういうことも薄々聞いたことはありますが、この点は我々も大いに反省しなくちやならんと思うのでありまするが、これは單に事務的な手続から言えばそういう結果になると思うのであります。これらもざつくばらんに申上げますと、一応災害として申請いたしまして要求いたしましたものを廃工にするということは、よほどの理由がなければ廃工にできんという考え方が強くなりますると、そのような結果に相成るのであります。併しながら予算関係で、予算が非常に少いのでありまするから、そういうことは言えないのでありまして、新らしい重点的なものがありますれば、そのほうに注ぎ込む、過去の災害は、場合によれば他の方法によつてこれをカバーするというようなことも考えなくちやならんと思うのであります。その点は我々も聞いておりまするから、実施の行きかたとしては十分尊重いたしましてやつて行きたいと思つております。
  48. 石川榮一

    ○石川榮一君 大体わかりましたが、私どもから言わせますれば、会計検査院のかたがたに技術的に頭のない人が、ただ会計事務だけを、嚴正に使用したかどうかを調べに来るのでありまして、その実体の、工事の危険などということは全然頭にないかたがたが要するに検査をします。そういうことになりますと、先ほど申上げたようなわけで、現実に危険を呼ぶような所が手が着けられないで、まあどこでもいい……と言つては語弊がありますが、少くも三年も放つておけたような所へ予算を使わなくちやならんということが実際起つておるのであります。それがために非常に不本意ながらの工事をせざるを得ないような、いわゆる誇りのない工事を、矜持を持たない工事をしなくちやならんというような苦しい場面に逢着しておる、又前線におります直接手を下します工事担当者は、本年の水害は何とかして切り扱けたいと日夜苦労しておるにかかわらず、そこに予算が使えないというようなことがあり得るのであります。でありまするから、できることでしたならば年々、年々今までの古い災害も新らしい災害もごつちやにいたしまして、三年も前の災害がたとえ認証してありましても、軽度のものであつたならば、予算がないのだから大きいほうへ、一つ危険率の多い所へ、なけなしの予算が投入できるように、それは会計検査院等に話合いをいたしまして、御心配願いまして、そうしてなけなしの予算効果的に前線のかたがたに使つてもらうように御心配願うことが根本じやないか、こう思うのであります。それがために非常に第一線におります技術担当者は苦労しておりますから、そういう機会がありましたら、そういうようなふうに会計検査院と交渉しまして、要するに技術の頭のない人に経理面だけを調べさせる、その経理の検査が来るために、仕方がないからどうでもいい所の工事をするというようなことに陷つているわけであります。特に予算の少いときにかように河が荒れておりますから、一つそういう点を何とか改善して頂くような御心配は願えないものでありましようか。この点を伺いたいと思います。
  49. 小林英三

    ○委員長(小林英三君) ちよつと皆さんに御相談いたしますが、今の石川委員の質問に対する御答弁があると思いますが、丁度各派からおいでになつておるようでありますから、今の河川局長の答弁が終りましたら、本日は道路局長にこの公共事業費の問題の概要につきまして御説明願つて、その後は一つ先般の委員会におきまして直轄工事の視察という問題がございまして、これが実は来月になりますというと、相当本会議も忙しくなりまするし、それから又選挙という問題がございますから、成るだけ二月中に視察があるならば終えてもらいたい、こういう希望がありますので、その問題につきまして後刻御相談申上げたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 目黒清雄

    政府委員(目黒清雄君) 我々のほうも十分反省しなくちやならぬと思いますので、今の石川さんの御希望の通り実施におきまして十分考慮して行きたいと思います。
  51. 小川久義

    ○小川久義君 実は道路局長さんの御説明をお伺いしたほうが都合がいいと思いますが、電力委員会がございまして、そこで質問しようと思つたところが、今呼びに来ましたので、局長さんにはお気の毒ですが、あとにしてもらつて……。
  52. 小林英三

    ○委員長(小林英三君) 今小川さんからお聞きの通りの御意見がありましたから、それでは今の出張のほうを先に御相談申し上げまして、本日は河川局長、道路局長もお帰り願つてよろしうございますか。
  53. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 でありますから、道路局長さんには大して御質問もないと仮定して、(笑声)今の出張のほうをおきめ願つて、これはすぐきまると思いますから、それから道路局長さんのほうに折角お見えになつておるのですから……。
  54. 小林英三

    ○委員長(小林英三君) それでは先般の委員会におきまして適当な時期に建設省の直轄工事の実地調査をする。それからなお利根川開発に関しまして特に調査する、こういうことについて御相談いたすようになつておつたのでありますが、今視察の問題につきまして、今月中に行くということになりますと、運営委員会のほうへ掛ける必要がございますので、本日各派の諸君もおいでになつておりますから、とくと御相談申上げたいと思います。大体事務当局といたしましての案もできておりますから、それに基いて御相談申上げたいと思います。  速記をとめて、   (速記中止〕    午後三時三十六分速記中止   —————————————    午後三時五十一分速記開始
  55. 小林英三

    ○委員長(小林英三君) 速記を始めて下さい。
  56. 菊池明

    政府委員(菊池明君) 道路事業につきましては、数字は相当細かく安定本部のほうから説明がありましたので、これ以上細かく只今まだ説明を申上る資料が整つておりませんので、我々のほうで原案を作成いたしました当時、又その後の状況に基きまして方針について御説明申上げます。  前にも申上げたと思いますが、これは総司令部の日本政府に対しまする道路補修に関する五カ年計画覚書の線によつて組んだのでございます。    〔委員長退席、理事岩崎正三郎君委員長席に着く〕 御承知のようにこの覚書は道路補修に関する五カ年計画でございまして、戰前、戰争中に傷みました道路を先ず補修するということを重点に置いて、全体の道路計画事業費を出すということなんでありまして、二十三年十一月にそれが出まして、二十三年度はこれはもう終り頃でございましたので、僅かに二千万円をこれに割いたわけで、二十四年度、五年度と、来年度は丁度第四年目に当るわけでございますが、二十四年度はこういうわけで補修に相当重点を置きまして、総事業費の中の約半分に近いものを補修関係に取りまして、それから二十五年度は四割ぐらいを補修のほうに向けた。それで今回ここにお願いいたしまする二十六年度につきましては、三〇%にしたいという気持でこの中に織込まれておるのであります。この経費は直轄道路改修費の中の一部、それから道路改修費補助、この費目の中にこういうものは含まれております。この補修に重点を置くという方針は、戰前におきましては地方の道路或いは国道にいたしましても、これは管理は、全面的に地方自治団体がやつておるわけでございますので、国庫の助成はなかつたのであります。併しながら戰争中に非常に傷んでおりましたものを旧に復するだけでもなかなか容易なことではない。とても地方費のみに頼つてつては従来のような路面は得られないというので、特にこの覚書にもよりまするが、特に国庫はそれに助成し得るという單行法を出しまして、それに基きまして事業費の約三分の一の国庫補助をいたしまして補修いたしておる次第でございます。又一部は国道につきまして、国が直轄で以て維持修繕、補修をいたしておりますので、御覧の通り相当よくなつたと思います。関係方面でも、今後次第に補修の枠を縮めて、改良費のほうに移して行こうという意向のようであります。従来の線にだんだんと近付いて参ると思います。併しながらこの旧来のものの改良に必要な国の経費を注いで、補修は地方費に委すといつた方針は、これは大体どこの国でもそういつた方針のようでありまするが、由来我が国ではなかなかこの維持修繕関係地方費が出しにくいのでありまして、これは来年或いは再来年で切ることになりますと、国庫補助をやめるというようなことになりますと、又非常に路面が悪くなるだろうということを懸念いたしております。何とかして、今まで保つて来ました、補修いたしました路面を維持して行きたい、これには又別の方法を考えなければならんじやないのかと思つております。  それからこれで御覧になりまする通り、内地におきまして五十一億八千九百八十万円が、私ども今年度の三十六億一千九百八十七万円に比べまして十五億六千万ばかり増加した。それから北海道関係で今年度十三億三千、それが来年度十五億六千四百万というように、三億三千四百万ばかり増加いたす形に相成つておりまして、会計いたしまして今年度四十八億五千万、それが来年度は六十七億五千四百万というふうに、約二十億増という形になつておりまするが、実は今年度はこの四十八億五千のほかに、見返資金によりまして三十九億円の道路事業を施行中であります。従つてこれを通算いたしまして、これは実は二十億がらみの減になる。これは誠に困つたことでございまするが、どうにも、見返資金の関係なんで、そう我々が希望するようにもできませんので、そのあと始末に実は苦労いたしておる次第であります。この来年度の六十七億五千四百万の中から、今年度の三十九億の見返資金の事業の継続、或いはあと始末の工事にどうしても優先的に数億を投じなければならないということが、他の部門に相当影響いたしまするので、その按配が只今まだ検討中でございまするが、相当困難な状態であります。近くこれを検討いたしまして配分をいたしたいと、今折角努力いたしております。
  57. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 北海道関係の道路費は、これは安本からして北海道には大体金をやる、こうにきめまして、その道路費のどこにどういう仕事をするとかいう項目に関しては、やはり安本のほうで査定したのではないですか。或いは北海道開発庁のほうでしたのではないですか。それで道路費のほうは、若しも北海道開発庁でしたならば、道路局、言い換えれば殆んど道路局の案によつてつておるものか、或いは北海道開発庁自体の案によつてやられたでしようか、それをちよつと……。
  58. 菊池明

    政府委員(菊池明君) 総額の十億六千百万と申しますものは、御承知のように北海道開発関係の総額というものを閣議でおきめになつて、その道路費が十億六千ということがきまつて参りましたので、それに従つたわけであります。ただこの内訳をどうするかにつきましては、これは道路局の意見が相当強く入つております。これは開発庁のほうとも勿論相談はいたしましたけれども、形は安本と三者が話合つてやつたわけですが、道路局の意見が強く入つておると思つております。
  59. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 次に見返資金は全部国の直営でやつたのでありますが、あれはなぜ府県事業としてはできなかつたのでしようかね。
  60. 菊池明

    政府委員(菊池明君) 公共事業に関する見返資金の出資の方法を政府部内で、特に大蔵省の意見もありまして、これは国直轄の事業のみに限るという線を引かれたわけであります。その線に従つてつておつたのでありまするが、いろいろ関係方面の意見もありまして直轄ということになりますと、道路につきましては国道に限定されることに一応なるのですが、それ以外に見返資金でやつたほうがいいというものが府県にもありまして、それをどうしてもやつたほうがよいということになりまして、それを直轄ではすぐにはできませんので、特に各方面の了解を得て直轄の形に直しましてやつたわけであります。公共事業の見返資金の支出は、直轄事業に限るという線が強かつたのでありますからそれに従いました、
  61. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 その国の直轄でやるというのは、これは向うさんの強い考えかたですか、或いは安本考えでしようか、どちらでしようか、これは……。
  62. 菊池明

    政府委員(菊池明君) これは私の考えでは向うさんじやないと思います。
  63. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 この問題についてはいずれ又長官に聞きたいと思いますが、必ずしも直轄に限つてやらねばならんというわけはないと思います。むしろ直轄のものをやつてもよし、場合によつて府県工事でもやつてもよし、二本建のほうが道路行政から見てもよいと思つておりますが、この点はいずれ又安本長官に聞きます。  その次にお伺いしたいのは農道、或いは林道、これで当然建設省の道路としてやつてもよいと思われる場所がほうぼうに施行されています。無論道路としてできるのは一般国民として結構ですが、例えて申しますと、一つの河に対して私ども知らん間にほうぼうに橋ができる、一体この橋はいつどうしてできたのかと聞きますと、これは皆農道でありますという話が随分あるのです。こういうふうにしますと、道路行政の観点からも、一定の傾向を以つてなされる場合に、そこに変な農道ができて来たり、林道ができて来たりすると、やはり農道にしても林道にしても道路の役目を果しますから、その観点からむしろこれは私は非常に道路を使う方面の立場からして、行政機構の非常に大きな欠陥のように思うのです。むしろ道路は道路として分れたほうがいい、殊に林道のごときも、最近になりますと随分奥地開発という名目でほうぼうへやります。而もその施行の結果が必ずしも安心すべき施行じやない、こういうふうでありますので、農道又然り、最近非常にこの観点が乱れておりますが、これはどういうふうに道路局としてはお考えなつたのでありましようか。
  64. 菊池明

    政府委員(菊池明君) 只今の問題は、非常に我々も困つておるのでありまするが、要は煎じ詰めますと、道路関係予算が少いためにそういう結果になると思いますが、昔は農道或いは林道と申しましても、本当の農道であり、農道と申しますか、狭い畦道を幾らか拡げたもの、或いは林道ならばむしろ我々のほうから申しますと、道路というよりも森林の開発施設一つ施設というふうに言いたいのですが、道路に入るというような観念に入れかねるようなものもある。ところが近頃農道或いは林道というようなものが相当にもう自動車が使用されるようになりまして、我々の言つている道路法による道路と少しも遜色のないものがあちらこちらにできる。これは勿論農村の文化の向上上当然なことだと思いますので、これは抑えることは勿論よくございません。そういうふうに発達して行けばいいと思います。殊に農業関係或いは山林関係事業を助成しておられる方面におきまして、そういう林道、農道の経費と見ておられたものが、次第にその線が強化、拡充せられまして、そういう現段階に立至つたものでございます。これはいつまで農道であり林道であるということであれば、これは又そういう形のものであるならば、我々も何にも余り問題にする気もないのですが、これはすぐに町村道になり、或いは又府県道になるという場合がしばしばあるのであります。そうなりますると、どうしても道路政策上、これを一質的に見て行政をやつて行かなければならんということは当然でありまして、只今では府県の知事によくその点を申して、一貫的に見るように、特に土木部等におきまして関係を取つて、農道、林道の改良のときに参画させるように、土木関係を参画させるようにということを申しておりますが、なかなか実はそれが実行しにくいのであります。特に只今お話のあつた、当然道路費で以てやるべきものが林道、農道費のほうを以てやる、現実に我々もそれを承知しております。で勿論土木部関係、道路関係でこれを改良したいから国の補助を出せというような要求があるのですが、なかなか予算関係に縛られまして出せない。一方まあ農道或いは林道の関係は、そういう豊富なものがありまして、知事としてもそれを断るわけに行きませんし、勢いそれによつて普通の道路法による道路も作られるような事例が数カ所あります。私もそれをやめるようにということは勿論申しかねますので、これは見ているのですが、成るべくそういうことがないようには指導いたしております。
  65. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 道路を新らしく設けられる場合に例の農地の関係がありまして、今まであつた農地を一部道路にする。その際に非常に多額の金を要求しておるところがある。それがために道路が実際できにくい、これに対して私はむしろ賃貸価格の何倍を以て出す、そういうようにおきめになりましたら、よほど仕事がしやすいのじやないか。実際問題としてそういうふうにすつかり計画しても、農地法の関係でなかなか土地の所有者がそれを出さない、而も出すにしても莫大な金を要求しておる、こういう事実がありますから、実際道路を敷設しやすいように賃貸価格の何倍を持つて出すとか、そういうふうなことをお考えなつておりませんか。若しもそういうふうなお考えがあれば、今後そういう観点からお考えなつたほうが容易に道路が施行し得る、そういうふうな考えを持つておりますが、如何でしようか。
  66. 菊池明

    政府委員(菊池明君) 土地を買収いたしまして道路用地にいたします場合に、非常に只今困難いたしておるのでありますが、只今賃貸価格のきまつております場合には、むしろ何倍というものを基礎にいたしてやつております。ただそれよりも離作料のほうで埋めることのほうがむしろいつももめる源になるのであります。賃貸価格のない所では、きまつておりません所では、その近所の賃貸価格のある部分の例をとつてやるという方法でやつておりますので、やはりそれによるのが御説のように一番いいのじやないかと我々も思つております。
  67. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 それでは私の質問はこれだけです。
  68. 武井篤

    ○専門員(武井篤君) ちよつと伺いたいのですが、直轄の道路の災害復旧費が今年は落ちておりますが、どんな事情になつておりますか。全然今ありませんか。
  69. 菊池明

    政府委員(菊池明君) 直轄の災害復旧費はないのです。
  70. 石川榮一

    ○石川榮一君 見返資金で昨年度三十一億出てそれで改修なすつているようですが、それは何カ年かの継続事業のようなつもりで支出しているんですか。それは打切り工事として差支えない程度のものでありますか。若し打切り工事ではだめなんで、どうしても実行しなくちやならんということになりますと、どのくらいの経費をあと要しますか。今見返資金で以て着工しております工事の残工事費でございますね。それを伺いたい。
  71. 菊池明

    政府委員(菊池明君) この箇所ごとのは、あるのはあるのですが、そろばんで計算を出さなければなりませんので……。
  72. 石川榮一

    ○石川榮一君 大体で結構です。
  73. 菊池明

    政府委員(菊池明君) 大体こういうふうになつております。橋梁のほうは、これはもうどうしてもやらなければならんというので、十億五千万円二十五年度支出いたしまして、残りが四億千六百万円くらいで、これが少し変りましたが、四億円程度で以てこれを完成し得るのであります。それから道路のほうは、例えば東海道に関しましては今年度十八億施行いたしておりまするが、当初全体の量としまして八十七億を出したのであります。そこでこれを本当に完成しますのにはまだなかなかなんですが、いたしかたありませんので、今年度十八億要しましたものを、できるだけ少ない経費でこれに取つくような方法を講じて、まあ少し曲つたりはいたしまするが、取つけて済ませよう。それからそのほかの府県道に投じますものは今年度十億六千万円、これの総計がこれは数十カ所あるんですが、ちよつと申上げられません。
  74. 石川榮一

    ○石川榮一君 結構です。そういたしますと橋梁のほうはそれで、道路の改修費の未完了分が約七十億近い、五十八億ですか、その五十八億のものを或る程度圧縮なさるというお話でありますが、若しこれを本年度どのくらい使用しますかわかりませんが、その使用の仕方によりましては、昨年度一般予算から出た道路改修費を非常に圧縮するんじやないかと思うんです。そこで若しこの講和が成り立つた場合、見返資金は相当額残つているんでしようが、その見返資金が残つた場合には、自治権が回復しますればこれは日本政府で使用できるんじやないか、こう思いますが、その方面でカバーするような方法をとるような、こういうことは安本のほうと折衝しているようなことはないんですか。
  75. 菊池明

    政府委員(菊池明君) これはまだ見込が少しあるという話は、御承知のように、我々も伺つておりますが、折角準備はいたしております。
  76. 岩崎正三郎

    ○理事(岩崎正三郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  77. 岩崎正三郎

    ○理事(岩崎正三郎君) 速記を始めて。ではちよつと最後に、関門トンネルが遅々として進むような進まないようなことなんですが、実情はどうなつておりますか。速記をとめて。    〔速記中止〕
  78. 岩崎正三郎

    ○理事(岩崎正三郎君) それでは速記を始めて下さい。  ほかに御質問ありませんか。本日はこれで散会いたします。    午後四時二十三分散会  出席者は左の通り    委員長     小林 英三君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            島津 忠彦君            平井 太郎君            江田 三郎君            田中  一君            徳川 宗敬君            東   隆君   政府委員    建設省河川局長 目黒 清雄君    建設省道路局長 菊池  明君    経済安定本部建    設交通次長  山崎小五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       菊地 璋三君   説明員    資源調査会事務    局長      安藝 皎一君