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1951-05-25 第10回国会 参議院 建設・厚生・在外同胞引揚問題に関する特別委員会連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十五日(金曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————  委員氏名   建設委員    委員長     小林 英三君    理事      岩崎正三郎君    理事      赤木 正雄君    理事      小川 久義君            石川 榮一君            島津 忠彦君            平井 太郎君            深水 六郎君            小林 亦治君            田中  一君            三輪 貞治君            徳川 宗敬君            久松 定武君            田方  進君            東   隆君   厚生委員    委員長     山下 義信君    理事      小杉 繁安君    理事      井上なつゑ君    理事      有馬 英二君            石原幹市郎君            草葉 隆圓君            中山 壽彦君            長島 銀藏君            堂森 芳夫君            河崎 ナツ君            藤原 道子君            常岡 一郎君            藤森 眞治君            谷口弥三郎君            松原 一彦君  在外同胞引揚問題に関する特別委員    委員長     千田  正君    理事      大谷 瑩潤君    理事      森崎  隆君    理事      高良 とみ君    理事      紅露 みつ君            石川 榮一君            木村 守江君            草葉 隆圓君            長島 銀藏君            安井  謙君            内村 清次君            小酒井義男君            曾祢  益君            成瀬 幡治君            飯島連次郎君            杉山 昌作君            鈴木 直人君            木内キヤウ君            堀  眞琴君            兼岩 傳一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公営住宅法案衆議院提出)   —————————————    〔小林英三委員長席に着く〕
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) 只今から厚生在外並びに建設の三委員会連合委員会を開会いたします。  委員長は前例によりまして建設委員長が務めることにいたしたいと思います。本日は公営住宅法案議題に供します。先ず提案者に簡単に説明を願いまして、これに基きまして逐条的でなくて総括的な質問をお願いいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕   —————————————
  3. 小林英三

    委員長小林英三君) それから建設委員会のほうでなしに、主として厚生並びに在外胞引揚委員会のほうに御質疑を許すようにいたしたいと思いますが、そういう趣旨一つお願いいたしたいと思います。それでは提案者のかたから大体の御説明をお願いいたします。
  4. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 提案者を代表いたしまして、公営住宅法制定趣旨及び提案理由を簡単に御説明申上げたいと思います。  我が国勤労者住宅難が問題として取上げられるに至つたのは、第一次世界大戦前後のことでありますから、今日からみればかれこれ四半世紀も前のことであります。この間勤労者住宅対策といたしまして立法措置が講ぜられましたのは僅かに、住宅組合法(大正十年)を数えるに過ぎないのであります。最近に至りまして住宅金融公庫法昭和二十五年)の制定をみたのでありますが、これらの法律は、いづれも自己所有住宅供給を増加することがその狙いでありまして、都市在住者の大部分が希望する低家賃の貸家供給問題の解決に資するものではないのであります。諸外国の例をみるとイギリスにおきましては、今から百年前、即ち一八五一年に早くもシヤフツベリー法と称せられる労働者住宅法制定せられまして、地方団体が低家賃賃貸住宅労働者に大量に供給する途を開き、この政策は現在に至るまで継承されているのであります。アメリカにおきましても、一九三七年合衆国住宅法制定せられまして地方庁による低家賃公営住宅供給方策を確立しているのであります。我が国においても、第二次大戦後は公共事業費予算を支出して地方公共団体国庫補助公営賃貸住宅建設経営せしめているのでありますが、これは年々の予算措置のみを頼りとするものでありまして米英のごとく恒久的に国策として確立されていないのであります。  本法案は、以上の現状に鑑みまして現行の国庫補助公営賃貸住宅(いわゆる庶民住宅)の供給について法的裏打を与えることによりまして公営住宅供給恒久国策として確立すると共に、公営住宅供給に関する国、都道府県市町村責任費用負担限界を明確化せんとするものであります。  次に本法案の要旨を簡単に申上げたいと思います。一、公営住宅建設地方公共団体責任としたことであります。二には、公営住宅を第一種と第二種との二種類に区別をいたしまして、第一種公営住宅一般低額所得者、第二種公営住宅は更に低額所得者を収容することとしたのであります。第三番目には、建設大臣公営住宅建設三カ年計画を定めることといたしまして、或る程度長期の見通しに立つて公営住宅建設並びに敷地の取得、造成を行い得ることといたしたことであります。第四には、災害時、一時に多数の住宅が滅失いたしました場合には、その滅失戸数の三割の戸数は第二種公営住宅建設せしめ得ることといたしたのであります。第五には、国庫補助金は第一種公営住宅につきましては建設費の二分の一、第二種公営住宅につきましては建設費の三分の二といたしたことであります。第六番目には、公営住宅建設費事業主体負担分につきましては、国が必要なる資金を貸付け得ることといたしたことであります。第七には、公営住宅家賃に含まれる建設費償却額は、事業主体負担建設費を期間二十年以上年利六分以下で償却する額を限度とすることにより、入居者家賃負担を軽減したことであります。第八には、公営住宅経費管理につきましては公営住宅公共的性格に鑑みまして家賃入居者選考方法その他について地方公共団体条例規定すべき重要事項法律規定いたしたことであります。  以上簡単でありますが、提案理由及び法案の大要について御説明を申上げた次第であります。不明の点がありましたら御質問お答えを申上げたいと思います。よろしく御審議の上、速かに御可決あらんことを願う次第であります。
  5. 小林英三

    委員長小林英三君) 御質問がございましたらばお申出を願います。
  6. 山下義信

    山下義信君 本日は建設委員会におかれましては、委員会に付託相成りました公営住宅法案の御審議関連をいたしましてこの法案内容に盛つておりまする幾多の点につきまして私ども厚生委員会関連のあるのではないかと思われる点がございまして、それがために厚生委員会の、はうといたしましても、本法案に対しましては深い関心を持つてつた次第でございます。然るに建設委員会におかれましては、その辺を了とせられまして、会期の短い最中にかかわらず、本日は厚生委員会並びに引揚同胞委員会等とこの連合委員会を開催して頂きまして委員長のお計らい、建設委員会の御厚意に対しまして深い感謝の念を持つものでございます。厚生委員会におきましては、低額所得者のこの法案の中に盛られてありまするような問題につきまして、かねて委員会公営住宅に関する小委員会を特に設置をいたしまして、熱心に本問題と取組んで参つたのでございます。従いまして本法案に対しまして私ども厚生委員会といたしまして是非建設委員会一つお願いをしなければならんという筋合もあります次第でございます。本日の連合委員会をお開き下さいましたことを感謝いたしますと共に、今後ともどうかよろしくお願いしたいと存ずる次第でございます。なお厚生委員会といたしまして考えておりまする建設委員会に対しまするこの希望的な意見につきましては、特に小委員長であります、中山委員から御発言がありますと思いまするので、私は建設委員会の厚意あるお取計らいに対しまして謝意を表しまして、なお今後とも御善処をお願いいたしまする御挨拶の程度にとどめておきたいと思います。
  7. 千田正

    千田正君 私は在外同胞に関する特別委員会委員長といたしまして、只今山下厚生委員長のおつしやる通り、我々引揚同胞に関する特別委員会もこのたびの只今議題となつておりまするところの公営住宅問題に対しまして合同審査委員会を開いて頂きましたことに対しまして、深く感謝を申上げる次第であります。  一点私から特に発議者にお尋ねいたしたい問題は、この中に引揚住宅の問題も含んでおられるかどうかという点であります。なぜかと申しまするというと、終戦と同時に抑留されておる海外同胞、殊に無縁故者日本の国内に縁故を持たないところの引揚人たち相当の数に上つており、且つ又未だ帰つて来ない数も相当多数に上つておるのでありまして、樺太、千島その他の無縁故引揚者終戦引揚げて参りましたとき、国の受入態勢といたしましては、止むなく北海道並び東北六県に分割しまして、特に地方自治団体に無理に承諾さして、この無縁故者を引取らせたのであります。その際国の補助といたしまして、実は全額国補助をすべきことを要求したのでありまするが、当時の実情からいたしまして、止むなく八割国庫補助を以てこの無縁故引揚者を入れたのであります。その人たち只今集団生活をしておりまするが、これがやはり引揚援護庁或いは厚生省その他の予算の内訳から、こうした無縁故者引揚住宅の面を補助して、且つ又補修、改善して参らなければならない実情にあるのでありまするが、こうした問題もこの公営住宅の問題の中に含んで立案されておるかどうかという点につきましてお尋ねをいたしたい次第であります。
  8. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えをいたします。本法律案は先ほども簡単に提案理由及び法案内容を申述べました通り低額所得者に対して第一種、第二種の公営住宅供給せんとして作られたものでありまして、当然第一種、第二種の入居資格の中には、入居者といたしましては、本法案によつて作られますところの第一種、第二種の公営住宅の中に収容せられる対象として含まれておるのであります。
  9. 千田正

    千田正君 この法案内容を拝見いたしまするというと、建設省といたしまして、公営住宅の分は一括して建設省の管轄の下に行いたいという御意思のように見受けられます。その点は我我も了承できるのでありまするが、少くとも今のような、私が先ほど申上げましたような、本当からいうと国のほうで殆んど全部補助して上げなければならない実情にあるのは、やはりこれは厚生省若しくは厚生省内にあるところの引揚援護庁におきまして、こうした人たちが将来一本立となるまで、戦争犠牲者立場を理解して見てやらなくちやならない問題ではないか。建設省においてそういう点までいわゆる援護の手を差延べてこの住宅の問題を解決して頂けるかどうかという点に私は疑点がありますので、特にこの点、若しもこの法案の中にその点だけが除外してあるとするならば、我々は修正の意図を持つておるものでありますので、特にこの点は再考して、且つ慎重にこの点を御検討願いたいと思うのであります。重ねてお尋ねいたしまするが、従来は八割国で補助しておつたところのこの引揚無縁故者住宅に対しましては、今後は先ほどのお説のように三分の二しか補助ができない、こういうふうになりました場合において、果して現在無理に引取らされておるところの東北北海道、その他の地方自治団体の財政においてそういうものを負担し得るかどうかという点に我々は非常に危惧を持つのでありますが、この点はどういうふうに解決なさるおつもりであるかどうか、その点をお聞きいたしたいと思います。
  10. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。只今の御質問によりますと、第一種、第二種と分けました本法のうちで、特に引揚者に対する面から論及せられまして、厚生大臣所管若しくは引揚援護庁において所管したほうがいいのじやないかという御質問が第一点だつたようでありますが、これに対しましては私たちこの点十分研究したのであります。現在水道行政等におきましても、水道行政につきましては建設厚生両省共管のようでありますが、これに対しましても水道行政そのもの衛生工学が主であるか、一般土木工学が主であるかということはいろいろ研究せられたのでありますが、現在の状態においてはこのように三省の共管にいたしている状態であります。併しこの法案によります第一種、第二種と、いうのは一般的な、又引揚者もこの中に大きな地位を占むるものではありますが本法対象となる者は引揚者等を含む国民全部のうちの低額所得者に対して第一種、第二種ということを規定いたしておりますので、いわゆる建築行政のうちの住宅行政、なかんずく公営住宅に対して一つの画期的な法律裏付をいたしたいというのが意図でありますので、現在の状況におきましては第一種、第二種とも建設大臣が主管することが至当であるというふうに考えているわけであります。但し只今質問がありましたような入居資格の問題、それからいろいろな条件等の問題や、特に特別なる状況判定等に関する問題につきましては、引揚者の主管であるところの厚生大臣及び引揚援護庁の十分なる意見建設大臣が聞きまして善処でき得るような規定にすることが適当である。こういうふうに考えているわけであります。
  11. 中山壽彦

    中山壽彦君 私はこの場合、第二種の公営住宅の主として運営に関しまして、建設大臣厚生大臣とが協議をして頂きたいということを申上げたいと思います。例えて申しまするというと、第一には第六条第二項の規定による公営住宅建設三カ年計画の作成であるとか、或いは同条第四項の規定による都道府県区域ごとにおけるところの公営住宅建設三カ年計画決定、或いは同条第五項の規定承認する場合、第二には第九条第二項の規定による国の補助金の交付を決定する場合、第三には第十三条第一項の規定による承認をする場合、第四には第三十条の規定になる家賃なりその入る者の選考方法決定をいたす場合、第五には第二十五条第一項の規定による譲渡しの承認、又は同条第三項の規定による用途廃止承認の場合には、建設大臣厚生大臣とあらかじめ協議して頂きたい。  次に海外からの引揚者に対する応急援護のための住宅及びこの法律施行後同様の目的のため設置する住宅につきましては、この法律規定を適用しないということの一つ希望を述べておきます。
  12. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 只今の御意見に対してお答えいたします。私たち立案者といたしましても、最初は第一種、第二種、第三種考えたわけであります。第一種は御承知通り国庫補助二分の一、第二種は三分二、第三種はでき得るならば四分の三、若しくは全額国庫負担公営住宅考えたわけでありますが、いろいろの都合上本法案になつたのでありますが、私たちといたしましては、第三種及び第四種という、全額国庫負担のいわゆる対象となるべきかたがた引揚者であり災害者であるというような場合には、特にこの四分の三、若しくは全額国庫補助法律を作つた場合、この所管に対してはいろいろなことを考えたわけであります。勿論厚生大臣及び建設大臣協議は当然でありまして、御承知通りこの種住宅の問題に対しましては建設次官及び厚生次官との間の了解事項がありまして、現在までもその実を挙げて来ているのでありますので、私たちも本法案にただ徒らにこだわるのみではなく、実を挙げるためには第三種、第四種のものは厚生省及び引揚援護庁等において十分協議をし、なお且つ建設大臣はこれを聞かなければならないというぐらいの規定を設けるつもりであつたのであります。ところが現在は皆さまのお手許に提案いたしましたような第一種、第二種の法律案になつたわけでありまして厚生委員会からお出しになりました第三種ともいうべき厚生住宅法提案を取りやめるようなお話でありますので、当然その種の低額所得者は第二種にこれを取上げるというふうに変えて来なければならないと、こういう観点に立ちまして当然厚生大臣入居者その他只今お述べになり幸した条項につきましては建設大臣協議をして、万遺憾なきを期すことが適当であると考えているわけであります。
  13. 松原一彦

    松原一彦君 この法案が出ましたことは従来の賃貸住宅、いわゆる庶民住宅裏付けするものとして誠に結構なことだと思うのでありますが、一、三の点につきまして提案者にお伺いいたしたいのであります。これは公営住宅であつて特殊の目的を以て建てられるものではありますが、それは庶民の福祉の上に貢献するというものではありまするけれども、一方的な恩恵的なものではないはずである。たとえ低額所得者といえども恩恵的に取扱われて、何か一つのお役所の下に管理せられるといつたようなふうに住みにくい気持を持つようなことは希望しないと思うのであります。そういうような点におきましてこの第十三条に家賃及び敷金の変更等に関しましては事業主体は、たとえ建設大臣承認を得るとしましても、賃借人意向を考慮することなく一方的に定めることができるとしたのは如何ですか。これらの事項に関しましては、やはり民法の賃貸借並びに借家法及び地代家賃統制令等に準拠するような御意向はないのでございましようか、この点について先ず伺います。
  14. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 御質問お答えいたします。勿論公営住宅でありましても、恩恵的なものであり、お前たちに特に国がこの住宅を貸与えるのだというような考えを以て作られるものでは絶対ありませんので、お説は至極御尤もでありますが、とにかく普通のものとは違い、成る一定の量を国が造りまして、日本住宅行政一つの画期的なる向上を図るために造られたものでありますので、全然これが一般的な賃貸という感覚だけによつて双方協議をしてきめるということよりも、一つ基準を設けて建設大臣がこれをきめるということにしてあるわけであります。併し実際問題は都道府県知事がこれをきめるのでありますが、都道府県においては条例において定めるのでありまして、当然民主的なる府県議会の議を経て十分に議を練られた結果、実情に即したきめられ方が得られるのでありますから、一方的にきめられるというふうな表現ではありますが、実際的にそのような事実は起らないということを御了承願いたいと思います。
  15. 松原一彦

    松原一彦君 御趣旨は一応了解いたしますけれども、原則としまして一方的に高飛車に決定して、居住者意向を聞くことのないような原則を立てられたことにつきましては、私は遺憾に思うのであります。私も長く公営住宅におつた者であり、殊に第一種公営住宅では、相当政令で定める基準収入のある者がおるのであります。そういう人が入つておることは御承知通りであります。それが如何にも恩恵的な、一方的に、常に家賃も何も居住者意向を聞くことなくきめられるといつたよう原則の下におることは不安を感ずるのであります。この点につきましては地方条例等においてそれぞれ実際上のことをお考えになつて、さような弊のないようにするという御意向はわかりますが、この点につきましては更に御考慮を願いたいと思います。  次に伺います。第二十二条に、公営住宅明渡し該当項目につきまして、家賃三カ月以上滞納したときは、一般借地借家調停習慣から見ましても、これをそのまま明渡し条件にいたしますということは少し酷ではあるまいか。本法第一条の目的に鑑みましても、一般借家習慣よりも酷なものを本法によつて規定されるということは、本法を取上げました趣旨に背くものではないかという疑いを持つのであります。又、前条二十一条、「入居者保管義務」のこの規定に違反したときも、余りに酷に過ぎるように思われるのであります。このような場合は普通原状に復旧せしめるといつたよう程度でとめてもよいのではないか。又第五には、第二十五条第一項、「管理に関する条例制定」の、この規定に基く条例に違反したときとあるのでありますが、これは非常に大きい問題であります。明渡し事業主体任意条例制定に任されるといたしますというと、一方的に明渡し条例をこしらえてそれで以てこれを強制する、出て行かなければならないとしてしまうのであります。こうなりますと非常な威圧を感ずるという居住者の不安も私は現に聞いておるのであります。これを濫用せられるということになりますというと、居住者は非常に不安になるのであります。この点につきましても発案者のほうにおきましてはどういうお考えをお持ちになつておるのでありましようか、明渡し条件限界は確然と法律に明記せらるべきものであつてかように管理者条例制定によつて任意にきめられるといつたようなことは不当ではないかという疑いを持つのであります。この点につきましてお答えを願いたいのであります。
  16. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。一応条文上から見ますとそういう御意見も出るのでありますし、私たちも一応そういうことは肯かれるのでありますが、本法制定根本趣旨から考えますと、いわゆる低額所得者に対して社会施設としての相当含みを持つところの第一種、第二種の公営住宅を作るということが根本的な理念であります。勿論国の施策もそうでありますし、地方公共団体等生活困窮者及び低額所得者に対しては公営住宅を作らなければならないとさえ規定いたしておりますので、これが入居者選考等につきましては、申すまでもなく低いほうの、収入の低いところを抑えるのではなく、需要に対して供給率が非常に低いのでありますから、収入の高いほうを抑えて行くのでありまして、大体低いほうから入れて行くということになるわけであります。その面から見まして、実際において家賃不払いの場合、これが明渡しを請求する期限を一般のように六カ月にしてはどうかということを言われたのでありますが、現実問題としては実際において低額所得者が入居しておるのでありますし、特にいろいろ事情がありまして、その上なお且つ滯納しなければならないというような場合は、特段の者を除くのほかは非常に事情が逼迫いたしておるわけであります。その意味におきましては、現実的に地方議会条例によつて十分審査がせられて決定するのでありまして条文には三カ月ということをいつておりますが、実際の問題としては借家法によるところの問題と同じように、場合によつてはそれよりももつともつと長引くようなことが当然起るのではないかということが考えられるわけであります。そうしてこれは原則的にどうして三カ月と六カ月にしたかと申しますと、一般の問題につきましては家主が自由な意思においてその家を他に転売いたしますとか、その店子が好まないことでもかまわず家主独断専行において明渡しを請求できるのでありますが、本法規定する場合は全然趣きを異にいたしまして、当然低頭であつても、納めなければならない家賃不払いということでありますので、場合によつて租税滞納と同じ意味滞納処分を受けなければならないということでありますので、六カ月を三カ月と規定いたしたわけでありますし、而もこれが管理者であるところの都道府県及び市町村は、強制的に自分の意思だけで以て明渡しを要求するというような一般的な家主と異つた立場におりまして、止むを得ざる場合に明渡しを請求するのであり、且つ又非常に少い家賃さえも納められないほど困窮しておるかたがた対象になつて来るわけでありますから、実際問題としては強制処分も行えず、六カ月が八カ月、八カ月が十カ月になるというような慮れが分ありますので、その意味におきまして三カ月と特に規定したわけであります。
  17. 松原一彦

    松原一彦君 特に低額収入しかない困窮者ということを目標としておりながら、一般借地借家の慣習以上に短縮せられたということを私は非常に遺憾に思うのであります。併し私どもは修正する権利を持ちません。これは建設委員会審議事項でありますから、意見だけを申上げるのでありますが、これは気持の上から申しましても、只今仰せの通り低額所得者で非常に苦しんでおる者でありますから、三カ月以上滞納したときは明渡すというように、一般の借地借家の例よりも酷にとられましたことにつきましては誠に遺憾であると思います。又第二十三条に公営住宅の監理員という条項がありますが、この「事業主体は、公営住宅及び共同施設の管理に関する事務をつかさどり」と、こうあります。これは管理するのであつて、発言は「かん」ですが、管理に関する事務をつかさどるのでありますのに、その終のところでは公営住宅監理員と書いて、如何にも監督をするように聞えることはどうでありましようか、そういうふうな非民主的な文想を用いていることは、特にかような低額所得者が監督せられながら入つているというような感じを持つのではないでしようか。どうしてあの字をば普通使つておるところの管理員とすることができなかつたか、管理に関する事務をつかさどるのであります。それならばその文字を使つて管理員としたほうがよいのではないか、この点につきましても御考慮を願いたい。又次に「入居者に必要な指導を与えるために」云々とありますが、貧乏人だから監理員が指導するといつたようなこともいささか穏当を欠くのではありますまいか。こういうところにも何だかこの住宅が恩恵的な封建的な、お役所の住宅だからお前がたはまあ指導を受けるのが当り前じやないかというような感じを持たせることは面白くないと思うのであります。この点につきましても発案者におきましてはどういう考えでこういう文字をお使いになつたのか、伺いたいのであります。特にその「職員のうちから」と限定されておるところにもさような意味が感じられる。普通は集団住宅におきましては、その住居者の中から適任者を選んでそれで自治的にこれを管理せしめることになるのでありますが、この意味はどういうことであるか、一応お伺いしたいのであります。
  18. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。一番初めは監理の字句でありますが、これには大した意味を持つておりません。これにつきましては実際の、でき得るならば住宅の団地の居住者の中から民主的に選ばれた人が管理者となつて、自治的にその団地の管理ができればよいのでありますが、実際問題として御承知通り都道府県公共団体がこの建物を持つておるのでありまして、その意味におきまして公営住宅管理を適正ならしめるためにはやはり専属の公務員を置いたほうがよい、こういうふうな考えで現在国庫補助で行われております公営住宅は皆そのような処置をとつておりますので、前例に做いまして公務員なるが故に監理という言葉を使つたのでありまして、あなたの言われるところの管理でもよかつたのでありますが、ただ今までの法文の字句の使用上監理にいたしたわけでありまして何も深いわけはありません。これは監理と書きましても管理とお読みになつて頂きたいと思います。  指導を与えるというのは、この字句だけをお読みになりますとそうでありますが、発案者の気持は、入つている人の住むことの指導を与えるというのではなくて、現在のような七坪住宅、八坪、六坪というような小さなものでなく、我々日本人の生活が向上して来ると共に、又このような社会施設が大きく取上げられて行く状態におきましては、だんだん理想的な公営住宅ができるわけであります。御承知通り昨年度鉄筋のアパートが非常に少なかつたものが、今年度はその数は倍増いたしておるわけであります。勿論一戸一戸として建てるものでなく、団地住宅等もできるだけ建て増して、理想的な公営住宅建設いたしたいということを考えておるわけであります。併しこういう新らしい規格の中に住むことに対しましては、日本人はどうも個人的な家の住みかただけを長い間習慣づけられて参りまして、共同生活的な、いわゆる団体集団住宅によりまして、その中に、ここにもあります通りいろいろな公共施設を作ろうというような場合は、やはり新らしい建物形態の使いかたその他に対して指導というとどうも少し表現がまずかつたかもわかりませんが、一つの目標を与えてより互いに住みよい公営住宅にいたしたいというふうに考えておりますので、そのような日本人が曾つて見ないところのものを、又新らしい規格によつて作られるものに対して指導いたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。これは勿論管理の中に含まれる指導でありまして、これが管理というものを全然別にして指導だけを坂上げると非常に大きく又重苦しい表現になりますが、事実はそのような軽い、而も建設的な意味でこの条文を現わしているわけであります。
  19. 松原一彦

    松原一彦君 若し差支えが心いならば、私はやはり今日の民主々義的時代の意識を重んじて文字を変えて頂きたいのであります。又指導を与えるというような字は除いたほうがよくはないか。現に東京都の都営住宅の中には国会議員も入つているのであります。何だか我々指導を受けると……、而もその指導者がどういう人であるかはおよそ想像がつくのであります。大体管理者は、便所はこういうふうに使うのだということをいえばいいのであつて、殊更に指導を与えるというと、何を指導するのかというふうに官僚的な圧迫を感じ、思わず苦笑せざるを得ないだろうと思う。でありますからこういうところも若し建設委員会のほうで最後の御決定の際には深甚なる御考慮を頂きたいと、以上希望を申上げて質問を終ります。
  20. 千田正

    千田正君 発案者の御趣旨の点は、今までの御説明で十分我々も了といたしますが、ここに参議院の建設委員会におきまして御審議の際に、特に我々引揚に関する特別委員会としてのお願いといたしましては、一種或いは二種の公営住宅家賃を払つてつておられる人たちのことは、これはもう申すまでもないのでありますが、それ以外の国の保護を受けて暮らさなければならない立場の苦しい人たちのために、或いは外地から引揚げて来て縁故のない無縁故者人たちのために、こうした引揚者の応急措置、或いは将来の援護対象になる人たち住宅建設につきましては、特にこの法案から削除するか除外しまして、御修正を願いたいということを特に要望いたしまして私の質問は終ることといたします。
  21. 小林英三

    委員長小林英三君) 別に御意見がなければ連合委員会は閉じたいと思いますが……。
  22. 紅露みつ

    紅露みつ君 只今引揚特別委員長からお願いやら質問やらを申上げたのでございまして、大体建築行政を一貫するという御趣旨からこれがなされたということはわかるのでございまするが、私もこの引揚特別委員立場から今後いつ引揚げて来るかも知れない人たちが、無縁故者が来るかも知れませんし、又現在におきましてもその実態は相当まだ悲惨な状態が続いております。でこの建設行政を一貫するというその時期が、今適当かどうかということにつきましては、私ども大変にこれは疑いを持つものなんでございますが、どうしてこの際これまでの引揚住宅というものを、この時期をとつて厚生省のものをただ住宅建築の行政一貫というところへ持つて行かれたのかどうか、そのお気持をどういうふうなところからそういうふうにお考えになられたのか、そうしてこの時期が適当とお考えになつておられますのでしたらそのお気持をもう少し伺いたいと思います。
  23. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) お答えいたします。ちよつとこの法律案だけを御覧になつておるとそういうふうなお考えが出るかもわかりませんが、この法律案では、現在行われておりますところの国の補助を以てやるとか、全額国庫補助でやつておるところの引揚者住宅を作ることは制限をいたしておりません。これはもう今まで通り国の予算前処置においてできるわけであります。ただこの法律によりまするものは、現在予算的処置をいたして作られております、建設省で各府県に補助をやつております府県営住宅、それから市町村住宅、こういうものをこれからもう少し余計作りたい、而も比較的に三年間、四年間、五年間という見通しの、明るい見通しをつけるために一つ法律的な裏付けをしよう、こういうのでありまして、現在の引揚者住宅を国が作つておるということは、全然この法律で以てやめるのでもありませんし、それから制限をするわけでもありません。ただこれを、この法律が実施をせられますと、現在よりも公営住宅というものの中に第二種というものが殖えて参りますから、現在まで二分の一乃至百分の二十以内と言つておりましたのが、二分の二まで国庫補助をもらうところの住宅が数多くできるわけであります。現在の状態では鉄筋コンクリート十四坪建というものが第一種で以て二千二百円乃至二千三百円くらいであつた家賃というものが千二百円程度で貸与えられるところの第二種ができる。而もその入居者に対しましては、引揚者を優先的にするということは引揚者住宅法案ではありませんから、これを優先的に規定することはできないけれども、実際問題としては低額所得者、特に困窮者ということが対象になるのでありますから、現在においても三割程度引揚者が入つておるわけであります。勿論本法案によりますれば厚生大臣建設大臣協議の上入居者の選定その他万般の処置を講ずると、こういうことが考えられておりますので、現在の引揚者住宅プラス本法によるところの引揚者に割当てられるところの住宅戸数ということになりますので、今までよりもよくこそなれ、これは引揚者住宅主で全部取上げるというような目的で以て全然作つておるのではありません。誤解のないように一つ願いたいと思います。
  24. 紅露みつ

    紅露みつ君 今の御説明本法において引揚者も入れるというように、増加して頂くと、こういうようなお考えが入つておるようで、その点は有難いと存じますけれども、実際問題といたしましてこの三分の二の補助というような程度まで引揚者の生活が安定しているかどうかということに、私は非常な心配を持つものでございまして、これをまだもう少しお考えを頂く必要があるように思うのでございます。
  25. 田中角榮

    衆議院議員田中角榮君) 只今申されましたところのいわゆる応急援護住宅というものが国庫八割、それが三分の二に減つたということでありますが、現在の状況では応急住宅として作られておるものでありますが、これからもつとそのような状況によつて場合によつては全額というようなものになるのは、この法律から外したいということを考えております。
  26. 紅露みつ

    紅露みつ君 了承いたしました。
  27. 小林英三

    委員長小林英三君) 連合委員会は閉じたいと思いますが……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 小林英三

    委員長小林英三君) 連合委員会はこれにて散会いたします。    午後二時三十六分散会  出席者は左の通り。   建設委員    委員長     小林 英三君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            島津 忠彦君            平井 太郎君            深水 六郎君            田中  一君            徳川 宗敬君            東   隆君   厚生委員    委員長     山下 義信君    理事      有馬 英二君    委員            石原幹市郎君            草葉 隆圓君            中山 壽彦君            長島 銀藏君            河崎 ナツ君            藤森 眞治君            松原 一彦君   在外同胞引揚に関する特別委員    委員長     千田  正君    理事            大谷 瑩潤君            紅露 みつ君    委員            草葉 隆圓君            長島 銀藏君            小酒井義男君   衆議院議員    田中 角榮君   政府委員    厚生省社会局長 木村忠二郎君    厚生省引揚援護    局長      田邊 繁雄君    建設省住宅局長 伊東 五郎君   事務局側    常任委員会專門    員       武井  篤君    常任委員会專門    員       菊地 璋三君    常任委員会專門    員       草間 弘司君    常任委員会專門    員       多田 仁己君