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1951-02-20 第10回国会 参議院 決算委員会公団等の経理に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十日(火曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○特別会計政府関係機関及び終戰処  理費経理に関する調査の件  (昭和二十三年度会計検査院決算検  査報告批難事項第三百九十七号足利  工業株式会社に対する二重煙突代金  支拂及びこれに関連する事項の件)  (右件に関し証人証言あり)   —————————————
  2. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 只今から決算委員会公団等経理に関する小委員会を開会いたします。  本日は昭和三十三年度会計検査院決算検査報告批難事項の第三百九十七号、足利工業株式会社に対する二重煙突代金支拂及びこれに関連する件について四人の証人出席を求めまして愼重に調査することにいたした次第であります。  各証人におかれましては御多忙中に御出席をお願いしまして御迷惑だろうと存じますが、本小委員会が国会の権威をかけまして慎重な調査をすることをお汲み取り下さいまして、証言されることをお願いするのであります。  それでは宣誓を行いますから御起立を願います。    〔総員起立証人は次のように宣誓行なつた。)    宣誓告  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人高橋政雄    宣誓書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 羽鳥 元章
  3. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それでは高橋政雄証人のほうからお尋ねいたします。  それでは御質問願います。
  4. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 証人にお聞きするのでありますが、証人足利板金工業株式会社にいつ頃からどういう関係で入社されて、いつ頃までおられたか。もう一点は、主としてどういうような仕事をやつておられたか、この二点について……。
  5. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 私は昭和二十二年の八月に入社しまして、それから二十四年の三月の三十一日だつたと思います。退社いたしました。入社に際しましては、知人の紹介によりまして足利工業株式会社に入社したわけであります。
  6. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 主としてどういうような仕事をしておられましたか。
  7. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 実務は所管事務庶務関係仕事をしておりました。
  8. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 本件の問題になつております点は、多額の過拂がある。その結果国に大きな損害を與えておるというのでありますが、この過拂につきまして昭和二十三年十二月の十四日付で四千百七万六千八百五十円なりという請求書が、足利工業株式会社取締役社長田中平吉から特調に出ておるのでありますが、この請求が、聞きますところによると証人の手によつて請求書が作成された。こういうように聞いておるのですが、その点の事実が伺いたいのです。
  9. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 庶務に携わつておりました関係上、私が筆をとつたかとも思いますが、一人だけでなかつたので、特調に出ておる書類が果して私の筆跡がどうかということは、今はつきりお答えができかねます。その請求書を見ますと、果して私が書いたものか、或いはほかの人が書いたかは、はつきり申上げることができると思います。只今のところでははつきりと申上げかねます。
  10. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは請求書の現物は会計検査院のほうにありましてその写しがここにありますので、これを委員長からお示しを願いましてこの写し判断が付くか付かないか、一応伺いたいのであります。
  11. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) この請求書を見ますと、こういうような請求をしたということは存じておりますが、私が書いたか書かないかということは、今先ほどお答えした通りであります。で金額なんかも私が承知しておるより、私が書いた金額よりは、やはり違つておるような気がいたします。
  12. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 金額自分が書いたよりは違つておるような気持がすると言われるのですが、その当時の金額はどのくらいの金額を書かれたと御記憶ですか。その点御記憶があれば伺いたいと思います。
  13. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 大体の金額はさように思つておりますが、何か終りのほうと言いますか、金額の下のところが少し違つておるような気がいたします。大体はこの金額だと思つております。
  14. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは大体四千万円近くであるということは事大でございますか。
  15. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) さようでございます。
  16. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこでお尋ねしたいのは、私どもいろいろ今日まで長い間かかつて調査をして参つたんでありますが、どこの会社にしても僅かな帳簿の、請求の誤算とか、それによつて過拂ができるということは、これは想像でき得るんでありますし、又そういうことも、間違いはあろうかとも思えるのですが、この場合においては非常に多額な金額であり、而も請求書内容を見ますると、数量においても相当に大きな数量である。こういうものが請求をされるものとし、又その事務に携わつておられた証人として、どういうようなことで、こういう間違いができたのか、果してこれが間違いであるというような考えには、我々はどうしてもなれないのであります。誰が考えて見ても、自分会社製品状態なり、納入状態というものはわかつておるはずなんです。なぜこういうものが書かれたかという点について非常に疑惑を持つておるのでありますが、この点について証人が当時の実情を率直に一つ説明を願いたい、こう思うのです。
  17. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 私はこの請求書を出します際には、すべて当時の足利工業株式会社専務取締役で且東京支店長でありました高橋正吉氏から命ぜられて、そうして書いたものであります。勿論只今質問のように疑惑をお懐きになる点があるかも知れませんが、商品は、すべて本社所在地において製品ができておりまして、ただその製品ができたから、これだけを納めたから、これだけを請求せよと、こういう命によりまし請求したわけでありましてその実情は私は東京で、存じておりませんでした
  18. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 専務高橋正吉氏が証人請求書を作れということを命令した、併しながら事務を担当する者としては、仮に製造工場足利であり、事務東京支店としましても、こういう請求書を作成する限りにおいては何か作成の基礎になる根拠がなければならない、例えば本社からこれだけの製品ができたからということを、書面で以てその内容等東京に通知して始終来ておつたのかどうか、その通知によつてそれが帳簿に記載されており、その帳簿から請求書作つたというのか、それとも全然高橋正吉氏がそういう帳簿によらずして、自分数字を出して来て、この数字通り請求してくれと、請求書を作れと、こういうことを命じたのか、その点伺いたいと思います。
  19. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 当時の状況は、本店支店との間で電話で連絡は大部分しておりました。併し請求書を出します際には、特調のほうの規定によりまして、製品納入検査、それの書類が附いていなければ請求ができませんから、それは本店のほうから送つて参りましたから、それを附けて特調のほうに提出することになつておりました。でありますから本社から支店に通知の書類は送つたか送らぬか、はつきりお答えができませんが、検査書は確かに支店のほうに来ておりましたので、それによつてできたものと証人考え作つたわけであります。
  20. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その検査書というものはどういうものですか。
  21. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 製品ができ上りますというと、それが会社のほうから特調に申出まして、そして検査を受けて、そしてそれを納入する手続をいたします。それで製品が完成して、それでそれだけを納めたのだという、こういう証明を、いわゆる検査書です。それがなければ請求ができないのであります。
  22. 森八三一

    ○森八三一君 二、三お伺いいたしますが、二十二年八月から二十四年の三月まで、証人足利工業会社庶務的な仕事関係を持つてつたというお話でありまするが、その庶務的な分担をせられておつた業務範囲についてもう少しお話し願いたいのですが……。
  23. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 大体庶務と申しますと、他の係に関係しないことは全部庶務のほうでやつておりましたが、大体請求だとか或いは人事問題だとか、或いは外部との交渉であるとか、或いは本店支店とのこの庶務関係に関する往復だとか、こういうことをやつてつたわけです。
  24. 森八三一

    ○森八三一君 庶務仕事範囲として、製品ができ上つた場合、その請求並びに代金受領等をやつてつたというお話でありまするが、そういう事務内容が、いわゆる庶務内容であつたといたしますれば、原料購入だとか工員の給料の支拂だとかいうような関係のことについても、庶務範囲として一応高橋証人手許で処理されておつたというように、足利工業会社事務内容から想像されるのでありますが、そういうことはあつたのかどうか、お伺いしたいのですが……。
  25. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 御質問のような工員支拂う賃金、そういうことはすベて先ほど申上げましたように、製品本店所在地でやつてつた関係上、東京には工員は一人もおりません。でありますから工員支拂関係には一つ関係しておりません。それから東京における製品原料購入なんかは、これは庶務関係でなくて、これは資材関係でやつておりましたので、私は資材関係には携わつておりませんでした。
  26. 森八三一

    ○森八三一君 証人がその当時立つておられた地位から考えまして総務課長というように承わつておるのでありまするが、そういうような立場から申しますれば、一応他の現業関係のほうにおいて処理せられておる事項も、文書、その他は一切課長手許を経由して実施されるものであるというように一般の会社の通念からは考えられるのであります、そういうことではなかつたでしようか、もう一遍お伺いしたいと思います。
  27. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 全部の書類庶務のほうに廻つて来るということはありませんでした。内容によりましては……、個々については営業課長がおりますし、資材課長もおりましてそれぞれ担任者がおりましたから、そのほうで処理しまして、それで支店長の決裁を取つておりました。内容によりましては、或いは会議といいますか、私のほうに閲覧をして、会議を求めて来る書類もありました。
  28. 森八三一

    ○森八三一君 もう少しくだけて一つお伺いして見たいと思いますがこの会社は、その非常に組織の、規模の大きなものではないように思うのでありますが、総務課長という立場におられたといたしますれば、会社の大体の動きというものが、自分が細かなところまで突き込めるということは、業務とか資材とかいうところがありまして整理をされておるのでありましてこれは承知をすることは極めて困難と思いますが、会社動きのあらましのことについてはおわかりになる立場におられたように思われるのでありますが、そういう実態でなかつたのではございますまいか。
  29. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) そういうお考えがありましても、悉く全部が私のほうにわかるわけに行きませんので、大体のことはまあわかつてつたつもりではおりますけれども、中には私のほうの知るないこともいろいろあつたと存じております。
  30. 森八三一

    ○森八三一君 そういたしますと、この特別調達庁に対して請求書を書けということで高橋正吉専務取締から命ぜられて、極めて事務的、機械的に取扱うということではなくて、その当時の会社の情勢から判断いたしますれば、一体この工事はどの程度進んでおつたであろうという御想像ができる立場におられたのではないかというように拝察せられるのでありますが、請求せられた実態は、その後になつてわかつたことではありまするが、非常に生産の実績とは相違したものを請求しておつた、それは特別調達庁のほうで本社のほうの実況について検査をして、その検収の書類本社から送付せられたから、間違いのないものだと考えたとおつしやられておるので彫りますが、そういうことを考えること自体に問題があつたのじやないかというように思われるのでありまするが、その辺を、その当時の実情一つあからさまにお話を願いたいと思います。
  31. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) お言葉ではありますが、私はその当時本社のほうから送つた書類並びに上上司である専務の命によつて、別に疑わずに請求書を書いたわけであります。後日になつていろいろの問題が起きたので、初めてあるとは感じないでもなかつたのですが、その当時は一向に感じておりませんでした。命のままに書いたわけであります。
  32. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その点でですね。今森委員から言われたように、足利東京仕事が離れておつたとしましても、大体の工場における仕事状態というものはこれは誰にでもわかるのじやないか、細かいことはわからなくても、大体のことはわかるのじやないか、今証人はこの請求書を專務から命ぜられて極めて機械的に作られた、こう言うのでありますが、これはまあその通りであろうと我々もまあ想像できるのですが、その場合証人としてどうもこんなにたくさん請求をしてもらうというのはおかしいなというような感じは受けなかつたかどうか、当時は勿論、今言われるようにその後においては、ああ、やつぱりおかしいというような感じを受けなかつたものでもないというお話ですが、もう少し先に遡つてそういう感じを持たれたかどうか、この点を一つ忌憚なく御説明をもう一遍願いたいと、こう思うのです。
  33. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) お恥かしいわけでありますが、不敏にして当時は気が付きませんでした。
  34. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは次に東武鉄道の株券でありますが、この株券は、社長田中平吉氏がこの過拂の穴埋めとして特調に五万株持つて行つた、そうしてこれが特調の手によつて銀行保護預りとして預けられておつたにもかかわらず、その後この三万五千株の株が、持つて行つた社長田中平吉でなく、専務高橋正吉の手によつて、うち三万五千株が銀行から特調に戻され、そうして高橋に引渡された、こういうことになつて、その後その三万五千株の株が売却をされ、その売却代金が未だに国庫に納まりていないという実情でありますが、ここで証人に伺いたいのは、なぜ三万五千株だけが高橋正吉の手に返されたと思われるか、先ずその点から一つ伺いたい。
  35. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) お答えします。株券特調に持つて行つたのは、私が持つて行つたのは事実であります。がそのうちから三万五千株だけが高橋正吉に返えされたということは、どういういきさつで返されたのか、又いつ返されたのか、証人は存じておりません。
  36. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは持つて行かれたときは、誰からどこで預けられて、誰にどういうような話合いでお預けになつたか、そのお渡しになつた実際の経過について御説明願いたい。
  37. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) お答えします、日にちはよく覚えておりませんが、社長田中平吉が、東京支店事務室に持つて参りまして、それを特調に持つて行くように命じました。それで私はそれを命によりまして特別調達庁に持つて参りました、そして経理部次長さんである川田さんにお渡しいたしました。そしてその旨を帰りまして社長に報告して置きましたわけです。
  38. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それを持つて行つた目的はどういう目的ですか。
  39. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) それは過佛を受けておりましたので、補填にするその一部として持つて行かしたのであります。その際、その当時の足利工業株式会社の誠意が認められないために、それで、せめてその返納すべき金額に充当する何かを持つて行くようになりましたので、それでこれは前に返納計画にもありましたので、それで持つて行かしたのだと私は思つております。
  40. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その後その株券がどういう理由で高橋に引渡されたかは、自分は知らないと言つておられますが、それが高橋に引渡されたということをあなたがお知りになり、その後の事情について知つておられる範囲一つ説明を願いたいと思います。
  41. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 時が大分経ちましたので、いろいろ齟齬する点があるかも知れませんが、いろいろ記憶を辿つて見ますと、特調に持つて行きまして、当時の川田次長さんにお渡しして、そうして川田さんの預り証を頂いてそうして帰つたのでありますが、すでに株券特調に提出した上は、この株券については足利工業株式会社納入したものとして特調のほうで取扱うから、これには触れなくてもいい、つまり株券のことについては触れなくてもいいということを仰せになりましたので、その後はどういうように株が動き、或いは売却せられたか、一向に私は存じておりません。
  42. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その後高橋が株を持つて行つたということについて何か特調も非常に心配し、いろいろと足利工来の事務所のほうにも電話等を掛けられたというようなことを聞いておるのですが、証人はそういう事情については何も聞いておりませんか。その後の、株券高橋が持つた行つた後の事情については何も聞いておられないのか、或いは聞いておられるとすればどういうその後事情であつたか。
  43. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 多少聞いておることがございます。それは高橋正吉株券が渡されて、それは容易ならんことだ、心配だというので、当時の次長である川田さんも御心配になりまして、それでその株券の行く先を突きとめるべく御奔走になつたことも記憶に浅つております。それで高橋正吉がどこにおるかということも川田さんから私にお聞きになりましたので、高橋正吉の住所もお話しました。必要があれは御案内もするようにお話もしたのでありますが、丁度そのときに大橋武夫さんから、特別調達庁の当時の三浦監事のところにお電話がありまして、高橋正吉の所在がわかつたからというお電話があつて、それが丁度川田さんのこころに私がいるときに電話が掛つたので、川田次長を案内して高橋正吉こころへ行く必要はなかつたというようなことは聞いておりました。その後いろいろその株券のことについてお話がありましたけれども、さつき申しましたように、その株券のことについては、高橋政雄証人はタツチしないでもいいということが社長からもありまし、それから特別調達庁でもその話かありましたので、それでその後の様子は一向に証人は存じておらないのであります。
  44. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その後の株券事情特別調達庁のほうからも、又会社社長のほうからも、一旦特調に過佛の穴埋めとして引渡したのだから、タツチしなくてもよいというようなことを証人は聞かれておつたので、余り関係をその点についてはせなんだというのですが、そう了承していいですか。
  45. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) さようでございます。
  46. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで、これは証人が実際に御承知がないかもわかりませんが、その株は高橋正吉が持つて行つたのではあるが、実際はどこにその株券が入つたか、誰がそれを売つたのかという点について、何か証人感じられるところがあれば伺いたいと思いますが、その点はどうでしよう。
  47. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) いろいろ噂は聞きましたように思いますが、全然私はお答えする資料も持つておりません。
  48. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは証人に伺いますが、特調三浦監事証言にも、又高橋正吉証言の中にも、その当時大橋氏が株券も、そうして自動車も取つてしまつて返してくれないということを、高橋氏がひどくこぼしておつたこいうようなことを言つておるのですか、証人はさような高橋のぐちを聞いたようなことがあるか、その点伺いたいと思います。
  49. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 御質問のような高橋正吉がこぼしておつたということは、直接私は聞いた記憶はありませんか、高橋正吉氏がこぼしておつたということは聞いたこともありますが、一時大橋さんと高橋正吉さんとの問が非常によかつた場合もありますが、後よくなかつたかのようなことも聞いております。どうもはつきりしたことは申上げかねます。
  50. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この引当になつておりました自動車については、何か知つておられる点があれば伺いたいと思います。
  51. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 自動車の件は、直接私が携わつておりませんのでよくわかつておりません。自動車もやはり特別調達庁返納する計画書にありましたので、それを売るのには成るべく高く売つて、そうして返納金に充当したい、こういう意思からいろいろ田中平吉氏も心配されておりましたが、丁度当時大橋さんが、私に預ければ、私か有利に売つてやろう、こういうお話なので、それで田中平吉大橋武夫さんに車輌証も渡してお願いしたように聞いております。その後大橋さんが某々運転手とか……、いや業者とか……、売らせるようにしたとか、頼んだとかいうことを聞きましたけれども、これはただ人づてに聞いたので、私が直接それに関係しておりませんから一向に存じておりません。
  52. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その株券とか自動車というものは会社のものであるか、或  いは専務個人のものであるか、証人はどういうような判断をなさいますか。
  53. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) それは間違いもなく会社所有物件であります。これは財産表にも載つておりますし、たびたびの決算書にも載つておりますから、高橋正吉個人のものではないと、かように私は存じております。処理もさようにいたしておつたわけであります。
  54. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そういたしますと、大橋証人等によつて見ますると、自動車も株も高橋個人財産であるというようなことを言つておるのでありますが、どういうわけで高橋個人財産であるというようなことになるのか、何かその点について証人がお聞きになつておるような点がありましたら伺いたいと思います。
  55. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 証人は、高橋正吉田中平吉との間にどういう話になつてつたかということは一向に存じておりません。ただ自動車会社のものであるというので、前から財産台帳に載つておりましたので、さように処理して来ただけであります。
  56. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 自動車田中平吉の手から大橋武夫氏に預けられた、その後高橋がこの自動車を売つて、これを特調に出すことは自分としては損であるというようなことで、これをとどめておる、とめておるというような何か話がその後にあつたかどうか、この点に証人が御承知の点があれば伺いたいと思います。
  57. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 証人はそういうことを一向に存じておりません。
  58. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) この株券自動車会社所有財産であるとすれば、それを特調に提供してから後にそれがどういうように処分されるか、又そのうち幾ら補填として特調に提供されたかということについては、総務課長としてお調べになり、或いはそれを知つておらなければならんはずだと思いますが、その点はどうですか。
  59. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 最初特調に提出しました株券のうち、幾らが実際に返納になつて幾ら返納になつていないかということはわかつております。が、返納することのでき得ない、行先不明になつた株券調査は、遺憾ながら私にはできませんので、調べてもおりませんし、それから自動車のことは、もう大橋武夫さんに任した以上は、我々風情がそれにタツチすべき筋合のものでもないと、かように解釈しておりましたので、全然捜査もしておりません。若ししなければならん立場であつたのかも知れませんけれども、私はさように存じまして、自動車のことも株券のことも、その後については触れないように努めてしておつたようなわけであります。
  60. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 自動車大橋氏に任したというのは、それはどういうことなんです。
  61. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) お答えします。それは私が任したのではないのでありまして、社長田中平吉大橋さんに御依頼したから、それで自動車大橋さんに渡せ、こういう話でしたので渡したので、それはさつき申しましたように売買かたを少しでも有利に高価に売るように大橋さんに頼んだのだと、かように私は了承しております。
  62. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それは大橋氏に売買を依頼しただけなんですか、売却したほうの代金、その他についても一切のことを大橋氏に任したのですか、その点どうですか。
  63. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) それもどういう話合い田中平吉大橋両氏の間にできたかは存じておりませんが、これは少し想像のようになりますが、無論少しでも有利に高く売つて、そうして特調に少しでも余計返納するように田中平吉は念頭しておつたわけですが、売つたものも大橋氏の手から特認に納めてくれよ、或いは売るだけを御依頼して、その売つた金を田中平吉にもらつて、田中平古から納めるように、そういう話になつたかどうか、それは証人は存じておりません。
  64. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 会社財産としては、大橋氏にその自動車を渡したということは、どういう形式になつているわけですか。おわかりにならんで示すか、その点が……。会社財産としてあつたところのものを、どういう形で大正橋氏にそれを渡したことになるか、会社帳簿はどういうふうになつておりますか。
  65. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 会社帳簿は 大橋さんにお渡ししたことになつております。
  66. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) どういう形式で渡したことになつております。
  67. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 形式と申しますと……、御質問の要点がよくわかりませんが、つまり大橋さんに自動車を渡せよ、こういう社長の命によりましたので渡したので、その当時大橋さんからの預り証ですか、領収証ですか、もらつたということは聞きましたけれども、それは私が関係しませんでしたから、よくわかりません。
  68. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それから株券のほうはどういう……、これは大橋氏にやはり引渡したのですか、或いは直接会社から特調のほうへ渡したことになるのですか。
  69. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 先ほど申しましたように、私が特別調達庁に持つて行きまして、川田次長さんにお渡ししました。その後どういうふうに話合いになつたのかは存じませんが、高橋正吉に一部渡つたということは承知しております。
  70. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 会社としては、あなたが川田次長にそれを渡したときに、やはりそのものの所有権を特庁のほうに渡したことになるのですか。それとも特庁に一時委託したのですから。その点はどうなのでしよう。
  71. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 私は深い考えを持つておりませんでしたので、これは返納計画にあるのだから、これは特別調達庁に持つて行けよ、こういう命でありましたから、特別調達庁に持つて行けば、特調としてそれを少しでも有利に高く時期を見て売つて、そうして返納計画のうちの金額に充当するようにやつて下さるのだ、つまり所有権の移転ではなく、それは処分かたの委託と思つておりました。
  72. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 若し会社特調にそれを委託したのであるとすれば、その後の処分、或いは処分されたら、そのうちの金額幾ら特調のほうへ返納したかということに対しても、会社はそれを十分に取調べをして、帳簿にも明確にしなければならんわけですが、その点はどうですか。
  73. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) ひとり株券のみならず、返納すべき金額の一部々々でも、金を納めたときには特調から仮の領収書を受取つて、それは明確になつております。
  74. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それで株券については如何でしよう。
  75. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 株券につきましても買却の済んだ分は金になつて、そうして特調に、つまり日本銀行ですか、納まつておりますから、それはあとから相当領収書が会社のほうに来ております。それで途中で行方不明になつたその株券のことにつきましては、先ほど申したのと同じように、私は存じておりません。
  76. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それで会社のほうにはどういうふうに債券の処理をやつておるのでしよう。五万株の株券のうち、どういう会社のほうに帳簿には載つておりますか。
  77. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 今帳簿を持つて来ておりませんし、すべての帳簿は皆本店のほうに行つておりますから、はつきりしたことをここで申し上げかねますが、私の手許に今預かつているのは、特調返納した、それの領収書だけは私の手許に保管しております。
  78. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それは幾ら特別調達庁のほうに行つたのですか。
  79. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 空には覚えておりまりせん。若し必要ならば文書ででもお答えいたします。
  80. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) その点は会社のほうにある書類に載つているわけですか。
  81. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 載つております。
  82. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 株の処分について……。
  83. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 処分した分については載つております。
  84. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それではその書類を、お帰りになつたらすぐこちらのほうに提出して頂くように。
  85. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 承知いたしました。
  86. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 会社のほうから……特別調達庁のほうで会社のほうに出した受領書ですね、それが明らかになるような書類、それを出して下さい。
  87. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 承知いたしました。
  88. 森八三一

    ○森八三一君 今証人お話では、自動車株券も全社の資産であるというように御説明があつたのでありますが、それは間違いないのでございますか。
  89. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) お答えしますが、株券自動車会社のものだと証人は言つたように思つておりませんが、そういうふうに言いましたか知ら……、自動車のほうは台帳に載つておりますけれども、株券財産台帳に載つておるとは申上げた覚えはないのでございますけれども、若し私が、証人が申したとしますれば、それは取消しで置きます。株券会社財産なりとしては載つておりませんというように記憶しております。
  90. 森八三一

    ○森八三一君 そこで株券証人特別調達庁に持参をせられて、売渡しを川田次長にされたということでありますが、そのときに特別調達庁からどういう文書を受領をしてお引渡しになつたのか。直接その処置に当られましたので、お伺いしたいのですが。
  91. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 株券を持つて行きましたときには川田次長さんの預り証をもらつて帰りました。そうして本領収書が渡るときにその仮領収書を、田中平吉とこれは高橋正吉だと思いますが。同道で特別調達庁に行きまして、それで仮領収書を川田さんにお返しして、本領収書をですか、もらつてつて来たように記憶しております。
  92. 森八三一

    ○森八三一君 その仮領収書はどういう内容のものであつたのか。あとで本領収書に書換えられましたその結果の本領収書の内容はどういうのであつたか、お伺いいたします。
  93. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) お答えします。はつきり文面を覚えてはおりませんが、川田次長さんの名刺に、足利工業株式会社から五万三十株の株券を、東武鉄道の株券を預つたと、こういう内容つた記憶しております。
  94. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 証人は先ほど株券自動車会社財産であつて会社帳簿に載つておるということを言われましたが、その点は如何ですか。
  95. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) それは先ほど申しましたように、若し私が株券自動車会社所有財産だと申しましたら、証人の意思ではないのでありまして、若しそう速記に載つておりましたならば取消させて頂きます。自動車だけはこれは会社財産だと申上げたので、株券高橋正吉だとか田中正吉だとか、いろいろありましたので、これは会社財産ではないと存じております。
  96. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ほかに何か御質問はありませんか。それではもう一点伺いますが、この株券は誰の株券ですか。
  97. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 今お聞きになりましたのちよつと……。
  98. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) その株券会社のものでないとすれば、誰のものですか。御存じですか。
  99. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 特別調達庁に持つて行つた株券は、名前があれこれ、たくさんになつてつたように記憶しております。でありますから田中平吉のもあれば、田中勝太郎という社長のところの子供のものもあつたように思います。他にいろいろあつたように記憶しております。正確には記憶にありません。
  100. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 併し名義はいろいろになつてつたが、田中平吉の責任において提供したのですか、どうですか。
  101. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) 田中平吉の……。
  102. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 責任で提供したものですか。
  103. 高橋政雄

    証人高橋政雄君) さようでございます。
  104. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) この証人に対する御質問はありませんか。
  105. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 ほかの委員諸君になければ、私はこの程度でいいと思います。
  106. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それではよろしうございます。どうぞ……。  只今から羽鳥証人に対する質問をお願いいたします。
  107. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 羽鳥証人にお伺いしますが、証人はいつ頃足利板金工業に入社されて、いつ頃までおられたか、先ずその点から。
  108. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 私が足利工業に入社しましたのは……。
  109. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 御記憶がなければ、高橋政雄氏とどちらがあとであつたかどうか。
  110. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 高橋さんの入られたのは、多分私が入る前の年の夏頃というふうに開いております。ですから高橋さんが入つた翌年の二月頃だつた記憶しております。終りましたのは高橋さんと同じでございます。
  111. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 主としてどういう仕事を担当しておられたのですか。
  112. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 入りました当座は、殆んど二、三カ月というものは何もわからない見習のような状態でおりましたが、六月頃からと記憶しますが、東京における資材係長という辞令をもらいまして、材料のほうの連絡係をやりました。問屋から入る材料を工場のほうに透り込むというような仕事をやつておりました。
  113. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 足利工業が特調から四千万円余りの金を多く取り過ぎたということについて、証人は何か事情を知つておるかどうか、その点を伺いたいと思います。
  114. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) その事情について多少、勿論同じ事務所におりましたからわかつております。あらゆる点について知つているかと言われると、私はタツチしない部面についてはわかりません。
  115. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それじやこの過拂についての事情証人が知つておられるという点に詳細にお伺いいたしたいと思います。
  116. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 知つておる点と言いますと、どういうことでございますか。
  117. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 どういうようなわけでこういう過拂ができたか、そうして又過拂が発見されてから、どういうような一体事情であつたかというような点ですね、過拂が発見された後の事情、それから過拂がなされて請求された当時の事情、その二つに分けて大体知つておられる点お述べ願いたいと思います。
  118. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それではカニエ君にちよつと申上げますが、一つずつ分けて、わかりやすくお尋ねを願います。
  119. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは先ず先になぜこんな大きな金が過佛になつたのか、どういうような事情でこういうことになつたと思われるのか、それで、私たちはこんな大きなものが常識で判断して過拂や誤拂になる理由がないと思うのです、想像しても。そこでどういうわけでこんなに過拂というものができたのか、あなたの知つておられる範囲でその事情をお聞きしたい、こう思う。
  120. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) あの過拂の行われた暮でございます。あの当時足利工業としては、私の聞いた範囲では資金的に非常に詰つて来たという事情があつて、至急代金請求をしなければならんという立場にあつた。こういうように聞いております。それから、では品物のほうはどうかと申しますと、大体一月半ばくらいには納まるであろうという見通しが会社としてはあつたわけなんです。その一週間乃至二週間の品物のずれを、その当時そういうことが行われたかどうかは私は知りませんけれども、まあ少し早目に検収してもらつたということにして代金を取つて、それで大至急その品物を納めてしまおうと、こういうのが会社考えであつた。ところが、丁度そのときに軍のほうから、あの品物は要らなくなつて取消し、こういうことになりましたので、丁度遅れた分だけが納めることができたくなつてしまつた。品物ができても納めることができなくなつてしまつた。そういつたわけでああいつた大きな過拂が起つた。そんなふうに了解しております。
  121. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 品物ができていないが、併し一月の中頃過ぎになれば大体そのくらいの品物はできるのじやないかということで検収をしてもらつたという事情でおつたような話ですが、検収はその当時現場に行つてやはりやつたのでしようか、それとも東京で大体了解を検収する人にしてもらつて検収したという事情にあつたのかどうか、その点はどうであつたのですか。
  122. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) これは全部私はよくわからないのですけれども、大体それまでにたびたび現場のほうへは行つて品物は見ておつたようです。ただ御承知通りあの品物は、山のように積みますと、実際検収といつてもどれだけできているというのは、実際わかるのは相当の日数を要する仕事つたものですから、大体見て、まあこれくらいできておれば大体これくらいの数量だろうといつたようなふうな見当でやられたのではないか、こんなふうに思つております。
  123. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その当時主として検収の実際の仕事に携わつてつたのは誰でしたか。
  124. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) その当時どなたが携わつていたかということについては、私はつきりわかりません。人が随分変りましたから……。
  125. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それではその後この過拂であるということが、どういうようなことで発見されて、それに対してどういうような会社としては手を打たれたか。その後の状態について知つていましたら。
  126. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 過拂が発見されたというのは、先ほど申上げましたように八軍のほうからキヤンセルと言いますけれども、注文取消し、もう要らなくなつたという公文書が発行されましたものですから、それで追かけて納めようとした品物がもう納めることができなくなつた。それがまあ発見された事情です。その後、会社としては相当程度進んではおるし、実際問題として部分品や何か相当できておりましたから、あと僅か材料を入れるだけで完成するから、それを納めさしてもらいたい、こういつた方向が一つ会社としての動きつたようです。それからもう一つの方法は、それがだめであつた場合は、仕方がないからそれを全部返納する、過拂になつた分は返納する。それには会社財産なり何なりで返そう、こういつた方針になつたようです。
  127. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 過拂になる先の請求した当時、つまり二十三年の十二月十四日に請求書が出ておるのですが、その頃に、さつき証人が言われたような事情を情調としては大体了解、暗黙のうちにでも了解しておつたようなふうでしたか、或いはそういう製品はできていないが、一月の半ば頃になれば完納できるというような事情を全然知らずにおつたような状態であつたか、どういう工合に証人はお考えになりますか。
  128. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 私の知つておる範囲では、少くとも特調のほうはどなたも知らなかつた、そういうふうに思つております。
  129. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは会社側で事情を一番よく知つておるのは誰でしたでしようか。
  130. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) その間の事情に一番詳しかつたのは、当時の専務をやつておりました高橋正吉さんです。
  131. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 高橋事務は、品物が当時ない、が併し一月にもなれば納められるだろうという事情は知つて、これを、請求書高橋政雄に作らしめたということでしようか。
  132. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) そうなんでございます。
  133. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、高橋専務東京にばかりおつて工場事情を余り知らないから、工場へどれだけの品物があつて、どれだけ納められるという事情はわからなんだか、或いはやはり今証人証言されたように製品状態も大体知つてつたというのか、どちらでしようか。
  134. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) それは勿論知つていたわけです。それで完納するためには、これこれの品物がまだ足りないということについてはよく知つておるわけであります。私は資材係をやつておりましたから、資材のほうを全部揃えるのは私の責任のようなものですから、私もまああれこれ、これが足りない、あれが足りないということは言つておりましたから、十二月一ぱいに全部できるということについては、高橋専務としても確信はなかつたろうと思います。私はこれが足りない、あれが足りないと言うと、いや大丈夫だ、俺が何とかするということは言つておりましたが……。
  135. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 只今証人が、物品の完納前に資金繰りのために、完納したものとして国から金を支拂で受けた。そうして翌年一月になつて品物を完納する予定であつたと、こうおつしやつたですね。ところが、すでにそのときに至ると注文がキヤンセルされておつて納入ができなかつたと、こうおつしやるのですが、品物がキヤンセルされたのは、この過拂をされたよりももう少し時間的に早かつたのじやありませんか。そうして軍のほうからはキヤンセルされたけれども、当時の特別調達庁なり、生産命令を出した通産省の計らいで、一応依然として納入が認められておつたと、こういう工合に僕らはこの前証人から聞いておるわけですが、その点は如何ですか。
  136. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 今おつしやつたようなことは確かにありましたのです。私キヤンセルとかいろいろな言葉の実際の意味をよく知らないのでございますけれども、一応キヤンセルということを七、八月頃言われたことがあるのです。その後又納めるようになりましたが、又一月何日かにもう一回キヤンセルしたということはおかしいじやないか、これは私も辻棲が合わないと思いますけれども、やはり又納めた、こういうことはあるのです。
  137. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) それからもう一つ伺いたいのは、先ほど特別調達庁の人々は、十二月に完納をしたということで代金支拂をしたので、恐らく未納品があるというようなことは知らなつつたであろうと、こういうことを証言されたですね。そうしますと、あなたは一月になつてから品物を納めるつもりだと、こうおつしやつたわけですが、納入されるのは特別調達庁なんで、若しその特別調達庁が、もう金銭上決済が済んで完納しておると、こういう工合にはつきりしており、特別調達庁の係官がそういう工合に了解をしておるときに、未納品を納める方法はないわけでありませんか。
  138. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 確かに今おつしやつたような理窟になるわけですが、実際はですね、特別調達庁のその役所に品物を持込むのでなしに、それは大阪なり呉とか、非常に遠い所へ、まあ倉庫へ入れるものなんです。まあ一応全部完納になつてしまつて、入つて行くのはおかしいとおつしやると、そうなんですけれども、実際にそうことはあり得ることだろうと思います。
  139. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) これは実におかしな話ですね、政府と業者との取引において完納になり、金銭支拂が終つた場合には政府側としてはそれぞれ現品を扱うところまでもそういうつ達示は行くべきで、現品が入つたから従つて金を納めるということにならなくちやならない。極めて奇怪なことなので、委員会としては一つ特別調達庁のほうへ、そういうことがあつたかどうか一つ調べてもらいたいと私は思うわけです。今の延人の証言ではちよつと納得しかねる点がある。その点を私委員会のほうへお願いして置きます。  それから第二点は、この二重煙突を製作するために、当時非常に厳重な統制になつてつたいわゆる鉄板類を、商工省から配給をせられておつたということでありますが、そういうことについて、あなたは御存じですかどうか、伺いたいと思います。
  140. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 材料のことは大体わかつております。
  141. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) そうしますと、商工省へあなたのほうから資材割当の請求を出して、査定の上割当を受けておられたわけですが、それについてあなたは関係しておられたか。
  142. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) ええ、しております。
  143. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) そうしますと、受けられた総数量というのは大体どれくらいですか。
  144. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 先ほど申しましたように、私が入りまして仕事にタツチしたのは六月からまあ約手年間でございました。それ以前のことはもとよりわからないのでございます。
  145. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 材料を問屋から割当の切符によつて買われた場合に、その現品は全部足利工場のほうへ送られておりましたか、或いは東京に倉庫があつて、そこに相当保管をしておいて、必要の都度足利工場のほうへ送られておつたのか、この点を聞かせて下さい。
  146. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 六月以前のことはわからないのです。私がタツチし始めましてからの状況は、現品は非常に急がれておりましたから、現物化し次第、足利のほうに全部送られました。ところが鉄板のサイズの合わないものを現物化する場合があります。これは例えば、あの当時に厚さが合わないで、厚いものを現物化しました。そうしないと現物が又流れてしまう場合があつたものですから、厚いものを現物化するという場合は、東京へ保管して置きまして、それを問屋のほうと交渉して、薄いものと交換して行く、こういつた方法をとつておりました。
  147. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) そのサイズの今わないものを現物化して、あとで交換したと言われますが、このことは現物を東京でとにかく処分されたということに一応なるのでありますが、その処分をする場合には、結局厚板のほうはマル公で受けておられる。薄板のほうは恐らく闇価格で受けておられる、そういつたような事情は御承知ですか。
  148. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 私が知つておる頃からの話では、そういうことでなしに、出荷された問屋の公定価格との差額を支拂つておりました。つまり薄板のほうがトン当り値段が少し高いものですから、厚板のほうは安いものですから、同じ一トンと一トンを交換しても、公定価格の差が付きます。その公定価格の差は拂つてつたようです。それで、それはちよつと不思議に思われるかも知れませんが、問屋側が切符を取つて、預かつたりする以上、責任として、それは時期的には遅れたというよりも、こちらの希望のサイズを入れるという、飽くまでも責任をとつた態度じやないかと考えます。
  149. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 過拂の引当、即ち返済計画の中にありますところの東武鉄道の株券三万五千株を、特調からどういう理由かは知らないが、高橋専務が引取つて、そうしてこの現品を売つてしまう、そうしてその売つた金も未だに特調に入つていないというようなことになつておるのではありますが、その点について羽烏証人は何か当時の事情を知つておられるかどうか、知つておられるならば伺いたい。
  150. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 私は一度頼まれて足利から東京まで株券を運んだことがあります。それが何株だつたかということは、本当に頼まれただけだからわかりませんでした。で残念ながらあとはタツチしませんでしたから、深い事情はわかりません。
  151. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは、同じく返済計画に入つております自家用自動車でありますが、この自動車についてあなたが何か関係されておるように聞くのでありますが、その点について前後の事情を伺いたいと思います。
  152. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) ちよつと記憶が薄れましたので、断片的な事実だけを申上げます。自動車を返済計画に当てたということを私も聞いておりました。それを売却するということも聞いておりました。でそれについて大橋先生が向うにうまく売つてやろうとおつしやつたことも知つております。それからあとは私が頼まれて、これは宇都宮と思いますが、宇都宮の道監までナンバーのことで使いに行つたことがあります。断片的にそれくらいのことを記憶しているだけであります。
  153. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 当時自動車は誰の所有であつたでしようか。
  154. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 田中社長からは会社のものだと聞かされておりました。高橋専務は向うのものだと言つたような気がしておりますが、はつきりしません。
  155. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その自動車は、高橋大橋氏に預けたのか、田中氏が大橋氏に預けたのか、その点はどちらでありますか。
  156. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) その預けたいきさつから言えば、田中社長からだつたと私思います。
  157. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 あなたが宇都宮の道監にナンバーのことで行かれたと言つておられますが、それはナンバーをどうすることについて行かれたのでありますか。
  158. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 売却手続のための準備で行きました。
  159. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それは誰に売却する手続であつたでしようか。
  160. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 誰にということはないです。まだ相手をきめないでも、そういう手続はできます。
  161. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その自動車は栃木の何番であつたでしようか。
  162. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 二桁の数字つたということだけしか記憶がありません。それもはつきりしませんが、たしか二桁であつたと思います。
  163. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 特調三浦監事、或いは又高幡その他の証言にも言つておるのですが、専務高橋がその自動車なり株なりを特調から持つて来て、その後大橋さんが株も自動車も取つてしまつた、金も返してくれないというようなことを高橋正吉が言つてつたということを他の証言にも言つておられるのですが、証人はそういうようなことを、高橋が言つてつたというような事実についてはお聞きであつたでしようか、その点を伺いたいと思います。
  164. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) たしか一度そういうことを言つたの記憶しております。併しあの人のことですから余り信用はしておりません。
  165. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 自動車はその後大橋さんがどういう工合にされたというふうにお開きになつておるでしようか。
  166. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) その後のいきさつについては、自動車が売られたものかどうしたものか、皆目見当が付かなかつたのです。
  167. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 会社大橋氏に自動車を渡しておつて、その後どうなつたかということを、会社からとしても追及を当時せなんだのでありますか。或いは追及したように記憶なさつておられるのですか。
  168. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) その点ははつきりしませんです。
  169. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 大体この証人に対する御質問はこれでよろしうございますか。ありませんか、ほかには……。
  170. 森八三一

    ○森八三一君 先刻の質問と重複するかとも思いますが、もう一点重ねてお聞きしたいと思いますが、この事件の起きる前後を繞つて会社の運営が非常に資金的に困難をした、そこで金繰りをうまくつけて行くために、一月の中旬になれば全部製品はできる見込だから、十二月中にできたものとしての検收を受けて、製品代を先に受取つたというお話でありますが、資材係長として一月の中旬までにはでき上るというような、資材関係から見て見込が付いておつたのかどうか、お伺いしたいと思います。
  171. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) まあ努力すればできると思つております。
  172. 森八三一

    ○森八三一君 そこで十二月に金をもらつてしまつたあとで、一月になつてからキャンセルされた、それで納めることができなくなつて問題が起きたのだ、こういうお話でありますが、努力すれば完成のできるものであつたか、あつたといたしますれば、十二月にすでに取引は完了しておるのであります。キヤンセルするという問題は起きるべき筋合ではないのです。すでに取引は済んでおるのですから、そのものを確信通りつて納めてしまえば問題はなかつたはずだと思いますが、どうしてそれが問題になつたのでしようか。
  173. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) ですからそれは軍のほうからキヤンセルになつたからだと思います。
  174. 森八三一

    ○森八三一君 軍のほうからキヤンセルになつたと申しましても、特調に対してはすでに製品ができたということになつておるのですから、キヤンセルの問題は別であつて、搬入すべき倉庫へ入れてしまえば問題はないというように私どもは常識的に考えてるのですが……。
  175. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 私はよく了解できませんです。
  176. 森八三一

    ○森八三一君 了解できませんというのは、私の質問している意味が了解できないということなのですか。
  177. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) そういう意味でなしに、今おつしやられたことに対して、どうしてそういう工合なのか、私も今質問なさつたかたと同じような疑問を持つだけです。
  178. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 もう一点伺つて置きたいのですが、資材関係をやつておられた証人は、この資材購入した代金というものは、東京事務所であなたが支拂われておつたのか、或いは高橋支拂つてつたのか、それとも足利のほうで支拂をされておつたのか、どちらであるか伺つて置きたいと思います。
  179. 羽鳥元章

    証人(羽鳥元章君) 私が始める以前はやつぱりはつきりしませんです。六月以降の状況は、資材といつても少しずつ買うものじやないので、大体一度に契約するものですから、足利のほうから金が出ておるのです。
  180. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ほかに御質問ありませんか。それでは有難うございました。  これから暫く休憩いたします。一時半から開会いたします。    午後零時三十二分休憩    —————・—————    午後二時一分開会
  181. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 只今から午前中に引続きまして決算委員会の公団等の経理に関する小委員会を開きます。  各証人におかれましては御多忙中御出席をお願いいたしまして御迷惑のことと存じますが、本小委員会が国会の権威にかけまして慎重な調査をする意図をお汲み取り願いまして証言されることをお願いするものであります。これから宣誓をいたしますから御起立を願います。    〔総員起立証人は次のように宣誓行なつた。〕    宣 誓 書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 藤原 英三  良心従つて真実を述べ、何事もかくさす、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 山下  茂
  182. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それでは藤原証人のほうからお尋ねしますから、山下証人はちよつと外でお待ち願います。  それでは御質問を願います。
  183. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 証人にお伺いしたいのは、証人特別調達庁納入代行である太平商工株式会社において二重煙突の検収事務をやつておられました当時は、太平商工のどういうような地位におられたか、その点を伺いたい。
  184. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 私どもの会社でこの仕事をやりますときに、特別調達部というものを作りまして、当時取締役をしておりましたものが部長を兼務しておりました。私部長代理の席におつたわけでありますが、取締役はほかの仕事を持つておりましたので、私が特別調達庁納入代行の仕事につきまして主として担当しておりました。
  185. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それは特別調達部の部長の代理を専門におやりになつてつたのか、或いは太平商工の会社仕事の余暇に特別調達部の部長代理をおやりになつたのか、その点……。
  186. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 部長代理の仕事をやつておりました。
  187. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 太平商工株式会社特別調達庁納入代行ということでありますが、この納入代行ということは、法律的にはどういうような資格であつたのか、その点について伺つて置きたいと思います。
  188. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 資格ということになりますと、法律上の地位がどういうことであつたということになりますと、非常にむずかしいかも知れませんが、納入代行契約というものがございまして、結局特別調達庁がメーカーの工場で引取りました品物を、所定の納入場所が指定されております場合、それを輸送の代行でございますね、と申上げてよろしいでしようが、法律的にどうなりますかといいますと、ちよつと法律的にそれはむずかしい……、私もどういうふうに御説明していいかわかりませんでございますけれども、特別調達庁がメーカーから引取つて、倉庫などへ持つて行く仕事を代つてつてつたということになります。どういうふうに御説明したらよろしいか。具体的におつしやつて頂いたらもう少し申上げたいと思いますが……。
  189. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 代行の解釈の問題については、他の委員からも質問があろうと存じますので、私はその点を省きまして、実際にはどんな仕事をやつておられたのか。今証人が言われるように、メーカーから特別調達庁納入する指定の場所まで運搬をするというだけの仕事をこの調達部でおやりになつてつたのか、それともそれ以外の仕事、即ち、品物を買付けてそれを特別調達庁に引渡すというようなことまでやつておられたのか、その点について……。
  190. 藤原英三

    証人(藤原英三君) それは買付は、全然納入代行業者はタツチしておりま  せん。というのは、つまり特別調達庁が買付けております。従いましてその物品購買の仕事は、特別調達庁自体の仕事でありまして、納入代行業者自体  はその点にはタツチいたしておりません。こういう品物を買付けた、こういうメーカーから買付けて、これこれの所へ持つて行く品物があるが、お前の所で輸送をやれ、輸送代行と申上げますと、輸送でございますね、單に、トランスポーテイシヨンじやございません。勿論その間にトランスポーテイシヨシに関連しまして、どういうふうに、品物が一つでありませんから、いろいろな品物、従いましていろいろなメーカー、従いましていろいろな納入場所があるわけでございまして、それらの全般的なレポート、或いは必要に応じては軍からの照会に対する回答の資料、或いは鉄道につきましては特別輸送を申請しましたり、そういう関連事務はございますが、只今おつしやいました買付そのものにつきましては全然タツチいたしておりません。
  191. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつと伺いますが、納入代行ということは、この場合では足利工業の納入を代行するように言つておりますが、特別調達庁のほうの代行なのか、或いは足利工業のほうの代行をしたのか、その点を伺いたい。
  192. 藤原英三

    証人(藤原英三君) その点は、飽くまでも特別調達庁の代行でございます。メーカーから依頼された代行ではございませんで、特別調達庁から指定されました代行でございます。従いましてその仕事は本来特別調達庁がやるべき仕事なんでございます。それを、非常に広範囲に亘りますので、私どもが契約を結びまして、特別調達庁に代つてやるということでございます。
  193. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 証人にお伺いいたしますが、代行というのは、特別調達庁に代つてやる、その内容は、納入とそれから輸送というようなお話でございましたが、具体的にもう少しお伺いしたいと思いますが、特別調達庁納入、それから輸送のような業務を代行の契約をなさつたのは、特別調達庁と太平商工と申しますか、それと請負の契約をなさつたのでございますか、その点からお伺いしたいと思います。
  194. 藤原英三

    証人(藤原英三君) その点は、請負ということになりますかどうか、請負という言葉は契約書には出ておりませんと記憶しております。従いまして法律上、民法上と申しますか、商法上と申しますか、どういう契約に該当するかは、解釈が必ずしもはつきりしておらないと思います。
  195. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 これは委員長にお願いいたしたいのですが、はつきりいたしませんので、契約の写し一つ提出して頂くように、それに基づいて審議したほうがよかろうと思います。
  196. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 藤原証人に申上げますが、特別調達庁との間に代行契約というものがあるわけですね。そういう契約をする契約書というものがあるのですね。
  197. 藤原英三

    証人(藤原英三君) あります。
  198. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それを今お持ちになつておりますか。
  199. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 資料は持つて来ておりませんのでありますが……。
  200. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それでしたら、お帰りになりましたら、小委員会に宛てて一度御提出願いたいのであります。
  201. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 特別調達庁の代行者であり、そうして輸送を主たる任務としておられたということになりますと、現品の受渡しの責任場所は大体生産者の工場先ということになるわけでございますか。
  202. 藤原英三

    証人(藤原英三君) そうであります。
  203. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) あなたは、丁度二十三年の暮に未納入品が相当あつたわけですが、それにもかかわらず特別調達庁へ完納の手続を書類上しておるわけですが、それについては御承知になつておるわけですか。
  204. 藤原英三

    証人(藤原英三君) その点は、二十三年の末に、今申上げましたように、工場ででき上つておりますれば、それで調達庁としての需品購買契約というものは完了するわけでございまして、十一月の何日でしたかにすでに当該の最後の五万フイートの一部が出荷されつつありまして、それに関連しまして、この検収書類につきまして、一面特別調達庁のこの担当官のほうから調書を作れと、作つてよろしいという御指示が私ども駐在員を通じましてございましたこと、一方足利工業のほうから、品物が完成しておると、これは只今申上げましたように、工場で渡すことに契約上なつておりますから、トランスポーチーシヨンのほうは時期が遅れるのが一般でございまして、工場のほうではすでに完成しておるという一札を入れて参りまして、足利工業が特別調達庁と非常に完全な組織の下に多額の契約をしておりました会社でありましたので、足利工業を信用することについて私どもも疑義がなかつたのでございますが、そういつたような二面の点から、すでに当時支拂期限というものをとつくに過ぎておりましたのでございますけれども、その話が十分ついておるからということで、他の一般のBLがなくてもLGを入れまして品物を抜き取るというような実例がございますように、法律上の実例、そういつたようないろいろなデータを揃えまして、特別なケースとしまして発行いたしましたことは、すでにそのときに製品が完成しておるということが推定せられたわけでございます。
  205. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 只今その完納検収書の発行について特別調達庁の係官から命令があつたとおつしやつたのですが、その係官というのは誰でございますか。
  206. 藤原英三

    証人(藤原英三君) それは当時、今どうしておられるか知りませんが、当時は生産促進部管工事資材課の石井技官でございます。
  207. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 只今あなたは、代行業者としまして、係官からそういう話があり、而も工場のほうからは製品の完成について一札があつて、それを確認の上に書類発行をしたのであつて、手続上間違いがないと、こういうような御証言でございますが、大体代行業者というものは、書類検収をされるときに現品との照合、突き合せはせられないことが建前になつてつたのかどうか、その点を伺いたいと思う。
  208. 藤原英三

    証人(藤原英三君) それは飽くまでも現品を確認した上で発行しますのが原則でございます。
  209. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) そうしますと、只今のあなたの御証言では、工場側からのオーダー全部について品物が完成しておるという一札によつて確認検收したと、こうおつしやるのですが、その言葉の限りにおきましては、これは飽くまでも書類検収であり、書類の発行である、書類の手続であると私は考える。従つてあなたが今飽くまでも建前としては現品検収が建前である、こういうことを御証言になつたとしますれば、この足利工業の二十三年の十二月当時における仮拂に相当した分の現品検収というものは果しておやりになつたのかならないのか、その点を一つ明らかにしてもらいたいと思います。
  210. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 十二月末発行しました分につきましては、すでに一部出荷しておるということは確認しております。十一月の十六日ですかに一部出荷を確認しておりましたのですが、全部については、そのとき確認しておりません。但しその担当官のほうから、担当官というのは、我々飽くまでも今の検収につきましては補助員でござまして、検収負そのものは特別調達庁の各担当官が検収員でございます。我々は飽くまでも補助員ということに辞令面でもなつておりましたが、担当官から御指示がありましたので、それを全部信用いたしましてやりましたわけであります。
  211. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつと証人に申上げますが、もう少しゆつくり、あちらでも書いておるのですから……。
  212. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 補助員であつたかどうかわかりませんが、こういう代行業を、当時政府が委託契約をしなければならなかつたということは、特別調達庁を中心として非常に業務が繁忙を極めて、検収官が仮に正式にあつたとしても、それがとても業務を完全に遂行するいとまがない、従つて名目は、これは法律的な行為を伴いますので、検収官は国の注文であれば係官が当るのは当然でしよう。併しそれができないので、すべての責任的な行為は代行業者に委託するというのが、私は契約だと思います。契約書の内容を見なければわからないけれども、私はそうだと思う。従つて今あなたが証言せられたように、少くとも現品検収ということが建前であるというにもかかわらず、二十三年末のときに  おいては、少くとも書類上の検収書に対して現品の突き合せをせられなかつたということは、これは何か重要なる理由があれば別ですけれども、ないとするならば、あなたがたのところに手続上欠くるところがあつたのじやないか、こう考えますが、これについて如何ですか。
  213. 藤原英三

    証人(藤原英三君) この点は事がありました後、しばしば調達庁とお話がございましたのですが、代行の契約書の解釈上も、私どもと調達庁の間で広はつきり確認はできておりません。勿論検収が原則でありますけれども、そういう特別な事情もありましたし、実際にこの二重煙突につきまして、調達庁の担当官が現品の検収に実際に行つておられる実例もありますわけであります。従いまして担当官の指示をそのままこちらとしては受入れたわけでございます。
  214. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) それではまだちよつと私、代行契約書の内容を先ほど御請求になりましたが、あの内容を見なければ、その責任の所在は明らかにならないと思いますが、その問題は別といたしまして、次の質問に移りたいと思います。  先ほど足利工業の職員であつた人の証言によりますと、十二月末金融が非常に逼迫したために、一応全部完成したことにして、国から費用を全部佛受けをいたしたい、そのために手続上の処理を一部進めたらしい、併し現品一月になれば全部完成し得る見込であつた、従つてそのときに納入したい、準備して行きたいというふうな話であつた、こういう証言があつたわけです。ところが国との契約において、少くとも金銭上完納の手続をして支拂が完了したものに対して、それからあとに工場から国へ出荷をし、材料の受渡しをするということは、私は考えられないことだと思うのでありますが、そういうものはあなたがたはどういう工合に処理しようとせられたわけですか……。
  215. 藤原英三

    証人(藤原英三君) ちよつとどういうふうにお答えいたしましたらよろしいのかわかりませんが、代行契約で……。
  216. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 意味がわからなければもう一度申上げます。即ち国との需品契約は特に私は厳格であつたと思いますが、普通の商取引においてもそうですけれども、完全に現品検収が建前であつて、そうして書類検収を行なつて、相当の対価を完全に支拂つてしまつた。そういう状態においては、これは現品においても、書類上においても、国との間の取引は完全に終つたわけですね。終つてしまつておるのに、実際に未拂がある、まだ納入残がある、この残をあくる年になつて国に納めるという場合に、そういうものを取引上どうして国の倉庫に持ち込むことができるか、こういうことを私は聞いておる。
  217. 藤原英三

    証人(藤原英三君) それは特別調達庁とそれから各契約先との契約は、先ほど申上げましたように、工場渡し、工場の軒渡し、それで契約ができておりますわけでございます。それは需品契約でございます、代行に関係なしに……。従いまして工場ででき上りましたものを検収して金が支拂われる、それ以後に特別調達庁仕事としてトランスポーアイシヨンが起つて来る、従いまして年末に完成して工場ででき上つておる、それを逐次トランスポーテイシヨンによりまして国の指定の場所に送るという構成になると思いますが、従いまして国とメーカーとの、一般論といたしますれば、契約は工場渡しで完了しておるわけでございます。それ以後特別調達庁自分の手で所定の場所に動かす仕事を我々はやるということで、何といいますか、矛盾していないのじやないかと思います。
  218. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) そういう御説明であれば、工場にある滞貨品も事実上国の所有に帰しておるということによつて、一応そういう筋書きで正しいと私は思うのでありますが、そういうことであればあるほど、現品というものの保管は極めて危険を伴つておるわけなので、仮に現品が全部揃つてつても、国はこれに対して相当な保護をしなければならん、ましてや代理業者はこれを何とかしなければならんわけだと思う。然るに只今申されたように、全部の検収もしていない、いわゆる見込生産のものに対して金を支拂うようなことを代理業者がやられたということについては、責任は相当重大なるものがあると私は見るわけであります。  もう一つつて置きますことは、仮に現品はそういうことにして、見ないで検収されたとして、書類検収を中心にやられたということにいたしました場合、書類検収であるならば、書類検収としてはつきりした処置をせられていなければならんと思うのであります。で伺いますることは、あなたがたがその書類検収をせられる場合に、足利板金工業のいわゆる完成品に対して、帳付けをしておる、記帳をしておるだろうと思う。そういうものをまとめて、そうして工場帳簿上においても、すでに注文品に全部完成しておる、そういうことを確認して検収書を出されたかどうか、それくらいのことは、当然やらなければならんと思いますが、そういうことをやつておられたかどうか、それを伺いたい。
  219. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 検収書を発行いたすときもやつておりません。
  220. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) そうしますと、これは石井技官にも一応お尋ねしなければならんが、石井技官と工場と、どういうお話があつたかわかりませんけれども、とにかく今伺つた程度では、代行業者としてのあなたがたのおやりになつた措置というものは、現品検収をしなかつたということについての重大な手落があるということは申すまでもない。書類上においても私は相当に欠くるところがあつたと申さなければならんと思うのですが、それについて大体お認めになりますかどうか。
  221. 藤原英三

    証人(藤原英三君) その点は先ほどから繰返して申しておりますように、調達庁からの御指示もあつたし、足利工業からもつそういう誓約書を入れておりますし、足利工業が調達庁から多額の契約をされるように信用のある会社だと、これについて信用もいたしておりました。すでに出荷も十分やつておりますようなことで、いろんなデータが、私どもを納得させた、当時の状況としましては、あとから考えて見ますと、手落があつたかと思うのですが、当時の状況としては、我々を納得させるに十分なデータがありましたと我々は考えておりますのでございますが。
  222. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) いや、そこは見解の相違なんで、意見になるかも知れませんが、私ども現場で以てこういう現品の出納をやつた経験もありますが、商人との間の取引においても、現品が例えば半製品から完成品になつたときは、工場の内部においても完全に記帳整理すべきで、そうしなければ決算もできないわけです。従つて書類で完成ということを幾ら証明しても、そういうことは問題にならないので、会社工場製品がきれいにできておれば、毎日の製品がどんどん記帳されておつて、そうしていつでも一目瞭然見られるわけです。そこまでは少くとも検査をされなければ、現品検査は面倒でできないということなら別であるけれども、そこまでぐらいまの検査をしなければ、私は書類検収においても非常な手落ちがあつたということを申上げる。今あなたのお話をだんだん伺つていますと、特調のほうの指示もあつた工場のほうも信用し得る状態であつたということであるならば、ここではつきりお尋ねをしたいのは、とにかく品物が完成していたか、いないかは不明のまま、そういつたように代行契約にどのくらい書かれておるか知りませんけれども、関係相手先の言質を信用して、そうしてそれを中心にしてとにかく検収書を発行されたと、そういう工合に解してよろしうございますか。
  223. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 関係相手先とおつしやいましたが、單にそれは足利工業だけでございませんで、我々の監督官庁でありまする特別調達庁の御指示ということが、我々の最も大きなデータでありましたのです。それでいいと思います。
  224. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) それでいいですね。関係先というのは、特別調達庁或は足利板金工業を含めて、そういうところを信用して出したと、こういうことでよろしうございますね。ということは、なぜ私がそういう廻りくどい形で質問をあなたにしておるかと申しますと、これは検収に対する責任が出て来るわけです。若しあなたが今言つておられることが、契約書の中にはつきりしない場合は、これはいろいろ議論があるでしようけれども、代行契約書の中にはつきりそういうことが書かれておるとすれば、あなたの今言われたことは、これは法律的には恐らく私は重要な責任問題になると思うのです。これはあなたの言われたことは、契約書の中にはつきりと、代行業務として検収から輸送までの問題が明記されておるとすれば、あなたの今言われた証言というものは、この大きな問題に対する責任回避の言葉になるかも知れません。代行契約書にあるとすれば……。従つて、そういう質問をしたわけであります。まあこれ以上質問しましても、即時どうと行きませんので、これは石井技官が、どうしてそういう代行業者があるにかかわらず、完全納入の検收をしろという命令を出したのか、如何なる根拠によつてそういうことを行なつたのか、これを私は更に糾明して行かなければ、話は盡きないと思います。従つてこの程度で保留して、次にいたします。
  225. 森八三一

    ○森八三一君 今のに関連しまして、もう少し質問をさして頂きたいと思います。特別調達庁と太平商工株式会社との間の契約につきましては、過日御提出を願つたのはつきりしたのが出ると思いますが、私どもの承知をいたしておりまするところでは、その契約に関連をいたしまして、特別調達庁から納入代行に関する業務の実施要領というものを示されており、その実施要領に準じていわゆる契約に基く代行の業務なるものが遂行せられて行つたと、こう理解をいたしておるのでありまするが、その点如何でしようか。
  226. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 実施要領というものがありましたが、内容を私十分記憶いたしておりません。あつたことは知つております。
  227. 森八三一

    ○森八三一君 その実施要領に基きまして、契約に基く代行業務が遂行せられて行つたということは、間違いありませんかどうかを確かめて置きたいと思います。
  228. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 間違いありません。
  229. 森八三一

    ○森八三一君 そういたしますると、私の手許にございまする要領によりますれば、業者の庭先において該当する品物を受領するということがはつきりと規定されており、その場合代行業者は特別調達庁検査員に嘱託せしめられた職員をして検査の上云々ということを規定せられておるのでございます。太平商工株式会社の、ここに言う特別調達庁検査員に嘱託を受けておりました者は、当時の山口常務取締役であり、その常務の仕事を補助役として証人が行われておつたというように理解をいたしておるのでありまするが、さようで間違いありませんか、お伺いいたします。
  230. 藤原英三

    証人(藤原英三君) さようでございます。
  231. 森八三一

    ○森八三一君 そういたしますると、先刻他の委員から御質問のありましたことと、只今私のお伺いいたしましたこととの間に、多少の食い違いを生ずるように思うのでありまするが、その点を明らかにして頂きたい。それは契約に基いて指示された実施要領には、明らかに代行業者は業者の庭先において現品を検収の上受領しなければならん。そのことを遂行しなかつたということに対して、それは当時の係官でありました石井某が指示をしておられると、こうおつしやつておられまするが、その石井某の指示というものは、文書で指示せられたものであるか、口頭指示であるか、その点は如何でしようか。
  232. 藤原英三

    証人(藤原英三君) それは納入代行者は生産促進部の中へ連絡員として出しております。その私のほうの連絡員に対しまして、石井技官から指示があつたわけであります。書面上でございませんで口頭で指示がございました。
  233. 森八三一

    ○森八三一君 文書でなくて口頭の指示ということでありますので、非常に問題がぼやけて来ると思うのですが、どういうような口頭の指示がありましたのか、具体的な指示の内容お話願いたいと思います。
  234. 藤原英三

    証人(藤原英三君) それは私のほうの駐在員が石井技官から指示を受けまして、事務所に帰つて参りまして、そうして私に伝えました内容お話すればよろしいかと思いますが、駐在員から一応メモとしまして、そのときの話を、報告は私のほうへ来ておるのでございまするが、丁度そこに足利工業の、その時初めて知つた人でありますが、高橋総務課長が来ていまして、この品物について検査調書をこういうふうに書いてくれということを石井技官から駐在員に指示がありました。駐在員が急いで、これはすでに特調の何と申しますか、支拂期日といいますか、が過ぎておりまして、非常に急ぐから急いで書いて欲しいのだということで、その高橋総務課長というのに、駐在員が交代時期だから取次いでやるということで連れて参りまして、こういうふうに書いてくれということを私に伝えて参りました。
  235. 森八三一

    ○森八三一君 更にお伺いしますが、その時の連絡員がどなたであつたのかお伺いたします。
  236. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 私どものほうの齋藤貞治と申します。
  237. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) これは駐在員ですか。
  238. 藤原英三

    証人(藤原英三君) そうでございます。その時の駐在員でございます。
  239. 森八三一

    ○森八三一君 もう一遍確認して置きたいと思いますが、連絡負、これもお話の送り要領のうちに記載されておると思いますが、齋藤連絡員が石井技官の命を受けて、かくかくの検収調書を作成しなさいという口頭の指示があつたので、メーカーの総務課長でありまする高橋某の請求もあり、要領に記載されておる手続を経ずして検収調書を作成したということになつておると思いまするが、会社と政府との間に正式の契約が締結せられ、その契約に基きまして実施要領を政府から示達された。その示達に反する行為によつて問題が巻き起つておるのでありますが、そのことに対して、只今お話の石井技官なる者の口頭指示というものによつて会社は責任を追うべきでないというように理解されておりますのかどうか。その辺をもう少し気持をお話願いたいと思います。
  240. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 先ほども議員のかたからお話がありましてお答え申しましたように、特別調達庁生産促進部のアシスタントとして仕事をしておりまして、書類上の指示が遅れて口頭の指示が出ております。石井技官の指示に基いて作成しましたということで、納入代行業者としての責任がどうであるかということは、当時からも納入代行契約の解釈上も確認されておりません。私自身、私どもも確認しておりません。
  241. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 二重煙突の大きな問題の根源が検収制度にあつたと思いますが、もう少しその当時のいきさつをお伺いして明白にいたしたいと思います。只今証人特別調達庁の石井技官からの指示によつてつたというように証言をしておられますが、足利工業の高橋課長証言によりますと、二十三年の年の暮に田中が来まして四千万円くらい欲しいのだというときに、係の人はそんなにはやれないというのが、急に四千万円が出ることになつた。そこで高橋証人検査調書を書くことを依頼したという証言をしているのでございますが、誰に依頼したかということは人を介してだか、藤原証人直接だが、それがはつきりしていなかつたのですが、只今証言では、その間に齋藤某というのが連絡に当つていたということのお話があつたのでありますが、そうすると、藤原証人高橋正吉からの依頼でやつたのか、それから石井技官からの指示でやつたのか、両方からそういうことの要求を受けたのかどうかがはつきり私はしないと思います。なお先ほど他の委員から御質疑がありましたが、代行契約をするには、代行要領に基いて、特別調達庁の職員として代行の検収の業務を一切引受けて請負つているのだということならば、あなたが石井の……、特別調達庁に検収の権限がある。それの補助員としてやつたのだというような、そういう考え方で一体この事件を処理したことに私は非常な誤りがあると思う。而もこの検收の問題から、特別調達庁の監事はその後九人も行政処分を受けている。それと同じ関係について、職員としての待遇を受けている会社のほうで、ただ補助員で特別調達庁がやつているというならば、代行の請負契約というものは全然私は意味のないものだと思いますが、検査調書、その当時の検査調書書式や何かについても、これもはつきり伺わないとわかりませんが、書式には大体検収の代行者何某というような名前を、官名に準じた名前を書いてやつておるのか、ただ個人の名前でやつておるのか、そういうこともはつきりして置く必要があると思います。  先ず第一にお伺いしたいのは、高橋正吉を通じて依頼を受けたのか、それから石井の指示を受けて検収調書を書いたのか、そしてそれは先ほど証人お話では、最後の二十三年の暮の時の過拂になつた四千百万円のその検収調書は三万何千フイト、その半分くらいは大体検収のときに現物はなかつたことを承知しておる場合の検収調書を書かれたのかどうか、そうしてその金額に関連しましておよそそのときの四千百万円くらいを支拂つたことについては、單価七百円ぐらいになつておると思いますが、四千万円欲しいと言つたのに、それだけの調書を書いたのは、七百円ぐらいの単価等についても四千万円に合うように、誰からか、その指示なり依頼を受けたかということを併せてお伺いしたいと思います。
  242. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 質問がいろいろございますが、飽くまでも石井技官の指示によつて作つたものであります。高橋総務課長の依頼ということは私ども聞くべき何ものでもございません。齋藤が石井枝管から指示されたということで持つて参りまして作つたのでございます。数量、單価の件につきましては、その四千万円云々ということについては、私ども何といいますか、価格がそれだけ減つたとか数字が合わないとかいうことについては何もタツチしておりません。指示に基きましてその通りつたのであります。  それから検査調書の様式でございますが、特別調達庁嘱託何の何某という個人の名前でございます。
  243. 森八三一

    ○森八三一君 石井の依頼によつてと主張されておるのでありますが、会社の常務であり、特別調達庁の嘱託検査員である山口は、はつきりと物品納入検査調書を作成いたしております。その検査調書には、足利工業株式会社において検査したところ、全く注文の仕様書その他に適合するものと認定する、而も検査物品の数量は記載の通りであるということを証明すると、單なる一技官の口頭指示と申しまするか、この場合にこれは指示なのか、依頼であるのか法律的には極めてむずかしい問題であると思うのですが、とにかく何ら根拠のない口頭の話合いによつて数量もその内容も確認をしたということに対して、それは指示だから責任かないんだというように考えられておるように承わるのでありまするが、その指示なるものの内容をもう少し……口頭であつて、齋藤から連絡があつたとおつしやいますが、連絡を受けられた証人としては恐らく記憶はつきりあると思いますが、どういうような指示があつたのか。石井が行つて現場で見て来た数量は間違いなくある、だから君のほうからわざわざわざ行かなくてもよろしいという程度の指示があつたのか、検査をしなくてもよろしい、調達庁が責任を負うから書けというような内容であつたのか、その指示の内容というものをもう少し詳しく一つ承わりたいと思います。
  244. 藤原英三

    証人(藤原英三君) それは用紙に数字、それから表のいろいろな文句は全部石井技官が指示されたものであります。只今おつしやいましたおれが見て来たからお前のほうは行かんでもよろしいというようなことは聞いておりません。併し内容につきましては、全部書き方初め、表の文句も中の数字も石井枝管の指示された通りでございます。
  245. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) そういたしますと、だんだん伺つて参りますとはつきりしたのでありますが、要するに正石井技官の要求したところの数量、單価、金額それをそのままあなたのほうで認めて検収書を発行せられた、完全に石井技官の要求に対して無條件で盲判を抑された、こういうことになると思いますが、そういう工合に認めてよろしうございますか。
  246. 藤原英三

    証人(藤原英三君) その検収調書の中には、品種、数量だけです。価格も入つておりません。單価も入つておりません。一面指示がありましたので、先ほど申上げましたようにそれの裏付けをするようなギヤランテイが入つたということは先ほど申上げましたような意味で書いたわけでございます。
  247. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) その単価、金額は別といたしまして、内容、いわゆる数量については、石井技官の命令をそのまま鵜呑みにしてやられたということですね。
  248. 藤原英三

    証人(藤原英三君) そうでございます。
  249. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) そういたしますと、先ほどあなたは証言の中で、工場のほうから一札があつて、そういうことの特別調達庁の係官の命令もあつたので、大体品物があつたと、こういう工合に言われたのですが、そういうことではなくて、工場のほうの状態がどうであるかわからんけれども、とにかく命令というものを一番尊重して、その検収調書の作成をやられた、こういう結論にどうしてもならざるを得ないと思いますが、どうですか。
  250. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 端的にはそういうことになると思います。
  251. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) そういたしますと、私はここで更に明らかにして置きたいことがあります。それは石井技官の責任問題は別であります。国家の公務員として、少くも代行者と契約をし実施要領も書いてある。契約書にも、恐らく契約で定められないことは係官の指示に従う、或いは内容を変えたようなときは係官の指示に従うということは、一官吏に契約書の内容を変更するというような特権を與えるというような内容はないと思います。これは見なければなりませんけれども、大体常識的にはないと思います。従つてそういうような行為をとつた石井技官の責任は免がれない、もうすでに行政処分も行われておるわけであります。この行政処分が適当であつたかどうか、それは別としまして、責任はあると思います。と同時に、先ほどあなたは自分にはもう責任がないのだ。補助員であり、そうして石井技官の命令通りつたのだ、こう言われますけれども、あなたがたの代行業者としての責任の出て来るところは、飽くまでも代行業者として国との契約書であり、又契約書を実行に移すための今言われた実施要領、そういうものに基いて厳格に業務行なつたか行わないかというところに責任の所在があると私は思います。従つて石井技官の責任の問題は別としまして、あなたがたが少くも契約書なり、それから盛られておる実施要領によつて、今御証言になつたように当然行うべきことを行なつておられないことだけは明らかになる。そうすればこの問題について、あなたがたはあなたがたとしての責任を十分お考えにならなければならんことだと思います。そこであなたに、これはどちらでも結構ですが、本当に先ほど繰返してお述べになつたように、全然責任はないという工合におつしやるのか、責任があるとお考えになりますか、その点を明らかにして頂きたい。
  252. 藤原英三

    証人(藤原英三君) その点は私どもとしましては、飽くまでも指示によつてつたのであつて、すべての納入代も契約の会社としましても責任が発生するかどうかについては考えておりません。これは山口が個人として特別調達庁検査員といいますか、調査役といいますか、そういつた資格にありました人間としての責任であるということと、代行業者の責任ということが少しあつたんじやないかというふうに考えております。
  253. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) そうするとこの代行契約というものは、山口という私人でなくて、あなたのところの会社の法人の代表者なり責任者として契約をしておられるわけではないのですか。
  254. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 代行契約は会社としてやつております。
  255. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) それでその代行契約が、法人であるあなたの会社と、それでその中から選ばれた人であるということなら、法人の人格において、これは当然今あなたの言われたような個人的責任ではなくて、当然責任が免れないと僕は思うのです。従つてあなたがたがそういう考え方でこの重要な需品について当られたところに、こういう問題があるわけです。発生したわけなんです。従つて今あなたが現在なお且つそういう工合にお考えになつておるならば、これは甚だ以てけしからん話であると僕は思う。責任があるかないかという所在は、これは若しあなたがないと言つて頑張られるならば、我々としてはやはり国会の名においても飽くまでも明らかにしなければならんので、重ねて私はもう一度、重要な証言ですからあなたに一つつて置きたいと思います。
  256. 藤原英三

    証人(藤原英三君) その点は代行契約の会社の問題にもなりますし、又検査員というものが飽くまで個人の資格で特別調達庁に出ておるということでもありますから、一般論としては別としましても、当時の実情として考えて見ました場合に、そういうふうに考えざるを得ないと思います。
  257. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 証人に伺いますが、今の栗山君の質問に関連して、山口總男という個人が特別調達庁促進局生産促進部の検査員という一つの人格で検収をおやりになつておるということと、それから太平商工株式会社が国と特別調達庁との間において、約束事項によつて代行をやつておるということとは、これは全然別だという御見解に立つておられるのですか、それは一緒だという御見解なんですか。言い換えますと、山口總男がですね、特別調達庁促進局生産部検査員という、つまり山口個人の資格においてこの仕事をやつておるということと、それから、太平商工株式会社が国と契約をしてやつておるということとは、これは別の事柄であるという解釈なのか、或いはこれは太平商工が代行をやつておるということと、それから山口が個人の資格において検査員になつておるというのか、会社を代表して会社の一員として山口が検査長の資格になつておるのか、その点のお考えはどつちなんですか。
  258. 藤原英三

    証人(藤原英三君) それは規則の上からいいますと、一応別個のものと考えております。という意味は、納入代行業者側から選ばれたのではございますが、個人として選ばれたものでございます。従いまして私のほうが納入代行業者として納入代行すべき品物につきまして、私どものほうの会社とほかの会社から出ておられる検査員が検査されてもよろしいし、特調検査官がやられてもよろしい、一応そこには理論的には別個のものであると考えていいと思います。
  259. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうしますと、同時に口頭なり、或いは連絡負に伝えたか知りませんが、今証人が言われるような形で石井が指示をして、その指示に基いてやつたのだ。ところがその石井技官は当時どういうような仕事を担当しておつたのでありますか。
  260. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 石井技官は生産促進部の管工事資材課の技官であります。従いまして生産促進検査仕事もやつております。メーカーとのタツチの仕事も……。
  261. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると先ほど再三証人が言われておるのは、生産促進部の監事として指示をしておる、だから山口も又生産促進部の検査員としての立場でやつておるのだから、だから生産促進部の山口よりももつと何んといいますか。本職にある石井のほうがそう言えば、手続上判を押しても大して山口の手落ちではないように思うというような御趣旨で、責任がないというようなお考えに立つておられるのか、その点についてもう一度伺つて見たい。
  262. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 山口はおつしやつたように生産促進部の指示に、指示といいますか促進部長の指揮下にあるわけであります。従いまして本庁からの御指示によつて動くということは、同じ部ではありますが、分館の方からも御指示がありますということで……。
  263. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) どうも証人は今の流れを中心にしていろいろ御発言になりますけれども、少し私どもの考え方とそぐわない点がありますので、そういうことではなくて、これはやはり国との契約事項で、それぞれ事項に関することである。その事項の不円滑によつて生じたということは、事項というものと離れないで証言を願いたいと、こう思います。そういつたような意味で、私は先ほどの証言の中に更に確認をしてもらいたいと思いますが、この契約書はとにかく特別調達庁の、特調とそれからあなたの太平商工株式会社の常務取締役との間で契約せられておるわけでありますが、こういう関係で国と太平商工という法人との間の完全な契約であつた。而もこれに附随して納入代行業務実施要綱というようなものも特別調達庁から指示をせられて、これによつてやる責任があつたのだということを、こういうことをはつきりと御確認を願いたい。それはよろしうございますか。  それから第二点としてあなたは先ほどから個人としてやつたのである、従いまして責任の点は負えないと、こういうことを強調せられております、この代行業務の実施要綱には、はつきりと代行業者、代行業者というのは、太平商工株式会社なんです。代行業者は特別調達庁検査員に嘱託せしめられた職員をして……、と書いてある、職員をして検査の上云々と書いてあります。でありますからこれは決して個人じやない、代行業春であるあなたのところの法人の責任者が、契約責任者が、特別調達庁検査員に嘱託をせしめたあなたのところの職員をして検査せしめる、こういうことになる。決して個人でありません。これは完全なる法人から派遣された責任ある職員でありまして、決して個人でありません。その点をはつきり確認願いたい、その点よろしうございますか。
  264. 藤原英三

    証人(藤原英三君) その点は、先ほどから申上げておりますように、辞令面も補助員となつておりますし、我々が仕事をしますときに必ずしも山口が検査しなければならないのではないのでありまして、特別調達庁の監督官が検査についてもやれるというわけであります。
  265. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) そういう名目の問題でなく、私は今もこういう議論をしますときには、やはり根拠ある文書というものが中心にされなければならない、従つてそういう文書の上にはつきり出て来たことを御確認になるかということを申上げたのであります。補助員というそういう意味じやありません。補助員という文句は一つも伺つておりません。
  266. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 私はよくわかりませんが、その書類が間違いがなければ、その通り御解釈願つても差支えないと思いますが、飽くまでも私どもは納入代行契約というものがございますから、それに基いて責任というか、その解釈の問題については一応調達庁のほうにお任せしてあります。
  267. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) それからこの問題が起きましてから、あなたのところの取締役社長の藤野忠次郎氏、特別調達庁の総裁で、こういう過拂いが生じたことについては、納入代行者として深く責任を痛感しておるところでございまして、衷心より遺憾の意を表する次第であります。そうして万一右返済金を同社がどうしても完済することができません場合には、貴庁と弊社との間に締結されております昭和二十二年九月一日附契約第五百十号の納入代行に対する役務契約書に基いて弊社において責任を負いますということを言つておる。とにかくあなたのほうの社長がそういうことを言つておる、特別調達庁の総裁が……どうしてもそれでもなおあなたは責任がないとおつしやるのですか。
  268. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 納入代行契約に基きます責任は負うということで、その解釈がどうなるかということについては未決定であるということは申上げております。
  269. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつと証人にお尋ねしますが、太平商工会社ですか、あれは代行契約に従つて国家の利益を代表する検収事務を誠実に代行するという契約をしておるわけですね。ところがこういうことをした以上は、誠実にその代行すべき義務を履行しておらんということになるのだから、例えば背任という問題がそこに起つて来るというわけですが、お認めになりませんか。
  270. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 認めますか、認めませんか、私個人としては、私自身がまだ会社の一員にしか過ぎませんし、代行契約の解釈上、責任が持てますようでしたらそれは恐らく会社としての責任ということになると思いますが、納入代行契約に基く責任ということで、どういうふうな解釈になりますか私自身も考えておりません。
  271. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 証人も立派な一人の成人として、社会人として、それぐらいのことは常識でおわかりにならないのですか。立派に国家との間に代行契約をして、そうしてそれを誠実に国家の利益を代表して代行事務をするという義務を会社は持つていた。ところがこういうやり方をしておつて、実際に検収もしなく、調べもしないで盲判を押して、そうして不当の過拂金を国家から取つている。それが背任行為でないということは常識で考えても言えないと思いますが、どこまでも証人はそういうふうに言われますか。
  272. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 私自身どういうふうに考えたらよろしいか……。
  273. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) いや、あなたの常識に訴えて私は言つているのです。
  274. 藤原英三

    証人(藤原英三君) その当時私どもが検査調書を発行しますにつきましてミステークがあつたということは十分考えております。併しいろいろな、こういう私どもをミステークさせるような周囲の事情がありましたことを申上げているわけでありますが……。
  275. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつとそこをもう一つお尋ねしたいのですが、仮に過失でありましても、やはり刑事上の責任はある。ところがあなたがたのは過失ではない。故意に知りつつそういう盲判を押してやつてつた。これは故意ですね。それでも責任はないとおつしやるのですか。
  276. 藤原英三

    証人(藤原英三君) それは故意とおつしやいましたが、できてないことは知らなかつた、完全にできているものと私どもは考えまして……。
  277. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それは実際においてでなく、書類の上ででしよう。そういうことは国家のために誠実に代行を履行したということになりますか。
  278. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 誠実でなかつた……。
  279. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そうなれば責任はあるでしよう。
  280. 藤原英三

    証人(藤原英三君) そういう意味の責任はあると思います。
  281. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そういう意味の責任ということは結局背任ということになりますね。
  282. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 代行契約はどういうことになるか、背任ということがどういうあれになりますか、私自身わかりませんが。
  283. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 証人にもう少しはつきり御答弁を願いたい。私先ほど、高橋狂人が検査調書を人を介して書く人に依頼したということを証言しているのですが、藤原証人は、これは石井技官の指示によつて……、私は石井技官の責任についてもあと考えなければいかんと思います。なお高橋証人は、栗山委員の前の質問に対して、これは検査調書を書く人と会議の上で書類を作為したと断定していいかという質問をしたのに対して、高橋証人は、そのときはまじめにやつたつもりだというところまで証言をしているのであります。高橋証人証言によれば、私は、検査調書を書いたかたは、藤原証人は人を介してかどうか知らんが、高橋証人との間で話合いの上でこういうものを書いたというように今までの調べではとれるのでございますが、どこまでもそれは石井技官の指示だというように御答弁なさいますかどうか。そしてなお官庁の慣例ならば、直接の上部からの指示ならば、これは当然公文書があるべきはずでありますが、口頭で指示を受けたとかいうあいまいなことでは、これはなお石井技官からもよく説明を聞かなければいかん問題が残ると思います。  もう一つ、私先ほどお伺いいたしましたときに、石井技官から指示を受けた場合には、金額も、單価とか数量とか、そういうものについても数字を以て指示を受けたのかどうかということをお伺いしたときに、それは数字が何もないというような意味の御答弁であつたのでございますが、二十三年の十二月の二十八日に四千百七万六千八百五十円という交付金が出て、これは検査調書に基いて支拂つた金だと思いますが、この算定はそうすると誰がやつたのかということをお伺いいたしたいと思います。なお問題が複雑になつてはつきりいたしませんので、この二十三年の十二月二十八日の検査調書の写しを御提出をするように委員長からお取計らいをお願いいたしたいと思います。  なおこの重大な問題につきましては、いろいろあとの経過があると思いますが、検収の代行をやるという契約が特別調達庁と太平商工の間に取り交わされておるのに対して、そうしてこの契約の第七條以下には、この契約の業務を執行する場合に、太平商工がそれに基いて特別調達庁に損害を及ぼしたときは、賠償の責に任ずるのだということがあるようでございます。そして特別調達庁が生産業者に代金支拂うのには、この検査調書を調べてでなければ支拂うことができないのだということが業務実施要綱にもはつきりつておるのでございます。そうするとこの問題の一番の出発点は、検査調書が文書を作為したものであり、そしてそれは官吏との間で話をしたものであり、そしてそれが二千何百万円の国損を與えたのだということになれば、契約に基いての代行業者は、これは当然その賠償の責任に任ずるべきである。又根岸証人は、この問題は取扱者の過失によるものであるというようなことによつて、官吏の九名の行政処分をしておるのであります。併しただ過失によるのか、作為によるのかというようなことも、証人証言によつていろいろに私は解釈されるのじやないかと思います。行政処分が、ただ過失によるからということで行政処分を受けるのも、或いはもつと問題は複雑して来るようなことになる。石井技官の責任ももう少し追及しなければいかんような事情になると思います。この点についての明快な御答弁を証人からお伺いしたいと思います。
  284. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 途中で答弁が抜けましたら改めて御質問をお願いしたいと思います。作りましたのは、飽くまでも石井技官の指示によるものである、高橋云々と私とは話合つたものでは決してないということを申上げてよいと思います。  それから検査調書の中には、先ほども申しましたように、数量がありますだけで、單価とか金額とか、そういうものは入つておりません。先ほどこちらの委員のかたにお話申上げました。従いましてそれによつてどういう計算をして四千万円ですか、幾らかお拂いになるという、これは特調内部で計算されての支拂の問題と思いますが、検査調書そのものには、品名、数量だけ書いておる次第でございます。それに基きまして、私の聞いておりますところでは、特調内部でいろいろの書類をお付けになりまして、いろいろな支拂が行われるものと思いますが、その点が特調内部の機構のあれでございます。  それから最後の件はどうだつたでしようか。
  285. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 責任をどの程度におとりになるかということでございます。
  286. 藤原英三

    証人(藤原英三君) その点については、先ほどから申上げております通りでございます。
  287. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 只今の御答弁では、検査調書は数量だけしかない。そして四千百七万六千八百五十円という金額は、これは特調で算定をしたのだというので、検査調書というものには単価とか金額とかいうものが、常識でははつきり含めたと思いますが、この算定はどういう契約に基いて支拂つたのでありますか。それは特調のほうからの指示を、これに関連してお取寄せをお願いいたしたいと思います。
  288. 森八三一

    ○森八三一君 本件に関しまして太平商工と特別調達庁との間に一般的な契約があり、それに基く実施要領というものが出ている、そのはつきりした文書によることなくして、一技官の口頭指示なるものによつて行動せられたということに対する法律的な責任ということにつきましては、私どもは極めて明確に了承いたしておるのであります。これは議論の余地のないところであろうと存じます。にもかかわらず会社としては技官の指示によつてつたので、責任がないのだというようなことを強く証人は主張せられておるのでありますが、常識的にも当然理解のできる問題を、あえて主張せられますのには、その当時石井技官の指示いたしました内容に、もう少し深い意味があつたのではないか。單純にこういう調書を作れ、こう言われましても、これは私ども、政府との契約とかそういうむずかしい問題ではなくて、お互い個人同志の間といえども、簡単なそんな話で理由なしに行動を起すという場合は殆んど存在をしないと思うのであります。にもかかわらずあえて一技官の口頭指示によつて行動されたということについては、もつとそこに深い何物かがあつたのではないかというように思われまするのでありますが、そういうような点につきまして、もう少し私どもの理解のできるような内容一つお話頂きたい。単純に、おつしやるように、形式的に責任がないとおつしやるときには、今の契約の経過、文書の経過から見ましてどうしても私は行かないのじやないか。それをあえて主張せられるには、もつとそこに何か深いものがあつたのではないか。殊に検地員として検収調書をお作りになるのには、そう單純に書いてくれ、よしという調子に行くものではない。こういうわけでこうだからこれは是非書いてもらわなければ、若しそういうことでなければ、太平会社といたしましては、ただ單に二重煙突の面だけの業務ではなくて、もつと非常に広い仕事をやつておる、そういう仕事にも関連を及ぼして来るというようなこともあつて、これは内容をよく承知しながら、あえてやることが会社のためだというような意味が、もつと深く存在しておつたのではないかというふうに思うのでありますが、率直に一つお話を頂きたいと思います。
  289. 藤原英三

    証人(藤原英三君) その点は何もございません。私自身も当時何も存じておりません。従いましてあとから考えて見ますると、御批判になりますると非常に、極めて單純な処理をしたということになると思いますが、その点につきましては、それ以外には何もないということを申上げるよりほかにはございません。私自身これははつきり申上げていいと思います。
  290. 森八三一

    ○森八三一君 こういう席でございますので、極めて形式的にお話になつていると思うのでありますが、これは本当に成る制度の常識がありますれば、こういうような結果に相成るべき筋合いではないというように思われますることを、あえて不注意にやつたというように強弁されておりまするが、法律上の問題は別といたしまして、私どもこの内容についての糾明をいたしておるので、御承知になつていることを露骨にお話頂きますことが、問題の解決を早くして行くとこう思いますので、余り形式にとらわれないで実際御承知になつている事情を率直にお話頂きますことのほうが都合がよろしいと思いますので、形式的にじやなしに、もう少し実体を御承知になつていると私は想像いたしますが、こんな大きな金額のものを検收もせずに、一係の話で簡單に調書を作つてしまうというようなことは、いやしくも大きな会社の処置としてはあり得ない。やつたのだとおつしやれば、ここで論争するわけには参りませんが、そこには何かもう少し深い事情があつたのだと思うのですが、お話頂くなにはございませんか。
  291. 藤原英三

    証人(藤原英三君) その点は、私この検收の場合におきまして、当時何もございませんで、あとからいろいろ新聞雑誌にも書いてあるようでありますが、何も実は考えませんで、單純に指示がありましたということによつて、当時私としましては生産促進部の指示によつて一切動いている、組織からいつてもそうでございましたから、指示がありました通りに動いたということで、その意味で、実際に検收すべきものを検收しなかつたというミステークはこれは事実でございますから、繰返して申上げることはないと思います。
  292. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) どうもミステークという言葉が私は納得できないのですが、もう一遍重ねて申上げます。先ほどあなたが特別調達庁の生産促進部の命令によつて当時動いておつた。従つてこういうことが起きたのでミステークであつたとおつしやつておりますね。これに対して、そういう工合に生産促進部の命令によつて動かれたことが間違いになつてこういう損失を国家に與えた、そのことにつきまして、太平商工の藤野社長特別調達庁の総裁にはつきりと責任の所在を明らかにして陳謝している、而も責任を果すことを確約されております。そういうことは太平商工は完全に責任をとつておられる、今後実行をどうせられるかは別としまして、少くとも責任をとる用意のあることを明らかにしている、このことをあなた確認されますか。
  293. 藤原英三

    証人(藤原英三君) その点は少し、藤野社長がそういう書類を提出しましたいきさつをちよつと簡單に二、三分頂きまして申上げたいと思いますが、このことが、事件が一月の終り頃になつて出まして、私どもその当時まだいろいろこの仕事をやつておりまして、特別調達庁から頂かなければならない金がありました。それをこの事件に関連して支拂停止を一カ月有余たつて受けたのでありますが、何分にも運送屋に拂います支拂が大部分でございまして、私としても下からわあわあ言われますので、早く頂いてやりませんと、仕事に差支えが来るというような切羽詰つておりまして、いろいろお話しまして特別調達庁のほうと私どものほうとで、社長も常務も参りましていろいろ話をしまして、納入代行者に連帶責任は一応解釈上はない。需品契約そのものにつきましては、納入代行者には何も責任はございませんわけですから、先ほどから申上げておりますように、納入代行者として支拂を押えるという理由も実はないけれども、いろいろ話をした結果、何とか一札入れろ、そうすれば支拂を解除してやろうということでいろいろ話をしました結果、その書類が提出されることになつて、そうして私どもの支拂が解除されたのでありますが、飽くまでもそれは納入代行者としての責任を回避するという意味で、納入代行契約の解釈上それはどういうふうな解釈になりますか、どこで解釈されますかは別といたしまして、当時は一応そういうふうに一札を入れて支拂を解除して貰うといういきさつであります。
  294. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) これは重大なことです。あとからあとから締めくくりするのが、全部こういうことになつているということは、これは由々しいことでありますから、徹底的にこれは私は調査しなければいけないと思う。とにかく事件解決のために出された公文書が、そういう含みがあつて、少くとも支拂を促進するために一応形式上謝つて置けばそれで済むのだ、そういう恰好のものである。その内容に、はつきり代金の国家に與えた損失の補償まで責任を持つてやりますと書いてある。それが全く嘘であるということになれば、それは重要なことである。従いまして今のこれは一つ証言はつきり確認してもらいまして、改めて藤野社長を呼んでこの責任を明らかにしなければならんと思います。どうしてもあなたがそこまで徹底的に、こういう公文書になつておるものまでも責任がないと、こういうことをおつしやるならば私は何をか言わんやです。これ以上私は藤原氏に対して質問の必要を認めないくらいのものなんです。実に私は本日の証書は穏かでない証言だと思いまして、遺憾の意を表します。
  295. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 先ほど森委員のほうでしたか、この納入代行契約書の提出請求がありましたが……。
  296. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 関連してもう一度私伺つて置きますが、この契約書に二月二十三日、藤野社長特別調達庁の公文書を提出されたときに、関係されたあなたのほうの責任者は誰ですか。そういう話合いを、今あなたが証言されたような話合いをされた責任者は誰ですか。
  297. 藤原英三

    証人(藤原英三君) それは只今附け加えますと、納入代行契約書の責任は負うということになつておりますから、それを確認しておりますから、その点附け加えまして、そのときには私のほうの社長も行つております。
  298. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 相手方は。
  299. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 相手方は副総裁でございます。当時の中村副総裁だつたと思います。
  300. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) そうして中村副総裁は、はつきりと金銭的な補償までも要求しておるのではないということを、そういうことをはつきり確言されたわけですか。
  301. 藤原英三

    証人(藤原英三君) それは中村副総裁以外に、当時の経理局長、契約局長、そういつた人たちがおられまして、いろいろお話したのでありますが、いろいろ意見はございました。納入代行契約の解釈につきましては、法律的な解釈は一定しておりませんで……。
  302. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 意見はどうでもいいのです。文章に書いてあるその内容が虚僞のものであるということは重要なことです。
  303. 藤原英三

    証人(藤原英三君) いや、虚僞のものではありません。納入代行契約の責任は勿論負います。
  304. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 返済金を同社がどうしても完済することができませんでした場合には、弊社において責任を負います、と書いてあります。
  305. 藤原英三

    証人(藤原英三君) それは、納入代行の契約書に基きます責任は、納入代行契約の解釈上、責任を負うということで解釈して頂けば結構だと思いますが……。
  306. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私はもう一つお伺いしまして、承認に対する質問は、これ以上質問しても結局終らないと思いますから打切りたいと思います。先ほど私が検收事情をお伺いしましたときに、どこまでも石井技官の指示に従つてつたのだという御答弁でございましたが、私の手許にあります資料でも、それは検査調査に五万フイートと書いてあるだけで、單価としては実は何も書いてないのだけれども、先ほど証人の言われた通りで、五万フイートと書けと言うから書いただけで、その表書には二十三年十二月三十日検査したところというのを直して、九月三十日検査したところと直してありますが、この日附も石井からの指示によつてやられた、あなたは内容については一向その当時は何にも知らなかつたのだというように伺つて置きますが、ただこの一片の紙片で、三字か四字書いた紙片で、実は特調はこの検査調書に基いて一金四千百七万六千八百五十円也というものを、これを小切手を振出しておる。こういうような国の、今の金で言えば一億にもなるような金を、あなたがただ五字か六字人に言われた通り書いたというだけで、中身も何にも検査せずに四千何百万円というのがその日のうちに国の金が動いておるのだ、私はこういう奇怪なことは、今まで長い官吏生活の間でも一つも実は伺つたことがないような気がいたすのであります。その当時のあなたの書かれたこの責任が、これほどまでに実は重大であつた。余りに無責任な職務態度であつたのじやないかというようなことを、私は遺憾に考えるのでございますが、この一片の紙片以外は何にも知らんというようなお話でございますから、もうこれ以上は私は伺う必要はないと思います。私の質問は打切りたいと思います。
  307. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 先ほどちよつと名前を確認したのですが、もう一度おつしやつて頂きたいと思います。この二月二十三日の特別調達庁へ出された文書に関係した責任者としてあなたのところの社長の藤野氏を挙げられましたが、そのほかその会議に、その話合いに列席されたのはどういうかたですか。
  308. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 私のほうでございますか。
  309. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) ええ、
  310. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 私のほうは山口も……山口は行きません。中村でございます。
  311. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) これは……。
  312. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 常務でございます。
  313. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) そのほか……。
  314. 藤原英三

    証人(藤原英三君) それと私でございます。
  315. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) それから官庁側はどういう人ですか。
  316. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 中村副総裁、それから名前をよく覚えておりませんが、当時の契約局長、それから経理局長、それから生産促進部長もおられたと思います。
  317. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 生産促進部長……。
  318. 藤原英三

    証人(藤原英三君) はあ。
  319. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) それで場所はどこですか。
  320. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 特調の中です。
  321. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) それからもう一つ伺いますが、この役所側で只今あなたが証言されたようなことを、言質を與えられた発言者は誰ですか。
  322. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 連帯保証責任がないという、一応解釈上はできないのじやないかと言われたのは誰でしたか……連帯保証責任がないと、一応解釈上はむずかしいのじやないかと言われたのは、多分契約局長だと思いますが、ちよつとそこらはつきりしておりませんが、皆さんでいろいろお話つておりましたから……。
  323. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 多分契約局長、こういう意味ですね。
  324. 藤原英三

    証人(藤原英三君) はあ。連帯保証責任がないという言い方でございます。飽くまでも納入代行契約に基く責任は、これはもう当然認められなければならんと思うのですが……。
  325. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) それからもう一つ伺いますが、この問題が起きて、賠償のまあ責任が若干あるという疑念があつたと思いますが、支排停止をされたといいますか、これはどういう形でやられたのですか。その他のものについての支拂停止をされた……。
  326. 藤原英三

    証人(藤原英三君) そうでございます……。
  327. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) それはどういう形でやられたのですか。
  328. 藤原英三

    証人(藤原英三君) どういう形で……
  329. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 手続の問題、役所とあなたの会社との手続の問題。
  330. 藤原英三

    証人(藤原英三君) それは私のほうは経理局の支拂でございますね。支拂もお金を貰いに行くわけでございますが、その支拂の掲示が出ないということでございます。
  331. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) それだけのことですか。支拂ができないという正式な通知はなかつたわけですか。
  332. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 従いまして支拂の係りの所へ参りますと、あれは何課というのでありましたか、支拂のとにかくあそこの係長さんか課長さんの所へですね、私どもの者が廻つて、どうなつておりますかと聞きますと、この問題があるから支拂つていかんと言われておる、こういう御説明で、従いまして、そのいろいろお話しております間にも、勿論役所側の人たちは、この理由のために私どものほうが支拂を停止されておるということは知つておられたはずであります。
  333. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) これは私委員会のほうへお願いしたいのですが、大体こういうあいまいな役所の態度が、そもそもこういう問題を引き起して来る原因をなしておるわけです。それで而もこのあと始末をするというときに、足利工業自体の取立についても役所は非常に不熱心である。あいまいの態度を今までの証言調査によつてとられたことは明瞭になつております。而もこの代行業者に対しても、役所の中で一部支拂停止のような強硬なる処置をとつて置きながら、役所の上級幹部の話合いによつて只今申されたような工合に問題の焦点が外されてしまつた。そうして代行業者は責任はないというような証言只今も縷々本人がせられておるというような、極めて国民が聞くならば憤慨せざるを得ないような状態になつておる。従つて一つそういつたような本日出ました非常に不明朗な点を中心にして更に委員会調査を続行して貰いたい。こういうことを提案したいと思います。
  334. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 証人は、この特別調達庁との間の契約書並びに納入代行業務実施要領というのは御存じですか。そこにはですね、実施要領の第四條、業者の庭先において当該資材を受領して、この受領書を業者に交付する。  なお、この場合代行業者は特別調達庁検査員に嘱託せしめられた職員をして、検査の上、検査調言を発行せしめ、これを業者に送付しなければならない。註、この検査調書は業者が代金請求のときこれを添付しなければならない。こういうことがあるのですね、これを果しておらないわけですね。
  335. 藤原英三

    証人(藤原英三君) この場合はですね。
  336. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) この場合……。
  337. 藤原英三

    証人(藤原英三君) はあ。
  338. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それだからそういう義務違反をやつて責任があるについて、太平商工株式会社の取締役社長藤野忠次郎が特別調達庁総裁宛に、足利工業受註弊社納入代行扱の二重煙突五万フイートに関しましては、足利工業より貴庁に契約解除分代金の返済をすることになりましたが、本件経緯につきましては、弊社といたしましても、納入代行者として深く責任を痛感しておるところでございまして、衷心より遺憾の意を表する次第でございます。万一、右返済金を同社がどうしても完済することができませんでした場合は、貴庁と弊社との間に締結しております昭和二十三年九月一日附契約第五百十号の納入代行に関する役務契約書に基いて弊社において責任を負います。こうはつきり書類を出しておるわけでありますが、あなたはこれだけのものを会社の代表者が特別調達庁に入れておるにもかかわらず、この責任は認めないと、責任はないというふうにさつきから言われておるようですが、依然としてそういうふうにお考えになつていますか。
  339. 藤原英三

    証人(藤原英三君) その点は納入代行契約に基きまして解釈されました結果、その仕事のこのことにつきましては、私どもの責任がこういう点であるという解釈ができておりますならば、その納入代行契約に基く責任は勿論私ども負わなければならないと、そう思つておりますが、それが背任罪になるかどうかということは、私もわかりませんが、事務の当事者といたしましては、当時そういうようなことで、周囲の事情で誘導された形で私たちはこれらのものを作つたということを申上げておるはずであります。従いまして納入代行契約に基きますことは、社長も書いております。本件の解釈上……。それでありますならば、当然私どもが責任を負わなければならないと考えております。
  340. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 民事上の責任は認めるが、刑事上の責任はあるかないかわからないというのですか、認めないというのですか。
  341. 藤原英三

    証人(藤原英三君) わかりません。
  342. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) わからない。併しこういうふうに明らかに国家と契約して、責任を果さんで国家に対してこれだけの大きな損害を與えておる。それは代行会社として負わされておる責任を果さなかつたから、こういうことになつたということは認めるのでしよう。それがわからないのですか。
  343. 藤原英三

    証人(藤原英三君) はあ。
  344. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そうすれば国家に対してそれだけの責任を果さないで、背任行為をしておるということは、国家に対して認められるでしたう。それがわからないのですか。
  345. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 背任罪ということになりますかどうか……。
  346. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 背任罪ということは、人から委任を受けてその事務を行うところの者が、自己又は第三者のために、利益を図つて、本人に対して損害を及ぼしたときは背任ということになるのです。
  347. 藤原英三

    証人(藤原英三君) そういうことに対して自己又は第三者に利益を図つたということはないと思います。私どもは当時、おつしやつておりますけれども、知らずにやつておりますから……。
  348. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それならば何のために責任がないのですか。検牧もしないで、それだけの品物を納めたという書類を作られた。それは誰か、自己又は第三者という言葉で称されておる誰かの利益を図つたことになりやしませんか。
  349. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 利益ということではなくて、むしろ利益というようには考え得ませんのですが……。
  350. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 利益を図つたことにはなりませんか。四千万円からの品物を納めないで、それだけの利益を……代金を受取つたということは利益を図つたということにはなりませんか。
  351. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 結果論ですね。
  352. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 結果論でも何でも……。
  353. 藤原英三

    証人(藤原英三君) そのときはそういうことは知らなかつた、実際物があると思つてつておりましたから……。
  354. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) どうもそこがわかりませんね。書類を検收しましても、実際において見た上でやれ、検收をした上でやれということが、明らかに契約の上に明文があるにかかわらずそれをしないで、そうして盲判を押して出してしまつたでしよう。
  355. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 押しますときに裏付けがあつたのです。
  356. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 何ですか、裏付けとは……。
  357. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 特調からの指図が……。
  358. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 特調と言うが、契約で正しい公務を運行する指図なら従わなければならないが、明らかに契約に違反しておるようなことを、たとえ上から指図があつたにしてもそれに従う義務はないでしよう。それは命令にならん。それは上司の命令にならん。不当なことを、不正なことを命令することは命令にならない。そういう不正なことを上から言われても、それをどこまでやらなければならないという義務はないでしよう。それは而も裏付けにはならんのじやありませんか。
  359. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 私ども事務をやつております者におきまして、そうするよりはかなかつたのであります。
  360. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) こういう不正はこれはできませんと言えるじやないですか。それが当り前ではないですか。
  361. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 証人としては当時申上げることはできなかつた
  362. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それをしなかつたということは、明らかに背任になるではないか。会社にしてもあなたとしても、事務の担当としても背任になるのではないか。これは一つの例でありますけれども、或る役所で、上司が下の者に何か命令をして、そうして下の者もそれの実行者として悪いことをした場合には、二人とも連帯責任があるではありませんか。共犯じやありませんか。皆刑事でやられておるではありませんか。あなたはそれをお考えになりませんか。
  363. 藤原英三

    証人(藤原英三君) わかりません。
  364. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) わからないということは、法律の常識としてそれくらいはおわかりになると思いますが、どうですか。
  365. 藤原英三

    証人(藤原英三君) ……。
  366. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 明らかなことじやありませんか。そのような常識のことがおわかりならんのですか。
  367. 藤原英三

    証人(藤原英三君) ……。
  368. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 私は先ほどから、議論を、質問をやめようと思つておるのですが、誠に奇怪なのは絶対命令、石井技官の絶対命令として書かざるを得なかつたと言つて証言されるかと思うと、又一方においては、品物はあつたと思う、あつたと思うということについては、絶対命令と噛み合わせて見たり、或いは工場のほうから品物のあるという一札を坂つておると言う。どちらも根拠がないので、若しあつたと思うという根拠が、先ほど私が申上げましたように、書類検收ならば書類検收で、それを通してはつきり工場の生産状況を調べてやつておるならば、我々は納得しなければならん。当時の石井技官が何ら盡すべきを盡さず、あのときは絶対命令で当時の機構上破れなかつたと言う。他の方面から追究すれば、今度はあつたと思うというような、そういうあいまいな答弁をして、それらを総括して包んでこちらから見ると、あなたが完全に責任を感じておることを感じておられる、いよいよとなると責任がないと、こういうように逃げられるということについては、全くあなたの、私は、お考えを真正面に判断することに苦しむ。
  369. 藤原英三

    証人(藤原英三君) あつたと思つたというのは、石井技官からあつたから、あつたものとして発行したわけであります。
  370. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 議論はもうしませんが、石井技官の話は、当時の状況から拒否し得ない状況にあつた、そういうように証言をせられておつたのじやありませんか。あつた、なかつたの問題じやない。そんなことは問題じやない。私どもの受けておる印象は、あろうが、なかろうが、石井技官からの命令で書かざるを得なかつたのじやありませんか。
  371. 藤原英三

    証人(藤原英三君) ……
  372. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) そういう詭弁を弄するのはやめたらいいじやありませんか。
  373. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 ここに物品納入調査の……現物ではありませんが、写しが塗料として出ておりますから、これを委員長から証人にお示しを願いまして、これに基いて一、二ちよつと質問したいと思います。
  374. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 昭和二十三年九月三十日、山口総男から出ておる物品納入検査調書、これはどういうことですか。
  375. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 証人は、この検査調書を作成されたということに間違いありませんですか。
  376. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 間違いございません。
  377. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それではこの検査調書の中で、二、三点この訂正しておる点があるのですが、先ず第一の訂正の点は、LD五七の追加ということに訂正されておる、訂正前のものはDL三五ということですが、この点はどういうことでこれが訂正されたのか。先ずこの点を承わりたいと思います。
  378. 藤原英三

    証人(藤原英三君) それは石井技官の指図でございます。
  379. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは、その次の訂正の個所は、今回納入分という所が、今度は完納としてありますね。それからもう一点は、その次の追加は、昭和二十三年十二月三十日足利工業株式会社において検査したるところ云々としてある所が、九月三十日と訂正されておる。なお最後の昭和二十三年十二月三十日とあるのが、九月三十日と訂正されておる。これはどういうようなことでこういう工合に訂正されたのか、先ずその点を伺いたい。
  380. 藤原英三

    証人(藤原英三君) この十二月三十日と元書いてありますのは、十二月一日を消して三十日としたのでございます。それでこの訂正は、石井技官の指図によつて訂正したものでございます。
  381. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 訂正は、十二月の十二が消して、横に九と書入れてあるのですが、これはどういうわけですか。
  382. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 訂正でございます。
  383. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それではもともとこの物品納入検査調書というものは、あなたがお書きになつたのか、書いたものを持つて来てそこに山口氏の判を押したのか、その点はどうなんですか。
  384. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 元ありましたのを、石井技官から指図がありまして訂正したものであります。
  385. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 元あつたというものは、どこでこれを作られたのか。
  386. 藤原英三

    証人(藤原英三君) それは山口の名前で作つたものであります。
  387. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 これを作られたときは、そうすると実際は九月であつたのか、十二月であつたのか、その点は……。
  388. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 元を作つた日でございますか。
  389. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 元これを作られたときですね、訂正前は……。
  390. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 十二月に作成したものであります。
  391. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうして実際の訂正されたのはいつですか。
  392. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 十二月二十八日でございます。この日に石井技官からの指図で、九月三十日LD五七、追加の訂正をいたしました。
  393. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 もう一つつて置きたいのは、先ほど石井技官から、特調のほうから指図をされてこういうものを作つて判を押したといつておられる。今証人が言われた十二月二十八日という日は、すでに最後の四千百七万六千八百五十円という金を小切手で支拂つている日附と同日であるのでありますが、これが九月の日附で検査調書がそのときに作られたということは、どうも私納得が行かないのですが、その点は証人はどういう工合にお考えになつているでしようか。
  394. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 九月に訂正しましたわけでございますか。
  395. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 九月に訂正した、而もその九月に訂正をしたのは十二月の二十八日に調書を作つているのですね。これはあなたがお作りになつたのですね。
  396. 藤原英三

    証人(藤原英三君) そうです。
  397. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 ところがすでにそのとき納入検査調書が発行されて手続きをしたのですね。この調書に今度は足利板金から請求書が出ているのですね。請求書にこれを建前として付けるのですね。
  398. 藤原英三

    証人(藤原英三君) そうでございます。
  399. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 ところがこの請求書は十二月の十四日附で出ておるのです。そこへあなたが検收されて判を押して十二月二十八日、これを作られたのです。そうして今度は特調がこの請求金額支拂つておるのは、あなたが作られた同日の十二月二十八日に金を支拂つておるのです。そうすると、そんなに早く特調が同日その日に金を支押う、そうしてあなたはこれを作つている。どうもその点が一致しないように思うのですが、何かそこに当時事情があつたのでしようか。
  400. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 私のほうは支拂のことは何も存じません。というのは、納入代行だけでございますから、需品契約のほうには私関係しておりません。支拂がどういうふうにいつなされたかということは、私の全然タツチする問題でございません。二十八日に石井技官から、お晝頃でございましたか、指示がございまして急いで訂正してくれというので、私のほうの駐在員を連れてこれを持つて来まして、それを訂正いたしまして渡したわけであります。
  401. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 もう一つ、先ほどあなたが、栗山君の質問説明されておりましたが、太平商工が取締役社長藤野忠次郎氏の名前で特調に差出しておるところの差入書ですか、保証書といいますか、この書類はこういう過拂ができたので、特調がその後金を支拂つてくれない。だから現実には太平商工はそれがために非常に困り、資金ぐりにも困つてどうにもならないということで、背に腹は代えられぬというような立場に追込まれて、これを書いたのであるというように聞き取れたのですが、そういう当時事情であつたのですか。
  402. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 出すに至りました経緯は、確しかにその通りであります。だからというて、この文書を私どもは無意味に思つておりません。勿論私ども納入代行者としての責任は、そういうふうに判決が下りますれば、負わなければならんということは覚悟しております。
  403. 森八三一

    ○森八三一君 又蒸し返すことになりますが、石井なる技官から口頭で指示を與えられたからということで、その通りにやりましたというお話ですが、実際に十二月三十日に作成したものを三カ月も遡つて九月に直せと言われて直してしまうということは、三歳の子供でもできぬ仕事だと思いますが、そういうことを太平商工では始終おやりになつておりますか。(笑声)
  404. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 申上げます。終始やつておりません。勿論この場合だけでございます。なぜ九月に直したかということは、結局この契約そのものの納期が九月末日であつて、従いまして支拂をしますについては九月に直さなければならん。十二月の検査調書では、これは特調の内部組織上と思いますが、契約に基いて支拂ができない。従いまして納期が九月末になつておるから九月末に直さなければならんということであつたと思います。
  405. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そうすると、そういうようないろいろな事情を知りつつあなたはそういうふうに書き変えたのですね。
  406. 藤原英三

    証人(藤原英三君) そうです。それはあとで分つたのですが……。
  407. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) とにかくそういう事情を知りつやつたのですね。
  408. 藤原英三

    証人(藤原英三君) ……
  409. 森八三一

    ○森八三一君 いやしくも官庁に提出する書類について、事実と相異したことをお書きになつたということになれば、明確に公文書の傭造であるということになると思うのですが、これに対して証人はどうお考えになりますか。
  410. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 藤原証人の発言が非常にはつきりしないので、速記上大いに支障があるということがございますから、どうぞはつきり御答弁を願います。
  411. 藤原英三

    証人(藤原英三君) 事実と相違した書類であるかどうかということは、特別調達庁からそういう指図がありましたことで、私どもはやつたことでございますので、それが事実と相違したということが、あとになつて見ればわかりましたことでございますが……。
  412. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 僕らは国会議員として、国民の代表として発言しているのです。余り軽卒な、我々を侮辱するようなことは愼しんでもらいたい。そんなことは今まで行なつて来た論議ではつきりしているじやありませんか。役所から言われたことによつてつたので、事実かどうか知らないですなんて……。十二月になつて一札取つて、在庫もあると思つてつたというような先ほど証言をされたじやありませんか。それから考えつて、九月の終りにこんなものに改竄しておつたということは毛頭言えた義理じやない。余り我々を軽侮するような言は愼んでもらいたい。それから大体今のこの検査調書にしても、役所のほうから言われてこう書いた、それで責任はないか、公文書僞造ではないかという質問に対して、さようなことは毛頭ないと、こうおつしやるけれども、例えば最も大きな権力を持つている、日本の古い家庭でいえば、おやじが成年になつた息子に、あすこへ行つて泥棒をして来いといつて指令を出した、それで息子が若し物を取つて行つたらどうなる。おやじは勿論罰せられるが、行為者である本人も罰せられることは御承知じやありませんか。そのことを追及しているわけです。そうでしよう。おやじに全部責任があると言つて、あなたはそういう問題で責任を逃がれますから、そこを私はお聞きしているのですが、どうですか。
  413. 藤原英三

    証人(藤原英三君) その点は御説の通りであります。
  414. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) はつきり証言してもらいたい。
  415. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 何かほかにこの証人に御質問ございませんか。……それではこの証人に対する質問はこれで終ります。  もう一人証人がおりますが、続いてすぐやりますか。少し五分か十分休憩いたしますか。
  416. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 十分ほど休憩して……。
  417. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それでは四時二十分から始めましよう。それまで休憩いたします。    午後四時十四分休憩    —————・—————    午後四時二十三分開会
  418. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それではこれから引続いて開会いたします。  山下証人に対する御質問をお願いいたします。
  419. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 山下証人にお伺いいたしますが、あなたは大橋武夫氏とはいつ頃から知合いになつてどういう関係にあるのか、その点を先ず伺いたいと思います。
  420. 山下茂

    証人(山下茂君) 昭和四年内務省へ入りまして、それ以来であります。
  421. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 昭和四年に内務省に入られまして、何年まで内務省に勤めておられたのですか。
  422. 山下茂

    証人(山下茂君) 昭和十三年まで内務省におりまして、それから厚生省へ転勤になりました。で二十一年までおりました。
  423. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その間、ずつと仕事はどういうような業務を担当されておりましたか。
  424. 山下茂

    証人(山下茂君) 自動車関係仕事をいたしました。
  425. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 あなたは、大橋武夫君から自動車売却を依頼されたそうでありますが、どういうような当初事情で、そういうようなことを引受けられたかといういきさつについて伺いたいと思います。
  426. 山下茂

    証人(山下茂君) 足利工業の高橋所有自動車を売ることを依頼されたのです。
  427. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 足利工業の高橋所有自動車ということでありますが、高橋所有であるかないかということは、あなたはどういうところで確認されておるのですか。
  428. 山下茂

    証人(山下茂君) 車体検査証に明記しておりましたので、高橋氏の所有ということははつきりしておりました。
  429. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 車体検査証がその人の名前であれば、必ずその自動車というものはその人の所有であるということの認定ができるでありましようか。例えば高橋の名前であつても、実際は所有権は会社にあるのか、或いは誰にあるのか、又山下という名前で検査が受けられておつても、それは実際はそれ以外の人の持ち物であるというようなことはなしに、自動車の常識では大体検査証の名義が甲であれば甲の所有である。乙の名義であれば乙の所有物であるということは、これははつきり言い得られることになつておるのか。その点重ねて伺いたいと思います。
  430. 山下茂

    証人(山下茂君) もう一回御説明を願いたいのですが、
  431. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 検査証が高橋の名義になつておるから、だからこれは高橋所有であるということをあなたが言われたのでありますが、一般に自動車というものは、検査を受けるときにそれが誰の検査証であろうとも、所有、持主というものと異なつた名義の場合がないのか。必ずしも検査の名前の持主であるというように、これは限定されてきまつておるのか、この点を。
  432. 山下茂

    証人(山下茂君) 検査証には所有者という欄と、それから使用者という欄があります。所有者の所に高橋某と明記してありましたので、高橋個人の所有ということははつきりとそこで疑う余地もないことなんであります。
  433. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その自動車はどんな自動車で、何番の自動車であつたのですか。
  434. 山下茂

    証人(山下茂君) 一九四〇年モーリスという車でございます。
  435. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 番号は。
  436. 山下茂

    証人(山下茂君) 番号は失念いたしました。
  437. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その自動車をあなたがどういうことで、どういう事情から売ることを頼まれるに至つたのか、その経路。
  438. 山下茂

    証人(山下茂君) 大橋先生と高橋氏と両所から依頼を受けまして、私がその業に経験あるものですから、依頼されました。
  439. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それはどこでいつ頃のことですか。
  440. 山下茂

    証人(山下茂君) 二十四年の多分、これははつきりした記憶はないのですが、二十四年の三月頃依頼を受けました。それで七月か八月頃、それが漸く売れたわけであります。
  441. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 いや、それはどこでそういう依頼を受けたのですか。
  442. 山下茂

    証人(山下茂君) 交詢社の二階の高橋氏の事務所で以て依頼を受けました。これは多分その場に列席しておりましたのは、足利工業の社長さんとかいう人がおりました。先生と高橋氏と三人から依頼を受けたのであります。
  443. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 足利高橋正吉という人をあなたはいつから知り合いになつたのですか。
  444. 山下茂

    証人(山下茂君) 車を引受けた二十四年の三月、その前後であります。前後と言つても、その一カ月くらい前です。
  445. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 三月に引受けて、売却が七、八月頃にできたという、この期間、大体四、五カ月という間は、その自動車はどういうことになつてつたのですか。
  446. 山下茂

    証人(山下茂君) 私は車庫へ、安全な車庫に保管しておきました。
  447. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 車庫の場所はどこですか。
  448. 山下茂

    証人(山下茂君) 車庫は虎の門の田村ガレージというのがあるのですが、そこと、それから虎の門自動車工業株式会社の車庫へ置きました。長い間ですから、一カ所にばかり置くわけには行かないので、その二カ所あちこち置いたわけです。
  449. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その自動車はあなたがその後七、八月頃に誰にお売りになつたのですか。
  450. 山下茂

    証人(山下茂君) 誰に売つたか知りませんのです。商売人に委託しまして売らしました。
  451. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その商売人とおつしやると、どこの何某の何という……。
  452. 山下茂

    証人(山下茂君) よく虎の門の自動車会社に出入りしておりました小沢正太郎という人なんです。住所とかそういうものは不明です。仲間同士で始終毎日顔を合せていることで、信用して取引できるような状態になつておりました。そういう習慣になつておりましたから、もう始終顔を合せて、私たちはよその車を売らしてもらう場合にも、ちよつと車を貸せと言つてどんどん借りられるような信用状況になつておりました。
  453. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その小沢正太郎にあなたが幾らでお売りになつたのですか。
  454. 山下茂

    証人(山下茂君) 百三十三万で売りました。
  455. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その金は、何月何日にどこでお受取りになつたのですか。
  456. 山下茂

    証人(山下茂君) 多分昭和二十四年の六月の十五日頃ですな、八十万、残金を月末に受取つております。
  457. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それは現金ですか、小切手ですか。
  458. 山下茂

    証人(山下茂君) 現金であります。
  459. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 二十四年の六月の十五日頃に八十万、最初の金を受取つて、その金はあなたが誰にお渡しになりましたか。
  460. 山下茂

    証人(山下茂君) 大橋先生の指示を仰ぎまして、日比谷の三和銀行支店に預け入れました。直接私が持つて行きました。
  461. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その月末にお受取りになりました残金は、そのときはその金はどこで誰にお渡しになりましたか。
  462. 山下茂

    証人(山下茂君) やはり三和銀行へ預金いたしました。
  463. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 百三十三万で売つて、八十万円受取つて、あと残金ということでありますから、あとは五十三万円ということで相違ないのでありますか。
  464. 山下茂

    証人(山下茂君) たしか間違いございません。但しそのときの納入金額というのは五十三万円ではありません。というのは、百三十三万で売つても、その中に車庫料、修繕費、いろいろなものを差引かれまして残金を納入したことになつております。その金額は覚えておりません。
  465. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 あなたが持つて行かれて、納入された金額は覚えがないということでありますが、それは大体どのくらいの金額であつたか、大体のことぐらいは……。
  466. 山下茂

    証人(山下茂君) わかつております。ちよつとお待ち下さい。——修繕費、車庫料、そういつたものが十三万円ぐらいかかつておりますから、約四十万円ぐらいの命が納入されておるはずであります。
  467. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それは誰の口座にお預けになつたのであり余すか。
  468. 山下茂

    証人(山下茂君) 高橋の口座を作りまして最初に入れました。
  469. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それは最初あなたがお預けになつたときは八十万円持つていらしつた。それはあなたが一人で持つて行かれたのか、それとも持つて行かれたときには他の者がおつたのか、その点はどうなんですか。
  470. 山下茂

    証人(山下茂君) 他の者というのは。
  471. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 ほかの人が、あなた以外の人が。
  472. 山下茂

    証人(山下茂君) 全然私一人であります。
  473. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうしますと、そのときに口座をあなたがお作りになつたのですか。それとも先に口座があつたところにあなたがお入れになつたのか、その点はどうですか。
  474. 山下茂

    証人(山下茂君) そのときに作りました。
  475. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そういたしますと、あなたが八十万円持つて行かれて、初めてその口座をあなたがお作りになつた。そうすると判とか通いはどういうことになつていますか。
  476. 山下茂

    証人(山下茂君) 判は作りましたのです。作つたというよりか、これは口座を作つたということ、ともかく先生が置いて来いというので私は置いて来たのです。判を作つたとかそういうような事情は知りません。それから口座を作つたというはつきりした何はないのです。三和銀行へ持つてつて来いと言われて置いて来たのです。そのあとに口座ができておつたのですね。
  477. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 ちよつとその点わかりにくいのですが、もう少しわかるようにお話を願いたいのですが、銀行にあなたがお金を持つて、八十万円持つて行かれたそのときに口座を作つたというお話でありますと、そのときに銀行のほうでただ金を八十万円受取りつぱなしで、御苦労さんというわけには常識上行かないのじやないか。
  478. 山下茂

    証人(山下茂君) それは、まあ先生がすでに銀行へ連絡をとつてつたから、私は單なる使いで行つただけですから、その辺の詳しい事情は知らないのです。
  479. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、あなたが持つて行かれたときには、大橋氏が銀行に連絡がしてあつたので、それで銀行のほうではよくわかつてつた。だからまあ金を受取つたままでそれでじまいだ、こういうふうに了解してよろしいのですか。
  480. 山下茂

    証人(山下茂君) それでいいと思います。
  481. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから先ほどおつしやいました昭和二十四年六月の十五日頃、八十万円を持つて行つた、最初に八十万円を持つて行つたということでありますが、これは日にちは一日や二日は違うとしても大体二十四年の六月の半ば頃であつたということは確かですか。
  482. 山下茂

    証人(山下茂君) 確かであります。
  483. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それはあなたの記憶違いじやないでしようか。
  484. 山下茂

    証人(山下茂君) 間違いないと思います。
  485. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それからその後六月の月末に大体四十万円ほど持つて行かれた。その場合にも同じように金だけを持つて行かれたのか、そのときには何か通いか何か持つて行かれたのでしようか。
  486. 山下茂

    証人(山下茂君) 金だけであります。
  487. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その後にあなたが金を持つて行かれたということは、ほかにはないのでしようか、二回きりでしようか、それとも何回も行つておられるでしようか。
  488. 山下茂

    証人(山下茂君) たしかあると思いますが、はつきりした記憶はありません。
  489. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 何回くらいある。
  490. 山下茂

    証人(山下茂君) 一、二回あると思います。
  491. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その金額はどのくらいですか。
  492. 山下茂

    証人(山下茂君) 金額に覚えありません。
  493. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 あなたはこの自動車を売つた金なり、又その後持つて行かれた金というものについて、大橋君からこの金の管理をあなたが委任されて、あなたの責任で管理されておつたのか、或いは大橋氏の指示によつて使い歩きをしたという程度なのであるが、その点を伺いたいと思います。
  494. 山下茂

    証人(山下茂君) 或る場合には指示を受けて行動した場合もあるし、或る場合にはそれを管理した場合もあるし、その辺はつきりと管理しておるんだということは言い切れぬ状態であります。
  495. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 管理した、はつきり金の管理をしておるというのか、それとも自分は管理はしていないと、成る場合は管理とも、管理をしておつたようにも思う、或る場合はただ指示だけで動いたというように思うというようなことは、この口座でもたくさん、幾つもあればそういうことも言い得られるのですが、僅か一つや二つの問題でそういうようなことはちよつと想像ができないと思うのですが、その点をもう少しはつきりと御説明を願いたいと思います。
  496. 山下茂

    証人(山下茂君) 先ほど申上げた通りはつきりした状態でなかつた、ですからはつきり申上げられません。
  497. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それではこの口座というものについては、高橋正吉の口座であるか、果してそれは大橋氏個人の口座へ入れておるか、それはあなたとしてはわからないわけですか。
  498. 山下茂

    証人(山下茂君) 銀行へ持つて行くときに高橋の口座へ入れるというように依頼をして銀行に持つて行つたわけですから、高橋氏の口座に入つておることははつきりしております。
  499. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、或る場合は管理したかどうか、その点ははつきりせない状態であつたと言つておられるのですが、あなたがこの高橋正吉の預金の通帳なり、或いは判なり預かつたことがありますか。その点はないのですか。
  500. 山下茂

    証人(山下茂君) 預かつたことはありません。
  501. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは、その写しをあなたの手控えとして銀行からもらつておるというようなことはありませんか。
  502. 山下茂

    証人(山下茂君) 銀行からは別にもらつていないのですが、私のノートに当時記録しておりました。幾ら残があるとか、幾らあるかというまあ出し入れについて記録はしておりましたのですが、大分月日がたつので、その当時の記録等は全然持つておりませんし、記憶が薄らいでおりますので、はつきりしたことは申上げられません。
  503. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 入金のほうはそういうことでありますが、今度はその金を銀行のほうに出しに行かれたということはございますか。ありませんか。
  504. 山下茂

    証人(山下茂君) ございます。
  505. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それは何回ぐらい出しに行かれた。
  506. 山下茂

    証人(山下茂君) 三回ぐらいか四回ぐらいと記憶しておりますが。
  507. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それはいつ頃で、金額はどのくらいであつたのですか。一回目から四回までの間……
  508. 山下茂

    証人(山下茂君) 七月の末に、末からまあ三、四回に亘つて出しております。はつきりした時日の記憶はありませんです。
  509. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それは末からいつ頃までですか。最終は……
  510. 山下茂

    証人(山下茂君) 約一カ年間くらいの間に三、四回と記憶しておりますが……。
  511. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 大体お出しに、あなたが出しに行かれました金額は全然記憶がないのですか。
  512. 山下茂

    証人(山下茂君) 最初はたしか八十五万円です。それ以後の金額記憶ないのですが、銀行に記録されておりますからはつきりしておると思います。
  513. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは銀行の記録をあなたが見られればはつきりわかりますのですか。
  514. 山下茂

    証人(山下茂君) 銀行の記録を見れば大体わかります。
  515. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは過日高橋名義の銀行写しが出しておりますから、ここに手許にありますから、これを委員長から証人にお示しを願いまして、これに基きまして御説明を願いたいと思います。
  516. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) カ二エ君御質問は……
  517. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今証人手許にお示しになつた高橋口座の銀行から提出されました写しによつて二十四年の七月二十八日に八十五万円出ておる。これは先ほど証人の申されました八十五万円というものであると思うのでありますが、そのほかに二、三回あるということでありますから、幾日の分が自分が出しに行つたものであるか、この点について証人に伺つておるのでありますが、証人のほうから大体それによればわかるということでありましたので……。
  518. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) わかりますか。
  519. 山下茂

    証人(山下茂君) なかなか四年頃ですから、そう簡單に思い出せませんからちよつと待つて下さい。二年も三年も前のことですから、そう簡單に御返事できませんから……。最初のこの八十五万万円は、これは私が商売用に車を購入しました。その他細かいものは修理費とか、そういうものにこれは出しております。細かい説明は一応家へ帰つてすつかりいろいろのものを調べないと、はつきりした説明はできませんです。
  520. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 先ほどの本人の、証人の……
  521. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつと待つて下さい。その修理費と言われましたのはどれですか。はつきりいたしませんが……。
  522. 山下茂

    証人(山下茂君) その点はつきりしないのですが、どうもこの八十五万円という車の代金はつきりしているのですが、あと細かいところがちよつと……。いい加減なことを申上げても仕方ありませんから、きちんとしたことを調べて申上げることにいたします。
  523. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 私の申上げておるのは、この八十五万円出ているほかに十四回余り出ておるのです。そのうち証人銀行に取りに行つたというのは、八十五万円のほかに三回ほど、三、四回あるという、その三、四回は一体どれとどれとに当るのか、この十何回の中の……、ということをお聞きしておる。その使つた金について聞いておるわけではないのですが。
  524. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) その問題について。
  525. 山下茂

    証人(山下茂君) 一つ二つはわかるのですが、八十五万円は私が出しに行きました。三十万円はたしかこれは調達庁へ納めた金だと思います。これは私がじかに行つたのではないのです。二十万円は私が出しに行つたと思いますが、これも調べてでないとはつきりお返事ができません。
  526. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 二十万円というのは、八月の五日附の二十万円ですか、四番目の……
  527. 山下茂

    証人(山下茂君) そうです。
  528. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから二番目の三十万円は、あなたが直接出しに行かれたのでないと……
  529. 山下茂

    証人(山下茂君) そうです。
  530. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、五番目の二十二万円というのは、これは……
  531. 山下茂

    証人(山下茂君) はつきりいたしておりません。多分私が行つたのだろうと思いますけれども、ちよつとノートを見ませんとはつきりしないのです。
  532. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから六番目の十万円は……
  533. 山下茂

    証人(山下茂君) 私はこれは修繕費として出したのじやないかと思いますが、これもはつきりしたことは申上げられません。
  534. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから七番目の細かい二万円は……。
  535. 山下茂

    証人(山下茂君) これも私が出しに行きました。
  536. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 出した。
  537. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 出しに行かれたのですか。
  538. 山下茂

    証人(山下茂君) はい、行きました。
  539. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから六番目の九月三十日の二十五万円。
  540. 山下茂

    証人(山下茂君) これははつきりしておりませんですな。
  541. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その次の五万円、三十日の同じ日です。これは。
  542. 山下茂

    証人(山下茂君) どうもはつきりしませんです。そうするとやつぱり相当回数は重ねておるわけですが、大体私がこれら殆んど出し入れはしておつたんですが、まあ前のことで何回も行かなかつたと思いましたが、やつぱり回数を重ねておつたのですね、注意してそういうものを記憶して、何回やつたというようなことを記憶しておりませんでしたから……。こういう帳面を見るというと、私が出したように考えられるのですが、二番目の三十万円、これは私は全然知らないで、これは調達庁へたしか納めた金だろうと思うのです。これは先生のほうから報告を得ていますから。
  543. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 十月の先のことですが、二十一日の当日に七万円出て、最後に七十三万出ているのですが、これはあなたは関係ないのですか。
  544. 山下茂

    証人(山下茂君) 七十三万円……
  545. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 一番最後の十月の二十一日。
  546. 山下茂

    証人(山下茂君) これは知つております。
  547. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 これはあなたが出しに行かれたのですか。
  548. 山下茂

    証人(山下茂君) ええ、出しに行きました。
  549. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そういたしますと、三、四回出しに行かれたということは……。
  550. 山下茂

    証人(山下茂君) 間違いでございました。
  551. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 間違いで、殆んどあなたが……。
  552. 山下茂

    証人(山下茂君) 僕は大きい金額に対しては記憶があつたものですから、三、四回というような記憶があつたのですが、やはり細かいのを相当出しておつたらしいですね。
  553. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうしますと、あなたがこの通いも持つていない、判も持つていない、それにあなたが行けばこの金を銀行が何も言わずに出すというのはどうも不思議のように思うのですが、出しに行くときは、あなたはただ口で何ぼ出せと言うだけで銀行は出してくれるのですか。
  554. 山下茂

    証人(山下茂君) 最初は先生の名刺へ書いてもらつて出しに行つたわけなんです。最初二、三回は。それからあとはもう名刺なしで私がじかに取りに行きました。
  555. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 じかにあなたが名刺なしに取りに行かれたと言つておられるのですが、そのときには一々大橋君から銀行のほうに何か通知しておつて出したのですか、あなたが行けばもう無傑作で指示した金額を出すということにその後はなつたのですか、その点はどうなんです。
  556. 山下茂

    証人(山下茂君) 最初数回は名刺に書いてもらつて出したんですが、あとは書いてもらわないで行つて受け取つて來ましたですが、その間に先生が或いは連絡をしておつたかも知れません。
  557. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、この金はあなたの金でないのが、あなたが行けばどういう方法にしろ出してくれる、これはあなたはそうすると、どういう関係でこの命を、而も当時の金にすれば、八十万とか、或いは五十万とか、二十万、三十万という金は、これは大金であるのですが、それをあなたが行けば自由に出すということは、どうも私たちにはわからんことですが、その点は何かあなたと大橋氏との間に何か関係があつたのですか、そういうような……。
  558. 山下茂

    証人(山下茂君) 特別の関係といつたようなものはないのですが、最初は名刺に書いてもらつて取りに行つたわけですが、あとは銀行で信用して、先生の了解は無論得ておつたのですが、名刺を持つて行かないで出してもらつたわけですが、結局銀行に信用を得たというのですか、独断で出しに行つたわけでなくて、無論了解を得て出しに行つておるのですが、銀行としては結局信用して出してくれた、こういうふうに考えております。
  559. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その出されたお金は、大橋氏の了解を得てその都度どういう方法にしても、とにかく自分独断で出したのではない。了解を得てあなたはされたという、その出された命については、使途はどういうようなことになつておるのですか。大橋氏が何かあなたに命じてこの金を使うように言つたのか、その点はあなたがお使いになつたのか、どうなんですか。
  560. 山下茂

    証人(山下茂君) 私が商売に使つております。
  561. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その御商売はどういうような商売ですか。
  562. 山下茂

    証人(山下茂君) 自動車関係の商売です。
  563. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 自動車関係と申しましても、タイヤを売ることも自動車関係なら、ガソリン、油を売ることも自動車関係でしようし、又自動車売買することもありましようし、又部分品を売買することもあるでしようし、いろいろあるのですが、あなたはどういう商売を……。
  564. 山下茂

    証人(山下茂君) 主として自動車売買です。
  565. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 自助車の売買ということになりますと、この金の出し入れの状態から判断いたしまして、八十五万円或いは七十五万円というこの二つは、或いは当時動かないような自動車なら買えるかも知れませんが、その他の金額を見て、自動車売買に使うような金額でないと我々思うのですが……。
  566. 山下茂

    証人(山下茂君) 自動車を買つた以上、それを修繕したりいろいろな諸費用もおりますので、この場合支出がそれに充てられるわけです。自動車売買に附随した行為です。
  567. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それではこの自動車売買に使われた金は、売られた売上金はそうするとどういうことになつておるのですか。
  568. 山下茂

    証人(山下茂君) 売上金は或る場合には入金いたします。或る場合にはすぐ次のものを購入したりいたしますので、そのまま預けられない場合もあります。そういう点もやはり先生の了解を得てやつております。
  569. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この入金の通帳を見ましても殆んど出した金が、それが入金されておるという形跡がないのでありますが、最初の八十五万円にしても、その後八十五万円の入金がされておるようにも思われないのですが、最後の十月の二十一日の七十三万円にしても、同様入金された形跡がないのですが、どこにそれは入金されたのですか。
  570. 山下茂

    証人(山下茂君) あの二十五年の九月、十月ですか、十月一日、これは幾らですかた、これは……。
  571. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 百万円。
  572. 山下茂

    証人(山下茂君) 百万円ですね。これを入金しているわけですね。こういう場合もあるのですが、入金しない場合もあつたのです。それは次の品物を、例えば人に品物を売る、その下取りとして品物を買う場合がありますので、現金はそのまま品物に流用される場合があるのですね。
  573. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 十月の一日のこの百万円入金というのがありますが、これは百万円という入金はあなたが持つて行かれたのですか。入金されたのですか。
  574. 山下茂

    証人(山下茂君) 多分私だと思います。
  575. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それは現金でありますか、或いはその他の証券で入金されたのですか。
  576. 山下茂

    証人(山下茂君) 現金であります。
  577. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 現金であるとしたら、百万円というとかなりな数でありますが、これは百円札ですか、或いは千円札ですか。どちらでしようか。
  578. 山下茂

    証人(山下茂君) 当時千円札はまだ発行されておりませんと記憶しております。
  579. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、百円札で持つて行かれた、こういうことですか。
  580. 山下茂

    証人(山下茂君) そうであります。
  581. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それは記憶違いでないでしようか。
  582. 山下茂

    証人(山下茂君) 多分記憶違いでないと思います。
  583. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それからその後の入金をされておるというのが殆んどないのでありますが、結局最後の入金というものはどこへされたのですか。この高橋氏の口座以外のところへあなたの命を持つて行かれたのでありますか。或いは現金で大橋氏に金を持つて行かれたという形なんですか。
  584. 山下茂

    証人(山下茂君) 私が全部預かつておりまして、その間に相当の金額を渡しております。大橋先生には現金を渡したことはございませんです。
  585. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、その後高橋の口座にも入金もせず、そうして現金もあなたが保管されて現金で持つておられたと、こういうことに了承していいのですか。
  586. 山下茂

    証人(山下茂君) 先ほども申上げた通りに、次の品物を仕入れるとか、高橋に渡すとかいうわけで、現金を私は持つたということは殆んでなかつた、現金を持つていても一日か二日、三日ぐらい持つてつたことにあつた記憶しておりますが、すぐにその次の品物を買うために持つておるということであります。それから車が売れると同時に、その現金を高橋氏に渡した場合もあります。
  587. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで最初に戻りまして、どういうわけで一体この金を出しで、それを使うということをあなたが大橋氏の許可を得られておるのか、その点がどうも了解しにくいのですが。
  588. 山下茂

    証人(山下茂君) これは私ども商売で少し儲けたい、高橋も資本によつて利潤を得たいというような考えが一致いたしまして、結局それを一時資本目的に使用したと……。
  589. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 あなたが、高橋がこれを使用することを、商売で儲けたいからということで使われたかどうかは知りませんが、この金は特調のほうに納めるべき金であるということは、あなたは承知されておつたと思うのでありますが、その点はどうですか。
  590. 山下茂

    証人(山下茂君) 車を売買した当時は全然知りませんです。後日特調へ百万円を納める金だと、要するに車というものは特調で百万円を査定しておつ九のだと、それでその百万円は責任を持つて納めなければならないぞということは後日聞きました。
  591. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その金が高橋のものでもなければ、又あなたのものでもない、大橋氏が大橋氏の責任において完全に保管しているという金のように聞いているんですが、それをあなたに大橋氏が使うことを許したのかどうか、あなたは大橋氏からこの金を使うことを、どういうようないきさつからこれを許されたのか、この点についてもう少し詳しく説明を願います。
  592. 山下茂

    証人(山下茂君) 結局その百万円という命を納入時期まで利用して、幾分でも儲けよう、高橋氏に儲けさせてやらなければいかんという考えに基いて始めたことです。
  593. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 高橋のほうとは、この入金についての清算はされたのですか。
  594. 山下茂

    証人(山下茂君) まだしておりませんです。
  595. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 幾ら高橋氏に渡されましたか。高橋氏に金を渡したことがあるのでしよう。
  596. 山下茂

    証人(山下茂君) あります。六十三万円、三回に亘りまして渡しました。
  597. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 会計六十三万円ですか。
  598. 山下茂

    証人(山下茂君) そうです。
  599. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 三回に亘つて……。
  600. 山下茂

    証人(山下茂君) 三十万、三十万、三万円と……。
  601. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) あなたはどのくらい使つておりますか、あなたは自分でどのくらい使つておりますか。
  602. 山下茂

    証人(山下茂君) 私個人としては全然使つておりませんです。ただそれを利用した。使つたという意味は結局どういう意味ですか、仕事に使つているという意味ですか。
  603. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) あなたが、自分でその利益金を自分のものとして使つたのではないですか。
  604. 山下茂

    証人(山下茂君) 利潤は大してなくて、現在ある品物が売れないので困つているんですが、これは売れなければはつきりした利益金というものはそこに計上できない。
  605. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そうすると、一部は品物としてあなたの手許にある。
  606. 山下茂

    証人(山下茂君) そうです。
  607. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それから一部というのは六十三万円が高橋氏に三回に亘つて渡した、こういうことですか。
  608. 山下茂

    証人(山下茂君) そうです。そしてあと三十万というものは……、特調へ、六十万というものは特調納入しているわけです。結局百二十三万というものは私の手から離れているわけです。それで車は百三十三万で売れましても、それはそのまま報告してあつて、修繕費とか、私の利益とかというものは全然そこに計上されていないわけなんです。ですから手渡しの金額は恐らく百十万か百十五万くらいになる、それも結局最後の決算において清算は……。
  609. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 手渡しの金額が百十万か百十五万になつているというのは……。
  610. 山下茂

    証人(山下茂君) 結局百三十三万に売れておりますから、車はこのうち修繕費とか車庫費とか、私の手数料であるとか、そういうものを引きますと結局百十万くらいになるわけです。その点を高橋さんとはつきりした打合せをしていないのです。結局最後的に損をすることもあるし、得をすることもあるということで、まだはつきりした清算はつけていないわけです。
  611. 栗山良夫

    ○委員外委員(栗山良夫君) 一番最初のところが、私ちよつとわからないのですが、七月の七日に三万円、八日に八万円、七月十九日に百三十九万円と、こういうふうに三回にお切りになつているんで、先ほどのあなたの御証言内容と大分違うように思いますが、これはどういうことでございましようか、それから残高を見ますと七月十九日で百五十万円に一応なるわけですが、最初の元金のところが大分違うと思いますが……。
  612. 山下茂

    証人(山下茂君) そういう疑念がございます。その疑念は高橋氏に私は五十万円個人的に借りたことがありまして、その金は一緒になつておりますから、少し算盤が合わないと思いますけれども、五十万円は現金で私は借りたことがあります。それは私と高橋氏の関係で借りたのですから……。
  613. 森八三一

    ○森八三一君 今の高橋氏から五十万円お借りになつたのはいつ頃ですか。
  614. 山下茂

    証人(山下茂君) 五十万円借りましたのは九月頃だと思います。
  615. 森八三一

    ○森八三一君 二十四年の九月ですか。
  616. 山下茂

    証人(山下茂君) はつきりした記憶はないのですが、たしか九月かその頃じやないかと思います。九月か八月末……。
  617. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) その五十万円という金は、ここに預入れになつておるわけですか。
  618. 山下茂

    証人(山下茂君) これは殆んど預入れておりませんです。多少そこに預けたりする何は……。
  619. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) その五十万円を、高橋氏から借りた金はここに、入金のうちに入つておるのですか。
  620. 山下茂

    証人(山下茂君) この中には結局品物を買つて、その売上げた金をここに納入したような場合もあるのですが、その金として別個に預けたというような何はないのです。
  621. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そうすると何ですか。これだけの金を、自動車を売つた金を預入れて、あなたが出し入れしておつたが、高橋氏の間にその金についてはつきりした清算はされておるのですか。
  622. 山下茂

    証人(山下茂君) まだ利益金の清算はしておりません。
  623. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 今日に至るまで……。
  624. 山下茂

    証人(山下茂君) そうです。
  625. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それであなたの手許に品物として残つたり、或いは現金として清算しておらんのですか。
  626. 山下茂

    証人(山下茂君) 現金は全然ないので、品物が一部、業者と持つて出し合つてつたやつが現在売れないで、買つたということよりは自動車会社に投資しておるわけですが、それはまあ幾らでもないのです、残金は。それらの利益が挙ればそれが利益になるわけです。
  627. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 一部はそういう形であなたのところに残つておるわけですね。
  628. 山下茂

    証人(山下茂君) 投資という形で残つておるわけです。
  629. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 高橋氏のほうからは、清算をしてくれというような催促はないのですか。
  630. 山下茂

    証人(山下茂君) ときにはありまして、清算ということよりは、三十万円欲しいのだとか、或いは二十万円欲しいのだというようなことを先生のところに言つて行かれて、そうして先生のほうから出せという命令を受けて、私は出しておつたのです。これは特調に納める金と私は考えておつたのです。
  631. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そうすると、この金というものについての、現在金を管理しておるという人はやはり大橋さんですか。あなたは出し入れしていたが、結局命を管理しておるのは……
  632. 山下茂

    証人(山下茂君) 事実上私が結局持つておるのですから、管理というふうになりますか、どうでしようか、持つでおるのは私で、管理しておるのはやはり先生ということになりますかな、その辺の限界ははつきりそうむずかしく考えたことはないのですからね。
  633. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 併し、一体誰がこの金は責任を持つて使つておるかということになると……。
  634. 山下茂

    証人(山下茂君) 結局私が責任を以て預かつているということになりますかね。併しこのモールスの代金に対しては、もう殆んど百二十万というものは支拂い済みになつております。ただその五十方という個人的な貸借はあるわけです。
  635. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) すると大橋……。
  636. 山下茂

    証人(山下茂君) 清算すれば結局、四十万くらいの残を私が管理していることになりますね。利益金というものは別個に扱つてですね。
  637. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 併しその金については、大橋氏のやはり許可を得なければいけない、渡せないとかいろいろなことがあるのですね。
  638. 山下茂

    証人(山下茂君) その百万円に対しては、大橋先生の責任額で、五十万円というのは私が高橋さんから直接借りた金で、何ら先生の関知するところでないと考えるわけです。
  639. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それは併し、五十万というのはこの中には入つてないのでしよう。それは全然別の問題でしよう。
  640. 山下茂

    証人(山下茂君) 結局ですね、この中で或いは預金に一緒に放り込んだかも知れません、一部をですね。そのほかの確然たる何はないのです。例えば先生のほうの五十万と私の借りて来た五十万のうち三十万を利用して車を買つた、その売上金をそのまま放り込むようなこともありますから、私としてはまあ結局モールスの売上げ代金と五十万というものは、もう私が借りちやつているわけですから、私の腹勘定ではまあ一緒くたになつているわけですね。百八十何万というものを結局私がはつきり預かつているというような形になつておる。併し内容を言えば五十万というものは別個の金なんです。それはこの預金の中にも幾分含まれている。
  641. 森八三一

    ○森八三一君 もう少しはつきり一つつておきたいのですが、その高橋さんから山下証人がお借りになつた五十万円というのは、この出し入れに関係がありますか、ありませんか。
  642. 山下茂

    証人(山下茂君) ですから今申上げた通りですね、仮に車を一台買うと、片つ方は五十万円出して片つ方から三十万出す。それで車を買う、それを売る、売上げをそのまま銀行に預けたというような場合もあるわけですから……。
  643. 森八三一

    ○森八三一君 それではもう一遍……。
  644. 山下茂

    証人(山下茂君) 多少ここに混同されているわけですが、私の借りた金を全然別個に扱つてないのです、今のところは……。
  645. 森八三一

    ○森八三一君 それではもう一つお伺いいたしますが、只今自動車の売上げ代金が百三十三万円と、高橋個人から別に借りたのが五十万円、合計百八十三万円、その百八十三万円は現在どういうようになつていますかを御説明願います。
  646. 山下茂

    証人(山下茂君) 自動車の売上げ百三十三万のうち、修理費、車庫費、それから私の手数料、そういつたのを引きますと、結局百十万か十五万、これはまだ高橋さんと折衝して清算してないのですが、大体百十万か十五万と、それから個人的に借りた五十万と、結局百六十五万ぐらいの金を私が借りたんです。でそのうち百二十万というのは高橋氏に渡してあるわけです。特調へその金が幾らつているか、そういうことは私の知つたことじやないのですが、とにかくそれは入つているわけです。残金に対しては現在虎の門自動車に投資しておりまして、品物がまだ現金化していないというような状態であります。
  647. 森八三一

    ○森八三一君 それは幾らくらいですか。
  648. 山下茂

    証人(山下茂君) それは結局四十万ばかりの資本が投入されているわけです。約四十万……。
  649. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、この高橋さん名義の預金の出し入れというものは、五十万円の問題は明確ではありませんが、自動車の売上げ代金とその五十万円が含まれておるか、含まれておらんかは判明はいたしませんが、それ以外にこの金の出し入れに関係したものはないというふうに承知いたしましてよろしいですか。
  650. 山下茂

    証人(山下茂君) もう一度御説明願います。
  651. 森八三一

    ○森八三一君 この普通預金の出し入れにつきましては、自動車の売上金百三十三万円、個人でお借りになつた五十万円と、それ以外にこの出し入れに関係を持つた金の関係はないというふうに理解してよろしうございますか。
  652. 山下茂

    証人(山下茂君) 間違いありませんです。
  653. 森八三一

    ○森八三一君 もう一遍お伺いいたしますが、証言を願つてはつきり誓約をされて言つておられますので、あとで記憶間違いがあつてもいけませんと思いますが、絶対にこの普通預金の出し入れには他に関係がないと、大体計算は合うようでありますが、そういうふうに確言されてよろしうございますか。
  654. 山下茂

    証人(山下茂君) 帳面を見ませんと、しつかり算盤をとつて見ませんと確言できません。
  655. 森八三一

    ○森八三一君 その金額のところは、私は多少の入りくりがあると、五十万円の関係において明らかでありますが、この内容関係をしたものとしては他に関係を持つ財源とかいうものはないということを確言できますかどうか。
  656. 山下茂

    証人(山下茂君) それはできます。他に財源は全然ありません。モールスの売上げ代金と五十万円以外には、これに全然関係はありません。
  657. 森八三一

    ○森八三一君 そういたしますと、十月一日の入金百万円は、前の売上命をここへ預金した、こういうことになるのではないかというふうに思いますが、そういうことになると理解してよろしいのか。なお、この金は先刻の他の委員の御質問の際に、現金で預入をいたしましたという確言もあつたのでありますが、現金でお持ちになつたといたしますれば極めて明確でありますので、自動車の売上げ代金を運転して来て、この時期になつて一応現金で預けたというふうになるかと思いますが、如何でございましようか。
  658. 山下茂

    証人(山下茂君) もう一遍、どうも少し頭が悪いので……。
  659. 森八三一

    ○森八三一君 十月一日の預金百万円は、現金で持参したという証言でありました。ここで現金の預入があつたといたしますれば、それは自動車の売上げ代金を七月以降運転して来て、ここで余裕ができたから預入をしたということになる以外に、他に関係する財源がないとすればそういう結果になると思いますが……。
  660. 山下茂

    証人(山下茂君) 余裕ができたというのじやなくて、やはり一時受取つた金を、仮に百三十万の車を売つた、百万円の金が入つた、百万円それでは銀行へ一応預けておくというようなことがありますし、それから又金を受取つたやつを、そのまま百二十万受取つた……。百万円で車を買つて二十万だけ現金を銀行に預けておくということもあるわけですね。一々記憶がないのですよ。二年ぐらい前のことですから、これに関して細かい説明をするというのはちよつと無理でございます。
  661. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 証人に簡單にお伺いいたします。何回にも亘つてのことで記憶がないと思いますが、大体のところだけお伺いしたいと思います。入金は総体で三百四十万円になつておりますが、その中の、七月の四日から五日に三十万円出して、八日から十一日に亘つて又三十万円入つているが、これは一時出し入れとしてそれを引きますと、三百四十万円くらいな納金になつております。その三百四十万円の中から三十万円引いた三百十万円の、残りの現金の尻尾は一体どこに行つているかということを、大ざつぱでよろしうございますが伺いたい。それは車を八十五万円で買つて、それからそれに伴つて修繕費、車庫費というものを入れても、大体百万円ぐらいに考えれば二百十万円ぐらいの現金というものがここに残るわけであります。それが高橋大橋特調へ三十万円ほど行つておる。そこで証人の分は、およそどの程度にそれが一応配分されておるか。清算のことは別でございますが、それを大体でよろしうございますが、お伺いしておきたいと思います……。
  662. 山下茂

    証人(山下茂君) 三百幾らとおつしやいますが、そういう計算になるかどうか知りませんけれども、出したり入れたりするのですから、そういつたような計算になると思います。どういう点を説明すればいいのか、はつきりまだあなたの御質問が私つかめないのですが、しよつちゆう売つたり買つたりしておりますから、どうしても出し入れば二百万や三百万の金になります。結局百万円の金だつて三回出せば三百万円になり、その代り入れれば三百万円になる。出したものも三百万円になり、入れたものも三百万円になる。回を重ねれば重ねるほど元金が減らない以上は金額が殖えて行きます。
  663. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私が証人にお伺いしたいのは、非常に出し入れの回数も多いから細かいことはおわかりにならないと思うが、大体三百四十万円入つて、そのうちで自動車を買つて、それに伴つて修繕費とか、車庫費に使つたのはおよそ百万円ぐらいで、それが事業費命として運転して来たということになれば、あと二百四、五十万円の現金が、高橋大橋特調とあなたと一応どの程度に配分されておるかというので、その後どう使つたかというような細かいことでなく、その辺のおよその勘定ぐらいはおわかりになるんじやないかと思います。
  664. 山下茂

    証人(山下茂君) 先ほど申上げた通り高橋に百二十三万円渡しておるわけであります。そしてあとの四、五十万円という金はどこかに投資しておるわけであります。結局モールスの売上げ代金の百三十万円というものは、私の利益とか修繕費、車庫費というものに佛われ、百十万円か百十五万円になるわけで、それに五十万円借りておつたから、皆で百六十万円ぐらいの金になるわけで、そのうち百二十万円というものは高橋の手に渡つておるわけで、あと四、五十万円という金はどこかに投資されておるわけであります。
  665. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつと十分ばかり休憩いたします。    午後五時四十七分休憩    —————・—————    午後五時五十九分開会
  666. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それではこれより再開いたします。
  667. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 本日は、もうすでに時刻は六時でございますので、まだ溝口委員の質疑も半ぱでございますが、時間も非常に遅くなつておりますので、私もまだ証人に対してはいろいろ質疑が残つているのでありますが、時間の都合上、本日はこれにて証人証言を終つて委員長から適当な時期にもう一度、必要に応じて証人を喚問されるということにいたしまして、本日はこれにて終りたいと思いますが、各委員に対してお諮り願いたい。
  668. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) カ二エ君の提案に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  669. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それでは本日は……。
  670. 小林亦治

    ○小林亦治君 保留ということでなく、本日のところはこれでいいのじやないですか。一応これで打切つて必要があれば新たにやるということにして、まだ残つておるのは完結しない、証人証言も結論を出さない。そういつたやり方でなく、全部又改めて必要あれば新たに喚問する。残つておると何となく妙なものになるでしよう。そうでなく今日は今日で打切つて、これでよろしいということにせんと問題が残ると思いますが……。
  671. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今の小林君の提案のように、一応本日はこれにて散会を願つて、そうして必要あれば改めて喚問をして頂く。そういうことに一応形式をとつて散会をして頂きたいと思います。
  672. 小林亦治

    ○小林亦治君 そのようにお願いしたいのでございます。
  673. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それでは、只今の小林君の御提案に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  674. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それではそういうことにいたします。これで散会いたします。    午後六時三分散会  出席者は左の通り。    委員長     棚橋 小虎君    副委員長    溝口 三郎君    委員            廣瀬與兵衞君            カニエ邦彦君            小林 亦治君            岩男 仁藏君            森 八三一君    委員外委員            栗山 良夫君   事務局側    常任委員会專門    員       森 莊三郎君    常任委員会專門    員       波江野 繁君   証人    元足利工業株式    会社社員    高橋 政雄君    元足利工業株式    会社社員    羽鳥 元章君    元太平商工株式    会社社員    藤原 英三君            山下  茂君