運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-12-15 第10回国会 参議院 決算委員会公団等の経理に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月十五日(金曜日)    午後一時三十五分開会   ————————————— 昭和二十五年十二月十日決算委員長に おいて、小委員を左の通り指名した。            小杉 繁安君            仁田 竹一君            廣瀬與兵衞君            カニエ邦彦君            小林 亦治君            棚橋 小虎君            常岡 一郎君            溝口 三郎君            加賀  操君            岩男 仁藏君            深川タマヱ君            森 八三一君 十二月十一日副委員長互選の結果左の 通り決定した。    委員長     棚橋 小虎君    副委員長    溝口 三郎君   —————————————   本日の会議に付した事件特別会計政府関係機関及び終戰処  理費経理に関する調査の件  (昭和二十三年度会計検査院決算検  査報告批難事項第三百九十七号足利  工業株式会社に対する二重煙突代金  支拂及び之に関連する事項の件)  (右の件に関して証人証言あり)   —————————————
  2. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 只今から決算委員会公団等経理に関する小委員会を開会いたします。本日は前国会に引続きまして証人のかたの出席をお願いしております。それでは早速昭和二十三年度の決算検査報告第三百九十七号に関する件について証人から証言を求めたいと思います。先ず証人の御宣誓を願います。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣誓書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 川田 三郎    宣誓書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 三浦 義男
  3. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それでは川田証人のほうから証言を願いますから三浦証人はちよつと外でお待ちを願いまして……それでは川田証人に御質問をお願いします。
  4. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 二重煙突の過拂いに関して、この事件の当初いつ頃から証人関係されておつたか先ずこの点を伺いたい。
  5. 川田三郎

    証人川田三郎君) 私は昭和二十四年の一月四日から特別調達庁に勤務するようになりました。発令は昭和二十三年十二月一日付でありますが、当時前任務地職務整理を命ぜられまして、着任いたしましたのは一月四日からであります。従つてこの二重煙突支拂いにつきましては関與しておりません。
  6. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 大橋武夫氏との関係はどういうような関係知合つたのか、それはいつ頃から知合つているか、そして、どのくらい話合をしたか、そういう点について伺いたい。
  7. 川田三郎

    証人川田三郎君) 大橋武夫氏と知合いましたのは、私が着任後高橋専務としての立場で私に始終折衝はありました。その督促をしている間に大橋名前も出ました。いつ出たかと申しますと、大橋自動車を預けたというときからこの事務に関連しまして大橋氏の存在を知つたわけであります。併し私と大橋氏の知合い関係という意味合におきましては、極く稀薄でありまして、その徴収事務関係いたしまして大橋氏に交渉を持つようになつた次第であります。
  8. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それはいつ頃のことで……最初ですね自動車大橋氏に預けたというようなことを誰から聞かれたか、そしてそれがいつ頃であるか、その後大橋と何何くらい、いつですよ、いつ、何回くらいどこで会つたか。
  9. 川田三郎

    証人川田三郎君) 最初自助車のことを聞きましたのは、はつきりは覚えておりませんが、昭和二十四年の五月であつたと記憶しております。その後自動車のこと及び株券のことがありまして、六月以降日も回数も明確には記憶しておりませんが、六月の中旬に三浦監事の部屋で会つております。その後私が大橋氏と特別にどこか約束をして自分事務室に来て頂くということはございませんでした。ただたまたま大橋氏が特別調達庁加賀ビル庁舎見えたときに、三階にありました私の席へ一度はお見えになりました。日は覚えておりません。その後も直接大橋氏と私がお自にかかりましたのは、現在の大手町の仮庁舎になりまして、そこの庭で丁度他へ御訪問になつた場合でありましよう、大橋氏がタクシーに乗ろうとしておるところで一度お目にかかつたことがあります。それだけです。
  10. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 証人大橋とは特別調達庁に入られた前は御関係はなかつたのですか。
  11. 川田三郎

    証人川田三郎君) 関係というものはございません。併し顔見知りの間柄ではございました。どこでと申しますと、私は大蔵省から建設院終戰処理費関係課長として転出いたしました。その際勤務しております間に大橋氏が建設院に御来訪になつたときに、私のおります特別建設局監督部第一課にもお見えなつたことがあります。そのときあのかたはどなたかと係の人に開きまして、元の復興院次長をしておられる先輩であるということを聞いて、私はただ敬意を以て見ていただけでありまして、特別にその当時私と大橋氏との間には公私とも何らの交渉はございませんでした。
  12. 小林亦治

    小林亦治君 証人は二重煙突支拂いに関しては何も知らないとおつしやつておるようですが、この支拂いというのは漠としておるのですが、支拂いに関して何も知らないというならば、この過拂いについての決裁について何か事務的にあずかつたことがあるかどうか、それを聞かしてもらいたい。
  13. 川田三郎

    証人川田三郎君) 私は支拂いに至るまではまだ着任しておりませんので、関與していないと申上げたわけです。知らないということは……その後その衝に当りました当時の支拂い経過等につきまして調査いたしましたから、知らないということは申しません。
  14. 小林亦治

    小林亦治君 その過拂い……。私の伺つたのは過拂いについてですね。決裁について何か事務的に坂扱つたことがあるかどうか。その範囲をお伺いしたいのです。
  15. 川田三郎

    証人川田三郎君) 只今のように関與しておりませんので、過拂いについての決裁については何も私は関係しておりません。
  16. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこでその過拂いについては関與しておられないと、ところが過拂いが行われてからですね。これを取立てるということについてこの事件に関與されたのはですよ。着任された二十四年の一月の四日早々からこの問題に関與されたのか。いつごろからこの過拂いができたことをお知りですね。そうしてこれの取立てに関與されたのか。その点を伺いたいと思います。
  17. 川田三郎

    証人川田三郎君) 二十四年の一月の中旬と記憶しております。経理局出納課長からこういう過拂いが起つておるので、この徴収対策をどうしたものであろうかということが、経理局長のところに御相談がありまして、当時私は着任した早々ではありますが、従来の事務の経験上、これは次長が主としてやつたらよろしかろうということで、経理局長は私にその事務課長への指揮を命ぜられました。ですから一月中旬に知り、その後の動きは経理局長の命令によりまして、包括的にこれは計画を立ててやつたのであります。
  18. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつと伺いますが、証人が初めて就任されたというのは特別調達庁のどういう地位ですか。
  19. 川田三郎

    証人川田三郎君) 経理局次長であります。
  20. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 経理局次長……財務部長というのは、現在は財務部長ですが、これはどういうことになるのですか。
  21. 川田三郎

    証人川田三郎君) 最初私は経理局次長として就任いたしました。その後日は今思い出せませんが、官制が変りまして、経理局という局名経理部と変りました。元の経理局次長経理部長になり、私の経理局次長経理部次長となりました。その後経理部長大蔵省に戻られまして、配炭公団に変られました、そのあと襲つて私が経理部長になつております。それは二十四年の九月十四日付と記憶しております。その後昭和二十五年四月一日から……或いは六月であつたかもわかりませんが、従来特別調達庁として官庁でなかつたものが官庁になりました。と同時に従来の本庁と申しますものが、本庁というのはやはり同じことではありますが、内部的の職務権限が変りまして、中央官庁的の部分だけが特別調達庁という名前になりました。元の特別調達庁実施部面、在京の地方庁に当る部面東京特別調達局となりました。従つて私は中央官庁の面の予算管理を行う。そこで職名も変りまして特別調達庁財務部長曾つて特別調達庁経理局長乃至経理部長職務はその一部が東京特別調達局経理部長、これに移つて参り、現在の財務部長職務は従来の特別調達庁中央面部分と、最近におきましては大蔵省理財局のやつておりました終戰処理費行政大臣面部分内閣総理大臣に移り、それの担当部局といたしまして財務部はそれを所掌する。かなり複雑ではございますが、そういう経過を経ております。
  22. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そうしますと、御就任以来ずつと特別調達庁経理方面責任者としてやつておられたのですか。
  23. 川田三郎

    証人川田三郎君) お答えします。経理局次長乃至経理部次長経理局長乃至経理部長補佐者であります。経理部長以降はそれぞれの所管の歳入徴収官支出官という意味合責任者になつております。
  24. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで二十四年の一月の中旬頃からこの二重煙突過拂いに対してさしずめどういうような徴収方法をとられたのですか。
  25. 川田三郎

    証人川田三郎君) 先ず会社内部財産状態がどうであるか、最も手近なところでは年末に拂われました現金が今どうなつておるかということを、一月の頃現在で調査正に当りました。それからこの徴収をするのに国として如何にすればこの徴収金を確保できるかということを内部相談はいたしました。直ちに強制徴収をする、即ち訴訟に移しまして強制執行手続によるということも考えられたわけでありますが、一般の国の過拂金民事債権でありますために、現在でもそうでありますが、過拂金が生ずると同時に、すぐ強制執行手続に移すということは愼重を要するという、いわば一つの慣例もございました。併し足利工業の場合は多額の現金が行つているので、訴訟手続によることが先ずいいのではないかと考えましたから、これは経理局長又総裁総裁の線、私を加えて協議されまして、それで差押をしたら今幾ら取れるだろう、そうしますと今の銀行方面に拂込されたという金も、銀行側の証明に基きますれば二百万円ぐらいしか残らない計算になります。それも社長が引出しているというお話がありまして、又会社物件もその後の折衝で明らかになりましたが、その当時としては直ちに換金されるものがない、これではいわゆる差押を行うよりも、一面において特調側の他の契約による足利工業株式会社支拂金を押える、これが一つ、それから物的に確保することよりも、人的に会社の解散に備えて連帶保証を取るほうがよかろうということになりまして、人的にはいわゆる網をかけるという状態なつたわけであります。併しこれは従来の例から申しましても、或る会社が国に債務を負いました場合なかなかそこの責任者が連帯保証するということは肯んじるものではございません。併しこれを私は強力に主張いたしまして幸いにこれは連帶保証を取ることができたのであります。その後の徴収工事代金債務への充当ということでありますが、これも本人請求いたしませんと国としても支拂う段階にならないのであります。如何にして本人がみすみす国に取られる金を請求するか、当時法律第百七十一号というのが施行されておりまして、これに基く請求明細書一般の業者が書くことを嫌つたのであります。それを書かせて、且つその小切手を直ちに国への歳入とさせるということはなかなか困難でありますが、その方針をとりまして実行に移したわけであります。
  26. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつと伺いますが、その個人連帶保証をさしたというのは、そういう契約をなす場合ですね、それはいつのことですか。
  27. 川田三郎

    証人川田三郎君) お答えいたします。個人連帶保証をとりましたその時期は三月の下旬頃……。
  28. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 本年のですか。
  29. 川田三郎

    証人川田三郎君) 昭和二十四年の三月の下旬頃と覚えております。その関係書面を見ましたが、日付が入つておりません。併しその文面中に……三月の下旬は私の記憶違いでありました。その誓約書文面の中に三月十日までに金を入れるということがございます。それから推定しまして二月下旬であると考えております。証書をとりましてから十日ぐらいが当時の誓約に従う第一回の金の納入ということになつておりました。そう記憶しております。
  30. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 二月下旬までに金を入れると……どのくらいの傘を入れるというわけですか。
  31. 川田三郎

    証人川田三郎君) それは社長が五百万円を入れるで、こう書いてあつたと記憶しております。
  32. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 社長保証してですね。
  33. 川田三郎

    証人川田三郎君) はい。
  34. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それから第二の小切手会社債権をこちらが取るというのですね。
  35. 川田三郎

    証人川田三郎君) お答えいたします。会社債権を取りますのは、これは委員会のほうに資料として提出してあります表でおわかりになるとは思いますが、最終が十一月の末に漸く取れる、三口ございまして、特別調達庁の分が三口ありまして、最初の分が夏の頃、それからその間にもう一つありまして、最終が十一月頃、これは今のように請求書を出させて請求をさしてやつたわけであります。その間にもう一口群馬県で足利工業株式会社が請負つておりました工事代、そのほうの請求もいたさせまして四口、工事代金を取つております。これは取ると申しましても、一旦請求をさせまして、その小切手を国庫へ改めて納入させる、こういう手続であります。
  36. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 全体の四口というのは合計金額はどのくらいになりますか。
  37. 川田三郎

    証人川田三郎君) 特調分合計はここに調べてありますが、三百八十三万三千三百三十九円二十四銭、これが特調分の三口、それから群馬県庁から取りましたもの、今ここに数字を記憶しておりませんが……。
  38. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それは合計ですか。
  39. 川田三郎

    証人川田三郎君) 三口の合計です。特調分合計あと群馬県庁から取りましたのがもう一口でございます。
  40. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それは群馬県庁から取つた分というのは幾らになりますか。
  41. 川田三郎

    証人川田三郎君) それは委員会のほうに出しました表がございますのですが……。大体の金額は覚えておりますが、七十九万円と思います。
  42. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 七十九万円ですね。
  43. 川田三郎

    証人川田三郎君) それではその返納額金額あとから資料で差上げたいと思います。
  44. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) これは連帶保証契約の分とは別個ですか。
  45. 川田三郎

    証人川田三郎君) 連帶保証とは別であります。足利工業株式会社としてのいわば債務者本人の納金です。
  46. 小林亦治

    小林亦治君 先ほど証人が二十四年一月中旬、会社のほうを調べたところが、銀行関係は当つて見ると、二百万円ぐらいしかなかつたと、こうおつしやるのですが、それは現金ですか、物的な財産のほうを調べたのですか。
  47. 川田三郎

    証人川田三郎君) 物的財産のほうも調べまして、そして寮でありますとか、借家権のある店舗でありますとか、そういうものの存在は認めたのであります。
  48. 小林亦治

    小林亦治君 そのほうの推算額はどのくらいありましたか。
  49. 川田三郎

    証人川田三郎君) その推算額は、当時別に幾らという評価もまだできなかつたわけです。そういうものがあるということ、それを直ちに換価するということも国の権限ではできませんので、早くそれらを処分して提供するように、申しまして、向うも会社側、及び連帶保証に立ちますものも、それぞれそうしたものを処分して納入する、納入計画の根拠としてそれを示しております。
  50. 小林亦治

    小林亦治君 おかしいですね。大体調べたならば、その財産額がどのくらいあるかわからなければ物的責任を負わせるよりも人的責任というようなハイカラな文句が出ないように思うのですが、私らが考えて見まするに、先ず何よりも物的保証をさせることが有力な担保を掴むことになるのであります。人的責任というのは余ほど信用のある立派な人間であつて初めて人間としての担保力がある。本件の場合はこれはもう老獪にして杜撰なことに有名な御本人社長になり、専務になつておるのでありまして、こういう人物を調べたならば殆んど担保力の価値のない人間であることは瞭然でありまして、そうい人間を殊更に持つて来て連帶保証責任を負わせて、物的責任のほうは、担保力のほうは価格を当つて見なかつた。高々調べたのは銀行に預けた二百万円ということはちよつと受取れない。つまるところその調査が緩慢であつたか、或いは杜撰であつたかというような疑いを生ぜしめるのです。ぎりぎりのところで人間連帶責任を負わせるということはこれは物的資力がない場合であつて本件の場合はあつたかも知れないのでありまして、調べたならば大体どのくらいの程度つた。その財産で足らないので人的な担保とこういうふうにならなければ私どもは納得できないのです。その点調べなかつたことについて手落ちを感じておるのか、そうでなければ調べた結果が非常に少なかつた、何とも止むを得ず肯んじがたいところの人的責任を両名に負担させたんだというのでなければどうも常識に合わないのですが、そういう点を明らかにしてもらいたいのです。
  51. 川田三郎

    証人川田三郎君) 仰せのように直ちに物的の抵当権というものを設定いたしますれば明確になり、なお且つその上でも人的保証は要求できたのでありまして、人的保証をとつたからといつて物的の物を押えなかつたことはよいのだとはこれは申せないと存じます。ただ当時本人たちもこれを自分の手で換価すると申しております。それを信用したわけでございますが、私のほうから見ますれば、そうした不動産処分すること自体の価格の概算は百万円であると申したり、七十万円であると申したりして本人なりの評価はしておりました。それが直ちに客観的に幾らのものであるかということは掴みがたかつたわけであります。又最も的確に抑え得るものとして自分自身の拂う金乃至は他の工業団体が拂う金、そういうものを抑えるほうがいい。これは抵当をとるというわけに行きませんで、実際の支拂いを進めまして、差引いて行く、こういうふうに考えたのでそのほうに力を入れましたために、物のほうは本人がその国にやつて来るのを待つて非常に督促はしております。その点は証人といたしまして、当時そういう判断をして抵当権は設定をしなかつたという事実は認めますが、当時といたしましてはそのほうが実質的には得策であろう、こう判断いたした次第であります。
  52. 小林亦治

    小林亦治君 そうすると何ですか。調べても本人の説明によれば、百万、或いは七十万ということで微々たる財産であつたために不動産に対する担保権はとらなかつた。その代り会社債権、つまり支拂債権についての支拂い督促してそこから差引くという方法をとつたと、こういうふうに聞いてよろしいのですか。
  53. 川田三郎

    証人川田三郎君) さようでございます。
  54. 小林亦治

    小林亦治君 それからこの前の小委員会のときに高橋証人特調川田次長田中社長が預けたところの五万株というものの中から三万五千株を返してもらつたと、こういうふうに証言しておるのでありますが、そういう事実があつたかどうかですね。先ずそれをお伺いしたいのです。
  55. 川田三郎

    証人川田三郎君) 株を高橋に渡しました事実はございます。田中社長が預けた株を渡したというのは、高橋証人がそう申しておりますならば思い違いではないかと存じます。株は当時の誓約によりますと、保証人立場として田中社長が一万五千株会社提供をする、高橋専務は三万五千株会社提供する、そこで出ました五万株、端株の関係で五万三十株、会社から特調提供になつております。それを高橋自分は三万五千株を提供しておるが、株の値の悪いところで特調が売つてしまつては困る、自分としては五百万円という金を会社のために提供すればよいのであるから、値頃のいいところで売りたいと思う。又それが売れれば自分は五百万円の負担部分は早く済ませたい。で株を渡しましたのは昭和二十四年五月六日でございます。この日は丁度東武鉄道株式会社の株の相場が従来よりも高くなりまして、先行き高い状態にあつたのでありますが、この先行きのいいところで今渡して自分処分させてくれれば社会にも有利であるし、官庁のほうにもそれだけ早く回収がつくではないか。又自分会社負担部分が株によつて余計に軽くなる、こういうことで必ず金はそれだけ入れるからということで私は高橋にその株を渡したのでありますが、その際、いやしくも実質的の損保として会社のために保護預けをしておる証券でありますから、これが高橋によりまして、会社のために特調に納付にならないようなことでは困ると存じまして、第一に八千代証券という証券会社を指定いたしました。なぜ指定したか、この……。
  56. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつと待つて下さい。そこのお話に入る前にですね、ちよつと伺つて置きたいのは、初めの連帶保証の、個人連帶保証した五百万円の債務支拂いについてですね、特調としてそれを支拂保証はどういう方法をとられたのですか。それから先に伺つて置きましよう。連帶保証の五百万円で過拂金弁済をする重役個人連帶保証でそういう契約をしたのですね。その支拂い保証についてはどういう保証があつたわけですか。
  57. 川田三郎

    証人川田三郎君) これは連帶でありますので、会社が納めない場合は納める。又同時に当方から請求ができます。会社側が持つて来ない場合は連帶保証人に対して納める。
  58. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それはわかつておりますが、五百万円をただ拂う、人的保証支拂いをするという程度のことであつたのか、それとも何か支拂い保証するために物件提供するとか、何かそういう方法をとられたのですか。
  59. 川田三郎

    証人川田三郎君) 支拂い保証するために物件提供するという契約にはなつております。自分はしかじかの財産を持つておる。それを処分して自分負担部分会社のために拂う。こういうことでありまして、自動車とか寮とか、それから株券もございました。私のほうでは、自動車も預かつてくれと言われたのですが、自動車は預かることを断りました。又株券も、官庁といたしまして代物弁済とか乃至は証券納入という方法が認められておりませんので、止むを得ず会社に代つて銀行保護預けをして、そうして一定のときに証券会社を通じて会社に代つて売り、その代金納入に充てる。物的のものを提供はさせておりませんが、株券だけがそのような関係で事実上保管をしたということになつております。
  60. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) その株券東武鉄道株の五万株ですね。
  61. 川田三郎

    証人川田三郎君) 東武鉄道株の五万三十株です。
  62. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) その株券はどこか銀行保護預けをしておつたのですか。
  63. 川田三郎

    証人川田三郎君) 大阪銀行日本橋支店、これは当時の徴収をやつておりす出納課がその進物の一部を借りておつた銀行であります。つまりすぐ隣同士銀行保護預けをしたのであります。
  64. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) これは誰名義で預けたのですか。
  65. 川田三郎

  66. 小林亦治

    小林亦治君 そうすると法律的な担保より以上に強いところの担保なわけで、つまり特調が預かつたと同時に、特調の名において保管銀行にこれを保管させた。それを処分する場合には特調の手を経て処分するのだ、いわば会社並びに会社組織者より処分権を奪つた形になつて、この五万株を預かつたわけですか。そうすると会社の何人が来てももう渡さない。処分する前はこれは渡されないわけですが、これを渡したのは迂濶なことではなかつたのですか。
  67. 川田三郎

    証人川田三郎君) 今お話のように処分権を奪つたというところまでは行つておりません。会社内部にある提供財産の散失を防ぐ意味合におきまして、会社に代つて保護預けをいたしましたので、会社自身処分権は留保されております。又私のほうも、会社と、その処分に際して一応の連絡をつければ処分ができた状態であります。これはやはり差押財産ではございません関係上、いわゆる競売のように安く売つた場合には、会社側から異議を言われる慮れがあつたわけでありまするが、そのときの株でございますから相場が立つてその相場によつて売るということは会社側と私のほうで実行する場合には了解が必要であるような関係になつております。
  68. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつとその前に伺いますが、その株を証人名義で大阪銀行の日本橋支店に保護預けをしてそれは処分されたんですね。その後処分されたとしましたならばどういうふうに処分されたか、その経路をお話願いたい。
  69. 川田三郎

    証人川田三郎君) 今の五万株のうち三万五千株は高橋専務自分の手で処分して拠金して入れると申して、高橋専務の手で持ち去られまして、その後その分として私どもは受取つたわけでありますが、三十万円入つたきりであとは入らない。その後高橋に対してはそのときの約束に違うのでこれを追及しておりまするが、未だにこれが入つておらない状態であります。他の……。
  70. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつと待つて下さい。高橋専務が三万五千株を持ち去つて処分をしたというのはそれを持ち去るについて預け人の名義人である証人との間にはどういう経路があつたのですか。
  71. 川田三郎

    証人川田三郎君) 持ち去るに際しまして高橋自分会社提供している株である、これは自分立場からすれば提供額がその売拂値段によつては多くなるが少くなるかという分れ目であるから、今自分が持つて行けば高い取引ができる。今日渡してくれなければ自分としては困ると、差押物件でない関係本人が今日渡さなければ困ると言つておるのを押えるわけにも行かないと考えまして、当時局長がもうお帰りになつた時刻だつたので、夕方になりましたので私が自分で局長にはお伺いする機会なく渡しまして、翌日局長並びに当時関與しておられました三浦監事に事後報告をいたしました。
  72. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そうすると証人責任においてやられたんですね。渡したのは……。
  73. 川田三郎

    証人川田三郎君) さようでございます。
  74. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) どういうふうに渡されたんですか。その品物が銀行にあるんでしよう。その銀行にあるものを高橋が持ち去つたというわけですか。証人がそれを認めて持ち去らしたというのですが、どういう方法で持ち去らしたんですか。
  75. 川田三郎

    証人川田三郎君) その保護預けの預け証は経理部出納課の金庫に保管してございました。で高橋の申出によりまして出納課に連絡いたしまして、その預け証と引替えに銀行から株券の返還を受けまして、そのうちの三万五千株を高橋に渡した。こういう経路になります。
  76. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 証人の名義で経理部のほうに保管してある預り証を高橋に渡して、その高橋が預り証を銀行へ持つて来て株券を持つてつたと、こういうことになりますね。
  77. 川田三郎

    証人川田三郎君) 出納課の手を経て銀行から返還を求めまして、出納課課長の机の上で高橋に渡しました。
  78. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それは五万株全部ではなく、三万五千株銀行から持つて来たわけですか。
  79. 川田三郎

    証人川田三郎君) 五万株全部持つて来ました。
  80. 小林亦治

    小林亦治君 高橋社長会社を代表して特調にこの株を預けた、特調がそれを受取つたゆえんのものは、法律的な処分権というものを別にして実際に処分した場合にはその滞貨がことごとくこの特調に流れて来る、来なければならん、こういう筋を引いて預つたのに相違ないと思うのです。そこを聞きたいのですがね。それをこの会社の代表者でもないところの高橋にまんまと渡してしまつたということについて遺憾に思つておるかどうか、それを聞きたいのですよ。
  81. 川田三郎

    証人川田三郎君) この株を渡しましたことにつきまして、国のそういう実質的な損保力を弱めました事実のあることは認めます。高橋会社の代表権がないという御質問でございますか、高橋は当時専務取締でありまして、こちらは高橋の行為は会社の行為として株を請求いたした、こういうふうに考えたわけであります。
  82. 小林亦治

    小林亦治君 前の委員会のときの延言にはつきりされましたが、田中が会社を代表してその株を特調提供する場合に、自分以外の誰者が来てもこの株については渡してもらつては困る、殊に高橋が何かのこのこ出て参るかも知れんが、絶対にあいつを相手にしてもらつては困るということを再三念を押して預けて行つた、こういうふうにはつきり証言で言つている。そういう事実があつたかどうか。
  83. 川田三郎

    証人川田三郎君) 社長から株について特に高橋を排除するような言は聞いておりません。ただ社長一般的に高橋が信用できないから、あれが来ても相手にしてくれるなということを申しておりましたが、会社つて専務取締役として任命し、登記してある以上その代表権を奪うということであれは、やはり専務取締役という役目から除いてもらわなければこちらとしては困る、それではあれを専務から外しましようということを言つておりました。それが後になつて実現したのでありまして、結局実現するまでは社長は或る意図を持つてつても正式に代表権があるかないかということを官庁側からきめる場合には、やはり重役会議乃至は総会において専務取締役でなくなつたということにならないと、これは一般的の問題としては困るわけであります。それで株について特にそういう社長から申出を受けた覚えはございません。
  84. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 証人は三万五千株を高橋のものであるということを盛んに言つておられますが、高橋のものであるということをどういうふうな点で立証されるのですか。
  85. 川田三郎

    証人川田三郎君) 高橋のものであると申しましたが、私ちよつとその点は今申しましたことがそういうふうに聞き取られておりますならば自分の考えと少し違うと思うのでありますが、高橋会社提供したものであります。従つてもともとの所有権は高橋にあるのかもわかりませんが、私は会社提供された高橋財産として会社のために預り、又会社専務としてこれを換金して入れるからということで渡しましたので、私の意思としましてはその株を会社に株の紙そのものは返すという意思はございましたが、株に伴う財産権は会社に返す意思はないのであります。それを現金にして来るというところを信用したのでありまして、一つ財産の動きとしては会社の中で動いているという感じであります。で高橋という役員を信用して現物では収入にならないから現金化さすと、つまり特調会社と連絡してやる仕事を専務にやらせたというようなわけであります。なおここに附加えたいことはみすみす高橋に取られてしまうような危険状態をそこに含んでおるのではないか、こうお考えになると思いますので申しますが、八千代証券というのは特調において信用の負える商店と見ておりまして、で、八千代証券へ知らして時刻が午後の五時半から六時までの間でありまして現金化される心配はない、そこで八千代証券に翌日参りまして、株は来ておることは向うも認めました。現金の場合には特調員と立会いのしで渡してもらいたい、八千代証券もそれを承知いたしました。渡した日はあとで調べてみて金曜日でございます。その翌日というのは土曜日に当りますので私は毎日打つたように記憶しておるのでありますが、日曜は行かずに月曜日に又参つたのであります。そうすると私の申入に対して了解しておりました。社長があの株は持つてつたそうですよ。こうそうですよと言われたので社長も持つて行つなことは御存じなかつた。店員が預り証によつて渡したと想像されるのであります。そうなりますと金は渡してくれるなという念を押したのでありますが、現物を取りに来たならば渡してくれるなというところまでの念を押すことを私が怠つていたわけであります。その点は手落ちでございます。
  86. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつとお待ち下さい。今先ほど申されたところは特調の官吏が高橋に強いて大阪銀行のほうへ行つてそうしてその株を一旦特調へ持つて来て、そうしてあなたから高橋に渡したとそういうふうにお聞きしたのですが、そうでないですか。
  87. 川田三郎

    証人川田三郎君) 株そのものを渡す渡し方は大阪銀行へ行つてつて来まして、それで出納課の広い部屋の真中で出納課長の机の上で渡した、誰が渡したかと言えば私が高橋に渡したということになります。
  88. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) これは土曜日の晩のことですか。
  89. 川田三郎

    証人川田三郎君) 金曜日の午後五時半から六時までの間です。
  90. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) その際に少くもその株は国が足利工業に対する過拂金の返還に充てる担保物であつたので、法律上は担保物ではなくても、少くともそういう考えを以て特調のほうでは取つて置いたものなんですが、それを引渡す際に万一のことが、どういうことが起るかも知らんが、そういう場合に対してはどういう措置をとつておられましたか、責任者として……。
  91. 川田三郎

    証人川田三郎君) これは高橋を信用したという点から出発いたしますのですが、只今のように八千代証券に持つて行くことについては、その日に、株がまだ高橋に渡らない間に八千代証券に電話して、こういう者が行くから店を開けて置いてくれということを申し、それから高橋八千代証券に行く途中で逃げるとまでは私も疑つておりません。それで事故が起つたらどうするかということは、結局高橋がその場合それをなくしたのでありますが、これは会社内部の損害になると、こう考えたのです。
  92. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 会社内部に対する損害ではない。政府が、国が足利工業に対する過拂金を返還させるために取つてつた担保でありますから、それが若し不正に処分されたり、或いはその代金が返らないような場合には、国家の損害になるということは御承知ですね。
  93. 川田三郎

    証人川田三郎君) その点は私の言葉が足りませんでした。無論国の損害になるわけです。その場合には、やはりその損害については、結局回収されない場合にそういうことになるのでありまして、私は回収に努力しなければならん。まあ結果におきましてこうなりましたので、微力ながら回収にいろいろ努力しておるわけであります。
  94. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そうすると、高橋という者を信用して、証人は不測のことが起つて国家に損害を與える場合もあるかも知らんのに、高橋を信用してその株を預かつたと、こういうことになるわけですか。
  95. 川田三郎

    証人川田三郎君) 国家に損害が起るということは、そのときの感じといたしましては、これはむしろ株で預かつて置くよりも、その株がなかなか売れませんでしたから、高橋自分から買手を見つけて売る自信があると思つてつたので、一日も早く現金化して収入したい。いわば私が手続上そこまでやらなくてもいいことへ手を出しまして、そのために焦つて現金化を図つたために、高橋に騙されたと申しますか、高橋も騙す意思はないと思いますが、思うように売れない。結果においてただ一部の納金しかなかつたということになつております。
  96. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) その点は只今あなたがおつしやつたように、高橋に騙れた。結局そういう一旦国が取つたものがその売却代金が手に入らなかつたということになつたのじやないのですか。
  97. 川田三郎

    証人川田三郎君) これは高橋が当初騙す意思があつたかどうかということは、私はここではつきり推定することはできませんから、高橋としては存外株が思つたより早く売れなかつた。それで自分の思つたように売れれば、そのまま持つて来て自分の負担分をそれだけ軽くするつもりだつた。その意図の通り行かなかつた。その後においても高橋納入については結果を出しておりませんが、債務を認めておるので、高橋としてはあのまま自分がその株を取つて自分の利益にしてしまうという意思はないと、自分も拂う意思があると思います。
  98. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 証人はこちらの質問の趣意がわからなかつたようですが、高橋が騙ます意思があつたかなかつたかということを問題にしておるのではなくて、証人のとられた行動の結果騙された結果に終つたじやないかということを聞いておるのですが、高橋の善悪を聞いておるわけではありません。証人のしたことが結局騙されたことになつて、国家に損害を與えたのじやないかということをお聞きしておるのであります。
  99. 川田三郎

    証人川田三郎君) 高橋が金を持つて来ると言つてつて来ないのですから、その意味においては騙されたのであります。
  100. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 株の問題をお聞きする前に、私は非常に不可解に思う点は、この過拂いの国の損金に対して、高橋、田中両名が連帯保証をしたという、個人保証をしたという。又田中は会社を代表して、会社として返済の計画書がすでにこれは今証人の言われたところによつても、二十四年の三月頃にすでに返済の計画が出ておる。そのときには自家用自助車一台百万円、それから芝浦の足利寮、これも百万円、東武の株が三万五千株、尾張町ビルの七階の賃借権等合せて五百万円、又田中平吉もそれぞれの方法において返済する計画はできておる。而もその当時に田中社長は国に対して御損をかけておるのだから会社が潰れてもいいからこれを取つて下さいということを言つておる。そういうことであるにもかかわらず、この計画書から見ても、すでにもう昭和二十四年の三月の十五日に五百万円、それから二十四年の三月の末に一千七百六十四万三千六百二十八円七十二銭というものがすでにもう片が付いておるわけです。二十四年の三月末にはこの計画によりますとすでにこれはもうそういうことで本人も、今私が申しました通り、あるから処分してでも、とにかく取つてくれと、こう言つておるにもかかわらずこれを今日まで二年間に亘つて延引とそれを延ばして来ておると、こういう真意がどうもはつきりわからんのですが、特調のやられたことが。その点は一体どういうわけでこういう取れる状態にあつたものをなぜ取らなかつたか。
  101. 川田三郎

    証人川田三郎君) 誓約書にはそれぞれの役員が自分提供し得る財産を書いてでございます。併しそれを見ましたどきに、それがすぐに換価できる、本人がそこに評価しておりります程度に換価できるかどうかということは疑いを持ちまして、又千二百万円という負債をするという田中社長計画を持つております。これは或いは田中社長銀行方面からそういう融資が受けられるような話でもあつたのかもわかりませんが、私どもとしてはここまでの事故の起きた会社に果して千二百万円の融資ができるかどうかは疑わしかつた。それからその財産処分いたしまして、その提示されております過りの価格で仮に処分ができるにいたしましても、悲しいかな過拂金につきましては少くとも即決和解の方法をとりまして、責務名義をとつて強制執行に移さなければならない訴訟上の手続があります。これをすぐやるかやらないかという点については、これは一経理局次長の判断でやるべきものではいなのでありまして、当時も私や特別調達庁の韓部全体の御意向として工事代金請求もさせなければならないから、訴訟のほうはもう暫らく待とうということで、その決議に従つて私どもは工事代金のほうへ行つたわけであります。二年というのは結果から見てのお話でございます。工事代金が十一月の終りに取れるだけ取りましたものの、それから後は書面上の準備をいたしまして、十二月の十三日に訴訟なつた。こちらといたしましては取れるだけのものを工夫して取りまして、もうこれ以上しようがないというところで、とにかく強制執行権を得るようにしなければいかんということになりましたので、これは今から御覧になりますと、私どものやつた徴収技術については御不満な、不十分な点はあるかとは存じますけれども、決してそれに対してなおざりにするとか、熱意に欠けるとかというつもりは少しもございませんでした。
  102. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今私の言つているのは、なぜこの取れると、かように債務者が提供しておるのに、債権者である特調はそのときになぜ取つていないのだと、こういう意味ですよ。
  103. 川田三郎

    証人川田三郎君) 提供をしておると申しますけれども、それは会社側がむしろずるいのでありましでて、こういう財産があるから取つてくれというのは、自分処分の義務を逃れてしまいまして、金を取らなければならないそういう立場にある人間にそういう煩雑なことをやらせて、そうしてやる。本当に自分財産がありましてこれで取つてくれというなら、みずからそれを、処分して現金にして持つて来ればよいのであります。結局口の上では裸になつてもよいと、こう申しておりますけれども、何も強制処分で裸になるばかりが現金化するゆえんではないのでありまして、若し自分にそういう意図があるならば、裸になる意思があるならばそれを現金にして持つて来るべきではないかということを我々としても今も会社に対しても申しておるのであります。会社にそういう意思があるならみずからやるべきで、これも会社としてはでき得なかつたのではないかと、こう考えるのであります。
  104. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その場合、会社がそういう工合になつておりながり、誰の場合においてもみずからそれを処分して売つて金を持つて来るべきが当然である。これは成るほど理屈はそうでしよう。併しながらこれを取るほうとしては、やはり一応これらのものを抑えて置く。綱をこれでかけて置くという措置がとられておつたなれば、それが散逸しない。あなたさつきの御証言でも言われたが、散逸を防ぐためにということを言つておるが、それを防ぐためならば、なぜこういうものに対してどうなりとも一応網をかぶせて置かなかつたか。この点どうですか。
  105. 川田三郎

    証人川田三郎君) その点は仮差押とかという方法もございますそうです。それで私ども実際はこういう民事の徴収については決して憤れておりませんところで、当時といたしましてはそうやつて強制力を発動しないで、成るべく円満に取つて行きたいと、こういうことに全体の意向が定つたものですからやつてつたわけで、今のように網をかけて置けとおつしやればそれは網をかけて置いたほうが或いはそのものにつきましてはうまく行つたと考えられます。ただ総合的に解釈しますと、一方で綱をかけてしまいますと、それならば自由にしてもらいたい。或いは工事代金でも何でも債権者代理か何かで勝手にやつてくれと言われても非常に困りますので、工事代金が四百万円近くございますので、先ずこれを取ることが先決問題だとこう判断したわけでありまして、その判断がよかつたか悪かつたかという点はこの委員会の御判断に従うより仕方がないと思います。
  106. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その点そういうような判断を誰と誰とが寄つてそういう判断を当時方針をきめたのか。あなたお一人でそういう判断によつてつたのか。或いは誰と誰とが相談の結果としてそういう判断をしたのか。
  107. 川田三郎

    証人川田三郎君) これは総裁、副総裁、又監査役的の仕事をやつておられます三浦監事、それから加藤経理局長、それから私、ときには細かい事務の問題でありましたならば関係課長を中に加えたこともございます。
  108. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 非常に会社を信用した立場においてそういうことをお考えになつたようですが、すでに過拂いの起きたという原因については、これは会社を信用し得るところの條件というものはもうすでになくなつておるのではないか。事態は過拂いをしたこの過拂いはどういうふうにしてこの過拂いがなされたかということは我々はこれから調査して調べるのでありますが、理由がいずれにあるとしても、作らないものを作つたことにして、そうして金を政府から取つたのでありますから、そういうもう行為をあえてやるという、やつてしまつたという会社に対して、そういう判断がどこから出て来るか。非常に会社を信用して、それを穏やかに穏やかにということを盛んに言つておられるが、そういう場合は、これが誤つてなされたとか何とかという場合なんです。而もこの場合においては、特調会社支拂つたところの金というものの以外に、資材その他によるところの利益も相当我々は多いと考える。これも支拂つた金とそこそこあるのじやないか。資材関係の闇流しによるものですね。それからその他に煙突はかなりマージンがある。そのマージンも相当にあるのですよ。そういうものがあつてその上に四千万円の過拂いを取り込んでおるのでありますから、それは誰が考えてもわかるのです。その当時そういうことであつたということは、そういうことをやられて、而もその金を今度取返すに当つて、非常にその会社を信用されたような方針でこれをやつておられる。どういう考え方ですか。
  109. 川田三郎

    証人川田三郎君) 会社を信用したという気持は、そう強くないのでありまして、工事代金を取上げるために、一方で会社を窮屈にさせないという、これは会社を動かして置いて代金の取立てをしてしまうというわけでありまして、私はその支拂いには一応関係はなかつたわけでありますが、そういう方針を決定される方々は、支拂いの面においても御承知の関係でありますから、決して会社を信用して延ばしたということではございません。信用しないのでありますが、会社差押えというふうに持つてつてしまつてあとあと会社事務がうまく動かないと困る。全く止むを得ずそういう態度をとつたわけであります。
  110. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その問題で何つておりますと時間がかかりますので……。それでは次にあなたが田中社長から五万株の株を受取られて、そうしてその株を今度は二十四年の三月八日に、大阪銀行日本橋支店にお預けになつて、そうして銀行特別調達庁経理次長川田三郎で張り証を発行した。ところが今度高橋がそれを取りに来た。三万五千株取りに来た。そこでこれを渡したところがそのときはあなたのところではこれは会社のやはり役員であるから渡したのだ、同じことだというようなことを言つておられるのでありますが、すでにその前にこの株を預かるときに、この株については特に言わなんだか言つたかは別として、高橋というような者の信用状態については田中社長からも注意を受け、又特調自身としても本人如何なる者であるかということは知つておられたはすである。それを知つておりながらですね、而も国の重要な担保力になつておるものを三万五千株渡した。この点についてですね、実際あなたが自分で独断で渡されたのか、それとも誰かがあなたにこれを渡してやつてくれという話が当時あつたのじやなかつたのですか。その点と、どういう理由で本当は渡したのか、この点を承わりたいと思います。
  111. 川田三郎

    証人川田三郎君) 株を渡す際に誰かからそう渡してやつてくれと頼まれたことはございません。それから本当にどういう気持で渡したかと申しますと、現金化がなかなかできませんで、散逸を防ぐために預かつたものの、いつまでたつてもそのものについての収入にならない。でたまたま本人が金に換えて来るからということで、又もう一つは今渡してくれなければ自分として損であるから、成るべく有利に換金してそうして会社のために弁済拂い自分の負担分も多く解消したいとこう言うので、いわば高橋から理窟攻めで攻められた次第であります。高いときになぜ売らせないのか、お前のものじやない、会社のものじやないか、そうすると所詮理論で、成るほどこれは理窟だと思いまして、一つこれを信用して早く金にしてやろう、こう思いましたので、その点は念がいらなかつたということは私は……。
  112. 小林亦治

    小林亦治君 その点をさつきから聞きたかつたのですが、結局国の担保力を弱めたことになつた。結果においては高橋から騙されたことは遺憾である。かように証人は言つておるのであります。そのくせに等閑に附したのではない、熱意に欠けておつたのではない、というような苦しいおつしやり方をなされるのですが、先ほど伺つた通り、例えば高橋が法律上会社を代表するところの、代表権を持つておる取締役にせよ、その専務取締役の上位にある社長田中から、高橋の信用状態がかようなものである、相手にしてもらつては困るといつたような念を押されておるにかかわらず、時間外にあわてて飛び込んだ高橋という者、それらの理攻めに屈服して、折角特調が取立てるために完全な占有権を得ておるところの株券を、まんまと騙り取られた形になつたということについては、熱意とか等閑という問題ではなく、あなた自身迂闊ではなかつたか、ということを率直に伺いたい。言い廻しの方法をお聞きしておるのではない、そういう言い廻しは我々もよくわかるのであります。その傘直なところを証人から承わつて、今後の審議に供したい、さつきから何辺聞いても堂々廻りして、これは将が明かないのであります。代表権がどうだの、法律がこうだの、先ず我我は実相を何つておるのであります。
  113. 川田三郎

    証人川田三郎君) 私の言い廻しが悪いために、私が手落ちであつた、迂闊であつた、騙されたということに対して申しますことが、事情を説明しましたためにはつきりしなかつた。迂闊でございます。それは私の手落ちでございます。
  114. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 証人がね、今あなた、三万五千株をまあ、そういう理由で渡したと言われておるのですが、そういう理由であれば一体残りの一万五千株の処分はどうしたのですか、どうなつたんですか。
  115. 川田三郎

    証人川田三郎君) これは、特調が田中に連絡をしまして、売つてよろしいということで、それより後九月の二十二日の収入になつ金額特調が売つております。そのときも、最初頼んで置きました八千代証券ではなく、なかなか売れなかつた、これはどこでも少しずつでもいいからというので、代理店に頼んで証券店で売つたものであります。これは田中社長も承知であります。
  116. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、おかしいのじやないですか。三万五千株を渡した、その渡したときにそういう趣旨で、あなたが言われた趣旨でそれを現金化するならば五万株を渡しておらなければならん。五万株渡さずに、なぜ三万五千株を渡しておるのですか。
  117. 川田三郎

    証人川田三郎君) それは五万株のうちで三万五千株分は高橋自分会社提供したもの、一万五千株についてはおれは知らんが、三万五千株は自分の満足する値で処分しろ、こう申して高橋も一万五千株分は社長が出しておるほうだ、あれは自分は発言権がない、そういう話は三万五千株については会社内部で話がついておるから渡してくれ、こういう話だつた
  118. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その三万五千株を渡してくれ、会社内部に話がついておるから、高橋がそれを持つておるということの権限があるということを一体あなたは何によつて確認されたのですか。
  119. 川田三郎

    証人川田三郎君) 高橋はまあその会社のために動いて来ておる人間だ、こう判断したわけであります。それで三万五千株の限度であれば、本人会社提供していて、自分提供した財産によつて五百万円という一部を果そうとした、これじや高橋自身に処分させることが、高橋会社官庁この三者の利益になる、こう考えたわけであります。
  120. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そういう考えをしたというようなそういう迂闊なことではいかんじやないか。三万五千株を高橋に返すときにはこれは高橋のものであるという確認を何によつてしたか。すでにあなたはそういうようなことを言つておられるが、昭和二十四年の二月の二十三日にはこれは前証言大橋証言によつてでもなされておるのですが、覚書がその日附において田中平吉、高橋正吉、それから大橋武夫の三名ですでにこのときには話がついておるのですよ。その中にこの三万五千株というもの、それから自動車等がこれは完全に田中に引渡しておるのですね、田中に引渡しておる、これはここに覚書がちやんとありますから、田中に一旦これは引渡して置いて、だからこそですよ。田中がその五万株をあなたに持つて来て、そうして見返りに預けたのであります。ここにはつきりとした証拠書類があるのですから、署名したものがちやんと残つておるのですから、これには田中平吉も、高橋も判を捺し、大橋武夫はみずからこれを承認しておるのです。これは昭和二十四年の二月の今言つたように二十三日に、すでに引渡を終えておつたので、この三万五千株の株は、だかこそその後において、昭和二十四年の三月頃ですね、三月の八日ですか、田中がそれを持つて来ておるのですね。それをあなたが預かられておるのでしよう。だから一体この書面によつてでも明らかなように、処分についてはこれは田中平吉に、ここに一任すると謳つてあるのですから、それははつきりしておるものを、なぜそんなにその見当違いな高橋に渡したのか、これは先ほどあなた言われたように、全社の重役であるとか、重役でないとか、会社を代表するとか、せんとかという問題じやないのです。田中平吉に高橋正吉が渡したものである、だからこそあなたは田中が受取つたのだ、その田中が受取つて現在田中証人が言つておるように私は特調に五万株を渡したのだ、それがどう処分されようと、こう処分されようと私は知りません、責任特調にあります。こういうことをはつきり言つておるのですから、だからその高橋に渡したということについてあなたの言われるようなことではこれは筋が通らないですね。その点どうなんですか。
  121. 川田三郎

    証人川田三郎君) 只今お示しになりました証書、申合書、その事情を私が知つておりましたなれば高橋に渡すことを拒んだかも知れませんが、それは実は私どもには知らされてない、会社内部の申合せでございます。
  122. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 だから私はあなたに今お聞きしているのは、高橋に渡したという根拠は何を確認して渡したのか。高橋もその場合に、田中も待てと、田中も来てくれと、そうして目の前でよろしいかと、高橋が取りに来ましたかなら高橋にこれだけ渡しますよと、ぜそういう工合に言つてはつきりした態度において渡さなんだのか、だからそこに疑問がある。あなたが一人でこれは渡した、責任を負つてと言つておられるが、何者か、他の者からいろいろなあなたに話合があつて、その上で私はあなたが渡したのじやないかということをお聞きしておるんですよ。
  123. 川田三郎

    証人川田三郎君) あとから反省いたしますると、会社そのものへ連絡をつけてから渡すべきであつたと存じます。それを私が渡しましたのは、何となく時間的にもう店が閉まる、今日でなければならんと言われたので、これは渡してやろうかという判断をしたのでありまして、全くこれにつきましては私話からも言われたのでやつたのではない。これは局長がおりますれば、局長の御意向を聞くわけでありますが、渡すことをきめるにつきましてはどなたからも、あれを渡してやつてくれというお話はないということを明言いたします。
  124. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 自動車は何ですか、会社のほうから特調のほうへ提供したわけではありませんか。
  125. 川田三郎

    証人川田三郎君) 提供いたしておりません。
  126. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) おらないけれども、それの支拂代金、それを売拂つてそしてその代金特調へ入れるというような話はしていなかつたですか。
  127. 川田三郎

    証人川田三郎君) それは高橋自分自動車処分して百万円作るということを誓約後、誓約にもあつたわけであります。申しております。そこであの自動車はどうなつたかということを聞きましたら、自分の手では額が狭くて売れないから、これはどこか人に頼まなければならない。大橋さんを幸い知つておるので、あの人の立場であれば、当時大橋さんは代議士をしておられました。顔も広いからこの人に頼んで……まだ売れないらしい。そういうことでございました。
  128. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) その代金自動車を売つた代金を、必ず特調のほうへ入金するという、それを確実にするための措置を何かとつておられませんでしたか。
  129. 川田三郎

    証人川田三郎君) これは高橋特調の間の言葉の上の約束でございます。一応書面で自動車を売つた金を出すということに書面では出ておりますが、別にこれに対して担保をつけるという方法はとれなかつたと思います。
  130. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そのほか土地とか、それから建物とかなんかをやはりそういうふうに売却した代金提供するというような話はありましたか。
  131. 川田三郎

    証人川田三郎君) ございました。
  132. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それはどういうような話ですか。
  133. 川田三郎

    証人川田三郎君) それは足利工業の芝浦寮というものが、これは社長高橋の間に争いがありまして、どちらのものか特調としては判断がつかないのでありますが、名義は高橋の登記名義になつております。高橋がそれを売つて納める、こう申しておつたのでありますが、社長が掛売をした形になつております。一部分だけ貸しにして、一部分の金を社長専務から作りまして持つて来た。  それから営業所の借家権、これはなかなか処分ができなかつたのでありますが、最後に社長の手で私は五十万円とか、七十万円とか聞いておるのでありますが、店員を整理するときの賞與に充てるために作つた、それを高橋が聞きまして、あの店舗代が、権利金が金になつた、だからあれは本年収めることになつておるのを会社が使つてしまつておるからけしからんと、こう言つて来ましたので会社交渉しましたところ今のように会社では店の経費に充当しましたうち、五万円だけをやつと取つたような次第であります。
  134. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そうすると芝浦の寮、それからしてその店舗、そういうものの不動産処分によつて特調のほうへ入つた金はその五万円だけなんですか。
  135. 川田三郎

    証人川田三郎君) お答えします。芝浦の寮が八月四日に三十八万円入つておりますが、その八万円というのが芝浦の寮を売つた金の一部と存じます。それからあと二十五年の二月九日に入つた五万円が借家権の一部でございます。不動産関係はそれだけでございます。
  136. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 何かほかに。
  137. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで株は高橋に渡したときにはすでに銀行にあつたのですね。大阪銀行の日本橋支店にあつた銀行に預けてあるやつをその上わざわざ引出して来て、そうして渡した、而もその渡すときには高橋というものの信用状態を、これは非常に危いものであるということは薄々にでも御承知であつた、而も田中からは、社長からは注意を受けておる。それにそういう御丁寧なことをして渡したということがどうも私は呑込めないのです。大体信用して渡したということだけの理由では呑込めないのじやないか、ほかに渡された理由があるのじやないですか、何か……。
  138. 川田三郎

    証人川田三郎君) いや、ほかには理由ございません。そして又高橋がそう言つて来て阻むというわけにもいかなかつたわけであります。つまり阻めないということは、これは会社が換金して来るのだからそれをあなたとめる手はないだろうと言われて、成るほどと思つたのであります。
  139. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その金をあなたにお渡しになつてからすぐに会社のほうへ電話で当時の庶務をやつてつたものに通じ、それから今度は高橋正雄、この正雄は事務員でありますが、これが驚いて特調に、あなたのところにかけつけて来て善後措置をやつた、こういう事実を聞くのでありますが、その通りに違いないでしようか。
  140. 川田三郎

    証人川田三郎君) 翌日電話をかけて申しました。高橋正雄と言いました。
  141. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうしますと、渡してしまつた翌日になつてこれは大変だ、高橋に渡してもらつたら大変だということが会社から事務員にせよ言つて来た。その後田中もそれを聞いて驚いた、その後いろいろ高橋からこの三万五千株を取返すためにはいろいろ努力をされたそうでありますが、それは一体誰々によつてどういうようなことを何回ほど一体協議したのですか。
  142. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつと申上げますが、先ほどからの質問応答で大体株券に関する事実は判明いたしたように思いますが、如何でしようか。
  143. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから先のその点を、その後三万五千株の株を取返すためにいろいろ努力をされたそうだが、その点をもう少し伺つて置きたいのですが……。
  144. 川田三郎

    証人川田三郎君) 高橋に呼出しをかけまして、代金を約束だから金で入れろということを再三……これは日は覚えておりません。それから会社に対しましても、こういうわけでお前らのほうに話がついていないからまだ現金化されていないのだから、八十代証券に行つてその株を会社のほうでも押えて置けと申しました。会社八千代証券に行つておりますこれで株さえそこへ委託して置けば会社の手か役所の手で八千代証券に留置されております関係社長の手で株が他所へ廻ることがとまつたかも知れません。その後高橋が結局金を持つて来ませんので、呼出しをかけているうちに高橋さんの專務が現われて来たのです。あの金は会社との内部関係で話がつかんからちよつと今考えている、そういうことはけしからんじやないか、とにかく会社内部の何であろうとも高橋が二百十万円に売ると言つてつてつたのだから二百十万円だけはお前は責任があるぞ。実はこれまで五十万円しか現金ができていない、その現金高橋さんが預けておる、意外なことだ。なぜ大橋に預けたか。それは自動車を売るのを頼んでおるからそれと一貫して大橋さんに預けてある。それじや大橋さんに頼んで拂込んでもらいたいということで、初めて私が大橋さんと事務折衝することになつたのであります。
  145. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その最後の大橋との会談のときに、大橋が株を持ち廻らずに俺のところへ持つて来い、そうすれば俺か金に換えて特調のほうに返してやるからということを高橋に対して大橋が言つたと、こういうことは確かでしようか、そのとき聞いておつたのでありますか。
  146. 川田三郎

    証人川田三郎君) そのときは三浦監事の室でその話がありまして、大橋さんは高橋さんにそう言つたように記憶しております。
  147. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから株の話は何でありますが、その程度にして、問題はこのことの起り、問題の起りは太平商工が検収代行をやつてつた、その検収代行者が疎漏によつて、間違いによつて結果こういうことになつたのでありますが、この過拂金について太平商工に対してはどういう処置をとられたのですか。
  148. 川田三郎

    証人川田三郎君) 太平商工に対しましては連帶でなく、保証人立場に立てということを要求いたしております。太平商工は異議を申立て、自分納入代行業者として契約をしておる、で納入代行業者としての契約の内容から行くというと、その契約に基いて国に損をかけたときは補償をするということが謳つてあります。また金を持つてつたの足利工業である、足利工業から取返し得る立場にある……ある間は損とは言えないからというので誓約書と申しましたか、何か念書が一つつております。足利工業に対する検収業者の間違いがあつたことは申訳ない。若し工業の請求権が満足に回収できないその場合は納入代行の契約書に基いて責任を負う。こういう一札を取りまして、今のところ足利工業関係を進めて行つた結果において太平商工に対しては請求をする。こういうふうに内部の決定になつております。
  149. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 証人が御就任された当時すでにこの足利工業に対する過拂金のことは問題になつており、その後只今の太平商工株式会社からして念書ですか、これが調達庁に入りましたのが昭和二十四年二月二十三日、その後株券処分やいろいろしたのが昭和二十四年の四、五月頃のことですか、それから今年の十月二十五日に和解調書ができ上るまで約一年半ぐらいの間この件は放つてつたわけですか。
  150. 川田三郎

    証人川田三郎君) お答えします。二十四年の十二月十三日に支拂命令をかけるということで、法務府に私のほうの苦情処理課という、そういうことをやるほうの課から連絡をしてもらいまして、そこへ事務が引継がれたわけでありますが、その間和解調書ができるまでの模様というものは、ただ單に支拂命令をかけても相手方が今拂えないというと本訴訟になると又時日が延びるから、先ず債務額を確認させること、その債務の確認をやるのに、なかなか相手方が債務額を確認いたしませんでして、債務の確認にも時日を要しました。それから債務の確認が済みましてから、今度は支拂命令を單にかけるだけでは債務名義が取れない。これは即決和解で、民訴提起前の即決和解で行くほうがいいだろうという法務庁の指示もありまして、即決を図るとなりますと、弁済期を協定しなければならない。で初め法務府は、これはなかなか拂えない金額だから五年くらいではどうかと法務府の事務官の意見としてありました。会計検査院と協議しますと五年は長い、私どもも五年は長い、三年で一つやろう、三年ということで会計検査院も認め、これを法務府の正式の裁判、つまり和解調書の内容といたしましてやつたわけです。そういう細かい往復がありましたために、この間ちよつと時間がかかつたわけであります。
  151. 小林亦治

    小林亦治君 その法務府の係官は何というのでしようか。
  152. 川田三郎

    証人川田三郎君) ちよつと傍聽人に聞いてよろしうございましようか。
  153. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) どうぞ。
  154. 川田三郎

    証人川田三郎君) その係官は民事訟務局の岡本第二課長、照山事務官。
  155. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 証人の言われるだけの相談をされるのに一年半という時日を要するほどのことではないと思うのですが、余りそれは特別調達庁として緩慢じやないですか、その点は如何でしようか。実際民間ならば十日間か一週間でできる仕事と思いますが……。
  156. 川田三郎

    証人川田三郎君) 緩慢とおつしやいましたが、実際時日はそうかかつてしまつたものとみえまして、私もこれは、自分もそのときは私直接この仕事をやらない立場にありまして、東京の経理部長がやり、経理部長がその課に引継いだ、特調全体としては、一つ責任がございますが、それがなぜかかつたかという説明は、或いは今日証人が申しますようは、その間の担当が又他の機会に御説明申上げることができればなお詳細がおわかりになるのじやないかと思います。
  157. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) いや、こちらは特別調達庁経理責任者としての証人にお聞きしているんですが、單にあれだけの和解契約の内容をきめて、そうして和解契約方法によつて債務名義を決定しようというだけの相談に一年半かかるということは、特別調達庁経理責任者として余りに緩慢ではないかと思うのですが、如何ですか。
  158. 川田三郎

    証人川田三郎君) 十二月十三日に引継ぎまして、二十四年でございますか、一年半はかかつてはおらないのでございますが……。
  159. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) どのくらいかかつておりますか。
  160. 川田三郎

    証人川田三郎君) 十二月十三日に引継いで、それから……。
  161. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 株を渡されたのが昭和二十四年五月六日でございますね。その和解契約ができましたのが昭和二十四年十二月二十五日ですか。
  162. 川田三郎

    証人川田三郎君) 十二月二十日。
  163. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 二十ですか……五日ばかり違いましたが……。
  164. 川田三郎

    証人川田三郎君) 十月二十日で、和解調書の日附が二十二日になつておりますから、約一年半でなく……一年半であつたとしてもその期間は相当長いのであります。その間やはり我々の事務を処理することが、一つはこういう事件は珍らしいものでありますからやはり書類に手間取りました、その間内容証明の督促等は何回か出しているのでありますが、和解支拂命令手続を決意いたしまして、和解調書になります間に、二十四年の十二月から二十五年の十月でありますが、十カ月はかかつております。
  165. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 債務の承認と申しましても、大体保証人たちが、五百万円を弁済しようという契約を入れたのがすでに昭和二十四年の三月、大体債務額は承認しておつたのでしようが、それからどういう往復があつたにしましても一年半、ざつと一年半これだけのことをやるのにかかつたということは経理責任者としてどうお考えになつておりますか。当然これだけの日時は要しなければあれだけのことはできなかつたというわけですか。
  166. 川田三郎

    証人川田三郎君) 日時を要することが当然であるとは申しませんが、私どもとして努力をしたのにかかわらずその実績が日時を喰うことになつたいうことで、もつと早くやれば無論よかつたわけでありますが、結局手腕がなかつたということでございますが、こういう問題はしばしばないものでございますので、全力を盡したのでありますが、こういう期間がかかつてしまつたというわけであります。
  167. 小林亦治

    小林亦治君 この債務の承認……裁判所の和解になつたということは実は支拂能力というのは殆んど調べておらないので、今直ちに強制執行すればそれはそれなりになる。和解についてこの事務を留保して置けば取れるかも知れないという漠としたところに目的を置いたとするならば、これは甚だ以て当を得ないことである。それからかようなこの金銭の関係についてはその間に如何なる犯罪があつても、裁判上の民事契約をすることによつて犯罪的なものはいやされる、犯罪の成立を阻却する、こういうような逆効果が現われるのであります。こういう事実を知つて裁判上の和解というものをあえてやつたかどうか。というのは裁判上の和解をして、まあいわば紙の上において権利義務関係というものを作ることによつて会社高橋の連中を保護するの結果になるのであつて、これ又非常に不当なところなんであります。その点についてどういう見解を持つて臨んだかということが第一点。それから次には民事訟務局の岡本第二課長というのが、これが單独で国家の債権事務について裁判上の和解をなすという権限は持つておらないのであります。さだめしこれは上司の指示を受けたか、それとも最高首脳部まで相談を持ちかけたものに相違ないと思うのであります。仮にそうだとしますと、時の法務総裁に、本件については免がれ難い関係にある大橋がその職に坐つておるので、大橋までこの相談が行つたに相違ないと想像するのでありますが、その間についてこれは本委員会におきまして第二課長を是非喚問を願わなければなりませんが、証人はそれらのことについて、一体岡本なんかが上司に対してどういう動きをした結果そういつたような和解條項の結論に達したかということをどういうふうに御認識になつたか。つまり本件を和解するについて、岡本がどういう上司の、どのような許可を得てこの條項を作り上げたのか、御記憶があるならばそのまま一つおつしやつてもらいたい。
  168. 川田三郎

    証人川田三郎君) 第一点の業者に利益を與える結果になつておるんではないかという点は、特別調達庁というよりは、一つの行政管庁といたしまして徴収方法を一番強い強制徴収の手段として和解徴収という方法をやつたのでありまして、これは和解という言葉が如何にもやわらかく聞こえるのでありますが、こちらの狙いは強制執行力を持ちたいということで裁判所へ提訴した次第であります。それから岡本事務官につきましては、私直接折衝いたしておりませんので、これが法務府内の事務手続としてどうであろうかという私の判断申上げるより仕方がございません。結局これはいわゆる法務総裁の線まで行くのでない、訟務局の中で訟務局長の決裁を受けまして、恐らくこの国を当事者とする訴訟の代理人、これになつて裁判所の判事の面前で裁判を受ける、岡本事務官はただ国の訴訟事務を代理する一つの公務員として動いたものと存じます。その訴訟の内容につきましては訟務局内の決裁によつて決定したものと判断いたします。
  169. 小林亦治

    小林亦治君 今の証人のおつしやるのは、いわばこれは行政上の機構から言つてそういうふうに判断せられるというだけのことで、実相については何にも聞いたこともなければ、それについて調査したこともないというのが本当の事情で、今おつしやることはこれは行政上の機構上当然のことであります。それをお聞きしておるんじやない。どういう上司の決裁を得たかどうか、そのいきさつについて御存知あるかどうか、お聞きになつたことがあるかどうか、それだけ伺えばいいのであります。
  170. 川田三郎

    証人川田三郎君) それは聞いておりません。
  171. 小林亦治

    小林亦治君 それから裁判上の和解をなさつたのは執行力を得るため、こういうのでありますが、無財産、殆んど財産がないのでありますから、何もあわててこんなものに執行力を付與してもらう必要はないのであります。どうも考えるに、悪意に解釈するかも知れませんが、この関係者を法的な、いわば危い線から除けるために保護を與えたような和解に解釈されるのであります。その点はどうか、執行力というものは現に執行の目的となるところの会社財産存在する、よつて裁判上の執行力を得たならば直ちに財産が強制執行に移される、競売してその換価を国家の債権のために取立てろという場合であつてこそこの執行力を得るのに急ぐ必要があるが、只今状態はこれは行詰りのような状態にあるのであります。かような状態がわかりながらあえて紙の上の技術を弄するがごとき裁判上の和解までやつたが、結局かようなことは自分たちの過失といろいろな難点に対する尻拭いにやつたに相違ないと思うのであります。若しそうでないとおつしやるならば、私の誤解を一掃するに足るような材料を示して御説明願いたいと思います。ここで言葉上のやり取りをしましてもこれは何にもならんかと思いますので、この御答弁によつて本日の川田証人に対する質問は一応打切つて頂きたい、かように考えるのであります。
  172. 川田三郎

    証人川田三郎君) 強制執行をやることが特別の恩恵を会社に與えるものでないという証明になるようなものという書類はむずかしいのでありますが、ただ昭和二十四年か三年の大蔵省の通牒に、しかじかの場合は訴訟外における普通の督促徴収をやつて、どうしても取れないときは法務府を代表とする訴訟に移れ、こういう通牒で手続が、国庫大臣として各省に通知されましたか、乃至は終戦処理費の行政大臣として担当官庁に通知しております。これは通牒がございます。その線に沿つてつておるのでありまして、いきなり訴訟に移らないのはやはりその線でやれるだけ訴訟外でやれという趣旨が汲み取れたわけであります。その手続関係からなつたわけであります。
  173. 小林亦治

    小林亦治君 伺う趣旨に外れるのですが、押える目的物件を持たないところの会社に対して、あえて急いで執行力を獲得するための裁判上の和解をする必要はなさそうに思います。先ほど申上げましたように執行の目的財産会社財産として会社が現に有するというような状態があれば、そこに執行力を得てそれを差押するという効果があるわけであります。無財産のところへそんな措置をとつたところがこれは何にもならないことなのであります。そういう結果から見ますると、どうも先ほど申上げましたように悪意に解釈されるような線にこの実相というものが流れて行くのであります。その誤解がどうしても解けないので、ただ千遍一律に訴訟を遂行するよりも成るべく和解というような基本線はあるでありましよう。その場合でも結局押えるなり或いは訴訟上獲得し得る目的財産を相手方が持つてつた場合のことで、裸のものにそんなものを出してもこれは何にもならん。
  174. 川田三郎

    証人川田三郎君) その点は私の説明がちよつと的を外れました気味がありますが、つまり只今まで仰せられるのは、効果のない強制執行力をとつておるじやないか、こういう仰せであります。併しこれは今まで不動産があるとか申しておりましたものに対して、せめて即決和解の線によつて執行力をとれば、又即決和解そのものによつて抵当権を設定できれば、元の裁判外の請求手続より強いということから、和解によりましてみずから調べました不動産を、抵当権を設定いたさせまして、これは和解そのものが実効を示したものであります。又期限の利益は與えてございますが、これを一回でも怠つた場合には、会社存在する限り、連帯保証人の経済活動のある限り、追求できるという強い権利を獲得する、そういうことを狙つたわけでありまして、私どもといたしましては時期は遅れたのでありますが、最も強い、これ以上のやりようはないというところのものを選んだわけであります。
  175. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつと証人に伺いますが、和解とか調停とかいうことによつて申立をするのは、それによつて債務弁済を確保することを目的としてやつておるのでありますが、この和解條項の内容を見ますと、何にも内容のないもので、ただこれだけの債務を何年間の分割拂いということを認めるばかりで、殆んど内容がないと思うのですが、これについては特調はどういうふうにお考えになつていますか。
  176. 川田三郎

    証人川田三郎君) その内容につきましては、私どもも危惧のある項目がございます。併し第一の狙いは、強制執行力のない立場を執行力あらしめるようにすることが狙いでありまして、会社側が提示いたしました弁済契約書というものについても、その中味について会社責任を負うという立場を裁判所も了解し、それで会社に裁判上責任を負わせて行くということから、お前のほう、国の側は執行力がとれるようになるのだからよいだろう、その協定の線でありまして、私どもといたしましては、内容については、仰せのように、果してこれが実現するかというものもございますが、やはり執行力を取付けるという手段として法務府の指導によつてそういうものを作つたわけであります。
  177. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の執行力を取付けるためということを言われるのですが、これは先ほど委員長から言つておるように、今から一年半ほど以前にこれをやつているのなら、その理窟はわかるのですね、ところがもう今どきやつて……取るものがあつてこそ執行力がものを言うので、もののないところに如何なる強力な執行力を拵えて見ても、これは取れないんですわね、その点はどういうお考えなんですか。
  178. 川田三郎

    証人川田三郎君) その点は当初これをやれば物的に確かに、或いはあつたかと思うのでありますが、当時といたしましては、押えまして取れるものが、不動産等では、せいぜい百万か二百万である、それよりは工事代金のほうが放棄されては困るから、そちらにやるということでやつたわけであります。工事代金も確保し、一方の物的のものも、今のような債務名義を取ることによつて抑えたら非常に効果は上つたわけですけれども、それをやらないということになつて進んだわけであります。
  179. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 私の今言つておるのはそういうあるところに強制力を持たしてやるのならいいのですが、かなり長い期間を置いたから、その間に皆散失してしまう、なくなつあとに強制力を捕える、これは誰が考えてもわかるのですね。一体その衝に当つておる者としては会社状態もわかるし、行動もわかつておるはずなんです。だからそういうようなことがわかつてつて、なぜかようなインチキにひとしいような強制和解をでつち上げたのか、これを聞いておるのです。これはどうなんでしようか。
  180. 川田三郎

    証人川田三郎君) 強制和解は只今おつしやるように変なものであるというふうには考えられないのでありまして、私どもとしては取れるだけ事実上取つて見て、それでいけないときに強制をやる、これは普通の取引などでもいきなり差押ということになれば感情的にまずいということがあつて、やはり事実上の交渉によつて取れるだけ取るということが民事関係では普通ではないかと存ずるのであります。それで私どもはそういう空気から足利では特に早めてやりたいとは思つておりました。一方に工事費関係がだらだらと長びいていたものですから、一年もたつてからそういうことになつたのであります。若しこの工事費が早く済めば半年くらいは早くできたものと考えます。その点で強制に移るのが長かつた気味はございます。
  181. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 最後の即決和解の決定は実際誰と誰とで決定したのですか。決定権は……、これは会計検査院もそれに対してタツチしているのですか。誰と誰が一体こういうものを決定したのか、こういう変なものを……、具体的に言うと……。
  182. 川田三郎

    証人川田三郎君) 会計検査院は弁済の分納計画について一応内意を受けて、つまり三年でいいか、五年でいいか、三年にすべきだという強い意見を示されたに過ぎないのであります。それから和解條項を決定いたしますものは、これは私も会議を受けていたかと存じますが、苦情処理課及びこれの属する促進監督関係の技術監督部の部長並びに特別調達庁次長、長官の線で決裁されております。
  183. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ほかに何か御質問ありませんか。
  184. 小林亦治

    小林亦治君 どうもこれは聞いてもしようがないのでありますが、ただ将来のために念のために聞いて置くのでありますが、最も強力な手段を用いたとかようにおつしやるが、私どもの見方はそうではないのでありまして、最も、何と言いますか、悪玉にまんまと乗せられやすいような空手形を裁判所の和解というような名目で作られてしまつた、こういうふうに解釈するのであります。かようないかがわしいものに対する最も国家的な強力な手段というものは、まんまとこの衝にあるところの責任者である証人が誠人の占有下にある高額の有価証券を詐欺されたのである、なぜこれに対して刑事訴追をしなかつたか、それこそ強力な手段で以てここまでやつてこういうふうにはつきり処分しましたということであつてこそ我々も納得する線が相当深まると思うのであります。本日まで調べたところの証人から受けた感銘というものはいずれもどうもまんまとこの御連中がうまくやつたのだなという感情をどうしても打消すことができないのであります。甚だ遺憾に存ずるのであります。  それから二重煙突について特調関係官吏に対する処分であります。嘱託検収員、これは解職、これは官吏ではないのでありますから痛くも痒くもないでありましよう。十名ばかりのこの官吏がそれぞれ処分を受けておるのであります。最も重いのは行政処分として、国家公務員法の第八十二條によるところの減俸一ケ月而も一割これでありまして、あとは戒告、訓告というような、まるで本件の被害額、それから行政上の瑕疵、傷です、こういつたものの分量からこれら戒告処分というものを照らし合せてみると罰せざるに等しいものなんであります。これでお茶を濁したといわんばかりの、人を馬鹿にしたような程度の懲戒処分なんであります。この懲戒処分が終れば丁度今申上げたような呑舟の魚を逃すというのですか、そういつたような妙な和解をしてしまつて本件というものの一応の幕を閉じたというような結果になつておるのであります。どうも私どもは国民の名においてもこれはこのままに看過のできない事件だと考えるのであります。それについては証人は虚心にどのようにお考えになつておるのか。過失なくしてこれまでやつて来たということは私どもの追及する責任感が満足せられないところの証言なんでありまして、過失云々を言つておるのじやないのであります。けしからんではないかという一つの見識を作り上げての上での尋問なんであります。どうもそこに証言が落ちて来ないようでは如何に聞いてもこれは実相を捕えがたいのであります。以上で私の証人に対する聞いて頂きたいことは終りであります。終りじやない、切上げなければしようがない、埒があかないと思うのであります。その点について証人はどういうふうにお考えになつておるか。
  185. 川田三郎

    証人川田三郎君) 徴収に当りまして株を騙されて取られた結果、騙されたということにつきましては私どもの手落ちでございまして、これは私、誠に遺憾に存じ、又御処分のあることも覚悟しております。
  186. 小林亦治

    小林亦治君 刑事訴追をどうしてしなかつたかですね。
  187. 川田三郎

    証人川田三郎君) 刑事訴追をしなかつたということはですね、一つ特調の、特別調達庁立場としましては、これは刑事訴追をいたしますことについて詐欺かどうかという点に疑いもあるという説もありましたが、それよりも、それはそれでやはりやつたあげく、本人が捜査を受けると徴収そのもののほうが手間取ることになるから、それよりは本人も持つてつた金額も確認しておりますし、事実上取れた。又会社側においてもこれに対してやはり被害者だという立場で訴追もいたしませんでした。本人会社内部話合をつけるから、金も返すからと言つておるので、刑事のほうには持つて行かなかつたわけであります。やはりこれも徴収を実際早くやつてしまいたいとの考えからやつたわけであります。
  188. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御提出になりましたこの責任者処分に関する一覧表というものに、これはどういうことで処分されたわけですか。処分の理由……。
  189. 川田三郎

    証人川田三郎君) それは私が関係しませんでしたので理由については今ここで証言することはちよつとできません。
  190. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) この理由が明らかになつておりませんですがね。検収の仕方が惡くてこういう事件を惹き起したということに対するこれは責任ですか。ここに一番初めに出ておる人は解職になつていますが、これは検収の嘱託員になつておるわけですね。
  191. 川田三郎

    証人川田三郎君) 検収の嘱託員です。
  192. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それから以下ずつとありますが、その責任というわけですか。
  193. 川田三郎

    証人川田三郎君) これは事務が横に流れて参ります。その流れておる事務に対してどこかしらが強く監査を加えればこれは防ぎ得たのではないか、検収調書の発行だけは防ぎ得なかつたかも知れませんが、それにしてもそういう検収調書を発行される状態にあつたという、その外部の代理機関がある、その代理機関が如何なることを始終事務上とつておるかという点について、促進局のほうで十分監査が届いておれば、或いは防げたかも知れない。経理局におきましても局長不在中であれば十分念を入れて局長に連絡する、電話連絡はできないということになりましても、人をやるとかいうところまでやれば……、そこまで念を入れなかつた、各部々々で少しずつ念の足らなかつたところからそうなつたものではないかと、私は判断するのです。
  194. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そこでこういう責任者が出たわけですが、一旦国家のほうに債務弁済のために納めた物件を、騙されて取戻されて、遂に国家に損害を起した、そういうことに対する責任は誰もとらなかつたわけですか。
  195. 川田三郎

    証人川田三郎君) その点は徴収の過程にあるため、徴収の成果を見て、それから判断されるのではないか。私も当事者でありますため、そう思つておりますが、まだこれは支出に至るまでの責任者をそこできめたのだそうであります。その後の分につきましては、今後の推移を見て行くということになつておるのではないかと私は判断いたします。
  196. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ほかに御質問ありませんか。
  197. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 先ほど言われました高橋が株を売つて金を入手したというのは、大体証人はいつ頃入手したというようなことをお聞きになつているのですか。
  198. 川田三郎

    証人川田三郎君) それはそのことを聞きましたのが、二十四年六月の十日頃でございますから、その以後十日に近接した期間だと思います。
  199. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこでどのくらいの金額を入手したのでありますか。
  200. 川田三郎

    証人川田三郎君) 五十万円に売れた。で、その五十万円を大橋さんのところに持つて行きますということを、私どもの役所の部屋で申して、大橋さんはその五十万円の金が、それでは来ることにして、自分のほうから五十万円は持つて行かせよう、こう言われたのです。ところが途中で高橋が、社長が三十万円しか出していないから、自分のほう三十万円だというようなことを言いまして、三十万円しか持つて来なかつたという関係になります。ですから何の金が出たか、私どもにはわかりません。
  201. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこでその三十万円持つて来たのは、その後何日頃です。
  202. 川田三郎

    証人川田三郎君) 二十四年の八月四日の収入になつておりますから、八月三日か四日だと思います。
  203. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、今お話なつた株は五十万円以外は入つていないというふうにお考えですか。
  204. 川田三郎

    証人川田三郎君) その五十万円以外の分の株については高橋が売つたが、一部それで損をしたということを高橋から聞いております。そうして自分の借金にも当ててしまつた、それはけしからんじやないかと言つたのですが、どうにもできないというわけなんです。
  205. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ほかにございませんか。
  206. 小林亦治

    小林亦治君 先ほど申しましたように、この不正な業者とその衝に当る監督官庁がうまくやつたという疑惑は解けないのであります。これ以上追及しても恐らく解けないのであります。その観点から、一応聞きたい点は触れてもらつたわけです。まだまだ細部に亘つて調べる事項がありますけれども、これは本証人以外のかたからでなければこれは効果がないと思います。この程度で本日の証人は打切つて頂きたいと思います。
  207. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それではこの程度を以て川田証人に対する質問を終ります。
  208. 小林亦治

    小林亦治君 これはあとでお願いしていいのかも知れませんが、法務府の岡本元夫、この人を明日でも喚んでもらいたいのです。
  209. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつと休憩します。    午後四時四分休憩    —————・—————    午後四時二十五分開会
  210. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 引続き証人に対する質問を行います。御質問願います。
  211. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 先ず三浦証人に対してお聞きするのですが、証人特調のどういうような立場に、いつ頃からいつ頃まで仕事をやつておりましたか。
  212. 三浦義男

    証人三浦義男君) 特別調達庁ができましたときからでございます。それでやめましたのは、特別調達庁が公団法でできていたやつが官庁に切換えられましたときに、監事という職がなくなつたものですから、自然そこで役所で申しますと廃官というような恰好でやめました。その後は昨年の十一月まで顧問という恰好でおりました。
  213. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうしますと、特調ができたとき、任官されたのは何年何月頃ですか。
  214. 三浦義男

    証人三浦義男君) それはどうもはつきり私はしないのでございますがな。特別調達庁ができたのはいつでしたか。それはあとで申上げましよう。どうもはつきりいたしません。できまして、いつなりましたか。
  215. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは大橋武夫君とはどういうようなお知り合いであるか、いつ頃にお知り合いになられたのか、その点は如何ですか。
  216. 三浦義男

    証人三浦義男君) 大橋君は私前に鉄道におりましたものですから、その時代から役人としては附き合つておりました。併しそれはまあ非常に、片つ方は内務省、私は鉄道という関係つたものですから、役人としての附き合いはしておりましたが、それから復興院ができまして、二十一年の四月だつたと思いますが、復興院の技官に就任いたしまして、その当時大橋君は復興院におられましたものですから、それ以来同僚として附き合つていたのであります。
  217. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうしますと、その二十一年四月復興院の当時、次長大橋君がしておつて、技官としてあなたがなられた、それ以前には役人としてあなたが鉄道におられ、片一方は内務省におられたという時分から、すでに知り合いであると言われるのですが、それは何年ほど前から知り合いなんですか。
  218. 三浦義男

    証人三浦義男君) それは恐らく私が鉄道の局長になつてからだと思いますから、太平洋戰争が始まつてから以来だと思います。ですから十七年ぐらい顔は合しております、役人としまして。
  219. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで、この問題になつております二重煙突が、これが復興院時代に契約をされたのでありますが、この契約された当時の実態はどういうような関係契約されたのか、その点一つ御説明願いたいと思います。
  220. 三浦義男

    証人三浦義男君) 私はその問題は全然知りませんのです。契約されたいきさつ、それから日にちなんかは。これはあとであの書類を調べてみましてから分つたような次第で、その点はちつとも知りません。
  221. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それではこの本件の二重煙突事件の問題をお知りになつたのは、どういうような機会からいつ頃それを最初にお知りになつたのですか。
  222. 三浦義男

    証人三浦義男君) それは二十三年の暮だつたと思います。金が拂われましたときは一切私は知らんのです。あとになりましてどうも多少おかしいところがあるんじやないかというような話が出まして、それで副総裁が私にこういう事件があるのだが、まあ一つ調べてみてくれないかということになりまして、それで調べ始めたのが二十四年の正月じやなかつたかと思います。
  223. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その二十四年の正月頃お調べにかかられたそのときに、先ずどういうような点をお調べになつたのかその点について。
  224. 三浦義男

    証人三浦義男君) 調べましたのは、まあ大体この二重煙突が私のところに来ましたときは、すでにもう数量において非常に変なところがあるのだというようなことだつたものですから、まあそういう点から調べ始めたわけです。
  225. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこでこれをお調べになつた結果、どういうことに結論がなつたのですか。
  226. 三浦義男

    証人三浦義男君) 結局その数量ができ上つていないのに金が支拂われたという結論が出て参りましたのです。
  227. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこであなたがお調べになりまして、なぜその数量が違うのに金が支拂われたか、そういう点について細かく当時掘り下げてお調べになつたのですか。
  228. 三浦義男

    証人三浦義男君) 調べました。
  229. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その結果はどういうことであつたのですか。
  230. 三浦義男

    証人三浦義男君) その結果は現在現われておりますような恰好で、過拂いが起つて来たのだということになりましたのです。
  231. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで過拂いが起きて来た。單に我々が想像いたしまして僅かな過拂いなれば、まあこれはものの間違いということもあり得るのでありますが、この四千万円に近い過拂いということが、そうたやすく間違いで起きるはずが常識上ないと思うのです。そこであなたがお調べになつたその感じは、單なるそういう間違いで起きたんたということなのか、それともやはりこれは当時会社側が何らかの意図において、こういうものを意識的に国に対して請求したのか、こういう点についてはお調べになりましたか。又お調べになつたとすればどういうようなお考えであるか、その点をもう少し具体的に模様を一つ聞かして頂きたい。
  232. 三浦義男

    証人三浦義男君) 結局今過拂いが四千万円とおつしやいますが、実は四千万円ではございませんで、私の記憶では二千二百万円だつたと思いますが、過拂いの額としましては。まあそこでそういうような数量ができてないのに、それだけの金が支拂われたということは、確かに役所としては、まあ業者に一ぱい食わされたんだというような感じを受けました。
  233. 小林亦治

    小林亦治君 そこで伺うのですが、この会社には、この会社特調の間を橋渡しをするような何か人物がおつて、その人物が力を注いでやつた結果、こういうような穴になつたような、といつたような感じを受けませんでしたか、御調査の結果ですね。
  234. 三浦義男

    証人三浦義男君) どういうことか私、その意味ははつきり呑み込めませんですが、その今の橋渡しというような点につきましては私は感じませんでございますが、どうもその調書なり何なり書きましたときのいきさつを聞いてみますと、会社側が頻りに役所の代行をしておるところに行きまして、大いに頼んで頼み込んで書かせたという事実が分つて参りました。
  235. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 証人は今特別調達庁の監事ですか。
  236. 三浦義男

    証人三浦義男君) 当時です。昔です。
  237. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 当時監事というのは……。
  238. 三浦義男

    証人三浦義男君) 監査役の「監」に「事」です。
  239. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それはどういうことをしておるのです。
  240. 三浦義男

    証人三浦義男君) 調達庁法によりますと「監事は業務を監査す」というふうに書いてあつたと思います。それから職制の上から申しますと監事はやはり業務を監査すると、それから理事会に出て自分の意見を述べることができるというふうに書いてあつたと思います。
  241. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 監事というのは一人ですか。
  242. 三浦義男

    証人三浦義男君) 当時私一人でございました。
  243. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 只今は何しておられます。
  244. 三浦義男

    証人三浦義男君) 只今は財団法人交通協力会の会長でございます。
  245. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それでは特別調達庁と現在は御関係はないわけですね。
  246. 三浦義男

    証人三浦義男君) 何ら関係はございません。
  247. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) いつからおやめになつたんですか。
  248. 三浦義男

    証人三浦義男君) それは先程申上げたように特別調達庁が役所になつたときですから、昨年の六月に監事が自然廃官になりまして、それでその後は顧問として去年の十一月までおりました。
  249. 小林亦治

    小林亦治君 証人がこの契約についてのお調べになつたようですから伺うのでありまするが、これがこの発注当時は足利工業会社でも何でもない、單なる組合、いわば個人経営であつたのです。当時の金にして四千万円という契約をするのに、他にも有力な或いは確実な会社が相当あつたと思うのでありますが、なぜこの足利工業というようなかような貧弱なものに注文をなされたのか、そういう点についてお調べにならなかつたのですか。お調べになつたとするならばその前後をお聞かせ願いたいと思います。
  250. 三浦義男

    証人三浦義男君) その点につきましては私も非常に奇異に感じたのであります。単なるそう名もないものにその当時としては非常に多額のものが発注されたということは奇異に感じました。併しその当時のいきさつにつきましては何も文献もございませんでしたし、又聞くべきものもございませんものでしたから、それはとにかくずつと品物も無事に入つておりましたものですから、そういう点につきましては当時は終戦以来というものは小さな請負人が急に大きくなつたり、何かする世の中の情勢だつたものですから、その点につきましては私はいわゆる戦後の新興勢力だというふうに考えておりましたのです。
  251. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 先程取調を受けて見た結果業者に一ぱい喰わされたと思うというようなお話があつたのですが、一ぱい喰わされたといいましても二千数百万円の過拂いということになるわけなんで、事は簡單なことじやないのですが、何かお調べになつた結果どういう点が誤りがあつたというようにお思いになつたか、具体的にそれを伺いたいと思うのです。
  252. 三浦義男

    証人三浦義男君) その点は結局先程も申上げたと思いますが、役所の制度そのものが代行業者なんというものに検収をさせておつたということに私は疑問があつたと思うのです。
  253. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 結局そうしますと検収の方法が悪かつた、こういうふうにお思いになつたのでございますね。
  254. 三浦義男

    証人三浦義男君) さようでございます。
  255. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その請求を、これは田中社長証言の中に言つておるのですが、それだけ請求をしてもらえるというようなことはどうもおかしいと感じたことがある、こう言つておるのでありますが、あなたがお調べになつて勿論その検収の方法がそういう制度で悪かつた、これはもう言うに及ばないじやないか、代行をやつておる者と、それから会社の実際の仕事をやつてつた高橋とがそういう検収調査なり、請求書を作り上げたというようにお考えになりますか、その点はどうですか。
  256. 三浦義男

    証人三浦義男君) 今両者か何か策動してやつたのじやないかという御質問のようだと思いましたのですが、その点はもう制度の欠陷といいますか、そういうところを或る程度衝かれたのじやないかと私は思います。
  257. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 検収の方法はどういうふうになつていますか。
  258. 三浦義男

    証人三浦義男君) 検収の方法は、その現場へ行きまして、そのものができてないかできてるかということを調べることが原則なわけなんです。ところがこの場合は現場に行つて物を見たと申しておりますが、その現場に行つて見ましても、何せ数量が多いものですから、実際こう山と積まれておればなかなかその数量があるかないかという確認まで得られなかつたのだろうと思いますのですがね。ただそれをそれじやあの際にそういう日にちをかけて見ればその快走は得られたのだろうと思いいますが、何せ年末でもあつたので、その点は高橋あたりが包装を頼み込んだ点もありましようし、うつな検査をしたのじやないかと思います。
  259. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) この検収の際にはやはり特別調達庁の係官の人が立合うわけですか。
  260. 三浦義男

    証人三浦義男君) この場合は恐らく立会わなかつたのだろうと思います。それはその代行者が検査をする担当になつているのですから、立会わなかつたと思います。
  261. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 代行者というのは太平商工株式会社というのですか。
  262. 三浦義男

    証人三浦義男君) さようでございます。
  263. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それが精別調達庁の代りになつて検査をして受取るということになつてつたのですか。
  264. 三浦義男

    証人三浦義男君) そうでございます。
  265. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこでまあそういうようなことで過拂いになつてしまつた。そこであなたがこの過拂いになつてつたのだということを当時の次長から聞かれて、二十四年の正月頃からこれを調べた。調べて見たところが正にそういう結果であつた。そこでその結果に対してどういうような措置をあなたとしてはその後とられたのですか。
  266. 三浦義男

    証人三浦義男君) 私がそういうものに対して直接の処置をとる権限は勿論ありませんですが、私の案としましては、こういうふうにすればこの過拂いのものが還るじやないかという計画を立てまして、それを次長に出してありました。
  267. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこでそういうあなたのお立てになつ計画の内容について、具体的に一つ御説明を願いたいと思います。
  268. 三浦義男

    証人三浦義男君) 私は今の計画の大要は申上げますが、額につきましてはどうも記憶がはつきりいたしませんので、大体の額、大体の計画を申上げますから御承知を願いたいのでありますけれども、過拂いの額が二千二百万円だつたと思いますが、そのうちで会社社長及び専務が持つております東武鉄道の株を、勿論担保じやありませんが、これを売つて出せというのが一つ。それが大体当時株が五十五円くらいしておりましたでしようか。それくらいの勘定でいたしたと思います。これが五万株です。それから会社自動車を持つておりましたので、これもはつきりいたしませんが、百万円くらい見たのじやなかつたかと思います。それから何か芝浦の方に寮を持つておりましたのでね、この寮を売つたらいいのじやないかというので、これを六、七十万見ておつたと思います。それから銀座のオフイスがございまして、この権利を売つてこれから出したらいいじやないか、これは十四坪くらいのものだつたんですから、当時どれくらい見ましたか、権利金五万円くらい見たかと思いますが、そんなような勘定をいたしました。それから当時足利工業特別調達庁の仕事をやつておりましたか、その仕事の金を拂わないので、これを押えようというのでそれも勘定に入れたと思います。それが私当時五百万円くらい見たんじやなかつたかと思います。実際拂われた金はもつと少かつたかも知れませんが、私はその当時五百万円くらい見たように記憶しております。それから材料の仕掛品及び石綿なんかの材料があつたもんですから、それを売ればということでこれも五百万円くらい見たかと思います。
  269. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それは材料代金だけでですか。
  270. 三浦義男

    証人三浦義男君) これは私は目の子の勘定でございましたし、まあ日にちも経つておりますし、今数字を持つておりませんから余り確かなことじやございませんが、そういうような見当で、あとの足らずまいは、これは銀行の金融に待とうじやないかということで、私は田中社長高橋も呼んで、こういうふうにしたらば返済することができるんじやないかということを話し、それを又次長のほうにもこういうことならば或いは行くんじやないかということを話したと記憶しております。
  271. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それは大橋武夫氏に対して斡旋を求めて、その斡旋の下にやつた話ですか。
  272. 三浦義男

    証人三浦義男君) 大橋君はその頃はちよつとも関係しておりません。
  273. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それではお聞きいたしますが、この過拂金の返還のことについて、大橋武夫氏に特調の方から何か依頼されたことはないですか。
  274. 三浦義男

    証人三浦義男君) 特調のほうからというのじやなくて私が頼みました。それは恐らく前に話が出たと思いますが、三万五千株の株が、高橋が持つてつたやつがありましたし、それから又自動車高橋の名義になつておるというやつが還るということになつていたものが、それが聞きますというと、大橋君の手許に行つているのだということがありましたものですから、それはどうせ高橋が行つたところで私余り役に立たないと思つたものですから、当時大橋君と高橋君の仲というものは師弟みたいな関係にあつたということを聞きましたものですから、大橋さんにそれじやこの株の金というものと自動車のそういうものは早く高橋に売らせて、それを特調に入れてくれということを私が頼んだのです。
  275. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それは弁済方法についての会社との約束のできた後の話ですね。
  276. 三浦義男

    証人三浦義男君) 後の話です。その弁済の約束といいますものは、私はそれで行つたらばいんじやないかということを山中社長高橋に言つたのでありまして、それも、それじや大体それで行けますねという私共の話合いだつたのです。ですから後で和解になりましたものとは多少違うかも知れません。
  277. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それじや大橋武夫氏が、この債務弁済について会社特調との間の斡旋をしたということは御存じないわけですか。
  278. 三浦義男

    証人三浦義男君) 大橋君が会社との間の斡旋ということは、私どうも考えられないのでありますが、私が大橋君に頼んだのは、今申上げたように、高橋に早く株なら株を早く売つて自動車を早く金にして、それを特調に返すように君から一つ高橋に催促してくれろというようなことを言つたのであります。
  279. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そのことは三浦個人で言われたのか、或いは特調を代表して言われたのですか。その点はどうですか、大橋君に。
  280. 三浦義男

    証人三浦義男君) その点に参りますと、私がまあ主として調べていたものですから、三浦個人であるというか、特調を代表して言つたのであるかということは、どうもはつきりいたしませんですが、私は私の考えを実行するために大橋君に頼んだ、こう考えております。
  281. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それからその今の自動車とか、株とか、債券とかいうものを提供したらいいんじやないかという話をなさつたのですが、その当時会社の方からそれは承諾したわけなんですね、あなたのそういう案を会社が受諾したわけなんですね。
  282. 三浦義男

    証人三浦義男君) 大体受諾しました。
  283. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それはいつ頃ですか。
  284. 三浦義男

    証人三浦義男君) それは二十四年の正月からかかつたのですから、おそらく春の頃だと思いますがね。
  285. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 二十四年の春。そこでその自動車とか株とかそういうものを特調のほうへ納められたのですか。受取られたのですか。
  286. 三浦義男

    証人三浦義男君) 自動車か株でございますか。それは株は受取りません。株は受取りませんが、株を売つた金として一部、又自動車を売つた金としての一部が入つたと思います。
  287. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 現物は受取らないのですか。
  288. 三浦義男

    証人三浦義男君) 現物は預かつたのでございますよ。ですから今お話のは、株はその株として調達庁は受取つておりませんが、株は何といいますかね、担保じやございませんですが、これを返すのの裏付けにするために株を一時預かつておりました。
  289. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 現物をお預かりになつた。
  290. 三浦義男

    証人三浦義男君) はあ。
  291. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 自動車は。
  292. 三浦義男

    証人三浦義男君) 自動車は預かりません。
  293. 小林亦治

    小林亦治君 証人大橋君に頼んだのは個人立場からじやないというようにおつしやつたようですが、なおあいまいだから念を押すのですが、つまり何でしようか、特調の技官という地位にあられて取調をしておつたために、特調の側に立つて代表したつもりで大橋君に督促かたを頼んだと、こう聞いてよろしうございますか。
  294. 三浦義男

    証人三浦義男君) そうとつてよろしうございます。私は特別調達庁の監事でございます。技官じやございません
  295. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それから株は幾ら預かられて、どういうふうにして保管しましたか。
  296. 三浦義男

    証人三浦義男君) 株は五万株とちよつとだろうと思いますが、端数は覚えておりませんが、それは当時川田君が、経理部次長でありましたが、川田君の名前で大阪銀行に供託してたと申しますかね、そういう恰好であります。
  297. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 預けた。
  298. 三浦義男

    証人三浦義男君) はあ。
  299. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 何か特調の方から営業者に対して預かり証のようなものを出されましたか。
  300. 三浦義男

    証人三浦義男君) 特調からというのではなくて、川田君が個人として預かり証は出したんじやないかと思いますが、出したと私は記憶しております。
  301. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 川田氏が個人名義で。
  302. 三浦義男

    証人三浦義男君) これは先程申上げたように、株なんかは役所としては預かれるものでなかつたものですから、個人として預かり証を出したと私記憶しております。
  303. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこでその株でありますが、その後あなたがですね、高橋に対して三万五千株渡してやつたらどうだというようなことを言われたというようなことも聞くんですが、その点はどうなんですか。
  304. 三浦義男

    証人三浦義男君) それはどこからお聞きになつたか知りませんが、私は高橋には三万五千株を渡してやつたらどうかということを言つたことはございません。
  305. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この株を高橋がまあどういうことかうまく騙してですね、三万五千株を持つてつたそのあとで、これは大変だということで、あなたがいろいろ他の者と対策を、善後措置を講ぜられた、こういうようなことを聞いておるのですが、そういうことはあるのですか。
  306. 三浦義男

    証人三浦義男君) 全くその通りであります。
  307. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで持つてつて、あなたがお聞きになつたのは、いつ項お聞きになつたですか。
  308. 三浦義男

    証人三浦義男君) 次の日の朝でなかつたかと思いますが。
  309. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) その高橋が株を持つてつたいきさつをですね、もう少し事実を、具体的にお述べになつて下さい。
  310. 三浦義男

    証人三浦義男君) 丁度その渡します、まあ持つて行かれた日でございましたが、銀行の時間が切れて三時過だつたと思いますが、そのとき高橋がやつて来て、当時株が丁度六十四、五円を突破してたんじやなかつたかと思います。それで非常に高い金で売れるのだから、あの株を私処分して私は金を返しますから、こういうような話であつたのです。それは困る、この株は一応こちらが、僕が預かつてあるんだが、これは或る証券会社に頼んで、そうしてこちらが委任状もとつてあるんですから、これを金に替えてこちらがとるんだということで返さない、今日は時間切れでもあるし返さない。私その株屋を呼んで、株屋にいずれ渡すようなことはあるかも知れん、これは株を売るんですから、そういうことはあるかも知れないが、とにかくそれは君に渡すべきものじやないと言つたと思います。
  311. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それからどうなりましたか。
  312. 三浦義男

    証人三浦義男君) ところがそれがその日であつたと思いますが、結局高橋がそれを川田君の手許から持つてつたということになつたのです。それを私は聞きました。
  313. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それはどういうことですか、高橋に対して、株をもらいたいということであつたがそれは渡すことはならんと拒否した、それが高橋が株を持つてつたということはどういういきさつですか。
  314. 三浦義男

    証人三浦義男君) それは結局川田君をくどいたのではないかと思いますが、結局自分がこれを金に替えて上げますということで、くどき落したんだろうと思います。
  315. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) その点は証人は関與されないのですか。
  316. 三浦義男

    証人三浦義男君) それで私は次の日聞いたものですから、それは大変だというので聞きましたら、それは証券会社に行つているんだ、それじや売つてもらつちや困る、証券会社へ行つているから、それじや君の方で売つて金をこちらの方べよこしてくれと言つた
  317. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それじや高橋川田の手許から株を持つて行くことについては証人は御存じないのですか。
  318. 三浦義男

    証人三浦義男君) 知りません。
  319. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) その場におらなかつたのですか。
  320. 三浦義男

    証人三浦義男君) 勿論おりません。
  321. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこであなたとしては、その翌日いろいろと善後措置をやられてですね、結果、最後どういうところで結論が落ち着いたわけでありますか。それをその明けの日からずうつとあなたが盡力をされた経過について一つ
  322. 三浦義男

    証人三浦義男君) それで私はすぐ株屋に電話をかけまして、その株を持つて行かれた株屋が預かられていたわけです。それで株屋に話しまして、こちらが売るんだから売つて金をよこしてくれということを話したのです。それでそのことは私は電話をかけたばかりではなく、川風次長も株屋に行きましてその話をいたしました。そうしてそれがその次の日がそのままでありましたと思いますが、その次の日じやないかと思いますが、高橋が株屋にやつて来て、そうして恐らくその店主が、私が依頼しました店主はいなかつたと思いますが、川田君が会われたその店員じやないかと思いますが、その店員が高橋にその株を持つて行かれたと思います。
  323. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 株屋にその株があるということを次の日に聞かれて、どういうことをお電話されたのですか。
  324. 三浦義男

    証人三浦義男君) それはこちらが売主になつて、君の方で売つてもらつて金をこちらへ渡してくれということを言つたわけです。
  325. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 誰に言われたのですか。
  326. 三浦義男

    証人三浦義男君) それは八千代証券の者に話しました。
  327. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それは川田氏と相談の上ですか。
  328. 三浦義男

    証人三浦義男君) 勿論そうです。
  329. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで株をもうすでに店員の手違いで高橋が持つて逃げちやつたと、その後に又あなたがその株についてそれを取るために、あなたの部屋で川田氏なり、或いは高橋大橋等が寄つて、いろいろ善後処置に関して協議をされたそうでありますが、それは何回ぐらいそういうことでお話になつたのか、それで最後にそのお会いになつたときに、どういうことで結論が一体ついてしまつたのですかその点。
  330. 三浦義男

    証人三浦義男君) 会いましたのは高橋君に来てもらい、それから大橋君に私来て頂きまして、そうして話したのはそうたびたびございません、一、二度だつたと思いますが。
  331. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それも大橋高橋、それから証人と……
  332. 三浦義男

    証人三浦義男君) 川田君です。
  333. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) どういうお話をなさいましたか。
  334. 三浦義男

    証人三浦義男君) そのときに先程申しましたように、株は高橋が持つているのですから、株を早く売らして大橋沼、君早く売らして、そうして特調に入れるようにして欲しいということを依頼しました。
  335. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それは大橋とどういう関係でその場に立会うことになつたのですか。
  336. 三浦義男

    証人三浦義男君) それは先程申上げましたように大橋君と高橋君との間が非常に親密だということであつたものですから、私大橋君に来て頂いたわけです。
  337. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 特にあなたから依頼されて。
  338. 三浦義男

    証人三浦義男君) そうなんです。
  339. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そのときは私まあおかしいと実は思つておるのですが、高橋もそれから大橋も皆来て寄つたのですが、そうしてそのときにはまだ株を売つてないのだ、株があるのだから、なぜそのときに、高橋から、そんな危険なやつに、持つて逃げるようなやつに株を渡しておかずに、あなたはその株を何で取つてしまわなかつたのか、その高橋について行つてでも、特調としては自動車で行つてでも、なぜ取つて来なかつたか。それを大橋に早く売らせて早う金をくれというような生ぬるい話をなぜやつたのか。これは私はそのときの現状の模様はわかりませんから、あとであなたの今お話になることを聞いておつて、私なら私とあなたと代つておるものなら、そんな廻りくどいことをするよりも、高橋がその株をどこに置いても自動車で行ままして、その株をもう一遍こつちに預かるから返せと言つてつて処分するならですね、特調高橋も立会で前にその指定の株屋に持つてつて話をされた状態になぜ戻さなかつたのか、こういう点についてどういう事情であつたのですか。どういうわけで、つまりそういうような大橋を経て取立てるというようなことをお考えになつたのか。
  340. 三浦義男

    証人三浦義男君) それは結局株を預かつておると申しましても、この株はその担保に全部とつておるわけじやございませんし、とにかく売つて返します。こういう高橋の話でもありますし、又大橋君もそれはそうさせましようと言うもんですから、その通りに私は依頼したわけです。
  341. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この株はすでに二十四年の二月の二十三日に田中平吉と高橋大橋との間でこれは覚書が交されて、そしてこの三万五千株を田中に引渡したのですね。これはもうそういう契約をちやんとしておるのですね。そこでそういうことで田中が今度はその株を特調に持つてつて預けたのですね。その預けたということは田中としてはもう特調にその株を引渡した、自分自身はこう思つておるのですね。特調としてはまあそれは一時預かつたのだというようなことに言われておるのですが、それはそれといたしまして、高橋にその三万五千株だけを売らしめるために、なぜ渡したか。つまり高橋のものじやないのですね、その株は。すでにこの二月の二十三日に三人によつて作られた書類に基いて、その株を田中に引渡しておるのですね、高橋が。田中は自分会社責任者である関係上、国の損金に当てるべくこれを特調に預けたのですね。そういう経路から見まして、なぜ一体高橋に、高橋のものではないにかかわらず、高橋に三万五千株渡して、それであまつさえ高橋をつかまえておりながら、それを高橋の手によつて売らしめて、その金を特調の方へ返してくれと、而もそのことを大橋を通じてそういうことをなさしめておる、それが我々了解が行かんですね、どう考えてみても。
  342. 三浦義男

    証人三浦義男君) それはまあその高橋と田中の間にそういう取交しの証文があつたかも知れませんが、私どもは高橋足利工業専務と考えまして、同じ代表者なんですから専務として、代表者として考えまして、その高橋、田中が一体であるというふうにまあ考えましたことに、或いは錯誤があつたかも知れませんのです。私はそう考えていたんです。高橋、田中は一体にある、両方とも会社の代表者であるというふうに考えていたわけです。
  343. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 すでにあなたが、今証人が申された、この件の起きた時期というものはですね、その前にすでに特調から支拂ておるところの金が、九千何百万円の支拂金額というものが、本社である足利にその金が届いていない。その間何千万円かの金が高橋の手によつてどう使われたか、とにかく高橋が受取つただけの金を社長に渡していないということが曝露されてそうして最後の四十百万円というものは、銀行に田中が私以外には金を渡してくれるなということまで言つて、而もこの本件の問題になる株を渡すときには、特調に対して高橋は信用がないのだから、事金銭に関することは私以外にはこれは預かつてつては困るということも重ねて言つているのですね。その当時の実情はあなたが今言われるような会社社長専務という、平常な場合であればそういうことを我我考えられるのですね。ところがもうすでにそういう平常な状態というものは破壊されて、そうして田中からの専務である高橋に対する信用というものは、以上述べたようになくなつておるのですね、問題は。そういうその現状であつたにかかわらず、高橋にそれを渡しておるということが不可解である。ところが特調側に言わすなら、これはあなたが発明になつたようにですよ。これは片つ方は会社の代表権を持つところの専務取締役である、だからこれは同じように心得えおる。これは成るほど理窟はそうなんですね。ところがそういう正常な理窟の通る状態を破壊されておつたのですね、当時、そのときには、すでにそれがどうも私は納得が行かないのですね。そういう状態にあつたのに、なぜ高橋に渡したのかということですね。
  344. 三浦義男

    証人三浦義男君) その点について私の考えを申しますと、それは今お話のように、銀行関係なんかは或いは高橋対田中と、そういうふうになつてつたかも知れませんけれども、私どもの耳に入るのは高橋が来ても田中が来てもその間にはそう仲違いであるような言辞は聞かなかつたわけです。銀行関係が何千万円自分のところに入つておるとか、そういうようなことは私どもは一切知りませんし、又そういうことを強いて避けたのじやないかと思いますが、私どもへはそう仲違いをしておるのだというような言辞は私ども耳に入らんのです。
  345. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつと証人に伺いますが、大橋氏は、大橋高橋川田証人とこれだけで早く株を処分して金は特調の方へ入れるようにという話を依頼したときに、大橋氏は何と言つておりましたか。
  346. 三浦義男

    証人三浦義男君) 承知したと言つておりました。
  347. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 承知したと、盡力を約しておつたわけですね。
  348. 三浦義男

    証人三浦義男君) やらしましようと言つておりました。
  349. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで、今そういうような状態であつたということは私たちに承知しておらなんだということを言われますが、あなたがすでにこの問題について返済計画のこの調査等によりますと、高橋のいわゆる出し分である、而もそれに対してわしはこれだけの出し分だ、田中はこれだけの出し分だということを両方で大体その線を決めたのですね、出し分を。その決めてこういうふうになつたという現実は、これはあなたが今説明されておるように一体の形であればかようなものは起きないのです。我々が考えて見て一体であれば、何も足利板金株式会社代表社長田中平吉一本でこれは事は解決つくのですね。ところがそうでなくこういうような現実があるということは、やはりその間両者の軋轢というもの、責任回避の主張等が行われて、そうして実態はやはり悪かつたであるということをやはりこれは立証しておるのだと思う。当時その状態が過ぎた後にこの株の問題が起きておるのですからね。だからそれを全然特調としてはそういう田中、高橋の両者の関係が一致しておるというようにお認めになつておるということはどうも了解がいかんのですが。
  350. 三浦義男

    証人三浦義男君) 私は今のお話のこの持分は高橋のものであるとか、或いは田中平吉のものであるとかいうことの私の解釈は、それは高橋名義になつておるものと、田中の名義になつておるものというふうに私は解釈したわけです。
  351. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) どういうふうに解釈しておられたというのです、高橋のものと田中のものと。
  352. 三浦義男

    証人三浦義男君) これは高橋名義になつておるもの、これは田中の名義になつておるものと解釈をしておりました。
  353. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこでそういうような解釈をしておつたということを言われますが、証人は先程この過拂いの問題が発生して自分調査に当つたが、二十四年の正月頃にこれを手をつけて調査をやつたということを言つておられるので、調査もかなり、自分の監事という職責であるという立場からしてかなり調査されたと私は思うのですが、そこで私たちが、專門にこれを調査せない者が見ましても、一体この高橋の持分である覚書の株であるとか、自動車であるとか、住宅であるとかいうようなものは、これはその高橋財産でなくて会社の金で買つておるのですね、私がちよつと調べたところでも、会社の金で買つておるのですよ。ところがその会社の金で買つておるということぐらいのことは大体あなたもお調べになつた以上わかつておるのじやないか。そのぐらいのことはもうよく御承知の筈だ。のみならずそういうことがわかつてつて今言われるようなことはどうもおかしいのじやないか、こう思うのですが、その点があなたが説明をされて行くことと現実とはよほど違うように判断するのですね、我々としては。
  354. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 成るべく御質問を簡明にして、そうして事実をお尋ねになるようにお願いいたします。
  355. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで株の問題について、大橋君からあなたに対して何か頼まれたというような御記憶はございませんか。
  356. 三浦義男

    証人三浦義男君) 私にですか。
  357. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 ええ、あなたにですね。或いは高橋にこういうような解決の方法をしてやつてくれ、例えばあなたが主張される解決の方法が非常に苛酷である。だからそれは余り三浦君ひど過ぎるじやないか。会社がかわいそうじやないか。だから会社も立行くような方法に何とか一つもつと方法を変えて考えてくれというようなことはなかつたのですか。
  358. 三浦義男

    証人三浦義男君) 私にはそういうことは一切頼まれませんでした。両人からそういうことはございません。大体私の案に両方とも、まあそれは両方ともと言いますと語弊がありますが、高橋も承服しておつたのですし、又田中平吉もとにかく承服したのですから、私はそういうことは頼まれたことはございません。
  359. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 大橋氏は先程盡力しようといつて高橋も承知して帰つたが、その金は入つておらないのですか、特調のほうへ。証人如何です。
  360. 三浦義男

    証人三浦義男君) さあ金は私人つたと聞いたのですけれども、それは勿論多額じやないかも知れませんけれども、入つたと聞きました。
  361. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) どのくらい入つたのですか。
  362. 三浦義男

    証人三浦義男君) 三十万円かそこいら入つたのじやないですか。
  363. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) この株はどのくらいのものです。
  364. 三浦義男

    証人三浦義男君) いや、当時まだ処分されなかつたわけですから。そのうちの一部自動車を売つた金だということで恐らく入つたように即いておりましたが。
  365. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 株の金ではないのですか。
  366. 三浦義男

    証人三浦義男君) ええ。
  367. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 自動車の金ですか。
  368. 三浦義男

    証人三浦義男君) 自動車だと思いました。
  369. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 三十万円。
  370. 三浦義男

    証人三浦義男君) 三十万円だと私覚えております。
  371. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 株の方はどうなつております。
  372. 三浦義男

    証人三浦義男君) それは株というよりも、その株とそれから自動車とこめてのあれですから、これは株を売つた金、これは自動車を売つた金という区別は私ども知りませんでございましたが、とにかく三十万円ぐらいの金は入つたと記憶しております。
  373. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 併し今あなたは三十万円自動車代金とおつしやつたですね。
  374. 三浦義男

    証人三浦義男君) ですから恐らく自動車の……。
  375. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 株はどうなつたと聞いているのです。
  376. 三浦義男

    証人三浦義男君) 株は知りません。
  377. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それじや株を処分するということで皆引受けて帰つておるが、その後何らそのことについて話合いはなかつたのですか。
  378. 三浦義男

    証人三浦義男君) 私はもうその後さつき申上げたように監事の職務もやめてしまつたものですし、又川田君がそのままやつてくれましたものですから、川田君にそのままさしておりました。
  379. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 監事の職はいつおやめになつたのです。
  380. 三浦義男

    証人三浦義男君) 二十四年の六月だつたと思います。
  381. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それは今の話をしておるのは何月頃ですか。
  382. 三浦義男

    証人三浦義男君) 大橋さんに頼んだのですか。
  383. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ええ、
  384. 三浦義男

    証人三浦義男君) 頼んだのは春だつたと思います。
  385. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 三、四月頃ですね。おやめになるまでにはまだ二月、三月あつたのじやないですか。
  386. 三浦義男

    証人三浦義男君) ございました。
  387. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そういうことは、あなたも宣誓して証言しておるのですから、誠意を以て御答弁願いたいのですが。
  388. 三浦義男

    証人三浦義男君) 私は誠意を以て御答弁しておるつもりです。
  389. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) やめてしまつたから知らないということは……。
  390. 三浦義男

    証人三浦義男君) いやそう言つたのでございません。これは川田君が主としてやつておりましたものですから、私は余り関知しなかつた
  391. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 全然あなたは関知されなかつたのですか。
  392. 三浦義男

    証人三浦義男君) 余りタツチいたしませんでした。
  393. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それでは先程大橋高橋川田証人とそういう話をして、できるだけ早く換価して特調のほうへ納めようといつてつてつた。その後金は自動車代金というのが三十万円入つた。株のことについては、その後何にもお話がなかつたわけですか。
  394. 三浦義男

    証人三浦義男君) ございませんでした。
  395. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 証人は関知しないというのですね。
  396. 三浦義男

    証人三浦義男君) 私もう余りその問題には触れませんでした。
  397. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) どういうわけですか。
  398. 三浦義男

    証人三浦義男君) どういうわけと申しまして、別にわけはないのでございますけれども。
  399. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 併しあなたはこの事件については初めから関係しておられて、尚六月頃までは特別調達庁においでになつたわけでしよう。その人がどうしてこの事件関係ない。
  400. 三浦義男

    証人三浦義男君) それは関係……、催促は川田君なんかと相談をして、よりより相談をしておりましたのですけれども、その後この私が当面に立つて大橋君に催促をしたり、又高橋を呼んで話はしなかつた。それは経理川田君が経理の側として相談をしておつたと思います。
  401. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 何か川田氏からでもその後その件はどういうことになつておるかというようなことをお聞きにならなかつたのですか。
  402. 三浦義男

    証人三浦義男君) ええ、それですからその金が入りました点は聞きました。それくらいじや困るじやないかという話はしておつたと思います。
  403. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それについての何か善後策、どういうふうにしたならばいいかというようなことのその後内部相談はなかつたのですか。
  404. 三浦義男

    証人三浦義男君) 私にですか。
  405. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) いや特別調達庁内部ですね、あなたと川田氏がその責任者でしよう、この事件の担当者でしよう。
  406. 三浦義男

    証人三浦義男君) ええ。
  407. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ところが金は入つてないのですね、三十万円ばかりしか入つてないのですね。三万五千株という株は持つてつておるのでそれに対して自動車も持つておるし、三十万円ばかりではしようがないのだがそれを持つて来ない、それについて何ら御相談はされなかつたのですか内部で。
  408. 三浦義男

    証人三浦義男君) それは内部相談いたしまして会社のほうへ大いに督促はしておりました。
  409. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただ督促をしただけで、どういうふうにしたらば金を取れるかというような方法については相談をされませんでしたか。
  410. 三浦義男

    証人三浦義男君) それで特調の仕事をやつておりました、修繕工事なんかをやつておりましたのでそういうものはぐんぐん押えておりましたがね、その間に。
  411. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 私のお聞きしておるのは、三万五千株持つておるその株を処分することについては、あなたは何も御相談しなかつたかということを聞いておるのです。もつとそこのところははつきりしてほしい。
  412. 三浦義男

    証人三浦義男君) その株につきましてはとにかく早く売つてこちらに出してほしいということは申しておりました。
  413. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) どうも同じようなことを言われておりますか、株を持つて来い、早く金に換えて持つて来いということを何度催促しても持つて来ないのだから、それに対して特別調達庁としてはどういうふうな処置を講ずべきであるか、どうしなければならないかというようなことの御相談はなかつたかということを聞いておるのです。さつきから同じことを何度もお聞きしておるのです。立つてお答えを願います。
  414. 三浦義男

    証人三浦義男君) 勿論それは相談しないでほつておいたわけじやございませんが、具体的にこれをどうしようというようなことは私相談をいたしませんでした。とにかく株を早く売つて返してほしいということを申しておりました。
  415. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) あなたがおやめになるまでそういう状態であつたのですね。
  416. 三浦義男

    証人三浦義男君) さようでございます。
  417. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 最後に、大橋川田高橋とあなたとがあなたの室でお会いになつて、この株についての話合いの結論はどういうところで結論が付いたのですか、話合いは。ただ漫然と大橋君に金に早く換えさして取つてくれというようなことだけを、それだけの人が寄つて話合つたとは思えないのですが、そこには何とか具体的なやはり結論と話合いというものがあつたのじやないかと思いますが、最後これはどうならどうしようとか或いは大橋君が最後にそれじや俺が責任を持つから、だからもうこの事件は俺に任せておけといつたようなことになつたのか、何とかきまりがあつた筈なんです。それを具体的に一つお聞きしたいと思います。
  418. 三浦義男

    証人三浦義男君) 大橋君がそれでは、じや私が引受けてそれをやりましよう、こう申して帰りました最後は。
  419. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 いろいろあなたが会議をされた結果はそういうところで結末が一応ついた、それじやそういうことに任かそうということで終つたのでしようか。
  420. 三浦義男

    証人三浦義男君) さようでございます。
  421. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 もう一つお聞きするのですが、高橋証人はたびたび愚痴をこぼしておつたのです。自動車も株も大橋君が持つてつてしまつた、取られてしまつた、そして何度請求してもちつともその金を返してくれない、ということを高橋が非常にこぼしておつたということを言つておるのですが、あなたには一体株の金なり或いは自動車の金というものは誰が一体それを持つてつたか、或いは高橋君がそういうようなことをこぼしておるということを何かの機会によつて感じられたかどうか、その点一つつて置きたい。
  422. 三浦義男

    証人三浦義男君) 高橋が私のところにそういうことを申したことがあります。
  423. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 具体的にはどういうことなんですか、一応どういうことをこぼしておられたのですか。
  424. 三浦義男

    証人三浦義男君) 今あなたがおつしやつたようなことを私に申したことがございます。
  425. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) どういうことですか、それは。
  426. 三浦義男

    証人三浦義男君) まあ株の話もなかなか、大橋さんが株を持つてつたとは私には言いませんでしたが、自動車の方はなかなか返してくれないのだということを申しておりました。
  427. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それは証人の方から、特別調達庁の方から早く処分をして金を持つて来るようにと催促したのに対して、高橋が返事をしているのですか、早く自動車や株を処分して金を持つて来るようにこういうふうにたびたび催促したと言われましたね。それに対して高橋がそういう弁解だか言訳だかをしているわけですね。
  428. 三浦義男

    証人三浦義男君) そういうことを言つておりました。なかなか自動車のほうが、株のことは私は大橋君の方へは株を持つてつているとは考えませんでしたから考えませんし、又株のほうはお前が持つてつたのだからお前早く売つてそれを返したらいいじやないかということを申しておりましたし、自動車大橋君が持つてつたと言いましたから持つてつたということは聞いておりますし、又高橋自動車のほうはどうも金が返つて参りませんので、ということを私に申したことがあつたと記憶しております。
  429. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 併し自動車の分は三十万円の金が入つたのでしよう。
  430. 三浦義男

    証人三浦義男君) まあ一部でございますね。
  431. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 株についてはあなたお尋ねがなかつたのですか、高橋に対して。
  432. 三浦義男

    証人三浦義男君) 高橋に対しては大橋君に頼んであるから株を早く処分して局長に納めるとこう申しておりました。
  433. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そのとき高橋は何と申しましたか。
  434. 三浦義男

    証人三浦義男君) 承知しましたと言つていつも帰りました。
  435. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただ承知したというだけだ、株はどうなつているかということはあなたはお尋ねはなかつたのですか。
  436. 三浦義男

    証人三浦義男君) 株は持つていると申しました。だんだん株が下つて来るので持つていると申しました。
  437. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) その後あなたはこの件については関係がないわけですか。
  438. 三浦義男

    証人三浦義男君) 私は全然関係を持ちませんです。
  439. 小林亦治

    小林亦治君 高橋大橋についてこぼしておつたというのはいつ頃で場所は何ですか、証人の役所のデスクですか、或いは応接間ですか、とにかく役所ですか。
  440. 三浦義男

    証人三浦義男君) ええさようでございます。
  441. 小林亦治

    小林亦治君 いつ頃でしよう、大体。
  442. 三浦義男

    証人三浦義男君) 私は特調を出てからですから、交通協力会に行つてからですから去年の冬にかかつてからと思います。
  443. 小林亦治

    小林亦治君 只今大橋について高橋がこぼしておつたということは、何人もの証人から同じように聞いておるのですから、本件証人にも何回か高橋が言訳らしくそういつた愚痴をこぼしておつたのでありますが、たつた一回ですかあなたがお聞きになつたのは、何回もお聞きになつたのですか。
  444. 三浦義男

    証人三浦義男君) 一回ではありません。
  445. 小林亦治

    小林亦治君 何回も同じようなことを。
  446. 三浦義男

    証人三浦義男君) 何回もと言つてもそう沢山の数ではございません、一回じやないと思つております。
  447. 小林亦治

    小林亦治君 じや二、三回ぐらい同様な内容のことを聞いた憶えがおありになるのですか。
  448. 三浦義男

    証人三浦義男君) はあ。
  449. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 私は、まだ三浦証人に対していろいろお聞きしたいことがあるのですが、一応ほかの証人証言があつた後に又重ねてお聞きしなければ、ここで一度にお聞きをしてもむずかしいのじやないかと、こう思いますので、一応本日のところは、他の委員諸君の御質問はどうか知りませんが、私の質問は他の証人を喚問して聞いた上で、最後に又非常に御迷惑でも三浦さんの御主席を求めて聞きたい、こう思つておりますから、今日はこの程度一つ私の質問を打切りたい。
  450. 小林亦治

    小林亦治君 只今のカニエ君の御意見に賛成です。やはりこれだけでは……。
  451. 森八三一

    ○森八三一君 一つだけ、証人の話を聞いておりますと、この問題の解決のためにかなり積極的に当事者との間に立つていろいろ行動されたというように伺つたのでありまするが、証人は監事という地位にあつたのでありまするが、監事当然の職分としてそういう行為をおやりになつたのでありまするか、どうであるか、その点はつきり一つ
  452. 三浦義男

    証人三浦義男君) それは恐らく監事の職分じやないと思います。これはまあ次長から特にやつてほしいということがございましたので私はやりました。
  453. 森八三一

    ○森八三一君 次長から特に依頼があつて、監事の職員を離れた別個の人格において行動されたと理解していいですか。
  454. 三浦義男

    証人三浦義男君) 私はそう思つております。
  455. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そこはどういうふうに使い分けられておるのです。特別調達庁の監事としてやられるということと、個人としてやられるということと。
  456. 三浦義男

    証人三浦義男君) 個人じやないと思いますが、とにかく監事としましてまあ上長の命令で以てやつたということだと思います。
  457. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それでは監事の職としてやる仕事じやないですか。上長の命として監事の職責としてやり、而もその職務上やる仕事は特別調達庁の問題だなつておる事件についてやつておるとすれば、それは監事の仕事じやないのですか。
  458. 三浦義男

    証人三浦義男君) 職制にある監事の仕事そのものじやないと思います。
  459. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 職制にあるかないか知りませんけれども、特別調達庁の監事としてやられておる仕事じやないのですか。
  460. 三浦義男

    証人三浦義男君) 特別調達庁の職員としてはやつております。
  461. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そこはどういう違いがあるのですか、特別調達庁の職員としてやつておる仕事と、監事としてやつておる仕事との間に区別があるのですか。
  462. 三浦義男

    証人三浦義男君) 私、事務というか、法律は暗いのでありますけれども、監事というのはそういうことまではやるものじやないと私は思うのでございますけどね。
  463. 森八三一

    ○森八三一君 只今証人お話の中に監事としてはそこまで行くべきものじやないというように考えておいでになつて、あえてそこまでおやりになつた何か理由がありますか。
  464. 三浦義男

    証人三浦義男君) これは何と申しますか、長官なり次長の特命があつて私はそういうことをやつた自分は思つておるのであります。
  465. 森八三一

    ○森八三一君 法律上監事の職分というものは明確に規定があると思いますが、上司から、或いは同僚から依頼があればその法律の明文を越えて行動したことについてどうお感じになりますか。
  466. 三浦義男

    証人三浦義男君) 法律の明文を越えて上長の命令があれば、俺の職分じやないということはこだわれないだろうと思うのでございますけどね。
  467. 森八三一

    ○森八三一君 上長の命令があれば法律の命令職分を離れて違法行為に出ずることもあえて辞せない。
  468. 三浦義男

    証人三浦義男君) そこになりますとはつきりいたしませんでございますがな。
  469. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちよつと証人にお尋ねいたしますが、証人のお考えがちよつと我々にわかりかねるのですが、これは特別調達庁としては大きな問題で、世間でも問題になつておる事件なんでして、それを特別調達庁の役人、殊に相当重要な監事という地位におられる証人が初めからこの事件に関與されて、そうしてやつておられることが、それが証人特別調達庁の職員としてやつておられる仕事であるとか、或いは個人の話であるとか、上の人の命令があるとか、なかつたということがどうして使い分けができるわけですか。この点をお尋ねしたい。
  470. 三浦義男

    証人三浦義男君) どうも私の言い廻しかたが非常にまずかつたと思います。きつとお答えがまずかつたと思います。結局私は特別調達庁の職員としてこの問題を取扱つたのでございますから、その点を御了承願いたいと思います。
  471. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そうすれば、特別調達庁の職員としておやりになつたとすれば、自分職務上の事項として関與しておられたということですね。お認めになつておりますね。
  472. 三浦義男

    証人三浦義男君) さようでございます。
  473. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 森委員はよろしうございますか……。それではこの証人に対する質疑はなお保留いたしまして、本日はこれで散会してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  474. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) では本日はこれで散会いたします。    午後五時四十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     棚橋 小虎君    委員            小杉 繁安君            廣瀬與兵衞君            カニエ邦彦君            小林 亦治君            常岡 一郎君            森 八三一君   証人    特別調達庁財務    部長      川田 三郎君            三浦 義男君