運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-02-16 第10回国会 参議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十六日(金曜日)    午前十一時十四分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件昭和二十三年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十三年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出)   ―――――――――――――
  2. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 只今より決算委員会を開会いたします。本日は運輸省に入りまして、先ず最初に五百十九号から五百二十六号の御審議を願います。会計検査院の御説明を求めます。
  3. 山名酒喜男

    説明員山名酒喜男君) 五百十九号は放出物件売払代金の取りかたが手がのろいという批難でございます。ここに記述がありますように、放出物件として鋼材、機器、油燃料、こういつたようなものの引渡国有鉄道特別会計に行われたのでありますが、引渡が済んで随分たつてもなお徴収決定をして債権を確保する処置がまだできていなかつたという批難でございまして、手がのろいのではないかという批難でございます。これは二十五年の三月三十一日に代金収納済になつておりますので、爾後においては処理が済んでいるのであります。当時における手続ののろいという批難でございます。  それから五百二十号から五百二十三号までは殆んど同様の性質のものでございますが、第一、第二、第四それぞれ港湾建設部港湾修築に関しまして一事費の中から、工事費予算の差繰をされて、本来工事費の中で払うのには性質の該当しない費用のぼうに工事費を差繰つてつて行つたという批難でございます。五百二十号のほうは新潟で本部職員病舎四棟を七十八万七千円で造つておられますが、修築費にはこういつた費用は含まれていないということになつております。五百二十一号は第二港湾建設部で同じく本部職員宿舎四戸、七十四坪を造り、庁舎五十八坪の増築をやられて三百万円の金を出しておりますがそういうようなことであります。五百二十二号の第二港湾建設部作業衣九百六十七着を百三十万円ばかりで買つておられますが、本来この作業衣労務者用作業衣として割当を受けられたものでありまして、港湾建設部でも給仕とか小使とか守衛というようなものには作業衣無償で貸付けてもいいわけでありますが九百六十七着は一般事務職員工事職員、本来そういうことが予定されていない、労務者でないそういう職員にも一律に無償で貸付けておられるということで、予算的にもいかんし、又買つた被服使いかたの問題としても当を得ないという批難でございます。  五百二十三号、第四港湾建設部本部職員宿舎の新増築費として百五十万円ばかり、それから連絡用自動車として五十四万八千円ばかりをそれぞれの管下の港湾工事費等かみ出されておりますが、こういつたような経費は本来行政部費で出さるべきものであつて工事費から差繰わ出されるということは予算の科目を紊り、又工事進捗を……その程度予定されておる工事費が予定の工事に使われないという結果を来すというので、批難を出しておる案件でありまして、政府はいずれもこれに対して事情を述べられ遺憾の意を表してはおられる事態でございます。  それから五百二十四号の沈船防波堤と、いう問題でございますが、これはなかなかむずかしい問題でございますが、第一港湾建設部秋田港の修築工事に二千万円ばかりの金をお出しになりまして、駆逐艦廃艦を三隻一列に二百六十八メートルの防波堤をお作りになつておるのでありますが、これができ上ると同時に崩れ始めて、一年足らずして大体艦首艦尾中央部といつたものにそれぞれ転倒流出或いは毀損というものが生じて、当初の工事目的を十分に長く目的を達することができなかつたという批難でございまして、これは同様に沈船防波堤という問題は小名浜、若松、宇部、竹野、八戸といつたような港湾も同様でありまして、ほかのところにおきましてはこのような事態にはならなかつたのでありますが、残念ながら秋田港だけはこのような沈船防波堤が一年足らずで大きな被害を受けた案件でありまして、政府のほうにおかれましても本来海の上を軍艦を沈めて波を防ごうというのでございますので、技術的に困難だというので鉄道技術研究所その他の資料を十分お使いになりましておやりになつた案件でありまして、本来捨石はその捨石が落着いてそれが固まるまでには相当な期間を要するのであるが、非常に短期間の間に工事を進めたという不利な点があつたのでありますが、壊れた原因を私のほうの技術官の手によつて調べてみますと、成るほど船殻の強度は弱かつたことは弱かつたのでありますが、これはもう当然初めから勘定に入れていなければならん要素でもあるし、基礎工事を調べてみますと、設計を立てられた、その設計図通り工事が運ばれていなかつたという点で、瑕疵が私のほうで見ますとあるわけでございまして、その設計通り行われておつたならばこういう事態は発生しなかつたんではないだろうかという問題と、設計自体にも多少遺憾な事態もありはしないかという、こういう二点であります。そこで一応御理解に便するために図面を御覧に入れますと、軍艦を三隻並べてそこの艦尾艦首に十七トンばかりのコンクリート方塊を押えにやつて、そして軍艦の中には砂を入れて、そして甲板コンクリート張つて、その軍艦を落着けるために最初に、砂の非常に移動するところであるので、粗架をぐつと下してその上に捨石をやつて軍艦を並べてやつたわけであります。その並べた格好がこういうように蒲鉾型の捨石の土にまあ軍艦がこういう格好にはまつておるというような形でございます。そこで捨石の量が最初にここに書いてありますように、百九十九頁の二行目の、捨石工事を見ると基礎幅設計は二十一メートルでありますが、それか十六・五一メートルとなり、又設計の二十七メートルが二十二・六メートルといつたような計画によつて実施された。捨石の幅がもうそもそも少し少くなつておる。それからこの幅自体もこの秋田港よりも波浪の低い小名浜港では同様に軍艦を沈めたのでありますが、基礎幅設計三十一・五メートルであるのに比べても設計のときなおそれの実施が少いということで、波の力による砂め漂流を据えるには基礎幅が小さいのではないか。それから捨石量全体の問題ですが、当初設計は一万七千立米、それが一万五千九百立米という設計を立てられたが、現実にお捨てになつたのは一万三千立米をお捨てになつたに過ぎない。これで見ると結局当時の基本設計数量だけはお捨てになつたが余盛りをしなければならんわけですが、道路工事でも掘返した後の土を見ますと、余盛りをして少し高くなつておる。大体この余盛りということが、港湾工事に対するいういろいろ学習の説なり仕様書を見ましても、大体三〇%程度は余盛りをするということになつておりますが、ここでは基本設計数量だけお捨てになつて余盛りはお捨てにならなかつたという点がありはしないかと思います。それから艦尾艦首を押えるために横のほうから当てられたコンクリート方塊も七十二個据え付けるという計画」対して、実際は四十五個を据えつ付られただけで、その方塊もまあいろいろ学者の説なんかで勘定いたしますと、大体十七トン程度方塊でなくして、まあ五メートル程度の波の打つところですから三十トン程度方塊を据え付けることが望ましいということに対して、ここに据え付けられた方塊は大体十七トンの方塊になつておるのでございます。さように基礎関係設計をお立てになりましたそれに対して、今の基礎幅もどうだろうか、それから捨石量実施上の量が少いと、まあ基本数量だけはお捨てになつておるのですが、余盛りの分の相当量鉄道輸送のために十分行われなかつた。それから又方塊も軽いのが、数が少いのじやないかというような疑問も私どものほうでは持つておりました。それで結局二十三年の五月から十月までにやられたんですが、二十三年の十月に一応形が完成した。その二十三年の十月から壊れ始めて二十四年の三月までに、百九十八頁の真中に書いてありますように、「伊唐艦首約八米と艦尾約二四米が堤外に転動され、中央部は下甲板以下だけが残存し、栃は艦首約一〇米が折損流失し、中央部甲板もき裂を生じ、竹は艦首部約三分の一が折損して内側に移動し」、とまあこういう状況になりまして、結局二十三年、二十四年、二十五年に五千万円の金をかけて、更にここに捨石をされ、方塊を据え付けられておるのでありまして、私のほうといたしましても途中で非常な台風が起るとか何とかいうことになれば、これ又計算上のことを入れた経済的にしなければならん仕事でありますので計算に合わなかつた、経済的の計算の中に入れていなかつた因子が働いて崩れたということも考えられるのでありますが 大したあれもなくて、普通の事態において、冬でございますから波は荒いのですが、その程度のことは設計及び施工上当然予測して行かなければならん事態ではなかつたのだろうか。そもそも秋田港は波浪は高いし、土砂の移動が非常に多いということで、こういう構造設備をすることは非常に困難であるということは御尤もに思うのでありまして、又でき上つて一年近くの間にいろいろの遊離の点があつたという点は御尤もでありますが、あと五千万円をかけて修築をするということになれば、初めからもう少し完全な設計で、施工にもう少し念を入れて設計通りにやつて行くことによつて、こういう災害が防げたのではなかろうかという批難でございまして、私のほうもこういうものにつきましては、一応工学博士も部内におりますことでありますから、いろいろ検討をしましたが、まあいろいろ運輸省のほうの技術関係のほうの御見解と、私のほうの見解と多少食い違つておりまして、何が主因であるかということについては、なかなか水の下のことでございますしむずかしい問題でございますが、たくさんやりました同種の工事の中でここだけが崩れてしまい、設計通りに行われていなかつたという点に、或る程度相当大きな批難因子があるのではないかということで、あえてむずかしい事件ではございますが批難に挙げた次第でございます。  次に五百二十五号の補助金交付に当り処置当を得ないもの、これは高松港の改築費八百万円かかりましたが、それに対する国庫補助の四百万円のうち、二十四年の三月に百六十万円の金を出しておられるのですが、およそ補助金というのは工事ができ上る見当がついてその金を使うそのときにやればいいので、果してその工事ができるかできないかわからないのに、現金を先にやつてしまうのはどうであろうか。工事が竣工すると同時に金を出して行くのが国度補助金使いかたとして妥当ではないかという批難でございまして、これは浚渫工事に対する年度内の二十四年の三月までにできるということで補助指令をしておる。ところが二十四年三月までに浚渫船が入つて来ただけで、浚渫工事が全然できないのに最後の百六十万円の金までやつてしまつたのは、少し金のやりかたが早過ぎるというので、これはもうあつちこつちの県でいろいろあることでありますが、金は先にやり工事は進まないと、これが県費の金繰りに使われてしまつて国庫のほうは口あんぐりになつてしまうということも両白くないではないかということで、まあ実害は最後にはないであろうと思いますが、金のやりかたが少し早過ぎるのではなかろうかというのであります。  それから最後の五百二十六号でございますが、予算外行政庁で金を持つて、それを勝手に……勝手にといつたお気毒でありますが使つてつたという事件であります。これは航海訓練所を二十四年の九月に検査をいたして見ますると、百二十万九千円の金が金庫の中に入つてつた。この金は、金庫の中にこういう現金がある筋合ではないではないかということで調べて見ますというと、練習船礎風丸ほか九隻を以て二十一年六月から二十四年四月までの間に、航海訓練かたわら生徒を使つて荷役の実修をやつたり、それから現実に当時海上輸送力が逼迫しておりましたので、物を運ばれた、そうしてその報酬として荷主の会社から三百八十五万円の金を取られた。それで私のほうでは、こういう金が入つたならば一応国の歳入に上げて、出すほうは又国の歳出予算の中から出すようにする筋合を取るべきであつて、じつとその金を温めて自分のところで直接慰労費として七十八万五千円ばかり使い、それから百四十六万円で寮三戸を買い、それから残りの三十九万五千円を図書購入にして、残つた金が百二十万九千円ということでじつと温められておつた、これはやはりいかん。こういうものは歳入にきちんと入れんと、ここで私に費消することが行われることが非常に多くなるということは、国の会計経理を進めて行く上において避くべき事態である。こういう事態があるときには、予算外経理をするときには、法律を出してきちんと規矩準繩の下に進めて行くということが大切であるということ、その手をお取りにならなかつたということで批難した案件でございます。後歳入に納付され事後の措置は済んでおりますが、将来もあることでございますので、一応批難にいたしております。
  4. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 政府の御意見を承ります。
  5. 國安誠一

    政府委員國安誠一君) 只今検査院批難事項につきまして、私のほうから御説明をいたします。  第一に五百十九の特殊物件売渡代金回収処置当を得ないものについてでございますが、昭和二十三年度中に国鉄引渡しました放出物件代二千三百五十六万七千八百二十五円につきましては、なおそのほかに千四百七十三万三千九百九円ありまして、合計三千八百三十万一千七百三十四円あつたのでございますが、これらの中には同年度中に国鉄一般貯蔵品と同一視いたしまして、価格改訂によつて増額したものもあつたのでありまして、これらを受入帳簿価格に引戻して計数の是正を計つた結果、二千一万六千七百十五円が正当の金額と確定されたのでございます。国鉄ほこれが代金昭和二十五年三月三十一日用品経費としての款、用品執業費としての項、役務費としての目に決算をいたしまして、運輸省一般会計当該項目に納付いたしてあります。なお従来国鉄処置しておりましたところの特殊物件代徴収事務昭和二十五年五月三十一日現在の累計額で同日に遡及徴定いたしまして、歳入現計表を以て昭和二十五年三月三十一日までに運輸省一般会計に引継をいたしております。五百十九号につきましては概略只今申上げたような次第であります。  次に五百二十号につきまして申上げます。五百二十号は先ほども検査院からお話のございましたように、これと五百二十一、五百二十二は大体同様な事件でございますが、第一港湾建設部におきまして新潟港及び伏木港の修築費から本部職員宿舎を新築したことにつきましてでございますが、これは説明書の百二十五頁に書いてございますが、その通り、誠に遺憾に存ずる次第でございます。なお附加えて申上げますと、当部が昭和十八年以前内務省に所属していた当時、港湾工事特殊性から工事費を以て宿舎を新築した例もございます。又戦前は借家が自由に得られましたのでかような従業員住宅難もなかつたのでございますが、戦後の住宅難戦災戦災の如何を問わず深刻を極めまして、延いては工事遂行支障を来たす点がございましたので、最小限度宿舎を新設したのでございますが、今後はこういうことのないよう、十分注意をいたす所存でございます。なお責任者に対しましては訓告処分をいたしております。  次に五百二十一号でございますが、第二港湾建設部で横浜港の修築費の一部を以て、これ又同じく本部職員宿舎を新築したり、又本部庁舎増築改築等をなしたことに対しまして、これも説明書の百二十五頁に書いた通り或いは種々事情があつたとはいいながら誠に遺憾でありまして、責任者に対しましてそれぞれ訓告処分をいたしております。  次に五百二十二号についてであります。第二港湾建設部作業衣を購入し、職員に一律に無償貸与をいたした事件でございますが、これも説明書の百二十五頁並びに百二十六頁に書きました通りでございますが、港湾工事はぞの作業特殊性から大部分が機械力を行使するのでございまして、必然的に作業衣等を必要とするのでございますが、本件は戦時中からの堕牲もございまして、直接工事関係のない事務職員にまで貸与いたしましたことは誠に遺憾でございまして、直接工事従事者以外の職員に貸与したものにつきましては昭和二十四年十二月十五日全部返納させました。なお今後は十分注意をいたしまして責任者につきましても訓告処分をいたしております。  次に五百二十三号第四港湾建設部関係でございますが、これは本部職員宿舎を新築、増築いたしまして、又本部所要自動車を購入いたしたり、そのほか通信装置設備するなど、港湾修築費工事費を以て支出したことについてでございますが、これ又説明書百二十六頁に書きました通りでございますが、本部宿舎といたしましては、戰時中軍の要請によりまして行われた関門海峡の改良工事のため、所要船員その他従業員収容宿舎といたしまして、内務省下関土木出張所時代同省事業費を以て新築したものでありましたが、昭和十八年の行政機構の改革に伴いまして内務省運輸省に分割されまして、内務省所管となつたものは移築されまして、又残りのものをその後現場従事員のほか一部本部職員用にも充てて参つたのでございますが、設備の改善中種々小修理を要するところがございましてその一部を改築いたしたのでございます。又下関附近は戰災の被害甚大でありましたので、遠方の現場従事員工事用務のため出勤等相当困難を来たしまして工事遂行支障がありましたので、これらを収容する目的で寮を新築いたしたのでございます。なお又自動車につきましては、現場等連絡用に是非必要でありました等のため諸種事情はございましたのですが、会計検査院検査報告通りこれ又誠に遺憾に存ずる次第でありまして、責任者に対しましては訓告処分にいたしております。  次に五百二十四号の秋田港の修築工事の件でございますが、第一港湾建設部秋田港の北防波堤の早急なる築造に迫られたため、当時は資材難運搬難の折でもありましたので、廃艦三隻を以て防波堤を築造いたしましたが、技術的に未研究の分野もあることとて、当局は当初工期二カ年を予定したのでございますが、それすらも関係当局許可が得られないために止むなく実行をいたしたのでございます。昭和二十三年十月から翌年三月の間に折損或いは解体したことは、たとえ諸種事情があるとはいいながら誠に遺憾に存ずる次第でございます。併しながら設計施工につきましては特に当を得なかつたということは考えられないのでございまして、関係者に対しましては右の事情を解酷いたしましてこれは特に処分はいたしてございません。なお本件につきましては相当技術的な点が問題になりますので、若し必要がございますれば、後ほど港湾局長から詳細に御説明を申上げることにいたしたいと思います。  次に五百二十五号の香川県で高松港の改築工事補助金支出に関しての問題でございます。これは昭和二十三年中には完成する見込がないのに最終交付額を支給したことにつきますることでございまして、説明書の百二十七頁の通りでございますが、電力需給状況が極めて困難であつたことこ起因いたしまして、自家発電装置に切換える等のための工事がだんだん遅延いたしまして、昭和二十四年の七月漸く完成を見たことでございます。これは諸種事情がありましたとはいいながら誠に遺憾に存ずる次第でございまして、今後は工事進捗状況に応じまして、年度内見込のない場合は繰越等の正当な手続をさせるように十分注意をいたすことにいたしております。なお同件に対しましては厳重に注意を喚起しておいた次第でございます。  次に五百二十六号の航海訓練所の問題でございますが、航海訓練所昭和二十一年六月から練習船改正型木造船数隻を以ちまして、航海訓練かたわら物資輸送いたしまして、その謝礼金歳入に納入することなくして寮を買つたり、特別手当を出したりしたことにつきまして、これは説明書の百二十八頁に書いてでございますが、誠に残念に存ずる次第でございまして、航海訓練所練習生は元来練習生教育過程を経ましてから初めて商船学校を卒業するということになつておりまして、直ちにこの一船商船に乗込むのでありますが、それまでに荷役に関する実際の智識を持つていることが理想的だと考えられますので、練習船におきましても物資輸送して荷物の横取、荷役のやりかた荷物輸送に関する手続及び書類の処理というようなものを会得させておくことが極めて必要であるのでございます。又潮流等、風波の高い日本近海航海するところの改E型の練習船、これは八百八十トンでございますが、それにバラストいたしまして三百トン乃至六百トンくらいの荷物を搭載していることが、最も適当な吃水となる航海上欠くべからざるところのことであるのであります。木造船三百トンの船につきましても同様でございまして、このバラストと購入いたしますときには、多大の経費を必要とするのでございまして、その経費節約の意味にも荷物輸送いたしたのでございまして、更に又終戰後日本商船の船腹は非常に逼迫いたしました当時の事情もございまして、内地の石炭事情緩和等目的石炭輸送に協力した等の諸種の事柄が原因となつてかかる事態をひき起しているのでございます。なお謝礼金を受領した事由につきまして申上げますと、物資輸送というのは練習船員としては特別なオーバーワークでございまして、これに従事した者がそのために生じたところの時日外勤務手当及び被服汚損等に対する選択補修等を各人にそれぞれ支出させることは忍びがたいことがございまして、と同時に又手袋、靴下程度補給品を必要とします。これに充当したために受領したのでございますが、なお又荷物積卸のための水先料綱坂料なども必要でありますので、これに充当するために受領いたしたものであると考えられます。更に又謝礼金の使途につきまして一般船員には種々厚生施設がございますが、航海訓練船員には予算の都合もございまして何らの施設もございませんので、入港の場合には疊の上でゆつくり休養したいという熾烈な希望もありまして、その練習員のための寮を京浜、阪神に施設いたしたのでございます。なお又乗組員文化施設といたしましても、役所といたしましては到底困難でございましたので、図書、雑誌の購入代もこの際これから支出いたしたのでございます。併しながら法律に基くことなくしてかかる特別の資金を保有いたしまして、それぞれ当時所要な物を購入いたしましたことは、会計検査院検査報告通りでございまして、誠に遺憾に存ずる次第でございます。説明書にも書いてございます通り昭和二十四年度以来は一切の輸送を禁止いたしまして、なお保有金昭和二十四年の十月三十一日に歳入といたしまして処理いたしました。又購入いたしました寮、藤沢の二棟は昭和二十五年十二月十一日、それから神戸所在の一棟は昭和二十五年の二月二日にそれぞれ国有財産に返納いたしたのでございます。さような次第でございますのでこれはひとつよろしく御了承のほどを願いたいと思います。なお責任者につきましては訓告処分をいたしたのでございます。  大体以上大ざつぱでございますが、検査院批難事項に対しての説明を終ります。
  6. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 御質疑を願います。
  7. 棚橋小虎

    ○棚橋小虎君 この五百二十四号の秋田港の修築工事の件につきましては、昨年の夏決算委員会のほうから実地調査に私が参りまして、その結果といたしまして、この廃艦沈設による防波堤工事の破損は、基礎工事の定まるまでに約二年間の歳月を必要とするのに、関係方面許可が得られなかつたために、猶予をおかずに工事をしたということであります。それから一定期日までに艦体沈設を終らなければなりなかつたために、セメントによつて艦体の一部に補強工事をしなかつた。ての点において不備があつたということであります。それから日本海が冬季仮が高いために工事を十日までに終らなければならないということで非常にせいたこと、それから年度初めに暫定丁原であつたために経費の支出に困難を生じて十分なことができなかつたということ、それから当時、その年の秋にアイオン台風のために東北本線のほうが非常に損害を受けましたために、奥羽線のほうに一切の貨客が輻輳いたしまして、鉄道輸送事情に制せられて資材の運搬が非常に困難であつたということ。それから廃艦沈設による築堤という理想工事であつて、これは学術的にも未知の要素が多く、そのために多少の手違いがあつたということ、これらのいろいろな条件が重なつてこういう結果になつたということが明瞭になつたのであります。それで必ずしもこの工事が破壊破損いたしましたのは、捨石及び方塊の据付量が不十分であつたということ、並びに防波堤基礎幅の狭かつたということが、特にその損害の主要原因であつたとは認められなかつたのであります。こういう次第で本件は前後の事情を勘案いたしまして、改めて当局の責任は追求しないということにし、ただ将来一層の注意を加えられるように特に希望をいたしまして報告をいたした次第であります。
  8. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 港湾局長何かこの五百二十四号について説明はありませんか。
  9. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 今員委の方からお話のありました通りでございまして、この秋田港の沈船防波堤が決壊いたしましたことは誠に遺憾でございますが、この工事運輸省港湾建設部の直轄工事でございまして、他にそのような困難な海中の仕事をやる工事機関の請負等がございませんので、この種の防波堤或いは岸壁のような海中工事は、港湾建設部みずから機材と陣容と、その他これまでの七十年の経験を以て直轄で施行しておる工事でございます。この決壊の主なる原因がいろいろ私どものほうで技術的に専門的に調査いたしましたところ、これは大体船殻の予期しない脆弱に基くものであつたという結論に一応到達しておるような次第でございまして、御批難がありますように基礎の捨石の量が足らんとか或いは方塊が少し少かつたということにつきましては、現地の決壊後海中に潜水夫を入れて詳細に調査いたしたのでございますが、それによりますと三つ廃艦を使つたのでございますが、艦が破壊したのは、そのうちの両端の二つでございまして、中の一つは多少の船殻に亀裂がありますけれども、依然として健在で残つておるのでございます。更に決壊部分の基礎を詳細調ぺましたところ、捨石の部分には何ら異状はございません。又こわれましたのは艦の船殻が弱かつたためと思われます。その根固め等に使いました方塊も殆んど移動はしておらないのでございまして、ただ一カ所多少ずれてはおりますけれども、形はぞれを当初設置したまま多少移動しておる程度でございましてこの防波坑の基礎には特に意を用いまして、外に八戸港とか若松港、宇部港、小名浜港等におきまして沈船を使いましたか、そこでは見なかつた捨石だけでなく、捨石のふちに更に粗朶沈床と申しまして木の枝で広く大きなマットを全面に敷きつめまして、基礎の沈下或いは崩壊を防止しておるような次第でありまして、これあつたために基礎には何ら異状なく、据え付けました艦が船殻が亀裂を受けまして、上からだんだんなくなつて行つたような現状でございまして、普通防波堤の決壊の状況を見ますと、波浪によりまして基礎に穴があいてそこから崩れて行くのでありますが基礎は依然として残つてつたのでありまして、これはこの廃艦相当老朽であるとか、或いは戦時中に造られたためとか、或いは従来浮いておつたものを固い基礎の上に載つけるというような、技術的に当初相当研究はいたしましたが予知しないいろいろな要義が加わりまして、この船殻が決壊したと思われます。私どもは技術的に見まして今後こういうことのないように更に注意はしなくちやいけないと考えてはおりますが、これが破壊しました実情は今申上げましたような次第でございます。
  10. 森八三一

    ○森八三一君 五百二十六号について政府当局の御意見を伺います。検査院の御指摘はこの事の可否を御指摘になつたのではなくて経理の面についての御指摘と思います。只今説明によりますと昭和二十四年度以降は、輸送を一切やめてしまつたという御説明があつたように承わつたのでありまするが、航海訓練かたわら他日に備えて荷役等の実務を実習させるということの必要を痛感せられ、なおその当時における船腹の不足等の実情に鑑みましてこういう行為が行われたと思うのでありまして、それをやめてしまうということでは他日に備えて実習させるという点に欠ける点が起きて来るのではないかと考えられますことと、それから最近における海運界の実情は御承知の通りでありまして、非常に船腹が不足をしておるというような実情におかれておりますのでございます。ただ單に石を積んだり砂を積んで吃水を適当にして走つて行くということではなくて、むしろ実務をやるということが必要であるように思われるのでありますので、あえてそれをおやめになつてしまつたという理由は一体どこにあるのか、お伺いいたしたいと思います。  それからもう一つの点はこの当時ただ軍に輸送をいたしましたために、報酬として適当な額を受取つたというのではなくて、いずれも船運賃につきましては物資別にそれぞれの公定価格があつたと思います。その公定価格等を基礎として、何らかの基準に基いて契約があつたのではないかと思われるのでありますが、御説明によりますると時間外に労働超過があり、或いは手袋や靴下が非常によごれるということ等のためにそういう程度の報酬を受けたのだというような御説明であつたのでありまするが、恐らくそうではなくて何らか基礎となるべき契約とまでは行きませんけれども、基準があつてそれぞれ処理をせられたのではないかと思うのでありまするが、その辺の契約等でもありますれば御説明を頂きたいと思うのであります。以上二点につきまして当局の御意見を伺います。
  11. 國安誠一

    政府委員國安誠一君) 只今の御質問にお訴えいたします。先ず第一の船舶逼迫の折からそういう輸送を全然やめる必要はないではないかという御質問でありますが、この点は船舶を全面的に有効に使用するという面から申しますと誠にお説の通りでございまして、又そういう緊急事態も生ずるやも知れんと思いますけれども、本来この航海訓練所練習生にそういつた何といいますか、一つの営利事業に類したことをやらせますことは何らかの問題をひき起す危険がございますので、訓練の面につきましては他にいろいろと方法も又考えられますから、できるだけそういうことはやめて行きたいとこう考えております。  なお第二点の謝礼金の算出の基礎でございますが、これは当時物価庁から公運賃というのを一応出してございますが、これに基準をおきましてその全部ではございませんが、大体スピードも遅くそれから技術も幼稚であるというような点から三分の二ということを基準にいたしまして、公運賃の三分の二を基準にいたしまして受取つた次第でございまして、そのために所要な寮を買つたり手袋を買つたりいたしましたけれどもなお金が残つた検査当時百何万円でございますか、残つてつたような次第でございます。
  12. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 五百二十四のところで百九十八頁の報告書を見ますと、鉄道技術研究所で調査研究をしたところが、船蔵自体にば不安がないという結論に達した、こういうことなのです。これは今の政府の技術的のお話を聞くと、結果から見て船殻自体が弱かつたこういうことなのだが、こういう報告を出す前にこれはやはり技術面のことだからして、そのときは確かだと思つたからそれはやることは当然のことなんだけれども、それが結果から見て、又技術的に見ても自分たちの何といいますか考えた以上に迫力のほうが強かつたというようなことが結果されておるのならば、会計検査院自体もそれを一体承認しそうなものだと思うのだが、そいつをあえてこういうふうに原因船殻自身は強かつたのだが、外に原因があつたというようなことに到達する会計検査院のほうの基礎といいますか、論拠をもう少し詳しく伺いたい。
  13. 山名酒喜男

    説明員山名酒喜男君) これは駆逐艦ですから水の上を走る軍艦の強度と、それを沈めた場合の波浪に対する強度というのはおのずから別でございまして、これを沈めて防波堤になさるのですから、これが波を受けたときにどの程度の衝撃を受けるということは十分勘定に入つておるということで、これを沈めても大丈夫だということで、一番厚いところが十六ミリ、簿いところで六、七ミリというような、そういう軍艦を沈められたわけでありますが、本来ならばその中ヘコンクリ―トを打つて、そのコンクリートと鉄筋とが密着するというようなことで強度が保てるのではないかと思うのですが、本件はたまたま中砂利が入つて、中砂利が揺り動かされて結局その強度計算というものが思わざる因子が入つたというような御説明ではないかと思います。鉄道技術研究所におきましても、結局私どものほうの調査でもとにかくこれは沈められる、それでそういう方法で以て行けば十分使用に耐えるということで外の六港も同様にやられたと思いますが、ここは波浪が高いということは当然当初から勘定の中に入れておる要素であるべき筋合いなんでありまして、そういう波の程度、或いはこういうものを沈めてあるということが勘定の中に入らんというのも私も少しどうかという気もいたしますし、同時に捨石の問題は潜水夫を入れて異状がないというお話でありますが、一方そういうことになりますと、小名浜のほうの廃艦を沈めた基礎幅が三十一米五というのに比べて入らん工費、冗費をかけておるというような結論になるのではないか、これが廃艦を入れる捨石基礎幅つて波のひどいほうが基礎幅が狭いという、そういう設計をなさるというのもどうだろうというので、私のほうで潜水夫を入れて調べて見て実はやつていませんでしたが、そこで結果から見ると移動がないというお説でありますが、それでは設計自体がもう初めからばらばらではないか。それから設計通り行つたという点はどうだろうか。設計通り行つたならば必ずしも崩れなかつたということは私のほうで保証はいたしかねることでございますが、多少そういう点においてこの問題は持つて行きかたに、とにかく設計施工というところに非常にずれがありはしないかという点もありまして、あえて批難したわけであります。
  14. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 鉄道の研究所には当時港湾部門がございまして、ここに艦政本部におられました大佐のかた、その他二、三の軍艦の専門家がおられたのでございますが、そこでいろいろとこの廃艦防波堤に使うことについて研究を願つたのでございますが、先ほど来話のありましたように中にコンクリート等を詰めますれば或いはこういう災害がなかつたかも知れませんが、いろいろ関係方面の期日の点などでそのことができませずに、中へ砂利砂を詰めておるような現状であつたのでございますが、いろいろ研究いたします際にはそういうことにつきましてもあらゆる面から検討を加えたのでありますが、何分にも現在のそのほうの知識では未知の要素が相当多かつたためだろうと存ずるのでありまして、浮いているものを据付けるのでありますからいろいろと研究はやりますけれども、そこに現在の技術ではなおもつと研究される余地が残つているということは当然考えられるかと存ずるのであります。  それから小名浜防波堤のほうが基礎幅が広いではないかというお話でございますが、これは広いのは事実でございまして、小名浜港におきましてはこれを防波堤の中にありまする小船溜りの波よけ艇に沈船を使つたのであります。小船溜りの波は越し波も含めまして波は絶対に入つては船の安全の碇泊上困りますので、非常に専門的に申しましてこの捨石の構築するマウンドと申しますか、その形をうんと上に上げたわけであります。上に上げますと下のほうがこう傾斜になつて参りますので、下幅が秋田港より広くなつたのでございましてそこに無駄はないと思います。秋田港におきましては、外の防波堤でございますので多少の越し波はやむを得ない、それでてんばと申しますか、一番上が小名浜と比べますと低くなつております。そういう関係小名浜のほうが基礎編は広くなつておる実情でございます。
  15. 千田正

    ○千田正君 今の問題を聞いておると、会計検査院のほうの主張は運輸省において施行する際において更にその技術の面において、施工のあらゆる総合的計画において齟齬があつたというふうに非難しておるように見受けられます。一方運輸省説明によると、最高においては年十万立方に及ぶところの漂砂の侵入も七万立方米程度に減少した、多大の効果が確認され、更にその利益は損害額に比してなお相当の余りあるものと確信すると、何ら遺憾の意もなさそうですが、実際損害の程度から見るというと、却つて将来の日本のこうした港湾技術に対する研究の更に一歩躍進した効果が認められるのであつて、多少の損害は止むを得ないではないかというふうに運輸省から説明があるようであります。非常にここは我々としましても判断に苦しむところでありますが、会計検査院の立場からもう一度はつきりして頂きたいのは、こういう将来日本の技術が更に一歩前進する、或いはこれを土台にして日本の港湾技術というものは更に進むんだという無形のいわゆる利益が得られたという場合においても、なお且つ会計検査という厳重な原則の下から言えば批難しなければならない、こういう立場に立つておられるかどうか伺いたい。  もう一つは運輸省に対しましては、よしんば将来こういうような研究が重ねられるための非常な利益があつた、あつたが併し会計検査院から指摘されるがごとく、その基礎計算において、予算獲得の上からみても或る程度の確からしさというものを一つの基礎として予算を組まなければならない、そうしてそれに基いての施工をしなければならないのだが、総合計画において齟齬があつたという事実に対しては遺憾の意を表せざるを得ないと思いますが、この点に対して私は運輸省に一言伺いたいと思います。
  16. 山名酒喜男

    説明員山名酒喜男君) 只今お話のありました、そのような損害によつてこういう異例な港湾技術に対する研究の進歩の土台になることについての検査院見解をということでございます。勿論検査院といたしましてこういう損害が基本になつて、更により高次な技術研究の方向に持つて行くことが、国費のこのような損害は発生いたしましたが、取上げられるということについてその効果を認めることについてはやぶさかではないものでありまして、ただかように漂砂が押えられたということは、これは半年のことでございまして、私どものほうもほかの港と同様にあと補強すればもつと防げるのではないか。結局六千円ですか、五千円ですか、二十五年度に金がかけられておるというので、もう少し何とかそこの問題を克服できたらあとの補修費が少くて済んで、運輸省のおつしやるような効果が拳つて来るのではなかつたろうかという期待をこめてああいう批難をしておるのでありまして、あえてその批難の要旨を固執するものではございません。
  17. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 結論といたしまして、秋田港の防波堤が決壊いたしましたことは誠に遺憾でございます。これは今後二度とこのような問題が起きないように、施工の面、或いは技術の面で十分勉強もしたいと思つておりますし、又関係方面にもいろいろ注意いたしたいと思つております。
  18. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 技術的に少し伺いたいのですが、私はこれは検査報告並びに政府の御答弁は非難するでわけはありませんが、政府側のお話によると船殻自体が実際丈夫だと思つてつたけれども、実際やつてみたらそれだけの強さがなかつた。それが原因だというふうな意味においては検査院の御意見も政府当局の御意見も合つておるようだが、ただ一つ船殻の中に砂利を入れるということについては、私もどうも非常に軽率じやなかつたか、検査院の言うようなセメント・ブロックで船殻の中をはつきりして置けば、仮に船殻が弱かつても大体において持つじやなかつたかというような見解を持つておるのですが、その点について今後、この点は経験がなかつたんだけれども、今後やはりそういう検査院の示唆というようなものは政府においては技術的に可能と思うのか、それをしてもやはりだめなのかということを一応伺いたい。
  19. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 船殻が予知しておりましたものと相当異なつたのでございますが、中には何らかコンクリートを詰めるなり、或いは上に鋼材で補強するということは当初予想して設計しておつたのでございますか、初めにお話がありましたように関係方面からの工費の点を縛られまして、そのやつておる暇がなかつた、やろうとしておるうちに冬季風浪にぶつかつたような次第でございまして、施工する側といたしましては、これを補強してもつと安全なものにして行くという計画の下にやつてつたような次第でございます。
  20. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 五百二十六に対して少し政府の何といいますか、御説明を伺いたいのですが、この船で荷物を運ぶということは、一体違法なのか違法でないのかということが一つ。それから将来荷物を運ぶことを取止めたというようにも伺つたけれども、果して取止めをしたのか。若し取止めてしまつたということであると、先刻ほかの委員のかたから御質問があつたように、どうも惜しいような気がするのですがその点に対して伺いたい。  もう一つは運賃という形式でなしに謝礼というような形式で貰つたものならば、それを貰つたものをここの船長が自由にしたというようなことでなしに、航海訓練所の所長がその権限で適当にそれを私したのでなくて、その練習生のため或いは訓練所の訓練の目的庁舎を建てたとか、いろいろなことをしたというようなこと、或いは生徒に物品を供与したというようなことは、これはやはりそれほど悪いことであるか、悪いと言えば法律に基かんからというようなお話であるのだが、この点果してこの法律に基かんからというだけで処分をしてしまうということの根拠をもう少し伺いたいと思います。
  21. 山名酒喜男

    説明山名酒喜男君) 五百二十六号の批難が先刻もちよつと触れましたが、本質的な非難をいたしますのには無理がございまして、私のほうといたしまして、只今輸送力緩和なり或いは実習の関係でおやりになつておるということは、これは教育の目的に到達することですからこれは差支ない、又運賃の関係も今のように多少値引をしないと予定の通り動きませんものですからそういう点もありましよう。使いました金の使途も成るほど航海訓練所としてこの方面に使うということも無理からんと、こういうことは考えております。併しかように予算外経理をするということは、会計法とか法律の中に、特別の資金を保有するということの根拠を置かなければやつちやいかんということを、政府経理を担当します公務員に命令いたしてあるのでありまして、その通りおやりにならないという点をこれは飽くまで形式的手続的な問題でありますが批難いたしておるのでありまして、これが明るみにちやんと出て予算を通してやるということになれば間違いないのですが、たまたま金庫に行つて開けてみると金がある、この金は何だ、こういう金があるはずはないということで押えて行つてみると実はこうだという話で、実質的に私のほうでとやかくこれは悪いという問題ではなくて、会計法に書いてある趣旨の通りにやらんと、やはりそこに金の計算に私の僻事が多分に行われる余地があるということで、国の会計法の中にこういうことを制限してありまして、そういうことをやる必要があれば法律に基く政令の基礎によつてやれということを命令いたしてありますので、これはその政令の基礎に副つていなければならんという点で批難いたしておるような次第でございます。
  22. 國安誠一

    政府委員國安誠一君) 只今検査院から御説明がございました通り我々といたしましてもそういつた緊急に船腹の逼迫いたしました事態におきましても、できるならこういつたことで荷物輸送を図るということは考えておりませんが、やるならばすべて合法的に検査院のおつしやつた通り法律に基いてやりたい。こう考えておりまして、さもなければとかく何か事件を起し勝ちな心配もございますので、そういうことを訓練中の生徒に余りやらしたくないという気持でございます。
  23. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 別にございませんか……。別に御質問がございませんければ五百十九号乃至五百二十六号は審議を保留いたします。  次に五百二十七号から五百三十四号を議題といたします。先ず会計検査院の御説明を求めます。
  24. 山名酒喜男

    説明員山名酒喜男君) 国有鉄道事業特別会計の歳出に関します批難でございます。五百二十七号はこれも予算使いかたの問題と経理の仕方の問題でありまして、実質的な問題として国損を発生しておるとかとやかくいうものではありませんで、経理をやつて行きます上の手続及び形式の問題として批難いたしておる案件でございます。  第一に、二百一ページの(1)のほうにございますが、昭和二十三年度中の修繕費支弁の工事で、国庫債務負担行為として処理されたものが十億円ございますが、そのうち四億二千万円の工事はその年度に完成して、その年度に代金を払うという当初からの予定の工事であり、而もその年度に完成いたしたのでありまするから、その年度の金で支払を済まさなければならん工事でございます。それを結局予算がなくなつて翌年度以降に金を払うという国庫債務負担行為の中に組入れて、その年度に完成しながらその年度に金を払わなかつたという点がいかんと、こういうわけであります。殊に修繕費という名目で現実には建物の新営増築をいたされておるものもあるような関係で、経理に関する一つの枠を越えてやつて、結局支払ができなかつたから国庫債務負担行為という予算の枠の中に入れてしまつて片付けたということであります。  それから第二番目の問題も同様に修繕工事を請負いにして年度内に完成したのですから、年度内に金を払わなければならないのが、やはり予算よりも余計仕事をしたものですから金が払えなかつた。結局止むを得ず国庫債務負担行為、翌年度の金を払う事業、そちらのほうの枠に逃込まないで二十三年度にやつてしまつた仕事を二十四年度でやる、二十四年度に契約したように書類を作つて、そつちのほうの枠に逃込んだという恰好で経理が公明に行われていない。仕事が大きぐなつて経理手続が公明に行われていないということの批難でございまして、これだけの仕事をおやりになりました実質的な理由は、これから政府の御答弁がございましようと思いますが、御尤もの点がございまするが、予算超過をいたしました結果を予算超過をいたさないような仕事にまで狩りて行きたかつたのですが、それができなくて逃込んだ金が、同年度予算で払わなければいかんのを、翌年度以降に亘る国庫債務負担行為の枠に逃込み、或いは又翌年度に新規に契約したような恰好をとつてそちらに逃込んだ、こういういわば形式的な関係にはなりますが、批難でございます。  五百二十八号、これは不経済の工事を施行したもの、これも又政府の御見解と、私のほうの見解と多少食い違つておる問題でございます。盛岡の地方施設部で二十三年の十月に山田線の茂市蟇目間の災害応急復旧工事、取りあえず鉄道を走らせる復旧工事を二千五百万円の金をかけておやりになつたのであります。これは山田線が二十二年九月のカザリン台風、二十三年九月のアイオン台風の被害によつて全線四十キロメートルに亘つて不通になりましてので、四千万円の金をかけて取りあえずその不通区間をモーター線をお通しになつたのでありましたが、その四十キロのうちの四、四キロの茂市、蟇目間については、岩手窯業の耐火粘土を輸送するとか、或いは民需の緊急の輸送の必要があるとして、二十三年の十月にモーターカー線のほかに今被害を受けました線路を応急に復旧するということで、二十三年十日に着工して二十四年の二月に完成したのでありますが、ところが同じ四、四キロの区間について、二十三年十月に着工された二月あとの二十三年十二月には、その線をそのまま復旧したのでは又水害を受けるからというので、施工基面のかさ上げとか路線の附替えをするとか、橋梁の位置を変更するとか、橋脚を高くして改造するとかいつたような工事を、八千三百万円で二十四年の七月の末にはでき上らせる予定で、併せて同じ区間の本復旧工事、これは本復旧工事という名前でございますが、そういう同じ路線について別の工事を始められたわけでございます。私のほうで目をつけましたのは二十三年十月に応急復旧にかかつたが、二十三年の十月の二月あとの十二月には本復旧工事をやる、而も、それを二十四年の七月にもうできで上らせる、こういう点を以てかかつておられるのに前の工事をそのまま進められて二十四年の二月に完成して、あとの本復旧のほうが二十四年の九月に完成したと、こういうわけでございます。結局ここの二月から九月の七カ月間の輸送のために応急復旧の二千五百万円という工事費を使つた結果になるのであります。そこで今輸送関係を見ますというと、岩手窯業の粘土は一応この線を通らないで別の線で、大体被害を受けたあとも被害を受けなかつた前と同じ程度のまま粘土を輸送して釜石等に送らした、粘土の輸送の緊急事情は別の線を通つてトラックで何とかかたをつけておられる。で今度は一般民需物資はどうかといいますと、ここは大体木材と木炭でございます。まあ私のほうの見かたからいえば、その程度のものは大体何とか四キロ四ですから道路を少し直してトラツクで運べば何とかなつたんじやないか。鉄道もまあ山田線は大体収入よりも余計経費がかかつている線でございますし、鉄道も苦しいときだから応急復旧と、別にかさ上げした本復旧と二本やつて行くのも少し賛沢で、地方の民需はトラツク及びバスで四キロ四のほうは何とかかたをつける、そうして本復旧のほうに金を全部廻して本復旧のほうを急いでやれば、二十四年の七月末には完成する予定だつたんだから、何とかここで本工事のほうに資材労力というものを持つて行つたならば、七カ月間の輸送をするために金を使うというのも少し贅沢過ぎやしないかとこういう考えかたでございました。まあ鉄道が非常に貧乏しているときだし、まあトラック、バスで四キロ四の間は何とかかたをつけろ、こういう意見であつた。なお残りの三十六キロの区間は依然として司令部のほうで復旧工事を抑えられておりますので、ガソリンカーが動いておりますが、このガソリンカーでは物資は動かしてはいけないということになつておるので、建設省のほうの補助金で道路を直しておりますが、三十六キロのほうは道路を直してトラックで輸送しておられますが、大体トラックも一日に六、七輌、バスは三、輌で残り三十六キロは輸送しておる状況であります。  それから五百二十九号は敦賀の管理部で福井の災害の善後措置としまして構内の貨物上家の震害の復旧工事代金として約四百万円の金を出しておやりになつたものがあります。請負人が出しました支払請求内訳書の通りに約四百三十六万一千円の金を払つておりますが、私のほうで行つて調べまして、どうも屋根に使つたスレートの数が多過ぎるというので、屋根へ上つて数を一枚々々調べてみますと、四千枚分の百十八万円という請負人は請求をしましたが、鉄道のほうも急いで非常に金の高かつたときでございますからお払いになつたんでしようが、実際に補充したのは千九百九十三枚約半分しかない、残りは本当に行つていない。それから労務賃のほうも、瓦ぶき工千百五十六人分でございますが、これも瓦ぶきの標準の一つの作業量を勘定いたしますと大体九百三十人分は多過ぎる、同時に材料費労務費のほかに経費をそれに関連して百三万円払つておりますが、材料費、労務費が本当として計算すると少くなれば経費のほうもパーセンテージからいつて少くなつて三十万円減りはしないかということで、とにかく多く払い過ぎておるということで、それでほかの場所の工事はどうだろうというのでほかの場所の岐阜の施設部がやつた工事を見てもこれは高すぎるということで、まあ福井震災の跡始末のことで当時いろいろ御苦労はあつたと思いますが、いろいろな金の高いところを附けかけでやられたのではないか、それについて余り高いのじやないかということの批難でございます。  それから五百三十号は国鉄共済組合の国庫負担金を過払したものでありまして、札幌の苗穂工機部で国鉄共済組合首に国旗負担金として千三百九十三万九千円ばかり払つたのでございますが、そのうち三百九十四万七千円が過払になつております。これはベースの改訂価格差額分のそれに対する国庫補助金の支払の計算をするときに、一遍勘定に入れたのをもう一遍勘定に入れて勘定の入れかたを二度勘定に入れて来た。これは連絡不十分という点もあつたがすでに勘定に入つておるのを、もう一遍重ねて勘定に入れて国庫補助金を払つたので、結局過払になつたという批難であつて、よく書類を見ればこういつた過払は避けられるのではないかという批難でございます。これは跡始末はついておりますが、そういう支払の点において少し検討が足らんということで批難したのであります。  それから五百三十一号は夜勤加給の支払に当り所得税の源泉徴収を行わなかつたという案件でございます。国有鉄道の各局所で二十三年一月から十二までの間の夜勤加給約八億二千万両に対して一億六千八百万円の源泉所得税の徴収をしなければならんのがそれが行われていなかつたという批難でありますが、これはあとでとる手続をいたされまして、大体かたはついておる問題でございます。いろいろ給与の支払をして源泉をとるという手続が行われなかつたという批難でございます。  それから五百三十二号は経費の年度区分違いということであつて、名古屋鉄道局の甲府管理部で官舎新築そのほかの工事として三百九十四万二千円ばかりの金を年度内に払つておるが、それはできておつた工事は一〇%であつたので、本来ならば予算を繰越して二十四年度に工事ができて金を払うべきものを、年度内にできていないのに金を全部予算を支出したというこういう問題であります。これはまあ随所にほかの役所のもちよくちよくございます。  それから五百三十三号、五百三十四号は鉄道職員の内部犯罪でございまして、これは函館の管理部で保線区の分区長が人夫の出面」つけかけで千五百十四人分を出しまして、入夫の賃金に対する源泉徴収所得税をとつた残りの二十一万円ばかりを自分で著服したという問題であります。それから三千三十四号も釧路管理部で保線区の職員でございますが、やはり同様に入夫の出面に八百四十一人のつけかけをして賃金二十五万一千円を詐取した問題であります。なかなかこういう犯罪を防ぐ点をおやりになつておるようだがなおこういう事件が起つておりまして、他を引締める意味におきまして、これ自体も悪いことでございますので出しておる次第でございます。
  25. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 只今検査院のほうから御説明がございました件につきまして運輸省といたしまして一応御説明申上げます。  五百二十七号の予算を超えて工事を施行しその経理当を得ないものという件でございますが、この件は誠に検査院の御指摘の通りのような方法を講じておりますが、その内容について御了承を得たいと思いますることは、御承知のように昭和二十四年、二十三年の補正予算からはドツジ氏が参りまして、それまでの国庫予算一般財政予算等に大メスを加えまして、いわゆるドツジ予算というものができ上りましたその際でございまして、この二十三年の補正予算並びに二十四年度の本予算を通じまして十五カ月予算として結局ドツジ予算というものが設立いたしまして、それによりまして日本の財政上の一転期を画しましたことは御承知の通りだと思うのであります。そこで国鉄予算でございまするが、それまでにおきましては常にこの災害復旧に関しまするところのものは追加予算で認められるということがまあ常識でもあり、当然そうなるものと考えておりました。常に追加予算によつてその経理がつくという考えかたで、災害に対しましては復旧工事をいたしておつたわけでございます。ところがこの二十三年度に当りましては、これはそういう意味合におきまして二十四年度の国鉄予算のごときは要求の殆んど半額にまで支出を削られたというような状態の予算でございましたが、追加予算につきましても同じくそういう大きなメスを加えられているわけでございまして、結局この災害復旧関係工事が追加予算で認められなかつたというので、結局災害復旧工事をいたしましたけれども併しながら一般の通常の工事というものがそのためにやりくりでまああと廻しになる。追加予算を頂いて当然処理できるという考えかた工事をいたしたために結局つじつまが合わなくなつてしまつた。止むを得ずこの二つの方法の処理によつて糊塗をいたしたということに相成ろうかと思うのであります。  でこれは誠に私ども考えましても、予算がないのに工事をしたということはいかんことかと思うのでありまするが、併しながら災害復旧はこれはゆるがせにすることもできませんし、又災害復旧によつて埋められた一般工事の穴は当然追加予算でお認め願えるという、非常にまあ多年の慣習と事業の性質上当然であるという考えかた施工したことによつてこういう結果になつたと思うのであります。併しながらこの点につきましては経理のやりかたといたしましては決して当を得たと言えないものとは存じておりますが、その点の事情は止むを得ざるものもあつたのではないかというふうに御了解願えれば幸せなことであります。それからこの修繕工事において、新設的なものも中にはあるというお話でございまするが、修繕工事と申しましてもやはり損益勘定で処理をいたす、経費として処理いたす工事でありまして、若し健全なる財政でございまするならば、この経費のほうで新設工事相当起したところでも或る程度工事をしても差支ないのではないかと思うのでございます。かような工事につきましては特別繕修工事といたしまして財産処理をいたして、そのできましたものは固定資産に編入する手続はいたしております。ただ御指摘のありましたところの工事につきましては、さような程度で常識的な限度を超えておる、或いは指定以外の工事実施したというようなものがままなかつたとは言い切れないかと存じまするが、その点に関しまして検査院の御指摘を十分受けなければ相成らんかと感ずる次第でございます。  以上のようなわけでございまして、この辺におきましては均衡予算の嚴重なる施行というようなふうに全部お考えかたも切替りましたし、又支出行為認証制度も実施されたので、今後はかような意味の方法を以てこういう使用方法をいたすこともございませんように、相成つたことと存ずるのであります。  五百二十八の問題でございまするが、これはアイオン台風によりまして山田線が不通となつた。これは非常に社会問題でございまして、而も山田線が茂市まで開通することができますれば、盛岡方面との連絡はとれなくても宮古、釜石方面まで、茂市から続いておりますところの小本線は生きるのでございます。従いましてこの蟇目、茂市間というものを急速に列車が通るようにいたしますれば、小本線全線が生きまして、先ほど申上げましたような岩手のシヤモツトが鉄道輸送でできる。このシヤモツトは耐火煉瓦の原料といたしましては日本にこれ以外に産出するところがないというような品物でございまするので、山田線が、小本線が開通いたしまするまでも、やはり止むを得ずトラツク輸送をやつております。非常に山間の僻地をトラツクを動かしておりますがトラツク事業自体といたしましても非常にむずかしい輸送でございます。  又経済上から言いましても輸送費が非常に嵩みまして、岩手シヤモツトを使いますところの製鉄業の採卵のほうから言いましても、この問題の解決は一刻も早くしなければならんというような状況でございました。且つ又山田線の茂市から盛岡寄りのほうは、これはもう全く治山治水の観点から見て直ちに応急復旧するということが殆んど不可能であります。この僅かな茂市蟇目間を早く復旧することによりまして、只今申上げましたシヤモツトの……、大体その沿線の住民に対しまして非常に大きな利益を与えたということは、これは国鉄が開業いたしております鉄道が不通となりましたからには、一刻も早く輸送のできる方法を講ずるということが鉄道の使命であり、又それが公共的な使命を持つた鉄道として国鉄が運営されているゆえんのものであろうと思うのであります。本復旧工事とラツプいたしましたが、併しながらこれは本復旧工事につきましては、やはりその工事費関係等につきましても、関係方面の了解等も得なければならんという性質上、必ずしも恒久復旧の目当が確実についているにもかかわらず応急復旧をしたということにも相成らんかと思うのでありますが、なお仮にそういたしましても、本復旧が完成するまでの間応急復旧で鉄道を扱うことは、これは鉄道の性質上私は当然ではないかという感じがいたしている次第でございます。  次に(五二九)の著しく多額の工事費を支払つたもの、これは福井の震災の直後におきまして、震害復旧工事を急速に施行しなければならなくなつたというために契約前において請負人に……、現場においていろいろ工事内容をよく知つたのでございますがこれは同時に沢山の工事を施行した関係上、見積書の内容に不備な点がございまして、それが請負代金の支払いにおきましてその内容の突合せが非常に不十分であつて検査院の御報告のような結果になつたので誠に遺憾に存ずる次第でございまして、只今震災直後いろいろのごたごたがあつたのでという言葉もありました。それにしても誠に粗漏な点でございまするので関係者に対しましては将来ともこの種の事故のないように巖重にいたしますし、責任者処分も行なつている次第でございます。  (五三〇)の国鉄共済組合に対し国庫負担金を過払したもの、これは御報告の通りでございます。ただベース改訂がたびたび行われました結果、事務的に損を生じました。誠に遺憾と存じます。責任者に対しましても十分注意をし、戒告処分といたしております。  五百三十一の夜勤加給の支払に当りまして所得税の源泉徴収を行う点でありますが、これも検査院の御報告の通りでございますが、この点につきましてはこの給与が税の対象となるという点につきまして見解の相違があつたわけでございます。完全なる実費弁償であるというような考えかたでいたしたわけでございます。併しその後いろいろ税法の精神も変つて、非常に給与というものの対象をきびしくされるという税法上の見解もきびしくなつておりましたので、いろいろ問題も起りましたので、国税庁と折衝いたしました結果、昭和二十四年の七月に国税庁から二十三年一月以降の分について不足税額を徴収する、二十二年度以前についてはこれは徴収しないという通牒を出して頂いたわけでございます。その通牒の趣旨に副つて給料から適当に区分控除をいたしまして、源泉徴収の分を追徴いたしたのでございます。  五百三十二の経費の年度区分をみだつたものでございますが、これは各工事を買収予定なしに施行したものでございまして、買収当時はいろいろ地主との間にも条件が多々ございましたので、条件をつけ了承しておつたのでざざいますがその後やはり思うように参りませんので、再三強硬な措置を以て督促をいたしました。結局府県の事情等が遅れて、まあ年度内におきましては、これは私どものほうでは五〇%乃至八〇%と考えておりますのがその程度の出来高しかできなかつたのであります。結局竣工扱いとして支障のないものと認めて決算いたした次第でございます。誠に遺憾な点がございますので将来十分注意をいたしたい、又責任者に対しましても巖重な注意を与えました次第でございます。  それから五百三十三、三十四の職員の犯罪により国に損害を与えたもの、これは検査院の御指摘の通り誠に遺憾でございます。将来注意してこの種の事故の根絶に努力いたしたいと考えておる次第でございますが、こういうこの種の事故が終戰直後非常に何と申しますか、綱紀の紊乱と申しますか、精神の弛緩と申しますか、いろいろ国情の同時に世情上いろいろございましたことは相当事実がございまして、ひとり鉄道ばかりではございませんで内部におきましてもこういうものがございましたことは遺憾でございます。幸いにだんだんと減少して参りまた。なお御指摘のような事件も見たのでありまするが、その後も十分注意し又計理、制度におきましても十分刷新を加え、監督いたしております。今後はかような事件がだんだんもつと減少して参ることと信じております。これらのものがいずれも司法処分によりまして有罪が確定、又は目下裁判が継続中でございますが巖重に処分し、又責任者に対しましても処分を行う所存でございます。
  26. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 御質問ございますか。
  27. 棚橋小虎

    ○棚橋小虎君 この五百二十八号の山田線の件でありますが、これも昨年の夏決算委員会から派遣されまして、私が現地について調査した点でありますが、本件については会計検査院はこの応急復旧工事は甚だしく急ぐ必要がなかつたということ、それから仮にその工事が必要であるとしても、復旧の本工事に着手した以上は応急復旧工事は中止すべきはずであるといつて、応急工事と本工事とを平行して実施したのは不経済な工事を施行したものであると批評されておるのであります。これに対しまして、実地調査の結果は復旧工事は非常に僻陬な同地方の唯一の交通機関であつて、民生の上からいつても必要なことであり、又この岩手窯業から出るところの耐火粘土でありますが、これは我が国の製鉄事業には他に産地がないのでありまして必要なものであつて、その粘土を輸送する上からもこれは急を要するものであつたから、応急工事をやつたということは適当であると認めたのであります。なおこの応急工事をやつたので、この間の汽車の不通期間を六カ月に短縮したということも事実であります。それからこの応急的に復旧した鉄道を利用して本工事を進めましたが、この間の地形は非常に川がたくさんあり橋梁が幾つかあるのでありまして、そういう橋梁とか資材とかいうものを運搬する上から申しましてもこの応急工事を利用することが必要であつたのでありまして、これを利用したために二十四年の十月下旬に本工事が完成したのであります。若しこの応急工事を利用しなくて單に本工事だけを進めておつたならば、この完成は更に八カ月ぐらい遅れて結局鉄道の不通期間は十四カ月の長期に及んだであろう、こういうことを鉄道側では申しておられるのであります。これは技術上の問題でありますから、その真偽の判別には今苦しむのでありますが、併し他に反対の証明のない限り責任のある技術官説明は一応承認されなければならないと思います。会計検査院は応急工事を中止してその労力及び資材を本工事一本に集中さしたならば、工事も速かに進行し費用も節約されただろうと申されるのでありますが、これは別段他に証明はないのでありまして、その証明がない限りは直ちにそれを採用するわけにも参りませんので、前述の通り判定をいたした次第であります。
  28. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 御質問ございますか。
  29. 森八三一

    ○森八三一君 鉄道の当局にお伺いをいたしますが、鉄道の持つておる非常に重要な使命から考えまして、災害の発生いたしました場合に速かにこれを復旧されるということは非常に大切なことであり、特に国民全部が待望いたしておると思うのであります。予算がなかつたために復旧は完成をしたがその支払が次の年度に繰越されておる。而も検査院の御指摘になつておる額を見ますると相当大きな額に上つておるのであります。恐らくこの復旧工事をそれぞれ施行せられる着手の当初にあつて契約をなさいます場合には、いつ支払ができるかというようなことも契約の中にはあると思うのでございます。で、初めから全然予算になかつたものであるから、支払の時期は非常に先に行つて、来年度予算が取れてから払つてやるという契約で、当時契約ができておつたものが年度内に支払うという契約でこの工事はそれぞれ非常に早急なものであると思いまして行われたのであるか、その辺がどうなつておりますか。若し年度中に支払うということで契約ができておりました、それが次年度の予算において支払われておるというのでありますれば、この工事の請負者の負担というものは非常に嵩むのでありまして、そこに請負契約の内容に疑問を自然に持たざるを得ないという結果になる。或いはそういう損害を与えたからその請負人に対して、将来又特定の工事を随意契約でやらしてやるというようなことにもなるということで問題が将来に持ち来されていくというようにも考えられると思うのですが、この実態は一体どうなつてつたか。五百二十七号に関連いたしましてお伺いをいたしたいと思います。  それから五百三十一号の関係でございますが、御説明によりますと、昭和二十三年一月からの分は不足額をそれぞれ俸給支給の際に分割徴収することとしたのですが、二十二年以前の分は徴収をしないということに国税庁との間に了解ができたというお話でありまするが、その了解の根拠は法的にどういうものでありまするのか、それから二十三年一月以降徴収せられました額は本税だけを徴収せられたのか、加算税、追徴税等を含めて徴収をされたのか、その額がどういう額でありましたのかを五百三十一号について御説明を得たいのであります。以上二点をお伺いを申上げます。
  30. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 第一点の問題でございまするが、災害復旧工事につきましてはこれは勿論工事の契約といたしましては竣工に際して支払うという契約が普通であると私は存じております。勿論期限も復旧工事でございまするから年度内でありますことも恐らく大部分であろう、さようなものにつきましては年度内に支払うということで契約が結局成立しておるものと認むべきではないかと考えます。いろいろ実はその復旧工事に対します分は、既定の修繕費の予算から差繰りまして他の工事に手をつけないでそちらのほうへ廻すということによつて、大体年度内の支払はやつておる。問題は結局ここにございまするように、一般の修繕費工事のほうにそれが響いて参りまして、それが年度をまたがるというような恰好になりまして、債務負担行為、或いは新年度予算においてこの場合は決済したということに相成るのでございます。でこの年度またがりの予算がないのに契約したという問題は、これは当時二十三年度におきましては未だ会計法規が不備でございましたので、かようなことになつたのでございまするが、併しそれ以後におきましては会計法規も整備いたしまして負担行為の認証制度が制定されましたので、予算がないのに契約するということは今後は起らないことに相成つておる次第でございます。  それから又かようなことによつて多少迷惑をかけた請負業者に、随意契約で埋合せをするというようなことはないかとのことでございまするが、これは過去におきましては多少さような意味合の事例もないとは正直なところ申上げかねるかと思いまするが、最近は御承知のようにすべて公開入札制度になつておりますので、そういう情実によつて指定するというようなことを行います余地がなくなつたと信じておる次第でございます。  今一つの夜勤加給の問題でございまするが、税額は本税だけでございまして、追徴税等はこれは国税庁に御了承を得て勘弁して頂いた、その追徴額は約一億九千七百万円でございます。すでにこれは全部徴収済になつております。二十二年以前の分はどうかということでございまするが、これは私どもやはり当時の分は実費補償と申しますか、給与ではないという御見解を二十二年度分についてはとつて頂いたものとかように考えておる次第でございます。
  31. 山名酒喜男

    説明員山名酒喜男君) 只今の山田線のお話でございまするが、これは私の御説明の仕方が悪くて少し違つたかと思いますし、又現場の御説明が全部の事実が説明されたかというこの点について多少のあれがございますので少し附加えたいと思いますが、粘土の問題はお説の通りでございまして非常に緊急の大事の粘土でございまするが、その統計を見ますというと、被害前後を通じて大体同量をトラツクの輸送遂行いたしておるような次第でございます。又大体前の一番最高が三千トンでございますが、不通当時も三千二百四十七トンというものが輸送されております。それからとにかく平均同じ数量は沼宮内の方から輸送いたしております。それから四キロ四の間はトラツクは通つてつたのでございますから、トラツクの通る道路の補修ということによつて一般民需物資の木材木炭を輸送いたしますれば、営業所の方で計算いたしましたトン量と自動車数量計算いたしますと、大体一日五台ぐらいのトラツクでとにかく一般民需物資輸送できたのではないか。まあ勿論鉄道を復旧するということは、鉄道マンとしては大事なことでございますが私のほうとしては鉄道は貧乏しておるのだから二千五百万円の途中までかかつたら勿論しようがない、それからあとのは道路の修繕とトラツクの配備によつて民需物資輸送することができぬか、できるという勘定になつておるわけでございます。そうすればうんとあとの工期が遅れることについての証明はないじやないかということでありますが、勿論私のほうも或る程度の工期が少し下るということは止むを得んかと思いますが、今の三十六キロの区間であつて、今もなおトラツク輸送かたをつけておる。当時非常に大事な物資では沼宮内のほうから輸送しておる製鉄業の材料でありますから、製鉄業の原価の中に織込んでもらう余地もある、そちらのほうを通らなければ、茂市蟇目間の道路の改修は県の問題になります。県の交渉の仕方によつてトラツク一日五台や七台や八台を通す程度の道路はできるのではないかという考えかたをしたのであります。鉄道自体の立場からすれば、勿論鉄道マンとしては壊れた鉄道を復旧するのは当り前だ、あとのが殖えるからそれまで待てんというのは当り前でありますが、建設省の考えかた、鉄道省め考えかた、そういう点を全体とればとにかく道路を直すのに相当金を使う、道路は当然直さなければならぬ、そこらのほうに県のほうの金を出してもらつて、そこにいくらか運輸省のほうとしても金の出しかたに問題がございますが、トラツクやバスで片付けたら片付く余地があるのではないか。やるのだつたらどうせレールもひつぱがさなければならない。そういう金はそちらのほうに廻したほうがよくはなかつたか。当時妙な話ですが、シヤモツト粘土及びそれ以外の運賃計算をいたしますと、七カ月の間に五百四十一万六千円という旅客運賃を含めて運賃収入、運賃収入をとやかく申すわけではありませんが、大体そのくらいの収入を生む程度物資輸送は、道路の修繕により、トラツク及びバスの配備によつて何とか片がつかんかという、鉄道を離れての一つの見かたも立てておるわけでございます。多少鉄道ばかりを考えて行く行きかたを持ちません観点においてかような意見を出したわけでございます。一応御了承願いたいと思います。
  32. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 五百二十七号から五百三十四号は審議を保留いたしまして、本日はこれを以て散会いたします。次回は月曜日の午前十時から運輸省残り、逓信省関係の御審議をお願いいたします。    午後一時十一分散会  出席者は左の通り。    委員長           前之園喜一郎君    理事            岩沢 忠恭君            棚橋 小虎君            溝口 三郎君    委員            大矢半次郎君            小杉 繁安君            寺尾  豊君            カニエ邦彦君            小泉 秀吉君            小林 政夫君            岩男 仁藏君            鬼丸 義齊君            深川タマヱ君            千田  正君            森 八三一君   政府委員    運輸大臣官房長 荒木茂久二君    運輸大臣官房会    計課長     國安 誠一君    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君   事務局側    常任委員会専門    員       森 莊三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  石井 昭正君    会計検査院事務    総局検査第三部    長       山名酒喜男