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1951-03-23 第10回国会 参議院 経済安定委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十三日(金曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○臨時物資需給調査法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)  (右法案に関し証人証言あり)   —————————————
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 委員会を開会いたします。  本日の委員会は第九回になると思いますが、昨日の委員会に引続きまして物調法関係審議を継続いたします。時間がありましたら他の法案にも触れることになるだろうとも思いますが、予定に従いまして物調法関係証言が求めることになつておりますので、以下の三君から証言を求めたいと思います。  昨日の議決にありましたように仲矢虎夫君、それから中島英信君、小林義雄君の三君の証言を求めます。速記をとめて。    〔速記中止
  3. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて、それでは順次宣誓書に署名捺印願います。    〔証人宣誓書に署名捺印する〕
  4. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 最初日産協産業部長仲矢さんの御証言を願いますが、特に今度の臨時物資需給調整法改正事業者団体法及び独禁法の関連につきまして、その点を特に中心にして御発言を願いたいと思います。
  5. 仲矢虎夫

    証人仲矢虎夫君) 先ず物調法のほうから申上げたいと思いますが、これにつきましては先に結論を申上げますと、頂きました資料によりまして拝見いたしますと、第一に物調法有効期限を一年延長するという第一の点、それから第二の点の物資需給調整審議会を設置すること、第三の統制に関する主務大臣権限を縮小するということ。この三つの点はいずれも時節柄適宜の措置として、産業界といたしましては賛成いたします次第であります。特にこの第二條物資需給調整審議会の設置につきましては、従来の統制がとかく官僚独善で、産業界実情を無視した嫌いが多分にありましたが、業界実情に精通いたしました生産者或いは消費者意見が、学識経験というようなかつこうで十分反映されるような組織を作る意味で非常に結構なことだと考えておる次第であります。もともとこの臨時物調法昭和二十一年の第九十議会であつたと思いますが、議会で成立いたしました際には、第二條に初めたしか民主的に組織された産業団体に対しては、主務大臣の指定によつて資材割当政府に代つて行う権限を与えることができる、というふうな規定になつていたのでありますが、その後いやしくも統制をやるからには政府自身自分の手で行うべきであるというような強い意見が出まして、たしか第九十二議会であつたと思いますが、この九十二議会におきまして、この第二條が削除されたことは御承知の通りでございます。勿論この統制というものが国家の例えば軍需生産の充足であるとか、或いは国民生活の維持であるといつたような、国家の必要によりまして、そうして又やり方国家の定める方針に基いて全国民利益のために行われるというような場合におきましては、これはいわゆるカルテル統制とは違いますから、本来カルテル統制とは違つた国家機能に属するものでありますから、これはもともと政府みずからが統計の最後責任を負うべきであるという点は誰も異存のないことであり、今更これは言うまでもないことであります。併しながら、さればと言つて統制経済運営官庁独裁に任せることが果して妥当であるかどうかということにつきましては、大いに疑問を持つわけであります。と言いますのは、統制最後責任を誰が負うかという責任の帰属に関する問題と、それからどうしたならば統制がうまく行くかという統制やり方統制の方法に関する問題とはおのずからこれは別個の問題であると思うからであります。この点に関しましては、私どもが先ず考えなければならないことは、過去における度重なる官僚統制の失敗の経験であります。一体官僚統制はなぜ失敗したか、或いはせざるを得なかつたかということを考えて見ますと、その原因といたしましてはいろいろな事情があつた思いますが、その最も大きな原因は、産業界事情に精通していない一般行政官吏が、この産業統制という一般行政とは全然性質を異にした知識経験を必要とする仕事を担当して、而も他方において産業界実情行政面に反映させるような活きた有機的な組織を持たなかつた、というよりはむしろ官僚がそういう組織を持つことを意識的に無視したために、結局現実から遊離したいわゆる官僚統制或いは官僚独裁という弊害に落ちたのではないかと、こう思う次第であります。この意味におきまして、この度の物調法改正に際しまして、物資需給調整基本方針或いはその他の何といいますか、一般的事項審議するために物資需給調整審議会といつたようなものを設置することにしたのは、誠に時宜に適した措置であると考える次第であります。ただ産業界といたしまして遺憾に堪えないことは、この物調法最初に成立しました時の、先に申しました第二條規定にあつたような、民間産業団体自主統制が認められなかつたということであります。国際情勢の進展に伴いまして、私は必ずしも統制の強化が今後ひどくなるとばかりは考えません。物資の種類によりましては配給統制或いは消費割当というようなものを行わなければならないようなことになつたといたしまして、それを実情にマツチするように行うためには、工場とか或いは鉱山の事情に精通し、又現場事情に関して詳細な知識をも持つ正確な判断を必要といたしますが、それは現実企業をその場にいて経営している企業経営者だけができることでありまして事務机に坐つておる官吏ができることではないのであります。これは決して官吏の才能が劣つておるということを意味するものではないのでありまして、もともと官吏の担当している仕事そのもの職能そのものが違つておるということから来る次第であります。勿論こういつたからとしましても、私ども統制が完全に民間自治統制に任さるべきであるというふうなむちやなことを主張するものではないのであります。例えば早い話が、鉄鋼を例にとりまして見ると、鉄鋼をどの産業部門にどういうふうに割当てるかというような産業別部門別割当、こういうようなものはこれは勿論初めから政府の決定すべきことでありまして、例えば鉄鋼業者といつたような者が決定すべき筋合のものではないのであります。実際におきましても又鉄鋼業者のうちで誰一人そういうことを主張した人もなければ、現にそういうようなことを主張している人もないのでありまして、産業界が要求しておるのは、こういう産業部門別割当をきめる場合に、事情に精通した生産者及び消費者意見が十分反映されるような組織を作ることでありまして、第二には、又産業部門別割当てられました枠の中で、その割当をどの会社のどの工場にどれだけ割当てるかというような会社別或いは工場別割当は、これは如何なる団体にもというわけにも参りますまいが、その資格ありと認められた産業団体に対しては原則としてこれを業者自主に任せる、これは他人の迷惑になることではないわけでありますから、自主に任せるというふうにいたしまして、官庁は併しそれでもそれを野放しにするという場合には弊害が起る危険がありますので、これは官庁も目を通す必要がありますが、併し官庁はその場合におきましても、ただこれをオーソライズするというために承認し、或いは弊害が伴いはしないかという意味においてこれを監督するという程度にとどめてもらいたいということであります。今鉄鋼を例にとつて資材割当のことを申しましたが、特に価格統制につきましては、今度の場合は、戰時統制の場合と違いまして、国際市場との繋りを保ちつつ統制を場合によつては行わなければならないという事情がありますし、又他方におきましては、価格差補給金がべらぼうな金額になるという財政上の理由もありますので、これまでのように、ありとあらゆる物資原価計算方式に基く公を全面的に実施するということは、恐らく非常に困難であろうと思われますので、物によりましてはいわゆる協定価格と申しますか、とにかくそういつたものを認めたほうがいい場合もあるのではないか、こういうふうに考える次第であります。  併しこのように自主統制を行うためには、どうしても現在の独禁法事業者団体法改正とか、或いは根本的な改正でなくとも、臨時的な適用除外といつたような臨時措置が必要となつて来るのでありますが、この点につきましてはあとでお手許に資料を差上げたいと存じますので、詳しくは一々申しませんが、ただ一言ここで申添えたいことは、事業者団体法というものは大体アンチ・トラスト・ローの本家本元でありますアメリカは勿論のこと、日本と同じような事情にあります西ドイツにおきましてもないのでありまして、これはまさに世界に二つとない日本独特の法律であるということであります。この法律の制定された時、私どもはそれが独禁法に輪をかけた行過ぎであるということを繰返し繰返し申述べたのでありますが、微力及びませず、遂に今日に至つたわけで、誠に遺憾に思つておるわけでありますが、幸いにこの法律改正につきましては、国会でも取上げておられることでありますから、私どもといたしましては、経済民主化のためには独禁法があればもうそれで十分である。むしろ団体法廃止してしまうべきだと考えておる次号であります。若し廃止がむずかしいということであれば、せめてこれを独禁法の線まで緩和してもらいたいというのが、大体産業界の多年の一致した要望であります。先ほど申しましたように、詳しいことはあとで私どものほうで取調べました資料がございますので、それを見て頂きたいと思いますが、ただここで申上げたいことは、団体法根本理念というものは御承知のように公正競争の確保、或いは私的独占禁止という独禁法理念と全く同じでありますが、この点については本来もともとどうしても取締らなければならない事項というものは、すべて独禁法で十二分に取締つてあるのでありますから、その上に更に団体法というようなものを別に制定する必要はなかつたのであります。勿論この団体法の中には独禁法禁止してない事項取締つていますが、それらを見ますというと、大体におきまして、殆んどすべてそれ自体としては何にも弊害のあることではないので、單にそれが行き過ぎると私的独占に導く虞れがあるという予防的な意味取締つているのでありまして、冷静な考えからいたしますれば、もともと初めから取締る必要のないものばかりであります。單にひよつとすると弊害を伴う危険があるという、そういう行為を一々全部取締つていたのでは、極端に言うと、殆んど我々の行為のあらゆるものを取締らなきやならんというような妙な結果になりはしないかと思うのであります。そういうことをやつてつたんではきりがないわけであります。そういう次第でありますから、法律というものは、大体原則的には人民の自由を原則として、明瞭に弊害がある違法行為だけ、そのもの取締つておればいいのでありまして、不当に人民行為を制限することは差控えるべきである、こういうふうに私は考える次第であります。併しないがらどうしてそういうような行き過ぎた団体法というような法律ができ上つたかということを今から振り返つてみますというと、終戰後経済民主化の線に沿いまして各種統制団体が解散されたり、或いはそのときは閉鎖機関に指定されたりいたしまして、その後できました同業団体がどうしていいか迷つた挙句の果て、各方面に伺いをたてて廻つて、差支えのない団体活動基準を示してもらいたいというようなことから、單に団体というものはこういうことをすべきものであるといういわば啓蒙的な、一種の啓蒙的な活動基準というようなものが、言い換えれば啓蒙的なものであつて法律の形をとる必要のないものが、一般的な普遍性を持たせるという意味から法律という厳めしい形をとることになつたのであります。従いましてこういう結果になつたことにつきましては、業界自分自主的に判断しないで、権威に頼り過ぎたところの業界それ自身の卑屈さにも一半の責任はあるのでありますが、いずれにいたしましても、法律にする必要のないものが法律になつておるというのが団体法に関する私の感想であります。  このように団体法は、その成立に至るまでのいきさつに鑑みましても法律とする必要のなかつたものでありますが、次にこれを内容の点から検討しましても、先ほど申しましたように独禁法と殆んど完全に重複しておる。重複していない輪をかけた部分はますます余計なものであるというような、法律としての意味はどつちみちないものであります。このことは先ほど申しましたように、独禁法本家本元アメリカにもなければ、日本と同じような事情の下にある西独にもないということが何よりも有力にこれを実証しておるわけであります。この意味から言いまして、私は団体法そのものの完全な廃止を希望するわけでありますが、事情があつてどうしてもそれが廃止ということはむずかしいということでありますれば、団体法実質的内容独禁法と同一の程度に緩和する。緩和するということを大体国会のほうでもそういう方針で進んでおられるように聞き及んでおりますが、是非そういう方針で行つて頂きたいと思う次第であります。  それから各條文につきましては先ほども申述べましたように、日産協のほうで全会員の意見を徴したものをまとめたものがここに用意してございますので、それにつきましては、あと御覧を頂きたいと思いますが、ただ一言申述べたいことは、第四條の許容活動、それから仮に一部国会のほうでも相当程度許容活動というようなものを考えておる点にまで改正することができるくらいであるならば、私は改正ができるくらいであれば、いつそのこと第四條そのものを全部削除して頂きたい、こう思う次第であります。  それからいま一つは御承知のように我が国経済原材料の資源が不足であり、又市場関係から見ましても、主として国内市場が非常に貧弱で狭いというような関係からいたしまして、御承知のように非常に安定性の乏しい経済であります。つい最近までのように原材料の輸入がちよつと不十分になるというとすぐ物が欠乏する、と思うと国外の市場ちよつとダブついて来ると生産が過剰になるというような、どつちみち非常に安定性の乏しい経済でありますが、そういう危険が大きいので、こういう日本のような経済を安定させるためにはどうしてもこれはいつも、いつもというわけには参りませんが、必要に応じて物資需給調整を図り、又物価の甚しい変動を防止するという措置を講ずることができるような道を開いて置くことが必要であると考える次第であります。勿論これは業界自分勝手に、自分利潤追求のために勝手にやるということでは非常な弊害を生ずる虞れがありますので、適当な政府機関、例えば公正取引委員会といつたような機関が、国家的な見地から見ても必要であるというふうな場合には、それぞれの物資主務官庁の承認を條件といたしまして、必要な協定を行わせることができるというふうに、第五條の一号、二号、団体法でありますが、五條の一号、二号に例外規定を設ける必要があるのではないかと思う次第でございます。ややもすると、産業界からこういうことを申上げますと、私的独占の排除という独禁法根本精神そのものを嫌がつておるかのように取られがちでありますが、私どもはこの独禁法が狙つておる根本精神そのものは飽くまでこれを尊重すべきであると固く信じておる次第でありますが、ただ独禁法或いは団体法の中には根本精神が正しいとしても、日本の土壌、風土、気候に適していないという点がありまするので、その点を申上げておる次第であります。誤解のないようにお願いしたいと思う次第であります。即ち業界業者が不当に値段を吊り上げたり、或いは不当に高い値段をそのまま維持しようとするように価格協定をしたり、生産制限をするということは、これは公共利益に反するという見地からもともと許さるべきことではないのでありますから、業者独占支配を排しようとする独禁法根本精神は飽くまでこれを尊重しなければならないのであります。ただ併し、先ほど申述べましたような日本経済特殊性から来る安定性の乏しいという点からいたしまして、自由に放つておいたのでは、ときとすれば非常な生産不足になり、ときとしては非常な生産過剰になるという、この秤りがあつちこつち行くのが非常に敏感な日本経済実情といたしましては、又場合によりましては、これは現在の日本が置かれておる国際市場特殊性もあるのかと思いますが、国際競争における我が国の非常なるハンデイキヤツプを受けて、国民経済全体として非常な損をしておるというような場合に、誰のために、一体こういう独禁法、或いは事業者団体法というものが誰の利益を擁護しておるかということをよくよく考えて頂きたいと思うのであります。併しそういうような万一の場合に備えるためには、事業者団体法廃止し、或いは改正したたけではどうしても不十分でありまして、先ほど来述べましたように、これと同時に独禁法の第四條及び第六條の規定を同じような趣旨で緩和いたしまして、例えば公正取引委員会国民経済的な見地から必要である、止むを得ない、止むを得ないといらよりはむしろ必要であると認めた場合においては協定も差支えないというふうな但書を附けることが必要であると思うのであります。この点世上、最近統制の問題がやかましくなつて自生統制官僚統制かというような議論が盛んに行われておるようでありますが、往々にして、そういうように業者団体に或る程度の権能を委任することは、それ自体カルテル統制であるというふうなとんでもない議論を盛んに見受けるのでありますが、私はそれはカルテル統制ではない、カルテル統制というのは御承知のように先ほど申しましたように、業界自分勝手の利益のために価格協定をしたり、生産制限をしたりする私的な統制でありますが、先ほど申しましたようにそれと丁度逆の、生産制限どころか生産資材割当もしようというような、丁度それと逆な統制をやる場合には、それが例えばいわゆる自主統制と呼ばれようと何と呼ばれようと本質的にはこれは国家統制である。国家統制機能を一部業界にそれを代行させるというに過ぎないのでありますから、そういうものをカルテル統制と呼ぶのはまるでカルテルの何ものかを知らない人々の意見でありまして、そういう意味合からいたしまして、私はこれはこの場合統制国家統制である、従つて業界利益のために行うものではないということをくれぐれも考えて頂きたいと思うのであります。そういう意味からいたしまして、この独禁法第四條或いは第六條の絶対的な禁止規定但書を附けまして、そういう国家的な見地から見た必要のあることをやらせるというふうな方針でこれを改正してもらいたい。こうして初めてこの独禁法には第二章の私的独占とか、或いは不当なる取引制限というものは公共利益に反した場合に言うのだということが第二條定義にはつきり出ておるのでありますが、こういうふうな絶対的な禁止規定があるためにこの第二條にそういう公共利益に反してという文書が書いてあるけれども、何ら役に立つていないのでありまして、そういう意味合からいたしまして、その第二條定義にある独禁法根本理念をよく生かす意味においてそういう但書が必要ではないか、つまり公共利益に反しない場合にはそれは差支えないと、そういうふうな但書を入れて初めて独禁法二條のこの私的独占というものの定義が生きて来るのでありまして、現在のままでありますと、あの定義の中から公共利益に反してという字句はとつても差支えないような感じがするのであります。独禁法につきましてはその他問題があると思いますが、今日の問題につきましてはその点だけと申述べまして、なお詳しくは独禁法につきましても同様に産業界要望を、これに関する意見を取りまとめたものが用意してございますので、一々の條文についての詳しいことはそれについて御覧を頂きたいと思う次第でございます。
  6. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 有難うございました。  御質問は、全部済んだあとでお願いしたほうがいいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは次に中に企業関係立場から御覧になりました統制経済の今の状態についての御発言を、全日本中小工業協議会の副委員長であります中島英信君にお願いいたします。
  8. 中島英信

    証人中島英信君) 臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案が出ておるようでございますが、これについて最初一般的な結論だけを申上げたいと思います。  大体においてこの趣旨には中小企業立場から見ても賛成いたすものであります。この第一の有効期間延長という点でありますが、現在残されておる統制品目は非常に数が少くなつております。これらのものは現在なお統制存続を必要とするものが認められます。で中小企業に特に関係のあるものでは相当に強く存続を必要とするようなものも中にはあるのであります。それについてはあとでもう一度申上げますが、そういつた意味でこの有効期限の一年間延長ということには賛成をいたすものであります。  なお第二番目の物資需給調整審議会を設置する点も同様であります。ただこれについて特に中小企業立場から申上げて置きたいことは、この審議会の公正なる運営であります。これは政令によつてきめられることになつておると思いますけれども、実際には相当に影響の大きい問題でありますので、一言申上げて見たいと思います。それはいろいろなこの審議会が設けられる際に、民間産業界からもそれぞれ代表が参加する場合が多いのでございますけれども中小企業関係事情なり、意見を反映し得るような人が参加することは非常に稀なのであります。そのためにこれは審議会に限らず、一般経済施策が行なわれます場合に、この中小企業はこの施策の盲点になるということが従来までに多く見られておるところであります。従つていろいろな経済政策が実施されるに当つて中小企業にいろいろなしわ寄せが行なわれて来る。これは皆さんもいろいろな点において御覧になるところであると思います。各種政策が実施されるに当つてこのような中小企業が場合によつたならば犠牲にされる、或いは被害者立場に立つというようなことが少くないのでありまして、こういつた点を防いで公正な産業政策の実施という面から見て、審議会のような機関にはやはり中小企業実情に通じ、且つそのあり方について正しい識見を持つておる者を加えるということが是非必要であるとこういうふうに考えます。従つて單民間から民間産業人を加えると言う場合には、当然中小企業関係代表も加えてこういつた被害を除去することが必要であると考えます。  第三の点についても別に意見はございません。  なおこの現在、臨時物資需給調整法は現在行なわれております経済統制の一部をなしておるわけでありますが、私は中小企業立場からそういう経済統制一般の問題について少し意見を申述べたいと思います。  その中にこの物調法に関する問題についてもなお若干織込んで申上げたいとこういうふうに思います。  最初お断りして置きたいと思いますことは、中小企業一般に言いますけれども、実は内容がかなり複雑になつております。従つて例えば統制経済に関する意見を聞きましても、或る者は絶対に反対であるというような意見を言い、中には賛成といつたような意見を申述べる場合もあり得るわけでありますから、これは業種が違い、規模が違うに従つて統制の及ぼす影響なり、或いは統制と関連した利害関係といつたようなものがそれぞれ異る点があるからであります。例えば業種の面で大きく商業工業或いはその他の事業と見た場合に、商業工業でも同じ中小企業で以て物資配給その他に関しては当然利害関係が異つておるわけであります。又同じ製造工業の中におきましてもいろいろな分野があります。例えば中小企業だけで占められておるような産業分野、つまり中小企業の専門的な分野があります。又大企業中小企業が併存して競合しておるような分野があります。こういつた場合にはそれぞれ特殊の生産配給の規制等の場合に当然利害関係が若干異つて来るわけであります。例えば専門の分野の中でも原料部門を小数の大企業が持つておる、その供給を受けて中小企業者が生産をしておるといつたようなものになりますというと、かなり変つた性格を現わして来るわけであります。例えばメリヤスの加工といつたようなものがあります。これは殆んど全部中小工業と言つてよいのであります。こういうものの原料は例えば綿メリヤスでありますと、やはり紡績会社から提供される。こういう場合にこれが單なる自由放任ということになりますと、メリヤス業者の手に材料が十分に渡らんというような場合が非常に懸念されるわけであります。又自主統制といつたような形をとつた場合にもこれは実際的にそのほうへ材料が廻らんというようなこともでき上つて来る。こういう意味でこういう特殊な部門、即ち原料部門が少数の大企業に独占といつては言い過ぎかも知れませんが、大体占められておる。こういつたような関係に立つておるところにあつては、やはり国家的な見地から公正な割当てその他をするという必要もあるわけでありますから、こういう業種に属する人たちはやはり或る種の統制というものを経済情勢によつては必要と考えておるわけであります。つまり非常に原料の供給が多い場合には勿論別でありますが、現在のような程度の場合においては、むしろ統制によつて公平な、公正な経済活動ができる、こういうような状況であります。これは現在の物調法のやはり指定品目の中にも入つておるのでありますがこういつた品目についてはやはり存続するということがその中小企業のために必要だ、こういうような関係になつておるのであります。なお逆に又統制というものを余り好まない業種というものも相当にこれはあります。その点は先ほどお断りしましたように、業種により、或いは又規模等によつてそれぞれ利害関係が若干内部的には異つておるわけであります。一般的に概括して申上げますというと、やはり統制についてこれを歓迎する者は少いのであります。殊に中小企業は自由企業的な性格を非常に強く持つております。それから戰時中に行われました経済統制の或る意味被害者であつた。こういう経験からして主観的には殆んど経済統制というものを好まないわけであります。但し私も中小企業者でありますけれども中小企業者というものは若干割合に経験だけによつてものを考え、或いは若干近視眼的なところもあるわけでありまして、従つてこれを客観的に見た場合に果してどういうような形が利益であるかということについては検討を要する点もあるかと思つております。ですから統制につきましては統制が絶対的にいいとか、絶対に惡いとかいうことは一概には言えないという考えであります。つまり統制の目的なり、方法なり、内容なり、形なりによつてそれぞれ関係が違つて来る、こういうふうに考えておるわけであります。結局要点としましては、中小企業存続発展ができるような方向に向けられること、そのためには資材の配給等に関して言えば、資材の配給が公平に行なわれるということが行なわれるならばいいのでありまして、従つてどういうふうな方法なり、形を統制がとるかということによつて、それぞれの方法に対する是非の見解が出て来るわけであります。即ち一般的に言いますというと、経済統制によつて活動がそれぞれ制限をされ不便になり、又能率やその他の成績が非常に害されるわけでありますが、統制自体はでき得べくんばやはり避けたほうがいいというわけであります。但し特殊の経済情勢の場合においては公平な、妥当な方法をとられることがときには必要な場合がある、こういうような意味であります。それは丁度消費物資について言えば、非常に食糧が不足なときには貧乏な人間には却つて統制があるごとによつてつて食糧を確保できるといつたようなのと同じ意味になると思うのであります。それで統制の必要、特に現在の事態において統制が必要であるかどうかというような点について次に申上げたいと思いますが、現在でもやはり経済統制が若干行なわれておるわけであります。従つて完全な自由経済ではないわけでありますが、これは実情から言いまし、恐らく現在の経済を完全な自由放任状況に置くということは困難であると思います。そういつた場合には不公正な競争も起りやすいし、或いは消費者利益を害するということもできますし、又経済秩序を混乱させる場合もあるわけでありますからして、完全な統制の撤廃、或いは完全な自由競争ということが必ずしも適当ではないわけでありますが、問題は従つてどういうような條件の下にどういうような統制をするかということにあると思いますが、大体私らが考えておりますのは、統制が必要な場合というのは、需要と供給の関係が非常に食い違つて来る、いわゆるアンバランスになつているような場合、或いは経済変動が非常に急激に行なわれる場合、例えば物価等が非常に急速に激しく変動する、こういつたような場合にはやはり或る程度のこれに対する措置が必要であります。つまり資材が非常に少い場合、或いはインフレーシヨンの激しい場合ということになると思います。それで現在果してそういうような状況にあるかどうかということでありますが、この点につきましては、世間でも一般に言われておりますけれども、非鉄金属などは相当に資材が足りなくなつて来ております。一方又価格が上つて来ております。中小企業でも一般にそういうものを原料として使う中小企業は原料の獲得難、或いは原料高、製品安と言つたような状況に悩まされている状況であります。これを統制したほうがいいか、自由のままのほうがいいかということになりますと、それは業者のそれぞれの立場によつても違うのでありますから、個々の業者意見には幾らか相違もあるわけであります。併し足りなくても自由な状況になつておれば自分の腕で以て幾らでも取つて行くんだから自由のほうがいい。こういう考えを持つている者もあります。それから一方ではできるだけ公正にやはり割当られ、且つ適正なる価格で手に入れるような方法をとられることが必要であるというような見解もありますし、どちらかと言いますと、中小企業の場合は統制された場合には従来のような統制が行われると、その割当の対象から除外されるとかいうような懸念もあり、又割当をもらうとしても非常に少くて実際には役に立たないという場合もある。又割当によつて物資を実際に獲得する場合には非常に手数がかかる、煩雑になるという点もあるために、概して統制を避けることができるならば統制を避けて、こういつた物の供給がもつと潤沢に行われるような面において経済政策を進めるといつたようなことが望ましいというようなことが大体一般的な見解であります。その他非鉄金属以外のものについても最近は原料の面においては相当窮屈になつて来ておりまするが、大体同じような見解ですけれども、但しこれもそういつた狭い視野からでなしに、現在の国際的な政治経済の状況から見て、今後ますますこの材料の不足が甚だしくなつて来る、そうしてそれは長期に亘るだろうという見通しがとられるならば、この場合には全体的な視野から見て、或いは統制というものも場合によつては避けられない場合もあるのではないかということも考えられますが、その場合には、次に述べますけれども、適正な公平な配給統制方法をとつてもらいたいというようなところが一般要望となつておるのでありす。勿論資材が單に不足するといつた面からだけでなしに、非常に各種の資材についても、或いはその他の物価、その他についても不均衡がある場合には、若干こういうものを是正して行く必要があると思いますが、中小企業の力というものは経済的には余り強くない、つまり社会経済の内部におけるこの地位なり力というものは、その数の割合には割合に弱いものでありますからして、そういつた面に十分に自分たちの地位を、自分たちの利益を守るということができない。その関係からして経済の非常な変動が激しいというとその煽りを食うということが非常に多いわけであります。従つて若しそういつたような懸念が多い場合には、大局的な見地から見てやはり経済安定の施策を講じてもらう必要がある。現在経済原則以来とられて来ているところの経済安定政策は、重点がどちらかというと通貨資金にあるわけでありまして、やはり本当の意味国民経済生活は安定に直結するというよりも、むしろそういつた財政、金融面における安定という面が強いわけでありますからして、そういつた狭い意味でなしにもつと広汎に、やはり国民経済の均衡安定を図り得るような政策が根本的には絶えず必要であるというふうに考えております。併し統制をすぐするか否かということは別として、そういうような見地から絶えず国家として経済情勢に対する調査なり測定なり、或いは計画といつたものは絶えず必要であるわけであります。つまり混乱が起つてから措置をとるということではなしに、そういうことが起らないような予防的な意味において、それに対する準備というものは絶えず必要であると、こういうふうに考えております。それでそういつた点から見た場合に、現在の事態はどうであるかという点でありますが、この点は現在の朝鮮事変等は或る意味で世界的な戰争に繋がつておる面があると共に、或る面においては局部的である、こういつたものに対する見通しに対する判断は我々としては非常に困難なわけでありますけれども、併し恐らく世界的に一つの準戰時体制的な形において進みつつあるということは大体において言えるのではないかと思うのであります。こういつた点を考えますというと、でき得るだけ統制を避けて行くことも、仮にこの状況が進んだ場合には何らかの経済統制をやはり考えなければならない。或いは部分的に、或いはそれを段階的に行うことも考えなければならないことがあると思うのであります。そういつた点を一応見た場合には、やはりただ單に統制は好ましくないということばかりはいつておられないわけであります。それで我々の立場としては、結局統制が若しも避けられないというような場合には先ほど申上げましたように、この統制の目標と方法というものについてあらかじめ絶えず検討を加えて置く必要があると考えております。その点ではこれはまあ一般的にしばしば指摘されておるわけでありますから、私らが特に申上げることはないのでありますけれども、戰時中に行われた統制と今後行われる統制とは基本的にいろいろな状況が違うわけであります。つまり直接日本が戰争をやることを目標として行うものではなしに、やはりこれは主として外部的な関係のほうが主になつておるということ、日本の場合にはどうしても生活のやはり安定という点と結び付かなければならんということ、特に我々はこの前に行われた統制の場合には、非常に多くの中小企業は実は転業をさせられたり、廃業をさせられたりしたわけであります。戰後になつて辛うじてこれが復活したという状況であります。そういつたように、前に行われたような統制というものが小数の例外はありますけれども、多くの中小企業には非常に打撃を与えたわけであります。従つてそういつた形における統制というものを好まないことは言うまでもないわけでありまして、仮に統制が必要であつて中小企業日本経済における重要性というものを十分につかみ、且つ今後の日本の産業構造の中に中小企業の占める位置というものをできるだけ公正につかんで、その上に立つてこうしたものが当然に生き残つて行けて、且つ国民経済の全体に寄与するようなことを目標としてやはり考えられる必要があると考えております。その点は特に必要なことでありまして、若しその目標がはつきりしておつて、そうして統制がとられるならばおのずから方法もここに出て来るわけでありますからして、必ずしも犠牲者にならなくても済むというわけであります。これは実例を申上げますと、戰後例えば油脂なら油脂工業で石けんの関係統制が行われておりました。この統制が集中生産の問題が起ると同時に非常に変つたわけであります。その意味において或る部分この統制が外されたのでありますが、そのときにどういう現象が起つたかというと、その以後において殆んど大部分の中小石けん業者というものは没落してしまつたわけであります。塗料などにおいても同様なことが起つたわけであります。これは勿論前の戰後最初の時期に行われておつた統制がいいか惡いかという点については、若干批判の余地があるかも知れませんけれども、つまり統制されておつた時期において却つて中小企業というものが比較的安定をした営業をしておつた。それが一部分或いは大部分自由競争の中にいきなり放り出されると、却つて急にそれが顛落してしまつた。こういつた例もあるのでありますが、これは要するに統制の方法の如何によつて中小企業も適正に生きて行くことができる。これを急激に変化を与えたり、或いわこの状況が非常に不利なときに、いきなり自由競争の中にぶち込まれるということは却つて生きて行けない場合が出て来ます。自由競争が最初から行われておる場合はこれは別でありますけれども、そういうような実例もあるわけでありまして、従つて統制を歓迎するという意味ではないのでありますが、若し統制が必要な場合、多くの法律がよければ、これは必ずしも中小企業に打撃をそれほど与えなくても済むというわけでありまして、こういう点に十分な考慮をされる必要があるわけであります。そうしてこれは私先ほどの委員長のお話で、現在の経済統制というお話でありました。若干将来に亘つてずれるかも知れませんけれども、現在そういうような新らしい経済統制に或いは入るかも知らんというような状況でありますからして、それにもう一つ若干附加えて申上げたいと思います。それは若しも今後そういう経済統制が必要だということになつた場合には、適正な方法をとるためにはやはり最初から統制関係する法規の中で中小企業関係する措置を十分に織り込んで行くことが必要であります。この点はアメリカの最近の国防生産法などを見てみましても、かなりはつきりと中小企業に対する考慮というものが中に払われておるようであります。国防生産法のちよつと條文を忘れましたけれども、第七章の中に、基本的に中小企業に対する保護の、或いは適正な考慮を払わなけりやならんということが原則的に一応謳つてあります。なお国防生産関係機関の中には中小企業に対する専門の機関というものが設けられております。そうして政府が発註する場合にもどういうものを発註するかということを中小企業者にあらかじめ知らせる、それから価格等についてもあらかじめこれに対して考慮を払えるような方法を講じて、つまり公平に中小企業も註文が受けられるといつたような点、或いは資材の配給についてもやはり受けられるといつたようなことを今度のアメリカの国防生産法の中にはつきりと規定しており、且つそれに基いてそういつた中小企業面を専門に担当する機関というものが設けられておるわけであります。こういつた点は今後若し日本においてそういつた統制が考えられる場合には十分に参考にすべきことであると思うのであります。これは單に中小企業をただ育成するとか、保護するとかいうような意味だけでなしに、そうすることによつて国家の財政支出の面においてもこれを合理化することができると思うのであります。つまりできるだけ広い企業にこの受註の機会を与えるということによつて、比較的低廉な価格で能率的に生産する中小企業があつた場合には、そういうものにも発註するということによつてこの調達の費用というものを軽減することもできるわけであります。こういう意味から言いますというと、国家的に見ても財政の支出の面における合理化という問題を同時にこれは達成することができる措置であると思うわけであります。單に中小企業利益を考えるということだけでなしに、国家的な施策としてやはりプラスしております面が非常に多いのであります。従つてこれは今まで日本で行われたように中小企業はどうなつてもいい、そういうものは倒れてもかまわないのだといつたような考え方の上に立つた施策でなしに、中小企業というものを本当に日本経済の中に活して行くということを前提として、そうして公平なる施策がとれるような方法が望ましいわけであります。このアメリカの国防生産法の中小企業関係の問題については、なおいろいろ申上げたいこともありますけれども、直接関係が余りございませんから、今の要点に関する点だけを申上げたのであります。  それからなお特に関連のある統制の方法に関して一言申上げて置きたいことは、統制のつまり対象になるものはいろいろあります一企業自体、直接企業に対してもこの存続とか、拡大するとか、結合、或いは転換といつた問題も統制の対象になりますし、或いは資材、価格、賃金、労働力といつたようなものも対象になります。又資金に対して規制をすることもある、或いは生産、輸入に対する各種の制限をする、こういうふうにいろいろありますが、恐らく日本の現状から言えば、問題になるのはこの資材の面と、或いは続いて価格の面と、その程度が主として現われると思います。併しこの資材だけを單にとつて統制をした場合に、或る種の資材が統制される場合に、その資材を主要な原料として作つておるところの製造工業におきましては、その資材が手に入らないならば、その企業自体はもうやめなければならんというような状況になるわけであります。従つて單に極く一部分の統制を行なつても、実際はこの統制の相手に関係のある企業にとつて企業存続の問題に影響するわけであります。従つてこの場合にはその資材は必要があるから統制する、併しそのために企業は潰れるか、潰れないか、そういうことは知らんというような形で行われる場合が非常に多いのであります。これは実際に非常に大きな問題でありまして、この形は自然淘汰というような形をとつて、実際は或る意味で意識的に中小企業を淘汰するに等しいことになるわけであります。従つてこういつたそういう懸念がある場合には、併せて他の方面において中小企業の転換なり、或いは他の形における存続のできるような施策というものと当然併せてやる必要があると考えるわけです。従つて統制をできるだけ避ける、そうしてできるだけ必要があれば部分的に始めて行くという場合においても、最初から全面的な見通しだけはこれを持つて、そのために生じて来るところの弊害なり、産業に与える打撃というものに対してはこれを救済する方法というものを最初から用意されるべきであると思うのであります。で、こういう場合に一番強い影響を受けるのは常に中小企業なのでありまして、こういう点がしばしば看過されて行われるということのためにその企業を失い、而もこれを大きな経済政策の面についてその実情を反映させるというような手を殆んど持たないために、泣き寝入りをするという実情が非常に多いわけでありますからして、この点はそういうように統制の方法として部分的、或いは段階的な方法がとられる場合において、間接的に与える影響というものを併せて考慮する必要があるわけです。  それから最後にこの統制機関責任の問題であります。これはこの自主統制か、まあ官僚統制といいますか、どつちなのかという問題がよく出ております。で、これはまあ官僚統制の場合には先ほど仲矢さんからもお話があつた通り、非常な弊害が伴うのであります。併しまあ自主統制の場合にも勿論若干伴う。ただ統制の本質から行くとやはり自主統制にも若干限界も勿論あると思います。これは詳しい細かい点は申上げませ人が、結論としてはこの両方のやはり弊害を避けてまあ両方のいいところのものをとつた形のものが結論としては出て来るのではないかというふうに考えております。特に中小企業全体から見た場合に、或いは極く小部分の例かも知れませんが、先ほど申上げたメリヤス業のような業種の場合をとりますと、そういつた場合に自主統制がとられるということになると、恐らくこれは加工部門であるところの中小企業のほうはそのために殆んど逼塞させられてしまう、こういう懸念もあるわけであります。従つてこれはそれぞれの業界に応じたやはり施策か必要であつて、全り画一的なものであつてはいかんのではないかと考えております。なお一〇〇%自主統制、一〇〇%官僚統制ということは実際上行い得ないことでありますので、これらについては適宜やはりそういつた特徴を併せた方式というものが当然考えられるべきものであると思います。  それからまあそれに関連しまして、現在なお統制が行われておるわけでありますが、一つの傾向は、そういう場合に責任の所在が不明瞭になること、このために業者は実は甚だ迷惑する場合があるわけであります。つまり切符は官庁で発行する、ところが現物を手に入れることができない、そういつた場合にどこにその責任があるかということが非常に不明瞭になる場合がある。従つてこれは現在でもそういつた場合が言われつつあるわけでありますが、このやや総合的な方式をとられる場合に特にその懸念ができて来ますので、この最後的な責任、或いはこの部分的な責任も、すべてこの責任の所在をはつきりする。で仮に割当の切符を出したという場合には、それが必ず現物化するところまで徹底してそれを追及することができるようでなければ、切符はもらつたけれども仕事ができないというようなことがしばしばできるわけであります。この点で統制機関について考える場合には、各機関権限責任相当はつきりして行くことか必要であることであります。そうしてこういつたものを合せて……結局どんな場合にも若干の弊害はできて来るこ思いますので、そういつた弊害ができて来る場合にはこれに対する救済の方法を考えて置く必要がある。つまり官僚統制を主とした場合には、実情のわからない人たちがかなり天降り的に非能率的な統制をする。自主統制の湯口には相当な力を持つた少数の企業に抑えられる場合がある。いわゆるボス的な支配をされる場合もあるので、どのような場合にも不公正な取扱を受けたものが、たれの救済を受けるために何らかの公訴する手続なり方法が与えられる必要があると考えるわけであります。そのためには適正な委員会制度なり、一種の公聴会制度なり何か適当な方法を以てそれに対する救済の手を打つて置く必要があると考えます。  大体予定の時間も過ぎたようでありますから、これで私の話は終りたいと思いますけれども一般的な経済統制に対して中小企業立場から申上げることは、経済統制の目標を適正な国民経済の全般にやはり置いて目標を立てる必要があるということ、つまりそれは内部の産業の構造的な関係をも十分に配慮する必要があるということです。それから統制の対象を細かく選択する場合に影響する間接的な影響も同時に考えて、中小企業の整備といつたようなものを濫りに生じないように措置をするということであります。それから統制の機構についてはアメリカの国防生産法に見るように、基本的にはやはりこれに対する担当機関を設け、更にその下部の機関においては必ずしも自主統制でない、必ずしも官僚統制でないそれは実際に適合した組織を考えること。最後にこういつたものから生じて出て来るところの弊害というものも若干考えられますので、これに対しては特にその犠牲者になり易い、被害者になり易い中小企業のためには、これに対する救済の方法があらかじめやはり考えられてなければならんのではないかという点を申上げたつもりであります。これで私のお話は終りたいと思います。
  9. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 有難うございました。  最後に今度の改正法におきまして、需給調整審議会というものができておりますが、特にこの審議会の性格に重点を置いて頂きまして、専修大学の教授の小林義雄君にお願いいたします。
  10. 小林義雄

    証人小林義雄君) 物調法改正につきまして、私は先ず第一番に需給統制の必然性という問題について、それから第二番目に物資の需給統制とそれによつて利益を受けるものとの関係について、それから第三番目に今委員長からお話がございました物資需給調整審議会につきまして若干の意見を述べてみたいと思います。若しなお時間がございましたら、その他の点についても多少触れるつもりでございます。  資本主義の経済が爛熟期或いは老成期に入つて参りました今日において、青年期或いは壯年期といつたような時代にとられたと同じような完全な自由経済の建前というものを今ここでとろうといたしますと、資本主義経済の矛盾というものが非常にひどくなつて来る。経済の順調なる発展ということが困難になるということは現在では一般に広く認められているところでありまして、これは今更詳しく申上げることも必要でないと思いますが、従つて戰時とか或いは戰後の混乱時については申すまでもなく、又平常の状態におきましても、現在の経済組織の上では何らかの経済統制がそれを好むと否とにかかわらず必要であるということになるわけであります。こういうような原則的な観点から申しますならば、一昨年以来我が国におきまして自由経済ということが盛んにもてはやされ、又実際にも統制が次々に撤廃されて来たにもかかわらず、戰後の経済統制の最も根幹とも言うべきこの物資需給調整法が、今その期限が到来したにもかかわらず更にこれを延長するということになりましたのは、むしろこれは当然な成行であると言つていいと思います。更に現在の国際情勢の推移を考え合せますならば、このことはなお更当然のことであると言わなければならないのであります。これは單に偶然的な事情によつてそうなつたのではなくて、深い事情から来たものである。つまり現在の経済及び社会の必然的な傾向によつてもたらされたものであるということができると思うわけであります。仮に今若し現在のような国際関係の逼迫というものがなかつたといたしましても、恐らくその場合にはこのような統制とは或いは非常に形が違つているかも知れませんが、併しとにかく何らかの統制というものがなくては到底経済の運行というものはやはり行われ得なかつたであろう。こういうふうに考えられるわけであります。ところで極く最近になりまして、米英の経済専門家とか、或いは業者などの間に、若しも現在このままで、第三次大戰が近い将来に起らないというふうなままで事態が推移するならば、その場合には仮に国際間の対立というものは依然として相当つてつても、軍需品の非常な過剰、或いは軍需品生産のための厖大な設備の過剰ということが、そう遠くなく或いは起つて来るかも知れないというようなことが言われる。つまりピース・ケヤー、平和の脅威といつたようなことがしばしば言われることになる。そうしてそれに伴つて今からそういう不測の事態に対して何とか準備も整えておかなければならないといつたような意見もぼつぼつ現われるようになつて来ております。このような点も無論十分注意はしておかなければならないと思いますが、併し現在のところでは一応不足物資の需給統制を行うというこの法律趣旨はそのままでやはりやつて行くよりしようがないじやないかというふうに考えられます。同時に今後は情勢の激変の兆が出て来た場合には、速かにそれをキヤツチし得るように絶えず十分の注意をして行くということが必要ではないか、こう思うわけであります。  次に第二の問題でありますが、先に述べましたように、この種の統制は必要であり、又不可避であるということが言われるとしても、それで直ちに従来のやり方がそのまま是認されるということにならないことは勿論であります。遠い過去の戰前或いは戰時中の統制については今ここで触れる必要もありませんが、戰後の統制、殊に物資の需給統制についてここに大きな問題があると思われるわけであります。従来我々が経験したことを率直に申述べますならば、無論統制については技術的な欠陷も幾多あつたし、又現にあるということは無論のことでありますが、併しそれよりも更に大きな問題としては統制が行われる場合には、又統制を撤廃する、外す場合にも、その結果によつて利益を得るものが大体において大企業、大資本であつて中小企業国民の大多数の者の利益というものは殆んど結果としては顧られないというのが普通である。こう言つても決して過言ではないと思うのであります。それは必ずしも意識的にそういうことが行われるという場合はないかも知れません。又多くの場合においてこれは結局現在の経済組織が生み出す弊害であるというふうに考えて差支えないかとも思います。低し国民の大多数の立場からいたしますならば、このような弊害が絶えず現われて来るということは、これは十分に考慮して何とかして是正しなければならない点であるというふうに考えるわけであります。例えば現在綿糸の割当の問題について例をとつて考えて見ますと、綿製品の生産におきましては、輸出向けの綿製品が一番利益が大きい。それに比べると内需向けの製品は利益が少い。私は最近或る所で直接聞きましたのですが表向きの計算通りで行けば、内需向けの綿製品を作つている機屋さんでは殆んど利益というものは出ない、むしろ赤字が出る。それは結局いわゆる出目というものによつて漸く採算をとつているというふうなことを極く最近でもやつておる状態であります。それに対して輸出製品のほうは相当利益がある。ところが綿糸の割当におきましては、この輸出向けの製品を作る大紡績会社に対する割当が、無論その能力に比べますと、非常に大きい。それに対して中小の機屋に対しては割当の率はその能力に比べてずつと低いというふうになつております。その結果が御承知のように繊維産業においては非常に利益率が高い。最近でも大紡績会社の大体の今期の利益率は平均五十割を下らないというような、非常に高い利益率が示されておる。それに対して中小企業のほうは遥かに成績が惡い。むしろ非常に苦しい状態にあるというふうなことであります。これらを考えて見ますと、つまり一方でそういつた企業においては非常に大きな利益が上る、ところが同じ仕事をやつている中小企業では、やつと仕事を続けて行けるといつたような状態であるのをそのまま野放しのままに放つてある。而もそれに生産資材統制というものが結び付いておるというようなことでありますならば、これは何としても大きな問題としていいのじやないかというふうに考えるわけであります。  それから又これは多少問題が違いますが、現在最も不足しております物資としてしばしば挙げられますニツケルとか、或いはコバルトとかいつたような非常に不足している物資についてでありますが、さつき中島さんがちよつとお触れになりました通り、こういつた非鉄金属の一部のものは非常に不足している。殊に朝鮮動乱以来ニツケルのごときは闇値が七倍にも八倍にも上昇した。そうしてその入手については非常に困難である。小さな中小企業におきましては闇でこれをどんどん買うとか、或いは相当のストツクをしても在庫の申告をしないといつたような者はとにかくとしまして、大体においてまともに仕事をやつているところではニツケルの入手は殆んどおきない。従つてニツケルを主として使つているような中小企業では、今後資材の不足のために仕事ができないというような状態も出て来るのではないかというようなことも聞いております。現在表向きにわかつている在庫というものは必要量の大体、一月分にも足りないといつたような状態である、こういつたような状態で、そうして資材の統制をやつて行くということになりました場合に、この統制を適正な妥当なものにして行くということについてはよほど深い考慮がないと、結局はやはり大企業が非常に有利な立場に立つて中小企業は非常に不利な立場に立つという、そういう結果が当然現われて来るのではないかと思うわけであります。これにつきまして、過去においては統制の撤廃が行われるという場合に、それは大体大企業に有利な場合に統制の撤廃が行われて来たのでありますが、それと同様に統制を新たに行うとか、或いは統制存続するというような場合にも、結局大企業にとつてその必要があるというそういう場合に行わけれるということがはつきり考えられるわけであります。で、こういたしますと、結局統制といつてもそれはいわゆる大企業自主統制、大企業がみずからの利益のために行う自主統制というものと殆んど変らないと、効果においては大差がないといつたようなことになるわけでありまして、この点は何としても国民全体の立場から言つてこういう弊を改めるということにならなければ、今回の改正の意義というものは非常に減殺されるということになると思うわけであります。  それでごういつたような弊害を是正するという理由からも、物資需給調整審議会というものの設置が考えられているということも言われているわけでありますが、そこでこの第三の物資需給調整審議会の問題に入りたいと思います。新聞その他で伝えられているところによりますと、政府物調法の期限が切れるに当つて、今後はいわゆる自主統制の方式で行くという考え方を先ず持つた業界でも無論この方式に対しては非常に賛成である。ところが自主統制はどうしても司令部の認めるところにならなかつた、こういうことが伝えられているわけであります。といつて従来のような官庁統制ではどうしても困るということから、結局その中間の方式である審議会というものを設けるやり方をとるということになつたのではないかと、私はまあ想像するわけであります。日本側における業者自主統制というような方式が現在殆んど全く認められる可能性がないということは、何もわざわざ試して見なくても十分にこれは察知できるところであると思われますから、若しもこの点をそうでないと思つていたとすれば、それは大変な思い違いと言つていいのだろうと思いますが、併しとにかく審議会というものがどういつた機能を持ち得るかということはこれ又非常に問題であると思うのです。現在のところ私どもにはこの審議会はどのような組織を持ち、どのような構成を以て、又どのように運営されるかということについては、ただ法律案の上では政令に讓るということがあるだけで十分に知ることができませんが、併し法律案内容の説明書にちよつと出ておるところを見ますと、民間学識経験者で構成されるというように見えております。それはいわゆる従来通りの学識経験者であるといたしますと、そして又而も法律案にあるように安定本部総裁の諮問に応じ、方策の審議と建議を行うのだというものであるといたしますれば、どうもこれは従来多くの例のある全くおざなりの存在となつてしまう危険がかなりあるのではないかというふうに思うわけであります。若しそうだといたしますと、それは結局経安定本部、或いはその他の官庁だけで直接需給の統制を行つて審議会などといつたようなものは全くなかつた従来の場合と殆んど変りがないものになつてしまうのではないかと思うのであります。巷間では今度の物調法改正について官庁側がこの官庁統制ということを特に強く主張しないで、結局審議会というものを置くという方式になつたということは、審議会というものを仮に置いて見ても結局官僚統制と同じことになるという見通しを持つているからだというような非常に穿つたことも言つておる向があるようであります。それはとにかくといたしまして、一応形式的には審議会を設けて置きながら、それを実質的にはかなり無力なものにして置くということでありましたならば、ただ外見だけの民主主義の方式がとられているに過ぎないということになつて、その半面で責任の所在というものが非常にあいまいになるという弊を伴い、却つて非常に面白くない結果を生じることになるのではないかということを恐れる次第であります。それよりは多少の弊害はあつて官庁がすべての責任を以て当るという従来の方式のほうがむしろはつきりしていてよいところがあるのではないかというようにさえも考えられるわけであります。最近ほかに例の見られますような、政府とか或いは国会に対しても超然たる立場にあるようなそういう委員会というものも非常に問題だと思われますが、又このような形式で実力がなくて、而も責任の所在が非常にぼかされてしまうようなそういうような方式というものも又甚だ好ましくない。少くとも明らかなことはこのような審議会を作つて従来の官僚統制の弊を改めようと言つても、それはなかなかむずかしい問題ではないかということであります。そこで一歩進めまし七、民主主義の建前というものをより強くとるということでありますならば、内容は甚だあいまいないわゆる学識経験者に諮問をするといつたような方式や、或いは官僚的な統制方式でなくて、国会そのものがもつと需給統制運営に関与するというような何らかの方式をとるべきではないかと考えられるわけであります。この点についての立法上や行政上の細かい問題は私は素人で存じませんが、いやしくも国会というものが国民の総意を代表するというものであるべきであり、又国会が真にそれだけの権威とそれから実力とを持つならば、なお更こういつたような方式を真劍に考えて見ていいのじやないかというふうに思うわけであります。  まだ時間が多少ございますので、以下少し細かいことを申して見ようと思いますが、この法律改正案の第三條の第一項に、「主務大臣は、経済安定本部総裁が定める方策に基き左に掲げる事項につき、関係者から報告を取ることができる。」という個所がございますが、この「経済安定本部総裁が定める方策に基き」という一句はどうも私のような素人には何のことだかわからないのであります。提案理由説明書を見まして初めてその意味がわかるというようなそういうわけでありまして、何だかこれは国民一般にもわかるような字句にして頂いたほうがいいんじやないかと思います。近頃法律にどうも字句は非常にやさしい字句が使つてあるけれども、その意味がなかなかとれないようなものが少くないので、念のためこういうことも言つて見たくなるわけであります。  それからその次の問題といたしましては、資材の統制と物価統制、或いは金融政策といつたようなものとの関係でありますが、一般的に言つて現在政府では物価統制は成るべく早く外してしまつて、そうして資材、或いは生産に関する統制はこれも外すには外すけれども、一部はあとに残して行くというような方針をとつておるかに見えるわけであります。その場合に生産統制によつて生産を増加することができるならば、物価は統制を外しても大して物価の騰貴は起らないというふうに考えておられるのじやないかと思います。又見方によりますと、たとえ或る程度の物価の騰貴が起つてもそれは大して意に介する必要がないというような見方をしておられるのじやないかとも思うわけであります。その結果、現に物価が最近非常に上つて来ておる。従つて生計費の騰貴というものも相当なものになつて来ておる。併しこれは国民の大多数のものから言いますと非常に大きな問題でありまして、單に生産の増加ということだけで民主の安定というものが図り得るかどうかということはこれは非常に大きな問題ではないかと思います。これはここで詳しく論議するには余りにも大きな問題でありますが、併しとにかく單に資材とか、生産統制そのものだけを考えるのではなくて、やはりこれには物価の問題、或いは金融の問題といつたようなものを全部やはり総合して、そうして確固たる方策を立てるということでなくてはならないんじやないかと思うわけであります。  それからその次の問題といたしましては、最近政治経済の中心の問題とされております日米経済協力の問題とこの資材の統制の問題との関係でございますが、アメリカから将来輸入されるものは一種の紐付職人として輸入されるということが行われるようになるといたしますと、若しもその職人物資がこの物調法による需給統制関係あるものでありました場合にはいろいろの問題が起つて来るのではないかと思います。でこれをこの物調法による統制の枠の中に入れるか入れないかというようなことが具体的には問題になるのじやないかと思うのであります。これについてはまだ日米経済協力という問題が一般に伝えられるほど具体化していないといたしましても、今後当然具体的な問題になるということは考えておいて、この物調法改正を問題も一応考えて置く必要があるというふうに私は考えておるわけであります。このような紐付輸入ということが実際に行われるようになります場合には、私といたしましてはこの輸入自体国会において先ず総括的に総合的な計画の一部として承認されて、それに基いて輸入が行われる。そうしてその上で輸入されたものが国内で統制の枠の中に嵌め込まれて来るというふうに行われるべきであるというふうに考えるわけであります。つまり日本の計画とか、或いは方針に対して一つの超然たる立場にあるべきものではなくて、而も今後講和会議の後におきましたならば、殊にこういつた点ははつきりして置くべき問題である。こういうふうに考えられるわけであります。このような問題はまだ事態が具体化しておりませんから、現在細かい点を論ずる必要はないかと思いますが、併し将来の問題としては非常に大きい問題になるということは考えられますので、ちよつと附加えて置くわけであります。私の陳述はこれで終りといたします。
  11. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 有難うございました。時間も大分遅くなつておりますけれども、引続きまして御質問がありましたならば入りたいと思います。なおこの委員会を午前中に閉じました後におきまして、証人のかたと懇談の時間も持ちたいと思つておりますので、細かい点、或いはそれに類するような点はその機会に讓つて頂いても結構だと思いますが、時間のある限り御質問がありましたならばやつて頂きたいと思います。
  12. 奥むめお

    ○奥むめお君 中島さんに伺いたいのですけれども、私ども消費者立場から運動しておるものでございまして、統制経済というと皆さんからいろいろな意見が出ておりますのですが、まあ大企業も惡いし、大資本家も惡くていろいろ儲けたり、いろいろ惡いこともあるけれども、直接消費者には、日本中小企業が一番多いので、一番惡い製品を出して、一番いじめられたのは中小企業者だということを一般の主婦たちは言うのです。例えて言いますと、非常にマツチを惡いものをこさえて困つた。学童の服なんかも量としては随分大きいけれども、これを小さい中小企業でこさえると、親たちだつたら、生地は水がついたら縮むのだから、ちやんと縮めてから断つたり、縫つたりする。前の統制時代にはわざわざあれを伸ばして、そうしてこさえてヤールを出して、そうして惡儲けして来ております。こういうようなことは皆日本中小企業者に徳義心がないから、非常に統制の下で消費者がいじめられたということは一般の常識なのです。それから又小さい設備でみんなが違つた仕事をします。あれを合同して、協同企業ですね。鍋釜一つでも、蓋一つなくなればもう身を一緒に買わなければ駄目だ。こういう何もかも無駄ばかりなのです。ここに消費者がどんなにしても一番犠牲になる線があるのです。こういうことをこの頃消費者は皆利口になつて日本中小企業が一番多いですから、これを立てなければしようがないけれども、余り徳義心がないからむしろ潰して、これを協同で大きくして、合理化して、徳義心を持つてもらつて、いい品物を安く出すようにしてもらつたならば、生活が楽になるということを機会があるとその片鱗をしよつちゆう言いますけれども統制時代にもう儲けるために非常に惡いことをしまして、少しの仕事で儲けて行くのには無理もあるでしようけれども、そういう点をあなたがたの仕事責任を持つてつて頂くというようなことはどうでございますか。
  13. 中島英信

    証人中島英信君) 品物の中に余り質の良くない物を作つておる。そういうことは中小企業も、中にはやはりあるかと思いますが、中小企業というのは非常に数が多いものですから、或る意味では若干玉石混淆という感もこれはあるかとは思いますが、併し中小企業の全部が非常に経済的な徳義心がなくて、そうして惡い物ばかり作つておるかというと、これは事実に非常に反するのじやないかと思います。そういうものもあるし、そうでないものもある。その比例はどのくらいになつておるかということになりますと、これは数字的にはわかりませんけれども、それはやはり物にもよりますし、いろいろな問題がありますが、今御指摘になつたような余り質の良くない物を作る者が全然ないということは、これはやはり申上げられないと思います。若干それはあると思いますが、併しそうでなく、非常に良い品物を安く提供しておる者のもあるという事実もこれもやはり認めて頂きたいと思います。なおそういう若干粗製濫造的な物をやるのはどうして直して行くかという問題ですけれども、これはやはり原因を突きとめて行く必要があると思うのです。一つは今おつしやつた経済的の道義心の問題が一つと思います。これは勿論あると思いますけれども、もう一つはやはり中小企業のほうは材料の入手にしても、それから労働者を入れる場合にも、大体大企業の場合に比べると若干質的に落ちる面は幾らかあると思います。それから資金の面、その他の面でやはり大企業に比べればかなり不利な立場にある。それから税金の面なんかにおきましても、かなり負担をしておる。そういつたその陰に持つておるつまり経済條件というものが余り惠まれていない点が一つあろうと思います。こういうものを直して行くために、そういう面において中小企業自身も努力すると共に、消費者のかたがたも各方面にこういう面に対して一つ理解をして頂く必要があるかと思います。それから経済的の道義心の問題は、この点も御指摘になつたような点が全然ないということは申上げられないと思いますが、併しこれも全部の中小企業者がそうであるのじやなくて、殊に我々の団体関係しておるような中小企業者というものは割合に中小企業者の中ではどちらかというとまじめにやつておる者のほうが多いのですが、そういつた道義的の面については絶えず自戒をしておるわけですが、この問題は、戰後御承知の通り日本国民全体にやはり道義的な面が非常に低下しておりまして、これもひとり中小企業者ばかりではないと思うのですが、その点ではやはり中小企業自体がそういう点について十分反省をする。それからあらゆる方面において日本のやはり経済水準を上げて行けば、そういつた点も漸次是正して行かれるのじやないかと思うのです。ですから角を矯めて牛を殺すということのないような点を考慮して、若干いろいろな弊害の見られる点はあらゆる角度から直して行く必要があるというふうに考えておるわけです。  それから合同企業の問題ですが、これは御承知の通り、今中小企業等協同組合法がありますので、一つはこの協同組合の方式による協同施設をやつておるわけであります。その方法を進めておるのが一つと、それから同じく中小企業等協同組合法の中に企業組合がありますが、これは協同組合と違つて完全な單一企業体になつておるわけでです。且つ資本と労働とが一体になつ組織ですが、こういつた面においても最近小企業者が、これは中小というよりも小、極小の企業者がそういつた形の企業体を作つてつて、それによつて経理関係なりその他の面を合理化して行こうという傾向が大部強く出て来ておるわけです。従つてそういう方向に対しても対策がとられ、又中小企業者としてもいろいろな点について考慮を加えておるわけです。ただこの場合も殊に企業組合の場合は、あれはヨーロツパその他では百年くらい前から行われておる生産組合と実質においては大体同じものでして、併しあれも割合に失敗の歴史のほうが多いわけでして、これは組織自体が惡いのではなしに、やはり中小企業自体経済的な條件で惠まれていないために、企業組合或いは生産組合という組織が惡いのではなしに、やはり中小企業としての弱点がそこへ出て来るのだというふうに我々は見ておるのです。従つてこういう問題については折角まじめに合理的に良い品物を作つて、又経営の内部も非常にいいものを作つて行こう、こういうことを考えて努力をしている人たちに対しては、適正な資材の供給なり、資金の面においても十分な考慮が必要だと思つておるのです。この十分な考慮という意味中小企業者が独善的な立場で、自分利益だけを考えておるというだけでなしに、要するに公平な措置がとられるという点でもいいわけなんでありますが、それに若干もつと特殊な措置も必要ですけれども、少くとも最低はやはり大企業と公平な経済活動の機会をつかむことができる、そこまで行けばそういうまじめな業者がまじめな方法で以て企業を改善し行こうという努力がだんだん進んで行くのじやないかと思う。こういう点はそういつた面で国会等においても総合的な施策を通じて中小企業の改善という点に考慮を払つて行きたいと、こういうふうに思うわけです。それからそういつた点から消費者の面から見て、消費者の生活の面に中小企業が余りいい影響を与えていないというお話がありましたが、そういう点から見て、漸次これは中小企業者は改善して行くと同時に、消費者のほうの立場としては、今いろいろな主婦連合会とか何とかいう活動が行われておりますけれども、これは広い視野から見て頂くと同時に、そういつた面からやはり製品なりその他について批判が加えられることは中小企業者にとつても非常に有意義だと思つておるわけです。従つてどこの製品はいいというようなことがだんだんはつきりして来ると、やはり中小企業者はそういう点で、ただ儲ければいいというだけではなしに、やはりいい品質のものを作つて行くという面に自然努力をするようになると思う。そういつた面で、ただ中小企業がよくないというだけではなしに、中小企業自体消費者でありますし、それから消費者のかたも大体において多かれ少なかれ、直接間接やはり中小企業関係を持つておられるかたも多いわけですから、そういつた意味でこれも大乗的な見地からやはり考えて頂くということをお願いしたいと思います。特に一言だけ申上げて置きたいのは、消費者一般がそう考えておるというお話でございましたけれども、これは先ほど申しましたようにやはり実情をあるがままに見て頂く、その場合に非常にいい中小企業も少くないのだという点をお見落しないようにお願いしたいのですが。
  14. 奥むめお

    ○奥むめお君 どうぞたくさん紹介して下さい。それから今値上げが早いですわね。一番早く値上げに手を付けるのは中小企業者なんですね。奧さんたちの話を……。だからそういう面に余り。消費者意見もこの頃は随分いろいろな面に出るようですけれども、こういう連絡をとつては……。
  15. 中島英信

    証人中島英信君) 生活協同組合とかそういつた主婦連合会に必要があれば幾らでも企業者を御紹介いたします。併し我々は惡いものは消えてなくなればいいとは考えていない。全体がよくなつて行くべきであると我々は考えておる。そのためには刺戟も必要です。併し全部一緒に無駄に扱うということはできませんから、やはりいいものを推薦し、やはりいいほうを標準に進んで行く、こういうふうに考えております。具体的に必要な場合は幾らでも御紹介いたします。
  16. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは時間が非常に迫りまして申訳ないのでありますけれども、質疑応答のまだ希望がありますけれども、時間の関係上この辺で以て一応打切りまして、問題が残りましたならば、その面は一つ懇談の際にお願いしたいと思いますので御了解願いたいと思います。  三人の証人のかたにおきましては、いろいろと御意見頂きまして有難うございました。厚くお礼を申上げます。ただ私ども法案としましては、こういう一、二枚の簡單な法案に取組んでおるわけでありますが、問題の基本には現在の日本経済施策の根本に触れる問題に突込んでおるような気がしておるわけであります。特にこの統制の問題につきましては、実はこれは私の個人的な感じでありますけれども、どこで論じましても、この委員会審議いたしましても、常に全然別な面から問題が取上げられまして、その調整に苦しんでおるわけでありますが、一面には自由経済政策を基調としておる今の内閣の経済施策従つて統制緩和の一つの過程として統制問題が論ぜられておる。従いましてもうこの品目は統制から外していいとか、或いは時期尚早であるとかといつたものに対して、早く全部を外すという式で問題が論ぜられておるものと、そうでなくて現在統制という問題の言葉が一番ぴんと来るのは、昨年の朝鮮動乱以後におきまして、国際情勢が反映しております世界経済からの直接間接の我が国経済に及ぼしておる影響が国内経済統制への要因になつて来ておると思います。この新らしく影響の加わつて来た国内経済を建直すといいますか、統制経済に合せるといいますか、その統制経済への入り方に対して従来の弊害を成るべく排除しながら入つて行か、ざるを得ない必然性が中心になつて論ぜられておる面と、この面が全然別々の面で論ぜられておりますので、非常にその調整に、調整と言いますか、組合せに私ども困難を感ずるわけなんです。例えば物調法改正の問題にいたしましても、三万の御証言にもありましたように、特に後段の私の申上げましたことの意味から、統制経済が続けられるまでは当然続けられなければならんという意味で、私は物調法が延期されるのは当然であるという論拠に従つて賛成であるという見方と、それから同時にこれは或る程度統制を解除しつつあるという面が加わつておるので、従つてこれは第一の面から非常に賛成だと言うので、結局ごの両方の面から賛成だということになると思うのです。殊に両者ともそれが満足でなくて、やはり両方とも反対の面から入つて、この反対の要素がたくさんあるということを、私どもこの審議をいたします場合におきましても、それから地方におきまして統制問題の批判におきまして統制問題の比判を受けます場合におきましても、非常に困難を感ずるわけであります。このような面が現在の経済施策及びこれの賛否両論の批判の混濁の一番基になつておる問題かと思います。私どもがこの統制の問題に取組みます場合に、政府及び国会の面々がこれと取組みます場合に、この今の問題に混濁がないようにして法律にうまく取組ませて頂けるように、これは私どもの力が足りない点から来ておる面でありますので、責任を転嫁する意味ではないわけですけれども、そういう意味におきまして業界及ば学界から、私どもが直提に取組まなければならない問題の焦点を成るべくはつきりとプツシユして頂きまして、今後の私ども審議と言いますか、考え方に混濁がないように一つ御援助、御協力を特にお願いを申上げたい、こういうふうに考えます。今日はお忙しいところ大変有難う、ございました。委員会代表いたしまして厚くお礼申上げます。なお、委員会を閉会します前に、残つております議題として掲げました法案審議は今日は入れないと思いますが、最後日本経済の安定と復興に関する調査、括弧して、最近におけるアメリカ経済の動向についてと掲げてあります題目は、以前の委員会におきまして御承認を得ましたように、最近アメリカ経済視察から帰つて来ました通産省の井上尚一君及び前島敏夫君のお話を聞くことになつておりますので、この調査は一応委員会を打切りまして、懇談の形で後ほどに続いて行いたいと思いますから、この点も一つ御了解を願いたいと思います。特別に御発言も何もなければこれで閉会いたしたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それではこれで閉会いたします。    午後零時四十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     佐々木良作君    理事            永井純一郎君            奥 むめお君    委員            野田 卯一君            藤野 繁雄君            兼岩 傳一君   政府委員    経済安定本部産    業局次長    前谷 重夫君   事務局側    常任委員会專門    員       桑野  仁君    常任委員会專門    員       渡邊 一郎君   証人    日本産業協議会    産業部長    仲矢 虎夫君    全日本中小工業    協議会中央副委    員長      中島 英信君    専修大学教授  小林 義雄君