○
政府委員(
賀屋正雄君) それではこのたび提出いたしました
外資に関する
法律の一部を
改正する
法律案につきまして、
条文に即しまして概略御
説明いたしたいと存じます。
条文を御覧にな
つて頂きますとおわかりのように、今度の
法律は
改正法でございますので、非常に
条文だけを読みましては理解しにくい形にな
つて提案いたしておりますので、御
説明の便宜上、別途お配りいたしました「
外資に関する
法律新旧条文対照表」というのにつきまして御
説明いたしたいと存じます。この表におきまして上の段に新
条文、下の段に旧
条文を掲げまして、今度の
改正法律案によ
つて改正いたしました
条文のみをここに拔萃いたしまして、
改正になりました
条文は棒線を引きまして、その点を明らかにいたしましたのでございまして、主としてその変りました点につきまして御
説明いたしたいと存じます。その前に只今の
提案理由の
説明で
説明がございましたように、概略を申上げておきますと、今回の
改正は三点、大きく分けまして三つの点に分かれると思います。これもお手許に配りました「
外資に関する
法律の一部を
改正する
法律案要綱」というのがお配りしてあると思いますが、大きく分けまして三点でございまして、第一点は
外国投資家の
株式取得の
制限を緩和する点でございます。それが
二つに分かれまして
新株と
旧株についての取扱を
改正いたして、いずれにつきましても
制限を緩和することにいたしておるのであります。それから第二点は、
政府或いは
公共団体が
外国人の所有しております事業や
財産を強制収用いたしました場合に、晩年の
外資に関する
法律におきましては、
補償金を海外へ
送金することにつきまして、
送金についての補償の
条文を設けたのでございますが、この
条文がやや手続的に不備な点がございますので、これを補おうとする点が第二点でございます。第三点は、これは経過的な問題でありまして、
政令五十一号と申しまして、一昨年の三月にできました
ポツダム政令でございますが、これによ
つて当初
外国人の
株式取得は
制限されてお
つたのが、
外資法になりましてこの
外資法に移して
規定されるということにな
つたのであります。
外資法によりまして
株式の
取得を
制限されます
取得を
認可された場合におきましては、一定の条件に合致すれば
配当金の
保障が得られるのでございますが、その前の
政令五十一
号時代はその
政令によ
つて認可を受けて
株式を
取得いたしましても、その当時は
配当金の
送金の
保障の手段がなかつたわけでございます。ところが、早く
外資が投下されたために
保障が得られないということでは、非常に公平の観念に反すると考えられましたので
外資法制定前に入りました
外資につきまして、もう一度審査をやり直して、条件に合
つておるものは
配当金の
保障の途を拓こうというのがこの第三でございます。
この大きく分けまして三つに分れますが、先ず第一点の
株式取得の
制限の点は
条文といたしましては八条と十二条に関係して参るのであります。八条はどういう
条文かと申しますと見出しにありますように、
認可、
許可又は勧告の
基準という
条文でありまして、
外資委員会又は
大蔵大臣が
外資法によ
つて認可の
申請がありました場合に、或いは
許可の
申請がありました場合に、それから
行政機関が意見を聞いて参りまして勧告をいたします場合に、どういう
基準に
従つてやるかという
条文であります。一頁に書いてあるところは何と申しますか、積極的な
基準と申しますか、こういう場合に、特に
許可する、或いは
認可するということで、第一号、第二号、第三号と、ございまして、つまり
国際収支の改善に寄与する場合とか、
重要産業又は
公益事業の発進に寄与する場合とか、従来の
技術援助契約の更新又は継続に必要である場合、こういう積極的な
基準を掲げておりまして、この点については何ら変りがないわけであります。第二項に参りまして、これは判定の消極的な
基準と申しますか、各号に該当する場合には、
認可、
許可をしてはならないという
条文が設けられておるのであります。この下のほうの欄を御覧願いますと
現行法でございますが、第一号、第二号、第三号、これは従来
通りでございます。変りましたのは四号でございまして、四号にはどういうことが
規定してあつたかと申しますと、「
社債、
貸付金債権、
株式又は
持分の
取得の
対価として
本邦通貨を用いる場合に
当該本邦通貨が
当該取得のために
対外支払手段を合法的に交換して得たもの、
本邦における正当な
事業活動により
取得したものその他適法に
取得したものでない場合」には
許可をしてはならない。つまり
外国人が
日本の
社債に
投資したり、
日本の法人に貸付けをいたしましたり、
日本の
株式に
投資するという場合に、その
投資に使います
円貨がどういう性質の
円貨であるか、どういうところから来た、獲得した
円貨であるかという点につきまして、この四号があるわけでありまして、その
円貨は、例えば
アメリカ人でありますれば合法的に
外貨を送
つて参りまして正当な三百六十円の
レートで交換して、その円を使
つて投資した場合でなければならない、それから又
日本におきまして
事業活動がいろいろ許されておるわけでありまして、その
事業活動の遂行の過程において合法的に円を獲得した場合、その円で以て
投資しなければならない、その他適法に
取得したものでなければならない。つまり闇で稼いだ円を使
つて投資するといつたような場合には
認可をしてはならない、こういうふうに書いてあつたわけであります。ところが、今度
株式の
取得の
制限を緩和いたしました。
それからもう一つ、七頁を御覧願いますと、
現行法では第十二条というのがございましたが、今度は削除することにな
つております。この第十二条は今度は
株式につきましての特殊な
認可基準を
規定いたしておるのであります。この十二条でどういうことを
規定しておるかと申しますと、
株式につきましては、こういう場合じやなければ
認可してはならない。第一は
当該法人の
財産の
増加をもたらすものである場合、これは非常にわかりにくい言葉が使
つてありますが、簡単に申せば
新株という意味でございまして、その
株式を発行することによりまして、その発行の
会社に資産の
増加をもたらす場合、従いまして
会社が新設されました際に発行されます株、それから
会社が
増資をいたしました際に発行される
増資株、大体この
二つになるわけであります。そういうふうに株につきまして
外国人が
認可を受けて
取得できるものは、第一には
新株でなければならない。第二号は、原則は今申しましたように
新株でなければなりませんが、第二号に例外的に
規定されておりまして、
当該法人の
財産の
増加をもたらさないものである場合においては、つまり
旧株、すでに発行されております
既存の株につきまして、
当該法人がその株を
取得しますことが、
外国投資家の
投資計画の一部であり、且つその
取得の
対価たる
本邦通貨が
当該取得のために
対外支払手段を合法的に交換して得たものである場合、つまり
旧株の場合に
外国投資家が株を取るだけではいけないので、
外国投資家が更に広い大きな
投資計画を持
つてお
つて、その一環として
既存の
会社の
支配権に対して、経営に参加するために
旧株を取る必要があり得ますので、そういう場合であ
つて、且つその株を買いました
円貨は常に
外貨を
送金して参りまして、合法的な
レートで交換した
円貨で以て買わなければならない。
旧株についてはこういう
二つの
要件を満たす必要があるということにな
つてお
つたのであります。この点につきまして先ほど
要綱の第一において申しましたように、今度取扱が変りまして
新株につきましては、今この第十二条で
説明したように、
認可を得て
取得することにな
つておりましたのを、今度は
事後の
届出で
認可は要らなくすることにいたしたのであります。と同時に
旧株につきましては、只今申しましたような
認可に際して、
要件が
二つあつたうちの最初のほうの
要件、つまり
外国投資家の
投資計画の一部でなければならないという
要件は外しまして、後の
要件、つまり
外貨を送
つて参りまして、それを合法的に交換した
円貨で
取得したものである場合には
認可しても差支えない。これは依然として
認可にはかか
つておりますが、
認可の
規準を緩和いたしまして、
外貨を送
つて来て獲得する場合には
認可してもいいということに変えることにいたしたのであります。一応この第十二条の
条文は削除いたしまして、結局この第十二条の第三号が今度は一番最初の第八条の一般的な
認可、
許可の
規準の第四号として設けられることにな
つたのであります。この三頁の上の段の四号に今申しました関係が出て参るわけでございます。従いまして従来の第四号は、
社債、
貸付金債権、
株式又は
持分の四つについての
規準にな
つておりましたものを、この四号を
社債、
貸付金債権だけの
規準に改めまして、別の
株式取得についての
規準は、その
外貨を持
つて来れば
認可しても構わないということを、別に四号として
規定いたしたわけであります。それから第八条の三項は変りございませんが、十一条は変りまして、これは先ほどの
要綱の
新株の
取得が、従来は
認可制度にな
つてお
つたのが、
事後の
届出でいいということに変りまして、
条文で書き変えましたのは十一条でございます。十一条の下の段は今までの
規定では、第二項で
事前届出を要する場合は
認可を要する。今までの旧
条文の立て方は第十一条の第一項では、第二項のほうで
届出をしなければならない場合を除けば、
外資委員会の
認可が要る。然らば第二項でどういう場合は
届出をするかということを
規定いたしまして、それは先ず第一に五頁の最後の行にありますように、「適法に所有する
株式又は
持分に対し新たに割り当てられた
株式又は
持分」、つまりすでに合法的に確保いたしております、それに対して
増資がありまして、それに
新株の割当があつた場合、それから第二号に「他の
外国投資家から譲り受ける
株式又は
持分」、
外国投資家相互間の移転の場合、この
二つの場合は
届出でいい、但し
配当金の
送金を
保障して欲しいということには
認可が要る、こういう立て方にな
つておるのでございます。それが今回は、上の段に参りまして、第十一条の第一項のほうで、
事後届出で以て確保し得る
株式以外は
認可が要るとありまして、第二項のほうに持
つて参りまして、どういう場合にそれでは
事後の
届出だけで株が持てるかという
規定を置いたので、ございまして、それが今までは
増資の
割当新株だけでありましたのを、五頁の最後の行に書いてありますように、その
取得が
当該法人の
財産の
増加をもたらす場合と書いてありまして、
割当新株に限らず資産の
増加をもたらす
新株はすべて
事後の
届出でよろしい。第二号の
外国人相互間の移転の場合、これも
届出でよろしい。以上が
要綱の第一点に関する
説明でございます。
第二の
外国投資家が
本邦において所有しております
財産等が強制収用されました場合の手続的な、補完の
規定は、
新旧対照表の八頁九頁に亘
つて書いてあるのであります。八頁に棒線が引いて書いてありますように、例えば国が買収いたしましたときには、その「収用又は買収により
外国投資家の受領すべき
対価に相当する
金額の
外国へ向けた
支払を確保するため、
当該対価の受領の日から一年を経過する日までの間、必要な
資金が
外国為替予算に計上されなければならない。」一年間は
保障される。これは憲法の
規定によ
つて当然正当な
保障が行われるわけでありますが、それが円で行われましても
外国人は満足しないわけでありますので、それを例えばドルで
送金することを
保障する。これを一年間
為替予算に計上しなければならないという
規定を設けまして
保障しようとしたのであります。ところが、これだけの
規定ではいつ果してどこでどのくらいの買収が行われたかということが、
外国為替予算を組むほうの
責任者にわからないわけでありますので、それを補いますために、上のほうに書いてございますようにこれこれこうした場合においては、「
当該収用又は買収により受領すべき
対価に相当する
金額の全部又は一部について
外国へ向けた
支払をしようとするときは、
当該外国投資家は
政令で定めるところにより、その旨及び
政令で定める事項を記載した
書面を
大蔵大臣に提出しなければならない。」ということで、先ずどこでどういう
財産が幾らで以て買収されたかというような事柄を
大蔵大臣に
書面で出す。第二項に参りまして「
大蔵大臣は、
前項の
規定による
書面の提出があつたときは、直ちに
当該書面に記載された
対価に相当する
金額の
外国へ向けた
支払に必要な
外貨資金に関する
資料を
閣僚審議会に提出しなければならない。」
外国為替予算を組む
責任者である
閣僚審議会へ今度は
大蔵大臣がその提出された
書面に基いて
資料を出す。その
資料に基きまして三項で、「
閣僚審議会は、
前項の
規定による
資料の提出があつたときは、
当該資料に記載された
対価に相当する
金額の
外国へ向けた
支払を確保するため
当該対価の受領の日から一年を経過する日まで必要な
資金を
外国為替予算に計上しなければならない。」この点は従来の
規定と同じようでありまして、一年の期間を限りまして
閣僚審議会が
外国為替予算に計上するということにいたしたのであります。それが第二の
改正点であります。
第三の
改正点は附則の
改正でございまして、それは十三頁の上の欄に新らしく設けた
規定が入
つております。これは読みながら御
説明いたしますと、「
外国投資家が左に掲げる
認可を受けて
取得した
株式又は
持分で
外資委員会規則で定めるところにより、この
規定の施行の日から六箇月以内に行われた
申請に基いて
外資委員会が
指定したものに係る
配当金(その
指定の日以後に
支払われるものに限る。)の
外国へ向けた
支払は、
外国為替及び
外国貿易管理法第二十七条の
規定により認められたものとする。」左に掲げる
株式と申しますのは、次の頁の一号、二号にありますように「
外国人の
財産取得に関する
政令の
規定に基く
認可」この
外国人の
財産取得に関する
政令というのは、つまり
政令五十一号、
ポツダム政令でございます。
外資法ができます前は、この
政令によ
つて株式取得の
認可が必要であることにな
つておりました。で、この
政令によ
つて外資委員会が
認可したのが一つ。それから「
前項の
規定により第十一条第一項の
規定による
認可の
申請があつたものとみなされて同項の
規定に基いてなされた
認可」これはほんの付け足しで非常にわかりにくい
条文で余り重要なことではないのでありますが、
前項の
規定というのはその十二頁の三項を指しておるのでありますが、つまりこれは
外資法ができます前に
外国人の
財産取得に関する
政令で、
株式の
取得をしようとしたものに
認可書を出してお
つて、それがまだ決済が、処理が終らないうちに
外資法ができ上
つて、そうしてその
認可を今度新らしい
外資法で
認可したというもの、こういう場合がなきにしもあらずで、現実にあるのであります。その場合のことを指しておるわけであります。これも勿論その前に
申請書が出ておりますので、
配当金の
保障がつかないのであります。こういうふうな一号、二号の
認可を受けて
取得しました
株式については、先ず六カ月以内にいろいろな
様式等は
外資委員会規則で、これから定めるのでありますが、それに
従つて六カ月以内に改めて
指定の
申請をして頂きます。そうして今度、先ほど来御
説明いたしました第八条のほうの
基準と照し合せまして、そうしてこれが適当だ、将来の
配当金の
保障をしていいというふうに考えました場合には、
外資委員会が
指定するわけであります。そうするとその
指定をいたしました日以後に
支払われます
配当金については、何らかの
為替管理法上の別途の
制限をせられずに、自動的に
送金することができる。こういうことによりまして
配当金の
保障をしようというのが、この
規定ですが、それから十四頁の第五項にはいろいろな
準用規定を設けまして、同時に読替えの
規定を設けました。これは今度行います
指定を、そうでなくて今後新たに出て参りました
申請を
認可いたします場合と、大体同様の
基準によ
つてやるために、一般の
認可について適用される
規定をこの
指定という
政府の
行政行為にも準用しようというのであります。例えば今度新らしく
指定します場合には、
配当金を
保障するにつきましては必ず
外貨又は同等の価値のあるものを持
つて来て、
投資した場合でなければならない、
日本の
国内の円で以て
投資した場合には
送金の
保障はしないというのが、この
外資法の第十五条第二項にございますが、例えばそういつた
規定をやはり
指定の際にも準用しようというために設けました
規定でございます。
大体
条文の御
説明はその程度にとどめまして、
資料は一番大きな分として「
外資導入概況」という
資料がございまして、これは従来の契約、或いは
技術援助契約、それから
株式取得の案件をやや具体的に、
会社の名前などを入れまして掲げてございます。
技術援助契約のほうは、今まで
外国人の
財産取得に関する
政令でも一部
認可いたしておりますので、その分と
外資法に移
つてからの分と分けて書いたわけであります。これは
認可いたしました全部を掲げておりますが、その次の
株式取得のほうは、実はこのほかにもたくさんケースがあるわけでありますが、そのうちの主だつたものと申しますか、
外資導入として意味のあるようなものの大きなものをまあピツク・アツプして出してございます。それから第三には
政令五十一号に基き
外貨又はこれと同等の価値あるものにより
取得した
株式、これを特に掲げましたわけは、先ほど御
説明いたしました最後の第三点の
政令五十一号で、
外貨又はこれと同等の価値あるものを持
つて来て
取得した
株式で、
認可を受けたものは今度六カ月以内に
申請して、
外資委員会が
指定しますれば将来の
配当金の
外貨送金が
保障されるわけであります。これに該当し得る、つまり
指定され得るケースがどれくらいあるかということを示すために掲げましたもので、これが全体で十五件、株の代金にしまして八千五百万円ぐらいのものがあるわけであります。そのうちから
申請を取りまして、
指定をして将来の配当を
保障するということになるわけであります。
それから最後の第四は、
外資法に基く対外
送金実績というので、これまでに
外資委員会が
認可をいたしましたケースによりまして、現実にどのくらいドル
送金が行われたかという実績を示したのでありまして、まだ実は
認可をいたしましてから日がた
つておりませんので、新らしいパテントを取りましても、その生産の設備等に時間を要します関係上、そう大した
金額には上
つておらないのであります。
株式のほうにつきましては
会社の決算の年度会計年度の関係もございまして、只今までのところではまだ
配当金の
送金の実績は出ておりません。
それからもう一つ附加えてお配りいたしました
外資委員会審議状況報告書というものだございますが、これは実は毎月事務局において作
つておりますものを便宜代用させて頂きました関係上、非常にわかりにくい表にな
つておりますが、今の横書の分は従来の実績が
金額的に累計が出ておりませんので、それを御覧願うために出しておいたのでありまして、例えば、それじや今まで
株式は
外国人がどれほどの
金額を
取得しているかということを見ますために作
つたのであります。この表は二月中の
審議状況を書いておりますが、この中には累計という数字が出ておりますが、この累計の欄を御覧願えば最初から二月末までの数字が全部おわかりになるのであります。