運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-02-05 第10回国会 参議院 経済安定委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月五日(月曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————   委員の異動 一月二十九日委員羽生三七君辞任につ き、その補欠として岡田宗司君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○日本経済の安定と復興に関する調査  の件   —————————————
  2. 永井純一郎

    理事永井純一郎君) それではこれから委員会を開会いたします。  今日は、佐々木委員長が病気でございまして、従いまして理事の打合せによりまして、大体次のような日程で行いたいと思います。  第一には、理事中川君から辞任の申出がありまするので、この理事辞任とその補欠互選に関すること。それから委員会の今会期中の運営について御相談をすること。それから前回の委員会で、つまり昨年の十二月十四、一十六の両日に、日本経済の安定と復興に関する調査に関しまする委員会を開いて参りまして、先般は主として貿易計画と、それに関連した政策について政府説明を聽取し、質疑を行なつて参つたのでありまするが、今日も引続きましてこの自立経済に関する件につきまして会議をして行きたい、こういうふうに考えるわけでございます。  それでは理事中川君から辞任願が出ておりまするが、これを許可することに御異議がございませんか、お諮りを申上げます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 永井純一郎

    理事永井純一郎君) 御異議がないようでございまするから、中川君の理事辞任を許可いたします。  次に中川君の辞任によりまする理事補欠互選を行いたいと思うわけでございまするが、互選の方法はどういうふうに取計らつたらよろしうございますか。
  4. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 理事補欠選任は、成規の手続を用いず、委員長にその指名を一任することの動議を提出いたします。
  5. 永井純一郎

    理事永井純一郎君) 只今藤野委員から動議がございましたが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 永井純一郎

    理事永井純一郎君) それでは御異議ないようでありますから、私から指名をさして頂きます。山本米治君を理事指名申上げます。   —————————————
  7. 永井純一郎

    理事永井純一郎君) それでは、先般来のこの日本経済の安定と復興に関する調査の件につきまして、先般は主として貿易計画中心にいたしまして、これに関連する政策についての説明並びに質疑を行なつたのでありまするが、一昨昨日でありますか、又政府のほうから相当まとまつた書類が配付になつておりまするから、先般と違つたところもあるのかと思いますので、この資料について説明を聞くことにいたしますか。
  8. 山本米治

    山本米治君 お願いいたします。
  9. 永井純一郎

    理事永井純一郎君) そういうふうにいたします。本日は安本の経済計画室長佐々木君がお見えになつておりまするから、佐々木君から大体この前の説明と違つているところ、或いは相当固まつて来たところというような、重要な点を特に中心に御説明を願うということにいたしたいと思います。
  10. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) お手許に差上げてあります自立経済審議会報告書の御説明を申上げたいと思います。その前にちよつと今までの経過を御説明申上げますが、去年の第九国会でございますか、そのときに大体の十二月中旬くらいまでの経過並びに作業の進捗状況を申上げたのでありますが、それに引続きまして十二月の三十一日の遅くでございましたが、大体各部会から出ました答申を最後的に調整をいたしまして、計数的に、数字的に大体取りまとめを一応しました次第であります。併し非常に急いだ関係上、急ぐ理由と申しますのは、最近の国際情勢が相当変化しておるといつたような問題、或いはいろいろこの報告書の使途と申しますか、国会にも報告する義務を負うておりましたし、或いは外部からもいろいろ人が来たりしますので、早くこういうものを作つて今後の政策の足しにしたいという強い上層部の希望がありましたので、十二月の末までに、非常に計数的にはまだ不揃いの点、或いは未調整の点等ございましたのですけれども、取りあえずまとめた次第であります。従いましてまだ不満足な点も随分ありまするけれども、まあ初めの申合せ通りこの審議会では数字の点もさることながら、それからいろいろ出て参りまするような問題点なり、対策等を明確にするというところに主眼点をおいて参りますと、それほど数字の点は気に悩まんでもいいのじやなかろうかというような意向もございますので、十二月の末までに数字的な取りまとめをし、同時に一月の初めになりまして問題点と対策の取りまとめを一応了しまして、それで各部会並びに総合部会で大体中間的な最終案というものを作つたわけであります。一方うちの長官から総理大臣にお話いたしまして、政府並びに党のほうでも徹底的にこの問題を取上げ、実施に移すように努力いたしたいというお話がございましたので、閣議のほうにはその性質上報告でございますので、大臣から報告をいたしまして各関係閣僚の了解を得たという次第であります。それから党のほうに関しましては政調会並びに長老のかたのところに御報告申上げ、大体御賛同を得たように承知いたしております。関係方面に関しましては、一応これを出しまして関係方面のほうで二、三指示、並びに希望がありましたが、全般的の問題としては非常によろしいということで、公表を許可された次第であります。そういう関係になつておりまして、この内容は逐次各行政機関によりまして、大体実施に移す面は移し、更に研究を進める点は進めております。大体経過を申上げますと以上の通りであります。  この内容を簡單に申上げますと、第一頁に目次がありまして、第一番目は自立経済計画策定必要性、第二番目は自立経済計画基本構想、第三番目は自立経済計画の規模と構成、これが大体本論と申しますか、出ました最後的な結論を列挙いたしております。第四番目には自立経済達成上の問題点と対策を出しまして、これが一番の狙いであります。それから最後に結論がありまして、簡單な結論を附帶いたしております。構成は大体こういうふうになつておりまして、その根抵には別表、或いは各部会からの答申の厖大な資料がございますが、印刷等関係で今日お配りできないのは残念でございますが、一応今日はこの報告書で御覽を願いたいと思います。  一番初めの自立経済計画策定必要性というのは四頁ばかりありまして、この主たる内容は大体三点あります。その第一点は、政治的自主性の回復が近く予想されますので、それと表裏一体をなす経済の自立というものを政府といたしましては取上げざるを得ないので、これを政策の根本として取上げる。そこでこの審議会をまあ構成いたしましてここで審議さしたのだということを書きました。次に、第二点といたしましては、国際情勢の変化が非常に激しうございますので、こういう際にこういう或る一種の基準的な計画というものを作るということは、余り意味がないのじやなかろうかという議論もいろいろございましたのですが、この審議会の態度といたしましては、こういう情勢であればあるほど、基準となるべき基本計画というものを作成いたしまして、そこでこれを基礎にして情勢の変化に対応していろいろ現実的な調整を考えるということが最も妥当じやなかろうかというように考えまして、仮にこういう基準計画が全然なしにアトランダムに経済政策を行なつたならば全体から見ますと、非常にまあ支離滅裂だという点もありましようし、或いは国民経済の循環の撹乱という要素も出て来るのじやなかろうかという観点から、先ずそういうレールを一本作つて置きまして、そうしてそれを一つの睨みにして置いて現実的の調整を図つたら大過なしにやつて行けるのじやないか、こういう意味でこの計画作つたのであります。それから第三点は、この計画は決して実施不可能な計画ではなく実施可能な計画だ、従つて出しました問題点なり対策点十分実施に移すならば、自立経済というものは可能なんだということを言つております。  次に、自立経済計画基本構想でございますが、目標はこの前に御説明した通りでございます。その次の自立経済の意義に関しましても、この前に第九国会で申上げた通りでございますが、もう一遍この点を繰り返して申上げますと、この自立経済とは單に国際收支の均衡を図るという單純な意味だけでなくてもつと一旦均衡のとれました経済というものを、長く継続できるという継続性というものを主張する必要がございますので、内容の豊富な経済でないと永続いたしません。そこでできるだけ生活水準の向上というものを可能にし、同時に特需或いは輸出等の要請に応じ得るような、応じても内需等の圧迫がそれほどひどくなくて、ためにインフレを起すといつたような虞れのないような、強い経済内容というものを持つということが先ず第一。それからもう一つは、日本経済対外依存が非常に強いのでありますので、こういう情勢の変化に応じまして成るべく国内の自給度というものを高めまして、安定した経済従つて日本経済安定度の向上というものを考えるという、この三つの点を自立経済の主たる内容にいたしまして、この三点を枢軸にして爾後の作業或いは考え方を展開いたした次第であります。  三番目の前提條件でありますが、これも去年御説明した通りでありますが、ちよつと附帶して申上げますと、(イ)、(ロ)は国際情勢の判断の問題でありまして、作業の必要上昨年の九月頃に大体考えました計画であつたのでございますが、その後中共の朝鮮動乱に対する介入の問題等から、いろいろ国際情勢の非常な変化が出て参りましたので、二十六年度の計画に関しましては、中共の介入以来特に激しい変化のありました対中共貿易との改変の問題等に関しては織り込み済みでございます。但し二十七年、二十八年の計画に関しましては、従来考えました(イ)、(ロ)という国際情勢の判断の前提の上に立つて、問題を進めておりまして、その後の情勢の変化に応じまして、先ほど申しました通り、更にこの問題に調整を加えて行くというのでございます。それから(ハ)の問題は、赤字公債等を発行してまでこの計画を達成するという意図は毛頭ございません。そうでなくてもこのぐらいは可能だという建前で進めております。同時に、国際物価国内物価に対する調整の問題に関しましては、為替レートは一応変えないという建前で計画を進めております。それから次の生活水準に関しましては、二十五年度は大体八十ぐらいでございますが、これを最終年度には約九十ぐらいまで上げたい。人口に関してはその後これは司令部の注意があつたのでございますが、終戰以来現在まで逐年どうも日本の人口の発表が少し多過ぎるという点が最近明瞭になつて参りまして、或いは毎年五十万ぐらいの減少になるかと思います。そういたしますと生活水準なり、その他雇用の問題なりが大分計数的には楽になるだろうと思いますが、この案では、まだ最終的な訂正案というものは人口に関する限りできておりませんので、前の案をそのまま踏襲しております。  次に、自立経済の規模と構成の問題でございまして、漸く、その内容がこの七頁ですか総括表がございまして、この表の中に全貌が盛られているのでございますが、この表を一応御説明申上げますと、この表に二十五年度が拔けておりますので、二十五年度をちよつとお書き取り願いたいのですが、初めの国民所得は三兆二千六百五十億です。次の産業活動指数は二十四年度をまあ御参考までに申上げますと九六でありまして、二十五年度が一一六です、次の鉱工業生産指数は二十四年が八〇、二十五年は一〇〇・九です。次に電力は二十五年度だけですが、三四八、一四、次の鋼材は三、四九〇、硫安は一、五〇〇、綿糸は、五、七、それから農林水産業生産指数は、二十四年度は九四、六九、二十五年度には九六、八七、米は六二、八七〇、それから麦は二四、八九六でございます。それから国内造船量は本年度の着工分は二四〇です。輸出は本年の輸出分が八億九千二百万ドル、それに特需の物資面だけを拔きますと、一億三千五百万ドル、合せまして一、〇二七でございます。それから次に輸入は今年度約一、一〇〇の見込でございます。それから設備資金に関しましては、一、四九八、運転資金は三、二七九、それから人口は八、四一七、完全失業者は四五・六、大体そういう数字でございまして、この結論は皆さんにこの前に御説明申上げましたので大体おわかりかと思いますが、先ず貿易の面から問題を検討いたしまして、そこで初めこの輸入の量を輸出の可能性と見合せまして大体策定し、その結果それから出て参りまし結論に見合う国内の鉱工業生産農林水産或いは建設部面等を合せまして、それに必要な交通量を出しまして、大体それを物資面から見ました貿易、或いは国内生産の調整がとれるわけなんでありますが、それを一つの基礎にいたしまして国民生産所得を弾き、その結果を更に総支出面で計算をいたしますと、今申上げました生産量に必要な資金量と、それから国民所得のほうから出し得る資金の供給量とが出て参りますので、その調整を一方で図りながら、その生産に必要な雇用人数を揮いて参りますと、生産と雇用との関係が出て参りますので、生産と資金との関係生産と雇用との調整が一応とれるわけであります。そういう手順で、一応各部から出ました案を調整したのがこの結論でございます。この結論を大きく申上げますと、大体二十五年で以て戰前の水準に生産関係は或る程度回復したというふうに見ていいのじやなかろうかと思います。そこで二十六年以降は、逐次戰前の基準をオーバーいたしまして拡大的な計画に向うだろうもう。一つ、併し従来のようなテンポ、カーヴで以て生産は決して上昇しないで、上昇のカーヴというものは非常に鈍るということでありますが、その理由等は後ほど申上げます。  それから第二点は貿易の問題でありまして、輸入が一番今後の重要な命題になるわけでございますが、本年度十一億ドルの見通しが来年度十五億ドルというのは非常なギヤツプがありまして、この点は非常に無理じやないかという点が一番基本になると思います。但しこの点に関しましては、二十五年度当初の計画は、先ほど申上げましたように十億三千万ドルが今年度当初の計画でありまして、物価の値上りをどういうふうに見たらいいか、これはいろいろ見方がございますが、少くとも年間を通じますと二割、或いはそれ以上上廻るという見方のほうが大体有利であろうと思いますので、仮に二割と申上げますと、年当初の輸入計画をそのまま実施可能だといたしますと、十二億四、五千万ドルの輸入というものは今年度は当然あつて然るべきものなんでございまして、仮に当初の計画通り輸入ができたといたしますと、今年度と来年度の繋ぎがそうひどいギャツプでなくて、先ずこれくらいは当然じやなかろうかという気がいたします。ただ今年度の実績が十一億ドルというのは、御承知のように去年の八、九、十月ぐらいの輸入実績が非常に落ちまして、普通月九千万ドル或いは一億ドル程度あるはずの輸入が、去年の八月には八千万ドル、或いは七千万ドルというふうに落ちましたので、そのカバーがなかなかつきにくい現状でございますので、今年度の実績はそういうふうに落ちたような次第でございまして、そういう関係を以て考慮いたしますと、来年度十五億ドルというのは相当無理がございまするけれども、先ずやりようによつては可能ではなかろうかという趣旨だと思います。  それからもう一点は、最後の失業の面でございまして、生産が非常に伸びるにもかかわらず、完全失業者の数はそれほど減りません。それはどういうわけかという問題がございますのですが、その点も後ほど御説明申上げたいと思います。総括表につきましては、あとで御覧願えばおわかりになりますので、その程度にいたしまして、各部門の説明に入りたいと思います。  次に貿易の点でございますが、貿易に関しましては、輸出につきましては、極力市場性を押えまして、このくらいの輸出は無理がなかろう、これくらいであれば大体出せるというマーカンテイビリテイの点を嚴密に押えまして、非常に固く押えております。従つて、この輸出が少し小さ過ぎやせんかという見方も出て来るのでございますが、これはそういう意味で押えました次第でございますから、これは相当固めになつております。それから輸入に関しましては、ちよつと逆でございまして、スクラツプとか或いはパルプとかいうように、見通しが割合に可能なものにつきましては、それをシヴイアーに押えたのでございますけれども、全般といたしましては、先ほど申しましたように、国内の生産活動規模等を大きくし、従つて生活水準というものを高めるという考え方からいたしますと、少くともこのくらいの輸入量というものは、日本経済を維持する上において最小限度必要なんだという趣旨でございますので、その期待量というものをそれほどいじらずに、これくらいは当然確保すべきだ、又相手国側もその確保に対して協力すべきだという希望量をそのまま載せまして、そうしてその希望量を一つのバルク・ラインといたしまして、これは一つの今後の経済政策生命線だ、これを確保するかせんかによつて、大体の国内経済の循環というものはきまるのだというので、これはそれほどいじらずに、必要な量をそのまま載せてございます。従いまして、仮にこの量が減つて参りますと、或いはインフレの問題なり、或いは統制の問題なり等々がいろいろ惹起して来るのではないかと思いますが、本案の立て方といたしましては、今申上げましたように、輸入に関しましては、飽くまでも国内の生活水準なり、民度なりを維持するように、こういうものを大胆に提起してございます。それから中国市場につきましては、先ほど申しましたように、二十六年度の問題は一応他地域に転換可能なものは転換いたしまして、それを織り込んでございます。二十七、八年の問題につきましては、香港は一応載せてございますが、それ以外の地帶は、情勢がわからんものでございますから、一応期待しないという計算で計算ができております。  それからその次に、国際收支の推移の問題がございまして、これは御覽願えばその通りでございますが、註の二の対日援助の額でございまするが、米会計年度に直しますと、援助の額は二十六年度に相当いたします。従つて来年度の日本会計年度に相当する米会計年度の五一—五二会計年度では、一億ドルから一億五千万ドルという計算で出してございます。昨年非常に問題になりましたグレー報告では、二十六年度以降は大体入らないのじやないかということになつておりまするが、今年度のトルーマン年頭教書におきましては、大体一億五千万ドル程度議会に要求しておるようでございまするので、このくらいの要求は或いは妥当かと思いまして、そのまま載せてございます。それから二十七年度に相当いたします五二—五三米会計年度におきましては、一億ドル大体載せまして、二十八年度は援助なしにやつて行こうという計算になつております。それから註の三でございますが、註の三では投資勘定の問題がありまして、民間外資の導入の問題、或いは日本資本南方等に対する投資の問題がございますが、これは見通しが非常に困難でありますので、一応省略してございます。それから貿易の單価に関しましては、昨年の九月末くらいの單価を基準にしてはじいてございます。  次に、通貨別国際收支の状況を見ますと、初めの予想では、現状では御承知のように日本は非常にポンド不足で悩んでおりますので、或いはこの作業でもポンドが不足ということになるだろうという予想で、いろいろ国別通貨別の作業を進めて行つたのでございますが、先ほど申しましたような輸入を仮に確保できるといたしますと、依然ドル不足が恒常的なものになつて出て参ります。それから輸出の品目に関しましては、最終年度において、繊維が五三%、機械、鉄鋼等が二四%を占めまして、依然繊維或いは鉄鋼関係のものが輸出の大宗を占めます。それから地区的の伸びを見ますと、オープン・アカウント地区ポンド地区に伸びまして、ドル地区には伸びないという計算になつております。輸入に関しましては、品目的に見ますと、依然繊維原料が主体でございまして、今まで主体でありました食糧は、この案では、後ほど申上げますが、徹底して国内の食糧の増産を図り、その結果輸入を逐次減少して行くという建前をとつております結果、食糧の全輸入占むる地位は逐年減少して参ります。  次に鉱工業生産でございますが、鉱工業生産に関しましては、中間にございますように、三点が非常にネツクになつておりまして、特にこの中で電力が一番ネツクになつておりまして、鉱工部会で答申しました案の約一割近くを調整いたしまして、そこで結論を出したような次第でございます。その三点と申しますのは、第一点は電力の供給によるものでございまして、これが一番シヴイアーな点でございます。第二点は輸入原材料の入手の見込みでございまして、殊に鉄鋼関係が一番見通しが困難でございます。次は長期設備資金の調達の問題でございまして、この三つの問題がそれぞれ相関連いたしまして、日本鉱工業生産はいつ如何なる場合でも手放しにどんどん伸びて行くかと申しますと、決してそうではないのだ、逆に申しますと、彈力性の非常に少い現状だということが結論としてはつきり出て参ります。この中で電力、鉄鋼、繊維、化学肥料の四部門を中心にして作業を進めて参りましたので、この四点につきまして若干説明をして参りますと、電力に関しましては、水力、火力両方合せまして三ヵ年で以て九十七万キロワットの電源を開発するという建前にしております。それから同時にロスの面、これは司令部のほうでも非常に注目しておりまして、なかなかうるさいのでござい事が、現在のロスが三〇%ございます。これを最小限度二五%くらいまで軽減したいということで、一方電源は開発し、一方ロスを軽減いたしまして、電力の供給力を殖やすわけなんでございますが、その結果今年度に比較いたしまして、最終年次平水で四十一億キロワット・アワー供給増を見込んでございます。それほど思い切つて供給力を増しましても、先ほど申しました今年度に比して大体三割くらいの生産増強鉱工業部門で上げるといたしますと、なお毎年豊水で十億キロワット・アワーずつ赤字が出て不足だという計算になつて参ります。併し、それはもう止むを得ざるものとして、この案ではそれをそのまま採用して鉱工業生産の増額を図つております。今申しました九十七万キロワットの電源開発では、これま少な過ぎはしないか、もつと思い切つて上げたらどうかという議論が出ますが、初めA案とB案がありまして、このA案を基準にして電源開発をやろうというので、百三十万キロワットアワーを見込んだのがこのA案でありまして、B案は九十七万キロワット・アワーでありましたが、B案によりましても逐年四百億から五百億程度の所要資金が必要でございまして、資金面から申しまして到底この九十七万キロワットの開発ですら非常に困難が予想されましたので、止むを得ずB案を採用したのでありまして、四百億の電源開発資金というものは、来年度見返資金では皆さん御承知の通り百五十億くらいしか今のところ見込まれておりません。従いましてその残りの二百五十億或いは三百億の所要資金というものをどうして二十六年度から調達すべきかという問題が非常に大きい問題になつて参りまして、その対策等は後ほど御報告したいと思います。それから次の鉄鋼に関しましては、これは主として、スクラツプ或いは鉄鉱石の入手の見込からいたしまして、来年度三百六十万トン、最終年度三百九十万トンというものを固く抑えております。併し業界並びに通産省側の意向といたしましては、来年度四百万トン、最終年度四百二十万トンというのが定説でございまして、原料入手見通し如何によつてはそこまで伸びると思いますが、事務局案といたしましては、特にスクラツプ、これは米国から余り入つて来ないだろうと思いますので、国内のスクラツプの状況を考えまして、来年思い切つてスクラップを使つて、それ以後不安な状況になるよりは、むしろ生産を固く抑えまして、安全な生産をすべきだということで、こういう推算にしております。従いまして鉄に関しましては増産は余りないという計算になつております。それから次の繊維でございますが、繊維につきましては綿紡績のほうは、紡績機の製造能力の面と、原綿の入手率の面とを兼ね合せまして、できるだけこれは輸出も殖やし、国内の生活水準を上げるためにこの増産を図つたのでありますが、最終年度は八億ポンド程度で終りました。これはまあ余談でございますが、今後の生活水準を上昇さすというためには、大体食糧の方面が一段落いたしまして、主として問題は繊維の問題が中心になつて参りますので、先ほど申しましたように生活水準を逐年上昇さすというためには、国内の衣料等の繊維の消費率をどの程度殖やすかという問題が決定的の要素を持つて参りますので、特にこの綿紡績等の上昇率を思い切つて上げた次第であります。それから人絹、スフ等の化学繊維に関しましては電気の問題、或いはパルプの入手の面等の問題等を勘案いたしまして、最終年度二億ポンド程度にいたしました。それから次の合成繊維に関しましては、これは原料が御承知のようにアセチレン系統のものでございますから、原料炭或いは石灰、或いは電気がございますればこれは何ぼでもできるのであります。そこでできるだけこの合成繊維というものを増産いたしまして、最も日本経済として弱い繊維の部面を幾分なりと合成繊維の増産で補うべきだという議論が当初から強く持たれておつたのでありますが、主として電気の関係でそれほど多くの増産は見込まれません。従つて最終年度は、初めの案では日産五十トンを日産三十五トンに落しまして、ここに見ておるわけであります。それから次の化学肥料に関しましては、これも昨年の秋でしたか、通産省で提案がありまして、閣議決定になりました肥料の増産計画を見ますと、若干下火でございます。あのときは二百五十万トンでしたが、これは二百万トン、これも專ら電気のためでございます。併しこれは輸出のほうは減りましたのですが、国内の食糧増産には差支えないというふうになつております。その他の産業に関しましては、以下それを御覽願いたいと思います。  それから次の農林水産業生産に関しましては、従来の成績は主としてこのコストの引下げという点に重点が置かれておつたのでありますが、本案では現在の情勢を考えまして、極力量産、量を増加するという点にもう一遍重点をかけまして、最終年次九百九十三万石、二十九年に千二百万石というものを増産したいという計算になつております。その結果二十二頁でしたか、(3)の一番最後、(4)の前でございますが、畜産のちよつと前に出ております。二十六年度の輸入三百二十万トンの計画のが二十八年度には二百五十万トンに輸入を減らす見込でこの案を作つております。それから畜産、林業、水産業等に関しましては国内資源の自給度の向上という面からいたしまして、原案を殆んど調整せずに、原案通りを載せておりまして、できる限りこれは増産するという建前をとつております。  それから次の交通の問題でありますが、交通の問題に関しましては、前に申しました通り、貿易の量並びに国内の各生産の量を国内的、国外的に交通の面でネックになりませんようにこれを調整いたしまして、そうしてその量だけは輸送できるという建物をとるために必要な交通量を彈きまして、それに必要な交通各機関の整備を図つております、その際一番問題になりましたのは、商船隊の拡充の問題でございまして、これは現在商船隊は去年の十二月一日現在くらいで百七十万総トンくらいしか日本には保有量はございません。そのうち航洋船が四十三万総トンしかないわけです。これも戰前は四百万総トンくらいで、約十分の一くらいに落ちております。この数量が二十八年度にはどのくらいになるかと申しますと、二十八年度全部の貿易数量を彈きまして、その約五〇%を邦船で積取るという計算にいたしますと、航洋船で二百万総トンの船が必要でございます。そこで現在の量を二百万総トンまでどうして獲得するかということが作業の中心問題になつたのであります。そのために逐年三十五万総トン新建造を行いまして、そうして沈船の引揚げ、或いは十分の改造等を行いまして、それによつて最終年度百九十四万総トンの船舶を保有しようというのがこの案になつております。その後こういうふうな情勢になつて参りましたので、三十五万総トンを四十万総トンまでこれを上げようということで、現在は四十万総トンを目標に計画を進めております。それから同時に二十八年度に二百万トンを持つよりも、現在もその程度まで持つ必要がございますので、傭船とか買船等を急ぎまして、新造船と併行して、その入手方をいろいろ努力中であります。それから次は海外貿易港の整備でございまするが、皆さんも御承知のように、日本の主たる貿易港の大部分というものは接收されておりまして、まだ返還されておりません。今後この邦船で、日本の船で貿易をやるという建前に問題が転換して参りますと、どうしても従来の港湾をどうするかという問題が非常に大きい問題になつて参りますので、その点を考慮しております。それから国鉄或いは電話サービス等の問題に関しましては、一応説明を省略いたします。  それから次の建設部面でございますが、これは例の公共事業費の問題でありまして、公共事業費の量は、今年度、二十六年度は大体三十四頁にもありますが、国費が千九十億円でございます。それが二十七年度には千五百八億、二十八年度には千七百五十億というふ、に公共事業費を持ちたいというふうにこの案ではなつておりますが、なぜそういうふうに飛躍的に公共事業費を増さなければならんかと申しますと、先ほど申上げました農業の生産力を極力増産いたしまして、そこで、国内の自給度の増大を図りたいという最近の情勢に対応した考えが強く出たものでございますから、農業の増産のために必要な資金が、従来の三倍程度要、るようになつておりますけれども、それを織り込んで参りますと、それに関連いたしました諸産業もそれぞれ殖えて参りますので、どうしても公共事業費の面も殖えるようになつております。この建設部門では、申すまでもなく今申したように、この農業生産力、すぐ農業の増産、食糧の増産に役立つような部面に、建設部門といたしまして重点を置きまして、それに必要な範囲で治山治水、或いは道路等々の問題を処理したいと考えております。建設部門の内訳は、農林水産施設或いは治山治水施設或いは交通施設、これは道路、港湾、航路標識とございますが交通施設、或いは都市関係施設、これは上水道とか、戰災都市の復興とかいう問題であります。或いは住宅建設或いは公共建築、或いは災害の防止等の問題、乃至は災害の復旧の問題等がその内訳でございますけれども、その内容は一応予算はこれくらいということにいたしまして、省略いたしたいと思います。  その次に雇用の問題でございますが、三十六頁かと思いますが、雇用の面に至りましては、先ほど申上げましたように、生産が鉱工業、農林業とも増加して行くにかかわらず、完全失業者の減少率はそれほどでもありません。それはなぜかと申しますと、一つは人口の増加に伴いまして、労働人口が一方には殖えるということであります。もう一点は、労働の生産性が非常に上昇するという建前に立つております。なぜかと申しますと、産業の合理化、特に近代化の問題をこの案では中心問題にしておりまするので、労働の生産性は仮に例を申上げますと、これは七——十一年をベースにして、一〇〇にして考えますと、マイニングのほうは今年度は七八・九四、二十八年度においては、九九・七三、インダストリーのほうは七三・〇八、これが最終年度には一一一・〇八というふうに、労働の生産性を上昇し、設備の近代化を図りたいという建前をとつておりますので、生産が伸びるにもかかわらず、完全失業の減少はそれほどでありません。但し現在非常に厖大に見込まれておりまするこの不完全就業者、就業はしておりまするけれども内容が非常に不完全だ、言い換えますと、働いていますが、賃金が非常に低いとか、或は働く時間が不規則だとかいうふうな、こういう不完全な失業者、潜在失業者に関しましては、これが、生産が伸びて行くに従いまして、逐次その内容が充実されまして、全般から見ますと、完全失業者の減少の率はそれほどでありませんけれども、この案に従いますと、全般的に雇用内容というものは、逐次充実して行くんじやなかろうかというふうに考えております。  それから資本蓄積の面に関しましては、生活水準の量、或いは国民所得の数量等は、さつきの総括資料で御覽願えれば結構であります。  最後に、国民経済予算の概要がございますので、それを御説明申上げますと、四十頁かと思いますが、それによりますと、左の方の所得と書いたほうは、各年度の総生産量を市場価格で表現したものでございます。それで、この国民所得は、先ほど申しましたように、生産国民所得を中心といたしましたものを載せておりまして、国民所得の中には要素費用しか入つておりませんので、それ以外の費用、従つて減価償却部門とか、間接税を入れて参りますと、二十六年度には、下にありますように四兆二千八百億というふうな計算が大体出て参ります。そういうふうに出て来ましたこの資金的の総量を、右の欄へそれぞれ配分するわけなんでございますが、配分は大体三本に分れまして、個人の消費部門、財政の部門、もう一つは民間の資本形成の部門と、三つに分れます。一番初めの個人消費の部門に関しましては、従来の消費傾向並びに原料等を先ず基本にいたしまして、これに人口の増加及び、さつき申しました生活水準の上昇率というものを兼ね合わして行きますと、今後の個人消費の量が出て参ります。大体それを出しまして、その次には財政の面でありますが、財政の面に関しましては、さつき申しました間接税或は国民所得の中に含まれる直接税を、税の面で先ず出しまして、それから国民所得が殖えて参りますので、税体系といたしましても、自然増が当然出て来ます。そこでその自然増の三分の一ぐらいは減税に当てまして、あとの三分の二は公共事業費に廻すという計算でやつて参りますと、大体この財政の規模というものがきまつて参ります。で、そのきまつた財政の量を次に出しまして、それを更に抜いて参りますと、残りが全部民間資本形成に本当は廻るはずなんでございますが、民間資本形成の部門だけは別途切り除けまして、これを詳細にやつて見たのであります。それは一つは企業蓄積の自己蓄積の部門、一つは株或いは社債等で調達する部門、或いは一つは預貯金等を通じて蓄積される部門等を計算して参りますと、従来の傾向から見まして、大体来年、再来年ぐらいはこのくらいが限度じやないか、相当思い切つた数字を出したのでございますが、これくらいが限度だという数字が出て参ります。そこでそれを出して参りますと、先ほど出しました左のほうの所得から見ますと、配分のほうはどうしても合いません。配分未済所得がそれでございます。毎年千三百或いは二千百億というふうに誤差が出て参ります。そこでこれは何かと申しますと、計算上どうしても辻棲が合わないという不突合いというものに相当する部門なのでございまして、実際計算上こういうふうに誤差が出て来たのか、或いはこれが実際はそれがあつて、それが個人差になり或いは資本蓄積の面に代るものなるか、その点は明確でございませんが、いずれにいたしましても、こういうものが出て参りまして、或いは若しこういうものがあるとすれば、産業資金面等にできるだけ動員して行くということが必要かと思われます。  以上が大体この案の概要でございまして、次に、この案の狙いでありますところの点、並びに対策の点でございますが、今申しましたように産業の規模、経済の規模というものを維持するためには、確保するためには、先ず一番必要なのが輸入をどうして確保するかという問題でございます。これは申上げるまでもございません。そこでこの輸入を確保するための主たる方法を、いろいろ次に書いてございますが、詳しい内容はそれをお読み願うことにいたしまして項目だけを読んで参りますと、第一点は外貨資金運用の効率化と機動化の問題、第二は輸入金融の円滑化の問題、第三は貿易協定の彈力的活用の問題、その次は備蓄輸入の推進の問題、それからその次には在外買付機構の充実の問題、その次は輸入力の背景をなす外貨の獲得の問題、その次には原料輸入を確保するための対外投資の問題、その次は外航船舶の拡充の問題、こういうふうに分れます。それぞれの項目に従いまして特に重要な点のみを指摘して出しております。それから次には、この輸入を確保する上におきまして、殆んど現在の貿易の大部分と申しますか、バルキーなカーゴの大部分というものはCIF契約からFOB契約に変つて参りまして、船を持つて参りませんと、なかなか輸入が困難だという事態に立ち至つて参りました。そして輸入を確保するための一つの大きい問題として、如何にして邦船を拡充するか、商船隊を拡充するかということが決定的な重大な問題になつておりますが、先ほど申上げましたように、いろいろ方策を現在考えております。その内容は先ほど申しましたので省略申上げます。それから次は自給度の向上の問題でございまして、自給度の向上の問題に関しましては、先ほど申しましたように、食糧の自給度を極力増進するというところに根本的な目標を置きまして、それに伴つて更に増産に、而も食糧貯蔵施設の改善、増設等を特に提案し、鉱工業に関しましては国内資源の開発の問題、並びに合成繊維工業の振興の問題を出しております。それからもう一点必要なのは、日本の産業を伸ばすために必要なことは、電力をどうして確保するかという問題でございまして、先ほど申しましたように、どうしても日本の電力は日本の産業を伸ばす上において一番ネツクになつております点でございまして、できるだけこの電力確保というものを考える。そのための方策をいろいろ書いでございますが、これ又資金の面でも出て参りますので、その際にもう一遍お話申上げます。その次には物資の需給面をどうするかという問題で、主として一つは統制の面に入つて参りますが、これに関しましては、これぐらいの輸入量が仮に確保可能だといたしますと、先ず大体物資の需給はそれほどアンバランスにはなりません。ただ特殊鋼材のシートがどうかと思うのでございますが、非鉄金属等の或るものは若干需給関係が逼迫して参りますけれども、全般的に見ましてはそれほど逼迫するとは思われません。ただこの戰略的な物資と申しますか、国際的に非常に貴重な物資でありまして、国際的な割当機構の中に入る物資、こういつた物資につきましては、どうしても国際的な環境の関係もありまして、国内的には消費の規整、或いは輸入の調整等が当然必要になつて来るのじやなかろうかということを考えます。で各物資に関しまして、鉄鋼、肥料、繊維、木材、石炭と、それぞれ問題を出しておりますが、その中でただ木材の点でございますが、木材の点に関しましては、鉱工部会、或いは建設部会等から出されました要求と、農林部会から出しました適正伐採量というものの間に非常に差がございまして、どうしても二千万石くらい調整がとれません。これを輸入で賄うといたしましても、なかなか輸入では調整がつきませんので、この審議会といたしましては一応この点は未調整のまま問題を残しております。これは政治的な問題も随所に含んでおりますし、なかなか短日月でこの調整をすることは困難でございますので、一応問題を保留したのでございます。  最後に資本蓄積の問題でございますが、資本蓄積の問題に関しましては、従来の方針に大体そのまま則りまして、まず民間資本の蓄積というものに重点を置いております。従つて個人蓄積の増加の問題、或いは企業の自己蓄積の増大の問題、或いは証券市場の育成の問題等に分けまして、それぞれ対策を考えました。併しこの民間資本の蓄積だけを以てしましては、到底強力な増産或いは早期の増産ということは困難でございますので、それと併行いたしまして、財政資金の合理的な運用の問題等、最もこれが基本的な方針になつておりますが、長期金融機構といものを何らかの形で作つて貰いたい。開発銀行でもよいし、或いは復金の開発でもいいし、或いは興銀、勧銀の、普通銀行から特殊銀行への還元でもよいし、方法は、結論はまだ出せませんでしたが、いずれにせよ、何らかの方法で長期金融機関というものを作つて、それでこういう特に必要な産業に関しては、資金面から援助いたしまて、目的の達成を図つて行きいということであります。産業の設備資金の点でございますが、これはいろいろ問題があつたのでありますけれども、結局詮じつめますと、電力の問題、海運の問題、農業対策の問題、この三点はなかなか今のコンマーシャルのベースの上では資本的には伸びませんので、特に長期資金が必要であり、日本経済の全体を伸ばす上において、こういうものがなくては、日本経済が伸びないというこの主たる基本的な産業に対しては、特別な措置をとつてもらいたいというので、電力に関しましては、ここではできれば電力料金の早期改訂の問題を強力に謳つております。もう一本の柱としましては、大規模な点が、只見だとか、熊野とか琵琶湖とか、大きな電源開発に関しましては、日本の資本力を以てしては、到底不可能でございますので、これには何とかして民間外資を導入いたしまして、それによつて開発を図りたい。若し仮にさつき申しました電力料金の早期改訂というものが困難といたしますれば、別途さつき申しました長期金融機関から資金的な援助をするか、或いは見返資金から出すか、或いは租税等の減税等を図つてもらつたらどうかという案でございます。海運に関しましては、なかなか自己資金の調達というものは、自己資金の充実というものが困難でございますので、これは徹底的に見返資金の枠を殖やすという面で、財政資金を何らかの形で直接間接にこの方面に供給してやるということが必要だということになつております。農業に関しましては、農産物価格を引上げるという対策と、政府から直接金を出すという対策が考えられるのでありますが、この案では、農産物価格を上昇するという考え方はやめまして、さつき申しましたように、專ら公共事業費を増しまして、それで食糧の増産を図りたいという対策を語つております。次に輸出促進或いは労働対策とありますが、その内容は一応省略いたします。  最後に結論でございます。結論といたしましては、以上申しましたような経済の内容は、日本経済の合理的な循環というものを維持し、それによつて民主主義の基礎というものを確保するために、最大限の経済規模ではなくて、最少限度の経済規模に過ぎないのだということでございます。従つてこれくらいは何としても先ず確保すべきだということ、併しそれを確保するのさえ、輸入の確保、或いは自給度の向上、或いは資本蓄積等いろいろ困難な問題がございますが、それを打破して、日本経済の循環というものを確保すべきだということ、それからもう一つは情勢が更に或いは惡化して参りましたならば、緊急物資貯蔵の問題とか、或いは国内資源の緊急開発の問題とか、船舶の急速な増強の問題などが更に対策として、一段強化されなければならないということであります。その次の別表に自立経済達成のための財政金融対策と銘を打ちまして、さつき簡單に御説明をいたしました資本蓄積の諸対策を文面で並べてありますのでお読み願いたいと思います。以上であります。
  11. 永井純一郎

    理事永井純一郎君) 大体の説明をしてもらつたわけでありまするが、今までの説明に対する質問がありましたら質問を許すことにいたしますからお願いいたします。
  12. 山本米治

    山本米治君 昭和二十六年度電力開発はどういう計画になつて、その資金量はどのくらい要ることになつておりましようか。この十六頁のところに三ヵ年のが挙げておりますね。
  13. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 二十六年度電力資金量は四百六十四億となつております。
  14. 山本米治

    山本米治君 四百六十四億、いや開発計画ですよ。
  15. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 資金じやなくて開発計画ですか。
  16. 山本米治

    山本米治君 いや開発が何万キロワットで……。わからなければ結構ですが、資金が四百六十四億……。
  17. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 四百六十四億です。
  18. 山本米治

    山本米治君 それじや見返資金から出る分は、先ほど言われたように百五十億ですね。やはりこの見返資金電力開発に出する場合には、他の産業に出す場合と同様に大体やはり普通金融と五分々々ですか。
  19. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 今のところ同じ條件になつておるのであります。
  20. 山本米治

    山本米治君 五分々々。
  21. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) はあ、五分五分で出すわけですね。はつきりわかりませんですが、それは知りませんけれども……。
  22. 山本米治

    山本米治君 大抵そうですね。中小企業融資でも、船舶でも五分々々になつておるのですね。これも五分々々かと思うのですが、そうすると三百億ですか、その見返資金が百五十億、四百六十億とすると銀行がよほど出さなければこれだけの計画はできないわけですが、なかなか……。
  23. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) ですけれども、この料金改訂はやる以外に方法がないのじやないかということになりまして、料金改訂を考えたのですけれども、結局このくらいの自己資金を出すには二割程度、実質的には現在の料金改訂なんかを合せまして二割程度値上げをすれば、或いはこのくらい調達できるのじやないかという結論になつたのですが、形式的には大体五割近く値上げする要があつたのですが……。
  24. 山本米治

    山本米治君 もう一点伺いたいのですが、十一頁のところの註のところに、アメリカの援助が五十一年度五十二年度一億ドル乃至一億五千万ドル、五十二年度五十三年度一億ドル程度予定しておりますが、グレー報告によればもう五十一年度五十二年度さえももう打切ろうというくらいですし、かたがた今講和の問題が非常に切迫しておりますが、講和條約ができれば今までの援助という形では来ないと普通考えられておるのですが、なお且つここではもう二カ年援助をもらうように計画しておられるのですが、最初の五十一、二年度はともかくとして、五十二、三年度はもうこれは期待できないのじやないか。そうかといつて金がなくちやできないのですから、何か別の形になるのじやないかとは思うのですが、今日銀総裁は、アメリカへ行つておられて、国際通貨基金への参加、同時に国際復興開発銀行への参加というようなことを講和実現後に希望しておられるのですが、この開発銀行などからの援助と言いますか、要するに今までのアメリカの国民から税金を取つてやる援助から、今度は借りるという形に行くんじやないかと思うのですが、まだ今後二カ年間もアメリカの従来の形の援助を予定しておられるようですが、これは少し違うのじやないかと思うのです。
  25. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) その点はお説の通りでございます。従いまして今のエイドという形は恐らく講和條約が済んだ後に何か外の形、例えば今のAC資金のような形に変わるかもわかりません。そういうことを予想いたしまして、こういうことを一応謳つてあるわけなんでありますが、その政府資金以外の開発資金と申しますか、開発銀行等を通じ、或いは民間資本がそのまま出るというような問題につきましてはここでそう強くは謳つてありません。ですから主として政府資金的な意味でこのくらいのものは必要だという建前でありまして、場合によりましては今申しましたような開発銀行を通じまして来てもらうことはこれは勿論結構でございます。併しさつき申しましたように大規模電源開発等をやる際にはとても一億や何かじや足りませんので、そういう点は別途今申しましたような開発銀行なり、或いは通貨基金なりといつたようなもので来て頂けば一番結構だと思います。
  26. 山本米治

    山本米治君 関連して御質問したいのですが、まあ電力が足りないということが、今後の生産の上昇に対する非常な制約になつておるということは、これはもう常識なんですが、電力開発に関連して外資が希望されておりますが、幾らか見込があるのですか、どうですか。今のところ電力開発に関する外資の見込はどうなんでございますか。
  27. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 公式にこういう見込を持つておるというオフイシヤルな見込というものは、今のところはつきりしたところはないのじやなかろうかと思います。この前にフロア氏が参りましてお会いしましたときにもお話があつたのでありますが、日本の水力電源は非常に有望ではあるけれども、まだ外資を入れるまでには科学的な調査その他が不十分じやなかろうか。そういう基礎條件が十分備わつて来れば外資の導入も希望を持つていいんじやなかろうかと申しておりました。併し僕など接触範囲も非常に挾うございますし、今一万田さんもどういう交渉をなさつていますか、詳しくは存じませんけれども、必ずしもそう不可能というふうに考える必要はないんじやなかろうかというふうに考えます。
  28. 山本米治

    山本米治君 なお具体的に申しますと、約一年ほど前に只見川の電源開発につきましてアメリカから技師が来ております。そのほうはその後どういうふうに進展しておりましようか。或いは行き悩みということになつておりましようか。どういうことになつておりますか。
  29. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) この前に来ましたフロア氏はどういう資格で参り、又どの程度のことをやつたか、これは公式的にはわかりませんが、今度フロア氏が参りまして只見を調査した後に引続きまして、琵琶湖、熊野、それから四国の四万十を見て帰つたのでありますけれども、一応技術的な調査をしたという段階じやなかろうかというふうに考えております。
  30. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 現在問題になるところの、人口の発表が多過ぎるというお話があるようですが、そういうことはどういう意味のことかもう少し具体的に……。
  31. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 今までの推定、僕も詳しいことはわからないのですが、厚生省のほうで人口を推定しておりましたところが、最近になりまして、どうも実情から見まして誤差があるようだという点が非常に明瞭になつて参りまして、更に従来の資料等を持ち寄つていろいろ研究した結果、やはり逐年、終戰後今まで少し集計が多めじやなかろうかという判定にしなりつつあるそうでございます。まだはつきりこれが最終的にこうだという段階まで達しておりませんけれども、少し今聞きますと五十万かそこら多いのじやなかろうかという今見通しだそうでございますが、まだ併しこれが最終的な決定だというところに至つておりませんので、はつきりしたところはわかりませんです。
  32. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 併し、人口は死んだ者も生れた者も、戸籍ですべてを報告するのだから、多過ぎるとか少な過ぎるというようなことがあるはずはないと思つておりますが、どういうふうなことで推定で行くのですか。確実な数字が、あるはずと思つておるが……。
  33. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 人口調査をする場合の今までのやり方自体から、一部推定の面も入つておるのじやないかと思いますけれども、その点僕もはつきりわからないのであります。
  34. 永井純一郎

    理事永井純一郎君) 私からちよつと……、これは何ですか、この五二—五三の援助ですが、二十八年六月までと書いてありますが、それがこれに相当するのですね。
  35. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) そうです。
  36. 永井純一郎

    理事永井純一郎君) これはもう僅かという意味ですか。
  37. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) これは日本会計年度でありまして、米国の会計年度に切り替えますとずれるのでございます。というのは、援助が実際に物で入つて来るのはずつとずれるのでありますから……。
  38. 永井純一郎

    理事永井純一郎君) この点に対する援助は……。
  39. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) それに対する援助はゼロであります。
  40. 永井純一郎

    理事永井純一郎君) ゼロで行けるという意味でありますか。
  41. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) そうです。ゼロで行けるという意味であります。
  42. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 五頁の生活水準の問題で、これは従来頂いておるこれにはあるのですか。若し簡潔に説明できるのなら要点だけ聞かせて頂きたいのです。国民所得のその当時のオフイシヤルな数字を割つたのですか。
  43. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) そうじやないのです。
  44. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そういうような極く簡潔な基礎的な知識を與えて欲しいのです。
  45. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 農村の何といいますか、消費生活水準と、都市との間に誤差があるわけなんでありますけれども、本来であるならば家計調査等を基礎にして、それから逐年の家計の倍率等を勘案して出すべきなんですが、ここにも一応今まで出ました成果と申しますか、今年度二十五度を一〇〇といたしまして、そこで今後逐年上昇する際には何が上つて来るだろうかという物質的の上昇率を考えまして、それで指数を彈いておるのであります。仮に申上げますと、主食と非主食、それから燃料、燈火、繊維、住宅、その他というふうに分れておりますが、その中で一番伸びますのが、さつき申しました繊維でありまして、本年二十五年度が四・六一ポント、二十八年度六・九一ポンド。非主食関係の中でも一番伸びましたのが、さつき申上げました水産関係が伸びましたので、魚介類、或いは肉類、或いは乳製品、卵、糖類等いろいろ副食物が伸びましてそれをずつと指数で出して参りますと、丁度今年度にかけまして一一一・三になつて来るわけです。それを今年八〇だということで換算して参りますと八九になりますので、まあ生活水準内容が本年度から見まして、八九まで全部上昇いたすというふうにいたしております。ですから物資別の上昇率と、国民一人当りの消費量の、主たるものを比較いたしまして、伸びを比較いたしまして、それで指数としておるのであります。
  46. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうすると、昭和十一年を平均一〇〇という基準的な数字があるわけですか。
  47. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) ええ、あります。
  48. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それは今日でなくていいのですが、何か従来頂いておる資料の中で説明がありますか、これと国民所得の問題です。
  49. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) これは全然別なところでやつております。
  50. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 あなたのところじやないのですか。
  51. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 違うのです。安本の中で昨年の秋ですか、この問題が大きな問題になりまして、大内兵衞さんが中心になりまして、委員会中心になつて出した報告書がございます。
  52. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それを頂けないでしようか、頂ければその説明は結構です。それからその次に、国民所得統計、国民所得統計は非常に課税の標準の基礎になるのですが、これはどういう程度ですか、あなたのところで……、やはりほかの、それも同様の関係があるのじやないのですか。
  53. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) これは例の二十四年度見通しに関しまして、非常に司令部との問題がありまして、一応解決したのでありますが、あれを基礎にしまして、二十五年度の計数を一応出したのでありますが、二十五年度の三月末、今年の三月末ですが、物価庁に出すのがございまして、それを一つ物価的な基礎にいたしまして、今後の上昇率は先ほど申しましたように、生産の伸びを基礎にいたしまして、ずつと国民所得を彈いたのであります。
  54. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 これはあれですか、従来国民所得についても同様にむずかしい問題だと思うのですが、今の生活水準と同じように資料がございましたら頂きたいのです。これは一つ事務局のほうで、專門員のほうでお願いします。
  55. 永井純一郎

    理事永井純一郎君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止〕
  56. 永井純一郎

    理事永井純一郎君) 速記を始めて。  それではちよつとお諮りいたしますが、一応これで委員会を閉じることにして、あと今のような極く詳細な質問は懇談的にして行くということにしたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 永井純一郎

    理事永井純一郎君) それでは一応これで委員会を閉じます。    午後零時一分散会  出席者は左の通り。    理事            永井純一郎君            山本 米治君            奥 むめお君    委員            中川 以良君            野田 卯一君            伊藤 保平君            藤野 繁雄君            菊田 七平君            兼岩 傳一君   説明員    経済安定本部経    済計画室長   佐々木義武