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1951-03-28 第10回国会 参議院 外務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十八日(水曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本政府在外事務所設置法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○世界保健機関憲章受諾することに  ついて承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付) ○仏印戦犯者助命に関する請願(第一  三一四号) ○比島戦犯者助命に関する請願(第一  三一五号) ○平和促進に関する請願(第一三二七  号) ○講和條約に関する請願(第二三六  号) ○小笠原島住民の帰郷促進に関する陳  情(第二五一号) ○比島使節派遣陳情(第二六三  号) ○在外事業資産返還に関する陳情(第  二六四号) ○台湾糖業返還に関する陳情(第二六  五号) ○終戦後外地接収船舶返還に関する  請願(第一一八九号)   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより外務委員会を開きます。  先ず日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案について審議を願いたいと存じます、最初に政府から提案理由の御説明を願いたいと存じます。
  3. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律条の提案理由並びにその説明を申上げます。  御承知通り昨年第七国会において日本政府在外事務所設魔法が成立いたしまして、先ずアメリカ合衆国内の五カ所に在外事務所設置されましたか、その後、同法第二條第二項に基く日本政府在外事務所増置令によりまして、昨年十月スウエーデン国ストックホルム市、フランス国パリ—市、ブラジル国リオデジャネイロ市及びサンパウロ市、パキスタン、カラチ市、インド、ニユーデリー市、カルカッタ市及びボンベイ市、ベルギー国ブラツセル市並びにウルグアイ国モンテヴイデオ市に、又、十一月には、オランダ国ーグ市に、更に、十二月にはタイ国バンコツク市に、それぞれ在外事務所が増置されて参つたのであります。政府といたしましては、その後も、未だ在外事務所設置されていない諸国に対し、総司令部を通じてその設置方を交渉しておりましたところ、このたびビルマ国の承諾を得ましたので、同国ラングーン市に日本政府在外事務所設置することといたしたのであります。そこで、従来国会閉会中であり、且つ緊急を要Lましたために、増置令によつて増置して参つた前記十二の在外事務所も、この際、財ラングーン日本政府財外事務所と共に日本政府在外事務所設置法二條第一項の表に追加いたし、現在設置されているすべての在外事務所法律の中に明らかにしようとするのが、今回の改正の第一点なのであります。  次に、前記改正に伴いまして、日本政府在外事務所設置法第九條第一項を改正する必要が生じたのであります。即ち、同條第一項によれば、アメリカ合衆国以外の国に設置される在外事務所についても、今回の在ラングーン日本政府在外事務所のように法律設置されるものには、一律に別表が適用されることとなり、この場合には、その所在国の通貨の対米為替相場やその所在地の物価水準基準として、公正なる在勤手当及び住居手当を定めることができないという不合理が生じるのであります。そこで、アメリカ合衆国設置される在外事務所については別表を適用し、その他の在外事務所については、外務大臣が、別表の額の九割から十一割の範囲内で定めることとしようとするのが、今回の改正の第二点であります。  なお、附則におきましては、この法律施行期日を定め、更に、今回の改正によりまして法律の中に追加される既存の十二の在外事務所を増置して参りました日本政府在外事務所増置令を廃止せんとする規定を設けたのであります。  以上が、この法律案提案いたす理由並びにその説明であります。何とぞ愼重御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御質疑がありましたら、この際御質疑を願いたいと存じます。
  5. 杉原荒太

    杉原荒太君 ビルマの現在の政情について極く簡単に一つ説明願いたいと思います。つまり現政府支配力の及んでおる範囲とか、赤旗白旗の共産党や、カレン族叛乱などの現状はどういうふうな全体の、つまり日本取引の対象としてどれくらいの今価値があるかというような、そういうことを聞きたいと思います。余り詳しくじやなくていいのです。而も成るべく最近のこと、余り歴史的に遡る必要はありません。
  6. 島津久大

    政府委員島津久大君) ビルマ政情につきましては、実は具体的な最近の資料余りないのでありますが、ただ只今御指摘になりましたようなビルマ政府に対する反政府的な、いろいろな実情はどうなつておるかということは、最近は非常に改善されたように聞いておるのであります。一時はビルマ政府ラングーン市くらいに閉じ込められまして、郊外日治安が乱れておる、赤旗白旗というような共産勢力も全国に跳梁しておつてカレン族叛乱というものも熾烈であつたのでありますが、近頃聞くところによりますると、北のほうに上つております。幹線の鉄道、これも寸断されておつたのが回復しまして、マンダレー方面にも行けるようになつたという話を聞いております。確かなことはよく承知いたしておりません。又東のほうのモールメン方面も海上だけの交通であつたようでありますが、その後これも又幾分開けて来たというようなことを聞いております。まあ全体からしまして現政府地位は非常に上つて来たということだろうと思います。近く総選挙が行われるということでありまして、そういうことから見ましても大した心配はないということは申上げられると思います。それに関連いたします取引がどういろふうになるだろうかということでありますが、これは御承知通り綿製品或いは機械類、こういうものが最近非常に日本からの輸出が増加して参つております。例えば一九四九年の輸出額が四百七十一万ドルというような程度でありましたのが、五〇年の一月から十一月の期間だけでも千百十万ドルというふうに増加して参つております。ビルマから入りますのは主として米であります。日本から見まして非常に大事な問題でありまして、これも漸次殖えて参つております。四九年は六百十六万ドルでございましたのが、五 ○年の月から十一月にかけまして千五百三十三万ドルというふうなことになつております。治安が悪かつた時代には集荷が非常に滞つておりました。従つて貿易もやりにくかつたようであります。最近はその点も先ほど申しましたような治安の回復に伴いまして貿易の量も殖えて来ておる。在外事務所ができますというと、この点はますます改善されると思います。
  7. 野田俊作

    野田俊作君 丁度何ですが、ビルマの今お話のようだつたが、この頃新聞によく出ておりますイランの政情とでも申しますか、一つ説明願えれば大変結構だと思います。
  8. 杉原荒太

    杉原荒太君 現は在多事務所設置を交渉している国々はどういう国ですか。
  9. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) これは実はまだ設置しておりません国には成るべく設置希望しまして、現在設置している国以外を懇請をしておる次第であります。最近新聞等ロンドンなりワシントンなりというのがちよいちよい出ておりますが、そのたびに希望は強く司令部を通じて申出ておる次第であります。
  10. 杉原荒太

    杉原荒太君 それはイギリスなどどういうふうな意向のようですか、遠からず実現するようなお見込ですか。
  11. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) イギリスのほうは、これはまだ正式には通報がありませんが、報道等によりますと認められるという情勢かと思います。併しまだこちらには何ら正式には入つておりません。
  12. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ほかに御質疑はございませんか。それでは逐條の御説明をお願いたしたいと思います。
  13. 島津久大

    政府委員島津久大君) 逐條と申しますよりは、繰返して簡単に御説明申上げます。  この法律改正の第一点は、動機はラングーン日本政府在外事務所を置いてよろしいということになりましたので、これにつきまして法律改正をお願いするわけであります。同時に、この第一頁で御覧になりますように、ラングーンが入りますと十八カ所になるわけであります。そのうち在外事務所アメリカにあります五カ所、これは法律中に入つておりまして、それ以後の多数できましたものが、丁度国会開会中でございませんでしたので、これは法律に基きまして政令設置をしておつたのでありますが、この際ラングーンにできますにつきまして、従来政令で置きましたところを一括表の中に掲げまして、ラングーンまでの在外事務所を全部掲げるというのが第一の点であります。  その次は給与関係でございますが、在米事務所設置法律できまりました当時、俸給の表ができております。それがアメリカ以外の場所に事務所を置きます場合に、物価関係為替関係、いろいろな面からアメリカ事務所と同じということは、これは頗る実際的でございませんので、アメリカ事務所給与の九割から十一割、そういう範囲で増減するという措置をとる必要があつたのであります。ところが、それが法律設置されます場合は、従来の規定から申しますというと、アメリカ給与と同様に固定されてしまうのであります。政令設置されますと九割から十一割の間のゆとりが取れるということでございますので、今回の改正によりまして、在米事務所はこの表の給与通りに固定しまして、それ以外のものは九割から十一割の範囲で融通できるということにしたい。これが第二点であります。大体以上のような趣旨改正でございます。
  14. 曾禰益

    曾祢益君 先に御質問があつたかと思いますが、新聞報道によるとロンドンの問題が交渉中のようなんですが、この間イギリスの誰ですか、外務次官か何かの発表によると、西ドイツのほうは総領事館大使館の間ぐらいのところで、日本のほうは総領事館或いはそれ以下というようなことを発表されたようですが、そういつたような話があるのではないか。それからもう一つワシントンのほうは大使館に昇格するといつたような話がシーボルド氏から吉田首相に伝えられたというような話がありますが、それらについて我々の伺い得る限りにおいて御説明を願いたいと思います。
  15. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 御承知のように現在の在外事務所設置法に書いておりますような十三の項目を取上げております。従つて或いは通商関係或いは在留民保護関係というようなものを中心にいたしておるような関係であります。西ドイツ状態よりもむしろこの権限と申しまするか、範囲というものは低いんじやないかというような御懸念が相当おありだと存じますが、この点につきまして、政府といたしましても、成るべく仕事の範囲を拡大したいことを希望しまするけれども、現在はこのような状態になつておりますが、更に今お話のありまするような、将来大使館とか公使館というような方面に行くという報道等もあるやに思いますが、これは講和になりますといづれこの形を変えて、従来のような大使館なり公使館なり、領事館というような形に、それぞれ切変つて来るものだという心組で進んでおるような次第であります。
  16. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ほかに御質疑はございませんか。
  17. 野田俊作

    野田俊作君 今九割から十一割というようなお話があつたようでございますが、大体アメリカよりも物価の高いところはどこ、低いところはどこと、大体わかつていたら教えて頂くと大変結構だと思います。九割程度のものは、どの辺は九割程度になり得るか、十一割のほうはどの辺がそうなるかというようなことを一つ説明して頂きたいと思います。
  18. 島津久大

    政府委員島津久大君) アメリカよりも増額をしておりますところはブラジル、それからパキスタンがたしか高かつたと思います。低いところはストツクホルム、カルカッタ、へーグバンコツク、今度できますラングーン、大体そういう所であります。
  19. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ほかに御質疑はございませんか。御発言もないようでありますから、質疑は終局したものとして、討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは賛否を明らかにして討論をお願いいたしたいと存じます。…別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めて、採決に入ることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。  それでは日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成のおかたの御挙手を願います。    〔総員挙手
  22. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 全会一致と認めます。それでは原案通り可決すべきものと決定いたしました。  本会議における委員長口頭報告は、本院規則第百四條により本案の内容、本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告することとして、御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。  それでは多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     團  伊能  曾祢  益     徳川 頼貞  野田 俊作     杉原 荒太
  24. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御署名漏れはございませんか。……御署名漏れないと認めます。   —————————————
  25. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) その次の議題に移りたいと存じます。世界保健機関憲章受諾することについて承認衆めるの件であります。政府より御説明を願ます。
  26. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 世界保健機関は、一九四八年四月七日に効力を発生しました世界保健機関憲章に基きまして設置されたのであつて、現在アメリカイギリスフランス等六十三ヵ国が加盟をいたしております。この機関の目的といたしまするところは、憲章の前文及び第一章の規定で明らかでありまする通り、「すべての人民の健康を増進し及び保護するため相互に及び他の諸国協力する」ことでありまして、このためこの機関国際保健事業の指導的且つ調整的機関として行動することを第一の任務といたしております。  政府におきましては、この機関加盟して国際保健事業への積極的協力をいたしますることは甚だ有意義であると認めまして、かねて加盟手続を進めておりましたところ、本年一月十五日連合国最高司令部から覚書を以ちまして、この加盟申請して差支えない旨を申越して参つたのであります。これによりまして二月六日世界保健機関事務局長に対しまして加盟申請書送付いたしましたところ、二月二十八日附を以てこの加盟申請を受領したこと及びこの申請は来る五月七日からジュネーブで開催されます保健総会に提出される旨の通知を受けたのであります。この総会過半数によりまして我が国加盟承認されますならば、我が国はこの憲章受諾して保健機関加盟国となり得る状態となるのであります。この場合には世界保健機関憲章受諾することといたしたいと存ずる次第でございます。  なお国会の御承認を経まして受諾手続を速かに進めますときは、我が国国際社会への復帰がそれだけ早く一歩を進めることになりまするのみならず、来たる五月七日から開かれます保健総会に出席を予想されております我が国オブザーバーは会期中にその場で正式代表となり討議に参加し又投票権を行使し得る可能性も出て参るのであります。これが本件を提出いたしまして、御承認を求めたいと存じます理由であります。
  27. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御質疑がありましたら、この際御質疑をお願いしたいと存じます。
  28. 杉原荒太

    杉原荒太君 只今理由の御説明並びに頂いております説明書を見ますというと、今度の我が国加盟手続の問題でございますが、第六條とそれから十九章のことで、殊に十九章の七十九條ですが、これに基いて加盟するという解釈の下に進められておるようでございますが、この点は非常に御研究の結果だと思うのですけれども、この憲章條文を見ますというと、第四條、第五條、第六條と比較対照して見ますと、日本の場合どうしてもこの六條の適用を受けるということは明らかだと思うのですが、むしろ第六條のみによつて加盟することになるように読める。第四條と第五條には特に第十九章の規定従つてというのがあるのに、第六條にはそのことが規定してない。そうするというと、日本の場合は第六條のみによつて加盟国として認められる。改めて第十九章の受諾手続というようなことをしないでも、加盟国としては、この「保健総会単純過半数投票によつて承認されたときは、加盟国として認められる」、加盟国地位を獲得する、加盟国権利義務がそのときに発生するというように解釈されると思うのですが、その辺のところを……、今政府提案説明の中にもあるような六條と十九章の関係に関する解釈は何と申しますか、保健機関のほうで認めた解釈でございますか。
  29. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 御質問の点は保健機関の公的な解釈でございます。現に最近事務局長から日本政府宛公信が参つております。日本加盟申請議題にのせるごとにした。それで今度の総会可決なつた場合には、日本政府憲章正式受諾書国連事務総長に寄託して欲しい。そのあと日本から出ているオブザーバーは正式の代表となるであろうということを注意して来ております。これと同じ方式は国際連合その他国際連合専門機関の構成を規定いたしております各憲章には共通に採用されております。言い換ればその機関によつて加盟可決されるという一つ條件と、もう一つは各締約国憲法手続によつて憲章加盟又は憲章受諾手続をとるという二つの條件が具わつたときに、加盟は正式に効力を生ずる、こういうことになつております。
  30. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ほかに御質疑はございませんか。
  31. 杉原荒太

    杉原荒太君 そうしますと、つまり加盟申請書を出したということは、まだ厳密な意味における條約の加盟行為の一部じやないのですね。事前のつま一種の申込的のことですね。
  32. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) そうです。
  33. 杉原荒太

    杉原荒太君 そうしますると、つまり今度受諾書を正式に出すときは、ここで若し承認になれば勿論その必要はないし、憲法上から申しますと、事前承認という意味なんですか。
  34. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 杉原委員のお考えの通り、これは全く事前承認手続をとつております。本当を言いますと総会可決せられたあと承認手続をとりましても、これは事前承認手続でございますが、可決を待つておりましては、国会閉会に入る可能性が強いように思いますので、大体可決になる見込が確実でございまするので、承認手続をとつて頂いておるような次第であります。
  35. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ほかに御質疑はございませんか。
  36. 曾禰益

    曾祢益君 只今お話だと、若し万一、過半数が得られなかつたということになると、どういうことになるのですか。国会加盟の意思を決定したけれども、それは條約に対する承認ではなくなるのですか。
  37. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) そういう事態が発生しないことを希望いたす次第でありますが、仮にそういう事態が発生したとするならば、政府といたしましては、国内手続上この憲章加入手続が完了いたしておりますので、次の総会に再び日本加盟問題を取上げて頂くという方向に努力いたしまして、正式加盟に努力する、こういう方向に行こうかと思つております。
  38. 曾禰益

    曾祢益君 只今外務次官お話で、加盟したいという政府の御希望はわかつたのですが、加盟することによる直接的な権利及び義務というような点について、若干御説明を願いたいと思います。
  39. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 私どもは専門的な立場なり、或いは外交的の立場なり、両方面があろうと存じますが一いずれ専門的な立場は、厚生当局からお話し願うことにしまして、これに加盟いたしますると、負担金を負担せんならんというのが先ず第一の問題だと存じます。勿論憲章加盟しますると、総括的に申しましたら、憲章精神に則つたいわゆる世界保健機関加盟国としての十分なる義務を負いながら、その目的達成協力して参りますることは勿論でありまするが、直接的には先ず負担金を出して参らねばならん、負担金について、これは大体本年この総会において加盟いたしますると予想いたしますると、日本負担金……、その国の国民所得を大体基準にして割当てておるようでありますから、一九四九年の安本の国民所得基準に考えますると、その率からずつと計算して参りますると、大体全体の費用の一・七三%くらいの日本負担割合になりまして、それでそれを計算いたしますると、このWHOの収入総額が七百八万九千二十五ドルということになつておりますので、その一、七三%が十二万二千六百四十ドル、邦貨に換算しますと、四千四百二十七万余円という負担金というのが一つ義務だと存じます。その点一般的なことは、先に申上げました十分憲章精神従つて世界保健協力をして行くことが当然であると考えます。その後、いろいろな専門委員会があり、その専門委員会等を通じまして、世界保健に対する十分なる協力、知識の連絡というような便宜が与えられて来ると思います。
  40. 曾禰益

    曾祢益君 まあかなり高い保険料みたいなものですが、そこで例えば極東の地域的なオーガニゼーシヨンなんかもあるようですが、そういうところと連絡することによつて国内保険防疫等に非常にまあプラスがあるというような御考慮がおありなのかどうか。世界保健事業協力するのは、これは趣旨は結構なんで、誰も異存はないと思うのでありますが、日本現状から見て、やはりギブアンド・テークのところが相当はつきり現われて来ることが必要だと思うのであります。非常に露骨な質問かも知れませんが、極めて専門的にならなくてもいいのですが、そういつたような日本保健防疫上非常なプラスになる、国際協力受益人側のほう、日本のほうとしては……、受益の点について少し伺いたいと思います。
  41. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 厚生省の係官のかたがおられませんので、私が代りまして、厚生省から頂いております資料によつて説明申上げます。大体の要点は、この保健機関に加入することによつて日本保健上どういうふうな実益があるかという点であろうかと思います。第一にこの点から申しますと、疾病が外国から我が国に侵入して来る虞れがある場合には、早急にそれを知りまして、対策を講ずる必要がごいますが、この保健機関はシンガポールに流行病情報局を持つておりまして、そこからインド洋、西太平洋に面する諸国のためのいわゆる流行病に関する情報を刻々配布しております。又保健機関の本部でも、全世界のために、全世界におけるいわゆる流行病に関する情報を刻々送つておるのであります。ラジオ、無電、文書によりまして……。従つて加盟すれば当然その実益を受ける。これは保健行政機関としましても、流行病対策上非常に有益な利益を受ける、こういうことになるようでございます。  それから第二といたしましては、疫病の蔓延が非常に甚だしい場合、又は風水害、地震などがありました場合には、それに伴いまして疫病が蔓延する可能性が非常に多いのであります。こういうときには加盟国政府の要請に応じまして、直ちに保健機関のほうで薬品、それから医師、看護婦などを派遣するという事業をやつております。又これが例えばアフガニスタンビルマに発疹チフスの流行を見たことがあるそうでございますが、そのときに保健機関のほうから多量のワクチンをアフガニスタンビルマに送つておるそうであります。又最近ペルー、エクワドルに地震がありましたときにも、薬品保健機関から送付しておるということがあつたようでございます。  第三に全世界の医学的、薬学的研究、それから衛生行政組織に関しまして、最も優れたその業績につきまして情報を得ることができる。結局それによつて我が国保健行政研究組織などの点について、有益な刺戟を受けるということが考えられるわけであります。  第四にはこの機関加盟国保健技術者養成のための奨学金の制度を設けております。まあそのほか技術顧問を派遣する、加盟国におきます研究所、教育施設の助成を行なつておるようであります。だからこういう部面につきましても、将来日本はいわゆる技術的な援助といいましようかを受ける可能性がある、こう言えると思います。最後は、アジア諸国に対します医薬品を供給するために、保健機関から日本の医薬品を買いたいというような申出があるということも又予期されるわけであります。この点もそうなれば我が国保健衛生の発展のためにもすばらしいと、こういうことが言えると思います。  それから総括的には、この保健機関におきましては保健に関する限り、国際的に適用することのできますような統計方法だとか、又は病気の名前だとか、ペニシリンとかストレプトマイシンなどの薬品基準と申しましようか、そういうものを国際的に制定する事業をやつております。で日本加盟しますと、用具だとか薬剤の基準その他について、国際並みのものが結局作れると、そういうことになれば日本国内だけでなく、国外に対しても信用をそれだけ増して行けると、こういうことになりましよう。例えばこういう例があるそうであります。日本ではスカンジナビア諸国と共に、結核予防対策としてBCGの注射というものを非常によくやつておる国だそうでございます。ところが日本の統計方式が国際的方式に則らないが故に、その立派な日本の業績を海外に紹介するのに甚だ不便を感じておる。一つこういうふうな保健機関加盟しまして、保健機関の採用している統計方式というものを取入れて、日本におきまするそういつた業績を発表すれば、それが直ちに日本保健部面における進歩が同時に国際的に紹介されるということになれば、この面から見ても保健行政一般に対する非常な刺戟になる、こういうような実利があるのであります。
  42. 曾禰益

    曾祢益君 只今お話でまあ有形、無形にいろいろ利益があるということがわかつたのですが、やはり日本の防疫の対策、或いは医薬界の発展からいつても、極東の各国との関係が非常に重要だと思うのですが、現に、この大十数カ国入つておるということでしたが、大体朝鮮、これは韓国でしようが、それから中国、それからその他の極東の日本の附近、南洋の諸国は全部入つておるのでしようか、どうでしようか、加盟国として……。
  43. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 保健機関世界で六つの地区に分けております。日本はそのうちの西太平洋政区ということになつておりますが、この西太平洋地区はオーストラリア、中国、日本、韓国、フイリツピン、ニュージーランド、マレー、その他の英領土、ベトナム、カンボジヤ、ラオスとこうなつております。この今申上げました諸国のうち、中国は一旦加盟いたしておりましたが、昨年でございますか脱退いたしました。それからマレーその他の英領土はまだ加盟いたしておりません。
  44. 曾禰益

    曾祢益君 中国は加盟して脱退した。それから勿論中共はまだ入つていないのですね。
  45. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 中国政府、いわゆる台湾におります国民党政府でございますが、これは昨年の五月五日に脱退の通告をいたしております。その数日遅れまして五月十二日に中共政府のほうから事務局長に対しまして国民党政府保健機関に参加する資格がないということを通報いたしております、従つて中共政府は参加していないのであります。
  46. 曾禰益

    曾祢益君 インドネシアとか、それからインド、パキスタン、セイロン、皆入つておりますか。
  47. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) セイロンも入つております。インドネシアも入つております。セイロンは一九四八年七月に、インドネシアは一九五〇年に入つております。第六條によつて加盟しております。
  48. 曾禰益

    曾祢益君 インド三国、インド、パキスタン、セイロン……。
  49. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) インド、パキスタン、セイロン……。インド、パキスタン加盟しております。併し只今申上げましたのは、インド洋地区のほうに入つております。西太平洋地区のほうではなく……。
  50. 杉原荒太

    杉原荒太君 入るということは非常に結構でありますが、その條約に入つた以上、どうしてもやはりこれをちやんと守つて行くことが必要なわけですが、いろいろあとから何だかんだというようなことのないように、ここにいわゆる大体決めたいろいろの條文の下に日本は自信を持つてついて行けるという、そういう自信は持つておられますか。勿論おありでしようが、ここでいろいろこの保健総会で規制をきめて、それが効力を発する、勿論例外はあるようですが、この二十二條にこれを「拒絶又は留保を通告した加盟国に対しては、この限りでない。」ということになつておるわけですが、ここでどうしても守れんようなものは規則の適用を防げるわけですけれども、ここの二十二條の但書に、「但し、通告中に述べた期間内に事務局長に拒絶又は留保を通告した加盟国に対しては、この限りでない。」、つまり効力を生じないということになるのですが、ここの留保、これは裏から言えば留保は認めんという趣旨に解するのか、それとも留保したら、その留保は認められて、それ以外の分は効力を発生するのか、これはどつちですか。この字句からすれば、むしろ留保は認めんということに逆にとれるようですがね。留保した国に対してはこの限りでない、つまり効力を発生せん、こういうふうに解釈できるようですが、どつちですか。
  51. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) その点は、その上にあります拒絶というものと対照して解釈すべきものと思つております。拒絶又は留保を通告した加盟国に対しては、拒絶の場合には規則全体について拒絶するのでありますから、無論規則全体が通告をした国に対しては効力を生じない、留保というときには、その一部についてこれでは困るから適用できないということで留保すれば、留保した分についてはその国については効力を生じない、こういうふうに解釈すべきものと思つております。
  52. 杉原荒太

    杉原荒太君 それから大分細かい点ですが、今日は厚生省のかたがいないけれども、私はこれを読んで見ると任務の中に(a)、(b)、(c)、とずつとたくさんあつて、(m)のところに精神的健康云々とありますが、これはどういうふうなことを指しているのですか。
  53. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 厚生省資料によりまして御答弁申上げます。精神衛生という問題につきましては、保健機関は第二回総会によりまして精神衛生専門委員会というものを設けているようであります。それによりますと第一に各国政府、技術的施設、実務団体などから情報を収集してそれを評価、分類、配付する。第二に、各国政府の要請に応じて顧問を派遣しその施設を調査し、勧告をなす。第三に、精神病学者、診断心理学者、精神関係の社会事業家、看護婦などの訓練などのために奨学金を与える。第四にゼミナール及び研究グループを設けるということをやつておるそうであります。又この機関は国連の社会委員会に対しまして、犯罪の防止、犯罪人の取扱、刑の宣告前の罪人の精神病学的検査に関します技術的な報告などを提出しておるようであります。これによりますと、どうも精神関係事業のように了解されます。
  54. 杉原荒太

    杉原荒太君 ちよつと念のためにお伺いしますが、第六條の中に、この機関と国連との間の協定の條件に従うことを條件としてとありますね。あれは別にあの協定とのものに日本がすぐ当事国になるという意味じやないのですか。
  55. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) ここに言つております協定は、お手許に参考として差上げました国際連合世界保健機関との間の協定、これを指しております。この憲章は第六條に予見されましたような諸国、即ち国際連合加盟国でもないし、又一九四六年にこの憲牽を作成しました世界衛生会議オブザーバーを出すことを承認されなかつた国でもない国々が、この機関加盟するについてはどういう條件を附すべきかというその條件は、この協定の中に規定しようという考えで作られております。ところが国際連合とこの機関との間に締結されました一九四七年九月十五日の協定によりますと、何らの條件規定しなかつたのであります。ですから、実際上は條件従つて憲章にはありますけれども、その條件は現存しないというのが実態でございます。又御質問の第二の点、この連合と機関との間の協定、これはもう全く連合と機関の両者の協力関係を設定した取りきめでございまして、日本がこの保健機関加盟することによりまして、この協定とは何ら法律的の関係は生じないと考えられます。協定それ自身は連合と機関との間の協力関係を設定しておるものであろうと思います。
  56. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ほかに御質疑はございませんか。
  57. 杉原荒太

    杉原荒太君 この保健機関は、その任務を遂行するために特権とか免除を享有する。そうしてそれは具体的には別に又協定で取りきめると、こうなつておるわけですな。これはいずれ改めてできることで、日本の場合でも予想しておるわけですな、よその国の間で何かこういうものができておりますか。
  58. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) こういう協定ができておりますのは、私どもの承知している範囲内では、国際連合本会についてだけはできております。これは国際連合の享有する特権、免除についての條約というものがございまして、これははつきりときまつておりますが、その他の専門機関につきましては、こういうふうな規定がありますがそういう條約はまだ現実にできておるものはないように了解いたしております。
  59. 曾禰益

    曾祢益君 これに加入しますと、本部とかそれからシンガポールあたりに常駐的に職員なりを瞬くことになるのですか。
  60. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) この機関に加入しますれば、この機関の事務局乃至は地方的事務局の中に邦人が職員として入ることができるかどうかという問題でありますが私どもは現在のところでは入り得る可能性があるという程度のことを考えておるだけでございます。まだ具体的には取上げておりません。
  61. 曾禰益

    曾祢益君 そういう場合には、こういう職員等の給与機関のほうが持つのですか。別の、日本政府の予算を要するのですか。
  62. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) これは協定にもありました通り機関のほうで俸結その地は払うことになつております。
  63. 曾禰益

    曾祢益君 最後にちよつと、これは主として厚生省の所管事項だと思うのですが、いろいろ日本の、何と言いますか、お医者さんの団体とか、或いはそういう民間団体のほうの意向でも非常に賛成しておるというようなあれなのか、その点はどうなんですか。
  64. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) その分野におきまする保健機関の認識というものは、まだ十分でないように認められるそうであります。この機関の真価を知つておられるかたがたは非常に関心を持つているのであります。
  65. 團伊能

    ○團伊能君 第二條の任務のところによりますと、この管掌事務は大体におきまして今曾祢君が言われたような厚生省の問題でありますけれども、これは非常な大きな点でもあり、又調査報告のようなのは相当国家的にやらなければできないようなものがありますが、これに加盟することによつてこれを実施する何かの機関をこちらでお作りになるお考えがありますか。
  66. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 現在の厚生省で十分にやつて行ける自信を持つておるそうであります。
  67. 團伊能

    ○團伊能君 わかりました。
  68. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ほかに御質疑はありませんか。ほかに御質疑もないようでありますから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  69. 曾禰益

    曾祢益君 これはかなり広汎な問題なんですが、さつきの政府の御説明だと五月の総会オブザーバーを出すそのときまでに国会が通つておればいい。そうすると三月中に通して欲しい、そうでないと非常に困るのだということなんだと思うのですが、若しそうでなければ、これだけ大きな問題を、厚生省の人も呼ばずに簡単に通してしまうことは、ちよつとどうかと思うのですが、特に緊急に通して欲しいのかどうかという点についてもう一遍伺つてから御決定願いたいと思います。
  70. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) これは先に申上げましたように、五月七日に、すでに総会の期日もきまつております。日本からもオブザーバーを出すことを要請されております。又出します場合にはこの国会の御承認を頂いて、日本政府が正式に国際連合事務局長宛に承識加盟の通知をして且きますと、すぐにその手続ができまするから、願わくば早く御承認一つ頂きたい。かように存じております。
  71. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 如何ですか。
  72. 曾禰益

    曾祢益君 原則としてはもつと慎重に審議をすべきものだと思いますけれども、只今政府の立場を考えまして質問を打切ります。
  73. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは質疑は終局したものとして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないものと認めて討論に入ります。……別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものとして、採決することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは世界保健機関憲章受諾することについて承認を求めるの件について、本件に対する承認を与えることに御賛成のかたは御挙手を願います。    〔総員挙手
  76. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 全会一致と認めます。よつて本件は承認を与えることに決定をいたしました。  委員長口頭報告本案の内容、本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告することとして、御承認を願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。  それから多数意見者の御署名を願います。     多数意見者署名     団  伊能  曾祢  益     徳川 頼貞  野田 俊作     杉原 荒太
  78. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御署名洩れはありませんか……。御署名洩れなしと認めます。   —————————————
  79. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ちよつとお諮りいたしますが、請願陳情とを片付けてしまいたいと思いますが……。三十分くらいで片付くと思うのですが……。    〔「勉強しましようや」と呼ぶ者あり、笑声〕
  80. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは第千三百十四号、仏印戦犯者助命に関する請願野田俊作さんの紹介ですが、専門員より御説明を願います。
  81. 久保田貫一郎

    専門員(久保田貫一郎君) それでは御説明をいたします。本請願は、野田先生の御紹介でございまして、提出者は、元仏印における日本軍の司令官でありました土橋元中将でございます。その要旨は、仏印においては去る昭和二十五年の初めに戦犯に関する裁判を全部終了して、死刑の判決を受けたものは四名ありましたが、それを除いて全部同年の六月上旬に内地に帰還して、巣鴨で服役しているわけであります。ところが死刑の判決を受けた四名のものは、今でも異郷の地で囹圄の人として淋しく刑の執行を待つている。終戦までこの四名の者を自分の部下として一緒に働いていた自分としては、曾つての部下がこういう境遇に陷つていることを思うにつけても、立つても坐つてもおれない焦慮に悩んでいる。そこで仏印における戦犯については日本国民の深い反省をここに表明して、この四名の死刑囚に対する助命の嘆願を当局に伝えて頂くように、是非国会の御協力を願いたい。従来国会におかれましても種々嘆願をお取次ぎ下され、又救恤品の御配慮も賜りまして、誠に感謝しておる次第でありますが、ここに重ねてこの四名の死刑囚に対する助命の嘆願を当局に、国会の御同意によつてお届け頂きたい。そういう土橋元司令官の請願でございます。
  82. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 本件に対する政府の御所見を伺いたい、
  83. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 外地になお服役いたしておりまする戦犯者の助命に関します問題につきましては、従来からしばしばお答えを申上げておりまする通りでございまするから、十分御了承を願つておることと思いますが、只今請願千三百十四号の御趣旨も全く同感に存じます。今後におきましても府政は十分その請願趣旨を考慮いたしましてできる限りの措置はとつて参りたいと存じます。
  84. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) お諮りいたします。本請願を採択し、本院の会議に付して内閣に送付することに決定したいと存じまするが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) さよう決定いたします。  次は千三百十五号、比島戦犯者助命に関する請願であります。専門員から御説明を願います。
  86. 久保田貫一郎

    専門員(久保田貫一郎君) 本請願は長野県の藤森さんほか二千六百三十三名の署名捺印を以て提出されたものでございまして、紹介議員は棚橋先生でございます。その要旨は、講和が目前に迫りまして、国民は非常に弄んでおる一方、終戦後五カ年、南方諸地域に戦犯として獄舎に繋がれ、殊に死刑の宣告を受け、鉄窓に坤吟しておる者のことを考えますると、誠に憐憫の情に堪えないものがあります。これらの人々はその犯した罪は一部は日本国民全体の罪を一身に引受けたと言つてもいいという考え方もできるわけでございまするし、又裁判のやり方もときには一方的であり、又は人違いであつたというふうなことも実例としてあつたようでございまして、今までそれぞれの手続をして嘆願をいたしましたけれども、その効果は遺憾ながら我々の期待しておつたようではない。そこで又最近フイリツピンにおきまして、処刑が実施されるという噂を聞いて我々は膿を潰しておる次第であります。そこでこの署名運動を起して、この二千数百名の署名を附してこれらの人々の減刑又は助命ということの運動を起したのでありまするけれども、それを達成する最もいい方法として、比島国民の理解を得たいという念願から願わくば、若しできるなれば日本国会は特別使節団を組織して、南方並びに比島に送つて、大統領並びに比島国民諸氏に対して日本国民の陳謝の念を伝えて、そうしてこれらの人々の助命減刑を達成するように、国会の御助力を願いたい。こういう趣旨でございます。
  87. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 本件に対する政府の御所見を伺いたいと思います。
  88. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 比島におりまする戦犯者なお百余名、或いは死刑、或いは無期、有期となお現在服役いたしておられますが、この問題につきましても従来しばしば御答弁或いは政府の意見等を申上げました通り、終戦以来熱心に、これが或いは内地服役或いは減刑等につきまして、国民の総意を酌んでそれぞれの方法を熱心にとつて参りましたが、現状只今のような状態であります。今後におきましても先ほど申上げました仏印等におきまする問題と同様、政府はでき得る限りの方法を以てその処置を進めて参りたいと存じますが、ただ国会からこの減刑等について使節を派遣されるということは、現在の段階におきまして必ずしも妥当ではないのではないかと存じます。まだ他の方法によりまして日本国民の現在の正しい感情等がフイリツピン国民或いは当局に伝わりますような方法をおとりになることが適当と存じます。国会から使節を派遣するという点につきましては、私ども如何かと存じております。その点を除きましては十分御趣旨の点を酌んで、政府といたしましても今後も努めたいと存じます。
  89. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) お諮りいたします。本請願に対しましては、国会から使節を派遣してというこの点だけを除外いたしまして、そうしてあとは本会議の議に付して、そうして内閣に送付するということに決定したらば如何か、こう考えますが、御異議でございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それではさよように決定をいたします。  次は千二百二十七号、平和促進に関する請願野田さんの紹介ですが…。それでは専門員。
  91. 久保田貫一郎

    専門員(久保田貫一郎君) 野田先生の御紹介でございまして、日本キリスト教団の小崎道雄さんからの請願でございます。要旨は終戦後五年の星霜を閲しましたけれども、今なお内には人心の不安、道義の頽廃極度に達し、外には国際間の紛争いよいよ募つて戦雲を呼び、遂に動乱は隣邦朝鮮を襲つて世界を挙げて新らしい戦争の危機に脅かされておりますので、キリスト教団では昭和二十五年十月二十五日から二十七日まで開会された第六回教団総会において、別紙のような平和促准に関する決議案を採択しましたので、どうか参議院におかれては篤と愼重御考慮を願いまして、この決議案の趣旨の達成に御配慮あらんことを願いたい、そういう趣旨であります。その平和促進に関する決議案は、ちよつと簡単に要旨を読んで見ますと、「一、われらは、一日も早く講和で約が締結せられて、国際社会の交誼に入る事を得るように、自粛自戒してその促進を祈り、且つ努めること。」、第二は「基督に於て一つなる世界教会の基盤に立つて、国際精神を深め、世界市民としての教養に努めること。」第三、「凡そ紛争動乱の誘因たるべき政治的、経済的、文化的、社会的不平等を排除し、人類階級のいかんを問わず、各その所を得させるために努力すること。」、第四、「文化的平和国家の確立のために、新憲法に於ける戦争放棄の精神をわが国是として堅持し、軍国主義の再燃を誘発するような危険を防ぐために、具体的方策を講ずること。」、第五、「原子力時代の科学知識を、集団的殺戮の具に供する代りに、福祉増進のために適用せしめて、欠乏なき世界を実現させるよう、国内的にも、国際的にも、努めて科学の人道化を推奬すること。」、第六、「内外の基督教平和諸団体と、互いに連絡提携して、平和運動の推進を図ること。」、第七、「本決議の趣旨の徹底を図り、われらの意図を貫徹するために特に強力なる委員会を設けてその実行に当らしめること。」これが決議の全文でございます。
  92. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 政府の御所見を伺います。
  93. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 世界の平和を念願しまするために、各機関或いは団体或いは宗教団体等がおのおの活撥な御活動をなされることは、政府といたしましては、何らこれに所見を申上げる立場ではないと存じております。ただその中にもありましたように、或いは経済的、政治的、いろいろな意味からいたしまして今の決議の内容に対するいろいろ所見を申上げることは差控えたいと存じまするが、ただ世界の平和擁護の運動の上におきまして、或いは原子爆弾を禁止するとか、いろいろな点において共産主義運動の一環としてなされておる形が強く現在見られております。従つてこういう点に対する件は十分考慮に入れて進むべきものではないか、中和擁護という言葉の内容の半面に、現在の対立世界の、むしろ激化という一つ方向にこれがとられておる場合が多々ありますので、その点を十分国民の理解を深めておきたいということだけ附加えて申上げておきます。
  94. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 政府の御所見も御尤もと存じますが……。
  95. 曾禰益

    曾祢益君 これは一体請願の体をなしているのですか。自分の団体で何か決議をして、建議というような趣旨はあるかと思うのですが、特に国会がどういうふうにする、或いは国会から政府に廻してどうしろということでもないようですが、野田先生に対して申訳ないのですが、請願なんだか建議なんだか。報告書なんだか、何だかわけがわからない。
  96. 野田俊作

    野田俊作君 私も拝見してそう思いました。
  97. 久保田貫一郎

    専門員(久保田貫一郎君) 先ほどの説明に附加えまして、請願の本文の長後のところをもう一度読んで見ます。「別紙添附のような平和の促進に関する決議案を採択いたしました。国家にとつて誠に重大な問題であり、国民挙つての要望するところでありますので、参議院に於かれて特に愼重なる御考慮と特別なる御盡力あらん事の熱望に堪えず、ここに請願いたします。」
  98. 野田俊作

    野田俊作君 これは本当にキリスト教のほうです。小崎道雄君は私の親友ですが、先ほど草葉政務次官の御心配のほうでないほうなんです。(笑声)
  99. 曾禰益

    曾祢益君 政府の言われた思については、もとより偽平和運動とまぎらわしいものであつたならば、共産党のようなのは、これは確かにいけないことですが、まあ身元も確かなようですから、請願ならば受理するとして差支えない。
  100. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは如何ですか。よくわかつていることですから、この請願は、採択するということだけは採択して、そうして本院の議に付するということだけで行つたらどうですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それではさように決定いたします。  それから第千三百三十六号、講和條約に関する請願
  102. 久保田貫一郎

    専門員(久保田貫一郎君) これは藤原先生の御紹介でございまして、岐阜県の伊澤さんほか五百五十大名の署名捺印が付いております。要旨は、講和会議が近付きましたので、人権擁護世界宣言に基いて国際連合国側に左の三点を要望されたいという請願であります、その三点は、第一は未帰還邦人の完全送還、第二、日本人の海外移住門戸開放、機会均等、第三、在外私有財産の変換。
  103. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 政府の御所見を。
  104. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 講和その他に関しまする連合国と申しまするか、こういう方面に国民のいろいろな希望、意見を申されますにつきまして、政府は決してかれこれ申上げる立場ではないと存じます。ただ只今の三項目の中で、日本国民の海外への移住、門戸開放、機会均等という一種の大きなる移民その他の問題つきましては、よほど愼重な態度をとつて参りませんと、講和を前にいたしました日本国民の真意を、或いは十分に理解され得ない逆効果を来たす慮れがある場合もあろうと存じますので、その点を政府として一言申上げて、あとの問題につきましては国民の御所見に対しまして、かれこれ申上げる筋合いではないのであります。
  105. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 本件に対します御意見はございませんか。
  106. 曾禰益

    曾祢益君 大して差支えないのでしよう。異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは本請願を採択することとして、議院の会議に付して内閣に送付することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) さよう決定いたします。  次に、第二百五十一、号、小笠原島住民の帰郷促進に関する陳情であります。
  109. 久保田貫一郎

    専門員(久保田貫一郎君) 本陳情は、東京都議会の議長石原さんの提出でございまして、要旨は、小笠原島の住民の小笠原島への帰還については、昭和二十二年の十月、米国並びに英国系の日本人住民約百三十名が帰還を許されましたけれども、現在やはりそのほかの者、大体六千名がまだ内地に残つておりまして、帰島が許されておらない状態でありまするが、同じ東京都民として、これらの島民の窮状と、帰心矢のごとき心情に対しては、万斛の同情を禁じ得ないものがありまするので、これらの小笠原島民の小笠原島への帰還が円滑に促進されるような適切な措置と特別の御霊力をお願いいたしたいという趣旨でございます。
  110. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) どうぞ政府の御所見を。
  111. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) この陳情の御趣旨につきましては誠に御尤もであり、政府といたしましても衷心より御同情に堪えないと存じます。今後におきましても十分陳情趣旨を酌みまして、関係方面にもこれらの趣旨を十分徹底いたしますように処置をいたして参りたいと存じます。
  112. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 本陳情は選択して、本院の会議に付し内閣に送付することに御異議でございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ではさよう決定をいたします。  それから陳情二百六十三号、比島使節派遣陳情であります。
  114. 久保田貫一郎

    専門員(久保田貫一郎君) これは山形県の米沢市長高橋さんほか一名の提出せられましたものでありまして、その趣旨は目下フイリツピンのニュービクビット収容所に抑留されております山形市出身の元陸軍中尉濱田義男さん、このかたは終戦直前に応召いたしまして海上輸送中、輸送船が沈没しまして、辛うじて比島に上陸、勤務に従事していたところ問もなく終戦となつたものでありますが、不幸にしまして同姓異人である濱田三郎さんと人違いされまして、軍事裁判の結果、第一審も第二審も死刑の宣告を受けております。この判決が人違いであつたことは現地におつたたくさんの人々によつて証言せられておると聞いております。又その証拠、書類も比島の当局提出されております。留守家族としましても、この濱田義男さんは奥さんのほか、老父母並びに幼少な子供さんがたくさんおりまして、毎日夫、父の冤罪が晴れて無事に帰れるのを祈つておるような次第でございます。それから奥さんの嘆願書もここに付いております。そうして特にこの一月十九日に比島におきまして一部処刑の執行がありましたので、一層心を悩ましておるという実情ででございます。こういう事情を御賢察の上で、比島派遣使節としてこの事情に最も詳しい衆議院人事委員長の田中伊三次先生とほか一名を成るべく速かに使節として比島に派遣いたされたい、その旨市会の満場の一致の決議を以てお願いする次第でありますという要旨でございます。
  115. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 政府の御所見を伺います。
  116. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) この陳情二百大十三号の御趣旨は、実は前々から外務省といたしましても陳情を受けておりまして、誠に御同情に堪えない次第であります。それで必ずやその真相は比島におきましても正しく明るみに取上げられて、それぞれ適正なる処置がなされることを実は楽しみにいたしておりますが、従つてそういう意味におきまして日本政府といたしましても、できるだけ方法を講ずることが当然でありますが、ただ最後のお話比島に使節を派遣して、そうしてこの問題の解決に当りたいという点につきましては、先ほどの場合も申上げましたように、これが関係方面で許可をされるかどうかという点に対しましても、相当私どもはつきり申上げかねる状態でありますので、むしろ先に申上げましたような他の方法によりまして十分進めることが、この際ば妥当ではないかと考えております。
  117. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 本件についての御意見はほかにありませんか。
  118. 曾禰益

    曾祢益君 今政務次官が言われた通りで、方法論としては国家的の使節ということは適当でなく、その点はあれして、嘆願の趣旨だけを採択するということにしたらどうですか。
  119. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは今の曾祢君の御意見のようなふうに取扱うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ではさよう決定いたします。  次に第二百六十四号、在外事業資産返還に関する陳情であります。
  121. 久保田貫一郎

    専門員(久保田貫一郎君) これは海外事業戦後処理協議会長の藤山愛一郎さんからの陳情でございまして、先般ダレス特使が参りましたときに、我々のように終戦前に外地で諸般の事業に従事しておりました商社の海外事業資産の返還方につき陳情書を出しておきましたが、参議院におかれましても、我々の海外事業資産の返還に関する願意をお酌み取り下されて、従来の講和條約による国際慣行或いは日本経済再建という観点から、我々の希望が是非とも達成せられるように何分の御盡力を願いたいという趣旨でございます。
  122. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 在外資産の取扱につきましては、従来からもしばしば熱心な御要望がございますが、講和條約におきましてどういう内容によつて決定されますかは実は今後の問題でありますから、政府といたしましては十分陳情の御趣旨は承わつておくことにいたします。
  123. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 本陳情に対しましては、これを採択し、それから本院の会議に付し、内閣に送付することに決定いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それではさよう決定いたします。  次に第二百六十五号、与湾糖業返還に関する陳情であります。
  125. 久保田貫一郎

    専門員(久保田貫一郎君) これは日本糖業連合会の中村さんほか四名のかたの御提出でございまして、我々旧日本製糖業者は既往の講和條約における国際慣行に照し、日本経済の再建、延いては東亜経済の復興という観点から台湾製糖事業を原所有者である我々に返還されたいということを、ダレス特使に陳情いたしました陳情書が付いておりますが、その趣旨をお酌み取り下さいまして、国会におかれましても是非とも我々の念願が達成するようにお力添えを賜うたいという趣旨でございます。
  126. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 政府御所見を……。
  127. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 御陳情趣旨はよく了承いたしております。ただ在外資産の結局問題になるのでございますが、これは只今申上げましたように、前の陳情におきましても申上げましたように、講和条約におきまして如何ように相成りまするか、まだ決定を見ない今日でございますから、将来の問題といたしまして、十分承わつておくことにいたしたいと思います。
  128. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 本陳情は、本委員会において採択し、本院の会議に付し、内閣に送付することに決定したいと存じますが、御異議でございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) さよう決定いたします。  それから請願第千百八十九号であります。終戦後外地接収船舶返還に関する請願、山縣君の紹介でありますが、専門員から……。
  130. 久保田貫一郎

    専門員(久保田貫一郎君) これは被接収船対策協議会の戸張さんの提出でございます。終戦後外地において連合国に接収されました日本船舶は、私どもの調査によりますと、オランダが二十隻二万六千トン、英国は三十三隻、二万五千トン、フランスが三隻で二千二百トン、フイリツピンが一隻、八百トン、韓国が一隻で八百トン、端数は切捨てました。ソ連は十五隻で四万八千トン、中国が二百四十隻で八万ドン、総計三十三社の船が三百十三隻、総トン数で十八万四千トン余りに上つております。これらの船舶は、戦争中のいわゆる拿捕船とは違つて、戦闘行為終了後、現地の連合国役務の必要上徴用せられたものと解釈できるのでありまして、役務完了の上は、国際法上当然に返還せられて然るべきものと信じております。即ち終戦後の船舶の接収は、決してその所有権の移転ということを意味するものではなくて、船舶の最終的帰属の決定は、今後の問題として我が国と連合諸国との間に取上げられなければならないと考えられます。こういう事情でございますからして、船主三十三社は同一歩調の下に、接収船の返還を総司令部に対して陳情いたしておりまして、その陳情趣旨はすでに米国国務省にも伝達されておると聞いております。つきましては、政府におきましても、これらの船舶の返還有無が、戦時中厖大な船腹を喪失いたしました船主側の重大関心事であり、又日本海運全体のためにも大きな問題であるということをお認め下さいまして、一日も早く船舶が返還されますように、総司令部と折衝その他格別の御配慮を願いたい。こういう請願でございます。
  131. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 政府の御所見を承わります。
  132. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 只今請願の、接収日本船舶の取扱が如何ように相成りますかという問題につきましては、講和條約なり、或いはこれに伴いまして確定されるべき性質のものと存ずるのでありまして、政府といたしまして、これに只今見解を申述べることは差控えたいと存じます。
  133. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 本請願に対する御意見はございませんか。
  134. 野田俊作

    野田俊作君 前同様御採択願つていいと思います。
  135. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは採択をして、本院の会議に付し、内閣に送付することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議なしと認めます。さように決定をいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            徳川 頼貞君            曾祢  益君    委員            杉原 荒太君            團  伊能君            野田 俊作君   政府委員    外務政務次官  草葉 隆圓君    外務省政務局長 島津 久大君    外務省條約局長 西村 熊雄君   事務局側    常任委員会專門    員      久保田貫一郎君