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1951-03-14 第10回国会 参議院 外務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十四日(水曜日)    午後二時二十六分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○国際捕鯨取締條約に加入することに ついて承認を求めるの件(内閣提出、  衆議院送付) ○在外公館等借入金緊急措置に関する  請願(第八三号) ○在外公館等借入金支拂促進に関する  請願(第三八〇号)(第五一〇号)  (第五三二号)(第五八九号) ○比島における戰犯者死刑助命に関  する請願(第六〇七号) ○阿波丸代船取得援助措置に関する請  願(第六一七号) ○講和條約中に日本人移民規定する  の請願(第六八四号) ○小笠原島の日本復帰に関する請願  (第七一九号) ○在外資産の補償に関する請願(第八  七八号) ○在外公館等借入金支拂促進に関する  陳情(第七一号) ○講和條約に関する陳情(第一三八  号) ○海外抑留戰犯者日本内地移管等に  関する陳情(第一五二号) ○派遣議員報告   ―――――――――――――
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより外務委員会を開会いたします。  最初に国際捕鯨取締條約に加入することについて承認を求めるの件を議題といたします。本件に対しまして政府側の御説明を願いたいと存じます。
  3. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 鯨族保護増大目的とします国際協定の締結の必要につきましては、大分以前から提唱されておつたところでありまするが、これに関する主要な條約といたしまして、一九三七年の條約、及びこれを修正した諸議定書がありましたが、我が国は当時国ではなかつたのであります。我が国は当初は準備不十分のために、会議自体に参加することができずに、その後南氷洋で使用された母船北太平洋への転用禁止を保留するというような、保留附で参加しようとするところまで参つたのでありますが、その後の今回の世界戦争の勃発によりまして、沙汰止みと相成つてつたのであります。捕鯨に関し戦後一九四六年十二月のワシントンで行われました捕鯨取締條約が締結されたのでありまするが、今回一月十七日附司令部正式許可がありましたので、我が国国際協力の立場からこれに加入いたすことにいたしたいと存ずるのであります。この條約の趣旨といたしまするところは、従来の捕鯨協定趣旨を一層徹底いたしたものでありまして各国が競うて鯨を濫獲いたしましたため鯨族が死滅に瀕しておることを認め、鯨族捕獲を適当に制限してその増大を図りながら、長い期間亘つて最大捕獲量を維持して行こうとするものであります。これがため特定の鯨の捕獲禁止し、例えて申しますと、こく鯨なりせみ鯨という特定の鯨の捕獲禁止いたしまして、又例えばひげ鯨につきましては南氷洋において十二月から四月まで捕獲をするというような、特定の鯨について特定期間特定の地域に限つて捕獲許可しようとするものであります。これらの禁止又は制限は、この條約と不可分の一体をなしております附表規定されておりまして、條約によつて設定された委員会によりまして、随時変更することができることに相成つております。我が国は現在司令部の覚書によりまして特別の許可特定制限の下に捕獲を営んで参つたのであります。司令部制限はこの條約の制限と殆んど同一のものでありまして、従つてこの條約に加入いたしましても、現在と違う特別の制限を受けることはないのであります。この條約の当時国は、現在イギリスアメリカソ連フランス、オーストラリア、カナダ、フィンランド、ノールウエースエーデン等十六カ国でございます。この條約への加入は、第十條の第二項によりまして、單にアメリカ合衆国政府に対して加入通告をなすことによつて完了いたすのであります。よつて国会の御承認を得ました上直ちに加入通告をなして、この條約の当時国たらんとするものであります。何とぞ十分御審議の上速かに御承認を頂きまするよう、以上簡単でありまするが提案の説明といたします。
  4. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御質疑がありましたらばこの際御質疑をお願いいたします。
  5. 曾禰益

    曾祢益君 議事進行に関しますがどういうふうに……一括して質問していいのですか、それとも逐條的にやるというふうに、どういうふうにしたらいいのですか。
  6. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それではちよつと逐條的応御説明願つて……。
  7. 曾禰益

    曾祢益君 一応御説明願つたほうがいいんじやないか……。
  8. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) お許しを得まして、私のほうから條約の輪郭を御説明申上げます。  この條約は前文と十一カ條條文附表、この三部から成つております。前文捕鯨国際取締制度を設けて、鯨の適当な保存図つて捕鯨産業の秩序のある発展を可能にするために條約を結ぶものであるという趣旨を明らかにしてございます。本文の十一カ條でございますが、それは大別して五つに分けたらよかろうかと思います。第一は総則的な規定でございまして、第一條二條でございます。第一條は、第一項でこの條約がその不可分の一部として附表を含んでおるということを規定いたしております。第二項はこの條約の適用される範囲を規定しております。で、この規定によりますと、締約政府管轄下にある母船鯨体処理場及び捕鯨船一それから今申しました母船鯨体処理場及び捕鯨船によつて捕鯨が行われるすべての水域、この二つ適用がある、こういうことになつております。ですから公海と領海の反別なく適用される、こういうことになります。第二條はこの條約に出て来ます母船鯨体処理場、それから捕鯨船、それから締約政府、この四つの文句の定義を定めております。  第二部類規定は、国際捕鯨委員会の設置に関する規定でございまして、第三條でございます。この第三條によりますと、国際捕鯨委員会は各締約政府が一名ずつ出すことのできる委員会で構成するということになつております。そうして四分の三の多数決で附表規定修正する権限があることになつております。委員会会合吉はその決定するところに従つて招集されることになつておりますが、従来の例によりますと毎年一回七月に招集されることになつております。今年は七月にケープタウンで招集される予定でございます。  第三部類規定は、委員会権限と任務に関する規定でございまして、四條と五條と六條でございます。四條によりますると、委員会は鯨に関する研究及び調査を單独又は適当に団体と共同で行い、その成果を刊行物として発行するということになつております。第五條によりますと、第一項で捕鯨作業を規律する規則を定めております。條約の附表修正委員会随時行い得ること、第二項は修正に当つて考慮すべき指導原理を明らかにしております。第三項はこのようにして行われた修正に対する異議の申立て及び効力発生規定しております。九十日の間締約政府異議申立ての権利がありますが、異議申立てをしないで九十日が経過すれば当然有効に成立するという規定であります。第四項はこのような修正が四九年七月一日以前に効力発生しないということを規定しております。第六條は委員会締約政府に対しまして鯨に関する事項について随時勧告を行うことができるということを規定したものでございます。  第四部類規定締約政府義務に関するものでございまして、七條八條と九條の三カ條でございます。第七條によりますと締約政府は條約が要求する通告、その他必要な資料委員会が定める様式及び方法で国際捕鯨統計局又は他の団体に伝達する義務があります。第八條によりますと、第一項及び第二項は科学的研究のための鯨の捕獲処理等が例外的に條約の適用から除外されることを定めたものでございます。ですから條約の取締規則にかかわらず科学的研究のためには鯨を獲つてよいということになつておるわけでございます。第三項と第四項は鯨の科学的及び生物学的資料の提供に関する締約政府義務に関して規定しておりまして、締約政府が入手し得る科学的資料委員会が指定する団体に送付しなければならないし、又母船及び鯨体処理場作業に関する生物学的資料を得るための措置をとらなければならない。こうなつております。第九條によりますとこれは條約の規定侵犯に関する規定であります。第一項は各締約政府が條約の遵守、それから侵犯を処罰するために措置をとらなければならないことを規定しております。第二項は禁止された鯨の捕獲に対しては仕事の成績との関係で計算する賞與又は報酬支拂つてはならないということを明らかにいたしております。第三項は條約の侵犯があつた場合に、その犯罪につき管轄権を有する政府が起訴しなければならないということを明らかにしております。第四項は各締約国政府が自己の管轄下侵犯に関する詳細を  庫国際捕鯨委員会に伝達しなければならないことを規定いたしております。  第五部類はいわゆる最終條項でありまして、十條と第十一條であります。十條は加入効力発生に関する規定でございます。第十一條は條約からの脱退に関する條項であります。この條によりますと締約政府は前年中に脱退通告を行うことによりまして、その次の年の六月三十日に條約から脱退することができるということになつておりますが、今日までまだ脱退した国は一国もございません。捕鯨取締に関する実質的規定附表に入つておりますけれども、そのほうの説明水産庁長官のほうからお願いいたします。
  9. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 本條約の附表でこの捕鯨事業取締をなしておるのでありまして、その内容につきまして概略御説明申上げたいと思います。  この條約の加入国自国捕鯨母船、又は陸上鯨体処理場政府監督官を配置しまして、條約本文規定する事項のほか、次に申上げるような制限禁止事項等につきまして取締を行わなければならないということに相成つておるのであります。一つせみ鯨及びこく鯨の捕獲禁止しておる條項があるけであります。これは非常に、せみ鯨並びにこく鯨が、過去におきまして長い間濫獲を続けましたため、非常に鯨族保存に支障を来たしておりまするので、これは捕獲を絶対に禁止するということに相成つているのであります。それから次は稚鯨、子供の鯨、一及び授乳期の小さい子供に乳をやつておりまする、子供を連れて歩いておりまする母鯨捕獲禁止しておるのであります。  それから捕鯨母船操業区域に関する制限があるのでありまして、これは南氷洋におきましても、この制限がつけられておるのであり、又捕鯨母船南氷洋操業いたしますると、その同一年度におきましては、その他のところで母船事業は再びやれない、一年内では一回しかやれないのであるという制限もあるのであります。  それからひけ鯨の捕盤期間制限でありますが、これは現在南氷洋操業しておりまする捕鯨母船事業につきましては、十二月二十二日から翌年の四月七日という規定に現在相成つておるような制限があるのであります。又陸上で根拠地を持つておりまする捕鯨事業におきましては、六カ月の間の捕獲期間制限を設けております。  それから普通南氷洋と申しておりまする南緯四十度以南における捕鯨事業では、ざとう鯨捕獲頭数を現在では千二百五十頭に制限しております。こうした南氷洋におけるざとう鯨制限もはつきりときまつておるのであります。それからひげ鯨につきまして、南氷洋におきましては漁期制限があるのでありまして、先ほどちよつと申上、げました十二月の二十二日から翌年の四月七日というのがこの項に該当するのであります。  それからなお、こういう鯨の種類につきまして、体長の制限があるのであります。例えばしろながす鯨におきましては七十フィート以上でなければならないのであります。それからながす鯨が五十五フィート、いわし鯨が四十フィートというような制限が設けてあります。なお鯨体捕獲いたしましても、これを粗末に利用してはいけないというので、完全利用をさせるべく、制限禁止事項がきめられておるのであります。例えば肉類、そうした重要な部門につきましては完全に利用しなければいかんということに相成つております。母船式捕鯨におきまして、捕獲から処理するまでの時間的制限というものもやかましく設けてあるのでありまして、母船式におきましてはキャツチャー捕獲いたしましてから、母船の甲板まで引上げまする時間が三十三時間以内でなくちやいかん、それ以上に亘つては鮮度が悪くなりまするのでここに制限を加えておるのであります。  労務者に対しましての報酬などにつきましても制限を加えておるのでありまして、鯨の種類とか、或いは大きさ、そうしたものにまで関連させて支拂うべきであるというような制限が設けてあります。その他捕獲に関しまして、いろいろ通報を完全に履行しなければいかん報告をいたしまして、そうしてこの立派な統計資料その他のものを作成して、鯨族保護のためにそのデータを利用して行くように取りきめてあるのであります。  以上のほか加入国関係法令の制定、改訂の場合や、捕獲、生産の結果と、委員会の指定する事項をその都度この委員会報告すべく規定してあるのであります。  大体以上が附表につきましての概要であります。
  10. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御質疑がありましたらば……。
  11. 曾禰益

    曾祢益君 参考資料を何か説明して頂きたい。
  12. 十川正夫

    説明員十川正夫君) お手許に差上げてありますこの地図につきまして御説明を申上げます。先ほど説明をいたしました南緯四十度以南の線がここの点線で示してございますが、この線でございますが、これが南氷洋母船式捕鯨の業を営みまする限度になるわけであります。それから更に北のこの操業区域でございますが、この北のほうにアラスカ、それからカムチャツカ半島がございまして、北太平洋の部分がございますが、これはこの二つの線、北緯二十度、北緯三十五度の西経百五十度を以て画されておりますこの線、それから北緯七十二度の線、この間で画されております区域におきましても、母船式捕鯨業が許されますわけであります。でその以外の区域におきましては、母船式捕鯨業は許されないわけであります。なお南緯四十度以南南氷洋におきましてのこの右の隅にあります西経百六十度から以東の区域におきましては、母船式捕鯨業は営まれない区域でございます。大体御説明申上げました。
  13. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ほかに御質問ありませんか。
  14. 曾禰益

    曾祢益君 先ほど政府の御説明で、現状においても総司令部許可條件が、大体この捕鯨取締條約に大体則つておるから、この條約に加入して義務を正式に條約によつて受けることになつても、実質的に変らないという御説明があつたと思いまするが、それは全部の日本捕鯨漁業全部についてそういうことが言えるのであるか、それとも船団南氷洋に送るというようなことについてだけそういう司令部許可があるのか、近海においては自由であるのか、その点どうなんですか。
  15. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 実はこの捕鯨取締條約には加入はして参らなかつたのでありまするけれども、大体捕鯨母船漁業のみならず、内地におきまする捕鯨漁業につきましてもこの国際捕鯨取締條約に準拠いたしまして、大体一同じ内容を以ちまして国内法取締を続けて参つておりますので、改めてこれに入りましても、殆んどそのままやつて行くというような状態になると思います。
  16. 曾禰益

    曾祢益君 それで今度入ることによつて具体的に得になると言いますかね、利益ですね、一般的にこの條約の目的に協力することによつて鯨族を絶やさないというような一般的のものでなくてですね、例えばこの船団の数とかですね、南氷洋に送る……、そういうことについて、條約に入ることによつて積極的の利益があるのですか。
  17. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 先ほど説明がありましたように、この附表によりまして取締事項を決定しているのでありまするが、これは年に一回開催されます委員会によりまして、各国の希望、申入等によつてかなり毎年に変化がございます。そういたしますると、各国から一名ずつ委員が出て参りまして、そうして自国捕鯨業に……、全般的には繁殖保護ということを建前にして、加盟国の一員としてやりまするけれども、やはり各国とも鯨の種類とか、或いは漁期、そういつたものにおのおの特殊性を持つておるものでありますので、例えばイギリス都合が悪いことでも、日本には都合がいいというようなものも中にはあるわけであります。だからそういつた主張をいたしまするには、この附表を改竄いたしまするには、やはりこの委員会に入つておりませんと発言権がない、かようなことに相成りますので、やはり加入することが非常に便利なことが多いのじやなかろうかと、かように考えております。それからまずは、これに加入しなければ好き放題なことをやつてもかまわんじやないかというような御意見もあるかと思いまするけれども、これはまあ只今日本の今後の国際的地位からいたしまして、そうしたやぼなことはできるだけ避けまして、各国と協調して参りたい、かようなことを考えますると、やはり加入して置いたほうが非常に有利であるのじやないか、かように考えます。
  18. 曾禰益

    曾祢益君 積極的に加入利益についてはつきりわかつたのですが、只今例えば南氷洋において或る種の鯨の一年の捕獲量制限がございますです ね。そういたしますると、それはどういうふうにして委員会によつて確保するのか、即ちそれは各国と話合いによつて委員会のきめた頭数を割当てるのか、或いはその船団の数とか、キヤツチヤーポートの数というようなことをきめてやるのか、どういうふうに現実に御裁量になるか、伺いたいと思います。
  19. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 実は南氷洋捕鯨で申しますると、南氷洋捕鯨では先ほど申上げました十二月から四月の間が漁期になつておるのでありまするが、総漁獲高制限してあるわけであります。それは具体的に申上げますると、一万六千頭ということになつておるわけであります。それは而も内容を掘下げて行きますると、しろながす鯨と申しまして、まあ現在は一番大きな鯨の種類でありますが、これの大きさに換算いたしまして、小さい鯨もこれに換算いたしまして、一万六千頭を以て制限されるということになつて有ります。そういたしますると、畠から南氷洋に参りまして、その漁期間操業を続けておりまして一万六千頭に達すると、そのときに操業を中止してしまうわけです。例えば一月の二十日に仮に一万六千頭になつた場合には、そのときにすぐ操業を中止して皆引揚げなければなわない、こういう申合せに相成つているのでございます。それからその換算の率などは、例えばながす鯨あたりは二頭を以てしろながす一頭に換算する、小さい鯨はそういうふうに二頭とか、二頭半を以てしろながす一頭に換算する、こういうふうにししておりまして、そうして毎日毎日獲つた数量を通報いたしますから、中央では、取りまとめておるところでは、毎日毎日の漁獲高がわかるものですから、非常に厳格に一万六千頭の申合せが守られるわけであります。
  20. 曾禰益

    曾祢益君 それでわかりました。結局ただ一万六千頭に、換算で一万六千頭に達するまでは、自由に獲つたほうが勝だということになるわけですね。そういたしますると、結局成るべく自国の力の許す限り、幾らでも船を作つて幾ら出してもかまわない。早く獲つたものが勝である、こういうふうになつておるのか。現在少くとも司令部からはいろいろの制限の下にやつておられるように記憶しておるのですが、それらの関連はどういうふうになるのですか。
  21. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) その辺が非常にむずかしいところで、母船の数、それからキャツチャーの数、これは制限がないわけであります。ところが母船と言いましても一番大きいのが二万トンくらいの形が現在使われておるのでありますが、各国ともそう急にこれを殖やすというようなわけには行きませんし、又一万六千頭で抑えられておる以上、おのずから母船の数にも或る採算点制限が出て来るものですから、そうむちやくちやに殖やすことも考えられないわけです。それで日本といたしましては、現在司令部許可によりまして二船団を出しておりますが、それでは五船団も六船団も、早く船を造つて出したらいいのじやないかという御意見もあるかも知れませんが、その点は国際的ないろいろな雰囲気もありまして、なかなか思うようにそう乱暴なこともできないのじやないか、かように考えておりますが、その辺は非常に顧慮しなければならない点かと考えております。
  22. 曾禰益

    曾祢益君 もう一つお伺いしたいのですが、第九條の第一項に「適当な措置を執らなければならない。」とありますが、條約の規定適用等のために、これは先ほどの御説明で、私は何にも知らないのですが、国内法でも或る程度できておるのですか。又この三項ですが、「この條約に対する侵犯又は違反は、その犯罪について管轄権を有する政府が起訴しなければならない。」  これは国内法がすでにできておつて、それで十分なのか、或いはこの條約に基いていきなり訴追ができるのか、條約に基いて国内法で或るものを更に作つて、そうして起訴するということになるのか、その点は、どうなんですか。
  23. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) これは国内法でやつて行けばいいことになつております。
  24. 曾禰益

    曾祢益君 そうすると、それではできておるのを、新たにこの條約の施行を完全にならしめるために、別に国内法をお出しになるのでありますか。
  25. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 出さなくとも現在の国内法で十分やれることになつております。
  26. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ほかに御質問はございませんか。
  27. 金子洋文

    金子洋文君 一年の制限が一万六千一頭とかおつしやいましたが、大体どのくらいの鯨の数量が予想されるのですか。そこに数字があるから一万六千頭という制限が出て、来るのですね。世界の遊泳しておる鯨が大体どのくらいあるか。この数字が出て来なければ、一万六千頭というものは制限するのがおかしくないのですか。それはおわかりでございませんでしようか。
  28. 十川正夫

    説明員十川正夫君) 今世界の海に泳いでおる鯨の全体の数はわかりません。わかりませんが、過去の実績によりまして、過去長い間捕鯨を営んでおりますので、南氷洋その他の沿岸を、その実績からいろいろの資料を総合いたしまして、一万四千頭単位程度獲りましても、鯨は減らんであろうという制限の下に今やつております。なおやつております際に、いろいろ研究を進めまして、それで鯨が減るということになりますれば、更に一万四千頭を一万二千頭に減らすことがあるかも知れません。
  29. 金子洋文

    金子洋文君 そうすると現在日本ではどのくらい一年で捕獲するのですか。
  30. 十川正夫

    説明員十川正夫君) 日本南氷洋捕鯨船団で獲つております数はしろながすに換算いたしまして平均約千三百………。
  31. 金子洋文

    金子洋文君 千三百……そうするとそれをほかの国と比較するとどういうことになるのでしようか。
  32. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 四十九年五十年の南氷洋捕鯨各国成績を見ますると、これは只今のようにしろながすに換算いたしました数としてノールウエーが八千二百五十四、イギリスが三千六百八十八、南ア連邦が一千四十八、ソ連が八百八十五、オランダが六百八十一、日本千三百七十一、合計しまして一万五千九百二十九、こういう程度になつております。
  33. 金子洋文

    金子洋文君 船団が大体二船団とおつしやつたようですが、この数の他国との比較はどうでしようか。
  34. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) これはノールウエーが母艦が十になつております。イギリスが三、南ア連邦が一、ソ連オランダおのおの一、日本が二船団になつております。
  35. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ほかにありませんか。
  36. 杉原荒太

    杉原荒太君 私少し遅く参りましたので、重複したら非常に恐縮ですが、この條約に加盟している国はどれだけですか。署名している国はこれでわかりますが……。
  37. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 昨年の十一月現在で批准書を寄託しました国がアメリカの濠州とブラジル、カナダ、デンマーク、フランスオランダ、エユー・ジーランド、ノールウエー南アイギリス、及びソ連の十二カ国であります。加入通告しました国がアイスランド、メキシコ、パナマ、スエーデン、この四カ国であります。合計十六カ国であります。
  38. 杉原荒太

    杉原荒太君 先ほど曾祢君の質問に対して、すでにできている国内法措置で十分だというお話でしたが、これはどういう国内法でしようか。具体的に何という法令ですか。
  39. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 大体七つの法令ができております。……。母船式漁業取締規則、指定遠洋漁業取締規則、小型捕鯨業取締規則、漁船の船数制限、沿岸捕鯨げ鯨漁期へ小笠原捕鯨げ鯨漁期、汽船捕鯨取締規則第十五條規定による汽船捕鯨業禁止する鯨の種類に関する件、以上の七つの法令があります。
  40. 杉原荒太

    杉原荒太君 今のは皆法令の形式は政令でございますか。その中に法律はございませんか、形式的の意味の法律は……。
  41. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 政令はありませんで、省令並びに告示でやつております。
  42. 團伊能

    ○團伊能君 このたびこの條約にあります漁区と只今のマッカーサー・ラインとの関係はどうなりますか、ちよつと御説明承わりたいと思います。勿論この漁区としては東支那海、日本海すべて入つておりますが、やはりマッカーサー・ラインのほうが優先してこの條約の範囲でもマッカーサー・ラインは出られないということに思いますが、その点は如何ですか。
  43. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) マッカーサーライン内でやることにしております。それで南氷洋捕鯨だけは、特別の許可を以ちまして出ておるわけでございます。
  44. 團伊能

    ○團伊能君 次にお尋ねしますが、これはその何でしようか、母船漁業ですね、母船式捕鯨以外の極めて小さい沿岸的なものも含まれておるのでございますか。
  45. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) そうでございます。
  46. 團伊能

    ○團伊能君 ではまつこう鯨もその中に……。
  47. 杉原荒太

    杉原荒太君 これも重複したら一つ御免下さい。今鯨油の輸出額といつたものは大体どれくらいですか。
  48. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 鯨油は本年度は南氷洋捕鯨の鯨油一万二千トンばかりをドイツに輸出する契約も殆んどできておつたのでありますので、国内の油脂関係からいたしましてこれを輸出禁止にいたしまして、現在国内で保有することになつております。
  49. 曾禰益

    曾祢益君 杉原委員から質問されたお答に私まだちよつと伺いたいのですが、この條約の加盟の前から国内取締法規はちやんとできておる。條約に加入しても変える必要はないということとですね。條約に加入して新たなる国際的な義務を負うこととの、必ずしもそれ自体が食い違うものではないと思いまするが、何だかどうもピンと来ないのです。そこで若しそれだけ国内法規において十分に取締られておつたならば、條約に加入しておると同様な効果は少くとも挙げ得たのではないかということになりますが、いま一つ、これは決して罰則を強化して臨むべきだという議論に立つているわけではないけれども、いやしくも国際條約に新たに加入して日本が本当に真意を以てこれを履行する以上は、場合によつては新たな法令を作る、場合によつては国際的の慣例とも合う程度の罰則の引上げ等もやつて履行して行く、励行して行くというようなことがいいのではないかというような感じから、もう二遍、どうも国内取締法規が今までいいのだというのがわからないのですが――。
  50. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 第一点でありまするが、やはり今後仮に南氷洋あたりで獲れました鯨油などを将来輸出することに相成るような場合にいたしましても、又或いは本当に鯨族世界的な保存を考えて行かなければならんという良心的な考え方からいたしましても、やはりこの條約に加入して参りますることが結局日本捕鯨業といたしましても非常に有利な結果をもたらすんじやないかと、かように考えられます。それから第二点の国内法をいま少し新たなるものにしてやる、ほうが非常に意義あるものではなかろうかというお尋ねでありまするが、実は日本といたしましては、今までもこの国際捕鯨取締條約につきましては、ときには委員じやありませんけれども出席いたしましていろいろ協議に入つたような事もあるのでありまして、そうした考え方というものは、いつかこの條約に加入しよう、したほうがいいというような考え方に漸次盛上つて来た一つの証左でありまして、そうしたことがだんだん積量なりまして、ここに入りまして、加入を考えるわけなんでありまするが、やはりこの加入して行こうという機運を過去において持つておりましただけに、やはり国内的の取締法規などにつきましては、その国際捕鯨條約に準拠したものでやつておるほうが非常にスムースに参るというようなことから、国内法をそれに殆んど一致さしたもので取締つて来たと、かような程度に相成るのでありまして、今となりまして別に改めるというような必要はないというような内容を持つているのであります。
  51. 曾禰益

    曾祢益君 過去においていていろいろないきさつがあつたけれども、見方によつては大きな水産会社等の利益の圧迫等があつて、国際的には入つたほうがいいという見方もあつたけれども、或る程度の自由を持つておつたと、まあこれは農林省的に考えればそういう業者保護という感じがまちまちである。外務省的に考えれば入つたほうがいいというような考えがあつたのではないかと思うのですが、只今水産庁長官の御答弁は、外務次官においてもです、これ以上取締強化的な国内法措置は要らないとお考えであるかどうか、伺いたいと思います。
  52. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 殊にこの終戦後捕鯨許可がありましてからは、非常に国際的な水準でその内容を取扱つて来たと思います。従つて只今水産庁長官のお話がありましたように、農林省の或いは省令なり告示によりましてもその線に滑つて相当強行して来た。従つて若しや今後国際捕鯨條約に加盟しましていろいろ又国の申し合わせ等によりまして取締等が変つて参りますると、それに即応して内容を充実することは国内的にいつでもできまするから、十分その点は国際信用と鯨族の保護という両方の立場から進んで行く必要があると思います。この捕鯨條約に加盟しながらその国内法的な処置はとり得ると考えております。
  53. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ほかに御質疑はございませんか。
  54. 團伊能

    ○團伊能君 先ほど伺いましたマッカーサー・ラインとの関係でございますが、この北緯二十度、只今二十四度線と言いますか、二十度線に捕鯨の、母船式捕鯨の線が切つてありますが、この條約に入りましても二十度線にはやはり行けないのでありますかどうか、小笠原の南です。
  55. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 二十度と二十四度の間はやはり許可がなければ出られないのでございます。
  56. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ほかに御質疑はございませんか。ほかに御質疑がないようでありますから、討論に移ることに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認め、討論に入ります。御発言のかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  58. 曾禰益

    曾祢益君 過去においてもいろいろ日本が国際捕鯨取締に関して国際的に協力したほうがいいんではないかという話もあつたんでありまするが、今後の日本の行き方といたしましては、この本国際捕鯨取締條約に正式に参加して、そうして各国に協力いたしまして、鯨族の保護並びに日本捕鯨業の発達に資するほうがよいという見地から、本案に対しまして賛成をいたしたいと存じます。
  59. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ほかに御発言はございませんか。ほかに御発言もないようでありますから、本案に対しまして採決をいたします。  国際捕鯨取締條約に加入することについて承認を求める件は、それに対して承認を與えることに賛成の諸君の御挙手を願います。    〔総員挙手〕
  60. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 全会一致と認めます。よつて本案は可決することに決定いたしました。  本会議における委員長の口頭報告は、委員長において本案の内容委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。  それから委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名    野田 俊作  杉原 荒太    徳川 頼貞  團  伊能    曾祢  益  金子 洋文    伊達源一郎
  62. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御署名漏れはございませんか……。ないと認めます。   ―――――――――――――
  63. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次は請願でありますが、請願八十三号在外公館等借入金緊急措置に関する請願、紅露みつ君の紹介であります。紹介議員がお見えになつておりますから、簡単に請願の要旨をお述べを願います。
  64. 紅露みつ

    委員外議員(紅露みつ君) お許しを頂きましたので、本請願について、紹介議員といたしまして簡単に趣旨を申上げたいと存じますが、在外公館等借入金緊急措置に関する請願、これは御承知の通り太平洋戦争の終結に際しまして、本国からの送金の途が絶たれました結果、在外公館又は邦人自治体若しくはこれに準ずる団体が引揚費、救済費その他これに準ずる経費に当てるために、国が後日返済をする條件の下に、在留邦人から借入れた資金でございます。従いまして、これが一般に言われておりまする在外資産とは、その性格が違うものでございますので、只今在外公館等借入金整理準備審査委員会法、この法律によつて、これがこの借入金に該当するものであるかどうかということが審査されておるわけでございますが、着手されましてから、これは二十四年の六月に法律ができました。二十万件からのたくさんの件数でございますので、手間もとれましようが、併しながらこの債権者と申しまするか、債権を持つておる人たちは非常に待ちあぐねておりまして、もうこれが返還されるであろうというようなことで、それを当てに事業の資金を借入れ、而もなかなか返されないということで自殺をするというような状態も出ておるのでございます。で早く返して欲しいということと、この率でございます。この率を正しく相当な額にして返して欲しいとこういう願意でございますが、どうぞ御審議の上御採択を頂きますようにお願いいたします。
  65. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 政府の御所見は如何です。
  66. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 在外公館等の借入金を緊急に処置するようにという請願でございますが、只今請願趣旨の御説明のように、その後在外公館等借入金整理準備審査会法を昭和二十四年法律第百七十三号によつて公布いたしまして、これに基いて審査を只今いたしておるのであります。だんだんと審査は進捗いたして参つたのでありまするが、この審査によりまして外務大臣が国の債務としてこれを承認いたしましたものに対しましては、確認証を出すことに相成つております。でその確認証は出しましたものの只今の御趣旨にありまするように、早くこの確認証に基いたこの実際的の処置を至急欲しいという御趣旨がこの請願の根本趣旨だと存じますが、それにこの点は政府におきましても前々から十分いろいろと研究しながらその促進を図つて参つたのでありまするが、今回在外公館等借入金の返済の準備に関する法律というのを国会に提案いたしまして、それぞれ現在御審議を頂いておることと存じます。でこの在外公館寺借入金の返済の準備に関する法律では現地通貨の評価基準なり、返済の方法なり、或いは返済に関して必要な事項を定める法律案をこの法律案施行後最初に召集される国会に提出して、昭和二十六年度中に借入金の返済を開始するための必要な措置を講ずると、こういうので進んでおりまするから、この法律が国会を通過いたしますると、これに基きまして在外公館等借入金評価審議会を設置いたします、審議会によりまして借入れた当時の金額に対して現在の幾らの額を支給したらいいかといういわゆる換算率を決定いたして、それによつて支給を昭和二十六年度中に開始すると、こういう方向で進んで参つておりますので、昭和二十六年度中には開始をいたして御期待に副うように進行し得ると存じて、目下御承認を願うように国会に提案をいたしておる次第でございます。
  67. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 本案はこれを本委員会において採択し、本会議報告して本会議の議決を経て内閣に送付することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それではさよう決定いたします。   ―――――――――――――
  69. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 第三百八十号在外公館等借入金支抑促進に関する請願、徳川頼貞君の紹介であります。請願の御趣旨を簡單にお願いいたします……。  お諮りいたします。第五百十号、第三百三十二号、第五百八十九号はいずれも在外公館等借入金方佛促進に関する請願でありまするから、この四件を一括して議題にすることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それではさよう決定いたします。そしてその趣旨は專門員のほうからどうぞ説明して頂きます。
  71. 久保田貫一郎

    ○専門員(久保田貫一郎君) 命によりまして御説明申上げます。請願第三百八十号は徳川頼貞先生の紹介でありまして、和歌山婦人自力更生連盟の鈴木美智子さんの請願でございまして、その趣旨先ほど説明になりました請願と同様でございます。つまりこの金は在外公館の御用立として終戰後難民救済資金として外務大臣の訓令に基いて、在外公館に出したもので、国家が当然支出すべき費用を立替えたものであります。そうして帰つてからすぐ拂戻してくれるということであつたのだけれども、五年の歳月を経てまだこれの支拂を得ておらない。債権者は困窮の極にあるのでありまするからして、一日も早く支拂つてもらいたいというのがこの請願趣旨でございます。  それから続きまして請願五百八十九号、千田先生の紹介で千代田区麹町の曾根徳次さんほか二名の請願でございまするが、これも同趣旨でございまして、在外公館等借入金は出先の行政資金であつて、難民救済と引揚処理に充てられたものである。でこれは出した者は思惑的に出資したのではなくて、公館の求めに応じて提供をしたものである。そういう理由がございまして、やはりすぐに返されると思つておりましたのが、公約を無視して五カ年間をたつても実現されないのは遺憾である、一刻も早く返してもらいたいというのがこの趣旨でございます。  それから五百三十二号の請願は、やはり千田先生の紹介でございまして、福岡市の税田隆輔氏ほか十七名の請願でございますが、同様趣旨でございまして、ただこの換算率を、借入金の換算率を、公平適当に決定せられてもらいたいということと、それから出資額に対する受領証には、儲備券一億円を法幣五十万円の率にて換算した法幣金額を記入されてありまするが、元来この儲備券対法幣の換算率二〇〇対一なるものは終戦に基く重慶政府の政治的に出でた一方的の処置であつて、決して法幣価値の公平な判断ではない。そうして儲備券にせよ、聯銀券にせよ、いずれも日本円貨に裏付されていたのであり、なお当時に比し日本円の価値も著しく暴落した現状等に鑑みて、借入金の換算率は、まさに儲備券対日本円一〇〇対一八のレートを以て適用されることが最も公平であると思う。こういうことになつております。  次に請願五百十号、加藤先生の紹介でございますが、福岡市の武藤虎雄さんほか十七名の請願でございまして、この内容は今申上げました五百三十二号と全然同一でございます。以上御説明を申上げます。
  72. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 本案に対する政府の御所見を伺いたいと思います。
  73. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) これも先刻八十三号で申上げました通りでございますが、ただ評価の額は現在まだきまつておらないのでございまして、先ほど申し上げました、在外公館等借入金評価審議会によつて評価を決定するという方針で進んでおりまするが、ただ巷間いろいろ評価率についての風評がありまするので、御心配になつておると存じまするけれども、こちらから外務大臣名を以ちまして出しました確認証は、当時の佑備券院なり、聯銀券なり、法幣なりで借入れた額そのものを以ていたしておるような次第であります。併し先ほど申上げました借入金の準備に関する法律案が通過いたしますると、審議会によりましてそのレートを決定しまして、それによつて支給することになつております。
  74. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 第三百八十号、第五百十号、第五百三十二号、第五百八十九号のこれらの請願は、本委員会において採択し、本院の会議に付し、内閣に送付することに決定して異議はありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。   ―――――――――――――
  76. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 第六百七号、比島における戰犯者死刑助命に関する請願、紅露みつ君の紹介であります。紅露君の御説明をお願いいたします。
  77. 紅露みつ

    委員外議員(紅露みつ君) 本請願は比島におきまして死刑の判決を受け、そうして死刑の執行を待つ戦犯者の家族からの請願でございまして待望の講和條約が間近に控えているときに、去る一月の十九日突如として比島に七十四名のうち十四名の死刑が執行されたのでございます。続いて六名の、死刑の執行が予想されるということでございまして、これまでどうにか減刑されるのではないかというような希望を持つておりました家族の者も、俄かのことに誠に見るに堪えない焦慮の日を送つておるのでございます。今回も処刑されまして、道義、それから比島民衆の輿論、こういうものに鑑みまして、この際日本人が犯しましたところの、この戰犯の事実に対して、日本国民が深く反省しておるということを表明いたしますことは、これは大切なことだと思うのでございますが、同時に残る死刑判決者に対しましては、助命をお願い申したい、こういう願意でございます。どうぞ御審議の上よろしく御採択頂きたいと思います。
  78. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 政府の御所見をお伺いいたします。
  79. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 海外に抑留されております戦犯者の問題、或いは比島の戦犯死刑の助命に関しまする問題につきましては、従来国会等におきまして、政府のこれに対する、従来もいたして参りました態度なり、いろいろな方面におきましての詳細な御説明、御答弁を申上げて御了承と存じまするが、今回の請願等におきましても、十分請願趣旨を考慮いたしまして、今後とも善処いたしたいと存じます。
  80. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) お諮りいたします。本請願に対しましては、本委員会において採択し、これを本院の会議に付し、内閣に送付することに決定をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと一認めてさよう決定いたします。   ―――――――――――――
  82. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 第六百十七号阿波丸代船取得援助措置に関する請願、高田寛君の御紹介であります。高田君の御説明を願います。
  83. 高田寛

    委員外議員(高田寛君) ではお許しを頂きまして、紹介議員として御説明を申し上げます。  本請願はこの前第七国会に同趣旨請願吉を提出いたしまして、特別の援助措置をお願したのであり、当時又関係政府委員、つまり外務政務次官、大蔵政務次官並びに運輸省の海運局長から、それぞれ見返資金融資等の特別な適切な援助を與えるという旨の御答弁があつたのでありまするが、その後その点が実現いたしませんので、改めて請願を出しました次第なのであります。阿波丸の事件は御承知の通り、昭和二十年の四月一日に航海安全保障を得て、航行中、米国の潜水艦によつて撃沈されたのでありまして、当時日本政府としましては、厳重抗議を申入れ、損害賠償を要求したのでありますが、アメリカといたしましては、戦後政治情勢の如何にかかわらず、公正な態度を以て商議に応じたいという旨を申越され、又日本のほうからは慰謝料並びに阿波丸の代船を要求して参つて、そのまま終戦になつた問題なのであります。それで一昨年四月我が国会といたしましては、戦後アメリカから與えられました絶大な援助に感謝する意味合を以ちまして、阿波丸事件に基く日本国の請求権の放棄に関する決議案が上程され、これが解決を見たのであります。これに関連して阿波丸の請求権の処理のための日本政府及び米国政府間の協定ができまして、この中において、日本政府はこの事件の特殊性に鑑み、この災難で死亡した者の家族及び、この船舶の所有者に対し、見舞金の支給による適当な待遇を與えるよう努力するということが規定せられておるのであります。それでこれに基きまして、政府からは見舞金として一千七百万円というものが與えられたのでありますが、この問題は大体最初から代船を我が国から要求していた問題であり、又この撃沈の原因がほかに例のない特殊なものであるというような点に鑑みまして、日本郵船会社といたしましては、是非代船を一つ頂戴したい、それでこの代船を建造する程度の補助金を頂きたい、若しこれが不可能ならば、政府からもらう見舞金と、それから代船の建造費との差額を適当な融資、例えば見返資金とか、そのほか適当な融資を願いたい。これが本請願趣旨なのでございます。それで日本郵船会社といたしましては、この阿波丸程度のものは今日では時価二十億にも上るのでありますが、別段この程度の船をというお願ではなくして、大体外航に適する七千トン程度の貨物船一隻を建造したいので、この融資関係、見返資金とか、その他適当な方法によつてこの融資をして頂きたい。これは一般の融資と又別枠にして、これだけは特別の融資をして頂きたい。これが本請願趣旨なのでございます。先ほど申しました通り、第七国会の請願の際にも将来郵船会社が代船を建造する際は、見返資金融資等の方法により、適当な援助を與えるという旨の回答もありましたので、この点は改めて又ここに請願を出した次第なのであります。どうぞよろしく御審議の上御採択されんことをお願いいたします。
  84. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) この際お諮りをいたします。本請願に関し、委員外の議員小泉秀吉君から発言をしたいということでありますが、発言を許可してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 異議なしと認めます。小泉君。
  86. 小泉秀吉

    委員外議員(小泉秀吉君) 私運輸委員の一人として、この問題について運輸当局にお尋ね、並びにお願いということで出て参りましたが、海運局長か、どなたか運輸当局のかたがおられませんようですから、一応私の所見を極めて簡単に申述べ、御参考に供したいと思います。  只今請願は、今紹介議員のお話のように、前国会で請願が出ましたのを、この委員会並びに本参議院本会議においても採択されましたような歴史を持つておりますので、その当時只今お話のような状態で、郵船会社の船を国家の要請に応じて出したので、万止むを後ないのではありまするけれども、何かそれの代船に対しては、国家が十二分の援助をして欲しいというようなことには、運輸委員会においても賛成をいたしまして、更に運輸省御当局においてもその旨を了承して、何らか適当な処置を講ずるというようなことになつておりましたのですけれども、只今までのところ今請願紹介者の申されるようなふうに、何らの処置もとつておらない、誠に遺憾に存ずる次第でございます。趣旨の点はすでに御了承の通りでありまするから、是非この際請願者の要請を十二分に当委員会において御考慮を下さいますると共に、又運輸省以外の大蔵省その他の政府御当局においても、本件に対しては十分一つ御同様、又特に最近参議院において採択された外航船舶増強に対する決議案などの趣旨にも関連をいたしまして、私は運輸委員の一人として、是非本件が採択されると同時に、又政府御当局が早急にその措置を講ぜられんことを要請いたしますのでございます。よろしくお願いいたします。
  87. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 政府の御所見を伺いたいと存じます。
  88. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 運輸関係はよんどころない用事で伺いかねましたが、私代りまして政府の所見を申上げたいと存じます。  阿波丸の問題につきまして、請願の御趣旨は誠に御尤もと存じます。ただ御説明にもありましたように、見舞金一といたしましては、すでに一千七百余一万円を交付済でございます。その後の問題といたしまして、この法律の通過のときにもいろいろ御希望の御意見等も政府といたしましては十分尊重いたしまして、その後只今お話にありました見返資金等の問題につきまして、十分考慮をいたして参つたのでありますが、いろいろと差支えの点もありまして、現在まだ御趣旨の点に副いかねておりまするので、今後一層この問題は大蔵省なり、運輸省なり、その他関係当局に連絡いたしまして、特別の考慮を拂いながら御趣旨の点に副うように努めて参りたいと思います。
  89. 小泉秀吉

    委員外議員(小泉秀吉君) 甚だ恐縮でございますが、この機会に一つ大蔵御当局の御意見を伺い得ればと思いますが、請願についてそういうことを伺うのは少し僭越かも知れませんが、若しなんでしたら、おいでなければ結構でございますけれども……。
  90. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 大蔵省からちよつと見えておりませんからどうぞ……。  それでは第六百十七号の請願は、本委員会において採択し、本院の会議に付し、内閣に送付することに決定いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。   ―――――――――――――
  92. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次は六百八十四号、講和條約中に日本人移民規定するの請願、本請願に対する説明は專門員のほうから……。
  93. 久保田貫一郎

    ○専門員(久保田貫一郎君) 本請願は島先生、伊藤先生、大隈先生、西川先生、紅露先生、木下先生の御紹介でありまして、東京都の松沢隼人さんの請願でございまするが、その趣旨は、講和條約のいろんな噂がありまするけれども、その中に人口問題の解決には触れていないように窺われるけれども、日本の人口問題解決こそは講和條約の重点でなければならない、そういう趣旨日本の敗戦によつて植民地を失い、領土には多くの人口があるので、人口問題の解決は焦眉の急となつて来た、そこでこの解決のために講和條約の中に、日本移民問題の解決を規定する重要案件をこの国会の御努力によつて要請してもらいたいという請願でございます。
  94. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 本件に対する政府の御所見を伺いたいと思いま す。
  95. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 平和條約中には、将来におきます日本人の移民を制限乃至禁止するという趣旨規定は設けられないものと期待いたしておる次第であります。
  96. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) お諮りいたします。第六百八十四号の請願を本委員会において採択し、本院の会議に付し、内閣に送付することに御異議ございませんですか。    〔「不賛成」と呼ぶ者あり〕
  97. 杉原荒太

    杉原荒太君 これは講和條約というものの性質、趣旨と移民問題というものの関係を考えて見ますというと、非常に愼重にやらなければならないことだと思います。それだから私は移民問題とか、人口問題とかということの趣旨はよくわかります。これを講和條約中に規定するということには、私にわかに結論を下しがたい、それだからもう少しこれは研究したほうがいいと考えます。
  98. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 只今杉原君の御意見でありますが、杉原君の御意見通りに決定いたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それではさよういたします。留保の決定をいたします。   ―――――――――――――
  100. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 第七百十九号、小笠原島の日本復帰に関する請願、徳川頼貞君の紹介であります。
  101. 徳川頼貞

    ○徳川頼貞君 請願は、小笠原帰郷促進連盟の横田龍雄君ほか五名からの請願でありますが、請願の趣意は、今度ダレス米国大統領特使が日本に来られたに当つて、その人たちが住んでいたところの小笠原諸島が信託統治とされんとするがごとき運命を負わされて、講和の雑上に載せられている。併し米国の寛大な講和の方針は、日本国民の多くの要望が容れられるということが伝えられ、非常に喜んでいるというのであります。そこでこの人たち約七千名の人々が、小笠原の全島民が講和條約と共に小笠原島の日本復帰を非常に希望し、又確信している。その理由として、第一には、小笠原諸島の今日までの歴史から見て、その発見された初めから日本の領土である。又侵略によつて他の国から、取られたというような地域でないこと、又第二には、米国に領土的侵略の野心がないと信じて来た、こういう二つの理由からこれを確信しているのであります。なおその人たちは、過去六年間殆んど毎日、長年住んで来た領土の小笠原島へ帰りたいということを念願して今日まで来ておつたのであります。若し仮に信託統治の下に島民の帰還が許されるとしても、同島が日本の主権を失うことになれば、島民は日本の国籍を失い、非常に由々しい問題が起るから、是非この際自分たちが帰れるようにお願いをしたい。特にダレス特使が来られたこの千載一遇の機会に特に一つ、これをお願いしたいというのがこの主眼でありまして、実は同様の請願が、この前の国会にも出て採択されておるような次第でありまするので、どうか御審議の上御採択願えれば有難いと思います。
  102. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 政府の御所見を伺います。
  103. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 御請願の御趣旨に対しまして、関係者に対しましては誠に御同情に堪えない次第でございます。政府といたしましては、国民の要望は従来もそうでございましたが、今後におきましても、十分連合国側に伝えたいと存じております。
  104. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) お香りいたします。七百十九号の請願は、本委員会において採択し、本院の会議に付し、内閣に送付することに決定いたしたい一と存じます。御異議ありません か。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 異議なしと認めて、さよう決定いたします。   ―――――――――――――
  106. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 第八百七十八号、在外資産の補償に関する請願、これは専門員から……。
  107. 久保田貫一郎

    ○専門員(久保田貫一郎君) それでは御説明いたします。左藤義詮先生の御紹介でございまして、大阪の松下好藏氏ほか三百六名の署名のある請願でございます。趣旨は、外地の在住者はこの敗戦によつて、父子二代、三代が築き上げた一切の財産を一朝にして失つて丸裸で帰つて来た。ポツダム宣言には基本的人権は尊重すると宣言されてあるけれども、これに反して在外同胞の財産権は侵害されたまますでに五年を経過した、そうしてこれは憲法に規定した財産権不可侵の原則は、数百万の人に対して、五カ年間何の適用もされなかつたことになる、こういう言葉で四つのことをやつてもらいたいというのでございます。その一つは、在外資産のうち喪失した部分に対しては国家が補償する義務があることを宣明すること、二番は、政府は速かに在外資産補償のための調査並びにこれが審査のため強力なる機関を設置すること、三番、在外資産補償のため、引揚者団体全国連合会及びその下部機構である都道府県連合会をして予備審査をなさしむること、右予備審査のための経費は予算に計上すること、第四、財産権確保の原則を内外に宣明し、将来に備え、以て民生を安定せしむるの適当なる措置を講ずること、このため基本的人権は尊重せらるべきであるとの決議を国会にて、又政府はこれに関しての声明を発すること、この四項目をお願いしたいという請願であります。
  108. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これに対する政府の御所見をお願いいたします。
  109. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 在外財産の問題につきましては、関係のかたがたには誠に同情に堪えないのでありますが、只今請願にありましたように、四つの案件によつて速かに政府が処置いたしますことは、平和條約の内容によつて今後どういうふうになりますか、まだこの点は十分に内容を知り得ない状態でございますから、直ちにさように運ぶことは誠に困難かと思います。将来の問題といたしまして承わつて置きます。
  110. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 本案に対しまして如何いたしますか。
  111. 團伊能

    ○團伊能君 只今ちよつと専門員の御説明がありましたが、これは政府に伝達する以外に、国会において決議をするというようなのがあつたのですが、その点はどうですか。
  112. 久保田貫一郎

    ○専門員(久保田貫一郎君) ございました。第四項の第二でございます。このため基本的人権は尊重せらるべきであるとの決議を国会にて発することとあります。
  113. 團伊能

    ○團伊能君 そういたしますと、この請願は、国会でこれを通したときには一つ義務を負うわけでございますか、その辺を御審議頂きたいと思いま す。
  114. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 如何いたしますか、本院に回付してよろしいかどうかという点如何でしよう。暫く本請願は留保するということにして御異議ございま赴んか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それではさよう決定いたします。   ―――――――――――――
  116. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それから陳情第七十一号、在外公館等借入金支拂促進に関する陳情であります。どうぞ専門員から……。……。
  117. 久保田貫一郎

    ○専門員(久保田貫一郎君) 陳情第七十一号でございます。これはその趣旨は、前のと同じでございますが、終戦後六年目の年を越えて漸く確認証の一部が支給されるに至つたのでありますが、大部分の確認審査が今後なお長期の日数を要し、あまつさえ支拂に対する未だ何らの決定も見ておらないのは甚だ心許なく思う、そこで若しこの我々の心血の叫びを真に恫察されれば、政府としては一日も早く支拂いし得べき理窟であると考える、従つて何としても今回の国会において緊急予算化を図り、確認証交付の順に従い、即時支拂開始を決議されんことを要望するという陳情でございます。
  118. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 本件に対しましては、すでに政府の御所見は、前の請願と同一のことと存じますから、直ちに委員会においては採択して、本院の会議に付し、内閣に送付したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ではさよう決定いたします。   ―――――――――――――
  120. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それから百三十八号、講和條約に関する陳情であります。
  121. 久保田貫一郎

    ○専門員(久保田貫一郎君) これは日本商工会議所会頭高橋龍太郎さんの陳情でございます。要点を読み上げます。   我々は過去における誤れる行動を悔い、今後世界の民主、自由、社会の福祉増進に全幅の努力を傾注したい熱意を持つている。その前提として、我々は一日も早く講和條約が締結せられ、我が国が独立と自由とを回復し、各国と平等の立場におかれ、日本の自立経済が確保されて国民の生活水準の向上が可能となり、且つ安全が保障されることを希望する。我々は以上の観点から、講和の方式並びに條約の内容について愼重に検討、我が業界の意見を閣下に提出して好意ある御考慮を煩したいと思う。  (一) 講和の方式、現在の世界情勢は全面講和は困難と思われるから、比較的多数の国家との講和を急速に実現し、米国と単独講和をなす場合においても、引続き1他の自由民主国と同一條件の講和のできるよう米国の盡力を希望する。  (二) 経済上我が国が他国と同様国際的制限に服し、外人に対し差別待遇をなさざることは勿論であるが、我がNも又各国と平等の立場において経済上、活動の自由の回復されることを希望する。更に我々は講和後日米両国は勿論他の自由民主国と緊密な提携の下に相互の経済の発展を図るため引続き経済協定の結ばれることを期待している。  (三) 戰争賠償はすでに取立てられたもの限りで打切られること、及び日本人の在外私的財産が極力その原所有者に返還されることを希望する。  (四) 日本が一日も早く国際連合及びその附属機関に加入することが許されるよう米国の斡旋を希望する。  (五) 安全保障については国際連合による安全保障又は地域的安全保障の方式を望むけれども、今直ちに実現されない場合においては、差当り米国その他との條約による安全保障によらざるを得ないと考える。  なお講和條約の條件については日本が人口過剰で国土狭小なること、且つ共産主義国と隣接している特殊な国情を十分考慮の中に入れて頂きたい。こういう陳情でございます。
  122. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これに対する政府の御所見を伺います。
  123. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 財界の有力な御意見といたしまして、十分考慮をいたしたいと存じます。政府といたしましては、従来よりも常に所信を明らかにいたしておりまするように、一国とでも多く、一日でも早い公正な講和ができますよう努力をいたしたいと存じておるというこの所信は、今後とも同様でありまする点をここに申上げたいと思います。
  124. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) お諮りいたします。本陳情は、本委員会において採択し、本院の会議に付し、内閣に送付するものと決定したいと思います。御異議ございませんか。
  125. 金子洋文

    金子洋文君 御承知のように社会党は、平和三原則を唱えて、全面講和を主張しておる関係上、單独及び多数講和とは反対の立場にありますので、当陳情に対しては、遺憾ながら賛成いたしかねることを申添えて反対いたします。
  126. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ほかに御意見はございませんか。それでは採決をいたします。本陳情を採択して、本院の会議に付し、内閣に送付することに賛成の諸君の挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  127. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 多数でございます。決定いたします。   ―――――――――――――
  128. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それから第百五十二号、海外抑留戰犯者日本内地移管等に関する陳情であります。それでは専門員から御説明を願います。
  129. 久保田貫一郎

    ○専門員(久保田貫一郎君) 東京都の仲井ミサヲさんの陳情でございまして、私どもは英連邦により抑留せられておる戦犯者の家族であります。私どもの肉身は故国を遠く離れたシンガポール、マライ、ボルネオ、香港、ビルマ等の刑務所に抑留せられ苦役に服しております。私どもの肉身が旧日本軍部により南方地域に送られてからすでに七年以上、長きは十年以上を経過します。終戦以来抑留せられてからもすでに満五カ年半囹圄の生活を続けております。そうして面接はおろか音信さえ跡絶えがちである。現地からは切切たる望郷の念を訴えて、そうして現地から刑期が満了して還えされた人の語るところによれば、すでにこれらの人々は心身の衰弱が甚だしく、いろいろな病気にも罹つており、このままにして推移すれば精神的、肉体的に再起不能に陷る者が少くないということでございます。故国を遠く離れて南方の熱帯の地にすでに五カ年半コンクリートの上に起き伏して、不自由な獄舎生活を続けておるのでありますからして、この海外抑留戦犯者の早期日本内地移管ということと、及び対日講和を期として戰犯者に対する減刑釈放の恩典の附與、この二つのことをお願いしたいと思いますので、格別の御同情と御理解ある御支援を賜りたいという趣旨でございます。
  130. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 政府の御所見を伺います。
  131. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) この問題につきましても、先ほどの六百七号の場合に申上げましたように、政府といたしましては、終戰直後からいろいろと微妙なる問題でありまして、誠に困難な問題でありまするが、始終一貫国民の感情を十分伝えまする方法をとつて参つたのでありまして、今後におきましても御趣旨の点は十分酌みまして、今後もその熱情を続けて参りたいと存じております。
  132. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 第百五十二号の陳情は、本委員会において採択し、これを本院の会議に付し、内閣に送付することに決定したいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。   ―――――――――――――
  134. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次は派遣議員報告をこの際お願いいたしたいと存じます。第一班は團伊能君です。一つ報告をお願いします。
  135. 團伊能

    ○團伊能君 このたび二月二十八日から三月五日に亘りまして、外務委員会といたしまして下関、山口県及び宮崎県に出張いたしました御報告を申上げますが、下関に出張いたしました分は、先日水産委員会との合同委員会におきまして少しく申上げましたので、委細は文書に譲りまして、今日は簡単に御報告することをお許し頂きたいと思います。  第一に、下関におきまして、漁業関係者その他宮崎県県庁の当事者等約六十人と会談をいたしまして、その間、このたびの漁船拿捕問題につきまして懇談いたしました。そのときの要点を申上げますが、第一に、現在存在いたしまするマッカーサー・ライン、殊に百三十度以西の以西底曳漁業の漁場につきましての陳情がございます。それは現在ございます支那海及び黄海の漁場の中で、マツカーサー・ラインが引かれました東側、即ち日本の出漁できる範囲は約三分の一、七万平方メートルであります。参全漁場が二十一万平方メートルのところに七分メートルの漁場が許されておりますが、実はその七戸メートルも大部分深海でございまして、底曳漁業に役に立たず、漁獲量から申しますと、全海域の約一五%、一割五分ぐらいのものしか漁がございません。その点で、今日この以西底曳漁業の海域は、甚だ漁場といたしまして狭く、収益はないものでございますので、この点から御考慮頂きたいということが第一点でございます。次は、この支那海、及び黄海におきます漁業は、専ら「さば」、「いわし」などの漁業でございまして、中国、朝鮮人等の食料にはならないものでございまして、專ら日本人の食料のために役立つものでございます。そこで支那及び朝鮮は、この方面において余り漁業に出漁いたしておりません所でございますので、できるならばマッカーサー・ラインをもつと西に延ばして頂きたいという切なる陳情が参りました。なおこの漁場の、若しマッカーサー・ラインを以西に延ばして頂くならば、その場合黄海、支那海の広範囲が許されないとすれば、せめて今日監視船が歩くことが許されておる場面、これは今日のマッカーサー・ラインよりも約十二マイル以上先まで監視船が、農林省の監視船が航行範囲までマッカーサー・ラインを延ばして頂くことはできないかという陳情が参りました。  次に拿捕問題でございますが、拿捕問題は、先日の委員会にもございましたように、極めて困難な問題となつておりますが、下関におきまして拿捕せられました船長、或いは甲板長など三名その他関係者と懇談をいたしました。その事情は先日の委員会で大体御承知になつた通りでございますが、現に中共の国旗を上げて正規の軍隊を乗せて日本船を拿捕に参り、而もその言うところによりますと、マッカーサー・ラインはもとより認めず、又連れて行かれました船長等の言によつても、領海さえも認めない、或いはいわゆる公海の観念すら不明瞭でございまして、支那海は支那の海であるから、日本人の出漁したときは拿捕するとかいうような、甚だ考えられない説明を聞いて、これらの人々、船員も帰つて来ております。そのために非常な恐怖に打たれまして、今日マッカーサー・ラインの中に在つても同様に拿捕せられ、更に遠く日本近海においても拿捕せられるという可能性があるというために、出漁が非常な今日不安の中に入れられておる、不安に襲われておるような次第でございまして、これについては何とか速急な御処置を願いたいという非常に熱心な陳情を受けたのであります。なおこれらの拿捕船は漁業保険におきましても、拿捕船は保険項目に入つておりませんために、何らの補償、保険金を受けることもできません。やはり国家としての補償もございませんから捕えられた船は、捕えられたなりの損失になつております。大体以西底曳漁業等に出漁いたします船は、大体二艘で組んで参りますが、中共側では、船は資本家のものでありますから、これは没收する。船で働いておる者は労働者だからこれは船で還えすというようなことを言つておりますが、実は多くの船主は、二艘とか四艘を持つておる極めて小さな九州の船主でございまして、長崎県、福岡県、山口県に亘つてあるいわゆる自己資金で、資本家それ自身が乗り組んで行くような漁業企業形態でございます。そのために一たび拿捕せられましたものは企業的に完全に成立たなく、非常な負債の中に陷りまして、操業不能になつております。又拿捕せられたもので帰還いたしました者は働く船がなくなりまして、今日全部失業いたしております。なおその拿捕されました者の家族は、その帰還する時もわからず、生死もわかりませず、非常に心配いたしておりまして、これらも只今何らかの救済を要求いたしております。実はこれらの拿捕の際に中共の船より発砲いたされて、死傷者も出しておりますので、その留守家族の不安は非常に大きなものがございます。これらによりまして、この拿捕に関しましては、大体要約いたしますと、現在拿捕されました船員を早く還えしてもらいたい。第二には、中共政権に賠償責任あることを明らかにせられたい。第三には、国内的補償の措置を講ぜられたい。いわゆる漁船保険等も今後機構を改革して拿捕の場合にも保険金支拂を受けることにしてほしい。次は、今日農林省の監視船或いは海上保安庁等の船の装備、或いは速力、或いは航行範囲を拡げて日本漁船に対する監視をするばかりでなく、国籍不明の外国船等に接したときにはいち早く漁船に連絡して、或いは発火信号なり無電を通じまして逃げる用意をさせてくれ。こういうようなところがその陳情の要点でございました。  次に、宮崎県に参りましては、これは專ら南洋遠洋漁業、殊に沖繩列島、大島方面の事情を聴取いたしましたが、この南の漁区はいわゆる、浮釣の方面でありまして、底曳ではございませんが、專ら沖繩におきましては「かつお」、「まぐろ」の漁業といたして、冬来ておる魚群を追つて参ります関係で、只今二十四度線でとどまつておりますが、更に南二十度線まで漁区を南に下げて頂きたいということは一致した陳情でございまして、なお沖繩列島は專らこの磯についておる磯つきの魚の漁業をいたしておりまして、或る場合には網を張りまして、その中を叩いたり、人が魚を追出して網に取るというような特殊な漁法が琉球で従来行われておりますが、磯についた漁業でございますので、今日は領海三マイル以内に入れませんために、琉球の沿岸漁業というものは全く日本人はこれに触れることはできない状態になつております。いろいろ陳情の結果、島から十二マイル以内には日本の漁船は入つてはいけないという話でございましたが、只今それが縮小されまして、三マイルになりましたけれども、三マイルでもなお磯つき漁業の操業ができないということで、これも何とか琉球の従来のような磯つき漁業をさしてくれないか。次に、遠洋漁業がしばしばこれらの島に寄らなければならない関係がある。勿論暴風の場合薪炭を得よう、或いは避難港を得ようとするときには許されると存じますが、その他いろいろなそれに類したことでこれらの島に寄港して行きたい。いろいろな必要品をそこで得なければならないということがございますが、これも現在許されておりませんので、本土を出まして、本土までどこにも寄港しないで帰らなければならないというために航行が非常に困難でございますので、この点も特別な御考慮を頂きたいということでございました。更に南に下りまして、委任統治、赤道附近にまでは、只今司令部の特別の許可で三、四隻母船を連れました「かつお」、「まぐろ」漁業が出ております。然るに最近米国の信託統治局等の意見では、南洋の旧日本委任統治諸海域に日本船の入ることに非常に不賛成でありまして、殊に絶対にその寄港地のごときを與えないという議論が出ておりますのを非常に皆心配いたしまりまして、将来の漁業とといたし、南洋の信託統治辺に行くことが絶対できないとなる場合において、少し大型の漁船を出し、或いは母船を持つて行くことができないという点に非常な不安を持つておりました。これらも外務省におかれましても、又水産庁におかれまして十分に御調査を願いたい事項と存じます。  その他不法入国事情等も多少参りましたが、このたびは専ら漁業関係を調査いたしましたので、これを以て御報告といたします。
  136. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 第二班は徳川頼貞君と櫻内辰郎でありますが、この報告は同じくその班に同行されました久保田専門員から御報告願いたいと存じます。
  137. 久保田貫一郎

    ○専門員(久保田貫一郎君) 命によりまして報告書を朗読いたします。    報告書  本員らは外務委員会の継続調査である講和に関連する諸事項及び国際情勢等に関する調査の一環として、(一)在外資産に関する地方の意向、(二)ダレス会談に関する地方の反響、並びに、(三)特需関係産業を調査する目的を以て三月一日から五日まで大阪、京都へ出張した。   先ず行動の大要を述ぶれば、三日午前十時大森大阪府副知事と会見(知事不在)。同十一時松下電器工場一見学、午後二時近畿車輌見学、午後三時から五時まで大阪商工会議所において杉会頭、小田原副会頭以下経済界の代表者約二十名と懇談会。懇談会では現地側の意見を卑ら聴取する予定であつたが、参集者側から強いての要望があつたので、櫻内より講和七原則、特に安全保障、経済水準問題等について、ダレス特使との会談中の差支えない部分を、徳川より主として文化問題についてロックフエラー氏との会談の模様を説明し、続いて現地側の各人から活発な質疑又は意見の開陳があつた。三日午前十時蜷川京都府知事と会見。十一時京都府知事室で記者団と会見。十二時蜷川知事、田村京都府副知事、高山京都市長、夏秋、光明両京都市助役と午餐を共にしつつ懇談。午後二時令川島織物工場見学。四日午後一時半清六苑陶器工場見学。午後三時山中美術館において在米資産善処方希望を聴取。   以上の通り官公民各層の人々と接触して冒頭の調査事項に関連して意見を聽取した結果の大要は左の通りである。   一、講和問題一般については国会の論議を通じても、又はダレス氏会談後の諸発表によつても、一応は内容を聞かされたが、肝腎のところは知らされていない。   一、祕密外交とか、公開外交とかの良否は暫く別とし、外交は輿論をバツクとして行わるべきであると思うが、人民はよく知らされていない。それでただついて来いというやり方は問題だと思う。   一、講和を結んで八千五百万の国民を擁する我が国の自立は果して可能であるか。この計画を確立した上で講和を進めるべきである。   一、安全保障の体制はできても日本がこれに協力せぬ場合は対日援助はせぬという結果にならぬか。   国防費は相当嵩張つてもそれは宿命的であるのだから止むを得ぬ。   一、日本が米国とのみ講相談義を続けていると、ソ連は領土を日本へ返すからその代り中立せよとの態度に出るかも知れぬ。そのような逆手を食わぬように注意を要する。   一、ソ連を除外した講和ができた場合、ソ連との戰争状態が残り、ソ連我が国を占領に心配はないか。   一、米軍が帰還すると日本だけで共産党を抑えることができるか。   一、終戰後五カ年教育は空白とも言うべく、青少年は魂を失つたような状態である。青少年に国を愛する精神がなければ国防はできない。  青少年と政府とが遊離せぬよう注意を要す。   一、国際商品(例えば紡績)の統制は不可。   以上、調査項目に関係ある諸発言の一部を掲げたのであるが、これを一以ても判明するごとく、今回の出張中接触した人々は單独(多数)講和の締結は当然のこととして全部賛成であるが、ただその運び方に多少不満があり、又経済自立の能不能、ソ連の思惑につき不安を抱いている。これに対しては本員等から米国の対日世論は非常に好転しているから、将来たとえ対日援助金がなくなつても、原料購入、貿易伸張等、いろいろと日本の経済自立が可能になるよう好意的に考えてくれるであろうこと、ソ連との法的戦争状態が持続しても米軍撤収という空白状態が起らぬ限り(米はそのような事態の生じぬように考えている)心配無用の旨説明した。在外資産については没収から除外されるよう勿論一致して希望しているが、具体的な説明又は希望は開陳されなかつた。賠償問題につき賠償中止の上もそれに伴ういろいろな問題もあるから委員会で取上げて研究されたいとの意見があつた。  なお今回の旅行を通じて近幾連絡調整事務局は島局長以下よく斡旋の労をとつてくれた。同局長は最近外務省の命を受け京都府下の片田舎を十数回に亘り巡回講演を行なつた由であるが、その説明によると、講和に関する関心は非常に高いと共に、予備隊の軍隊化、又は新たな徴兵を危惧する向きが相当あるとのことである。  又蜷川京都府知事の話によると、府下の婦人は、もう戦争はこりごりだ、子供を兵隊にとられるのはいやだと言うに一致し、青年暦は、一部は兵隊にとられるのを恐れ、一部は腕を施して事態の進展に一縷の希望を持つているという状況の由である。   無條件に平和を欲する向きに対しては、講和の締結は決して戦争の準備を意味するものではなくて、国際共産主義の策謀に対して真の平和を守るためであること、切迫した現下の国際情勢の下では、無防備国家の中立は虹のようなもので、望んでもつかめるものではないゆえんをもつともつと説明する必要がある。   なお大阪の商工会議所懇談会の席上、大阪在住奄美大島人代表吉田美英ほか一名は、在奄美大島人の代表として、奄美大島の日本復帰につき声涙を呑みつつ陳情せられ、本員らも深くその苦衷と熱情に動かされ涙を禁じ得なかつた。  以上御報告を代理いたしました。
  138. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 以上の通りであります。御了承を願いたいと存じます。  本日はこれにて散会をいたします。    午後四時三十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            徳川 頼貞君            曾祢  益君    委員            杉原 荒太君            團  伊能君            金子 洋文君            伊達源一郎君            野田 俊作君   委員外議員            紅露 みつ君            高田  寛君            小泉 秀吉君   政府委員    外務政務次官  草葉 隆圓君    外務省政務局長 島津 久大君    外務省條約局長 西村 熊雄君    水産庁長官   家坂 孝平君   事務局側    常任委員会專門    員       坂西 志保君    常任委員会專門    員      久保田貫一郎君   説明員    水産庁生産部長 十川 正夫君