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1951-02-22 第10回国会 参議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十二日(木曜日)    午後二時二十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○議員派遣要求の件 ○講和に関連する諸問題並びに国際情  勢等に関する調査の件  (安全保障問題に関する件)  (領土問題に関する件)  (ユネスコ問題に関する件) ○連合委員会開会の件   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより外務委員会開会いたします。  最初に議員派遣の件の御審議を願いたいと存じます。外務委員の中から團伊能さんと徳川頼貞さんと派遣することにして、派遣目的は第一班は外国人出入国状況及び漁区問題の調査のため、第二班は在外資産措置に関し財界その他の意見を聴取し、併せてダレス使節団東京会談に関する反響調査のため、第一班は山口県、宮崎県、第二班は大阪府、京都府、こういうふうにして議員派遣要求をいたしたいと考えているのでありますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは御異議なしとしてさよう決定いたし、議長に派遣要求書を提出することにいたします。
  4. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次は講和に関連する諸問題並びに国際情勢等に関する調査でありますが、本件に対しまして政府側からはそれぞれ政府委員のかたが御出席になつておりますので、委員のかたから御質疑がありますれば御質疑を願いたい、かように考えます。
  5. 曾禰益

    曾祢益君 私は委員会にお諮り申上げたいのですが、講和問題に関する国会質疑につきましては、新聞等に伝えるところによればいわゆる峠を越したというふうに言われております。成るほど政府ダレス氏との会談は一段落しましたし、今後ダレス氏がアメリカに帰られたら更に今後の発展があると思うのでありまするが、併しその間におきましても、国会の少くとも当委員会におきましては重要な問題、なかんずく安全保障に関する問題、或いは領土の処分に関する問題等の特に法律的な関係等については日米間の話合いはまだ具体化しておらないらしく承わつておりますが故に、かえつてそれらの問題について当委員会におきましていろいろな先例等にからんで研究をして行く必要が大いにあるのではないか、かように考えておるものでございます。従いましては本日政府委員も来たわけでありますが、本質的には我々が委員会においてかような問題を続けて研究して行く。ただその際に実際問題といたしまして、我々は資料も乏しうございますし又専門的知識も決して十分とは言えません。我々の研究の過程におきまして外務事務当局の応援をしてもらう、資料等も出してもらう、そうして続けて研究して行く。ただ単なる一回限りの、政府委員出席を求めて散発的な質問をしてそれで終るということじやなく、継続研究をしてそれに当局に入つてもらう、かような体制で研究をする、本日はその第一回という意味でやつて頂いてはどうか、かように考えるものでございますが、さような趣旨におきまして委員会が当然といえば当然でありまするが、本日を皮切りとして暫らくかような問題を続けて研究して行くということにつきまして、同僚各委員の御意見を伺いたい、さような動議を提出いたします。
  6. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 只今曾祢君からの御提言に対しまして、委員会として御異議はございませんか、そのように運んで行くということに。
  7. 團伊能

    團伊能君 只今曾杯君の御提案に私ども賛成でございます。講和会議開催の問題につきましては多々研究すべき点があり、只今までも総理その他の本院における応答の形において、断片的なる総理構想も承わりましたが、併しそれを総合的に一つ講和会議提案の形が、講和会議条約に盛込まれると思われるすべてのものを、相当突込んだ系統的な研究をこの委員会としては出すべきだと思うのであります。その点におきまして只今曾杯君集団保障の問題及び領土の帰属の問題等中心としてというお話でございましたが、誠にそれが一番重要な点だと存じますが、なお若しも講和条約が締結されましたとき、これは非常に大きな立法でございまして、又国会がこれを批准する当事者になるかと考えます。その点からの責任を考えますと、国民を代表する意見というものがここにはつきりとつかまれて、そうしてそれが講和会議折衡に対して十分できるだけ実現されて行かなければならないと思いますので、一つこの講和会議にどうして向うかという、この形の上においても一応皆様の御意見を伺う機会があつていいと思いますが、その点でこの委員会がこういう点に関しまして継続的に審議を続けることは私は賛成いたします。
  8. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それではそういうふうに委員会としては決定いたしまして、委員会の運営をして行くことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それではさように決定いたします。政府側もどうかそういう趣旨において一つお忙しいでしようけれども特にお努め願いたいと、こう考えます。
  10. 島津久大

    政府委員島津久大君) 只今講和問題、殊に領土問題その他法律的な問題について継続的に御審議になつて行かなければならない、これに対して政府委員側も協力するようにという御要望がございましたが、できるだけ御要望に副いまして、資料もできるだけ提出いたしますし、又できるだけの御説明もいたしたいと思います。ただ、私の誤解かも知れませんが、共同研究というような形になりまして、或る結論委員会のほうと政府委員共同結論が出るという形になりますと、政府委員の立場ではちよつと困難ではないかと思います。できるだけ御協力申上げますが、何と申しますか、拘束をされない形においてできるだけ御協力申上げたいと思います。
  11. 曾禰益

    曾祢益君 私が申上げましたのは、委員会研究である。團委員が言われたのも全然同様な御趣旨であろうと思います。私どもとしても、政府も恐らく或る時期になつたならば国会提案するであろうところの具体的な条約案に対する我々の態度は、全く自主的にきめたいという気持でありますから、これは本質的に政府委員と当委員会共同研究というようなもの、殊にその結果が一つになるというようなことを全然予想しているものではない、飽くまで委員会独自のものである。各委員もそれぞれのお考えがありましよう、所属政党考えもありましようが、そういうような見地もありましようが、我々の資料なり何かについては差支えなきものは、やはり政府のほうが十分に先例等も知つておるであろうから、さような部分については政府に、何といいますか、そういう協力といいますか、我々が資料を出してもらうことを要請したい。こういうことを言つておるつもりでありますから、さような誤解はないようにお願いいたします。
  12. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 私も今の御趣旨に非常に賛成ですが、大体の研究態度をきめておかないと、成案を得てそれを以て活動するというふうになると、各政党考え方もありましようし、委員会として一致した行動がとれるかどうかということも疑問でありましようし、それは第二として、先ず研究をするということが非常に大事であろうと思います。仮に案を作つて見るというようなことも研究一つ方法でありましよう。今日午前中予算委員会が丁度外務の問題でありまして、ここにおいでになる草葉さん、島津さんもおいでになつたのでありますが、私は総理大臣にいろいろ質問したうちで、この講和問題には国会重点を置いてもらいたいと、こういうことを申しましたら、その答えとして総理は、無論国会重点を置くと、併し国会考えてくれと、大いにこういう問題を研究してもらいたいと、そういう言葉で言われなかつたけれども意味国会が余りに国際的知識が貧弱であると、もつと研究する必要があると、草葉さんそういう意味に解してよかつたね。
  13. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 国民が……。
  14. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 国民ですか、国会がではなかつたのかね。まあそういうことですから、私は研究ということに非常に力を尽すことが我々の義務だろうと思うので、この研究の結果については更にお考えになることにしたらよいと思います。
  15. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは、そういうことで今後委員会を運営することにいたしたいと存じます。
  16. 曾禰益

    曾祢益君 それでは私、先ず一つの問題といたしまして、やはり何と言いましても安全保障の問題が非常に重要だと思うので、この問題を取上げたいと思います。  最近ダレス氏が公表されましたいろいろな発言なり提案の中に、いわゆる集団的自衞権憲章の第五十一条に定めてある集団的自衞権並びにこれとうらはらに立つところの憲章第八章以下の地域的取りきめ、この問題が実は我我国民にはかなり新しい構想であつて、それが決して十分に説明され又理解れていない、かように考えるわけなんであります。  そこで第一に、集団的自衞権とはどういうものであるか、それから第二に、集団的自衞権具体化としての地域的取りきめ、これの性格、それの先例等についていろいろ御質問申上げたいのですが、それについては外務当局からさような先例について是非資料を先ず出して頂きたい。本日は、ここで要請するのですから御用意なかつたと思いますが、この次までにいろいろな集的団衞権先例地域的取りきめの先例、どういう型があるかというようなことの説明をして頂きたい、かように思う。そこで先ず憲章五十一条の集団的自衞権というものを外務当局から一応説明して頂きたいと思います。
  17. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 大変むずかしい問題でございますので、一応私が理解しておる程度の御説明を申上げたいと思います。  実は丁度私一昨日あたりから、例のケルゼン教授国際連合憲章註釈書の五十一条に関する部分を読んでおるのでありますが、その中にもいろいろな批評をしてございます。その中に、国際連合憲章作つた余り程度の高くない法律家というような言葉がございます。こういうような集団的自衞権という言葉が入り、又それを国家がインヘレントに持つておるというようなことになつたのであると、非常な酷評を下しております。国際連合ができまして初めて集団的自衞権というものが国際法上の言葉として現われたわけでございます。これをどういうふうに説明するかについては、今日まだ国際法学者の間にも定説がないと言つたらよかろうかと思います。ただ五十一条の文字から解釈いたしますと、一つ武力攻撃が発生した場合に、その武力攻撃によつて自国の安全に対する被害を受ける国が数多ある場合には、その数多の国はおのおの国際法上当然自衞権を行使し得るわけでありますが、これらの国が自衞権をいわゆる共同して行使するという場合、そこに集団的自衛権というものがあると、こういうふうに解釈するのが一番穩当かと思われます。従つて言葉を換えて言えば、一つ武力行為が発生した場合に、それによつて直接自国の安全に対して急迫せる危害を受けるという国が多数あつた場合には、これらの国が国際法加盟国の自衞権発動するに当つてお互いに集団的になつて防止する行動をするという、こういうふうな集団的自衞権である。そういうふうに解釈するのがよかろうかと考えておる次第であります。  この規定が入りましたいきさつを考えれば、又この五十一条の意味もわかるわけでございます。もともとこの五十一条は国際憲章の原案にはなかつたわけでございます。さようでございますから第八章の地域的取りきめの条文を御覧になりますとわかります通り、国際紛争が起つた場合は、国際連合加盟国は先ず第一に地域的取りきめがあればそれを発動して、それによつて処理しなければならんという建前になつております。その中に但書が載つておりまして、併し地域的取りきめがありまして、実力制裁を必要とする場合には但し安全保障理事会許可がなくちやならん。こうなつておるわけであります。で、サンフランシスコ会議で出た場合にはそういう規定だけになつてつたわけであります。ところが殆んど同時に中南米、北米、いわゆるアメリカ大陸諸国相互援助条約の大綱を結んでいたわけであります。そういたしますと、仮にアメリカ諸国全部が結んでおります相互援助条約がありましても、それを発動ずるには、アメリカ以外の国からアメリカ諸国の中の一国に対して武力攻撃が発生しました場合に、その相互援助義務発動しようとしましても、実は今申上げました国際憲章規定によりまして、安全保障理事会許可を必要とするということになるわけでございます。そうしますと仮に常任理事国の一国が拒否権発動しますと動かなくなる。これが非常な大問題になつたのであります。この点を如何に調整するかということが非常に問題になりまして案出されたのが五十一条であります。その案出された方式が即ち、国際連合加盟国の一国に対して武力攻撃が発生した場合には、加盟国は個別的に又集団的に自衞権発動してよろしい。但しすぐ安全保障理事会に通報しなければならない。その通報を受けて安全保障理事会が平和を回復するために適当な措置をとつたときには、自衞権発動は停止しなければならんという規定が五十一条として入つたわけであります。その規定が入るについてはソ連側に非常に大きな反対があつたそうでございますけれども、これが入らなければいわゆる国連サンフランシスコ会議の成敗を賭してもこの五十一条は絶対に必要である、という強い態度アメリカその他がとりました結果、結局五十一条は入つたということになつております。従つて国際連合憲章ができましたあと西欧陣営の国々の間には、数個の集団的地域安全保障取りきめが成立いたしました。今申上げました全米相互援助条約を完璧にしたものが条約としてできました。それからブラツセル条約ができましたし、それから北大西洋条約ができましたが、いずれもこれらの条約の中にはこの五十一条を引用いたしまして、その締約国の一国に対する武力攻撃が発生した場合には、全締約国に対する武力攻撃とみなす、従つて国連憲章五十一条に基く個別的又は集団的の自衞権発動するという規定が入つておりますだから民主陣営国で結ばれておる地域的取りきめにおいては五十一条が極めて重要な眼目になつておるということが申せます。  これに反しまして、これに対応しますいわゆる共産陣営の間でも非常に多数の相互援助条約が締結されております。併しこれらのものには五十一条は全然引用してございません。なぜかと申しますと、地域的取りきめのところを御覧になりますとわかりますが、今申上げましたように、地域的取りきめによつて武力的措置発動する場合において安全保障理事会事前許可を必要としなければならんという規定がありますが、すぐそのあとに但し旧敵国侵略の再現に対してとる措置についてはこの限りにあらずとなつておるわけであります。この憲章建前から申しますと、第二次世界大戦中におきまする、いわゆる旧枢軸国から来る侵略、それに対抗する措置を約束した条約安全保障理事会統制の下に服しないでよろしいということになつておるわけであります。それで今日までソ連陣営の諸国によつで結ばれております相互援助条約は、例外なくドイツ又は先年の中ソ同盟条約に見られますように、日本という国から来る侵略乃至それの後にある国からドイツ乃至日本を通じて来る侵略に対してお互い援助をする。こういうふうな形式になつておりまして、全く安全保障理事会統制の外に立つておる。こういう関係になつております。  一応関係した点を御説明申上げました。
  18. 曾禰益

    曾祢益君 五十一条の由来とか、或いは五十一条と地域的取りきめとの関係、それから地域的取りきめの際における強制措置例外としての五十一条の自衞権が認められた点、更に又いま一つ地域的取りきめが、安全保障理事会に左右されない例外としての旧敵国に対する措置というようなことについてのお話は非常によくわかつたのですが、そこで次に集団地域的取りきめにどういうものがあるか。それをいろいろな形で考えて行く必要があると思うのですが、先ず二カ国間の取りきめでも地域的取りきめと認められるか。それとも如何にも地域的取りきめ、或いは集団安全保障という言葉が呈示しておるように、かなり多くの国、米洲全体の集団安全保障といつたような恰好だけが地域的取りきめというように認められるのか。その点について伺いたいと思います。
  19. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 従来の解釈では二カ国間の取りきめの場合にも、地域的取りきめの中に入ると理解されております。
  20. 曾禰益

    曾祢益君 それからそうしますと、例えば米ソ間の同盟条約ですか。いや英ソ間、さようなものですね、そういうものもやはり地域的取りきめであつて必ずしも地域が離れておつてもいいし、二カ国でもいい。これはやはり地域的取りきめと認めて差支えないのでございますか。この点お伺いいたします。
  21. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 非常におかしな結果になりますけれども、今御指摘になりましたような英ソ同盟条約仏ソ同盟条約というのもございますが、そういうものも国連憲章にいう地域的取りきめの中に入れで考えております。
  22. 曾禰益

    曾祢益君 今度はその内容について伺いたいのですが、まあ地域的取りきめという言葉及び考えの根本は必ずしも軍事同盟的なことのみを意味していない。いわゆる一つ地域的な平和機構という意味だろうと思うのですが、それを具体化したような国際間の取りきめは、多く軍事的な及び政治的な相互援助条約、或いは同盟条約軍事同盟というような恰好をとつていると思うのですが、その点はどうですか。つまり、言い換えれば地域的平和機構ということであるのだろうが、非常に実態的には軍事同盟みたいなものになつておるのではないか、そうでないような性格のものがあるかどうかということを伺いたい。
  23. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 今曾祢委員の御指摘なつた点は非常に面白い点だと思います。本来から申しますと、地域安全保障取りきめと申しますのが、従来のいわゆゆる同盟条約と如何に違うかという点につきまして、従来の国際法の学者は従来の同盟条約お互いに或る敵国を仮想して、その敵国から攻撃があつた場合には、軍事的に、政治的に、経済的に相協力してこれに対抗するという、いわゆる第三者に対する対抗的気持が強く出たものである。それに対して集団的安全保障取りきめというものはそうでなくて、その取りきめの中に加わつている国の相互の間において紛争が発生した場合に、これはこの取りきめによつて設けてあります機関にかけて平和的に解決する。それが解決できない場合にはその解決方法に従わない国に対してほかの締約国が相寄つてこれに制裁を加える。これが本質として言われたものでございますが、我々も従来そういうふうに解釈して参りましたが、今度の第二次世界大戦後、これは何と申しましてもこの二つの世界に分れて相対立抗争するような国際情勢から生れました結果だと思いますが、安全保障取りきめの内容相当程度戦前のいわゆる同盟条約に近いものになつて来ております。これは資料として差上げます全米相互援助条約を見ましても、ブラッセル条約御覧になりましても、又北大西洋条約御覧になりましても、その条約冒頭には、この締約国に、この条約に加わつて来る相互の国が平常から政治、経済、軍事、文化的に相協力するという趣旨が強く出て来ておりますし、又その間の何と申しましようか、締約国について起る領土乃至政治的独立を脅かすような事態が起つた場合には、お互いに討議するというような条項も入つておりますが、それを相並びまして、やつぱり今申上げましたような五十一条の集団的自衞権中心にする規定が置かれておりまして、その条約加盟国以外の国からその中の仲間の一国に対して武力攻撃が発生した場合には、相寄つて集団的に自衞権発動する、こういう規定が入つておりまして、それが眼目になつております。  従つて率直に申上げますならば、第二次世界大戦後の定全保障取りきめというものは、連盟の末期時代に開かれましたような、極めて理想的なお互いの間の紛争を平和的に解決する、それが解決できない場合にはお互い違約国に対してこれを制裁して紛争を解決するという趣旨から非常にそれまして、お互い一緒になつている、その圏外からの攻撃に対して一緒になつて相防ぐという傾向が強く出て来ております。併しいずれにしろこういうふうな内容、それから精神に変化はありましたけれども、それがひとしく国際連合憲章の下におきましては、地域安全保障取りきめとしてやられております。
  24. 曾禰益

    曾祢益君 私は今の御説明で、むしろ五十二条以下の元来地域的取りきめの持つような意味よりも、むしろ五十一条的なその関係国以外から来るところの武力攻撃に対して、先ず憲章の認めた自衞権発動する道具になつており、言い換えるならば、やはり世界武装対立の反映し過ぎておるような、昔の軍事同盟に近いような性格を持つて来ておるきらいがあるというふうに私も見るのでありますが、それはそれといたしまして、次にさような集団保障の場合に加盟国の一部が武力を持たない、従つて自分の国だけがいわば防衞してもらえる、自分はその共同防衞言つても、他の加盟国軍事的に応援する義務のないような、さような恰好のいわゆる片務的といいますか、双務的に共同防衞するのじやなくて、義務内容が片務的である。一方的である、かような種類の集団安全保障或いは地方的取りきめの例があるかどうかについて伺いたい。
  25. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 私の記憶する範囲内では、ただ一つ北大西洋条約におけるアイスランド共和国というものがございます。アイスランド共和国陸海空ともに一兵も持つておりませんにもかかわらず、北大西洋同盟条約に参加しております。そのときに、調印式の場合に同国の外務大臣がワシントンで演説をしておりますが、調印式の席上でありますが、そのときに冒頭そう言つております。こういうようなことを言つております。アイスランド国陸海空三軍一兵も持たない、こういうような軍備を持たない国が北大西洋条約のような安全保障取りきめに参加し得るや否やについては極めて躊躇を感じた。アイスランドとしてはいわゆる戦争をしようという気持も全然ない。併しながらこの前の戦争の経験から見て、アイスランドはいわゆる自由世界の国において初めて自国の安全を保持し得ると思うので、この条約に参加することを決意したというような趣旨のことを述べております。ただ一例としてはそれだけかと私は了解しております。
  26. 曾禰益

    曾祢益君 アイスランドの首相の言葉か或いは吉田さんの言葉になるかは知りませんが、そのアイスランドの例のほかに、これは国連憲章に基くものじやないのですが、太平洋戦中日本フイリツピンとの共同防衞協定というものは、あれはたしか片務的だつたような気がするのですが、どうですか、御記憶がございましようか。参考までに伺いたい。
  27. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 私は丁度日比間の条約ができました当時、東京にいなかつたものですから全然記憶がございません。
  28. 曾禰益

    曾祢益君 結構です。たしかフイリツピンのほうは軍隊を持つておらないので、このいわゆる東条、日本作つたほかの国との共同防衞協定とは全然違う。フイリツピンとして日本防衞に対してはしないという、たしか片務的な条約の例ではないかと思うのですが、それは結構です。  それから今度は多少それに関連することですが、もつと細目的になりまして、さような取りきめの結果、外国軍隊が完全なる主権のある国に事実上駐屯する。或いはいろいろな軍事施設等の便宜を持つ。かような例が多々あると思うのですが、これは一方において、その国の主権に対する非常な制約になる場合も多いと思うのですが、それらに関しましていろいろな形の取りきめがあるのではないか。例えばアメリカフイリツピン政府との間のいわゆる軍事基地に関する協定、それからイギリスが、例えばバーミユーダを、これはたしか租借してしまつたと思うのでありますが、そういつたような包括的に或る土地を租借してしまう。更に又英本国内にアメリカの飛行場が置かれる、そういう場合にどういうたような便益を受け、又その反作用として如何なる英本国主権に対する制限等が行われるか。いろいろな型がそこに生れて来ておると思うのですが、さような先例についての、何といいますか条約のテキストというようなものはお持ちであつたら是非出して頂きたいと思います。
  29. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 只今曾祢委員から言及されました条約のうち、我我のほうで条約集という形にして印刷してありますものについては、或いは余部の関係がございますが、余部が十分ありまするものについては差上げることにいたしたいと思います。
  30. 曾禰益

    曾祢益君 それで資料の提出は余部がなくとも余部を刷つて出して頂きたいと思うのですが、公開的のソースから出ているものについては、是非便宜を計らつて頂きたいと思う。それで今日はそういうものを頂いていないのですが、従つて細目的研究は今後に譲るとして、私が今申上げたように、これは非常に素人的な考え方で、必ずしも米比型、英本国対米国型、或いはバーミユーダ型というように大体いろいろな型がある思うのですが、そこで例えばこのバーミユーダの場合と英本国の場合とでは、そこに非常な違いがあるかどうか、つまり研究中心眼目は、申すまでもなく軍事施設については便宜を与える国側としてどれほどの犠牲が加わるかとか、例えばそれの最もはつきりわかる例といたしましては、それらの軍事施設を利用する場合、有償であるか、無償であるか、更に又軍隊が駐屯する以上は、勿論そこにいわゆる軍隊の必要とする労務の提供、或いは軍人の給与に対する支払という関係から、その軍隊が駐屯するほうの国の通貨の膨脹を来たす。これに対しては、外貨を以て裏付けをしておるかどうか、かような点を中心にして一つ。例えばバーミユーダとか、あれの場合は如何になつておるか、ということを今日は極く簡単で結構ですからお聞かせ願いたい。
  31. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 曾祢委員の問題はだんだん難問題に入りますが、我々も実はその点は資料がないものでございますので、今日までのところ何もわからないと申上げるのが正直なところでございます。ただ曾祢委員が申されましたように、バーミユーダ英米間の条約の方式としますと、あれは、アメリカがイギリスから大西洋上の多数の島に九十九カ年の期限で或る地域を租借しておる関係であります。従つてその法律関係は、従来中国にありました列国の租借地と同じ法理関係でありますが、ただ特殊な点は、従来は大国が弱国に対して持つた特殊の権利かのように我々が頭に入れていた租借地という制度が、英米のような世界の二大強国の間に対等の立場において協同防衞のために締結されたというところに非常に大きな意味があろうと思います。これは租借地の九十九カ年貸与でございますので、そう財政上の問題などは起らないかと、こう思われます。  もう一つは、米比間にある軍事基地協定、これはアメリカ協定によりまして、フイリツピンの或る地区を限つて軍事基地を持てるという趣旨のものでございます。あの協定を見ましても、曾祢委員の御指摘になりましたような、いわゆるそれからどういうふうな財政的の関係が生れて来るものであるかということは、協定を一読しただけでは甚だ判断が付きかねております。  もう一つの型は、一番新らしい型でございましようが、現在アメリカの空軍部隊が英本国に駐屯しておる、その形態でございます。これについては恐らく英米の間に何か協定と申しますか、取りきめというようなものがあろうかと存じますが、それは公表になつておらないようでございます。恐らく事の性質上公表いたしがたいものでございましようかと思います。恐らく北大西洋同盟条約の中に基いて、一つの西欧共同防衞という見地から、イギリスは米軍の英本土駐在というものを承認いたしておりまして、それに対して各種の便宜が与えられておるとは存じますが、具体的にどういう便益が提供されておるか、それに伴う、つまり曾祢委員が申されましたように、いわゆる経済的な話、財政的の問題が如何にして調整されておるかということは、資料が持合せがございません。
  32. 曾禰益

    曾祢益君 確かにそういう隠されておるものもあると思うのですが、例えばいわゆる刑事事件の場合の規定、裁判権の所属というような問題については、米比間のやつはかなりはつきり書いてありますが、そういうものも米英間の本国におけるやつは全然ないのですが、公表されておるものはないのですか。
  33. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) ないのです。
  34. 曾禰益

    曾祢益君 併し何かやはり規定がなければ……
  35. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) あるだろうと思いますが……あつたほうが便利だろうと思います。あるだろうと存じます。
  36. 曾禰益

    曾祢益君 今度多少前に帰りまして、便益のほうは一応その程度にして置きますが、北大西洋同盟条約の公表されたものを見ると、外部からの侵害、武力攻撃に対する集団安全保障ということが書いてあるわけなんですが、新聞その他にあつたと思うのですが、中からする、国内からする暴動等にでも、外部からこれを指導してやらせるようなものにはやはり武力攻撃とみなすというようなことがどこかにあつたとか何とかいうことがありますがその点はどうなつておりますか。
  37. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 今曾祢委員が御指摘になりました点は、この条約ができましたあと、アチソン国務長官が新聞記者会見で、いわゆる外部からの示唆、干渉に基く内乱といえども、この条約でいう武力攻撃に該当すると自分たちは解釈しておるということを公式に声明いたしております。それがその北大西洋条約国間の公式解釈になつておると私どもは了解しております。
  38. 曾禰益

    曾祢益君 そうすると外交文書としては出ておらないけれども、その中心勢力であつたアメリカの国務長官の公式の声明で、各締約国の公式解釈として……。
  39. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 自分たちのです。
  40. 曾禰益

    曾祢益君 そうですが。それでは各委員の御質問もあろうと思うので私は一応安全保障の中の集団的な安全保障といいますか、その問題についての質問を今日は終りまして、又領土問題等について伺いたいと思うのですが、私ばかりしやべつていて恐縮ですから他に御質問が……。若し今日はございませんでしたら私は早速領土に関連する問題で質問したいと思いますがよろしうございますか。
  41. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) どうぞ。
  42. 曾禰益

    曾祢益君 それでは領土問題に関連しましていわゆるこれは日本の問題も勿論念頭においてお話しておるわけですが、信託統治という問題が出ておりますが、この問題も私も先ほど申しましたように、全く国民といたしましては非常に新らしい観念であつて、例えば今条約局長が説明された租借地の場合とどう違うか。一体信託統治とはどうなんだというようなことも実は我我はわかつておらない一国民の希望としては皆今度の戦争でカイロ宣言に該当するような領土は、これは本来の外国領土であるからきれいにお返しするが、その他の島にして本州、四国、九州、北海道に該当しないようなものについてはポツダム宣言を受諾した関係上、四大国が処分するという、これには今更異存がないのでありますが、併し日本領土権を認めて欲しい。又当委員会にも小笠原或いは沖縄、或いは千島等の住民のかたがたが来られて切々と国籍はどうなるのだというようなことを訴えておられるのですが、そこで仮りにこれらの地域にしてその一部であつても信託統治というような取扱を受ける場合に、一体今までの信託統治の概念からいたしまして、主権はいずれの国或いはいずれの団体等にあるのか、どう見るのか、その場合に住民の国籍はどうなのであるか、更に又一体信託統治というものは期限附のものであり得ると思うが、その点はどうなのであるか、無期限に信託統治ということにならなくてもよいのかどうか。それから憲章言つておりますところの信託者といいますか、憲章では施政者という言葉を使つておるようですが、現実に施政に当る国或いは団体等についてはどういう種類のものがあるのか、仮に信託統治にその土地を付したほうの元の領土権国が施政者になり得るのかどうか、これらに関する先例並びに法的な見解を参考のために伺いたい、かように考えます。
  43. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 先輩の曾祢議員がお手許に持つていらつしやるのは、私の同僚芳賀君が書かれた虎の巻だと存じます。私の持つておる智慧も実はその本に書いてある範囲をあまり出ないのです。その本を御覧になりますればおわかり下さいますように、今提起されました三つの問題であつたと思いますが、信託統治地域というものは一体どこの主権に属するのかという問題、それに関連して信託統治地域の住民の地位はどうか、国籍はどうであろうかという問題でございますが、こういう問題につきましてはこれはひとしく信託統治制度の前身と申されまする委任統治制度の下におきましても存在した問題でございます。  第一点の、領土の所在の問題でありまするが、委任統治制度の場合には、その根源になりましたヴエルサイユ平和条約が、明白にドイツは主たる同盟国のためにその海外領土主権を放棄すると、こういうふうな規定をしておりました関係上、委任統治地域主権はいずこにありやという問題について学問的に結論を下す手がかりがありました。それでもなおかつ三十年に近い間、委任統治地域主権は主たる同盟国にあるという説もございましたし、際連盟にあるという説を唱えた人もありますし、又受任国にあるという説を唱えた人もありますし、又委任統治地域の人民にあるという説を唱えた人もあります。そういうふうに各個の、数種の考え方が対立いたしまして、最後まで国際連盟といたしましては分けの解釈を下しませんでした。こういう現状でございます。信託統治制度につきましてはより以上の問題は困難になると思います。と申しますのな、信託統治制度に置かれる地域に三種ございます。一つは従前の委任統治地域、第二は旧敵国から分離される領土、第三は領有国がみずから進んで提供する地域、この三つであります。ところが今日まで十一ございますが、そのうち十は委任統治地域が信託統治地域なつたものであり、最後の第十一番目がイタリアのソマリー植民地、あれが十カ年信託統治地域になることになつて、極く最近確定いたすはずであります。そういうふうな関係がございます。そうしてイタリアの平和条約を見ましても、イタリアはただアフリカにおける植民地に対する主権を放棄するというだけで、誰のために放棄するという規定になつておりません。こういうふうな関係でございますから、信託統治制度の下における主権はいずこにありやという問題は、委任統治の制度の下よりも更に困難な問題でございます。今日までその点について、実は信託制度の発足してから、僅か五年半にしかならないせいでございましようが、何もその有権的な乃至有力な国際法学者の説なども出ておらんというのが実際でございます。いわんや国際連合において公的の解釈をその点に下そうというような気配はまだ全然ございません。恐らく将来長きに亘つてその点は解釈が与えられないで行く問題であるのではなかろうか、こう思います。  第二の、住民の地位の問題でございますが、住民の地位の問題につきましては、いわゆる住民の国籍の問題でございます。これは委任統治制度の下におきまして、或る国が、今具体的に申上げるのは差控えますが、或る国、日本ではございません、或る国が委任統治地域の住民を立法措置によりまして一括自国の国籍を与えようとしたことがございます。それでいわゆる国際連盟におきまして公式の問題になつて、一九二三年でございましたか年度は忘れましたが、連盟理事会の決議ができまして、それによつて委任統治地域の住民に対してはどこの国籍も持たないものである施政権国が一括自国の籍を与えることはできない、委任統治地域の住民として特殊の地位を持たせねばならない、ただ個人の自由意思によつて帰化するという方法によつて施政権国の国籍を取得することができる、こういうふうな決議ができましていわゆる国籍の問題が公的に解決されたわけでございます。国際連合におきましてはまだ五年半、そういうふうな問題が起つておりませんので、これ又国籍は一体どうなるものであるかというような点については何ら公的のいわゆる解釈というのですか、よりどころにすべきものがないというのが現状でございます。ただ我々の知つておるところでは、南太平洋の旧南洋群島ですが、あの信託統治に関する協定の中には、アメリカのほうであの島々の住民は南洋群島の市民、シチズンズの地位を与えるために特定の立法をしなければならん、そうしてこれらの市民に対しては、外国においてはアメリカのほうで外交的、又は領事的保護を与えなければならんという規定があるだけでございます。これ又住民の地位の問題も今有権的にこうであると申上げるだけの固まつた問題ではないというのが実情で、こぎといます。第三の質問は、どういう国が施政権者になれるだろうかということでございますが、これは実例によりますと、今十一ございますが、施政権者になつている国は皆国際連合加盟国でございます。ただ今回新たにイタリアが、自分の旧領土でありましたソマリーランドの信託統治の施政者に指名されまして、信託統治条項がやがて発効する段階になつております。これによりまして、旧領有国であつて而も又非加盟国である国も信託統治の施政者になれるという先例ができたということが申されるかと思います。
  44. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 曾祢さん、ちよつとお諮りしますが、あなたの御質問が適当なところで打切られた場合に團さんから発言されるということですから、それをお含みの上一つお願いいたします。
  45. 曾禰益

    曾祢益君 もう一、二点ですから、大変どうも恐縮ですが。大体今伺つたところによれば、分離されるほうの国の領土権はこれはやはり放棄するということは明らかになつておるようですが、さりとてどこの新たなる主権の下に置かれるかということがはつきりしておらないということ。それから住民につきましても、領土権を放棄したほうの国の住民は国籍はないわけでしようが、さりとて新たに獲得する国籍ははつきりしない、かような不便な点が多々あるように考えられるわけであります。  これはこれとしまして、もう一つ伺いたいのは、信託統治に関する協定ですが、何かを作るところの直接関係国といつたような言葉を使つてつたと思うのですが、それは一体どういう範囲に解釈したらいいのか。実は或る日本の人の意見として、日本領土が仮に信託統治にされるような場合には、直接関係国というのはポツダム宣言を作つた国、つまり米、英、中国、及びそれに加盟したソ連、要するに四カ国が入るのだという解釈をしておるようなかたがあるのですが、果してそういうような……、その解釈に対する直接の答弁が機微であるならばそれは強いて求めませんが、卒直に言つて非常に拡張した解釈ではないかという感じを持つのですが、先例は一体どうでございましようか。直接関係国の範囲……。
  46. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 直接関係国というものが何を意味するかという点は非常にむずかしい問題になつております。先刻申しましたケルゼンの本をちよつと覗いて見ましたら、直接関係するということには二つ考えられる。一つは法律的にいつて直接関係があるという意味にもとれるし、又政治的に見て直接関係がある、こうも見える。リーガリリー・ダイレクトリー、ポリチカリリー・ダイレクトリーというような言葉を使つておりましたが、なかなかその解釈はむずかしいが、究極のところこれは国際連合自体が決定せざるを得ないだろうというようなところが結論で、ございました。  それで今日まで十一ほど信託統治協定ができておりますが、それがどういうふうな範囲の国々と相談をしてできたかということを見ればよくわかるだろうと思います。まあ大体の見当は付きます。今私どもの持つております資料だけによりますと、非常に不思議なことになつておりまして、大体その施政権者になる国が、直接関係ある国と認める国に自分作つた協定案を提示して、その意見を求めた上、安全保障理事会又は総会の承認を得て協定が確立しておりますから、前例によりますとどの国が直接関係国であるかという点は施政権者になる国が判定してきめております。一々詳しく申上げるのは何と申しますか省略いたします。ただ或る場合には直接関係しておる国と自国が認める国に対しては、案を出して意見を求めると同時に安全保障理事会常任理事国、いわゆる五大国に対して情報として、フォア・インフォーメーションとして協定案を送付いたしておる場合もございます。  又具体的の例をとりますと、南太平洋群島の戦略地区設定に関しまするあのアメリカの信託統治協定、あれはアメリカが作りまして、そうしてその草案を、極東委員会に参加している国のすべてを安全保障理事会出席させ、そこで審議して決定いたしました。但し極東委員会参加国はただ意見を述べるだけで、無論安全保障理事会で投票権は持ちませんでした。こういう先例になつております。大体結論といたしましては、今までの慣例によれば、施政権者になる国がその国の相談相手をする国の範囲を決定した、こう考えてよかろうと思います。
  47. 曾禰益

    曾祢益君 それに関連してもう一言同じようなことですが、日本の南洋委任統治の場合はいわゆる戦略的信託統治の場合で、必ずしも今後予想しているような一つの仮定的な場合とは同じでないと思うのですが、併し協定の当事国としてははつきりと施政権者だけに……、それから総会にはかけるということになつているが、総会において発言権及び投票権はあつても、直接関係国としては先ず南洋委任統治の例から言えば、仮にアメリカが施設権者のような場合には、ソ連は直接関係者とは先例上認めがたいということが言えるかどうか。
  48. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) その点は私から返答できないと思います。ただ従来の事例によれば、施政権者となるべき国がその範囲を決定して相談をした、こういうことになつております。
  49. 團伊能

    團伊能君 本年ユネスコの総会が六月からパリーに開かれますことに対しましては、恐らく本年のうちには日本もユネスコに参加することができるような話もございますので、今年ユネスコ代表を送るという問題につきまして二、三御意見を伺いたいと思います。  それにつきまして先ず昨年ユネスコに代表をお送りになりました代表の選択及びその過程につきましてちよつと参考に伺いたいと思います。
  50. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 御説明申上げます。昨年のユネスコ総会は五月二十二日から大月十七日までフローレンスで開催されました。開催の少し前にユネスコ本部から総司令部宛に日本人のオブザーバー、それからアドヴアイザーを含む総司令部代表団が総会に出席してくれるようにという要請があつたのであります。総司令部からこの要請が日本政府宛に転送されましたので、政府のほうではいろいろの事情を考えまして、日本人三名をオブザーバー、それからアドヴアイザーとして総司令部代表団に随伴させることにいたしたのであります。この三名につきましては文部省、それから民間団体であります日本ユネスコ協力会連盟と密接に連絡をとる一方、総司令部側の意向をも十分取入れましてその人選を進めたのであります。又外務省といたしましては、ユネスコ総会が国家間の国際会議であることと、それから諸国の代表団を見ますと、その主席はおおむね外務省経歴の官吏であることなどを考えに入れまして、横浜の連絡調整事務局長であり、同地のユネスコ協力会の理事をしておられます鈴木九萬氏をオブザーバーとして推薦しまして総司令部の同意を得たような次第であります。鈴木局長は東大の尾高教授、それから名古屋大学の勝沼教授のお二人をアドヴアイザーといたしまして、総会中政府に対しまして十数回に及ぶ長文一詳細の報告書を送つて来られまとた。その報告書を外務省で編纂いたしまして第五回ユネスコ総会という資料作つたのでありますが、この資料はユネスコ活動の発展というものに随分お役に立つておるものかと存じております。今回ユネスコに対しまして我が国が正式加入の申請を発出するに至りましたことも、総司令部側の好意と、それから我が国民間におきまする盛んなユネスコ協力活動と同時に、第五回総会に出席されました日本人三名のかたがたの活動があずかつて力があつたと存じておる次第であります。
  51. 團伊能

    團伊能君 その場合日本から出席いたします人たちでありますが、これはオブザーバーといたして参るのは、やはり日本を代表し、会議に入りまして発言権はあるけれども投票権はないという程度のものかどうかということをお伺いします。
  52. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) お説の通りごでざいます。
  53. 團伊能

    團伊能君 そうするとアドヴアイザーはどういうふうになりますか。
  54. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 説明員が見えておりますから……。
  55. 吉田健一郎

    説明員(吉田健一郎君) アドヴアイザーと申しますのは、オブザーバーに対するアドヴアイザーということでありまして、このとき出席いたしましたのは、今申上げました日本人五名のほかに総司令部の係官が二人行つておられました。そのうちの一人がやはりオブザーバーでございまして、あと一人がアドヴアイザーといつた形になつております。
  56. 團伊能

    團伊能君 それでは今年又委員をお選びになつてお送りになるでございましようが、その場合も昨年と同様文部省或いはユネスコ協力会と御協力になるでございましようが、そのへんに何か新らしい構想はお持ちでございましようか。
  57. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) まだ具体化いたしておりませんが、今度の総会には、我々希望いたす通りに参りますならば、日本のユネスコ参加申請が議題となりましようし、若し幸いにそれが賛成を得ることになりますれば、先例によりますと、その際その国から出ています政府の代表というものが議場におきまして一場の感謝の挨拶をいたすというような先例になつております。そういうふうなことを考えますと、今年は又昨年とは違つた意味合で慎重に代表といいますか、オブザーバー団といいますか、そういうものの人選を進めなければなるまいかと事務当局としては考えております。
  58. 團伊能

    團伊能君 次に伺いますが、このユネスコばかりではございませんが、ほかの関係の代表が参ります場合には、又それぞれ違つた方法もございましようが、ユネスコ関係の代表の行く場合に予算の措置は、要するに費用の出所はどういうことになつておりますか。
  59. 吉田健一郎

    説明員(吉田健一郎君) 私からそれでは申上げますが、昨年の場合を申しますと、鈴木局長は外務省の役人でございますので、外務省が持つております国際会議その他への出席に関する費用というものが外貨払い円で大蔵省にあるわけですが、それを使つて出たわけです。勝沼、尾高両教授に関しましては文部省の説明員が御出席になつておられますからそちらのほうから……。
  60. 團伊能

    團伊能君 そういたしますとこれは御両者とも皆文部省なり外務省の役人でいられますが、例えばユネスコ協力会というような人の、民間的な代表者がこれに加わる場合においてはどういう形になりますか。
  61. 吉田健一郎

    説明員(吉田健一郎君) 今度の総会の場合のことを考えてみますと、今度の総会で今条約局長から御説明がありましたように、参加が正式に決定せられるということになることを希望してはおるのでございますけれども、現在の段階ではまだわかりませんので、今度の総会に対する招請状は昨年と同じように相変らず総司令部宛に参るのじやないかと思うのでございます。で総司令部宛に参るといたしますと、日本政府といたしましては総司令部側からの転達がなければ、何にも措置がとれませんので、万一総司令部側に招待がございまして日本政府に転達されました場合は、これはやはり国家の正式代表という資格ではございませんので、一つのオブザーバー、或いはオブザーバーに対するアドヴアイザーという資格で出席するということになるのではないかと思うのでありまして、その点その人選その他に関しましては、条約局長がおつしやいましたように、新らしい構想をもつて進まなければならないだろうと思つておるのでございますが、ユネスコ連盟か或いはその他の民間の有力なかたが適当であるというふうに、日本全国が考えました場合には、予算的措置は別途に考慮しなければならんかと考えております。
  62. 團伊能

    團伊能君 これはユネスコには只今までのところ外務省及び文部省の御費用で出ておられましたが、こういう関係会議、殊に文化関係国際会議はおいおい開かれて参りますと思いますが、そういうときの派遣費等に関しては、只今考えられる派遣費の出所というものにつきましては、或いは外務省の条約局その他もおありでしようけれども、最も正当な形とお考えになるところはどういう形でありましようか。
  63. 吉田健一郎

    説明員(吉田健一郎君) 御質問の意味がよくわからなかつたのですが。
  64. 團伊能

    團伊能君 派遣代表になるのが官吏のほうの場合には何とか役所からできますが、その他一般広く、或いは民間、或いは議員とかというものが代表に行く場合の派遣費というものはどういう形において、只今の状態で……。
  65. 吉田健一郎

    説明員(吉田健一郎君) 文化的な国際会議という今御質問がございましたが、私ども国際会議を分けまして正式な国家間の国際会議、メンバーが国家を単位とする国際会議と、それから純然たる民間の集まります国際会議というふうに分けております。前者の例といたしましては正式加盟後のユネスコがそうでございます。後者の例といたしましては最近ではペンクラブとか、これは全然民間だけが集まりました国際的の会合でございます。この場合はそういう全然純粋な民間の団体でございますので、政府といたしましては何ら財政的にも関与いたしませず、昨年エジンバラに行かれたペンクラブの二名の代表も全部御自身で円を調達せられまして、それが渡航審議会で許可になりますと、大蔵省が法定でそれをドルに変えて、そうしていらつしやつたという形になつております。若しも政府国際会議、文化的な国際会議日本の誰かが参加するということになりますると、これは当然国家の代表ということになるのでございますから、おのずとそこに政府として円を調達してドルと替えるということになるかと思つております。
  66. 團伊能

    團伊能君 今年、若しも講和条約のあり方によりましては、本年下半期乃至は来年に互つてそういう場合も多いと思いますが、こういう派遣費、いわゆる国家間のことでございますが、国家間の派遣費のようなのを、あらかじめこれは予算措置をとられるお考えはありませんでしようか。
  67. 島津久大

    政府委員島津久大君) 先ほど説明員からちよつと触れましたように、大蔵省所管の一種の予備金のようなプールをした金がございまして、約二十億と思います。これで国際会議、或いは国際機関、そういうものの分担金とか派遣の費用とか、そういうものを予備金的なものでプールしてもらう、こういうことです。
  68. 團伊能

    團伊能君 今大蔵省は……。
  69. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 丁度今大蔵委員会予算委員会がかち合つているので、出席をされておりません。
  70. 團伊能

    團伊能君 それではこの程度で了承いたしました。
  71. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ほかに御質疑はございませんか……御質疑がありませんければ本日はこの程度にいたしまして……。
  72. 曾禰益

    曾祢益君 初めに御提案いたしましたように、理事会でも開いて頂いて次のプログラムの題目を、研究題目をきめて……それからいま一つ、実は水産委員の或る人から聞いたのですが、三月六日に水産委員会において、西のほうのマツカーサーライン内における最近船舶の拿捕が中共側においてこれが相当ひどくなつている、それで捕まつてつたかたが、帰された話によると、中共のごときマツカーサーラインは認めない、かようなことを公言している。そこでこれは非常にシーリアスな問題になつておる。それで三月六日にそれらの人を、水産委員会関係者を呼んで話を聞くということでございますが、かような問題は外務委員会としても、私は共同でやつたほうがいいのではないか。そこで皆さんがそういう御意見であつたならば、委員長一つ、その一諸にやろうということを御一任申上げて善処して頂きたいと思うのですが、如何でございましようか。
  73. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 水産委員会と連合委員会で審査して行く……。
  74. 曾禰益

    曾祢益君 なお北のほうでも非常にそういう事件が多いのです。これはどうしても外務委員会と水産委員会共同してやつたほうがいいのじやないかと思うのです。
  75. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 如何でしよう。御異議ありませんか。
  76. 團伊能

    團伊能君 実はその問題、今度少し実情を私調査して参りたいと思います。三月六日までに帰るつもりでおりますから、
  77. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それではそういうことに。本日はこの程度で散会いたします。    午後三時四十九分散会  出席者は左の通り    委員長     櫻内 辰郎君    理事      曾祢  益君    委員            團  伊能君            加藤シヅエ君            伊達源一郎君   政府委員    外務政務次官  草葉 隆圓君    外務省政務局長 島津 久大君    外務条約局長 西村 熊雄君   事務局側    常任委員会専門    員       坂西 志保君    常任委員会専門    員      久保田貫一郎君   説明員    外務省政務局情    報部文化課長  吉田健一郎君