○杉原荒太君 二つの点についてお尋ねいたしたいと思います。
第一は、世界情勢の大局的の見方と、これに対処する我が国の方針についての基本的の
考え方についてであります。先に前首相の芦田さんが発表せられました意見書の中で、こういうふうに言
つておられる。ここ数年にして第三次大戦の起る可能性は頗る強い。
アメリカも英仏も挙げてかかる見通しの下に汲々として準備を進めている際に、
日本のみが傍観者のごとき態度で何らの用意もしないことは許されないところであるこういうふうに言
つておられるのであります。即ち芦田氏はここ数年にして大戦勃発を予想して、その
前提の下に準備、用意の必要あることを強調しておられるのであります。大先輩の言として傾聴いたすのでありまするが、併し忌憚なく申しますれば、私はかかる見解に対しては多大の疑問を持
つているものであります。端的に申しまして、一方国際共産勢力の動きを見まするとき、世界の平和を脅かす危険の存在そのものはこれを認めざるを得ないのでありますけれども、他方において、民主
陣営側の大戦阻止のための大きな動きも見逃すわけに行かないのであります。即ち
アメリカその他の民主
陣営諸国の大戦を阻止するため、
戦争するためというのじやなくして、平和を築き上げて行かんがために団結して行く、そうしてその総合的の
防衞力を強める、而も
防衞力の強化ということと経済復興ということとは不可分だという原則の下に協力する、この協力を押し進めて行くことによ
つて大戦を阻止する。そうして平和に勝利し得るという固い信念の下に積極的の努力をしているものだと見るのであります。かような次第で、世界情勢の代表的な見解といたしまして、私は芦田氏のように、ここ数年にして大戦勃発を予想するというのじやなくして、民主
陣営側の大戦阻止のための努力、この協力の推進によ
つて大戦は避け得られないものではない、こう見るのであります。
従つて又これに対処する
日本の方針といたしましても、
戦争するための準備というのじや勿論なくして、飽くまでも大戦阻止の大目標を
はつきりと掲げまして、そうしてこれがための努力、これがための平和準備というところに基本を置いて、そうして又大戦阻止のための民主
陣営側の協力のうちに
日本も参加して、そうして応分の共同責任を
負担する。そこに重点を置いて行くべきだと私は信ずるのでありますが、併し一方芦田氏のような見解も確かに一方の代表的の見解ではないかと思うのであります。この辺のところの基本的の見解、
考え方というものは、非常にこれは重大な問題、その影響するところも非常に大きいのでありまするからして、
国民といたしましても、最も関心を集めておるところだと思うのでありまするが、この点についての
総理の率直な御意見を伺わせて頂きたいと思います。
第二は、極く簡単にお伺いしたいと思いまするが、
講和問題に対する
アメリカ、
ソ連以外の
諸国、即ちイギリス連邦
諸国その他の
諸国の態度についてであります。これからの
段階におきまして、特にこれらの国の動向或いは態度というものは極めて重視すべきものであ
つて、又我が国としてもこれらの取扱いというものは重要な部面だと思うのであります。これらの国の態度につきまして、
政府の見ておられますところ、私差支えない限り御
説明願いたいと思います。これだけであります。