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1951-05-30 第10回国会 参議院 運輸委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月三十日(水曜日)    午後二時五分開会   —————————————   委員異動 五月二十八日委員小泉秀吉君辞任につ き、その補欠として金子洋文君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件一般運輸に関する調査に関する件  (海上保安庁事件に関する件) ○モーター・ボート競走法案(衆議院  提出) ○連合委員会開会の件   —————————————
  2. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) これより運輸委員会開会いたします。  小泉理事が辞任せられまして、後任に金子洋文君が運輸委員になられました。御紹介申上げます。
  3. 金子洋文

    金子洋文君 金子でございます、どうぞよろしくお願いいたします。
  4. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) これより海上保安庁事件につきまして質疑を開始いたします。順次御発言を願います。
  5. 内村清次

    内村清次君 その前に各委員かたがたも、この海上保安庁事件発生以来簡單な御報告がありましたが、その後の進展状態につきましてはまだ大臣からのお話も聞いておりませんから、それを一つお承わりいたしましてから質疑をしたいと思いますが……。
  6. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 今のそのお話内村委員の御質疑の形式で差支えありませんね。そういう内村委員の御発言に対して一つ概括的に先ず説明をなさる、そういうことにお願いいたします。
  7. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 海上保安庁に関する極めて不祥なる事件は、お尋ねまでもなく運輸大臣としては最も適当な機会に進んで御報告を申上げ、事態の御説明をなすべきだと考えておつたところであります。私の端的な感想を一言で申せば、運輸大臣としては誠に遺憾至極と申さざるを得ないと同時に、事件そのものは誠に以て不届き至極の事柄である、こういうふうに考えて胸中甚だ安からざるものがあり、且つ又非常に憤慨をいたしておる次第なのであります。海上保安庁におきまするこのたびの不祥なる事件は、後戦これを概括的に申しますならば、これは決して言訳をするのではありませんが、戦後における一般社会道義心低下ということは同様にやはり公務員の間にも例外なく現われておりまして、不祥事件が跡を断たないことは私がここに繰返すまでもないのであります。このたびの事件を契機といたしまして、海上保安庁は勿論、運輸省本省といわず、地方支部局といわず、附属機関とを問わず、私の管理下にあります全職に対して綱紀粛正公僕的精神の発揚を強く要請いたしまして、特にこの部局の長たるものにおいては率先して範を垂れるべきである、自粛自戒すべきであるということを要望する文書を発しまして、その徹底を期しておる次第であります。海上保安庁につきましてはそれが新設の役所でありますだけに、丁度昭和二十三年の五月でありますから、創業三年と相成るわけでありますが、創業の当時各方面からそれぞれ系統の異なつた人々を集めたことになつております。従つてその素質が必ずしも同じような訓練、教養、習慣を持つたものでなくして、その間に非常な優劣、差違があつたのであります。又創業後急激に膨脹をしたような関係にありまするので、統帥の上に種々困難な点ができたのでありますが、併し綱紀の弛緩は無論これを許すべきではないのでありまして、常にこれを戒めては参つたのでありまするが、遂に昨年あたりからその不正なる行為が起つたということが今日初めて明らかにされたのであります。今回大異動を行いまして人事を刷新いたしたのであります。そうして同時に率先して範を垂れる、綱紀粛正ということを期し得る体制を整えたつもりでおるのであります。特に去る二十三日には大異動による赴任、着任早々のときではあつたのでありますが、全海上保安庁部長と全部の海上保安庁本部長を一堂に招集しまして、綱紀粛正につきましては特に嚴重なる訓示を私より與えまして、海上保安庁長官以下首脳部一同はこれに綱紀粛正については固く相誓つたような次第なのであります。  なお別に監察制度も米国のコースト・ガイドの例に倣いましてこれを設置いたしまして、再び過ちを犯さないように、断じて過ちを犯さないように常に監察を嚴に行うという制度をとることにいたしまして、今後同じような事件の起ることを平常より堅く戒めて、事故を防止する、防止するばかりでなく更に進んで海上保安庁という特殊の任務でありますから、任務の上に十分な反省を加えて、本来の目的を達するようにいたしたいとかように考えておる次第であります。  なお不祥なる事件関係しました職員については、只今司直の手で調査中でありますので、この調査と並行して運輸大臣といたしましては、海上保安庁長官以下を督励して一同を戒しめると同時に、司直調査の結果に対しましては、更に嚴重なる措置を考えておるような次第でございます。更に又司直の手に入つておりますこの実情につきましては、保安庁長官より具体的にできるだけ御報告申上げるようにいたしたいと考えます。冒頭に申上げましたが、私としては誠にこういう事件自分の直接監督の下における海上保安庁において起つたということに対しては、何とも申上げようのない恐縮を感じているような次第であり、同時に私自身としては衷心よりかような事件を起したということに対する憤慨を以て今後更に一層嚴重監督を遂行したい、かように考えておるような次第であります。
  8. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  9. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて下さい。柳澤海上保安庁長官より……。
  10. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 海上保安庁の今回の事件につきましては、甚だ申訳ない次第と思うのであります。その内容について御報告申上げたいと思います。  この事件関係者は、容疑者としまして、横浜地検によりまして五月二十七日現在まで検挙されました職員は、本庁で八名、第一管区五名、第一管区五名、第三管区十一名、第七管区三名、第八管区二名、第九管区一名、そのほか元の海上保安庁職員二名であります。この被疑内容収賄関係が大部分でありまして、燈台の建設、航路標識用部分品納入、又は船舶に使います燃料の納入、これに関しまして業者に便宜を與え、業者から収賄したという容疑によるものでございます。現在までにこちらで調べましたところでは、二十七社の業者がこれに関係しており、又その金額はこれはこちらだけで起訴されたものを調べたのでございまして、正確とは申されませんが、四百万円に達するのであります。そのほか業務横領及び元職員が新造船注文についての入札妨害等容疑があるようでございます。これらの被疑者に対しまして、刑事処分模様を見ますと、起訴された者が三十名、取調中の者が八名、そのほか不起訴或いは未確定の者が七名ということになつておる次第でございます。この事件を通観いたしまして感じられますことは、海上保安庁としましてこれだけの大勢の人間事件に関したということは、單に個人的の問題ではないと、かように考えられる次第でございます。この事件発生模様は考えまするに、先ず幹部職員、我々が心に緩みがあつたということが第一のこの問題の素因ではないか、かように考えられるのでございます。この緩みと申しますものは、保安庁が発足いたしまして今まで三年でございますが、この三年の間整備整備を重ねまして拡張して参つたわけでございまして、この間ややもすれば拡張に頭がとらわれ過ぎておつて、そこに緩みが出て来たのではないか、一面足元を固める方面緩みがあつたと、かように考えるものでございます。この点に関しましては、我々といたしまして国民に対して甚だ申訳ない次第と考え、この点は十分に我々が自粛自戒して、再びこういう事件を繰返さないように、先ほど大臣からお話がありました通り幹部が率先してこういう気運を直して行くということがこの際最も必要な事項ではないか、かように考えられる次第でございまして、各管区本部長異動、これも幹部の頭の一擲ということを目途といたしまして異動を断行したわけでございますし、異動しましたあと直ちに本部長会議を招集いたしまして、大臣からも御訓辞を頂き、我々もこの大臣の意図を体上、各本部長に申し伝え、頭の切換を行うということを育つた次第でございます。  次に原因と考えられますことは、保安庁が発足いたしまして膨脹しつつある間に、ややもすれば職員が必ずしも慣れた仕事に従事したとのみ申すわけに行かない点があるのでございます。これは膨脹過程にありまして、或いはそういう事態が起り得る危険性はありましたので注意はいたしておりましたが、その点について拔かりが多少あつたように考えられる次第でございます。これも又改革の要がありますので、この点に関しましては、今回は監察制度を強化いたしまして、これによつて職員の非違をあばくというような点にのみ力を向けず、職員が如何にしたならば事務処理或いはその他の点においてうまく処理ができるか、早く処理が出来るか、正当な処理方法又は迅速なる処理方法を行い、これによつて保安庁綱紀粛正すると同時に、善導して一部今までにおきまして不慣れな点等がありました人を熟練化する、と同時に綱紀粛正に努めて、これによりまして今回の不祥事件等は先ほど申上げました第一の幹部の頭の切換と共に、これを下部に滲透せしめるということと、第二に業務監査を行いまして、これによつて職員を善導して行く、この二つの途を以て再びかくのごとき事態を起さないようにする、同時に我々は国民に対しまして信頼し得る保安庁に一日も早くしたいと、かように考えておる次第でございます。
  11. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 二、三点お尋ねいたしたいと思いますが、第一にこの事件運輸大臣就任前になされておつたものであるか、御就任後なされておつたものであるか、その点について運輸大臣にお伺いしたいと思います。
  12. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 一番古いのが昭和二十四年六月であります。二十四年八月、十二月、それからまあそのほかありますが、二十五年四月、二十五年十二月、それから一番新らしいのが二十六年二月、今年二月であります。私は丁度二十五年の六月の末に認証を受けておるのでありますが、私が就任後、つまり二十五年の十二月というのが三件、二十六年二月というのが一件、その他は大体私の任官以前のものであつたように考えます。そして事務局の……、私としては別段就任以前であろうとあるまいと、全面的に運輸大臣としては監督の責を負うことは当然であると考えております。
  13. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 御就任になりまして、こういう事件があるということは、或いは薄々でも感付きにならずにおつて司直の手が伸びるまで全然お知りにならなかつたのでありますか、この点について……。
  14. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 私も昨年の暮からこの春頃にかけて、どうも聞き捨てならぬような世評を聞くようになりました。それでその都度前海上保安庁長官には余りよくない噂を聞くが、気を付けるようにということ言つてつた次第でありますが、そういう経過であります。
  15. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 何と申しましても、これは金額はこの間の公団の事件等から比べますと少いのでございますけれども、とにかく国民が血の出るような思いをして納めた税金の一部であるということだけはこれは結果として言い得ると思うのであります。どうしてもそれが正しく使われておらなかつたということだけは言い得るのでありまして、而も海上保安庁はその名の示すごとく密入国だとか、或いは密輸入を取締る、まあ警察権を発動しなければならんそういう重要な職務だろうと私は思うのでありますが、そういう重要な職務に携つている者が汚職事件を犯したのでは、而も国民の血税を使うという結果になつたならば、これは国民に対しても申訳ないのみならず、威信にかかわる問題だと思うのであります。この点につきましては今後について戒められると、全くそうなければならんと思うのでありますが、今後は監査をする、今柳澤長官も言われておつたが、今までそういう監査は全然されなかつたのであるか、或いは注文を外部にするに当つても、公開入札等方法もとつておられなかつたのであるか、すべて談合でやつてつたのかどうか、こういう点についてお尋ねしたい。
  16. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 今までの海上保安庁としましては、船舶等技術その他を考えまして指名入札、十軒乃至二十軒くらいの造船業の優秀なものを指名いたしまして、これに入札をさせておつたのであります。
  17. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 では監査はしておらなかつたのでございますか。
  18. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 監査の点につきましては、海上保安庁としましては総務部の中に法務課というのがございまして、この法務課に約四名の人間が配置されまして、これが監査業務をやつてつたわけであります。これは監査主体としてやつておりますが、全国の監査を行う場合には他のものもこれに協力して監査を行うという組織でやつてつたわけであります。この監査方法も、ややもすれば監査が……業務を如何にしたらうまく運営するか、早く如何にしたら運営できるかという点が主体であり、同時に総務部の中にあつたという点で監査のし辛い点もあつた、かように考えられる次第であります。
  19. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 只今大臣お話で、部内に対しましては部長を集めて訓示をしたというお話がございましたが、部内からこういう汚職事件が起つて幹部連中が非常に引張られて国民に対してもまあ顔向けのならん、威信にかかわるだろうと思うのでありますが、部内から十分自粛しなければならんという声が起つておるかどうか、この点について伺いたいと思います。  第二点として、多数の職員の引致によりまして、海上保安上の保安確保のために支障が起きておらないかどうか、この点について二点大臣にお伺いしたいと思います。
  20. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 部内における反省自粛の点は相当上下を通じて起つております。一々ここに具体的には申しませんけれども、これはおのずから部内のことであり、当然そうあるべきことだと考えて御報告もいたさなかつたのであります。その反省自粛気運が湧きつつあるところに更に又今度の大異動を行なつたというようなことであり、私の部長を集めての訓示というようなものが相前後して、そうして庁内は将来かくのごときことがあつては相成らんという新たなる気持で出発しておるということをお知らせしたいと思つております。
  21. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 大分部長連中が引張られておるのですが、汚職のために業務運営上支障を来して海上保安上特に密入国が大変ある重大なときであるのでありますが、それに支障を来たしておるようなことはありませんか。
  22. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) それは丁度先刻保安庁長官からお答えしたような管区関係から言いまして全面的ではないわでありますから、ために大きな支障が具体的にあつたということを挙げることはできませんが、更に又本庁長官から事務的見地から詳細に出答えするようにしたいと思います。
  23. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に保安庁長官にお尋ねしたいのでございますが、今のお答えでは、大臣はまあ部内からも反省の声が挙つているというふうなくらいで、又当然そうたければならんと思うのでありますが、新聞に載つておるところでは、引張られた人が帰つて来て新聞記者に話したやつが載つてつたわけでありますが、まあその談話を見てみますると、この間の女中つまみ食い事件云々ということで問題になつたようなふうの口吻を洩らしておるようなことが新聞に載つてつて、それは重大な問題として一応論説欄天声人語欄というようなところでも叩かれておつたのでありますが、女中つまみ食いだと、我々はこれは運が悪くて引張られただけであつて、これ以上のものはほかにもたくさんあるのだというようなふうの抗議をしておるようでありますが、従つてそこからいたしますと、事件というよりもむしろこれは運が悪かつたために引張られたというように、引張られた連中はそういう口吻を洩しておるようでありますが、今のと大分話が違うようでありますが……。
  24. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 先刻一番初めに私が申上げた通り、やはりこれは御同様に官民共国民が痛感するところのものは、やはり戰後における道義心低下、あれもしておるじやないか、おれがして何が悪いかみたいな泥棒のほうへ平均して行くような、右へ習えして涼しい顔をしておるのが私の言う道義心低下であります。おれはさようなことはなさんという気持になつていない情けない現状だと考えます。恐らく皆さんも御同感だろうと思うのであります。私が繰返して自粛自戒率先垂範、こういうようなことを強く嚴粛な言葉訓示をいたしましたのも、それらの点を十分に説明を加えつ納得の行くようにやつたつもりであるのであります。私もひとり海上保宏庁の釈放されておる人の言動ばかりでなく、日々の新聞を見ているというと、おれ一人が悪いのじやない、世間滔々として皆然りだ、おればかり馬鹿をみたというようなものの言い方、見方が非常に多いことは天声人語を待つまでもなく慨嘆しておるような次第であります。そういう点を私も強く遺憾だと考えておる次第であります。特に訓示の際にも、一体自粛自戒とか、率先垂範とか、誠に結構な言葉だ、併しこんな言葉を必要とせざる状態を我々は望むのだ、自粛自戒率先垂範せざる状態があるからさような言葉で戒めなければならないのだ、自分訓示の中にそういう言葉の出て来る海上保安庁の今日の状態を悲しむものである、今後の訓示においてはそういう言葉を用いなくてもいいような事態海上保安庁において作り出さなければならないというような意味を申したのでありますが、これは菊川委員と同様に私も感じておる一点なのであります。そういう一点も固く戒めた次第であります。
  25. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 大臣最後にお尋ねしますが、この事件に伴いまして新聞が大々的に報じておりまして、これは又底なし、どこまで発展するかわからないということを検事が漏らしておるようなわけでありまして、相当これはまだ出て来るのじやないかという慮れがあるわけでありますが、それに伴いまして特に見逃すことのできないのは、大久保長官洋行費をまあ何といいますか、強制寄附をさしたといいますか、船を注文してやるから洋行費を出せというようにして皆やつたというようなことが新聞に載つておるわけでありますが、本日の報告を見ますると、長官の名前は全然出ておりません。この点につきましては、新聞にもあれだけ書き立てておつたのでありますが、これは全然関係がなかつたかということが一つと、もう一つは、大臣がこの点について長官辞職を申出たときにこれを許すに当つて、そういう点について十分取調べた上で、或いは聽取した上で許可しておるかどうか、この点について、お伺いしたいと思います。
  26. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 今日の保安庁長官報告の中に成るほどさようなことがありませんでしたのは、司直の問題と五月二十三日現在においてなつておらないという範囲における報告であるということを御了承願いたいのであります。それから辞職の申出がありましたときには、率直な私の気持を申述べれば、君は怪しいことがあるのか、やましいことがないのかというような状態にも行きませんので、それは辞職を申出たというその心境をそのまま受け入れて発令をしたような次第であります。
  27. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今の大臣発言だと、その当時には相当憤慨したと言つておられるのですが、憤慨してそうしてやめさせるときには黙つてそのままやめさせてしまつたというようなことは、自粛自戒憤慨したというような御発言とここにおける御説明と私は食違うように思うのでありまして、いやしくも一番最高長官がこういう事件の真只中において、これは自分関係がないと仰せられるならば、後始末をしてそういうことのないようにする、加賀山さんのこの間新聞で発表しておるところの態度をとるべきだ、あの男が事件が起つたからこつそりやめる、それを黙つて見過してしまうということは、人情としては誠に結構だと思いますが、ここにおける御発言にも憤慨しておつた自粛自戒するというところと如何にも食違うと思うのですが、この点はどうもここだけの御答弁のような気がするのでありますが、一つ心境をお伺いしたいと思うのであります。
  28. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 私はどうも古い教育を受けておるものですから、そういう場合に対する言動態度菊川委員の新らしい時代の思想のようにぴつたり合わないかも知れませんけれども、これ以上私はお答えすることを避けて、菊川君の御推断によつて御判断を願いたい、こう考えます。
  29. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは柳澤長官最後にお尋ねいたしますが、海上保安庁は終戰後設けられたわけでありまするが、その職員前歴と申しますか、ほうぼうから寄せて来たと思いますが、大体どういうところから来ておるか、系統別人員は大体わかるだろうと思いますが、その幹部、その点についてちよつと御説明願いたいと思います。
  30. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 海上保安庁が発足いたしましたときに母体といたしましては、運輸省母体といたしまして発足をいたしました際に、船のほうの特殊技術を有する船会社、その他から相当の人員が入つて来ております。これが大体海上保安庁母体でございます。運輸省から入つて参りました者は事務系統又は燈台局水路部、こういうものが入つて来たわけであります。
  31. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その御答弁に関連いたしまして、海上保安庁暴露雑誌でありますから、信頼する必要はないと思いますが、旧海軍軍人が入つておるということを盛んに言つておるのですが、それは事実ですか。何もお隠しになる必要はないと思いますが、船会社と言われたのでありますが、そういう関係の人は入つておられないのですか、造船、造機というような……。
  32. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 旧海軍かたがた船舶の、旧海軍の船の補修管理に当りますために一部入つて来ております。そのときに特殊技能といたしまして、機雷の掃海を行うために旧海軍のかたが入つて来ておるわけであります。
  33. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 只今ここで挙げられておるような部長、次長といつたような人たち前歴は大体どちらのほうの系統ですか。
  34. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 大体におきましては燈台関係、乃至事務関係の者が大体でございます。
  35. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういたしますと、別に官庁仕事に慣れなかつたというような人ではなく、永い間官庁におつた人が多いと言つて差支えないわけでありまして例えば船会社、或いは海軍等から入つて来たのがこのぐらいのことは常識だといつてつたのではなしに、官庁仕事は十分精通しておつて、こういうことをやつては悪いのだということを十分経験しておつた人が多い、こういうことになるわけでございますか。
  36. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 例えば燈台かたがたにしましても、今まで第一線の燈台の燈を守つていた人が管理部門廻つたというようなことで、そうでないと燈台の現地のこともわからないというので、そういうかたも管理廻つたというようなことがありますので、非常に不慣れな人も入つております。
  37. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 山崎運輸大臣は現内閣の副総理格のかたであります。又私ども平素非常に信頼を寄せている大臣であられるので、ここで私は通り一遍の儀礼的な応答でない極めて建設的な御意見をお伺いしたい、かように考えております。  先ほど菊川委員の御発言の中に、数字も非常に小さい、約四百万円ということでありますが、私ども決算をやつておりまして、何億、何十億という不正を毎日見ているものからすると、四百万円というのは非常に小さい感じがいたします。この決算に現われて参りますもの、大臣はよく御承知でありましようが、これを拾つてみると非常に大きな不正が起きておる。例えば薪炭特別会計のごとき五十余億幾円も、或いは只今問題になつておる大橋法務総裁の二重煙突、或いはガス代過払い、これは二億八千万円の過払いをしておる。それから極く一、二のことだけ御参考に申上げるのでありますが、水を買つておる。防腐剤買つているのですが、その防腐剤というのは九三%が水です。これを買つてその保管料を何百万円か払つておる。而も売るときは一本五円で売つておる。この国損は二億円近いものである。それから木材を四万五千石検収して金を払つて、これは何もない、品物はないのです。その検収をした者は誰かというと、現衆議院議員の自由党の代議士をしておる。そうしてそのないものに金を払つておる。そういうものを挙げてみると数限りないので、私ども四百万円ぐらいなんだというような気持もするのですが、これは金が小さくても見逃すことのできないものです。私ども毎日決算をやつておりまして、各省の幹部の人がたがおいでになつて、それらの質疑応答をしているのですが、その答弁というのは大方只今運輸大臣のお答えになつたようなことなんです。誠に相済まん。道義の頽廃、綱精の弛緩、戰後のこれは一つの問題がそういうようなものに現われたという紋切型である。私は毎日聞いておつて、政府のこういうような不祥事件に対する御答弁一つの雛型があるのじやないか。どの人が出ても同じことを言う、こういうふうに考えろぐらいに思うのであります。運輸大臣は非常に謹嚴な態度で、恐らく運輸大臣決算委員会に出て来る政府委員のような、そういう軽薄な気持ではなかろうということを私は深く信ずるのであります。ただここで私は、特に私どもの経験を通じて運輸大臣に申上げたいことは、今運輸大臣が御答弁になりました中に、こういう問題が起るのは道義の頽廃或いは綱紀の弛緩である、これは尤もその通りでありましよう、併しもつと深く掘下げてこの問題を考える必要があるのではないか、私ども法廷に出ることもありますが、戰後どういうふうなものが、どういう不正、犯罪があるかと申しますと、非常に若い者が多い、八割ぐらいというものは若い者である、そうして大部分というものが当時の復員軍人、昔の軍人である、或いは又その何パーセントというものがこういうふうな公職にある者、而も法廷に出まするものは極く一部分なんであります。決算委員会を通じて犯罪と認められるのは非常に多いのであります。極く一部分、僅か二%か三%のものが出るだけで、実際のところは犯罪は非常に多い、不正事件というのは非常に多い。成るほど大橋氏のような事情もありましよう、私どもはもつと根本的に掘下げて考えなければならん問題だと思うのであります。いろいろ言われまする敗戰後の日本の国民の道義の頽廃、特に青年層というもの、或いは公務員というものの国に対する前途の望みというものが非常に薄くなつたということ、ここに私は根本の問題があるのじやないかと思うのであります。更に掘下げて考えて、或いは教育の面においても、社会道徳或いは社会教育、学校教育、それらのものを通じて各方面から私どもはいわゆる吉田総理大臣の言われる道義の高揚というものに全力を注がなければならんと思うのであります。私をして言わしめれば、罪を犯す者は悪いが、その根本はやはり今日の政治の貧困ということに期するのではないかと思うのであります。政治というものがもう少し国民に希望を持たせ、青年に向うべきところをよく教え示して、そうして本当に起ち上つて祖国再建のために盡くすという熱意に青年の気持を向ける、或いは公務員の心構えをそこに引張つて行くという政治力、政治のあり方というものが欠けているのじやないかと、かように私どもも考えておるのであります。毎日決算委員会をやりまして、各省の代表者、責任者においでを願つておるのでありますが、本当に悪かつた、これから注意すると言われましても、それはその場限りであります。幸いに現内閣の最も重要な地位にあられる運輸大臣に根本的にお考えを願いたいと思うわけであります。その点についての運輸大臣のお気持一つ腹蔵なくお伺いしたい。  それからもう一つ私が強く感じますことは、監督責任者の、最高責任者というとこの問題は運輸大臣でありますが、少くとも海上保安庁の問題であるならば、海上保安庁長官或いは部長、このかたが何らの責任を感じない、單に問題を起した者を叱りおく、或いは懲戒するというようなことでお茶を濁してはいけないのである。私は先ず第一に監督の地位にあるものが責任を感じて、そうしてみずから自粛自戒、もつて範を示すという心構えでなければならんのじやないか、只今菊川委員お話もありましたが、ああいうような新聞記事が出るということは全く私は心外に堪えないのであります。柳澤長官は最近お迭りになつたように聞いているのでありますが、そのお心持が今後において非常に必要だ、單に悪いことをした者を戒告するとか、或いは注意するとかというようなことでこういうような問題は解決されるべきことじやないと私は考えます。常に責任者が矢面に立つてその責任を自分が背負つて行くという心がまえがなければならんと思うのでありますが、こういうような点について私は国鉄の桜木町事件は同様な感じで今日まで国鉄の総裁が辞表を出されたということを聞いておらんのでありますが、その後どうなつておるか、果して国鉄の最高責任者、その他重要な地位にあられるかたがたがどの程度の責任観念を持つておられるかということは、国民ひとしく非常に疑問に思つておる。これはひとえに私は政府の一つの方針としてお考えになるべき問題ではないかと思うのであります。これらの点についても運輸大臣の腹蔵なき御意見を拝聽いたしたいと思つておるのであります。なお細かいことについて二、三ありますが、一先ず以上の二つの問題について御意見を伺いたいと思います。
  38. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 前之園委員にお答え申上げます。私に対してお問いになるその根柢をなす思想、判断、それらのものは私と実は御同感と申上げるほうが極めて簡單明瞭であると思うのであります。私は責任の局にあり、前之園委員は立法の委員として、ここで御発言になる、そういう両方の立場に立ちますけれども、思想的根柢は、私は別段追随的に申上げるのではありませんが、根柢は同じ根柢の上からお尋ねを受けておるような気持がいたしたのであります。戰後の道義心低下の結果、不祥事件が起るということを私は申上げましたが、時の政府、閣僚、その他もそういうことを申したかも知れませんが、私は別段そういうことを聞いたことがありませんので、これは自分みずからの感想を独自の立場から述べたのでありますが、こう述べつ私の感ずることはやはり道義の低下ということは万人が感ずる現実の姿であろうか。従つてそういうふうにどこでも同じような言葉が出て来る。これが現在の戰後の日本の姿ではなかろうか。こうも考えるのであります。併しおのずから責任を論ずる場合におきましては、道義の低下如何にかかわらず、責任は責任としてとるべきものでありまして、道義の如何によつてその責任の軽重が出て来るわけとは考えておりませんから、こういう事件が起つたことに対しては深く恐縮の意を表しておるような次第であり、私個人としては憤慨をいたしておる、これが率直なる私のあり方そのままなのであるのであります。御言葉までもなく、今日実に忌わしい不祥事件があらゆる面に、この頃化膿したる膿が吹き出すがごとく出ておりますことは、誠に慨歎の至りであるのであります。これは戰後忽忙の際で、今なお五年を経ておるとは申しながらとにかくも国民の生活その他も方向は徐々に安定の方向に向いつはありますけれども、決して安定を取戻したとは申すことのできない状態でもありまするし、戰争中社会秩序ことごとく常態を紊しておつたその惰性の影響もありましようし、いろいろな原因が因となり果となつて今日の姿をなしておると思うのでありまして、掘下げて根本に参りますれば、結局これは教育のし直しをして、新らしい日本の建設の方向に向わなければならんというようなことも考えるものであります。一面には産業の復興を図つて生活資源を潤して行くということも、物心両面からこれもやつて行かなければならないのでありまするが、いずれにしても今日のところ求めるところ多くしてこれを満すに不十分なる現状において、ああもこうもと思いながらこういう状態にある、こう言わざるを得ないかと考えるのであります。更に四百万円は多い少いという考え方もありましようけれども、これは四百万が千万と言つても少いという場合もあり得るので、その扱う部局の場合の現実に即してその比率の上からこれを見て行くということにすれば、十万円も大金であろうと考えるのであります。私は四百万円を決して僅かな金とは考えておりません。そういうようなただ不正であるからということだけでなしに、四百万円が出て来た元の基本となる金額と比較して、その比率の上から言つて十分にその軽重を判断して行くべきものであろうかと考えておるわけであります。それでこういうふうなものを僅かばかりの女中つまみ食いというような気持か何か引かれ者の小唄のようなことで考え、無関心に軽く聞き逃されておること自体が即ち道義心低下ということにもその結果はなつておるものではないかと考えておるような次第であります。以上お答え申上げます。
  39. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 先刻の最高責任者の監督責任の観念の問題について……。
  40. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 重ねてお尋ねにお答えいたしますが、最高責任者の責任、これはどうも私この頃下手人が一番責任を取つて、そうでない者は責任が軽いような考え方が新らしい何かあり方であるような考えを持つ、これに対しても前之園委員と同じように私も違う、やはり最高の責任者は深くその責任を痛感して行くべきである、ただ当面したる者のみを責め、罰することによつて事は終つたというふうには、私どもはやはり古いかどうか知りませんが、日本人の心持としてはそれをはつきりして行くということが、責任の所在を明らかにするという言葉に当るようだ考えておるものであります。従いまして最高の責任者はこの意味における責任を特に道徳的に感じなければならないはずである。通り一遍では相成らんものであるというふうに考えるものであります。
  41. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 私は質問の冒頭において建設的な御意見を承わりたいということを申上げたのであります。大体御答弁の趣旨はよく分りましたが、煎じつめたところやはり抽象的の御答弁に過ぎない感じがするのであります。例えば今の上の責任者の問題にしましても、單に道徳的な責任を感じるということではこれはいかんのじやないか。或いは今日の場合においてはどういうふうになつているかわかりませんが、少くとも私どもはこういうふうな責任問題を起しましたその監督者としては、もう一歩進めて法律的な政治的な責任まで持つて行くということも一つの建設的な行き方ではないかという気持がするのであります。どの行政処分を見ましても実に軽いのです。嚴重なる注意とか戒告というようなことでお茶を濁している。そうして無論下の者は責任の当事者でありまするから処分を受けることは当然でありますけれども、それで事終れりという考え方はどうしても改めなければならない。これはいわゆる私は政治力というのではなかろうかというふうに考えるので彫ります。更に又先ほど根本的な教育をし直して行かなければならんという御意見も尤もであります。ただもう少し私は、これらの問題に対してもう少し深いところまで掘下げて、そうして政治力によつて当面の負うべきところを十分に教える、自覚せしめるという方向に至られることが最も必要ではないかと思うのであります。更に考えますることは、これは何と申しましても誘惑、いわゆるこれらの事業に対する業者の誘惑というものに打勝つて行くには、よほどしつかりした者でなければいけない、御採用になるときの人物試験というようなものに対しても十分にこれはお考えにならなければいかんのであります。更に單に採用されるときなどの試験のみでなくて、それらの身分を保証する何らかの手続をとられることが必要だと思います。更に先にも申したのでありますが、私ども決算の面から見まして、本当に予算というものが立派に運営されているということになりますれば、予算のうち一割くらいの節約はできる、五百億くらいの節約をすることは何でもないという気持があるのであります。これは私は数字を拾い上げてもいいのであります。先ほど菊川さんから言われたように国民の血と汗の結晶である税金からなつておるところの予算なのでありますから、これらの点についてもう少し政府もお考えになり、又担当する者も十分な責任観念を持つておりましたならば、そういうような大きな節約ができるのであります。ですから公務員の給與ベースを上げるとか、或いは地域給を上げるとかということは問題じやないのであります。この生活を先ずできるだけ安定にして、そうして一面安心して生活ができるようなこともお考えになるべき問題ではないかと思うのであります。海上保安庁職員にいたしましても、今日の物価の値上りで生活に困つているということは十分に察知ができるのであります。こういうような犯罪が起るということも一面そういうような生活の苦しさということが織り込まれているということは私どもは想像できるのであります。ですから一面こういうようなものを嚴重に取締つて国費の節約をする。そうして一面においてはできるだけ公務員その他の職員の生活を豊かにしてやるということが、いわゆる建設的なこういう問題の防止策ではないかというふうに私は考えるのであります。この点について重ねて一つ答弁願いたい。
  42. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 私も冒頭に申上げたように、お尋ねになる基本的のものの考え方は、どうも私も前之園議員も同じような線の上に立つているような感じを受けつつお尋ねを受けているのであります。私も同様にそう考えるのです。これはただ追随的に申上げるのではないのでありまして、それが道理であり本筋であると私も思うのであります。ただ海上保安庁の場合を申上げますと、いわゆる創業の際、創業の混雑のために思わざる抜穴ができておつたというようなこともあり得たと考え、先日の訓示の場合においても創業の時期は過ぎた。三年を経過したる今日は至誠建設の段階に入るべきであるから、引緊めて、今お話のようないわゆる行政整理の、人の面においても経費の面においても無駄のないように有効に活かして働くという方向に向けて使命達成に向うようにというような趣意の訓示をいたしたような次第であります。御承知の通り戰後の混乱から今日は講和会議も間近かでありまして、建設に入るべき段階にぼつぼつ近寄つたということは申上げ得ると思うのであります。
  43. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 なおいろいろと質問したいこともありますが、運輸大臣並びに長官の御人格と政治力とに期待いたしまして私の質問はこれで終りますが、簡單に若し御異議なかつたらそのあとの……。
  44. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それでは本日の議題ではありませんが、先ほど質問の通告があり、且つ簡單であるということでありますから、次の法律案の審議に入る前に前之園委員発言について一つ御了承願いたいと思いますが、よろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それではどうぞ簡單にお願いいたします。
  46. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 第一の問題は気象台の関係の問題であります。御承知のように二十六年度の予算には私どもの要求したように計上されておりません。この運輸委員会といたしましては前田委員が予算委員として委員会を代表され予算委員会において、煎じ詰めたもの八千五百万円ほどどうしても二十六年度予算に計上してもらいたいということを強く要求したのであります。その要求に対して大蔵省の主計局長ということでありますが、本年度の補正予算において必ず考慮するという答弁があつているということでありますが、これは恐らく大蔵省においても考えておられることと思うのであります。併し何といたしましても地方気象台は外局の関係でありまして政治力も非常に弱いのであります。ですから大臣、次官、その他運輸省において十分に力を入れてこの予算を是非獲得して頂きたい。それは御承知のように台風なども非常にありましたけれども、地方気象台のほうの強化は何らできておりません。これは中央気象台も非常に要望しているのでありますが、單に一つの事例を申上げてみますと、昨年台風が起りまする直前、鹿兒島測候所で台風があるということを夜になつてわかつて、その地方にそのことを流したのであります。そうして一晩中かかつて、まだ間はあつたのですが、「たばこ」の刈入れをして、そして台風からその被害を免がれたというのであります。それだけで以て鹿兒島県の失われるところの利益を取りとめたのは約十七億ぐらいであるということを言われております。かようなことを考えましても、気象台に八千五百万円ぐらいの金をかけるということは何でもないことだ。私どもに言わせると、私どもよく言うのですが、一文惜しみの百失いで、僅か八千五百万円ぐらいの金を惜しんでどのくらいの災害を受けるかということを一つ大臣は十分に御認識をなさつて、この補正予算に最小限八千五百万、これを是非一つつて頂くようにお願い申上げたいと思うのであります。この点について御答弁願いたいと思います。
  47. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 鹿兒島県の気象台が全く実際生活化されている組織で活動されておるということは、日本ただ一つ言つていいような例であつたということを私も承知しております。全くおつしやる通りであります。従来ややともすると、気象というのは何か天体観測とか、或いは航海に関することとかいうようなことのみが專門的の事業であるように考えられたのでありますが、これはもう私が申上げるまでもなく文化的な科学的な時代を建設して行く上においては、気象というものは国民の生活に特に重大なる影響を持つて来るのであつて、その観測をする、これを測定するということの重大なることは申上げるまでもないのであります。お説のようにこのたびの二十六年度予算で非常な欠陷を現しておるということは、私もあとから承知しまして、とんだことをしたと悔んでおるようなのが正直なところであります。今後補正予算にせよ本予算にせよ、機会がありましたならばできるだけの力を盡して、そして気象予算として恐らく八千何百万というもの遠慮をした小さな予算ではなかろうかとも思うのであります。それでも間に合うというのでありますから、できるだけの力を盡すということをお誓い申しております。
  48. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 今の地方気象台の予算については是非補正予算で実現ができるようにお願い申上げます。  次に鉄道建設の問題でありますが、これは御承知のように国会においても非常に強く取上げられておりまして、その結果先ほど鉄道敷設法の一部を改正する法律案というものが出されて、両院を通過しております。その趣旨は私は賛成でありますが、できるだけ速かに鉄道建設審議会委員を御推薦下さつて、そして速かにこの委員会が発足して鉄道建設に貢献することができるようにお取計らい願いたい、かように思います。その点について御答弁願いたい。
  49. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 鉄道の新線建設に関する審議会は幸いに両院の議決を得まして成立をいたしたようでありますから、これは大至急に公布の手続をしまして、そうして審議委員の選定をしまして、重ねて両院の同意を得て、そうして直ちにその活動に入り得るように取進めたいと只今折角準備を進めておる次第であります。両院に審議委員の御同意を求めるのに、この議会に間に合うようにいたしたいと急いで準備を進めておる次第であります。
  50. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 いろいろ皆さんが御質問しましたので、私は二、三お尋ねしたいと思いますが、重複するかも知れませんが御了承願いたいと思います。  先ほど大臣説明をされたときに、お言葉の中に前長官のよくないことを聞いておつたと、こういうお言葉があつたのでありますけれども、よくないということを聞いておいて、その後六月に就任されて、十二月にああした問題が起きて、而も問題が起きていたというその間において何らか大臣としては御処置されたかどうかということを一つと、それから今一つは先ほど長官が申しました、この原因を作つたのは恐らく指名入札をした……官庁のすべての物納については公開入札をするということが常識ばかりでなく、法的にもはつきりされておるにもかかわらずなぜ保安庁指名入札したか、それを長官にお尋ねしたい。それから大臣指名入札というようなすでに御就任なされる前に一応そうした風聞が伝わつてつたのは御承知のことであつたと思いますが、なぜこうした点についてお考えが及ばなかつたか、この点もちよつと御答弁願いたいと思います。
  51. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) お話を伺つておると、少し時間のずれがあるように考えられます。私は昨年の六月の末に就任いたしたのであります。その前に海上保安庁不祥事件が潜在しておるということは私知りませんでした。それから就任してもその後そういう噂は数カ月私の耳には入つておりません。勿論そういうことは影でこつそり人眼を忍んで、できるだけ秘密に行う悪いことでありましようから出て来ないのが当然と考えます。先ほどお話申上げたようにどうも海上保安庁は臭いぞというような話をぼつぼつ耳にいたすようになつたのは年末押詰つた頃からこの正月頃にかけて後のことであります。而もまだそのときには具体的にどこにどういう悪事が行われつあるかということを間詰めたわけではないのでありまして、どうもよくない噂を聞くから少し気を付けてもらわなくちやならんという意味の戒告を與えておつたのがその頃なのであります。併しいよいよ司直の手にかかつて白日の下にさらし出されるというような場合になりましたので、これは容易ならずと考えたのは、今年の春の半ば以後であります。そういう状態でありますということを申上げておきます。勿論そういう噂だけでも、臭いような噂があるということを聞いただけでも絶えず保安庁長官に対して注意を促しておつたことは、先刻来申上げておる通りであります。
  52. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 船舶等指名入札いたしますのは、船舶を初めて作り、なお使用目途が海上の保安に関係いたしますために、技術その他の水準のはつきりした所に作らせる、そうしませんとでき上つたものが技術的に悪いといろいろ故障が起きたりなんかいたしますので、技術的水準の高い所、なお造船能力もあるという意味を以ちまして一定の指名入札を今までやつて来たわけでございます。
  53. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 長官のお答えによつて船舶については大体そういうお話もどうかと思いますので、一応これは許すといたしましても、今度の事件船舶ばかりでなく、むしろ燈台関係のほうが大きいではないか、それには御承知の通り土木関係のこともあり得るかと思うのです。そういたしますと、これは今あなたの言われたこととちよつと違うので重ねてお伺いいたします。
  54. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 燈台関係につきましては、場所が非常に僻地になります関係で特殊な工事でありますので、その工事に能力のあるものというふうに土木建築業者も選んだわけであります。この点につきましては今後十分研究して行かなければならんと思うのでありますが、今までのいきさつはこの工事を行う者は燈台に相当熟練した者というふうな観点でやつて来たわけでございます。
  55. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 大臣にお尋ねいたしたいのですが、そういたしますると、海上保安庁の組織は、御承知のように自鉄を直接御監督なされておりまするあなたにして、これが就任以来半年以上もしてから風聞が出てようやく自分が知り得たというようなことを言われたことを見ますと、直接の監督権、而も組織の小さい海上保安庁に対する半年の空白というようなものについて、私はこれより以上大きい規模を持つ組織に対しましての大臣の面接監督というようなことになりましたら、なおますます事件が起るのじやないか、勿論その人の努力如何にはよるといたしましても、とかくこういつたことが半年間も気が付かなかつたと言われるほど、小さな規模でもこういう結果が現われるのでございますから、私はこれと関連いたしまして国鉄に対しましてのお考えについても十分今後考慮して頂きたい。その意味におきましては、私は御承知のように組織を今度改正するような法案も出ておるようでありまするけれども、こういう例から行きましても私どもが申上げたいのは、これだけの組織の監督さえ大臣としてなかなかでき得ないのに、これ以上大きな組織に対してまで又抱えて直接監督をされるということについては、むしろそうした考え方に対しては大臣としては反対されるべきであるとこう解釈するわけであります。その点についての大臣の御気持だけお聞きしたいと思います。
  56. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 最後のお尋ねの趣意がはつきりいたさなかつたのでありますが、今度の国鉄法の改革についての原案に対して反対すべきであると考えるが、考えはどうか、こういうお尋ねでありますか。
  57. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 そういうことです。
  58. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 私は必ずしもそう考えないのであります。ということは、運輸大臣として国鉄のことを見て行く上においては、監理委員会があつて行くもよろしいし、又改革されたような制度で行つてもよろしい、いずれにしても運用の妙はその人にありでありますから、心してこれを運用して行けばよろしい、こういうふうな心持で私は考えております。民主的の制度といつても、制度ばかり民主的に作つても運用の妙が甚だ怠慢であり粗雑であるという場合もあり得るのであります。国会の立法府において是なりと信じて御決定になつて法律となつて成立する以上は、私どもは行政府の立場からはその法律を最もよく運用して行こうという気持でありますから、反対すべきである、或いは反対すべきでないということにとらわれないで、運輸大臣としては十分にその職責を果し得る、こういうふうに考えておる、こういう意味であります。
  59. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 次にお尋ねしたいのは、先ほど菊川君のお話の中にもあつたように、大久保長官が洋行なされたときに、洋行費の問題がいろいろ疑惑と紛議をかもしておる。帰つて来られて直ちにやめられたということにつきましては、責任をとる場合に、国費を以て洋行して行つて、而も向うで体得いたされました知識を今後海上保安庁運営のために利用すべく国費を持たしてやつたはずであるにもかかわらず、帰つて来られてすぐやめられた、そういたしますると、大久保長官をわざわざ国費を持たして外国へやつて、帰つて来たのに何らその効がないという結果になるのでありますが、こうした点につきましてはどうお考えになつておりますか。
  60. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 成るほどお尋ねのようで……併し辞任せざるを得ざるような情勢があるものを引止めて置くわけには参らないのでありまして、私はその事情を諒としてそうして辞表を受けて発令をいたしたようなわけであります。
  61. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 そういたしますと重ねてお伺いしたいのは、今の辞任せざるを得ない情勢にあるものをという点についての辞任をせざるを得ない情勢ということについては、疑惑を持たれておられるからそういう態度に出られたと思うので、少くとも長官が辞任することについてそうしたお言葉だけで遅任するということはおかしいのでありますが、その点について……。
  62. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) それは大久保長官の主観的の考えであります。若しその事態が不法不当のものであればおのずから司直の発動があるべきはずであります。大久保長官は主観的の立場から辞任すべしという考えでこれを出したのであります。別段それ以上におかしいという感じはその場合に私は持ちませんでした。
  63. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 従つて先にお尋ねいたしました言葉になるのでございますが、主観的に自分が辞任して行つたということは一応認められておりまするけれども、先ほどお尋ねいたしましたように、前にわざわざ国費を以てまで洋行し、而もそれは何のためかということまではつきりした上に行つてつて来られたその人が、直ちに自分の主観的な観点からみて辞任されたということをそのまま今後残すということになりますと、私どもは非常に今後の人事についてもむずかしい点がいろいろ出て来るのじやないか、こういう点について今後の考え方をお聞きしたい。
  64. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 国費を以て海外の視察をして来たにもかかわらず、主観的な立場から辞表を差出すということになつた事態をありのままに運輸大臣は受取つて、それを受けて発令いたした次第であります。
  65. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 では長官にお尋ねしたいのでございますけれども、人事を決定する場合に、今度の御承知のように大異動がございましたようですが、その人事を決定する場合にはどの範囲のかたがたが最高人事を決定し、それから又大臣といたしましてはどの範囲までそれに対しまする権限といいますか、そうしたことができるのでありますか。
  66. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 官制によりますと、長官大臣が任命し罷免する権限を持つております。保安庁の次長以下は長官が任免権を持つております。併しこれには人事院の了解が必要と考えております。
  67. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 いろいろ伝え聞くところによりますると、この問題の最初の発端は別といたしまして、その後非常に発展して行く過程において、先ほど長官菊川君の質問に答えられたように、いわゆるその海運閥と申しますか、そういう閥と官僚閥というような形から非常にお互いが摘発し合いつつあるような風聞もちよつと開いておるわけですが、とかく、派閥の問題によつてこうしたことはときどき大きな問題にもなり得るようなことを大分聞いておりますが、そういう意味において私のお尋ねしたいのは、若し本当にいわゆる運輸省から残された派閥の人たちと、海運関係、或いはそうした方面の派閥の関係があるのかないのか、これはなかなかお答えがむずかしいと思いますけれども、大体のお考えでよろしいから是非一つお答えだけはして頂きたいと思います。
  68. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 保安庁ができました当時、各方面から集つて参りましたので、その当時は慣習並びにその育つた今までの母体というものが違つておりましたために、保安庁へ入りましてもその慣習が抜け切らなかつた点は保安庁設立当時はあつたと思います。その後保安庁一つの目標に向つておのおの人事の異動を行い、その間の差を縮め、これによつて保安庁を一本の保安庁にするという努力を続けて来たわけであります。現在におきましてはその融和は相当に図られているものと、又今後はこれを機会にしまして一層緊密にその点を一致団結して行かなければならんと考えております。
  69. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 最後にお尋ねしたいのは、今後長官におかれては、少くとも指名入札の弊が今日の問題を起したということを考えられますので、今後におきましてはどんな処理で行きますか。行くつもりでおりますか。
  70. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) その点につきましては、船舶その他の入札につきまして万止むを得ざるものを除きましては、十分に利害得失を検討しまして、改善して行きたいと思います。
  71. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、非常にこういう問題が起つて遺憾だと思うのです。問題は併し今後こういう問題を起さないようにして行くことが大切だと思うわけですが、この経過報告を聞いておりますと、司直の手の伸びたものとか、或いは本人がやめたいというような意思表示をしておる人が大体今まで処分をされておるようです。併し司直の手の伸びないものも私は残つておる人があると思うのですが、そういうのはやはり司直の手を待つまでもなく処分するということが、今後のこうした問題を再び起さないためにお互いが自戒をすることが一番大切なことだと思うのです。こういうことについて、大臣としてこうした問題に司直の手の伸びないものがあれば、これははつきりと今後のためにそれらの嚴重な処分をするというふうにする必要があるということをお考えになると思うのですが、それに対する一つ御見解を承わつておきたいのであります。
  72. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 誠に御尤もなお尋ねであると考えます。私もその点を重大視いたしまして、去る二十三日の管区本部長会議の席上において、それぞれ管区本部長はその担当する部署に応じて今お尋ねのような趣意に基く粛正の手を嚴粛に進めるべきであるということを訓示し、更に又管区長各自もそれぞれお互いに協議をして、その線に沿うて末端に至るまで未発のものをも糾明して、そうして鼠一匹残さんように閉め出そうという気持でそれぞれの任地に赴任、若しくは帰任いたしたような次第であります。去る二十三日のことでありますから、まだその後の報告に接しておりませんが、そぞれれその任地においてその趣意に沿う手を打ちつつあることと考えております。
  73. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 大臣から非常にこの問題についての責任ある御回答を聞いたんですが、往々にしてどういいますか、一般の事務官等におけるところの責任の追及は嚴しいわけなんですが、上部の管区に対する責任というものはなかなかあいまいで処理をされないという例が従来非常に多いわけなんです。私はやはりそういう点についても十分関心を深めて頂いて、そうして少しでもそういう根を残して、ああした問題があつてもあの男は形式的には或いは異動をしても、実質的には大して損をしなかつたんだというようなそういう感じを、起させるような処理を残さないようにして頂きたいということを希望申上げておきたいと思います。
  74. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) その通りであります。むしろ上級者ほど責任は重くなければならないはずであります。殊に上の好むところ下これに従うということがあります。その点はお尋ねの通り御希望の通りであると私も同感であります。断じて上級の者は見逃して、いわゆる呑舟の魚を逃して細鱗を網するというような行き方でなしに、上級こそ嚴罰して行くべきである。勿論下級といえども見逃すわけには相成らんのでありますが、司直の手を待つまでもなく、内部的に自発的に粛正の手を打つて行くということにいたすつもりでおります。
  75. 内村清次

    内村清次君 この際運輸大臣にちよつとお伺いいたしておきますが、政府のほうでは今回北海道開発法の一部を改正する法律案を出していらつしやるようですが、この條項の中におきまして、十一條には北海道の開発局を置いて政府の直轄的な御監督の下に開発をやつて行こうという目的が明確になつておるようでありまするが、その中の開発局といたしましての所轄機構に対しまして港湾部というものが設置されておるようであります。同時に又十二條におきましては、この公共事業費の支弁関係におきまして、運輸省及び建設省の所管するものの実施に関する細目がきめてあるようでありますが、こういうような機構の改正をやられます際におきまして、当然主管大臣の間におきましては、閣議において御協議がなされたと存ずるのでありますが、同時に又運輸省運輸省といたしましての、この機構の改正に対しまして、内部的な検討をされて、総合的にこれを調整するような御意見も御発表になつたことであろうと思うのでありますが、こういう点の模様につきまして、実は運輸委員会といたしましては、相当これは関連がある法案でありまするからしてその模様につきまして一応承りたい、かように思います。
  76. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) これはお尋ねの通り運輸省仕事としては重大なる関係があるのであります。内閣の方針が決定してそうして事務的の打合せ連絡をとつてここに至つたのでありますが、お尋ねの要点は極めて重大であると考えまするので、これはこの法律によつてどういうふうな影響があるか、どういうふうな効果を挙げ得るかという点を、改めて取りまとめて一括して次の機会にお答え申上げたいと思います。
  77. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 海上保安庁に関しましての御質問はもうお済みでございましようか。
  78. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 これで質問は海上保安庁については打切るという意味ですか。まだあと……。
  79. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) そうですね、それは又必要であつたらばこの次にお延ばしになつても結構ですが、一応次の法案の提案者を長い間お待たせしてありますから。
  80. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 必要に応じては更に……。
  81. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) この際ちよつとお諮り申上げたいのですが、高木さんから貨物輸送力整備増強に関する御発言がありましたのですが、お差支えなかつたら、これは法案審議の後に、これをあとに廻しまして……。
  82. 高木正夫

    ○高木正夫君 一応運輸委員会できめておいてもらいたいと思います。
  83. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それではモーター・ボートの法案審議のあとでよろしうございますか。
  84. 高木正夫

    ○高木正夫君 それで結構です。
  85. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) さように取計りいます。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  86. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて下さい。
  87. 内村清次

    内村清次君 只今私が運輸大臣にお尋ねいたしましたこの北海道開発法の一部を改正する法律案、これは委員長におかれましても、この内容の点につきましてはよく御存じのはずと存じます。従来このような関係が、非常に重大な法案に対してましては、これはこの委員会といたしまして、主管委員会に対しまして、当然関係委員会に対しまして、合同審査の形で申込む慣例がなされておるのであります。この法案につきましては大臣は又別に説明をしようというようなお答えでありましたが、会期も非常に短くなつておる今日でございますから、運輸委員会はまだほかにも法案があります関係上、運輸委員会單独で運輸大臣から聞きましても、勿論これは必要ではございまするが、できれば主管の委員会におきまして、運輸大臣の御答弁或いは所管大臣の御答弁も聞きたいと存じまするが、そういうような機会を一つ早急に持つて頂きまするように、こういう動議を提案いたします。
  88. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 只今の御提案につきましては、今日これも高木さんの御発言の前後に皆様にお諮りいたしまして、若し合同審査を持つような場合には、運輸大臣の留保をされました御答弁はその際にして頂くのも一つ方法かと思われます。又御連絡申上げます。それじやそういうことにいたします。   —————————————
  89. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それでは次にモーター・ボート競争法案を議題に供します。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  90. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて下さい。
  91. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 提案者に先ずお尋ねいたしたいことは、御承知のように競輪が、本国会においても存廃の問題が論議をされているわけでありますが、そういうときに、これと類似した行為の伴うこの法案を御提出なさるということについて、何か私どもすつきりせんといいますか、いろいろ国民から見ている国会の審議の問題について、こうした法案を上程することがどうしても必要だつたというふうにお考えになることがありましたら、その理由を一つお聞かせ願いたいと思います。
  92. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) お答えいたします。競輪が最近問題になつている矢先に、こういつた法案を出すということについては、どうかということのお尋ねのようでございますが、もともとモーター・ボートの法案の提出に当りましては、競輪以上に早くこれを提出したいというのが我々提案者の念願であり、更に又これを発案した方の念願であつたのでありまするけれども、いろいろな事情の下に今日これが遅れまして、今お尋ねのようなこともいろいろ言われているようなわけでありまするけれども、そういつた意味で早くこれを出したいということであつたのでありまするけれども、まあ時期が非常に遅れてしまつたというわけであります。更に又今日いろいろ競輪のよつて生ずる弊害について競輪粛正論が出ておりまするが、私どもはこの競輪の弊害というものは一にかかつて選手或いは審判員の質と申しましようか、そういうものに重大な欠陷があるのじやないかということを考えまして、このモーター・ボート競走法案におきましては、特に選手と審判員につきましては試験登録制を設けまして、そうしてそういつた弊害が伴わないように愼重な研究をいたしておるのであります。従つて競輪につきましてはいろいろ問題もありますけれども、私は競輪法そのものは大変結構な法律であるというふうに考えておるのでありまして、ただそのやり方について多少研究すべき点があるのじやないかというようなことも私は考えておる次第であります。従つてそういつた競輪の不備欠陷をむしろこのモーター・ボート競走法案によつてつて競輪のそういつた欠陷をこのモーター・ボート競走法案によつて啓蒙して行くというような飛躍した気持で、今日第一條に謳われているような目的の下にこれが提案された次第であります。
  93. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 私もこの第一條の趣旨は、これは非常に結構だと思うのです。これから自立経済を達成する上においては外国との貿易というようなことが大きく取上げられなければならんと思うのです。そういう趣旨でもありますし、更に海事思想、観光事業の問題とか、或いは地方財政にまで発展をして寄與するところのこの趣旨は私も全面的に賛意を表するわけです。併し問題はこれに伴うところの、つまり勝舟券を売るという、競輪と類似したあの行為を伴うことが一番問題だと思う。で私は提案者としてはこういう行為の伴わない方法でこうした産業を振興させるようなことが考えられなかつたか。お考えになつたことがあつたら、こういう方法があるというような点について一つお考えを伺いたいと思います。
  94. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 御尤もな御意見でございまするが、もともとこのモーター・ボート競走法案の発案者は、当委員会に毎日傍聴に来ておられて顔を御存じかとも思いますが、非常にこのモーター・ボートに造詣の深い福島世根という女性の方が発案しておりまして、更にそういつた面に特に理解のある、非常に体験の深い堤君といつたような方々がこのモーター・ボート競走法案の起草をいたしたのであります。このモーターボート競走法案を起草するに当りまして、第一に社会事業をやろう、これによつて生じた利益で社会事業をやろう、而も地方財政の收入となる收入面におけるその財源を以てむしろそういつた社会の福祉となるような事業にでも投資して貰おうというような観点から、このモーター・ボート競走法案を発案いたしまして、そうして我々提案者にもいろいろ話がありまして、こういつた法案を提案いたした次第であります。けれども、何と申しましても、相当に資金と申しましようか、そういつた財源面を確保するにあらざれば、そういつた社会事業も真に目的を達することができないというような考えの下に、理想的な競走の方法を考えて、そうして或る程度そこに資金なり或いはそういつた金融面をキヤツチいたしまして、そうしてそれによつて、発案者なり、或いはこの第一條に規定してあるような目的を達する。それについては先ず一にも二にも金である。こういう意味でこの法律の提案に相成つておる次第であります。
  95. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 御承知のように、競輪を始めるときにも現在のようないろいろ問題になることが予想をされれば相当問題になつたと思うのでありますが、それが予想されない結果いろいろ家庭的にも種々な不健康な国民生活の面が露呈をして来ているわけです。従つてこの法案でやればそうした問題が起らないというふうに御説明になつておりますが、例えば第九條のごときものを見ましても、本人がいろいろな行為を行わないでも、関係者は券を買うことができぬというふうに規定はせられております、併しそれをそのまま全部の人が守れば問題がないのですが、やはり本人がやらなくとも家族なり或いは友達を通じてそういう行為は幾らでも行えるわけです。そういうことをしておけばそれらの問題は防いで行けるというふうにお考えになつておるのですか。
  96. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 全くお話通りの点もあるのでございまするが、先ほども申上げました通り、競輪法そのものが私は悪いのじやないと考えている一人でございますが、ただそれの運営方法が惡いということについては問題があろうかと思うのであります。而もそれに直接携つている選手なり或いは審判員というところに問題があるのでございまして、私どものモーター・ボート競走法案におきましては、お手許に差上げてある資料にもあります通り、選手が非常に質がいい、例えば選手のほうにおいてはいわゆる新制高校なり或いは旧制の中学卒業以上の者、或いは審判員は旧制の高校、專門学校、或いはこれを卒業したと同等の力以上の者を省令によつて運輸省が登録をいたしまして、そうして嚴重監督の下に行う規定に相成つておりますので、選手なり或いは審判員の質が、必ずしも私は競輪の選手、審判員が惡いということは申しませんけれども、競輪を行うところの選手、審判員以上のそういつた知性の人々がこれに携りますので、そういうことは万々なかろうというように期待をいたしておる次第であります。
  97. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 この法案が出ましてから各方面の意見を聞いているわけなんですが、これが実際行われるようになつても、経費の面で継続はできんのではないだろうかというような意見が相当ある。提案者はこれをやれば、大体どのくらいの人が見に来ると言えますか、これに集つてそうしてどういうような収入があつて、この事業といいますか、仕事が成立つて行くのだというようなことについて何か具体的な、何といいますか資料と言つちやなんですが御見解で結構なんですが。
  98. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 尤もなお尋ねでございまして、衆議院におきましても、或いは先般の合同審査会におきましても、その点はいろいろ質問があつたところでございます。従つてこれを行うに当りまして採算がとれるかということにつきましては提案者の私たちもあらゆる角度から検討をいたしたのでございまするが、尤も私はこれの経験はありませんけれども、多年こういつたモーター・ボートに携つている人方の科学的な資料その他によつてお話を承りますと、大体五千人入場者があると採算がとれるというようなことが原則的に考えられるのだということも承つているのであります。従つて競輪やオートバイの競争と違いまして、申すまでもなくこのモーター・ボートの競走は広々とした海面を利用してこれを行いますので、理想的な設備をこしらえようといたしますればかなりの施設が要るでありましようけれども、全然金をかけないでやろうと思つたならば、金をかけないでできるということも承わつております。それは例えば簡單な入場券を買うボックスを建てて、そのボックスの切符売り人といいましようか、そういうような者は戰争未亡人を使うとか、そういつた面でそうした人たちを使いましてそう別に施設は要らない。ただうんと理想的に施設を作ろうということであれば金は要るけれども、その別に大きな建設費と申しましようか、或いは施設費というものは要らないでこれが行われるということがこの法案の一つの特色でもあるわけであります。従つて競輪などのごとき、ああいつた何千万円というような経費を要しないで、極く少い経費でこれが行われるというのがこの法案の一つの特色でもあるわけであります。従いまして大体五千人くらい入場いたしますればこの採算がとれるというふうに承わつているわけであります。
  99. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 最後に私寡聞でありまして、ボート・レースに賭をするというようなことが、公然と行われている国はないというふうに聞いているのです。非公式にはいろいろな行為があると思うのですがそういうスポーツとしてのボート・レースというものを賭をするような行為を伴うことにすることを日本だけがきめるということは、非常に私は恥かしいことじやないかと思うのですが、そういうことについて何か外にでもそういう行為を行なつている所がありましたら一つ参考にお聞かせ願いたいと思います。
  100. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 全くこれも御尤もなお尋ねでございまして、大体こういつたモーター・ボートの競走に競走会を作つてこういつた正式にそういうことをやるということは、外国にはないそうであります。併しながら話に聞きますると、アメリカあたりでも一年間には千回もこういつたモーター・ボートの競走をやる、そうしてまあひそかに莫大な、いろいろ金をかけてやつているということも承わつている次第でありまするが、私が申すまでもなく、この日本人というものの社会という観念がどうも諸外国と考え方が違うようであります。それは封建的な日本の家族制度の思想とか或いは日本のよつて来たつた今日までの国柄がそうあるんじやないかと思うのでありまするが、社会ということよりも家を大事にするというような思想があるようでして、社会ということの概念が違うように思うのであります。そういつた面からいたしまして、何か社会的な事業でも起そうというような場合でも、なかなか外国のようにスムースに行われないという難点もあるのでございまして、従つて第一條の目的を達する限りにおいて、そういう日本だけの考え方でありますけれども、こういつた競走によつて財源をつかんで、そうして外国より遅れているところのそういつた社会事業の面に大いに寄與しようというのが狙いでございまして、私たちの聞く範囲内におきましては、モーター・ボートの競走はアメリカによらず、或いはイギリスその他フランス、イタリーなど外国にもたくさんあるようでありますけれども、こういつた競走法によつて射倖心を或る程度そそつて競走を行うという例はまあないように聞いている次第であります。
  101. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 第一にお尋ねいたしたいのは、競輪法が通つた場合も、院外の国民の批評というものは、大体議員立法というのはこのくらいなものよりできないという批判を浴びたことは坪内さんも御承知になつておられるはずだと思います。競輪が繁昌いたしましてとにかくそれに関係している人は一部の人であるかもしれないが、まあかなりの儲けをしたというのがこれは一般の通評になつております。事実どのくらいあるかわかりませんが、この問題も出て参りましたので、調査のために幹部を呼びましていろいろ調べましたが、なかなか説くところは非常に理想的なようなことを言うのでありますが、この法案を見ましても、要するに一番のこの法律の穴と申しますか、一番の大事な点というものは勝舟投票権というものにあるだろうと思うのであります。これを抜きにしたら、又これを仮に修正されるということになつたら、むしろそれならやめてくれということになるだろうと思うのであります。これが一番穴でありまして、いろいろと理由を掲げられ且つ述べられておりますけれども、一番の狙いは勝舟投票権にあると私は見ております。従つてとにかく競馬、競輪等におけるあの馬券、車券はやはり国民の射倖心を利用して金を集める、こういうことにあると思うのであります。で当委員会においてはモーター・ボートの法律案がかかつております。それから農林委員会には御承知の通りに犬を走らせるという法案がかかつております。これが通過した曉におきましてはすでに闘牛法案というのを一部の有志議員が用意いたしておりまして、あれは徳島県のほうが主な発生地だそうですが、牛にけんかをさしてそうしてそれにかけをやつて投票券を売つてやるというのを用意しておるそうであります。又一部有志議員の中には若しこれが通つたならば、鶏にけんかをさした闘鶏法案というのを用意しているということであります。なお又聞くところによりますと、小型自動車の競走を、アメリカのように一人で運転する小型自動車競走法案というものを一部有志議員の間には用意されている。これが逐次どんどん議員立法として通過されるということになつた曉におきましては、まあ議員がこしらえる法案は率直に申しまして、大体ばくち法案ばかりをこしらえるというような批判が起きないとも限らないと私は思うのであります。そういうような趨勢も坪内さんは、或いは提案者の皆さん方はお考えの上、将来もこういうものはどしどし日本ではこしらえようと、こういうお考えの上に立つてこの提案をされたかどうか、この点について一つお伺いいたしたいと思います。
  102. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) お説の点同感な点もあるのでありまするが、私ども今度出て来るところのいろいろな、今お話のような法案のことについてはまだ具体的には承わつていないのであります。併しながら先ほど私お話申上げました通り、競輪法というものは国会で認められて今日ここに至つたのでありまするが、申すまでもなくあの競輪法でさえ趣旨は非常に結構だと、而もそれは戰災都市の財政面の窮余の一策としてこれを行うんだということで国会を通過したと、かように承わつているのでありまするが、従いましてこのモーター・ボートの競走法案におきましても、先ほど申上げました通り、競輪においてはああいつた欠陷なり或いは不祥事件なり、或いは今日競輪粛正論なども出ておるようであるけれども、それは法案そのものが悪いのではなくして、それを運営する運営面に大きな欠陷があるんだから、私どもはそういう欠陷を補つてそうして第一條に謳われているような、こういつた目的が十分に達せられる限りにおいてならば、一つこれをやつてみようというような考えでございまして、恐らく国会であらゆる角度から愼重に検討、研究或いは審査して下さいまして、これに協賛を頂けますならば誠に結構なものであると、かように考えている次第でございます。
  103. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今の点につきまして、これはまあ大きな目から一遍この種の競技全般として考えなければならんと思うのであります。それぞれ特徴はあると思います。例えばドツグ・レースにいたしましても、犬の品種の改良或いは牛のけんかをやるとなれば牛の品種の改良、鶏のにやらせれば鶏の品種の改良、小型自動車をやつたならば小型自動車のやはりエンジンの改良というような、それぞれ又これが延いては地方自治体のまあ財政を潤わさせるということにもなりましようし、又且つはそこに戰災未亡人を吸収し得るというようなことがあると思うのでありまするが、併し日本の現在の状態から考えまして、この種の競技というのは一応私は飽和状態にあるのではないか、そうしてちよつと批判の段階に来ているんじやないか、こういうふうに大きな日本全般の目から見まして考えるのでありますが、じやあなたのお考えではまだまだこういうのを殖やす方がいいと、こういうお考えの上に立つて提案されておるかどうか、この点について根本的な大事な点だと思いますので。
  104. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 提案者の一人といたしましては、こういつた種類の法律が今後どしどしふえることがいいものであるか、或いはそういうものが出て来ないことがいいものであるか、これは申すまでもなく国会の両院の協議におきまして決定されるものでありますので、私が何とも申しがたいのでありますけれども、私の期待すると申しましようか、そういう意味から申しますると、権威ある国会におきまして、競輪法が今認められて実際にこれが運営されている、従つて競輪法が廃止されるならば、恐らくそれに似たようなこのモーター・ボート競走法案も廃止になるであろう、或いはいろいろ批判を受けるだろう。併し少くとも現在におきましては競輪も国会に認められてそうして実際にこれが運営されている。こういうような観点から私どもはこのモーター・ボート競走法案も国会において協賛を得るのじやないかということを期待している次第であります。
  105. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次にお伺いいたしたいのは、提案理由の中にモーター・ボートの製造に関する事業の振興、第一の理由でありますが、この二頁目に同好のアマチユアの間で行われておりまして現在これらアマチユアの使用する競走用モーター・ボートだけでも百数十隻に上り、これに相当する練達なアマチユア選手がおりますが、かかる個人的嗜好によつて始められたものであるのでありますが、そこで一応この法律案が仮に通過いたしましたとするならば、これらアマチユアの持つているところの競走選手、それから競走用の舟艇というものをそのまま直ちに初め先ず第一にこれを転用すると、かような構想をお立てになつてるかどうか、新たにプロを育ててやるとこういうお考えでありますかどうですか。
  106. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 提案理由にも説明申上げておりますところのアマチユア選手ということにつきましては、大体この従前のアマチュアの方々は非常に知性の高い人が多いそうであります、例えば大学出だとか或いは非常に家庭もいいとかいうような関係の者が非常に多いのでございます。こういうアマチュア選手を省令によりまして試験をしてそしてそれを登録いたしまして、嚴重監督のもとにそういつたものを中心として選手としてやろうというようなことも承わつているのであります。更に又新しい人も試験登録制によつてこれを採用して行わしめるということになるだろうと思います。又モーター・ボートの件につきましては今持つているモーター・ボートは更にこれを登録いたしましてこれもよく検討いたしまして、競走に参加させるということに相成つている次第であります。
  107. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次にお尋ねいたしたいのは、大体これが通るということになりますと、各地でいろいろそれぞれ都道府県に一つずつ競走会を設けるというようになつておりますが、全国で大体幾つくらいが設けられるか、その設置の予定箇所、今のところで提案者の方で考えられるのは大体どこへできるかわからんというのではないであろうと存じまして、大体予定の箇所はおありになるだろうと思うのでありますが、どれくらい予定しておられますか。主な箇所がありましたらすぐに出しましてすぐに用意してすぐ競走会をこしらえるというような県がありましたら。
  108. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 大体このモーター・ボート法案が国会を通過いたしますと七月の二十日を期して、いわゆる海の記念日を期してこれを全国的にやつてみようというような狙いであつたのでありますけれども、現在この法案の審議が非常に愼重審議下さいまして遅れて七月二十日にこれを実行するということは実際問題としてどうかと思うのでありますが、期日はそういう関係で行うことに予定いたしたのであります。これを行うところの県はどのくらいかということでありますが、まだこの法律の通過もないことでございますし、更にこの競走会を作つて施行者に競走会を委託するに当りましても、出先の海運局を経由して本省でこれを決定する、又更にこれを行うにつきましてはそれぞれの政令を定めて実際監督面、或いは実施面にも監督をしなくてはならんというような事務的な関係もありまして、かなり技術を要しまして恐らく我々が計画しておりた期日には行えないような状態になつておる次第であります。恐らくこれを行う場合はどこかと申しますると、大体先ほど申上げましたように別にこの大がかりな施設の要しない所、又余り波の高くない所、又これを行うに條件のいい海面が使用されるわけでございまするが、差当り東京なら墨田川とか、或いは近くの逗子とか、或いはその他いろいろな湖水の方面で行われるだろうと思つております。今のところこの法律が通過するか、通過しないか、特に参議院で難航を続けておりますのでその点も難航を続けておる次第であります。
  109. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に第四條の競走会でございますが、この競走会というのは都道府県内に各一カ所を限り設立するものとございますが、あとの設立規定はございませんが、これは構想は政令ででも定められると思うのでありますが、どういうふうにやるか知らんが、希望者は全部何万円、何百万円とか、或いは何千円というような限度をきめまして、これだけの金を出すならば全部競走全に入れるものであるかどうか、その点についてどういうように組織されるか、第四條の一、二、三、四項を見ましても三十四條の公益法人の規定によるということだけはわかつておるのでありますが、どういうふうにしてこしらえるつもりでありますか。
  110. 堤正武

    ○衆議院專門員(堤正武君) お答えいたします。結局競走会は各地の海運局を通じて申込むんでありまして、その地方のこれに希望を持たれる方々がそれぞれグループを作りまして、それで海運局を通じて本省まで申告する、従つてそのうちどれを認可するということはそれぞれ本省の権限によつてきまるわけでございます。
  111. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この本省の認可というようなことはあるんでございますか。この規定の中に海運局で認可する、どうも、わしもずつと読んで見たのですが。
  112. 堤正武

    ○衆議院專門員(堤正武君) お答えいたします。第四條の四項でこれは民法上の公益法人になつておりますので、この規定によりまして省令を作りましてその省令に基いて結局運輸大臣が認可するということになつております。
  113. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしまするとこの今の御説明によりますると、誰でも公益法人に入ろうと思つたら拒否することはできないのですか、そういう点はどうなつておりますか。所定の金さえ出せば。
  114. 堤正武

    ○衆議院專門員(堤正武君) 金とかということは別問題といたしまして欠格規定がないから入れると思います。
  115. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) その点ちよつとお答えいたしますが、地方の競走会、各府県に一つの競走会を置くことになつておりますので、それが複数制となつて現われた場合にはどうかというようなことじやないかと思います。
  116. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 いやそうじやない、一つの競走会をこしらえようというときには、東京都へこしらえようとした場合に誰か発起人になつてどつと申込めば、これは極端な例ですがいわゆる百人でも五百人でも千人でも二千人でも、まあ競輪の実績から考えまして募集でもするということになれば、それは非常におもしろい或いは又有益であるというような見地から来る人もありましよう、或いはこれは金儲けになるというようないろいろな見地から入るだろうと思います。応募者はたくさん来ると思います。欠格條項はないのでありますから、そうすると誰でもこれを入れなければならん、法律で以て開放的なものであるか、それとも制限を付したものであるかこの点を。
  117. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) その点でございますが、その点は法律にも謳つてありますように、都道府県が施行者でございまして、その都道府県の施行者によつて競走会にこれを委託いたして行うのであります。そういつた方面の取捨選択というものは大体において都道府県である程度これをいろいろ整理いたしまして、そうして完全なものにして地方の海運局を経由して本省に出すということになるだろうと思います。従つて誰をこれに入れないということはないのでありまして、適当な人が第一條の目的に合致するような人、或いは第一條の目的を達成するのに興味を持つて下さる方々が吸収される、かように存じております。
  118. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それは又非常に問題だと思うのであります。第一條の目的というのは、第一條の目的だと誰でも入れる。第一條の目的は不賛成だと言つて申込む人はないと思いますが、競走会に委任すると坪内さんは言つておりますが、これは競技をする競走会に。だから競走会の設置にまで都道府県がタツチするということはないはずだと思います。そういう点が起つて来るとむずかしい。その点の規定なんかは全然今の法律にはないと思うのです。自転車の競走会のときには、競輪法のときには誰も知らなかつた、ああいうふうになるということは知らなんだからずつと過ぎてしまつて大したことはなかつた。ところが今度は実績があるから、ドツグ・レースにいたしましてもこれは同様だと思います。相当これは関心を示しているだろうと思います。従つて、応募者も相当出て来るだろう、それをどういうふうに整理なさるということはないか。あなたの第一條の目的で適当な者と言いますが、そう簡單に、資本金が幾らとか、資本金のあるなしということによつても整理されるだろうと思いますがこれは一番根本だと思います。法律を出した後における、その点を一つ
  119. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 今その点についてちよつと專門員から。
  120. 岡本忠雄

    ○專門員(岡本忠雄君) 御説明がちよつとぴんと来ないだろうと思いますが、公益法人の認可につきましては主務官庁がこれをやつておる。運輸省には法人の認可、監督の省令が出ております。これは去年できております。それによつて運輸省がこれを審査し認可する、こういうことになります。省令ができております。
  121. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それはその公益法人を設立するときの話を言つているのですか。設立してしまつたのを認可するかしないかというのですか。
  122. 岡本忠雄

    ○專門員(岡本忠雄君) 設立の認可です。
  123. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その設立のときに公益法人をこしらえる手続というものはあるだろうと思う。これに応募者があつた場合に、これを受付けなければならんことになつているかどうか。それとも一部の有志だけでこれをこしらえてこれは公益法人だ、先に届出たものの勝になる、他を拒否するということになるのか。それとも一定の期間を通じまして誰でもこれに入つて来る者は拒むことはできない、こういうことになつておるかどうか、その点について。
  124. 今井榮文

    説明員(今井榮文君) 私船舶管理課長でございます。局長が外出中で私代つてお答えさして頂きたいと思います。只今の点につきましては、実は民法上の公益法人に関する規定は、現在各種の法規にございますような詳細な規定はございませんので、多少運輸大臣が、自己の考え方に従いまして認可をし得るような、比較的広い規定になつております。従いまして、これについて認可申請が出て参りました場合、運輸省といたしましては、その認可の愼重性なり適格性を確保する意味におきまして、現在省内に公益法人適格審査委員会というようなものを設けてございます。これは運輸省全体で一本の組織でございますが、それによつてできる限りその組織、内容、或いは資産の状況とか、或いは構成員の資格というような点について十分検討を加えまして認可をいたして行きたいと思つております。但し最初一つ認可されますると、一府県に一つの競走会場設立を認められております関係上次の申請は受付けないということになるのではないかと考えております。
  125. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 どうもピントが狂つている。私のお尋ねしていることは、実は公益法人の設立のときにその公益法人の設立、発起人というものができるだろう思う。その発起人でなくて応募人、これは公開に募集しなければならん、募集して応募して来た者は入れるかどうか。これは一個の権限を有する、表決権を有する者が、お前は入れんぞ、おれだけやる、こういうふうにやつてしまうものかどうか。そうして、ただ運輸省の、あなたの方と連絡のあるほうでぴたつとこしらえてしまつておれの方でやるということになるかどうか。この点についていわゆるオープンにして誰が行つてみても公益法人設立準備金が一応県内に公告をして、こういう條件で好きな方はお入り下さい、こういうふうにして公益法人ですから公の益になるのですから、公衆の益になる、公の益になることをやる、こういうわけですから、それをうまくしてしまうということになつたら問題だと思うのでありますが、ところがなかなかそうは行かん、実際問題としては行かんと思うのですが、その点がどういうふうにやるつもりかということをお尋ねしておる。
  126. 今井榮文

    説明員(今井榮文君) お答えいたします。公益法人の設立につきましては、一般の公益法人の設立と同じように、或る中心になる方々が発起して一般に公募するという方法もございますでしようし、又その人たちが東京の地元で一つの団体を作る場合もございましようし、そういうふうな構成員の結合についてまで、運輸省といたしまして指図することはできないのではないかと存じております。従いまして各地方におきまして競走会ができ上る際には、それぞれその地の実情なり何なりに従いまして、いろいろな方法で設立の準備が行われるものではないかと考えております。
  127. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今の御説明で大体わかりました、構想は。併し今までの公益法人というものと、この種の公益法人とは非常にいわゆる、何故私が申上げるかと申しますと、競輪のあの実績から考えましてそう簡單には行くものじやないと思います。今までの簡單な普通の公益法人、或いは公益法人とは少し性格が違います、率直に申上げまして。それは何故かと申しますと、余り競輪のことを申上げて恐縮でございますが、今言われており、新聞にも載つておるところから見まして、やはり同じような主格を持つた公益法人にならざるを得ないのであります。従いまして、普通の公益法人設立のときにいろいろの問題、紛争が起らないから、この競走会を設立するに当つても問題が起らないというふうにお考えになるのは認識の不足であると私は思うのであります。その点について構想を考えているかどうか、こういうことを聞いているわけです。
  128. 今井榮文

    説明員(今井榮文君) お答えいたします。その点につきましては非常にむつかしい問題があると思いますし、運輸省の私どもといたしましても、この種行政には全く今まで不馴れでございまして、果して十分自信を持つて今からそういうものの指導ができるかどうかを確言することは困難であると思います。ただ私どもといたしましては、この種競走会が本当に明朗且つ健康な一つのスポーツの内容を十分持つて、而も又舟艇なりエンジンに今後直接的に裨益して頂けるというような希望をつないでおりますので、そういう段階の設立につきましては、地方の競走会の、競走の施行者である府県の方々のその地域における実情によつて公正な立場でむしろ設立の募集をされることをむしろ期待しております。
  129. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 あなたの御期待は勝舟投票券を伴わないならばその御期待はまさに的中いたしますが、これが伴う場合にはそれはそう簡單に的中しない。又これに伴いまして、売店或いはこれに伴う又小運送、小運送と申しましては語弊がありますが、バスその他の営業こういつたものが一般社会におきましては、そうあなたの御期待通りには私は行かんと思うのでありますが、あなたの方ではそれをスムースに普通の公益法人のように行くと思つて法律案をお出しになつたのでありますか。
  130. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 提案者といたしましては、そういつた競走会ができてその競走会のメンバーといいますか、そういつた者は主としてその土地の例えば造船業界の人とか、或いはこれが海面で行われる関係上、水産界、経済界とか、或いは金融界の相当紳士の方々がこれに参加してくれるであろうと、かように考えておりますので、今菊川委員のお尋ねのような点は先ず万般なかろうというふうに私どもは考えておる次第であります。
  131. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 今の質問に関連するのですが、やはりその競輪の場合なんかは、私の聞くところによると、非常にボスといいますと語弊がありますがボスが大きな施行の上に支配するという弊害がもうできているようなんですが、これをやつて行くとやはり同じことができて来るのではないかと思うのですが、提案者どうでしよう。
  132. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) その点はお話通り、多少懸念される点もあろうかと思うのでありますけれども、これを運営或いは指導監督して行くには、責任ある運輸大臣なり或いは所管の運輸省が愼重に検討を加えて、そしてそれぞれの指導のもとにこれを行いますので、競輪なんかで行われているようなボスの介入というものはないだろうと期待いたしておる次第であります。
  133. 岡田信次

    ○岡田信次君 この法案の第一條に、モーター・ボートの性能向上等云々とございまするが、これは自転車の競走の場合も又小型自動車の場合も同様であると思います。従いまして競輪なり、或いは小型自動車の競走と申しますか、この法律が通りましたその後の実績に鑑みまして、自転車なり或いは小型百自動車が第一條に謳つている目的を十分に果しておるかどうかということをお調べにたつたかどうか、その点を先ずお伺いしておきます。  それから一番目といたしましては、モーター・ボートの競走は場所的には非常に制限される、それから天候、風でありますとか、或いは潮でありますとかこれらに制限されることが非常に多い、従つて開催される回数が非常に少いと思う、自転車や小型自動車に比べまして。でありまするから、開催される回数が少いから、この第一條の目的を達することが困難じやないかと、かように思うのでありまするが、提案者のお考えはどうであるか、この二点とじ  更に第三番目といたしましては、もしこの法案の成立によりまして、この第一條の目的が達せられてモーター・ボートの性能の向上なり或いは品質の改善が行われましても、それが今日の国民生活にいかなる力を持つているかどうか、その三点をお伺いしたいと思います。
  134. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 競輪の目的が達せられているかというようなことにつきまして、私もこのモーター・ボート法の提案に当りましてはいろいろとこれについては承わつておりますけれども、大体において相当に目的を達しているように考えておるのであります。特に地方財政に寄與する面におきましては非常に甚大なものがありまして、その総計四十億といわれているくらいであります。特に私の関係市でございまするが長崎市のごときは、もうすでに長崎市の財政収入として八千万円くらいの収入があるように承わつております。従つて競輪のことはよくわかりませんけれども、大体においてそういつた技術面或いは自転車の振興或いは海外に対する宣伝そういつた面で、私は競輪は目的を達しているのではないか、かように考えておるのであります。  更に第二点の、この第一條の目的を過するに当りまして、場所の関係がなかなかこれは問題だから簡單に行かんのではないかというようなお尋ねのようでありますが、場所というのは大体長さが八百メーターで実質的には五百メーターしか使わない、巾は八十メーター程度あればどこでもできるように相成つているのでありまして、勝舟券を買つた者が、山の上からでも或いはどこからでも見えるということになつておりますので、こういつた関係で、競走するのに一番場所の要らないことであるし、その点は容易であるということも承知しているのであります。  更に第三点につきましては、堤專門員からお答えさせることにいたします。
  135. 堤正武

    ○衆議院專門員(堤正武君) モーター・ボートの性能向上によりまして、大いに海事思想を普及し又技術方面にも進展して行くということは、この際非常に大事なことと思うのであります。と申しますのは、御承知のように、船用エンジンの小型百ジーゼルあたりになりますと、日本では非常にその性能のいいのがございませんので、戰争中に日本が機帆船を大いに奨励いたしましたがこれもやはり焼玉等が主でありまして、丁度私その仕事に携つておりますときに、ジーゼル・エンジンを以て変えようといたしましてもなかなかいいのがありませんで、結局、ドイツのヘツセルマンと申しますジーゼル・エンジンを転用するということで大分研究を進めておりましたが、これももう大した期待も持てなかつたというようなわけでありまして、仮にこの法案が通りましてエンジンの方面に工夫改良を加えますれば、日本の国家の船舶、殊に百トン以内の船舶で非常に経済的なエンジンが得られる結果になるのではないかというようなことも考える次第でありまして、将来舶用エンジンの方面に改良を加えるということにつきましては相当貢献するところがあるのではなかろうかと、かように存じております。
  136. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 提案者は先ほどからの競輪が前国会で認められているので、従つてこの法案を認めるようにというような御意見が大分あるようでありますが、御承知のように、競輪の方を出されたときにおきましては、いろいろ本当に射倖行為に対しまする、いわゆる間違つた行為であるという観念を持つて会議員も全面的に反対しておつたのでありまするので、従つて今回の問題が出されましても、これが反対の立場の者は依然として反対しているということもお含み置き願いたいのであります。というのは第一條の目的についての今の御説明があつたようでありますけれども、提案理由の中に、海外に云々ということと、それからもう一つは地方財政の問題ということ、そこで海事思想の普及というようなこともいろいろ書かれてあるようでございますけれども、先ほど岡田さんの御質問をなされたうちで一番重大であつた、いわゆる国民生活向上の面において、今の経済状態を打開して行つて国民生活を幾分でも向上させようというために、どの点が、どれほどこれは性能をよくするということについて必要であるかということについて今一つお尋ねしたいわけであります。  それから今一つは地方財政の根本の改善を図ると言われているようでありますけれども、このいわゆる射倖行為が含まれておりまする限りにおきましては、競輪、競馬、いろいろのドツグ・レース等から見ましても、決してこれは地方財政は或るほどこれを潤わされて、その県別によりますれば非常に公共事業に対しまするいろいろの財政が潤うておるようでありますけれども、併したがら射倖行為につられて行きましたところの人たちが、非常にその後、競輪のために、どうとか、競馬のためにどうとか言つて身を破綻の苦しみに陷れている人たちも非常に多い。教育上からいつても一方が潤うても、それがその人たちの生活を本当に向上させるため、或いは地方発展のために使われているようであるにかかわらず、それはやはりこうした行為によつて無理に一般の人たちがそこに呼びつけられて税金を納めて行くというような結果である。而もそんな射倖行為を投機的に考えても海事思想を普及しているということは、地方財政が幾ら潤えばといえども、本当に国家的の大きな意味から見る場合には、決して地方財政をそのようなことに利用するがために国民一般の思想が非常に悪くなつて行く結果になるとすれば私は大きな問題だと思う。そういう点について私どもは反対するのでありまして、その点をどうか一つ、どういうふうに御説明頂けますか、して頂きたいということと。  今一つは私はこれは監督庁にお尋ねいたしたいのでありまするけれども、この法案を出されて、監督官庁といたしましては、国会で議決されてしまえばそれを今度は監督するためにはいろいろ考えましようという、その前に大きな国家の管理といたしまして、こうした法案をどんどん出されても、いいか悪いかということだけもはつきりして、お考えを若しお答えでき得たらして頂きたい。この三点を先ず一つお尋ねいたしたいと思います。
  137. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 第一点のお尋ねは先ほどの岡田委員のお尋ねと関連いたしておりまする、いわゆるこの第一條の目的を達成するに当つて国民生活のどういつた面に潤つて行くのかという点であろうと思うのでありますが、この第一條に調つてありますように、それぞれこの目的は十分達せられると我々は確信してこの提案をしたわけでございまするが、特に私はこの目的の中に併せて海事思想の普及宣伝ということも謳つてあるわけでございまするが、私が申すまでもなく今日の日本の敗戰後における、あらゆる客観的な情勢或いは敗戰によつて僅か四つの島に限られた領土の中に八千三百万という人口が溢れているというような関係からいたしましても、私は海事思想の普及というものはむしろこれは大きく国家が或いは国家としてこれを取上げて、大いにそういつた海事思想の普及をしなくてはならんというようなことを私は非常に希望いたしているものであります。更に私は、私個人の意見でございますけれども、私どもはこういつた敗戰後の状態の中に置かれて生活いたしておりまする国民といたしまして、又日本の地理的或いはそういつた面からいたしましても、大いに将来我々は海事思想を普及してそうして将来の国家百年の大計を立てなければ日本は行詰るのではないか。私たちのこういつた意見は或いは誤解されたりその筋からもいろいろ意見があるところであると思うのでありますが、少くとも私たちはこの移動する国家ということを私は非常に興味を以て考えておるのでありますが、我々国民が移動する国家、いわゆる海外に大いに発展して将来日本民族として伸びて行かなければならんというようなことも考え併せますると、特にこの海事思想の普及宣伝或いはそういつたための啓蒙ということは私は国策として大事な点ではないかと、かように考えている次第であります。従つて第一條の目的のそれぞれの点の振興をするに当りましても、或いは併せて海事思想の普及宣伝をいたしますのは、私は将来国民の生活なり或いは国家の運営にも、この法律の通過によつて寄與するところは大であろうと、かように考えております。  更に又地方財政の改善を図るためにどうかというようなことにつきましては、この競走によりまして、七五%は勝舟券の投票者に配当することに相成つておりますけれども、残りの二五%は地方公共団体が一七%、三%が国、五%が競走会、こういつた配当に相成りますので、ひとしくそのパーセンテージの多い方は地方公共団体がこれを収入するということに相成りますので、その点にも私は大いに寄與することにもなると、かように考えております。従つてこの法案の起草をいたしました者は、ここにも毎日傍聴にお見えになつておりまする特に女性の方の福島世根という方がこれを起草し、又この人と協力して堤という方々がこの起草をいたしたのでありまするが、もともとこの法律は起草者が社会事業に貢献したいという非常にうるわしい気持から出発いたしたのであります。従つて若し委員各位のお許しを得ますならば、その起草者が幸いにして当委員会に傍聴いたしておりますので、参考までにその辺の事情もお聞き下さいますれば私は幸いだことと存じております。かように考えております。  それから第三点の点につきましては、監督官庁のほうからお答えをさして頂きたいと、かように考えております。
  138. 今井榮文

    説明員(今井榮文君) 只今の御質問にお答えいたします。この法案の内容につきまして、その当否を判断する点につきましては、国の最高の意思決定機関である国会の判断によりまして、法案成立後におきまして運輸省がこれを忠実に施行するということは只今御指摘のあつた通りでございますが、こういう法案そのものが果していいものであるかどうかという点につきましては私どもは十分研究はいたしておりませんが、世界各国におきまして一般的に賭博行為は一種の行政犯としてこれを禁止しておりますが、各国とも多少の例外的な方法によりまして許可しているというふうな実状があるのであります。ところが例外的な許可によりまして行われているというものの中では、私ども運輸省の所管部局といたしましては、このモーターボート競走法は、これによつて得るところのプラスになる面が非常に多いのではないかというふうに考えております。例えばこれはその他のものに比べますれば、私ども結論が出るわけでおりますが、例えばエンジン或いは船体等につきましても、これほど端的にその性能なり或いは船形なりの向上に資するものはないようにも存ぜられます。又そのモーター・ボートそのものが狭い土地を使わずに比較的広やかな水面を使うという点、或いはその観光との結びつきというような点から考えましても、その例外的に認められるものの中では比較的プラスの面が多いのではないかというふうに考えております。
  139. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それでは先ほどの坪内君の御提案の御発言ですが如何いたしましようか。
  140. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 どうですか、今少し質問して、それから若しなんでしたらお尋ねするという方法でもよろしいし又日にちは必ずしも今日でなくてもよろしい。私は少し質問してからにして頂きたいと思います。
  141. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それではさように取計らいます。
  142. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 先ほどお尋ねいたしました海事思想普及について提案者の御説明があつたのですが、それと今観光事業に関連して云々という政府側からのお話があつたようでありますけれども、私は先ほどの御説明から行きますると、いわゆる限られたものが海事普及になるといいましても、それならば何か勝舟券というようなものを作らずにそうしたことをやれば海事普及になることが、むしろ一般の人たちを呼んで見せられる意味において私は趣旨は通るのではないか。勝舟券を持つということになりますれば、これは恐らく限られた人以外は本当に行くことができない。只今までの競輪等につきましても批判のありました対象は御承知のようにこれを商売にしている者もあるというような悪評、そうして行く人が本当に限られた人のみによつてこういう場裡に出入りするということは非常に非難の的の中心となつているわけであります。そういたしますと、勝舟券の問題にいたしましても、ボート・レースの問題にいたしましても、勝舟券に興味あり、射倖行為に興味ある者が結局それこそ日にちを無理にさいても行くというだけであつて、一般の人たちに対するいわゆる宣伝普及ということになり得ないのじやないか。若しそれを一般に公開するような処置においての競技場というものを作るようなことになつたならば、むしろ今度は地方財政云々で勝舟券の方に影響するということになればこれは話が逆になる。こうした点において今少しくお話を願いたいと思います。  それといま一つは社会事業云々についてのお話もあつたようでありますが、そうだといたしますれば、これはこの利益を国家に納めてそうして使うところを国家に委任するという結果になり、又地方自治体に納めて地方自治体においてそれを使うということを委任されるということになると思いますけれども、御承知のように戰争犠牲者というものがただ戰争未亡人というような意味ではなくして、列車、電車に乗つてすでに御承知の通り傷病者といたしましては今国家の保障を余り與えられずに苦しんでいる人たちが多分にあるのであります。こうした面になぜはつきりした條文として、この人たちを救うという一つの目的のようなものを條文の中に入れてくれないかということも考えられるのでありまして、こうした点についても一つ答弁願いたいと思います。  それから品質の向上、いわゆる競輪にいたしますれば又理由もいろいろありましようけれども、少くとも御承知のように自転車の改造ということは国民生活の上に最も欠くべからざる必要性を持つているものでありまして、今の品質改良というようなこと、又海外に対しまする貿易という面につきましても、対象が非常に多いので、これは一応理が通るかと思いますけれども、限られたモーター・ボート、限られたエンジンの改善、というようなものになりますると、まあ国民生活の内容の中へ含まれて来るものは、御承知のように機帆船の小さな舟艇に対しまするエンジンしかあり得ない。併しながら而もこれには馬力も大体制定されておりまするけれども、本当に国民生活の上に漁業開発の目的が達せられるというためのエンジンを必要とする船としたなら、恐らくその程度のエンジンでは到底成立たないと思う。そういう意味から行きまして、やはりあまりにも国民の生活に直接影響があるということにも考えられないと思うのであります。  それから又観光事業の問題でありますが、観光事業で観光と組合せてやるといたしましても限られた場所であり、而もどこでもやるとしうことができ得ない、勿論日にちが大体限られてやらなければならないという結果からいたしますと、観光目的の対象となり得る人たちは果して外貨獲得を中心とするのか、それとも国内におけるところの人たちに対しまする観光事業の目的とするのか。この比重の点についてもお伺いいたしたいと思います。
  143. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) お答えいたします。第一点の勝舟券の件でありますが、私はこれは特定の人だけが買う、一般の人が買うのではない、一般的でないというお話でありますが、勿論この勝舟券を買う人もありましようし、又更にその勝舟券を買わなくても、広く一般的にこの競走を見物いたしまして、又見物させまして競走が行われますので私はあくまでもこれは一般的であると、かように考えている次第であります。  更に又地方財政の改善を図るという面につきまして、競輪と比較対照いたしいわゆる今までの競輪のあり方からいたしまして、そういう財政面において社会事業が行われないのじやないかという御懸念も御尤ものお話でございますが、先ほどちよつと御説明申上げることを忘れたのでありますが、これはあくまでも発案者又提案者としても地方財政に寄與したい、地方公共団体の収入となつた財源についてはつとめてそういつた社会事業のためにこれを使用したいように我々は大なる期待を持つている次第であります。従つてこの発案者もそういつた意味でこの問題を取上げたというのが事実なんであります。更に又そういつた社会事業に寄與する、或いは社会事業のために費用を支出するということを條文で謳つたらよいじやないかというお話でございますが、若しも国会の皆様方の御意見が、そういうような條文を挿入することが適当であるという御意見でございますれば、それを條文に挿入して下さることも我々は結構だとかように考えている次第であります。  更に又次のお尋ねの限られた場所でこのモーター・ボートが行われるので海に親しむ機会も少いし更に面接には外貨の獲得にはならないだろうし、目的に副わないじやないかというようなお尋ねであつたかと思いますが、これは比較的海面を利用いたしますので非常に競走が容易であるということが一つの狙いでもありますし、更に又そういつた勝舟券を買う人以外でも広く日本人はどつちかといいますと海に親しむ国民でもありますので、私は限られた場所と申しましてもこれは成るべく人の集合する或いは交通の便利のよい所或いはそういつた競走に適格した海を利用いたしますので、その点も私は目的を達するのじやないか、かように考えるわけであります。  更に又観光事業に関係してのお尋ねでございましたが、この点も場所によつてはいわゆる我々国内人だけがこれを見たり或いは勝舟券を買うということになりますけれども、例えば東京周辺の逗子とか或いは仮に隅田川で行われるということになりますと、そういつた外人もこの勝舟券を買つたりこの競走を見たりいたしますので、大いに私は外貨の獲得にもなるのじやないかというふうに考えている次第であります。何かお伺いした点がありましたら更にお答えいたしたいと思います。
  144. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 只今あなたの御答弁の中から場所の問題が一つ出たようでありますが、これは競技場に対する條件があるようであります。これによりますと、勿論どこでもやれるというふうな今のお話のようでありましたけれども、非常に條件がむずかしく出ておるようであります。尤も條件がむずかしく出るくらいでなければこの競技にはおのずから不正の問題も出て来ると思うのであります。この條件を本当に充たしてやれるということになると、第四條の各県一個ということになります点についてどのくらいに與えられるか、例えば東京などではどういう所があるのか、或いは神奈川県でやる場合はどういう所があるとか全部とは申しませんが、大体具体的にお示し願いたい。というのは例えば神奈川で申しますと、神奈川県の中で若し相当やるといたしますと、御承知のように波高〇・四メートル以下ということになりますとちよつとない。それをたまたま今度はやれる水面となると川でも海でもよいということになりますので、従つて芦ノ湖、そういう所へ持つて行かざるを得ないということになりますと、若しも芦ノ湖でやつた場合には採算の上からいつたつて到底これは私は行く人も少いだろう、そうして又勝舟券というものに興味を持つ人はどこでも行くでしようが、一般の人のために見せるというような意味から行くならば非常に場所に制限される結果が起きて来るのであつて、これは一般普及という言葉には当てはまらない結果が起きると思うのであります。若しそうした点について具体的に考えて頂くところがありましたら一つお知らせ願いたい。
  145. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) お尋ねの点誠に御尤もでございまするが、採算の点につきましては、採算がとれるかとれないかということは競走の生命でもありますので、あらゆる観点から考えまして人の集まる所又容易に採算のとれる所、そういう点を十分検討いたしまして行われることは申すまでもないのであります。なお又お手許に差上げた資料で大体御了承頂く点もあろうかと存じまするが、その場所の点につきましては海であろうが川であろうが、或いは湖水であろうが、これはできることに相成つているのでありますが、お手許に差上げてある資料にもありまするように、東京都であれば隅田川、或いは江戸川放水路、或いは神奈川県ならば横須賀、芦ノ湖、或いは相模ダムとか、或いは栃木県ならば中禅寺湖、こういうふうにたいがい適格する場所を大体において調べ上げているわけでありまするが、この資料を一つ御覽頂きまして又お答えいたしたい、かように考えます。
  146. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 では私はやめましてあとで又お聞きします。
  147. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一点最後に御質問申上げたい。第一にお尋ねしたいことは、仮にこれは誠にちよつと酷なような話ですが、第一條の目的を達成すること、達成さえすればいいのでありまして、仮に勝舟投票券の條章を廃止した場合にそれに応じられる用意はあるかどうか、これをやめる、削除するというような修正に応じられる用意があるかどうか、これは酷な話だと思いますが一つ。  それから第二点といたしまして、この種の競技が非常に多いということ、これ以上殖やしたらどうかということが非常に批判の対象となつているということは事実でありますので、仮にこの法律を通すということになる、その修正といたしまして、神奈川県に一つ設けるということになつたら、神奈川県の競馬場を一つその代りにやめる、競輪場なり競馬場なりやめる、そういうふうな條件を附すということになると、これに応じられる用意があるかどうか。そうすると世の中の批判ということは非常に少くなるのだろう。例えば東京都の江戸川の放水路とか隅田川とかに設けることになつたら、東京都にある競輪場、競馬場のうち一つ、二つをやめる。こうしてこの形式でバラエテイにする、こういう恰好の行き方はどうだろう。これは国の政治のやり方上こういうことも考えられんことはない、実現はむずかしいかも知れませんが、この点についてどうでありますか。
  148. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 第一点の勝舟券を売ることについてこの第一條の目的を達せられれば削除してのその後の用意はどうかということでございますが、現在のところ提案者といたしましては、現在のこの提案内容以外には考えてないのでございまして、尤もこの勝舟券をそういつたことをやらないで第一條の目的が達せられる点は勿論他に考える点もあるでございましようけれども、現在のところ私どもといたしましては、この條項を削除いたしましたならば、法案の趣旨なり或いは第一條の目的が達せられないので、そういつた用意はないのでございます。  それから第二点のお尋ねであるところのこの法案を通過させるに当つて一つの條件というか、そういうもので、神奈川県なら神奈川県の競輪、競馬を一つやめることを條件にしてというようなことのお尋ねでございますが、申すまでもなく競輪場は国会で認められておりますので、国会において廃案になれば別でございましようけれども、我々といたしましては競輪場を廃止するということを條件として云々ということは今のところ考えていないのでございます。
  149. 内村清次

    内村清次君 提案者がお帰りになるそうでありますから、今日はこの第一條の問題につきまして、私は只今までの質問の要点から考えまして、提案者の御答弁の中に含まれておりまする意味においてまだ少し納得が行つておりませんからその点をちよつと一つお伺いいたします。  第一のモーター・ボートの性能の向上及び品質の改善、こういう点につきましては、勿論競走をやりました関係でそこに持つて来るモーターが漸次性能の向上を競走的に図つて行くという点もこれは私は一応認めます。認めますが先般のこの合同委員会の席上において、運輸大臣は或る一議員の質問に対して、それでは他の方法を以てこのモーター・ボートの性能の向上、発展を期する方策があるかどうかという質問に対しては、運輸大臣はそれは別な方法を以てもあるというような御答弁があつたのでありまするが、提案者はこの競走をする過程において、モーターボート競走というものは唯一無二の品質向上の一番重要なるものである、それ以外にはないのだというようなお考えを持つておられるかどうか、この点先ず第一にお伺いいたします。
  150. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) その点を科学的に検討いたしますれば、この法案によらないでもそういつたモーター・ボートの性能を向上或いは改善させる点はあろうかと思うのでありますけれども、現在の日本の場合客観的な情勢或いは日本の現状を考えますると、現在のところこの法律案の提案によつてそういつた性能の向上、改善はできると私は考えておりますけれども、これは多少技術的な面にもなりますので船舶局のほうからお答えいたさせたい、かように考えております。
  151. 内村清次

    内村清次君 当局の御答弁はあとの機に譲るといたしまして、次の海事思想の普及でありますが、先ほど提案者のお考えでは日本が四つの島に閉込められている、而も四面海をめぐらされている日本の国民としては、海については関心を持たなければならない、その関心を持つための普及のためにこれをやるのだというような重大な御答弁があつたようでありますが、併しただ言葉は重大でありましても、問題は海事思想の普及といいますと、先般これは隅田川で試乗会を私は見学いたした次第であります。問題は河川でありますが、これが海にレースがあるといたしますと、海も眺めるでありましよう、汽船も眺めるでありましよう。或いは又港湾のいろいろな施設関係も眺めるでありましよう。併しそれだけのレース上から見まして、或いは今のモーター・ボートがレースをやつているところの状態を眺めましただけにおきまして、この海事思想の普及という大きな問題が、国民思想の上におきまして的確に把握できるかどうかという点、ほかに又海事思想という問題につきましては、どういうような具体的なお考え方を以てこの海事思想の普及という点をここに織込まれたのであるか、この点具体的に一つ説明を願いたいと思います。
  152. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) この海事思想の普及ということにつきまして詳細に御説明申上げまするといろいろあるのでございますが、特に具体的に述べろということでございますが、先ほどのお言葉の中にもありました通り、このモーターボート競走を見ることにおいて、勝舟券を買う人或いは一般の人、国民大衆が何と申しますか、海に憧れる、或いはそういう海の環境と申しますか、そういう教育的な心理学的な点は又別な面であろうと思いますけれども、とにかく広くこのモーター・ボート競走によつて海の周辺に人を集結させる、そういうことにおいていろいろと私はこの海に対するいわゆる思想とか、考え方とか、或いは海の魅力とか或いはその壯快なるモーター・ボートの競走によつて非常に興味を持つとか、いろいろな点で海事思想は普及されると、最もこの法律の第一條に謳つているこの点のみによつて完全無欠に海事思想が立派に普及されるということは考えていないのでございますけれども、こういつたモーターボートの競走によつて海事思想の幾分たりともその普及に私は寄與する点があるのじやないかというようなことを考えて提案をした次第であります。
  153. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  154. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて下さい。
  155. 内村清次

    内村清次君 第三点ですが、この地方財政の改善を図るために行うと、この点でありまして、これは先ほどからも各委員から競輪の問題を対象にしてこれはこの競走法全体の意味も含めての質問が展開されておつたのでありますが、私はこの地方財政の改善という面につきましては條項の中にもその幾らかを地方財政に繰入れるという項があるわけです。併しただ私が観点を変えて御質問いたしますことは、提案者の方々、而も又坪内議員は自由党の幹部のかたでありますし、そういう方々が提案者になつていらつしやいますが、先般の地方の知事会議の席上におきましても、勿論現在の地方財政の健全化でない、いわゆる干衡交付金の増額を叫んでいるし、或いは又一面におきましては財政の改善も要望いたしておりまして、そうして一応はシヤウプ勧告で税制の改革がなされたといえども、まだ国が徴収するところの税を一つ地方に委譲してもらいたいという要望もあるのでありまするが、こういうようなレース関係を以ちまして、地方財政の改善をするというような観点でなくして、根本的に地方財政を確立させて行くというような大きな観点からして、自由党におきましてもお考えがあることであろうと存じまするが、そういう点に地方財政の改善を図るという大きな第一條の目的を掲げられるといたしましたならば、そういうような方向にお考えは及んでおらないのであるかどうか。それから又これに附帶いたしまして、競輪関係につきましては、これは勿論当時の状態としては、これは確かに一つの税制の混乱期でありまして、地方財政の確立が非常に不十分であつた、そういうときに競輪の許可設置によつて、地方財政をいくらかこれを受持つて行こうという各県の、或いは都市の思想があつたことは、これは私たちは否定できません。できませんが、実は出身県といたしましての恥を私は決してここで申上げるわけではないのでありまするが、熊本市におきましても、県二つの競輪の設置に対して、一つだけは熊本市に誘致されたわけでありますが、その誘致されたところの、許可をとつた過程においての出資状態において、或いは又はその競輪場を作るところの工事契約の上に対しての又一つの大きな事件において不正がなされたというような所で、大きなこれは問題に展開されておつたのでありまして、当時の市会議員のうちにおいては粛正議員連盟を作つて、そうしてこの究明をするというような大きな問題もあつたわけです。勿論レース関係に対するところの不正その他につきましては、これはさておくといたしまして、そういうような関係を惹起しておりました市の当局としては、何とかしてこの際投下したところの市の財源を、これを埋めるまではこの競輪をやろうというような関係で、今その経費の取戻しに競輪をやつているというのが熊本市の現状でありまするが、さような過程からいたしまして、各地に起つたいろいろの即ち問題からして、競輪の廃止という問題も相当大きく世論化して来ている状態であるのでありまするが、こういうような過程を通つて参りました競輪の財政補助の問題等、それから今本法案に載つておりまするところのこの地方財政の改善の意味というものは、提案者にいたしましたならば、先ほど私がお尋ねいたしましたような大きな観点からこの経緯に鑑みて御改善なさるというようなお考え方があるかどうか、この点を先ず伺います。
  156. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 大変傾聽に値いするお尋ねでございまして、お言葉の中には同感な点も多々あるわけであります。従つてこの第一條の地方財政の改善ということにつきましても、又お尋ねの第二点の点も相関連いたしていると思いまするが、我々自由党によらず、又社会党の内村さんにおかれましても、この地方公共団体の財政を如何に今後持つて行くかということにつきましては、これは大変国策的にも大問題でございまして、その方法にはいろいろあろうと思います。更に又近く講和会議が締結されますれば、こういつた占領されている関係によつて御承知のごとく終戰処理費が千三十七億円も計上されている関係でございますので、若しも占領が解けまして、そうして日本が本当に新らしく独立国で発足いたしましたならば、そういつた終戰関係に使つている終戰処理費を地方財政の改善に支出するように、或いは減税の面に使うなりいろいろ方法があろうと思います。更にそういつた終戰処理費をうんと公共事業費に計上して、そういつた公共事業の促進を図るというような点もいろいろあろうかと存じます。従つて地方公共団体の財政の改善を図るということは、これはひとしく超党派的にそれによるところの立法措置なりそういつたものは大いに検討して行かなければならんということは、全く同感でございまして、    〔委員長退席、理事岡田信次君委員長席に着く〕  私どもの政党のみならず、各党ともこの点は十分愼重に考慮されている点でございます。従つてこの地方財政に寄與するという点につきましては、今いろいろとお話がございましたが、国策的にはそういつた国の情勢が変化して行くのに鑑みまして、いろいろその関係は検討されなければならんとかように考えまするが、それについては、先ほど簡單に申上げました通り、占領下から脱却いたしまして、国のまつりごとが直接我々国民の手によつて行われるようになりますると、相当これは性格が変つて行くだろうと考えることは私が申すまでもないことでありまして、御承知の通りでございます。従つてこのモーター・ボートの競走法案によつて生ずるところの地方財政の改善という点につきましては、先ほどもお話申上げました通り、この競走を施行するに当りまして、一〇〇%のうち七五%は勝船券を購入した人に振向ける、更に三%は国に、又五%は競走主と、こういつた関係に相成るのでございまするが、とにかく一七%というものは地方財政に寄與するのでございまして、その点は国の大きな将来の財政計画、或いは地方公共団体の自治体の財政面というものと考え合せまして、直接或いは間接に私は改善を図ることができる、或いは地方公共団体の財政に寄與することがあるのではないかということを期待いたしているのであります。更に又この地方財政の改善を図るという点は、先ほど私が申上げました通り、この提案者や発案者であるところの、堤徳三君とか、或いは女の方であるところの福島世根君たちが、本当にこれによつて免じた財源によつて地方公共団体が収入があつたならば、その収入は広く公共事業或いは社会事業に投じてもらいたいというのが念願でございますので、そういつた関係からいたしましても、私は十分この競走によつて地方財政の財政面の改善なり或いはそういつた面を或る程度育てるというような点に大いに寄與するであろうと、かように考えておる次第でございます。  なお私は今日までいろいろと御説明申上げて参りましたけれども、十分私の説明が足りない点もあるのでございまするが、こういつた関係につきまして、若しも委員各先生方が御希望下さいますならば、直接これを発案した関係者の福島世根君、堤徳三君もお見えになつておられますから、そういつた発案の当初の考え方というものを御参考までに短時間でもよろしうございますからお聞き取り下さいますと、その点も比較的はつきりして来るのじやないかと考えておりますので、この点もよろしく委員長においてお取計らいを願いたいと、かように考えております。
  157. 岡田信次

    ○理事(岡田信次君) ほかに提案者並びに政府当局に御質問ございませんか……ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  158. 岡田信次

    ○理事(岡田信次君) 速記を始めて下さい。北海道開発法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会に対し連合委員会を申入れすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 岡田信次

    ○理事(岡田信次君) それではさように決定いたします。それでは速記をしばらくやめて下さい。    午後五時三十八分速記中止    —————・—————    午後五時五十一分速記開始    〔理事岡田信次君退席、委員長着席〕
  160. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて下さい。  それではこの法律案につきましては本日はこの程度にいたしまして次の問題に移りたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それではさように取計らいます。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  162. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     植竹 春彦君    理事            岡田 信次君            高田  寛君    委員            仁田 竹一君            内村 清次君            金子 洋文君            菊川 孝夫君            小酒井義男君            高木 正夫君            前田  穰君           前之園喜一郎君            松浦 定義君            鈴木 清一君   衆議院議員            坪内 八郎君   国務大臣    運 輸 大 臣 山崎  猛君   政府委員    海上保安庁長官 柳澤 米吉君   事務局側    常任委員会專門    員       岡本 忠雄君    常任委員会專門    員       古谷 善亮君   衆議院事務局側    常任委員会專門    員       堤  正武君   説明員    運輸省船舶局管    理課長     今井 榮文君