○衆議院
議員(岡田五郎君)
港湾法の一部を改正する
法律案はまだ本院に回付にな
つておりませんが、この
法案は実は衆議院の坪内八郎君その他数名が修正案を出しておられるのであります。その
港湾法の一部を改正する
法律案に更に修正を加える
法律案を私の名前で実は提出いたしまして、目下衆議院の
運輸委員会において審議中でございます。その修正の各条項につきましてはお手許に配布いたしておると存じまするので、各条項の読み上げは差控えさして頂きまして、修正案の要旨とその内容を簡単に逐条的に御説明申上げさして頂きたい、かように存ずるのであります。
先ず修正の第一点は、現行法第二条第五項の修正でございます。現行法は港湾施設でございます各種の施設が列記せられておるのでありまするが、修正案はこの外郭施設といたしまして新たにその防潮堤それから堤防、突堤及びその胸壁を加え、繋留施設といたしまして船揚場を備えようとするのでございます。その理由といたしましては、これらの施設は現在掲げられておりますこの施設の名称の中に包含せられるという説もあるのでありまするが、又包含せられないという説もありまして、解釈がまちまちなのでありまして、港湾工事施行上支障を来す虞れがありますので、この際これらの施設を明確に掲げることにいたしたのであります。
次に港湾施設の敷地でございますが、これは観念的には施設とは別個のものでございまするが、実体的には密接不可分のものでありますので、新たに港湾施設といたしまして港湾施設用地を加えたのでございます。
第二点は第二条第六項の新設でございます。現行法によりますると、港湾施設とは港湾区域又は臨港地区内にあるものに限られておるのでありますが、これらの区域又は地区の外にある施設でも補助の対象とする必要があるものにつきましては、港湾管理者の申請によりまして
運輸大臣が認定したものに限りまして港湾施設とみなすことといたしたのであります。
第三点は第四条の改正でございまするが、港務局の設立手続を規定いたしておりまする現行第四条は、その手続の時間的順序や
地方公共団体の議決を要する
事項の範囲等につきまして明確を欠いておりまするので、これらの諸点を明らかにしようするのでありまして、実質的には現行規定を改めようとするものではございませんで、従来の疑義を正しくするためのものであります。
第四点は、現行第三十三条の規定は港湾管理者としての
地方公共団体又はその一部事務組合の設立について第四条の手続を準用しておりまするので、今回の第四条の修正に応じましてこれを、修正するものでございます。
第五点は現行第三十七条は港湾区域内における一定の行為を規制しておるのでありまするが、港湾区域に接続する水面や地域、例えば水際の
土地における行為について何ら規制されておりません。然るにこの港湾区域に接続する海浜等で最も多く工事が行われまするので、区域外百メートル以内を区域に含めることといたしまして、かかる区域における工事に対して規制を行うことといたしました。又現行法は港湾工事のみを規制の対象としておりまするが、海湾工事以外の工事、例えば造船業がドックを築造する場合にも管理者の長の
許可を受けなければならないことといたしまして、港湾の保全を風ろうとするものであります。
第六点は、第四十二条の修正であります。従来神戸、横浜、関門のごとく国際
交通の要衝にあたる港湾の
外国貿易施設につきましては、国は大体全額国費を以て修築して来たのでありまするが、これらの港湾も
港湾法の施行によりまして五割を国が負担することにな
つたのでありまするが、
外国貿易の増進が特に必要でありますが、
我が国の
経済事情に鑑みまして、
外国貿易の増進上特に重要な港湾につきましては、水域施設又は外郭施設に対しましては全額を、繋留施設に対しましては七割五分を国が負担することといたしました。
第七点は、第四十二条の修正に応じまして特定重要港湾における臨港
交通施設の工事に対する国の補助率を七割五分までに引上げたのでございます。
第八点は、港湾施設が他の工作物と効用をかねるときの工事の施行方法や費用の負担について管理者が協議いたして定める旨を第四十三条の二として設けたのでございます。
第九点は、定期船
業者や港湾運送
業者が反復して行為をした結果、施設が損耗したときはそのものに工事の費用の一部を負担させることができるようにするために第四十三条の三を設けたのでございます。
第十点は、港湾の
現状を完全に把握する必要がありまするので、港湾管理者は港湾台帳を調製しなければならない旨を第四十九条の二として設けたのであります。
第十一点は、第五十二条の第一項中に避難港の重要性に鑑みまして、直轄工事の対象にこれを加えたのでございます。
第十二点は、第四十三条の改正において特定重要港湾の臨港
交通施設に対する国の負担率を定めるため、第五十二条第三項を改めたのでございます。
第十三点は、市街地建築物法が廃止せられまして、建築基準法が制定せられましたので、五十八条第一項中の一部を改めました。
第十四点は、都道府県災害土木費国庫負担に関する法律が廃止せられまして、本年四月一日公共土木施設災害復旧
事業費国庫負担法が施行せられましたので、港務局に関する規定が置かれておりまするので第五十八条第五項を削
つたのでございます。
第十五点は、第六十条第一号の改正でございます。現行法では
地方港湾でも都道府県が管理者の設立に加わ
つている場合は運輸審議会に諮問して港湾区域の
認可又は不
認可を決定することにな
つておりまするが、港湾の実情に鑑みまして
地方港湾は諮問を要しないことといたしました。
第十六点は附則第五項であります。従来旧軍港や福岡県の苅田港のごとく国内
産業の開発上特に重要な港湾は国が全額又は七百分の五百五十のごとき高率な負担をして来たのでありますが、
港湾法の制定により五割の負担にとどめられたのでありますが、これらの港湾、例えば旧軍港市のごときは旧軍港市転換法第三条で国がその転換
事業に積極的に補助をするように規定せられております。よ
つてこれらの
事情に鑑みまして、重要港湾のうち国内
産業開発上特に重要な港湾で政令で定めるものにも当分の間特定重要港湾と同様な負担補助をなすことができることといたした次第であります。
第十七点は附則第六項 及び第七項でございます。この項は会計年度の途中において港湾管理者が設立せられた場合の費用の負担に関する経過規定であります。
港湾法第四十二条、第四十三条は港湾管理者が設立せられた場合に初めて適用せられるものであります。通常予算措置としては年度初頭において負担割合、補助率を定めて公共団体に通知することにな
つておりまするが、その通知の日以後において港湾管理者が設立せられた場合に年度途中で負担割合を変えることは技術的に困難と思われますので、年度初頭に定ま
つた割合で昭和二十六年度に限
つて負担又は補助ができるようにしたものであります。
以上修正案の理由及び内容につきまして簡単でございまするが、御説明申上げた次第であります。何とぞ
法案回付の上におきましては、慎重御審議の上御可決あらんことをお願い申上げます。