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1951-05-22 第10回国会 参議院 運輸委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    公聴会 昭和二十六年五月二十二日(火曜日)    午前十時二十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○道路運送法案内閣送付) ○道路運送法施行法案内閣送付)   —————————————
  2. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 只今より道路運送法案及び道路運送法施行法案につきまして公聽会を開会いたします。  公述人のおかたにおかれましては御多用中を本運輸委員会のために特にお差繰り御出席下さいましたことを有難く御礼申上げます。なお念のために申上げまするが、公述人お一人の時間は約二十分以内であります。又公述人が全部公述を終了になりました後に一人当り約十分の各運輸委員から質疑があることになつております。この点併せて御了承お願いいたします。  それでは順次御発言を願います。坐席の順序に従いまして日本乘合自動車協会專務理事塚田耕一郎君。
  3. 塚田耕一郎

    公述人塚田耕一郎君) 私は只今御紹介にあずかりました日本乘合自動車協会塚田耕一郎でございます。全国のバス業者を代表いたしまして改正道路運送法案につきまして修正の希望を申述べたいと存じます。早速本論に入りまして簡單に申上げます。  第一條について申上げますと、第一條中の「及び公正な競争」の字句を削ることをお願いしたいと存するのであります。その理由といたしましては、條文の中に公正な競争確保する旨を規定されておりますために、その前提といたしましては、競争確保が認められ、一般乘合自動車運送事業についてあたかも一路線複数免許基本方針が採用されたかのように解されやすいのであります。而して業者は主として営利会社であります。営利を目的としております以上は、競争には強烈な国民感情を伴いますことは火を見るよりも明らかなことでございます。従いまして一路線複数営業競争状態を出現させますためには、適正な運営、公正な競争又は秩序確保を求むることは不可能なことになるものと存ずるのであります。なお又第一條中の適正なる運営又は総合的な発達字句の意味の中には、時宜に応じまして公正な競争を含むものと解釈されますので、今回特に公正な競争を法文化する必要がないと存ずるゆえんでございます。一般乘合自動車運送事業につきましては、法律が一路線複数営業原則を採用したかのような誤解を起しまして、往年の濫願時代を再現いたしまして、事業の健全な発達を妨げます。加えまして業者が共倒れの状態を招来するに至るものと思われるのであります。大体以上申述べました通りでありますが、なお一言附加えさして頂きたいと存ずるのがございます。それは以上申しましたことによりまして或いは私たちは公正な競争を否定しておるのではないかと誤解されやすいのであります。私たちは決して否定するわけではございません。先にも申上げましたように、一般業者本條競争という字句を以て直ちに一路線複数営業であると解することを恐れるからでございます。もう一つは、公正な競争ということは、独禁法や事業者団体法等におきましてすでに規定されておることでありますから、改めてこの法律において繰返す必要がないであろうと存ずるのでございます。以上の理由によりまして本條から公正な競争字句を削つて頂きたいのでございます。  次に第六條第一項について申述べます。第六條第一項の免許申請に対する審査事項の中と二号を新設追加することでございます。即ち第五号の次に第六号といたしまして、当該事業の予定する路線が主として有効幅員六メートル以下の道路であるときは同種事業の非免許路線に該当しないものであること、第七号といたしまして、当該事業開始によつて一條規定に反するような結果を生ずる虞れのないものであること、以上の二号を加えることであります。その理由といたしましては、先ず第六号でございますが、これは昭和二十二年運輸省令第三号の車輛規則によりますれば、特に許可を得た場合は別でありまするが、自動車の幅は二・五メートルを制限とすると規定いたされてあります。ところで近来のバスの幅は大体二・五メートルでございます。従いまして最大限のところに来ておりますから、自動車相互間の擦れ違い、又は追越しを行う場合に、これらの車両の間には少くとも五メートルの道幅を必要とするわけでございます。そういう次第でございますから、有効幅員六メートル以下の道路におきましては、バスの擦れ違い又は追越はどうしても不可能なわけでございます。又強いて擦れ違い、追越しを行うといたしますと、自動車事故を起す危險があることになるだろうと存ずるのであります。併しそれは同じ事業者であります場合ならば、そういう狭い所で擦れ違いが起らないように運行ダイヤを調整いたしますから危険を生ずることがないのでありますが、若しそれが異なる事業者であります場合にはそういうわけには参らないのでございます。危険を醸すことになるものと存ずるのであります。即ち旅客の争奪とスピードの競争に陷りまして、悲惨な自動車事故を続発いたすであろうと思うのであります。そのことは幾多その実例に徴しましても明らかなことでございまして、そういうことからであろうと存じますが、内務省から昭和十一年発土第二号、自動車運輸事業路線道路及び通路の規格に関する通牒が出されたことがございます。それによりますると、道路の幅は使用車両の二倍半以上でなければならんという原則であります。その趣旨專ら危険防止にあつたことと思われます。併しそれはその当時ばかりではなく、今もなお考慮さるべきことであろうと存ずるのであります。従いまして今回の新規免許及び複数免許を、そうした見地から危險防止に備える必要があるものと存ずる次第であります。次に第七号の理由といたしましては、第一條本法根本精神規定したのでありますから、その申請が第六條第一項に掲げる免許基準に適合いたしましても、第一條規定に反するような結果、例えば事業の適正な運営を妨げるとか、道路運送に関する秩序の確立を害するとか、事業の総合的な発達を妨げ又は不当な競争を引起すとか、そういう結果を生ずる虞れのあります場合には、これを免許すべきでないことは当然であります。併し第六條第一項に掲げられました免許基準と第一條規定とは、その規定する範囲対象が同一ではありませんから、第六條第一項に掲げました免許基準に適合する故を以ちまして、第一條規定に反するような結果が生じないとは断定できないのであります。なお又第六條第二項に掲げます免許基準と、第一條中の公正な競争確保とを対比いたしますときは、一般乘合旅客自動車運送事業につきましては、いわゆる濫願濫許を誘致しやすく、而も又申請却下の場合におきましては、訴願の対象ともなりやすいわけでありますから、第六條第一項第七号として、第一條規定に反する結果を生ずる虞れのないことを免許基準中に加えて第一條趣旨を一貫させることが必要であろうと存ずるのであります。  次に補償について申述べます。理由といたしましては、第三十五條第三項に「前二項に規定するものの外、損失の補償に関し必要な事項は、運輸省令で定める。」とあります故、立案者のほうにおかれましては考慮されておることとは存じますが、ただ第三十四條による運送命令によるものと、第七十七條によりまする国営によるもののみを規定されて、事業者運送事務に関しましては何ら補償が考えられておらないようでございます。その点につきましては海上運送法の第二十條は立派に補償をいたしておるのでございます。二十條を御参考に供しますというと「政府は、定期航路事業であつて当該航路の性質上経営が困難なものに対し、郵便物運送等公益上必要な最少限度運送確保するため、毎年予算の範囲内で補助金を交付することができる。」、以上の点から考えをいたしましても、陸上運送海上運送公益性の点から考えますれば何ら差異がないのであります。而してひとり海上運送にのみかような補償條文を挿入して陸上運送には、前段申上げましたごとく補償條文があるようでありますが、いわゆる海上運送法二十條の、経営が困難な場合ということは含んでおらないように私は考えるのであります。以上の点から考えましても今回改正法案について特にこの点に御了承を願いたいと存ずるゆえんであります。御承知のごとく一般乘合自動車運送事業道路運送法第二十二條規定されてありますごとく、やはり郵便物及び新聞紙の輸送の義務を課せられておることは繰返すまでもないと存じますが、併し御参考までに最近のバス事業経営内容を申上げますと、極めて不健全でございますということが私は言い得るのであると考えております。運賃昭和二十三年の七月に認可を頂きまして以来そのままに今日までなつておるのでございます。而して車両或いはタイヤ、燃料、ボデイ、部品等も極めて高騰いたしまして、殊に甚だしいものは、車両のごときは昨年一カ年中にすでに八回の値上りをしております。約八割でございます。タイヤのごときも、今日いろいろな事情から約三回ほど上つておりますが、これも約八割の値上りをいたしております。その他諸税の負担誠に寒心に堪えない実情でございます。我々はこのバス業者経営内容に深く立入つて考えて見まするときに、そのままに公益事業としての使命を遂行するために放任するときは、事業の潰滅を来たすことはありはせないかということについて私たちは痛く憂慮いたしておるものでございます。併し我々は何と申しましても、公益事業としての責任の重且つ大なることを自覚いたしまして経営合理化を図り事業運営はやつておりますが、これ以上の資材の値上りに対処するためには、運賃の或る程度の値上げも止むを得ないものであると考えるのであります。併し運賃値上り簡單に申しますが、運賃値上りは申すまでもなく一般国民経済に及ぼす影響が極めて大きいのであります。この点につきましては当協会といたしましても重大な関心を持つておるのでありますけれども、併し申上げましたごとく、いろいろな経済情勢がかようなふうに変つて来ておりますので、経済の面から考えて見ますと、それらについての御勘案を願いまして、公益事業なる故を以て海上運送法のごとく補償條文を更に入れて頂きたいということでございます。  次に第七十九條、国営自動車事業適用除外について申上げます。今回の道路運送法改正に当りまして、国営自動車運送事業條文につきましては現行法よりも遥かに前進いたしておりますことにつきまして、又我々は民主的になつたことをこの機会にお礼を申上げておきたいと存じます。国営というのでありますから、本質的には一般民営運営のできない路線経営して、一般国民輸送需要に応ずるべきであると私たちは考えておるのであります。かような点が国営のあり方でなければならんと存ずるのであります。然るに国営独立採算制のためか、到る所で民営事業者のために脅威を感ぜさせられておる現状であります。折角のこの機会に、民営国営の争いをなくするためにも、第七十九條、本法第四條の免許、第五條免許申請、第六條の免許基準、第七條の運輸開始、第十八條の事業計画の変更、第二十條の運輸協定適用除外本條より削除して頂きたいと思うのでございます。  次に第百六條の道路運送審議会の組織について申述べます。本法を拝見いたしますと、おのおの審議会はそれぞれ定員が定められ、第百七條においては、各都府県が一人、但し北海道のみが四人運輸大臣が任命することになつておりますが、委員一人では、第百四條のいわゆる事業免許或いは事業の停止及び免許の取消、基本的運賃及び料金に関する認可事項決定等を取扱わしむることは、いろいろの点から考えまして不明朗さを助長しなければよいがと考えられますので、政府の経費その他の理由もあろうかと存じますが、現在通り都府県に二名ずつ任命することにお願いいたしたいと存じます。  次に百二十三條について申述べます。一般乘合旅客自動車運送事業公益事業としまして、国営自治体民営、この事業経営内容こそ違いますが、事業の実態は何ら変りはないのでございます。然るに本法第七十九條におきましては、国営自動車は、その路線が特別区の区域内又は政令で定める市の区域内路線において、当該都、知事及び市長の意見を徴さないで、いわゆる国営自動車なれば、免許なつた場合には運営ができるということは、民営自動車事業に対し、あたかも差別を設けたごとき感があるのでございます。折角本改正につきまして、前段で申しましたごとく、極めて民主的になつ本法につきまして、かようの点について不可解な点があるのであります。本法第七十九條中の百二十三條を削除して頂きたいことをお願い申上げます。  何とぞ先生がたにおかれましても、以上の諸点を御賢察下さいまして、修正方御盡力を願いますと同時に、本法を速かに御採用されんことを重ねてお願い申上げまして、私の公述を終ります。
  4. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 次に公述人といたしまして、埼玉県副知事飯塚英助君。
  5. 飯塚英助

    公述人飯塚英助君) 私は埼玉県副知事飯塚であります。私は專門家でありませんので、細かい点は申上げかねますが、府県に関する重要な問題につきまして、次の五項目につきまして申上げたいと思います。  第一点は、道路運送府県との関係及び道路との関係につきまして申述べたいと思うのであります。今日我々はシヤウプ勧告によりまして、行政事務の再配分を行なつておるのであります。この眼目といたしまするところは、複雑多岐に亘りまする行政事務をすつきりしたものに直そうということ、及び今日我々自治体から申しますれば、本来の固有事務を持つておりまするほかに、国からの委任事務を多々預けられておるのであります。むしろ委任事務のほうが数倍多いという実情でありまするが、これらの問題を解決すること、又地方自治体独立性を確立すること、こういうふうな点にあるのでありまするが、要は国の事務府県に移し、府県事務市町村に移すというのが、最近の大体の傾向に相成つておるのであります。従いまして地方自治体の生活に直接関係する部門につきましては、これを府県或いは市町村のほうに委讓するということが大体の行き方と考えるのであります。結局しまするところ、これは現在の民主主義治下におきましては、過去におきまする官僚行政を打破いたしまして、中央集権を打破するということにあると言わなくちやならんのであります。ここに私は今後の地方の行き方に大きな眼目があろうと存ずるのであります。そこで今回の法案におきまする陸運行政地方との関係はどうであるかということを考えて見たいと思うのであります。この陸運行政は、地方交通につきまして勿論のこと、その他産業経済及び文化関係するところが非常に大きいのであります。運輸省当局におきましては、大体運輸という点がけを考える向きが多いのであります。そのほかの産業経済及び文化ということは、ともすれば頬かむり、まあわからんわけでありましよう。そこに私は大いに反省すべき点があると思うのであります。曾つては道はローマに通ずるという言葉がありますが、これは單なる道路だけの問題ではなくて、文化がすべてローマに集中しておる、道路と、つまり交通文化との関係規定したものと考えるのであります。でありまするので、この地方実情に副うように陸運行政をやるということは、根本の問題であろうと思うのであります。一本の路線免許いたしますにつきましても、直ちにこれは道路関係しておる、その道路補修状況はどうである、或いは改良方面はどうなつておるか、そこに関連を持つてこそ初めて運送という問題が起るのであります。でありまするから、單にでき上つた道路という形式的な外形的な問題のみならず、更にそれがどういうふうに影響するか、将来の行き方はどうするかということをも含めて考えなくちやならんと思うのであります。従いまして或いは学校の問題、或いは工場の問題、或いはその地方の生産、特産、こういうふうな問題に関連してこそ、初めて陸運行政を行うべきであろうと考うるのであります。煎じまするところ、結局これを総合的な見地から陸運行政をやつて行かなくちやならん、ここに私は根本の問題があると思うのであります。でありまして、最近におきまするいわゆる中央集権を打破して行かなくちやならんということを第一に考えてもらいたいと思うのであります。  第二の点は、自動車運送事業免許の問題であります。これは法案の第百二十二條に書いてありまするが、この法案全体を流れまする問題は、運輸大臣権限を持つておるのであります。ただこの百二十二條におきまして漸くやつと運輸大臣及び建設大臣が下級の行政庁委任することができるという極めてささやかな一行があるだけであります。而も我々働くところによりますれば、この権限委讓すら陸運局長に極めて少部分範囲委任するのだと、こういうふりに我々は噂を聞いておるのであります。この文章から考えましても、我々のほうに、府県側に大々的の権限委讓があろうとは考えられませんが、実情から考えてもそういうふうな雲行きだと我々は承わつておるのであります。ここに大きな問題があろうと考えるのであります。これにつきまして私最初に過去の自動車運送事業免許に関しまする歴史的変遷を考えて見ますならば、昭和の初めまでにおきましては、この路線営業に対しましては府県知事認可といたしておつたのであります。これが時代の推移に応じまして鉄道大臣委任をするということに変り、更に戰時の末期におきましてはいわゆる運輸省の絶対統制というふうな状況に立ち至つたのであります。この最初時代府県知事認可ということに対しましては、業者かたがたにおきましては或いは御意見があるやに同つておりますけれども、併しこれとても今日におきましては知事は公選でありまするし、又時代の感覚を持つております。更に法におきましては或る一定の基準が設けられますれば、必ずしも業者かたがたの不満を招くようなことはないと思うのであります。而も現在におきまする運輸大臣絶対統制ということは、これは時代にそぐわぬ問題であろうと断言して憚からんのであります。これはいわゆるこの戰時体制の遺物である、こういうふうに我々は考えざるを得ないのであります。戰時中におきましては物資の輸送の点からいたしましても、又ガソリンの割当の点から、こういう方面から止むを得ずそれぞれの持つておりまする権限をいわゆる中央に引上げたという事情なつておるのであります。その当時私も多少こういうふうな問題に関係をして参つたのでありまするが、事実はそうである。現在の民主主義時代においてもそのままの体制をそのままの形におきましてやるということはどうであるか、これはすべからく再編成をし、この権限は元通り地方に還元しなければならん、こういうふうに考えるのであります。その結果、私は結論といたしましては、旅客及び貨物ともこの免許権限地方委讓して欲しいということを主張申上げたいと思うのであります。地方行政調査委員会議におきましては、乘合自動車と定路線貨物自動車、この二つの問題は国の監督に付する、それから貸切自動車不定路線貨物自動車、これは府県監督に付するというふうに二元的な考え方を持つておりまするけれども、我々はこれに賛成するものではありません。旅客貨物も押しなべて府県委讓してほしいと、こういうふうに意見を申上げたいと思うのであります。ただ二県以上、いわゆる数府県に亘る場合があると思うのでありまするが、この問題の解決の鍵は、我々の主張から申しますれば、主たる営業所を管轄する都道府県にこれをやらしめる。若しそれでも工合が惡ければ、これは最後は国の管理というふうなことも考えられましよう。即ち原則といたしましては、旅客貨物とも押しなべて府県委讓するほうが妥当であると考えるのであります。その理由は先ほども第一番目に申上げましたように、これは地方の開発或いは観光、都市の発展、こういうふうな関連を持つておる問題であるのであります。こういう意味合いから総合的に考えて行かなければならん問題である。そのほかに輸送根本は何と申しましても道路にある。道路をやりまするためにはこれは只ではできんのである。必ず当該都道府県、或いは市町村の財政に関係があるのであります。従いまして都道府県及び市町村におきましては、この道路バスならバス、そのほかいわゆる陸上輸送をやりまする場合におきましては、若しそれがその将来のために妥当であるという場合におきましては、いわゆる千金を費しましてもこれはやるのであります。それをただ形の上だけから考えるというところに我々は根本認識不足があるのではなかろうかと考うるのであります。殊に現在におきましては、乘合自動車と、貸切自動車と、こういうふうな方面におきましては、兼営いたしておる部分が相当あるのでありまするから、飽くまでこれは私は一木で行かなければならん。従つて運輸省当局も心配になりまするように二重監督或いは二重行政ということをここに打破して行かなければならん。飽くまでこれは一本に府県委讓すべきであると私は考うるのであります。  第三の点は、道路運送審議会の点であります。これは只今塚田さんからもお触れになつたようでありまするが、先ず私はこの審議会の性格を考えて見たいと思うのであります。この審議会は煎じまするところ、民主主義の理想に則りまして、それぞれの方面意見を聞いて、その処置に過ちをなからしめるというところに眼目があるだろうと思うのであります。ところがこの第八章の百三條から百十九條まで挙げられておりまするが、只今塚田さんの御指摘のように、あの條文によりますれば、いわゆる委員が少いのであります。甚だ少いのは四名或いは六名、八名という、こういうような事情で、果してこの多難な運輸事業がこれによつて誤りなきを得るかどうかということを我々は懸念をいたすのであります。而も従来からの例によりますれば、業者かたがたは殆んど代表者が入つておりまするけれども、道路に直接関係のある府県の者、或いは市町村の者或いは学識経験者、こういうふうなかたがたは殆んど入つておらんのであります。ここに大きな欠陷が我々はあると考うるのであります。そして又この審議会といいまするならば、これは主として道路運送のみに局限しておるようでありまするけれども、併し今日の一般交通行政の大きな観点を考えまするならば、單に道路だけを問題にすべきでは絶対にないと思うのであります。従いまして地方鉄道、或いは軌道の点までもこれは遡及すべきである。殆んど今日におきましてはこういうふうな問題は地方におきましては一環の問題として考えられておるのでありまするから、我々はこの点も含めてやつて行くべきであろうと考うるのであります。従いまして私の改正意見といたしましては、只今申しました点は勿論のこと、第一に、陸運局ごとに設置する方針でありまするけれども、すべからくこれは府県の單位におきまして、先ほど第二点に私は運送事業免許という点を論じました。それと呼応いたしまして府県にもこういうふうな審議会をこしらえましてやりましたならば、その全きを期することができる、こういうふうに考うるのであります。  第四点でありまするがこれは府県にありまする陸運事務所の問題であります。これは運輸省の幾多の問題を現実に実行いたしまする役所が事務所でありまするので、而も我々の管轄に入つておりまするので、この点も一つ論じて見たいと思うのであります。第一は、現在の状況でありまするが、これは二十四年の十一月の一日から取急ぎ府県知事所管にされたのであります。これは全くあつけなく我々がぼやぼやしている間に府県所管となつたのであります。こういうふうな関係から殆んどこれは名前だけでありまして、実質は中央従つて陸運局へ直結いたしておるのであります。我々はたまたまそれを見ることがありまするが、埼玉県は我々よく言われておりまするが、実際私はこの仕事を担当しておりますけれども、その点から考えましても殆んど我々の意思或いは意見というものは透徹せん、殆んど中央と直結をいたしまして、ただそれだけでやつておるというような現状であるのであります。従いまして極めて中途半端的な存在である。なぜかと申しますれば身分関係におきましては官吏である。我々府県の者はすべて公吏でありますけれども、身分関係におきましてはこれは陸運事務所は官吏である。それから予算はすべてこれは国費を以て支弁をする。更にこの仕事の内容が、現在我々埼玉県の陸運事務所は他府県と大同小異だろうと思いますが、総務課、整備課、燃料課、輸送課、この四課組織に相成つておるのであります。こういうふうな状況が現在の状況であります。而も今申しましたように、人事、予算は中央で握つて、而も仕事は県の組織の中に入つておるという、極めてこうもり的な存在である。中央におきましても、さぞかし物足らんことがありますと同時に、我々府県におきまする者にいたしましては、全くこれは臍みたいな存在である。もう少し我々の仕事をさしてもろうために、絶対にこれは知事の傘下に入れて欲しい。單なる形式的なものではなく仕事の面におきましても純然と我々の中に溶け込むような方法をして欲しいと思うのであります。従いまして結論は、この陸運事務所府県へ完全に委讓さして欲しいと思うのであります。そこでこの身分関係、予算関係が異なるものを県庁の中に入れますれば、そこに不合理があるのではなかろうか、こういう御懸念があるかもわかりませんが、これはそうではありません。現在におきましても、県の組織の中には職業安定所というのがある。この職員はすべて労働省の所管なつておりまして、而もこれは官吏、いわゆる官公吏の官吏の身分を持つてつている。又健康保險の関係の職員も、これは厚生省所管である。これも官吏の身分を持つて府県のほうにやらしている。而もこういうふうな職業安定所或いは健康保險の職員が全く県庁の中に溶け込みまして、そうして他の県庁の部課と同じような組織内容を持つて我々の仕事をしておるのであります。こうなりますれば県と全く表も裏も一体となつていいものを作ることができると思うのであります。でありまするので、私は仕事は完全に府県のほうに委讓して頂きたいと思うのであります。その理由はもう盡きたかと思いますけれども、曾つてはすべて我々はこういうふうな仕事を県でやつておつた、車体検査でも、或いはその他の路線認可でも府県がやつてつたのです。ただ戰時中の成行によつて中央に取上げられた、こういうふうな事情でありますから、先ほど第二の免許の点で申上げましたと同様、これはすべからく府県のほうの仕事に移し、そうして一本でやりましたほうが能率的にも、身分的にもこれは非常に結構であろうかと存ずるのであります。従いまして、こういうふうな半端な存在でありまするから、例えば車体検査そのほかにおきまして事故がある場合がないでもないようであります。我々は殆んど知らん間にそういうふうな事故が起き、而もその責任を負うのは誰かといえば、知事が負わなければならん。こういうふうに極めて不合理な点があるということを申上げておきたいと思います。  第五の点は、道路運送車両法案でありますが、これは直接の問題ではないかと思いますけれども、この点にも一言触れて申上げたいと思うのであります。これは従来は僅か三條ばかりの規定しかなかつたと我々承わつておりますが、今回はこの條文を整備強化いたしまして立派な法案にいたしましたことは誠に結構と存ずるのでありますが、登録と車体検査の問題につきまして私は申上げたいと思うのであります。この登録の問題は、結局陸運局の声にかかつておりまする陸運事務所の職員、従つて官吏をして行わしめるというようなお心持だろうと存ずるのでありまするが、これが再々申しましたような不合理な点であろうと思うのであります。申上げまするまでもなく終戰直後におきましては、我々の県の組織或いは中央関係の出先機関の問題で相当問題になつたことがあるのであります。農林省におきましても旧商工省におきましても、そういうふうな組織を各府県に盛つたのであります。それがそもそも非常な県の行政との混乱を来たしたのであります。例えば極く卑近な例を申しますると、農林省におきましても、商工省におきましても、資材の配給とか監督とかいうふうな権限は、これは官吏をして行わしめるというような観点から、いわゆる府県に出先機関を置いたのであります。そうしてそのつまらん配給とか、どこそこにはどう配給するんだという方針がきまつたあとの雑務を府県をして行わしめると、こういうふうなやり方であつたのであります。つまり権限の問題は官吏がやる、ただ雑務はこれは公吏をして行わしめるという、こういうふうな二元的な考え方であつた。或いは官吏中心主義と申しまするか、こういうふうな考え方であつたので、要らん役所をこしらえて、そこに県と出先機関との円満なる疏通を欠いたというふうな結果を招来したのであります。こういうふうな金をかけ、又仕事をわざわざ煩雑にして、そういうようなことを権限として今までやつてつたのであります。こういうふうな意味合いから、すべて登録という問題は陸運事務所をして行わしめるならば、すべてこれは県のほうにすつかり付けてやつたほうが結構ではなかろうか、こういうふうに考えるのであります。又車体検査にいたしましても、曾つてこれは我我やつたことがあるのであります。府県の者がこれは行なつたのであります。而もこの車体検査のことは、高度の技術を要するものではないのであります。一定の自動車に対しまする心得ある者でありますれば、誰でもできる問題である。ただ府県によりまして甲の県は非常に嚴重だ、乙の県はさほどにないというふうなことを業者かたがたもおつしやるかもわからんのでありますけれども、ただそれは検査の基準をきめさえすればこれは簡單な問題である。今ですらそういうことが不十分であつて、そうして問題が起つておらんわけであります。中央におきましてそうそうふうな基準をはつきりきめますれば、府県においては何らそこに問題がなくなるだろうと思います。でありまするから、私は登録、車体検査という問題も、すべてこれは元通り県のほうに委讓して然るべき問題であろうと、こういうふうに考えるのであります。  以上五点につきまして、主として府県側の立場から申上げた次第であります。
  6. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 次は小幡一喜君。
  7. 小幡一喜

    公述人(小幡一喜君) 私は全国自家用自動車組合連合会常務理事の小幡でございます。御要求によりまして今国自家用自動車の所有者若しくは使用者の意見を代弁いたしまして以下陳述申上げます。  大体本法律案につきましては、結論的には、現行法に比べまして遥かに進歩的でありまして、大いに賛成を表するものでありますが、仔細に検討いたしますと、以下述べますような点について是非御修正を願いたいという点が若干ございます。先ず第一に、第一條の目的でございますが、これは道路運送の総合的な発達を図るという旨を明示せられましたことにつきましては、誠に御同慶の至りに堪えないのであります。ただこれに前提條件のような印象を與える「秩序を確立することにより」という句がありますが、これはいろいろ誤解が伴いますので除いて頂きたいと思います。然らざれば「確立することにより」という「ことにより」という言葉を削つて頂いて、秩序を確立し、道路運送の総合的な発達を図る、こういうようにして頂きたいのであります。その理由としましては、「秩序を確立することにより」と言いますと、こういう限定的な前提條件を付けられますと、ただ秩序さえ守つておれば、おのずから総合的な発達が期せられるのではないかというような消極的な一種のセクシヨナリズム的な響きを印象付けるような感じを受けるのであります。この際はむしろ公共の福祉を増進する、このためには場合によつてはそのセクシヨナリズムを乘り越えて相互に協力することによつて総合的な発展を、期待し得る場合も少くはない。現にこの本法案につきましても第百一條によりますと、その但書において特例を認められておりまして、公共の福祉のためには、ときとしては有償行為もやつていいというような但書もあることから考えましても、そういうような場合の起ることは当然予想されるのであります。従いまして秩序を確立するという言葉が随分しばしば言われておりますけれども、このことによつて受けるところの、自家用の者どもに與えるところの圧迫感というものは、非常にこれから得るところの実害よりは遥かに大きな脅威を感ずるのでありまして、そういうような不明朗な印象を與えるような字句は除いて頂いて、そうしておのおのその分野において活溌に動くという立案の御精神は、もとより我々もその精神に徹底するものでありますから、徒らに刺戟をするような字句は是非除いて頂きたい。なおこの第一條におきまして「運送事業の適正な運営」という表現を以て表わされまして、従来事業の健全なる発達という言葉を使つておられたのを、ここで字句修正をせられました点につきましては、我々自家用の立場におきましては、ややもすると、劣敗事業者、即ち事業をみずから健全に遂行し得ない者に対してまでも、殊更にこれに随分無理をして保護政策をとつておられるのじやなかろうかというような印象を今まで受けておりましたが、この点は今度の改正によつて明瞭になつたものと思います。この点につきましては賛成するものであります。    〔委員長退席、理事小泉秀吉君委員長席に著く〕  なお公正なる競争確保するということも明示されましたが、このことにつきましては、その半面において自由競争による優勝劣敗の原則というものを率直に認められまして、そうして運送事業者の自粛と勤勉とその発達とを促進されるというような傾向にこれを持つて行かれます法の立案の精神に対しましては、誠に御同慶の至りに堪えないのであります。  次に、自家用の立場を主として申上げまして第七章に移ります。第七章の自家用自動車の使用、これにつきましては、本文中にはこういうことは謳つてありませんけれども、いわゆる説明要綱を拜見いたしますと、道路運送秩序を確立すると共に、自家用車がその本来の分野において健全に発達することを期待する、こういうような意味において立案をされておるようであります。この自家用車がその本来の分野において健全な発達をなすことを期待するとおつしやいますことは、誠に御尤もでありまして、我々もこの趣旨には心から同意をいたしまして、この精神に一貫すべく努力をしておるものでありますが、併しながらこの前に、先ほど申しましたように、道路運送秩序を確立しというような句が依然として付いてくるということは、絶えずこの秩序の維持ということが枕言葉のごとくにつきまとつておるということにつきましては、自家用に対して無用の圧迫感を與える、こういう印象を受けるものであります。それで運送秩序の確立ということは、ひとり自家用ばかりではないのでありまして、これは全般的に必要でありまして、おのおのがその分野において当然自粛して守るべき性格のものでありますが、事自家用に関する問題に触れますと、常にこの言葉が再三出て来るのであります。この点は先ほど第一條において申上げたと同じように、この立案の精神の中に、真先にこういう言葉が出て来ることにつきましては、一つ将来の行政指導の観点におきまして、観念の御転換をお願いいたしたい。  次に百一條でございます。これは有償運送の禁止であります。自家用が営業行為をなすということは、これは当然嚴禁せらるべき性質のものでありまして、この点については、我々が積極的に御協力を申上げなければならんと信じておるものであります。併しながらこの有償行為ということにつきましては、よく考えて見ますと、営利を目的としないで行われる場合があるということを一応認めなければならんと思います。即ち自家用を使用する本来の意義というものを仔細に考えて見ますと、いわゆる憲法に保障せられましたところの企業の自由に基きまして、その本来の企業の発展助長のためにその企業に関連した範囲内において運送行為を十分に達成しようという、こういう精神に基いて自家用車というのが使用せられておるのであります。従つてこの際当然その企業の一部として有償運送を伴うということは、必然的に認めなければならないと思います。換言しますならば、運送というものが営利が目的ではない。いわゆる実費運送といいますか、実費によりまして当然運送しなければならぬ場合も起つてくると考えておるのであります。特に自家用車の定義と申しますか、これが九十九條に出ておりますが、事業自動車以外の自動車なつております。事業自動車というのは、即ち第二條の二項にありますが、他人の需めに応じて有償で運送する事業、こうなつておりますので、他人の需めに応じて有償で運送する事業ではない、即ち営業用ではない、その以外において有償運送ということになりますれば、当然これは自家用の範囲内において或る種の有償運送というものが起り得るものであるということを認めなきやならんと思います。結局利潤を追及するとか、或いはそれに対して永続性を持つとか、又は普遍性を持つというようなことは、これは即ち営業行為でありまして、これは自家用の本来の分野においては嚴禁すべき問題でありますけれども、営利を目的としない有償行為、これは認めて頂きたいと思うのであります。従いまして本條は若しこれを修正して頂きますならば、自家用自動車営利の目的を持つて有償で運送の用に供してはならない、こういうふうに訂正して頂きたいと思います。若しこの訂正が法律技術的にいろいろ難点がございますならば、但書の所において、但し自己の生産、加工、修理、販売に関するものはこの限りでないというような一項を是非挿入して頂きたいと思います。  次には第百條、共同使用の問題であります。この二項におきまして共同使用の態様が事業経営に類似しておると認める場合、こういう場合は許可しなくてもよいというふうに解釈せられますが、態様が類似しておる、このことでございます。態様が類似しておることのみを以て、その本質に触れないで許可されないということは、どうも不都合ではないかと思われるのであります。他人の空似ということもありますし、似て非なるものという言葉もありますし、單なる態様の類似ということのみを尺度にして共同使用を許可するしないという問題の要点とされることは、私どもといたしましては困つた問題であります。いわんや日本の現状におきまして、中小企業を主体とするこの貧弱な経済実情からいたしますれば、数個の企業主が一台の車を共同使用する、こういう場合は決して少くないのでありまして、特に地方の農山漁村方面におきましてはしばしばこれが痛感されるのであります。従いまして單に態様の類似、形が似ておるからという経済の、零細経済の実態に即応しておるようなこの共同使用が抑制されるということは誠に残念なことに思うのであります。従いまして本條の共同使用の許可制は、若しこの態様類似という以外に、実際問題に触れて来て審査することはむずかしいということでございますならば、むしろこれは許可制でなくて、届出制にして頂いて、そうして営業行為をした者は即座にこれは嚴罰をして頂く、要するに違反行為があることによつて処置して頂く、これがためにはむしろ届出制にしておいて頂きたい、こういう意見でございます。  第百二條、これは制限及び禁止の條項でございます。現行法では漠然としておりましたが、本案では懇切明確に規定をせられまして、誠に喜ばしいと思います。但しこの第三号、第四号という項は、先ほど縷々申上げました趣旨関連をいたしまして御訂正を願いたいと思います。第二項。聽聞の機会を與えられましたことは、これは民主的で非常に感謝に堪えないと思います。九十九條の使用の届出制、これは当然のことでございまして、喜んでお受けする次第であります。  以上で自家用を主体とする意見の代弁はいたしましたが、その他全文を通じて一、二一般的事項について簡單に述べさして頂きます。  第二條、これは定義の所でございますが、これは自家運送ということの定義がないのでございますが、しばしばこの自家運送ということについては漠然として皆言つておりまして、明確なる定義がございませんので、この第五項と第六項の間ぐらいに、運送事業でない運送を自家運送という程度でよろしゆうございますから、定義として挿入して頂きたいと思います。  第六條、免許基準、これは大臣公示ということになつておりましたのが、本案によつて法律の面で明らかにせられましたことは、民主的の見地から大変結構に存ずる次第であります。併しこれは五カ條になつておりますが、併しよくこれをつらつら検討いたして見ますと、結局二つの点に要約されるのじやないか。結局公益性がどうか、それから企業の能力がどうか、この二つに要約されるのでありまして、即ちこれは第二号と第四号でありますが、これ以外の第一号、第三号、第五号というこの三つの項目を考えて見れば、これはいずれも経済の自然の法則によつておのずから淘汰さるべき性格のものであります。殊更に行政的な指導によつて取扱われることは、うまく行くこともありましようけれども、しばしば行過ぎになつたり、いろいろ弊害が伴うような印象を受けるのであります。従つてこの免許基準につきましては、こと詳細に亘つて規定をせらるることは何となしにこの免許の関門をいやに嚴重に固めてしまうという印象を與えますので、むしろ門は開かれておるのだ、だから資格を十分に備えるように準備をしろ、こういうような気持が現われるようなことを希望する次第であります。従いまして、先ほど申上げました一般の経済原則によつておのずから解決されるような問題について余りやかましく規定をして頂きたくないと考えるのであります。  最後に第八章の審議会の問題でございますが、これは前公述者からもいろいろ御意見がございましたが、特に自家用の立場から、こういう機会にしばしば紛糾した問題が起つておりますので、一言これについて触れたいと思いますのは、委員に関するところの忌避権を認めて頂きたい、こういうことであります。非常に不遜な申分でございますが、現状におきましてはしばしばこういう問題が起つて参りまして、最も嚴正公平であるべき委員のかたにおいて、何となしに直接の利害関係者の間において、一方の色彩が非常に強いというような、これは事実は別としまして、非常に強い印象を與える向きがだんだんありまして、それがために実際以上に審議会の権威といいますか、それに対していろいろ不明朗な気分を受ける場合が相当多いようでございます。是非この点について御高察を願いたいと思います。これを要しまするのに、現行法は非常に進歩的に改正せられておりまするので、大体におきましては誠に有難く、これについて是非速かに本案が通過するように諸先生がたの御盡力をお願いいたしたいと思いますが、先ほど自家用につきましてだんだん申述べましたが、以上の点について全国の自家用の者どもの総意のあるところを述べさせて頂きましたので、どうか御参考にして頂きまして善処して頂きたいと希望いたします。
  8. 小泉秀吉

    ○理事(小泉秀吉君) 次は堀井利勝君。
  9. 堀井利勝

    公述人(堀井利勝君) 私は全日本交通運輸労働組合協議会の事務局長をいたしております堀井でございます。意見を申述べる前に私の団体について御了解を願つておきたいことは、この協議会に加盟をいたしておりますのは国鉄の労働組合、全日本旅客自動車労働組合連合会、全国自動車運輸労働組合連合会、全日通労働組合、更に日本私鉄労働組合総連合会、こういつた今次の道運法に関係の深い組合がすべて加入をいたしておりまして、総数八十五万人の加盟人員を持つております。以下私が申述べまする意見は、これらの組合が数回研究会を開きまして集約された意見でございます。  結論を申上げますと、改正道運法の制定につきましては賛成の意を表します。併しながら内容に亘りまして具体的な問題につきましては、若干修正を希望する意見がございますので逐條的に申上げたいと存じます。  先ず法案の第三條でございます。三條の第二項第五号の一般区域貨物自動車運送事業の項でございますが、これを單に「一般貨物自動車運送事業」というふうに修正を願いたいのでございます。換言をいたしますと「区域」というのを除いて頂きたいわけでございます。理由を申上げますと、区域を限定されるということは、後ほど申上げますが、第二十四條との関係におきまして、事業区域外において運送するときは、そのときどき運輸大臣の許可を受けなければならないことになるわけでございます。そういつた手続は、この事業の持つ特殊的な実体を無視して非常に煩瑣な制限を加えられるのである、こういうふうに考えるのでございます。次は第四條の第三項でございますが、これも只今申上げました区域関連をするわけでございまして、「路線又は事業区域」とありますのを「路線又は主たる事業区域、」ここに「主たる」という文字を挿入して頂きたいわけでございます。理由は前條と同様な意見でございます。次は第五條の第一項第二号でございますが、これも「予定する路線又は事業区域」とありますのを「予定する路線又は主たる事業区域」と、このように修正を願いたいのでございます。理由は、第三條の場合と同じでございます。次は第六條でございますが、第六條の第一項第三号、「当該事業開始によつて当該路線又は事業区域における供給輸送力が輸送需要量に対し著しく不均衡とならないものであること。」という項がございます。この項の最後に「近郊線の基準に関しては運輸省令で定める」という字句を追加をして頂きたいのでございます。で非常にこの三号は抽象的に表現されておりますのでここに更に「近郊線の基準」というものを科学的な角度から明示をする必要があるのではないか。その定め方につきましては運輸省令等で定めて頂くことが望ましいと考えたのでございます。次は第六條第一項の四号でございます。「当該事業を適確に遂行するに足る能力を有するもの」という項でございますが、ここを次のように御修正を願いたいわけでございます。「当該事業を適確に遂行するに足る能力を有し別に運輸省令で定める車両台数を保有するものであること。」、と非常に具体的に修正をお願いしたいわけでございます。理由を申上げますと、いわゆる民主的な統制による輸送秩序の確立、こういう目的のためには事業免許資格、こういつたものをより具体的に明確にする、こういう意味から車の台数によつてこれを明確にすべきである、こういう一つの意見を出しておるわけでございます。例を申上げますと、一般貨物自動車運送事業につきましては、大体におきまして大都市におきましては実動車百台以上、次の中都市におきましては実動車五十台以上、更に以下の小都市におきましては大体三十台以上の実動車を持つこと、こういつた台数による制限を明確にすべきであろうと考えるのでございます。なお台数の制限に関しましては、過去の実績から單に車籍を持つておるということのみではなく、実際に実効できる台数によつてこれを規制すべきだ、このように考えておるのでございます。次に、第六條第二項に左の一号を新らしく追加をして頂きたいのでございます。六といたしまして、「当該事業に予定する路線が主として有効幅員六メートル以下の活路であつて且つその同種事業の既免許路線でないものであること」、この項を五号の次に加えて頂きたいのでございます。理由といたしましては、現行の車両規則によりますと、自動車の幅は二・五メートルと制限しておりますが、特に免許を受けたものはこの限りでないということが規定されております。最近におきまするバスの幅は殆んど二・五メートルの最高制限に近い状態でございまして、更に自動車相互間の擦れ違い或いは追越しなどは運行上日常常に起きる問題でございますが、仮に幅二・五米のバス二両が並行すれば、全然間隙がなくても五メートルの道路の幅員を必要とするわけでございまして、六メートル以下の道路では、バス相互間の擦れ違い、追越しということは不可能であると共に、これを強行するのであれば、自動車事故の大きな原因ともなるのでございます。更に同一路線におけるバス自動車競争が、旅客の争奪とスピード競争によりまして事故を競走したことは、過去の実績におきましても、すでに皆さんの御案内を願つておるところであろうと考えるのでございます。最近の自動車事故の続発に鑑みましても、道路における危険防止及びその他交通の安全を図るために、事業免許申請を予定する路線が主として有効幅員六メートル以下の道路であつて、且つすでに免許された路線に該当するときは、新規に同種事業免許しないことを必要とすることが望ましいと考えるのでございます。次は第二十四條でございます。これは先ほども第三條のほうで申上げましたが、全文を削除して頂きたいのでございます。それでトラツク、ハイヤー、観光バス事業免許を與えて置きながら、その輸送の事実が起きた場合に、そのたびごとに運輸大臣に許可を受ける、こういうことはどうしても過去の実績から見まして、事業の実態を無視した不当な拘束であるというふうに考えるのでございまして、第二十四條につきましては、全文を削除して頂くことを希望したいのでございます。次は第二十六條でございます。第二十六條の第二項「一般貸切旅客自動車運送事業」の次に「及び一般乘用旅客自動車運送事業」というものを挿入をして頂きたいのでございます。本法案によりますと、一般乘用旅客自動車運送事業は十名以下の旅客を運ぶ事業を指しているのでございますが、これらのものも前の一般貸切旅客自動車運送事業と同列に規制をして頂きたいのでございます。同じく第二十六條の二項でございますが、「前項に規定するものの外、同項の従業員の服務規律は、運輸省令で定める。」、こういうことが規定をされておりますが、これを全部削除して頂きたいのでございます。これは我々労務者、従業員の立場から申上げまして、特に関心が深いわけでございますが、自動車の運転手の服務の基幹的なものにつきましては、ほかの法律、例えば交通取締法規、こういつたものに明らかに示されておりまして、同法規以外の細部に関しては、それぞれの事業主或いは事業体におきまして定めておるのが多いのでございます。そういつたことは、事業主に任せて置けば事足りると考えるのでございまして、更にこういつた大きな法律の中で、運転手の服務規定のようなものにまで言及する必要はないのではないか、このように考えまして、第二項は全文を削除することを希望したいのでございます。次は第二十七條でございます。この條は我々の立場から申上げますと、最も関心を深くしておるのでございまして、結論を申しますと、二十七條も全文削除して頂きたいのでございます。理由といたしましては、道運法が事業及び事業主を規制することを本旨としておることは明らかでありまして、自動車の従業員は、労働基準法によりすでに一定の制約を受けております。特に自動車運転手に至りましては、このほかに別に定める法律によりまして、その資格の要件を充さなければならないのでございまして、これに対して、更にこの道運法によつてこれを規定するということは、二重の制限を加えるというような結果になるのでございます。聞き及ぶところによりますと、この運転手の年齢制限、経歴の制限と言い、こういつたものを運輸省令などで定むるように聞き及んでおりますが、今後そういつた状態が仮に出たとするならば、我々としまして、極端に申上げまして、生活の問題にまで影響する大きな問題でありまして、この第二十七條につきましては、絶対に削除して頂くことを希望したいのでございます。  次は、ずつと飛びまして、第七十六條でございます。国営自動車関係でございます。第七十六條の本文の中に「運輸大臣の承認を受けなければならない。」という項がありますが、ここを「協議しなければならない」と修正をお願いしたいのでございます。理由といたしましては、現実に協議という形で現在行われておるものでありまして、それぞれ当該官庁の特性からも、運輸大臣所管事項であるからといつて、その権限を大きく拡大して行くということにつきましては反対の意を表したいのでございます。次は第七十七條でございますが、補償のほうでございますが、本文のずつとしまいのほうでございますが、「その自動車運送事業者が受けた損失を補償することができる。」、こういう項がございます。ここを「補償する」というふうに修正を願いたいのでございます。原案によりますと、「補償することができる」ということで、補償しない場合もあることが類推解釈ができるわけでございますが、ここを「補償する」というふうにして置いて頂きたいのでございます。理由といたしましては、民間業者が單独で営業する路線に国が営業開始したならば、民間業者の収益が減少することは当然でありまして、営業が困難となることは必至であります。このような不必要な競合は今後も絶対に避けるようにすると共に、かかる事態の発生に伴う損失は当然国家が補償すべきである。法律がこれを漠然とした言葉で表現することは適当ではない。明確に補償することを規定して頂きたいのでございます。  次は九十九條でございます。大体自家用自動車の使用の項でございますが、先ず見出しの、「使用等の届出」とありますのを、「使用等の許可」と修正をして頂きたいのでございます。併せて申上げますが、本文中に、「運輸大臣に届け出なければならない。」とありますのを、すべて、「運輸大臣に届け出許可を受けなければならない」というふうに修正をして頂きたいのでございます。いわゆる届出制を許可制にしてもらいたいという趣旨でございます。理由といたしましては、最近我が国の輸送秩序を破壊しているものの代表的なものとして挙げられるのは、営業行為を目的とした自家用車であると言つても過言ではないと存ずるのでございます。現行法下においても、現行法の不備と欠陷と、道路運送審議会監督官庁の非民主性により、この種の車両が非常に増加しているとき、改正案のごとき届出制を認めるときは、更にこの傾向を助長しまして、混乱状態に陥ることは明らかでありますから、これを許可制にいたしまして、真の自家用車と営業行為目的の自家用車との区別を明確にして頂きたいのでございます。次はその同じ九十九條の第二項でありますが、ここも「届け出なければならない。」とありますのを、「届け出許可を受けなければならない」と修正を願いたいのでございます。理由は前項において申上げた通りでございます。要するに自家用車につきましての取締をもう少し嚴重にやりまして、この輸送の混乱を防止して欲しいという趣旨でございます。次は第百條でございますが、第百條は全文を削除して頂きたいわけでございます。で、自家用車の共同使用ということを全然認めて頂きたくないわけでございます。理由といたしましては、第九十九條において述べましたごとくでありまして、真の輸送秩序確立のために、自家用車は自家用としての本来の目的のために使用せられるべきでありまして、それは個人の自家用車であるというのが建前であろうと存ずるのでございます。改正案のごとき共同使用を認めるとするならば、自然的に営業行為或いは事業経営を行うという余地を多分に残しておくことになるのでございます。以上の理由によりまして、第百條に規定しておりまする自家用車の共同使用ということは認めて頂きたくないという意見でございます。  次は第百二條であります。同じく自家用車の取締を嚴重にして頂きたいという趣旨でございますが、第百二條の第一番に、「左の各号の一に該当するときは、六箇月以内において期間を定めて自家用自動車の使用を制限し、又は禁止することができる。」とあります。この項を修正をして頂きたいのでございます。「左の各号の一に該当するときはその許可を取消す」、このように修正を願いたいのでございます。理由は前に申上げたごとく、自家用車の惡質な営業行為を嚴重に取締る必要があろうと考えるからでございます。更にこれに関連をいたしまして、第百二條の三項の、「第三十二條第五項の規定は、運輸大臣が前項の行為をしようとする場合について準用する。」という項でございますが、これを削除して頂きたいと思います。  次は百四條でございます。百四條の第二項であります。「前項各号に掲げる事項のうち、道路運送審議会が軽微なものと認めるものについては、陸運局長は、道路運送審議会にはからないでこれを行うことができる。」この項を全文削除して頂きたいのでございます。如何なる軽微な事項につきましても、この道路運送審議会に諮るという事務的な考え方をして頂きたいのでございます。次は百七條でございます。  百七條の第一項でございます。「当該都道府県知事が推薦する候補者のうち」と、こうあります。これを、「当該都道府県知事及び道路運送関係団体が推薦する」というふうにいたしまして、この推薦する権限を、権限と申しますか、資格を知事ばかりでなく、道路運送関係の団体からも推薦できるようにして頂きたいと考えるのでございます。理由といたしましては、道路運送審議会の民主化と、いわゆる官僚の特権による統制を防止するためにも、又道路運送事業の実態を反映するためにも道路運送団体の推薦を認めたほうがよろしいではないか、かように考えたのでございます。次は第百八條でございます。第百八條の二項として、次のことを追加して頂きたいのでございます。「監督官庁の官吏であつた者はその退職後三カ年間は道路運送審議会委員となることができない」、理由を申上げますと、日本の行政民主化の機関が、従来とかくいわゆる官僚の姥捨山的性格の印象を與え、それがあたかも官僚の特権であるようになり、それが民主化を阻害しておるので、民主化促進のため一定の猶予期間を設けることを必要とする、このように考えたからでございます。次は第百十條でございます。本文中に「但し、これらの事業当該委員の属する道路運送審議会が置かれる陸運局の管轄区域内において業務を行わない場合には、これらの事業から報酬を受け、又はこれらの事業に投資することを妨げない。」とありますのを、「但し」以下全文を削除して頂きたいのでございます。理由といたしましては、道路運送審議会委員を真に公平な立場におきまして、公共の福祉の代弁者たらしめるためには、若干の利害関係もあつてはならないと存ずるのでございます。で、そういう立場から道路運送事業から完全に委員を隔離する、こういうことが望ましいと考えるのでございまして、これによつて生ずる委員の生活の安定、こういつた問題につきましては、別に国が十分にそれらを保障してやるべきであるということを併せてお願いをしたいのでございます。次は百十五條でございます。この点を次のように修正をして頂きます。「道路連携審議会は、運輸省設置法第五十五條第二項の規定により運輸審議会から情報、資料若しくは意見提出、報告又は調査を求められた事項について必要があると認めるときは公聽会を開くことができる。」、これが第一項です。次に第二項としまして「道路運送審議会は、第百四條第一項の規定により付議された事項及び前項に掲げる事項につき運輸審議会の要求があつたときは公聽会を開かなければならない。」次に第三項、「公聽会において取り扱われた事項は、できるだけ速記の方法により正確に記録しなければならない。」、第四項、「公聽会を開催するときはあらかじめ一定の期間をおいて一般に公示する。」これは最後の四項は、現行施行令の中にあります。これを入れて頂きたいわけです。理由公聽会の絶対開催主義を考えているわけでございまして、第百四條第一項なるものは事業の重要な事項でありまして、当然公聽会を開くべきであると考えるわけでございます。  次は第百二十三條でございます。本文中「第四條、第十八條(自動車の運行系統及び運行回数の変更に係るものに限る。)」という項を削除して頂きたいのでございます。これは地方公共団体の区域内における一般乘合自動車運送事業に関する事項であります。理由といたしましては第四條の免許許可、第十八條の事業計画の変更等の各事項はいずれも道路運送審議会において広汎な観察と公正的確な判断とを以て審議決定するものでありますから、運輸大臣が一々この知事、市長の意見を徴する必要はないと考えるのでございます。更に都市や政令で定める市では、いずれもみずからが自動車運送事業経営するものと見られるのでございまして、従つてその述べる意見には自己の営む事業にとつて利益があり、反対に民間事業にとつて不利益となりやすいのでありまして、従つて民間業者にとつて最も重大な事項に対してそれと対立的な立場にある都知事、市長の意見を徴することは都知事、市長に対し民間事業の消長を左右する権限を與えるにも等しいと言わなければならないと存ずるのでございます。以上の理由によりましてこの本文中から第四條以下括弧のしまいまでを削除して頂きたいのでございます。次は第百二十七條でございます。百二十七條の括弧の中に「軽自動車たる自家用自動車」と「特殊自動車たる自家用自動車」、こういう二点がありますが、この点を削除して頂きたいのでございます。理由といたしましては、自家用車の表示をも明確にして、不正な営業的な行為を防止するに役立つのではないかと考えたからでございます。次は第百二十八條でございます。ここも自家用車についての罰則の項でございますが、やはりこういう不正営業を取締る意味から、こういつた惡質なものにつきましては、今後実刑を倍加するように希望したいのでございます。  次は第百三十條でございます。第百三十條の第一項の「第二十四條第一項」、この項を削除して頂きたいのであります。これは前に述べました意見関係がありますので、理由は省略いたします。それから次は同じく百三十條の第一項の中にありますが、「第百條第一項又は第百一條第二項」とありますのを、「第九十九條第一項又は第百一條第二項」、このように御修正を願いたいのでございます。この点も理由は前に述べました意見関連がありますので省略をいたします。次は第百三十六條でありまして、これは従業員労務者に対する過失による刑罰が規定してありますが、我々交通従業員の現在置かれている立場から申上げまして、又労務の内容等からいたしまして、現在非常に生活的にも苦しい立場にありますので、そういつた状態の中で現在の刑罰の法規より更に過重な罰則を加えるということにつきましては、私どもとしては反対をしたいのでございます。次は第百三十七條でございます。百三十七條の第二号と第三号の間に新らしく第三号といたしまして「運送中の一般乘用旅客自動車運送事業者の事業自動車に石類を投げつけた者」という項を追加して頂きたいのでございます。これは一般貸切と同じように扱つて頂きたいというふうに考えたのでございます。それから第百三十八條の第二号のあとのほうに「九十九條又は」とありますが、その「九十九條」を削除して頂きたいのでございます。この項も理由といたしましては、前に述べました意見関連がありますので、省略をいたします。  最後に一言申上げますが、国鉄関係自動車事業に関してでございますが、総合的に申上げますと、第七十九條の適用除外の項を拡大して頂きたいと、いうことでございます。理由を申上げますと、先ず第一番に国鉄は財政法、国有財産法、会計法、国有鉄道事業特別会計法等によりまして、予算上の制約を受けております。第二番目としまして、事業監督につきましては、日本国有鉄道法によつてなされておる……国鉄法第六十三條には、「道路運送法、電気事業法、土地收用法その他の法令(国の利害に関係のある訴訟についての法務総裁の権限等に関する法律)の適用については、この法律又は別に定める法律をもつて別段の定をした場合を除くの外、日本国有鉄道を国と、日本国有鉄道総裁を主務大臣とみなす。」ということがきめられております。第三番目としまして、営業上の制約は、鉄道営業法、運輸規程、旅客又び荷物運送規則、こういつた規定によつて制約を受けております。第四番目としまして、国有鉄道自動車事業の形態は、全国的な規模によつて運営されておりまして、その責任は地方組織にはないのでありまして、従つて地方陸運局による監督には矛盾があろうと考えるのでございます。第五番目としまして、事業目的は鉄道の補助機関として、総合輸送を建前としておりまして、單純な業態ではないのでございます。こういつた理由から申上げまして、更に今回の道路運送法によつて監督を受け、規制されるということは、二重の監督となりまして、その運営が現在よりも更に非能率になるのではないか、こういつた考えに基きまして、この第七十九條の適用除外の項をできるだけ拡大をして頂きたい、こういう考えでございます。  以上が私ども全交運の集約された本法案に対する修正の希望意見でございます。終ります。
  10. 小泉秀吉

    ○理事(小泉秀吉君) 少し時間が過ぎましたが、あとの何がありますから、午前中森田賢さんに一つお願いします。要点を成るたけ簡潔に御陳述して頂きたいと思います。
  11. 森田賢

    公述人(森田賢君) トラツク事業者側の道路運送法案並びに道路運送法施行法案についての意見公述いたします。結論から申上げますならば、本法案には賛成であります。以下賛成の主だつた要点を簡單に申上げます。  第一の理由は、トラツク事業の実態に即したところの事業種類が規定されておりますことであります。改正法案によります事業の分類は、現行法における一般貸切事業区域事業に改められ、その区域については現行法における各都道府県を主たる営業区域とするという行政区画を対象にしたものからこれを改めて、自動車の持つ機動力、即ち区域経済圏を考慮した区域に改められておることが第一の賛成理由であります。この区域につきましては、法案第二十四條に規定されております区域輸送についての許可制から見まして、その区域範囲が大体肯けるところでありまして、これはトラツク事業の実態に即したものとして賛成の意見を表します。例えば現在神奈川県の川崎市にあるトラツク会社が、現行法では神奈川県一円、主たる営業区域は神奈川県一円と指定されておりまするが、実際のトラツクの動いておりますのは東京都を含めた京浜地帶一体でありまして、実際上の輸送需要に応え、公共事業としての責任を果す上に当然このように改正されなければならないところでありまして、私どもはつとに永年に亘つてこの問題を監督官庁、国会、関係方面に陳情して参つたのであります。この問題が明確に解決を與えられたものとして私どもは喜んでおる次第であります。ここでちよつと飯塚公述人からお述べになりましたことにつきまして、トラツク事業者に重大な関係がありますので、一言触れさせて頂きます。  行政事務の再配分により国家の事務府県に移せ、運輸省運輸のみに捉われておるから、総合的見地から陸運行政地方に移せ、もう一つは免許権を地方に移せ、これは戰前からの事務であつて、これはいわば戰時体制的なものである、これを元に戻せ、二府県に亘る場合は主たる府県がこの事務をとればいい、その他自動車と不可分の関係にある道路自治体の管理下にある、陸運事務所は完全に地方庁に移せ、車体検査は従来から地方にあつたのだから、従来通り地方庁に移せ、こういうことでありましたが、これは全くトラツク事業者にとつて正反対の意見を持つておりまして、これは本改正法案に重大なる関係があるので、一言述べさせて垣きたいと思うのであります、トラツク事業の実態は只今申上げましたように、府県行政区域に何ら関係せずにトラツクが走つておるのであります。関西におきましては、大阪を中心に奈良、和歌山、京都、兵庫、関東地方におきましては東京を中心にトラツクが行動いたしております。この実態に即した道路運送法でありまするから、実態に即したこの法案規定されるのは当然だと思います。地方庁に移ることを反対といたします理由は、先ほどお述べになりましたように、従来は地方に移管されておつたのでありまするが、その当時の私どもの実際仕事をする上に困つた惡例を再び繰返すに忍びないという問題であります。それは地方のトラツク事業者と言いますものは、いわゆる政治力が他の業態に比べて劣つております。どうしても政治取引をされてトラツクが非常にみじめな立場に置かれる。これは事業の実態というものが主体でありまして、こんなものは従たるものでありますけれども、これが実際の事業運営に大きな影響を来たすものであります。いわゆる地方ボスの暗躍であります。もう一つは、県ブロツクの対立による監督者たる府県に、これは県ごとに非常に対立意識が強いのでありまして、トラツク、貸切事業と言わず、積合せ事業と言わず、二府県に跨らないトラツクは全トラツクの二、三割程度だと思います。殆んどのトラツクが全部二府県以上に貸切事業と言わず、積合せ事業と言わず、必ず二府外以上に跨つておりますので、この二府県に亘る場合は主たる中心の県に置けということも、対立意識で、これは非常に困難な問題だと思うのであります。次は道路府県の管理でありまするけれども、ガソリン税に大体国家予算では五十億と見込まれておりますが、自然増を見まして八十億くらいになつているように聞き及んでおります。これの大体八割は自動車業者がかけておりますので、六十四、五億になると思います。二十六年度の公共事業費、そのうちに道路費は建設省の原案がそのまま通過しまして、六十七億五千何百万円と聞き及んでおりますが、この道路費も殆んど我々がかけているようなものであります。勿論このガソリン税については、値下げの運動をしておるのでありますが、    〔理事小泉秀吉君退席、委員長着席〕 現状としては六十七億の公共事業費のうち、道路費は殆んど我々自動車会社がかけておるようなものです。又地方税は自動車税というものを、これは運輸省関係なく地方税を直接かけております。これも道路を直してもらう殆んどの財源だろうと思います。その他道路損傷負担金であるとか、道路改修協力費だとか、又実際にトラツクの現物を地方庁に提供してどんどん改修をやつております。これは運輸省のほうの規制があろうとなかろうと、地方庁に協力してやつておるのでありまして、道路の問題と陸運行政の問題と、この意味で今のお話による関連はないと思います。更に道路の管理者が監督権を持つことは、我々も面白くない結果を招来することが多いのではないかと思います。陸運事務所は、従つて鵺的な存在はむしろ地方庁に移すよりも、実質共に運輸省に移すことが至当だろうと思います。昔は車体検査を府県でやつた。一定の基準を設ければこれは問題ないというお話でありますが、昔でも一定の基準はあつたのでありますが、同じ車で、当時はフオード、シボレーでありましたが、同じ車種、年式の車で、仮に大阪府においては、二トンの積載許可を出すが、奈良県においては一トン半しか許可を出さない。それは奈良県は道路予算が少くて、橋梁、道路の補修費がないから、事情は同じでも積載トン数を少くしてもらわないと、橋梁の維持ができないというような、県ブロツクによつていろいろまちまちな所が出た例がございまして、非常に困難したことがありますので、実際の事業者の声として、私ももと事業をやつておつたわけでありますが、全国大会や会議があるたびごとに出る真実の声として、これはここに公述しておきたいと思います。  次に事業の種類でありますが、運送契約から運営実態の形式をも加味しまして、大型、小型というふうに、自動車の大きさからもこれを分類されたことは、現行法における不備欠陷を補つたものと思います。即ちトラツク事業において免許を受ける場合、初めに小型のみを使用するという條件で免許を受ける。この小型の免許でも現行法では一般貸切貨物自動車運送事業、但しそのうしろに「小型」という條件を付して免許が與えられております。これが大型トラツクを使用せんとする場合は、單なる事業計画の変更の認可によつて、いつの間にか小型という條件が削除されておる。当然大型トラツクの免許を受ける場合に、いろいろの規制があるのでありますが、これらを省略して大臣の一方的権限で、いつの間にか小型という條件が削除されて、大型トラツク事業者に転向している。こういう問題がありまして、当然これも免許事項に属するものとして改正された点は賛成であります。  第二の点は免許基準本法中に規定されておること、現行法では事業の内容、條件等、その本質的なあり方を法律規定しておきながら、基本的な権利得喪の基盤となるべき免許基準の制定を運輸大臣に委ねておつたということは、現行法欠陷と思います。更に免許等に際しても、一定の基準が行われたことは、行政の民主化と共におのずから輸送分野の確立が期待されるものと思います。第三は、国において経営する自動車運送事業、主として国鉄の自動車でありますが、この国鉄の自動車が行う事業について、民営事業と競合しやすい面について、民営事業と同様の法的規制を加えられたことは今までいろいろと省営トラツクと民営トラツクと対立をし、競争をしておりました問題がここに解決するものと思います。又法案一條にある公正な競争確保という意味からも賛成であります。第四は、自動車運送事業の規制、新たに自動車運送取扱業、いわゆる水屋と呼んでおりますが、この水屋に関する登録制度と、これに必要な手続規定法律規定されましたことは当を得たものと思います。積合せ、混積のトラツク運送事業者がその区間内においてそれぞれ集荷配達の営業所を設置しておるのでありますが、その間隙を縫つて存在しておるのがいわゆる水屋であります。従つてこれら運送取扱事業者はみずからの手で目的地に運送するのではなくて、輸送業務をトラツク事業者に依頼して行うものである。荷送人の手から荷受人に引継がれるまでの間において責任の所在、或いは運送賃金の問題等で、荷主との間に紛糾が惹起し、企業体の不健全な店が取扱つたもので、最後の実質的責任、主として弁償等の問題があるのでありますが、これらをトラツク事業者が最後的に負わされるということがしばしばあつたのであります。このような輸送責任を負担し得ないような水屋に対して、一定の法的規制が設けられることは当を得たものだと思います。第五は運賃料金の制度についてであります。現在トラツクの運賃料金は物価統制令によつて認可運賃の制度がとられております。運賃は申すまでもなく、トラツク事業経営の基本的要素であり、事業計画構成の基礎であります。而も現行の認可運賃に際しましては、その原価計算が企業保持に必要欠くべからざる限度に圧縮されたものであります。改正法案によつて運賃料金の定額現払い制度の原則がとられたことは、自動車運送業が国の免許事業であり、本法によつて事業基準或いは事業者に対する責任の負荷、法案第十九條の事業計画に定める業務の確保、及び第三十二條にある公衆の利便を阻害する行為の禁止等を法律規定し、又第十五條運送の引受事務、第十六條に運送の順序をも規定されておりますごとく、荷主に対して差別的な待遇をしてはならないという規定であり、公共事業としての性格が明確にされたものと思います。定額現払い制は現に旅客事業において行われておる改正法案中に、トラツクの運賃料金の定額現払い制が織込まれましたことは妥当な施策であろうと思います。  第六は、自家用自動車に関する規定でありますが、本改正法案によると、自家用と営業用の区別が判然として一応従来の諸問題は解決するものと思われます。更に自家用車の使用制限規定が、現行法の例えば対価の解釈といつた不明朗な点もありましたが、改正法におきましては、このような場合は使用を制限するとか、又災害のため或いは公共の福祉を確保するに必要やむを得ないときは大臣の許可を受ければこの限りでないというふうに、とかく問題を起していた輸送分野の確立が明確になつたことは営業用、自家用共に歓迎すべき問題であろうと思います。輸送秩序の確立という問題が第一條の冒頭に挙げられておるということについて反対の開陳もありましたが、国家において国家秩序、社会において社会秩序というものが尊重されなければならないように、輸送分野においても輸送秩序がある、これが基本條件だと思います。ただ文字の上で刺激するというだけで、基本原則の削除という問題は至当でないと思います。次に公正競争でありますが優勝劣敗のための公正競争であつてはならないし、又それほどの公正競争ではないと思います。飽くまでも輸送秩序確保のための公正競争と解釈して、この法案に賛成の意を表するものであります。業務用と自家用の分野は飽くまでも明確に規定され、法規上は勿論運用の面におきましても十分御留意を頂きまして真に明確な輸送分野が規定されることを期待いたします。従つて先刻も御開陳のありました自家用自動車が自己の生産、加工、販売にかかる貨物を有償で運送する場合の規定を追加することは反対であります。自家用運送の本質は第九十九條にも規定されておりますように、「事業自動車以外の自動車」を自家用自動車規定しています。事業自動車については第二條第二項に「他人の需要に応じ、自動車を使用して有償で旅客又は貨物運送する事業」と定義され、これが事業自動車であつて、従つて無償で自己又は他人の荷物を運送するものが自家用自動車であります。利害関係の全くないところの他人の荷物を無償で運送するために自動車を購入することは当然考えられませんし、販売業者或いは生産加工業者自動車を持つことは、專ら自己の営む事業の維持強化を図る手段でありまして、直接の運送行為に対する報償を期待するためのものではないと思います。従来サービスとして運送されていたものが法律で有償でもいいということになりますと、生産、販売、加工業者の本質に反するものであり、良心的な事業者のサービスも抹殺されることになるのではないかと思います。自家用自動車の基本に有償運送行為を認めることは現行法におきましても「対価の収受」を偶発的なものは差支えないものであるという、特に間違つた解釈をして、立法的の運送事業の類似行為が激増した事例もありまして、若し有償運送の除外を認められるならば、営業用と自家用の区別を根本的に混同せしめまして、免許の意味はなくなると思います。従つて共同使用の態様の類似という問題は、この実績から言いまして判定できると思います。  第七は、第百七條に規定されておる道路運送審議会の各都道府県における委員の数でありますが、これについては先刻からいろいろ御公述がありまして、その意見は全部賛成でありますが、トラツク業者におきましても第八国会において陳情、請願をいたしております。できればこの際、現行法通り都道府県二名といたしまして、どうしても予算その他の関係で止むを得ないならば、せめて各陸運局所在地並びに横浜、京都、神戸等の大都市所在の府県だけでも二名とされたい。その理由は各陸運局所在地より任命された委員は、いろいろな関係で大体審議会委員長に互選される結果になりまして、当該府県から委員長とは別に委員を一名置いてもらいたい。又大都市所在地は交通機関その他、他の県に比較して案件も多く、その内容についても特異性がありますので、その意味においても委員を一名増加することが妥当と思われます。どうかこの点について特別の御高配かたをトラツク業者としてお願いする次第であります。  簡單でありますが、以上大要を公述いたします。
  12. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) これにて午後一時半まで休憩をいたします。    午後零時三十五分休憩    —————・—————    午後一時三十九分開会
  13. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) これより公聽会を再開いたします。  午前に引続きまして、日本小型自動車工業会顧問、山成豐氏に御公述を願います。
  14. 山成豐

    公述人(山成豐君) 私は只今御紹介にあずかりました山成豐と申すものであります。  今回の法律改正によりまして、その第三條に小型貨物自動車運送事業という一つの新らしい項目を設けられました。従来バス事業とか、或いは長距離路線事業とか、大型自動車事業と小型運送事業を一つにされておりました関係上、非常にその手続やその他が煩瑣でありましたが、恐らく今後は相当に少型に対しては簡易化されるものだろうとは存じておりまするが、十分にその内容を存じませんので、私の考えを申上げさせて頂きたいと存ずるのであります。先ず現在東京におきまして小型運送業者の多数のものが、非常に大きな困惑と悩みに逢着いたしまして途方に暮れておりまするときに当りまして、たまたま本日のお催しによりまして、私どもの主張を十分盡さして頂く機会を得ましたことを厚く感謝いたす次第であります。私は小型自動車運送につきまして、二つ、いわゆる申請手続等の簡易化、それから第六條の免許基準につきまして申述べたいと存じまするが、その本論に入る前に大体今何に悩んでおるか、どういつたことに困つておるかということを申上げますれば、後ほどの説明が非常におわかりやすくなると存じまするので、ちよつと時間を拝借いたしまして、先ほど申しました悩みにつきまして申上げたいと存ずるのであります。  戰争前に全国におきましては、小型運送事業者として約二万五千台ございまして、東京には五千台の小型自動車運送業者がありましたが、戰争中御承知の通り軍事輸送のために、その他資材のために小型運送業者を強制合同と申しましようか、企業合同をされまして、小型自動車もそれに包含されたのであります。ところが小型運送車は戰時輸送に適しないということで、この合同いたしました東京におけるいわゆる地場運送と申しましようか、四十何社できましたこの会社全部を廃棄してしまいました。終戰後私の調べたところによりますと、登録は約二百台ほど残つておりましたが、本当に動いておる車は約八十台というような、全く名実ともに全滅いたしました次第であります。ところが終戰後御承知の通り、一般貨物はと申しますると、いわゆる重工業から軽工業に国内が移りました関係上、小型運送の荷物は非常に激増いたしまして、小型貨物運送はいわゆる引張りだこというような傾向になりまするので、これに対しましてこの自家用自動車の一台、二台持つている人たちがこの需要に応じたのであります。これを営業類似行為とか、もぐり運送とか申しましていろいろと指彈されたのであります。私は元来この自動三輪車、オート三輪車と申します、あの皆さん御承知の車の日本における創始者でありまして、過去三十年間半生を投じまして小型自動車発達普及に微力を盡しておるものであります。従つてその小型自動車がいろいろの面で不合理なことに遭遇いたしますると、何とかこれを改善いたして行きたいという信念に燃えておりまするので、第一に戰後自家用自動車の組合が、非常に自家用の自動車が虐待されておりますので、当時運輸省にお願いいたしまして、自家用自動車組合を作り、そうして燃料の配給等を受けるようにいたしましたが、その次につまりこの小型の運送事業関係いたしまして、運輸省にいろいろお願いした結果、運輸省のほうでも尤もとみなされまして、昭和二十二年の十二月に二十四会社、五百台の車が運送免許を許されまして、私はそれらの会社から小型トラツク協会というものを組織いたしまして、これの会長の席を汚しまして、去る二月までこの事業を親しく見守つて来たものであります。ところでその五百台の車は、どういう状態であつたかと申しますると、皆これは一台、二台のいわゆる自家用を持つた者が集まつたものでありまして、その人たちは皆店舗を持ち、格納場所も持ち、又従つてお客様即ち暖簾も持つた人たちで、小なりといえども一城の主なのでありますので、是非自分の暖簾の、自分の施設を利用して営業をさせて頂きたいということを熱望しておつたものであります。戰争前にはこの小型運送は一台でも二台でも警察に届出主義くらいな簡單な手続で許されて、何ら滞りなくやつておつたものでありまするので、これらの業者がそれを希望することも誠に尤もなことなのであります。そこで運輸省に対しましても、是非戰争前同様にこの簡易な方法でお許しを願いたいということを愁訴歎願したしましたが、どうしても運輸省はそういう小企業形態では、いわゆる道路運送法の主眼である輸送秩序の紊乱とか、公共の福祉の阻害というようなことがあつてはならない、なす虞れがあるということで、頑として聞かれないので、遂に丁度戰争中強制合同されたような形の一区一社という形で止むを得ず会社組織にいたした次第であります。ところがこの会社なるものが今申すように、昨日までは全然知らない未知な人たちが急に集まつたものでありまするから、なかなかその経営は理想通りには行かない。つまり暖廉にもいろいろ相違がありましようし、又働きにもいろいろの相違がありまするので、いわゆる商法に基きましたような立派な会社形態にすることが困難になりまして、結局は会社経費を割勘で以て負担して、その他よく働く人、よく儲ける者はその御利益を受けるというような、いわゆる組合のような形で進行いたしておつたのであります。その形は脱税の対象に相当なりまするので、税務当局から非常な指揮をされておりましたが、又運輸当局もこの形は責任の所在という点で免許対象として怪しからんということで、しばしば業者を戒告されております。一方申しましたように非常に膨脹いたしまして、三十台で始めました会社が百両を起す、十人で始めました会社が二十人にも、五十人にも株主がなるというように膨脹いたしました結果、これらの会社におきましては、もう一つ大きな悩みは社内にいろいろ紛争が絶えないということも一つありまして、それやこれやで最近遂に悲鳴を挙げまして、何とかしてこの会社を解体いたして、三年前にお願いいたしたように個人企業に解放して頂きたいという計画を立てまして、運輸省にお願いいたしましたところ、運輸省のほうでも依然として個人企業というか、小企業は困る、こういう御見解で、遂に十両ベース、東京最低十両というベースを出されまして、これに従うほかはないということになつたのであります。ところがこの十両にいたしましても一両、二両のものが寄りますと五人、七人の社員がおらねばならん。それから会社形態にいたしますと、いろいろ帳簿組織その他記帳上のむずかしい問題がありますので、やはり相当の従業員をおくということで、現在のところ最低十万円はかかるようでありますので、一台一万円という経費が消えてしまう、こういうことになります。又従来のような大組織でやつておりますと、経費は三千円乃至四千円くらいの割勘で合つてつたのでありますが、この十両になりますと、そういうふうに幾万円にもなりますので、その差は大変なものであります。又従来比較的寛大でありました車庫の設備につきましても、今回は十両を入れる車庫を作れ、こういう嚴命でありまして、これにも多額の費用を要するというので、今多くの人たちが非常に悩んでおるというのは、そういう意味からであります。ところで私どもの主張いたします小企業が、果して輸送秩序を乱したか、或いは公共の福祉を害したかということにつきましては、この三年間の実験によりまして私は一件たりともさような事故を起しておらんということを断言するものであります。これは戰争前にも同様であつたので、私どもも恐らくそんなことはないということを確信いたしまして、運輸省当局にお願いしたのでありますが、やらないうちにはどうも断言はできなかつたのでありますが、三年経過いたした今日から顧みまして小企業、表面的には会社でありますが、その実はさつき申しましたように、いわゆる変態経営で全く個人経営の形をとつておりますが、これらから荷主の物を泥棒したとか、拔取りしたとか、或いは又賠償の責に応じられないというような事件は一件たりとも起しておりません。つまりこの小型運送は小企業といえども、何ら道路運送法趣旨に反しないということが、現実に証明された次第なのであります。丁度こういう悩みに遭遇しておるとき、今日が参つたのでありますが、私はこういう事情のために今回の改正に当りまして二つの点をお願いしたいと存ずるのであります。  その一つは、第五條免許申請を簡易化されたいということなので、この五條の第三項にありまするつまり運輸省がおきめになる何か事業計画というものがありますが、これの條項を二つの点くらいに申請書記載を限定して頂きたいと思うのであります。それは一つの事業の場所及び施設、それから第二に使用車両数、この二つの條項くらいを表わしまして、免許申請書を簡易化して頂きたい、つまり現在におきましては非常な煩瑣なもので、その申請書は十五、六頁にも達するものでありまして、事業の施設とか、運輸収支計算というような項目がありますが、これらの問題は各人の見様によりましていろいろ意見が相違いたしますので、これがため運輸審議会と申しますか、道路運送審議会によつて開かれる公聽会の席上等におきまして、申請者と審議委員との間に意見の対立がしばしばありまして、延いては免許、非免許の結果にも甚だしく不明朗なるものが生じ、疑心暗鬼を生むような結果になることもありますので、どうか前申しましたような二項くらいにとどめて、余り面倒な條項を入れないように、小型には適用しないようにして頂きたい、こう思うのであります。  次に第六條の免許基準の点でありますが、この條項中においても、二つの点をお願いいたしたいと存ずるのであります。その一つはこの條項中の第一号、第二号、第四号、第五号は小型自動車運送には適用しないで頂きたい。第三号のみ適用して、その他は適用から除外して頂きたい、こういうことであります。その三はこの基準條項中に小型運送につきましては、免許基準車両数を大都市においては五両以上、その他の都市においては三両以上と明確に表示するような一項を加えて頂きたいのであります。右について説明いたしますと、第一号の場合、現在の我が国におきまするあらゆる事業、殊に中小商工業におきましては、大半の企業は自由企業であります。現在大臣の所管される免許事業といたしましては、大蔵大臣所管の銀行業、保險業、信託業、無盡業その他酒類の製造業や、その他通産大臣の所管としましては、火薬の製造業、ほかにこれはちよつとはつきりしませんが、たしか厚生大臣の所管と存じますが、医療薬品の製造業、このくらいなものが現在大臣の免許事業なつておりますので、これらが国民生活に万一の場合重大なる影響を及ぼす結果を生ずるのでありまして、小型運送業の五両十両のごとき経営が万一破綻したところで、社会や荷主に何らの影響はありません。現在東京におきまして戰争中からいわゆる延長された既存業者中には、随分経営が成立たない、又没落したものもあるようですが、これらとて一般社会、殊に荷主に対して何らの迷惑も及ぼしてはおりません。つまり小企業におきましては、道路運送法の精神には決して離反するものではありません。以上の点から本條中第三條のみの適用にとどめて頂きたい。その他の條項は小型運送業の適用から除外されたいと存ずるのであります。  以上が、私がお願いする点でありまするが、なお外国の例を申しますると、アメリカ等におきましては、一両、二両でどしどし許可されておるように承わつております。又世界におきまして自動車運送事業にかような拘束をしている国は、他には余り聞かないようであります。国民の道義心は戰前から見て決して劣つておりません。これらの点を十分御考慮願いまして、私のお願いいたしますこの免許基準の制定をどうか寛大にお願いしたいと存ずるのであります。  なお最後に、今回の道運法の改正の要点を拝見いたしますると、運輸省の発表されておりまする改正の要点の説明を拝見いたしますと、第一に行政民主化を更に徹底して業者の自主的、積極的な活動を促進すること、第二に能率的な経営の下に、公正な競争確保する体制を整備すること、第三には公共性に鑑みて事業運営を一層適切なものにして、利用者公衆の利便の増大を図ること、こういうふうに書いてありまするが、誠に御尤もで、これを私どもは強くお願いするのであります、自主的にそうして自由競争いたしますには、いわゆる各人の創意、工夫を以て思う存分に働き、又サービスをよくしたい、又小型自助車のごときは何も一カ所に集結する必要は更にありません。町々に点々としてありますことは、利用者にとりましては大きな利便でありまして、丁度これは人間に対する医者と同じように、一人の医者より町々に多くあるほうが利用者にとつては便利なのでありまして、これらの意味におきまして、小型運送は小企業でも広く存在することが便利なのでありまするので、これらも御考慮にお入れ願いまして、どうか私のこのお願いに対して善処あらんことをお願いいたしまして、私の公述を終ります。
  15. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 最後の公述といたしまして、大阪市交通運輸部長花本藏之助君、公述をお願いいたします。
  16. 花本藏之助

    公述人(花本藏之助君) 私は大阪市交通局の運輸部長花本でございますが、私の公述は、東京、横浜、名古屋、京都、大阪及び神戸の六大都市を代表いたしまして、改正法案第百二十三條に対して議案通り決定されるよう賛成意見を述べたいと存じます。  現行道路運送法第二十九條によりますと、大都市では市域内に起終点を有するバス事業免許事業計画の変更その他の処分につきましては、都知事又は市長の意見が徴せられることになつていますが、起終点のいずれかが都の区の存する区域外、又は市域外にある場合、更に路線の一部が都の区の存する区域外又は市域外で、大部分が都の区の存する区域内又は市域内であるような場合であつても、例えば大阪の場合を申上げますと、大阪市南部に堺市との境界に大和川がありますが、その川を一つ隔てた堺市から、大和川を渡つて大阪に入り、御堂筋を経て梅田に至る路線に対して免許の出願があつた場合においても、その起点が堺市であつて、大阪市域内の場合でも、これに対して主務大臣は何ら都知事、又は市長の意見を徴せられることがなく、処分せられることになつているのでありまして、起終点のある地点の相違のために取扱が異なつていることは、全く不合理で、私どもは常に遺憾に存じていたのであります。申上げるまでもなく、都知事又は市長は都市行政の担当者であります。都市の行政は幾多の部門に分かれていますが、それぞれ密接な関連を有するものでありまして、都市のバス事業のみについても、他の行政部門と極めて密接不可離の関連性を有するのであります。例えばバスの走る道路の大部分は都市の築造したものであり、その維持、補修は都市が実行しておるのであります。これは国道であろうと、府県道であろうと、道路管理は大都市の場合は都知事又は市長に責任があり、又バス交通の安全を守る交通警察は都知事又は市長の管轄下にあります。従つて改正案のように都内又は市域内のバス事業免許その他の処分に際しては、すべて都知事、市長の意見を徴せられることになれば、都知事又は市長としてはこれらの方面についても愼重に考慮が払われることになるのであります。私はすべての都市内の道路上の交通機関に対する処分については、本法案のように都知事又は市長の意見を十分徴せられて然るべきだと存じます。  元来現行の道路運送法第二十九條は行政の民主化の思想に基いて地方公共団体の意思尊重のために制定されたもので、都市交通政策上、極めて有意議なものと存じております。然るに前に申上げましたような不合理が生じまするのは、法の不備に起因していたのでありまして、これがため、従来より六大都市はそれぞれの都市会の議決を経て、しばしばこれが修正方を陳情して来て参つたのであります。今回の改正によつてこの点が除去せられることになりましたのは、誠に当を得たものと存じ、深謝に堪えないのでありまして、ここに満腔の賛意を表するものであります。然るに一部の方面におきましては、本改正に反対すると共に、全文を削除することまで主張しているようでありますが、その主張する理由を伺いますと、道路運送審議会があるから必要がないとか、都や、政令で定める市では、バス事業経営しているから、都知事、市長の意見は不公正で弊害を伴いやすいとか、又は手続を複雑にするなどと言われておるようで、又一部には「意見を徴することができる」ということにせよとの修正意見もあるやに聞いております。  御存じの通り、都知事及び市長は公選でありまして、直接市民から選ばれた市民の代表で市民の福祉のための公僕であります。又都知事、市長は市民生活の実情を最もよく知つているものでありまして、その意見は、市民生活にとつて最も公正的確であり得るのであります。又都市には更に都議会又は市会があります。都市の意思は都議会又は市会によつて決定されるのであります。都知事又は市長の判断に仮に誤りがあるといたしましたならば、都議会又は市会はこれを容認するはずがありません。都議会又は市会は、「何が市民の利益になるか」ということを念頭において、常に都知事又は市長を鞭撻して都市政の円滑なる運営を期しているのであります。故にその意見道路審議会運輸審議会運輸大臣にとつても、その広汎な観察と公正的確な判断を下す上において、最も的確な資料となるものであつて、その意見を徴することは、地方自治の精神より考えても、最も大切で、適切且つ必要不可欠のものでありますから、その手続において多少手数はかかるとしても、公共の福祉を図り、愼重を期するためには、止むを得ないと信ずるのであります。なお「意見を徴することができる」という修正意見、このことは即ち「徴しなくてもよい」ということにも解されるのでありまして、これでは仏作つて魂入れずということになりますので、私どもは断じて賛成できないのであります。又都市ではバス事業経営しておるから、その意見は公正でない云々ということでありますが、それは大きな間違いであります。大都市には広汎なる都市計画があり、又これが根幹をなすところの一貫した交通政策を持つておるものでありまして、今日大都市がみずから交通事業経営しておりますのは、この交通政策に基き、都市の発展と市民の便益増進を第一義としているのであります。いわゆる公益主義に基いて経営しているのでありまして、営利を目的とする一般業者と本質的な差異があるのであります。従つて都又は市域内に民営バス申請があつた場合にも、都知事又は市長は、市民の利便増進という見地から、他の行政部面との関係において、全市民に及ぼす影響を考慮して、前述の都市の交通政策の一環として判断するのでありますから、都知事又は市長の意見が不公正であるというのは当らないと思うのであります。而も本條文はその示すように、都市が決定権を持つものでない以上、その意見を徴することによつて、何ら弊害を生ずるものとは思えないのであります。  以上のような次第でありまして、改正法案が決定しました暁は、改正の精神をよく生かし、都市政並びに都市交通政策のより円滑なる運営に努力いたしたいと存ずると共に、当局におかれましても当該知事又は市長より徴した意見を十分に尊重され、都市交通の発展と、公共の福祉の増進を図られんことを念願する次第であります。なお第七十九條における国営自動車運送事業についての百二十二條適用除外に対しては、前申上げました通り理由によりまして私どもも反対するのであります。  以上簡單でありますが、本案に対する賛成の意見といたしたいと思います。
  17. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) これにて公述は全部終了いたしました。これより各公述人かたがたに対しまして、運輸委員からの質疑があるわけでありますが、約一人のかたについて十分間の予定であります。なお公述人のかたの答弁は、質問者の質問の範囲内について御発言をお願いいたします。これにより順次質問についての御発言を求めます。
  18. 前田穰

    ○前田穰君 公述人公述された順序に従つてお尋ねしたいと思いますが、先ず第一に塚田さんにお尋ねしたいんでありますが、第五番目にお話になつた三十四條、三十五條補償の問題であります。これがちよつと御趣旨がよくわからなかつたのでありますが、第三十四條の補償だけでは足りないので、何だかこの経営が成立たん場合には、それを補助的の意味において補償しろと、こういつたふうにも聞えたんですが、御趣旨をもう一辺……。
  19. 塚田耕一郎

    公述人塚田耕一郎君) 前田先生に申上げます。最初に私が公述申しましたことは、補償と申しましたが、実は海上運送法にも補助がございます。補助をお願いしたいということでございます。従つて最初補償につきましては御訂正を願いたいと思います。補償についてはかような條文があるけれども、補助については何らの規定がない。従つて海上運送のごとく経営が困難になつた場合に対しては、やはり陸上運送にもそういう條文を入れて頂きたい、こういうお願いでございます。
  20. 前田穰

    ○前田穰君 次にこれは自家用のかたにお尋ねをしたらいいのか、トラツク協会のかたにお尋ねすればいいのか、ちよつとよくわからないのでありますが、有償行為でも、自己の製品などを販売する場合には差支えないということに自家用のかたは言われまするし、トラツク協会のかたは、これを反駁しておらるるような形になつておりますが、その御主張、若しくは反対のうちには特定免許というようなお考えは、どういうふうに考慮せられておるか、このことを一つお伺いしたいのでありますが、丁度船舶のFOB、CIFのような、似たような意味合いがあるように思うのですが、特殊免許ということに関して御両君は何か考えておられるのか、それはもう考えないで発言しておられるのか、お伺いしたいのであります。
  21. 小幡一喜

    公述人(小幡一喜君) 自家用の立場で申上げます。特定の免許につきましては、十二分に考慮いたしておりますが、大体自家用自動車の本質問題を先ほど申上げたんでございますが、自己の生産するもの、若しくは販売するもの、そういうものを自家用自動車輸送するというのは、生産業者若しくは販売業者としては、自動車を持たなければならぬ立場の企業といたしましては、中間運送を実施するのでありますが、その際無償でやれば問題ないじやないかというような考え方もありますが、それが実際自己の生産したものを業者の手元まで届けるというサービスを一貫して考えて行きますというと、何らかの形において輸送の実費というものを計上しなければ、企業の生産性という全般的の観点からして成立たないものが生じて来るわけです。非常な無理が生ずる。そこでそういうものに対しては、有償で是非輸送することを考えて頂きたいというのでありまして、その間に運送に対する利潤は何ら追求しないのであります。それを限定免許しているじやないかという御質問でございますけれども、それにしてはそういつた自家用の使用というものが余りにもたくさんございまして、大体そういつた大きい企業の自家用自動車が殆んど皆限定免許申請しなければならないということになるのでありまして、而も一般の限定から考えましても、この車の使用範囲というものが、極めて更に更に狭められております。自分の手がけた商品というものだけに限定しております。これは限定という手続を経ないで、一般自家用の範囲内において当然許して頂きたい。そのことが自家用車をして健全に発達させる力になるものだと、こう信じておるものであります。
  22. 森田賢

    公述人(森田賢君) トラツク協会側の立場からお答えいたします。自家用自動車が自己の生産、加工、販売にかかる貨物を有償で運送することについての規定を追加することは、反駁の意味でとおつしやいましたが、これは私は絶対反対のことを申上げたつもりでありますが、徹底しなかつたことを遺憾に思います。有償で運搬するか、無償で運搬するか、これが自家用と営業用との基本的な区別になると思います。従いましてどんなものであつても、有償で運送するものは自家用自動車でないと規定するのが、この法案の骨子であろうかと思います。そこで仮に自己の生産、加工、販売にかかるものを、他人の需要に応じて運搬するのではなくて、自己のものを運搬すると規定いたす理窟が成立つといたしましても、現在の自家用自動車の、営業類似行為をいたしておる自家用自動車にとつてはこの影響が重大なことになりますので、私が今申上げました他人の需要に応じて有償で運搬するのでなくて、自己のものを運送するのだから、理窟が成立つと言いますが、絶対に成立たぬと思うのであります。これが仮に成立つといたしましても、現状の自家用自動車がこの規定を準用されることになれば、過去において第七国会であつたか、第八国会であつたか、対価の解釈につきまして、偶発的なものは、これはかまわないという政府当局のお答えがありましたために、その偶発的の解釈という問題で……、自家用自動車営業類似行為が激増した最近の例に徹しましても、自己の生産、加工、販売にかかるものはいいということになれば、純然たる自家用車につきましては、私たちは何もとかく問題にする必要はないのでありますけれども、営業類似行為の自家用車がいわゆる輸送秩序を撹乱いたして、法案によつて定められた根本精神がどこへ行つてしまうのかわからんという点を懸念する、これには絶対に反対を申述べた次第であります。
  23. 前田穰

    ○前田穰君 次に労働組合のかたにお尋ねしたいのでありますが、区域を撤廃しろという御意見のようでありますが、一つの考え方かと思いますが、区域の撤廃という場合に、この路線営業との関係と申しますか、トラツク事業路線事業区域事業とに分けました原案の考え方に対しまして、区域撤廃ということになりますと、分類が若干変つて来るように思うのでありますが、そういう点について何かお考えがあつてのことでありますか。
  24. 堀井利勝

    公述人(堀井利勝君) 私どもの考え方といたしましては、従業員の立場から考えるのが、非常に考え方の大きな点になつておるわけなんです。実際上そういつた輸送をやつている者の意見を聞いて見ますと、こういうきめ方をしても、それは殆んど守られないのではないか、もう常にそういう事例にぶつかつて我々がそういうことをこの法律通りにやれと言われても実際上お客さんの利便を図る場合を考えたときには、こういうことをやることがお客さんの不便となることであつて、やはり事実上守られないことが多いのではないか、そういつた法律についてはむしろ初めからきめないほうがよろしいのではないか、こういう考えに立つておるわけでございます。
  25. 前田穰

    ○前田穰君 もう一点お伺いしたいのでありまするが、それは先刻、この百二條のことを言われました中で、その許可を取消すというふうに書いてくれというお話がありまして、その次にもう一点この百二條についてお話になつたのでありますが、これは私の聞き間違いかも知れませんが、若し私の聞いたように解釈すると非常にこれは妙な問題になると思いますので、念のためにもう一度この百二條の二つ目のことを一つ御説明願いたいのですが、何だか私には第二項を削除するというふうな意味に聞き取れたのでありますが、若し第二項であればそれでいいのですが、第二項でなくて第二号であればすぐ訂正をお願いしたいと思います。
  26. 堀井利勝

    公述人(堀井利勝君) 百二條につきましてはこの自家用車の取締についての何と言いますか、刑罰と言いますか、そういうものをもう少し重くせいというのが我々の考え方でございまして、修正箇所といたしましては百二條の第一項の「六箇月以内において期間を定めて自家用自動車の使用を制限し、又は禁止することができる。」とありますのを、「その許可を取消す」というふうに修正をお願いしたわけでございます。で更にもう少し意味を強める考えを以ちまして、この二項の、そういう惡いことをした者については聽聞の機会を與える必要はないのではないかと、こういう意味を以ちまして、第二項の「第三十二條第五項の規定は、」云々という準用規定を除いてもらうことを意見として申上げたわけでございます。
  27. 前田穰

    ○前田穰君 それじや念のために伺つて置きますけれども、私どものほうへお配りになつております道路運送法改正案に対する意見書の中には百二條の二号も入つておりますが、これは只今の御説明中ではその許可を取消すということと、それからこの前のほうに共同使用を削除するということのお話がありましたので、説明を要しないと、こういう意味でお省きになつたと、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  28. 堀井利勝

    公述人(堀井利勝君) はい。
  29. 岡田信次

    ○岡田信次君 塚山さんに一言お尋ねいたしたいのですが、先ほど塚田さんは第一條に「公正な競争」という字句があると一路線複数免許基本方針が採用される感があるから削除してもらいたいという御意見つたのですが、私は東京におきまする相互乘入れ等の実績を見ましても、場合によつては複数制にしたほうが利用者に多大の便宜を與えると、かように考えるのですが、塚田さんは第一條の目的を達するには一路線営業と飽くまでも御主張されるのでございますか、その点をお伺いして置きます。
  30. 塚田耕一郎

    公述人塚田耕一郎君) 岡田先生にお答え申上げます。理論としては私は「公正な競争」という字句については余り囚われていないのであります。公述の際にも申しましたごとく我々はこの公正な競争を否定しているものではないということを私は申上げたのであります。でありまするからただこの「公正な競争」という字句に囚われて一般の業者はあたかも一路線複数営業なつたように解釈され易いのであります。従いましてただ競争という字句だけを……、公正であればいいのでありますけれども、競争状態に立つた場合には恐らく公述のときにも申上げたんですが、やはり各自治体でありましても又企業を営んでおる関係から競争がこれは国民感情としてどうしてもあり得るのではないか、かような点から考えますので、私は一條の目的の競争という……公正な競争という字句を取つて頂きたいと、かように考えておりますものですからして、これを根本的に否定しておるのではないのでございまして、何か適当な字句があればそれに改めて頂いてもよろしいと解釈しております。勿論公正な競争と言いますので独占禁止法や事業者団体法にももう明確に規定されておりますので、あえてこの道路運送法に挿入する必要がないのではないか、かように考えて申上げたんであります。
  31. 岡田信次

    ○岡田信次君 そうすると必ずしも一路線営業という御主張でないのですね。重ねてその点をはつきりお伺いいたします。
  32. 塚田耕一郎

    公述人塚田耕一郎君) 思想といたしましては私たちは一路線営業を主張したいけれども、最近の一般の情勢から考えましても、或る程度の競争は止むを得ないであろう。要するに輸送需要があればこれは止むを得ないと思つております。輸送需要がないのにこの條文から言いますというと、公正な競争と申します以上は、一路線ではどうしても二営業者以上が入らなければならないように解釈されるのであります。従いまして一路線複数免許ということについては我々は反対をしたいのであります。
  33. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 先ず第一に小幡さんにお尋ねいたしますが、第一條の「秩序を確立することにより」と、この字句は非常に圧迫感を感ずるというような公述をせられたのでありますが、これはもうどこの社会におきましても秩序を確立するということはむしろ圧迫感よりも、それによつて交通の安全を保持すると我々は考えている。むしろこういう字句こそ望ましいと思うのでありますが、あなたのほうではどうも先ほど……、というのは後から堀井さんの公述とからみ合せまして、この秩序を乱すのは自家用云々という言葉があつたので申上るのですが、どうしてこの秩序を確立するということにその圧迫感を感ぜられるのか、我々は了解に苦しむのですが……、むしろ進んで秩序を確立してこそいいんではないかと思いますが、その点についてはつきりお伺いいたします。
  34. 小幡一喜

    公述人(小幡一喜君) 只今の御質問の御趣旨は私も全然賛成でございます。ただこの字句の問題でありますが、「道路運送の総合的な発達を図り」というこの字句にかかつて秩序を確立することにより総合的な発達を図ると、こういうふうに取れるのであります。そこで私は道路運送の総合的発達を図るということは單に秩序の維持だけではない。まだほかにずつと前にありますように事業の適正な運営であるとか、或いは公正な競争であるとか、こういつたような問題がおのおの立場において、おのおのの分野において行われることによつて、初めて総合的な……、おのおのの分野において行われ、且つ相互にそれが協力し合うことによつて総合的な発達が図り得るのである、こういうふうに考えておりますのに、この文章で申しますというと「秩序を確立することにより」という「ことにより」という四字がありますために、ただ秩序の確立だけが総合的な発達を図るというふうに解釈できるような気がするのであります。そこで秩序の確立そのものを否定するのでありませんので、若しこの文句をどうしても入れなければならないのでありますならば、「秩序を擁立し、道路運送の総合的な発達を図る、」こういうふうにして頂きたい、こういう意味であります。
  35. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に堀井さんにお尋ねいたしますが、第六條につきまして御発言の中に、運輸省令で定める車両台数を有するもの、その車両の台数は大体大都市においては百台、中都市においては五十台、小都市においては三十台、こういうふうにせよ、こういう御主張のように伺いましたが、大体このような標準を持つたものが現行の業者の中においてそうたくさんあるかどうか。私の考えではちよつとこれは今の何からして多過ぎるのではないか、こう考えるのですが、今の業者にこのくらいの資格要件を備えた者がそうたくさんあるのであるか、今の五〇%以上もこのくらいの台数を備えておる業者があるかどうかということについて御研究になつておるかどうか。これは確かな根拠を持つて御発言になつたと思うのでありますが、今わかつておつたらお知らせ願いたいと思います。
  36. 堀井利勝

    公述人(堀井利勝君) これは実は修正を希望しているのは、全日本交通運輸労働組合の従業員の諸君の主張でありまして、当時統計的な根拠につきましては意見を聞いておりませんが、例えばこういうふうにきめようとすれば、このくらいの標準がいいのではないかという表現を以てこれは言われておりましたので、或る程度私は根拠あるものとしてこれを考えておるわけですが、私自身この数字を確認して申上げておるわけではない。必ずしもこういう基準が正しくないとすれば、一応この率を下げて、それぞれのパーセンテージをきめてもよろしいわけでございますが、いずれにいたしましても、このような明確な一つの基準をきめて認可をしてもらつたらよろしいのではないか、こういう考えでおるわけでございます。
  37. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 ではその次に又堀井さんにお尋ねしますが、幅員六メートル以下の道路でないこと、こういうような規定を設けよ、こういうようなお話でございましたが、その理由としてバスの幅は二メートル半になつておるから、行違いになるのにそこに複数の免許をしては困るというのですが、これは單数免許の場合におきましても、同じ全社の経営にしましても行違うということは、これは当然あるけれども、複数の場合でも四つ一遍に行違うということはあり得ないのでありまして、やはり同じような行違いだと思うのですが、それから又追越す場合におきましても、これは免許の会社の数と、これによつての行違いというのは、一つの会社でやつてもこれはもうその路線だけは單線運転をやるということでしたら別ですが、そういうようなことはちよつとあり得ないと思いますが、その点からして、この六メートル以下のものについてはバスの幅員は現在二メートル半になつておるからして、單数免許にというような御発言があつたと思うのでありますが、この点についてちよつと理窟が合わんように思うのでありますが、ちよつともう一ぺん御説明願いたい。
  38. 堀井利勝

    公述人(堀井利勝君) この件につきましては、私どもも非常に深い関心を持つておるわけですが、業者のかたの意見も大体同意見のように聞いておるわけですが、我々の立場から申上げますと、最近のように道路の施設の完備しないうちに急速に自動車事業が発展して来た。而も最近の事例を見ますと、運転事故、傷害事故というものが激増の傾向にある。そういつたときに新らしく制定される法律としては、できるだけそういつた事故の根源をなすようなものを防止するような法律でなければならない。こういう基本的な考え方の上にあるわけでございます。勿論只今、菊川委員のほうから御指摘を受けました事情はあると考えます。併しながらこれが一路線一社であつた場合には、やはりそれぞれの狭い幅員の道路につきましては、それぞれの見解の上に立ちましての運営の計画、ダイヤの制定というものがあるだろうと考えるわけです。併し二社競合した場合には、そういつた配慮も多少はあるかも知れませんが、それが輸送需要とマツチしないような場合が仮にあつたとしましたならば、そこに殆んど無制限な競合というような状態も予想されるわけでございまして、そういつた結果はやはり我々が恐れております事故の根源をなす場合があるのじやないか。こういつた配慮の下に私どもは先ほど公述をいたしました意見を主張するわけでございます。
  39. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 同じく堀井さんにお尋ねしたいのですが、第三十七條につきまして全文を削除せよという主張だつたと思いましたが、この件について先般の運輸委員会において運輸省当局に対して私質問をいたしましたところ、自動車の運転士の年齢は二十歳くらいにきめたい、それから運転の経歴は一年間の経歴くらいにしたい、こういうことを大体構想として説明されておつたのですが、そのくらいの制限についてもあなたは反対であるかどうか、その点をお伺いします。
  40. 堀井利勝

    公述人(堀井利勝君) 年齢制限についてでございますが、年齢の若いほうにつきましては我々としては実は余り大きな心配を持つていないわけです。ところが反対に年齢の非常に多いかた、これは現状がそのような状態なつておるので、特に関心が深いわけですが、仮に五十歳或いは四十五歳といつた年齢を以ちましては、この運転士の仕事ができないというふうにこの法律規定したならば、これは我々の立場からしましたならば、実に重大な問題になるわけでございます。現在のように社会保障制度その他の法律が放置されたままになつている状態におきまして、こういつた法律で我々の生活権を脅やかすような法律規定することにつきましては、絶対に反対せざるを得ないのであります。更に運転経歴の一年間以上、こういつたものにつきましては、私どうも別に取立てて反対する理由はございません。問題は年齢等の制限によりまして或いは運転経歴、そこに考査制度或いは試験制度、苛酷なそういつた制度を伴つた、そういうものが法制化された場合には、やはり前に申上げましたような考えの下に、我々の根本的な生活の問題にまで波及して来る虞れがある。こういつたことで私どもはこの問題について強く反対の意思を表明しておるわけでございます。
  41. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次にあなたの御発言の中で自家用自動車の届出制を許可制にせよ、こういう御主張をなさつたときに、また道路運送秩序を乱しているものは、実は自家用自動車の連中が最も多いというような御発言だつたと思うのですが、具体的に……、ここで抽象的に言われたのでは、どういうふうな点で乱しているかということはよくわからないのですが、差支えない範囲で、おわかりになつておつたら一つここで御発言願いたいと思います。ただこれは相当業者に対する攻撃にもなると思いますので、確かにこういう理由がある、こういう点はあるだろうということがおありになると思いますから御発言願いたいと思います。
  42. 堀井利勝

    公述人(堀井利勝君) まあ自家用自動車と申上げますと、これはまあ貨物もありますし、旅客もあるわけでございますが、大体貨物自動車の場合にそういつた輸送の混乱をかもし出すような行為が、自家用車の使用者の中にあるということがいわれておるわけでありまして、例えば先ほど自家用車の関係のかたの御発言の中にも、無償の場合は、営利を伴わない場合は許可をして欲しいというふうな御発言もありましたが、そういう問題については私どもは全く反対でありまして、そういうあいまいな形の使用が許可された場合にこそ我々が懸念をするような事態が生れるわけです。例えば何々株式会社というような会社に自家用車として雇われておる車が、会社の業務の余暇を見まして、必ずしもその会社の販売品或いは製品でないものを運んでおるという実例は、私どもはたくさん知つておるわけでございます、而も我々の組合に所属しておる従業員は、そのような仕事に従事しておる立場にもあるわけでございまして、一々何月の何日にどういうところでどういうことがあつたということは申上げませんが、我々の従業員の口から直接そのような行為が数多くあるということを聞いておるということを申上げたいわけでございます。
  43. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 もう二、三点ついでに堀井さんに伺いたいと思いますが、百二十三條につきまして、あなたは知事や市長の意見を聞く必要はないという御主張でありますが、これはあとの花本さんの御主張とまるつきり対立するのであります。この点につきましては全交運にこれは加盟しておるかどうかは私もちよつと忘れてしまつたのですが、都市交通の連中から、これは是非とも現行法を一つやつてもらいたいということを、実は私口頭で陳情を受けたのであります。東京都の都市交通の連中、或いは大阪市の交通労働組合の連中から……、これがあなたのほうの組合に加盟しておるかどうかということ、先ずこの点について伺いたいと思います。その陳情は食違つておるので、労働組合関係からしましてもここはやはり聞いてもらいたい。そのしなければ、どんどん勝手に許されたのでは、忽ち我々の仕事というものについても、公正に僕らのほうではやつておるやつに大影響を及ぼすということなんです。これは一つ対立すると思うのですが、その点について御発言願いたいと思います。
  44. 堀井利勝

    公述人(堀井利勝君) 都市交通は我々の全交運に加盟しております。この問題につきましては研究会をやつた際に、都市交通の代表のかたからも意見を聞いたわけであります。で、このほかにも、我々の組織の内部的の問題として、いろいろ意見の全く相反する條項もあつたわけでありますが、いろいろ調整をしました結果、先ほど公述をいたしましたのが全交運としての集約された意見でございます。百二十三條の考え方としまして、やはり何と申しましても地方自治体というものは、道路の維持とか、そういつた問題につきましては無論大きな責任を持つているということは事実でございまして、そういう問題の場合に、この首長の意見を聞くということも、それは考えられるわけでございますが、併しその場合に、やはり民間の業者と同じような形で、地方公営企業体がその同種の事業経営しているという場合には、何としてもそういつたものの意見は相当一方的な形で表示される虞れもあるということを、やはり大所高所から見た場合には考えられるわけでありまして、そういつた問題につきましては、必ずしもそういつた知事その他の意見を聞かずとも、公正なる形で任命された委員の判断によつて足りるのではないかということに意見をまとめたのでございまして、非常にこの点はあいまいな形で私どもも委員のかたに申上げるよりしようがないわけですけれども、現在の形としては運送審議会一本建で行こう、こういう点に意見をまとめたわけであります。
  45. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に森田さんにお尋ねしますが、運賃の定額現払制は非常に賛成であるという御発言であつたのですが、これは私も去年の夏運輸委員として各方面を視察しました。殊に日通あたり行つて参りましたが、現在現払制どころか、なかなか運賃を払つてくれなくて困つているのだが、併しそれでもやつているというような実情はほうぼうで聞かされました。これを嚴重にあなたのほうの協会といたしまして統制して、これが違反のないように自治的統制をやらない限りにおきましては、なかなか運輸省でこれを一々取締るといつてもできないと思いますが、自治統制をやり得る自信があるかどうか、果してこれを嚴格に守つて……。これでは貨物を引渡す前に必ず運賃を支払つてしまえということになつておりますが、これを果して守り得る自信がありや否や、これはこれが法律違反、統制違反と申しますか、それが出て来る虞れが多分にありはしないか。ますます競争が激しくなるにつれてそういうことがあり得ると思いますが、守り得る自信があるか否か、その点はつきりして頂きたいと思います。
  46. 森田賢

    公述人(森田賢君) お答えいたします。運賃の定額現払制につきましては、トラツク業者としまして、つとにこれを要望しているのでございまして、自治的統制によつてこれを守り得る自信があるかという御質問に対しましては、守り得る自信があるというお答えをいたします。未収が多いというお話ですが、事実相当の未収の焦げ付きを控えております。併しこれは全体から見まして極く一部の、非常に惡い表現でありますが、質のよくない荷主さんによつて、これが焦げ付いているのでございまして、昨年の十二月に全国の主要事業者、四十六社について運賃の収納状況を調査いたしましたところが、その平均として現金即時払が全部の一六%、それから一カ月以内が六五%、二カ月以内というのが一二%で、これを越えるものが七%、大体一カ月以内で大手の運賃は収納しております。一カ月以上に亘るのは余り感心しない荷主さんになるのでありますが、これが大体二〇%であります。この善良なる八〇%の荷主さんに、二〇%の惡い荷主さんがトラツク企業体に惡影響を及ぼしておりますので、運賃の定額現払制につきましては、事業者団体法、独禁法等で価格の協定を遂げられておりますが、この定額現払の実施によつて業者が自発的に協力して、この定額現払制を守る自信もありますし、又守らなければ企業は成立たないことになりますので、十分自信を持つております。
  47. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今の森田さんの御発言につきましては、私なかなか実際問題として、こういう場では非常に簡單に発言できると思うのですが、実際の場に臨んだ場合に、この法律を完全に守るということは極めて私は困難であろうと思う。今までの業界の状態から見まして困難であろうと思いまするが、併し今の発言を信頼いたしましてどうかこれを守り拔くように……、そうせんことには健全な発達も公正な競争もできないのであつて、自主的にこれを守るように要望をいたしまして、質問を打切りたいと思います。  次に花本さんに最初に一点お尋ねしますが、百二十三條の堀井さんの御発言とは対立するものでありますが、余りに市、都の交通局がこの百二十三條について発言されるということは、如何にも一般の業者に対しまして市都営の企業の独占の殻を守つて行こうという印象を極めて強く與えると思うのでありますが、果して市営都営の公営自動車だけが対象になると思うのでありますが、公正なる競争確保するこの法律の目的に副うように、そうしてさような点については複数制……。向うも競争をするなら買つて出よう、そうして市民大衆にサービスしようという決意を持つておられるかどうかということについて御発言を願いたい。
  48. 花本藏之助

    公述人(花本藏之助君) ちよつと今のをお答えする前に、さつきちよつと労働組合としての意見があるかなかつたかということにつきましては、私労働組合の人たちがどう言つたか言わなかつたかということは存じておりません。この問題に対するバス協会に対する意見としましては、六大都市においては違つた……、さつき私たちが申しましたように、違つた意見を表明しております。そのことははつきりしております。  それから今の御質問に対してお答えいたしますが、私たち六大都市のものが営業をする場合、そういつた公正なる競争ということについてはよく存じております。但し現在の法文が非常に片手落ちではなかろうか。都市内に起終点がある場合には意見を聞くが、一歩でも外に出た場合には意見を徴さなくてもいい、その場合……、大阪の場合でありますが、バス営業をやつておる、それと何ら異ならないが、ただ起点が川一つ隔つた向うにある、又終点が川一つ隔つた市外にある。それによつて意見を聞かない。その行政処分に私たちは疑義がある。そうしてこの問題を出しましたのは、これは主としまして、この改正案を六大都市共同で陳情していたわけです。その改正案がここに上程されたようなことでありますので、これに賛成意見をいたした次第であります。
  49. 高木正夫

    ○高木正夫君 先ほどから有用な御意見を拝聽しまして、大変裨益するところが多かつたように存じます。又皆さんから大分質問がありましたので、私はその問題は、今まで出ました問題は別にしまして、ただ一つだけ皆さんにお尋ねを申上げたいと存ずるのであります。それは自動車運送取扱業ということでありますが、この問題はどなたからも意見がありません問題でありまするが、私たちが考えるのに、いわゆる取扱業というものは、いわゆる俗に水屋というものは、初めて道路運送法によりまして規制を受けたわけであります。規制を受けるということが同時に保護を意味することになると思うのであります。この問題はどういうようにお考えになつているか。海の面におきましては御承知の通り先ず運搬というものよりもむしろ沖仲士として非常に発達をして参つた。向うのほうはこれと逆になつておるようであります。又道路運送に最も関係の深い通運事業におきましても、この水屋というものが未だに規制されていないのであります。今度初めて規制をされることになりますので、これが自動車運送に非常に大きな影響を及ぼすのではないか。従来のように自由放任にしておくほうがいいのか、或いは又このように大局的に規制をしたほうがいいのか、これは将来必ず発展する性格を持つておりまして、自動車運送としては重大なる意義を持つものであろうと私は思考いたしておりますので、御意見がなければこの案に御賛成頂いておるのじやないかと思いまするし、又御意見があれば一つ、今この際に私どもの参考になるようにお聞かせを願つて頂きたいと思います。これは特に森田さんにお願いしたほうがいいのですが……。
  50. 森田賢

    公述人(森田賢君) 只今公述の第四にこの点の賛成意見を申上げたのでありますが、いろいろ水屋の今後発展すべきであろう問題であるとか、トラツク事業の並立のあり方ということについては、いろいろ考えねばならん問題があろうと思います。現在の状態としましては、まあトラツク事業の従属機関的なものなのでありまして、現在一応の條件を備えなければトラツク事業に登録することができんという規定は、現在の水屋のトラツク事業に置かれている姿よりも、責任の所在が明確にされる点についてたくさんの意見を持つている次第であります。今後の問題につきましては十分研究し、トラツク事業との関連において問題が残ると思いますが、現在の姿においては法案に賛成した次第であります。
  51. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 先ず第一に堀井さんにちよつとお尋ねして置きたいのですが、公述の中で、この二十七條の運転者の條項を全部削除するようにという御意見でありました。先ほどの質問に対して最低の年齢或いは或る程度の経験年数という件は、これは一つの制限があつても止むを得んのじやないかというような御答弁であつたように思います。やはり旅客という人命を輸送する旅客自動車を運転する場合には、そうした或る程度の制限というものがこの法文の上に残つて行くということは、これは止むを得んものであるというふうにお考えになつているかどうか、その点について……。
  52. 堀井利勝

    公述人(堀井利勝君) 第二十七條の全部削除を希望する考え方の基本というのは、何と申上げましても我々の現在の置かれている立場から、いわゆる生活権を脅やかすような法的な措置は避けてもらいたいという趣旨根本的な考え方でございます。更に貴重な人命なり貨物輸送する我々従業員の立場からいたしまして、その責任の重大さは十分考えているのでございまして、従つてそれに伴う或る程度のそういつた責任的な拘束、こういうものも又我々は十分考えるところでございます。従いまして最低の年齢或いは最低の職業経歴、こういつたものにつきましては、あながち全面的に賛成できないということではないのでございます。
  53. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 それからもう一つ、これは意見を出されたのは堀井さんであるわけなんですが、これに関連してちよつと御質問申上げたいのです。森田さんにお尋ねしたいのですが、第二十四條の区域の問題です。区域があるということは、非常に事業運営する上において、実際実行することが不可能じやないかというような意見を堀井さんは言つておるのですが、業者の立場として、この條文があつても差支えがないか、この條文を完全に守ることができ得るという御確信がおありになるのであるかどうか、この点について……。
  54. 森田賢

    公述人(森田賢君) 第二十四條の事業区域範囲につきましては、大体この従来の行政区域対象としない自動車の持つ機動力と同一経済圏を考慮した事業区域にするということが、基本方針のように承わつておりますので、区域外に輸送することは、そうたびたびあるのではないというふうに考えまして、なお立案された運輸省当局にその都度運輸大臣の許可を受けなければならないということについて、どういう取扱をされるのであろうかという点を、法案に基きまして照会いたしましたところが、大体陸運事務所長の許可ぐらいでいいじやないかというようなふうに考えておるということを伺いましたので、丁度従来の長大物件であるとか、危険物件の運搬であるとかというものを、警察署長にその特殊ナンバーをもらうような程度で行けるものだというふうに考えまして、特にこの問題について、反対を表さなかつたのであります。
  55. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それではこれを以て本日の公聽会を終了いたします。どうも御苦労様でした。散会いたします。    午後三時三分散会  出席者は左の通り。    委員長     植竹 春彦君    理事            岡田 信次君            小泉 秀吉君            高田  寛君    委員            内村 清次君            菊川 孝夫君            小酒井義男君            高木 正夫君            前田  穰君            村上 義一君           前之園喜一郎君            松浦 定義君            鈴木 清一君   事務局側    常任委員会專門    員       岡本 忠雄君    常任委員会專門    員       古谷 善亮君   公述人    日本乘合自動車    協会專務理事  塚田耕一郎君    埼玉県副知事  飯塚 英助君    全国自家用自動    車組合連合会常    務理事     小幡 一喜君    全日本交通運輸    労働組合協議会    事務局長    堀井 利勝君    日本トラツク協    会事務局長   森田  賢君    日本小型自動車    工業会顧問   山成  豐君    大阪市交通局運    輸部長     花本藏之助君