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1951-05-21 第10回国会 参議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十一日(月曜日)    午後一時十九分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○国際観光ホテル整備法の一部を改正  する法律案内閣提出) ○戦時政府買収した鉄道讓渡に  関する法律案衆議院送付) ○道路運送法案内閣送付) ○道路運送法施行法案内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 只今より運輸委員会を開会いたします。国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案を上程いたしまして、政府側から提案理由説明を求めます。
  3. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) 国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申上げます。  政府におきましては、このたび政府部内の審議会等を整理する方針を立て、これに基き本法により設置されておりまするホテル審議会も廃止することとなりましたので、本法審議会関係條文を削除することといたしました次第であります。  なほ、本法が実際に運用されましてから、すでに一カ年になんなんといたしておるのでありますが、その間規程内容の不備の点なども見出されましたので、この機会本法による登録申請條件旅館登録人的條件及び登録施設基準等について所要の改正を行わんとするものであります。  何とぞ愼重審議の上御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 次に専門員の本法案に対します報告を求めます。
  5. 古谷善亮

    專門員古谷善亮君) この問題は只今提案理由にありましたような事情でございますので、御方針の問題でございますので、私より事務的な面につきまして、多く申上げる必要はないものと思います。本件を調査いたしまする除に、政府につきまして、現在の審議会のメンバーなり、又現在までに審議会が取扱いました事項及び審議の経過等詳細に承わつたのでありまするが、これは後刻御質問等がありました場合の前提事項ともなろうと考えますので、私が政府につきまして調査いたしましたことを、ここにお取次ぎ申すよりは、直接政府から御答弁、御説明願つたほうがよかろうと考えますので、この際政府に現在の審議会のメンバー並びに先ほど申しましたように、審議会実績等につきまして、最初に御説明を願うということにいたしたいと思います。
  6. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 本法案は次回に政府側の更に詳細な説明並びに質疑に入りたいと思つております。   ―――――――――――――
  7. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 次に、戦時政府買収した鉄道讓渡に関する法律案議題に供します。提案者より提案理由の御説明を求めます。
  8. 坪内八郎

    衆議院議員坪内八郎君) 只今議題に供せられました戦時政府買収した鉄道讓渡に関する法律案について、提案理由を御説明申上げます。  政府地方鉄道会社から買収しました鉄道は過去において相当多数に上つているのでありますが、その大部分は本来国が敷設すべく予定されておりました路線買収でありまして、鉄道国有法の精神に全く合致いたしております。然るに昭和十八年、十九年に至りまして、今次の戦争遂行目的から必要なものである限り、本来地方鉄道であるべきものをも多数買収いたすことになりました。その買収路線は、この両年におきまして、実に二十二線に上つております。然るに今日におきましては、この買収目的は全く消滅しているのでありまして、これは再び地方鉄道会社払下げ、その企業の創意と努力とにより、その地方利便に最も適合するように運営させることが極めて適当であると考えられ、業界よりも、第一国会以来、この趣旨により、払下請願が繰返し提出されておつたのであります。そこでこの際これを民間に払下げることは、地方交通利便の増進並びに国及び地方公共団体の財政の改善にも大きな寄与となるものと考える次第であります。この払下を受け得る相手方につきましては、元来の買収の経緯より考えまして、できるだけ旧所有会社又はその会社と密接な関係のあるものに払下げることが適当であると考えられますが、他面、鉄道事業公共性から見て、それらの会社のみに限定せず、更に広く鉄道事業経営の能力があり、且つその経理的基礎が確実である会社にも払下げ得るようにすることが適当でありますので、その旨を定めますと共に、払下に当りましては、鉄道国有の原則に反せず、且つ公共の利益と合致した限りにおいて行うことを明らかにしております。又この払下を実行するに当りまして、最も問題になりますのは、讓渡価格を如何なる点において定めるかの点であります。本法律案におきましては、当該鉄道買収価格買収後に要した建設改良費、時価及び当該鉄道企業収益力を参酌いたしまして、不当な価格を以て払下とならないように、公正妥当に定めることといたしました。又職員につきましては、払下路線又は讓渡会社に密接な関係のある者は、その申出によりまして、当然会社が引き継がなければならないこととし、且つその際に不利な取扱を受けないように特別の保護規定を置き職員諸君待遇保障に万全の措置を講じております。なお、鉄道讓渡に関する事項は、運輸大臣が決定いたすのでありますが、払下の公正にして適切な実施を確保いたしますために、運輸大臣運輸審議会愼重審議の結果による意見を聞かなければならないことといたしました。  以上本法案の要旨を申述べました。何とぞ愼重御審議上速かに御可決あらんことを切望いたします。  なおこの機会にお許しを得まして、一言議題外の件について御了承を頂きたいと思うのでありますが、去る五月の十七日にモーターボート競走法案につきまして、当委員会地方行政委員会合同審議をいたすことに相成つておりまして私はその法案提案者の一人といたしまして、委員会に出席いたしまして、提案の御説明を申上げる予定にいたしておりましたところ、いろいろの事情のため私が出席できなかつたことにつきまして、皆様方に非常に御迷惑をかけましたことにつきまして、この機会お詫びを申上げると共に、御了承を頂きたいと、かように考え一言お詫びを申上げたいと、かように考えております。
  9. 内村清次

    内村清次君 この際提案者ちよつとお尋ねしますが、戦時中に買収されました鉄道払下問題につきましては、これは提案者自身から申述べておられるように、第一国会からの請願もあつたでありましよう。問題は第五国会のときにおきまして、相当その提案の時期につきましても、我々参議院といたしましても、又運輸委員会といたしましても、異論のあつたような、即ち会期切迫のときに提出されまして、非常に委員会といたしましても、混乱をいたしましたような状況があつたわけでありまするが、今回又更にこの鉄道払下の問題が、かような国会会期切れ間近になつて、この重要法案を提出されるような動機、そういう考え方は奈辺にあるのであるか、そういう点を先ずお伺いしたいのでありますが、第二点につきましては、その法案自体に対します審議の問題については、これは委員会といたしまして、極力愼重審議をせなくてはならない性質の問題でありまするからして、かような取扱いを我々は希望いたし、又我々もそういう観点に立つて審議をいたしたいと、かように思つておりまするが、ただ今の御説明内容におきましては、逐次今後の審議過程におきまして、御説明もあろうかとは存じまするが、この法案の骨子といたしておりますところの、どの程度買収線に対しまする払下を目途としておられるのであるか、こういう点につきまして、お伺いいたして置きたいと思います。
  10. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 如何でありましようか。只今例によりまして專門員のこの法案に対しまする報告をしてもらいまして、それから質疑に移る、その質疑のときにお答え願う、こういうようなことにいたして御了承願つて……。
  11. 内村清次

    内村清次君 それは総括的な問題ですから、提案者からの話を聞きましよう。
  12. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  13. 植竹春彦

  14. 古谷善亮

    專門員古谷善亮君) 簡単に申上げますが、これは前回、第五国会におきまして、御審議願いました法案でございまして、昭和二十四年の五月十七日に本委員会予備審査付託になりまして、二十二日に本付託になりましたが、会期満了いたしまして、審議未了になつた法案でございます。この戦時中と申しますのは、御承知通り昭和十八年と十九年のことでございまして、戦時政府買収しました鉄道は二十二鉄道、千六十一キロでございます。この買収の日におきます建設費は一億六千五百万円、買収価格が三億二千五百万円、これはいろいろ今までにすでに御審議願いましたことでありますので、すでに御承知の点だろうと思いますので、詳しいことは申上げる必要ないと思いますが、形式は地方鉄道法第三十條以下を適用いたしまして、買収いたしましたものでございます。併しながらその買収の前後におきましては、当時の国家総動員法関係思想が支配いたしておりましたことも事実でございまして、この買収されました会社のその後の処置につきましては、行政措置によりまして、交付公債登録公債にいたしたことも事実でございます。又会社の解散を禁止いたしましたことも事実でございます。但しその後一年いたしまして、これを緩和いたしております。以上が極めて簡単な概略でございますが、この法案につきまして、一、二申上げて見るならば、この法案自体は大体前の思想を受継いでおりますのでありますが、ただ法律テクニツクといたしまして、第七條の一項で、運輸大臣認可いたしまして、その讓渡に対しまするところの告示がありますというと、大体この運輸大臣の決定の内容と同一の内容を持つた契約が成立するという規定になつております。これは法律テクニツクから見まして、若干検討を要するのではないかという点がございます。それからなおこれは包括的にこの会社に対する授権立法と見ますれば、これでもよろしいかと思いますが、元来買収いたしますときには、一個々々の鉄道につきまして、買収に必要な公債発行に関する法律案国会に上程いたしておりました関係もございますので、それとの釣合いにおきまして、或いは一個一個払下げいたしますときに、国会に提出することが釣合い上どうかという問題があろうと思います。その他一、二御検討を要する事項があると思いますが、いずれも法律テクニツクの問題でございまして、この法案をどうというふうにお扱い下さいますかは政治上の問題でございますので、私どもの関与いたします範囲外と存じますので、以上のことだけを御審議参考に申上げた次第であります。
  15. 坪内八郎

    衆議院議員坪内八郎君) 内村委員の二点のお尋ねに対しましてお答えいたしたいと思います。先ほど委員長からも議事進行についてお話がございましたように、今日はこの法案提案理由を御説明申上げる程度にとどめさせて頂きまして、この次の機会質疑応答をして頂く、こういう考え方によつて議題に供せられてお願いすることに相成つたのでございますので、次の機会で十分あらゆる角度から質疑がございましたならば、お答え申上げることにいたしておるわけでございまするが、お尋ねの第一点の提案の時期につきまして、こういう会期の切迫しておるのに、なぜもつと早く出さないのかというような意味お尋ねであつたと、かように考えまするが、お説の通り、この法律案は非常に或る意味におきましては重要な法律案でございますので、我々提案者といたしましても、あらゆる角度から愼重にこれを検討を加えまして、去る三月の下旬の休会前にこれをどうしても提案いたしたい、かような考えの下にその準備その他を進めておつたのでございまするが、その筋の関係もございまして、OKがとれなかつた。その後地方選挙にぶつかりまして国会休会に入つた。その休会中にこのOKがとれたというような関係がございまして、今日当委員会にお願い申上げたような次第でございます。更に第二の点につきましては、この法案が実に大事な法案であるから、愼重審議して頂くということにつきましては全く同感でございまして、あらゆる角度から十分御審議頂かなければならんのでございまするが、お尋ねのどの線をこの法案において払下げるのかということにつきましては、提案理由にも説明申上げておりますように、この法案通りますると、直ちに特定会社払下をするというようなことは明記されてないのでございます。従つてこの法律案が通過いたしますれば、それぞれの関係会社なり、提案理由に申上げておりますような関係にあるものの申請に基きまして、初めてその申請を受理して、それぞれの機関に諮つて決定されるというふうに相成りますので、この法律案の通過と同時に、特定会社にどの線だというふうに決定されないことを御了承願いたい、かように考える次第でございます。
  16. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それではこの案は本日はこの程度に御了承願いたいと思います。   ―――――――――――――
  17. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それでは次に道路法案中、先ず道路運送法案及びその施行法案を一括して議題といたします。前回に引続きまして、御質疑のあるかたはどうぞお願いいたします。
  18. 内村清次

    内村清次君 牛島局長ちよつとあなたのほうに自主的なこれは関係があるかどうかは、この点鉄道法規文書によりますと、どうも直接の関係はないように認められますが、併し前々この道路運送法案を私たち審議いたしました過程におきまして、この所管の一端といたしまして、軽車両ですね、これの問題も、その認可についても或いは経過についても大体運輸省関係を持つてつたようでありますが、問題は日本国有鉄道構内営業規則というものができておりますねその中に第四項に軽車両とあります。厚生車ですね、この構内営業認可規程というものが出ておるわけですね。これが現在におきまして、こういう認可が、構内営業に関しましてどれくらいの認可計数が出ておるかということについてお調べができておりますか、どうか。
  19. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 国鉄におきまして、駅の構内厚生車或いは自動車等構内営業認可すると申しますか、許可するようなことは、実際問題として国鉄用地内に立入ることになりますので行なつておるわけでありますが、それの件数につきまして、私どものほうには資料只今ないわけでございます。国鉄に照会いたしますれば得られることと思いますが。
  20. 内村清次

    内村清次君 そうしますと、あなたのほうで資料はとられまするが、大体その運輸省監督権といたしまして、この規則全般についても一通りは目を通しておることだと思いますから、そういう関係から用地内における、即ち構内におけるところの営業は、これは当然できるんだと、これは申請によつて勿論検討はしましようが、できるんだという前提に立つて申請して認可をしないような規定も、やはりこれは道路運送と同じような規定というものが項目にあるわけです。あるわけですが、それに該当しないものは認可してよろしいというような、即ち認可規定というものが第五條にはつきりしておるのですがね。運輸省といたしましては、当然これは国鉄のほうで認可をすべきものであるというような御解釈をしておられるか、どうか。
  21. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 軽車両営業につきましては、届出を以て足りることに道路運送法におきましてはなつております。而もこの権限都道府県知事に委任をしてあるわけでございます。従いまして軽車両営業するものは、都道府県知事、或いは特別の区の区長さんに届出れば営業ができるわけであります。ただ鉄道用地内において営業をしようとする場合には、国有鉄道営造物管理者といたしまして、更にそれを認可なり、許可を与えておるわけでございまして、国の行う行政範囲ちよつと違つた面から行われておるのでございます。
  22. 内村清次

    内村清次君 その点はよくわかりますが、ただあなたがた方針として、この構内営業規則にははつきりと、こういう点、こういう種類のものは営業させるのだ、併し第六條によると、例えば懲役に行つたものだとかのいろいろの、即ち認可させないところの種目も書いてありますけれども、そういう資格も併しさせるのだといつた方針というもので……現在軽車両の即ち構内業務認可ができない状態にあるようにも聞きますが、それはどういう点からそういうような御方針であるか、或いは当然規定に謳つているならば認可をさすのか、即ちその必要があるかどうかという方針を知らせてもらいたい。
  23. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 只今申上げましたように、国鉄営造物管理者といたしまして、国鉄用地なり、或いは施設の中におきまして、営業するということに協力しているわけでございますが、それは国鉄の実際の事情によりまして、いろいろ問題が変つて来ると思います。その点は丁度駅の構内において売店を設ける場合におきましても、やはり営業届出事業と若干それは……軽車輌は届出でございますから、違いますけれども営造物管理者としての許可なり、権限を行使するということとは同じになるわけでございまして、国鉄事情によりまして、駅構内が若しも狭い場合等におきましては、或いは国鉄としては、これを許可しない場合もあり得ると思います。その点で道路運送法におきましては、関与しておらんわけであります。
  24. 内村清次

    内村清次君 そこで道路運送法には、そういう細目の点については、いわゆる現場と言いますと、営業事務所長とか、そういうような人たち或いは局長という人たち権限を任してありましようが、只今の御答弁の中には構内の、即ち狹隘その他の所においては何とか考慮するが、併しその他の場合においては当然許可項目として載つている以上は、これは当然運輸省としては、やはり既定通り許可方針とするというようなお考えで作られたことであろうと思うが、そういう特別な狹隘区域は別として、地方の実際の状況によつてはよろしいというような所もあろうと思うのですが、そういう所は総括としては許可をするという方針であるかどうか。それでは許可をしない、全体的にも許可をしないという方針であるか。そういう点の明白な点を話して頂きたいと思います。
  25. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 只今お尋ねの問題は、運輸大臣といたしまして、実際にその具体的事情に応じてとやかく国鉄総裁に指示する性質のものではどうもないように私は考えておりますが、国鉄総裁がみずからこれを許可することが最もいいのではないか、こういうふうに考えているわけなのであります。
  26. 内村清次

    内村清次君 その点はわかります。そこで国鉄総裁のほうからですよ、勿論こういう許可をしたんだというようなことになつて来れば、あなたのほうでは文句はないという前提ですね、それが一つ、それでよろしうございますね。そうしますと、第二点は、今全国的に一つもそういう所がないというような実態であるとすれば、許可項目に載つているのに、どういう方針でそういう認可をしておらないかという、その理由が聞きたいのです。それをひとつ……。
  27. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 厚生車は駅の構内に相当数乗入れられておるのではないかと私ども考えておるわけでございますが、厚生車営業につきまして、運輸省として考えておりますのは、只今申上げましたように、これを届出事業といたしまして、免許制をとつておらんわけであります。従いまして厚生車を以て運送事業を行う場合には届出をすれば、その人はその事業経営することはできるわけであります。ただ駅の購内において働く場合に事業を行おう、営業をしようという場合に、そこは国有鉄道用地内でありますから、その中において営業をするというときに国有鉄道総裁認可と申しますか、許可が必要になる、こういうことでございますから、運送法の立場から申しますと、その人はできるわけでございますが、それに国有鉄道用地内におけるところの営造物管理権に基いて許可をされる、或いはされないという問題が起るわけですから、この点は国有鉄道におきまして、その必要を認めるか認めないかという問題に帰着するのではないかと思います。
  28. 内村清次

    内村清次君 そこでわかりました。これも先ほどからのあなたの答弁でもわかつております。ところが私が聞かんとすることは、先ほどから言つておるのですが、そこのところまで具体的にお話しにならないから……。大体あなたがた気持もわかりましたから、それでは実際の現在の国鉄といたしまして、而も構内是非営業場所としたいという認可事項に対しまして、各停車場地域におきまして、そういう認可が下りておるかどうかというような資料、又資料と同時に、若しもそういう認可数全国からどれくらい出ておるか。それからそれに対しまして国鉄は許しておるか、許していないか。それからその次には若し許しておらないとすれば、どういう考えで許されないか。それから又場所次第によつては許してもよろしいという気持があるかどうか。こういう点を一つこの次の委員会までに御答弁ができまするようにして頂きたいと思います。
  29. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 国会用地内の使用或いは国鉄総裁権限の問題になりますと、自動車局長として私から御答弁申上げるよりは、むしろ現在の機構で申しますと、国有鉄道監督をやつております方面から申上げる筋合いだろうと思います。只今御発言がございました点につきましては、これを鉄道監督局並びに国有鉄道のほうに申伝えます。ただ私の知つておる範囲内におきましては、この構内営業権限は一部鉄道管理局長に委讓されてはいないかと思います。そうしますと、全国に一応多数の駅がございますので、すぐにその資料がございますかどうか、これは若しも委讓しておりますと、なかなか資料の収集に暇がかかりはしないかと思いますが、とにかく只今お話によりまして、その方面に連絡をとりたいと思います。
  30. 岡田信次

    岡田信次君 この道路運送法の第三章に「自動車道及び自動車道事業」というのがありますが、今後自動車專用駐車場いろいろ計画が出て来るだろうと思います。或いは地上の場合もありましようし、地下の場合もあると思います。こういうものはこの自動車道並びに自動車道事業種類に入るものかどうか伺いたい。
  31. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) モータープールの点につきましては、この自動車道には入らないわけでございます。
  32. 岡田信次

    岡田信次君 今後入れなくてもよいのですか、お入れになるお考えはありませんか。
  33. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 都市以外の交通につきましては、今後モータ・プールは非常に大きな問題になることと思います。ただをモータープールを法制化するということになりますと、この立案に当りましても、一応は考えておるのでございますが、なかなか参考になるべきものも持合せませんし、しますので、一応今回は見送つておるわけでございます。併しながら、すでに東京のごときところにおきましては、モータープールの問題は大きな問題になりつつございますので、今後これを検討いたしまして、できますれば、自動車道と相並んで考えたいと考えております。
  34. 岡田信次

    岡田信次君 次に国営自動車のあれですが、第四章の国営自動車関係は、主として国有鉄道がやつておる自動車のことですか。
  35. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 現在国営を以て自動車経営しておりますのは、一般自動車におきましてはないわけでございます。ただ国立病院等におきまして、特定自動車運送事業を営んでおるものがございます。国有鉄道につきましては、国有鉄道法の附則におきまして、国とみなされておりますので、その章に規定いたしておりますることは、実際に最も多く適用されるのは国鉄自動車についてであります。
  36. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、第七十六條の「当該官庁は、」ということがありますが、これを準用すると、どんな官庁でも運輸大臣に許されれば、今後どんどん国営自動車をやれるということになりますか。
  37. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) お説のように他の官庁におきまして、自動車運送事業に関する経営を計画されまして、この法律の手続に従いまして、運輸大臣の承認を得られれば経営ができるということになります。
  38. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、あつちこつちの官庁が若しやるようなことになると、日本全体の自動車運送行政としてよいことですかね。
  39. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 国において自動車運送事業経営いたします場合におきましても、やはり道路運送法といたしましては、公聽会その他の手続きをきめまして、免許基準の精神に従つて運輸大臣の承認を得るということになりますので、全般の交通方面から見まして、政策上破綻をするというようなことはないと思います。それからその経営を行わんとする省におきまして、設置法を出しておきますので、所管事項にする必要がございます。従つて設置法を改正をするという問題も出て参りまするので、単なる運輸大臣の承認だけで、すぐ事業ができるということにはならんと思いますので、交通の面が混乱をするということは先ずないと思います。
  40. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、結局実際問題として、国営自動車国有鉄道がやることになるんだということになると思いますが、それでは如何にも他の官庁でもできるようなふうに、その條文を変えて置かなくてもいいと思いますが、どうですか。
  41. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 今までの沿革や、現在の実勢力から見れば、国営自動車の大部分は国鉄自動車でありますし、将来も恐らくその通りだろうと思いますが、併し国鉄だけに限る必要は毫もありませんので、交通政策の全体から見て、必要とあらば他のものが他の形でやることを抑制する必要はないと思います。殊に特定自動車については、すでに今申しましたように、国立病院であるとか、地方の営林局であるとかいうようなものが、そういう事業をやつておるわけであります。
  42. 岡田信次

    岡田信次君 自家用自動車についてちよつと伺いたいのですが、例えば、昔三越とか、デパートが送迎に自動車を動かしておりましたね、ああいうのが非常に発達というか、発展するというか、相当一般の乗合自動車を撹乱する元になるのですが、ああいうのは自家用に入るのか、特定自動車運送事業の中に入るのか、どちらですか。
  43. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 現在の道路運送法では、自動車運送事業というのは、他人の需要に応じ、自動車を使用して旅客又は貨物を運送する事業を言うのでありますから、お話のような三越の送迎用の自動車は有償であろうと、無償であろうと、特定自動車としての免許を受けなければいけないわけであります。ところが今度の改正法律では、第二條の第二項にありますように、自動車運送事業とは有償でする事業だ、こういうふうに改正しましたので三越の自動車が無償でお得意さんを送迎する場合は、自動車運送事業でなくして、免許は要らない、こういうことに変つたわけでございます。その趣旨は無償でやる事業まで、それを特定事業と言つて、特にやかましく規正するほどの実害はないであろう。そこまで免許を受けなけりやいけないということは余りに苛酷に過ぎるので、有償と無償という線で一線を画すようにするほうが実際に合うということで直したわけであります。
  44. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、ところが片一方の自動車道事業のほうだと、無償、有償にかかわらず免許をとらねばならんということに相成つておるのですが、そことちよつと一貫しないような気がするのですが、どうですか。
  45. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 御説のような食い違いがあるのでございますが、自動車道事業というのは全く素人ができない事業で、設備その他の点から車両及び交通の保安ということを考えますと、仮に無償でも自由にやることは、これは放任できないもですから、主として保安の見地から無償でも免許事業にしたわけであります。
  46. 高木正夫

    ○高木正夫君 先日の質問に引続きまして、二、三の御質問を申上げたいと存じます。その前に先ず第一に、先ほど岡田委員から御質問がありましたモータープールのことですが、お説のようでありますと、差当りは自由営業、若しそういうことを計画する人があれば、賃貸の業だとか、そういうことも殆んどもう自由に任す、当分は任するというお考えでありますか。
  47. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) お説の通りであります。
  48. 高木正夫

    ○高木正夫君 それから次に二十三條と二十四條の路線と、それから区域の関係でありますが、これが一番大きな骨子になるやに思うのであります。この二つの條文は、つまり一方のほうは、路線事業のほうは運輸大臣事業区域を指定したときには、当然その事業区域内において運送ができる、こういうことになつておりまするが、二十四條のほうの区域のほうは、これに反して区域外に出る場合には運輸大臣許可を受けてやらなければならない。そこにちよつと不均衡のような感がするのでありますが、この許可というのは、運輸大臣許可ということは、これはまあ現実においてはどの辺のところで許可をするのであるか、多少不公平に考えるのですが、その点のお考え如何でしようか。
  49. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 二十三條は指定で済まして、二十四條を許可にかけておるのは不均衡ではないかというお話でございますが、二十三條は路線貨物事業性質から見まして、必ずその末端で集貨配達を伴わなければ荷主の満足を得られませんから、どうしても不可分のものであるというのが事業の本質だろうと思います。ところがあの法律ではその路線と区域とを別免許にしましたから、本来なら二重免許をとらなければいけないが、それでは余りに嚴重だから、不可分であるという集貨配達というような附随的な運送については、わざわざ免許をとらなくてもよろしい、そこで免許をとらないで、許可かということですが、路線をやる以上、必らず集貨配達をやらなけりやいけませんから、原則としては皆認めるという意味で、ただ指定だけを受けるというふうに非常に軽い手続きにしたわけです。その例は御承知のように、通運事業法でも、トラツク事業者が取扱駅の指定を受けたときには、そこへ入つて通運事業一つであるところの集荷配達をすることができるという條文がありますように、まあ原則として認めてやろう、併し全く自由ではいかんから、必要な手続きをとつて行政官庁にはつきりわかるようにするという場合に、この指定というのをとつたわけであります。そういう気持であります。ところが二十四條を許可にしましたのは、これは事業区域を新らしく考えます以上は、原則としてその区域からよそへは出ては行けないということでありますので、どうしてもやむを得ない場合に出る場合、例外に認めようというのでありますから、これは指定では軽過ぎるので、その都度その許可を得るというふうに、少し重い感じはいたしますけれども、手続きを嚴重にしたわけであります。そこでそういう許可の基準というお話でございますが、それは第二項にありますように、その運送が旅客又は荷主の利便を確保するに必要だということが先ず第一であります。それからその区間に免許を有する他の事業者があつて、それによつて運ぶことが困難であるかどうかということが第二番目の基準で、そういうことをよく斟酌して許可かどうかをきめなければいけない、こういうことになつたわけであります。
  50. 高木正夫

    ○高木正夫君 成るほど二十三條の集貨配達をみずからやらなければならんということは、従来物品の扱いのときにはいいかと思うのですが、積合せ輸送の場合には、おのずからそれが違つて来るのじやないか。それからこれは少し根法問題になりまするが、二十四條のこの区域を定めることは、この前前田委員からもお話があつた通りに、なかなかこれはむずかしい問題だと思うのです。私はこれは意見になるかも知れませんが、この根本が、自動車の輸送の分け方が、現在の実情と申しますか、無理な分け方をしておるんじやないかという感がするわけなんです。それよりもむしろこれから自動車の道が発達して参りますと、もう全然この区別をのけてしまつてつてもいいんじやないか。区域路線というようなことをそこまで統制をとらないでも、もう行ける時代がそう遠い将来でなしに来るんじやないか。これは大きな根本問題になるわけですが、私はそういう見解をとつておるのですが、いつまでもこの区別で以て進んで行かれるお考えですか、どうかということを伺つて置きたいと思います。
  51. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 誠に非常に示唆に富んだお話でございますが、このトラツク事業事業種別の分け方は、実際非常にむずかしい、苦しんでおるところでございます。沿革を申しますと、前の前の、つまり自動車交通事業法時代には、トラツクの事業種別を区間事業と区域事業に分けたことがあるのであります。この区間事業というのは、今度の路線事業にまあ近いと思います。ところがそれではどうも実際に合わんというので、現在の道路運送法では、区間とか、区域という分け方をやめて、積合せと貸切という分け方にして、それが現在行われているわけであります。ところがそれをやつて見ますと、どうも積合せと貸切で分けられるのも実際に合わなくなつたわけであります。ということは、東京、名古屋間という積合せ免許を普通とられるわけですが、そうすると、その区間は積合せ貨物しかできなくて、貸切はできないわけであります。それから又東京都一円という貸切の免許をとられると、その間では貸切はできるけれども、小口の積合せができないことになるわけであります。そこでそれでは実際東京、名古屋間に路線を持つた事業者が、積合せだけじやなしに貸切もしなければいかんような荷主の要望が出て来る場合に、その免許を別にとらなければいかんということになりますし、それから東京都内で積合せをやろうとするときには、停車場、市場その他貨物の集散の多い所について積合せをすることは、区域事業者でもできるんだという緩和規定が今施行規則にありますけれども、そんなことでやつと緩和しておるわけなんで、実際いろいろやつて見ると、積合せと貸切という区別は実際に合わない、そこで研究の結果やはり前の考えの区間と区域が考え方としてはいい、併し区間では余りに幅があり過ぎるから、バスと同じように路線という頭で行こうということになつて、ぐるぐる廻つて今度のような改正法になつたわけであります。その点でどうも自動車事業の実態が押えにくいというよりも、自動車事業自体の実態がぐるぐる逃げ廻つおるものですから、どの規定の仕方でもぴつたりと合うような規定をすることは、まだ現在発達の途中にあるものですから、困難であろうと思いますが、最も実情に近いような種別に直すということにしたわけであります。
  52. 高木正夫

    ○高木正夫君 多少私も意見はあるが、まあその辺でよくわかりました。それからその次は三十一條でございましたか、「自動車運送事業者は、その事業年度、勘定科目の分類、帳簿書類の様式その他の会計に関する手続について運輸省令で定めるところに従い、その会計を処理しなければならない。」、こういうことになつておりまするが、これは大体事業者は事業規模に応じて自分の事業の活動を正確に把握する処置をとればいいのでありまして、会社の経理面までタッチするということは少し行き過ぎるじやないかという感がするのでありますが、それについてお考えをお聞かせ願いたいと思います。それからついでに、第三十三條の六「旅客又は貨物の運送に関し支払うことあるべき損害賠償のため保険契約を締結すること。」これらも経営者の自由意思に任したらいいんじやないかという感がするのですが、ここまで取締らなければいかんかどうか。
  53. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 会計の問題は、現行法では二十二條に同じような規定があるのでありますが、その大体同じ精神を踏襲しておるわけであります。その趣旨は、公共事業でありますから、できるだけ会社経営を合理化し、施設、サービスをよくして、荷主、公衆のために便益を図つてもらわなければいけない、又経営の合理化によつて運賃をできるだけ安くしてもらうということが公共の福祉を増進するゆえんであるというので、普通の自由営業と違つて経理については十分に努力してもらわなければいけないというわけであります。それにつきましては、ただ各会社の創意工夫に任すだけではなしに、経理の仕方の様式については運輸省令定めて処理してもらう、又それによつて報告を出して頂いて内容を拝見するというわけでございす。できるだけ経営の合理化に努めて頂く、そのための処理の基準を作つただけでありまして、経営者が十分な創意工夫を発揮して頂くことは決してとめるわけではございません。むしろこれを非常に望んでおるわけでございます。ですからそれほど強くお考え願わなくていいんじやないかと思います。それから改善命令で保険に付するということを命令できるという場合の問題でありますが、これは実は自動車というような、交通機関を運転して道路上を走るのでありますから、相当一般通行者その量に被害を及ぼす虞れが非常にある、その場合に損害賠償の責任を生ずるのでありまするが、その場合に経営者の資力、信用によつては、賠償することが非常にむずかしいことが起る、併しながらいやしくもそういうものを以て営業しておる以上は、それだけの責任を十分といつてもらわなければいけない。賠償責任を十分にとるだけの資力、信用がなければいけないというのが、この運送事業に関する根本の特色であろうと思います。そのために免許のときに資力、信用をやかましく言うわけでありますが、その賠償能力を確保するためには最も簡単な、而も明快な方法として保険というものが考えられるわけなので、必要によつてはその保険にかけなさいということを命令するわけであります。これは自動車がそういう事業であるという特色によることであろうと思います。
  54. 高木正夫

    ○高木正夫君 その次に四十一條でありますが、休止又は廃止の場合に運輸大臣許可を受けなければいけない、こうなつておりますが、これは届出でもいいのじやないか。一カ月前くらいの届出でいいのじやないか。丁度港湾運送法では一カ月前に届出をする。特にこれを許可にした理由がよく納付できないのでありますが。
  55. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 港湾運送事業と異なりまして、自動車運送事業は免許事業でありますから、事業の開始について免許を得て他のものとは違つた特別の権利を持つわけでありますから、その権利を行使し、その事業を継続する義務があるわけであります。それを事業者の自分だけの一存でこれを休止又は廃止してしまうことは、それを利用する荷主、公衆、旅客、荷主に非常な不便を与えることになるわけでありますから、事業の開始の最初を抑えると同様に、事業の最後も抑えるというわけであります。これは自由営業ではなくて免許事業であるという事業性質から当然出て来る規定であろうと思います。ただ併しながら、どうしてもやむにやまれないような事情で休止、廃止を申請した場合に、無理にいやでも応でもその事業を継続させるということは、これは不可能を強いることにもなりますので、第二項で以てその基準を書いてありまして、公衆の利便が著しく阻害される虞れがあると認める場合を除くほかは許可をしなければいけないということにして、自由勝手にはできないけれども、やむにやまれん場合で、そのために特別の不便が起らない場合には許可をするということを言つておるわけであります。で、これは他の公共事業でありますところの海上運送事業とか、通運事業とか、或いは地方鉄道事業は、みんな休止、廃止は許可制度になつております。これはさような公共事業における特色であろうと思います。
  56. 高木正夫

    ○高木正夫君 その次は第五章でありますが、自動車運送取扱事業でありますが、いわゆる水屋でありますが、通運事業のほうの水屋のこの規制はどうなつておりますか。それとの釣合いがまだとれんと思うのでありますが、若し規制ができていないとすれば、むしろ通運事業をやつて、それからこれをやるのがまあ順序じやないかと思うのですが、それから又根本問題として、今ここまでやるまだ時期が来ておるかどいうかということを私は疑問にまだ思つておるわけであります。それらについてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  57. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 通運事業に対する水屋を何故に規定しないかという点は誠に適切な御指摘でございまして、我々もその雇いろいろ研究したのでありますが、通運事業は長い間の発達で、通運事業そのものがしつかりした事業にもなりましたから、水屋によつて影響される、まあ弊害というものは通運事業者のほうで十分補正してくれるであろうということで、まあ今のところまだ規制するような段階に至つていないのであります。ところが自動車運送事業では、トラツク事業では通運事業に比較してまだまだ事業内容が整備されていない点が多々ありますし、殊にこれを利用しますような路線貨物自動車運送事業、今までの積合せ事業というものは最近の発達にかかるわけなので、直営をせずに水屋を利用するものが非常に多い。特に大都市においては非常な数に上つておるわけなのでありますが、どうしても路線トラツク事業を発達させるためには、その廻りをとりなかなか水屋の内容を整備しなければいけない。それがトラツク事業のためでもありますし、又これを利用する荷主、公衆のためにも是非とも必要であるというので、かような規制をすることにしたのであります。
  58. 高木正夫

    ○高木正夫君 この問題は貨物還送に対する非常な将来も僕は問題じやなかろうかと思うのです。まあ今のままでほつて置いてもいけないから、多少規制をしてやるということは非常に結構だ思うのですが、これがいよいよ表に出て参りますと、相当これが発達することになります。そうすると、通運事業のほうの水屋にも非常な関係を持つておる。それが非常な相当大きなことになるのじやないか。又それがなつてもいいじやないかという考え方もあるのじやないかと思うのです。つまり或る一カ所に物を頼んでおけば、それが目的地へ自動車を以て運ぼうが、或いは鉄道を以て運ぼうが、何でもいいというようなことになつて参りますと、或いは公衆から言うと便利であるかも知れないのです。そこまでだんだんこう推し進めて行けるような端緒を開くことにも、これがなると思いますので、相当これは愼重にお考えつて置かなければいけないのじやないかと思うのです。まあどつちがいいかは、これは問題だろうと思うのです。相当これからの発達程度、これを助長することにもなりはせんかと思いますので、これをきめる場合には相当前の将来の見通しまでよく付けてやつて頂かんといかんじやないかという感じがするのですが、そこらの見込はどうですか。将来どういうふうになるかということについて……。
  59. 中村豊

    政府委員(中村豊君) この将来をどうするかは非常にむずかしい問題なのでありますが、我々として現在仕事を取扱つておる点から申しますと、積合せトラツク、今度の路線トラツクを免許する際には、相当やかましくこの営業所をどういうふうにして経営するかを審査しておるのでありまして、できるならば直営で行つてもらいたいとい三差、たびたびはつきり申請人に申上げておるのであります。で、大きな会社で、又取扱数量の大きい場所には直営の営業所を持つようにトラツク事業者のかたもなつて来られました。それが一番責任をはつきりさせる意味で望ましいことであると思うのであります。併し小さい地方、取扱数量の少い地方にまで一々直営の営業所を持てということは、むしろ経費倒れで非常に不合理でありますので、どうしても事業者のかたもそういうところは止むを得ず水屋を利用したい、こう言われる気持も現在では止むを得ない、よくわかるのでありますので、そういうところはそういうのをお認めしておるわけであります。で、我々としては取扱数量の大きい、又立派に採算の成立ようなところはできるだけ直営にしてもらいたい。こういう考えだけは崩さずにおるわけであります。それ以外のところでどういう工合に発達するか、ともかくこういう登録制度の規制をしまして、もう少し今後の推移を見たいと思つております。
  60. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕    〔委員長退席、理事高田寛君着席〕
  61. 高田寛

    ○理事(高田寛君) 速記を始めて…。
  62. 高木正夫

    ○高木正夫君 第六章の軽車両の問題ですが、これは運賃統制については何もないようですが、それだけのものをこの法律で規制しなければならないか。むしろ地方公共団体に、自治体に任して置いていいじやないかというような気がするのですが、これを法律で規制する理由を申しますか、そういうことをちよつとお聞かせを願いたい。
  63. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 軽車両は戦争中及び終戦後非常に重要な輸送分野の一端を担いまして、距離を問題外にして、数量だけで見れば、国鉄は勿論、自動車よりも余計なものを運んで来たわけであります。最近は大分その分野は縮小いたしましたけれども、依然として相当、一億トン以上のものを運んで……。今数字ははつきり覚えておりませんが、一億トン以上のものを運んでおるはずのものでありますから、若しもこれを自由営業にするということは、荷主の立場から、輸送の重要性から見ても無理であろうと思いまして、現行の法律と同じに届出制をとつたわけであります。ただ現行の法律よりももつと手続きはいろいろと許可認可制度でありましたのを減して、手続きを簡易化したわけでございます。ただ九十七條のような事業停止、法律又は法律に基く処分に違反したときは停止させるというようなことで、弊害の起つた場合には停止するというような規定だけは、どうしても必要であろうと思つて残したのであります。運賃の統制につきましては、物価統制令に基いて統制がこの四月から解除になつて、今は自由になつていますというようなことで、極く軽微な規制をしておる、このくらいは必要じやないかと思うのであります。
  64. 高木正夫

    ○高木正夫君 この行政庁というのはどこのことですか。
  65. 中村豊

    政府委員(中村豊君) この行政庁の意味は第百二十二條の第二項にありますように旅客車両については、都知事或いは市円村長、この東京都知事と市町村長、貨物軽車両については知事、こういうようにしてあるわけであります。従いまして、実際は最末端に下しておる、先ほどお話もありましたような、そういうことに任せて法律規定しなくてもよいじやないかというお話でありますが、法律規定しておるわけは只今申上げた通りで、ただ実際の仕事はそういうふうに地方の末端に下しておるのであります。
  66. 高木正夫

    ○高木正夫君 もう一つ自家用自動車営業行為、これが大分業界で問題になつておるのは御承知通りでありますが、今度の法律でどういう程度まで改正と言いますか、取締る、そういう点はどういうふうにやつておりますか。
  67. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 自家用自動車営業類似行為を行うために、一般営業者に対しまして非常な影響を与える、このために自動車運送業界におきまして、大きな問題になつておることは御承知通りでありまして、これが開設につきましては、私ども非常に苦心をいたしておるところであります。今回の法案におきましては、第七章に自家用自動車の使用という規定を掲げて、従来といささか変つた点もあるのでございます。自家用自動車を使用いたします場合には、只今ままでは省令によりまして、使用届出をいたしております。これはやはりその使用の目的等、自家用自動車の実態把握のために必要であろうかと存じまして、今回はこれを本文の中に入れたわけであります。次に、最近の経済事情関係からいたしまして、自動車を共有することが間々あるわけでございます。この共有につきましては、この禁止すべき根拠はないと思うのであります。ただ問題は自家用東として共有された自動車が実際に使用される場合におきまして、営業者との関係において非常に複雑な問題が起るかと考えましたので、共同使用をなす場合には、これを許可にかけることにいたしまして、第百條の規定を置いておるわけであります。この第百條の規定の精神は、自動車の共有自体を禁止することでございませんで、自家用自動車の共有を自家用の名において営業類似行為を禁止する意味合いのものであります。従いまして、その第二項において自家用自動車の共同使用の態様が自動車運送事業経営に類似していると認められる場合のほか、許可を与えることにいたしております。この点につきまして、実際の問題となりますれば、法人等におきましては、共有の使用、共同使用ということは起り得ない問題であると考えております。次に従来の現行法におきましては、対価を得て自家用自動車を貸渡してはならない旨を規定しております。この対価を得て運送行為を禁止いたしておるのでありまするが、対価の意義に関しまして、種々解釈が下され、そのために営業類似行為が起つておるというような実情もあるのでありまして、その意味からいたしまして、今回の法律においては有償で運送の用に供してはならないというようにいたしまして、有徳で運送の用に供してよい場合を、災害のため緊急を要するとき、又は公共の福祉を確保するためにやむを得ない場合運輸大臣許可を受けたとき、この二つの場合に限定をして認めることにいたしたわけでございます。
  68. 高木正夫

    ○高木正夫君 これは些細な問題ですが、これを取締る場合に、現在では自家用と車に書いて乗用しておるわけですが、それに対して品種を横に書くようにしたらどうかというふうに業者の希望もあるのですが、細かい問題ですが。
  69. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 只今私言い落しましたが、「(自動車に関する表示」)といたしまして、第百二十七條に掲げてございますが、これも貨物の自家用自動車からいたしますれば、一つの制限規定にも相成るかと思います。只今お話のございましたように、トラツクの横に自家用という表示をいたしております。この規定は現行法においてはこれを強制するだけのものがなかつたわけでございます。営業者に対しましては、トラツクの外側に種々氏名であるとか、名称とか、記号というようなものを表示させる規定が省令においてきめられておりますけれども、自家用自動車にはないわけであります。従いまして、今回第百二十七條の規定によりまして、自動車の外側に、使用者の氏名、名称又は記号その他運輸省令で定める事項を公示するということを法律事項として規定いたしたわけであります。只今お話の取扱うところの物品その他につきましては、物品その他を外側に公示するかどうかという点については、まだきめてございませんですが、そのほか特定事業者の関係もございますので、実際に使用するものに対し、その取扱う物品なり、或いは又免許についての條件限定というような点をはつきりさせるような書類を携行させるようにしたらどうかとも考えております。
  70. 岡田信次

    岡田信次君 この第百條の自動車を共同で使うという場合には、誰が一体登録をし、許可をするのですか。
  71. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 使用の許可申請する場合には、共同、共有者の中から代表者が申請することになつております。
  72. 高木正夫

    ○高木正夫君 もう一つ国営自動車の進出について、大分これも業者のほうで問題になつておりますが、今度の法律でどの程度までそれに手を加えられたか、あらましのことをお聞きしたいと思います。
  73. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 今度の法律で変えました点は、第七十九條におきまして、事業計画の変更でありまして、重要なものは認可事項にするということにしてあります。それから運賃料金に関しても認可を受けなければいけないということにいたしました。それから事業の休止、廃止を許可制度にしたことであります。それから更にもう一つは、国営自動車事業者のところに行つて検査をしたり、或いは報告をとることができるようになつたわけであります。こういうことによつて重要な事項はすべて民営自動車と同様に一定の監督に下に服することになりますから、行政官庁において両方を相互に公平に総合的に見て行くことができるということになれば、その間の調整が十分にとることができるようになろうと思います。
  74. 高木正夫

    ○高木正夫君 その際に計画する場合に何か取締りがないのですか。つまり国営自動車を始める場合に、やはりこれは認可庁でやつておるわけですか。
  75. 中村豊

    政府委員(中村豊君) それは承認ということになつております。七十六條で承認ということになつております。これは従来は運輸大臣に協議するということになつておりましたけれども、協議では少し実際の内容を現わしませんので、運転大臣の承認を受けるということで自由にはできないわけであります。
  76. 前田穰

    ○前田穰君 前回区域ということについていろいろお伺いしたようでありますが、まだよくわかりませんので、甚だしつこいようですが、今日もう少し質問を続けたいと思います。今日は目方を変えましてお尋ねをしたいので散りますが、一般路線貨物運送事業というものと一般区域貨物運送事業、この二つの免許の種類の一体どこが違うのかということを一つお伺いしたいの不あります。この五條の事業計画でどういうことを運輸省でおきめになるのか、それはわからないのでありますから、それはさておきまして、法律の而だけで見ますというと、路線貨物運送事業というものは線の運送である。それから区域のほうは面の運送だ、こんなふうにも言えるのでございます。而と言つて道路は線でありますから、非常に線と面とはぼやけてくるわけでありますし、そこへ路線のほうでは行く先きざきで一定の区域を指定すれば、その中では自由に運送ができるようになつておるのであります。ますますその区別というものはぼやけて来ておるようにも見えるのでありますが、運輸省令で事業計画をおきめになるということと合して、路線営業と区域営業とどういうふうに違うのか、そこのところを御説明願いたいと思います。
  77. 中村豊

    政府委員(中村豊君) この分け方に今度変えようとしたのには、相当実態を考えて苦心したのだということは、先ほど高木委員に申上げた通りでありますが、普通の場合には今のお話のように区域は面の運送で路線は線の運送と、こういうことになろうと思います。従いまして区域の場合には比較的小範囲の区域、例えば自動車の行動半径を頭に置きまして、それに実情を勘案したような区域が考えられる、ところが路線のほうは、その区域の中でどの道路を通ろうと、これはもう区域事業でありますので、わざわざその中で一定の路線をきめようとする事業者はいないだろうと思います。従いまして路線申請される事業者は、その事業区域という面の範囲を越えて、相当中距離以上に出る場合に始めて路線自動車事業というものが生れて来る、こういうふうに考えるわけであります。それならば逆に考えて、そういう中距離以上の路線をたくさん頭に描いて、その道路のどこにでも行けるようなものを含んだところの大きな事業区域というものは考えられないか、若しそれが労えられるならば路線事業意味がなくなつて来るのじやないか、こういう疑問が起るわけなんであります、これは誠に実施に当りましては問題になる点でありますが、そういう点をどういうふうに判別するかは、今申しましたようにトラツクの行動半径というものを考え事業区域は区別して行く、それを逸脱して中距離以上に走るものは路線として区別して行く、こういうことが大体実際に合うようになるのではないかと、かように思うわけであります。なおもう一言附加えさして言わして頂けば、そういうふうに区域を考えまするから、トラツクの行動半径ということを頭に置いてやりまするから、これは一府県の範囲にはとどまらずに、大部分、恐らく全部が数府県の区域となることは明らかであると思います。
  78. 前田穰

    ○前田穰君 自動車の行動半径というのはどういうことかということをお伺いしたいと思います。まあそれだけ一つ……。
  79. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 今までの燃料事情その他では割合に距離が短かかつたのですが、それらの資材、燃料の節約のために相当よくなつて参りますから、相当広い範囲になると思います。これを具体的に言いますと百キロ以上、限度は百五、六十キロまで行けるのじやないかと思います。
  80. 前田穰

    ○前田穰君 自動車事業の現状を考えていろいろこの分け方ついて苦心をしたのだというようなお話でありますが、私どもの日常見聞しておる範囲の特殊の実情かも知れませんが、我々の感じでは、こういつた分け方をするというと、路線事業のほうが非常に都合がよくなるのではないか、だから極く短距離の県境いを越えたところの経済の中心地付近までの区域事業と、それから外へ出た路線事業と合せてどれもが免許を出願すると、こういつたような傾向になるようにも思う、即ち免許者、二つの種類になつておるが、実際はどの業者もこの二つの運送事業を兼営するという傾向になりやしないか、こういう感じがしますが、そういうふうにお考えにならないのですか、どうかこれを一つ、言換えますと、区域というものを特にきめる必要がどこにあるのか、おつ放していけないのか、なぜ区域というものを限定しなければならないのか、こういうこととも関連すると思うのです。すべての業者が二つの事業を兼営することにならないか、区域というものを特に限定してきめなければならん理由はどこにあるのか、こういうことをお聞きしたい。
  81. 中村豊

    政府委員(中村豊君) これは現在の傾向では両方の事業経営しようという寒気が圧倒的であります。そういう申請がたくさんあるのでありますが、これは最近の特殊な事情ではないか、こう思うのであります。事情が又変つてくれば、おのおの専門の業者が出て来てくれるのが望ましいと思います。例えば東京における大会社のごとく定期専門というのがございまして、それでそういう会社の話では区域なんかは到底やる気にならないという話もありますし、又資力、信用の弱いところは区域だけしかできなくて、路線のような遠くへ出て、而もできるだけ営業所を運営するというようなことが望まれるような事業はとてもやり切れないということでありまして、比較的小さい弱小な事業者が区域をやられて、資力、信用の大きな業者が路線に出る、こういうふうになつて来るんではないか、そういうふうに路線に分野が分れて来るんではないかと思うわけであります。そうなれば、それで区域としての独自の存在理由があるわけでございます。
  82. 前田穰

    ○前田穰君 私も実はそういうふうに考えております。資力、信用のある非常に大きなトラツク会社路線に力を入れるならば、弱小会社は区域にちぢこまつている。それが自然にそうなるべきだと思うのです。だからこういう区別は要らないのじやないかという、法律として要らないのじやないかという嵐がするのです。なぜこういう区別を法律で作らなければならないのか、そこがお伺いしたいのです。
  83. 中村豊

    政府委員(中村豊君) お説のように資力、信組のある者が路線をやるということになりますと、区域と路線とには、この法律が要求するいろいろな義務や規制の方法に軽重、緩急の度合に差が出て来るというわけでありまして、例えば望ましいことは路線は定期であつてほしい。法律では別に義務付けておりませんが、不定期の路線ということは事業性質上望ましくないから定期線を要求するというようなことがだんだん出て来ると思いますし、その他手続にしても審査についても、路線をやる以上は路線をやるにふさわしいだけの実質規模を持つたものを要求する。でそこまで至らないものは区域でやつて行く。こういうことになろうと思いますから、やはり両方の事業の種別は必要な自然に分解ができて来ると、かように思います。
  84. 前田穰

    ○前田穰君 そこで先刻お尋ねました五條一項三号の運輸省令で規定されることはどういうことで以て規定されるのですか。それは只今あなたの言われたようなことは、結局この法律で書かないで省令に書くという意味なんですか。ちよつとその御趣旨というのは、法律ではどこにも現われていないので……。
  85. 中村豊

    政府委員(中村豊君) まだ具体的な案ができていないのを申訳けないと思いますが、路線事業については、例えば終点の地名地番とか主な競馬地とかいうものをはつきりしまして、その間における営業所などについても具体的にきめてもらうわけであります。ところが区域事業につきましては、大体の事業区域というもののサークルを出しまして、その中では特にどこを取つてもいいということは謳いません。それでその場合に定期で運行するものにあつてはその定期の一日何回であるかということを、路線についてははつきり出してもらうわけでありますが、そういう定期運行の内容とか、営業所の場合、それを直営でするか、他に水屋を使うかというような問題については、路線については特に申請書に書いてもらつて、嚴重に愼重に審査する。そういうところに自然に差が現われて来ると思います。
  86. 前田穰

    ○前田穰君 この定期線ということは、特に路線営業一つの要素としてお認めになるものですか。非常に今度軽く扱われておる、法律の表現にちつとも現われていないので軽く扱われておるので、或いは従来この定期線というのは非常に取締がなかつたというか定期線というものは殆んど有名無実であつたから、それを放棄しようという考えじやないかと思つたのですがそうじやないのですか。やはりその路線営業の要素の中へ入るわけですか。
  87. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 定期線ということは非常に重く考えております。ただ実情はお話のように有名無実になる虞れがありますので、法律路線事業は定期で運行するものであるという定義をつけるまでにはいたさなかつたのであります。それから又そういう定義をつけますと不定期で路線をするものは、これ又一つ事業種別を作らないと今度は無免許事業になつてしまいますので、路線の中にはこの法律規定だけからいいますると定期も不定期もあり得るわけでありますが、定期を非常に重要観して最も望ましいものと考ておりますので、申請書には事業計画の内容として定期で動かすかそうでないかを出してもらつて、不定期の場合には行政方針としては免許基準に照して免許することは相当むずかしいことになつて行くのではないか。法律の実施に当つて定期線が強く取扱われるというわけであります。
  88. 前田穰

    ○前田穰君 だんだんわかつて来たようでありますが、それでもう一つつておきたいのは、路線営業は従来の積出貨物の場合と非常に観念が変つて来たのか、免許基準と抽象的には書いてあるのですが、そういう抽象的な免許基準の問題ではなしに、実際免許されるに当つて、これは運輸審議会等のいろいろ審査もありましよが、行政官庁方針としては一路線営業とか或いは二営業とか或いはそういつたことに捉われないで、具体的に必要ということだけを見て重複免許ということは従来とはよほど考え方を異にせられるつもりではないか。
  89. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) この貨物の路線事業につきましては、一路線営業主義というようなものは採用いたしておりませんです。何分終戦後特に昨年程度から非常に急激にこれを免許しまして発達して参つたのでございまして、現在におきましてはまだその発達の過程にあると思います。東京名古屋、名港屋大阪の長距離の路線事業につきましても多数の業者にこれを免許をいたしております。鉄道輸送との関連もございまして、実際の輸送需要量、又その供給輸送力との均衡等も今後において相当問題になるかと思いますが、現在はまだ発達の過程でございますので、どの程度の業者に認めるのか、その数を限定するというようなことは今後の検討に待ちたいと思います。
  90. 前田穰

    ○前田穰君 それでは区域の問題はこの程度で一応打切りまして、次に運賃支払方法の問題を伺いたいと思います。先ず第一に運賃支払方法を現払いということに変えられるのはどういう点を狙つておるのかということであります。それから運賃支払方法と物価統制令とがどういう関係にあるのかということを伺いたい。
  91. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 運賃支払方法を限定する制度にしました理由は、荷主に対して不当な差別取扱をすべきではないという趣旨から出ておるのでありますが、甲の荷主に対しては即時払を要求し、乙の荷に対しては一週間遅れでよろしい、別の荷主は一月遅れでよろしいということでは非常に荷主に対して取扱が不当に差別されるので、これはすべてのものに同等のサービスを提供しなければいけないという運送機関の原則に反するわけでありますからどこかに線を一本引かなければならん。それならば最も妥当なところの即時というところに持つて行くがいいとこういうことにしたわけであります。もう一つ理由は運送業者相互間の不当な競争を避けるためにとつた制度でありまして、逆に言えば甲の業者は荷主に対して即時払を要求し、乙の業者は同じ荷主に対し十日遅れでよろしいということになれば当然乙の業者の方に荷主はつくということになりますので、運賃の支払時期によつて不当な競争を起す虞れがありますので、その点からもこの制度をとつたのであります。それで物価統制令の関係は、この附則にありますように物価統制令による運賃料金の統制が存続する間はこの規定は停止されまして廃止の翌日から施行されることになります。
  92. 前田穰

    ○前田穰君 あとの運賃のきめ方については物価統制令と直接無論関係あると思いますが、支払方法と物価統制令との関係は具体的にどういうふうになるのでこういう附則を置かれたかということを伺いたいと思います。
  93. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 定額制の精神と、物価統制令の統制額との精神は矛盾しますので定額制の実施を延したわけであります。支払定額制と現払制は運賃制度として不可分になるのでありますから現払制度の方も延したわけであります。
  94. 前田穰

    ○前田穰君 この現払ということは恐らくは業者にとつて非常に望ましい一面であると同時に、現払を現実に而も最密に行うということは非常に困難な面と両方あると思う。その非常に困難な面は業者自体の中にもあり、それから相手方の荷主の方の側にもあると思うのですが、そういうことについて業者自体の中にある面とは、これはできるかできんか私にはわかりませんが、猶予期間中に取除く工夫を業者がしなければならんことだと思うのでありますが、荷主の側に存する現払制の困難というものはどういうふうにお考えになつているでしようか。
  95. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 荷主協力して興れる意思がないとこの制度もなかなか実行がむずかしくなるわけであります。そこで荷主にもこれに従うべき義務を規定することが一番規定としたら万全でありまするけれども、さように荷主に協力義務を持たせるような規定只今の立法例では物調法関係以外には殆んど見当らないのでこういう単独の法規にそこまで触れることはどうも少し範囲を越えているように思われるのでその規定を行わなかつたわけであります。その点では御指摘のように賜くなるのでありまするが、それについては十分に荷主にもよく趣旨を徹底させるように努力して、実際的にはこれに協力して貰うように持つて行こうと思つております。
  96. 前田穰

    ○前田穰君 もう一つこの自家用自動車の問題についてお伺いしたいのですが。従来からこの行政の方法で以ていろいろ自家用の乱雑な運行というものを取締ることになつてつたようでありますが、実際においては余り取締りが徹底していなかつたということを私ども殊に最近この法律案が出てからよく業者から言われるのでありますが、これは畢竟運輸省の事務当局が足を地方に持つておられないということに一つの大きな原因があるかも知れませんが、この点に関しまして将来どういうふうにお考えになつているか。それに関連しましてもう一つ、自家用自動車の共同使用という問題があるようでありますが、この共同使用というのはどういうような標準でお許しになるかと、その共同使用を許される程度なり標準なりの如何による、これは自家用自動下まがいのものを取締ろうということと逆行するような結果になる虞れがなしとしないと思うのであります。この共同使用に関する御方針を伺いたいと思います。
  97. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 自家用自動車の取締の問題はこの自動車行政としての重要な問題の一つでありますが、それについて完全な実施がされていないということは甚だ遺憾に思つております。できるだけの努力をしまして、又予算や定員についても又人選についても末端行政を強化するということに努力しましてこの目的達成に資したいと思つております。ただ各陸運事務所の取締の模様を見ておりますと、非常に熱心でいわば実績の上つておるところもありますし、余り無心でなくて実績が上らないところもあります。ところがそういう実績の上つた地区においては、今度は自家用自動車の側から取締が嚴格過ぎてけしからん、もつと緩和しろといういろいろ陳情やその他の形で出て来るようなわけで全く痛し痒しの状態でございます。我々としてはそういう実績の上つたところに対して取締に手心を加えろというようなことではなくて、そういうところを模範にして他の地区ももつと努力するようにということを却つて逆に言つておるようなわけでございます。  なお次に共同使用の許可の基準ということでございますが、これは法律としては営業類似行為をする虞れがない場合というふうに抽象的にいつておりますが、具体的な一つのめどとしてはまだ確定はしておりませんが、現在共右について取締の通牒を出しているわけであります。その通牒における考え方は、共有者ですから今度の場合には共同使用者が自己の持分なり自己の権限に応じて使用することができるものであるというものであるとか、その使用が輸送秩序維持の建前から一般運送事業者との関係において弊害の起り得ることも予想されるので、現在は一応通牒では所有者五人以内でその車が一台であることが望ましいということを極めて具体的に通達しておるわけであります。併しこれは具体的過ぎますのでもう少し実情で研究したいと思います。それから共有に名を借りて営業類似行為をする者は嚴重に取締らなければいかん、又共有者或いは共同、使用者が法人である場合にはこれは極力避けなければいかん。と考えますのは、数人の法人が共同使用するということになりますと、利用者たる範囲は非常に広いものになつてしまうわけであります。そこで更に考えられる基準としましては、余りに広範囲に亙ると、その使用を管理するために、共同使用、共有といいながら專門の管理をする人間を置くとか組織を驚くということになりまするから、それでは非常に会社の一般免許とか、或いは限定、特殊免許に近くなりますので、そういう管理について特別の組織や人を置くような場合には、それは共同使用の範囲を逸脱したものではないか、こういうことも考えられるわけであります。そういうような点をいろいろ考えまして何らかの基準を明らかにしたいと思います。
  98. 前田穰

    ○前田穰君 もう少し残つておりますけれども、一人で余り長くなるようですから一応本日はこれで打切ります。
  99. 高田寛

    ○理事(高田寛君) ちよつとお諮りいたしますが、まだ質疑続行中でございますが、只今委員会において審議中或いは審議すべき法案に関連しまして衆議院の前田運輸委員長から発言を求められておりますが、発言を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 高田寛

    ○理事(高田寛君) それでは前田衆議院運輸委員長どうぞ。
  101. 前田郁

    衆議院議員(前田郁君) 私が衆議院の運輸委員長の前田郁でございます。実は運輸委員会に付議されております問題がたくさんあるのでございまするが、いろいろな事情によりまして大変遅れまして、参議院の委員会の方に私どもが参りまして説明をしたり、お願いしたりしなければならんことがたくさんございますけれども、大変遅れましたためにまだ御挨拶にも上ることができなかつたわけでございますが、今明日から上りまして衆議院の各法案についているいろいろ御説明申上げ、又御協力もお願いしたい、こういうわけでございますからどうかよろしくお願いいたします。取りあえず今日は挨拶がてらにちよつと皆さまの貴重な時間をかりまして御挨拶をしたい、こういうわけで参つたわけでございます。どうかよろしくお願いいたします。
  102. 高田寛

    ○理事(高田寛君) それでは質疑を続行いたします。質疑のある方はどうぞ。
  103. 村上義一

    ○村上義一君 本法目的、つまり第一條に明記されてあるのですが、これにつきましては前回に質問もあつたようでありますけれどももう少し伺いたいと思うのであります。前回には公正な競争を確保するという意味において質問があり、言い換えれば一路線営業を確保しておる場合はそうでないが、相当量の輸送需要がある場合には一路線営業或いは数営業を認めて行くのだ、こういうような御説明があつたと伺つておるのであります。自然民間自動車相互間におきましても、又民間自動車国鉄経営自動車との間に公正なる競争を予期しておられるということは窺い知ることができたのでありますが、陸上輸送というものは、ひとり自動車のみなず鉄道軌道の輸送というものがあるのであります。従つて道路運送の総合的な発達を図るというだけでは本法目的である公共の福祉を増進するという狙いが満たされない場合が生じて来るというふうに考えられるのであります。で国鉄を初めとして地方鉄道又軌道との関係についてやはり公正なる競争を確保するという趣旨であるのかどうか、この点一つ伺いたいと思うのであります。
  104. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 道路運送第一條において公正な競争を確保すると目的に掲げましたこのこと自体におきましては、他の交通機関との公正なる競争ということまでは考えておらないわけでございます。ただ実際にこの法律を執行し、又他の交通機関、他の鉄道軌道等の法律処分をなす場合において、この相互の間においてこれを如何に規制するかということにつきましては相当行政の実際といたしまして考慮すべき問題が多々あると思います。自動車運送事業を主体にして考えますると、お説のように他の地方鉄道、軌道更に国有鉄道等との交通機関との競争ということは事業の本質上相当あり得べきことでございまして、又これらの機関が相錯綜し相当発達の段階に達します場合におきましては、交通調整の一環といたしまして他の交通機関との間の調整も考えなければならんと思います。殊に運賃の面におきましても、又実際の事業計画の面からいたしましても考えられるところが相当多いと思います。併しながら現在の自動車運送事業といたしましてはまだ発達の段階にございまして、各おのおのの交通機関がその分野において相当にその特徴を活して発達して参る必要があるかと思います。私ども常に自動車運送事業の免許等の処分をなす場合におきまして最も考えておりますのは、地方鉄道軌道殊に地方にございますところの小規模の地方鉄道軌道と自動車運送事業との間には相当愼重に考慮しなければ相成らん点も多々起つておりますので、そういう点につきましては道路運送法を執行いたします場合におきましても十分考慮して参りたいと存じます。現に運輸省の内部的にも地方鉄道軌道との関連におきまして、乗合自動合車関係の事案に対しましては相互に協議いたしましてその万全を期しておるような次第でございます。貨物輸送、殊に路線貨物運送事業につきましては未だその本当の発達の段階にございますのでかかる手続はとつておりませんが、次第に今後の推移によりましては、これ又路線許可等に当りましては内部的に事務を連絡しなければならんかと考慮いたしております。ただ国有鉄道に対しましては国有鉄道事業が相当大規模であり自動車運送事業がまだ真に競争するまでの段階には達しておらないと考えられますので、運送事業の免許につきましては余り考慮をいたしておらんわけであります。一番問題になりますのは、国有鉄道の中におきまして国鉄の行いますところの自動車運送事業とこの法律によります民営の自動車運送事業との間でありまして、この法案におきましてもその調整につきまして若干の規定を挿入いたしまして今後の調整に当りたいとこう考えておる次第であります。
  105. 村上義一

    ○村上義一君 只今の御説明で御趣旨は大体理解いたしたのでありまするが、更にこの第八條の二項、即ち運輸大臣が、運賃及び料金の許可申請を受けて、その認可をしようとする場合における基準が四号掲げてあるのでありますが、この四号目に「他の自動車運送事業者との間に不当な競争をひきおこすこととなるおそれがない」ようにという点を特に明示してあるのであります。でこの場合も勿論この地方鉄道とか軌道とかいうものの運賃料金との関係は総合的に考察せらるべきものであると考えられるものでありますが、この立法の御趣旨はそうなんでありましようが、一応伺つておきたいと思います。
  106. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) この法案道路運送事業についての事項規定いたしておりますので、他の交通機関との問題については触れておらんのであります。運賃の面につきましても実際にこれを行政を執行いたします場合におきましては、運輸審議会或いは道路運送審議会等に諮問をいたしますので、それらの間におきまして十分にその間の調整は図り得られるものと考えております。
  107. 村上義一

    ○村上義一君 只今説明のように道路運送審議会に諮問をせられて、そして運転大臣は決定にそれを重要な資料にせられる、いわゆる道路運送審議会の意見を尊重せられるということは十分忖度できるのでありますが、その道路運送審議会において第八條の運賃料金の認可問題に関し、又更に十一條にも第三号に同様なことが明記されてありまするが、これらの問題処分に当つて道路運送審議会本法を誤つて解釈せられて、そうしてただ単に道路運送にのみ立脚して意見を決定せられることがあるとするならば、非常なそこに立法の趣旨とマッチしない結論が出て来ると思うのであります。そういつた御心配は当局はお持ちでないかどうか伺いたいのであります。又何らかの方法をお講じになるか伺つておきたいと思います。
  108. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 現在実際に運賃を決定いたしておりますのは、国鉄の運賃といたしましては国会においてこれを、決定させております。国会で決定に相成るにつきましては運輸審議会においても或る程度これを審査いたしておるようなわけであります。地方鉄道、軌道につきましては運輸審議会においてこれを個別に審査をいたしております。自動車運送事業につきましても運輸審議会においてこれを審査をいたすことに相成つておりまするので、すべての運賃の面につきましては運輸審議会においてこれを総合的に見て頂くというのが、現行法の、建前からいたしますれば最もよいことだと思います。自動車運送事業につきましてはこれを現地に意見を徴するという必要が若しも発生いたしますれば、運輸審議会から地方道路運送審議会にその意見を求むるなり調査の嘱託をなすことができる規定がございますので、現地におきまして公聴会を聞き、実際の一般業者との関係、或いは利害関係人等の問題が審議されることと相成ります。その道路運送審議会の審査報告に基きまして、それを基礎とし運輸審議会は更に他の交通機関の運賃との関連を考慮して答申がなされることと相成ると思います。
  109. 村上義一

    ○村上義一君 大変くどいようですが、道路運送審議会が諮問に応じて意見を、或いは委託に応じて意見をまとめられるという場合に、やはり根本は本法の明文がその基礎となるのじやないか、まあ基準になるのじやないかと考えられるのでありまして、そのときに誤解を来たしはせんかということを実は虞るのであります。その点についてそういう心配はない、他にこういう方途があつて陸運事業全般に亘つた総合的な考え方をするというような何か他に別の定規があるならば伺いたいと思います。
  110. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 輸送審議会において総合的に運賃の検討が加え得られる点は只今申上げた通りでございますが、その他の面につきましてはこの法案條文にはないわけでございます。ただ実際の行政の問題となりますと、鉄道監督局との事務の打合という面においてこれを解決し得られることと思つております。
  111. 村上義一

    ○村上義一君 先ずその点は或いは更に改めてお伺いするかも知れませんが、次に移りたいと思うのであります。  同じく第八條の問題でありますが、第二項の一号に「適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含む」というように明示してあるのであります。この「適正な利潤」というのは現在の市場金利からいいますと何分くらいを考えになつておるかお伺いしたいと思います。
  112. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 御承知のように現在の運賃統制は物価統制令によつておるものでありますから、この法律の現在及び今度の改正法律にもよらずに施行が延ばされるわけでございます。物価庁と物価統制令についての審査をする際の利潤につきましては余り見られていないわけであります。それは利潤を見ないという考えではなくて、適正な原価と我々が判断したものの中には、更に節約の余地があるであろうという見込の下に利潤は企業の更に一層の努力によかて生み出すべきであるという精神から、利潤そのものは認められずに原価だけで計算されておるわけであります。これからの考えとしましては、勿論適正な範囲で十分原価を嚴重に審査をしなければいけませんけれども、その上でできた原価に対しては当然利潤がプラスされるべきでありますが、その率をどのくらいにするかということは一概になかなか言い得ないところだと思います。と申しますことはこれを五分であるとか、一割とか、一割五分とかいうふうに一律の率で見ますと、事業によつては原価が非常に嵩んで高いものもありまするし、非常に原価の絶対数が低いものもあります。高いものについてまで一割を与え、低いものについても一割しか抑えないということだと、利潤の額が非常に絶対額が違つて来るということが起りますのでなかなか一概に言い得ないところでありまするが、極く簡単に申しますれば、五分以上一割を越すものがあり得るというようなところで実態に会うように判断して行きたいと思つております。
  113. 村上義一

    ○村上義一君 只今非常に実際的なお話を伺いましたが、実は非常に公益事業中においての原価計算、運賃料金或いは価格に対する原価計算について、従来政府の実行せられた点について非常に私疑義を持つておるのであります。それは同じ公益事業であつても、電力料金につきましては二十五年度は勿論のこと、二十四年度においても八分の配当というものを原価に計上しておられる。これは関係政府委員から電力特別委員会において説明があつたと思います。然るに自動車運賃のごときは今政府委員から御説明のありましたごとく、実際的に彼此勘案して料金を決定しておられるというふうに考えておるのでありますが、併しながら今お話もありましたごとく努力、工夫、創意によつて利潤は特に生み出すというような考え方で原価には殆んど入れておられない。のみならず運賃料金を決定するに当つて利潤を除く、その他の原価から或るパーセンテエジは当然企業者の努力によつて節約、いわゆる原価を、減少できるのだという数字を掲げて差引をして、なお且つ適正な利潤というものは全然見ていなかつたというのが今日までの実情であつたやに承知しておるのであります。こういう今までのやりかたは同じ公益事業一つである相互間に非常に偏頗な制度として取扱われたと思うのであります。これは物価庁に申上げることかも知れませんけれども、特にこの点について私「適正な利潤を含む」というこの明文を見て全く方針を一変せられるものだと、こう解釈して特にお伺いしたような次第なのでありまして、そういうふうに解釈いたしてよろしうございましようか。
  114. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) この條文先ほど申上げました通り物価統制令の運賃統制がはずれたあとに生きて参るのであります。従いまして、私どもとしましては原価計算を行いまして適正な利潤を含んだものとして今後も運賃の審査に当りたいと思います。
  115. 村上義一

    ○村上義一君 なおこの適正なる原価と、内容に基づいてでありますが、勿論適正な原価、今日は物価統制令が行われておりますがこれが或る時期に廃止になると先ず仮定しますが、併し物価統制令が行われておつてもこの精神はそう変らないはずだと思いますからお尋ねしておきたいのですが、適正なる原価というものの中には償却というものは勿論あるのであります。自動車は五カ年償却になつておりますから、償却年次から申せばすでにすべて現在の自動車は終戦後にできたものだというふうにも一応解釈できますけれども、実際は十五年或いはより以上前から使つているものも今日あるのであります。それで実は当局にお伺いしたいのですが、この償却を原価に計上せられる場合には、合理的な適正な再評価をした、それに基いた償却という意味にに解釈していいものだと思うのですが、その点は如何でございましよう。
  116. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 適正な原価には勿論適正な償却を含むべきであります。従いまして車両価格の変動のひどいとき、或いは車の古い新らしいの差のひどいときに償却の額を見る見方は非常にむずかしいのでありますが、最近貨物自動車運賃改正について考えました考え方は、一応実績を基礎にしまして事業者として古い車がどのくらい、新らしい事がどのくらいということを基礎にしまして、それをプールにして車両の原価計算を算定いたしました。併しながら今後の問題としては償却は即ち廃車を補充して新車購入の基金に当てるべきでありますから、適正な再評価に近いものを基準にすべきである、かように思います。
  117. 村上義一

    ○村上義一君 次に百六條の審議会の構成についてでありますが、現在構成されておるところの審議会の委員数から比較しますと、大体どの審議会も半減せられるように見受けるのでありますが、これはこの数ではどうも少いように考えるのであります。殊にこの第一條の本法目的即ち公正な競争確保という見地から見ましても、陸運のあらゆる機関相互の関係を勘案し総合的に判断を下して行かなければ公共の福祉増進に寄与できないと思うのであります。従つてそういう適任者があれば一人でもいいわけであります、理窟としては。併しながら府県知事の推薦によつてその中から選定せられるということに相成つておりまして、現在の実情を見ましても大体自動車関係の経歴を持つた人ばかりで構成されておるように考えるのであります。それを更に半数にするということに相成りますと、ますます本法目的達成が困難になつて行きはせんかというふうな心配を持つのでありますが、この半数にせられたことについての理由を又意図せられる点をお聞きいたしたいと思うのであります。
  118. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 現行の道路運送審議会審議会となります前は運送委員会と言つておりました。その当時におきましては中央地方と分れましてあつたわけであります。中央は地方委員長を以て中央の道路運送委員会を構成いたしておりました。地方においていろいろ調査審議しましたことを中央の道路運送委員会におきましてこれを最後的に決定をいたしたわけであります。その後昭和二十五年の一月から運輸審議会におきまして、中央道路運送委員会において行なつておりまする最後の決定をなすということに相成つたわけなんであります。逆に申しますと道路運送審議会は陸運局長の諮問機関として陸運局長の諮問を受け決定するという機関になりまして、大臣権限に属すべき道路運送法事項はこれをすべて運輸審議会において決定するということに相成つたわけであります。従いまして地方におきまする実際の公聴会その他の執行につきましては、運輸審議会から地方道路運送審議会に事務の調査を嘱託いたしまして行なつておるわけでございます。現行法の道路運送審議会と、実際に現在行なつておりまする道路運送審議会との事務が性質上異なつてつておる点は争えない点でございます。従いまして実際の行政の運営に当りまして成る程度従来よりは委員の定数を減少させまして、実際の公聽会その他の事務に当らせることも適当であると考慮いたしまして、又一方政府におきましても予算の節減という点も考慮いたしまして委員の定数を約半減いたしたわけでございます。勿論この委員は広く学識経験のある民間の方々の意見を行政の上に反映させる意味合から、委員の候補者推薦を各都道府県知事にお願いをするわけでございまして、各都道府県知事自体の代表という意味合ではないのでございまして、道路運送審議会を今後最も適切に運営して参りますには、その人の適任者を得るという面にあることは申すまでもないことと考えております。
  119. 村上義一

    ○村上義一君 大体の御趣旨はよく理解しておるのでありますが、それでは只今お話内容にありましたその経費の節約という面で考えてどうも給与が非常に少い。そして恐らく今後も兼職の制限その他持続せられることと思うのでありますが、この給与は非常に少く、一方において陸運局長権限に属するものについて意見を求める、或いは又運輸審議会の委託によつて中央に代つて調査答申をするという、この大事な仕事を掌るべきこの各委員の給与が余りにも僅少であると実は思うのであります。この点からも公平なる措置を確保しがたいような感を持つのであります。それらについて当局はどういうお考えをお持ちであるか伺いたい。
  120. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 私ども只今お説のように道路運送審議会の委員の方々の給与というものにつきましては、もう少し安定した高額な給与にいたしたい、こう考えております。ただこの給与を考えます場合に一つつた問題があるわけでございます。この道路運送審議会の委員はやはり国家公務員でございます。ただ非常勤ということになつておるわけでございます。現在の給与の体系からいたしますと、非常勤の公務員に対しましては一般常勤の公務員に対する給与と異なりまして、委員に対する手当を支給いたしております。従いまして手当ということになりますと、実際に勤務された日にちに応じてこれを支給するということに相成るわけでございます。現在、現在と申しますか以前は委員長は日額八百円、委員は七百五十円でございます。一般公務員の給与引上に伴いまして今回非常勤職員につきましてもやはり給与を引上げるということに相成りまして、非常勤の公務員に対しましては勤務一日について一千八百五十円以下の範囲内で人事院の承認が得られるということになつたわけでございます。今回運輸省としましては人事院といろいろ協議いたしました結果、委員長に対しましては勤務一日につきまして日額一千六百五十円、委員につきましては日額一千四百五十円の給与にいたすことになつておるわけであります。ただこの勤務について日額は増加いたしましたが、問題は予算総額の問題であります。現在予算を編成いたしまするにつきましては、委員の実働日数を十日と見ておりまするので、やはり予算上実際の支給となりますと一万五、六千円のものとなつてしまうわけでございまして、これではやはり給与として決してよいとは申されないことは勿論でございますので、私どもとしましてもこれの解決につきましては更に努力をいたしたいと思います。帰するところは予算総額の問題である、又更に進めばこの委員を常勤にするかどうかという問題にまでならざるを得ないと、こういうふうに思つておるわけでございます。
  121. 村上義一

    ○村上義一君 只今の御説明によつてよく意図しておられる点、又当局が御苦心になつておる点、よく了解いたしました。とにかく学識経験者を集めて依怙贔負のないようにして、そして従つて兼職を制限したり種々にそこに制約を加えるということはこれは止むを得ないことだと思うのであります。その場合に非常に給与が少いという問題がよく起つて来る次第なのであります。予算総額の増加をしましてとにかく何らかの特別の方法を講じられるということを強く希望しておる次第であります。又それに順応して国会においても最善の協力をいたして行きたい、そうして本法の有終の美をなすように仕向けて行きたいと実は希つておる次第であります。  次になおもう一点伺いたいのですが、それは百二十三條の問題であります。この百二十三條の末尾に「その区域内の路線につき当該都知事又は市長の意見を徴しなければならない。」ということになつております。この意見を徴するという意味を伺いたいと思うのですが、ただ意見を徴して参考にするのであるか、或いは飽くまでその意見尊重せられる意味合であるのか、その点を伺いたいと思うのであります。かく伺います理由は、若し意見を尊重するということであるならば、その知事なり市長なりが若しみずから業者である場合、そのときに非常にそこに不公平な意見が加わつて来る虞れが多分にあると思うのです。又今日までにもその感なきを得なかつたと思うのであり、この点は非常に重大な意味を持つておると思いまするので、本文の意味だけ先ず以て伺いたいと思います。
  122. 古谷善亮

    專門員古谷善亮君) この百二十三條は現行法にもある規定であります。「政令で定める市の区域内」とございますが、現在は六大都市のほかに福岡、仙台があります。只今村上委員から話が出ました自治体がみずから経営をいたしております場合の調査をいたしまして、お手許に刷物にしてお配りしておきましたから御覧頂きたいと思います。バス事業経営しておる自治体電車事業経営しておる自治体を調べましたものが只今お配りしてあります。
  123. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) この第百二十三條は、只今專門員の方からお話のありましたようにこれに似た同趣旨の規定が現行法の二十九條にございます。違います点は従来はこの政令で定められた市の区域内に起点、終点を持つております。ところの一般乗合旅客自動車運送事業の免許申請のあつたとき等に意見を徴することになつておるわけでございますが、今回は市の区域外から市の区域内に入つて参ります免許申請の外合においても、その市の区域内の路線ついては市長の意見を聞くということに相成つたが一番大きな問題です。そのほか運賃の点とかができますが一番現在問題になつておりますのはその点であろうと思います。この都知事又は市長の意見を徴するということは、都知事又は市長は公選せられたる一般都民、市民の代表者でございますすので、一般乗合旅客自動車運送事業が市民の日常生活に直結いたしておるというような、非常に公共性高度の事業関係もございまして、市民の代表であるところの市長の意見を徴してこれを参考とし、運輸大臣が持つておりますところのこれらの権限を行使するのが最も民主的であろう、こういう意味合でございます。運輸大臣はこれら一般乗合旅客自動車運送事業の免許につきましては権限を有しておりますので、その権限の行使につきまして、たとえ都知事又は市長の意見を徴しましてもこれに約束されるものではないと解釈いたしております。
  124. 村上義一

    ○村上義一君 只今説明のありましたごとく、民選になつた今日はなお更一般の市民の意見を代表するもので、又更にこの市内なら市内の道路を監理するものであるというようなことも一つ理由であると思うのです。一応民主的なやりかただということは、これは思考できることであります。ただ実際問題としてこの市長が同じく業者である、電車の経営者である、或いはバスの事業者であるという場合には、とかく市民の交通上の便益を確保する或いは増進するということよりも、その事業の財政的見地から意見を定められる場合の方が多いように考えられるのであります。過去の実例なんです。そういう点を強く今思うものでありますから、即ち言い換えますれば、市民の交通という便益の増進、或いはこの交通利便にすることによつて産業経済の発達に寄与するということよりも、そのときのその年度の軌道事業又はバス事業の財政を慮ることが一層急であつて、これに意見を左右されるということにとかくなりがちであると思つたのであります。そういう点を前提として実はお尋ねしたのであります。この解釈が運輸大臣が決して拘束されるものでないということでありますならばそれで結構だと思うのであります、若し拘束されるという場合にはまあ大体法文では尊重せなければならないと書いてあると思うのでありますが、若しそういう尊重せなければならないという趣旨とこれが同じ意味であるとするならば、むしろこれに業者である場合はこの限りでないという但書を付けることが至当だと考えて実はお尋ねしたような次第であります。いろいろありがとうございました。
  125. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) ただ一言付け加えて申上げておきますが、この法文を審議立案いたしまするに際しまして、いろいろの意見出て参りましたのでこの点を付け加えて申上げておきたいと思います。市長の意見を徴しなければならんということにつきましては、一部は市長の同意を求めなければならない、又或るときは市長の意見を尊重しなければならないというような御意見も非常に強い意見もあり、又そういう陳情等もあつたわけでございますが、私どもはこの意見を徴しなければならないということで書きましたのは、そういつたいきさつの上に立つてこれを書いておるのでありまして、決して現在の規定をそのままここに持つて来たという程度のことでないということだけ申上げておきます。
  126. 高田寛

    ○理事(高田寛君) ほかに御質問ございませんか。ほかに御質問なければ本日はこの程度で打切ることにしてどうですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 高田寛

    ○理事(高田寛君) それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後四時二十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     植竹 春彦君    理事            岡田 信次君            小泉 秀吉君            高田  寛君    委員            内村 清次君            高木 正夫君            前田  穰君            村上 義一君            松浦 定義君   衆議院議員    運輸委員長   前田  郁君            坪内 八郎君   国務大臣    運 輸 大 臣 山崎  猛君   政府委員    運輸大臣官房観    光部長     間嶋大治郎君    運輸省自動車局    長       牛島 辰彌君    運輸省自動車局    業務部長    中村  豊君    運輸省自動車局    整備部長    佐竹 達三君   事務局側    常任委員会專門    員       岡本 忠雄君    常任委員会專門    員       古谷 善亮君