運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-05-18 第10回国会 参議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十八日(金曜日)    午後三時十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○道路運送法案内閣送付) ○道路運送法施行法案内閣送付)   —————————————
  2. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それでは開会いたします。  道路運送法案、同施行法案一括議題に供します。この両法案につきましての詳細な提案者側説明は、すでに皆様のお手許に配付してありまする通り厖大部厚なものでありまするので、これを読上げますることを省略いたしたいと思います。どうぞ御賛成をお願いいたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 御異議ないものと認めまして、一括速記に載せることに御了解願います。それでは早速古谷専門員の報告を求めます。
  4. 古谷善亮

    専門員古谷善亮君) この法律案は新規な制定法案の形をとつておりますが、実は現行道路運送法全面的改正でございます。この法律案は全部で十章百三十八条及び附則からなる極めて大部のものでございますが、省令等による現行制度法律化し整理いたしたものもございまするし、又最近の民主的立法側によりまして、従来の行政方針立法化いたした点もございます。全体が立法として新しい思想の下に構成されたというものでもございません。従いまして御審議なさいますに当りまして若干御参考になる点を申上げておきたいと思います。  第一は先ず第一条でございますが、第一条はこの法律趣旨原則を闡明しておるのでありますので、非常に重要なものでありまするが、このうちで「公正な競歩を確保する」という言葉が出ております。これはすでに委員皆様のお手許へも、いろいろ意見開陳等を要する向もあろうかと思いますので、御審議の御参考に一言申上げますが、最近の通運事業法におきましてもやはり同様な言葉使つておるのでございます。この結果如何にも一路線に数営業者、即ち複数業者免許いたすかの印象を與えまして、業界を刺戟しておる点もあろうと思うのであります。そこで私どもこの法案を下調べいたしますに当りまして、特に政府の御関係の向に御質問いたしましたその結果を申上げますと、政府関係官お話では、およそ自動車免許免許基準によつて與えられておるのである、従つてその申請箇所の状況によりまして、或いは交通需給関係を見まして、免許いたしました結果がたまたま一路線業者のみ許せば足りるという場所も起つて参りましようし、或いは需給関係におきまして複数業者になるような結果を見るようなこともあろうと思われるという御回答でありまして、こういう言葉が出ておりますために、必らず数営業者を併立させて、そこに競争を惹起させて公正な競争を確保するという御意図を持つているという正面からのお答えではなかつたのでありますが、どこまでも免許免許基準によるという政府お答えであります。  次に問題になる点だけを申上げます。第二章の自動車種類でございますが、これがこの新らしい改正案によりまするというと、大きな改正一つの眼目になつております。従来四種類ございましたものを今度六種類に分類されたのでございます。この中で一般貸切旅客自動車運送事業というのがございますが、これは簡單に申上げますと、結局大型観光バスでございまして、皆さんすでに毎日殆んど御覽にならない日はないと思われるくらいこの国会の周辺に参つておりまする大型貸切自動車又は観光自動車とも呼ばれておるものであります。これが独立の事業形態をこの法律に持たしたという点であります。この観光バスなるものにつきましては、従来いろいろその効用又は他の交通機関との統制等につきまして論議された問題でございますので、これの免許方針その他につきましては十分御検討を煩したい点と考えております。  次に大きな問題を申上げますと、運賃でございますが、運賃といたしましてこの法律が新らしい思想といたしております点は、運賃定額制と現拂い制の確立という点でございます。これにつきましてはこの法律が新らしく認めました一つの新思想が盛られておるとも言えるのでございまして、この点も十分御検討を煩したい点と存じます。由来このバスに限らず自動車運送事業というものにつきまして、私ども学説といたしましては、本質的に独占企業形態には弱いものだと考えております。従いまして独占企業形態の下において独占価格を成立いたしまするよりな点は、野放しにしておきますれば崩れがちのものであるというふうに見ておりまするのでありまするが、それをこの法律を以ちまして運賃の額並びに支拂方法を定めましてこれを統制するということになりまするので、実際問題といたしまして、いろいろ論議が出て参る余地があろうと思います。業界の意向といたしまして、一番直接関係があると思われましたトラツク協会につきましてこの点を調査いたしましたところ、トラツク協会におきましては賛成の意を表しておりましたことを一言附加えておきます。  次は自動車道でございますが、自動車道と申しますものはこれは現行法規にもございますが、将来におきましては従来の賃取り道路の観念を離れまして、日本道路が現在の日本政府の予算におきまして、管理が遅々として進んでおりません現状におきましては、或いは将来こうした民間企業によりまするところの道路事業というものも予想されるのではないかというような点、殊に観光地帶におきましてそういう点が予想せられるのではないかというようなこと、又は地方鉄道等自動車運送に切替えまするような気運が或いは出て来るのではないかというような点、いろいろ考え併せますというと、従来あつた規定をただそのまま入れたということのほかに、そういう新らしい面におきましてやはり一応御検討を願う必要があろうと考えられます。  その他細かい点並びに字句の用語上の表現の方法等につきましては若干調べた点もあるのでございますが、これはまあどちらかといえば細かい事項に亘りますので、ここで申上げる必要もなかろうと考えております。ただ折角全面改正をなさいますならば、もつとこういう点を入れたかつたと思われます点は、大きな問題として二、三考えられるのでありまして、その点を政府当局にお伺いいたしましたところ、それらは別の規定にありますか、或いはこの法規関係法令省令で以て規定すべきものであるというようなものがあるのでございまして、自動車運送総合法規たる精神を持ちたいこの法規におきましては、只今自動車に対しまする行政官庁の権限の分野等から見まして、そういう点が十分にこの法規の中に表現できない憾みがあるのでございます。まあその一つだけを申上げますと、要するに自動車の事故に対しまするところのいろいろの規定を整備したいという気持があるのでありまして、その一例は、例えば運転手の資格とか試験とかいう問題であります。これは海のほうの関係では過般御審議願いました船舶職員法に詳細な規定が盛られておりますと同じように、この自動車のほうにもあつて欲しいように思つたのございますが、これは道路取締法及びこれに基く道路取締令に詳細な規定がございまして、この方面が欠けております。ただ二十七条に年齢の制限が書かれておるに過ぎないのであります。それからなお運転保安に対しまする面から見まして、極く卑近なことを申上げますならば、踏切りの前で一旦停車しろとか、或いはドアエンヂンを整備するとか、ブレーキの点でありますとかといつたような事柄は、何か私たちに自動車法を作ります際にはあつて欲しいような感じを持つ事項なのでございます。これらはいずれも先ほど申上げましたように、この法律附属命令若しくは他の法令によりまして整備された事項であるということであります。  なお最後に現在どのくらいの運送事業者があり、どの程度の人を運んでおるかというような現況につきましては、恐らく資料を整えなければならんと思いましたので、政府お話いたしましたところ、お手許に差上げました説明資料でございますが、それの末尾に全部出ておりますからしてどうぞそれを御覽願いたいと思います。又特に政府にお願いいたしまして、いやしくも全面改正でありますから、新法旧法というものがあるわけでありますが、そこで新法旧法の細かい点は省略いたすにいたしましても、大きな狙いどころの新旧の対照になるようなものが用意されなければならないと考えまして、それを揃えてございますので、只今御配付申上げますので、どうぞ御覽を願いたいと思います。なお細かい点につきまして御審議の途中で、お許しを得まして申上げるほうが御審議の御参考になると思いましたならば、機会を得まして申上げますが、この程度にいたしておきます。この前も申上げましたように政府との間の問答につきましては、極めて非公式に極く懇談的にやりましたので、或いは私が政府言つておられましたことを誤解しておる点もあろうかと思いますが、そういうような点につきましては或いは政府で適当に補正いたして頂きたいと思います。
  5. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) これより質疑に入ります。順次御発言を願います。
  6. 高木正夫

    高木正夫君 細かい問題につきましては、後ほど逐条的にお尋ねを申上げたいと思いますが、ただ最初概括的の御質問を申上げたいと思うのでありますが、先ず従来の道路運送法一本でありますと、事業者の側の取締のほうが重点を置かれておつたようであります。民衆から見まして、及び公共性から考えまして保安関係というような問題にはやや薄かつたように思うのでありますが、今回これを三つに分けまして、そういう点に重点を置かれました点、又金融関係から軽重を別にしたというような点、根本の行き方としましては私も非常に賛意を表する次第であります。ただ最初お尋ね申上げたいと思いまするのは、この陸上関係運送に対しましては相当この監督が嚴重であつて、同時に又保護と申しますか、助長と申しますか、それもなかなか行き届いているようでありますが、海の港湾運送法大分趣が違うようでありますが、大体がまあ同じような運送でありますにかかわらず、政府の御方針が、一方は非常に緩であるし、一方は非常に嚴格であるというのはどういう理由であるか。そのおのおのの特異性によるものであるか、一応の御説明を願いたいと思います。
  7. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 御存じのように海運事業は国際的に自由であることを建前といたしております。陸上のほうは公共性が非常に強いということで、これに対する法律規制が強いというのが一般の行き方でございます。又これが実情に即しておるのではないか、かように考えるわけでございます。港湾運送業はその接続点でありまして、海と陸との間にありますので、それに対する規制の仕方もいろいろ困難であるわけでございます。いわゆるパブリツク・ユテイリテイーズとしてのおのずから法律段階があるのではないかと考えますので、その段階に応じて適当に取締規定に緩嚴の度をつけた、こういうふうに考えておるわけでございます。
  8. 高木正夫

    高木正夫君 それはそれで。次には第八条の定額という意味でありますが、第八条の三項ですか、「第一項の運賃及び料金は、定額をもつて明確に定めなければならない」これは大分業界でも問題になつておると思うのであります。定額というのはどういう意味なんでありますか。つまり個々事業者ごと意味でありますか。それとも地域的であるか、或いは全国一本というような意味であるか、それをちよつとお伺いしたいと思います。
  9. 中村豐

    政府委員中村豐君) 定額意味は、各事業者ごと定額一定のきまつた額で運賃を取るということでございます。それで現在やつておりますような公定額を一本きめて、その最高は縛られるけれども、その以下では如何ようでもよろしいというのではなくて、一定の額でなければならん。従いまして申請によつてそれを運輸大臣なり陸運局長認可する、そうなりますと、各事業者ごとに、或いは地域ごとにみんな違う申請を出して来ることが予想されるのでありまして、この場合に八条の認可基準に従いまして、それが妥当かどうかを審査した上で決定することになりますから、当然陸地としては地域的に    〔委員長退席理事岡田信次委員長席に着く〕 事業者ごとに違うことが予想されるというわけであります。
  10. 高木正夫

    高木正夫君 つまりそうすると申請を出して来てそれできめて行く、こういうことになりますが、実際のところは、結局これを政府のほうでおきめになることと思います。基準から考えて。そうしたときには地域的に大体おきめになるのですか。それとも全国一本でやられるのですか。
  11. 中村豐

    政府委員中村豐君) 審査する場合に受身で当然審査するのでありますから、政府でこういうものがいいということをきめて置くということはございません。ただ仕事の便宜上或いはこういう程度であるならば大体基準としては、物差しとしては大体いいようであるがというようなことは、或いは実際の便宜上起るかもわかりませんけれども、それは決して民間業者のかたを拘束するわけでなしに全く制度が合理的なものであるならば差支えないわけでございます。従いまして仮に政府でそういう基準らしいものを考えるとしましても、当然地域的にきまるものであると思います。
  12. 高木正夫

    高木正夫君 そうすると同じ地域で、場合によつたら定額でない場合、定額と申しますか、個々業者で違うようなことになるような場合がありませんですか。
  13. 中村豐

    政府委員中村豐君) 同じ地域個々業者ごとに違うことが予想されるわけであります。
  14. 高木正夫

    高木正夫君 結局そうすると運賃競争ということができ得るわけになりますですか。
  15. 中村豐

    政府委員中村豐君) 違う場合には運賃競争ということがあり得るわけであります。ただその場合に定額で争うわけでありまして、定額を更に割つて、これに対しては特に割引をする、そういうダンピングで争うことはできなくなるわけであります。
  16. 高木正夫

    高木正夫君 個々の場合には定額が違うわけですね。定額が違うことがあり得るわけだから、運賃競争はでき得るということになるわけですな。
  17. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) それは第八条第二項第四号の、他の自動車運送事業者との間に不当の競争ということをひき起す虞れがないものであるこということで、若干の定額の差というものはありましても、その競争は不当な競争をひき起すものでないということになると思います。
  18. 高木正夫

    高木正夫君 それから通運業法定額制実施されているわけですが、これは大体どうですか、所期の目的が達せられるだろうか、こういうことなんですが。
  19. 中村豐

    政府委員中村豐君) 通運事業定額制をとつたのは誠に画期的な試みでありましたので、まだ準備が十分整わずに実施に入りました関係上    〔理事岡田信次退席委員長着席〕 御指摘のような完全な実施はどうもまだされておるというだけの自信はございません。が、先般の運賃改正の際もその点を十分含めまして、できるだけ早く完全な実施に入りたいというつもりでおりますし、民間業界のかたもそれについて全幅的に賛成であるということで、非常に民間と我々との間に十分に意思が疏通しておりますから、近く立派なものになれるだろう。こう思つております。ただ今度のこの改正法では御承知のように、附則で以て現在の物面統制令の存続する間はこの定額制及び現拂制実施しないということになつております。というのは物価統制令によつて最高額統制額としてきめておりますので、そういう考えかた一定額を縛るという考えかたとは、多少実施に当つて相抵触するので、その点を調整するために差当り定額制実施いたしません。
  20. 高木正夫

    高木正夫君 そうしますると、今のお話によりますと、物統令があるまではそのまま実施されない。こういうことになるわけなんですか。
  21. 中村豐

    政府委員中村豐君) 廃止される……。
  22. 高木正夫

    高木正夫君 廃止される。そうしますると、現在やつておる通運事業定額制関係、これを犯した者が実際上できるじやないか。つまり同じ車を使つて、一方は通運事業に使い、或る場合にはこれは普通の運送事業のようなものに使う。そうしたときに運賃が多少違つて来るというようなことにもなつて来て、そこにおかしい場合が起るじやないか、従つてむしろこれを延ばすならば、率直に申上げますと通運事業法のほうも暫くこれと歩調を合わしてやつておつたらどうかというような私は気がするのですが、そこらについてお考え如何でしようか。
  23. 中村豐

    政府委員中村豐君) 先ほど申しましたように、通運事業法においては準備が十分でないうちに急いで実施に入りましたし、物価統制令との関係の調整をとる暇がなかつたので、お話のような問題が起るわけでありますが、これについては、先般の改正で、通運事業における集荷配達料金トラツクによる場合、荷牛馬車その他の小運搬貝による場合も一緒にしまして、独自の集荷配達料金を作つたわけでございます。従いましてそういう独自の定額ができたわけなので、トラツク業者のほうが仮にこれが配達をやろうとすれば、新しい定額通運事業法に基いてトラツクと小運搬とをプールにした新らしい定額制によるべきでありますので、集荷配達の面ではこの法律と牴触しない、こういうことになるわけであります。
  24. 高木正夫

    高木正夫君 それから次に現拂制度でありますが、これもこの定額制も、理想からいつて私は非常に結構だと思うのですが、現在の我が国の経済事情社会事情からいうて、少しまだ無理じやないかという気がするのですが、而もこれを押切つてやられるならばやれないこともないのですが、そういう際にこれを犯した場合に罰則がどういうことになつておるか。それから又これを嚴重に監督して行くのには、アメリカのあの制度のようにインスペクターをたくさん置くとか何とかということになれば、なかなかこれも費用が多くかかると思います。これらの取締方法がどういうことになつておるか、相当のこれは人間が要るのじやないかと思うのですが、そこらについてのお考えを……。
  25. 中村豐

    政府委員中村豐君) 現拂制度趣旨精神は十分御了承願つておると思うのでありますが、この実施の問題については、御懸念のような点を我々も心配しておるのであります。そこですぐこれに違反した場合に罰則にかけることがいいかどうかをいろいろ研究したのでありまするが、新らしい制度でもありまするし、十分に習熟するまでには或る程度のいとまもかかりますので、荷主の協力を十分に求めなければ完全に実施されないものでありまするから、さような点をいろいろ勘案しまして、今回の法律案では罰則を置かなかつたわけであります。そうしてできるだけ早く荷主も含めた一般業者及び荷主のかたがたの間にこの制度を本当に理解して頂いて、完全な実施をしてもらうように宣伝啓蒙といいますか、いろいろの方法を講じて見たい、かように思つております。幸か不幸か物価統制令が現在ありますのですから、先ほど申上げましたように、物価統制令によつてこの運賃が統制されておる間は、定額制及び現拂制実施しないということにいたしまして、その間或る程度時間が稼げるわけでありますので、その間に今のような啓蒙宣伝をやる。又いよいよ実施に当りましても三カ月間なり、施行法によつて実施を猶予しております。又区域トラツク事業については一カ年は実施を猶予する。こういうことをいたしておりまするし、更に法律そのものによつて経理上の手続その他の止むを得ない場合には、法定の期間は現拂を延ばしておりまするし、更に反覆継続して契約する、運送するような場合には運輸大臣許可を得て更に延ばすことができる。こういうふうにいろいろと間に期間を置いて、又いろいろと緩和規定を置いて、そういう性急に否でも応でも全面的に実施をするということではございませんので、そういう方法によつてだんだんと完璧を期することができるようになるだろう、こういうふうに思います。
  26. 高木正夫

    高木正夫君 趣旨は大変結構だと思うが、今のような宣伝啓蒙方法で、果してそれがうまく実行できるかどうか、私は懸念を持つております。それから物統令廃止になるのはいつのことかわからんので、これを規定に入れないので、その物統令廃止なつたときに必要であれば入れるということのほうがいいのじやないかというふうに考えます。特に通運事業法との関連において……、そこらにもう少し御考慮の余地がないでしようか。
  27. 中村豐

    政府委員中村豐君) 物統令関係はいろいろ考えたのでありますが、その廃止のときにこういう規定を置くということは、又そのときにして見れば急な話になるものでありますから、今から掲げておいて、十分理想と申しますか、運賃のあるべき妻を今から法律で掲げておいて、ただその実施物統令関係で延ばしておく、そうすれば業者のほうも荷主のほうも十分早くからその心構えでいて頂ける、こういうつもりで、あえて宣言的な嫌いがありますけれども、こういうふうにしておいたのであります。又通運事業法には御説のように現拂をとつておりませんけれども、これはトラツク通運事業との性質の違いでありまして、通運事業国有鉄道を真中におきまして、遠隔の地の取引になりますから、これが発地運送店着地運送店の収受すべき運賃料金、諸掛りまで現拂いで取るということは不可能でありますし、又着地発地運送店の分まで併せて取るということも相当むずかしいことでありますので、事業性質上現拂いを強行することは無理だろうと思うのであります。
  28. 高木正夫

    高木正夫君 わかりました。次の九条ですが、割戻をしてはならないということになつておりまするが、もとよりこれは個人的な差別取扱いになる場合はこれはいかんと思いますが、例えば、一定期間一定数量に達したものに対しては割引をするというようなことは、これはやつても差支えないのじやないか。むしろそういうほうが実際の商習慣に適していると思うのですが、これは嚴重にこういうふうにやらんでもいいかと私は考えるのですが、御意見如何ですか。
  29. 中村豐

    政府委員中村豐君) お説の通りで、そういう合理的な割戻は割戻額そのものを八条で認可を受けておけば、その割戻ということが定額になるわけでありますから。この九条は、認可を受けずに勝手にそのときの思いつきで割戻をしていうという趣旨であります。又そのほかに割増しということも考えられるので、八条で認可を受けておけば差支えないそれが定額そのものになり変るわけであります。
  30. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ちよつと遅れましたので、重複する点があるかと思いますが、第一にお尋ねしたいのは、これは画期的な法律言つてもいいと思うのですが、この法の第一の目的の「公正な競争を確保する」という字句でございますが、この解釈につきまして、これは必ず複数制をやらせるということにならんと、公正な競争ということになりますと、例えば問題が起きると思いますのは、今都営或いは市営等バスの運行を盛んにやつております。それは一つ独占事業になつております。その区間において……。そういうのには必ず競争線を設けさせて、公正な競争をやらせるという意味を含んでいるかどうかということを第一にお尋ねしたい。
  31. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) この第一条に「公正なる競争を確保する」という字句を今回採用いたしましたので、一部に非常に何でも複数制にして競争をやらせるのではないかというような懸念を持つておられるような向きもあるやに聞いておりまするが、今回この字句を採用いたしましたことは、決してそういう意味合いではございません。道路運送事業免許につきましては、第六条に許可基準を掲げているわけでございますし、申請が出ますれば、この基準に従いまして審査をし、そうしてこの基準に適合したものを免許するという建前をとつております。で現在すでに既存の例えばバス事業者がございまして、その事業者の行なつておりまする事業そのものが非常にいい運営をやつている。その当該地区におきまするところの輸送の需要を十分に満足させているというような場合には、新たに申請が出ましても、この免許基準には適合しないことに相成るわけであります。ただ問題は戰時中何でもバスにつきましては一営業路線主義というものを標榜いたしておつたのでありますが、そういうふうな形式的な方針というようなものは勿論現在においてはとつておりません。従いましてその当該地区におけるところのバス事業者が誠意がなく、実際に現地の輸送需要にマツチしないような経営をやつている、或いは又誠意はあつてもすでにそれだけの能力もなし、現地の需要に対応し得ないというような場合におきましては、その限度におきまして新たな申請が適格なものでありますならばこれは免許いたします。従いまして複数になることもあるわけでございます。その場合にこの法律におきまして競争事業が、バスといわず、他の自動車運送事業におきましても起きました場合には、一定法律的な規制を加えまして、公正な競争を確保させる。決して不当な競争には及ぼしめないという意味合いのものでありまして、ただ公正な競争、特に競争という字だけを非常に強くとりまして懸念をする向きがございますが、そういう心配はないものと御了承願いたいと思います。
  32. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今の局長の説明でわかりましたが、第六条の二項では、運輸大臣免許をしなければならないと、こういうことになつております。この条件に合致した場合には、第六条の第一項の各号について……。これは当然に見解の相違が起きるだろうと思うのです。これは運輸大臣のほうでは、供給輸送力が輸送需要量に対して著しく不均衡ではない、こういうふうに認めるというかも知れんが、沿線の連中が署名運動なるものを展開いたしまして、これはもう一つつてもらつたほうがいいというような申請があつた場合に、これが対立いたした場合のこの調整をどういうふうに考えておられるか。沿線の住民の要望等が合致している、ところが既設の業者のほうでは反対だ。それから新設のほうに対してはそういうふうな動きが盛んにまあ署名運動なんということをやつて参ります。それが対立した場合のこの調整をどういうふうになさるか。これをちよつと承わりたい。一方においてはこれはしなければならないと規定しておりますから、これは相当問題があると思います。
  33. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 第六条の免許基準只今御説のようにいろいろ意見が対立する虞れもありまするのは、第三号或いは第四号、殊に第三号においていろいろ意見の対立する場合があると思います。この基準を実際に適用いたします場合におきましては、免許申請手続としまして運輸審議会に諮問をしまして、道路運送審議会におきまして現地におきまして公聽会を開いております。従いましてその公聽会におきまして賛成者或いは反対者おのおの意見を述べまして、資料を提出いたしまして、その答申を運輸審議会において更に検討いたしまして、運輸大臣に答申が出て参りますので、それを尊重して処置するという、こういう手続でありますが、この場合に公正なる審査決議を行いまして間違いのないようになして行くことになるのでありますが、それでもその決定に対しまして不服がございますれば、それぞれ訴願その他の救済方法はこの法律においても考えておる次第であります。
  34. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今の点につきましては、将来これは必ず当委員会等には請願としてたくさん出て来る問題であるとこれは予想されますので、特にこれは私から念を押してお尋ねしておく次第でございますが、この取扱い方は非常にむずかしいので、これは調整の方法考えておかなければならんのじやないかと考えます。  これは打切りまして、次に目的の第二につきまして、「道路運送の総合的な発達を図り」と、こう第一条の目的で謳つておるのでございますが、道路運送につきましては、特に自動車のメーカーは今では通産省の所管になつておる。それから運転手免許監督、これは警察関係の所管になつておるだろうと思います。それから交通規則は道路管理者たる都道府県知事又は市長等がきめておる、それから製造工場は運輸省である、車体の試験検査も運輸省、道路の建設は建設省、こういうふうに所管がそれぞれ違つておるわけでありますが、この道路運送法と銘打つてこれだけの法律を作られる上において、これらの諸官庁において分割管理されておるのを総合的にやるということであつたならば、統合してやるということについて研究されたかどうか、この点について一つお伺いいたしたいと思います。これは非常に不便だと思います。総合的な発達を図りと、ここにはなつておりますか、非常に管轄区域が分れておつて、むしろ縄張争いが起るように今のところなつておると思いますが、この法律案立案に当つてその点について自動車局長、運輸大臣は、関係大臣の間に話合いを持たれ、或いは折衝を持たれたか、将来もこのままで行かれる方針であるか。
  35. 牛島辰彌

    政府委員牛島辰彌君) 道路運送の総合的な発達を図りという意味合いからいたしますれば、只今御指摘のございましたように、各省に分属いたしておりまするところのもろもろの権限をできるだけ集約いたしまして行なつて行くのが最もよい、又そうしなければならないことであると信じておるのであります。従来行政機関の改正或いは行政事務の配分等の問題につきまして、私どもといたしまして常に主張いたしておりますることは、自動車の生産に関するところの行政並びに道路に関するところの行政、道路交通取締のうち道路運送関係の多い部門についての問題につきましては、常に私どもが主張いたしておるのでありまするが、微力にいたしまして、未だその実現するに至つておらないのであります。生産事業に関しまして今回道路運送車輌法を制定するに際しましては、いわゆる整備、修繕、改良という面と生産とは、或る面に参りますと誠に近い面があると思います。その場合におきましてもいろいろと問題がありまして種々折衝をいたしました。又道路との関係につきましても、行政機構の問題は別といたしましても、これは実際に道路行政と輸送行政は密接な関係にあるのでありまして、この法律におきましても特にその面を考えておるようなわけであります。この交通取締関係につきましては、この方面におきまして旅客自動車運転手の資格その他につきまして公安委員会のほうといろいろと話合いました結果、本法に一条を起すようなことになつております。
  36. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次にこの法律の形態と申しますか、法体系と申しますか、免許の面は、一応これは公法的なものだと私は思います。鉄道でいうと敷設法に相当するものだと思います。それから営業について、これは鉄道営業法に相当する私法的なものだと思いますが、免許とそれから営業と、例えば運送約款をどこに掲示しなければならないというようなことをきめるのと、公法的免許規定を一緒くたにして道路運送法としてしまつたが、こういう立法形態に、こういう形に持つて行く方針であるかどうか、この点について一つお伺いしたいのでございます。
  37. 中村豐

    政府委員中村豐君) 免許とか認可とかいうような公法的な規定がありまするし、それから今御質問の運賃料率を掲示しろというようなことは、これは事業者に義務付ける公法的な規定でございます。又その他いろいろな改善命令であるとか運送引受事務とか、或いは事業計画通り運行しなければいけない義務とか、公共の福祉を害してはいけない義務とか、そういうようないろいろ義務的な規定があります。そういう点はこれは公法的な規定だと思うわけでありますが、そのほかに今度の法律では営業に関するようなこと、事業者の経営に関するような規定が入つて来たことは事実でございます。その点では多少私法的に見える問題もございますが、公法私法の規定を総合的に併せまして、道路運送の健全な発達という点から集大成したいというような気持でこの法律を作つたので、特に公法、私法関係をごつちやにして、法体系をめつちやくちやにしてしまうというようなことではないと思つております。
  38. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に第八条につきまして、「適正な原価を償い」、この適正な原価というような字句で表現されておるのでありますが、減価償却といいますか、何年間に償却させるというようなことを大体あなたのほうでは考えに入れてこれを法律に表現されたのが、適正な原価ということになつておるわけでありますか。第二には、「適正な利潤」、これは投下資本に対する何%というようなことの算出方法というものは、公式でもあなたのほうでできておるのかどうか、ただこの表現だけでございますか、これは非常にむずかしい。文章に現わした場合には適正な原価、適正な利潤というようなことは誠に結構でありますが、これを認可される場合、受けるほうの場合、料金を拂つてバストラツクを利用するほうにとつては非常にこの点はむずかしいと思うのですが、その場合お考えになる原則というものがありましたらお示しを願いたいと思います。
  39. 中村豐

    政府委員中村豐君) 「適正な原価」という上に「能率的な経営の下における」と、こう書いてありますように、ただ業者のかたが、俺は適正な原価だとこう言われても、受けるほうの役所の側で調べて、その経営に非能率な点がある場合には、これは適正な原価とは言えないので、やはりその事業を運営するに十分な能率を発揮して合理的な経営をしておる場合に、それでもなお且つ要る原価はこれは適正である、こういうふうに見たいと思うのであります。その意味で「能率的な経営の下における適正な原価」と、これ一本で読んで頂けば、おのずからそれはどういうものを指すか具体的にきまつて来ると思うわけであります。例えば燃料というものはどのくらい要るものであるか、車両は耐用年数がどれくらいであるか、タイヤはどうであるか、修理費は一般にはどのくらい要るのであるかとか、或いはその地区における人件費はどのくらいのものであるかということは、これはおのずからきまつて来ると思いますから、そういうものをその具体的なケースについて調べて見たい、こういうふうに思つております。適正な利潤の問題でございますが、この適正な利潤を何%に見るかは、これは非常にむずかしい問題でありまして、又自動車運送事業の中でもトラツクバス、或いはハイヤーその他おのおの違つておりましようし、そのときどきに又その土地によつても違うでしようから、これはよくその実情に合うように研究したいと、そのときによく検討したいと思つております。
  40. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この運賃認可をするときに、これは適正な利潤を含むものと、それから適正な減価償却ができるものと、この二つは必ずくつつくものと思うのですが、これもやはり対立になるだろうと思うのです。申請をして来たのと、あなたのほうで認めないという問題が必ずこれに対立して来るだろうと私は思う。これには一応その原則といいますか、公式というものが私はなければならんと思うのですが、そうせんと、勘で以て承認するかどうかということではおかしいと思うので、これは全国的な問題で、各方面から申請が来るものを、一々これはいいか悪いかで、勘で判断されたのでは工合が悪いと思います。が、あなたのほうでこれを立案するに当つての公式、原則というものがあると思うのですが、それを聞かしてもらいたいと思います。
  41. 中村豐

    政府委員中村豐君) その点は先ほど高木委員からも御質問がありましたのですが、申請業者のかたから出されて、それを運輸省のほうで受身で審査するのでありますけれども、そういうふうに全然見当がつかずばらばらであつても実際に困るというようなことも予想されるので、さような場合には一応のめどとして、この地区においては大体このくらいが妥当であると思われるようなことを実際には表わすようなことの措置もあろうと思います。併しそれは飽くまでも物産で、この辺ならば我々としても妥当に思うのだがという参考に過ぎないので、全く申請は自主的な、申請者の自由な判断で出して頂けばいいわけであります。
  42. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に第十四条に参りまして、点検に要した費用、これは申込者が負担しなければならないことになつております。これはまあ品名相違等の点検に要した費用だと思うのですが、この費用ということになつて来ると、これは又必ずこの品名相違を発見して、点検したという場合には問題が起ると思うのでございますが、その限度等はやはり運送約款に規定するというように、結局は負担しなければならないとしているのですが、これは運送約款等にきめさせるつもりであるかどうかという点をお伺いしたいと思います。申込者のほうでは、これを負担しなければならないのです。
  43. 中村豐

    政府委員中村豐君) 業者のほうで負担……。
  44. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 申込者が負担すると書いてあります。明告と異なるときは、これは品名相違で罰金をとられることになるのです。その点検に要した費用ということになると、これは又むずかしいことになると思うのです。
  45. 中村豐

    政府委員中村豐君) 明示したところと異るときにはその費用は荷主のほうで負担すると、こういうわけですが、併しその費用の額の問題は、これは荷主立会の下で同意を得てその場で開くのですから、結局その費用というものは余りそう争いがあることではないと思うのです。その場で立会の下でやるわけですから、あれはうんとかかつたなんといつてあとで虚偽のことを言うことはできない。立会でありますから、それほどこの額について問題は起らないと思うわけであります。なおそういう点とか、先ほどの運賃の問題でも、争いが起つたりした場合には訴訟という途は開かれておるので、救済方法はあるわけであります。
  46. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは必ず品名相違を発見したというようなときには、恐らく荷主業者との間は対立して喧嘩になることはわかつているのですよ。これは貨物運送規則なんかでは、品各相違を発見した場合にはどれだけ取られるということはちやんときまつておる。業者との間の争いになつた場合に、運送約款でそういうものは明示して置く、その限度はこういうふうなものであるという明示をさせなければならんと思う。私は将来において必ず起る問題だと思うので、この点が一方においては申込者に負担を課しておるわけですから、この点はお考え願わなければならんと思います。これは一つ意見として申上げて置きます。  次に第十五条の運送拒絶の事由中に、第七号にある「運輸省令で定める正当な事由」と、こういうのがあるのですが、これは大体運輸省令として何を予定しておられるのですか。運送拒絶の場合、省令でどういうことを定めるおつもりですか。これはお聞きして置かんと、運送拒絶ですから重要な問題が起つて参ります。第十五条の第七号です。これは法律でも認めて置きながら、一方政令で制限されるのですからね。
  47. 中村豐

    政府委員中村豐君) 具体的な例を申しますると、幼兒、小さい子供とか重病人が單独で乗ろうというのはこれは困りますから、そういうものは運輸省令で定めて除く。それから荷物にして見れば、荷造りの不完全とか宛先の不鮮明な貨物の運送を申込まれた場合には、それは運輸省令で正当な事由として断つてよいと、こういうようなことであります。例としてはそういうものであります。
  48. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それは第十六条で、「但し、急病人又は腐敗し易い貨物を運送する場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない」、こういう運送順位の場合にもあるわけです。順位変更、この正当な順位というのは、これもやはり業者の選択によるものかどうか、この点について一つお聞きしたい。
  49. 中村豐

    政府委員中村豐君) 十六条の正当な事由として普通考えられますのは、例えば急行便の制度を作つたような場合には、それは早く先に送るというようなことになるわけです。又その他法律や官庁の命令などによつて、運ばなければいかんとされた場合には優先輸送する、それがこの場合の例になるわけであります。
  50. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 わかりました。その次に第二十二条へ参りまして、「旅客の運送に附随して、少量の郵便物、新聞紙その他の貨物を運送することができる。」と規定しておりまするが、この少量の限度等も運輸省令で定めるのか、これは非常に又問題だと思うのです。将来において業者が運営しました場合に、これを少量と認めるか認めないか、これはただ少量と抽象的に現わされておりますが、どういうふうにきめるのですか。
  51. 中村豐

    政府委員中村豐君) この少量の限度、程度を今すぐ申上げるまでには至つておりませんけれども、この郵便物、新聞紙というように例を挙げまして、その他まあこれに準ずるような、そのくらいのものは旅客自動車で運んでもバスで運んでも、そのためにトラツクとの摩擦を起したり、輸送秩序を紊すようなことはないであろうというような程度のものと、こういうことでございます。従いまして具体的にその範囲を確定してしまうことは困難でありましようけれども、この例からその趣旨を解釈して頂きたいと思うわけであります。
  52. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それは例の解釈というよりも、業者になつて来るとそうは行かないので、「その他の貨物」と書いてあるだけですから、法律に何ら制限しておらないので、これは「等の貨物」としてあるのなら別ですが、「その他の貨物」というのですから、この文章ならそう解釈してやるのが当然だろうと思うのですが、「等の」というようにしてあれば別ですがね、それは大丈夫ですか。そういうような敷衍しての解釈……。
  53. 中村豐

    政府委員中村豐君) これは「少量の郵便物、新聞紙」の上に「旅客の運送に附随して」という条件があることは御存じの通りであります。それからそれを持込んだために旅客の運送に邪魔になる場合、ほかの旅客に迷惑を及ぼすような場合、そういうものはいけません。この趣旨は、まあその程度のものは一緒にやつたほうが便利ではないか、旅客のためにも便利だし、ほかの旅客にも迷惑を及ぼさない、そういう程度のものであります。それで「その他の」というのは、ここの条文をずつと読んで頂くとそういう趣旨が出て来ると思うのです。
  54. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これはなぜ私が申上げるかと申しますと、行商人なんかの場合が往々問題になるのです。行商人が持つている荷物を持込ませるか持込ませないかということが必ず問題になる。そうして金を取るか取らんかということが必ず問題になるからして、この規則をどういうふうに解釈するかということでお尋ねしているわけです。これは旅客の運送に附随するだろうと思うのです、行商人の場合は……。
  55. 中村豐

    政府委員中村豐君) 郵便物や新聞紙は公共性の強いものでありますから、他に運ぶような機関のない場合に、こういうものをバスででも運ばせないとほかに運べないというような場合、これは公供負担という見地から認めてやらなければいかんというような趣旨でこれはできたわけでありますが、その他のものの解釈について、いろいろ行商人の場合とかいうことは、ほかにそういう途はなくて、その程度のものならば他の旅客も迷惑しないというようなものならばそれで行けると思います。今の旅客の迷惑になる物を運ぶということは、これは二十九条で禁止されておりますから、その行商人が非常に臭い魚なんかを持ち運ぶということは、これはとめられるわけであります。ただ併し行商人の薬というような、極く少量の薬品のような場合には、これは二十二条でいいんじやないかと思います。
  56. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 関連して今の条文の中でちよつとお聞きしたいのですが、これは旅客の輸送に附随する貨物という意味だと思うのです。その場合にそれを認める容積なり重量なりというのは、個々事業者がきめて行けばいいというお考えかということと、それから料金を取つてもいいのか取らなくてもどちらでもいいものか、取つてはいけないとか、或いは取らなければいけないとかいうふうにきめられるお考えかどうか。
  57. 中村豐

    政府委員中村豐君) その大きさや寸法、重量というものは、これはこの趣旨が今まで申上げたような趣旨ですから、特に運輸省令でどのくらいということをきめることは必要がないと思います。事業者のかたが実際実情に合うように、この精神を逸脱しない範囲でやつて頂けばこれは差支えないと思います。併しくれぐれも他の旅客の運送に迷惑を及ぼすということでは困るわけでございます。それから料金の問題でございますが、料金は無賃でやることはこれはサービスでありますから差支えありません。それから運賃を取ろうとする場合には、これは認可を要する、こういうことであります。
  58. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に二十三条に参りまして、一般路線貨物自動車運送事業を経営する者ですが、この者は「自動車を使用して集貨し、及び配達することができる。」と、こういうふうになつております。自動車を使用した場合、これは反対解釈から行きますると、軽車輌を使用して集貨、配達を禁止する意味かどうか、ただ自動車使つてやれるというだけであるかどうか、これをお聞きしたいと思います。
  59. 中村豐

    政府委員中村豐君) これは軽車輌を使用してやる場合には、この法律の軽車輌の章によりまして届出をして頂くわけであります。自動車を使用する場合には、この法律の四条によりまして、本来ならばそれだけの免許を受けなければいけない。この場合には区域貨物自動車運送事業免許を受くべきでありまするけれども、それでは一般路線貨物自動車運送事業の健全な発達に支障を来しますので、特にこの条文を置いて、第四条の規定にかかわらず、免許を受けなくても集貨配達をすることができる、こういう趣旨でございます。ですからトラツクの場合には、この指定を受ければ免許を受けなくてもよろしい、小運搬の場合には届出をする、免許は勿論要らないというわけであります。
  60. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に二十七条におきまして、「年齢、運転の経歴その他政令で定める一定の要件を備える者でなければ、これをしてはならない。」年齢、運転の経歴、この年齢は、まあ運転手の免状を持つてつても年齢で以て制限しようとしておられるか、或いは経験年数、これはどの程度でこれを制限されるか、これは非常に又問題になるのです。免許状を持つておればそれは運転の権利があるわけです。ところが或る程度政令で、法律で認められているのを政令で制限しようというわけです。仕事に従事しておるのを政令に委任することになるわけで、重大な権利の制限になると思いますので、どの程度のことを用意しておられるか、お伺いしなければなりません。
  61. 佐竹達三

    政府委員(佐竹達三君) 只今の御質問にお答え申上げます。目下の状態におきましては自動車の運転の免許道路交通取締法の問題になつておりまして、公安委員会が所管いたしております。それで現在では一般免許だけでございまして、バストラツクに対する昔ございましたような就業免許といつたようなものは廃止になりまして、そのままの状態で、現在は一般免許だけになつております。それで私どもも昨年この法律を立案いたすことに当りまして、丁度非常に悪質のバス事故その他が瀕発いたしました事情に鑑みまして、何とか少くともバスだけでも或る程度のレベルの制限を考えたほうがいいのではないかということを考えまして、国警のほうに御相談申上げました。それで国警のほうでは、只今のところ差当りまだ急には就業免許のようなものを考えられる意向がないようでございますので、話合いました結果、このような程度に制限をしよう、こういうことになつております。それで内容といたしましては只今考えておりますのは、まだ本当に熟してはおりませんのですが、年齢は大体二十歳以上ということ、それからそのほかにまあその土地の事情に習熟しておることとか、それからぬかるみですとか雪の場合ですとか、そういつたような運転の技術に熟達しておることとか、そういうことがございまするが、そのほかに経験年数といたしましては大体バスで一年ぐらいのことを考えております。そうしてハイヤーにつきましては半年くらいのことを考えておりまして、差当り現在これが若し政令が実施になりました場合には、大体一年くらいはそのまま現状を認めて行こう、こういつたよう考え方をして目下考究しております。
  62. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  63. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて。
  64. 前田穰

    ○前田穰君 私も大分質問事項がたくさんございますが、本日一点だけお伺いしたいのであります。それは旅客のほうにも貨物のほうにも区域ということがあるのでありますが、この区域というものをどういうふうにお考えになつておるか、或いはもうすでに方針がおきまりになつておればそれを伺いたいのであります。これは行政事務の分配の問題を判断する上にも非常に影響があると思うのであります。抽象的に片付けられないで、具体的に詳しくお考えを伺いたいと思います。
  65. 中村豐

    政府委員中村豐君) 現在は主たる事業区域という表現で以て、主に一府県の範囲を指しております。併しそれが如何に実情に適しないかは、自動車の行動性、機動性を考えれば十分わかることでありますので、主たる事業区域といつて、それに当然関連する従たる事業区域ということが頭にあつて、その従たる事業区域の形で至るところに自動車が出ている。これが実情であろうと思います。それでこれは何のための事業区域か、全く法律がきめた観念が紊れて来ておりますので、今度の法律に主たる従たるということの考えかたはやめて、事業区域一本で行く。それから出る場合には特別の許可という制度をとるようにしたわけであります。その事業区域の考えかたでありますが、今申しましたように府県というふうな、昔できたような小さいサークルを考えておるのではありませんで、そういう府県の区域と経済交通の区域とは全く違うのでありますから、府県の考えかたは一切棄てて、新らしい交通区域を取上げて行きたい、かように思うわけであります。具体的にと申しますると非常にむずかしいのでありますが、この自動車の行動半径を考えてサークルを描く、それは数府県に亘ることもありましようし、一つの県の半分、或る県については一つの県の半分、一部分しか入らないところもあり、或いは他の県全部に及び、更にその隣の県に及んで行くということが十分考えられるわけであります。それを個々申請の場合に、或いは既存業者新法によつて確認する場合には、実際に従来どういうふうにそこの事業者の車が動いていたかを、実績をよく拝見いたしまして、実情に合うようにきめたいと思つておる次第であります。
  66. 前田穰

    ○前田穰君 過去の実情というとあれですか、單なる実績ということのようにも聞えるのですけれども、旅客と貨物と非常に事情も違い、それから着目すべき点も違うと思うんですが、貨物は普通経済圏といつたようなことが考えられると思うんですが、併しながら一概に経済圏といつても、それぞれの貨物の種類によつて、鉄道で運ぶほうがいいものと、それから自動車を用いるほうがいいというか、とにかく自動車を使うという場合と、同じ経済圏といつても、非常に鉄道の場合と自動車の場合と違い得ると思います。それから旅客の場合は、これは実績といつたら非常に大変なことになると思います。東京から大阪、或いはもつと向うまで越えて実績を持つておる業者があり得るわけなんです。だから單なる実績というような意味お話では、どうも納得が行きかねるわけでありますが、それともう一点、従来の主たる区域、従たる区域という場合の、主たる区域というものを今度免許のときに区域として定めるとなれば、従来の主たる区域というものと同じような考え方の区域を認められるつもりか。即ち手続は要りましようが、その区域の中ならば支店を置いてもよろしい、営業所を置いてもよろしい、自分の本社なら本社の近辺と同じような営業を区域内であるならば数府県先でもやつていいのか、そういう意味で従来の主たる区域ということと同じ考え方で新らしい区域というものを考えておられるのか、そういつたような点を一つ伺いたい。
  67. 中村豐

    政府委員中村豐君) 過去の実績というものは、それを全面的に認める、事業区域として認めるというわけではございません。たまに全く例外的にそうしたこともありましようが、そういうものを全部認めるというわけではありませんが、過去の実績というのは、何といつても経済交通の必然に従つて起つたことが多いのでありますから、いわゆる経済交通圏としてどれが適正かを判断する最も有力な材料になる、参考になるという意味でございます。そういう意味で重要視したいと思つております。  それから既存業者の確認に当つては、従来の主たる事業区域をそのまま事業区域に認めるのではありませんで、これはたびたび申しまするように、府県の單位というのは全く交通上ではナンセンスでありますから、主たる事業区域そのものを認めるわけではなしに、主たる事業区域にいわゆる従たる事業区域を合わして、そしてその範囲で交通経済圏を適正に抑えよう、こういうわけでございます。そうして主たる従たるなしの事業区域ができるわけでありますので、その範囲内には勿論営業所を置くことはできるわけでありますが、これは営業所を置くことは、新設、変更は認可事項ではあるわけですが、併し絶対に置けないということではございません。
  68. 前田穰

    ○前田穰君 私の申しようが悪かつたかも知れませんけれども、主たる営業区域と同じ今度の新らしい区域かといいました趣旨は、性質が従来の主たる営業区域というものと同じような性質で以て、今度新らしく区域を認めるのか、こういう意味に伺つたわけでございます。
  69. 中村豐

    政府委員中村豐君) 従来の主たる事業区域の中では営業所を置くことができる、併し従たる事業区域には営業所を置くことは原則として認められなかつたわけですが、そういう意味では今度の事業区域というのは、従来の主たる事業区域と同じような観念、考え方になるわけであります。
  70. 前田穰

    ○前田穰君 従来の実績を参考としてそうして個々の場合に具体的にきめるのだというと、これは甚だ私の申し過しかも知れませんが、非常にこの免許の重要な要素が、行政官の自由裁量に任されるという点が、一般国民にとつて非常に不安なような気持がするのであります。即ち例えば従来トラツクならトラツクで以て相当遠方まで行つておる、それはそのときの鉄道の貨車の状況にもよりましようし、それから腐敗しやすい荷物というような場合、又鉄道で送るということとの利害関係ということで非常な影響がありましようし、又工場、それから販売先の関係で非常に急ぐといつたよう関係で、鉄道で送ることは非常に商機を逸するというような関係自動車で運んでおる、こういうような例は非常に多いわけでありますけれども、機械的に区域を切られてこれ以外には行けないのだということは、非常に詳しい調べをして、そうしてこの範囲に拡げておけば大丈夫ということであれば、或いは実際問題としては差支えないような案ができ得るかも知れんと思う。併しながらそれが一に行政官の自由裁量にかかつてしまうのだ、こういうことは甚だ不安定のような気持がするわけであります。その辺の御意見一つ承わりたいと思います。
  71. 中村豐

    政府委員中村豐君) 既存業者の場合確認の手続で実績をいろいろ勘案いたしますし、新規免許の場合には、道路運送審議会、運輸審議会にかかるということは御承知の通りであります。それで官吏だけの自由意思に任されるというわけではありません。又確認の場合は、実績を十分検討いたしまするから、それほど御不安を持たれることはないのではないかと思うわけでありますが、ただ今までたまにあつたこととか、これからあるであろうという極く少数の例を頭に置かれて、その分まで一つ拡めておこうと欲張られる場合には、それは少し御要望が大き過ぎるので、その場合には削るということになるかもわかりません。将来非常に長い遠いところにあるかもわからん、又曾つてあつたというようなものを併せてやりたいと言われるならば、それはやつぱり今度の法律では路線貨物のほうの申請免許をとつて頂くほうがよいのではないか、やはり路線と区域と分けました以上は、長距離の遠隔な地域路線で行く、そうして近距離或いは場合によつては中距離になりますが、そういうものは区域で行く、こういうふうに自然に分野を分けて行く必要があるのではないかと思うわけであります。
  72. 前田穰

    ○前田穰君 私の心配する点は、最初にお伺いした今度の区域というのは、従来我々が主たる営業区域として認められたような仕事を全部やれる区域というものを作られるのか、その通りだ、こういうお話でありますから、そうすると今運輸省で考えておられる区域というものは非常に狭いのじやないか、非常に狭いということが頭の中にあるから、それで主たる営業区域と同じ性質の区域を作るのだ、こういうことになるのじやないか、そうすると実際の場合に現在行われている営業の区域よりも狭い区域ということになるのじやないか、こういうことを虞れるのであります。即ちまあ例えば静岡県、山梨県、神奈川県ですか、この三つを主たる区域にする。そうするとそこでは従来の主たる営業区域と同じことができる。そうすると山梨と静岡と神奈川県の業者は、極端な場合を想像すれば、全部が甲府にも静岡にも横浜にも店を出して全く競争になる。こういうことが想像されるわけなのですが、それはいいのだ、こういうふうな御意見のようでありますから、自然この区域というものが比較的小さいのではないか、こういうことが想像されるわけなのです。
  73. 中村豐

    政府委員中村豐君) 従来の主たる事業区域と同じ考えで今度の事業区域は考えたいと思います。ということは、その区域内では営業所を作ることができる。ただそうだからといつて従来と同じように狭いことを考えておるのではないので、たびたび申しますように府県の境というものは全然無視してしまいたい、かように思います。ただ表現の形式上、場合によつては図面を書くわけに行きませんから、形式的な免許状としては図面を書くわけに行きませんから、或いは便宜上行政区画としての区分とか何とかいう名称を使うかもわかりませんけれども、それは便宜しただ表現の問題であります。それでそれならばどういう程度考えるかでございますけれども、或る程度トラツクなり、乗用自動車の行動能力を考えまして、一日で行動し得る範囲というようなことはこれは考えなければいかんと思います。二日も三日もかかつて行くところまでこれは事業区域として当然認められるのだということになれば、これは自動車自体の性能としてはむしろ今度でいう路線事業になるべきであると思うわけであります。それで今例に引かれましたような山梨、静岡、神奈川というようなことは当然考えられるわけでありますが、その場合に甲府に各三県のトラツク業者が皆営業所を持つことができることになると、そこが問題でないかという点も我々も心配されるのでありますが、それはそういうことの可能性があるだけでありまして、営業所を置くことにつきましては、先ほど申しましたように認可事項でございますから、余りにそこに営業所が集中することによつて不当なる競争が起りそうな場合には認可しないということによつて調整できるのじやないかと思います。
  74. 前田穰

    ○前田穰君 では一応私はここで打切りまして、留保いたしておきます。
  75. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     植竹 春彦君    理事            岡田 信次君            小泉 秀吉君            高田  寛君    委員            仁田 竹一君            山縣 勝見君            菊川 孝夫君            小酒井義男君            高木 正夫君            前田  穰君            松浦 定義君            鈴木 清一君   政府委員    運輸大臣官房長 荒木茂久二君    運輸省自動車局    長       牛島 辰彌君    運輸省自動車局    業務部長    中村  豐君    運輸省自動車局    整備部長    佐竹 達三君   事務局側    常任委員会專門    員       古谷 善亮君    常任委員会專門    員       岡本 忠雄君