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説明員(加賀山之雄君) 去る四月二十四日
桜木町駅
構内におきまして
電車火災事故を惹起いたしまして、その結果といたしましてお容様がたに多数の
遭難者を出しております。そういう件につきまして本
委員会におきまして愼んで御報告を申上げ、厚く
お詫びを申上げ、なお
対策、
善後措置等について考えておりますという点につきまして述べさせて頂きたいと存ずるのであります。
昨四月二十四日午後一時四十分頃……四十二分でございましたが、
桜木町駅の
構内に起きました
電車火災事故は、
国鉄において
電車を採用いたしまして以来、初めての
電車としての大きな結果を招来いたしました
事故でございまして、この点につきましては、
運営の
責任を担う
国鉄といたしまして誠に
お詫びの
申上げようもないところでございます。この
事故に遭遇されましてお亡くなりにな
つたかたがたや、又負傷された
かたがた、御家族の
かたがた並びに
国民各位に非常な御不安をおかけしたということに対しまして、本当に何とも申上げる言葉もない次第でございます。当時お亡くなりになりました
かたがたといたしましては、
末尾にございますけれども、五月五日現在におきまして
死傷者の
総数合計百九十八名でございまして、そのうち亡くな
つたかた百六名、男のかたが五十四名、御婦人のかたが五十二名、その
地域別はそこに記載してございます
ように
東京都九名、
横浜市四十一名を最高にいたしまして、その他神奈川県下、遠くは関東及び四国、山陰、
九州等にまたが
つておられます。怪我をされたかたは全部で九十二名でございまして、男のかたが八十名、女のかたが十二名、
只今入院中のかたが二十名ございます。他の七十二名の
かたは通院又は
応急手当をいたしたかたでございます。
私どもといたしましては何よりも先ず
善後措置と申しますか、
事故によ
つて亡くな
つたかたがたの御遺族の弔問、負傷されたかたのお
手当、これに粗忽があ
つてはと存じました私以下
関係の
職員を動員いたしまして万全を期しておる次第でございまして、我々といたしましては深くこの
責任を痛感しておりますが故に、一層この仕事に対しては單に金銭という
ような問題を離れて飽くまでも心の中から我々がお盡しするという気持でやるということを
信條といたしまして、
只今先ほど申しました
ように努力いたしまして、実は昨日
鶴見の総持寺におきまして
合同慰霊祭を営ませて頂いた
ような次第でございますが、今後も
弔慰、
御見舞の問題が残
つておるわけでございます。取りあえず御香典、或いは
御見舞、御供物という
ような形で仏前に、或いは
病院にこれをお届けしてございますが、これは勿論当座のことでございまして、今後これも
関係職員を動員いたしまして、正当な受取るかたを決定し、各家庭の御
事情をよく承わりまして
弔慰に万全を期して参りたいと、か
ように存じております。勿論
入院中の負傷された
かたがたに対しましては、
横浜並びに
東京の然るべき
病院の全部、信頼すべき
病院に依頼をいたしまして、手厚い治療をして頂いております。
次にこの
善後措置として最も我々が大切と考えておりますことは、この
原因の究明でございまして、この
原因を究明することから、今後こうした
事故並びに重大な
列車運転事故とい
つたものをなくする
対策が生まれて来ると思いまして、先ずこの
火災事故につきましては徹底的に
原因を究明いたすということにいたしておるのでございますが、直接
関係者等が
只今我々の手で調べることができない立場にあります
ような
事情がございまして、更に我々がまだ疑問とするところもないではないのでございます。ただ現在までに我々の手で調べ得た
資料でとにかく一応の
結論を出さなければならん、でこの
結論を基として今日は御報告申上げたいと思うのでございますが、なお引続いてこれらの
職員から我々の調べたことを究明することができる
ようになりますと、更にこの
原因の探究に
修正追加をいたしまして更に
対策としてもこれを追加いたして行く点もあるというふうに考えておるのでざごいます。
それで
只今のところ
事故発生の
原因といたしましては、
只今お手許に差上げてございます
資料の二枚目でございますが、当日午前中から
横浜桜木町駅の間で
上り線の
架線の
碍子、これを取替
作業をしていたのでございます。これは一定の年月を経ますと、この
碍子を取替えて参るという必要が生ずるわけでございまして、
電車の合間に
作業をいたしてお
つたわけでございますが、午前中は無事にこの
作業が終えたのでありまして、午後引続いて
桜木町駅寄りの
構内の所の
作業に取りかか
つたわけでございます。その実施中に誤ま
つてメッセンジャー・
ワイヤー、吊
架線とい
つておりますが、つまり
架線を吊る線を
アースさせまして、そのためにメツセンジヤー・
ワイヤー、その
架線が切れたのでございます。そのためにそれに吊られてお
つたトロリー線がゆるんで、丁度
工事をしておりました所がこの
末尾に
図面でございますが、長細い
桜木町駅
列車火災事故現場見取図というこの左のほうの斜めの線が入
つておりますのが、
桜木町駅の
プラットホームでございまして、そのこれは下のほうが
海側、
上部が
山側と相成
つております。で丁度
工事をしておかましたのがこの四
号柱、一番右端の四
号柱の辺でや
つておりましたのでございますが、この
架線がこの
図面の
ように張られておりまして、
下り電車が参りますとこの
桜木町駅の
プラットホームは
両側に
電車が通る
ように相成
つております。その当時は
両側共プラットホームが空いてお
つたわけでございますが、奥はこの
電車の前に
試運転電車が入ることにな
つておりまして、この
電車は
山側の
プラットホーム、
上り線のほうに入る
ように予定されてお
つたわけであります。でそれが入りますのには
下り線を渡
つて参りまして、この
プラットホームの近く、右側の近くに交錯した所がございますが、そこを
渡つて上り線に入るというふうに相成
つておる。
従つて下り線自体は何にも故障はなか
つたわけでございますが、
上り線の
架線がそういうふうに
垂下をした。でたまたまこの渡る交錯しております所で
トロリー線に高低の差ができ、そこへ丁度入
つて参りました
電車が突つかけた形になりまして、結局この
トロリー線を切断する、これが切断した
ワイヤーが
パンタグラフに巻きついて来たという結果を来たしたわけでございます。これより先、
需力工手長はこの下に見
張つておりまして、この
工事をしてお
つた工手が或いは誤
つて落ちたか、或いは自分で飛降りたか、これはまだ明らかにされておらないのでございますが、とにかくこの
工事をしているところから地面に落ちてその結果として当然この
トロリー線に
影響が起
つたということが明らかでございますので、このまま
電車を
運転することは危険と感じた、これも明らかにされておりませんが、
推定でございますが、直ちに
電車をとめるために
附近にある
桜木町駅
信号扱所に走
つたわけであります。この
信号扱所というものはプラツト・ホームの
図面で申しますと、下のほうにございまして、ここでこの
電車のどちらの線に通るか振り分けをや
つてお
つたところで、ポイントを扱
つておる
場所であります。そのときにあたかもこの
下り一二七一
B電車が入
つて参りまして
渡り線を渡
つて進行して来たためにこれが間に合わないで、何ら施す術もなく先ほど申上げました
ように
電車の
最前部の
パンタグラフが
上り線の
トロリー線に引つかかりまして
トロリー線は断線し、
パンタグラフに巻きついたという結果に相成
つたわけです。そのとき
電車運転手は火花の
発生を認めまして直ちに
非常制動をかけまして
パンタグラフを下ろしたのでありますが、
トロリー線の一部が切れて、
パンタグラフにからみついておりますために、その
パンタグラフは降下しないで、そのまま切れた電線から
流れる
電流が
碍子台、この
パンタグラフに巻きついております
碍子台に
アースいたしまして、そのために
アースが連続
発生いたしまして
附近の
屋根、
木部等の
可燃部に引火して、そしてそれが燃え拡が
つた、か
ように
推定できるのであります。で、今申上げました
ようにこういう工合になりました
状態につきまして、本人の口から直接聞いておりませんのでまだ非常にデリケートなところまでは判明いたしておりませんが、この
状態というものにつきましては間違いないものであるというふうに我々
推定をいたしております。で、こういう火がついたということでございますが、如何にも
事故の結果被害が極めて甚大であ
つたわけでありますが、こんなに大きなことにな
つた原因につきましては、結局火の
廻りが極めて早か
つたということが大きい
原因であろうと思うのでありますが、その火の
廻りが極めて早か
つたということの
原因につきましては、なお疑問の点がございまして、なおよく
検討中であります。なお我々のほうでは車を
一つこの
状態で焼いてみて、更に最後の
結論をはつきりする
ような
措置もと
つたらどうかという
ようなことも話しておる次第でございまして、現在までのところこの
原因とおぼしいことは
トロリー線が
アースを起すと同時に、
横浜変電区の
高速度遮断器が働いてこれはいわゆる
ハイスピードが飛ぶというのでありますが、つまり
電流が自動的に切れるという装置をいたしておるのであります。不自然にいろいろ
事故的に
電流の
流れが変
つた場合、非常に多く
流れたという
ような場合には自動的に切れるという
ように相成
つておるわけであります。このほうは
遮断器が働いて飛んだわけでありますが、この
場所だけでなくて大体
両側に
変電区がある、或いはき
電室があるという
ようなところでは、いわゆる
併列給電ということをや
つておるのでありまして、これはつまり
電流の
流れをスムースにいたしますために、一方からじやなくして
両側からや
つておる、
片方に変動があ
つても
片方がスムースに代りに
流れるという
ような
仕組にな
つておるわけでございまして当時この
場所には
鶴見と
横浜二カ所から
併列給電をや
つてお
つたわけでございます。
鶴見のほうは
横浜より
遠方にありますために、
ハイスピードを操作するまでに若干の時間を要する。これは特に自動的でなくて、やはり
連絡いたしまして切らないと、切れなか
つたのでございまして、当時の
状態をよく調べて見ますと、その切るまでに三分間くらいあ
つたというよで、三分間ぐらいは
電流が
流れてお
つたという
推定がつくわけでございます。
それからもう
一つは、丁度
場所が高い、高架された
場所でございまして、前方からは約十メートルのかなり強い風が吹きつけてお
つた、そのために
火勢が一層強ま
つたのではなか
つたか。これも
推定でございます。それから車輌の
内部には
木造部分が多くて
不燃性にな
つていないのでありまして、これは後にも申上げます
ように、勿論今度の
事故に
会つた車だけではないのでございまして、
全般に
電車の外部は
木製車を全部なくしまして、
鋼製車にいたしておりますが、
内部には
木造を使用していますが、これは全
電車、全
客車がさ
ようでございます。
次に
運転手は
制動手配をとりまして、ブレーキをかけまして、
パンタグラフを下ろしました
あとに、
うしろを振り返
つて見たところが、
黒煙と
火勢が非常に猛烈で手の
つけようがなか
つたのではなか
つたか。で本来でありますならば
運転室の
ドアを開けまして
客室内へ入る
ドアがございます。又
運転手が、いわゆる
ドア開放コックの扱いをするということに相成
つておるのでございますが、これをいたさなか
つたということは、結局先ほどの火が早くてもう
黒煙と
火勢が猛烈で寄せつけなか
つたのではなか
つたかと考えられるのでありますが、
客室の
連絡ドアも開けませんで、そのまま
運転士の入口にな
つておりますところから下車いたしまして、一両目の
電車の最後部へ
廻り、そこから入ろうとしたけれども、内開きの
ドアーを開けることができない。これは乗
つておられた
かたがたがこの
うしろのほうに殺到しておいでにな
つてお
つた。これは内にはなかなか開かないということは
推定されるわけであります。二両目の
電車に入
つて、二両目の
ドアーを内から開けて二両目の
乗客並びに一両目の
ドアーの
上部の
ガラスが割れておりましたとこから、そこから救出をしたということが
推定できるのであります。
車掌は
事故発生して直ちに
ドアーの
スイッチを扱いましたけれども、そのときはすでにもう
ドアー・エンジンは作用せず開く
状態にはならなか
つたのであります。
次に窓が三段式にな
つておりましたために窓を上に上げて開けるということは極めて困難でありまして、窓を破
つて行かなければならないという以外に
方法はなか
つたのであります。これらのことが惨禍を非常に大きくした
原因の
ように考えられるのでありますが、火の
廻り方等につきましては、なお技術的に
十分検討を加えなければならん点が残
つている
ように考えておる次第であります。
これらの
原因からいたしまして今後の
対策の問題になるわけでございますが、今度の
事故について考えて見ますると、先ず第一には
事故の
原因自体がやはり人為的に起きております。
架線の
垂下ということは
風雪等の
関係で天災的に起るということもあり得るのでございます。この場合は、
工事をして誤
つていわゆるメツセンジヤー
ワイヤーを
切つたのでございまして、人為的である。
従つてこういう
作業をする時間が、このきわどい
何分間隔で
電車が動いておる途中でやることが絶対必要であ
つたかどうかという
ような点も、これは勿論
検討しなければならんと思うのでありまして、これは
労働基準法等にも
関係を持
つて参るわけでありますが、いわゆる
運転していない、深夜業、深夜の間に行われましたならばこういうことも起きなくて済んだということは考えられるのでございます。ここで
工事をする必要がどうしてもあ
つたといたしまして、これらの
工事はかなり困難な
工事でありまして、
熟練者を充てておるわけでありますが、万誤りなきを期するということも当然努めなければならないと思うのでありますが、いよいよ誤
つたとい
つた場合に、今度は何よりも第一にやはり
列車防護を考えなければならん。
列車、
電車運転中でございますならば、
列車を
安全サイドにとめるということが絶対必要なのでございまして、このときも
連絡はいたしましたが、時間が間に合わない。或いは
連絡が不完全な点がありまして、
電車を未然にこのわたり線前でとめてしまうことができなか
つたという
ような
事情があるわけでございます。いわゆる
列車、
電車防護をはつきり考えなければならん、それがなんとしても一番重要な問題であろうと思いますが、いざこういう場合にな
つたといたしまして、次に対処し、考えなければならん問題は、そう容易に燃えないという
ような
方法を案出し、そういう
対策を立てるということであろうと思います。これはなんといたしましても中の
天井、特に
パンタグラフ廻りの絶縁、或いはこれに
木製部分を少なくして、
金属製のものを多く使う。そうして
可燃物を減らすということがやはり車両を安全にする
方法であろうと考えられるのでありまして、勿論これは材料並びに経費の問題にな
つて参りまして、直ちに今全
列車、全
客車、全
電車をか
ように
改造いたしますることは容易ならんことであると考えますけれども、これも我々といたしまして根本の方策として考えなければならないところではないかというふうに考えております。
それから更に
万が一火災が起きたという
ような場合に、そういうふうに火の
廻りの遅くて
延燒を少なくするほか、なんとしても
お客様に無事に逃げて頂くということを考えなければならん。その場合にはやはり逃げ口を、或いは非常口を大きく取
つておくということであろうと思います。今回の
ようにまあ火の
廻りの早い
ようなときは、特に窓からの出入りということは非常に困難である
ように考えますので、この
両側に六つ乃至八つございます。
ドアーを必ず開け得る
状態にしなければならないということと、前後に貫通できる
ようないわゆる
列車の、汽車の
客車の
ようにいたす、或いは
湘南電車、
横須賀線の
電車の
ように貫通できる
ようにする。そういたしますと、例えば六三型でありますと、
両側に四ツずつで、つまり八つと、前後に二つできますれば、十口で非常にたくさん口ができるわけであります。それがいつでも開け得るという
ような
状態にしなければならないということで、取りあえずこうい
つた場合に
お客様の御協力を得て
コックを扱
つて頂くということを、まあ取りあえずの処置といたしましていたしたのでございますが、これは非常に考え方によ
つては危険でございまして、やたらに平常これをいじられますと、
列車や
電車の
運転に危険を伴うということがございますので、従来はこれを公表することを実は差控えてお
つたのでございますが、そういうことも言
つておられんということで、これを公表いたした次第であります。なおこの
湘南、
横須賀電車以外の各
電車につきまして、早急に前後の
貫通式に直し、幌をつけまして、
ドアを通
つて自由に貫通できる
ようにするという
改造工事に着手いたした次第であります。なお
電車の下には各
電車とも
開放コックが、やはり
ドアーを開きます
コックが車体の下についております。これは従来は或いは徹底していなか
つたと思うのでございますが、
従事員全般に徹底いたしまして、
従事員がいさえすれば誰でもそれを扱かえるというふうに、いざという場合は操作できるというふうに徹底いたしました。なおブザーを
電車内に設けまして、
運転手或いは
車掌に対しまして、
お客様の側から万一の場合に
連絡がとれる
ようにいたしたい、この
改造もいたしたいと考えております。なおこの
お客様に今扱
つて頂こうとお願いした
コックにつきましては、これは腰掛の下についておりまして、容易に扱えるわけでございますが、かがまなければできないという式にな
つております。又やろうと思えば誰でもやれる
仕組にな
つております。できるならばもう少しいい
場所につけて、而も非常な場合以外はそう簡単に扱われない
ように、これは
一つの
ガラス箱の中に入れますとか、そういうふうに簡単に割れる
ガラス箱の中に入れたらどうかというふうに考えておる次第であります。
今度の
惨事につきまして、六三型
電車が非常に御非難を受けたわけでございますが、もともと六三型という
電車は、約七百両くらい
只今ございます。いずれも
戰事設計でございまして、確かに材質その他資材が十分でないときに作りましたために、非常に上等な車であるということは言えないのであります。特にこの電気の
部分、つまりモーターに関しまする
部分は、或いは
裸線を使用してお
つたという
ような
関係で、ままシヨートする
ような、そのために
運転台からスパークを出すということが起きまして、これが例の
三鷹事件当時も非常に問題にされてお
つたところでございますが、そのいわゆる
電動機に関する
部分につきましては、その後手を入れまして普通の標準型と全然変らない
ように
改造いたしております。従いまして
只今六三型が他の
電車と違
つておりますところは、やはり窓が三段窓にな
つている。上と下とが
両方が開く
ような窓にな
つておりますということ、それから約そのうちの三分の二程度がまだ
天井が
張つていないということでございましたが、今度の
事故に遭遇しました
電車は、
あとで調べてみますと
天井は
張つてあ
つたということが明らかにされております。大
部分は
屋根だけで
天井が
張つてない。
従つてお乗りにな
つて御覧にな
つて頂きますと、下から
龍骨の
ような
屋根が直接目に入るという
ような恰好にな
つております。で、この
屋根につきましても下手に
ベニヤ等の
屋根を以て張りますと一層燃える
部分が多くなるという
ような恰好になりますので、本当にこれは安全にするためには、或いは
鉄板で張るベきではないかというふうにも考えております。これは勿論金はかかるわけでありますけれども、特に
電動車等につきましては、
鉄板で
天井を張るということが適切の
措置の
ように考えられるわけであります。
それから
事故の結果を非常に大きくした
原因として、
電力いわゆる
ハイスピードが
遠方のものが働かなか
つたということを申上げたのでありますが、これにつきましては、従来もいろいろ研究をして参
つているのでございますが、
併列給電しております場合は、一方を通るときには必ず一方も通る。いわゆる
電流が強く
流れるという場合に二色あるわけでございまして、
電車を起動する、つまり
電車を動かすときに
スイッチを入れる。このときには一口に
電流が多く
流れるわけであります。その箇所で起動が行われた場合には、そのとき一時的にどつと
電流が多く
流れる。それは普通の場合の
負荷電力の問題であります。この場合に常時
高速度遮断器が働いては、これは非常に
電車の
運転には悪
影響がございまして、円滑に行かなくなる。今度の
ような
原因によりまして
自己電流が特に
流れた場合に、
両側の
高速度が働いて一時に
電流が遮断されますと、今度の
ように或る時間続いて、過熱してお
つたという
ようなことがなくなるわけでありまして、これは非常に大事な問題だと考えております。非常に技術的にも一応
検討中のものもあるわけでございます。
両方の
変電区をインターロックするという
方法が考えられはしないかというふうにも考えられるのでありまして、技術的にこの点については
愼重に
検討を続けておる次第であります。何よりも第一に、
列車運転の安全を図るということが大事でありまして、先ほど申しました
ように、
工事を行うときに、ちよつとしくじれば、列再
運転に
影響がある、危険を及ぼすという
ような
工事については、その
施行方法について特に気を付ける、
運転の
安全確保を十分に考えてやる。そうして万一の場合には
列車を前以てとめる、防護することについての万全の
措置を講じて置くということが第一と思いますが、万一
事故発生の
可能性の生じたときには、
責任者がその
現場で果断な
措置をとれる
ようにし、又一旦
事故が
発生したときには
職員全体が
乗客の救助を第一としてそれに全力を注ぐという
ように、これらの一貫した
従事員の訓練、指導には従来も勿論軽視して参
つたわけではございませんが、今度のことに鑑みまして特にこの点の
現場への徹底を図ることといたしたい、か
ように考えておるのであります。
以上は極めて緊急の
措置としてすでに実行決定した事柄でございますが、なお先ほど申上げました
ように、今後あらゆる角度から
愼重に
検討を続けて参りまして、更に
関係者、或いは負傷されたかた等からも伺えるだけは伺いまして、当時の状況を更に詳細に闡明いたしまして、各般の
対策を講じまして、今後かかる
惨事、大きな
列車事故とい
つたものを引起すことがございません
ように努力を続けて参り、
従事員に徹底して参りたい、か
ように考えておる次第でございます。重ねて今回の
惨事に対しまして
国民各位に大変な御不安をおかけし、延いてこの
運輸委員会に御心配を煩しましたことにつきまして深くお詑びを申上げる次第であります。