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1951-05-08 第10回国会 参議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月八日(火曜日)    午後二時十八分開会   —————————————   委員の異動 三月三十一日委員前之園喜一郎辞任 につき、その補欠として深川タマヱ君 を議長において指名した。 四月二日委員深川タマヱ辞任につ き、その補欠として前之園喜一郎君を 議長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件一般運輸事情に関する調査の件  (桜木町駅における国電事故に関す  る件)   —————————————
  2. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 只今より会議を開きます。最初国有鉄道運営に関する件につきまして過般の桜木町駅の国電事故によりまする死傷者について国鉄総裁から発言を求められております。これを許可いたしますことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) ではさように  いたします。
  4. 加賀山之雄

    説明員(加賀山之雄君) 去る四月二十四日桜木町構内におきまして電車火災事故を惹起いたしまして、その結果といたしましてお容様がたに多数の遭難者を出しております。そういう件につきまして本委員会におきまして愼んで御報告を申上げ、厚くお詫びを申上げ、なお対策善後措置等について考えておりますという点につきまして述べさせて頂きたいと存ずるのであります。  昨四月二十四日午後一時四十分頃……四十二分でございましたが、桜木町駅の構内に起きました電車火災事故は、国鉄において電車を採用いたしまして以来、初めての電車としての大きな結果を招来いたしました事故でございまして、この点につきましては、運営責任を担う国鉄といたしまして誠にお詫び申上げようもないところでございます。この事故に遭遇されましてお亡くなりになつたかたがたや、又負傷されたかたがた、御家族のかたがた並びに国民各位に非常な御不安をおかけしたということに対しまして、本当に何とも申上げる言葉もない次第でございます。当時お亡くなりになりましたかたがたといたしましては、末尾にございますけれども、五月五日現在におきまして死傷者総数合計百九十八名でございまして、そのうち亡くなつたかた百六名、男のかたが五十四名、御婦人のかたが五十二名、その地域別はそこに記載してございますよう東京都九名、横浜市四十一名を最高にいたしまして、その他神奈川県下、遠くは関東及び四国、山陰、九州等にまたがつておられます。怪我をされたかたは全部で九十二名でございまして、男のかたが八十名、女のかたが十二名、只今入院中のかたが二十名ございます。他の七十二名のかたは通院又は応急手当をいたしたかたでございます。  私どもといたしましては何よりも先ず善後措置と申しますか、事故によつて亡くなつたかたがたの御遺族の弔問、負傷されたかたのお手当、これに粗忽があつてはと存じました私以下関係職員を動員いたしまして万全を期しておる次第でございまして、我々といたしましては深くこの責任を痛感しておりますが故に、一層この仕事に対しては單に金銭というような問題を離れて飽くまでも心の中から我々がお盡しするという気持でやるということを信條といたしまして、只今先ほど申しましたように努力いたしまして、実は昨日鶴見の総持寺におきまして合同慰霊祭を営ませて頂いたような次第でございますが、今後も弔慰御見舞の問題が残つておるわけでございます。取りあえず御香典、或いは御見舞、御供物というような形で仏前に、或いは病院にこれをお届けしてございますが、これは勿論当座のことでございまして、今後これも関係職員を動員いたしまして、正当な受取るかたを決定し、各家庭の御事情をよく承わりまして弔慰に万全を期して参りたいと、かように存じております。勿論入院中の負傷されたかたがたに対しましては、横浜並び東京の然るべき病院の全部、信頼すべき病院に依頼をいたしまして、手厚い治療をして頂いております。  次にこの善後措置として最も我々が大切と考えておりますことは、この原因の究明でございまして、この原因を究明することから、今後こうした事故並びに重大な列車運転事故といつたものをなくする対策が生まれて来ると思いまして、先ずこの火災事故につきましては徹底的に原因を究明いたすということにいたしておるのでございますが、直接関係者等只今我々の手で調べることができない立場にありますよう事情がございまして、更に我々がまだ疑問とするところもないではないのでございます。ただ現在までに我々の手で調べ得た資料でとにかく一応の結論を出さなければならん、でこの結論を基として今日は御報告申上げたいと思うのでございますが、なお引続いてこれらの職員から我々の調べたことを究明することができるようになりますと、更にこの原因の探究に修正追加をいたしまして更に対策としてもこれを追加いたして行く点もあるというふうに考えておるのでざごいます。  それで只今のところ事故発生原因といたしましては、只今お手許に差上げてございます資料の二枚目でございますが、当日午前中から横浜桜木町駅の間で上り線架線碍子、これを取替作業をしていたのでございます。これは一定の年月を経ますと、この碍子を取替えて参るという必要が生ずるわけでございまして、電車の合間に作業をいたしておつたわけでございますが、午前中は無事にこの作業が終えたのでありまして、午後引続いて桜木町駅寄りの構内の所の作業に取りかかつたわけでございます。その実施中に誤まつてメッセンジャー・ワイヤー、吊架線といつておりますが、つまり架線を吊る線をアースさせまして、そのためにメツセンジヤー・ワイヤー、その架線が切れたのでございます。そのためにそれに吊られておつたトロリー線がゆるんで、丁度工事をしておりました所がこの末尾図面でございますが、長細い桜木町列車火災事故現場見取図というこの左のほうの斜めの線が入つておりますのが、桜木町駅のプラットホームでございまして、そのこれは下のほうが海側上部山側と相成つております。で丁度工事をしておかましたのがこの四号柱、一番右端の四号柱の辺でやつておりましたのでございますが、この架線がこの図面ように張られておりまして、下り電車が参りますとこの桜木町駅のプラットホーム両側電車が通るように相成つております。その当時は両側共プラットホームが空いておつたわけでございますが、奥はこの電車の前に試運転電車が入ることになつておりまして、この電車山側プラットホーム上り線のほうに入るように予定されておつたわけであります。でそれが入りますのには下り線を渡つて参りまして、このプラットホームの近く、右側の近くに交錯した所がございますが、そこを渡つて上り線に入るというふうに相成つておる。従つて下り線自体は何にも故障はなかつたわけでございますが、上り線架線がそういうふうに垂下をした。でたまたまこの渡る交錯しております所でトロリー線に高低の差ができ、そこへ丁度入つて参りました電車が突つかけた形になりまして、結局このトロリー線を切断する、これが切断したワイヤーパンタグラフに巻きついて来たという結果を来たしたわけでございます。これより先、需力工手長はこの下に見張つておりまして、この工事をしておつた工手が或いは誤つて落ちたか、或いは自分で飛降りたか、これはまだ明らかにされておらないのでございますが、とにかくこの工事をしているところから地面に落ちてその結果として当然このトロリー線影響が起つたということが明らかでございますので、このまま電車運転することは危険と感じた、これも明らかにされておりませんが、推定でございますが、直ちに電車をとめるために附近にある桜木町信号扱所に走つたわけであります。この信号扱所というものはプラツト・ホームの図面で申しますと、下のほうにございまして、ここでこの電車のどちらの線に通るか振り分けをやつてつたところで、ポイントを扱つておる場所であります。そのときにあたかもこの下り一二七一B電車が入つて参りまして渡り線を渡つて進行して来たためにこれが間に合わないで、何ら施す術もなく先ほど申上げましたよう電車最前部パンタグラフ上り線トロリー線に引つかかりましてトロリー線は断線し、パンタグラフに巻きついたという結果に相成つたわけです。そのとき電車運転手は火花の発生を認めまして直ちに非常制動をかけましてパンタグラフを下ろしたのでありますが、トロリー線の一部が切れて、パンタグラフにからみついておりますために、そのパンタグラフは降下しないで、そのまま切れた電線から流れ電流碍子台、このパンタグラフに巻きついております碍子台アースいたしまして、そのためにアースが連続発生いたしまして附近屋根木部等可燃部に引火して、そしてそれが燃え拡がつた、かよう推定できるのであります。で、今申上げましたようにこういう工合になりました状態につきまして、本人の口から直接聞いておりませんのでまだ非常にデリケートなところまでは判明いたしておりませんが、この状態というものにつきましては間違いないものであるというふうに我々推定をいたしております。で、こういう火がついたということでございますが、如何にも事故の結果被害が極めて甚大であつたわけでありますが、こんなに大きなことになつた原因につきましては、結局火の廻りが極めて早かつたということが大きい原因であろうと思うのでありますが、その火の廻りが極めて早かつたということの原因につきましては、なお疑問の点がございまして、なおよく検討中であります。なお我々のほうでは車を一つこの状態で焼いてみて、更に最後の結論をはつきりするよう措置もとつたらどうかというようなことも話しておる次第でございまして、現在までのところこの原因とおぼしいことはトロリー線アースを起すと同時に、横浜変電区の高速度遮断器が働いてこれはいわゆるハイスピードが飛ぶというのでありますが、つまり電流が自動的に切れるという装置をいたしておるのであります。不自然にいろいろ事故的に電流流れが変つた場合、非常に多く流れたというような場合には自動的に切れるというように相成つておるわけであります。このほうは遮断器が働いて飛んだわけでありますが、この場所だけでなくて大体両側変電区がある、或いはき電室があるというようなところでは、いわゆる併列給電ということをやつておるのでありまして、これはつまり電流流れをスムースにいたしますために、一方からじやなくして両側からやつておる、片方に変動があつて片方がスムースに代りに流れるというよう仕組になつておるわけでございまして当時この場所には鶴見横浜二カ所から併列給電をやつてつたわけでございます。鶴見のほうは横浜より遠方にありますために、ハイスピードを操作するまでに若干の時間を要する。これは特に自動的でなくて、やはり連絡いたしまして切らないと、切れなかつたのでございまして、当時の状態をよく調べて見ますと、その切るまでに三分間くらいあつたというよで、三分間ぐらいは電流流れておつたという推定がつくわけでございます。  それからもう一つは、丁度場所が高い、高架された場所でございまして、前方からは約十メートルのかなり強い風が吹きつけておつた、そのために火勢が一層強まつたのではなかつたか。これも推定でございます。それから車輌の内部には木造部分が多くて不燃性になつていないのでありまして、これは後にも申上げますように、勿論今度の事故会つた車だけではないのでございまして、全般電車の外部は木製車を全部なくしまして、鋼製車にいたしておりますが、内部には木造を使用していますが、これは全電車、全客車がさようでございます。  次に運転手制動手配をとりまして、ブレーキをかけまして、パンタグラフを下ろしましたあとに、うしろを振り返つて見たところが、黒煙火勢が非常に猛烈で手のつけようがなかつたのではなかつたか。で本来でありますならば運転室ドアを開けまして客室内へ入るドアがございます。又運転手が、いわゆるドア開放コックの扱いをするということに相成つておるのでございますが、これをいたさなかつたということは、結局先ほどの火が早くてもう黒煙火勢が猛烈で寄せつけなかつたのではなかつたかと考えられるのでありますが、客室連絡ドアも開けませんで、そのまま運転士の入口になつておりますところから下車いたしまして、一両目の電車の最後部へ廻り、そこから入ろうとしたけれども、内開きのドアーを開けることができない。これは乗つておられたかたがたがこのうしろのほうに殺到しておいでになつてつた。これは内にはなかなか開かないということは推定されるわけであります。二両目の電車に入つて、二両目のドアーを内から開けて二両目の乗客並びに一両目のドアー上部ガラスが割れておりましたとこから、そこから救出をしたということが推定できるのであります。車掌事故発生して直ちにドアースイッチを扱いましたけれども、そのときはすでにもうドアー・エンジンは作用せず開く状態にはならなかつたのであります。  次に窓が三段式になつておりましたために窓を上に上げて開けるということは極めて困難でありまして、窓を破つて行かなければならないという以外に方法はなかつたのであります。これらのことが惨禍を非常に大きくした原因ように考えられるのでありますが、火の廻り方等につきましては、なお技術的に十分検討を加えなければならん点が残つているように考えておる次第であります。  これらの原因からいたしまして今後の対策の問題になるわけでございますが、今度の事故について考えて見ますると、先ず第一には事故原因自体がやはり人為的に起きております。架線垂下ということは風雪等関係で天災的に起るということもあり得るのでございます。この場合は、工事をして誤つていわゆるメツセンジヤーワイヤー切つたのでございまして、人為的である。従つてこういう作業をする時間が、このきわどい何分間隔電車が動いておる途中でやることが絶対必要であつたかどうかというような点も、これは勿論検討しなければならんと思うのでありまして、これは労働基準法等にも関係を持つて参るわけでありますが、いわゆる運転していない、深夜業、深夜の間に行われましたならばこういうことも起きなくて済んだということは考えられるのでございます。ここで工事をする必要がどうしてもあつたといたしまして、これらの工事はかなり困難な工事でありまして、熟練者を充てておるわけでありますが、万誤りなきを期するということも当然努めなければならないと思うのでありますが、いよいよ誤つたといつた場合に、今度は何よりも第一にやはり列車防護を考えなければならん。列車電車運転中でございますならば、列車安全サイドにとめるということが絶対必要なのでございまして、このときも連絡はいたしましたが、時間が間に合わない。或いは連絡が不完全な点がありまして、電車を未然にこのわたり線前でとめてしまうことができなかつたというよう事情があるわけでございます。いわゆる列車電車防護をはつきり考えなければならん、それがなんとしても一番重要な問題であろうと思いますが、いざこういう場合になつたといたしまして、次に対処し、考えなければならん問題は、そう容易に燃えないというよう方法を案出し、そういう対策を立てるということであろうと思います。これはなんといたしましても中の天井、特にパンタグラフ廻りの絶縁、或いはこれに木製部分を少なくして、金属製のものを多く使う。そうして可燃物を減らすということがやはり車両を安全にする方法であろうと考えられるのでありまして、勿論これは材料並びに経費の問題になつて参りまして、直ちに今全列車、全客車、全電車をかよう改造いたしますることは容易ならんことであると考えますけれども、これも我々といたしまして根本の方策として考えなければならないところではないかというふうに考えております。  それから更に万が一火災が起きたというような場合に、そういうふうに火の廻りの遅くて延燒を少なくするほか、なんとしてもお客様に無事に逃げて頂くということを考えなければならん。その場合にはやはり逃げ口を、或いは非常口を大きく取つておくということであろうと思います。今回のようにまあ火の廻りの早いようなときは、特に窓からの出入りということは非常に困難であるように考えますので、この両側に六つ乃至八つございます。ドアーを必ず開け得る状態にしなければならないということと、前後に貫通できるようないわゆる列車の、汽車の客車ようにいたす、或いは湘南電車横須賀線電車ように貫通できるようにする。そういたしますと、例えば六三型でありますと、両側に四ツずつで、つまり八つと、前後に二つできますれば、十口で非常にたくさん口ができるわけであります。それがいつでも開け得るというよう状態にしなければならないということで、取りあえずこういつた場合にお客様の御協力を得てコックを扱つて頂くということを、まあ取りあえずの処置といたしましていたしたのでございますが、これは非常に考え方によつては危険でございまして、やたらに平常これをいじられますと、列車電車運転に危険を伴うということがございますので、従来はこれを公表することを実は差控えておつたのでございますが、そういうことも言つておられんということで、これを公表いたした次第であります。なおこの湘南横須賀電車以外の各電車につきまして、早急に前後の貫通式に直し、幌をつけまして、ドアを通つて自由に貫通できるようにするという改造工事に着手いたした次第であります。なお電車の下には各電車とも開放コックが、やはりドアーを開きますコックが車体の下についております。これは従来は或いは徹底していなかつたと思うのでございますが、従事員全般に徹底いたしまして、従事員がいさえすれば誰でもそれを扱かえるというふうに、いざという場合は操作できるというふうに徹底いたしました。なおブザーを電車内に設けまして、運転手或いは車掌に対しまして、お客様の側から万一の場合に連絡がとれるようにいたしたい、この改造もいたしたいと考えております。なおこのお客様に今扱つて頂こうとお願いしたコックにつきましては、これは腰掛の下についておりまして、容易に扱えるわけでございますが、かがまなければできないという式になつております。又やろうと思えば誰でもやれる仕組になつております。できるならばもう少しいい場所につけて、而も非常な場合以外はそう簡単に扱われないように、これは一つガラス箱の中に入れますとか、そういうふうに簡単に割れるガラス箱の中に入れたらどうかというふうに考えておる次第であります。  今度の惨事につきまして、六三型電車が非常に御非難を受けたわけでございますが、もともと六三型という電車は、約七百両くらい只今ございます。いずれも戰事設計でございまして、確かに材質その他資材が十分でないときに作りましたために、非常に上等な車であるということは言えないのであります。特にこの電気の部分、つまりモーターに関しまする部分は、或いは裸線を使用しておつたというよう関係で、ままシヨートするような、そのために運転台からスパークを出すということが起きまして、これが例の三鷹事件当時も非常に問題にされておつたところでございますが、そのいわゆる電動機に関する部分につきましては、その後手を入れまして普通の標準型と全然変らないよう改造いたしております。従いまして只今六三型が他の電車と違つておりますところは、やはり窓が三段窓になつている。上と下とが両方が開くような窓になつておりますということ、それから約そのうちの三分の二程度がまだ天井張つていないということでございましたが、今度の事故に遭遇しました電車は、あとで調べてみますと天井張つてつたということが明らかにされております。大部分屋根だけで天井張つてない。従つてお乗りになつて御覧になつて頂きますと、下から龍骨よう屋根が直接目に入るというような恰好になつております。で、この屋根につきましても下手にベニヤ等屋根を以て張りますと一層燃える部分が多くなるというような恰好になりますので、本当にこれは安全にするためには、或いは鉄板で張るベきではないかというふうにも考えております。これは勿論金はかかるわけでありますけれども、特に電動車等につきましては、鉄板天井を張るということが適切の措置ように考えられるわけであります。  それから事故の結果を非常に大きくした原因として、電力いわゆるハイスピード遠方のものが働かなかつたということを申上げたのでありますが、これにつきましては、従来もいろいろ研究をして参つているのでございますが、併列給電しております場合は、一方を通るときには必ず一方も通る。いわゆる電流が強く流れるという場合に二色あるわけでございまして、電車を起動する、つまり電車を動かすときにスイッチを入れる。このときには一口に電流が多く流れるわけであります。その箇所で起動が行われた場合には、そのとき一時的にどつと電流が多く流れる。それは普通の場合の負荷電力の問題であります。この場合に常時高速度遮断器が働いては、これは非常に電車運転には悪影響がございまして、円滑に行かなくなる。今度のよう原因によりまして自己電流が特に流れた場合に、両側高速度が働いて一時に電流が遮断されますと、今度のように或る時間続いて、過熱しておつたというようなことがなくなるわけでありまして、これは非常に大事な問題だと考えております。非常に技術的にも一応検討中のものもあるわけでございます。両方変電区をインターロックするという方法が考えられはしないかというふうにも考えられるのでありまして、技術的にこの点については愼重検討を続けておる次第であります。何よりも第一に、列車運転の安全を図るということが大事でありまして、先ほど申しましたように、工事を行うときに、ちよつとしくじれば、列再運転影響がある、危険を及ぼすというよう工事については、その施行方法について特に気を付ける、運転安全確保を十分に考えてやる。そうして万一の場合には列車を前以てとめる、防護することについての万全の措置を講じて置くということが第一と思いますが、万一事故発生可能性の生じたときには、責任者がその現場で果断な措置をとれるようにし、又一旦事故発生したときには職員全体が乗客の救助を第一としてそれに全力を注ぐというように、これらの一貫した従事員の訓練、指導には従来も勿論軽視して参つたわけではございませんが、今度のことに鑑みまして特にこの点の現場への徹底を図ることといたしたい、かように考えておるのであります。  以上は極めて緊急の措置としてすでに実行決定した事柄でございますが、なお先ほど申上げましたように、今後あらゆる角度から愼重検討を続けて参りまして、更に関係者、或いは負傷されたかた等からも伺えるだけは伺いまして、当時の状況を更に詳細に闡明いたしまして、各般の対策を講じまして、今後かかる惨事、大きな列車事故といつたものを引起すことがございませんように努力を続けて参り、従事員に徹底して参りたい、かように考えておる次第でございます。重ねて今回の惨事に対しまして国民各位に大変な御不安をおかけし、延いてこの運輸委員会に御心配を煩しましたことにつきまして深くお詑びを申上げる次第であります。
  5. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 次に只今運輸大臣が本件につきまして発言を求められておりますので、今迎えに参りましたが、暫時お待ちを願います。速記をとめて下さい。    〔速記中止
  6. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それでは速記を始めて。只今運輸大臣発言を求められております。先ほどお諮りいたしました点につきまして御発言を願います。
  7. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) 先月二十四日の桜木町構内に起りました国鉄電車焼失事故は、只今国有鉄道総裁より申上げました通り、運輸大臣といたしまして、誠に遭難者負傷者その遺族或いは関係者は勿論、広く国民に対しましても誠に申訳のない一大悲惨事であつたと衷心より陳謝せざるを得ない心境にあるものであります。同時に又一般国鉄電車等を利用する乗客に対しましても不安感を抱かしめたというようなことは、影響するところ非常に大きな問題だと思つております。こういうふうに返す返すも申訳ないことと痛感しているような次第であります。原因その他技術的の説明につきましては、国鉄総裁より申上げるほうが詳細を正確に盡し得ると考えるのであります。  運輸大臣といたしましては、あの事件の直後において、国鉄総裁とは会見をいたしまして、第一には遭難者負傷者及びその遺族、関係者等に対する当面差し迫つた弔意、慰謝、その他の方法を万事を差し置いてこれに当るように、続いて事故の起りました真相を時間の経過を成るべく経ないうちに確実にそれを突きとめる。同時に一般の国鉄電車、或いは汽車等を利用する乗客の不安感をできるだけ早く技術的に合理的に拭い去るということをやらなければならない。第四には将来に亘つて全面的に国有鉄道の電車といわず、汽車といわず、自動車といわず、安全度を引上げるという調査と対策とを講ずべきであること、という大体そのとつさの間に四つの方法を定めて国有鉄道総裁と話合つたような次第でございます。今日までその線に副うて進んで参つているのでありますが、事故の起りました真相を確かめるということにつきましては、御承知の通り、直接現場で働いた関係者が検察庁の取調の進行中に属しておりますので、形の上では技術的には判断ができるのでありますけれども、これに当つた当事者の考えなり、動きかたなり等を取調べることができませんので、ただ今日においては技術的の、機械的の推断を下しているわけであります。大体こういう方向によつて行くべきではなかろうかと考えております。更に又、これはまだその中に入つたのでありませんから、私のこの事件が起つた後感じたことなのでありますが、これは当然なされなければならないということに考えるのでありまして、又委員諸君よりもよき御忠言を願いたいと思うのでありますが、それは海運の場合には海難審判所というものがあつて、ただ単に事故が起つたときに直ちにそれを検察庁、或いは裁判所に移して扱うのじやなしに、一応経験を持ち技術を持つた人が判断をして、裁断を下して行く海難審判所というものがあるが、陸運の場合にもひとり電車、汽車というばかりでなしに、バスと電車の衝突があれば、自動車と汽車の術突があるような場合、これらを直ちに検察庁なり裁判所に持つてつて裁判を受けるという前に、経験、知識を持つているそれらの人によつてこれを裁いて行くというよう一つ何らかの機関を設けたならばどうかというようなことをも感じているのであります。これはまだ私の腹積りを申上げただけで、具体的に事務当局に諮つて見たわけでも何でもありません。こういうことは将来も、飛行機の場合もあり得る。こういう交通機関というものが文明の利器で、発達すればするほど、一朝誤まれば全く人間わざではないような、天災のような広範囲な、深刻な災害を人間に及ぼすのでありますから、これはただ刑法上の権利義務でやるということばかりでなしに、本当に技術的に専門の審判を加えるものが必要なのじやないかというようなことを考えつつあるのであります。この度の事故を契機として、更にこういう面にも研究を進めて行つたならばどうかと考えておるような次第であります。  いずれにいたしましても、この度のでき事は人災以上の天災に近いものと思いますけれども、併しどこかに欠けるところが、あつてつたのであろう、欠くるところがなければ事故は起らないはずであつたのでありますから、この度は一面においてその容易ならざる事態を起したことを陳謝すると同時に、更に将来に向つて再びこのことをなからしめるために今日の許す極度の機械的、学問的、又実際運用上の経験から割出した対策を講じなければなるまいか、そうして禍いを転じて十分福となし得るだけの真剣な態度でとり組まなければならない。こういうことを今日痛感いたしておる次第であります。  更に又技術的の或いは実際運用上の個條々々についてのお尋ね等に対しましては、国有鉄道当事者は勿論、更に又違た角度から運輸省の鉄道監督局の面からもお尋ねに応じてお答え申すようにいたしたいと考えております。以上であります。
  8. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それではこの問題に対しまする御質問がございましたら御発言願います。
  9. 前田穰

    ○前田穰君 この事件は非常に遺憾なことでありまして、将来かよう事故発生を防止するということはもとより当然のことでありまするが、この事故原因は恐らくは国鉄の当局におかれても、まだ当事者を直接詳しくお調べになる機会が得られていないのだろうと、かように考えますので、突つ込んだ御質問を申上げる時期じやないと思うのです。お配りになつておりますこのいろいろな原因対策等に関しましての書面の内容については二、三お尋ねしたいと思います。  一つは当時この線路工手長が危険を認めて信号扱所へ走つたと、こういうことになつておりますが、これはどういうふうな危険を認めて何で信号扱所へ走つてつたのであると御推定になつておるかということと、それからパンタグラフワイヤーが捲きついて下りなかつたという記事があります。それから運転手パンタグラフを下ろして、そうして外からドアを開けに行つたとこういう記事があります。それからもう一つ車掌事故発生を認めてすぐにエンジンを操作したけれども、すでに開かなかつたと、こういう三つ事実があるようでありますが、この間の関係といいますか、経過をどういうふうに御推定になつておるかという点と、それからもう一つこれは極めて単純なことなんですが、メツセンジャー・ワイヤーはどの点で切れておつたか、それからトロリー・ワイヤーはどの点で切れておつたか、それだけ一つ伺いたいと思うのであります。
  10. 石井昭正

    ○政府委員(石井昭正君) 実はお尋ねの点につきまして、只今私ども詳細取り調べておりますのでございますが、国鉄でいろいろお配りになりましたこの事故の御報告はとつさの間に、まあいろいろの情報を集めて編纂されたと思うのでございます。で私ども調べました結果によりますと、電力工手長が危険を成じたのは、どの程度であるか、これは一番問題でございまして、果してどういう危険を感じたかという点は、この問題の責任を解明する上にも一番大きな鍵ではないかと思うのであります。遺憾ながら只今私どものほうでは危険を感じたか、感じなかつたか、いずれであるかというケースで、危険を感じなかつた場合にはどうである、感じた場合にはどうであるという推定をいたしているにとどまつておるのでありまして、右とも左ともお答え申上げる段階ではないのでございます。御了承願います。  それからその次のトロリー・ワイヤーが捲付いつてパンタにからんでおつたということでございまするが、これは現在証拠品が全部地検のほうに参つておりまして、私どものほうでも一応現物を見せて頂く機会はあつたのでございまするが、まだ詳細にこれを符合させる段階に至つておりません。必ずしも捲付いていたと申しますか、からみ付いていたというのは少し形容詞が入り過ぎていたのではないかと思われるような点もあるのでございますが、そういう程度でまあぐるぐるからみついてたと申しますと、ぐるぐる捲きになつていたというようなことになりまするが、そうではなくて、或いは切断して乗つかつてつたという程度であるか、ちよつと曲つてつたという程度であるか、その点目下調査をいたしております。  それからドアの問題でございますが、車掌ドアのスイツチを操作いたしましたときは、これは明らかに電流が通じていなかつたと、かように考えております。失礼いたしました。それから何でございましたか。
  11. 前田穰

    ○前田穰君 メッセンジャー・ワイヤーとトロリー・ワイヤーの切れておつた位置。
  12. 石井昭正

    ○政府委員(石井昭正君) メッセンジヤー・ワイヤーの切れました位置はお手許に差上げてありますところの四号柱のところで碍子の取換作業をやつてつた、そこで電力工手の一人がスパナーでこの碍子の下をくぐつております線と上の線との間を繋いでおりますクリップの地点にスパナーを出しました。そのスパナーが電柱のビームと衝突しましてその地点から切断した、こう只今のところではほぼ断定できると思うであります。それからトロリー・ワイヤーが切れましたのは、これはメッセンジャー・ワイヤーの切れたときはトロリー・ワイヤーは切れておりません。恐らく事故電車がわたり線を入つてつたときのトロリー・ワイヤーが切れた位置と存じますが、これは果して正確に切れたと申上げれるかどうか多少疑問があるのでございますが、若しそう切れたということを前提にいたしますると第八号柱にほぼ差しかかる瞬間の地点で上り線ワイヤー下り線ワイヤーとが交叉、クロスいたすちよつと手前の、ハンガーにいたしますと五、六本程度のハンガーが入つておるかと思いますが、その辺からパンタの角が入りまして恐らくハンガーを拂つてつた交叉点のところで力が強くなつて切れたのじやないか。これはまあ推定でございますが、大体そんな程度に存じております。
  13. 前田穰

    ○前田穰君 もう一つ、これは運輸大臣にお伺いしたいのでありますが、先般事故のあつた直後の新聞に何か大臣のお話として、いろいろ原因もあろうが機構等にも多少原因めいたことがあるように思うといつたような記事が載つてつたのでありますが、これはさようなことをお話になつたかどうか。若しなつてつたとすれば、それはどういう意味でありましようか。今お話になつたような鉄道事故審判所みたようなことをお考えになつてつたのでありますか。何新聞によつては何かもつと交通省の機構全体に亘るようなことを書いてあつた新聞もあるように思うのでありますが、そういうお考えだつたのでありましようか。
  14. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) あの事件の直後に恐らく私は交通省の問題なんということをお話するはずはないと思います。今お尋ねでありましたからよつと今考えて見ましたが、私が漠然想像的の心持で例えば仕事をする上における命令系統といいますか、一つ現場における命令系統、それでそれが縦にはこう通じておるが横はどうなるのか、私があのときにどういう命令系統になつてつたか、実はその実情を私は承知しない。それから命令系統がどうなつておるか知らず、駅構内の仕事をしておる系統はどうなつてるかそれも一切承知しておりませんが、多分新聞記者諸君の集つたところで極く機械的の欠陥もあるかも知らんと、或いは従事員の訓練、操作の上の何かあるかも知れんと、或いは同時に又仕事をして行く命令系統の違いもあるかも知れない。線を扱うもの、何とかかとか扱うものによつて違いはありはしないか。そのものの横はどうなつておるか、とつさのときに横の連絡はどうなるかということ、こういうふうなことを抽象的に考えましたことを新聞記者諸君に雑談的に話をしましたが、それが多分そういうふうに載つたかと考えますが、その後私旅行いたしましたものですから、新聞を見ておりません。
  15. 岡田信次

    ○岡田信次君 小さい問題なんですが、先刻メツセンジヤー・ワイヤーが切れた個所が四号柱のちよつと先だと それからトロリー・ワイヤーが引つかかつた所が八号柱ちよつと手前であつた。この間百三十メートルくらいあるのですが、これを普通力学的に考えても、メッセンジャー・ワイヤーが切れたために、トロリー・ワイヤーがそれほど垂下するとは考えられないのですが、その点はどうですか。
  16. 石井昭正

    ○政府委員(石井昭正君) その点につきましては、実は検察庁運輸省も只今国鉄当局に現場で実施検証をやつてもらおう、もらいたいということを申込んでおるのでありまして、只今鉄道のほうで実地検証の準備をいたしております。実際問題といたしましては、恐らく計算上では二百ミリ内外は下り得るのじやないか。そういたしますと、丁度あの電車事故が起りましたパンタの摺版と角との先との間隔が二百ミリあるわけであります。まあすれすれに、不幸にも高低の差の間に入り込んで行つたんじやないか。こういう本当に推定で申訳ないのでございますが、その程度の下りはあるのじやないか。これはまあ実際やつて見てもらいたい、こういうふうに思つております。
  17. 岡田信次

    ○岡田信次君 実験せられるわけですか。
  18. 石井昭正

    ○政府委員(石井昭正君) さようでございます。
  19. 岡田信次

    ○岡田信次君 それからもう一つ、この図面によりますと、プラットホームにシーサースが入つております。もう一つわたり線があるが、直接事故関係はないんですが、施設がダブつているように思うんですが、両方要りますか。
  20. 石井昭正

    ○政府委員(石井昭正君) その点はどうも余り当て推量のお答えをすることはどうかと思いますので、お答えを保留してもらいたいと思います。桜木町のホームは非常に曲つておりまして、図面では真直ぐでございますが、割合に山側のほうが中心となつたカーブになつております。従つてこのシーサースのわたりを通つて行くよりは、わたり線に入るほうが運転上非常に楽なためにあるのじやないかと思いますが、なおよく調査をいたします。
  21. 岡田信次

    ○岡田信次君 大体このシーサースは、御承知のように線路のほうからも非常に弱点なんで、まあわたりがあるから無理にシーサースをかける必要がないので、片方のシーサースを取つちやつて山側のほうから両わたりにしたほうがいいと思うんです。その点どうでしよう。お考えになつたほうがいいんじやないかと思うんです。
  22. 石井昭正

    ○政府委員(石井昭正君) 研究さして頂きたいと思います。
  23. 内村清次

    ○内村清次君 丁度この四月二十四日の夕刊を見ましたときには郷里のほうにおりました関係で、夕刊及び翌日の朝刊を見まして、あの黒焦げになられたところの写真を見まして、誠にその惨事のひどかつたことにつきまして痛感せられた。各死傷者かたがたに対しましては私往時国鉄におりましたときを連想し、又たびたびの事故その他を体験をいたしておりました私といたしましても、誠に御同情に堪えない思いにかられておるのでございます。又特に大衆と接する機会が多くありました私といたしましては、この事故が国民の各層に亘りまして誠に悲惨な思いをされましたことにつきましても、直接その状態を見聞をいたしまして、我がことのように実はこの惨事に対しましては誠に二度と再びこういう惨事を繰返してはいけないというような感じに打たれたものであります。勿論先ほどからの総裁及び運輸大臣の御説明によりまして、その真意につきましては、また的確な調査が出ていない現状におきましては、私といたしましてもこれを技術的に一つ一つをとつてその真相の究明をして行くというようなことは差控えたいのでございまするが、ただあの当時新聞の情報を見ました観点からしましても、あの屋根が焼けて、そうして焼け落ちて、而も又その中に乗客かたがたが全く一部屋に閉じ込められて、阿鼻叫喚されておつたあの状態を思い合せますると、相当な時間的にもそれを何とかして死傷者を少くするような、方法はなかつたものであろうか。臨機な処置として又駅近くであつたからして、何とか駅員のかたがたや或いは指導するかたがたによつて臨機な処置ができなかつたものであろうかというようなことは、これは私たちといたしましても、ただ現場を見ない常識からいたしまして考えておつたような次第でございまするが、そういう点につきまして、実は今日まだ総裁及び運輸大臣からこういうような臨機な処置が、方法があつたんじやないかということの方法も、又影響するところ大であろうと思うのでありまするが、私はここでお尋ねいたしますることは、この事故をして再び起させないというようなお気持におきまして、万全な処置対策がとられておりますることは、只今承わつておりまするが、ただこの原因というものはこれはやはり又来るような気持がするわけでございます。そこでそれに対しまして、ただ惨事をあのようなことの起きないという方法、それから対策、これだけは確立させて置かれる必要がありはしないか。勿論これにつきましても、先ほどからその対策は十分されておるように認められまするが、問題は平素従事員その他に対しまする徹底でありまするが、こういう点につきまして、安全委員会というようなものを常置せられて、常にそういう指導関係、教書関係を徹底せられるようなお考えはあるかどうかということが第一点であります。  それから第二点は先ほど運輸大臣からお示しになつたのでありますが、これは常に運転従事員といたしまして責任の重大性からいたしまして、又みずからの身を守る点からしましても、常に叫んでおりまするようなことは、やはり特別な審判制度、これを設けてもらいたいということは。これはもう私たちが機関士をやつておりました当時からの叫びでありまして、海のほうには海難審判所がある。陸のほうにも是非一つ審判制度を設けて、そうして真実事故関係に対しては、先ず技術者のそういう経験者をしてよくその事情を、本当に真因を、これを自然のままに一つ究明をしてもらうし、又その中におつて自分たちのとつた処置をよく説明をして、そうして真相を明らかにしたいという願いは、これは誰もの運転従事員の希望であつたと私は考えております。事故が起きますと、直ちに身は刑事被告人として、そうして曳かれて行く、鉄道関係のほうでも応急措置をしたり、或いは又真相も早く発表して、そうして国民に知らせて、運転の今後の定全に対する安心感を與えるというようなこともできずして、刑事被告人になつて、そうして行くというような、非常に運転の重大性を持つております。この職務柄からいたしましても、なお且つ非常に辛い反面を持つておるものでありまて、これに対しましては、一つ今回の事故を契機といたしまして、当局におきましても、是非こういうような制度の確立をいたしまする上に直接御努力を頂きますることと同時に、私たちも国民の代表といたしまして、早くこの立法ができまするように努力いたしたいと思つておりまするが、これに対しまする運輸大臣の所信を今一つ聞かせて頂きたいのであります。  それから先ほどの私の申しましたうちにも、ちよつと含まして置きましたが、そういう応急措置その他につきましても、当局といたしましての考え方も時に触れて、いわゆるこれは若干情勢もいろいろ関係もありましようから、そういう点は御勘案になつた上におきましてこの委員会におきましても、随時一つ本当に隠さずに発表頂きまして、共にこういう事故の再発しないようにお互いが一つつて行くというような態勢の下に、この委員会を活用頂きまするように、私たちも特に念願をいたして置きたいのです。善後措置につきましても、なお且つ徹底された方策をされる必要もあることだと思いますが、先ず一つこの処理を完備いたされまするような方向において、更に国民のために御努力せられんことを私は切に希望いたします。この二点について御説明をお願いいたします。
  24. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) 海における海難審判所のごとき、陸運の上における事故審判所というようなものを、今漠然と頭の中で考えたというようなことを申上げましたが、私は素人なものですから、どういう御返事があるか、反響があるかと、臆病な態度で申上げたのでありますが、それにもかかわらず、鉄道の実際の体験者である内村委員から御賛成のお言葉、多年そのことを考えておつたものだという意味のお話があつたことは、非常に私としては自信を増し、心強く感じた次第であります。一般の安全度を高めるための調査整備ということの委員会は、これはどうしても常設しなければならない。そういう点までは事務当局とも話合つていたのでありますが、その審判所の問題は、まだ只今ここで私が封を切つただけで、事務当局にもまだ話しておりません。それで御賛成もあり、御支持も得るということでありますならば、一層これを具体的に進めるように方向を考えたい、こう考えますから、この上ながら御協力をお願いいたしたいと考えます。これは運輸省のほうに置くべきものか、或いは運輸省とは離れて、国有鉄道とも離れて、一つの外に設けるそういう審判所にすべきものか、そういういろいろ法制上のあり方も考究しまして、この点には力を入れて見たいと考えております。
  25. 加賀山之雄

    説明員(加賀山之雄君) 只今安全委員会を設置して対策を立てる、又現場作業員にも徹底する必要があるという非常に有難い御指摘を頂いたわけでありまして、実は事故後早速運輸大臣に御報告申上げ、又監理委員会にも報告いたしましたとき、特に安全委員会の問題については御指示がありまして、我々といたしまして、事故防止に対しましては、全面的に委員会組織を以てやつてつたわけでございますが、なおこの事故防止というよりは、安全委員会というほうが今度の場合のごとき非常にはつきりした観念を與えますし、又更にこの組織を作り変えまして、更にこれが現場の仕事を徹底し、又その監査もできるというよう仕組にいたしまして、安全委員会を組織化し、これを強力に実施いたします施策を只今準備いたしておる次第でございます。
  26. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 私大臣が御出席になつておるのでお伺いしたいと思うのですが、今度の事故につきましてもですね、やはり事故発生する場合にはいろいろな悪條件が重なり、複合して、それが予想外に大きな結果をもたらす点があると思うのです。技術的なそうした問題、或いは指導的な問題等があると思いますが、そのほかに現在の公共企業体という国鉄の企業体そのものに対しても、私はやはり直接の原因ではないにしても、間接的にいろいろ検討せられるべき余地があるのではないかと思うのですが、よく国鉄公社というものは中二階だなどというようなことも言つておる人がありますが、国鉄のそうした性格の問題について、大臣としてはこれを再検討する必要があるというようなことをお考えになつておりますかどうか、こういう点についてお伺いいたしたい。
  27. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) これはなかなか大きな問題でありますので、一個の私見を述べましては、影響するところ大きいと考えますので、私は発言を差控えているのでありますが、丁度たまたまそういうお尋ねがありますので申上げますが、恐らく今お尋ねの趣意の通りじやなかろうかと私も考えます。併しまだそれだけ大きい組織、それだけ大きい複雑なものを、国鉄公社として発足して僅かに一年半余りというような程度で、あれこれ批評することはどうか、もう少し突きとめて、その実績を見て行くべきじやなかろうかというようなことも、みずから煩悶しつつ、いろいろ或いは進むべきか、或いはもう一度振返つて検討すべきかというようなこともあるわけであります。私は勿論国有鉄道公社がこの国会において論議せられているし、私も議席は持つてつたのでありますが、その詳細な経過は委員にあらず、研究者にあらず、承知しておりません。運輸大臣になつてからいろいろ考えた程度でありますが、これらも常に向上、改善、進捗というようなことを頭に入れて置く、政治家の責任としては、それらのこともやはりみずからどういうふうな形で着手するかということは、第二段として常に心の中に置くべきはずである、置くことが当然の義務であろう、こういうふうに私ども考えます。これが軽率に外に流布されて、運輸大臣の考えには国有鉄道法改正の下心ありというふうに流布されますと、折角安定しておる従業員に非常な心理的の影響もありましようし、そういうことを虞れますから、私はそういうことを表向きに出すわけに参ませんけれども、絶えず政治家としては事のあり方に対して、進歩、向上、発展に応ずるいろいろ考えをして行くということが当然であり、現状維持、現状満足ということでは時勢の進運に応じ得ないものである、こういうふうに考えておるのであります。これは極めて公の席上ではありますけれども、政治家対政治家の話合ということとしてお聞取り願いたいと思います。
  28. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 今回の事故につきまして、いろいろ御説明を頂いたのでありますが、総裁のお話の中の、あと原因を改めて対策として講ぜられておられるという中に、私は今少し附加えてお考えを一つお聞きしたいと思うものであります。というのは、技術的に見まして、この事故のこうなりました結果につきまして、直接の原因を本当に考えます場合に、現場で私どももそうしたことについても参與した一員といたしまして、体験から申上げましても、実は服務規定というようなものに少しく欠陷があるのではなかろうか、こうしたことについて今後どういうふうにお考えになつておられるかということも少しく触れて頂きたかつたのであります。というのは、例えばメッセンジャーのワイヤーが切断されたところへ、ここに丁度信号もあり、「十一号」のポイントも並んでおります。そうしますと、千二百七十一は二番線にとるべき車ではありましようけれども、ポイント十一号以下の関係によれば一番線もとれます。そうして又四号電柱からも三メートルのところに信号機がある。これが二番線の指示をしておつたところで切換えればよかつたでしよう。そういうことから考えますと、今一つは中沢工手長が晝間の作業である限り手旗信号旗にて、一応進行停止をして置いて、信号扱所に話合いに行けばよいよう措置をとれるのじやないかというようなことも考えられます。たまたまそうした処置でなく、信号扱所に行つているうちに、この電車がすぐにここに入つて来た。従つてまだ話が付かないうちにどつちが一、二番に入れるか、どつちが入れるかという話が付かないうちに電車が向うに入つてしまつたのだ。大体問題は遡つて、今ちよつとしたことについて私が申上げましたように、若し工手長自身がそうなくちやならなくても、ほかのものが来て一応とめるという処置は講ぜられたはずである。技術的に見まして、確かに上り線のメツセスジヤー・ワイヤーが切れまして、これがシーサス或いはわたりがなければ、弛みが二百ミリメートルは出ないと私は観察できるのですが、結局このわたりと、それからシーサスがあります関係上、その架線ポイントが重いために、こういう結果になつたと思うであります。それは余談ですが……。今申上げましたように、ここですぐブレーキをかけることができ得れば、こうした事故は未然にこのとき防がれたと思うのです。そうしますと、これは従つて現場員の何と言いますか、訓練という問題にもなるでしようと、私は思いますのですが、現場員の訓練がどうして徹底しておらないのか、そういうものの資格審査をするということも聞いておりますか、どうか。併し私は結論的に申しまして、これだけの場所のところに、それの処置のできる従事員の訓練というものを重大視しなければならない。又架線碍子補修の仕事が果して夜間作業であるか、晝間やる作業であるか、例えば夜間作業をすべきであつたといたしましても、晝間やらなければならなかつたという現場の実情をもう少し考慮して頂きたい。如何に訓練する機構が設けられてありましても 実際の問題として、先ほど総裁も申されたように、整備規定上からの不備、又作業過重のために、基準法は人間の補充如何によれば無理に適用しないで、夜間もできるはずだ。それを聞きたい。結局作業過重の結果から夜の仕事ができないということかも知れない。併し私はああいう電力工事の扱い方は夜間やるのか、晝間やるのかということは規定を見なければわかりませんが、要するにこうした作業は私の想像から行きましても、総裁の御心配になつているように、夜間作業に入る架線作業じやないかと思います。そうすると、逆に晝間やつたということを考えますと、やはり人間の不足が相当原因になつていると思います。現在現場を見ましても、私らがいわゆる作業上から考えます人間の数というものは、全く働くものの側から見ましたら、やはり作業過重であり、人間が不足していることは事実です。人員を補充して、それと同時にこれを訓練すれば、それだけでとつさの処置がとれる作業員を訓練することができるはずであります。併しそれが欠員であるためにできない。従つてそれは訓練する場所なり、機構なりができても訓練ができないという欠陷が出ておる。従つて私は非常にその人員整理の問題がなお巷間に伝わつているようでありますけれども、今後人員整理についても、こういうことで人員整理が果してできるかどうか、又六三型の不備からこういうことが起つたということは、考えようによれば、今後の問題として重大であり、又決定的なものでありますけれども、そのほかの原因としては、ちよつとしたところから来ているもので、一つの調査はこういう人員の補充、人員に十分に訓練を與える効果というものを調べて頂きたいと思います。こういう意見を私は個人としては持つわけです。こういうことに対する今後の人員の問題についてもどうお考えになるか、せめてこの点を触れて頂きたかつたので、その点をお尋ねしたいと思う。  今一つは、六三型の事件が、先ほどちよつと触れましたように、曾つて三鷹事件当時御承知のように非常に不評を挙げました六三型の事件、あれは三鷹事件でも、あの不備からああいう結果が出たということを非常にあの当時言われのたでありますが、その後戰時規格として六三型が今のお話によりますと、七百台も現在まだ残つておる。併しそれは動力関係に対しまする関係だけを処理しただけで、貨車自体そのものは改善、改良を加えられていない。併し不備のあるものについては或る程度認めておるようなお話である。それにもかかわらず、その後これに対しまする処置が何らか電動機に対しまするのみだけしかされていないときに、こういう事件がたまたま起きますると、それを中心に論議されるようでありまするが、常日頃の心がけとして何故しておられなかつたかということと、それには予算の関係もいろいろあつたでありましようが、併し飜つて一方見まするときに、非常にその後高級車、そうした車を非常に盛んに国民的サービスという意味からも、又鉄道本来の使命からも御尤もな措置であるとは思いまするけれども、少くとも高級車は、一等車、二等車、特設車というようなものについては相当増強されておる。そこに予算も相当使われておると思うのであります。併しそれよりもむしろ絶対国民の大多数の人が利用するところのこうした電車をむしろ準備すべきが本当ではなかつたか、いささかその点本末を顛倒しておりはしないか、併しそれがこういうことについてもその後の経過等についてお尋ねしたいと同時に、併しこれが結局先ほど小酒井委員が言われたように、六三型の一つのあり方として事前に……、六三型という意味から行けばやはり採算中心になります傾向から行きまして、こういう処置に出でざるを得なかつたとするならば、私は六三型の措置をとつたということが、むしろ遡つて今後考えらるべき問題ではなかろうか、こう考えるのであります。この点についてもちよつと御説明を願いたい、こう思うわけであります。従つて私がお尋ね申上げたい点は今申上げた三点でありまするが、なお今後こうした人員を補充するか、それとも訓練をするには現在の人間を訓練するだけで間に合うのか、或る程度人間を補充して訓練期間を持たしてしなければいけないのじやないか、こうした点に対しまする考え方とそれから六三電車に対しますところの今までの扱い方から見まして、なぜ余りに高級車のみに集中し過ぎた方法をとられたか、こういう点を御質問申上げるのであります。
  29. 加賀山之雄

    説明員(加賀山之雄君) 服務規定が足りなくはないかということでいろいろお問い質しがあつたわけでございますが、勿論服務規定にも私は検討を要する面が多分にあると考えておりますが、この点については鈴木さんは一番鉄道のこともよくおわかりのことと存しまするので、先ほど問題になりましたその電力工手長が危険をどの程度に考えたかということがやはりポイントだと考えるのでありまして、それらの点につきましては、そうういう事情がよく判明いたしませんと、あの当時どうしてとめてくれなかつたろうという気持は我々に十分ございますけれども、それらの点を明らかにいたしませんと、何ともここで申上げることはできないのでございます。なお先ほど私漠然と申上げましたが、つまり列車電車の防護ということを申上げましたのは、そういう意味でございまして、平常でございますと、鉄道の仕事は先ず電車列車が前のブロックになければ一つのブロックでも進める、いわゆる定時運転を趣旨にいたしまして正確な運転をする、運転の円滑を期するというために何とかして列車を進めるという点に重点を置いております。従つて何でもないときに列車電車運転をとめることは非常な罪悪になつておるわけでございますが、これは又一面において鉄道の運転の正確を期する非常にいい面であつたと考えるわけでございますが、今度のような事態を考えますと、多少そういうことに欠陷があつてもとめてくれたほうがよかつたという気持が非常に強くいたしますわけであります。併しこれらの点につきまして、十分今後の措置を考えるという意味で、今後は列車電車の防護ということに重点を置いて、服務規定、以下従事員の訓練を考えるというふうに、先ほど実は莫然とそういう意味で申上げた次第であります。それから人手が足りないことはないかということでございますが、今度の場合にいたしましても、今度の作案要員として、ここに電力工手長を入れました九名の者がすべて作業に当つております。で、元はこういつた架線作業は夜間にこれは戰前は行なつていたものでございますが、従つてこれはまあかなり重要なむずかしい工事に相成つておるわけであります。この点についても先ほど私申上げた通りで、十分検討をする必要があることでございますが、又訓練なりを徹底いたしますために現在の要員で足りなくはないかというお話でございますが、勿論この点につきましても、平常におきましても十分検討を加えておりますが、今度の事故等に鑑みまして、更にその点を強く検討いたすつもりでおります。で、最近特に従事員が多いということから、年々予算定員並びに業務定員を減らして行つております。従つて年々の減少をそのまま呑み込みまして、新規採用を抑えるという方法によりまして、一人でも少く、能率的に業務を運営するということに重点を置いております。私は人が少かつたから今度の事故がこういうことになつたというふうには考えたくございませんございませんが、これらの問題につきましても、勿論十分に検討を要すると同時に、又今後の、いわゆる元からずつと言われで参りました本当の立派な鉄道の鉄道精神と申しますか、そういう面の再建にも私は力を注いで参らなければならないということを確信いたしております。なお六三型の手入れ方について、ほかのいわゆる賛沢な車にばかり夢中になつて、こういう点がおろそかになつていはしないかということでございますが、私どもこの事件に関しましては、勿論この際意見めいたことは一言も申上げないつもりでおります。併しながらこれは私数字を御覧頂ければ非常によくおわかり頂けると思いますし、又特に鉄道のことに詳しいはずの鈴木さんから、そういうお言葉を伺おうとは実は思わなかつた。年々この三百億近い修繕費の大部分は優等車だけに注ぎ込んでおるのではなくて、大部分が三等車並びに電車に注がれておるわけであります。これは重々御承知のことでなかろうかと思います。又新造にいたしましても、新造車の大半は三等客車、貨車でございまして、これがいわゆる特等に注ぎ込まれました金は成るほど目立つてはおりますが、特 という車が非常に優秀な車であるために目立つてはおりますが、金額的に見ますると、全般から見れば新造費の大きな部分をなしておるのではないということを、私はこの際特に鈴木さんに頭に置いて頂きたいと思うのであります。
  30. 高田寛

    ○高田寛君 私もこの事故の結果から見まして、事故防護のための方法というようなことについていろいろ疑問を持つものでありますが、併しこの点は何分にも今この現場にありました係員が、どういう状況の下に、どういう判断を下して、どういう処置をとつたかということは、只今のところまだ明確にされる時期になつておりませんので、まあその点が明確になつた上で改めて御質問いたしたいと思つているのでありますが、まあ事故が起つた上について、その災害を少くするためには、いろいろな方法をとられた。例えば三方コックを旅客に扱わせるとか、或いは車両を貫通式にするとか、或いは又天井裏に鉄板を張るとか、いろいろな方策を今講じられていることを伺いましたが、何分こういう問題は、この同種事故が再び繰返えされないということは決して誰も言われない問題でありますので、このよう工事はどうぞ一つ予算というようなことに余り拘泥されずに、速急にまあ実施して頂きたいということを望むものであります。一方このよう事故が起つて見ますと、ただ国鉄だけでなく、私鉄におきましても、又同じよう事故が起り得る、又同じような災害が起るということも可能性はあるのでありまして、この国鉄関係がいろいろ対策を講じておられることは伺つたのでありますが、まあ私鉄関係がどういう対策をこの事故に鑑みて立てておられるかということが心配になるのであります。監督官庁たる運輸省として、今回の事故に鑑みて、私鉄に対してまあどういう指示を與えられたか、又どういうようなことを計画されておるか、この点を一つ監督官庁として運輸省からお伺いしたいと思います。
  31. 足羽則之

    ○政府委員(足羽則之君) 只今の御質問でございますが、今回の事故について私鉄についてもこういう事故が若し万々一起るようなことがあつては大変だということについての懸念は、実は私たちも非常に持つておるわけでございます。そこでこの事故原因についての探求は現在いたしておるわけでございますが、一番この事故を大きくしたというふうに考えられておる、このドアが開いたか、開かなかつたか、こういう点だけにつきましては、取あえず私鉄にもやはり同様の車輌を使つておるのもございますので、国鉄で手動コックを取扱う方法を掲示いたしました。そういう点を参考として、若上こういう事故でも起りそうなことがあつた場合に、このドアをあける方法その他について十分な注意をする点、その他こうした事故について起らんように万全の注意をしてほしいという意味の通牒を各地方の陸運局長を通じて、各私鉄に通達をいたしております。なお私鉄の車につきましては、いろいろ千差万別でございますので、それらの実情については、大体において本省において把握はいたしておりますが、なお今後こうした事故が再び起らんようにする対策として、なお車輌の点なんかについても今後検討して参りたい。なお従事員の訓練その他につきましては、従来もやはりこの点について、或いは考査制度を実施するということにつきましては、国鉄並びに私鉄にそれに関する通牒を出しておるのでございますが、そういうことをなお一層的確に厳密にやるように努めて参りたいというふうに連絡はとつておる次第でございます。なおこの事故直接の関連ではございませんのですが、この交通の安全の標準を上げるという見地から、この鉄道法案に関する法令を整備をいたして参りたいということで、実はかねてから研究をいたしておりまして、それに関する法令を整備して、実は今度の国会におきましても御審議を願えるようにしたいということで、いろいろ考えておつたのでございますが、それは時日の関係で提案する運びまでに至りませんでございましたので、今度の事故にも鑑みまして、なお一層その法令の整備を心がけて、近いうちにお手許で御審議を願うようにとり運びたい、こういうように考えておる次第であります。
  32. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) この問題について他に御質問もなければ、この桜木町の問題については、これを以て質問を打切りたいと思いますが、如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それではさように決定いたします。   —————————————
  34. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 次に運輸大臣に対して小泉委員から質問の通告がございます。
  35. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 最近新聞を見ますると、時に昨日ですか、今日ですかの新聞に、海上保安庁に相当高級の役人の大異動を発表されておるようでありますが、先般海上保安庁の長官が交替になつたというようなこともあるようでありますが、それからときどき新聞を賑わしておるのは、横浜の検察庁が相当海上保安庁の現役のどの程度の地位か知らんのでありますが、相当多数の人が検察庁の関係で出ておるように新聞でときどき見受けるのであります。そうしたことと、海上保安庁の幹部のかたの交替とか、人事とかいうようなことに関連があるように書いてある記事をときどき散見するのであります。そうではない、それは全然関係ないというような噂さも聞くのでありますが、これは相当海上保安庁というようなものが、今の時代において相当重要な立場にある官庁でありますので、私は折角運輸大臣がお見えになつたこの機会に、そうして海上保安庁の大量の幹部の異動に関連して、何かこの機会にはつきりしたものを一つつて置けば大層都合がいいのだ、こういうように思いますので、一応お伺いいたします。
  36. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) 海上保安庁の首脳者並びにそれに関連する重要な位置の異動につきましては、お言葉までもなく、海上保安庁という特殊な使命を帯びた新らしい役所でありますから、これに対してその首脳者の異動に関して疑いの余地を存しておるというようなことは誠によろしくないことと考えることにおいては小泉委員と全然同感であります。従つてありのままを申上げて、そうして御判断を願うことがこの際必要ではないかと考えております。率直に申上げることにいたします。実は誠に好ましからざる事件でありますが、横浜地方検察庁の問題になつておる事件、その後続いてあちらこちらに類似の疑惑をこうむるよう事件が起つたことは御承知の通りであります。それでこれは運輸大臣といたしましては、まだ検察庁の取調進行中であり、或いは通告を受けたという場合でありますから、有罪、罪人としての扱い方はできませんけれども、世間からこれを見れば、火のないところに煙は立たんという世間の常識は、やつばり衆目の見るところ、十指の指すところで、大体結論がそこに行くということにもなりますので、海上保安庁というような特殊の使命を持つておる役所に、こういうことが関推して出て来るということは、これはできるだけ早い機会に、これを一つ検察庁の手を待たず、内部から処理しなければなるまいと、こう考えておつたような次第であります。それでたまたま海上保安庁長官はアメリカに公務出張中であり、その帰りを待つてつたというような次第であります。帰りましたら、その善後策を講ずべく運輸大臣としては動かんとしたときに、海上保安庁の長官より、先月の中下旬の間頃でありましたが、実は海上保安庁を創設以来、この五月二日で満三年になる。まあ創業のために力を盡して来たわけであるが、後進に道を開きたい、この場合に勇退したい。こういう申出があつたのであります。それから、実は海上保安庁の問題については、君の海外旅行中にこれこれこういう事件が起つてつて、今後大いに粛清しなければならんと考えておつた時であるから、長官みずから、勇退するということになるかと確かめましたところが、実はそれらのことをもいろいろ広く考えて、この際辞任したいと強い意思表示がありました。それで折角であるが、一度そう意思を決定して、大臣である自分にまで申出た以上は、とやかくは申さん。それではその願いを容れることにいたそうというふうに率直に私は答えました。じや、いつそういうことにするかといつたときに、私も三年間この創業のために働いて来たこともありますので、大急ぎであとの事務処理を付けて、そうして辞任したいということになりました。それで丁度五月の一日に、私のところに辞表を持つてつた。それで辞表を正式に書面によつて受けることにいたし、その旨を閣議の決定を経て発令したような次第であります。これに伴つて、海上保安庁も早急の際にでき来た役所であり、ああいう特殊の使命を持つておる役所である関係上、振返つて見れば、更に第二段の仕上げ的整備を組織の上においても、機構の上においても、内部の規律の上においても行うべき段階にも入つておるので、長官の辞意を受入れると同時に、内部の重要な幹部の者の入れ替えをしまして、そうして続いて創業第二期の整備に入る、こういう態勢をとつておるのが現状であります。
  37. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それでは、これで大臣に対する質問を終りといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     植竹 春彦君    理事            岡田 信次君            小泉 秀吉君            高田  寛君    委員            仁田 竹一君            内村 清次君            菊川 孝夫君            前田  穰君            小酒井義男君   国務大臣    運 輸 大 臣 山崎  猛君   政府委員    運輸省鉄道監督    局長      足羽 則之君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  石井 昭正君   事務局側    常任委員会專門    員       岡本 忠雄君    常任委員会專門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道総    裁       加賀山之雄君