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1951-03-19 第10回国会 参議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十九日(月曜日)    午後一時三十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○帝都高速度交通営団法の一部を改正  する法律案岡田信次君外五名発  議) ○船舶職員法案内閣提出) ○一般運輸事情に関する調査の件(航  空事情に関する件)   —————————————
  2. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) これより、委員会を開きます。帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案の本日は質問であります。御質問のおありのかたは順次御発言をお願いいたします。
  3. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 一昨日でしたか、私は総体的な質問をいたしたのでありますが、その際政府としての御所見を承わりたいということを申上げたところ、政府委員が、自分は監督局長としての意見であるということで非常に案外に思つたわけであります。結局今日は同じことを繰返すことになるわけですが、今後少くとも政府委員として出られるかたは、運輸省或いは日本国有鉄道というものの総合的な意見をまとめて、そうして少くとも御答弁政府答弁として我々が了承することができるようなことにしなければいけないのだと私は考えておるわけであります。この点特に委員長にお願いいたしまして、将来ここで政府として答弁される者が、これは私の個人の意見だということのないように、厳に政府に警告を発して頂きたい。時間的に考えても同じことをやるということは非常に困る。そのことを前以て委員長にお願い申上げて、それから質問をしたいと思います。  運輸大臣が御病気だそうで、關谷政務次官がお見えになつておりまするので、政務次官にお尋ね申上げるわけでありますが、私のお尋ね申上げたい温水的な問題は二つあるのであります。その一つは、これは帝都高速度交通営で神田、池袋間を第一期として、そういう事業をやろうということでありまするけれども、その資本というものはこれは大応分政府資金でやるということになつておるのであります。むしろこれを国鉄でおやりになるのが相当ではないか、そうすることが私は非常にいいのではないかということを考えておるのであります。この点については鉄道専門家である菊川君から同じような意見が出ておる。恐らく他の専門委員かたがたもそういうような意見を持つておられるかた相当あるだろうと私は思うのであります。特にこれを国鉄で御計画なさらなかつたということに対する事情等について、又私ども申上げておる国有鉄道でやることが妥当である、相当であるという考えに対する政府の御意見を承わりたい、これが第一点。それから第二は、關谷政務次官も御承知通り、終戦後殆んど新編の建設というものが行われていないのであります。漸く新線も或る程度計画が認められて来つつありますけれども全国各地の強い要望に答える程度にはなつておらんことは、これも御承知通りであります。私どもこの運輸委員会において請願等を受理いたしまして、請願の趣旨が妥当であるという委員会の議決を得ましたものも、総数百数十に及んでおります。この中には内容を申上げませんが、どうしてもやらなければならん線が相当ある、これも政務次官承知通りであるから、この内容は説明いたしませんが、そういうものは相当あるのであります。又そうすることによつて敗戦日本が更生できる。産業の面から言つても、或いは観光の点から考えても、人口問題に徴して考えても、どうしてもやらなければならん線が相当にあるのでありまして、地方の非常な要望があるということも御承知通りでありますが、この法律案を見ますると、そういうようなものが顧慮されていない、單に都会集中に傾いておるという気持相当に強いのであります。併しながらこの計画は私ども大体において賛成であります。本日参議院民主党におきましても、総会にかけまして、全会一致この法律を認めるということにはなつておりますが、ただ私どものこれを通しまする条件条件ということは少し強過ぎるかも知れませんが、強い希望といたしましては、どうしても二十六年度中に地方から要望されている新線建設に最大の努力を払つてもらうことが強く要望されているのでありまして、過ぐる国会において、参議院は殆んど全会一致を以て新線建設決議案も通過いたしております。それに対して運輸大臣も最善の努力を払うという御答弁になつておるのであります。ところが二十六年度予算を見ますると、僅かに三億数千万円で、これも北のほうの線をやるという状況であつて我我は非常に失望を感じると共に、国民も折角大きな期待をかけておつたのが、これが実現できないという非常に落胆的な気持でおるのであります。そこで我々といたしましては、この法律案賛成して通過することを希望いたしますが、同時にこの国民の強い要望を速かに実現されるように二十六年中において御計画を願いたい。聞くところによりますれば、議員提案か何か知りませんが、鉄道建設審議会というものの法律案も近く出るようでありますが、是非そういうものも早く出してもらい、そうしてそれと関連して計画を進めて頂きたい、こういうことを考えておるものでありますが、この点に対する政府の確信のあるところの御答弁を承わつて置きたいのであります。この本年度予算は約四十八億だそうでありますが、総額で五百億に上るのであります。どうも都会中心主義鉄道経営計画というものがすべて都会中心主義に傾いているということは、これは争うことのできない事実であります。私ども鉄道というものは、むしろ遠距離の旅客にこそサービスしなければならん。ところが現在の鉄道のやりかたを見てみると、やはり東京、大阪というような都会の人に対する便宜は最高度に発揮されておる。ところが九州東京の間の列車運行或いは客車の配置というようなことについては非常に冷淡に扱われているといつても、あえて過言でなかろうと思うのであります。こういうような誤まつた考えを私はどうしても是正してもらわなければならない。遠距離こそ鉄道の収入も増し、遠距離の人が日本国有鉄道を支えているといつてもいいのであります。そういう点について毛政府一つはつきりした御意見を、この際承わつて置きたいと思います。
  4. 關谷勝利

    政府委員關谷勝利君) 前之園さんから誠に御尤もな御説があつたのでありますが、この我が国の鉄道は、大体国有鉄道として全国鉄道経営管理せしめる、こういうことが原則になつておるのでありますが、地方的交通の一切に至るまで、これを建設管理せしめるということが非常に困難であります関係上、地方的交通を目的とする鉄道に対しましては、民間資本或いは地方公共財政からの投資々促進するために、これらの鉄道に対して、従来政府より諸種の助成金等の措置を講じまして、地方的交通機関の発達を図つて国有鉄道と一体として鉄道交通完成期待して参つたのであります。従いまして、この国有鉄道におきましては、全国的なことをいろいろ管理経営をいたしておるのでありまして、この東京都の一部分の交通というようなことでありまするので、今回も帝都高速度営団によつて、この一部を、東京地方的な交通緩和を図る、こういうことに相成つておる次第であります。なおこの新線建設につきまして、いろいろお話がありましたが、誠に御尤もでありまするので、前回監督局長が御答弁申上げましたのが、監督局長の私見というふうに監督局長が申上げておるのでありますが、私この意見を聞きまして、決して監督局長意見と、私たち省内意見国鉄運輸省意見と異なつておるものでないというふうに考えておるのであります。政府全国的な鉄道交通経営上必要な路線につきましては、国有鉄道を通じまして、その管理運営に当ると共に、財政から見てでき得る限りその完成を期したいと考えておるのであります。併しながら今後建設を予定されておりまする国有鉄道新線は、大体におきまして、収益性から申しますると疑問のある路線が多いというふうに考えておりまするので、できるだけ政府出資の形でこれらの建設を図らなければならないと考えまして、極力その実現につきましては、努力をいたして参つたのでありますが、従来は何らそういうふうに新線建設というようなことは実現いたしませんために、御期待に副い得なかつたのは誠に遺憾であると考えております。併し政府といたしましては、この方針の下に今後も新線建設を推進する上におきましては、十分な努力を傾けて行きたいと考えておるのであります。御承知通り先どもお話がありましたが、今度の国会提案かた計画中に、議員提出として相成つておりまするところの鉄道建設審議会設置によりまして、一日も早くこの新線建設についての政府財政政策国家資源開発或いは国鉄独立採算制等を調整した具体案決定せられますることを、私たち心から要望いたしておるのでありまして、なお現在のところにおきましては、津軽、赤穂、久保川、この三線のみに相成つておりまするけれども、これ以外の新線につきましても、二十六年度におきまして、是非実現をするように、この鉄道建設審議会設置と相待ちまして、呼応いたしまして、新線建設努力いたしたい、こういうふうに考えておるものであります。いろいろこの都会関係と、そうして田舎の関係等におきまして、非常に不公平であると、こういうふうにお考えのようでありまするが、非常に利用度の多い所を先ずやつておるのでありまして、将来も地方的な、遠距離の連絡ということにつきましては、新線その他と睨合せまして、十分に御期待に副いたいと存じております。近く皆さんがたの御期待に副い得られるような方法を講じたい、そういうふうに考えております。
  5. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 私が国鉄でこれをやるのが相当でないかと言う大きなる根拠は、これは大かた政府資本によつてやられるのです。民間資本によつてこれが遂行されるというふうなことであれば、又別でありますけれども大かたのものが政府出資によつて政府資金によつて賄われるということであれば、やはりこれはたとえ一部の都市鉄道にしても、国鉄でやることが合理的じやないか、こういうことを私は資本とからめて考えるわけです。この点について重ねて御答弁をお願いいたします。
  6. 關谷勝利

    政府委員關谷勝利君) 資本的に考えまするというと、いずれもこの国家資本というふうなことに相成つて参りまするが、国鉄といたしましては、資本的な関係以外に、別の面からなお地方的な交通或いは国家の全般的な交通と、こういうふうな建前から、この帝都高速度営団によつて東京交通緩和を図ると、こういうふうにしたいと考えております。
  7. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 政務次官はこの鉄道は單に地方的なもののみであるとお考えのようでありますけれども、これは結局全国に繋がるところの一つの線と考えることができるのです。この鉄道を利用することによつて全国鉄道に連絡されるのであるから、少なくとも地方におけるところの路線というものとは違うんですね。日本中央にあるところの、而も人口六百万もあるところの東京にできるところの鉄道、單なる一地域の鉄道とは私は同一視することはできないと思うのであります。これはやはり国で経営することが国民全般の利益になるのではないか、当政府におかれても、監督の上から言つても、或いは又国民が利用する面から言つても、それがいいのではないかど、こういうふうに私は強く考えておるわけであります。併しながら、これはもう計画もあることでありますから、多くは申しませんが、單に私はこれが東京に偏することのないように、地方にも同様にやはり考えて行かなければならん、こういうことに関連して質問をいたしておるわけであるのであります。そこで問題を変えてお伺いいたしたいことは、鉄道審議会意見鉄道建設審議会法律案が近く議員提案として出る。これは無論通過するものと思いますが、そうなると具体的に取上げられることになるわけであります。併しそれには無論政府相当計画を持つておられなければならんわけである。路線計画並びに予算に対するところの処置、これがなければならないわけでありますが、鉄道審議会設置と同時に、これが二十六年度計画が進められるとするならば、具体的にどういうふうな案を持つておられるか、細かいことの答弁は或いは困難かと思うのでありまするが、或いは例えば現在請願が通つておるのは百七十ですが、これは留保しておるのもありますから、百二ぐらいの請願が通つておる、これは全国に跨つておるのですが大体において二十六年度中に例えば北海道に何千やる、東北に幾らやる、或いは関東、関西、四国、九州、こういうような面にそれぞれ重要な線があるのですが、併しどのくらいのものは二十六年度計画のうちに入るものか、どうかということを、一つ具体的に御説明願いたいと思います。
  8. 關谷勝利

    政府委員關谷勝利君) 大体この審議会ができましてから後に、この具体的な審議を進めて頂くということになるのでありまするけれども、大体このいろいろな路線計画というふうなことは従来やつておりまして、途中で中止をいたしておるものもあつたりしまするし、するので、そういうふうな、何と言いますか、路線が現在そういうふうな中絶の形をとつておりまするので、路盤その他ができ上つて、そのまま中絶しておるのがどれだけあるか、或いは経済開発上どういう線が非常に必要であるか、こういう具体的な調査ということにつきましては、それに対しまして、どの程度の経費が要るというようなことにつきましては、一応事務当局といたしまして、これは調査ができておるのでありますが、その予算等のことにつきましては、これはいろいろ審議会ができまして、具体的に審議せられるはずでありまするが、二十六年度におきましても、丁度それに適当した資金があるように考えられておりまするので、審議会ができ上りましたならば、その審議会のほうにかけまして、そうしてでき得る限りの具体的な話を進めたいと、このように考えております。
  9. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 審議会というものは、結局その大体の方針、まあ具体的に入つて行くことになりましようが、審議会で直ちに予算の面まで考えるということは、これはきめるということはできないことなんです。で、政府も今そういう方面に見込んでおる資金もあるということであるならば、大体どのくらいの鉄道建設資金というものが二十六年度に捻出できるのか、大体の数字をお教え願いたい。こういうようなふうに政府資金とか何とかいうもので、高速度鉄道にさえ三十数億の金が出るのです。三十数億の金が若し地方鉄道建設費に振向けられるとすれば、相当の線ができることになる。大体どのくらいのお見込みであるかということをお教え願いたい。
  10. 關谷勝利

    政府委員關谷勝利君) 只今審議会において予算の面まではというふうなお話があつたのでありますが、大体現在運輸省の内部に鉄道新線建設調査会というのがありまして、これは局長並びに関係各省局長級が寄りまして、それによりまして一般的な方法、資材、資金の面というふうなことの研究調査をいたしておるのでありまして今度国会のほうで御審議を願いますところのこの審議会というものは、それをどれが重要であるかというような順位その他を決定するようなことの運びに相成るであろう、こういうふうに考えております。なお予算の点でありまするが、これに対しましては、これは一般会計から繰入れまする二十億というものがありまするので、このうちこれを、全額というわけには……でき得る限り多額に使いたい、こういうふうに考えておるのでありますが、現在貨車不足というようなことがありまするし、いろいろ計画が何と申しますか、予定通りはかどりかねるというような場合、先づそういうふうなことに持つて行きまして、なお又その補正によつてその穴埋めができました際には、その二十億のうち幾分かずつ、どの程度に相成りますか、それを具体的に新線建設のほうに持つて行きたい、こういうふうなことで計画を進めております。
  11. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 その二十億の使途については、ここでこの前御説明があつたわけなんですが、それを貨車などに大かた使うというような御計画のようなんですが、仮に二十億全額地方鉄道建設使つても、これは極く少額である。例えばこの法律案に出る三年間に四十八億のこれは予算のようでありますが、これは大部分新線に出る金である。一中央の地下鉄にさえ五百億を出す。全国からあれほどの要望があるのに僅かに約二十億、而もその二十億の中から更に各方面に使われて残るものは幾らもない。それも最大限二十億ということでは我々は満足しないのです。でありますから、更にこれを十分に検討されて本法律案にありまするように、見返資金とか、或いは政府資金であるとか、こういうようなものを大幅に一つとるということについて御努力を願いたいと思いますが、それらに対する政府の御決意をこの際承わつて置きたいと思います。
  12. 關谷勝利

    政府委員關谷勝利君) 二十億、勿論この二十億も全額ではないのでありまして、その中でというのですが、二十億程度のものでは非常に少いと、こういうふうなお話がありますけれども、大体今年はいろいろ準備等もありまして、初年度におきまして、せいぜいいたしましても、消化をいたしますのがこの程度以上には消化できないというのが現在の国鉄の状態でありますが、この二十六年度を終りまして、二十七年度以降におきましては、大々的に行いたいと存じておりますので、この東京にたくさんの予算使つておるという御意見のようでありますが、現在要求されておりますところの請願、その他全国各地要望せられておりますところの新線も、これも極力実現いたしたいと考えますので、二十七年度あたりから、できることならば大々的に新線建設いたしたいと、こういうふうに考えておりますので、都市偏重というふうなことにならないように、将来各地方要望せられております新線も大々的に取上げたいと、こういうふうに考えております。
  13. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 現在鉄道計画しておられるこの地方鉄道計画表というものがあると思いますが、これを資料として、今日でなくても結構ですが、御提出願いたい。なお請願等鉄道建設要望せられて、国会において採択しておるものも先ほど申上げたように相当あります。これらのものを建設すると大体総額どのくらいになるかということも、併せて若し本日おわかりになつておれば御発表願いたい。それは私どもが新法律審議する上に非常に参考になると思うので、若し本日おわかりになつておれば、御発表を願いたいと思います。
  14. 關谷勝利

    政府委員關谷勝利君) 計画表ができておるのかというお話でありますけれども、この計画表はできておりません。調査いたしております資料がございますが、どの程度にどうするという計画表は現在できておりません。なお採択せられております線、その他たくさんありますので、大体新設をしなければならんという線が大体五千キロ程度あると考えておるのであります。これを主部やるということになりますと、これは三十億程度でございましたか、その程度要るようになりますけれども、そういうふうなことは到底やり切れるものではないのでありまして財政の許す限り、できる限りの地方要望に答えるために、国鉄新線建設審議会ができましたならば、そこで調査研究をいたして進めたいと、こういうふうに考えております。
  15. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 少くも国民のあれほどの強い要望があるのですから、これに対する年度計画というものは当然あるべきものと思うのですが、これは秘密事項でもあれば、秘密書類として各議員に御配付願いたい。これは近い将来にできます審議会に対する私ども要望資料ともなりますので……。私どもあれはどの請願を採択しておるのですから、これに対する熱意を持つて答えなければならないということにもなりますから、恐らく計画があると思いますが、若しないということであれば、不熱心極まるものと言わなければならない、恐らくあると思いますから、そういうものをお出しを願いたいと思います。なおいろいろとお伺いしたいこともありますが、他にたくさん御質問もあるようでありますから、私はこの程度質問を終りますが、大体において私どもはこの法律案については賛成なんであります。この計画が進められることによつて東京の人の足というものが、便利になるということは、これは申上げるまでもないことなんでありますが、我が民主党といたしましても、これは賛成でありまして、速かに実現されるように、又これらの権威者である岡田先生立案者であるということでありますから、全幅の信頼ができると思います。私退席いたしますので、賛成の意を表して置きます。
  16. 前田穰

    前田穰君 私は二つばかりお伺いしたいことがあるのでありますが、先ず以て事務的と申しますか、簡単なことを先にお尋ねしますが、本年度国有鉄道予算には六千七百万円の出資が見込まれておるのでありまして、帝都高速度交通営団投資をするためというふうに聞いておりますが、第五条の改正の結果増資をされることと思うのでありますが、どういうふうな資本構成になりますか、その点を一つ
  17. 岡田信次

    岡田信次君 前田さんのお尋ねでございまするが、本年度国有鉄道から出資いたします六千七百万円のうち、二千七百万円が未払込徴収でございすして、四千万円が増資の費用でございます。なおそのほかに、東京都から未払込徴収といたしまして、六千七百五十万円、増資といたしまして、一千万円が予定されております。
  18. 前田穰

    前田穰君 それでは第二点をお伺いしたいのでありますが、今度管理委員会を置かれることに改正案がなつておるのでありますが、この管理委員会性格はどういうふうな性格のものかということがお伺いしたいのでありますが、それは国有鉄道にも管理委員会というものがあるのですがそれとは非常に違つているようにも思うのです。無論ここで言う必要はないのでありますけれども、或いは総裁の推薦とか、或いはその事業を公益的に運営して行くように指導する責任を持つとか、そういつたような点が国有鉄道管理委員会にはあるわけなんですが、この高速度交通営団のほうは、ただ一定の事業計画財政計画ということだけの決議をするということに案がなつているようであります。他にもこういう例があるのかも知れませんが、私としては余り見慣れない例なので、今後どういうふうにこの管理委員会を運営して行かれるのか、それを一つ明らかにして置きたいと、こう思うのでありますが、こう申しますことは、提案の理由だつたか、或いは要旨だつたかの中に言われておりますことに、従来の評議員会を廃して、そうして管理委員会を置くと、それは民主的にこの営団を運営して行くためだと、こういうことなんでありますが、総裁と、それからこの管理委員会というものとは、どういう関係に立つのでありますか、この案で見ますと、何ら上下の関係はない、平等の関係に立つように思うのであります。事業計画並びに財政計画については、両方が対等の関係に立つように思う。そうすると、若しこの二つ機関意見食違つた場合には、営団意思として、どういう方法によつて最後決定が見られるのか、普通のやりかたならば、多数の委員が如何に意見が対立しようとも、多数決とか、何とかということで、最後意思決定方法が、簡単明瞭にあるのでありますが、この場合は対立したらどつちをとるかということのきめかたがないように思うのでありますが、制度として甚だこう能率の悪いような制度にも見えるのであります。そうして総裁の権限はお変えにならないようでありますので、総裁は業務を総理すと、こういうことになつておるので、この総裁立場と、それから管理委員会立場との食違つた場合の意思決定方法が実は私は疑問なんです。従つてこの管理委員会性格一つ明らかにして置きたいと、かように考えるわけであります。
  19. 岡田信次

    岡田信次君 管理委員会性格につきましては、この前の委員会でもたびたび論議が出たのでありますが、前田先生の御解釈の通りだと思うのでございまして、収支予算或いは収支決算事業計画資金計画等に関して、管理委員会がこれを議決する、この議決したことに対しては総裁はこれに服するということだろうと考えるのであります。
  20. 前田穰

    前田穰君 よくわからないのですけれども総裁管理委員会委員の一員に職務上当然なられるようでありますから、この管理委員会の一員として多数決に従うと同時に、総裁としてもそれに従わなければならん、こういう意味になるのでございますか。
  21. 岡田信次

    岡田信次君 営団総裁管理委員会委員になつておりますけれども決議権を持つておらないのであります。総裁は先ほど申上げましたように、管理委員会の取扱う事項につきましては、総裁もこれに服する。管理委員会の議決のことにつきましては、総裁がこれに従うと、又主務大臣も総裁がこれに従うように監督するという仕組に相成つておるのでございます。
  22. 前田穰

    前田穰君 そうすると、この法文で、管理委員会の指揮に総裁事業計画財政計画については従うと、こういうことを意味するのでありますか。
  23. 岡田信次

    岡田信次君 ええ。この十四条の三に「議決ヲ経ルコトヲ要ス」とございますので、さように解釈すべきものだと思います。
  24. 高木正夫

    ○高木正夫君 私も管理委員会性格について前田先生と同じような意見を持つておるのですが、国有鉄道管理委員会は業務運営を指導統制する権限と責任を有すること、こういうことになつておるのですが、こちらのほうは非常に権力が強いと申しますか、株式会社で言えば一番重要である収入予算、それから事業計画資金計画収支決算、こういうものを管理委員会で議決する、而も総裁はその議決には入らないと、こういうことになつておるのですが、そこの点はどうかと思うのでありまして、まあ率直に申しますると、常時業務に携わつてない人が、これだけの収支予算なり、事業計画資金計画というものを実質的に立て得るかどうか、こういうふうに考えるのであります。従つてこれは意見になりまするか、もう少しこの総勢の立場を但とか考える必要がないのであるか、その点についてどういうようにお考えになつておるのか、お伺いいたします。
  25. 岡田信次

    岡田信次君 私はこの国有鉄道のほうの管理委員会は、条文は極めて簡単でございまするけれども、非常に大きな、何と申しますか、力と申しますか、権限と申しまするか、持つておるのじやないかと、かように解釈するのでありますが、営団のほうの管理委員会は、営団そのものの規模或は経営内容等が国有鉄道とは格段の差がございますので、そう強力な委員会を作つては、却つて能率的の経営が阻害されるだろうという意味において、こういう管理委員会ができて、ここに掲げてあります事項についてのみ営団経営にタツチするというので適当であろうと考えるのでありますが、如何でございますか。
  26. 高木正夫

    ○高木正夫君 まあ実質的の問題になますると、これで遂行できると思いますが、法文の建前から言いまして、総裁管理委員会の下に付くというわけでもないですが、議決に加わらんということが私はどうかと思うのです。これで果して運営がうまく行くのかどうか、ちよつと普通の株式会社やその他の営団なんかの関係と大分趣きが違うように思うのですが、私は管理委員会国有鉄道のほうの関係と同じように強化しろとは申さんので、もう少し総裁立場がはつきりするようにしてもらつたらどうかと思います。
  27. 岡田信次

    岡田信次君 総裁がこの議決権を持つておらないと申しますことは、総裁業務の執行機関の首席でございますので、公平に判断すると申しますか、そういう意味合いにおきまして、議決権を持つておらんのじやないかと思います。で、総裁管理委員会の議決しました線に沿うて自由に手腕を揮うというふうにしたほうがいいのじやないか、かように私も考えるのであります。
  28. 高木正夫

    ○高木正夫君 今度は別の問題になりますが、地下鉄は東京と大阪にあるわけでありますが、大阪のほうに公共団体がこれを直営して凝る。然るにこの帝都のほうはこれが営団になつておる。ここに何か沿革的の事情か何かあるのですか。その点一つ参考に伺いたいと思います。
  29. 岡田信次

    岡田信次君 高木さんも御承知のように、東京の地下鉄と申しますのは、前の東京地下鉄道、それから高速度鉄道株式会社というふうに民間の企業として出発して参つた。大阪のほうは初めから大阪市の直営としてやつておられた。まあ歴史的の沿革と申しますか、そういう差から今日の経営の差ができて来ているだろう、こういうふうに思います。なおどつちの経営がいいかと申しますと、なかなかむずかしい問題で、ございましようが、今後大阪市等におきまして、大規模に地下鉄を建設しようというような場合には、やはりこういう特別な形態を作るほうに進むべきじやなかろうかと考えるのであります。
  30. 高木正夫

    ○高木正夫君 実はその点をお伺いしたかつたのであります。将来大阪において帝都と同じような必要性に迫られたときに、その資金操作等の関係におきまして、やはりこういう措置をとられるかどうか、まあこれは大体提案者にお尋ねするよりも、政府のほうにお尋ねしたほうが適当じやないかと思うのですが、一応念のために伺つて置きたいと思います。
  31. 足羽則之

    政府委員(足羽則之君) 大阪とそれから東京との地下鉄についての相違につきましては、只今岡田さんから御説明がありましたような沿革的な理由であると思うのですが、併し将来の構想としてそういうふうな、今岡田さんが御説明になさつたような考えかたが好ましいではないか、こういう点も考えられると思うのであります。初めて営団法が国会提案になりましたときも、その当時の議事録を読んで見ましても、やはり同様な意見が交換をされておりまして、そのときにもまさにそういう点は望ましいが、併し先ず全部やるわけにも行かんので、緊急であり、先ずできるものからやつて行きたい、当時の政府委員答弁にそういうふうになつておるように私承知いたしておるのでありますが、現実の問題といたしましては、なかなかそういう点についての、実際にそのやりかたを変えて行くということについては、現実の問題として従来の沿革なり、或いはいろいろ困難な点が勿論あろうかと思うのでありますが、併し非常に大規模なこうした事業について、これを促進するために関係意見もこれに一致して参りますれば、そういうふうな方向に持つて行くことが望ましいのではないか、こういうふうに考えております。
  32. 高木正夫

    ○高木正夫君 有難うございました。もう一つ細かい点でありますが、委員の任命でありますが、一年、二年、三年、四年、五年、なかなか巧妙な方法だと思うのでありますが、併し最初に御任命なさるときにどういうような方式でやられるのでありますか
  33. 岡田信次

    岡田信次君 この五人の委員が、それぞれ初めの委員が一年、二年、三年、四年というふうな任期となつておりますのは、同時に皆変つちやならないからということから出ておると御了解願いたいと思います。然らばどの委員が一年、どの委員が二年ということは、大体主務大臣が指定することでございましようが、いろいろな例の委員会を見ますと、年齢順でありますとか、或いはくじ引であるとか、そういうふうな方法をとつております。
  34. 高木正夫

    ○高木正夫君 くじ引が多いですか。
  35. 岡田信次

    岡田信次君 大体年齢順が多いようであります。
  36. 前田穰

    前田穰君 もう一応一つお伺いして置きたいのですけれども、この管理委員会設置されたということは、恐らくは今後の建設費の財源をやられるために、或いは預金部資金を廻すとか、或いは見返資金を受入れるとか、そういつたことの必要に基いて、或る程度監督と言いますかをする必要があるという点から出ておると思うのでありますが、そのためにこういう管理委員会の構成をとらなければならないのだという、こういう理由を一つお伺いしたいのでありますが、先刻の国有鉄道との比較におきまして、管理委員会総裁とは明らかに上下の、まあ上下と言いますか、そういつた監督、被監督といつたような形がとにかくあるのであります。これは必ずしもそうでもないし、そうかといつて総裁はその決議に従わなければならないのだ、その決議に従うことが望ましくなければ自分がやめるよりしようがないのだ、こういうことになつておるようですが、ほかに理由がありますかどうか。若し私の想像するごとく、預金部資金、見返資金の受入れのためのこういつた機関設置だとするならば、こういう特殊な管理委員会を設けられる理由はどういうことですか、こういうことお伺いいたします。
  37. 岡田信次

    岡田信次君 管理委員会を作りましたのは、今の見返資金とか、或いは資金運用部資金を、何と申しますか、工面すると言うか、調達すると言うか、という意味じやなくて、そういう政府資金を使う公益性の非常に強い企業であるから、総裁だけに任して置かないで、こういう民主的な機関を作つてやるという意味合いから出ておると思います。それから総裁管理委員会関係でございますが、私はこれは上と下の関係じやなくて、それぞれの分野と申しますか、がございまして、その管理委員会できめた分野の範囲内において総裁が十分に腕を揮うというのじやないかと思います。
  38. 前田穰

    前田穰君 そうすると、この営団の全責任を総裁が良うわけじやないのだというふうに解釈していいのですか。
  39. 岡田信次

    岡田信次君 業務の、何と申しますか、経営、執行につきましては総裁が全責任を負うべきものと、かように考えます。
  40. 前田穰

    前田穰君 予期せられておることがはつきりわかりませんけれども事業計画財政計画の業務、広い意味の業務だと思うのですけれども、如何でしようか、どういう境界がありましようか。
  41. 岡田信次

    岡田信次君 前田さんのおつしやる広い意味の業務と申しますと、この管理委員会の扱う予算或いは決算なり、これにきめております事項も入るのでございまするが、これは何と申しますか、大きな基本の大綱であつて、これに対して管理委員会がタツチをする、それに基く諸般の経営執行に総裁が全部責任を負うということであります。
  42. 前田穰

    前田穰君 この元の法律は、戦時立法みたいなもので、当然この法律にありまする業務を総理するということは、当時の立法の趣旨はビユーラー・システムのことで、この業務の中には当然事業計画財政計画は入つていたと思うのであります。ですから今度の改正によつて従来の業務の総理ということの解釈を変えるのだということを一つ明らかにして頂きたい。
  43. 岡田信次

    岡田信次君 前田委員のおつしやる通り変るものと考えます。
  44. 高木正夫

    ○高木正夫君 これにこだわるわけじやないのですが、どうも収支予算、それから事業計画資金計画、これは非常に営団としては重要なものだと思うのです。万一それがそういうこともないでしようが、管理委員会総裁の意に満たないような途方もないようなものを出されて来たときに、それにやはり服しなければならんか、万一それに服しなければ総裁をやめなければならん、こういうことになると思うのです。私ども考えるのには、この日常業務に当つている責任者が一番よくやはり事情がわかつておると思うのです。そういう人がこれに加わらないということはどうも不自然ではないかとこういうふうに考えるのですがその点は如何ですか。
  45. 岡田信次

    岡田信次君 初めの問いでございまするが、とにかく総裁はこの事項に関しまして、管理委員会の議決に従がわなくちやならない、それで今お話のように管理委員会が途方もないことを言い出して来たという場合にどうなるか、それは主務大臣が監督権を持つておりますのでその行使によつてそういうことはないだろうと思うのであります。それから総裁が議決に加わらないということにつきましては、先ほど申上げましたように、管理委員会の公正を期する意味合におきまして、議決権を持たないと、かように考えるのであります。
  46. 高木正夫

    ○高木正夫君 主務大臣はそこまでは権限を持ち得ることになるのでありますか、管理委員会がきめたものを、変更し得るだけの権限を持ち得るわけですか。
  47. 岡田信次

    岡田信次君 私たち主務大臣がそういう場合には監督権を十分行使し得ると考えます。
  48. 前田穰

    前田穰君 さつきの私の質問に丁度当てはまる御答弁がまだないようでありますが、さつきの私の質問は、預金部資金や見返資金を言い出したのは、これは例に引いたので、結局政府が殆んど全部の金を出すんだから、監督的な意味においてこういうものを作るそれはわかるのでありますがその監督的の機能を果すために本案に示されておるような方法をなぜとらなければならないのか、普通我々が考えるような他の方法じやなぜいけないのでなぜこの法案に示されておるような管理委員会を作らなければならないのかこういう理由を一つお尋ねいたしたのだつたんですけれども……。
  49. 岡田信次

    岡田信次君 大体前田委員も御承知のように、この種のいろいろな企業体にこういう委員会制度が最近できておりまして、相当効果を挙げております関係上、地下鉄におきましても、たびたび申上げますように、非常に公共性が強いので、総裁だけの一存じやなくて民主的に事をきめて行くという意味合いにおきましてこういう管理委員会が一番いいんじやないかという考えからできておる次第であります。
  50. 前田穰

    前田穰君 どうも釈然としませんけれどもこの辺で一つ一応打切りたいと思います。
  51. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 他に御質問はございませんか……。質問がなければ、私から二・三質問いたしたいと思いますが、質問内容は主として建設計画に関するものでありまするが、幸い地下鉄総裁がお見えになつておりまするから、総裁政府委員でありませんので、説明員の立場でお考えを述べて頂きたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それではさよう取計らいます。  提案の理由をお聞きいたしますると、見返資金及び運用部資金の運用による資金調達によりまして、新線建設計画せられ、本改正法による管理委員会は公布の日から発足して、而も神田、池袋間の新線計画は新たにできる管理委員会の承認を受くれば足りるという附則を設けてあるのであります。即ち承認を受けただけで簡単に設計が確定してしまうということが附則に誰つてあるのであります。故に質問するゆえんの第一点は、本法案はこの附則を附したまま可決に至ることは、関係住民の激しい反対運動がある今日、甚だ重大であると思うが故に、立法の際に質問をいたす次第であります。第二点といたしましては、この営団高速度交通営団と称するから、高速度交通施設なるにおいては地上線の経営も又当然かのごとき感を与えるけれども営団法第一条においては、明らかにこの営団は地下鉄の経営を主眼とする、それに限られておることは明白なのであります。尤も地下鉄といえども、それに関連した設備として一部地表に露出し、或いは更に高架せられることもやむを得ざる場合がありと認めるべきであるけれども、今回の計画では神田、池袋間の相当長い距離が地上高架線路を敷設するがごとき話を聞いております。これが真実といたしますれば、地下の鉄道という本来の使命に背反するかの疑いありと言わざるを得ない。而もこの点に関しまして、多数沿道区民の切実なる苦衷と猛反対あるにおいては、営団は設計の変更かたについて十分の誠意を披瀝、研究、工夫して関係住民の要望に答えなければならない。予算関係におきましても、全額四十八億中の数億に過ぎない、地下へもぐりますには、数億増せば地下にもぐれるというふうなことであるとするならば、当然設計を変更して、各住民その他各方面の了解を得ることが至難でなく、又妥当であると信ずるのであります。万一万やむを得ざる場合におきましても、民間所有地内に抜打的に無断侵入、調査等を行なつて市民を刺戟したり、一方的に高圧的に強行することなく、今後更に関係住民の利便を図り、十分納得するよう努力を払つて住民の協力を得るごとに努めなければならない。かような意味合を以ちまして左の質問をいたす次第であります。  第一点として、高速度交通営団営団法第一条において地下鉄を主なる目的とするが故に、本法案において新たに設計せられんとする神田、池袋間を地下に潜行すべきであると考えるが、この点に関する計画の御発表をお願いしたいのであります。
  53. 鈴木清秀

    ○参考人(鈴木清秀君) それではお答えいたします。委員長から只今御説明のありました点について御説明申上げます。  第一は、条文の法文上のことでありますが、これは私がお答えするよりは、政府当局のほうでお答えするのが然るべきかと思いますが、この法律の条文を作成しましたときに、たまたま私関係の者でありましたから、よく過去の経過を知つておりますので御説明申しますが、地下高速度鉄道を整備拡充するためと書いてありますが、これは地下を主とする帝都の高速度交通網の完成であります。従つて法案そのものの題名も帝都高速度交通営団法と書いてあるのであります。地下を主体とするものであるが、高速度完成であります。そもそも地下鉄というものは世界の各国を見ましても、地下だけでやつておる国は殆んど少くて地上と地下と並列しております。殊に終戦後やつておりますカナダのプロントにおいてもやはりあるのであります。殊に東京のごとく地形の高低の甚だしいところにおきましては、地下のみにおいてこれをやるということは殆んど技術的に困難であるばかりでなく、経済的にも甚だむずかしい、至難であろうと思うのであります。従つて私は地下を主体とすればいいものだと解釈しておるのであります。然らば只今御質問の神田、池袋間において、たまたま地上に出ますところのものは茗荷谷のところから、春日町からあそこの真砂町の坂に入るまでの二キロばかりの区間でありまするが、我々は沿道のかたがこれを地下にして頂きたいという切実な希望を以て申されておるのでありまして、その御事情は私のほうといたしましても十分わかるのでありますが、併しながらこの全線を地下に仮にいたしますると、本郷三丁目のあたりは百段階くらいの深い地下になります。それと共に全線を地下にするために受けまする工費といものは甚だしくなるのであります。これは結局本郷の台と小石川の台との間に実地があるためだと思いますが、仮に春日町のところのあの本郷の坂を途中で抜けまして春日町へ高架で入つて来ますれば、本郷の台地、後楽園の台地をやはり堀割で一部分は行く、そうして車庫の用地を仮に今予定しておるところにとりますると、どうしても地上線で行くほか技術的に見ましても、又経済的に見ても、これはやむを得ないのかと思うのであります。ただやむを得ないからと申しましても、それがためにこうむられる沿道のおかたがたに対しましては、私たちも非常に何と申しますか、お気の毒だと存じますので、これがために土地所有者、家屋の立退きをせられる者の補償はもとより、沿道のおかたに対しても何らか適宜の筋の通つた方法はないかと今苦慮いたしておる次第であります。然らば何故に一体これを地下にすることが技術的に困難であるか、或いは収支的に困難であるかということを詳細に御説明申上げたいと思いまするが、時間が差支えなければ申上げます。それは一つは、先ほど申上げましたごとく、春日町のところを地下にすれば問題は別といたしまして、そのあとでありますると安藤坂のところを地下にしますると、片一方は後楽園、片一方は茗荷谷のはずれ、土地の名前は何と言いますか、そこまで殆んど地下で響くのであります。そうして而も安藤坂の後楽園寄りのところが非常に深くなりますると共に、安藤坂の前後において三十三分の勾配を前後に作らなければなりません。そうしてそれが安藤坂の中が一番低くなりますので水が集中するのであります。従つて技術的に困難であるばかりでなく、保守的に困難である。その後の運転においても非常に困難なのであります。次に、収支の資金の面におきますると、四十八億三千万円かかりまするが、そのうち工事費は四十一億六千万円であります。そうしてこの金の中で見返資金が二億五千万円、増資が二億二千五百万円ですが、これを出したあとの残りのものというものは、四十三億何がしの金というものは、いわゆる預金部の運用資金と民間の交通債券の引受とによらなければならないのであります。こういう大きな資金を今の現況において獲得するということは、私たちとしては手一ぱいであろうと考えるのであります。かてて加えてもう一つ大きな問題は、この四十三億それがしの資金を得るために債券を発行するのでありまするが、この債券の法律上の枠というものが手一ぱいなのであります。これは私たちはその債券発行の枠を拡張するために十六倍余の再評価をいたしました。ここにおられるおかた交通事業において専門のおかたが多いのでありますから、すぐおわかり下さることと思いますが、私鉄、電鉄事業において再評価いたしました会社は少いのであります。大体会社においてもいたさないのであります。東京近郊において再評価をしましたのも五、六倍のところがとまりであります。それを十六倍にいたしまして犠牲を払つたゆえんのものは、この地下鉄建設に対する債券発行の限度を拡張したいためであります。この四十三億で手一ぱいでございます。ただ手一ぱいだと申しましたのは、二十六年度、二十七年度において、手一ぱいであります。二十八年度でありますると、再評価した積立金を下して資本に入れますから発行限度が変る、仮に今こうした地域を地下にいたしますると、約五億円の金がかかりますが、これに対する債券は二十八年まで延ばさなければならないのであります。二十八年度にしなければならない、そうしますと、工事関係において非常な延びを来たすのであります。ずらさなければなりませんから延びる。仮にこの四十八億それがしの資金を一年延ばすと、建設費の金利において三億円の増を来たす。一年延びるかどうかは工事の方法でありますから言えませんが、大体においてそういうことになります。そういうふうにして資金の枠において非常にいわゆる法律上債券を発行するのに困る。第二において収支関係であります。これは収支関係をお考え下さると一番わかるのでありまするが、この新線において大体二十九年度の我々が収入予想をしておりますものは、五億七千万円でありますが、その大半の三億四千万円くらいの金というものは、この建設費の利子に支払い、税金を払うと四億二千万円であります。仮に三億四千万円の利子を収入に比べると五七、八%になろうと思います。ところが現在の地下鉄道におきまして、地下鉄道は今払込千七百九十万円でありますが、殆んど交通債券でやつておるとお考え下さい。それで見ますると、僅かに収入の五分か、六分が利子に払われておるだけであります。今度の線はその利子に五八%も払うのであります。これを営業費で持つて来れば一億三千万円でやらなければならない。現在の線路と新線と比べれば、旧線は新線の倍でありますが、これに対応する経費を見ますると、八億くらいになつております。キロが半分であるから四億であります。ところが四億のその二分の一以下でこれを賄わなければ収支が合わないのであります。それに新らしい五億の金が地下にするために殖えたとすれば、その利子が年間四千万円超えます。とても収支というものが合わないのであります。私は収支が合わないでもやれと言えば……収支が合わないでは預金部の金も借りられませんし、いわんや十五億円以上の民間の債券というものは募集できないのであります。併しながらこの沿線に対する人々の御陳情の趣きは非常に御尤もで、お気の毒に存ずるのでありますが、さような次第でありまして、全線を地下線をやるかやらないかということを考えますると、誠にお気毒だが我慢して頂くほかないのであります。併しながら先ほど申しました通り、何らかの適宜の方法を講じたいと考えておるのであります。
  54. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 提案者の岡田委員質問申上げまするが、今鈴木総裁の御説明によりまして、資金関係の全貌を承わつたのでありまするが、法律関係に入りまして、外国の高速度交通機関の立法例はいざ知らず、本邦の帝都高速度交通営団法におきましては、その第一条において、明らかに地下鉄ということが調つてあるわけであります。それでこの池袋、神田新線計画は全体で七キロ何分、そのうち地上が約二キロと記しておるのでありまするが、かくては約三分の一も地上部分であるいうことでは、関連したる事業というふうに簡単な説明もならず、営団法第一条に照しまして、この点は今度の新線計画は背反すると考えにならんかどうか、提案者にお尋ねいたします。
  55. 岡田信次

    岡田信次君 只今委員長のお尋ねの件につきましては、私もさように考えたのであります。少しおかしいじやないか。ところが今お話のように今度計画しておりますものは七キロ何分かで、そのうちの二キロが地上に出ておる。ところが東京都の地下高速度と申しまするものは、大体全部併せますと、百キロ近いものでございまして、そのうち一部地上に出るのは、先ほど総裁からお話があつたように、やむを得ない点もございますので、その一部も全体から考えますと、今度のものに対しましては、かなり大きな部分になりまするが、全体を考えますと一部になりますので、多少直したいという感もあつたのでございまするが、そういう意味合におきまして直さなくていいじやないかというふうに考えまして、第一条はそのままにやつて置いた次第でございます。
  56. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 重ねてお尋ねいたしますが、然らばこれが全体から見れば一部、という意味は、ほんの一部という意味に解釈いたすのでありますが、然らば全体の計画は殆んど大部分が地下鉄道であるとするならば、先ほどの鈴木総裁の御主張のごとく、殆んど今後の計画は池袋、神田線を除きましては、皆採算がとれない計画になるというふうな結論になりはしないかと思いますが、この点御提案者或いは総裁のお考え如何でありましようか。
  57. 岡田信次

    岡田信次君 細かい点は総裁が御返事なさると思いまするが、東京のうちで一番地形の変化の激しいところが本郷、小石川、あの方面なのでございまして、今後その他に計画に相成つておりまする芝、麻布或いは赤坂方面におきましては、これほどひどい地形の変化がないので、あの辺を地下にするのとはよほど趣きが違うのじやないかと、かように考えるのでございます。
  58. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) お尋ねいたしますが、趣きが違うという意味は、地下をくぐつて建設費が安いという意味に解釈してよろしいのでありましようか。
  59. 岡田信次

    岡田信次君 地下をくぐらしましても、本郷台、小石川台方面を完全に地下にするよりはよほど安く済みはしないかと、かように考えるのであります。
  60. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) この点について専門員のお考えはどうでありましようか。地下の建設費は、東京におきまして地下である場合、そうひどい建設費の差がないように考えられるのでありますが……。
  61. 古谷善亮

    専門員(古谷善亮君) お尋ねでございますから、私より御回答申上げます。将来できまする地形その他の点から考えまして、只今岡田先生の申されましたるように、土地の高低の少い点におきましては、その変化が著しくないものと考えますので、只今お尋ねのような点は資金の面におきましては、さして心配いたすことはないかと考えます。
  62. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 只今の専門員の報告によりますと、地下鉄建設費は、地下をもぐる限り、東京都の中を通す限り建設費にさしたる差額がないとすれば、今回も将来の建設の場合と同じように、地下をもぐるように設計を変更せられることが関係沿道民の要望にも答え、地下鉄本来の使命にも合い、而も帝都高速度交通営団法の第一条にも適合するが故に、さよう設計を変更せらるべきが至当と思われまするが、この点に関しましては、すでに鈴木総裁より、今回は只今の経済情勢において資金面に苦慮があり、この上改正も非常に困難の点も認められまするので、この資金面に関しまする質問はこれにて打切りたいと思いまするけれども、只今の私の質問に対する専門員の、うまく質問の要旨がとれませんでしたので、改めて御答弁をお願いいたします。
  63. 古谷善亮

    専門員(古谷善亮君) 先ほどの質問に対しまして、私の答弁が要領を得ていないように考えましたので、更に申上げますが、およそ鉄道を敷きます場合におきましては、その鉄道建設費に対しまして、十分ペーするかどうかということを考えなければなりませんのでございまして、仮に初年度におきましてペーしません場合におきましても、大体鉄道は十年か十五年間に、一定の市場金利に達すべきものというような見通しを以ちまして、鉄道建設を始めるというのが大体常識のようでございます。従いまして、鉄道のルートを選びますに当りましては、只今のような原則で選ぶのが常識でございまして、これを地下で以てやりました場合に、どういう方法でやるのが一番建設費がかからずに済むか、或いは一部又地上に出しますような必要のある場合におきましては、どの程度地上に出すとか、建設費と収益との間のバランスがとれるかというようなことを考えるわけであります。そこで先ほど私が申しましたことは、只今の池袋、神田間のような土地の高低が、他の路線におきましては、これほど著しく現われて来ておりませんように見受けますので、こんなに著しいような土地の高低を持つておりませんところでは、仮にそれを地下にいたしました場合におきましても、或いは地上に出すような場合におきましても、これほど著しいような差違は生じない場合が予想されること、従いまして将来できます路線が、地下で以て全部通りまして、それで独立採算がとれますならば、勿論地下の路線を選ぶことでございましようし、又そう申しましても、実際の土地の状況から見まして、線路の建設の状態におきまして、どうしても一部は地表に出さなければならんところが起つて参りまするならば、その採算の点も考えてやることになりますので、一概に申上げられないと思いまするが、ただこの池袋、神田ほど土地のでこぼこがないので、その点は考えかたが楽じやないかというふうに考えるだけであります。御承知通り高速度鉄道でございますからして、成るべく早いスピードで、所要時間を少く参りますためには、直線で勾配がなくて、或いは曲り、屈曲即ちカーブのない線を選ぶのが理想なんでございますが、そういつた理想の路線というものはなかなかいろいろの状況で得られにくい場合も起つて参ろうと考えます。それを適当に建設いたしますのが技術者の又腕でございまして、同時に又経営者といたしましても、最も抵抗の少いところで、独立採算の可能なような路線を選ぶのでございまして、そういう点におきましては、只今の池袋、神田ほどの著しいような問題は起つて来ない予想を持つておる、こういうことを申上げたかつたのでありまするが、言葉を簡にいたしまして、十分御趣旨に副わなかつたように感じましたのでここに再び委員長に発言を求めまして、補足いたした次第でございます。
  64. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 専門員としての本問題に対しまするお考えは諒といたしましたが、更にお尋ねいたしまするが、常識上考えますることは、むしろ山の手で、高低の激しい関東ローム、この地質の山の手、つまり池袋、神田線におきましては、むしろ建設費がそう大して変らない。下町のまだ今後たくさんあるに新線計画のほうがむしろ建設費が、溝をもぐり、川をもぐりまして、余計にかかるのではないかと思われるのでありまするが、果してこの神田、池袋間以外の新線計画は収支相償うとお考えでしようか、鈴木総裁にお尋ねいたします
  65. 鈴木清秀

    ○参考人(鈴木清秀君) 一概に各線が収支合うとは申しきれないと思います。これはその線路におきまするところの交通量の情勢にもよりまするし、又その工事にもよりまするし、そのときの金利にもよりますし、工事方法にもよることでありまするから、一概に収支が合う、収支が合わないということを各線に言うことはできないと思います。併しながら、概して高低が多い所は、すべて地下にいたしますときには非常に深くなりますので、工費が上るということは免れないと思います。
  66. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) この工費の点並びに地下にもぐるのを主眼にするという二点につきましては、只今の御答弁で了解せられるのでありますが、本問題は何にいたしましても、沿道民の猛運動が展開されておる今日、十分当局は今後この問題について沿道民の要望に答えるようにお取計らいの上、この立法が完結いたしますることを希望して私の質問を打切りたいと思います。
  67. 鈴木清秀

    ○参考人(鈴木清秀君) 先ほど申しましたことを重ねてお答えすることが、委員長に対する私の礼儀だと思いますから、申上げますが、私どもといたしましても、この地上線にいたしておる計画について、沿道のおかたに御迷惑をかけておることは万々承知いたしております。できるだけ御了解を得たいと思い、又何らか沿道のおかたに対して適宜の方法を講じたいと苦慮いたしております。この点は重ねて申上げて置きます。
  68. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 委員長にちよつと……。今の委員長の御発言に対して、御意見に立入つてお伺いいたしまするが、只今の委員長の御発言でいうと沿道民のために相当考えて行けということが大体結論のように思いますが、これは自由党の提案であるし、政府の御提案を自由党が代つてお出しになつたというように心得ておりまするが、委員長は自由党の有力者であられるのに、今のような御発言であると、どうも委員長は余り賛成じやないんだが、どうも仕方がないからそれに賛成するんだというようにもとれるような御発言のように私は拝聴しておつたんですが、その点に対して明確に委員長のお気持をお伺いしたいと思います。
  69. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) お答え申上げます。私はこの法律案は、神田、池袋間のこの路線計画に対しまする法律案は、立法の内容はそれにとどまつておるものであると考えまするが故に、この立法に対しては賛成であります。ただこの立法に基きまする実際の計画につきましては、これは立法問題以外になりまするので、実際に路線を設定せらるるに当りましては、私は自由党員であるといえども、沿道民の十分なる要求に答えるように設計者に要望した次第でございます。どうぞ御了解をお願いいたします。他に御質問ございませんければ、質問を打切りまして、討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 然らば質問は終了したことに決定いたします。討論に際しましてはあらかじめ替否をお示しの上、御討論をお願いいたします。
  71. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 私は日本社会党を代表して、本案に満腔の賛成を表するものであります。併しながら只今委員長を通して計画者にいろいろな御註文をした点は、私ども誠に適切な御発言であると思いまするから、一つ是非発議者並びに当事者である総裁におかれましても、最後委員長の御希望の要旨は十分考慮をしてそうして本案の円滑なる遂行に当るように是非お願いをいたしまして、私は賛成の意を表する次第であります。
  72. 前田穰

    前田穰君 私は緑風会を代表しまして本案に賛成意見を申述べたいと思います。東京都の交通が非常に混乱しておりますので、これが交通網の完成は一日も早くやらなければならんことでありまするが併しながら客観的情勢はなかなか所期のようには進まないのであります。本案のごとき方法をとることは誠にやむを得ないことと考えるのであります。どうか今後この法律の制定されました暁に、本法案の円滑な運用によりまして、一日も早くこの工事が完成し、そうして更に東京都高速度網の完成に歩を進められんことを希望いたすのであります。そういう意味におきまして、本案に賛成いたします。
  73. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 他に御発言がございませんければ、討論は終結いたしたものと認めます。それでは御異議もないようでありまするから、討論を終了いたします。続いて採決に入ります。帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案を可決することに御賛成かたは御起立をお願いいたします。    〔総員起立〕
  74. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 全会一致でございます。よつて法律案全会一致を以つて可決することに決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によりまして、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の決果を報告することにいたしまして、御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 御異議ないと認めます。  なお本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を附することになつておりまするから、本法案を可決することに御賛成の各委員は順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名    岡田 信次  小泉 秀吉    高田  寛  仁田 竹一    内村 清次  高木 正夫    前田  穰  村上 義一   前之園喜一郎  松浦 定義   —————————————
  76. 内村清次

    ○内村清次君 実は予算第四分料会に対しまして、私構成員でありますが、そこで今質問通告をやつております関係で、実は退席しなくちやならないのでありますが、委員長にお願いして置くことは、この次の委員会に小運送業法関係におきましての実際免許の件、この件につきまして質問をしたいと存じますが、そのときに関係政府雲高及びでき得べくんば実は運輸審議会関係審議委員かた或いは又委員長であればなお結構でありますが、そのおかたにも一つ出席をお願いして頂きたい。これは参考人としてか、或いは説明員としてか、この点は法的に参考人、説明員でも結構でありますから、是非一つ出席して頂きたいということを要求いたします。
  77. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) さように取計らうことにいたします。ちよつと速記を止めて…。    〔速記中止〕
  78. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記開始。それでは船舶職員法案を上程いたします。速記を止めて…。    〔速記中止〕
  79. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記開始。本日は本法案の質問であります。どうぞ順次御発言をお願いいたします。
  80. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 私大分質問があるのですが、順序に従つて質問をいたしたいと思います。第一は法案第二条です。第二条の第二項ですが、「この法律において「船舶職員」とは、船舶において船長、一等航海士」云々と、こういうふうに書いてありますが、そのしまいのほうに「一等船舶通信士、二等船舶通信士及び三等船舶通信士の職務を行う者をいう。」と、こういうようなことになつておりますが、この通信士の船舶職員の呼称と言いますか、名前と言いますか、この関係で、あれは電波法ですか、電波法には通信長というような名前が使つてあるのですけれども、この通信士が今申上げましたように一等船舶通信士、二等船舶通信士及び三等船舶通信士の職務を行うというようなことで通信長というような表現がないわけなんです。これは一等船舶通信士というような代りに、通信長、電波法と同様な通信長というようなふうにするのは何か差支えがあるのか、或いはどういう意味でここで通信長というような表現を避けたのか、何か理由があれば、その点をお伺いしたいと思います。
  81. 松平直一

    政府委員(松平直一君) 只今の御質問にお答えいたします。只今御質問で通信長を設けなかつた理由ということになるわけでございますが、この問題は相当微妙な関係がございますが、ただ政府としてこれを入れなかつた考えかただけを申上げたいと存じます。電波法の五十条で通信長ということを謳つておりますのですが、その場合の通信長というのは無線の操作をするという見地から、その円滑な運営をするために通信長というものをまあ置いておるわけでございます。ところが船舶職員法では、船舶という一つの共同体において、甲板部、機関部とその他の職員と協力して船舶の安全に関連して行くという建前から、一応電波法の見かたとは別の観点を持つたわけでございます。非常に設けなかつた根本的な理由というのは余りございませんのですが、ただ船舶職員の甲板部とか、機関部の船舶職員の数に比較しまして、無線従事者の数が非常に僅少であるという点に鑑みまして、現行法の建前を踏襲したということになるわけでございます。ただ私のほうでは電波法で通信長がきめてあるから、ただそれを無条件に船舶職員法でも設けなければならんということもない。要するに電波法のは飽くまで電波の運営を円滑にする意味である。それから船舶職員法においては船舶の安全を確保するための一員であるという建前から、電波法とは一応別個に設けるか、設けないかは考慮すべき問題であるというふうに考えておるわけであります。
  82. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 重ねて伺いますが、そうすると、実質的には電波法で言う通信長と違つた意味を持つておるのだから、職員法ではほかの職員の業務関係から言うて、極めて少数の人が無線電信のほうには乗つておるのだから、そういう関係をも考慮して、特に通信長というような名前を使わんでもよかろうというような意味でした。かように了承していいのでありますか。
  83. 松平直一

    政府委員(松平直一君) お説の通りでございます。
  84. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 それからその次に第五条の第二項でありますが、第五条の第二項と、それからその次の第十二条との関連であります。第五条の第二項には、「海上保安庁長官は、前項の甲種機関長、甲種一等機関士、甲種二等機関士、乙種機関長、乙種一等機関士、乙種二等機関士、丙種機関長又は丙種機関士の資格についての免許につき、運輸省令で定めるところにより、船舶の機関種類についての限定をすることができる。」、こういう条文でありまするが、この十二条には「試験は、海上保安庁長官が第五条第一項に掲げる資格別に行う。」というようなことになつておりまするが、そうすると、五条二項の規定によりまして、十二条の国家試験に合格した者に対して、その免許の効力を行政処分で保安庁長官が一方的に制限することができるというように見えるのですが、それでは不都合ではないかと私どもは思うのです。船舶機関の種類について限定する必要があるならば、むしろその資格について限定するとでも言いますか、適当な表現の仕方をすれば、こういう表現でなくてもいいのだというように思うのですが、それに対する御所見は如何ですか。
  85. 松平直一

    政府委員(松平直一君) 五条二項と、それから十二条の関係において私のほうで考えました点は全くお説の通りなんでございます。ただ五条二項で仮に制限をいたしましても、免状の表現といたしましては、五条一項の表現を使いますので、こういう書きかたをいたしたわけで、内容については全くおつしやる通りであります。
  86. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 それからその次でございますが、九条、十条並びにその以下のところで少しお伺いしたいのですが、十条を見ますと、「海上保安庁長官は、海技従事者が左の各号の一に該当するときは、その免許を取り消し、一年以内の期間を定めてその業務の停止を命じ、又はその者を戒告することができる。但し、これらの事由によつて海難審判法第二条の海難が発生したときは、この限りでない。」というて、あと一号、二号が規定してあるわけなんですが、ここの趣旨がどうも明瞭でないのですが、この点をもう少し私ども素人にわかるような表現をして頂きたいと思いますが。
  87. 松平直一

    政府委員(松平直一君) ここの意味は第十条の第一号、二号に基くところの違反或いは非行行為に対しまして、保安庁長官が或る程度の行政処分をできるように規定したわけなんでございますが、ただ同じ行政処分には、十条による海上保安庁長官の処分と、海難審判法に基く海難審判長の処分と二つあるわけでございます。それで海難審判法によります行政措置も、同じく免状の停止とか、或いは免許の取消とか、戒告とかということができるわけでございますが、ただその内容において海難審判法は海難が起つた場合に、それに関連するそういう船舶職員の或いは懈怠とか、義務違背とかによつて生じた場合に、そういう処置をいたします。十条で考えておりますのは、この海難審判法は従来は海員懲戒法的色彩を持つておりまして、海難が起らない場合でもこういう非行に対しては、こういう処置をしておつたのでありますが、今度の審判法によりますと、海難に関連しないものは、全然放置をされるという意味におきまして、十条では海難に関連しない場合だけを取上げる意味において設けたわけで、結局海難に関連したものにつきましては、全く海難審判法に委ね、海難に関連しないものは十条で適当な行政処置をするというふうにはつきり分けるつもりで書いた次第でございます。それで表現がこれだけではわからないという御質問かとも思うのでありますが、実はいろいろ考えましたのですが、現行水先法に同じ表現が使つてあるのでございます。精神も全く同じなので、その表現を採用したわけなのでございます。
  88. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 海難審判法の第二条の海難が発生したときというのですが、それは審判法第二条の海難が発生したときというそのときとは、どういう形式において海難が発生したときというものが摘出されるのですか、それをお伺いしたい。
  89. 松平直一

    政府委員(松平直一君) お答え申上げます。この意味は客観的に海難が発生したという意味でございます。
  90. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 客観的に海難が生じたということは、何かそこにやはり事実が認められないと、客観的に海難が発生したということはちよつと認定するのに困難で、例を挙げれば、或いは海難が発生したということを理事官がその意見を表明したというようなことも、そういうことが言えるかとも思うし、或いは理事官が告発したときに海難が発生したとも見えるような気もするので、この際今のお話の客観的にというのをもう少し具体的に言うと、どういうとき客観的に海難が発生したときと言われるのですか。
  91. 松平直一

    政府委員(松平直一君) 実はこれは逆に又考えたほうが私たちとしてもわかりやすいように思つております。実は今御質問の中にありました海難審判長の裁決によつて、例えば懲戒がなされたときとか、又はその海難審判理事官が海難に関係あるものとして審判開始の申立がなされたときというふうに限定をすれば、非常にはつきりするとも思うのでございますが、若しもこういうふうにいたしますと、若し審判長のほうで裁決によつて何ら懲戒がなかつたという場合には、海上保安庁がこのものを取上げて或る行政処分をしなければならないというような結果にもなります。それから又理事官のほうの審判開始の申立の場合を考えましても、理事官が審判を進めております間にも、海上保安庁長官は、すでに処分を行なつてしまわなければならないというような状態に相成りまするので、ともかくも懲戒になるかならんかは別といたしまして、とにかく海難に関連したらば、この十条は適用しないという意味でいろいろ考えたわけなんでございます。どうも適当な表現もございませんので、水先法の条文そのまま採用したわけでございまして、精神は今申上げた精神で海難に関係したらば、それが懲戒になるならんにかかわらず、第十条では取上げない。こういう意味でございます。
  92. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 この問題は少し私も了解しかねますから、質問を保留してあとに申上げます。これに関連しまして、つまり第十条の一号のところで、「この法律又はこの法律に基く命令の規定に違反したとき。」、それから「船舶職員として職務を行うに当り、非行があつたとき。」に、海難審判法の第二条の海難と関係のないことにおいては、海上保安庁長官がこれを審議して刑量をするというようなことなんですが、それから第十一条には、職員を処分するときは公聴会で、公開で聴問をするというような誠に民主的とかいうような御趣旨でしようけれども、私はもう一歩進めて、これほどのことをするのならば、海上保安庁長官は、水先法が水先審議会にかけたり、海上運送法においては運輸審議会にかけてこの種のことを裁断するというようなことになつておるように了承しておるのですけれども、海上保安庁では幸いに保安審議会というようなものがあるのですからして、これはやはりこの十条、十一条と関連して、保安審議会にかけて適当な措置をすべきであると私どもは思うのだが、政府はこの点に対してどういう御見解を持つておられるか。
  93. 松平直一

    政府委員(松平直一君) 只今の御質問の精神は、私のほうでも全く同感でございまして、実は保安審議会の点も考えましたのでございますが、丁度各省の審議会性格或いはその存廃に関しまして、いろいろ問題になつておる時期だつたものでございますから、その精神を生かしまして、十一条で聴問という制度をとつた次第でございます。なお審議会の問題は、きまりますれば又いろいろと考えかたもあるのじやないかと思うのであります。
  94. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 それから次は第十四条について少し伺いたいのですが、この第十四条は「試験は、第五条第一項に掲げる資格別に、運輸省令で定める乗船履歴を有する者でなければ、受けることができない。」というように規定してあるわけなんですけれども、この運輸省令できめるということで、試験をどういうふうな基準によつて、どういう試験をするのかというようなことは、相当この法律から言うと重大なものだと思うのだが、なぜこれはこの法律の中に適当にやはり明示しないのか、特に運輸省令できめるんだというように規定してあるその根拠ですね。それからもう一つは、乗船履歴を有するものでなければ受けることができないというのは御尤もなのだが、いわゆる乗船履歴はどういうふうになるのかということも、全般を見て法律の中には現われておらないのですけれども、そういう点を法律事項としてきめずに、特に運輸省令に譲つた根拠を伺いたいと思います。
  95. 松平直一

    政府委員(松平直一君) お説の通り、この乗船履歴は非常に重大な問題で、法律事項的な性格を持つておるのでございますが、御承知通りこの乗船履歴は非常に複雑な、或いは又技術的な規定でございまして、実はここへ掲げるのが大変……と言つては甚だ語弊がございますのですが、……というふうに考えましたので、省令に廻したわけでございますが、御参考までにこの参考資料というものをお手許に差上げてございますが、これの八頁から十三頁までに……、本案審議のために提出してございますので、これによつて御了承を願いたい、こう思います。
  96. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 今のお話のこの八頁から十三頁の乗船履歴新旧対照表というものの新のほうが今のお話だと心得るのですが、この参考資料というやつは、これは確定というふうに了承していいのか、飽くまでも確定でなくて参考資料だ、自由に変えることができるのだというような御意見なのか、その点一応確めて置きたい。
  97. 松平直一

    政府委員(松平直一君) 乗船履歴に関しましては、確定とお考え頂いて差支えないものでございます。
  98. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 それからもう一つ。これに関連して、履歴のほうはこれで一応確定ということであるとしますが、試験規定と言いますか、準則というか、そういうものを今までの……  この表現によると、運輸大臣乃至保安庁長官がこれをきめるというのだが、先刻その審議会に関連してですか、こういうような問題に対してでも、例えば試験の基準をきめるとか、試験の問題の検討を、まあ前に検討するとかいうことはできないにしても、あとからそういう問題をずつと検討して行くというような適当な方法はあるでしようけれども、要するに保安審議会、又はその同様のようなものに諮つて、そうして基準をきめるというような御意思はないのかどうか、その点を一つ……。
  99. 松平直一

    政府委員(松平直一君) お説の通り私のほうでもその点を考えております。
  100. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 そうすると、今の御答弁は、現在、法律には規定してないが、そういうことをするということも考えているという御趣旨と了承していいのでしようか。
  101. 松平直一

    政府委員(松平直一君) その通りでございます。
  102. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 それから二十三条ですが、「船舶所有者は、運輸省令で定める船舶については、その船舶職員の名簿を、船内の見易い場所に掲示しておかなければならない。」、極めて簡単な条文ですが、これは船舶所有者に船舶職員の名簿の掲示を命ずる条文ですが、三十二条に罰則があるわけです。そこに違反者を処罰するというようになつておるのですが、これと関連する船員法によりますと、船長は海員名簿の備え付をしなければならないようになつておるのですね。そうして又船長が違反をしておれば処罰されるというので、実際問題においてはそう大した意義のない問題で、一方においてこれをしない時分には船長が処罰されるというのですから、そこえ持つて来て又船舶所有者を処罰するというような規定を掲げるほど、これは重要なものじやないという意見もあるのですが、これに対しての御所見は如何でしようか。
  103. 松平直一

    政府委員(松平直一君) 只今の御質問でございますが、海員名簿のお話が出ましたのですが、この第二十三条の目的は船客及び乗組員に対して、その船に乗組んでおります船舶職員としての職務を行う者の資格をはつきり公示いたしまして、何と言いますか、こういう資格の者はこれだけ乗つておるということによつて安心を与えると言いますか、或いはちやんと法律を励行しておるということの口実に使おうというように考えたわけでありまして、お話の海員名簿ですが、そのほうは船客とか、そういう第三者に対して公示をする目的はございませんので、二十三条でその意味を以つて表現いたしたわけでございます。なお補足いたしますが、ただそういう意味から申しまして、この二十三条によつて公示をする船は或る程度制限をしたほうがよくはないかと考えます。
  104. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 この問題は極めて簡単なようですけれども、これは逆に言うと、一つそれに対して政府の御意見を伺いたいのですが、こういうものは法律である限り、必ずこれはまあ立派にそれに合うようにしなきやならんのですけれども、ともすると、これが何かのはずみでネグレクトされたりなんかしたようなことが起らんとも限らんのだが、その意味で法律違反を楯にとつて、いろいろ何と言いますか、法律の条文を強行するというようなために出帆が遅れなければならなかつたし、或いは遅らされなければ、この問題が解決しないというような重大なこともあり得るようなことが予想されるのですけれども、その罰するほうから言うと、何でもかんでも罰しなければならんと言うが、一方から言うと、それほど大きな問題でないならば、そういう反作用が必ずしも考えられないとも限らないのだからしてこういう問題はまあ少しとめて見て、そうして将来のために迷惑を大衆に与えるというような時分に新たに立法する余地もあるだろうが、そういうふうにしたらどうかという意見もあるのですけれども、そういうことに対する政府のお考えはどうでしようか。
  105. 松平直一

    政府委員(松平直一君) これを公示しなかつたことによりまして、いろいろトラブルが起りは上ないかという御質問でございますが、まあ私のほうとしましては、できるだけそういうふうなことのないように処置をしたいと思つているわけでございます。それで最後の御質問の、どうしてもこれはなければいけないかということにつきましては、まあこれはあつたほうがよろしいと思つて掲げましたので、絶対的のものではないと考えております。
  106. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 ずつとしまいに行つて、この附則の第十でありますが、これで見ると「学校に在学している者」その他いろいろと、こう書いてありますが、ちよつと海員養成所というところがあるが、あすこの卒業者などはこの中に包含すると了解していいのでしようか、この点どうなんでしようか。
  107. 松平直一

    政府委員(松平直一君) お説の通り海員養成所の卒業者も包含するつもりでございます。
  108. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 そうすると、この条文の中で包含するという解釈ができるのですか、運輸省令で定めるということで、そういうものをずつと列挙して別な省令を作ろうという御意思なんでしようか、どういう……。
  109. 松平直一

    政府委員(松平直一君) 実はこの条文の通りで、只今の海員変成所も含めるつもりでおりますのですが…。
  110. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 含まるのですね。
  111. 松平直一

    政府委員(松平直一君) はあ、含まります。
  112. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 それはどういうふうに解釈すれば含まりますか。
  113. 松平直一

    政府委員(松平直一君) どういうふうにという御質問でございますか
  114. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 ここでは学校と、こう書いてございますから……。
  115. 松平直一

    政府委員(松平直一君) はあ、養成所も普通、学校々々と言つておりますので、その学校の中へまあ突込んでしまうというようなことでございますが。
  116. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 養成所を学校、この学校は養成所を含むと了承しろとおつしやるわけなんですか。
  117. 松平直一

    政府委員(松平直一君) さようでございます。
  118. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 それから更に定員の問題ですがね、定員の条文がどこにあつたか、私今何ですけれども、多分第一表だろうと思うのです。で、この乗組員の定員が現行法と、それから今度の改正法案との間に、大体船舶職員の中で船長以下甲板部員と言いますか、並びに機関長以下機関部員というものは、船のトン数のさまざまの差別に従つて、大体現行法よりも殖えておるところがあるし、又現行法と同じような定員になつておるのですけれども、ひとり無線通信士ですか、この方面におきましては、遠洋航路の定員のところで、五百トンから千トンに現在二人あるものが一人になつておる、一千トンから千六百トンのところに二人あるものが一人になつている、千六百トンから三千トンのところに二人あるものが二人ないわけだが、要するにほかのパートにおいては、乗組員が殖えているところがあるのだが、無線通信士だけは減つておる。而もこの減つておる五百トンから一千六百トンまでの船は現在の日本の海運状態では相当船数が多い、こういうようなことになつている実情なのですけれども、これをこういうふうに新らしい法律において法定の乗組員数を減らした根拠はどこにあるのか、これをお伺いしたい。
  119. 松平直一

    政府委員(松平直一君) 従来船舶通信士の資格のほうは、トン数別の区別を甲板部員、機関部員と同じ区別によつていろいろ算定しておつたのでございますが、今度これを電波法によりまするところの無線電信局のトン数別区別を採用いたしまして、更に又海上における人命の安全のための国際条約、これに定めるトン数別採用いたしましたのでございましてこれに定めるところの聴取時間或いは義務運用時間、こういうものを基準にいたしまして、一日八時間の労働ということを基礎にして算定いたしました次第でございます。従つて船舶職員といたしましては、安全を確保する範囲において最小限度の数字を規定すべきものであるというふうに考えましたので、只今の計算によつて出ました数字が従来よりは低くなつたものもございますが、それはそのままにいたしておるのでございます。
  120. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 この電波法というのは、大体電波法制定の時分のいろいろ質疑の経過から見ると、人命安全のこの国際条約から出発して、大体電波法でもああいう人間をきめたのだというようなふうに了承しておるわけなんで、結局言い直すと、国際条約即ち電波法と言うてもいいと思うのですが、一面この国際条約は相当前に日本が批准してそうして法律になつておるので、国際条約がある、現存しておるにもかかわらず、現行の無線技士の乗組員の数というものはきめられたと私は思つておる。これは私の誤解なら何ですが、若し誤解でなければ、そのときは国際条約はあつたが、国際条約に準拠せず相当な人間の数を置いたのであります。そうすると、今度職員法を新らしくするから、それに便乗して国際条約によつて減らすんだというのだと、筋が通つたような通らないようなことになるのですが、その点もう一遍重ねて御意見を伺いたい。
  121. 松平直一

    政府委員(松平直一君) 只今の国際條約が非常に古いというお話がございましたのですが、まあ現行の国際条約は一九三九年の条約をそのまま採用しております。又一九四八年に新条約ができまして、月下各国批准中でございますが、まあ当然将来は日本もこれに参加すべきものと考えるわけでございますが、この両者を比較いたしましても、義務聴取時間につきましては何ら変更はないわけでございます。電波法の聴取時間を調べて見ますると、実はこの安全条約に規定したのを非常に上廻つておるわけでございまして、なぜ上廻つたか私どもよく存じませんのでございますが、実際は国際航海に従事する船舶ならば、この国際条約に規定した数字でよろしいのではないかと私は考えておるわけでございます。
  122. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 重ねて伺いますが、一九三九年のは日本は批准しておるし、一九四八年はまだ批准していないのだろうと思いますが、つまり一九三九年の国際安全条約があつても、それを上廻つて現行法は法律で定員をきめておつた。併しそれはそのときの情勢できめたのだが、今はそれに及ばないから、国際条約の範囲にまで漫然と持つて来たんだというのでは説明が説明にならんようだが、もう少し理由があるんだろうと思うのですが、もう少し御親切な説明をして頂きたいと思います。
  123. 松平直一

    政府委員(松平直一君) 先ほどのお答えで多少意を尽さなかつたように存じますが、国際条約を基準にいたしましたのは間違いでございませんのですが、電波法ができまして、実は国際条約にきめられましたよりも多い聴取時間を規定した部分もございます。併し今度の算定におきましては、その多いところの電波法に従つておりまして、その電波法が国際条約より多いにもかかわらず、それをなお今度の定員は満足しておると、こういうふうに考えられます。
  124. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 私まだ少しありますから、今日はさつきのお約束でこの程度にしてあとにお譲りしたいと思いますが、これで一応中断して質問を打切ります。
  125. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それでは質問は次回に続行することにいたしまして次の問題に移ります。   —————————————
  126. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 次は航空事情に関する件であります。松尾航空庁長官から御説明を承わりますが、御説明の前に高田委員から……。
  127. 高田寛

    ○高田寛君 国内航空路線の開設については、この前航空庁長官から一応の御説明を伺い、それから又運輸省予算に関連して一応私から質問いたしたのでありますが、なおその際の御答弁といたしましては、民間航空事業が国内で開かれるけれども、これに必要な予算というものが一向組んでないということであつたのであります。それで我が国民の待望する、その国内の航空が始まるこのときに当つて、この航空事業に必要な施設をする予算が何ら組まれてないということでは、ただ民間航空事業が始まる始まるという声だけ聞かされて、実際は国民の非常な失望を見るようなことになりはしないかということを虞れるものであります。それで大体この航空路線というようなものを大体どういうものを予定しておられるか、又将来どういうふうに拡張するように考えておられるか、又これに必要な施設というものについてどういう計画を持つておられるか、その点を一つ御説明を願いたいと思います。
  128. 松尾靜磨

    政府委員(松尾靜磨君) 現在最初の計画といたしまして政府考えております路線は、先般閣議の了解事項でもはつきりいたしました通り、札幌、青森、仙台、東京、名古屋、大阪、岩国、福岡、この日本の常識的に考えて幹線と思われる線を一応当初の計画として考えておるのであります。従いまして昨年の補正予算に、先ほど申しました一応この幹線に要します地上の保安施設の要求をしたのであります。併し財政上非常に困難であります関係上、私たちは意ならずも、昨年通りました補正予算東京と大阪と福岡の三線だけのテレタイプ回線、それから無線施設と、それから大阪のホーマービーコン、これだけの費用として五千二百万円を二十五年度の補正予算として認められたのであります。その後私どもといたしましては、この幹線はどうしてもやりたいと思つておりますので、目下大蔵当局と事務的に折衝をいたしておりますが、非常に困難になつて来ておる状態でございます。先ず私たちが計画いたしておりますのは、少くとも先ほど申しましたこの札幌から福岡までの各着陸地点には、テレタイプ回線と並びに短波の無線施設と、こういうものだけは最小限設置しなければ、飛行機だけありましても定期航空は安全にできない。なお用員も従つてそれに必要なわけでありまして、事務所或いは航空会社自体が使用いたします待合室とか、或いは航空郵便その他を取扱います郵便局の庁舎、そういうものも必要なわけでありまして、差当つて最小限必要な額といたしまして、我々が考えておりますのは大体二億円足らず、これを一応この六月に間に合うように何とか予算の措置を講じたいと考えておる次第でございます。なお飛行機を安全に飛ばしますためには、将来はやはりGCAとか、或いはILS、地上の天気の悪いときの着陸の誘導施設或いは航空路上におきますチエツクポイント施設或いは飛行場の整備の費用、こういうものを合せますと、どうしても十数億の金を必要とすると考えております。
  129. 高田寛

    ○高田寛君 そうしますと、差当り要求しておるのは約二億足らず、それからこれを十分に施設をすると十数億かかるというお話でしたが、そうすると、二億くらいの予算がとれれば、一応福岡、札幌まで民間航空を開設できる、こういうことになるのですか。
  130. 松尾靜磨

    政府委員(松尾靜磨君) この二億円の内容につきましては、ここにも、差上げておる資料にもございます通りに、テレタイプ回線と無線施設、それから若干の庁舎の関係、それから人件費と、これだけをこちらで取りあえず施設いたしまして、非常に金のかかりまする飛行場の、整備或いはGCA、ILSは、これは軍のほうの協力で当分やつて行くと、こういうことでございます。将来はこれは是非ともこちらで施設しなけりやいかんと考えておるのでありまして、それに要する金があとやはり十数億円必要だと考えております。
  131. 高田寛

    ○高田寛君 そうしますと、軍用の飛行場を使うこと、それから軍用になつておる格納庫を待合室などに使うこと、こういう点についてはどういう交渉経過になつておりますか。
  132. 松尾靜磨

    政府委員(松尾靜磨君) ちよつと速記を止めて下さい。
  133. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記中止を願います。    〔速記中止〕
  134. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記開始。
  135. 高田寛

    ○高田寛君 そうすると、取りあえず二十六年度としては二億円の予算がとれて、それであとは二十七年度以降でいいと、こういうことになりますか。
  136. 松尾靜磨

    政府委員(松尾靜磨君) あとは二十六年度の補正予算で出したいと考えております。
  137. 高田寛

    ○高田寛君 それでまあ予算編成の時期と、それから国内民間航空事業、運送事業日本側の会社がやるということを決定した時期とのズレのために予算が組めなかつたかと思うのですが、その点はどうなんですか。それとも大蔵省としてまだ認識が足りなくて、なかなか予算が組入れられないという情勢なのか、ただ時期的のズレのために二十六年度予算には載らなかつたという事情なのか、少し突込んだ話ですが、その辺の事情はどうなんですか。
  138. 松尾靜磨

    政府委員(松尾靜磨君) 速記を中止して下さい。
  139. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記中止。    〔速記中止〕
  140. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて……。
  141. 高田寛

    ○高田寛君 そうしますと、国内航空運送事業が始まるということが、まあどの程度に現在の日本として重要性を持つかということ、その点を大蔵省の事務当局に認識させることが欠けているというふうに窺われるのですが、まあ航空事業を福岡、東京だけにとどめるか、札幌まで延ばすかと、そういうことは大蔵省の事務当局がきめるべき問題じやない。まあこれが必要であるとすれば、二億円くらいの予算が今の予算の中においてどうしても組めないというほどの額でもなし、どうもその点が何というか運輸省方面の押しかたが足りないというのか、どうも大蔵省のほうの理解が欠けているというのか、甚だ遺憾だと思うのですが、それで只今のところ取りあえず六月とか、七月とかに航空事業を始めると言つており、これに間に合わすためには予備金からでも支出させるというようなことに今折衝されているのかどうか、その辺のところはどうなつていますか。
  142. 松尾靜磨

    政府委員(松尾靜磨君) 速記を止めて下さい。
  143. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を中止して……。    〔速記中止〕
  144. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて下さい。
  145. 高田寛

    ○高田寛君 いろいろ御説明を伺うと国民の待望しておる国内航空事業が始まることが非常に期待されているにもかかわらず、それを飛ばすため必要な施設がいつできるかどうかわからない。この情勢では六月はおろか、今年一ぱいかかつても飛べるか飛べんかわからんというような情勢のように思われるのですが、この航空事業が開始されるということは、勿論この当委員会としても非常に大きな関心を持つものであり、現に又持つているのでありますが、このような予算事情のために、これがべんべんと延びるということでは誠に遺憾だと思うのですが、如何でございましようか、これはこの運輸委員会として、一つこういうものを促進するような何か方法を講じるというようなことが必要ではないかと感ずるのでございますが、例えば運輸委員会で、航空事業を開始するのに必要最小限度の施設は速やかにこれをできるような予算措置を講じろというようなことを決議して、この委員会の意を提げて委員長から大蔵大臣に交渉して頂くとか、いろいろな方法はあると思うのですが、如何でございましようか。一つその辺のこともお諮り願いたいと思うのですが、実は先ほど村上委員もここを立たれる際に、是非そういうふうに持つてつてもらいたいという希望を残して、ほかの委員会に出て行かれたのですが。
  146. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) この点御尤もと思います。さよういたさなければ、なかなか打開推進できないと思いますから、なおこのことはそれでは理事会を開き更に委員会に問うて推進して行きたいと思います。
  147. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 ちよつと私聞き忘れたが、二億円あれば航空事業は開けるという、何ですか、一億は今まで来ておりながらあと相当金があるやつが、それが目度が付かない、補正予算でもきまらないと開けないというのですか、その点はどういうことになるのですか。
  148. 松尾靜磨

    政府委員(松尾靜磨君) 最小限二億円ありますれば、絶対に必要な通信施設とそれから無線の施設それから若干の事務所ができるわけでございます。これで差当りはできる。併しその残りのものは相当多額の費用がかかりますので、これは軍の施設の協力を願う、こういう意味でございます。そうして軍の協力を願つておる部面も、来年度の補正予算が上程できる場合には出しましてそれが通りますればそれで軍の協力を打切りまして、こちらで完全にやつて行く、こういう順序にいたします。
  149. 松浦定義

    ○松浦定義君 前回の委員会に丁度長官に私ちよつとお尋ねしたのですが、そのときには今日のようなお話でなかつたので、非常に私は安心しておりましたし、或いは又運輸省としても当然今、これは高田先生からおつしやいましたように、最善の努力をしなければならんというふうに御尽力は願つておると思いましたので、実は私は衆議院のほうの関係の人にいろいろ御相談申上げたのですが、衆議院の方針としても、これはどうしてもやらなければならんというので、何とかこれを実現に向つて努力したいような方法を講じたいということで、こちらでもそういうふうにするから、参議院のほうでも一つ何とかされたらいいじやないかというお話を聞いたのですが、今高田先生のお話のように、こちらでどうしてもそういうふうな方法をとつて頂かないというと、今お話になりましたように、北海道だけ、或いはその他にしましても、回数が減じられるというようなことになるというので、この点一つそういうふうにお考え願いたいのと、特に又前之園委員が先ほどもお話になりましたように、やはり遠距離の場合に、こういう問題をどうしても先ず実施して頂きたいというようなことも、当然これは国民要望するところだと思いますので、そういうふうに一つ何とかお諮り願つて、今小泉委員からお話のありましたように、二億円何がしでこれが実現できるということであれば、先ず以て政府計画通りに実施して頂くようにして頂きたい。一応そういう線で進めて頂きたい。どうしてもできないということであれば、これは又別ですが、最善の御努力を尽して頂いて国民が納得するような方法で以てそれをやつて頂くということが望ましいことだと思います。是非一つそういうふうに、私北海道であります関係から、なお更強く要望いたします。お願いいたしたいと思います。
  150. 高田寛

    ○高田寛君 もう一つ、私誤解ができるといけないから念を押しますが、今二億円あればどうやら差当たりやれるという、その二億円がまだ予算がとれることがきまつていないということなんすな。
  151. 松尾靜磨

    政府委員(松尾靜磨君) その通りでございます。
  152. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) これについてお諮りいたしますが、ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  153. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて……。それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後四時十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     植竹 春彦君    理事            岡田 信次君            小泉 秀吉君            高田  寛君    委員            仁田 竹一君            内村 清次君            高木 正夫君            前田  穰君            村上 義一君           前之園喜一郎君            松浦 定義君   政府委員    運輸政務次官  關谷 勝利君    運輸省鉄道監督    局長      足羽 則之君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  石井 昭正君    運輸省鉄道監督   局民営鉄道部長  唐澤  勲君    海上保安庁海事    検査部長    松平 直一君    航空庁長官   松尾 靜磨君   事務局側    常任委員会専門    員       岡本 忠雄君    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   参考人    帝都高速度交通    営団総裁    鈴木 清秀君