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1951-03-10 第10回国会 参議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十日(土曜日)    午前十時五十一分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○小委員長報告名古屋多治見駅間鉄道電化に関  する請願(第二五号)(第一四五  号) ○白河仙台駅間鉄道電化促進に関  する請願(第一一一号) ○白河仙台駅間鉄道電化促進に関  する陳情(第二号) ○新潟長岡駅間鉄道電化促進に関  する請願(第二四九号) ○山川枕崎駅間鉄道敷設促進に関  する請願(第三四号) ○隼人駅、大泊間鉄道敷設促進に関す  る請願(第三五号) ○朱鞠内羽幌駅間鉄道敷設に関す  る請願(第一二五号) ○茨城長倉村、大子間鉄道敷設促  進に関する請願(第三九号)(第一  四二号) ○宮下川口間鉄道敷設促進に関する  請願(第五一号) ○築別遠別駅間鉄道敷設促進に関  する請願(第一二四号) ○小本線鉄道敷設促進に関する請願  (第一五九号) ○大垣樽見間鉄道復旧促進に関す  る請願(第二六八号) ○御影宮内駅間鉄道敷設促進に関  する陳情(第六号) ○白山新発田駅間鉄道敷設促進に  関する陳情(第二四号) ○山田線復旧促進に関する請願(第一  六〇号) ○倶利加羅峠トンネル改修工事施行に  関する請願(第四〇号) ○神俣駅を滝根駅と改称促進請願  (第五〇号) ○中村貨物ホーム拡張促進に関する  請願(第五四号) ○大津港改築に関する請願(第九八  号) ○白棚鉄道復活に伴う停車場設置等促  進の請願(第五六号) ○東北本線西郷信号場を駅に昇格促進  の請願(第五七号) ○具田信号場を駅に昇格促進請願  (第一一〇号) ○本川内信号場駅昇格に関する請願  (第二五三号) ○中村新地両駅間に新駅設置促進の  請願(第一〇八号) ○小野新町、須賀川両町間および須賀  川、長沼両町間に国営貨物自動車運  輸開始促進請願(第五八号) ○二本松津島両駅間に国営バス運輸  開始促進請願(第一〇七号) ○小野新町、石川両町間および小野新  町、小平村間に国営バス運輸開始の  請願(第一一八号) ○姫新線第二鉄橋引上げによる護岸強  化等に関する請願(第八〇号) ○江田乗降場小川郷間通学小中学  校生徒運賃改正促進に関する請願  (第一〇六号) ○江田乗降場利用乗降客運賃改正に  関する請願(第一四〇号) ○青森商業学校踏切危險防止に関す  る請願(第一七八号) ○一般運輸事情に関する調査の件  (国税及び地方税運輸交通産業に  及ぼす影響に関する件)  (日本国有鉄道の機構に関する件)  (港湾荷役力増強に関する件)   ―――――――――――――
  2. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 運輸委員会を開会いたします。  先ず請願及び陳情に関する小委員長報告をお願いいたします。
  3. 岡田信次

    岡田信次君 請願及び陳情に関する小委員会における審査の経過を御報告いたします。  請願第二十五号、同第百四十五号、名古屋多治見駅間鉄道電化に関する請願請願要旨は、中央線東海道線に次ぐ重要線であり、その中でも名古屋多治見間は交通量も多く、混雑を極め、関係住民の不便と迷惑は多大であるから、東海道線浜松、米原間の電化と同時に名古屋多治見間の電化を図られたいというのであります。  請願第百十一号、陳情第二号、白河仙台駅間鉄道電化促進に関する請願及陳情請願及陳情要旨は、東北本線白河仙台両駅間は急勾配地点が多く、運転上の隘路となつて東北地方開発に重大な障害となつている現状であるから、福島県下の豊富な電力を利用して、速かに電化せられたいというのであります。  請願第二百四十九号、新洗、長岡駅間鉄道電化促進に関する請願請願要旨は、新潟市は裏日本における政治経済文化の中心をなしており、交通需要は極めて頻繁であるが、これに対録第七号する運輸機関はその回数速度において表日本と比較にならず、地方都市発展開発は容易に望むことが出来ない実情にあるので、先に電化せられた高崎、長岡間を更に新潟まで延長して地方産業開発発展を図られたいというのであります。以上の請願四件陳情一件は審議の結果いずれも願意を妥当と認めました。  請願第三十四号、山川枕崎駅間鉄道敷設促進に関する請願請願要旨は、山川枕崎両駅間の鉄道敷設に関しては、既に関係機関調査も終つており、完成の暁は数十万の沿線住民の利益はもとより、産業文化発展に及ぼす影響も大きいから、速かに実現せられたいというのであります。  請願第三十五号、隼人大泊間鉄道敷設促進に関する請願請願要旨は、隼人大泊間の鉄道敷設に関しては、事変の為着工に至らず今日に及んでいるが、同地方全国有数の未開発宝庫として知られ、これが開発日本経済再建土寄與するところが多いから、速かに鉄道敷設促進せられたいというのであります。  請願第百二十五号、朱鞠内羽幌駅間鉄道敷設に関する請願請願要旨は、朱鞠内羽幌両駅間の鉄道敷設に関しては、名寄町、朱鞠内間はすでに工業が完了し、資源開発に寄與しているが、朱鞠内羽幌間は未だに完成していないため、沿線鉱林産資源開発支障を来しているから、速かに敷設せられたいというのであります。  請願第三十九号、同百四十二号、茨城長倉村、大子間鉄道敷設促進に関する請願請願要旨は、沿線住民が二十余年に亘つて之が建設を宿望し、すでに当局現場各般調査も済み、一部路盤工事に着手したが、日支事変により中止せられ、実現を見ず今日に及んでいるが、地方経済文化発展のために甚だ遺憾であるから、速かに敷設するよう促進せられたいというのであります。  請願第五十一号、宮下川口間鉄道敷設促進に関する請願請願要旨は、宮下川口間の鉄道敷設については、奥会津開発、特に只見川の電源開発のためには、鉄道敷設は絶対不可欠の要件であるから、速かに鉄道敷設せられたいというのであります。  請願第百二十四号、築別遠別駅間鉄道敷設促進に関する請願請願要旨は、天塩沿岸鉄道北海道西北部開発上の重要線であるが、築別、遮別両駅間四十九粁は、大戦のため未完成のまま今日に及んでいるので、沿岸一帯の豊富な鉱産林産並びに石油資源開発のため、速かにこれが敷設促進せられたいというのであります。  請願第百五十九号、小本線鉄道敷設促進に関する請願請願要旨は、小本線は、現在宇津野まで開通しているが宇津野、小本間は予算の削除のため、鉄道敷設工事が中止されたので、この一帯地上地下の両資源共死蔵されたまま今日に至つているが、日本再建のためにも甚だ遺憾であるから、資源開発見地からも、速かに鉄道敷設せられたいというのであります。  請願第二百六十八号、大垣樽見間鉄道復旧促進に関する請願請願要旨は、大垣樽見間の鉄道敷設については、この沿線には無盡蔵に近いマンガン、石灰を初め優秀な鉛、亜鉛鉱等地下資源を埋蔵しているが、輸送機関がないため未開発のまま放置されている現状であるので、資源開発見地から戦争のため中止された本線敷設工事を速かに復活せられたいというのであります。陳情第六号、御影宮内駅間鉄道敷設促進に関する陳情陳情要旨は、御影、富内両駅間を結ぶ線は、沿線開発資源開発と函館、根室間を結ぶ最短線として着工せられ、工事も進捗していたが、突如二十三年に工事を中止せられ、今日に及んでいるので、沿線資源開発輸送力増強のため速かに本区間工事を復活促進して欲しいというのであります。  陳情第二十四号、白山新発田駅間鉄道敷設促進に関する陳情陳情要旨は、白山新発田両駅間は、越後においては最も降雪量が少なく、且つ越後線に連絡する裏日本重要幹線であり、本区間開通によつて距離の短縮は勿論、沿線地方資源開発せられ、我が国産業経済上多大の利便を與えるから、速かに鉄道敷設せられたいというのであります。  以上の請願九件、陳情二件は、いずれも鉄道建設に関するものでありまして、地方産業文化開発上にも不可欠のものであるから、願意を妥当と認めました。  請願第百六十号、山田線復旧促進に関する請願請願要旨は、三陸沿岸宮古市に通ずる岩手県の経済動脈であるが、アイオン、カザリン、キテイの三礎風によつて災害を受け、今日に至るも復旧全通を見ない状態であり、これによる輸送力の停止は沿線資源開発上又住民経済生活上に重大な影響を與えているから、速かに本線復旧工事促進せられたいというのであります。小委員会においては、愼重審議の結果願意を妥当と認めました。  請願第四十号、倶利加羅峠トンネル改修工事施行に関する請願請願要旨は、北陸線中最も難所と言われている木ノ本、敦賀間、敦賀、今庄間、津幡、石動間は、急勾配トンネルであるから、必然的に列車の速度回数に制約を受け、地方産業文化発達を甚だしく阻害しておるが、この際先ず工事中止のまま今日に及んでいる倶利加羅トンネル改修工事を第一着手として、速かに実施せられたいというのであります。小委員会においては、愼重に審議の結果、実情を考慮し願意を妥当と認めました。  請願第五十号、神俣駅を滝根駅と改称促進請願請願要旨は、神俣駅は開通当時の大字地名をそのまま呼んでいるので、現在の滝根町と異つているような錯覚を與え、不利不便を来しているから、速かに滝根駅と改称せられたいというのであります。小委員会におきましては、審議の結果願意を妥当と認めました。  請願第五十四号、中村貨物ホーム拡張促進に関する請願請願要旨は、中村駅は常磐線白中線福中線を初め原町・福田・磯部・朽窪線と四通八達しており、その乗降客は平、仙台間において第一位を占め、貨物の発着も多く、これらの貨物搬出入に百台以上のトラツク馬車等が狭隘な駅前広場を利用しているので、乗降客の通行にも支障を来す現状であり、又林産物、鮮魚介類発送中継も急増し、松川港の工事完成後は、更に鮮魚介輸送の激増が予想されるので、速かに貨物ホームを拡張せられたいというのであります。   請願第九十八号、大津港改築に関する請願請願要旨は、鉄道創設当時農漁村を対象として建築された駅舎は、すでに五十三年を経過しており、その後近海漁業発達常磐炭鉱神之山鉱及び関本炭鉱開発のため、現在では海鉱産物輸送の中枢駅となつておるにもかかわらず、駅舎狭くその上甚だしく荒廃しているから、地理的および産業経済上の重要性を考慮して速かに改築せられたいというのであります。   請願第五十六号、白棚鉄道復活に伴う停車場設置等促進請願請願要旨は、将来白棚鉄道が復活する際は金沢内に停車場が設置されると思われるが、金沢内は社川村の最西端にあるため甚だ不便であるから、これを変更して村の中央部である逆川を通過するようにして停車場を設置せられたいというのであります。   以上三件は小委員会におきましては、審議の結果いずれも願意を妥当と認めました。   請願第五十七号、東北本線西郷信号場を駅に昇格促進請願請願要旨は、東北本線白河、白坂両駅間にある西郷信号場附近は、元軍用地の開放による開墾者の入植、国立福島種畜牧場総合牧場としての再発足等によつて、逐次人口が増加しつつあるから、速かに信号場を貨客の取扱駅に昇格せしめられたいというのであります。  請願第百十号、貝田信号場を駅に昇格促進請願請願要旨は、東北本線藤田、越河両駅間に存する貝田信号場は、両端の駅よりいずれも相当な距離にあり、住民鉄道利用の便に恵まれないため、信号場駅昇格を年来の願望として来たがその実現を見ず今日に至つているので、文化の向上並びに産業開発上、速かに駅に昇格して欲しいというのであります。  請願第二百五十三号、本川内信号場駅昇格に関する請願請願要旨は、長崎本線長與大草両駅間にある本川内信号場は、昭和二十四年三月から九州線内一部旅客の取扱い、同二十五年十二月からは門司鉄道管理局管内小口貨物一部取扱いの営業を開始したのであるが、いずれも運賃隣接長與大草駅を起点にして取扱つているので、在民は種々不便を感じているから速かに駅に昇格せしめられたいというのであります。  以上三件は、いずれも駅に昇格請願であり、小委員会におきましては、審議の結果地方産業開発並びに民生安定のため願意を妥当と認めました。  請願第百八号、中村新地両駅間に新駅設置促進請願請願要旨は、中村新地間は八・八粁あり、駒ケ嶺村及び隣接町村よりの通学通勤者、その他一般住民が甚だ困難を来しているから、青少年の向学目的達成及び地方産業開発のために速かに常磐線中村新地両駅間に簡易駅、又は駅員無配置駅を新設せられたいというのであります。  小委員会におきましては、審議の結果願意を妥当と認めました。  請願第五十八号、小野新町、須賀川両町間、及び須賀川長沼両町間に国営貨物自動車運輸開始促進請願請願要旨は、昭和二十三年三月福島県岩瀬郡小野新町に国鉄の自動車区が設置せられ、小野新町以東は富岡町まで開通したが、小野新町以西は何等恩恵に浴していないので、年産二十万俵の木炭の輸送並びに一般交通に非常な困難を来しているから、住民多年の宿望である小野新町、須賀川須賀川長沼間に国営自動車運輸を開始せられたいというのであります。  請願第百七号、二本松津島両駅間に国営バス運輸開始促進請願請願要旨は、東北本線二本松駅を起点し津島駅を経て常磐線浪江駅に達する路線重要性は、各関係者間にはす下に認められ自動車運行上必要な道路の改修も計画されたのであるが、現在本路線の一部に民営乗合自動車運行され、営業本位の運営をし、地方民福祉を無視しているから、地方民福祉産業開発のため定期に国営バス運行を開始せられたいというのであります。   請願第百十八号、小野新町、石川市町間および小野新町、小平村間に国費バス運輸開始請願請願要旨は、福島県田村小野新町より石川蓬覇田小平、中谷村を経て石川町に至る路線小野新町より夏井村、石城郡三阪村を経て小平村にて前の路線と連絡する二線は、交通上極めて重要な路線であるが、国営バス運行がないため、非常に困難を来しているから、地方民福祉並びに県交通網完成のめ、速かに二路線国営バス運行を開始始せられたいというのであります。以上三件は、国営自動車運輸開始に関する請願であり小委員会におきましては、審議の結果いずれも願意を受賞と認めました。  請願第八十号、姫新線第二鉄橋引上げによる護岸強化等に関する請願、請槻の要旨は、姫新線吉井川錦橋上鉄橋は、津山院庄久米村との境にあつて増水期には鉄橋が低いため、常に之を破壊するか、久米側または津山院庄側護岸を破壊するかして、地元民は常に恐怖に襲われているから、速かに調査の上工事を実行せられ、鉄橋引上げによる護岸強化を図られたいというのであります。小委員会におきましては審議の結果願意を妥当と認めました。  請願第百六号、江田乗降場小川郷間通学小中学校生徒運賃改正促進に関する請願請願第百四十号、江田乗降場利用乗降客運賃改正に関する請願、以上二件の請願要旨は、江田乗降場を利用する小中学生及び一般乗陣容はいずれも江田小川郷間七・七キロであるにもかかわらず、小川郷、川前間の十六キロ分の運賃を支拂つている不合理な実情にあるから、速かに江田小川郷間実乗車キロ運賃に改正せられたいというのであります。小委員会におきましては審議の結果願意を妥当と認めました。  請願第百七十八号、青森商業学稜踏切危険防止に関する請願請願要旨は、現在の踏切は無警手警報踏切のため、通学児童および一般通行人の不安の的となつているから、危険防止のため、速かに警手を配置する様措置せられたいというのであります。小委員会におきましては、審議の結果願意を妥当と認めました。  以上請願三十件陳情三件は、審議の結果いずれも議院の会議に付し内閣に送付するを妥当と認めました。以上報告いたします。
  4. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 只今の小委員長報告通り決定いたすことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   ―――――――――――――
  6. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それから第二番目に一般運輸事情に関する調査のうち、先ず国税及び地方税運輸交通産業に及ばす影響についての件でありますが、御質疑のあるかたは御質疑をお願いいたします。
  7. 高木正夫

    高木正夫君 特にそのうちで石油類の問題につきまして、一昨日御当局に対しまして、いろいろ数個の質問をいたしたいのであります。それぞれ御懇篤なる御答弁を頂いたのでありますが、その御答弁によりますると、專ら今回の石油関税国内産業を保護するという、保護制度にとどまつておるということでありまして、そのほかの何らの理由もないということであつたのでありますが、それから更に、そうしますると、私の見解からいたしまして、国家の国策としてそうすべきじやないと思うのだ。それに対して政府高所大所から立つたところの御見解はどうだということに対しましては、満足なる御答弁を得ることができなかつたので、本日わざわざ政務次官の御出席を煩したようなことで、誠に恐縮でございます。一応前回の御質問と重複する点があるかと思いまするが、述べさして頂きたいと存ずるのであります。  私の考えるのには、一国の関税を課するかどうかということにつきまして最も考慮すべき点がたくさんあると思いまするが、そのうちで二つばかりが最大の関心を拂う問題じやなかろうかと思うのでございます。その一つは、その物品が国民経済上、又国民生活上において如何に重要な役割を演じているか、この点が一番大きな問題だろうと思います。それから又同時に、第二点といたしましては、国内需要と、そうしてそれに対する国内生産がどういう割合になつているかということが、これは又大きな問題だろうと思われます。順序を変えまして、先ずそのあとのほうについて考えてみまするというと、つまりその国にはその品物の生産が全然ない、或いは又あつても極く小量であるというもの、殆んど輸入に仰いでいるというものは、そういうときは関税を課せないほうがいいのじやないか。どうやらこうやら国内需要を満し得るという程度のときに保護政策を加え、助長政策が加えて行く、そういう場合に初めてこの保護関税の意味をなすのではなかろうかと考えるものであります。これは第一点の重要点の問題でありますが、それからその次には先ほど申上げました重要度の問題であります。今比較的重要でないというものに対しましては、たとえ国内生産が少くても関税を課してこれを阻止するということが考えられるわけであります。その最も極端なものは、奢侈品のごときものであろうと思うのでありますが、併しながらそれと逆に、非常に国民生活、又国民経済上必要であるというものは、相当多量に国内生産がありましても、なお且つ関税を課すべきじやない、どんどん入れべきであるというような考えかたをいたしておるのであります。恐らく外国の事例を見ましても、大体そういうふうになつていると思うのであります。又現に今回政府におかれまして改正せられる趣旨も、大体そこにあるように、あの表を見て見ますと肯かれるのでありまして、例えば綿花の、ごとき、又羊毛の、ごとき、或いは生ゴムのごとき、これはみな無税であるということになつておるのであります。そうしますとひとり石油類のみが課税をされるということは、どういう見解に基かれるのであるか、つまり石油羊毛のごときものよりもなおその必要度が低いのであるか、国民経済並びに国民生活に及ぼす影響が、羊毛の、ごときよりもまだこの石油類のほうが程度が低いのだというような御見解を持たれておるのかどうかということを第一の質問にしたいと思うのであります。  それから一昨日の質問に対しまする御答弁による数字からいたしまするというと、国内生産は、全体の数量に比べまして約九%ということを示されたのであります。これが併し国内航空なんかが発達して参りますると、更に需要額を得まして、恐らく五彩、六%ぐらいにしがいかんのじやないかと思うのであります。それに対して後ほど申上げますような、極めて重要な性質を帯びておるものを犠牲にして、そうしてこれを保護しなければならんという点が甚だ疑問に堪えないのであります。  更にその重要性から考えまして御承知通りにこの石油類というものは、先ず農水産業の当事者に非常に影響のあるものであります旬そうでなくても、農業者或いは水産業者はあぷあぷしているような苦しい状態にあるわけであります。これに更に負担をかけることになりますと、延いては国民の食生活に非常な大きな影響を及ぼすものであろうと思うのであります。又同時に我が国経済自立の上から言いまして、最も今重要なものは何であるかと申しますと、これは政府安本あたりでお示しになつた方針によりましても、先ず第一に貿易促進ということになつております。つまり輸入と輸出の増進ということになつております。特に最近におきましては、御承知通りに歳出が非常に多い、従つてインフレ等の傾向があるから、輸入をどんどんしなければならんということが、これはもう朝野の議論になつておるわけであります。この点から考えまして、もうこの輸入石油類のごとき重要なものに対しまして税を課するということが甚だ腑に落ちないと思うのであります。国民経済上、自立のためには、今の貿易促進と同時に、国民自給度を高めて行く、こういうことが要望されておるわけでありますが、その裏付けをなすものは何であるか、結局動力の問題になるかも知れません。それから輸送力の問題、動力輸送力というものは、例えば電力とかいうもの、或いは石油とか、その他の輸送力、こういうものが一番国民経済自立させる上におきまして、最もこれは必要なものではなかろうかと、こういうふうに考えまして、この観点からいたしましても、石油類に税を課するということは、甚だ穏当を欠くものではないかというふうに私は考えるのであります。この重要度から考えまして、政府が他の羊毛類と同じようなレベルのものにまでもつて行く必要があるのではなかろうかと思うのであります。この点に対しまして政府の御見解はどうであろうかということを第二点に伺いたいと思うのであります。  それからもう一つは、私はむしろこういうような国際情勢が緊迫した場合におきましては、むしろ石油類のごときものはどんどん入れるべきではないか。政府のアカウントにおきまして、将来の備蓄に供するためにどんどん入れて置くべきものではなかろうかというように考えておるのであります。これは政府のほうではそういうふうにお考えにならんか、又お考えになつても、そういう手を打たれるかということを第三に伺いたいと思うのであります。まだありまするが、その三点についてお考えを伺いたいと思います。
  8. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) ちよつと初めに申して置きますが、中途で速記をとめて頂きたい点があるかと思いますので、その点は御了承を願いたいと思います。  今の高木さんのお話、並びに先般来山縣さんからのほうのお話もありまして、これは船舶の問題でありますが、この問題について各方面よりいろいろお話もございますし、政府当局としては懸命に考えておるのであります。実はこの関税定率法というものは、大正十五年、今から二十五ほど前に一般にきまつたものでありますが、それから大した変化もなく今日まで参りまして、丁度今より三年以前にこの定率法を改正しようということに初めて話が出まして、それから三年間かかりまして今日までやつて参つたのでありますが、この講和会議ができますまでに、何とかして一応ここに完全な定率法を作らねば、講和後には相当各方面よりいろいろの話がありましてまとまりにくいという関係で、急いで今回関税定率法というものを出しまして皆さんに御審議を願つておるのでありまするが、何分にも品目といたしましては九百二十何種類ですか、といううち六百幾つというものが有税品、こういうようなものに一々個々に当りますために、相当な努力と年月を要するのであります。又これにつきましては一品々々について、内地の方面からも又外国方面からも、一々口が入りまして、なかなかまとまりにくいので、相当困難を生じておつたのでありますが、どうしてもここにおいて一日も早く提案したいというわけで出した次第であります。そういたしまして、その中でずつと御覽頂きました中で、除外になつておりますのは主食だけでございまして、只今高木さんおつしやるところの原油の問題、或いは船舶の問題、或いは今問題になつておりまする大豆の問題、こういう三種類の品種のものが一番やかましく申されております。それで昨日ですか、一昨日ですか、政府委員が皆様の前に数学的に御説明申上げて、日本のこの重要産業の保護並びに消費の重要性等について勘案した御説明を申上げたと思います。只今おつしやいました原油につきましては、輸入に対する生産が一割ぐらいというのでいろいろ日本の採油業者、或いは製油業者、或いは消費者の面を勘案いたしまして、ああいう率を出したというようなことを申上げておると思います。併し一方の考えかたによりますと、只今高木さんがおつしやいました考え方がでるのではないかということを私も思います。それで大体この関税定率法というものは、一つの看板みたいなものでございまして、こういう一つ一般の恒久的税率をはつきりきめまして、そこに或る程度機動性を持ちたい、持つべきであるということは必要でありまするが、この点も私はどうしてもその機動性が必要であるということを認めております。ちよつと速記をとめて下さい。
  9. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  10. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記開始。
  11. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) 只今申上げましたような理由で、現在におきましては、これより方法がないのじやないかという観念でございまして、これだけ申上げましたら高木さんの御質問にお答えができておるというふうに考えております。
  12. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記中止。    〔速記中止〕
  13. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて。
  14. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 今政務次官のお話で大体了承はいたしたのでありますけれども、この間大蔵省から政府委員のかたでありましたか見えてのお話で、その大蔵省の政府委員が御説明になつたのと、只今政務次官のお話の中にあつたのと、勿論多少違う点があつてもよろしいのでありますけれども一応政務次官に質して置きたいのは、主として今回の重油、船舶その他輸入関税をかけることに対して妥当でないものに対してでも、従来の関税制度によることになつた経過、止むを得んゆえんをお話になつたのでありますが、この間も大蔵省の政府委員の御説明で、なぜそういうふうにいたしたかという理由、なお又先ほど政務次官のお話も、国内の当該産業保護育成の点から必要であるということ、それから関税定率法というものを講和前に制定いたして置くほうが妥当であるというふうな点、その他一二点ありましたが、この重油もそうでありますが、殊に船舶に関しては、国内産業の保護育成という点は、我々今船舶等に関して、今回の定率法が妥当でないということを申上げておるということに対しての御説明にはならんと思うのです。それは先ほども高木さんからお話がございましたが、国内産業の保護育成ということは、さような措置をとらないとその産業が育成維持できないということなんであつて、現在の日本の船舶事情は申上げる必要はないくらいでございます。殊に最近の国際情勢の変化に応じてこれはますます船腹の需要ということが基本的な要求になつておる。これができないとあらゆる産業拡充もできない。従つて今当面の問題になつております日米経済協力というような問題、従つて世界の経済に寄與する立場が相成り立たないわけでありますが、その際に今の日本の船腹量とそれから生産を確保するために必要な食糧、原材料の輸入との関係は、これはもう政務次官がよく御承知通りでありますから……、殊に今問題になつておりまするのは自立計画を早急に繰上げて、早くしなきやならんというようなことから、例の二十八年度計画の目標でも極く僅かの日にちしか、ございませんから、いわんやこれを一年繰上げますと非常なことになつて来る。そういうことでありますから、日本の諸産業の育成という見地と、その国内産業を維持育成するための保護関税としての輸入関税は、この問題に関する限り何らの理由にならんと思うのです。  それから機動性を持たなくちやいかんというお話がございましたが、その通りでありまして、ここで政務次官にお聞きしたいのは…。
  15. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記をちよつととめて下さい。    〔速記中止〕
  16. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて。
  17. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 いずれにいたしましても、この船舶に関する輸入関税はあらゆる点から見て又政府の御説明を承わつても納得の行かない点が非常に多いのでありますから、これに対しては政府におかれても特段の考慮を拂われたいと思うのでありますが、この前の、委員会において、政府の御当局からお話があつたのと、それから今日政務次官のお話とが多少食い違う点があると思いますが、政務次官はいろいろな関係がありましようけれども、船舶に関する限りは今回の定率法が妥当でないという御意見と了承していいかどうか、その点を伺つて置きます。
  18. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) 船腹の問題は今山縣さんがおつしやいましたが、政府といたしましては、やはり日本の造船の産業と申しますか、に対する保護を第一義といたしまして又ここで買収をいたしまするところの船舶については一割五分ですか、この程度は償却年度が二年でございますか、三年ですか、この程度でできるのだからいいじやないかというような考え方かと思うのでございますが、併しこういう緊急なときでありますから、一応それを延期する必要も認められるのじやないかという点を私どもも考えるので、はつきりと私は申上げておるのではないのでありますが、そういう二つの観測点がございますので、政府当局といたしましては、この定率法通り、一割五分かけたいという立場を表明いたしておる次第であります。
  19. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 これ以上政務次官にお聞きいたすことも如何かと考えますが、重ねてこの造船業の保護育成という見地から、この関税をかけることが妥当であり、なお又二、三年で償却ができるからそれだけは見込んであつて輸入するものに対して負担じやないというようなお話があつたように思いますが、それはそうじやないのでありまして、現在買船は国家の要請によつて政府の財政資金を以てしても、なお且つ緊急に輸入しなければいかん。それに業者が協力をいたして相当将来のリスクを踏んで輸入をいたしておるのでありまして、殊に従価一割五分というような重税を課せられることを承知しないで、現に相当の数量のものをフアーム・オツフアーを取つて、そうして今まさに買船の引取りをなす段階に至つておるのでありますが、この輸入船に対しては無税であるという観点に立つて外国市場と折衝して貴船の措置をとりつつあるのであります。従つてそれを織込んであるというふうにお考えになることは間違いであると思うのであります。私はこの程度質問を打切りますが、この点に対して政府が更に御考慮を拂つて頂くことを要望して質問を打切ります。
  20. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 引続いて国税地方税の御質疑につきまして御発言願います。
  21. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 船舶に関する地方税関係について政府委員にお尋ねいたしたいのでありますが、この問題につきましては、類似の委員会においてたびたび政府に対して御質問申上げ、又我々の所見を申上げておるのでありますが、先ずこの固定資産税、地方税としての船舶の課税については、政府におかれても従来考えられておりましたような意味において、船舶に只今考えられているような重い固定資産税をかけることの妥当でないことはよく了承されておる通りであります。それに対して先般いろいろ政府も御盡力下さつて、外航船舶及びこれに準ずるものに対しては特例を設けられて、爾後それに対して適当な措置をとられましたことに対してはその努力に対し謝意を表したいと思うのでありますが、ただその際になお遺憾に思う一、二点がありますので、政府当局の御考慮を煩したい意味で御質問申上げるのでありますが、外航船舶については大体所定の税額の約半額程度に減免するとの措置をとられたのでありますが、ここに問題となるのは現在船舶拡充の見地から政府が先般見返資金を放出してまで改造をいたして、外航船舶としてのクラスをとつて外航に就航せしめる措置をとつております戰標船の改造船に対しては何らの特例がないのであります。これは事実を申上げて御質問いたしたほうがいいと思うのでありますが、仮りに一万トン級の新造船でありますると、今回の特例によつて五割程度は減税されたとして約五百万円内外であります。仮に戰標船のA型の改造船でありますると最近のロイド・クラスでありますと、これはもう大変なものでありますが、仮に一歩讓つて一番安くBVのクラスでもなお三億五千万円から三億円近くかかるのであります。そうするとそれに対して規定の税率をかけますと、大体優秀な新造船と、あと償却年数も非常に少い戰漂船の改造船と固定資産税としての税額が大してそう違つた額でないという非常に不合理な結果になります。かようにA型の改造船については船価が大体二百万円、三百万円、改造費は三億近くかかる、そうしますと改造と元の原価とのプロポーシヨンで申しますと、全く新造船でありますから、それに対して外航就航船に対する何らの措置がないということに対して非常に遺憾に堪えないのでありますが、それに対して政府当局の御所見を伺いたいと思います。
  22. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 船舶の問題につきましては、御承知のように輸入の確保その他経済自立の基本的な施策を遂行するために、何らかの措置を考えて行かなければならない。従つて地方税の運用の画におきましても、適当な調整措置を考える必要があるであろうかような見地から只今山縣さんからお話になりましたように外航新造船につきましては、運用上の調整措置を講ずることにいたしておるのであります。ところがいわゆる戰標船の改造に伴う地方税の運用について或いは又朝鮮事変等々の間においてその航路に従事している船舶についての措置に関しましてはこれ又いろいろと検討を加えて参つたのでありますけれども、いわゆる地方財政平衡交付金の決定等と相待ちまして、これが結論を早急に出す必要に迫られて参つておりましたような関係もあり、なお改造船の問題につきましては地方財政委員会の事務当局においても研究をいたさなければならない部面もあるやに問いでおりますので、従いまして只今お話のような関係のものについてのみ緊急な措置を講ずる一面地方団体の財政運営に支障の生じないように地方財政平衡交付金の運用においてこれが調整を図る、こういうふうな措置をとつて参つたわけであります。従つて一面地方公共団体の財政の現況から申しまして単純に税の引下げをするということのみを以ていたしましては、相当の影響もありますので、従いましてこれに対しては何らか政府として平衡交付金の措置によつてバランスをとるような考え方をして行けば、地方財政の非常に運用上困つた事態に相成りますので、これらの点を考慮いたしまして善処をいたして参つたような次第でございます。なお只今の戰標船その他の問題につきましては目下研究の過程にあるわけでありますので、結論をまだ私から申上げる時期に至つておりませんが市町村税課長も出ておりますので、大体どんなふうな方向に進んでおるか、どんなふうな研究の過程にあるかということを御説明いたしたいと思いますのでお聞き取りを願いたいと思います。
  23. 松島五郎

    ○説明員(松島五郎君) 只今政務次官から御説明が、ございましたように、外航船につきましては運用上の特別の措置を考えて行きたいということは考慮いたしております。御承知通り地方税法の規定によりまして評価額は帳簿価格を下つてはならないという制限がございますので、どうしても評価そのものを下げるということが非常に困難な状態にあるわけであります。殊に新造船等につきましてはその帳簿価格は現在の取得価格によつてつけられております関係上、非常に価格が勢い高からざるを得ない、それでは政策上いろいろ問題もございますので、税の段階において運営して行きたいというのが只今の考え方であるわけでございます。併しながら一方新造艦についてそういつた措置をとるということになりますと、只今御質問がございましたような戰標船の改造船等についても又同様な問題が起きて来るということになります。更に又漁船につきましても同様の問題が或いは起きて来て非常に関連するところが拡がつて来るわけでございます。そういうことから申しますと、単に一応の現在の措置としては外航船についての運用を考えたわけでございますけれども、その他のものにつきましてはそれが他との関連においてどこまで進み得るものか、どこまで発展するかということも考え合せませんと簡単な措置がとれないような状況でございますので、只今いろいろの資料等につきまして検討を加えておる次第でございます。
  24. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 私が申上げておりますのは、現在の日本実情から申して外航船舶に対しては特殊の施策の見地から措置が講ぜられるべきであります。従つて新造船に対しても先般特別な措置が講ぜられたのでありますが、私が申上げておる戰標胎は、外航就航のクラスをとつた改造船のことでありますから、外航船以外の範疇における船舶についても申上げたい点があるけれども、改造船の今申上げておる戰標船は外航船としての戰標船でありますから、その範疇に入つておる以上、而も原価が二百万円、せいぜい三百万円で改造費が数億に上るものについては、これは実質上新造船と同じように扱つて行くのではないか、それに対する措置が当然とられるのではないか、ということを申上げておるのに対して、只今のお答えでは外航船以外のものについては、漁船その他のものとの関連もあつて、簡単に措置がとれないというのですが、私が申上げておるのは、外航船としての改造戰標船についての措置を申上げておるのでありますので、電ねて御所見を伺います。
  25. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 恐らく市町村税課長が御答弁をいたしました内容におきましては、他の漁船等との関係、譲といいましてもいろいろあるわけでありまして相当遠洋外航に従事しておるものもありりますが、それはさておいて、只今山縣さんからお話のように、私はやはり外航に就航し得る戰標船の改造船、こういうように私は理解いたしております。従いましてさような前提の下にこの種の問題をどういうふうに捌いて行くか、又地方税法の建前から申しまして合理的な結論を出し得るかということについては、地方財政委員会の事務当局におきましても資料に基いて検討を加えつつあるようでありますので、外航船全体の問題と関連いたしましてこれからの点につきましても何らかの結論を出すようにいたしたいと考えておる次第であります。
  26. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 只今の政務次官の御答弁によつてよく了承いたしました、今検討中であるようでありますから、どうか美質的な見地にお立ち下さつて是非他の外航船と同じような措置を早急にとられますことを希望します。なお関連しておりますので極く簡単にお尋ねしたいのでありますが、かねて船舶固定資産税につきましては、その本質上又税制の建前からしまして、独立税として、でき得べくんば地方税から国税に移すべきものであるということは、大体輿論も一致しておりますが、政府当局においてもその趣旨に対しては御賛同願つておるやにも承知いたしますので、その後の経過並びに今後の御方針等について簡単は伺いたいと思います。
  27. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 船舶に関する固定資産税のやり方をどうするかということにつきましては、政府においても過去においていろいろと研究して参つたのであります。或いは独立税にするほうが実際の運用上適切ではないか、こういう考え方も実は出ておつたのであります。併し諸般の事情からさような結果にはならなかつたわけでありますが、併し研究の課題としては今なお考えてなくなつているわけではないのでありまして、ただ今回地方税法の一部改正法律案を提案するに際にしましても、これらの問題を一応検討いたしたのでありますが、併しながら御承知のように地方税法が施行されました時期が非常に遅れて参つております関係上、二十五年度における地方税牧の実績を的確に把握した数字、或いは地方財政に対する影響がどういうふうになつたかということを十分につかむことはまだその時期に至つておりませんので、従つて今回の一部改正はできるだけ技術的な、又手直しをするという程度の最小限度にとどめるような次第であります。将来の然らば地方税制の問題はどうなるであろうかということを考えてみなければならんと思うのでありますが、御承知のように国と地方公共団体相互間の行政事務の再配分についての勧告も受けておりまして、相当大巾な地方制度自体においての変化が生ずることが考えられるわけであります。従いまして今直ちに地方税制全般に亘つての根本的な改革を更に断行するということになりますと、非常に地方財政のほうに混乱を生ずるような虞れもありますので、新地方税による実績を十分に見極め又行政事務の再配分に伴う措置と関連いたしまして、地方財政、地方税制の全面に亘つてもう一度検討してみようという心組みを持つているわけであります。さような際に果して府県と市町村との間における税の配分の現行のやり方がいいかどうか、又それぞれの税目について適切なやり方が行われているかどうかとい、ことも考え合せまして相当改正に関する考え方をまとめて行かなければならないのではないか、かように思つているわけでありまして、さような際に只今お話の船舶に関する独立税の問題等につきましても研究をいたしたいと思つているわけであります。なお又單に地方税制のみならず国税との関連におきまして総合的な全体的な我が国の税制というものをどういうあり方にもつて行くのがいいかということも考えなければなりませんので、さような時期において研究をして行きたい、さように考えているような次第であります。
  28. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 もうあと一点だけ極く簡単に御質問いたしたいのでありますが、只今の固定資産税に関する政府委員の御答弁了承いたしましたが、事業税に対してはどういうふうになつておりますか。
  29. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 事業税は御承知のように昭和二十七年から附加価値税に切替えることになつておりますので、従つて二十六年度はいわゆる暫定的に設けられました事業税の最終年度になるわけであります。で事業税はいわゆる収益課税の原則から、地方税の理論的な考え方から参りますと、応益原則に立つてこれを考えて行くということになるために、従つて外形標準課税の方法をとる場合が起つて来ているわけであります。この点についていろいろと御意見がありまして、收益課税にすることが妥当でないかというふうなことも伺つているのでありますが、経営規模の非常に大きいようなものにつきまして考えてみますると、収益がないために全然地方団体に対して納税の必要がないというふうなことで均衡を失するような場合も起つて、来ているのであります。併し企業の現況に徴しまして外形標準課税を行う場合において非常に圧迫を加えるというふうなこともこれ又予想されますので、さような場合におきましては、その企業の状況に応じてその負担力を総合勘案いたしまして、運用の上で不均衡を生じないように処理して参りたい、かように考えている次第であります。
  30. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 只今の政務次官のお話はかように了承してよろしいのでしようか。この船舶保護に関しましては電気、ガスとおのずから違つた性質を持つているんでありまするから、これは他の業種と同じように、本来收益課税にすべきものを外形標準によつて一応特例的に、外形標準によつてかけられているのであります。かねて政府に対しても当委員会において累次申上げております通りこれは当然収益課税にすべきものである。但し先の固定資産税と同じようなふうに早急に改正をされることが困難である点を考慮いたしまして、特別の措置を講じて頂くようになつておりまするが、或いはさような措置をとつて頂いているのでありましようね。
  31. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 私が只今申しました運用上の措置をとつているいうことは、実は本年の一月十九日付で地方財政委員会から各都道府県知事宛に通達を出しているわけであります。この点につきましては外形標準課税、特に海運業に対する事業税の課税方についての考え方を申述べているわけでありまして、従つていわば海運業が料金統制の解除に遭つて直ちに事業の收益状況を好転せしめたものではなしに、運賃は市場の不況によつてつて旧統制料金を下廻り、大部分の企業が赤字経営を続けているというふうな実情を十分に勘案いたしまして担税力の余裕がないと認められ、亘つ又企業合理化の途が全くないというふうな場合におきましては、適宜減免の措置を講じても差支えない、こういうふうな趣旨の通達を出しまして運用上棚鶴を来たさないように指導をいたしておるわけであります。
  32. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 質問でなしに私はちよつと希望を述べたいのですがいいですか。
  33. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) どうぞ簡単に……。
  34. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 今の山縣委員の御質問に関連しておるのですけれども、外航船舶を或る意味において保護するといいますか、新造船に対しては特例を以て固定資産税を半額にするというようなことになつておるのだが、戰標船の改造はこれから考えて行くというようなことに伺つておりますが、特に山縣委員から御指摘になつたように戰標船というのは、殆どただのようなものにもつてつて非常に多大の改造費用をかけるのであつて、これは言葉からいえば改造であるけれども、実質からいうと、つまり船主の頭からいうと新造船と同等だというようなふうな現実になつておるのでありまするからして、政府のほうでも十分考慮するようなお話でありましたが、私は先般本院で外航船舶の増強に対する決議案というようなものが満場一致で採択されたような事例に鑑みても、地方財政の立場にもいろいろありましようが、外航船舶に関する限り新造船と同様な措置が当然戰標船の改造にとらるべきであるという観点に立ちまして、是非その点を同様に扱うことに御協力を願いたい、これを強く要望して置きたいと思います。
  35. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 戰標船の改造につきまして外航に就航する船舶であるというカテゴリーに入ることによつて、一船の外航就航船舶と同様の措置をとつてはどうか、又それに対して強い御要望があるわけであります。政府としましては特に地方財政委員会におきましては外航船舶は非常に重要である。又緊急増強を要する点についての理解は十分に持つているつもりでおります。ただ問題がいろいろと次から次へと起つて参ります関係上、これを捌いて行くのになかなか骨を折つておるようなわけでありまして、お話のようにこの問題につきましては研究を進めて参つておるのであります。併し未だ結論は申述べる段階になつておりませんので、只今の御意見、御趣旨を伺いまして、なお研究を進めて行くようにいたしたいと考えております。
  36. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それではこの問題はこの程度に本日はいたしまして、次の問題に移りたいと思いますがよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 次に第三の議事日程であります日本国有鉄道の機構に関する件を議題に供します。この問題につきまして只今まで我が運輸委員会は継続調査審議を重ねて参つて来たのでありまするが、今後この問題についてどういうふうに調査の結果を取扱つて行こうかということにつきましてお諮りいたしたいと思います。ちよつと速記をとめて下さい。    午前十一時四十六分速記中止    ―――――・―――――    午後零時一分速記開始
  38. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それでは速記を始めて下さい。  最後に港湾荷役力増強に関する件であります。
  39. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 先般の委員会におきまして主要港湾におきまする荷役力の緊急増強につきまして御説明申上げたのでございますが、その節小泉委員、菊川委員、岡田委員から資料の御要求がありまして、その資料を本日作成して持つてつてお手許に配つておりますので、内容を御説明申上げたいと思います。  二枚目の一と書いてございます主要港湾における本船荷役及び取扱貨物量の趨勢という表がございますが、これで簡単に申しますと、初め東京港を一つ例に立てて申上げますと、東京港では施設が接収を受けております結果、公共用の施設は現在岸壁が百五十メートルで、平均取扱能力を八百トンといたしますと、年間取扱能力が十二万トン、それから専用のこれは主として民間関係の専用の荷役施設は、ございませんので、結局東京港におきましては荷役力は十二万トン、これに対しまして次のコラムは艇船の荷役能力でございまして、艀船が八万三千トンで、ございまして、その能力が年間二百八十二万、これを合計いたしますと、東京港におきまする荷役能力は二百九十四万トンでございます。  この場合におきまする簿荷役と本船荷役の比率でございますが、本船が四%、沖荷役が九六%となつております。  これに対しまして一番右側のコラムは実際の港におきまする取扱貨物でございます。昭和二十三年、一九四八年におきましては、二百二十八万九千トンで、ございまして、港湾の能力が二百九十四万トンでございますので、取扱貨物よりも能力のほうが上廻つたわけでございます。二十四年になりますと、取扱貨物量が二百五十一万二千トンに上昇して参りまして、まだ能力よりも多少下廻つております。二十五年におきましては、十二月までの実績と一月以降の量を推定いたしますと、三百三十万トンになりまして、能力が二百八十二万トンでありまして多少不足いたしております。この結果が夜間荷役とか、或いは荷役増し、或いは荷役の標準日数の増加というような現象となつて現われておる次第でございます。  最後の一番右はいろいろのこれまでの資料から一つ一つ積上げて参りまして、来年、昭和二十六年におきましては四百十七万トン、この貨物取扱数量があるのであろうという推定でございます。  このようにして東京以下約九つの港におきましてトータルをとつたものが、施設能力におきましては二千六百二十四万トン、右側から二番目のコラムで、小さい列から申しますと、右から六番目が二千六百万トンでございますが、一番右の取扱推定量は三千六百万トンとなつておりまして、相当の荷役力が不足するという結果が出て参つておるのでございます。  その次の二頁目には各主要港湾におきまする取扱貨物品目の主要なるものを書上げてございます。一々の説明を省略いたしまして御覧を願いたいと存じます。  それから三頁目には各港湾におきまする外国貿易、内国貿易別に出荷と入荷の実績、一九四九年におきましては実績、それから一九五〇年におきましては、十二月までの実績と一月以降の推定を入れております。一九五一年におきましては、これは全然推定を以てこれくらいの貨物が扱い得るということでございまして、この場合におきまして、横浜港におきまして鉄道に移る貨物はどれくらいであるかということが、この間岡田委員から御質問がございましたが、実績によりますと大体一九%程度でございます。そのトン数はこれを百二十万トンというふうに一応出ております。一九五〇年、五一年におきましては、その一九%をトータルの数字にかけ合いまして、一応このような数字を出しておるような次第でございます。  以下四頁は神戸港以下の港でございます。五頁は大阪港以下でございます。六頁が清水港でございます。  それから七頁に港湾におきまする簿が戰前から戦後にかけて如何に減退しておるかということを数字を以つて説明いたしておりますので、全体的に申しまして一番右の列を御覧になりますと艇が七千隻で九十一万五千トンでございます。一九四三年におきましてはその倍の百八十万トン、現在は大体五割くらいに全体で減つておるわけでございますが、大阪とか東京その他におきましては、これが三分の一程度に戦前と比べまして減つておる実情を数字を以て示した次第でございます。  それからその次に港湾労務者、これは菊川委員から御質疑でありました九大港の労務者を寸応ここに出しておりますが、これは現状でございまして、一例を申上げてみますと、東京港では船内仲仕が常傭におきまして三百一十名、それから日傭は一日平均六百名程度を使つております。沿岸仲仕、筏仲仕、艀船夫、曳船船員等みんな同じで、ございまして、計が常傭が四千百五人日傭が平均一日千三十九名となつております。以下各港の港につきましては同様でございます。  最後の表は、これらの労務者の職種別におきまする賃金を一応書いてございまして、大体これは現行はこの程度でございまして、最高標準と最低がウインチマン、デツキマン或いは仲仕等について掲げてありますので御覧置きを願いたいと思います。  以上簡単でございますが……。
  40. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それではこれに対しまする質問は次回に譲りたいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それでは質問は次回に廻します。  これを以て本日は散会いたします。    午後零時十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     植竹 春彦君    理事            岡田 信次君            小泉 秀吉君    委員            山縣 勝見君            内村 清次君            菊川 孝夫君            高木 正夫君            前田  穰君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    大蔵政務次官  西川甚五郎君    運輸政務次官  關谷 勝利君    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君    運輸鉄道監督    局長      足羽 則之君   事務局側    常任委員会專門    員       岡本 忠雄君    常任委員会專門    員       古谷 善亮君   説明員    地方財政委員会    市町村税課長  松島 五郎君