○黒川国務大臣 ただいま議題となりました
昭和二十六年度
厚生省所管予定経費要求額の
内容について簡單に御
説明申し上げます。
昭和二十六年度
厚生省所管一般会計予算の要求額は四百四十二億七千二百四万七千円でありまして、これを
昭和二十五年度
予算額三百四十一億八千九十五万四千円に比較いたしますと、百億九千百九万三千円の増加と相なるのであります。
今右
予算のうち、おもなる事項についてその
内容を申し上げますと、まず第一は、官房
関係の
経費七億一千九百二万円でありますが、これは十七箇所の国立公園のほか、三箇所の
国民公園の
維持運営をはかるため必要な
経費三千七百四十七万六千円と、各種疾病の
状態を迅速正確に把握するため、衛生統計の充実をはかる
経費二億八千五百五十六万八千円と、その他厚生
行政を
国民に普及徹底させる
経費及び社会保障制度の企画
調査に必要な
経費等、官房
事務の
処理に要する
経費三億八千三百八十九万一千円と、また現在わが国人口問題の重要性にかんがみ、これが適切なる対策樹立のため、基礎的な
調査研究を行います人口問題研究所の運営に要する
経費千二百八万五千円を計上いたしました。
次に第二は、公衆衛生並びに予防衛生対策に関する
経費四十五億千八百二十二万七千円であります。優生保護法に基き、惡質な素質を有する者の出生を抑制し、も
つて国民資質の向上をはかるための
経費五百十九万八千円と、
国民の栄養に関する知識を普及し、食生活の改善をはかるため、
国民の栄養
調査を実施する等のため必要な
経費三千五百一万円、衛生
行政の末端機関であります保健所の使命は、ますます重要性を加えて参りましたので、さらにその
内容を整備拡充するためと、これが運営に関し、
調査企画及び指導等に必要な
経費九億四千七百七十三万二千円と、
国民死亡順位の首位を占めている結核の予防撲滅は、最も緊要な問題でありまして、これが
調査、企画、研究及び結核技術者の養成を行うとともに、結核予防法に基き都道府県の負担する結核予防費、及び公益法人の経営する結核療養所の
経費に対し補助する等、結核対策の強化拡充のため必要な
経費十一億六千百六十八万九千円と、伝染病の発生を未然に防止するため防疫対策の強化徹底をはかるとともに、伝染病予防法、癩予防法、寄生虫病予防法に基く都道府県及び市町村の予防費、並びに私立癩療養所の経営費に対する補助等の
経費六億五千九百九万三千円と、精神衛生法の適正な運営をはかり、精神衛生対策に関する
調査、企画、指導を行いますのと、精神衛生法に基き、都道府県の支出する
経費に対し補助するための
経費、及び
国民の精神衛生に関する総合対策を研究する精神衛生研究所の運営に必要な
経費一億一千三百十四万五千円と、性病はますます蔓延の傾向にありますので、接触者の
調査、健康診断及び治療を行う等、現下必要な性病対策を実施いたしますための
経費一億四千七百五十五万八千円と、伝染病発生の根源をなす鼠族、昆虫の駆除、興業場、旅館等の衛生的文化的環境の改善をはかるため、その企画、指導を行いますのと、上下水道の
現状は
国民保健上寒心にたえないものがありますので、これが衛生的な築造、
維持、管理につき適切な
調査指導をなすとともに、市町村に対し水道事業の助長発達をはかるため必要な
経費四千四万九千円と、食品衛生法によりまして、不良有害の飲食物の取締りを行い、中毒の危害の発生を防止いたしますのと、また輸出入食糧品の衛生検査を行い、衛生上の事故の発生を未然に防止する等のため必要な
経費二千三百六十二万一千円と、狂犬病の発生を予防し、その蔓延を防止する必要がありますのと、衛生検査
施設に関する企画、指導及び疾病の予病治療に関する研究の指導を行うための
経費四百十三万四千円と、検疫は、
国内の伝染病予防上きわめて重要なことでありますので、十四箇所の検疫所を運営するとともに、これを指導監督するため必要な
経費一億五千四百五十九万一千円と、公立結核療養所、公益法人結核療養所、保健所、伝染病院、精神病院等、公衆衛生
関係施設整備に必要な
経費九億五千四百七十二万五千円と、公衆衛生
行政全般の適正なる運営をはかるため
調査、企画に必要な
経費六百八十三万円と、公衆衛生技術者の素質の向上をはかることはきわめて重要な事項でありますので、国立公衆衛生院におきまして、前年度に引続き医学科、衛生薬学科等七科目につき養成訓練を実施いたします
経費五千九十一万四千円と、また疾病の予防、治療方法等の研究、細菌製剤の検査を行います国立予防衛生研究所の経営費一億八千七百八十九万三千円をそれぞれ計上いたしました。
次に第三は、医務対策に関する
経費一億二千七百万三千円でありますが、医療法、医師法、歯科医師法等に基く各種
審議会の円滑なる運営と、医務行、政の充実をはかるための
経費五百七十四万四千円と、医師、歯科医師、看護婦等の国家試験及び実地修練を行うため必要な
経費二千五百七十四万三千円と、医療
内容の向上をはかりますため、病院管理者に対し
研修を行うことと、歯科医療
行政に関する企画、指導及び歯科衛生士の養成並びに保健婦、助産婦、看護婦の指導、養成、訓練等に必要な
経費三千四百四十七万九千円と、七大都市における死因不明の死者につき、その死因の
調査を行う
経費を補助するための
経費六百八十四万二千円と、社会保障制度の一環として、公的医療機関の整備充実をはかる必要がありますので、これが建設費に対し補助するための
経費五千八万二千円と、その他あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法施行に必要な
経費並びに医務
行政の統轄運営に必要な
経費四百十一万三千円をそれぞれ計上いたしました。
次に第四は、国立病院療養所の経営等に関する
経費七十七億二千三百三十四万六千円でありますが、結核蔓延の
現状に対処いたしまして、国立の結核病床千五百床を拡充し、五万七千五百五十床を経営いたしますのと、癩療養所は一千床を拡充して一方一千床、また精神頭部療養所は二百床を拡充して一万一千床、脊髄療養所は二十床を拡充して百十床を経営いたしますとともに、病院、療養・所の経営の指導、監督、機械器具及び建物の補修整備並びに結核、癩の治療薬として、パス、フロミンを購入するための
経費、看護婦の養成及び再
教育の実施と、また国立病院特別会計の円滑なる運営をはかるための
一般会計から繰入れをなす等、医療確保のため必要な
経費をそれぞれ計上いたしました。
次に第五は、薬務対策に関する
経費十一億三千七百九十二万六千円でありますが、薬事
行政の統轄運営及び医薬品、衛生用品企業の振興をはかるため、これに関す
調査、企画を行い、これら企業を育成指導する必要がありますのと、薬局の整備その他医薬制度の確立、薬事
審議会の適正なる運営、薬剤師国家試験の施行、医薬品、用具、化粧品、衛生材料等の生産技術及び品質の向上をはかりますことと、不良医薬品並びに麻薬等の取締りを徹底的に実施し、また薬事法に基き、医薬品、用具、化粧品等の不良品等を一掃するため国家検定を強化するとともに、製造所の指導監督を行う等
国民医療の確保向上を期するための
経費九千九百五十八万七千円と、結核及び急性伝染病の予防及び治療のため、ストレプトマイシン並びにワクチンの生産配給の円滑を期するため、国が買上げするための
経費九億六千三百三十万六千円と、医薬品の創成及び製造方法の効率的な研究、医薬品、食品等の試験検定を実施いたしますため、国立衛生試験所の経営に必要な
経費七千五百三万三千円を計上いたしております。
次に第六は、民生安定に関する
経費二百二十億五千九百十三万九千円でありますが、現下の社会
情勢にかんがみ、
国民生活を安定し、社会福祉の増進をはかる等、すみやかに適切な施策を実施いたしますことは緊要なことでありますので、社会事業に関する諸般の
調査を行い、社会事業施策の
総合調整をはかりますのと、社会事業
施設の指導及び社会事業
関係職員の再
教育並びに養成に必要な
経費二千八百八十万六千円と、生活困窮者の生活を保護するため生活保護法の適正なる運営指導をはかり、生活保護法に関する
調査、企画等に必要な
経費千六百七十四万六千円と、傷痍者の保護更生施策の基本的
調査、
收容施設の経営費に対する補助、国立の身体障害者更正指導所、及び失明者の保護更生を目的とする国立光明寮を経営いたします
経費一億八千六百五十六万九千円と、
国民の自発的な生活協同組織の育成発達をはかるための
経費三百六十二万六千円と、生活援護物資の供給と、ララ救援物資の保管配分に必要な
経費六千五十一万五千円と、生活保護法に基き、生活扶助、医療住宅、
教育等各種の扶助援護を実施いたします
経費二百十億六千三百四十五万六千円と、正常な生活から転落する婦人の保護更生をはかるため
收容施設の経営費の補助に必要な
経費千六百三十万八千円と、また災害救助法に基きまして、都道府県が支出する応急救助費の補助に必要な
経費五千六十二万九千円と、生活困窮者、引揚者等の再起更生をはかるため、前年度に引続き更生資金を貸付けるための
経費三億円と、生活保護法及び身体障害者福祉法に基き、市町村または都道府県が負担する
施設設備費の補助に必要な
経費三億二千二百三十八万四千円と、市町村が負担する公益質屋設備費に補加するための
経費千十万円をそれぞれ計上いたしました。
次に第七は、見章福祉に関する
経費八億二千二百四十五万一千円でありますが、児童福祉法により、児童の健全な育成愛護等児童福祉の増進をはかるため各種の施策を要しますので、これが
調査、企画と、都道府県の負担する児童相談所、一時保護所の運営費に補助する等のため必要な
経費一億二千八百四十二万円と、不良兒、孤兒、浮浪児等の保護及び
收容施設の経営費に対し補助いたします
経費百六十六万三千円と、保育所、母子寮及び保母養成所の運営並びに妊産婦、乳幼児の健康診断と、保健指導等母子衛生に関する施策を強化徹底するための
経費四千五百十四万円と、身体障害見を保護するため適正な治療指導を行うとともに、義肢、盲人安全杖等の介護用具を給與する都道府県の
経費を補助すると、肢体不自由見
施設の経営を委託するに必要な
経費三千二百二十七万六千円と、ユニセフより提供される救済物資の
処理に必要な
経費三千九百八十万円と、児童福祉法に基き、都道府県が負担する児童相談所、一時保護所、保育所、母子寮等児童福祉
施設を整備拡充する
経費を補加するため必要な
経費五億六千二百二十万三千円と、強度の変質的不良少年に対し医学的、心理学的な面において特別な
教育教護を加えるため、国立教護院を経営するに必要な
経費千三百四万九千円をそれぞれ計上しておるのであります。
次に第八は、社会保險対策に関する
経費三十九億四千六十三万二千円であります。社会保障制度の根幹をなす社会保險制度を統一整備する必要がありますので、これが
調査、企画と、社会保險診療報酬の
内容につき、適正な
審査を行う等のため必要な
経費九百六十八万円と、健康保險、厚生年金保險及び船員保險並びに
国民健康保險の円滑なる運営をはかるための
調査、企画、指導を行う必要な
経費九百九十万六千円と、社会保險の
審査に必要な
経費千五百四十一万六千円と、社会保險制度の育成助長をはかるため健康保險法に基き、健康保險組合に対する業務取扱費及び結核病床
設置費補助と、厚生保險特別会計並びに船員保險特別会計べ給付費及び業務取扱費の一部を
一般会計から繰入れのため必要な
経費十八億三千四百九十一万八千円と、また
国民健康保險事業の育成強化をはかることは、現下きわめて重要なことでありますので、本事業の運営及び直営診療機関の
経費に対し補助するため必要な
経費二十億七千七十一万二千円を計上いたしたのであります。
次に第九は、
引揚げ援護対策に関する
経費三十二億二千四百三十万三千円であります。本年度中に
外地から内地べ
引揚げる者は、約十五万人と予想せられるのでありまして、これらの人々の援護の徹底をはかりますことは、きわめて重要でありますので、引揚港における
收容保護、輸送、日用品及び被服の給與、医療その他各種の援護の万全を期しますのと、未復員者給與法及び特別未帰還者給與法に基きます各種の給與等に必要な
経費をそれぞれ計上いたしました。
以上
昭和二十六年度
厚生省所管一般会計予算の
大要について御
説明申し上げたのでありますが、次に特別会計の
大要について申し上げます。
まず第一は、厚生保險特別会計の健康勘定においては、歳入歳出とも百八十二億三千五十七万六千円でありまして、年金勘定においては歳入百五十五億五百三十二万五千円、歳出二十億九百二十二万一千円、差引歳入超過百三十四億九千六百十万四千円であります。また業務勘定におきましては、歳入歳出とも二十二億七千二百四十八万三千円と相な
つております。
次に第二は、船員保險特別会計でありますが、歳入において二十一億六千四百八十五万七千円、歳出において十七億一千八十四万七千円、差引歳入超過四億五千四百一万円と相な
つております。
次に第三は、国立病院特別会計でありますが、歳入歳出とも四十四億二千七百六十一万四千円と相な
つております。
以上
昭和二十六年度
厚生省所管一般会計及び特別会計の
予算について概略御
説明申し上げたのでありますが、何とぞ本
予算の成立につきましては、格別のお力ぞえをお願い申し上げる次第でございます。