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1951-02-20 第10回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和二十六年二月十九日(月曜日)委 員長の指名で次の通り選任された。    主査 橘  直治君       麻生太賀吉君    井手 光治君       尾崎 末吉君    永井 英修君       中村 幸八君    南  好雄君       川崎 秀二君    川島 金次君     ————————————— 会議 昭和二十六年二月二十日(火曜日)     午前十一時二分開議  出席分科員    主査 橘  直治君       麻生太賀吉君    井手 光治君       尾崎 末吉君    永井 英修君       中村 幸八君    川崎 秀二君       川島 金次君  出席政府委員         運輸政務次官  關谷 勝利君         運輸事務官         (大臣官房長) 荒木茂久二君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     國安 誠一君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (船員局長)  山口  傳君         運輸事務官         (自動車局長) 牛島 辰彌君         運 輸 技 官         (港湾局長)  黒田 靜夫君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昂一君         海上保安庁次長 柳澤 米吉君         航空庁長官   松尾 静磨君         郵政政務次官  山本 猛夫君         郵政事務官         (簡易保險局         長)      金丸 徳重君         郵政事務官         (経理局主計課         長)      佐方 信博君         電気通信政務次         官       加藤隆太郎君  分科員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君         日本国有鉄道総         裁       加賀山之雄君         予算委員会専門         員       園山 芳造君         運輸委員会専門         員       岩村  勝君         郵政委員会専門         員       山戸 利生君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計予算運輸省郵政省  及び電気通信省所管昭和二十六年度特別会計予  算中郵政省及び電気通信省所管昭和二十六年度  政府関係機関予算運輸省所管     —————————————
  2. 橘直治

    橘主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和二十六年度一般会計予算昭和二十六年度特別会計予算及び昭和十六年度政府関係機関予算中、運輸省郵政省及び電気通信省所管を一括して審査を進めます。  この際審査の順序についてお諮りいたします。まず運輸省所管郵政省所管及び電気通信省所管についておのおの説明を聴取いたしました後に、運輸省所管より順次質疑を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 橘直治

    橘主査 御異議なしと認めます。よつてさよう決します。  まず運輸省所管について説明を求めます。運輸政務次官
  4. 關谷勝利

    關谷政府委員 それでは私から昭和二十六年度運輸省所管予算大綱について御説明申し上げますが、時間の点もあり、詳細についてはお手元に配付いたしました資料をごらん願いたく、私からは、ごく簡単に申し述べたいと存じます。まず歳入予算でありますが、昭和二十六年度歳入予算額は十一億七千三百二十二万六千円でありまして、これを前年度に比較いたしますると一千八百十八万七千円増加することになりますが、これは海上保安庁実施特別掃海に対する歳入が二十五年度限りとして減少いたしましたのに対して、海没鉄くず等の売拂い等新規歳入が見込まれた等のためであります。十次に歳出予算について申し上げます。二十六年度予定経費要求額は、百二十六億百三十九万四千円でありまして、これを前年度予算額百二十五億六千六百二十三万二千円に比較いたしますと、三千五百十六万二千円の増となりますが、これは全船舶船主返還に伴いまして、商船管理委員会に対する補助金が大幅に減少いたしましたものの、一方におきまして海上保安隊増強のための経費の増及び日本国有鉄道貸付金を新規計上いたしたこと等が、おもなる理由であります。右要求の各経費につきましては、予算参照書部局別事項ごと要求事由及び前年度に比較いたしまして特に増減の著しいものにつきましては、その増減事由を記載してございますが、今そのうちの重要な事項につきまして御説明を申し上げます。  まず商船管理委員会についての経費でありますが、一九四五年十一月九日付連合軍司令部指令に基きまして、同委員会日本商船管理を行わしめるため、その経費として四千四百八十一万八千円、シベリア、満州及びその他の地区からの引揚者を輸送する経費といたしまして、三億五千八百二十八万三千円を補助金として計上をいたしました。なお前年度に比較いたましで、同委員会に対する補助金が約三十四億円減少いたしましたのは、前にも申し上げました通り、前年度は同委員会において五千総トン以上の一般船舶を傭船し、貨物輸送を行うため、その事業費不足補助いたすために所要額を計上いたしましたが、二十五年三月の連合軍司令部指令によりまして、帰還輸送船を除く全船舶が民営に還元されたため、上述の補助の必要がなくなつたためであります。  なお次に国有鉄道工事財源を補いますために、日本国有鉄道貸付金といたしまして二十億円を計上いたしました。  次に港湾に関する公共事業施行に必要な経費でありますが、これは内地の港湾施設の修築及び災害復旧に必要な人件費及び事務費といたしまして、四億三千七百六十四万四千円を計上いたしました。次に気象官署に関する経費でありますが、気象観測並びに通報業務の完全を期するための事業運営費といたしまして十三億八千七百十三万一千円、連合軍指令によります洋上固定点観測業務維持運営に必要な終戰処理費といたしまして、三千百三万一千円を計上いたしました。  次に海上保安庁に必要な経費でありますが、これは不法入国の監視、密貿易の取締り、航路標識維持運営、その他海上保安業務運営費といたしまして四十四億六千八百二十五万円、沿岸警備力増強するため巡視船九隻を初め、浮標作業船水路測量艇等合計二十二隻の建造費といたしまして十億七千七百五十八万八千円、合計五十五億四千五百八十三万八千円を計上いたしました。なおこれを昨年十月海上保安庁増強のための国債費からの移用額を含めました前年度予算額の八十五億九千八万五千円と比較いたしますと、約三十億円減少いたしますが、これはおもに船舶建造費が減少したからでございます。次に航空庁に関する経費でありますが、国内航空運送事業管理等経費と、いたしまして二千四百十万円、連合軍要求により、航空保安施設維持運営等経費といたしまして一億一千九百六十五万六千円を計上いたした次第であります。以上が運輸省所管一般会計予算概要であります。次に昭和二十六年度日本国有鉄道予算概要について御説明申し上げます。昭和二十六年度輸送計画は、自立経済と民生安定の基盤に資するため、施設車両整備増強と保守の向上をはかり、もつて輸送力を強化し、サービス改善をはかる目途をもつて計画を樹立いたしたのであります。工事計画は、施設維持及び取替補充に留意をいたしまするとともに、必要な輸送力の強化に力を注いでおります。そのおもなるものは、車両関係といたしましては貨車電気機関車電車客車等の新造のほか、客貨車改造等でありまして、二十六年度收入確保と滞貨一掃に重点を置いたのであります。  次いで経営合理化の大宗である電化設備については、東海道線米原、浜松間の電化に着手することとし、この他高崎線上野、高崎間は本年度中に完成する予定であります。その他前年度より継続の信濃川山辺発電所建設工事等が計上されております。特に本年度においては、戦後初めての新線建設に手をそめ、津軽、赤穂、窪川の三線を計上いたしております。なおこの他の新線につきましても、目下国会において御研究中の建設審議会の設置と相応じて、予算措置を講ずるべく関係方面目下折衝中でございますが、この実現については格段の努力を拂う所存であります。以上の諸計画を織り込みました予算総額は、歳入歳出ともに二千三百二十一億円でありまして、この中には工事勘定における財源として損益勘定より受入れる百九十二億円と、六百十七億円の貯蔵品購入費、すなわち各勘定物品費と振りかえとなる重複分、これら八百九億円が計上されていますので、差引きますと千五百十二億円となります。工事経費総額で三百十二億円で、そのおもなるものは車両費電化設備費等でありまして、そのあらましは先に工事計画のところで述べました通りであります。  経営費について見まするに、人件費関係では、本年一月よりの給與ベース改訂及びこれに伴う諸手当の増加によりまして、五百十億円に上り、物件費関係としましては、石炭費電力費増加等によりまして六百三十九億円となり、経営費総額は一千百四十九億円となるのであります。このほかに減価償却費、特別補充取替費、利子及び予備費を計上し、経費総額が千五百十二億円となるのであります。これに対する財源といたしまして、運輸收入が千三百七十四億円、このほか工事勘定財源として大蔵省資金運用部より借入金百億円及び一般会計より政府貸付金二十億円、雑收入その他で総額千五百十二億円となるのであります。最後に日本国有鉄道財政につき、今後の見通しを申し上げますと、朝鮮動乱を契機としまして、日本経済の様相は変化を来し、基礎資材は漸次値上り傾向にあるのでありますが、幸い收入増加に転じつつありますので、公共企業体として能率の向上をはかり、サービス向上に努めますとともに、経営合理化を行い、経費節減に努力いたすよう、指導監督いたしたい所存でございます。  以上昭和二十六年度日本国有鉄道予算大綱につき御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上、御承認あらんことを切望いたします。
  5. 橘直治

    橘主査 次に郵政省所管について説明を求めます。山本政務次官
  6. 山本猛夫

    山本(猛)政府委員 それでは私から郵政省所管の二十六年度予算案と、これに附随する若干の問題につきまして御説明申し上げ、委員各位の御参考に供したいと存じます  まず最初に郵政事業特別会計予算でありますが、この予算総額歳入歳出ともに五百七十億六千四百二十四万五千円を計上しておるのでありまして、このうちには事業外收支として、收入印紙及び失業保険印紙の売りさばき関係收支が、歳入歳出ともに八十四億三千六百万円が含まれておりますので、事業本来の業務に属する額は、蔵入歳出ともに四百八十六億二千八百二十四万五千円と相なるのであります。まず歳入予算について申し上げますと、郵政事業收入はこれを大別して、自己收入と他会計からの繰入れ收入との二つにわかれているのでございます。自己收入は御承知の通り郵便事業における切手、はがき等收入及び貯金事業のうち郵便為替振替貯金手数料等郵政事業本来の業務から生ずる收入でありまして、二十六年度におけるこれらの收入は、雑收入九億円余を合せて百八十六億九千六百七十万四千円を予定いたしているのであります。次に他会計からの繰入れ收入でございますが、これは郵便貯金業務国税金收納事務保険年金業務特定郵便局における電気通信業務等運営に必要な経費財源として、それぞれの会計から繰入れられるものが二百五十五億五千六百六十四万三千円、主として郵便事業において生じまする歳入不足補填のため、一般会計からの繰入金が三十五億八千三百八十三万五千円、これを合せまして二百九十一億四千四十七万八千円を計上いたしているのでありますが、この他に二十六年度におきましては、郵便局舎等建設に必要な財源に充てるため、他の会計から設備負担金として繰入れられる経費二億九千百六万三千円、公債発行による公債金五億円、以上合計四百八十六億二千八百二十四万五千円を、業務收入として予定いたしている次第でございます。  これに対しまして歳出予算といたしましては、郵便事業維持運営に直接必要な経費として、百六十二億九千二十四万五千円、為替貯金事業運営に直接必要な経費七十九億一千三十五万円、保險年金事業運営に直接必要な経費八十億六千三百八十万三千円、特定局における電気通信業務運営に直接必要な経費四十一億二千五百八十五万四千円、以上の業務運営するための間接的経費、すなわち総係費が九十九億三千三百十三万円、郵便局舎合宿所等施設に必要な経費として局舎の建築、土地買收等の直接的な経費、すなわち工事費が十三億一千三百九十二万六千円、これに伴う間接的経費が一億一千百七十万五千円、予備費一千万円を計上しており、さらにこの他恩給負担金及び借入金利子等を他の会計に繰入れる経費として八億六千八百二十三万二千円、合計四百八十六億二千八百二十四万五千円を計上いたしているのでございますが、との経費をさらに人件費物件費に大別してみますと、人件費が三百十二億五千五百三十九万九千円、物件費が百六十二億三千二百二十一万五千円、その他十一億四千六十三万一千円と相なつておりまして、この比率を見ますると、人件費が六四・二%、物件費が三三・五%、その他二・三%となつているのでございます。なお建設工事費内訳説明申し上げますと、普通郵便局五十三局、その他庁舎の新増築及びこれに必要な土地買收費が十一億一千八百五十万六千円、従事員宿舎建設その地諸施設に要する経費一億九千五百四十二万円となつているのでありますが、特に普通郵便局舎建設につきましては、郵便物安全性を確保するためと、建物の終局の経済性とを考えまして、その八割程度鉄筋コンクリートづくり建設いたす計画でございます。なお先程申し上げました各業務運営して行くための人員は、二十六年度におきましては事務量増加もありますが郵政事業財政の現状にかんがみ、極力自粛いたしまして、前年度定員法定員二十六万六百四十人に対しまして、二十六年度は二十五万九千八百七十四人、前年度より七百六十六人の減少要求をいたしている次第でございます。とこでちよつと郵便事業の最近における業務運行について申し上げてみますると、郵便事業取扱い業務の範囲一につきましては、国内郵便及び外国郵便とも大体戦前に復し、また郵便送達の速度もほぼ戦前の水準に回復し、施設面及びサービス面におきまして相当復旧改善されたのでありまするが、收支の側におきましては、赤字傾向が依然として続いているのでありまして、来年度予算は本年度同様、極力経費の圧縮に努めたのでありますが、何分にも人件費が、先ほども申し上げましたごとく全経費の六四%強を占めているような次第で、その余地がないばかりでなく、物件費におきましても、海外逓送料等増加をまかなわなければならない等の事情がありまして、收入不足を来し、先ほどちよつと申し上げ九通り歳入不足補填のため、一般会計から繰入れを受けなければならないことと相なつておるのであります。このように繰入れを必要といたしまする理由は、ベースアップ等による人件費増高等いろいろ考えられますが、いまだに郵便物数戰前程度に回復せず、また料金の点にも問題があると考えられるのでありますが、政府といたしましては種々研究いたしました結果、政治的な考慮から、さしむき料金の調整は避けまして、歳入不足一般会、計から繰入れるということに相なつたのであります。従つて増收の道は、一に終戰後急激に減少いたしました郵便物数増加をはかる以外にないのであります。すなわち昭和十七年度に比べて、昭和二十四年度通常郵便物数は十七年度の五七%また小包郵便物の数はその三一%となつており、本年度上半期ではそれぞれ通常郵便物数が二八%、小包郵便物数は一五%程度であります。かかる実情にかんがみ、当省といたしましては、郵便物利用の勧奨に種々努力いたしているのでありまして、今国会におきましても郵便法の一部改正を御審議願い、事業経営上の要求利用者側の要望を織り込みまして、現行制度所要改正を加え、事業整備充実し、サービス向上をはかりたいと目下取運び中であります。次に郵便貯金特別会計予算について申し上げますが、この会計歳入予算は、資金運用部に預け入れる郵便貯金資金利子收入百一億二千七百五十万六千円、これに対しまして歳出予算は、郵便貯金預入者に対する利子支拂いに必要な経費が四十一億一千四百七十五万七千円、郵便貯金の実際の業務はすべて郵政事業特別会計を通じイ一つているので、この取扱いに必要な経費財源に充てるため、同会計に繰入れる経費が七十五億三千八百二十七万六千円、合計百十六億五千三百三万三千円となつておるのでありまして、歳入不足額十五億二千五百四十二万七千円は、一般会計から補給を受けることとなつている次第でございます。  なおこの会計は、二十六年度から新たに発足する予定のもので、郵便貯金事業に関する部面を、従来の大蔵省預金部特別会計から切り離しまして、事業收支を明確にして、事業経理合理化をはかるため、別の特別会計を設けることに目下取運び中のもので、いずれ本国会におきまして関係法律案の御審議を願う運びとなつているのでありますが、この特別会計運営について概略を申し上げてみますると、郵便貯金として受入れた資金を、今回預金部を改組して新たにできまする資金運用部に預託し、この預託金に対する利子收入で、郵便貯金利子支拂いと業務取扱い経費をまかなつて行く仕組みとなつております。かように貯金事業独立採算で行く建前でありますが、初年度の二十六年度におきましては、資金運用部から受入れる利子收入だけでは、必要な経費をまかなうことが困難でありますので、その不足分は先ほど申し上げましたごとく、一般会計から繰入れを受けるということになつております。郵便貯金経済安定化が進むに伴いまして、大体増加の趨勢をたどり、二十五年一月末の現在高は一千五百十六億余万円に達しており圭す。それでも戰前に比べまして、その間の経済状態変化を考慮いたしまするとまだまだ比較的に少いのでありまして、郵便貯金の現在高は、昭和十年当時のわずか四十六倍程度にすぎないのであります。この点が赤字を生ずる大きい原因と考えられるのでありますが、二十五年度の三百五十億円に対しまして、二十六年度は四百億円の増加目標としている次第でございます。郵便貯金資金コストは、二十五年度は大体六分八厘六毛程度でありまして、来年度平均残高も一千八百四十億円程度となり、資金コスト支拂い利子が二分二厘四毛、事業取扱い経費が四分九毛、合せまして六分三厘二毛と、五厘程度改善される見込みでありますが、これでもなお資金利まわり五分五厘に対し八厘三毛の逆ざやでありまするので、この分だけ收入不足となる勘定でございます。われわれといたしましては、かような收支のアソバランスを克服して、一日も早く独立採算制を確立すべく努力いたしますとともに、二十六年度横書式貯金通帳の発行戰時中疎開した貯金原簿の復元、あるいは庁舎改善による貯金原簿等重要証拠書保全対策等事業整備充実サービス改善に努める所存であります。なおここで為替貯金業務内容について、一、二申し上げてみますると、外国郵政庁との間における郵便為替業務につきましては、一昨年末からアメリカと、また昨年末からはカナダとも業務を再開いたし本年一月末までに約百三十五万ドル、毎月平均十数万ドルの本邦向け送金取扱い、外貨の獲得及び国民の福利増進に多大の貢献をいたしておりますが、来年度からはこれらの業務内容を、現在の到着のみの片為替から、振出し、到着の双方を取扱う両為替に拡張するほか、万国郵便連合條約に加盟しているその他の各国とも、外国郵便為替交換業務を再開するように取運んでおる次第であります。これら業務整備拡充及びサービス改善に伴いまする要員の点につきましては、なるべく現在の人員をもつてまかない得るように、事業合理化について一層のくふうを加え、改善の実を上げることを期しておる次第でございます。  次は簡易生命保険及び郵便年金特別会計等予算でございますが、この会計歳入といたしましては、保険勘定におきましては、保險料收入が三百九十六億六千四百余万円、積立金及び余裕金預金利子收入等が二十二億円余、合計四百十八億六千四百万円余となつており、これに対しまして歳出予算は、保険金支拂いに必要な経費十七億六千七百万円、保険の失効、解約等に伴つて必要といたします還付金等が八十三億九千百万円、簡易生命保険業務運営のために必要な経費財源に充てるために郵政事業特別会計に繰入れを必要とする経費百八億一千八百万円、予備費五億円、総額二百十四億七千五百余万円を計上いたしているのでございます。さらに年金勘定歳入といたしましては、年金の掛金及び積立金利子等五億百余万円、これに対しまして歳出予算は、年金支拂い等に必要な経費三億五千九百万円余、郵政事業特別会計に繰入れを必要とする経費二千五百万円、予備費八百万円、合計三億九千二百余万円を予定いたしている次第でございますが、この会計におきましては、歳出経費に比較いたしまして、二百四億九千八百余万円の歳入超過なつているのでありますが、これは会計法に定めるところに従いまして、積立金として処理いたすことに相なつているのでございます。なおここで最近の簡易保険事業運営の概況を申し上げてみますると、簡易保険事業は本年十月で、事業創始以来まる三十五周年を迎えることになりまして昨年末における契約金額は三千七百七十億円、その件数は五千四百九十八万件に達しております。この間終戰までは、一路順調に発展して参つたのでありますが、終戰以来事業費増高により、事業経営は極度に難局に逢着いたしまして、二十二年度收入保険料に対する事業費比率、すなわち事業比率は七一%に上昇したのでありますが、これが打開策といたしまして、小額契約を整理して、経営合理化をはかるとともに、数回にわたつて保險金最高額を引上げまして増收をはかりました結果、事業比率は二十四年度は、四三%まで下り、本年度はさらに低下して三一%程度まで改善される見込みであります。来年度においては最近の募集状況を考慮して、新規募集目標を第一回保険料額で表現しますと、十億円ということにいたしましたが、なお先ほど申し上げました通り歳入予定額は約四百十八億円で、歳出予定額約二百十四億円を差引いて、約二百四億円の歳入超過となり、事業費率も二七%となつて、二十二年度の三分の一近くまで低下する見込みでありまして、経済の安定、復興に伴いまして、事業の再建、復興に向つて着建実な歩みをいたしている次第でございます。次は、郵政省所管一般会計予算について申し上げます。この会計予算額は百二十三億四百余万円となつておりまして、との内訳郵政省基幹職員に必要といたします経費が百三十六万六千円、郵政事業特別会計歳入不足補填のため同会計へ繰入れを必要とする経費三十五億八千三百八十三万五千円、郵便貯金特別会計への繰入金が十五億二千五百四十二万七千円、年金及び恩給の支給に必要とする経費七十一億七千三百九十六万八千円、簡易生命保険事業戰争危険による死亡に基く損失補償のため同会計へ繰入れを必要とする経費二千万円と相なつているのでございます。  以上で、郵政省所管の各会計昭和二十六年度予算及び業務概略説明申し上げたのでありますが、さらに詳細な点につきましては、御質問によりお答え申し上げたいと存じます。
  7. 橘直治

    橘主査 次に電気通信省所管について説明を求めます。加藤電気通信政務次官。
  8. 加藤隆太郎

    ○加藤政府委員 大臣から御説明申し上げるべきでありますが、さしつかえがございますので、私から御説明を申し上げたいと思います。  最初に予算の梗概説明に先だち、電気通信事業の概況について申し上げます。まず市内電話について御説明いたします。加入電話について申し上げますと、終戰後五箇年の努力によりまして、ほぼ戰前の数に達したことは前国会において申し上げましたが、昭和二十五年四月より十月末までの増加累計は約十二万八千でありまして、現在百十三万五千に達しております。しかしこれはすべてが前の通りに復旧したのではなく、戰災大都市の復旧率は五〇ないし七〇%でしかなく、依然として多数の未開通加入者が大都市に浅つており、結局非戰災の中小都市の空施設利用によつて、全国的に見て上述の数に達したものであります。大都市における通話完了率の向上につきましては、調査会を設けて、重点的に諸施策を講じ、漸次効果を上げつつありますが、なお一層これが改善に努力いたしたいと存じます。次に公衆電話利用の現状につきましては、現在全国の公衆電話数は約四千個であります。公衆電話の一日の平均利用度数が四十二回程度なつていまして、この料金の收納率は五七%前後となつております。一般的にこの收納率は、都市の自動式公衆電話の場合は悪く、三三%、手動式の場合はよく六三%になつております。当省といたしましては、公衆電話の本質にかんがみ、これが整備にますます努力いたしたいと考えております。  市内電話の障害数は、昭和十三年度と比較し、平均約二倍になつております。そこで昨年七月より明確な統一ある、しかも迅速な処理を目的とした市内電話試験統制を、各県庁所在地及び主要都市につき実施したのであります。また昨年末におきましては東京、大阪、京都、神戸及び横浜各市の電話局におきまして、一箇月四回以上の重複障害加入者に対し、申告を待たず積極的に点検し、完全修理する方法をとり、良好な結果を得ておりますので、今後におきましては一層この点に留意し、障害数の漸減をはかりたいと存じます。  有料発信市外通話につきましては、逐月増加の一途をたどつておりまして、二十五年十月中の有料発信市外通話度数は、二千七百三十八万度となり、戰前の最高であつた十八年度の月平均に対しまして、約一七%の三百八十八万度超過いたしております。これを二十五年度の上半期全体について見ますと、月平均二千四百万度に達し、二十四年度の同期に比較しますと三〇・七%増加しており、二十五年度におきましては、戰前最高の実績を突破することと存じております。  また市外電話回線の障害は逐次減少し、一月一回線当りの障害時分は一一・一分となりましたが、今後におきまして一層障害の減少、品質の向上をはかり、大声や聞き直しのない市外通話にいたすよう、改善施策を講じたいと存じます。内国発信電報につきましては、二十五年度十月中の発信通数は七百七十一万八千通に達し、前年同月に比較いたしますと六・七%増加し、二十五年十月までの累計は四千七百三十一万通で、二十四年の同期と比較いたしますと七・一%増加しております。  電信サービス改善につきましては、不断に努力しているのでありますが、速度の点につきましてはすでに戰前の水準に回復しようとしているにかかわらず、正確度については、遺憾ながらなお戰前の状態にはるかに及ばないので、昨年来電信運用の施策の重点を電報の誤謬絶滅に集中し、各電報取扱局においてもこれに呼応して、あらゆる努力をして参つたのであります。その結果二十五年八月には、一万字当り四十五字に短縮することができたのであります。しかしながら戰前の一万字当り二十字に比し、その半ばを達成したにすぎないので、引続き努力を継続して行くつもりであります。  次に国際電気通信業務量の飛躍的増加について申し上げます。わが国の国際電気通信の業務量は、その後においても海外貿易の好転と相まつて、激増の一途をたどつて、十一月の電報取扱い数は、戰前の一箇月最高二十三万三千余通を突破し、十二月にはクリスマス祝賀通信の利用等もあつて、その取扱量は実に三十万通を越える活況を呈したのであります。二十五年一箇出間の国際電報通数は二百十一万余通で、すでに戰前の水準を上まわり、最高にいま一歩といところであります。国際電話につきましても、戰前は年間最高約五千度数程度でありましたが、最近は一箇月に五千余度数で、二十五年度の統計は六万三千七百度数と、けた違いの数字を示しているのでありましてこのまま推移するとすれば、收入におきましても昭和二十四年度十四億円に対しまして、昭和二十五年度は約三十余億円を予想されるのであります。一方これら輻湊する通信の円滑な疏通をはかるために、対外連絡回線の新設及び通信方式の改善整備並びに従事員の量的、質的向上等に鋭意努力している次第であります。次に御審議を願つております昭和二十六年度電気通信事業特別会計予算につき申し上げます。昭和二十六年度予算は、歳入歳出ともに六百二十一億五千余万円を予定して、本国会に提出しているのであります。この金額の内訳を申し上げますと、歳入においては、一、電信收入が七十九億六千百余万円、二、電話收入が三百七十五億一千八百余万円、三、増設電話の工事收入が七億八千六百余万円、四、医療施設、電話番号簿による広告、物件売拂代、職員宿舎の貸付等による收入が十三億三千五百余万円、五、その他手持ち在庫品の使用が七億円、六、連合單通信設備を建設する設備負担金として終戰処理費からの受入れが三億五千万円、七、電信電話等の建設事業に要する財源として大蔵省資金運用部から受入れるものが百三十五億円であります。  次に歳出では損益勘定で三百九十四億五千四百余万円、すなわち一、電信電話の維持運営に必要な経費が百十一億二千九百余万円、二、電気通信施設の保守に必要な経費が百十四億四千余万円、三、管理共通事務に必要な経費四十六億六千五百余万円、四、電気通信施設の実用化と試作試験等に要する経費が六億九千九百余万円、五、部内の医務機関の維持運営に必要な経費が六億六千百余万円、六、電話架設のための引込線工事に必要な経費が四億八千六百余万円、七、増設電話受託工事に要する経費が七億五千五百余万円、八、電信電話業務の一部を郵政事業特別会計に委託するために必要な経費が六十一億一千三百余万円、九、公債及び借入金等の利子公債発行に伴う取扱費等が十八億八千六百余万円、十、その他十六億一千四百余万円であります。建設助走では二百二十六億九千七百余万円で、すなわち一、電信電話設備の建設に百五十三億六千百余万円、二、局舎建設に二十三億一千五百万円、三、機械器具の整備、電気通信研究施設の拡充その他に九億九千三百余万円、四、これらの建設に伴う人件費調査費等が四十億二千八百余万円でありまして、これが財源としましては、一、預金部資金から公債として受入れが百三十五億円、二、損益勘定からの受入れが八十八億四千七百余万円、三、終戰処理費からの受入れが三億五千万円、計二百十六億九千七百余万円であります。  この予算によりますと、昭和二十六年度の電気通信の取扱量は、電報において発信、著信、中継信を合せ、これを物数に換算して六億七千三百万余通で、昭和二十五年度に比し二千六百万余通の増、市外通話において五億一千六百万余通話時で、一億三千二百万余通話時の増加なつております。  次に電気通信施設面では、昭和二十六年度中に電報電話局は委託局を含めて百五十局、開通加入者数七万五千、市外電話回線七万キロを増加し、昭和二十六年度末には電報電話局(委託局を含む)一万三千八百七十九局、開通加入者数百二十八万一千余、電信回線二千百五十七回線、市外電話回線百三十二万一千余キロとなる予定であります。  また以上の計画を遂行するため、昭和二十六年度の従業員の定員は、昭和二十五年度に比し、八千二百三十二名を増加し、十五万二千八百七十四名を必要とすることになつております。  以上概要を申し上げまして、なるべくすみやかに愼重審議の上、御可決あらんことを切望いたしまして、御説明を終りたいと思います。
  9. 橘直治

    橘主査 それでは午後は一時から再開いたすことにし、午前中はこれにて休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ————◇—————     午後一時二十一分開議
  10. 橘直治

    橘主査 休憩前に引続き再開いたします。  質疑に入ります。質疑はまず運輸省所管より順次行いたいと存じます。通告順にこれを許します。中村幸八君。
  11. 中村幸八

    中村(幸)委員 私実は通産委員会の方にただいま出ておりますので、簡単に一言、二言質問させていただきたいと思います。  まず運輸省の方にお伺いいたしますが、東海道線の電化の問題につきましては、先年来静岡、愛知、岐阜、滋賀の各県の方が関心を持つて、ぜひともこれを早急に実現してもらいたい、こういう猛運動をしておつたのであり事。しかるに今回いよいよ浜松、米原間の電化に着手することになつた、こういうことでこの東海四県の方々は喜びにたえないのでありますが、聞くところによると、一応予算には、電化の工事を二十六年度に着手するということになつて、相当程度の金額の計上がありますが、最近における物価の値上り等によつて、工事が予定通り予算額ではできない。従つて運輸省としては実行予算を組んでこの計画を変更し、浜松、米原間の工事は二十七年度に繰延べる。そうしてまず二十六年度は高崎線を完成する、こういうように運輸省では計画を変更しているというわさが飛びまして、東海四県の者は非常に驚愕しているのであります。私どものところに電報がひんぴんと参りまして、ぜひとも二十六年度には着手できるように、骨折つてくれということを言つてつておるのであります。はたしてそういうように運輸省では実行予算を組んで、浜松、米原間は二十七年度に繰延べるということをお考えになつているかどか、この点をお伺いいたしたい。
  12. 關谷勝利

    關谷政府委員 先般新聞紙等に、東海道線の電化の打切りというようなことが出ましたので非常に誤解を招いているようでありますが、午前中に私が御説明申し上げた通り、東海道線の電化には着手をいたすことになつておりますから、この点は御安心を願いたいと思います。
  13. 中村幸八

    中村(幸)委員 それでは何月ごろから着手するようになりますか。その経費はどのくらい計上いたしますか。
  14. 關谷勝利

    關谷政府委員 大体予算は五億円計上いたしておるのでありますが、着手の時期と申しますと、それが何日かといことは、ちよつと私から申し上げかねますが、でき得る限り早急に着手いたしたいと存じております。
  15. 中村幸八

    中村(幸)委員 そうすると伝えられる五億円が、一億円に減額せられたということは、うそであると承知いたしてよろしゆうございますか。
  16. 關谷勝利

    關谷政府委員 実行予算というようなことは、一応予算が通過いたして後につくるのでありまして、現在のところでは五億というように計上いたしておりますので、一億に減るといことは考えておりません。
  17. 中村幸八

    中村(幸)委員 ただいま政務次官のお答えを得まして、たいへん満足いたしますが、何分東海道線はわが国の動脈とも申すべき路線でありまして、この東海道線を強化、改善することによりまして、輸送力は一層強化を見るわけであります。現在の特需その他の関係で、非常に各貨車とも停滞いたしているようであります。この東海道線の電化によりまして、輸送の逼迫を緩和されるよう切にお願いいたすわけであります。  それからもう一点だけお伺いいたしますが、モーター・ボート・レース法案が今度の国会に、議員提出で提案ぜられるように承つているのでありますが、私どもはモーター・ボートのモーターの改善向上、あるいはまた観光施設として、外客を誘致する面におきまして非常にけつこうだことと思うのであります。さきに競輪法の施行によりまして、全国行地に暴擾事件あるいは騒擾事件が惹起せられ比したので、非常に輿論を喚起いたしまして、こうこうたる非難もあつたのであります。こういう面におきましてはたして運輸省といたしましては、競輪とは違うのだ、モーター・ボート・レースはそういう心配はないのだという考えであるかどか、お伺いいたしたいと思います。
  18. 關谷勝利

    關谷政府委員 モーター・ボートのレースがあることを聞いておりまするが、まだ私たちそういう方面につきまして研究しておりませんので、その点は後日またお答えいたしたいと思いま
  19. 橘直治

  20. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 運輸省並びに国鉄関係の質問をするのでありますが、まず運輸省関係から質問をいたします。まず第一に、国内航空会社が許されて、来る六月からその運航が開始せられることになつたのでありますが、その通りであるかどうかということと、国内航空会社を一社のみとしたその理由はどこにあるのか、この点をまず伺います。
  21. 關谷勝利

    關谷政府委員 大体国内航空は、いろいろ今から運輸審議会その他に所要の手続を経てやります場合に、大体早くて五月の末もしくは六月の上旬、この程度になるのではないか、こういうふうに考えております。  なおこれはその筋の指令に一社といことで限定されております以上——この理由につきましては十分承知いたしておりませんが、航空庁の長官が参りましたら、あらためてお答え願うことにいたしたいと思います。
  22. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その点は航空庁の長官がお見えになつてからお伺いすることにいたします。  この航空会社による輸送の対象は、旅客、貨物、郵便物なつているようであります。そしてその標準料金というのが東京、大阪間旅客四千四百円、貨物は一キロ当り八十九円、郵便が一通当り二十円、こうい計画のようですが、その通りでしよか。
  23. 關谷勝利

    關谷政府委員 料金の問題につきましては、これは申請があつてから後に決定をするのでありまして、現在のところまだこの決定はいたしておりません。
  24. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 私がこの質問をするゆえんのものは、航空輸送の料金が安いことは非常に望ましいのでありますが、航空料金の定め方によつて、鉄道の旅客運賃を圧迫する結果を来しはしないかということを心配いたすのであります。今のお答えによりますと、まだ決定するところまで行つていないといことでありますから、御決定にあたつてはそれぞれの機関を通じて御決定のこととは思いますが、十分の用意をお佛いになるように希望を申し上げておきます。  そこでこの航空機によるところの郵便の問題でありますが、航空機の郵便は、一体郵政省が取扱うことになるのか、あるいは航空会社が直接取扱うことになるのか、この点を承つておきます。なおまたもしも航空会社の直接取扱いなつた場合において、郵便法との関係がどうなるか、この点を伺つておきたいのであります。
  25. 關谷勝利

    關谷政府委員 この点に関しましては、航空庁の長官が参りましてから御答弁願うことにしたいと思います。
  26. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次に伺いたいのは、船腹増強計画についてでありますが、講和條約を契機といたし、もとよりその以前においても、自立経済を達成いたしますためには、船腹の思い切つた増強がなければ困難であることは申すまでもないことであります。この点については予算委員会において、各党の代表によつて論議せられたところでありますが、まずこの件について伺つておきたいと思いますことは、大臣の代理として責任ある御答弁を願いたいのでありますが、よく新聞に傭船計画、買船計画ということが、非常ににぎやかに発表されるのでありますが、私どもの記憶によりますれば、かつてのいわゆる敗戰に至らない前の船の傭船とか買船というような計画については、これが具体化するまで秘密にしておいて、相手国とよい交渉をする、こういうやり方でありましたのが、いきなりこの計画が発表され、発表されればもとより需要供給の原則に従いまして、これを受入れる国においては値段をつり上げるのは当然であります。従いましてこうい計画の発表によつて、立ちどころに二倍あるいは三倍というよに値段が高くなるのは、当然のことだと思うのであります。一体どういうお考えで買船計画あるいは傭船計画というがごとき重大な問題を、事前に発表せられるのであるか、これは重大な問題でありますので、責任ある御答弁を伺います。
  27. 關谷勝利

    關谷政府委員 終戰前におきましては、管理下の政治ではないので、重要な秘密は保ち得たのであります。現在におきましては一々その筋の許可を得るということで、自然に外部に漏れて参りますので、別に運輸省が大々的に宣伝をしたのではないのであります。御了承願います。
  28. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 連合国の管理下にあることは、よく承知をいたしておるのであります。しかしながらそれならといつて、事前にこれを発表することによつて、値段が上るのか、上らないのか、管理下の日本から注文するものであるから、こちらの計画した当時のそのままの値段で、向うがこれに応じてくれるのであるかどうか、そこらの事情を御説明願いたいと思います。
  29. 關谷勝利

    關谷政府委員 最近になりましてこれは漏れてはおりますが、その漏れる以前から各船会社におきましては、それぞれの相手方と申しますか、これを見つけまして交渉をいたしております。なお通産省等におきましても、そのようなことでいろいろ交渉をいたしまして、値段等もその際に大体決定をいたしておりますのでその点はあまり御懸念の必要はないと考えております。
  30. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 御答弁によつてやや安心をいたしたのでありますが、なおこの問題につきましては十分に善処していただくよう、先般私どもと大蔵大臣その他の閣僚との懇談会の席上におきましても、私は強く要望いたしておいたのでありますが、この点は一応善処していただくよ希望いたしておきまして、次に移ります。  買船あるいは傭船等による船腹の増強が必要であるために、これに重点を置いてやると御答弁をされていることはまことにけつこうなことでありますが、これに非常な緊密な関連を持つところの港湾施設、倉庫の整理、陸運の充実、そういう計画が一向明瞭になされていないのであります。すなわち現在の状況を見ますと、終戰以来の日本の港湾の状況は、荒れるにまかしたといつても過言でないような状況であり、また埠頭等は非常に狭小であることや、あるいは荷役の設備が非常に不足いたしておりますことや、倉庫はさきに申しましたように非常に狭隘であることや、はしけが非常に老朽いたしていること等を考えますならば、船腹だけを思いきり増強いたしましても、これらのことが充実いたさなければ、とうてい所期の目的を達成するような運営はできないと思うのでありますが、この点につきまして特に具体的の御説明を希望いたすのであります。その第一として申し上げますならば、港湾法もすでに制定をせられました。まずこの六大港の管理が、この港湾法に基くやり方に移つてつておりますので、六大港等の整備のことも非常に急を要することでもあり、他面また六大港に限らず、すべての港湾についてもそれぞれ相互に急を要する事情があると思いますので、この港湾について、緊急なものとそれに次ぐ重要なもの、そういうもの等についての御計画を明瞭にしていただきたいと思います。
  31. 關谷勝利

    關谷政府委員 大体港湾の整備につきましては、公共事業費におきまして、たしか二十九億四千五百万円というものが、一般の港湾予算として組まれておりますし、災害復旧として二十二億七千万円程度のものが計上いたされておるのでありますが、さらに現在各重要港湾、たとえば横浜、東京、神戸、関門、博多といようなところが接收せられておりまして、この点で一般の利用が不足なつておる、こういうことから、これを充実いたしますために大体二十九億五千万円程度、これは見返り資金を出してもらつて、修築を行いたい、こういうような気持で目下見返り資金関係を折衝中であります。なお倉庫上屋につきましては、大体新設を十万五千坪程度、修理復旧は一万七千坪程度のものを要します。これに対しましては約六十億の見返り資金がいるのでありますが、これも私企業関係でありますので、予算面にはもちろん現われないのでありますが、見返り資金をもちましてやりたいということで、これまた折衝中なのであります。陸運の関係につきましては、これも充実しなければなりませんので、御承知の通り貨車建造を大々的に行うことになつておりまするし、自動車等につきましてもいろいろガソリン、タイヤというような必要資材を十分に配給いたしまして、これが二十八年度におきまする目標に到達いたしまする計画とあわせまして、相当に充実をして行くことになつております。陸運関係の詳細は非常に複雑でありますので、あとから資料を提出いたしたいと存じます。
  32. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 一応説明で了承できるよな気がするのではありますが、ただ二十九億余の経費をもつてして、六大港等の重要なところ、及びその他の港湾の整備ができるかどうか、さき申しますよに、くどいようでありますが、船腹の思い切つた増強港湾関係とは、十分にマッチして行かなければならないものであります。この程度予算をもつてして、一方立てられておる船腹の増強計画とにらみ合せて、支障がないかどうか。もし支障があるとするならば、どういうやり方をもつて港湾その他、さき御質問いたしましたような問題を整備充実して行かれるつもりでありますか。
  33. 關谷勝利

    關谷政府委員 二十九億余と申しまするのは、先ほど申し上げましたのは五大港でありますか、これを修築いたしますのに必要な経費でありまして、一般の港湾費から二十九億四千五百万円、並びに災害復旧費から二十二億七千万円程度のものが出る、この見、返り資金関係は目下交渉中でありますが、これが実現いたしまする場合には、大体現在の船腹の増強状態から考えまして、さしあたりはこれで間に合い得ものと考えております。
  34. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 それでは海上保安庁関係のことにつきまして御質問申し上げます。海上保安庁経費は二十五年度は八十五億円であつたものが、二十六年度は五十五億円ということになつておるのでありまするが、この五十五億というものを編成せられた根拠はどこにふるのかということを、まずお伺いをいたしたいのであります。
  35. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 海上保安庁といたしましては、二十五年度におきまして船舶の建造を二十九隻、これに引き続きまして、七月のマ書簡によりまして、補正予算といたしまして、四十五億九千万円の予算をいただいたのであります。この予算によりまして約八十隻の船舶の建造をいたしますると同時に、この船舶に乗せます乗員を計画いたしておるわけであります。このマ書簡によりますところの予算によつて建造される船舶が、逐次でき上つて参りますに従つて、そのうちの約二千二百四十六名は二十五年度内におきまして整備ができますが、二十六年度におきましても二千四百五十名の増員をいたして、船舶の建造とマッチしてやつて行く、これに対する予算を大体船舶建造上から見まして、二十五年度に計上をいたしておるわけであります。なおそのほかに航路標識管理の費用及び航路警戒の費用、船舶検査の費用等、万般にわたる費用の予算を計上しておる次第であります。
  36. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 それに関連いたしまして伺いますことは、要するに最近朝鮮動乱を契機といたしまして、相当に資材その他のものが高騰いたしておるのでありますから、二十六年度五十五億程度のものをもつてして、所定の計画を遂行し得るかどうか、こういうことを承つてみたいのであります。もとより講和條約を契機とし、その前におきましても、海上保安庁の任務が非常に重大化いたして参つておることも、私ども十分に承知いたしておりますために、重ねて申しますように、この五十五億程度をもつてして、所定の計画を遂行し得るかどうか、こういうことについての御説明を伺いたい。
  37. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 現在逐次物価の上昇等はございますが、現在の状況におきましては五十五億をもちまして、一応所定の整備ができ得るものと確信いたしておる次第であります。しかしながら船舶の数にいたしましても、あるいはその質にいたしましても、相当に今後改良を加え、なお増強をいたさなければ、海上の保安の万全を期することは困難である、かように考えておる次第でありますが、現在の状況といたしましては、何とかしてこの費用をもつてつて行きたいと思つております。
  38. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 つけ加えて伺つておきます。航路標識の問題は、先般の予算委員会においても私から質問申し上げたのでありましたが、航路標識を復旧またはふやすことは、非常に重大なことであることもとよりてありますが、見返り資金等の方からなお別に航路標識等に用いる経費として、何とかうまい方法をもつてこれをふやす計画が試みられておるかどうか、こういう点について伺つておきたい。
  39. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 航路標識に関しましては、御説の通り日本の近海は、いまだ暗黒の海と称せられておる状態でありまして、逐次整備をしておりまして、近来改善は進んでおりますが、なお相当の整備を要するものと考えております。お説のような見返り資金関係については、現在われわれといたしましては希望を捨てず、努力をしておるような次第であります。
  40. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次に伺いますのは、先ほどの御説明にもありましたように、二十五年度におきまして二千二百四十六名、二十六年度におきまして二千四百五十名の増員をするという御計画のようでありますが、この増員についてはどういうような方法で、どういうような方面からおふやしになるのか、その計画を伺つてみたいと思います。
  41. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 二十五年度に二千百四十六人、二十六年度に二千四百五十人、その要員の募集に関しましては、質が二つにわかれる次第であります。一つは高級の船員でございます。この高級船員に関する問題は、乗ります船舶に対する免状その他の関係がございまして、免状を有する者を主体といたしまして募集計画を立てておる次第であります。なお下級船員に対しましては、一般に人事院の募集計画に従いまして募集いたしまして、採用の方式は人事院の方式をとりまして、これを一般公告によつて募集し、試験をする、かようなことを考えております。
  42. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 人事院の計画によつて要員を募集せられるというのでありますが、これは支障なくその目的を達することができる状況でありますか、その点をお伺いしたい。
  43. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 現在の状況といたしましては、思想関係その他のいろいろの問題、あるいは過去の経歴の調査というような点につきまして、人事院として相当に調査をいたしますと同時に、入りまして三箇月間の猶予期間に、人事院とわれわれ両方で相当に質その他の検査をいたしております。従いまして人事院と共同して行うということは、両面から見る意味におきまして、現在として支障なく、むしろ有利だ、かように考えております。
  44. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 もう一点、御計画なつておる海上保安大学の性格並びに保安学校の性格、この両方のものを将来どういうふうに運営して行かれようというのか、この点について伺いたい。
  45. 柳澤米吉

    ○柳澤政府委員 海上保安庁の教育の方針といたしましては、まず新制中学卒業程度の者をとります保安訓練所というものを設けて、これによりまして一般の職員の教育を行う。引続きましてある程度職員として経験を積みました者は、特殊の専門の技倆を習得するために、再教育といたしまして保安学校といものを設け、これによりまして保安職員の再教育をして行く。なお保安大学校におきましては、新制高等学校を卒業した者を採用いたしまして、保安庁の幹部になる人間の教育を行う、かように三種類にわかれておるわけであります。
  46. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 保安庁関係はその程度におきまして、国鉄に関する御質問をいたします。まず大まかなところから総裁に伺つてみたい。数日前に予算委員会の公聴会におきまして、公述人として出て参りました国鉄労働組合の齋藤執行委員長が述べた言葉の中に、現在審議せられておる二十六年度予算は八箇月予算だ、従つてこの予算の補正をすることは必至なのだ、こういう趣意のことを述べたのでありましたが、国鉄といたしましては労働組合に、八箇月予算というようなことをお話になつておるのかどうか、また二十六年度予算が八箇月分しかないと思つておられるのかどうか、その点まずお伺いいたしたい。
  47. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 労働組合の委員長がどういう意味で申し上げたことか、私明らかでございませんが、当局の側としてそういうことを申し上げたことはないし、御承知の通り、今回御審議を願つておる予算は、去年の八月ごろの基準に基いて組まれておる予算でありまして、その後十一月、十二月の値上りの度合い等も見て行きます場合に、工事費並びに修繕費等非常に予定が狂うことは、今から予見されるわけでありますが、私どもの方といたしましては、これはあくまでも予算であつて、御審議を願う以上は、何とかこれでやつて行く建前をとつて行く。従つて收入の面におきましても、收入確保という面に重点を置いて行きますと同時に、支出面におきましては、従来より新しいことを手を広げてどんどんやるということには参らないと思いますが、何とかして二十五年度までやつて参りましたことを、そのままの形で継続してやつて行く方法はないかということを、ただいま実行予算の面において検討いたしておる段階であります。八箇月予算といような考え方は持つておらないのであります。
  48. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこで伺いますが、二十六年度国鉄算の損益勘定におきまして一千三百八十九億円余、工事勘定が三百十二億円余となつておるようでありますが、それはただいま御説明になりましたように、昨年の八月ないし十月の物価を水準として編まれたものだ、こういうふうに了承いたしておるのであります。質問いたします問題は、三百十二億円のうちの百五十億円といものが、資材の費用であるようであります。ところがこの資材の値段が、今非常に高騰いたしておるように思うのであります。たとえばアルミにいたしましても、銅にいたしましても、ニッケル等にいたしましても、非常に高騰いたしておる。いわゆる非金属類は二倍ないし二倍半以上にも上つておるといわれるのであります。そうしますと全体として考えますと、六割ないし七割以上予算よりも高くなつておる、こういつたことが考えられますので、ちよつとさつき御答弁にあつたようでありますが、こういう実情から考えてみて、この予定計画が遂行し得られるのかどうか、この点をもう一点伺つておきたいのであります。
  49. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 実はその三百十二億の予算のうちに、各種の項目を含んでおるわけでございまして、新しい建設あるいは改良に類するもの、あるいは従来のものの取替費用というような、いろいろなものを持つておるわけでございます。当初のもくろみで申しますと、たとえば車両にいたしましても、少くとも新車を五千両近くつくりたいという希望を持つて立てた次第でございますが、その後のただいま言われました値上りの率を考えますと、もちろんその通り実施するわけには参らないわけでございまして、その面から、先ほど申しました種別から申しまして、各種の工事に縮減を加えなければならぬ。しかもその縮減を加えたもので、経営に支障がないようにやつて行く方法がないかということについて、ただいま検討いたしておる段階でございます。
  50. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 非常にやりづらいことはよくわかるのであります。計画通りのことを遂行しようとすれば、今御説明なつたように、各種の計画の縮減をしなければならない、こういうことでありますが、そのやり方もありましようし、一方におきましては運賃を改正するとか、予算の補正をするとかいうような問題が当然出て来なければ、この予定計画の遂行が困難であることはもとよりであります。そこで先ほども同僚中村委員から、簡單な質問があつたようでありましたが、先般の新聞等によつて見たり、巷間伝えられるところによりますと、二十六年度計画を国鉄の方で再検討をいたして、緊急なる工事以外は繰延べをする方針をきめた、こういうふうなことがいわれておるのであります。先ほどこの点について政務次官の御答弁は、たとえば具体的の例をとつてみますと、電化の問題にいたしましても、高崎線と東海道線の浜松、米原間とがあげられておりますのを、高崎線はこれを完備する、初めこういうふうに伺つたのであります。政務次出目の言葉じりをとらえるわけではありませんが、説明の言葉の使い方を、浜松、米原間も着手するのだ、着手するという言葉をもつて表わしておられたようでありますので、先ほど質問いたしましたように、いわゆる緊急なもの以外は——緊急なものだといつても、これは解釈によつてどうにでもなるのだが、繰延べの方針になつたのだ、こう巷間伝えられるところと一致するように思うのですが、この点に関しまして、国鉄総裁からあらためて御答弁を伺いたいのであります。
  51. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 大体において先ほど政務次官から御答弁になつた趣旨とかわらないのであります。新聞に出ておりましたことについてお尋ねがございましたが、これは今われわれが検討して、ああでもない、こうでもないと言つておることを、どこからか聞きつけたというか、そういうにおいがしたとい程度で、これは私どもの正式の発表でも何でもございませんので、あまりお気におとめ願わないようにお願い申し上げたいと思います。ただ先ほど申しましたように、何ぼ考えてみましても、そろばんでもつて、資材が七割方上れば、全体の工事としては三割方程度は、どうしても落して行かなければならぬとい問題が出るわけであります。従つてそれをまんべんなくそろばんで按分して、みな三割落すということで行けるかどうかということになりますと、なかなかそう参りません。たとえば継続工事のごときものもあつて、これは早く片づけてしまつた方が有利だという場合もございます。従つてそういうふうに平均して三割落すということは、むしろ意味がないわけでございまして、中にはすつぽり落すものもないとは言えない。しかしわれわれといたしましては、当初にもくろんだ以外は、なるべくこの予算のわくの中で、緩急を考えまして、しかも経営合理化並びに民生の安定、経済の発展に役立つようなものから、何とか支障がないようにやつて参りたい、かように考えておる次第でございます。そのやり方といたしましては、先ほど申しましたように、あるいは全部落さなければならぬようになる。たとえば建物関係のごとき、あつた方がいいにきまつておりますが、庁舎でございますとか、あるいは駅舎の問題につきましても、がまんのできるものは何とかして繰延べなければならないとい問題が起りますし、また場合によつては継続並びに緊急度からいたしまして、どうしてもこの際二十六年度中に完成せしめたいというものもあるわけでございます。そうなつて参りますと、完成年度を繰延べて、一年で完成しようとしたものを、翌年度にまたがらしてやつて行くという方法をとるものも生ずるわけでございましてただいまはそれを一体どういうふうにあんばいしてやつて行くかということを、運輸省とも協議の上、真剣に考えておる段階でございますので、具体的にどうなるかということにつきましては、まだここではつきり申し上げることは、遺憾ながらできない次第でございます、さように御承知願いたいと存じます。
  52. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 あらましのことは一通りわかつたのでありますが、念のために一、二の例をあげて、御質問申し上げてみたいと思うのであります。たとえば貨車の建造計画が四千六百両、特別二等車を四十六両、二等の寝台車を三十、食堂車を五、こういうふうになつておるものが、この通りに参りますれば、今日の趨勢に合うような輸送計画が実行せられるのでありますが、これがどの程度少くなるのか、そういことについての具体的な御計画がありますならば、貨車の四千六百両がどのくらい減るのか、特別等車の四十六両、二等寝台車三十、食堂車五、これらのものがどの程度に減るのか、おさしつかえがなければこれらの点を伺つておきたいと思います。
  53. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 ただいま言われました数字は、つまり最初のわれわれのもくろみでございまして、これだけは何とかつくりたいという数字でございます。それに対して値上りの結果、どうなるかということにつきましては、たとえば車両なら車両だけで考えるということは、これまた困難でございまして、他のいわゆる電化工事とか、新線工事とか、防災の工事とか、建物の関係とか、いろいろな工事がお互いにからみ合つておりまして、その種類の違う工事の緩急度をつかみわけるというところに、非常に困難があるわけでございます。たとえて申し上げますれば、車両だけに同じような率でしわを寄せた場合に、どうなるかということに相なりますと、大体それよりは三割くらいは落さなければならないというふうに、お考え願わなければならぬと思うのであります。さらに私どもただいま実行計画として考えておりますことは、二千六、七百くらいの貨車は、何とか新しくつくりたいという希望を持つておることでございますし、特別二等車のごときも、四十六両は無理といたしましても、何とかして三十両くらいは確保ができないかというふうに考えておるのであります。食堂車のごときも、もちろん五両計画いたしまして、つくりたいことはやまやまでございますが、ほかの貨車をどうしてもつくらなければならぬといことのために、食堂車がどうしても入らなければ、これは期待できるかどうかはつきり言えませんが、軍の関係のものが返還されるというようなことが期待できないかといことも考えて、何とかしてそういうことでやり繰りがつくものは、この際延ばしておこうというような考え方をしておる次第でございます。
  54. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 その点はわかりました。駅の庁舎も京都駅だけを建築して、ほかは中止になるのだということも伝えられておるのであるが、実際問題としては、東北方面の寒冷地におきましても、あるいはまた九州の白ありの多い地帯におきましても、非常に危險に瀕している庁舎がたくさんあるようでございます。それのものをとしても倒れるまでほつておくというのであれば、非常に大きな惨害を予想されますので、京都駅だけの建造にとどめるのだということになると、たいへんな問題だと思うのでありますが、その点につきましての御計画を伺つておきたいのであります。
  55. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 建物関係についてのお尋ねでございますが、京都駅だけというふうには考えておらないのでございます。駅舎として最も費額を多く要しますのは京都駅で、これは日本の観光的立場から申しましても、あまりほつておくわけには行かないということで、無理をいたしましても秋ごろまでには使えるようにいたしたいという念願から、費額を計上しております。その他の駅舎につきましても全然ないとい次第ではございません。もちろん今言われましたように、安全度に影響があるということになれば、これはやらなければなりませんし、また都市計画の面から、いろいろ問題にされておる駅もかなりございます。しかしこういうものは、都市としては非常に御迷惑であろうと考えるのでありまするが、遺憾ながらこれを全面的に計上するだけの余力がない。従つてその中には落して行かなければならぬものも出て来るといことでございますが、今御心配の京都駅のみといことはございません。
  56. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次にお伺いしますのは、請願駅の問題であります。駅を請願によつて、いわゆる地元負担によつて、新しく駅をつくつてもらいたいということが、たくさんの数に上つていることと想像いたしておるのであります。地元負担をもつて駅を新しくつくるということでありますれば、これはその必要度を見て、必要な所はすみやかにこれを実施に移された方がいいのではないかと思うのですが、いまだにこのことが一向はつきりいたしていないようでありますので、その原因はどこにあるのか、それを承つておきたいのであります。
  57. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 今の問題につきましては、従来お申出が周り、国会の請願委員会で御採択になつたようなものについて、一括検討いたしまして、第一段として解決に専念いたしたのでございますが、その後また引続いて相当のお申出があり、御要望もかなり強いということは、われわれよく承知いたしておるのであります。先年来国鉄の経営合理化ということが叫ばれまして、少しでも経営合理化して、経営費を減らして行くという面に非常に重点を置いて、御承知のように先年六十二万という数字から、ただいま御審議を願つておる予算では四十六万余になつておる次第で、着として人員の減少を行つて新規採用をとめております。従いまして工事費を地元で負担するということのために、そういつたたくさんの駅を開設いたしますと、結局これは経常費がふえる。もちろんそのために收入がぐんとふえるという見込みがあれば、こういうことは問題にならないかもしれないと思いますが、こういう見地から従来はいずれかと申しますと、消極的な態度で、なるべくごしんぼう願うという方策をとつて来たのであります。しかしその後の要望がかなり強く、また相当多く出ておりますので、この際また各地の交通状態のいろいろな調査を十分遂げまして、対処して行きたいと考えております。その場合にわれわれとしては、工事費を地元で持つてくれということは非常に言いにくいし、何か條件をつけるようでまずいのでございますが、地元の方でそれだけの熱意を持つて、金を出してもつくるからといような話を承れば、こちらとしてもその点は十分検討いたしまして、交通の問題については十分運輸省等とも協議いたしまして、方策を立ててもらいたいと考えております。
  58. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そうすると今の御計画内容はわかりましたが、現在請願駅で、すでに経済調査等もでき上つているものが相当あるだろうと思う。それは要するに、今の御答弁の中にもありましたように、駅を開設することによつて赤字にもならない駅——かりに二箇月や三箇月は赤字なつても、四箇月、五箇月目からは、りつぱに採算がとれると思われるような駅、さらに要員その他によつて、経常費がふえるという御説明もあつたようでありますが、これは御説明の四十六万ほどの現在の国鉄の数の中から、自然に減つたものを補充しないで置かれておるものが、相当数あると私は思う。そうするとそれらのものをもつてしても、新しくいわゆる請願駅なるものを実現いたしましても、決して経営費の面から考えてもさしつかえないのではないか、こういうことも考えられますが、現在問題になつている請願駅については、時期としていつころに御解決なさるつもりであるか。これはさしつかえがなければ伺つておきたいと思います。
  59. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 実はまだいつということも定めておらないのでありますが、まず今の最大の問題でありますところの、本年の予算の実行計画といものをはつきり立てました上でないと、その問題にとりかかるわけには参らぬのじやないかといふうに考えております。
  60. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこで今度は新線の計画について先般も伺つたのでありますが、総裁がお見えになりましたので、あらためてお伺いしておきたいのであります。新線の建設につきましては、青森県の津軽線と、兵庫県の赤穂線と、高知県の窪川線の三線のみは決定をいたしておるようでありますから、もとよりこれにすぐ着手されるであろうと思うのでありますが、この一般会計から繰入れられましたところの二十億円というものがあるのでありますから、これは主として新線の建設に充てらるべき性質のものであるといふうに思つておるのであります。きようこのことを繰返して質問いたしますのは、要するに動乱による物価の値上り等がありますために、この二十億円というものが他の方に流用せられるようなことにでもなりますれば、長年私どもが主張して参りましたこの建設、いわゆる経済開発のためにも、交通文化の向上のためにも、急いで新線の建設をやつてもらいたいとい主張、要求というものが、遅らされるおそれがありますので、一体この二十億円というものを津軽線と赤穂線と窪川線だけでなくて、他にこういう計画を進めて行かれるべきだ、こういう主張の建前から、この三線だけに限られるのか、その他の方面に向つても努力して実現をせられようというのか、その点をあらためて伺つておきたいのであります。
  61. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 予算の編成途上において、先ほども申しましたような、非常な物価騰貴が予想されるという難関に逢着いたしましたために、われわれといたしましても、当初だおけるいろいろの計画を内輪にせざるを得ないとい事態もあるのでありますが、私どもといたしましては、ようやくにして戰後の復元と申しますか、軌道に乗つて参つたような感じがいたしまして——もちろんまだ十分なものではございません。まだまだ改良を施し、復旧をいたすべきものが多く残つておりますけれども、さらに国内の鉄道網の現状から見まして、まだ国鉄といたしましては新しい線の建設が必要であるということは、痛感をいたしておる次第であります。しかしながら予算の面から見て、他の需要が非常に強かつたために、現在提出申し上げておる予算の面では、正確にあげてありますのは新線として今仰せられました三線のみであります。しかしながら確かに今回の予算には約百億の借入のほかに、二十億といういわゆる一般会計からの繰入れを含んでおるのでありまして、この二十億の使途につきましては、当初におきましてこれが何の必要があるかということについて、特に私は指示を受けなかつたのでありますが、こういういわゆる投資の形で国有鉄道に入れられる金は、特に今後の新線建設などに振り向けるのには、最も適当したものであるというふうに考えております。たとえば車両のごときものは借入れによつて利子のついた金で買つて動かしてもやつて行けると思うのでありますが、今後建設される新線は、大体において採算がとれない線が多いのでございまして、それをなおかつ利子のついた借金でまかなつて行くといことになりますと、将来の国鉄経営上に非常に大きな負担を及ぼすことに相なろうと存ずるのでありまして、こうい新線の建設には、いわゆる政府の投資の形で受けられる資金が、非常に適当であるというふうに考えております。これは今後国会において検討されております鉄道建設審議会なりで、十分に検討を施さなければならぬ点もありますと同時に、われわれといたしましても何とかしてその中から他の経費、あるいは今後の予算の状態等ともにらみ合せまして、新線を建設することに努力を注いで参りたいと存じておるのでありますが、ただいま正確に申しまして、予算面においては三線のみを計上しておるといことに相なつておる次第であります。
  62. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 この問題につきましてはさつきも申しましたように、今回で三回目の質問でありますから、大体わかつたのでありますが、あらためてはつきりいたしておきたいと思いますことは、御答弁にもありましたように、要するに百億円の借入金のほかに、二十億円の一般会計からの繰入れがあつたので、この金の性質そのものが、新線の建設に充てらるべき性質のものだ。これまたもう少しさかのぼつて、古い時代の国鉄の習慣と申しますか、そういうやり方を見ましても、やはり車両とか、その他の補修とかいうようなものは、国鉄收入の中からこれに充てるとい従来のしきたりから考えてみても、今回の二十億というものは新線の建設に充てらるべきものだ、こういうしふうに総裁もお考えになつておることがはつきりわかりましたので、いろいろなやり繰りがやりにくい関係上、この建設の問題を等閑に付せられるということになりますれば、まことに遺憾でありますことと、御承知のように二十億の繰入れの点につきましては、私どもも委員会を通ぜずに、代議士個人といたしましても実に十回ほどにわたつて努力をいたしまして、この十億をとることに御協力申し上げた、それらの私どもの最初からの考えから申しましても、この新線の建設が三線のみに限られて他に及ばないということになれば、まことに遺憾なことでありますから、この点ひとつ十分に強く御覚悟になつていただくよう、あらためて要望申し上げておきまして、次の点に移りたいと思うのでありますが、東北線と山陽線の特急運転の計画はどういうことになりますか、これはお見通しだけでけつこうであります。
  63. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 ただいまの御質問にお答えする前に、ちよつと御了解を得ておきたい点があるのでありますが、今の点は、政府からの二十億というものが、新線の建設に充てらるべきものであるというふうに申し上げたのではなくて、そういうものは新線の建設にまわすのに、最も適当な政府の金の出し方であるというふうに申し上げたのでありまして、これは言葉のあやとも相なりましようが、そういうふうに御了解願いたいと思うのであります。ただいま申しましたように、実行予算面においては非常に困難な状態にありますので、何とかしてこの中で治めてやつて行くとい方法を、第一段としてわれわれは十分に考えて行かなければならないのでございますが、車両の方の要請も強い、電化もおろそかにできないということになりますれば、結局は何かその中で新しいくふうがなければ、何でもよくなるといことはできなくなる次第でございまして、その間の事情につきましては、御賢察を賜わりたいと存ずるのであります。御質問の点につきましては、ただいまのところ普通の状態で参りますならば、貨物列車キロ、旅客列車キロを増加いたしまして、なお輸送量の増大に努めるとい計画を持つているのでございますが、損益勘定、いわゆる経営維持の点につきましても、やはり値上りが強く響いて参るのでございまして、たとえば石炭の値上り等は、たとい一割上つたといたしましても、国鉄予算に対する影響は、ただいま石炭支出費二百三十億を計上いたしておりますので、二十三億に上るわけでございます。こういつたことを考えますと、たとえば列車キロを増加いたしますのは、これは石炭の増加以外に手がないわけであります。もちろん機関車も客車もいりますが、最も必要なものは石炭なのであります。これがかように値上りして、しかもすでに人力をもつてする節約はかなりなところまで来ておりまして、石炭の消費量の率は、ほぼ戰前の水準まで参つております。従いまして今後石炭の節約はさらに科学的な検討をいたしまして、たとえばボイラーの水の処理をいたすことによつて石炭の熱の効率を上げるとか、そういつたいわゆる科学的方法をさらに強めて参るという手段が、本年度の大きな命題であろうと考えているのでありまして、こういつた微細にわたる石炭の節約につきまして、ただいま計画を立てつつある次第でございます。すでにもう実行に移そうとしているものもある次第でございます。たとえば運転用の石炭として五百万トンなら五百万トンを、何とか上つた値段でも確保できるとい方法を立てまして、節約した石炭量で列車の増キロをいたして行きたいと考えているのでございますが、特急等につきましても、これはサービス向上なり、また国鉄自体から申しますと、航空機に対する対策というよなこともあるわけでありますが、先ほど申しましたような苦しい予算なつておりまして、私どもの考えとしては何といたしましても、生産を阻害してはならないという見地から、やはり貨物列車に重点を置いて行くとい考え方から申しますと、あるいは場合によつたら、サービスの著しい向上は望めなくなるといことを覚悟いたしているのであります。できることなら何とかして、この秋ごろにはそういつた優秀な列車をふやしたいとい希望は捨てずに持つておりますが、経費がどうしても石炭費等の関係で出て来ないという事態が起りますと、勢いそういつたものをさらに半年延ばす、あるいは一年延ばすという方策に出なければならぬといことも起り得るのではないか。従つてこれは確定的に、今言われましたような列車を必ずお約束することはいたしかねる、それが真実ではないかと考えているのでございます。
  64. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいま先ほど私が申し上げましたことに対して、補足しての御説明がありましたから申し添え、ますが、新線建設の問題は、二回にわたつて衆議院の本会議におきまして決議案を通過せしめ、第一回目のときには、共産党を除くということを私が提案理由として説明いたしましたから、共産党は賛成をしなかつたのであります。第二回目のときには共産党までが、提案者になつていなかつたのに賛成をしてしまう。共産党が白紙の状態の中で進んで賛成をいたしたほど、新線の建設については衆議院におきましてう強い要望がありますから、それらの点を十分にお考えおきを願いたいということを申し上げて、次に移ります。今いろいろ資材の値上りによつて、苦しい内情を御説明になりましたので、よくわかつたのでありますが、そういうような苦しい、やりにくいことであればあるだけに、私ども国会議員としてそれに御協力申し上げる必要があると思いますので、適当な時期に計画をいたしまして、こういう各種の問題についての行政調査と申しますか、資金その他の面に関するところの調査の必要を痛切に感じますので、そうい計画をいたしたいと思つておりますから、この点もお含みおきを願つておいて、次の問題に移ることにいたします。先ほど申しました公聴会の席上における齋藤国鉄労働組合中央執行委員長の公述に、自分たちの組合では三箇月分に相当するところのベースの引上げを、近く要求する計画を立てているのだという説明があつたのであります。それに対しまして私が質問をいたしまして、一体三箇月分というと、相当巨額のものに上るのであるが、労働組合等においてこうした計画をされる場合に、財源といことは全然念頭に置かずに、自分たちの要求という点からのみこういう計画をするのであるか、それとも財源について何か考えがあつて、その上でそうした計画をするのであるか、どちらかという質問をいたしてみましたが、その答弁によりますと、財源のことはわれわれにはわからない。それは政治家がやつてくれることであろう。三箇月程度はどうしてもふやしてもらわなければ困るんだ、こういうことにつけ加えて、ただしかし自分たちのわかることは、貨物にしても原価を割つている運賃のものがある。こういうものは一般並にどしどし引上げてでも、われわれの要求を受入れるべきものだという趣意の公述並びに答弁があつたのであります。これは非常に重大な問題だと思いますので、三箇月分に相当するものの要求、それらに対する財源難ということについてお考えがあるのかないのか、または労働組合等で言ような、一部の貨物その他のものについての運賃の引上げ等をお考えになつているのかどうか、この点をはつきりさせていただきたいと思います。
  65. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 昨年の貨物運賃の値上げによりまして、ようやく採算点近くまで参つているのでございますが、昨年の暮に国会で御審議をいただきました裁定の履行によりまして、基本給が上りましたために、それらを見ますとふ貨物輸送は採算点を割つていることに相なつていることは事実でございます。しかしながらわれわれとしては第一段に、何としてもできるだけ経費を切り詰めて、コストを減らすことに努力を注がなければならないということでございまして、引続いて鋭意この努力をいたしているという現状でございます。今回の御審議を願つている予算面には、昨年度末お認めいただいたところの基本給を組み入れたほかは、人件費におきましては何ら余裕を見ておりません。一般公務員の方には半月分の賞與が入つているという話でございますが、国鉄の場合は、裁定の二項が定められるときの要件といいますか、それに基きまして、半箇月の賞與は予算には組まれていないとい現状でございます。ただ輸送量をうんとふやすことによつて、一方コストを下げると同時に、この輸送量の増大による増收は、何とかしてその大部分を従事員の給與面に向けて行きたい。ここにひとつ望みをつないでいる次第でございまして、予算面といたしましては三箇月はおろか、一箇月分の給與の増額をも組んでおらない。もちろん定期的な昇給といつたものは、この計算の中に組んでおりますが、それ以外のことは計上いたしてないというのが現状でございます。
  66. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そこでこれは総裁に対しては、数字で、ごくこまかい問題でございますが、さきちよつと触れました予算定員四十六万の中で、いわゆる自然減、自然に減じて行くものがどのくらいあるのか、またそれらは補充しなくてもやつて行ける見込みがあるのかどうか。もし補充しないでやつて行けるとすると、その間からどの程度経費が浮いて来るのか、この三点をお伺いしておきたい。
  67. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 この四十六万云々は、年度当初の人員でございませんで、年度末の人員から、年間に約三%程度の減少があるだろうとい見込みを立てて、結局年間を平均した頭数が幾らといふうに組んでおるわけでございます。従つてその中には、さらにもう少し人が減れば、全然補充しないとは申しますものの、婦人の従事員あるいは特定の、特に若い人でなければできないといつたような、ぜひとも補充しなければならという場合も皆無とは言えませんので、年々負債を続けて参つております関係上、かなりそういう点にきゆうくつな面が出ている場所もあるわけでございまして、それらはこの二十六年度中において、多少調整をいたして行かなければならぬ。そういつた調整をするものを差引いて、約三%終局において減つて、そして四十六万云々に相なる。これは年間を通じての計算をいたしまして、さような計算をいたしております。
  68. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 総裁に対する質問はこれで終りまして、さき質問をいたしました航空庁長官に二問だけでありますが、お伺いいたします。  第一に伺いたいのは、来る六月ごろから開始されるという国内航空会社に関してでありますが、航宝輸送によるところの郵便の取扱いは、郵政省で取扱うのか、航空会社が直接に取扱うのかといことと、もしこれが郵政省で扱われるのであれば、もちろんさしつかえないであろうが、航空会社が直接扱うという場合に、郵便法との関係がどうなるか、こういうことをさきに伺つたのでありますが、お答えをいただきたいと思います。
  69. 松尾静磨

    ○松尾政府委員 航空郵便の関係は、今度の国会にたしか郵政省の方で、航空郵便に関する郵便法改正が出るはずでございます。それからその航空郵便を航空機が運送する場合のとりきめは、運送委託法によりまして、航空郵便の中の委託料を幾ら航空会社がとるかという問題は、運輸大臣と郵政大臣と協議してきめる、こういうことになつております。なおその料金につきましては、運輸審議会にかけて、公聴会を開きまして、その公聴会の席上には、運送業者である航空会社をも出席せしめまして、意見を聞いて、運輸大臣が郵政大臣と協議する、こういうことであります。
  70. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 もう一つ、さき伺つたことの補充的なことでありますが、大体旅客と貨物と郵便物との標準料金は、これはいろいろな審議会その他の議を経なければいけないことと思うのでありますが、どの程度のことをお考えになつておるのかということを伺つておきたいのであります。おさしつかえなければお答え願いたいと思います。
  71. 松尾静磨

    ○松尾政府委員 旅客、航空郵便の料金は、非常にきめにくい問題がまだ多多あります。たとえば飛行機に使いますガソリンの税金の問題、輸入税あるいはガソリン消費税の問題、こういう問題もまだ解決しておりません。飛行機の機種もまだはつきりときまつておりませんので、われわれのところで今いろいろ案を練つておる次第でございまして、まだ申し上げる段取りまでには行つておりません。参考のために申し上げますと、アメリカでは航空旅客運賃は、一マイルあたり四九年度は五・六五セントくらいかと思います。それからコーチサービスの航空料金でおつておりますが、これは非常に安くなりまして、約四セント六三くらい、あるいは安いのでは四セントを切つておるという線もございます。航空料金は御存じの通りアメリカでは一マイルについて国内は六セント、国外は日本向けは二十五セト、こういうぐあいになつております。
  72. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 あともう一問でしまいでありますが、いわゆる航空輸送の範囲であります。むろんこれは来る六月から計画をせられておりますところのものを、漸次広く、違つた区域にまで及ぼして行くという計画になるのでありましようが、六月からの予定は一体どこからどこまでということであるのか。繰返して申しますと、六月からの予定のところと、それ以外に将来情勢によつてだんだん広げて行く地域、この二点を伺つておきたい。
  73. 松尾静磨

    ○松尾政府委員 現在考えております線は、東京・大阪、東京・名古屋・大阪・広島・福岡線、東京・仙台——仙台は松島でございますが、東京・松島・青森——青森は三沢でございますが、三沢札幌、こういう線が今度の第一次計画では一応考えられております。その回数は、一応私のところで考えておりますのは、東京・大阪間を一日に三往復、東京・名古屋・大阪・広島福岡を一日に二往復、東京・仙台・青森・札幌、この線を一往復、一応第一次計画としてはこ考えております。なお将来必要があれば、そして経済的に成り立つような線がありますれば、そういう面にも第二次の計画として考えられるのじやないと思います。
  74. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 これで終ります。
  75. 橘直治

  76. 川島金次

    川島委員 私は国有鉄道当局にお尋ねをする前に、委員長に希望を申し上げたい。先般来の予算委員会において、おそらく委員の方の希望も少かつたためだと思うのですが、運輸大臣は予算委員会に一ぺんも出ておりません。そういう関係から見まして、せめても今日、予算の最後の締めくくりをいたします分科会には、かりに委員の要求がなくても、当然その責任上運輸大臣が出らるべきだと私は思う。もしさしつかえなければ、今日では間に合いませんから、まだ明日もありますから、委員長の方で運輸大臣の出席をひとつ求めていただきたいといことをお願いしておきます。そこで私は加賀山さんに久し振りでお目にかかりまして、お尋ねをいたしたいと思います。国有鉄道がいわゆる公共企業体なつて発足いたしまして、ここに満二年を経過いたしました。この公共企業体に切りかえます際にも、いろいろわれわれはわれわれなりの意見があり、国会の中にも諸説があつたことは御承知の通り公共企業体なつてすでに発足をいたしまして、加賀山さんにはその最高の責任者で、今日まで国有鉄道運営をやつて来られた経験にかんがみまして、その上に立つての御意見を私は承つておきたいのであります。と申しますのは、日本国有鉄道は、なるほど一応形の上では経理、経営予算等について、自主的なものがないわけではないが、しかし本質的に掘り下げて見まする場合に、国有鉄道総裁には、必ずしも経理上の全自主性を持たされておるとは言えない状態であります。こいう形において、今日の日本国有鉄道のあり方といものが、あなたの一年有半の御経験に徴されまして、こういう姿ではたして日本国有鉄道の本来の使命を達することに、また運営することに支障がないものであるか。率直な総裁の御意見をまずひとつ伺つて、それから順次御質問申し上げたいと思います。
  77. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 率直にお答え申し上げます。もともと私ども公共企業体というのは何かということで考えた場合に、これは自主性が特徴なのであります。いわゆる政治からの自主性、あるいは人事管理上の自主性、財政上の自主性とか、こういうものが公共企業体の本質的なものであるというふうに聞いておつたわけであります。ところでわが国初めての公共企業体ができて、そのときのでき方を見ますと、日本国有鉄道法に盛られた内容だけでは、とてもそういつた公共企業体の特徴を全部兼ね備えて行くということは、形式的には申せない、かように考えておる次第であります。しかしながら今日までの国有鉄道の実体を考えて参りますと、やつて参りましたことは、とても財政上の自主性を得るような状態ではなかつた。終戰後の混乱から、設備は非常に疲弊した、従事員はいわゆる復員者等を入れて非常に厖大になつたということで、いわばボロボロの施設とあり余つた従事員をかかえて、年々赤字ばかりを出しておつた。経営費にすら赤字を出しておつたという状態は、川島さん御存じの通りだと思います。従つてその事態において自主性を言つても、これは意味のないことでありまして、これはまつたく財政上の自主性を掲げて行つても、無意味であつたと考えておるのであります。そういう事態は、施設の復旧の度が進むにつれ、また一昨年の大量の人員整理をいたしたことによつて、陣容を一新いたしまして、やや復旧が軌道に乗つた今日見ますると、これは考えが多少かわつて来なければならぬと考えるのでありますが「今日の財政状態では、ほんとうに黒字を出して十分にやつて行けるかと申しますと、まだ完全にそういことをやるというのには、多少いろいろの問題が残つておるというのが、偽らない現状であろうと考えるのであります。また一方において、経営の根本をなす運賃等が、国有鉄道を離れたところできめられ、いわゆる国策的な見地から、国会において審議を受けるという形になつておりますし、またその他いろいろの関係で、公益を主として、独立採算の立場からいと矛盾するような問題も、かなり蔵しておるような状態をあわせて考えますと、財政上の自主性というものをどの程度まで持つて行くのがよいのか、それは非常に問題であろうと考えるのであります。しかしながら現状は、少くともも少し自主性があつたらばと思うような気が私はいたすのでありますが、全面的に自主性を得て行くという問題になると、今後の国有鉄道財政の整頓して行く状態と、経営が整頓されて行く状態、またあわせて国内の諸事情といつたものを勘案して、完全な自主性まで持つて行というふうに行かなければいけないのじやないか。一気に強く自主性を主張しても、まだ現在は合わないのではないか、結論的に申し上げるとさように考えるのであります。しかしながら、先ほども申しましたように、今の状態でいま少し自主的な考え方が許されるようなことに相なればよいのじやないかと考えるのであります。いわんや人事管理の問題や、その他の自主性の問題につきましては、ただいまも十分に自主性を持つておると存じますし、これらの点については、続けて公共企業体らしい経営をいたして行きたいという考えを持つておるものであります。
  78. 川島金次

    川島委員 大分こまかいお話を承りました。総裁が今日まで国鉄を預かりながら、いろいろの経験をなされた。その経験の上に立つて、今日の国有鉄道公共企業体としての財政上の自主性について、かなりの制約を受けている。少くとももうその制約を少しずつはずして行くべき段階に今日はあるのではないか、こういような意味のお話もあり、私もそ思う、そこでさらに進んで総裁にお伺いするのですが、そういう国鉄の財政の自主性に関しては、何らか具体的な献策を政府当局に出されたことがあるか。あるいはまた出されなかつたとするならば、今後あらためて検討の上に、そういう問題について政府に献策もしくは建言をするという心構えがあるか、その点についてお尋ねしておきたい。
  79. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 正式の献策というような立場は、今までとつたことはございません。しかしながらわれわれは機会あるごとにそういう問題について、いわゆるフリー・トーキングの形なり、あるいは陳情の形なりで、関係の方々に意見を申し上げておる次第でありますから、今後においてとる方策につきましては、まだ定まつた見解は持つておりませんが、この具体的な内容につきましては、單に自主性と申しましても、法律の條項と申し、あるいはまた予算編成の今までの交渉の過程の実際に至るまで、いろいろのニュアンスがありまして、そこに非常に幅のあるものなのでありますので、一々具体的の場合に、こういう面はこちらの意見通り認められれば非常によいと思う点はございますけれども、定まつた見解として、この点までこの点までというようなものは、ただいま用意をしておらないのでありまして、今後の国有鉄道経営の整頓に伴つて、こういう問題を取上げて、ほんとうに自分の努力で国有鉄道が十分立つて行けるのだというところを示すことが先であるとい観点に立つて、私どもはやつておる次第であります。
  80. 川島金次

    川島委員 そこでさらにお伺いするのですが、ややもすれば、国鉄の財政上、経理上の自主性が、相当制約を受けておる。そういう制約を受けておる立場に立つて、問題の国鉄労働組合との関係でありますが、もとより国有鉄道が健全な発達を遂げることは日本経済の再建にとつて、有力、重大な任務を果して行くわけであります。それにつきまして、総裁を中心とした当局と、五十万に達する大多数の国鉄従業員諸君とが、まつたく文字通り一体となつて、国鉄の運営に当つて行くとい気合いが沸き上ることこそ、日本国有鉄道の本来の任務というものが、円滑に積極的に達成できるゆえんのものであると私は思う。そういうことを考えたときに、総裁は常常に自分の使用しております四十数万の従業員諸君の生活並びに作業に、重大な配慮を拂つておるのだと私は信じたいのです。ところが一朝従業員諸君の経済問題が表面化され、ありていにいえば団体交渉などをやる必要が生ずると、当局はその団体交渉を受けて立つ。しかしながらその団体交渉の結果、ある程度完全なる妥結点を見るようなことがかりにあつたといたしましても、その妥結点の解決に伴う財政上の問題で、国有鉄道本来の自主性のないために、せつかくの当局と組合との妥協が、そのままただちに実現の運びに至らないとい事情にある。そういう制約を受けておるのが、今日の国有鉄道の一面の姿ではないかと私は思つておる。そういうことを考えて参りますと、はたして日本国有鉄道当局は、団体交渉の主体というか、客体というか、対象となる完全な資格を持つておるかどうか、能力を持つておるかどうかという問題に、私は多少の疑念を実は持つておるものであります。ことに昨年の裁定の問題のごとき、あなたは従業員の生活を考え、家族の身の上にまで思いを及ぼして、その裁定の妥当なることを心から感じ、そうして国有鉄道内のやり繰り算段をした資金があるということを世間にも発表し、そのためにはずいぶん苦労したと私は思う。ところがそういう資金があつて、自主性を持つておるならば、ただちに組合と話がつけられるが、当局にはそういう余裕の資金があつても、大蔵大臣に一つの権限がありますためにせつかくの苦労がそのまま実現の運びに至らない。そういう形のもどに働く四十数万の労働者の、国有鉄道に対する考え方に及ぼす影響は少くないと私は思う。当局がここに金があるのだ、それならばそれをもらつて妥結しようということになつてこそ、初めて当局と労働者が一体となつて、この国有鉄道本来の積極的な任務を喜んで遂行して行くという姿がきざして来るのではないかと思う。ところがそういう障害がたまたま起る。そういう形で、今後はたしてあなたのもとに働いております労働組合の諸君に対して、こういう形でもなおかつ積極的に国鉄のために働けという立場がとられるかどか、そういうことが大きな声で言えるかどうかといことを、私は想像いたすのです。同時に前提に申し上げましたようなことで、このままではたして財政的にも法律的にも、団体交渉の相手方となるだけの資格、能力を、国鉄は十分に持つておられるかどかということに対する所見などを、非常に大切なことだと思いますので、この機会に承つておきたいと思うのです。
  81. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 先ほどもちよつと申し上げましたように、財政上の問題は、従来きわめて自主的裁量の範囲が狭かつたということは事実でございますが、これは法律なり予算の制約もともかくながら、従来の国鉄は経営費にすら赤字を出すような状態でこれではいわば準禁治産者のような状態であるわけで、そういう状態では、自主性といつても無意味に相なつておつたのであります。しかし昨年の一月に、貨物運賃を適正なところに定めていただきましたおかげで、この結果として、ようやく裁定の実施ができたという結果を生んだと私どもは信じておるのでございますが、もちろんこの中には、従事員諸君のうまざる努力も入つておると確信いたしております。昨年の裁定の履行が、国会において審議を受けておりましたときの空気等から見まして、真に国有鉄道経営が軌道に乗り、また従事員の要望なり仲裁の裁定なりが妥当であるならば、これは間違いなく国民の認めてくれるところであり、またその代表である国会議員の認めるところとなつて、結局そこにほんとうの自主性か出て来るというふうに確信いたしておるのであります。これは妥当性がない、また経営がまずい、人の使い方がまずいという場合に、そこでなおかついろいろの問題を、自分の思い通りに通すことは、できないのがむしろあたりまえではないかと考えておるのであります。そういう点から申しまして、運賃の水準さえ正常なところに置いて、経営の根本をはつきり立てていただくならば、おのずからそこに万人が認める正当な給與もでき、また修繕なり、維持なり、そうい経営上の仕事も完全に整つて参る。従つてそこにおのずから自主性が出て参るというふうに、私どもは確信いたしておるのであります
  82. 川島金次

    川島委員 どうも総裁は、私の質問に対する答えとしては、若干遠慮されているところがあるように私は聞き取るのですが、そという御選慮はいらないと思うのです。運賃が適正にできるという形にあれば、問題は大半片づくということは、仰せの通りだと思います。しかしながら運賃は、国民経済のいろいろな條件から、国鉄自身は制約を受けている。その制約を受けた形の中において、国鉄を経営しなければならぬ。それであればこそ、むしろかえつて逆に国有鉄道の当局に、財政的な自主権というものが強くあつてしかるべきだと思うが、一方において、收入の柱であるべき料率については、非常な制約を受けている。その制約を受けながら、一方の財政的な面において、また非常な制約を受けている。こいう二重的な制約を受けているというのが、日本国有鉄道の今までの財政的な姿であると思う。そういう形のままに、かつてはいざ知らず、もうすでに政府みずからが、いうところの経済自立三箇年計画を立てて、今年からその第一歩を踏み出すというときである。政府みずからは、客観的の経済事情、財政事情は、すでに安定の緒についたと言つている。そういう段階に入つたときに、この日本国有鉄道というものを今日のままの姿にしておくことは、日本国有鉄道の本来の任務にもとる。日本国有鉄道の本来の任務にかんがみまして、この辺で公共企業体としての現在の姿を書きかえる必要のある段階に入つて来た。そうしてまたその力ある事態になつて来たのだと私は信じている。そういうことで今のような御質問を申し上げたのであります。われわれ議会人ももとよりその問題について、積極的な検討を始めておりまして、根本的な問題でありますので、国鉄の財政的な自主性の確保のためにも、そうして国鉄自体の積極的な発展のために寄與する重大な原動力がそこにあるのだという考えを持つ一人でありますので、当局におかれましても、それらの問題に関心を寄せておられますならば、その点に積極的な研究と、すみやかな具体的な献策があつてほしいといことを希望して、この問題は打切つておきます。  そこで次にお伺いいたしますが、これはあるいは尾崎君からも御質問があつたのではないかと想像いたすのでありまして、二重になりましたならば失礼でありますが、観点が違いますからお許し願います。国鉄の今度の二十六年度の総予算人件費の問題はあとでお尋ねしたいと思うのですが、おもに物件費の問題であります。同時に建設費の問題であります。この国鉄の予算を編成されましたのは、一般会計予算と同様に、多分昨年の八月か九月ではなかつたと思う。ごく新しくても昨年の十月ごろの物価を基準として、編成されたのではないかと想像いたしておりますが、その当時の物価事情と、今日の物価物価事情とは、たいへん様相を異にして来ております。世界経済のいろいろな微妙な事情も影響いたしておるのですが、とにかく経済安定本部が最近発表いたしました統計によりまてしも、昨年の十月から今日までの物価事情といういうものは、平均しておよそ二〇%くらい上つている。しかもそれは平均であります。ことに国鉄の建設方面に要しまするところの諸材料は、おおむね平均以上の上昇率を今日見せておりますることは、私が言うまでもないことであります。これに関して総裁は、さだめし今日苦労をしているのではないかと想像をしているのですが、物によりましては二倍近くも上つて来ているのです。そういう経済事情であるのみならず、今後もどうやらこの物価上昇過程をたどつて行く傾向があります。そうなつて来ますと、来る四月一日に発足いたしまする昨年の八月ないし十月ごろに編成いたしました国鉄の予算の中で、物件費建設費等に重大な影響が来るといことは明らかであろう、こういう事情のもとに立つて考えてみましたときに、この上程されておりまする国鉄の予算で、昨年の予算編成当時に計画されておりました計画が、はたして実現できると考えておられるか。また物価上昇によつ、その実現が非常に困難だといたしますれば、どの程度に影響を受けると見通されておりますか、その点についてお尋ねいたします。
  83. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 ただいま御審議いただいておる二十六年度予算につきましては、仰せの通り年度の八月、九月というころに大体ベースを置いておりますので、その後の値上りを見ますと、国有鉄道関係といたしましたは、七割程度の値上りを所要資材について見なければならぬので、従つてこれを工事の中の割合にいたしますと、どうしても三割程度は影響を受けるという考え方をいたしております。そういたしますと、結局この三割のものをどうするかという問題になるのでありますが、これはあるい今年度は全面的にあきらめてしまうもの、あるいは今年度絶対やめられないもの、またあるいは時期を繰延べて本年度完成する予定を来年度にまわして、完成に持つて行くものというようないろいろなあんばいをし、くふうをしておるわけでございます。工事だけを例に取上げましても、たとえば線路の改良でありますとか、防災の設備であるとか、水陸連絡の設備であるとか、またそのほかの建設電化車両の新造といつたような、あらゆる費目を含んでおるわけであります。従いましてその種類の違う工事について、緩急の度をはかつてあんばいするということは、かなり困難でございますが、ただいまいろいろ検討いたしております。私どもの考えといたしましては、できるだけ與えられたこの予算のわく内で、くめんをいたして行きたい。そのくめんという意味は、当初立てた計画を全部実行されるというわけではなくて、一年繰延べる場合もあれば、本年度はあきらめるという場合も生ずる、そういつたことをただいま検討いたしておる段階であります。
  84. 川島金次

    川島委員 ただいまの総裁の言葉によりますれば、建設工事関係においての物件費の影響は、実に驚くなかれ七割に達しておるということが言明された。私はこれは国鉄の二十六年度計画について、致命的な打撃受ける重大な事柄ではないかと思うのです。そういうふうな事情のもとにありまして、はたしてよくこの二十六年度資金計画にも、損益勘定にも出ておりますような旅客、貨物等の、この主軸的な收入を確保することに、万遺憾なく国鉄の態勢といものを持つて行けるものかどうか。一例をもつてすれば、車両の修繕あるいは新造、そういつた事柄はもちろん、各般のことについて不可避的な、やらなければならぬ工事というものが、私は相当大量にあるのではないかと思う。その事柄がある程度円滑に達成せられて、初めて私はこの旅客、貨物運賃の收入をあわせて確保ができるこういことになるのではないかと思うのですが、このような物価事情、そして致命的な打撃を受けますることの予算によつて、はたして日本国有鉄道收入の上においてあるいは保安の上において、万遺憾なきを期することのできる確信が総裁にはあろうか、その点についてあらためてお伺いしておきたいと思います。
  85. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 先ほど申し上げましたように、ただいまは検討中でございまして、最後的な結論を申し上げる段階ではないのでございますが、修繕費にいたしましても、諸工事にいたしましても、規格は同じでも、価格が上れば、どうしてもその分だけ内容を少くして行かなければならぬということは事実でございますので、そこにわれわれの非常な苦心というか、検討が必要になつて参るわけであります。場合によつては、どうしても手を抜けないという場合、たとえば修繕等につきましても、これはほつておけないというものもあれば、またきわめて短期間でございますならば、戰時中にやりましたように修繕を一年で完成するのを、一箇月、二箇月延ばすといつたような方策をとる。これで安全度に致命的な影響を與えないという検討までいたさなければならぬ、かように考えておる次第でございます。また工事の面といたしましても、たとえば庁舎や宿舎、これは一番早く削減をされるものに相なろうかと考えるのでありまして、われわれは何としても生産を阻害させないために、重点を貨車の新造に置きたい。場合によつては客車の新造を待つても、貨車の新造はやつて行きたい、かように考えております。また修繕におきましても、いわゆるその面の更新、修繕、あるいは鋼体化の作業は、ぜひとも維持、継続して参りたい、かように考えておるのでございまして、われわれはとにかく現在御審議を賜わつておる予算内容をいかにうまく効率的、効果的に運用するかということを考えるのが、先決でございますので、その検討を続けており、遠からずこの成案を得るつもりでおります。これではやつて行けないからといつて手を上げるのは、まだ早いのではないかと考えます。今の状況を判断いたし、今後の国内物価事情等のいかんによりましては、もちろん今川島さんが御心配になつたようなことを心配しないわけではありませんが、先決問題としてこのわく内でやつて行くことを考えるのが、われわれの道であるということを考えておる次第であります。まだそれについてどういうようにやつて行くのだという結論は、十分な結果の検討かできませんと、申し上げられないのでありますが、何とかしてやつて行きたいという希望だけを申し上げておきたいと思います。
  86. 川島金次

    川島委員 率直に申し上げてしまいますが、国鉄の二十六年度予算は遠からず重大な補正を必要とすることは、きわめて明白なことではないかと私は想像しております。その補正の事柄は別といたしまして、物件費が七割も違つて来ておるのに、なおかつこの予算のわく内でやれるということがすでにおかしいのです。一割かそこらの違いだというのならば、あるいはまた常識上どうにか節約し、繰りまわしていただくということによつて、国鉄の運営がどうやら曲りなりにもやつて行けるといことは、われわれにも納得できるのですが、物件費において七割も違つて来ておるというこの重大な変化は、これをこのままで節約しようにもし切れないと思うのが常識ではないかと私は思うのでありますが、それ以上深くお尋ねすることは遠慮しておきます。次にお伺いいたすのですが、これは政治的な事柄でありますので、あるいはお答えしにくいかとも実は思うのですが、最近私の耳に入りましたところによりますと、戰争中日本の政府——国鉄か買上げました私鉄、この私鉄の拂下げ問題が、一昨年も議会の問題になりましたことは御承知の通りで、その問題が不発のまま今日まで来たのですが、最近何か審議会等の議を経て決定をすれば、その当時買い上げました私鉄が、自動的に拂下げできるような立法が一部において考えられておる、こういうことに奇怪な消息を私は最近聞いておるのです。この事柄について総裁は、最近耳にされたことがおありかどうか、まずそれをお尋ねしたいと思います。
  87. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 前にそういう議のありましたときには、私どももそれを存じておつたのでございますが、最近その問題がまた非常に御論議をされておるということにつきましては、私ただいまよく承知をいたしておらないのであります。
  88. 川島金次

    川島委員 それではお伺いしますが、総裁は御存じなくともよろしいのですが、本質的に今日の国有鉄道が所有しております地方鉄道において、拂下げ等のごとき問題がかりに再燃いたしたと仮定いたします。一体今日拂い下げてしかるべき鉄道か、国鉄内にあるのかどうか、そういう事柄について、原則的には総裁としてはどういうふうにお考えか、それについての御意見を伺いたいと思います。
  89. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 非常に独善的、利己的な考え方から申しますと、実は国鉄の中には採算のとれない——経営費收入の五倍、六倍にもなる線がございまして、こういつたものを気前よく買つて経営してくださる方があれば、そして国鉄よりも上手に、国民のためになるようにやつていただけるならば、国鉄がそれを言い張つて、おれがどうしてもやるのだということは、むしろいかぬのではないかと考えておるのであります。そういうことはやはり民主的に解決せらるべきである。国鉄として主張すべきものは歩くまでも幹線であつて、国家の輸送の動脈になるものについては、法律にもございます通り、是が非でも公社で経営して行くことが至当であろうと思う。公共企業体としての性格がまた論議せられるようになれば格別、少くとも現在の姿であるうちは、それが正当ではなかろうかと考えておるのであります。
  90. 川島金次

    川島委員 今私が申し上げましたような事柄が、一部に計画されておるという話を聞いておりましたので、一応お尋ねをしたわけであります。  そこでさらにお伺いをいたしますが、これは先ほど尾崎君からも一言触れておられたようでありますが、この参考書類を一覧いたしますると、二十六年度の職員の計画の中で、二十五年度の四十九万二千七百五十人に対し、二十六年度は四十六万八千八百六十五人、差引き二万三千八百八十五人の減員となるということが明記されております。これはたしか、私の記憶違いではないと思うのですが、昨年でしたか、二十五年度に入るときに、一万四、五千人の減員が見込まれたのではないかと思う。さらに二十六年度において二万三千八百ということになりますと、定員を定めて以来わずか二箇年にして、実に四万近くの予算定員の著しい減少を、当局は見越されておることになります。その一方において、国鉄の労働者が受持つております業務量は、漸次増加をしておるのではないかと、数字的にはわかりませんが、私は想像いたしている。にもかかわらず低い賃金で甘んじて、国鉄で働いておりまする労働者諸君の定員が、二箇年の間に四万近くも減員をされる。このような事柄がはたして可能でおつても、それから起るところの労働強化、あるいは労働組合に対する心理的な影響、そういつたことについて当局はどのような考え方を持つておるか、またどうしてこういう減員というものを計画されたかということについて、明確な根拠を伺わせていただきたいと思います。
  91. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 第一に減耗不補充ということを原則といたしまして、やり繰りして行くというような考え方からやつておるのでございまして、特に昨年度の機構改正等は、つまりこの少い職員でやつて行く方策として実施をいたした次第でありまして、軍に減つた分だけ従事員の負担過重になるようにお考えいただかないようにお願い申し上げたいので、それはそういつた機構の改正をして、少い人員でやつて行く方法を考える、あるいはこれも緩漫ながら、機械設備、施設の改良、あるいは閑散線区の取扱い方を簡易化して行くとか、そういつたいろいろの施策を合わせまして、少し人が少くてもやつて行けるという態勢をまずとつて、それに基いて年間一万四千人の減少をしてもやつて行けるという考え方を立てている次第であります。二十六年が急激に落ちておるように見えますのは、実はこれは二十五年度の四十九万何ぼというのが、予算定員としては多少高かつたということから起るのでありまして、やはり二十六年度におきましては、年度末において一万四千人程度の差引き減少を見込んでおるのが実情であります。
  92. 川島金次

    川島委員 総裁は、機構の改革等を中心としてこういう自然減が行われるのであるから、職員の労働強化ではない、こういうお言葉でありますが、これは奇怪な話だと思う。大体さきに国会で、国鉄の定員というものをわれわれは承認した記憶があります。その定員というものは、国鉄の最小限度の労力量というものを、われわれは当局の言明等を信頼いたしまして認め、それに協力をいたしたのであります。しかるところ機構の改革という名分においての予算定員であるから、実定員とは違うのだと言えばそれまででありますが、とにかく人員が現実に減るということだけは事実であります。その減つただけ労働強化が行われないとは、これはどういう説明をされてもわれわれには納得が行かない。現に今日の国鉄の現場の諸君の働きぶりなどをわれわれが見聞してみますと、一昨年あたりの事情とはずいぶん様子を異にしておるのであります。たとえば中間的な小さな駅の駅長、助役にしましても、日動の者は隔日交替で徹夜になつたり、あるいは五人のところが三人になつたり、別に機構はかわつておらないのですが、実際現場に働いておるところの姿を見ると、そういう形になつておる。かなりの労働量というものが加重されておるということだけは、否定できない事実であるのであります。今日でさえもそのような状態で、現場においては働いております。かてて加えてまたしても二十六年度に入つて予算定員とは言いながら、二万四千人に近い減少を決定するということは、いよいよそれらの人たちの労働量を加重して行くであろうということだけは、もう私は否定のできない事実ではないかと思うのです。こういう事柄が次々に行われましても、なおかつ国鉄の職員諸君が、温順にそのままこれを受入れて働いて行くということであれば何をか言わんやでありますが、逐年こういう状態を続けるという方向が判明いたして参りますれば、そのために職員諸君に與えるところの心理的な打撃、あるいは反撃というものは、おそらく相当な強さに高まつて来るおそれがあるのではないかというふうに実は思うのでありますが、そういうことについては総裁はさほど心配はないという確信のもとで、こういう計画を立てられておるのかどうか、それを重ねて伺つておきたいと思います。
  93. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 はつきりと確信のあることをお答え申し上げたいと思います。そのために労働の生産性を阻害して行くということが起きてはたいへんなのでございますが、問題は、やはり事業をやる以上は、高能率、高賃金に持つて行くということが最も必要じやなかろうか。一時人が多いから、給料も上げてやれないのだということを、さんざん政府から非難を受けて今日に至つておるのであります。われわれその点を肝に銘じて問題を検討して、できるだけ少い人数でもつて、しかも労働の生産性を阻害せず、喜んで働いてもらうということが、非常に肝要たことであると考えております。ただいまのところ従事員はよく働いてくれておる。これがまた人手が少くて済む非常に大きな原因になつておるということを私は申し上げたいのであります。機構を改正しないのに人が減つておるというお話でありますが、これは先ほどの閑散な線なり、閑散な駅における人員を機動的に使うという事柄や、また私が先ほど申した機構の改正によつて、今までの鉄道局、管理部という二段階を一段階にまとめましたために浮いた職員のみですら、五千人以上あるわけであります。こういつた人をさらに現場に振り向けて行くというような方策をあわせとつておりますので、オーバー労働になつて、労働の土産性を阻害するというような事態は、私どもただいまの段階としては心配しておらぬ。従事員さえ能率を上げて働いてくれさえすれば、やつて行けると私は思う。しかもそのために、従事員が非常に働くとしても、これが労働協約を無視するようなことになつてはいけませんが、そういうことなく、法律に抵触せずにやつて行けるというふうに私どもは考えておるのであります。
  94. 川島金次

    川島委員 総裁は国鉄のことについては、かなり苦労して来られた方であることはよく承知しておるのですが、一旦総裁になつてしまうとへ下のことがわかりにくくなるきらいもあるのじやないかうと思のです。最近における現場の姿というものを、ひとつおひまをつくつて十分に視察され、そうしていかに現場の職員諸君が過重な労働負担の上に、しかも低賃金に甘んじながら、国鉄再建のために鬪つておるかという姿を、十分にひとつ見直して、その上に立つて国有鉄道経営の検討を、私は切に希望するものであります。いろいろこのことについて申し上げますと、お互いに議論にわたりますから、その程度にとどめておきます。  次にお伺いいたしたいと思いますことは、さきの予算の問題に返つて恐縮なのですが、先般の予算委員会の公聴会の席上に出席を願いました国鉄労働組合委員長である齋藤君の公述によりますと、今度の二十六年度の国鉄予算は、八箇月予算だと当局者も言明しておる、実はこういう重大な発言があつたのであります。先ほどの総裁のお話では、物件費おおむね七割の値上げだということであります。一しかし齋藤君の公述を真実であるといたしますれば、全体の予算を通じて十二箇月であるべき予算が、実質的には八箇月だと当局は言つているのだ、こういうふうに公述されておるのです。これは速記録をごらんになればわかります。その事柄を私はとやかく論ずるわけではありませんが、ただ問題は、それほどきゆうくつな、それほど実施の困難な予算が、今の国有鉄道予算の姿である、こういう認識を私は新たに深めた次第です。この八箇月予算という言葉が、どの当局から出たのかということについて、私はあえて詮索しようとは思わないのですが、とにもかくにも当局のだれかが、八箇月予算だと漏らさなければならないような予算である。先ほど総裁は、この予算に対する善後処置については言明の段階ではないと、たいへん苦しい答弁をされておりますが、そういう事柄をかれこれあわせ考えてみましたときに、結論的に申せば、二十六年度日本国有鉄道の総予算というものは、改訂を必至とするという事柄が言えるのではないかと思うのですが、その点について重ねて恐縮ですが、あなたの見通しを率直にこの機会に漏らしていただきたいと思うのです。
  95. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 先ほど尾崎さんの御質問に対して、齊藤委員長の公述の点について御回答申し上げておつたのでありますが、再び繰返して申し上げますと、当局といたしまして八箇月予算であるという言明をした事実はない。これははつきりお答えできると思うのであります。ただ、ただいま申しましたように、予算案の検討をいたしておりまして、いかにこの実行予算を組むかということに努力をしておりますが、先ほどのお言葉の中で、七割というような数字をあげられたのでありますが、すべての資材が七割というのではなく、たとえば工事勘定の資材というふうにお考え願わなければならぬ。たとえば石炭等におきましては、とてもそういつた値上りが予想できるものではございません。そういう点はひとつお間違いのないようにお願い申し上げたいと考えます。そういつた中で考えると、結局工事によつては落さなければならぬものも出てくれば、繰延べなければならぬものも出て来る。非常にきゆうくつな——これはいつの時代でも、国鉄の予算は非常に厳密に組まれているので、余裕のあつたためしはないのでございますが、本年度は特にそういつた物価の関係から、非常に窮迫した予算に相なつている。従つてそれをこのままで、今後の値上り等を考慮して行くならばというような悲鳴をあげている向きもあるのでございまして、そういう点を八箇月予算というような言葉で言い表わされたのではなかろうかと考えるのであります。われわれといたしましては、現在審議をいただいている予算案がありますのに、ここで補正あるいは改訂ということを持ち出すようなことは、はなはだ不禁愼でありまして、あくまで御審議をいただいているこの予算で、何とか切り抜けてやつて行かれるのではないかということを考えるのが、第一段の仕事であろうと考えて、鋭意検討を続けている次第であります。しかしながらこれはお言葉にもありましたように、さらに今後の価格の趨勢、あるいは国内の生産の事情、あるいは貨物輸送の事情等によりましては、このままで進めないという場合が絶無かというと、あるいはその場合には何かお考えを願わなければならぬ場合がありはしないかという、ぼんやりした予想は立つわけであります。しかしながらそれをただいまからただちに改訂を要する、補正案必至であるということを申して行くことは慎みたいと考えております。
  96. 川島金次

    川島委員 御苦心のほどはよくわかります。それ以上論議を重ねようとは思いません。  そこで今度はちよつとこまかくなつて参ると思うのですが、もし主査において、私の質問が尾崎君の質問と同じような質問でありましたならば、御注意を願いたい。
  97. 橘直治

    橘主査 了承しました。
  98. 川島金次

    川島委員 その場合は潔く御遠慮を申し上げます。先般これまた国鉄労組委員長の齋藤君から公述を受けまして、ややわれわれも思いを新たにしてその数字をながめたのですが、それは運賃の問題であります。定期が原価にして五十七銭二厘、ところが実際の定期券の收入は単価三十一銭一厘、従つて二十六銭一厘の赤、定期外の一般切符による旅客運賃は原価六十銭四厘、実際は一円三十九銭八厘で、この方は約倍以上の收入ということになります。この原価計算及び実際の収入計算は間違いありませんか。
  99. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 ただいま資料を持ち合しておりませんので、後刻検討をいたしたいと思います。
  100. 川島金次

    川島委員 それではついでに申し上げます。大口扱いのやはり原価と收入、それから車扱いの原価とそれに対する收入、それから物価基準に対比いたしましたところの国鉄の今日の運賃の倍率がどの程度なつているか。これは貨物と旅客とにわけまして、物価基準に対比したものを一緒に出していただきたいと思います。  それから総裁にお尋ねいたしますが、齋藤君の公述によりますと、ただいま申し上げしまたような定期と定期外の運賃収入が、ややこれと似たものではないかと信じているのですが、運賃の不合理性というか、こういつた問題を今後の日本国有鉄道が、いかなるところで解決するかということは、国有鉄道経営の本質的な問題であり、日本の財政経済の上においても重大な問題であろうと思うのです。そこでたいへんむずかしい質問をして恐縮なんですが、この国有鉄道の運賃をいかに合法的な形において解決をはかるかということにつきましては、さだめし当局においても相当苦心を拂つて、研究をされている問題ではないかと想像をいたしますので、その事柄に基いて当局が従来、この根本的な問題に対する解決策を研究された点があれば、この機会にわれわれに教えてもらいたいと考えております。
  101. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 従来賃率の問題は、経営の根本でもございますし、また国民経済に非常に重要な関係を持つておりますので、鉄道省、運輸省時代等におきましては、運賃委員会という、学者や事実家、政治家等のいわゆる専門の知識を集めまして、慎重に検討をして結論々出してたいだいた次第でございますが、終戦後はこれが運賃法に基きまして国会の権限になつて、運賃の大綱、賃率に至るまで、国会で決定していただくというふうに相なつている現状であります。この賃率の問題はきわめて専門的な問題でありまして、たとえば貨物の運賃にいたしましても、運賃の負担力とあわせて、等級賃率をどこに置くかということは、非常に重要な問題になり、非常に技術的な高い問題になつておるわけでありまして、これらの問題につきましては、絶えずわれわれの事務の方面でも検討いたしておるのでございます。また定期券の賃率にいたしましても、これは一は理論というよりは、非常に沿革的な意義を持つておりまして、いわゆるこれは大衆の足でありますために、値上げをするごとに、定期券の運賃がきわめて高い割引率になつておる。採算度から言えば問題にならないということを百も承知いたしていながら、運賃の改正の都度、また問題を提起する。これはどうしても解決がつき得ない、非常に沿革的な強い意味を持つておるのでございまして、これも非常に難問題に属するのであります。従つてこれらの国鉄の経営とあわせてごらんをいただいた場合に、過去の運賃なり、水準なり、また定期券の割引率をいかなるところに置くかということは、国鉄経営と国民経営の実情を、十分深くにらみ合ぜて御決定願わないと、ただいまの段階としては、これを国鉄のみの意思てもつて左右するということは、とうてい困難であるというように心得ております。われわれの願いとしては、そういつた非常に専門的、技術的の面も含みますがゆえに、特別にそういつた審議会のようなものをつくつていただいて、そしてこの問題につきましても、軍に一方的に国鉄の意思のみでなく、広い見地から国策的にきめていただくという、権威ある結論を絶えずわれわれは望んでおる実情であります。今言われました数字は後刻、表によりましてごらんいただくようにいたしたいと存じますが、非常な違いは私はなかろうと考えております。
  102. 川島金次

    川島委員 もう時間が大分たちましたから、できるだけ切り上げたいと思います。
  103. 橘直治

    橘主査 お願いいたします。
  104. 川島金次

    川島委員 そこで最後に二つ三つ、かいつまんでお尋ねをいたしてみたいと思います。  最近私は実は国会の中でも党務を行います事情が生じまして、一般通勤者と同じ時刻に、十何年ぶりかで通いをしております。最近の私自身の体験から、しみじみと感じた事柄について、御注意かたがた御意見をも承つておきたいのです。これはおそらく東京都を中心とする近郊国鉄、並びに私線を加えての実際の姿であろうと思うのですが、午前七時ないし八時、この約一時間の近郊における国鉄主要駅はもちろん、中間駅におきましても同じでありますが、実に殺人的な殺到ぶりを示しておる。ことに大宮ですが、大宮の駅など七、八時のころには、あのそう狭くはないホームでありますが、ややもすれば線路の上に身体がほうり出されるような心配のある殺到ぶりを示しておる。しかもそのホームの殺到だけではなくして、来る列車、あるいは来る電車に乗つておりまする旅客の姿、実にさんたんといいますか、もう人間の車に乗つておるという姿をはるかに越しております。甘いもを洗うようなという言葉もありましたが、それどころではない。この事柄についてもさだめし国鉄当局は、いわゆるラツシユ・アワーにおけるところの運転計画というものを、今の国鉄の可能の範囲において、十分な計画を立て七やつておられるのだろうと想像しておるのですが、それにいたしましても、なおかつ実にひどい状態であるのであります。車両不足を問題にすれば、これは問題はなくなつてしまうのでありますけれども、何とか東京都を中心、あるいは大阪付近もそうでじようし、名古屋を中心としての駅もそうでありましようが、大都会を中心とした郊外、国鉄、私鉄をひつくるめたラツシユ時のさんざんだる殺到ぶり、それによる事故などもかなり起きているのではないかと私は思うのです。かりそめにも運賃の安い、高いは別として、運賃を支拂つてつております、いわば大切なお客様に対する輸送の仕方というものが、金を拂つておる側からいえば、おそらく俗にいえばしやくにさわるような混雑ぶり、詰め込みぶりでなければ乗れないという姿、そういうことについて何か新しい手を打つ必要があるのじやないか。と申しますのは、日本のこれからの経済事情というものは、変則的ながらどうやら一種の上昇期みたいになつております。従つて従来失業しておつた者が進駐軍の要員となり、あるいは一般の工場に復帰し、だんだんに失業者が通勤者にかわつて来ておるというのが、私には目につくのです。従つてかなり小さな駅から朝乗ります人員も、ここ数箇月内におきまして非常に増加しておるという傾向があります。これは全国的ではないでしようが、おそらく都会付近ではそういう傾向が例外なしに見られる。そういうこともにらみ合わされまして、何とかラツシユ・アワーに対する具体的な、もう一歩つつ込んだ親切な対策がほしいと私は思うのですが、そういう事柄についておそらく何か二十六年度において、計画を持つておられるかどうか、この機会に聞いておきたいと思うのです。
  105. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 通勤輸送の問題につきましては、全国的に留意をいたしておるのでございまして、急激な変化が起ればもちろんのこと、漸次増加の趨勢にあるというような場合には、これはそれにあわせた手を従来打ち来つたのでございまして、終戦直後から見れば、もちろんよほどよくなつたとお認め願つているのではないかというように考えておるのでありますが、昨年の秋も実はヘツドを詰めることと、連結車両を増結する手段をとりまして、ある一定の混雑時における輸送力増強いたしたわけであります。しかしながら限度を越しますと、たとえば増結いたすにいたしましても、プラツトホームにかかる長さでなければいけないのでありまして、それを越すような場合には、たとい電車があつてもつなげない。これはプラツトホームを延ばして行かなければならぬということでございまして、たとえば横須賀線のごときは、そういうような手段も考えておるというのが現状でございます。なお山手、京浜の併用区間は、この混雑がなおずつとこのまま進むものとすれば、ぜひとも分離を将来いたして行かなければ解決つかないのでありまして、田町、田端間におきましては、京浜と山手を一緒に同じ線を通しておりますために、京浜東北と山手の輸送が半減されるというかつこうになつておりますので、これも計画には乗ぜておるのでございますが、一方地下鉄が復興して参る、あるいはバスの都内乗入れというようなことが起きますと、自然山手という環状線区間はさびれて行くのが都市交通の本体でございまして、どうしても放射状の交通が盛んになるということがありまして、そういう面とにらみ合せて行きませんと、この分離工事が——金のことを言つて変でございますが、実は非常に莫大な経費を要するのでございます。都市区間を高架で抜くということは、たいへんな経費に相なりまするので、一部はもうすでに工事を終えている区間がもちろんあるわけでございますが、今のところ全面的には、それを継続して突貫工事としてはやつていない。ただいまのところではできる限りいわゆる列車の間隔を詰める、電車のある限り増車する、電車も来年はわずかながら新造するという計画も持つておるのであります。そういつた施策を合せて、何とか少しでも緩和をはかつて参りたいと考えておるのであります。
  106. 川島金次

    川島委員 主査の注意もありましたから、もう一言だけお尋ねをして、また明日にいたしたいと思います。最近国鉄の人員の整理の結果、もう非常な減員になつておるのですが、踏切り事故が多くなつた。われわれの近くにもついせんだつて悲惨な踏切り事故が起きた。それを契機といたしまして国鉄を中心とした、私鉄を加えた踏切りの問題が、社会人に非常な注目を浴びることになつた。そこでお尋ねしておきたいのですが、一体国鉄の関係で踏切りの数はどのくらいあるか。その踏切りの数に対して、踏切番のある箇所というものは一体どのくらいの率になつておるか。また国鉄が今日踏切番を置いた方がいいと考えておるところで、現在おらないところが相当あるのじやないかと思うのですが、そういつた事柄について何か研究されたことがありますれば、この機会に聞いておきたいと思います。
  107. 加賀山之雄

    ○加賀山説明員 踏切りの問題は、根本的には立体交叉の問題になることば明らかでございますが、この京浜線の主要なところですら平面交叉になつておる。アメリカなどではまことに考えられないような事情でございまして、はなはだむずかしいと申しますか、嘆かわしいと申しますか、そういう実情であります。従いまして今までは人力をもつて、できるだけ踏切り事故を減少するということに全力を注いで参つた。われわれの方では踏切りを四通りにわけまして、晝夜わかたず踏切りの警手がついているところ、晝のみのところ、警報器をつけたところ、あるいは何ら踏切番のないととろの四段階になつておるわけでございますが、ジープが非常にふえて参つたりいたしまして、踏切番を晝夜置くというところが非常にふえて参つております。先ほどの数字につきましては、昭和二十四年度におきまして、踏切りの総合計が八万四千九百六十一、そのうちいわゆる第一種、先ほどの晝夜をわかたずというところが約四千百程度なつております。私どもの方策といたしましては、もちろんこれを人力で防ぐということも一つの方法かとも思いますが、一方経営の能率の問題ですが、できるならばもつと人件費は、作業を本位とした方へ振り向けるような考え、これは経費の点から見た考え方でありますが、また安全度から言いましても、人には絶対に少しの誤りもないということは保しがたいのであります。そういう点とで、踏切り警報機というものを重要視して行くという方へ、かなり進んで参つておりますけれども、これは限度がありまして、どこも全部踏切り警報機で片づけてしまうということは困難でございますが、かなり結果から見まして、警報機の成績はいいようであります。それからなお踏切り事故の増加が憂えられておるのでございますが、この事故につきましては、絶えず現場に注意を與えまして、踏切り警手が緊張して作業に当るということをモツトーとしておる次第でありまして、この事故がいまだ減少しないということは、はなはだ遺憾に考えております。
  108. 川島金次

    川島委員 まだ若干質問が残つておりますが、また明日運輸大臣が出られましたら、それに関連して質問いたしたいと思います。今日はこれで打切りたいと思います。
  109. 橘直治

    橘主査 次に郵政省所管について質疑を許します。井手光治君。
  110. 井手光治

    井手委員 大分時間も経ちましたので、郵政省所管関係についてごく簡單に質問申し上げたいと存じます。  最初に郵政事業特別会計一般会計から赤字補填のための繰入れの関係でございますが、これは昭和二十五年度において十二億円、昭和二十六年度予算を拝見しますと三十五億円で、二十五年度より二十三億円の増額ということになつております。これはもとより職員の給與改訂等によつて生じますところの、郵政事業特別会計赤字を補填するものであるという一般的な説明なつておりますが、この会計は郵便及び郵便為替並びに郵便振替貯金のごとき国有業務のほかに、保険年金業務でありますとか、あるいは電気通信の業務でありますとか、郵便貯金取扱い事務であるとか、あるいは国庫金の取扱い事務のような委任事務を行つておるのであります。これらの経費はそれぞれの会計からの繰入れが、国有業務に繰入れられておるのでありますが、国有業務経費増加は、みずからの收入増加の措置か必要であることは申すまでもない。そのために特別会計が設置せられておるわけであります。そこで増加経費財源は、郵便料金等の引上げを行つてやるべきであるという意見があるのでありますが、現下の情勢から郵便料金の引上げをやるということは、国民生活に驚くべき影響もあるし、またこれをきつかけとして、いろいろの物価高騰の素地をまくというような一般的な見解もあつて、各政党内閣においても容易に是正しかねる。先般郵政大臣が郵便料金の値上げのことを漏らしたということで、それに対する反対の意見が相当出て、いつの間にか立消えになつてしまつたという状況になつております。しかしながらこの赤字は、二十三億及びそれ以上の増加なつて行こうと思いますが、今後これを一般会計から繰入れるということは、とりもなおさずやはり一般の全国民の負担を、この特別会計によつて肩がわりをするという結果になりまして、本会計独立の建前から言つてなかなか感心できない。同じ国民負担をさせるならば、本会計によつておるところの直接負担によらなければならぬことは、理の当然であります。そうかといつて私どもは、郵便料金を無理に急速に上げるという意見を振りまわすのじやありませんけれども、この赤字補填について一例をとつて見ますと、郵便料を十円ぐらいに、はがきを三円程度にするというような、自立的な考え方で本会計赤字を埋める。そして実質的な健全な経営に振りかえる。しかも一般の国民負担をむしろ直接負担に切りかえた方が、より健全である。一般会計のなかなかきゆうくつな中から、各特別会計赤字を補填して行きますと、先ほどもお店がありましたように、国鉄の会計においても相当の繰入れがいる、あるいは見返り資金等の発動もいたしておるというような状況であつて一般会計特別会計赤字補填のために負担する限度は、なかなか容易ならない、そういう点で安易な繰入れというような措置によらないで、私どもはもつと真剣にこの問題を取止げて、本会計の趣旨から、多少の反対があつても直接負担に切りかえて、今後の赤字を消して行くという御意図を持つておられるかどうか、その点をまず第一に伺つておきたいと思います。
  111. 山本猛夫

    山本(猛)政府委員 井手委員の御質問にお答えを申し上げます。御質問の要旨は、赤字の補填を一般会計からでなしに、直接負担にしてはどうか、よつて料金の調整を行づてはどうか、そういう意味のお尋ねのように考えられますが、一般会計から赤字補填をやつて郵政省経営を充足して行かなければならないようた現状でありますことは、先刻一般の御報告の中で申し上げた通りでありまして、なお今後におきましてもさような状態が続いて参りますことも、また御報告を申し上げた通りであります。ところが料金調整の問題でございますが、当局といたしましては、料金調整の問題等は研究をいたして参つておりますし、現在もなお研究をしておらないではありませんが、どうも政府経営するもので、たつた一つくらいは安いものがあつていいというような議論等もありました関係、あるいは諸般の政治的な情勢の推移から考えまして、料金調整の問題はまだ具体化されないでおるのでございます。御承知の通り郵政省におきましては、日本を十の郵政局にわけて経営いたしております。一例をあげますと、その十の郵政局の中で、比較的上等な経営状態にあるであろうと考えられます東京郵政局で、原価計算をいたさせてみたところ、もちろんこれは国全体、経営全般から言つての正確な原価計算ではございませんけれども、この東京郵政局管内においての原価計算に現われて来た例から拾つて申し上げてみますと、現在二円で売つておりますはがきが、四円八十九銭という原価計算が現われております。従つて十の郵政局の中で、比較的経営状態が上等であろうと考えられる東京郵政局においての原価計算ですら、二円のはがきが四円九十八銭かかつておる現状から推して行つてみましても、いかに郵政省経営の点において、この赤字の補填のために鋭意努力をし続けながら経営しておるかということは、御承知願えるかと思うのであります。現在の情勢におきましては、御説の中にもありましたように、政治的な諸般の情勢から、まだ料金調整の具体的段階には入つておらないのでございます。しかし先刻一般の御報告の中り申し上げましたように、郵便物の通数を戦前程度に回復いたしておりません。漸次これが回復をいたします。さらにまた一段と経営合理化を考える上からいたしまして、できるだけ一般会計からの赤字補填を削減しよう、こういうことで努力をいたしておるのでございます。なお料金調整の問題等に関しましては、今後も十分に検討をいたしたい、さように考えておる次第でございます。
  112. 井手光治

    井手委員 料金調整の問題につきましては、なお一層御研究をいただくことにいたしまして、次に今度新たに設けられました郵便貯金特別会計赤字補填、一般会計からの繰入れの問題であります。先ほど申し上げましたように、この特別会計もやはり赤字覚悟で、最初から新設されたのであるとしか思われない。従来預金部郵便貯金や簡易保険あるいは厚生年金というものを扱つておりまして、これに対して所要経費に応じ、高い利子経費を拂つてつたのであります。今度新しく大蔵省に資金運用部特別会計というものが設けられまして、本年度予算に盛られておりますが、各会計からの預金に対して、一応五分五厘の利子を支拂つて、剰余は一般会計の中に繰入れることになつておる。その結果、郵便貯金の方に経費が高くかかりまして、五分五厘ではまかなえない、郵便貯金のコストは非常に高い、そこで不足分赤字として一般会計から繰入れて決済をすることになつております。その改善策につきまして、先ほど山本政務次官から種々方法論についての御開陳がありましたけれども、コストの高いものを人に預けておいて、安い利子でそれを引受けてもらつて赤字一般会計から繰入れをするのだ、こういうやり方、この郵便貯金は大体予算面では昭和二十五、六年度四百億程度なつておる。簡易保険につきましては二十五年度は百四十億で、二十五年度から来年度にかけて大体六十億円の増加が見込まれておりますが、郵便貯金は二十丑年度と大体同額ということになつておる。そうしますとこれは二十五年度同様に四百億程度郵便貯金を見込んでおつて、先ほどお話を申し上げました五分五厘の不足経費を、相かわらず一般会計から補填するということを前提として組まれておるのであります。赤字覚悟でやつておる。これは大蔵省の資金運用部面において、私どもはさらにつつ込んだ研究をしなければならぬと思いますが、一体郵便貯金をどの程度まで増額したならばこの赤字がふえるものか、また郵便貯金は今後二十五年度、二十六年度は大体同額程度に見込んでありますが、預貯金が伸びるというような傾向は全然見えないのでありますか、その点を一応参考のために伺つておきたいと思います。
  113. 山本猛夫

    山本(猛)政府委員 お説のように資金の利回り五分五厘に対しまして、八厘三毛の逆ざやになつておる現状でありますことは、先刻申し上げた通りでありますが、私どもとしては能う限りすみやかに収支のアンバランスを克服いたして、独立採算の建前を確立いたしたいと考えておるのであります。なお預金の増額等によることもその一つではありますが、先刻御報告の中に申し上げましたように、諸般の改善等を行いまして、所期の目的達成に努力いたしたいと考えております。二十五年度においては三百五十億増と、先刻御報告をしたように記憶をしておりますが、二十六年度においては四百億増を考えまして、その遂行に努力をいたしたいと考えます。
  114. 井手光治

    井手委員 この問題は赤字補填の問題で、谷特別会計一般会計に及ぼします非常に重大な関係を持つておるものであります。これは先般の公団の赤字を全部洗うと一千億円に達するから、これは非常に重大な問題になつて来るということを申し上げたのでありますが、さらに政府の各特別会計赤字補填が一般会計に寄るということを決算面で集約して行きますと、厖大な経費になりはしないか、よほど今のうちに慎重な態度をとつて、それぞれの自立体系をとるべきではないかと思います。これは非常に困難な問題でありますが、あえて考えておかなければならぬ問題でありますから、御質問を申し上げる次第であります。次に資金運用部特別会計の問題に触れましたので、これをもつて郵政省の質問を打切るという建前から、もう一つだけ御質問を申し上げたいと思います。ただいままで申し上げましたような貯金及び簡易保険年金等の預金部の運用資金に属します金は、従来長年預金部資金の運用計画というものが毎年度きめられまして、地方の零細な郵便貯金等を通じて入つて参りました金は、国民の零細な預貯金が積まれたという精神的な、また地方的な考え方を十分取入れて、これを地方公共団体等の起債に返還をする、これがあらゆる面において日本の地方財政に及ぼす影響は非常に重大であつて、また精神的から申しましても、これは非常によい考え方によつておられたのであります。ところが先般これは閣議決定及び書簡等の関係もあると思いますが、このたび資金運用部特別会計の中に全部ほうり込まれて運用されることになりました。しかもその赤字は還元されて、当該資金面で負担するというような状況になつて来ておる、従来資金部の運用等は、年利にして大体七分程度で地方起債にまわつてつたのでありますから、この損害はみずから補填しておつてほかに影響がなかつた。ところが今度資金運用部特別会計の方に全部ほうり込まれてしまつて、一般的な運用資金と一緒にされるということになりますと、従来預金部資金が持つておりました特殊な、非常にすぐれた考え方というものが抹消されてしまつて、運用上の発言力は全然消されてしまうことになる、こういうことではせつかく国民が郵便局々通じて積み立てた零細な郵便貯金を、さらに地方に還元して、地方振興及び地方公共団体の財源の涵養に充てるという一貫した趣旨が乱されて来はしないか。ここで私は郵政省の従来の考え方が、この運用上の発言及びその計画参加に、一体具体的な力を持ち得るかどうかということを、少し心配しておるのであります。これは政府の方針としてもきまつておることでありますから、いかんともしがたいのでありますが、私はこういうものの運用の関係は、それぞれの立場において考えてやらないと、今後郵便貯金をいたしましても、どこへこの金が使われるかわからぬというような考えを噂し国民が持ちますと、郵便貯金増加関係に非常に影響を持つて来ることになると思いますから、これは郵政省の意見を十分反映して、それを通じて国民の考え方がこの運用面に現われて来るというふうな仕組みにしないと、私はおもしろくないと思う、その点についての御所見を伺つておきます。
  115. 山本猛夫

    山本(猛)政府委員 御質問の要旨は、簡易保険及び年金の大蔵省預金部に繰入れられましたものに関する運用の権限が、大蔵省にあつたものが郵政省に返つて来て、在来のごとく郵政省で運用することの方がいいのではないかというふうに承つたのであります。お説のようにこの運用権は、在来大蔵省に移管をせられておつたのでございますが、去る七月二十五日閣議決定を見まして、大蔵省から再び郵政省の方へ返つて来ることに嚴として決定をいたしました。よつて毎回の国会に現われておりました国民全体の考え方がいれられたことに相なつたのでございます。しかるところ十一月二十一日かと記憶いたしますが、ドツジ書簡なるものが示唆せられまして、七月二十五日の閣議決定事項が一時留保されたように考えております。このドツジ書簡に対する私個人の考え方としては、ドツジ書簡は戦争は終つたが、まだ非常事態は継続しておるのである。よつて過渡的現象下における占領当局の施策として、日本政府に示唆したものと解釈をいたしておるのでございます。ドツジ簡の内容をしさいに何べんとなく拝見してみましたが、われわれはこの書簡の権威は尊重するのでございます。よつて私どもはこのドツジ書簡に盛られましたわくの中で、ただいま御質問のように地方産業開発のために、地方公共団体の要望に応じて、能うる限りの地方の要望にこたえる用意を持ちたい、かように考えまして、ただいま大蔵当局とも折衝中でございます。それから運用部に関する事柄につきましても、当然郵政大臣はこの運用部に対しまして発言権を持ち得るものと考えておりますし、先刻申し上げましたようにドツジ書簡に対しまする私の見解といたしましては、これは過渡的現象下における占領当局の施策として、日本政府に示唆せられたものと解釈する建前から考えまして、七月二十五日の閣議決定事項というものは、嚴固として消滅しておらないという観点に立つて、いずれは郵政省に再びこの運用権が返つて参りまして、御質問の中にありました御要望のように、われわれは地方産業開発のために、あるいは地方公共団体の求めに応じて、わが郵政省運営できるものと、さように希望し、また考えている次第でございます。
  116. 橘直治

    橘主査 次会は明二十一日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十二分散会