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1951-02-21 第10回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十一日(水曜日)     午前十一時十二分開議  出席分科員    主査 橋本 龍伍君       天野 公義君    江花  靜君       川端 佳夫君    井出一太郎君       竹山祐太郎君    横田甚太郎君       小平  忠君    小林  進君  出席国務大臣         農 林 大 臣 廣川 弘禪君  出席政府委員         農林政務次官  島村 軍次君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         農林事務官         (農業改良局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (蚕糸局長)  最上 章吉君         水産庁長官   家坂 孝平君 分科員外出席者         農林事務官         (林野庁林政部         林政課長)   奧原日出男君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計予算農林省及び通商  産業省所管  昭和二十六年度特別会計予算農林省及び通商  産業省所管  昭和二十六年度政府関係機関予算農林省取び  通商産業省所管     ―――――――――――――
  2. 橋本龍伍

    橋本主査 ただいまより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和二十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林省所管を議題として審査を進めます。小林進君。
  3. 小林進

    小林(進)委員 大臣がお見えになりませんので、次官でもけつこうでございまするが、大体私は今年度農林予算をながめて、当局自画自讃せらるるほど、興農予算といいますか、そうりつぱにできつているとは、とうてい思えないのでありまして、まず予算関係からお伺いいたしたいと思うのであります。公共事業費でありますが、これに対して、今年度公共事業費関係の物価の値上りを、昨年度に比較して何パーセントぐらいにお考えになつておりますか、それをひとつお伺いいたしたいと思うのであります。
  4. 島村軍次

    島村政府委員 予算編成当時に比しまして相当値上りのいたしておることは事実でございます。昨日もどなたかのお尋ねに対しましてお答えを申し上げましたように、二十五年度予算に比しまして、二十六年度予算編成当時におきましては、多少の値上りのあつたものもありますが、下落のものもあり、大体事業分量におきましては、二十五年度と大差ない事業執行が行えるという前提のもとに、予算編成いたしたのであります。その後の値上り等もありますので、当時朝鮮事変等関係も考慮いたしましてある程度の増額はいたしたのでありますが、大よそ一割ないし一割五分くらいの値上り執行せねばならぬだろうという見通しを持つております。
  5. 小林進

    小林(進)委員 この政府予算説明書を見ましても、これは農林予算だけではなく、公立事業費全部を含めての説明ではありますけれども、確かに金額においては、総計において昨年よりもふえておりますが、この予算書説明には、いわゆる資材としての鋼材あるいはセメント、あるいは木材、こういつたものの需要数量というものが、昨年よりぐつと減らして見積られておる。結局金額はふえても、工事に要する材料、資材減つているということは、その工事実質量が確かに昨年より減つて、インフレ的な一つの水増しの公共事業であるということが、私はこの説明書によつても断定できると思うのでありまして、農林予算に関する限り、決して実質上にはふえていないということを、まず当局はしつかり考えていただかなければならないと思うのであります。  それからいま一つは、これは予算全般を見まして金額の面では、農林省関係だけが特にふえているわけではないのでありまして厚生省関係においてしかり、労働関係においてしかり、文部関係においてしかり、失業対策費あるいは社会保障制度費用というふうに、確かに一般費用はふえておるのであります。この点、農林関係をながめまして、今年度特に、まず廣川農政と称して他の省関係に抜んじて見るべき、興農予算と称すべきものは、私どもはそう特質はつかみ得ないのでありまして、いわゆる自画自讃せられている、真の農林予算と自慢せられる箇所はどこでありましようか。いま一度お伺いいたしたいと思うのであります。
  6. 島村軍次

    島村政府委員 大臣がたびたび答弁を申し上げました通り、ただいま御指摘公共事業についても、総額において相当増額があるばかりでなく、一般産業経済費におきましては、各局ともいわゆる食糧増産費目の計上に値するものを、相当増額をいたしておるのでありまして、全体的の数字から見まして、国家予算相当圧縮されたにもかかわらず、農林省関係は、不十分ではありますが、相当増額が計上されておることは、昨日説明を申し上げました予算説明書によつて十分ごらんを願いたいと思うのであります。なお今回の予算中特色のあります問題は、食糧増産関係におきまして、直接の費目として約十億の増額を計上いたし、なお土地改良その他公共事業において、相当増額のあることは申し上げた通りでありますが、一面資金の面におきましては、特別会計による六十億を計上し、その主要部分増産対策に振り向けまして土地改良は六十億のうち約四十億程度のものをもつて事業執行をいたし、昨日来お話のあります団体営の問題もできるだけこれによつて推進をして行きたい。なおこれらの事業執行の上には、さらに預金部資金特別会計へつけ加えてこの特別会計の運用をできるだけ大幅にいたしたいという考えをもつて、目下大蔵省と折衝中でありますのでお話の点は、よくわれわれの了解し得られるところでありまするが、内容的に申し上げまして以上のような相当増額もあるということによつて了解を願いたいと思うのであります。なおこの考え方の問題といたしまして、一体食糧一割増産というものは、どういうことかというようなお尋ねもあるのでありますが、現在の農業経営、あるいは食糧増産という点から考えますと、少くとも従来の農業政策として、食糧配給流通機構主力を置いた点を転換いたしまして、しかしてこれによつて将来の農業政策生産方面に振り向けたということに対しては、御了解が願えると思うのであります。なかんずく食糧増産の道は、單に従来のごとく画一的に各農家割当てることをやめまして自主的に増産対策を、各市町村において、農業委員会を通じて、農村の実態に適した計画を進めて、もらつて、その農業計画の樹立によつて、いやが上にもその気分を高調せしめるということに主眼を置いているのであります。なおかつこれに加うるに、農林省政策としてどういうところに重点を置いたかと申しますれば、増産対策は一律でなくして、レベルの低い、つまり低位農家、あるいは低位生産地に対する資本の投下、低位農家に対する技術の改善、低位土地に対する土地改良、こういう問題に主力を置いて、予算編成が行われているのでありまして、大蔵大臣に言わしめますと、とにかく今年の予算では、農林省に非常に主力を置いたので、君らの目から見れば不十分であろうけれども相当思い切つた増額をしたのだということを、非公式に言つておられるのでありまして、全体の予算を見ていただけば、不十分ではあろうと存じますが、さような考え方でやつていることを御了解願いたい。
  7. 小林進

    小林(進)委員 私はもし大蔵大臣がそう言われたのであるとすれば、農林大臣も非常に甘いし、次官大蔵大臣に非常に甘く扱われているのではないかという感じを受けるのであります。確かに昨年度より農林予算はふえております。そして次官のおつしやるように、確かに国家の総予算が昨年度よりは減つている。にもかかわらず農林予算がふえているではないかということを理由にせられるのでありますが、これは決して理由にはならない。なぜならば、敗戰後五年も過ぎて昨年度予算から見れば、国債の償還とか価格差補給金という一時非常の金が全部いらなくなつて、その面において予算総額減つたのでありまして、これは各省の配分の中からながめれば、さつきも言つているように、次官の御説明によれば、大蔵大臣言つた、われわれの方は国家の総予算減つているにもかかわらず、今年度は昨年度よりも少しよけいにもらつたと、しかしこれは厚生省も、労働省関係も、文部省関係も、ほかの省も、全部言います。これがパーセンテージで昨年の予算と今年の予算と比較して見ると、農林省関係より厚生省文部省関係の方が上つている。どうぞひとつ御計算願いたいと思うのであります。そういうわけでありまして、これは国の客観情勢が今日かくあらしめたのであつて農林省当局が別段特別の御盡力と、特別この農業政策が、国家全般の上から最重要視されて脚光を浴びたというような特異な形は、われわれはどうしても認め得ないのであります。これはどうしても農林省考え直して、まず補正予算をお組みになるときに、いま小し強く大蔵当局に当つていただきたいという含みで申し上げるのであります。  次に増産問題について、農業委員会をしてこれに当らしめているというようなお話がありましたが、私がこの農業委員会予算関係につきまして申し上げたいことは、十億余の興農予算がふえているではないかとおつしやいますが、一方において農地委員会自作農創設その他に関係して、十四億の予算が昨年より減つている。だからわれわれに言わしめれば、こちらの予算興農予算と銘打つた方に、ただ入れかえただけの話ではないかと思うのでありまして、今お話がありました増産問題に関連いたしまして、農林省当局に、この土地改良という点に、いま少し実情に即した増産計画を立ててもらえなかつたかということを、私はお伺いいたしたいと思うのであります。ということは、今日の増産は、そういう低位土地土地改良をすることも重要な政策一つでありましようが、何といつて根本農村が――たとえて言えば、私どもも村で調査いたしましたが、一町歩土地をここで耕作している農民があるとすると、われわれの村を調べましたら、その人の持つている土地平均十箇所に一町歩のたんぼを持つている。一箇所に一反平均というのは非常にいい方であります。人によつては二十箇所に持つている、五畝、三畝というように土地をばらばらに持つてつて、午前中は東、午後は西というように、一里も二里もあるところを往復して耕地を耕やしているということが、農村合理化を阻害し、増産を阻害している根本問題である。これを改良して合理的な経営をせしめるためには、土地交換分合が、どうしても増産運動根本的の問題にならなければいけないと私は思うのであります。農林省当局は、この予算面に、そういう土地交換分合という、いわゆる自作農創設の完全なる仕上げをする、眼を入れるという最後仕上げの点に至つて、ちつとも主力をそそいでいないのみならず、むしろそれを避けるかのごとく農地委員会費用を削減して農業委員会という非常に不明朗な漠たるものをつくり上げてその予算総額において十四、五億も削減せられていることは、興農予算と銘打たれようとも、決して的確な農林省予算ではないと思うのでありまして、この交換分合に対する、いわゆる農地改革最後仕上げという点について、次官はどういうふうにお考えになつているか。これをひとつお伺いしたいと思います。
  8. 島村軍次

    島村政府委員 御激励に対しましては、つつしんで感謝を申し上げます。農林省農村振興の問題は、一応御説明申し上げたような考え方でありますが、今日の段階におきまして非常に不十分であることは、われわれも認めているのであります。そこで今後予算の獲得に対しましても、この上の御協力をお願いしたいということを前段に申し上げておきたいと思います。  実質的にふえていないといういろいろな例をもつてお話でありますが、公共事業費について考えてみましても、農業関係においては一〇%、林業関係においては六〇%、水産において一〇%という、対前年比の見返り資金を含めた意味の公共事業費増額になつております。また予算説明書にあります点から申しますと、先ほど申し上げたように、食糧増産直接の関係経費は、約十億の増額でありますが、そのほか農業災害に関する費用特殊農産物対策に関する費、植物防疫に関する費用病虫害防除に関する費用、その他これらに関する採種の費用、北海道開発に関する費用、こういうものを一括拾つてみますと、前年の十六億五千万円に比して、本年度は四十四億数千万円になつております。従つてお話のような点は、その内容をつぶさに検討しますと、必ずしも御指摘のようなことにならないと思います。  農業委員会は、前の農地委員会及び農業改良委員会等を合せますと、多少の減額になることはお話通りであります。しかし地方農村におきましては、農業委員会一本にすることはかねての希望でもあり、かつさようにした方が、総合的に農村計画を推進して行くのに妥当だというような考え方から申しましても、人員におきましては多少減つておりますが、実際の仕事の遂行にはさしつかえないという考えを持つておるのであります。要はこれらの農業委員会が、市町村農業計画を推進する上に、それを自主的に有効にうまく伸ばして行くかどうかということにかかると思うのでありまして、この点は地方におきましも、農業委員会の性質をひとつ御了解願つて、強力に御推進するよう御協力を願いたいと思うのであります。  なお土地交換分合については、お話通りぜひ必要な事柄であります。また農林省としては、土地改良法を施行後大きくこれを取上げまして、地方地方土地交換分合推進機関を設けておるのであります。本年度におきましては、十分な予算が計上されなかつたことは遺憾でありますが、この土地交換分合に関しましては、今後一層予算増額を期して、これの完璧を期して行きたいという考えを持つておるものでありまして、さように御承知を願いたいと思います。
  9. 橋本龍伍

    橋本主査 あらかじめお伝えをいたします。農林大臣は、公務の関係上、十二時までしかおられないそうでありますから、あらかじめそういう点を御了承願います。
  10. 小林進

    小林(進)委員 農業委員会につきましては、またあとでお聞きいたしたいと思います。増産の立場からみまして、増産根本問題としては、折衷保温苗しろとか、あるいはいろいろ政府の打たれている手はけつこうでありますが、根本としては土地交換分合重点だと私は思つている。従つてこの点を強力に推進する予算がないということは、眼を失つている予算であるという感じがどうしても拂拭できないのであります。他省とのつり合い関係からながめて、そう御自慢なさるほどの予算でないという私の見解は、見解相違であるとしても、どうしても次官の御説明では承服し得ないということだけ申し上げておきます。  次に同じく増産問題で伺いたいと思います。この共済の再保險金でありますが、これは一体昨年度総額どのくらいお拂いになり、しかもお佛いになりましたその最低線ですね。二割とか三割以下のものは拂わないが、それ以上の損害は拂うのだというようなことについて少し具体的にお話し願いたいと思います。
  11. 島村軍次

    島村政府委員 あとから資料をととりえて、お答え申し上げます。
  12. 小林進

    小林(進)委員 それでは大臣もお見えになりましたので、これは予算委員会でも質問したことでありますが、時間を切られて少し質問を残しておりましたので、その点をここで伺いたいと思います。  超過供出農民が出す米の本質は、どんなものであるか。具体的に言いますれば、農民はほんとうに余つている余分な米を出すのか。あるいは保有米までもさいて出す米であるのか、またその他の隠し米でも出すのか、そういうことに対する農林大臣の御見解を伺いたいと思います。
  13. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 それは個々農民精神内容を分解しないとよくわからぬと思います。個々の場合があると思いますが、真に日本民族のために出すという場合には、あるいは自己保有米を出すことがあるでありましようし、また経済的見地から、自己経済のために出す方もあるでありましようし、あるいはまだ部落割当上、やむを得ず出すというような場合もあるでありましようが、それらは個々において違うと思います。
  14. 小林進

    小林(進)委員 それではいま一つ問題をかえて伺いたいと思います。農家が一年間自分の家で食べている主食でありますが、御承知のように、もちろん農家は米ばかり食べません。麦や雑穀茶つばを入れた雑炊など食べておるのでありますが、そういう雑炊やそのほかの雑穀主食とのパーセンテージ、一年間を通じて農家食生活は、どんなふうになつておるかというようなことに対する農林大臣のお考えを伺いたいと思います。
  15. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 それも各地方々々のいわゆる郷土食と申しましようか、各地方の気温、地勢、地質等によつて大分違つておると思うのであります。南の方に参りますと、さつまを主食と同等に扱つている方面がありまして、特に九州の宮崎県、長崎県、あたりは、これを米と称して、実際現在科学処理というよりは機械処理といつた方が適切かもしれませんが、処理をして、これを長く貯蔵できるような米をつくつて、これを市販しているというような状況にありますし、あるいはまた静岡県の裏、山梨県境に行きますと、死ぬときでないと白い米を見ないというような、とうもろこしにたよつておる所もあります。あるいは磐梯山の裏のあたりのように、そばを食べているところもあります。また奥羽山脈の中間の方に参りますと、ひえ、あわにたよる所もあるのでありまして、このパーセンテージは、その土地々々によつてつておると思います。しかしこの果している役割は、決して小さくないと私は考えます。
  16. 小林進

    小林(進)委員 きわめて博学な農林大臣の御意見を承つて実に安心したのでありますが、実はこの問題につきましては、相当東北の單作地帶の連中が、農林省はもちろん税務署あたりへも相当陳情を繰返しておるはずであります。ということは、この保有米が幾ばくかという査定は、農民所得税税率査定に重大なる影響を及ぼしているのであります。今これがほとんど單作地帶あげての大きな問題となつていることは、万々御承知と思います。新潟県あたりでも相当陳情に参つておりますが、われわれはいわゆる主食と称する米は、多くとも最高五〇%で、あとの五〇%は雑穀食つておると思う。これに対しまして税務署は、九一%の保有米農家が食べておるという計算で税金をかけて来るわけであります。しかし現実に農民は五〇%しか食つていない。かつて政府農業政策がうまく行つて超過供出の三倍価格買上げなどというときには、その三倍の価格につられて、農民はほとんど八〇%まで雑穀あるいは茶つば食つて自分保有米を割つて全部供出したのでありますが、それほどにして政府協力したそのあとに、税務署が九一%の主食を食べて、わずかに九%だけが、いわゆる雑穀茶つばを食べておるという査定で来たのであります。これが非常に問題となつて、あらゆる陳情を繰返したのでありますが、これに対して税務署の方は――私は詳細調べてありませんが明治十五年とか三十年に発布せられた何とかいう通達法律があつて、そこには、農家主食量は九一%米を食べて、九%が雑穀であるという何かの規定がある。実際農民が半分しか食べていないということは、われわれとしては知つておるけれども、その法律がある限り改訂ができない。こういつて年間九一%の税金をかけて来ておる。そこで何とかこれを改訂してもらえないかということをわれわれはいわれるのであります。幸いにして、博学なる農林大臣は、そういう実情をよく御承知でありますので、願わくばひとつ、全国とは申しませんが、農民のために、そういう法律通達があるのかどうかを、一応農林省から税務署にお聞きくださいまして、これが不合理なものであるならば、すぐに改訂して、こういう面を何とか御救済願いたいと思うのであります。この点の明快なる御回答をお願いいたしたいと思います。
  17. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 農村食生活がいまだに改善されないことはお説の通りであります。われわれも大根菜つば、あるいはその他のものを入れた食糧によつて青年期を過して来たのでありまして、その時代を振返つて見るとよくわかるのでありますが、九一%主食というようなことは私は当らないと思います。しかしどのような通達か指令があるかは存じませんが、農村に対する税率改訂は、山林あるいはその他を含めまして、われわれとしては今大きく検討いたしておる最中でありまして、皆さんの御努力をかりて、一緒に農村のために税率改訂に努力いたしたいと考えます。
  18. 小林進

    小林(進)委員 次に伺いたいことは、供出制度関係でありますが、これも予算委員会でずいぶんお聞きいたしました。しかし私はどうしても納得し得ないのでありまして、心中今年の食糧政策が不安でしかたがないのであります。超過供出、早場米、あるいは食確法、そうした一切のものを廃止せられて、しかも麦類の統制も解除せられて、供出後の米は自由販売とする。しかも国際情勢は逼迫して来る。何といわれても、輸入米に対する楽観論にはわれわれ承服できないのでありまして、この点何といつても私どもは不安なのでありますが、その問題は別にいたしまして、供出の問題を伺います。  前農林大臣超過供出が済めば自由販売にするとおつしやいました。ところが、その供出予定数量というものは昨年度より多い。多いのでありますが、この多く予定せられている数量供出完了したあとの米を自由販売にするという一つ題目を掲げて、農民に昨年より多い供出に応ぜしめる何らかの具体的な方法を、一体お考えになつておりますか。いわば食確法にかわる何かの法律を用意せられておるのかどうか、それをひとつお伺いいたしたいと思います。
  19. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 それは御存じのように、供出については今まで事前割当であつたものを、事後割当にするという方向へ行つておるのであります。その事後割当は、決して無理な割当はしないような仕組みにいたしたい、こういうことでありまして、そうして幾分なり農家に保有されたものが、自由販売市場に流れるようにしたいというわけであります。それから前段において食糧不安のことをだんだんお話のようでありますが、私はちつとも不安を感じておらないのであります。特に麦を自由にする場合には、これは経済的に何らの障害なく市場にあふれて来るものと思うのであります。それに加えて、政府輸入した麦を放出いたしまして、そうしてこれが十月末ぐらいまで続くと思いますが、そういたします間に、市場においては、いわゆる市場の妙味というか、商取引の機微というか、それを発揮いたしまして自然に台所に流れて来る。こういうふうに私は考えておるのであります。それに加えて米の供出後の自由販売、こういうことで、私は決してあなたのような悲観論を持つていないのであります。それからまた輸入に対しましては、買付にいたしましても、あるいはまた輸送にいたしましても、輸送については、懸命に船をつくることに努力いたし、買付についてはあらゆる方策を講じて買いつけておるわけであります。ただあなたの御心配になるのは、この前の戰争で孤立させられた形になつたあの経済を、強く感じられるのだろうと思うのでありますが、今日本は、どこともけんかをいたしてないのであります。しかもまた日本を最もよく理解しておる連合国があるのでありまして、日本食糧を心配させるようなことは絶対にないと思います。あなたもどうか大言高言していただきたいと思います。
  20. 小林進

    小林(進)委員 その点はひとつ見解相違ということにしていただきまして、その供出の問題でありますが、昨年よりもよけいな数量を見込んで予算を組んでおられる、その根拠をお伺いしたいのであります。
  21. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 よく頭に浸み込んでおります一割増産ということも一つの基礎でありまして、来年はどうしても一割増産をしてもらわなければなりませんし、それから肥料も今までよりは出まわりがよくなつておりまして、戰争中とは違うのでありますから、それと農民の努力により、多くできるだろうことを期待いたしておるのであります。その出来高を見まして、それから供出を決定いたすのでありますから、農民諸君には満足してもらえると私は考えております。
  22. 小林進

    小林(進)委員 私はその考えがどうしても納得できないのであります。去年の供出数量も、御承知のように第一次割当で間に合わなくて、第二の追加割当というものをおやりになつておる。その二回目の追加割当というものは、口には強権発動はお唱えになりませんでしたけれども、事実上は農民を精神的に圧迫し、恐怖せしめること実に甚大なるものがあつた。そうして取上げた数量よりも上まわる数量である。しかもその裏には、何かといえば自由販売がある。今まで農民は、手に持つていても自由にならないという権力で押えられていたから、あるものは出したけれども、今度は自由販売でありますから、いかに政府割当てられても、その割当数量は逃げてしまう。自由販売の方が得だという裏口がありますから……。それは農民の徳義に信頼すると農林大臣は御返答になるかもしれませんが、その徳義の点があぶないのでありまして、ともすれば農民自由販売につられて米は出さない。農林省としては、そのあとに来るものは、昭和二十一年か二十二年当時のような、あの強権発動、官権発動をもつて行動するというような事態になるのではないかということを恐れているのでありますが、強権発動というあの官権の発動は、絶対おやりにならないかどうか、これを私はお伺いしておきたいのであります。
  23. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 供出後の自由販売という、一つの明るいものを見せておくから供出が思つたように出ないだろうという御説明だと思うのでありますが、しかしいつも供出後におけるやみ相場を見てみればわかるのでありまして特に東北地方單作地帶におきましては、いくら東京が上りましても、最初は必ず供出価格より安くなるのが例であります。さようにいたしまして、これが自由になりますると、全国から足りないところへ集中いたすような関係になつて、決してそんなに上るものではないと思います。それから、これはむろん農民の良識に訴えるのでありますが、現在の日本農民が、供出を怠つて、それをやみへ流すというようなことは、決して私は信じません。それから強権発動の点でありますが、ためにせんがために、しいて出さないというような場合、いわゆる特殊な思想団体というようなものが使嗾して、故意に出させないというような場合、そういう場合には、やはりそういうものを置く方がほんとうじやないかと私は考えておるのでありまして、一般的には強権は発動しないという建前で行つておるのであります。今年の供出のやり方を見ればわかるのでありますが、今年はどこからも、何らの制限もしないのであります。しかるに、供出の成績は今までよりもかえつて非常によいのであります。こういうことを考えますると、決してあなたが御心配になるようなことはないと私は考えております。
  24. 小林進

    小林(進)委員 主食のストツクの状態、あるいは来年度への持越しの見通し等についてお伺いしたいと思います。
  25. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 数は明確に覚えておりませんから、他の政府委員から説明させます。
  26. 島村軍次

    島村政府委員 さきの共済会計の方からお答えいたしましよう。二十四年度の共済保險金額は九百一億ばかりでありまして、はしたが少しありますが、約九百億です。
  27. 小林進

    小林(進)委員 九百億ですか。それは少し違うのじやないかな。九百億も出るならば、二十五億の特別会計基金ぐらいではとても間に合いませんね。
  28. 島村軍次

    島村政府委員 私の申し上げましたのは、共済金額総額であります。
  29. 小林進

    小林(進)委員 総額はそんなに出るのですか。九十億ではありませんか。九百億ということはどうもおかしい。
  30. 島村軍次

    島村政府委員 ただいま二十四年度の共済保險金額九百億と申し上げましたが、言葉が足りませんでしたので訂正いたします。すなわち水稻の共済引受金額は、昭和二十四年度に総計約九百億、支排い共済金額は、昭和二十四年度に約五十四億円、こういうことになつております。それから政府の方で再保險をいたしまする予算金額は、予算書に出ている通りで、二十四年度は五十二億四千三百万円、本年度が八十億一千百万円です。それからただいまのお話の、現在のストツクの来年度への持越しですが、一九五一米穀年度にいたしますと、二百三十三万トンの繰越し予定にいたしております。
  31. 江花靜

    ○江花委員 ちよつと関連して伺います。土地改良の問題でありますが、土地改良については、これはもちろん大切なことで、農林省の御努力に対しても非常に敬意を表するのであります。ただ熱心のあまりだと思いますが、土地改良事務所あたり予算化しておらぬのに、やはり補助金というものを、土地改良をする組合なり何なりに期待さしているわけであります。その期待を持たして、そうして土地改良予算化しないのにやつてしまう。そのために、その金を農業協同組合から出したり、あるいはまた請負者の負担においてやらしておるという例があります。その後、補助金が出ないとまでは行かなくても、出方が思うように運ばないために、農業協同組合の場合であれば、金融面に非常に影響を與えて困つているという例が少くないのであります。正確に内容がわかりませんが、福島県あたりでは二億円といわれております。迅速に、熱心にやつていただくことはごくけつこうでありますが、農家経済の逼迫した今日、補助の見通しというものは、あまりはつきりされておらぬでやられたために、いろいろの問題を起しておりますから、この点に関しての御意見を伺います。
  32. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 多分それは、予算から予算の間で、金の切れた場合のことをおつしやつているのだろうと思いますが、それについては、いわゆるつなぎ資金と申しましようか、そういう金融措置で、大体現在三十五億見通しをつけて、そういうものに流すようにいたしているわけであります。あるいはこれはでき過ぎというか、あるいは、生産意欲があまり強過ぎてそうなつたというか、多分そういうことじやないかと思うのですが、その他の点でありましたならば、また十分注意いたします。
  33. 小林進

    小林(進)委員 十二時までという農林大臣でございますので、急いで大臣にお伺いたします。漁業問題で、小型機帆船底びき網と、沿岸漁業と申しますか、網漁業との抗争が今全国的に非常にはげしい、ことに日本海の沿岸においてはなはだしいのであります。この底びき網にやられて、網漁業というか、沿岸漁業が壊滅の状態にある。これはまさに人道問題であり、生活問題であるというところまで来ているのでありますが、政党関係では、自由党はどうも底びき網の方に軍配を上げられているのじやないかというような見解を私どもは耳にするのであります。ともかく両方とも政治力を発揮いたしまして、盛んなる争奪戰が今行われていることも御承知だと思いますけれども、何といつてもこれは生活問題であり、片方は生活の最低線を守ろうとする生き網の問題でありますから、どのような見解と、どのような判定を下されるか、農林大臣の御意見を承つておきたいと思います。
  34. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 漁業の競合というか、競争というか、これがかなりはげしいことは、私もよく承知いたしております。しかし現在のような状態で放置いたしておくことは、いわゆる将来の魚族の保存等から見て、なかなかゆゆしい問題でありますので、近いうちに閣議決定をいたしまして、その線を確立いたしたい、こう考えておるのであります。さような点からだんだん国際的な問題を起すようなことにもなりますし、これは今まで無許可船あるいはその他規則の違反等もありますので、そういう点を嚴重にいたしまして惡いものはどんどん整理いたしまして、沿岸漁業者がある程度立つような方途をつくらなければならぬと思つておりますが、ごく近い将来に閣議決定をいたしまして、ある一線をきめたい、こう考えております。
  35. 小林進

    小林(進)委員 いろいろございますが、次には農林漁業の長期資金融通法案について伺いたいのであります。この資金の融通を受ける方の信用の調査を、一体どなたがおやりになるのか。この前も何か中金にまかして、中金の独占企業においておやりになるような御答弁だとお伺いしておりましたが、この点を今一応お尋ねいたします。
  36. 島村軍次

    島村政府委員 特別会計資金を流すのは、中金に委託するという予定で今進んでおります。ところがお尋ねの点は、おそらく中金の調べがめんどうで、なかなか手続がうまく行かないということではなかろうかと思うのでありますが、その点についてはわれわれも、非常に陳情を受けておりますし、また中金の金融機関としての考え方から申しますと、従来そういろ例が非常にたくさんあつたと思います。しかし今回の特別会計におきましては、大体農林省で補助するか、もしくは補助をしなくても、省令事業というものが主体となり、従つて事業そのものの執行内容は、府県庁で大体よくわかることでありますので、府県庁の主務課において調べた問題は、なるべく手数を省いて、中金で処置をしてもらうというような方法を今事務的にも考えております。さようなことで信用調査は、結局中金もある程度はやらなければならぬと思いますが、実際問題としては地方の信連あたりへ委託して、そうして信用調査をやるということが、実情にも合うのではなかろうか、かような考えを持つておるわけであります。
  37. 小林進

    小林(進)委員 この長期資金は、確かに廣川農政の最大の勝利であると私は確信いたしておりまして、この点非常に感謝いたしておるのであります。それだけに貸出しの業務に万遺漏なからしめるようにやつていただきたいという希望が多いのであります。今おつしやいました信用調査の問題も、県ないしは協同組合に委託されるというその考え方は、私はいつも正しいと思うのでありましてどうぞそのようにお願いしたい。それから貸出しの委託業務でありますが、これも私は、希望といたしましては、むしろ県の信販連あたりを主体にして、これをやらせるのがほんとうではないか。どうして中金にやらせなければならないのか、県の信販連ではどうしていけないのか。これはいわゆる貸出し業務でありますが、この点具体的な御意見を承りたいと思います。
  38. 島村軍次

    島村政府委員 ただいまのお話は、われわれもさようにいたしたいという考えを持つたわけであります。しかし県の信連は内容的に申しますと、農業会から協同組合に移つてから、県によるとまだ基礎の確実でないのもあるわけであります。業務の執行上についても、再建整備をやらねばならぬというような情勢にある今日におきましては、一つは金融ベースに集らないものもまだあるわけであります。これは積極的な理由ではありませんが、国が国の仕事としてやる場合におきましては、大体同じレベルに従つてやるという点から考えましても、中金に一括してやらせることが適当であろうという考え方で、それを信連に委託するということに対しては、今考えておるわけであります。実質的には個々の信連で扱うというようなことよりは、一本にしておいてできるだけ信連の方を活用して委託でもできたら、それが事業執行上適当ではなかろうか、こういうことで今事務的に研究を進めておるわけであります。
  39. 小林進

    小林(進)委員 今の御説明で納得いたしました。  次に今言われました農業会からの負債資産の引継ぎ等で各協同組合に負債が多い。この負債の整理について農林省でお考えになつておるということも承つたのであります。これはこの予算委員会でも出まして、大蔵大臣はそういうことは知らないといつたような御答弁であつたのでありますが、その後相当期日も経過いたしておりますので、相当大蔵省、農林省関係でも話合いがついて、話も具体的に進んでおるものと私には予想せられるのであります。この点について的確な御意見を承りたいと思います。
  40. 島村軍次

    島村政府委員 この問題は一年越しの問題でございましてたしか一昨年の十二月の国会当時から大蔵大臣はよく御存じのはずであります。ただその場合に、再建整備をやる、そのポイントをどこに求めるかということから、農林省というか、それの意見と一般の協同組合連合会の意見と多少の齟齬がありました。つまり政府で利子補給でもやるという場合におきましては、再建整備の方法をとるには、ただ政府に頼つただけではいかぬので、いわゆる信連、協同組合連合会が、購連なり、販連なり、自立経済がはつきりしたものについてでなければいかぬというので、その調査を昨年の十月から本年の一月にかけて進めたわけであります。その結果、現在協同組合の一万の中で約二割の組合に対し、いわゆる資金的にこげついておるものを長期資金に借りかえて、その借りかえに対して政府の方で利子補給をしたらどうか、こういうことで今案を進めております。調査ができ上りまして総額三十三億、利子金額にして約五分の補給をする、従つて年度が十一億、こういうことで今案を立てて大蔵省と折衝を進めておるのであります。ただ協同組合といたしましても、農業協同組合だけにそれを出すということに対しては、一体りくつが立たぬではないかという意見もあるし、自力といつても、赤字が出たらすぐそれの利子補給をするということは、これはやはり国家としても考えなければならぬということで、事務の折衝の過程においてまだ意見が一致しておりません。しかし大蔵省は十分これは了承されておりますし、大蔵大臣もこの問題に対しては非常に熱心な態度であられるわけであります。まだ数字が大蔵大臣の手元へ出ておらぬということであつたと思うのでありまして実質的にはよく御承知願つており、ぜひとも実現をするように目下折衝を進めておるので、近い機会に法案を提出いたしたいと考えております。
  41. 小林進

    小林(進)委員 今の問題はできればぜひ今次国会にでも提出していただきたいと思うのであります。それに関連いたしまして、負債整理の問題とともに、だんだん弱体な協同組合が一方に置き去られて行くという問題があるわけであります。そのほか土地改良においてもしかり、あるいはまた長期資金の貸出しにおいてもしかり。これは国家全般他省関係における趨勢でありますが、だんだん零細農家は置き去られて行く、弱い協同組合は置き去られて行く、かような感じが強いのでありまして、これも農業の社会性から考えて、こういう弱者も、ともに救い上げて行くという農業政策が、常についてまわらなければならないと思うのであります。この協同組合の全般、いわば残された八割についてどういう御見解をお持ちになつているか、承りたいと思うのであります。
  42. 島村軍次

    島村政府委員 出資関係の協同組合は、先ほど申し上げた通り、約一万ばかりあります。その中で終戰後農業会から職員を引継ぎ、財産を引継ぎ、経済界の混乱のうちにいろいろな物資の取扱いをしたという、さまざまな原因はあつたかと思いますが、現在の農業経済の実態から考えますと、協同組合によつて農村資金面、あるいは経済面の拡充をはかつて行かなければならぬということは、お話通りであります。そこでその八割の協同組合が、今どういう情勢にあるかということを簡單に申し上げますと、率直に申し上げまして、昨年の今ごろはちようど二十四年度の決算期であつて、赤字組合も相当多かつたと思います。それから事業執行経営上におきましても、よほど不安な状態で推移したこともあつたと思うのであります。ところが再建整備の問題が起きると同時に、協同組合自身も相当自粛をいたしまして、おそらく他の企業であつたならば、破産の状態であつた組合も、企業の合理化をはかり、人員の整理を行い、村におきましてはみずから組合員を督励をして、企業の合理化の結果による再建が立つて来たと思います。従いまして現在の程度におきましては、その八割のものは、もはやわれわれが昨年のこのごろ考えたような貧弱な状態ではないということを私は確信をいたしております。もちろんその中には経営不振のものがあることも事実であります。その一例として、昨年のこのごろは貯拂い停止をやつたのが、全国で約三百ばかりあつたと思いますが、今日ではほとんどないという情勢になつております。また事業経営におきましても漸次改善の趨向が見えまして、その八割は自力によつて再建し得る情勢にあると思うのであります。ただこれは見方の問題で、そう甘い問題ではないというお考えもあると思うのでありますが、少くとも国家がこの協同組合育成のために、いろいろな資金あるいは国家資本を投ずる場合におきましては、みずから再建整備に立つその二割のものに対してするということで、十分とは申し上げませんが、まずそれを第一段階にやる、あとの多数の組合につきましては、御案内の通り、さきに法律の改正をし、財務基準に関する政令を出しまして、本年度予算におきましても府県なり中央において相当増員をいたしまして、財務基準の政令によつて手にとるごとく毎日の協同組合の姿が組合員によく徹底しかつこれは貸借対照表に、その財務の状態が明るく、鏡に写すごとく出るような方向に持つて行きまするように、国としてもこれを指導育成して行くという建前をとつて法律の改正を行つたような次第でありまして、漸次改善しつつあります。なお連合会等に対する育成の問題につきましては、その財務基準の政令を基本としてそれぞれ連合会自身が自主的に、單位組合の指導に当るというような方法も、あわせて考えられておるのでありまして、今後農村経済との結びつきを、協同組合によつてさらに強化して行きたいという考えをもつて進んでいるわけであります。
  43. 小林進

    小林(進)委員 財務基準の政令でありますが、私は寡聞にしてまだ知らないのであります。要は農林省当局の協同組合に対する監督権というか、それについて相当不備な点があるのじやないかというふうに考えれるのであります。幾つも例がありますが、一つ例をあげてみますと、これは灌漑排水を基準とした農業協同組合でありますが、国から補助金をもらつて、そして近隣の農業協同組合を集めて連合会をつくり、賦課金と補助金と共同でこの灌漑排水事業をやるということでやつたのであります。そうして県を通じて国から補助金だけはもらつたが、その補助金もいいかげんな使い方で、ほとんど仕事の半分ぐらいで、あとの半分は流してしまう、賦課金をとるという申請をしながら、その賦課金は結局村民からは一銭もとらないで、そのまま放任しておいて、適当な時期にそれを解散してしまつた。ところがその協同組合が、補助金と同時に近隣の関係町村の協同組合に相当の金を貸し付けてある。その貸付金もとれない。こういうことで近隣の協同組合は破産状態に陷つておる。申請書には補助金をとるといいながらとらない。県も解散は確かに承認せられないはずでありまするけれども、ほとんど放任の状態に置いておる。こういうことに対する国の監督権といいますか、介入権といいますか、何らかの処置を講ずる法律上の根拠ありやなしや、あるいはまた行政的にそれをせられる考えがありやなしや、こういうことを具体的に承りたいと思います。
  44. 島村軍次

    島村政府委員 協同組合は、原則的には御承知通り自治的機関でありまして、戰争中の他の農業に関する団体とは性格的に趣を異にしておりまするので、監督権もなるべく縮小しておるということは事実でございます。しかしお話のような灌漑排水に関する組合は、新潟県にはたくさんあると思いますが、全国的には少い。その灌漑排水に関する賦課金を補助金をもつて充てて、賦課金を徴收することなくして組合が破産状態といいますか、事業執行が停頓しておる。こういうことは組合員との間の了解が十分できていないので、賦課金を徴收すべきものであつたと思うのであります。従前のこの種の仕事にはさような少し不健全な考え方の組合があつたようでありますが、今日の時代におきましては、やはりよぐ組合員の間に了解をさせて、補助金の限度があるのでありますから、実際の工事執行しておるのであれば、さらに再建計画を立てて、そうして今徴收ができなければ、あるいは何箇年かの間に徴收をする。そうしてその間には、たとえば長期資金等の道が講ぜられれば、それによつて年々に償還して行くというような方法を講ぜられることが必要だと思うのであります。ただこれに関する監督上の問題については、前段申し上げましたように、国自身が手を下すということは、おそらくやらない方がいいのじやないかと思うのであります。ただ相談相手として、国なり県なりの協同組合関係の吏員、及連合会等もあるわけでありますから、これらの連合会なり自治体の県庁あたりにおいて、組合に出かけて、これらの再建計画を立てて善意の指導をし、その計画のもとに再建されることが適当ではないかと存じます。
  45. 小林進

    小林(進)委員 次には害虫対策と申しまするか、その費用が来年度は二億六千九百万円計上せられておるのでありますが、二十五年度は大体この方面でどれくらいお支拂いになりましたか、その数字を承りたいと思うのであります。
  46. 島村軍次

    島村政府委員 これは病虫害として扱つておりますので、内訳が必要であれば数字はお知らせいたしたいと思いますが、二十五年度におきましては稻熱病及び瞑虫の被害に対して、既定予算中から相当出したことと、二十五年の補正予算において、病虫害対策費として計上いたしまして、たしか一億数千万円の金を出したと思います。なお詳しい数字はあとからお知らせいたしたいと思います。
  47. 小林進

    小林(進)委員 この数字はあとでひとつお示しを願いたいと思います。この予算の中にも、病虫害に対する対策費の増額というようなことがうたわれておるのであります。昨年度補正予算相当大幅な増額を見ましたことは私も承知しておりまするけれども、その数字はわれわれ農民が要求いたしましたものに対しては、まことにわずかなものである。これは東大の農業学関係あたりの言うことでありますけれども日本増産計画では、病虫害の対策を完全にすることだけでも、大体二割近くの増産が可能であるといわれておるのでありまして現に昨年あたりの台風直後の状況から見ましても、農林省当局がいま少しく果敢にこの対策費を盛つてくれれば、どれだけ農民が助かつたかわからない。新潟県あたりでも、事後の対策費として、最小限度たしか約八千万円の対策費の追加をお願いに上つたのでありまするが、とうとうわずかなもので済んだのであります。この観点から見て、私はこれは相当数字が小さいと思つておりますが、病虫害の対策に対して、一体その重要度をどれくらいにお考えになつておるか、それを昨年度の数字と比較してお尋ねいたしたいと思います。
  48. 島村軍次

    島村政府委員 予算説明の第一ページのおしまいに書いておりまするように、米麦の病虫害による損害を防止するため常習被害面積稻作三十万町歩、麦作二十万町歩の病害虫防除のための薬剤費及び全国播種米麦種子消毒費を補助して、米百万石、麦五十五万石程度の減收を防止するための補助金として二億六千九百万円ということにいたしております。前年度二億六千五百万円と申しましたのは、既定予算の上に、昨年度はジエーン、キジアの災害がありましたので、それの経費を計上したことはここに説明してある通りであります。前年度より減つておりまするが、事実は経営的経費として計上いたしましたのは、昨年よりは相当増額であります。そこでお話通り農林省考え方といたしましては、その次にも表わしておりまするように植物防疫法の施行に伴つて特殊病虫害の伝播を防止いたし、新たに農林省内に植物防疫課をつくりまして、もつぱら近代的な病虫害の防除対策を取上げておるのであります。この中には噴霧器及び散布器の動力用のものの普及をはかるために、前年度よりは相当増額いたしまして、本年度は散布器、噴霧器一千台を府県の設備に対する補助として予定いたしております。さらに今後におきまして、これの予算増額によつて、大幅にこの対策を講じたいという考えを持つておるわけであります。なおつけ加えておきますが、昨年の病虫害対策費のうちで、御関係の新潟県には、従来の費用のうちで思い切つて補助いたしましたので、どうぞ御次聽をお願いいたします。
  49. 小林進

    小林(進)委員 次に積雪寒冷地帶振興臨時措置法案を議員提出にすべく、與党、野党ともに一緒になつて審議中であります。この問題も、大臣よりは非常に賛成であるという意見を承つておりましたが、ここでお伺いしたいことは、もし議員提出が何らかの事情で不可能になりました場合、政府提出案に切りかえて、閣議を説得してまでも、農林省でこれが通過に御盡力くださる意思ありやいなやを承りたい。
  50. 島村軍次

    島村政府委員 單作地帶の問題は、早場奨励金と関連を持ちまして、本年度における農林省の農林政策のうちでも、私は一番重要な問題だと考えております。そこで農林省におきましても省議で数回研究を進め、議員提出になるべき法案についても、相当お手伝い申し上げたのであります。熱意においては小林さんと同様な熱意を持つておりますが、議員提案ですみやかに成立されるように希望いたしております。
  51. 小林進

    小林(進)委員 再保險の交付金の問題でございますが、損害の三割以上にのみ保險金をやるが、三割以下にはやらないという規定を何とか廃止いたしまして、少くとも農産物に損害があつた限り、これに保險金を交付するというふうに改めていただく意思がありやなしやを承りたい。
  52. 島村軍次

    島村政府委員 農作物の共済の仕事はなかなかむずかしいのでありまして、これが府県連合会の負担になり、かつ国庫の再保險の場合は国庫負担になりまして、府県の段階においても、赤字が相当出ておる、この赤字の始末をどうするかということが今話題に上つておるし、また国におきましても、今回二十五億の再保險の基金をつくつて行くということになつておるのであります。国家としては共済制度には相当力を用いておるのでありますが、これは国家財政との間をにらみ合せて考えなければいけないと思います。農民の立場からいえば、被害の少いものでも、なるべく共済の恩典にあずかることが望ましいことではあり品ましようが、大よそ限度がありますし、かつ共済の掛金等においても、今相当問題になつておる際でありますので、現在のところは、国庫の負担及び府県の連合会の負担等の率について考えられるのと同時に、さらに掛金等もある程度まで増額しなければ、先ほど申し上げたような関係でなかなか困難であると思います。そこで現在のところ三割を引上げるということはむずかしい問題ではなかろうか。ただ府県の段階では、赤字を来すような際でありますから、なるく国庫負担を増額することに対しては、目下研究いたしております。
  53. 小林進

    小林(進)委員 これはどうしても供出制度というものがあつて政府農民に生産の自由を許さない限りは、特に価格の制限がある等の関係上、当然私は国家がその損害を補償すべきであると思うのであります。また掛金の問題につきましては、現に成立の当時、三者分担であつて、そのうちの消費者の分だけはこれを省いて国家が負担するというふうにかわつたのでありますが、これはどうしても生産者の方のも、私は理想からいえば、全額の国庫が負担してくれるのがほんとうだと思うのです。農民の負担の比率を上げるようなことはおやめ願いたい。どうしても今おつしやいましたように、この災害の保險金は、大幅に国庫で分担すべきが私は当然だと思いますので、農林省当局に、この点さらに将来御検討をお願いいたしたい。  次に未墾地の買上げの問題であります。これが末端へ行きますると相当非難があります。これは強権的に買い上げられて、住民の意思などは少しも反映しない。これを踏みにじつて、押しつけがましくやつておられる傾向があるのでありますが、これに対して農林省当局のお考えを伺いたい。
  54. 島村軍次

    島村政府委員 具体的の例は私もよく承つておりませんが、具体的の例によつて善処いたしたいと思います。本日の委員会後においてお聞かせ願いまして御相談申し上げたいと存じます。
  55. 小林進

    小林(進)委員 最後に、これは予算関係ではございませんが、今日安孫子長官がお見えになつておりますので、私は長官を通じて大官、次官のお考えをお伺いしたい。それは陳情団の取扱いであります。昨年の十月ごろ、米価の問題、早場米の報奨金やら供出の問題で、新潟県の農民諸君の団体の代表が十名ぐらい参りまして、私が案内して長官に会いに行つた、九時前に行きましたら、長官は十時半ごろ御出勤になつて、そういうような米価の陳情などというのは、どうもこういうところへ来てもらつては困る。県を通じて、県にでも話しておけばそれでよいのだというようなお話、とにかくまあ陳情やら請願はあきあきした、毎日聞いているというようなお話があつたのでありますが、農民が、農林省にそういうふうに陳情に行くことが一体惡いことなのかどうか。しかも私は国会議員といたしまして、農民団体の、しかも代表として御案内を申し上げた。九時ごろから一時間ばかり私は長官室で待つていたのでありますが、実にそういう冷淡なお話であつた。これは長官がおいでになれば一番よい、私はお互いに顔つき合せてお話したかつたのでありますが、そういうことを農林大臣次官は、一体お知りになつおるのかどうか。あるいは陳情することは拒否せられる御意向があるのかどうか。ひとつ将来のためにはつきりお伺いしておきたいと思うのです。
  56. 島村軍次

    島村政府委員 食糧長官もなかなか忙しいので、あるいはせつかくの御陳情に対して十分なお答えができなかつたかと思うのでありまして、おそらくただいまのお話の点は、供出の減額及び価格の問題であつたと思うのでありますが、長官のお話申し上げたことも事実でありまして、県の方へもよく話してくれということでありまし先。あるいは響きがそういうふうにとれなかつたかもしれないが、よく長官にも話しておきまして、将来そういうことのないように申しておきます。  それから陳情は別に拒否するわけでもありませんので、ただ閣議の申合せで、新聞にも出ておりましたが、非常にこのごろは陳情が多いものですから、なるべくひとつ陳情は整理してもらいたいという考えを持つております。しかしせつかくおいでになつたことであり、かつ国会の代表の小林さん等がおいでになつたのに対する態度としては、これは将来善処いたしたいと思います。どうぞさように御承知を願いたいと思います。
  57. 小林進

    小林(進)委員 この問題はひとつはつきりしておきたいと思うのであります。ともかく陳情がいけないということになりますならば、はつきりひとつ省令なり命令を出していただければ、われわれは仰せの通り、県でその問題を処理いたします。来たものは受ける。但しその人の気分任せだ、昨夜は細君に足を蹴られたから、次の日は陳情団を冷酷に取扱うというようなことでは、非常にわれわれは困るのであります。十時半に悠々御出勤になる前に、われわれ管庁の都合をいろいろ考え、しかも高い旅費を拂つて来た農民諸君を引連れて、朝の九時から待つておるのであります。できれば、十時半に御出動とするならば、一時間繰上げて、九時からひとつ陳情団の受付時間を設けてもらつてもよいのじやないかと私は思うのでありますが、いけないのか、将来とも、整理してなおかつ中央まで参りました陳情団は快く受けて、納得させていただけるのかどうか、この点ひとつはつきりここでお聞きしておきたいのであります。
  58. 島村軍次

    島村政府委員 出勤時間は、おそらく長官は横着はしておらないと思いますので、どこかまわつておつたのだろうと思います。悠々とというと、横着して出るというふうに一般に響きがあつては困ると思いますから、その点は私は弁解を申し上げておきます。  それから陳情を、せつかく来たものを受けるか受けぬかということは、決して拒否はいたしませんから、どうぞなるべく整理の上で陳情されるように希望いたします。
  59. 小林進

    小林(進)委員 了承いたしました。けつこうであります。私はこれで終ります。
  60. 橋本龍伍

  61. 井出一太郎

    ○井出委員 林野庁の長官がおいでになればと思いましたがいらつしやいませんので、奥原林政課長さんがお見えですから、お尋ねいたします。それは長野営林局という役所がございます。これは御承知の木曽谷の天下の美林、これを背景といたしました旧御料林の関係から、現在木曽福島町というきわめて僻陬の土地に所在をいたしておるのでございます。しかしながらこれが他の行政官庁との関係、その他いろいろ当局のお考えもありましようが、長野市へ移転をするのじやないかというようなことが地方へ伝わつております。そうなりますればおそらく長野営林局の管轄区域等も変更を来すやに考えられますが、同時にこのことは福島町を中心とする木曽谷、あるいはこれの所在する南信――長野県は、南信、北信という地形上の区分が常にやかましく、そのために分県問題さえも行われておるのでございまして、これは木曽一体の消長に関係するところも非常に多く、もし長野市へ移転するというようなことになりますれば、長野県内で相当なトラブルをかもす問題ではないか、かようにも思うのであります。従つて林野庁当局とされましては、今その問題をどのような段階にお扱いになつていらつしやるか、長野市へこれを移転するということがもう既定の御方針になつておるのか、それとも長い木曽の伝統というものをお考になつて、存置される御意向にきまつておるのか、この一点をひとつ明確に伺つておきたいと思います。
  62. 奧原日出男

    ○奧原説明員 ただいま御質問のありました、長野営林局を木曽谷の福島町より長野市、その他の交通の便利なところへ移すという問題に関しましては、すべて国有林の沿革がそうであるのでありますけれども、ことさらに木曽谷の現在の国有林につきましては、徳川藩政当時より、地元民の福祉との間に、きわめて密接なる関連があるのでありまして、この関連に留意をいたしまして、林野統合をいたしました際にも、特に僻陬の地にかかわらず営林局を移転することなく、福島に存置して今日に至つたのであります。最近に至りまして、長野市等よりこの営林局を移転することを適当とするというふうな一部の動きが、民間にあるやに承知いたしておるのであります。また営林局の職員の中にも、生活上この移転を希望する向きもある次第であるのであります。しかしながらわれわれといたしましては、従来からの地元との沿革によりまして、かつまたこの移転に要します経費が、庁舎の建築費その他全部を入れますれば、おそらく一億円にも近づくような経費を要すると考えるのでありまして国費多端の現段階におきましては、目下のところにおいて、これを実施に移す考えは持つておらない次第であります。しかしながらこの問題につきましては、現在全国にあります十四の営林局の全体の配置をいかにするか、あるいはその所管の府県の範囲をいかにして行くかというふうな、大きな行政機構整備の問題の一環として、全体の問題が起りました際に、あらためて考慮をいたして参りたい、かように存ずるのでありますが、その際におきましても、その結論がいかようにもあれ、木曽谷の住民の各位と、国有林行政との従来の沿革等にかんがみまして、地元の福祉に対して齟齬することのないような、十分な配慮をいたして参りたい、かように考えておるのであります。
  63. 橋本龍伍

    橋本主査 川端住夫君。
  64. 川端佳夫

    ○川端委員 いろいろ同僚委員より細部にわたつての御質問がありましたので、私はこの機会に、いわば廣川農政の基本的な問題ともいうべきでございますけれども、総括的に伺つてみたいと思うのであります。これは廣川農林大臣から伺いたい問題でもありますが、この廣川農政を受けた事務当局が、どういうふうに了解しているかというような観点から伺つてみたいのであります。それは将来の需給推算の考え方というか構成というか、こういう問題について伺つてみたいのであります。それというのは、すでに発表されておりますように、将来麦等の統制のわくもはずれて参るわけであります。こういう場合に、農林省としては、食糧の需給推算をどういうふうに考えておられるか、この点をまずお伺いしておきます。
  65. 島村軍次

    島村政府委員 これは資料を御必要であれば、あとからお示してもよいと思うのであります。数字はあとから詳しく申し上げますが、結局本年度の米及び麦の供出は、御承知通りに米については従前の方針を踏襲し、麦については八百八十万石の買入を本年行いまして、七月以降にはずすということであります。その根拠になりました点は、さきの予算総会の結果によるのでありますが、事務当局といたしましては、その点をはつきりと需給推算の上に立てて申し上げておるのでありまして、問題は二つあると思うのであります。すなわち将来の輸入食糧が、はたして朝鮮事変後においてどうなるかということであります。巷間伝えられるところでは、最初予定した三百二十万トンは非常に減つて、不安じやないかということが一つだと思いますが、現在のところでは多少減りましても、二百七十万トン以上の輸入がありますれば、これで需給推算は大丈夫と申し上げてよいのであります。米換算にいたしまして、一九五一年度輸入数量は、需給推算の上に二百五十三万二千トン、これを原毅にいたしまして、二百八十五万一千トンを計上いたしておるのでありまして、これがいわゆる最低限度であつて、あるいは三百万トン以上の輸入が確保されるようなことも、考慮の中に入れてさしつかえないと思うのであります。今まで入つて来た実績からいいましても、最初需給推算を立てました後において、一月から六月までの予定数量においては、十五万トン以上のものがよけいに入つて来る推算を立てております。買付の遅れる問題については、ビルマ等との交渉が多少残つているものを除きまして、一九五〇年の繰越しの三百三十万トンに比しましては、多少の減額を見まして、約百万トンの繰越残が減ることになるのでありますが、ただこの一事をもつてして、百万トンも減るじやないかということだけでは、この需給推算の上に不安だということは言えないのであります。何となれば、現在の百万トン減るという前提には、従来扱つておりました雑穀及びかんしよが、まだ本年度の三百三十万トンの中にはあつたわけでありますが、これはまつたく廃止するのであります。それから、配給辞退からいいましても、昨年一年を通じて約五十万トンで、これは配給辞退があるからという甘い考方えを持つわけではありませんけれども、一箇月の所要数量約六十万トンといたしますれば、六分の五に相当するような数量が配給辞退で出て来ておるというような点からも、いろいろ勘案いたしまして、本年度の需給推算は、世間一般に唱えられるような心配は絶対にないという確信を持つておるわけであります。
  66. 川端佳夫

    ○川端委員 それでは時間の関係もありますから断片的に伺いますが、配給基準量をおかえになるという考え方がございますか。
  67. 島村軍次

    島村政府委員 本年の七月から十月までは、基準量は二合七勺で進む、それからあとは米だけにいたしまして一合五勺、七月の麦の買入れを行つてからは、配給基準量は二合七勺で行いますが、国内産の小麦は、供出完了後においては自由販売に移しますので、国民としては政府の手持ちの配給基準量二合七勺に、プラス自由のものが出て来て、食糧事情にかえつて安心感を與えるという考え方もなし得ると思うのでありまして基準量についてはさような考え方であります。
  68. 川端佳夫

    ○川端委員 それではまた方向をかえまして、農林省では、日本の国内の食糧生産で、需給をまかなう態勢まで行くものだというお考えに立つておられるかどうか。
  69. 島村軍次

    島村政府委員 現在の数字では、ただいま申し上げましたように、三百万トン前後の輸入食糧を仰がねば需給が困難であるという情勢にありますが、しかし自立経済審議会において御審議を願つておる食糧増産対策が完成いたしますれば、一千万石程度のものはこれを補うことができる。しかしながら人口増加があるのでありますから、それとの関連においては、絶対に輸入をなくして、全部を自給自足によることは困難だと思うのであります。ただ私の考えを率直に申し上げますと、増産対策は米麦を中心に置いておりまするが、一面には食生活の改善によつて、畜産あるいは水産等を増産対策に加え、これらによつてカロリーの補給を十分にするということが一つ。なお、かんしよのごときものは、現在では十四億貫にすぎない生産でありますが、反当二百貫の生産を倍にし三倍にすることは、技術的にもさまで不可能でないと思う。ただこれらをうまく吸收して、つまり澱粉にするとか、パンにするとか、あるいは米の食生活をかんしよで代用する方法、貯蔵及び加工の方法がうんと伸びて参りますれば、反牧の増收とともに、かんしよだけでも一千万石くらいの食糧補給は、絶対に不可能な問題ではない。今後農林省としては、これらの問題をあわせて取上げて増産対策を進め、なるべく自給度を高め、自給自足に近づける方向に進むべきであるという考えを持つておるわけであります。
  70. 川端佳夫

    ○川端委員 自給度を高めて自給自足の態勢までこぎつけられる可能性について、将来いささか問題も残ると思いますが、従来の日本の米穀対策の実績から見てある程度の輸入を補つて行くという形が、相当自然なものであるように考えておるのでありまして、この点あたりは大きな問題として残つて行くものとして御注意を願いたい。  それから私は食糧の自由扱い、統制をはずすという問題について、個人的には多少考え方がございますが、野党の諸君と考えを同じゆうするものではない。要するに統制をはずして行くということは、先ほどから断片的に伺つたように、国内で需給のバランスがとれて行くという見込みの上に立つて考えなければいけない問題ではないか、こう考えておるのであります。  次の問題は供出制度の問題で、先ほどからいろいろ御覧もございましたが、何といいましてもこの供出制度というものは、非常になまはんかな制度であつて、私は決していい制度ではないと思う。これは上か下か、要するに專売か自由か、どつちかへ移らなければならない。過渡的な方法が今残つておるところに、各種の問題が派生して来るのだと考えておるのでありますが、今後の食糧の需給の見通しと、これに並行いたしまして供出制度について、農林省部内で何か改善といいますか、考え方を考究されておるか伺つてみたいと思います。
  71. 島村軍次

    島村政府委員 農家の立場から考えますと、供出制度の苦労は、数年来まことに不明朗なものがあつたと思うのであります。そこで本年の麦から事前割当制度をやめて、今後は米についても事後割当制度をとつて参ることになり、かつ二十五年産の供出米穀については、地方の御意見も十分取入れまして、強権発動をほとんどとらないという態勢をとつて参られた。GHQの出先の方で多少そこにトラブルがあつたような問題も、あらかじめ首脳部と協議を進めまして、明朗な気分で自主的な供出をやつてもらうということで、サーベルをがちやがちやいわさぬという態度を確認をいたしまして、二十五年度供出をやつてもらつたのであります。前年に比しましては非常な成績をあげまして、ほとんど完納に行つておることも、農民の御努力はもちろんのこと、一面において不明朗な気分が明朗になつたということが、確かにうかがうことができると思うのであります。そこでわれわれも農民の立場から申しますると、本年の麦については事後割当制度をとり、七月に供出が完了いたしましてからはずすということになれば、農民自身の気持においても、相当明るい気分が出ておると思うのであります。そこで問題はただ物量の問題と価格の問題がこれに伴つて来ると思います。本年の輸入の見通しから行けば、先ほど大臣が答弁を申し上げましたように、決して心配の程度でないと思うのであります。ただ麦価が米価の比率に比しては、六十四安いということに対しましては、いろいろ考えさせられる問題があると思うのであります。要するに供出制度については、当分の間、今申し上げたようなことを継続し、そして需給推算の方から考えても心配ないということで継続して参りたい、かような考えを持つております。
  72. 川端佳夫

    ○川端委員 時間がございませんので散漫になりますが、次に伺いたいのは、農地法によりまして土地制度の改革によつて自作農創設が行われた。私は今農政の最も根幹をなすものは自作農の創設後、これの経営維持といいますか、維持指導といいますか、こういう問題が最も大きな問題じやないかと考えております。私は前の農業会が全部よかつたというわけではございませんけれども、最近協同組合の形に移りまして、経営指導という面が相当薄くなつておる。政務次官はかつて指導連におられまして、そういうことについて相当のお考えも持つておられるのではないかという気持もいたすので、私の最も関心を持つておりまする自作農創設後の維持経営と申しますか、これの指導について、農林省では具体的にどういうふうに考えておられるか、伺いたいと思います。
  73. 島村軍次

    島村政府委員 農地改革が一応終りまして、今日の段階におきましてはほとんど買上げ未了のものはないのであります。そこで将来の問題は、これらの自作農になつた者に対する維持――既定方針であつた農地改革が、再び逆もどりするようなことは、国家としてとるべき政策ではないのでありまして、自作農の維持については、結局その土地価格の問題が大きなウエートを持つことになると思うので量ります。現在の程度では御承知通り土地価格はほとんど担保力がないという関係になつておりますので、昨年いろいろ議論もありましたが、ある程度の土地価格なり、土地価格実質的な改訂のような措置も講じたのであります。将来におきましては戰時中、戰前において行われました自作農維持特別会計というものをつくりまして、将来の対策考えなければならぬと思うのであります。これは省内におきましても研究を速めておるのでありますが、一面には資金の問題があり、かつ先ほど申し上げたような土地価格等の問題も関連を持つて来るのであります。  なお、将来農業経営の上に、自作農の維持を進めることに対しては、相当熱心に研究を進めまして、何らかの形で農林政策の上に現わしたい、かようら考えを持つておるのであります。
  74. 橋本龍伍

    橋本主査 時間も大分おそくなつてまことに恐縮でありますが質疑の通告者があと一名でありますから、もう少しごしんぼうをお願いいたします。横田甚太郎君。
  75. 横田甚太郎

    ○横田委員 今の川端委員との質疑応答の中に、強権発動の問題があつたのであります。あれを聞きたかつたのであります。強権発動は、今までのように巡査がサーベルをがちやがちやいわせる――今はサーベルをつつておらない、ピストルですが、それをおやめにして靜かに強権発動をやる、こういうふうにかわつて来た、私はそういうふうに聞いたのです。そこで強権を発動しなければならぬような條件がなぜできるか、政府はこれをどういうように考えておられるか、これを聞きたい。
  76. 島村軍次

    島村政府委員 現在の段階では強権発動ということは、頭の中に入れておかぬでもいいのじやないか、これは私の考えでありますが、政府政策もさような考えを持つておるのであります。ただ御承知通りに米については、現在の食管法において一合五勺を確保して行こうという点から考えますと、いよいよぎりぎりの場合には、農家自身が故意に供出を阻んだような例も従来あつたわけであります。これは内容を調べた上で、第三者から見て公平な判断のもとに、ぜひとも強権を発動すべきものだというような際に、ほんの暗夜の星程度のものがこの対象になるのじやないか、かような考えを持つておるわけであります。
  77. 横田甚太郎

    ○横田委員 私の聞いているのは経済的な條件なんです、私も供出の事務には携つておりましたのでよくこの点はわかるのです。あなたが言われましたように、故意に供出をサボるというような人は、もちろんたまにはあるでしよう、しかしこういう人がある場合においては、その村全体からきらわれて、強権を発動しなくても、弱いところでは村自体がこの人の分を負担している、そうでない場合においてはこの人を摘発している、こういうような形になつておるのです。私が聞きたいというのは政府の農政に無理があるのじやないか、それは自由党だけではない、いかなるものがやりましても無理が生じて来る、その無理はあとで申しますが、その無理のあるところをどうしても規定方針通りに、紙上の計画通りやろうとされるからこういうことになるのじやないか、この点を言つておるのであります。ここに一例があります、これは東京の東秋留の土地取上げ問題です、これが供米に関連して来る、これを聞きたいのは供米と土地と二つの問題があるから聞くのです、東京都西多摩郡の東秋留村では、一昨年暮れから土地取上げの話があつたが、村民はこれを拒絶していたところが昨年九月二十二日、お彼岸の中日に、横田米空軍基地よりジープで同村堀江村長――社会党の人です、その人のところに特調横田出張所事務官とともに米兵が訪問、村長を同ジープに乘せて同村の一等地二町八反をぐるりとまわり、ここを二十年間借上げると言つて引揚げた。関係住民は六十五戸であるが、これらの人は組合をつくり、責任若宮川村議、これは無所属ですが、たびたび特調内幸町不動産係に出向いて交渉したが、初めてはGHQの命令があるから補償金は出ないと言われた。しかし昨年十二月になつて今度補償金を出すから明細を書いて出せと言われ、これを出したが、いまだに何らの措置もとられていない、こういうことがあるのです。ここで聞きたいのは、土地に対する、責任は一体どこが持つか、そのことが一つと、こういうふうに土地がつぶされて飛行場になつた場合においては、その村に対して今まで事前に割当てておつた供出量をまけた例があるかないか。
  78. 島村軍次

    島村政府委員 まけた例はたくさんあると思います。
  79. 横田甚太郎

    ○横田委員 事前割当をまけた例があると言われましたが、私たちの地区においては、強権発動の寸前まで行つたところがあります、これは大阪府吹田市です、それから寝屋川町にも強権を発動されました、それから三島江にも強権が発動されました、こういうふうな場合に強権で発動されたのは、何も農民が米を出さなかつたのではないのであります。そこでは転落農家がふえておる、完全農家減つておる、従つてそれに対し供出法規を適用するなれば、そこにには供出総量をまけなければならないにもかかわらずまけてないのであります、上つておるのであります。それですから私は具体的な事実から見て、その場含は政府が讓歩すべきか、農民に強権を発動してむりやりに米をとるべきかということを伺いたいのであります。
  80. 島村軍次

    島村政府委員 割当をいたしますと、町村長及び府県知事が大体末端の仕事をやつておるのでありまして、具体的な問題についてこれを政府がどう考えるかということは、具体的事実によらなければならぬのであります。さように御承知を願います。
  81. 横田甚太郎

    ○横田委員 具体的事実は私が申し上げた通りでありまして、転落農家がふえるということは、その村に対しては供出割当の総合量が減るということになるんでしう。その点はどうですか。
  82. 島村軍次

    島村政府委員 その事実も、ただいまお読みになつただけではちよと判断しかねます。
  83. 横田甚太郎

    ○横田委員 今の農政から参りまして、大体転落農家がふえる理由はないでしよう。あなたは農政通りなんですところがそれがふえていることに対して御不審を持ちませんか。
  84. 島村軍次

    島村政府委員 はなはだ遺憾でありますが、そういう事実のあることは認めております。
  85. 横田甚太郎

    ○横田委員 そうすると、供出というものは、農家に許す保有量がきまつているから、それから残つたものをとるんでしよう。そうすると転落農家がふえれば、勢いその村に対する供出の総量は減るんじやないんですか。その点はどうですか。
  86. 島村軍次

    島村政府委員 ただいまのお話だけで考えればさようになると思いますが、さような転落農家がふえた場合に保有量はきまつているから、ただちに供出量が減るのだという断定はすぐには下せないと思います。
  87. 横田甚太郎

    ○横田委員 土地は同じことですよ。土地を五人の百姓が耕やしている、その場合には五なるものが余つて供出される、そして五が消費されるわけです。それが八になつた場合には、二しか出ないようなりくつになるでしよう、その点はどうですか。
  88. 島村軍次

    島村政府委員 お話通りであれば、数字的には供出量が減るべきだと思いますけれども、先ほど申し上げた通りに、それだけの事実でただちに供出量が減るものだという断定は下し得ないと思います。
  89. 横田甚太郎

    ○横田委員 下し得ないのではないのでありまして、法の適用というものは一つなんだ。法の適用から見た場合に、供出というものは――ここに農家がある、そしてある程度の田を耕している。その農家には二つの種類がそる。保有農家と転落農家がある。その保有農家と転落農家なるものがいろいろの比重になつて、その村から供出米がよけいに出る、少し出るというように、きまつて来るのが私は供出法規だと解釈しております。その点については何かとぼけた答弁をしておりますが、あなたは事情をよく御存じで、こういう場合には政治的に解釈しておられる。政府に讓るべき立場があるにもかかわらず、讓らずに既定計画通りにやられるところに、強権発動の何かがあるのではないか。現に片一方は強権を発動され、片一方にはやみ米が相当ある。こういう矛盾した供出制度がありますか、その点についてのお考えはどうですか。
  90. 島村軍次

    島村政府委員 従来末端の割当というものは、必ずしも公平に行つていないと思います。その結果が出て来るのであつてこれはお話通り、各所でそういう問題があつたことは私よく知つております。そこであなたのお話のような点だけをもつてすれば減額すべきだと思います。しかし私が断定を下すことができないと言うのは、あなたがきようお尋ねなつたような要素だけではなく、ほかにもあつたかどうかということ、他のフアクターがあつたかどうかということが、はつきり断定し得ないのではないかということを申し上げたのであつて、あなたのお話通りであるとすれば、それは補正すべきだ、こういうことです。
  91. 横田甚太郎

    ○横田委員 時間もせかれておりますので、すなおに答弁をしてもらいたい。そうすれば私もいらない追究はいたしません。とにかくいらぬことを言われて逃げられるとつい時間をとりますから、その点をよくお願いいたします。それからさきの飛行場の問題です。一旦は農地であつて――現在の農地は農地委員会が責任を持つている。そうするとこの農地に対して、飛行場あるいは宅地であろうとも、これをつくつていいのか惡いのかということが問題になつて来る。事米軍に関しては自由党としては答えにくいと言われるかしれませんが、簡單な問題です。あの決議には「農民は農地として借上げられるより宅地として借り上げてもらいたいそして農道を国庫負担で新しくつくつてもらいたい。」こう簡單に言つている。大体これが農民の意見らしい。こういう場合においてはすでに妥結点がついている。離してはならぬ土地を離そう、ここで讓つている。私が聞きたいのは、これだけではない。山形県の酒田市附近にもありました。あるいは元陸軍の明野飛行場のあつた所にも、こういう問題がある。大阪の豊中においてもある。一応農地として解放された所が、軍の目的のためにこれが農地でなくなる場合におきましては、農民はいかような補償をもらつているか、また補償をもらえるのか、もらえないのか、もしもらえる場合には政府はどういうふうにあつせんしているか、こういうことを聞きたいのであります。
  92. 島村軍次

    島村政府委員 飛行場であつたものを農地にした、農地にしたものをさらに飛行場にした、こういうことですれその場合に買上げをするかせぬか。これは買上げたら金を出さなければならないでしよう。
  93. 横田甚太郎

    ○横田委員 そんなことを聞いているのではありません。そう簡單に買上げられないのが農地なのであります。ところがそれを買上げるということは、米軍の力によつて買上げて行く。その点についてはあなたは次官であつて大臣が言うことだ、大臣に言わせるとそれは総理大臣の言うことだと言いますから、強くは聞きませんが、そういうように農地が瀕繁にとられては困る。しかもとられているような場合におきましては、これは補償されるか補償されないか。また買上げられる場合におきましては、農地料金として買上げられるのか、宅地料金として買上げられるのか。地主が土地を買上げる場合には農地として農地料金で買いました。しかし今度米軍が飛行場にします場合に、アメリカの国防計画から見まして、百姓をしているどころのもうけではない、もつとぼろいのです。うんともうかるのですから、そういうようにもうかる軍事基地になるような所に対しましては、宅地以上の料金で買上げてもらつてもいいわけです。私はそう解釈する。だからこういうように土地が買上げられるときに、日本農民として一体どのくらいの料金を請求していいものか惡いものか、その点を承りたい。
  94. 島村軍次

    島村政府委員 その土地に応じた価格で買上げるのであつて、その場合の具体的な価格は、農地委員会において民主的に決定するのであります。
  95. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは決して農地代金として決定されるというのではないのですね。はつきり聞いておきますが、その土地の事情に応じて妥当にきめたらいいというわけですね。
  96. 島村軍次

    島村政府委員 そう思います。
  97. 横田甚太郎

    ○横田委員 供米の問題でありますが、検査をする場合に政府が故意に惡くしております。農民自分経済のために百姓をしているのですから、廣川さんの言うようにはうまく行かない。その場合において、政府が故意に惡く供米の検査基準を適用するのであつたならば、おれの方にも考えがあると言つて、乾燥を十分にせずに出すような例がたくさんあります。私は農民の味方でありますから、やるのがあたりまえだと思います。そこで向いたいのは、政府としては供出の出た総量と、一年を通じて配給した後における総量の統計をとられたことがありますか、ありませんか。
  98. 島村軍次

    島村政府委員 あります。
  99. 横田甚太郎

    ○横田委員 あると言われたから聞きますが、そういうふうなことをやつた結果としてどちらが得であつたか伺いたい
  100. 島村軍次

    島村政府委員 数字が御必要ならば、あとでお届けしてもよいのですが、しかし検査は公平にやつているのですからあなたのお話のようなことはありません。
  101. 横田甚太郎

    ○横田委員 検査は不公平なんですよ。この間の農林委員会でも申したように、検査には一等、二等、三等、四等五等とあつて、検査官は一等、二等、三等、四等、五等の印を持つて行くのがあたりまえです。ところが大阪府においては一等、二等、三等の印を持つて行かずに、農民に検査されて、検査官があわてて印をとりに行かれたことがある。だから故意にやつていると言わざるを得ない。去年と今年を見た場合に、今年の米の品質が惡いのではない。まだ日本農民に納得の行かないところがある。外国の細い、たいてもうまくできない米が何等に当るか、日本の米よりも惡いにかかわらず、よい値段で買つておいて、農民が三等の米を四等にされてどうしてがまんできますか。故意に検査規格を嚴重にして、食管特別会計なるものの金繰りに專念されると、かえつて大きな損をするのではなかろうかと思います。ですから農民が納得して出すところの検査規格にしたらよくないか、この点政府の方で十分考慮されて、それを政府の資料にして出していただきたい。  大体私がふしぎに思うのは、米穀の検査の点について、たとえば一等、二等、三等、四等、五等とあるでしよう。これは三等を基準にして、三等は四貫目、四等は三貫八百五十匁、一等はそれよりずつと多い。二等も多い。そこで問題になつて来るのは、百姓が米を出す場合には、俵の中に米を入れる、入れるときにはますではかる。検査のときにはキロでとる。これをわれわれの方では貫で行つております。その場合に、米の検査が四等になつたならば、四等というものは乾燥度合あるいは整粒分合、こういうものを合算して大体四等で三貫八百五十匁しかないはずです。そうすると、これを四斗とはかつたところが足りない、八百五十匁ほど足りない、一升なんぼ足りない、そういう場合に私は非常な矛盾を感ずる。なぜかと言えば米か何ぼとれるかとれないかということを農村においてきめます場合に、検見に参りますときには、一反について何石何斗できたと仮定する。そのときは等級がないはずだ。米穀検査にあたりまして、こういうような不合理なことをやられる。不作の年に限つて政府はそれをやつて、米がよけいにとられて村に米がなくなる。それがすなわち強権発動の原因になつて来る。こういう点について政府はどう考えておられますか。
  102. 島村軍次

    島村政府委員 供出数量決定には重量を使つております。ただいまのお話は、物が惡くなつて重量が少いと、よい入れなければならぬから、供出数量をよそよりよけいに出さなければならぬということだと思います。そういうことはある場合には考えられると思いますが、これが強権発動の因にはならぬと思います。
  103. 横田甚太郎

    ○横田委員 検見に参りますときに、これを重量でやるほど農民は訓練されていない。石とと升と合なのです。検査の場合におきましては貫なのです。キロです。ここに大きな矛盾がある。それを検査されます場合において、四等にされますと値段が落ちる。四等にされました場合に、計算しても、一斗について大体百五十匁足りないのだつたら六百匁足らなくなる。六百匁足りなくなつたら、約一升五合ほどのものが、四等米についてはよけいに出していることになる。四斗ではないのであつて四斗一升五合出している。この矛盾を政府は認めるかどうか。認めるならば何らかの形において善処してもらえるか、もらえないか。これは農林で重大問題になる。去年もこの問題があつたために、アメリカも譲るところがあつて何回かにわたるところのいわゆる面積の補正、あるいはそれ以外の何とか補正という、ややこしい補正で農村に米を返したのだと思います。この点において農村の検見に参りますときには、これを貫でやるほど農民は訓練されていない。石と升と台です。それをこの検査の場合は貫に振りかえる。それゆえに振りかえた場合に、検査が一等、二等、三等にわかれて、四等は米をよけいにとられる結果になる。この点を政府は認めるかどうか、何らかの形において善処してもらえるかどうか、お聞きいたします。
  104. 島村軍次

    島村政府委員 横田さんは昨年も今年もそうだと言われるが、政府供出米は、目方でずつと以前からやつている。今に始まつたことではない。それは石といつても貫立ての石だということはよく知つております。
  105. 橋本龍伍

    橋本主査 他に御質疑もないようでありますから、農林省関係はこれをもつて質疑を終了いたします。  よつて昭和二十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林省及び通産省所管について本分科会における質疑は全部終了いたしました。  この際お諮りいたします。当分科会における討論、採決は予算総会に譲るべきものと決定いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 橋本龍伍

    橋本主査 御異議なきものと認めます。さよう決定いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後一時三十九分散会