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1951-02-20 第10回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和二十六年二月十九日(月曜日)委 員長の指名で次の通り選任された。     ―――――――――――――    主査 橋本 龍伍君       天野 公義君    江花  靜君      小野瀬忠兵衞君    川端 佳夫君       松浦 東介君    松本 一郎君       宮幡  靖君    井出一太郎君       竹山祐太郎君    水谷長三郎君       横田甚太郎君    小平  忠君       黒田 寿男君    小林  進君     ――――――――――――― 会議 昭和二十六年二月二十日(火曜日)     午前十時五十一分開議  出席分科員    主査 橋本 龍伍君       天野 公義君    江花  靜君      小野瀬忠兵衞君    川端 佳夫君       宮幡  靖君    井出一太郎君       竹山祐太郎君    横田甚太郎君       小平  忠君    小林  進君  出席国務大臣          通商産業省大臣 横尾  龍君  出席政府委員         農林政務次官  島村 軍次君         農林事務官         (大臣官房会計         課長)     伊東 正義君         農林事務官         (農政局長)  藤田  嚴君         農林事務官         (農政局長)  平川  守君         農林事務官         (農業改良局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (畜産局長)  山根 東明君         農林事務官         (蚕糸局長)  最上 章吉君         食糧庁長官   安孫子藤吉君         林野庁長官   横川 信夫君         通商産業政務次         官       首藤 新八君         通商産業事務官         (大臣官房長) 永山 時雄君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     伊藤 繁樹君         通商産業事務官         (通商繊維局         長)      近藤 止文君         通商産業事務官         (通商雑貨局         長)      田中  茂君         通商産業事務官         (通商機械局         長)      玉置 敬三君         通商産業事務官         (通商化学局         長)      長村 貞一君         資源庁長官   始関 伊平君         通商産業事務官         (特許庁総務部         長)      松永  幹君  分科員外出席者         通商産業事務官         (通商局通商政         策課長)    小室 恒夫君         通商産業事務官         (通商振興局経         理部長)    石井由太郎君         通商産業事務官         (通商企業局次         長)      岩武 照彦君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    記内 角一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  委員長及び理事の互選  昭和二十六年度一般会計予算農林省及び通商  産業省所管  昭和二十六年度特別会計予算中農株省及び通商  産業省所管  昭和二十六年度政府関係機関予算農林省及び  通商産業省所管     ―――――――――――――
  2. 橋本龍伍

    橋本主査 ただいまより予算委員会第三分科会を開会いたします。  本分科会は、昭和二十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林省及び通商産業省所管審査に当ることに相なつておるのでありますが、審議の都合上、まず先に通商産業省所管、これをなるべく午前中に済ませまして、午後は農林省所管とし、本日審議し盡せなかつた分は明日に讓りたいと思いますから、さよう御了承を願います。  それではこれより昭和二十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、通商産業省所管議題として審査に入ります。まず政府より説明を求めます。通商産業政務次官
  3. 首藤新八

    首藤政府委員 ただいま議題となつております通商産業省所管予算各案について御説明申し上げます。  まず昭和二十六年度通商産業省所管一般会計予定経費要求額は、百十四億九千六百六十八万七千円でありまして、これを前年度予算額四十七億六千六百四十七万七千円と比較いたしますと、六十七億三千二十一万円を増加いたしておるのであります。  本年度予定経費要求事由中重要なものについて御説明いたしますと、第一に貿易振興対策に必要な経費であります。現在の貿易事情等に顧みまして、貿易自立態勢確立と、輸出振興をはかるため、通商協定の締結、運営海外市場調査海外販路の開拓、貿易団体助成貿易特別会計廃止に伴う措置、緊要物資輸入基金特別会計基金繰入れ等に要する経費といたしまして、五十九億五千八百七十一万九千円を計上してあるのであります。  次は工業技術振興対策に必要な経費であります。わが国の経済的自立のためには輸出振興にまたねばならないことは当然でありますが、これがためには戰時中において著しく立ち遅れた工業技術の水準を高めることが何よりの急務であります。従つて昭和二十六年度の予算におきましては、特にこの点に重点を置き、鉱工業科学技術研究充実工業化試験実施補助推進応用研究振興助成、各企業における生産工程の計測及び工業標準化実施等に必要な経費として、十六億七千九百五十四万二千円を計上いたしておるのであります。  次は中小企業対策に必要な経費であります。中小企業振興が、輸出振興及び国民生活安定の見地から特に緊要であることは申すまでもありませんが、最近における金融及び物資需給情勢下におきましては、この方針をさらに強化し、中小企業維持育成に万全の対策を請ずることが特に肝要であると考えるのであります。かかる考えのもとに、昭和二十六年度予算におきましては、中小企業振興をはかるため、総合企画の設定、中小企業相談所設置中小企業実態調査及びこれに基く指導、診断、育成中小企業協同組合共同施設費補助及び中小企業信用保険特別会計基金繰入れ等に必要な経費、十三億六百三十八万九千円を中小企業庁に計上いたしたのであります。  次は国内資源開発に必要な経費であります。経済自立態勢確立の一環として、国内における地下資源開発促進をはかることはきはめて大切でありますが、特に最近の国際情勢にかんがみるときは、国内資源開発重要性はなお一層増加しつつある現状であります。これがため石炭の全国埋蔵量炭量炭質調査採炭方式改善補助金属鉱物鉱量調査重要鉱物探鉱探査補助及び国産原油試掘補助に必要な経費として、三億五千二百七十八万八千円を計上いたしたのであります。  次は自転車及び自動車振興対策に必要な経費であります。自転車競技法及び小型自動車競走法に基く競走の完全なる運営をはかり、かつ自転車及自動車工業振興をはかるため、海外市場調査、カタログ及び現物による海外への宣伝、性能の研究生産施設合理化補助検査施設充実金融確保等に必要な経費として、三億七千七百六十八万五千円を計上いたしました。なお右経費のほか前記貿易振興対策工業技術振興対策中小企業対策等経費中に自転車及び自動車関係経費として、一億一千六百万円計上いたしてあります。  次に昭和二十六年度通商産業省所管アルコール專売事業特別会計歳入歳出予算の大要を御説明申し上げます。  昭和二十六年度の歳入予定額は、三十九億一千三百万五千円、歳出予定額は、三十一億一千七百四十七万八千円でありまして、資産、売掛金等関係を加減いたしますと、昭和二十六年度の益金予定額は、六億八百七十四万円となります。これを前年度の益金予定顧七億五千九百二十万七千円と比較いたしますと、一億五千四十六万七千円の減少となりますが、これは主として売渡し数量減少によるものであります。  次に昭和二十六年度米国日援助物資等処理特別会計歳入歳出予算について御説明申し上げます。昭和二十六年度の歳入予定額は、六百八十五億四千九百十五万四千円、歳出予定額は、六百八十五億四千九百十五万四千円でありまして、歳入歳出予定額同額であります。これを前年度の歳入歳出額一千五百九十三億五千二百九十万一千円と比較いたしますと、九百八億三百七十四万七千円を減少いたしておりますが、これは米国の対日援助予算減少するためであります。  次に昭和二十六年度輸出信用保険特別会計歳入歳出予算について御説明申し上げます。昭和二十六年度の歳入予定額は、十四億四千九百五十万一千円、歳出予定額は十四億四千九百五十万一千円でありまして、歳入歳出予定額同額であります。  次に、昭和二十六年度緊要物資輸入基金特別会計歳入歳出予算について御説明申し上げます。  昭和二十六年度の歳入予定額は七千五百六万六千円、歳出予定額は七千五百六万六千円でありまして、歳入歳出予定額同額であります。但しこの予算の裏づけとなりますところの法案は、いろいろの事情でいまだ国会に提出する運びになつておりませんが、できるだけ最近に御審議をいただきますよう準備を進めている次第であります。その内容は、現下の情勢にかんがみ、特に緊要なる物資について、国家の基金をもつて輸入しようとするものでありまするが、その詳細は、近く提案いたします法律案につきまして御審議をいただきたいと思うのであります。  次に、昭和二十六年度特別鉱害復旧特別会計歳入歳出予算について御説明申し上げます。昭和二十六年度の歳入予定額は三億八千三百十一万一千円、歳出予定額は三億八千三百十一万一千円でありまして、歳入歳出予定額同額であります。  最後に、昭和二十六年度中小企業信用保険特別会計歳入歳出予算について御説明申し上げます。昭和二十六年度の歳入予定額は十九億七千四百二十八万八千円、歳出予定額は十九億七千四百二十八万八千円でありまして、歳入歳出予定額同額であります。昭和二十五年度に比べまして、歳入において十三億八千六百三十九万三千円、歳出において十九億六千七百四十一万二千円を増加いたしましたのは、二十六年度において、一般会計より基金として新たに十億円の繰入れを行つた結果であります。  以上で、通商産業省所管一般会計及び特別会計予算説明を終りますが、なお御質問に応じまして詳細御説明申し上げたいと存じます。何とぞ御審議の上御協賛をお願いたす次第であります。
  4. 橋本龍伍

    橋本主査 質問に入るに先だちましてお伝えいたします。横尾通商産業大臣はただいま経済閣僚懇談会出席をいたしておりまするので、もう少したちましてから出席をいたします。それまでしばらくお待ちをお願いいたします。竹山祐太郎君。
  5. 竹山祐太郎

    竹山委員 事務当局に少しお伺いしておきます。本年度予算ができ上るまでに、事務当局として大蔵省に要求をされた予算総額といいますか、全体はどのくらいであつたか。それが今回の予算に最終的にこうきまつたわけでありますが、一応参考に伺つておきたい。
  6. 永山時雄

    永山政府委員 二十六年度の一般会計予算といたしましては、先ほど政務次官の方から御説明を申し上げましたように、大体現在までに査定を受けて確定をいたしておりますものは百十四億ほどでございまして、二十五年度の予算比較をいたしますと、最初比較にならないものをいろいろはねのけまして、実質的にこの増減の関係を見ますと、約八億五千万円ばかりふえておるのでございますが、当初の要求におきまして、大きく違いましたものは、銑鉄補給金、それから機械設備更新予算、これを通産省としては要求をいたしたのでございます。その銑鉄補給金が御承知のような結果で、二十五年度限り廃止をするということに政府方針が決定をいたしましたので、従いまして銑鉄補給金関係がなくなり、それから機械設備更新関係は、これも企業合理化といいますか、設備近代化といいますか、そういう意味通産省としてもぜひ希望をいたしたのでございますが、これにつきましても、いろいろ国内の税の軽減の問題、あるいは輸入税の免除の問題、それから資金のあつせんその他の手段で解決をして行こう、予算の問題としてこれを取上げることは、現在の予算のもとにおいては困難であるという結論になりまして、これも一応落ちたのでございます。銑鉄補給金は当初の要求が大体五十億前後、それから近代化予算要求は、最後のところでは大体六億程度要求なつたのでございますが、これもただいま申し上げたような次第でございます。その他の点につきましては、多少の数字の出入りはございますが、大体費目要求としてはほぼ通つておるわけであります。
  7. 竹山祐太郎

    竹山委員 大体了解いたしました。そこで事務当局考えておる今の現状からして、その後の情勢で二十六年度予算に今後どうしても補正追加をしなければならないような必要をお感じになつておるものがあるかないのか、これを伺いたい。
  8. 永山時雄

    永山政府委員 通産省といたしましては、特に最近の情勢に即しまして、現在いろいろな新しい意味政策研究中でございます。これには、いろいろ新聞紙上その他にも出ておるように、まず第一は輸入力の増強の問題でありますが、それにつきましても、先ほど政務次官説明の中にもありましたような、新しく輸入に関する基金特別会計設置考えておるのでございますが、はたして今後の情勢推移によりましてはその程度の規模で間に合うかどうかという問題もございまして、そういう意味でせつかく計画考えております。あるいはまたそれに伴つて国内資源開発のような問題も進展しております現在の情勢から見ますと、さらに一層予算の面におきましても、国内資源開発等政策は、もう少し強化する必要があるのじやないかというような感覚を持つてお事りまして、そういう意味政策研究中でございます。従いましてそれらの政策がまとまりまして、各方面との折衝の進展のいかんによつては、そういう意味予算補正をお願いすることがあるいはあり得ると思います。
  9. 竹山祐太郎

    竹山委員 私もそういう感じを持つわけでありますが、そこで私今の御発言に関連して一点だけ伺つておきたいと思います。それは差追つての問題であります。私らの感覚からいえば、講和問題に没頭しているあまり、政府閣僚経済問題を一体どう考えておるかという疑問を持つたほど、今の物価の上昇を初め、国民生活の問題については重要な段階が来ておる。従つてこれに対していろいろ手を打たれる必要は差迫つておる。一般論は申しませんが、今お話なつ銑鉄補給金を、今年度一部をやめて燐鉱石補給金にまわそうということが、本日も引続いておるようでありますが、昨日の経済閣僚懇談会できまつたということが新聞に出ております。この間安本長官は、委員会において私の質問に対して、今年度及び明年度についても考えるのだということを言明をしておりますが、大蔵大臣はそんな必要はないと言つておるようであります。この点は別の機会に伺いますが、通産省としては燐鉱石補給金について今年度及び明年度についてどういうお考えを持つておられるか、事務当局の御見解を伺つておきたいと思います。
  10. 長村貞一

    長村政府委員 燐鉱石につきましては、御承知通りただいま鉱石自身に三千三百七十円の補給金がついておるわけであります。御承知通り肥料価格、特に燐肥価格をあまり急激に上げませんためには、現在の補給金制度をさらに継続するということは十分考えなければならぬと思つております。これは物は物価庁所管の問題でございますので、ただいま物価庁中心といたしまして検討を進めておるわけでございますが、私ども肥料生産行政を扱つておる者の立場から申しましても、現在のような情勢でございますならば、肥料補給金は当然継続する方向考えて参りたい、私どもはかように考えておる次第でございます。
  11. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいまの化学局長説明によりますと、補給金を継続して行きたい考えであるという御説明であります。やはり肥料行政がこれだけ緊迫して、重要問題として国会においても取上げられ、また生産者消費者も真劍に考えておることは、いよいよ本年をもつて完全に補給金がなくなる、現に昨年の一月から七月までの間に七割も値上げになつて、実際肥料を使う農家として非常に大きな打撃を受けておるということであります。そういう観点から、事務当局として補給金を継続をして行きたいという気持はわかるのでありますが、この問題について、現に二十六年度の予算書には補給金は切られておる。そこで私は肥料のごときものこそ、補給金を継続して行くのが筋ではないか、こう思うのであります。事務当局はつけて行きたいという考えであるが、現に予算書には計上されていない。そこで今後の見通しであまりす。いろいろ国際情勢推移等考えなければなりませんが、今後この補給金を復活し得るような見通しがあるかどうかという点についてお伺いをしたい。
  12. 長村貞一

    長村政府委員 お話のように、二十六年度予算といたしましては、ただいまのところは補給金予算は計上してないわけであります、二十五年度で打切つております。最近の燐事鉱石価格、特にフレートの値上りということを考えますならば、先ほど申しましたように、燐肥価格をある程度にとどめるという見地から、私どもとしてはさらに補給金を継続して参りたいと考えておるわけであります。これは主として物価庁の主管しておりたものでありますので、ただいま物価庁中心として鋭意検討中でありますけれども、まだ結論は出ないわけであります。私どもとしてはつけるという方向にただいまのところは検討が進んでおるということを申し上げておきます。
  13. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいま努力中であることはわかるのですが、私がお伺いしたのは少くとも見通しであります。全然補給金はつかぬというならばつかないような態勢で行かないと、食糧の一割増産などを政府考えましてもこれはとうていおぼつかない問題だろうと思うのです。そこで実際にその衝にタツチされておる通産省事務当局見通しを私はお伺いしたいのであります。絶対に不可能であるか、場合によつてはつけられるという見通しがつくのであるか、その点をお伺いしたい。
  14. 長村貞一

    長村政府委員 私どもといたしましては、ただいま申しましたようにつけたいという考えをいたしておるわけであります。私ども見通しではこの問題はつけるという方向に話が進むであろう、かように考えております。
  15. 井出一太郎

    井出委員 ただいま小平委員から肥料お尋ねがありました、これに関連してお尋ねをいたします。肥料行政の一元化ということが叫ばれてずいぶん久しいのでありますが、これが今日まだかようなところに参つておらぬ、従つて私のお尋ねすることもあるいは農林省とも関係があるかもしれませんが、それはまた別の機会として、通産省においてお答えでき得る範囲で御質問をしたいと思います。この肥料配給価格工場渡しのオン・レールということに相なつて、これが全国的にばらまかれる場合地域的に非常な差異が出て参ると思うのであります。さしあたり小平委員などのおられる北海道の問題としては、これはきわめて重大であろうと思いますが、何かプール計算とでもいうか、そういうものによつて調節をとろうというようなお考えがあるかどうか、これは物価庁にも関係するかと思いますが、その点をまず伺つておきます。
  16. 長村貞一

    長村政府委員 肥料配給の問題は農林省所管になりますので、私からお答えすることはいかがかと思いますけれども、便宜申し上げます。去年の八月に統制を撤廃してからマル公がなくなつたわけであります。従つて肥料価格というものは場所によつて異つておる現状でありますけれども、ただいまのところこれをプール計算というような方法で均一に定めるという考えは持つておらないのであります。
  17. 井出一太郎

    井出委員 問題が農林省関係が多いようでありますから、またその方面へ伺のことにして一応保留をいたしますが、食糧価格が御承知のようにパリティー計算で均一なものである。その生産費内容を構成します最も重要な要素としての肥料価格が、今のように運賃その他のフアクターからまちまちな価格に相なることは、相当に大きな問題を残すと思いますが、ただいま関係範囲でないという御答弁でありますから、これ以上は申し上げません。  昭和二十六年度予算の最も大きな問題の一つは、やはり貿易対策をどのように織り込むかという問題であろうと思います。かつて通産省通商白書をお出しになられました。いわゆる海を越えての再生産という観点から、たとえばローガン構想というふうなものによりどころを求めて、輸出を第一主義にせられておつたようでありますが、ただいまの段階においては一種のこれは飢餓輸出に相なつている。なるほど昨年の動乱勃発以来、あるいは特需、あるいは輸出と非常にその方面に活発を来しましたが、この狭い国のとしい資源あるいは従来のストツクというふうなものを、あげてこの方面で吐き出している、こういうことでございましよう。従つてこれを補充する意味において――もちろん日本の経済自立輸出にまたなければならぬことは当然でございますが、そのための原料、資源というものは国内にはきわめて乏しい。従いましてその大部分を輸入にまち、そうして幸いに戰災を受けたとはいうものの、国内に温存されている工業設備、これに技術労力等をプラスすることによつて輸出工業が成り立つのでございますが、この根本をなす最も重大な輸入対策、ただいま次官の御説明の中にもそれが強調してございますが、こういう抽象的なことだけでなく、もう少し詳細に通産省としては輸入対策をどう考えているか、これをまず最初に伺いたいと思います。
  18. 小室恒夫

    小室説明員 それではただいままで通産省関係官庁とともに輸入促進のためにとつて参りました措置の概略を申し上げます。  まず第一に政府輸入を促進いたしますためには、現在政府が手持ちしております外貨の効率的な運用をはかるということがきわめて肝要でございまして、そのためにまず第一に輸入物資に振り当てる外貨予算朝鮮事変後飛躍的に増大せしめる、これはしばしば御説明申し上げたところでございますが、一例を申し上げますと、一月ないし三月の最終的な輸入外貨予算というものは一億二千三百万ドル、しかも実際にこれが公表せられて、実行計画として具体化したのが七千三百万ドルでございます。それからまた四月ないし六月の最終的な外貨予算は一億七千三万ドル、これが公表せられて、具体化されたので一億六千万ドルでございます。今の公表額を基準にいたしますと、三年間に一億三千三百万ドルという比較的少い、あるいはきわめて少い金額になつているわけでございます。ところが朝鮮事変後、世界の貿易情勢が一変いたしまして、金を握つてつてもなかなか思うように物が買えないような状態に相なりました。従来の貿易政策を、お話通り輸出重点から輸入重点に切りかえまして、その結果として七月ないし九月の最終的な外貨予算は四億四百万ドル、そのほとんど全部公表いたしまして、三億三千九百万ドルというような具体的な実行計画ができ上つた次第であります。また同じ時期にこれとほぼ別わくでもつて、一億一千二百万ドルの長期的な輸入契約を認める予算を計上したわけでございます。それから十―十二月におきましては、五億二千九百万ドルという最終的な予算を組みまして、四億六千七百万ドルを公表しております。公表額だけを比較いたしましても、長期契約のための特別予算を除きまして八億六千万ドルぐらいになりますが、全般に三倍以上四倍に近いような巨額の外貨予算を組み、これを実行に移しているわけでございます。それから一月ないし三月の予算は、今日追加予算に追加予算を重ねておりまするので、まだ最終予算というものはできませんが、それも大体六億を超過するような金額になつております。それを着々公表し、実行に移しているわけでございます。これは何よりも輸入貿易の拡大の基礎になるわけでございまして、輸入予算の飛躍的な増大、それからまた予算を組む際に、金繰り予算と普通申しておりますが、外貨がいつになつたらどのくらいできるかということを詳細に計算いたしまして、外貨の余裕のある限度においてはあくまで輸入を積極的に実行するという建前で予算も組んでおつたわけでございます。  それから予算の運用に関することになりますと、あまり長くなりますから少し簡單に申し上げますが、自動承認制の拡大、これは御承知のように非常に簡單な輸入制度であります。自動承認制の対象にしております物資は、現在食糧を除きましてはほとんどあらゆる品目にわたりまして、大体百七十品目になつております。むしろ自動承認制の品目の方が一般外貨割当品目よりも多いのが現状でございますが、きわめて簡單ないわゆる輸入の承認制度が今日ではむしろ主流をなしておりまして、これは輸入促進考え方の一つの現われでございます。  それから先ほど申し上げました長期契約予算というものは、七十九月に初めて編成したわけであります。十―十二月予算以降におきましても、本予算の中に長期契約を認めるような考え方を採用いたしまして、別立の長期契約予算をつくりませんでした。外貨予算が、その中に必要に応じて先物の契約できるような予算措置が入つているわけでございます。それからまた当初は、この外貨予算を編成し、あるいはこれを運用する際には、ちようどドル不足の世界情勢でもありましたので、非常にドルをかわいがつた傾向が強かつたのでありますが、朝鮮事変後の情勢に対処いたしまして、また特に中共との貿易関係が変化して、新情勢に対応いたしまして積極的にドルを使つて、ドル地域から物を買いつける。また場合によつてはドルでなければ買えないものであればドル地域から幾らでもドルを使用して買いつけるべきだという考え方を進めているわけでございます。たとえば一―三月の最終予算の中でドル地域から買付に充てられたものは、わずか三割、それから四―六月では二割くらいでありますけれども、今年の一―三の当初予算でありますと、五三%くらいがドル地域からの買付に充てられている。これは特に中共貿易が変調を来しましたあと、塩、鉄鉱石、粘結炭等あらゆる物資がアメリカの方へ依存するような状況になつて参りましたので、そういう状態も反映しているわけでございます。  それから今ドルのことを申し上げましたが、ポンド資金の不足が非常に貿易の制約になつておつたのでありますが、これもポンドで現物を買つて、先物で売る――スワツプ取引と申しておりますが、このスワツプもやる。特に最近ではAKの外国銀行から資金を借りるというユーザンス制度をやつてもらえることになりまして、ポンド資金の手当も十分にいたしまして、現在ではポンド資金の面から物が買えないということは解消しているわけでございます。  それからドル、ポンドと並行して、いわゆるオープン・アカウントという資金の貿易協定がございますが、これらについてオープン・アカウントのわくでもつて輸出入取引、特に輸入の拡大ということが制約されないように、そのわくを越えて、場合によつてはオープンーアカウントのしりはドルで決済しても必要な物は買う。現にフィリピンにおいて実際にドルを払つて、物を買つたしりをドルで決済するという事例が最近起つたのでありますが、そういうやり方をしているわけであります。要するに金に糸目をつけないで、必要なものを確保するということが外貨予算の編成に際して、また運用に際しての眼目になつているわけでございます。  それから輸入促進措置としては、そのほかに国内輸入金融の円滑化の問題、あるいは船腹の確保の問題、貿易特別会計のなくなつたあとの政府資金の運用をどういうようにするか、これは先ほど政務次官からお話になりました緊要物資輸入基金特別会計というものが重要なものになりますが、これらについてはただいまは項目だけをあげるのにとどめまして、必要がありましたらお答えいたしたいと思います。
  19. 井出一太郎

    井出委員 大体輸入促進に関してい通産省が揚げられているいろいろな政策についてお話になられましたが、世界的に軍備拡張競争とでもいう状態が出て参りまして、原料、資源を獲得するという意味においての冷たい戰争がすでに展開されているわけであります。こういう際に政府の手を打つこと遅きに失して、それがために、たとえばカナダや濠州の小麦がインドなどによつてすつかり買いつけられて、こつちが後手にまわつているような事例も聞くのであります。今金に糸目をつけずに存分買つて買いまくりたいというような御説でありますが、五億ドル以上にも上る外貨をむなしく手持ちにしているという手はないのであつて、これは当然今おつしやるような方法で緊急に手を打つていただかねばならぬと思うのであります。そういう際に、今占領下の貿易が、そういう管理下に置かれているがゆえに、非常に大きな支障がどういう点にあるのか、形式的にはもうそういう障害は乗越えて進み得るのだ、こういうことでございますか。あるいは対司令部の関係ないしは通産省と大蔵省との関係において、外貨資金を使おうという計画が実際にはどこかにネツクがあつて、妨げられるような点でもあるならば、こういうものは解きほぐして行かなければならないのであります。こういう点についてお尋ねいたしたいと思います。
  20. 小室恒夫

    小室説明員 ただいまのお尋ねでありますが、朝鮮事変直後の情勢と最近の情勢と多少かわつております。最近の情勢について申し上げますれば、輸入促進の必要については司令部と日本政府の各官庁一致した立場をとつております。最近特にその外貨予算の運用の面から、あるいは外貨予算の編成の面から輸入が妨げられているという事例はほとんどないということを申し上げた方がいいかと思います。なお外貨予算につきましては、大蔵省で関係しておりますが、今お話の点は外国為替管理委員会が、いわば外貨を経理し運用している状態でございます。
  21. 井出一太郎

    井出委員 先ほどのお答えの中にありましたが、中共貿易の問題は大分もうこの委員会では言い古された問題かもしれませんが、しかし日本が支那大陸に一衣帶水の地理環境を占めておつて、東亜の「種の協同体的な支那大陸に対するわれわれの宿命とでも申しましようか、こういうふうに考えるときに、これとの貿易が杜絶したからといつて、手を拱いているべき問題ではもちろんないわけであります。従つてこれがきびしい国際環境の上から現状のようなところへ追いやられているのでありますが、従来たとえば香港あたりを通じての、三角貿易とでもいいますか、そういうものがあつたわけでございますが、一種の拔け道とでもいいましようか、そういうものがあつて、中共との間の物資の交流が若干づつはあるのだとわれわれは思うのでありますいこういう点の計数があるのでありますか、お伺いいたします。
  22. 小室恒夫

    小室説明員 御承知通り中共向けの輸出制限をいたしておりまする物資は、品目からいえば相当の数に上りますけれども、大体重化学工業の製品が多いのであります。特に鉄鋼、機械類の輸出制限という点があるわけであります。今日中共向けに自由品目として輸出できるものは繊維が主でございますが、繊維以外にも若干あるわけであります。繊維のうちの綿糸布については中共側も日本側の方から買いつけたい意向であります。また日本側としてもその品目は輸出できる現状でございますので、開ラン炭あるいは大豆、落花生その他の中国の産物でありまして、日本側でもほしい品物と、これらの綿糸布との見合いの取引、こういうものは関係の業者その他と話合つて、もし話合いができなければ今日の段階ではさしつかえない、むしろ歓迎すべき点もあるわけでございます。ただ計数的におつしやられますと、実はまだそういうもので大きなまとまつたものはございません。ちよつと申し上げかねるのであります。いろいろそういう話が動いていることは事実であります。
  23. 井出一太郎

    井出委員 中共貿易という場合に、日本側からいつて輸入の品目としてただちに粘結炭や鉄鉱石あるいは大豆、原料塩、こんなようなものが考えられるのでありますが、こういうものは今おつしやる綿糸布なんかとの見合で購入し得る分糧が相当予定をさせるのか。またこれが補給を他に切りかえるという場合には、おそらくドル地域に依存するよりないように思われるのでありますが、日本の所要量を満たし得るような補給――当面日本の貿易を脅かすことのないように、アメリカその他から補給が十分講ぜられる見通しいかん。現にそういう手を打ち、それは決して心配ない程度に行つておるのかどうか、こういう点を伺いたい。
  24. 小室恒夫

    小室説明員 中共に向けてする輸出を制限いたしました後においては、中共からの見返り物資はきわめて控え目に計算しておりまして、あまりこれに依存するという計算には最近はなつておりません。なお切りかえによつて、つまり中共に期待しておつた物資をアメリカその他に切りかえるとどういう結果になるかというお尋ねでございます。これはまだ日が淺いので、的確な御納得の行くような説明は実は困難でありますけれども、今日ではまだ計画段階で、いわば買付の方の契約ができたのがせいぜいでありまして、最終的に品物が入つておるという段階になつておりません。これはいろいろ推測の仕方によつても違うと思いますが、大体鉄鉱石、粘結炭につきましては、アメリカヘの転換がほとんど圧倒的なものでございまして、アメリカからの鉄鉱石、粘結炭の買付については、所要量に対する外貨予算の編成、それからまた商売上の話合いも現在順調に進んでおります。また塩については、アメリカも含めてかなり広く世界各国から買いつけるということで、現在自動承認制をやつておるわけであります。塩にせよ、鉄鉱石にせよ、粘結炭にせよ、共通の隘路は御承知通り船腹であります。この般腹事情がどうなるかということは、今日では見通しが困難でありまするが、冬場にアメリカから欧州に石炭を輸送するということが、世界的な船腹の事情を逼迫せしめた非常に大きな原因である。こういうものがなくなりまして、さらにまた世界的な情勢が少し緩和すれば、前途必ずしも心配でない――心配はしなければならぬが、悲観するばかりでもなかろう、こういう意味でございます。そういう点がある程度好転いたしまするならば、今申し上げたいろいろな品目の買付先の転換ということは大体順調に行くのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  25. 井出一太郎

    井出委員 ただいまの御答弁では、私が心配しております乗りかえは十分な見通しがあるということのようでありますが、ただここで問題は、中共地区という日本と非常に近接した地帶との取引、従つてこれは船腹の関係もございますが、運賃その他において、他の地域と非常なる逕庭を持つておるだろうと思います。そういうことがいきおいこれらの原料を用いてつくりました日本の製品のコストへ相当大きく響いて来るのじやないか、こういう点を非常に憂慮いたします。これはあるいは運輸省に関係があるかとも思いますが、最折の運賃の高騰というものは非常に目ざましいようであります。あなた方の方でお持ちの資料で、朝鮮動乱以前と今日と、これは地域的にもよりましようが、二、三の代表的な航路を例にとつて、運賃の値上りの状況をおわかりになつたらお示し願いたい。
  26. 首藤新八

    首藤政府委員 中共との貿易が中絶いたしまして、従つて輸入品を他の遠隔の地から求めなければならぬ、当然運賃その他の諸掛が高くつく、従つてそれだけコストが高くなるということは御指摘の通りであります。その面だけを考えますと、日本経済に相当影響があるということは否定できないと思うのであります。しかしながら一面において、鉄鋼あるいは機械その他の戰略物資を中共に送つた場合、将来日本にどういう影響があるかということを考えますと、多少当面経済的な影響がありましても、これは甘受しなければならないのじやないか。そうすることが日本の将来のためにとるべき策だ、かような確信を持つておるのであります。なお同時に、幸い御承知通り最近アメリカの軍備拡張と厖大な物資の需要から、国際物資が一様に非常な値上りをいたしまして、しかも日本に対するところの買気がきわめて活発でありまする関係上、ただいま御指摘の通り、遠隔の地から求めることによつてコストが若干高くなりますけれども、それによつて輸出を阻害して行くというような段階には立至つてないのであります。従つて内容的には経済に影響いたしますけれども、しかしその程度はきわめて微弱であるということを申し上げてもいい段階にあると考えておるのであります。さらに運賃の問題であります。大体これは昨年の十月ごろまではあまり変化がなかつたのでありますが、先ほど政策課長から御説明申し上げました通り、十一月以降アメリカ側の欧州に対する石炭の大量輸送が始まつた。それを動機といたしまして船腹の不足を来し、そこで運賃は除々に上つて来たのであります。特に値上りのはなはだしくなつたのは、昨年の十二月から本年の一月にかけてでありまして、現在の運賃を昨年の夏に比較いたしますると、大体三倍、はなはだしきは四倍になつたときもありますけれども、最近やや小康状態になつておりまして、大体平均して三倍程度と押えれば間違いないのではないかというような状態にあると考えておるのであります。
  27. 井出一太郎

    井出委員 先ほどの次官の御説明で、輸入対策に特に重点を置かれるるその一端といたしまして、緊急物資輸入基金というものを特に明年度予算で設定をいたしたが、この基金は一体どういう形で運営をなされるのか、政府の責任において緊急物資を買い入れて備蓄をされるのであるかどうか。その資金は二十五億程度ではどうにもならぬと思うのでありますが、どの程度の回転率を見込んでおられるか。その予定されておる物資はどういうものであるか、そういう点をあらまし伺つておきたい。
  28. 首藤新八

    首藤政府委員 本予算に繰込んでおりまする緊急物資用としての二十五億は、ただいまお説のような性格と若干異にするものでありまして、大体これは政府が直接やることが適当でありと見られる物資に対するところの輸入を目途としておるのであります。たとえば沖縄であるとかあるいはまた朝鮮であるとか、主として向うの政府関係輸入物資を対象にいたしまして、民間がやるよりも政府がやる方がはるかに適当であると目されるものを対象としておるのであります。しかしながらなお余裕がありますれば、むろんその他の物資の買付もいたしたいと存じておりまするが、ただいま御指摘の備蓄輸入と申しますか、これは二十五億の中には包含していないのであります。それは別途にもつと大幅な金融を予定しなければ、とても目的は達せられない。従いましてそれに対しましては別に考慮いたしておるのであります。
  29. 井出一太郎

    井出委員 備蓄輸入に対する別途な対策をお待ちになるとおつしやいますが、その構想がおありであればお示し願いたい。そしてこれを民間の者をしてやらしむる場合においては、おそらく金利であるとか、倉敷であるとか、ないし品いたみというふうな問題等も出て参りましようが、そういう補償につきまして政府はお考えになつておるか、こういう点もお話を願いたいと思います。
  30. 首藤新八

    首藤政府委員 備蓄輸入に関しましては、まだ通産省としての構想の範囲内にとどめておりまして、具体化していないのが現在の実相であります。しかしながら先ほど申し上げましたごとく、どうしてもこの際緊急に大量の物資輸入いたしたい、そうしてできるならば三箇月ないし六箇月ぐらいのランニング・ストツクを持ちたい、そして三箇月ないし六箇月前に輸入した物資を加工して輸出する、こういう方針をとることによつて、日本の本年度の輸出貿易は非常に伸張いたし、貿易関係からも経済自立に大きな寄うをするであろうという構想を持つておるのであります。従つてただいま考えておりまするのは、少くとも一・四半期に七百億程度輸入をいたしたい。またできるならばそれ以上の輸入もいたしたいという考えを持つておるのであります。同時にその方法といたしましては、かような厖大な物資を民間の危険において輸入を期待することは実際上困難かと考えておりますので、金利、倉敷、またはできるならば、相場が逆行した場合の損失を補償いたしたい、こういう措置を講ずることによつて、民間は強力に政府の案を支持して、輸入の促進が一層効果的であろう、こういう考えを持つておるのであります。先般来関係方面といろいろ折衝いたしておりまするが、何分にも厖大な金融を伴いまするので、若干難色があると申しますか、まだ最終的な決定まで参つていないのが現在の状態であります。
  31. 井出一太郎

    井出委員 まだ構想の範囲にとどまる、かように言われますが、私はあれもしたい、これもしたいという段階ではなくして、もうこれはおやりにならなければいかぬ時期だと思います。従つてその点一刻も早く御立案を急がれることを、大臣もいらつしやいますから特に要望いたします。その他輸入問題でいろいろお尋ねしたい点がありますが、時間の関係もございますので他に移ります。  特許庁から松永さんが見えておりますのでお伺いいたします。私別な機会に周東安本長官質問をいたしました際に、外資の導入ということは必ずしも資金、物資が入るということのみでではなくして、日本が戰争において多年海外との交流が杜絶しておつたがために、日本の工業水準が非常に立遅れた、この際進んでおる海外のいろいろな特許等を日本が取入れ、また先方の理解によつてそういうものを利用し得る機会を与えてもらつておる、その例は今日おそらく数件に上るであろう、こういうことを言われたことがございます。この関係において事務当局のお立場で一、二例をおあげいただき、あわせて件数にしてどれくらいの外国の特許が日本において利用されておるか、またそれに対する日本側の支払いはいかなる形においてなされ、しかもその金額がおわかりならばお知らせ願いたいと思います。
  32. 松永幹

    ○松永政府委員 御質問にお答えいたします。戰後外国の特許が職後措置令に基きましてわが国に回復あるいは優先権を主張して参りました。その結果現在までに回復されておりまするものは、特許につきまして千三十三件、実用新案におきまして二百十六件ございます。そのほかに未済のもの、あるいは情報を提供しておる程度でありまして、今後措置して来ると思われますものが、特許につきまして約千件、実用新案について約五百件ございます。こういつた外国の特許権がわが国におきまして回復あるいは許可、特許、登録となりますると、それに基きましてわが国にその権利を得まして、工業に移して行くことになるわけであります。この点につきましては関係者の方から御答弁申し上げたいと思います。
  33. 岩武照彦

    ○岩武説明員 ただいまのお話の外資導入の問題でありますが、御承知のように昨年の六月に外資導入ができましてから、内閣の外資委員会中心に、優秀な外国技術の導入をはかつております。現在までに外資委員会の認可を受けまして、わが国に実施になりました新しい技術が約二十数件ございます。それは具体的に申し上げますと、いろいろな分野において外国の特許権者等と契約いたしまして、その條項を外資委員会審査いたしまして、わが国の基礎産業ないしは輸出産業に重要な寄与をいたすと認定された場合に認可いたしまして、外資委員会の認可を得ましたものにつましては、その対価の支払いにつきましては契約條項に従つて外貨予算を組みまして、各四半期ごとに支払いを行つております。支払い総額は目下判然としておりませんが、大体のところでは年間百万ドルを越えるのではないかと思つております。詳細な数字はまだわかつておりません。
  34. 井出一太郎

    井出委員 これに関連いたしましてもう一点伺います。従来日本側において国際信義を無視したといいましようか、外国の特許を無断で使用しておつたという事例が大分あるやに聞いております。これはおそらくいろいろなトラブルその他があつたでありましようが、きわめてまずいことには違いないと思います。そこでこういうふうな問題は今日の段階ではすでに片づいてしまつておるか、その点はいかがでありましようか。
  35. 松永幹

    ○松永政府委員 戰争中におきまして、各種の外国特許に対しまして戰時措置令で特別の措置をしたことはございまするが、それらに対しましては、戰後措置令に基きましてそれぞれ回復その他権利者の要求において措置をしておりますので、そういつた問題は、権利者の要求があれば回復せられるものと考えておるのであります。
  36. 井出一太郎

    井出委員 先ほどの次官の御説明を順を追うて御質問をいたそうと思つておりますが、次の問題が中小企業対策というようなことに相なつております。中小企業対策というものは非常にむずかしい問題でありまして、ことに日本の中小企業というものが占めておるウエイトといいましようか、百人以下の工場をもし中小企業というならば、これがほとんど九十何パーセントを占める。こういうような現状下におきまして非常に問題が多かろうと思うのであります。けれども現内閣が従来とつて来られました政策というものは、いわゆるドツジ・ラインという線に沿いまして、日本の産業構造の合理化を企図せられる。その場合に、これはやはり資本主義的なペイイング・ベーシスを確立するとでもいいましようか、どうしても中小企業というようなものが二の次にされた。これはおおうべからざる事実だろうと思うのです。ことに池田大蔵大臣あたりは、思わず失言をされたのだろうと善意に解釈をいたしますけれども、ともかく中小企業に対しての非常に冷酷な態度というものは、これはすでに指摘し盡されておると思うのであります。従つて二十六年度予算には、もつと私どもは大幅な中小企業対策というものが盛られるであろうと期待をいたしておつたにもかかわらず、その数字は、ここにもありまする通り十三億円余り、まことに貧弱きわまつたものでございます。大臣もいらつしやいますが、あなたは造船というような大産業の御経験の深い方でいらつしやいますけれども、造船業というようなものは、これはしろうとの私が申し上げるまでもなく、一つの船を、艤装から一切仕上げまするためには、二百有余の関連産業を持つておるということを聞いておるのであります。この二百に余る産業というものは、おそらく中小企業の形態をとつておるのが大部分でございましよう。こういう観点から、あなたこそ中小企業にそういう意味で最も御理解があられ、必ずあなたなりの中小企業対策をお持ちだろう、こう私は確信をいたします。さような意味合いで、大臣の中小企業対策を御披瀝を願いたいと思います。
  37. 横尾龍

    横尾国務大臣 お話通り中小産業に対して期待するところが多いのであります。今私の前身の職業からのお話でありますが、ほとんど中小企業に依存していると申してもさしつかえないぐらいであります。ことに私らがもとやつておりました造船などから申しますと、注文が多いときと少いときがございます。そのために自己で全部を製作するということはむずかしい、また特異なものは特異な産業に依存しなければならない。その依存する度は、お話通り中小方面のものに多いのだから、これは国家予算が許しますならば、中小企業助成したいという考えは常に持つておるのでございます。不幸にして私の努力が足らなかつたために、十三億くらいの予算で終つておるような次第でありますが、事あるごとに私は、中小産業の重要性を強調したい、こういう考えでおります。今後どうか御鞭撻を願いたいと思ます。
  38. 井出一太郎

    井出委員 ただいまの大臣の御答弁は、内容としてはまことに満足しがたいものでありますが、しかしあなたの謙虚な態度には、われわれも非常に打たれるものがあるのであります。従いまして、そのあなたのお人柄に私は信頼をいたして、全国の中小企業者が大きな期待を持つているということを、ぜひ念頭におとどめ置きを願いたいと思うのであります。  そこでもう一、二点伺いたい問題は、国民金融公庫でありますが、これは現在の運営は大体よく行つておる、こう私は聞いております。事金融に関しまするから、これはあるいは大蔵省の問題にも相なるかと思いますが、しかしいわゆる中小企業、ことにこれは弱体な企業者ほど国民金融公庫に大きな依存をしておると思うのであります。ところが私の耳に入りました最近の一例によりますると、公庫の支所なり出張所が、ある県庁所在地に存在をいたします。ところがその公庫の職員は旅費その他において、宿泊をするまでの旅費はもらえない。日帰りの範囲の旅費しか支給ができない。おそらく予算関係でありましよう。そのためにその県庁所在地付近の中小企業者は、公庫の恩恵に均霑をしておるけれども、一たび大きな府県であつてとまりがけでなければ職員の出張ができぬというような所は、全然公庫の恩恵にあずかつておらぬ、こういうような例がございます。こんな点は通産省の方ではおわかりになつていられるかどうか、そうしてそういう点を改善する御意図をお持ちなりやいなや、これをひとつ伺つておきたい。
  39. 横尾龍

    横尾国務大臣 今のお話はまだ私伺つておりませんので、よく存じませんです。そういうものがありますならば、大蔵省の方によく相談をして、不便のないようにしていただくことを要望するつもりであり事ます。
  40. 井出一太郎

    井出委員 もう一点、中小企業信用保険費、これが今回の予算におきましてはたし事か十億計上せられております。臨時国会において五億程度計上せられて、すでにこれは発足をしておるものだ、こうわれわれは承知をしておりますが、よく調べてみると、これはまださつぱり動いておらない。前国会のことがまださつぱり手がついておらぬというようなことで、またここに十億予算を追加するというようなことは、どうもわれわれは了承していいかどうか大いに問題だと思う、かようにも思うのでございます。この信用保険は現在どの程度に動き出しておられるか、これをひとつ伺つておきたい。
  41. 横尾龍

    横尾国務大臣 数字のことについてはあとで申し上げるとして、一つ申し上げておきたいことは、発足いたしまして日浅いもので、よく了承されない点もあつたかと思つて、各地に説明会などを開きまして、漸次普及するようにしておるのであります。最近になつて件数がふえたということは聞いております。件数その他については説明員から御説明いたします。
  42. 記内角一

    ○記内説明員 ただいままでにわれわれの手元に正式に報告がありましたのは七件で、千二百万円、しかし大体貸付が決定したという内報を得ておりますものが二十件、五千二、三百万円という数字でございます。
  43. 井出一太郎

    井出委員 まだ大部残しておりますが、明日もこれは継続いたしますか。
  44. 橋本龍伍

    橋本主査 明日も継続いたしますが、農林省の方もたくさんありますし、できればきよう午前中、万やむを得なければ午後の冒頭に引続いて通産省の方を済まして農林へ移つた方が便利だと思つております。なるべくならば午前中で済ましていただきたい。
  45. 井出一太郎

    井出委員 どうも私だけ通産の質問を独占しておつても何でございますし、大分有志の方もおられますからそちらへ申し送りまして、あと二、三問を留保さしていただきまして、私はこれまで一応打切りたいと思います。
  46. 橋本龍伍

  47. 小平忠

    小平(忠)委員 私は二十六年度予算案に対しまして、通商産業省所管の中で重要な点だけをお伺いしたいと思います。  まず第一点といたしまして、現在の国際情勢下におきまして、日本のあらゆる面においての自給度を高めるということは、非常に重要な問題だろうと思うのでありますが、特に地下資源開発ということは、私は非常に重要な点だと思うのであります。この地下資源については、通産省資源庁がその主管庁となられて鋭意努力されておることはわかつておるのでありますが、この二十六年度予算案について見ますと、まことに微々たるものといわなければならないのであります。そこで横尾通商産業大臣は、日本の地下資源というものに対する考え方、すなわちこれはもつぱら輸入重点を置いて、日本の地下資源は、現在調査をいたしておる程度範囲においてこれを遂行しようとされるのか、そうして現在埋蔵いたしておるところの地下資源については、さらに実態を把握して、日本における地下資源の増産ということに重点を置かれるのか、この基本方針について、大臣の所見を伺いたいと思うのであります。
  48. 横尾龍

    横尾国務大臣 地下資源開発が最も重要なことは御説の通りでありますが、外国に依存をしなければならぬ地下資源もあるのでありまして、これはお認めくださることと存じます。しかし外国の地下資源に依存するということは、別に国内のものをなおざりにするということではないのであります。国内におきましても、あり得べき地下資源と期待のできない地下資源があるかと思います。あり得べき地下資源に対しては、ぜひ増産の過程になるように地下資源開発して行きたい、こういう考えでございます。
  49. 小平忠

    小平(忠)委員 大臣の御所見、私もまつたくそれに同感であります。そこで大臣は、今あり得べき地下資源という表現をなさつたのでありますが、しからば日本にあり得べき地下資源の埋蔵量等について、はたして的確な数字を持つておられるかどうか。私は調査その他につきましては少しく疑念を持つのであります。実例をあげれば、北海道などにおける実態については、予想埋蔵量程度のものであつて、おそらく私はその実態を把握していないのではないかと思うのであります。特に北海道の開発法が通つて地下資源開発重点を置くのだという点では、政府当局も力を入れておることは私もわかるのでありますが、しからばこの実態を把握するために、どれだけの調査費等を考えておられるかということについて、この予算書をしさいに検討いたしましても、どうも私どもの納得するような予算の計上がされていない。そこでこれは資源庁の所管になると思いますから、資源庁の政府委員でもけつこうでありますが、今後地下資源についてはどのような調査を行い、またどのような開発を行わんと考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  50. 始關伊平

    ○始關政府委員 地下資源開発に対する政府対策の一番基本的なものは、ただいま御指摘のはうに埋蔵量の問題、それに関連いたしまして、石炭などで申しますれば、どういう品質のもの、どういう炭種のものがどの地域に幾らという点でございます。この点につきましては、大分前から調査をいたしておるのでありまして、最近におきましても五箇年計画をもちまして、埋蔵炭量炭質調査――先ほど政務次官が御説明申し上げたのでありますが、その調査経費を今年度においても計上いたしてございます。これは大体総額は七千万円程度だつたと存じますが、五箇年計画ぐらいで、もう一ぺん理蔵炭量炭質調査をいたすことに相なつております。それから非鉄金属あるいは鉱石等もございますが、メタル関係につきましては、そういう全国を通じての調査がございませんが、試掘の助成というような形におきまして、また地下資源調査所との共同調査というような形におきまして、相当な経費が計上してあるわけでございます。その総額は石炭の部を含めまして、先ほども申しましたように三億五千万円程度でございますが、この金額があるいは少きに失するのではないかという点につきましては、今後情勢推移と見合せまして考えて参らなければならないかと存じます。ただメタル等につきましては、昨年朝鮮事変以来、メタル関係の国際的な相場が騰貴いたしまして、会社の業績も相当好転をいたしておりまして、会社自体といたしまして、そういう探鉱の方面、つまり埋蔵量を発見する努力をなし得るための経理的な基礎と申しますか、実力と申しますか、そういうものが相当出て来ておりますので、そういう点を見合せまして、先ほど御説明申し上げましたような額だけ計上されておるわけでございます。
  51. 小平忠

    小平(忠)委員 まことに抽象的な御説明で、そういう御説明では、この分科会を持たれて、われわれの納得の行くような、掘り下げた検討をするための分科会の意義はないと思います。私のお伺いしようと思いますことは、現在政府考えておりますところの地下資源調査実態等におきまして、今七千万円ということをおつしやられたのでありますが、これは長官自身も不足であろうというような言でありますから、これはいいと思います。そこで具体的にどういう点に重点を置いて――いわゆる石炭鉱業あるいは金属鉱業のどちらに重点を置くのか、あるいは天然ガスに重点を置くのか、その使用区分等についても、私はお伺いしたかつたのでありますし、あわせてさらに、五箇年計画とおつしやいますけれども、その五箇年計画内容については、私はまだ拜見をしていないのでございますが、実際それが單なるペーパー・プラン、あるいはデスク・プランに終るのではないかというふうに思うのであります。それであつてはならぬというような見地から――やはりそれは具体的に予算面に表われて来ないと、そういう結果に陥るのでありまして、そういう将来の構想等についても掘り下げてお伺いをしたのでありますが、もしそういう数字等が長官のお手元に今お持ちがないならば、他の政府委員の御説明でもけつこうでありますから、この機会にその構想を詳細にお伺いしたいと思います。
  52. 始關伊平

    ○始關政府委員 五箇年計画でやりますのは石炭の関係でございます。石炭埋蔵炭量炭質調査が五箇年計画でございます。それからどういう地下資源重点を置いてただいまのような調査をするかという点でございますが、来年度予算について申し上げますと、石油と天然ガスの関係が、合せまして約一億一千万円、それから非鉄金属関係でございますが、これは銅、鉛、亜鉛というようなものが主でございますが、これがたしか一億四千万円だつたと記憶いたしております。それからなお資源庁の予算のほかに、地下資源調査所におきまして、これはただいま申しましたようなもののほかに、硫黄とかいろいろございますが、基礎的な調査に要する経費が、こまかくはただいま記憶いたしておりませんが、相当に計上されておると考えます。
  53. 小平忠

    小平(忠)委員 時間がありませんから、私の今申し上げた点について、いつまでも押問答して追究してもいけませんから、でき得ましたならば二十六年度以降における、また二十六年度における構想を、書面によつてでもけつこうでありますから、ひとつお示しいただきたいと思います。  さらにこのことに関連してお伺いしたいのは、例の新潟県における天然ガスの実際の利用というものは、まつたく遅れておる。仄聞するところによりますと、これを大都会である東京等にまで持つて来たいというようなことが具体的に検討せられておる。さらにこの近県では千葉県に相当天然ガスの埋蔵がある、これを代々的に開発したいというようなことも伺つておるのでありますが、そういつたことは、一体事実なのか、考えておられるのか、お伺いをしたいのです。
  54. 始關伊平

    ○始關政府委員 天然ガスを東京まで持つて来たらどうかという問題につきましては、ただいまお話のように新潟の場合と大多喜の問題と、二つございます。大多喜の方につきましては、第一次計画といたしまして、とりあえず千葉までパイプで持つて参つたらどうかというような計画もございました。千葉に持つて参りますと、それだけでも大分便利になります。先ほど来のお話輸入の問題に関連いたしまして、石油の代用というようなことで、今後天然ガスも相当新しい目で見て行かなければならない面もあろうかと思いますので、その計画に対しましては、見返り資金その他の関係で、積極的に助成する方法を考えたいと思つております。  もう一つ、新潟県のことでありますが、これは十数億の金がかかるということでございまして、国内だけの力では、東京までパイプで持つて参るということはとうてい困難であろうと存ぜられるのでございますが、ただいまアメリカから、いわゆる外資導入で資本を持つて参るという話が進んで参つたようであります。その点につきましては、ただいま外資委員会におきまして、内容検討中でございます。まだ最終の決定には至つておりません。
  55. 小平忠

    小平(忠)委員 その点は一応打切つておきます。次にアルコール專売事業に関連して私は一点お伺いしたいと思いますが、アルコール原料でありますところのばれいしよ、この問題は、御承知のように統制が撤廃されまして、ある程度その原料は有利な状態にあるのでありますが、私はこの問題について、国の事業として、また專売事業として、まつたく不可解な点が一つあるのであります。それは北海道における十勝、北見のアルコール工場においては、戰後、採算がとれないからというので、長く事業休止の状態にあるのであります。これは、事業をやれば年間二千万円ほどの欠損が行く、従つてやらないで従業員に人件費を払うことよりも、事業をやることの方が欠損が大きく行くのだと事いうような点において、厖大な施設をただ休ませておく、それから従業員もただ遊ばせておく、こういう現状であるのでありますが、この問題は最も有益にこれを活用せねばならぬというわけで、現地民の意向等もたびたび通産当局には陳情等がなされて、場合によつてはこれを民間に払下げて、最も有効に使つてくれという話が、実は一昨年から出ておるのであります。その問題について、その後の経緯と今後の方針について、この機会にお伺いをしておきたいと思います。
  56. 長村貞一

    長村政府委員 北海道にございます北見と帯広、この二工場におきまするアルコールの生産は、御承知通り現地のばれいしよを中心にしております関係上、その澱粉等を使つておるのであります。そこで他の工場に比べまして、原料費その他の点で、探算上比較的不利にありますので、その操業にもただいまお話のございましたように、これまた本州の工場に比べまして操業率が悪かつたわけであります。しかしながら積極的に各種の事業等を行うことによりまして、より有効にその施設を活用することが考えられますので、ただいまのお話のように払下げの問題について考慮したわけであります。払下げの問題は、先般法規の命ずるところによりまして、諸般の手続をふみまして、二工場ともに民間に払下げをいたすことに決定いたしました。すでにその契約も了したわけであります。おそらくは今年これを民間の手にゆだねることによりまして、事業量等も多分に増しまして、あの工場自身の操業、従つて現地におきまする原料の集尚もよくなる、かように考えておるわけであります。
  57. 小平忠

    小平(忠)委員 どうも時間がないので掘り下げて行かれないことを残念に思います。私がまたこうやつていると、井出君と同じように他の人の妨害をすることになるのですが、大体その問題については別な機会にお伺いをいたしますが、さらに一点だけお伺いして私の質問を終ります。  次にお伺いしたい点は、今日の説明にもあるのでありますが、緊要物資輸入基金特別会計予算といたしまして、一応この予算書に計上されております七千五百六万円、そこでこの予算の裏づけとしての法案でありますが、いろいろな事情で今までに国会に提出されないし、目下検討中であつて、最近近い機会国会に提出をしたいというお考えのようでありますが、やはり予算案を国会に提出して、これを通過せしめるという場合には、必ずその前提として裏づけとなるべき法案は、当然用意され、それもあわせて審議されるのが通例であります。ところがただいま首藤政務次官の御説明によりますと、何だかこの国会に提出して、審議されるのが危ぶまれるようなふうにも考えられるのでありますが、はたしてこの法案の国会通過の見通し、並びに現在提出にはなつておりませんが、この法案の内容についてお聞かせをいただきたいと思います。
  58. 首藤新八

    首藤政府委員 先ほど近く法案を提出するということを申し上げたのでありますが、目下大体原案はできておるのでありまして、法制局その他で検討していただいておるという段階にありまして、本月末か、遅くとも来月早々には提案いたしたい、かように考えておるのであります。内容につきましては他の担当政府委員からお答えさせます。
  59. 石井由太郎

    ○石井説明員 ただいま考えておりまする緊要物資輸入基金特別会計の構想は、一般会計からの出資二十五億を回転基金として運用いたすわけであります。従いまして、特別会計の予算の方に計上いたしました七千五百万円と申しますのは、歳出項目といたしましては、人件費を中心といたしまする事務取扱費と、不測の支出に充てる予定の経費とだけに相なつているわけであります。基金の方は、この基金を回転いたしまして、政府貿易をもつていたさなければ取得が困難であると予定される物資輸入を第一段として考えている次第であります。政府貿易の形式をできる限り民間貿易に切りかえました今日におきましては、普通の国際情勢のもとにおきましては、政府貿易をもつてしなければ応じ得ないという貿易量は、はなはだ少く相なるわけであります。しかしながらたとえて申し上げますと、相手国政府が專売ないし独占の貿易形態をとつておりまして、日本側との取引も政府直接にこれを取扱わなければ遂行し得ないような貿易形態のものもあるのであります。一番適当な例といたしましては、ソ連との取引をあげることができると考えられます。さらに政府の独占專売といつたよう貿易形態ではございませんけれども、強度の物資統制等が行われておりまして、いかに民間貿易業者に拍車をかけましても、当該政府が相手にしてくれないというような物資も、最近の国際情勢からいたしまして、順次ふえて参つておりますので、このようなものも、この会計において取扱うことに相なる見込みであります。さらに特に緊迫いたしました国際情勢のもとで、たくさんの特需等の資材が国内から輸出あるいは準輸出されました場合に、これを急いで埋めねばならぬというような場合にも、急いで埋めることによつて国民経済を維持しようというような場合にも、この会計が運用されることになるかと思います。さらに一部物資につきましては、一段民間貿易をもつてして貯蔵、あるいは保管等が困難であるというようなものに対しまして、この会計が運用される場合も予想し得られるわけであります。その取扱いの金額といたしましては、何にいたせ二十五億というきわめて限られました基本金でございますので、これを普通の商業的ベースで回転いたしますと、いかに有用に使いましても、まず三回転見当ということに想像いたされるのでありまして、お手元に配付いたしてあります予算説明書にも、約七十五億円見当のものがこの会計において扱われるであろうということを補足いたしてある次第であります。
  60. 小平忠

    小平(忠)委員 この機会に、大臣もおいでになつておりますから、一点お伺いして一応私の質問は終りたいと思います。最近の肥料行政については、御承知のように問題化されているのでありますが、特にその中で最も大きな問題は、最近の国際情勢の動き等や、あるいは公団廃止に伴う配給機構の改変や、あるいは肥料の値上り等を考えられまして、目下大口の資本家が大幅に買いだめをして、実際にこのまきつけ時期である春肥の円滑を欠くというような、非常に重大な時期に、重大な問題が起きております。特に肥料生産工業を担当されている大臣として、これらの問題に関して、実際そういうような大口買占めといつたようなことに関しまして、どのような指導監督をされているか、あるいはこの基本的問題は、やはり一にかかつて従来から強く力説されているところの肥料行政の一元化という問題まで行かなければならぬという点もあるのであります。肥料行政の一元化については、私は通産委員の当時大臣の御所見も承つているのでありますが、大分情勢もかわつておりますので、最近大臣の御所見は幾分その点においてかわられたかどうか。すなわち肥料行政の一元化ということについてどう考えておられるか。この二点について大臣にお伺いして質問を終ります。
  61. 横尾龍

    横尾国務大臣 大口の買占めということがありますならば、これは取締るべき必要があると思います。また肥料行政の一元化ということは、どういうことでありましようかわかりませんが、あるいは生産の方も農林省と一緒にやるというお考えでありますか、そういうことにつきましては、私がまだここでお話しする段階まで至つていないのであります。要するに生産生産行政でやるのが穏当でなかろうか、これが私の考えであります。
  62. 橋本龍伍

  63. 横田甚太郎

    ○横田委員 次官は非常に横着なことを言われましたので、その点を一ぺん確かめます。中共に対して、今日わずかにもうかるからといつて物を出すことは、後日において恐ろしい結果になる、極端に言えばこういう言葉に聞いたのですが、それは意味が違いますか。またそういう意味であつたか、それをお伺いいたします。
  64. 首藤新八

    首藤政府委員 お説の通り、中共の戰略を強化するというような物資は、この際禁止した方が、日本の将来のために得策である、かような信念のもとに中共に対する輸出を禁止したのであります。
  65. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは後日においてどういうようなおそれがあるのか、伺います。
  66. 首藤新八

    首藤政府委員 この問題は人によつていろいろ意見が違うと思いますが、同時にまたこういう席で、かような政治問題をかれこれ論ずるのもどうかと思いますので、一応控えたいと思います。
  67. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういうことは暴言ですよ。なぜと申しまして、現在中共貿易がもうかるのか、もうからぬのかが中心でありまして、国内的に見たならば、日本を再建する、経済的に自立するためには、もうかるところと貿易をしたらいいじやないか。そうして日本の国運が増して行つたならば、その増した国運のもとにおいては、日本に強い国防力ができると思うのです。その国の内容がよくなつて、この国を守らなければならないということになるのではないか。いつまでたつてももうかるところに対して貿易せずに、損ばかりする貿易をしておつたならば、日本国という国は、いつもすかんぴんでありますから、なんぼ愛国心を説いてもだめだ。何がもうかるかという内容がわからないのであります。だから私が聞きたいのは、中共貿易をやつてもうかるか、もうからないか、もうかるものであるならば、これをなぜやらないのかということです。そうしてもうけた結果として日本の富を増したならば、その国を守る気概が国民全体に持たれて来て、この国はどこをも恐れない国になるのだ。にもかかわらず今もうからぬところと貿易しておつて、損な貿易ばかりやつている。国際的に見て物価高なんです。今買わなければならないものを出している、すかんぴんにしている、こういう状態のもとにおいては、いつまでたつても自分の国を守らなければならないという気持にならないのじやないか。その点に対して、あなたはさような妙な答弁をせずに、じつくりと日本人らしい答弁をして、いわゆる全面講和を主張するところの中共との貿易によつてもうけ、日本の産業を興し、それによつて国の富をふやせば、国を守る気概ができると思うが、これに対する見解を伺いたい。
  68. 首藤新八

    首藤政府委員 世の中が経済と政治が常にまつたく同一の軌道にありますれば、横田委員の言われた通りでありまして、少くとも中共に対する輸出を禁止するという措置は、不当だという結論に到達するのであります。しかしながら遺憾なことには、現在の経済と世界の政治情勢は必ずしも一致してない。ことに中共、ソ連方面に対する政事情勢は、われわれの期待している経済方向とはまつたく逆にあるとわれわれは考えているのであります。従つて中共に対する輸出禁止は、経済の面よりも政治の面に重点を置いてかような措置をとつたのでありまして、従つて横田議員は共産党という立場からそういう意見を述べられると考えられますが、少くとも共産党を除いた日本全国の国民は、あげて政府措置に賛意を表しているということをわれわれは確信いたしているのであります。
  69. 横田甚太郎

    ○横田委員 ソ連とか中共は逆にあると言われますが、逆とは一体どういうふうに逆なんですか。われわれから見ると、日本の行き方自身が逆ではないですか、その点を承りたいのです。その逆というような抽象的なことを言わずに、ソ連や中共のような形に行くと、日本の人民大衆のどこに一体実害をうえるのか、日本の貿易のどこをどういうふうに阻害するのか、その点を聞かしてください。
  70. 首藤新八

    首藤政府委員 これは私から御答弁申し上げなくても、少くとも共産党以外の日本国民は、すべて常識的にこの点は判断していると思います。
  71. 横田甚太郎

    ○横田委員 常識的に判断しているというふうに判断しているあなたの頭は、どういうところから出たのか、そんなべらぼうなことは言いなさんな。実際そういうような意味合いにおきまして、この点については、あまりあなたを追究しようとは思いませんよ。だからあつさりと申しますが、そういうような観念的なことを言わずに、もうかるがやらせないのだ、だれがやらせないのだ、占領軍がやらせないのだと言つたらどうか。貿易についていつまでわれわれは第三国人を恐れるのですか、われわれは第三国人を恐れるからして、いつまでたつても頭が上らない。そういう気概のない政治力をもつておつたのでは、講和後における期待は持てぬじやないか。これから先のことについては、意見の相違ですから、後刻ゆつくりやるようにしまして、簡單にソ連貿易の実績とその弊害、長所を承りたいと思います。これはあなたがたでだめだつたら、政府の專門家からでもよいのですが、これが最も現実に即した問題だから聞いておきます。
  72. 首藤新八

    首藤政府委員 ソ連の貿易は、御承知通りほとんど政府貿易になつていると了解しておるのであります。従つて民間の方で輸入を希望いたしても、これが実際においてうまく行かないというのが現状だと考えておるのであります。従つて必要なものがありますれば、むろん輸入いたすのであります。こういう場合におきましては、政府の代行あるいは政府みずからがやるというような方針をとつております。  中共はこれとはおのずから性質を異にしておりまして、先ほど申し上げましたような政治的理由から一応禁止したというのが現状であります。同時にただいま私の申し上げたことが、まつたく反対だという御意見でありますが、もし反対だという御意見であるならば、かりに日本から中共に輸出を禁止いたしましても、中共は喜んで日本に輸出すべきであるとわれわれは考えるのであります。その中共が、こちらから輸出を禁止したと同時に、報復的に向うからも輸出を禁止したということ自体が、横田委員の主張とは若干矛盾があるのではないか、かようにわれわれは考えております。
  73. 横田甚太郎

    ○横田委員 ソ連貿易政府貿易だと言われますが、日本こそ政府貿易だ。しかも第三国貿易になつておるのではないか。さきの答弁の中におきましても、最近は民間貿易に切りかえられたと言われたが、民間人には、もうかる、やつて行けるという希望を持つている人がたくさんある。必要ならば資料を出します。そういう人たちになぜもうけさすような貿易をやらないのか。そういう民間貿易を反共というようなことのためにぶち切つておるのではないか。これは事実明らかな問題だ。ソ連の場合は、政府貿易だ、日本の場合は貿易を民間に切りかえ、日本独自にやつていると言いながら、実態は、中共に対してどうだ。へんちくりんな、向うのいうところの政府貿易以上の暗里貿易をやつておりながら、そういうようなめちやくちやな答弁をして一体何になるか。私はその点非常に不満だ。こういう意味におきまして、今後はもつともうける所と貿易をやるよう気概を持つてつてもらいたい。このことを希望いたします。  それから簡單に事務的なことを聞きますが、食糧輸入関係です。朝鮮事変後における買入れ予定の外国食糧の品質並びに入つた実績を伺いたい。
  74. 橋本龍伍

    橋本主査 それは農林省関係のことでありますから……。
  75. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは中共の実態というものを政府はつかんでおるのですか。昨年中共は飢饉でありまして、三千万の餓死者が出るような事態であつたにもかかわらず、最近の日本の――断つておきますが、これはアカハタでもなければ、平和のこえでもないが、政府の許しておる新聞の報道によりましても、インドの食糧不足に対して、中共から食糧が出ている事実がある。こういうような意味におきまして、中共国内に対するところの十分なる配慮があるか、あるいはそれに対する研究があるかを承つておきたいと思います。
  76. 首藤新八

    首藤政府委員 これはあげて内閣の問題でありますから、この席で私からかれこれ申し上げるのは遠慮いたしたいと存じます。しかしながら少くとも中共の飢事に対しましては同情はいたしますが、日本には現在それを援助するだけの余裕がないというように考えております。
  77. 横田甚太郎

    ○横田委員 昨年中共は非常な飢饉で、三千万の餓死者が出る、中共の食糧飢饉に非常にひどいから、アメリカが飛行機を飛ばしてパラシユートで食糧を落してやろうかというような記事が出ておつた。ところが最近の日本の新聞で見ると、食糧が足りないのはインドであつて食糧が足りないといわれている中国から、インドに食糧輸出しようかといつている。こういうことが出ている。だから中国に対する報道についてに、日本国内においても非常に違つている。この一点から見ましても、中共の実態に対して、日本は相当の研究をしておられるかということなんです。今度の戰争の前におきまして、日本の輸出入の四割三分までは中共がその対象であつたのであります。この貿易を維持したいがために、われわれの先人たちが間違つて戰争をふつかけたのであります。その結果として、これをどういうな形において元に返すかということを考えねばならぬ。この意味において、中共国内の実態をよくつかんでおられるのか、もしつかんでおらないのだつたら、これをつかむ意思があるか。その意思があるならば、その方策はどうか、これを聞いておる。
  78. 首藤新八

    首藤政府委員 御承知通り中共との交通その他一切が遮断されておりますから、一般には真相をつかむことは困難かと考えております。しかしながら政府といたしましては、できる限り中共内部の実相を把握いたしたいという希望を持つておりますから、将来そういう段階に参りますれば、できるだけすみやかに実情を調査する、またあらゆる情報を獲得するという方法に出るものと考えております。
  79. 橋本龍伍

    橋本主査 小林進君。
  80. 小林進

    小林(進)委員 私は、この分科会は四、五日ゆつくりやらせてもらえると思つてのんきに構えておつたのですが、あすで終りなんだそうでありますので、まとまつた質問はできません。それでひとつ概略的な問題をぼちぼちお聞きしたいと思うのであります。特に大臣にお聞きしたかつたのですが、帰られたので次官その他の方でけつこうであります。第一に昨年の六月に朝鮮事変が起きたのでありますが、いよいよ輸入が困難だということを政府特に主管官庁たる通産省あたりがお気づきになつて、大分あわてられたようでありますが、その気づかれる間の空白――七月から十月までといたしまして、そこに適当な手を打たなかつたことに対する損失――といえば語弊がありますが、現在でも船運賃なんかも三倍くらいに上つておる、なかなか輸入もスムースに行かないというのであります。これをひとつ早急に手を打つて、あらゆる基金を動員して必要な施策を打つていたと仮定して、それを現在日本がやつておることに対して、その差額の損害は概算見積りまして幾らくらいになるでありましようか、推定の数字でいいと思いますが、これを承りたいと思います。
  81. 首藤新八

    首藤政府委員 非常に漠然とした御質問でありまして、御答弁するのが困難なようでありますが、しかしながら先ほども策課長から詳細に申し上げましたごとく、昨年の一月から三月ないし三月から六月までの輸入は、各四半期において一億二千万ドルないし一億三千万ドル程度にすぎなかつたのでありますが、朝鮮事変の将来を重大視いたしまして、このときこそ輸入を前提として促進しなければならぬというので、通産省の全省一致した強力な推進を始めたのであります。従つて七月ないし九月までの輸入は、一気に五億ドル以上に達しまして、それまでの輸入比較しますと四倍ないし五倍という厖大な量に達したのであります。しかも十―十二月におきましても、なお四億八千万ドルというような厖大な輸入を敢行いたしたのであります。しかも先ほど政策課長から申し上げましたごとく、昨年の七―九月までには、輸入上に隘路がいろいろたくさんありまして、思うように進行しなかつたのでありまするが、しかし強力な折衝によりまして相次いでこれらの隘路を打開いたしまして、大体現在においてはあらゆる物資輸入を促進する上において今日まであつた隘路は全部なくなつたという段階まで行つておるのであります。従つてただいま御質問のような幾ら損害があつたということは、われわれは考えぬのでありまして、むしろ日本の経済自立のために非常に大きな寄与をいたしたという考えを持つておるのであります。
  82. 小林進

    小林(進)委員 非常に自画自讃の言葉を拜承いたしましたけれども、私どもどうもふに落ちないのでありますが、これを追究している時間がありませんので、疑義を残して次に移ります。  次は賠償工場の指定の解除の問題であります。いろいろ個々の問題は省略いたしますが、全般的に見て産業経済の諸制限の解除といいますか、そういうことにつきまして、今通産省はどんなぐあいにお考えになつておりますか。
  83. 首藤新八

    首藤政府委員 この問題は講和條約が締結いたさなければ決定的なことは申し上げかねると思いますが、しかしながら賠償物資は一応取上げないことに決定しておるということを聞いております。また講和後におきましては、現在の世界的政治情勢から考えまして、日本の生産も相当増強しなければ相ならぬ、結局そういう事態になりますれば、現在休んでおります工場も当然再開いれす時期もあろうかと考えまして、これに対応するような調査はぼつぼついたしております。
  84. 小林進

    小林(進)委員 主管官庁といたしまして、講和前にそういう態勢を整えるようにひとつ御努力願いたいと思います。特に講和條約後の産業経済の諸制限の解除の問題でありまするが、これは今の横田君の質問を援助するわけではありませんけれども、対ソ貿易の問題なんかも当然含めて考えていただきたい。次官も御承知のように、大正の中期でありまするが、赤い石油が大分入りました。あれは亡くなられた後藤新平氏がみずから行つて契約された。当時後藤新平は赤くなつたなどというような民間のしがない風評も立ちましたが、後藤が赤くなつたのではなくて、あれは後藤新平みずからの経済意識に基いて赤い石油を入れて、日本の産業経済にどれだけの効果を上げたかわからないのであります。反共はけつこうでありますけれども経済経済です。この点は私は横田君の御主張に非常に同意を表するのであります。安い物はなるべく入れた方がいいと思いますので、こういう点も通産省とされては十分考えていいのぢやないかと思います。これに対する構想をひとつ承りたいと思います。
  85. 首藤新八

    首藤政府委員 ソ連に限らず中共でもそうでありますが、向うからの輸入に対しましては日本は拒否はしていないのであります。いつでも輸入はできるような態勢を整えておるわけであります。
  86. 小林進

    小林(進)委員 次に新聞によりますと、経済閣僚が懇談をされて五十何品目までも再統制をするということが議に上つたが、結論を得なかつたということが出ております。われわれの考えからいえば、当然統制は来なければならぬ、順序は別として、まず非鉄金属、そういう方面から現在のわが国の経済情勢で、こんなことではやつて行けないということは考えておるのでありますが、これに対する通産省の現在の考え方を率直に私はお聞きしたいと思います。
  87. 首藤新八

    首藤政府委員 御承知通り政府は自由経済を基本政策といたしておりますし、過去二箇年の組閣以来の実績からごらん願いましても、できる限り統制を解除して自由にやりたいという政策を推進して参つておるのであります。しかしながら最近国際情勢が急激に変化いたしまして、もろもろの物資の獲得が困難になつて参つた。特に非鉄金属の面においてはなはだしく獲得が困難になつた。このまま推移いたしますれば当然近い将来供給が非常に不足しはせんかというような状態にあるわけであります。従つてかような特に供給不足物資につきましては、あくまでもあらゆる努力を払つて原材料の獲得に邁進いたしたい、さらにまた採算上不利であつて国内資源開発いたしたい、そうして過去のような国民経済に圧迫を加えるような統制はやりたくないという方針を一貫しておるのであります。しかしながら以上申し上げましたような措置を講じましても、なおかつ供給が不足であるという事態に立ち至りますれば、その業種の不要不急の生産をある程度押える、あるいはまた輸出の面を抑制いたす、そうして国内の供給を充足するという方針を持つておるのでありまして、かりに統制をいたすことに相なりましても、過去のようなマル公の設定とか配給の統制ということは一応やりたくないという考えを持つておるのであります。昨日経済閣僚会議がありましたが、現在統制になつておるものをこのまま持続すべきものはどれどれか、あるいはこの際撤廃してよいものはどれどれか、さらに持続するとして、価格はどうするかということが主として会議の目的であつたと了解しておるのであります。
  88. 小林進

    小林(進)委員 もう時間になりましたから、この辺で質問を打切りたいと思いますが、最後に大陸の市場の喪失の問題であります。さつきも横田委員が言つておりました戰時中の四割何分などということにこだわるのではありませんが、私の研究では、戰前約二割近くが大陸に輸出されておつたと思います。この喪失によつて新しい市場を一体どこへ求められる計画であるか。必要な物資、たとえば大豆などは南米から持つて来るという農林大臣の御答弁でありますが、船の問題や船賃の問題その他を考慮して物だけで市場がそう簡單に転換できるものではないと思う。この点をお伺いいたしたいと思います。
  89. 首藤新八

    首藤政府委員 一衣帶水の関係にある大陸、しかも厖大な人口を持つておる大陸ですから、この両国の貿易が正常に復することは日本経済自立のためにきわめて好ましいことでありますが、御承知のような事情で中断せざるを得ないという状態に立ち至つておるのであります。そこで他の方面にこれを依存しなければなりませんが、御指摘の大豆はその全部がアメリカから供給し得られるような態勢になつておるのであります。ことにアメリカの最近における大豆の生産額は年々非常な勢いで増大しておりますから、日本に供給してもなおかつ余裕があるという状態に置かれております。さらにまた中華に対する輸出がとまつておりますが、御承知通り最近の世界的経済情勢の変化によつて、他の方面から非常に活発な引合いがあることによつて、日本の輸出貿易は非常な勢いで伸びておるのでありまして、中華に対する輸出がとまつておりましても、日本経済には何ら影響はないという状態にあります。
  90. 小林進

    小林(進)委員 よろしゆうございます。
  91. 橋本龍伍

    橋本主査 他に御質疑もないようでありますから、通商産業省関係は一応これをもつて質疑を終了いたします。午後は二時より再開いたしまして、農林省関係について審査を進めることにいたします。  これにて暫時休憩いたします。     午後一時四分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十二分開議
  92. 橋本龍伍

    橋本主査 休憩前に引続いて再開いたします。  昭和二十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林省所管議題として審査に入ります。  まず政府より説明を求めるのでありますが、お手元に昭和二十六年度農林省関係予算説明というのを配付してございます。これを朗読いたしますと相当長くなりますので、便宜御配付申し上げたもので、政府からの説明があつたものとして、記録にとどめることに扱いたいと思います。
  93. 橋本龍伍

    橋本主査 それではこれより質疑に入ります。天野公義君。
  94. 天野公義

    天野(公)委員 私のお伺いしたいのは食管会計の分でございます。特にその中で、先ごろ持ちまわり閣議で決定しだといわれる主食運賃プール問題についてお尋ねしたいと思います。農林省の方では興農国会というようなことを言つて、大臣も盛んにやつておつたのでありますが、これは増産面の方に力を入れておることでございます。ところが食糧というものは、いくら増産されても、それを輸送し、また配給しなければ、国民の食糧として役立たせることができないわけでありまして、そういう面からいつても、輸送は非常に大きな問題でもありますし、また相当厖大な予算の組まれております食管会計の中においても、この輸送費という問題は大きな問題を蔵しておると考えるわけでございます。そこで今までの政府の輸送に関する考え方をずつと見て参りますと、輸送を割合に軽視しているようなきらいが見られるのでございます。というのは、輸送というものは、單に運べばいいのだというような考え方が、相当強いようでございまするしかしその点についてはあとでお伺いするといたしまして、この二月十五日付の産業経済新聞に出ておりました、閣議決定の要綱を主としてお尋ねいたします。  まず第一点として、政府は今まで指定倉庫というものを指定して、そこに食糧を入れてやつておつたのでありますが、現在この倉庫はどれぐらいあつて、そうして今後卸業者ができた場合に、卸業者の数だけ倉庫を認めて行くのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  95. 島村軍次

    ○島村政府委員 ただいまお話の運賃プールの問題に関連をしまして、指定倉庫の取扱いに関する御質疑でありますが、その数字はあとからお答えいたすといたしまして、従来政府が買入れた米穀を、あるいは加工し、あるいは精米にいたしまして、そうして配給計画を立てて、その配給計画のさしずに従つて配給する場合の取扱い方法の問題だと思うのでありますが、公団で従来取扱つておつたこれらの問題を、今回の公団末端機関切離し、すなわち小売段階を切離し、卸売を登録して来た場合におきましては、卸段階においてプールの方法をとらせるという予定で進んで参つたのでありますが、関係方面との了解を得られぬで、今回政府みずからが運賃プールを行うということに、原則を定めたのであります。しかしこの場合においては、政府みずからが小売段階にただちに配給するということになりますれば、まつたく卸の段階が必要でなくなるという結果になるのであります。そうでなくして、指定倉庫の数をなるべくふやすということと、それから政府のプールの持つて行く場所を貨車レールのある駅まで持つてつて、そうしてそれから卸機関に渡す、その間の仕事は政府みずからがやりますが、それから各小売段階へ渡す場合における措置は、なるべくこれを業者に扱わしめる、こういう方針によりまして基礎を立て、それの計算のもとに今回のプールの基本方針を定めておるようなわけであります。なおあとから数字その他詳細につきましてはお答えいたすことにいたしまして、基本方針だけを概要申し上げます。
  96. 天野公義

    天野(公)委員 ただいま大体の基本方針を伺つたのでございますが、次にお伺いしたいことは、そうすると政府輸送を担当する業者が一部出て来るわけであります。この業者は、要するに單数であるか複数であるかということをお伺いしたいのであります。というのは、従来の政府輸送の第一次輸送は日通がやつておつたのでございますが、今度の運賃プールの問題が出て来て輸送を実施する場合に、日通一本建てとするか、または従来公団の輸送に従事しておつて政府輸送もやつていたものも認めるか、こういう問題をお伺いしたいと思います。今度の機構で申しますと、今まで公団の輸送部面に属していたと考えられるものが、政府輸送に移る場合が出て来るわけであります。すなわち生産県で食糧を公団に売却した場合、公団は今までは自県の生産米を県の端から端へ、いわゆる各県の食糧輸送の手で輸送し、または貨車で輸送するというような二本建であつたのでありますが、これが政府の一本建輸送ということになると、日通輸送というぐあいになるわけであります。そういたしますと、東京はともかくといたしまして、その他の府県でありますと、公団の輸送に従事しておつた食糧の運送会社というものは、いわゆる特免会社で、食糧の輸送きりしかできないということになつているのでありますが、そういうような業者の仕事が日通に持つて行かれるということになつて、ひいては大資本擁護、中小企業の圧迫という結果を招かざるを得ないのであります。そこで実態面に即して、食糧庁といたしましては、政府輸送を二本建として行くことがいいと私は考えるのでありますが、この点についての御見解をお伺いいたしたいと思います。
  97. 島村軍次

    ○島村政府委員 ただいまのお尋ねの点は、従来の通り日通單独でなくて、二本建でやるという考え方で進んでおります。
  98. 天野公義

    天野(公)委員 ぜひ二本建で、従来の業者から仕事を取上げるというようなことをしないようにお願いしたいのであります。特に一本建で参りますと、一朝有事の際、もしくはストライキというようなことが起つた場合に、輸送計画に非常な齟齬を来さざるを得ないと思いますので、その御方針で進んでいただきたいと思うのであります。  次にお伺いしたいことは、先ほどもちよつと触れたのでありますが、運賃は安い方がいいのだ、安い方がいいのだから、輸送については、入札制度をとつてどんどんやればいいというような御意見も、事務当局の中にはときどき聞かれるのでありますが、これはあるいは食糧の運賃が市場価格よりも上まわつている場合は、それでいいかもしれませんけれども、運賃が市場価格よりも下まわつた場合に、入札でやつた場合には、その輸送業者が投げてしまうというような場合も考えられるのでありまして、食糧の輸送のように非常に安定性を持たせる必要のあるものには、ぜひともある程度業者に安定性を持たせて、それによつて食糧を確実に確保し輸送して行くということが、ぜひとも必要だろうと考えられるのであります。その点について、政府としては無責任な入札制度というようなものをとることなく、合理的な計算に基いた運賃プールの方式をぜひとも堅持していただきたいと思うのでありますが、その点についてお伺いいたします。
  99. 島村軍次

    ○島村政府委員 御希望の通りに、入札等のことは現在としては考えておらないのでありまして、従来と同じような形において輸送の円滑を期して行きたいと存じております。
  100. 天野公義

    天野(公)委員 運賃の問題でもう一つお伺いしたいことは、卸段階の運賃をプールする場合に、それは卸マージンにひもつきで渡されるものであるか、さもなければ運賃は全部政府で持つてつて業者に支払うようになるのか、この点をお伺いしたいと思うのであります。何となれば、卸の方に上載せして渡すというような場合があつた場合に、ピンはねというような問題が起きて、国家の経費を損することにもなる場合が出て来ないと言えませんので、運賃はできるだけ政府で握つていただきたい。このように考えるのでありますが、この点についてお伺いしたいと思います。
  101. 島村軍次

    ○島村政府委員 ただいまのお話は、卸業者に一定の地点において、政府から買受けた以後に関する問題は別といたしまして、政府みずからが食管の特別会計で運賃プールをやる場合においては、政府みずからの契約において支払うということに相なると存じます。
  102. 天野公義

    天野(公)委員 政府輸送の場合はもちろんそれでいいのでありますが、もう一つ下の段階の問題についてお伺いしたいわけであります。この点についてお伺いいたします。
  103. 島村軍次

    ○島村政府委員 それはおそらくトラツク輸送等の場合のことだと思いますが、仕切りというものが、政府から卸段階に仕切られる場合によつて、おのずから異なつて来ると思うのでありまして、政府みずからが運送をする場合においては、卸段階に渡すことはない。しこうしてそれから後の卸業者から小売屋に渡す場合におけるその運賃も、たとえばトラツク業者等の扱う場合における取扱については、従来とかわりはない予定だと思います。
  104. 天野公義

    天野(公)委員 次にお伺いしたいことは、今後食糧配給公団が三月の末日廃止されるわけでございますが、その際に卸もしくは小売に相当吸收される方もあるでしようけれども、また公団本部とか支所とかで、相当事務に堪能な優秀な職員で失職する方も出て来ると思うのでありますが、大体その失職すると思われるような人の概数をお伺いしたい。と同時に、反面政府が今度は運賃プールを縛るために、約千八百名ばかり増員をする計画を聞くのでありますが、この際政府はぜひ事務になれた公団職員を優先的に採用されて、事務の円滑をはかると同時に、これらの方々の身分保障に努力をされたいと思うのでありますが、この点について御見解をお伺いいたします。
  105. 島村軍次

    ○島村政府委員 公団の廃止に伴う職員の転換と申しますか、身分についてのお尋ねでありますが、御承知通り段階が残ることになり、その卸の登録を受ける方々が公団職員の中には相当あると思うのであります。従いまして、相当数はこの卸段階に吸收され、かつ單に卸の仕事それ自身だけでなく、あるいは事務の職務に携わる人も相当あるわけでありますので、各府県ごとによつて、支所ごとに異なることだと思うのであります。失職の数というようなものは、現在のところでは、はつきりしたものを食糧庁としては取調べていないのでありますが、なお念のために事務的に調べたものがあれば、あとからお答えすることにいたします。  それから今回の運賃プールによつて政府で千八百余人の増員をする予定はその通りでありますが、元来が運送業務については、やはり相当経験を要することはもちろんであります。そこで政府でやるということになれば、その経験者を得ることがなかなか困難であるというような点から、現に公団におられる人で、この業務を扱つている人で。特に堪能な方については、その御希望によつて政府の方で採用いたしたいという心組は持つております。ただ、待遇その他について公務員になるわけでありますので、十分な話合いがつくかつかぬかということが問題として残ると思いますが、できるだけ採用をいたし、失職等のないようにいたしたいという考えを持つているわけであります。
  106. 橋本龍伍

  107. 竹山祐太郎

    竹山委員 私はまず事務当局に伺います。ここに出されました予算の前提をなすところの、当初農林省が大蔵省に対して出された要求予算の全貌のアウトラインを伺いたいと思います。
  108. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 お答えいたします。確定いたしました数字は、大体お手元にあげてありますように、一般会計が二百六十八億くらいになつております。公正事業費で行きますと、災害を入れまして約三百億というような金額になつておりますが、特別会計を別にして当初大蔵省に要求しました数字をそのまま申し上げますと、一般会計におきましては、約五百億くらいのものを要求しております。それから公共事業費は約一千億を要求しておりますが、これは農業、林業、水産業をみな入れであります。  それで今御審議つております予算と、大きな問題として残つておりますものを御参考のために申し上げますと、一般会計の方におきまして、農林漁業資金融通特別会計の繰入れが六十億となつているわけでありますが、これは農林省といたしましては、最初もつと大きな金額を考えたわけであります。それで法律にもありますように、何とか預金部資金の方からもつとこの特別会計に入れてもらつて、せつかくできた長期資金の融通財源に充てたいというようなことで、大蔵省と話しておつたこともあります。  それからもう一つ協同組合の問題でありますが、これも議員提出の法案になるかどうかまだはつきりは承知いたしておりませんが、御承知の約二百億くらいのものが、協同組合では資産が固定化しておるので、これに対する協同組合の再建整備というか、ある程度の融資をいたすということも今問題になつております。  それからもう一つの大きな問題といたしましては、共済保険の問題でありまして、これは各県の連合会に相当な赤字があります。この赤字は、根本的に申し上げますと、料率の改訂までの問題になりますが、約二十億ばかり赤字があります。これをどう取扱うかということが問題になつておりまして、農林省と大蔵省の話合いで、大体約二十億の赤字の一部の利子補給をしようぢやないかというような話合いになつております。そんなものが一般会計で大きな問題として今大蔵省と話している問題であります。  公共事業の方につきましては、御承知の今年見返り資金から農林省関係で約二十七億ばかりの融資があつたのでありますが、これがなくなりましたので、公共事業の金額は昨年よりは若干ふえておりますが、見返り資金からも、もう少し出してもらえないかという話が出ております。公共事業につきましては、一千億という要求に対しまして、さつき申しましたように、約三分の一の三百億になつておりまして、当初要求したものに比較いたしますと、事業童も圧縮を受けるということに相なつております。
  109. 竹山祐太郎

    竹山委員 食管の方は見えていませんから、あとで伺います。  今お話の公共事業費の問題に関連して、見返り資金から二十七億の公共事業費を二十五年度に出して、二十六年度に出さなくなつた理由と、今政府が出さんとしておるところの特別会計の中に入つてくる見返り資金というものは、非常に恩に着せておるけれども、結局今年度出しておつた公共事業が見返りにかわつたものであるか、その辺のいきさつを一応伺つておきたいと思います。
  110. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 今のお尋ねの点でありますが、特別会計の方へは、御承知のように一般会計から二十億、見返り資金から四十億ということになつております。公共事業に入つておりました見返り資金は、先ほど申し上げたように、農業は約二十七億で、その他を入れまして、二十九億くらいになるのでありますが、これは打切られた。それの見返りになつたのは、特別会計の融資ではないかというお話でありますが、私どもはそういうふうには思つておりません。たとえばここに出て来ました公共事業の見返り資金でも、これは国営のもの等にも相当入つておりますが、今度の特別会計に入りますところの見返り資金は、国営事業等には出しませんので、今まで公共事業の方で比較的圧縮された小規模の土地改良とかいうようなものは、この特別会計で大分融資して行こうというような考えになつておりますので、公共事業に入りました見返り資金が打切られて、それが見返りになつて特別会計に乗り移つたのだというふうには、私どもは了解をいたしておらないのであります。
  111. 竹山祐太郎

    竹山委員 そうすると問題は、公共事業費は昨年よりふえておることになつているが、見返り資金の減つた分から見ると、約十億程度の増額にしかならぬように記憶しております。そうなると、今説明のあつた国営その他大きいものに見返り資金が出ておつた分を打切られて、特別会計から出る分は小さいものにということになると、大きいものは、政府は実質的には削減したことを了承されておつたということになるのでしようか。
  112. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 その点は公共事業全般をごらんになるとおわかりと思いますが、今年の公共事業と来年の公共事業を比較してみますと、二十六年度におきましては、災害に充てました公共事業費は、二十五年度よりは減つております。それで大体の考え方といたしましては、災害に充てた部分をこの一般の公共事業の方へ持つて参りまして、見返り資金の打切りによつてせつかく二十五年度に始めた工事あるいは繰上げて施行しようとした工事が、打切られるとかいうような結果にならぬように、全般的に申しまして、災害の予算が若干減少しまして、一般の公共事業の方にまわつて来たというふうにわれわれは考えております。
  113. 竹山祐太郎

    竹山委員 そうすると、農林省方針としては、災害は減らしてもよいというふうに考えられて、そういう結果になつたのですか。
  114. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 農林省予算でも、災害の予算は二十五年と二十六年度を比較いたしますと、二十六年度は減つておらないのであります。私は全般の金額について、公共事業全部の災害と一般の公共のことを申したのでありまして、農林省にわけられました災害の予算は、二十五年度と二十六年度と比較いたしますと、二十六年度の方が増加いたしております。農林省といたしまして、災害をあとにしてもいいというような考えは毛頭持つておりません。
  115. 竹山祐太郎

    竹山委員 私の伺つた点でまだ抜けておる点は、公共事業の中に見返り資金を入れてなかつたことに対してでありますが、これは農林予算だけではないとは私も承知しております。今年度打切られた理由は、政府はどういうふうに解釈されておりますか。これは事務当局にお伺いするのは無理かもしれません――それでは今の予算に関連して小さいものに出すという説明があつたのですが、この小さいものに出す予算が、昨年の方針よりもどのくらいふえておりますか。
  116. 平川守

    ○平川政府委員 現在のところまだ正式に内訳をきめておりませんので、ただ総額として見返り資金の分を入れましても、昨年よりも十億ほど多くなつておるわけでありますから、先ほど話がありましたように、その見返り資金の打切りによつて、大きなものの事業に支障があるようなことはずまいと考えておるわけでおります。なおこまかいものがどのくらいふえておるかということでございますが、こまかいものと申しましてもいろいろございますので、こまかいのと大きいのという表をつくつておりませんが、たとえば土地改良について申しますと、小規模の土地改良に対する補助金は昨年は一億八千万円ほどありましたものを今年は三億程度に出す。これは御承知のように、小規模のものに対する補助金がだんだん打切られて参りまして、全体としては非常に金額は少なくなつておりますが昨年に比較いたしますればそういう状況であります。
  117. 竹山祐太郎

    竹山委員 これは大臣の方針というわけには行きますまいが、事務当局の今までの考え方を伺つておきたいのは、金がないから大きいものをやるという考え方は今まで一応とつて来た方針ですが、今年額はわずかであつても、小さいものを倍にふやしたということは、やはり小さいものも政府がやらなければできないというか、その重要性を認られたことだろうと思うが、その辺の一貫した方針――ことに私は強く言わなければならぬのは、今の国際情勢から来る食糧問題と事いうものは、昨年から情勢が一変しておるということを、政府も十分認識されての上と思うが、この予算を編成する素材をとつたときと今日とでは情勢が変化をしておる、何と言いわけをしようともかわつておるのですが、そういう情勢考えられる国内食糧増産の緊急性から見れば、小さい早く片づけられるものにもつとウエートをかけて行くことが重要だと思う。この間農林大臣に農政研究会の代表として会つた際にも、いわゆる公共事業費のわくをはずれた食糧緊急増産という意味において、かつて農林省がやつたような、早く解決する問題について、この際急速に手を打つ必要を大臣みずからも認めておられると思う。そういう考えで、今農林省の中でどの程度に準備を進められておるか。またそういうことをやるとすれば、政府が急速に政策を実行することによつて、どれくらいのものをやることができるか、地方の要求は際限もなくあるでしようけれども事務当局考えておる輪郭を一応伺つておきたいと思います。
  118. 平川守

    ○平川政府委員 お話のごとく、小規模のもので比較的簡單に増産のあがるものが相当あるということは、その通りと存じております。ただ大規模のものにつきましては、どうしても相当まとまつた国費をつぎ込んで実施いたしませんと実行できない。小規模のものについては、金融というような面でも、長期低利の資金が豊富に供給されますれば、ある程度実施し得るという考え方であります。従つて補助金の方は比較的減つておりますけれども、これにかわつて、でき得れば四分五厘程度の低利の長期の資金を潤沢に供給いたしたいと考えておるわけでありまして、特別会計の方におきましては、この小規模の土地改良に最重点を置いて考えなければならぬ。六十億の資金の中の二十数億はおそらくこれに充てられる、かように考えております。そういう種類のものがどれくらいあるかということにつきましては、精密な数字を持ち合せません。ただいま申しましたように、土地改良にはこの特別会計の方におきましても二十数億を計上しておるという状況でありまして、当初その対象として考えたものは、七十億を突破するような分量があるという見当をつけておつたわけであります。
  119. 竹山祐太郎

    竹山委員 これは意見にわたりますけれども、農林当局のやむを得ざる立場であるとするならば、実際の状況に対しての判断が少し違つていはしないか、それは金融によつてやり得るというか、金融を消化し得る事業というものは相当大規模なものであつて、小さなこまかいものがめんどうくさい借金を、しかも政府の言うようなやつかいな手続をして、金を借りてまでやろうということをやるかどうかについては、農村の実情をもう少し研究されてみる必要がある。今までやつた例から見ても、私はおそらくこれは不成功に終ると思う。そういうふうに見せ金だけやつてつて、足りないのは農民が悪いのだという考え方は、今の国家が要請する食糧増産の方向とは食い違つて来ると思う。ですから私はむしろ資金的には大きなところに半分でも金融をつけて片づけてやる、補助金とかみ合せてやりさえすれば早くできるのだから、これはけつこうだけれども、小さいものはむしろ政府資事金よりも補助金政策でやらないと、今までの現実から見ても実効が上らぬと思うが、今までの経過から見て、その点について農林当局はどうお考えになつておりますか。
  120. 平川守

    ○平川政府委員 小さいものにつきまして、金融を受けること自身が非常に困難だという御意見であります。もちろん補助金がつけば私どもけつこうだと思つておるのでありまして、その必要を認めておりまするけれども、全体の国家資金にも限度があるわけでありますから、政府の直接使うのは大規模のものに重点を置いておるわけであります。それから資金を得ることについて、実際上そういうことをやらぬじやないかというお話であります。これは私ども必ずしもそうでないと思つております。と申しますのは、たとえば最近二十六年の作付に、金さえあれば間に合うというようなものに対しまして、三十五億ほどの限度で、農林中金及び市中銀行等から短期の融資を受けるという方策を講じまして、各地から希望をとつたのでありますが、これに対して小規模の改良に該当するものの申込みが相当の額に上つておるのであります。三十五億の割当のうち、たしか二十億近くが小規模の土地改良の方の要求だつたと考えております。なお従来の経験――いろいろございますが、その中には手続の問題、利子の問題等々の関係からいたしまして、あるいは特殊のものとしては昨年あたりその例があつたのでありますが、この融資を受けると補助金がもらえない、補助金をもらうために融資を受けてはならぬといつたようなことが、融資を受けることについての障害になつてつたよう事情もございます。いろいろ特殊事情があろうかと思います。今回の特別会計においては利子はきわめて低利であり、しかも長期の資金であり、かつ手続等については、できる限り簡便な方法をとろうと考えておりますので、おそらくはただいまの予定の金額のわくでは足りないくらいの申込みが殺到するのではなかろうかというように、私どもは思つております。
  121. 竹山祐太郎

    竹山委員 話が出たから申し上げておきますが、今の三十五億についても、申込みが殺到する反面においては、これを急速に貸付をやつて参らぬと、また政府はうそを言つたということになる、どうも今の状況ではそういう傾向になりそうだと思いますが、関連して伺つておきたいのは、大臣の話を伺つておると、六十億では足りないから、少くももう四十億ふやすのだということを言つておられたようですが、われわれも、この六十億では中途半端でどうにもなるまいと思うのですが、この額を増額をして出される準備等がどの程度におありか、伺つておきたい。
  122. 平川守

    ○平川政府委員 これにつきましてはまだ大蔵省と折衝しておる段階でございまして、特別会計法においては、預金部の資金を借り入れることができるという案になつております。ただ預金部資金の運用の問題として、これになお四十億程度入れてもらいたいということを折衝しております。
  123. 竹山祐太郎

    竹山委員 これは畜産あるいは農業倉庫、その他日が開かれれば当然殺到するだろうと思いますから、その辺を含んで増額の努力をされないと、どれもこれも困るようなことになりはしないか。それからもう一つ伺つておきたいのは、今度組まれた公共事業費の予算はいつの物価水準でやつておられるか。
  124. 平川守

    ○平川政府委員 これは昨年の六、七月ころの物価水準であります。
  125. 竹山祐太郎

    竹山委員 そうすると、運輸省においても鉄道が半分もかからないという問題が起つておるように、この予算国会を通つても、当初予想された事業量に対しては非常に減ることになるが、増産計画との関連において、今の物価状況から判断をして実効的にはどれくらいになるというお見込みですか。
  126. 平川守

    ○平川政府委員 材料費等がお話通りつておりますので、全体として一割あるいは一割五分程度は実質的な事業分量において削減を見るのじやないかというように考えております。
  127. 竹山祐太郎

    竹山委員 食管の人が見えませんからほかの問題にかわりますが、山林の方面において公共事業については伺うことを省略しますが、今問題になつておる森林協同組合の問題については、山林と農業との間にいろいろ摩擦があるようでありますが、政府においてはこれをどういうふうに調整をとつて行こうとせられるのか、政務次官に伺いたいと思います。
  128. 島村軍次

    ○島村政府委員 お話通り、森林組合に関しては、現在の農業協同組合との間の調整が相当問題になつておりますので、いろいろ研究の結果、現在の森林法を改正して、現在の森材組合において協同組合の仕事はなし得るという程度で進みたいというので、目下法案を検討中でありして、近く提案になる予定であります。
  129. 竹山祐太郎

    竹山委員 これは政府がうまくやられませんと、必要以上に摩擦を大きくして来るおそれがあるから、十分お考えを願つておきたい。  それから会計の方に伺いますが、先ほど説明のあつた農業共済の赤字の問題ですが、これは共済制度からいうと根本問題です、ただ金をつぎ込めばよいということではなく、また反面からいうと、これから下手に農村の負担率をふやすということになると、農業共済制度は根本から壊滅すると思う、その点について、今後政府のとつて行こうとする措置を一応伺いたい。
  130. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 共済保険の赤字の問題でありますが、先ほどもちよつと申し上げました工うに、大体二十億という赤字の出ましたのは、異常災害が非常に多くて、今までの料率のままでは当然出て来る赤字であります。運営がどうとかいう問題ではなくて、料率の問題と発生しました災害の問題で出て来た赤字なのでありますが、まずさしあたりこの赤字をどうするかということについて大蔵当局と折衝したわけであります。これについては、実は料率の改訂が二十六年度になつて滞りますので、料率の問題はこの一年間よく研究して、二十六年度にもつとはつきりきめよう、それまでの赤字については全部一般会計から繰入れるとか、そういうようなことはさしあたりはいたしませんで、今借りておりますのは大体一割なり一割一分くらいで借りるのでありますが、これについてある程度の利子補給をして行こう、その財源は今度入りました二十五億の基金を一部使いまして、それを財源にして利子補給をして行こうというのがさしあたりの対策であります。今後の問題としては料率の改訂、その他あるいは共済組合なり連合会なりから金を出し合いまして、そこへ政府も金を出しである程度基金をつくる、あるいはまた料率の問題でも、農家の負担をこれ以上引上げるということでなくて、單作地帯等についてはもう少し補償限度を引上げてその分を国が持つとか、そういうようないろいろな対案つくりまして、大蔵省と話し合つておるような次第であります。
  131. 竹山祐太郎

    竹山委員 農業委員会の問題がまだ懸案のようですが、これは予算関係からいつて、もし本国会を通過しなかつたような場合が起つたら、どういうことになりますか。
  132. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 農業委員会の問題でありますが、これはあの法律が国会通りませんと、従来の農業調整委員会は食確法でできておる関係で、三月で打切りになります。それでこれにつきましては、いわゆる法的根拠は失うわけであります。予算としては、大体農地委員会は、県段階は八月から、市町村段階は七月から農業委員会に乗り移つて行こうという形になつておりますが、農地委員会系統の関係は、当然その予算が使えると思います。  なお、農業調整委員会につきましては、これは法的根拠を失つたものとなるのでありまして、これが通りませんと、今までの農業調整委員会というものは一応御破算になつてなくなる形ですから、予算上から申しますと非常に混乱を来すというふうに私ども考えております。
  133. 竹山祐太郎

    竹山委員 政務次官に伺いたいのですが、農協再建整備の問題は、一体どういうことになつておりますか。
  134. 島村軍次

    ○島村政府委員 政府においてはその基礎調査を了して、現在大蔵省と折衝中であります。たびたび大蔵大臣及び農林大臣の言明しております通りに、再建整備の必要性なり、その予算措置を講ずることについては、熱心に考えてもらつておるのでありますが、現在GHQの方面においては、いろいろ論議が盡されておりますので、理論的にGHQとの間の了解をどう求めるかということが一つの問題になつております。その点で大蔵省の事務当局と今検討を進めておりますが、何としてもぜひこれは提案をするという見込みをもつて、せつかく熱心に勉強中でありますので、どうぞさように御承知願います。
  135. 竹山祐太郎

    竹山委員 これは聞くところによると、政府提案の自信がないせいか、議員提出にするというようなうわさも聞いておりますが、最後まで政府はこれを出される決意を持つておられるか。
  136. 島村軍次

    ○島村政府委員 ぜし出したいと思います。提出の形式はあるいは議員提出になるように話合がつくかもしれないと思いますが、原案その他の準備は一切農林省でやつておりますので、ぜひ提案をいたしたいと思つております。
  137. 竹山祐太郎

    竹山委員 私は与党と政府の話合い事の原則はよく知りませんが、少くとも予算関係するところの法案を議員提出で出すということは、原則的に今の大勢から見ておかしいと思います。われわれが議員で言うのは変だが、議員で出すことに何ら躊躇するわけではないが、この問題は先ほどの政府説明にもあつたように、政府が当初本予算に組む予定をもつて進行した重要政策の一つだと思います。従つてそれが難航したから議員提出にまわすということをしないで、最後まで、農林当局がその方針に正しかつたいう信念を持つておられるならば、政府提出を一貫されることが私は当然だと思うのです。この問題は、世間が考えるよりも私は実質的に重大だと思うし、事柄が金融に関することだけに、大騒ぎをすればかえつて逆効果になるし、そこは政府が騒がないからということで冷淡に扱かわれると、かえつて逆の効果を現わすようなことになるのですから、ぜひとも政府提出の方針で進行せられんことを希望いたしますが、見通しとしてはいつごろ出されるかということについて、今の状態においての一応の御判断を、この予算に関連して伺つておきたい。
  138. 島村軍次

    ○島村政府委員 毎日のように焦慮をいたして、実は今日も政府員員室でその打合せの相談をいたしたようなわけでありますが、本月中には出したいという見込みをもつて、ぜひ出ぞういとうことで進んでいるのでありますが、先ほども申したような段階でありますので、いましばらく御猶予を願いたいと思います。
  139. 竹山祐太郎

    竹山委員 水産庁がおられませんでしたら、前の関係で御答弁くださつてもいいが、水産金融の問題で大臣は非常に熱心にやつておられるそうですが、これはこの予算にも関連がありますが、現段階でどのようにお考えになつておりますか。
  140. 島村軍次

    ○島村政府委員 案がいろいろありまして、本日新聞である程度出ておりましたように、大体水産銀行という形で進みたい。それの出資は民間出資二億、あとを政府資金その他で、何らかの形で財政的な出資を国家の方で考えてもらいたいということで、この折衝を進めているのであります。まだこれも大蔵省との間で結論に至つておりませんが、ぜひともこの問題も実現いたしたいと思いますので、せつかく勉強中であります。
  141. 竹山祐太郎

    竹山委員 私はそれに関連して、これは農林当局に聞くのは不適当かもしれませんが、一応伺つておきたいのは、一番冒頭に問題になつた農林漁業の長期金融の問題について、政府はおそらく別個の金融機関を考えておる段階にあつたと思う。ところが農業に関して別個の金融機関をつくるのはいけないのだという政府全体の方針であつたのかどうだかわからんが、輸出銀行だけはできて、農業の特殊金融機関はできなかつた。今度水産が突知として出て来る。われわれの知るところによれば、今中小企業に関しても、いわゆる無番が銀行にかわる。これは新設ではないけれども、そういうものができる。あるいはまた市街地信用組合が銀行化そうとしている。金庫になるという案も進んでいるのに、なぜ一体農業だけが特殊金融機関をつくることを拒否されるのか。農業の長期金融というものは、一番長期金融のうちにおいても困難性のある、また一番長期でなければならぬ金融機関である。その農業長期金融機関を特設しようとする案を農林省は引込めてしまつて、特別会計で政府がやる、何も政府がやることを攻撃するのではないけれども、新しい長期金融機関ということであるならば、やはり長期金融機関で行くべきで、政府の役人がこれにしがみついて、いつまでも自分が補助金をくれてやるという考え方でやつてつては、私は率直に言つていい面もあるが悪い面ができるのではないか。それについて農林省の努力が足らないのか、農林省は現在の段階においてどうお考えになつておるか、いつまでも特別会計でやつておられるか、農業の長期金融機関の必要を感じておられるか、その辺をひとつ伺いたい。
  142. 島村軍次

    ○島村政府委員 お話通り最初農林金融については公庫といいますか、金庫というような法案を考えたのであります。かつこれを一括して長期の金融をはかりたいという予定で進んで参つたのであります。たまたま関係方面の意見がありまして、現在御承知通りに、農林中央金庫というものがありまして、これは特殊銀行としての働きをやつているわけであります。従つてこの機関をして扱わせたらよいじ直ないかという意見が出まして、結局その道をどちらにとるかということを研究の結果、将来の問題は別として、さしあたり農林中金をして行わせて、むしろ資金的にこの資力を確保することを適当と認めましたので、特別会計で長期金融の方法を講ずるという段階なつたのであります。お話のように、もちろん他の方面には特殊金融機関も相当できておりますので、水産についてもやはり同様に農林中金というものがあるのだから、これで扱かわしたらよいじやないかという意見も現にあるようであります。ただ水産については、今度の特別会計においても非常に金額は少くありますし、また別途に水産金融については特殊な関係がある、これも御了解願えることだと思います。たまたま漁業権の補償の問題と関連を持つて新しく別途の切り離した考え方をする場合には、むしろ水産銀行としての特殊銀行として扱うことが適当ではないかというような考え方で、さような措置を講ずるという予定で進行しているような次第であります。
  143. 竹山祐太郎

    竹山委員 水産銀行に反対するのではないが、水産銀行をつくるくらいならば、農業の長期金融というものに対して、これをなぜ将来もつと拡大した特殊金融機関にまで発展させるという考え方をお持ちにならないのか、この点を伺いたかつたのであります。
  144. 島村軍次

    ○島村政府委員 お話通り、さしあたり六十億の範囲で、ただいま農地局長から説明申し上げた通り、預金部資金をさらに相当出してもらうということを目下交渉中でありますし、運用の面から言えば、やはり中金に一括してやるというよりは、特殊の金融で発展性を将来に残すということの方が適当だと思うのでありまして、その点も時期的に当時の交渉の段階と今日の交渉の段階とでは、多少の相違もあるように考えられますので、その点はさらに研究を進めて、その措置を講じ得るものならば、なるべくそういう方向に持つて行くようにしたいと思います。
  145. 竹山祐太郎

    竹山委員 時間的に見れば、先ほど申したように、食糧緊急増産の必要に迫られている、昨年とは情勢が一変しているのだから、むしろ農林省は遠慮することはない。なぜもつと大計画を立てないのか、この点を強く申し上げておきます。  次に残つている食管の問題を、長官が見えましたので伺いますが、昨日以来経済閣僚懇談会を突如として始められた。われわれから見れば一番心配しておつた国民生活の問題について、物価政府がいかにも軽く考えているように思うのですが、ようやくその問題を取上げて来たことを、私は注目しております。そこで伺いたいのは、雑穀をはずす、あるいは麦をはずすというように政府、与党の方針は一貫されているということですが、これは農林省だけに伺う問題ではないが、今国民生活の問題から考えて、一番安定しているのは基本的な主食、しかしあとの繊維その他の物資はどんどん上つている。これを政府がどう考えるかは問題だが、その最後の線であるところの主食の問題が、今の動きから見ると動揺をして来ているのではないか、現に農林大臣は、私直接ではないけれども肥料が上つたつてかまわんではないか、それは麦を上げればいいじやないか、こういう御議論である。これは農民に聞かせればまことにけつこうな御議論であつて、われわれも上げるのはあたりまえだと思つている。六四にパリティーを下げたときに私は農林省は一体信念があるのかと言つたのですが、これは数箇月後に破綻を生ずることはわかりきつている。そういう乱暴な麦のパリティーを下げておいて、今になつて肥料を上げれば麦を上げればいいじやないかというような、乱暴な放言によつてこの政策が動揺をすることはこれは国家のために重大問題である。今政府考えておられる雑穀から、麦に関連をして統制を撤廃される結果、農産物は上ります。当然なのだ。だから麦を含んで上げるということを原則的に了承をされていると理解していいのでありますか、事務当局でもどちらでもよろしうございますからお答え願います。
  146. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 お尋ねの点は、昨年の暮に三省会議をもつて本年の予算を編成するに際しまして、食糧統制に関する基本的な方針をどうするかということは、論議をされました。その結果大体麦は本年中はこれを自由販質の線に移す、米については統制を続けてもらいたい、またこれのみをもつてしては、国民生活の安定の上に考慮を払わなければならぬことも出て参りました。輸入食糧は全部政府が押えまして、これを放出することによつて、物量面から、価格の面からの安定を期するという線で御決定を見まして、そういう方向で進んで行つているのであります。その後国際情勢もあまりいい方向には向いませんし、また国内的に見ましても、いろいろ食糧に関しますすそ物と申しますか、雑穀、屑物等を自由に移しました結果、相当の値上りを見ている実情からいたしまして、麦の統制をこの際ばずしますことは、いろいろ食糧の上において不安を惹起しはしないかという御批判を受けているのであります。輸入食糧の面は、予算上は二十五会計年度において三百二十万トンを予定いたしておりますけれども、ただいまのところは、確実な見通しは二百七十万から、甘く見まして三百十万という線で、それから価格の面は、麦についてはただいまお話がございましたように、対米価比六四ということで予算は組まれている。しかし先ほど申しましたように、いろいろ最近における価格の動向等を見ますと、必ずしもこの予算單価を固定して問題を考えて行かなくてもいいし、との方が適当ではなかろうかと事務的には考えております。これは新麦が出まわります時期において、この辺の全般の情勢を判断いたしまして、財政当局とも十分打合せをして、価格の点はきめて参りたいと存じております。麦の統制を緩和する方向については、現状をもつていたしますならば、大体輸入見通し等も以上申し上げました通りでありますので、その方向で進んで参つて大きな狂いはないのではなかろうかと存じております。  もう一点いろいろ御議論があつたのでありますが、政府が提案いたそうと考えております食糧管理法の改正法案のうち、麦については自由買入れする権能、あるいはなお食糧需給状況によつては、麦を割当買入れするという條項を入れたいということを、御披露申し上げておるのであります。その点について、原則と例外が、現在の客観的情勢からいつて逆ではないかというような御指摘もあつたのでありますけれども、私どもといたしましては、昨年末におきまする三省会談の結論並びに現状をもつていたしまするならば、大体既定方針によつて善処して参りますならば、ただいまお話のありましたような、国民生活に最も影響を持つ食糧の需給調整の上に、大きな狂いはなく進んで参るのではなかろうかというふうに存じております。
  147. 竹山祐太郎

    竹山委員 きようは分科会ですから、食糧政策の根本議論は遠慮いたしますが、予算として伺つておきたい。今のお話合いから伺うと、麦の買入れ価格予算にこだわるのではないということであるならば、パリティーを直す場合も起り得る、もちろん法的に強制をするというような場合になれば、当然その問題はいや応なしに起る。そういうことになると、下るということは、いくら楽観論の政府でも考えてはいますまい。上るということになれば、今の食管特別会計の予算で十分にまかなえるのかどうか。またそれをまかなえるように押えるとすれば、輸入の方の麦はどんどん上つてつておる、輸入補給金の方が足りなくなつて来るというようなおそれもあるんじやないか。その両面から見て、いずれも将来今の予算補正の必要を認めないのだ、今後の一年間十分やつて行けるのだという当局の御見解であるか、それを承つておきたい。
  148. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 麦の買入れ代金については六四ではじいておりますけれども、数量は御承知のように八百数十万石という数量を見込んでおります。この数量は供出制度以来いまだかつてないような大きい数量でありまして、この全量を買い上げるということは、なかなか実情からいつて困難な数字だろうと思います。この際六四を動かしまして手を入れましても、数量の面において相当ゆとりを持つて積算をいたしておりますので、買入れ代金といたしまして不足するようなことはまずなかろうと思つております。なお一面買入費は麦だけではなく、米その他のものも含んでおりますので、予算全体といたしましては、その間の流用もききまするので、新麦の時期において、六四を変更いたしまして、相当買うということになりましても、予算上十分だろうと思つております。輸入補給金につきましては、さしあたり不足はもちろんいたしておりませんが、單価は相当上つておりますので、どん詰まりへ参りまするならば、不足をする傾向にあると存じます。この点は適当な機会に考量しなければならぬ問題だと存じますが、いろいろ財務運営方針もございますので、財務当局とも十分打合せをいたしておる次第であります。
  149. 竹山祐太郎

    竹山委員 今の御答弁は非常に重大なんで、前段の買入れ資金が足りるかもしれぬとおつしやるが――私は農林省を責めるのじやないが、政府全体として大問題だと思う。一体対策比率をかえて、主食の価格をかえて行くということになれば、この予算全体を改変する問題が起つて来る。私は冒頭に物価の問題を伺つたので、政府自身にも食糧価格を直す考え方があるかどうかを伺つたゆえんはその点であつて、これは、主食を直してもいいんだという前提に立つて行くということになれば、この食管の予算だけの問題でなく、全予算に響いて来る大問題だと思います。この点は農林当局に申し上げるのではない。少くとも念のために伺つておきますが、今の食糧情勢から見通しとして、麦の六四のパリティーというものは直せないという事務当局の見解であるかどうか、その点だけを伺つておきたい。
  150. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 現在の各種の穀物相場等から見まして、この六四というものは適当であるかどうかという点は、いろいろ御議論があろうと思います。食糧構造が一面かつての自由主義経済時代とかわつておりまする現状において、必ずしも当時の対米価比をとることは合理的でないという見方も出て来るわけであります。しからば対米価比をいかにしてきめるかといとことになると、これは生産費計算等からいいますと、むしろ米価より高い生産費も出ておるのでありまして、その辺の麦の適正価格の設定方式は、いろいろ研究しておりますけれども最後的な結論には到達いたしておりません。対米価比六四というものは、当時におきまする各般の情勢から申しまして、大体この辺がよかろうということできめた予算上の單価でございます。いろいろ御疑念の起きます点は、かりに割当供出買入れ制度をとる場合においても、この六四で押し切るつもりかどうかというような点もからんでおるのではなかろうかと思いますけれども、これは全般の今後の物価の動向というものもございますので、その辺を十分考慮いたしまして、新麦出まわり期以前において最後的決定をいたしたいと存じておるわけであります。
  151. 竹山祐太郎

    竹山委員 事務当局をこれ以上追究することはむりと思いますが、少くとも政府が一割増産を主張してやつて来て、増産をして押し切ろう、国内自給を高度化しようという方針はかわつておるはずはない。それだとすると、私は好意的に見て、政府はこの問題を早くきめられた方がいいのじやないか。そのときまで情勢を見る見るとおつしやるが、これはだれが考えてもむりだと思う。その点が法律とからみ合つて来て、六四で強制買入れをすると言うから国会も賛成ができないということになる。それを直すんだということであるならば、また話は別だと思う。その辺が事務当局の言うこと――大臣はなお、肥料が上れば麦を上げてもいいじやないかと言われるが、その言いぐさと農林省方針というものがよくわからないので、最後政務次官農林省方針を伺つておきたいと思います。
  152. 島村軍次

    ○島村政府委員 この問題は非常に微妙な問題でもあり、かつお話通り、理論的に申しますとなかなかむずかしい問題になつておるのであります。そこで新聞でごらんの通り、いろいろ論議もございましたし、さらに今度法制をやる場合に対する措置としてどうするかという問題で、いろいろ検討いたしたのでありますが、結局本年度の麦は、七月までの間に政府の予定数量を買い上げて、その後においては自由販売を認めて行く、その場合におきましては、政府の手持ちはできるだけ確保いたしまして、十月までの間は配給については二合七勺を堅持して行くという建前をとつておるのでありまして、麦は七月以降におきましては、ある程度自由販売も出て来るということが予想されるわけであります。従つて量的には十月までの間には相当のものが確保できるという見通しを持つて、現在やつておるわけであります。お話の点は、さような場合におきまして大臣がどういうことを答弁いたしたか存じませんが、自由販売を認めた場合におきましては、需給関係その他で、ある程度価格の点も、政府で買上げを予想しております点だけでは、いわゆる市場価格が出て来ないようなことも考えられると思うのでありまして、さような情勢考えますと、ただいま食糧長官が答弁申し上げたように、価格の点については、さらに各般の情勢を考慮いたしまして、新麦の出まわる前に価格をできるだけその当時の情勢に応じて、今の対米比率を考慮してみたい、これだけは申し上げることができると思います。またその方針をどこまでも堅持して進みたいという考えを持つております。
  153. 竹山祐太郎

    竹山委員 それに関連してもう一点だけ伺つておきたい。雑穀統制をはずされる、これは従来の原則論に私も反対するのではない。ただこれは政府が予想しておるよりも以上に、今の時期が非常に微妙であります。今私が一番心配しておるのは、ここで物価を一斉に引上げる一番ベースをなしておる食糧をいじることによつて――一例をあげると、雑穀の中に入つておるそば、これは何でもないもののように考えておられるが、東京でいえばそばの消費は相当の量である。これをはずされると、今のいわゆるやみ価格は倍になるということが起つて来ます。それでもよろしいのかどうか。要するにそういうことが、政府が簡單に雑穀の單なるそばとかひえとかいうふうに考えておられる以上に、非常に大きな影響を消費者に及ぼして来る。それをあえてして、食糧政策には心配はない、というよりも、物価政策にはあまり心配はないと考えておられるのかどうか、この点は愼重に検討つておきたい。今御答弁を一々伺うことは差控えて、念のために申し上げておきます。  最後に、農事政局長が見えましたから、肥料の問題を一つだけ伺つておきたい。それは前々からの燐礦石の補給金の問題が、昨日の経済閣僚会議にも出たと私は想像するが、新聞でも、大蔵大臣はそんなものは出す必要はないと言つておられる。出す必要はないということで力み通せるのならけつこうだが、今の肥料の地方の混乱状態は政府もよく御承知だろう。明らかに倍になつておる。思惑をしておる。思惑をするやつが悪いというけれども、高く買わせられる農民の被害はなくなりはしない。だから政府は燐礎石の補給金を出すのか出さぬのか。何も今すぐ予算要求をせよとかどうとかいうのではないが、その方針を早く決定して手を打たれぬと、結果は必ず農民が損をする。また食糧の面では消費者が損をする。大衆が損をして、一部の者だけが思惑で利益を得る。それをあえて見ておるというのなら別問題だが、そういう意味において肥料補給金、過燐酸あるいはカリの補給金の問題は、懇談会においてはどの程度まで進行されておるか伺いたい。
  154. 藤田嚴

    ○藤田政府委員 御懸念の点は私どもも同様に考えております。昨日の経済閣僚懇談会に出ましたのは、秋肥以降の分についての補給金の問題ではございませんので、一応春肥分に補給金は出ることになつておりますが、しかしその後の契約をキヤンセルする、あるいは高いものを入れなければならぬということで、春肥分を従来通り方針でやるにも不足を生ずる。その不足をどうするかということが問題になり、結局その不足についてはこれを処理して行こうということに決定いたしたわけであります。しかしながら問題は、秋肥以降の分が確定いたしませんと価格は安定しないのです。その問題については、私どもも早くきめたいと思つていたしておりますが、財政当局との関係もあり、その他関係もございまして、まだはつきりとした結論は出ないのでございます。われわれといたしましては至急にこれを相談いたしまして決定いたしたいということで急いでおります。
  155. 橋本龍伍

  156. 小平忠

    小平(忠)委員 私は二十六年度の農林省所管に関する予算につきまして、きわめて重要な点についてお伺いしておきたいと思います。まず最初に、政府食糧一割増産を目途とされ、さらに経済自立三箇年計画を、安本が中心となつて立てられまして、二十六年度から三箇年間に、米麦等主要食糧について千二百万石の増産を計画されたというのでありますが、当面食糧増産に直接関係を持つ公共事業費並びに産業経済費について、項目別にどれだけの予算を計上されてあるのか、これは事務当局側からでけつこうでございますから、直接食糧増産にこれだけ予算が計上され、昨年度よりもこれだけ増加されておるのだという点を、まず御説明いただきたい。     〔主査退席、小野瀬主査代理着席〕
  157. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 お答えいたします。直接食糧増産に関係があるという御質問でありますが、これは考え方によりましては、たとえば畜産の問題とか、いろいろ間接的に食糧増産にも貢献する面もあり、予算も入つておるのであります。定義の仕方は非常にむずかしいのでありますが、大体食糧増産に関係するであろうというものを大ざつぱに拾つて申し上げます。  まず一般会計から申し上げますが、これは金融の問題が一つあります。前年度は金融につきましては、御承知のように開拓者資金融通の法律の関係金融しました十三億七千万ばかりが入つておつたのでありますが、今度は金融関係につきましては、一般会計に計上してあるのは約三十五億八千万、そのほかに見返り資金が四十億ぐらいと御承知願いたい。それから大蔵省から出しております昭和二十六年度予算説明中に、食糧増産関係というような銘を打つて説明が加えられておりますが、増産関係に何と何をとるかということが非常に問題になるのでありまして、われわれが一応解析いたしました数字で申し上げますと、大体去年は八億九千六百万ばかりが食糧増産関係に入つております。今年は三十四億七千九百万ぐらいと考えます。これは御承知の農業委員会等につきましても、私どもは單に供出だけの機関じやない、いわゆる生産計画を立てるとか、農業生産の面にも資して行くというわけで、この中に入れて考えております。そのほかに入つておりますのは單作地帶の対策の問題、あるいは北海道開発の問題、これはトラクターを入れる問題でありますとか、あるいは種苗対策経費、そのほか植物防疫でありますとか、あるいは病害虫の防除の経費、そういうようなものは、若干林野や何かの金も入つておりますが、前年度は、技術の改良普及で八億六千八百万という金額になつております。今年度は、これが十一億三千万ばかりの金になつております。御承知の改良普及員は、大体一町村当り一人ずつ置いて行くということで一万一千四百名ばかりの改良普及員になつておりますので、そういう関係で金が出ております。それから試験研究関係も、これも林野、水産等が若干入つておりますので何ですが、一応食糧増産関係だけで見ますと、去年は十八億四千万ぐらいの金が、今年は二十一億四千万ばかりになりまして、試験研究機関にも三億ばかり金がふえております。それから畜産振興、これも間接的な問題にはなりますが、去年は六億一千六百万でありましたが、今年は七億二千二百万というふうに、大体昨年度よりはかなりの程度の増加を示しております。これは一般会計についてでありますが、そのほか公共事業について申し上げますと、昨年の予算で参りますと、これは一応農業だけとりまして申し上げますが、昨年は、一般会計においては、公共事業の一般分においては八十五億ということになつております。これが今年は御承知の百二十一億九千万、それから林業、水産は一応オミツトしまして災害関係で農業を申し上げますと、去年の当初予算は七十一億六千万でありますが、これが八十三億というふうにふえております。これはどれが直接か間接かという定義の仕方が非常にむずかしいのでありますが、われわれが一応拾つてみましたものは以上のようなものであります。
  158. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいま御説明を願つたのでありますが、これは私の方の考え農林省事務当局のお考えとは、若干開きがあるのでないかと思います。大体こういう説明をされると、確かに、農林省所管食糧増産のための予算は画期的な増加を見たのだと、大臣が大みえを切られるわけです。ところがわれわれがしさいに検討いたしますると、これはまことに、政府考えているような食糧増産どころか、結局遅々として進まないというような感じを深く持たざるを得ないのであります。この問題については、私は当初予算要求折衝当時からの経緯を伺つてありますので、事務当局としては相当苦心をされ、現在この額においても不満であられるとは思うのであります。ただいまの御説明の中で一例をとつてみますと、公共事業費の農業関係の一般分を見ますると、昨年八十五億で本年は百二十一億九千万円になつておるのだから、相当額の増加を予想されるのでありますが、これは昨年は見返り資金が入つておるものが、今年は入つていない。それでその見返り資金の関係を除きますと、土地改良においてはわずか七億円くらいの増加であり、開拓について見ますと、一億四千万円の増加というような点があるのでありまして、この表現の仕方はいろいろあると思うのであります。そこで私はお伺いをしたのでありますが、しからば政府は、この食糧増産の場合に、公共事業費に重点を置いて今後進まれるのか、あるいは産業経済費等、非常に小規模なものについて重点を置かれるのか、まずその点について、政務次官から基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。
  159. 島村軍次

    ○島村政府委員 ただいまのお尋ねの点は、重点をどちらに置くかということであろうと思うのでありますが、私は両方だと思うのであります。このウエイトの問題は、考え方によりますと、いろいろ論ぜられることだと思うのでありますが、しかし増産の基礎が土地資本にあるという点から考えますと、ことに生産力の少いわが国の農業経営であり、農地である場合におきましては、現在の土地資本がその生産力において非常に劣つておるという点、これは單なる改良によつて――單なるということは適当でないかも存じませんが、わずかな資本投下によつて相当の増收を期せられるという点から考えますと、土地改良はどこまでも取上げて行かねばならぬ問題だと思うのであります。そういう見方に立ちますと、政府みずからは、公共事業にうんと金をつぎ込んで、そうして増産対策もあわせて考えるべきであることはお話通りであります。そこで私は、この点に関しましては、もつと財政が許すならば、相当の増額を政府予算のうちに表わしたいという希望を持ち、熱心にこれを主張いたしたのでありまして、最初要求予算を、会計課長から申し上げましたように一千億というものを要求をいたしたのでありますが、現在の段階ではもちろん非常に不十分であることは、まことに遺憾に存じておるところであります。そこで一般の増産対策としての経費、これも不十分であります。しかしこれはむしろしベルの低い、低位生産地といいますか、そういう方面の増産を期する――技術の改良はもちろん、各種の点から、病虫害の防除その他も考えられるわけで、技術の改良というものも、よほどしベルの低い所の改良を行うことも同様であります。石炭の施用によつて増産が非常に効果づけられるということもありましようし、土壌の改良で、酸性土壌をいろいろな点から――あるいは秋落ちの改良という点から、これはいわゆる適地適作で、日本全国を通じまして、ただいま御指摘のような点から考えますと、両々相まつてぜひとももつと強力に推進すべきである、かような考えを持つておるわけであります。
  160. 小平忠

    小平(忠)委員 大体御説明は了とせられるのであります。そこで戰後農林省が強く土地改良を重点的に主張されたのであるが、依然としてこの土地改良の公共事業費の全体から占めるウエイトの点から見まして、年々下つておつた。それが二十六年度予算案によりますと、反対に増額されているということは、非常に喜ぶべき現象であつて、少いながらも、かつて農林省が大蔵官僚にどうしても押えつけられるというその悪い行き方を、逐次改められつつあるということは、私は同慶にたえないと思うのであります。今の政務次官説明もよくわかります。大規模な公共事業費もけつこうであるが、しかし産業経済費等に属する面も大いに力点を置いて行かなければならぬという観点から見ましたならば、来年度予算によりますと、土地改良で団体営が切られそうな状況にあることを仄聞いたしておるのでありますが、それは事実でありますか、農地局長にお伺いしたいと思います。
  161. 平川守

    ○平川政府委員 御承知のように、団体営の小規模の土地改良につきましては、原則として助成をやめるという方向にずつと参つております。従いまして、従来からの経過的のものにつきましては、依然として予算を組んでおりまして、その金額も昨年度よりは若干多くなつておりますけれども、新しい事業に対して、そういう種類のものを助成するということは、だんだんやめようという方針になつております。しかしこれに対しては、国費を投じて補助をして行くという形ではなしに、同時に低利の資金を融通するという形で参る。一方農林、漁業に対する特別会計の運用によりまして、この中におきましては相当分量を小規模団体の土地改良に充てておるわけであります。現在六十億の資金がございますが、これに対して二十数億はこの部分に充てるというぐらいに考えておるのでございます。しかもその金利に対しましては、できるだけ低利にしたいというので、四分五厘程度までに下げるように考えております。そういう方法によつて小規模団体営をやりたい。しかし資金に限度がありますから、どうしても国家が直接にやらなければならぬ、あるいは県單位にやらなければならぬというようなものに対しましては、公共事業費をつぎ込んで行きたい、こういう考え方をいたしております。
  162. 小平忠

    小平(忠)委員 今の団体営の新規のものはだんだんはずして行きたいというお考えは、それは農林省の農地局のお考えでありますか、それとも大蔵省のお考えでありますか。
  163. 平川守

    ○平川政府委員 農林省といたしましては、もとより、できることならばこれに対しても助成をいたすのがいいと思うのであります。ただ資金の総額を押えられました場合に、それをいかように運用するかという面におきまして、公共事業費の金は、政府が直接やらなければならぬような大規模なものに重点を置いて注入する。一方の小規模のものは、資金でもやれないことはないから、そちらの方できわめて低利で金融をするということでありまして、もちろん農林省の希望といたしましては、いずれも助成をいたして参りたいわけでありますが、総額を押えられて、その中においてどうしてもいずれに重点を置くかということになれば、そういうことになります。
  164. 小平忠

    小平(忠)委員 承知いたしました。私はやはり農地局長のお考えのように、私の意見をあえて申し上げますならば、二十町歩、三十町歩というような小規模な団体のごときは、これは考慮すべき余地はあるとしても、百町歩、二百町歩、五百町歩、千町歩というような大規模な、県営に近いように団体営に対しては、これはやはり日本の現段階においては、すべからく補助政策をとるのが妥当ではないかと考えるのでありまして、農林省当局がそういうお考えをお持ちになつておるならば、大蔵当局においてわからない意見を持つ者に対しては、われわれは国会を通じて強く要請をし、啓蒙をいたしたいと考えておるわけであります。     〔小野瀬主査代理退席、主査着席〕  あわせて、ただいま農林局長が例の農林、漁業長期低利融資の問題について触れられたのでありますが、これは従来から問題になつておる点でありますので、この機会に承つておきたいと思いますが、どなたでもけつこうです。例の畜産施設に対する融資の問題がいまだにくすぶつておるようでありまして、明確に融資の対象にされていない。農林大臣は、その他の面で考えるのだというようなことでありますが、その点がいかようになつたか。さらに農業倉庫に対する融資の拡充はどうであつたか、この点について御説明をいただきたいと思います。
  165. 島村軍次

    ○島村政府委員 先ほどどなたかの御質疑にもちよつと会計課長からお答え申し上げたと思いますが、六十億のわく内におきましては、なかなか畜産及び農業倉庫等に拡充をすることは困難だと思います。しかしこれを預金部等から相当その特別会計に繰入れまして、お話のような点もできるだけ解決をいたしたいという考えをもつて、せつかく今大蔵省と折衝中でありますから、さよう御承知を願いたいと思います。
  166. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいまの政務次官説明によりますと、六十億の中に入つていない。これはゆゆしい問題です。増額する問題は別個にしても、これは大臣の、例の、御承知のようなはつたり演説で、結局どの程度までわれわれが信用していいのかわからないのですが、しかしこの六十億も、見返り資金が四十億、一般会計から二十億なのであつて、現に今まで国会において、衆参両院の関係委員会あるいは予算委員会においても、畜産施設に対する融資は、その他で考えておるという説明をされておるわけです。農業倉庫についてもしかり。そこで私はあえて次のことをお伺いしたかつたのであります。それは一体事務当局においては、そんなことは全然考えていないのかということが第一点。考えておられるならば、どのぐらい考えておるのか、具体的に畜産の場合にはどういうことをお考えになつておるかの、御答弁を願います。
  167. 島村軍次

    ○島村政府委員 私の言葉が足りませんでしたから、訂正をいたします。六十億の中には、塩田その他で、きわめて額が少いので、畜産施設、農業倉庫等は、全然入つていないことはないけれども、まわりにくいという、ざつくばらんのところを申し上げたかつたのでありますが、少し響きが違つたようでありますから、訂正をいたしますと同時に、現在考えておりますのは、畜産等にはなるべく共同施設つまりサイロ等のごときものにも及ぼし、農業倉庫の方にも――農業倉庫は設備の方でありますが、そういうような共同施設に対してできるだけ拡充して、六十億のわくも拡げてやりたい。なお現在の六十億の範囲におきましても、今の予定ではなかなか入る額が小さいわけでありますけれども、全体をにらみ合せた上で、なるべくさような方面にも十分にいたしたいという考えであります、大臣の答弁と多少響きの点が違うかもしれませんが、同じことでありますから、御承知おきを願いたいと思います。
  168. 小平忠

    小平(忠)委員 まことにたよりない話で、畜産関係はますます落胆されると思います。私はあえて意見を差控えようと思つておつたのでありますが、これは重大な問題だと思いますから、はつきり申し上げたいと思いますけれども、農林大臣も本気になつてかかつておるのですから、次官以下、各関係の方に強力に推進していただきたいと思いますのは、やはり現在日本の農業において強く叫ばれておりますのは、国民の食糧が栄養、カロリーといつたような面から考えましても、どうしてもこの畜産の導入が非常に強く叫ばれているのでありまして、やはり肥料についても問題が起きているように、高い金肥を使うよりも、家畜を導入して、それによつて堆肥の増産によつて地方を増進して行くという観点から、畜産を奨励し、家畜を導入するという政策をとるのが本筋ではないか。現に農林大臣は、北海道の例のホルスタインのような牛よりも、デンマークあたりで最近奨励している、乳牛役牛両面兼ね合いの牛を内地の農家に全部普及したいというようなことを言つておられる。そういうような場合に、しからば現在の零細農業の経営の実態から、農家がそういつた午や馬を買うだけの資力があるか。私は軍にサイロの建設とかいう問題でなく、やはり家畜を奨励する意味から、共同購入で、農家が買えない資金を一時融通してやるのだというところまで行かなければ、日本の畜産の振興はあり得ないと考えるのでありますが、これは私の意見であります。どうかそういう意味で、まだ残された問題でありますから、真剣になつてこの問題については御考慮いただきたいと思いますので、これは別に御答弁を求めません。  これと相関通いたしまして、家畜伝染病予防について、畜産局長からお伺いしたいのでありますが、例の伝貧馬に対する問題であります。農林省は、家畜伝染病予防法の改正をなすべく現在準備を進められており、大体関係方面の了解も得られて、近くこれを提出するということを聞くのであります。その場合、これは昨年も相当問題になつたのでありますが、例の斃殺手当補助金は、一頭九万円以内において、実際の時価の三分の一の手当を支給するということになつております。そういたしますと、実際は一万円の支給にしかならない。こういうことでは、一頭の馬が倒れる場合に、一万円では全然手当がつかぬと同じような現状なのであります。これに対する予算の裏づけをなすかというと、何らそれが盛られていない。これは非常に大きな問題になると思うのでありますが、少くともこれに対しましては、三分の一ではなく五分の四くらいの補助をなすべきである。また私は農林省もそのような御意向であるかのごとくうかがうのでありますが、この審議状態と今後の見通しについてお伺いしたいのであります。
  169. 山根東明

    ○山根政府委員 伝貧馬の難殺手当の増額の御意見でありますが、実は私どもも二十六年度予算の編成の際には、当時の時価といいますか、全国の平均価格を馬につきましては、たしか四万円に見まして、それの三分の一ということで計算をいたしております。これは今後馬の価格が非常に高騰した場合には、もちろん訂正を必要とすることもあろうかと思います。斃殺手当交付率の三分の一を五分の四に引上げるという問題は、ただいまお話のように、家畜伝染病予防法が議員提出として本国会に出る予定になつて進行いたしているようでありますが、この法案の中には、五分の四にということで織り込められる予定であるようであります。こうなりますと、予算の増額を伴うわけでありますので、これらの点につきましては、今後財務当局と折衝をする必要があると考えているわけであります。
  170. 小平忠

    小平(忠)委員 議員提出で出されることも私伺つているのであります。しかしこれは予算の裏づけがない法律改正をやられても、何ら意味がないのです。すでにこの予算の審事も、現在相当具体的に進んでいるが、一方事務的に大蔵省当局とどの辺まで話が進んでいるのか、今後話を進めたいというのでは実にたよりがないのでありまして、やはりもつと積極的にこれを推進していただきたい。今度の通常国会には間に合わなかつたのだ、あとで追加補正というようなことでは、非常に支障があると思いますので、事務当局におかれても、ひとつ強力に推進されることを希望いたしておきます。  それから次に食糧庁長官がお見えになつておりますので、先ほど竹山委員質問されましたから、重複いたさないように私はお伺いをしてみたいと思うのであります。先般この予算委員会におきまして、長官から二十五年度、二十六年度の輸入食糧の実績と今後の見通しについて、詳しい数字の説明があつた。これは私の質問に対しまして説明していただいたのであります。そこであの際お話をされた内容から行きまして、二十五会計年度において、現在まで百七十一万トンの輸入であり、今後予定いたしておりますものが九十八万トン、すなわち二百六十九万二千トンが可能であるというが、そうすると当初三百二十万トンを計画された計画の実績と数学的に合わない、ずれがあるが、これをどのように調整されたのか。それからこの予算書の特別会計に計上されております前年度の剰余金の繰入れは、二十億を計上されております。こういう問題は、一体どういう点で具体的にされているのか、そういう点についてお伺いしたい。  さらに米穀の会計年度で参りますと、昨年の七月から十二月までわずか八十九万五千トンしか入つていないという状況なのでありまして、最近のいろいろな食糧事情国際情勢から見ますと、先ほど竹山委員に対する答弁も、絶対に間違いないとおつしやるのでありますが、逐次清勢がかわつて参りまして、先般安孫子長官が、麦の統制撤廃についても、ちよつと疑義あるようなことを、参議院の農林委員会説明されているのであります。そういう点も考え合せまして、今日の状態における事情について御説明を得たいと思います。
  171. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 二十六年度の二十億の前年度からの繰入れは、輸入食糧関係とは関係ございません。それは別の方からはじきまして出しているのでありますから、その辺の詳しい説明はまた明日でも続行いたしてやりますが、輸入補給金との関係はございません。  それから輸入見通しでありますが、この間申し上げましたような数字でかたいところを二百七十万トンと申し上げているので、予算が三百二十万トンで、二百七十万トンですから五十万トンだけ少い。これをいろいろ努力をいたしまして、私どもとしては大体三百万トンから三百万トンちよつと出たくらいのところまでは買付ができるというふうにただいまのところ思つております。先般申し上げましたのは、非常にかたい数字を申し上げているのであります。あとの二、三十万トンはいろいろ情勢の変化があります。たとえばビルマの米なんかにつきましては、協定もまだできておりませんので、近いうちに、ヨーロツパからの帰りに通商官があそこへ寄りますから、これも早急にかたがつくというようないろいろな問題を織り込みますと、三百万トンを越すと私は見ております。  それに関連して麦の統制につきまして、参議院で少しおかしな話があつたのではないかということでありますが、三百万トン前後のものが入れば問題はないと思つております。先ほど申し上げましたように、今後の一般的経済情勢としての価格の変動というようなものについて、もう少し愼重に研究する必要があるだろうということを申し上げている次第であります。
  172. 小平忠

    小平(忠)委員 そのように予定数量の輸入が至難であるような状態のさ中に、私の仄聞するところによりますと、当初朝鮮米の輸入が二十万トンと契約されたのが全然輸入されていないで、反対に朝鮮に相当量の食糧輸出されているというふうに聞くのでありますが、これは事実でありますか。
  173. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 朝鮮にはあまり出ておりません。われわれは三、四万トンではなかつたかと思つております。これは交換契約になつておりますから、全部返つて来ることになつております。契約は二口になつてつて、当初は経済協力局との契約が一本、それから後のものは八軍との契約になつております。経済協力局との契約の分については、逐次返還されておりますし、八軍関係のものも近く返還されると思いますから、朝鮮に出しました食糧についての差引の関係はございません。
  174. 小平忠

    小平(忠)委員 それは私の考えておつた通りのようでありますが、交換契約とおつしやるのでありますけれども、今後の朝事鮮動乱の推移から見て、はたしてそれが可能であるか。あわせて今後朝鮮に相当量の輸出をしなければならぬような事態が起るのではないかという問題の見通しについて、お伺いしたいと思います。
  175. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 今の交換について、返還は間違いないと思います。この点は御心配いらない。  それから今後の朝鮮向けの食糧の問題でありますが、これは当初交換契約をいたしましたときに、直接向うから持つて来るが、その余裕がないために、一時日本の物を立てかえたという事情にありますので、朝鮮において、今後いろいろ難民救済でありますとか、さようなことのために食糧が必要になつて来るといたしましても、こちら側の負担においてこれを出すということはないと考えております。
  176. 小平忠

    小平(忠)委員 さらに突き進んで長官にお伺いをしておきたいと思いますことは、先ほども竹山委員質問に対しまして、麦は自由買上げから、さらに割当供出のようなことを織り込んでおるのだ、今度の食管法改正の中には、そういうことを希望いたしているという御説明があつたのであります。そういう説明と、農林大臣の七月から麦については統制を撤廃するという考え方とは、根本的に矛盾するが、この点について長官の御意見を伺いたいと思います。
  177. 島村軍次

    ○島村政府委員 この問題につきましては、誤解と申しては失礼でありますが、さような感じがいたしますので申し上げたいと思います。政府方針は、七月までは新麦についてはできるだけ買上げをして、七月から後は自由に移す、しかし配給については十月までやるので、物量的にいえば当然確保はできる。それから七月以降は自由にするということには間違いがないのであります。ただそれに伴つて食確法の改正を提案いたさんとしておるのでありますが、法制的に考えますと、やはり全然はずしてしまつたということではなくて、割当供出をやることができるというような規定を加えておくことが、法制上適当であろうという考えでやつておるのでありまして、別に矛盾はないのでありますから、その点はひとつ御了解を願つておきたいと思います。なおこのことについて長官から御答弁申し上場げます。
  178. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 食糧問題はいろいろお話しになつておりますように、慎重な態度をもつてやらなければならぬことは当然だろうと思います。また情勢がいろいろ目まぐるしくかわる昨今の状況から申しまして、やはり長い先々のことも一応予測しなければならぬ。しかしこれはただいまの段階において、そう軽率な判断をするわけにも参りません。現状においては、麦は自由にしてよかろうと考えておるのでありますが、先々不測の事態が起きた場合に、非常な混乱を起しては悪いであろうという考え方をもつて、そういう規定を入れたい、かように考えておりますので、その間矛盾はなかろうと考えております。
  179. 小平忠

    小平(忠)委員 その点はわかるので託す。農林大臣は、七月から統制を撤廃するとおつしやる。統制を撤廃することは、価格の面も配給の面もこれは含まれると思うが、そういうことをおつしやるのです。そういうことと、それから先々自由に買上げるという場合においては、買上げするからには、決して価格の統制撤廃ではないのであつて、その点に矛盾があるのを伺つておるのです。もう少しわかりやすいように御説明願いたいと思います。
  180. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 その場合には、自由の麦でありますから、市場価格というものが出て参ると思います。それからもう一本外国から入りましたものを政府が売り渡す価格が出て参ると思います。要するに価格が、端的に申せば、市場価格というものと、政府で売り渡す価格というものの二本建になろうと思います。その間に公定価格というようなものはなかろうかと思いますが、その間の調整によつて麦価が安定して参ると考えております。
  181. 小平忠

    小平(忠)委員 それでは直接の責任者であります安孫子長官に伺います。大臣はへ既定方針通り逐次統制を撤廃して、米については供出後は自由販売にしたいと思つているとおつしやつているわけです。これはあえて私たちの意見を申し上げるわけではありませんが、とりあえず地方選挙を前にして、どうもこれは自由党の公約で、逐次統制を撤廃するのだということで言つておるのではないかと思う。現在の段階ではそういうことでよろしい、雑穀についても三月から撤廃するということもよろしいと思います。しかし外国における食糧の買付について、各国がきそつて買付をしているという事実、現に今までは食糧過剰を予想されたアメリカが、麦などについては輸出を停止し、反対に備蓄するという現状、それから買入れ価格についても、現にこの予算書に計上しておるところのドル価格では、おそらく買入れが不可能であろう、船舶についても非常に緊迫しておるから、予定の船舶は動かぬだろうという問題、こういう点をあれやこれや考えてみるときに、現在の日本の食糧は、絶対的に年間二、三百万トン不足であるという段階に立つて、本年からは、米についても供出後は自由販売にするのだ、この考え方は暴論だと思うのだが、しかし反面臆測するに、地方選挙を控えておるから、今は当初の基本方針通り、既定方針で進むゆだという考えでおられるということも、これは考えられないわけではない。少くとも、真剣にこの問題と取組んで、国の一箇年の予算を編成される場合に、一応そういう見通しがつくのを、それを、現段階はそれで間違いないのだというようなあやふやなことでは相ならぬと、私は思うのであります。そこで、一体食糧庁長官は、最近の国際情勢の動きなり、今後の日本の食糧需給の動きをにらみ合せて、はたして本年は、主食についても供出後は自由販売にするようなことで、絶対安心だと思つておるか、それで間違いなく行けると思つているか、この点についての所信を伺いたいと思います。
  182. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 買付の單価の上昇、船賃の上昇は、これはもうおつしやる通りであります。現状におきましては、物量が不足するということよりも、価格面においてさような高騰の傾向にあるということは確かに言えると思うのであります。従つて、この予算でもつて全部まかない切れるかどうかという点は、問題はあろうかと思います。  それから米の自由販売についてのお話がありましたが、大臣が予算委員会でそういうことをお話になりましたが、私どもは、昨年末予算編成当時に大体きめられました三省決定の、二十六年度の食糧対策の線に沿うて、事務的に進めて参りたい考えております。
  183. 小平忠

    小平(忠)委員 時間の関係もありますので簡單にお伺いいたします。  農政局長にお伺いしたいと思いますが、農業協同組合再建整備と関連いたしまして、農業協同組合に対する指導、検査事業の問題であります。  これは非常に大事なことでありますが、再建整備の見通しであるとか、あるいは予算的な裏づけ等につきましては、前の委員が質疑されておりますので、省略いたします。それで予算書に現われております農業協同組合の検査指導費の補助金でありますが、これは五千三百五十九万六千四百円計上されております。この補助金は一体どういうような形で支出されるお考えか、お伺いしたいのであります。
  184. 藤田嚴

    ○藤田政府委員 現在要求いたしております予算の中に載つておりますのは、県に対する助成の職員の補助であります。
  185. 小平忠

    小平(忠)委員 そういたしますと、これは県に対する補助金、すなわち地方公共団体に対する補助金であるが、一昨年から強く主張されておる民間の指導機関である都道府県指導連、あるいは全国農協指導連というものに対する補助金を出すというお考えはないのですか。
  186. 藤田嚴

    ○藤田政府委員 その点につきましても、私どもも必要を認めて、極力折衝をいたしたのでありますが、財政その他の関係上、遺憾ながら本年度においては実現しなかつたわけであります。
  187. 小平忠

    小平(忠)委員 それは非常に重大問題で、結局全部というわけには行かないが、現在の農協の実態は、完全なる指導教育ということが必要である。それから組合の経営経理の内容も、これは十分に監督指導しなければならぬという点から見て、農林大臣は非常に力説されておるわけでありますが、そういう点から見て、結局これが大蔵省の承認が得られないということは、私は遺憾にたえないと思う。形式はどうでもよいと思う。形式は結局地方公共団体の機関に助成するような形であつても、実態はそれが自主的な、自治監査的な方向にこの助成がされるようなことに行けばよいと思うのですが、一段と努力をお願いしたい。あわせて主管局長である藤田農政局長にお伺いしたいのは現在の再建整備と関連いたしまして、これはもう大臣は通すと言つておりますが、これは單なる再建整備利子補給だけではいかないのでありまして、どうしても今日農協再建の基盤となるのは、行き詰つておる農協に対して、長期低利の資金を融通しなければ再起できない。こういふうに考えるのでありますが、その問題について局長のお考え、あるいはそうしたいというお考えを持つておるならば、そういう問題の見通し等についてお伺いしたいと思います。
  188. 藤田嚴

    ○藤田政府委員 農業協同組合再建整備法と申しますか、それについては現在すでに省議で決定いたしまして、大蔵省と事務的な折衝をやつておるわけでありますが、そのほかに、従来のいわゆる焦げつき資金の問題でなく、今後必要とする長中期の資金の供給の問題、これもきわめて必要な問題であると私ども考えております。でありますからして、これは農林漁業の特別会計ではまかない切れないものも当然あろうと思うのであります。従いまして、そういう部面については、農林中金から低利にそれらの資金が出るような方途を考えるということで現在考えられておるわけでありますが、われわれといたしましても、極かそれが実現するように期待いたしておるような次第であります。
  189. 小平忠

    小平(忠)委員 次にお伺いをいたしたいと思いますが、農業協同組合の再建整備という問題に関連して、重要な点を一点お伺いしたいと思いますが、財源の予算的な措置が非常に疑問があるわけであります。農林大臣は預金部資金などと簡單に言つておられますが、担当のワード博士も、そういう金を出すこと自体が、大体筋が通らないと言われて、難色を示しておるかのごとく聞くのでありますが、見返り資金については、例の一九四七年かのGHQから与えられておる覚書によつて非常にむずかしい條項がある。あれを突破してこれを融資することも至難ではないかというふうに考えるのであります。見返り資金によるのか、あるいは本年度予算を修正するのか、本年度予算は修正しないで、補正予算等においてやるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  190. 藤田嚴

    ○藤田政府委員 ちよつと御質問の趣旨がわかりませんが、もし現在の再建整備に関係して考えております、固定化した資金を流動化するための利子補給の問題でありますれば、これは預金部資金の問題ではなく、当然法律を成立させたあとは、補正予算をもつてこれを実現することに相なると思うのであります。それから別個の、いわゆる協同組合がいろいろ同共施設等をやる場合の融資について、預金部資金から出そうという問題でございますれば、これは率直に申しまして、預金部資金の性質上、非常に困難な問題がたくさんあると思います。あると思いますが、われわれといたしましては、そういうふうな問題についても、それに該当するものについては、やはり預金部資金等によるよう極力努力するというふうに考えております。しかし、やります内容によつて、その融資の方法なりは非常にかわつて来ると思います。
  191. 小平忠

    小平(忠)委員 それとは別個の問題でありますが、先ほどちよつと落したものですから申し上げます。農政局が主管しているところの産業経済費、農地局が主管しているところの公共事業費、これが同じ内容を持ちながら両局にわかれておりまして、説明を受ける場合でも、行政面からも非常にやりにくい点が多々あると思うのでありますが、この点について、農林省は実際問題として不便がないのかどうか。あるいはこれを一元化したらよいのかどうかという点について、検討されたか、またそれが実際問題としてどうなるかという点について、これは農地局長と農政局長の二人にお伺いしたいのであります。     〔主査退席、小野瀬主査代理着席〕
  192. 藤田嚴

    ○藤田政府委員 農政局の予算と農地局の予算とは、これは建前も全然違いますから、はつきりわかれておるわけであります。ただそこでどちらへとつたらよいかわからないというような問題が従来考えられましたようなもの、たとえば耕土保全の問題、あるいは酸性矯正に関する事業費、こういうようなものがないではないのでありますが、これもよく連絡をいたしまして、開拓地関係のようなものについては当然農地局でやつておられます。それからわれわれの方といたしまして、従来これが認められましたのは、麦の増産運動をいたします際に、炭カルについての運賃の補助が若干とれたことで、そういうふうによく連絡をいたしておるわけであります。現在までさような点についての行き違いはございません。なおこれはやはりどちらの局ともそれぞれ盲点ができてはいけないのでありますから、やはり農地局は農地局、農政局は農政局で要求して、それによつてできる限り獲得して行くことが必要であると思います。
  193. 平川守

    ○平川政府委員 ただいま農政局長お話通り、大部分の予算は両者かなりはつきりわかれております。ごく小部分についてそういう問題があろうかと思いますが、これは連絡によつてはつきりすることに格別不自由はないと存じます。
  194. 小平忠

    小平(忠)委員 私は、その点については相当研究する余地があると思います。実際問題として、いろいろそういう問題を取扱います場合に、今後公共事業費という重要性考えられますが、一方日本は、戰争中あるいは職後、長い間の掠奪農業によつて、相当土地が酸性化している。あるいは基本的土地の問題になつている心土耕、混層耕といつたようなもの、これをどうしてもトラクターを使用してやるというような場合において、各農家が一軒一軒トラクターを購入するというようなことはできない。これは結局団体か、農協か、あるいは町村というような、大きなところでやらなければならぬというようなことから見ますとそういう問題は非常に公共性を帶びていながら、産業経済費をもつてこれを支出される。そのために、これは終戰以来強く叫ばれている土地改良にどうしても重点を置いてやらなければならぬという場合に、公共事業ではないという観念から、予算がすべて押えつけられているという点、そういうふうな点から見まして、その扱い方を一元化すると同時に、そういう日本の酸性化している酸土矯正、あるいは混層耕、心土耕というような問題にも、相当重点を置く必要があるのではないかと思いますので、これは私の私見でありますが、何分の御配慮をいただきたい。  あわせまして、本年度の予算書を見ますると、例の早場米奨励金は、昨年度六十億が半減して三十億しかつけていない。これは、今までの政府の御答弁を聞くと、逐次はずしたいが、とりあえず二十六年度は、單作地帶の特殊事情から見て半分残したと言う。昨年この問題が表面化された当時、農地局が主体になつて、この三十億を單作地帯の土地改良に振り向けたいという考え方から、減額になつた三十億を土地改良に振り向けるべく、いろいろ案が練られておつたわけであまりすが、この三十億に対する考え方は、立ち消えになつて全然見通しがないのか、いわゆる特殊地帯としての單作地帶に対する農地局長の御意見を、この際承りたいのであります。
  195. 平川守

    ○平川政府委員 單作地帯に対して特別の手厚い援助がいるということは、ただいまの早場米の問題を切り離しましても、当然考えられるわけであります。そういう意味において、農地局の土地改良等に対する予算を運用して参りたい、かように考えております。
  196. 小平忠

    小平(忠)委員 單作地帯に対するその問題は、われわれ議員団においても、今相当具体的な研究が進められておるのでありますが、その点については、もう少し積極的な御施策を事務当局においても御考究願いたいということで、その問題は打切りにいたしておきます。  次に農業委員会の問題でありますが、この問題は、現に第七国会においても流産になつた問題で、今回は農地委員会、農業調整委員会、あるいは改良普及委員会、この三委員会を合体して一つの委員会にする。これについて、大体町村委員会をたくさん置いて、非常にむだな経費を支出するということはいけない。いわゆる冗費を節約するという見地から、政府においても根本的には反対ではないというような意思まで出て来ている。ただ、基本的にこの内容を見まするのに、この農業委員会経費が地方自治体の負担になつている。従つて、希望としては全額国庫負担にしていただきたいという問題。さらに定員が、全部平均一、二人であるというようなことでは、実際問題としてはその機能が停止されるのではないかという問題。あるいは、この農業委員会の権限の問題についても、もつと権限を付与しなけそばならぬとか、こういう基本的な問題が解決されたならば、この農業委員会を一体にすることも決して反対ではない、これが真に農民の意思であり、また農民の国体なり、農民の組織の意思であります。現にこの問題に関して、明後日共立講堂で全国の農地委員職員が、少くとも二、三千人くらい集まつて大会を開くが、これを貫徹するまで動かないという意思で集まるらしいのであります。従つて、こういう意思が、真に農民の意思であるということになつた場合に、下手まごつくと、先ほど竹山委員が追究されたように、これがお流れになつてしまう。その場合に、農林省としては相当困るのではないかと思うが、農林省は、この経費負担の問題と人員増加の問題について、絶対にこれは不可能であると思うか、あるいは、今後努力によつてはそのようなことは可能であると思うか、この点についてお伺いいたしまして、まだたくさんありますけれども、私のきようの質問はこれで終りたいと思います。
  197. 藤田嚴

    ○藤田政府委員 農業委員会経費が二十五年度に比べまして少くなつておるという点でありますが、われわれといたしましては、やはり従来の委員会がやつておりました仕事、また今後も農業委員会がやらなければならぬ仕事について、国家的な仕事の部分も相当あるわけであります。かようなものについてはやはり――その基準的な経費については国が持つという建前を、今後ともとつて行きたいと思います。ただ予算の財政的な関係から非常に削減されて、基準的な経費といたしましては非常に少くなつておりますが、現在認められておりまする予算ならば、最少限度のものは何とかやつて行けるのではないか、しかしそのほかに農業委員会の本来の仕事でありますところの、いわゆる市町村においての地方行政を反映する、あるいは地方行政の運営を円滑にするための調査というものがたくさんある。従つてさような面については、やはり国から出ます負担は限られておりますから、足らない点については、地方の公共団体においても持つていただきたい。従来も相当額の支出負担があるわけでありますが、それはやはり動く上には持つていただきたいということを希望いたしておるわけであります。  なおこの基準経費については、非常に少い、あるいはまた補助職員を廃することから、市町村の農業委員会――従来は農業調整委員会、農地調整委員会各一名になつておりましたが、今度合体いたしまして一、二人になつて、少いのであります。この問題につきましては、私どもといたしましても、今後ともさらに努力をいたしたいと考えております。  それから権限の問題についても、いろいろ御意見があることは承知いたしております。やはり私どもといたしましては新しい考え、すつきりした形で行くということで、現在構想いたしておるような考え方がいいのではないかと思つておりますが、この点については、近く国会に提案の運びにもなつておりますので、その際十分御審議いただきまして、御意見をよく伺いたいと思います。
  198. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査代理 念のために小平君に申し上げたいと思います。橋本主査から、あなたの質問は少し遅れても本日中に経つてくれというお話でありましたので、現在おられる政府委員の方に対する質疑があれば、本日中に終つていただきたいと思います。また農林大臣に対する質疑があるというのなら、これは別問題で、これは留保されてもいいと思います。
  199. 小平忠

    小平(忠)委員 ほかにも関連があるので大臣に対する質疑はあとにしますが、分科会での質問はこれで打切ります。
  200. 小野瀬忠兵衞

    ○小野瀬主査代理 それでは本日はこの程度にとどめます。次会は明午前十時より開会いたします。  これにて散会いたします。     午後五時七分散会