○
小室説明員 それではただいままで
通産省が
関係官庁とともに
輸入促進のためにと
つて参りました
措置の概略を申し上げます。
まず第一に
政府が
輸入を促進いたしますためには、現在
政府が手持ちしております
外貨の効率的な運用をはかるということがきわめて肝要でございまして、そのためにまず第一に
輸入物資に振り当てる
外貨予算を
朝鮮事変後飛躍的に増大せしめる、これはしばしば御
説明申し上げたところでございますが、一例を申し上げますと、一月ないし三月の最終的な
輸入の
外貨予算というものは一億二千三百万ドル、しかも実際にこれが公表せられて、
実行計画として具体化したのが七千三百万ドルでございます。それからまた四月ないし六月の最終的な
外貨予算は一億七千三万ドル、これが公表せられて、具体化されたので一億六千万ドルでございます。今の
公表額を基準にいたしますと、三年間に一億三千三百万ドルという
比較的少い、あるいはきわめて少い金額にな
つているわけでございます。ところが
朝鮮事変後、世界の
貿易情勢が一変いたしまして、金を握
つてお
つてもなかなか思うように物が買えないような状態に相なりました。従来の
貿易政策を、
お話の
通り輸出重点から
輸入重点に切りかえまして、その結果として七月ないし九月の最終的な
外貨予算は四億四百万ドル、そのほとんど全部公表いたしまして、三億三千九百万ドルというような具体的な
実行計画ができ上つた次第であります。また同じ時期にこれとほぼ別わくでも
つて、一億一千二百万ドルの長期的な
輸入契約を認める
予算を計上したわけでございます。それから十―十二月におきましては、五億二千九百万ドルという最終的な
予算を組みまして、四億六千七百万ドルを公表しております。
公表額だけを
比較いたしましても、
長期契約のための
特別予算を除きまして八億六千万ドルぐらいになりますが、全般に三倍以上四倍に近いような巨額の
外貨予算を組み、これを実行に移しているわけでございます。それから一月ないし三月の
予算は、今日追加
予算に追加
予算を重ねておりまするので、まだ最終
予算というものはできませんが、それも大体六億を超過するような金額にな
つております。それを着々公表し、実行に移しているわけでございます。これは何よりも
輸入貿易の拡大の基礎になるわけでございまして、
輸入の
予算の飛躍的な増大、それからまた
予算を組む際に、金繰り
予算と普通申しておりますが、
外貨がいつに
なつたらどのくらいできるかということを詳細に計算いたしまして、
外貨の余裕のある限度においてはあくまで
輸入を積極的に実行するという建前で
予算も組んでおつたわけでございます。
それから
予算の運用に関することになりますと、あまり長くなりますから少し簡單に申し上げますが、自動承認制の拡大、これは御
承知のように非常に簡單な
輸入制度であります。自動承認制の対象にしております
物資は、現在
食糧を除きましてはほとんどあらゆる品目にわたりまして、大体百七十品目にな
つております。むしろ自動承認制の品目の方が一般
外貨割当品目よりも多いのが
現状でございますが、きわめて簡單ないわゆる
輸入の承認制度が今日ではむしろ主流をなしておりまして、これは
輸入促進の
考え方の一つの現われでございます。
それから先ほど申し上げました
長期契約予算というものは、七十九月に初めて編成したわけであります。十―十二月
予算以降におきましても、本
予算の中に
長期契約を認めるような
考え方を採用いたしまして、別立の
長期契約予算をつくりませんでした。
外貨予算が、その中に必要に応じて先物の契約できるような
予算的
措置が入
つているわけでございます。それからまた当初は、この
外貨予算を編成し、あるいはこれを運用する際には、ちようどドル不足の世界
情勢でもありましたので、非常にドルをかわいがつた傾向が強かつたのでありますが、
朝鮮事変後の
情勢に対処いたしまして、また特に中共との
貿易関係が変化して、新
情勢に対応いたしまして積極的にドルを使
つて、ドル地域から物を買いつける。また場合によ
つてはドルでなければ買えないものであればドル地域から幾らでもドルを使用して買いつけるべきだという
考え方を進めているわけでございます。たとえば一―三月の最終
予算の中でドル地域から買付に充てられたものは、わずか三割、それから四―六月では二割くらいでありますけれ
ども、今年の一―三の当初
予算でありますと、五三%くらいがドル地域からの買付に充てられている。これは特に中共
貿易が変調を来しましたあと、塩、鉄鉱石、粘結炭等あらゆる
物資がアメリカの方へ依存するような状況にな
つて参りましたので、そういう状態も反映しているわけでございます。
それから今ドルのことを申し上げましたが、ポンド資金の不足が非常に
貿易の制約にな
つておつたのでありますが、これもポンドで現物を買
つて、先物で売る――スワツプ取引と申しておりますが、このスワツプもやる。特に最近ではAKの外国銀行から資金を借りるというユーザンス制度をや
つてもらえることになりまして、ポンド資金の手当も十分にいたしまして、現在ではポンド資金の面から物が買えないということは解消しているわけでございます。
それからドル、ポンドと並行して、いわゆるオープン・アカウントという資金の
貿易協定がございますが、これらについてオープン・アカウントのわくでも
つて輸出入取引、特に
輸入の拡大ということが制約されないように、そのわくを越えて、場合によ
つてはオープンーアカウントのしりはドルで決済しても必要な物は買う。現にフィリピンにおいて実際にドルを払
つて、物を買つたしりをドルで決済するという事例が最近起つたのでありますが、そういうやり方をしているわけであります。要するに金に糸目をつけないで、必要なものを確保するということが
外貨予算の編成に際して、また運用に際しての眼目にな
つているわけでございます。
それから
輸入促進の
措置としては、そのほかに
国内の
輸入金融の円滑化の問題、あるいは船腹の確保の問題、
貿易特別会計のなく
なつたあとの
政府資金の運用をどういうようにするか、これは先ほど
政務次官から
お話になりました緊要
物資輸入基金特別会計というものが重要なものになりますが、これらについてはただいまは項目だけをあげるのにとどめまして、必要がありましたらお答えいたしたいと思います。