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1951-02-20 第10回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和二十六年二月十九日(月曜日)委 員長の指名で次の通り選任された。    主査 西村 久三君       青木 孝義君    久野 忠治君       坂田 道太君    塩田賀四郎君       島村 一郎君    庄司 一郎君       北村徳太郎君    平川 篤雄君       西村 榮一君    松澤 兼人君       林  百郎君     ————————————— 会議 昭和二十六年二月二十日(火曜日)     午前十時四十五分開議  出席分科委員    主査 西村 久三君       久野 忠治君    坂田 道太君       塩田賀四郎君    島村 一郎君       庄司 一郎君    平川 篤雄君       松澤 兼人君    林  百郎君  出席政府委員         検     事         (法務総裁官         房経理部長)  岡原 昌男君         大蔵事務官         (大臣官房会計         課長)     小川 潤一君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (主税局調査課         長)      忠  佐市君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     植田 俊雄君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君         建 設 技 官         (道路局長)  菊地  明君         経済安定政務次         官       小峯 柳多君         経済安定事務官         (総裁官房会計         課長)     小笠原喜郎君         経済安定事務官         (貿易局長)  湯川 盛夫君         経済安定事務官         (建設交通局次         長)      今川 兼寛君  分科員外出席者         判     事         (最高裁判所事         務総局事務次         長)      石田 和外君         判     事         (最高裁判所事         務総局経理局主         計課長)    畔上 英治君         大蔵主計官   谷川  宏君         專  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計予算裁判所法務府、  大蔵省建設省及び経済安定本部所管  昭和二十六年度特別会計予算法務府及び大蔵  省所管  昭和二十六年度政府関係機関予算大蔵省及び  経済安定本部所管     —————————————
  2. 西村榮一

    西村主査 これより第一分科会を開会いたします。  本分科会は、皇室費国会裁判所会計検査院内閣総理府法務府、大蔵省建設省及び経済安定本部所管並びに他の分科所管以外の事項審査に当ることになつておるのでありますが、審査都合上、本日の午前は建設省及び経済安定本部所管、午後は大蔵省法務府及び裁判所所管とし、明二十一日午前に皇室費国会会計検査院内閣及び総理府並びに他の分科所管以外の事項審査をいたしたいと存じますから、御了承をお願いいたします。  これより建設省所管議題といたしまして審査に入ります。まず政府側説明を求めます。植田政府委員
  3. 植田俊雄

    植田政府委員 昭和二十六年度における建設省所管行政部費その他事務費系統予定経費要求額は、三十三億八千二百余万円でありまして、これを昭和二十五年度予算額二十六億三千七百余万円と比較いたしますと、七億四千四百余万円の増加なつております。その内訳は、まず新規のものといたしましては、従来公共事業費の中に含まれておりました官庁営繕事業に必要な経費行政部費に移し、十四億五千余万円を計上いたしておりますとともに、河川水理調査に必要な経費水防法施行に必要な経費等公共事業費より行政部費に移して計上いたしております。また削減となつたものといたしましては、北海道における公共事業に必要な事務費がそのおもなものでありまして、これにつきましては、昭和二十六年度よりはすべて北海道開発庁に計上いたしております。  次に公共事業費につきましては、経済安定本部所管において四百九十四億七千余万円、また北海道分につきましては、北海道開発庁所管において、二十九億二千余万円、合計五百三十三億九千余万円を建設省関係公共事業に対する予算として計上いたしております。これらの経費は、使用にあたりいずれも建設省所管部局に移しかえをいたすことになつているものでありまして、経済安定本部所管として計上いたしたものは、北海道を除く地域一般公共事業費三百八億八百余万円と、北海道を含む全地域災害復旧公共事業費百八十六億七千余万円の合計額であります。  次にこれら各費目の概要説明いたします。まず一般公共事業費内訳を各事業別に申しますと、北海道を除く地域につきましては、河川事業費百三十九億三千四百余万円、砂防事業費三十二億八千九百余万円、道路事業費五十一億八千九百余万円、都市計画事業費三十一億三千九百余万円、住宅施設費四十一億九千三百余万円、建設機械整備費十億六千二百余万円であり、北海道につきましては、河川事業費十九億六千五百万円、砂防事業費二千五百万円、道路事業費十五億六千四百余万円、都市計画事業費二千四百余万円、住宅施設費二億余万円、建設機械整備費一億四千万円であります。  次に災害復旧公共事業費につきましては、百八十六億六千三百余万円を予定しておりまして、その内訳を各事業別に申しますと、河川災害復旧事業費百八十二億四千八百余万円、都市災害復旧事業費二億三千五百万円、特別鉱害復旧事業費一億七千九百余万円であります。  なお参考までに付言いたしますと、昭和二十五年度においては、土木災害復旧費全額国庫負担でありましたため、過年度災害分としては二百六十六億六百余万円、昭和二十五年度発生災害分としては、当初の百億円と補正予算の二十六億七千百余万円のうち、六十六億二千余万円が現在までに建設省に移しかえとなつております。  以上が昭和二十六年度における建設省関係予算概要であります。
  4. 西村榮一

    西村主査 次に経済安定本部所管を同じく議題といたしまして政府側説明を求めます。小峯政府委員
  5. 小峯柳多

    小峯政府委員 経済安定本部所管にかかります二十六年度予算の御審議をいただくわけでありますが、詳細は会計課長から説明いたさせますから、よろしく御審議願いたいと思います。
  6. 小笠原喜郎

    小笠原政府委員 経済安定本部所管昭和二十六年度予算につきまして御説明申し上げます。  まず歳入について見ますると、総額六百三十一万四千円でありまして、これを前年度の十億七千五百八十一万二千円に比較いたしますると、十億六千九百四十九万八千円の減額なつております。この減額のおもなる原因は、前年度におきまする物価局関係価格割増額受入金額十億六千六百五十万円が二十六年度においてなくなるからであります。なお前年度に比較いたしまして増額となるものは官舎貸付料の一百八十六万一千円であります。  次に歳出について申し上げますと、要求総額は一千百四十三億八千七百九十二万一千円でありまして、前年度における一千五百二十一億一千三百四十九万八千円に比較いたしますると、三百七十七億二千五百五十七万七千円の減額なつております。この減額なつたおもなる科目について申し上げますと、物価局関係価格調整費が二百二十五億円で、前年度の六百四十億円に比較しまして四百十五億円の減額なつております。本年度におきまして特に増額なつているものでは、公共事業費の九百六億五千二百十二万八千円でありまして、前年度に比較して三十六億九千八百七十六万二千円の増額であります。  次に行政部費は十二億三千五百七十九万三千円で、前年度に比較いたしまして七千五百六十六万一千円の増額なつております。  さらに当経済安定本部内外部局別に御説明を申し上げますと、経済安定本部局要求総額は二億七千一百五十八万七千円で、前年度における三億一千四百三十六万六千円に比較して、四千二百七十七万九千円の減額なつております。さらにこの経費内訳のおもなる科目を申し上げますと、人件費及びこれに伴う事務費と、そのほかに自立経済審議会に必要な経費三百七十八万八千円、内外経済事情調査に必要な経費八百四十八万七千円、国土総合開発計画に必要な経費四百五十万六千円、公共事業に必要な経費五百九十四万二千円、河川総合開発調査に必要なる経費七百万円、米価審議会に必要な経費三百二万四千円等が包含せられております。右はいずれも経済安定施策推進上必要な経費なつております。  次に、土地調査準備会要求いたしました土地調査費総額一億六千八百三十四万七千円がありまして、国土総合的土地調査を実施するに必要な初年度経費であります。  次に、経済調査庁費要求額八千三百八十三万五千円となつており、ほぼ前年度同額でありまして、人件費とこれに伴う事務費六千四百一万四千円及び経済統制励行の障害となる原因を除去するために必要な経費一千九百八十二万一千円であります。  なお安定本部の外局として外資委員会におきまして、外国資本の導入と資本国外逃避を防止するために必要な人件費及びこれに伴う事務費といたしまして要求額四百五十五万七千円がありまして、前年度に比較しますと、三百十二万円の増額なつております。  最後に、当本部支分部局として札幌ほか七箇所管区経済局があります。これは昨年六月より従前地方経済安定局地方物価局管区経済調査庁を統合した機関でありまして、その予算を見ますると、従前安定局物価局を合せて四千百五万六千円、前年度に比較して一千四百十一万円が減額なつております。また旧管区経済調査庁と各府県にある経済調査局運営に必要な経費といたしまして、経済調査費六億六千六百四十一万一千円かありまして、前年度に比較しまして、三千四百七万九千円の減額なつております。  以上いずれも日本経済の再建を急速に実現して、国民生活の安定に寄與するに遺憾なからしめんとするために計上せられた経費であります。
  7. 西村榮一

    西村主査 これより質疑に入ります。庄司一郎君。
  8. 庄司一郎

    庄司委員 建設省について、予算を通しての実際に施行している仕事の面について二、三ただしてみたいと思います。現在河川改修等工事を施行しているいわゆる直轄河川全国に何河川あるか。それからその直轄河川の二十六年度予算要求は幾ばくと相なつているか。それから河川別に二十六年度工事費のおのおのの各河川予算別はどうなつているか。実は参考資料としてプリントで頂戴しておくと、こういう長たらしい御答弁を煩わすような質問は抜きにしてよかつたのでありますが、さような参考資料は頂戴いたしておりませんので、念のためにお伺いしておきたいと思います。  それから現在全国都道府県において施行している中小河川に編入されている河川数は何本であるか、それらに対する二十六年度の御予定補助額か幾億円であるかというようなことの質問であります。
  9. 目黒清雄

    目黒政府委員 予算参考書の方に載つていると思いますが、本年度直轄河川事業は、要求は相当多いのでありますが、最後に決定しましたのが九十一億二千二百万円、前年度が六十一億で、約三十億の増加なつております。それで本数は大体七十三本の現在施行しております。来年度におきましては多少かわつて参りまするが、その程度仕事をやつております。府県補助いたします中小河川の方は、前年度の三十億三千百万円が、三十一億三千六百万円、これも一億程度増加しております。中小河川の数は、本年度は二百本補助いたします。来年度は多少かわつて参りまするが、その程度仕事をやつております。もちろん中小河川としての資格を有する川は五千本くらいありまするが、その一割程度仕事をやつておるというのが現状であります。それから来年度施行箇所の金の分配でありまするが、ただいまいろいろ調査いたしまして、これらの配分をやつておりまするので、まだお手元に差上げるまでにはしつかり固まつておりません。固まりましてから、これは差上げるという段取りになると思います。
  10. 庄司一郎

    庄司委員 将来中小河川として国庫補助せねばならない中小河川が五千本程度ある。こういうことになりますと、建設省におかれては、何か向う五箇年計画とか、あるいは十箇年計画とかいう御計画を持たれて、向う何箇年の間に中小河川を、全国都道府県請願通り、その全部に国庫補助を均霑されるようなお考えを打つておらるるのでありますか。でき得るならば、災害防止のためにも、あるいは農地の壊滅を未然に防止するためにも、五千本という、中小河川として編入されていい程度のものがあれば、何らか将来への御計画が継続的にあられていいものと思考されますが、お考えはいかがでございますか。
  11. 目黒清雄

    目黒政府委員 われわれは、予算要求資料といたしましては、一応十箇年計画という基礎をつくりまして、約三千億くらいの金がほしい。それを基礎にいたしまして、予算要求をいたすのでありまするが、それが不幸にして、金の関係で、この十箇年が二十箇年程度に現在延びておるような次第であります。しかしながら、予算單年度でありますが、單年度予算を使う場合には、一定計画のもとに、いわゆる十箇年計画の線に従つて施行して参る、こういうつもりでおります。また継続費の設定というような問題がありまするが、これもまだ未解決であるので、将来そういう点を考えなくてはならぬと思います。
  12. 庄司一郎

    庄司委員 その点はわかりました。では、ただいまあなたの省が要請されておる予算のうち、災害復旧のために四百億円を要求されておるようであるが、この四百億円の用途は、大体災害をこうむつた何本くらいの河川に充当される御予定でございますか。
  13. 目黒清雄

    目黒政府委員 四百億は災害の総わくであります。従つて河川の方に参りまする金は、そのうち百八十数億というふうになつております。そこで河川数でありまするが、これは御承知通りに、災害箇所は相当あります。全国に何万という箇所があると思うのであります。一々その箇所のこまかい資料は、手元に持つておりますが、どこということをお示しするにはあまり数が多過ぎるので、もし御入用でありますれば、いつ何時でも差上げます。
  14. 庄司一郎

    庄司委員 これは第九国会の末期に、私この予算委員会質問をし、また希望を述べておいたのですが、町村等において、中小河川以下の河川について、あるいは堤防等について災害をこうむつても、その災害箇所が、工費が十五万円以上でなければ国庫補助対象にならない。すなわち十五万円以下の災害に対しては補助をしないことになつておると聞いておりますが、現にある村では、村内に三十何箇所という災害をこうむり、数百町歩水田が、そのために壊滅状態なつておる。ところが一箇所復旧工事費が十五万円以上の場合は補助対象になるが、あるいは七万円、あるいは十万円というような箇所が同一村内に、あるいは同一水系において何十箇所もあつても、それは補助対象にはなりませんか。これは、なることが当該町村土木復旧の上にたいへん都合がよい、町村財政も助かる、災害復旧目的達成のために好適な條件となるのであるが、そういうところは運営の面か何かにおいて善処されるような御方針にかえられてはいかがなものであるか、お伺いしてみたいと思います。
  15. 目黒清雄

    目黒政府委員 災害全額補助法律は、本年度限りになつておりますので、いずれこの国会災害補助法律が出ること思います。今寄り今寄り十五万円の問題について論議しておりまするが、大体の政府方針といたしましては、やはり最小の線を十五万円に切るのが妥当ではないかというように今出ておるのでありますが、それ以外の、十五万円以下の箇所が相当ありまして、町村財政を脅かすというようなことがありますれば、他の方法をお願いしたい、たとえば交付金その他の方法をお願いしたい、こういうつもりで実はおるのであります。但し、今の一箇所十五万円という、箇所としての選定の問題につきましては、そこに非常に隣接しておりますれば、小さいのは一緒にして一箇所とみなすというようなことに相なると思うのでありまして、運営におきまして多少のことは考えられると思います。
  16. 西村榮一

    西村主査 この際経済安定本部建設局の次長がお見えになつておられるようですから、河川のみならず、災害関係する今庄司委員の御質疑なつている点について、今後の政府の大体の御方針がおわかりでございましたら、この機会に総括的に御方針を御発表願いたいと存じます。
  17. 今川兼寛

    今川政府委員 災害全額負担の問題は、御承知通り二十五年度限りということになつておりますので、先般来関係各省で協議いたしておりまして、今国会中にこれにかわる法律を出すということで打合せをいたしました結果、大体のところが今まとまりまして、現在成文を急いでおり、不日国会の方に提案することになろうと思いますが、大体の骨子は、従来とかわります点は、土木災害についての一箇所金額はやはり十五万円で、これはかわつておりませんけれども、ただ御指摘のように、特定の府県市町村にとつてみますれば、災害で一時に非常に多額の被害があつた場合に、一定の比率だけこれを交付するということになりますと、災害の非常に起つた府県なり市町村なりにどうも特別の恩典が行かないのじやないか。この点で地方財政をやはり災害復旧の面からも特別見てやる必要があるのではないかという意見が有力になりまして、補助率の点につきましては、従来とかわつた見方をしようということに関係各省意見がまとまりました。そこで原則といたしましては、災害土木に対して一箇所あたり十五万円以上を取上げて、それに対して三分の二の補助をするということは従来と同じでありまするけれども、さらにその災害額当該府県なり市町村なりの標準税收入見込額に対して一定率以上起きた場合に、これに対して何か特別の高率の補助をやつた方がいいのじやないかということで、今正式の率の点は関係各省目下検討中でございますので、今日はつきりこうきまつたと申し上げられませんけれども、大体の方向といたしましては、当該標準税收入に対して被害額が二分の一あるいは同額、あるいは同額を越える場合に、その三分の二の原則を四分の三あるいは全額というふうに上げて行つて被害額標準税收入に比べて非常に多かつたというところには、特別の恩典を與えようじやないかということに意見がまとまつております。今考えられておりますところは、当該府県ないし市町村被害額が、その標準税收入見込みに対して二分の一未満であれば大体原則の三分の二で行く。二分の一から同額までの率の間は四分の三の率に上げる。それから同額以上に被害額が出た場合には、その超過分に対しては金額を付與する。こういつた方向になるのではなかろうかと考えております。その面で従来の画一的な三分の二という補助制度を改めて、地方財政負担力に応じた災害補助金つけ方をしようという点が、今度の改正案で従来見られなかつた画期的な改正の要点ではなかろうか。その他こまかい点で多少異なつた点もございますけれども、一番の骨子はそこに置きまして、要するに災害補助を通じて地方財政負担関係をある程度調整してやろうという見方から、今度の改正案を組んでおる次第でございます。
  18. 庄司一郎

    庄司委員 たいへんけつこうな御考慮ある、また町村に対して相当思いやりのある高度な社会政策的な面が含まれておる御成案のようであります。そこでその新しい改正案は、この国会に間違いなくオーケーをとられて御提出に相なる見込みでありますか。またその法案の仮称はどういう案名でありまするか。それも承りたい。  なお建設省安本も、ただいまのお話では各省御相談の上ということでございましたが、この十五万円以上とか以下とかいうことで、十五万円にピリオドを打つて鉄筋コンクリートにしておるのでありますが、これはどういうところから十五万円以上は従来補助対象にしておつたが、以下は補助対象にしないのか。今のいろいろの御答弁町村財政を調整するという見地からも、四分の三とか全額国庫負担とかいう思いやりのあるやり方もたいへんけつこうであるが、依然として十五万円という万里長城が築かれている。そこでこの十五万円という根拠はどういうところから出たのか。安本とか建設省とかの大きな予算からいえば、十五万以下などは町村財政で思うようにやれるじやないかというお考えの上から、十五万という線をここに画されたのであるか。その十五万円の決定的な根拠を伺つておきたい。  それからこういう一つのサンプルを申し上げる。私は宮城県ですが、宮城県の柴田郡沼辺村というところは、荒川の川筋の堤防が三十六箇所昨年の八月三、四日の災害のために決壊した。ところが十五万円以上に該当するものはたつた箇所しかない。だからあとの三十三箇所補助対象になり得なかつたのであります。そして水田二百何十町歩がオルドスの砂漠のようにぼうぼうたる砂漠と化しておる。それから阿武隈川水系のその支流の白石川のそのまた支流荒川という水系でありますが、この村などはとうてい町村の独自の財政力では三十三箇所というものは復旧し得ない。こういう実例があるのであります。ただいまの御説明によれば政正法案ができればいろいろ恩典があるようでありまするが、十五万円にならなければとにかく一応は補助対象にならないという線が引かれておりまするから、地方土木官吏査定がこれは十三万円だということになると、御承知通り町村等においては、十五万円になれば補助がたいへん来る、あるいは金額も来るのだというので、シヤベルや唐ぐわでこれをやるのです。そして十五万五千円くらいにするという惡い犯罪的な傾向をも馴致するような不愉快な結果と相なるのであります。でありまするから、十五万円というこの万里長城を撤廃されて、五万円以上、あるいはせめても十万円以上とか何とかいうふうに、もつと十五万円という線を格下げするというような再御吟味を各省局長会議ですか次官会議ですかでやり直しをなされたらいかがなものでありますか。地方町村においては望ましからざることでありますが、今私が手まねでやつたそれが、やはり十五万円の御査定を受けんがために行われておる。そういうことはもとよりよくないことでありますから、全廃しなければならぬことであるが、そういう傾向が起きておる。現にある県の土木課長が大きな橋梁を故意惡意をもつて計画的にぶん流したというようなことも御承知通りであります。でありますから、全国一万二千の町村の中には世帶戸数も人口も少くて、担税力のきわめて少い、財力の乏しい町村も多いのでありますから、何を根拠に十五万円以下の災害補助対象にしないということをおきめになられたのか。私は座前不可思議に考えておりますが、その点いかがでございますか。
  19. 今川兼寛

    今川政府委員 第一問の法律名前でございまするが、まだ正式にはきまつておりませんが、おそらく災害公共土木事業に対する国庫補助に関する法律といつたような名前になるのではなかろうかと思つております。  それから第二問の、一箇所当り十五万円ときめている根拠はどういう点にあるかというお尋ねでありますが、ずつと以前においては一箇所の取上げ方を五百円というふうにした時代がございます。それから二十四年度までは七万五千円ということでやつておりましたのを、全額補助なつた昨年二十五年度から、これが十五万円に改正なつている。こういう次第でございますが、大体十五万円以上のものと十五万円未満のものとの災害の従来の統計をとつてみますと、十五万円未満被害額は、件数で申しますと、全国で約八割くらいになりますが、金額から申し上げますと、一割未満の状況になつております。それから従来の物価関係からの比較と、それからこういつた非常に件数は多いけれども金額が非常に少いものに対して、各省がこれに査定を加えるということは、何万円というのを一々これに当つてやるということは、技術的な面からも非常に困難な点があるわけである。それから災害復旧費の総額等から見まして、これが非常に大きな金額になればともかくでございまするが、大体明年度においても四百億、過年度では三百二十億というふうに一応なつておりますので、限られた予算で重点的に見て行くということになりますと、やはり被害額の大きなところを取上げて、そこに重点的な予算の使い方をして行く、あとの被害額の小さな点については、先ほど河川局長からも御答弁申し上げました通り、その他の方法でこれを地方財政に寄與して行く。こういうやり方で行つた方が適当じやなかろうかということで昨年から十五万円、まあ明年の改正においても大体この線を維持しようじやないかということで話合いが進められておる、こういう状況であります。
  20. 庄司一郎

    庄司委員 そうすると、大災害を受けたところはむろん重点的に相当の国費をもつてやる、こまかいところはうつちやらかしておく、等閑に付する、かまわない、こういうようなお考えであるようでありますが、十五万円以下の災害を受けた町村で、当該町村にただ一箇所しかないというような場合はこれはどうやらやれるでしようけれども、今私が見本を申し上げたように、三十何箇所も提防が決壊流失をしたというような町村では、まつたく国家の恩恵、国費の恩典を受け得ないというような状態に相なりますので、幸いに今回まだいまお示しのような災害土木に関する国庫補助法というような法律改正されるならば、そこに含みを持たせ、彈力性を持たせ、伸縮性を持たせて、何とかこまかいのにまで救済の手を差延べるということが、地方行政大きく言えば政治の要諦であり、あたたかい愛の手を延べるゆえんである。かように考えるのでありますが、もう一応次官会議等において御考究を煩わしておきたいと思うのであります。十五万円の線を撤廃することが全国一万二千の町村長の決議によるところの要請なんです。これはあと御答弁は、その点はいりませんが、河川局長にもう一点だけお伺いしておきたい。水害の災害をなるべく未前に防止するために、あなたのお役所はいろいろのよい手を打たれていることを知つております。たとえば平素河川の流れの水量の調査であるとかそういうことをやられている。あるいは電信電話によつて上流の増水量の概況を下流の方の関係町村に電報を打つとか、あるいは電話で告知する、そしてそれぞれ沿岸の水防団なり消防団なりが対策を講ずるというようなことはたいへんけつこうなことであるが、全国直轄河川あるいは将来は中小河川に至るまで、大きな中小河川はさような手を打たれて、たとえば阿武隅川で言うならば、福島市においてあるいは二本松において、白河市においてこのくらいの水が出た、宮城県の下流の丸森に行けばこの程度に増水する傾向がある、というようなことをあらかじめこれをより下流の関係町村にすみやかに速報する、というような手は非常にぼくはいいと思います。そういう御予算はただいま要求されている御予算の中にございませんか。それをちよつと伺います。
  21. 目黒清雄

    目黒政府委員 上流の水位を下流に通報するというのは現在やつております。ただ災害時の場合には、電信が不通になるのがたいていの場合で、そのために電信電話による通知ができなくなるというのが現状でありまして、それで最近試みに大きな河川で無電裝置をやつているのでありますが、大体東北地方では北上川に一箇所、岩手から仙台までの間無線連絡するようにやつております。これが成功いたしますれば、だんだん他の川にまでこれを及ぼして行きたいと思いますが、現在利根川、本曽川、淀川というような大きな河川では、この無電通信によつて成功を收めております。結局は今の通信連絡は無電によるほかはないという結論になつております。そこでこれらの費用は予算のどこにあるかということですが、公共事業費の中に含まれております。これの増設あるいは改築の費用を含めておりますが、もちろん河川費もだんだん拡張して参りたいと思つております。
  22. 庄司一郎

    庄司委員 それではぜひ無電の報知といいましようか、告知といいましようか、そういうことを全国的に普遍化していただきたい。これを希望として述べておきます。  それから今度は河川ではなく、道路面のことをちよつと聞いておきたい。全国の、いわゆる従来の用語で言えば、国道、その国道にはそれぞれ戰争前は鋪裝工事を着手されたのであるが、国道全部にはまだ鋪裝がされておらない。産業の開発のためにも、運輸交通百般のためにも、やはり道路をよりよく改良して行く。特にいわゆる国道であれば、その幅員を広くして全面的にこれを鋪裝化する、こういうような御計画について、これまた向う五箇年とか十箇年の計画等において、全国的に重要なる路面の大改良を断行さるる御意図がございませんか。道路関係予算要求されておることは拝見しておりまするが、とにかく大都会だけが鋪裝されて、農村方面に行くとそうはなつておらない。また最近鋪裝工事をやられるようなうわさも聞いておりませんが、まことにこれは残念なことであると考えております。肥料の運搬にも、農産物の駅までの運搬にも、がたぴしの道路ではまことに困るのであります。路面の総合的な継続的な将来の計画国土総合開発のある意味においては基本をなすところのものであると考えておりますが、ただいま要請されておるこの道路改良費等には舗裝工事というような面が含まれておりますか、それを伺います。
  23. 菊地明

    ○菊地政府委員 仰せのように、舗裝の問題は今後の産業開発復興のためにまことに緊急を要する問題でありますが、何しろ戰争中に砂利道も非常に荒廃いたしまして、ただいまのところ、戰後この三年間、もつぱら砂利道を戰争の前程度復旧するということに主力を注ぎまして、積極的に鋪裝をやるというふうにはいたして参りませんでした。しかしながら今後できるだけやりたいと思いまして今年度、来年度にかけまして主として砂利道では維持のしにくいところ、たとえば山間の非常に勾配の急なところとか、青森県のごとく泥棒車軸を没するようなやむを得ないところをまず優先的に取上げまして、ごくわずかではありますが舗裝をやる。それから簡單な舗裝がございます。コンクリート道でなく、われわれは簡易鋪裝と申しておりますが、ああいうものがもう砂利道以上にいたんでおるのがあります。これは補修するという観点から、元のような簡單な舖裝でありますが、穴を埋めてアスフアルトを使いまして、一応前のような状態に帰す、こういう計画で現在やつております。国道のお話がありましたが、国道はただいま九千三百キロありますが、その中で千八百二十四キロ、約二割だけ舗裝になつております。全体を通じますと府県道とか町村道までひつくるめますと六十万キロ以上ありますが、その中でわずかに一万二千六百キロというのが今鋪裝になつております。これはまことにおはずかしい状況ですが、今後できるだけその方向に向けたい、しかし現状ではまず砂利道を元に帰そうという段階であるということをお答え申し上げます。
  24. 庄司一郎

    庄司委員 どうかその方針で道路の路面の改良を急いでください。  最後国土総合開発に関する予算の御要求は五百三十万円でしたか、この程度のものを御要求のようですが、おもにこれらは国土総合開発審議会の人件費その他の事務費関係の費用と考えられますが、国土総合開発法が制定されてここに一箇年、各都府県等においても、地方の開発法に準拠する公式の審議会も生れ、また全国府県に、あるいは数県にまたがつて、特殊地域における総合国土開発、そういう機運がほうはいとしてみなぎつて参りました。きのうの新聞の報道であるが、約二十億ドルがアメリカより極東未開発地域の開発の長期援助資金が出そうな朗報が伝わつておりますが、ただいま要求されておるこの予算は、ただ單なる審議会の経費関係だけであつてはまことに心細いのであります。講和條約がきまれば、終戰処理費等も大部分は解消するものと了解されるのでありますから、この後はもつぱら安本等におかれて、国土総合開発のために相当な国費の補助助成、交付金等の予算を確保されねばならないと考えておりますが、この点に関してどういうふうにお考えなつておりますか。
  25. 今川兼寛

    今川政府委員 国土総合開発計画につきましては、昨年その法律の制定を見まして、現在安定本部審議会の事務局としまして着々その準備を進めておるような次第でございまして、大体この五月までに各府県及び地方、それから特定地域の方は若干遅れるのではないかと思いますが、府県地方別の計画を五月末までにお出しいただいて、これを中央で調整いたしまして、大体八月一ぱいくらいに中央、地方計画としての審議会からの答申というものをまとめたいと考えております。従つてその計画に基く具体的な開発計画の実施は、明年以降において大体予算化されるということに相なろうかと思います。実は計画がもつと進めば、二十六年度予算に間に合して、その計画に合した予算の組み方をいたしたいと考えておりましたが、何せ二十六年度予算は、昨年の春あたりから始まりまして、大体年度内にこれの骨格が組まれなくてはならぬ、こういう状況になつておりまして、従つてこの国土計画の進み方と二十六年度予算のきまり方とがマツチいたしません関係上、二十六年度において、全面的にこの国土計画に基く予算の組み方をするということには間に合わなかつた次第でございますが、本格的な組み方は、明年度予算においてこれが実現をはかるように努めたいと考えております。もつとも今年の七、八月あたりまでに大体の骨格の関係が出て参りますから、公共事業費の二十六年度の使い方につきましては、できるだけこの計画に合しまして、計画を尊重する意味において、効率的なつけ方をしたい、この点は二十六年度からもいたしたいと考えておる次第でございます。今の御指摘の予算は、まとまつた予算としてはそういう名前なつておりますが、そのほかに各省行政部費で電源開発関係予算であるとか、特定の河川関係予算であるとか、こういつたものは各行政部費で、それぞれ各省所管に入つております。電源開発のための一例といたしましては約一億の金がそういう調査関係にとつてある、こういう状況にも相なつておりますので、それこれ安定本部といたしましては、そういつた調査関係の費用は調整いたしまして、できるだけ効率的に、しかもできるだけ早く、そういつた計画の具体化に努めて参りたいと考えている次第でございます。なお明年度におきましては特定地域——本年度に大体指定されると思いますが、特定地域に指定された地域に対しては、災害補助率であるとか、あるいはその他の補助率について、特別の法律の制定もすることができるという仕組みになつておりますので、その面もあわせて考えてみたいと考えている次第であります。
  26. 坂田道太

    坂田(道)委員 災害補助に対する質問をいたしたいと思うのでありますが、一つの例を申しますと、私の方の熊本県のある町村で、今年のキジア台風後におきまして、海岸線の堤防が決壊をしそうになつたわけでございますが、その際に応急措置といたしまして、附近の町村から二、三千名出動して大体これを食いとめたわけであります。ところがそのかます代だけでも約三百万円の応急費用がいつております。ところがその応急措置でも潮水が吹き上げて、非常に危險であるということで、ただちに三百万円で工事を請負に渡して、これを復旧いたしたわけでございます。この三百万円の本格的な工事に対する国庫補助は、本年度におきまして全額補助ということになるだろうと思いますが、その前の応急工事の費用の三百万円に対しまして、これは町村あるいは県が負担しなければならぬというような事態に立ち至つておるわけでありまして、貧弱なる財政町村におきます三百万円というものは、なかなか困難な状態にあるわけでございますが、これを救済する道が、先ほど申されました災害公共事業国庫補助法というようなものに織り込まれておるかどうか、その点をお伺いしてみたいと思います。
  27. 今川兼寛

    今川政府委員 今のお尋ねの点は、具体的な問題でありまして、なおよく実情を調べて、これが救済方につきましては、十分対策を講じたいと考えております。従つて今日具体的問題に対して、どういう案を考えているか、政策があるかということは、的確に御答弁はいたしかねますが、一般的に申しますれば、国が過年度災害として査定を済まして、本年度内に復旧できないものにつきましては、翌年度以降において財政の許す限りにおいて、これを国の補助として取上げて行く、こういう建前になつております。従つてそれが正式に建設省なら建設省、あるいは農林省なら農林省の災害復旧事業として取上げられる筋合いのものであれば、今年十分行かなかつたものは、明年法律がかわつても、当然過年度災として補助対象になり得る、こういうことになろうかと考えます。具体的な問題はよく事情を調べまして、御要望に沿うように努めたいと思います。
  28. 坂田道太

    坂田(道)委員 ただいまの御答弁で少しわかりかねる点があるのでございますが、本格的な工事についてまた来年度補助をしていただくというのでなくて、その応急措置に対する費用の問題をお尋ねしておるわけでございます。そしてまた一般個別的な問題ではございますけれども、海岸線の堤防が決壊しそうになつた場合は、おそらくこういうような事態がそこここに起るだろうというふうに考えますし、また昨年度災害の状況を見ましても、キジア台風あるいはジエーン台風におきましても、高潮による被害が非常に全国的に多かつたと私は記憶するのでありますが、これに対しまして、一般的な問題として私はお尋ねしておるわけであります。
  29. 今川兼寛

    今川政府委員 応急工事のうちどれだけ国の補助指定の中に取入れるかというお尋ねだと思いますが、応急工事のうちで、あとから建設省なら建設省、農林省なら農林省から査定を受けて、本工事に組み入れられるものにつきましては、国が補助対象として取入れる、こういうことになろうと思います。従つて今御指摘の点は、査定方針に関する問題でございまして、具体的の場合に査定官か参りまして、それを本工事にどの程度取上げるかどうかという問題できまると思います。
  30. 坂田道太

    坂田(道)委員 ただいまの御答弁ではつきりいたしたわけでございます。せつかくでございますから目黒河川局長に一点だけお尋ねを申し上げたいと思います。それは海岸線堤防に関しまして、昨年度たしか一億五千万円予算化されたと思いますが、これはこの席でなくてもよろしゆうございますが、その一億五千万円の個々についての配分と、それから今年度はこれがどれくらい組まれておるか、またその方針につきましてお考えがありましたら、ここでお教えを願いたいと思います。
  31. 目黒清雄

    目黒政府委員 昨年度は海岸の費用が一億五千万円、この箇所は今手元に持つておりませんから、いずれお知らせいたします。本年度は七億一千万円でありまして、これは昨年度に比較しまして相当増額を見ております。もちろんこのうちには昨年起りました阪神方面の高潮による被害、あるいは九州、中国方面にかけました堤防被害、こういうものがその中に加わつております。来年度は海岸に対しては積極的に進んで参るつもりであります。
  32. 林百郎

    ○林(百)委員 建設省の方にお伺いしたいのですが、国民の生活に一番切実な影響を及ぼす最近の災害の累増の問題ですが、本年度予算を見ますと、災害復旧費は四百億になつておりますが、大体毎年平均災害は実損でどのくらい出ておりますか、まずその数をお聞きしたい。
  33. 今川兼寛

    今川政府委員 十年平均をとるか、五年平均をとるかで違つて参りますが、特に最近の五年くらいの平均をとつてみますと、大体毎年——特に最近は風水害の被害が多い関係上、大体概算のところでございますが、千億内外くらいの被害が平均して起きておる。ずつと以前の関係であればもつと平均額が減つて来る、こういうことになろうかと思います。
  34. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、千億の被害が起きるのが、わずか四百億ですと、あとはどうなるわけですか。
  35. 今川兼寛

    今川政府委員 もちろん国費の状況が許せば、その年に起つた災害はできるだけその年に片づけて行くということが原則でございまするが、これには大体日本で風水害が一番起るのは七、八、九月、こういうことになつておりまするから、実際に予算をつけて工事が始まるのが九月以降、こういうことに大体相なろうかと思います。従つて予算の技術的な使用の面からも制約されることが一つと、それから財政で、当年発生災害を当年に片づけて行くということが事実問題としてできない、こういう面から、もう最近の原則は、当年発生災害はできれば三割くらい片づけて、第二年目には五割を、第三年目には二割、こういうような割合で復旧して参りたい、これが数年前までは大体そういう原則に基いて財政の裏づげ等もできました。一つは災害額がずつと前は非常に少なかつたという点もございまするが、最近は非常に被害が多く出るのに、国費の割合がそれに伴わないという状況で、この三・五・二という割合もその通り実行できませんので、二十五年度災害復旧は予備費の百億とそれから補正予算の分を含めまして、大体一五%未満くらい、大体予定いたしました半分程度が本年度復旧額、こういうことになろうかと思います。従つて年度以降にそのしりがやはりついて来る、こういうことになつておりまするので、その点で、一つは先ほど申し上げました全額負担という、国費だけで負担するということになりますると、国費の関係から復旧額が全部きまつて来る、こういうことになつて参りますので、明年はやはり若干地方にも負担してもらわなくちやならぬということは、この事業費をやはり国の予算だけでなくして、地方の負担においてもこれを伸ばすということで、原則は三・五・二、そのほかはスライドするということで、事業量もできるだけ伸ばして行きたいというのも一つの改正の要点になつている次第であります。
  36. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんから、私の方からも資料を申し上げますが、あなたの言われた三〇%、五〇%、二〇%というのは昨年までの方針で、本年度災害の起きた初年度にます一五%片づけて、翌年一九%、三年目には一八%、大体五二%、二年間で片ずけ、あとは逐次にやるという方針にかわつたようですが、その点どうかということと、それから昭和二十、二年、二十四年、二十五年平均して被害額か大体あなたの言われる一千億円でありますが、復旧の未済として残つておるのが大体五割程度て、また過年度分の災害として残つているのが千六百億くらいあるとわれわれは調べているのですが、大体その辺ですか。
  37. 今川兼寛

    今川政府委員 復旧率の点、三・五・二の割合を方針としてかえたという次第ではございませんで、やはり被害額が非常に大きい、それに対して財政が伴わない、やむを得ず事実上そういうようにならざるを得ないという状況でございます。できれば、今後の財政その他で、国が被害額の方に予算がつけられるという余裕が出て参りますれば、やはり原則に立ち返つて三年くらいで復旧したいという希望は今日も捨てておるわけではございません。  それから過年度災として未済がどのくらい残つておるかという御質問でございますが、表面の数字は大体千五百億ないし千六百億くらいになつております。しかしこれも嚴密な査定というものが済んでおるものもありますし、まだ済んでないものもございますので、そういつた点を加味いたしますれば、今後どうしても過年度災として復旧して行かなければならないものは若干今の数字よりも減つて参るのではないかと考えておる次第であります。
  38. 林百郎

    ○林(百)委員 私は本日出席なさつている政府委員の皆さんの責任を問うとか、攻撃するというつもりで来ておるのではありません。興するにこうした災害が非常に累積されている政治的責任は、明らかに国務大臣にある、こういう責任は責任で別に追究したいと思いますので、ただその材料といつてはおかしいのですが、その実際面を一応皆さんにお聞きしたいというつもりでお聞きしているのですから、そういうように御了解願いたいと思うのであります。そうすると、私の言います二十五年度以前の千六百億の未済額というのは、これは政府資料ですから、実際はむしろこれより多いんじやないかとわれわれ考えておりますが、その点が一つと、それから本年度公共事業費でありますが、これは昨年度の見返り資金がたしか公共事業費の方へ百十億差繰りがあつたと思いますが、これを入れますと、今年度公共事業費は昨年度よりも名目の上から行つても減つておるのではないかというふうに思われますし、それからもう一つは、資材関係が非常に値上りになつております。これはいろいろの統計の数字はあると思いますが、たとえば鉄鋼、セメント、木材、こういうものの値上りが、鉄鋼は朝鮮事変後もう五〇%から一〇〇%前後にありますし、セメント、木材もものすごい値上りがありますと、実際仕事の量と質から言うと、昨年度より昭和二十六年度の方が、内容から行つても落ちるのではないかというようにわれわれ懸念されるのですが、その点を説明願いたいと思います。
  39. 今川兼寛

    今川政府委員 第一問の方の、災害額が多くて、未済の分がもつとより多いじやないかという御質問でございますが、これは公共事業対象として取上げる災害額だけを見るか、そうでなくして、被害総額を見るかという点で大分違つて参りますが、公共事業対象として国の負担になる災害関係から見ますれば、今御指摘の千六百億というのが大体最大限で、それに緊急にどうしても過年度災もあくまでやらなくちやならぬというものを嚴密にやつて行けば、私どもは若干減ると考えておりますので、千六百億という数字は、われわれ事務当局から見てもそう過小の数字じやございません。  それから公共事業費予算の総わくの問題でございますが、明年度からは、御承知通り嚴密に公共事業として取扱うものは、従来やつておりました営繕関係予算は一般行政部費の方に入りまして、安定本部所管から各庁所管へそれぞれ移つた、こういう状況でございますので、本年度予算の比べ方と、明年度予算との比較の問題は、大蔵省関係に移つて各省行政部費に入つたものも含めて考えますと、二十五年度は九百七十億であつて、それに百十億の見返り資金がついている、それと今年大蔵省に、嚴密な営繕関係予算として行政部費に移つたものを合せて考えますれば、名目的には二十六年度の方が計数的には若干上まわつている、こういう状況になつております。もつとも今御指摘の資材の値上りが、特に朝鮮事変を契機といたしまして、鉄鋼、木材、セメント、そういつたふうに公共事業費の重要な資材関係につきましては相当の値上りをいたしております。この予算を組むときは大体十二月現在の予算單価ということを考慮に入れておりまするが、その後明年度におきまして一体どれだけの値上りが今後あるかということは、今日のところ予測できません。従つて今日以上また値上りということになりますれば、予算がかわらない限り事業量のある程度の縮小ということが当然余儀なくされるのではなかろうかと考えております。
  40. 林百郎

    ○林(百)委員 十五万円以下の事業地方に負担させるということですが、これはまだこまかい法案も出ておりませんので、われわれよくわかりませんが、そうなりますと、地方に及ぼす財政的な負担は一体どのくらいになると算定しておられますか、参考までにお聞きしたいと思います。
  41. 今川兼寛

    今川政府委員 先ほどもちよつと申し上げましたが、十五万円未満の最近の統計をとつてみますと、件数は八割程度なつておりますが、金額では大体一割、こういう状況でございますから、かりに一年に千億の被害額が起きたといつた場合を考えますれば、約その一判程度の百億程度地方の負担になる、こういう状況じやないかと思います。
  42. 林百郎

    ○林(百)委員 それからもう一つ、これは安本の自立計画ですが、これはいろいろ問題がありますが、この災害の部分を見ますと、過年度分が二十八年で終了するということだけであつて、二十六年、二十七年、二十八年に新たに起る災害に対する対策ということはこれはどうなつているのですか。
  43. 今川兼寛

    今川政府委員 二十六年度予算災害復旧費として四百億充てておりまするが、その内訳として三百二十億を過年度災に充て、八十億は、明年幾ばくの災害が起るか今日のところ予測できませんけれども、一応八十億という予定を立てております。本年度はそれが百億でございましたが、百億で足りなくて先般御審議を見まして補正予算で、これは嚴密な復旧ばかりでなくて、恒久対策も含めて四十二億でございまするか、今年は百四十二億で本年度災を処理した、こういう状況でございます。従つて年度は一応八十億という新規発生災害について予算は計上してございまするが、明年の災害類いかんによつて、あるいは明年以降幾ばくの災害が起るかということと国の財政とのにらみ合せで、その当初々々に組む予算と、それで足りなければまた国会補正予算その他の御審議によつてそういう応急対策を処置する、こういうことになろうかと存じます。今のところ明二十六年度といたしましては、八十億を新規発生災害に備えてとつておく、こういう状況でございます。
  44. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、先ほどの今泉政府委員の御答弁で、毎年平均一千億の災害が起ろというのに、わずか八十億ですと、大分困ることになるわけですが、今年は台風は起きない、しごく平穏無事に過すという考え予算が組まれているわけですか。もしジエーン台風やキジや台風が出たらまた補正予算を組んでもらうということですか。大分天候に対して楽観的なんですがね。
  45. 今川兼寛

    今川政府委員 これは私ども神様でありませんので、明年度幾ばくの災害が起るかということはわかりません。しかし大体最近は災害が起るということは予測がつくのでございまして、できればもつと多額な予備費をとつておきたかつた次第でございますが、先ほど御指摘の通り、今のところ二十五年度におきます百十億の見返り資金も二十六年度には依然として使わせてもらうという交渉もまだございませんで、それこれ全般の関係と、もう一つは全額負担の制度がかわりまして、まあ八十億には減らしましたが、事業費は地方の分担がございますから、若干ふえるということで、事業費としては今年は百億に対して八十億で見合うわけで、事業費は減つておりません。しかし明年度災害の起り方いかんによつては、当然補正予算として御審議願うような事態にあるいはなるかもしれません。しかしなるべく私どもはそういつた事態が起らぬことを希望する次第でございます。
  46. 林百郎

    ○林(百)委員 よくわかりました。なるべくジエーン台風やキジア台風が来ないように願うのですが、どうも人間のすることでないので、やむを得ぬと思うのです。  その次に道路関係のことをちよつとお聞きしたいと思います。道路計画で、最近道路も港湾もそうですが、道格、港湾で最近大分軍事的な要請に基いてつくつている道路や港湾があると思いますが、これが大体どういうふうになつているのか、その点を御説明願いたいと思います。
  47. 菊地明

    ○菊地政府委員 公共事業費並びに見返り資金でやりました、またやりつつある工事費の中にはわれわれの関する限りでは軍事国道的の道路というものはないと思つております。
  48. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、GHQの指令に基いて、こういう道路をつくれということはありますか。
  49. 菊地明

    ○菊地政府委員 ございません。
  50. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、道路計画は別に司令部の方から何らの示唆もなくして、日本政府が自由に計画して、自由にやることができますか。
  51. 菊地明

    ○菊地政府委員 一昨年出ました覚書の、補修に関する五箇年計画が現在ございます。それによつてつておりまして、その予算内容、概要を見せまして、そのうちのどれくらいを補修に使うとか、改良にどれくらい使うかというような検討をいたします。それから補修をしろということがその目的なんでありますから、改良工事の方にあまりに多くさかないようにという点を指示されまして、むしろ改良工事の方は圧縮を受けて、維持、修繕、補修をもつぱらやるという線で今日まで参つております。
  52. 林百郎

    ○林(百)委員 これは建設委員会で明らかになつたのですが、マツカーサー元帥の道路五箇年計画というものがありまして、それに基いて道路計画が立つている。これは建設委員会で明らかになつていることですが、それはあなたお認めになりますか、どうですか。
  53. 菊地明

    ○菊地政府委員 認めます。その通りです。
  54. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、道路計画はやはり日本政府が自由につくるわけじやないので、関係方面との交渉の上にきまるのじやないですか。
  55. 菊地明

    ○菊地政府委員 言葉が足りませんで申訳ありませんが、その五箇年千画と申しますのは、あれをごらんになるとわかりますが、道路補修に関する五箇年計画の覚書というのでありまして、計画全体じやないのであります。補修、維持、修繕をこういうふうにやれという覚書であります。
  56. 林百郎

    ○林(百)委員 維持、修繕の中に、たとえば道路の幅を幾らに広げろとかいうようなこともあるんじやないですか。どこの幹線はどういうふうに広げろとか、あるいは場合によつてはその費用が明らかに終戰処理費で立てかえられてまでいるということがあるんじやないですか。
  57. 菊地明

    ○菊地政府委員 幅を広げますのは維持修繕費では出ないことになつております。あれは改良費でございます。そういうふうに幅を広くせいというようなことは、あのメモランダムの中にはございません。
  58. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、どこの道路を新しくつくつて、その幅を幾らにするというようなことについては、関係方面の指示はないのですか。もう一度伺いますが、現に長野県の上松が火事にたりまして、新しくそこへ道路を広げる場合に、新しくつくる道路の広さは何メートルの幅にしなければならぬ、これは関係方面の指示であるから、どうしてもこれだけの幅にしなければならないという県並び、建設省からの指示を受けておるのです。そのほか、たとえば神戸の都市計画に塞ぐ道路計画一切が、やはり関係方面との一応の交渉と了解なくしてはやつていないのが実情だと思います。あなたの言うのと大分違うのですが、どうなんですか。
  59. 菊地明

    ○菊地政府委員 それはメモランダムによる線ではないと思います。
  60. 林百郎

    ○林(百)委員 何の線でもいいんですが、どうですか。
  61. 菊地明

    ○菊地政府委員 メモランダムは補修関係のものでございますが、予算が幾らとなりますと、その中でどれだけ補修関係に使うかということを見ます関係上、自然建設関係が幾らになるということは見ることになります。けれども幅を幾らにせいというようなことは、道路に関する限りございません。
  62. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、ここの道路はこれだけの幅にするとか、新しく神戸なら神戸の都市計画に基いて、こういう道路を何間幅でつくるというような場合には、関係方面との交渉はなくていいのですか。やはり一応神戸なら神戸の都市計画に基いて、ここにこれだけの幅の道路をつくりたい、こういう計画の道路をつくりたいということについては、その計画を日本政府が立てて、関係方面に交渉する、あるいは関係方面から、こういう道路を特にここへつくることを希望する、この道路は特に修理しろという指示はないのですか。
  63. 菊地明

    ○菊地政府委員 予算を交渉します場合、補修を希望するよりも、幅を広げるという方が希望が多いわけでありまして、われわれもなるべく広げて行きたいという気持もありますので、そういう際にこういうことをやりたいということは、全体のわくをきめますときに相談に参りましたことはあります。そのときに幅を幾らにせいということを押えられたことは、今までにないのです。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 幅を幾らにするということは、大体日本の国の道路計画がきまつていて、新しい道路の幅を幾らにするという方針がきまつておるのでしようが、その新しい道路を計画するときには、やはり関係方面と交渉して了解を得ておるのではないですか。日本の道路計画全体については、向うの了解を得た道路計画に基いて実行されているのではないですか。
  65. 菊地明

    ○菊地政府委員 道路の幅員については、国道については七・五メートルとか、都市計画では二十五メートルとか、いろいろきまつおりまして、向うの指示を受けてそれをかえたという場合はあまりないのであります。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると終戰処理費で立てかえている道路関係の修理とか、新設はどういうことになつておるのですか。
  67. 菊地明

    ○菊地政府委員 終戰処理費で出ましたのは、まず第一に大きな橋梁でございます。それがまず十億ばかり、それから東海道は、わが国では最も大きな幹線だとわれわれ見ておるのですが、これに十八億、それからその他生産関係の特に開発しなければならぬ方面に十一億ばかり、合計して三十九億出ておるわけであります。——間違いました。それは見返り資金でございました。終戰処理費の関係は、調達庁の扱いになつております。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたの今の御説明で、見返り資金の道路はよくわかりました。いずれ見返り資金の方についてもあとで聞こうと思つてつたのです。ところで、一時終戰処理費で立てかえ拂いされておる、たとえば道路の修理となあるいは新設の道路というものがあるのですか、ないですか。一時終戰処理費で立てかえておるということで道路関係の費用が使われておる場合、たとえば具体的にいいますと、東海道の補修は見返り資金でやられておりますが、そのほか特別にGHQからの指示によつて、特別な道路の修理、新設があつた場合には、終戰処理費で立てかえさすという事実は認められますか、認められませんか。あなたの所管外かもしれませんが、とにかく道路関係向うから特別命令があつた場合には、終戰処理費で一時立てかえさせて、道路が修理、新設されておる事実を御存じですか。
  69. 菊地明

    ○菊地政府委員 私の所管でありませんが、終戰処理費でやつておりまするものは、軍の要請に基くもののみであります。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 だから、そういう道路があるかないか。
  71. 菊地明

    ○菊地政府委員 あります。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 よくわかりました。それからもう一つ港湾関係ですが、港湾関係の方おりますか。
  73. 西村榮一

    西村主査 港湾は運輸省と漁港は農林省関係でありまして、ここの所管ではございませんが、大骨の関係ならば、安本の方で説明できると思いますから、一応お尋ねになつてください。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは港湾関係についてちよつとお尋ねしたいと思います。これは神戸港の埠頭の例ですが、やはり港湾を日本の公共事業費でやつて、実際は向うの軍隊がこれを使うというような場合がありますですか。
  75. 今川兼寛

    今川政府委員 道路についても同じことでございますが、港湾等につきましても、公共事業予算向うと折衝する際に、港湾関係にどのくらい、そのうち港湾関係の防波堤関係の費用としてどのくらい、あるいは浚渫にどのくらいというような振りわけにつきましては、具体的に向うと折衝いたしまして、向うからいろいろ意見もございます。しかしながら、特定地区の防波堤をやれとか、特定地区の浚渫をぜひやれ、こういうことは私ども向うと折衝中には何らそういう具体的な指示はございません。従つてあるわくの範囲内で港湾関係補助金を何ぼ、そのうち浚渫に何ぼ、防波堤何ぼという個々の具体的の内容についてはすべて日本政府にまかされております。  それから、でき上つたところで、向うが利用することがあるかどうかという問題であろうと思いまするが、これは接收地域を使うのが原則でありまするが、場合によつては、接收地域がどうしても足りなくて、一時的に使うという事態が起るかもしれません。具体的な話としては承つておりませんけれども、一時接收地域の保安設備が足りない、荷役関係が手下足しているという場合に、接收地域外も利用されるということはあり得ることであろうと思います。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 その次に、これは額はごくわずかですが、いろいろ注目を引いている問題です。朝日新聞に出ていたのですが、本年度いわゆる防火水槽五千万円というのが、公共事業費の中に組まれているというのです。これは予算項目には出ておりませんが、実際にあるのですかないのですか。
  77. 今川兼寛

    今川政府委員 二十六年度から新しい項目といたしまして、五千万円の防火施設、これは認めております。これは消防庁ができまして、最近非常に火災が多い。ところが火災に対して防火水槽が非常に少い。防火水槽さえ一定地域内にあれば消しとめ得たのが、それがなくてみすみす大被害を受けた。もつとも水道関係が非常に完備しておつて、火事が起きたときに水圧が希望の通りに上るか、あるいは水道設備がすぐ近くにある、あるいは川が近くにある、こういう場合はよろしいのでありますけれども、そういうもののない場所については、そういつた防火水槽がないために、みすみす大災害を受けた。ぜひ明年度からそういつた防火水槽をつくる経費として、消防庁の方から、認めてもらいたいという要望もございまして、金額はわずか五千万円でございましたけれども、明年度以降において、これもやはり公共事業として、主要都市、わけても非常に火災の瀕発しているというような所におきましては、この防火水槽の費用として、公共事業費から補助して行く、これを認めております。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 あと二、三問で打切りたいと思いますが、安本の貿易関係の方にちよつとお尋ねしたいのです。貿易計画に関する資料を私の手元へいただいたのですが、昭和二十四年度に比べて、二十五年は輸入計画の非常に困難な情勢がよくわかるのであります。特にカリ、塩、それから石炭など、非常に困難なようでありますが、昭和二十六年の貿易計画についての大体の見通しを御説明願いたいと思います。
  79. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 お答え申し上げます。昭和二十六年度の貿易計画につきましては、確定的な計画は、新年度の始まります前後までにつくり上げたいと思つて、目下作業中でございますが、ただいまカリの一応の計画というのがございます。これは先日御披露したはずでございますが、輸出につきましては、大体十一億ドル、それから輸入につきましては、十四億七千五百万ドルというふうに考えて、カリの計画はできております。それで、そのごく大要でございますが……。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 ちよつと議事進行について。詳しくお聞きしていると時間がかかりますから、われわれが考えて一番困難だと思います鉄鉱石と塩、この輸入先と、この輸入見込みについての二つだけお聞きしましよう。
  81. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 鉄鉱石の輸入につきましては、大体到着ベースでもつて総額三百九十五万トンというふうに一応考えておりますが、この買付先は、そのときの事情で、またいろいろかわるかと存じますが、一応の計画としましては、マレーから九十万トン、フイリピンから九十五万トン、香港から三十万トン、それからインド、これはゴアを含んでおりますが四十万トン、それからアメリカ及びカナダから大体百万トン、その他エジプト、メキシコ、南阿、仏印等の地域を全部まとめまして四十万トン、大体そういう内訳なつております。  塩の方は、これは百四十万トンと一応見ております。これは台湾、タイ、それから紅海の沿岸、イタリア、エジプト、アメリカ等から買うわけでございますが、大体塩につきましては、最近の予算では地域的なわくを設けないで、できるだけ有利なところから買う、こういう方針なつております。大体の地域はそういつたどころでございます。こまかい地域的な計画といつたようなものは、はつきりしたものを持つておりません。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 今言つた鉄鉱石ですが、この輸入が可能かどうかという点ですが、特に先ほどのフイリピンからの九十五万トン、これはフク団やいろいろの妨害行為もあるようですが、これは輸入の可能性がありますかどうか、この見通しを聞いておきたいことが一つ。それからアメリカからの鉄鉱石ですが、これは一トン当り向うのコストが幾らで、船賃が幾らになつておるか。ことにごく最近の船賃が幾らになつておるか。それをひとつ説明願いたいと思います。  それから塩ですが、塩は、たとえばエジプトあたりから買つて来るそうですが、そこで原価が大体幾らで、エジプトから日本へ持つて来るのに、船賃が大体どのくらいかかるか、それをひとつ説明願いたいと思います。
  83. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 フイリピンの鉄鉱石につきましては、三つ鉱山がございますが、そのうち一つの鉱山は、ただいまお話のございましたように、フクバラハツプなどの妨害で困難なようでありますが、一応計画としては、先ほど申し上げた額をその鉱山から輸入できるだろう、こういう考えを持つております。  それからアメリカからの鉄鉱石の輸入の値段は、運賃が始終かわつておりまして、はつきりした最近の資料を持つておりませんが、十二月には大体二十三ドルくらいであつたかと思います。そのうち原価と運賃ですが、大体半々、運賃の方が半々より少し多かつたと思います。  それから塩でございますが、元来塩は運賃が大部分を占めております。エジプトの塩の値段でありますが、FOBでは大体三ドル五十セントくらい、しかし運賃を見ますと二十ドルくらいになります。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、三ドルが大体の原価で、十七ドルが運賃ということになりますか。
  85. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 そういうことになります。
  86. 林百郎

    ○林(百)委員 そこでこれは政治的な問題になりまして、皆さんにお聞きしてもいろいろめんどうな問題があると思いますが、経済的な立場からいつたら、できるならばやはり中共貿易をやつて行きたい。エジプトあたりから原価三ドルのものを十七ドルの船賃を出して買つて来るという現状であるが、中共からならばそういう船賃を節減できて、その方が日本の経済にとつて好ましいと思うのですが、皆さんの方は経済的な立場から言うとどうなるのですか。
  87. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 純粋に経済的な立場から申しますと、鉄鉱石とか塩とか、バルキー・カーゴーは中国から輸入することが望ましいのであります。海南島の鉄鉱石は以前は重要な輸入鉱石でございましたが、あそこが中共の管下に入りましたから、昨年度あたりからずつと来ていないのであります。そういつたものが来るようになれば、経済的には非常に好都合かと思つております。
  88. 林百郎

    ○林(百)委員 あと中共貿易と船腹の問題をお聞きして、私の質問を打切りたいと思います。  中共貿易の点については、通産省も安本もそうですが、できるならば事務当局としてもやはり貿易を続けたいという意思はあつたじやないかと考えるわけですが、いろいろな政治的な理由でああいうことになつたと思うのです。今後中共貿易については事務当局としてどういうことをお考えなつており、それを技術的にはどうするお考えを持つておりますか。現に向うからはオフアーが来ておりますし、こちらでも禁止品目以外のものでバーターするならバーターするというように、何かそういう方法考えておいでですか。中共貿易について何か禁止品目を緩和するか何かの形で貿易を継続するような方法考えておられますかどうですか。
  89. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 中共貿易につきましては、かなり政治的な要素が入つております。純経済的に見ますれば、その政治情勢の許す範囲でできるだけ中共貿易をやりたい、こういうように事務的には考えております。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 たとえばトレーラーバスやトラクターあたりも、中共と貿易すると戰略物資になるという話で禁止されておる。しかもそれは日本政府の独自の見解でそうやつたというのですが、もし戰略物資を外国に渡すことが日本の産業の戰後のあり方に反するというならば、最近の特需とかあるいはもつと露骨なPD、LR関係では、機関銃の修理をするとか小銃をつくつておるのですが、どういうわけで中共に送るものだけが戰略物資になるのか。明らかに国民の平和的な生活に寄與すると思われるものが、中共に送る場合は戰略物資で禁止されて、アメリカの方へやる場合には、明らかに戰略物資と思われる機関銃や鉄砲のたままでが日本の産業として許されておるということは、これはどういうわけですか。もしお答えできないならできないで、これは大臣に聞くつもりですが、何か事務当局でお考えなつておるわけですか。
  91. 西村榮一

    西村主査 お答えがないようですから、ほかの質問を願えませんか。
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 それからもう一つ船舶関係ですが、関係政府委員がおられないようですから、一応これで打切ります。
  93. 西村榮一

    西村主査 ほかに質疑がなければ、午前はこの程度にいたしまして、午後は一時半より大蔵省法務府及び裁判所所管審査に入ります。  暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後一時五十五分開議
  94. 西村榮一

    西村主査 休憩前に引続きまして第一分科会を開きます。  午後は大蔵省法務府及び裁判所所管を一括して議題といたします。  なお本日の議題について裁判所所管事項に関して裁判所より出席説明要求がありまするので、国会法第七十二條第二項の規定により、これを許すに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 西村榮一

    西村主査 御異議なければさようとりはからいます。  それではまず大蔵省所管より御説明を願います。
  96. 小川潤一

    ○小川政府委員 ただいまから昭和二十六年度一般会計歳入予算について御説明いたします。昭和二十六年度一般会計歳入予算額は六千五百七十四億二千七十四万七千円でありまして、これを前年度予算額六千六百四十五億七千六百三十一万六千円に比較いたしますと、七十一億五千五百五十六万九千円を減少いたしております。以下各部について簡單に御説明いたしますと、まず租税及び印紙收入は、総額四千四百四十五億四百万円でありまして、これを前年度予算額四千四百五十億六千五百万円に比較いたしますと、五億六千百万円の減少となつておりますが、旧税法を適用するといたしますと、五千百八十八億二千万円が見込まれますので、税法上におきましては、七百四十三億千六百万円の減税となつているのであります。  租税におきましては、さきに酒税、物品税、砂糖消費税及び揮発油税につきまして、国民負担の軽減、合理化をはかるとともに給與所得の源泉徴收額について暫定的軽減を行つたのでありますが、さらに一層負担の軽減合理化、税制の簡易化をはかるとともに、資本の蓄積に資する等のため税制の改正を行うとともに、重ねて資産の再評価を行い得るものといたしたのであります。  まず所得税におきましては、基礎控除、扶養控除等の引上げ、税率の引下げ、特別控除制度の新設、その他所得税制の簡素合理化をはかる等の改正を行い、国民租税負担の軽減をはかりまして、一千二百二十七億四千四百万円を計上いたしております。  法人税におきましては、積立金に対する課税の廃止、その他若干の改正を行い、資本の蓄積に資することにいたしまして、六百三十六億四千五百万円を計上いたしております。  他方相続税におきましては、生命保險金の特別控除を新設することにいたし、通行税につきましては航空機の乘客に対する課税を新設いたしました。一方汽船の二等乘客に対する課税を廃止することにいたしました。また砂糖消費税におきましては、輸入砂糖に対する臨時免税は廃止することにいたしました。なお印紙税、骨牌税につきましては税率等の改正を行い、関税におきましては全面的に従価税に改めることにいたしました。  なお、資産の再評価を再び実施することができることにいたしたのであります。  これらによる本年度予算額は相続税二十二億五千三百万円、富裕税二十四億円、再評価税八十五億千二百万円、酒税千七十二億八千三百万円、砂糖消費税六十三億三百万円、揮発油税四十六億五千六百万円、物品税百二十六億四千百万円、通行税六億七千二百万円、関税四十九億二千万円、屯税八千万円、印紙收入八十三億九千五百万円でありまして、租税及び印紙收入の合計は四千四百四十五億四百万円となるのであります。  次に官業及び官有財産收入は千五百十四億五千九百九万千円でありまして、これを前年度予算額千三百七十二億五千八百七十七万七千円に比較いたしますと、百四十二億三十一万四千円の増加となります。  以下おもなる事項について申上げますと、日本專売公社益金において千百三十億八千六百五十四万八千円、アルコール專売益金において七億七千六百六十一万九千円、刑務所收入において十九億九千九百七十七万三千円、病院收入において六十億五千八百二十七万二千円、官有財産貸付料において五億八千七十四万七千円、官有財産売抑代において五十三億二千七百六十二万九千円、政府出資金等收入において百四十一億三千三百万四千円、公団等整理收入において九十一億七千二百七十九万八千円、その他の收入において三億二千三百七十万千円を計上いたしております。  次に雑收入は四百十九億三百六十三万八千円でありまして、これを前年度予算額六百十六億百八万九千円に比較いたしますと、百九十六億九千七百四十五万千円の減少となります。以下おもなる事項について申上げますと、恩給法納金及び特別会計等恩給負担金において三十四億五千九百八万三千円、解散団体財産收入金特別会計、資金運用部特別会計、財産税等收入金特別会計、自作農創設特別措置特別会計及び国営競馬特別会計からの受入金において二十一億六千九百二十七万九千円、公共団体工事費分担金において四十九億五千九十三万千円、懲罰及び没牧金において十九億二千九百二十八万七千円、免許及び手数料において二億九千九十二万千円、授業料及び入学検定料において六億七千六百九十二万九千円、弁償及び返納金において七億六千七百六十七万四千円、日本銀行納付金において、同行における前年下期及び本年上期の剰余金見込額によりまして五十一億二千万円、復興金融金庫納付金において、同金庫における本年度剰余金見込額によりまして四十五億三千二百八十万二千円、住宅金融公庫納付金において、本年度利益金見込額から不動産の償却費見込額を差引きまして五億七千八百六十六万五千円、公団その他の納付金において四十二億二千百三十一万円、価格差益納付金において十五億円、当籤金附証票売得金收入において二十七億七千二百万円、終戰処理收入において五十四億四千五百四十五万四千円、解除物件処理收入において二億九千二百四十二万円、その他の雑收入において三十一億八千六百八十八万三千円を計上いたしております。  最後に前年度剰余金におきましては、昭和二十四年度の決算によつて生じました純剰余金のうち、財政法第六條の規定によつて公債償還の財源に充てる額と、この金額を控除した残余のうち、すでに昭和二十五年度予算に計上いたしました額を差引いた残余とを合せまして百九十五億五千四百一万八千円を計上いたした次第であります。以上をもちまして、昭和二十六年度一般会計歳入予算の概略についての説明を終ります。  次に大蔵省所管の一般会計歳出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  昭和二十六年度一般会計歳出予算額は六百二十一億四千二百二十八万円でありまして、これを前年度予算額千二百二十九億三百四十一万六千円に比較いたしますと、六百七億六千百十三万六千円を減少いたしております。この歳出予算額を、各部にわけて御説明いたしますと、次の通りであります。行政部費二百四十一億三千万五千円、産業経済費二千百十二万四千円、出資及び投資百五十七億二千百四十一万五千円、国債費二百九億六千九百九十五万千円、特殊財産処理費二億九千六百六十万千円、賠償施設処理費三百十八万四千円、予備費十億円、合計六百二十一億四千二百二十八万円であります。その、主要なるものについて事項別に申し述べますと、一、国家公務員共済組合負担金等に必要な経費四億八千七百七十一万二千円、一、旧令による共済組合の年金改訂等に必要な経費七億七千八十三万六千円、一、海外出張その他海外拂いに必要な経費二十億円、一、造幣庁特別会計へ繰入れに必要な経費六億九千六百三十三万七千円、一、郵政事業特別会計へ繰入れに必要な経費十一億三千六百三十一万六千円、一、公務員住宅対策に必要な経費十二億円、一、当籤金附証票発売に必要な経費十九億七千九百五十一万四千円、一、密貿易取締り増強に必要な経費三億六千四百九十一万千円、一、徴税事務の刷新改善及び課税の充実に必要な経費四億三百五十七万五千円、一、租税の滯納整理に必要な経費二億八千二百五十一万五千円、一、租税拂いもどしに必要な経費十六億八千万円、一、貴金属地金買上げ資金補足繰入れに必要な経費三十七億二千百四十一万五千円、一、政府出資に必要な経費百二十億円、一、国債費に必要な経費二百九億六千九百九十五万千円、一、連合国財産の返還に必要な経費二億八千三百九十万六千円、一、予備費に必要な経費十億円等であります。  次に、その概要を御説明いたしますと国家公務員共済組合負担金等に必要な経費は、大蔵省所管の共済組合国庫負担金、退官退職手当、公務災害補償費等に要する経費であります。旧令による共済組合の年金改訂等に必要な経費は、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法に基きまして、旧陸海軍共済組合及び外地関係共済組合からの年金受給者に対する年金の額が、現行の恩給及び共済組合法の規定による年金の額に比し、著しく権衡を失しておりますので、その年金額を改訂したために要する経費であります。  次に海外出張その他海外拂いに必要な経費は、国際情勢の変化に伴い、各省各庁の事務、事業の円滑な遂行を期するため、国際会議への出席、外国制度の調査研究のための海外出張並びに在外公館の設置、国際分担金等対外支拂いに充てるために要する経費でありまして、外貨資金の有効な利用をはかるため、これを一括大蔵省所管に計上したものであります。造幣庁特別会計へ繰入れに必要なる経費は、造幣庁特別会計における作業上の收支調整をはかるため、一般会計から同特別会計へ繰入れるために必要な経費であります。郵政事業特別会計へ繰入れに必要な経費は、郵政事業の官署における国債証券の取扱い事務及び国税金徴收の取扱い事務の経費に充てるため、一般会計から郵政事業特別会計へ繰入れるために要する経費であります。公務員住宅対策に必要な経費は、国家公務員の国設宿舎に関する法律に基いて、国家公務員の住宅を安定し、国の事務、事業の円滑な運営をはかるため、引続き宿舎を設置するに要する経費であります。当籤金附証票発売に必要な経費は、当籤金附証票法に基いて発売する証票の当籤金、売さばき及び支拂い手数料等に要する経費であります。密貿易取締り増強に必要な経費は国際情勢の変化に伴う密輸出入の漸増は、本邦における経済を撹乱し、平和秩序の確立に重大な影響を及ぼすので、これが取締りの徹底を期するための人員充実並びに機動力の整備等をはかるために要する経費であります。徴税事務の刷新改善及び課税の充実に必要な経費は、徴税事務の円滑なる運営と、課税の充実をはかるとともに納税者の便宜をはかるため備品類及び庁舎施設を整備し、徴收事務体制を整備するために要する経費であります。租税の滯納整理に必要な経費は、現下の経済事情並びに従来の徴收実績から見まして、本年度の租税收入につきましても、多額の滯納が予想され、かくては、国家財政收支の均衡を失するおそれがありますので、これが滯納整理事務に要する経費であります。租税拂いもどしに必要な経費は、内国税の過誤納金の拂いもどしに充てるために要する経費であります。貴金属地金買上資金補足繰入れに必要な経費は貴金属特別会計法に基いて、同会計における貴金属地金買上げ代金等の不足を補填するため、一般会計から同特別会計へ繰入れるために要する経費であります。政府出資に必要な経費は、国民金融公庫、住宅金融公庫及び日本輸出銀行に対する出資金に充てるために要する経費であります。国債費に必要な経費は、国債償還、借入金返済、国債利子及び借入金利子等の支拂いに充てるために要する経費であります。連合国財産の返還に必要な経費は、連合国財産の返還のための事業に要する経費であります。予備費に必要な経費は、予算に超過し、または予算外に必要とする支出に充てるための経費であります。  次に昭和二十六年度大蔵省所管の各特別会計歳入歳出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  第一、造幣庁特別会計におきましては、歳入歳出とも二十三億七千三十四万千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも二億九千百二十五万千円をそれぞれ増加いたしております。増加いたしましたおもなる事由は、歳入歳出とも貴金属配給地金の売拂い代及び購入費の増加によるものであります。  第二、印刷庁特別会計におきましては、歳入歳出とも四十億五千三百五万二千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも一億九千六百九十五万三千円をそれぞれ増加いたしております。増加いたしましたおもなる事由は、歳入におきましては製品売拂い代の増加によるものであり、歳出におきましては給與改善による件費の増加によるものであります。  第三、資金運用部特別会計におきましては、歳入歳出とも百六十億二千七百七十二万二千円でありますが、この会計は大蔵省預金部特別会計を廃止し、本年度より新たにできましたものでありまして、歳入の主要なるものは、資金運用部資金の運用による利子收入であり、歳出の主要なるものは、郵便貯金その他の預金に対する利子支拂いに要する経費であります。  第四、国債整理基金特別会計におきましては、歳入歳出とも二千十二億百十九万三千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも八百十四億七千二百九十三万四千円をそれぞれ減少いたしておりますが、その内容を御説明いたしますと、国債償還において六百六十三億三千九百六十五万四千円、借入金返済において百三十二億八百六十二万六千円、国債利子において八億六千百五十四万円、借入金利子において一億三千七百九十万七千円、短期証券割引差額において八億五千百八十万円、国債事務取扱い諸費において七千三百四十万五千円の減少となつております。  第五、貴金属特別会計におきましては、歳入歳出とも五十二億七千七百二十二万二千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも七億八千六百二十九万円を、それぞれ増加いたしております。増加いたしましたおもなる事由は、歳入におきましては、貴金属地金買上げ資金不足補填のため、一般会計よりの受入れ増加によるものであり、歳出におきましては、産金増加に伴う貴金属地金買上げ費の増加によるものであります。  第六、財産税等收入金特別会計におきましては、歳入歳出とも二十七億千百六十五万六千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも七億千三百七十二万三千円をそれぞれ減少いたしております。減少を生じましたおもなる事由は、財産税及び戰時補償特別税の收入と、自作農創設特別措置特別会計において、売拂い処分した物納農地の対価收入金受入れが減少したためであり、歳出におきましては、一般会計へ繰入れる剰余金の減少によるものであります。  第七、米国対日援助見返資金特別会計におきましては、歳入歳出とも千百九十四億千七百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも三百八十七億千五百八十七万円をそれぞれ減少いたしております。  その内容を御説明いたしますと、歳入につきましては、前年度剰余金受入れにおいて二百八十九億三千六百八十八万円、運用利殖金收入において三十一億四千六百二十五万円、運用資金回收において十三億二千百万円を増加いたしましたが、米国対日援助物資等処理特別会計より受入れにおいて七百二十一億二千万円を減少いたしております。歳出につきましては、再建及び安定費において四百七十二億八千四百十三万円を増加いたしましたが、公企業支出において三百十億円、私企業支出において五十億円、債務償還費において五百億円を減少いたしております。  次に昭和二十六年度大蔵省関係の各政府関係機関收入支出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  第一に、日本專売公社におきましては歳入千六百八十四億千六十二万七千円、歳出五百五十三億二千四百七万九千円、差引歳入超過額納付益金千百三十億八千六百五十四万八千円でありまして、これを前年度予算額歳入千六百二十億七千四百二十三万八千円、歳出五百億二千三百七十六万五千円、差引歳入超過額納付益金千百二十億五千四十七万三千円に比較いたしますと、歳入において六十三億三千六百三十八万九千円、歳出において五十三億二十一万四千円、差引歳入超過額納付益金において十億三千六百七万五千円をそれぞれ増加いたしております。  以下各事業についておもなる事項の概略を御説明いたしますと、タバコ事業におきましては、本年度におけるタバコの製造数量は八百二十億本、販売数量も八百二十億本でありまして、前年度における製造数量は八百億本、販売数量は七百八十億本となつております。一方本年度においては憩を廃止し、販売価格をピース及び光について十本当りおのおの十円の小売価格の値下げを見込んでおります。本年度のタバコ事業関係におきましては、歳入千五百十六億五千七百二十三万七千円、歳出三百八十六億三千十九万九、千円、差引歳入超過額千百三十億二千七百十三万八千円となります。塩事業におきましては本年度における塩の收納及び購入数量は、内地塩五十五万トン、輸入塩百二十七万トン、計百八十二万トン、塩の売拂数量は内地塩六十七万六千トン、輸入塩百十一万千トン、計百七十八万七千トンでありまして、前年度における收納及び購入数量は内地塩四十五万トン、輸入塩八十万トン、計百二十五万トン、売拂数量は内地塩四十二万千トン、輸入塩百五万トン、計百四十七万千トンとなつております。但し右両年度とも内地塩売拂数量のうちには輸入原塩を再製したもの等を含んでおります。本年度の塩事業関係におきましては、歳入百六十一億千八百八万四千円、歳出百六十一億千八百八万四千円でありまして、歳入歳出とも同額であります。次にしようのう事業におきましては、粗製しようのう、しようのう原油及びしようのう原木を購入販売いたすことになつております。本年度しようのう事業関係におきましては、歳入六億三千五百二十万六千円、歳出五億七千五百七十九万六千円、差引歳入超過額五千九百四十一万円となります。  第二に復興金融金庫におきましては收入支出とも百三十八億七千百九十四万五千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、收入支出とも七十四億三千五百十四万円をそれぞれ減少いたしております。減少を生じましたおもなる事由は、收入におきましては貸付金の回收及び利子收入の減少によるものであり、支出におきましては、保証債務の履行及び政府納付金の減少によるものであります。  第三に、国民金融公庫におきましては、收入支出とも五億千二十六万六千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、收入支出とも一億八千二百五十三万円をそれぞれ増加いたしております。増加を生じましたおもな事由は、收入におきましては貸付金利子收入の増加によるものであり、支出におきましては事務費増加によるものであります。  第四の住宅金融公庫におきましては、收入十億七千二百七十九万六千円、支出四億九千三百十一万千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、收入におきまして七億八千四百九十一万千円、支出におきまして二億五百二十二万六千円を、それぞれ増加いたしております。増加を生じましたおもなる事由は、收入におきましては、貸付金利子收入の増加によるものであり、支出におきましては貸付委託手数料及び借入金利子等の増加によるものであります。  第五に、日本輸出銀行におきましては、收入七億千二百五十九万六千円、支出一億八千七百八十四万三千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、收入において六億七千七十二万三千円、支出において一億七千三百五十七万六千円をそれぞれ増加いたしております。増加を生じましたおもなる事由は、收入におきましては、貸付金利息、有価証券及び預け金利息收入の増加によるものであり、支出におきましては、諸税及び貸付委託手数料等の増加によるものであります。  第六に、閉鎖機関整理委員会におきましては、收入支出とも六億千七百二十万六千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、收入支出とも二億七千五百八十、三万七千円をそれぞれ減少いたしております。減少を生じましたおもなる事由は、收入におきましては、各閉鎖機関から徴收する割当分担金收入の減少によるものであり、支出におきましては、清算事務縮小に伴う人件費及び事務費の減少によるものであります。  第七に、証券処理調整協議会におきましては、收入支出とも二千六百五万千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、收入支出とも六千百四十六万円をそれぞれ減少いたしております。減少を生じましたおもなる事由は、証券処分手数料收入の減少によるものであり、支出におきましては、証券処分事務の縮小に伴う人件費及び事務費の減少によるものであります。  以上をもちまして、昭和二十六年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び政府関係機関收入支出予算概要説明を終ります。  なお、詳細につきましては、御質問に応じて申し述べることにいたします。
  97. 西村榮一

    西村主査 次に法務所管について説明をお願いします。岡原政府委員。
  98. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 昭和二十六年度法務所管予定経費要求額につきまして、その大要を御説明申し上げます。  昭和二十六年度予定経費要求額は、百三十五億四千二百八十万一千円でありまして、これを前年度予算額百二十億九千八百十七万五千円に比較しますと、十四億四千四百六十二万六千円を増加いたしました。今ここに本年度においてあらたに増額した経費の内容と重要事項について一応御説明申し上げます。  その第一は、現行寄留制度は、種々の欠陷を暴露しまして、制度本来の目的を達していなかつた実情にあります。早急に完全な住民登録制度を実施せなければならない時期に立ち至つているのであります。そこで本年度におきましては、その実施準備に要する経費といたしまして、千八百十三万八千円をあらたに計上いたしました。  その二は、昭和二十五年法律第二百二十七号、土地台帳法等の一部を改正する法律の施行に伴いまして、土地台帳及び家屋台帳に関する事務は、昭和二十五年八月一日から法務局及び地方法務局の所管となりましたため、これに要する経費として二億五千六百四十二万一千円を前年度に引続き計上いたしました。  その三は、昭和二十五年七月三十一民法律二百二十八号土地家屋調査士法の施行に伴い、調査士の試験、選考及び登録を行うために要する経費百四十九万八千円をあらたに計上いたしました。  その四は、法務局等において、法令に基く登記、供託、戸籍の事務を処理するために要する経費といたしまして、一億九十三万五千円を前年度に引続き計上いたしました。  その五は、検察庁において処理する一般刑事事件、経済関係法令等違反事件及び公安関係事件等各種事犯の直接捜査活動に要する経費といたしまして、四億三千三百五十七万九千円を前年度に引続き計上いたしました。  その六は、拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院及び少年鑑別所における昭和二十六年度の收容予定人員約十二万三千人に対する衣食、医療及び就労等に要する経費といたしまして、三十五億七千八百九十三万九千円を前年度に引続き計上いたしました。  最後に第七として、検察庁及び刑務所その他矯正保護官署の庁舎等の新宮と諸施設の増設、整備に要する経費といたしまして、十億九千六百五十三万四千円を前年度に引続き計上いたしました。  なおこのほかに営繕費として、法務本府及び法務局等の庁舎その他新営に要する経費といたしまして、一億八千二百四十万七千円が建設省所管予算に計上されておりますから御参考までに申し上げます。  以上が法務所管予定経費要求の大要であります。何とぞ愼重に御審議の上御協賛あらんことを希望いたします。
  99. 西村榮一

    西村主査 次に裁判所所管について御説明をお願いいたします。畔上説明員。
  100. 畔上英治

    ○畔上最高裁判所説明員 昭和二十六年度裁判所所管予算の御説明を申し上げます。  裁判所所管昭和二十六年度予定経費要求額は五十八億七千四百二万九千円でありまして、前年度補正予算要求額を含めました予算額四十九億五千四十五万二千円に比較いたしますと、九億二千三百六十八万七千円を増加いたしております。  右の昭和二十六年度予算のうち重要な事項について御説明申し上げますと次の通りであります。  一、最高裁判所及び各下級裁判所の機構の維持及び経営的行政事務を行うために必要な経費としては、三十七億二千百三十九万五千円でありまして、そのうち六億二千五百三万五千円を最高裁判所に、二億七千九百四十一万九千円を高等裁判所に、十四億九千七百九十八万六千円を地方裁判所に、六億一千五百三十二万二千円を家庭裁判所に、七億三百六十三万三千円を簡易裁判所に、それぞれ計上いたしました。  二、裁判所書記官制度に根本的検討を加え、その素質を向上して任用資格と地位とを高め、職責を改めて事務処理方式の改善をはかるため、書記官研修所に必要な経費として、六千四百七十四万円を最高裁判所に計上いたしました。  三、家庭裁判所の機構を整備するに伴い、裁判官、裁判所書記官、少年調査官等を増員するために必要な経費として、六千二百七十二万円を家庭裁判所に計上いたしました。  四、商法等民事諸法規の改正に伴い、裁判官、裁判所書記官等を増員するために必要な経費として、一千四十五万五千円を最高裁判所及び各下級裁判所に計上いたしました。  五、裁判の適正迅速な処理を期し、刑事事件その他に関する各種統計資料の編纂の能率化をはかるため、統計の機械化及びフアイル・システムの実施等に必要な経費として、三千三十一万六千円を最高裁判所及び各下級裁判所に計上いたしました。  六、昭和二十五年政令第三百二十四号、連合国人に対する刑事事件特別措置令及び同年政令第三百二十五号、占領目的阻害行為処罰令等による刑事裁判権の拡張に伴い必要な経費として、二千百十一万三千円を星高裁判所及び各下級裁判所に計上いたしました。  七、裁判所の営繕工事費として、裁判所庁舎等の新常費で五億二千五百万円、家庭裁判所新営費で一億四千万円、簡易裁判所新営費で一億一千万円をそれぞれ計上いたしました。   八、裁判所法の規定に基く予備金として、八百万円を裁判所予備経費に計上いたしました。  以上昭和二十六年度裁判所所管予定経費要求額についての大要を御説明申し上げました。  何とぞ愼重御審議のほどお願いいたします。
  101. 西村榮一

    西村主査 これより質疑に入ります。林百郎君。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 大蔵省の方にちよつとお聞きしたいのですが、本年度新たに資金運用部という制度を設けた大体の趣旨をまずお聞きしたいと思います。
  103. 谷川宏

    ○谷川説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。従来大蔵省におきまして預金部特別会計を設置いたしまして、主として郵便貯金の資金につきましてその運用をはかり、その結果生じました運用利子をもちまして郵便貯金の支拂い利子等に充てる、そのようにして運用しておりましたが、このたび資金運用部を設けまして、郵便貯金以外の、たとえば簡易保險あるいは厚生年金等の資金をも一元的に運用する、そしてそこで国家資金を一元的にかつ効率的に運用いたしまして、もつてその預金者等に対する保護の完全を期した次第でございます。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 公共企業へ昭和二十五年度には見返り資金を投資していたのでありますが、今年度はこれを預金部資金に肩がわりさせております。これはどういう理由で肩がわりさせたのですか。
  105. 谷川宏

    ○谷川説明員 従来見返り資金によりまして公企業に相当の資金を投資しておつたのでありますが、この預金部資金におきまして財源が相当出ておりますので、今回相当の金額を預金部資金に肩がわりしておるわけであります。
  106. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、対日援助見返り資金を預金部資金に肩がわりさせて、見返り資金の幅を広めるという目的からなされたわけですか。昨年度は見返り資金を電通、国鉄、国有林野、住宅金融公庫、こういう公共企業関係へ相当投資したのを、ことしはすつかりゼロにしてしまつて、私企業関係に今年度は見返り資金を主として集中しておるわけですが、これは要するに対日援助見返り資金の幅を伸ばすという意味ですか。
  107. 谷川宏

    ○谷川説明員 大体以上のような趣旨でございますが、昨年度たしか二百七十億だと存じますが、これを預金部資金に肩がわりしました。これは国庫資金につきましては、たとえば電通あるいは国鉄等の国家政府機関に対する資金、これは預金部資金から融資するというような方針に基きまして、かような措置をとつた次第であります。
  108. 林百郎

    ○林(百)委員 それで見返り資金に幅を持たしておきながら、しかも見返り資金の投資額は本年度は昨年度より少いのです。昨年度は七百七十一億、今年度は四百四十億ですが、これはどういうわけです。
  109. 谷川宏

    ○谷川説明員 昨年度の分につきましては、当初におきましてはまだはつきり確定していなかつたので少かつたのでありますが、ただいま年度末近くになりまして、大体そのようになつたのでございます。本年度ごつきましても、ただいまのところ判明しておりますのは、今お話がありましたような数字でございますが、さらに経済再建安定費におきまして、相当の余裕財源がございますので、必要の都度その分から支出いたすことになろうかと存じます。
  110. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると経済再建費は、私企業へ必要に応じて投資する費目としてとつてあるわけですか。
  111. 谷川宏

    ○谷川説明員 必ずしも私企業とは限りませんが、将来日本の経済の安定を期し、日本経済の再建をはかるために必要な経費に充てるためにとつてあるわけであります。
  112. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、たとえば海運だけでも百十五億で、一般の民間銀行の引受がこの倍として、大体二百三十億ぐらいですか、第六次計画を遂行するためには、大作五百億の資金がいるというのですが、現に船腹問題で非常に困難しておるこの海運へ、経済再建安定費としてリザーヴされておる見返り資金を、当初から組まないのはどういうわけなのです。
  113. 谷川宏

    ○谷川説明員 電力あるいは造船関係に必要な経費につきましては、ただいま政府におきまして検討いたしました数字は、この予算に現われておるところで一応足りるという考えでありますが、さらにその計画等につきまして愼重検討した上、もし必要であれば経済再建安定費の方から、さらに追加的に支出する計画をとることができるような仕組みになつておるわけであります。
  114. 林百郎

    ○林(百)委員 新聞の伝えるところによると、あなたとはむしろ逆で、経済再建安定費の方はなるべくこうしておいて、むしろ造船の方は資金運用部の方の余裕金のうちから何とか出すということであつて、見返り資金の経済再建安定費は、なるべくこれを温存しておきたいというのが政府方針のようですが、その辺はおわかりないですか。
  115. 谷川宏

    ○谷川説明員 ただいまの御質問にありましたような状況につきましては、まだはつきりしたことをこの場で申し上げる段階にないことを申し上げまして、御了解を得たいと思います。
  116. 林百郎

    ○林(百)委員 その次に郵便貯金ですが、郵便貯金を今度は特別の会計にされたのはどういう理由です。
  117. 谷川宏

    ○谷川説明員 従来郵便貯金は郵政特別会計の中に包含されておつたのでありますが、今回資金運用部が独立いたしますとともに、郵便貯金の会計をも郵政特別会計から切り離しまして、郵便貯金として集まつた資金を、預金者に対して確実に保護する、その資金は資金運用部で運用するのでありますが、資金運用部から支拂われました利子を確実に預金者の方に支拂うという仕組みをとるとともに、郵便貯金制度の効率的な運用をはかり、その郵便貯金の制度に要する経費等の節約及び能率の増進等をはかるために独立会計としたわけです。
  118. 林百郎

    ○林(百)委員 この資金運用部からの利子の安拂いですが、郵便貯金の経費が六分七厘かかつて、資金運用部から五分五厘しか行かないということになりますと、赤字になるのは明らかですが、これはどういうわけですか。
  119. 谷川宏

    ○谷川説明員 お話の通りでございまして、資金運用部からは五分五厘しか拂わない。郵便貯金の資金コストは六分六厘か七厘で、その差額は一般会計の負担ということにただいまはなつております。
  120. 林百郎

    ○林(百)委員 ただいまなつているので、これでは——たとえばこの説明にもあります通りに、郵便貯金が二千五百億に上れば、收支は均衡するということになれば、これは要するに郵便事務を扱つておる者に、二千五百億だけの貯金をしろ、そうしなければ赤字だ、独立採算制の点から、場合によれば首を切るというようなことで、非常な圧力を加えて、郵便事務をやつておる者にとつては、これは一種の労働強化にもなりますし、政策的に言えば、これは一種の郵便局を通じてのデフレのための強制徴税政策の一つの変形的な形になつておる。とにかく二千五百億まで貯金をとれ、そうすれば君の会計はとんとんになつて、一般会計から仕送りに行かなくてもいいじやないか、そうしなければ、独立採算制の点から、給料や首の心配があるのではないかということになるわけです。そうすると、たとえば預金部資金で金融債を引受ける場合には、利子は幾らで貸し付けるのですか。
  121. 谷川宏

    ○谷川説明員 ただいまの御質問でございますが、郵便貯金特別会計の運用する資金の量の問題もございますが、できるだけ能率を上げ、経費の節約に努めることはもちろん必要なことでございますが、なおここで考えなければいけないことは、銀行と違いまして、郵便局はどんな山の中の辺鄙なところにも現在ありますし、またあることが国民のために便宜であります。そういうような点から言いまして、銀行等の資金コストに比べて相当よけいな経費がかかるのは、ある意味においてやむを得ないことでございます。そういう点からいたしまして、これを一般会計において負担するということも、一応ある意味があるわけでございます。さらに金融債等を引受ける場合の利子は、大体八分程度を予想しておるわけでございます。
  122. 林百郎

    ○林(百)委員 こういうように、とられる場合は八分の利子をとつて、しかもそれを銀行では九分六厘から一割で運用しておる。資金運用部の方でとる場合には、相当にとり得るし、またとれるのです。それにもかかわらず、郵便貯金の方へわずか利子として五分五厘しか出さないということは、われわれは理解に苦しむのです。もしこうして郵便貯金が当然赤字になるような政策をされるならば、郵便貯金をむしろ郵政省なら郵政省の方に移して、地方公共団体とか、あるいは災害復旧だとかに投資されて、赤字にならないように運用をまかしてしまつたらどうですか。高度の政策的な問題になりますが。郵便貯金を特別会計にしておきながら、費用が六分七厘かかるのを、あなたの方から五分五厘上か利子を拂わなかつたら、赤字になるのはさまつています。こういうところを何とか考え直す余地はないのですか。
  123. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 金融債は大体八分、予算では八分三厘で組んでおります。地方債は六分五厘、それから国債は券六厘五毛、いろいろなものを持つておりますので、それを総合いたしました資金の運用利廻りが大体六分七厘程度です。預金部の郵便貯金の場合でありますが、郵便貯金は、今まではおのおのにつきまして、預金部がコストをペイする程度の利子を出しておつたわけです。つまり前年度で申しますと、六分三厘くらいの利子を入れまして、そしてその分を預金部から郵政事業会計へ繰入れてやる、こういう建前です。つまりコストに相当するものはもらつてつたということになる。今度これを改めましたのは、国家資金全体を通じて統一的な運用をするという意味合いが一つ、それから、郵便貯金を預かりまして、これを資金運用部が運用いたすわけでありますが、その金のソースのいかんによつて利子が違うというのは、本来から言えばおかしいわけです。従つて、五分五厘という一定の一これも五分という考え方もありますし、五分五厘という考え方もありますが、結局五分五厘ということにいたしたのでありますけれども、全体を通じて同じような利子をつける。しかし郵便貯金の方ではそれでコストがペイいたしませんので、一般会計からその分を負担してやる。つまり六分三厘と五分五厘との間を一般会計が出してやる、そして郵政事業としては赤にならぬようにしてやる、こういう建前にしてあるわけであります。ただ先ほど林さんがおつしやいました二千五百億になればペイするということでありますが、これは現在千七、八百億程度しか原資がございませんが、一両年のうちにはその程度になる。資金がふえれば、従つてコストが低下して、五分五厘でやつて行くように数年の間になるだろうと私は考えております。
  124. 林百郎

    ○林(百)委員 この郵便貯金もそうですし、たとえば簡易保險などもそうですが、大体簡易保險は昨年度は百四十億ですが、本年度は二百億と見ているようです。こうして簡易保險も独立採算をとりながら、資金運用の面は資金運用部に来るのでおりますが、こういうふうに、お前のところはこれなら赤字だ赤字だと、赤字のようなからくりをしておいて、これまで達すればとんとんになるのだという形でするために、簡易保險だとか、郵便貯金の募集を現に扱つている労務者の側からいうと、非常な負担になる。たとえば簡易保險を扱つている郵便局の職員のごときは、目標額を達しようとして四苦八苦しているわけです。ところが四苦八苦している元を見ると、簡易保險の方はまだ正確なことはわかりませんが、郵便貯金特別会計から見ましても、元が赤字になるようになつているから、いくら苦労しても、なかなかべらぼうな目標額に達せず、赤字で苦しまなければならない。その負担は結局現場で働いている保險の勧誘員だとか、郵便貯金を扱う人たち、郵便貯金の勧誘員、こういうところへ労働強化が来、ここへ大衆の資金を吸收して、ここをデフレの一つのてこにするという圧力がかかつて来るので、やはり郵便貯金なり、あるいは簡易保險もあなたから聞きたいのですが、実際かかつている経費だけは資金運用部の方から拂つてつて、独立採算が立つようにしてやるのが当然だと思いますが、その点の見解はどうですか。
  125. 河野一之

    ○河野(一)委員 簡易保險はたしか四分五厘の一応の基準率で行つております。それを五分五厘拂つておるわけでありますが、御承知のように、郵政事業会計はつまり郵便局で仕事をやつておるわけでありまして、その分の事務費に相当するものは原価を計算いたしまして、この分も簡易生命保險の特別会計から入れているわけであります。つまり郵便局の仕事のうち、大体本来の郵便の仕事は四割程度なんでありまして、あとは郵便貯金の仕事、簡易生命保險、それから国庫金の取扱い、そういつたもので、大体大割程度はよそから委記を受けた仕事であります。委託でありますから、つまりそれに相当するコストは全部もらつているという建前で、従つて、いればいるだけ一応もらうというので、これがために特別会計から繰入れる金額を制限して、これがために郵政関係の職員が待遇上その他について非常に圧迫を受けるということは、私はないと思います。簡易生命保險が二百億で、前年よりふえておりますのは、これは毎年新規の契約をやつておるわけでありますが、明年は、たしか第一回保險料十億ということを目標にしておつたと思いますが、第二回の分、第三回の分と拂込みがずつと重なつて来ますためにそういうことになります。先ほど林さんの仰せになつたように、従来いろいろ募集のために骨を折るというような点も確かにございますが、これがあまり行き過ぎになりませんように、貯金の方はもちろん大切でありますが、それが待遇の点から言つて無理をするということのないように現在では考えております。新しい保險を積極的にとるという点については、民営との関係もありますし、今後は十分注意して行きたい、こういうように考えております。
  126. 林百郎

    ○林(百)委員 それから繰越しですが、資金運用部ではどうしてこう繰越すのか。たとえば地方債なら地方債で一例を申しますと、地財委では六百十七億地方債の起債を認めてもらいたいというのに、今年は四百億しか引受けていないで、翌年度への繰越しが四百三十億あるのです。そのほかいろいろの産業部門でも必要なものがあるのでありますが、四百三十億翌年度へ繰越すというのは、何か万一の場合に備えて置くクツシヨンとして繰越すわけですか。
  127. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 預金部も一応の民間でいえば金融機関のようなもので、手元現金というものは相当持つておらなければならぬわけであります。この全部を国債に運用したり、あるいは地方債に運用したりするということにいたしますと、拂いもどしがあつた場合に非常に困る。繰越しと言いましても、ただ現金を繰越すものももちろんございますが、中には短期の食糧証券を持つておるとか、あるいは貿易証券——外為証券ですか、そういうものを持つているという意味でありまして、短期にいつでも現金化し得るような態勢で持つておる、そういう形で繰越しが起るのでありまして、この程度のものは金融機関たる資金運用部が機能を果して行く上においては、当然持つていなければならぬ金であると考えております。
  128. 林百郎

    ○林(百)委員 この程度と言いますが、昨年は六百六十六億本年度に繰越しておる。今年は来年度に四百三十億、この程度のクツシヨンがあるので、やはり万一の場合にはこれを切札に使うという含みを何か持つているのじやないですか。何か予算上のクツシヨンとしてこれが考えられているということはないのですか。
  129. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 従来預金部の金もそうでありますし、見返り資金でも、これは本来の財政資金ではないのでありますが、金がたまつて、それでもつてデイス・インフレの作用をさせる。つまり国が財政資金を吸い上げて、これを保留して行く、こういうような非難が、ある意味においてはあつたわけであります。その非難全部が必ずしも当つているわけではありませんが、そういうふうなことがあつたわけであります。明年は——本来の財政資金とは違いまするので、その年度に入りました金は大体その年度で出して行く、こういう建前を貫いておるわけであります。見返り資金においても、明年はほとんど吸上げ超ということはございません。預金部においては、今御指摘のありましたように、六百六十六億と四百数十億との差というものはさらに積極的に金を出しており、資金の面から言いますれば、放出超過というような形になつておるのであります。もちろん四百億で足りるか足りないか、あるいはそれでも多過ぎるじやないかというような御議論がございましようが、これはもともと借りておる金でありまして、これを予算上ほかに使うということは、そのままではもちろんできるわけのものではありません。従つてこれにクツシヨンというようなことは別に考えておるわけではないのであります。
  130. 林百郎

    ○林(百)委員 その次に金融債の引受ですが、金融債引受四百億ありますが、これはどんな金融債を引受けるつもりですか、その説明を願いたいと思います。
  131. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 金融債はことしの補正予算から引受けておるわけでありますが、どこに特定しておるというわけではございません。従来の例から申しまするならば、興業銀行、勧業銀行あるいは農林中金、商工中央金庫あるいは拓銀、こういつたところが大体大手筋であります。今後そういうところに多く出るようになるのではないかと思います。しかし特定いたしておるわけではございません。
  132. 林百郎

    ○林(百)委員 それから地方債が、先ほど言いました通りに、地財委では六百十七億、どうしても地方財政がやれないからというのですが、この六百十七億の要求に対して、地方債の引受けを四百億にした理由はどういうわけですか。
  133. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 前年の地方債のわくは三百七十億であつたわけであります。四百億のうち百億程度が一般の電気、ガス、水道というような公営事業に当ると思います。一般的な財源が三百億、これは地方財政全体を考え、歳入歳出の総体を勘案いたしまして、明年の地方財政総額は大体五千百二、三十億になると思いますが、これに対して税が二千八十七億、平衡交付金が千百億、雑收入等が約四百億、起債が公営事業を除いて大体三百億、こういうように地方財政全体を勘案いたしまして一応出した数字でございます。もちろん地方財政委員会におきましては、六百億というような御判断もあることは存じておりまするけれども、国、地方全体を通じた財政資金の計画というようなところから、大体この程度でやつて行けるのじやないか。公共事業の規模その他の点を考えまして、この程度にきめたわけであります。
  134. 林百郎

    ○林(百)委員 資金運用部について、われわれ側の意見参考までに聞いてもらいたいと思います。金融債は昨年二百億が、ことしは四百億引受になります。先ほど聞きますと、興銀、勧銀、農中、商中を通じて、これはおそらく軍需——われわれは軍需と言いますが、特需関係です。いわゆる時局産業、日本の国の軍事的な再編成の面へこれが相当入つて行くと思うのです。ところがこれは御存じの通りに、地方民の零細な預金であります。郵便貯金だとかあるいは簡易保險だとか、地方民の零細な金なんです。だから本来ならば、これはやはり地方民の生活をゆたかにする面になるべく使つてやるというのが、資金運用部の資金運用の方針でなければならないと思うわけです。そういう意味で、むしろわれわれは金融債というようなものは——中央の大きな銀行の金融を助けるにはいろいろの方法があるわけなんだから、むしろ地方債を十分引受けてやつて地方の金をやはり地方へ還元してやるということが重要じやないかと思うわけです。ところがそれと逆の方向へ行くということになつて、特にこれが電通、国鉄というようなところへも使われておりますが、こういう方面へ行くということになると、結局資金運用部の運用方針というのは、地方の資金を中央で握つて、これを時局の必要な面に組織的に投資するということになつて、むしろ軍事的な再編成の方面へ地方の零細な金を中央で集中して握るということのために資金運用部を新しく設けたというようにわれわれは解釈せざるを得ないのですが、やはりそういう考えはあるわけなんですか、ないのですか、あるけれども言わないのですか、どういうわけですか。
  135. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 私はそういうふうには考えておらないのですが、今まで預金部の金というのは零細な金でありますから、地方に還元せよという御議論ももつともな次第で、従来は国債と地方債に運用の対象が限られておつたわけであります。それを資本の積極的利用という面から、金融債にもこれを拡充する、こういうことが最近始まつたのでありまして、金融債を引受けた結果、それが国民の零細な資金を集めた目的に合わないかというと、私は必ずしもそうではないと思うのであります。現在金融債で動いております仕事は、造船であるとか、あるいは貿易であるとか、あるいはその他電力であるとか、そういつた時局柄非常に緊要な産業にその金が流れておるわけでありまして、国民大衆の金をそういうふうに利用するということは、決して間違つた行き方ではない、金融機関を偏重しておるというような考え方は当らないのじやないか、こういうように考えております。
  136. 林百郎

    ○林(百)委員 これは局長も存じておると思いますが、簡易保險はたしか戰争前までは逓信省の運用にまかされて、逓信省は地方公共団体の公共の費用あるいは資金として使つていたわけです。これが戰争中大蔵省の掌中に握られるようになつたので、この簡易保險をまた地方公共団体へ還元してもらいたいというのは、地方をあげての要望であり、国会でもたしか決議したはずです。ただこれが関係方面の了解が得られないということで、今もつて大蔵省が握つているわけですが、本来は地方民の零細な金は地方公共団体に使わしてもらいたいというのが地方民の切望なので、中央の勧銀、興銀を通じて時局産業に投資するというのは、別な投資の方法がありますので、どうしても将来は簡易保險あるいはそのほかの郵便貯金もそうでありますが、こういう地方民の零細な預金は、地方公共団体の資金へ運用する方向に持つて行くのが自然じやないか。現に簡易保險などは戰争前まではそういう方向に動いていたのですが、これが本来の行き方じやないか。その点意見を聞きたい。
  137. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 金にいろいろ区別があるわけでもないのでありまして、林さんのおつしやる通り、戰前まではたしか逓信省におきまして簡易保險の運用委員会がございまして、公共団体に行つてつたことは事実でございます。しかし同じく政府の資金を貸す場合におきまして、その運用の方途がいろいろ二途に出るというのは、どうもあまりかんばしくないのであります。現在でももちろん契約者に対する貸付ということはやつておりますが、一般的な乏しい資金を総合的に利用するという点に主眼を置きますと、これは統一的にある一つの手で、これを総合的にやつて行くということが望ましいのではないか。もちろん地方団体に対する貸付も重要でございますが、私どもの考え方としても、まあ大体四百億ありますれば、地方財政としてはやつて行けるというような見通しを持つておりますので、いらないものを貸す一と言うと語弊がありますが、大体この程度でやつていただきたい。少くとも預金部からお金を借りられるのはこの程度でやつていただきたい。その他の方法もございましようが、国家の全体の資金計画の上で、この程度で運用しで行くのが、まず現在の段階においてはやむを得ぬだろうというふうに思つておるわけであります。
  138. 林百郎

    ○林(百)委員 結局国家の資金を、あなたの方で時局緊要なものというのは、勧銀、興銀を通じて、やはり時局的な産業に投資することが、時局の重要だというのですが、われわれはやはり地方財政の破綻を、この地方の零細な預金をもつて救済することが、むしろ国家的な立場からいえば重要だと思う。これは見解の相違であります。大蔵省は軍需産業が大事なもののようにとられることを言われたのですが、こういうものは将来は地方の公共団体にまかせて、資金の乏しい地方公共団体にこういうものをまわすということを、考えるように要望しておいて——これは見解の相違でありますからこれ以上申しませんが、これがやはり地方民の要望だと思いますから、ひとつ考え願いたいと思います。  その次に税金の問題を、大蔵省の方がおいでになりますから、ちよつとお聞きしたいと思います。滯納が非常に問題なのですが、大体本年度の滯納分と過年度の滯納の全部、これの数字がわかつたらちよつと知らしていただきたいと思います。
  139. 忠佐市

    ○忠政府委員 ただいま手元にあります資料は昨年の十二月末日現在の数字でございまして、多少正確を欠いておるかもしれませんが、合計が九百九十六億でございます。そのうち前年度から繰越したものが六百十四億、それから本年度分で滯納になつておりますのが三百八十二億円、かような数字になつておるのでございます。
  140. 林百郎

    ○林(百)委員 この九百億の滯納ですが、これを一—三月の間にどのくらいとられる見込みなのですか。要するに滯納金を一—三月分で幾らとるかというのと、それから昭和二十五年度の徴税額の一—三月でとる税額と、これを一体一—三月の間に大蔵省はみんなとるつもりか、その数字がわかつたら知らしていただきたいと思います。
  141. 忠佐市

    ○忠政府委員 十分資料を整理しておりませんので、ただいま取調べまして、後刻お答え申し上げたいと思います。
  142. 林百郎

    ○林(百)委員 本年度の滯納が、先ほどお聞きしましたら、たしか三百八十二億、これは私どものいただいた資料にありますが、過年度の六百十四億の中の二十四年度分はいくらですか。
  143. 忠佐市

    ○忠政府委員 ただいま数字を取調べまして、間もなく申し上げたいと思います。
  144. 林百郎

    ○林(百)委員 それから私の方でいただいている資料で、非常に注目すべきものがありますが、昭和二十五年度の申告税が、たしか予算收入歩合が四割五分七厘とありますが、これは申告税が一番徴收率が惡くて、四割五分七厘しか今のところとれていない。要するに半分しかとれていないという数字が出ておりますが、これはあなたの方からいただいた資料ですけれども、この通りと解釈してよいのですか。
  145. 忠佐市

    ○忠政府委員 ただいまお話のございました通り、申告納税所得税の滯納額が、全滯納額の首位を占めておることは、御指摘の通りでございます。なおこの滯納についての徴收につきましては、最も困難な、かつ早急に具体的な解決策を要するものと考えておる次第でございます。この收入歩合、先ほど御指摘になりましたのは、予算額に対しまして、二十六年の一月までの收入額の割合でございますが、この点につきましては、申告納税所得税は一応前の年から繰越しましたものの税收が約二百億ございまして、そのほかは昨年の予定申告について、第一期分が七月、それから第二期分が十月、農家は多少ずれておりますが、その納期において入りましたものの合計が四割五分という数字になつております。しかし確定申告がこの二月に行われまして、相当の税收がございます。予定申告の制度は、昨年から前年の実績に基いて申告をすることに收められました結果、その実績を見てみますと、年税額といたしまして七百億程度の税でございます。これの約三分の一が收入されることになつておりますが、昭和二十四年の経済情勢と昭和二十五年における経済情勢と、相当顯著な相違がございまして、二十四年の実績所得よりも、二十五年の実績所得は相当増加する。これに伴いまして、課税額も七百億程度予定納税額が、少くとも千二百億程度に上る、かような計算がいたされておる次第でありまして、二月の確定申告、その後における更正決定等に基く税收が入つて参りまして、この割合はもつと飛躍的に上昇するという事実が含まれておる次第でございます。申告納税所得につきまして徴收歩合が現在上つておらない原因は、このように二月の確定申告によつて期待される税收が相当多い、かような前提事実がございますので、その点は見逃してならない問題であろうと考えておるような次第でございます。
  146. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう技術的な問題だけでなくて、これは私の方の持つている資料でありますが、昨年は十一月現在で申告所得税の未納額は三百七億、ところが今年は六百七十四億で、大体滯納が昨年の同期の滯納より倍になつている。また件数は昨年はやはり同期に四百四十九万件、今年は八百十六万件になつて、大体倍になつている。あなたの言われる、技術的に二月になればうんととれるということでなくて、やはり申告税の中心である農民や、中小企業や、一般の中産階級の人たちか——一部ではこの法人税を見ますと、もう今でも一〇三%となつて、これは納め過ぎて、余りが出ているほどにかかわらず、申告税がまだ半分しかとれないということは、やはりすでにこの納税担当力が大分減じているのではないかとわれわれ考えるのですが、この点について率直にひとつあなたの御意見を聞いてみたいと思います。
  147. 忠佐市

    ○忠政府委員 滯納の状況が、ただいま御指摘になりましたような経過をたどつておりますことは、事実でございます。従いまして、いかなる原因によつてこのような状態がもたらされておるかということを、分析してみたいと思います。まず法人でございますが、終戰後におきまして、相当大規模な企業整備再建が行われまして、この過程におきましては、企業の内部整備、あるいは内部の確立というようなことに、重点が置かれておりまして、結局課税せられるべき利益というものが、会社の表面には現われて来なかつたわけであります。内部整備と申しますのは、一つは設備の改善であろうと思います。戰争中荒廃された企業の基本的設備というものを、稼働、適応性があるように補修して参るということ、それからもう一つは、人的な勤労方面に対する給與報酬というようなものも充実させる、この点に大体主力を注ぐような結果になりまして、結果といたしましては、利潤というものを表面に現わすことが不可能であつた。かような情勢が経済安定とともに回復されて参りますと同時に、企業経理面に利益を現わすことが可能となつた。かような情勢がございまして、この点は法人と個人とに見られまする一つの顕著な差異であろうと思います。それと同時に、従来は内部的な操作によりまして、相当利益として現わるべきものも施設の改善等に充てまして、それを損金に落すというような企業自体の経理が、大体一段落いたしまして、そういう面が利益になつて表面に現われて来た。しかも申告納税制度がだんだんと軌道に乘つて参りますとともに、法人といたしましては、これは経理面について相当の公開性を要求されておりまして、申告が満足に行われる。このような結果といたしまして、最近の法人税の收入が非常に目立つて多くなつたということができると思います。ところが一方個人におきましては、このような経理面を明らかにして、その收益と生計と、それから将来の再投資というようなものをはつきりと区別をする、そしてその見方に従つて、系列をわけて批判をする、こういう考え方が比較的幼稚でありますために、その点がはつきりしておらない。そういたしまして、一方企業の波動に応じまするだけの彈力性がない。従いましてこのような結果、一旦金詰まりというような現象に逢着いたしますと、どうしても生計費に対する租税支拂い能力というようなものについて、顯著な衝撃を受ける。これが申告納税制度のもとにおきます個人の営業者、農業者を主体といたします所得税が、現在のような一つの行き詰まりを来しておるのではないかというような気がいたします、この点につきましては、改善策といたしまして、負担力に沿うような課税を実現させるために、税制の改正の方面が一つ現われると思いますし、それからまた国家財政といたしまして、その国民負担の要求がありまするならば、それに即応するような国民の側の事業態勢の整備、それからそれに対する生計費と国家的需要と将来の再投資の見通しについて、相当の準備を持つというようなことが必要でないかと思います。この点につきましては、生計費の分析をいたしましてその生計費の終戰後における足取りがどうなつておるかということを、どうしてもこの際検討してみる必要があろうと思われます。そういうように私ども考えておりますのですが、なお現実に現われました滯納の相当の金額と、相当の件数、これはどうしても一日も早く正常な状態にもどす必要がある。それがためには、今度提案の予定なつております国税徴收法等における徴收態勢上の相当の改善というようなことも伴いまして、異常に滯納がしわよせられたという事態を、解決する必要があるだろうと考えておる次第でございます。
  148. 庄司一郎

    庄司委員 関連して……。ただいまの林君に対する御答弁、なぜかくのごとく巨額なる滯納が鉄筋コンクリートの状態になつておるか、それに対する大蔵当局の御高説は、私からいえば、はなはだもの足らない。なぜ滯納が巨額に達して、その整理がはかはかしく行かなかつたかというと、私の見るところでは、一番大きな原因は、税金が重過ぎた、あるいは高過ぎたということが第一点。第二点は、労働攻勢のためにあるいは人件費が上り、あるいは越冬資金で攻め立てられ、その他いろいろのりくつをつけて攻め立てられる、こういうようなことがおもなる点である。それでなぜ税が重いとかあるいは高いとかいうことは、もとより比較上の言葉であるが、片山社会党内閣において制定された所得税法では、御承知のごとく百万円を越える場合は七五%の所得税をとられる。だから百一万円の所得收入のあるものには、その所得税として七十五万円。それから片山内閣が発明した事業税は、御承知通り百分の十八です。ですからここに百一万円の所得のあつた法人にせよ、個人にせよ、大体のつかみ勘定として事業税を加えますと、九十三万円の税金をとられる。だから残るところはせいぜい七万か、八万しかない。それに片山内閣当時の発明にかかる物品の取引高税、あれがまた一割ですかとられる。でありますから残るところはないじやありませんか。それに加えて今申し上げるように、物価の高騰につれて当然なことではあるけれども、人件費が相当かさんで参つた。ときどきストライキを煽動されて、例の越冬資金であるとか、何資金であるとかいうことで、年がら年中赤旗を立てられて攻められておる。でありますから事業家は——本員も株式会社を三つほど経営しておる社長あるいは取締役会長をやつておる事業家の末席を汚しておる者であるが、滯納せざらんと欲してあにそれ得べけんやである。事業家の側から言えば、ようやくこの際税制の改正を断行されんとしておる。また一部断行され、個人としては身体障害者のある家庭とか、あるいは六十五歳以上の年寄りのある家庭とか、あるいは未引揚者の留守家族、あるいは学生のアルバイト、そういうものの基礎控除を高くして、相当高度な社会政策的な減税の方針をとられておるから、現在はこれはけつこうである。今後とも税の負担の公正均衡をはかつてもらわなければならぬが、ただいまの巨額なるこの滯納は、さような過去の経過的なものに翻弄されて来た結果である。そこでこの税制をあるいは五年計画、あるいは三年計画、あるいは二年計画、あるいは年度内にそれぞれ税務当局あるいは市町村長等に指示されて、無理をしないでこの滯納額が完納し得るような適当な措置をとつてもらわなければならぬ。無理が一番いけません。地方税においても興行税のごときは、ある映画会社一軒で御承知のように三億も五億も、しかも委任を受けておる徴收者である興行会社が税金を横領しておる。こういうものは計画的にその滯納の整理を断行してもらわなければならない。私はただいまの政府委員の御説明には全幅的には承服しかねるのであります。今まではあまりに負担が高過ぎた。これを單に予算上の減税額七百何十億ということではなく、税の徴收の実務に当つておられる税務官吏その他をよく指導されて、自分の立身出世のために、あるいは功名手柄のために、とらなくて済むどころの税を無理に取上げる、そういう惡辣なやり方をやめる。たとえば東北六県に対して、昭和二十三年度においてはこの所得税の徴收目標額が七十億であつた。七十億を指示しておきながら、税務署関係の連中はむちやをいたしまして百三億とつおる。われわれが協賛を與えておる歳入歳出の予算はもとより予“てあるから、一割や一割五分は多くと吊れてもいいでしよう。少くとられたら予算の施行ができない。ところが今申し上げるような実例からいえば、三割以上もとつておる。国会がたといつかみ勘定の予算にせよ協算を與えておる。その額より何も無理に三割も多く徴收する必要はないのである。そういう無理がたたつてただいま巨額なる一千億に近い滯納がここに鉄筋コンクリート化しておるのである。これをすみやかに整理し、三十七年度予算編成等においては、さらに国民の負担を軽減して行けるような措置をとつてもらいたい。かような念願を持つておりますが、当局の御所見はいかがでございますか。
  149. 忠佐市

    ○忠政府委員 ただいま真情を吐露された御意見を伺いましたが、その考え方と申しますか、私どもその点につきましてはまつたく同感でございます。終戰後企業も赤字、財政も赤字、家計も赤字という時代におきまして、われわれは再建をいかようにしてはかるか、この点について税制としても相当かたきを忍べというような要請がありまして、それに従いまして税制の運用というものをやつてつた考えております。従いまして先ほどお話になりました徴收目標の点でございまするが、これは予算によりまして、あるいは税法に従いまして、計算をし、推測をすればどの程度の税收を上げ得るかという一応の目標でございますが、それは必ずしもその目標通りの徴税ということは考えられる筋ではございません。具体的な租税法執行の結果といたしまして、それぞれの税收が上るべきであるというような観点において私ども考えておりますことは、しばしばただいままで言明した通りであります。その点は別に税務官庁、税務職員に何らかの処置をもつて運用に当つたということはございませんで、赤心国家の政策に従つて税法を運用するという心がけでおつたことは、その当時から税務に関係じておつた者の全部の心がけであろうと私ども考える次第であります。但し何分にも税法というものは財政計画及び法律として成り立つておりまするところから、課税はやはり公平にその税法に従つて行われなければならないと思います。従いまして相当無理をいたして、すべての経済が赤字である場合において納税を完了されたところの非常にたつとい方々も大勢おられます。また滯納として、その負担に耐え切れないで現在残つておられる方も相当あります。過去の税制における税負担の重かつたということは、率直にわれわれ自身としても考えます。従つて年々税制の改正をいたしまして、国民負担の減少というような方面に努力を続けておる次第でございまして、この努力はまだ将来も続けられなければならないと思います。しかし過去において納税義務がありまして、現在まで残つております分、この中には真実に重い負担であつて、負担に耐え切れないという方がありますと同時に、打算的にまだ納税が済まされておらない分も多少はあると考えられます。従いまして、その一々の納税者のお考えを現実に把握いたしまして、その納税者について一番適切な方法は何かということを具体的に決定いたしまして、その実情に沿うような滯納整理を進めて行く、かような方針をとつておりますることは、またしばしばこの席でもお話に出た通りであります。それで、かような方針に基きまして具体的事情に応じて納めるべき納税はなるべく早く済ましていただくということと、それから現在の国税徴收法というような法規によりまして滯納処分を強行いたしますることは、現在の状態になつてみまするとまずいんだ、現在のような経済情勢のもとにおいてその納税者が再出発するためには、どのような徴税の手心を加えるべきか、これを制度化しまして、どのような納税者につきましても、事情が同じなら一方に強く当つて一方に強く当らないというような、こういう行き方だけは改善する、これがただいま考えておりまする国税徴收法の改正考え方でございます。それと同時に、滯納整理につきましての行政的計画といたしましては、国税庁においてその納税者の個別的具体的事情に応じて執行する。お話がありましたような無理を避けるという点につきましては全然同感でございまして、それが納税の公平という面から、多少各納税者について強い弱いの区別が出て来ること、これはやむを得ないと思いますのですが、根本的な考えにおいては、国民の一員である私ども税務官吏といたしまして、ただいまのような、何らか功名手柄のために無理をするということは絶対にいたさせない、またいたさないということであろうと思います。この点たくさんの税務官吏のために弁解をさせていただきたいど考えておるわけでございます。
  150. 庄司一郎

    庄司委員 もう一点だけ。そういうお心構えで善処していただきとうございます。  それから税務官吏といえどもむろん神仏ではありませんから、徴税賦課の方法において絶対に誤りなきを期し得ないのであります。私も納税者諸君より頼まれて、税務当局との中に入つてきめてあげた経験もございます。しかもただいまの税務署は、昔のように中学校を出て約十年勤務して判任官にようやく任官したというのじやなく、中学を出て一年か二年講習所で講習をして、ただいまはそういう階級はないそうだが、元の言葉で言えばすぐ判任官——三級官というようなものに、あまりに経験がない者を任官をさせておる。独身者の満二十五歳以下の税務職員が、税務職員の中の大体七五%であるというようなことを、いつか大蔵大臣より直接聞いたことがありまするが、さような関係上、中には非常に功を急ぎ、あるいは手柄のために、自己の成績を上げんがために無理をする傾向の税務職員も、中にはないではありません。従つてさような場合において、非常な無理が行われて、かわに所得税を一千円徴收すべきものに二千円を賦課した、こういうことがある。また法人諸会社等においても、しやにむに税務フアツシヨ的な圧力に押されて、そうして支拂いの義務なき税額を納入させられたというような事実もたくさんあるのであります。さような誤つてとるべからざる税金を納めさせたような場合に、税務当局におきましては面子にとらわれませんで、——とかくお役人、官僚というものは面子にとらわれて、四の五のといろんなへりくつをおつしやるが、わが国において古来から言われておるごとく、あやまちを犯した場合においては改むるにはばかることなかれで、誤つて賦課徴收した税はただちにキヤツシユで返還すべきであるが、そのことさえもしないで、お前のは再調査の結果こうなつたが、その一千円は後年度に繰越すというようなことを言われる。異なつ年度の税金を前金でとるというようなことはあり得ないことでありまするので、そういう適当額以上に誤つて賦課徴收したような場合は、即刻納税者にお返しするということも、またこのごろの新しい民主主義の税務官吏のあり方であると思いますが、いかがでございますか。
  151. 忠佐市

    ○忠政府委員 税務職員につきましても、終戰後は中堅層が戰時中に相当失われましたのに対して補充をいたしました者は、年少な、しかも経験の少いものでございまして、相当各方面からその訓練の不足について御非難を受けました次第でございますが、最近二、三年の間におきまして、相当訓練が進んで参りましたし、それから新規職員の採用にあたりましては、もつと学歴の高いところをどんどんと採用いたしておりますほか、再教育の施設といたしまして税務講習所をお認め願いまして、それによつて定期的な訓練を行つておりますほか、随時税務職員を短期的に一地方に集合させまして講習をいたしておりまして、その結果改善相当見るべきものがあるようになつたと考えておる次第でございます。それからこの方法は、将来ずつと進みまして通信教育等の方法もいたしたいというように考えます。  それから誤謬等のありました際には、できるだけ早く訂正をいたして、それに対して、もし過納の税があれば、ただちに返したらどうかという御意見はごもつともでございまして、予算のありまする限り、そのような行政をいたすことになつておる次第でございまして、多少その点不円滑な点が従来見受けられたかに考えられますが、その点は将来訓練を行き届かせることによりまして、できるだけ改善するよう努力をいたしておる次第でございます。
  152. 林百郎

    ○林(百)委員 中小企業が朝鮮事典の影響によつて好影響を受けなくして依然として企業難に苦んでおるということは、この税金の面でもわかると思います。それから、先ほど庄司委員から労働攻勢があつたと言いますが、われわれの調査によりますと、これは国税庁の田所さんの金融財政事情の中にありますが、大体所得金額二十万円くらいまでの人が、申告滯納者のうちの七〇%だというのだから、これは労働攻勢というのではなくして、ほとんど一人か二人の企業者、いわゆる中小企業が非常に経営難に陷つている、その責任は使われている労働者や、ましてや赤旗にあるんじやないということは、これは国税庁自体が認めておると思います。そこでこれについては相当考慮するというお話だつたが、ところが最近税務署から出ている通牒か何かによりますと——これは人から聞いた話ですが、昭和二十五年度の商工諸業所得標準表をつくつて、この標準表によつて計算をする。その計算に、実地調査をした後に適当な計数をかけて所得の引伸ばしをする。要するに一定の基準はあるが、それを天くだりに押しつけないというけれども、実際は税務署に対する所得の標準率があつて、その標準で実地調査をして、その後の計数をかけてこれを所得にする。それからまだ申告をしていない者を税務署に呼んで、そこでいろいろ説得をして、できるならばその場で申告を書かせるというような方針を伝えたとかいうことを聞いておりますが、そういうことを実際になさるつもりなのかどうか。そうなると、これはまつたく徴税フアツシヨになつてしまう。税務署の方で所得をきめ税金をきめて、呼出しておいて、その場で説いて、手をとるようにして書かせるというようなことになると、これは非常なゆゆしい問題であると思いますが、そういうような通達か何か出しておりますか。
  153. 忠佐市

    ○忠政府委員 ただいま御質問の問題は、先ほどの徴收目標と多少違うと思います。徴收目標の方は、一税務署管内で、税法通りにその年度の課税を行いまして、何億円の税收が入るべきかというような一つの推計を出したわけでございまする今度の標準率課税の問題は、個々の納税者につきまして、帳簿の上で所得が幾らであるかはつきりわかるという場合は、全然問題ないのでございますが、帳簿が正確でありませんで、所得金額が帳簿上出て参らないという場合には、売上げ金額とか、あるいは営業の基礎的な設備というようなものを基礎にいたしまして、その納税者の所得金額が幾らであるかということを推計する、こういう一つの課税上の技術的な方式があると考えます。ただいま申し上げましたように、帳簿によりまして正確に所得が証明でき、あるいはその他の材料によりまして所得金額かはつきり証明できる場合は別でございます。それらの準備がない、たとえば帳簿がありましても正確ではない、あるいは帳簿が非常に断片的であるという場合、幾らの所得であるかを推定するについては、納税者が一番よく知つておるはずでございますが、これにつきましては、常識といたしまして、私どもの同じような状況のもとにおいて計算された所得と、ただいま問題になつております人の所得が比例的に出て参るということが考えられると思います。そのようだ課税の方式であろうと思いますが、従来のように申告は一応納税者からしていただいて、それからある程度調査をするというようなところで、納税者とはあまり深い交渉をしないで更正決定をいたす。この方式が先ほど御指摘になりました滯納を相当多からしめている一つの原因であろう。従いまして課税について納税者の方から不眠が出ないように、できるだけ徴税官庁の考え方を納税者に申し上げ、納税者の方からもそれに対するお考えを聞いて、その上で申告を出し直してもらうとか、修正をしてもらうとかいうことができれば、それによつて目的を達する。納税者の見解と税務官庁との見解が、どうしても最後まで一致しません場合に更正決定という手続に出る。これが徴税に理解を持つて納税者に応じていただける一つの方式であろうと思います。ただいま御指摘の問題は、そのような点をお取上げになつておると思います。しかしいやである場合に、納税者に手をとつて書いてもらうというようなことは全然考えられないことであります。やはり自発的に税務官庁の主張が正しいとお認めになつた場合に、納税者が税務官庁のただいまのような標準率の方式、たとえば売上金額一万円に対して、この業態であれば何円の所得があるべきだ、たとえば一割とか一割五分とかの利益があるべきだ、これは多数の帳簿のしつかりした納税者について計算された平均的な割合であるというようなことを御説明して、それによつて納税者側が納得してから申告をなさる。これは家へ帰つてから申告なさつても、その場で申告なさつても同じであると思います。ただいまのような考えに基きまして、現在各所の税務署で、そのような申告についてのお話合いを進めておると思いますが、徴税フアツシヨというような意図に出た関係では毛頭ございませんで、民主的な税制の施行によつて、更正決定の煩累をできるだけ省くというのが趣旨でございます。その点補足して申し上げさしていただきたいと思います。
  154. 林百郎

    ○林(百)委員 根本は、先ほど言いました通りに、中小企業の経営の困難が根本であるのを、納税者の道義心に訴えて、お前は不届きだから納めないんだということで税務署が進むということになると、かえつてますます徴税が困難になると思うのであります。これは国税庁でもちやんと認めているようですが、田所さんの書いたものの中にもありますように、家族の生活費のためにまず消費して、しかる後残金をもつてあるいは借金をして税金を納めようとする、税金は第二義的なものとする傾向が出て来たというところに、やはり徴税の困難さがあると思うので、これは二十万から三十万程度の申告納税者が、経済的に非常に困難な状態に陥つているということを国税庁の方も認めていると思うのであります。われわれとしては、むしろ高度累進課税にして、法人税の糸へん、金へんあたりからもつと税金をとつて、庶民にはむしろ四十万くらいまでは免税にしてやつてもいいくらいな気持でやつたらどうかというように思つているわけです。そういう場合に、今言つた個別説得の方法ですが、この点は非常に重要ですから、はつきりお聞きしておきたいのですが、第一に申告者に申告納税をさせる技術として、商工諸業所得標準表というものがあるかどうかということ。それによつて基本引伸ばし標準率の改算を今しておるかどうかということ。第三としては、税務署へ呼んで説明をして、できるならその場で申告をさせたいというのが本意だけれども、末端の税務署の吏員が無理をして懲癒するということが、むしろ威嚇的なことにならないような適当な方法考えておるかどうか。納税者の側から言うと、税務署に呼ばれて直税課長さんが来て説明をされて、できるならここですぐ書け、書かないならいつまでに書くか、もしそう言われて、家へ行つたら申告書を出しますというようなことは、結局税金を納めることを回避するのではないかということを言われますと、不当だと思つても、その場で精神的な威圧を受けて、申告書を出さざるを得ないような気持に納税者の心理としてはなる。税務署の方は親切なつもりでやつてつても、納税者としては税務署へ呼ばれて、直税課長なり何なりに説明をされて、お前の所得はこれだけだと税務署は考える、わかつたらここで書けというようなことを言われると、非常な精神的な威圧になると思いますが、その点具体的な運用の点について、決してこれを無理じいするのではなくして、あくまで本人の自主的な報告を中心として、税務署が一応勧めるにすぎないのだ、というようなことについては、十分の注意をしてありますかどうですか、その点をお聞きしておきたい。
  155. 忠佐市

    ○忠政府委員 お尋ねの第一点は、国税庁国税局の内部におきましては、中小諸業所得標準率というようなものを一応執務の基準として持つております。  それから第二番目の問題は、多少お尋ねの内容を補足させていただきたいと思いますが、予定申告によつて昨年申告いたしましたのは、昭和二十四年の実績が基礎であると考えられます。ところが二十五年は二十四年に比較いたして、総体的に生産もふえておりまするし、それから物価も上つておりまして、結局所得といたしましてはふえておると思います。その状況は各所得者にとりまして一様でないとは思います。農業者等につきましては、米価の値上り等からこれは一般的に説明がつく。営業者の方はそうは行かないと思いますが、それにつきましても、一般的には上つておる。従いまして、予定申告によつて申告された税額よりも、確定申告によつて申告さるべき税額は、所得がふえているから、従つてふえるということでございまして、ただいまの基本引伸ばしというようなお話は、多分そのことをおさしになつておるのであろうと想像いたします。このような関係におきましては、昨年の予定申告の数字に対しまして、人によつては減るかもしれませんが、一般的には所得がふえておる。所得がふえますれば、その所得のふえた率より以上に税額がふえる。これが累進税率の適用によりまするところの現在の所得税の姿であろうと思います。従いまして、予定申告よりか相当二十五年の所得実績はふえておるというような説明をいたしますることは、これは当然であろうと考えておる次第でございます。  次に第三点の問題は、ただいまお話の通りでございまして、従来納税者から、あまり納税者の言い分を聞かないで更正決定をやつておるという非難が、非常に強かつたと思われますが、今度は一応納税者の言い分をお聞きして、税務官庁の方の考えも述べて、その上で、納税者に申告していただけるならば申告していただく、これが申告納税のほんとうの姿である。ただ税務官庁の方で的確な資料を持つてつて、納税者がそれに応じない、税務官庁の判断によりまして、納税者の言い分が適当でないと考えました場合には、更正決定をいたし、その事情を一応お話して、申告をする程度についてお勧めをする、これ以上には行かないわけでございます。従いまして、その間行き違いがございまして、多少威嚇的な気配が察せられるというようなことにつきましては、そういう誤解の伴いませんように、十分その間のいきさつをお話して勧めるべきである。このような点については国税局、国税庁、税務署の首脳部が、第一線にあたりまする税務職員に対しまして、十分誤解のないように忠告をいたすということにいたしておる次第でございまするか、不徹底な点は、これからもなおそのような誤解の拂拭のために、措置いたす必要があるかと考えておる次第でございます。
  156. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたの言われる引伸ばしによる所得の改算というのは、朝鮮事変やいろいろな影響を受けて所得がふえておるといいますが、しかし物価が上つたりするということは、要するに必要経費もまたそれだけふえるということになるのであつて、物価が上つたから、インフレーシヨンの傾向があるから所得がふえたと言つて、所得の方だけ一方的に引伸ばしをするということになれば、これはやはり水増し課税になると思うので、その点はやはり機械的な引伸ばし所得の改算はなるべくすべきでない。これはどう言つても水増し課税になると私は考えます。その点はここであなたと論争していましてもしかたがないから、次の問題に移りたいと思います。  そういうように未申告者に対する申告を出せというような問題、あるいは非常に経済的に苦しい中産階級に対する申告税の徴收が行われているにもかかわらず、一方非常に手抜かりをしている面が方々にあります。これは法人税などはもちろんでありますが、もう一つわれわれが非常に大きな関心を持つているのは、実は外国人と外国法人に対する課税でありまするこれはまたおそろしく成績が惡い。私たちの調査によりますとれこれは国会資料でありますが、法務府に登録しておる外国人が一万五百八十五人でありまして、そのうち納税をしてもらいたいと言つて申告書を発送した者が七千百二十五人、そのうち申告した者はわずか五百八十三人。申告義務のある外国人と認めた者が七千百二十五人あるにもかかわらず、申告した者はわずか五百八十三人というようなことになつております。それから外国法人の方は、法人数が五百六十三あるのに、申告書を提出したのはわずか二十七であるというのですが、これは実際こういう数字ですか。
  157. 忠佐市

    ○忠政府委員 ただいま数字を持つておりませんが、個人の納税につきましても、法人の納税につきましても、この課税につきましては、事柄の特殊性にかんがみまして、国税庁調査課外国商社係にこの問題の処理を全部統一して取扱わせることにいたしまして、ただいまお話にありましたような登録というようなものを基礎にいたしまして、各外国商社、外国納税者につきまして、申告を出していただくようにただいま督促中でございます。
  158. 林百郎

    ○林(百)委員 督促中ということですが、たとえば外国法人などはわずか五百六十三社のうち二十七社、利益は申告所得の金額が六千百十五万九千円、約六千万円だというのですが、外国法人五百六十三で申告所得が六千万円というのはわれわれ納得できないのです。外国人七千百二十五人の納税義務者のうち、わずか五百八十三人、一割しか申告書を出していないというのですが、大体のめどはこんなところですか。
  159. 忠佐市

    ○忠政府委員 申し上げます。ただいまのわが国の情勢は、御承知通り占領下ということになつておりまして、実は外国人あるいは外国商社の営んでおりまする事業が、いかなる関係における事業であるかというところに、従来問題があつたわけでございます。従いまして、日本貨幣によらないところの所得につきましては、従来は関係方面の御趣旨によりまして、課税をいたさないということになつておりました。これは要するに占領軍が占領軍の目的に従つて、占領的行動として許した事業である。従いまして軍隊に伴う治外法権というような考えが多分にあつた考えられるわけでございまして、本年の六月三十日までの非円通貨による所得に対しましては課税しない、こういうことでございます。従いましてただいままで外国法人で申告のありましたものは、日本円をもつて取引をいたしましたものについて生じた所得だけであります。本年の七月以降は外国の通貨によりまして発生した所得につきましても課税いたしまするから、全部の法人が課税されるわけでございまするが、従来は外国法人の大部分は非円通貨の取引であります。従いまして、課税が行われないということであつたと思います。なお個人業種につきましても同じようなことが言えるかと思うのでありまして、この点は外国法人、外国人につきまして課税が平常化するのは昭和二十六年度からで、昭和二十五年は七月以降の半年分にきりかからない、こういう事情にございますることを御了承願いたいと思います。
  160. 林百郎

    ○林(百)委員 いずれにしましても、五百七十何社のうち、とにかく申告を出してくれといつて、申告を求めて、わずか二十七社くらいしか申告をしないで、しかもそれを納めたのが、いくら円を扱わないとしても、六千万円——これは所得です。税金ではないのです。これはあんまりひどいと思うのです。ですから、やはり呼ぶなら呼んで、今言つた申告の慫慂なり、納税の慫慂なりしたらどうですか。何も遠慮することはないのです。外国人から税金をとるということは国会でもきまつたんですからこれは台湾人や朝鮮人は除いているのですよ。
  161. 忠佐市

    ○忠政府委員 御指摘の通り、これは昭和二十三年の暮から私ども一生懸命に外国商社方面に交渉して申告書を出してもらうように努力をして来たつもりでありますが、この場合におきまして多少問題になつておりますのは、たとえばドルと円とどのように換算して所得を計算すべきであるか、こういう点につきまして原則的な話合いを進めておつた。その間多少申告が遅れておつたというようなことはありまするが、この問題が発生いたしました昭和二十三年から引続きやつておる。そして今度外国商社係が一つの係として動き出しておりまして、若い優秀な税務職員をそこに配属しておりまして、できるだけ成績を上げる——これは少し言い過ぎかもしれませんが、できるだけ自分たちの仕事を促進するということでがんばつておる次第でありまして、もうしばらくしましたら、この問題もあらかた目鼻がつくと考えている次第でございます。
  162. 林百郎

    ○林(百)委員 大蔵関係はそれでけつこうですが、裁判所の方にちよつと聞きたいのです。日比谷の家庭裁判所に龜田という事務局長さんおいでですか。
  163. 畔上英治

    ○畔上最高裁判所説明員 おります。
  164. 林百郎

    ○林(百)委員 この家庭裁判所の中で最近非常に職員から龜田局長に対する批判が強いのでありまして、たとえばこれは職員の方から国会の各党へ陳情が来たのでありますが、そこの組合で出している機関紙にもありますが、「お金のほしい女の方はパンパン・ガールにおなりになつた方がよいでしよう」というようなことを育つて、爾来その事務局長のことをパンパン局長というようなことまで言われておりますが、こういうような軽卒なことを言つて、それが組合の中で非常に問題になつているのですが、これは取調べられたことはありますか。
  165. 畔上英治

    ○畔上最高裁判所説明員 実はそういう事情は今ここで初めて伺いました。
  166. 林百郎

    ○林(百)委員 これは全司法の東京地区連合会の機関紙にちやんと載つておりますので、機関紙などはやはり一応目を通されまして、あなたも会計の方をおやりになるなら、そういう問題に注意をしていただきたいと思います。実はそれはどういうことで出たかというと、龜田局長が暮れに、雇いに対しては訓示の上大体百八十円を正月手当として出した。しかし判事に対しては出張した名目で、から出張で七千円、判事補には三千五百円ずつを一人々々に手渡しているということが出ているわけです。から出張とかいうことはいろいろあるでしようけれども、雇いには百八十円をやつて、食えない人はパンパンになりなさいと言つておきながら、判事にはから出張で七千円、判事補に三千五百円——人の是非曲直を判断すべき裁判官がこういうことをしていたんじや、人の裁判なんかはとてもできぬと私は思う。しかもこの判事が大島へ出張するとか、あるいはどこかの温泉へ出張する。家庭裁判所の判事で、家庭の円満を心すべき判事さんたちが、これじやおよそ人の家庭争議にまで口を出すことはできないと思うのですが、こういうことを御調査したことがありますか。
  167. 畔上英治

    ○畔上最高裁判所説明員 そういう事実は、私ここでお話としては初めて伺つた次第でございます。そしてまたそういうことは、私の現在の考えといたしましては、まずほとんど絶対にあり得ないことではないかと思います。
  168. 林百郎

    ○林(百)委員 それはあなたの方の家庭裁判所機関紙に出ている害二月一日の通信にちやんと出ております。山口という人が書いている。これは組合の機関紙ですから、よく読んでいただきたい。「時も時年末に裁判官が一人七千円のやみ出張をしたという記事を読んだのである。職員の一人々々が薄給にあえぎながら、どうして年を越そうかと苦しい胸算用をしている年の暮のできごとである。私は前から二、三人の人からうわさだけは聞いていたが、これほどはつきりと数字まで示されたのにはまつたく驚くはかなかつた。もはや会計課などでは公然の祕密になつてしまつたとは聞いていたが、この裁判所に職を奉ずる者の一人としてこれほど悲しい驚きがまたとあるだろうか……私にはどうしても信じられない、いやどうしても信じたくないのだ。もしほんとうにこれが事実だとすれば、二十名を越える家庭裁判官の中に正義の士は一人だにいなかつたことになるではないか。私はどうしても信じられない。国民が安心の最後の一線を守る裁判所の中のできごとである。」ということで、大分問題になつておつて、うわさによると、もはや会計課などでは公然の秘密になつてしまつたと聞いているということまで出ておるわけです。これもやはり家庭裁判所のことを憂えて書いているので、決して秘密を暴露するとか何とかいうことだけではなくて、もうこういうことが会計課で公然の祕密としてうわさに出ているということでは聞きがたいということで出ていると思いますから、これは十分調査なさつて、暮にから出張の形で判事に七千円、あるいは判事補に三千五百円出し、雇いには百八十円しか出さない、しかもパンパンになれというようなことまで貧つておるかどうかということは、ひとつ嚴重に調査してもらいたい。
  169. 石田和外

    ○石田最高裁判所説明員 先刻来の林議員の質問に対してお答えしますが、実は先刻来御質問なつているようなことが、全司法という裁判所機関紙に載つてつたというふうに伺いましたが、実はそれは事実と違つておりまするので、解放とかいう何か合法的ならざる出版物に、そういう中傷的な記事が出たことがあるということを聞いたことがあります。その解放というのは、これは裁判所の職員でないものが外部から出しております非合法的なものであります。なおその内容につきまして、何か裁判官がから出張云々というようなことがございましたが、数日前何か国会のある方がそういうことを聞きに来ておられるということを聞きましたので、家庭裁判所の方に聞きましたところが、家庭裁判所長は絶対にさようなことはないということを申しておりましたから、この席ではつきり申し上げておきます。
  170. 林百郎

    ○林(百)委員 解放ではなくて、これは東京地連通信とありまして、全司法東京地区連合会機関紙、解放を読みで当局並びに組合に訴うという題で、東京家裁支部山口何がしという人が解放を読んだけれども、これが事実とすれば非常に憂うべきことだ。しかももはや会計課などでは公然の祕密になつてしまつたことは聞いていたが、と言つているのです。ですから、これは何もこれは解放で言つたばかりでなくて、組合全体が問題にしているわけです。参考までにこれを見ていただきたい。組合の機関紙です。
  171. 石田和外

    ○石田最高裁判所説明員 今林委員のおつしやつたことにもあります通り、その出どころは解放というものにあるということは事実だろうと思うのであります。その解放を読んだ人が、その解放に出ておつた記事を真なりと信じて、あるいはそういつたものに掲載したかもしれませんが、そのことは私今初めて伺つてつたのであります。
  172. 林百郎

    ○林(百)委員 解放を読んで、それから組合の人たちが、これはたいへんだ、しかしもはや会計課などでは公然の祕密になつてしまつたとは聞いていたが、ということを言つているわけなんですね。
  173. 石田和外

    ○石田最高裁判所説明員 事実関係につきましては、先ほど申しましたように……。
  174. 西村榮一

    西村主査 林君、その問題はそういうことは絶対にないということを言つているのですから……。
  175. 石田和外

    ○石田最高裁判所説明員 家庭裁判所においては、絶対にそういうことはないということを責任を持つてつておられますから……。
  176. 林百郎

    ○林(百)委員 私も裁判官の生活が楽でないということはよくわかつております。わかつておりますが、やはりこうした事務を扱つている人が雇いに対してはパンパンになれとか言つて、判事に対しては一人々々に何か特別出張の形で金をやるというようなことになりますれば、これは納めがつかなくなると思います。特に薄給で苦しんでおる雇いなどに対しては言動を十分注意して、裁判所の威信を保つ必要があると思うのですが、念のために言つておるわけです。なお亀田という局長も呼んで、組合でもこういうことを言つているがどうかということを確めまして、言動を十分注意するように言つていただきたいと思うのです。これは私が組合の人から聞いて、ここであなたに言つているわけです。
  177. 石田和外

    ○石田最高裁判所説明員 御趣旨はよくわかりました。十分その点は取調べまして、かりにそういつた金が欲しい者はパンパンになれというようなことを亀田事務局長が言つたような事実がありましたら、今後そういう言動のないように嚴に注意をするつもりであります。
  178. 林百郎

    ○林(百)委員 あとは時間がありませんから一、二聞きたいと思います。法務府の関係ですが、法務府の特審局の予算昭和二十五年度と二十六年度に比べてどうなつておりますか。
  179. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 所管事項がたくさんわかれておりまして、一応数字的に詳しく申し上げますと、これに出ていますのは……。
  180. 林百郎

    ○林(百)委員 それは何ですか。
  181. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 差上げました資料予算書でございますが……。
  182. 林百郎

    ○林(百)委員 特審局と出ていないからわからないのです。そこで説明してください。
  183. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 御配付申し上げました昭和二十六年度予算要求額と二十五年度予算額との部局別事項別比較表というのがございます。その最初の一ページの最後から二行目に旧陸海軍将校調査に必要な経費それ以下がさようでございます。
  184. 林百郎

    ○林(百)委員 それ以下どこまでですか。
  185. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 引揚調査に必要な経費、追放者監察に必要な経費、諸団体調査に必要な経費、ここまでがさようです。
  186. 林百郎

    ○林(百)委員 合計どうなりますか。
  187. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 事項別に出してありますので、今すぐ合計いたしまして御返事いたします。
  188. 林百郎

    ○林(百)委員 特審局については、人員を増加するとか、あるいは機構を拡充するとかいうような考えはあるのですか。
  189. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 この点につきましては、昨年の八月若干の増員をいたしましたまま昭和二十六年度もそれを引続きやつているということになつております。目下の状況ではその通り方針なつております。
  190. 林百郎

    ○林(百)委員 若干というのはどれくらいふやして、それは何をするためにふやしているのですか。
  191. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 二十五年度の当初予算より六百八名を増加いたしまして、千百四十五名となつたわけであります。それが二十六年度予算におきましても引続きそのままになつているわけであります。
  192. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、初め五百三十七名だつたのが、昨年六百八名をふやしまして千百四十五名になつたと解釈いたします。そうすると、昨年の倍以上になつたわけですか。
  193. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 さようでございます。
  194. 林百郎

    ○林(百)委員 これはどういう必要からふやすことになつたわけですか。
  195. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 その点につきましては、当時諸団体の調査が非常に遅れておりまして、それに要する人員がたいへん不足を告げましたので、そのために補正予算に計上したわけであります。
  196. 林百郎

    ○林(百)委員 諸団体というのは、団体は何を含めたわけですか。
  197. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 この団体は諸団体と申しまして、いろいろございますが、当時予算要求資料として大蔵省に申し上げましたものの相当多くの部分は、いわゆる非合法団体等でありました。
  198. 林百郎

    ○林(百)委員 非合法団体というのはどういう団体ですか。
  199. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 これらの詳細につきましては、実はちようどきよう参議院の方に特審局長が参つておりまして、その所管の一番いい説明者だと思いますので、もしおさしつかえなくんば、そちらの方を呼んで参りたいと思いますが、いかがでしようか。
  200. 林百郎

    ○林(百)委員 では呼んでもらいましよう。
  201. 庄司一郎

    庄司委員 裁判所の方に一点だけお伺いを申し上げたい。それは裁判所国会に要請されてただいま議題なつている予算の中には、昭和二十六年度において全国各地に簡易裁判所あるいは少年裁判所とか、そういうものを新しく開設されるというような関係予算要求がございまするか、ありましたならば、その場所、及び具体的にそれぞれの予算の詳細なる御説明要求いたします。
  202. 畔上英治

    ○畔上最高裁判所説明員 先ほど御説明申し上げましたように、家庭裁判所の新営費といたしまして、二十六年度において一億四千万円を計上いたしております。その具体的な設置の場所につきましては、札幌の家庭裁判所、仙台の家庭裁判所、そのほか予定といたしましては、今の裁判所を含めまして、七つの家庭裁判所予定いたしております。しかしながら最近の資材の急激な値上りによりまして、これをこの通りに実施できるかいなか、はなはだ困難な見通しになつて参つたのであります。これは大蔵省当局との間におきまして、この設置場所などにつきまして、大体のお話合いをいたしておるのでありますけれども、そういう関係でございまして、この予算に計上いたしました当時の單価からいたしますと、ほとんど倍近い單価に相なつておるような状況でありますので、これの設置場所につきまして、具体的にさらに実施する場合に、どこにいたすかについて目下研究中でございます。
  203. 庄司一郎

    庄司委員 簡易裁判所の方の新設予定地はどこどこでございますか。
  204. 畔上英治

    ○畔上最高裁判所説明員 簡易裁判所につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、合計いたしまして、一億一千万円でございます。これにつきましても、実は来年度において、約四十箇所ほどを予定いたしたのでございますが、非常な値上りの結果、これにつきましても、はたして半数の箇所ができるかいなか危んでおるような状況でございます。従いまして、二十五箇所もできるか、あるいは規模を縮小いたしまして三十箇所ぐらいにできるか、これも目下検討いたしておる次第であります。
  205. 庄司一郎

    庄司委員 法務府にお伺いを立ててみたいと思います。それは刑務所関係予算のうち、刑務所の所要予算が三十五億ですか、それから受刑者の作業收益が十四億か計上されておるようでありますが、この受刑者の收益のうちには、まだ確定裁判を受けない、いわゆる拘置監にある被告人ですか、そういう諸君の特殊な希望や志願によつて、作業をやつておる收入も含まれておりますか。
  206. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 原則といたしまして、未決拘禁の場合には作業をいたさせないことにいたしております。たいくつでしようがないという希望者の場合にも、ほとんど最近與えるべき仕事もありませんので、やらせていないような実情であります。もしありといたしますれば、もちろん作業收入の中に入るべき性質のものでございます。
  207. 庄司一郎

    庄司委員 刑務所、旧名監獄は、言うまでもなく、單なる懲らしめの場所ではなく、これを教育刑的に改過遷善して行くことが目的であることは、御承知通りであります。そこで現在全国に約十万近い受刑者が拘禁されておるが、これらの受刑者として、再び釈放後において再犯、累犯のなきよう、刑務所内において御指導、御誘掖をなさる上において、受刑者といえども、その欲するままに預貯金をなしあたうよう、あるいは簡易生命保險等にも加入し得るような自由をお與えになつておられますか。
  208. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 今の預貯金の点につきましては、そのとりはからいをいたしておることは存じておりますが、生命保險の点は私ちよつと存じておりません。
  209. 庄司一郎

    庄司委員 簡易生命保險の掛金は、御承知通りきわめて少額であります。そこで長期の受刑者等は、将来釈放後の生業につく元手の一端にもなり得る。御承知通り簡易生命保險はその掛金の幾分は貸付ができ得る制度になつておるからであります。ところがただいま預貯金の関係は許されておるようなお話であるが、刑務所によつては、これは、お前方の作業上得たのは所有金であるから、釈放の際に初めてお前たちにキヤツシユを渡して、お前たちの所有金になるのだということで、預金、貯金というのは、手数の関係もありましようが、長期にわたる受刑者等が、幾分でも利殖をしたいというような考えで願に出ても、許可認可を與えておらないような、典獄があるようでございますが、これはひとつ受刑者の欲するままに、彼の釈放後における楽しみのためにも、あるいは生業資金のためにも改めてもらいたいと考えております。同時に簡易生命保險等に加入することを希望しておる場合は、これは許してやるというようなことを、刑務所長の会議や何かではつきりきめられて、御善処願いたいと考えておるのでありますが、御所見はいかがでございますか。
  210. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 御趣旨ごもつともでございますが、現行監獄法施行規則その他の改正を要すべき点があるならば改正をいたしまして、御趣旨に沿うような方向をたどらせるように原局に伝えたいと思います。
  211. 庄司一郎

    庄司委員 もう二点お尋ねしたいのは、刑務所の官吏に犯罪者がきわめて多くなつて来た。たとえばぼくの方の仙台のことを言うのは恐縮だが、作業課長という幹部級の者が、五十何万の金を横領したとか何とかいうような事件もあり、福島県の会津若松の刑務支所においても、三名かの職員の犯罪がある。その他、全国的の統計をとつておりませんけれども、かなり多くの、受刑者その他より誘惑をされて、犯罪状態に陷つておるような者があるが、この刑務官吏はただ單に国警や自治警察のポリスマン以下の、何割か知能において足らない者なんかを採用しておるというような傾向があるように見受けられます。これは非常に重大な問題である、やはり人格の高い、従つて相当の待遇もして、受刑者に信頼されるような人でなければ、戒護の実績を上げることはできないと私は考えておるのであります。同時にただいま議題なつておる予算の中に、少年保護関係等の予算を求められておりますが、これらの予算がどうも有効適切に用いられておらないのじやないかという疑いを持つておる。もとの司法保護局長の森山博士の存命中などは、非常に更生保護ということが徹底しておつたようにぼくは考えるが、非常に自堕落になつておる。ただ予算の額ばかり多く要求されて、保護の目的達成の上においてははなはだ効果薄である、こういうような感じを持つておりますが、法務府の見解としては何らか更生保護のほんとうの実績をあげ得る新しい形と申しましようか、ごくふうがありましようか。なぜというに初犯者であつて釈放された者が、大体再犯になるのが六五%程度なつておる。あるいは仮釈放で出された者、その半数以上が再び犯罪を犯しておるというようなただいまの悲しむべき情勢にあるのであります。ぜひこの犯罪を撲滅し、刑余者を積極的に保護指導するというような面において、何か予算面を通して新しい措置が打たれて可なるものである、それであつてこそ、真に文化的な平和国家の建設に役立つ、こう考えておりまするが、せつかく今要求されておる予算等がほんとうに有効適切に保護の面等に均霑することができるように、ひとつ御考慮を煩わしたいと思うのであります。
  212. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 最初にお話のございました刑務職員の中に犯罪があるということは、たいへん遺憾なことでございまして、事実私どもの最も心痛しておる点であります。実は終戰以来犯罪が激増するとともに、刑務所の收容人員が急増をいたしましたために、所要の看守を急いで採用いたしましたというような状況からいたしまして、つい素質の惡い者をとつたような時代がございました。それが今に至りまして、さような結果を引起すに至つたおもなる原因考えられるのでありますが、この点につきましては、それぞれ会計の面あるいはその他の面から十分監督を嚴にいたしまして、今後さようなことの起らぬようにいたしたいと思つております。なお御参考までに申し上げますが、人事院の関係その他で、従来警察官よりも初任給が低かつたのでございますが、最近警察官並に引上げられることになりまして、以来警察官との初任給の差、従つて採用当時の素質の比較というような問題は、割合いに解決して来るのじやないか、かように思つております。  なお次に保護の関係のお話でございますが、不穏当の面もあります。けれども私どもといたしましては最近採用いたしました犯罪者予防更生法の理念が、たいへんけつこうなものであるというような観点に立ちまして、どうしたらこれを適切有効に運用して行けるかという面に今全力を注いでおるわけでございます。不幸にしていまだわが国におきましては、十分この司法保護の面における一般社会の理解というものが完全でございませんで、結局犯罪者を再び三たび社会に送るということよりも、一回の犯罪で食いとめる方が安上りだという点についての御理解が十分でないようでございます。そこで私どもとしてはあらゆる機会に声を大にしてこの点を力説するのでございます。幸いに御同情あるお言葉でございますが、今後はただいまの、お認めくださいますれば、その予算の範囲内で全力を盡して、犯罪者の予防更生に努力いたしたいと考えております。
  213. 林百郎

    ○林(百)委員 刑務所の話が出ましたが、刑務所の收容人員は二十五年度と二十六年度はどのくらいになるのですか。
  214. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 詳しい統計が手元にございませんけれども、昨年の一月からだんだん例年三月に釈放いたしますので下るのですが、一月からだんだんと漸増いたしまして、昨年十一万になんなんとしたのでございます。それがまた年末にずつと下つて参りました。ただいまのところ收容者総数は九万六千ないし七千というところを上下いたしております。月末にはちよつと下る例月の例であります。
  215. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると收容の予定人員約十三万三千人というのは、今年はまた四万くらいふえるわけですか。
  216. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 ただいま申し上げました数字は刑務所、拘置所、少年刑務所だけでございまして、そのほか少年院、それから少年保護鑑別所等の関係等もございますので、十三万というのはその総数でございます。
  217. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで刑務所を新しく設置するのは幾つくらい設置する予定場ですか。
  218. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 目下のところ計画いたしておりますのは、三箇所くらいでございます。ただしこれは現在の二十六年度予算に計上しております金額では着手ができるかどうか。そのうち一箇所だけはぜひ着手したいという程度でございます。
  219. 林百郎

    ○林(百)委員 その三箇所予定というのは、どこで、收容人員はどれくらいですか。
  220. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 大体福島に約千名、岡山の郊外に浦安というところがございますが、そこには約千名、それから長野の近郊に須坂というところがございます。ここがやはり千名くらい、さようにもくろんでおりますが、これはほんとうの現在の予定でございます。
  221. 林百郎

    ○林(百)委員 そこでこれの費用は完成までにどのくらいになるのですか。
  222. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 大体におきまして千名程度の刑務所でございますと、現在の物価指数で考えてみますと、一億ないし三億かかるわけでございます。ただしその構造様式が鉄筋コンクリートその他を使用する場合、それに約五割増くらいになるのじやないかと思つております。
  223. 林百郎

    ○林(百)委員 特審局長が来ないそうですが、あなたでわかつたら、わかる程度でいいのですが一この法務府の予算定員は、各官庁は大分減つてつて、ただ文部省と厚生省が少しふえておりますが、法務府で六百四十五人予算定員のふえておるのはどういうわけですか。
  224. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 総数のふえておりますのは、刑務所の看守、それから少年院の教官がふえております。
  225. 林百郎

    ○林(百)委員 刑務所看守は何人ぐらい。
  226. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 二百三十五名、少年院が四百六十八名。
  227. 林百郎

    ○林(百)委員 特審局のことについては、少しくどいようですが、実は私の方の党が一番の被害者ですから、なるべく詳しく聞いておきたいと思うのですが、この特審局の六百八名の人員増加、これはやはり地方へ派遣するのですか。
  228. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 中央に一部置きまして、地方に支局がございます。そういたしまして、支局と申しますのは、ただ派遣という形で現在は動いております。
  229. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで支局が従来何名のを今度何名にするのです。
  230. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 たしか二百三、四十名地方に振り割つたのじやないかと思つております。
  231. 林百郎

    ○林(百)委員 従来はどのくらい地方行つていたのですか。
  232. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 従来は百二、三十名程度じやなかつたかと思います。
  233. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると地方の派遣を倍くらいにしたわけですか。
  234. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 ほぼさようでございます。
  235. 林百郎

    ○林(百)委員 これはどういうところにおるわけなんですか。
  236. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 これを申し上げますと、極祕事項じやないかと思いますので、特審局長と相誤いたしせんと……。
  237. 林百郎

    ○林(百)委員 予算関係でございますから、それがないと予算が組めない……。
  238. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 全国津々浦々におるのですが、大体におきましておもなる箇所は札幌、仙台、新潟、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、高松でございますか、たしかさように記憶しております。
  239. 林百郎

    ○林(百)委員 これが中心地になつて、それから各府県にやはり一人か二人ずつ、ずつと行くわけですか。
  240. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 さようでございます。
  241. 林百郎

    ○林(百)委員 これは、その程度はだれでも知つておることですからあなたの責任にならぬと思うのですが、これは一体国家警察や自治警察とはどういう関係を保つわけですか。
  242. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 実際に動きます内容につきましては、私案はよく存じませんけれども、予算として委託費を相当計上してございますので、その委託費によりましてある程度府県が動いておるということに御了解願えればいいと思います。
  243. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、委託費を各国警なり自治警に出して、各国警、自治警で特審局でやるような仕事をしてもらうわけなんですか。
  244. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 国警、自治警というよりは、都道府県そのものに対して出しておるように記憶しております。
  245. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、各都道府県庁に委託費を出して特審局の事務を委託してやらして、その総括というか、その中心になる人が二人か三人くらいずつ都道府県行つて、その中心が仙台、札幌、新潟というようなところにあるのですか。
  246. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 大体さように聞いております。
  247. 林百郎

    ○林(百)委員 それによつて主として共産党を中心にして対策を講ずるわけなのですか。
  248. 岡原昌男

    ○岡原政府委員 さような御質問があれば、さようであるとお答えするよりほかないかと思います。
  249. 西村榮一

    西村主査 他に質疑もないようでございますから、これをもちまして一応建設省経済安定本部大蔵省法務府及び裁判所所管に対する質疑は終了いたしました。  明日は午前十時より皇室費国会会計検査院内閣及び総理府所管並びに他の分科所管以外の事項審査に入ります。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時五十三分散会