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1951-03-29 第10回国会 衆議院 予算委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十九日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 小坂善太郎君    理事 有田 二郎君 理事 橘  直治君    理事 西村 久之君 理事 橋本 龍伍君    理事 川島 金次君 理事 林  百郎君       麻生太賀吉君    天野 公義君       井手 光治君    江花  靜君       尾崎 末吉君    角田 幸吉君       甲木  保君    上林山榮吉君       北澤 直吉君    久野 忠治君       庄司 一郎君    田中 啓一君       苫米地英俊君    松浦 東介君       宮幡  靖君    井出一太郎君       今井  耕君    平川 篤雄君       勝間田清一君    黒田 寿男君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      杉山知五郎君         專  門  員 園山 芳造君         專  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第1  号)     —————————————
  2. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 これより会議を開きます。  昨日に引続きまして質疑を続行いたします。井出一太郎君。
  3. 井出一太郎

    井出委員 簡單に五、六点お伺いいたしたいと思います。長期金融必要性はわれわれもつとに主張いたして参つたところでありまして、復金機能が停止いたしておる今日、これにかわるべき何らかの機関を要望しておりましたやさき、大蔵大臣日本開発銀行構想を発表せられたのは、広島選挙の前あたり大阪においてなされたかのように記憶いたしております。従つて私どもはこれがもつと早く構想が熟されて、少くとも総予算審議いたしまする際、そのころにその一環として、この法案ないしは付随する予算、こういうものが出てしかるべきであつたと思うのであります。しかるに年度末わずか二、三日といろ段階になりまして、あたふたとしてこの法案が出て参つた、あるいは十分に審議も盡し得ないおそれもありはせぬか、こうも考えられるのでございまして、この点はここに遺憾の意を表しておきたいと思うのでございます。その間のいきさつと申しましようか、何ゆえかくごき遅延を見たかという一連の経緯につきまして御説明願えれば、まず承りたいと思います。
  4. 池田勇人

    池田国務大臣 お話通りに、産業開発に関しましての長期資金必要性を痛感いたしておつたのでありますが、いよいよ実現するまでにはいろいろな点を考えなければなりませんので、ようやく今年の初頭開発銀行の創設を決意いたしたのであります。しこうして開発銀行業務の範囲、また資金の獲得の程度という問題につきましていろいろな議論がございまして、実は延び延びになつたような次第でございます。しかし何分にもこのことは急ぎますので、私が初め計画いたしておりましたよりは、当初においては開発銀行資金源といろものは割合少いのでありますが、しかしいずれにしましても、将来だんだんふえるという見通しがつきましたので、十分ではないが百億で出発しよう、こういうことになつたのであります。自分といたしましては、もう少し出資もふやしたい、また金融債発行したいという気持を持つて関係方面と折衝いたしておつたのであります。金融債発行はこの際見合そう、将来永久に見合すわけではありませんが、私といたしましては、開発銀行だけでも、まだ長期金融機関としては不足ではないか、今の一般銀行短期融資ということを建前として今後進むとすれば、これを補うために、もつと強力な長期金融機関というものを設けなければならぬという考えがありますので、相当大きいものにしたいというので、今まで構想練つてつたのでありますが、なかなかそれもただちには実現できません。従いまして、十分ではございませんが、百億くらいならば出発してみよう、こういうことに相なつたのであります。
  5. 井出一太郎

    井出委員 昨今のわが国財政経済政策が、従来のドツジ・ラインという建前から、巷間通俗的にいわれる言葉では、ダレス・ラインとでもいうものに転換されて来ておる、こういうふうな考え方もあるようでございますが、この構想につきましては、ドツジさんとか、ダレス氏とかいう方面の何かサゼスチョンでもあつたのかどうか。昨日の政府委員の御答弁によりますと、これは純国内的なものである、こういう御説明でございましたが、どうもその間何かつながりがありそうな感じがいたしますが、その点はいかがでございましようか。
  6. 池田勇人

    池田国務大臣 ダレス・ラインなんということは私は知りません。ドツジ・ラインというのも、別にそんなものがあるわけじやありません。(「池田ライン」と呼ぶ者あり)私の考え方もそのときどきによつて彈力性のあるものであります。しこうしてこの開発銀行考え方は、昨年の十月ごろからあつたのでありまして、ただ発表を私は差控えまして、今年の一月にいたしたのでありますが、ドツジ氏の考え方も、われわれの考え方も、こうなつて来ますと、ほぼ一致しておる状態でありまして、昨年の十月、十一月から長期資金の源泉をつくらなければならぬということは、ドツジ氏も私も意見の一致したところであつたのであります。ただこの長期金融機関というものを設けて、これだけでやつて行けるかといつたら、先ほど申し上げましたように、やはり一般銀行との関連性がありますので、今後金融機関金融制度につきまして再検討を加えて行きたいという気持で進んでおります。ダレス氏が来られて、日米経済協力ということからこれが出て来たのではない。日本産業開発の必要上、ダレス氏がおいでになるまでもなく、われわれは考えておつたのでございます。決して日米経済協力のためにつくつたというのではありません。
  7. 井出一太郎

    井出委員 ただいまのお答えによりまして大体わかりましたが、この開発銀行が発足をいたすにあたつて、たとえば百億というようなわく、これが決定されるのには、もちろん関係方面との了解がいつたと思いますが、これを実際に運用して行きます場合に、あえてひもがついているなどということではなく、これはまつたくこちらのイニシアチーヴにおいてその融資自立性ををもつて行える、こう考えてよろしゆうございますか。
  8. 池田勇人

    池田国務大臣 これは今度はこちらの考え通りにできると思うのであります。御承知通り見返り資金から私企業に出しますものにつきましては、関係各省相談の上、閣議にかけまして、そうして見返り資金解除申請をいたしまして、これだけ解除をして貸し付けたいという解除申請関係方面に持つて行つて関係方面相談の上まとまつたものにつきまして、私企業に対して貸し付ける、こういうことに今まではなりておつたのでありますが、今度は私企業予定の四十五億、並びに経済再建費の五十五億を合せまして、開発銀行の独自の考えによつて私企業に出すことになりますから、これはもう全然開発銀行考え方でやつて行ける、こういうことになつて来るのであります。
  9. 井出一太郎

    井出委員 大蔵大臣は先ほど来、百億というわくでもこれはあるいは不足ではないか、こういうふうなように伺えたのでありますが、今後場合によりましては見返り資金もさらにこの中に入れるとか、あるいは一般会計の方から入れるというような場合もあり得るのか、その辺はいかがでありましようか。
  10. 池田勇人

    池田国務大臣 御承知通り見返り資金からは私企業以外に電力、造船に出ることになつております。将来、見返り資金の方は、エイド・フアンドがなくなつて参りますと自然細くなりますから、見返り資金からの繰入れは将来にわたつてそう期待はできません。ここ一、二年だと思います。しかし御案内の通りに、復興金融金庫は大体まだ貸付金が七百億程度ございますので、これが六、七年の間にだんだん回収になつて来ますと、自動的に開発銀行のフアンドがふえて参ります。それは当然貸出しに向けられることに相なるのであります。しかしてそれ以外の金を一般会計から繰入れるかどうかといろ問題でございますが、私は今後一般会計から繰入れるということは、よほどの場合ではないと考えたくない。これはり金融資金として預金部余裕金引受ける等の方法によりまして、将来は債券発行による資金の調達が適当ではないかというふうに考えております。しかし情勢によりましては一般会計から繰入れることを全然やらないというわけのものでもありませんので、そういう点は今後の経済金融状況によつて考えてみたいと思いますが、原則はやはり復金回収、第二番は、見返り資金余裕があればそれによる。第三番は、金融債発行ができればそれに越したことはない。その次に一般会計から繰入れる、こういうふうな順序に相なろうかと思います。
  11. 庄司一郎

    庄司委員 関連で一点だけ……。ただいま議題となつておりまする開発銀行の設立については、私は心から喜んでおるものであります。そのわけは昨年の六月二十日をもつて満一箇年の審議期間を経過して、一応解消いたしました内閣内の国土総合開発審議会において、もろもろのの殖産興業あるいは国土総合的開発諾計画のアウト・ラインだけを立てまして、それの裏づけとしては、どうしても開発銀行が必要であるということを審議会内において提唱し始めました方は、山形県選出のわれわれの同僚志田義信君であります。志田義信君が小委員長となられ、遂に成案を得られて、当時約一千億程度開発銀行が、国土総合開発のためには絶対に必要であるというような案を立てられまして、当時の会長不肖私の名において、内閣総理大臣献策をいたしたような次第でありまして、当時の国土総合開発構想からいいまするならば、どうか一千億程度資本金をもつて開発銀行をすみやかに創設してほしいというわれわれの構想を、総理献策をいたしたような次第でございます。そのころ池田大蔵大臣は渡米されました関係上、さような献策をごらんであつたかどうかは承知しておりませんけれども、今回かような法案ができ、たといわれわれの考えておる資金関係の約十分の一の百億にせよ、心から喜んでおるものでありますが、ただいま井出委員の御質問のように、百億円ではこれはどうも帯に短かしたすきに長しという言葉もありますが、どうも資金関係において、当初から足らな過ぎる、かように考えられますので、すみやかなる機会に、適当の増額をされて、せめても五百億円くらいの資本金開発銀行たらしめて、ただいま構想されておる方面以外にも、土地の改良であるとか、広い意味において、将来はわが国国土総合開発長期資金として活用されるような御構想で進んでいただきたい、こういう信念を持つておりますが、両三年後において、五百億程度に何とか御考慮ができ得ないものでございましようか、こういう点をお伺い申し上げたいと思います。  次には、全国都道府県行政ブロツクに、支店といいましようか、あるいは出張所といいましようか、開発銀行の何らかの支所でも置かれまして、御便宜をはかつていただきたい、地方銀行等に一部の事務を御委嘱になるような御構想のことは、この條例の中にもあるようでございますけれども、地方銀行は、とかく開発銀行的な資金融資あるいは中小企業関係融資等には、心の底では拒んでおりまして、誠意をもつてつてくれない傾向が多々あるようでございます。そういう意味において、適当な時期に全国都道府県、たとえばぼくの方の東北では仙台であるとか、北海道では札幌であるとか、その他行政ブロツクに一箇所くらいの支所のようなものを御開設くださつて利用者便宜を與えるというようなことをお考えなつでおらぬでしようかということが第二点。  それから金利関係は、どの程度金利でお貸付くださるのですか。あるいはきのう井出あたりから御質問があつたならば、重複してはなはだ恐縮でございますけれども、この三点だけ御参考のためにお伺いしてみたいと思います。
  12. 池田勇人

    池田国務大臣 まことにごもつともなお話でありまして、全部同感でございます。ただ帯に短かしたすきに長しでなしに、帯にも短かいし、たすきにも実に足らないというような気持でおるのでございまして、これは先ほど申し上げましたような資金源でだんだんふやして参ります。先ほど申しました四点以外にも見返り資金によるというのはそう長く続くわけではありません。しかして相当貸付金を持つており、その回収がございます。ですから見返り資金から貸しておりました金の回収金並びにその利子なんかにつきましても、できればこの銀行へ入れたいという気持を持つておるのであります。復金からの毎年の回収金も、年に六、七十億あるいはそれ以上になつて来ますので、当然ふえて参ります。また私が念願しておりますような見返り資金回収金並びに利子もこれに入るということになつて来ますれば、たすきにも十分であるし、帯にも近い程度になるのではないかと思うのであります。従つてそういうようにふえましたにつれまして、だんだん国内開発方面に向つて業務を広げて行く関係上、当初は大阪名古屋程度支店を置くということを考えておりますが、お話のように仙台札幌、その他にも支店が置けるようになりましようし、また支店が置けなくても、法律上既存の金融機関に委嘱してやる制度もできるのでございます。できるだけ全般にわたつて業務を拡充して行きたいという気持でおります。  なお金利の点につきましては、復興金融金庫九分何厘の利率になつておりましたので、ただいまのところ九分何厘の計画でおりますが、御承知通り長期資金一般金利よりも高く、今でも一割一分程度に相なつているかと思います。それに比べますと安く計画いたしておるのでありますが、長期資金つてやはり産業開発につきましては低利に越したことはない、この分の予定九分何厘というのはできればもつと下げたいという気持でおりますが、今の予算収入は大体九分九厘で一応は組んでおります。
  13. 井出一太郎

    井出委員 資金源について先ほど御説明を伺いましたが、復金の貸出金がおよそ七百億と大臣はおつしやいますが、きのうの政府委員お話ですと、八百八十億というように伺いましたが、これはどちらが正しいか御統一をしていただきたいと考えます。二十六年度復金回収金予算に計上されております額を越えたものを資金源にすることになりましようが、これは若干越えたものを予想されていらつしやいましようか。もしその額等の見きわめがつきましたら、お漏らしを願いたいと思います。
  14. 池田勇人

    池田国務大臣 復金の分は七百七、八十億と思つたら八百億余りになるそうであります。それから二十六年度におきます復金回収金は、予算上は百二十億と見込んでおりましたが、これは相当ふえると思います。大体三十億程度はふえるのではないか、御承知通り昭和二十五年度におきましても、元金並びに利子収入は百二十億であつたのでありますが、これも予定以上にふえまして繰越すようになつております関係上、昭和二十六年度においては予算の百二十億円が少くとも三十億くらいはふえて来るのではないか、そうしますと、この條文によりまして開発銀行出資に振りかわることに相なつて来るのであります。
  15. 井出一太郎

    井出委員 この金庫の貸し出します貴命は、法案によりますと、一つ開発資金という性格を持つ、一方返済資金と銘打たれるものもあるようでありますが、当面この二種類の資金割合といいましようか、こういうふうなものの、もしお見込みがありますれば、お漏らしを願いたいと思います。
  16. 池田勇人

    池田国務大臣 この開発銀行を設けますにつきまして、一つ考え方は、一般銀行商業金融短期金融ということを建前にしながら、えてして長期になつている、これは金融政策としてよくないから、肩がわり使つてつたらどうかという考え方もありましたので、一方では開発資金、一方では返済資金、まあ肩がわり資金、こういうことを両建で行つておるのであります。それではどれだけが開発資金で、どれだけが肩がわり資金かということの御質問でございますが、ただいまのところ正確にはこれはむずかしいのではないか、やはり私としては、今まで市中銀中でまかなつておるものにつきましては、大体市中銀行相当計画を立ててやつておることでありますので、どちらかといえば、開発資金の方に力を注いで行くべきじやないか、ただ市中銀行状況その他によりまして、今まで貸しておる長期資金をもつとひとつ多くしたい、しこうして新たに財源をつくつて一手に開発銀行から出すということになれば、そういうときには開発肩がわり両方が入つて来ると思うのであります。ただいまのところ開発にどれだけ、肩がわりにどれだけというはつきりした計算はいたしておりません。
  17. 井出一太郎

    井出委員 この投資対象でございますが、これは昨日も問題に相なつた点でありますが、特に何か重点的な投資——林委員などはしきりに戰略物資方面というような表現を用いたようでありますが、そういう点どうお考えになつておりますか、これをまず伺います。
  18. 池田勇人

    池田国務大臣 日本産業開発に必要なものでございまして、昔からの五大重点産業というふうなことが一応考えられると思うのであります。しかし片一方におきましては、一般銀行で貸し出す分につきましては、何もこの特殊銀行競争的立場に立つてやる必要もないのでございます。やはりその点は日本経済再建自立に最も必要な方面で、しかも普通の銀行では貸し出さぬ、貸出しが困難であるというところに行くのじやないかと思います。
  19. 井出一太郎

    井出委員 現在の復興金融金庫を全面的に継承をされる、こういうことでございますが、復金の今日までの経過というものを考えてみますときに、これは功罪相半ぱするとでも申しましようか、かつて縮小生産時代においては、こうした機関によつて国家資金を流してやるということが、きわめて緊切なものであつたということも、われわれは首肯しなければならぬと思いますが、同時にそれに伴つて世間に流布されるような副産物も出て参つた。ここで復金開発銀行肩がわりされて、ピリオツドを打つという時期になるわけでありますが、大蔵大臣としてはこの復金あり方というものを顧みて、どのような御感想を持つていらつしやいますか。
  20. 池田勇人

    池田国務大臣 私は復金あり方につきましての感想については二点あると思います。その一点は、財政金融上の問題といたしましては、とにかく生産増強が必要であるということで金を出すことはよろしゆうございますが、この金を出すのに、主として日本銀行引受によりまして、どんどん金を出すということになりますと、生産よりも先にインフレが参りまして、そうしてその効果が上らない。この点は私は復旧金融金庫というもののいわゆる財政金融上の一つ欠陥ではなかつたかと思います。しかしこれが全部インフレの原因になつたとは申し上げられませんが、インフレを助長したことになりまして、それだけの通貨増発をしたのであります。従いましてこの点に顧みまして、今度の開発銀行というのは、集まつた金だけで、新規に信用の進出をしない、こういうことにしたのであります。従いまして金融財政上における復興金融金庫のいわゆる欠点と申しまするか、それはチエツクできると思うのであります。もう一つ復興金融金庫におきましては、貸出しその他につきまして、政府当局者がいろいろの注文をつけたということが、いわゆる経営上の一つ欠陥だといわれております。もちろん日本経済復興につきましては、政府財政経済政策にある程度マツチすることは必要でありますが、個々の貸付につきまして、政府職員がタツチするということは私は望ましくない、こういう考えのもとに、今度は開発銀行主宰者が独自の考えで適当に融資をする、こういうことに改めれば、復興金融金庫に対する非難の点はチエツクできるのではないかと考えておるのであります。
  21. 井出一太郎

    井出委員 ただいまの御答弁は、従来の復金の覆轍にかんがみて、今回新規にできます開発銀行は、その弊害を再び繰返すことのないように注意してやつて行かれる、こういうことに相なるわけで、今の大臣が指摘されておる二つの点は、これもこの御答弁自身の中に問題を含んでおる、こういうふうに思うのであります。そこで従来の復金と今回の開発銀行と、一は金庫といい、一は銀行といい、これは表現の違いにとどまるものとは思いますが、主たる相違点はいずこにありや。今お答えになられた二点も、確かにその相違点を指摘せられたこととは思いますが、そのほかにどの点ということがおありでありましたならば伺いたい。
  22. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど申し上げました二点は、主たる違いであるのであります。すなわち政府開発銀行に対しまする監督権は、復旧金融金庫のそれとはよほど違いまして、開発銀行がほとんど自主的にやり得るということが大きな違いでございます。それから金融上の問題といたしましては、復興金融金庫債券発行した、しかもその債券日本銀行引受によつて通貨増発をした、今度はそれがない。この二点が重大な違いだと思います。
  23. 井出一太郎

    井出委員 復金を吸収いたします場合に、もう焦げつき債権といいましようか、どうにもとりようがないというようなものが出るおそれはありませんかどうか。もしそういう額なども予想できましたらお知らせ願いたい。
  24. 池田勇人

    池田国務大臣 これは一、二年前から復金債権回収の問題について議論がありましたが、私は復興金融金庫債権回収につきましては、あまり心配いたしておりません。今までの例から申しましても、相当回収率はよいのであります。ただ銀行の滞りがちというものは、ある程度これはやむを得ないのでありまして、全然復興金融金庫貸付に滞りがちがないかというと、そうではありません。一般とあまり大差はない、どちらかというと、割合にいい方ではないかという気持を持つております。しかもまた復興金融金庫が全然新たに貸付をせずに、回収一点張りということになりますよりも、開発銀行債権債務を全部引受けて、そして回収をしながら、また情勢によつては貸出しをやるということになつてくれば、回収の効率も非常によくなるのではないかというふうに考えております。
  25. 井出一太郎

    井出委員 その場合回収を急ぐといいましようか、ともかく積極的に復金を早く整理しなければならぬということから、たとえば従来期限利益を得ておつたような復金の借入金が、そのために特にせき立てられるというようなおそれはありませんかどうか。
  26. 池田勇人

    池田国務大臣 これができましたために、今までの貸付金を急いで回収する、そういう考え方は全然持つておりません。期限の権利は債務者にあるので、これを侵そうという気持はございません。やはり投資先に対しまして、これを育成するということは金融業務一つの要諦であります。決して期限利益を、侵犯しようという気持考えたことはないのであります。
  27. 井出一太郎

    井出委員 復金明年度一ぱいをもつて整理解散ということになりますと、その場合、復金機構というものを漸次縮小をいたして、解散の時期にはきわめて小規模なものにもつて行かれるというようなふうにお考えになつておられるのか、そうすると復金機能にそれは支障を来すおそれもありますが、たとえば今回の開発銀行人事等あたりまして、復金を吸収するというようなことも伝えられておる。そうすると、ほとんどここで復金機構開発銀行が受継いでしまうのか、今後一年間は両建てで両方ともある規模のもので並行して持つて行くということになるとすれば、今度は明年度末になつて復金の方の人事に失業というような状態が出て参るおそれがある。こういう点はどうお考えになりますか。
  28. 池田勇人

    池田国務大臣 当初考えておつたのは、開発銀行ができたら、ただちに復興金融金庫債権債務を引継ぐと同時に、役員は別でございますが、職員におきましても引継ごうというような考えであつたようでございます。ともかく私はそれは適当ではない、やはり一応スタートは両方ともして、すなわち開発銀行はスタートする。復金は今までの業務をやり、客観情勢に応じて適当なときに吸収する方がいい、こういう建前にかえてやつておるのであります。しからばいつどんな方法でやるかということにつきましては、開発銀行ができまして、開発銀行の総裁が自分の考え復金状況を見ながら、適当なときにやつたのが一番よい、こういう考えでおるのであります。何分にも八百数十億円の債権を持つており、これに六百人足らずの人が従事いたしておるのでありますから、常識上からいつて職員につきましては、徐々に肩がわりの態勢で進んで行くのが適当ではないかと思います。しかし五月には百人、六月には百人、そして六箇月間で入れる、こういうことは実際行われないわけでございます。とにかく職員につきましても、悪い人はしかたがございません、この際やめていただきますが、いい人はずつと引継いでやつて行きたいと思つております。
  29. 井出一太郎

    井出委員 当初に予想せられました四月一日の発足は、これはどうもここまで来ると、とても無理のようでありますが、およそいつごろを目途にされていらつしやるか。また法によりますると、設立委員というものが設けられる。これがおよそ何名くらいで、その人選等も構想としてはすでにお持ちであるか、その点お尋ねします。
  30. 池田勇人

    池田国務大臣 これは至急に御審議を願いまして、三月一ぱいで法案通りますればただちに設立委員を任命いたします。また各省の次官等も入り、民間の人も入りますから、七、八名程度ではないかと思います。しかしこれは大した問題ではございませんが、できれば四月一ぱいには発足したいという計画で進んでおります。
  31. 井出一太郎

    井出委員 この創立にあたりまして、創立費というようなものがやはり若干見込まれねばならないのじやないかと思いますが、予算にはさようなものは見えておりません。これはどのくらいかかるお見込みであるか、その予算措置はどうなつておるか。
  32. 池田勇人

    池田国務大臣 この設立に関しましては、事務はたいがい役所でやりますので、別に費用は見込んでいないそうであります。
  33. 井出一太郎

    井出委員 たとえば創立委員の手当などというものは相当いるのじやないですか。
  34. 池田勇人

    池田国務大臣 これは今までも手当なんか出したことはございません。
  35. 井出一太郎

    井出委員 開発銀行の総裁に擬せられておりまする小林中さん、この人事は新聞にはすでに確定的になつておりますが、どの程度固まつたものでございましようか。
  36. 池田勇人

    池田国務大臣 総理大臣が任命なさるのでございます。総理大臣から小林中君はどうかというお話がございました。私としては一応意見を申し述べております。交渉にあたりましては総理大臣がおやりになつておるのですが、まだ確定したとは聞いておりません。何と申しましても、法案も通過しないのでございます。ただ意向は聞かれたかもわかりませんが、決定的なものじやないと思います。
  37. 井出一太郎

    井出委員 この点はもちろんそれ以上にはお尋ねをしても無理かと思いますが、さきに河上氏でありましたか、そういつたお名前が見え、今日また小林氏のお名前が伝わつて来ておる、申すまでもなく、この人事が政党的な色彩というようなものによつてゆがめられるようなことは、これはもちろん警戒をしなければなりませんが、新銀行に対しまする監督権といいますか、これは大蔵大臣が直接その任に当られておるようでございます。しかし何か監査機関といいましようか、もちろん会計検査院の監督等もありましようけれども、かつて復金においてございました審議会構想、それは必ずしも監査ばかりではなかつたろうかと思いますが、今回はそういうような機関も置いておらない。私どもとすればこの資金の流れが、しかもこれがあまりにも政治的なゆがめられ方をするというようなことをおそれますがゆえに、何か監査機関が必要じやないか、こういう感じを持ちますが、この点大臣はどう考えられましようか。
  38. 池田勇人

    池田国務大臣 私は監査機関は必要ではない、会計検査院の検査はもちろんございまするが、大蔵大臣の監督で十分ではないかと考えております。
  39. 井出一太郎

    井出委員 それ以上は申し上げませんが、最後に長期金融機関の体系といいますか、最初に大臣が、この開発銀行だけではもちろん不十分である、こう言われました。これができました場合においても、原始産業面などには、おそらくこの開発銀行資金というものは流れて行かないのじやないか、かように思います。こういう面をカバーする意味において、たとえば勧銀の機構をどう考えられるか、ないし中小企業の面に対する興銀の使命をどうされるか、こういつた一連の長期金融の体系というものを、どんな御構想考えていらつしやるか、これをひとつ伺いたいと思います。
  40. 池田勇人

    池田国務大臣 金融制度全般につきまして、ただいま検討中であります。御承知通り、戦前におきましては、興銀、勧銀、北拓等いわゆる専門的な機関があつたのでありますが、これが普通銀行にかわつてしまいました。ただ、今長期金融機関としてはつきりした存在のあるのは、興業銀行だけといつてもいいくらいであると思います。勧業銀行相当預金も受入れるし、商業金融肩がわりいたしております。今後、勧業銀行を興業銀行並の金融機関にする——すなわち長期金融機関というのは、原則として預金の受入れはしない。債券発行によつてまかなうというのが、長期金融機関の本質であるのであります。しこうしてそういうふうな銀行を今どれだけつくるか、またつくつてどういうふうな状況になつて行くかということは、金融機構全体につきまして再検討する重要な問題であるのであります。従いまして、今どういうようにするかということは、まだ発表の時期に至つておりませんが、何分にも長期金融機関の非常に不足しておるという現状は、改めなければならぬという気持で、検討を加えておるのであります。
  41. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 林百郎君。
  42. 林百郎

    ○林(百)委員 大分井出君が詳しく聞いておりますから、簡潔にお聞きしたいと思います。  第一にお聞きしたいのは、昭和二十六年度予算がすでに参議院を通過したわけなんですが、その昭和二十六年度予算の中に、こうした構想がきまらなくて、これが国会ですでに参議院を通過する直前、こうした補正を出さなければならなくなつたような事情は、どういう事情からであるかということを、まずお聞きしておきたい。
  43. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど井出委員お答えした通りでございます。業務の範囲並びに資金源につきまして、検討を加える間に時間がかかつたのであります。
  44. 林百郎

    ○林(百)委員 そこでそうしますと、十分検討されて構想を練られたと思いますが、先ほど並びに昨日からこの問題についてお聞きしておるのでありますが、この具体的な投資先、これが法令で見ますと、いろいろな問題が出ておりますが、経済の再建及び産業の開発に寄與する設備の取得、改良、補修とあるだけですが、もう少し具体的に経済の再建及び産業の開発に寄與する設備というのは、どの方面に大体どのくらい投資をするのかということを、お聞きしておきたいと思います。
  45. 池田勇人

    池田国務大臣 私としてはそれ以上に申し上げることはできません。開発銀行の総裁がこの法律の規定に基きまして、適当におやりになると思います。井出君の御質問に対してもお答えしたように、五大重点産業ということを言つておりましたが、水力とか造船につきましては、見返り資金から出ますから、一応はそれ以外のものと考えていいと思います。しかし情勢によつて、造船の方に出していけないというわけのものではないと思うのであります。これは法律の規定に従いまして、開発銀行の総裁がおやりになることと思います。
  46. 林百郎

    ○林(百)委員 昨日舟山君もそう言つておられるのですが、大体銀行をつくられるというのが、あなたの言われるように、その後長期資金の必要が方々の基礎的な産業から起つて来て、それをどう充足するかということに立つて構想ができたと思います。そうすると、開発銀行をつくるについては、あらかじめどの方面へどの程度の投資をするということで、この資本金も決定されたと思うので、何だか政府答弁を聞いていると、銀行をつくつてから、投資先については、その後銀行が独自できめると言いますが、それは逆であつて、具体的にこういう方面にこれだけの長期資金が必要であるから、とりあえず百億の出資をもつて開発銀行を設立したということにならないと、筋が通らないのであります。もう少しひとつ親切な答弁をしてもらいたいと思います。
  47. 池田勇人

    池田国務大臣 これはあなたのお聞きになるのは、石炭に何ぼ出すか、化学肥料に何ぼ出すか、あるいは繊維関係をどうするか、あるいは水産物の高度利用をどうやるか、こういうことに幾ら出すかということをお聞きになりたいのだと思うのでございますが、御承知通り見返り資金から出しております私企業投資、主として重点産業のうち、水力、造船を除いたものについて出ておるのであります。やはり日本経済状況によりまして、かわつて来なければならぬ。石炭にも出ましよう。化学肥料にも出ましよう。あるいは染料その他にも出ましよう。あるいは繊維関係の必要なものに出ることもありましよう。しかしこれは今言つたように、これだけで計画的に行くものではありません。それにもありますように、一般市中銀行のなかなか出しにくいような点も考えなければなりませんので、初めから幾ら幾ら出すということをわれわれからとやかく言うべき筋合いのものではないとと思います。
  48. 林百郎

    ○林(百)委員 初めから幾ら幾らという具体的なことがきまらなくても、大体この方面の産業、たとえば水力電気とか、あるいは造船とか、そういうことをあなたは言われておるのですが、特に水力電気あるいは造船、そういうようなものに開発銀行を設立して、長期資金を投資しなければならないような情勢が、昭和二十六年度予算を編成する当時から後の情勢で、特に必要になつ情勢が、何か起きて来たのかどうかということを、お聞きしたいのです。
  49. 池田勇人

    池田国務大臣 造船とか水力につきましては、見返り資金で出ることになつておるのであります。原則はその方にたよるのであります。その他の経済再建に必要な経費につきましては、いろいろな種類のものがありましよう。しこうしてそのことは先ほど答えたように、長期資金金融機関がいかにも不備だというので、こしらえたのであります。
  50. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、私は率直に言いましよう。大体最近日米経済協力の問題が新聞で非常に喧伝されておりますし、大蔵大臣の参議院の答弁、並びに昨日の舟山君や、あるいは本日の池田大蔵大臣答弁を聞いておりましても、日米経済協力の問題には、非常に警戒した答弁をしている。これは吉田首相の例にならつて、非常に警戒した答弁をされておるようでありますが、やはり開発銀行構想というものも、日米経済協力の一環として、アメリカの大きな軍拡経済の下請としての日本の産業再編成のために資本が必要だ、そういう構想のもとに、ダレス・吉田会談後、その後の具体的な経済的な協力関係相談によつて、その構想の一翼としてこれが出て来たのではないのですか。
  51. 池田勇人

    池田国務大臣 これは先ほど井出君の御質問に対してお答えしたのをお聞きくださればわかると思うのでありますが、そういうことじやないのであります。昨年の十月ごろから、もう開発銀行構想をドツヂ氏と話しておつたのであります。これは御承知通り日本銀行長期金融を専門にしておつたのがみな普通銀行になつてしまつた。しかして片方では非常に長期金融機関の必要がありますので、経済が安定して今後復興して行くためには、どうしてもこういうものが必要だということが、昨年十月ごろからの考え方であつたのであります。しからばなぜこれを予算に載せなかつたかという問題になつて来ますが、その当時は企業その他の業務の範囲について検討を加えておつたのでございます。私が新聞に発表いたしましたのは一月の十日だつたと思います。ダレス氏の来る前でございます。日米経済協力態勢という言葉が出る前から考えておるのであつて日米経済協力態勢の下準備としてやつたのでは毛頭ございません。
  52. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると違う形からお尋ねしたいのですが、見返り資金私企業投資の三百五十億というのがありますが、これはこの開発銀行の百億の経済再建費からの出資によつて変更があるのかないのか。きのうちよつと聞きますと、私企業支出の方は百億だけ減らすというようなこと——これは私の聞き間違いかもしれませんが、そういうように答弁したようにも聞えますが、私企業投資は私企業投資でこのままにして、さらに別個の形で百億が投資されるのですか。その辺をお聞きしたい。
  53. 池田勇人

    池田国務大臣 これも今、井出君にお答えした通りでございまして、一般民間投資のうちの四十五億円の私企業投資がこれになつて来るのであります。しこうしてそれだけでは足りないので、経済再建費の方から五十五億円持つて来て百億円として設定するようにいたしたのでございます。
  54. 林百郎

    ○林(百)委員 これはわれわれの了解するところによると、経済再建費の七百五十四億の中から百億出資するのであつて見返り資金に別項目で私企業支出の三百五十億があるわけであります。この私企業支出の三百五十億の中から四十五億出すというのですか。
  55. 池田勇人

    池田国務大臣 経済再建費から百億円出まして、そうして私企業投資の四十五億円がゼロになります。だから実際上から申しますと、私企業投資の四十五億円もこれに吸収されてしまうのであります。
  56. 林百郎

    ○林(百)委員 それから復金債と同じような性格のものを将来これにも許すつもりかどうか。先ほどの答弁を聞くと、やはり債券発行を認めても、これを日銀に引受けさせるという方法はやらないというように聞いておるのでありますが、この点は将来どういうように考えておりますか。
  57. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいまのところは債券発行を認めておりません。将来資金が必要になつた場合においては、債券発行ということも考えてみたいと思つております。しこうして債券発行をする場合には、復金のような日銀の引受ということは好ましくない、こういうことを答弁しておるのであります。
  58. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、日銀に引受けさせないというと、どういう形になりますか。
  59. 池田勇人

    池田国務大臣 一般公募かあるいは預金部引受であります。
  60. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 それではちよつと大臣の都合によりまして、十五分程度休憩いたしたいと思います。この際暫時休憩いたします。     午前十一時三十五分休憩      ————◇—————     午前十一時五十二分開議
  61. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 休憩前に引続き会議を開きます。   質疑を続行いたします。林百郎君。
  62. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほどの百億の出資金の内容ですが、経済再建費から五十五億、それから私企業投資の項目のうちのその他とあるこの四十五億、合せて百億という意味かどうか、それをお聞きしたいのです。
  63. 池田勇人

    池田国務大臣 実質的には先ほど申し上げた通りでございます。形式は経済再建費の方から百億出します。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 それがよくわからないのでして、形式的には経済再建費で、実質的には先ほど申し上げた通りというのは、本年度私企業支出三百五十億の中のその他四十五億とありますが、これが百億のうちの一部に入つて来るのか、その点を聞きたいのです。
  65. 池田勇人

    池田国務大臣 経済再建費から百億円出まして、そして私企業投資の四十五億というものはつぶれる……。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 つぶれるというのはなくす……。
  67. 池田勇人

    池田国務大臣 なくなるわけであります。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 なくなるわけですね。そうすると、これは技術的な問題で河野君にお聞きしたいのですが、そういう場合にやはり私企業投資の項目、項になるのか目になるのか、その他四十五億というのは消しますというようなことですぽつと消してしまうことができるのですか。やはりその点について、補正とか更正とかいう手続が必要でないのですか。
  69. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 不用になるわけでありますから、使わないわけでありまして、別に消す必要もないわけです。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、その他四十五億の投資についてはいろいろ考えていたと思うのです。先ほどもいろいろ委員の間からの意見もありまして、たとえば塩の事業だとかそのほかのこれと見返る事業の投資があつたと思いますが、その方は開発銀行の投資として振りかえられるわけですか。四十五億がなくなると、これが見返りとして投資を考えておつた産業としては、その投資がなくなつて来るわけなのだけれども、これは開発銀行肩がわりして投資してやるのか、あるいはその計画は全部また出直すというのか、その点をお聞きしたい。
  71. 池田勇人

    池田国務大臣 出直すといいますか、なくなるというか、開発銀行が独自の考えでおやりになるのであります。従つて実質的には四十五億で計画しておつたと同じとは申しませんが、そういうふうな方面に百億から流れて来る、こうお考え願いたい。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 これは各委員間で今問題になつておるのですが、予算説明書を見ますと、見返り資金から百億とあつて、別に経済再建費とないわけなのです。そこでわれわれは経済再建費の方から五十五億、私企業その他の四十五億と合せて百億と考えていたのですが、やはりこれは見返り資金中の経済再建費から百億差引いて、実質的にはその中の四十五億はこの私企業投資その他のそれを消すということになるわけですか。各委員とも、どうもその点がはつきりしないという意見ですが……。
  73. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 見返り資金の中に、公企業支出、私企業支出、経済再建費と三つあるわけです。開発銀行私企業支出というわけに参りませんので、経済再建費の方、これは公企業でも私企業でもいろいろなものに出せるわけでありますから、それから出しまして、形式は百億そこから出して、四十五億の方の私企業の分は不用になる、こういうことになるわけで、実質はかわらないわけです。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 実質はかわらないと言うが、実質がかわつて来るので、あなたの言うように、開発銀行出資というのは、私企業投資にならないのだと言えば、実質的に私企業投資になる四十五億をこの開発銀行出資の中に繰入れるということになれば私企業へ投資すべき四十五億はその目的からはずれていることになるのではないですか、その点はどうですか。
  75. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 開発銀行が投資されます先は私企業になる、そういうところに開発銀行を通じて行くことになるのでありますから、その分の私企業支出の四十五億というものは減つてもさしつかえない。直接見返り資金から行くか、開発銀行を通じて行くか、それだけの問題でありますから、実質上はかわらないということになります。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 それは先は私企業へ投資しても、開発銀行政府出資として投資する場合には、やはり公企業だと思う。開発銀行というのは公法上の法人ですから。そこへやはり出資するということになれば、これは私企業投資にはならぬと私は思うのです。ですから私企業投資の四十五億を、実質的に開発銀行の投資の百億の中に繰入れてしまうということは、私企業投資四十五億の本来の目的から逸脱するというようにわれわれは解釈しております。その点は、先はいずれ私企業へ行くのだから、結果は同じじやないかと言えばそれまでですが、どうもその点が明確でないからお尋ねしたわけです。  それからもう一つお尋ねしたいのは、見返り資金を使うについてはスキヤツプのいろいろな命令があるわけなんですが、この点をひとつお聞きしておきたいのだが、開発銀行見返り資金を投資するについては、司令部とはどういう了解を得ておられるのか、司令部との交渉については、日本政府は総司令部によつて承認された額と目的においてのみ資金から引出しをなすことができるとありますが、この額、目的、その他の交渉はどういうような了解を得ておるのか、御説明願いたいと思います。
  77. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金から百億円開発銀行出資いたしますれば、その百億円につきましては、個々の案件について相談はいりません。開発銀行自体でやるのであります。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、開発銀行見返り資金百億を投資するについての了解については、経済の再建及び産業の開発に寄與する設備の取得、改良、補修という程度関係方面は了解をしているわけですか。それとも関係方面から、もう少し具体的に、これこれこういう話があつた関係方面からこういうサゼスチョンがあつたというのだつたら、もう少し親切に御答弁してもらいたい。
  79. 池田勇人

    池田国務大臣 親切に答弁しております。この法案につきまして、何もサゼスチョンはございません。出た百億円は、開発銀行に行きましたら、先ほど来はつきり申し上げておるように、開発銀行自体でやるのであります。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 われわれの常識からいえば、関係方面との交渉が、経済の再建、産業の開発に寄與する設備のために見返り資金百億というのじや、どうもおかしいと思うのです。やはり関係方面との交渉で、こういう方面にこれだけのものという、もう少し具体的な條件が出て来るはずだ。これは吉田外交の一端をになつておる池田大蔵大臣であるから、秘密を保持しようと必死になつているようですが、これはいずれ後ほど事実が証明すると思いますから、それを待つことにしようと思います。  それからもう一つの問題ですが、将来これが外債の引受については、どういうように考えているか。
  81. 池田勇人

    池田国務大臣 将来のことはわかりませんが、今のところはできません。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 だから将来そういうことも考慮するのか、そういう彈力性を持つているのかどうかということを聞いているわけです。
  83. 池田勇人

    池田国務大臣 いろいろな考え方がございましよう。将来の情勢については、将来考えればいいことであります。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 それからもう一つ、こういう意見もあるのですが、この点もおそらく親切に答弁はしてもらえないと思うのだが、イロア・フアンド、ガリオア・フアンドのフアンドがなくなつて、外国からクレジツトが設定されるというような場合に、やはりECAのマーシヤル・プラン的な投資が将来行われる場合に、ECAの協力機関として、あるいは将来外国投資の一切をここでコントロールする機関として、開発銀行考えているという意見があるようでありますが、これについて大蔵大臣はどうお考えですか。
  85. 池田勇人

    池田国務大臣 そんなことは考えておりません。
  86. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、つい先日周東安本長官とマーカツト局長とが会つて、将来日米経済協力機関として生産拡充本部、あるいはECAの協力機関を設けて、それが日本開発銀行の運営の総合的企画立案をするというようなことが打合されたというように新聞に出ておるが、この点はどうなんですか。
  87. 池田勇人

    池田国務大臣 開発銀行におきましては、大蔵大臣の責任でございます。従つて私はそういうことは聞いておりません。そういうことはないと思います。
  88. 林百郎

    ○林(百)委員 それから将来見返り資金の投資が回収されると思います。いろいろの私企業へ投資しますから、見返り資金回収されて来ると思います。この見返り資金の運営については、今のところは対日援助見返資金特別会計という会計があるわけなんですが、この見返り資金回収された場合、これを受入れて、将来これの運営をコントロールする機関が必要だということで、見返り資金の受入れ機関として開発銀行を考慮するというようなことも伝えられていますが、この点について大蔵大臣はどう考えるか。
  89. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど井出委員の御質問に対しての私の答えにあります通り、私個人の考えとしては、そういうふうな金、すなわち見返り資金利子並びに元本の回収金が、どこで使われるかという場合において、開発銀行考えたらどうかという考えは持つておりますけれども、これはきまつておりません。法律にもないように、まだ今のところきまつていたいのであります。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 それからこういうことがわれわれとしては考えられるのであります。復金債権一般会計から全部償還されて、復金貸付金だけが残つているが、この貸付金回収された場合には、復金債の償還が一般の人たちの税金、いわゆる一般会計から償還されているのだから、やはりこれは一応減税だとか、その他一般の民生を救済する方面に還元されるべきものではないか。それが採算も非常に困難なような一部の資本家的な事業へ、ことに将来軍需産業的な計画のもとに投資されるということになれば、これが国民の生活に寄與するかどうか非常に疑問である。将来の復金回収金というものは、そうした減税だとか、あるいは民生の安定の方面にまわすべきものだということをわれわれは考えていますが、この点大蔵大臣はどう考えるか。
  91. 池田勇人

    池田国務大臣 これは共産党の林君と私の意見の違うところから起つて来ると思います。たとえばアメリカから小麦その他の援助をもらいまして、これを一般コマーシヤル・ペースで国内へ放出して、売つてできた金をためたのが見返り資金であります。これをあなた方は国民の税金からできておるとおつしやいますが、私はこの分は国民の税金から成り立つているのではないと思います。もし私の言うことがいいということになれば、おのずから解けることでございまして、復興金融金庫貸付金は、見返り資金ができた当時一千百億円程度つたのであります。しこうしてその貸付金の根源は、一般会計から三百億円出資した、その他の分につきましては、日銀の復金引受によつた。日銀の復金引受は、見返り資金肩がわりした、すなわち国民から出た税金で肩がわりしたのじやありません。国民の納めた税金で出したのは三百億円であります。しこうして三百億円は、昭和二十五年度において百八十億円、昭和二十六年度において百二十億円、これを一般会計へ繰入れまするるから、一般会計から復金へ出した、すなわち税金で出した分は三百億円、これは今年度と明昭和二十六年度で完済することになるのであります。残つた債権の八百何十億というのは、見返り資金復金債を肩がわりした金であります。
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 その点あまり議論しても限りがないのですが、とにかく一千九十一億に及ぶ復金債の一部は国民の税金——あなたの答弁から聞いても、三百億円は税金だ。それから一部は見返り資金だと言いますが、見返り資金も、国民の側からいえば、ただで向うの援助をもらつたわけではないので、一応国民のふところから出た金であります。その金に余裕ができて来たら、また国民のふところへ返してやるというのが当然だと思う。しかも開発銀行投資先が、先ほどからいろいろ聞いておるのでありますが、時局に必要な産業だというけれども、やはり日米経済協力の形で、これがアメリカの軍拡経済の下請としての軍事的な色彩を持つた産業に投資されるということになれば、これがはたして国民の生活に寄與するかどうかということは非常な疑問だと思う。そういう意味でわれわれとしては、復金の投資が回収されたならば、それは一般民生の安定に寄與する方面に還元してやるというのが本来の建前だと思いますが、その点をもう一度だけお聞きしておきたいと思うのであります。
  93. 池田勇人

    池田国務大臣 国民のふところから出る場合に二通りあります。租税として、強制徴収されるものとして出るのは三百億、そうして小麦代として出るのが八百億円、こうなつておるのであります。だからふところから出ましても、出る性質が違うのであります。税として納めた三百億円は一般会計にもどします。しかし小麦代とかあるいはほかの代として出た分は、これは経済行為による分でございますから、これを出したときに、必ずしも国民にただちに返すというわけのものではございません。しかし集まつた金は、日本経済再建、産業の復興に使おうというのであります。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一つ聞いておきたいことは、見返り資金大蔵大臣も御存じの通りに、アメリカから日本へ設定されたフアンドの見返りになつているということで、将来、アメリカから設定されたいろいろなフアンドを日本が返済しなければならないという場合には、やはりこの見返り資金が一応問題になるのではないかと思いますが、将来そういう国際的な問題が残つており、それから非常に関係方面とも政治的な——われわれは政治的なひもがついていると言いますが、要するにいろいろの制肘を受けているような金が、こうした日本金融界で大きな力を持つておる開発銀行に投資されるということは、将来これを通じて日本の国がアメリカに政治的に支配される、あるいはコントロールされるという危険を感ずるのでありますが、将来日米の間の債務の償還が問題になつた場合に、見返り資金がこうした重要な金融機関に投資されるということについては、どういう保証を大蔵大臣としては考えているか。
  95. 池田勇人

    池田国務大臣 林君のお考え方が私にはのみ込めないのでありますが、日本は今千数百億円の外債を持つております。しかしそれだからといつて日本の産業がアメリカ、イギリスに隷属しているとも言えますまい。見返り資金の元であるいわゆるアメリカの援助資金というものにつきましては、講和会議できまるのでございます。今私はここでとやこう言いたくないと思います。われわれがどんなことを言つたつて、講和会議できまる問題だと私は思います。
  96. 林百郎

    ○林(百)委員 そう言いますが、しかし見返り資金の運用については、あなたも御存じの通りに、日本政府は総司令部によつて承認された額と目的においてのみ、資金から引出しをなすことができる。またヴオルヒーズ氏の証言によりましても、見返り資金は、実質的にはマツカーサー元帥の支配にある金だということが、はつきりアメリカの国会で証言されておるのであります。これは大蔵大臣も実際はお認めだと思う。見返り資金の運営が————あなたは口では何と言つても、やはり関係方面と密接な交渉なくしては、一文も使うことができない金だということは、あなたも御存じだろうと思う。こういう金が、直接たとえば電力事業に投資される場合の貸付條件でも、非常に嚴重な條件がついているわけなんです。これが百億に及ぶ厖大な金融機関に投資され、この金融機関が各産業、ことに基礎的な産業に投資され、基礎的な産業を支配するということになりますれば、この開発銀行を通じて、やはり日本政府では自由にできないような金融のコントロールを外国から受けるということを心配するのは当然だと思いますが、それについて、どういう責任と保証を大蔵大臣考えているのか、この点はもう一度あなたにはつきり聞いておきたいと思います。
  97. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金から出資した場合は、今度の開発銀行に限りません。たとえば興銀、勧銀、北拓あるいは農林中金、商工中金と出ておりますが、農林中金、商工中金あるいは勧銀、興銀の出資に対しまして、その運用について、一度も向うからとやこう言つたことはないのであります。従いまして、輸出銀行につきましても、今度できまする開発銀行につきましても、銀行の運営その他についてとやこう言うことはないと思います。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 その問題については、一度もとやかく言われたことはないと言いますが、見返り資金の運用について、いかに池田大蔵大臣が苦労しているかということは、われわれの目ですらお気の毒なほどよくわかるのです。ここではそういうことを率直に言うことができないのだろうから、その点はそれでけつこうでありますが、やはり見返り資金の運営については、これは日本政府の自由にできない金であつて、それが開発銀行に投資されるということになれば、開発銀行から日本の産業に投資する場合においては、それほど向うのいろいろのサゼスチョンとかはないにしても、開発銀行の重要な資金見返り資金から出されているということについて、政治的な向うからのひもがついている、いろいろ向うからのサゼスチョンが考えられるということは、何も杞憂ではなくして、やはり実際心配すべき点だと思うのです。その点をあなたに聞いているのですが、あなたが決して心配ないとおつしやるなら、あなたはあなたでそう言えばいいし、われわれはわれわれで、後刻これは事実が明らかにすると思いますから、その際あなたにあらためてお聞きしたいと思うのです。  それから、あと一、二点こまかい点だけお聞きしたいと思いますが、日本開発銀行法案の第四十六條の二項ですか、「日本開発銀行は、毎事業年度昭和二十六年度を除く。)、前項の政府貸付金に対し、政令で定める利率、計算の方法及び手続により、利子を支払わなければならない。」とありますが、これはどの程度考えておりますか。
  99. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 国債の利子を大体基準といたしまして、将来きめたいと考えております。
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、これはまだきまつておらないわけですか。
  101. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 まだきまつておりません。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 これは井出君も質問されたと思いますが、開発銀行貸付利子についてはまだ考えておらないということでありますが、一応この開発銀行予算を見ますと、収入利息がちやんと書いてある。五億二千幾ら云々と収入利息が書いてあります。それから貸付金の利息と有価証券の利息ということまではつきりきまつているのですが、そうするとこれは一応の目途ということですか。
  103. 池田勇人

    池田国務大臣 これは復金貸付金が平均九分九厘だつたというので、一応それによつて計算しております。これは開発銀行業務規程その他できめたいと思います。予算上はそうやつております。それから有価証券の利子というのは、食糧証券を持つつもりでおりまするから、その利子を一応予定いたしております。  先ほどの御質問の、見返り資金から開発銀行へ出しますところの百億円につきましては、関係方面と十分折衝いたします。一旦出した以上は、開発銀行が百億円をどう使うかということにつきましては、今までの例を見ましても、とやこう言うことはない、こういうことでございます。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 最後にもう一つ。これも非常にこまかい点ですが、われわれ弁護士にはちよつと気になることなので、聞いておくのですが、第四十二條の第三項ですか、「第一項の規定による報告の徴収及び立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」という、これはどういうことで、こういうことが入れてあるのですか。
  105. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 これは犯罪捜査のために立入り検査をするのではない、単なるそれだけの意味であります。
  106. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 なお杉山説明員から補足があります。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 それはその通りに書いてあるので、それはどういう意味かということを聞いているわけです。
  108. 杉山知五郎

    ○杉山説明員 ここにあります規定は、別に司法権に基いて報告を徴したり、あるいは立入り検査をやるのではないということを宣明した意味であります。それ以外にはございません。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 私はこれでいいです。
  110. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 川島金次君。
  111. 川島金次

    ○川島委員 すでに井出君、林君からいろいろと質問がありましたので、私のお尋ねしたいことは大部分質問済みになりました。そこで私は落穂拾いの意味で落穂質問をいたします。しかし大臣答弁は親切に具体的にやつてほしいと思います。  まず私は、この開発銀行の設定に先だちまして、大蔵大臣が今後の日本金融通貨政策をどういうふうに持つて行こうと基本的に考だておるのかということであります。大臣はドツヂ氏が来られましてから口ぐせのようにデイスインフレ政策だということを一昨年来強調されて来、そのデイスインフレ政策の基本政策にのつとつて金融通貨財政政策を堅持して来たのだとみずからも誇つておるのであります。しかし最近御承知のように物価の、ことに国際情勢の変化から国際物価の上昇に押されまして、この大蔵大臣が一昨年来唱えて参りましたデイスインフレ政策では、日本の産業経済の発展に寄與することがきわめて困難になつて来たのではないかというような感じがいたします。そこでデイスインフレでない、統制インフレとでもいいますか、そういつた方式を強力に推し進めて行くのでなくては、この国際情勢の中にあつて政府が庶幾するような日本経済の発展を期することが、できないような情勢に立ち至つているのではないかというふうに私は感ずる点があるのであります。そういう基本的な考え方について、大蔵大臣は従来のデイスインフレ政策と異なつた方向に行くという見解に今日は立ち至つておるかどうか。開発銀行の設置のごときも、そのデイスインフレ政策から転換をするステツプの一つとして、こういう問題が大きく取上げられて来たのでないかとさえ私は考えるのであります。その点についての大臣の基本的な所見を、この機会に承つておきたいと思うのです。
  112. 池田勇人

    池田国務大臣 今までのわが党の政策を何もかえるようには考えておりません。やはりデフレにならないように、インフレにならないように適当にアジヤストしながら行くのであります。従いまして開発銀行を設けて長期資金を出すからと申しましても、新たに信用を膨脹するというふうなことは嚴に慎みたいという考えで進んでおります。
  113. 川島金次

    ○川島委員 その信用膨脹を嚴に抑制いたすという程度が、従来よりももつと強く今後推し進めて行かれるという形になつて来るのではないか、この点を大臣に聞いておるのですが、その点はいかがでしようか。
  114. 池田勇人

    池田国務大臣 引締めるとか、ゆるめるとかいうふうな初めからの考え方では行つておりません。情勢を見まして、政府の支払いを早めるとか、あるいは日銀の貸出しについて調節を加えるとか、そのときどきの経済金融情勢によつて手を打つて行けばいいのであります。われわれはこうするのだというふうな一つの目標がありとすれば、自由主義経済に徐々に持つて行く、この目標だけであります。
  115. 川島金次

    ○川島委員 自由主義経済だといいますが、国民資金の結集によつて強大な開発銀行をつくるというこの一つの現われは、大臣の言う自由主義経済の基本的観念ではまつ正面に解釈のできない、割り切れないものではないかと私は思うのです。尋ねておりまする趣旨は、最近の金融政策等をじつと見ておりますと、何か政府が漸次国際情勢の変化、物価上昇等ともにらみ合せながら、そして近く実現されるであろうと国民から見られております日米経済協力態勢、こういつた一連のものの上に立つて、ややもすると重点的、傾斜的な金融政策というものに移りかわつて行くような気がする、開発銀行の例もその一つの現われだ、こういうふうに私は非常に強く感ずるのです。そういう意味で私はそういうお尋ねをいたしておるのでありますが、この開発銀行の設置を一つの機会として、そういう重点的な傾斜的な金融政策に入るのか、それとも重点的傾斜金融ではなくして、中小企業いわゆる一般庶民の金融にも今後従来以上の関心を求めつつ、その方面金融にも強力な手を打つて行こうとしておるのか、その点が最近におきましては非常に懸念されるような形が現われて来ておるというふうに私は感ずるのでありますが、その点は大蔵大臣としてどういうふうに考えておりまするか、お示しを願いたい。
  116. 池田勇人

    池田国務大臣 金融というものは、産業の各部面につきまして考慮をめぐらさなければならぬのであります。中小企業金融の逼迫しておりますときには、見返りから出すとか、あるいは農林、商工中金に出資をして債券引受をやるとか、いろいろな方法を講じます。しこうしてまた急速に産業の開発等につきまして今の金融制度では不十分であります。不十分の点を補うという意味開発銀行を設立しようとするのであります。国全体の産業経済状況を見ながら、不十分なところを補強するようにして行くのが、私どもの政策であるのであります。
  117. 川島金次

    ○川島委員 どうもその点、私どもには少しあいまいな感じがするのでありますが、それはその程度でとどめます。  次にお尋ねしたいのは、これはすでに井出君あるいは林君からもお尋ねがあつたのではないかと思うので、二重になりますればまことに恐縮な話ですが、当初舟山銀行局長がこの委員会であつたと私は記憶するのですが、開発銀行の問題について、性格等につきましてどなたからか質問がありました際に、予定としての説明があつたのです。その説明の中に、開発銀行政府の出資金でやることはもちろんだが、銀行債券発行して資金量を確保して行く、そう形で行くのだという明確な説明が実はあつたわけであります。ところがいざ実現いたします法案を見ますと、そのことがいつの間にか欠けて来ておる。これはどういういきさつでそういうことになつたか、またどういう考え方でそういうふうになつたものやら、その点についてのいきさつを、ひとつ大臣からわれわれに聞かしてもらいたいと思います。
  118. 池田勇人

    池田国務大臣 舟山君がどう答えましたが存じませんが、開発銀行債権発行して行くんだ、こうは私は答えなかつたと思います。それは債券発行を認める必要ありという意見は、私の意見であつたのであります。しかしこれはなかなかむずかしいぞということは舟山君も知つてつたのでありますから、私はそうはつきり言つたとは思いません。ただ希望としてそういうふうなことで行きたいという希望的の意見は言つたかと思います。私は初め大体話は四十億円くらいで出発するというような話ですから、それでは問題にならぬというので、四十億円なら債券発行を十分認めなければならぬ、こういうことであります。しかしこの債券発行と申しますのは、今見返りから出しておるところが相当ございます。すぐただちに債券発行というのはどうか。今までの債券発行に関しましての根本的な方針を立てて行くのがいいのであつて、今開発銀行債券発行を認めるということも資金源等がありますので、いましばらく研究したらどうか。それならば四十億円をふやさなければというので、百億円になつたのであります。それで将来の問題といたしましては先ほど答えたような復金がやつたように、日銀の引受によつて開発銀行資金をふやそうということは、嚴に愼まなければならぬと思いますが、預金部引受とか、できれば市中からの引受によつてやるということは、信用の造出ではございません。また預金部とかあるいは市中銀行でなくても、預金部以外の政府余裕金引受ける、こういうことから考えてもいいのじやないかというので、将来の問題としては債券発行ということを考慮してもいいと思います。出発といたしましては、一応債券発行はとりやめて、百億円で出すことにしたのであります。従いましてなぜ遅れたかというふうなことにつきましても、そういう経緯がございまして遅れたのであります。
  119. 川島金次

    ○川島委員 そうすると、この問題に関しましては、たとえば復金の貸出しの回収政府の思うようにかりに行かぬ、そういうことになりますと、開発銀行資金上の所定の計画に狂いが生する、そういうような事態が起るようなことになりますと、せつかく開発銀行をつくつても、十分の機能が発揮できないというような事態になれば、必然的にただいま出ております開発銀行法の一部が改正されて、将来また今大蔵大臣が言われているような、債券発行の事柄を認めるようなことに改正をしなければならぬというような含みが、十分に開発銀行法の中には考えられて出されておるものやら、そういう点はどうですか。
  120. 池田勇人

    池田国務大臣 これは復金回収がうまく行かぬというふうな場合に限定する必要はないと思います。復金回収は御承知通りに、予期以上にうまく行つているのであります。それで回収金予定通り、あるいは予期以上に行きましても、なおそのときの情勢によりましては、政府出資をふやすとか、あるいは債券発行制度を認めるとか、いろいろな点で、そのときどきに応じた施策を講じなければならぬ。今法案に、債券発行がないから、今後永久に債雰の発行をやらぬのだというふうな考えは持つておりません。情勢によつて考えて行くべきものだと考えております。
  121. 川島金次

    ○川島委員 そうすると、将来の情勢によつて、そういうことが考えられることを含みとしておるということが、明らかになりましたが、その場合に将来のことを今論議するということはどうかと思うのです。大臣も若干考えておつたのではないかと思うのですが、銀行へ外資の導入という形で債券発行の場合考えるというようなことが、大蔵大臣の最初の考え方の中に、どこかにあつたというような意味のことも私どもはほのかに聞いておるのです。そういうことは将来の問題として考えておるのか、おられないのか、その点も明らかにしてもらいたいと思います。
  122. 池田勇人

    池田国務大臣 これはこちらの受入れの態勢に乗つて来るか来ないか、相手のあることでありますから、一応の外資の導入の考え方といたしましては、事業会社と向うの事業会社、あるいは向うの金融機関等と直接結びつく場合もあります。また日本銀行がシンジケートをつくつて結びつく場合もありましよう。あるいは既存の一金融機関がやる場合もありましよう。そういう場合において開発銀行なんかは、その一金融機関としてのつながりを持つことがあるかもしれぬ、こういうことは考えられると思うのであります。しかし今外資の導入でいろいろな問題がありますのに、借入金をやるというふうに大きく間口を初めから広げるかどうかということは考えものでありますから、考慮の結果一応間口を広げずにやつてみよう、こういう考えになつたのであります。
  123. 川島金次

    ○川島委員 それでは次にお尋ねしますが、この開発銀行は、法案が通ると同時に出発する準備になつておるらしいのですが、この銀行においては、もつぱら開発資金というものが重点になつでいるらしい。しかし市中銀行から長期金融を受けておりますものの肩がわりをすることも考えられておる。そういつた二つの事柄について、開発資金の方に重点を置くということはわかるのでありますが、そういつた肩がわりで行うということについては、一体開発資金の融通とどういうふうな割合銀行を運営して行くかということについて、大体の目途があるのではないかと思うのですが、その点はどうですか。
  124. 池田勇人

    池田国務大臣 これは先ほど井出委員に詳しく申し上げたのでありますが、いろいろな場合がありますので、何割を開発、何割を肩がわり、こういうふうにはなかなかむずかしいと思います。また肩がわりの中におきましても、開発を含めての肩がわりもあるのでありますから、これもやはり銀行の経営者に適当におやりいただくようにまかすよりほかにないと思う。私が大蔵大臣としているいろいろな指示、意見は述べるかもわかりませんが、一応は銀行におまかせするのが適当ではないかと思います。
  125. 川島金次

    ○川島委員 次にこの点は井出君からもちよつと尋ねられたそうですが、その答えを私聞いておりませんので恐縮なのですが、この法案を見ますと、民主的な審議会といいますか、評議員会とかそういうものがこの銀行の中にはないことになるのですね。そうして役員の若干と五名ばかりの参與というものが出て、それで参與が諮問に応ずるといつたような形になる仕組みであるのでございますが、私どもの見解からいいますれば、何かもつと強い、そうして民主的な自主的な立場を持つた審議会的な機関というものが、この銀行の運用を全からしめる意味においても必要じやないか、こういうふうにわれわれは考えられるのであります。しかしこの法案にはどこを見てもそういうものがない。復金にもかつてはそういつた審議機関を持つたことがある。しかし審議機関があつたからといつて、必ずしも満足であつたとは私は思うのではないのでありますが、そういう形をとるという方が好ましい行き方ではないか。その方がすつきりじた姿が出て来るのではないかというふうにさえ私は強く感ずるのでありますが、その点はどんなふうですか。
  126. 池田勇人

    池田国務大臣 政府職員の間におきましても、そういう議論があつたのでありますが、絶対に相ならぬというので私は反対してやめたのであります。これはそういう機関がありますということは、ほんとうに責任の所在を明らかにせぬことでございまして、私は金融につきまして、そういうふうな審議会なんかができて、とやかくくちばしを入れるということは、よくないと考えます。普通の銀行でも六百億、七百億の預金を運用するものでも、やはり重役陣でやつておるのであります。ただ私は産業の開発等につきましては、銀行のいわゆる取締役だけでなしに、ある程度やはり民間の人の意見を聞くことも必要かと思いまして、参與という制度を、輸出銀行には置いてありませんが、これに置いたのでありまして、これで私は十分だと考えております。各省の役人が行つたり、いろいろな人で審議会を設けるということは、私は運営上よくないという考えを持つておりますので、あえてこういうふうにいたしたのであります。
  127. 川島金次

    ○川島委員 それで大蔵大臣池田さんは、痛くない腹を探られているんです。池田さんは今度開発銀行をつくつて、しかも審議会はやめてしまつた。うちうちの参與の四人か五人をピツク・アツプして持つて来て、形式上審議機関にする。池田さんは将来自由党の総裁になることを志して、これを中心として大いに勢力を拡張をしよう、これはじようだん半分でありますが、そういうことで痛くない腹を探られておるわけであります。しかしこういう重大な金融機関でありますから、なるほど審議会を持つようなことにおいても、弊害があることは私も認めます、しかし審議会などがなくて、ただ参與的な者が幾人かおつて、総裁その他の役員で独断的にやり得るような形がどうしても浮び上つて来る。そうすると、やはり国民から——池田さんはそういうことは毛頭考えていないだろうが、しかしそういう陰口を言う者もできて来るというのは、やはりこういう形の上において国民が即座に納得のできないような形をもつて進んで来ておるというところに、そんないらざる陰口が出て来るのではないか。審議会はやはりそういつた弊害もあるが、しかし長所もあると私は思う。そういうものがないと、やはり何かしら銀行の当事者だけが専断的に仕事を進めて行くということになりがちだと思う。そこにまた、審議会があるための弊害よりも、もつと大きい弊害が生れて来るという可能性も十分にあるわけであります。そういう意味で、私はもちろん審議会にあまり多数の人間を置くということはどうかと思いますが、やはり一般の国民が見て納得のできる程度のそういつた機関を併置するということが、最も好ましいのではないかと私は思うのであります。そういうことであえてお尋ねをいたしておるのでありますが、それはこれ以上申し上げません。  そこでその次にお尋ねするのですが、この法案は忽然としてきのう出て来た。ところが一週間前から開発銀行の総裁の候補者が新聞をにぎわしております。何か大蔵大臣が折衝したかのように、そうして総裁に就任されると目されておる候補者の富国生命の社長の談話などが新聞紙をにぎわしておる。非常に軽卒もはなはだしい。また国会の権威を軽視するもはなはだしい事柄じやないか。なるほどその準備は必要だと思う。その点はわかりますが、しかしまだ法案が出ないのですよ。国会にさえ出て来ていないにもかかわらず、何か池田大蔵大臣が交渉されたり、あるいはその総裁の候補者が、総裁の就任のあいさつと同じような談を新聞に発表しておる。まことにこれは奇怪な現象である。こういう事柄について、一体真偽のほどはいかなることになつておるのですか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  128. 池田勇人

    池田国務大臣 私は輸出銀行の総裁をきめる場合におきましても、非常に愼重な態度で、それからまた大蔵大臣として輸出銀行の重役、役員には、一人も推薦をいたしておりません。今回もそうでございます。総理の意見は一応聞きました。しかし何も確定したものではございません。銀行自体がまだできていないのであります。何か総裁に擬せられた人が抱負なんか言つたということでありますが、私はその新聞を見ておりません。新聞記者が先走つていろんなことを書くことはいけないことだと思うのでありますが、各国と違つて日本の新聞は人事を早く知りたがつて、早く出すのは、日本の新聞の通弊でよくないと思います。しかしいろいろ交渉をされ、内意を聞くというようなことは、総理大臣がやられたことでいたし方ないことと思います。何も確定したわけでありません。また確定しようもないのであります。
  129. 川島金次

    ○川島委員 ところが、確定のしようがないといつても——、日本の新聞がニユース・ヴアリユーを急いで早く報道するということが、一つの通弊という言葉はどうか知らぬが、そういうことはあります。しかし、火のないところに煙は立たない。火があつたのです。あつたから、そういうように本人が堂々と就任のあいさつまでしておるのです。富国生命の社長はおそらく総裁になるのじやないか。なつたらその通りだと思う。なつたら問題だと私は逆に思う。そういうことについて、政府はもつと愼重であつていいと思う。本人としても、ほんとうに何か秘密裡にそういう交渉があつたとすれば、そういうことは発表できる筋合いのものではない。ところが堂々と発表しておる。就任したと同様なんです。決意まで述べておる。ああいう記事を見ますと、一体国会の権威はどこにあるのか。法律さえもできていないのに、政府はかつてに人選を進めておる。国会の権威を無規するもはなはだしい。政府はああいうことに対しては嚴に注意してもらいたい。そうしてああいう人間は使わぬ方がいいです。ことにこういう重大な仕事、日本経済自立に大きな役割を果そうという仕事の、かりそめにも総裁になろうという男が、どういう楽屋話があつたかしらぬが、軽卒に新聞記者に談話を発表するような不謹愼きわまるような人間は、この大事業の総裁になる資格はないと思います。私はどういう人か知りませんよ。見たことがないから知らないけれども、あれが事実だとすれば、そういうことになる。いかに吉田さんが決意しても、いかにも軽卒なああいう人は使わないということに、大蔵大臣の心臓でもつてやめさせる方がいいと私は思う。そこで最後に、もうこれで国会もあと二、三日で終りになります。われわれも一日から地方へ帰りまして、町村会議員等の地方選挙に入らなければならぬ。選挙に入りますと、国民から、政府財政経済政策等について、いろいろ質問を受ける場合がある。そこでまことに恐縮なんですが、最後に一、二点、この法案とは直接関連はございませんけれども、大蔵大臣の所見を伺つて、それで私の質問を終りたいと思います。  第一にお伺いいたしたいのは、先般新聞の報道するところによりますと、これはまた新聞というと、大蔵大臣はそれは通弊だからわしの知つたことではない、こういう話が出るでありましようけれども、選挙に入つたら一箇月ばかり会えないから、大蔵大臣の本音を聞いて、私は地方へ帰りたい。それで新聞の報ずるところによりますれば、本格的な補正予算をおそくとも六月か七月には出す、こういうことが報道されております。そうかと思うと、これと符節を合するように、自由党の政務調査会の発表ですか、給與ベースの引上げを考えておる、それも至急の間に、臨時国会ないし来る五月あたりの国会でその実現に努力するというような、選挙を控えてきわめて微妙な発表が行われております。そういうことがなくても、われわれはこの委員会において先般来、今度の二十六年度予算は、近いうちに大幅な補正をしなければならぬ必至の運命に置かれておる予算であるということを、繰返し繰返し強調して来た。最後には大蔵大臣もすなおに、そういうことの必要があるような印象を受ける言葉でわれわれに答弁をされております。給與ベースの引上げ、物価の上昇に伴う物件費の補正、あるいはまた経済安定本部あたりで最近ちらちら放送されておりますし、また農林省でも放送しておりますが、米価のパリテイ指数が今日では一九五でやつておるけれども、五月、六月ごろにはおそらく二二五くらいになる、こういうふうに予定をいたしまして、この面においてどうするかというような問題、消費者価格を一ぺんに上げることもできないだろうし、上げることができなければ、やはり何らか財政的な措置をしなければならぬ、こういうようなこと、あるいはわれわれが先般来申し上げて来ました輸入食糧の問題に伴う三百二十万トンの実現を期するためには、これまた食糧の値上り、運賃の大幅な値上り等々を勘案して、結局相当額の補給金が必要になつて来る。あるいはまた燐鉱石の補給金などについても考えなければならぬ。いろいろなことが重なり合いまして、どうしてもこれは補正予算を近い時期にやらなければならぬ。是が非でも政府はそういう運命に立たされておることが想像されるのであります。そういう見解に立つたときに、大蔵大臣はこの二十六年度のいわゆる本格的な補正予算を、一体いつごろやるつもりなのか。おそらくもう大体の含みがあるのではないか、そういう用意もぼつぼつされておるのではないかというふうに私どもは想像しておるのです。その点についてこの機会に、大蔵大臣の具体的な見解、正直なお話をわれわれは国民にかかわつて聞いておきたい、こういうふうに思うわけであります。
  130. 池田勇人

    池田国務大臣 参議院でもよく聞かれたのでありますが、私はあなたの言われる本格的の補正予算を五月、六月、七月に組む考えは毛頭ございません。これはございません。しかし経済事情に伴つて、秋とかあるいは来年の一月ごろに、あるいは相当大幅の補正予算を組むようになるかもわからぬ。これは昭和二十四年にしましても、二十五年にしましても、かなりの補正予算を組んだことは、御承知通りであります。ことに今のような世界情勢から申しますと、一切本格的な補正予算を組まぬとは言われない。しかしただいまのところ、お話のような本格的な補正予算を五月、六月に組む、いわゆる予算を組みかえるというような考えはただいま持つておりません。ただ問題は、個々の問題が起つたときにどうするかというと、これはやはり政治というものはそのときの情勢によつて考えなければならぬ。開発銀行につきましても、本国会中に補正予算を組んだのであります。今御審議つております。だから五月、六月にごくマイナー・ポイントと申しますか、そのとき発生したことについて補正予算を組む必要があつた場合には、例外的なものは考えなければならぬと思う。たとえば今問題になつておる燐鉱石の補給金、あるいは国家警察の増強の問題について、あるいはそういうことがあるかもわかりません。しかしそういうようなことは、全体に影響する問題ではないと考える。それでは公務員の給與をどうするか、これはもう少し様子を見なければ何とも言えぬ問題でありますが、今からどうだこうだと、あなたのお考えになつているような全般的な補正予算を五月、六月に組むというような考えは全然ございません。御了承願います。
  131. 川島金次

    ○川島委員 それで非常によくわかつたのです。言葉きたなくいえば、自由党のインチキ性ということが非常にはつきりして来た。政務調査会では七月にベース・アツプ一千円程度をやる、こういうふうにきめたと私は思います。新聞紙上ではそれを三段抜きぐらいにして一斉に扱つたことは、おそらく大臣も御承知だと思う。今のお話によりますと、自由党が地方選挙を前にして、政務調査会の決定と称して天下に発表した公務員の一千円ベース引上げの問題は、これはうそだということになる。しかも七月ということを明確にあのときうたつておる。この点は、自分の党から出しておる、しかも練達堪能な池田大蔵大臣に話合いをせずに、政務調査会が単独ではきめないと思う。これは政党の本来の形として、自分の方から出しておりまする財政担当者の池田さんと、政務調査会との間に緊密な連絡を持つて、そしてああいうものが決定された、こういうふうに私は信じて、いよいよ自由党もほんとうに池田さんと話合つた上で、ベース・アツプをやるのだな、こういうふうに私は考えたのであります。公務員の連中は、物価上昇、生計の実態からいいまして、たいへん気の毒な面が出ております。そこで自由党も非常にその点に関心を持つて来たな、こういうふうに私は半分くらいは感心して実は新聞を見たのです。ところが今の大蔵大臣の話によると、もう身もふたもない、まつ赤なうそみたいなふうに、聞きようによつてはとれる。その点は政務調査会と大蔵大臣との間に連絡も何もなくて、ああいうものが出たのかどうか。党内においてもあなたは相当な地位にある人です。おそらく話合いがあつたと私は信じたのです。信じたので、そういうお尋ねをしたのです。その点のいきさつはどういうふうになつておりますか。まことにくどいようですけれども、これは重大なことです。そこでお尋ねをしたい。
  132. 池田勇人

    池田国務大臣 私としては党との連絡も考え、また内閣の政策につきまして、日夜想をめぐらしております。従いまして給與ベースの引上げをやらなければならぬようになつたら、七月を待たずにやるかもわかりません。しかし今のところは、人事院も言つておりますように、データが十分にそろつておりません。従いまして、愼重に検討いたしておるのであります。しかして給與ベースを引上げたら、全面的の補正予算になるかどうかという問題になりますと、これは解釈の違いがありましよう。そこで私は、今の速記録をごらんになりましても、物件費その他と言つておるのであります。私は最もよい政治をしたいのでありますから、給與の引上げが必要とあらば、何どきでもやることのできるような態勢は整えておりまするが、お話通りに、補給金がどうなるとか、米価がどうなるとかいうような、経済の根本に触れるような補正予算は、六、七月ごろにやろうとは考えておりません。しかしこれは生きものでございますから、今こう言つたから絶対に補正予算を組まないというわけではございません。いろいろな情勢が起りますから……。ただ今のところでは、根本的な物価の問題とか————給與も物価に関するといわれるかもしれませんが、輸入食糧の補給金とか、非常に大きな問題を加味したような補正予算をつくろうという考え方は持つておりません。ただ給與の問題と聞かれますから、物価の情勢によつたら、あるいはやるかもわかりません、やらぬかもわかりません。しかしそれは本格的に補正予算を組む、組まぬの問題ではございません。私は給與の引上げについて必要とあらば、これは大きい補正予算とは思いませんが、やるかもわかりません。この点はわれわれは十分検討しなければならぬと思つております。
  133. 川島金次

    ○川島委員 そうすると、本格的な補正予算は今のところやらぬ。しかし給與ベースの引上げを七月ごろやるという意味にも聞えるのですが、やるかもしれぬ、やらぬかもしれぬ、そういうことではいけません。それは政治の衝にある責任者が使うべき性質の言葉ではないと思う。われわれが使うならまだいいけれども、しかし全国民の、最も現内閣において注視の焦点になつておるあなたの一言一句というものは、実に響きが大きいのです。そのくらいだから、あなたはそれだけ偉くなつてしまつた。だからあなたの一言一句というものは、実に国民に大きな響きを與える。そういう立場にある方が、やるかもしれぬ、やらぬかもしれぬ、そういうでたらめなことだから、金のある者は米を食え、ない者は麦でも食つておれということになつてしまう。それはいけないと私は思う。  それでどうも大蔵大臣答弁もいささかまじめさを欠いて来た。これ以上、まじめさを欠いた大臣を相手にしてきようは問答をすることは無用だと私は思うから、この程度にしておきますが、最後にこれもうなぎ門答になつてしまえばそれまでですが、もう少しまじめに答弁ができればしてもらいたいのです。  実はこのごろ、糸へん景気、金へん景気とかいうことが非常にいわれておる。なるほど糸へん、金へんの景気が特需を中心として、非常に大きな利益を上げておる面がだんだん出て来ました。こういう経済の正常ならざる形において、偶然の機会でえらく利潤を収めておる層に、私は国民経済の見地、日本の財政の見地等から見まして、この際何らか大蔵大臣は特殊の税法をつくつて、特殊の課税を実施し、そして国民租税の負担の公平を期するとともに、財政の充実を期するという事柄も必要ではないか、こういうふうに思うのです。そういうことについて、大蔵大臣池田さんはどういうふうに考えておるかということと、それからもう一つついでに聞いてしましますが、先般これまた新聞紙上で私は拝見したのですが、通商産業省の省議の決定という前ぶれで、中小企業者も課税の面においては、勤労者並に扱うという税制改革を実施したい。これは日本社会党がすでに三年前から声を大にして主張し続けて来たことですが、ことに私はその主張者の一人であります。そういうように通商産業省の省議で決定して、これを大蔵省と折衝するやに伝えられた新聞が二、三あつた大蔵大臣は、通産省からそういつた事柄についての、話なり折衝なりを受けられたかどうか。またそういう問題について、大蔵大臣はどういうふうに考えておるか。この二つのことについて最後にお尋ねをいたしまして、私の質問を終ります。
  134. 池田勇人

    池田国務大臣 川島さんはふまじめとおつしやいますが、私がこの地位におりまして、ここで今公務員の給與を七月から上げるとか上げないとか言えたものではございません。人事院総裁も一週間ぐらい前に、まだデータがそろわないから何にも言えないと言つておられます。私は今の地位におりまして、そういうことは今言えたものではないが、そういう問題については十分検討を加えております。しかし左か右かということは言えません。これはふまじめではございません。まじめだからそういつておるのです。米、麦も出ましたが、昔は米、麦ではない、すいとん、やみいもの話だつたのです。それが米、麦を議論されるようになつたのは、よほどよくなつたのではないかと正直に言つたわけで、決してふまじめな話ではありません。  次に今の糸へん、金へん景気によつてもうけた人がおるから、これに税をうんと課税したらどうかという議論はずつと聞いております。しかし今の日本経済状況からいつて、せつかく伸びかかつたものを二葉でつむということは考えなければならぬ。もう少し大きくなつたら、枝を落し、いらぬ葉をとつて、伸びのよくなるようにすることは必要であります。今あなたが言われるように、半年やそこらの情勢でぴしやつとやるというようなことはいけないので、適当に枝葉をとつて伸ばすようにしなければならぬと思うのです。このごろ臨時利特税というようなことをいつておりますが、なかなか今の状態では、会社の内容が昔とよほどかわつておる。昔のように、再評価の問題もないようなときには楽でございましよう。しかしよほど考えなければ、半年や四、五箇月の様子を見ただけで、すぐ手のひらを返すように、政策というものは、なかなかできるものではありません。従いまして、今後の情勢を見きわめていろいろなことを考えなければなりませんので、今糸へん、金へん等のボロもうけに対してどうするということは、私は申し上げません。いろいろの点から考えなければならぬ問題だと思います。  次に中小企業の問題は、これは企業協同組合のような組合を、各種の業者がこしらえて、俸給をもらつておるというような場合におきましては、これは勤労者のような課税も適当でございましよう。お話の点がどういうふうなことを言つておられるかよくわかりませんが、とにかく実態が勤労所得であれば勤労所得のように、事業所得であれば事業所得のようにやるのであります。もしそれ、勤労所得については控除の関係があるから、中小企業の方面とか、あるいは農業所得の方面に、所得控除の制度を認めたらどうかという問題になつて来ますと、これはなかなか困難であります。各所得に所得控除を認めるとすれば、これは基礎控除の問題、税率の問題等からんで来るのであります。従いまして、御質問の点が、社会党が二、三年前から計画されておつた企業協同組合のかつこうになつて行つて、中小企業者の所得の実態は勤労所得であるということになれば、これは今の制度でできるのであります。しかしなかなかその実態が、勤労所得であるという実態にならぬ場合におきましては、これはあなた方とは意見が違いますが、事業所得として課税する場合もありましよう。だから実態によつて考えるべき問題だと思います。
  135. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 黒田寿男君。
  136. 黒田寿男

    ○黒田委員 私は昨日質問いたしましたが、少し疑問に思つておりましたものが残つておりますので、質問したいと思います。  先ほど林君の質問にも出ておりましたけれども、二十六年度の見返資金特別会計予算の、私企業投資のうちのその他の四十五億円というものを、この項目の支出としては使わないで、開発銀行の投資の対象として取扱うというように理解しておるのですが、それでよろしゆうございますか。
  137. 池田勇人

    池田国務大臣 さようでございます。これは実質的にはその分が百億円のうちから出るので、法律的にはその分を不用額にいたしまして、開発銀行における出資というのは、林君の言われたような公企業への出資でございまするから、私企業の方で出す予定つた分は、経済再建費の百億円から出して行くという考えでございます。
  138. 黒田寿男

    ○黒田委員 それで私どもは、私企業投資の四十五億円が、事実上投資せられないようになるのではなかろうかという心配を持つておるのでありますが、この開発銀行の事業計画によりますと、重要産業会社に対して百億円使う、こういうふうになつておると思います。この私企業支出のうちのその他というのは、重要産業会社と見られるような内容を持つておるのかどうか、この点を私疑問に思つておりますので、お尋ねしたい。
  139. 池田勇人

    池田国務大臣 この四十五億円は、昭和二十五年度に恥きましては六十億円でございまするが、その使用先は、石炭、鉄鋼あるいは繊維、化学肥料あるいは農林、水産関係のいわゆる高度利用、こういうものに使つておるのであります。鉄鋼とか、石炭とか、あるいは化学薬品等は大きい会社でございますが、水産物の高度ということになると、必ずしも有名な会社でないのもございます。ただ高度利用として、当然冷蔵庫建設というふうなものに使つてつたのであります。それで今までは私企業のそういうものに出します分は、個々の会社で申請をして、閣議決定をしておつた。それが今度は、開発銀行から一括して出ることになりまして、開発銀行の百億円のうちからそういうものに出しますから、今の私企業投資のうちの、いわゆる民間会社へ出す四十五億円というものは不用額として、百億円から出るのであります。私企業投資のうちの水力とか、あるいは造船につきましては、今まで通りにやつて行こう、こういう考え方であります。
  140. 黒田寿男

    ○黒田委員 私が問題としておりました点に触れられたわけでありますが、重要産業会社ということになつて参りますと、われわれの常識からいえば、中小企業とか、農業というものは一応除外せられて、いわゆる鉱工業と称せられる範囲の会社だというふうに思つております。ところが今大蔵大臣の仰せられましたように、その他の中には、常識上、私どもが重要産業会社と解釈していないようなものも含まれておつたと思います。そうしますと、これを私企業支出として使わないことにして、開発銀行投資対象とした場合、それに入らないものができやしないか。その他四十五億円というものの中で、私企業支出のその他としてならば使える金なんだけれども、開発銀行投資対象ということになつて来ると、その対象にならぬという変化が生じて、開発銀行の開設のために、農林、水産というようなものが、資金上の圧迫を受けるということになりはしないか、こういう点を心配しております。これはいかがでしようか。
  141. 池田勇人

    池田国務大臣 そこに重要会社というのは、一応代表的に書いたものでございまして、日本産業開発に必要ならば、私は出て行くと考えております。ただ開発銀行が、あまりこまかい、三百万とか五百万とかいうものについて、一々手を下すということになりますと、これは業務の運営上支障があるというので、御承知の、見返り資金から月三億円出るというものを活用させる方法もあるのであります。いずれにいたしましても根本としては、一般金融機関で出しにくいようなととろには、開発銀行から、あるいは見返り資金から、あるいは見返り資金の別わく融資から、あるいは興銀、勧銀あるいは農林中金、商工中金を通じて出す方法もあるのであります。
  142. 黒田寿男

    ○黒田委員 ただいまの問題は、結論から申しまして、その他の項目で予定せられておりましたものが、このままで行けば、見返り資金よりの私企業支出として出るのであるけれども、開発銀行の方に投資の対象が移されるということのために、結論として、農林、水産の方は、あるいは投資の対象になり得ないというような場合が起る可能性があるかどうか。はつきりそういうものにはまわすというようになつておれば、これははつきするのですが、しかし少くともそういうおそれがありはしないかと思うのですが、やはりそういう心配がございましようか。
  143. 池田勇人

    池田国務大臣 その心配はないと思います。今四十五億円でも、水産物高度利用等について出しております。今後は開発銀行もそういうことをやりますし、例の農業漁業金融の六十億円も、そういう方面に出ますので、用途先によつて、どこが動き出すかということは、やはり、今後の問題であると思います。農林水産を排除した意味ではございません。
  144. 黒田寿男

    ○黒田委員 排除した意味ではないということになりますと、少くとも本年度の見返資金特別会計予算の中で、その他の中に予定せられておりましたものは、大体開発銀行から出してもらえる、そう予定してさしつかえないわけですか。
  145. 池田勇人

    池田国務大臣 昭和二十六年度の分の予定はまだできていないと思います。二十五年度の分につきましては、先般来閣議で決定いたしまして、今予定額の六十億を越えて、一応の計画はいたしておるのであります。二十六年度の分についてどれだけということは、私聞いておりませんが、いずれにいたしましても、日本産業開発に必要な金は、ここから出すことになります。どこには出す、どこには出さぬということは、前もつてきめておりません。
  146. 黒田寿男

    ○黒田委員 どうもまだ疑問が残つておるのです。私企業支出のその他ということならば該当産業になるが、開発銀行の対象ということになると、対象にならぬという心配が依然として残るように思うが、私はきようは疑問としてこのままにしておきたいと思います。まだはつきりしないと思いますが、どうも私ども、やはり農林水産に対する圧迫というようなことになつて来るのじやないかという考えがするのであります。しかしこの点はこれで終ります。  それから再建費の方から百億円ということになつておりますが、要するに再建及び安定費から百億円だけ開発銀行の方に削られて行くということになると、大体どういうものが削られて行くことになりましようか。
  147. 池田勇人

    池田国務大臣 他の機会で申し上げたと思いますが、七百数十億円の経済再建費というものは、まだ使途はきまつていないのです。これから考えることであるのであります。債務償還に充てますかどうか、あるいはどう運用いたしますか、これからの問題でございます。従いまして、百億円これから出したからといつて、どの費目がどれだけ少くなるということは私は言えないと思います。
  148. 黒田寿男

    ○黒田委員 そう言われてしまえば話はきわめて漠然となりますが、目的がきまつておらぬのだから内訳もきまらない、こういうことになつてしまうと思いますので、これ以上御質問をいたしましても、お答えを得られないと思いますが、もう一つ念のためにお聞きいたします。開発銀行見返り資金からこれだけの金を出すというようなことになりますために、たとえば預金部資金金融債引受予定額というようなものが、司令部の方からそのわく縮小しろと言われているように伝わつておることを私耳にしておるのでございますが、こういうことになる心配はありませんでしようか。
  149. 池田勇人

    池田国務大臣 そういう考え方もなきにしもあらずでございます。御承知通りに、預金部資金の運用につきましては、四百億円を地方債のわく、他の四百億円を金融債わく、とこうしているのであります。財政資金として流す金は一応計画しておりますが、財政資金から一般私企業に出す——産業資金として出す金を全体として限定する意味ならば、経済再建費の方から出した分は、金融債の方の分を縮めたらどうかという議論が出て来るかもわかりませんが、まだ話をしておりません。そういうことも話が出て来るのではないかという気持が私の腹にはありますけれども、まだきまつたわけではございません。しかし経済再建費というものは、先ほど申し上げましたように、どういうふうに使うかということもまだきまつていない問題でありますから、どうせ出すべき金であつたということになれば、金融債の四百億円を減らさなくてもよいではないかという議論も立つのであります。
  150. 黒田寿男

    ○黒田委員 これもやはり疑問として残りますが、そうすると、あるいは金融債引受予定額を削るようなことになる可能性必ずしもないとは言えないお見通しでありますか、私どもそれを一番心配しているのでありますが……。
  151. 池田勇人

    池田国務大臣 これはそのときの金融状況によつてきめなければならぬ問題だと思うのです。だから問題は、金融債の四百億円プラス一般産業資金としての四十五億の計画だ、それから金融債四百億円プラス百億円ということになるのがよいか、あるいは両方合せて四百四十五億がよいかということは、そのときの情勢によつてきめなければならぬ問題と思います。
  152. 黒田寿男

    ○黒田委員 ではこの程度で……。
  153. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 これにて質疑は終了いたしました。午後二時半より会議を再開いたしまして討論採決に入ることといたします。本会議関係もありまするが、時間を嚴守していただきたいと思います。  暫時休憩いたします。     午後一時二十五分休憩      ————◇—————     午後二時五十三分開議
  154. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 休憩前に引続きまして会議を開きます。  これより昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)につきまして、討論に入ります。討論は通告順に従つてこれを許します。北澤直吉君。
  155. 北澤直吉

    ○北澤委員 私は昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)に対し自由党を代表し、賛意を表するものであります。  本補正予算は、日本開発銀行法案に基く予算でありまして、そのおもな内容は次のようであります。  日本開発銀行資本金は一百億円とし、昭和二十六年度予算中の見返り資金から金額出資し、必要があれば大蔵大臣の認可を受けて増資もできるのであります。さらに昭和二十六年度末に閉鎖する復金を継承することになつておりますから、その回収金は自動的に日本開発銀行の増資金となるわけであります。  次に業務の範囲は次のごときものとなつております。第一、経済の再建及び産業の開発に必要な設備の取得、改良または補修に必要な資金で、銀行その他の金融機関から供給を受けることが困難なものに対して貸付を行う。第二、開発資金の調達のため発行される社債で、証券業者等が応募または引受困難なものに対して応募する。第三、銀行などの既融資設備資金返済資金を貸しつける、すなわち肩がわりすることになる。第四、以上の場合、いずれも償還が確実で、期間一年以上のものに限られております。しこうして日本開発銀行の収支予算は、日本輸出銀行の例にならい、事業損益のみを計上し、資金貸付余裕金の運用等は、収支の予算外となつておりますので、審議される予算といたしましては、さしあたり役員十六名、新行員百七十五名とし、収入五億二千余万円、支出一億二千余万円を経費予算として計上されております。  以上が日本開発銀行の大体の性格であります。復興金融金庫が、昭電事件まで引起し、各方面非難のうちに退場しまして以来、適当なる長期金融機関の設立が各界から渇望されておりましたが、今回その実現を見ることになつたわけであります。ことに長期資金供給源として重要な役割を演じて参りました見返り資金も、講和條約締結と同時に、多くを期待し得ない実情でありますので、日本経済の自立を資金的に可能ならしめるために、この種の長期金融機関が特に必要であることを指摘したいと思うのであります。また講和後には国際金融機構に参加が考えられますので、ここに日本金融機構を整備し、その健全化をはかつておくことが必要であります。なお国内におきましては日本経済の再建、なかんずく貿易振興を目標としまして、わが自由党が目下検討しておりまする産業の合理化、近代化に即応しまするためにも、特に長期資金の必要が痛感されておる次第であります。従いまして私は本予算をすみやかに可決し、一日も早く発足させることが急務中の急務と確信するものであります。  終りに政府当局に御注意申し上げておきたいことは、第一は、貸付あたりまして、過去の手続や時間を要さないようにすること。第二は、政府が本銀行の自主性を大幅に認めて、実質的に復金の復活とならぬように注意されること。第三に一百億円では当面の長期金融を果せないと思われまするから、思い切つて資本金の増額または債券発行等によりまして、資金源を増額できるような道を開いてもらいたいこと。第四、他の長期金融機関、たとえば興業銀行や勧業銀行等との関係をしかるべく調整すること。第五、復金の吸収に際しまして、人事等に対しましては特に注意を願いたいこと。  以上をもちまして、私の本予算案に対しまする賛成の趣旨といたします。
  156. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 井出一太郎君。
  157. 井出一太郎

    井出委員 ただいま議題と相なつております昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)につきまして、国民民主党を代表いたし、これに賛成の意を表するものであります。  私どもはかねて長期金融機関の体系を整備すべきである、かような要望を提唱いたして参つたのでございまするが、復興金融金庫機能が停止いたしまして以来、この面に対する施策がまことに貧困をきわめておつたと思うのであります。その際とにもかくにも日本開発銀行というものが設置されることに相なり、もちろん百億の資金源では不満足ではございまするが、一応ここに顔を出したということに対しましては、今後の開発銀行機能がさらに拡大せられ、整備せられることを期待しつつ、ここに若干の注文と申しましようか、政府に対する警告と申しましようか、これを申し述べて賛成をいたすものでございます。  質疑の際に申し上げましたが、非常に重大な意味を持つておりまする機関に対する監査の面がはなはだ不十分である。大蔵大臣政府直属として十分監督の任に当り得ると、かように申されておりまするが、かつて復興金融金庫の例もございますので、こういう点、さらに何らかの配慮を願いたい。さらにまた従来資金を流しましても、その爾後のことにつきましてほとんど注意が届いておらない。あるいはまた資金を繰出す際に非常にスロー・モーシヨンである。こういうような点に対しても十分な御注意を願いたいと思うのであります。また本日午前中の論議の中にもございましたように、開発銀行人事に対しましても、まだ法律が制定もされておらぬ際にもかかわらず、すでに巷間いろいろなうわさが飛んでおる。これはまことに、不明朗であり、不愉快でございます。どうかこの人事に対しては極力慎重を期せられますことを希望いたす次第でございます。ことにこれが政府権力のもとにおいて、あるいは政治的にゆがめられるというようなおそれを非常に懸念いたしまするがゆえに、この点については至公至平であつていただきたい。さらにただいま北澤委員からも最後に幾つかの希望條件が付せられておりましたが、たとえば資金源泉の拡大でありまするとか、その他の点につきましても希望を申し述べまして、以上簡單でありますが、賛成討論にいたす次第であります。
  158. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 勝間田清一君。
  159. 勝間田清一

    ○勝間田委員 日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程になりました昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)に対して賛成の意を表するものでございます。  私ども日本社会党は、従来まで総合的な計画に基いて、日本の産業の発展をはかつて行かなければならないし、同時に日本の産業の近代化をはかつて行かなければならぬという考え方から、政府投資による長期資金機関の設立を要望いたして参つたわけでございまして、その意味におきましては、本案は適切であると私どもは考えるのであります。しかしながらこの機関の運用に対しては、従来の復金等の運営等を考えてみても、経験上きわめて重大な問題をたくさん内蔵いたしておるわけでございまして、なかんずくこの資金がいかなる方法で、いかなる部面に投資されて行くかということは、今日の国際情勢状況、あるいは国内の状況から考えてみまして、きわめて関心の高い問題だと思うのであります。私どもがまず第一に考えねばならぬ事柄は、日本の自立計画というものを中心とした一つ産業開発計画でなければならぬということでありまして、このことは最近とかく伝えられる日本工業のあるいは日本産業の軍需的な協力の面に使われて行くというようなことがあるといたしまするならば、これはまことに恐るべきことでありまして、やはり日本の確実な平和産業の再建と、国民生活水準の引上げという問題が中心となつて作成されるところの、いわゆる自立経済確立の一環として、これをどうしても取上げていただかなければならぬと私は考えるのであります。この面をさらにわれわれはもう一つ推し進めて考えて行くといたしますれば、この運用がもつと民主化されて行かなければならないのではないかと考えるのでありまして、本案の基礎になつておりまする開発銀行法に対しましても、従来復金等にしばしば見られた審議制度というようなものについて、本案はほとんどないようでございます。もちろん従来の審議制度というものを私どもは主張するものではございませんが、どうしてもやはりその面をさらに拡充して行くことなくしては、こういう政府資金の利用ということは、きわめて危険を伴うと考えるのでございまして、運営についても、その面のことは格段の努力が必要だと私は思うのであります。なお本案の提出の仕方なり、あるいは先ほど来民主党からもお話があり、またわれわれの党の川島委員からも発言を求められたように、人事等についてきわめて不明朗な経過をとつておることは、私どもきわめて遺憾とするところでありまして、最近における政府人事について、私は猛省を促すと同時に、この機関人事についても、特に愼重を期していただきたいと存じます。なお本案には債券発行の問題がまだ明白でないのでございまして、この問題も大きく討論を要する問題でありますが、いずれにいたしましても、私どもは以上のような運営についての條件を付しまして、本案に賛意を表する次第でございます。
  160. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 林百郎君。
  161. 林百郎

    ○林(百)委員 私は日本共産党を代表しまして、昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)に反対の意思を表明するものであります。  これは池田大蔵大臣は、日米経済協力とは全然関係ないと盛んにその点を強調されておるのでありますが、しかしこれがやはり吉田・ダレス会談後急速問題になつて来ました日米経済協力の一環として、ことに金融の面で重大な役割を果して行くということは、否定できないことだと思うのであります。御存じの通りに、日米経済協力が最近特に問題になつて来ましたのは、アメリカの厖大な軍事計画の下請として、日本の産業を軍事的に再編成するということが重大な問題になり、さらに新聞に伝えられるところによりますと、三月六日周東、池田大臣によつて日本経済の調査に関する報告というものが、関係方面に出されておるということすら報告されておるのであります。また周東安本長官がマ——カツト経済科学局長と会つて、その際アメリカ側からニブロー計画に基く厖大な日本の産業経済機能の調査を命ぜられておるということは明らかであります。これはおそらく今後の事実が、いかに日本の国の産業がアメリカの大きな再軍備の経済の一環として再編成されておるかということを明確に現わして来ると思うのであります。現に吉田内閣の基盤であるところの資本家の陣営において、これは関西の資本家の陣営においても、日米経済協力の問題がもう具体的な日程の問題となつておる。  第一にはこの日米経済協力の問題について、日本の産業の材料、原料をどうして確保できるかという点が第一に保証されなければならないということ、それから施設を拡大した場合、もしその反動が来たときに、日本経済のこうむる影響はどうなるかということについて、非常な深い関心を持つておるということ、それから日米経済協力の一環としての日本の産業の再編成をする場合に、一体熟練工をどう補充するかという問題、さらには外交的な問題としては、米ソの関係が立ち直つてむしろ親善的な関係なつた場合に、アメリカの軍事計画の一環としての日本の産業が軍事的に再編成された場合、その影響はどうなるのか、一体アメリカの軍隊はいつまで日本にいるのか、アメリカが経済的な倫理をどの程度つてくれるかということについては、関西の実業家としても大きな関心を持つて、意見書としてすでに政府に出されておるはずであります。結局腹の減つた料理人にアメリカはたくさんの肉を料理はさしてくれるけれども、幾ら腹の減つた料理人に食わしてくれるか、事によつたらかすも食わしてくれないではないかというような、たとえをもつてすら日米経済協力の問題について、重大な関心を日本経済陣営が現わしておるということは明らかなことだと思うのであります。結局この日米経済協力の問題としてこれが促進するにつれて、日本の乏しい資材と製品が飢餓的な輸出を強行されることになり、むしろ掠奪的な輸出が進められる。このために日本経済が非常に破壊されるのではないかということが憂えられる。この日本経済の将来にとつては、非常な憂うべき状態を包含しておるところの日米経済協力の一環として、金融的な面を受持つ役割を持つて開発銀行が現われて来たということは、否定できない事実だと思うのであります。しかもこの開発銀行の資本として見返り資金が百億投資されるということは、見返り資金は御存じの通りに、実質的には関係方面の支配にある金であるということ、これが全資本金として投資されることになれば、この開発銀行が資本を通じて関係方面の大きな掌握のもとに動かさざるを得ないことになるということ、要するに政治的な隷属をしいられて来るということは単なる杞憂ではないと私は考えるのであります。ことに新聞紙の伝えるところ、あるいはそのほかの情報によりますと、将来のアメリカからのクレジツトの受入れ機関として、あるいは将来講和が成立した場合のマーシヤル・プランの日本版としてのアメリカE・C・Aの協力機関として、これが一端の役割を果すものであるということは、すでに日常の新聞紙ですらこれが報ぜられておるのであります。こういう意味におきまして……(「大臣答弁……」と呼ぶ者あり)大臣答弁いかんにかかわらず、秘密外交の一環をになつておるところの池田大蔵大臣は、この点は極力否定しておるのでありますけれども、われわれはこの開発銀行の設立の経過——ダレス・吉田会談後突如として、これが具体化され、予算がすでに参議院を通過しておるにかかわらず、これをあえて通さなければならないということ、しかも一方では日米経済協力の問題が具体的な日程として上つて来ている際に、この開発銀行見返り資金出資としてできているということについて、明らかにこれは日米経済協力の一環としての役割を果すものであるということは、おそらく後日私の主張が正しいか、池田大蔵大臣の主張が正しいかは、明瞭に事実がこれを証明してくれると思うのであります。私はこういう意味でマーシヤル・プランの日本版としての、アメリカ経済協力局の下請機関としての性格を持つこの開発銀行の設立については、こうした日本の産業と経済を隷属的な地位に追い込む役割をこれが持つという点において、まず第一に反対したいと思います。  その次の問題としましては、復金との関係でありますけれども、復金債の償還は、先ほども私が池田大蔵大臣質問して明らかになつたように、やはり一般会計から、われわれの税金と、一部見返り資金とによつて償還されておるのでありますが、いずれにしてもこれは国民のふところから出ておる金であるということは間違いないのであります。従つてすでに復金債の財源がわれわれ国民のふところから出た金で償却されている以上、その貸付金回収された場合には、これがやはり一般国民の民生の安定、減税だとか、あるいは国民の生活安定の上に還元されるのが本来の立場だと思うのであります。ところが復金債は国民のふところから出た金で回収され、そしてまた貨付金が回収され、それが一部の巨大独占資本に投資されるということになれば、これは復金債の場合、また開発銀行の場合、いずれをも通じて人民のふところが犠牲になり、国家財政の保証のもとに巨大産業に資本が投資されるということになると思うのであります。池田大蔵大臣は口を開けば資本の蓄積、資本の蓄積と言う。日本の独占資本それ自体が資本の蓄積のできるようなあらゆる保護政策をしておる。先ほどの話にもありますように、日本の資本家がやつと二葉の芽を出して来た——非常に御親切な言葉であります。この二葉の間に刈りとつてはならぬ。やがて枝が出たときには枝を払うくらいのことはしますけれども、まだ二葉の間は保護したければいけないといつて日本の独占資本の将来について非常に御親切な言葉を吐いております。しかし一般の人民の生活の破綻については、何ら心を込めた厚き言葉は出ておらないのであります。この点私はこの開発銀行の設立を通じても、やはり一般人民大衆の乏しい資金が国家財政の形に吸収され、それが日本の独占資本に投資されて、国家財政の保護のもとに日本の独占資本を再び回復させて、それをアメリカの軍拡経済の一環として使わせようとしていることは明らかなことであります。こういう意味において、私は復金との関係においても、開発銀行の設立が人民の犠牲のもとに国家財政資金として独占資本に資本を投入しようという点には、これは賛成できないのであります。  われわれは以上二点、要するに日本経済開発銀行を通じてアメリカに隷属的な立場に追い込む一つの役割を開発銀行は果すということ、この資本が復金と結びつくことによつて復金回収金が当然人民の生活の面に還元されなければならないものが、再びこれが開発銀行を通じて、日本の独占資本に再投資されるということ、この二つの点において、開発銀行の設立並びにこの予算については断固反対するものであります。
  162. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 黒田寿男君。
  163. 黒田寿男

    ○黒田委員 私は労働者農民党を代表いたしまして、昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)に反対をいたしたいと思います。簡單に要旨を申し述べます。日本開発銀行構想は、開発銀行法案によつて示されておりますこの銀行の目的を文字通りそのまま解釈いたしますだけでは、あえてこれに反対する理由は見出せないようにも思われるのであります。経済の再建及び産業の開発を促進するために、長期資金の供給機関が必要であるということ、また一般金融機関が供給をなし得ない実情にあることは明らかであります。しかしながらそれにもかかわらず、私どもは日本開発銀行に関する本補正予算案に反対しなければならないというのは、次の理由によるのであります。  その第一は、ただいま林君も触れられましたが、この銀行の設立の表面上の構想いかんにかかわらず、その背後に隠されておる真の意図があつて、私どもはそれに反対しないわけに行かない、こういう点であります。朝鮮動乱の発生以後における国際情勢の急激な転換に応じまして、世界的に軍拡経済態勢が確立されつつあるのでありますが、わが国経済もその影響を受けて、具体的には日米経済協力態勢の確立という形を通じて、わが国の工業力をアメリカの軍事生産力の補完的要素として動員しようという構想のもとに、政府機関、たとえば安本、あるいは通産省等が着々とその準備を進めておることは明らかであります。政府がどのような弁解をせられようとも、私どもはそのくらいのことがわからないばかではないのであります。講和会議の形式上の進展いかんにかかわらず、実質的にはこうした経済態勢の確立に向つて、着々とその工作を進めておる、これは真実であります。この銀行の設立は、経済協力態勢の金融部面を担当すべき目的を持つておるということは、私どもは、政府のいかなる弁解にもかかわらずそう考えておるのであります。私どもはわが国があくまで平和主義の方針をもつて進むべきであるということを考えておる。この方針が嚴守せらるべきであると考えておりますので、従つてわが国の産業構造は、あくまで平和産業の確率、その拡大強化という方向に向けて進められるべきであると思うのであります。この見地から私どもは軍需産業の復活、その拡大強化に向つてわが国の産業を再編成しようとする意図には、絶対に反対をせざるを得ないのであります。この経済の協力態勢の確立に反対し、従つて私どもはその金融部面の担当者たる使命をもつて設立されることが、この銀行のねらいであると考えますので、この予算に反対せざるを得ないのであります。  それから第二には、これは予算案の内容から見まして、昨日並びに今日にかけての政府との質疑の上では必ずしも明瞭にはなりませんでしたが、しかしこの予算見返り資金からこの銀行出資するということになつているその出資の仕方の中に問題がある。二十六年度予算案において見られる見返り資金の使途の内容の変更になる、この点に照してみて、第一には、従来でもそうでありましたように、重要産業への投資のために、これからの時代におきましては、それは軍需生産を目的としておるような産業への投資になる、そのために農林水産業等への投資が圧迫せられるという危険性がある。私はそう見ておるのであります。  それからこの予算に、百億円を見返り資金から出資することになつておりますが、このことのために預金部資金の二十六年度における金融債引受予定顧のわくに対する圧縮が実は現わされるのではないかと思う。これは單に危險性というだけでなくて、どうもそうなるような気がするのでありまして、そうなるとこれが地方債発行等に対する圧迫となつて現われるおそれがあり、地方の農民経済に対し金融上の悪影響を及ぼすことになる。私にはそういう成行きになるような見通しが立てられるのであります。こういう点から申しましても、私どもはこの案に賛成することはできないのであります。  私は以上の二点をもちまして本案に反対をいたします。
  164. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 討論は終局いたしました。  これより採決をいたします。原案に賛成の諸君は起立を願います。     〔賛成者起立〕
  165. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 起立多数であります。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお本案の報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 御異議がなければその通りにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十六分散会