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1951-03-28 第10回国会 衆議院 予算委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十八日(水曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 小坂善太郎君    理事 有田 二郎君 理事 橘  直治君    理事 西村 久之君 理事 橋本 龍伍君    理事 川崎 秀二君 理事 川島 金次君    理事 林  百郎君       天野 公義君    井手 光治君       尾崎 末吉君    角田 幸吉君       甲木  保君    北澤 直吉君       田中 啓一君    玉置  實君       苫米地英俊君    中村  清君       中村 幸八君    井出一太郎君       今井  耕君    北村徳太郎君       平川 篤雄君    戸叶 里子君       横田甚太郎君    小平  忠君       黒田 寿男君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君  委員外出席者         專  門  員 園山 芳造君         專  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 二月二十七日  委員岡延右エ門君、小川平二君及び山本利壽君  辞任につき、その補欠として有田二郎君、坂田  道太君及び北村徳太郎君が議長指名委員に  選任された。 同月二十八日  委員黒澤富次郎君、永井要造君及び船越弘君辞  任につき、その補欠として江花靜君、久野忠治  君及び鈴木正文君が議長指名委員選任さ  れた。 三月一日  委員江崎一治辞任につき、その補欠として川  上貫一君が議長指名委員選任された。 同月七日  委員庄司一郎辞任につき、その補欠として藤  枝泉介君が議長指名委員選任された。 同日  委員藤枝泉介辞任につき、その補欠として庄  司一郎君が議長指名委員選任された。 同月二十三日  委員川島金次辞任につき、その補欠として淺  沼稻次郎君が議長指名委員選任された。 同月二十六日  委員淺沼稻次郎君及び松澤兼人辞任につき、  その補欠として川島金次君及び勝間田清一君が  議長指名委員選任された。 同月二十八日  委員小林信一辞任につき、その補欠として平  川篤雄君が議長指名委員選任された。 同日  橋本龍伍君及び川島金次君が理事補欠当選し  た。 同日  理事上林山榮吉君の補欠として有田二郎君が理  事に当選した。     ————————————— 三月二十七日  昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第1  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第1  号)  理事の互選     —————————————
  2. 小坂善太郎

    小坂委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたすことがあります。理事橋本龍伍君及び川島金次君が先般委員辞任されまして再び委員選任されたのでありまするが、手続理事補欠選任をいたすことになつております。これはやはり橋本君及び川島君に理事をお願いすることにしてはいかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小坂善太郎

    小坂委員長 御異議がなければその通りに決します。     —————————————
  4. 小坂善太郎

    小坂委員長 これより昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)を議題に供します。まず政府説明を求めます。池田大蔵大臣
  5. 池田勇人

    池田国務大臣 今回提出いたしました昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)について御説明申し上げます。  この補正予算は、今回設立することと相なりました日本開発銀行に関するものであります。日本開発銀行は、長期資金供給を行い、または一般金融機関が行う長期資金供給を容易ならしめることにより、経済の再建及び産業開発を促進するため、一般金融機関が行う金融を補完し、または奨励することを目的として設けられるものでありまして、その資本金は、設立当初におきましては百億円とし、政府昭和二十六年度において米国対日援助見返資金特別会計からその全額を出資することといたしております。なお必要があるときは大蔵大臣の認可を受けて、予算の範囲内でその資本金を増加することができることとなつておるのであります。  日本開発銀行収入支出予算は、日本輸出銀行の例にならい、事業損益のみを計上いたしておりまして、資金貸付余裕金運用等収入支出予算外に経理いたすことと相なつております。  日本開発銀行昭和二十六年度の収入予算は、貸付金利息余裕金運用利息及び雑収入を合せまして、事業益金として五億二千六百余万円を予定いたしております。  また支出予算は、役職員給與、その他の事務費及び税金を事業損金として八千五百余万円、予備費として四千万円、合計一億二千五百余万円を計上いたしております。  日本開発銀行設立に伴いまして、復興金融金庫昭和二十六年度末までに政令の定める日をもつて解散いたすこととなつておりまして、その権利義務解散のときに日本開発銀行が承継することとし、復興金融金庫解散のときにおける政府の同金庫に対する出資金は、日本開発銀行に対する貸付金なつたものとみなすことにいたしております。  以上をもちまして、日本開発銀行に関する予算の御説明を申し上げました。何とぞ御審議をお願いいたします。
  6. 小坂善太郎

    小坂委員長 これより質疑に入ります。御質疑の通告はございませんが、御質疑がありましたら、申出を願いたいと思います。——ではただいまのところ特に御質疑がありませんから、午後一時より開会いたしまして質疑を続行いたしたいと思います。  これにて暫時休憩いたします。     午前十時五十九分休憩      ————◇—————     午後二時三分開議
  7. 小坂善太郎

    小坂委員長 休憩前に引続きまして、会議を開きます。  午前中政府より説明を聴取いたしました補正予算につきまして、質疑を続行いたします。井出一太郎君。
  8. 井出一太郎

    井出委員 大蔵大臣がお見えになつてから本質的な問題は伺いたいと思いますが、政府委員の各位もおられますので、その前に若干事務的な問題をお尋ねいたします。  年度の終りのぎりぎりに法案が提出され、かつ補正予算が出て参つたのでありますが、おそらく四月一日から発足せしめたいということで、政府の方では御配慮のことと思います。つきましては、今後の審議にもよることとは思いますが、たとえば設立委員というようなものができて、その準備にかかるというような手続を考慮に入れまして、大よそいつごろ完全な発足が見られましようか、その点をまず伺いたいと思います。
  9. 舟山正吉

    舟山政府委員 この開発銀行によります長期資金供給ということは、経済界あげての要望でございますので、本法案が通過いたしましたあかつきには、できるだけ早く設立委員任命していただきまして、業務開始に至りたいと存じておるのでございますが、設立委員任命後一体どのくらいの日数がかかるかということにつきましては、目下事前準備をいろいろやつておりますので、幾日は必ずかかるとかいう見通しもつきかねるのでございます。できるだけ早く発足するようにいたしたい、かように考えております。
  10. 井出一太郎

    井出委員 できるだけ早くということでございますが、これは程度の問題で、もし二月も三月も遅れるというようなことであると、ここに盛られた予算は、通年予算で一年間を見てあると思いますが、その程度はどうでありましようか。私の懸念するほどの長い期間というものは心配いらない、こういうふうにおつしやるのですか。
  11. 舟山正吉

    舟山政府委員 できるだけ設立を急ぎまして、四月の中ごろか、おそくとも四月中には発足いたしたいと考えております。
  12. 井出一太郎

    井出委員 開発銀行ができますと、現在の復金機構を全部これに吸収をする。従いまして債権債務というようなものも、新しい開発銀行がしかるべき時期において継承するということに相なるようでございますが、この際たとえば復金の現機構人事等にわたつてもやはり吸収をして行くのかどうか。と申しますことは、従来の復金性格も多分に持つた機関のように思いますが、その際おそらく復金にはそういう面のエキスペートがスタツフとしてそろつておられる。新たに百何十名かの役職員をつくるという場合に、それは全然新しいものに相なるのか。その辺をひとつ承りたいと思います。
  13. 舟山正吉

    舟山政府委員 法案にもございますように、開発銀行職員総裁任命することになつております。この開発銀行経営をおまかせする総裁に、適当な人選をして職員を採用していただくわけでありますが、また一面、復金仕事開発銀行吸収いたしますので、その引継ぎの関係上、復金職員を使うことを便宜とする場合も多いかと思います。実際問題としてはできるだけ復金職員を引継いでいただきたいのでありますが、ただいま申し上げましたように、それは新銀行首脳者人事方針によつて行くこととなると存じます。
  14. 井出一太郎

    井出委員 ここにうたつてありますように、復金解散昭和二十六年度末でございましたか、そういたしますと、二十六年度中には、一方に復金があり、一方に開発銀行がある。そして人事の点など復金から開発銀行へ移行をするというような場合に、片一方が非常に人事その他欠陥を生じて、復金終りを全うする意味においても何か支障がありはせぬか、こういう感じを持つのでありますが、この点はどうでしようか。
  15. 舟山正吉

    舟山政府委員 法案規定にございますように、昭和二十六年度中に復金権利義務を継承するのでありますが、そのときは予算を補正いたしまして、開発銀行としての職員を充実するわけであります。大体復金から引継ぎます債権関係につきましては、回収、保全に従来通りの手数をかけなければならぬわけでありますから、現在復金で使つております程度の人員というものは必要でございまして、その関係補正予算において十分考慮せられることと考えております。
  16. 井出一太郎

    井出委員 私の持つております懸念は、その際において補正予算その他の措置で十分に考慮される、こういうことでありますが、そこで新たに開発銀行総裁に目せられておる人事の問題、たとえば巷間小林中氏などが伝えられておりますが、これはほぼ決定的でございましようか。     〔委員長退席西村(久)委員長代理   着席
  17. 舟山正吉

    舟山政府委員 新銀行総裁総理大臣任命でございまして、いろいろ世評に上つておりますけれども、確実なことは私ども存じません。
  18. 井出一太郎

    井出委員 復金を継承するというような場合において、従来復金債務を負つておりましたものが、新たに開発銀行に引継がれた場合において、その借入れの條件等に何か変更を加えられるようなことがありはしないか。もつと端的に言うならば、今までよりはきびしい條件が付されるようなことがありはしないか、こういう問題はいかがでしようか。
  19. 舟山正吉

    舟山政府委員 復金貸付金は一応そのまま引継ぐことを予想いたしております。
  20. 井出一太郎

    井出委員 新しい開発銀行が予想しておりますいろいろな面の貸付がございましようが、ウエートの置き方によつてあるいは違うかも知れませんが、そこに要求せられる資金長期低利なものである、こういう期待のもとに発足をするわけでありましようが、利率などについてあらかじめ構想がおありであるならば伺いたいと思います。
  21. 舟山正吉

    舟山政府委員 新銀行貸付利率につきましても、法律に抽象的な基準を示してあるのでございます。それによりますと、銀行として採算に合うものでなければならぬ、かつ市中銀行貸付利率というものも参酌して適当のところにきめなければならぬ、こういうことになつております。これは、この銀行が特に安い金を出しまして、民間の金融を圧迫するようなことがあつてはならない、こういう配慮に出たものであります。具体的に幾らくらいになるかということは、この業務方法書等できめることでございまして、まだはつきりしたことを申し上げる段階には立ち至つておらないのでございます。やはり復金貸出金利その他も十分参酌せられることと考えております。
  22. 井出一太郎

    井出委員 非常に抽象的な御答弁ですが、これだけのものを四月中にも発足されようというやさきに、私はもう少し具体的な構想をお持ちじやないかと思うのですが、どうですか、それをお漏らし願えませんか。
  23. 舟山正吉

    舟山政府委員 この銀行運営根本方針全体が、できるだけ政府干渉を排しまして、市中経済なり金融なりと十分マッチするような行き方をとるように、この銀行経営者考え方を尊重する建前をとつております。でありますから、個々の貸付條件等につきましても、具体的の事例につきまして政府がいろいろ参考意見を申し上げることはあるかもしれませんけれども、銀行の発意において決定していただく建前なつておりますので、ただいま具体的なことは申し上げかねることを御了承願いたいと思います。
  24. 井出一太郎

    井出委員 政府干渉を排して、できるだけ新銀行当路者イニシアチーヴにおいて問題を処理して行きたい、われわれもそうでなければならぬと思います。しかしどうもこの銀行性格というものは、政府権力支配下に非常に強く縛られるものになりそうな感じがいたすのであります。そういう問題は大蔵大臣に追究いたしたいと思いますが、そこで新銀行定款のようなものは、やはり設立委員できめることに相なるものでありましようか。あるいは何か定款例のようなものがすでにお手元におありでございましようか。この点はいかがですか。
  25. 舟山正吉

    舟山政府委員 この銀行定款設立委員においてつくることになつております。まだ設立委員任命されておりませんし、従つて定款の案も研究中でございます。
  26. 井出一太郎

    井出委員 新しい銀行発足をして、その首脳者の創意においてこれが運用せられるということなんですが、この銀行が、最終責任制とでも申しましようか、イニシアチーヴは尊重される。かというて、一種のひもがついておる機関で、かつて気ままなこともでき得まいと思いますが、かつて復金の例に徹しましても、よほど慎重に扱つてもらわなければ困る問題だと思います。たとえば不良貸しができてしまう。そういうものの責任銀行当路者が負うことにはなるでしようが、というて、これは罰則で規定をするわけにも参らぬ。政府機関一翼ということでありますので、この銀行資金というものは見返り資金から出ており、その資金コストというものはコマーシーヤル・ベースでははかり得ないものである。そういうところにやはりこの銀行の持つている一つ危険性が伏在するのではないか、こういう感じがするのでありますが、従来の復金なんかの例にかんがみて、この銀行にひとつ筋金を入れる、責任はつきりさせるという意味構想を大蔵省ではどうお考えなつておりましようか。
  27. 舟山正吉

    舟山政府委員 復金の場合等におきましても、いろいろの審議会その他の機構がございます。その結果、得るところもあつたかもしれませんけれども、また芳ばしからざる貸付ができたという場合の責任の帰属が必ずしもはつきりしない、こういう弊が多かつたと思うのでございます。そこで今度の新銀行におきましては、業務責任は、総裁その他の理事者がもつぱらこれを負うという趣旨をはつきりいたしまして、審議会等構想はとらなかつたのでございます。しかし産業界金融界等実情にマツチいたしますように、運営をやつて行くことがぜひとも必要でございますので、理事者のほかに参與という制度も設けまして、これは総裁の諮問に応じ、または総裁に対して意見を述べることができることになつておるのでございます。こういたしました上は、一切この銀行運営というものは銀行理事者に負つてもらう、こういう責任体系はつきりさせた、これが一番いい方法ではないかと考えた次第でございます。     〔西村(久)委員長代理退席委員長着席
  28. 井出一太郎

    井出委員 この機関監督の衝に当る者は、法案によりますと大蔵大臣ということになつておりますが、つまり大蔵大臣直属監督のもとに置かれるわけでありましようか。従来、ともすると、こういう政府機構一翼としての機関が、公団等の例を指摘するまでもなく、非常に放漫に流れておる。また場合によつては、仕事をする上における時間的なずれ等が出て参つて、貸出し等がそのために所期の効果を収め得なかつた場合も多かろうと思いますし、あるいはまた資金の貸出しをするときだけはやいやい騒ぐが、その事後の監督等についてはなはだ不行届であつたというように考えるのでありますが、何か監査機関というようなものを、これに付属させるべくお考えなつたことはないでありましようか。またそういう考え方に対して、当局はどういうふうな所見を持つておられるか、これを伺いたい。
  29. 舟山正吉

    舟山政府委員 この開発銀行は、銀行一つといたしまして、大蔵大臣監督下に置いたわけでございます。大蔵大臣法律規定に従いまして、報告を聴取し、また検査をすることができる。これに対しで必要な指示をなすことができることになつておるのでございます。なお政府機関でございますから、会計検査院の検査もなし得るわけでございます。これらによりまして、業務上の監督は万全を期し得ると考えておる次第でございます。
  30. 井出一太郎

    井出委員 その点は、私は相当問題があるやに思いますので、後刻大蔵大臣にもお尋ねしてみたいと考えます。  それからこの予算書を見まして、一、二点気のついた問題でございますが、事務所はすでに内定をされておるようでございますが、それはどこにお設けになりますか、これをひとつ明確にせられたい。
  31. 舟山正吉

    舟山政府委員 事務所本店のほかに、現在復金貸付の非常に固まつておりますところ等一つの観点といたしまして、大阪、名古屋、福岡等にはぜひ住宅事務所を置かなければならないと考えております。その他につきましては、実情に応じまして設置して参りたいと考えております。
  32. 井出一太郎

    井出委員 予算書にあります説明書の方ですが、五百五十八坪という数字は、これは何でございますか。本店ともいうべきものはどこの何ビルということがきまつておられますか。
  33. 舟山正吉

    舟山政府委員 具体的な設置場所はまだきまつておりません。
  34. 井出一太郎

    井出委員 この数字はどういうのでしよう。五百五十八坪というのは、何かそれが確定的なもののように印象を受けますが……。
  35. 河野一之

    河野(一)政府委員 これは従来輸出銀行なんかの例を見まして、大体職員一人当り三坪程度ということで積算しているわけであります。
  36. 井出一太郎

    井出委員 それから、やはりその明細書の方で、諸税という項目が支出の中にございますが、これは税については、何か特典を與えられている機関でありますか。これはおそらく地方税かと思いますが、この諸税内容はおわかりになりますか。
  37. 河野一之

    河野(一)政府委員 おもに地方税、たとえば自動車税住民税電気ガス税、こういつたものであります。
  38. 井出一太郎

    井出委員 こまかい問題はその程度にいたしまして、あとは大臣が見えてからに保留をいたしたいと思います。
  39. 小坂善太郎

    小坂委員長 林百郎君。
  40. 林百郎

    ○林(百)委員 最初にお聞きしたいのですが、開発銀行についてはいろいろ機能があると思いますが、こういうことがいわれております。今市中銀行大分長期投資をしているが、この長期投資というものは本来市中銀行建前としてはやるべきものでないので、この市中銀行長期資金肩がわりさせるという目的一つあるのだ、というようなことがいわれておりますがこの点はどうですか。
  41. 舟山正吉

    舟山政府委員 現在長期資金は、あらゆる金融機関からいろいろなルートで出ているわけでございますが、市中商業銀行長期資金をたくさん出さすということは好ましくないことで、漸次是正して参りたいと思いますけれども、一挙にこれをやめさしてしまうわけに参らないのであります。従つて開発銀行がそれらの長期融資を全部肩がわつてしまうということは考えておりません。しかし市中銀行長期資金を出すにあたりまして、いろいろと障害となる、それほど長期融資も多いという場合には、あるいはこの銀行肩がわりをして、荷をすかしてやるということは、運用考えられると思います。
  42. 林百郎

    ○林(百)委員 今各市中銀行で、これは参考までにお聞きしたいのですか、オーバーローンなつている額はどのくらいありますか。総計でもけつこうであります。
  43. 舟山正吉

    舟山政府委員 オーバーローンという言葉にはいろいろ意味がございますが、市中銀行の預かつております預金に比べまして、貸出しがどのくらい超過しているかというお尋ねかと思いますが、ただいま資料を探しまして御説明いたします。
  44. 林百郎

    ○林(百)委員 市中銀行長期投資肩がわりするというような場合が起きるというのですが、そういう場合は具体的にどういうような方法でやつて行くわけですか。
  45. 舟山正吉

    舟山政府委員 この法律の第十八條の三号にございますように、銀行その他の金融機関の貸し付けております開発資金返済に必要な資金を貸し付けて参る、こういう形で参ります。
  46. 林百郎

    ○林(百)委員 「銀行その他の金融機関貸付に係る開発資金返済に必要な資金」を貸し付けるというのですが、そうすると、これは市中銀行に一応返済させて、あらためて開発銀行から投資するという形になるのですか。それとも開発銀行市中銀行長期資金肩がわりするという形になるのですか。
  47. 舟山正吉

    舟山政府委員 肩がわりとは申せないかと思いますが、事業会社にこの開発銀行が金を貸しまして、その資金をもつて市中銀行貸付金返済さすというのであります。
  48. 林百郎

    ○林(百)委員 それから開発銀行ですが、この問題については、復金の再現だということがよく世間でいわれているのですが、大体いろいろの情勢の変化があつて復金時代とは相当情勢も違つておりますけれども、これを金融金庫の形でなくして、特に銀行という——名前銀行ですが、本来の銀行機能とは相当異なる機能を持つておるようですが、銀行方式にした、復興金融金庫方式から開発銀行という銀行方式にして、大体復金が果しておつた機能と同じような機能を果させようとする、この意図は、どういうところから出ておるわけですか。金融金庫方式をとらなくて、特に銀行というような方式とつた原因はどこにあるわけですか。
  49. 舟山正吉

    舟山政府委員 金庫といい、銀行と申しましても、そこに非常に本質的な相違があるとは考えておりません。復金はいろいろの世評もありましたので、あれを復活することは適当でない。しかし長期設備資金供給する金融機関、これは、言つてみますれば、一つ特殊銀行でありますが、これを新たにつくる必要があるというので、この開発銀行構想を立てたわけであります。
  50. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、大体機能復金と同じような機能を持たせるのだが、復金はいろいろの評判も悪いし、過去にいろいろの罪悪を犯しているから、はつきりこの際名前だけでも出直そうという意味なのですか。
  51. 舟山正吉

    舟山政府委員 復金がいろいろの罪悪を犯しているかどうかというようなこととは、全然別問題であります。この際長期設備資金供給する金融機関をこしらえたいというのが、この開発銀行のねらいであります。
  52. 林百郎

    ○林(百)委員 ですから金融金庫方式をとらなくて、特にこうした法人としての銀行——銀行という名前はついておりますが、法文を読みますと、銀行法第四條第二項の適用はしないといつておりますが、こういう方式をとられたのは、金融金庫方式はこういう点で欠陥があつたからこういう方式とつた、そういうように比較した結果、こういう方式をとられるようになつたのではないですか。
  53. 舟山正吉

    舟山政府委員 先ほども申上げましたが、金庫と申し、銀行と申しましても、その名称から、内容はこれこれでなければならぬという、きまつた制約はないと考えるのでありまして、今度つくります機関は、銀行に非常に類似しておるものでございますから、銀行と称した方が、世間通り、その他から適当であろうと考えております。
  54. 林百郎

    ○林(百)委員 世間通りがいいということなら、それもそうでしようが、そこでもうちよつと聞きたいのです。これは専門のあなたでないとよくわからないと思うのですが、第七條に、「銀行法第四條第二項の規定は、日本開発銀行には適用しない。」とありますが、その銀行法第四條第二項というのは「銀行二非ザルモノハ其ノ商号中二銀行タルコトヲ示スベキ文字ヲ用フルコトヲ得ズ」とあります。これを用いることができるということになると、開発銀行というのは、名前銀行だが、実際は銀行でないということになるわけですか。
  55. 舟山正吉

    舟山政府委員 第七條第二項は、銀行法第四條第二項の規定銀行でないものは銀行という名を使つてはいけないと書いてありますが、これはいわゆる銀行法による銀行ではないけれども、銀行という名は使つてもよろしいという趣旨をうたつたものであります。
  56. 林百郎

    ○林(百)委員 それはよくわからないのですが、銀行ではないけれども、名前だけは銀行という名前を使つたということになるわけですか。
  57. 舟山正吉

    舟山政府委員 この銀行というのは、銀行法にいう銀行ではないという、自明のことを規定したわけであります。
  58. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、銀行でない銀行というものがあるわけなのですね。
  59. 舟山正吉

    舟山政府委員 銀行法に基かない銀行はございます。
  60. 林百郎

    ○林(百)委員 だから銀行という名前は使つてあるけれども、銀行法の適用のある銀行ではないというように解釈していいわけですね。
  61. 舟山正吉

    舟山政府委員 そうです。
  62. 林百郎

    ○林(百)委員 そこでお聞きしたいのですが、開発銀行性格についてはいろいろの問題であるのですか、これが将来日米経済協力の場合のアメリカの経済協力局と見合わすような、金融の面から将来の日米経済協力の金融の面の大きなコントロールをする機関としての作用を、将来持つて来るのではないかということをいわれておるのですが、それはどうですか。
  63. 舟山正吉

    舟山政府委員 この開発銀行構想は、日米経済協力等とは全然無関係に立案されたものであります。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、たとえば周東氏が今安本で生産拡充本部というような機構をつくつて、これがアメリカのシルバーマン氏に来てもらつて、これを西欧諸国のマーシャル、プランのコントローラーと同じような形でこの人を迎えて、経済協力局の日本の部局をつくる、それを生産拡充本部という名前にする。この生産拡充本部が日本開発銀行運営の総合的企画、立案をする、要するに日米経済協力の一環として開発銀行を持つという構想が、これは安本の方からも出されていますし、そのほか各新聞紙でもそういわれているのでありますが、この点については、全然日米経済協力と関係がないという答弁ですが、将来もそういうようにして行くわけですか。あるいは何かこれが将来の日米経済協力の金融的な面とのコネクシヨンとして、こういう機構を設けるということを、全然考慮してなかつたのですか。その点をはつきり聞きたいと思います。
  65. 舟山正吉

    舟山政府委員 日米経済協力というようなことは、全然念頭に置かずに、この銀行構想を立てたのであります。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと、本来ならば補正予算でなくて、本予算に組まれてしかるべきものが、衆議院を予算が通過して一月もたたないうちに、急にこうした構想を設け、追つかけこの予算に補正をしなければならないように、情勢がどうして変更して来たか。これは池田大蔵大臣にも聞きたいと思いますが、どうしてそういうようにこの一月くらいの間に情勢が変化して来たのか、もし何ら日米経済協力の問題、国際的な情勢の進展と関係がないというものなら、純粋に日本の国内の金融情勢の問題だけだつたならば、予算の中に組まれてしかるべきものだ。それがダレス氏が来、いろいろの国際的な会談が持たれて、予算が衆議院を通過した後に一月もたたないうちに、突如こういう構想が出て来たということは、やはり将来の日米経済協力の問題と関連があるから、こういう構想が出て来たとわれわれは解釈するのですが、その点はどうですか。
  67. 舟山正吉

    舟山政府委員 開発銀行構想は突如出て来たとは思つておらないのでございます。長期資金を何らか政府機関によつて出すということの必要性は、前からも認めておつたのでありますが、それが具体化いたしましたのが最近のことでございまして、従つてこの関係予算を来年度の一般予算の編成当時には予見し得なかつた、それがこのたび予算を追加するゆえんであるにすぎないのであります。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 実際は、ダレス氏が来て、ダレス氏の構想のもとにこれが組まれたのであつて、やはり向うのサゼスチョンがあつて組まれたのであつて、こういう構想を持つことは、インフレの一つの要因ともなる可能性があるということで、池田大蔵大臣としてはむしろ反対をしたということまで、新聞紙では報道しておるのでありますが、やはりダレス氏のサゼスチョンに基いてこういう構想考えられて来たのじやないですか。その辺はあなたにお聞きしても無理かと思いますが、あるいはあなたが答えられたらお聞きしたいと思うのです。新聞紙にこう報じておるし、ことに百億円の資本の銀行ということになれば、これは厖大な資本の銀行になる。しかも政府出資である。将来は復金の回収金がこの資本に繰入れられるということになると、これは実に厖大な銀行になる。それでこれが金融界に占める位置というものは、非常に支配的な立場になると思います。これがどういう動機でできたかということは、やはりわれわれはここで検討しておかなければならぬのであります。国会としては真剣に検討してみなければいけない。そこでこの銀行ができた動機については、新聞紙ではやはりダレス氏の構想、ダレス氏のサゼスチョンがあつたということを伝えられておるから聞いておるのです。
  69. 舟山正吉

    舟山政府委員 この銀行構想はアメリカとの関係その他を前提として考えられたものではございません。長期資金供給並びに長期融資に関する金融機関の問題は、かねてからの懸案であるわけであります。その一つの現われとして、本構想が出て参つたのであります。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、開発銀行の資本としては、見返り資金経済再建費のうちから百億これに振りかえることになつておりますが、これについては関係方面と何ら交渉なくしてできたわけですか、見返り資金経済再建費百億円を開発銀行の資本にするということについてはどうですか。
  71. 舟山正吉

    舟山政府委員 見返り資金につきましては、その使い方について関係方面の了承を得なければならぬことは、すでに御承知のところでございます。今度の最近のアメリカとの関係について、本銀行構想ができたようにおつしやいますけれども、たとえば去年あたりからいたしましても、復金の再開といつたようなものは相当強い輿論になつておるような次第であります。何かそういうような長期融資機関が必要であるということは、日本の相当古くからの問題であつた、それがここで一つ実現したと私どもは考えておるのであります。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 だからそういうものがもし必要だとするならば、復金やいろいろあつたわけですが、復金というような方式をとらないということ、特に資金見返り資金から出ているということ、それから復金と違つて復金債の発行というようなこともとめられているというようなこと、こういうようなことでやはり長期資金が必要だということは前からあるし、またその長期資金を調達する方法はいろいろあつたわけなんですが、特にこういう見返り資金から持つということ、それから将来これはあとから聞きますが、外債の問題なんかも出て来ますが、こういう形の長期資金の投入、しかもその投入先を見ますと、相当戦略物資的な方面と考えられる方面への投資ということも考えられている。そうするとこれがやはり関係方面との相当の交渉の結果、そのサゼスチョンによつてできたのだとわれわれ解釈せざるを得ないわけですが、この点はどうなんですか。
  73. 舟山正吉

    舟山政府委員 今お示しのようなことは全然根拠のないことでございます。この開発銀行は日本の経済界に必要であるというかねての懸案が実現されたにすぎないのであります。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 必死になつて防いでいるようですから、その辺はそのくらいにしまして、この見返り資金運用について、あなたも御存じの通り、スキ、ヤツプから日本国政府あての覚書がありまして、見返り資金運用について、日本政府は総司令部によつて承認された額と目的においてのみ、資金から引出しをなすことができる、とあるわけですが、これは開発銀行の資本として見返り資金投資する場合と、具体的に開発銀行がどこへどう投資するというような場合にまで、これが延長して来るのか、その辺はどうなんですか。
  75. 舟山正吉

    舟山政府委員 御質問の趣旨が必ずしもはつきりいたしませんが、見返り資金の使途につきましては、具体的の用途——それは包括的に認められる場合もございます。またさらに金額等について関係方面の了承を得ることになつております。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 だから具体的に開発銀行投資する場合に、どこへどれだけのものを投資する、こういう場合もやはり関係方面の了解を必要とするのか、あるいは見返り資金の百億を開発銀行投資するということだけは関係方面の了解を得るけれども、その後の開発銀行資金運用については、関係方面と全然了解なくしてなし得るのか、その辺を聞きたい。
  77. 舟山正吉

    舟山政府委員 これは開発銀行見返り資金百億を出資するということについての了解を得れば足りるのでございます。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、その見返り資金その後の運用については、全然関係方面の了解なくしてできるわけですか。
  79. 舟山正吉

    舟山政府委員 そう思つております。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 その次にお聞きしたいのですが、開発銀行投資する方面ですが、大体どういう方面に主として投資するか、具体的にたとえば産業などもわかりましたら、どういう方面の産業ということまでお聞きしておきたい。
  81. 舟山正吉

    舟山政府委員 その融資につきましては、その條件方法を示しておるのでございまして、どの方面に幾ら出すかということにつきましては、銀行において自主的にきめて参るのであります。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 自主的にきめてけつこうですが、自主的にどういう方面の投資をしたいと思つているか、そのどういう方面の具体的な産業、たとえば復興金庫の場合には石炭などが非常に重大な要素になつておりましたが、今度は石炭の方面はどうなつているとか、あるいはそのほかの方面で大体どこへどのくらいというようなことが、もしきまつてつたならば聞かしてもらいたい。
  83. 舟山正吉

    舟山政府委員 具体的にどういう産業に幾ら出すかということは、これは銀行ができてから銀行においてきめる問題でございまして、現在はまだきまつておりません。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 しかしこの第十八條を見ますと、「経済の再建及び産業開発に寄與する設備(船舶及び車両を含む。)の取得、改良又は補修」とあるわけです。具体的に船舶及び車両を含むとあるわけですから、どういう産業かということはもうおわかりだと思いますが、含むとだけ書いてあつて、含まれるものがわからない。
  85. 舟山正吉

    舟山政府委員 特に船舶及び車両と申しますのは、設備とありますので、その中に船舶、車両が含まれるものかどうかという疑義を明らかにするためであります。この字句に該当いたします限り、各種の産業に融資できるのでございます。
  86. 林百郎

    ○林(百)委員 各種の産業といいますが、やはり優先的にどういう方面というようなものが大体考えられているのじやないですか。そんなに遠慮しなくて大体の意図を——貸付先がわかつていて、こういう方面で長期資金が必要となつておる、それを充足するために銀行をつくるのでしよう。先に銀行をつくつておいて、さてどういう方面に融資するかということを探すのですか。
  87. 舟山正吉

    舟山政府委員 この開発銀行は、政府銀行に指示いたしまして、この方面に貸出しをしたらよかろうということはやらないのでございます。銀行の自主的経営と申しますか、責任ある銀行としての銀行の判断を尊重するのであります。実際問題といたしましては、銀行ができまして、経営者政府各方面の意向もくみまして、融資計画を立てるのでございましようけれども、政府からは銀行に対してどことどこに融資をしなければならぬということは、指示をしない方針であるのであります。従つて現在のところこれ以上具体的な腹案は持つておりません。
  88. 林百郎

    ○林(百)委員 そう言いますが、大体これは公法上の法人であり、大蔵大臣監督権を持ち、予算は国会で大体議決するということになつているのです。だから政府が明らかに監督権を持つし、大体公法的な性格を持ち国家機関一つですから、どういう方面へ投資するかということは、まず大蔵省あたりが考えていると思うのですが、銀行ができたら銀行に自主的にまかせるということでなくて、たとえばアルミニウムをつくるについての電源がもつと必要であるから、電力の開発であるとか、あるいは造船の方面に資金が非常に必要だから造船方面とか、このくらいのことは言つてもよさそうだと思うのですが、どうなんですか、言えないのですか。
  89. 舟山正吉

    舟山政府委員 これはもう何度も申しますように、銀行がきめて行く問題なのでありまして、ただいまおつしやつたような方面は、現在長期資金を最も必要としている部門であるかと思いますが、それらに対して市中銀行が十分の資金供給することができなければ、この開発銀存も取上げて、そちらの方に融資することも考えるかと思いますが、何分具体的な融資の対象というものは、ただいま申し上げますことはいたしかねるのでございます。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 それは、それ以上聞くのは無理だと思いますが、この銀行運用資金ですが、これは専門のあなたにお聞きしたいと思うのです、これは百億出資になつております。この百億はやはり運用資金として当然使えると思いますが、これと将来の復金の回収金、これかやはり運用資金として回転して行くわけですが、そのほか、たとえば金融債を発行するというようなことも考えられているのか、これはおそらく法案を見てもとめてあるようですが、そういう方面はどうか、そのほか政府出資をその後も求めるのかどうか、要するに銀行運用資金はどうなるのかということをお聞きしておきたいと思います。
  91. 舟山正吉

    舟山政府委員 この銀行の出資は、さしあたり見返り資金から百億円であります。それから将来におきましては、復金貸付金が回収されて参りますと、それは自動的にこの銀行資本金に振りかえられて行くという仕組みになつております。但し来年度にお吏ましては、復金から国庫への納付金も予算に立てられておりますので、それはひとまず優先して納付してもらう、もし規定の納付額以上に余剰ができますれば、この銀行の出資に振りかえて行つてもよろしいという規定が設けてございます。
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 将来さらに増資をする場合に、見返り資金の中からさらにこれに振りかえるようなことが考えられるかどうか、あるいは考えているかどうか、この点をお聞きしておきたいと思います。
  93. 舟山正吉

    舟山政府委員 この銀行は、将来認可を受けますれば、増資することができることになつております。それにつきましては、どの部門からという制約はないわけでございまして、一般会計からも、もしその措置を講ずれば増資もできましようし、見返り資金からも増資はできるわけでございます。一に将来の問題であります。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで復金の回収金ですが、大体復金の将来回収される回収金額はどのくらいと見ておられますか。
  95. 舟山正吉

    舟山政府委員 現在復金貸付金は八百八十億くらいでございます。規定通り動きますれば、大体においてそれらの金額がこの開発銀行の出資になつて行くわけであります。
  96. 林百郎

    ○林(百)委員 そこでこの八百八十億の復金の回収金ですが、これは具体的に回収されたときに、開発銀行の資本となるのか、あるいはこれはもう二十七年で復金が全部なくなるのですが、なくなると同時に一切債権出資という形で開発銀行が引受けて、この徴収の責任やいろいろは、全部開発銀行がやるようになるのですか、その点はどうなるのですか。
  97. 舟山正吉

    舟山政府委員 二十六年度中の政令の指定する日に、復金債権債務開発銀行に承継せられます。従つて復金貸付傘というものは、開発銀行貸付金であるわけでありまして、それが回収せられます都度、開発銀行の出資に振りかわつて行く建前をとつております。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 開発銀行出資金に振りかえられるというのですが、そうすると、会計は別途にやつているわけですか、もう開発銀行出資金として、昭和二十六年度の三月ですが、復金が解消した後は、当然開発銀行の資本がそれだけ増額された、資本増資という形になるわけですか。
  99. 舟山正吉

    舟山政府委員 その点を少し詳しく申しますれば、復金に対しまする政府貸付金がございますが、貸付金復金債権債務開発銀行吸収せられましたときに、開発銀行に対する貸付金となります。復金の従来持つておりました民間に対しまする貸付金開発銀行貸付金となります。それで本来ならば貸付金が回収せられますと、それをもつて政府の借入金を返す、政府からの借入金を返し、その金をもつて政府はさらに開発銀行に出資するという形になるわけでありますけれども、それらの手続きをこの法律規定によりまして省略いたしまして、復金から引継ぎました開発銀行の新しい貸付というものは、回収の都度その分だけ開発銀行の出資になるという規定なつてておるのでございます。
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 いつごろまでに復金貸付金開発銀行へすつかり回収される見込みですか。
  101. 舟山正吉

    舟山政府委員 復金からは相当長期貸付をしておりますので、その期間は開発銀行に引継ぎました後も、回収にはそれだけの期間がかかるわけでございます。それは五年、十年という貸付期間があつたかと考えております。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 ですから、大体今後の累年の回収見込みはどのくらいずつ回収して、それが開発銀行の資本になるかということがわかつた説明してもらいたいと思います。
  103. 舟山正吉

    舟山政府委員 資料を繰りまして御説明申し上げます。
  104. 小坂善太郎

    小坂委員長 この際舟山君にちよつとお願いしておきますが、従来の復金の民間に対する貸付金もそのリストをつくられます際に、明瞭にして本委員会にできるだけ早い機会に御提出願いたいと思います。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一つ見返り資金投資されているのですが、将来見返り資金が回収された場合に、今見返り資金の特別会計がありますが、この受入れはどこがやるのですか。やはり開発銀行が将来は見返り資金の回収の受入れの機関としての役割を果すようになるのではないかとも思われるのだが、そういうことは考えていませんか。
  106. 舟山正吉

    舟山政府委員 この銀行見返り資金の出資による資金をもつて貸し出します貸付、及び復金から引継ぎました貸付、これらの回収金はあげてこの開発銀行にもどつて参ります。それでは開発銀行解散するときに、その所属をどうするかということは、そのときの法律できめることになつております。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 開発銀行解散した場合でなくて、見返り資金が今方々の私企業や公企業にいろいろ投資されておりますが、それは将来回収される時期が来て、回収されると思います。そうすると見返り資金が回収されて、これを受入れる機関は、別に今のところないわけですか。特別会計として会計があるわけですが、運用する機関がないのですが、これは将来どういう機関で、どう運用して行くお考えでありますか。
  108. 舟山正吉

    舟山政府委員 それは、ただいまの制度では見返り資金の特別会計にもどりて参ります。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 ですから、ただいまはそうですが、将来はやはり、こういうような開発銀行がECAの日本の受入れ機関になる場合には、やはりこの開発銀行あたりが、受入れ機関として全部掌握して行こうというような構想は別に考えておりませんか。
  110. 舟山正吉

    舟山政府委員 現在のところそういう構想考えておりません。けれどもそれは一つ考え方としてあるではないかとおつしやれば、成り立ち得るかと考えております。
  111. 林百郎

    ○林(百)委員 この際、これは河野主計局長にお聞きしてもいいと思いますが、この見返り資金の問題ですが、昨年度の見返り資金で本年度へ繰越すもの、実際は予算上項目があげてあるが、実際消費されなくて、本年度へ繰越されるもの大体一千億ぐらいあるのじやないかとわれわれ見ておるのですが、これはどうなんです。
  112. 河野一之

    河野(一)政府委員 見返り資金予算以上に入つて来ます分、すなわち予算上の歳入超過、この分がたしか百数十億あると思います。そのほか、おつしやつておるのは、国債償還に充てておる予定の五百億を繰越す、そのままの姿で繰越す、こういうことで、それを入れますと一千億ぐらい、こういうことになると思います。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 それから公企業や私企業で、まだ投資予算の額だけ投資しなくて繰越される分もあると思います。たとえば私企業、公企業それぞれ百億ぐらい、それから経済再建費もまだ二百億ぐらい余つているのじやないかと思います。見返り資金の繰越しが相当問題になつておるようですが、今あなたの言われる債務償還だけでなくて、公企業、私企業の投資も、実際に投資されなくて、繰越されているというものが相当あるようでありますが、これはどうです。
  114. 河野一之

    河野(一)政府委員 公企業は繰越しは全然ございません。たとえば鉄道でありますとか、通信でありますとか、住宅でありますとか、そういうものでありますから、その繰越しはございません。私企業のものについては一部そういうものも、審査その他の関係で遅れるものもございますが、これは予算を繰越して行つて、またそのときに使える、こういうことになると思います。
  115. 林百郎

    ○林(百)委員 予算を繰越してやるのか、あるいは繰越してこれをさらに違う方向へ使うというようなことは考えておらないのですか。
  116. 河野一之

    河野(一)政府委員 これはときどきの情勢によつてかわりますから、何とも申し上げられませんが、大体予算で予定したものはそのまま使つて行くという考え方にいたしております。
  117. 林百郎

    ○林(百)委員 それからもう一つ銀行局長に聞いておきたいのですが、今言つた復金の回収の場合ですが、復金の回収をしてこれを開発銀行の出資にした場合、その回収したものは、その事業にまた再投資しますか、やはり一応復金から回収したものを再投資するかどうかということは、あらためて開発銀行として考慮するのであつて、前に復金投資してあるから、そこへは優先的に考慮するとかなんとかいう問題ではないわけですか、その点をお聞きしたい。
  118. 舟山正吉

    舟山政府委員 復金貸付金から返つて参りました金は、開発銀行の出資になるわけでありますから、開発銀行が独自の立場で貸付をなし得るわけでございます。  それから、先ほど委員長からもお話がございました資料でございますが、復金の業種別資金別の月末残高表というものを用意してございますので、これをお目にかけたいと存じます。  それから復金の回収金は大体八百八十億残高がございますうち、毎年七十億ぐらい回収されることになつておりますので、その率で回収して参るといたしましたならば、十年内外の年数がかかるということになります
  119. 林百郎

    ○林(百)委員 それからこれはたしか法案の中にあつたかと思いますが、金融債の発行は、国内の金融債の発行はしないというようにあつたと思いますが、その点はどうです。
  120. 舟山正吉

    舟山政府委員 この開発銀行の御審議願います法案には、借入金及び社債の発行はできないということになつております。
  121. 林百郎

    ○林(百)委員 しかも外債の発行はできるように書いてあつたと思いますが、この点はどうです。
  122. 舟山正吉

    舟山政府委員 外債の発行もできません。借入れができないことになつております。
  123. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると外債の引受けというようなことはどうなんです。これでやりますか。
  124. 舟山正吉

    舟山政府委員 この案の規定では、この社債の応募ということにつきましては、国内の事業会社資金供給することを考えておりますので、このままでは外債の応募ということは困難であろうと考えます。
  125. 林百郎

    ○林(百)委員 あとは大蔵大臣が来てからいろいろお聞きしたいと思います。技術的なこまかい点はこれで終ります     —————————————
  126. 林百郎

    ○林(百)委員 あとは大蔵大臣が来てからいろいろお聞きしたいと思います。技術的なこまかい点はこれで終ります
  127. 小坂善太郎

    小坂委員長 この際お諮りいたしたいことがあります。理事上林山榮吉君より理事辞任の申出がありますので、これを許したいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 小坂善太郎

    小坂委員長 御異議がなければさよう決します。  つきましては理事補欠選任をいたしたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 小坂善太郎

    小坂委員長 御異議がなければ、有田二郎君を理事指名いたします。     —————————————
  130. 小坂善太郎

    小坂委員長 次に黒田寿男君。
  131. 黒田寿男

    ○黒田委員 私も大蔵大臣がお見えになりましてから、お尋ねしたい点もございますけれども、とりあえず政府委員に若干お尋ねしてみたいと思います。  ちよつときわめて技術的なことでございますけれども、先ほど林君から復金の回収金についての数字説明をお求めになりまして、御回答があつたようでありますが、回収の見込みが立たぬというようなものがあるかどうか。あるとすればどの程度かということにつきまして、お尋ねしてみたいと思います。
  132. 舟山正吉

    舟山政府委員 八百八十億あります復金貸付金のうち、どのくらいが回収が困難かというお尋ねに対しましては、貸付先に対しまして、ときどき復金におきまして監査いたしておるわけでございますが、最近どうなつておりますか、昨年の秋以来経済界の情勢も大分かわつておりますので、固定貸しがどのくらいになつておりますか、ちよつと調査は最近してございません。
  133. 黒田寿男

    ○黒田委員 そういうものが出るか出ないかということの大体の見当はどうでしようか。確かにみなとれるというようなお見込みでございますか、それともあぶないものがあるということですか、その点につきまして……。
  134. 舟山正吉

    舟山政府委員 固定貸しというものは、普通の市中銀行の融資でも若干は出るのでありまして、その程度は見込んでおくのが適当であろうと考えております。
  135. 黒田寿男

    ○黒田委員 それではそれ以上は質問いたしません。  それからこれもきわめて技術的なことだと思いますけれども、復興金融金庫開発銀行との異同、これはしかし一見しまして、たとえば片一方が金庫である、片一方は銀行であるというような、一見して違つたところもありますけれども、また資金の面等を見ますと、同じように国家的な出資ということにもなつておりますし、これを少し技術的に差異をもつとわかりやすくお聞かせを願いたいと思います。
  136. 舟山正吉

    舟山政府委員 復興金融金庫にありましては、当時経済を復興さすという意味において、他の一般金融機関がほとんど機能を発揮し得ない状態のものが多かつた、こういう意味合いにおきまして、復金からは設備資金のほか、運転資金をも供給したわけであります。それから融資いたしまする資金の期間につきましても、開発銀行におきまするような一年以上のものというような制約はなかつたわけでございます。それから復金の場合にありましては、市中金融機関の融資いたしまするものを、復金が保証するという制度もあつたわけであります。開発銀行構想につきましては、他の金融機関も整備して参りました関係もございまして、それとの競合を避けつつ、足らざるところを補うという趣旨をもちまして、一年以上の設備資金を貸す、運転資金はこれは貸し出さないということになつております。
  137. 黒田寿男

    ○黒田委員 私どもから見まして、ただいまの説明ではどうも十分でないように思いましてお尋ねするのでありますが、復興金融金庫が持つておりました性格一つといたしまして、市中銀行が融資し得ないような條件のもとで長期金融をする、こういう性格があつたわけであります。やはり今回の開発銀行でも、私は同様な性格があるのではなかろうかと思うのです。要するに、民間のベースでは困難なような資金供給する。長期といいましても、やはり普通の銀行の貸し付け得ないような條件、それからやはり正直に申しまして、回収の見込みというようなものにつきましても、そこに多少のリスクを冒しておるというような、しかし今の世界情勢の上に立つて、日本において当局が融資の必要があると考えられるものにあえて行うというような性格があるのではないでありましようか。
  138. 舟山正吉

    舟山政府委員 開発銀行の融資は、第十八條の業務規定の各号にございますように、銀行その他の金融機関から供給を受けることが困難なものを選びまして、これに対して融資するのでございます。市中金融の補完作用をなすものであるということをはつきりさしておるのでございます。それから一年以上の資金供給でございまして、これは国際関係を離れまして、国内の経済情勢としてこういう資金が必要なのだ、それを供給すべく特殊の機関としてできたわけでございます。
  139. 黒田寿男

    ○黒田委員 その補完するという意味が、単に足りないところを補うというような、かような意味でなくて、やはり市中銀行の営業ベースに乗らないようなものに対して、特に貸付をするという意味があると思うのですが、いかがでしようか。
  140. 舟山正吉

    舟山政府委員 普通の銀行の営業ベースに乗らぬような金融をこの銀行も行うということでありましては、いろいろの問題が出て参るので、この銀行もやはり貸金の回収の確実性ということにつきましては、十分留意しなければならないのでございます。それは第十八條の第二項に、この資金貸付または社債の応募は、資金の償還または社債の償還が確実であると認められる場合に限つて行うことができるという項目を特に入れまして、これが救済的な金融になるというようなことにならぬように、厳に戒めておる次第であります。
  141. 黒田寿男

    ○黒田委員 これは抽象論を繰返してもやむを得ませんが、もう一度私前の質問者と重複するかもわかりませんけれども、大体政府が御予定になつております開発銀行投資の対象を具体的にお話願えないでしようか。それをお聞きしてみれば大体わかると思います。
  142. 舟山正吉

    舟山政府委員 先ほどもお答え申し上げたところでございますが、具体的な融資対象というものは、産業別にいたしましても、ただいま申し上げかねるのでございます。実際問題といたしましては、現在たとえば通産省あるいは安本あたりで資金の足りないことを心配しておるような産業をまつ先に取上げて検討して行くこととなると思いますが、融資は銀行がまず取上げまして、その取上げる際には、政府金融産業各般にわたります意向も十分参酌して参ると思いますが、何分現在のところ、具体的にどういう産業に融資する予定であるかということは、政府といたしまして申し上げかねる次第でございます。
  143. 黒田寿男

    ○黒田委員 私どもが聞いておりますところでは、大体造船であるとか、それから電力であるとか、鉄鋼であるとか、石炭というような産業の方面に対しまして、この機関によつて金融がなされるだろう、こういうように聞いておるのですが、大体そういうところに見当をつけて間違いないでございましようか。
  144. 舟山正吉

    舟山政府委員 ただいまのは、経済常識から申しまして、そういうようなものも、それは取上げられて検討されるであろうということは申し上げられるのでございますけれども、それを確定的なものとして申し上げるということは、いかがかと考えております。
  145. 黒田寿男

    ○黒田委員 そうしますと、要するに基幹産業の整備拡充というようなことになると思うのですが、やはり現在の国際情勢からいたしまして、アメリカの軍備拡張のために、日本の産業がこれこそ補完的に利用せられるであろうということは、これは大体みなが予想をつけておるところでありまして、大体そういう方向へ政府も日本の産業を切りかえて行こう、こういうふうにしておられると思うのですが、そういうようになつて参りますと、やはりこの銀行の将来の融資先というものが、機械工業であるとかあるいは化学工業とかいうようなものにも、どんどん拡張されて行くというように思われるのですが、やはりそういうような見通しを持つべきものでありましようか。
  146. 舟山正吉

    舟山政府委員 すでに何回も申し上げましたように、この開発銀行の設置は、国際関係を顧慮して計画したものではないのであります。経済の再建は、産業開発ということをねらいといたしまして、現在必要な長期資金供給する特殊の機関をつくろうという趣旨なのでございます。
  147. 黒田寿男

    ○黒田委員 大蔵大臣がお見えになりましたので、私簡単に御質問いたしたいと思います。開発銀行が新たに設けられることになりまして、これは第二復金だとかなんとかいうようなうわさがありますけれども、復金との異同は別といたしまして、大体復金によつて長期金融を行うということがすでに禁止せられておりますときに、あらためて同じような国家資金をもつて長期金融を行うというような制度が設けられることになつたと私は解釈するのでありますが、こうなりますと、従来の財政と金融との分離という方針が来ておりましたその政策の上に、国際情勢を反映いたしまして大きな転換が行われる、その方向においてこの銀行が開設せられるのではなかろうか、こういうように思われるのであります。長期金融が必要であるということはだれしもわかつてつたことでありますけれども、特にこの際におきましてこういう銀行が現われて参りますところに、単に長期金融機関が必要だからというだけでなく、そういう形式を越えて、財政、金融の分離という方針に対する政策上の大変革が行われて来たのであるというように見てよろしいでございましようか、この点の御意見を承りたいと思います。
  148. 池田勇人

    池田国務大臣 財政と金融との分離というのは、財政をどの程度にお考えなつてのお言葉かよくわかりませんが、お話にもありましたように、日本の現状から申しますると、資本の蓄積はまだ非常に微々たるものである。しこうして一方では長期産業資金を要する。しこうして敗戦後は、今まで日本にありました商業金融長期金融という截然とわかれたものがごつちやになつてしまいました。こういう現状から申しますると、どうしてもある程度金融面につきまして財政が入つて行くことは、やむを得ないことであります。従いましてさきの国会でも御審議願いまして、輸出金融が非常に必要であるというので、日本輸出銀行を設けたのであります。また現下の情勢から申しますると、輸出銀行だけでは足りない。国内の産業開発等につきましても、財政の許す限りにおきまして、市中金融に対して加勢をするという建前がいいというので、今回開発銀行設立を計画いたしたのであります。財政と金融の分離と申しましても、何もそういう原則が今まであつたわけではありません。少くともここ一、二年の間は、相当の金融資金を財政の方からまかなつていることは、好むと好まざるとにかかわらず、現状といたしましてはやむを得ないことであると考えておるのであります。今回これを出すにつきまして、急に今までの財政政策あるいは金融政策をかえたというわけではないのであります。
  149. 黒田寿男

    ○黒田委員 しかし私どもは、政府のいわゆるドツジ予算というものの中に、財政と金融との分離という政策が大きく現われて来ておつたと実は理解しておりました。復興金融金庫という大体同じような金融機関があるにかかわらず、その新規の融資が禁止せられたというようなことも、単に復金経営が悪いとかいうような意味ではなくて、やはり財政と金融との分離という政策に基いて、復金の新規融資の中止という政策が行われたというふうに私どもは解釈しておつたのであります。補給金に対しても同様な見解を持つておりました。そこで私どもは、これは単に政府のあげ足をとるとかいう意味で申すのではありませんが、やはり国際情勢の転換に従いまして、財政方針がかわつて来つつあるのではないか、このことは率直に政府意見を言つていただいた方がよろしいと思います。事実今までのようなドツヂ・ラインでやれるかどうか、それを変更することの可否につきましての議論は、私はいたさないのでありますけれども、政府の政策はやはりドツヂ・ラインというものをもう維持することができない、そういう方向に進んでおるのではないかという気がするのであります。そこでこの制度もその政策の一つの現われではなかろうかと考えて質問をいたしておるのでありますが、ただいまの大蔵大臣の御意見を承つておく程度にいたしておきます。  それからついでにお尋ねしてみたいと思いますが、この金庫をつくるために、百億円の出資を見返り資金の中からいたすということになりました。他の半面におきまして、預金部資金の二十六年度における金融債の引受の予定額四百億円というようなものが相当程度において圧縮される、あるいはまた見返り資金の中から二十六年度において一般私企業に投資する予定でありました四十五億円というようなものも、留保せられるようなことになるのではないか、こういう懸念も持たれでおるのであります。これについて大蔵大臣の御意見を承らしていただきたいのであります。     〔「委員長退席西村(久)委員長代   理着席
  150. 池田勇人

    池田国務大臣 提案理由で申し上げましたように、見返資金特別会計から百億円を出すのであります。しこうして二十六年度で予定しておりました私企業投資の四十五億円と、その内書になります残りの五十五億円は、やはり見返り資金の方の経済再建費の方から出すことにいたしておるのであります。今一応そういうふうにしておりまするが、将来の問題として、預金部の金融債引受予定額四百億円のうちから、経済再建費の方に五十五億円出すか出さぬかということは、今研究中でございまして、まだ結論に至つておりません。従いましてただいまのところは、見返り資金から百億円出す、しこうして開発銀行ができましたならば、私企業投資の四十五億円はやめまして、開発銀行から私企業に出す、こういうことになります。
  151. 黒田寿男

    ○黒田委員 要するに私どもの心配しておりますのは、開発銀行ができまして、その資金調達のために、そのしわが見返り資金一般私企業投資や預金部の金融債引受のようなところに寄せられるのではないか、こういう懸念がありますので、この質問をしてみたのであります。  それからこれはきわめて大きな問題になりますけれども、今、日米経済協力態勢というようなことがいわれておりまして、いろいろ政府関係におきましても、どういう物資をどの程度生産することによつて、大体の協力態勢が立てられるものであるかというようなことについて、それぞれ御研究になつておるように私は承つております。従つてまたそれらの産業の生産能力をどの程度まで上げるかということに関連いたしまして、資金の面におきましても、これまたどうして調達するかということが問題になると思うのであります。私ども聞いております範囲では、とても大きな計画であり、また一面開発銀行というものと見合してみますと、間に合わないというようにさえ思えるのであります。こういう面について、これはまだ別に確立されておるこ’とでも何でもありませんが、もし政府の何かお見通しがありましたら、産業能力の向上に対する資金面からの予想というようなことをお話願えませんでしようか。
  152. 池田勇人

    池田国務大臣 御質問の点は、円米経済協力態勢という点について、資金面から何か考えておるかというお話でございます。日米経済協力のことは新聞で見ておりまするが、われわれ直接に何も聞いておりません。従いましてどういう内容を持つておるかわかりませんので、これについてただいまから資金計画の立てようがないのであります。
  153. 黒田寿男

    ○黒田委員 それ以上におそらく言えないだろうと思いますから、これもそれ以上に質問いたしません。  それからいま一つだけお聞きしておきたいと思いますが、将来この開発銀行というものがどうなつて行くかという問題につきまして、いろいろとこれも予想せられておるのであります。現在における特殊な需要のために、特に基幹産業等を中心とするこういう特殊な金融機関を設けまして、民間ベースではとうてい困難なような資金供給する、そういうものができる。これは従つて一定の期間、そういう目的を達すればやがて消滅に帰するものでありましようか。将来、なおまた別個の見方によりますと、先ほどからも問題になりましたが、いわゆる日米の協力態勢における金融機関の役割を演ずべき性格のものといたしまして、この機関が将来そういう意味において拡大せられて存続して行くものであるか、こういうような見方もあるようであります。この見通しについて大蔵大臣にお聞きしたいと思います。
  154. 池田勇人

    池田国務大臣 日本開発銀行の将来についての御質問でございますが、私はただいまのところ、復金債権債務を引継いで参りますので、三年や五年は少くとも続くと思います。御承知の通り復金貸付金残高はまだ七百億円程度あると思います。それが毎年毎年返つて参りまして、それが開発銀行の貸出資金になることに計画いたしております。十年先、二十年先はどうか、こういう御質問になりますと、大体日本の今の金融制度というものは十分ではないのでありまして、すなわち長期資金供給機関が非常に不足しておりますので、私は今後といえども開発銀行に限らず、長期金融機関の拡充強化をはかりたいという気持で進んでおります。従いまして、日本開発銀行も当分は続くと考えているのであります。
  155. 黒田寿男

    ○黒田委員 やはりこれも大蔵大臣から特に念のために承つておきたいと思いますが、私どもは将来この開発銀行が日米経済協力のための中枢的な長期金融機関になるという構想があるのではなかろうか、かように思うのであります。現在あります輸出銀行等というようなものをその機能をこの開発銀行吸収いたしまして、一元化した上で、これがたとえばアメリカの輸出入銀行と何らかの金融上のつながりを持つというような方向に向けて進めて行かれるような構想があるのではなかろうかと思うのでありますが、これについて大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。
  156. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど銀行局長も申しましたように、そういうことはただいまのところ考えておりません。これはアメリカの経済界とのつながりは日本のシンジケート銀行団がやるかどうか、いろいろな点はありますけれども、そういう具体的なことは、新聞なんかには載つておりますが、われわれといたしましてはまだ考えておりません。
  157. 西村久之

    西村(久)委員長代理 この際、先ほどの林君の質疑に対して政府からお答えがあるそうですからお聞き取りを願います。
  158. 舟山正吉

    舟山政府委員 林議員からのさつきのオーバーローンの問題でございますが、全国銀行の預金、貸出しの状況を見ますと、昭和二十四年十二月末は預金が七千九百二十億に対しまして貸出しが六千七百九十億、この比率が八五・五%でございます。二十五年十二月末にはこの数字が預金は一兆四百八十五億でございまして、貸出しが九千九百四十七億でございます。この比率が九四・六%となつております。
  159. 西村久之

    西村(久)委員長代理 大蔵大臣に対する質疑を明朝に讓ります。  本日はこの秘匿とし、散会いたしたいと思います。明日は午前十時より会議を開きます。     午後三時三十七分散会