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1951-02-25 第10回国会 衆議院 予算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十五日(日曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 小坂善太郎君    理事 橘  直治君 理事 西村 久之君    理事 川崎 秀二君 理事 川島 金次君    理事 林  百郎君       天野 公義君    井手 光治君       岡延右エ門君   岡村利右衞門君       尾崎 末吉君    角田 幸吉君       甲木  保君    川端 佳夫君       佐藤 榮作君    島村 一郎君       庄司 一郎君    玉置  實君       苫米地英俊君    中村  清君       永井 要造君    船越  弘君       本間 俊一君    松本 一郎君       井出一太郎君    今井  耕君       北村徳太郎君    竹山祐太郎君       中曽根康弘君    宮腰 喜助君       戸叶 里子君    西村 榮一君       松澤 兼人君    水谷長三郎君       横田甚太郎君    小平  忠君       黒田 寿男君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         農 林 大 臣 廣川 弘禪君         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君         農林政務次官  島村 軍次君         食糧庁長官   安孫子藤吉君         経済安定事務官         (物価庁第二部         長)      長谷川 清君  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行理         事)      井上 敏夫君         参  考  人         (一橋大学教         授)      高橋 泰藏君         参  考  人         (復興金融金庫         理事長)    工藤昭四郎君         参  考  人         (第一物産株式         会社社長)  新関洲太郎君         参  考  人         (協和交易株式         会社社長)  久保田幾之助君         参  考  人         (日本経済新聞         論説委員)   友光 正明君         参  考  人         (朝日新聞論説         委員)     土屋  清君         專  門  員 小林幾次郎君         專  門  員 園山 芳造君         專  門  員 小竹 豊治君 二月二十五日  委員青木孝義君、有田二郎君、久野忠治君、坂  田道太君、鈴木正文君、橋本龍伍君及び小林信  一君辞任につき、その補欠として本間俊一君、  岡延右エ門君、永井要造君、小川平二君、船越  弘君、佐藤榮作君及び宮腰喜助君が議長の指名  で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計予算  昭和二十六年度特別会計予算  昭和二十六年度政府関係機関予算     —————————————
  2. 小坂善太郎

    小坂委員長 これより会議を開きます。  本日は、金融債に関する問題につきまして、去る十九日の会議に引続きまして、参考人意見を聽取することといたしましたが、本日出席参考人は、復興金融金庫理事長工藤昭四郎君、一橋大学教授高橋泰藏君、日本経済新聞論説委員長友光正明君第一物産株式会社社長新関洲太郎君、協和交易株式会社社長久保田幾之助君、日本銀行理事井上敏夫君でありますが、なお後刻、朝日新聞論説委員土屋清君も見える予定でありますから、御承知を願いたいと存じます。  開会に先だちまして参考人各位にごあいさつを申し上げます。本日は皆様方には非常に御多忙のところ、しかもせつかくの休日をこの雨の中本院までわざわざお越しくださいまして、まことに恐縮いたしております。申し上げるまでもなく、新聞等によりまして御承知と存じますが、本件に関しまして、本予算委員会におきまして、去る十九日、主として従来特銀といわれておりました興業銀行勧業銀行、さらに東京銀行、また地方銀行代表者、あるいは日銀政策委員会等の方々においでをいただきまして、先般発行する予定に決定いたしました東京銀行銀行債十億円の、金融界に及ぼしますところの影響につきまして、種々御意見を伺いました。さらに伝えられるところによると、日銀政策委員会大蔵当局との間に意見の食い違いがあるようにもいわれておりますことについて、両者からそれぞれ御意見伺つたのであります。本日はさらにその影響につきまして、本日おいでいただきました皆様から、一層掘り下げた御意見を伺いたいということなのでございます。なお本委員会は、国の予算全体の審議の機関でございますが、この問題は直接現在審議しております昭和二十六年度の予算には関連はございません。しかしながら金融の、予算と相携えての重要性経済界に及ぼします大きな影響というものは、私ども非常に重大なものと考えておりますので、この金融債の件につきまして、本委員会として十分皆さんの御意見を伺いながら、この予算の背後に動いて行くところの金融の実勢を見きわめたい、こういう考えでおるのであります。たいへんに御多忙のところを煩わして恐縮でございますが、かよう趣旨に基きましておいでをいただきましたわけでございます。私がただいま申し上げましたよう趣旨を御了承の上、この金融債に関しますところの皆様の御意見を簡單に御開陳を願いたいと思うのであります。御意見を伺いました上で、中曽根委員からその御意見に沿いまして質疑を展開されるごとになつております。  それでは申し上げましたお名前の順序に従いまして御意見を御開陳願いたいと存じます。
  3. 中曽根康弘

    中曽根委員 委員長その前に参考人皆さんに……。
  4. 小坂善太郎

    小坂委員長 ちよつと中曽根君お待ちください。池田大蔵大臣が来る前に、時間を節約しよう思つて私は今のプログラムを言つたのでありますが、大蔵大臣が来ましたから、中曽根君当初の御予定ように、大臣に関する質疑をなしながら、まんべんなく参考人の御意見が開陳されるような方法で質問を展開されるよう希望いたします。中曽根君。
  5. 中曽根康弘

    中曽根委員 私は先般来の東銀債の問題につきまして、この前の委員会日本銀行総裁参考意見を聞くことができなかつたのでありますが、まずあの際に聞き漏らしましたことにつきまして、日銀当局井上敏夫氏にお尋ねいたしたいと思います。  この東銀債発行の経緯につきまして、先般来この委員会でいろいろ調査いたしたのでありますが、われわれが感知いたしましたことは、要するに昨年銀行等債券発行等に関する法律ができて以来、東銀準備を始めた。そうして昨年の暮れ以来東銀、帝銀、これらが発行について大蔵省に運動というか、交渉をし始めた。そうして本年になつてから大月銀行課長が、勧銀及び興銀当局等を呼んで、東銀債発行を円滑にするために、金利の引下げやら、あるいは発行の遠慮やら、そういうことを要望した。われわれはこれを抑制解釈しておる。それでもしかし、地方銀行が騒ぎ出すというので、今度は貸倒れ準備金を資本に算入するという手をもつて地方銀行の頭をなでて、東銀債発行を円滑にしようとした。それにもかかわらず、地方銀行の利害がまちまちであるために、猛然と反対した。池田大蔵大臣選挙地盤のバツクであるといわれる伊藤豊氏までも猛然として反対するという形勢になつて政府も非常に驚いて来た態勢だということをわれわれは感知したのであります。その際一番大きな問題として取上げられたのは、日本銀行総裁あるいは日本銀行政策委員会権威ある意見を排撃して、池田大蔵大臣が自己の責任においてこれを強行したという事実であります。このことは中山政策委員がこの席上において明白に述べたところでありまして、今回はその当事者であるところの、また政策委員会議長であるところの日銀総裁の所信をただしてみたいと思つて、実はきよう委員会が開かれたのでありますが、日銀総裁は御病気であるそうでありまして、この点はなはだ遺憾であります。そこで井上理事におかれましては、そのかわり役としてひとつ率直に明確に当時のことをお知らせ願いたいと思うのでございます。事態は一月の十日前後に、池田大蔵大臣大阪造幣庁へ行く前に、日本銀行及び政策委員会としては、この金融債を現在発行することについては、金融機構の撹乱になる、そういうところから強硬な反対意思を持つてつた。そこで日銀総裁は非常に心配して、われわれが調べた範囲では、年末に大蔵大臣のところに行つて発行抑制方を要望した。さらに一月の十日前後に、池田大蔵大臣大阪へ行く前に、日銀総裁池田大蔵大臣に面会して、自分が帰つて来るまで待つてくれ——当時のことを中山政策委員言葉で申し上げると、おそらく日銀総裁はこう言つておるというのです。それは各銀行に公平にやるようにしなくてはならぬ、ということである。それからこの問題については、自分米国に行くが、米国その他における問題も調査研究する、だからその間しばらく待て、こういう意向を表明されて、池田大蔵大臣に対して要望したというのでありますが、この点日本銀行当局としてはどういうお考えを持つておられたか。日銀総裁はそのような要望を池田大蔵大臣にしたと思うか、このことをまずお尋ねしたいと思います。
  6. 井上敏夫

    井上参考人 一万田総裁池田大蔵大臣に対して言われた言葉は、私その場に立ち会つておりませんし、その内容については存じませんが、日本銀行理事の一人としまして、総裁考えておられたと解釈される点を申し上げることはできると思います。総裁金融債発行については、影響するところも大きいし、また金融機構全体のあり方から考えなければならぬと思う。従つて一月、半月を争うことでもあるまいから、慎重に検討を遂げるために、もう少し待てないものだろうか、ということは、われわれに言われたことがあるのであります。私はそれ以上総裁が何を考えておられたかということは、ちよつと頭にございませんので申し上げられません。
  7. 中曽根康弘

    中曽根委員 日本銀行総裁池田大蔵大臣会つて、大体延期してくれ、こういうことを言われたのに対して、大蔵大臣は、いや待てとは言わなかつた、そういう答弁をこの席上でいたしておる。それは中山政策委員答弁と非常に違うのである。ただいまの井上さんの御答弁によると、やはり待てということを言つたろう、こう想像をしていらつしやる。これは日銀総裁の日ごろの言動から想像される。待てということを明確に池田大蔵大臣に対して一万田日銀総裁言つたと思いますが、あなたもそういうふうに想像されたと解釈してさしつかえありませんか。
  8. 井上敏夫

    井上参考人 大蔵大臣に対して、一万田総裁発行を待つようにと言われたかどうかは、私は知りません。知りませんが、総裁金融債に対する考え方について、理事の一人として聞いておつたところを申し上げたのであります。
  9. 中曽根康弘

    中曽根委員 そこで大蔵大臣にお尋ねいたしますが、東銀債によつて得た資金貿易資金ということになつておる。この貿易資金ははたして長期資金と言えるかどうか。この間の堀江氏の話によると、購繭資金その他にまわるから貿易資金だ、こういうことを言つておるのでありまするが、大体われわれが常識解釈してみて、いわゆる貿易資金として調達する金が、はたして長期資金と言えるかどうか。この点をもう一回明確に御答弁願いたい。
  10. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど井上君への質問に対しまして、私と一万田総裁との話のうちに——速記録をお調べくださればわかると思いまするが、一万田君と会つたときに、東銀債発行自分が帰るまで待つてほしいということを言われたことは、ここで言つておるのであります。そういうことを言わなかつたとは言つておりません。  次に東京銀行金融債長期であるかないかという問題でありまするが、私は長期と言えると思います。
  11. 中曽根康弘

    中曽根委員 あなたはただいままた変なことを言いましたが、最初にこの問題が出たときに、あなたは川崎委員質問に対して、いや日銀総裁は待てとは言わなかつたと断言した。これは私は速記録をここでこの間読んでお見せした通り、第一回の川崎委員質問とあなたの答弁をよく読んでごらんなさい。その後この間の委員会で、私がさらにお尋ねしたときに、あなたは今度の言葉を翻して、私が帰るまで待て、行つている間はもう少し待つてもらいたい、そういうふうになつて来た。最初言葉と違つている。最初は一万田日銀総裁は待てとは言わなかつたと言つているじやありませんか。その言葉まであなたは否定されるのでありますか。もし何なら速記録を持つて来てお見せしてもよいが……。
  12. 池田勇人

    池田国務大臣 私はせんだつて中曽根君の質問にお答えした通りであります。
  13. 中曽根康弘

    中曽根委員 そういう言葉は、自分言葉がきゆうくつになつて、言う言葉がないからそういうふうに返答すると私は解釈しておる。そこで、長期資金だと思いますとおつしやいましたけれども、どうして長期資金と言えるのですか。大体常識的に見て、貿易資金長期資金と断定される根拠をぜひお教え願いたいと思う。
  14. 池田勇人

    池田国務大臣 長期とか中期とか短期とかいうものは相対的のものであります。なぜあなたが長期資金でないとおつしやるのか、その根拠を伺いたい。
  15. 中曽根康弘

    中曽根委員 私の意見を聞く前に、私はあなたの意見を先に聞いている。あなたの意見を先に述べてもらいたい。
  16. 池田勇人

    池田国務大臣 かかるがゆえに長期資金と言えますと答えております。
  17. 中曽根康弘

    中曽根委員 なぜ言えるか。
  18. 小坂善太郎

    小坂委員長 中曽根君に申し上げますが、ここへ貿易界の重鎮の方が二人見えておりますが、そういう方にお尋ねになつたらどうですか。
  19. 中曽根康弘

    中曽根委員 だんだん聞きますが、池田大蔵大臣根拠をまず伺いたい。なぜ言えるか……。
  20. 池田勇人

    池田国務大臣 大体長期とか短期とかいうものは比較的なものでございます。しこうして今の銀行融通は六十日物、あるいは九十日物が短期資金といわれておるのであります。しこうして一年の債券長期とも言い得るのであります。
  21. 中曽根康弘

    中曽根委員 この前に予算委員会でその定義を私は各界の権威に聞いた。そうしたら金融界権威者はみな大体において、東銀が使うよう為替資金長期ではないと言つておる。長期だと主張したのは東京銀行だけだ。あとの人はみな短期解釈しておる。私はもう一回、ここへおいでになりました先輩の皆様方にお尋ねいたしたいと思います。  まず一橋大学高橋先生にお尋ねいたしますが、はたして東京銀行為替金融資金長期資金と言えるかどうか。その長期資金短期資金解釈といいますか、定義といいますか、御見解について教えてください。
  22. 高橋泰藏

    高橋参考人 理論的にあるいは概念的には規定できると思いますが、年月を切つて、どれが長期、どれが短期ということになると、大分問題だろうと思います。まあ常識的に考えまして、三年とか五年とかいうものは、これは長期ということはわかり切つております。あるいは三箇月とか六箇月以下のもの、これも短期ということは大体常識でわかると思いますが、しいて申しますれば、一年というようなものは中期くらいにしか言えないのではないかと私は思います。
  23. 中曽根康弘

    中曽根委員 今の高橋先生のお言葉は、まず中期ということである。しかし中期資金というものは、少くとも長期資金ではありません。法律に何と書いてあるかといえば、「長期資金の円滑な供給を図ることを目的とする。」とある。中期長期じやない。中期長期じやありませんよ。考えてみたつて、これだけでももうすでに法律違反じやないか。  今度は別の先生方に伺いますが、復興金融金庫理事長工藤先生に伺います。あなたは長期資金専門家でいらつしやいますが、業界の常識として、またあなたの御研究において、何を長期と言い、何を短期と言うか。この貿易資金がはたして長期と言えるか、この点をお教え願いたい。
  24. 工藤昭四郎

    工藤参考人 債券発行につきまして、長期債券短期債券という場合には、一年のものは短期になるかもしれません。しかし金融ということになりますと、これはやはり相対的なものでありまして、普通の市中銀行がやつておりまする六十日あるいは九十日物というものを短期考えておるのでありまして、少くとも一年という金融短期範疇には入らぬと私は考えます。
  25. 中曽根康弘

    中曽根委員 工藤さんに伺いますが、それではそれは長期ということですか、どういうことになりますか。これは金融常識上いかなる範疇に属するものでありますか——貿易資金長期と言えるかどうかという問題です。
  26. 工藤昭四郎

    工藤参考人 問題になつております点について、しいて申し上げますれば、ただいま一橋大学先生からもお話があつたように、まあ中期に属するという以外に申し上げようはありません。
  27. 中曽根康弘

    中曽根委員 それではここにおいでになりますほかの方にお尋ねいたしますが、第一物産新関さんですか……。
  28. 小坂善太郎

  29. 新関八洲太郎

    新関参考人 私は金融学者でございませんので、そういう定義についてはよく存じません。しかし長期とか中期とか短期ということは一定不易のものでなく、そのときの金融情勢によつて、おのずから異なつて来るものであり、現在においては、私は長期と言えると思います。また貿易内容から申しまして、そういう事態がたくさんあると思います。
  30. 中曽根康弘

    中曽根委員 私はここで議論するつもりはありませんが、ただいまの御議論は拜聽いたしておき、あとで私の所見を申し上げます。大体物産会社ですから、東銀の肩を持つというのは常識的に考えられる。
  31. 小坂善太郎

    小坂委員長 もう一人物産がいるから、ついでに呼んだらどうですか。
  32. 中曽根康弘

    中曽根委員 ついでに聞きましよう
  33. 小坂善太郎

  34. 久保田幾之助

    久保田参考人 私も長期短期中期というようなことを研究したことはございませんので、いずれに属するかはよく存じませんけれども貿易界常識といたしましては、私ども融通を受けまする資金は、普通に短期と申しております。これは三箇月。六箇月になりますと、やや長いのであります。従つて中期というよう言葉を使つたことはございません。それ以上のものは、しいて申しますれば長期と申しますか、われわれが普通に受取りまするのは、非常に短かい融資でございます。
  35. 中曽根康弘

    中曽根委員 ただいまの協和交易社長さんのお言葉には、非常に私は敬意を表します。  そこで池田大蔵大臣にお尋ねいたしますが、ただいま学界権威者金融界権威者が申されることは、短期とは言い得ない、まあせいぜい中期と言えるかもしれない、こういうお話であります。この前の委員会における調査におきましても、金融界及び学界権威者は、これは短期にあらずということでは一致しておりました。かりに讓つて中期としても、これは長期ではない。この法律に書いてあることは、「長期資金の円滑な供給を図る」と書いてある。もうこれ自体で法律違反だ。長期皆さんが御回答になるならいい。しかしそうではなくて、大体社会の通念で中期あるいは短期、こう認められておるところの貿易資金というものを、この法律によつて調達しようというころに法律違反がありませんか。
  36. 池田勇人

    池田国務大臣 問題が大分こんがらかつておるようでありますが、その法律には長期資金供給するということが書いてある。しこうして長期資金供給するために発行する債券が、長期債券でなければならぬとは書いてない。そこでこの分は、銀行が二箇月、三箇月の期限のものでなしに、実際にいわれておる一年物なら今の場合は長期になる。そういう金を出すための債券なので、あなたは一年の債券なるがゆえにどうこういう問題を論ぜられておるのか、あるいはその債券によつて獲得した資金長期に使うというふうにお考えになつておるのか、その点がはつきりしないのであります。しこうして法律によつて発行いたしまする割引興業債券は一年で出しております。しこうしてまた問題にしておりませんが、商工中央金庫債券も一年の割引で出しておる。これは既定の事実であります。かかるがゆえに、私は東京銀行が一年の債券を出したからといつて法律違反とは考えません。
  37. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は関連して工藤さんにちよつとお伺いしたいのですが、今大蔵大臣並びにその他の学者各位から、長期短期についていろいろ解釈があつたのですが、金融の取扱い上においては、中期という金融概念はありません。これは学者諸君よくお考えにならないと、それは答弁に窮するあまりそう言われたのだと思う。われわれが短期長期という概念を決定する基礎はどこにあるかというと、短期資金商業用運転資金を取扱うのが短期資金でありまして、長期資金というものは設備だとか、そういうふうな固定資産方面に投資されるのが長期資金になつておる。従つて一般商業資金においては、今は二箇月ないし三箇月に一回転をして、一年に大体三回、四回まわらなければ、現在の金融機関は経費が出て来ない。長期資金は別になつておる。  そこで私は工藤さんにお聞きしたいと思うことは、法律概念においては長期短期というものは期日は切つておりません。しかしながら私どもが言う長期債券というもの、長期資金というものは、設備資金である。短期というものはやはり商業資金であるという概念を持つて工藤さんは復金の運営に当られたと思う。そこで先ほど来大蔵大臣が言われておつたあいまいな答弁の中に、一体東銀設備資金を扱う性格を持つ銀行であるかどうかということを考えてみなければいかぬ。これは元の純然たる為替銀行です。しかも今は商業銀行とはいいながら、その特色を持つところの短期金融を扱う商業銀行です。これに対して工藤さんは一体どういうようなお考えを持つておられるか、お伺いしたいのであります。
  38. 工藤昭四郎

    工藤参考人 お答えいたします。ただいまの御質問ように、金融をわけます場合に、長期設備資金運転資金というわけ方もございます。しかし運転資金の中にも、普通いわれておりますものは、二箇月ないし三箇月のものでありまして、これは短期運転資金といつておりますが、これに対して長期運転資金ということも申しておるのであります。それで今御承知よう中小産業者等で最も必要としておりますのは、長期運転資金であるという考え方は相当強く各方面でいわれておるのでありまして、そういう意味から申しますと、運転資金でも、短期部類長期部類とわけ得る、こう考えられます。従つて今やつております貿易資金の中でも相当普通の概念短期の期間内で決済のできないものがありまして、そういう運転資金は、運転資金の中でも比較的長期資金を必要とする、こういうわけ方ができるわけであります。
  39. 西村榮一

    西村(榮)委員 討論の時間でありませんから、今は一応私はお話を承つておきますが、貿易上における長期資金というものは別なわくが今存在しておるということを工藤さんもお考えようです。  そこで私は大蔵当局日銀当局にお伺いしたいのでありますが、この東銀債が非常にやかましくなつて来てから、これが長期資金であるか、短期運転資金であるかということが、いろいろ議論された、従つてこの数日来において十億円発行された東銀債投資方針について、日銀当局会計監査方面に、はたしてそれが長期資金として出ておるのか、あるいは短期資金として出ておるのか、会計監査のことについて、大蔵当局日銀は御相談になつたかどうか、あるいは大蔵当局においてこれだけ国会がやかましくなつたのであるから、一応そのことについて東銀会計監査をなすつたか、あるいはするという御意思があるかどうか、一応これを承つておきたい。
  40. 池田勇人

    池田国務大臣 東京銀行債券は二月の中ごろ発行されまして、まだ中途であると思います。十億円全部が発行になりまして、その後の使い方につきましては、大蔵省といたしましても十分に注意をして行きたいと考えております。
  41. 井上敏夫

    井上参考人 ただいまのところ、お言葉従つて東銀を監査するということは、まだきめておりません。
  42. 西村榮一

    西村(榮)委員 ついで日銀にお伺いしておきますが、東銀は何というても為替銀行としての特色と、一つの能力を持つております。そこで今問題になつておるのは、形式的には一般商業銀行であるが、この為替銀行たる特色を生かすという時期に至るまで、適当な金融政策というものが行われなかつたというところに、一つの東銀自体の苦悶もあるし、国会で法律違反であるという疑いを持つて、これが論究される原因になつて来ておる。そこで私は日銀にお伺いしたいと思うのです。これは将来講和会議後か何かでありますが、この東銀為替銀行としての特色が発揮できるまでの法律的な何か処置をとられ、暫定処置として日銀はこれに向つて金融の別なわくをつくつて東銀の機能を発揮せしめるということの方が金融政策の本筋じやないかと思うのですが、一応あなたの御意見を承りたい。
  43. 井上敏夫

    井上参考人 私は日本銀行の執行部の役員の一人にすぎませんので、あまり大政策につきまして責任ある御答弁はいたしかねます。
  44. 西村榮一

    西村(榮)委員 金融政策として正しいかということです。そのわくをつくる方がいいかということ……。
  45. 井上敏夫

    井上参考人 御答弁はいたしかねます。これはポリシー・ボードの権限に属する事項で、私はちよつと答弁いたしかねます。
  46. 西村榮一

    西村(榮)委員 東銀債発行せしめるよりも、日銀として、為替銀行の機能を発揮せしめるために、別なわくをつくつて金融的処置を講ずる方が、金融政策としての本筋じやないかというのですが、日銀の御意見——これは大政策でも何でもない、事実上の問題なんです。
  47. 井上敏夫

    井上参考人 なにさまただいまの日本の商業銀行——東京銀行も含めてでございますが、なかなかさよう短期商業資金あるいは為替資金だけをやつて行くというような状態になつておりませんために、それらのすつきりとした姿につきましては、今後ポリシー・ボードにおいて十分検討していただかなければならぬ問題だ、こう考えております。
  48. 中曽根康弘

    中曽根委員 先ほど池田大蔵大臣答弁がありましたが、私が最初に出した質問は、東京銀行貿易資金として使う金は、長期資金なりや短期資金なりやという関係で質問した。それに対して、多少あとで話の混淆したところはありまするが、大体金融界権威者お話学界お話は、それは短期資金——せいぜい中期資金だろう、長期資金とは言えない、資金を問題にしてやつぱり言うておる。従つて資金という性質から見て、中期資金であるとか、あるいは短期資金であるとか、こういう性格のものであるならば、それは長期資金とは言えない、だからこれは法律違反ではないのか、こういう質問をしたのであつて短期債、長期債という問題とは、私は直接関係して話はしていなかつた中期資金ないし短期資金である、こういう御回答であつた。だからこれは長期資金にあらずと私は断定したわけです。私はこの第一條の違反行為を大蔵省は認めていると思うのでありまするが、資金の性格から見て、これをあなたは法律の違反をしているとお考えになりませんか。
  49. 池田勇人

    池田国務大臣 ここにおいでなつた方々が短期資金かあるいは長期資金かどつちかである、こうお答えになつたと私は聞いておりません。短期資金ではない、こうなのであります。しこうして私は、東京銀行の貸出し二百億円ばかりの中に相当の長期資金があると確信いたしております。しこうして一年物は長期資金であるかどうかということになりますと、私はただいまの状態におきましては、長期資金と言い得ると思います。長期短期ということは非常なデフレ時代あるいはインフレ時代、その経済界の状況によつておのずからかわつて来るのであります。ただいまの状態では、一年物の貸出しは長期資金と言い得るのであります。他にせんだつて御決議を得ました日本輸出銀行において長期資金をやるといいながら、六箇月以上のものに貸出しをきめております。こういうことから考えまして、今の状態においては東京銀行が一年物の貸出しをやるというなら長期資金と言い得ると確信しております。
  50. 中曽根康弘

    中曽根委員 それでは大蔵大臣にお伺いいたしますが、長期資金調達の金融債であるとすれば、起債懇談会になぜかけないのか。御存じのように、起債懇談会というのがあつて長期資金調達の調整をしておる。なぜ長期資金ならかけないのか。短期資金であるからあなたはかけなかつためでしよう
  51. 池田勇人

    池田国務大臣 かけようがかけまいが、これは法律上の問題ではございません。私は長期資金調達として東京銀行がお出しになることは、さしつかえないと考えております。
  52. 中曽根康弘

    中曽根委員 それは詭弁である。なるほど法律的にはそうかもしれない。しかし金融界の調整を行うために、金融界の道義的なあるいは事務調整上のものとして起債懇談会があつて長期資金の調達を摩擦が起きないように調整しておる。金融界というものは、必ずしも法律一点ばりで通つておるものではありません。非常に緊密な連繋をもつて動いておるのが金融界である。少くとも正常に運営されておる長期資金調達の調整機関である起債懇談会にかけないというのは、あなたがこれは預金証券のかわりである。そういう考えが腹にあるからかけなかつたのであります。何ゆえかけなかつたのか、法律的の論議を言つておるのではない。資金の性格から見て、長期であれば当然かけるべきではないか、私はそれを聞いておる。
  53. 池田勇人

    池田国務大臣 十億程度のものであり、この程度のものであれば、事実上協議会にかける必要はないからと考えたからであります。
  54. 中曽根康弘

    中曽根委員 大分大蔵大臣答弁が苦しくなつて参りましたが、金額の問題ではない。これから市中銀行が続々出すかもしれない。きようは第一、帝国、大阪銀行が来ない。というのは、どうも池田大蔵大臣ににらまれてはおつかないというので来なかつたのかもしれない。出す用意かもしれない。こういうものもどんどん出て来る。そうすると必ずや長期資金長期金融というものを撹乱するに違いない。額の問題ではない。額の問題だけいうならいろいろの問題があとに出て来ます。十億だから起債懇談会にかけないというのは、これは遁辞ではないか、私はそういうふうに判定いたします。ここで聞いておる常識ある人ならみなそういうふうに判定をします。あなたは預金証券にかわるものだ、そういう底意でやつたからそういうことをやつたに違いない。いかに逃げても、いかに黙秘権を使つても、この言葉だけはくつがえすことはできないと思うのであります。  そこで次に大蔵大臣にお伺いいたしますが、そうすると、この法律によつてあらゆる銀行長期資金短期資金の調達を認めるということになります。そうすると今までの金融界の構成というか、金融調達上の常識というものは、一挙にこれで撹乱されると思うのであります。すべての銀行長期資金短期資金の調達を認めるというふうに、政策に御変更があつた解釈してさしつかえありませんか。
  55. 池田勇人

    池田国務大臣 今後金融債がどしどし出るようになりましたならば、これは特殊の債券でありますので、私は協議会にかけて調整をはかつて行きたいと思います。今回の東京銀行のは十億でございまして、大して審議する必要がないと考えたからかけなかつたのであります。第二の御質問の、今後各銀行長期——今回のよう債券を出すことになりますと、やはり銀行短期貸付あるいは長期貸付をやるようになると思います。
  56. 中曽根康弘

    中曽根委員 これは重大なことを聞きました。その前に私は政府側の御見解を聞きたい、それはあなたの下におる大月銀行課長が、「銀行金融債」という本を発行しておる、これは非常に権威のある本であります。この本の中にこういうことが書いてある、「このように、銀行がすべて法律的な取扱において平等になつたことは、最近における制度上の著しい変化であるが、このことは各銀行の業務運営の方針その他における各銀行の個性を失わせるものではない。各銀行にはそれぞれその歴史があり特色を有し、また環境を異にするのであつて法律上の平等化がすなわち同時に経済的なニユアンスの喪失でないことは言うまでもないところである。」こういうふうに言つておる、これは既存の今までの慣習というか、既得権というか、今までのずつと歴史をもつてつて来た経緯を尊重するということに違いない、だからこそ勧銀、興銀には優先株式の発行を認めた、エイドの貸出しを認めた、それは明らかにこれを意味しておると思うのであります。そうすると大月銀行課長が政策としてやろうとして天下に公表したことと、大蔵大臣長期資金短期資金もみんな認めるんだということと大分違いますが、同じですか。
  57. 池田勇人

    池田国務大臣 大月君がどんな本を出して、どんなことを言つておるか存じませんが、私は自分考え大蔵省の政策を進めております。
  58. 中曽根康弘

    中曽根委員 この本はそれじや廃刊にしなさい、うそですよ。こういうインチキをばらまくよう銀行課長はやめさせなさい、あなたの政策に反しておる。  工藤さんにお尋ねいたします。今大蔵大臣の話によると、あらゆる銀行長期資金短期資金の調達を認めるということです。これは私はえらいことになると思う。こういうことがはたして許されますか、いかがですか。
  59. 工藤昭四郎

    工藤参考人 貿易債券の問題がたいへんやかましい問題として取上げられておりますが、御承知ように、銀行というところは信用を第一に考えます。また御承知ようなたいへんそろばんが高いのでありまして、信用を傷つけ、そろばんに合わないような仕事は、これはむろんやらないだろうと思います。従つて今後の問題になつて参りますると、御承知ように、やかましい問題にもなるわけであります。また現在の日本における資金の量も一定しておつて、それをあらゆる方法によつてわけどりしよう思つても、うまく行かないことは当然であります。従つて金融債が出て参りましても、それにはもちろん一定の限度があつて、私は一部が非常に御心配になつておるよう事態は起つて来ない、こう確信をいたしております。
  60. 中曽根康弘

    中曽根委員 私の質問にピントがはずれていますが、あなたは長期資金の調達あるいは調整をやつておられる権威者でありますが、そういう観点からして、あらゆる銀行に、市中銀行にも長期資金の調達もやらせ、短期資金の調達もやらせる、そういうような政策で日本の金融政策上撹乱やあるいは支障は起つて来ないか、そのことをお尋ねしているのであります。今までの既存の銀行の特色や何かを尊重しないで、ばらばらにかつてなことをやらせていいか、こういう質問なんです。
  61. 工藤昭四郎

    工藤参考人 その点についてしばしばこういう問題が起ります原因も、私はそこにあるのではないかと思うのですが、現在の日本の金融制度機構は過渡的な存在になつておりまして、端的に申しますと、整備いたしておりません。従つて今後日本の金融制度がどうあるべきかということを、日本経済の実態に即して早くきめて行くということが、一番大切でありまして、それによつてこの問題もおよそ解決ができるのではないかと考えます。
  62. 中曽根康弘

    中曽根委員 工藤さんにあとでお尋ねいたしますが、高橋教授にお尋ねいたします。日本の金融政策上あらゆる銀行にかつて長期短期資金の調達を認めてよろしい、現在の日本でそれが妥当な政策と言えるか、このことをぜひお示し願いたい。
  63. 高橋泰藏

    高橋参考人 お答え申し上げます。昔からもそうだと思いますが、一般の市中の普通銀行でも全然長期資金供給をやつていなかつたわけではないと思うのです。ただ問題はその調達方法にあるのではないかと思うのであります。その場合に金融債券という形であらゆる銀行が行うことに実は問題があり、同時に前から問題になつておりますよう銀行等債券発行等に関する法律でございますか、あれの解釈が問題になるのではないかと思うのであります。その点につきましては、私どももよくわかりませんですが、あまりあいまいなところがないようにひとつお考えなつたらどうかというふうに考えております。
  64. 池田勇人

    池田国務大臣 誤解があつてはいけませんので申し上げておきますが、あらゆる銀行にのべつ幕なしに無統制に出さすという意味でございません。やはりそのときの状況によりまして、金額あるいは発行方法等ついて考えるということは、私はつきり今までも申し上げております。
  65. 中曽根康弘

    中曽根委員 時間がありませんから、その問題はあとでまた聞きます。
  66. 小坂善太郎

    小坂委員長 中曽根君、ここでひとつ輿論の代表の意見を聞かれてはどうですか。朝日新聞の方はまだ出ておりませんが、日本経済新聞の方がおられますから。
  67. 中曽根康弘

    中曽根委員 失礼いたしました。それでは日経の論説委員友光さんにお尋ねいたしますが、長期短期の問題、それからただいま申し上げましたように、金融政策上これは法律でそうなつておりますが、長期資金短期資金も、要するにあらゆる銀行に一応届出主義で認める、こういう政策がはたして妥当なりやいなや、この問題について教えていただきたいと思います。
  68. 友光正明

    友光参考人 長期短期の区別でありますが、これは嚴格に解釈して、しかもそれを貿易金融ということに限定すれば、これは長期とは言えないじやないかと思います。先ほど中期というお話が出ましたけれども、これはむしろ問題がややこしくなつて、やはり長期でないというように言えるじやないかと思います。ただ東京銀行資金全体ということになると、これはまた別な問題になりまして、あの東銀債貿易金融に使われるといつても、資金は別に区別はないわけでありますから、それがどれが貿易金融行つて——東京銀行もおそらくある程度長期金融をやつておるわけでありますから、それがどれがその長期金融の方に行くかという点は区別し得ないだろうと思います。  それから一般のこういう長期資金を調達することがいいかどうか、長期資金を調達するという意味がちよつと不明なんでありますけれども長期金融がいいかどうかということは……。
  69. 中曽根康弘

    中曽根委員 長期金融するという意味です。
  70. 友光正明

    友光参考人 ですから、調達の方法が、長期資金として調達して、それを長期資金として金融する……。
  71. 中曽根康弘

    中曽根委員 両方です。そういうことがいいかどうかということです。
  72. 友光正明

    友光参考人 これは金融政策の根本的な問題でありまして、商業銀行ということになると、これはわれわれが本やなんかで習つておるのは、長期資金は出さないということになつておりますけれども、現在の日本あるいは過去の日本におきまして、一般商業銀行といわれておる普通銀行、これも長期金融をやつておることは事実であります。また現在もおそらくそれがいい惡いはかなり議論があるかとは思いますけれども、一般の市中銀行長期金融から締め出すということは、実際問題として不可能というか、困難であり、あるいは好ましくないことだと思います。従つて長期金融をやる以上は、長期の方法で資金を調達することも、これは原則的には否定するととはできないだろうと思います。
  73. 中曽根康弘

    中曽根委員 私が申し上げておるの臓、政策の基本としてそういう長期金融はめちやくちや——めちやくちやというと惡いが、市中銀行法律的には無制限に認めるようになつておる、こういう制度がいいか悪いか、金融政策上妥当だと考えるかどうかということをお尋ねいたしたわけであります。
  74. 友光正明

    友光参考人 それは方向としてはなるべくはつきりわけて——短期長期とにわけるということは、方向としてはそつちの方向に行くべきだろうと思います。ただそれをただちに行うかどうかということは、これは全然別で、現在としてはむろん長期金融から市中銀行を締め出すということはできないだろうと思います。
  75. 中曽根康弘

    中曽根委員 そこで大蔵大臣に伺いますが、この前地方銀行協会の伊藤さんがはつきり言つておりましたが、こういう金融債を出すと、他の預金がみな振りかわつてしまう、これを一番心配しております。これは現に私の知つているある会社の重役が、利益金を個人名義で預託するような者が出て来る。あれは税金を免れられるから、個人名義でこつちへかえようというようなことを言つたのを私聞いたのでありますが、預金として預けているものをこういう金融債に振りかえられることをいかにして防ぐかということが、金融政策上大事なことであります。いかにしてこれを有効に実現し得るか、大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。
  76. 池田勇人

    池田国務大臣 われわれの最も心配しておりますことは、預金が横流れその他によりまして、金融上異常な様相を呈することを心配しているのであります。従いまして、原則的には各銀行も法定の範囲内で出させるようになつておりますので、原則的には出すことを否定するものではありません。しかし今申し上げましたように、横流れが起つたりあるいは非常に撹乱状態が起ることは、これは嚴に避けなければなりませんので、原則は認めますが、どれだけの額を、いつ、どういうふうな方法で発行するかということは、私ども関心を持つて監督をして行く考えであります。
  77. 中曽根康弘

    中曽根委員 横流れを有効に防止するにどういう対策をとるか、横流れが出て来ておるということは、先ほど私がある重役から聞いたことでもわかります。それをいかに有効に阻止する対策を大蔵省は用意しておるか、そのことをお聞きしておるのです。
  78. 池田勇人

    池田国務大臣 私が横流れを防止すると申し上げておりますのは、横流れが絶対的にいかぬというのではございません。たとえば東京銀行におきまして十億円発行した場合に、東京銀行の既存の定期預金がこれにかわることはさしつかえない。経済界金融界に惡影響のない横流れは認めている。しかし片一方ではこれによりまして、たんす預金の吸收その他のいわゆる資本の集積ができれば、その方の効果をねらつておるのであります。これは程度問題でございます。ある銀行の定期預金が債券発行銀行にみなかわつて行くというようなことがあつてはたいへんでありますから、そういう場合におきましては、その銀行発行額、あるいは発行をどの程度でやるか、そうして金利その他をどうするか、こういうことで調整をして行こうとしておるのであります。
  79. 中曽根康弘

    中曽根委員 そこで大事な問題は、この前も地方銀行協会会長の伊藤さんが言つておられましたが、地方銀行をそれでどうして保護してくれるか、大銀行地方銀行を比べれば実力も違うし、どう見ても地方銀行が圧迫される。特に彼らが心配しているのは、この地方銀行の保護ということでありまするが、いかに有効なる保護政策というか、阻止政策を地方銀行に対して行うか、このことをお尋ねしたい。
  80. 池田勇人

    池田国務大臣 地方銀行が困ると言つておりますが、どういう困つた事実が起つたかによつて考えるのであります。
  81. 中曽根康弘

    中曽根委員 困つた事実が起つてから考えるのではおそいのであつて、そのときには地方銀行はぶつつぶれるかもしれません。その前に政策を準備して手当をするのが政治ではありませんか。大蔵大臣はこれによつて地方銀行にどういう影響が出て来るかということを御研究になつたことはございませんか。
  82. 池田勇人

    池田国務大臣 どういう影響が起るかということは考えましたから、二十億円を十億円にしたり、起らないようにしておるのであります。決して私はあなたが御心配になるよう地方銀行がつぶれる、さようなことは毛頭考えておりません。
  83. 中曽根康弘

    中曽根委員 あなたはこの間の答弁で、今後も市中銀行が届け出して来たら続々認める。もちろん市場の状況を見て考えるけれども、認める方針である、そういうことを言つておる、それがまた非常に地方銀行協会会長の伊藤さんの憤激を買つて、そこで悲憤慷慨した通りです。彼らが心配しているのは、それが起つてから対策をするということを期待しているのではない。その前にいかに有効な政策をやつてくれるか。そこでこの前の舟山さんの答弁をひつぱり出したわけです。代理貸しをするというようなことをあなたは認めておつた。これがいいか惡いかということは別として、こういう政策も考えているか、そういうことを質問した。あのことを実際にやるのですか、やらないのですか。あの速記録によれば、川島君の質問に対して、あなたは明らかにやると言つておる。ところがこれは勧銀に限つた問題であると、こう答えておる。大蔵大臣はあの答弁をいかにお考えになりますか。
  84. 池田勇人

    池田国務大臣 私はそういうふうな特別の方法を講じなければならぬほど、地方銀行が困るとは思つておりません。地方銀行が非常に困るというようなことはないという前提のもとにやつておるのであります。
  85. 中曽根康弘

    中曽根委員 そうすると、この前の舟山銀行局長答弁は、うそということになりますか。
  86. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 前回の御質問後、私は速記録を点検いたしましたが、前の国会においても私の申し上げたことは、特に勧業銀行のことについて話しておることをはつきりいたしました。今般の問題につきましては、そういう弊害が起ることを考えておりませんので、代理貸しその他の方法は従つて考えておりません、
  87. 中曽根康弘

    中曽根委員 あそこに証人の川島委員がおる。この前あなたとやり合つた通りです。速記録をあなたに見せた通りじやないですか。あの中に書いてあることは有力銀行という言葉であつて勧業銀行なんという言葉は出ていない。質問趣旨の中の有力銀行というのは、東京、大阪の有力銀行——その中には勧業銀行も入つているかもしれませんが、それは勧業銀行に限定したことではない。あなたはあの速記録をしさいに検討してみたのですか。あなたの今の答弁は窮余の一策で逃げたとしか思われない。そのことは川島君から聞いてください。
  88. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 私は速記録を十分調べ直しまして、当時の状況を思い出したのであります。有力銀行と申しますのは、勧業銀行をさしておつたのでありまして、これは前後の関係をよくお読みくださればはつきりわかると思います。
  89. 中曽根康弘

    中曽根委員 前後の関係を読むなどということはこれはおよそ遁辞でありまして、あのとき川島君が質問しておる焦点を見てみれば、彼が心配しておつたことは、東京その他の大銀行が地方へ進出して行けば地方銀行は困るではないか、同じ金融債を出すにしても打歩ができるかもしれませんし、大体消化ができるかどうかも地方銀行はわからない、そういう質問をしておつた。それに対してそういう答弁があつたのであつて勧業銀行を中心にした質問ではない。これはそこに証人がおるから、あなたは開いてみて……(「その通り」)その通りとはつきり言つているじやないですか。
  90. 小坂善太郎

    小坂委員長 私語を禁じます。順次質問の形式でやつてもらいます。
  91. 中曽根康弘

    中曽根委員 時間の関係から、そこで私は池田大蔵大臣にお尋ねいたしますが、大蔵大臣答弁によると、市中銀行にも長期資金の調達を認めてやるのだ、この前の話では届出があれば受理しなければならぬ、そういうことを言つております。そうすると、今までの長期資金調達の系統と短期資金調達の系統に関する基本政策といいますか、要するに特銀系統と市中銀行系統のあの基本政策というものをここで変更したということになりますか。少くとも法律上は変更したと考えてさしつかえございませんか。
  92. 池田勇人

    池田国務大臣 日本の銀行法上に特銀とは普通銀行とかいう観念はございません。
  93. 中曽根康弘

    中曽根委員 昔はあつた
  94. 池田勇人

    池田国務大臣 昔は昔のことで、今はありません。
  95. 中曽根康弘

    中曽根委員 私が言つておるのは——よく聞いてください、そういう系統でずつと今までやつて来た、今後もこの系統で行くのがよろしいというのが大体の常識であつて、またこの間の答弁であつた。そういう一つの今までの基本的な政策、これは法律的には別として、常識的にも金融政策上もみなが妥当と認めて、保護して維持して来た政策を、大蔵大臣法律的に転換したと言われるのでありますか。そのことを聞いておる。
  96. 池田勇人

    池田国務大臣 昔は特銀あるいは普通銀行というものがありましたが、今はないのであります。しこうして勧業銀行がお前らの銀行長期ばかりをやつて行け、不動産担保ばかりやつて行けと言つたつて大蔵大臣としてはそういうことを命ずる権限はありません。指導としてはある程度の気持はあります。しこうして今見返り資金から出したのは、昔の長期資金を調達しておつたあるいは農林中金、商工中金でございますか、それに見返り資金を出しました関係上、債券発行が非常に楽にできるということだけであるのであります。今後におきまして、たとえば信託銀行が出すということになつて来ますれば、私は勧銀と興銀だけにしかやらぬという考えは持つておりません。
  97. 中曽根康弘

    中曽根委員 時間がありませんから私は急ぎますが、大蔵大臣はそうすると少くとも法律的にはかえたし、また実際の運用も届出主義であるから、大体それをあの法律に準拠してやる、こういう御答弁だと解釈してよろしいのでありましようか。そうすると、われわれから考えると、今までの金融政策の基本方策というものは、この銀行等債券発行等に関する法律の発布によつて転換したと考える。しかもその第一歩がこの東銀金融債に出て来ていると考える。こういうような基本方策の変更を、私は何も法律的な形式的な論議をしておるのではない。あの権威ある日銀政策委員会あるいは日銀総裁、この反対を押し切つてまでも強行するだけの価値のある問題であるか、また緊迫性のある問題であるか、意義のある問題であるか、大蔵大臣に伺いたい。
  98. 池田勇人

    池田国務大臣 今の制度といたしましては、各銀行が出し得ることになつております。しこうして私は資金の蓄積の関係上、金融債発行は一日も早くやりたいという考えを持つております。
  99. 中曽根康弘

    中曽根委員 私は反対を押し切つてやるだけの価値がある、そういう御答弁であるとそれでは解釈いたします。しかし東銀債発行に関しては、この間の東銀の堀江常務のお話によると、いや自分銀行はそんなに困つているのじやないという話でありました。困つていると言えば銀行がつぶれるからおそらく言わないのかもしれませんが、われわれの調べた範囲では、東銀はユーザンスが五百億もたまつているし、資金はないし、預金は集まらないし、その救済で泣きついてやつたのじやないか、こういう大体の観測であります。しかし東銀の話によると、そう緊迫した事情はないのである、ただ自己資本中心でやりたいという一般政策でやつたんだ、こういうお話でありますが、こういうような基本的な政策の変化というものを、東京銀行はそうした緊迫した事情がないのに、一万田日銀総裁——わずか待つといえば一月じやないですか。一月も待てないで、特に東銀にだけ許したということは、私は臭いということを申し上げておる。どうしてそんなに緊迫した事情で、東銀だけ先に認みたのか。一万田日銀総裁もきのう帰つておる。きようまで待てばいいじやないですか。待たなければならぬという緊迫した事情があるのですか。
  100. 小坂善太郎

    小坂委員長 中曽根君に申し上げますが、そのあなたの臭いという言葉は、この前も訂正した言葉でありますが……。
  101. 中曽根康弘

    中曽根委員 訂正しない。
  102. 小坂善太郎

    小坂委員長 あなたは訂正されまして、委員長は適宜にはかろうというお約束をしたのですが、この言葉は適当な言葉に直しましよう
  103. 中曽根康弘

    中曽根委員 私は訂正しません。
  104. 池田勇人

    池田国務大臣 緊迫したというような問題ではございません。いいことは早くやつた方がいいと思います。従つて何も一万田総裁が帰らなければ、大蔵大臣考えを主張できぬというようなことではありません。しかして一万田総裁意見意見としてあくまで聞きますが、あれにとらわれる必要はないのであります。私の信念であります。しかもポリシー・ボードがありますが、ポリシー・ボードが決議したのではありません。意見の交換をしたのであります。しかも反対の意思表示としては出て来ないと思います。あなたは一万田総裁が待つてくれと言つたら、大蔵大臣、あなたは待つたらいいじやないか、こういう前提でありますが、大蔵大臣大蔵大臣の所信によつてやります。
  105. 中曽根康弘

    中曽根委員 どうも日銀総裁の任期満了が近づいて来たから、大蔵大臣いやに強腰になつて来ております。しかし私は銀行界のことはよく知りませんが、銀行というものは非常に緊密な関係を保つてつて、協調融資であるとか、あるいは手形の交換であるとか、ともかくお互いに暗黙とかあるいは言葉の了解で道義をもつて進んでいるものだ。ところがこの発行抑制する、こういつたけれども、道義上あるいは資金上あるいは金融政策上、そういうのは妥当でないからやめましよう、それは言葉や名目ではない、そういう道義上の問題があると思うのであります。その国策の基本をやるところの大蔵大臣やあるいは日銀総裁や、政策委員会というものが不調和のまま、このような大きな亀裂を残したまま、あなた方がこれからほかの銀行発行抑制よう、こういうことを言つても、はたしてほかの銀行が聞くだけの筋合いでありますか。少くともこういう重大な問題をやる限りは、国の金融界の首脳部が完全に呼吸を合して、そしてこの通り合したのだから、あなた方もこういうように聞けと市中銀行地方銀行にも説得するのが筋ではないか。それをやらなくて、あなたは市中銀行地方銀行抑制方を説得する筋合いではない。私は少くともただいまのお言葉は非常に妥当を欠く言葉であると思うのでありまするが、訂正する意思はありませんか。
  106. 小坂善太郎

    小坂委員長 ちよつと待つてください。中曽根君、あなたはさつき臭いということは取消さぬとおつしやいましたけれども、臭いという言葉は不穏当であると委員長は思います。あなたはこの前のあなたの討論のあとで不正ではないが不当だと思うと言われた。不正ではないということをあなた自身言つていらつしやるのですから、これは適当な言葉にいたしましよう。おまかせください。     〔「取消す必要はない」と呼び、その他発言する者多し〕
  107. 池田勇人

    池田国務大臣 私と東京銀行との間が臭いと言われますが、何が臭いのでございますか。不穏当千万だと思います。  しこうしてお答え申し上げまするが、日銀大蔵省とは何も不和な状態になつておりません。金融債発行につきましても、千代田銀行の頭取は、金融債発行に賛成しておる論文を出しているじやありませんか。銀行家全般の意見、しこうして今後日本の資金蓄積に向つて銀行が進むべき道は、私はこれにあると考えたのであります。象牙の塔におつて自分のことばかり考えよう意見には、私は乘つかつて行くわけには行かない。日本の銀行を今の状態においてどういうふうに見たらいいか、新しい店舗に対してするときには、それは反対する人もありましよう。しかしこれは私は銀行業界の最も有力な人に二十億円を十億円で出すことにした、これはいいだろう、こういうふうに言つております。ただ一部の人の反対意見を取上げて、そうして大蔵省日銀との間が変に行つているとか……、それはあなたの取越し苦労だと思います。
  108. 中曽根康弘

    中曽根委員 取越し苦労といつても、この前の委員会で、中山政策委員がここでどういう議論をいたしましたか。少くとも政策委員会の代表として来られた方だ。あるいは勧銀や興銀の首脳部の方々は、どういう議論をなさつたか。少くともあの人たちは、金融界では権威ある大先輩である。あるいはまたここにおいでになつておる高橋氏にしても、あるいは論説委員友光さんにしても、どういう議論をなさつているか。新聞が今どういう論説を書いておりますか。大蔵大臣がいかにここで強弁せられても、その言葉は正直な正しい議論としては受取れないのであります。私は時間がありませんから次の問題にすぐ移ります。  まず第一に大蔵大臣に承りたいと思いますが、東銀債の金利をなぜ五分にしたのでありますか。
  109. 池田勇人

    池田国務大臣 東京銀行と私が臭いという意味をひとつ御答弁願いたいと思います。  金融債を五分にいたしましたのは、この前に申し上げました通りに、一年物の定期預金は五分であるのであります。私はそれよりも高い五分五厘を考えておりましたが、これは引受の日によつて五分二厘程度に相なりますので、大体自分考えておるのと一年物の定期との間になるというのできめたのであります。
  110. 中曽根康弘

    中曽根委員 私は昔警視庁で監察官をしておりましてよく調べたことがある。私の勘では、今まで出て来たところを見ると、まず第一に東京銀行金融債発行するについてそうした緊迫した事情はない、のみならず政策委員会あるいは日銀総裁が反対した、少くとも日銀総裁については帰るまで待つてくれ、こういう意思表示をしたにもかかわらず、あわててこれを出したということは、しかもあの一月十日から一月十九日に至る間の足取りや経過を調べてみると、私らには常識的に疑問に思う点があるからであります。あるいは東銀債は利息は五分だ、あるいは一般の長期資金というのは七分か八分だ、その安い利息で発行するために、勧銀や興銀の連中を呼んで発行抑制する、待つてくれという、あるいは利率を下げてくれという、あるいはまた地方銀行に対しては、われわれが調べた範囲では、貸倒れ準備金を資本に算入するようにするから、これで地方銀行も出るではないか、こういうことも言つたらしいことは、これは通牒案の中にはつきり出ておる。こういうことや、あるいは東京銀行金融債による調達をする資金というものは五分です。ほかの長期資金というものはたいてい七分か八分です。五分の安い利息で入れた金を長期資金ということにして使用するということになれば、ほかの勧銀や興銀なんかの長期資金よりははるかに利ざやが多い。それをあわてて今やつた。こういういろいろな疑問の点があるから、私は申し上げたのであります。今金利を五分にした理由をおつしやいましたが、五分にしたという理由を私もう少し説明していただきたい。
  111. 池田勇人

    池田国務大臣 お答えいたします。倉皇としてやつたのでは、ございません。せんだつての話にありましたように、去年の四月ごろから計画しておつたのであります。何も倉皇としてやつたのではありません。しかも私は資本の蓄積ということが必要になつて参りましたので、いいことであるから早くやつた方がいいというのでやつたのであります。臭いと申しまするが、臭いが疑問になりますか。私はそういうことを言われれば、あなたが臭いのじやないですか。五分の利子は定期預金の一年分と歩調を合せ、しこうして利回りは五分二厘程度がいいと思つたのであります。これ以上の説明はいたしません。
  112. 中曽根康弘

    中曽根委員 説明いたしませんのなら、次にお聞きいたしますが、大体他の長期資金の調達のための金融債は、七分、八分の金利で発行しておる。ところが東銀債を一応定期預金並にしておるというのは、これは預金証券という性格を持つているから、そういうふうにしたのではありませんか。
  113. 池田勇人

    池田国務大臣 定期預金のよう考え方もできる、こういう気持は持つております。従いまして一年分の定期預金と歩調を合せたのであります。
  114. 中曽根康弘

    中曽根委員 預金証券というような性格を持つておるにもかかわらず、債券という名前で出したというのはこれは一種の脱法行為ではありませんですか。
  115. 池田勇人

    池田国務大臣 定期預金のような経済的効果がありましても、債券として出すことは何らさしつかえございません。
  116. 中曽根康弘

    中曽根委員 さしつかえないと言われますけれども、本体が、実質的な性格が、預金証券という性格をはつきり持つているものを権力を使つて法律というものによつて、これを債券として出す。これは明らかに実質的には私は脱法行為だと思う。そこで私は大蔵大臣に承りますが、東京銀行が、あるいはその他の市中銀行が、金融債によつて長期資金として調達した金を短期資金にまわさないで、それをいかに有効に確保する方法がございますですか。
  117. 池田勇人

    池田国務大臣 銀行は善良なる管理者の注意をもちまして適当に処理して行くと私は信じております。
  118. 中曽根康弘

    中曽根委員 適当に処理して行くというのでは、監督官庁たる大臣の責任を私は果すことができないと思う。少くともこういう法律に準拠して、長期資金調達のためにやつたというなら、長期資金に使わなければこれは法律にも反するし、またほかの長期資金調達の銀行でも困るでしよう。そこで何かそれに対する、たとえば東京銀行はこういうふうに発行して来た。いかにして長期資金にこれを使わせるかという保障なくしては、私は大蔵大臣としての監督の責めを果すことができないと思う。いかなる保障をもつてあなたはこれを認めるか、こういうことを聞きたいのであります。
  119. 池田勇人

    池田国務大臣 東京銀行法律に基いて出したのでありまするから、東京銀行長期資金に使いましよう。しこうして銀行検査の場合に、使つていない場合におきましては注意を與えるのであります。銀行はやはり法律に準拠いたしまして営業方法をきめて行くと思います。
  120. 中曽根康弘

    中曽根委員 しからば大蔵大臣に承りたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、他の金融債は大体七、八分であります。ところがこの七、八分の金を短期資金に使おうとすれば、そろばんが合わない。ところが東京銀行債券は定期預金並である。従つてこれは短期に使つても、これは利ざやにもなる。いわんや、これを長期に利用する。これは長期資金として調達したのだから、当然長期に利用するのでありまするが、これを長期資金に利用すれば、他の長期資金と比べて、これは非常に利益が上つて来る。どうしてこのようなへんぱなことをお認めになりましたか。
  121. 池田勇人

    池田国務大臣 何もへんぱではございません。利益があれば銀行もそういうふうにやりますでしよう
  122. 中曽根康弘

    中曽根委員 日本経済新聞友光さんにお伺いいたしますが、利益があれば何でもやつてよろしい、そういう今の大蔵大臣の御答弁は、はたして金融政策上妥当とお思いになりますか。
  123. 友光正明

    友光参考人 原則論としては、利益があれば何でもやつてもいいということは言えないと思います。ただ個々の場合はわかりませんけれども、原則論としてはそういうことは言えないと思います。
  124. 池田勇人

    池田国務大臣 利益があれば何でもやるとおとりになりますが、そうではないのであります。金融債発行して相当利益があるとすれば、他の発行し得る銀行発行してそういう長期資金をやるでしよう、こういうのであります。
  125. 中曽根康弘

    中曽根委員 この割引の利率の問題は、他の長期資金、たとえば興銀や勧銀債券発行の場合にも関係いたして来ます。そこで東銀債だけを五分に下げた。そこで興銀の割興七分を五分に下げてくれ、こういうことを大月銀行課長は要請しておる。そういうところから見ると、一つは御存じのよう東銀債発行を容易にするということもあつたのでありまするが、割興も一緒にこれに同調させて、同じような性格を持たせたい、そういう意図でおやりになつたと思うのですが、はたしてそういう意図からおやりになつたのですか。
  126. 池田勇人

    池田国務大臣 これは東銀債が五分二厘の利回りになるから、割興が必ずしも五分二厘にならなければならぬというわけのものではございません。やはり銀行の信用、あるいは顧客の状況等によつてきまる問題であるのであります。しかし経済の原則といたしまして、東京銀行債が五分二厘であれば、割引興業債券もそれに準じ、ならつて来るような状況になるのではないかと思います。
  127. 中曽根康弘

    中曽根委員 大蔵大臣に伺いますが、しからば東銀債長期資金調達の方法としてやつておるというのですが、これは証券業者に取扱わせないという話でありますが、はたして取扱わせないのでありますか。
  128. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 東銀債その他今後発行を予期せられます短期銀行債につきましては、これはもつぱらたんす預金の引出しをねらいまして、直接窓口で一般に売り出すということをやつて参ります。証券業者に扱わせるとか、また銀行間の消化は、一応考えよう指導いたしております。
  129. 中曽根康弘

    中曽根委員 長期資金調達関係といえば、大体証券業者を通ずるというのが常識でありますが、東銀債に限つてこれを経由しないということは、一体法的根拠はどこにあるのでありますか。
  130. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 証券業者に扱わせなければならぬという法的根拠もないのでありまして、これは取引の実情に合い、また政策的にどういう消化先をねらうかというようなことによつてきまつて来るのであります。
  131. 中曽根康弘

    中曽根委員 証券業法による証券業者の正当な業務を圧迫すると思いませんですか。
  132. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 思いません。
  133. 中曽根康弘

    中曽根委員 なぜ思いませんか。
  134. 舟山正吉

    ○舟山政府委員 これは銀行が証券業者に権利を確保した問題ではないのでありまして、従つてどういう取引方法をもつてつてもさしつかえないと思います。
  135. 中曽根康弘

    中曽根委員 それは法律上はさしつかえないでしよう。しかし長期資金調達という名前をここにうたつておる限り、私は一応証券業者の了解を得るとか、あるいは正当な業務を圧迫しないような措置をとるのが妥当な政策だと思うのであります。  私は次にもう一つ、今度は税法上の問題についてお尋ねいたします。まず第一に大蔵大臣に伺いますが、無記名預金は一体なぜ廃止されて、復活されないのでありますか。
  136. 池田勇人

    池田国務大臣 無記名預金は、私は実は認めたいのでありまするが、関係方面から無記名定期預金は行わない方がよい、こういうことであります。税法上の理論から申しますると、無記名定期でも税法上は申告することになつておるのであります。
  137. 中曽根康弘

    中曽根委員 関係方面はなぜ無記名預金を廃止させたのでありますか。
  138. 池田勇人

    池田国務大臣 これはやはり課税の適正と申しますか、嚴格なる意味の課税の適正というところから来ておると思いますが、この点はそれ以上のことは知りません。これ以上のことなら向うにお聞き願いたいと思います。
  139. 中曽根康弘

    中曽根委員 どうも苦しくなるとダレスに聞けとかドツジに聞けとかいうので、はなはだそういう卑怯な態度を遺憾に思います。大蔵大臣にお尋ねいたしますが、東銀債は大体無記名預金にかわるものとして、たんす預金を引出すものとして、大体これを認めたい、預金証券的性格を持つておる、要するにたんす預金を引出すためにこういうものをやつた、こういうお話でございますが、それに相違ございませんか。
  140. 池田勇人

    池田国務大臣 資金の吸収にはあらゆる手を用いてやりたいのであります。今回の金融債東京銀行が出すことも、この資金の吸収の一助になると思うてやつたのであります。
  141. 中曽根康弘

    中曽根委員 東銀その他の金融債、特に東銀金融債は非常に売れ行きがいいようでありますが、これにみな飛びついて来るのは、一体どうした理由から飛びついて来るのでありましようか。
  142. 池田勇人

    池田国務大臣 各人各様の考え方があると思います。一々その人の心理は知りませんが、とにかく源泉で課税にならずに所得申告のときに出せばいいということなんかも、一つの妙味であろうと思います。
  143. 中曽根康弘

    中曽根委員 しからば大蔵大臣にお尋ねいたしますが、大蔵大臣は税金を吸収するのに非常に権威者であり、また鶏一羽、かきの木一本にも税金をかけて苛斂誅求しておる。そういうときに無記名預金が脱税を透発するというおそれで許されない、大体これが常識です。にもかかわらず同じ無記名債券、この東銀債を認めるというのは、税法上これは穏当を欠く措置ではありませんか。
  144. 池田勇人

    池田国務大臣 私は財政演説でも言つておりますように、経済政策にある程度の租税政策をマツチさせなければならぬと思います。従いまして今までのようにきゆうくつに税の公平一点張りで行くよりも、やはり日本の復興のためにはある程度課税にニュアンスを持たせて行くのがいしのではないか、こういう考えのもとに源泉選択課税も今年までは認められなかつたのでありますが、これを認めて行くように、ある程度のニユアンスをそこに置いて行く、そうして資本の蓄積という大目的を進めて行きたいという考えでおるのであります。
  145. 中曽根康弘

    中曽根委員 資本蓄積はわかるのですが、法律上の考え方として、課税の公平あるいは税金の増収を日夜念願しておる大蔵大臣が、無記名預金が脱税を誘発するからいけないというならば、同じ原理に立つて行くと、これと同じよう金融債も脱税を誘発しておるのであつて、物事の筋道からいえば、当然禁止さるべきものと思うのでありますが、こういうことを認めるということは、少くとも税法上は犯則的な行為であるとはお考えになりませんか。
  146. 池田勇人

    池田国務大臣 物事というものはあまりかたくとらわれて考えてはいけない。(「じようだん言つてはいけない」と呼ぶ者あり。)御承知通りに無記名定期預金というのは、一昨年来非常な問題になりまして、これは議論になつたのでありますが、割引債券というものは昔からやつてつたのであります。もう二、三十年—三十年にはなりませんが、二十年ばかり前から割引債券というものがございました。これは興業銀行割引債券であります。元、主税局としましては、この割引興業債券は一般個人に持たしてはいけない、法人に持たすという建前で行つたのであります。しかるところ、十年ぐらい前から、興業銀行はこれを個人が持つと非常に税金が軽くなるというふうな広告なんかを証券会社を通じて出しております。私は主税局長当時、これでは約束が違うじやないか、そういう新聞広告はまかりならぬといつてこれをやめさせようとした急先鋒であるのであります。しかしこの割引興業債券というのは、割引の方法によりまする債券は、非常に歓迎されて、ここに一つの拔け穴があつた。私は無記名定期預金は認められないということになつたならば、資本の蓄積上、今まで行つてつた割引債券発行ということをひとつやつてみたらどうか。しかしこれが、非常にこればかりになつてしまつて、非常な租税の軽減になるというふうなことになりますると、これは租税政策上また考えなければなりませんので、今経過的の方法として、急を要する資本蓄積に役立つものならば、今まであつた一つの制度をある程度認めて行つたらいいのじやないか、こういうのでやつたのであります。しかしこれも建前といたしましては所得として申告することになつておるのであります。
  147. 中曽根康弘

    中曽根委員 なるほど割引料というものは所得税法上課税の対象になつておりません。しかし常識的に考えてみても割引料と金利というものは性質は同じものである。しかし金利については課税するが、割引料について課税してないということは、これはいかなる理由ですか。これは無知か怠慢か、一体どういう理由からこれをやつておるわけですか。私は税法の権威者である大蔵大臣からこれをお聞きしたいと思います。
  148. 池田勇人

    池田国務大臣 割引料が所得なりやいなやということは議論があるところでありますが、私は課税すべきものと考えております。
  149. 中曽根康弘

    中曽根委員 課税すべきものでありますか。課税すべきものであるならばなぜ課税できるようにしないで、このよう金融債割引で認めておるか。
  150. 池田勇人

    池田国務大臣 そこが資本蓄積という大目的のための犠牲であるのであります。
  151. 中曽根康弘

    中曽根委員 この目的を達成するためには、今までの税法上の、大体学界からも、世界的にも認められておつた原則をくずして行く、これは鶏一羽、かきの木一本にまで税金をかけて、農民や労働者からは苛斂誅求しておる大蔵大臣として、私はこれはなかなか肯肯し得ない措置であろうと思うのであります。金利にかけてなぜ割引料にかけないか、私は少くとも課税の公平を失しておると考える。資本蓄積の急務だということでカバーできないと思うのであります。大蔵大臣はいかようにお考えですか。
  152. 池田勇人

    池田国務大臣 割引料にも課税する建前をとつておるのでありますが、源泉課税はしていないわけであります。所得の申告には出すべきものと考えております。しかしてかきの木一本、鶏一羽と言われますが、これは課税いたしません。(「やつているじやないか」と呼ぶ者あり)昔は、われわれが徴税官吏であつたときには、そういうことはしなかつた。最近においてそういう声を聞きましたから、本年から課税しないようにしろということを通牒を出させました。その内容を申し上げますと、自分のところで消費するものならば、かきの木が何本あつても、鶏が何羽おつても、課税しません。しかし販売する場合におきましては、これは所得でありますから、かきの木は四本以上、鶏は五羽を越える場合において、よそへ売つて所得があれば課税する、こういうふうに改めたのであります。自分のところで消費するかきや卵ならば課税するなということを私は通牒を出させたのでございます。あなたの言われることは、昔のことでございます。
  153. 中曽根康弘

    中曽根委員 昔のことではない、実際現在でも行われておる。次に伺いますが、この間大蔵省が関係者を呼んで出した通牒の中に、貸倒れ準備金法律上の自己資本とみなす、こういう方針に変更したいということがありましたが、これは大月銀行課長も認めておつたが、この方針は今後も変更ございませんか。
  154. 池田勇人

    池田国務大臣 私はこの問題については、何か通牒を出したとか出さぬとかいうことですが、ここで聞いたのとは違つて、通牒を出していないようです。しかして貸倒れ準備金債券発行の自己資本の中に入れるか入れないかということは、議論のある問題とは思いますが、私は債券発行のための自己資本として取扱うということにつきましては、賛成であります。
  155. 中曽根康弘

    中曽根委員 一橋大学高橋教授にお伺いしますが、この貸倒れ準備金を自己資本の中に算入するということは、はたして妥当な行為でありますか。
  156. 高橋泰藏

    高橋参考人 私たいへん浅学でございまして、貸倒れ準備金を自己資本の中に算入することがよいかどうかということは、ひとつ会計学の專門の方にお伺い願いませんと、私、はつきりいたしません。ただ問題は、それが債券発行の限度の問題になるかどうかという点だろうと思います。貸倒れ準備金を入れること自体につきましては何とも申し上げかねます。
  157. 中曽根康弘

    中曽根委員 それでは日本経済新聞論説委員友光氏にお伺いしますが、貸倒れ準備金というものは、今までは会計法上も、税法上も、これは定義を調べてみると、利益の中から積み立てられたものであつて、かつ株主勘定に属するものとある。これは明らかに損金になつておる。利益計上前に経費として落されるものであります。だからこそ、課税の対象になつておらない。しかるにこれを、債券発行の限度を拡張するために自己資本の中に算入するということは、税法上から非常に均衡を失するものであると思うのでありますが、いかにお考えになりますか。
  158. 友光正明

    友光参考人 貸倒れ準備金債券発行の基礎にするということは、私は法律をよく知らないのですが、貸倒れ準備金の性質からいうと、貸倒れ準備金は最近非常に割合が増加した。これは実際にこういう経済の不安定期には貸倒れが起りやしないかということから来たのだろうと思います。その意味では必ずしも適当でないように思います。ただ貸倒れ準備金債券発行の基礎にするということは、おそらく便宜的にやつているのじやないかというふうに見ております。
  159. 中曽根康弘

    中曽根委員 友光氏にお伺いしますが、便宜的にやるということは、妥当なことかどうかという、その見解をひとつ承りたいと思います。損金で税金がかかつていないものを資本の中に算入するという便宜的行為が、税法上も許されるかどうか。
  160. 友光正明

    友光参考人 税法上と言われますと、どうもぼくもあまり法律論はわかりませんけれども、その程度のことはやつてもいいのじやないかというふうに、ぼくは非常に大ざつぱに考えております。
  161. 中曽根康弘

    中曽根委員 大蔵大臣に承りますが、この貸倒れ準備金を自己資本の中に算入するという方針は、依然としてかえませんですか。
  162. 池田勇人

    池田国務大臣 税法上とかいろいろなことをいつておられますが、資本に組み入れるということはどういうことなんですか。
  163. 中曽根康弘

    中曽根委員 債券発行の限度を拡張するために、その基礎にするということです。
  164. 池田勇人

    池田国務大臣 それは資本に組み入れるということとは違うので、これは債券発行の見返りのために使う、こう考えるべきでありまして、これを資本に組み入れて株式を発行するということになれば、これは税法上の問題になりまするけれども、單に二十倍の計算の根拠貸倒れ準備金を入れるということは、今日本経済の人が言つたと同じように、便宜的に考えてけつこうだと思います。研究はいたしておりますが、先ほど申し上げたように、事務当局から来れば、大蔵大臣は賛成するつもりであります。
  165. 中曽根康弘

    中曽根委員 工藤昭四郎氏に承りたいのでありますが、今まで貸倒れ準備金は損金として税金をかけられておらなかつた。そのほかの自己資本というものは税金がかけられておる。こういうものを債券発行する便宜としてわざわざ算入するということは、妥当な措置であるとお考えになりますか。
  166. 工藤昭四郎

    工藤参考人 先刻も申し上げましたように、日本の金融制度、機構そのものが、かくのごとき段階にありますので、いろいろ今お話ような問題も起ると思いますが、現状におきましては理論一点張りでも行き得ない点もありまして、現状に即して、現在の法規の上で、できるだけ考え得らるべき便宜な方法でやつて行く必要もあると思います。また銀行の経営から申しまして、貸倒れ準備金というようなものは、相手方を長期に見て行かないと、ごく短期に見ることは相手方に非常に酷なので、準備金にいたしましても、長期に見て行きますと、実際上はりつぱに債券発行の引当てになるということも考えられます。おそらくそういう便宜の方法をとつておられると思います。
  167. 小坂善太郎

    小坂委員長 本委員会参考人として出席方をお願いいたしておりました朝日新聞論説委員土屋清君がただいま見えておりますから、御承知おき願います。
  168. 中曽根康弘

    中曽根委員 土屋さんには午後別にお伺いしたいと思います。  井上さんに最後にもう一点お伺いします。貸倒れ準備金をわざわざ算入するということは、私は少くとも妥当を欠く行為である、脱法行為であるというふうに考える。実はこのことは、この間政策委員会の中山氏も痛論したところである。日銀当局としてはどうお考えになりますか。
  169. 井上敏夫

    井上参考人 貸倒れ準備金を算入するという問題は、單に債券発行の限度を算定する一つの目安だと思いますので、これについては理論的にはいろいろの問題があろうと存じますが、大蔵大臣の言われたように、なるべく法の前に多くの銀行が均等の機会を得るという建前を尊重しますれば、妥当であるかどうであるかという返答は、私としていたしかねますが、行政上やられてもさしつかえのないことであろうと私個人としは考えます。ただ日本銀行として、全体的にこれを論じたことはございませんので、今のは私個人の見解と御承知願いたいと思います。
  170. 中曽根康弘

    中曽根委員 時間が来ましたから、私はこれで質問を一応終りますが、貸倒れ準備金をそのような資本勘定に算入するという動機が、先ほど申し上げましたように、興銀を押える、勧銀を押える、地方銀行が騒ぐからこれを押えるという措置に使つておる。のみならず、税法上から見ても、私はこれは一種の脱税行為であつて、非常に不当あるいは違法な行為であると考えるのであります。この点については、時間が参りましたから、午後また質問いたします。これで午前中の質問を終ります。
  171. 小坂善太郎

    小坂委員長 中曽根君の発言中、もし不穏当の箇所がありましたら、速記録を調べました上適当に措置をいたします。午前中はこの程度にとどめます、午後は二時より会議を続行いたします。  これにて暫時休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ————◇—————     午後二時二十二分開議
  172. 小坂善太郎

    小坂委員長 これより会議を開きます。  午前中に引続きまして質疑を続行するわけでありますが、昨日農林大臣病気のため出席不能でありましたが、本日は病体を押してわざわざ御出席つたので、特に大臣をいたわるために、質問を中間にさしはさみますことをお許し願います。今井耕君。
  173. 今井耕

    ○今井委員 農林大臣には御不快のところを御出席願いまして恐縮に存ずるわけでありますが、できるだけ簡單にお尋ねをいたします。  今や世界情勢が緊迫いたしまして、それにつれて、食糧問題は国民の非常に重大なる関心を深めつつあるのであります。これに対しましては、食糧の緊急増産あるいは輸入食糧の確保、あるいは主要食糧の統制の再検討、あるいは価格政策というような問題が、非常に重要な問題になつて来ると考えるのでありますが、まず最初にお伺いいたしたいのは、本昭和二十六年度の予算を通しまして、食糧の増産を大体どこまで進めて行かれるのか、その目標がどういうふうになつておるのか、この点をお伺いいたします。
  174. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 国際情勢の変化につれて、国内の重要問題である食糧問題について、予算を通してどの程度の増收というか、増額というか、それをやる考えかというお尋ねでありますが、大体これはわれわれが述べておるように一割増産の線で行つておるのであります。なおまた今までわれわれの方で検討いたしております二十八年度の千二百万石の主食の増産計画も、やはりその基底の上に立つて今度の予算編成をいたしておるのであります。ただいま問題になつておる食糧増産は、どうしても国内において自給度を高めるためにこれを完成するようにしたい、こう考えておるようなわけであります。
  175. 今井耕

    ○今井委員 農林大臣が一割増産を早くから声明せられておる。それについてはさしあたり昭和二十六年度においてどれだけ増産するか、そういう目標がはつきりしておるようなものがなければならぬ、こう考えるのです。その点をひとつ数字的にお示しを願いたい、こう考えるのであります。
  176. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 こまかい数字は政府委員から答弁させます。
  177. 島村軍次

    島村政府委員 二十六年の米の増産目標は六千五百万石にいたしております。
  178. 今井耕

    ○今井委員 農林大臣が、本年の目標がどれだけかということが答弁できないということは、非常にたよりないことだと考えるのです。一割増産を声明せられたならば、本年度にどれだけということを、農林大臣の口からはつきりと答弁さるべきだと考えるのであります。  それでは次に政務次官に伺いますが、政務次官がかりに、六千五百万石を目標としているということを答弁されたのでありますが、その六千五百万石を増産するためには、それぞれ土地改良とか、あるいは開墾、干拓とか、そのほかにもたくさんの事項がありますが、大体その内訳は、何によつてどれくらい増産せんとされるのであるか、その内訳についていま少しお伺いいたします。
  179. 島村軍次

    島村政府委員 六千五百万石の目標を立てましたその内訳は、基準年度の六千三百万石を基準にいたしまして、前年来行つた土地改良の増産効果の上るもの、及び開墾、干拓等の実施の結果工事が完成し、あるいは干拓その他開墾が完成をして増收の期せられるもの、そういうものを予定をいたし、さらに病虫害及びその他の技術改善による見通し等確実な見込みを立てまして、これらのものを六千三百万石に加えた数字でありまして最少限度に増産目標を見ているわけであります。もちろん、六千五百万石はいわゆる最少の数字であつて、これ以上に増産を期待いたしておるわけであります。
  180. 今井耕

    ○今井委員 それでは、麦の方はどれだけ増産されることになつておりますか。
  181. 島村軍次

    島村政府委員 本年の麦の目標は、当時二千六百万石を予定して、すでに増産に進んでおるわけであります。
  182. 今井耕

    ○今井委員 それで、米麦を通じて、基準数量に対してどれだけになりますか。
  183. 島村軍次

    島村政府委員 米の六千五百万石と麦の二千六百万石によりまして——基準と申しますと、ただいまのお尋ねはよくわかりませんが、米については平年の基準を六千三百万石と見、麦においては最近の数字は二千三百万石ないし二千四百万石でありますから、相当の増産を予定いたしているわけであります。
  184. 今井耕

    ○今井委員 実は食糧の増産の方法にはいろいろありますが、中でも最も基本的な重要な問題は土地改良であります。そこで農林省の当局の方からは、本年度最初土地改良において三百四十六億円を要求されたが、五十七億円に削減されまして、一割六分しか通つておりません。また開墾、干拓の方で申しますと、百九十六億円要求されたものが六十二億円しか通つておらぬ、あるいは災害復旧におきまして二百八十九億円が八十三億で、これまた三〇%しか通つておらぬ。これを全部通じますと二五%しか予算に計上されておらない、こういうことになつておりますが、こういうことで予定の増産ができるのかどうか、この点を特に農林大臣にお伺いします。
  185. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 当初の予算要求の場合から見ると、非常に予算が減つているのではないかというお話でありますが、われわれ事務の関係からいえば、当然そういつたような要求をしてなるべく多くの増産をしたい、また継続事業はどんどんやつて行きたいというのがわれわれの本音であります。     〔委員長退席、西村(久)委員長代理着席〕 しかし国家財政の見地から立ちましては、どうしてもそうは行きませんので、この程度にとどめたのでありますが、これをわれわれといたしましては土台にいたしまして、でき得る限りの増産をしたい、そうしてこれを補うために農林漁業長期金融を加えて行きたい、こう考えております。
  186. 今井耕

    ○今井委員 私は政府の増産の目標そのものが先ほどの答弁によると抽象的な答弁でありまして、内容がはつきりしない。それで土地改良のようなものも予定通りやるならば、先ほど答弁されたような増産もできるかもわからぬけれども、一方において予算が非常に削減されておる。そうして目標だけはかわつておらぬ。ここに非常な矛盾があると思うのです。要求された予算は削減されているし目標だけは従前通り、一体そういうことで増産できるのかどうか、その点をお伺いします。
  187. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 事務の要求額を全部認めてくれるとまたわれわれの方でも願つたり、かなつたりでありますが、しかし全部の、各関係の方面をまかなわなくちやならぬ日本の国家財政から見て、現在はこれだけでわれわれはがまんしておるのであります。そのかわりに長期資金というものを考えておるのでありまして、なおまた土地改良その他の事業が非常に長い継続事業になつておりますので、これに対する考えは今省内で事務的にまとめておりますが、こう長く持つてつたのではどうにもなりませんので、われわれといたしましては目下これに対する検討をいたしている最中であります。
  188. 今井耕

    ○今井委員 もう一つこの問題についてお伺いしますが、それでは米においては六千三百万石を六千五百万石にする、麦においては二千三百万石を二千六百万石にする、合計いたしまして五百万石の増産ということになるが、この予算の中にはその五百万石を増産するだけの内容が何もありません。ほとんど前年とかわらないのです。前年とかわらぬ予算で、そして五百万石の増産がどこからできるのか、そこに何か魔術があるのか、それをひとつお教え願いたい。
  189. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 何も魔術はございません。真理であります。これはいろいろな計算の仕方がございますが、かりに例を引いて申し上げますと、病虫害等で、ときによると三百万石も食い荒されるような場合もあるのでありますが、そういつたものの予防対策等を考え、あるいはまた土地改良その他の事業量等においても前年度と違い、地方負担の額がふえていることも御了承願いたいのであります。そこで金額はあなたの御期待に沿わないようでありますが、各般にわたつて増額いたしていることは事実であります。これを基礎にしてわれわれは増産を進めたいと考えております。
  190. 今井耕

    ○今井委員 私もかなり詳細に各般にわたりまして、どのくらい予算がふえているかということを研究しているものであります。その上質問をしているわけでありますが、たとえばそのほかに何があるかといえば、優良種苗の普及であるとか、災害防除の徹底であるとか、あるいは農業技術の向上であるとか、米麦の採種圃の設置の補助であるとか、あるいは單作地帶の健苗育成であるとか、動力噴霧機の助成であるとか、あるいは改良普及員の増員であるとか、いろいろたくさんあります。ところがそれを合計いたしましてわずか二十六億円です。なるほど昨年から比べるとこれだけのたくさんの費目で十億円ふえたのでありますが、しかし一方において農業調整委員あるいは農業改良委員、あるいは農地委員というものを統合しているから、ここで十億円ふやしたといつても、予算を削つたのと同様である。いろいろ民主的な委員会を強化すると言つているけれども予算面においては十七億円削つている。それだけ町村が負担しなければならぬ。その経費をこちらへ振り当てただけで、何も事実ふえてはいない。たとえふえているとしましても総合的に考えるとふえてはおらぬ。いろいろ一割増産というようなことを言われますけれども予算面から見るとほとんど見るべきものはありません。また農林漁業の特別な融資、これも六十億だが、あとでまたいろいろお伺いいたしますが、こんなものではとても予定の増産はできないと私は思います。従つて予算面から見ると、農林大臣が今まで言われておつたところの増産については、何ら見るべきものがないと考えるのでありますが、取上げてそれでもこういうものがあるというような点があつたらお教え願いたい。
  191. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 各項目にわたつての増額が、すなわち増産の基底になるのであります。決してただ一つの項目が増産のきめ手ではないのであります。農業は全般広く考えて行くところに増産の基底があると私は思うのであります。  それからまた長期金融のことについてのお話でありますが、長期金融によつて私は非常に農村を潤して行くと考えております。
  192. 今井耕

    ○今井委員 いろいろなことを総合的に考えてといいますが、私は総合的に考えて各方面を調べて申し上げている。特にこの農林漁業金融特別会計はなるほど新しく今年できたもので、特に農林大臣からその点を指摘されますことは、当然だと思いますが、しかし政府の本年度の予算の特徴として特筆大書しておられる政府の財政資金によるところの長期産業資金というものを見てみますると、合計が九百七十六億円である。その中で農林関係のものは農林漁業資金が六十億、開拓者の資金が十四億、合計七十四億でありまして全体の七%です。従つて今日農業増産をうんとやつて行く、それについて相当な長期の産業資金が必要である。なるほどそういうものができたことはけつこうでありますけれども、その金額から言うと全体の金額のわずか七%です。従つてこの比率からいうと、あんまり自慢にならぬ。農林大臣は政治力を持つておられる。もつとうんとこういうものをがんばつてもらわなければ、七%ではそう廣川農林大臣も自慢にはならぬと思います。この点どういうお考えですか、お伺いいたしたい。
  193. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 政治力の足らないところは自分もよく承知いたしております。しかし先ほどから申し上げておる通り、どういたしましても、現在の国家財政からいつて、この程度しかできなかつたのでありまして、今後この長期資金なりその他の資金を農村に注入するように、十分努力いたしたいと思つております。
  194. 今井耕

    ○今井委員 こういう問題を取上げると、きりがないほどあるのでありますが、省略したいと思います。とにかく今日まで一割増産ということを言われたけれども予算面を見ますと、取上げるものがほとんどない、こういうことは事実です。大書するならば、今の六十億の金融ということになるが、それも七%である、こう言わざるを得ぬのです。  次にこの増産の上において非常に肝要なことは、生産者が安心してつくつて行け、そうして生産意欲が高揚されるということである。そういう点から考えまして、これは昨日もいろいろ質問があつたわけでありますが、二十六年度産のこの麦の対米比率ということは、これは確かに重大な問題だ、こう私は考えるのであります。これにつきまして、昨日も麦の価格を再検討する、こういうよう答弁大蔵大臣、安本長官からいただいておつたのでありますが、農林大臣はどういうふうにお考えになるのか、お伺いします。
  195. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 これも大蔵大臣あるいは安本長官等からお話通り、環境からいろいろ来る問題でありますので、農村に喜んでもらえる価格にいたしたいというのが、私のねらいであります。
  196. 今井耕

    ○今井委員 再検討するという中にも、検討したけれども現在のままというのもあるし、再検討してこの際対米比率を従前通りまでもどすという積極的な面もあるし、程度があると思う。従つてただ再検討するというだけでは、これはわからぬ。それに対して農林大臣がどのくらいな熱意をお持ちになつておるのか、この点をお伺いしたい。
  197. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 対米比価の問題でありますが、これが單に戰前の対米比価にもどすというのみでは、現在の農村としては満足されないことはよく承知いたしておるのであります。食生活を考えてみますと、戰後における食生活の変化は、非常に顯著なものがあるのでありまして、特に外国輸入食品にたよつておる現在におきましては、この麦の重大性というものはよくわかるのであります。それで單に戰前の姿にもどすということでなく、対米比率なども、その点を考慮に入れまして、十分農村の喜ぶような価格にいたしたいというのがわれわれの考えであります。
  198. 今井耕

    ○今井委員 この問題についてもう少しつつ込んでお伺いしたいと思います。本年の麦の価格をきめる考え方でありますが、その考え方は、秋のパリテイ指数を一九五と想定して、そのときの米価を六千百六円、小麦、裸麦においてはそれの六四%、こういうふうになつておるのでありますが、秋のパリテイ指数の一九五ということは、これは二〇〇になるのやら、二二〇になるのやら、あるいはこれ以下になるやら、わけがわからぬ。特に今日のようなこういう経済状態の急変する時期においては、これはどうかわるかわからぬ。政府におかれましても一九五というものをきめるについては自信のあるはつきりした根拠はないと私は思う。その根拠のないものを基礎にして、それの六四%。そういうことは生産者の経済に非常に重大なる影響を與える。それなのに何ら根拠のないものを基としてやるということは、私は基礎が非常に薄弱だと思う。そこでもしパリテイ指数がこれ以上に上つたら、あとからまた追い拂いでもするというようなことでもお考えになつておるのか、この点をお伺いしたい。
  199. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 予算というものは書いて字のごとく、あらかじめ算定するものであります。これは昨年の十月ごろの考えではほぼ確定したものでありますが、一九五の数字が動かないとは断定できませんので、あるいは二〇〇になるか、二〇五になるか、これはわからぬのであります。しかしその場合にそのままの価格でおくということではいけませんので、これについては考えたいと、最初から私は言つておるのであります。それに対する対米比価でございまするので、こういう点も十分われわれは考えたいということを言つておるのであります。
  200. 今井耕

    ○今井委員 そこの考え方が違うのですが、この一九五というのは、これを基礎にして米価を出す。九月三十日現在のパリテイ指数を一九五と考えて六千百六円、こういうお考えのもとにできたと思うのですが、そうではないんですか。
  201. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 あまりこまかいことは私よく知りませんが、大体あの当時で一九五と推定して行くことが一番よろしいのではないかということで、われわれはそう相談したものであります。
  202. 今井耕

    ○今井委員 九月三十日に一九五となるということを予定する。すなわち秋の米価は九月三十日現在のパリテイで行くのでしよう。そのときのパリテイが一九五。麦の価格は六月になつてとれたら、もうきめなければならぬ。それを秋になつてみて、パリテイが上つて来たらというのではおかしい。六月になつたら、もう麦はとれます。従つて秋に何ぼになるやらわからぬのです。六月のパリティが一九五だ、こういうのならわかるのでありますけれども、まだどうなるかわからぬのです。それが上つたらこちらが上るということは、どういうことですか。
  203. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 秋の米と六月にとれる麦とごつちやになつようでありますが、麦については先ほど言つた通り、環境から見てこれは考えたいということは、今みな考えておるところであります。それから米についても決してそのままにしておくべきものではないという考え方でおるのであります。
  204. 今井耕

    ○今井委員 私の質問と御答弁とが食い違つておるとも考えますが、秋のパリテイ指数が一九五、それを基礎にして六千百六円という米価をきめた、それの六四%で六月にとれた麦の価格をきめる。だから時期が違うのです。従つて一九五が上つたら、またこつちも上げる、こういうふうにお考えだと、それでは一応六月にとれたときには六四%で買い上げて、あとを追い拂いされるという腹なのかどうか、こういう点をお伺いしておる。
  205. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 この一九五の問題は、この秋あたりは、大体こういうふうになるのじやないかということでわれわれはきめたのでありますが、ただ麦の問題については、現在の対米比価をそのままで置いていいか惡いかということは、われわれは今検討しておるのであります。こういうふうに私は先ほどから申し上げておるのです。
  206. 今井耕

    ○今井委員 答弁がごつちやになつてしまつて——こちらの言うことがはつきりわからないのかもしれませんが、パリティをきめるときの根拠です。秋の一九五というものを基礎として考えるのか、それだと麦の価格は六月にきめるのだから、九月のパリテイを想定して、六月の麦の価格をきめるのか。従来の方法であると、五月三十日現在のパリテイ指数によつて米価をきめる、そうしてその米価に対する何パーセントときめた。これなら基礎がはつきりしておるのです。ところがまだずつと先の秋のパリテイ指数を一九五と考えて、そのパリテイ指数によつて三月前の六月ごろにとれる麦の価格をきめるというのは基礎が薄弱じやないか、こういう点をお伺いしておるのです。
  207. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 大体六月の指数を一九五と想定してやつておるのでありまして、それに対する対米比価については考えたい、こういうことであります。
  208. 今井耕

    ○今井委員 そういうふうに御答弁願うとこつちもはつきりするのです。そうするとこのでき上ります六千百六円というのは、二十六年度にとれた米の想定価格でなしに、本年の五月三十日現在のパリテイ指数から出した米価であると考えていいのですか。
  209. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 大体われわれの想定は五月も六月も一九五であるというふうに想定してやつておるのでありまして、決して何らそこに混乱はないのであります。
  210. 今井耕

    ○今井委員 ちよつと私が今考えているのと違うと思うのですが、周東安本長官これで間違いありませんか、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  211. 周東英雄

    ○周東国務大臣 御質問の経過がどうなつておるか知りませんが、一応一九五のパリテイはことしの秋の米ができ上つた場合において、物価の上昇率を考えて、そのくらいの程度に行くだろうということが基礎になつております。昨年産米を買い上げた場合におけるパリテイ指数は、たしか一八二でありました。もしこれが上昇の関係において非常にかわりますれば、バツク・ペイの問題も起りますが、一応ことしの秋を見て、一九五ぐらいの程度となる、そのときのことを考えて織り込んで六千幾らときめておりますから、それ以上に上つた場合において、初めてそれ以上のバツク・ペイの問題が起る、こういう考えであります。
  212. 今井耕

    ○今井委員 そうすると安定本部長官の御答弁と、農林大臣の御答弁が違うということになる。六千百六円が安定本部長官はこの秋の米価である、廣川農林大臣は五月三十日現在のパリテイ指数が一九五となる、それから出した米価である、こういうふうにお考えですが、これはたいへん重大な問題です。一体どつちがほんとうなんですか。
  213. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 ちつとも違つていないのです。私は五月も六月もという想定を言つておるので、ちつとも違つておりません。
  214. 池田勇人

    池田国務大臣 御承知通りに昨年におきましても、初めは米価が一六八程度のパリテイでございます。しかして予算をつくりますときには一八二でやつておるのであります。それに対しまして麦は六四でやつております。  昭和二十六年度におきましては、秋の買入れ価格は一応一九五のパリテイで予算をとつておるのであります。秋が一五九のパリテイでありますので、この六月、七月に買い込みます麦は、一九五のパリテイを基本にいたしまして対米比価をきめるのであります。しかしてこの秋の一九五がどうなるかは今のところわかりませんが、予算面では一九五のパリテイで米を買つて、それを幾ら幾らで売る、こういうよう予算になつておる。両方の話は違わない。一九五は秋の米でありまするが、これを土台にして麦の値段をきめる、こういうのであります。
  215. 今井耕

    ○今井委員 秋のパリテイ指数が一九五だ、これは予算面からは一応よろしいのであります。ところがこれが二〇〇になるか二二〇になるかもわからぬ。まだ先にどこまで上るかわからぬ。だからそれを基礎にして麦の価格をきめるということは根拠が薄弱だ。そのはつきりした根拠を私はつかみたい。
  216. 池田勇人

    池田国務大臣 それは先ほど農林大臣が言われたように、予算でございまして、一応の算定であるのであります。今年の秋が一九五になるか、これはわかりませんが、予算をつくるときには、一応そうやつてつくらざるを得ないではありませんが。そこでこれが二〇〇になり、二一〇になるということになれば、今まであなた方がお考えなつようにバツク・ペイの問題が起るのであります。バツク・ペイがないということになれば非常に不確実でありますが、予算としてはそういうふうに組んで、実際に応ずるように、麦の値をバツク・ペイその他できめるのであります。決して不確実ではありません。これが予算であります。
  217. 今井耕

    ○今井委員 私は予算面から聞いておるのではなしに、この六月に実際麦の価格をきめる原因というものを言つておるのであります。今の大蔵大臣の御答弁によると、麦にもバツク・ペイの方法がある、こうおつしやつたが、あるのですか。
  218. 池田勇人

    池田国務大臣 一九五が今の状態では非常に高くなりそうです。それを見まして麦の値をきめなければならぬと思います。だからパリテイの問題も、また対米比価の問題も、これからの情勢によつてきまるということはたびたび申しておるのでありますからして、麦の値段のきめようが実際に合わなくて困る場合においては農民を困らしてはいけないので、農林大臣の言われたように農民の喜ぶような措置をとらなければならないのであります。
  219. 西村久之

    西村(久)委員長代理 この際物価庁より長谷川部長がお見えになつておりますので、納得の行くようにお聞取りになることがいいと思います。長谷川部長に発言を許します。おわかりになるように説明していただきたいと思います。
  220. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 今までのところ、麦及び米の公定価格はパリテイ指数によつてきめるという建前をとつておるのでございますが、そのパリテイ指数が本年幾らになるかということにつきましては、現在のところ諸物資の価格が自由価格になつておる関係上、今からどのくらいになるかということをはつきり算定することは困難でございますが、明年度の予算をつくる基礎といたしまして、一応明年度四月以降一箇年のパリテイ指数をすべて一九五というふうに規定をいたしたのであります。従つて麦の価格は、五月のパリテイ指数によつてきめられることに相なるのでありますが、その指数も一九五ということになるのであります。米の価格は、九月末のパリテイ指数で計算してみたのでありますが、その指数もやはり一九五というふうに考えまして、それによつて明年の米麦の価格をきめようというふうに、予算面では一応算定いたしておるのでございますが、実際のパリテイ指数がいかになるかということにつきましては、今後の物価の上昇状況をもう少し検討した上でないと、具体的には決定をいたされないと考えますが、もし五月末の指数が一九五を上まわるということでありますれば、その上まわつた指数によつて麦の価格をきめる。米もまた九月末の指数が上まわるということになりますれば、その指数によつて実際にはきめる、こういうことになろうと考えておる次第であります。
  221. 今井耕

    ○今井委員 まだいろいろ議論もありますが、時間もそうないようでありますから、次に移ります。政府は麦の生産費を調査されておるので、大体において麦の生産費が幾らぐらいになるか、この点をひとつお伺いいたします。
  222. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 麦につきましても、生産指数をやつておるのでございますが、実際問題といたしまして、麦作等に投下されます労賃を幾らに算定するかということによりまして、計算上から出て来る麦の値段とは相当の開きが考えられます。従来から麦の価格につきましては、主として米の比価を中心に考えるという考え方の方が、多く用いられて来たよう承知しておるのであります。そこで生産費を基礎にして麦の価格をきめるということは、考え自体はその通りでございますが、実際に幾らにきめるかということになりますと、米以上にいろいろ議論があるように感ぜられます。
  223. 今井耕

    ○今井委員 それはそれとして、麦の生産費がどのくらいかかるかということは、やはり農林省としてもわかつていなければならないので、その点をお伺いしておきたい。
  224. 島村軍次

    島村政府委員 毎年麦の生産費は農林省で調べておりま今が、最近の数字は、一石三千円程度から六千円くらいで非常に幅があるという結果が出ております。     〔西村(久)委員長代理退席、委員長着席〕 だからどこに基準を求めるかということは、なかなか困難だと思います。
  225. 今井耕

    ○今井委員 そういう事情はこちらでも十分に知つておるのでありますが、大体平均してどのくらいになるか。米でもそういう事情があるのです。しかし米でもやはり妥当な点を見ておるのです。従つて麦の場合においては、どのくらいと見るのが妥当であるか。政務次官は農業団体の連合会長をやつておられたので、そういうことはちやんと知つておられるはずだと思います。それを御答弁願いたいと思います。
  226. 島村軍次

    島村政府委員 米価の生産費も、当時私政府に申し出た価格をよく存じております。その価格を決定するのが見方によつて非常に違うのは、今井さんも御承知通りであります。そこで麦の生産費は、これは九州の南端部の暖かいところでは非常に違うわけです。だからこれを全国的に、生産費を基準にして、妥当な価格は幾らかということは、農林省としても今まで発表したことはないのであります。
  227. 今井耕

    ○今井委員 今ここで、産産費についてあまり詳しいことが言えぬ立場に政府があるから言えぬのでありまして、これを言うと今の価格と非常な差が出て来る。その点詳しく答弁のできぬところがあるのをついて見ただけの話であります。しかし昨年においても石四千五百円ということは、連合会長をしておられるときにちやんと言つておられた。従つてその線から言うならば、五千五百円くらいは当然妥当な線と見てよろしいのです。従つてただ麦の統制を撤廃したから、自由にしたから、価格も戰前並の六〇に落してそれで生産費との関係がどうなるか、そういう点をほんとうに検討されたかどうか。自由経済のためには生産者の経済なんかも何もかまわぬということであつてはならぬ。この比率から申しますと、従来通り八一・三という割合で見ると、小麦は一石四千九百六十四円になる。それを六四で見ますと、三千九百七円になる。一石について一千五十七円割安ということになるのです。従つて今の六四%でありますと、肥料その他は非常な値上りであるけれども、小麦においては一俵四十円しか上らない。大麦については二十九円しか上らないということで、非常に生産費は高くついているのに、実際の価格は非常に低い。そこで石にしてみてもざつと千円違う。そうすると、政府予定の八百八十万石買い上げますと、その金額で幾ら差ができるかと申しますと、九十三億円違うのです。従つてこの比率を下げたということだけで、生産者の所得は政府買上げ予定のものだけで九十三億円もはつきり減少することになるのです。またほかの分もまぜたならば、おそらく百億円以上所得が減少するのです。それで農村の経済がどうなるかということぐらい十分御心配になつてから、こういうことが考えられなければならない、そういうことは何も考えない、ただ戰前の割合がこうだからこうだというように、單純に考えてもらつては非常な間違いだと思います。ことに昨年は一割増産を盛んに宣伝して麦をたくさんまけと奨励され、生産者は気張つてまいた。まくときには、まだ米が上つたならば、麦も同じ比率で上げてもらつて政府に買い上げられるものだと考えておつた。しかもまいてしまつてから十一月の末になつて米価をきめたときに、にわかに麦の値を下げた。こういうことで大体政府は百姓をペてんにかけた。まけまけとやかましく言つて、まいてしまつてから、値段の引下げを声明した。けしからぬということが言われております。御承知ように麦は戰時中、戰後増産のために桑畑もひき、茶畑もひいて転換させて、ずいぶん強行したものです。それを今元のようにするには相当の年数がかかる。従つて自由経済時代の線に沿うてもどす場合にも、二年、三年、四年という余裕を置いてちくちくもとしてやるなれば、生産者の方も経営の転換ができる余裕が出て来るのです。つくらすときにはごそつと強硬にやらしておいて、そうしてことに今回のごときは増産々々でまかしておいて、まいてしまつてからごきつと一ぺんにもどしてしまつては、あまり冷淡な、これは道義的に考えてもけしからぬと私は思う。特に廣川農林大臣は宗教家でありまして、道義を重んじておられる方ですから、こういう点についてほんとうに生産者の立場を考えてやらなければいけません。従つてこれについてひとつ御感想を承りたい。
  228. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 増産さしておいて下げてはけしからぬではないかというおしかりでありますが、この価格は市場を自由にいたします関係上、最低価格をきめておきますと、必ずそれの上を上まわるということが、現在の情勢から見てわれわれは察知できるのでありまして、決してあの価格で私はおちつくものとは思つておりません。その例はいもの統制解除でよくあなたは御存じであろうと思いますが、最初心配いたしましたあの価格と最終に買われた価格とは、非常に差があるのでありまして、必ずそれ以上の価格になる、私はこう思つておるのでありますが、決してわれわれはぺてんにかけるとか、あるいは生産者の立場を踏みにじるというよう考えはないのであります。
  229. 今井耕

    ○今井委員 私はもう時間がないので、あとの人に迷惑をかけますから簡單にしますけれども、麥類は下つて行く、米は高いものを補給金を出してそれより上らぬ程度でどんどんお出しになるのです。そこはいもとは違うのです。農林大臣はそんなことは御承知のはずである。われわれはそんなことを理由にして御答弁なさることはどうかと思うのでありますが、そういうことではこれは納得できることじやない。なお私は質問がたくさんありますが、まあ一応これだけにしておきますが、ひとつもう少し真劍に御心配願いたい。こういうことを特に私は希望しておきます。
  230. 小坂善太郎

    小坂委員長 黒田寿男君。
  231. 黒田寿男

    ○黒田委員 きようは久しぶりに農林大臣お話をする機会が得られまして、実は私いろいろと農林大臣に伺いたいと思つておりましたけれども、昨日からおかぜでお休みになつてつて、無理をして出ていただいた、こういう関係でありまして、理事の方からも御注意もありますから、きようはなるべく時間を短かくお尋ねしてみたいと思います。主として食糧の統制に関する問題につきまして若干お尋ねしてみたいと思いますが、私どもちよつと異様に考えますのは、政府が食糧の統制方針といたしまして、去年湯河原会談の時期に、あの当時示されました方針と今日におきましても、言いかえれば朝鮮事変が起りまして、いろいろと国際情勢がかわつておりますときにおきましても、大体同じような統制方針、どちらかと申しますれば、統制緩和という方針を持つておられるように見受けられるのであります。大体私ども政府の御方針をうかがい知る根拠としましては、さきに昨年の十一月に経済安定本部長官、それから大蔵大臣及び農林大臣が、ドツジ氏の書簡、警告を受けましたあとで、三相会議としての食糧統制に関する御決定をなさいまして、それに基いてさらに二十六年の食糧対策要綱案というようなものがその後も示されております。大体私どもこういうものによりまして政府の御方針を知つて来ておるのでありますが、この方針によりますと、相当大幅な統制の緩和ということになる内容を持つておると思います。その上に、最近新聞の報ずるところによりますと、去る二十三日の閣議で、こういう政府の御方針を具体化する方法の一つといたしまして——私はこの方法だけが全部ではないと思いますので、その一つだと考えておりますが、食糧管理法の一部改正案をこの国会に出すということが閣議で決定せられた、こういうふうに報ぜられております。そうしますと、念のためにお伺いいたしますが、私が今指摘いたしましたような方針、言いかえれば相当大幅な統制緩和という方針で依然としてお進みになる御予定でありましようか。それから、もしできますならば、大ざつぱなことでよろしゆうございますが、この食糧管理法の改正案の内容につきまして、これは簡單に骨筋だけをお知らせ願えればけつこうであります。
  232. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 あなたの御指摘の、三相会議の線に沿うて大幅に食糧の統制を緩和して行くかということでありますが、それはその通りでありまして、能率的な融通法を考えて行く考えでおるのであります。管理法の改正の要点は、政府委員からよく説明いたさせます。
  233. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 食糧管理法の一部改正案を御審議願うのでありますが、その要点は、現在は米麦も割当供出制度をとつておりますが、それを米と麦を区切りまして、麦については政府が自由に買い入れる権能を付與してもらう、その点が第一点。第二点としまして、食糧需給上特に必要がある場合には、割当で政府が買うこともできるという字句が入つております。それからその際には、麦の收穫前にその方針をはつきりさせなければならぬということも書いてあります。大体食糧管理法に関します改正法案の内容はそれだけであります。あと食糧配給公団が三月末でやめになりますけれども、その点の関係も若干織り込んでおります。大体そういうことであります。
  234. 黒田寿男

    ○黒田委員 新聞の報ずるところによりますと、これも非常に簡單でありまして、よく私ども理解できないのでありますが、その中に、政府買入れ措置を創設するとともに、国気食糧確保の必要があるときは強制買入れも行い得る、こういう内容法律案の中に入つているように新聞は報じております。ただいま安孫子長官のお話では、この点はつきりしておりませんでしたが、やはりこういう点は入つておりますか。
  235. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 割当買入れをすることになりますが、この割当買入れが最後に遂行できない場合にどういうことになるかといいますと、法制的には食糧確保の緊急措置令がございますので、その関係は出て参りまして、俗にいわゆる強制買入れという形は出て参ると思います。
  236. 黒田寿男

    ○黒田委員 それで大体政府の御方針がどちらの方向へ向つておるかということはわかつたのでありますが、そこで私ども国民の一人といたしまして日本の食糧事情を考えます場合に、政府のこの大方針に対しまして大きな疑問を持つておる。私は今日はその点を多少明らかにしていただきたいと思うのでありますが、最初、昨年の春ごろに、政府が統制方針の大幅な緩和を行うと言われておりました当時は、まだ朝鮮事変の勃発前でありまして、比較的多量の外国食糧が輸入し得られる條件にありましたし、それからまた相当その中で米国の援助資金による輸入もあつたりいたしまして、私は、国内の食糧の生産の増強というものは大したことはなかつたと思います。けれども、どちらかと申しますれば、国外の食糧を輸入するというような條件がむしろおもで、食糧の需給に、従来に比べまして相当緩和された事情が出て来ておつたと思います。しかし朝鮮事変以来、この関係は非常に大きくかわつたと私は思います。かわつたにかかわらず、依然として政府が大体同じような方針をとつておられますので、私どもこの点はどうしても奇異の感を抱かざるを得ない。どうしても率直に方針をのみ込めないのであります。そこで私は、のみ込めない点を少し明らかにいたしまして、ひとつのみ込めるように御説明を願つてみたいと思うのです。  大体食糧の統制が大幅に緩和されますためには、第一には外国からの食糧につきまして、数量の上においても相当に自信がなければならぬのであります。これが一つの前提條件となる。それからいま一つは、国内の生産の増加ということにつきましても相当自信がなければならぬ。私はこの二つの條件に自信がないときに統制の緩和をするということになると、食糧問題の混乱だけでなくて、一般に価格系統——価格あるいは賃金の系統にも非常な混乱を派生せしめることになると思います。  そこで私は第一に、便宜上国内の問題から簡單に問題にしてみたいと思います。私は今日は大臣の御健康の状態も考えまして、なるべくもう数字は省いて話をしてみたいと思います。先ほど今井君からいろいろと本年度における食糧増産の問題につきまして御質問がありまして、政府の御答弁があつたようでありますが、私どもの目から見ると、政府予定しておりますような増産は、今年非常にむずかしいのではないかと考えるのであります。もしそれがむずかしくない、何らかの方法で達成せられたとすれば、それは農民の大きな犠牲の上に立つて遂行されるようなことになる危險性がある、こういうふうに私は考える。第一に私どもか普通国内におきまして、食糧の生産の増加をはかろうと思います場合に、予想されます政策は、農民自身の手に資本を蓄積させまして、その資本の蓄積を通じまして、農業の拡大生産を行う、こういう方法が一つである。それは要するに価格政策によりまして、農民に十分な労働の報酬を與え得るような価格政策がとられなければならぬと考えるのであります。ところがこの点から行くと、今年の米価の問題、その他農村の、並びに農家の経済状態を、最近の物価騰貴という面から総合して研究いたしますと、とても価格政策によりまして、農民の手元に資本の余剰が蓄積されまして、これが多少とも農業拡大再生産の方に向つて作用し得るというふうには、私ども全然考えられないのであります。この価格政策について、農林大臣は一体どうお考えになつておられますか。今のような物価の状態が続きますと、今年も農村は非常に赤字になる。私どもはそれを非常に心配しておる。昭和二十四年度で結局農家は赤字を出して来るということになつて来ましたが、昭和二十五年度は多少いいのじやないかと言われておつたところに、またこういうような状態になつて来まして、その点一体農家の余剰によりまして、拡大再生産が多少ともできるというような地位に農家が置かれておるかどうか。これは私は非常に農民のために大切な問題だと思います。この点につきましてお答え願いたいと思います。数字は今日は私はあげないようにいたします。
  237. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 国内生産の問題についてのお話でありますが、今年はその増産がかりにできたとしても、農民の犠牲の上においてできるのじやないかというお話でありますが、これは農民の犠牲というよりも、農民の努力にわれわれはまたなければならぬと考えております。  それから資本の蓄積の問題に関して米価のお話でありましたが、われわれといたしましては、この資本の累積をしてもらうために、多少の非難はあつたのでありますが価格を上げたのでありまして、来年度の米価につきましてもだんだん先ほどもお話がありましたが、これについても、やはり農民の喜ぶ価格にわれわれはして行きたいと考えております、
  238. 黒田寿男

    ○黒田委員 現在二十五年度産米の価格として決定されましたものが、農民の喜ぶ価格であるかどうかということは、これは議論があるところであります。農林大臣はあげて農民が非常に喜んでおる、こういうようにお考えになつておると思いますし、私はそうではないと思いますけれども、これについては議論しないことにします。しかしかりにそれが一定の名目上、農産物価格の増加ということになつておりますけれども、農業用品及び農家の家計費につきまして、現在のごとき物価の値上りでは、とても今年の農村もまた赤字になると思います。この点総合した見通しはいかがでありましようか。今米価の点だけで論じたのでありますが、総合して私は今年は非常にみじめなことになりはしないかという考えを持つております。
  239. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 他の物価が上つて参りますと、当然パリテイ指数に影響して参りますので、その点を先ほども申し上げましたように、納得行くように改めなければならぬ、こう考えております。
  240. 黒田寿男

    ○黒田委員 この問題も、農林大臣と議論をしましても、これは効果のないことだと思います。私は今のよう政府の政策では、増産を達成する一つの方法として、農民の手元に、農産物の価格政策を通じて資本の蓄積を行い、それを通じての拡大再生産という面はだめだと思います。だから私はこんなことでは増産なんかできることではないと思います。  それからもう一つ簡單に農業の生産を増強する方法としましては、簡單に申し上げますと、農業以外の他の面から、農業に対しまして、たとえば国家の資金、その他の資金でもよろしゆうございますが、要するに資金を農業外から投資して、これによりまして農業の近代化をはかつて行くというような方法を考えられることが一つだと思いますが、これが私は今年のいわゆる一割増産運動というものと関連した部分であろうと考えます。ところが、私はこの面から見ましても、政府最初一割増産運動について発表せられましたその方法によりまして、政府の達成目標とされております数量だけのものを増産させるということは、予算の面からとうていこれはだめだと思う。最初政府が増産目標を数量の上に出されまして、それについてどういうことを行つたか。私は今日はここでこまかく申しません。政府はいろいろ土地改良に何ぼ投じて、それで何百万石生産するとか、あるいは開墾によつてどうする、あるいは災害復旧等の面を通じましての減産防止ということをどうするとか、その他若干の方策を立てておられますが、その方策につきまして、これならやれるという、最初農林省が計算されましたその予算と、現実に査定されました予算との比較が、あまりに増産運動のために投ぜられます費用が少い。だから私はとうていこういうことでは、増産目標は達せられないと思う。それでも無理にやれば、一側増産というのではなくて、とにかく一割よけいに出させようという、むしろこういう運動になつて来るおそれがある。これを農民の犠牲においてしいて達成しようと思うなら、増産というよりか、むしろ供出を一割よけいにさせるにすぎないのだ、そういう結果になりはしないか。とうていこの予算では、言いかえれば、農業以外の資金を通じまして、その面から農業の増産をはかるということも、私は政府予定通りには行かないという結論を持つておるが、これはいかがでしようか。
  241. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 自己資本以外の他の資本を入れての増産もだめだというお話でありますが、しかし予算書にあるように、われわれとしてはもつとほしかつたのですが、国家の財政上から見て、あの程度でがまんせざるを得なかつたのであります。しかしわれわれは決して納得ができないままにやつているのではないので、それにつけ加えて長期資本を入れたのもその一つであります。さようにいたしまして一割増産目標で行つておるのでありますが、ただ一割増産を農民の犠牲においてのみ供出させるのだというお話でありますが、それは少し違うと私は思うのであります。御存じのように、今後は事後供出になりますので、單に前から割当ててやるのではないのでありまして、出来高によつて皆さんと民主的に相談をして出してもらうのであります。出せないというものを無理に出せということにはならないのであります。決して一割増産と供出とが、そういつたあなたの御指摘のようなことにならないと私は信じております。
  242. 黒田寿男

    ○黒田委員 この問題についても、もう議論はしないことにします。私はかりに数量の上で一割よけいに政府の手に入るというようなことが、ことしあつたとしても、それは私はこの予算による円滑な農業生産の増大によつて得られたものではなく、いわゆる農民の犠牲において、供出を強化させて政府の手に入る数量にすぎないという結論を私は持つておりますが、しかしこの点もこれ以上は申しません。  それから、私どもが今統制を大幅に緩和することができないと思いますもう一つの條件は、今私は国内の面を論じましたが、今度は輸入食糧の面からであります。これも私は数字はあげませんが、先日大蔵大臣と私の質疑の上におきまして、大蔵大臣といたしましても、この予算に計上してあるだけの金額では、現在すでに外国の食糧が、予算の編成のときの單価に比べて相当値上りになつておりますから、この予算では予定通りの食糧が輸入できないということは、大体大蔵大臣もお認めになつているようでありましたし、農林省自身も、私は事務方面におきましてははつきり認めておると思います。従つてこういう面からいたしますのと、それからもう一つ船腹の方からも——先般私は山崎運輸大臣に、船腹関係はどうだ、食糧の輸入については、特に船舶を優先的にまわしていただけるかどうか、それならばどの程度配船していただけるかということをお伺いしましたが、やはり運輸当局からも、八十幾パーセントでありましたか、とにかく大麦、小麦、米にいたしましても、今のところそれだけしか見込めないということでした。そういたしますと、これは今のことでありますが、さらに国際的に買付競争が非常に盛んになつておりますし、運賃はますます上るし、価格もますます騰貴して来るのでありますから、とても今の農林省の食糧輸入方針で、統制を緩和してもよろしいというような、安易な、安心した考えは、私どもには起り得ないのであります。この点はどうでしようか。それでもなお統制は緩和してもいいというだけの自信を持つておいでになりますか。
  243. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 買付の価格、船舶等から見て、予定の数量が入らないじやないか。それを基礎にして統制を緩和することは、無謀じやないかというお話でありますが、しかしそれは見方によることであります。この前の孤立した戰争当時を予想いたしますと、そういう解釈が出るかもしれませんが、少くとも現在は、われわれを最もよく了解しておる連合軍がおるのでありまして、船腹の点も、あるいは買付の点も、さような点は十分補つてくれると、こう私は考えておるのであります。また国内といたしましても、それに対応し得るあらゆる手を打つて万全を期したい、こう考えておるわけであります。
  244. 黒田寿男

    ○黒田委員 運輸大臣の方から、私に対してお答えになりましたことと違うように思う。どうも農林大臣は、漠然とした單なる楽観論であります。ただいまの御議論では、私どもは納得はしないのであります。しかしきようは時間もございませんので、きわめて粗雑な議論をいたしましたけれども、私はポイントには触れたと思います。こういう面からいたしまして、私は現在の内外の食糧事情によりまして、政府が現在持つておられますような大幅な統制の緩和ということはなすべきでない、こういう結論を持つておるのであります。  そこで私は、なおいろいろと御質問したいと思いますけれども、時間がないということを盛んに注意されておりますので、ひとつ簡單に、この問題に関係いたしまして麦の問題について伺います。先ほど今井君も触れられましたが、その点と重複しないように、多少お伺いしてみたいと思います。麦につきましては、いよいよ統制が撤廃せられるという方針で進んで来ておるようでありますが、先ほどもいろいろと議論になりましたけれども、麦の対米価比率を低下させられました理由——これはしないと言えばそうかもわかりませんが、大体私が先ほど申しましたように、政府の従来の三相会議等の決定によりますと、大体対米価比率が下げられておるのであります。結局こういうように下げられるものであるとしますれば、私どもどういう理由で下げたのかという、その根拠がよくわからない。大体米の価格に対する比率でありますが、米の価格それ自身が私ども不服であるところへ持つて来て、それに対する麦の価格の比率が、さらに従来よりも率が下るということになつて参りますと、これは今農民といたしましては非常に大きな問題として心配しておるのであります。理由をもう少し納得の行くように、政府からお伺いしてみたいと思います。
  245. 周東英雄

    ○周東国務大臣 対米比価の問題でありまするが、これは一面におきましては、従来麦と米との質的な違いというものがありますし、そういう面から、主として需要関係から起つた問題だと思います。また生産費のかつての問題が関連して——戰前においては常に対米比価が六〇前後であつたようであります。戰時中におきましては、特に国内における食糧、それも主として澱粉質食糧によつてまかなわなければならぬほどに、蛋白脂肪の給源が少くなつておるということで、いろいろと無理な増産計画を農民の方々にお願いをしたという場合に、あの当時の事情として、ある程度価格が引上げられたということは、黒田さんもよく御存じのはずであります。戰争終結後における問題は、やはり惰性的にはそういうかつこうになつてつた。しかしてやはりどつちかと申しますと、価格の引げによつて増産意欲を刺激したということも、一部の面にあつたと私は思うのであります。そういう面は正常な形においてはこれが直されて行くべき問題である。片方におきまして米の価格については、今日の状態において生産費が客観的に妥当なものができれば理想であります。またこれで行くのが理想でありましようが、しかしインフレが高進しているような場合においては、むしろパリテイの形で行くことがよろしいということで、一応そういう形になつておりますが、しかも過去における所得を落さない意味で、その上に附加的な価格を加えて今年の価格はできておるのであります。今年の米の価格については、いろいろ議論はありますが、五千五百二十九円というのは、かなり考慮された価格であるということは、御承知だと思います。従つてそれに関連しまして麦の比価の問題も、ある程度戰前のような形に引もどしても、相当に形式としては名目的な価格は上り得るということを考えて算定したものであります。経過的にだんだん移りかわる場合に、どの辺に持つてつたらよろしいかということについての御議論はあると思います。しかし常に米対麦の比率が九〇近くであつてよろしい、ということはやはり考えらるべき点である。そこでどの程度に比価を持つて行くかということについては、もつと議論もありましようし、私ども政府におきましても、今日の日本の食生活における麦の占める割合、過去の食生活における麦の割合ということの差異を考えて、今後なお愼重に研究いたしたいと思いますけれども、その点はさような意義から改訂が行われておるわけであります。
  246. 黒田寿男

    ○黒田委員 ちようど周東安本長官も、農林大臣大蔵大臣もおられますので、この際ちよつとお伺いしたいと思いますが、農林大臣の御方針によりますと——麦と多少関連がありますから、ちよつと申し上げてみますが、米の政府の買入れの価格は、米作農家の再生産を考慮し、生産費及び物価その他の経済事情を参酌して決定するということで、大ざつぱに申しまして、生産費計算といわれておる方針だと思いますが、物価庁の方ではやはりパリテイ計算を依然としてとつておられるのではないかと思いますし、大蔵大臣は国際価格へのさや寄せということを盛んに論じておられるようであります。農林省の昭和二十六年度の食糧対策要綱には、ただいま申しましたように、米の政府買入価格は生産費価格で行くのだと書いてあるのに、予算書ではパリテイ指数プラス・アルフアーと、相かわらずパリティ計算中心主義になつております。どうも私ども農村でどつちでやるのだとよく尋ねられるのでありますが、結局農林大臣の主張は負けたのであります。農林大臣が書いたよう予算書には書いてない。この点は一体どうなんでありますか。
  247. 周東英雄

    ○周東国務大臣 これは決して農林大臣が引いたとか引かぬとかいうことではなくして、将来の理想としては、的確につかめるならば、生産費の計算ということも考えられる、できるだけそれを決定の参酌の一つの大きな柱と考えたいということを書いたと私は思うのです。しかしこの点は理想論ばかりではいけないのであつて、黒田さんよく御存じだと思うのですが、日本の五百五十万戸の農家は、気候、風土が違い、南北に長いために、いろいろと生産費が違つております。これを一つ一つ価格をきめるとすると、一人々々の農家の生産費によつてきめなければならぬということが起つて来る。そこでしからば中庸生産費という問題が起つて来るでありましよう。しかし五百五十万戸の相当大部分、極端にいえば八割くらいの農家の調査をして、一つの中庸生産費を考えるということも、行えばある程度妥当なものが出るかもしれない。しかしなかなかその点については現在資料もございません。また刻々にいろいろな他の物価が上るような場合においては、極端なインフレの場合においては、どうしてもそういうことをするのが不適当な場合もある。そういう意味においていずれの形をとるがよろしいかということは、いつかの米価審議会でお約束申しましたように、このたびは今米価算定の方式をいかにすべきかということで、具体的に妥当な算定方式を見出してもらうよう委員会をつくつて至急にこれを研鑽いたしたい、かよう思つております。一応私は今日のところ、今年の決定におきましても、パリティを基礎にして、しかし生産費のことを考えつつ、あれでは少し少いじやないかということから、しかも過去において去年受取つたところの農家の利益と申しますか、それをある程度加えることにして、非常に抽象的な妙な議論になりましたが、過去における受取つた超過供出、早場米奨励金の総額を買上げの予定数量で割つたものをつけ加え、それが大体一割五分くらいになるというようなことで計算がしてあることは、御了承が願いたいと思う。今ただちに何がいいかということを決定するには、種々の要因があつてきめにくいので、至急に算定方法をいかにすべきかということを決定するために委員会をつくつて研究いたしたいと思います。
  248. 黒田寿男

    ○黒田委員 実は私は米価の算定方式をいかなる方式にするかということをお尋ねしたのではない。この問題につきましては、ただいま安本長官から一定の長官の持つております方針をお聞かせ願いましたが、これに対する議論は他日に保留いたしまして、ただ私が質問いたしましたのは、農林省が二十六年度の食糧対策方針としての価格決定の方針として示されておるのと、予算書に書いてあるのとは、私ども常識上三つに分類したその分類の仕方からいうと違う。結局において農林省の主張が今年も通つていないのだというふうに私ども見たのでありますが、その点を確かめてみたのであります。
  249. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 米価の考え方については、物価庁長官からお話通りでございます。農林省の負けじやないかというようお話ですが、決して負けていないのでありまして、農林省が生産費を基礎として計算いたしました場合には五千五百四十円という数字が出たのであります。それと池田君の国際論と、それから安本長官のパリテイ指数を基礎にするというこの案が大体似通つて来たのであります。そして農民の希望をいれてアルフアーという数字が加わつたものと御解釈を願いたいのであります。でありますから、予算書にそういうことが書いてなくとも、実際にはそういうようになつておるのだということを御了承願いたいと思います。
  250. 黒田寿男

    ○黒田委員 麦の問題につきましては、ことにその価格の問題等につきましては、非常に矛盾した点があると思います。そして今のような方針で行くと、農民の生活の上にも、また一般の価格体系の上にも、いろいろな意味におきまして混乱を発生せしめる意味があると思いまして、実はそれを指摘してもう少し質問したいと思いましたけれども、盛んに理事の方からもう時間がないというようお話がありますので、この点はもうきようは省略することにいたします。  そこで最後に私は一つだけ、私どもはこう考えるがどうかという点について質問してみたいと思います。それは、いろいろと政府は御説明になつおりますけれども、これは私だけではなく、こういう感じを持つている人はたくさんあると思いますが、結局麦の価格の対米価比率を、政府は大体三相会議においてお示しになつておるような数字に持つてつたのは、その奥の奥は、外国の米と外国の麦との価格の比率を日本の米と麦との価格の比率に持つて行こうとする、そういう意図ではないか、こういうことが私どもには考えられるのであります。どうもそれが真相のような気がするのでありますが、そういうことをお考えなつたことはありませんか。
  251. 周東英雄

    ○周東国務大臣 先ほど申しましたように、日本の麦と日本の米というものの比率は、日本の経済状態から考えて決定するのでありまして、外国の米と麦の差があるからといつて、それにならうという意味ではないことは、先ほど申し上げた通りであります。
  252. 黒田寿男

    ○黒田委員 最後に、これはお答え願わなくてもけつこうです。米価の比率に対しまして、大蔵大臣と安本長官と農林大臣とが、世間常識考えております三つの方式について議論がありました。結局安本の方式になつように表面上考えられますし、いろいろそれについての説明が出ておりますけれども、しかし私どもは、ほんとうは大蔵大臣の主張の方に近づきつつあるのではないか、結局国際米価にさや寄せするという根本の考え方が、実はこの米価決定の中心になつておるのではないか、そういう考え方がされるのであります。そしてその目的は補給金の撤廃である。ただしかし現在の日本の経済事情、資金の状態等を研究いたしまして、今全部補給金を撤廃することができない、すなわち簡單に国際価格にさや寄せすることができないから、どこに限度を求めるか、消費者としての労働階級等に補給金を與えずして、外米そのままの価格でこれを放出いたしましたときの生活に対する圧迫ということを考えるならば、それをどの程度まで緩和するかということを限度として補給金の額をきめて、そして根本の目的は国際価格にさや寄せしようとする方針に向つて進んでおるのではないか、こう私には考えられる。これはしかしお答え願わなくてもよろしい。また議論になつてもどうかと思いますし、議論は別の機会にして、きようはこれで質問を終ります。
  253. 小坂善太郎

    小坂委員長 竹山祐太郎君、関連質問を許しますが、先ほどの申合せもありますので、簡單に願います。
  254. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 肥料の燐鉱石の補給金の問題をきのう論じたのですが、農林大臣おいでにならなかつたの答弁していただけなかつたのですけれども、四月以降の燐鉱石の補給金の問題を伺いたい。
  255. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 欠席いたして、他の方はどう言つたかわかりませんが、大体含みのある答弁があつたかと思うのであります。(笑声)
  256. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 それでは答弁にならぬと私は思うが、廣川農林大臣のことだから、一番親切に考えておると私は了解いたします。  次にこれも予算に関連しておるのですが、大臣が初めから主張されておつたいわゆる農協再建整備に関する件はいつお出しになるのか、もう会期もだんだん短かくなるし、予算の関係もありますから、その時期を伺つておきたい。
  257. 廣川弘禪

    ○廣川国務大臣 これこそほんとうに真劍に考えてやつております。今やつておる最中でありますから、ごく近い機会に出したいと思つております。
  258. 小坂善太郎

    小坂委員長 川島金次君。
  259. 川島金次

    ○川島委員 私は午前中の中曽根君の質問に続きまして、同じく東銀債をめぐる問題について、たまたま出席をされておられまする朝日新聞論説委員土屋さんにお尋ねをいたしたいと思います。もう私がこの席上でくどくどしくお尋ねの條項をあげて申し上げるまでもなく、土屋さんはきわめて練達なジヤーナリストでもございますから、おそらくこの国会におきましてこの問題のどういうところに焦点があるかというようなことにつきましても、すでに御承知のことと思いますので、一問一答式のくどくどしいお尋ねは避けたいと思いますが、数点簡單にお尋ねし、それに対する土屋さんの簡明率直なる御所見を承らしていただきますれば、たいへん幸いだと思います。     〔委員長退席、西村(久)委員長代理着席〕  その一つは、午前中も問題になつたところでございますが、銀行等債券発行等に関する法律におきまして、その債券発行の主要なる目的は長期資金の調達であり、供給であることは、土屋さんもよく御承知のことと思うのでございます。そこでこの銀行等債券発行等に関する法律に基いて今度の東京銀行銀行債発行されることになつたのでありますが、はたしてこの東京銀行発行されました、しかも池田大蔵大臣が承認されましたところの銀行債というものが、長期金融債の性質を持つておるものであるかどうか、その点について御所見を承りたいのが第一でございます。  それからまた、日本の全体的な金融政策の面からいたしましてこのよう長期資金の調達の仕方あるいは供給の仕方が、はたして健筆な理想的な姿であるかどうか、そういつた事柄についても御所見を承りたいと思うのであります。  それからまた、このような形において金融債発行されることによつて生じます地方金融界における混乱や動揺、こういつた問題についても、土屋さんはどんな御所見を持つておられるかという事柄であります。  それからもう一つ簡單にお尋ねしておきますが、大蔵大臣金融債について、法律の明示しておるところに従つて、今後要請があればどしどし発行を許すということを言明いたしておるのでありますが、そういうことを大蔵省考え、しかもそれが実行された場合において、いかなる影響があり、日本の金融政策にいかなるプラスが加えられるかというようなことについてもお尋ねをしたいと思うのです。  ついでにまことに恐縮ですが、最後にもう一つつけ加えておきます。土屋さんも御承知通り、きのう帰りました日銀総裁一万田氏は、この債券発行の承認方について、大蔵大臣に直接か間接か、その点は不明でありますが、延期方を申し入れた、日銀政策委員会でもこれまた申合せによりまして、その時期にあらずとして反対的な意見大蔵大臣にまで申し出ておる事実があるのであります。それからさらに地方銀行の協会側におきましても、その責任者がこの金融債発行について、きわめて強硬な反対の意思を表明しておつたということも、この席上の質問によつて明らかにされておるところであります。かりそめにも一国の金融政策を行います場合に、この種の権威ある各方面機関の反対をも押し切つて大蔵大臣が独裁的に、独善的な姿によつて金融政策を行いますことが、はたして日本の健全なる金融政策の姿であるかどうか。     〔西村(久)委員長代理退席、委員長着席〕 こういう問題等につきまして、どうぞ土屋さんの忌憚のないところの所見を、率直にひとつわれわれに明示していただきたいと思うのであります、
  260. 土屋清

    土屋参考人 短期金融債が長期資金なりやいなやということは、ある程度までは定義問題であります。しかしこの短期債の名が示す通り、これは短期資金であると了解いたします。三年以上あるいは五年以上というものが長期資金でありまして、一年というものは明らかに短期資金である。もちろん六箇月ないし三箇月の資金に比べればこれは長期資金でありますけれども、普通金融界においては、今までは三年以上のものを長期資金考えておりまして、割引興業債券のごとき一箇年のものを長期債といつたような例はないように記憶いたしております。  そこでこれが金融政策上どういう影響をもたらすかというお尋ねでございますが、第一は私はこういう制度を設けることが單に東銀だけの問題のうちならばまだよろしいのですけれども、やはりこれが大臣のおつしやる通り、届出でもつてどんどんできるのだということになりますと、おそらくこれが相当普遍化するのではないかと思います。そういう形になりました場合に、第一に問題になりますことは、日本の商業銀行のあり方として決して健全ではないということが、金融政策上の問題だろうと思います。ドツジ・ラインの精神が、商業金融商業銀行にやらせる、つまり預金によつて短期金融をまかなう、そういう原則を貫くことにあることはもちろんであります。もしもこういう形の債券発行するような、そういう銀行制度が一般化するということになりますと、日本の銀行は世界の銀行制度とはまつたく姿を異にした、きわめて例外的、変態的な存在になるといわざるを得ません。世界のどこに商業銀行が社債のごときものを持つているところがございましようか。スイスの山の中の銀行に一つあるかないかというような話を聞きますけれども、日本の商業銀行の大部分がおそらくそういうようなものを持つような形になるということを考えますときに、それは日本の金融制度全般の問題として決して看過できないことであります。つまりドツジ・ラインが考えておるところの、商業銀行を健全な商業銀行たらしめるという趣旨に沿わないと思うのであります。しかしこういう社債類似の債券が、やがて氾濫するようになりますと、必ずその間においてデイスカウントされまして、つまり打歩額が生じまして、東銀債が百円で売り出したものが九十円くらいになる。今日でもすでにそういう徴候が現われつつあるようであります。そうしますと東銀債は率は幾ら、千代田銀行の債権は幾らというように、銀行間によつていろいろな差別が生じ、これがまたいろいろおもしろからぬどろ沼に陷る状態を起すじやないかということも懸念されるのであります。ゆえに制度とてこういう商業銀行が債雰発行を持つというようなことは、私はいけないというのが第一点であります。  第二にこういう制度を持つた場合に問題になりますことは、これが必ずしも資本の蓄積にならないということであります。おそらく大蔵省当局がこの制度をお認めになりました動機は、きわめて善良で、無記名定期が許されないときに、おそらくはこの制度ならばなおさら市中銀行が喜ぶじやないか、そうして資本蓄積ができればけつこうじやないか、こういう單純かつ善良な動機に出発したのだと考えます。しかしこれは、資本蓄積のためならばどんなことでもしていいということではないのでありまして、必ずしもこれは資本蓄積そのものの目的に沿わない。つまりこの場合起ることは結局預金の横流れと、はなはだしき市中銀行間のどろ試合でありまして、かえつて正常な預金吸收の努力が忘れられ、銀行本来の健全な経営というものに背馳する結果になると私は憂えるのであります。と申しますのは、なるほどたんす預金が多少これは吸收されるかもしれませんけれども、それ以上に預金が移動する。つまりこれは税金が一銭もかかりません。無記名定期は源泉課税がかかりますが、これは申告制度でありますから全然税金がかからないのであります。そういうことから現在安定しておる預金が至るところに移動して行くということになつて、それがことに憂慮されるのは地方銀行の預金というものはまつたく名の売れておる大銀行債券によつてつてかわられるという事態が起る。そうしますと、現在でも地方銀行の業績がそれほど振わない、しかし地方銀行本来として地方産業の振興という重大なる使命をになつておる、しかるにその地方銀行の預金が移動して大銀行債券に振りかわるということになりますと、地方に対する産業資金の還元ということが非常に困難になるじやないか。そうしますと、現在の大銀行地方銀行間の関係というものはさらに惡化して、收拾しがたい摩擦を起す憂いがあるということを考えます。そういうことを考えますときには、これが資本蓄積上決してプラスではない。従つて資本蓄積のためならば、いかなる制度もいいのだというよう考え方は、間違いではないかというように思うのであります。  第三に、こういう制度をやりますと、銀行経営といたしましては必ずしも有利には申されない、というのは非常に預金コストが高くなつて来るに違いない。無記名定期ならば別にこれは債券発行しませんからまだしもでありますが、ともかく債券になればこれは一枚にして何十円という印刷費もかかる。そればかりではない、この勧誘のために狂奔するということになりますと、これはどこの支店がとつてもいいわけでありますから、あらゆるところに入り乱れての乱戰が始まる。ひいてはこれが預金コストの増高を来しまして、銀行経営の健全化をも害するということになりかねないと思うのであります。こういうような点を考えますときには、金融政策上から申しまして、これが決して一時の資本蓄積の美名のために許すべき制度ではない。むしろ今回大蔵省が提案されました預金の源泉選択制度、これがどうやら通過するといたしますれば、こういう制度によつて正常な資本蓄積を促進して行くということの方が望ましい。一番望ましいのは無記名定期の実現でありますが、そのことも大臣以下がこれほどこの短期金融債のために奮闘される努力の半分を拂われるならば、私は無記名定期の実現の方がむしろ可能じやないか。努力される目標を間違えておるというような感じがいたすのであります。  それから金融行政上の問題についてお尋ねがございましたが、私は内部のこまかい事情はよく存じません。これについてはおそらく他の参考人からお答えがあつたと存じます。しかし私は全体から考えまして、日銀総裁日銀政策委員会というものが、これについて非常に乘気でなかつたということを明らかにし得ると思います。そうして一万田総裁も出発の前に大蔵大臣にお目にかかつたそうであるし、かつ長沼大蔵次官に重ねてお会いになつてその点についての念を押されて行つたと伺つております。それであるのにあえて大蔵省がそういう反対を押し切つてまでしたということ自体、大銀行の大部分、並びに地方銀行当局も反対しておるようなことを一方的に大蔵省が強行するということは、やはり金融行政の民主的な運営という意味からいつても非常に問題があると思います。もちろん金融政策は大蔵大臣の所管でありますけれども、しかし日銀総裁は通貨制度の維持ということを日本銀行法によつて規定されておるのでありまして、日銀総裁意見というものを相当取入れまして、金融行政を行つて行かなければならぬことは明らかだと思います。その点この金融当局の意見を無視して、強行するだけの特別な必要がどこにあつたのかということについて、私は非常に疑わしく思うのであります。  第二に金融行政上の問題としましては、この金融債発行にあたりまして、大蔵当局が興銀並びに勧銀の当局者を呼びまして、言葉は禁止ではありませんが、一年の興銀割引債券発行を見合せたらどうか、あるいは興銀は短期金融債を出すのはよしたらどうかというような申入れをした事実がございます。これも私は非常におかしなやり方だと思います。金融行政上許すべからざることだと考えられる。つまり東銀債というものは、一応法律の建前から届出によつて公平に許さなければならぬ。興銀債についてもあるいは勧銀債についても、何らの制限を置くべきものではない。しかるに東銀債においては公平を云々しながら、勧銀並びに興銀に対してそういう勧奨を行うということは、私は理解しがたい態度だと思います。もちろんこれは申入れ勧奨であつて、決して命令ではないというふうにお考えになるかもしれませんが、しかし監督権を持つておる当局者がそういうことを申入れること自体、すでに私は命令的性質を帶びたものだと思いまして、はなはだしい越権行為だと考えます。それからこういう事態——東銀債の公平のために、ほかの銀行を不公平に扱う措置を講じたことは、金融行政上やはりマイナスだと私は考えざるを得ないのであります。  第三に午前中にも御議論が出たようでございますが、東銀債を出すにあたりまして、他の出せない銀行が存在する。その不公平あるいはそれに対する不満を緩和するためには、貸倒れ準備金を資本金とみなして、そうして不公平をできるだけ緩和しようということをお考えになりまして、大蔵当局が関係銀行当局者をお呼びになつて金融債発行の條件統一に関する通牒案の審議を要請したという事実がございます。これはまだ法案になつているのではございませんけれども、一つの東銀債を許す、認めるとということのために、貸倒れ準備金を資本金と認めるというような無理をしなければならぬ。つまり次から次へと無理を重ねて行く、あるいは興銀、勧銀を押える、あるいは貸倒れ準備金を資本金と認められる、こういう無理を次々に重ねて行くということが、そもそも金融行政上の何かすつきりしないものが存在したことに原因するものと私には考えられるのであります。出発点が無理でありますから、その無理がだんだんと重なつて来るのではないかと思います。こういう無理をなるべく早いうちに治める方がいいのではないかというように私は考えるのであります。  結論としてこの問題は日本の金融制度のあり方として、決して正しいあり方だとは考えられない。できるだけ東銀債、すでに発行された十億円については事実としてこれを認めることは、すでに発行された以上はいたし方がないと思います。今後についてはこれをできるだけ抑止する、必要ならば法律の改正を行う、それが困難ならば、その他の措置によつて大蔵当局あるいは日銀当局の話合いによつて、それを円満に処置するような方策を講じて、資本蓄積本来の道である正常なる預金の吸收ということに、われわれの努力というものをすべて向けて行かなければいけないというよう考えるのであります。
  261. 川島金次

    ○川島委員 土屋さんのきわめて明快、快刀乱麻的な御所見に接しまして、まことにわれわれは意を強うしたのであります。われわれは先般のこの問題に対する委員会の論議、また本日の論議を通じて関係各機関の代表、もしくは民間各権威の代表並びに政府側の意見を総合して考えてみまするときに、この問題は、結局法律的には長期資金供給を目的とするものであるという建前が本来であるということが、はつきりいたしております。しかも東京銀行の今回の債券というものは、これは長期債でなくして、むしろ短期債であるとの意見が圧倒的に多数であつたということはきわめて明白になりました。この見地から行きますると、私は政府の今回東京銀行に対して與えられました債券発行承認の態度は、むしろこの銀行等債券発行等に関する法律の上から見まして、違法な処置であつたとわれわれは断ぜざるを得ないのでございます。また一面におきまして……、(「討論はあとだ」と呼ぶ者あり)これから質問するのだ、やじると長くなるぞ……。
  262. 小坂善太郎

    小坂委員長 私語をしないで質問を続けてください。
  263. 川島金次

    ○川島委員 なおさらに二日間にわたるいろいろの各界の意見を承りまして、政治的に考えてみますると、東銀債発行に対してとつた大蔵当局の態度というものは、ことに池田大蔵大臣の態度は、政治的に見てきわめて独善的であり、独裁的な態度であるという事柄をわれわれは認めざるを得ないのであります。  そこで私は最後に大蔵大臣にお伺いいたすのでありますが、この二日間にわたりまするところの各界の意向を大蔵大臣は直接耳にせられ、またこの委員会における多数の委員意見も耳にせられました結果、それでもなおかつ大蔵大臣は、先日来繰返しておるところのこの既定の方針を断行するというその強気をもつて今後も処置をするのか、それともこの問題に対する何らか別途の考慮を拂つて、円滑健全なる金融政策に対するところの再検討を行うという用意をあなたは持たれるかどうか、そのことについて最後に一言だけお伺いをいたす次第でございます。
  264. 小坂善太郎

    小坂委員長 ちよつと川島君、たいへん失礼ですが今あなたの御意見の中に、長期債でなく短期債であるという意見が圧倒的に多数であつたとおつしやつたのちよつと違う、長期債でもなく短期債でもないということであつたと思います。それでありますからそういうようなきめつけ方をなさつて大蔵大臣答弁を求められると、これは円滑なる答弁がないのではないかという気がするのです。そういう意味でなくて、ただ善処を求めると、そういう意味だと思いますが……。
  265. 川島金次

    ○川島委員 そういう意味です。
  266. 池田勇人

    池田国務大臣 数回にわたりまして皆さん方の御意見も拜聽いたしましたし、また今朝来銀行あるいは実業家の方々の御意見をお聞きしまして、私はずつと聞いて参りまして、私の考え方が誤つていないということを知つたのであります。いろいろな議論はありますが、片一方では日本銀行の制度をどう持つて行こうという理想論から、現実を無視した議論もありまして、またこれをやつたら、のべつにやつて金融界を混乱するようなことを前提にしておる議論がありましたが、私はたびたび申し上げように資本蓄積は必要だから、ある程度のいろいろな方法をやつてみなければならない。それが金融界に惡影響を及ぼさないように、いろいろな点を配慮しながら今後も認めて行くというのであります。法律論として原則は認める建前でありますが、発行の金額、発行の方法、いろいろな点につきましては万般の注意をして、金融界に惡影響を及ばさないように、プラスになるようにやつて行くということはたびたび申し上げておるのであります。しこうして私は、この問題につきましては今ここでいくら議論をしても、これはとりとめもつかぬことで、今後の私のやり方をごらんくださいまして、そうして誤つたことがあつたらそれを御指摘願いたいと思います。私は考え方はかわつておりません。
  267. 中曽根康弘

    中曽根委員 ただいま池田大蔵大臣から非常に微妙な答弁をいただきましたが、この際私は私の所信を申し上げてみたいと思います。この二、三日間、東銀債の問題は非常に世上をにぎわしたのでありますが、各界の意見を聞いてみますと、賛否いろいろ立場によつて違います。しかしわれわれが公平に考えて一応考慮しなければならないと思うことは、やはり金融当局の首脳部の意見が必ずしも一致しておらなかつたということである、こういうことははつきりいたしておると思います。それから地銀側その他において、反対の気勢もあつたのであります。従つてこの際大蔵大臣におかれては、なるほど法律的にはそれは可能であるけれども大蔵大臣が行政措置をとる上において、従来の政策をひとつ反省、検討されて、そして金融界に摩擦を起さないように、金融界意見を民主的に尊重されて、今後の発行その他については検討して、善処してもらいたい。そういうことを私は大蔵大臣からもう一回明快にお聞きいたしたいと思います。大蔵大臣のお答えをお願いいたします。
  268. 池田勇人

    池田国務大臣 大蔵大臣として経済金融の円滑改善に努力することはもちろんでございます。いろいろな施策をいたしまする上におきましても、やつた施策について常に反省を加え、常に検討を加えて行くことは当然であるのであります。従いましてこの金融債の問題は、先ほど申し上げましたように、各般の事情を頭に入れてそうして金融界に混乱を起さないで、より資金の蓄積になるように努力して行くことを申し上げておるのであります。
  269. 中曽根康弘

    中曽根委員 ただいま大蔵大臣答弁を聞きまして、私はこれで質問をやめます。  先日来いろいろ議論が激しまして、多少不穏当にわたる言葉があつたと思います。この際関係者に遺憾の意を表しておきます。
  270. 小坂善太郎

    小坂委員長 これにて内閣総理大臣に対する質疑を除いて、他の質疑は全部終了いたしました。  明日は午前十時半より開会いたしまして、総理大臣に対する質疑に入ります。なお明日は午後一時より討論採決に入ることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十三分散会