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1951-02-23 第10回国会 衆議院 予算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十三日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 小坂善太郎君    理事 上林山榮吉君 理事 橘  直治君    理事 西村 久之君 理事 川崎 秀二君    理事 川島 金次君 理事 林  百郎君       青木 孝義君    麻生太賀吉君       天野 公義君    井手 光治君       江花  靜君    尾崎 末吉君      小野瀬忠兵衞君    角田 幸吉君       甲木  保君    川端 佳夫君       北澤 直吉君    久野 忠治君       坂田 道太君    庄司 一郎君       鈴木 正文君    玉置  實君       苫米地英俊君    中村  清君       中村 幸八君    永井 英修君       松浦 東介君    松本 一郎君       南  好雄君    宮幡  靖君       井出一太郎君    今井  耕君       河野 金昇君    中曽根康弘君       平川 篤雄君    戸叶 里子君       西村 榮一君    水谷長三郎君       風早八十二君    横田甚太郎君       小平  忠君    黒田 寿男君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山崎  猛君  出席政府委員         公益事業委員会         事務総長    松田 太郎君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君  委員外出席者         公益事業委員会         委員      川上 弘一君         公益事業委員会         委員      宮原  清君         参  考  人         (日本発送電株         式会社総裁)  小坂 順造君         参  考  人         (日本発送電株         式会社総裁) 森壽 五郎君         参  考  人         (日本発送電株         式会社総務部         長)      近藤 良貞君         参  考  人         (日本発送電株         式会社総務理         事)      管  琴二君         参  考  人         (日本電気産業         労働組合中央執         行委員長)   藤田  進君         專  門  員 小林幾次郎君         專  門  員 園山 芳造君         專  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 二月二十三日  委員松本瀧臓君及び江崎一治君辞任につき、そ  の補欠として河野金昇君及び風早八十二君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計予算  昭和二十六年度特別会計予算  昭和二十六年度政府関係機関予算     —————————————
  2. 小坂善太郎

    小坂委員長 これより会議を開きます。  この際昨二十二日理事会におきまして決定いたしましたる委員会運営について、御報告申し上げます。本日は午前中新電力会社の発足に関連いたしまして自発並びに公益事業委員会側意見を聞き、午後は船腹増強対策につきまして、運輸大臣並びに当局との間に質疑を行います。二十四日は午前は地方財政平衡交付金中心として質疑を行い、午後は物価問題並びに麦の統制撤廃等中心といたしまして質疑をなし、二十五日は金融債問題につきまして参考人意見を聽取しつつ、大蔵当局質疑を行い、二十六日午前、一時間程度内閣総理大臣に対する質疑をなし、これをもつて全部の質疑を終了することとし、二十六日正確に午後一時より討論に入り、同日中に採決をなすことといたしました。従つて二十七日の本会議に上程され、討論採決が行われることになります。  なお今日以後の日程に従いまして、質疑を御希望される方は、至急委員長手元までお申出を願います。  これより日程に従いまして議事を進めるわけでありまするが、本日参考人といたしまして、委員長近親者が来ておりまするので、委員長はこの際降壇いたします。(笑声)     〔委員長退席西村(久)委員長代   理着席
  3. 西村久之

    西村(久)委員長代理 この際お諮りいたしますが、本日は日発の森副総裁出席しておられまするが、同君参考人とすることに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 西村久之

    西村(久)委員長代理 御異議なければ、その通りに決します。
  5. 庄司一郎

    庄司委員 議事進行について……。ただいま質疑に入る直前において、政府委員松本君外一名の出席の問題について、委員長の御報告がありませんようでしたが、同君らは政府委員として出席されますか。
  6. 西村久之

    西村(久)委員長代理 ちようど渉外関係で手が離されないのでありまして御出席になつていないのであります。御承知おきを願います。井出一太郎君。
  7. 井出一太郎

    井出委員 ただいま庄司委員からも、公益事業委員会側の御出席がない点御指摘がございましたが、同時に私は通産大臣もいろいろな関連があると思いまするので、委員長にその出席方を御要請申し上げておきます。  ただいま天下の耳目を響動しておりまする電力再編成問題、これが本二月の二十三百をもちまして、公益事業委員会からいわゆる決定指令案なるものが出るやに承つておるのでございます。これに関連をいたしまして、日発側委員側とにおいて御意見の対立があるやにも伺うのでございます。このことは一つの大きな政治問題化そうこういう段階でございましてわれわれがかねてから、あるいはかようなトラブルがあるのではないかとひそかに杞憂をいたしておりました問題が、ここにまさしく勃発をいたした、かように私どもは見ておるのであります。  私の御質問を申し上げまする順序は、一つのコンストラクシヨンを持つておりまして、最初公益事業委員会側お尋ねを申し上げて、逐次問題の核心に入りたい、かように考えておつたのでございまするが、不幸にしてまだ松本委員長その他の方々がお見えに相なつておりません。そこで順序は若干狂つて参りまするが、おいでになつておられる日発総裁以下日発側の御意見をまず承りたいと思うのでございます。  それにつきましても、私はきようこの予算委員会のために、特に自発総裁あるいは松本委員長松永委員長代理、これらのいわば非常に練達なるエキスパートの皆さんにおいでいただき、またおいでをいただくことになつておりまして、私はここにこれらの大先輩に対しまして衷心敬意を表するものでございます。従つて私は、これからの質問も、あるいは教えを請いたい、こういうような気持でおるのであります。けれども委員会が、総合委員会としての権威にかんがみましてあるいはそういう立場から、時には礼を失したような言辞を用いることもあるかも存じませんが、この点はあらかじめ御了承を願つておく次第でございます。  私はこの電力再編成問題がきわめて重大であり、しかも非常な難問題であるという段階におきまして小坂総裁が勇躍老謳を顧みずしてこの大任をお引受けになつた、勇気と申しましようか、あるいは愛国的な御心境と申しましようか、これに対しては心から敬意を表するものでございます。いわば齋藤実盛が白髪を染めて立ち上られたのにもほうふつたる感を持つのでございまして、ほんとうを申せば、おそらく総裁は、まあおすきな書画骨董の趣味にでもおぼれていらしつても、あるいはいいかもしれないけれども、事非常に重大なるこの難局に、あたかも火中のくりを拾うがごとく出られたことに対しまして、私はおそらくあなたが心中ひそかに決するものを持たれて立ち上られたのであろうか、かように存じておるのであります。  そこで問題に入りまする前に、この電力再編成問題に対して、あなたに多年分割論を御主張に相なられたように伺います。私ども国民民主党立場といたしましては、今回の政府案には反対立場をとりました。われわれは独自の五分割案なるものを持つておるのでございまするが、そのことは、ポツダム政令によつて決せられました今日、もはやさかのぼつて論議はいたしますまい。けれどもこの再編成の問題が包蔵しているところのいろいろな矛盾、これが今日はしなくも露呈いたした、こう私は考える。つまりこの再編成内容自体に非常な無理があつた。あるいはまたポツダム政令という方法自体にも、非常なる横車を押すとでも申しましようか、今日のような問題をかもし出す一つの素因があつた、こうも私は考えるのでございます。そこでまず冒頭にごく概論でございますが、総裁がこの電力再編の問題に対しまして最も直接の当事者として携わられてから数箇月をけみしておるのでございますが、これに対するあなたの総括的なお考え方をまず伺いたいと思うのでございます。
  8. 小坂善太郎

    小坂参考人 ただいま井出さんからのお尋ねでございますが、私に対する過分の讃辞はかえつて恐縮いたします。私がこの分割案賛成であつたが、それはどういうわけかというお問いのようであります。私は分割幾つにするかということについては、別に議論もありましたが、とにかく電気事業というものは一貫作業でなくちやいかぬ、発電送電配電が一貫しなければ、事業としての体をなさぬものであると前から考えておる。それであるから、私はこの電力統制案にはその当時徹底的に反対したわけであります。事業の上で一番むずかしいのは発電であります。発電することがむずかしいのじやない、地点を選ぶこと、それはできますが、その金をつくることが一番むずかしい、しかるにこの前の制度でありますと、むずかしいことは日発が引受けて、むずかしい金をつくることは、すべて政府におまかせしている。政府の金で何でもつくつている。そして足りないのは租税へ持つて行く。こういう制度が一番だらしのないもとになつておるのであつて、各配電会社にありましても、あるものは足りない。足りないものはプール計算で料金をきめますから、そのとき自分のところは負けてもらつてつて負けてもらつた結果の不足日発が肩負つて日発が足りなくなれば租税へ持つて行く。こういうことでは事業としてのりつぱな発展ができない。これではどうしても戰時中の軍人とこれに貢献したいわゆる逓信の新官僚の連中が無理にでつち上げた制度であつて事業の本体から離れておるから、これをもとべもどさなければ進むことができない。ことに日本においては電力以外に十分あるものはない。物資は不足していて、外国から持つて来なければならぬ。外国から持つて来れば運賃だけ損をする。人間と、動力としては電気以外にないのであるから、これに電力をやらなければいけない。こういつた心持から一貫作業意味分割論賛成しておつたわけであります。
  9. 井出一太郎

    井出委員 あなたと議論しようとは別に考えておりませんが、発送配電一貫作業でなければならぬという論理も、なるほどわかるのでございます。しかし発送電というものと配電というものが区分して考えられる論理も、確かに成り立つではないか。ことに日本のような国情におきましては、電源地帶というものが非常に地域的に片寄つておるわけでございます。従いまして今度は逆に消費地というものが別なかたまりをなして、これまた別個に存在いたしておる。こういつた生産と消費とが非常に隔絶をしておる環境が存在をしておりまするし、発送電立場というものは、ボタンを一つ押せば電流は日本全国共通的に流れるという一つ普遍性を持つておる。しかしながら消費地において電力を得るという建前を考えますると、これは個別的な特殊な層をなしておるのではないか。従つてそこにたとえば電源属地主義が生れ、潮流主義というものが出て参る。こういうような二律背反的なものは、発送配電一貫ということが必ずしも律しがたいものがあるのではないかという感じがいたすのでございまするが、今私があげたような幾つかの矛盾が、発送配電一貫という方式によつて、はたして解決されるでありましようか、この点をひとつお聞かせ願いたい。
  10. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答え申し上げます。その点はまことにごもつともなことであります。日発の特色はおつしやる通り非常な特徴があるのでありまして、各地の配電の余剰を不足のところに持つて行き、需用期に特に必要なところに急に送るというのが、旧発が今最も有効にやつておるところであります。今度九分割になりましたが、九分割された後でも、この配電のリレーテイヴの作用統制作用というものは、各社の間で嚴重に協定して一つ組織を残したい、こういうことを日発として申し出しておるのであります。それは今までは公益事業委員会では、それはもつともなことであるから、最も重要な仕事としてやろうというので、各会社共同出資でありますか、どうしますか、その組織をつくりまして自発電力統制する仕事をそのまま受継がせることをして行こう、こういう話になつております。
  11. 井出一太郎

    井出委員 概括的なことはその程度にいたしまして、問題をもう少し進めたいと存じますが、小坂総裁はしばしば爆彈的声明をお投げになつた。これは最近の欝積しておりまする国民感情には、何かさわやかな感じも投げ与えておるのでございますが、一面これはどうも総裁の老いの一徹から出たものであろうというような評もございます。そこでまず最初に伺いたいのは、数日前に私ども議員手元日本発送電株式会社から「公益事業委員会の性格に関する見解」なる文書が届けられました。このことは総裁も御承知でありますかいなか。
  12. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えいたします。ただいま爆彈声明というお話がございました。私はあたりまえのことをあたりまえに言つたつもりなのですが、何だか非常に反響が大きかつたようであります。これは私の事業についての信念を初めに申し上げておきたいと思いますが、私は戰時中及び戰後にわたつて、無理な統制をして、きわめてルーズな仕事のしぶりをしておつて、それで国民が満足しておるという風が見えて、業者の反省の気分がはなはだ乏しい。私が日発に人つてみてたとえば発表されたようなものがありましても、ある経理の一部の人のみがこれを壟断しておつて他のものは、総裁たる私がそれを知るのに二月間もかかつたという状態では、実に不可解なものであつて、それも上手にやつたというか何というか、脱税の計画をやつてつたというにすぎない。そういうことをやつておることがあたりまえのように思われていることは、はなはだ困ることであつて、今後先に申し上げた通り、この電気事業資本を一番大きなたよりとしなければならぬのでありますから、資本を一時に多く集めて、これが償却に数十年を要する電気事業では、経理を明らかにして信用を得ることが、内債を得る、ことに外債を得る上に一番必要である。こういう信念から、あるいは無用であつたという人もたくさんありますが、こういうものを内部だけでなく、あとどうすることもできないようにして置く方がいいと思いまして、発表したという心掛であるのであります。  それから次に九分割に対しても、私はやはり信念を一貫しまして、自分の力でできることならば、公益に徹する意味のことでなければならぬ、こういうことで、九分割に決定いたしました以上は、その中心人物をまずきめることが重要である、こう考えまして、その当時松本さんや松永さんと始終相談しまして、ほぼ八箇所までは意見が一致したのであります。そうして本人の同意を得ましたが、一番重要な関東地区になつてから、私の考えておつた人に対して、委員の中に非常に強い反対が起きて来た。それからしばらくして松本委員長から、今世間にちやんと出ている新本日銀総裁を推薦して来られた。それは私は非常に賛成で、それで首脳部についてみな話が一致したわけであつたのです。そうしてそのときに松本委員長から、現在の副社長を承認してくれというお話でしたから、非常に私はけつこうであると思つていたわけです。  ここに私は日発立場から申したいことがあるのであります。それは、各配電会社出資者は同じように株をもらうが、日発だけはばらばらに株をもらうので、株主は非常に不利な立場になる。人間も同様でありまして、配電会社はみなそこにおれるが、日発だけは四万の人間九つばらばらにわけちれるのであるから、日発立場にいたわりの気持がなくちやならぬ、こういつておりましたのに対して、どうもこの点について考慮が欠けておるようでありますから、私は社長たるべき人は中立の人であつて公正な人、そうして副社長方々も、双方から出して円満に事を運ぼうという交渉でずつと進んで来たのであります。関東になつて来ると高木君が副社長ということでたいへんけつこうであると思つてつたが、発表されたのを見ると、新木君が会長ということになつている。それから高井君が社長ということで発表された。それで松本さんに聞いてみたところが、どうもそうした方がよいと思つたからそうしたという話であつた。しかし、それは長い間私が自分構想として考えていたことと全然違うので、どうも困るという話をしたところが、これは既定の事実で譲歩できない、しんぼうしてくれ、こういう話でしたが、これでは日発人々がしんぼうするかどうか疑問である、そう思つているうちに、今度は私との話合いできまつた者がみな会長になつてしまつた。そうして社長というものがまたずつと出て来た。その覆面をとつて見れば、みな配電会社社長である。こういうことであれば、私が今まで言つてつたことは何にもならぬことになつてしまうと思うのであります。そこで、これでは私はどうも同意できないと言うと、何分きめてしまつた以上は既定の事実でやむを得ないというような話であつた。それで今までごたごた続いているわけなのですけれども、それはあなた方で譲歩してくれなければ困る、どれもこれも既定の事実、既定の事実で押しつけて、簡單にきめたのをのめということでは困る——松本さんの構想は、会長というものは全権を持つものであつて、今までの社長と同じものであるというのでそれはよいと思つてつた。そうして現在の社長雑務を扱うばかりだからさしつかえないということであつたのであります。ところが日発人々は、従業員がいて、今度九配電会社にわかれて行つて、接触する部面は政策や金融を担当するのではなく、日常雑務を担当するのであつてその雑務中心配電会社社長や周囲の人がそのまま居残つて安心できるはずはないというのが私の反対意見であります。さらにいま一つは、現在配電会社の施設並びにサービスが、国民が歓迎している程度によくなつているのであればそのまま行つてもよいと思つておりますけれども、私の見るところではすこぶる惡い。東京などは特に惡い思つている。そういうのに、そのまま配電会社社長社長にすえ置いて、それでただしんぼうしろ、しんぼうしろと言つていても私はどうも同意しかねる、こういうことになつたのであります。
  13. 西村榮一

    西村(榮)委員 議事進行について……。きようは松本公益委員長出席しないのですか。(「その問題は済んでいるのだ」と呼ぶ者あり)  それではお伺いしたいと思います。議事進行順序からいえば、小坂総裁藤田執行委員長が見えておるし、それから森副総裁も見えておるのでありますから、一応王氏から総括的な経過報告並びに意見の開陳を求めて、しかる後にわれわれは質問順序に入りたい、こう思うのですが、いかがでしようか声も低いし、内容がわれわれには聞き取れぬ。総括的な意見当局者から聞いて、それから質問に入らないと、何かわれわれは隔靴掻痒の感がある。(「公述人じやないから」と呼ぶ者あり)公述人はこの関係者なんだから、一応三者の意見を一総括に聞いて、しかる後に質問に入るということが順序だ。
  14. 西村久之

    西村(久)委員長代理 西村君にお答え申し上げます。西村君のお考えのような運営方法もよろしいのじやないかと思いまして民主党の側とも御協議申し上げたのであります。ところが民主党の側では、それよりもただちにお尋ねする段階行つてもよかろう、お尋ねしつつお考えを引用しよう、こういうふうなお話になりまして今のような方法で進めておるのであります。従いまして、その方がよろしいということであればあらためてその方法をとりますけれども、もう今まで進んでおりまするから、お尋ねの都度そういうふうな心持で引用されつつ、おいでになつている人の御意見お尋ねして行くという方向に進んでいただきたいと思います。
  15. 井出一太郎

    井出委員 ただいま西村委員の御要望がございましたが、私は冒頭に、公益事業委員会からの出席がない、むしろこれから先に質問に入らなければどうも順序をなさない、そういう意味であなたと同じような意見委員長まで申し上げました。そこで最初社会党側の方とも御相談申し上げたいと思つてつたのですが、そのときにはまだあなた方御列席がなかつた。そこで質問を始めたのでありますが、今の御趣旨もありますから、今の小坂総裁の御意見は、いわばあなたの御要望にはまつて大体総括的なことをおつしやつたと思う。従つて私の質問も、順次引き出すようなぐあいに進めて参りますから、さよう御了承願いたい。そこでただいま小坂総裁から、私の質問以上に詳細な御答弁がございましたが、私の最初聞きましたこの文書は、あなたが責任をもつて出されたものかどうか、この点をまず伺いたい。
  16. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えいたします。これは、私は法律家でありませんから、内容に対する詳細な御答弁はむずかしいと思いますけれども、むろん貨任をもつてそれぞれの者に相談して出したつもりであります。
  17. 井出一太郎

    井出委員 そこで、先ほど伺いました問題の中からトピツクを拾つて順次お尋ねいたします。  あなたは特に人事の問題について非常に御不満のように言われましたが、従来この人事問題に対しましては、松本委員長中心として御相談をなされたのか、松永委員長代理もあなたが相談なされる場合に、直接参画して協議にあずかられたのか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  18. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えをいたします。大体松本委員長とのみ相談いたしました。松本委員長はもちろん松永委員もしくは河上委員とは特に相談されたことと考えております。
  19. 井出一太郎

    井出委員 先ほど伺いますと、分割された九つ電力会社のうちで、八箇所までは大体においてあなたと協議がととのつて意見が一致した。関東だけが一つまだ残つておる。こういうふうに言われたのでございまするが、この場合において、社長制会長制というものはまだ出ずして、それは社長についての人事が八箇所内定した、こういうことでございますか。
  20. 小坂善太郎

    小坂参考人 その通りであります。
  21. 井出一太郎

    井出委員 しかるに新聞等に伝えられまする人事を見ますると、会長制社長制という二つの線が出ておる。われわれは松本烝治氏商法学者としてのお立場は、いわば会長制というものを強化いたして取締役会会長会社を代表すべきである。つまり資本立場を代表するものが会長である。社長というものはむしろ経営面を率いるものである。こういうような見解をとられておるやに伺いまするから、この点は後ほど私どもは突き詰めてみたいと考えますが、この二つの線でもつて会社最高人事会長制社長制によつて運営をして行くという御相談は、従来あなたにはなかつたのでございましようか。
  22. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えいたします。関東社長にきめる者を会長にするというときにそういう話がありました。それは関東とか関西のような大きなところでは、社長制会長制が並立してもいいと思いますけれども、他はそれほどの必要があろうとは思つておりません。それから松本さんの見解だと、社長というものは日常雑務を扱うので、重大事項はほとんど会長が決するものである。こういうお話でありますが、しかし人事については、日常接触するものは、社長側仕事に接触するもののみが日発方面には多いのでありますから、配電会社社長がそのまま居すわつて、周囲の者がそのままついて、そこへ日発の者が三千、四千ずつわかれて入るというのでは、これでは不安を持つのはあたりまえであるから、やはり社長になる人は公正の人で、会長は各配電所についてことごとく会長制をとる必要はないから、初め社長として考えた人を社長にしてやつたらどうか。そうしてもしとる場合ならばなるべく——ちようど関西のごとく堀君と太田垣君がいるように会長社長制をとつても、すべてその人がどちらにも縁故のない人であつて、公正と思われる人物でそういう制度をとるならば、そういう制度をとられても異論は言わない。ただ配電社長がそのまま社長に居すわつてしまつて周囲の者をそのまま連れ行く、日発の者はわかれわかれ人つて行く、これではいくら公正に取扱うと言われても安心はできないから、私は前の通り主張する。こういうことが原因であります。
  23. 井出一太郎

    井出委員 あなたが新会社人事に対して非常な御関心を持つておられますことは、あなたが自発総裁として部下を愛される、自分の部下たちを適当なポストに配置をされようとする、そういう考えも、これは決してないわけではないと思う。同時にあなたが非常に公正な、両方にあまり関係のない大物を社長にすえるという構想は、私どもは賛意を表していいと思うのですけれども、発表せられた人事は、私は電力界のことについてはまつたくのしろうとでありますが、伝えるところによると、これはまさしく松永ラインであると言われておる。松永氏親分子分の関係においてつながる者が配属をせられて、新しく発足する新会社のヘゲモニーを握るという陰謀であるといわれておる。新しい電力会社は、これは松永電力式会社である、こういうような声さえもあるのでありますが、そういうような強い表現はともかくとして、あなたはあの人事を突如としてあなたに出し拔けに発表せられて、これをごらんになつて、非常に不愉快な念をお持ちのようでありますが、大体において私が今申し上げたような感覚にあなたはお受取りになられましたかどうか、伺いたいと思います。
  24. 小坂善太郎

    小坂参考人 まず同様な感想を持つた言つてもいいと思います。
  25. 井出一太郎

    井出委員 ただいまの総裁の確言は非常に重大だと思う。あなたとしては、そこまでこまを進められ竹以上、一歩もお引きにはなれまい。そうすると二十三日、本日出されるところの決定案というものは、公益事業委員会はおそらくこれをもつてどこまでも押し通そうと考えるでありましようけれども、あなたのその御決意がそこに大きな防波堤をなすとするならば、これは非常に重大問題があとに残ると思いますが、その点いかがでございましようか。
  26. 小坂善太郎

    小坂参考人 この点につきましては、先ほどお話申し上げた通り、いろいろ委員長からお話がありまして、会長の性格については御説明がありましたけれども、私は今の配電人々がそのまま入つた形では、事業の刷新ということは思いも寄らないと思うし、また自発の者は非常に不利な立場に立つということで反対したということは、今申し上げた通りでありますが、昨日からしばしば私も行きましたし、森君なども言われておるが、どうも協議をしたいというのですが、協議とか協力とかいうのは、お互いが一歩前に出ることだろうと思うのです。既定の事実があつて、そうして協議するというのは、一体何のことか私にはわからないと松本君に言つた。それはあなたの意見をすべてのめというお話だけであるが、それはできない、こういう返事をして帰つて来たわけであります。どうも何ゆえにそう同意を求めるのかわからない。あれほどに自信満々で、これがいいのだとしてやられたのなら、やられたらいいと思う。それは結果はどうなるか私はわからないが、やられたらよかろう。何ゆえに同意を求められるのかわからない。一体権力を行使する人は、その権力行使に対する全責任をとる覚悟をもつてやるのがあたりまえだと思う。それを何かむやみに私に同意を求める。何の意味か、自分でやりたいことを人の名でやらしたい、こういうことだ。これは委員会としてあるべからざる態度である。そう私は考えておる。
  27. 井出一太郎

    井出委員 今日のこの委員室の空気は、あるいは国民の感情を表わしておるかもしれません。今国民はやんやとあなたの武者ぶりに対して喝采を送つております。そこであなたはこの場合において、松本委員長の従来のあなたとの関連において、今回の人事に対しては一種の紳士協約を破つたと申しましようか、背信的なしうちであつた、こういうようにお考えになられましようか。
  28. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えいたします。その点は松本さんと私との、ものに対する感覚の相違だと思いますから、必ずしも背信とまで言うことはないが、私ははなはだ不都合な処置をされたと思い、ことにたとえば前に相談したものをかえてしまうということは——社長を入れるならば君の方でやる必要はないかと言われてもいいぐらいの情誼はあると思う。それを百発の者は一人も相談を受けない、そういう態度であるがために、自発の人たちは社長になる機会をみな失つてしまつたということは、私ははなはだ迷惑するということを昨日松本君に言つておいたのであります。そういう場合にひとつ繰上げて社長を入れるなら、日発に対してもどうするかぐらいのことは相談していいはずのものであるということと、それから今のむやみに同意を求めるというのは、はなはだ迷惑な話です。場権力をもつておやりになるということをしきりにお言いになつておるようでありますから、そのままおやりになつたらよかろう、どうも私どもは権力に屈することになるかもしれんが、それは力がなければしかたがないけれども、同意して、自分の意思として、その委員会意見自分がかえつて出すわけには絶対に行かぬ、こういうことであります。
  29. 井出一太郎

    井出委員 人事の問題につきましては、総裁は非常に御不満である、こういうことはよくわかりました。あなたとしては願わくは途中で妥協するようなことなく、大いに闘つていただきたいと存じます。  そこでもう一点、あなたが非常に御不満であろうというふうに推測せられる問題は、自発配電側との両者の資産内容にも見合うと思いますが、比率の相違という点であるように聞き及んでおります。この点は私ども日発なり配電なりの経理内容をつまびらかにしておりませんけれども新聞等に現われておる数字では一対一・七四という数字を見たのでございます。あなたは御就任以来、その鈍きメスを日発経理の中に加えられたように伺つておりますが、この数字は理論的根拠といいましようか、あなたのお立場においてこれを主張し得る十分なる御自信がおありになるのかどうか、この点を少し詳しく御解明願いたいと思います。
  30. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えいたします。財産が非常に厖大なものでありますから、とても正確にすることはむずかしいのであります。資本だけで三十億で、何分社債及び借入金等が厖大な数字でありますから、なかなかこまかい真相をつかむことはできませんが、たとえば固定資産税というような、すぐに標準になるものかあります。ああいうようなもので見ても、一対一・七四というのは、まず一応の根拠になる、こう考えております。それでそれを主張しましたが、その問題につきましては、どうも数字的にはつきりしない問題ですし、これはときが短かいのですから、目分量できめるよりしかたがないのじやないか、その意見松本委員長からありまして、私もそれに同意しまして、一対一プラス・アルフアーとする、そのアルフアーをどのくらいに見るかということが問題であつて、私の方は二十五円ぐらい、これは非公式のことで、公言できないことであるかもしれませんが、委員のうちの相当の人は同意しておつたのであります。その後にわかにそれが非常に少くなつてしまつた。どうも御承知通り、ほかの配電会社の株主は、そのまま出したと同じ株数をもらうのに、日発ばらばら九つにわけたものをもらうので、御承知のように株の売買というものは、端株は値打がなくなつておる。そういう不利益な立場に立つて、ことに九州におる人が北海道の株を五珠もらうとか、東北の株を三株もらうということは迷惑な話でありますから、この整理をどうやるかということについて、アルフアーを相当大きく見てもらわぬと損になる。売買には二円、三円という手数料をとられますから、この点買いかえます場合に、五円ずつ差が出る。相当余裕がなければ、日発の株主のみが苦痛を受けなければならぬそれが大部分で、われわれは言うのでありますけれども、株主の数が十六万七千余人ある。そうして百株以下のものが非常に多い。そういう人が三株、五株、十株もらうということの不便に対する、相当な補償ということを強く主張しておるのでありますが、この点も一時妥協ができましたけれども、まただんだんとかわつて来て、それは今のところ決定しておりません。この方は、私はできるだけ人事問題のように争うつもりはないのです。数字のことですから、できるだけ歩み寄つて、たとえば今一部分では証券業者が端株を整理して買つてくれるというようなことを考えておるようです。そういうようなことでもできると、その端株をもらつた人が困らなく片づくようになると思いますが、そうなればアルフアーは少し少くても済む、こういうように考えます。
  31. 川島金次

    ○川島委員 先ほど井出君からの質問で、新会社人事のすこぶる独裁的なやり万に対する、小坂総裁のきわめて明確なお話を承つたのですが、聞くところによりますと、この人事問題の最も焦点をなすものは、新たに社長に就任される関東配電の高井氏の問題が大きく問題にされるように伝えられております。この高井氏の社長就任をめぐりまして、関配従業員の中に一層の不安と動揺を与え、そのためにここ二、三日欠勤者が陸続と増加しつつある、こういう話も承つておるのであります。これは配電運営の上にきわめて重大な現象だと存じますが、そのことについて総裁の御承知になつております範囲を承りたい。なおこの際あわせて組合の執行委員長藤田君にもお尋ねしたいのですが、この高井社長の就任説をめぐりまして、組合内の動行がきわめて深刻な様相を呈しつつあるやに承ります。しかもこれが一つの拍車となつて、いよいよ全国的な配電ストに突入するという形勢をもはらんでおるという話もけさほどわれわれは聞き及んでおりますので、その事柄についての組合側としての情勢なり、今後の見通しなりについて、御意見を伺わしていただきますれば幸いと思います。
  32. 小坂善太郎

    小坂参考人 私に対する御質問にお答えいたします。関東配電社長を特に私が忌避するという意味ではないのでありまして社長は中立の人をやるということをきめた原則を、第一に破棄されたのが関東配電の問題でありますが、それで高井君がまつ先に社長に内定したという通知を受けましたから、高井君はいかぬこういうことを言つたのであります。  それから今のこういう問題の起きるときには、とかく若い人は興奮しますから、何か起ると困ると思いまして、今朝全部に対して、自分は諸君の意見を通すためにできるだけのことをするから、職務を忠実に行つて、他から指揮されるようなことのないようにしてもらいたいという意味で訓示をいたしておきました。
  33. 藤田進

    藤田参考人 私、日本電気産業労働組合、略称電産でありますが、その執行委員長藤田でございます。ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。  今度電気事業が再編成という名目で分割されるわけでありますが、これに関連してまず首脳者の問題が今日その日程に上つて、本日仮決定がなされるというふうになつておりますが、この中で特に電産といたしましては、十余万の従業員をもつて組織いたしておりますと同時に、電気事業に直接利害のあるものといたしまして、つとに公益事業委員会に対しましては三つの申入れをいたしております。すなわち今度の新会社の首脳については、最も電気事業内容を知り、そうして能力のある方、並びに民主的であり、時代感覚に鋭い方というような点を特に強調いたしまして申入れをし、同時に松本公益事業委員長を初め各委員に事前にいろいろ意見の開陳をいたしておるのであります。その際松本委員長は、なるほど直接利害関係者として最も重要な電産であるから、十分意見を出してもらいたい、こういうことでありましたので、ややその趣旨にこたえるつもりと同時に、一面期待をかけていたのでありまするが、今度の人事決定に関するかなり詳しい情報を私は持つております。その中で会長制を設け、社長、副社長という形で今度おやりになるようでありまするが、特に関東におきましては、全国的にも最も重要な地区でありますと同時に、従来関東配電の高社井長は、本来ならば追放にも該当すべきような行為を行つて来ておる事実があるのであります。すなわち今日日本の民主化の一環として労働組合の保護助成がなされているこの中において、きわめて反動的な、労働者の団結を分裂させ、さらに御用化させるという形で、鋭意職制を通じて権力と金力によつて今日まで進めて来たのでありますが、これらの事実については一一証拠をあげまして今日法律問題として持ち出す段階になつております。それは関東配電と今度日発が一対一、いわゆる対等の立場で統合され、新しい会社をつくられることになつたこの状態においてあたかも電産の中には日発もあり、配電ももちろん一緒になつた一つの組合でありますが、一方の日発系、特に関東でありまするが、これらの従業員については、非常に身分上の不安を与える形が出ております。それは今度一緒になつた場合に、目薬系の者は配電に吸收するのであるから、必要な者はとるけれども、必要でない者はとらないとか、あるいはとつたあかつきにおいても強引な配置転換等によつて事実上やめて行かなければならぬ、こういう強い趣旨をもつて、そうして今日職制を通じてこの宣伝が非常に行き届いておる。今日御用組合が一部にできておりますが、これに入るならばその不安が解消されるであろうというがごとき宣伝をしております。これらも具体的な事実がございますので、闘うべきところに出て闘う考えでおりますが、そういう中において、新しくここに従来の政策をひつさげて新会社の首脳となり、社長となつて経営政策を実行される場合は、少くとも日発、また配電の中でも多くのこのための不安が出て実は最近、そういう形の新会社にはとうてい行くことができない、従つて他に職を探すか、あるいは今後身のふり方をどうするか、これを真剣に考えてみたいという形で、続々と今日休暇をとり、あるいは辞表を出されるという状態になつているのであります。従いまして、私は電気事業がほんとうに国民のために再編成をされ、あの町編成令あるいは公共事業令の中にあるように、真に国民の福利増進のための電気事業にするためには、やはりこの際経営者も、また働く十余万の労働者も一体になつて気持よく新しい会社をつくり上げて行きさらにこのもとで民主的な運営をし、そうしてより発展した電気事業をつくり上げて行かなければならぬ、こういうふうに考えているさ中でもありまする関係上、非常に事態を重要視しておるわけであります。特に本日その仮決定がなされるやに聞いておりまする段階で、われわれといたしましても、こうしてじつとしておれない状態であると同時に、本日電産からもお見かけの通り多数傍聽者も参りまして、この上に立つて本国会の善処を要望したいという気持を非常に強く持つているものでございます。これは党派にかかわりなく、日本電気事業が——今一部の陰謀団という御表現もありましたが、まさしくその通り、過去のいろいろな金につながり、利害につながつた人たちが、今日各社の社長にすえ置かれ、特に関東においては、そういう人物が社長になつて行くというこの形においては、決して默視できないものがあるのであります。どうかこの点十分ひとつ国会におかれてもよろしくお願いを申し上げます。
  34. 井出一太郎

    井出委員 ただいま私の質問がちよつと中断せられましたが、私は今比率の問題に入つてつたわけでございます。総裁の御答弁によりますと、端株の問題、これはまさしくおつしやるように、非常に小株主が九つ会社に分断せられて、こまかなものを持つということのきわめて不利であることは、おつしやる通りだと思いますが、同時に含み資産がより多い。含み資産の問題については、あなたがさきに爆彈をお投げになつた三十六億の問題、これは後刻またお尋ねをいたしたいと思いますが、ともかく日発の資産内容配電に対してすぐれておる。こういうような両方の要素から御主張になつておると存じますが、二十五円というプレミアムを御主張になつたのでありますか。またそれをどこまでも堅持されるのか、あるいは十円案というようなものの巷間伝えられるのであつて、この線までは妥協をしてもよろしいとおつしやるのか、その辺を伺いたいと思います。
  35. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えいたします。二十五円という案は、実は私がとつたのでなく、一・七四でありますと、いま少し多くなりますが、まあそのくらいなら、五十円に二十五円という一株半の値段になるのだから、大体よかろうということで日発内部では納まつてつたのであります。今お尋ねの含み資産というようなもの、そのほかに、資産的にも自発の方が大きいということは、これはきわめて明瞭なことで、配電会社は電柱なども木柱がちつとばかりあるだけです。かたがた山の中にあつて五十年、七十年たつても何ともない機械か鉄筋コンクリートのものばかりですから、それはありますけれども、また一方から見ると、配電会社の営業権といいますか、收益をあげる力というものも考えてやらなければなりませんから、まず二十五日くらいでよかろうということに大体考えたわけであります。
  36. 井出一太郎

    井出委員 二十五円ならば大体納得が行くと、こういう線であるにもかかわらず、伝えられる十円案などが出ました場合には、こははやはり一歩も譲れないというお考えでありますか。それとも皆さんなかなか老練な実業家でいらつしやるから、何かその辺は妥協の用意があるかどうか、これはいかがなものです。
  37. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えいたしますが、今ただちにそれでよかろうということも考えませんが、今のたとえば証券会社できれいに片づけてくれるとか、今の日発の小株をみな買い集めてくれるという話もあります。そういうようなことが実行できれば、そこにゆとりができて来ると思います。十円でいいということは何も言つたことはありませんし、ただそういうことが委員会の方で案になつておることは聞いておりますけれども、まだそのままこちらへは提出されてもおらないと思います。
  38. 井出一太郎

    井出委員 日発の資産というものが非常に厖大なものであることはわれわれもわかります。これをどうして捕捉するかということは、非常に困難が伴うと思いますが、先ほど一つの例として固定資産税というようなことを総裁が言われましたが、全国に網をめぐらしておるこの自発の厖大な固定資産に対して、およそどれくらいの固定資産税がかけられましたか。これはむしろ事務当局と思いますが、おわかりになりましようか。
  39. 森壽五郎

    ○森参考人 お答えいたします。私は副総裁でございますが、私どもの資産評価額は約二千億ばかりになるのであります。それに対する七・〇%を基本といたしましてそれの一・五彩でありますが、十何億という数字になるのであります。この七十%といいますのは、私としては少し大き過ぎるように思うのであります。しかしもしもそのパーセンテージが高過ぎた場合には、下つたところまで負けてやろう、こういう話がありまして、今納めておりますものは、その二千億の七〇%の一・五%、こういう数字になるのであります。
  40. 井出一太郎

    井出委員 問題を元へもどしまして、この「公益事業委員会の性格に関する見解」、こういうものをわれわれ議員の手元までお送りになつたということは、おそらくは多分に政治的な意味を持つている、こう私ども考えます。そこでこの御主張に対する公益事業委員会側意見も尋ねたいのでありまするが、とりあえずこの文書からひつぱり出して二、三の点を伺いまするならば、本日いわば決定指令とでもいうものが出る、こうわれわれは聞く。ところが日発側の御見解は、これはあくまでも仮指令案である、こういう立場をとつていらつしやるようであります。従つて指令案が決定後も聽聞会の意見を取入れる等によつて変更を加えるべきである、こういうふうに言われておりまするが、今後たとえば人事の問題あるいは資産比率の問題、こういうふうなものに対して、あなた方はどこまでも聽聞会等において闘う、あるいは最終的には総理に不服の申立てをする、最高裁判所に出ても争う、こういう毅然たる御用意を持つていらつしやるかどうか。これはいかがでございますか。
  41. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えいたします。ただいまでは、そう考えております。
  42. 井出一太郎

    井出委員 さらにもう一点伺いたいことは、公益事業委員会が、非常な独断的な権力的な決定をしておる、かように表現をいたしておりまするが、これもその通りに解釈をいたしてよろしゆうございますか。
  43. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えいたします。委員会ということが書いてあるかどうか、そこはよく存じませんが、委員の中には何が何でもすべて最終決定を自分のところでできる、こういう考えを持つてつてそういう態度をとつて私にはそういうことを言つたことはありませんけれども、副総裁とか監事、理事などを呼んで、たとえば、一対一で歩合については一文も出すことはまかりならぬというようなことを言つて、しかりつけたりする人がある。私から聞くと、そんなことを言つたことはないと存じますけれども、そういうふうに非常な最終決定権をもつて、ただちに何事もできるという誤解を持つているのじやないかと思われる点があるのです。その性格について……。それでそんなこともおそらく書いていたようなわけなんです。どうもその点が非常にあるのです。たとえば、歩合については一銭一文も出せぬということを言うとか、それから人事については、あらかじめ日発の清算人はだれそれにしろという命令を出したり、それから私から、それはどういう意味かと聞いてやると、そんなことを言つたかどうかわからぬというような話になつてしまうのです。そういう点がありますから、そういうことを書いたわけです。
  44. 西村久之

    西村(久)委員長代理 井出君ちよつとお待ちください。この際お諮りいたします。自発の近藤総務部長及び菅総務理事出席されております。両君を参考人といたすに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 西村久之

    西村(久)委員長代理 御異議がなければその通りとりはからいます。  なお松本公益委員長は病気のため出席が不可能かのように申出があるのであります。従つて公益事業委員会から、委員の宮原清君及び事務総長の松田太郎君が御出席になつておるのでございまして……。(「松永はどうした」「委員長代理を呼んで来い。これが一番かんじんなんだ」と呼ぶ者あり)その他の方はまだ御出席になつておりません。従いましてこの方々に対して質疑がある部門に対しましては、お尋ねになつてけつこうだと存じます。
  46. 林百郎

    ○林(百)委員 松永氏は来るのですか。
  47. 西村久之

    西村(久)委員長代理 請求はしてあるのでございますけれども、まだお見えにならないのであります。
  48. 林百郎

    ○林(百)委員 来るとも来ないとも何とも返事もないのですか。それを責任をもつて確かめていただきたい。今小坂さんから小坂さんの立場をお聞きしておるのだから、やはめ松永さんからも松永さんの立場をお聞きしなければ、われわれはわからない。それを責任をもつて確かめてもらいたい。
  49. 井出一太郎

    井出委員 こういうことはございませんか。公益事業委員会が、今おつしやるような非常に権力的な独裁的な感覚を出してその裏には、ポツダム政令といういわばお墨付を背景にいたしまして、何もかもこれはポ勅によるものであるがゆえに、日発側にあえて異議はさしはさませない、こういうような、とらの威を借りましてポツダム政令というものの後光を後に輝かせて、何か強圧的に日発側に臨んだというような事例はございませんか。
  50. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えいたします。私にはそういうことを言つたことはありませんが、きのうそういうことを言われた者がここにおりますから……。
  51. 井出一太郎

    井出委員 だれかそういうことがありましたか。
  52. 小坂善太郎

    小坂参考人 委員長にお願いいたしますが、速記をとめていただけませんか。
  53. 西村久之

    西村(久)委員長代理 それでは速記をとめていただきます。     〔速記中止〕
  54. 西村久之

    西村(久)委員長代理 速記を始めてください。井出一太郎君。
  55. 井出一太郎

    井出委員 ただいまの御発言はきわめて重大でございます。それゆえに私ども松本委員長あるいは松永委員長代理出席をどうしても要望をいたすものでございます。どうか委員長において、さようなお手配を至急おとりを願いたいと思います。そこで問題をもう少し進めますが、再編成に対しまして、何か再編成中央協議会というような文字が、新聞等にも散見いたしましたが、そういうようなものがあつて日発配電両者からそれぞれの委員が出て、この再編成問題の協議をしたというような事実はあるのでありましようか、この点いかがですか。
  56. 森壽五郎

    ○森参考人 お答え申します。実は今年の一月の八日からでありますが、つまり再編成をやりますのに、中央で全国の会社が集まらなければ決定のできない、つまり共通的なものをとりきめるために、中央再編協議会というものをつくりました。それは配電会社社長、それから自発総裁、これでつくつたのであります。それからちよつとこれに関連しますから申し上げますが、地方では地方再編協議会というものをつくりまして、それには配電会社社長日発の支店長、結局九つできるわけでありますが、九つの地方町編協議会、これはその地方の新電力会社に関係する部分だけをそこで協議する。それからなお中央再編協議会の下部機構といたしまして、幹事会というものをつくりまして、それには大体各社の副社長、または專務級の人、日発は菅総務理事が出まして、そこで中央再編協議会のやるべき問題を協議いたしまして、たとえば共通の定款の問題とか、それからいろいろな調書をどういうふうにつくるかといつたようなものをそこで協議してやつたのであります。
  57. 井出一太郎

    井出委員 問題はいよいよ重大になつて参り、われわれは公益事業委員会なるものが、あたかも一種の伏魔殿であるかのごとく、非常に疑惑が濃くなつて参るのを感ずるのであります。それにつきましては、後ほどさらに私は松本さんその他に質問を申し上げたいと思つておりますが、実は私に与えられた時間はあと十分くらいでございます。それでこれはおそらく与党野党を通じていろいろと御質問があろうかと思いますので、私は一応皮切ということで小坂さんにお尋ねしたいのでありますが、事のついでにお尋ねいたしたいのは、先ごろあなたがお出しになりました三十六億の含み資産がある、こういうふうな言明でございます。これも当時は非常に大きな問題に相なつたのでございますが、これに対しましては当時あなたの御見解としてこれを処分するためには、たとえば電源の開発というようなものにも充てたい。あるいはまた、さらに株主の擁護もしなければならぬ。電力料金も是正しなければならぬ。いろいろなことがあなたの談話として発表されておりますが、これは一体その後どうなつておるか。あなたが言明されたような方向に、あなたの一存でこういうものが処分されるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  58. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えいたします。その金は預金ですからどうでも使える金ですが、それは今のところでは御承知通り未曽有の渇水になりまして、たいへん筋の立つた使い方をする石炭を買うことに今非常に骨を折つております。不幸にして炭鉱のストライキ等のために思うように石炭が手に入りませんが、しかしまた一面には、石炭をたき過ぎるために火力発電所が大分いたんで来ておるというようなわけで、一番筋のいい使い方をまずしておるわけであります。あとのものはまだそのままでおりますから、順次たとえばこれは普通に許さるべき株主配当には当然まわるべきだと思いますが、その他のことについてはまだ何も未定であります。その金で何か一つの会館を建てたいということを申し上げましたのは、先ほど井出さんからお尋ね電気の調節機関というものは、絶対に必要である。今日発がやつておる仕事をどつかでやらなければならぬ、そのものをおもにそこでやるような建物を建てて、そこに旧電気会社の東京支店が皆集まつておる建物をつくりたい、こういう考えを持つてつたわけであります。これはただ一つ構想だけで、別に今実行的には何も進んでいるわけではございません。
  59. 井出一太郎

    井出委員 これに対しまして、たとえばこれは配電側から出た情報だと思いますが、どうもこれは総裁は何か他に意図を持つておられるのではないか、たとえばここで日発の資産はかようかくかくなる含みを持つておるのである。従つて編成に対して日発側を有利に導くための政治的意図を持つておるのだというような見解も、世上伝わつております。あるいはまた総裁は一体何を考えてかようなことを発表されたのか、どうも小坂さんもやきがまわつたというような批評もございます。この点はあなたはどういうふうにお考えになつておりますか。
  60. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えいたします。近ごろは上手に立ちまわることがはやる世の中で、まずやきがまわつたというようにごらんくださるのが一番けつこうだと存じます。(笑声)
  61. 井出一太郎

    井出委員 まことに老巧な御答弁で、二の句がつげませんが、例の脱税の問題云々で、あなたは国税庁にかけつけられた、こういうことも伝えられておりますが、これはそつくり税金で持つて行かれる心配はございませんか。
  62. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えいたします。それは私は国税庁長官に会つてお話したことは事実でありますが、こういうことなんです。私が日発総裁を引受けたときには、十月十三日でありますが、十月の末になると、十一月からの——あそこは毎月十二億円ずつの建設勘定があるのです、今ある発電所の土建に払うのが十二億ずつある、その金が一文も予定がないのです。そこでまず日銀の総裁のところに行つて、とにかく何とか議会できまりがつくには二月や三月たちはせぬか、その間のつなぎがつかなくて、途中で工事を中止したら今までかけたものがみなむだになるし、将来に予定した仕事がみなだめになる。重大なことであるからということで、日銀総裁に話して、二十億ばかりの金融をつけました。それではとても足らぬ、月に十二億円ずつ四箇月分ですから、足らぬから、そこで国税庁に話して、とにかく租税を払う金がないから延納するから頼むと、こういうことを私言つたことがある。そういう関係がありますから、今度金ができたから、国税庁に行つて、これは納めますと言つたのです。ただ私が漫然と初めから、国税庁にかけ込んで金を納めたというのでは、ずいぶんこつけいに聞えるが、前に延納を頼んでいるのです、その縁故から、今度金ができたから国税庁にちやんと納めるからということで、前年度の分は納めたのであります。それからこの日発は一年の経済ですから、去年の三月からこの三月までの分は、まだ納める必要はないのでありますから、それはそのままになつております。おりますが、そういうような事情でありまして、納税を帳簿上の操作によつて、逃げようとするような態度はいかぬということは、私ははつきりさせておきたい。これは今のやきのまわつたところで少しおかしいのですが、実業家というものは、そういうばかなことをするものじやないと一般に思うのです、だから変なことをするから、私の友達さえ、君、あれはどうしたことかといつて、聞く人があるのですが、ぼくは何とかまつすぐなことをひとつ筋道を立てておきたい、そういう精神でやつているのだから、よけいなことを言つてくれるなという話をしたわけであります。
  63. 井出一太郎

    井出委員 どうしてなかなか総裁は決してやきがまわつておいでにならない。むしろ私は光風霜月とでも申しましようか、そういう御心境に讃辞を送りたい考えであります。  そこで、私の時間は大体終了いたしましたので、あともう一点、このわれわれに配られた文書によりますと、日発側見解としては「持株整理委員会から公益事業委員会にかわつたからといつで、過度経済力集中排除法の解釈が変更されるべきではなく、万一その解釈がほしいまま変更されたとすれば、委員会は」云々、このことはあたかも公益事業委員会が集中排除法に反対したというか、その解釈をほしいままにして專横をふるまつているということを指摘されたものにほかならぬと思います。これは具体的には何をさしていらつしやるか、これを承りたい。
  64. 小坂善太郎

    小坂参考人 それは実は、すべてが何となく昔のお代官のようなかつこうなんで、命令ですべて行けるという態度であるが、何をきめているかわからぬが、そういう場合には徹底的に反抗する、公益事業委員会の名にふさわしくないから、それに対してはどこまでも争う、こういう建前をとつておるのであります。これはいろいろ法律家意見を聞きましたが、それは私ども見解反対意見の人もあります。けれどもまたそうだという人もあります。
  65. 井出一太郎

    井出委員 まだ究明すべき問題がたくさん残つておりますが、すでに手ぐすねを引いて向うで待つておられるので、あとはそちらへ譲りますが、この問題は一体最終的な責任は政府が当然負わなければならぬ、こういうような問題がはしなくも露呈をいたしましたということは、最初に私が指摘いたしましたように、一体再編成そのものが非常に無理があつた、こういうことだと私は思うのであります。従いましてこの最終的な問題を、おそらく私は、公益事業委員会というものが総理府に所属をいたし、従つてその最終責任は吉田総理と、こういうふうなところへ行くと思うのでありますが、総裁は吉田さんと本問題に関連をいたしてどのような交渉をなされたか。総理の見解等についてあなたが何かつかみとつていらつしやるものがあれば、それをひとつお知らせ願いたい。
  66. 小坂善太郎

    小坂参考人 私は、ただいまお尋ねでありましたが、松本委員長との間は高井君の問題以来わかれたのであります。それまではきわめて緊密な交渉を持つておりましたから、それに対して議論をしたり、それに対して総理の見解をただす必要もなかつたわけであります。
  67. 井出一太郎

    井出委員 最近総理とこの問題でお話がないとすれば、これはその程度にいたします。  そこで私は最後にこの問題に対しまして、小坂総裁が非常に明快な毅然たる態度を持つておられることを、ここでまのあたり拝見いたしまして非常に心強く考えるものでございます。どうかあなたも、まことに火中のくりを拾うようなたいへんな役割と思いますが、御老来ますます御自重、御自愛を願いまして、なお問題はたくさん残つておりますが、これは後刻横尾通産大臣、あるいは公益事業委員会の各位に対する質問を留保いたしまして、この発言台を他の方へ譲りたいと思います。
  68. 西村榮一

    西村(榮)委員 関連して伺いたいと思います。私は委員長にまずお尋ねしたい点があるのでありますが、公益委員会というものは、これは内閣に責任を負うべきか、国会に責任を負うべきか、委員長の法律的見解を伺つておきたい。
  69. 西村久之

    西村(久)委員長代理 それは委員長よりお答えすべき筋合いのものでないのであります。そういう解釈はその解釈の機関にお尋ねを願いたいと存じます。
  70. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は公益委員会というものは、法律的な責任は内閣を通じて国会に責任を負うべきものだと思うのであります。しかりといたしますならば、これは他の商事会社の代表の公聽会と違いまして、当然国会は松本公益委員長を召喚するの権限があると思つておるのでありますが、いかがでありましようか。
  71. 西村久之

    西村(久)委員長代理 お答え申し上げます。そういう見解のもとに松本公益委員長を招集することに督促いたしておりますけれども、病気のため出られないといふことでございます。その旨をお伝え申し上げてあるわけであります。
  72. 西村榮一

    西村(榮)委員 法律上国会が召喚するの権限ありといたしますならば、病気の実態を至急確めてもらいたい。私の質問はここにあるのであつて、きのうまで健在であつてまたけさほど来GHQの方の用事でやむを得ないから出席できないのだ、今また病気だということであつたら、国会の発動し得る権限内においてその病気の実態を一応確めていただきたい。これは委員長に希望しておきます。
  73. 西村久之

    西村(久)委員長代理 承知いたしました。
  74. 西村榮一

    西村(榮)委員 そこで今度は関連ですが、私は小坂総裁でもいいし、森副総裁でもいいのでありますが、お聞きしておきたいと思う点は二点あります。  一つ小坂氏が日発資産の問題につきまし三二十六億円の含み資産を提起されたということは、まことに公明な経理の取扱いだと思うのであります。しからばこれは單に含み資産が、日発だけではなしに、同様な石炭の節約、その他によつて生じたというあの理由からいつて、三十六億円の含み資産というものは、当然配電会社にも存在しなければならないと思いますが、配電会社はいまだにその含み資産というものを公示しておらないのでありますが、これは配電会社側並びに通産大臣に聞くべきでありますが、一応あなたの御感想を承つておきたいと思います。
  75. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えいたしますが、どうもよその会社のことは、私は責任をもつてお答えしかねます。
  76. 西村榮一

    西村(榮)委員 この点は通産大臣に聞きましよう。しかし日発に含み資産が三十夫億円あるとすれば、それの料金配分関係で四分大でわけておる配電会社には、当然六割の含み資産がなければならないと思うのでありますが、私はなぜあなたの御感想を聞いておるかというと、これと分割問題、並びに会長社長人事の決定に関連があるから、一応お聞きしておるのであります。しかしあなたがお答えにくいということでありますから、別の問題にいたしましよう。  そこで総裁にお聞きしたいと思うことは、先ほど川島君から簡單にお尋ねしたのでありますが、現在の状況からいつて従業員の完全なる協力が得られなければ不可能であるのであります。関東配電の高井社長は、今日の段階においては、全然従業員の協力が得られないということが、ここに明らかになつた。もう一つの点は、東北の配電会社会長の問題であります。私は人の問題をさすことは少し遠慮すべきであると思うが、白洲次郎という名前は、東銀の金融債の問題においても、裏面的な活躍者として周知のところであります。しかも彼が動くところ必ず何ものかがある。かような人が、国民生活に重大な関係を持つところの公益事業の責任者にふさわしいかどうか、これは白洲君のことを言うわけではありませんが、近ごろの強盗もなかなか進歩いたしまして、覆面でおつかない顏をしてやつて参りません。シルクハツトをかぶり、白い手袋をはめて強盗をやるということが、近ごろの近代的な知能犯であると思います。私はこれと関連あるとは思わないが、政界の裏面に活躍し、しかもあらゆる利権的な問題に登場する人、あるいは従業員の協力が得られぬということが明らかになつておる人、これらの点から考えて、あなたは高井君の問題だけで、松本君と意見が対立したと言われておるのでありますが、東北の会長、白洲君その他と関連して、一体こういうような人が、公益事業の責任者としてふさわしいと思われるかどうか、これははなはだ子供じみた質問でありますが、一応承つておきたいと思います。
  77. 小坂善太郎

    小坂参考人 ただいまお話の他の配電会社のことについては、全然相談を受けたり、通知を受けたことがないのでありますから、全面的に反対をいたしておつて、とにかく会長社長におろせということを申してありますだけでございます。
  78. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 関連して……。日発総裁にただ一点だけお尋ねしたいと思うのでありますが、これを公益事業委員会で強行した場合に、日発総裁としては、それを見送つたままで捨てぜりふで引込むという御措置をおとりになるのか、あるいはその他何らかの態度を御表明になるのか、御決心を承りたいことが一つと、もう一つは、これは別のことでありますが、先ほど松本公益事業委員長は、病気で来られないということであります。しかし聞くところによると、GHQへ行つているという話だ、一体国会とGHQとどつちが大事でありますか。国会は国権の最高機関だといわれておる。日本国内において最高機関であるべきところへ出ないで、GHQへ行つて家へ引込むとは何事だ、(「占領下」だと呼ぶ者あり)占領下ということではない、これは日本国の国会だ、アメリカの国会ではありません。私は国会の権威にかけてこの問題を究明していただきたいということを委員長に申し上げます。
  79. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えいたします。引込むというか、どうも今暴力行為ができませんし、引込むのはやむを得ないだろうと思います。ただ前に申し上げた通り、公聽会があれば公聽会において主張を述べ、それからそれが破れた場合には——効がない場合には、総理に自分意見を具申して行くという順をとるつもりであります。
  80. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 最高裁判所等に対する法律手続はおとりになりますか。
  81. 小坂善太郎

    小坂参考人 これもやるつもりでおります。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 午後の出席の問題ですが、先ほど来小坂総裁からいろいろお話を聞いて、日発側公益委員会側との鋭い対立があるということがよくわかつたのでありますが、しかしわれわれは公益委員会側の意見も聞かなければ公正な判断もできないと思う。先ほど来松本委員長については病気の由でありますが、それを確かめると同時に、午後は少くとも松永委員長代理出席をぜひ求めていただきたいと思います。先ほどお聞きすると出席することになつておる。何ら出席を拒否するような理由を委員長まで届けていないということでありますから、出席できるはずです。もうすでに午前は済んでおるのでありますが、まだ出席できないのですから、午後はひとつ出席をしていただくように、もし出席できないというならばその理由を確かめていただきたい。どうしても公益委員会側の責任者が出席できないということでありますれば、これはまたわれわれとしては相談しなければならぬことになるのでありますから、ぜひそれを確かめていただきたい。午後は出席さしていただきたい。これだけ議事進行上、委員長に求めておきます。
  83. 川島金次

    ○川島委員 尾崎さんの質問に入られる前に、委員長に諮らつてもらいたいことがある。それは先ほど私が電産の藤田委員長質問いたしました場合に、ことに人事問題の焦点となつておる高井氏は、追放にも該当するほどのきわめて反動的な人物だという発言があつた。その内容については、われわれ詳しく聞いておりませんが、非常に重大な事柄でありますので、議事の進行の都合上、やはり藤田委員長からそのことをわれわれは聞いておく必要がある。それを聞いてから尾崎さんの質問に入つていただきたい、こう思います。
  84. 西村久之

    西村(久)委員長代理 議事進行というわけではありませんから、別個質疑の際にお尋ねくださればわかるのであります。     〔「答弁がない」と呼び、その他発言する者あり〕
  85. 西村久之

    西村(久)委員長代理 御意見の次第は、また他の機会の質問の際にお尋ねになればわかるのであります。     〔「さつき答弁がない」「議事進行」と呼び、その他発言する者あり〕
  86. 西村久之

    西村(久)委員長代理 お答えになりますか。
  87. 川島金次

    ○川島委員 委員長、時間がかかりますから、藤田委員長に発言を許してやらしてください。
  88. 西村久之

    西村(久)委員長代理 お答えになりますか。     〔「簡單な質問だから許してやれ〕     〔「ルールを守れ」と呼びその他発言する者あり〕
  89. 西村久之

    西村(久)委員長代理 藤田君の方から、要求したけれどもお答えがないのであります。お答えになればお許しするのでありますが……。     〔「委員長許したらいいじやないか」「発言を求められていないと本人は言つているじやないか」と呼び、その他発言する者多く、離席する者多し〕
  90. 西村久之

    西村(久)委員長代理 御着席願います。
  91. 藤田進

    藤田参考人 それでは先ほどの発言に関連してお尋ねがあつたようでありますから申し上げます。委員長から私の発言を求められたそうでありますが、私には聞えませんでしたので、その点を解明しておきます。  要するに高井社長についての事実問題でありまするが、私どもの理解では、労働組合は自主的に結成をいたしましてしかもその活動においても、終始自主的に行わなければならない、このように考えております。しかるにこの労働組合自体の組織に干渉したり、あるいは形式的な援助をするとか、そういつたやり方は、現行労働組合法上許されていない不当労働行為であるというふうに考えております。しからばその事実は何であるか。電産が終戰後昭和二十二年五月に結成いたしまして、その間あるいは電産は共産党の組合とかいろいろなことを言われて来ました。しかし今日においては、少くとも民主的に運営をしていると言つて決して恥じないと私は思つております。この民主的な組合に対して、高井社長は事あるごとにこの組織をぶちこわすための工作を進めて来た。(「具体的に言え」と呼ぶ者あり)具体的には、一昨年の九月を機会に、この電産の中で特に関東配電従業員を割つて、御用化するという形に出て来た。当時電産の地方委員長をやつていた吉田一吉、副委員長の片山その他を便嗾いたしまして、これに高井社長直属の木川田常務部長を通じ、さらに課長、係長という線を通じ、すなわち職制の線を通じて、各職場ごとに電産から割つて、そして御用組合をつくるようにという形で工作が進められて来たのであります。従つてその声が出て来て、爾後今日においては、電産という組合と御用組合との差別的な扱いをいたしております。たとえば昨年末に、電産は不幸にしてストライキに突入せざるを得ないようになつたのでありますが、これも原因するところは関東に問題があつた。電産の組合員であり関東配電従業員には二百円という差額をつけて御用組合の人には、同じ職場で机を並べていても二百円を支払つて、今日でも脱退して来れば二百円を払いましよう、こういう形で出て来ております。しかもまた差別的な扱いをするという文書の証拠も三件とつております。それは、御用組合の方との妥結でこの金を支払うのだ、こういう文書をはしなくもわれわれは入手しております。こういう形でたまたま再編成に際会いたしまして、この際御用組合の方に入らなければ、二百円はおろか身分が保障されない、そういう宣伝でもつて、一般の従業員は、二百円なんかはそう大したことはないけれども、この際再編成に際会して、御用組合に入らないがゆえに、不利益な取扱いをされては困る、こういう主観から、また職制を通ずる圧迫から、年末には約七百名がその方に流れて行つたのであります。しかとここに無視できないのは、今日この再編成をめぐつて、御用組合の中には、かくかくの事情で入つたのであるが、われわれの身分保証は、一応違つた組合であるけれども——これは今一万余り、約二万近くになつております。電産は十二万おりますが、この十二万の電産の本部に押しかけて、どうかわれわれの身分保障、あるいは権利の擁護をしてください、こういう形で今日見え、杉本委員長あるいは例の松永、あるいはそういつた人たちにはどんどん、聞くところによると電報あるいは押しかけて行つて談判をしておるというような事情があるのであります。これは要するに、この再編成という、従業員にとつて最も利害関係のある、今度の会社に入れてもらえるか、あるいは係長であつた者がうんとポストを下げられたり、とたんに北海道の方に追いやられたり、こういうような不安のあるこの心理状態をうまくつかんで、先ほど申し上げたような線を逐次進めて来ておるのであります。しかしながらこの人たち、つまりこの御用政策に、一応表面乘らざるを得ない立場にある人たちは、先ほど申し上げたように、今日電産をたよりに進んでおると同時に、高井社長が就任することには、全面的に反対をいたして、その行動に移つておるわけでありますので、この点は……(「追放とどういう関係があるか」と呼ぶ者あり)追放とは要するに……十六原則がある」と呼ぶ者あり)十六原則もあるが、今日の労働組合法ができたそのゆえんを、皆さん知つていただけばわかるのであります。保護助成の線で労働組合法もでき、あるいは労働委員会もできた。それは今日労働組合の役員で、現に追放されている人がある。こういうような産報化した人たちは今日解除されようとしているけれども、追放されている。それは別の事情でそのようになつておる。こういうことにまつたく合致するのが彼高井なんです。従つて彼は追放にも値する人物であるという主張をするものであります。なおそのほかの具体的な事例といたしましては、われわれ電産の組合が会議をする場合は、今日労組法で定められていて、その経費は負担されないようになつております。これはわれわれも了解して協定をいたしております。しかし一方それらの御用組合の会合はすべて出勤扱いになります。すなわち御用組合と実質的の組合の間に大きく差別待遇をされている。そうしてここに不当労働行為が現実に行われて来ておる。あるいは昨年の八月の世にいうレツドパージの際にも、これに便乘して解雇をいたしました。しかしこれについては、現保利労働大臣も便乘解雇だと憤慨したので、遂に最近若干名を元に返さざるを得ないという実態も出て来ています。それらの状態から、私どもといたしましては、以上申し上げたものと、そのほかの具体的な事例もくつつけて、法によるところの不当労働行為として告発をいたすことに決定いたしております。
  92. 西村久之

    西村(久)委員長代理 尾崎末吉君。
  93. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 先ほどの井出君の質問で大体わかつたのでありますが、ごく簡單に三点ばかりお伺いしておきます。  その一点は、再編成される会社の定款はいつつくられたかということであります。
  94. 小坂善太郎

    小坂参考人 ちよつと聞きかねたのですが、現在の会社のですか、それとも今度新しくつくられる九会社のですか。
  95. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 今度新しくつくられる九会社のです。
  96. 管琴二

    ○管参考人 新会社の定款は再編成計画書に添付することになつておりますので、すでに作成をいたしまして各社から提出しておるのであります。一例を申しますと、会長制がその後しかれるようになりました場合は変更するということで、たびたび変更になつておりますが、内容的にはすでに確定的なものが各社から昨日あたりまでには出してあると思います。
  97. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 最初の定款はいつごろつくられたのですか。昨日つくられた確定酌のものではない、もつと早い定款——はつきりしなければ大体でけつこうですが……。
  98. 管琴二

    ○管参考人 最初のものは二月八日に提出いたしました。
  99. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 そこで総裁に伺うのでありますが、そうしますと、新しく再編成される会社会長制というものが必要だ、なければいけないという経営上の必要性はどこにあるのですか。
  100. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えいたします。関東、関西は非常に大きなものになりますし、ことに将来大発電所新設の必要に迫られておりますから、やつぱり財界に重きをなす八が会長になるのがよい。そうして、少くも理事などは今のような従業員から出て来た今ばかりでなくて、他方的な有力者がこれに参加して行く方がいいと考えますので、やはりこの二所は会長制があつてもいいのじやないか、こう考えたわけであります。
  101. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 そういたしますと、関東と関西程度会長社長の制があつた方がいいが、それ以外の地区は別に会長制がなくても社長、副社長制でやつて行ける、こういう御見解ですか。
  102. 小坂善太郎

    小坂参考人 それは全部均一に言うわけには行かぬと思います。たとえば、四国のようなところはたいへん小さい地帶であるからまず社長だけでも十分できると思いますが、しかし今問題になつている四万十川、あそこの開発をやるようになるとなかなか金がいるので、そうした場合には会長でも罪いた方がよいという話も出て来るかもしれませんが、あとはそのときに応じてでよいではないかと考えております。
  103. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 そこで伺います。先ほど、松本公益委員長とのお話合いの際に、社長をつくるということについては大体意見が一致しておつたのだが、その意見の一致しておつた社長の話の人が会長まつり上げられた、こういう意味お話を伺つたのであります。また二月八日ごろに最初の定款がつくられたというのでありますが、二月八日以後におきましても、今の社長についてのお話合いがあつたのでありますかどうか、その点を伺つてみたいのであります。
  104. 小坂善太郎

    小坂参考人 お答えいたします。社長の話は各地ともなかなかむずかしゆうございまして大分延びて参つたので、その定款のころにはまだ——定款は今の配電会社がつくつて、それを継承することになるでありましようが——つくつておりましたが、まだ社長の人選はそうはつきりきまつておらなかつたと思います。
  105. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 次に伺います。先ほどお述べになりましたように、従来配電会社のサービスはきわめて惡かつた、惡かつたというよりも猛烈にまずいやり方をやつてつた、こういうことは私どもも従来経験をし、そういうふうに認めて参つたのであります。従いまして、お述べになりましたように、こうしたことを刷新するには、まず人事からやつて行かなければいけない、こういうことは総裁がお述べになつたこととまつたく同感であります。ところが、物事を刷新するためには、まず人事から考えて行かなければならぬということは、何人といえどもこれは肯定するところであるにもかかわらず、松本委員長が言われるいわゆる会長制というものをつくつて、従来意見の一致しておつた人物を会長に持つて行く、こういうようなことを言われる際に、既定の事実だからという言葉をもつて葬り去られようとしておられる、こういうのでありますが、その既定の事実だという言葉を使われるほかに、従来の配電会社の側の人々から社長をとつた方がよいのだという特殊な事情について何らかの話がありましたかどうか、その点を伺つておきたいのであります。
  106. 小坂善太郎

    小坂参考人 前から相談しつつあつたのではないのです。話し合つた人会長になつて社長がずつと並んだのは一昨日くらいでして、私は全然あずかり知らないのであります。そういう状態でおりますから、絶対に同意できぬと文書異議を申し込んでおる、こういう行き方でありまして、相談の時間もないのです。それで、異議を申し込んだに対しては、もう既定の事実だから困る、こういう話でしたが、一日二日前に、もうこういう人を呼び集めてあるから、とこういうことだけです、既定の事実というのは。
  107. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 これだけでけつこうでありますが、最後にそういうお話をなさつた際に、既定の事実だということのほかに、公益委員会の方から推薦をされ、仮決定をされたところのその人物がいいのだ、これでなければいけないのだということについての何か強い事情があつたかどうか。
  108. 小坂善太郎

    小坂参考人 その点については何もはつきりした意見は聞きません。ある部分については、会長まつり上げられた人のよく知つておる人は配電会社社長に使わぬと言つてつたが、それが今度社長になつておるから、それについて委員長に、あれはどうしたのかと聞いたら、会長になつた人が、あの人がほしいと言われた、そういう説明だけは聞いたことがあります。
  109. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 大体伺いましたから、個々の公益委員会方々に対する質問を保留しまして、これで終ります。
  110. 西村久之

    西村(久)委員長代理 午前はこの程度にし、午後二時より会議を続行することにいたしまして暫時休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ————◇—————     午後二時二十四分開議
  111. 西村久之

    西村(久)委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  この際公益事業委員会委員宮原清君より説明員として発言を求められております。これを許します。宮原清君。
  112. 宮原清

    ○宮原説明員 私が委員会委員であります宮原溝であります。今日委員会からお呼びでございまして、松本委員長並びに松永委員長代理が伺うはずでありましたところ、松本委員長は引続いての激務でもございましたし、ことに昨日来非常に神経を労したことでございまして、昨晩帰られてから心筋炎と申すので、脈搏が非常に惡くなつて、医者の手当を受けられましたけれども、前日来ちよつと自身から進んでお話をしたいという理由で、GHQの方とお打合せがあつたものでありますからそれに参られましたけれども、そのお話が済みましてさつそく引返して静養せられることになりました。  なお松永委員長代理も昨日夜の二時ころになりましたので、従つて非常に渡しておりましたがけさ出て参りました。しかしおなかをこわしておりましたものですから、すぐに静養を必要としまして帰りました。委員長並びに代理がこの席へ出て一々御答弁申し上げるのがいいのでありますが、その出席ができないので深くおわび申し上げるのでありまして、両氏よりもよろしくとお断りをしてくれとのことでございました。  なお私はなはだ不行き届きでありますが、委員会の一員といたしまして、御質問に対して御答弁いたすことにいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
  113. 西村久之

    西村(久)委員長 代理これより質疑に入ります。質疑の通告があります。川島金次君。
  114. 川島金次

    ○川島委員 委員会が希望いたしました公益事業委員会委員長並びに松永氏も病気のためにこの席へ出席することができないという事情をただいま承つて、まことに遺憾に存ずるのであります。  そこでまず御質疑を申し上げます前に、御出席委員の方には委員長を代理して責任のある御答えができるかどうか、その点をひとつまずお尋ねをしておきたい、かように思うのであります。
  115. 宮原清

    ○宮原説明員 責任あるお答えをいたします。と同時に私の知つております限りはお答えを申し上げます。
  116. 川島金次

    ○川島委員 それからもう一つ、これは委員長に申し上げたいのですが、宮原さんにお尋ねをいたしまして、そのお話の事情によりましては、それと関連してあらためて日発当局あるいは電産の委員長等に重ねてお尋ねをしなければならぬ事柄が起るのではないかと思うのでございます。そういう場合に委員長において、こちらの委員会にそれらの方に出席をしていただけるようなおとりはからいができますかどうか。それを伺いたい。
  117. 西村久之

    西村(久)委員長代理 お答えを申し上げます。当然出席していただくことが原則でなければなりませんが、今通産委員会の方に御要求の方々は列席されておられるのであります。なるたけ早く向うをさいていだだいて、こちらに御出席いただくように要請中でありますから、御了承おきを願います。
  118. 川島金次

    ○川島委員 それを了承の上でお尋ねを申し上げたいと思います。宮原委員におかれましては午前中からおいでの趣をわれわれは聞いておりました。従つてさだめし午前中の委員日発当局及び電産執行委員長との問にかわされました論議は十分に御承知のことだと存じますので、そのことについて繰返してのことさらのお尋ねは避けたいと思います。がしかし、この機会に最も根本的な大事な事柄がございますので、その点について四、五点お尋ねを申し上げたいと思います。このお尋ねに対する御答弁はできるだけ責任のある、しかも率直なお答えを切に希望してやまないものでございます。  そこでまず第一にお尋ね申し上げたいのは、最近、ことに自発並びに新たにできまする会社人事等の問題についていまだにその人選の仮発令さえも行われない以前において、すでに世人の注目を浴びるような事態になつたことは、公益事業委員会といたしましても、きわめて遺憾であるできごとだと私ども考えます。と同時に、外部のわれわれから申しましても、電力の再編が、日本経済の再建にとつて、きわめて重要なる役割を果すべき使命を持つでおりまする建前からいたしまして、この種の問題が寸とかく世上の関心の焦点になるほど紛糾を重ねておるやの印象を多くの人々に与えておりますることは、重ね重ね遺憾に感ずるのでございます。そこでこの公益事業委員会というものは——午前中に日発側あるいは電産側の当局にもお尋ねをした委員があるのでありまして、それに対する若干の見解の表示があつたのでありますが、一体公益事業委員会の性格というものはどこにあつて、しかもこの委員会の一切の運行の最終的な責任というものは、政府に負うものであるか、国会に負うべき性質のものであるか、あるいはいずれにもその責任を問われることなくして、独自の別個の機関であるという存在なのかどうか、その点についての見解を御表明願いたいと思うのであります。
  119. 宮原清

    ○宮原説明員 はなはだおこがましゆうございますが、私から見解について申し上げます。ただいまお話の事柄は、公益事業委員会の性格に関する問題だと思います。公益事業委員会なるものが、ある意味においてはまことに新しいかつこうで出て参りましたから、この性格については、世上一般が必ずしも十全に御承知ないようであります。また私ども自身にも、必ずしも全部の法制の根本主義から末端に至るまでの了解を持つているとは断じ得ないほどに複雑であつて、かなりめんどうな存在だと思います。しかしながら公益事業委員会というものは、やはり内閣の一庁舎でありまして、その責任は内閣を通して国会に十全に負うべきものだと思つております。なお世間に向つて公益事業委員会の発足早々と申すよりは、再編成を前にいたして種種の惡い印象を与えたかのように承りましたが、またいささかそういう点もあつたようにも感じておりますので、これはまことに遺憾しごくだと思つております。しかしながらその点につきましては、私ども自身が、その内容に関して正確に世間に把握されておらないかのように感じておりますので、みずからはそれについてあまり多くの不都合があつたというような世評に対しては、全然承服をいたしかねております。この程度で御返事にいたしておきます。
  120. 川島金次

    ○川島委員 そうすると重ねてお尋ねいたします。万一かりに公益事業委員会に著しい失態があり、あるいはまた、はなはだしく世論に反するような事態が惹起さ札ました場合に、その責任は内閣総理大臣に負い、従つて最高の責任は、公益事業委員会に関する限り、内閣総理大臣にあると理解してよろしいのでございますか。
  121. 宮原清

    ○宮原説明員 法制の根本義は、ただいま申しましたように、必ずしも私どもこれをもつてお答えの全部とすることは、その点は自分の知識が松本委員長のごとくありませんので、十全のお答えができないと思いますが、その責任は内閣総理大臣にあるとかないとかいうことよりは、私どもとしては、自分の責任においてその事実の責任を十分に負いまして、それについての別な法制があつてどもが制限を加えられる、かように感じております。御了解ができませんでしたら、お答えの不十分なところについて、再度御質疑を願つてけつこうであります。
  122. 川島金次

    ○川島委員 ちよつとその点理解に困るのですが、公益事業委員会の最高の最後の責任は、端的にいえばだれが負うべき性質のものであり、委員長でなくして内閣総理大臣が負うべきものであるかどうか、その点でございます。
  123. 宮原清

    ○宮原説明員 これは内閣総理大臣が負うべきものだと御返事申し上げれば簡單だと思うのでございますが、そういう順序になる前に幾段階段階があると申し上げられます。かつてホイツトニー氏から承つたどころによれば、公益事業委員会というもののアメリカにおいての性格からすれば、独自のものであつて、内閣といえども簡單に干渉はできないものだということは承りました。しかしながら、日本における公益事業委員会は新規の発足でありますから、その辺に関しては、もし問題がありますれば、今後皆さんの十全な御研究によつて、帰属点が明白になるものだと思います。それ以上私としてお答えすることは、いささか僭越だと思いますから……。
  124. 川島金次

    ○川島委員 その答弁で、場それ以上御答弁することは、たいへんあなたにとつても迷惑な御様子でありますから、その点はそれで打ちとめておきます。  そこで次にお尋ねをいたすのでございますが、今度の各九地区におけるところの新しい会社の人選の内定がすでに新聞紙上等に発表されておりまして、本日中にでも仮内定が公式にきまるという報道をわれわれは耳にいたしておるのでありますが、この人選をいたしまする場合に、公益事業委員会としてどんな基本的な条件を基として人選にかかられたとか、その基本的な問題について条件等が考慮されておりましたならば、この機会にわれわれは知つておきたいと思うのであります。
  125. 宮原清

    ○宮原説明員 お答えいたします。公益事業委員会の性格自体がいわゆる公正中立で、絶対に左右から波動を受けないようにということに出発しておりますので、その人選をなします時分に、委員それぞれの諸君においても、そのことについての覚悟がなければ就任のできないものだというくらいは承知してその位置にすわつたわけであります。そうして再編成の事柄は、人事以前に諸種の構成上の問題、また九会社が解散し、また日発も解散して、本社があらためて九会社をつくるというその手続についての内容の問題は非常に複雑でありまして、これが十二月十五日に任命を受けました以後、おそらく一月から始まつた事務局その他の準備をそれからいたしたということのために、わずか一箇月かそこらの間でこれを完全に仕上げなければならないために、われわれとても同様でありますが、わけても事務のいろいろのことを十分に果すために、よほどの苦労をいたして、ようやく計数的な問題等もできまして、そうして九祉をある程度にわける状態にできたのであります。その間編成のかつこうから申しまして、どうしても今までの配電会社日発は寄つて話をしなければならない。そうして各自がそれをまとめられたものを委員会に提出して、委員会自身は指導もいたしますが、いわゆるコントロールするものでなくて、レギユレートするものだということから、勢い受身の立場であります。すべてのものを十分にそれらの人々協議によつて成り立たせようという方針をとつたのであります。そのために日発を入れた十社は相互に委員を出しまして、その内容の検討と、更生後のことについて委員会の指導を受けつ編成に尽力いたしまして、おおよそ二月八日にすべてのものを得たのであります。ひとり人事のことにつきましては、まことにめんどうなことになりますことの予想は初めはそうなかつたのでありますが、途中で編成の問題に関することの十全な協議を得ましておりました日発と、それからこちらの委員会の方において多少の行き違いがありまして、そのためにあるいは新聞紙上にそれが報道されていろいろな不安を世間にかもすことになりまして、その責任は双方にあるのでありまして、まことに遺憾な成行きであります。そこでどういうぐあいに選定方針をとるかということは、きわめて原則的と申しましても、今の非常に公正であつて仕事の統轄ができる人——委員会の念願としておることは、御承知のように電気事業というものはある特殊な仕事に属するものでありますから、特定な人が携わることを最も適当とする事実もあるし、しかもそれがかりにその中の一人であつても、その人事をしつかり統轄してなめらかにするということが第一でありますから、その統轄の責任者というものは世間的に見ましてなるべくりつぱな人、すなわち公正であり、しかもいささかもうしろ暗いことのないような人、しかして少くとも今度の編成に対しては、出発の当時においてなめらかに行われるというところに観点を置いたわけであります。そこでそういう事柄を世間に看板を掲げておる八はないのでありますから、それを求めるのでありますが、求める範囲というのは、要するに五人のわれわれ委員がよく知つておる人という範囲にまず相当なものを置いたのであります。その次は少くともたれかが知つてつて、みんなその人ならという定評のある人ということになります。あるいは世間公知の、もしくはそう認定していささかもさしつかえない人ということにもなります。ただ九社が将来において営業を開始するのでありますから、その辺の観点というものはよほど重大であると思います。重大である初代の人々に対して、その所在のデイフアレンスをとり、それを持ち寄つて委員会において考査をする。でありますから、中には五人の委員のうち二人しか知らぬ人もある。あるいは全部知つておる人もある。知つておるということがそもそも人とのつながりが始まるのでありますから、この考査においても、知らない人で、はるかにいい人がそこにあつても、多年電気事業界について知つておる人が一応の材料を提供をする、こういうことであります。従つて、しいていわゆる定義的、理論的にどういう標準だということであれば、あるいはそれは一、何々ということを申し上げることもできますが、人事のことは非常に微妙でありまして、要するに甲にいい特徴が一つつても一方に欠点のあることも当然であります。従つて完全な資格を持つているという人は、求めてはなはだ少いと思います。これはいかなる場合においても、皆さんが何かのお集まりをなさるときに、人を選ぶことについて御経験済みの困難な実情だと思います。委員会における今回の選定においても相当その辺には苦心がございました。しかしみんな求めて公正であることについての一点にはこうも間違いがありません。世上あるいは何がしの陣営だというようなことがあります。端的に申し上げていいと思いますが、松永氏のことが新聞などにかれこれ流布されております。しかしこの人は御承知通り、個人の行動についての批判は私どもは一応これをおきまして、過去何十年間と申す長い間を電気の分野に終始した人であります。識見も相当あつて、事実における仕事もして来たのであります。従つて電気界における人間の範囲においては松永氏を出ずる知見を持つておる人はないような次第であります。しかしながらそれは松永氏のある種の提案の一部をなす材料的なことになります。決定はわれわれ五人が一人も異議のない人にきめるということにかたくきめておりますので、その間世間流布されるようなことは、こうもないのであります。今の標準という問題に対してのお答えを少し逸脱したかもしれませんが、標準論はすなわち選定の適否に関する御議論の前提だと心得まして、ついでながら申し上げた次第であります。
  126. 角田幸吉

    ○角田委員 ただいま出席されました公益事業委員に私は御質問を一点申し上げたいのであります。私は公益事業委員は国会の承認を得て総理大臣がこれを任命いたしますけれども、総理大臣は公益事業委員に対して何らの監督権を持つておらぬと私は了承して参つたのであります。監督権がなく、従つて公益事業委員のなした行為については総理大臣は責任を負わないものであるという法律的な見解を私は今日まで持つてつたのでありまするが、ただいま出席されました公益事業委員の言葉によりますと、何か総理大臣にも責任があるかのごとき見解が述べられておるので、この際法制上総理大臣がどういう点について公益事業委員会の監督権を持つておるか、お尋ね申し上げたい。
  127. 宮原清

    ○宮原説明員 先刻私が非常にあいまいなことを申し上げたのも、その辺についてみずからも疑義を持つておるからであります。これは御承知通り、われわれ今回選ばれましたる五人は、議会の承認を得ないでなつた委員であります。従つて任期が一応指示されておりますが、次の任期からは承認を得ない人はなれないわけであります。でありますから一応そういう性質からして、総理大臣が責任をおとりになることの範囲については、少くともこのテンポラリーの期間においてはあまり適切でないかもしれません。そういう辺は、もし委員会答弁として議会が御要求になりますならば、私一個でここでお答えいたすことは差控えましてよく取調べました上で申し上げたいと思います。
  128. 角田幸吉

    ○角田委員 この問題、総理大臣に監督権があるかないかという問題は重大な問題でありますから、これはあとで回答していただく、こういうことにして私の質問を打切ります。
  129. 川島金次

    ○川島委員 今の宮原さんのお話で、新会社の重要首脳人事の人選についての大まかな方向を示されたのでありますが、その人選にあたつて、なるほど公益事業委員会は他の制肘を受けずして人選をするということは自由である、それは公益事業委員会独自の観点に立つてよろしいのだということにはなつておると思います。しかしながら一方に公益事業委員会としてこの新しい事業の発足にあたつての人選でありますだけに、できるだけ慎重を期し、そうしてその人選の決定が円満に実現するということを目途としてやられるということが、きわめて重要な事柄ではなかつたかと思うのでございます。そこでお尋ねいたしますが、この首脳人事を決定いたしまする事前において日発当局や、あるいは各地区の電産の首脳部等について、何らかの打合せをされたことがあるかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  130. 宮原清

    ○宮原説明員 日発とのお話は当然にいたしたわけであります。しかるにそこにおいて多少の行き違いが生じたことにおいて日発総裁反対せられたという実情であります。この行き違いについての内容等は、巨細に申し上げましても、必ずしも私自身が折衝をしたことでございませんから、機微に属することは私としてはお答えができないのであります。しかも大筋から申しますれば、常に十分なお打合せをしつつ参つたのであります。ところが、ちようどあの大雪のあつた前後においてかんじんの所在が隔たつてつたために、はなはだ不行き届きな事柄が端を発しましたのは、つまりそれを聞いたとか聞かないとかいうことでありまして、要するに十全に事柄をお伝えする期間と申しますか、便宜がなかつたというようなことによつて生じたこともあつたのでございます。しかしあらゆる意味において十分なる御連絡をしておることであり、またそれが当然だと考えております。なお電産その他いわゆる電気事業従業員の意向を聞くというような事柄についての、こちらから積極的な手段は、性格上必要としないことに心得えておりましたが、たびたび御陳情がございまして、それは承つたことは確かであります。しかしながら電産の御希望とかあるいは労働組合の御希望を、そのまますぐにお引受するという結論になられなかつたということもあろうと思います。
  131. 川島金次

    ○川島委員 委員会から日発にあらかじめこの人選について打合せはされたものだとのお話でございますが、その最後的な問題に対しては非常な齟齬があつたような今のお言葉であります。そこで日発の総務理事の菅さんが御出席のようですから、その点についてあらかじめ委員会の方から何らかの御折衝がこまかくあつたものかどうか。その点について御存じがありますれば、この機会にお示しおきを願いたいと思います。
  132. 管琴二

    ○管参考人 人事につきましては、主として総裁がみずから当つておられましたので、私の存じない部分が相当にあると思います。最近になりまして委員各位と総裁との間に行き違いがあつたということを総裁からお聞きをした程度でございまして、真相につ、ては私からは十分お答えができないと存じます。
  133. 川島金次

    ○川島委員 それでは重ねて恐縮ですが、宮原さんにお尋ねいたしますが、事前においてあらかじめ日発側との打合せは済んでおつたんだが、どこか最後の一瞬間に大きな行き違いが生じたために今日のような事態になつているんではないかと思うのですが、その微妙な最後の行き違いというのは、ありていに申し上げればどういうことなんでございますか、この機会にさしつかえなかつたならばお示しおき願いたい。
  134. 宮原清

    ○宮原説明員 これは先刻も申し上げました通り、すこぶるデリケートな問題でありますので、私から正確にお答えし得るやいなやを危ぶみますが、しかし私の感じておるところ、私の知つておる範囲では、結局会長制度というものに対する事柄と、社長制度ということとの重さについての小坂さんの御見解委員長見解と違つておるというふうに存じております。しかしながら、いわゆる会長制度をつくりまして、しかも会長が相当強い力を持つて、世にいう会長というものでなく、みずから責任をとり、代表権を負うて立つということで会長制度をとつたのであります。また別な理由は会長制度自体が何を意味するかと申しますと、日常の常務的な会社事業経営についての大綱を示すほか、人事に関する統轄権を握るということが最も重大であり、またあるいは対世間的の事柄についての代表的立場をとるということも、会長制度の大きな役目になつております。従つて従来の会長なき社長というものとほとんど何ら違いのない権限を持つている。そのために、その下にいる社長の権限は、おそらく従来の世間の社長よりははるかに事実上限局されるわけです。制度上についてのことを特にこれだけに制限するということは少くとも現在の定款にはありません。ことに権限とは申しながら、人間の働きによつて、その権限を越えることなくして、事実上より多くの仕事ができるということも社長としてあるかもしれません。しかしながら、これは要するに社長の全責任において、その人の行動についての規制は当然いたすのであります。もつとも、大きな重鎮と申しますか、重しとしての貫録を持つた人会長があることを必要とし、従つてそれができたとたんに社長というものが、いささか仕事を精一ぱいするというだけにとどまるような運用になるのではないか、さようなことを予想した会長制度を今度われわれは推奨した、こういうことでございます。
  135. 川島金次

    ○川島委員 そこでだんだんはつきりわかつて来たような気がするのですが、結局公益事業委員会としては会長にウエートが多いという考え方、しかるに一方め自発総裁小坂さんに言わせれば、常勤的な社長にこの問題のウエートがかかつている。こういうところに見解の相違があつたのだと、われわれは今のお話では推測ができるのですが、そういう問題について最後的なお互いの了解のし合えるような話合いをすることなしに、突如として最後の決定案を示したという形になつたのではございませんでしようか、その点をひとつ承知しております範囲で御説明を願いたい。
  136. 宮原清

    ○宮原説明員 どうも同じようなことを私から申し上げて相済みませんが、つまりだれがそういう責任をとるかという御質問だとこれを解釈いたしますと、この点についてはつまりある審判を受けなければできないわけであります。幾多世の中にある事例でありますが、人事の事柄は最終的まで引受けるとか、引受けないとかいうことがありますから、時間的のずれもありまして、その間合のような大雪があつて交通がとまつたというような事例は大きな不幸でありまして、さような偶然な事柄がときによつて大きなことを引起す一事例だと思つておりますが、かくてそういうことになりましたのは、要するに社長というものの値打に関する世間の考えが、今も昔のごとくであつて、新しい制度ができたが、会長の下の社長もなおかつさようであるということをお感じになつている方と、それからそれはみずから限界をきめたんだから、相当にその人の行動については規制しているのだという考えの方、つまり今までの多年の習慣とこれから出発する新しいものとのいわゆる食い違いであろうかと思います。従つて、その時間的のずれによつて生じた不幸はまことに不幸なことでありますが、たとえば朝どうしても承諾しなかつたが、その晩になつていろいろ慫慂されて引受けたということは、その間の時間のずれも相当ありますし、その時間の差によつて行き違いを生じたという事例は、ひとり今回ばかりでなく、先例ばたくさんあると思います。しかし不幸にして今回もその一つの例になつた事実もございます。これが全部ではございません。しかしそういうことをきめるについての連絡上不行き届きがあつたという事実は、先刻申し上げた通り、第三者の裁断を経なければわからぬようなことであつて、それについてはそれぞれが反省し、それぞれが委曲を尽して、お互いがお話合いになつたというのが今までの実情でございます。
  137. 川島金次

    ○川島委員 そこで大雪のための行き違いだというお話中心のようでございます。それはそれでさしおきまして、ではもう一つ続いてお尋ねいたしますが、この行き違いのために、今や日発側では、この首脳人事に全面的な反対の意思表示をいたしております。ことに関東地区におけるところの会長社長の問題、あるいは北海道、東北の問題等、最も中心となつておるのは関東社長の問題であるかのような印象を私どもは深く受けておるのでございます。そこでお尋ねするのですが、日発総裁が、法的裁判を争つてまでもとの問題の解決をはかるのだという、きわめて強い反対の意思が明白になつております。と同時に、一方においては、最もかんじんかなめの電産労働組合の大部分も、これまたあげてとの人事反対の意思を明確にいたしておるような次第でありますし、また昨日に議会内におきましても、衆参両院を通じて、与党の自由党を除いた大部分の各政党政派は、この高井人事に対してこれまた明確な反対の意思表示をしておるような次第でありますことは、宮原委員よく御存じのことと思うのであります。しかもこの人事の仮指定は本日行われる予定だそうであります。しかも問題の糾争の端を発しましたのは、今からすでに三、四日以前から惹起されておるのでありまして、こういう成行きになるということも、おそらく公益事業委員会にいたしましても、予測に困難でなかつたのではないかと私どもは想像いたしておるのです。そういう事柄を勘案いたしました場合に、これをあくまでも強行しなければならないという、一体公益事業委員会側に何らかの、曲げることのできない有力な根拠というものがおありなのか。こんなに反対があつても、どうしてもこの人事を決行しなければならぬという、一つの有力な根拠とか理由というものがおありなのであるかどうか、この点について御見解を承わつておきたいと思います。
  138. 宮原清

    ○宮原説明員 格別その根拠はございません。そうして今お話のように、今かように混雑しておることを耳にしないかというお尋ねでございますが、今新聞やいろいろなことによつてある程度承知いたしております。しかし公益事業委員会の性格のうち、とかくの論議はありましても、なるべく自分たちの仲間で公正だと信じてきめたことに対する多くの外部勢力の介入を受付けてはいけないということが、一つのいわゆる公益事業委員会のドクトリンといいますか、公益事業委員会というものの性格について、われわれの学んでおることはさようなことになつておりますために——であるゆえに、こうするということではなしに、それが当然であり、まことにもつともだというときに、そのことをかえるということにいささかも躊躇しないだろうと思います。その程度につきましては、実際問題として、いまだよく決定的評議を尽しておりません。また三、四日前から、非常に困難であるとは私どももひそかに憂えておりました。しかしわれわれにおいて何ら他意のない、しかもある程度の基本における考え方で進んでおる以上、それに対してそうでないという表示が別にない限りはというので、せつかく目発総裁初め各位に対して、誠意を尽してわれわれのとつた処置に対しての了解を求めることに骨を折つた、その間がここ三、四日、こういうことでございます。ですけれども、まだ今日確定でなく、今日でも非常な反対を表明していらつしやろけれども、なおかつ多少の余地があるかのように私ども感じておりますのは、とにかく先刻もお話通り日発総裁としても、ただいまのところではということを特におつしやつてつたように思います。すなわちわれわれがそういうことについて、何がしかの自分らがかくあるべしと反省した部分があれば、向うにもそういうことに関するお話合いのできる余地が絶無でないというように信じております。また昨日も夜を徹してもということで、日発の各位に対して、われわれのとつた処置についての誤解を解くためにせつかく骨を折り——ただここに御了察いただきたいことは、すでに解体をするという立場においては、九社も一社も同じであります。しかし一方は事業地において現実の仕事をする場所であり、一方は今までただ発電に関する仕事をしておつたということでありますから、その間において、今度なくなつて行くものにおいてのいろいろの不安があることを想像し得ないわけではありません。従つてそういうことについても十分な用意をこちらでは持つてつたのであります。と申しますのは、一言申しますと、首脳人事に関することが世間竜つばら注視の目標であるように思いますが、この多勢を持つている日発の陣容が、ただ一、二の首脳人事だけで終るわけではありません。従つてそれをいかに編成がえをするかということの苦心は、むしろ今後にあるのでありまして、その点については、先般通産委員の方とお出会いしたときも、私はその人事の不公正であるかのごとき誤解に対しては、私どもまことにどうも遺憾しごく、かつ心外だ。さように歪曲した人事をするような、私心をもつて事に当つておるわけではありませんから、かくてはまことに遺憾千万だということを申し上げたときに、首脳人事についてのことは、一応私ども大筋をきめております。しかしそれ以下のものにつきましては、まだ何らの手を打つていないのであります。今後これをいかに都合よくするかということについてせつかく骨を折つておる。むしろ今日としてはここに大きな問題があるだろうということを申し上げておるのであります。その他関係の範囲における意見を異にしている団体等があるということも、これ予測することはできますが、しかしそれが今の経営当事者によつていかに処理されるかということは、今後の問題でありまして事前においてそれを予測したために公益事業委員の打つ手ははなはだ範囲が狭いと思うのであります。さように考えておりますから、私たちとしては何も自分たちの力はないのでありますけれども、できるだけ最終まで努力してそうして円満にこの事柄を運びたい。そのためには、多少遅れてもなお適当な処置をとりたいというので、せつかく苦心中であります。それができますか、できませんかは、もつぱら組立の考え方の十全な融和のいかんに属するのでありますが、努力するという気持においての誠意をもつてのみんなの尽力はいまなお継続中であります。
  139. 西村久之

    西村(久)委員長代理 川島君にお諮りいたします。申合せの時間が刻々と迫りますから、要点を簡潔にお願いいたします。
  140. 川島金次

    ○川島委員 そうすると、こういうふうに承知してよろしいのですか。せつかく努力中であるということは、先般御発表になりました首脳人事の人選の仮決定を延期しているというふうに理解してよろしゆうございますか。
  141. 宮原清

    ○宮原説明員 それは今日十二時までたつてみないとわかりませんが、少くとも今では確定というところでないことを申し上げます。
  142. 川島金次

    ○川島委員 そうすると、今晩の十二時までと理解しますが、双方妥協の努力を行い、そうして何らかの形において円満な解決をはかろうと努力され、同時にそういうことについてのお見通しというものがあろうと思いますが、その点はいかがでございますか。
  143. 宮原清

    ○宮原説明員 これはどうも私が漫然と私見を述べる関係でございませんが、しかしこの電気事業というものがいわゆる性格的に公益に属するということから、日本の再出発にとつて最も重要な仕事である。そうしてその可否は別として、すでに九分割がきまり、配電側が日発側の資産を受継いで一貫して作業をするという態勢になつた以上は、これがぜひうまく成り立つて、スムーズにすべり出しをしなければならぬ、それが日本における電力不足の現況に対して一番大事なことである。腰をすえて電気の開発に協力一致できるという態勢を委員会としてはとらなければならぬ。それだけのことは大きな使命であると考えており、これに伴つて現在日本不足であるゆえに問題を生じておる電気を十分にするということを第一に考えた次第でありますから、願わくはかような人事のことによつてつまずきをして世間に公益事業委員が何か非常な横暴なことをしているかのごとく印象づけたり、またこの公益事業委員の使命の前途に対して汚点を残すというようなことのないようにということは、ひとえに私どもの深き念願であります。同時に、しかしこれは自分だけそう思つてもいけませんので、どうかこれはあらゆる方面の御支援をいただく、そういつたような信念と申しますか、覚悟を持つて、この事に当つている点を深く御了承を得ておきたいと思います。
  144. 川島金次

    ○川島委員 たいへんくどいようですが、その場合、既定の首脳人事の内定案を日発側あるいは電産側に説得して、それで妥協するという方向であるのか、それとも日発か、ことに小坂総裁が主張しているその点についても、十分にしんしやくをして、今晩の十二時までに決定をするという努力をするという方針であるのかどうか、その点でございます。もう一ぺんくどいようですがお尋ねいたします。
  145. 宮原清

    ○宮原説明員 非常に大切な御質問だと思いますが、心組みといたしましては、ただ人を説得するだけではないつもりであります。向うが説得に応じなければできないのでありますから、私ども自分において何かなし得るところができればけつこうだというので、せつかくそういうふうに念願はしております。ただもののはずみというものは、必ずしも予定通りに参りません。お互いに誠意があつても、ものわかれする場合もできるのでありますから、この予想についての言質を私からおとりいただくことは、どうぞお差控えをいただきたいと思います。
  146. 川島金次

    ○川島委員 そこでくどいようですがお尋ねします。問題の焦点になつておるのは、ことに人事の中では関東の高井社長の問題であります。これは強硬に小坂さんも反対の意思を表明しております。また従業員全体が明確に反対の意思を表示されておるのであります。この高井社長の就任の問題についてこういう強硬な主張のあることを前提としてこれに対する何らかの変更あるいは妥協の努力をされるということになつて行くのだということに理解してよろしいのかどうか、その点をもう一つお伺いしたい。
  147. 宮原清

    ○宮原説明員 それは私からは何とも御返事ができません、しかし要するにこの事柄を深く追究していただくことは、事を明瞭にする上においては非常に御期待通りであるかもしれませんが、人事のごとき微妙なものは、究極ぎゆつと言わせてしまつてからではものが転換しない事例もたくさんありますので、どうかわれわれはせつかく努力して、これについていかにしてかお話合いをつけたいと思つております。もしできなければ、ある部分だけにして、人事はあとまわしにするというような構想も絶無ではありません。しかしながら何かいわゆるやれやれというところに行かないと、こういう性格の仕事はあとでいろいろと話題を残しますので、われわれ最初に乏しきを受けてその任に当つた者の覚悟としては、何とぞそういうことのないようにということを念願しておりますから、どうぞしばらく時をおかしいただくという程度におとどめいただければ幸いであります。
  148. 川島金次

    ○川島委員 この人事問題は微妙であるということも、よくわれわれは理解できるのでありますが、しかし新しい事業の発足だけに、この首脳の人事問題がきわめてまた非常に重大な関心事であるということも、いなめない事実なのであります。しかもその重要な人事問題に端を発して、社会の注目を集めておるという、いわば紛糾状態にあるというのがこの人事問題であるのであります。そこでわれわれはいろいろと重ねてくどくお伺いいたすのでありますが、もう一ぺんその点を強くお尋ねしておきたいのであります。どうも今の宮原さんのお答えは、公益事業委員会会長を代表されました責任ある答弁ができるという最初お話でありましたので、私も安心をしてお尋ねをしておるのでありますが、どうもかんじんかなめなところへ行くと、ちよつとそれて行くというような印象を私どもは受けるのであります。そこでこの十二時までということを先ほどおつしやられましたが、今のお話を聞くと、必ずしもきようの十二時までではない、あるいは努力の次第によつては二日や三日さらに時間を延ばしてでも、この重要な人事問題の円満な解決策の道を求めるというような努力を、公益事業委員会としてはしておるのだというお話のように私は承つたのでありますが、その点はいかがでございますか。
  149. 宮原清

    ○宮原説明員 どうも先刻責任転嫁に対する解釈を私が留保いたしたのは、私の柄にないので、誤つてお答えしては相済まぬと思つたわけですが、今の人事に関する決定は十二時か、あるいは持ち越すのだろうかというお尋ねに対して私が責任を持つてそうお答えしてさしつかえないと思いますのは、もし松本先生がここへ出られても、ひよつとしたら同じようにお答えになるのではないかと思うからでございます。  そこで今の最終的にどういうふうな処置があるかというお話でありますが、これを申し上げることができるようでありますと——お答えをかれこれぼやかしたようなことを申し上げることの不本意さを私十分感じておりますので、しかしそれがお答えができないということを申し上げておるわけでありますからひとつその点はその程度で御了承願いたい。
  150. 川島金次

    ○川島委員 もう二つばかり聞きます。かんじんかなめのところは、その点が私どものお伺いしたいところなのです。またこの問題について関心を注いでおります一部の国民も、おそらくその点が最も重大な関心事ではないかと思います。公益事業委員会はあらかじめ首脳人事を決定したしかも本日の十二時までには仮指定として決定を発表するだろう、こういわれておる。それにかかわらず、その反対には強硬な反対運動が今起つておる。こういう具体的な眼前の問題に対して、じやどういうふうにこの問題を打開して行くかということが、いわゆる世の中の注目の焦点なのであります。そういう意味合いにおいて、私はくどいようでありますが、先ほどからその点を重ね重ね承つておるのでありますが、そういう責任のあるお答えはかりにできないにしても、宮原さんも有力なる委員の一人であります。従つて公益事業委員会としてどうするという心構えのことについては、皆さんと御相談しなければもちろんできないことでございましようが、有力なるメンバーの一人としての私見としてでも、何か宮原さんには宮原さんなりのお考えがあるのではないか、これはあることがまた当然ではないか、こういうふうに私は思うのでありますが、その点重ねてまことに恐縮ですけれども、私見でもけつこうでございますから、何か構想がありましたならばお聞かせおき願いたい、こういうふうに思います。
  151. 宮原清

    ○宮原説明員 どうもひようたんなまずのような問答になりまして、はなはだ自分でも不徹底であることを感じますが、公益事業委員会は御承知、の通り、合意によつてきめることが原則でありますから、この場合もし別な所在においての御返事でありますと、私見もありますということを申し上げるに躊躇いたしませんが、公のこの席においては、同意を経ておらぬことでありますから、あしからずしばらく時をおかしくださいまして、先刻十二時までということを申しましたのは、二十三日ということを切つたために、それに対するある種の書類は出せなければ出せないような理由を付し、しかもいろいろな点からいたしまして遷延を許しません事情にあります。しかしかりに人事の問題は決定を留保するということもある意味においてできるのではないかということも研究中であります。しかしおそらく公益事業委員会の仮決定はするかもしれません。それに対しては十分なまた主観的な問題がありますから、その間に起きる処理の問題がありますれば、変更も絶対不可能ではないというふうな解釈で今進んでおります。
  152. 川島金次

    ○川島委員 結論は、いろいろ聞いておりますと、妥協するかのごとく、せざるかのごとく、こういうことになつております。結局公益事業委員会としては、かりに今後、今晩の十二時まで努力いたしまするにしても、公益事業委員会があらかじめ決定しておるところの線に向つて、相手方を逆に説得する形に行くという方向が、どうも私には明らかになつたような気がするのであります。私はそういう形では、この問題は円満な解決策ではないと思うのでありまして、またその円満な解決ができないというと、その後に大きな波紋があとを引いて来るのではないか。そういうことになりますと、やがては従業員の不安動揺を一層にはげしくいたしまして、関東会社の今後の運営にも、重大な支障が起るやにわれわれは懸念されるのでございます。すでに高井社長の就任説が伝わるや、関東地区におきましての電産の組合の大部分におきましては、非常な不安と動揺を続けておるように聞いておりますし、今朝ほど電産の代表者から承りますと、ストにも入りかねないような状態にもある、また休暇などを陸続ととる者が出て来ておる、こういうふうなことで、今後の関東会社運営に重大な支障を惹起するであろうというようなことをいわれておるのであります。こういう事態を公益事業委員会として目の前に見て、これに対してそれでも一方的に自分たちがきめました面子に拘泥してあくまでも既定の方針を貫くというような態度に出るということは、ますます世人の疑惑を公益事業委員会が不測にも招かなければならぬというような結果になるのみならず、日本の経済再建についてきわめて重大な役割を果すべき日本電力運営に重大な事態を惹起し、日本の経済に不測の混乱をも起すというおそれが十分にある。しかもそれがやがては結局において、公益事業委員会が何かローマの法王庁のような形のものではないかという、一般的な世間の非難をもこうむることを覚悟しなければならないのではないかと私は考えるのであります。そこで宮原さんにお尋ねするのですが、今ことに関東会社の背後におきましては、従業員の間においていろいろの事態が起りつつあります。こういつた事柄に対して、公益事業委員会の有力なメンバーの宮原さんとしてどんな御感想であられるか、その点についてお尋ねをしておきたいと思うのです。
  153. 宮原清

    ○宮原説明員 ただいまのお話は御意見として承つておきます。しかし、先刻から申し上げましたように、そういう事態の起らないようにしたいということはやまやまおりまして、そういう事柄が往々にして起きるということについての責任を、公益事業委員会が負うというようなことにならないとも限らぬ事態だということの御説明を承わりますが、御意見とし、また情勢としてお話を承つておきますということにとどめたいと思います。
  154. 川島金次

    ○川島委員 どうもわれわれのお話を承りました印象によりますれば、結局は、大幅な妥協はしないのだ、このまま貫いて行くというような感じがますます強いのです。そうすると、かりに後日においてこれに対する聽聞会を開いた場合に、その利害関係者が相寄つて、高井さんなら高井さんに対する反対が強かつたならば、公益事業委員会といたしましては高井さんの問題を引込めて、あらためて再検討するという用意を持つものであるかどうか、その点をお尋ねしておきたいと思う。
  155. 宮原清

    ○宮原説明員 どうも委員会協議を経ないことについての御返事になりますから、従つて私としては御意見として承つておくにすぎないのであります。つまりこれから起きる予想のことでありますから、今ここに取上げるということは私としては御返事ができないのであります。
  156. 川島金次

    ○川島委員 仮定の問題でありましても、重大な事柄なのであります。公益事業委員会としては今後もあることだと思うのであります。人事問題その他について聽聞会を開く、その聽聞会のときに利害関係人が集まつて来てその問題についての可否を決定する、しかもそれが惡いと否定する、いわゆる賛成しないというような人が多かつた場合には、公益事業委員会はこれに対してどういう対処をするか、この原則的な態度だけはあつてしかるべきだと私は思うのであります。この問題をどうするかということではなくして、原則論をさらにお尋ねしておきたいと思います。非常に重大なことであります。
  157. 宮原清

    ○宮原説明員 御批評であり、予見してのお話でありますから、私は御答弁を差控えたいと存じます。御了承を願います。
  158. 西村久之

    西村(久)委員長代理 小平君にお諮りいたしますが、申合せは尊重せねばならぬのであります。申合せ時間は経過しておりますから、十分間として質疑を許します。小平君。
  159. 小平忠

    ○小平(忠)委員 委員長は申合せの時間がすでに経過しておるとおつしやるのでありますか、そういうような観点から、私は前委員質疑で触れていない点で、重要な点についてお伺いしてみたいと思うわけであります。ただいま御論議になつております問題は、どうも関東地区に何だか重点が置かれておるように見受けられるわけでありますが、これは午前中にもいろいろ論議されましたように、ひとり関東地区ばかりではなく、東北、いな北海道の地区についても大問題なのであります。現に私が北海道から出ておるという立場から申し上げるのではなく、北海道の電力対策協議会から数十日来代表委員が上京いたしまして、新発足するところの最高人事については、地元関係者が一致して強い要望をしております。そういう関係から私はこれに触れてお伺いをしてみたいと思います。  まず基本的に、この新発足せんとする電力再編成の面についての首脳部人事、この首脳部人事の任命権は、最初から公益事業委員会が持つておられるという御解釈か、それとも当事者間においていろいろ利害相反して来たという場合に公正なる決定を下すというお考えを持つておられるのか、まずその点を冒頭に明らかにしておきたいと思います。
  160. 宮原清

    ○宮原説明員 人事は各社の編成いたしました再編成書に対して記入して出すということになつております。それに対する事柄の選考を私の方がするということに根本形式はなつておるのであります。しかしながら今お尋ねのように、かつてにきめることの権能があるかどうかということであれば、それはあるわけであります。それは御承知通り、この機会においてはきわめて短期日の間の任命、たとえば一年という期間でありますから、この次には株主総会で選ばれる人であつてよいわけであります。今はその人事についての指導と決定を公益事業委員会が持つておるわけであります。それはそういう形にきまつておるわけでありますから、そう申し上げてさしつかえないと思います。但しただいまお話のように、それをきめるまでについて、自分たちの知能の全部を傾け尽すことは、そういう委員の任命を受けた人としての当然の義務であろうと思います。でありますけれども、総局そういうことがきまらない場合にどうするかといえば、委員会が決定することもできるという形であります。委員会の決議によつてきめることができるのであります。さように御承知を願います。
  161. 小平忠

    ○小平(忠)委員 そこでただいま川島委員からもいろいろ質疑されまして、首脳部人事の仮決定についてもいろいろ論議されましたが、私は冒頭に五人委員の一人としての宮原委員に伺つたのでありますが、少くとも松本委員長にかわつて責任ある答弁をするとおつしやられたのでありますから、そこで私はお伺いしたいと思うわけでありますが、しからば現在新聞紙上等に出ておりまするこの首脳人事について宮原さんの、これは私見でもけつこうでありますが、この人事についての意見としては、これを大体正しいものなりとして押し通して行かれるという御決意があるのかないのか、十分に意見を聞いた上で再考したいというようなお考えがあるのか、それはあなたの御私見でもけつこうですからこの際承りたい。
  162. 宮原清

    ○宮原説明員 それはもうすでにたびたび皆様から御注意もあつて絶えず気をつけて承り、そうしてもし誤りがあれば是正するという用意においてやつております。しかし新聞に出ておるものがまだ確定不動のものでないという事実をお認めいただかなければならぬ。新聞にどう出たかということについては、いろいろかわつたものも出ておりますけれども、新聞に私の方で確定したというのはいわゆる内定でありまして、さてこれでということは、仮決定でありますから、あるいは早急に今日中にきまるかもしれない。新聞紙の伝えるところそのままが、はたして確定事実であるかどうかは今御返事はできません。同時に今お話通り、どういうふうに考えておるかというお話でありますが、大体において私は公正だと考え、あれに賛成です。ただいま申したようにあるいは違つた表示のものがあるかもしれませんが、大方については、今まで論議いただいた見地から申せば、少くともこの委員会はそういうふうな線できめて行くだろうということが新聞に出ておるようでありますが、中には違つておるものもあると思います。
  163. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの御回答で、大体公正なものだと考えておられるという御意見であります。そうなりますと、ここで重大な問題が惹起するのでありますが、私は次の点を指摘申上げたい。実は関東地区の問題が非常に重要視されておりますが、北海道の人事については、北海道の電力対策協議会が、これは官民あらゆる角度から参加してきわめて民主的な協議会でありますが、この協議会の代表者が上京して参りまして、この電力再編成に伴います北海道の電源開発の重要性にかんがみまして、かくあらねばならぬという考え方を、すでに公益事業委員会委員長に指摘をいたしております。その考え方は、第一は北海道の開発に最も深い理解と熱意を有する人であること、第二は特定の政党政派に直接属しない人、第三は電気事業に最も深い経験を有する人であること、第四は政治的手腕のある人、第五は金融界と密接な連繋を有し信望のある人、第六は北海道の道民に信望を有し、人格識見の高い人、この六つの事項を掲げて、これに合致するような人をひとつ選定してもらいたい、これはすでに公益事業委員会松本委員長にもお話申し上げ、さらに副委員長松永氏にもお話申し上げ、また日発小坂総裁意見を申し上げ、そうしてたまたま新聞等に出ております問題といたしましては、すでに北海道の会長に、元日発理事である藤波氏を決定するということは大体確定的であるというようなことが伝えられたものでありますから、これはたいへんであるというようなことで、その代表者が伺いましたところが、いや、それはおそらくそうならないだろうということを聞いておつたから、まず安心しておつた。ところがその後、こめ藤波氏の問題については、中国、四国、関西、東北の四地区に推薦を申したところが、いずれも四地区からけられておる。この四地区からけられた人を北海道に持つて行くというようなことから、これは重大問題であるというようなことで、実は一昨日来自由党、民主党、それから社会党、農協党、政党を超越して、これは北海道の電源開発、北海道の資源開発の見地から、断じて相ならぬということを現在強く要請いたしておるのでありますが、ただいまの宮原さんの御意見を承りますと、大体この人事については公正なるものと考えておるということでありますが、ゆゆしき問題であると私は思うのであります。これは私はひとり藤波氏の云々を言うわけでなくて各地区でけられたような人を、北海道は津軽海峡を離れた遠い島国だから、あそこべ持つて行つて納めておけば納まるだろうというような考え方を、公益事業委員会が持たれたら大きな間違いだろうと思う。しかる観点において、公益事業委員会においては、公益事業委員会の性格に照して、私は最も公正なる裁定、決定を願いたいと思うのでありますが、この点についてひとつ宮原さんの御意見を承りまして、時間もありませんから、私の質疑を終りたいと思います。
  164. 宮原清

    ○宮原説明員 せつかくお尋ねでありますが、御希望通りの御返事になるかどうかわかりませんが、各地区でけられた人であるということは、まつたく私は承知いたしません。それが唯一の理由であれは、それは承つたようなことはないということを申し上げておきます。  それから人事についての問題は、やはり人の値の問題である。従つて甲乙必ずしも意見が一致しないことも多くあります。しかし少くとも今問題になつた人は相当な見識を持つた人だと私どもは見ております。同時に各地区からけられたというような事実は私は承知いたしておりません。従つてどうぞその程度のことで、——藤波氏が値しないというようなお話もあつたようでありますが、おそらく北海道の人事は藤波氏にきまるのではないかと思つております。
  165. 西村久之

    西村(久)委員長代理 申合せによりまして、日発問題に対する質疑はこれをもつて終了いたします。  次は運輸省関係の船舶増強問題に対する質疑に移ります。川崎秀二君。     〔西村(久)委員長代理退席、委員   長着席〕
  166. 川崎秀二

    ○川崎委員 運輸大臣はしばらくお見えにならなかつたので、海運政策についてはいろいろお聞きしたいことがたまつておるのでありまするが、なるべく時間を省略してお伺いいたしたいと思います。輸入関係と相まつて今や船舶の増強というものは、きわめて重大な問題になつております。そこでまずあなたにお伺いいたしたい点は、海運政策を本年はどういう点に重点を置いて進めて行かれるか、これを伺いたい。
  167. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 私が先般来病気で休んでおりまして、海運政策に対する委員諸君のお尋ねがあつたようでありますが、お答えすることができないで、予算審議の上に支障を来したとすれば、まことに恐縮に考えております。  ただいま海運政策についてどういうところをねらいとしておるかというお尋ねでありますが、大つかみに概念を申し上げて、さらに詳細に入りたいと考えます。海運船腹の増強という問題は申し上げるまでもなく昨年の後半期から、前半期とまるで違つた国際情勢の変化によつて促されて参つた次第であります。はつきり申し上げれば、朝鮮事変勃発以後、特にこの問題についての考え方が、前半期とは異なつた情勢に置かれたのであります。それ以前においては、どちらかといえば、海運界も造船界も合理化をして行こうという状態であつたものを、それ以後におきましては、合理化もさることながら、今川崎君のお尋ねのように、時勢の変化に応じて、輸入に対する海運力の受入れ態勢を大急ぎで整えなければならないというように、情勢に急変をいたしたという一点であります。実は昨年の夏の国会においては、低性能の船舶を買い上げてそうしてこれをスクラツプにして処理して行こうというような情勢であつたものが、その議を国会において御協賛を得て着々やつておる間に、むしろそれらの船はもう一ぺん海にもどして生かして船腹の保持をしなければならないという機運まで見えるような情勢になつたのでありますから、これらに対しまして、運輸省としては、応ずべきそれぞれの手段を講じたのでありまして、日本の船腹増強のねらいといたしましては、もちろん日本の造船力によつて、新しい船を建設して、みずからの手で、みずからの船をもつて貿易に臨みたいというのが根本の原則であるのでございます。しかしながら、国際情勢の急変によつて、造船には少くとも十箇月を要するのでありますから、それでは間に合わないというような幾多の事態も起つて参るのであります。しからばどうするか。第一には低性能船の買い上げたものをもう一ぺん海にもどして、改造を加えて就航せしめるというようなこともありますし、あるいは買船、用船等によつて船腹の補充をはかつて行くというようなことも考えておるのであります。さらにまた沖縄とか、あるいはかつての南洋の委任統治領等に沈没した船をもう一ぺん浮び上らせて、船腹の補充をいたして行く。もちろんこれにはGHQを通じて国際的の交渉をしなければならぬ点がありますから、急の間に合わないのでありますけれども、それらの点をも考慮に入れつつ、船腹の補充をいたし、増強をはかつて行きたい、かように考えておるような次第であります。  しからばどういう程度までを目標にしておるかというと、これはきわめて大づかみのことでありますから、はつきり数字をあげてどうこうというわけには参りませんけれども、政治的に大観して申し上げるならば、二十六年度に日本が食糧の確保をなし、あるいは産業の復興をはかるという見地から、どうしても輸入しなければならないと考えられるものを、大づかみに約一千五百万トンくらいとつかみまして、従来の日本の手持ち船によつて輸入いたしておりました率はどのくらいかというと、昨年のごとき、あるいは一昨年のごときは、二〇%から三〇%くらいのものを輸入いたしておつたのでございますが、情勢がかくのごとくなつた以上は、どうしても五〇%くらいまでは、日本の持ち船によつて輸入の道を確保して行かなければならないであろうというような大体の目標を考えてみたのであります。これはどういうわけかというと、言葉を短かくして申し上げますれば、御承知のように、支那海における貿易ができなくなつたというような関係から、太平洋を越えてあるいはパナマを越えて大西洋方面に進出して、向うから鉄鉱石その他重要なる資材を運ばなければならないというような見地に立つて、今申し上げたような大づかみの数字ができたわけなのでありますこの線を大体の目標といたして船腹の増強をはかることに努力いたすつもりであります。
  168. 川崎秀二

    ○川崎委員 久しぶりに出て来られたので、一ぺんに海運政策について相当広汎な御答弁がありました。かなり満足すべき点もありますが、なお具体的に伺いたい点がございます。第七次造船計画は四十万総トンで計画されておるようでありまするが、大蔵大臣との折衝は、現在造船計画に基いてうまく行つておるのかという点と、それからあなたが考えておられる第七次造船計画は、期間中にうまく進捗しますか、その自信がありますか。
  169. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 第七次造船計画は、御指摘のように、四十万トンとねらいをつけておるのでありますが、これを前期、後期にわけまして、二十万トンずつ、春と秋に進めて行きたいという考えであります。その前期の方の計画準備につきましては、資金関係においては見返り資金等、大蔵大臣との間には順調に折衝がとりまとめられておるのであります。
  170. 川崎秀二

    ○川崎委員 ところが第一次造船から第六次造船までの経過を見ると、実際においては、海運界の要望したり、運輸省の計画したものの六体三分の一程度しか船腹の増強はできておらないのじやないかと思う。そこで本年は特に重大な年でありますから、今の計画が大蔵省との間において、現在は折衝がうまく行つているが、しかし非常な支障が将来出て来るおそれがあるのであります。そこでお伺いしたい次の点は、少くとも食糧輸入というものだけは、完全に確保する方針で進んでおられると思うのでありまますけれども、それが現在の造船計画と、それから今持つておる船とで十分にやれるものかどうか、この点に関しては、安本の方でも自信のない返事をしておるし、それから農林大臣も不安な面持でおるわけですが、実際に輸入に当られるあなたとしては、もしこの食糧輸入さえ確保できなかつたということになれば、非常に重大なことに逢着するわけですが、他の物資を犠牲にしてまでも、とにかく食糧輸入というものを優先にする方針で進んでおられるかどうか。現在の船で足るりかどうか。この点についていま少しく具体的な答弁を願いたいと思います。
  171. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 第一次から第五次までの造船の計画においては、百パーセントの造船ができなかつたという御指摘であつたのであります、しかしながら、六次あるいは六次の追加等においては、計画通りに遂行し、完成させる心持でおりまするし、第七次の前期の分も、計画通りに百パーセント完遂するつもりでおるのであります。先刻も申し上げたように、船腹の充足は、ひとり造船にとどまらずして、買船、用船ということにも力を注いでおるのであります。このように造船の進行と、買船、用船の船腹の充足によつて、少くとも食糧輸入の限度においては、これを確保させたいという目標のもとに清々手を打ちつつある次第であります。
  172. 川崎秀二

    ○川崎委員 抽象的にそういうふうに進んでいるんだというよりも、実際の状況は非常に不安なものをはらんでおると私は思うのです。そこでさらに質問を次の問題に飛ずしますけれども、新聞紙上の報道によると、一——三月の外貨で用買船三十隻程度を購入するというようなことが載つているのですが、これは事実ですか。
  173. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 現在許可済みのものが約七万トン、十三隻であります。まだ手当はついておらないが、三割程度の手付金を打つて契約を結んでおるものが相当にあります。これらを含めて申し上げると、総計三十八隻、二十万トン以上に上るのであります。もちろんこれらのものを完全に手に入れるためには、大体大づかみにして八十五億くらいの資金を要するわけであります。
  174. 川崎秀二

    ○川崎委員 最近の計画でもあり、まだコンクリートになつていない部分もあると思うのでありますが、なるべくそういう計画で進んでもらいたいと思うのであります。  次に伺いたい点は、現在造船許可の能力は、実体は運輸大臣になくして、金融機関に移つているような感じを私は受けている。融資の確定証明書をもらわなければ建造ができないというような状態で、実際問題として非常にこの点から大きな制約を受けていると思うのであります。お伺いしたい点は、造船育成の見地から、今後長期の低利の貸付を目的とする全海事金融方式というようなものを、急速に具体化する方針はないか。あるいはまたもつと具体的に言うならば、海事金融公庫ですか、こういうものを設置する考えはないか、海事金融に関してのあなたの御所見を伺つておきたいと思います。
  175. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 御指摘の造船資金の問題は、船腹増強の使命をほとんど制する重大なる問題でありまして、資金の準備ということでこの問題は重大なる岐路に立つておるような次第であります。ただいまのお話によれば、造船の実権が金融に握られておるということでありますが、船主と金融機関との関連した姿に置かれてある今日の計画におきましては、どうしてもあるいはさように見得るような情勢もなきにしもあらずでありますけれども、もちろんこれらのものが成り立つて来る上において、ただ金がそろつたからというだけで、造船が促進されるわけでもないのでありますから、さようにわれわれは考えておらないのであります。しかし海事金融の問題につきましては、政府において一つ構想を持つております。構想は持つておりますが、今日の財界の状況、政治的情勢から、ここに発表をいたして、御相談申し上げる段階にまではまた進んでおりません。しかしただ單に構想にとどめず、その草案によつて非公式にそれらの交渉手続を進めておるような次第であります。
  176. 川崎秀二

    ○川崎委員 この海事金融公庫の設立ということは、非常に海運界が希望しているだけでなしに、運輸当局自身も、約二年ほど前から具体的な構想を持つておるようです。それは大蔵大臣がこの海事金融公庫に対して反対しているということの御遠慮から、今のような答弁が出ていると思いますが、そういう点はありませんか。
  177. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 これはお話通りに、運輸省も船主も金融界もやはりこれを望んでおります。海事金融は低利であり、長期でなければならないという特殊の条件を持つておりますので、どうしてもそうならなければならないと考えておるのでありますけれども、今日の国のあり方の関係上からも、ひとり大蔵大臣のみならず、それらの意味をも含めて思う通りに進まない状態にあります。
  178. 川崎秀二

    ○川崎委員 徹底的に調べ上げればいろいろなことがあるのですけれども、まあ副総理的な立場にもあるのですから、ひとつ政治力を発揮していただきたいと思うのです。  そこであなたに関連してぜひ伺いたい問題が最後に一つつております。それは昨年の暮れから起つておる川南造船所の争議の問題は今どういう状態で進捗しておりますか、失業者は非常に大勢出ておつて、それに対する解決というものが立てられておらないように考えておりますが。
  179. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 実は川南造船所の問題は、ひとり船舶界だけでなく、国としてもまことに寒心にたえない事柄であつたと私は考えております。しかし、一つ会社の内紛から起つて来ている事態に対して官権が容喙してあれこれ言うがごときことは、私らの平生の持論としてとらないところなのであります。会社のことは会社みずから処理すべし、民間のことは民間みずから処理すべしという心持を持つてつたのであります。しかしながら運輸当局としてこれを考えてみますると、見返り資金によつて建造を進めつつあるところの船もあり、あるいはまた改造をなしつつある船もあり、今日一トンでも一隻でも一日も早く海上につかせたいという運輸当局のねらいから申せば、こういうことの紛争によつて、その船の建造が手遅れになつている、改造が遅々として進まないようなことは、まことに憂慮にたえないことと考えております。かつまた二、三千あるいは三、四千に上るところの従業員の生活問題にひ関係するような次第もあり、それらは長崎地方における一般経済界にも影響して来る、あるいは市町村に対しては税金の問題も起つて来るということなので、広汎な政治的の見地から考えまして問題は所管以外ではありますが、見ておけないという見地から、昨年十月ごろから約二箇月ばかりの間、できるだけ調停の道をはかつて、無事に処理を進めて行きたいと考えたのでありましたけれども、これには債権関係の銀行が入つており、同時にまた従業員、重役等の間における裁判ざた等もからみ合つておる状態でありまして、簡單にこれを仲裁調停というようなこともできませんので、やむを得ず運輸大臣としてはこれ以上介入すべからず、かように考えました。その後会社の内部では裁判を進行させ参つつあり、債権銀行との間に一応の話合いはあつたのであります。それ以上のことは私どもとしては申し上げる段階に参つておりません。
  180. 川崎秀二

    ○川崎委員 今の御答弁によつて全貌が明らかになつたのでありますが、この川南造船所の問題について、あなたは初めは民主的な立場からこういうものには介入すべきではない、しかし今国家の大きな見地から、造船問題が非常に重大な問題であつて、かつ見返り資金等の関係から、監督機関としては当然これに対して收拾をはからなければならぬという立場から、その間に立たれて粒々辛苦をされたことについては敬意を表するが、一度入られたものが收拾策を失つて、そうして今でも紛争がなお続いておる。ことに九州一帶の関連産業に莫大なるところの打撃を与えておる。特に現在の日本の態勢が朝鮮動乱と直結しておるので、大きな国連協力という立場からも非常な支障になつておるわけです。この川南造船所の争議は、決して一造船所の争議として閑却現すべきではないということは、私は特に強調さるべきだと思う。一度中へ入つたが、失敗したからそのままほうつておかれるというようなことで、これは実際済むものかどうか。そうだとするならば、私は運輸大臣の責任だと思う。一度中へ入つて、失敗したからこれを見ておるよりしようがないということは、自分の非を明らかに認められたことであつて、運輸行政上私はゆゆしき事態だと思う。これ以上質問をいたしてもおそらく御答弁がないことと思いまするけれども、こういう問題については、もし民主的な立場で軽々にそういう民間造船会社の内部に立ち入るべきものでないというなら、その方針を堅持されるがよろしい。また一度入つたものなら、徹底的に国家の立場からこの事態を收拾すべきが当然であつたと思う。前後矛盾しておる態度についてはいささか不満であります。以上で質問を終ります。
  181. 小坂善太郎

    小坂委員長 川島君。
  182. 川島金次

    ○川島委員 この機会に川崎君からお尋ねした以外の事柄について、参考のために二、三点だけお伺いいたしたいと思います。  先般の国会再開劈頭における経済安定本部長官の演説の中には、海運政策の重要性が強くうたわれており、船腹の増大ということがきわめて緊急焦眉の大問題である、こういうことを言われておるのであります。しかも一面におきましては、日本経済の自立達成を昭和二十八年度に目標を置いて進む。従つてこの自立経済を達成いたしますためには、昭和二十八年度には輸出を少くとも十四、五億ドル程度のものにしなければならない。従つてこれに伴う船腹の充実も、当然見合つて行かなければならないということを言われておるわけであります。そこで大臣にお伺いしておきたいのですが、先ほど大臣からもお話がありましたように、船腹の充実というものは單なる船舶の新造だけでは間に合わない。ことに現下の国際情勢から申し上げますれば、大臣の言われました新造船のほかに、買船の必要、あるいは用船の必要、あるいは沈船の引揚げ、こういつた総合的な見地に立つて、機動力を発揮するという必要が非常に大きいではないかと私ども考えておるのであります。そこで新造のことにつきましては、ただいま大臣からお話がありましたので、私は買船、用船、沈船の引揚げ等に関する運輸省としての計画について、明細に数字等がございますれば、その見通しをこの際明らかにしておいていただきたい、かように思うわけであります。
  183. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 お答えいたします。お尋ねの買船は現在において二十隻で十二万総トン、それから戰標船の改造が二十八隻で十八万総トン、それから沈船の引揚げが十隻で七万総トンであります。それで安本長官の演説の中にあつたという二十八年度をもつて自立経済の段階に入るということであります。私は先刻千五百万トンの輸入に対して、日本の船で運ぶ量を大体五〇%という目標で進むということを申し上げておいたのでありますが、二十六年度末において三八%、二七年度の第四・四半期末において四六%、五〇%にあと四%という程度まで充足し得る段階に進むのであります。
  184. 川島金次

    ○川島委員 今大臣のお示しになりました数字は、現在の買船、用船、沈船引揚げのトン数でありますが、今後の買船、用船、沈船引揚げ等の対策もさだめしあろうと思うのですが、その点はいかがになつておりますか。
  185. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 お答え申します。ただいま大臣からお答え申し上げました数字は、この二十六年度中に計画しておるものでございます。従いまして二十七年度以降につきましては、改造はございません。沈船はさらにその後の状況によつて計画を立てたいと思います。それから買船の二十隻は当初の計画でございまして、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、目下引当て中のものが三十八隻あるわけであります。これをさらに計画に追加して考えるかどうかということは目下考慮中でございます。
  186. 川島金次

    ○川島委員 この間運輸委員会でもちよつとお尋ねして保留になつておりますが、ただいまお話の出ました沈船の問題ですが、この沈船が領海にどのくらいあつてその沈船の引揚げ対策が立てられておるかどうか、そういつたことについて数字がありましたならば示してもらいたい。
  187. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 大臣にかわりまして御答弁申し上げます。せんだつての予算分科会で要求がありまして、さつそく担当官の方に伝えたのでありますが、まことに申訳ない次第でございますけれども、まだその資料がお手元まで参らないかと思いますので、さつそく調整いたさせたいと思います。
  188. 川島金次

    ○川島委員 これまた大臣におわかりにならなければ事務当局けつこうですが、最近新聞紙上でひんぴんにアメリカのリバテイ型船舶の譲渡の問題が伝えられておりますが、この問題について何か政府の方に具体的なものが入つて来ておりますか。
  189. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 かわりましてお答え申し上げます。いろいろ新聞紙上で情報が流れておりまするが、まだ公式のルートといいますか、確かなる筋からは一切何ら情報が入つておりません。ただ私ども新聞紙上でニユースを知るだけでございます。
  190. 川島金次

    ○川島委員 最後にもう一つお尋ねしておきますが、ただいま大臣から二十七年度においては日本船舶においての四六%程度を実現したい、こういうようなお話でございましたが、この形でこのことを実現するためには、一体日本の所有外航船舶というのはどのくらいの総トン数になる形でありますか。それを明らかにしていただきたい。
  191. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 現在わが国の持つておりまする外航適格船でございますが、貨物船で四十六万総トン、タンカーで九万六千総トン、合計いたしまして五十五万総トンでございます。実際にこのほかに外国へ出る資格がなくて、連合国の特別の容認のもとに出ている船があるわけであります。従つて実際出ておりますのは多少これを上まわる数字であります。しかしそれらの船は近い将来にそのままで出られなくなるわけでありまして、先ほど言いましたように、それらの船に対しましては目下改造いたすことになつております。従いまして二十七年の三月末にほんとうに外航に出る資格を持つている船は、貨物船で百二十四万総トンに増加いたします。約八十万総トン増加いたします。それから油槽船が二十九万六千総トン、二十万総トンふえるわけであります。貨物船、油槽船全体で百万総トンの外航適格船が増加いたします。
  192. 小坂善太郎

    小坂委員長 林百郎君。
  193. 林百郎

    ○林(百)委員 つい最近まで日本の船舶については強制的に繋船がされ、また造船についても非常な制限をされていたと思いますが、それがにわかに船腹が非常に逼迫し、不足になつて来た事情をひとつ御説明願いたいと思います。
  194. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 今のお尋ねは、先刻お聞きの通り川崎君にお答えしたので、重ねて申し上げなくともそれで御了解願いたいと思います。
  195. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほどは時勢の変化と言われましたが、時勢の変化がどういうふうに変化されたか、いろいろの要因があると思いますから、その船舶事情に及ぼして来た時勢の変化をひとつ御説明願いたい。それは非常に抽象的であつたが……。
  196. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 国際情勢の変化、極東における情勢の変化、その国際的の関係から日本の輸入先の変化を伴つて来た。それに従つて船舶を急速に充足しなければならないような情勢の変化が出て来たのでありまして、これは別段抽象的に申したのではありませんので、今ここでその変化を申し上げることは、むしろばかばかしいくらいなことになるかと思つて略したのでありますが、この点この程度でおわかりを願いたいと思います。
  197. 林百郎

    ○林(百)委員 輸入先がかわつて来たと言いますが、どこからどういうふうにかわつて来たか。
  198. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 これはどうもあまりにばかばかしい問答なので、中共あるいは東洋だけで済まし得たものが、東洋の方面に航行の自由ができなくなつて、自然太平洋を越えてパナマの向うまで行かなければならないような情勢になつたというのでありまして、これはもう一々説明するだけ、諸君に対して御無礼だと思うくらいであります。
  199. 林百郎

    ○林(百)委員 決して御無礼ではないのであつて中共貿易が禁止されて、遠い地方、地中海あるいはメキシコの方と貿易しなくてはならなくなつたという事情も、これも日本政府の方針だつたのですか、それともちようど日本の船舶が強制的に繋船され、造船が制限され、外国航路へ就航し得る船が就航できずして、一時船員を全部陸へ上げたことがありますが、これは運輸委員会で私の経験したところであります。これもやはり関係方面の意向でやれないことであつた、就航し得る能力のあるものを使わせられなかつたのも、これは関係方面の意向であつたという。今度は急激に日本の船舶がこんな状態に突き落されるような状態になつたのも、やはりこれは関係方面の意向によつて中共貿易が禁止されたのですか。それとも中共貿易の禁止という吉田内閣の政策は、こういう船腹事情全部を含めての自主的な決定であつたのでありますか。
  200. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 それは関係方面の関係にもあらず、吉田内閣の政策にもあらず、極東の情勢の変化がもたらしたのであります。
  201. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると極東情勢の変化に応じて日本政府がやつたのですか。やはり関係方面から中共貿易は戰略地域だからいけないと言われて、禁止するようになつたのでありますか。
  202. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 今日の日本のあり万は、連合国の占領統治下に置かれておるのでありますから、それ以上詳しく申し上げなくても、政治的常識で御判断を願つてしかるべきだと思うのであります。
  203. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると大体船腹が余るようになつたのも占領下にある、このように非常に不足を来すのも占領下にあるということにお聞きしておいてよろしいわけだと思います。そうしますと一体船が今どの程度不足しているか、それからその不足に対してどういう計画でこれを補おうとしているか。ことに第六次、第七次造船計画の資材と資金の面について、もう少し具体的な御説明を願いたいと思います。
  204. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 前段の林さんの断定は私は納得が参りません。意味がわかりませんそれからどれくらい船が足りなくて、どれくらいの何でやつておるんだということは、先刻大体申し上げておるはずでありますから、繰返す煩は省きたいと思います。
  205. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと、大体先ほどは八、九十万トンから百万トン程度不足だ、それに対して大体四十万総トンくらいの第七次計画を立てておる。それを春と秋に二回にわけて施行したいという意向だつたようですが、これに対する資金はどのくらい必要だとお考えになつておりますか。
  206. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 第七次計画の四十万総トンのうち前期の二十万総トンでございます。これは大体私どもの見積りでは二百二十億と見積つております。そのうち約五〇%近くが見返り資金から出すということが、ほば国内的に確定いたしておりまして、関係方面の了解を得る段取りになつております。後期の二十万総トンも同額で済むわけでございますが、最近の値上り状況からいたしまして多少それよりも多くなる、あるいは二百四十億もしくはそれ以上になる、かように考えております。
  207. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと、第七次造船計画に要する資金は、多く見て大体五百億と見積つていいかと思いますが、そうするとその五〇%を見返り資金にするとしても、大体二百五十億見返り資金が必要になる。ところが、本年度予算の見返り資金の海運には百十五億しか組んでいない。これはどうなさるおつもりか。
  208. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 ただいま申しましたように、前期の二十万総トンを完成するために、せんだつての閣議で約七十億の増額が決定されました。これを関係方面の了解を得る段取りになつております。あとの二十万総トンにつきましては、前期の二十万総トンをやりますと、大体船台が一ぱいになつてしまいます。あきますのが八月ごろからあくわけであります。従いましてあとの分につきましては、七月ごろまでに目鼻をつけるようにいたしたい。
  209. 林百郎

    ○林(百)委員 目鼻をつけると言うのですが、見返り資金だけでも今言つたように百十五億では大体半分しかないので、あなたの言うのは第七次造船の前期ので百十五億に、さらに七十億見返り資金がふえたという意味ですか。そうすると、あとの第七次造船の後半期の見返り資金は今度どうなるのですか。
  210. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 前半の二十万総トンにつきましては、お説の通り百十五億にまた七十億加わつた。後半のものにつきましては、ただいま申しましたように七月ごろまでに国内的並びに関係方面との折衝をして、増額の目鼻をつけるようにいたしたい。
  211. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、ただいままで第七次造船計画の少くとも後半については目鼻がついていない、とお聞きしておきます。それから前半の七十億が見返り資金から入ると言うのでありますが、見返り資金のどこから入るのか。それと見返り資金で百八十五億になりますと、あとの六、七十億は今度はどこから出すか。民間の金融業者に引受けさせるといいますが、民間の金融業者がこれを引受ける見通しがあるかどうか。
  212. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 増額になりました分をどこから出すかということでございますが、あるいはこの点は大蔵省もしくは経済安定本部にお聞きくだすつた方が間違いがないかと思います。大蔵省、経済安定本部と相談の上きめましたのでございまして、私どもはどのソースから出るかというところまで申し上げるのはどうかと思います。なお、お尋ねの趣旨は、あとの半分が市中銀行から融資できるかどうかということだと存じますが、これは昼下希望船主を募集中でございまして、船主の方で金融機関と交渉中で、また私どもの方も金融機関に対しまして協力方を要請しているのであります。前期の二十万総トンに対しては逐次融資もつくのではないか、かように考えております。この結果は最近のうちにわかります。
  213. 林百郎

    ○林(百)委員 見返り資金からもし出るということならば、見返り資金はちようど昭和二十六年度の予算が組んであるのですから、その中のどこから出るかということくらいは、われわれの方に連絡があるか、あるいは訂正があるべきだと思いますが、まだないのです。あるいは資金運用部の金が造船の方にまわるのではないかということも聞いておりますが、この問題はこの問題の最後としてお聞きしておきたい。資金運用部の方から出すのじやないのですか。
  214. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 見返り資金の項目の中には造船の方に振り向けてさしつかえない項目があるはずでございます。項目の上では海運という方に出ておりませんでも、造船の目的のために出し得る項目があるはずでございます。預金部資金から出るわけではございません。
  215. 林百郎

    ○林(百)委員 それなら経済再建費とかなんとかはつきり言われたらどうですか。そんな思わせぶりなことを言わなくてですね。それならそれでまたわかる。  それからもう一つお聞きしておきたいことは、最近アメリカや外国の船賃が大体上つて来ておりますが、これがどれくらい上つて来て、それが日本の輸入物資にどのくらい上つて来て物価にどういうように影響するかということをひつと御説明願いたい。
  216. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 物によつて違いますが、大体二倍もしくは三倍でございます。しかし実際問題といたしまして、日本の海運業者が長期の契約をいたしまして、たとえば燐鉱石を仏領のマカテアから持つて来ておりますが、燐鉱石はたしか十五ドルあるいはそれ以上かと思いますが、実際上従前の八ドルぐらいの運賃で運んでいるというようなもの、そういうようなものがある程度の量がございます。従いまして、全体としてどういうような影響を及ぼしているかということは、私といたしましてはちよつとお答えができません。
  217. 林百郎

    ○林(百)委員 私たちとしてはこの船賃の値上りによる輸入物資の値上りというものは、日本の経済に非常に大きな影響を及ぼすと思うのです。あなたの言われているように、現にアメリカでは十一月下旬と十二月上旬のわずか一月足らずの間に鉄鉱石、小麦、石油などが実は船賃が二倍に上つているので、このままの情勢で行きますと、非常に大きな物価への影響が来ると思うわけです、そこでひとつ運輸省としても真剣にこの問題を考えていただかなければ、たとえば小麦のごときは直接人民の生活にすぐ船賃の問題が影響して来るわけでありますから、もう少し真剣に、大体船賃の騰貴の趨勢と、それが輸入物資に及ぼして来る影響と、日本国民生活に及ぼす影響を、もつと真剣に考えていただいておかなければ困ると思うのであります。それともう一つは、大体今日の日本外国貿易のうちで日本船でやつておるのは何パーセントくらいなんですか。
  218. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 大体二〇%でございます。
  219. 林百郎

    ○林(百)委員 大体私の方もそうだと思つていたのですが、八〇%の貿易が外国船で行われ、その八〇%の貿易を行つている外国船の船賃が一月の間に二倍に上つて来るということになると、これは非常に大きな影響を及ぼす。この結論をただしたくて私はもう一度念のためにお聞きしたわけですが、そうすると運輸省としても、この運賃の非常な高騰が、今後の輸入計画にどういうような影響を及ぼすかというようなことを、もう少し深く掘り下げて何か検討され、それに対する対策を検討されておりますか。
  220. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 運賃につきましては、昨年暮れから一月上旬にかけまして急激なる騰貴をいたしました。その後ずつと横ばい状態でございます。今後の見通しにつきましてはいろいろ意見がわかれております。ある者は三月、あるいは四月ごろになると世界的に荷動きが減るであろう、またアメリカのリバテイのリリーズがあるということから弱くなる、またある者は強くなるであろうという意見を持つておりまして、ちよつと見通しは困難であります。現在の状態は横ばい状態であります。今まで上りました運賃が、今後の輸入計画にどういうふうに影響するかにつきましては、私どももいろいろ勉強いたしておりまするがなお正確なことはひとつ担当官庁でありまする通産省、安本にお聞きただし願いたいと思います。
  221. 林百郎

    ○林(百)委員 船賃の問題はあなたの方が專門ですから、もう少し真剣にその点は検討していただきたいと思うのです。  それからもう一つはチヤーターの問題です。アメリカのリバテイ型のチヤーターですが、これはアメリカの国内法からいつて、アメリカから直接日本の国がチヤーターできるようになつておりますか。
  222. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 アメリカ政府の持つておりまする船を日本政府もしくは日本人がチヤーターすることは、アメリカの法律でできないことになつております。また民間人の持つておりまする船をチヤーターいたしまするにつきましても、アメリカ船にはアメリカの高級船員を全部表せなければならない、あるいは普通船員を何十パーセント乘せなければならないというような条件がございますので、民間船の用船をするにいたしましても、アメリカの国内法の改正を要するわけであります。
  223. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると民間船あるいは戰標船についても、日本政府がチヤーターすることは、アメリカの国内法でできないということ、アメリカの国内法が改正されない限りできないということになりますと、アメリカの戰漂船の買用計画というのは不可能になるわけですか。それとも何かそういうアメリカの国内では禁止法はあるけれども、こういう形で、たとえば日本にいる極東軍がこれをチヤーターしてその極東軍に協力するという形で日本人の船員を使う、要するにチヤーターする当事者は日本にいるアメリカの軍隊で、この船へ日本の人たちが乘せてもらつてこの船を利用させてもらうという形になるというのか、その点をもう少しはつきり説明願いたいと思います。
  224. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 アメリカの船を日本に借りられるかどうか、あるいは譲り受け得るかどうか、こういうことにつきましては、私どもそういう希望は持つておりまするが、何分先方がどういう意向を持つているのか全然わかりませんので、従つてその形がアメリカ軍の船としてこちらへ持つて来られるものか、あるいはアメリカの法律を改正して日本に貸し出されるのか、その辺私どもとしては見当がつかないわけでございます。
  225. 林百郎

    ○林(百)委員 これは運輸大臣に聞きたいのです。運輸大臣はどうお考えになつておりますか。日本の船舶行政の上から大分買用計画の問題が検討されておるときに、実はほとんど今のところ見通しがついていないというように解釈していいのですか。
  226. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 大体政府委員よりお答えした通りであります。それ以上のはつきりした事実をわれわれ握つておりませんので、お答え申し上げかねるとお答えする以外に方法はありません。
  227. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、結局日本の船舶行政の見通しは、第七次造船も今のところ資金の面の見通しがつかない、外国の用船も見通しがつかない、日本の貿易に要する船舶の八割が外国の船で、これの運賃が二倍に上つて行くということになれば、まつた日本の経済も、船舶の行政も、日本はほとんど独立国としての体面を保つだけの実質を備えていないというふうにわれわれは解釈せざるを得ないと思う。結局そういう困難な情勢の中にあるにもかかわらず、中共貿易が禁止されておる、わざわざ遠いところから物を運ばなければならない、日本の船舶行政の独立を確保するためには、全面講和をしなければならないのに、あえてまた従属的な單独講和をする、これは結局吉田内閣の政策をまつたくとりかえない限り、日本の船舶行政はお先まつ暗であるというように私は考えますが、この点について最後に運輸大臣の所見を聞いて私の質問を終りたいと思います。
  228. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 大分まわりくどい御質問から到着いたしたのでありますが、私は逆から申し上げてみますと、そんなに日本の状態を悲観しないでも、先刻来申し上げたように、造船計画は着々現在進行しつつあるのであります。さらにまた買船、用船の面におきましても、リバテイの開放ということについては、確証を握つていないとお答えをいたしたのでありまするけれども、貴船も用船もこれまた着々進捗しつつあるのであります。さらにまた政府委員がお答いたしました通り、運貨は上ることは上るけれども、物と時期とによつて横ばいの情勢もあり得るような状態にあるのでありましてそんなに日本の国が、海運の情勢において裏からばかりのぞいて見て独立国の体面なしというような断定を下されることは、事実の認識が非常に間違つておると、はつきり申し上げたいのであります。それのみならず、東洋においてわれわれが自由に手近なところで貿易ができなくなつたということは、先刻申し上げたように、極東における情勢の変化であります。極東の情勢の変化は朝鮮事変の勃発であり、朝鮮事変の勃発は何ものがああいうような事態を引起したかというならば、そこに今日の日本のあり方がはつきりするのであります。これだけお答えすれば、言わなくてもだれでもみなわかつておると思うのであります。わからないのが間違いであつて、それ以外にはお答えする必要がないのであります。
  229. 小坂善太郎

    小坂委員長 次は黒田寿男君。
  230. 黒田寿男

    ○黒田委員 いろいろ今までの質問で問題が明らかになりましたから、一つは念を押すため、一つは残されております問題につきまして簡單にお尋ねしてみたいと思います。食糧の輸入の問題については先ほど川崎君から質問がありましたようですが、これについて念のためにもう一度お伺いしておきたいと思います。政府が本年度の予算において予定しておりますだけの食糧の輸入を確保するための船舶は、必ず優先的に配船するという決意があるかどうか、この点をあらためて聞いておきたいと思います。私ども輸入に関しましては、従来別個の見解を持つておりましたけれども、今日のような情勢になつて参りますと、食糧につきましても各国が買付の競争を激化しておるようでありますし、それからまた輸出の制限というような措置をも強化しておりますし、その上に船舶は不足しまして運賃も大分高くなつておるようでありますので、今まで私ども考えていなかつた食糧につきましても備蓄輸入というような段階に入つて来たように思われるのでありましてこの点非常に重要な問題でありますので、特に食糧の輸入に対しましては、配船について優先の地位を与えるかどうか、この点につきまして念のためにもう一度お尋ねしたいと思います。
  231. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 食糧の輸入確保についてのお尋ねであります。もちろん先刻来申し上げた通り、食糧の主管である農林省と十分なる連繋をとりまして、日本の手持船をこれに引当てるということはもちろんのこと、同時にまたこれに対しては外国船の雇入れ等によつて、十分の手配をして、この点における事を欠かざるようにいたしたいという点において、船舶行政の上においては努力しておるような次第であります。
  232. 黒田寿男

    ○黒田委員 大体大臣のお気持はわかりましたが、見込みとしまして、ただいまのようなお見込みを十分に果し得るだけの確信を持つておいでになりますかどうか、念のために、しつこいようでありますが……。たとえば食糧のためにはどの程度配船できる、そういう点について具体的に見通しが立つておりますかどうか。
  233. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 これは私どもの方で調べました数字で、はたして正確であるかどうかということは保証しかねるのでございますけれども、大体二十五年度の、米については買付計画の八五%くらいまでは行くんじやないか。それから大麦、小麦については、ややそれより率が低くなるような模様でありますけれども、大体そのうち日本船が相当量運んでおりまして、米については、その輸入計画量の五〇%程度日本船で運んでおるようであります。実際の処置といたしましては、いつも船腹確保について、農林省の担当官が私どものところへ来て、また私どもの万からも伺いまして、両者相ともに、その万全を期するようにいたしておる次第でございます。何とか支障のないように私ども全力を尽すようにいたしたい、かように存じております。
  234. 黒田寿男

    ○黒田委員 大分問題が明らかになりましたが、大臣の御意向にもかかわらず、ただいま具体的に承るところによりますると、やはり米については八五%くらいしか配船計画ができない。それから大麦、小麦につきましては、それよりやや率が下る、こういうように具体的に数字の上でお示しくださつたのでありますが、実は私どもこういうことを心配して質問申し上げたのであります。食糧の輸入が計画通りに行くかどうかということは、單に配船の面からだけではありません。価格の面から申しましても、すでに政府の輸入計画とその計画に充つべき予算との間に、私どもから申しますれば、ずれが来ておる。その面からも政府の計画通りにはもう行かないようになつておるというように私ども見ております。今日船舶の面からいたしましても、はつきりただいま專門の当局の方から数字の上で明瞭に示されましたので、これはこれ以上——ただ私は政府にできるだけ努力していただくということをお願いするよりほかはないと思います。心配しておつたようになるのではなかろうかという懸念が、ますます明瞭になりかけて来たのであります。しかしこれは現実がこうであるということをはつきりと今知つておけばよろしい問題でありますから、この問題はこれで終ります。  それから最後に、これはどの程度現実の問題になるかどうかわかりませんが、今までの質問で触れられておりませんでしたので、簡單に質問いたしますが、ただいま申しますように、海運界の事情につきましては、はなはだわれわれの希望するところと離れているような実情でありますので、統制の問題が起りはしないかという懸念がある。たとえば運賃についてどうなるか運航の方法についてどうなるか、修理の問題についてどうか、船員についてどうかというような、各方面について統制という問題が、また起るのではなかろうかというような懸念も浮び上つて来ておるようでありますが、この問題について、簡單に政府のただいま持つておいでになる方針を承らしていただきたいと思います。
  235. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 御懸念はごもつともであると考えますが、今日の段階においては、そこまで行かずにいるような現情でありまして、もちろん今後の推移に従いまして、御指摘のような面について、十分留意をしなければならぬような事態があるかもしれませんけれども、現情においてはそこまで差迫つていないということを申し上げてさしつかえないと思います。
  236. 黒田寿男

    ○黒田委員 私の質問はこれで終ります。
  237. 小坂善太郎

  238. 横田甚太郎

    ○横田委員 議論を避けて伏線のない質問をします。第七次造船には四百億の資金がいるといわれておりますが、金利が英国では二分から二分五厘、米国では三分から三分五厘、日本の第一次造船から第六次造船まで市中銀行のものは一割だつたと記憶しております。見返り資金で七分五厘で、日本の金利は非常に高い。そこで造船費が第七次造船の場合にはトン当り十万円くらいかかるだろうといわれておる。そこで私の聞きたいのは、大体米国の海員は月に三百ドルくらいもらつておる。日本の海員は一万二千円ベースで、三十数ドルだといわれておる。そうすると、この造船費が上つて来る、金利が高い、これが運賃の方へはね返つて行くか、あるいは賃金ベースがくずれるか。それからまた運賃の方にはね返つて行くとすれば、どのくらい運賃を上げてもやつて行ける見込みがあるのか、その点を聞きたい。
  239. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 日本の金利の点、それから新造船価については、必ずしも高いとは思いませんが、船腹構成といたしまして、償却の済んでない新造船が多いという点からいたしまして、英国その他の外国海運業に対して非常に不利な立場にある。有利な点は、端的にいいまして船員の給料という点にあろうと思います。しかしこれも今御指摘になりましたほどの差はございません。船員の米国の二百ドルに対比するものといたしましては、日本の船員の給料はもう少し高いのであります。二万円平均くらいではないかと思います。それじや運賃がどのくらいの幅になるかということは、非常に技術的、專門的になりまして、また場所によつて違いますので、ちよつとお答えしかねます。
  240. 横田甚太郎

    ○横田委員 今度の戰争で船員は海軍の軍人以上に犠牲者を出しておる。しかもこの人たちには十分な補償もされていないという現状のもとにおいて、海へもう一ぺん行きたいという希望の人が、経験、未経験を問わず、たくさんあるかないか、そういう傾向に対して大臣に聞きたい。
  241. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 大臣にかわりましてお答え申し上げます。戰争あるいは戰争事故によつてなくなつた船員、あるいは戰傷を受けた船員に対しましては、その当時の規定といいますか、政府規定の措置は十分いたしておると考えます。そういう船員が再び海に出ようという場合どうするか。最近までは御承知のように非常に船腹過剰で、持船も、増加するよりは減らすというような状況にありましたがために、船員の失業者も相当出ておつた。最近新造あるいは沈船引揚げ、買船というように急激なる船腹の増加を見まして、むしろ今後は船員確保をどうするかということが問題になるのじやないかと思います。従いまして、今後船員の海に出る希望につきましては、非常に明るいということを申し上げます。
  242. 横田甚太郎

    ○横田委員 第七次造船が完成すると、それに乘る海員が大体一万名不足だといわれておりますが、その数は的確か。もしこれが的確であるとするならば一体どういう種類の海員が欠けているか。遠洋航海、あるいは近海、こういうようなことです。それからまたそれが足りないとすれば、未経験者も入れる場合に、どういうふうな施設があるのか、それが十分できておるか、この点を聞きたいのです。なぜかと申しますと、ここでは物の論議が盛んであるが、日本の国は人を使うのをそまつにする。だから人の問題に対していつも顧みられていない。こういうような意味合いにおいてこれを聞くのです。
  243. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 ただいま行つております増強対策に対する船員の確保につきましては、大体心配はないのではないか、しかしある職種によつては、たとえば機関部員等におきましては多少の困難を来しておる。ただ今計画しておりますよりも急激にさらに船腹が増加するということになりますと、そこにまた相当の船員確保の問題が起きて来るかと思います。質の点につきましても、ただいま申し上げましたように、今まで海に出ておつて、しかも職場が縮小したがために、余儀なく陸にいるという経験者が相当におります。従つて質につきましても、それほど心配することはないと思います。施設につきましては、最近までの計画に対しては今の施設で十分だと思つております。
  244. 横田甚太郎

    ○横田委員 今の施設のことも聞きたいのですが、時間がないからやめましよう。大臣は林君のときに怒つて、私が共産党だからといつてお答えにならないわけですが、黒田さんのときに気持もおちついたでしようから、今度は大臣にも答えてもらいたい。  大体海運業は不況が大部分であつて、戰争でも起るような不幸なときになると景気がよくなる、そんないやな商売だといわれているのですが、今度新聞等にスターリンの平和声明、トルーマンの平和声明が出ております。いわゆる平和声明の応酬時代だ。こういうふうになつて来ますと、いわゆる不況でないともうからない海運業は、平和声明が出て——スターリンの方はきかないだろうが、トルーマンも、やがて第三次大戰も回避できる段階に来たんじやないかということを言つておるのですから、そうすると、海運にとつては今非常に景気がいいが、しかし世の中が不況じやなしに、いいときになると、海運が困るときになる。こういうことに対して海運業者はどういうような思惑を持つか、それに対して政府自身はどういうような態度をとるか、これに対して大臣に答えてもらいたい。
  245. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 今のような状態において海運業者がどういう動きをするかということは、私の推断を下すわけに参らない範囲だと考えます。それぞれの海運業者にも希望があり、条件があろうかと考えますから、一概にこれを断定することは困難だと考えます。海運業は、従来世界第二次戰争以前の状態からいえば、たいては十年くらいを一段落として消長があるといわれて来たのでありますが、今度の戰争などにはどういうふうにそれが繰返されるかは、新しい歴史であると考えるのであります。また海運業の盛んなときと、盛んでないときと、国民的には幸福のときと、不幸のときとが、逆に行くような状態があるとおつしやるのでありますけれども、これもそれぞれの見方でありましてこれを論じても意見の相違というようなことが出て来るかと考えるのであります。
  246. 横田甚太郎

    ○横田委員 もう一問で終ります。七つの海に雄飛していたアメリカに対して、日本の海運業は安い船員、盛んな造船、こういうふうなもので太刀打ちして来ました。その結果として非常にアメリカの嫉妬をかつて、今度の戰争の一つの原因ともなつた。こういうふうな条件のもとにおいて、極東の情勢からアメリカとしては日本が必要になりまして、日本に造船をある程度許しておる。許しておるけれども日本海運の発展と、アメリカが七つの海の覇権を握るという意味におけるところのある限界点、これの衝突のおそれ、あるいはまたそれまでのいわゆる日本の海運業の発展の率と申しますか、規模と申しますか、その点について、大臣はちようどアメリカに行つて来られて向うの事情をよく御存じですから、少し伺つておきたい。
  247. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 実はあなたの質問のほんとうの要点を捕捉しかねたので……。
  248. 横田甚太郎

    ○横田委員 アメリカは御存じのように大きな海運国であります。その国が七つの海の王者であつた。それに対して日本は、船に乘る船員を安い賃金でどんどん使うて、盛んな造船で太刀打ちして来た。アメリカはこれに対して非常に弱つてつた。こういう前置きです。(笑声)今度戰争で日本が負けてそしてアメリカの心配が取除かれた。ところが極東におきましては中国共産党の台頭となりまして、今までは一億の日本人が反対しておつたにもかかわらず、今度は四億が立ち上つたのだから、この四億に対するアメリカの防衛として一億の——今では八千万になつておりますが、肉彈が必要になつた。この肉彈を買うという意味合いにおいてアメリカはこの造船に対する讓歩をして来た、こう私は考える。ところが基本的な線におきましては、七つの海の王者であつたアメリカの覇権を讓らない。従つて日本の海運の一応の発展の率というものは、今までのように無制限にはできない。日本の力だけではできない。簡單に言うと、アメリカに気がねしつつやらなければならない。その限界点はどの辺にあるでしようかということを、アメリカに行つて来られた山崎さんにお聞きするのです。
  249. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 今御議論になつた点にさらに私が論評を加えるということになりますと、国際的の批判を下して行かなければならぬような状態になるのであります。日本政府の役人の一人といたしましては、国際的なさような批判を下すことは、今日できないことになつておりますので、お答えいたしかねる次第であります。
  250. 小坂善太郎

    小坂委員長 船腹増強問題に関する質疑は終了いたしました。  本日はこの程度にとどめまして明日は午前十時より開会いたし、地方財政平衡交付金、物価、麦の統制撤廃等の各問題に関する質疑に移ります。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時一分散会