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1951-02-22 第10回国会 衆議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十二日(木曜日)     午前十一時四十七分開議  出席委員    委員長 小坂善太郎君    理事 上林山榮吉君 理事 橘  直治君    理事 西村 久之君 理事 橋本 龍伍君    理事 川崎 秀二君 理事 川島 金次君    理事 林  百郎君       麻生太賀吉君    天野 公義君       井手 光治君    江花  靜君       尾崎 末吉君    角田 幸吉君       甲木  保君    川端 佳夫君       北澤 直吉君    久野 忠治君       坂田 道太君    塩田賀四郎君       庄司 一郎君    玉置  實君       苫米地英俊君    中村  清君       中村 幸八君    永井 英修君       松浦 東介君    南  好雄君       宮幡  靖君    井出一太郎君       今井  耕君    中曽根康弘君       戸叶 里子君    黒田 寿男君       小平  忠君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         農 林 大 臣 廣川 弘禪君  出席政府委員         宮内庁次長   宇佐美 毅君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君  委員外出席者         專  門  員 小林幾次郎君         專  門  員 園山 芳造君         專  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 二月二十一日  委員松澤兼人辞任につき、その補欠として稻  村順三君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員竹山祐太郎辞任につき、その補欠として  今井耕君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  昭和二十六年度一般会計予算  昭和二十六年度特別会計予算  昭和二十六年度政府関係機関予算     —————————————
  2. 小坂善太郎

    小坂委員長 これより会議を開きます。  質疑に入るに先だちまして、この際あらかじめ申し上げておきますが、本予算案につきまして、もし各派の間におきまして修正意見等がありましたならば、さつそく委員長の手元まで提出の手続きをお願いいたします。議事進行の都合もありますから、あらかじめ特に御了承をお願いする次第であります。  午前中はこの程度にいたしまして、午後一時より再開、質疑を続行いたします。これにて暫時休憩いたします。     午前十一時四十八分休憩      ————◇—————     午後二時五十八分開議
  3. 小坂善太郎

    小坂委員長 休憩前に引続きまして会議を開きます。  委員会の運営につきまして、理事会開会されておりましたので、開会が非常に遅延いたしましたことをおわびいたします。  これより質疑を続行いたします。黒田寿男君。
  4. 黒田寿男

    黒田委員 今日は大蔵大臣に対しまして、若干質問してみたいと思いますけれども理事会の先ほどの申合せによりまして他の日にちに日程の延ばされた題目がありますので、それらの問題につきましては、あらためてそのときに総合的に御質問することにいたしまして、きよう少しだけそういう問題をはずれた問題だけ、若干お尋ねしてみたいと思います。  第一にわが国経済の体制に関する認識について、一応お伺いしておきたいと思いますけれども、大体昭和二十六年度をもつてわが国経済も準戰時経済状態に入る、すでに入つておる、こういう見解があるようであります。私どもも主観的にはこういう状態に入り込んで行くということにつきましては、非常に反対の見解を持つておりますけれども、これはしかし主観的なことで、現実にはそういうような情勢に進んでおるということを認めざるを得ないということになつておるのであります。一応大蔵大臣のこの点につきましての御見解を承つてみたいと思います。
  5. 池田勇人

    池田国務大臣 昭和二十六年度におきまして、わが国経済が準戰時体制に入つて行くという考えは私は持つておりません、準戰時体制ということを黒田君はどうお考えになりますのか、われわれは今までの通り、つとめて統制経済から自由経済に行きたい、こういうような考えをもつて進んでおるのであります。
  6. 黒田寿男

    黒田委員 大蔵大臣の御見解と、私ども実質的に日本経済状態を見て判断したところと、大分違うようでありまして、その問題はあとでまた多少触れてみたいと思います。  そこで日本経済状態に対する認識相違から、予算構想というものもかわつて来ると思うのでありますが、今日ひとつお尋ねしておきたいと思いますことは、二十六年度の予算案につきまして、どういう基本構想のもとに編成せられたかという問題についてであります。大蔵大臣財政演説におきましてお示しになりました基本構想は、大体従来通りの線であつたと思うのでありまして要するに経済安定政策を保持しながら、経済の自立に向つて邁進する、大体こういうことに盡きておつたと思うのであります。ただ予算の内容と、大蔵大臣説明されました基本構想との間に、多少問題になるずれがありはしないかと思える点がありますので、この点についてこれを問題とするのでありますけれども、私はそれだけの構想で、この二十六年度の予算編成されておるかどうか、二十六年度の予算の中にその構想を出るようなものがありはしないか。この点にいての懸念なり疑問なりがあるものでありますから、これを問題にしてみたいと思うのであります。  そこで順序といたしまして、政府最初二十六年度予算を昨年の九月二十日に閣議において決定せられたのでありますが、その閣議決定予算案と、今回国会に提出せられておりますものとの間に、相当な私は差異があると思いますので、その差は單なる数字上の差というようなものではなくて、性格上にも差があるのではなかろうかと思うのであります。この点大蔵大臣は、最初決定になりました九月二十日の案と、今提出されております案との、大蔵大臣自身からごらんになりました差異というものが、根本的にはどこにあるかということについて、ちよつとお伺いしたいと思います。
  7. 池田勇人

    池田国務大臣 九月二十日ごろに決定いたしました予算案は、朝鮮事変を織り込んでない予算であるのであります。なぜ織り込まなかつたかと申しますと、御承知の通りに、七月の上旬は昭和二十六年度の予算編成方針決定いたしました。そうして各省から出て参りますのが八月の中、ころ過ぎに相なるのであります。それから査定を加えましたので、当初の決定いたしましたものが朝鮮事変影響を織り込むだけの余裕がなかつた。一応朝鮮事変をはずしまして予算を組み、そうして基本予算を組んだ上におきまして、その後の朝鮮事変を織り込んだ予算で出したのでありまするこれは予算編成の技術上、そういうふうにならざるを得なかつたのでありまして、一応朝鮮事変影響を含まないもの、それからそれに含んだものを載つけて行つたので、初めのものとはかわつているように相なつたのであります。
  8. 黒田寿男

    黒田委員 私が最初質問しましたのも、その点に触れての考えがあつたからでありますが、その朝鮮事変を織り込んだというところに、準戰時体制的な性格が現われて来ているのではなかろうか、こういうふうに私は思う。そこで朝鮮事変を織り込んだのと織り込まない予算との間の差が、これは言葉の上の相違で、それを準戰時体制というような言葉をもつて表現するかどうかは別といたしまして、とにかくあの戰争というものの影響を織り込んだ予算ではないか、私どもはそれを準戰時体制に入つたというような言葉で表現したいと思うのであります。これはただそういう表現を使うか使わないかだけの問題の差でありますから、実質上においてはやはり私どもの使いますそういう準戰時体制的予算なつているのだと思う。今、大蔵大臣朝鮮事変を織り込んだ、こういうことをおつ上やつておりますので、私もそういうものであるところに、特徴があるのじやないかと思つてつたのであります。そこで準戰時体制でないと言われましたけれども実質上私は準戰時体制経済、その客観情勢のもとで編成された予算であると見てさしつかえないと思います。そこでこの点に関連いたしまして、一つ念を押しておきたいと思いますが、いわゆるインヴエントリー・フアイナンス方式を、外国為替資金特別会計におきましてとつているのであります。これは單にインフレ要因胚胎に対する警戒から出たものにすぎないか、均衡予算基調を保持するという方針に基くものにすぎないか、こういう点を私どもまだ十分納得の行かない点がありますので御説明願いたいと思います。單にいわゆるデイスインフレ政策を遂行するという基調のもとで、この五百億円のインヴエントリー・フアイナンス方式がとられたにすぎないか、何かまだそこにこうした予算を組みました理由に、いわゆる準戰時体制的な性質が織り込まれているのではなかろうかへこういうふうに疑念を持つのであります。そこでもう一度、念のために、このインヴエントリー・フアイナンスが、先ほど申しましたインフレ対策というだけのものであろうかどうか、という点をひとつ説明願いたい。
  9. 池田勇人

    池田国務大臣 準戰時体制というお言葉をお使いになりましたが、これはどういうことを準戰時体制と言うかということによつてきまると思うのであります。私は予算には朝鮮事変影響並びにその後の国際情勢変転等を頭に入れて作成いたしたのであります。しかして次に外国為替資金特別会計一般会計から五百億円を繰入れることにいたしました点は、財政均衡を保ち、かつまた急激なる輸出貿易によりまして、国内にインフレ要因胚胎がありますので、これを押えるために、一般会計からの繰入れをいたしたのであります。
  10. 黒田寿男

    黒田委員 今までも大蔵大臣はそう御説明なつておつたのであります。そこで私ども言葉の使用の問題は別といたしまして、戰争を織り込んだ予算だという性格を持つておるということを前提としますと、この五百億円のインヴエントリー・フアイナンス方式をとられました意図が、ただいま大蔵大臣の御説明になりましただけのもので、終るかどうかという疑問を持つのであります。もつと具体的に率直に申しますと、昨年度国債償還費の中から、国会審議を経ることなくて、二百億円が予備隊経費へと振りかえられたようなことがあつたのであります。そういう一種の予備費的性質を、このインヴエントリー・フアイナンス五百億円の中に含めておるのじやないか、こういう疑問を私ども抱くのであります。これは昨年国債償還費の中から警察予備隊費用がまわされたという経験を持つておりますし、そうしてこの予算朝鮮事変を織り込んだ予算であるということを言われてみると、そこに懸念を抱く。これは私どもの立場から行きますと、当然に抱かれる疑問じやないかと思います。そこで今年は、去年国債償還費の中から警察予備隊費用を出したようなことを、このインヴエントリー・フアイナンス五百億円の中でまたされるのではないかという懸念がありますから、ただいま大蔵大臣が御説明なつたもの以外の目的によるものではないのなら、ないということをひとつはつきり念を押しておきたいと思います。この点はいかがでございましようか。
  11. 池田勇人

    池田国務大臣 一般会計から繰入れます五百億円には、繰入れるだけの根拠があるのでございます。昭和二十六年度中におきまして、他に必要な経費を計上しなければならぬ場合におきましては、それは別個の問題として考えなければなりません。五百億円繰入れるのは、繰入れるだけの理由がある、使い道があつて繰入れておるのであります。決してお考えになるような債務償還というふうな性質のものではございません。
  12. 黒田寿男

    黒田委員 債務償還のような性質を持つておるかという質問ではないのでありまして、債務償還費の中から警察予備隊費用を、国会に諮ることなくして支出されたように、またこの五百億円の中から今年もそういうことがなされるのではなかろうかという懸念を持つておりますから、それで質問を申し上げたのであります。私の質問はそういう趣旨であつたのであります。それで政府が合計画しております輸出入の数字の上から、五百億円がはたして必要であるかどうかということにつきましては、私はいろいろ議論があると思います。それほどいらないのではなかろうか。いらないということになつて来ると、これはやはり超均衡予算という言葉をもつてわれわれは政府予算を非難しておりますが、そういう性資を持つたものになるおそれがある。それからまた今私が指摘いたしましたようなものに万一使われるということになつて来れば、これは非生産的な費用に使われることになるのでありますから、インフレ要因になるおそれがある。いずれにしましても、私はこの五百億円のインヴエントリー・フアイナンスは相当問題を腹蔵していると思うのでありますが、なおこの際念のためにお聞きしておきたいと思います。昨年度警察予備隊費用に二百億円を計上せられまして、今年は百六十億円を計上されているのでありますが、去年は国会に諮ることなくして二百億円出した。今年は国会に今予算案として提出されているのであります。今年国会審議を経、べき性質費用であるならば、昨年もやはり国会審議を経てその方にまわすべきものではなかつたか、財政法違反になるのではなかろうかということが当時も唱えられ先のでありますが、なぜ昨年度は国会に諮らないで、二百億円を政府独断で、警察予備隊費用にまわされたか、この根拠を念のためにいま一度伺つておきたい。そうしませんと、万一このインヴエントリー・フアイナンス五百億円の中から、また今年いろいろ国際情勢の変化というようなことや何かの事情で、警察予備隊的な費用政府独断でおまわしになるというようなことになつて来ると、やはりこれは問題になると思いますので、念のために、昨年度国会に諮ることなくして二百億百を警察予備隊費用として国債償還費からまわしたのは、どういう根拠があるのか、こういうことをちよつとお伺いしておきたい。
  13. 池田勇人

    池田国務大臣 初めの五百億円の繰入れに対しましてのお答えは、不十分のようにお考えのようでございますが、もし特別に必要の経費がいるときには、これは別途に考慮すべきものでございます。五百億円にはもう必要な用途がきまつているのでございます。私はこの五百億円いるとかいらぬとかいう議論になると別問題でございますが、前の国債償還のものとは違うということをお答えいたしたのであります。  次に昭和二十六年度におきましては、百六十億円の警察予備隊費予算に計上しながら、二十五年度においてなぜ国会審議経ずして出したかという御質問であります。これは国会開会中でなかつたのでございまして、ポツダム政令によつて予算をつくつたのでございます。
  14. 黒田寿男

    黒田委員 警察予備隊ポツダム政令による編成と申しますか、それ自身が、私どもの目から見れば、ちようどあのころ国会は開かれておりまして、その問題がいろいろうわさされておりまして、国会が済んでから突然そういう政令でやつた、こういう経過をとつておつたと私は思う。そうしますと、今年もまた国会が閉会中であるならば、去年と同じようなこともできるという議論になりはしないかと思います。これは私は非常に懸念するのでありますが、ことしについてそういうことができるかどうか、これをちよつとお尋ねしたいと思います。
  15. 池田勇人

    池田国務大臣 法律論としてはできます。
  16. 黒田寿男

    黒田委員 ちよつとその点をもう少し詳しく御説明願いたいと思います。法律論としてはできるというだけでは、ちよつと私ども納得が行かないのです。
  17. 池田勇人

    池田国務大臣 国会の議決を経ました予算でも、ポツダム政令によりまして、マツカーサー元帥からの指令がありますならば、流用、移用はできるのであります。
  18. 黒田寿男

    黒田委員 ことしそういうような指令があつたならばやれる、こういう御議論だろうと思います。しかし私が今お聞きしておりますのは、マツカーサー司令部からそういう新たな指令が出るということを予定しての議論ではないのでありますから、この点は大蔵大臣のお考えと私は違うと思うのです。私ども考えでは、警察予備隊をつくれというマツカーサー元帥指令はあつたと思いますけれども、その費用国会を経ないでも計上できるというような指令ではなかつたと私は思う。私どもの理解では少くともそう思います。しかし警察予備隊マツカーサー元帥の命令だからつくらなければならぬ、けれどもその予備陰経費についてまで、国会に諮らなくても、かつてに予算の中から流用してもよろしいというような指令ではなかつたと私は思うのですが、その点どうでありましようか。
  19. 池田勇人

    池田国務大臣 それは黒田さんの記憶違いだと思います。これは発表いたしましたが、それには国債債務償還費から使え、こういうふうに出ております。この点を御了承願いたいと思います。
  20. 黒田寿男

    黒田委員 それならそれとして、かりにそういうようになつておつたとしまして、それは国債償還費の中から幾ら出せということまでの指令があつたのでございましようか。ちよつとその点をお聞きしたいと思います。
  21. 池田勇人

    池田国務大臣 指令には幾らということは載つておりません。債務償還費から出せ、こういうことになつております。そうして経費はこちらで計算して指令従つて出したのであります。
  22. 黒田寿男

    黒田委員 そうしますと、国債償還費から出せというようなことになつておつたとしましても、その国債償還費の中から幾ばくの経費を出すかという、そこまで指令を受けておれば別でありますけれども、單に国債償還費の中から出せというだけの指令であつたといたしますならば、私はやはりこのことは国会審議にかけて、そしてどの程度経費がいるからどれだけ出すのだということを私は国会に諮るべきもの、そういうふうに考えております。その点どうですか。
  23. 池田勇人

    池田国務大臣 私はその必要はないと思います。債務償還費につきましては国会の承認を得たのであります。しこうしてマツカーサー元帥指令によりまして、債務償還費から出せ、こういうことになりましたので政府の責任におきまして、債務償還費のうちから政府は計算して出したのであります。
  24. 黒田寿男

    黒田委員 こうなつて来ると議論になりますが、私どもはそういう場合にも、政府がかつてにこれだけいるというように計算して、債務償還費の中から政府考えだというだけの理由でそれだけの額がいる、こういうようにして費用をどんどんと流用して行くということになれば、財政における民主主義というものを蹂躙したものである、私ども在そういうように考えるのであります。あの支出というものは一体財政法によつたものでございますかどうでありますか。その点をお伺いいたします。
  25. 河野一之

    河野(一)政府委員 マツカーサー指令によりまして七万五千の警察予備隊、それから、海上保安庁につきましては八千人、これだけのものについての経費債務償還費から出せ、こういう指令があつたのであります。それに基きまして具体的にその金額を計算いたして関係方面とも打合せの結果、あの政令が出たわけであります。この政令根拠につきましては、財政法にそういう移用規定がありまして、その規定によりますと同一の款項内においては移用ができる、この財政法三十三條の特例として出しました次第でございます。参考までに過去の前例を申し上げるわけでありますが、前年におきまして貿易会計勘定を二つにわけました際におきまして、すなわち援助物資勘定とそれからコマーシヤル勘定との両方に一つ勘定をわけましたときに同じくポツダム政令でもつて移用措置を講じた例があるのであります。それと同じように財政法特例従つて予算執行上の措置としてポツダム政令を出したのでありまして、憲法上何ら違反ではないと考えております。
  26. 黒田寿男

    黒田委員 この点につきましては結局議論になると思います。一応河野主計局長の方からそういう御説明がありましたので、私はこれに対しましてはいろいろ疑問を持つておりますけれども、この点はこれ以上ここで討論をしないことにして次に進みたいと思います。まだしかしこれだけの質問討論ではやはりインヴエントリー・フアイナンスの五百億円の将来のものにつきましての私どもが抱いております懸念が拂拭されないのであります。しかしこれもこれ以上論じては議論になりますからやめますが、ただ私のきようの質問趣旨は、これが将来実現しなければけつこうだと思いますが、大蔵大臣国会において御説明になりましたような意図以外のものに、使用されるようなことになるのではなかろうかという懸念を持つておりますのでこれだけのことを論じてみたのであります。  なおいま一つついでにお聞きしておきたいと思いますことは、昨年度及び本年度におきまして終戰処理費と対日援助費との差額が要するに終戰処理費としての支出の方が相当に多額なつておるという事実があるのでありまして、現在他のいろいろな原因と相結合いたしまして、ここからわれわれの恐れておりますインフレというものが起つて来るのではなかろうか、こういう懸念を私ども持つております。     〔西村(久)委員長代理退席委員長着席〕 きようはインフレ要因について一々指摘することはやめます。ただ終戰処理費と対日援助費用との差額の問題についてだけ、一応御見解を承つておきたいと思いますが、数字はもう私から大蔵大臣に申し上げることは必要がありません。要するに二十五年度も二十六年度も、援助費よりも終戰処理費の方が、多額支出されるということになつておるのでありまして、従つて日援助費より終戰処理費の方が超過いたしました部分だけは、援助物資見返り資金のうち、非生産的な支出なつて、これがインフレ原因になりはしないか、私どもこういう懸念を持つておるのであります。この点につきまして大蔵大臣の御意見を承りたいと思います。
  27. 池田勇人

    池田国務大臣 御質問の点がはつきりいたさないのでありますが、昭和二十六年度に支出予定いたしておりまする終戰処理費と、それから対日援助費、これは関連が違います。この終戰処理費援助費とに関連があるというお考えがすでに誤つておるのであります。関連はございません。これはよくそういう議論を聞くのでありますが、対日援助費というのは、アメリカが日本を占領しておる関係から出る金であります。そうしてまた終戰処理費降伏條項によつて出る金でございます。関連性があると考えるのが誤りであるのであります。しこうして終戰処理費の方が対日援助より多いから、インレの原因になるという即断は、私はどうかと思います。
  28. 黒田寿男

    黒田委員 関連があるかないかということも議論になることだと考えます。私ども関連があるというように解釈しておりますから、ただいまのような質問をしたのでありまして、幸いにそれがインフレ要因にならなければよろしいのであります。しかし私ども援助費終戰処理費との差額分だけは、非生産的支出といたしましてインフレ要因になるという見解を持つておりますので、大蔵大臣の御意見を承つたのであります。しかしこれも意見相違としておきます。いろいろ問題がありますが、先ほど申しましたように、日程が後日に讓られておるものがありますから、他の野党の諸君とともに、そのときに讓りまして、一つ今日お伺いしておきたいと思いますことは、それは今日までいろいろ二十六年度の予算につきまして、この委員会審議されまして結局今までいろいろ、研究した結果によりますと、この予算案を作成されました当時と現在とでは、物資関係及び物価の情勢が非常にかわつて来ておりまして、結局この予算のままでは、この予算で予定せられております事業計画経費不足という理由から、予定通りに実現できない、こういう結論に私どもは到達しておるのであります。大蔵大臣は二十六年度の予算特徴一つといたしまして、財政規模を縮小したということを指摘しておられますけれども、私ども今日まで審議関係いたしました結果から見ると、この予算意図されております事業計画を遂行するためには、どうしても追加予算が必要である。もし追加予算を計上しなければ、結局事業内容を縮小するよりほかない、こういうように考えられる。そこでこの点について私どもそういう結論に到達したのでありますが、大蔵大臣のお見込み違い、見通しの誤りというようなものがなかつたかどうか。率直に申しますと、私どもそういうように考えておりますが、これでやつて行けるかという問題であります。
  29. 池田勇人

    池田国務大臣 財政演説の場合に申し上げておきましたように、昭和二十五年度におきましては、前年度に比べまして八百億円程度財政規模の縮小ができたのであります。しこうして昭和二十六年度におきましては、前年度に比べまして七十一億円の財政規模の縮小をするのだ、前年に比べて十分の一程度だが、財政規模の縮小にはなる。しかし片一方で国民経済、国民所得の増加を見ますると、相当の縮小になるといえる、こう言つておるのであります。しこうしてただいまのところでは私は大体この予算でやつて行けると思いまするが、国際情勢のいかんによりましては、補正予算を組む場合がございましよう。しかしそのときに日本経済の規模、国民所得の状態がどうなるかということを考えて行きますと、私はたとえ数字ではふえても、規模の縮小には極力努めて行きたいと考えておるのであります。
  30. 黒田寿男

    黒田委員 大体大蔵大臣の御見解も、このままの予算の規模では、ことしは乘り切れないという事態が起り得るというようなお見通しもあるようであります。しかし私はそういうようにぼんやりしたことではなくて、今私ども数字を計算してみても、もうこれではだめだ、とても乘り切れぬ、そういうことがすでにはつきりしておると思うのであります。たとえば食糧の——これはいろいろ事例をあげることができますけれども、食糧の輸入並びにこれに関する補給金問題を一つだけ取上げてみましても、私どもそのことが言えると思うのであります。政府がこの予算編成をいたされますときに見込まれた輸入食糧の單価と、今——将来のことは言わない、今でもすでに大きな開きができておる。小麦にいたしましても、大麦にいたしましても、米にいたしましても、相当の開きがすでに出ておる、こういうことになつておりますから、そこで補給金にいたしましても、また輸入価格にいたしましても、とうていこの予算に計上されております額では、予定通りに行かない。農林省の方では、大体二百億円ぐらい不足するというように見ておるようでありますが、この計算は多少の差が出るような計算ができるかわかりませんが、私は将来のことを言つておるのではありません。今すでに現実に私ども見ております外国の食糧価格の騰貴ということで、もうこれでは足らない。予定通り輸入しようと思えば、追加予算を出さなければならぬし、このままで行こうと思えば、輸入の規模を縮小するよりしかたがない。しかしわが国の現状から申しますれば、できるだけあらゆる方法を用いて、今食糧を輸入しておくべき時期であると思いますから、足りないからやれるだけ輸入しておけばよろしいというのでなくて、できるだけ輸入しておくという必要があるようになつて来ておる。これは私自身朝鮮事変の起ります前とあとでは、大分事情が違つておると思いますので、輸入の問題につきましても、情勢に応じた見解を持つておるのでありますが、今できるだけ輸入しなければならぬというときに、どうも私どもの計算では、心すでに不足だ、予定通り行かないということを見ておるのであります。この点いかがでしようか。
  31. 池田勇人

    池田国務大臣 補正予算の問題でございますが、二十四年度におきましても、二十五年度におきましても、補正予算を実は組んだのであります。昭和二十六年度において補正予算を組むかどうかは、今後の状況によつて考えなければなりません。しこうして今お話のように、昭和二十六年度に三百二十万トンの食糧を輸入する場合に、最近麦、米の値段ということよりも、運賃の値上りによりまして、お話のように三百二十万トン輸入するとすれば、今の状況では足りません。二百二十五億では足らず、三百七、八十億円いるという計算に相なつておるのであります。しかるところわれわれとしては船賃が上らないで、また小麦協定に入りまするならば小麦自体が安くなります。そういう関係を顧慮いたしまして、ただいまのところは、これでやつて行こうといたしておるのであります。しかしお話の通りにこういう状態でありますから、本年は予定通り入りませんが、来年はぜひとも三百二十万トンの目標通りに入れるように努力いたすと同時に、その後におきまして金が足りなくなつたならば、それはそのときに考えればいいのであつて、今急いでどうこうする必要はないと考えております。     〔委員長退席、上林山委員長代理着席〕
  32. 黒田寿男

    黒田委員 結局結論を言えば、この予算では予定通り行かぬ、私はそういう結論が出ると思います。なお他の公共事業費等につきまして申し上げてみてもよろしいけれども、これは省略いたします。  要するに私どもは結論として、現在の価格の上昇の状態というものから見ただけでも、すでにこの予算案は破綻しておる、このままではもう一角がくずれておる、こういうように考えておるのであります。しかしこれはそれだけの意見を申し述べまして、今までの大蔵大臣の御答弁を、私はさつき申しましたように理解しておるのでありますが、さらにもう一つだけお聞きしておきたいと思いますが、この間、十九日に経済閣僚懇談会が開かれまして、いろいろと当面の問題、統制問題等ついて検討せられたようであります。しかしこの問題につきましては、先ほど申しましたように、日をあらためて総合的に、野党各派で集中的に質疑応答を行うということになつておりますから、私は本日はこの問題について深く入ろうとは思いませんが、ただいま大蔵大臣に御答弁をいただきましたものと関連した部分につきまして一つだけ政府の御方針を承つておきたい。それはやはり統制の問題でありますが、これも後日あらためて深く論ずることにいたしまして、今食糧の問題につきまして、大蔵大臣のお見通しのようなところから行きますと、自由党の内閣が従来根本方針としておりました自由主義経済への復帰と申しますか、そういう方針が客観的伊勢の変化ということによりまして維持できなくなつたのじやないか。これを大きく転換しなければならぬ時期に際会しておるのでけないか。こう私ども思うのです、冒頭の質問におきまして、準戰時体制とは考えない、やはり自由主義経済の方に進んで行く、こういうような趣旨のお話であつたようでありますけれども、あまりやせがまんを言わないで、やはりこの際自由党の自由主義経済方寸には大転換をする必要が今迫つておりはしないか。ただいまの食糧の問題につきましても、私は自由党が今まで考えておりましたような統制解除の方向に向けて、容易に、安易には進めない、こういうように考えるのであります。この点だけ根本論といたしまして、大方針だけきようは承つておきたいと思います。
  33. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど申しましたように、大転換をするときとは私は考えておりません。
  34. 黒田寿男

    黒田委員 それではこの点は議論になりますから、また後日あらためてこの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、野党各派でもう一度政府の御所信を承るということになつておりますから、きようは私はこれで中止いたします。
  35. 上林山榮吉

    ○上林山委員長代理 この際暫時休憩いたします。     午後三時四十九分休憩      ————◇—————     午後三時五十七分開議
  36. 小坂善太郎

    小坂委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中曽根康弘君。
  37. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 時間がございませんので、大蔵大臣に二点だけ質問をいたします。説明していただくだけでけつこうであります。  まず第一は、最近の新聞に講和後の日米経済の提携についていろいろ報道されておりますが、大体各紙に出ていることは、日米経済合同委員会というようなものをつくつて、それによつて原料の割当あるいは経済協定の問題、あるいはその他の協力関係を協議しようという構想であります。講和後にどういう形態のものができるかわかりませんが、その問題に関連して、われわれが現存最も関心を持つているのは、物資の国際的割当の問題でありまして、そのようなものが講和前にできることが望ましいと思うのであります。そういう観点から、日米経済合同委員会というようなものの構想を私は非常に重視しておるのでありますが、ダレス氏の来訪に引続いて、講和前、講和後の日米経済の提携及び物資の割当等について、大蔵大臣はいかなるお考えをお持ちでありますか、御説明をいただきたいと思います。
  38. 池田勇人

    池田国務大臣 この問題は私は実は知らないのであります。新聞にあるというのをちよちよい散見した程度でありまして、国務大臣としてお答えするだけの材料を持つておりません。
  39. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 知らないならしようがありませんが、次に同じく新聞に出ておりました呉工廠の買收の問題であります。ナシヨナル・バルク・キヤリヤー・カンパニーでありますか、これが買收の意向を持つておるということを大蔵大臣が正式に新聞に語つておるようであります。この買收の問題を少し調べてみたのでありますが、これは日本の重工業の将来のあり方に関係するようなものも含まれておるように考えます。この両者の話いというものが、現在どのような條件で進んでおるか。特にわれわれが関心を持つておるのは、あれは工廠であるから兵器その他の製造に充当される性質だと思うのであります。そういう観点からして、一体どういう仕事にあれが使われるか、それから十年、十五箇年後に返還するという話でありますが、その返還に伴つて何か條件がつくのか、あるいは買收価格で開いておるために、まだ寄付ができないという状況であるようでありますが、買收価格その他の点はどういうふうに考うべきであるか、この三点について承りたいと思います。
  40. 池田勇人

    池田国務大臣 先週の水曜日だつたかと思います。今お話の会社の代表社が参りまして、呉海軍工廠のドツクを買いたい、こういう申出がありました。検討の結果、私は條件づきで売つてもよい、十年かあるいは十五年の後におきましては日本政府に返す、こういう條件で売つてもよいというので、今売る考えで値段の折衝に入つております。向うの計画では——御承知の通りあのドツクは、六万トンあるいは五万十ンの船の製造に適したものでございます。向うでは、聞くところ、タンカーをつくりたいという意向を持つておるようであります。
  41. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 タンカーという話でありますが、あのドツクは元来タンカーにあまり向かないのでありまして、工廠ですから、主として戰闘に使う船をつくつておつたようであります。そういう方面に使われるということになると、それがいい惡いは別の問題でありますが、将来日本の産業の各分野に影響が出て来ると思うのであります。そういう点については、大蔵大臣は別に承知しておるところがございませんか。
  42. 池田勇人

    池田国務大臣 私は、タンカーをつくると聞いておるのであります。六万トンを二隻、五万トンを十隻ばかりと聞いております。数字は少し異動があるかもしれませんが、そういう計画のように聞いておるのであります。私は向うの人たちには一回会つただけで、事情け專門家に、事務当局の方でいろいろ聞かせまして、今せつかく折衝を重ねておるところであります。
  43. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その契約の当事者となるのは、こちらの方は大蔵大臣になりますか、それともほかの機関になるのでありますか。
  44. 池田勇人

    池田国務大臣 大蔵大臣になると思います。
  45. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 一番大きな問題は、価格その他の條件であります。現在こちらの価格というものは公にできないかもしれませんが、向うが言つておるのは六十五万ドルとか十五万ドルとかいう話ですが、向うは一体幾らの値段を申入れておるわけですか。
  46. 池田勇人

    池田国務大臣 その数字は折衝中でございますから、言わぬ方がいいのじじやないかと思います。私は、金額の点上りも、とにかく十年あるいは十五年でこつちへ返す、それを先決に考えておるのであります。この前の話では、向うでも実は使用料を拂つて行きたいという考えであつたけれども、やはり一応買つた方がはつきりしていいのじやないか、しかし日本政府の希望によつて十年あるいは十五年でお返ししましよう、こういうことであるのであります。従いまして十年あるいは十五年で日本政府に返すということになれば、この金額の方も近寄つて来ると私は考えております。
  47. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 買收される場合は、その従業員や現在の状態というものは、そのまま継承されるという條件で話が進められておるのでありますか。
  48. 池田勇人

    池田国務大臣 中曽根君は御承知であるかどうかわかりませんが、呉の海軍工廠の跡は非常に厖大なもので、今話に一つておるのは三つのドツク——ほかに造船の分も相当の施設がございまして、私が今承知いたしておりますのは、あの三つのドツクとその附属設備、こう考えております。しこうして、今あのドツクはときどき修繕に使う程度度で、これにきまつた従業員はあまりいないのじやないかと思います。何人あのドツクで使つておりますか存じませんが、今従業員でドツクの保存その他に従事しているのはごく少いのじやないかと思います。
  49. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 あと一点だけお伺いいたしますが、十年ないし十五年後に、無條件で返還されるという話合いでありますか、それとも多少有償で、向うの施した施設に対しては拂込まなければならないというような條件でもついておるのでありますか。
  50. 池田勇人

    池田国務大臣 その点はただいま折衝いたしております。しこうしてそのドツク自体につきましては、無償で返すということを主張いたしたい。しかしそのドツクの使用に対しまして、向うが他に設備した場合におきましては、その設備については特約を結ばなければならぬと思います。
  51. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 これでやめます。
  52. 小坂善太郎

    小坂委員長 林百郎君に関連質問を一点だけ許します。
  53. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほどの黒田委員質問の中で、援助資金と終戰処理費関係があるという考え方は、間違いだという池田大蔵大臣のお話ですが、援助資金が少くなつたということは、それだけ援助する必要がなくなり、日本経済の自立が達成され、占領の目的が達成されたことだと思うのです。アメリカの援助が必要でないというくらい、日本の国の自立ができたならば、占領目的が達成されただけ、占領費が減らされるのは当然だと思います。国民のふところ勘定からいえば、援助が減るほど自立が達成された以上は、終戰目的も達成されたのだから、終戰処理費も少くして、国民の負担を少くするというのが私は当然だと考えるのであります。この点大蔵大臣と問答していても納まりがつかないので、そこで私のお聞きしたいことは、終戰処理費で設けた施設やいろいろあるのでありますが、これは講和後はどういうふうになるのか。そのまま日本の国へ無條件で返還されるようなことになるのか、あるいは向うが貸與するという形になるのか、これが第一点。  それからこのたびの講和の交渉で、援助資金の問題については、どういうような話合いをしているのか。これはやはり債務として取立てられるのか、あるいはいろいろ経済的な関係で相殺されてその取立ての問題は起きないのか、その交渉がなされているかどうか、また大蔵大臣の希望が述べられたかどうか、これが第二点。  最後に第三点として、もし援助資金を取立てるということになりますと、国民のふところ勘定からいうと、また援助資金に該当するものを出すというわけに行かない、見返り資金が援助資金の担保になつていると思うのでありますが、援助資金の取立てというような問題が起きた場合に、見返り資金の投資先——見返り資金にはいろいろ特約條件がついておりますが、やはり見返り資金の投資先のいろいろな産業が担保として考えられているか、この三つの点にお聞きしたい。  第一は、終戰処理費で設けた施設は、講和後日本の国に当然無條件に返還されるのか、あるいは貸與するとか、向うの軍隊がいる場合は向うが継続して使うというような話合いになつているのか。第二は、援助資金の問題についてはどう交渉を続けられているか。講和も近づいたというような話を聞いておるのでありますが、その交渉をどうするか。第三は、援助資金の取立てというようなことがある場合に、見返り資金の投資先になつている産業は一種の担保として考えられるのか。この三つの点をお尋ねいたします。
  54. 池田勇人

    池田国務大臣 第一の点につきましては、日本の金でやつたものでございますから、原則としては日本のものになると考えておりますが、これは講和條約のときにきまる問題だと思います。  第二の援助資金につきましては、先ほど来申し上げておりますように、債務と心得ております。  しこうして第三の、もし債務となつた場合に、見返り資金から出た分は直接担保になるかという問題につきましては、御承知の通り見返り資金昭和二十四年度からでございます。一十一年、二十二年、二十三年は、実は輸入補金金その他で使つてしまつたので、二十四年から後の問題でございます。私は、講和條約のときにきまる問題だと思いますが、これも質問応答でやつたように、日本政府の金として貸しているのでありますから当然債務と心得ているものの肩がわりになる、担保になるということはないのではないかと思つております。こういう問題は講和條約できまる問題であります。しこうして最後にこの問題についてダレス氏と私と話をしたか、話いたしておりません。
  55. 川島金次

    ○川島委員 見返り資金の問題が出ましたので、ついでに一つお伺いいします。この見返り資金の特別会計の予算で、二十五年度から二十六年度へ繰入れられます剰余金の予定額は五百二十七億六千七百万円ということに明記されております。二十五年度から二十六年度に繰入られる剰余金、見返り資金計画、それが最近伝えられるところによりますれば、政府見返り資金の活用がきわめて暖慢なために、相当額が二十五年度から二十六年度へ繰入れになるだろう。一説によりますれば、八百億円以上に上るのではないかというようなことなども言われておりますが、その点で大臣御承知でありましたならば、この機会に聞いておきたいと思います。
  56. 池田勇人

    池田国務大臣 五百数十億円の繰入れというのは当初予算でそうなつておりまして、別に五百億円の債務償還を計画いたしております。しかるところ見返り資金からの五百億円の債務償還はとりやめまして、一緒に二十六年度へ繰越す予定にいたしております。従いまして二十六年度への繰越額は千二、三十億円から千百億円程度に相なるのではないだろうかと思います。
  57. 小坂善太郎

    小坂委員長 この際お諮りいたします。先刻の理事会決定によりまして、明二十三日日本発送電会社総裁小坂順造、藤田電気産業労働組合委員長、この両名を参考人として意見を述べてもらうために来場を求め工はいかがという議が出ておりますが、これにつきましては御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 小坂善太郎

    小坂委員長 御異議がなければさようとりはからいます。  なおこの際、これと同時に公益事業委員会委員長松本烝治、同副委員長松永安左ヱ門、両名を呼びたいという話もあるのでありますが、両名は政府委員でありまするから、これまた同様の手続をいたしたいと思います。  さらに二十五日東銀短期債に関連いたしまして、大阪銀行副頭取堀田庄三、帝国銀行頭取佐藤喜一郎、第一銀行副頭取酒井杏之助、復興金融金庫理事長工藤昭四郎、朝日新聞論説委員土屋清、日本経済新聞論説委員円城寺次郎、第一物産株式会社社長新関八洲太郎、協和交易株式会社長久保出幾之助、東京商科大学教授高橋泰蔵、日本銀行総裁一万出尚登、以上の十名を参考人として当委員会に出席を求めたいという議があるのでありますが、これについてお諮りいたします。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 小坂善太郎

    小坂委員長 御異議がなければさようとりはからいます。
  60. 宮幡靖

    宮幡委員 ただいまの委員長からの御報告は、当委員会の議事運営の理事  会の議に諮つてのことでありますか。
  61. 小坂善太郎

    小坂委員長 その通りでございます。
  62. 宮幡靖

    宮幡委員 その根本的な問題について私は異議をさしはさむのではないが、どうか委員長のもとによき委員会の運営があつてほしいと希望しておる一人であります。理事会のおきめに対して直接異議はさしはさみませんが、少々深く掘り下げて考えてみますると、はなはだわがままの言い分になるかもしれませんが、若干の疑問が生じないわけには行きません。目先の問題にいたしましても、東銀債の問題にいたしましても、ただいま審議を急いでおります昭和二十六年度の予算案それ自体とは直接関連はありません。しかも地方選挙も控えておりまして、予算案の成立はきわめて急がなければならない事態であると思う。これは與野党を通じて共通な観念であろうと思います。その場合におきましては、すべからく質疑を促進いたしまして、そうして所要の手続を終えまして予算の成立に邁進すべきである。しかして残余の会期を利用いたしまして日発問題、東銀債問題もゆるゆる本員会で検討されてさしつかえないだろう。はなはだ順序がかわつていると思う。その点につきましては委員長及び理事のおとりはからいでありますから、そのおきめを私はくつがえして反対はいたしませんが、将来当委員会の運営の点におきまして十分御留意せられまして、本末を転倒しないようにしていただきたい。(「前例があるよ」と呼ぶ者あり)前例があろうと、惡例はわれわれとして正してもらはなければならないというきつい法意を持つている。従いまして直掛関係のないものを先に取上げまして、かんじんな二十六年度の予本案の審議を遅延せしめるというような方向は、われわれはたとい先例がございましても断固反対せなければなりません。われわれは理事会のおきめに対しまして敬意を表したい、かような意思で委員長に希望的に申し上げておるのに、あえてそれを御採用にならないとすれば、われわれはたとい理事会決定であつても、一応反対の意思を表明せざるを得ないような遺憾な状態も生れるかもしれません。どうぞこれを御考慮に入れられまして、今後運営をはかられたい。従いまして理事会でおきめくださいました日程はことごとくこれを尊重遵守せられまして、今後におきまして、みだりに妥協とかあるいはその他の方法によりまして、神聖なる理事会決定を再びくつがえさないように、くれぐれも委員長においておとりはからいあらんことを切望しておきます。どうぞお願いいたします。
  63. 小坂善太郎

    小坂委員長 宮幡委員よりの御意見はまことにごもつともでありまして、委員長といたしましても同感の点が非常に多いのであります。御意見のようなことでございまするので、二十五日は日曜日でございまするが、特に御奮発を願いまして御審議を願つておるような次第でございます。ただいまの宮幡委員の御意見にはまことに妥当なる点が多いのでありまして、ことに多数党でありまする自由党の各位が、少数党の野党の御意見を尊重されるために、まげてこの御審議を推められることに多大な敬意を表したいと思います。御意見の点十分委員長においで考えて進みたいと思います。  本日はこの程度にいたしまして……。
  64. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 ちよつと宮内庁次長が見えていますから……。宮内庁次長にお尋ねいたしたいと思います。第一は本年は皇太子殿下が成年に達せられる年でありまして、われわれ日本国民といたしましても、皇太子殿下の成年を非常に喜ぶのでありますが、これに対して宮内庁といたしましてはどういうふうな、式典といいますか、国民の慶祝の意を表わし、かつ皇室においても喜びの意を表わすというような措置をお考えなつておりますか、まずお尋ねいたしたい。
  65. 宇佐美毅

    ○宇佐美政府委員 お答えいたします。本年の十二月二十三日に皇太子殿下には成年にお達しになるのであります。成年式を行わせられまするように事務当局といたしましては考えまして、本予算案にも予算をお願いをいたしておる次第でございますが、従来は皇室令で成年式令という規則がございまして、それによつて行われたのでありますが、現在新憲法実施後におきましては、これはもはや適用になりません。また実情から申しましても、新しい式典ということを考えるということで目下事務的には進めております。まだこうという順序で申し上げる程度に進んでおらないのであります。
  66. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その皇太子殿下の成年のお祝いのために、予算案で幾ら計上してありますか。
  67. 宇佐美毅

    ○宇佐美政府委員 予算といたしましては賜餐と御服の費用等七十万円ばかり………。
  68. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 この問題は国民全体の関心の問題であると思いますので、宮内庁次長のもう少し明確な御答弁をお願いしたいと思うのであります。ただいまのお言葉によりまして賜餐をおやりになるということもわかりました。それからそのために新しい何かの御服をおつくりになるということもわかりました。御服というのは昔の衣冠束帶というか、そういうような御服を意味するのか、あるいは近代的な洋服を意味するのか。あるいは賜餐の場合にはどういう人を呼んで賜餐をなさるのか。あるいは国会議員、あるいは内閣の者を呼ぶだけか、国民一般草葬の臣の代表と目されるような孝子節婦を呼ぶのか。そういう全国民の今聞きたいと思つていることについて、もう少し明確に御答弁願いたいと思います。
  69. 宇佐美毅

    ○宇佐美政府委員 予算案をつくりました当時におきましては、予算といたしまして現われましたのは、成年式後におきまする饗宴、それと服裝と申しますのは、古来からございます成年式の裝束等を一応予定いたしておるのでございます。この祝典の趣旨は、新憲法の第七條による国家の儀式として行いたいということを考えておりましてこれにはもちろん政府としての決定をいたさなければならない問題で、またそこまで進んでおりませんので詳しく申し上げかねるわけでありますが、いずれにいたしましても、新しい時代の新しい成年式として国民の代表も加えていたしたいということを、事務的には今検討いたしておるわけであります。
  70. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 国会は全国民の代表の機関でありますし、現在国権の最高機関となつておりまするが、国会議員、あるいは国会として国民としての祝意を表わすために、東京都その他の自治体と連合して祝意を表するような行事をやろうとした場合に、皇室におかれてはそういうことをそのまま喜んでお受けいただくことができるでありましようか、この点もお尋ねしたいと思います。
  71. 宇佐美毅

    ○宇佐美政府委員 おそらく喜んでお受けいたすようになるかと存じます。
  72. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 第二の問題をお尋ねいたしますが、それは正倉院の問題であります。日本の文化財を保護するということが最近やかましく言われておりますが、あの校倉造の正倉院を不燃性にしようというので、何か施設をやつておられるようでありますが、現在どういうような施設をおやりになつて、どの程度に進行しておりますか。
  73. 宇佐美毅

    ○宇佐美政府委員 正倉院の倉庫は、御案内の通り千三百年の歴史を持つ校倉式の木造建築でございまして、万一の火災等のことを顧慮いたしまして、これを鉄筋構造による、また温度保存上万全を期したものを建造いたしたいという趣旨をもちまして、本予算に二千万円上程いたしまして御審議をお願いいたしておる次第でございます。ただこの計画当時から見ますと、昨年下半期の建築資財の騰貴、その他その後の万全な計画に基きますると、多少予算的にも不足を見るのではないかという点もございまして、いずれにいたしましてもかけがえのない秘宝でございますので、これを保存いたすために目下さらに検討を加えておる次第でございますが、将来不足等の問題が起りますれば、また財政当局とも話合いをいたしまして、御審議をお願いするようになるかもしれませんが、目下のところそういつた意味におきまして、万全の準備を進めておる次第でございます。
  74. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 もう少し詳細に承りたいと思いますが、鉄筋コンクリートでどういう工事を今施行されておられるか。それから物価がすでに予算を策定したころと四割近く違つておりますが、当初の計画を完全に実現するとしれ二十六年度予算で大体幾らくらいの不足が見込まれるか、大体の見当をお知らせ願いたいと思います。
  75. 宇佐美毅

    ○宇佐美政府委員 この予算はまだ成立いたしておりませんので着手はいたしておりません。計画をいたしておるわけでございますが、予算が現在通りでございますと、坪数を非常に縮小しなければ完成いたさないと思います。ただいまございます宝物を大体において收納するのに約二百数十坪の建物がいると思いますが、これを最近の單価及びもつと防火上あるいは温度保存上の問題を考えますると、一応事務的には三千五百万円くらいに少くともなるのじやないかという計算をいたしておるのであります。これはまだ財政当局とも話し合つた数字ではございませんが、一応そういう計算をしております。
  76. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 正倉院の問題はそれで打切りまして、最後に一点皇太子殿下の御教育の問題を承りたいと思います。皇太子殿下の御成育ぶりは、国民全体がひとしく喜んで見守つておるところでありますが、現在皇太子殿下に対する御学問、教育と申しますか、それから徳育と申しますか、そういう点ついてどういうような具体的なやり方をおやりになつておりますか、承りたいと思います。
  77. 宇佐美毅

    ○宇佐美政府委員 皇太子殿下には現在学習院の新制高等学校の二年に御在学中でございまして、常盤松御殿並びに小金井にございまする学習院の寮に一週のうち四日くらい学生とともに起居をせられておるのでございます。特に皇太子殿下の御教育につきましては、御学問所、あるいは特別な御学友というものを設けませんで、一般の学生とともに教育にいそしまれるということを建前にいたしておるのでございますが、なおその教育に支障ない範囲におきまして、歴史でございますとか、美術、音楽、語学、その他御修養に必要な科目につきまして随時講義を聞かれておるのでございます。特に格段の設備を設けず、一般の学生生活を十分にお味わいになり、またそれ以上に必要なものにつきましては、随意科目をもつて御教育に当つておる次第でございますが、やがて大学に進まれることと存じますが、大学におきまする問題は、なお相当考慮を要する点もございまして、目下まだ一年有余の問題でございますから、いかにしたらよいか検討をいたしておるところでございます。幸いにきわめて御健康に御成育あそばしておりますことを心から喜ぶ次第でございます。
  78. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 大学のことは別にいたしまして、現在の御教育についてお聞きしたいのであります。昔は主任の傅育官と申しますか、責任をもつて御指導申し上げる人がおつたと思うのでありますが、現在そういう人がおいでになりますか、それがいるかいないかという問題。それからたとえば歴史学についてはこういう人の講義も聞いている、あるいは文科についてはこうだ、英語についてはこうだ、皇太子殿下はアメリカのある方からアメリカへ行きたいかイギリスヘ行きたいかと聞かれたとき、イギリスへ行きたいと言われたということが新聞に出ておつたのを私は覚えておるのですが、これは私は非常に興味を持つて聞いておる。そういうような思想と申しますか、考え方をだれから皇太子殿下は受けられておるか、こういう点についても、しさいに知りたいのでありまするが、御教育の内容をもう少し個別的に御説明願いたいと思います。
  79. 宇佐美毅

    ○宇佐美政府委員 皇太子殿下には傅育官が約四、五名おつきいたしておりまして、それぞれ日常生活におきましても、皇太子としての御成長をお助け申し上げておるわけでございます。その他具体的に名前を申し上げますと、小泉信三博士等随時御教導にあたつておるわけでございますが、なお英語につきましてはヴアイニング夫人のあとをローズ女史が受けまして、英語の御教導に当つておるわけでございます。ただいま最後のお話のは、別段どなたからの暗示ということでなく、皇太子様おみずからのお心と私は考えます。
  80. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 もう一点お尋ねいたします。昨年私はスイスのMRAの大会に行きまして、各国の青年やあるいは有数な人々に交わる機会を得たのでありますが、あのMRAの会合は道徳運動でありまして、特定の宗教運動ではない、しかもヨーロツパのMRAの大会へ行つて、世界の人々から聞いてみると、日本の皇室制度というものは、やはりまだ誤解されている。天皇は、ほんとうに天上から下へくだつたのかなどという質問をする者すらあつた、その中にあつて私たちは皇太子殿下の御発言ぶりを世界の人々に申し上げて、大いに向うの人々を納得させたのでありまするが、ああいう道徳運動に対して日本の皇太子様が御関心を寄せるということは、国際的にも非常にいいことであるだろうと思うのであります。これは特定の宗教運動ではありません。そこでもしそういうような大会が、アメリカやあるいはヨーロツパで行われる場合には、皇太子殿下もひとつあそこへ御出席を願つて、世界の人人と一緒に交わつつて世界の人々と一緒にさら洗いもするという修業もしてみることが、民主日本の象徴たる皇太子殿下にとつて、非常にけつこうなことであると思いますが、そういうような機会を設けることについて、宮内庁当局はどういうふうにお考えになりますか。まだ時期尚早と考えますか、あるいはすでにその時期が来て、行つてもよろしい、あるいはそれを希望するか、そういう点についてもお答え願いたいと思います。
  81. 宇佐美毅

    ○宇佐美政府委員 皇太子殿下の御外遊につきましては、ただいま何ら問題になつておりません。将来の問題といたしまして、御意見を拝聽いたしておきたいと思います。
  82. 川島金次

    ○川島委員 河野さんがおりますから、先ほどの大蔵大臣の答弁について続いてお尋ねしたかつたのですが、聞きはぐりましたから一点お尋ねしておきます。対日援助見返資金特別会計によりますれば、先ほど私が大蔵大臣にお尋ねしたときに、二十五年度からの剰余金が繰入れとして五百二十七億円ある。しかしそれが八百億円あるいは一千億円になるのではないかというお尋ねに対して、大蔵大臣は一千億円以上になるだろうと言われた。そういうことになりますと、こういうことに了解してよろしいでしようか。ここにありまする見返資金特別会計の歳入の部が千百九十四億円、それに先ほど大蔵大臣の話された五百億円を加えて千六百九十四億円、二十六年度には見返資金特別会計への繰入れがあるということに予定されるということになるのですか。その点と、そういうことになりますれば、予算のクツシヨンとしてここに掲げられておりまする七百五十四億円の経済再建費は、実は千二百五十四億円あることになるということに了解してよろしいのでしようか。その点をひとつ説明をお願いしたいと思います。
  83. 河野一之

    河野(一)政府委員 大体川島さんのおつしやつたことで間違いないのでありますが二十五年度の債務償還五百億円、これは大体今のところの計画では、翌年度にこのまま現金が繰越して行く予定にいたしております。これは当初もちろん償還をする予定であつたのでありまするが、外為会計における拂い等の点から考えまして、債務償還をいたさない方がいいだろうというような考え方になりまして、翌年度に繰越すことにいたしておるわけであります。従いまして前年度剰余金がそれだけふえるのでありまするし、経済再建費は、これはクツシヨンというわけではございませんが、このうち約二億円ほどが脱脂粉乳あるいはCIE図書館費だつたと思いますが、いわゆる予備的なものであります。五百億円を繰越しまして、さらにそれでもつて債務償還をいたすか、あるいは積極的な歳出にいたしますか、その点につきましては、情勢の推移を見てきめるという考え方でございます。
  84. 川島金次

    ○川島委員 そうすると、重ねて簡單に尋ねておきますが、先ほどお尋ねいたしました通りに、経済再建費は、要するに千二百五十四億円あると、理解してよろしいということになりますね。
  85. 河野一之

    河野(一)政府委員 実行上そういうことに相なろうかと思つております。
  86. 小坂善太郎

    小坂委員長 本日はこの程度にいたしまして、明日は午前十時半より開会して質疑を続行いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十七分散会