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1951-02-13 第10回国会 衆議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十三日(火曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 小坂善太郎君    理事 有田 二郎君 理事 橘  直治君    理事 西村 久之君 理事 橋本 龍伍君    理事 川崎 秀二君 理事 川島 金次君    理事 林  百郎君       麻生太賀吉君    天野 公義君      小野瀬忠兵衞君    角田 幸吉君       北澤 直吉君    久野 忠治君       坂田 道太君    塩田賀四郎君       庄司 一郎君    塚田十一郎君       田口長治郎君    永井 英修君       中村  清君    中村 幸八君       井出一太郎君    今井  耕君       中曽根康弘君    戸叶 里子君       西村 榮一君    水谷長三郎君       横田甚太郎君    小平  忠君       小林  進君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         文 部 大 臣 天野 貞祐君         農 林 大 臣 廣川 弘禪君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         農林事務官         (大臣官房会計         課長)     伊東 正義君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 二月十三日  委員苫米地英俊君辞任につき、その補欠として  田口長治郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計予算  昭和二十六年度特別会計予算  昭和二十六年度政府関係機関予算     —————————————
  2. 小坂善太郎

    小坂委員長 これより会議を開きます。  質疑を続行いたします。戸叶里子君。
  3. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私は農林大臣にお伺いしたいと思います。農林大臣は幾たびかこの委員会食糧の前途は何ら心配なしということを言明せられております。この農林大臣のおつしやることがその通りであることを私は望んでおりますけれども、はたしてこれはその通り信じていいのかどうかということが私は疑わしくなつて参りました。それは本年の六月の持越高が二百万トンで、前年の同期に比べてみますと百万トン滅つておりますし、本年の上半期に二百万トン近く輸入できるであろうとの想定のもとに計算を立てていらつしやいます。二月一日の外電によりましても、アメリカでは、政府手持ち小麦などの輸出を二月中中止しております。価格相当上まわつておりますし、一般家庭では、台所を預かる主婦人たちは寄るとさわると何か食糧に対する不安感を持つておりまして、ことしもまた六、七月ごろには非常に食糧難に悩まされるのではないかというような不安な気持でおります。そこで私はこの機会にもう一度台所を預かる主婦にかわりまして農相にお尋ねしたいのですが、輸入確保見通しと、政府計画通り買付に対して自信があるとするならば、その具体的な内容をお示し願いたいと思います。
  4. 廣川弘禪

    廣川國務大臣 国会を通じまして、食料問題についてだんだんと御心配の御質問を受けておりますが、私たちと  いたしましては、今までの保有量はなるほど多少減つておりまするが、それと内地生産のものとを加え、あるいはまた今までの政府計画いたしておりまする輸入量とを考えまして、さしつかえないと考えておるのであります。でありまするが、ただこの間新聞に出ておりましたアメリカの二月中の輸出禁止の問題でありますが、これは本会議でも周東安本長官から御答弁があつたように、商業資金による取引は何ら関係しない、また援助資金によるものも関係しない。金融会社保有の分に対してはこれを禁止している、こういうふうにわれわれは了解いたしおるのであります。どの地域においてどれだけ買いつけておるか、あるいは積出しがどういう程度になつておるか、あるいは船揚げがどうなつているかという細かい点は、あと食糧管理局長官が来たときに詳細に答弁をいたさせます。
  5. 戸叶里子

    ○戸叶委員 今の精出し状況などに関しましてもぜひ聞かせていただきたいと思います。それでは農林大臣の今の御答弁によつて、確かに国際情勢がどうなろうとも、輸入確保は確信があるというふうに信じてさしつかえないでしようか。
  6. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 御存じように、日本は今どこの国ともいくさをいたしておりませんので、この前の孤立された経済のときを思い起すと非常に心配になるのでありますが、どこともいくさをいたしておりません。それにまた、特に日本を十分理解してくれる連合国がありますので、われわれはこれを十分信じておりますし、また民間の練達な商業資金利用に十分期待いたしておりまして、心配ないと確信いたしております。
  7. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは農林大臣のお言葉をこの際は信じておきたいと思つているのですが、みそしようゆ。油の値上りが最近においては非常に著しくなつております。昨年の暮れから、おみそは百匁について十円上り、おしようゆは一升二十円、油は四十円から八十五円の値上りを示しておりまして、さらにこれ以上の値上りの傾向にあるということを聞いております。これは中央からの大豆油脂原料輸入が杜絶したためにしかたがないと存じますが、先般本会議質問に対して、農林大臣満州に匹敵する大豆アメリカに生産されているという答弁をなされましたが、その生産されている大豆をいかにして輸入するかという具体的なことは何も示しておられませんでした。国民生活必需物資である調味料原料大豆獲得に、自信がおありになるかということをお伺いいたしたいと思います。戦争中、大豆満州から入りませんでしたときに、非常に日本国内においては調味料に不足をいたしまして、終戦直後アメリカに嘆願してようやく入れてもらつたよう状況にかんがみまして、どういうふうにしてアメリカから大豆確保をなさろうとするかをお伺いいたしたいと思います。また私は一般需給緊急備蓄用に少くとも四十五万トンの大豆を必要とすると思いますが、国内産と外国よりの輸入でこれだけを確保するだけの自信がおありになるかどうかをお伺いしたいと思います。
  8. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 これもこの予算委員会を通して食糧管理局長官から話があつたろうと思いますが、すでに脱脂大豆等については、記憶が間違つておるかしれませんが、多分五万トン、もう買いつけておるはずであります。御存じように、あなたもおつしやつた通り満州と同額くらいの生産量を持つておるアメリカ市場に対して買付を開始いたしておるのでありまして、そのほかに丸大豆買付等もだんだん進んで参つておるのであります。特に本年は、北海道を中心といたしまして内地産大豆が非常に豊作であります。それらを勘案いたしますと、今後の輸入見通し等を見て、みそしようゆ等原料用大豆は間違いなくわれわれは確保できると思つております。御存じように、みそしようゆ醸造用としては、かなり前から確保されておるのでありまして、戰時中に軍の発注を受げた大豆小麦等相当量醸造家の方に備蓄されておつたのであります。これが非常に問題になつておりまして、不当所得をしたというようなことまで言われておるくらいに、特に四大メーカー、キツコウマン、ヤマサ、ヒゲタ、マルキン、こういうようなところに現在大量の貯蔵量を持つておるのであります。ただここで思惑されておりますのは、飼料等を含んだ、公団が今まで持つておる脱脂大豆等を放出した場合に、非常に競争がはげしくなりまして、これが値上りしたようなことでさようなつたと思いますが、流し元の婦人の担当されておるものを脅かすほど、そう大した値上りは今後私はないと思います。今まで無理に押えておつた統制経済から自由になつた場合のはね返りは多少しかたがないと思いますが、今後そう私は値上りはないと思つております。
  9. 戸叶里子

    ○戸叶委員 今農林大臣は、大した値上りはないとおつしやいましたが、昨年の暮れからでさえも、先ほど私が申し上げましたよう値上り状況を示しておりますし、また業者自体が上るから上るからというようなことを言われておりますので、農林大臣はその辺のことをよく御存じじやないかと思いますけれども、絶対にこれ以上上らないということをここで言い切れる自信がおありになるかどうか、一ぺん伺わしていただきたいと思います。
  10. 廣川弘禪

    廣川國務大臣 経済にはいろいろな妙味があるのでありまして、少くなるとどうしても多少上りたい気持になるのであります。しかし国民の必要とする限度は考えておりまするので、四大メーカー等が値段を上げあさつても、その他の地方メーカーがこれを押えるブレーキの作用をするのは御存じ通りであります。特に私はみそしようゆを専業といたしております業者でありますので、その辺の見通しについては決して私は心配ないと思います。
  11. 戸叶里子

    ○戸叶委員 経済には妙味があるというたいへんいいお言葉をもつてお逃げになりましたが、そうしてまたその方面では専門家でおありになるとおつしやるので、まあこれからは決してお上げにならないだろう、もしお上げになるならば、農林大臣は私は非常に正直な方だと信じておりましたけれども、どうもいちずに信頼できなくなるんじやないかと思いますが、今は農林大臣のお言葉を信用して置こうと思います。  次に油脂原料についてでありますけれども、油脂は大体年間最低二十万トンないし二十五万トンを必要としておりますが、このうち国内確保し得る数量は、最大限十五万トンくらいであろうと思います。その残りの十万トンないし十五万トンの油脂相当する輸入油脂原料確保することが絶対に必要であります。これに対して農相はどういうよう構想を持つておられるかをお伺いしたいと思います。油脂生活必需物資であるばかりでなく、重要工業原料でありますので、昨年六月からは各国ともその蓄積を開始いたしまして、米国初め各国とも一箇年半ないし二箇年分を民間並びに政府がすでに買いつけし、備蓄しております。今日の国際市場における獲得はきわめて困難であります。油脂原料及び油脂統制が撤廃されましてから、全面的に民間貿易によつて輸入を行つておりますが、その実績は実にみじめでありまして、このままにしておくときには、本年後半にきわめてゆゆしい油脂飢餓状態が現出するのではないかと私はおそれるものでございます。そこで民間買付に並行して、政府みずからの責任と負担で買付に当るべきだと思われますが、その点に関しまして、農林大臣はどうお考えになつていらつしやるかをお伺いしたいと思います。
  12. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 国民生活にとのまして、油脂の重大なことは、特にわれわれが生活改善等を通じまして強調いたしておる点でございます。ただいま御心配国内保有量についての問題でありますが、御存じように、もうすでに盛岡から北の方まで裏作の奨励等によりまして、非常に内地生産が上まわつております。また現在現実に油脂の、特に家庭用油脂価格が今までの統制時代よりもずつと下つたこともあなたの御存じ通りであります。但し最近多少上まわつておるようでありますが、これもやはり騰貴的な一般物価につれての値上りであろうと思うのであります。農林省といたしましても、今回捕鯨船団が持つて帰つた三万トン程度のものも、実は外国に出すと相当高く売れるのでありますが、これ等も国内に留保するという方途を講じ、また丸大豆等も多量に入れることを勧奨いたしております。内地産大豆等も相当その方に向くのではないかと思つておるのでありまして、最後にお尋ねの国としても十分考えなければならぬことは重々承知いたしておるのでありまして、これは善処いたしたいと思います。
  13. 戸叶里子

    ○戸叶委員 油脂の重要であることは、農林大臣も御承知の通りでありますが、大体平均国民くに本年度はどの程度油脂がまわるようにお考えになつてもくろみを立てていらつしやるかを伺いたい。
  14. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 これは完全にかぶとを脱ぎます。私よく承知しておりません。
  15. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それではあとからおわかりになりましたら、政府委員の方にでもお聞かせ願いたいと思います。  それからまた農林大臣は、本会議国内油脂増産をはかるために、瀬戸内海付近中心としてオリーブ増産計画を立て、オリーブについては現在四万本程度のものをあの付近に配給したり、またくるみの木を植えるよう奨励したりしていると言われますが、これはまことにけつこうなことでございますけれども、この程度では、とても多くの国民の体位を保つ油を供給できるとは思えませんし、また今日の油脂飢餓状態を救うためには何分の一の役にしか立たないと思つております。これについてはオリーブ油等によつてどの程度油脂の供給をせられているか、おわかりになりましたらお伺いしたいと思います。
  16. 廣川弘禪

    廣川國務大臣 九州地方におきましては、特に山茶の実を油脂の材料にいたす考えでどしどし奨励いたしております。御存じように茶は支那から来たと言われておりますが、日本にも原生林として九州には山茶が存在しているのでありまして、これが非常な油脂原料になるのであります。またお茶科の植物としてさざんかがあるのでありまして、さざんかの群生林寺九州に見られております。それからつばき、それにだんだん中国、四国の温暖地方に対してオリーブ奨励しているのであります。また山間地帯にはくるみをやり、あるいはまた東北地帯におきましては、かやの木の実をもつてこれをしぼるということにいたし、全国的に山から取れる油脂を対象として、農村等に特に自家用として奨励を進めているのであります。瀬戸内海におけるオリーブの木は明治三十八年から発達して来ているのでありますが、現在のところまだそうたくさんの量はないのですが、もはや東京の百貨店等オリーブの実の塩づけが非常に進出して参りまして、これが家庭生活の中にまで入つているようになつて来たことは、非常に喜ばしいのでありまして、さようにして山から取れる油脂にも十分力を注ぎたいと考えております。
  17. 戸叶里子

    ○戸叶委員 農林大臣の脂肪、蛋白の給源につきましては、たいへん御自信のあるようお答えで、それをそのまま受取ればたいへん安心だと思いますが、どうぞおつしやる通りに実現していただきたいということをお願いいたします。  私は次に農業協同組合のことについてちよつと伺いたいのですが、農業協同組合は、旧農業会からの譲受け資産を受け継いでおります。それはまことによいようであつて、実は困つた問題を起しておりますが、たとえば一例を栃木県にとつてみますと、讓受け資産のために払う金利が年八百四十万円になつております。こういう例がほかにもたくさんあると思うのですが、この問題を解決しようと努力なされたことがおありになるかどうか。またもしできるならば、私は預金部資金からでも長期に低利に借り受けるようにしたらどうかと思いますが、これに対する農林大臣のお考えを伺いたい。
  18. 廣川弘禪

    廣川國務大臣 戸叶さんの御心配通り農村における中核体協同組合でありまして、協同組合を通しまして農村に対し増産をはかり、あるいはまた農業経済の繁栄をはかることが最も大事なのであります。しかし不幸にして農業協同組合発足当時、前からの焦げつき資産といいましようか、引受けた資産が固定いたしまして、これに非常に苦労いたしておるのであります。あの当時の状況といたしまして、商品が非常に統制時代で逼迫いたしましたために、必要でないよう商品までもかかえ込んでおりますので、こういう点から非常に苦しんでおるのであります。大体それを推定いたしますと、二百三十億見当に現在全国でなつておるようであります。この一割程度の助成というか、利子の補助をやりますと、大体三十億程度のものがいるんじやないかということまで検討いたしておりますが、これは自由党とわれわれの方と一生懸命検討しておりまして、今国会にこれを出したいと思つております。これも池田君にしかられるかもしれませんが、どうしてもやはり金が伴うのであります。しかしそれも一時に金が出るのではないので、個々の単一組合を検討して、それに必要な金を出す。しかもその單一組合が自己の力によつて再復活というか復興できる計画を立てたものに対して助成して行くという方向をたどつて行くのでありますから、そう大した金が最初にいるわけではないと思いまして、事務の方で大蔵省の方と現在折衝さしておるようなわけであります。
  19. 小坂善太郎

    小坂委員長 この際関連質問を許可いたします。一問に限ります。小林進君。
  20. 小林進

    小林(進)委員 ただいまの問題でありますが、実は昨日この委員会川崎秀二君からも農相質問があつたのであります。今の協同組合負債整理の問題について、現に議院運営委員会では、その法案が出るものとして議院運営委員会でこれを認めた、こういう日程の予定表にも入つておるのですから、この負債整理の問題について蔵相の御見解を承りたいという質問に対しまして、蔵相は、いまだこの負債整理の問題に対しては何ら関知していないというふうにお答えになつたのでありまして、これはわれわれを非常に唖然たらしめたのであります。何らか農林省大蔵省関係に連絡の不備があつたか、あるいは大蔵大臣も最近の広島の選挙なんかでお負けになつて相当頭もお疲れになつている関係上、ど忘れをされたのではないか、こんなぐあいに解釈をしておつたのでありますが、これは何と言つてもわれわれ農村にとりましては実に重大問題です。これはおそらく廣川農政最大恩恵に属する実に朗報でありまして、ぜひともやつていただきたい措置でありますので、この問題は、おそらく内閣の副総理格——総理とは申し上げませんが、その格の実力を持つていらつしやる農相の御言明でありますから、万間違いはないと思いますが、いま一応、今国会にこれを提出して必ず可決をするというような力強い再確認のお言葉をいただきたいと思うのであります。
  21. 廣川弘禪

    廣川國務大臣 池田君がまだ知らぬというお話だそうでありますが、事務折衝中でありますから、最終のことでないと大臣は知らないのが当然だろうと思うのであります。事務の方では一生懸命折衝いたしております。先ほども申し上げました通り、どうしてもこれは再建整備させなければなりませんので、それで一割程度利子補給ということで行つておるのでありますが、單に利子補給ではわれわれは満足しないのでありまして、自力更生をほんとうにやるという計画を立てたものに対し、詳細に検討いたしまして、利子を出してやるなり、その他の方法考えて行こう、こういうことに進めておるようなわけでありまして、どうしても私は今国会に党と相談して出したい、こう考えております。
  22. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私はもう一問農林大臣にお伺いしたいと思います。男女同権の法律は一応つくられておりますけれども、まだまだ農村おける婦人たちの地位が非常に低いのです。そこでいろいろ婦人解放ににつきましては、ことに農村婦人解放につきましては、ことに農村婦人解放については考えていらつしやると思いますが、これは非常に漠然とした大きな問題でありましようが、しかし農林大臣農村婦人解放についてどんな具体的な方法をお持ちになつていらつしやるか、あるいは具体的な構想をお持ちになつていらつしやるかということを聞きたいと思うのです。この際ぜひ御見識ある、蘊蓄ある御意見をここで発表していただきたいと思います。
  23. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 農村における婦人の占める部分というものは非常に大きいのでありまして、ことにわれわれがあまり気がつかなかつたのでありますが、天然資源局長のスケンク君と旅行したときに、こういう言葉を述べられたのであります。族行すると、田畑に働いている者の七%が婦人である。一体日本農村の男は何をしているのだろうという質問を投げられて、これは返答に実際困つたのでありますが、その後旅行のたびに見ておりますと、どうもそのようなことがはつきり出て来るのであります。しかもまた若い婦人の方と、年寄りの婦人の方と、青年期に達しないような子供の人が多い。これはだれしも旅行する人が感ずるでありましようが、こういつたようなことで、しかもこの家庭内における生活、洗濯とか、炊事とか、あるいは牛馬の飼育とか、あるいは卵とか、そういつたことに非常に力を加えておつて、しかも重労働屋外労働をやつているということは、どうもわれわれとしてもこれは解決できないのであります。私は二十何年間毎朝ごはんたきをいたした経験を持つているのでありますが、男の方もやはり婦人の仕事の中に溶け入つて、その時間を婦人に提供して、婦人の知識の向上なり、人格の向上をはかることが大事でないかと思うのでありますが、一体今までの慣習から婦人活動部面というものを限定して置くことか間違つておると私は思うのでありまして、私の小さな体験でありますが、二十何年間飯をたいている間に、婦人が他の方面に力を尽すのが非常に大きく家庭内の経済の上に響いて来ると私は思うのでありますが、そのくらいにして婦人に余裕を与え、また重労働に対してはもつと男が協力して行くのがほんとうじやないかと私は考えております。
  24. 戸叶里子

    ○戸叶委員 農林大臣婦人に対してたいへん御理解ののおありになる御意見を吐いていらつしやいまして、これを聞いて喜ぶ入が多いと思うのですが、さて今度の予算の面でどの程度にそういうお考えを盛り込んでいらつしやるかをちよつと伺わせていただきたい。
  25. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 われわれの方で担当している方面におきましては、さような見地からいたしまして、畜力を農村に十分利用できるよう方向、あるいはまた家庭生活指導というか、生活改善化の方に指導させる、これは実際予算面から見て少いのてすが、大体こういうものは精神運動が主体でありますので、生活改善化予算は少いが、各県に配置されている指導者の言動が、地方農村を非常に刺激し、また鞭撻するようになつておりますので、予算面にはこれぞというて現われておりませんがさような心組みでやつているようなわけであります。たいへん農林大臣のお考え
  26. 戸叶里子

    ○戸叶委員 お気持はわかるのですけれども、やはり実際面といたしましては、その予算を十分に組んでいただきませんと効果があげられないと思うのです。指導員の数なんかも非常に少くて、指導員の行つておらない農村などがたくさんありますので、こういう点をもつともつとお考えいただきたい思といます。理解をお持ちになつていらつしやるだけに、そのことを具体的に実現されるように御努力を願いたいということを重ねて要望いたします。
  27. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 承知いたしました。
  28. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私は次に大蔵大臣にお伺いしたいと思います。最近各省に所属して、審議会なるものが、中央に対応する出先機間の諮問機関までまぜますと、二百三十二の数に上つております。これらはいずれもそれぞれの専門家あるいは学識経験者によつて構成されていると思います。二百三十二の審議会の中には、あるいは多少検討をしなければならないものもありましようが、学識経験者がよい意見を述べているものもたくさんございます。要するに必要であるからつくられているのだと私は考えますが、しかし私がまことにふしぎに思いますのは、この審議会の権威についてでございます。たとえば米価審議会などでは、二十五年度においていろいろ政府答申しておりますが、その答申通りに行つておりませんし、ことに米価のごときも、生産者価格が五千八百円の答申を行つているにかかわらず、五千五百二十九円、来年度産米を六千百六円にきめられました。あるいはまた社会保障制度審議会におきましても、八百八十六億の予算答申しておりますのに、五百六億に創られております。それからまた住宅審議会等は、二十五年の七月二十一日に審議委員が集まつて、住宅金融公庫の今後の運営ついて、いろいろ意見の開陳が行われておりますが、そのときに最も金融公庫利用者にとつて問題になつている頭金を、二割五分から一割ないし一割五分に引下げるとか、あるいは利率及び償還期間などについて、借手の気持になつてもつともな意見が述べられております。それにもかかわらず、これらの意見が取入れられておりません。こういうような状態では審議会があつても私は何の役にも立たないと思いますが、これに対しまして大蔵大臣はどのようにお考えになつていらつしやいますか。
  29. 池田勇人

    池田國務大臣 お話のようにいろいろな審議会がございます。政府といたしましては、この答申につきましてはできるだけ尊重いたしておりますが、いろいろな事情のために、ただちにその答申通りに行かない場合も相当あるのであります。その点はやはり政府の責任におきまして答申案を参考にしつつ施策して行くよりほかにはないと思います。
  30. 戸叶里子

    ○戸叶委員 参考にしながら政府がその意見を少しずつでも取入れたいと思うが、なかなか思うように行かないというようなお話でございますが参考にする程度の不徹底なものであるならば、各権威者から意見を聞く程度で私は済むのではないかと思います。たとえば米価審議会でも、社会保障制度審議会でも、あるいはその他の審議会でも、一応国家の予算をとつてつているのでありますから、これは大いに意義あらしめて行かなけれならないと思うのであります。審議会そのものに対しまして私は決して悪い制度であるとは思いません。それぞれの権威者が集まつているのでありますから、大いに傾聽すべき意見が多いと思いますけれども、ただ聞きおく程度では意味がないと思うのですが、一体この審議会にどのくらいのこれから権威を与えようとしていらつやるか、あるいはまた今後審議会を拡張されようとなされるか、それともこれを廃止の方向へ持つて行こうとなされるか、その辺の御見解を承りたいと思います。
  31. 池田勇人

    池田国務大臣 必要に応じまして、新たに設ける場合もありましようし、またその度が少くなればやめる場合もありましよう。われわれは審議会答申につきましては、できるだけ尊重するようにやつておるのであります。ただ予算あるいはいろいろな点からいたしまして、ただちに審議会答申通りに行かない場合は相当あるのでありまして、その点はやむを得ないと考えております。
  32. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それではこれからも審議会意見をいろいろ聞いて、その通りにならないときにはやむを得ない、しかし審議会はそのまま置いておく、こうような状態をお続けになるわけでございましようか。
  33. 池田勇人

    池田國務大臣 さようでございます。
  34. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私は今の大蔵大臣の御答弁にはたいへん不満でございますけれども、これ以上伺つてもしかたがないと思いますので次に移りたいと思います。  大蔵大臣は二十六年度予算は、何ら軍事的に援助する予算ではない。日本の再建を考慮したものであると言われております。私はその言葉を信じて行きたいと思います。しかし十日ほど前にアメリカに行つておる私の友人から航空便が参りまして、その中に一万田日銀総裁が、アメリカにおいて日本も軍事的協力として、人力と工業力の両面で、できる限りの援助をしたいというように発言をされた記事を新聞で見て驚いて、がつかりしたと私のところに知らせて参りました。私は見識ある一万田総裁が、まさかこんなことを言われまいと思いましたが、しかし友人の手紙に書いてあることが事実といたしますと、これはとんでもないことであると思います。日銀総裁の地位は日本では重要な地位でありますし、言動は慎重を期さなければならないと思います。一万田総裁は今回日銀総裁として国際的に大きな反響を持つ外交上の問題について、何か事前に外務大臣なり、大蔵大臣との打合せを行われて行かれたかどうかをお伺いしたい。
  35. 池田勇人

    池田國務大臣 財政問題に関しまして、別に打合せはいたしておりません。
  36. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それではもしこういうことをおつしやられたといたしますならば、大臣はこの発表に対して、個人として間違つておるとお考えになりますか、それともどうでしようか。
  37. 池田勇人

    池田国務大臣 一万田君の言論に対しまして私が意見を述べますことは、やはりその言葉全部を見てでないと差控えたいと思います。
  38. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それではそのことは仕方がないといたしまして、次に移ります。  今回本年度予算において婦人少年局の予算が、二千五百万円から五百万円減らされております。これは一局としては極端な削減であります。しかも労働省全体として三十億の予算がふえておるのに、婦人少年局のみ削減されたので、婦人少年局の削減に対して一般の人たちは、自由党の内閣は婦人少年の問題に対して冷淡であるということを物語るものではないか、あるいは社会党内閣のときに婦人少年局がつくられたので、これを目のかたきにして風当りが強いのかというようなことを世間では批評しております。この問題は労働省一省だけの問題として済まされない問題で、全国の婦人たちはこの処置に対しまして、注目をいたしておるのであります。大蔵大臣予算関係の総元締めとして、労働省の問題としてこれを等閑に付するようなことでなく、労働大臣に対しまして何らかの意見の開陳を行われたかどうかをお伺いしたいと思います。婦人に対して冷淡であるという自由党内閣の中においては、比較的婦人に対して理解をお持ちになり、しかも広島の選挙のときには奥さんまで陣営に立てて、政治運動を行わしめていらつしやる方でいらつしやいますから、自由党内閣を全国の婦人から婦人の敵として憎悪の的たらしめないためにも、適当な処置をおとりになつた方がいいと思いますが、これに対して御親切なる処置をとつていただけるかどうかについて伺いたいと思います。
  39. 池田勇人

    池田国務大臣 婦人少年の方々に対しましての関心は、ほかの党の人には負けないように、それ以上の気持でやつておるのであります。一時婦人少年局をやめたらどうかというような話を耳にいたしまして、それはよくないことだというので、置くことを主張した一人であります。なお予算の数字につきましては主計局長からお答えさせるようにいたします。
  40. 戸叶里子

    ○戸叶委員 数字はいいです。数字は二千五百万から五百万減らされていることで、私はわかつております。大蔵大臣はどこの党の人にも負けないほど婦人少年の問題に関心を持つているとおつしやいましたけれども、それではやはりそういうようなお考え予算の面にも現わしていただかなければ、そういうお考えだけでは私は何にもならないと思います。このことに対しまして、何か今後特別にこの予算の面でお考えになつていただけるかどうか、もう一度伺いたいと思います。
  41. 池田勇人

    池田国務大臣 来年度の予算が示度年に比較しまして減りました理由は、私は今記憶していないので、主計局長からその理由を御説明いたさせたかつたのでります。  なお婦人少年の問題につきまして、今後とも十分意を用いて行くことは当然でございまするが、それでは今どういう考えを持つているかということにつきましては、まだ具体的なものは持つておりません。今後いろいろなことを研究して行きたいと考えております。
  42. 小坂善太郎

    小坂委員長 減つた経緯について、主計局長の説明を聞いてはどうですか。
  43. 戸叶里子

    ○戸叶委員 お願いいたします。
  44. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 労働省の婦人少年局は婦人少年の地位の向上、解放等について総括的な仕事をされておるわけでありますが、それには特殊の婦人少年の実態の調査というようなことに現在いろいろな力を注いでおられます。それから啓蒙宣伝というような仕事でありますが、婦人問題につきましては、必ずしもこれは労働省の予算だけでなしに、厚生省その他各方面に多岐にあるのでありまして、たとえば厚生省の予算におきましても、未亡人、母子等の対策についてはことしは非常に力を入れまして、たとえば明年度の予算では保育所、母子寮を新たに百二十箇所つくる、従来の定員を保育所で一万二千人、母子寮で七千二百人というよう予算、あるいは生活保護法案の実質的向上というような点におきまして、婦人少年の問題については十分予算を盛つてある、こう考えておる次第であります。
  45. 戸叶里子

    ○戸叶委員 今の主計局長の御説明では、ほかにもいろいろその婦人、子供の問題を扱うところがあるから、婦人少年局の予算を削つたというような、非常に直接の原因でないようなあいまい模糊とした御説明で、私は納後が行きません。婦人少年局はおのずからいろいろな問題の調査、あるいはなさなければならないことがあつてできた局であり、しかもその活動は地味ではありますけれども、認められておりますので、そういう点に対しての予算が削られたということに対しましては、やはり全国の婦人たちが納得の行かない、満足できない気持でいるのではないかと思います。しかし大蔵大臣から、これからすぐではないが今後考えて行きたいという御答弁がございましたので、そうあつてくださることを信じて、私はこの問題を打切りたいと思います。  次に、ダレス特使が日本を訪れました最初に、内外の新聞記者の人に対しまして、講和條約に関連して、現在取上げられている最も重要な問題は、武力侵略に対する安全保障と経済安定の二つの問題であるというようなことを語つておられます。経済問題につきましては、経済目立のため必要な諸工業の許可範囲、漁区の制限、国際通貨基金への加入、賠償問題等に関して日米間に相当つつ込んだ交渉がなされたということを、二月一日の朝日新聞に報ぜられておりますが、どういう内容を持つたものであるかをお伺いしたいと思います。
  46. 池田勇人

    池田国務大臣 私はダレス氏と二十分余り話しただけで、あまりつつ込んだ話はいたしておりません。吉田総理相当のことを話されたやに聞いております。総理から私が聞きました点につきましては発表する自由を持つておりませんので、御了承を願いたいと思います。
  47. 戸叶里子

    ○戸叶委員 発表する自由を持つておらないとおつしやるので、それではしかたがないと思いますが、ダレス氏が日本を去るに臨みましての声明の中で、われわれは日本の前途に横たわる経済上の諸問題を検討したが、平和條約が日本に重い経済的、財政的な負担をかけたり、主要な商取引を無力化されたりしなければ、日本みずからの努力と国民の才知と勤勉とによつて、その生活水準を満足な程度に発展させ、向上させることができるとの見解を持たれるようになり、そうしてまた日本経済が自由世界の有益な一員として、健康と活力を回復する道を発見するため、米国は引続き日本に協力する意向であるということを言われました。私たちが知りたいのは、実はその具体的な内容についてでありますが、吉田内閣の経済閣僚として、その相談にもあずかつていられる大蔵大臣が、その内容を十分に御承知になつていらつしやると思いますが、今発表することができないとおつしやるのは、御承知にはなつているけれども、できないというような意味なんでございましようか。
  48. 池田勇人

    池田國務大臣 具体的問題につきましては、総理からまだ聞いておりません。考え方の問題につきましては一度聞いたことがあるのであります。従いましてここでお答え申し上げますことは、今ダレス氏が日本を去るにあたつて述べられたよう方法で行くのではないかと考えております。
  49. 戸叶里子

    ○戸叶委員 どうもこういう御答弁ではしかたがないと思いますが、吉田総理大臣は、米国との間に安全保障に対するとりきめを締結するよう招請されましたが、政府及び国民大多数はこれを心から喜んで迎えるものであると述べられ、そうしてまたダレス氏もこの言葉を受けて、米国側の提案を受諾しようというのが日本国民の圧倒的希望であるということを述べられております。この事実は国民がまさにつんぼさじきに乗せられていて、講和の内容を具体的に知ることができずに、しかも吉田首相からは、国民の大多数はこれを喜んで迎えておる。ダレス氏からは、日本国民の圧倒的な希望であると、そういつて感謝されておるに至りましては、これはまさにきつねにつままれたような話でございます。しかも大蔵大臣が、講和の重要な問題とダレス氏が述べた経済安定の内容を、まあある程度は知つておるけれども、発表できない、詳しいことは知らないというふうにおつしやるに至つては、国民はまつたく唖然たらざるを得ないと思うのです。こういう秘密外交こそ官僚外であり、国民の名を無断で借用する吉田ワンマンの独善外交と私は考えますが、これにはまつたく驚き入つた次第でございます。大蔵大臣はこれをワンマン外交として是認なさるかどうかとを一ぺんお伺いいたします。
  50. 池田勇人

    池田国務大臣 大分想像をたくましくせられておるようでございまするが、私は総理とダレス氏との間におきまして、あなたがお考えになつておるような講和の具体的問題に立ち至つていないのではないかと想像いたしております。考え方の問題を、なんと申しまするか、腹の探り合い程度の域を出ないのじやないか、こう私は考えております。
  51. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それではこの朝日新聞の発表された、経済問題なんかに対して相当つつ込んだ話がなされたのじやないかというようなことは、まあそれも一つの臆測だけであつて、お互いに外交上のいわゆる腹の探り合いだつた程度にすぎないというふうに私は了承して、これ以上この質問を続けることをやめたいと思います。
  52. 池田勇人

    池田国務大臣 そういう問題は総理にお聞きにならないと、私はきよう閣議でちよつと総理に聞いただけでございます。了承するとか、こういうふうに想像するとか……、これはやはり直接に総理にお聞きになるのが一番いいことではないか。私はあまりよく知りません。
  53. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私がただ大蔵大臣にお聞きいたしましたのは、経済新聞に触れておりましたので、その点でおわかりになつていたらと思つて、御質問申し上げたままでございますが、大蔵大臣がおつしあるように、それでは、何かの機会に総理大臣にお聞きすることにいたしまして、私の質疑を打切りたいと思います。  文部大臣がお見えになつておらないようですから……。
  54. 小坂善太郎

    小坂委員長 文部大臣は、戸叶ちよつとお待ちになつていただきたいのです。実は参議院の何か両方の合同審査会に出ておるようで、五十分までには来るということです。ああいうかたい人ですから、必ず来ると思います。
  55. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それではあとから文部大臣質問いたします。
  56. 小坂善太郎

  57. 小林進

    小林(進)委員 農林大臣にお伺いいたしたいと思います。まず米価の問題について一、二お尋ねしたいのでありまするが、二十五年度の米価は五千五百二十九円ということで決定せられたのでありまするが、二十六年度は一体いくばくの米価を予定せられておるか、承りたいのであります。
  58. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 五千五百二十九円の価格を決定した場合におきまして、また本年度予算編成にあたりまして、来年度米価は六千百六円を基準として行こうというよう考えております。
  59. 小林進

    小林(進)委員 六千百六円とおつしやいましたが、予算書には六千百九円、これは三円の開きでございますから、どちらでもよろしゆうございますが、その算定の基礎を承りたいと思います。
  60. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 前にきめた基準と同様でありまして、ただアルフアの点について、多少違つておる点があると思います。その他は大体前の方針通りだと思います。
  61. 小林進

    小林(進)委員 昭和二十五年度の五千五百二十九円は、これは最終米価でないことは、農林大臣も御承知のことと思います。二十六年の七月に至つて、初めて二十五年度の米価の最終決定が行われるわけでありまするが、この第一次のパリテイ指数が一八二・二ということで、五千五百二十九円が出ておるのであります。二十六年度の六千百九円という予算上の指数が、パリテイで一九五とみなされておるのでありまするが、この一八二・二と来年度の米価の一九五というパリテイの指数をどういうふうに出されたか、これをひとつ承りたいと思うのであります。
  62. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 大体物価指数を見て、そのように推定したわけであります。
  63. 小林進

    小林(進)委員 これはお互いに予想問答でありまして、当るもはつけということになりまするけれども……。私は大体戰争後の物価の上昇率からながめて、一九五というパリテイ指数は、二十五年度の最終米価決定の七月ごろに訪れて来る値段であつて、とうていこういう二十六年度の推定の米価じや間に合わないというふうに考えておるのでありまして、こういう点は所管長官といたしまして、十分御考慮を願いたいと思うのであります。  次には、輸入食糧に対する価格の問題でありまするが、予算の説明書によりますると、これはいつごろの実際価格であるか知りませんが、ここにアメリカ・インド・ビルマというふうに、各国輸入食糧の計算が出ておりまするが、二十六年度輸入を予定せられておる三百二十万トンの食糧が、現在予定せられる価格で、はたして輸入できると予想せられておりまするかどうかを承りたいのであります。
  64. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 大体それで行けるという方針でやつておるようであります。
  65. 小林進

    小林(進)委員 どうも私はこの点農林大臣は甘いのじやないかと思います。船舶の問題やら、あるいはまた御承知のように、二月から米国政府において食糧輸出を禁止しているというような諸多の事情を勘案いたしまして、この三百二十万トンの食糧輸入自体がはなはだ困難であるということがまず考えられると同時に、価格の面においても、相当考えが甘いと私は思つておるのでありまして、従いまして、この価格差補給金の——あとでまた御質問申し上げたいと思いまするが、二百二十五億円を、大幅に私は改訂しなくちやならぬのじやないかと思うのでありまするが、将来の言質を与えていただく意味においても、いま一度この点をお伺いいたしたいと思います。
  66. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 この席上でたびたび池田君も安本長官も、大体それで間に合うと答弁をしておるようでありますが、私もそのように信じております。
  67. 小林進

    小林(進)委員 それでは次に、これは基本問題でありまするが、米価の定め方について、もし農相が真に農村解放を目途にされているならば、農産物価格というものは、他の一切の一般価格と同様に、あくまで生産費価格でこれを決定すべきである、こういう私は信念を持つておるのであります。一個のまんじゆうを売る路傍の商人でも、自分で原料代と燃料費とその他の諸経費、それに利潤を含めてまんじゆうの価格を自分で出して売つている、これが経済の原則であります。しかるに米価に関する限り例外的にパリテイという方式を用いられて、そうして価格を定められておる。科学的に、数理的にいかにパリテイ計算がりつぱなものであろうとも、これが何といつても実情に即しておるということは断じ得ないと思うのであります。このパリテイ方式というものがある限り、いかに農相が口を大にして叫ばれても、私は真に農民解放ということは事実上においてはあり得ない、こういうふうに確信いたしておるのでありまして、どうしてもこのパリテイ方式は廃止して、ほかの生産費と同様に、農民自身の手でつくつた農産物は農民みずからの計算に基いて、生産費価格でこれを買い上げてもらうということでなければなりませんが、これに対しまして、農林大臣のはつきりした御見解を承りたいと思うのであります。
  68. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 農林省といたしましては、あなたの考えよう考えを基礎として、実はその生産費を基礎として計算いたしたのであります。それが計算した結果を見ますと、五千四百五十円という数字が出たのであります。それで実際はあのパリテイ計算にアルフアを加えたものになつておるのであります。またパリテイ計算については、外国においても批判があるようでありまして、われわれといたしましては、あくまで生産費を基底として行きたいということを念願いたしておるのでありますが、しかし現在の段階においては、パリテイ指数を基礎としてそれにアルフアを加えて、そうしてある程度農村の満足するものに持つて行くことが妥当であるとして、五千五百二十九円という数字をわれわれは是認いたしたようなわけであります。
  69. 小林進

    小林(進)委員 農林大臣の計算された二十五年度の生産費価格五千四百五十円、これはわれわれが計算いたしまして農林大臣に提出いたした計算が六千五百円、これは農林大臣農林省で、どうわれわれの方で計算しても六千五百円にならない、困つたものだ、もう少し正確なものを示してもらえないかということでおわかれしたこともありますが、私は農林省で出されたこの五千四百五十円の生産費価格は、どうしても実際の実情に即しておるものだと断定し得ないのでありまして、この価格の問題は別にいたしますが、今農林大臣が言われたように、原則としてはやはり生産費価格で行くべきである。パリテイ方式に対しては諸多の欠陷があるという言葉はまことに了承するところでありまして、将来ともこの生産費価格で突き通すということに御努力くださいますことをお願い申し上げまして、次に移りたいと思います。  次に農林、漁業の長期資金融通法案というようなものを用意せられておるようでありますが、これは今次国会で必ず通過せしめるという御自信をお持ちになつているかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  70. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 実は長期資金については、予算の範囲内で六十億ということに限定されたのでありますが、これは地方の要望が非常に多いのでありまして、どうしてもこの長期資金を通して農村に国家資本を入れなくちやなりませんので、われわれといたしましては、今国会にどうしても通してもらいたいと念願いたし、またわれわれは速急に提出するよう準備しておる次第であります。
  71. 小林進

    小林(進)委員 この法案はわれわれも双手をあげて賛成いたすところでありまして、ぜひともひとつ農林大臣の御努力で法律化していただきたいと思うのでありまするし、われわれもまたこれに協力するにやぶさかなものではございません。法案の内容について一、二御質問いたしたいと思うのでありまするが、法案の第二條に、貸付の対象者を団体または個人というふうに、何か漠然と個人、団体に貸し付けるようになつているのでありますが、これをいま少し具体的に、もちろん制限じや困りますが、列記主義といいまするか、具体的にお示しを願うようにできないものかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  72. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 それはやはり法の妙味を発揮する意味において、あまりはつきりしない方が、貸出しの上において非常にいいんじやないかと思うのですが、あまりはつきりしておきますと、につちもさつちも動かなくなりまして、どうしても必要だというときに使えないというようなことがあつてはならぬと考えておるので、運用に多少の余裕を持たせた方がいいと考えております。
  73. 小林進

    小林(進)委員 それではこの條項で言われる個人というものはどういう個人を予想せられておるのか、それを承りたいと思います。
  74. 廣川弘禪

    廣川國務大臣 まだ実際怠慢かもしれませんが、一々條文については私聞いていないのですが、要するに個人というのは、公益を代表する、一般の利益を代表する上に立つた個人と、こう解釈して行くのがほんとうじやないかと思います。
  75. 小林進

    小林(進)委員 第三條の利率の問題であります。これは特に農地の改良、造成または復旧に必要なる資金という、第三條の第一項の貸付の金利の問題でありまするが、年六分五厘あるいは公共事業以外の年五分などというのは、私はまだ高過ぎるのではないか、こう思いまするので、せめてこの利率をもう少し下げるようにこの法案を直していただけないかどうか。たとえて言えば、公共事業に関する分は年大分五厘以内というふうに條文を改めてもらう。公共事業以外のものは五分などと言わないで、せめて四分五厘か四分くらいにお願いできないものかどうか、この点ひとつ承りたいと思います。
  76. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 先ほどの法文の中に個人とあるのは塩田または森林等のものをさすそうであります。そう主計局長が数えてくれましたから、その通りに御了承願います。  それからあとの利率の問題ですが、これは一般会計からたくさん金が来るともつと利率が安くなるのですが、なかなかそうは行かないので、現在の場合ああいうふうにしているのは、この経済はこのまま終ると思つておりませんので、将来これは長く続けて行きたいと考えておるので、だんだん下げたいと思つております。
  77. 小林進

    小林(進)委員 貸付の最後の決定者でありますが、一体これはどなたでございましまうか、お教え願いたいと思います。
  78. 廣川弘禪

    廣川國務大臣 ちよつとわかりませんが、これは政府委員から答弁いたさせます。
  79. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 お答えいたします。最初に利率のお話があつたのでありますが、これは五分なり六分五厘というようなお話がありましたが、今考えておりますのは、上下五厘ずつ、たとえば五分でありますれば、四分五厘までは貸せるというような上下五厘づつの幅を持たせたいと思います。両方合せて一分になりますが、それくらいの弾力性を持たせて行きたいというふうに考えております。それから最終決定者はたれかというお話でありますが、これは御承知のように、中金が大部分代行してやるのでありますが、やはり最後の責任者は政府荘というふうに私どもは考えております。
  80. 小林進

    小林(進)委員 これも農林大臣御存じなければ政府委員でけつこうでございますが、この信用調査は一体たれがおやりになるかということが一つ、それから今もお話になりました委託の事業は大体中金がやるという御説明がありましたが、われわれはできればこれをいま少し大幅に委託業者を定めてもらいたい。特に農業協同組合の信連等もこの委託業務の主たる業務を扱う者に任命させていただけないものかどうか、こういうふうに考えておりますので、その点御答弁を願いたいと思います。
  81. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 お答えいたします。調査は結局大きい問題につきましては、政府もあるいはやる場合もあるかもしれませんが、大体は今申し上げましたように、信用調査は中金がやる場合が多いと思います。その場合に、やはりお話のありました中金だけでできる問題でもありませんので、信連等も中金と一緒におそらくやつていただく場合がかなり多いじやないかというふうに考えております。  委託の問題は、われわれの方といたしましては、大体中金というふうに、今のところは考えております。
  82. 小林進

    小林(進)委員 政府当局が中金第一主義でおやりになるのがわれわれは非常にふに落ちないのでありまして、農村の実情はやはり信販連あたりが一番精通いたしているのでありますから、どうかこの信販連も信用の調査あるいは貸付の委託業務を行い得るように、これは農林大臣の特に御善処を私はお願いいたしたいと思います。  同時にいま一つここで申し上げておきたいことは、こういうせつかくの農漁村救済の資金ができましても、今の中金やその他の面に信用調査などをまかしておきますと、結局今までの庶民金庫だとか、あるいは住宅金融公庫だとか、その方面の社会的な色彩を帯びたせつかくの法案も、実際においてはいわゆる資産だとか、信用だとかいう問題になつて、大どころの業務だけを救済する形になつて農村の真にこういうような資金を要求する小さなところ——小さいというと語弊がありますが、そういうのが全部置去りを食う。だから、そういう救済の意味で、あまねくこの潤いを均霑せしめる上においては、やはりその土地の実情に即している協同組合あたりを十分に御活用になつて、これに業務を取扱はしめるように御考慮願いたいということを希望しておきます。  それから農林漁業の長期融資の審議会でありますが、この審議会委員数とかあるいはまた選択方法及びその委員会の内容等において何か予想あるいは予定せられているお考えかありましたら、承りたいと思います。
  83. 伊東正義

    ○伊東(正)政府委員 お答えします。今の審議会等の内容等につきましては、たとえば委員の数でありますとか、そういうようなことにつきましては、今研究中でありまして、まだはつきりここでどうというお答えをするまで固まつておりません。
  84. 小林進

    小林(進)委員 これはもうこの法案が銘打たれているように、細則でありますか何かで、ちやんときめることになつておるのでありますから、研究中とおつしやつても、全々空々漠々たるものではないと思う。一応その内容は考慮せられていると思うのでありまして、ほんの立案程度でよろしゆうございます、ここでお漏らし願いたいと思うのであります。
  85. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 真に農林漁業のためになる人を選び、適当な数をそろえたいと思います。
  86. 小林進

    小林(進)委員 どうもこれは禪問答で……名答ではなはだどうも恐れ入りました。  それでは最後に、この六十億でありまするが、利息も入れまして予算書には大十一億なんぼになつておりますが、これを二十六年度一年間に全部貸し出される意向でありまするか、はつきり承つておきたいと思います。
  87. 廣川弘禪

    廣川國務大臣 それはなるべく早く使つてもらいたいことを希望いたしております。また預金部資金等も入れ得るような法律案にしておるはずでありまして、それを預金部資金等も入れ得るまでにこれは早く貸し出していただきたい、こう考えております。
  88. 小林進

    小林(進)委員 次に積雪寒冷地帯の問題についてお伺いいたしたいのでありまするが、私は第七、第八、第九と、この国会予算委員会において、積雪寒冷地帶すなわち單作地帯でありまするが、この地帶の窮状を訴えて、そして大蔵大臣並びに岡野国務相に、この地帯の税金を特別に軽減してもらいたい、平衡交付金の特別増額を何とか認めてもらいたいということを、繰返し主張して参つたのであります。すでに御承知のように、勤務者、公務員に対しましては、この積雪寒冷地帶に基く特別の給与が認められて、すなわち勤務手当、石炭手当等が特別に支給されている今日、同じ自然の状態にある一般の住民、すなわち農林大臣の場合は農民でありますが、農民に対してはこれと同じような待遇を与えるという立場から、やはり税の軽減や平衡交付金等の処置によつて、公務員と同様に平均をとつて上げるということが、しごく私は公平妥当な処置ではなかろうか、こう思つておるのでありますが、幸い私のこの要求に対しましては、平衡交付金について若干の格差をつけてもらうということも認めていただきましたし、税の軽減につきましては、大蔵大臣もつばら意見を尊重しながら考慮中である、研究中であるというのでありますが、これに対して、まず農林大臣から、私のこの要求に対するお願いが妥当であるか、むりがあるかというその見解をひとつ承りたいと思います。
  89. 廣川弘禪

    廣川國務大臣 あなたのおつしやる積雪寒冷地帯等における優遇処置でありますが、これは他の公務員その他と比較して私はもつともだと思つております。税金等につきましてもだんだんわれわれは話しておりますが、また今度は国会におきまして議員提出で保険の率等について検討を願つておるようでりまして、われわれもこれは十分協力いたしたいと思つております。その他についても積雪寒冷地帯については十分考えております。
  90. 小林進

    小林(進)委員 幸い農林大臣の積極的な御協力の御意見を承つてまことに喜びとするところであります。ついてはこの積雪寒冷地帯の問題は農林大臣の担当せられておる農林行政にも幾多打つてもらわなければならない手があると思うのでありますが、幸いにしてそういう御賛同を得たのでありますから、農林大臣みずからも私は農林行政でいろいろ手を打つてくださつたものと確信いたしております。具体的にそれらをひとつお示し願いたいと思うのであります。
  91. 廣川弘禪

    廣川國務大臣 保温苗しろとか、折衷苗しろ、そういう問題について、ここの予算面に小さくではありますが、出ておるのであります。十分意を払つております。
  92. 小林進

    小林(進)委員 折衷保温苗しろその他の問題は私も予算面で拜見いたしております。ところでこの問題に対しまして、実は私は農林大臣が今おつしやつた積極的な御賛同の御意見と、はなはだ矛盾を来しておるところの施策が一つ現われておるのじやなかろうかということを遺憾に思つておるのであります。それは何かといえば、早場米の報償金と超過供出の報償金の問題であります。特に単作地帶の特徴といたしまして大体水田一色であることは私が申上げるまでもないのでありまして、これをもしこの軍作地帯の水田の土地改良と灌漑排水工事を拔本的に施行して、この水田を乾田に化せば、一毛作地帯が二毛作地帯になつて、これだけで大体三割の増産は立ちどころに可能なのであります。しかるに農林予算を拜見いたしてみますと、これはあとでひとつお伺いいたしたいと思いますが、この公共事業費の中で開拓費が六十三億円計上せられております。この六十三億円の開拓費これはけつこうであります。けちをつけるのではありませんが、この開拓費が投資せられても、この投資に基いて、実際に増産の実績を上げるまでには、私は少くとも五年から十年かかると思う。開拓はそう簡単に参りません。ところが反対にこの六十三億を今申し上げます水田の改良に投資したとするならば、これはもう一年で勝負がつく。翌年度からは、確かに三割以上の増産が可能なのでありまして、今この事態に、この水田地帶のいわゆる乾田化のために、いま少し積極的に私はお力を入れられるお考えがないかどうか、この点に対して農林大臣の御意見を承りたいと思うのであります。
  93. 廣川弘禪

    廣川國務大臣 あなたの御着想、実にわれわれもその通りと思つておるのであります。この寒冷地帶における裏作の奨励は、大体農林省奨励いたしておるのでありますが、予算の足りないところは、農林中金資金あるいは今度の長期資金等を流しまして、これを十分助長するようにはかりたいと思つております。
  94. 小林進

    小林(進)委員 ぜひひとつこの水田の乾田化に特別の御努力を願いたいと思うのであります。  次に今申し上げました早場米と超過供出の報償金の問題でありますが、私はまず第一に早場米の性質、なぜ一体これをつくつたかという、その性質をひとつ農林大臣にお伺いいたしたいのであります。
  95. 廣川弘禪

    廣川國務大臣 一つは寒冷地帯に対する助長の点もあつたのでありましようが、食糧事情の窮迫した時代に、なるべく早くこれを国の倉庫に入れて、配給の万全を期したいということが主体であつたと思うのであります。しかしこの早場米の奨励金を多くとりたいという寒冷地帯の希望はわかるのでありますが、それと反対に温暖地帯におきまする不均衡を、これもまた十分考えなければならぬのであります。四国、九州等のいわゆる段々畑に対するああいつたよう方面、あるいはまた土壌の非常に悪い鹿児島のしらす地帯、そういつたような方にもやはり考えなければなりませんので、われわれといたしましては寒冷地帯も考えるが、その方面考えような方針で行つておるのであります。
  96. 小林進

    小林(進)委員 ただいま農林大臣がおつしやいました通り、これは二つの理由から設けられたことは間違いがないのでありまして、第一は逼迫せる食糧事情の端境期の間は、これが第一でございましようけれども、勇二は今おつしやいました通りであります。大体北から南まで長い、大いに気候も風土も環境も異なる日本において、一律の米価を決定することは、はなはだ矛盾である。この矛盾を何らかの形で解決しなければならないという意見もありまして、これは歴代の内閣、並びにこの関係者がいろいろ考究の結果、単作地軸帯といわば温暖地帯との、米の供出の時期のずれがあることを見出しまして、そこで早場米というものを設けて、気温に恵まれない、気候に恵まれないところの北陸、東北、北海道の単作地帯の連中を一応救済して、気候、風土から来る米価の不均衡を合理化しようどいう意味で、この早場米報償金が設けられたのでありまして、私どもはむしろこの点に重点を置いて、そうして歴代農林大臣にこの点をよく具申いたしておりまして、各農林大臣が全部この点を了承せられておつたのであります。私はもちろん現広川農林大臣は、さらにこの点を強く了承くださるものと実は確信しておつた。ところがだんだん早場米の報奨金が予算から削除せられまして、最高八十億まで交付せられたものが、七十億、六十億、五十億というふうに減つてつて、昨年度は六十億を支給せられたのでありますが、大体本年度の予算には、これが三十億しか盛られていないように聞いておるのでありまして、これはどうも先ほど農林大臣が言われた積雪寒冷地帯は特別にめんどうを見るというお考えとは、はなはだ私は矛盾いたしておると思うのでありまして、この点今一度御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
  97. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 米価決定の際に、全国的に意見が出て来るのは、やはりこの寒冷地帯の問題でありますが、それと相対しまして温暖地帯のいろいろな問題が出て参るのでありますが、われわれといたしましては寒冷地帯は特に考えなければならぬと思いまして来年度は実は全部廃そうという意見もあつたのでありますが、三十億程度入れておるようなわけであります。
  98. 小林進

    小林(進)委員 われわれはどうしても、この早場米の報償金は、これは日本という国の気候や環境やその他が一律にならない限り、積雪寒冷地の勤務地手当と同じように、どうしても設けてもらう確然たる根拠があることを確信いたしておるのでありまして、それは大勢の集まりでございますから、いろいろの意見がございましよう。ございましようが、願わくは歴代の農林大臣ように、この早場米の報償金に関する限り、農林大臣、確信をもつてとつ勤務地手当あるいは平衡交付金の格差等がなくなるまで、この早場米の問題で私はがんばつていただきたいと思うのであります。ぜひお願いいたします。  次に一つ超過供出の報償金の問題についてもお伺いいたしたいのでありますが、これは一体今年度の予算にどれだけ組み入れられてあるか、お伺いいたします。
  99. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 超過供出は米価に織り込んで、これはわれわれとしては認めないような方針で行つておるのであります。
  100. 小林進

    小林(進)委員 そうすると超過供出に対しましては、もはや全然特別価格で買い上げるお考えはないというのでございましようか。
  101. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 そのかわり米価を今までより上げて、ほんとうに農民の満足するよう米価にして行くという方針にしたいと思つております。
  102. 小林進

    小林(進)委員 これはどうも私は驚いたのでありますが、超過供出の報償金をおやめになるというが、一時は三倍までもお買いになつたこの報償金を、昨年はみごとに四分の一、二割五分増しでお買いになりました。今年はもうこれもなくなつた。私はこの問題が、将来非常に農村に大きく響くということを、警告を発しておきたいのであります。この超過供出の問題をおやめになるとするならば、農民は、割当制度はあります、来価の決定はあります、食管法はあります、食確法はあります。割当の責任額を出してしまい、今なお手持にある米をいかように処置せられようとするか、これを承りたいと思うのであります。
  103. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 来年度予算におきましては、供出のほかは自由にいたす考えであります。
  104. 小林進

    小林(進)委員 そうすると供出完了をした米は、自由販売を認められるということでございましようか。
  105. 廣川弘禪

    廣川國務大臣 来年度予算編成方針はさような基礎方針で決定いたしております。
  106. 小林進

    小林(進)委員 個々の農民が供出を完了いたしました場合に、個々の農民それぞれ自由販売をいたしてもよろしいというお考えでございましようか。
  107. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 自由販売はやはりその線がほんとうの自由販売だろうと思います。
  108. 小林進

    小林(進)委員 ただいまの御説明で了承いたしました。(「自由党に入れ」「答弁として了承したので、賛成したのじやない」と呼ぶ者あり)
  109. 小坂善太郎

    小坂委員長 小林君、質疑を継続してください。
  110. 小林進

    小林(進)委員 私はただいま食糧の割当制度があり、価格統制がある限り、その超過供出や完了後の食糧を自由販売にするなどというようなことになつたら、決して私は供出制度は円満に行かないと思うが、農林大臣の御見解はいかがでございましようか。
  111. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 私は農民の人格をかたく信じております。
  112. 小林進

    小林(進)委員 私はむしろこの問題は、やはり超過供出の特別価格を認めて、正当なル—トに乗せて、そうして政府で管理せられるのが、少くとも食糧行政としては一番正しい方法だと思うのでありまして、片方に統制を押しつけて、片方で自由販売を許す、しかも昨年度のように、一定の事前割当をして、その割当が完了したにもかかわらず、農林大臣はまた追加供出の割合で、農民に二重の割当をやられた、強制ではないとはいいながら強制的な形でおやりになつた、おそらく私は今年度もそうなるということは、これは火を見るよりも明らかである、なぜならば本年度の政府買付米というものは、昨年度よりもよけいにちやんと予算に組んでおられる。これは三年目で、農村は豊作というが、農村の豊作というものは三年も続けば手一ぱいであります。私は今年は不作とは言いませんけれども、不作ならんことをおそれているにもかかわらず、農林大臣は昨年よりもずつと多く買上げするよう予算を組んでおられるので、これは秋になれば確然とする。私は必ず第一次の割当をやつて、まだ足りなくて、追加割当をせられると思うので、それを供出完了後の米は、自由財売でよろしいということになれば、一体だれが追加供出に応じますか。しかも同じ価格で二度も三度も出さなければならない。農民はあなたに信用していただくのはけつこうでありますが、そのようにお人よしではございません。農民も怒ることを知つておるということを御承知願いたいのであります。農林省の御都合で、値段を上げたり下げたり、足りないからといつてまた追加供出にするということでは、あなたの予想せられるような米の供出は、決してうまく行かないと私は思うのであります。この点はどうかいま一度再考慮して、はつきり御答弁をお伺いしたいと思うのであります。
  113. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 農民の直接の声は、いかに超過供出の価格を高くしても、税金が追つかけて来るからいやだと言つております。それでその線に沿つて自由販売にいたしたいと考えておるのであります。
  114. 小林進

    小林(進)委員 超過供出の税金問題はまた別個で、農林大臣が御努力くださつて何とか安くなるようにしていただけばいいのでありまして、この問題に関する限りは、この供出制度がある限りは、どうしても超過供出を特別価格で買上げるという制度は、農林行政の上に、農林大臣のために廃すべきものではないと私は思うのであります。むしろ問題は三百二十万トンの輸入食糧であります。このために二百二十五億円というむだな金を使つているが、このお出しになつている価格差補給金を削減する方向に農林行政を持つて行くのが至当ではないかと私は思う。むしろ価格差補給金の半分の百億くらいは、特別価格で買上げるという、農民の生活を潤沢ならしむる方向へ流して行つて輸入食糧を何とか最小限度に食いとめるという方向に、血も涙もある強力な農林行政がお願いできないかどうか。いま一度お伺いいたしたいのであります。
  115. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 お話はよくわかるのであります。それで暫定的な方法として、無記名供出というようなものまでわれわれは考えておるのであります。しかしどうしても税金が追つかけて来るのでいかんともしかたがないので、この点は折衝中であります。決して農民の気持をわれわれは曲解いたしておるのではありませんで、農民の気持はわれわれは直感できるのであります。
  116. 小林進

    小林(進)委員 それでは次に農林大臣にお伺いいたします。問題をかえますが、積雪寒冷地帯振興臨時措置法という法律が与野党において具体化されつつありますが、これに対しまして農林大臣の御意見を承ると同時に、願わくばこれを今次国会においてどうしても通過せしめていただきたい、私はこういう積極的な希望を持つております。これに対する農林大臣の御見解を承りたいと思います。
  117. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 議員提出で案が練られておることはよく承知いたしておりますので、われわれといたしましては、できる限り協力を惜しまないものであります。
  118. 小林進

    小林(進)委員 それでは最後に一問お伺いいたしておきます。食確法はこの三月に自然廃止になるのでありまするが、これをこのままに放任しておかれる御意向であるかどうか。食管法と食確法と二つ並べてみますと、食管法こそは戦時中にでき上つた農民弾圧法規であります。こういう弾圧法規で戦後も残つておるものは、食管法をおいてそうないのであります。この食管法こそ廃止すべきものでありまして、この食管法並びに割当制度の不備を是正する意味において、農民を保護する立場から終戦後にでき上つたのが食確法であります。そうして事前割当制度なるものを設けて、計画的に農民をして米を供出せしめるという保護法である。この保護法がこの三月に切れるというのに、これを廃止して、弾圧法規であり、農民に罰金を食わしたり、刑に処するような戦時中の色彩の強い刑罰法規の食管法を、そのまま存続せしめられるということは、私は農林行政の上からはなはだ時代に逆行する処置ではないかと思うのでありまして、もしこの食確法を廃止せられ、農民は今度は事後割当——事後割当がいかに農村の供出制度を混乱せしめたかということは、私が申し上げるまでもなく、終戰後のあらゆる日本の事態がこれを証明しておると思うのでありますが、これを廃止することは、また昔の供出制度の混乱状態にかえることである。しかも早場米の奨励金も、超過供出の報償金もない、事前割当の計画もない。でき上つたあとに、できたものを見てその米をふんだくるということは、私はまことに無計画もはなはだしいと思うのでありまして、私はこの食確法だけは存置すべきものと思いますが、これに対する農林大臣の御所見を承りたいと思います。
  119. 廣川弘禪

    廣川國務大臣 食確法の期限の切れることはよく承知しております。しかし存置する意思は私は持つておりません。ただ食管法の悪いところ、すなわち農民の意欲をそぐような点は、これを改正するよう研究を進めさせておる次第であります。
  120. 小坂善太郎

  121. 戸叶里子

    ○戸叶委員 先ほどに続いて文部大臣に御質問したいと思います。  渡米して帰つて来た人がだれでも言いますことは、アメリカ人が日本に対する知識を非常に持ちたがつているということでございます。しかるに残念なことに、農村あるいは末端へ行つてみますと、日本に対するほんとうの知識を把握できるような資料がないことです。私はニユーヨークから二時間ほど自動車でかかるいなかのある家庭に招待を受けましたとぎに、小さな子供がおりまして図書館から「日本」という本を借りて来て私に説明してくれと言つて見せました。私はそれを開いてみまして、最初驚いたことは、一番先に出て来るのは人力車夫の絵で、その次に出て来るのは、四十くらいの男の人がかすりの着物を着て、赤ん坊をおぶつてリンゴを買つている絵なんです。こういう明治の初期を思わせるような資料によつて外国の子供に日本に対する観念を与えられては、日米両国のために非常に悲しむべきものだと思うのです。そこでアメリカからの文化を吸収することにのみ専念せずに、日本の正しい現状をも知らせる必要があると思います。お互いにその実情を理解し合つてこそ、それを基礎として正しい意味の親善関係が結ばれるのであります。政治的な意味を拔きにしたこうした意味の文化外交こそ、今日において最も重要であろうと思います。文部大臣としては、外務省と結んで、各国の図書館、ことにアメリカの末端の図書館にでも、あるがままの日本理解するような手引きとなる出版物を配付すべきであると思いますが、これに対してどうお考えになられるか。こういうことを抜きにしては化石的な文教政策としか言われないと思いますが、この予算関係はどうなつているかをちよつと伺いたいと思います。     〔委員長退席、西村(久)委員長代     理着席〕
  122. 天野貞祐

    天野國務大臣 ただいまおつしやいましたことは一々ごもつともであります。実際外国日本というものの間がお互いによく理解し合うということが非常に足りないと思うのです。それは今おつしやつた通りであります。日本といえばアメリカでもほんとうに少数の人よりほかわからないのではなかろうか。また日本人も、アメリカの人にものなどをやるときには、日本人はだれもすかないようピカピカしたものばかりやるから、さつぱりほんとうにわからないということは、これはおつしやる通りでございます。しかしこのごろの留学生とかいろいろな関係で、識者の間には非常にわかつて来ている。また向うの小学校の児童の描いたものをこちらに持つて来て、一般のこちらの子供に見せたり、こちらの絵を向うに持つてつて見せたりは現に今やつておりますが、そういうようなことによつて、今おつしやつたようなことは漸次よくなりつつありますが、しかしそれは非常に不十分であることはおつしやる通りでございます。そういう点について何か費用があるかというと今のところそれに計上されている費用がないことを私は遺憾に存じます。
  123. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは費用がないために、そういうような、ほんとうの日本を知らせるような資料をお送りになるようなお考えはないかどうか、お伺いいたします。
  124. 天野貞祐

    天野國務大臣 さしあたつては今その費用がないのです。けれども何かそういうようなことをすることはたいへんに必要だと思いますから、そういうことを計画いたしたいと思います。
  125. 戸叶里子

    ○戸叶委員 次に終戰後男女同権が認められまして、その線に沿うて教育の面でも教育の機会均等とか、男女共学が実施されたことはまことに喜ばしいことでありますが、それは国民の過半数を占める婦人の地位の向上なくしては文化国家があわ得ないからであります。けれども実際問題といたしまして婦人の向上だとかそれから婦人の社会的進出をはばむような現象が現われております。この具体的な現われは男女同権の原則に反して差別待遇が行われたり、あるいは整理の際には性別による不平等の馘首が行われております。また農村においてはいまだに深く封建性が巣くつておりますが、私は先ごろある進歩的な高等学校で男女共学の問題についての討論会に招待されて参りました。その際に三人の男の高等学校の生徒の発言がありましたが、三人とも婦人に高等教育は無用だ、男子が婦人を養うべきであつて婦人台所の仕事をするのに何も高等教育なんかはいらないというような驚くべき意見を持つておりました。その後注意して若い人たちと話し合つてみますが、どうも婦人に対しての考え方がまだ非常に低調である場合が多いように見受けられます。これはかつての教育の欠陷によるものでありまして、この思想を取除き、真に女性も一個の人格者として認めるべきであるという教育が考えられなければならないと思います。おそらく進歩的な学者でいらつしやる文部大臣は、この点は私に同感でおありになると思いますが、この思想を今の教育の中に織り込むように努力なされようとしていらつしやるかどうか、あるいはその具体的な万策がおありになつたらそれをお聞きしたいと思います。
  126. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は今戸叶さんのおつしやつたことは全然同感でございます。ただその認識において、日本は男尊女卑の国だというように普通言われますけれども、私はそれは決してそうではないと思つております。少くとも西洋人などが考えるほど日本は決して男尊女卑の国ではない。今農村のお話が出ましたが、私も実は農村に育つたものですが、農村でも家庭に入れば、その主婦というものは非常に一家から尊敬されておる。これは戸叶さんも御承知じやないかと思います。私どもはそういうようにして母親を尊敬して来た人間ですから、農村は封建的で女性を侮つているというようなことはやはり一部の観察であつて、必ずしもそうではない。私は西洋人などは非常にこういう点を見そこなつておると思う。ただ外面的に女に外套を着せてやるとか、電車に乗つたら立つ、そういうことは日本人はしませんけれども、ほんとうの意味では相当に女性を尊重しておる。現在社会においても力のない男性はだれも尊重しません。女性で力があればだれでも尊重しております。私も教育刷新委員会に籍を置いて、教育基本法は女性の方も交えてやりましたが、その教育基本法の中にも女性の発言がこもつております。そういう意味で私どもは女性だから侮るというようなことを考えたこともございませんし、社会においてはそういう風が幾分ありますけれども、しかし必ずしもそうでない。ことに教育界においては、教育委員の中にも女性がたくさんおられます。校長をしている人が二百人以上もあるというようなこと。けれども一般的に言えば今あなたのおつしやつたような傾向がある。これはどこにその理由があるかといえば、女性にそれだけの力がない、教養が足りないということ。私どもは教育によつて女性の教養の水準を男性程度に高めよう、それが唯一の男女同権の根源になる。法律がいかに男女同権なつたとしても、実際的に男女同権と言えない。法律が男女同権になる前にも、家庭によつては男女は同権であつたというような点を考えて、要するに帰着するところは女性の教養を高めるにある。それは教育の任務であると考えているわけであります。
  127. 戸叶里子

    ○戸叶委員 文部大臣ようなお考えを持つていらつしやる方だけならいいのですけれども、私がよく若い人や、それからまたいろいろの人に接しますと、そういう考え方を持つていらつしやる方ばかりとは限りません。ですから、どうぞ教育の面でその理想をぜひ入れていただきたいと思います。  時間がありませんから飛ばしましてお伺いします。最近講和問題に対する国民の関心が高まりまして、各地においてPTAあるいは学校などで、国際情勢あるいは外交問題に対して外務省の役人を招聘して講演を依頼しておりますが、その際の講演の結論として、全面講和は不可能であり、理想論にすぎないとの断定を下しておるとのことでございます。現在全面講和と単独講和に対して、政府とわが党との政治的見解の対立が行われております際に、こういう官吏の言動は慎重を欠くものではなかろうかと思います。政府は官僚を用いて政府の見解の宣伝をなさしめていると思われますけれども、その点に対しての文部大臣の御見解を承りたいと思います。
  128. 天野貞祐

    天野国務大臣 今戸叶さんから承つて、そういう事実があることを知りましたけれども、私は今までそういうことを少しも聞いておりません。それは文部省が直接関係いたしておるのでございませんから、私がここで何とも申し上げかねることであります。
  129. 戸叶里子

    ○戸叶委員 文部大臣御存じないかもしれませんが、各地のPTAでそういうことをしていらつしやるということを、これから注意して見ていただきたいと思います。また講和問題に対しまして学徒だけでなしに、学生というか、小学校、中学校の学童に至るまで非常に講和問題に対して関心を持ちまして、先生に対して活発な質問を行つておりますが、社会科を担当する教師の苦衷を聞いてみますと、今まで平和主義に徹した戦争放棄、非武装の新憲法の精神を学童に熱心に教えて来たのに、今度は再軍備問題などをめぐつて憲法改正があるのではなかろうかということを聞かれました際に、答えるべき言葉に窮しておるとのことであります。文部大臣は、これらの苦衷に対しまして身みずから御経験をなすつていられる方でありますから明確な回答の御用意があると思いますが、この際全国の先生方に参考となるような御意見の御発表をお願いしたいと思います。
  130. 天野貞祐

    天野国務大臣 この平和を愛するということ、またできるならば全面講和ということ、これは私どもすべての人の願望であつて、私どもも強くそれを考えていたものでございますけれども、この生きた歴史の現実というものはそういう固定した考えをどこまでも持つているというわけに行かないので、今日は学校の先生が、そういう今政治問題化されつつある問題には、私はそう立ち入らない方がいいのではないかと考える。
  131. 戸叶里子

    ○戸叶委員 先生がそういう問題に立ち入らない方がいいというお答えでございました。それはそうではございましようけれども、実際問題といたしまして、生徒などから聞かれました場合に、それではそういう問題については答えないががいいからということであつては先生の責任が果せないと思います。それでは明確な回答ができないから、講和が締結して憲法改正が行われるかどうかが決定するまで、しばらくの間新憲法の講義はやめるようにというようなお達しを出すおつもりであるかどうか重ねてお伺いをいたしたいと思います。国民の信仰が天皇制廃止によつて新憲法中心に打立てられようとしているときに、これが再び打砕かれるようなことがあるならば、教育上の影響も非常に大きいと思われます。そこで文部大臣は、教員諸君が動揺苦悩しないような適切な措置をとつていただきたいと思いますが、これに対しての文部大臣のお考えを伺いたい。
  132. 天野貞祐

    天野国務大臣 私はそういう問題は、大学とかそういう年をとつた人の問題であつて、子供に向つてそういう問題をかれこれ論議するうといことは必要ないのではないかと自分は考えております。
  133. 戸叶里子

    ○戸叶委員 論議する必要はないかもしれませんが、もし生徒の方から聞かれた場合に、先生はどういうふうに答えられたらいいかということを聞かれたらどうなさいますでしようか。
  134. 天野貞祐

    天野国務大臣 戸叶さんはただ軍備放棄ということだけが新憲法の精神のようにおつしやいましたけれども、新憲法で最も重要なことは、天皇を象徴として尊ぶというような精神、あるいは主権在民とか、基本的人権の尊重とか、そういうことに重点があるのですから、新憲法をただ戰争放棄の一点にのみ凝結させるというお考えはどうかと思うのです。でありますから、新憲法の精神をよく先生が生徒に言つたらよろしいのです。戰争放棄については、全面講和がよいことは当然なんだけれども、今の社会というものは非常に複雑しておつて、なかなか自分たちには見通しはつかないと言つたつて私はさしつかえないのじやないかと思います。
  135. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私も別に新憲法が戰争放棄のことだけとは思つておりません。ほかの精神のこともよく存じておりますが、ただそういうような問題が往々にして起きておりますので、私はこの際文部大臣に先生たちが動揺苦悩をしないような適切な処置をとつていただきたいと思つておるのですが、今そういう理想はこうこうであつても、現実にはそうでない場合もあるかもしれないというよう程度の答えをしていればさしつかえないではないかというようなお話でございましたので、まあそういうことを結局先生方がお答えになるようになると了承して、私はほかにいろいろありますが、あと時間の関係もありますので、質問を打切りたいと思います。
  136. 西村久之

    西村(久)委員長代理 この際川崎秀二君より関連質疑をいたしたいとの申出があります。これを許します。川崎秀二君。
  137. 川崎秀二

    川崎委員 端的に質問いたします。三月の三日、インドの首都ニユーデリーにおきましてアジア・オリンピツク大会が開かれます。これには日本からも八十名に上る選手が派遣をされることになり、ことに最終の段階では文部省でも非常に協力をして、特に派遣費の捻出については御協力を願つたわけでありますが、この際お尋ねをいたしておきたいことは、今まで文部省はオリンピツク大会の派遣の方針や、それから援助の仕方について、日本体育協会の決定せる方針に基いての協力ということが非常に消極的であつたように私どもは感じております。もとよりスポーツは民間にまかすべきものであつて、官がこれを指導するという立場ではございませんけれども、しかしながら現在かかる文化の交流に際しては当然積極的なる方針をもつて当られるべきものだと考えるのであります。しこうして来年は、国民が最も大きな関心をもつておるヘルシンキのオリンピツク大会が開かれます。そこでお伺いしたいのは、今度のアジア大会と同様もしくはもつと——これは大きな規模でありまするから、従つて派遣費が相当な額に上るかと思います。一億四、五千万円はいるかとも大体考えておるのでありまするが、その際において、文部省はどういう協力の仕方をするか、この点明確に御答弁を願いたい。
  138. 天野貞祐

    天野国務大臣 私はまだ平和條約もできない前に、このスポーツの世界はすでに平和條約ができたと同じようになつて来ているということは、非常に愉快千万なことだと思つております。スポーツによりまして日々に平和條約が結ばれつつあるといつてもよいのではないかと思うのです。そういう意味で、従来の狭い国家的な考えでなく、日本も世界の中の日本だ、また世界も日本を一員としているんだ、そういう自覚も一方においては促されるし、またスポーツが教育上にも非常に大きな意義を持つておる、フエア・プレイというような、このフエアというような精神が現代には欠けており、現代ほどこれを必要とする精神はないのですが、それを最も端的に養成するものは私はスポーツだと思つております。そういう精神の面から言つても、文部省は積極的にこういうことに助力いたしたいと思つております。すでに昨年も、東洋だけのことであるにかかわらず一千万円の支出に努力いたしたことでございますから、今度は世界的なことであつて、世界の面前に日本の選手が出て行くというくらい、国民としても愉快千万な話はないのでありますから、教育の立場からいつても、世界における日本の位置からいつても、私ども文部省としては、きるだけここに配慮と努力とをいたしたい考えであります。
  139. 川崎秀二

    川崎委員 ただいまの答弁で御信念のほどを伺いましてきわめて満足でございます。  この際もう一つ伺つておきたいことは、ヘルシンキのオリンピツクの前に冬季競技大会というのがあります。これはノールウエーのオスローで来年の二月から開かれます。これは一連の関係ではありまするけれども、オスローの大会の費用は、実は本年度の予算に組まるべきものであると考えておるのでありますが、これはどうして落ちたのか、あるいはその際において必要とあれば予備金の支出をするものか、その点をお伺いしたい。  いま一点は、先ほどの御信念で十分ではありまするが、今まではGHQの方にスポーツの問題でさえも遠慮しておつたようなけはいがございます。マーカツト氏にしても、あるいはニユーゼント氏にしても、非常にスポーツに対する理解がありまするが、しかしながらスポーツに対する考え方において、アメリカ日本考え方は多少距離があるわけです。アメリカような財政事情が非常に豊かなところと、日本におけるよう経済状態の窮迫したようなところでは、やはり官が相当の補助をしてやらなければならない。特に海外進出の場合にはそういうことが必要だと思います。それで私は国会の、ことに自由党方面の方の非常な御協力で、そうして強く押されたために、マーカツト氏あるいはニユーゼント氏も説得をされたような形になつております。この際これを強く推進する意思があるか。すなわち自主的な政策は、ひとり経済政策の根本ではなくして、スポーツ政策の問題にも及んで来るべきものだと私は考えておるものであります。よつてこの二つの問題、すなわちオスローの費用はどうするか、自主的文化政策というものを推進する決意があるか、この点を伺つておきたい。
  140. 天野貞祐

    天野国務大臣 第一の点につきましては、予備金の支出を大蔵当局と交渉いたしたいと思つております。  第二の点につきましては、私も川崎さんと全然同感でございます。日本アメリカと事情の違うところもございましようし、またすべて教育にかかわらず、何にかかわらず、私はほんとうによいことならばどこまでも自分の考えを貫くようにいたしたい考えでおります。
  141. 西村久之

    西村(久)委員長代理 川崎君と同様小平忠君より関連質疑の申出があります。これを許します。小平忠君。
  142. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私はただいまの川崎委員質問に関連いたしまして一点お伺いをいたしたいのであります。明年ノールウエ—のオスローで開かれまするオリンピツク競技につきましても、経費の問題については、文部大臣より今予備金の支出を大蔵大臣と交渉するというような言明をされましたので、私は非常に同慶にたえませんが、特にこの機会に強くお願いを申し上げ、またお伺いしたいことは、現在ウインター・スポーツの花形としてスケート代表がスイスのダボスで活躍いたしております。現在スポーツが国際復帰の段階まで進んでおることは、平和を愛好する民族にとつては何よりの最大の喜びであると考えるのであります。そういう観点から、日本が南方のごとく常夏の国でなく、春夏秋冬、この気候の変化によつて人間の心身を陶冶するというような見地から、日本民族の優秀性というような問題も、私は冬季において雪の中に埋れておる、寒さの中に埋れているだけでなく、その寒い期間においても、若い者が大いに心身を鍛練するというような見地から、このウインター・スポーツについては、政府も積極的に奨励し、これに対して大いに関心を持つということが私は必要なことだと思うのです。そういう観点から、明年二月、オスローで持たれる冬季オリンピツクの大会については——昭和十一年に日本でオリンピツクが持たれ、東京で陸上やその他の競技が持たれ、冬季のいわゆるウインター・スポーツについては北海道の札幌というようなことで、当時完全なる準備をしたが、支那事変勃発の直前の関係上、それが中止になつたというようなことを考えてみますと、今日このようなスポーツの国際復帰という点は、私は非常に喜びにたえないのであります。そういう観点から、ヘルシンキで持たれる大会は、二十七年度の予算でいいと思いますが、冬季オスローで持たれる大会は、来年の二月でありますから、二十六年度予算になるわけであります。そういう観点に立つて、文部大臣は今から大蔵大臣と十分の折衝を遂げられて、この選手派遣に万遺憾なきを期せられたいと考えるのでありますが、この点について、單に予備金で間に合うのか、次回の補正予算において追加予算を出すのか、もう少し具体的な文部大臣の御所見を承りまして私の質問にかえます。
  143. 天野貞祐

    天野国務大臣 ただいまのお尋ねでございますが、その趣旨は私も大賛成でございます。ただそれを予備金で出すか、あるいは補正予算にするかというようなことについては、まだ大蔵大臣と何も話したことがないのでございます。でございますから、これからよく大蔵大臣と話をいたしまして、適当な方法をもつてこれを出すようにしていただきたいと思つております。今おつしやつたほかの事柄については、全然同感で、私もできるだけの努力をいたしたい考えでございます。
  144. 西村久之

    西村(久)委員長代理 午後は本会議の都合もありますので、本日はこの程度にとどめまして、明日午前十時より公聽会を開会いたしますから、特に時間の励行を希望いたします。  本日はこれで散会いたします。     午後零時五十二分散会